IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ベクトン・ディッキンソン・ロワ・ジャーマニー・ゲーエムベーハーの特許一覧

特表2023-510503医薬品用ピッキング装置の操作方法、及び、当該方法を実行するためのピッキング装置
<>
  • 特表-医薬品用ピッキング装置の操作方法、及び、当該方法を実行するためのピッキング装置 図1a
  • 特表-医薬品用ピッキング装置の操作方法、及び、当該方法を実行するためのピッキング装置 図1b
  • 特表-医薬品用ピッキング装置の操作方法、及び、当該方法を実行するためのピッキング装置 図2
  • 特表-医薬品用ピッキング装置の操作方法、及び、当該方法を実行するためのピッキング装置 図3
  • 特表-医薬品用ピッキング装置の操作方法、及び、当該方法を実行するためのピッキング装置 図4
  • 特表-医薬品用ピッキング装置の操作方法、及び、当該方法を実行するためのピッキング装置 図5
  • 特表-医薬品用ピッキング装置の操作方法、及び、当該方法を実行するためのピッキング装置 図6a
  • 特表-医薬品用ピッキング装置の操作方法、及び、当該方法を実行するためのピッキング装置 図6b
  • 特表-医薬品用ピッキング装置の操作方法、及び、当該方法を実行するためのピッキング装置 図7a
  • 特表-医薬品用ピッキング装置の操作方法、及び、当該方法を実行するためのピッキング装置 図7b
  • 特表-医薬品用ピッキング装置の操作方法、及び、当該方法を実行するためのピッキング装置 図7c
  • 特表-医薬品用ピッキング装置の操作方法、及び、当該方法を実行するためのピッキング装置 図7d
  • 特表-医薬品用ピッキング装置の操作方法、及び、当該方法を実行するためのピッキング装置 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-14
(54)【発明の名称】医薬品用ピッキング装置の操作方法、及び、当該方法を実行するためのピッキング装置
(51)【国際特許分類】
   G01V 8/10 20060101AFI20230307BHJP
【FI】
G01V8/10 S
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022536915
(86)(22)【出願日】2020-12-14
(85)【翻訳文提出日】2022-06-16
(86)【国際出願番号】 EP2020085968
(87)【国際公開番号】W WO2021139966
(87)【国際公開日】2021-07-15
(31)【優先権主張番号】20151151.6
(32)【優先日】2020-01-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516389064
【氏名又は名称】ベクトン・ディッキンソン・ロワ・ジャーマニー・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】デニス ホルツハウザー
【テーマコード(参考)】
2G105
【Fターム(参考)】
2G105AA01
2G105BB17
2G105EE06
2G105HH04
(57)【要約】
本発明は、医薬品用オーダーピッキング装置を操作する方法と、本発明の方法に従って操作できるオーダーピッキング装置に関する。オーダーピッキング装置を操作するための既知の方法は、内部に配置されている可能性のある物体との衝突の場合に重大な損傷が生じる可能性があるという点で不利である。これを防止するために、特定の事象の後に光学的検出装デバイスによって検出可能なオーダーピッキング装置(1)の内部の移動空間の画像を作成するために使用される光学的検出デバイス(34、70)が用意される。基準画像の対応する領域と比較される移動空間(20)の画像の指定された領域は、画像の特定の領域と参照画像との比較に基づいて確認され、移動空間(20)のキャプチャされた部分に障害物が存在するかどうかが判定され、及び、障害物の存在の確認に基づいて提供される適切な信号が提供され、信号は、例えば、操作デバイスによる動作を防止し、ユーザによる障害物の除去を要求する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医薬品用ピッキング装置の操作方法であって、前記ピッキング装置は、
医薬品ボトル及び/又は医薬品パッケージ(6)のための複数の保管空間と、
グリッパー(31)を有する操作デバイス(30)であって、前記操作デバイスは、移動空間(20)内の前記保管空間の前で、X方向(X軸)に水平に、Z方向(Z軸)に垂直に移動することができる操作デバイス(30)と、
医薬品ボトル及び/又は医薬品パッケージ(6)をピッキング装置(1)内に移動させることができ、グリッパー(31)が医薬品ボトル及び/又は医薬品パッケージ(6)を取り出すことができる少なくとも1つの保管デバイス(41、42)と、
医薬品ボトル及び/又は医薬品パッケージ(6)を識別するための少なくとも1つの識別デバイス(51、52)と、
搬出デバイス(60)であって、前記ピッキング装置(1)から取り出すために前記操作デバイスによって医薬品ボトル及び/又は医薬品パッケージ(6)を移送することができる搬出デバイスと、
前記移動空間(20)の画像を生成することができるように前記ピッキング装置(1)に配置された少なくとも1つの光学検出デバイス(34、70)と、
前記操作デバイス(30)、前記識別デバイス(51、52)、及び、前記光学検出デバイス(34、70)に接続された制御デバイス(80)と
を備え、
a)所定のイベントの後、光学検出デバイスによって検出可能な前記移動空間(20)の画像が前記少なくとも1つの光学検出デバイス(34、70)と共に作成され、
b)前記移動空間(20)の前記画像の所定の領域は、基準画像の対応する領域と比較され、
c)前記移動空間(20)の検出部に障害物が存在するかどうか、前記画像の所定の領域と前記基準画像との比較に基づいて判定され、
d)前記障害物の存在の検出に基づき、対応する信号を提供する
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記障害物の位置及びサイズが、前記ステップd)において判定されることを特徴とする、請求項1に記載の医薬品用ピッキング装置の操作方法。
【請求項3】
前記障害物の前記判定された位置及びサイズに基づいて、前記障害物が前記操作デバイスによって迂回されるかどうかが判定されることを特徴とする、請求項2に記載の医薬品用ピッキング装置の操作方法。
【請求項4】
前記障害物が迂回されるときに、前記障害物によってブロックされた保管エリアが、到達不能又はアクセス不能としてマークされることを特徴とする、請求項3に記載の医薬品用ピッキング装置の操作方法。
【請求項5】
前記障害物の前記判定された位置及びサイズに基づいて、前記障害物が前記操作デバイスにより移動可能かどうかが判定されることを特徴とする、請求項2に記載の医薬品用ピッキング装置の操作方法。
【請求項6】
前記操作デバイス(30)の前記グリッパー(31)が、全体画像を作成する前に、前記Z軸に沿って最大Z位置に移動されることを特徴とする、請求項1~5のいずれか1項に記載の医薬品用ピッキング装置の操作方法。
【請求項7】
前記全体画像及び全体基準画像が、複数の個々の画像から構成されることを特徴とする、請求項1~6のいずれか1項に記載の医薬品用ピッキング装置の操作方法。
【請求項8】
前記全体画像と前記全体基準画像との比較が、部分画像に基づいて行われることを特徴とする、請求項1~6のいずれか1項に記載の医薬品用ピッキング装置の操作方法。
【請求項9】
前記提供された信号が、前記操作デバイス(30)の移動を一時的に防止することを特徴とする、請求項1に記載の医薬品用ピッキング装置の操作方法。
【請求項10】
前記障害物の存在がユーザに表示されることを特徴とする、請求項1~9のいずれか1項に記載の医薬品用ピッキング装置の操作方法。
【請求項11】
医薬品用ピッキング装置(1)であって、
医薬品ボトル及び/又は医薬品パッケージ(6)のための複数の保管空間と、
グリッパー(31)を有する操作デバイス(30)であって、前記操作デバイスは、移動空間(20)内の前記保管空間の前で、X方向(X軸)に水平に、Z方向(Z軸)に垂直に移動することができる操作デバイス(30)と、
医薬品ボトル及び/又は医薬品パッケージ(6)をピッキング装置(1)内に移動させることができ、グリッパー(31)が医薬品ボトル及び/又は医薬品パッケージ(6)を取り出すことができる少なくとも1つの保管デバイス(41、42)と、
医薬品ボトル及び/又は医薬品パッケージ(6)を識別するための少なくとも1つの識別デバイス(51、52)と、
搬出デバイス(60)であって、前記ピッキング装置(1)から取り出すために前記操作デバイスによって医薬品ボトル及び/又は医薬品パッケージ(6)を移送することができる搬出デバイスと、
前記移動空間(20)の画像を生成することができるように前記ピッキング装置(1)に配置された少なくとも1つの光学検出デバイス(34、70)と、
前記操作デバイス(30)、前記識別デバイス(51、52)、及び、前記光学検出デバイス(34、70)に接続され、前記請求項1~10に記載の方法を実行するように構成された制御デバイス(80)と
を備える医薬品用ピッキング装置(1)。
【請求項12】
前記光学検出デバイス(34)が、前記操作デバイス(30)の前記グリッパー(31)の構成要素であることを特徴とする、請求項11に記載の医薬品用ピッキング装置(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬品用ピッキング装置の操作方法、及び、本発明の方法に従って動作するピッキング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
医薬品用の既知のピッキング装置において、少なくとも1つの操作デバイスが定期的に設置され、そのグリッパーは、ピッキング装置の異なる棚、並びに、保管デバイス及び搬出デバイスに到達できるように、縦軸(X方向又はX軸)及び高さ(Z方向又はZ軸)に対応するガイド上で移動可能である。医薬品用の現代のピッキング装置は、ほぼ自動的に動作し、言い換えれば、例えば、ピッキング装置内の部品の洗浄が必要な場合、又は、誤動作がオペレーターの介入を必要とする場合、例えば、医薬品パッケージの保管又は除去が適切に行われなかった場合等においてのみ、ピッキング装置の内部に入る必要がある。オペレーターによるあらゆる介入の間、ピッキング装置のより高い部分に到達するための梯子などの物体が、意図せずにピッキング装置内に残される可能性がある。意図せずに残されたこの物体のサイズと位置に応じて、これは操作デバイスへの障害となる可能性がある。極端な場合、操作デバイスの正常な動きは、取り残された物体との衝突をもたらし、操作デバイスに損傷をもたらす可能性がある。衝突はまた、手動で取り外す必要があるように、1つ以上の保管エリア上で医薬品パッケージが混乱する可能性もある。障害物や衝突に応じて、衝突により転倒する障害物がいくつかの棚面を完全に破壊する可能性もある。いずれにしても、操作デバイスとピッキング装置に残された障害物との間の衝突は、オペレーターによる介入を引き起こし、その結果、ピッキング装置のダウンタイムにつながる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従って、本発明の目的は、障害物と操作デバイスとの衝突によるダウンタイムが回避されるピッキング装置を操作する方法を提供することである。本発明の更なる目的は、対応する方法を実行することができるピッキング装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
目的は、請求項1に記載の医薬品用ピッキング装置の操作方法により達成される。本方法を実行するために使用されるピッキング装置は、医薬品ボトル及び/又はパッケージのための複数の保管空間と、グリッパーを有する操作デバイスであって、前記操作デバイスは、保管空間の前の移動空間内で、X方向又はX軸に水平に、Z方向又はZ軸に垂直に移動可能である、操作デバイスと、医薬品ボトル及び/又はパッケージをピッキング装置内に移動させることができ、グリッパーが医薬品ボトル及び/又はパッケージを取り出すことができる少なくとも1つの保管デバイスと、医薬品ボトル及び/又はパッケージを識別するための少なくとも1つの識別デバイスと、医薬品ボトル及び/又はパッケージをピッキング装置から取り外すために操作デバイスによって移送することができる搬出デバイスと、操作デバイスと識別デバイスに接続された制御デバイスと、を備える。さらに、ピッキング装置は、制御デバイスに接続された光学検出デバイスを備え、制御デバイスは、移動空間の画像を生成できるように、ピッキング装置内に配置される。
【0005】
本発明による方法において、ステップa)では、例えば、ピッキング装置の内部の日常的なクリーニングであり得る所定のイベントの後、光学検出デバイスによって検出可能な移動空間の部分の画像が、少なくとも1つの光学検出デバイスと共に作成される。この画像が移動空間全体をカバーするかどうかは、とりわけ、光学検出デバイスの正確な配置、ならびに移動空間のサイズに依存する。光学検出デバイスが、例えば、ピッキング装置の端面上に配置され、X軸に沿った範囲があまり大きくない場合、移動空間全体を光学検出デバイスで一枚の画像に取り込むことができると考えられる。しかしながら、光学検出デバイスは、例えば、操作デバイスのグリッパーの内部又はグリッパーに接触して、配置されていることも考えられる。そのような場合、1つの画像が十分であるかどうかは、とりわけ、ピッキング装置内の操作デバイスの位置に依存する。例えば、操作デバイスがX軸に対してピッキング装置の中心に位置する場合、操作デバイスから画像「左」及び画像「右」を取り込む必要があり得る。そのような場合、移動範囲全体がチェックされるまで、いくつかの画像を作成しなければならないことも、非常に長いピッキング装置では考えられる。この目的のために、操作デバイスは、移動空間が検出され、自由であると認識される限り、X方向にのみ移動される。
【0006】
後続するステップb)では、移動空間の画像の所定の領域は、基準画像の対応する領域と比較される。「所定の領域」は、完全にキャプチャされた画像であってもよい。しかしながら、移動空間の画像は、必然的に、後続の評価に無関係な領域(医薬品ボトル及び/又はパッケージの保管空間の領域)も含むため、移動空間の画像の部分的な領域のみが、基準画像の対応する部分的な領域と比較されることも考えられる。ステップc)では、画像の所定の領域と、移動空間の検出部に障害物が存在するかどうかとの比較に基づいて判定する。障害物の正確な判定がどのように実行されるかは、本発明に関連しておらず、操作デバイスの移動を防止する可能性がある障害物が存在するかどうかの比較に基づいて判定されること、のみが重要である。当業者に知られている様々な方法があり、そのうちの1つは、本発明の詳細な説明に記載されている。最後のステップd)では、対応する信号は、移動空間の検出部分における障害物の存在の判定に基づいて提供される。最も単純なケースでは、これらの信号は、障害物の位置及びサイズに関係なく、操作デバイスの移動を抑制させる。さらに、そのような場合、オペレーターは、例えば、表示装置よって光学的に又は音響で、実行される障害物の存在を知らされることが考えられる。
【0007】
本発明による方法の最も単純な形態において、操作デバイスの移動は、障害物の検出時に単純にブロックされる。本発明に係る方法の好ましい実施形態において、画像の所定領域と基準画像との比較を行った後、本発明に係る方法のステップd)において、移動空間の検出部における障害物の位置及びサイズが判定される。この情報を把握することで、操作デバイスの動きをブロックする必要があるかどうかを推定することができる。使用される画像分析ソフトウェアの処理アルゴリズムに応じて、いくつかの基準点をピッキング装置に取り付ける必要がある場合があり、これによりサイズ及び位置を判定できる。
【0008】
上述の情報に基づいて、障害物の判定された位置及びサイズに基づいて、操作デバイスが障害物の周りを駆動することができるかどうかに基づいて判定されることが好ましい。この場合、ユーザは、障害物を直ちに取り除くか、又は後で取り除き、障害物にかかわらず、ピッキング装置を操作し続けることを選択することができる。その後、操作デバイスはもちろん、既存の障害物の周りを駆動し、衝突を回避するように制御される。
【0009】
障害物は、ピッキング装置の保管領域が影響を受けないように、すなわち、既存の障害物にもかかわらず、すべての医薬品ボトル及び/又はパッケージにアクセスできるように配置及び/又は形成される。例えば、障害物が搬出デバイスの一部のみをブロックすることが考えられ、これは、医薬品ボトル及び/又はパッケージの保管を防止する可能性があるが、除去を防止する可能性はない。そのような場合、ピッキング装置が薬局の営業時間内に動作し続け、通常の営業時間の直後に障害物が除去されることは、かなり考えられる。好ましい実施形態において、障害物が動き回ることができるとき、障害物によってブロックされた領域は、アクセス不能、又は、駆動されるべきではないとマークされることが提供される。これは、医薬品パッケージがこの領域に保管されている場合に特に有用である。障害物によりピッキング装置内のどの保管エリアに到達できないかを知る場合、障害物により取り外し可能な医薬品パッケージを取り外すことができない場合、取り外し要求の存在下で直ちに判定することができる。
【0010】
障害物が検出された場合は、直ちに、又は該当する場合は後でユーザによって除去する必要がある。しかしながら、これは、例えば、操作デバイス自体によって障害物を除去できない場合にのみ適用される。従って、本発明による方法の好ましい実施形態において、障害物の判定された位置及びサイズに基づいて、障害物を操作デバイスで移動させることができるかどうかを判定することが提供される。この場合、操作デバイスのグリッパーで障害物を把持し、所定の位置、例えば、搬出デバイスに配置することを試みることができる。従って、例えば、小さなサイズの障害物のみが、例えば、操作デバイスのXガイド上に配置されている場合、その障害物は、グリッパーで、オペレーターの介入なしに除去されることが考えられる。
【0011】
障害物がピッキング装置内の移動空間内に存在するかどうかを判定するために、画像の所定の領域と基準画像との比較が実行される。画像を撮影するときに、操作デバイスのグリッパーがおそらく存在する障害物を覆うことを回避するために、画像を作成する前に、操作デバイスのグリッパーがZ軸に沿って最大Z位置に移動されることが、方法の好ましい実施形態において提供される。
【0012】
縦方向、すなわちX軸に沿ったピッキング装置の範囲に応じて、光学検出デバイスを1つだけ使用してもよい。しかしながら、X方向にある程度を超えるピッキング装置では、複数の光学検出デバイスを使用する必要がある場合がある。この場合、画像と基準画像とが複数の単一画像から構成され、合成画像に基づいて障害物が検出されることが好ましい。あるいは、部分画像に基づいて画像と基準画像との比較が実行されることも考えられる。光学検出デバイスが、例えば、2D又は3Dカメラにより、グリッパー内又はグリッパー上に配置又は実現される場合、方法を複数回繰り返す必要があり、繰り返すごとに、移動空間の一部が記録又は調査され、言い換えれば、本発明による方法が部分毎に実行される。
【0013】
目的は、さらに、請求項11に記載の医薬品用ピッキング装置によって達成される。本発明によるピッキング装置は、医薬品ボトル及び/又はパッケージのための複数の保管空間を含み、保管される医薬品(パッケージ又はボトル)に応じた保管空間は、ボトルのためのレセプタクルをおそらく有する水平な棚によって提供され得る。ピッキング装置は、グリッパーを有する操作デバイスであって、X方向(X軸)に水平に、かつZ方向(Z軸)に垂直に移動可能であり、保管空間の前方の移動空間内にある操作デバイスと、医薬品ボトル及び/又はパッケージをピッキング装置内に移動することができ、グリッパーが医薬品ボトル及び/又はパッケージを取り出すことができる少なくとも1つの保管デバイスと、医薬品ボトル及び/又はパッケージを識別する少なくとも1つの識別装置と、操作デバイスからの医薬品ボトル及び/又はパッケージを取り出すために引き渡すことができる搬出デバイスと、移動空間の全体像を生成することができるようにピッキング装置内に配置された少なくとも1つの光学検出デバイスと、操作デバイス、識別デバイス、及び、光学検出デバイスに接続された制御デバイスであって、本発明による方法のステップを実行するように設計されている、操作デバイスとをさらに備える。
【0014】
ピッキング装置の好ましい実施形態において、光学検出デバイスは、操作デバイスのグリッパーの構成要素であることが提供される。従って、この実施形態では、本発明による方法を実現するために、通常全てのグリッパーが含む構成要素が使用される。この場合、方法の実装のための追加コストは、既存のピッキング装置に新しい構成要素が組み込まれることがないため、ソフトウェアの必要な調整に限定される。
【0015】
以下、図面を参照して、本発明による方法の好ましい実施形態及び本発明によるピッキング装置の好ましい実施形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1a】本発明によるピッキング装置の実施形態の斜視図を示す。
図1b】本発明によるピッキング装置の実施形態の斜視図を示す。
図2】ピッキング装置の平面図を示す。
図3】一列の棚を省略した側面断面図である。
図4図2に対応する図面を示し、ここで障害物は、それぞれ、ピッキング装置の移動空間内に配置される。
図5図3に対応する図面を示し、ここで障害物は、それぞれ、ピッキング装置の移動空間内に配置される。
図6a】異なる位置に配置された障害物を有する移動空間の全体画像を示す。
図6b】異なる位置に配置された障害物を有する移動空間の全体画像を示す。
図7a】全体画像と基準全体画像との比較を概略的に示す。
図7b】全体画像と基準全体画像との比較を概略的に示す。
図7c】全体画像と基準全体画像との比較を概略的に示す。
図7d】全体画像と基準全体画像との比較を概略的に示す。
図8】本発明による方法の好ましい実施形態のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1a及び図1bは、本発明による医薬品パッケージ用ピッキング装置1の実施形態の斜視図を示し、示される実施形態において、外側ハウジングは省略される。示される実施形態において、ピッキング装置は、棚の2つの平行な列を形成する複数の棚10を含み、その間に移動空間20が形成され、グリッパー31を有する操作デバイス30は、X方向に水平に、Z方向に垂直に移動することができる。この目的のために、ピッキング装置は、水平又はX方向ガイド32と、垂直又はZ方向ガイド33とを備える。ピッキング装置は、コンベヤベルトとして示される実施形態で形成される2つの保管デバイス41、42をさらに備える。図1aに示される保管フロント側では、これらの保管デバイスは、ピッキング装置の実際の保管端面を超える部分で延在し、これらの部分では、オペレーターが保管される医薬品パッケージを配置することができる。各保管デバイスの上方には、識別デバイス51、52が、ピッキング装置の保管端部領域に配置され、保管される医薬品パッケージが識別され、必要に応じて測定される。ピッキング装置は、搬出デバイス60をさらに備え、操作デバイス30のグリッパー31は、搬出デバイス60に医薬品パッケージを移送することができる。操作デバイス30及び識別デバイス51、52は、制御デバイス80に接続され、制御デバイス80は、示される実施形態において、保管端部領域にも配置される(図1aを参照されたい。)。本発明によれば、ピッキング装置は、光学検出デバイス70を有し、光学検出デバイス70は、ピッキング装置内に配置され、ピッキング装置は、移動空間20の全体画像を生成することができる。示された実施形態において、光学検出デバイスも保管端部側に配置される。あるいは、光学検出デバイスは、図1bに示される後端側に、又は、移動空間の中央上に配置されることも可能であり、光学検出デバイスの理想的な配置は、使用される検出デバイスの種類及び移動空間の設計に依存する。
【0018】
図2は、本発明によるピッキング装置の好ましい実施形態の平面図を示し、この平面図では、特に、操作デバイス30のための棚の列の間に形成された移動空間20を見ることができる。移動空間20は、図2において、破線により、左移動空間部分21と右移動空間部分22とに細分化されている。水平Xガイド32の配置により、移動空間部分21は、「臨界」移動空間部であり、Zガイド33がX方向の移動において常にX方向に移動していることにより、障害物がX方向に移動した操作デバイスとの衝突に至る。移動空間部分22は、操作デバイスのグリッパーの対応する移動により、移動空間20のこの移動空間部分に配置された障害物の周りを駆動することが可能であるため、「非臨界」移動空間部分である。
【0019】
図3は、特に、操作デバイス30の下部Xガイド32を見ることができる断面図を示す。移動空間部分21が「臨界」移動領域として定義されている理由も分かる。グリッパー31を上に動かして障害物をZ方向に動かしても、臨界移動空間部分21の障害物は、ZガイドのX方向の移動により、障害物と操作デバイスとの衝突を引き起こす。操作デバイスのグリッパー31上には、例えば、グリッパーの通常の動作に定期的に必要な2Dまたは3Dカメラなどの光学検出デバイス34も提供される。さらに、代替の実施形態において、この光学検出デバイスを使用して、上述したように、移動空間の画像をキャプチャすることができる。
【0020】
図4及び図5は、図2及び図3と同じ視点を示し、図4及び図5において、障害物5は、非臨界移動空間部分22に配置される。移動空間の片側にXガイドを配置した操作デバイスの構成により、操作デバイスで障害物の周りを駆動することが理論的に可能である。障害物を迂回するか、障害物を判定する際に操作デバイスの動きが一般的に阻害されるかは、一方では障害物の位置や大きさを判定できるかどうかに依存し、他方ではオペレーターの仕様に依存する。
【0021】
図6a及び図6bは、異なる配置の障害物5を有する移動空間20の2つの画像を概略的に示し、示される画像はそれぞれ、移動空間全体を表すことが意図される。図6aに示される状況では、障害物5は「非臨界」移動空間部分22に配置されている。概略的に図示されたXガイド及びZガイドから分かるように、図6aに示される状況では、グリッパー31の対応する向きを有する操作デバイスが、衝突することなく障害物5の周りを駆動することが可能である。しかしながら、対応する手順は、障害物5の正確な位置及びサイズが判定できる場合にのみ可能であり、これは、とりわけ障害物5の大きさ自体及び障害物/背景の対比に依存する。図6bに示される状況では、障害物5がXガイド32を妨害し、従って、障害物は、臨界移動空間部分21に配置され、少なくともX方向に延在するピッキング装置の全長が使用されるべきであれば、ピッキング装置のさらなる動作は不可能である。このようなケースが検出された場合、上記の条件下でのオペレーターの介入は避けられない。
【0022】
本発明による方法の好ましい実施形態は、図7a~図7d及び図8を参照して以下に説明され、図7a~図7dは、画像及び基準画像に基づく障害物の判定を概略的に示す。また、この場合、画像及び基準画像の移動範囲全体が検出され、光学検出デバイスは、操作デバイスの反対側のピッキング装置の端部側に位置される。まず、所定のイベント、例えば、ピッキング装置の内部の日常的な洗浄の存在下でのステップ100において、及び、この実施形態において、X軸に沿った操作デバイス30の移動の前に、移動空間20の画像が光学検出デバイス70(図示せず)を使用して作成される。そのような画像の2つの概略図が図6a及び図6bに示され、障害物は、図6aにおいて非臨界移動空間部分22に配置され、及び、図6bにおいて臨界移動空間部分21に配置される。後続するステップ110において、移動空間の画像の所定の領域は、基準画像の対応する領域と比較される。図7aにおいて、障害物の判定を説明するための基準画像が上部に概略的に示され、光学検出デバイスにより記録された画像が下部に概略的に示されている。ピッキング装置の内部の幾何学的形状により、移動空間の画像は、移動空間自体だけでなく、図7aに概略的に示される2列の棚の反対側の部分も常に含む。
【0023】
好ましい実施形態によれば、障害物を判定するための手順は以下の通りである。まず、基準画像と現在の画像とを互いに減算し、画像に存在するが基準画像には存在しない対象のみが残るようにする。図7aに示される例では、これは医薬品パッケージ6及び障害物5であり、差分形成の結果が図7bに概略的に示される。
【0024】
そして、画像と基準画像との比較に基づいて、移動空間に障害物があるかどうかを判定する(ステップ120)。また、画像(並びに基準画像)は、必ずしも移動空間自体ではなく、横方向の棚ストレージの一部に関係する領域も含むため、画像と基準画像との間の減算結果は、移動空間自体に影響を及ぼさない差分形成の結果の領域を隠す図7cに示されるようにマスク25と組み合わされる。差分画像とマスクとのこの組み合わせの結果が図7dに示され、障害物5のみが残り、従来の既知の処理方法を使用して処理される。この目的のために、図7dに示される画像は、通常、白黒画像に変換され(二値化され)、後続のブロブ分析に供される。次に、ある所定のサイズを超えるこれらの領域はすべて障害物として分類され、可能であれば及び必要に応じて、それらの位置とサイズが制御デバイスに渡される。正確な手順に応じて、操作デバイスの任意の動きは、障害物の存在下で抑制することができ、あるいは、障害物の周りを駆動することを特定するか、又は、最適に配置された小障害物の場合、操作デバイスのグリッパーで障害物の除去を開始することができる。
【0025】
図8に示される実施形態において、障害物のサイズ及び位置は、ステップ130で判定される。この目的のために、サイズ及び位置の判定に関連して、ピッキング装置内の基準点を指定すること、及び/又は、複数の全体的な基準画像に基づいて制御デバイスを教示することが必要な場合がある。代替的又は追加的に、それはまた、移動領域の床及び/又は2つの移動空間部分に特別なパターン及び/又は特徴的な番号を装備するために提供される場合がある。光学検出デバイスの取り付け位置を把握すれば、適切な状況でサイズ及び位置が判定されうる。
【0026】
障害物のサイズ及び位置の把握に基づいて、障害物が迂回できるかどうかが、移動空間の構造設計に基づいて、ステップ140において判定される。これが当てはまらない場合、例えば、障害物が少なくとも部分的に臨界移動空間部分に配置されているため、操作デバイスがブロックされ、オペレーターが障害物の除去を示すまで、それ以上の移動が禁止される(ステップ200)。
【0027】
迂回が可能な場合(及び意図された場合)、障害物のために到達できない保管空間がそれに応じてマークされる。次いで可能になるピッキング装置のさらなる動作のために、これは、これらの保管空間に保管されている医薬品パッケージを取り出すことができないことを意味する。
【0028】
代替の実施形態において、ピッキング装置の複数の部分について上述した方法を繰り返す必要がある場合があり(光学検出デバイスがグリッパー上に配置又は使用され、1つの画像で移動空間全体を取り込むことができない場合)、又は、複数の部分画像の画像を構成する必要がある場合がある(複数の光学検出デバイスを使用する場合)。
図1a
図1b
図2
図3
図4
図5
図6a
図6b
図7a
図7b
図7c
図7d
図8
【国際調査報告】