(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-14
(54)【発明の名称】不可逆電気穿孔及び高周波アブレーション(IRE/RFA)波形の生成及びインターリーブ
(51)【国際特許分類】
A61B 18/12 20060101AFI20230307BHJP
【FI】
A61B18/12
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022533513
(86)(22)【出願日】2020-01-29
(85)【翻訳文提出日】2022-06-10
(86)【国際出願番号】 IB2020050677
(87)【国際公開番号】W WO2021111193
(87)【国際公開日】2021-06-10
(32)【優先日】2019-12-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ゴバリ・アサフ
(72)【発明者】
【氏名】アルトマン・アンドレス・クラウディオ
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160KK03
4C160KK23
(57)【要約】
不可逆電気穿孔及び高周波アブレーション(IRE/RFA)発生器は、IREパルス発生器と、高調波濾過回路と、波形インターリーバとを含む。IREパルス発生器は、二相性IREパルスを生成するように構成されている。高調波濾過回路は、IREパルスをRF信号に変換するように構成されている。波形インターリーバは、IREパルス及びRF信号を受信し、IREパルスのうちの1つ以上をRF信号の1つ以上の周期と交互にインターリーブすることによってIRE/RFA出力信号を生成するように構成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
不可逆電気穿孔及び高周波アブレーション(IRE/RFA)発生器であって、
二相性IREパルスを生成するように構成されたIREパルス発生器と、
前記IREパルスをRF信号に変換するように構成された高調波濾過回路と、
前記IREパルス及び前記RF信号を受信し、前記IREパルスのうちの1つ以上を前記RF信号の1つ以上の周期と交互にインターリーブすることによってIRE/RFA出力信号を生成するように構成された波形インターリーバと、を備える、不可逆電気穿孔及び高周波アブレーション(IRE/RFA)発生器。
【請求項2】
前記波形インターリーバは、プロセッサから、前記IREパルスと前記RF信号の前記周期との間のインターリーブ比を指定する設定を受信し、前記設定に応答して前記インターリーブされたIRE/RFA出力信号を生成するように構成されている、請求項1に記載のIRE/RFA発生器。
【請求項3】
前記IREパルス発生器は、プロセッサから、前記IREパルスの形状、振幅及び繰り返し率のうちの1つ以上を指定する設定を受信し、前記設定に応答して前記二相性IREパルスを生成するように構成されている、請求項1に記載のIRE/RFA発生器。
【請求項4】
前記高調波濾過回路は、プロセッサから、前記RF信号の周波数及び振幅のうちの1つ以上を指定する設定を受信し、前記設定に応答して前記IREパルスを前記RF信号に変換するように構成されている、請求項1に記載のIRE/RFA発生器。
【請求項5】
事前に指定されたパルス波形を前記IREパルスに印加するように構成されたIREパルス整形回路を備える、請求項1に記載のIRE/RFA発生器。
【請求項6】
前記波形インターリーバは、設定可能な治療プロトコルに従って、前記IREパルスを前記RF信号とインターリーブするように構成されている、請求項1に記載のIRE/RFA発生器。
【請求項7】
不可逆電気穿孔及び高周波アブレーション(IRE/RFA)信号を生成する方法であって、
二相性IREパルスを生成することと、
高調波濾過回路を使用して、前記IREパルスをRF信号に変換することと、
前記IREパルスのうちの1つ以上を前記RF信号の1つ以上の周期とインターリーブすることによってIRE/RFA出力信号を生成することと、を含む、方法。
【請求項8】
前記IRE/RFA出力信号を生成することは、プロセッサから、前記IREパルスと前記RF信号の前記周期との間のインターリーブ比を指定する設定を受信することと、前記設定に応答して前記インターリーブされたIRE/RFA出力信号を生成することと、を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記二相性IREパルスを生成することは、プロセッサから、前記IREパルスの形状、振幅及び繰り返し率のうちの1つ以上を指定する設定を受信することと、前記設定に応答して前記二相性IREパルスを生成することと、を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記IREパルスを前記RF信号に変換することは、プロセッサから、前記RF信号の周波数及び振幅のうちの1つ以上を指定する設定を受信することと、前記設定に応答して前記IREパルスを前記RF信号に変換することと、を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
事前に指定されたパルス波形を前記IREパルスに印加することによって前記IREパルスを整形することを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項12】
前記IRE/RFA出力信号を生成することは、設定可能な治療プロトコルに従って、前記IREパルスを前記RF信号とインターリーブすることを含む、請求項7に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、不可逆電気穿孔及び高周波アブレーション併用治療の方法及びシステムに関し、特に不可逆電気穿孔及び高周波アブレーション併用による波形生成に関する。
【背景技術】
【0002】
組織への高周波(radiofrequency、RF)パルスの送達は、以前に特許文献で提案された。例えば、米国特許第10,258,406号には、壊死閾値を有する組織にエネルギーを送達するためのコンピュータ実装システムが記載されている。システムは、一般に、複数の電極を含む電極アレイと、複数の電極の中間に配置された中心電極と、(i)電気パルスの第1のシーケンスを電極アレイに印加して組織内の熱的加熱を誘発し、組織の壊死閾値を低下させ、(ii)電気パルスの第2のシーケンスを中心電極に印加して、不可逆電気穿孔により組織内の細胞壊死を誘発するように構成されたコントローラと、を含むことができる。例示的な実施形態では、エネルギー源は、約1Hz~約10,000Hzの範囲の周波数、約+/-100VDC~約+/-6,000VDCの範囲の振幅、及び約1マイクロ秒~約100ミリ秒の範囲のパルス幅で電気パルスを生成するように構成されてもよい。エネルギー源は、熱的加熱を誘発するのに適した電気パルスと、組織内の不可逆電気穿孔に適したパルスとを生成するように構成されてもよい。エネルギー源は、二相モード及び単相モードで動作することができる。
【0003】
別の例として、米国特許第10,188,449号には、DC電力を出力するように構成された電源と、電源に連結され、複数のスイッチング素子を含むインバータと、インバータに連結され、インバータに信号を送ってDC電力に基づいて高周波加熱波形及び電気穿孔波形を同時に生成するように構成されたコントローラとを含む電気外科用発生器が記載されている。例示的な実施形態では、インバータ回路に連結されたコントローラは、インバータ回路に信号を送って、DC電力に基づいて高周波加熱波形及び電気穿孔波形を同時に生成するように構成され、電気穿孔波形は、電界を生成するように構成された脈動DC波形であり、後続のどのパルスよりも高いピーク電圧及びより高い電圧上昇率を有する初期パルスを有する複数のパルスを含む。
【0004】
米国特許第9,289,606号には、電気穿孔媒介療法、電気穿孔誘導一次壊死療法及び電界誘導アポトーシス療法用の方向感受性多極先端電極アセンブリを含むカテーテルシステムが記載されており、これは、狭い線形病変並びに分散した広範囲の病変を形成するための構成を含む。電気穿孔誘導一次壊死療法の場合、発生器は、電流を生成するように構成されてもよく、この電流は、電極アセンブリを介して、約0.1~1.0kV/cmの比較的低い電界強度(即ち、組織部位で)を送達することができる近接して配置された電極間で短時間パルス(例えば、0.1~20ミリ秒の持続時間)の形でパルス電界として送達される。電界誘導アポトーシス療法の場合、発生器は、電流を生成するように構成されてもよく、この電流は、約2~300kV/cmの比較的高い電界強度(即ち、組織部位で)で、非常に短時間の直流パルス(例えば、1~300ナノ秒の持続時間)の形でパルス電界として送達される。電気穿孔媒介アブレーション療法などの特定の他の例示的な実施形態では、電気穿孔固有エネルギー及びアブレーション固有エネルギーの両方がプロセス全体で使用され、そのような実施形態では、発生器はアブレーションエネルギーも送達するように更に構成されてもよい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の例示的な実施形態は、IREパルス発生器と、高調波濾過回路と、波形インターリーバとを含む不可逆電気穿孔及び高周波アブレーション(irreversible electroporation/radio frequency ablation、IRE/RFA)発生器を提供する。IREパルス発生器は、二相性IREパルスを生成するように構成されている。高調波濾過回路は、IREパルスをRF信号に変換するように構成されている。波形インターリーバは、IREパルス及びRF信号を受信し、IREパルスのうちの1つ以上をRF信号の1つ以上の周期と交互にインターリーブすることによってIRE/RFA出力信号を生成するように構成されている。
【0006】
一部の例示的な実施形態では、波形インターリーバは、プロセッサから、IREパルスとRF信号の周期との間のインターリーブ比を指定する設定を受信し、設定に応答してインターリーブされたIRE/RFA出力信号を生成するように構成されている。
【0007】
一部の例示的な実施形態では、IREパルス発生器は、プロセッサから、IREパルスの形状、振幅及び繰り返し率のうちの1つ以上を指定する設定を受信し、設定に応答して二相性IREパルスを生成するように構成されている。
【0008】
一部の例示的な実施形態では、高調波濾過回路は、プロセッサから、RF信号の周波数及び振幅のうちの1つ以上を指定する設定を受信し、設定に応答してIREパルスをRF信号に変換するように構成されている。
【0009】
例示的な実施形態では、IRE/RFA発生器は、事前に指定されたパルス波形をIREパルスに印加するように構成されたIREパルス整形回路を更に含む。
【0010】
一部の例示的な実施形態では、波形インターリーバは、設定可能な治療プロトコルに従って、IREパルスをRF信号とインターリーブするように構成されている。
【0011】
本発明の別の例示的な実施形態によれば、不可逆電気穿孔及び高周波アブレーション(IRE/RFA)信号を生成する方法が更に提供され、この方法は、二相性IREパルスを生成することを含む。高調波濾過回路を使用して、IREパルスはRF信号に変換される。IRE/RFA出力信号は、IREパルスのうちの1つ以上をRF信号の1つ以上の周期とインターリーブすることによって生成される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
本発明は、図面とともに、その実施形態の以下の詳細な説明からより完全に理解されるであろう。
【
図1】本発明の例示的な実施形態によるカテーテルベースのIRE/RFAシステムの概略図である。
【
図2】本発明の例示的な実施形態による、
図1のシステムのIRE/RFA発生器の概略ブロック図である。
【
図3】本発明の例示的な実施形態による、
図2のIRE/RFA発生器の特定の詳細を示す概略ブロック図である。
【
図4】本発明の例示的な実施形態による、
図1のIRE/RFAシステムを使用するIRE/RFA治療の方法を概略的に示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
概要
侵襲的治療法として使用される高周波アブレーション(radiofrequency ablation、RFA)及び不可逆電気穿孔(irreversible electroporation、IRE)は、相補的な臨床特性を有する可能性がある。RFAは、組織内の電気エネルギーを散逸させることによって組織細胞を熱で破壊するが、IREは、組織内の電気エネルギーの散逸を最小限に抑えながら、組織を強力な電界パルスにさらすことによって組織細胞を破壊する。
【0014】
IREとRFAを組み合わせることで、より効果的な治療が達成され得ることが期待されている。例えば、熱補助IREは、より完全なアブレーションにつながる可能性があり、そこでは、例えば、組織の幾何学的形状及び/又は組成のために1つの方法によって十分に破壊されていない組織は、その後、もう1つの方法によって完全に破壊される。しかしながら、前述の治療を次々に送達することは、例えば心臓の動きのために、心臓治療などの一部の応用ではそれほど効果的ではない可能性がある。
【0015】
以下に記載される本発明の例示的な実施形態は、同じ位置へのIRE及びRFA治療の共同送達のためのシステム及び方法を提供する。以下「IRE/RFA」とも呼ばれる開示された技術では、1秒未満のスケールで絡み合った、織り合わされた、及び/又はインターリーブされたIRE及びRFA波形のシーケンスが生成され、送達される。例示的な実施形態では、IREパルス及びRFAサイクルは、事前設定されたインターリーブ比に従って、同じアブレーション電極上で1つ以上のIREパルスを1つ以上のRFAサイクルとインターリーブすることによって、同じ組織位置に同時に印加される。
【0016】
一部の例示的な実施形態では、波形の出力シーケンスを変化させて、IREパルスのみ、RFサイクルのみ、又はM個のIREパルスのシーケンス及びN個のRFAサイクルを交互に、印加することができる発生器が提供され、M≧1、N≧1である。
【0017】
シーケンスの他の特性、例えば、IREパルス波形及び振幅、パルス繰り返し率、並びにRF周波数などのRFAパラメータは、発生器を制御するプロセッサを介して構成されてもよい。通常、IREの場合、発生器は、通常のマイクロ秒のパルス幅で最大4kVのピークツーピーク電圧を有する二相性パルスを生成することができる。RFAの場合、発生器は、ミリ秒の周期で最大100Vのピークツーピーク電圧を有する正弦波サイクルを生成することができる。
【0018】
一部の例示的な実施形態では、開示された発生器のオペレータは、例えば、プロセッサ内のユーザインターフェースを使用して、例えば、100%IRE(N=0で表される)、100%RFA(M=0で表される)、又はその間の任意の比率などのエネルギースケールを選択することができる。発生器は、例えば設定可能なプロトコルを使用して、オペレータの選択に従って{M,N}インターリーブ波形の正しいシーケンスを提供するようにプログラムされる。そのような設定可能なプロトコルは、例えば、必要な選択をもたらすパルス幅及びパルス振幅を更に含み得る。
【0019】
一部の例示的な実施形態では、開示された発生器は、(a)高調波濾過回路及び(b)IRE/RFAスイッチング回路(いずれも開示された発生器に含まれている)を使用して、IREパルスからRF信号(例えば、サイクル)を生成する。RFAの波形を生成するために、開示された高調波濾過は、所定の実施形態に従って、IRE波形にローパス濾過、バンドパス濾過、又はバンドストップ濾過のうちの1つ以上を適用することができる。
【0020】
開示されたIRE/RPA発生器は、IRE及びRFA治療を同じ位置に同時に適用することを可能にし、したがって、心不整脈の侵襲的治療の臨床転帰を改善する可能性がある。
【0021】
システムの説明
図1は、本発明の例示的な実施形態によるカテーテルベースのIRE/RFAシステム20の概略図である。システム20はカテーテル21を含み、カテーテルのシャフト22は、シース23を介して患者28の心臓26に挿入される。カテーテル21の近位端は、コンソール24に接続されている。
【0022】
コンソール24は、カテーテル21を介して絡み合ったIRE/RFA波形を印加して心臓26の左心房45内の組織を切除するためのIRE/RFA発生器38を含む。本明細書に記載の例示的な実施形態では、カテーテル21は、心臓26の左心房45内の肺静脈の口組織の電気的感知及び/又は分離などの任意の適切な治療及び/又は診断の目的で使用され得る。
【0023】
医師30は、患者28の血管系を通してシャフト22を挿入する。挿入
図25に見られるように、膨張可能なバルーン40がシャフト22の遠位端に取り付けられている。シャフト22の挿入中、バルーン40はシース23内で折り畳まれた構成に維持される。バルーン40を折り畳まれた構成で収容することにより、シース23はまた、標的位置への途中での血管の外傷を最小限にするのに役立つ。医師30は、シャフト22の遠位端を心臓26内の標的位置へとナビゲートする。
【0024】
シャフト22の遠位端が標的位置に到達すると、医師30は、シース23を後退させてバルーン40を拡張させる。次に、医師30は、バルーン40上に配置された電極が口の内壁に係合するようにシャフト22を操作する。
【0025】
コンソール24は、カテーテル21、及び通常は患者26の胸部の周りに配置される外部電極49から信号を受信するための適切なフロントエンド及びインターフェース回路37を備えたプロセッサ41、典型的には汎用コンピュータを含む。この目的で、プロセッサ41は、ケーブル39を通るワイヤによって外部電極49に接続されている。例示的な実施形態では、医師30は、例えばカテーテル21によって取得された電気生理学的信号を使用して、不整脈源性組織の位置を診断する。続いて、医師30は、バルーン40上に配置された電極を介して、絡み合ったIRE/RFA波形を印加して組織を切除する。
【0026】
プロセッサ41は、通常、本明細書に記載の機能を実行するようにプログラムされる(ソフトウェア)。ソフトウェアは、例えば、ネットワークを介して電子形式でコンピュータにダウンロードされてもよく、代替的又は追加的に、磁気、光学、又は電子メモリなどの非一時的な有形媒体上に提供及び/又は記憶されてもよい。
【0027】
図示された例示的な実施形態は、特に心臓組織のアブレーションのためのバルーンの使用に関するが、システム20の要素及び本明細書に記載の方法は、代替的に、マルチアームアブレーションカテーテルなどの他の種類の多電極アブレーションデバイスを使用してアブレーションを制御する際に適用されてもよい。言い換えれば、本発明に従って任意の適切なデバイスを利用することができる。
【0028】
インターリーブされたIRE/RFA波形のシーケンスの生成
図2は、本発明の例示的な実施形態による、
図1に示されたシステム20のIRE/RFA発生器38の概略ブロック図である。図示された例示的な実施形態では、発生器38は、IREパルス発生器50と、IRE/RFA波形整形器及びインターリーバ55とを含み、これらは両方とも構成可能であり、プロセッサ41によって制御される。
【0029】
図示のように、IREパルス発生器50は、事前定義された波形の高電圧IRE二相性パルスのシーケンス52を生成する。本明細書において、「二相性パルス」という用語は、パルスの平均電圧がゼロボルトであるように、正電圧相及び負電圧相を有するパルスを指す。例示的な実施形態では、二相性パルスは方形波パルス波形を有するが、必ずしもそうではない。一部の例示的な実施形態では、二相性パルスのピークツーピーク電圧は、最大4KV、即ち±2KVのオーダーである。各二相性パルスのパルス幅は、通常、数マイクロ秒のオーダーである。あるいは、任意の他の適切なパルスパラメータを使用してもよい。
【0030】
図3に更に記載されるIRE/RFA波形整形器及びインターリーバ55は、入力シーケンス52を、例えば、RFエネルギーのN=2の正弦波周期(例えば、2つの正弦波形状パルス)とインターリーブされたM=2のIRE形状パルスを含む、出力波形のインターリーブされたIRE/RFAシーケンス57に変換する。IRE/RFAシーケンス57は、通常、
図1を参照して上述したようにアブレーション電極を介して選択された組織位置に印加するために、カテーテル22に送達される。
【0031】
図3は、本発明の例示的な実施形態による、
図2のIRE/RFA発生器38の特定の詳細を示す概略ブロック図である。本実施例では、IRE/RFA波形整形器及びパルスインターリーバ55は、二相性パルス整形器回路60、高調波フィルタ回路64、及び波形インターリーバ回路66を含む。
【0032】
二相性パルス整形器回路60は、必要に応じて、シーケンス52のIREパルスを、最終形状及び繰返し率を有するIREパルス62に適合させるように構成される。例えば、パルス整形器60は、二相性パルスの異なる立ち上がり時間及び/又は立ち下がり時間を生成するためのコンデンサのアレイを含むことができる。
【0033】
高調波フィルタ回路64は、上述したいくつかのタイプの高調波フィルタのセットを含むことができ、また、プロセッサ41によって提供される設定に基づいて、シーケンス52の入力IREパルスをRF信号59、典型的には正弦波信号に変換するように構成されてもよい。RF信号59は、通常、450kHz~500kHzのオーダーの周波数と、最大100V(即ち、±50V)のオーダーのピークツーピーク電圧を有する。しかしながら、代替的に、任意の他の適切な信号パラメータを使用してもよい。
【0034】
挿入
図65に見られるように、高調波濾過は、ローパスフィルタ(コンデンサで表される)によって実行されてもよいが、出力電圧は、1つ以上の変圧器を使用して決定される。最後に、波形インターリーバ66は、1つ以上のIREパルス62をRF信号59の1つ以上の周期とインターリーブし、インターリーブされたシーケンス57をカテーテル21に出力する。図示のように、波形インターリーバ66は、入力波形59と入力波形62との間で切り替えるためのスイッチング回路67を含む。
【0035】
高調波濾過は、方形波を正弦波に変換する最も簡単な方法の1つである。方形波は、基本周波数と高次高調波で構成される。高調波濾過は、高次高調波を除去するのに役立ち、それによって正弦波基本周波数信号を残す。
【0036】
図2及び
図3に示される例示的な構成は、純粋に概念を明確にするために選択される。代替の例示的な実施形態では、開示された技術は、他の任意の適切なパルス生成及び整形スキームを使用することができる。
【0037】
図4は、本発明の例示的な実施形態による、
図1のIRE/RFAシステム20を使用するIRE/RFA治療の方法を概略的に示すフローチャートである。このプロセスは、カテーテル挿入ステップ70において、医師30がカテーテル20を心臓26に挿入することから始まる。次に、医師30は、治療エネルギー選択ステップ72において、例えば、事前定義されたプロトコルを選択することによって、標的組織に送達されるIRE/RFAエネルギーの比率を選択する。上記のように、医師30は、臨床目標に応じて、100%IREエネルギーから100%RFAエネルギーまでの間の任意の比率を選択することができる。
【0038】
医師30がIREとRFAの混合エネルギーを印加することを選択したと仮定すると、医師30は、インターリーブされたシーケンスの選択ステップ74において、例えば選択したプロトコルによって指定されるように、IRE/RFA波形のインターリーブされたシーケンスを指定する。例えば、医師30は、上記で定義されたように、最大程度のインターリーブを有する{M=1,N=1}シーケンスを選択することができる。
【0039】
次に、カテーテル位置決めステップ76において、医師30はカテーテル21を操作して、バルーン40上に配置された電極と肺静脈の口などの組織との間の接触を確立する。次に、医師30は、IRE/RFA治療ステップ78において、選択したIRE/RFA波形のインターリーブされたシーケンスを組織に印加する。
【0040】
治療直後、IRE/RFA治療後の診断ステップ80において、医師30は、診断カテーテルとしてバルーン40を使用して電位図を取得し、治療ステップ78がどの程度分離を達成したかを確認する。確認ステップ82において、医師が十分な分離が達成されたと見なした場合、医師30は、カテーテル後退ステップ84において、患者の体からカテーテルを取り外す。そうでない場合、医師30は、ステップ72にループバックすることによって、追加の治療のためにバルーンを再配置して、追加の治療ステップのパラメータを選択することができる。
【0041】
本明細書に記載の実施形態は、主に心臓応用に対処するが、本明細書に記載の方法及びシステムは、肺又は肝臓などの固形腫瘍の治療など、他の医療応用にも使用することができる。
【0042】
したがって、上記の例示的な実施形態は例として引用されており、本発明は、上記で特に示され、説明されたものに限定されないことが理解されるであろう。むしろ、本発明の範囲は、上記の様々な特徴の組み合わせ及び部分的組み合わせの両方、並びに前述の説明を読んで当業者に想到され、先行技術に開示されていないそれらの変形及び修正を含む。参照により本特許出願に組み込まれた文書は、本出願の不可欠な部分と見なされ、ただし、いずれかの用語が、これらの組み込まれた文書において、本明細書中で明示的又は暗黙的に行われた定義と矛盾する方法で定義されている限り、本明細書における定義のみを考慮すべきである。
【0043】
〔実施の態様〕
(1) 不可逆電気穿孔及び高周波アブレーション(IRE/RFA)発生器であって、
二相性IREパルスを生成するように構成されたIREパルス発生器と、
前記IREパルスをRF信号に変換するように構成された高調波濾過回路と、
前記IREパルス及び前記RF信号を受信し、前記IREパルスのうちの1つ以上を前記RF信号の1つ以上の周期と交互にインターリーブすることによってIRE/RFA出力信号を生成するように構成された波形インターリーバと、を備える、不可逆電気穿孔及び高周波アブレーション(IRE/RFA)発生器。
(2) 前記波形インターリーバは、プロセッサから、前記IREパルスと前記RF信号の前記周期との間のインターリーブ比を指定する設定を受信し、前記設定に応答して前記インターリーブされたIRE/RFA出力信号を生成するように構成されている、実施態様1に記載のIRE/RFA発生器。
(3) 前記IREパルス発生器は、プロセッサから、前記IREパルスの形状、振幅及び繰り返し率のうちの1つ以上を指定する設定を受信し、前記設定に応答して前記二相性IREパルスを生成するように構成されている、実施態様1に記載のIRE/RFA発生器。
(4) 前記高調波濾過回路は、プロセッサから、前記RF信号の周波数及び振幅のうちの1つ以上を指定する設定を受信し、前記設定に応答して前記IREパルスを前記RF信号に変換するように構成されている、実施態様1に記載のIRE/RFA発生器。
(5) 事前に指定されたパルス波形を前記IREパルスに印加するように構成されたIREパルス整形回路を備える、実施態様1に記載のIRE/RFA発生器。
【0044】
(6) 前記波形インターリーバは、設定可能な治療プロトコルに従って、前記IREパルスを前記RF信号とインターリーブするように構成されている、実施態様1に記載のIRE/RFA発生器。
(7) 不可逆電気穿孔及び高周波アブレーション(IRE/RFA)信号を生成する方法であって、
二相性IREパルスを生成することと、
高調波濾過回路を使用して、前記IREパルスをRF信号に変換することと、
前記IREパルスのうちの1つ以上を前記RF信号の1つ以上の周期とインターリーブすることによってIRE/RFA出力信号を生成することと、を含む、方法。
(8) 前記IRE/RFA出力信号を生成することは、プロセッサから、前記IREパルスと前記RF信号の前記周期との間のインターリーブ比を指定する設定を受信することと、前記設定に応答して前記インターリーブされたIRE/RFA出力信号を生成することと、を含む、実施態様7に記載の方法。
(9) 前記二相性IREパルスを生成することは、プロセッサから、前記IREパルスの形状、振幅及び繰り返し率のうちの1つ以上を指定する設定を受信することと、前記設定に応答して前記二相性IREパルスを生成することと、を含む、実施態様7に記載の方法。
(10) 前記IREパルスを前記RF信号に変換することは、プロセッサから、前記RF信号の周波数及び振幅のうちの1つ以上を指定する設定を受信することと、前記設定に応答して前記IREパルスを前記RF信号に変換することと、を含む、実施態様7に記載の方法。
【0045】
(11) 事前に指定されたパルス波形を前記IREパルスに印加することによって前記IREパルスを整形することを含む、実施態様7に記載の方法。
(12) 前記IRE/RFA出力信号を生成することは、設定可能な治療プロトコルに従って、前記IREパルスを前記RF信号とインターリーブすることを含む、実施態様7に記載の方法。
【国際調査報告】