(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-14
(54)【発明の名称】多方向出力を備えたスイープジェット装置
(51)【国際特許分類】
F15C 3/00 20060101AFI20230307BHJP
【FI】
F15C3/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022528052
(86)(22)【出願日】2019-11-14
(85)【翻訳文提出日】2022-05-25
(86)【国際出願番号】 US2019061505
(87)【国際公開番号】W WO2021096515
(87)【国際公開日】2021-05-20
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514137997
【氏名又は名称】オハイオ・ステイト・イノベーション・ファウンデーション
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100189555
【氏名又は名称】徳山 英浩
(72)【発明者】
【氏名】トマック,メーメット
(57)【要約】
さまざまな実施態様には、多方向出力を備えたスイープジェット装置が含まれる。装置は、チャンバ壁によって画定された相互作用チャンバを含む。チャンバ壁は、第1及び第2の入口ポートならびに第1及び第2の出口ポートを画定する。第1及び第2の流体供給入口は、第1及び第2の入口流体流をそれぞれ第1及び第2の入口ポートを通って相互作用チャンバに導入するように構成される。第1及び第2の出口ノズルは、第1及び第2の出口流体流を、それぞれ第1及び第2の出口ポートならびに第1及び第2の出口ノズルを通して相互作用チャンバから排出するように構成される。第1及び第2の入口流体流は、相互作用チャンバ内で衝突し、第1及び第2の出口流体流がそれぞれ第1及び第2の出口ノズルから排出されるときに、第1及び第2の出口流体流を掃引させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多方向出力を備えたスイープジェット装置であって、
第1の部分、第2の部分、ならびに第1の側面及び第2の側面を有する中央部分を備え、
前記中央部分の前記第1の側面は前記第1の部分に結合され、前記中央部分の前記第2の側面は前記第2の部分に結合され、
前記中央部分が、
前記中央部分の前記第1の側面と前記第2の側面との間に延びるチャンバ壁によって画定される相互作用チャンバであって、前記チャンバ壁が、第1の入口ポート、第2の入口ポート、第1の出口ポート、及び第2の出口ポートを画定する、相互作用チャンバと、
第1の入口流体流を前記第1の入口ポートを通って前記相互作用チャンバに導入するように構成された第1の流体供給入口と、
第2の入口流体流を前記第2の入口ポートを通って前記相互作用チャンバに導入するように構成された第2の流体供給入口と、
第1の出口ノズルであって、第1の出口流体流を前記相互作用チャンバから前記第1の出口ポート及び前記第1の出口ノズルを通して排出するように構成された第1の出口ノズルと、
第2の出口ノズルであって、第2の出口流体流を前記相互作用チャンバから前記第2の出口ポート及び前記第2の出口ノズルを通して排出するように構成された第2の出口ノズルと、を備え、
前記第1の入口流体流が、前記相互作用チャンバ内の前記第2の入口流体流と衝突し、
前記第1の入口流体流と前記第2の入口流体流との衝突により、前記第1の出口流体流が前記第1の出口ノズルから排出されるときに前記第1の出口流体流が掃引され、前記第2の出口流体流が前記第2の出口ノズルから排出されるときに前記第2の出口流体流が掃引される、スイープジェット装置。
【請求項2】
前記相互作用チャンバが、前記中央部分の前記第1の側面及び第2の側面に垂直に延びる中心軸を有し、前記第1の入口ポート、前記第2の入口ポート、前記第1の出口ポート、及び前記第2の出口ポートのそれぞれが、前記中心軸の周りに90°で前記チャンバ壁に沿って円周方向に間隔をあけている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第1の入口ポート及び前記第2の入口ポートのそれぞれが、前記第1の出口ポートと前記第2の出口ポートとの間の前記チャンバ壁に沿って画定され、前記第1の出口ポート及び前記第2の出口ポートのそれぞれが、前記第1の入口ポートと前記第2の入口ポートとの間の前記チャンバ壁に沿って画定されている、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記第1の流体供給入口が、前記第1の入口流体流を前記相互作用チャンバに連続的に導入し、前記第2の流体供給入口が、前記第2の入口流体流を前記相互作用チャンバに連続的に導入する、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記第1の流体供給入口が、前記第1の入口流体流を前記相互作用チャンバに定流量で導入し、前記第2の流体供給入口が、前記第2の入口流体流を前記相互作用チャンバに定流量で導入する、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記第1の入口流体流及び前記第2の入口流体流が同じ流量を有する、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記第1の入口流体流及び前記第2の入口流体流が液体を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記第1の入口流体流及び前記第2の入口流体流が気体を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
多方向出力を備えたスイープジェット装置であって、
第1の部分、第2の部分、ならびに第1の側面及び第2の側面を有する中央部分を備え、
前記中央部分の前記第1の側面は前記第1の部分に結合され、前記中央部分の前記第2の側面は前記第2の部分に結合され、
前記中央部分が、
前記中央部分の前記第1の側面と前記第2の側面との間に延びるチャンバ壁によって画定された相互作用チャンバであって、前記チャンバ壁が、少なくとも2つの入口ポート及び少なくとも2つの出口ポートを画定する、相互作用チャンバと、
少なくとも2つの流体供給入口であって、前記少なくとも2つの流体供給入口のそれぞれが、前記少なくとも2つの入口ポートのうちのそれぞれの1つを通って前記相互作用チャンバに少なくとも2つの入口流体流のうちの1つを導入するように構成された、少なくとも2つの流体供給入口と、
少なくとも2つの出口ノズルであって、前記少なくとも2つの出口ノズルのそれぞれが、前記相互作用チャンバから前記少なくとも2つの出口ポートのそれぞれの1つを通って、そして前記出口ノズルを通って、少なくとも2つの出口流体流のうちの1つを排出するように構成された、少なくとも2つの出口ノズルと、を備え、
前記少なくとも2つの入口流体流が、前記相互作用チャンバ内で互いに衝突し、
前記少なくとも2つの入口流体流の互いの前記衝突により、前記少なくとも2つの出口流体流がそれぞれの出口ノズルから排出されるときに、前記少なくとも2つの出口流体流のそれぞれが掃引される、スイープジェット装置。
【請求項10】
前記相互作用チャンバが、前記中央部分の前記第1の側面及び前記第2の側面に垂直に延びる中心軸を有し、前記少なくとも2つの入口ポート及び前記少なくとも2つの出口ポートのそれぞれが、前記中心軸の周りに360°/Nで前記チャンバ壁に沿って円周方向に間隔をあけており、Nは入口ポートと出口ポートの総数である、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
N = 6である、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
N = 8である、請求項10に記載の装置。
【請求項13】
前記少なくとも2つの入口ポートのそれぞれが、2つの隣接する出口ポートの間の前記チャンバ壁に沿って画定され、前記少なくとも2つの出口ポートのそれぞれが、2つの隣接する入口ポートの間の前記チャンバ壁に沿って画定される、請求項9に記載の装置。
【請求項14】
前記少なくとも2つの流体供給入口のそれぞれが、前記少なくとも2つの入口流体流のうちの1つを前記相互作用チャンバに連続的に導入する、請求項9に記載の装置。
【請求項15】
前記少なくとも2つの流体供給入口のそれぞれが、前記少なくとも2つの入口流体流のうちの1つを前記相互作用チャンバに定流量で導入する、請求項9に記載の装置。
【請求項16】
前記少なくとも2つの入口流体流のそれぞれが同じ流量を有する、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記少なくとも2つの入口流体流のそれぞれが液体を含む、請求項9に記載の装置。
【請求項18】
前記少なくとも2つの入口流体流のそれぞれが気体を含む、請求項9に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
ジェット相互作用型の流体発振器は、非定常スイープジェットを作成する。ジェットのスイープパターンは、主に発振器自体の内部流体力学に依存する。流体発振器は可動部品がないため、さまざまな用途で使用される関心が高まっているが、高度な制御権限、広範囲にわたるスイープ、及び独自の流体分配システムにより、同じ流体の量でより広いスイープ領域の能力を提供する。
【0002】
現在、ジェット相互作用型流体発振器には、2つの流体入力及び単一の流体出力が含まれている。様々な用途において、装置から複数の方向に流体出力を有することが望ましい場合があり、発振器を出る流体が多方向場を網羅するように、複数のジェット相互作用型流体発振器の配向を必要とする。しかし、複数のジェット相互作用型流体発振器を互いに近接して含めることは、扱いにくくなる場合がある。さらに、いくつかの用途では、ジェット相互作用型流体発振器のそれぞれの流体出力が互いに連通していることが望ましい場合がある。ただし、複数のジェット相互作用型流体発振器を使用する場合、各ジェット相互作用型流体発振器は、他のジェット相互作用型流体発振器から独立して振動する。
【0003】
したがって、互いに連通する多方向掃引出力を生成することができるジェット相互作用型の装置が望まれている。
【発明の概要】
【0004】
さまざまな実施態様には、多方向出力を備えたスイープジェット装置が含まれる。装置は、第1の部分、第2の部分、ならびに第1の側面及び第2の側面を有する中央部分を含む。中央部分の第1の側面は第1の部分に結合され、中央部分の第2の側面は第2の部分に結合される。中央部分は、相互作用チャンバ、第1の流体供給入口、第2の流体供給入口、第1の出口ノズル、及び第2の出口ノズルを含む。相互作用チャンバは、中央部分の第1の側面と第2の側面との間に延びるチャンバ壁によって画定される。チャンバ壁は、第1の入口ポート、第2の入口ポート、第1の出口ポート、及び第2の出口ポートを画定する。第1の流体供給入口は、第1の入口流体流を第1の入口ポートを通って相互作用チャンバに導入するように構成される。第2の流体供給入口は、第2の入口流体流を第2の入口ポートを通って相互作用チャンバに導入するように構成される。第1の出口ノズルは、第1の出口流体流を相互作用チャンバから第1の出口ポート及び第1の出口ノズルを通して排出するように構成される。第2の出口ノズルは、第2の出口流体流を相互作用チャンバから第2の出口ポート及び第2の出口ノズルを通して排出するように構成される。第1の入口流体流は、相互作用チャンバ内の第2の入口流体流と衝突する。第1の入口流体流と第2の入口流体流との衝突により、第1の出口流体流が第1の出口ノズルから排出されるときに第1の出口流体流が掃引され、第2の出口流体流が第2の出口ノズルから排出されるときに第2の出口流体流が掃引される。
【0005】
いくつかの実施態様では、相互作用チャンバは、中央部分の第1の側面及び第2の側面に垂直に延びる中心軸を有し、第1の入口ポート、第2の入口ポート、第1の出口ポート、及び第2の出口ポートのそれぞれは、中心軸の周りに90°でチャンバ壁に沿って円周方向に間隔をあけている。
【0006】
いくつかの実施態様では、第1の入口ポート及び第2の入口ポートのそれぞれは、第1の出口ポートと第2の出口ポートとの間のチャンバ壁に沿って画定され、第1の出口ポート及び第2の出口ポートのそれぞれは、第1の入口ポートと第2の入口ポートとの間のチャンバ壁に沿って画定されている。
【0007】
いくつかの実施態様では、第1の流体供給入口は、第1の入口流体流を相互作用チャンバに連続的に導入し、第2の流体供給入口は、第2の入口流体流を相互作用チャンバに連続的に導入する。
【0008】
いくつかの実施態様では、第1の流体供給入口は、第1の入口流体流を相互作用チャンバに定流量で導入し、第2の流体供給入口は、第2の入口流体流を相互作用チャンバに定流量で導入する。いくつかの実施態様では、第1の入口流体流及び第2の入口流体流は同じ流量を有する。
【0009】
いくつかの実施態様では、第1の入口流体流及び第2の入口流体流は液体を含む。
【0010】
いくつかの実施態様では、第1の入口流体流及び第2の入口流体流は気体を含む。
【0011】
さまざまな他の実施態様には、多方向出力を備えたスイープジェット装置が含まれる。装置は、第1の部分、第2の部分、ならびに第1の側面及び第2の側面を有する中央部分を含む。中央部分の第1の側面は第1の部分に結合され、中央部分の第2の側面は第2の部分に結合される。中央部分は、相互作用チャンバ、少なくとも2つの流体供給入口、及び少なくとも2つの出口ノズルを含む。相互作用チャンバは、中央部分の第1の側面と第2の側面との間に延びるチャンバ壁によって画定される。チャンバ壁は、少なくとも2つの入口ポートと少なくとも2つの出口ポートを画定する。少なくとも2つの流体供給入口のそれぞれは、少なくとも2つの入口ポートのうちのそれぞれの1つを通って相互作用チャンバに少なくとも2つの入口流体流のうちの1つを導入するように構成される。少なくとも2つの出口ノズルのそれぞれは、相互作用チャンバから少なくとも2つの出口ポートのそれぞれの1つを通って、そして出口ノズルを通って、少なくとも2つの出口流体流のうちの1つを排出するように構成される。少なくとも2つの入口流体流は、相互作用チャンバ内で互いに衝突する。少なくとも2つの入口流体流が互いに衝突すると、少なくとも2つの出口流体流がそれぞれの出口ノズルから排出されるときに、少なくとも2つの出口流体流のそれぞれが掃引される。
【0012】
いくつかの実施態様では、相互作用チャンバは、中央部分の第1の側面及び第2の側面に垂直に延びる中心軸を有し、少なくとも2つの入口ポート及び少なくとも2つの出口ポートのそれぞれは、中心軸の周りの360°/Nでチャンバ壁に沿って円周方向に間隔をあける。Nは、入口ポートと出口ポートの総数である。いくつかの実施態様では、N=6である。いくつかの実施態様では、N=8である。
【0013】
いくつかの実施態様では、少なくとも2つの入口ポートのそれぞれは、2つの隣接する出口ポートの間のチャンバ壁に沿って画定され、少なくとも2つの出口ポートのそれぞれは、2つの隣接する入口ポートの間のチャンバ壁に沿って画定される。
【0014】
いくつかの実施態様では、少なくとも2つの流体供給入口のそれぞれが、少なくとも2つの入口流体流のうちの1つを相互作用チャンバに連続的に導入する。
【0015】
いくつかの実施態様では、少なくとも2つの流体供給入口のそれぞれが、少なくとも2つの入口流体流のうちの1つを相互作用チャンバに定流量で導入する。いくつかの実施態様では、少なくとも2つの入口流体流のそれぞれが同じ流量を有する。
【0016】
いくつかの実施態様では、少なくとも2つの入口流体流のそれぞれが液体を含む。
【0017】
いくつかの実施態様では、少なくとも2つの入口流体流のそれぞれが気体を含む。
【0018】
例示的な機能及び実施態様は、添付の図面に開示されている。しかしながら、本開示は、示される正確な配置及び手段に限定されない。異なる実施態様の同様の要素は、同じ参照符号を使用して示される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1A】従来技術のジェット相互作用型流体発振器の上面図である。
【
図1B】
図1Aのジェット相互作用型流体発振器の端面図である。
【
図2A】一実施態様による、多方向出力を備えたスイープジェット装置の上面図である。
【
図2C】出口流体流が反対方向に掃引された、
図2Aのスイープジェット装置の上面図である。
【
図2D】スイープ出口流体流の時間平均を伴う
図2Aのスイープジェット装置の上面図である。
【
図3】別の実施態様による、多方向出力を備えたスイープジェット装置の上面図である。
【
図4】別の実施態様による、多方向出力を備えたスイープジェット装置の上面図である。
【
図5】別の実施態様による、多方向出力を備えたスイープジェット装置の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本明細書に開示される装置、システム、及び方法は、複数の掃引出力を生成することができるスイープジェット装置を提供する。出力は多方向であり、360°の出力範囲を提供し得る。
【0021】
さまざまな実施態様には、多方向出力を備えたスイープジェット装置が含まれる。装置は、第1の部分、第2の部分、及び第1の側面及び第2の側面を有する中央部分を含む。中央部分の第1の側面は第1の部分に結合され、中央部分の第2の側面は第2の部分に結合される。中央部分は、相互作用チャンバ、第1の流体供給入口、第2の流体供給入口、第1の出口ノズル、及び第2の出口ノズルを含む。相互作用チャンバは、中央部分の第1の側面と第2の側面との間に延びるチャンバ壁によって画定される。チャンバ壁は、第1の入口ポート、第2の入口ポート、第1の出口ポート、及び第2の出口ポートを画定する。第1の流体供給入口は、第1の入口流体流を第1の入口ポートを通って相互作用チャンバに導入するように構成される。第2の流体供給入口は、第2の入口流体流を第2の入口ポートを通って相互作用チャンバに導入するように構成される。第1の出口ノズルは、第1の出口流体流を相互作用チャンバから第1の出口ポート及び第1の出口ノズルを通して排出するように構成される。第2の出口ノズルは、第2の出口流体流を相互作用チャンバから第2の出口ポート及び第2の出口ノズルを通して排出するように構成される。第1の入口流体流は、相互作用チャンバ内の第2の入口流体流と衝突する。第1の入口流体流と第2の入口流体流との衝突により、第1の出口流体流が第1の出口ノズルから排出されるときに第1の出口流体流が掃引され、第2の出口流体流が第2の出口ノズルから排出されるときに第2の出口流体流が掃引される。
【0022】
さまざまな他の実施態様には、多方向出力を備えたスイープジェット装置が含まれる。装置は、第1の部分、第2の部分、ならびに第1の側面及び第2の側面を有する中央部分を含む。中央部分の第1の側面は第1の部分に結合され、中央部分の第2の側面は第2の部分に結合される。中央部分は、相互作用チャンバ、少なくとも2つの流体供給入口、及び少なくとも2つの出口ノズルを含む。相互作用チャンバは、中央部分の第1の側面と第2の側面との間に延びるチャンバ壁によって画定される。チャンバ壁は、少なくとも2つの入口ポートと少なくとも2つの出口ポートを画定する。少なくとも2つの流体供給入口のそれぞれは、少なくとも2つの入口ポートのうちのそれぞれの1つを通って相互作用チャンバに少なくとも2つの入口流体流のうちの1つを導入するように構成される。少なくとも2つの出口ノズルのそれぞれは、相互作用チャンバから少なくとも2つの出口ポートのそれぞれの1つを通って、そして出口ノズルを通って、少なくとも2つの出口流体流のうちの1つを排出するように構成される。少なくとも2つの入口流体流は、相互作用チャンバ内で互いに衝突する。少なくとも2つの入口流体流が互いに衝突すると、少なくとも2つの出口流体流がそれぞれの出口ノズルから排出されるときに、少なくとも2つの出口流体流のそれぞれが掃引される。
【0023】
図1Aは、従来技術のジェット相互作用型流体発振器100の上面図を示し、
図1Bは、中央部分130の出口ノズル181から見た、従来技術のジェット相互作用型流体発振器100の端面図を示している。ジェット相互作用型流体発振器100は、第1の部分110、第2の部分120、及び第1の部分110と第2の部分120との間に配置された中央部分130を含む。中央部分130は、第1の側面132、第1の側面132の反対側に間隔を置いて配置された第2の側面134、及び第1の側面132から第2の側面134に延びるチャンバ壁142を含む。チャンバ壁142は、相互作用チャンバ140を画定する。チャンバ壁142は、第1の入口ポート151、第2の入口ポート152、及び出口ポート161を画定する。流体発振器100の中央部分130は、第1の流体供給入口171、第2の流体供給入口172、及び出口ノズル181をさらに含む。第1の流体供給入口171は、第1の入口ポート151を介して相互作用チャンバ140と流体連通しており、第2の流体供給入口172は、第2の入口ポート152を介して相互作用チャンバ140と流体連通しており、出口ノズル181は、出口ポート161を介して相互作用チャンバ140と流体連通している。
【0024】
第1の流体流191は、第1の流体供給入口171を通って、第1の入口ポート151を通って、相互作用チャンバ140を通って流体発振器100の相互作用チャンバ140に入り、出口ポート161及び出口ノズル181を通って流体発振器100を出る。同時に、第2の流体流192は、第2の流体供給入口172、第2の入口ポート152、相互作用チャンバ140を通って流体発振器100に入り、出口ポート161及び出口ノズル181を通って流体発振器100を出る。第1の流体流191及び第2の流体流192は、相互作用チャンバ140内で互いに衝突するように角度が付けられている。第1の流体流191及び第2の流体流192が相互作用チャンバ140内で衝突すると、出口ポート161及び出口ノズル181を通って相互作用チャンバ140から出る流体流193は、中央部分130の第1の側面132に平行な平面内で振動する。
【0025】
図2A~Dは、現在のアプリケーションの一実施態様による多方向出力を備えたスイープジェット装置200を示している。装置200は、第1の部分210、第2の部分220、及び中央部分230を含む。第1の部分210は、第1の側面212及び第1の部分210の第1の側面212の反対側に間隔を置いて配置された第2の側面214を有し、第2の部分220は、第1の側面222及び第1の部分210の第1の側面222の反対側に間隔を置いて配置された第2の側面224を有し、中央部分230は、第1の側面232及び中央部分230の第1の側面232の反対側に間隔を置いて配置された第2の側面234を有する。第1の部分210の第2の側面214は、中央部分230の第1の側面232に結合され、中央部分230の第2の側面234は、第2の部分220の第1の側面222に結合される。
【0026】
中央部分230は、第1の部分210の第2の側面214及び第2の部分220の第1の側面222と共に、流体が流れることができる相互作用チャンバ240を画定するチャンバ壁242を含む。チャンバ壁242は、第1の入口ポート251、第2の入口ポート252、第1の出口ポート261、及び第2の出口ポート262を画定する。
【0027】
中央部分230は、第1の流体供給入口271及び第2の流体供給入口272をさらに含む。第1の流体供給入口271は、第1の入口ポート251に結合され、第1の入口ポート251を介して相互作用チャンバ240と流体連通している。第2の流体供給入口272は、第2の入口ポート252に結合され、第2の入口ポート252を介して相互作用チャンバ240と流体連通している。第1の流体供給入口271は、第1の入口流体流291を第1の入口ポート251を通って相互作用チャンバ240に供給するように構成される。第2の流体供給入口272は、第2の入口流体流292を第2の入口ポート252を通って相互作用チャンバ240に供給するように構成される。流体供給入口271、272及び入口ポート251、252は、第1の入口流体流291及び第2の入口流体流292が相互作用チャンバ240内で互いに衝突するように形状設定されている。
【0028】
図2A~Dに示される第1及び第2の流体供給入口271、272は、第1及び第2の入口流体流291、292をそれぞれ、相互作用チャンバ240に連続的に導入するが、他の実施態様では、第1及び第2の流体供給入口の一方または両方が、第1及び第2の入口流体流を不連続に導入して、以下で説明するように、第1及び第2の出口流体流が出口ノズルを出るとき、第1及び第2の出口流体流の掃引を変更する。
図2A~Dに示される第1及び第2の流体供給入口271、272は、第1及び第2の入口流体流291、292をそれぞれ、相互作用チャンバ240に定流量で導入するが、他の実施態様では、第1及び第2の流体供給入口の一方または両方が、第1及び第2の入口流体流を変化する流量で導入して、以下で説明するように、第1及び第2の出口流体流が出口ノズルを出るとき、第1及び第2の出口流体流の掃引を変更する。
図2A~Dに示される第1の入口流体流291及び第2の入口流体流292は、同じ流量を有するが、他の実施態様では、第1の入口流体流及び第2の入口流体流は異なる流量を有する。
【0029】
中央部分230はまた、第1の出口ノズル281及び第2の出口ノズル282を含む。第1の出口ノズル281は、第1の出口ポート261に結合され、第1の出口ポート261を介して相互作用チャンバ240と流体連通している。第2の出口ノズル282は、第2の出口ポート262に結合され、第2の出口ポート262を介して相互作用チャンバ240と流体連通している。第1の出口ノズル281は、第1及び第2の入口流体流291、292の一部からなる第1の出口流体流293を、相互作用チャンバ240から第1の出口ポート261を通って装置200から排出するように構成される。第2の出口ノズル282は、第1及び第2の入口流体流291、292の一部からなる第2の出口流体流294を相互作用チャンバ240から第2の出口ポート262を通して装置200から排出するように構成される。
【0030】
相互作用チャンバ240内での入口流体流291、292の衝突は、
図2A、2C、及び2Dに示されるように、入口流体流291、292のそれぞれを分岐させる。相互作用チャンバ240に入るときの入口流体流291、292の不安定な性質のために、各入口流体流291、292の様々な部分は、隣接する各出口ポート261、262に向かって流れる。場合によっては、入口流体流291、292が分岐しないように入口流体流291、292の一部がゼロであってもよく、入口流体流291、292の全体は、一方の隣接する出口ポート261、262に向かって流れ、そして、入口流体流291、292のいずれも、他方の隣接する出口ポート261、262に向かって流れない。非定常入口流体流291、292が相互作用チャンバ240内で衝突すると、各分岐入口流体流291、292の各部分の流量が変化する。入口流体流291、292のそれぞれの各部分は、隣接する出口ポート261、262に流れ、組み合わさって、出口ポート261、262及びそれぞれの出口ノズル281、282を出る流体出口流293、294を形成する。
図2A、2C、及び2Dに見られるように、第1の入口流体流291の一部と第2の入口流体流292の一部が組み合わさって、第1の出口流体流293を形成し、第1の入口流体流291の他の部分と、第2の入口流体流292の他の部分が組み合わさって、第2の出口流体流294を形成する。
【0031】
入口流291、292の一部のうちの1つの流量が、他の隣接する入口流291、292の一部の流量よりも大きい場合、より大きな流量を有する入口流291、292の一部は、結果として生じる出口流261、262を、より大きな流量部分から離れる方向に向けられた、そして出口流体流293、294を作成するため組み合わさる2つの部分の流量の比を表す角度で出口ノズル281、282から出るようにする。
【0032】
例えば、
図2Aの装置200は、第1の出口流体流293が第1の入口流体流291からよりも第2の入口流体流292からより高い流量部分を受け取り、第2の出口流体流294が、第2の入口流体流292からよりも第1の入口流体流291からより高い流量部分を受け取ることを示す。しかしながら、入口流体流291、292は不安定であるため、入口流体流291、292の分岐部分のそれぞれの流量は時間とともに変化し、出口流体流293、294を生成する流量の比を変化させる。
図2Cは、
図2Aのものと同じ装置200を示すが、
図2Cでは、第1の出口流体流293が、第2の入口流体流292からより第1の入口流体流291からより高い流量部分を受け取り、第2の出口流体流294が、第1の入口流体流291からより第2の入口流体流292からより高い流量部分を受け取るように、非定常入口流体流291、292が変化している。
図2A及び
図2Cの比較に見られるように、入口流体流291、292の一部の流量の変化は、結果として生じる出口流293、294の角度を変化させ、出口流体流293、294を時間とともに左右に掃引させる。
図2Dは、
図2A~
図2Cに示される装置200のスイープ出口流体流293、294の時間平均を示す。
【0033】
入口ポート251、252、流体供給入口271、272、出口ポート261、262、及び出口ノズル281、282の間隔及び構成は、異なるスイープ効果を達成するために変更することができる。
図2A~Dに示される第1の入口ポート251及び第2の入口ポート252のそれぞれは、第1の出口ポート261と第2の出口ポート262との間のチャンバ壁242に沿って画定され、第1の出口ポート261及び第2の出口ポート262のそれぞれは、第1の入口ポート251と第2の入口ポート252との間のチャンバ壁に沿って画定される。
図2A~Dに示される相互作用チャンバ240は、中央部分230の第1の側面232及び第2の側面234に垂直に延びる中心軸244を有する。第1の入口ポート251、第2の入口ポート252、第1の出口ポート261、及び第2の出口ポート262のそれぞれは、中心軸244の周りに90°でチャンバ壁242に沿って円周方向に間隔をあける。したがって、
図2A~Dに示される装置200の第1の入口ポート251、第2の入口ポート252、第1の出口ポート261、及び第2の出口ポート262は、チャンバ壁242に沿って等間隔に配置されている。しかしながら、他の実施態様では、入口ポート及び出口ポートは、所望のスイープ効果を達成するために任意の順序及び間隔で配置される。
【0034】
図2A~Dに示される第1の入口流体流291及び第2の入口流体流292は、液体を含むが、他の実施態様では、第1の入口流体流及び第2の入口流体流は気体である。
【0035】
図2A~Dに示される装置200は、第1及び第2の入口ポート251、252、第1及び第2の出口ポート261、262、第1及び第2の流体供給入口271、272、及び第1及び第2の出口ノズル281、282を含むが、他の実施態様では、装置は、任意の数の2つ以上の入口ポート、出口ポート、流体供給入口、及び出口ノズルを含み得る。
図3は、N個の総入口ポート350及び出口ポート360ならびにN個の総流体供給入口370及び出口ノズル380を有するスイープジェット装置300を示しており、Nは4以上の数である。同様の参照符号が、
図2に示される同様の要素を示すため
図3で使用される。
図4は、スイープジェット装置400が3つの入口ポート451、452、453、3つの出口ポート461、462、463、3つの流体供給入口471、472、473、及び3つの出口ノズル481、482、483を有するように、Nが6に等しい装置400を示す。同様の参照符号が、
図2に示される同様の要素を示すため
図4で使用される。
図5は、スイープジェット装置500が4つの入口ポート551、552、553、554、4つの出口ポート561、562、563、564、4つの流体供給入口571、572、573、574、及び4つの出口ノズル581、582、583、584を有するように、Nが8に等しい装置500を示す。同様の参照符号が、
図2に示される同様の要素を示すため
図5で使用される。
図3に示されるように、相互作用チャンバ340は、中央部分330の第1の側面332及び第2の側面334に垂直に延びる中心軸344を有し、少なくとも2つの入口ポート350及び少なくとも2つの出口ポート360のそれぞれは、中心軸344の周りのθ=360°/Nでチャンバ壁342に沿って円周方向に間隔をあける。しかしながら、上記のように、他の実施態様では、入口及び出口ポートは、チャンバ壁に沿って任意の順序で間隔をあけて配置されている。
【0036】
いくつかの実施態様が説明されてきた。言うまでもなく、特許請求の範囲の趣旨及び範囲から逸脱することなく、多様な修正が成され得ることが理解されよう。したがって、他の実施態様は、以下の特許請求の範囲の範囲内にある。
【0037】
特定の用語は、本明細書では便宜のためにのみ使用されており、本特許請求の範囲に対する限定として解釈されるべきではない。図面では、いくつかの図を通して同じ要素を示すために同じ参照符号が使用されている。いくつかの実施例が提供されているが、言うまでもなく、本明細書の開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、多様な修正が成され得ることが理解されよう。本明細書及び添付の特許請求の範囲に使用される、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「その(the)」は、文脈によりそうでないことが明確に示されない限り、複数形の指示対象を含む。本明細書で使用される「備える(comprising)」という用語及びその変形は、「含む(including)」という用語及びその変形と同義に用いられ、限定されていない、非限定的な用語である。「備える(comprising)」及び「含む(including)」という用語は、様々な実施態様を説明するために本明細書で使用されてきたが、「本質的にからなる」及び「からなる」という用語は、より具体的な実施態様を提供するために「備える(comprising)」及び「含む(including)」の代わりに使用している場合があり、また開示されている。
【国際調査報告】