(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-14
(54)【発明の名称】クリーンルーム用途のラインガイドデバイス並びにそのためのサポートチェーン及びチェーンリンク
(51)【国際特許分類】
F16G 13/16 20060101AFI20230307BHJP
H02G 11/00 20060101ALI20230307BHJP
H02G 3/04 20060101ALI20230307BHJP
F16L 3/01 20060101ALI20230307BHJP
【FI】
F16G13/16
H02G11/00
H02G3/04 075
F16L3/01
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022535877
(86)(22)【出願日】2020-12-11
(85)【翻訳文提出日】2022-06-13
(86)【国際出願番号】 EP2020085861
(87)【国際公開番号】W WO2021116467
(87)【国際公開日】2021-06-17
(31)【優先権主張番号】202019106979.1
(32)【優先日】2019-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507336499
【氏名又は名称】イグス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクター ハフトゥング
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100196117
【氏名又は名称】河合 利恵
(72)【発明者】
【氏名】ドミニク バルテン
(72)【発明者】
【氏名】ピーター マトネット
【テーマコード(参考)】
3H023
5G357
5G371
【Fターム(参考)】
3H023AA04
3H023AC64
3H023AC71
3H023AD38
5G357DA06
5G357DB01
5G357DB02
5G357DC20
5G357DD01
5G357DD16
5G357DG04
5G371AA07
5G371BA01
5G371CA02
5G371CA03
(57)【要約】
本発明は、供給ライン(3)のためのエンベロープ(10)及び関節状サポートチェーン(20)を備えるラインガイドデバイス(1)に関する。本発明によると、あるチェーンリンク(100;200)は第1の長手部分(101;201)における内側突出部(105;205)と、第2の長手部分(102;202)における延在停止面(110B)及びクロスブリッジに隣接する凹部(107;207)を有する内側クロスブリッジ(106;206)を有する。延在位置において、あるチェーンリンクの突出部(105;205)は、後続のチェーンリンク(100;200)の凹部(107;207)及びそのクロスブリッジ(106;206)に係合する。本発明は、さらにサポートチェーンに関し、各チェーンリンク(100;200)は、その第2の長手部分(102;202)に、弧状位置において第1の長手部分(101;201)の外側アーク停止面(114A、214A)と相互作用する外側クロス接続部(109;209)を有し、延在位置において第1の長手部分の内側延在停止面(110A)と相互作用する内側クロス接続部(106;206)を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一方が他方に対して可動な2つの接続点(2、4)の間で、ケーブル、ホースなどの供給ライン(3)の保護された案内のための、特にクリーンルーム用途のためのラインガイドデバイス(1)であって、該ラインガイドデバイスは長手方向(L)を有し、前後に変位可能であり、2本のラン(5、6)及び偏向アーク(7)を構成し、
いずれも少なくとも1本の供給ライン(3)について、相互に隣り合って配置されるとともに前記長手方向に延在する多数の受容ダクト(12)を有する柔軟なエンベロープ(10)と、
前記ラインガイドデバイス(1)を支持するように受容ダクト(12)内に配置可能な少なくとも1つのサポートチェーン(20)であって、該サポートチェーン(15)は延在位置を採用して前記ラン(5、6)を構成するとともに弧状位置を採用して前記偏向アーク(7)を構成することができ、この目的のため、関節状に相互に接続された複数の個々のチェーンリンク(100;200)を有する少なくとも1つのサポートチェーン(20)と、
を備え、前記チェーンリンク(100;200)の各々は、前方の第1の長手部分(101;201)と、2つのサイド部品(102A、102B;202A、202B)を有して前記第1の長手部分と相補的な後方の第2の長手部分(102;202)と、隣接する後続のチェーンリンクの前記第1の長手部分(101;201)が導入される、前記第1の長手部分と前記第2の長手部分の間の空間(103)とを備え、前記チェーンリンクの各々は前記偏向アーク(7)に対して内側及び外側を有し、
端部領域内かつ前記内側において、前記第1の長手部分(101;201)は、前記長手方向を横断して突出する突出部(105;205)を有し、
前記内側の前記第2の長手部分(102;202)は、前記延在位置のための延在停止面(110B)を有して前記サイド部品(102A、102B;202A、202B)同士を接続する内側クロスブリッジ(106;206)及び前記長手方向において前記クロスブリッジに隣接する凹部(107;207)を有し、
前記延在位置において、あるチェーンリンクの前記突出部(105;205)が前記接続される後続のチェーンリンク(100;200)の前記凹部(107;207)及びその前記内側クロスブリッジ(106;206)に係合する、デバイス。
【請求項2】
柔軟なエンベロープ(10)を有する特に請求項1に記載のラインガイドデバイス(1)を支持するサポートチェーン(20)であって、該サポートチェーン(20)は、延在位置を採用して延在するラン(5、6)を構成するとともに弧状位置を採用して偏向アーク(7)を構成することができ、この目的のため、長手方向(L)を有する関節状に相互に接続された複数の個々のチェーンリンク(100;200)を有し、該チェーンリンク(100;200)の各々は、前方の第1の長手部分(101;201)を備え、2つのサイド部品(102A、102B;202A、202B)を有して前記第1の長手部分と相補的な後方の第2の長手部分(102;202)と、隣接するチェーンリンクの前記第1の長手部分(101;201)が配置される、前記第1の長手部分と前記第2の長手部分の間の空間(103)とを備え、前記チェーンリンクの各々は前記偏向アーク(7)に対して内側及び外側を有し、
端部領域内かつ前記内側において、前記第1の長手部分(101;201)は、前記長手方向を横断して突出する突出部(105;205)を有し、
前記内側の前記第2の長手部分(102;202)は、前記延在位置のための延在停止面(110B)を有して前記サイド部品同士を接続する内側クロスブリッジ(106;206)及び前記長手方向の前方において前記クロスブリッジ(106;206)に隣接する凹部(107;207)を有し、
前記延在位置において、あるチェーンリンクの前記突出部(105;205)が前記接続される後続のチェーンリンク(100;200)の前記凹部(107;207)に及び前方においてその前記内側クロスブリッジ(106;206)に係合する、サポートチェーン。
【請求項3】
前記外側かつ後端領域において、前記第2の長手部分(102)は、前記延在位置のための当接部(115B)として、隣接チェーンリンクの前記第1の長手部分(101)の外側に対向して存在する横断ストッパ、特に前記サイド部品同士を接続する外側クロスブリッジ(108)を有する、請求項1又は2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記突出部(105)は、前記長手方向(L)に略垂直に配置される前記内側クロスブリッジ(106、112)に対して静止するための接触面(111)を構成する、請求項1、2又は3に記載のデバイス。
【請求項5】
前記第1及び第2の長手部分(101、102)は、前記延在位置において相互作用する停止面(110A、110B)を有し、
前記突出部(105)及び前記内側クロスブリッジ(106)は相互作用する接触面(111、112)を有し、該接触面は前記延在停止面(110A、110B)に略垂直に存在し、あるチェーンリンクの前記突出部(105)が前記延在位置においてその接触面(111)により前記後続のチェーンリンクの前記内側クロスブリッジ(106)の前記接触面(112)に対して静止するように配置される、請求項1から4のいずれか一項、特に請求項3に記載のデバイス。
【請求項6】
前記突出部(105;205)、特にその前記接触面は、前記長手方向に対して断面方向に前記第1の長手部分の幅全体にわたって延在し、及び/又は前記突出部、特にその接触面は、前記長手方向に対して断面方向に前記チェーンリンクの構造高さの少なくとも5%、好ましくは少なくとも10%の突出量で突出する、請求項1から5のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項7】
前記突出部(105;205)は前記第1の長手部分(101;201)の末端前方側4分の1に配置され、前記内側クロスブリッジ(106;206)は好ましくは前記第2の長手部分(102;202)の遠隔後方側半分に配置される、請求項1から6のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項8】
前記凹部(107)は、前記空間(103)から前記内側に向かう開口を構成する、請求項1から7のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項9】
各チェーンリンク(100)はその第2の長手部分において前記外側に外側横材(109)を含み、クロスブリッジ及び横材は前記空間に跨って前記サイド部品同士を接続し、
前記内側クロスブリッジ(106)は前記延在位置において前記第1の長手部分の内側延在停止面(110A)と相互作用し、前記外側横材(109)は前記弧状位置において前記第1の長手部分(101)の外側アーク停止面(114A)と相互作用する、請求項1から9のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項10】
柔軟なエンベロープ(10)を有する特に請求項1に記載のラインガイドデバイス(1)を支持するサポートチェーン(20)であって、該サポートチェーン(100;200)は、延在位置を採用して延在するラン(5、6)を構成するとともに弧状位置を採用して偏向アーク(7)を構成することができ、この目的のため、長手方向(L)を有する関節状に相互に接続された複数の個々のチェーンリンク(100;200)を有し、該チェーンリンクの各々は、第1の長手部分(101;201)と、2つのサイド領域(102A、102B;202A、202B)を有して前記第1の長手部分と相補的な第2の長手部分(102;202)と、隣接する後続のチェーンリンクの前記第1の長手部分が配置される、前記第1の長手部分と前記第2の長手部分の間の空間(103;203)とを備え、前記チェーンリンク(100;200)の各々は内側及び外側を有し、
各チェーンリンク(100;200)は、その第2の長手部分(102;202)において前記外側に外側クロス接続部(109;209)及び前記内側に内側クロス接続部(106;206)を含み、前記外側クロス接続部及び前記内側クロス接続部は前記空間(103;203)に跨って前記サイド領域(102A、102B;202A、202B)同士を接続し、
前記内側クロス接続部(106;206)は前記延在位置において前記第1の長手部分の内側延在停止面(110A)と相互作用し、前記外側クロス接続部(109;209)は前記弧状位置において前記第1の長手部分(101;201)の外側アーク停止面(114A、214A)と相互作用する、サポートチェーン。
【請求項11】
前記外側クロス接続部は横材(109;209)として実現され、前記内側クロス接続部はクロスブリッジ(106;206)として実現され、
好ましくは各チェーンリンク(100;200)は、その第2の長手部分において、前方領域における前記外側に前記横材(109;209)及び後端領域において外側クロスブリッジ(108;208)を含み、
前記第1の長手部分(101;201)は、前記横材(109;209)と前記外側クロスブリッジ(108;208)の間で前記弧状位置において係合する前記外側の突出領域(116;216)を含み、
前記第1の長手部分は、好ましくは前記弧状位置(116A、116B)において前記第2の長手部分とともに楔状となる、請求項10に記載のサポートチェーン。
【請求項12】
前記第1の長手部分(101;201)は、前記長手方向(L)において隣接する後続のチェーンリンクの前記第2の長手部分(102;202)において前記空間(103;203)に挿入可能である、請求項10又は11、特に請求項10に記載のサポートチェーン。
【請求項13】
前記長手部分は前記長手方向への離脱に対する係止接続部を構成するように実現され、各チェーンリンクは、一方の前記長手部分において、前記長手方向に対して横方向に突出する2本の対向するピン(117A、117B)を有し、各ピンは他方の前記長手部分における対応する切欠き(118A、118B)とともに係止可能であり、
前記ピン(117A、117B)は、前記長手方向(L)に斜方に先細りとなる挿入ベベルを有する、請求項10から12のいずれか一項、特に請求項12に記載のサポートチェーン。
【請求項14】
各チェーンリンクは、前記切欠き(118A、118B)に開口して実質的に前記長手方向に延在する、前記ピン(117A、117B)のための挿入溝(119A、119B)を含む、請求項10から13のいずれか一項、特に請求項13に記載のサポートチェーン。
【請求項15】
柔軟なエンベロープ(10)を有する特に請求項1に記載のラインガイドデバイス(1)を支持するサポートチェーン(20)であって、該サポートチェーン(20)は、延在位置を採用して延在するラン(5、6)を構成するとともに弧状位置を採用して偏向アーク(7)を構成することができ、この目的のため、長手方向(L)を有する関節状に相互に接続された複数の個々のチェーンリンク(100)を有し、該チェーンリンク(100)の各々は、前方の第1の長手部分(101)と、2つのサイド領域(102A、102B)を有して前記第1の長手部分と相補的な後方の第2の長手部分(102)と、隣接する後続のチェーンリンクの前記第1の長手部分(101)が配置される、前記第1の長手部分と前記第2の長手部分の間の空間(103)とを備え、
前記第2の長手部分の両サイド領域(102A、102B)の各々は、隣接チェーンリンクの場合に相互に対向して存在する前端面(121)及び後端面(122)を含み、
前記前端面(121)がジョイント領域(123A)を構成し、前記後端面(122)がジョイント領域(123B)を構成し、それにより、あるチェーンリンクの前記前端面(121)及び隣接チェーンリンクの前記後端面(102)のそれぞれの前記ジョイント領域が当該2つのチェーンリンク(100)の関節状接続のために相互作用する、サポートチェーン。
【請求項16】
前記前端面(121)の前記ジョイント領域(123A)は凸状に構成され、前記後端面の前記ジョイント領域(123B)は凹状に構成され、及び/又は前記ジョイント領域は前記長手方向に垂直な旋回軸を有する旋回可能な関節状接続のために実現される、請求項15に記載のサポートチェーン。
【請求項17】
前記前端面及び後端面のいずれも、高さ方向において、前記ジョイント領域の少なくとも片側に、好ましくは両側に、前記弧状位置又は延在位置について、接触面(124A、124B)、好ましくは湾曲接触面を構成する、請求項15又は16、特に請求項15に記載のサポートチェーン。
【請求項18】
一方の前記長手部分において、各チェーンリンクは前記長手方向に対して横方向に突出する2本の対向するピン(117A、117B)を含み、各ピンは他方の前記長手部分における対応する切欠き(118A、118B)とともに係止可能であり、
前記切欠き(118A、118B)は、長手平面における前記サイド領域において円弧状に延びる、請求項15から17のいずれか一項、特に請求項17に記載のサポートチェーン。
【請求項19】
前記チェーンリンクは、特に射出成形法を用いて、プラスチック材料から一体的に作製される、請求項1から18のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項20】
サポートチェーンのためのチェーンリンク(100;200)であって、該チェーンリンクが請求項1から19のいずれか一項に記載の構成を有する、チェーンリンク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概略として、ラインガイドデバイスに関し、少なくとも一方が他方に対して可動な2つの接続点間のケーブル、ホースなどの動的案内供給ラインのための、特にクリーンルーム用途のラインガイドデバイスに関する。そのような動的な又は能動的なラインガイドデバイスは、通常は、例えば機械における静止接続部と移動消費機器との間の移動時の意図しない応力からラインを保護する。それらは、通常は直線的に前後に又は長手方向に沿う移動平面において変位可能であり、通常は2本の実質的に長細いラン及びその間の略U字状の偏向アークを構成する。
【0002】
本発明はまた、概略として、そのようなラインガイドデバイスのためのサポートチェーン、及びそのようなサポートチェーンのための個々のチェーンリンクに関する。
【0003】
本発明は、具体的には、相互に隣接して配置されるとともに供給ラインを塵埃から保護するように囲むための長手方向に延在する多数の受容ダクトを有する柔軟なエンベロープを有するクリーンルーム用途のラインガイドデバイスに関し、そのダクトの各々は通常は少なくとも1本の供給ラインを受ける。エンベロープは、特に、移動動作時に不可避的に形成される、ラインにより摩耗される任意の材料が、周囲に放出されることを防止することが意図されている。さらに、適切な材料からなるエンベロープは、摩耗的な挙動を全体として改善することができる。
【背景技術】
【0004】
安定化のために又はより大きな長さのために、特に自己支持型又は非支持型ランの延在位置においてラインガイドを支持するサポートチェーンとして知られるものが使用される。この目的のため、ラインではなくサポートチェーンが受容ダクトに配置されてもよく、延在位置がランを構成し、弧状位置が偏向アークを構成することが想定され得る。サポートチェーンはまた、所望の半径を予め決定する。
【0005】
サポートチェーンを有するそのようなラインガイドデバイスは、例えば、特許文献1及び特許文献2において提案されている。この種の一般的なサポートチェーンは複数の個々のチェーンリンクを有し、それらは、いずれもチェーン又は個々のリンクの長手方向に沿う第1の長手部分及びそれに対して相補的な第2の長手部分によって関節状に相互接続される。第2の長手部分は、ここでは、クレビスプレートのように、2つのサイド部品及びその間の空間によって分岐され又はフォーク状とされてもよく、その中で後続のチェーンリンクの第1の長手部分が少なくとも横方向の横断的な移動に抗して導入及び保持される。2つの長手部分は、特に、偏向アークの所定の幾何形状が維持されるように、適宜整形されてチェーンリンクを所定の関節状態様で相互接続する。偏向アークは通常、長手方向を横断して延びる偏向軸を中心として、すなわち、幅方向に平行な偏向軸に対して略U字形状に屈曲される。
【0006】
そのようなサポートチェーンは、特に、偏向アークにおいて特定の半径が維持されること、すなわち、ラインがキンクから保護されることを保証する。さらに、サポートチェーンが主に上側ランの一層長い自己支持長を可能とするので、長さが増加する。そのようなサポートチェーンがエンベロープ内でラインの代わりに使用可能となるように、それは、特に、通常のエネルギーチェーンと比較して少なくとも断面方向に通常は非常に小さな寸法を有する。一方で、一般的なサポートチェーン自体は、ラインのための受容ダクトを有さない。
【0007】
負荷の重さに応じて、例えば、2本のサポートチェーンが、エンベロープ内で外側に横方向に用いられる。特許文献3において提案されるような多層構造も知られており、3本以上のサポートチェーンが支持層のエンベロープ内で使用され、全体としてラインを有さず、すなわち、1層のエンベロープ内にサポートチェーンのみを有する層さえも含む。
【0008】
実際には、多くの用途において、サポートチェーンは、ガイドされるラインよりも摩耗しやすいことが分かっている。そのため、サポートチェーンは、比較的早く交換されなければならない。一般に、完全なパッケージが、そこにガイドされる全てのライン及びサポートチェーンを含む全てのエンベロープ、又は少なくともサポートチェーン及び関連のラインを有する全ての層と交換される。実用上の理由のために、特に、クリーンルームの要求に起因して、現場での個々のサポートチェーンを交換することは、通常は望ましくない。一方、これは、ラインがそれらの潜在的な寿命に達する前に、すなわち、時期尚早にラインが頻繁に交換されなければならず、無用なコストを生じることを意味する。保守間隔も、この点において理論的には無用に短くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】独国特許出願公開第102010053317号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第102011015119号明細書
【特許文献3】独国特許出願公開第102012100359号明細書
【発明の概要】
【0010】
したがって、本発明の中核となる目的は、周知の従来技術との関連で、特にサポートチェーンの長寿命化を達成可能とする主旨との関連で、サポートチェーンの設計を最適化することである。一方、サポートチェーンの意図される特に小さな断面が増加されるべきではなく、又はせいぜいわずかにしか増加されないようにすべきである。
【0011】
本発明の複数の態様を以下に提案する。それらは、本発明にとって重要であるものとして又は独立した発明として、相互に独立して考慮されるべきである。個々の設計態様は、特に有利に相互に組み合わせられてもよい。
【0012】
文言「内側」及び「外側」並びに「内側に」及び「外側に」は、以下において、偏向アークとの関係で用いられ、すなわち、これらの文言における内側とは、径方向内側又は偏向軸に対向していることを意味し、外側とは、径方向外側又は偏向軸と逆を向いていることを意味する。文言「前/前方」及び「後/後方」は、個々のチェーンリンクの2つの長手端に関するものであり、サポートチェーンは原理的に常に前後に変位可能であるので、機能及び構造に関する何らかの記載なしに単に省略形として使用される。
【0013】
第1の態様
独立の第1の態様によると、請求項1に記載の上位のラインガイドデバイス又は請求項2に記載のサポートチェーンの場合、特に延在位置における力伝達を最適化するための解決手段が提案される。
【0014】
第1の態様によると、前方の第1の長手部分が端部領域において内側にかつ長手方向を横断して突出する突出部を有し、後方の第2の長手部分が偏向アークに対してその内部(略して内側)においてサイド部品同士を接続し、長手方向において前方に延在位置のための延在停止面及びそこに隣接する凹部を有する内側クロスブリッジを有することで、力伝達の最適化が達成される。これにより、2つの接合チェーンリンクが延在位置にある場合、一方のチェーンリンクの突出部が、次の、すなわち、接続されるチェーンリンクの凹部において、同時に、他方のチェーンリンクの内側クロスブリッジに対して前方で把持可能となる。
【0015】
より好適な力の導入が、第1の態様の中核となるコンセプトによると、特にサイド部品同士を接続するクロスブリッジに対して、そのようなクロスブリッジの背後の係合又は次のチェーンリンクへの一方のチェーンリンクの係合によって全体的に達成される。
【0016】
サポートチェーンが延在位置にある場合に生じ、特にラインの重量又はサポートチェーンへの意図される荷重によって、一方のチェーンリンクから他方のチェーンリンクに伝達される力に関して、2つの効果を達成することができる。
【0017】
一方では、第1の態様によると、延在停止面に生じたであろう面圧の一部が引張力へと変換され、それにより突出部が長手方向に沿ってクロスブリッジに作用することで、他方のチェーンリンクのクロスブリッジに前方で作用する突出部の存在のために(アンダーカットと同様に)力がより好適に導入される。その他の同一のパラメータ、及び特にクロスブリッジの構造長との比較における小さな構造高さによって、より大きな自己支持長が達成され得る。これはまた、一方で、同一の自己支持長を有する最大に前進したランのサポートチェーンに対して、全体的として長寿命化が達成され得る。この効果は、わずかな荷重で若干変形する材料、特にプラスチック材料からなるチェーンリンクを用いる場合に特に有利である。
【0018】
他方では、第1の態様によると、2つの接続されたチェーンリンクの関節状接続に関して、関節状ジョイントの過負荷なしに、引張力も一方のチェーンリンクから次のチェーンリンクに伝達可能である。実際に、関節状ジョイントはサポートチェーン形成の弱点を構成することになり、それは最初に故障する。前者の効果と相乗的に、結果としてさらに長寿命化可能となる。
【0019】
またさらに、突出部及びクロスブリッジとそれに関連する凹部の相互作用は、任意選択的に、力伝達における一層好適な、てこの効果も可能とする。延在位置におけるより好適な力の導入によって、同じ小型構成を保持しつつ、すなわち、従来のエンベロープの受容ダクトの断面以下の断面により、サポートチェーンの自己支持長若しくは寿命の顕著な増加を達成し及び/又は荷重搬送能力を増加させることができ、それにより、所与の用途に対して全体として少ないサポートチェーンしか必要とならない。
【0020】
第1の態様の一構成では、第1の長手部分は、その突出部によって、特にフック又は留め爪などの態様で、次のチェーンリンクの対応する第2の長手部分にフック係止し得る。突出部は、第2の長手部分の凹部にフック係止し、又はいわばクロスブリッジの背後に係合し得る。この「背後の係合」は、屈曲位置から延在位置への変わり目において、最大限低摩損で、すなわち、無用な摩耗なしに進行すべきである。他方のチェーンリンクに対する突出部の係止は、通常は不要であり、むしろ望ましくない。
【0021】
サポートチェーンにおいて、チェーンリンクは、ストランドを構成するように接続され、少なくとも自己支持となるように意図された所望の長手部分にわたって提案の構成を示すことが意図される。サポートチェーンは、好ましくは、転用部品の使用を可能とするように、専ら上記のような又は同一に構成されたチェーンリンクからなる。
【0022】
特に好ましくは、第2の長手部分は、偏向アークにおける外面、すなわち、その外側及びその後端領域において、隣接チェーンリンクの第1の長手部分の外側に対向して存在する横断ストッパを、延在位置に対する当接部として有する。そのような当接部は、他方の長手部分における一方の長手部分の「楔」を可能とする。対応する当接部により、ジョイント構成領域の部分的乃至完全な開放が、荷重により決まる変形を突出部との関連で利用することによって、延在位置において達成可能となる。
【0023】
後方領域における外側横断ストッパは、この場合、特にサイド部品同士を接続する外側クロスブリッジとして構成され得る。このように、強健な当接部が設けられ、又はチェーンリンクは全体としてより安定的となり若しくはその剛性が高くなる。
【0024】
チェーンリンクは、好ましくは、チェーンリンクの前方長手部分が次のチェーンリンクの後方長手部分に接続可能となるように、特に、関節状態様で接続可能となるように、相互に相補構成のものとなる前方又は第1の長手部分及び後方又は第2の長手部分を用いた設計を有する。この場合、チェーンリンクの前方長手部分の少なくとも一部は、次のチェーンリンクの後方長手部分の空間に可動に装着される。
【0025】
関節状接続は、本場合では、一般に、相互に対する2つのチェーンリンクの旋回を可能とする接続を意味するものと理解されるべきである。この場合、浮動する緩い関節状ジョイント(自由軸受)は、本発明の背景内に入る。
【0026】
特に第1の態様の好適な一実施形態では、突出部は、クロスブリッジの前端領域に対して静止するように作用するとともに、この目的のため、個々のチェーンリンクのサポートチェーンの長手方向に略垂直に配置される接触面を構成し得る。力は、特に好ましくは、長手方向に対して、すなわち、引張力方向に対しても垂直に配向された接触面を介して、特に低摩損かつ低摩耗で導入され得る。長手方向に垂直に位置する接触面があれば、延在位置において重量負荷によって生じる力のかなりの割合がクロスブリッジの引張力として導入され得るので、より好適な構成部品の負荷となる。これは、特に、長手方向に垂直な断面における構造高さよりも大幅に大きな長手方向の寸法を有するクロスブリッジが低背寸法を示す場合に、すなわち、小型構造のチェーンリンクとの関連で有利である。一方、突出部及びクロスブリッジの力伝達領域がチェーンリンクの長手及び高さ方向に関して少なくとも若干傾斜されるように、又は例えば摩耗縁部の最適化のために丸みを帯びた態様で構成されるように配置することも考えられる。
【0027】
現実的な一実施形態では、第1の長手部分が、実質的に取っ手状構成のものとなり、同時に、内側に向かう(偏向アークの軸に向かう)前端オフセット又は突出部を示すことが規定され得る。この目的のため、突出部は、第1の態様に従って構成され得る。この構成では、第1の長手部分が、その内側において、例えば中央領域において、隣接チェーンリンクの内側クロスブリッジが、延在位置において部分的に挿入され又は全体的に収容され得る凹部をさらに構成することが規定され得る。これにより、特に低いチェーンリンク構造高さによる比較的スリムな構成が可能となる。
【0028】
第1及び第2の長手部分は、通常は、延在停止面、すなわち、チェーンリンクが延在位置にありかつ長手方向に略平行である場合に対で相互作用する面を有する。この場合、突出部及び内側クロスブリッジは、好ましくは、延在停止面に略垂直な相互作用接触面を有する。その接触面は、この点に関して、1つのチェーンリンクの突出部が延在位置においてその接触面で可能な限り強力に力伝達態様で後続のチェーンリンクの内側クロスブリッジの接触面に静止又は動作するように、配置され得る。これはまた、チェーンの長手方向における力成分による力伝達又は導入に対して好適な状態をもたらす。
【0029】
特に本発明の第1の態様に関して、突出部及び特にその接触面が(長手方向に対して断面垂直に見た場合に)第1の長手部分の幅全体にわたって延在することが有利である。またさらに、有利な寸法取りにより、突出部及び特にその接触面は、(長手方向に対して断面垂直に見た場合に)チェーンリンクの構造高さ全体の少なくとも5%、好ましくは少なくとも10%の突出量で内向きに(偏向軸に向かって)突出し得る。比較的大きな接触面により、隣接チェーンリンク間の面圧が減少する。
【0030】
特に好ましい力伝達状態のために、突出部は、第1の長手方向の末端前方側4分の1に配置され得る。このように、(ジョイント軸に関する)てこの効果は特に当接部との関連でさらに増長され、又は特に好適な力状態が延在位置において達成され得る。そのため、内側クロスブリッジは、好ましくは、第2の長手部分の対向する又は遠隔後方側半分に配置される。ここで、凹部は、クロスブリッジと末端突出部の間の長手方向に、すなわち、チェーンリンクの中央領域のより近くに存在する。
【0031】
特に第1の態様の好適な更なる展開では、クロスブリッジの前方における凹部は、特にサイド領域間の空間から外向きに続くチェーンリンクの内側に向かう開口を構成し得る。例えば、クロスブリッジの全構造高さが、引張力が作用する突出部のための接触面として使用され得る。
【0032】
またさらに、凹部が延在位置においてほぼ完全に突出部を収容することが規定され得る。この場合、例えば、横断方向における安定化のために又は横方向における安定化のために、凹部における突出部のフォームフィッティングによる収容が有利である。
【0033】
第1の態様による実施形態は独立しているが、以下の第2及び/又は第3の態様の構成と組み合わせられてもよい。
【0034】
第2の態様
第2の態様にもよると、チェーンリンクの構成が力伝達又は寿命に関して最適化されるが、特に偏向アークの弧状位置における制限ストッパに関して最適化される。上述した従来技術のサポートチェーンでは、チェーンリンクは、偏向アークに対して外側から内側に、長手方向に横断して相互にプラグ留めされる。したがって、構成に応じて、それらのフォーク状チェーンリンクは、偏向アークに対して内側径方向に又は外側径方向に、片側だけのプレート型サイド領域の安定化を可能とする。
【0035】
これに基づいて、本発明の第2の態様は、チェーンリンクの全体的により強健な構成を提案する。この目的のため、本発明の独立した第2の態様による中核となるコンセプトによると、請求項10の初段部による包括的なサポートチェーンの場合において、各チェーンリンクが、内側に設けられた所定又は当該内側クロス接続部に加えて、その第2の長手部分においてその外側に(偏向アークにおいて径方向外向きに)外側クロス接続部を有することが提案される。
【0036】
クロス接続部は、特に横材及び/又はクロスブリッジとして実現されてもよく、両クロス接続部とも、好ましくは板状、又は長手方向の構造長と比較して大幅に低い構造高さのものである。
【0037】
クロス接続部は、サイド領域間の空間に跨り、それらを安定的に接続する。この構成により、内側クロスブリッジが延在位置において第1の長手部分の内側延在停止面と相互作用することが可能となり、さらに、第1の長手部分の外側アーク停止面との、すなわち、偏向アークにおける弧状又は偏向位置における、外側横材の相互作用が可能となる。したがって、両側のウェブ又はブリッジにより、第1の態様による突出部が使用されるか否かにかかわらず、チェーンリンク間の力伝達又は弧状位置における(偏向アークにおける)力導入も向上し得る。
【0038】
ここで、延在停止面又はアーク停止面という用語は、それらの主な機能に応じて(すなわち、それらの形状によらず)、すなわち、延在位置又は偏向アークにおいて作用するものとして、停止面を特定する。
【0039】
クレビスプレートのように作用する2つの対向するプレート型サイド領域を有するチェーンリンクは、サポートチェーンの横方向の屈曲に対してある程度の安定性を既に与えている。第2の態様によって提案される、横材及びクロスブリッジなどの2つの対向するクロス接続部によるこれらのサイド領域の補強は、サポートチェーンの動作時における種々のタイプの変形に対するチェーンリンクの強化された安定性及び特に大幅に高い横方向安定性を与える。これは、特に、例えば、高さ×幅≦50mm×50mm、特に、≦25mm×25mmの外寸に関して断面均一な小型構造の場合に達成され得る。なお、断面は、正方形でなくてもよい。
【0040】
さらに、第2の態様によるアーク停止面の使用により、アークストッパを構成する周知のやり方、すなわち、端面における比較的狭い制限ストッパと比較して摩耗又は摩損が減少し得る。
【0041】
クロスブリッジは、切欠き又は開口によって長手方向に、すなわち、前後において両面に結合され得る。一方、横材は、好ましくは片側に、特に前方において又は第1の長手部分に向けて、チェーンリンクの本体若しくはボディに併合し又はそこに成形され得る。チェーンリンクの本体又はボディは、ここでは、例えば、モノリシックに又は中実体として実現されてもよく、好ましくはサイド領域よりも本質的に安定的である。
【0042】
好ましくは、横材は、内側のクロスブリッジとともに、偏向アークに対して外側に設けられる。この構成は、第1の態様と特に有利に組み合わせられ得る。
【0043】
横材は、好ましくは、第2の長手部分の前方部分に、すなわち、第1の長手部分に向かう側に配置される。長手方向に横断して相互にプラグ留め可能なチェーンリンクを有する従来技術により知られているサポートチェーンでは、第2の態様による外側横材は、構造的に不可能である。
【0044】
そこで、特に第2の態様による1つの更なる展開は、第1の長手部分が、チェーンリンク同士を接続するために、例えば、2つのチェーンリンク間の関節状接続のためにも、特に「前方」への方向に、接続されるチェーンリンクの第2の長手部分に長手方向に挿入可能となることを規定する。
【0045】
第2の態様の1つの好適な構成では、各チェーンリンクはまた、前方領域における横材に加えて、外側にその第2の長手部分に外側クロスブリッジをさらに有し得る。そのような追加のクロスブリッジは、この場合、好ましくは後方領域に配置される。チェーンリンクはまた、いずれも、特に外側の横材の代わりに、第1及び第2の外側クロスブリッジを備えていてもよい。
【0046】
追加のクロスブリッジも同様に、補強作用を有し、好ましくは第2の長手部分の後端領域に設けられる。第2の長手部分の後端領域における外側の対応するクロスブリッジは、第1の態様との関連で、すなわち、突出部を介した力導入のための当接部として(上記参照)さらに特に有利に使用され得る。
【0047】
さらに、第1の長手部分は外側に突出領域を有していてもよく、その領域は弧状位置において(偏向アークにおいて)横材とクロスブリッジの間又は両外側クロスブリッジの間において外側に到達又は係合する。この構成により、例えば、第1の長手部分が弧状位置において第2の長手部分とともに楔状となり、かつその目的のため、特に突出領域の一方の縁部とともに引っかかることが可能となる。これは、特に、更なる、すなわち、後方の外側クロスブリッジに作用することによって達成され得る。これは、牽引方向(一方の移動方向)に負荷がかかる場合、特に比較的高い引張力の場合に、とりわけ、弧状位置においてチェーンリンクの意図しない離脱を防止可能とする。
【0048】
上述した態様の各々について、連続するチェーンリンクの相補的な長手部分が、意図される引張力の場合に長手方向への離脱を確実に防止する係止接続を構成することができると原則として有利である。
【0049】
この目的のため、2つの長手部分の一方では、各チェーンリンクは、いずれも、長手方向に対して横方向に突出する2つの対向するピン又は係止ピンを示し得る。対応する切欠きが、対応する長手部分に設けられ、それにより横方向ピンが相互に係止され得る。ピンは、有利なことに、その過程でサイド部品を越えて横方向に突出ことなく第2の長手部分のサイド部品における切欠きに係合し得るように、第1の長手部分に設けられる。
【0050】
チェーンの長手方向にチェーンリンクを接続するために、係止ピンが長手方向に斜方に先細りとなる挿入ベベル、特に後方から前方に長手方向に(すなわち、挿入方向に)先細りとなる挿入ベベルを有することが有利である。対応する挿入ベベルは、チェーンの長手方向におけるチェーンリンクの簡素な相互のプラグ留めによってチェーンの組立てを簡素化する。
【0051】
特に、対向するクロスブリッジ又は横材とともに第2の長手部分の安定した構成の場合に、係止目的のための上記係止ピンとともに設けられた切欠きが、切欠きに開口する挿入溝に関連付けられることがさらに一層有利である。そのような挿入溝によって、より容易にピンが切欠きに導入されることが可能となる。チェーンリンク同士を長手方向にプラグ留めすることについては、挿入溝が実質的に長手方向に延在すると有利である。
【0052】
第3の態様
独立した第3の態様によると、サポートチェーンの個々のチェーンリンク間の関節状ジョイントの新規な最適化された構成が提案される。
【0053】
請求項15に記載される前方長手部分及び後方長手部分を有する包括的なチェーンリンク又はサポートチェーンでは、いずれも広域側又は後方長手部分の2つのサイド領域は、隣接チェーンリンクの場合に相互に対向して存在する前端面及び後端面を有する。
【0054】
そのような構成では、独立した第3の態様の中核となるコンセプトによると、前端面が1つのジョイント領域を構成して後端面が相補的なジョイント領域を構成することが提案され、2つのチェーンリンク間の所望の関節状接続をもたらすために、ジョイント領域が、各荷重に応じて、特に(移動の一方向、ここでは「前方」における)少なくとも剪断負荷の場合に相互作用する。この場合、チェーンリンクの前端面及び隣接する、すなわち、次のチェーンリンクの後端面のそれぞれのジョイント領域が相互作用する。
【0055】
これは、従来のチェーンリンクの旋回可能な接続のためのジョイントピン及びジョイントレセプタクルと比較して、新たな最適化された構成の選択肢、及び特に関節状ジョイントのより好適な力伝達状態又はより長い寿命をもたらす。この構成は、一方では、剪断力伝達のために、一方のチェーンリンクの前端面を隣接する他方のチェーンリンクの後端面に確実に載ることができる。他方では、同時に、サイド部品の端部領域は、ヒンジピン/レセプタクルを有する従来の摩損の影響を受けやすい関節状ジョイントが不要となるように、それ自体で2つのチェーンリンクの関節状接続のためのジョイント領域として使用され得る。端面は、剪断力の導入の際の面圧又はジョイントの耐久性が増加し得るように、構成上の目的のために比較的大きな面積寸法を与える。
【0056】
ジョイント領域は、この場合、自由又は浮動軸受の態様で実現されてもよく、それは既定の軸受を構成し、又は剪断力負荷の方向のみに力を伝達し、特に、旋回軸、すなわち、サポートチェーンの剪断負荷の際にのみ2つのチェーンリンクを旋回させるための回転軸を規定する。ジョイント領域は、摩擦学的な対合として、特に浮動傾斜軸受を構成し得る。例えば、一方のチェーンリンクの前端面のジョイント領域は、例えば円筒部分の形態の面により、凸状加圧片として実現されてもよく、他方のチェーンリンクの後端面は相補面により相互作用する凹状傾斜サポートとして実現されてもよい。
【0057】
好ましくは、ジョイント領域は、サポートチェーンの動作時に実質的に引張力を伝達しない。
【0058】
自由軸受型の関節状ジョイントの場合、それ自体が寿命の長いものであり、特に有利に第1の態様と組合せ可能である。これにより、第1の態様によるより好適な力の導入を最適化するために、特に延在位置での重量負荷の下で、高さ方向の相対変位又は枢動点の変位が可能となる。
【0059】
端面を用いる関節状ジョイントの場合、一方のチェーンリンクの第1の長手部分は、長手方向における次のチェーンリンクの相補的な第2の長手部分に、任意選択的に長手方向にある程度の遊びを有して保持され、特に係止的に保持され得る。第3の態様は、例えば、第1の態様による係止接続及び/又はフック型係合によって、引張力の伝達のための接続とは独立した関節状ジョイントの構成を可能とする。
【0060】
第3の態様の独立した中核となるコンセプトによると、いずれの場合にも長手部分に存在する通常のプレート型サイド領域がそれらの端面において関節状ジョイントを与えること、又は端面の部品が関節状ジョイントの一体化構成要素を構成することが、結果として提案される。
【0061】
この本発明の第3の態様は、例えば、大幅な追加の材料コストなく、かつチェーンリンクの相互係止における関節状ジョイントの接続を複雑化することなく、枢動軸受として作用する比較的低摩耗の領域を関節状ジョイントに与えることを可能とする。またさらに、この構成は、従来技術と比較してサポートチェーンの比較的小さい、すなわち、長手方向に短いチェーン間隔を可能とし、それにより、とりわけ、より小さな偏向アークの軸受半径又はラインガイドの全体としてより低い構造高さも可能とする。
【0062】
第3の態様の特定の一実施形態では、いずれも変位平面に平行な平面で(チェーンリンクの側面視で)見た場合、前端面は凸状に形成され、後端面はそれに応じて、すなわち、共役的に凹状に形成される。
【0063】
端面のジョイント領域は、好ましくは、偏向アークの湾曲相対位置における旋回の目的で、剪断負荷について規定の枢動点(外旋ジョイント又は傾斜ジョイント)を予め決定する旋回可能な関節状接続のために実現される。旋回軸は、ここでは、従来のように存在し、好ましくは、長手方向に対して及びサポートチェーンの移動平面に対して垂直である。
【0064】
一方、相互に沿うジョイント領域の回転も考えられる。端面のジョイント領域は、例えばジョイントヘッド/ジョイントソケットの接続の態様で、外旋ジョイント接続又はヒンジジョイントのために実現され得る。他方では、浮動自由軸受としての構成が好ましい。
【0065】
特に好ましくは、前端面及び後端面はいずれも、好ましくは高さ方向の両側において、すなわち、弧状位置(アーク接触面)に対して内側に向かう片側及び延在位置(延在接触面)に対して外側に向かう片側において、ジョイント領域に隣接する接触面を構成する。制限ストッパ作用面、特に延在接触面を、対向端面におけるジョイント領域の片側のみに設けることも既に有利である。
【0066】
好適な一実施形態では、端面の各々が、高さ方向に細分化された3個の機能的領域:延在接触面、ジョイント領域及びアーク接触面を構成する。前端面の延在接触面は、特に自己支持型ランでは、延在位置において後端面の延在接触面と相互作用する。前端面のアーク接触面は、偏向アーク(弧状位置)において後端面のアーク接触面と相互作用する。これにより、端面の対向延在接触面及び対向アーク接触面は、相互に共役に形成される。
【0067】
この場合、端面の接触面は、好ましくは、側面視において湾曲して延在する接触面であってもよく、これにより、とりわけノイズ発生が低減される。それらは各々、例えば、比較的大きな半径、例えば、チェーン間隔の50%超、又はチェーンリンクの構造高さの倍数だけ大きな半径を有する円弧状に延びるようにしてもよい。2つの円弧の半径は同一であってもよいが、中心点は一致していない。
【0068】
凸状及び凹状ジョイント領域は、例えば、比較的小さな半径、特にチェーンリンクの構造高さの33%未満の半径の円筒面として実現され得る。あるいは、第3の態様はまた、従来のピン/レセプタクル関節状ジョイントでは実施され得ない大きな半径を有する構成を可能とする。
【0069】
第3の態様の特定の構成として、チェーンリンクが長手方向に相互にプラグ留めすることによって相互接続されることが同様に有利である。これは、長手方向における第1の長手部分が、特に長手方向に接続されるチェーンリンクの相補的な第2の長手部分に挿入可能であることで達成され得る。長手部分は、好ましくは、長手方向における離脱に対して係止接続を構成するように実現される。
【0070】
係止の目的のための好適な実施形態では、特に第3の態様との関連で、実際のジョイントピンとしては作用しない特定の係止ピンが設けられてもよい。この目的のため、長手方向に対して横方向に突出する2つの対向するピンにおいて、それは、一方では好ましくは特定のレセプタクルのための特定の形状を有し、それに応じて一方の部分に設けられてもよい。横方向に突出するピンは、他方の長手部分における対応する切欠きと相互に係止可能である。特定の好適な構成は、切欠きが(サポートチェーンの移動平面に対応する)長手平面において円弧状に延びるものである。この場合、円弧形状は、特に第3の態様によるサイド領域の端面によって、所望の関節状ジョイントに対応する。円弧の中心点は関節状ジョイントの基準枢動点に対応すべきであり、ラジアン測定値は、好ましくは2つのチェーンリンクの相対高さ方向変位に対する遊びを有して少なくとも所望の旋回角に対応すべきである。
【0071】
ピンのための切欠きは、好ましくは、サイド領域において、特に内部空間に対向する内面に設けられる。係止接続に使用されるピンは、対応する円弧状レセプタクル内にスナップ係止し得る。レセプタクルは、貫通開口として又は例えば内溝としてサイド領域に成形され得る。
【0072】
全ての態様において、2つのサイド領域を有する2つのアーム状長手部分は、分岐されてもよいし、フォーク状とされてもよいし、一般にクレビスプレートと同様であってもよい。好適に舌状とされた第1の長手部分は、この場合、雄型結合片を構成していてもよく、それは相補的な雌型結合片における空間に受容及び保持される。原則として、その空間は、この場合、少なくとも前方部分、特に、接続されたチェーンリンクの第1の長手部分の大部分が、ここでは長手平面においてチェーンに対して旋回可能に可動となるように寸法取りされる。長手部分の端部領域間において、中央の比較的強健な本体の態様における中央部分が設けられてもよく、それは第2の長手部分の一部とみなされ得る。
【0073】
本発明は、さらに、請求項20に単独で記載するチェーンリンクに関し、それは上述した実施形態の1つによる、すなわち、第1、第2及び/若しくは第3の態様による、又は好適な更なる展開例の1つによる構成を含む。
【0074】
サポートチェーンのためのチェーンリンクは、全ての態様において、好ましくは、プラスチック材料から、特に射出成形法を用いて一体的に作製される。この目的のため、特に、繊維補強熱可塑物又は他の適切なポリマーが使用され得る。全てのチェーンリンクは、好ましくは、同様の構成のものであり、又は同一の幾何形状を有する。
【0075】
上記態様の1以上による構成により、いずれも、相互に独立して、全体としてサポートチェーンの、特にその寿命に関して顕著な改善を達成することができる。
【0076】
エンベロープの構成は、原則として重要ではないが、クリーンルーム用途については、そこにガイドされるライン、及び周方向に閉塞した態様でかつ防塵であり又は摩耗粒子の飛散を防止する態様で必要に応じて収容されたサポートチェーンを囲むべきである。デバイスは多層の上記エンベロープを任意選択的に含んでいてもよく、少なくとも1つのサポートチェーンは1つのエンベロープに収容される。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【
図1】延在した自己支持型上側ラン、延在した静止下側ラン及びその間の偏向アークによる純粋に例示的な動作位置における、ここでは2つのエンベロープを有する、クリーンルーム用途のラインガイドデバイスの斜視図である。
【
図2】複数のラインのための多数の積層エンベロープを有する例示的多層構造の(長手方向に垂直な)断面図を示し、サポートチェーンは多数のエンベロープの受容ダクトに収容される。
【
図3】第1の例示的実施形態によるサポートチェーンのための個々のチェーンリンクの構造図を側面視(A)、下方視(B)、平面視(C)、正面視(D)及び背面視(E)で示す。
【
図4A】
図3によるチェーンリンクの斜視図を示す。
【
図4B】
図3によるチェーンリンクの斜視図を示す。
【
図5A】延在位置(左側)及び偏向アークにおける完全に屈曲した弧状位置(右側)における、
図3によるチェーンリンクのサポートチェーンの部分長の中央平面を通る縦断面を示す図である。
【
図5B】2つのチェーンリンク間における部分的にのみ屈曲した中間位置における、
図3によるチェーンリンクのサポートチェーンの部分長の中央平面を通る縦断面を示す図である。
【
図6】チェーンリンク間の係止接続及び関節状ジョイントを説明するための、横方向外側領域における、
図5Aと同様の弧状位置における部分断面を示す図である。
【
図7A】力の導入を説明するための、
図5Aと同様の延在位置における2つのチェーンリンクの接続領域の拡大縦断面を示す図である。
【
図7B】好適な浮動関節状ジョイントを説明するための、延在位置における2つのチェーンリンクの接続領域の拡大側面を示す図である。
【
図8】第2の例示的実施形態による個々のチェーンリンクの構造図を側面視(A)、下方視(B)、平面視(C)、正面視(D)及び背面視(E)で示す。
【発明を実施するための形態】
【0078】
本発明の個々の態様の更なる詳細及び有利な効果は、上記の概略的性質を制限することなく、添付図面に基づく好適な例示的実施形態についての以下の説明から推定され得る。対応の又は同一の構造又は機能の構成は対応する符号を有し、繰り返し説明しない場合もある。
【0079】
図1は、基部における静止接続点2と移動端における移動接続点4との間に供給ライン3(
図2)をガイドする例示的なラインガイドデバイス1を示す。移動端は、より詳細には図示されず、通常は長手方向Lに直線的に前後に変位可能である。供給ライン3は、ケーブル、ホースなどであり、機械の移動部品に、例えば、電力、信号及び/又は動作媒体を供給する。
図1は、自己支持型で延在する上側ラン5、支持面上に任意選択的に存在する下側ラン6、及び偏向アーク7を有するラインガイドデバイス(ラインガイドアセンブリ)1の概観を示す。偏向アーク7は、概念上の偏向軸Aを中心として所定の屈曲半径又は偏向半径を有する。動作時に、移動接続点4を有する上側ラン5が長手方向において前方又は後方に移動する際に、偏向アーク7は静止接続点2に対して前後に移動する。
【0080】
ラインガイドデバイス1は、特に、クリーンルーム又は粒子の放出が低減若しくは防止されなければならない他の分野の用途に適するとともにそれが意図されている。この目的のため、それは長手方向Lに延在する柔軟なプラスチック材料の1以上の柔軟なエンベロープ10を有し、そのエンベロープは接続点2と接続点4の間のその全長に沿って防塵的に供給ライン3を囲む。各エンベロープ10及びライン3の端部は、例えば、クランプデバイス11又は端部接続部を用いて接続点2、4に端部で固定される。
【0081】
図2によると、各エンベロープ10は、いずれも少なくとも1本以上の供給ライン3をガイドするための多数のチューブ状受容ダクト12を有する。各エンベロープ10は、全体としてホース状であり、少ない力の付与での偏向アーク7の可逆的に柔軟な湾曲を可能とするとともに最小限の抵抗での長手方向Lへの移動に追従するように、とりわけ、適切な設計及び/又は材料の選択によって実質的に柔軟となる。
【0082】
ラインガイドデバイス1は、接続点2から接続点4までのラインガイドデバイス1の全長に沿って延在する多数のサポートチェーン20をさらに含む。
図2による純粋に例示的構成では、ライン3を有するエンベロープ10の多数の層13が積層された、多層構造体が示される。この点に関して、偏向アーク7に対向する内側サポート層14が設けられ、サポートチェーン20がエンベロープの全ての受容ダクト12に設けられ、すなわち、この内側サポート層14はライン3をガイドしない。追加のサポートチェーン20も、横断力に対する安定化の目的で、例えば、外面の更なる層13におけるエンベロープ10に配置される(
図2参照)。
【0083】
サポートチェーン20の中核的な機能は、偏向アーク7の曲率半径を予め決定し、又は偏向軸Aを中心とするその最小半径を制限することにある。各サポートチェーン20の更なる中核的な機能は、特に移動端の完全に前進した位置(
図1には不図示)において、上側ラン5の自己支持長を支持し又は実際に可能とすることにある。各サポートチェーン20は、この場合、特に重力によって誘引される撓みに抗してエンベロープ10を支持し、又は荷重支持作用を有する。充分な数量のサポートチェーン20が、荷重の重さ及び長さに対して設けられる。
【0084】
サポートチェーン20は、リンクチェーンの形態をとり、以下に個々のチェーンリンクの2つの例示的実施形態を参照してより詳細に説明される。
【0085】
図3~7は、本発明の全3個の中核的な態様を組み合わせるチェーンリンク100の好適な第1の実施形態を示す。チェーンリンク100は、長手方向Lで見た場合、前方又は第1の長手部分101及びそれと相補的な構成の後方又は第2の長手部分102を有する。チェーンリンク100は、クレビスプレートの態様で構成されてその間の空間103を形成する2つのサイド部品102A、102Bをさらに有する。隣接する後続のチェーンリンク100の、雄型コネクタとして実現された第1の長手部分101は、空間103に挿入され、そこに概ね収容され得る(
図5A~5B参照)。第2の長手部分102は、空間103とともに対応する雌型コネクタを構成する。各チェーンリンク100は、耐久性があり曲げ剛性のあるプラスチック材料の一体射出成形品である。短い側の第1の長手部分101への変わり目において、延在した第2の長手部分102は、中実体として又は軽量化用切欠きを有して実現され得る補強本体領域104を構成し、長手方向Lにおける空間を区切り又は閉じる(
図4B参照)。
【0086】
チェーンリンク100は、(長手方向に垂直な)断面において、小型の寸法、好ましくは25mm以下の幅×25mm以下の高さの略正方形である(背面視の
図3(E)参照)。長さは、高さ又は幅の倍数となるが、偏向アーク7の小さな半径のために、例えば、構造高さの4倍から最大10倍の領域で、可能な限り短くあるべきである。
【0087】
図3(C)は、偏向軸Aから離れたチェーンリンク100の外側の平面図である(
図5Aも参照)。
図3(A)は、偏向軸Aに対向するチェーンリンク100の内側の下方から見た図である。その内側に、雄型の長手部分101は、
図4Bに最も明瞭に示すように、長手方向Lを横断して突出する前端領域に突出部105を有する。ここでは概ね立方体又は板状の突出部105は、他方の長手部分102又はサイド部品102A、102Bの内側と概ね面一である。
【0088】
内側と同様に、雌型の長手部分102は後端領域に板状クロスブリッジ106を有し、そのクロスブリッジは長手方向Lに垂直に延び、安定化する態様でサイド部品102A、102Bを接続する。クロスブリッジ106は、概ねサイド部品102A、102Bの壁厚、例えば、高さ又は幅の約10~25%を有する。前方長手部分(前端領域)101に向かう長手方向において、クロスブリッジ106は内側で凹部107と境界をなし、凹部107はここでは貫通凹部であり、すなわち、空間103から外側に開放している。またさらに、
図3~4は、長手部分102の後端領域における更なる外側クロスブリッジ108を示す。2つのクロスブリッジ106、108は、サイド部品102A、102Bを断面矩形状又は周方向に閉じた構造体となるように接続及び安定化し(
図3(E)参照)、特に、長手部分102の後端におけるサイド部品102A、102Bの意図しない拡がりに対抗する。
【0089】
図5A(左側)に示すように、1つのチェーンリンク100の突出部105は、いずれもチェーンストランドにおいて接続される、すなわち、後続のチェーンリンク100の凹部107に係合し、この過程において、本発明の第1の態様に従って、その内側クロスブリッジ106の前方において順に、引張力を伝達又は導入するように作用し得る。この効果を、
図7A~7Bを参照してより詳細に説明する。
【0090】
図7Aに示すように、2つの接続されたチェーンリンク100の延在相対位置において、舌状の第1の長手部分101は、第2の長手部分102のクロスブリッジ106の対向する延在停止面110Bに対して、偏向軸Aに対向する第1の延在停止面110Aを強力にかつ力伝達態様で支持する。このように、延在状態では、特に上側ラン5(
図1)の自己支持型部品において、荷重の一部は、チェーンリンク100同士の間で伝達され、又はサポートチェーン20によって吸収される。延在位置において作用する延在停止面110A、110Bは、ここでは長手方向Lに略平行に存在する。
【0091】
第1の態様によると、突出部105が、長手方向Lに略垂直な接触面111を介してクロスブリッジ106の関連する合わせ面112と特に引張力方向に相互作用することで、向上した力導入が達成される。クロスブリッジ106の合わせ面112における突出部105の接触面111の作用によって、延在位置において、荷重、特に、ある割合の重量負荷が、長手方向L及び引張力の方向に平行な力としてクロスブリッジ106に導入される。これは、
図3~4又は
図7Aに示すように、クロスブリッジ106がその構造上のサイズを増加させる必要なしに高さ方向Hよりも明らかに大きな寸法及び曲げ剛性を有する方向に対応する。したがって、等しく小型の外寸に対して、顕著に強健な又は寿命の長いサポートチェーン20が達成される。
【0092】
この第1の態様による有利な効果は、
図7Aにおいて模式的にRで示した関節状ジョイントの枢動点が外向きに(偏向軸Aから離れる方向に)変位されることによって、すなわち、チェーンリンク100、特に舌状の第1の長手部分101が大きな荷重の下で変形する場合に、大幅に高められることになる。そのような変形は、外側の対応する肩部又は作用領域115Aが、特に第1の長手部分101と第2の長手部分102の間の変わり目において、模式的にWで示した
図7Aの領域に示すように、対向する外側クロスブリッジ108の当接領域115Bに突き当たるまで、特に第1の長手部分101の適切な寸法取りによって意図するように可能となる。作用領域115Aがこの領域Wにおいてクロスブリッジ108に突き当たるとき(
図7には不図示)、それによりクロスブリッジ108は当接を構成する。これは、突出部105の接触面111及び対応する接触面、すなわち、クロスブリッジ106の合わせ面112を介してより好適な力の導入を比例的に増加させ、それにより、延在停止面110A、110Bの間の面圧を比例的に又は大部分において解放するというレバー効果をもたらす。レバー長は、第1の長手部分101の突出部105及びその接触面111の最大末端構成によって規定される。突出部105は、この目的のため、
図3又は
図7Aに示すように、第1の長手部分101の末端前方側4分の1に配置され、内側クロスブリッジ106は、好ましくは第2の長手部分102の遠隔後方側半分に配置される。
【0093】
レバー効果は、適宜緩められ若しくは浮動関節状ジョイント(第3の態様参照)又は高さ方向Hに遊びのある関節状ジョイントによって最適化され得る。接触面111、112を介した荷重の導入は、支配的割合まで進むことになる。
【0094】
第1の長手部分101は、
図3(D)と
図3(E)との比較が示すように、第2の長手部分102における空間103よりも小さな断面で実現される。第1の長手部分101は、わずかな遊びを有してかつ長手方向-高さ方向平面L-Hにおいて摩耗縁部を有さずに空間内を旋回可能であり、この平面において、作用領域115A、115Bの相互作用を可能とするために、箱状に補強される第2の長手部分102よりも容易に変形可能に寸法取りされる。
【0095】
突出部105及びクロスブリッジ106の相互作用の更なる決定的な有利な効果は、上側ラン5の延在位置における、すなわち、移動端の進行における引張力の伝達にあり、引張力は、提案の設計の結果として、接触面111、112及びクロスブリッジ106にわたって大部分において又は完全に伝達可能である。これにより、疲労破壊に関して弱点を構成することが多い関節状ジョイントは、その構成にかかわらず、引張力から概ね解放され得る。関節状ジョイントにおける荷重サイクルの振幅は、それに応じて大幅に低減可能となり、それは同様に寿命を増加させる。
【0096】
力伝達に関して強健となる設計のために、突出部105は、その接触面111により、
図3(B)及び
図3(C)に示すように、それが第1の長手部分101の幅全体にわたって(長手方向Lに対して断面方向に)延在するように実現される。双方とも、チェーンリンク100の高さ(高さ方向Hの寸法)の約10%の突出量で突出し得る。このように、比較的大面積の接触面111が、同時に小型構成のチェーンリンク100により達成される。小型構成のために、凹部107は、空間103から開始して内側に向かう開口として実現される。凹部107は、偏向アーク7の更なる横方向安定性をもたらすために、延在位置において突出部105をフォームフィッティングにより収容し得る。
【0097】
偏向アークにおけるチェーンリンク100の弧状相対位置における相対旋回角を規制するために、チェーンリンク100は、
図5Aと
図5Bの比較から最も明らかなように、相互作用するアーク停止面114A、114Bを有する。
【0098】
第1の長手部分101の、突出部105から離れた外側に、第1のアーク停止面114Aが設けられ、それは、完全に屈曲した位置(
図5Aの右側)において、対向する第2のアーク停止面114Bと相互作用する。この第2のアーク停止面114Bは、本発明の第2の態様によると、追加の横材109に設けられ、空間103に対向する。横材109は、クロスブリッジ108と同様にサイド部品102A、102Bを安定化する態様で接続し、追加的に一体的に本体領域104に切り替わり、それにより結果として捻れに対して補強される。これにより、偏向アーク7におけるチェーンリンク100の弧状に湾曲した相対位置において制限ストッパの高い安定性がもたらされる。更なる横材109及びそこに構成された抵抗性のアーク停止面114Bにより、本発明の第2の態様によると、サポートチェーンの偏向アーク7の比較的高い荷重支持能力が達成され、これはとりわけ長い自己支持長に有利である。
【0099】
またさらに、外側の第1の長手部分101は、横材109とクロスブリッジ108の間の更なる切欠きにおいて弧状位置(
図5Aの右側)に係合する突出領域116を有する。このように、
図5Aに示すように、突出領域116に設けられた更なる作用領域116Aが外側クロスブリッジ108の更なる当接領域に作用し又はそれとともに楔状となることで、舌状の第1の長手部分101は弧状位置において次のチェーンリンクの第2の長手部分102とともに楔状となり得る。このように、サポートチェーン20は、偏向アーク7においても、又は完全に屈曲したチェーンリンク100の場合にも、すなわち、突出部105が引張力を伝達するような態様で延在位置に位置決めされない場合に、引張力を伝達する。したがって、この位置においても、関節状ジョイントを介して、引張力は伝達されず又は大幅に減少した引張力しか伝達されない。突出領域116は、突出部105を有する長手部分101の前端領域の補強をさらに構成する(
図7A参照)。
【0100】
対向するクロスブリッジ106、108及び横材109を用いた提案の構成は、とりわけ、
図5A~5Bから明らかなように、実質的に長手方向Lにともにプラグ留めされることによってチェーンリンク100が相互に接続されることで可能となる。第1の長手部分101は、隣接する後続のチェーンリンク100の第2の長手部分102において空間103に長手方向Lに挿入可能な舌状先端の態様で実現される。
【0101】
特に偏向アーク7における完全に屈曲したアーク位置と上側ラン5における延在位置との間の中間位置においても引張力の伝達を可能とするために、長手部分101、102は係止接続を構成するように実現され、それはわずかな引張負荷の下で中間位置(
図5B)において長手方向Lへの離脱に対抗して固定される。この目的のため、各チェーンリンク100は、一方の長手部分101に、長手方向に対して横方向に突出する2本の対向する係止ピン117A、117Bを有し、その端部がサイド部品102A、102Bと横方向に概ね面一となる。各係止ピン117A、117Bは、他方の長手部分102における対応する係止用切欠き118A、118Bとともに係止可能である。係止用切欠き118A、118Bは、ここではサイド部品102A、102Bの開口として、空間103の側のサイド部品102A、102Bの後方領域に設けられる。チェーンリンク100が長手方向Lにおいてともにプラグ留めされるので、係止ピン117A、117Bは、
図3(B)及び
図3(C)に示すように、第1の長手部分101の先端に向かって長手方向Lに斜方に先細りとなる挿入ベベルを有する。またさらに、相互のプラグ留めを簡素化するために、各チェーンリンク100は、係止ピン117A、117Bのための挿入溝119A、119Bを有する。挿入溝119A、119Bは、第2の長手部分(端部領域)102の後端部において挿入開口から切欠き118A、118Bに続き、実質的に長手方向Lに配向される。
【0102】
図3~4との組合せにおいて
図6及び
図7Bを見ると、この好適な例示的実施形態における剪断力の伝達が明らかとなる。第2の長手部分102の2つのサイド領域102A、102Bの各々は、
図6におけるサイド部品102Aを通る縦断面から最も明らかなように、隣接チェーンリンク100の場合に相互に対応して存在して上側ラン5又は偏向アーク7に対する剪断力の下で相互に対して突き当たる前端面121及び後端面122を有する。この過程において、突き当たる端面121、122は、1つのチェーンリンク100から次のものに剪断力を伝達する。舌状の第1の長手部分101及び係止ピン117A、117B及び対応する係止用切欠き118A、118Bを用いる係止接続部は、好ましくは、剪断力がそれらを介して伝達されないようにするために長手方向Lに充分な遊びを有して寸法取りされる。
【0103】
相互作用する端面121、122の形状に加えて、
図7Bは、さらに本発明の第3の独立した態様を示し、それによると、2つのサイド部品102A、102Bの端面121、122も、傾斜軸受の形態の浮動(自由)軸受の一種の関節状ジョイントを構成する。この目的のため、前端面121におけるジョイント領域123Aは凸状構成のものであり、後端面122の相互作用するジョイント領域123Bは共役凹状構成のものである。ジョイント領域123A、123Bは、特に、
図7Bにおける破線円形領域Rによって模式的に示される半径を有する円筒面として実現されてもよく、より大きな又はより小さな半径も可能である。ジョイント領域123A、123Bによって構成される傾斜軸受は、少なくとも延在位置においてそれに対して小さな角度の剪断荷重の下でL-H平面(
図7Bの平面)に垂直な規定の回転軸を特定する。この構成の重要な有利な効果は、浮動ジョイントが引張力を伝達せず、それによって過負荷となり得ないことにある。さらに、高さ方向Hに自由度が与えられ、それは特に第1の態様(
図7A参照)による最適化された力の導入との組合せにおいて有利である。これにかかわらず、端面121、122によって構成された緩い関節状ジョイントも、設計の自由及び面圧又は剪断力の導入に関して有利な効果を与える。
【0104】
さらに
図7Bに最も明瞭に示すように、切欠き118A、118Bは、ジョイント領域123A、123Bの枢動点によるサイド領域102A、102Bにおいて円弧状態様で長手方向-高さ方向平面L-Hに延びる。係止ピン117A、117Bも、同様に、長細い湾曲構成のものであってもよく、スロット状ガイド又は曲線ガイドとして円弧状レセプタクルの係止用切欠き118A、118Bに延びることになる。
【0105】
またさらに、高さ方向において、端面121、122は、いずれも両側において、すなわち、弧状又は延在位置について、そのジョイント領域123A、123Bに隣接する湾曲接触面を構成する。各端面121、122は、高さ方向Hにおいて3個の機能的領域:それぞれ延在接触面125A又は125B、それぞれジョイント領域123A又は123B、及びそれぞれアーク接触面124A又は124Bに細分化される。延在接触面125A、125Bは、特に自己支持型の上側ラン5において、延在位置において相互作用する(
図7B参照)。これに対して、アーク接触面124A、124Bは、偏向アーク7(弧状位置)において相互作用する。これにより、対向するアーク接触面124A、124B及び延在接触面125A、125Bは、相互に共役的態様で一致するように構成され、ここでは、ジョイント領域123A、123Bよりも大幅に大きい比較的大きな半径を有するが、一致しない中心点を有して概ね円弧状に湾曲される。
【0106】
図8は、チェーンリンク200の代替の例示的実施形態を示し、それは、第3の態様による特定の関節状ジョイントが実装されるのではなく、所定の回転軸による外旋ジョイントを規定するジョイントピン240及びジョイントレセプタクル242を有する従来的な関節状ジョイントが実装される点で第1の態様とは異なる。それ以外について、チェーンリンク200の基本的構成は、
図3のものと実質的に同一である。
【0107】
チェーンリンク200の場合でも、第2の態様のように更なるクロスブリッジ208及び追加の横材209とともに第1の長手部分201の突出部205及び第2の長手部分202のクロスブリッジ206を用いて、本発明の第1の態様が実施される。本発明の3態様は、いずれも単独で有利に適用可能である。
【符号の説明】
【0108】
図1~2
1 ラインガイドデバイス
2、4 接続点
3 供給ライン
5 上側ラン
6 下側ラン
7 偏向アーク
10 エンベロープ(「ポッド」)
11 クランプデバイス
12 受容ダクト
13、14 層
20 サポートチェーン
A 偏向軸
L 長手方向
図3~7
20 サポートチェーン
100 チェーンリンク
101 (第1の/前方)長手部分
102 (第2の/後方)長手部分
102A、102B サイド部品(サイド領域)
103 空間
104 本体領域
105 突出部
106 (内側)クロスブリッジ
107 (内側)凹部
108 (外側)クロスブリッジ
109 (外側)横材
110A、110B 延在停止面
111 (突出部105の)接触面
112 (クロスブリッジ106の)接触面/合わせ面
114A、114B アーク停止面
115A 作用領域
115B 当接領域(作用領域)
116 突出領域
116A 更なる作用領域
116B 更なる当接領域
117A、117B 係止ピン
118A、118B (係止用)切欠き
119A、119B 挿入溝
121 (前)端面
122 (後)端面
123A、123B (端面の)ジョイント領域
124A、124B アーク接触面
125A、125B 延在接触面
図8
200 チェーンリンク
201 (第1の/前方)長手部分
202 (第2の/後方)長手部分
202A、202B サイド部品(サイド領域)
203 空間
204 本体領域
205 突出部
206 (内側)クロスブリッジ
207 (内側)凹部
208 (外側)クロスブリッジ
209 (外側)横材
211 (突出部105の)接触面
212 (クロスブリッジ106の)接触面/合わせ面
240 ジョイントピン
242 ジョイントレセプタクル
【手続補正書】
【提出日】2021-12-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
柔軟なエンベロープ(10)を有す
るラインガイドデバイス(1)を支持するサポートチェーン(20)であって、該サポートチェーン(20)は、延在位置を採用して延在するラン(5、6)を構成するとともに弧状位置を採用して偏向アーク(7)を構成することができ、この目的のため、長手方向(L)を有する関節状に相互に接続された複数の個々のチェーンリンク(100;200)を有し、該チェーンリンク(100;200)の各々は、前方の第1の長手部分(101;201)を備え、2つのサイド部品(102A、102B;202A、202B)を有して前記第1の長手部分と相補的な後方の第2の長手部分(102;202)と、隣接するチェーンリンクの前記第1の長手部分(101;201)が配置される、前記第1の長手部分と前記第2の長手部分の間の空間(103)とを備え、前記チェーンリンクの各々は前記偏向アーク(7)に対して内側及び外側を有し、
端部領域内かつ前記内側において、前記第1の長手部分(101;201)は、前記長手方向を横断して突出する突出部(105;205)を有し、
前記内側の前記第2の長手部分(102;202)は、前記延在位置のための延在停止面(110B)を有して前記サイド部品同士を接続する内側クロスブリッジ(106;206)及び前記長手方向の前方において前記クロスブリッジ(106;206)に隣接する凹部(107;207)を有し、
前記延在位置において、あるチェーンリンクの前記突出部(105;205)が前記接続される後続のチェーンリンク(100;200)の前記凹部(107;207)に及び前方においてその前記内側クロスブリッジ(106;206)に係合する、サポートチェーン。
【請求項2】
前記外側かつ後端領域において、前記第2の長手部分(102)は、前記延在位置のための当接部(115B)として、隣接チェーンリンクの前記第1の長手部分(101)の外側に対向して存在する横断ストッパ、特に前記サイド部品同士を接続する外側クロスブリッジ(108)を有する、請求項
1に記載の
サポートチェーン。
【請求項3】
前記突出部(105)は、前記長手方向(L)に略垂直に配置される前記内側クロスブリッジ(10
6)に対して静止するための接触面(111)を構成する、請求項
1又は2に記載の
サポートチェーン。
【請求項4】
前記第1及び第2の長手部分(101、102)は、前記延在位置において相互作用する停止面(110A、110B)を有し、
前記突出部(105)及び前記内側クロスブリッジ(106)は相互作用する接触面(111、112)を有し、該接触面は前記延在停止面(110A、110B)に略垂直に存在し、あるチェーンリンクの前記突出部(105)が前記延在位置においてその接触面(111)により前記後続のチェーンリンクの前記内側クロスブリッジ(106)の前記接触面(112)に対して静止するように配置される、請求項1から
3のいずれか一
項に記載の
サポートチェーン。
【請求項5】
前記突出部(105;205
)は、前記長手方向に対して断面方向に前記第1の長手部分の幅全体にわたって延在し、及び/又は前記突出
部は、前記長手方向に対して断面方向に前記チェーンリンクの構造高さの少なくとも5%、好ましくは少なくとも10%の突出量で突出する、請求項1から
4のいずれか一項に記載の
サポートチェーン。
【請求項6】
前記突出部(105;205)は前記第1の長手部分(101;201)の末端前方側4分の1に配置され、前記内側クロスブリッジ(106;206)は好ましくは前記第2の長手部分(102;202)の遠隔後方側半分に配置される、請求項1から
5のいずれか一項に記載の
サポートチェーン。
【請求項7】
前記凹部(107)は、前記空間(103)から前記内側に向かう開口を構成する、請求項1から
6のいずれか一項に記載の
サポートチェーン。
【請求項8】
各チェーンリンク(100)はその第2の長手部分において前記外側に外側横材(109)を含み、クロスブリッジ及び横材は前記空間に跨って前記サイド部品同士を接続し、
前記内側クロスブリッジ(106)は前記延在位置において前記第1の長手部分の内側延在停止面(110A)と相互作用し、前記外側横材(109)は前記弧状位置において前記第1の長手部分(101)の外側アーク停止面(114A)と相互作用する、請求項1から
7のいずれか一項に記載の
サポートチェーン。
【請求項9】
柔軟なエンベロープ(10)を有する特に請求項1に記載のラインガイドデバイス(1)を支持するサポートチェーン(20)であって、該サポートチェーン(
20)は、延在位置を採用して延在するラン(5、6)を構成するとともに弧状位置を採用して偏向アーク(7)を構成することができ、この目的のため、長手方向(L)を有する関節状に相互に接続された複数の個々のチェーンリンク(100;200)を有し、該チェーンリンクの各々は、第1の長手部分(101;201)と、2つのサイド
部品(102A、102B;202A、202B)を有して前記第1の長手部分と相補的な第2の長手部分(102;202)と、隣接する後続のチェーンリンクの前記第1の長手部分が配置される、前記第1の長手部分と前記第2の長手部分の間の空間(103;203)とを備え、前記チェーンリンク(100;200)の各々は内側及び外側を有し、
各チェーンリンク(100;200)は、その第2の長手部分(102;202)において前記外側に外側クロス接続部(109;209)及び前記内側に内側クロス接続部(106;206)を含み、前記外側クロス接続部及び前記内側クロス接続部は前記空間(103;203)に跨って前記サイド
部品(102A、102B;202A、202B)同士を接続し、
前記内側クロス接続部(106;206)は前記延在位置において前記第1の長手部分の内側延在停止面(110A)と相互作用し、前記外側クロス接続部(109;209)は前記弧状位置において前記第1の長手部分(101;201)の外側アーク停止面(114A、214A)と相互作用する、サポートチェーン。
【請求項10】
前記外側クロス接続部は横材(109;209)として実現され、前記内側クロス接続部はクロスブリッジ(106;206)として実現され、
好ましくは各チェーンリンク(100;200)は、その第2の長手部分において、前方領域における前記外側に前記横材(109;209)及び後端領域において外側クロスブリッジ(108;208)を含み、
前記第1の長手部分(101;201)は、前記横材(109;209)と前記外側クロスブリッジ(108;208)の間で前記弧状位置において係合する前記外側の突出領域(116;216)を含み、
前記第1の長手部分は、好ましくは前記弧状位置(116A、116B)において前記第2の長手部分とともに楔状となる、請求項
9に記載のサポートチェーン。
【請求項11】
前記第1の長手部分(101;201)は、前記長手方向(L)において隣接する後続のチェーンリンクの前記第2の長手部分(102;202)において前記空間(103;203)に挿入可能である、請求項
1から10のいずれか一項、特に請求項
9に記載のサポートチェーン。
【請求項12】
前記長手部分は前記長手方向への離脱に対する係止接続部を構成するように実現され、各チェーンリンクは、一方の前記長手部分において、前記長手方向に対して横方向に突出する2本の対向するピン(117A、117B)を有し、各ピンは他方の前記長手部分における対応する切欠き(118A、118B)とともに係止可能であり、
前記ピン(117A、117B)は、前記長手方向(L)に斜方に先細りとなる挿入ベベルを有
し、好ましくは、各チェーンリンクは、前記切欠き(118A、118B)に開口して実質的に前記長手方向に延在する、前記ピン(117A、117B)のための挿入溝(119A、119B)を含む、請求項
1から11のいずれか一項、特に請求項
11に記載のサポートチェーン。
【請求項13】
柔軟なエンベロープ(10)を有す
るラインガイドデバイス(1)を支持するサポートチェーン(20)であって、該サポートチェーン(20)は、延在位置を採用して延在するラン(5、6)を構成するとともに弧状位置を採用して偏向アーク(7)を構成することができ、この目的のため、長手方向(L)を有する関節状に相互に接続された複数の個々のチェーンリンク(100)を有し、該チェーンリンク(100)の各々は、前方の第1の長手部分(101)と、2つのサイド
部品(102A、102B)を有して前記第1の長手部分と相補的な後方の第2の長手部分(102)と、隣接する後続のチェーンリンクの前記第1の長手部分(101)が配置される、前記第1の長手部分と前記第2の長手部分の間の空間(103)とを備え、
前記第2の長手部分の両サイド
部品(102A、102B)の各々は、隣接チェーンリンクの場合に相互に対向して存在する前端面(121)及び後端面(122)を含み、
前記前端面(121)がジョイント領域(123A)を構成し、前記後端面(122)が
相補的ジョイント領域(123B)を構成し、それにより、あるチェーンリンクの前記前端面(121)及び隣接チェーンリンクの前記後端面(122)のそれぞれの前記ジョイント領域が当該2つのチェーンリンク(100)の関節状接続のために相互作用
し、前記サポートチェーンの剪断負荷の場合に、前記2つのチェーンリンクを旋回させるための旋回軸を規定し、
好ましくはさらに、前記前端面(121)の前記ジョイント領域(123A)は凸状に構成され、前記後端面の前記ジョイント領域(123B)は凹状に構成され、及び/又は前記ジョイント領域は前記長手方向に垂直な旋回軸を有する旋回可能な関節状接続のために実現される、サポートチェーン。
【請求項14】
前記前端面及び後端面のいずれも、高さ方向において、前記ジョイント領域の少なくとも片側に、好ましくは両側に、前記弧状位置又は延在位置について、接触面(124A、124B)、好ましくは湾曲接触面を構成する
、請求項
13に記載のサポートチェーン。
【請求項15】
一方の前記長手部分において、各チェーンリンクは前記長手方向に対して横方向に突出する2本の対向するピン(117A、117B)を含み、各ピンは他方の前記長手部分における対応する切欠き(118A、118B)とともに係止可能であり、
前記切欠き(118A、118B)は、長手平面における前記サイド
部品において円弧状に延びる、請求項
1から14のいずれか一項、特に請求項
14に記載のサポートチェーン。
【請求項16】
前記チェーンリンクは、特に射出成形法を用いて、プラスチック材料から一体的に作製される、請求項1から
15のいずれか一項に記載の
サポートチェーン。
【請求項17】
少なくとも一方が他方に対して可動な2つの接続点(2、4)の間のケーブル、ホースなどの供給ライン(3)の保護された案内のための、特にクリーンルーム用途のラインガイドデバイス(1)であって、該ラインガイドデバイスは長手方向(L)を有し、前後に変位可能であり、2本のラン(5、6)及び偏向アーク(7)を構成し、前記ラインガイドデバイス(1)は、
いずれも少なくとも1本の供給ライン(3)に対して、相互に隣り合って配置されて前記長手方向に延在する多数の受容ダクト(12)を有する柔軟なエンベロープ(10)と、
前記ラインガイドデバイス(1)を支持するように受容ダクト(12)内に配置可能な少なくとも1つのサポートチェーン(20)であって、請求項1から16のいずれか一項に記載のサポートチェーン(20)と、
を備えるラインガイドデバイス。
【国際調査報告】