(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-14
(54)【発明の名称】化粧料組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/89 20060101AFI20230307BHJP
A61Q 17/04 20060101ALI20230307BHJP
A61Q 1/10 20060101ALI20230307BHJP
A61Q 1/02 20060101ALI20230307BHJP
A61Q 1/06 20060101ALI20230307BHJP
A61K 8/06 20060101ALI20230307BHJP
【FI】
A61K8/89
A61Q17/04
A61Q1/10
A61Q1/02
A61Q1/06
A61K8/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022530821
(86)(22)【出願日】2021-01-21
(85)【翻訳文提出日】2022-05-25
(86)【国際出願番号】 IB2021050472
(87)【国際公開番号】W WO2021148986
(87)【国際公開日】2021-07-29
(32)【優先日】2020-01-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】000001959
【氏名又は名称】株式会社 資生堂
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100138210
【氏名又は名称】池田 達則
(74)【代理人】
【識別番号】100202418
【氏名又は名称】河原 肇
(72)【発明者】
【氏名】レトゥ グエン
(72)【発明者】
【氏名】ジョアナ モトソ ルーモア-メンサー
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA112
4C083AA122
4C083AB051
4C083AB172
4C083AB212
4C083AB222
4C083AB232
4C083AB242
4C083AB432
4C083AB442
4C083AC012
4C083AC122
4C083AC152
4C083AC172
4C083AC242
4C083AC262
4C083AC352
4C083AC421
4C083AC422
4C083AC442
4C083AC662
4C083AC792
4C083AC842
4C083AC912
4C083AD022
4C083AD072
4C083AD112
4C083AD151
4C083AD152
4C083AD161
4C083AD162
4C083AD212
4C083AD572
4C083AD662
4C083BB01
4C083BB12
4C083BB21
4C083BB25
4C083CC12
4C083CC13
4C083CC14
4C083CC19
4C083DD30
4C083DD32
4C083EE01
4C083EE06
4C083EE07
(57)【要約】
少なくとも1種のシリコーン樹脂及び少なくとも1種の乳化剤を含む化粧料組成物が提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種のシリコーン樹脂及び少なくとも1種の乳化剤を含む、無水化粧料組成物。
【請求項2】
少なくとも1種のシリコーン樹脂;
少なくとも1種の乳化剤;及び
約10%未満の水
を含む、化粧料組成物。
【請求項3】
前記少なくとも1種のシリコーン樹脂が、MQTシリコーン樹脂を含む、請求項1及び2に記載の化粧料組成物。
【請求項4】
前記MQTシリコーン樹脂が、フェニル変性MQTシリコーン樹脂である、請求項3に記載の化粧料組成物。
【請求項5】
前記少なくとも1種のシリコーン樹脂が、ポリフェニルシルセスキオキサン及びトリメチルシロキシシリケートを含む、前記請求項のいずれか一項に記載の化粧料組成物。
【請求項6】
前記少なくとも1種のシリコーン樹脂が、ポリフェニルシルセスキオキサン/トリメチルシロキシシリケートである、請求項5に記載の化粧料組成物。
【請求項7】
前記少なくとも1種のシリコーン樹脂が、少なくとも1種の可溶化シリコーン樹脂を含み、かつ、前記組成物が、前記少なくとも1種の可溶化シリコーン樹脂を約0.01質量%~約40質量%含有する、前記請求項のいずれか一項に記載の化粧料組成物。
【請求項8】
前記少なくとも1種の乳化剤が、少なくとも1種の油中水型乳化剤を含む、前記請求項のいずれか一項に記載の化粧料組成物。
【請求項9】
前記少なくとも1種の油中水型乳化剤のHLB値が、8未満である、請求項8に記載の化粧料組成物。
【請求項10】
前記少なくとも乳化剤が、少なくとも1種のシリコーン乳化剤を含む、前記請求項のいずれか一項に記載の化粧料組成物。
【請求項11】
前記少なくとも1種の乳化剤が、アルキルジメチコンコポリオール乳化剤及びジメチコンコポリオール乳化剤から選択される少なくとも1種の乳化剤を含む、前記請求項のいずれか一項に記載の化粧料組成物。
【請求項12】
前記少なくとも乳化剤が、ジメチコンコポリオール乳化剤から選択される少なくとも1種の乳化剤を含む、前記請求項のいずれか一項に記載の化粧料組成物。
【請求項13】
前記少なくとも1種の乳化剤が、PEG/PPG-18/18ジメチコンを含む、請求項12に記載の化粧料組成物。
【請求項14】
前記少なくとも1種の乳化剤が、少なくとも1種のポリグリセリル乳化剤を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の化粧料組成物。
【請求項15】
少なくとも1種のポリグリセリル乳化剤が、ポリグリセリル-6エステル及びポリグリセリル-3エステルの少なくとも1種を含む、請求項14に記載の化粧料組成物。
【請求項16】
前記少なくとも1種の乳化剤が、少なくとも1種の可溶化乳化剤を含み、かつ、前記組成物が、前記少なくとも1種の可溶化乳化剤を約0.01質量%~約7質量%含有する、前記請求項のいずれか一項に記載の化粧料組成物。
【請求項17】
少なくとも1種の顔料をさらに含む、前記請求項のいずれか一項に記載の化粧料組成物。
【請求項18】
前記少なくとも1種の顔料が、少なくとも1種の処理顔料を含む、請求項17に記載の化粧料組成物。
【請求項19】
前記少なくとも1種の顔料が、少なくとも1種の未処理顔料を含む、請求項16に記載の化粧料組成物。
【請求項20】
前記組成物が、前記少なくとも1種の顔料を約0.01質量%~約30.00質量%含有する、請求項17~19のいずれか一項に記載の化粧料組成物。
【請求項21】
少なくとも1種のワックスをさらに含む、前記請求項のいずれか一項に記載の化粧料組成物。
【請求項22】
前記組成物が、前記少なくとも1種のワックスを約5.0質量%~約25.0質量%含有する、請求項21に記載の化粧料組成物。
【請求項23】
少なくとも1種の増粘剤をさらに含む、前記請求項のいずれか一項に記載の化粧料組成物。
【請求項24】
前記組成物が、前記少なくとも1種の増粘剤を約1.0質量%~約20.0質量%含有する、請求項23に記載の化粧料組成物。
【請求項25】
前記少なくとも1種のシリコーン樹脂が、ポリフェニルシルセスキオキサン/トリメチルシロキシシリケートを含む少なくとも1種の可溶化シリコーン樹脂を含み、前記少なくとも1種の乳化剤が、PEG/PPG-18/18ジメチコンを含む少なくとも1種の可溶化乳化剤を含み、かつ、前記組成物が、前記少なくとも1種の可溶化シリコーン樹脂を約0.01質量%~約40質量%含み、前記少なくとも1種の可溶化乳化剤を約0.01質量%~約5質量%含む、請求項1及び2に記載の化粧料組成物。
【請求項26】
前記少なくとも1種のシリコーン樹脂が、ポリフェニルシルセスキオキサン/トリメチルシロキシシリケートを含む少なくとも1種の可溶化シリコーン樹脂を含み、前記少なくとも1種の乳化剤が、少なくとも1種のポリグリセリル-6エステル及び少なくとも1種のポリグリセリル-3エステルを含む少なくとも1種の可溶化乳化剤を含み、かつ、前記組成物が、前記少なくとも1種の可溶化シリコーン樹脂を約0.01質量%~約40質量%含み、前記少なくとも1種の可溶化乳化剤を約0.01質量%~約7質量%を含む、請求項1及び2に記載の化粧料組成物。
【請求項27】
請求項1~26のいずれか一項に記載の化粧料組成物を角質表面に適用することを含む、美容方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権
本出願は、2020年1月22日に出願された米国仮出願第62/964,527号の優先権を主張し、その全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、一般に、化粧料組成物に関し、具体的には、無水化粧料組成物及び低量の水を含有する化粧料組成物、並びにそれらの製造方法及び使用方法に関する。
【発明の概要】
【0003】
一実施形態は、少なくとも1種のシリコーン樹脂及び少なくとも1種の乳化剤を含む無水化粧料組成物である。
【0004】
さらに別の実施形態は、少なくとも1種のシリコーン樹脂;少なくとも1種の乳化剤;及び約10%未満の水を含む化粧料組成物である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
別段の指定のない限り、「a」又は「an」は、1つ又は複数を意味する。
【0006】
本明細書において、特定の数値の前に置かれる用語「約」は、数値の±20%、数値の±18%、数値の±15%、数値の±12%、数値の±8%、数値の±5%、数値の±3%、数値の±2%、数値の±1%、又は数値の±0.5%を意味し得る。
【0007】
別段の指定のない限り、%で表示される組成物の成分についての全ての含有量の情報は、特に明記しない限り、組成物の総質量に対する質量%を指す。
【0008】
現在のロングウェアリップ組成物は、多数の欠陥を有し得る。例えば、それらは、非常に粘着性であり、装着するのが不快であり得る。また、それらは、皮膚を収縮させ、口唇を乾燥させることもある。さらに、それらが液体である場合、組成物を保持する容器からそれらがこぼれる可能性がある。
【0009】
本発明者らは、現在のロングウェアリップ組成物の1つ以上の欠陥を排除し得る化粧料組成物を開発した。特に、本発明者らは、少なくとも1種のシリコーン樹脂と少なくとも1種の乳化剤とを含む化粧料組成物であって、低量の水を含有してもよく、及び/又は無水であってもよい化粧料組成物を開発した。本明細書で使用する場合、用語「無水」は、5質量%未満の水、又は4.5質量%未満の水、又は4%未満の水、又は3.5%未満の水、又は3%未満の水、又は2.5%未満の水、又は2%未満の水、又は1.5%未満の水、又は1%未満の水、又は0.5質量%未満の水、又は0.2質量%未満の水、又は0.1質量%未満の水、又は0.05質量%未満の水、又は0.02質量%未満の水、又は0.01質量%未満の水を含有することを意味し得る。
【0010】
いくつかの実施形態では、水は、例えば、結合水(これは、例えば、塩中での結晶水であり得る)として、及び/又は組成物の調製に使用される1つ以上の出発物質(原料)によって吸収される微量の水として組成物中に存在し得る。
【0011】
いくつかの実施形態では、組成物は、低量の水を含有してもよく、これは、組成物中の水の含有量が、約10%以下であることを意味し得る。この量の水は、1つ以上の出発物質(原料)の一部であってもよく、及び/又は1つ以上の溶媒の一部として存在してもよい。この量で、組成物は、例えば、エマルジョンとして処理され得る。本組成物は、滑らかでクリーム状の質感を有することができ、これは、ヒトなどの対象の皮膚、例えば口唇などの角質表面への組成物の単一の適用を使用して良好な被覆を提供することができる。同時に、組成物は、装着するのに軽い/重くないものであってもよい。
【0012】
組成物は、ロングウェア組成物であってもよい。本明細書で使用する場合、用語「ロングウェア」は、組成物が、審美的外観の妨害なしに、少なくとも4時間~24時間、又は少なくとも6時間~24時間、又は少なくとも8時間~24時間、又は少なくとも10時間~24時間、又は少なくとも12時間~24時間、又は少なくとも14時間、又は少なくとも16時間、又は少なくとも18時間、装着され得ることを意味する。本組成物はまた、少なくとも1種の乳化剤の存在のために皮膚の引っ張りを伴わない絹のような感触を有してもよく、これは、いくつかの実施形態では、少なくとも1種のシリコーン乳化剤、少なくとも1種のポリグリセリル乳化剤又はそれらの組み合わせを含有してもよい。
【0013】
本組成物は、質感がクリーム状であり、鮮やかで生き生きとした色を有する快適なつけ心地のものであってもよい。本組成物は、長持ちするメイクアップ効果を提供することができ、同時に、リフレッシュ特性及び保湿/水和特性を有することができる。本組成物は、高度に着色され、良好な被覆率を有してもよく、これは、皮膚、例えば、口唇などの角質表面の組成物の堆積物が、緻密で均一であることを意味する。本組成物は、例えば、油ベースの除去剤で容易に除去することができる。本組成物は、有益な特性として消費者によって認識されるシミが生じ得ない。本組成物は、非粘着性であり、快適なつけ心地であり得る。本組成物は、経時的に分離することなく安定であり得る。
【0014】
本組成物は、多数のカラー化粧料製品に使用することができる。さらに、本組成物の用途は、スキンケア製品、サンケア製品、デオドラント製品又は毛髪製品を含むことができる。このような製品では、組成物は、粘度の高い液体、ゲル又はクリームのような液体の形態であってもよく、或いは固体の形態であってもよい。いくつかの実施形態では、組成物は、リップスティック又はリップバーム組成物などのリップ組成物であってもよい。いくつかの実施形態では、組成物は、ブラッシュ組成物であり得る。いくつかの実施形態では、組成物は、ファンデーション組成物であり得る。いくつかの実施形態では、組成物は、コンシーラー組成物であり得る。いくつかの実施形態では、組成物は、アイブロー組成物であり得る。いくつかの実施形態では、組成物は、マスカラ組成物であり得る。いくつかの実施形態では、組成物は、日焼け止め組成物であり得る。
【0015】
いくつかの実施形態では、組成物は、高濃度の質感付与性粉末及び顔料を含有してもよいが、組成物は、安定したままであり、大きなメイクアップ保持力を有してもよい。
【0016】
本明細書で使用する場合、用語「安定」は、組成物が、その成分の分離、色の変化及び/又は質感の変化をいずれも、経時的に、例えば、周囲条件(例えば、25℃/65%RH)で2年まで、及び加速条件(例えば、50℃/65%RH)で4週間まで受けることがないことを意味する。
【0017】
いくつかの実施形態では、化粧料組成物は、単独で使用され得る。換言すれば、組成物は、別の組成物なしに、ヒトなどの対象の皮膚、例えば、口唇若しくは毛髪などの角質表面又は基材に単独で適用されてもよい。
【0018】
いくつかの実施形態では、化粧料組成物は、別の製品、例えば、トップコート、プライマー、又は粉末と一緒に使用されてもよい。
【0019】
組成物は、固体又は液体であり得る少なくとも1種のシリコーン樹脂を含み得る。用語「シリコーン樹脂」は、例えば、ケイ素原子と酸素原子とを交互に含む若しくはそれらから作製される基本骨格ポリマー構造を有する、分岐状又はカゴ状構造体などの多次元構造体を意味し得る。
【0020】
シロキサン樹脂としても知られているシリコーン樹脂は、「MDTQ」命名法を用いて記載することができ、樹脂は、それが構成する種々のシロキサンモノマー単位に応じて記載され、文字「MDTQ」の各々は、単位のタイプを特徴づける。
【0021】
文字「M」は、式R1R2R3SiOの単官能性単位を表し、ケイ素原子は1つの酸素のみに結合される。
【0022】
文字「D」は、ケイ素原子が2つの酸素原子に結合している二官能性単位R1R2SiO2を表す。
【0023】
文字「T」は、ケイ素原子が3つの酸素原子に結合している式R1SiO3の三官能性単位を表す。
【0024】
文字「Q」は、ケイ素原子が4つの酸素原子に結合している式SiO4の四官能性単位を表す。
【0025】
このような樹脂は、例えば、Encyclopedia of Polymer Science and Engineering,vol.15,John Wiley and Sons,New York,(1989),pp.265~270、及び米国特許番号2,676,182、3,627,851、3,772,247、5,248,739、5,082,706、5,319,040、5,302,685及び4,935,484に記載されている。
【0026】
単位M、D及びTにおいて、Ri官能基、すなわち、R1,R2及びR3,は、同一であっても異なっていてもよい。R1、R2及びR3の各々は、例えば、1~10個の炭素原子を含むアルキル基などの炭化水素系基、フェニル基を含むアリール基、フェニルアルキル基又は水酸基であり得る。
【0027】
異なる特性を有する種々のシリコーン樹脂は、単位の種々の組合せから得ることができ、これらのポリマーの特性は、単量体(又は単位)のタイプ、Ri基の性質及び数、ポリマー鎖の長さ、分岐の程度及び側鎖の大きさに応じて変化する。組成物に使用されるシリコーン樹脂は、例えば、MQ型のシリコーン樹脂、T型のシリコーン樹脂、MQT型のシリコーン樹脂又はこれらの組み合わせであってもよい。D単位の使用は任意でよい。しかしながら、MQT樹脂のようなシリコーン樹脂は、いかなるD単位も含有しないことが好ましい場合がある。いくつかの実施形態では、少なくとも1種のシリコーン樹脂は、少なくとも1種のMQTシリコーン樹脂を含んでもよく、これは、例えば、フェニル変性MQTシリコーン樹脂(MQT-Ph樹脂)であってもよい。いくつかの実施形態では、少なくとも1種のシリコーン樹脂は、ポリフェニルシルセスキオキサン及びトリメチルシロキシシリケートを含み得る。
【0028】
組成物に使用され得るシリコーン樹脂は、例えば、米国特許番号5,110,890、5,075,103、5,063,254に開示されている。
【0029】
シリコーン樹脂は、例えば、固体、粉末の形態で使用することができ、又は有機液体に可溶化されてもよい。いくつかの実施形態では、少なくともシリコーン樹脂は、炭化水素溶媒(例えば、イソドデカン)、又はシリコーン溶媒(例えば、ジメチコン)などの揮発性溶媒に可溶化されてもよい。ジメチコンに可溶化されたポリフェニルシルセスキオキサン/トリメチルシロキシシリケート樹脂を含むシリコーン樹脂組成物は、Granresin PHQ[INCI名:ポリフェニルシルセスキオキサン/トリメチルシロキシシリケート(及び)ジメチコン]の商品名で米国ニュージャージー州のGrant Industriesから市販されている。Granresin-PHQは、約20%のジメチコン中に約80%のポリフェニルシルセスキオキサン/トリメチルシロキシシリケート樹脂(活性)を含有する。別の市販のシリコーン樹脂は、Grant Industriesからも入手可能なGranresin MQI-T50(INCI:イソドデカン及びポリメチルシルセスキオキサン/トリメチルシロキシシリケート)として知られている。
【0030】
組成物中の少なくとも1種のシリコーン樹脂の量は変化し得る。いくつかの実施形態では、少なくとも1種のシリコーン樹脂は、可溶化形態(溶媒に可溶化された樹脂)で使用されてもよく、例えば、そのような少なくとも1種のシリコーン樹脂の量は、約0.01質量%~約40.0質量%、約0.1質量%~約38.0質量%、又は約0.5質量%~約35.0質量%、又は約1.0質量%~約30質量%、又は約2.0質量%~約20質量%であり得る。
【0031】
いくつかの実施形態では、固体樹脂(活性であり、溶媒に可溶化されない)の量は、約0.008質量%~約34.0質量%、約0.085質量%~約33.0質量%、又は約0.45質量%~約30.0質量%、又は約0.90質量%~約26.0質量%、又は約1.7質量%~約17.0質量%であり得る。
【0032】
いくつかの実施形態では、組成物は、少なくとも1種の乳化剤を含有する。いくつかの実施形態では、少なくとも1種の乳化剤は、アニオン性などのイオン性の乳化剤;非イオン性炭化水素系乳化剤、非イオン性であり得るシリコーン乳化剤、及びそれらの混合物から選択される。
【0033】
いくつかの実施形態では、少なくとも1種の乳化剤は、8以下のHLB値を有する少なくとも1種の乳化剤を含み得る。「HLB」は、乳化剤に関連する「親水性-親油性バランス」を指す。HLB値は乳化剤中の親水性基と親油性基の比に関係し、乳化剤の溶解性にも関係する。典型的には、より低いHLB乳化剤は、親油性材料又は油中により可溶性であり、油中水型(W/O)エマルジョンにおける使用により適切である。他方、より高いHLB乳化剤は、水又は親水性材料により可溶性であり、水中油型(O/W)エマルジョンにより適している。
【0034】
いくつかの実施形態では、少なくとも1種の乳化剤は、少なくとも1種のシリコーンベースの油中水型乳化剤を含み得、これは、例えば、アルキルジメチコンコポリオール乳化剤及びジメチコンコポリオール乳化剤から選択され得る。
【0035】
いくつかの実施形態では、アルキルジメチコンコポリオール乳化剤は、以下の式(I)を有する乳化剤であり得る:
【化1】
ここで:
R
1は、直鎖状又は分岐状のC
12~C
20、好ましくは、C
12~C
18の、アルキル基を示し;
R
2は、-C
nH
2n-(-OC
2H
4-)
x-(-OC
3H
6-)
y-O-R
3の基を示し;
R
3は、水素原子、又は1~12個の炭素原子を含む直鎖状若しくは分岐状のアルキル基を示し;
aは、1~約500の範囲の整数であり;
bは、1~約500の範囲の整数を示し;
nは、2~12、好ましくは2~5の範囲の整数であり;
xは、1~約50、好ましくは1~30の範囲の整数を示し;
yは、0~約49、及び好ましくは0~29の範囲の整数を示し、ただし、yがゼロ以外の場合、比x/yは、1より大きく、好ましくは2~11の範囲である。
【0036】
いくつかの実施形態では、式(I)のアルキルジメチコンコポリオール乳化剤は、セチルPEG/PPG-10/1ジメチコン、より詳細には、Goldschmidt社によってAbil EM90の商品名で販売されている製品などのセチルPEG/PPG-10/1ジメチコン及びジメチコン(INCI名)混合物、又はそうでない場合には、同じ会社によってAbil WE09の商品名で販売されている製品などの(ポリグリセリル-4-ステアレート及びセチルPEG/PPG-10(及び)ジメチコン(及び)ヘキシルラウレート)混合物であってもよい。
【0037】
いくつかの実施形態では、ジメチコンコポリオール乳化剤は、以下の式(II)を有する乳化剤であり得る:
【化2】
ここで:
R
4は、-C
mH
2m-(-OC
2H
4-)
s-(-OC
3H
6-)
t-O-R
5の基を示し;
R
5は、水素原子、又は1~12個の炭素原子を含む直鎖状若しくは分岐状のアルキル基を示し;
cは、1~約500の範囲の整数であり;
dは、1~約500の範囲の整数を示し;
mは、2~12、好ましくは2~5の範囲の整数であり;
sは、1~約50、好ましくは1~30の範囲の整数を示し;
tは、0~約50、好ましくは0~30の範囲の整数を示し;
ただし、s+tの合計は、1以上である。
【0038】
いくつかの実施形態では、式(II)のジメチコンコポリオール乳化剤は、PEG-18/PPG-18ジメチコンであり得る。
【0039】
いくつかの実施形態では、少なくとも1種の乳化剤は、式(II)の少なくとも1種の乳化剤を含み得る。
【0040】
いくつかの実施形態では、少なくとも1種の乳化剤は、8.0未満、例えば2.0~7.0、又は3.0~6.0、又は約4.0~約5.0(例えば約4.5)のHLB値を有する油中水型乳化剤を含むことができ、これらの範囲内の任意の値又は部分的な範囲を含むことができる。いくつかの実施形態では、少なくとも1種の乳化剤は、少なくとも1種のシリコーン乳化剤を含んでもよく、これは、例えば、少なくとも1種のシリコーンW/O乳化剤を含んでもよい。いくつかの実施形態では、少なくとも1種の乳化剤は、PEG/PPG-18/18ジメチコンを含み得る。いくつかの実施形態では、少なくとも1種の乳化剤は、ジメチコン又はシクロペンタシロキサンのいずれかのシリコーン揮発性溶媒をさらに含み得る。PEG/PPG-18/18ジメチコンを含む乳化剤は、Gransurf 50C-HM(INCI名:PEG/PPG-18/18ジメチコン(及び)ジメチコン)の商品名で、米国ニュージャージー州のGrant Industriesから市販されている。Gransurf 50C-HMは、HLB値が約4.5の油中水型乳化剤である。Gransurf 50C-HMは、約50%のPEG/PPG-18/18ジメチコン(活性)を含有する。
【0041】
他の有用なシリコーン乳化剤としては、シクロペンタシロキサン(及び)PEG-18/PPG-18ジメチコン(INCI名)混合物を挙げることができ、ダウコーニング社によりSilicone DC 5225 Cの商品名で、又は信越社からKF-6040として販売されている。
【0042】
組成物に使用され得る乳化剤は、例えば、米国特許第8,673,327号、WO2019122158に開示されている。
【0043】
可溶化形態として、又は組成物内の複数の乳化剤の組成物(混合物)として使用される少なくとも1種の乳化剤の量は、変化し得る。例えば、約0.01質量%~約7.0質量%、約0.01質量%~約5.0質量%、約0.1質量%~約4.0質量%、又は約0.5質量%~約3.5質量%、又は約0.7質量%~約3.0質量%、又は約0.8質量%~約2.0質量%、又は約2.0質量%~約7.0質量%、又は約3.0質量%~約6.0質量%であり得る。
【0044】
別の実施形態では、活性乳化剤(溶媒を含まない乳化剤)の量は、約0.005質量%~約2.5質量%、約0.05質量%~約2.0質量%、又は約0.25質量%~約1.8質量%、又は約0.35質量%~約1.5質量%、又は約0.4質量%~約1.0質量%であり得る。
【0045】
いくつかの実施形態では、少なくとも1種の乳化剤は、少なくとも1種のポリグリセリル乳化剤を含み得る。いくつかの実施形態では、少なくとも1種のポリグリセリル乳化剤は、約8.0未満、例えば、約3.0~約7.0、又は約3.0~約6.0、又は約4.0~約5.0のHLB値を有する少なくとも1種の油中水型ポリグリセリル乳化剤を含み得、これらの範囲内の任意の値又は部分的な範囲を含み得る。いくつかの実施形態では、少なくとも1種のポリグリセリル乳化剤は、約8.0超、例えば、約8.0~約14.0、又は約8.5~約13.0、又は約9.0~約12.0のHLB値を有する少なくとも1種の水中油型ポリグリセリル乳化剤を含み得、これらの範囲内の任意の値又は部分的な範囲を含み得る。さらにいくつかの実施形態では、少なくとも1種のポリグリセリル乳化剤は、少なくとも1種の油中水型ポリグリセリル乳化剤及び少なくとも1種の水中油型ポリグリセリル乳化剤を含み得る。
【0046】
いくつかの実施形態では、少なくとも1種のポリグリセリル乳化剤は、少なくとも1種のポリグリセリルエステルを含み得る。ポリグリセリルエステルの例としては、ポリグリセリル2ステアレート、ポリグリセリル2カプラート、ポリグリセリル2オレエート、ポリグリセリル2セスキオレート、ポリグリセリル2トリイソステアレート、ポリグリセリル2ジポリヒドロキシステアレート、ポリグリセリル2イソステアレートなどのポリグリセリル2エステル;ポリグリセリル3ジイソステアレート、ポリグリセリル3カプラート、ポリグリセリル3オレエート、ポリグリセリル3ラウレート、ポリグリセリル3パルミテート、ポリグリセリル3リシノレエートなどのポリグリセリル3エステル;ポリグリセリル4オレエート、ポリグリセリル4カプラート、ポリグリセリル4イソステアレート、ポリグリセリル4ラウレート、ポリグリセリル4ココアート、ポリグリセリル4ジポリヒドロキシステアレート、ポリグリセリル4ジイソステアレートなどのポリグリセリル4エステル;ポリグリセリル6ポリヒドロキシステアレート、ポリグリセリル6カプラート、ポリグリセリル6オレエート、ポリグリセリル6ポリリシノレエート、ポリグリセリル6ジステアレート、ポリグリセリル6ステアレート、ポリグリセリル6ベヘネート、ポリグリセリル6ラウレートなどのポリグリセリル6エステル;ポリグリセリル10ラウレート、ポリグリセリル10ミリステート、ポリグリセリル10カプリレート、ポリグリセリル10オレエート、ポリグリセリル10ジオレエート、ポリグリセリル10ジイソステアレート、ポリグリセリル10ペンタステアレートなどのポリグリセリル10エステル;ポリグリセリル10が挙げられ得るが、これらに限定されない。ポリグリセリルエステルは、ポリグリセロール鎖の長さ及びエステル化の程度に応じて変化する親水性-親油性バランス(HLB)を有し得る。ポリグリセリルエステルのHLBは3~14の範囲で変化し、適切な配合により所望のHLB値を得ることができる。いくつかの実施形態では、少なくとも1種のポリグリセリン乳化剤は、約8.0未満、例えば、約3.0~約7.0、又は約3.0~約6.0、又は約4.0~約5.0のHLB値を有する少なくとも1種の油中水型ポリグリセリルエステル乳化剤を含み得、これらの範囲内の任意の値又は部分的な範囲を含み得る。
【0047】
いくつかの実施形態では、組成物は、ポリグリセリル-6エステル(例えば、ポリグリセリル-6ポリヒドロキシステアレート及び/又はポリグリセリル6ポリリシノレエート)、及びポリグリセリル-3エステル(例えば、ポリグリセリル-3ジイソステアレート)のうちの少なくとも1種を含む少なくとも1種のポリグリセリル乳化剤を含み得る。
【0048】
いくつかの実施形態では、組成物は、ポリグリセリル-6ポリヒドロキシステアレート、ポリグリセリル-6ポリリシノレエート、ポリグリセリル-6、ポリグリセリル-3ジイソステアレートから選択される1つ以上の特定のポリグリセリルエステルを含み得る。
【0049】
いくつかの実施形態では、組成物は、ポリグリセリル-6ポリヒドロキシステアレート、ポリグリセリル-6ポリリシノレエート、及びポリグリセリル-3ジイソステアレートの各々を含み得る。
【0050】
ポリグリセリルエステルは、多数の業者から市販されている。例えば、ポリグリセリル-6ポリヒドロキシステアレート及びポリグリセリル-6ポリリシノレエートを含有するW/O乳化剤であるEmulium(登録商標)Illustro、及びポリグリセリル-3ジイソステアレートを含有する天然のPEGフリーのW/O感覚乳化剤であるPlurol(登録商標)Diisostearique CGは、フランスのGattefosseから市販されている。
【0051】
いくつかの実施形態では、少なくとも1種の乳化剤は、全組成物に関して以下の量の以下の乳化剤を含み得る:ポリグリセリル6-ポリヒドロキシステアレート:約1.387%;ポリグリセリル6-ポリリシノレエート:約1.387%;ポリグリセリル6:約0.225%。
【0052】
いくつかの実施形態では、組成物は、少なくとも1種の顔料をさらに含み得、これは、少なくとも1種の処理顔料、少なくとも1種の未処理顔料、少なくとも1種の染料(例えば、水溶性及び油溶性の染料であり得る)、又はそれらの任意の組み合わせを含み得る。
【0053】
いくつかの実施形態では、少なくとも1種の処理顔料は、少なくとも1種の疎水化処理顔料を含み得る。
【0054】
用語「疎水性」は、典型的には、その無極性構造のために、物質が水に溶解することが困難であることを意味する。他方、用語「親水性」は、その水素結合能力のために、物質が水又は他の極性溶媒に溶解可能であることを意味する。
【0055】
処理顔料に対する疎水化処理は、シリコーン、金属石鹸、脂肪酸、アルキル及びその誘導体、アミノ酸及びその誘導体、天然ワックス、ポリアクリレート、ポリエチレン、ウレタン、アルミニウムラウレート、アルミニウムステアレート、キチン、コラーゲン、フルオロケミカル、レシチン、シラン、チタネートエステル、パーフルオロポリメチルイソプロピルエーテル、スチレンアクリレートコポリマー、マグネシウムミリステート、ラウロイルリジン並びにそれらの組み合わせによる処理から選択される少なくとも1種の処理であってもよい。チタネート処理顔料などの処理顔料は、例えば、Kobo Products, Inc.から市販されている。処理顔料は、例えば、米国特許番号4,877,604、5,108,736、7,964,178、9,328,244;米国特許出願公開番号200918598及び2018028025に開示されている。いくつかの実施形態では、処理顔料は、顔料着色添加剤と、二酸化チタン又はトリイソステアリン酸イソプロピルチタンなどのチタネート剤とを含むことができる。いくつかの実施形態では、処理顔料は、メチコン、ジメチコン、水酸化アルミニウム、ポリヒドロキシステアリン酸、シラン、例えばトリエトキシカプリルシラン、ポリウレタンなどの少なくとも追加の成分をさらに含んでもよい。顔料着色添加剤の例としては、染料及びレーキ、例えば、レッド30レーキ、レッド27レーキ、レッド28レーキ、レッド33レーキ、レッド40レーキ、レッド6レーキ、レッド7レーキ、イエロー5レーキ、イエロー6レーキ、ブルー1レーキが挙げられるが、これらに限定されない。
【0056】
この組成物において有用な顔料の非限定的な例は、Sensient Cosmetic Technologiesから入手可能なUnipure(登録商標)顔料及びKoboから入手可能なチタネート(ITT)処理顔料という名称で販売されている。処理顔料は、例えば、米国特許番号7,964,178、5,108,736;4,877,604;9,328,244、並びに米国特許出願公開番号US2018028025及び2009185984に開示されており、これらの各々は参照によりその全体が組み込まれる。
【0057】
組成物中の少なくとも1種の顔料の量は、変化し得る。例えば、約0.01質量%~約30.0質量%、約0.1質量%~約28.0質量%、又は約0.5質量%~約26.0質量%、又は約1.0質量%~約20.0質量%であり得る。
【0058】
いくつかの実施形態では、組成物は、少なくとも1種の粉末状成分をさらに含んでもよく、これは、例えば、少なくとも1種の質感付与性粉末を含んでもよい。いくつかの実施形態では、少なくとも1種の粉末状成分は、未処理シリカ粉末;疎水化処理シリカ粉末、例えば、シリコーン油及び/又はシリコーンポリマー及び/又はアミノ酸で処理されたシリカ粉末などの処理シリカ粉末;マイカのうちの1つ以上を含み得る。
【0059】
組成物中の少なくとも1種の粉末状成分の量は変化し得る。例えば、約0.1質量%~約30.0質量%、約0.5質量%~約28.0質量%、又は約1質量%~約20.0質量%、又は約2.0質量%~約15質量%であり得る。
【0060】
いくつかの実施形態では、組成物は、少なくとも1種のワックスを含み得る。いくつかの実施形態では、少なくとも1種のワックスは、約25℃の室温で固体又は半固体である、少なくとも1種のワックスを含んでもよい。ワックスの具体例としては、天然及び合成ワックス、例えば、蜜蝋、キャンデリラワックス、綿蝋、カルナウバワックス、ベーベリーワックス、虫白蝋(例えばイボタロウムシによって分泌されるワックス)、鯨蝋、モンタンワックス、米ぬか蝋(ライスワックス)、カポックワックス、木蝋、酢酸ラノリン、液状ラノリン、サトウキビワックス、ラノリン脂肪酸及びイソプロピルアルコールのエステル、ラウリン酸ヘキシル、還元ラノリン、ホホバワックス、硬質ラノリン、セラックワックス、ミクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、ポリオキシエチレン(POE)ラノリンアルコールエーテル、POEラノリンアルコールアセテート、POEコレステロールエーテル、ラノリン脂肪酸とポリエチレンワックスのエステル、合成ワックス、脂肪酸グリセリド、水添ヒマシ油、ペトロラタム、及びPOE水添ラノリンアルコールエーテルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0061】
組成物中の少なくとも1種のワックスの量は変化し得る。例えば、いくつかの実施形態では、組成物中の少なくとも1種のワックスの量は、組成物の総質量に対して、約5質量%~約25質量%、約8質量%~約20質量%、約10質量%~約17質量%であり得る。
【0062】
いくつかの実施形態では、組成物は、少なくとも1種の溶媒を含み得る。いくつかの実施形態では、少なくとも1種の溶媒は、50℃未満の引火点を有する溶媒を含むことができる。いくつかの実施形態では、少なくとも1種の溶媒は、70℃を超える引火点を有する溶媒を含むことができる。いくつかの実施形態では、少なくとも1種の溶媒は、揮発性及び不揮発性炭化水素、揮発性及び不揮発性シリコーン、アルコール、グリコール、エステル、植物油、並びに合成油から選択される少なくとも1種の溶媒を含むことができる。いくつかの実施形態では、少なくとも1種の溶媒は、水添ポリイソブタン、イソドデカン、又はイソヘキサデカンなどの炭化水素溶媒、及びジメチコン又はシメチコンなどのシリコーン系溶媒から選択される少なくとも1種の溶媒を含むことができる。
【0063】
組成物中の少なくとも1種の溶媒の量は、変化し得る。例えば、組成物中の少なくとも1種の溶媒の量は、組成物の総質量に対して質量当たり約10%~約45%、又は約15%~約42%、又は約20%~約40%であり得る。
【0064】
いくつかの実施形態では、組成物は、少なくとも1種の増粘剤を含み得る。本明細書で使用する場合、「増粘剤」は、化粧料組成物の粘度、チキソトロピー特性及び安定性の改変に寄与する(例えば、顔料沈降、シネレシスを減少させる)薬剤を意味する。したがって、少なくとも1種の増粘剤は、例えば、少なくとも1種の疎水性ゲル化剤及び/又は少なくとも1種の親水性ゲル化剤を含み得る。いくつかの実施形態では、少なくとも1種の増粘剤は、炭化水素増粘剤、親水性増粘剤、疎水性増粘剤又はそれらの任意の組み合わせを含み得る。
【0065】
いくつかの実施形態では、組成物は、少なくとも1種の疎水性鉱物ゲル化剤を含み得る。いくつかの実施形態では、少なくとも1種の疎水性鉱物ゲル化剤は、有機変性粘土及び変性又は非変性ヘクトライト及び疎水性シリカ(フュームドシリカを含む)から選択される少なくとも1種のゲル化剤を含むことができる。いくつかの実施形態では、少なくとも1種の疎水性鉱物ゲル化剤は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開番号2007/0071703号に記載及び例示されているような、例えば、ジメチルジステアリルアンモニウムヘクトライト、ジメチルジステアリルアンモニウムベントナイト、及びジメチルジステアリルアンモニウム変性モンモリロナイトなどから選択される少なくとも1種のゲル化剤を含むことができる。
【0066】
いくつかの実施形態では、少なくとも1種の疎水性鉱物ゲル化剤は、イオン交換反応によって、ベントナイトなどの天然又は合成スメクタイト粘土鉱物に第四級アンモニウム塩化合物が付加されている少なくともゲル化剤を含むことができる。有機変性粘土鉱物の選択は、化粧品上許容されるものであれば特に限定されず、例えば、ジメチルアンモニウムヘクトライト、ベンジルジメチルステアリルアンモニウムヘクトライト、及びジステアリルジメチルアンモニウムクロリドで処理されたケイ酸マグネシウムアルミニウムを挙げることができる。
【0067】
いくつかの実施形態では、少なくとも1種の疎水性鉱物ゲル化剤は、例えば、ベントナイト及び有機溶媒中に予め分散された有機変性ヘクトライトから選択される少なくとも1種のゲル化剤を含むことができる。市販のベントナイトの非限定的な例は、Elementis Specialtiesから入手可能なBENTONE GEL(登録商標)ISD V(INCI:イソドデカン、ジステアルジモニウムヘクトライト、プロピレンカーボネート)を含む、BENTONE GEL(登録商標)シリーズである。別の例示的な材料としては、Eckartから入手可能なGARAMITE 7308XR(INCI:クオタニウム-90セピオライト及びクオタニウム-90モンモリロナイト)である。
【0068】
いくつかの実施形態では、適切な鉱物ゲル化剤は、固体粉末の形態又はゲルで利用され得、ここで、粉末は、例えば、鉱油、イソヘキサデカン、イソドデカン、水添ポリイソブタン、C12~15アルキル安息香酸、及び/又はイソノナン酸イソノルニルなどのキャリア中に分散される。
【0069】
いくつかの実施形態では、キャリア中の増粘剤は、組成物の総質量に対して、約1.0質量%~約20質量%、又は約2質量%~約15質量%、又は約3質量%~約12質量%の範囲であり得る。
【0070】
いくつかの実施形態では、化粧料粉末組成物はまた、軟化/コンディショニング剤、防腐剤、エモリエント剤、フィルム形成剤、界面活性剤、活性剤及びそれらの組み合わせなどの1つ以上の追加の任意成分を含有してもよい。
【0071】
いくつかの実施形態では、組成物は、2~14のHLB値を有する非イオン性界面活性剤を含む、14に等しいか又はそれ未満であるHLB値を有する界面活性剤などの少なくとも1種の界面活性剤を含むことができる。
【0072】
いくつかの実施形態では、組成物は、PEG-8~PEG-12ジメチコン界面活性剤などのジメチコンの少なくともポリエチレングリコール誘導体及び米国特許第7,842,725号に記載されているものを含むことができる。ジメチコンのポリエチレングリコール誘導体の好適であるが非限定的な例は、PEG-12ジメチコン及びPEG-10ジメチコンを含むことができ、両方とも14未満のHLB値を有する。
【0073】
1つ以上の追加成分の量は、変化し得る。例えば、いくつかの実施形態では、追加の任意成分は、約0.01%~約10%、約0.1%~約8%、又は0.2%~6%、又は約0.3%~約5%存在し得る。
【0074】
本明細書に記載された実施形態は、まったく限定されないが、以下の実施例によってさらに例示される。
【実施例】
【0075】
多数の例示的な化粧料組成物を、表1~8にまとめた成分を用いて調製した。
【0076】
【0077】
【0078】
【0079】
【0080】
【0081】
【0082】
【0083】
表1~7の例示的な組成物は、以下のように調製した。A相の全ての化合物を密閉した主容器において85~90℃で加熱し、ライティングミキサー(IKA RW20)を用いて250~2500RPMで均一になるまで混合した。(該当する場合)B相の化合物を主容器に添加し、80~85℃で混合した。全ての化合物が十分に分散するまで混合を続けた。(該当する場合)C相の化合物を80~83℃で主容器に添加した。混合は、均一な組成物が得られるまで続けた。最終組成物は、80~83℃で適切な容器に注いでもよい。
【0084】
【0085】
A相の全ての成分を、十分に覆われた主容器に添加し、90~95℃に加熱した。該バッチは、(プリミックスホモジナイザーを使用し)1400RPMで5分間、又はゲルが完全に分散して均一になるまで均質化した。次いで、B相を添加し、混合物が均一になるまで均質化を続けた。次に、C相の成分を添加して均質化を続けた。両方の工程を90~95℃で行った。次いで、温度を80~85℃に下げ、D相及びE相の成分を添加し、均質化した。別の容器に、F相の全ての成分を組み合わせ、水分の損失を避けるためにバッチを覆ったまま、プロップ混合しながら80~85℃に加熱した。次に、両混合物を組み合わせて、83~85℃でゆっくりと混合し、1400~1700RPMで最低5分間均質化した。最後に、全ての成分が十分に分散するまで、G相及びH相の成分を添加した。
【0086】
【0087】
表9中の組成物の評価方法は以下の通りであった:
5名の独立したパネリスト(これは典型的なリップスティックの利用者であり、年齢は22~60歳の範囲であった)が、別々の日にそれぞれの組成物を試験した。パネリストには、製品を1回のみ適用し、制限なしに(飲食は許された)8~12時間それを装着するよう依頼した。試験製品の再適用は許されなかった。装着時間の終了後、表9に列挙した特性について製品を評価した。全てのパラメーターは、以下に記載されるように、1~3の等級付けスケールを用いて評価した:
3:非常に良好:パネリストは、リップスティックが上記に列挙したような全ての特性を有すると報告した。
2:許容可能:パネリストは、リップスティックが上記に列挙した特性の一部のみを有すると報告した。
1:許容不可:パネリストは、リップスティックが上記の特性を有していないと報告した。
【0088】
【0089】
対照組成物2:水添ポリイソブテン、水、合成ワックス、ポリエチレン、イソドデカン、C9~12アルカン、ラウロイルリジン、ホホバエステル、シリカ、HDI/トリメチロールヘキシルラクトンクロスポリマー、マイカ、ヘリアンサスアナス(ヒマワリ)種子蝋、エチレン/プロピレン/スチレンコポリマー、PEG-12ジメチコン、PEG-10ジメチコン、(カプリル酸/カプリン酸)ヤシアルキル、ジステアルジモニウムヘクトライト、グリセリン、寒天、炭酸プロピレン、トリイソステアリン酸イソプロピルチタン、フサアカシア花蝋、ポリグリセリン-3、ブチレン/エチレン/スチレンコポリマー、有機ケイ素樹脂、ブチル化ヒドロキシトルエン、ビタミンE、フェノキシエタノール、顔料。
【0090】
試験結果は、柔らかさ及びメルティング感に関して、表8の組成物が、シリコーン樹脂又は他のフィルム形成ポリマーを含有しない対照組成物2と同等であることを実証する。装着性の結果に関して、表8の組成物は、対照組成物1及び対照組成物2の両方より性能が優れている。他の試験項目については、表8の組成物は、対照組成物よりも優れた性能を示すか、又は少なくとも対照組成物と同等であった。
【0091】
【0092】
表11の組成物を調製するために、A相の全ての化合物を密閉された主容器において85~90℃で加熱し、ライティングミキサー(IKA RW20)を用いて250~2500RPMで均一になるまで混合した。B相の化合物を主容器に添加し、80~85℃で混合した。全ての化合物が十分に分散するまで混合を続けた。C相の化合物を80~83℃で主容器に添加した。混合は、均一な組成物が得られるまで高いシェアで続けた。バッチを30~25℃で滴下する。最終組成物は、30~25℃で適切な容器に注ぐことができる。表1~8の組成物とは異なり、表11の組成物は、シリコーン乳化剤の代わりにポリグリセリル乳化剤を使用する。
【0093】
***
上記は、特定の好ましい実施形態を指すが、本発明は、そのように限定されないことが理解されるであろう。開示された実施形態に様々な変更を加えることができ、そのような変更は本発明の範囲内にあることが意図されることは、当業者には想起されるであろう。
【0094】
本明細書に引用される刊行物、特許出願及び特許の全ては、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【国際調査報告】