(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-14
(54)【発明の名称】埋込み型電極デバイスの製造方法
(51)【国際特許分類】
A61N 1/05 20060101AFI20230307BHJP
A61N 1/36 20060101ALN20230307BHJP
【FI】
A61N1/05
A61N1/36
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022533357
(86)(22)【出願日】2020-12-16
(85)【翻訳文提出日】2022-07-08
(86)【国際出願番号】 EP2020086462
(87)【国際公開番号】W WO2021139984
(87)【国際公開日】2021-07-15
(32)【優先日】2020-01-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512158181
【氏名又は名称】バイオトロニック エスエー アンド カンパニー カーゲー
【氏名又は名称原語表記】BIOTRONIK SE & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Woermannkehre 1 12359 Berlin Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ランプ、イェンス
(72)【発明者】
【氏名】ブフナー、ダグマー
【テーマコード(参考)】
4C053
【Fターム(参考)】
4C053BB02
4C053BB12
4C053CC10
(57)【要約】
埋込み型電極デバイス1の製造方法において、少なくとも1つの電極素子12を支持体14に取り付けるために、電気絶縁性支持体14及び少なくとも1つの導電性電極素子12が設けられる。少なくとも1つの電極素子12を支持体14に取り付けるために、少なくとも1つの電極素子12及び/又は支持体14は加熱され、少なくとも1つの電極素子12は、支持体14に押し付けられる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
埋込み型電極デバイス(1)を製造するための方法であって、
電気絶縁性支持体(14)を提供するステップと、
少なくとも1つの導電性電極素子(12)を提供するステップと、
前記少なくとも1つの電極素子(12)を前記支持体(14)に取り付けるステップと
を含み、
前記少なくとも1つの電極素子(12)を前記支持体(14)に取り付けるために、前記少なくとも1つの電極素子(12)及び/又は前記支持体(14)が加熱され、前記少なくとも1つの電極素子(12)が前記支持体(14)に押し付けられることを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記支持体(14)が、熱可塑性物質でできていることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記支持体(14)が、ポリウレタンを有する材料でできていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも1つの電極素子(12)を前記支持体(14)に取り付けるために、前記少なくとも1つの電極素子(12)及び/又は前記支持体(14)が、100℃を超える温度、好ましくは150℃を超える温度、より好ましくは180℃を超える温度に加熱されることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記少なくとも1つの電極素子(12)が、前記支持体(14)の上側面(140)上に配置されることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも1つの電極素子(12)は、前記少なくとも1つの電極素子(12)の上側面(123)が前記支持体(14)の前記上側面(140)と同一面内になるように、前記支持体(14)に押し付けられることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記少なくとも1つの電極素子(12)が前記支持体(14)に取り付けられる前に、電気供給ライン(13)が前記少なくとも1つの電極素子(12)に接続されることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記少なくとも1つの電極素子(12)に接続された前記供給ライン(13)が、前記少なくとも1つの電極素子(12)とともに前記支持体(14)に取り付けられることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記少なくとも1つの電極素子(12)は、前記少なくとも1つの電極素子(12)が前記支持体(14)に取り付けられたときに前記支持体(14)内に圧入される少なくとも1つの固定要素(120)を有することを特徴とする、請求項1から8までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記少なくとも1つの電極素子(12)がピン(121)を有し、前記ピン(121)は、前記少なくとも1つの電極素子(12)が前記支持体(14)に取り付けられたときに前記支持体(14)内に圧入され、それにより前記ピン(121)は、前記支持体(14)の上側面(140)とは反対を向いている下側面(141)を貫通することを特徴とする、請求項1から9までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記少なくとも1つの電極素子(12)が前記支持体(14)に取り付けられた後で、電気供給ライン(13)が前記ピン(121)に接続されることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記支持体(14)は、前記少なくとも1つの電極素子(12)の適用後、包囲体(15)によって少なくとも部分的に取り囲まれることを特徴とする、請求項1から11までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記包囲体(15)が、シリコーン材料から成ることを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
複数の電極素子(12)が前記支持体(14)に取り付けられることを特徴とする、請求項1から13までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
埋込み型電極デバイス(1)であって、
発電機(2)に接続可能な電極体(10)と、
前記電極体(10)の遠位に接続された電極端部(11)と
を有し、
前記電極端部が、支持体(14)と、前記支持体(14)に取り付けられた複数の電極素子(12)とを有し、前記電極素子(12)が、請求項1から14までのいずれか一項に記載の方法によって前記支持体に取り付けられている、埋込み型電極デバイス(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部分による埋込み型電極デバイスの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
そのような方法では、少なくとも1つの導電性電極素子を電気絶縁性支持体に取り付けるために、電気絶縁性支持体及び少なくとも1つの導電性電極素子が提供される。
【0003】
そのような電極デバイスによって、例えば脊髄神経刺激を引き起こすために患者に埋め込まれたときに、刺激信号が放出され得る。この目的のために、例えば、電気刺激エネルギーを導入することによって脊髄の神経刺激を達成するために、電極デバイスは、脊椎の脊髄の近くの硬膜外腔内に導入することができる。しかしながら、このような電極デバイスはまた、心臓刺激のために、例えば、ペースメーカー・システム又は除細動システムとともに使用することができる。
【0004】
例えば、脊髄神経刺激のために使用される電極デバイスは、ほぼ円形の断面と、通常2mm未満の直径と、その上に配置されたリング電極とを有して形成された等直径の電極の形態で、又は、電極体上に形成された平坦な端部を有するいわゆるパドル電極の形態であってもよく、通常は、複数の電極素子がその上に配置されている。等直径の電極は、経皮的に容易に埋め込むことが可能で、小さな埋込みスペースが必要である一方で、パドル電極は、平坦な端部上に形成された電極アレイが、刺激エネルギーの標的化された送達を可能にする指向特性を有し得ることにより、効率が向上する可能性がある。
【0005】
しかしながら、このようなパドル電極の課題は、電極配置をパドル電極の平坦な端部に、簡単で再現可能且つ正確に配置可能な方法で、可能であれば容易に自動化できる方法で取り付けることである。
【0006】
パドル電極の設計は、例えば、米国特許第6895283号及び米国特許第9561363号から知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第6895283号
【特許文献2】米国特許第9561363号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、1つ又は複数の電極素子の正確な配置の可能性を有する、簡単且つ自動化可能な製造を可能にする埋込み型電極デバイスの製造方法と、埋込み型電極デバイスとを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的は、請求項1の構成を有する主題によって達成される。
【0010】
したがって、少なくとも1つの電極素子を支持体に取り付けるために、少なくとも1つの電極素子及び/又は支持体は加熱され、少なくとも1つの電極素子は支持体に押し付けられる。
【0011】
少なくとも1つの電極素子を支持体に取り付けることは、電極素子及び/又は支持体を加熱することによって行われる。支持体は、例えば、熱可塑性物質、例えば、ポリウレタンを有する材料でできており、その結果、支持体は加熱されると柔らかくなり、したがって、少なくとも1つの電極素子は、少なくとも部分的に支持体に圧入され、それにより、支持体に一体的に結合された接続を形成することができる。したがって、少なくとも1つの電極素子の取付けは、例えば、少なくとも1つの電極素子を支持体に固定するための接着剤によって接着剤結合等を追加的に生じさせる必要なく、容易に自動化できる方法ステップで実行することができる。
【0012】
少なくとも1つの電極素子を支持体に取り付ける前に、少なくとも1つの電極素子を加熱することによって、支持体の材料を加熱することができる。少なくとも1つの電極素子が支持体に取り付けられるとき、熱が電極素子から支持体に伝達され、支持体を加熱して、その結果、好ましくは、熱可塑性物質でできた支持体が柔らかくなり、したがって、少なくとも1つの電極素子と一体化した結合状態になる。
【0013】
さらに又は代わりに、支持体はまた、少なくとも1つの電極素子を支持体に取り付けるために、電極素子から支持体への熱伝達に加えて、又は熱伝達の代わりに、支持体が熱源によって加熱されるように加熱され得る。
【0014】
少なくとも1つの電極素子を取り付けるために、一実施例では、少なくとも1つの電極素子及び/又は支持体は、支持体材料の融解温度又はそれに近い温度、例えば100℃を超える温度、好ましくは150℃を超える温度、より好ましくは180℃を超える温度、例えば190℃に加熱される。加熱は、例えば、加熱される少なくとも1つの電極素子及び/又は支持体が配置されている炉内で行うことができる。或いは、局所的に作用する熱源を使用して、少なくとも1つの電極素子又は支持体を加熱することができる。次に、少なくとも1つの電極素子は、例えば自動化された方法で、例えばロボットを使用して、支持体上に配置することができ、その配置は、少なくとも1つの電極素子を支持体に押し付けることによって、したがって、少なくとも1つの電極素子を支持体に固定するためのさらなる方法ステップを用いることなく実行される。
【0015】
支持体は、0.1mm~0.5mmの間の厚さ、例えば0.2mmの厚さを有するフィルムによって、熱可塑性物質、例えば、ポリウレタン材でできていてもよい。例えば、支持体は、4mm×20mm~10mm×100mmの間の表面積を有していてもよい。
【0016】
各電極素子は、例えば、0.05mm~0.2mmの間の厚さを有していてもよく、金属材料、例えば、白金材料でできている。例えば、電極素子は、1mm×2mm~3mm×4mmの間の、例えば2mm×3mmの表面積を有していてもよい。
【0017】
一実施例では、少なくとも1つの電極素子は、下側面を支持体の上側面に接触させた状態で配置される。少なくとも1つの電極素子は、少なくとも1つの電極素子の上側面が支持体の上側面と同一面内(面一)になるように、支持体に押し付けられてもよい。しかしながら、別の実施例では、少なくとも1つの電極素子はまた、少なくとも1つの電極素子が支持体から突出し、したがって、支持体の上側面に対して突出するように、支持体に取り付けることができる。少なくとも1つの電極素子が支持体に圧入される押込み深さは、原則として、例えば、電極素子を介して刺激エネルギーを送達するための所望の放射特性に応じて選択され得る。
【0018】
一実施例では、電気供給ラインは、少なくとも1つの電極素子が支持体に取り付けられる前に、少なくとも1つの電極素子に接続される。この方法のこの実施例では、少なくとも1つの電極素子に接続された供給ラインは、好ましくは、少なくとも1つの電極素子とともに支持体上に配置され、少なくとも1つの電極素子及び/又は支持体が加熱されるときに、支持体に圧入され、その結果、少なくとも1つの電極素子に接続された供給ラインは、少なくとも電極素子の下方の領域で支持体に埋め込まれる。
【0019】
一実施例では、少なくとも1つの電極素子に接続された供給ラインは、支持体の領域内の前記ラインの経路に沿って支持体に埋め込まれる。
【0020】
一実施例では、電気供給ラインは、ワイヤ又はコードとして設計される。
【0021】
一実施例では、少なくとも1つの電極素子は、少なくとも1つの電極素子が取り付けられるときに支持体に圧入される少なくとも1つの固定要素を有する。少なくとも1つの固定要素は、例えば、支持体に面する電極素子の下側面からつまみのように突出していてもよく、少なくとも1つの電極素子が配置されるときに支持体と係合することになり、その結果、少なくとも1つの固定要素を介して、少なくとも1つの電極素子と支持体との間に追加の形状嵌合接続が形成され、支持体上の少なくとも1つの電極素子の保持力が向上する。
【0022】
少なくとも1つの固定要素は、例えば、フック形状を、例えば、返しの形態で有し、さらに又は代わりに、例えば、開口部が少なくとも1つの固定要素内に形成されてもよく、これにより、支持体の材料は、少なくとも1つの電極素子が配置されたときに係合することができ、その結果、支持体上の少なくとも1つの電極素子をしっかりと保持することができる。
【0023】
一実施例では、少なくとも1つの電極素子は、ピンを有しており、そのピンは、支持体に面する電極素子の下側面から突出し、少なくとも1つの電極素子が配置されたときに支持体に圧入される。少なくとも1つの電極素子が配置されたとき、ピンは、支持体の上側面とは反対側を向いている下側面上にアクセス可能なように支持体を貫通し、これにより、少なくとも1つの電極素子が配置された後に、ピンを介して少なくとも1つの電極素子に電気供給ラインを接続することが可能になる。供給ラインの接続は、ここでは、支持体の下側面の領域で行うことができ、その結果、供給ラインは支持体の下側面上にあって、動作中に刺激エネルギーが放出される電極デバイス側にはない。
【0024】
一実施例では、少なくとも1つの電極素子の取付け後、支持体は、例えば、いくつかのセクションで支持体を包囲体(encasement)の材料でオーバーモールドすることによって、少なくとも部分的に包囲体によって囲まれる。包囲体は、例えば、シリコーン材料でできていてもよく、例えば、電極デバイスの動作中に刺激エネルギーを放出するために外側に露出される、支持体に取り付けられた電極素子の表面以外は、支持体は完全に包囲体に内包されていてもよい。
【0025】
一実施例では、複数の電極素子は、支持体に取り付けられる。電極素子は、例えば、支持体上に形成される可能性のある多数の電極素子の列を有する、例えば、マトリックスの形で支持体に取り付けられて、規則的な配置を形成することができる。例えば、2列の電極素子を支持体に取り付けることができ、その列には、互いに隣接して配置された電極素子がある。
【0026】
埋込み型電極デバイスは、発電機(ジェネレータ)に接続可能な電極体と、電極体の遠位に接続された電極端部とを有する。電極端部は、支持体と、支持体に取り付けられた複数の電極素子とを有し、電極素子は、上記の方法によって支持体に取り付けられる。
【0027】
この方法に関する上記の利点及び有利な実施例は、電極デバイスと同様に適用することができ、したがって、上記を全面的に参照する必要がある。
【0028】
このような電極デバイスは、特に、脊髄の領域において標的化方式で神経刺激をもたらすために、例えば、脊椎の領域内ひいては脊髄に隣接する硬膜外腔での脊髄神経刺激用に埋め込むことができるパドル電極を実現する。
【0029】
本発明の基礎となる概念は、図面に示される実施例を参照して、以下でより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】患者の脊椎の領域に埋め込まれた状態で発電機に接続された電極デバイスの図である。
【
図2】脊椎の領域の硬膜外腔における電極デバイスの図である。
【
図4A】電極素子を支持体に取り付けるプロセスの概略図である。
【
図4B】支持体に取り付けられる位置における電極素子の図である。
【
図8】支持体上に配置された位置における
図7による電極素子の図である。
【
図9】支持体を囲むための追加の包囲体を備えた、
図4Bによる配置の図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
一実施例における
図1及び
図2に示す電極デバイス1は、いわゆるパドル電極として実現され、電極体10と、電極体10に接続された電極端部11とを有しており、その電極端部には、患者Pの脊椎Wの領域で刺激エネルギーを放出するために、複数の電極素子が取り付けられている。
【0032】
電極デバイス1は、電極体10の近位端によって発電機2の端子台20に接続され、それを介して刺激エネルギーが電極デバイス1に送達され、脊椎Wの領域で脊髄Rを刺激するために電極端部11に配置された電極配置を介して放射され得る。
【0033】
図2による断面図から分かるように、示されている実施例では、脊髄Rの領域で神経刺激を引き起こすために、電極端部11が脊髄Rの領域に位置し、したがって、刺激エネルギーを脊髄R内へと定方向的に導入することができるように、電極デバイス1には、患者Pの脊椎Wの領域の硬膜外腔Eに電極端部11が埋め込まれる。
【0034】
例えば、電極体10が円形(等直径)断面を有する一方で、電極デバイス1は電極端部11の領域で平坦化され、
図3から分かるように、そこに複数の電極素子12を搭載し、電極素子12は、互いに隣接して2列で配置することができ、刺激エネルギーが、定方向的に、例えば患者Pの脊髄R内へ供給され得るように、互いに対して配置される。
【0035】
図3にさらに示すように、各電極素子12は、供給ライン13に接続され、各電極素子12は、関連付けられた供給ライン13を介して発電機2に接続することができ、したがって、電気信号を放出するために発電機2を介して刺激エネルギーを供給することができる。供給ライン13は、電極体10内でケーブル・ハーネスとしてカプセル化された方法で、発電機2にまとめて配線される。
【0036】
電極素子12は、支持体14上に配置されるが、表面が外側に向いた状態で露出しており、したがって、電極デバイス1が患者に埋め込まれたときに周囲の組織と接触することができる。
【0037】
電極素子12を支持体14に固定するために、電極素子12を支持体14上に正確に配置するのを可能にする自動化可能で単純な製造プロセスが望まれている。
【0038】
この目的のために、ここでは、支持体14及び/又は対応する電極素子12を加熱することによって、電極素子12を支持体14に取り付けることが提案され、その結果、当該電極素子12は、支持体14に圧入することができ、支持体14に一体的に結合された接続を形成することができる。
【0039】
このことは、
図4A及び
図4Bに示されている。例えば、支持体14に接続される電極素子12は、支持体14の材料の融解温度又はそれに近い温度に加熱することができ、支持体14は、例えば、熱可塑性物質、例えば、ポリウレタン材でできており、その結果、電極素子12が配置されるとき、支持体14はいくつかの領域で溶融され、したがって、電極素子12は支持体14に圧入することができ、その結果、電極素子12と支持体14との間に一体結合が形成される。
【0040】
図4A及び
図4Bに示す実施例では、電極素子12は、
図4Bから分かるように、電極素子12の上側面123が支持素子14の上側面140と同一面内になるように、支持素子14の上側面140に対して接合方向Fに配置される。したがって、電極素子12が支持体14に圧入される押込み深さTは、電極素子12の厚さに相当する。
【0041】
電極素子12の上側面123が、必ずしも支持体14の上側面140と同一面内になる必要はないことに留意されたい。電極素子14はまた、電極素子12の上側面123が、例えば、支持体14の上側面140に対して突出するように、支持体14上に配置されてもよい。一般に、電極素子12は、電極素子12を介して電気信号を放射するための放射特性が最適化されるように、押込み深さTに関して支持体14上に配置されてもよい。
【0042】
電極素子を支持体14に取り付けるために、電極素子12は加熱され、例えば、支持体14の材料の融解温度又はそれに近い温度にすることができる。さらに又は代わりに、支持体14も加熱され得る。例えば、電極素子12を支持体14に取り付けるために、電極素子12及び/又は支持体14は、100℃を超える温度、例えば150℃を超える温度、より好ましくは180℃を超える温度、例えば190℃に加熱することができる。
【0043】
図4A及び
図4Bに示す実施例では、供給ライン13は、電極素子12が支持体14に取り付けられる前に、電極素子12に接続される。ここで示される実例では、供給ライン13は、上側面123とは反対側を向いている電極素子12の下側面124に接続され、その結果、電極素子12が支持体14上に配置されるときに、供給ライン13は、電極素子12の下方のいくつかのセクションに位置し、電極素子12とともに支持体14の材料に圧入される。したがって、供給ライン13は、電極素子12の下方で支持体14に埋め込まれ、その結果、電極素子12への供給ライン13の接続点は、支持体14によって内包され、したがって、供給ライン13と電極素子12との間の電気接続が確保される。
【0044】
図4A及び
図4Bに示す実施例では、電極素子12は、平坦な、例えば、長方形の又は丸い表面要素を形成し、表面要素は、上側面123が取付け位置にある状態で、外側を向いており、例えば、患者Pの脊髄Rの領域で、刺激のために上側面123を介して電気信号を放出することができる。
【0045】
図5の実施例に示すように、電極素子12は、下側面124から突出するつまみの形態の固定要素120を有することができ、固定要素120は、支持体14への電極素子12の機械的な接続を改善するのに役立つ。電極素子12が支持体14に取り付けられるとき、固定要素120は、支持体14と形状嵌合係合し、したがって、電極素子12と支持体14との間に形状嵌合を生み出し、その結果、この上方では、支持体14上の電極素子12の保持が改善される。
【0046】
複数の固定要素120は、例えば、電極素子12上で互いに距離を置いて、電極素子12の外周縁に沿って形成することができる。
【0047】
固定要素120は、例えば、返しの形態の、例えば、フック形状を有することができる。さらに又は代わりに、開口部が固定要素120上に形成されてもよく、その開口部内では、取付けが行われるときに支持体14の材料が係合することができ、その結果、支持体14上の電極素子12の形状嵌合保持がさらに改善される。
【0048】
図6に示す別の実施例では、ピン121が電極素子12の下側面124に形成され、そのピンは、電極素子12が配置されたときに支持体14を貫通し、したがって、上側面140とは反対側を向いている支持体14の下側面141上にアクセス可能となり、その結果、供給ライン13は、ピン121に接続されてもよい。
【0049】
図7に示す、より詳細な実施例では、ヘッド122をピン121に形成することができ、そのヘッドはアンダーカットを形成し、その結果、
図8に示すように、支持体14との形状嵌合がヘッド122を介して形成されるため、ピン121を介して、支持体14上の電極素子12の機械的な保持も改善される。供給ライン13はまた、
図8に示すように、ヘッド122に接続されてもよい。
【0050】
ピン121を介して、
図6及び
図7による電極素子12の実施例では、供給ライン13は、電極素子12を支持体14に取り付けた後に接続されてもよい。この場合、供給ライン13は、下側面141の領域に、したがって、支持体14の裏面に配置されてもよく、その裏面は、動作時にエネルギーが放射されてくる電極デバイス1の面とは反対側を向いている。これにより、異なる電極素子12への供給ライン13の敷設を簡単にすることができる。
【0051】
(すべての)電極素子12を支持体14に取り付けた後、支持体14は、例えば、包囲体15によって、例えば、
図9に示すように、支持体14をオーバーモールドすることによって取り囲むことができる。包囲体15は、例えば、シリコーン材料でできていてもよく、支持体14は、包囲体15の材料によって完全に取り囲むことができるが、支持体14に取り付けられた電極素子12は、外側に露出される。したがって、包囲体によって、電極デバイス1は、電極端部11の領域で封入され、カプセル化されてもよい。
【0052】
本発明の基礎となる概念は、上記の実施例に限定されず、他の方法でも実現することができる。
【0053】
電極デバイスは、脊髄神経刺激に使用することができるが、他の刺激、例えば心臓刺激にも使用できる。
【0054】
1つ又は複数の電極素子は、支持体上に配置してもよく、複数の電極素子が使用される場合、電極素子の配置を形成することによって、所望の指向特性を提供することができる。
【符号の説明】
【0055】
1 埋込み型電極デバイス
10 電極体
11 電極端部
12 電極素子
120 固定要素
121 ピン
122 ヘッド
123 上側面
124 下側面
13 供給ライン
14 支持体
140 上側面
141 下側面
15 包囲体
2 発電機
20 端子台
E 硬膜外腔
F 接合方向
O 表面
P 患者
R 脊髄
T 深さ
W 脊椎
【国際調査報告】