(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-14
(54)【発明の名称】陰圧創傷治療のための流体コネクタ
(51)【国際特許分類】
A61M 27/00 20060101AFI20230307BHJP
A61M 1/00 20060101ALI20230307BHJP
【FI】
A61M27/00
A61M1/00 130
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022542459
(86)(22)【出願日】2021-01-15
(85)【翻訳文提出日】2022-07-21
(86)【国際出願番号】 EP2021050836
(87)【国際公開番号】W WO2021144437
(87)【国際公開日】2021-07-22
(32)【優先日】2020-01-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】397070118
【氏名又は名称】ティージェイ スミス アンド ネフュー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ジョンソン、ダニエル、スーザン
(72)【発明者】
【氏名】サイドボトム、ハンナ、ベイリー
【テーマコード(参考)】
4C077
4C267
【Fターム(参考)】
4C077AA30
4C077DD01
4C077EE04
4C077JJ05
4C077PP13
4C077PP14
4C077PP16
4C267AA03
4C267AA39
4C267AA72
4C267CC01
4C267CC05
4C267CC06
4C267GG03
4C267GG05
4C267GG07
4C267GG08
4C267GG10
4C267JJ02
4C267JJ06
4C267JJ07
4C267JJ08
4C267JJ09
4C267JJ12
(57)【要約】
本明細書には、陰圧を伴う創傷の治療において、陰圧装置およびそれを動作する方法が開示されている。また、吸引チャネルから分離された空気リークチャネルを有する、創傷に陰圧源を接続するための改善された流体コネクタまたは吸引アダプタが開示される。
【選択図】
図15
【特許請求の範囲】
【請求項1】
陰圧創傷治療のための流体コネクタであって、
最上部層、底部層および中間層であって、各層が、可撓性の液体不透過性材料から構築され、各層が近位端および遠位端を含む、最上部層、底部層および中間層と、
前記最上部層と前記中間層との間に少なくとも部分的に画定されている上部流体通路であって、前記上部流体通路が、近位端および遠位端を含み、前記上部流体通路が、前記上部層と前記中間層との間に位置付けられている上部チャネルスペーサ材料を備え、前記上部流体通路が、前記上部流体通路の前記近位端に、またはその近くに位置している前記最上部層における開口部からガスを提供するように構成されている、上部流体通路と、
前記中間層と前記底部層との間に少なくとも部分的に画定されている下部流体通路であって、前記下部流体通路が、陰圧源と流体連通するように構成されており、前記下部流体通路が、前記中間層と前記下部層との間に位置付けられている下部チャネルスペーサ材料を備える、下部流体通路と、
前記底部層の前記遠位端における開口部であって、前記底部層における前記開口部が、創傷の上に位置付けられるように構成されている被覆材における開口部の上に位置付けられるように構成され、前記底部層における前記開口部が、前記下部流体通路に流体接続されている、前記底部層における開口部と、
前記中間層の前記遠位端における開口部であって、前記中間層における前記開口部が、前記上部流体通路に流体接続され、前記中間層における前記開口部が、前記底部層における前記開口部の上に位置付けられている、前記中間層における開口部と、を備え、
前記上部チャネルスペーサ材料の遠位端が、前記下部チャネルスペーサ材料の遠位端よりもさらに遠位に延在し、前記下部流体通路が、前記下部チャネルスペーサ材料のない一部分を遠位端に備え、前記下部流体通路の前記一部分が前記底部層における前記開口部を含み、
陰圧が、前記陰圧源から前記下部流体通路に印加されると、前記下部流体通路における前記一部分が崩壊し、前記下部流体通路における前記一部分を通る、前記下部チャネルスペーサ材料と前記上部チャネルスペーサ材料との間の流体流を遮断するが、前記被覆材における前記開口部、前記底部層における前記開口部、および前記中間層における前記開口部を通る、前記下部チャネルスペーサ材料と前記上部チャネルスペーサ材料との間の流体流を可能にする、陰圧創傷治療のための流体コネクタ。
【請求項2】
陰圧創傷治療のための流体コネクタであって、
最上部層、底部層および中間層であって、各層が、可撓性の液体不透過性材料から構築され、各層が近位端および遠位端を含む、最上部層、底部層および中間層と、
前記最上部層と前記中間層との間に少なくとも部分的に画定されている上部流体通路であって、前記上部流体通路が、近位端および遠位端を含み、前記上部流体通路が、前記上部層と前記中間層との間に位置付けられている上部チャネルスペーサ材料を備え、前記上部流体通路が、前記上部流体通路の前記近位端に、またはその近くに位置している前記最上部層における開口部からガスを提供するように構成されている、上部流体通路と、
前記中間層と前記底部層との間に少なくとも部分的に画定されている下部流体通路であって、前記下部流体通路が、陰圧源と流体連通するように構成されており、前記下部流体通路が、前記中間層と前記下部層との間に位置付けられている下部チャネルスペーサ材料を備える、下部流体通路と、
前記底部層の前記遠位端における1つ以上の開口部であって、前記底部層における前記1つ以上の開口部が、創傷の上に位置付けられるように構成されている被覆材における開口部の上に位置付けられるように構成され、前記底部層における前記1つ以上の開口部のうちの少なくとも1つが、前記下部流体通路に流体接続されている、1つ以上の開口部と、
前記中間層の前記遠位端における開口部であって、前記中間層における前記開口部が、前記上部流体通路に流体接続され、前記中間層における前記開口部が、前記底部層における前記1つ以上の開口部のうちの少なくとも1つの上に位置付けられている、前記中間層における開口部と、を備え、
前記上部チャネルスペーサ材料の遠位端が、前記下部チャネルスペーサ材料の遠位端の少なくとも一部分よりもさらに遠位に延在しており、それによって前記下部流体通路が、前記下部チャネルスペーサ材料のない一部分を遠位端に備え、前記下部流体通路の前記一部分が前記底部層における前記1つ以上の開口部を含む、陰圧創傷治療のための流体コネクタ。
【請求項3】
陰圧が、前記陰圧源から前記下部流体通路に印加されると、前記下部流体通路における前記一部分が崩壊し、前記下部流体通路における前記一部分を通る、前記下部チャネルスペーサ材料と前記上部チャネルスペーサ材料との間の流体流を遮断するが、前記被覆材における前記開口部、前記底部層における前記1つ以上の開口部および前記中間層における前記開口部を通る、前記下部チャネルスペーサ材料と前記上部チャネルスペーサ材料との間の流体流を可能にする、請求項2に記載の流体コネクタ。
【請求項4】
前記遠位端にある前記下部チャネルスペーサ材料の一部分が、前記底部層における前記開口部または前記1つ以上の開口部のうちの1つとオーバーラップする、先行請求項のいずれか一項に記載の流体コネクタ。
【請求項5】
前記遠位端で前記底部層に取り付けられたアプリケータをさらに備え、前記アプリケータが、前記被覆材に接着されるように構成された接着剤を含む、先行請求項のいずれか一項に記載の流体コネクタ。
【請求項6】
前記アプリケータが、前記底部層の前記開口部または前記1つ以上の開口部のすぐ下に配置され、前記被覆材における前記開口部の上に位置付けられるように構成されている開口部を備える、先行請求項のいずれか一項に記載の流体コネクタ。
【請求項7】
中間層における前記開口部の少なくとも一部分が、前記アプリケータにおける前記開口部とオーバーラップする、先行請求項のいずれか一項に記載の流体コネクタ。
【請求項8】
前記底部層における前記開口部または前記1つ以上の開口部が、前記中間層における前記開口部よりも幅広である、先行請求項のいずれか一項に記載の流体コネクタ。
【請求項9】
前記中間層における前記開口部の中心が、前記底部層における前記開口部または前記1つ以上の開口部の各々の中心よりもさらに遠位に位置付けられている、先行請求項のいずれか一項に記載の流体コネクタ。
【請求項10】
前記上部チャネルスペーサ材料が、発泡体を含む、先行請求項のいずれか一項に記載の流体コネクタ。
【請求項11】
前記下部チャネルスペーサ材料が、3Dニットまたは3D生地の材料を含む、先行請求項のいずれか一項に記載の流体コネクタ。
【請求項12】
前記最上部層および前記底部層の各々が、拡張された遠位端を有する、先行請求項のいずれか一項に記載の流体コネクタ。
【請求項13】
前記最上部層および前記底部層の前記拡張された端が長方形である、請求項12に記載の流体コネクタ。
【請求項14】
前記最上部層および前記底部層の前記拡張された端が涙滴形状を形成する、請求項12に記載の流体コネクタ。
【請求項15】
前記底部層が、前記被覆材に取り付けられるように構成されている、先行請求項のいずれか一項に記載の流体コネクタ。
【請求項16】
前記最上部層における前記開口部が、フィルタを備える、先行請求項のいずれか一項に記載の流体コネクタ。
【請求項17】
前記下部チャネルスペーサ材料の近位端と流体連通するコネクタをさらに備え、前記コネクタが、前記陰圧源に流体接続されるように構成されている、先行請求項のいずれか一項に記載の流体コネクタ。
【請求項18】
前記下部流体通路が、前記底部層の一部分が前記中間層に溶接されている、溶接部分を備える、請求項2~17のいずれか一項に記載の流体コネクタ。
【請求項19】
陰圧が、前記陰圧源から前記下部流体通路に印加されると、前記下部流体通路の前記溶接部分が、前記下部流体通路における前記一部分を通る、前記下部チャネルスペーサ材料と前記上部チャネルスペーサ材料との間の流体流を遮断するが、前記被覆材における前記開口部、前記底部層における前記1つ以上の開口部および前記中間層における前記開口部を通る、前記下部チャネルスペーサ材料と前記上部チャネルスペーサ材料との間の流体流を可能にする、請求項18に記載の流体コネクタ。
【請求項20】
前記下部流体通路の前記一部分が、遠位部分および近位部分を含み、前記遠位部分が、前記下部流体通路の前記溶接部分によって前記近位部分から分離される、請求項18または19に記載の流体コネクタ。
【請求項21】
前記底部層の前記1つ以上の開口部が、2つの開口部を含む、請求項18~20のいずれか一項に記載の流体コネクタ。
【請求項22】
前記底部層の前記溶接部分が、前記2つの開口部の間に位置する、請求項21に記載の流体コネクタ。
【請求項23】
前記2つの開口部のうちの少なくとも1つの形状が、半円である、請求項21または22に記載の流体コネクタ。
【請求項24】
前記下部チャネルスペーサ材料の前記遠位端が、2つの側部部分の間のベース部分を備えるフォーク形状を含み、前記2つの側部部分が、前記ベース部分、前記底部層における前記1つ以上の開口部、および前記中間層における前記開口部から遠位に延在し、前記ベース部分が、前記底部層における前記1つ以上の開口部および前記中間層における前記開口部に対して近位にある、請求項2~23のいずれか一項に記載の流体コネクタ。
【請求項25】
前記下部流体通路の前記一部分が、前記下部チャネルスペーサ材料の前記2つの側部部分の間で、かつ前記下部チャネルスペーサ材料の前記ベース部分に対して遠位に位置付けられる、請求項24に記載の流体コネクタ。
【請求項26】
陰圧創傷治療のための流体コネクタであって、
上部流体通路であって、前記上部流体通路の近位端に、またはその近くに位置している開口部から前記上部流体通路の遠位端に向かってガスを提供するように構成されている、上部流体通路と、
下部流体通路であって、陰圧源と流体連通し、流体が前記下部流体通路を通って前記陰圧源に向かって流れることを可能にするように構成されている、下部流体通路と、
前記上部流体通路と前記下部流体通路との間の中間層であって、前記中間層が流体不透過性材料を含む、中間層と、
前記下部流体通路の遠位端にある1つ以上の第1の開口部であって、前記1つ以上の第1の開口部が、創傷の上に位置付けられるように構成されている被覆材における開口部の上に位置付けられるように構成される、1つ以上の第1の開口部と、
前記中間層の遠位端における第2の開口部であって、前記第2の開口部が、底部層における前記1つ以上の第1の開口部のうちの少なくとも1つの上に位置付けられ、前記第2の開口部が、前記上部流体通路に流体接続されている、第2の開口部と、を備え、
前記上部流体通路が、前記下部流体通路よりもさらに遠位に延在し、前記下部流体通路が、前記1つ以上の第1の開口部が位置する空き部分を備え、
陰圧が、前記陰圧源から前記下部流体通路に印加されるとき、流体流は、前記空き部分を通して前記上部流体通路と前記下部流体通路との間で遮断されるが、前記被覆材および前記創傷内に位置付けられる充填剤を通る前記上部流体通路と前記下部流体通路との間の流体流を可能にする、流体コネクタ。
【請求項27】
前記空き部分が、前記下部流体通路に印加される陰圧に応じて崩壊するので、流体流が、前記空き部分を通して前記上部流体通路と前記下部流体通路との間で遮断される、請求項26に記載の流体コネクタ。
【請求項28】
前記空き部分が、前記底部層の一部分が前記中間層に溶接される溶接部分を含み、前記溶接部分が、陰圧が前記下部流体通路に印加されているときに、前記空き部分を通る、前記上部流体通路と前記下部流体通路との間の流体流を遮断するように構成される、請求項26に記載の流体コネクタ。
【請求項29】
前記下部流体通路の前記空き部分が、遠位部分および近位部分を備え、前記遠位部分が、前記下部流体通路の前記溶接部分によって前記近位部分から分離される、請求項28に記載の流体コネクタ。
【請求項30】
前記底部層の前記1つ以上の開口部が、2つの開口部を含む、請求項28または29に記載の流体コネクタ。
【請求項31】
前記底部層の前記溶接部分が、前記2つの開口部の間に位置する、請求項30に記載の流体コネクタ。
【請求項32】
前記2つの開口部のうちの少なくとも1つの形状が半円である、請求項30または31に記載の流体コネクタ。
【請求項33】
前記下部流体通路が、下部チャネルスペーサ材料を備え、前記下部流体通路の前記遠位端にある前記下部チャネルスペーサ材料の一部分が、前記1つ以上の第1の開口部のうちの1つとオーバーラップする、請求項26~32のいずれか一項に記載の流体コネクタ。
【請求項34】
前記下部流体通路が、下部チャネルスペーサ材料を備え、前記下部流体通路の前記遠位端にある前記下部チャネルスペーサ材料の一部分が、前記1つ以上の第1の開口部のうちの1つの遠位エッジに当接する、請求項26~33のいずれか一項に記載の流体コネクタ。
【請求項35】
前記下部流体通路が、下部チャネルスペーサ材料を備え、前記下部流体通路の前記遠位端にある前記下部チャネルスペーサ材料の一部分が、2つの側部部分の間にベース部分を備えるフォーク形状を備え、前記2つの側部部分が、前記ベース部分、前記底部層における前記1つ以上の第1の開口部および前記中間層における前記開口部から遠位に延在し、前記ベース部分が、前記底部層における前記第1の1つ以上の開口部および前記中間層における前記開口部に対して近位である、請求項26~34のいずれか一項に記載の流体コネクタ。
【請求項36】
前記下部流体通路の前記一部分が、前記下部チャネルスペーサ材料の前記2つの側部部分の間で、かつ前記下部チャネルスペーサ材料の前記ベース部分に対して遠位に位置付けられる、請求項35に記載の流体コネクタ。
【請求項37】
遠位端で前記流体コネクタの底部面に取り付けられたアプリケータをさらに備え、前記アプリケータが、前記被覆材に接着されるように構成された接着剤を含む、請求項26~36のいずれか一項に記載の流体コネクタ。
【請求項38】
前記アプリケータが、前記1つ以上の第1の開口部のすぐ下に開口部を備え、前記被覆材における前記開口部の上に位置付けられるように構成されている、請求項37に記載の流体コネクタ。
【請求項39】
前記第2の開口部の少なくとも一部分が、前記アプリケータにおける前記開口部とオーバーラップする、請求項37または38に記載の流体コネクタ。
【請求項40】
前記1つ以上の第1の開口部が、前記第2の開口部よりも幅広である、請求項26~39のいずれか一項に記載の流体コネクタ。
【請求項41】
前記第2の開口部の中心が、前記1つ以上の第1の開口部の各々の中心からさらに遠位に位置付けられる、請求項26~40のいずれか一項に記載の流体コネクタ。
【請求項42】
前記ガスが空気を含む、請求項26~41のいずれか一項に記載の流体コネクタ。
【請求項43】
陰圧創傷治療システムを動作する方法であって、前記方法が、
吸引アダプタを提供することであって、前記吸引アダプタが、
上部流体通路であって、前記上部流体通路の近位端に、またはその近くに位置している開口部から前記上部流体通路の遠位端に向かってガスを提供するように構成されている、上部流体通路と、
下部流体通路であって、陰圧源と流体連通し、流体が前記下部流体通路を通って前記陰圧源に向かって流れることを可能にするように構成されている、下部流体通路と、
前記上部流体通路と前記下部流体通路との間の中間層であって、前記中間層が流体不透過性材料を含む、中間層と、
前記下部流体通路の遠位端にある1つ以上の第1の開口部であって、前記1つ以上の第1の開口部が、創傷の上に位置付けられるように構成されている被覆材における開口部の上に位置付けられるように構成される、1つ以上の第1の開口部と、
前記中間層の遠位端における第2の開口部であって、前記第2の開口部が、底部層における前記1つ以上の第1の開口部のうちの少なくとも1つの上に位置付けられ、前記第2の開口部が、前記上部流体通路に流体接続されている、第2の開口部と、を備え、
前記上部流体通路が、前記下部流体通路よりもさらに遠位に延在し、前記下部流体通路が、前記1つ以上の第1の開口部が位置する空き部分を備える、吸引アダプタを提供することと、
前記吸引アダプタの前記下部流体通路を通して、前記陰圧源から前記創傷に陰圧を印加することと、空き部分で、前記空き部分を通る、前記上部流体通路と前記下部流体通路との間の流体流を遮断させるが、前記上部流体通路からの少なくともいくつかのガスが、前記創傷において位置付けられている前記被覆材および創傷充填剤を通って流れることを可能にし、さらに前記吸引アダプタが、前記被覆材に取り付けられ、前記1つ以上の第1の開口部が、前記被覆材における前記開口部と流体連通して位置付けられている場合、前記下部流体通路を通して吸引されるのを可能にさせることと、を含む、方法。
【請求項44】
前記吸引アダプタの前記下部流体通路を通して、前記陰圧源から前記創傷に陰圧を印加することが、前記空き部分を崩壊させ、それによって前記流体流を選択的に遮断する、請求項43に記載の陰圧創傷治療システムを動作させる方法。
【請求項45】
前記空き部分が、前記底部層が前記中間層に溶接される溶接部分を備え、それによって、前記溶接部分が前記流体流を選択的に遮断するが、前記陰圧源からの前記陰圧が、前記吸引アダプタの前記下部流体通路を通して前記創傷に印加される、請求項43に記載の陰圧創傷治療システムを動作させる方法。
【請求項46】
説明および/もしくは例示された1つ以上の特徴を含む流体コネクタ、説明および/もしくは例示された1つ以上の特徴を含む流体コネクタを使用する方法、説明および/もしくは例示された1つ以上の特徴を含む、陰圧創傷治療装置、説明および/もしくは例示された1つ以上の特徴を含む陰圧創傷治療装置を動作させる方法、ならびに/または説明および/または例示された1つ以上の特徴を含む創傷を治療する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、減圧治療、または局所陰圧(TNP)治療を用いて、創傷を被覆および治療するための方法および装置に関する。具体的には、本明細書に開示された実施形態は、陰圧治療デバイス、TNPシステムの動作を制御するための方法、およびTNPシステムを使用する方法に関するが、これらに限定されない。
【0002】
関連技術の説明
多数の異なる種類の創傷被覆材が、ヒトまたは動物の治癒処置を補助するものとして知られている。これらの異なる種類の創傷被覆材には、異なる種類の材料および層、例えば、ガーゼ、パッド、発泡体パッド、または多層創傷被覆材が含まれる。局所陰圧(TNP)治療は、真空補助閉鎖治療、陰圧創傷治療(NPWT)、または減圧創傷治療とも称されることがあり、創傷の治癒率を改善するための有益なメカニズムとして広く認識されている。そのような治療は、手術創傷、開放創傷、および腹部創傷などの広範な創傷に適用可能である。
【0003】
TNP治療は、組織浮腫を軽減し、血流を促し、肉芽組織の形成を促進させ、過剰な滲出物を除去することによって創傷の閉鎖および治癒を促し、細菌負荷つまり創傷への感染を低減し得る。その上、TNP治療は、創傷のより少ない外部障害を可能とし、かつより迅速な治癒を促す。
【発明の概要】
【0004】
本明細書に開示される実施形態は、陰圧創傷治療で使用するための装置、システム、デバイスおよび方法を対象とする。
【0005】
陰圧創傷治療のための流体コネクタは、最上部層、底部層、および中間層を含み得る。各層は、可撓性の液体不透過性材料から構築することができる。各層は、近位端および遠位端を含み得る。コネクタは、最上部層と中間層との間に少なくとも部分的に画定されている上部流体通路を含み得る。上部流体通路は、近位端および遠位端を含み得る。上部流体通路は、上部層と中間層との間に位置付けられた上部チャネルスペーサ材料を含み得る。上部流体通路は、上部流体通路の近位端に、またはその近くに位置している最上部層における開口部からガスを提供するように構成され得る。コネクタは、中間層と底部層との間に少なくとも部分的に画定されている下部流体通路を含み得る。下部流体通路は、陰圧源と流体連通するように構成され得る。下部流体通路は、中間層と下部層との間に位置付けられた下部チャネルスペーサ材料を含み得る。コネクタは、底部層の遠位端における開口部を含み得る。底部層における開口部は、創傷の上に位置付けられるように構成された被覆材における開口部の上に位置付けられるように構成され得る。底部層における開口部は、下部流体通路に流体接続され得る。コネクタは、中間層の遠位端における開口部を含み得る。中間層における開口部は、上部流体通路に流体接続され得る。中間層における開口部は、底部層における開口部の上に位置付けられ得る。上部チャネルスペーサ材料の遠位端は、下部チャネルスペーサ材料の遠位端よりもさらに遠位に延在し得る。下部流体通路は、下部チャネルスペーサ材料のない一部分を遠位端に含むことができる。下部流体通路の一部分は、底部層における開口部を含み得る。陰圧が、陰圧源から下部流体通路に印加されると、下部流体通路における一部分が崩壊することができ、下部流体通路における一部分を通る、下部チャネルスペーサ材料と上部チャネルスペーサ材料との間の流体流を遮断するが、被覆材における開口部、底部層における開口部および中間層における開口部を通る、下部チャネルスペーサ材料と上部チャネルスペーサ材料との間の流体流を可能にする。
【0006】
先行の段落のいずれかの流体コネクタおよび/または本明細書に開示される流体コネクタのいずれかは、以下の特徴のうちの1つ以上を含み得る。遠位端にある下部チャネルスペーサ材料の一部分は、底部層における開口部とオーバーラップし得る。流体コネクタは、遠位端で底部層に取り付けられたアプリケータを含むことができ、アプリケータは、被覆材に接着されるように構成された接着剤を含む。アプリケータは、底部層の開口部のすぐ下に配置され、被覆材における開口部の上に位置付けられるように構成されている開口部を含み得る。中間層における開口部の少なくとも一部分は、アプリケータにおける開口部とオーバーラップすることができる。底部層における開口部は、中間層における開口部よりも幅広であり得る。中間層における開口部の中心は、底部層における開口部の中心よりもさらに遠位に位置付けられ得る。上部チャネルスペーサ材料は、発泡体を含むことができる。下部チャネルスペーサ材料は、3Dニットまたは3D生地の材料であることができる。最上部層および底部層の各々は、拡張された遠位端を有し得る。最上部層および底部層の拡張された端は、長方形であってもよく、または涙滴形状を形成してもよい。底部層は、被覆材に取り付けられるように構成されている。最上部層における開口部は、フィルタを含み得る。流体コネクタは、下部チャネルスペーサ材料の近位端と流体連通するコネクタを含んでもよく、コネクタは、陰圧源に流体接続されるように構成されている。
【0007】
陰圧創傷治療のための流体コネクタは、上部流体通路を含み得る。上部流体通路は、上部流体通路の近位端に、またはその近くに位置している開口部から、上部流体通路の遠位端に向かってガスを提供するように構成され得る。流体コネクタは、下部流体通路を含み得る。下部流体通路は、陰圧源と流体連通し、流体が下部流体通路を通って陰圧源に向かって流れることを可能にするように構成され得る。流体コネクタは、上部流体通路と下部流体通路との間の中間層を含むことができる。中間層は、流体不透過性材料を含み得る。流体コネクタは、下部流体通路の遠位端に第1の開口部を含み得る。第1の開口部は、創傷の上に位置付けられるように構成されている被覆材における開口部の上に位置付けられるように構成され得る。流体コネクタは、中間層の遠位端に第2の開口部、底部層における第1の開口部の上に位置付けされた第2の開口部、および上部流体通路に流体接続されている第2の開口部を含み得る。上部流体通路は、下部流体通路よりもさらに遠位に延在してもよく、下部流体通路は、第1の開口部が位置する空き部分を含み得る。陰圧が、陰圧源から下部流体通路に印加されると、空き部分は崩壊して、空き部分を通る、上部流体通路と下部流体通路の間の流体流を遮断するが、被覆材および創傷に位置付けられた充填剤を通る、上部流体通路と下部流体通路との間の流体流を可能にする。
【0008】
先行の段落のいずれかの流体コネクタおよび/または本明細書に開示される流体コネクタのいずれかは、以下の特徴のうちの1つ以上を含み得る。下部流体通路は、材料を含み得る。下部流体通路の遠位端にある材料の一部分は、第1の開口部とオーバーラップし得る。流体コネクタは、遠位端で流体コネクタの底部面に取り付けられたアプリケータを含み得る。アプリケータは、被覆材に接着されるように構成された接着剤を含み得る。アプリケータは、第1の開口部のすぐ下に開口部を含み得る。アプリケータは、被覆材における開口部の上に位置付けられるように構成され得る。第2の開口部の少なくとも一部分は、アプリケータにおける開口部とオーバーラップすることができる。第1の開口部は、第2の開口部よりも幅広であり得る。第2の開口部の中心は、第1の開口部の中心からさらに遠位に位置付けられ得る。ガスは、空気を含み得る。
【0009】
先行の段落のいずれかの流体コネクタおよび/または本明細書に記載される流体コネクタのいずれかを動作する方法が開示されている。先行の段落のいずれかの流体コネクタおよび/または本明細書に記載される流体コネクタのいずれかを含む、陰圧創傷治療システムを動作する方法が開示されている。陰圧創傷治療システムを動作する方法は、吸引アダプタを提供することを含み得る。吸引アダプタは、上部流体通路の近位端に、またはその近くに位置している開口部から上部流体通路の遠位端に向かってガスを提供するように構成されている上部流体通路を含み得る。吸引アダプタは、陰圧源と流体連通し、流体が陰圧源に向かって下部流体通路を通って流れるのを可能にするように構成されている下部流体通路を含み得る。吸引アダプタは、上部流体通路と下部流体通路との間の中間層を含むことができる。中間層は、流体不透過性材料を含み得る。吸引アダプタは、下部流体通路の遠位端に第1の開口部を含み得る。第1の開口部は、創傷の上に位置付けられるように構成されている被覆材における開口部の上に位置付けられるように構成され得る。吸引アダプタは、中間層の遠位端に第2の開口部を含み得る。第2の開口部は、底部層における第1の開口部の上に位置付けられ得る。第2の開口部は、上部流体通路に流体接続され得る。上部流体通路は、下部流体通路よりもさらに遠位に延在し得る。下部流体通路は、第1の開口部が位置する空き部分を含み得る。方法は、吸引アダプタの下部流体通路を通して、陰圧源から創傷に陰圧を印加することと、空き部分を崩壊させ、空き部分を通る、上部流体通路と下部流体通路との間の流体流を遮断することを含むが、上部流体通路からの少なくともいくつかのガスが、創傷内に位置付けられている被覆材および創傷充填剤を通って流れることを可能にし、さらに吸引アダプタが被覆材に取り付けられ、第1の開口部が被覆材における開口部と流体連通して位置付けられている場合、下部流体通路を通して吸引されるのを可能にさせることと、を含み得る。
【0010】
陰圧創傷治療のための流体コネクタは、最上部層、底部層、および中間層を含み得る。各層は、可撓性の液体不透過性材料から構築することができる。各層は、近位端および遠位端を含み得る。コネクタは、最上部層と中間層との間に少なくとも部分的に画定されている上部流体通路を含み得る。上部流体通路は、近位端および遠位端を含み得る。上部流体通路は、上部層と中間層との間に位置付けられた上部チャネルスペーサ材料を含み得る。上部流体通路は、上部流体通路の近位端に、またはその近くに位置している最上部層における開口部からガスを提供するように構成され得る。コネクタは、中間層と底部層との間に少なくとも部分的に画定されている下部流体通路を含み得る。下部流体通路は、陰圧源と流体連通するように構成され得る。下部流体通路は、中間層と下部層との間に位置付けられた下部チャネルスペーサ材料を含み得る。コネクタは、底部層の遠位端における1つ以上の開口部を含み得る。底部層における1つ以上の開口部は、創傷の上に位置付けられるように構成された被覆材における開口部の上に位置付けられるように構成され得る。底部層の1つ以上の開口部のうちの少なくとも1つは、下部流体通路に流体接続され得る。コネクタは、中間層の遠位端における開口部を含み得る。中間層における開口部は、上部流体通路に流体接続され得る。中間層における開口部は、底部層における1つ以上の開口部のうちの少なくとも1つの上に位置付けられ得る。上部チャネルスペーサ材料の遠位端は、下部チャネルスペーサ材料の遠位端の少なくとも一部分よりさらに遠位に延在してもよく、それにより、下部流体通路は、下部チャネルスペーサ材料のない一部分を遠位端に含むことができる。下部流体通路の一部分は、底部層における1つ以上の開口部を含み得る。
【0011】
先行の段落のいずれかの流体コネクタおよび/または本明細書に開示される流体コネクタのいずれかは、以下の特徴のうちの1つ以上を含み得る。陰圧が、陰圧源から下部流体通路に印加されると、下部流体通路における一部分が崩壊することができ、下部流体通路における一部分を通る、下部チャネルスペーサ材料と上部チャネルスペーサ材料との間の流体流を遮断するが、被覆材における開口部、底部層における1つ以上の開口部、および中間層における開口部を通る、下部チャネルスペーサ材料と上部チャネルスペーサ材料との間の流体流を可能にする。遠位端にある下部チャネルスペーサ材料の一部分は、底部層における1つ以上の開口部のうちの1つとオーバーラップし得る。流体コネクタは、遠位端で底部層に取り付けられたアプリケータを含むことができ、アプリケータは、被覆材に接着されるように構成された接着剤を含む。アプリケータは、底部層の1つ以上の開口部のすぐ下に配置され、被覆材における開口部の上に位置付けられるように構成されている開口部を含み得る。中間層における開口部の少なくとも一部分は、アプリケータにおける開口部とオーバーラップすることができる。底部層における1つ以上の開口部は、中間層における開口部よりも幅広であり得る。中間層における開口部の中心は、底部層における1つ以上の開口部の各々の中心よりもさらに遠位に位置付けられ得る。上部チャネルスペーサ材料は、発泡体を含むことができる。下部チャネルスペーサ材料は、3Dニットまたは3D生地の材料であることができる。最上部層および底部層の各々は、拡張された遠位端を有し得る。最上部層および底部層の拡張された端は、長方形であってもよく、または涙滴形状を形成してもよい。底部層は、被覆材に取り付けられるように構成されている。最上部層における開口部は、フィルタを含み得る。流体コネクタは、下部チャネルスペーサ材料の近位端と流体連通するコネクタを含んでもよく、コネクタは、陰圧源に流体接続されるように構成されている。下部流体通路は、底部層の一部分が中間層に溶接され得る、溶接部分を含み得る。陰圧が、陰圧源から下部流体通路に印加されると、下部流体通路の溶接部分が、下部流体通路における一部分を通る、下部チャネルスペーサ材料と上部チャネルスペーサ材料との間の流体流を遮断することができるが、被覆材における開口部、底部層における1つ以上の開口部、および中間層における開口部を通る、下部チャネルスペーサ材料と上部チャネルスペーサ材料との間の流体流を可能にする。下部流体通路の一部分は、下部流体通路の溶接部分によって遠位部分から分離された遠位部分および近位部分を含み得る。底部層の1つ以上の開口部は、2つの開口部を含み得る。底部層の溶接部分は、2つの開口部の間に位置することができる。2つの開口部のうちの少なくとも1つの形状は、半円であり得る。下部チャネルスペーサ材料の遠位端は、2つの側部部分の間にベース部分を含む、フォーク形状を含み得る。2つの側部部分は、ベース部分、底部層における1つ以上の開口部、および中間層における開口部から遠位に延在し得る。ベース部分は、底部層における1つ以上の開口部および中間層における開口部に対して近位であってもよい。下部流体通路は、下部チャネルスペーサ材料の2つの側部部分の間で、かつ下部チャネルスペーサ材料のベース部分に対して遠位に位置付けられ得る。
【0012】
陰圧創傷治療のための流体コネクタは、上部流体通路を含み得る。上部流体通路は、上部流体通路の近位端に、またはその近くに位置している開口部から、上部流体通路の遠位端に向かってガスを提供するように構成され得る。流体コネクタは、下部流体通路を含み得る。下部流体通路は、陰圧源と流体連通し、流体が下部流体通路を通って陰圧源に向かって流れることを可能にするように構成され得る。流体コネクタは、上部流体通路と下部流体通路との間の中間層を含むことができる。中間層は、流体不透過性材料を含み得る。流体コネクタは、下部流体通路の遠位端に1つ以上の第1の開口部を含み得る。1つ以上の第1の開口部は、創傷の上に位置付けられるように構成されている被覆材における開口部の上に位置付けられるように構成され得る。流体コネクタは、中間層の遠位端に第2の開口部を含み得る。第2の開口部は、底部層における1つ以上の第1の開口部のうちの少なくとも1つの上に位置付けられ得る。第2の開口部は、上部流体通路に流体接続され得る。上部流体通路は、下部流体通路よりもさらに遠位に延在してもよく、下部流体通路は、1つ以上の第1の開口部が位置する空き部分を含み得る。陰圧が、陰圧源から下部流体通路に印加されるとき、流体流は、空き部分を通して上部流体通路と下部流体通路との間で遮断されてもよいが、被覆材および創傷内に位置付けられる充填剤を通る上部流体通路と下部流体通路との間の流体流を可能とする。
【0013】
先行の段落のいずれかの流体コネクタおよび/または本明細書に開示される流体コネクタのいずれかは、以下の特徴のうちの1つ以上を含み得る。空き部分は、下部流体通路に印加される陰圧に応じて崩壊するので、流体流は、空き部分を通して上部流体通路と下部流体通路との間で遮断され得る。空き部分は、底部層の一部分が中間層に溶接され得る、溶接部分を含み得る。溶接部分は、陰圧が下部流体通路に印加されているときに、空き部分を通る上部流体通路と下部流体通路との間の流体流を遮断するように適合され得る。下部流体通路の空き部分は、下部流体通路の溶接部分によって遠位部分から分離された遠位部分および近位部分を含み得る。底部層の1つ以上の開口部は、2つの開口部を含み得る。底部層の溶接部分は、2つの開口部の間に位置することができる。2つの開口部のうちの少なくとも1つの形状は、半円であり得る。下部流体通路は、下部チャネルスペーサ材料を含み得る。下部流体通路の遠位端にある下部チャネルスペーサ材料の一部分は、1つ以上の第1の開口部のうちの1つとオーバーラップし得る。下部流体通路の遠位端にある下部チャネルスペーサ材料の一部分は、1つ以上の第1の開口部のうちの1つの遠位エッジに当接し得る。下部流体通路の遠位端にある下部チャネルスペーサ材料の一部分は、2つの側部部分の間のベース部分を含む、フォーク形状を含み得る。2つの側部部分は、ベース部分、底部層における1つ以上の第1の開口部、および中間層における開口部から遠位に延在し得る。ベース部分は、底部層における1つ以上の第1の開口部および中間層における開口部に対して近位であってもよい。下部流体通路の一部分は、下部チャネルスペーサ材料の2つの側部部分の間で、かつ下部チャネルスペーサ材料のベース部分に対して遠位に位置付けられ得る。流体コネクタは、遠位端で流体コネクタの底部面に取り付けられたアプリケータを含み得る。アプリケータは、被覆材に接着されるように構成された接着剤を含み得る。アプリケータは、1つ以上の第1の開口部のすぐ下に開口部を含み得る。アプリケータは、被覆材における開口部の上に位置付けられるように構成され得る。第2の開口部の少なくとも一部分は、アプリケータにおける開口部とオーバーラップすることができる。1つ以上の第1の開口部は、第2の開口部よりも幅広であり得る。第2の開口部の中心は、第1の1つ以上の開口部の各々の中心からさらに遠位に位置付けられ得る。ガスは、空気を含み得る。
【0014】
陰圧創傷治療システムを動作させる方法は、吸引アダプタを提供することを含み得る。吸引アダプタは、上部流体通路の近位端に、またはその近くに位置している開口部から上部流体通路の遠位端に向かってガスを提供するように構成されている上部流体通路を含み得る。吸引アダプタは、陰圧源と流体連通し、流体が陰圧源に向かって下部流体通路を通って流れるのを可能にするように構成されている下部流体通路を含み得る。吸引アダプタは、上部流体通路と下部流体通路との間の中間層を含むことができる。中間層は、流体不透過性材料を含み得る。吸引アダプタは、下部流体通路の遠位端に1つ以上の第1の開口部を含み得る。1つ以上の第1の開口部は、創傷の上に位置付けられるように構成されている被覆材における開口部の上に位置付けられるように構成され得る。吸引アダプタは、中間層の遠位端に第2の開口部を含み得る。第2の開口部は、底部層における1つ以上の第1の開口部のうちの少なくとも1つの上に位置付けられ得る。第2の開口部は、上部流体通路に流体接続され得る。上部流体通路は、下部流体通路よりもさらに遠位に延在し得る。下部流体通路は、1つ以上の第1の開口部が位置する空き部分を含み得る。方法は、吸引アダプタの下部流体通路を通して、陰圧源から創傷に陰圧を印加することと、空き部分で、空き部分を通る、上部流体通路と下部流体通路との間の流体流を遮断させることを含むが、上部流体通路からの少なくともいくつかのガスが、創傷内に位置付けられている被覆材および創傷充填剤を通って流れることを可能にし、さらに吸引アダプタが被覆材に取り付けられ、1つ以上の第1の開口部が被覆材における開口部と流体連通して位置付けられている場合、下部流体通路を通して吸引されるのを可能にさせることと、を含み得る。
【0015】
任意の前述の段落の方法および/または本明細書に開示される方法のうちのいずれかは、次の特徴のうちの1つ以上を含み得る。吸引アダプタの下部流体通路を通して、陰圧源から創傷に陰圧を印加することは、空き部分を崩壊させ、それによって流体流を選択的に遮断し得る。空き部分は、底部層が中間層に溶接され得る溶接部分を含むことができ、それによって、溶接部分は、流体流を選択的に遮断するが、陰圧源からの陰圧が吸引アダプタの下部流体通路を通して創傷に印加される。
【0016】
陰圧で使用するための装置の他の実施形態、デバイスおよび関連方法を以下に記載する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】いくつかの実施形態による減圧創傷治療システムを例示する。
【
図2】いくつかの実施形態によるポンプ組立体およびキャニスタを例示する。
【
図3】いくつかの実施形態によるポンプ組立体の電気的構成要素概略図を例示する。
【
図4A】ポンプを含み、創傷に適用される可撓性吸引アダプタを示す、陰圧創傷治療システムの実施形態を例示する。
【
図4B】可撓性吸引アダプタが創傷の上に配置された、
図4Aの実施形態を例示する。
【
図5A】陰圧創傷治療システムで使用され得る可撓性吸引アダプタの等角図を例示する。
【
図5C】
図5Bの可撓性吸引アダプタの近位端の拡大図を例示する。
【
図5D】
図2Aの可撓性吸引アダプタの近位端の拡大切断図を例示する。
【
図5E】
図5Aの可撓性吸引アダプタの最上部面図を例示する。
【
図6】代替の可撓性吸引アダプタの分解図を例示する。
【
図7A】陰圧創傷治療デバイスに使用され得る3D生地の最上部面図を例示する。
【
図8A】
図5Aに例示される吸引アダプタに接続され得る、2つ以上の突出部を有するコネクタの一実施形態を例示する。
【
図8B】
図5Aに例示される吸引アダプタに接続され得る、2つ以上の突出部を有するコネクタの一実施形態を例示する。
【
図9A】陰圧創傷治療システムで使用され得る可撓性吸引アダプタの分解図を例示する。
【
図9B】
図9Aの可撓性吸引アダプタの最上部面図を例示する。
【
図10】いくつかの実施形態による陰圧を印加するためのシステムの図を例示する。
【
図11A】いくつかの実施形態による、創傷に適用される可撓性吸引アダプタのペアを例示する、陰圧デバイスを含む陰圧創傷治療システムを例示する。
【
図11B】可撓性吸引アダプタが創傷の上に配置された、
図11Aの一実施形態を例示する。
【
図12】いくつかの実施形態による陰圧を印加するためのシステムの図を例示する。
【
図13】いくつかの実施形態による、1つ以上の動作条件を決定および示すためのプロセスのフロー図を例示する。
【
図14】いくつかの実施形態による、1つ以上の動作条件を決定および示すためのプロセスのフロー図を例示する。
【
図15】陰圧創傷治療システムで使用され得る可撓性吸引アダプタの断面図を例示する。
【
図16】
図15の可撓性吸引アダプタの一部分の分解図を例示する。
【
図17】
図15の可撓性吸引アダプタの一部分の分解図を例示する。
【
図19】創傷被覆材に取り付けられ、陰圧を受ける、
図15の可撓性吸引アダプタを例示する。
【
図20】創傷被覆材に取り付けられ、陰圧を受ける、
図15の可撓性吸引アダプタを例示する。
【
図21】創傷被覆材に取り付けられ、陰圧を受ける、
図15の可撓性吸引アダプタを例示する。
【
図22】可撓性吸引アダプタの異なる実施形態の底部面図を例示する。
【
図23】可撓性吸引アダプタの異なる実施形態の底部面図を例示する。
【
図27】陰圧創傷治療システムで使用され得る可撓性吸引アダプタの一実施形態の断面図を例示する。
【発明を実施するための形態】
【0018】
概要
本明細書に開示された実施形態は、減圧により創傷を治療する装置、システム、デバイスおよび方法に関する。本明細書に使用する通り、-XmmHgなど、減圧または陰圧レベルは、760mmHg(または1atm、29.93inHg、101.325kPa、14.696psiなど)に相当し得る、平常の周囲気圧に対する圧力レベルを表す。したがって、-XmmHgの陰圧値は、760mmHgよりもXmmHg低い絶対圧力、または、言い換えれば、(760-X)mmHgの絶対圧力を反映する。さらに、XmmHgよりも「低い」または「小さい」陰圧は、大気圧により近い圧力に相当する(例えば、-40mmHgは、-60mmHgよりも低い)。-XmmHgよりも「高い」または「大きい」陰圧は、大気圧からより遠い圧力に相当する(例えば、-80mmHgは、-60mmHgよりも高い)。いくつかの実施形態では、局所的な周囲気圧は基準点として使用され、そのような局所的な気圧は、必ずしも、例えば、760mmHgでなくてもよい。
【0019】
本開示の実施形態は、概して、局所陰圧(TNP)または減圧治療システムで使用するように適用可能である。簡単に言えば、陰圧創傷治療は、組織の浮腫を低減し、血流および顆粒組織形成を促し、過度の滲出液を除去することによって、「治癒が困難な」創傷の多くの形態の閉鎖、および治癒を支援し、細菌負荷(および、それゆえ感染リスク)を低減することができる。加えて、治療によって、創傷の不安を減らすことが可能になり、より早期の治癒に導く。TNP治療システムはまた、流体を除去することによって、外科的に閉じられた創傷の治癒を支援することができる。いくつかの実施形態では、TNP治療は、閉鎖の反対位置の組織を安定化するのに役立つ。TNP治療のさらなる有益な使用は、過剰な流体を除去することが重要であり、組織の生存度を確保するために移植片が組織に近接していることが求められる、移植片およびフラップにおいて見出すことができる。
【0020】
陰圧システム
図1は、創腔110であって、創傷カバー120によってシールされた創腔の内部に配置された創傷充填剤130を含む、陰圧または減圧創傷治療(またはTNP)システム100の実施形態を例示する。創傷カバー120と組み合わされた創傷充填剤130は、創傷被覆材として言及され得る。単一または複数の内腔管または導管などの、流路140は、創傷カバー120を、減圧を供給するように構成された、例えばポンプ組立体150である、陰圧創傷治療デバイスに接続する。創傷カバー120は、創腔110と流体連通することができる。
図1に示される実施形態のような本明細書で開示されるいくつかのシステムの実施形態において、ポンプ組立体は、キャニスタレスポンプ組立体であることができる(滲出液が、創傷被覆材に集められる、または別の位置に集めるために管140を介して運ばれることを意味する)。しかし、本明細書で開示されるいくつかのポンプ組立体の実施形態は、キャニスタを含むまたは支持するように構成され得る。追加的に、本明細書で開示されるいくつかのシステムの実施形態において、いくつかのポンプ組立体の実施形態は、被覆材に装着されるか、もしくは被覆材によって支持され得るか、または被覆材に隣接し得る。創傷充填剤130は、親水性または疎水性発泡体、ガーゼ、膨張可能なバッグ等の任意の好適なタイプであってもよい。創傷充填剤130は、それが腔を実質的に充填するように、創腔110に適合することができる。創傷カバー120は、創腔110の上に実質的に流体不透過性のシールを提供することができる。創傷カバー120は、最上部面および底部面を有し得、底部面は、創腔110を粘着的に(または任意の他の好適な様式で)シールする。本明細書に開示される導管140もしくは内腔または任意の他の導管もしくは内腔は、ポリウレタン、PVC、ナイロン、ポリエチレン、シリコン、または任意の他の好適な材料から形成され得る。
【0021】
創傷カバー120のいくつかの実施形態は、導管140の端を受容するように構成されたポート(図示せず)を有し得る。その他の実施形態では、導管140は、別のやり方では、創腔内に所望のレベルの減圧圧力を維持するように、減圧圧力を創腔110に供給するために創傷カバー120を通り抜けるまたはその下にあることができる。導管140は、ポンプ組立体150によって提供される減圧を創腔110に供給するために、ポンプ組立体150と創傷カバー120との間に少なくとも実質的にシールされた流体流路を提供するように構成された、任意の好適な物品であり得る。創傷カバー120および創傷充填剤130は、単一の物品または一体型の単一ユニットとして提供され得る。いくつかの実施形態では、創傷充填剤が提供されずに、創傷カバーがそれ自体として創傷被覆材とみなされてもよい。次いで、創傷被覆材は、導管140を介して、ポンプ組立体150などの陰圧源に接続され得る。ポンプ組立体150は小形化され、持ち運び可能とすることができるが、より大きな従来のそのようなポンプがまた使用されてもよい。
【0022】
創傷カバー120は、治療される創傷部位の上に位置し得る。創傷カバー120は、創傷部位の上に、実質的にシールされた腔または包囲空間を形成することができる。いくつかの実施形態では、創傷カバー120は、過剰流体の蒸発を可能にする高い水蒸気透過性を持つフィルムを有するように構成されることができ、また創傷滲出液を安全に吸収するためにその中に含まれる超吸収性材料を有することができる。本明細書全体を通して創傷について言及されていることが理解されるであろう。この点において、創傷という用語は広く解釈され、皮膚が断裂、切開、もしくは穿孔される、または外傷によって挫傷が引き起こされる開放創および閉鎖創、あるいは患者、あるいは減圧治療によって利益を得る者の皮膚における任意の他の表面もしくは他の状態または欠陥を包含することを理解されたい。したがって、創傷は、流体が生成されるか、またはされない場合がある、組織の任意の損傷領域として広く定義される。そのような創傷の例としては、急性創傷、慢性創傷、外科切開、および他の切開、亜急性創傷および裂開創傷、外傷性創傷、フラップおよび皮膚移植片、裂傷、擦傷、挫傷、火傷、糖尿病性潰瘍、褥瘡、ストーマ、外科的創傷、外傷性潰瘍および静脈性潰瘍などが挙げられるが、それらに限定されない。本明細書に記載のTNPシステムの構成要素は、少量の創傷滲出液を滲出する手術創に特に好適であり得る。
【0023】
システムのいくつかの実施形態は、滲出液キャニスタを使用することなく動作するように設計されている。いくつかの実施形態は、滲出液キャニスタを支持するように構成され得る。いくつかの実施形態では、管材料140がポンプ組立体150から迅速にかつ容易に取り除かれ得るようにポンプ組立体150および管材料140を構成することは、必要な場合、被覆材またはポンプを交換するプロセスを容易にする、または改善することができる。本明細書で開示されるいくつかのポンプの実施形態は、管材料とポンプとの間の任意の好適な接続を有するように構成され得る。
【0024】
いくつかの実施形態では、ポンプ組立体150は、およそ-80mmHg、または約-20mmHg~-200mmHgの陰圧を送達するように構成され得る。これらの圧力は、正常な周囲大気圧と相対的であり、つまり、-200mmHgが、実際的には約560mmHgであり得ることに留意されたい。圧力範囲は、約-40mmHg~-150mmHgであり得る。あるいは、最高-75mmHgまで、最高-80mmHgまで、または-80mmHgを上回る圧力範囲が使用され得る。また、-75mmHgを下回る圧力範囲も使用され得る。あるいは、およそ-100mmHgまたはさらに150mmHgより上の圧力範囲が、ポンプ組立体150により供給され得る。いくつかの実施形態では、ポンプ組立体150は、連続的または断続的な陰圧治療を提供するように構成される。連続治療は、-25mmHgより上、-25mmHg、-40mmHg、-50mmHg、-60mmHg、-70mmHg、-80mmHg、-90mmHg、-100mmHg、-120mmHg、-140mmHg、-160mmHg、-180mmHg、-200mmHg、または-200mmHgより下で送達され得る。断続的な治療は、低い陰圧設定値と高い陰圧設定値との間で送達され得る。低い設定値は、0mmHgより上、0mmHg、-25mmHg、-40mmHg、-50mmHg、-60mmHg、-70mmHg、-80mmHg、-90mmHg、-100mmHg、-120mmHg、-140mmHg、-160mmHg、-180mmHg、または-180mmHgより下に設定され得る。高い設定値は、-25mmHgより上、-40mmHg、-50mmHg、-60mmHg、-70mmHg、-80mmHg、-90mmHg、-100mmHg、-120mmHg、-140mmHg、-160mmHg、-180mmHg、-200mmHg、または-200mmHgより下に設定され得る。断続的な治療中、低い設定値での陰圧を第1の継続時間にわたって送達することができ、また第1の継続時間の終了時には、高い設定値での陰圧を第2の継続時間にわたって送達することができる。第2の継続時間の終了時には、低い設定値での陰圧を送達することができる。第1および第2の継続時間は、同一の値または異なる値とすることができる。第1および第2の継続時間は、以下の範囲から選択することができる:2分より短い、2分、3分、4分、6分、8分、10分、または10分よりも長い。いくつかの実施形態では、低い設定値と高い設定値との間の切り替えを行うことは、ステップ波形、矩形波、正弦波形等に従って実施することができる。
【0025】
いくつかの実施形態では、TNPシステム100は、ポンプ組立体150に接続された複数の創傷被覆材を含み得る。ポンプ組立体150を有する複数の創傷被覆材を有するTNPシステムの性能および創傷治癒能力(流体管理など)は、単一のポンプセットアップを有する標準的な単一の創傷被覆材の性能および創傷治癒能力と同等であるか、またはそれを超えることができる。
【0026】
動作時に、創傷充填剤130は、創腔110内に挿入され、創傷カバー120は、創腔110をシールするように設置される。ポンプ組立体150は、創傷充填剤130を介して創腔110に伝達される陰圧源を、創傷カバー120に提供する。流体(例えば、創傷滲出液)は、導管140を通して引き出され、キャニスタ内に貯蔵され得る。いくつかの実施形態では、流体は、創傷充填剤130または1つ以上の吸収層(図示せず)によって吸収される。
【0027】
本出願のポンプ組立体およびその他の実施形態と共に利用され得る創傷被覆材は、Smith&Nephewから入手可能なRenasys-F、Renasys-G、Renasys AB、およびPico被覆材を含む。本明細書に記載される被覆材のいずれも、Smith&NephewのRenasysソフトポートコネクタ、または被覆材とポンプ組立体との間のインターフェースと共に使用することができる。例えば、Renasysソフトポートコネクタは、流路140に位置付けられ、創傷被覆材のポートとしての役目を果たすことができる。その他の実施形態では、その他の好適な創傷被覆材が利用され得る。
【0028】
ポンプ組立体およびキャニスタ
図2は、いくつかの実施形態によるポンプ組立体230およびキャニスタ220の前面
図200を例示する。例示されるように、ポンプ組立体230とキャニスタが接続され、それにより、TNPデバイスまたはシステムを形成する。ポンプ組立体230は、アラームを表示するように構成されている視覚的表示器202およびTNPシステムの状態を表示するように構成される視覚的表示器204などの1つ以上の表示器を含む。表示器202および204は、通常のまたは適切な動作状態、ポンプ故障、ポンプに供給される電力または電力故障、創傷カバーまたは流路内のリークの検出、吸引閉塞、無流状態、キャニスタ満杯状態、または任意のその他の同様のもしくは適切な状態、またはそれらの組み合わせをユーザに警告することを含む、システムの様々な動作または故障状態を患者または医療提供者などのユーザに警告するように構成され得る。ポンプ組立体230は、追加の表示器を含み得る。ポンプ組立体は、単一の表示器または複数の表示器を使用することができる。任意の好適な表示器、例えば、視覚表示器、音声表示器、触覚表示器などを使用することができる。表示器202は、例えば、キャニスタ満杯、電力低下、導管140のはずれ、創傷シール120におけるシール破損などの警告状態を示すように構成され得る。表示器202は、ユーザの注意を引くために、赤色の閃光を表示するように構成され得る。表示器204は、例えば、治療送達は正常である、リークが検出された、などのTNPシステムの状態を合図するように構成され得る。表示器204は、緑色、黄色など、1つ以上の異なる色の光を表示するように構成され得る。例えば、TNPシステムが適切に動作しているときに緑色の光を放射することができ、警告を表示するために黄色の光を放射することができる。
【0029】
ポンプ組立体230は、ポンプ組立体のケース内に形成された凹部208に取り付けられたディスプレイまたは画面206を含む。ディスプレイ206は、タッチスクリーンディスプレイであり得る。ディスプレイ206は、取り扱い説明ビデオなどの視聴覚(AV)コンテンツの再生を支援することができる。以下で説明されるように、ディスプレイ206は、いくつかの画面またはグラフィカルユーザインターフェース(GUI)がTNPシステムの動作を構成、制御、および監視するように構成され得る。ポンプ組立体230は、ポンプ組立体のケース内に形成されたグリップ部分210を含む。グリップ部分210は、例えば、キャニスタ220の取り外し中に、ユーザがポンプ組立体230を保持することを支援するように構成され得る。キャニスタ220は、例えば、キャニスタ220が流体で充填された場合に、別のキャニスタと取り替えられ得る。
【0030】
ポンプ組立体230は、ユーザがTNPシステムの動作を操作および監視することを可能にするように構成された、1つ以上のキーまたはボタン212を含む。例示されるように、ボタン212a、212b、および212cが含まれている。ボタン212aは、ポンプ組立体230の電源を入れる/切るための電源ボタンとして構成され得る。ボタン212bは、陰圧治療の送達のための再生/一時停止ボタンとして構成され得る。例えば、ボタン212bを押すことによって、治療を開始することができ、その後ボタン212bを押すことによって、治療を一時停止または終了することができる。ボタン212cは、ディスプレイ206またはボタン212をロックするように構成され得る。例えば、ボタン212cを押すことによって、ユーザが意図せず治療の送達を変更しないようにすることができる。ボタン212cを押して、制御を解除することができる。その他の実施形態では、追加的なボタンが、使用されてもよく、または例示したボタン212a、212bまたは212cのうち1つ以上が、省かれてもよい。複数回のキーの押下または連続的なキーの押下を使用して、ポンプ組立体230を操作することができる。
【0031】
ポンプ組立体230は、カバー内に形成された1つ以上のラッチ凹部222を含む。例示的実施形態では、2つのラッチ凹部222は、ポンプ組立体230の両側に形成され得る。ラッチ凹部222は、1つ以上のキャニスタラッチ221を使用してキャニスタ220の取り付けおよび分離を可能にするように構成され得る。ポンプ組立体230は、空気を創腔110から取り除いて逃がすための空気出口224を含む。ポンプ組立体に入る空気は、抗菌フィルタなどの1つ以上の好適なフィルタを通り抜けることができる。これによって、ポンプ組立体の再利用性を維持することができる。ポンプ組立体230は、ポンプ組立体230に携帯ストラップを接続するための、または受け台を取り付けるための1つ以上のストラップ取り付け部226を含む。例示的実施形態では、2つのストラップ取り付け部226は、ポンプ組立体230の両側に形成され得る。いくつかの実施形態では、種々のこれらの特徴は省かれ、または種々の追加的な特徴がポンプ組立体230に加えられる。
【0032】
キャニスタ220は、創腔110から取り除かれる流体(例えば、滲出液)を保持するように構成される。キャニスタ220は、キャニスタをポンプ組立体230に取り付けるための1つ以上のラッチ221を含む。例示的実施形態では、キャニスタ220は、キャニスタの両側に2つのラッチ221を含む。キャニスタ220の外部は、キャニスタが実質的に不透明であり、またキャニスタの中身が平面視で実質的に隠されるように、つや消しプラスチックから形成され得る。キャニスタ220は、キャニスタのケース内に形成されたグリップ部分214を含む。グリップ部分214は、例えば、装置230からのキャニスタの取り外しの間などに、ユーザがポンプ組立体220を保持することを可能にするように構成され得る。キャニスタ220は、実質的に透明な窓216を含み、この窓は、体積の目盛りも含み得る。例えば、示される300mLのキャニスタ220は、50mL、100mL、150mL、200mL、250mLおよび300mLの目盛りを含む。キャニスタのその他の実施形態は、異なる量の流体を保持することができ、異なる目盛り尺度を含むことができる。例えば、キャニスタは、800mLのキャニスタであることができる。キャニスタ220は、導管140に接続するための配管チャネル218を含む。いくつかの実施形態では、グリップ部分214などの1つ以上の特徴は省かれ、または種々の追加的な特徴がキャニスタ220に加えられる。開示されるキャニスタのうちのいずれも、凝固剤を含み得るか、または凝固剤を省き得る。
【0033】
電子機器およびソフトウェア
図3は、いくつかの実施形態による、ポンプ組立体230などの、ポンプ組立体の電気的構成要素概略
図300を例示する。電気的構成要素は、ユーザ入力を受け入れ、ユーザに出力を提供し、ポンプ組立体およびTNPシステムを操作し、ネットワーク接続などを提供するように動作することができる。電気的構成要素は、1つ以上のプリント回路基板(PCB)上に取り付けることができる。例示されるように、ポンプ組立体は、複数のプロセッサを含み得る。様々なタスクを様々なプロセッサに配分する、または、割り当てるために、複数のプロセッサを利用することが有利であり得る。第1のプロセッサは、ユーザ活動を担当することができ、第2のプロセッサは、ポンプを制御することを担当することができる。このように、(より高いリスクレベルに対応する)より高いレベルの応答性を必要とする可能性があるポンプを制御する活動を専用プロセッサに任せることができ、それによってユーザとの対話のため、完了により時間がかかる場合があるユーザインターフェースタスクによって中断されなくなる。
【0034】
ポンプ組立体は、ユーザ入力を受け入れ、ユーザに出力を提供するための、ディスプレイ206、ボタン212などの1つ以上の構成要素を操作するように構成されたユーザインターフェースプロセッサまたはコントローラ310を備え得る。ポンプ組立体への入力およびポンプ組立体からの出力は、入力/出力(I/O)モジュール320によって制御され得る。例えば、I/Oモジュールは、シリアル、パラレル、ハイブリッドポートなどの1つ以上のポートからデータを受信し得る。プロセッサ310はまた、データを受信し、1つ以上のUSBポート、SDポート、コンパクトディスク(CD)ドライブ、DVDドライブ、FireWireポート、Thunderboltポート、PCI Expressポートなどの1つ以上の拡張モジュール360にデータを提供する。プロセッサ310は、他のコントローラまたはプロセッサとともに、プロセッサ310の内部または外部にあり得る1つ以上のメモリモジュール350内にデータを記憶する。RAM、ROM、磁気メモリ、固体メモリ、磁気抵抗ランダムアクセスメモリ(MRAM)などの揮発性または不揮発性メモリを含む任意の好適なタイプのメモリを使用し得る。
【0035】
いくつかの実施形態では、プロセッサ310は、低電力プロセッサなどの汎用コントローラとすることができる。他の実施形態では、プロセッサ310は特定用途向けプロセッサであり得る。プロセッサ310は、ポンプ組立体の電子アーキテクチャ内の「中央」プロセッサとして構成され得、プロセッサ310は、ポンプ制御プロセッサ370、通信プロセッサ330、および1つ以上の追加的プロセッサ380(例えば、ディスプレイ206を制御するためのプロセッサ、ボタン212を制御するためのプロセッサ、など)などの他のプロセッサの動作を連携し得る。プロセッサ310は、Linux、Windows CE、VxWorksなどの好適なオペレーティングシステムを実行し得る。
【0036】
ポンプ制御プロセッサ370は、陰圧源またはポンプ390の動作を制御するように構成され得る。ポンプ390は、膜ポンプ、蠕動ポンプ、回転ポンプ、回転ベーンポンプ、スクロールポンプ、スクリューポンプ、液封式ポンプ、圧電気変換器によって動作されるポンプ(例えば、ダイアフラムポンプ)、ボイスコイルポンプなどの好適なポンプであり得る。ポンプ制御プロセッサ370は、1つ以上の圧力センサから受信したデータを使用して、流体流路内の圧力を測定し、流体流量を計算し、ポンプを制御し得る。ポンプ制御プロセッサ370は、所望のレベルの陰圧が創腔110内で達成されるように、ポンプモータなどのアクチュエータを制御することができる。所望のレベルの陰圧は、圧力設定またはユーザによって選択され得る。さまざまな実施形態で、ポンプ制御プロセッサ370は、パルス幅変調(PWM)を使用してポンプアクチュエータ(例えば、ポンプモータ)を制御する。ポンプアクチュエータを駆動するための制御信号は、0~100%のデューティサイクルPWM信号であり得る。ポンプ制御プロセッサ370は、流速計算を実施し、流路内の様々な条件を検出することができる。ポンプ制御プロセッサ370は、プロセッサ310に情報を伝達することができる。ポンプ制御プロセッサ370は、内部メモリを含み得るか、またはメモリ350を利用することができる。ポンプ制御プロセッサ370は、低電力プロセッサであり得る。
【0037】
通信プロセッサ330は、有線または無線接続を提供するように構成され得る。通信プロセッサ330は、データを送受信するために1つ以上のアンテナ340を利用することができる。通信プロセッサ330は、全地球測位システム(GPS)技術、セルラー接続(例えば、2G、3G、LTE、4G)、Wi―Fi接続、インターネット接続などの接続タイプのうちの1つ以上を提供することができる。接続は、ポンプ組立体位置追跡、資産追跡、コンプライアンス監視、遠隔選択、ログ、警告、および他の運転データのアップロード、治療設定の調整、ソフトウェアおまたはファームウェアのアップグレードなどの様々な活動に使用され得る。通信プロセッサ330は、GPS/セルラー二重機能を提供することができる。セルラー機能は、例えば、3G機能であり得る。このような場合、GPSモジュールが大気条件、建物または地形の干渉、衛星ジオメトリなどの様々な要因により衛星接続を確立できない場合、装置の位置は、携帯電話認証、三角測量、フォワードリンクタイミングを使用することなどによる、3Gネットワーク接続を使用して決定することができる。ポンプ組立体は、SIMカードを含み得、SIMベースの位置情報を取得することができる。
【0038】
通信プロセッサ330は、プロセッサ310に情報を伝達し得る。通信プロセッサ330は、内部メモリを含み得るか、またはメモリ350を利用することができる。通信プロセッサ330は、低電力プロセッサであり得る。
【0039】
いくつかの実施形態では、ポンプ組立体は、位置決めデータ、治療パラメータ、ログ、デバイスデータなどのうちの1つ以上など、様々なデータを追跡および記憶することができる。ポンプアセンブリは、治療および他の動作データを追跡およびログ記録することができる。データは、例えば、メモリ350に記憶され得る。
【0040】
いくつかの実施形態では、通信プロセッサ330によって提供される接続を使用して、デバイスは、ポンプ組立体によって保存され、維持され、および/または追跡された任意のデータをアップロードできる。例えば、治療期間といった、治療送達情報を含む活動ログ、アラームタイプおよび発生時刻を含むアラームログ、内部エラー情報や送信エラー等を含むエラーログ、時間ごと、日ごと等で演算され得る治療期間情報、特定の治療プログラムまたは複数のプログラムを最初に適用してからの治療期間を含む治療合計時間、生涯の治療情報、シリアル番号やソフトウェアバージョン、電池レベル等といったデバイス情報、デバイス位置情報、患者情報、等を含む、情報を、リモートコンピュータまたはサーバにアップロードすることができる。デバイスはまた、治療の選択、ならびにパラメータ、ファームウェアおよびソフトウェアのパッチおよびアップグレードなどの様々な運転データをダウンロードすることができる。ポンプ組立体は、1つ以上のブラウザプログラム、メールプログラム、アプリケーションソフトウェア(例えば、アプリ)などを使用して、インターネットブラウジング機能を提供することができる。
【0041】
いくつかの実施形態では、通信プロセッサ330は、ポンプ組立体のハウジングの位置などのポンプ組立体の位置を、ポンプ組立体の近接(例えば、10、20、または50メートル以内など)にある他のデバイスに通信するために、アンテナ340を使用してもよい。通信プロセッサ330は、実装に応じて、他のデバイスと一方向または双方向の通信を行うことができる。通信プロセッサ330によって送信される通信は、またポンプ組立体の近傍にある1つ以上の他のポンプ組立体に対して、ポンプ組立体を一意に識別するための識別情報を含み得る。例えば、識別情報は、シリアル番号またはシリアル番号に由来する値を含み得る。通信プロセッサ330による伝送通信の信号強度は、別のデバイスが、デバイスとポンプ組立体との間の距離など、ポンプ組立体までの距離を決定することを可能にするように、制御され得る(例えば、一定または実質的に一定レベルで維持される)。
【0042】
いくつかの実施形態では、通信プロセッサ330は、通信プロセッサ330自体がポンプ組立体から他のデバイスまでの距離を決定できるように、ポンプ組立体の近傍の他のデバイスと通信することができる。こうした実施形態では、通信プロセッサ330は、ポンプ組立体から他のデバイスまでの距離を追跡および記憶するか、または経時的な距離の変化の表示をすることができ、通信プロセッサ330は、後でこの情報を他のデバイスに提供することができる。例えば、通信プロセッサ330は、ポンプ組立体がデバイスのカバレッジ領域から取り外された時間の長さを決定し、その後、カバレッジ領域に戻った時に、この時間をデバイスに報告できる。
【0043】
可撓性吸引アダプタ
図4A~6は、
図1に例示した実施形態に類似した陰圧創傷治療システム5501の実施形態を例示する。ここで、システム5501は、近位端5503および遠位端5505を有するブリッジ部分5502を有する可撓性吸引アダプタ5500(流体コネクタとも呼ぶこともある)、および可撓性吸引アダプタ5500を形成するブリッジ部分5502の遠位端5505にアプリケータ5520を備えてもよい。コネクタ5504は、
図4Bに示すように、チャネル5512および/または5516の少なくとも1つに接続するように、ブリッジ部分5502の近位端5503に配設されることが好ましい。キャップ5536が、システム5501に提供されてもよい(いくつかの場合では、例示の通り、コネクタ5504に取り付けられ得る)。キャップ5536は、近位端5503から流体が漏出するのを妨げるときに有用であり得る。システム5501は、ポンプまたは陰圧を供給できる陰圧ユニット5534など、陰圧源を含んでもよい。ポンプは、創傷滲出液、および創傷から除去されてもよい他の流体を貯蔵する、キャニスタまたは他の容器を好ましくは備えてもよい。いくつかの実施形態では、このポンプ5534は、
図2に関連して記載されるポンプ200であってもよい。いくつかの実施形態では、このポンプ5534は、Smith&Nephewが販売するRENASYS GOポンプであってもよい。ポンプ5534は、管5540を介してコネクタ5504に接続されてもよい。使用中、アプリケータ5520は、いくつかの場合、発泡体またはガーゼなどの創傷パッキング材料で満たされてもよい、好適に用意ができている創傷5530の上に配置される、ドレープ5531に形成される開口5535にわたって配置される。その後、管5540を介してコネクタ5504に接続されるポンプ5534によって、ポンプが起動され、それによって創傷に陰圧が供給される。陰圧の印加は、所望するレベルの創傷5530の治癒を達成するまで行われてもよい。
【0044】
いくつかの実施形態では、ブリッジ部分5502は、上部層5510と中間層5514との間に位置付けられる上部層チャネル材料または層5512を備えてもよく、下部チャネル材料または層5516は中間層5514と底部層5518との間に位置する。好ましくは、層5510、5514、および5518は、近位端と遠位端との間に延在する細長い部分を有し、流体不透過性の材料、例えばポリウレタンなどのポリマーを含んでもよい。当然のことながら、層5510、5514、および5518はそれぞれ、半透過性材料を含む異なる材料から構築されてもよい。いくつかの実施形態では、層5510、5514、および5518のうちの1つ以上は、少なくとも部分的に透明であってもよい。
図5Bに示すように、上部層5510および下部層5518は、それらの長さの大部分にわたって曲がった、丸まった、または外側に凸状であってもよい。組立中、例えば、層5510、5514、および5518は、一緒に挟まれて、層を一緒に溶接または接着してもよい。そうすることで、チャネル5512および5516の近位端は、これらの層の間に挟まれてもよく、それゆえ、チャネル5512、5516の近位端を部分的に圧縮し、層5510、5514、5518をこれらの前述の近位端の上に伸ばす。もちろん、ブリッジ部分5502で使用される材料の近位端は、必ずしも丸みを帯びたり曲がったりするわけではなく、
図6に示すように、それらは実質的に正方形にされ、かつ真っ直ぐに保たれ得る。
【0045】
上部チャネル層5512および下部チャネル層5516は、近位端5503から遠位端5505まで延在する細長い層であることが好ましく、例えば、ポリエチレンまたはポリウレタンなどのオープンセル発泡体を含む多孔性材料を各々含むことが好ましい。いくつかの実施形態では、上部チャネル層5512および下部チャネル層5516のうちの1つ以上は、例えば、編まれたまたは織られたスペーサ生地(編まれたポリエステル3D生地、Baltex 7970.RTM.、またはGehring 879.RTM.など)または不織布材料からなってもよい。適切な材料はまた、テリー織りまたはループパイル材料を含んでもよい。繊維は必ずしも織られるわけではなく、フェルトおよびフロック繊維材料(Flotex.RTM.などの材料を含む)を含み得る。選択されたこの材料は、好ましくは、創傷滲出液を創傷から離すように導き、陰圧および/または吐出された空気を創傷部位へ伝達するために置くことができ、また、ある程度のねじれ抵抗または閉塞抵抗を、後述するようにチャネル層5512および5516に与えてもよい。一実施形態では、上部チャネル層5512は、ポリウレタンなどのオープンセル発泡体を備えてもよく、下部チャネル層は、本明細書に記載の生地を備えてもよい。別の実施形態では、上部チャネル層は任意であり、システムは代わりに開放上部チャネルを備えてもよい。
図5Bに示す実施形態では、上部チャネル層5512は、曲面、丸みのあるまたは上向きに凸状の上面および実質的に平坦な下面を有してもよく、下部チャネル層5516は、曲面、丸みのあるまたは下向きに凸状の下面および実質的に平坦な上面を有してもよい。
【0046】
いくつかの実施形態では、生地は、1つ以上のタイプの繊維が、三次元の全てで繊維の延在する構造を形成する、三次元(3D)構造を有してもよい。こうした生地は、いくつかの事例では、ウィッキング、流体輸送、および/または陰圧の伝達を補助し得る。チャネル5512および/または5516が、システム5501内に収められている間に変位または捩じれることを防ぐために、陰圧下でそれぞれのチャネルの性能を損なう場合があるが、いくつかの実施形態において、チャネル5512および/または5516を、層5510、5514、および5518のうちの1つ以上に接着するか、または他の方法で固定することが好ましい場合がある。特定の実施形態では、これらの材料は、開放されたままで、より高いおよびより低い値が可能であるが、例えば、40~150mmHgの陰圧治療で使用される通常圧力下において、陰圧を創傷エリアに伝えることができる。いくつかの実施形態では、生地は、互いの上に積み重なった、または積層された材料のいくつかの層を備えてもよく、場合によっては、陰圧印加状況下において、チャネル5516が崩壊するのを妨げるのに有用であってもよい。他の実施形態では、チャネル5516に使用される生地は、1.5mm~6mmの厚さであってもよく、より好ましくは、生地は、3mm~6mmの厚さであってもよく、1つまたはいくつかの個別の生地層から成ってもよい。他の実施形態では、チャネル5512は1.2~3mmの厚さであってもよく、好ましくは1.5mmよりも厚い。さらに、既に記載した通り、システム5501に使用される材料は、快適で柔らかいものであることが好ましく、それにより患者の皮膚に押し付けられる創傷治療システムに起因する場合がある、圧迫性褥瘡およびその他の合併症を回避するのに役立つ場合がある。3D生地のさらなる例を、
図7A~Cで後述する。
【0047】
好ましくは、層5510、5514、および5518の遠位端、ならびにチャネル層5512および5516は、その遠位端(創傷部位の上に配置される)で拡張され、「涙滴」または他の拡張形状を形成してもよい。少なくとも層5512、5514、5516、および5518の遠位端はまた、少なくとも1つの貫通開口を備えてもよい。この開口は、創傷滲出液の排出、および創傷への陰圧の印加のためだけでなく、これらの開口が、これらのそれぞれの層を適切に整列させるために使用され得るので、デバイスの製造中にも有用であり得る。
【0048】
図5B、Cおよび6の追加参照により、チャネルコネクタ5506は、ブリッジ部分5502の近位端5503に提供され、チャネルコネクタ5506は、好ましくは、安全な流体接続を形成するために、下部チャネル層5516に埋め込まれるように構成されている。チャネルコネクタ5506は、いくつかの実施形態では、チャネル5516内に形成された予め作られた空洞内に挿入されてもよく、
図6に示すように、この空洞は切り出されてもよく、またはサネ接合の形態であってもよい。いくつかの実施形態では、チャネルコネクタ5506は、以下の
図8AおよびBに記載されるコネクタのうちの1つであってもよい。チャネルコネクタ5506の一端が下部チャネル層5516に埋め込まれている状態で、チャネルコネクタ5506の他端は、一実施形態では、コネクタ管5507に接続または連通してもよいが、いくつかの実施形態では、チャネルコネクタ5506は、コネクタ5504に直接接続されてもよく、またはそうでなければ、陰圧源に接続された管5540に直接接続されてもよい。コネクタ管5507を使用する場合、得られた組立体は、コネクタ5504をコネクタに取り付けさせ得る。キャップ5536は、例えば、コネクタ管5507の外面上に配設されたリングで固定されたキャップリーシュ5527を介して吸引アダプタに固定されてもよい。キャップ5536は、例えば、コネクタ5504で吸引アダプタの端を覆うように使用されて、滲出液および他の創傷流体が漏れ出ることを防止し得る。コネクタ5504は、好ましくは、陰圧源に接続された管5540と接続するように構成される。コネクタ5504は、例えば、コネクタ5504を管5540および/またはキャップ5536に固定するのを助けるリップまたは他のこうした構造を含んでもよいが、クイックディスコネクトカップリング、ルアーロック、クリスマスツリー、および他のこうしたコネクタを含む、他のコネクタタイプが可能であると理解され得る。
【0049】
上部層5510は、下向きに、好ましくは少なくともブリッジ部分5502の厚さの下方に延在する追加の材料を備えてもよく、この材料は、流体タイトシールを形成するために他の層に接合または溶接するために使用されてもよい。より具体的には、組立体中、上部層5510は、例えば、溶融、溶接、または接着剤を用いて、流体タイトシールを形成するために下部層5518に取り付けられてもよい(遠位端および近位端での開口は例外とする)。中間層5514は、上部層5510および底部層5518に取り付けられることが好ましい。いくつかの実施形態では、コネクタ5504および/または5506、ならびに管5507を、層5510、5514、5518のうちの少なくとも1つに取り付け、または接着して、流体密封接続を形成することが好ましい場合がある。より安全な接続を提供するために、いくつかの実施形態はまた、下部層5518上に作られた溶接点5532が提供されてもよい。下部チャネル5516は、それを通して作られた穴または開口を有してもよく、これは、溶接点5532を介して、下部層5518にそれを溶接するために使用され得る。穴5533を通して作られた溶接点5532を介した下部チャネル5516の下部層5518へのこの溶接は、従って、様々な層およびチャネルがシフトまたは変位するのを防ぐのに役立ち得る。当然のことながら、例えば、接着剤などの他の固定手段が使用されてもよく、こうした配置も上部チャネル5512で使用され得ることが理解されよう。
【0050】
特定の実施形態において、例えば、
図5A~6に示すように、制御されたガスリーク部5524(ガスリーク部、空気リーク部、または制御された空気リーク部とも呼ぶ場合がある)は、ブリッジ部分5502上に配設されてもよく、例えば、その近位端に配置されてもよい。この空気リーク部5524は、空気リーク部5524が上部チャネル5512と流体連通するように、上部層5510を通って延在する開口部またはチャネルを備えてもよい。吸引アダプタ5500への吸引の適用時に、ガス(例えば、空気)は、ガスリーク部5524を通って入り、近位端5503から上部チャネル5512に沿って遠位端5505へ移動することができる。次に、層5512、5514、5516および5518の遠位端を通して開口を通過することによって、ガスを下部チャネル5516内に吸引することができる。空気リーク部5524は、フィルタ5525を含むことが好ましい。好ましくは、空気リーク部5524は、創傷滲出液または他の流体が接触し、空気リーク部5524またはそのフィルタ5525を閉塞または妨害する可能性を最小化するように、ブリッジ部分5502の近位端に位置する。いくつかの実施形態では、このフィルタ5525は、微生物および細菌を排除することができ、45μmより大きい粒子を濾過することができる、マイクロ多孔質膜である。好ましくは、フィルタ5525は、1.0μmよりも大きい粒子、より好ましくは、0.2μmよりも大きい粒子を除外することができる。有利なことに、いくつかの実施形態は、例えば、水、シャンプーなどの一般的な家庭用液体、および他の界面活性剤に対して、少なくとも部分的に化学的に耐性のあるフィルタ5525を提供し得る。いくつかの実施形態では、吸引アダプタ5500への真空の再適用および/またはフィルタ5525の露出した外側部分の拭き取りは、フィルタ5525を閉塞する任意の異物を除去するのに十分であり得る。フィルタ5525は、アクリル、ポリエーテルスルホン、またはポリテトラフルオロエチレンなどの好適に抵抗するポリマーから構成されてもよく、および油性および/または疎水性であってもよい。いくつかの実施形態では、フィルタ5525はまた、支持裏当て層、例えば、不織布ポリエステル支持体を含んでもよい。好ましくは、ガスリーク部5524は、追加の陰圧がシステム5501に印加されると顕著に増加しない、比較的一定のガス流を供給することができる。吸引アダプタ5500の実施形態では、追加の陰圧が印加されると、ガスリーク部5524を通るガス流が増加するが、好ましくは、この増加したガス流は最小化され、それに加えられる陰圧に比例して増加しない。
【0051】
特定の実施形態で制御された空気リーク部5524に提供されるフィルタ5525は、より多くの歩行可能な患者および活動的な患者と使用するためのシステム5501で有用であり得る。例えば、耐薬品性フィルタは、陰圧源に再接続したときに、フィルタの機能を損なわずに患者が入浴またはシャワーすることを可能にし得る。次に、空気リーク部5524を遮断する任意の遮蔽または流体は、例えば、フィルタ5525を拭き取るか、または陰圧を吸引アダプタ5500に再印加することによって除去され得る。こうしたシステムはまた、システム5501および任意の組み合わせられた創傷被覆材料が存在する場合、患者が、例えば入浴に付随して、陰圧源から切断される必要がある場合、除去し、その後再度適用する必要がないという利点を有する。これは、本治療システムのコスト効率および使いやすさを改善する上で、著しい利点を伴う。
【0052】
吸引アダプタ5500は、吸引アダプタ5500が捩じれているか、または加重されている場合でも、一定の流体流を提供するように構築されることが好ましい。例えば、患者に使用する場合、ブリッジ部分5502は、それ自体の上に折り畳まれ得、またはそうでない場合、患者は寝返りをうち、したがって吸引アダプタ5500の少なくとも一部分の上に体重が載ってしまう。典型的には、先行技術の被覆材および流体コネクタは、こうした状況で遮断または無効となり、場合によっては、圧迫潰瘍などの合併症に寄与し得る。しかしながら、ここで、特定の実施形態は、捩じれた場合または加重された場合に、改善された閉塞抵抗を提供する。好ましくは、上述のようにチャネル層5512および5516を用いることによって、より好ましくは、発泡体チャネル層5512および生地チャネル層5516を用いることによって、吸引アダプタ5500は、陰圧が陰圧源を通して印加される間、少なくとも0.08L/分の、好ましくは0.12L/分の空気リーク部5524を通る流量を維持することができる。さらなる実施形態はまた、吸引アダプタ5500が、少なくとも10L/日、または6.9ml/分の下部チャネル5516を通して、創傷部位からの流体滲出液排出を処理できる。特定の実施形態は、例えば、直径1インチのロッドを通してブリッジ部分を押し下げる、12kgの重さでもこれらの流量を維持するために、吸引アダプタ5500を提供する。いくつかの実施形態では、これらの流量は、ブリッジ部分5502が、同じ重さで、または例えば、折り畳まれた領域上に直接置かれた4.75kgの重さで、それ自体の上に捩じれている間も維持される。吸引アダプタ5500は、例えば40時間以上の長期間にわたってさえ、折り畳まれたり捩じれたりすることに耐えることができ、折り畳まれたり捩じれたりする前のその性能と比較して性能(例えば、流量)にいかなる劣化も示さないことが好ましい。好ましくは、吸引アダプタ5500の実施形態はまた、陰圧源の陰圧レベルに近い創傷で、陰圧を伝達および維持することができる。例えば、創傷で維持される圧力の許容可能なレベルは、陰圧源で設定された陰圧の+-.25mmHg以内であってもよく、この圧力は、吸引アダプタ5500が陰圧を印加された時間の95%以内でこのレベルに維持されることが好ましい。許容可能な圧力レベルは、200mmHgのレベルが首尾よく使用されてきたが、40~120mmHgの圧力範囲を含み得る。
【0053】
図4A~5Bおよび
図6を追加的に参照すると、吸引アダプタ5500はまた、創傷部位上に配置するよう設計されたアプリケータ5520を備える。好ましくは、アプリケータ5520は、例えばポリエチレンまたはポリウレタンなどの可撓性層5550を含み、その下部(創傷に面する)側に接着剤の層を有する。任意選択で、保護剥離層5529は、使用前に取り外し可能である接着剤層上に配置されてもよい。いくつかの実施形態では、層5550の柔軟性のために、アプリケータ5520の扱いを容易にするために、より剛直な取り外し可能な裏当て層5552がアプリケータ5520の上部側に設けられてもよい。アプリケータ5520は、例えば、両面接着テープ5528のセクションを使用するなど、遠位端5505にブリッジ5502の取り付け点を含むことが好ましい。両面接着テープ5528は、ブリッジ5502をアプリケータ5520に接着する前に除去される追加の保護剥離層によって保護されてもよい。理解されるように、異なる取り付け方法も、例えば、ヒートシール、溶接、または適切な接着剤など、意図される。いくつかの実施形態はまた、別個の取り付け手段を必要としない単一のユニットとして、ブリッジ5502およびアプリケータ5520の製造を許容し得る。アプリケータ5520は、それ自体を通して、創傷部位の上に配置されるように設計され、創傷部位を陰圧源および空気リーク部に流体接続すると同時に、創傷滲出液を創傷部位から引き出すための導管として機能することができる、少なくとも1つの開口5526を含むことが好ましい。
【0054】
使用中、および
図4AおよびBを参照して、システム5501は、
図1に関連して記載されるシステム100など、本明細書で以前に開示された他の実施形態と類似した様式で使用され得る。創傷部位5530は、好適な様式で洗浄および調製され、必要に応じて創傷パッキング材料が創傷部位に配置され、その後にドレープ5531が続くことが好ましい。次いで、創傷部位へのドレープを通した開口5535が生成されるが、いくつかの実施形態は、予め作製された開口5535を有し得る。その後、オペレータは、開口5535の上方でアプリケータ部分5520を位置させてもよい。裏当て層5529(存在する場合)をアプリケータ部分5520の下部の接着剤層から除去した後、アプリケータはドレープ5531にシールされ、裏当て層5552(存在する場合)もアプリケータ部分5520から除去される。次に、管5540などの流体導管をコネクタ5504に接続してもよい。管5540はまた、アプリケータを創傷部位に適用する前に、コネクタ5504に接続されてもよい。流体導管は、好ましくは、その間に介在される創傷滲出液を含有するのに適した容器を有する、陰圧源5534に接続される。次いで、陰圧の適用は、創傷部位が所望の治癒レベルに進行するまで、創傷部位5530に実施され得る。
【0055】
システム5501の使用中、創傷部位5530からの創傷滲出液は、下部チャネル層5516を通して陰圧によって引き出される。ガスリーク部5524は、ガス(空気など)が、層5512、5514、5516および5518の遠位端を通して開口の中を通過することによって、上部チャネル層5512を通過するのを可能にすることができる。陰圧は、上部チャネル層を通過するガスを、下部チャネル層5516の中へ、陰圧源またはポンプに向かって引き込む。いくつかの実施形態では、制御されたガスリーク部5524は、吸引アダプタ5500を通る一定の空気の流れを提供し、これは次に、閉塞または漏れが存在するかどうかを判定するために使用され得る。閉塞の原因は、例えば、下部チャネル5516が創傷破片で閉塞される状況を含み得る。漏れの原因には、例えば、創傷部位上のドレープの不適切なシーリング、またはシステムに過剰なガス漏れをもたらす吸引アダプタ5500への物理的損傷が含まれ得る。閉塞または漏れは、特定の実施形態では、ポンプが一定の陰圧を維持するために機能する間、ポンプの速度を測定することによって判定され得る。ポンプ速度はまた、ポンプに送信される電圧または信号の量を測定することによって間接的に測定されてもよい。
【0056】
図7A~Cは、本明細書に記載の様々な実施形態、例えば、
図4A~6に例示した吸引アダプタのブリッジ部分5502で使用され得る3D生地の図を例示する。発泡体などの他の多孔性材料が、本明細書に記載の実施形態、例えば、
図5BおよびCに示す上部チャネル5512および/または下部チャネル5516で使用され得るが、3D生地の使用が、いくつかの状況において有利であり得る。特定の3D生地は、例えば患者の体重が吸引アダプタ上に直接かかるとき、または陰圧が加えられるとき、および/または流体吸引アダプタが捩じれるかまたは折り畳まれるときなど、圧縮中であっても、流体吸引アダプタからの陰圧および創傷滲出液の搬送において良好に機能することが見出されている。許容されるように機能することが見出されたいくつかの3D生地には、編まれたポリエステル3D生地、Baltex 7970.RTM、Gehring 879.RTM、またはCoolmax.RTM.が含まれる。もちろん、他の繊維および生地タイプは、3D生地を作るために一部または全部で使用されてもよく、ナイロン、ビスコース、綿、ならびに他の合成マイクロファイバーなどのポリアミドを含むが、これらに限定されない。3D生地はまた、Nomex.RTM.およびKevlar.RTMなどの繊維から少なくとも部分的に構築されてもよい。本明細書の他の場所に開示される他のタイプの生地および材料も使用され得る。
【0057】
一実施形態では、
図7A~Cに示すように、3D生地は、底部面5603、最上部面5605、および開放中央領域5607を含み得る。
図7Aは、生地を横切って縦方向に延在する楕円形または楕円の開口部5611を形成するように織られ得る、3D生地の底部(創傷に面する)面5603を例示する。一実施形態では、楕円形または卵形の開口部5611は、底部層の表面積の10~45%(または約10%~約45%)、より好ましくは10%~30%(または約10%~約30%)の開放面積を表すか、または提供する。ここで、繊維は、繊維の毛細管作用によって繊維に沿って運ばれる創傷流体に加えて、創傷流体のバルク輸送を可能にする、これらのより大きな開口部または細孔も含むように、編まれている(例えば、ワープ編みによって)。3D生地の遠位端に任意に形成される開口(
図5Bおよび6に例示)はまた、創傷破片および流体のバルク排出を補助し得る。
【0058】
図7Bは、本明細書に記載されるように使用され得る3D生地の最上部面5605を例示する。一実施形態において、この最上部面5605は、底部面5603のより大きな卵形開口5611を有しないが、縦方向にかつ概して横方向に、または生地の幅を横切る角度で延在する繊維によって画定される開口部5613を有してもよい。例示するように、これらの開口部は概して菱形である。一実施形態では、これらの開口部5613は、例えば、30%~50%(または約30%~約50%)の間の開口部よりも大きい開放領域を表してもよく、または提供してもよい。もちろん、理解されるように、本明細書に提示される生地は非限定的な例であり、異なる生地構成および配向が可能であり、例えば、最上部面5605が創傷に面するように下向きに配置され、底部面5603が上向きに配置される。
【0059】
図7Cは、3D生地の断面を示す(生地の中の垂直繊維上の電球様バルブ状突出部は、切断プロセスのアーチファクトである)。垂直に延在する繊維5609は、中央開放領域5607を通って延在するように織られてもよく、一方で底部層5603および最上部層5605にも接続されてもよい。開放中間層5607内に存在する繊維5609は、生地の圧縮を防止するのを助けるのに十分な剛性を有することが好ましい。この図に示すように、理論に拘束されることを意図するものではないが、良好に機能することが見出された3D生地は多くの場合、滲出液および他の流体が、陰圧の印加下にある間に創傷部位から効果的に輸送されるのを可能にする、中央のより大きな開放領域5607を含むが、より高密度に織られた外層5603、5605は、追加の張力およびキャピラリーウィッキング作用の提供を補助し得る。例えば、中間層は、50%超(または約50%超)の開放体積を含み得る。当然のことながら、結果として得られる吸引アダプタおよびシステムは、患者による快適な使用のためには十分に可撓性が残らない場合があるため、結果として生じる生地は、厚すぎることも、またはあまりにも硬い繊維からなることもできない。
【0060】
多くの場合、吸引アダプタの様々な要件を考慮に入れて使用中に、3D生地の性能特性を調整することが有利であろう。特に、例えば圧縮下にあるときなどの、生地を通した滲出液の流量は、生地の多孔性を考慮することによって単純化され得る。こうした状況では、理論に拘束されることを意図するものではないが、再び、流体が通過するために利用可能な繊維の多孔性、およびそれゆえの空間は、3D生地の作成に使用される繊維のニットのパターン、その中で使用される繊維の厚さ、およびそれらそれぞれの剛性および硬さ(特に圧縮下にある場合)によって部分的に決定され得る。繊維はまた、表面特性(繊維は平坦またはテクスチャありとすることができる)、および結果として得られる生地に使用される繊維またはフィラメントの数によって変更されてもよい。圧縮抵抗は、生地の垂直軸で使用される繊維またはモノフィラメントの選択によって影響され得、一般的に、より硬い材料は、この軸上の圧縮抵抗を改善し得る。疎水性などの他の材料特性が役割を果たす場合がある。一部の事例では、流体のウィッキングを改善するために、例えば親水性ポリマーを用いて、繊維を親水性であるように処理することが有益であり得る。特定の吸引アダプタと共に使用される3D生地の好ましい実施形態は、Baltex.RTM.生地がこのような様式で処理された時に良好に機能することが見出された。他の可能な治療には、使用中にタンパク質が付着および蓄積することを防止するための親油性コーティングが含まれてもよいが、これは閉塞および創傷部位への圧力の喪失を引き起こす可能性がある。
【0061】
陰圧の印加下にある間の3D生地を通る流量は、層流下にある間に、各開口部をベルノーリの原理の対象となる別個のオリフィスプレートとして考慮することによって近似され得る。計算を簡略化するために、3D生地の所与の領域の開口部の領域を使用してもよい。したがって、3D生地は、必要とされる圧縮抵抗と、陰圧の適用下で生じる流量との良好なバランスを達成するために最適化され得る。さらなる最適化はまた、本明細書に記載される実施形態で用途に合わせて調整される3D生地の剛性および流量と共に行われる。3D生地の特性および寸法の最適化はまた、あまりにも硬い生地は適切に曲がらない場合があり、また患者に不快感を与える可能性があるため、要求される流量および剛性と生地の適合性とのバランスを考慮に入れることが好ましい。3D生地は、組織に対して圧迫された場合に得られるように設計され、それによって、組織圧迫(例えば、患者の骨隆起に対して)、および後続し得る、圧迫性褥瘡などの、不快感および損傷を防ぐことが好ましい。例えば、生地の寸法は、吸引アダプタの最終的な使用のために調整されてもよく、指などの遠位の四肢ではより小さく、腹部および熱傷ではより大きくなる。硬すぎる生地は、より大きな寸法で許容されるように機能し得るが、圧迫性褥瘡および他のこのような合併症も引き起こし得る。
【0062】
実際には、および本明細書に記載されるように、3D生地を使用した吸引アダプタの実施形態を通した流量は、陰圧の適用中に少なくとも0.08L/分、好ましくは最大10L/分であり、少なくとも10L/日の流体滲出液の排出を処理できるはずである。吸引アダプタのいくつかの実施形態は、腹部創傷を含む、より大きな創傷を処理するように構成されてもよく、いくつかの事例では、少なくとも0.5L/時間、または12L/日で滲出し得る。より極端な場合、使用されるポンプ(例えば、RENASYS EZ)は、最大16L/分まで排出することができ、それによって、120mmHgの陰圧レベルまで1分以内に大きな創傷を排出することができる。3D生地によって計算される圧力降下は、最小限であるべきであり、創傷部位で測定される陰圧のレベルは、好ましくは、陰圧源で測定される圧力レベルの25mmHg以内である。適用される陰圧が増加するにつれて圧力降下が増加するが(従って、25mmHgの標的に到達するのがより困難になる)、創傷治療システムの実施形態は、少なくとも200mmHgの陰圧までこの標的圧力を維持することができることが好ましい。吸引アダプタおよびシステムは、好ましくは、およそ40mmHg~200mmHgと推定される陰圧に必要な圧力範囲内で機能することができる。200mmHgを超える圧力範囲も可能であるが、場合によっては患者の不快感を引き起こす可能性がある。装置はまた、20mmHgなどのより低い圧力範囲で機能し得るが、このような低い圧力レベルでは、陰圧から生じる治療効果は減少してもよく、デバイスはより排水デバイスとして作用する。陰圧治療システムの実施形態は、陰圧が創傷に印加される時間の95%以内で、これらの標的圧力を創傷部位で維持することができることが好ましい。いくつかの実施形態では、生地は、互いの上に積み重なった、または積層された材料のいくつかの層を備えてもよく、場合によっては、陰圧印加状況下において、チャネル5516が崩壊するのを妨げるのに有用であってもよい。他の実施形態では、チャネル5516に使用される生地は、1.5mm~6mmの厚さであってもよく、より好ましくは、生地は、3mm~6mmの厚さであってもよく、1つまたはいくつかの個別の生地層から成ってもよい。他の実施形態では、チャネル5512は1.2~3mmの厚さであってもよく、好ましくは1.5mmよりも厚い。好ましくは、3D生地は、生地の本来の厚さの10%以下の圧縮で、少なくとも5.3psiの荷重に耐えることができる。さらに、3D生地はまた、15psiの荷重に供された時に、元の厚さの半分未満まで圧縮に耐えることができる。
【0063】
好ましい実施形態では、150および225デニエの糸を使用して100%ポリエステルから3D生地を織って、1平方ヤード当たり約23~25オンスの重さの生地を得てもよい。これらの場合、生地は約5.8~6.8mmの厚さであってもよい。生地の底部はまた、
図7Aに図示したものと類似したいくつかの開口部または細孔5611を有してもよく、これは、細長い、長方形または卵形の形状で、生地に沿って長軸で長軸方向に配向されてもよい。開口部5611は、
図7Aに例示するように、例えば、2~5列、またはより好ましくは3列など、生地を横切って縦方向に延在する複数の列に配置され得る。開口部5611は、行の各々で互いに等距離に離間してもよく、1つの行から別の行へ互い違いのパターンを形成してもよい。一実施形態では、各列は、約6~10個の開口部、より好ましくは、2インチ(または約50mm)当たり8個の開口部を有してもよい。生地の所与の幅または横方向寸法に沿って、開口部によって形成される横方向の行は、約6~10個の開口部、より好ましくは8個の開口部の、21/8インチ(または約54mm)当たりの間隔を有し得る。1つの実施形態では、開口部は、約1/16”~約1”の縦方向の長さと、約1/32”~1/2”の幅とを有し得る。1つの例では、開口部は、縦方向約1/8”(または約3.2mm)および横方向1/32”(または約0.79mm)の寸法をとる。一実施形態では、3D生地は、約50~100mm、より好ましくは約60mmの全長、約5~15mm、より好ましくは約9mmの幅、および約6mmの厚さを有してもよい。
【0064】
本明細書に記載されるシステムの実施形態は、試験され、満足のいくように実行されることが見出されている。こうした試験は、本明細書に記載の実施形態からの吸引アダプタを構築することによって実施された。次いで、吸引アダプタの遠位端を、制御可能であり、創傷流体の流量を変化させることができる、模擬創傷流体の供給源が提供される、模擬創傷空洞の上に配置されたドレープ上に作られた開口部の上に配置した。模擬創傷空洞はまた、いくつかの事例では、発泡性または何らかの他の創傷パッキング材料を充填した。いくつかの試験では、模擬創傷流体は、グリセロール混合物に対して5:1の水であり、その他の試験では、濾過されたウマ血清(Oxoid、英国から入手可能)を使用した。次に、吸引アダプタの近位端を、この場合はポンプである陰圧源に接続した。次いで、流量試験およびその他の測定値を、様々な陰圧範囲で実施し、滲出液流量および空気リークレートをシミュレートした。
【0065】
図8Aは、前述のコネクタ5506に類似し、かつ本明細書に記載のものなどの吸引アダプタのチャネル5716に陰圧源を確実に接続するために使用され得る、コネクタ5704の実施形態を例示する。例えば、このチャネル5716は、上部チャネル5512であってもよく、またはより好ましくは、
図55~56の下部チャネル5516であってもよい。概して、こうしたコネクタ5704は、陰圧源から陰圧治療システムへのより安全な接続を提供するのに有用であり得る。これらのコネクタ5704の使用は任意であり、本明細書に記載されるすべての実施形態で必要ではない場合がある。使用時に、コネクタ5704に接続された管5740は、引き抜くか、または他の外力によって、コネクタ5704を、それが取り付けられるチャネル5716から何らかの方法で離し得る。こうした状況では、創傷への陰圧の適用は、減少または停止され得る。コネクタ5704をシステムの残りの部分に固定するためのさらなる手段は、上述のように、存在する場合、治療システムの他の層をコネクタ5704に接合または取り付けることを含み得る。コネクタ5704は、チャネルで使用される生地または材料との安全な接続を生成するように設計されてもよく、3D生地または3Dニットの材料が使用されるとき、コネクタ5704のいくつかの実施形態は、より安全な接続を生成するために、材料の材料または繊維の一部分と係合または取り付けるように構成されている。好ましくは、コネクタ5704の実施形態は、コネクタの切断および/または故障が発生する前に、コネクタが接続するチャネルから外れるように、最大20kgの引っ張り力に耐えることができる。他の実施形態は、より低い引っ張り力に耐えるように構成されてもよく、また患者への傷害(例えば、吸引アダプタおよび/または肢の周りの排水管の収縮)を防止するために解除されるように調整されてもよいことが理解されるであろう。
【0066】
図8Bは、コネクタ5704aの好ましくは円筒形本体から遠位に長軸方向に延在する2つ以上の突出部5752を含む、コネクタ5704aの実施形態を例示する。本体はまた、コネクタ5704aの本体を通って縦方向に延在する中央チャネル5755を含む。突出部5752は、それに取り付けられた1つ以上のバーブ5754をさらに備えてもよい。好ましくは、これらのバーブ5754は、チャネル5716に押し込まれるまたは挿入されるときにアンカーとして作用するように近位に角度付けられる。チャネル5716が3D生地または編み材料である場合、バーブ5754は、その中の繊維に係合するように構成され、より安全な接続を作り出す。コネクタ5704aの近位端では、円錐台状の形態で提供され得るリップ5756も、管5740への接続のために提供され得る。管5740は、コネクタ5704a(および本明細書に記載される他のコネクタ)に、例えば、圧入によって接続されてもよいが、他の接続手段が可能である。管5740は、
図6の管5507と同一であってもよく、または、陰圧源と流体連通を提供するために使用される任意の他の管であってもよい。当然のことながら、これらのコネクタの特徴は、特に遠位端で、陰圧を伝達するために使用される管の端上に組み込まれてもよく、その結果、これらの管は吸引アダプタシステムに直接接続され得る。コネクタに関する前述の説明に関する追加の開示が見出され得るこのような出願の例には、2015年6月9日に発行された、“APPARATUSES AND METHODS FOR NEGATIVE PRESSURE WOUND THERAPY”と題された、米国特許第9,050,398号が含まれ、これは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0067】
分離空気リーク部付き可撓性吸引アダプタ
図9A~Cは、
図4A~8Bに例示され、かつ関連して記載される、可撓性吸引アダプタ5500の実施形態と類似した可撓性吸引アダプタ900の実施形態を例示する。
図9Aは、吸引アダプタ900の分解図を例示し、
図9Bは、吸引アダプタ900の最上部面図を示す。さらに、
図9Cは、吸引アダプタ900の断面図を例示する。吸引アダプタ900は、可撓性吸引アダプタ900を形成するように、近位端903および遠位端905を有するブリッジ部分902と、ブリッジ部分902の遠位端905でアプリケータ920を含み得る。可撓性吸引アダプタは、可撓性吸引アダプタ5500と類似した様式で構築され、ブリッジ部分902は、前述したような類似の二重層配置から構築され得ることが好ましい。例えば、いくつかの実施形態では、ブリッジ部分902は、上部層910と中間層914との間に位置する上部チャネル層912を含み、下部チャネル層916は中間層914と底部層918との間に位置する。
【0068】
特定の実施形態において、例えば、
図9A~Cに例示するように、制御されたガスリーク部924(ガスリーク部、空気リーク部、または制御された空気リーク部とも呼ぶ場合がある)は、ブリッジ部分902上に配設されてもよく、例えば、その近位端に配置されてもよい。この空気リーク部924は、空気リーク部924が上部チャネル912と流体連通するように、上部層910を通って延在する開口部またはチャネルを備えてもよい。空気リーク部924は、フィルタ925を含み得る。
【0069】
アプリケータ920は、例えば、両面接着テープ928のセクションを使用するなど、遠位端905にブリッジ部分902の取り付け点を含むことが好ましい。理解されるように、異なる取り付け方法も、例えば、ヒートシール、溶接、または適切な接着剤など、意図される。
【0070】
コネクタ904は、チャネル912および/または916のうちの少なくとも1つに接続するように、ブリッジ部分902の近位端903に配設されてもよい。キャップ936が、吸引アダプタ900に提供されてもよい(いくつかの場合、図示する通り、コネクタ904に取り付けられ得る)。
図9Aに示すように、チャネルコネクタ906は、ブリッジ部分902の近位端903に提供されてもよく、チャネルコネクタ906は、好ましくは、安全な流体接続を形成するために、下部チャネル層916に埋め込まれるように構成されている。チャネルコネクタ906の一端が下部チャネル層916に埋め込まれている状態で、チャネルコネクタ906の他端は、一実施形態では、コネクタ管907に接続または連通してもよいが、いくつかの実施形態では、チャネルコネクタ906は、コネクタ904に直接接続されてもよく、または、陰圧源に接続された管に直接接続されてもよい。
【0071】
吸引アダプタ900の構成要素の各々は、吸引アダプタ5500の対応する各構成要素と類似していてもよく、従って、本明細書に以前言及した吸引アダプタ5500の対応する各構成要素の説明は、以下に記載される場合を除き、吸引アダプタ900のそれぞれの構成要素にも適用される。
【0072】
吸引アダプタ5500と類似の様式で、上部流体通路は、上部層910と中間層914によって、その間に画定されてもよい。いくつかの実施形態では、
図9Cに示すように、上部層910および下部層918は、上部層910と下部層918との間に部分的に画定され得るように、中間層914よりも遠位端905でさらに延在する。上部流体通路は、上部チャネルスペーサ材料または層912を含み得る。下部流体通路は、下部チャネルスペーサ材料または層916を含み得る。上部層910が中間層914よりも遠位端905でさらに延在するいくつかの実施形態では、上部チャネルスペーサ層912はまた、中間層914および下部チャネルスペーサ層916よりも遠位端912でさらに延在して、上部層910を支持してもよい。
図9A~Cに示される、いくつかの実施形態にあって、層910、914、および918の遠位端、ならびにチャネル層912および916は、その遠位端(創傷部位の上に配置される)で拡張され、「涙滴」または他の拡張形状を形成してもよい。少なくとも層912および916の遠位端は、少なくとも1つの貫通開口も提供されてもよい。この開口は、創傷滲出液の排出、および創傷への陰圧の印加のためだけでなく、これらの開口が、これらのそれぞれの層を適切に整列させるために使用され得るので、デバイスの製造中にも有用であり得る。さらなる実施形態において、上部流体チャネルは、補助スペーサ層970が上部チャネルスペーサ層912の遠位端を支持するように、上部チャネルスペーサ層912の遠位端の下、および下部チャネルスペーサ層916の遠位端の遠位に配置される補助スペーサ層970をさらに含み得る。
図9Aおよび9Cに示すように、補助スペーサ層970は、スペーサ層912の遠位端で1つ以上の開口と整列され得る、1つ以上の開口を含み得る。
【0073】
いくつかの実施形態では、
図9Aおよび9Cに示すように、吸引アダプタ900は、下部層918に2つの開口、例えば、下部層918の拡張された遠位端で、両方とも下部層918で形成される、空気リークチャネル開口952および吸引開口954を含む。いくつかの実施形態では、空気リーク開口952および/または吸引開口954は、複数のより小さな穴として形成され得る。例示するように、開口952および954は、開口952の近位に位置する開口954で、間隔を置いてもよい。これらの開口は両方とも、下部層918の中央長手方向軸上に位置してもよく、あるいは一方または両方の開口は、中央長手方向軸上に位置しない場合がある。アプリケータ920は、空気リークチャネル開口952および吸引開口954と整列するように構成された2つの開口部962および926を有してもよい。
【0074】
図9Cに示すように、空気リークチャネル開口952は、上部チャネルスペーサ層912を有する上部流体チャネルに流体接続され、それによって、空気リーク部924から空気リークチャネル開口952に遠位に延在する空気リーク流を形成することができる。
図9Cに示すように、この空気リーク流は、補助スペーサ層970を貫通する。また、吸引開口954は、下部チャネルスペーサ層916を有する下部流体チャネルに流体接続されてもよく、それによって、コネクタ904から遠位に延在する吸引流および/または陰圧源を形成する。
【0075】
いくつかの実施形態では、上部層910は、中間層914および/または下部層918との流体タイトシールを形成してもよく、中間層914は、下部層918と流体タイトシールを形成してもよく、その結果、空気リーク部924から空気リークチャネル開口952まで遠位に延在する上部流体チャネルは、コネクタ904から吸引開口954まで遠位に延在する下部流体チャネルと流体的に分離されてもよい。
図9Cに示すように、いくつかの実施形態では、中間層914の遠位端は、補助スペーサ層970と下部チャネルスペーサ層916との間に延在し、下部層918とシールされて、それによって、上部流体チャネルと下部流体チャネルを分離し得る。上部層910、中間層914、および下部層918は、例えば、溶融、溶接、または接着剤を用いて、本明細書に記載される任意の手段を使用して互いにシールされてもよい。
【0076】
空気リーク開口952および吸引開口954は、吸引開口954に引き込まれた創傷滲出液が空気リーク開口952に入らないように、互いに十分に間隔を置いてもよい。いくつかの実施形態では、上部流体チャネルは、上部流体チャネルへの創傷滲出液の進入を防止し、上部流体チャネルを遮断するために、空気リーク開口952に隣接するフィルタ(図示せず)を含み得る。フィルタは、ガスリーク部からのガスが創傷被覆材に提供されることを可能にするためにガス(例えば、空気)に対して透過性であり得るが、液体または細菌に対して不透過性であり得る。空気リーク開口952に配置されたフィルタは、前述のフィルタ5525と類似し得る。
【0077】
いくつかの実施形態では、下部流体チャネルは、吸引開口954に隣接するフィルタ(図示せず)を含み得る。フィルタは、創傷滲出液が下部流体チャネルに侵入するのを実質的に妨げるように構成され得る。好ましくは、フィルタは、液体に対して不透過性であるが、ガスに対して透過性であってもよく、液体バリアとして作用し、かつ液体が創傷被覆材から逃げることができないことを保証するために提供され、それによって、創傷流体を収集するキャニスタは、吸引アダプタと陰圧源との間に必要とされない場合がある。フィルタは疎水性であってもよい。フィルタは、吸引アダプタおよび/またはカバーフィルムに、創傷被覆材上に取り付けてもよく、またはシールされてもよい。例えば、フィルタは、吸引アダプタ900内に成形されてもよく、またはUV硬化接着剤などの接着剤を使用して、吸引アダプタ900の下部層918に接着されてもよい。
【0078】
補助スペーサ970は、制御された空気リーク部からのガス(例えば、空気)の透過に適した任意の可撓性材料から構築されてもよい。補助スペーサ970は、例えば、ポリエチレンもしくはポリウレタンなどのオープンセル発泡体、またはニットもしくは織物スペーサ生地(例えば、ニットポリエステル3D生地、Baltex 7970.RTM、またはGehring 879.RTM.)などの生地、上部チャネルスペーサ層912、5512、および本明細書に記載される下部チャネルスペーサ層916、5516、または不織布材料に好適な任意の材料から構築され得る。
【0079】
図9Aおよび9Cの図示した実施形態900では、両面接着テープ928は、吸引開口926および954の周りに接着され、それによってアプリケータ920を下部層918に固定する。しかしながら、いくつかの実施形態では、両面接着テープ928は、空気リーク開口952および962、または開口962/952および926/954の両方の周りで接着されるようにサイズおよび形状付けられてもよい。いくつかの実施形態では、吸引アダプタ900は、空気リーク開口952および962の周りに接着される、接着テープ928と類似した追加の両面接着テープ(図示せず)を含み得る。いくつかの実施形態では、追加的または代替的に、両面接着剤テープ(複数可)に対して、アプリケータは、接着剤および/または溶接を用いて下部層918に取り付けられてもよい。
【0080】
動作中、
図9A~Cに記載される実施形態は、創傷被覆材から陰圧源まで延在する吸引流路から流体的に分離された、創傷被覆材内に延在する空気リーク経路を提供する。この実施形態は、空気リーク経路が、創傷被覆材の上方の吸引流路と流体接続する、
図5A~6の実施形態とは異なる。
図5A~6の実施形態では、開口5526が遮断される場合、例えば、吸引アダプタは、創傷の上に配置された創傷カバー内に形成された開口部上に適切に位置付けられていないか、または開口5526が創傷滲出液によって遮断される場合、陰圧源は、空気リーク部からガス(例えば、空気)を引き込むことによって、吸引アダプタから流体を動作させ、引き込むのを継続し得る。これにより、吸引アダプタの閉塞または創傷カバーの開口部上の吸引アダプタのずれを検出することが困難となり得る。本明細書に記載の吸引流路から流体的に分離された空気リーク経路を有することによって、吸引開口926が遮断される場合、空気リークが創傷を通ってのみ流れることになるため、陰圧源は、吸引アダプタから流体(例えば、空気)を引き込むのを停止し得る。このため、吸引アダプタの閉塞の検出が可能となる。さらに、制御された空気リーク経路を分離することによって、空気リークの干渉なしに吸引流路を通る流れまたは圧力を測定することがより容易になり得る。
【0081】
図9A~Cは、流体的に切り離されたまたは分離された空気リークチャネル(上部流体チャネル)および吸引チャネル(下部流体チャネル)を有する可撓性吸引アダプタ900の例を例示するが、分離された空気リーク部および吸引チャネルを流体的に切り離した可撓性吸引アダプタ900のその他の配置が可能である。例えば、空気リークチャネルおよび吸引チャネルは、一方のチャネルが他方のチャネルの最上部に配置される代わりに、並列に配置されてもよい。いくつかの実施形態では、2つの物理的に分離された柔らかい管は、創傷床に接続されてもよく、一方の管は、単に、陰圧源からの透過を可能にする手段として作用し、他方の管は、制御された空気リーク部からの空気が創傷内に流れるように、空気リークチャネルとしてのみ作用する。
【0082】
図10は、例えば、分離された空気リーク経路を有する吸引アダプタ900または任意の吸引アダプタを利用するなど、いくつかの実施形態による陰圧を適用するためのシステム1000の図を例示する。例示したように、システム1000は、1つ以上の創傷部位に陰圧を供給するために、流体流路1040を介して、創傷被覆材1006と流体接続する、陰圧源1022を含む。流体流路1040は、コネクタ1052によって接続される吸引アダプタ1020および管1042を含む。吸引アダプタ1020はまた、吸引アダプタ1020内にガス(例えば、空気)に入るように構成されたガスリーク部1012(空気リーク部とも呼ぶ)を含む。
【0083】
図10に示すように、吸引アダプタ1020は、較正されたリーク経路1026および吸引経路1024を含む。吸引経路1024は、創傷被覆材1006を通して創傷部位に陰圧を供給するために、コネクタ1052を通して流体流路1040に流体接続されている。較正されたリーク経路1026は、空気リーク部からガス(例えば、空気)を創傷被覆材1006を通して創傷に供給するように、空気リーク部1012に流体接続されている。
図10に示すように、較正されたリーク経路1026および吸引経路1024は、
図9A~Cに関連して以前に説明したように、創傷を通してのみ互いに流体接続されてもよい。いくつかの実施形態では、空気リーク部1012は、流体流路内の任意の適切な位置に配設されてもよい。例えば、空気リーク部1012は、コネクタ1052に組み込まれ得る。いくつかの実施形態では、空気リーク部は、システムのコントローラによって電子的にまたは電気機械的に調整されて、リークを閉鎖または拡大することができる。例えば、コントローラは、空気リーク部と通信して、各空気リーク部を個々にまたはユニットとして開閉することができる。例えば、空気リーク部は、電磁弁であってもよい。空気リーク部とコントローラとの間の通信は、有線または無線であってもよい。
【0084】
いくつかの実施形態では、吸引アダプタ1020は、空気リーク部1012を通して一定のリークレートを維持することができ、一方、陰圧は、陰圧源を通して印加される。いくつかの実施形態は、1、2、3、4、5、6、7、8、9mL/分またはそれ以上(+/-.5mL/分または別の適切な偏差)の空気リークを支援し得る。いくつかの実施形態は、10、20、30、40、50、60、70、80、90mL/分、またはそれ以上(+/-数mL/分または別の適切な偏差)の空気リークを支援し得る。いくつかの実施形態は、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9L/分、またはそれ以上(+/-数セントリター/分または別の適切な偏差)の空気リークを支援し得る。一部の実例では、リークレートは、制御されたリーク経路(CLP)の観点から論じられてもよく、CLPは適切な定数である。例えば、空気リークは、0.25、0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上のリークレートを有し得る。例えば、0.1L/分のリークレートを想定すると、1CLPは0.1L/分に相当してもよく、5CLPは0.5L/分に相当してもよい。より強度の高い空気リークがある場合、より速く電源を消耗してしまうため、この陰圧源はより強く機能しなければならない。したがって、いくつかの実施形態では、比較的低いリークレートが選択される。
【0085】
図15は、
図9A~Cに例示され、かつ関連して記載された、可撓性吸引アダプタ900の実施形態と類似した可撓性吸引アダプタ1500の実施形態を例示する。
図15は、吸引アダプタ1500の断面図を例示する。吸引アダプタ1500は、可撓性吸引アダプタ1500を形成するように、近位端1503および遠位端1505を有するブリッジ部分1502と、ブリッジ部分1502の遠位端1505でアプリケータ1520を含み得る。可撓性吸引アダプタは、可撓性吸引アダプタ5500と類似した様式で構築され、吸引アダプタ900、または本明細書で開示されている任意の他の吸引アダプタ、およびブリッジ部分1502は、前述したような類似の二重層配置から構築され得ることが好ましい。例えば、ブリッジ部分1502は、上部層1510と中間層1514との間に位置付けられる上部チャネルスペーサ層または材料1512を含んでもよく、下部チャネルスペーサ層または材料1516は中間層1514と底部層1518との間に位置付けられる。
【0086】
特定の実施形態において、例えば、
図15に例示するように、制御されたガスリーク部1524(ガスリーク部、空気リーク部、または制御された空気リーク部とも呼ぶ場合がある)は、ブリッジ部分1502上に配設されてもよく、例えば、その近位端に配置されてもよい。この空気リーク部1524は、空気リーク部1524が上部チャネル1512と流体連通するように、上部層1510を通って延在する開口部またはチャネルを備えてもよい。ガスリーク部1524は、
図9A~Cに図示され、かつ
図9A~Cに関連して記載される、可撓性吸引アダプタ900のフィルタ925などのフィルタを含み得る。
【0087】
アプリケータ1520は、例えば、両面接着テープのセクションを使用するなど、遠位端1505にブリッジ部分1502の取り付け点を含むことが好ましい。理解されるように、異なる取り付け方法も、例えば、ヒートシール、溶接、または適切な接着剤など、意図される。
【0088】
コネクタ1504は、チャネル1512および/または1516のうちの少なくとも1つに接続するように、ブリッジ部分1502の近位端1503に配設されてもよい。
図15に示すように、チャネルコネクタ1506は、ブリッジ部分1502の近位端1503に設けられてもよい。チャネルコネクタ1506は、安全な流体接続を形成するように、下部チャネル層1516内に埋め込まれるように構成され得る。チャネルコネクタ1506の一端が下部チャネル層1516に埋め込まれている状態で、チャネルコネクタ1506の他端は、コネクタ1504と接続または連通するか、または陰圧源に接続された管またはルーメンに直接接続されてもよい。
【0089】
吸引アダプタ1500の構成要素の各々は、吸引アダプタ5500または吸引アダプタ900の対応する各構成要素と類似していてもよく、従って、本明細書に以前言及した吸引アダプタ1500の対応する各構成要素の説明は、以下に記載される場合を除き、吸引アダプタ5500または吸引アダプタ900の各構成要素にも適用される。
【0090】
吸引アダプタ5500および吸引アダプタ900と類似の様式で、上部流体通路は、上部層1510と中間層1514によっておよびそれらの間に画定されてもよく、下部流体通路は、中間層1514と下部層1518によっておよびそれらの間に画定されてもよい。いくつかの事例では、
図15~18に示すように、上部層1510および下部層1518は、中間層1514よりも遠位端1505でさらに延在し、その結果、上部層1510および下部層1518は、遠位端1505で互いに直接接続(例えば、シール)され得る。上部流体通路は、上部チャネルスペーサ材料または層1512を含み得る。下部流体通路は、下部チャネルスペーサ層1516を含み得る。
【0091】
いくつかの事例では、
図15~17に例示するように、上部チャネルスペーサ層1512は、下部チャネルスペーサ層1516よりも遠位端1505でさらに延びて、上部層1510を支持してもよい。
図15~17に示される、いくつかの実施形態にあって、層1510、1514、および1518の遠位端、ならびにチャネルスペーサ層1512および1516は、その遠位端(創傷部位の上に配置される)で拡張され、「涙滴」または他の拡張形状を形成してもよい。下部流体通路は、上部チャネルスペーサ層1512の遠位端の下に空き部分または中空空間1570をさらに含み得る。中空空間1570は、下部チャネルスペーサ層1516の遠位端よりも遠位に離れて位置付けられ得る。中空空間1570は、本明細書の他の場所でさらに詳細に説明されるように、陰圧によって崩壊し得る。中空空間1570は、下部チャネルスペーサ材料1516を欠いてもよい。中空空間1570は、空であってもよく、または空隙を含んでもよい。
【0092】
いくつかの事例では、
図15および16に示すように、吸引アダプタ1500は、下部層1518で、例えば、下部層1518の拡張された遠位端で、少なくとも1つの開口部1552を含むことができる。開口部1552は、単一の穴または複数のより小さな穴として形成され得る。例示されるように、開口部1552は、下部層1518の中央長手方向軸上に位置してもよく、あるいは開口部1552は、中央長手方向軸上に位置しなくてもよい。アプリケータ1520は、開口部1552と整列するように構成された開口部1562を有してもよい。
図15および17に示すように、中間層1514は、例えば、中間層1514の遠位端に開口部1517を含むことができる。開口部1517は、上部流体チャネルと下部流体チャネルとの間の流体連通を提供し得る。開口部1517は、中空空間1570の上方に位置するなど、中空空間1570と流体連通してもよい。開口部1517は、下部チャネルスペーサ層1516の遠位端から離れて遠位に位置付けられてもよい。下部チャネルスペーサ層1516は、中間層1517の開口部から離れて遠位端で終結し得る。下部チャネルスペーサ層1516の遠位端は、中間層1514の開口部1517とオーバーラップしない場合がある。
【0093】
いくつかの実施形態では、上部チャネルスペーサ材料1512は、吸引アダプタ1500の中央長手方向軸上に提供され、それらに沿って延在することができる。上部チャネルスペーサ材料1512は、中央長手方向軸上にある下部チャネルスペーサ材料1516の任意の部分よりも遠位に延在し得る。したがって、下部層1518の少なくとも1つの開口部1552の上方に、上部チャネルスペーサ材料1512が、下部チャネルスペーサ材料1516の遠位に見える部分とすることができる。
【0094】
図15に示すように、開口部1552は、中空空間1570内に位置付けられ得る。このように、開口部1552は、上部チャネルスペーサ層1512を有する上部流体チャネルに流体接続されてもよく、それによって、開口部1517、中空空間1570、および開口部1552を通って、空気リーク部1524から創傷に向かって遠位に延在するガスリーク流(例えば、空気リーク流)を形成する。開口部1552は、中空空間1570を介して、下部チャネルスペーサ層1516を有する下部流体チャネルに流体接続されてもよく、それによって、コネクタ1504から遠位に延在する吸引流および/または陰圧源を形成する。
【0095】
いくつかの事例では、上部層1510は、中間層1514および/または下部層1518との流体タイトシールを形成してもよく、中間層1514は、上部層1510および下部層1518と流体タイトシールを形成してもよく、その結果、上部流体チャネルは、空気リーク部1524から開口部1552へ遠位に延在するが、遠位端1505を除いて、コネクタ1504から開口部1552まで遠位に延在する下部流体チャネルを用いて流体的に分離することができる。上部層1510、中間層1514、および下部層1518は、例えば、溶融、溶接、または接着剤を用いて、本明細書に記載される任意の手段を使用して互いにシールされてもよい。
【0096】
いくつかの事例では、下部流体チャネルは、開口部1552に隣接するフィルタ(図示せず)を含み得る。フィルタは、創傷滲出液が下部流体チャネルに侵入するのを実質的に妨げるように構成され得る。フィルタは、液体に対して不透過性であってもよく、ガスに対して浸透性であってもよく、液体バリアとして作用し、液体が創傷被覆材から逃げることができないことを保証するために提供され、それによって、創傷流体を収集するキャニスタは、吸引アダプタと陰圧源との間に必要とされない場合がある。フィルタは疎水性であってもよい。フィルタは、吸引アダプタおよび/またはカバーフィルムに、創傷被覆材上に取り付けてもよく、またはシールされてもよい。例えば、フィルタは、吸引アダプタ1500内に成形されてもよく、またはUV硬化接着剤などの接着剤を使用して、吸引アダプタ1500の下部層1518に接着されてもよい。
【0097】
図18は、吸引アダプタ1500の遠位端1505の底部面図を例示する。
図18に示すように、底部から見た時、下部チャネル層1516および/または中間層1514は、開口部1552およびアプリケータ1520における開口部1562を通して少なくとも部分的に露出または視認できる場合がある。開口部1552は、アプリケータ1520における開口部1562と少なくとも部分的にオーバーラップすることができる。
【0098】
いくつかの事例では、開口部1517および開口部1552は、中間層1514の開口部1517が、開口部1552および1562を通して少なくとも部分的に露出または視認できるように整列される。開口部1517は、開口部1552および1562と少なくとも部分的にオーバーラップすることができる。開口部1517の上の上部チャネル層1512の一部分は、開口部1552および1556に露出されてもよく、またはとオーバーラップしてもよい。開口部1552および開口部1562は、開口部1517と類似またはより大きなサイズを有してもよい。開口部1517全体が、開口部1552および/または開口部1562の上方にあり、開口部1517が完全にオーバーラップするか、または開口部1552および/または開口部1562を通して露出することができる。いくつかの事例では、開口部1517は、開口部1552および/または開口部1562と部分的にオーバーラップするか、または開口部1552および/または開口部1562を通して露出され得る。開口部1517の中心は、開口部1552の中心から遠位に位置付けられ得る。
【0099】
陰圧が、例えば、コネクタ1504および下部チャネル層1516を通して吸引アダプタ1500に適用されるとき、中空空間1570は崩壊し得る。こうした崩壊は、中空空間1570を通して、下部流体通路(例えば、下部チャネル層1516)と上部流体通路(例えば、上部チャネル層1512)との間の流体連通を終結するか、または妨げ得る。このように、上部流体通路を通るガス流(例えば、空気流)は、下部流体通路に直接伝達されない場合がある。代わりに、吸引アダプタ1500が創傷の上に位置付けられた創傷被覆材の開口部の上に位置付けられ、陰圧がコネクタ1504を通して吸引アダプタ1500に印加されるとき、ガス流は、開口部1517および1552、創傷被覆材における開口部、および創傷に位置付けされた創傷充填剤を通して、下部流体通路に伝達され得る。ガス流は、下部チャネルスペーサ材料1516の遠位端で、被覆材または創傷充填剤で充填された創傷のうちの1つ以上と連通する下部チャネル層部分1564の結果として、下部流体通路に連通され得る。本明細書に記載されるように、こうした配置は、上部流体通路を通して送達されるガスと、下部流体通路を通して送達される吸引との間の流体流路が、創傷被覆材および創傷充填剤の開口部を通してのみ提供され、中空空間1570を通して提供されないため、閉塞のより正確な判定(例えば、吸引アダプタが創傷上に正しく配置されない時)を、有利に提供することができる。
【0100】
本明細書に記載されるように、中空空間1570は、陰圧の印加によって崩壊し得る。上部スペーサ層1512および下部スペーサ層1516が一定量、崩壊し得るが、中空空間1570の崩壊が、崩壊に耐える内部構造が中空空間1570に存在しないために、吸引アダプタ1500の他の構成要素は、程度が大きくなる場合がある。中空空間1570が崩壊すると、中空空間1570の上方の中間層1514の遠位端は、中間層1514の遠位端が、上部流体通路と下部流体通路との間の流体流を遮断するように、下部層1518の開口部1552に向かって引き込まれ得る。したがって、中空空間1570が崩壊されたとき、気流は、本明細書に記述されるように、上部流体通路と、創傷被覆材における開口部を通る下部流体通路との間でのみ達成され得る。
図19~21は、創傷充填剤で充填された創傷の上に位置付けられた、創傷被覆材1900に取り付けられた吸引アダプタ1500を示す。
図19~21に示すように、吸引アダプタ1500の遠位端は、陰圧が印加されると崩壊される。
【0101】
下部チャネルスペーサ層1516の遠位端および中間層1514の開口部1517は、開口部1517が開口部1552と整列して、中間層1514が開口部1552に引き込まれた時に上部流体通路から創傷へのガス流(例えば、空気流)を可能にするように、互いに十分に間隔を置いてもよい。例えば、下部チャネルスペーサ層1516の遠位端と開口部1517の中心との間の距離は、5mm超または未満、1cm超または未満、2cm超または未満、3cm超または未満、または5cm超または未満などであってもよい。いくつかの事例では、中空空間1570の崩壊の結果として、中間層1514が開口部1552に向かって引き込まれるときに、開口部1517全体が、開口部1552または開口部1562の上方に位置付けられ、それによって開口部1517全体が、創傷被覆材の開口部と流体連通するようになる。
【0102】
図18に示すように、下部流体チャネル層1516の一部分は、下部層1518の開口部1552またはアプリケータ1520の開口部1556で露出され得る。こうした部分は、下部チャネル層部分1564であってもよい。本明細書に記載されるように、創傷と下部流体チャネルとの間の流体流は、陰圧が印加され、中間層1514の遠位端が開口部1552に引き込まれる時に、下部流体チャネル層1516の露出部分を通して維持され得る。
【0103】
動作中、吸引アダプタ1500は、(例えば、上部流体通路を介して)創傷被覆材から陰圧源(例えば、下部流体通路を介して)へ延在する吸引流路から流体的に分離された、創傷被覆材内に延在するガス(例えば、空気)リーク経路を提供する。本明細書に記載の吸引流路から流体的に分離された空気リーク経路を有することによって、開口部1552が遮断される場合、本明細書に記載されるように、ガスリークが、創傷を通ってのみ流れることになるため、陰圧源は、吸引アダプタによって、提供される、ガス(例えば、空気)を引き込むのを停止し得る。これにより、吸引アダプタの閉塞、例えば、吸引アダプタが、創傷または創傷滲出液による閉塞の上に配置された創傷カバー内に形成された開口部の上に適切に位置付けられていないことの検出が可能となる。追加的に、制御された空気リーク経路を分離することによって、空気リークの干渉なしに吸引流路を通る流れまたは圧力を測定することがより容易になり得る。
【0104】
図22および23は、
図9A~Cおよび15~18に例示され、かつ関連して記載される、可撓性吸引アダプタ900、1500の実施形態と類似した吸引アダプタ1600、1700の遠位端1605、1705の異なる実施形態の底部面図を例示する。異なる層の一部は、異なる層の配向を示すために部分的に透明として示されている。同じまたは実質的に同じ特徴の参照番号は、同じ最後の2桁を共有してもよい。
図22および23に示すように、底部から見た時、中間層1614、1714は、開口部1652、1752を通して少なくとも部分的に露出または視認でき得る。吸引アダプタ1600、1700の少なくとも1つの開口部1652、1752は、アプリケータ1620、1720の開口部1662、1762と少なくとも部分的にオーバーラップし得る。
【0105】
図22に示すように、下部チャネルスペーサ層1616の遠位端は、ベース部分1616aと、ベース部分1616aから延在する2つの突起部または側部部分1616b、1616cとを含む、フォーク形状を有し得る。2つの側部部分1616b、1616cは、2つの側部部分1616b、1616cが離間するように、ベース部分1616aの対向する側面から延在し得る。この構成は、吸引アダプタ1600に追加的な支持を提供し、異なる層(例えば、底部層1618)の少なくともいくらかのしわを防止し得る。いくつかの実施形態では、様々な開口部1617、1652、1662は、2つの側部部分1616b、1616cとの間に位置付けられてもよく、2つの側部部分1616b、1616cは、開口部1617、1652、1662を遠位に越して延在することができる。いくつかの実施形態では、様々な開口部1617、1652、1662は、ベース部分1616aの遠位に位置付けられ得る。
【0106】
図23は、異なる形状の下部チャネルスペーサ層1716を有する吸引アダプタ1700の異なる実施形態を例示する。図示した構成では、下部チャネルスペーサ層1716は、拡張された遠位端1716aを含む。拡張された遠位端1716aは、下部チャネルスペーサ層1716の拡張された遠位端1716aが開口部1752とオーバーラップしないように、吸引アダプタ1700の開口部1752の近位部分に隣接して位置付けられ得る、直線状の遠位エッジを有し得る。いくつかの構成では、下部チャネルスペーサ層1716の拡張された遠位端1716aは、開口部1752と少なくとも部分的にオーバーラップし得る。
【0107】
図24A~26Bは、本明細書に記載の任意の吸引アダプタと併用できる、中間層2014、2114、2214、および底部層2018、2118、2218の遠位端の異なる実施形態の底部面図を例示する。中間層2014,2114、2214、および底部層2018、2118、2218は、
図9A~Cおよび15~18に例示され、それらに関連して説明される実施形態と類似し得る。同じまたは実質的に同じ特徴の参照番号は、同じ最後の3桁を共有してもよい。
【0108】
図24AおよびBは、中間層2014および底部層2018の実施形態を例示する。
図24Aに示すように、中間層2014の遠位端は、中間層2014の遠位エッジ2015から、および中間層2014の長手方向軸に沿って測定された第1の長さL
1を有する長方形形状を有し得る。開口部2017は、中間層2014の遠位端の中心に、またはその近くに位置付けられ得る。例えば、開口部2017の中心は、遠位エッジ2015から第2の長さL
2に位置付けられ、中間層2014の長手方向中心線と整列され得る。第2の長さL
2は、第1の長さL
1の約半分とすることができる。開口部2017は、第3の長さL
3および幅W
1を含む楕円形のような形状を有し得る。いくつかの実施形態では、第3の長さL
3は、約5mm~約20mm、約10mm~約15mm、または約10mmとすることができる。いくつかの実施形態では、幅W
3は、約2mm~約10mm、約5mm~約7mm、または約4mmとすることができる。
【0109】
図24Bに示すように、底部層2018の遠位端は、底部層2018の遠位エッジ2019から、および底部層2018の長手方向軸に沿って測定された第1の長さL
4を有する長方形形状を有し得る。開口部2052は、底部層2018の遠位端の中心に、またはその近くに位置付けられ得る。例えば、開口部2052の中心は、遠位エッジ2019から第2の長さL
5に位置付けられ、底部層2018の長手中心線と整列され得る。第2の長さL
5は、第1の長さL
4の約半分とすることができる。開口部2052は、直径D
1を含む円形形状を有し得る。いくつかの実施形態では、直径D
1は、約10mm~約40mm、約20mm~約30mm、または約16mmとすることができる。
【0110】
図25AおよびBは、中間層2114および底部層2118の実施形態を例示する。
図25Aに示すように、中間層2114の遠位端は、中間層2114の遠位エッジ2115から、および中間層2114の長手方向軸に沿って測定される第1の長さL
6を有する長方形形状を有し得る。開口部2117は、中間層2114の遠位端の中心に、またはその近くに位置付けられ得る。例えば、開口部2117の中心は、遠位エッジ2115から第2の長さL
7に位置付けられ、中間層2114の長手方向中心線と整列され得る。第2の長さL
7は、第1の長さL
6の約半分とすることができる。開口部2117は、第3の長さL
8および幅W
2を含む楕円形のような形状を有し得る。いくつかの実施形態では、第3の長さL
8は、約5mm~約20mm、約10mm~約15mm、または約10mmとすることができる。いくつかの実施形態では、幅W
2は、約2mm~約10mm、約5mm~約7mm、または約4mmとすることができる。
【0111】
図25Bに示すように、底部層2118の遠位端は、底部層2118の遠位エッジ2119から、および底部層2118の長手方向軸に沿って測定された第1の長さL
9を有する長方形形状を有し得る。開口部2152は、底部層2118の遠位端の中心に、またはその近くに位置付けられ得る。例えば、開口部2152の中心は、遠位エッジ2119から第2の長さL
10に位置付けられ、底部層2118の長手中心線と整列され得る。第2の長さL
5は、第1の長さL
4の約半分とすることができる。開口部2152は、直径D
2を含む円形形状を有し得る。いくつかの実施形態では、直径D
2は、約10mm~約40mm、約20mm~約30mm、または約20mmとすることができる。
【0112】
図26AおよびBは、中間層2214および底部層2218の実施形態を例示する。
図26Aに示すように、中間層2214の遠位端は、中間層2214の遠位エッジ2215から、および中間層2214の長手方向軸に沿って測定された第1の長さL
11を有する長方形形状を有し得る。開口部2217は、中間層2214の遠位端の中心に、またはその近くに位置付けられ得る。例えば、開口部2217の中心は、遠位エッジ2215から第2の長さL
12に位置付けられ、中間層2214の長手方向中心線と整列され得る。第2の長さL
12は、第1の長さL
11の約半分とすることができる。開口部2217は、第3の長さL
13および幅W
3を含む楕円形のような形状を有し得る。いくつかの実施形態では、第3の長さL
13は、約1mm~約5mm、約2mm~約4mm、または約2mmとすることができる。いくつかの実施形態では、幅W
3は、約2mm~約10mm、約5mm~約7mm、または約4mmとすることができる。
【0113】
図26Bに示すように、底部層2218の遠位端は、底部層2218の遠位エッジ2219から、および底部層2218の長手方向軸に沿って測定された第1の長さL
14を有する長方形形状を有し得る。開口部2252は、底部層2218の遠位端の中心に、またはその近くに位置付けられ得る。例えば、開口部2252の中心は、遠位エッジ2219から第2の長さL
15に位置付けられ、底部層2218の長手中心線と整列され得る。第2の長さL
15は、第1の長さL
14の約半分とすることができる。開口部2252は、直径D
3を含む円形形状を有し得る。いくつかの実施形態では、直径D
3は、約10mm~約50mm、約20mm~約40mm、または約30mmとすることができる。
【0114】
図27は、
図9A~C、および15~18に例示され、かつ関連して記載された、可撓性吸引アダプタ900、1500の実施形態と類似した可撓性吸引アダプタ2300の実施形態を例示する。同じまたは実質的に同じ特徴の参照番号は、同じ最後の2桁を共有してもよい。
図27に示すように、吸引アダプタ2300の遠位端2305は、底部層2318の一部分が中間層2314に溶接され得る、溶接部分2319を含み得る。少なくとも1つの開口部が遠位開口部2352bから間隔を置いた近位開口部2352aを含むように、溶接部分2319は、吸引アダプタ2300の少なくとも1つの開口部に位置付けられてもよい。
【0115】
いくつかの実施形態では、溶接部分2319は、中空空間2370を通る下部流体通路(例えば、下部チャネル層2316)と上部流体通路(例えば、上部チャネル層2312)との間の流体連通を終結または妨げ得る。このように、上部流体通路を通るガス流(例えば、空気流)は、下部流体通路に直接伝達されない場合がある。代わりに、吸引アダプタ2300が創傷2330の上に位置付けられた創傷被覆材の開口部の上に位置付けられ、陰圧がコネクタ2304を通して吸引アダプタ2300に印加されるとき、ガス流は、開口部2317、2352aおよび2352b、創傷被覆材での開口部、および創傷2330に位置付けされた創傷充填剤を通して、下部流体通路に伝達され得る。ガス流は、下部チャネルスペーサ材料2316の遠位端で、被覆材または創傷充填剤で充填された創傷2330のうちの1つ以上と連通する下部チャネル層部分2364の結果として、下部流体通路に連通され得る。本明細書に記載されるように、こうした配置は、上部流体通路を通して送達されるガスと、下部流体通路を通して送達される吸引との間の流体流路が、創傷被覆材および創傷充填剤の開口部を通してのみ提供され、中空空間2370を通して提供されないため、閉塞のより正確な判定(例えば、吸引アダプタ2300が創傷2330上に正しく配置されない時)を、有利に提供することができる。
【0116】
図28A~30Bは、上述の吸引アダプタ2300または本明細書に記載の任意の吸引アダプタと併用できる、中間層2414、2514、2614、および底部層2418、2518、2618の遠位端の異なる実施形態の底部面図を例示する。中間層2414、2514、2614、および底部層2418、2518、2618は、
図9A~Cおよび15~18および27に例示され、それらに関連して説明される実施形態と類似し得る。同じまたは実質的に同じ特徴の参照番号は、同じ最後の3桁を共有してもよい。
【0117】
図28AおよびBは、中間層2414および底部層2418の実施形態を例示する。
図28Aに示すように、中間層2414の遠位端は、中間層2414の遠位エッジ2415から中間層2414の長手方向軸に沿って測定される第1の長さL
16を有する長方形形状を有し得る。開口部2417は、中間層2414の遠位端の中心に、またはその近くに位置付けられ得る。例えば、開口部2417の中心は、遠位エッジ2415から第2の長さL
17に位置付けられ、中間層2414の長手方向中心線と整列され得る。第2の長さL
17は、第1の長さL
16の約半分とすることができる。開口部2417は、第3の長さL
18および幅W
4を含む楕円形のような形状を有し得る。いくつかの実施形態では、第3の長さL
18は、約1mm~約5mm、約2mm~約4mm、または約2mmとすることができる。いくつかの実施形態では、幅W
4は、約2mm~約10mm、約5mm~約7mm、または約4mmとすることができる。
【0118】
図28Bに示すように、底部層2418の遠位端は、底部層2418の遠位エッジ2419から、および底部層2418の長手方向軸に沿って測定された第1の長さL
19を有する長方形形状を有し得る。開口部2452a、2452bは、底部層2418の遠位端の中心に、またはその近くに位置付けられ得る。例えば、2つの開口部2452a、2452bの間の溶接部分2419の中心は、遠位エッジ2419から第2の長さL
20に位置付けられ、底部層2418の長軸方向の中心線と整列され得る。第2の長さL
20は、第1の長さL
19の約半分とすることができる。溶接部分2419は、2つの開口部2452a、2452bを分離する幅W
5を有し得る。幅W
5は、約1mm~約10mm、約3mm~約8mm、または約6mmとすることができる。開口部2452a、2452bはそれぞれ、近位開口部2452aのエッジから、溶接部分2419を通って、遠位開口部2452bのエッジまで測定される直径D
4を含む半円形状を有し得る。いくつかの実施形態では、直径D
4は、約10mm~約50mm、約20mm~約40mm、または約30mmとすることができる。
【0119】
図29AおよびBは、中間層2514および底部層2518の実施形態を例示する。
図29AおよびBに示すように、中間層2514および底部層2518は、
図28A~Bに関連して上述した中間層2414および底部層2518と同一または類似であってもよい。
図29Bに示すように、溶接部分2519は、2つの開口部2552a、2552bを分離する幅W
6を有し得る。幅W
6は、約1mm~約10mm、約3mm~約8mm、または約4mmとすることができる。開口部2552a、2552bはそれぞれ、近位開口部2552aのエッジから、溶接部分2519を通って、遠位開口部2552bのエッジまで測定される直径D
5を含む半円形状を有し得る。いくつかの実施形態では、直径D
5は、約10mm~約50mm、約20mm~約40mm、または約20mmとすることができる。
【0120】
図30AおよびBは、中間層2614および底部層2618の実施形態を例示する。
図30AおよびBに示すように、中間層2614および底部層2618は、
図28AおよびBに関連して上述した中間層2414および底部層2518と同一または類似であってもよい。
図30Bに示すように、近位開口部2652aおよび遠位開口部2652bは、底部層2618の遠位端の中央に、またはその近くに位置付けられ得る。例えば、2つの開口部2652a、2652bの間の溶接部分2619の中心は、底部層2618の長軸方向の中心線と整列され得る。追加的に、溶接部分2619の中心は、遠位エッジ2619から長さL
20に位置付けられる底部層2618の遠位端の中心からオフセットされてもよい。溶接部分2619は、2つの開口部2652a、2652bを分離する幅W
7を有し得る。幅W
7は、約5mm~約20mm、約10mm~約15mm、または約10mmとすることができる。
【0121】
複数被覆材陰性創傷治療
図11Aおよび11Bは、いくつかの実施形態による陰圧創傷治療システム400を例示する。システム400a、400b(まとめて400)は、ポンプアセンブリまたは陰圧ユニット434など、陰圧源を含んでもよい。いくつかの実施形態では、陰圧ユニット434は、
図2に図示したものと同一である。陰圧ユニット434は、1つ以上の創傷に陰圧を供給するために、1つ以上の創傷被覆材406a、406b(総称して406と称する)と流体接続してもよい。いくつかの実施形態では、創傷被覆材406と陰圧ユニット434との間の流体接続は、流体流路(例えば、陰圧流を介して流体が創傷から吸引される経路)と呼ばれる。例えば、第1の流体流路は、陰圧ユニット434から第1の創傷被覆材406aへの流体接続を提供する構成要素を含み得る。非限定的な例として、第1の流体流路は、陰圧ユニット434との流体接続における、創傷被覆材406aから陰圧ユニット434への経路、または第1の創傷被覆材406aから分岐取り付け部444の入口への経路を含み得る。例示したように、システム400は、
図9A~Cに関連して記載される吸引アダプタ900および/または
図10に関連して記載される吸引アダプタ1020などの複数の吸引アダプタを介して、陰圧ユニット434と流体接続する複数の創傷被覆材(および対応する流体流路)を含み得る。したがって、吸引アダプタ900および1020、ならびに本明細書のそれらの構成要素についての記述は、システム400aおよび400bの吸引アダプタおよびその構成要素にも適用され得る。例えば、システム400aおよび400b用の吸引アダプタは、吸引チャネルから流体的に分離された制御されたリークチャネルを含み得る。各創傷被覆材および流体流路は、システム内の別の創傷被覆材または流体流路の特徴または要素に合致するか、またはそれに類似する、様々な特徴または要素を含み得る。参照を容易にするために、1つ以上の対応する特徴または要素は、対応する文字なしで参照番号を使用して集合的に参照され得る。例えば、ブリッジ402aおよびブリッジ402bは、ブリッジ402と総称され得る。しかしながら、いくつかの実施形態では、集合的に言及された要素は同一ではなく、異なる特徴または属性を有し得ることに留意されたい。
【0122】
図11Aを参照すると、システム400aは、近位端403および遠位端405を有するブリッジ402および可撓性吸引インターフェースまたはアダプタを形成するのに、ブリッジ402の遠位端405にアプリケータ420を含む、吸引アダプタ900または1020などの吸引アダプタを含み得る。陰圧ユニット434は、創傷滲出液、および創傷から除去されてもよい他の流体を貯蔵するための、キャニスタまたは他の容器を含んでもよい。陰圧ユニット434は、
図2に関連して記載される陰圧ユニット5534であってもよい。別の方法として、または追加的に、創傷被覆材406は、創傷滲出液および他の流体を収集してもよく、キャニスタは存在しない場合がある。いくつかの実施形態では、複数のキャニスタが提供され、例えば、1つの創傷被覆材当たり1つのキャニスタが提供される。いくつかの実施形態では、陰圧ユニット434は、Smith&Nephewによって製造されたRenasysタッチデバイスであってもよい。いくつかの実施形態では、Renasysソフトポート以外のコネクタまたはRenasysタッチ以外のデバイスを使用できる。
【0123】
図11Bは、可撓性吸引アダプタが創傷の上に配置された、
図11Aの実施形態を例示する。いくつかの実施形態において、アプリケータ420は、発泡体またはガーゼなどの創傷パッキング材料で満たされてもよい、好適に用意ができている創傷430の上に配置される、ドレープ431に形成される開口435にわたって配置される。その後、管440または入口マニホールド分岐取り付け部またはコネクタ444を介してコネクタ404に接続される陰圧ユニット434によって、陰圧ユニット434が起動され、それによって、流体流路を介して創傷に陰圧が供給される。陰圧の適用は、創傷430の所望するレベルの治癒を達成するまで行われてもよい。
図11Aおよび11Bに2つの創傷および創傷被覆材が例示されているが、いくつかの実施形態では、陰圧ユニット434は、2つ以上の創傷に治療を提供することができる。いくつかの実施では、陰圧創傷治療は、単一の創傷に提供され得る。
【0124】
取り付け部
陰圧ユニット434は、1つ以上の管440、442、1つ以上のブリッジ402を介して、または入口マニホールド分岐取り付け部444を介して、創傷被覆材406と流体接続してもよい。例えば、陰圧ユニット434は、管440、入口マニホールド分岐取り付け部444、管442、およびブリッジ402を介して、複数の創傷被覆材406と流体接続してもよい。別の例として、マニホールド分岐取り付け部444は、管440を使用することなく、陰圧ユニット434に直接接続することができる。
図11Aおよび11Bに示すように、入口マニホールド分岐取り付け部444は、複数の被覆材導管取り付け部分445a、445bを介して、陰圧ユニット434を複数の流体流路に接続するように構成され得る。入口マニホールド分岐取り付け部444は、接合部を介して陰圧取り付け部分446に流体接続されるように構成された任意の数の被覆材導管取り付け部分445を含み得る。例えば、入口マニホールド分岐取り付け部は、2つの被覆材導管取り付け部分445a、445b、3つの被覆材導管取り付け部分、または3つ以上の被覆材管取り付け部分を含み得る。
【0125】
複数の被覆材導管取り付け部分445は、第1の被覆材導管取り付け部分445aおよび第2の被覆材導管取り付け部分445bを含み得る。しかしながら、より多くの、またはより少ない被覆材導管取り付け部分が、入口マニホールド分岐取り付け部444に含まれ得ることが理解され得る。被覆材導管取り付け部分445の各々は、接合部から離れて延在し、接合部の遠位の入口を含むシャフトを含む。入口は、流体流路の少なくとも一部分を陰圧ユニット434に流体接続するように構成される。
【0126】
入口マニホールド分岐取り付け部444はまた、1つ以上の陰圧取り付け部分446を含み得る。陰圧取り付け部分446の各々は、接合部から離れて延在するシャフトおよび接合部の遠位の入口を含み得る。入口(複数可)は、陰圧ユニット434に流体接続するように構成されることができる。例えば、入口は、導管またはポンプの対応するオスまたはメスのコネクタに取り付けるオスまたはメスの非ルアーコネクタを含み得る。いくつかの実施形態では、陰圧取り付け部分446は、管440または他の導管を介して陰圧ユニット434に取り付けられる。陰圧取り付け部分446はまた、陰圧ユニット434のハウジングに直接取り付ける(または統合する)ことができる。
【0127】
入口マニホールド分岐取り付け部444または導管は、流体を流体流路内に入れるか、または代替的に、流体の流れまたは流体通路を遮断または制限するように構成され得る、1つ以上のバルブ、クランプ、キャップ、空気リーク部、またはその他の流れ調節機構が組み込まれた状態を含み得る。いくつかの実施形態では、入口マニホールド分岐取り付け部444のバルブ、空気リーク部、またはその他の流れ調節機構は、電子的に開または閉とすることができる。例えば、陰圧ユニット434のコントローラは、バルブ、空気リーク部などと通信して、それぞれを個々にまたはユニットとして開閉することができる。この通信は、有線または無線であってもよい。
【0128】
被覆材導管取り付け部分445は、Y-(2つの創傷)、W-(3つの創傷)、または入口マニホールド分岐取り付け部のその他の形状の最上部を形成するシャフトを含み得る。被覆材導管シャフトの近位端とポンプ導管シャフトの遠位端は、接合部で交わることができる。いくつかの実施形態では、接合部は、接合部の周りのシャフトの回転を可能にするヒンジを含み得る。いくつかの実施形態では、入口マニホールド分岐取り付け部は、W字形状のコネクタ(
図6に例示するように)であってもよい。こうした実施形態では、入口マニホールド分岐取り付け部は、3つの被覆材導管取り付け部分および1つの陰圧取り付け部分を含み得る。
【0129】
入口マニホールド分岐取り付け部は、硬質のプラスチックまたは軟質のプラスチック管を含んでもよく、または代替的に、柔らかいシリコンスリーブに封入されて、患者の快適さを高め、入口マニホールド分岐取り付け部444が圧力点になることを妨げてもよい。
【0130】
いくつかの実施形態では、入口マニホールド分岐取り付け部を利用して、陰圧ユニットを複数の創傷被覆材406に取り付けると、陰圧ユニットは、複数の創傷430から流体を同時に吸引することができる。そのようなシステムの性能および創傷治癒能力(流体管理など)は、単一のポンプセットアップを有する標準的な単一の創傷被覆材の性能および創傷治癒能力と同等であるか、またはそれを超えることができる。
【0131】
いくつかの実施形態では、統合された入口マニホールド(図示せず)を、入口マニホールド分岐取り付け部444の代わりに使用することができる。こうした実施例では、入口マニホールドは、1つ以上の流体流路が、統合された入口マニホールドの1つ以上の入口を介してポンプに流体接続できるように、陰圧ユニット434またはポンプハウジングに組み込まれ得る(例えば、直接取り付けられる)。統合された入口マニホールドは、分割取り付け具(本明細書に記載されるY字形状またはW字形状の分岐取り付け具に類似)を含んでもよく、またはポンプとの流体接続において1つ以上の別々に統合された入口を含んでもよい。
【0132】
運用条件の決定
いくつかの実施形態では、システム400は、1つ以上の創傷に陰圧を印加することができる。1つ以上の創傷(例えば、1つ以上の創傷被覆材下)における陰圧のレベルは、陰圧源における陰圧レベルに十分に近接し得る。例えば、創傷で維持される圧力の許容可能なレベルは、陰圧設定点の±1mmHg、±5mmHg、±10mmHg、±25mmHg、およびこれに類するものであってもよい。いくつかの実施形態では、この圧力は、システム400が陰圧を印加した時間の95%(または別の適切な割合)以内でこのレベルに維持することができる。いくつかの実施形態では、許容可能な圧力レベルは、-40~-120mmHgの間の圧力範囲を含み得る。しかしながら、他の圧力レベルが、本明細書に記載されるように使用されてもよい。
【0133】
本明細書でより詳細に説明するように、1つ以上の流体流路内の空気リーク部424、5524,924または1012などの1つ以上の空気リーク部を利用して、システム内の1つ以上の動作条件を決定し得る。例えば、空気リーク部は、比較的一定の空気、ガス、または他の流体の流れを、流体流路内に入れることができる制御された空気リーク部であってもよい。いくつかの実施形態では、空気リーク部からの流体流路内への流れは、追加の陰圧がシステムに適用されると、顕著に増加しない。しかしながら、システム内の空気リークの存在は、定常状態が達成された(例えば、陰圧設定点に到達した)時に、システムを通る実質的に一定のベースライン流れを維持し得る。次いで、空気リーク部の存在は、創傷(複数可)で所望のレベルの陰圧を維持するために、より懸命に働くために、陰圧源を必要とし得る。したがって、システムは、例えば、陰圧源の活動の監視に基づいて、直接的または間接的に測定できる、流体流路(複数可)を通る流れを監視することによって、1つ以上の動作条件(閉塞、漏れ、キャニスタの満杯、吸引アダプタの不整列など)の存在を決定し得る。
【0134】
いくつかの実施形態では、各流体流路は、空気リーク部(
図11Aおよび11Bに例示されるような)を含んでもよく、それぞれの流体流路の各空気リーク部は、異なる空気、ガス、または他の流体の流量をシステム内に入れることができる。言い換えれば、システムの各空気リーク部は、異なるリークレートを有し得る。例えば、空気リーク部のリークレートは、空気リーク部のサイズまたは形状、空気リーク部がフィルタ、サイズまたは多孔性レベルまたはフィルタ、空気リーク部またはフィルタの遮蔽のレベルなどを含むかどうかに、少なくとも部分的に基づくことができる。流体流路内に入る流体は、その流体流路の流量を増加させる。
【0135】
したがって、システム400の各流体流路は、異なる流量を有し得る。システム400の総流量(TFR)(例えば、各創傷被覆材への流れの集約)は、監視、計算、または決定され、その後、システム400の動作状態を決定するために使用されることができる。動作状態は、例えば、「流れなし」状態(例えば、全ての流路が塞がれている)、1つ以上の流路の閉塞状態(例えば、第1の流体流路に閉塞状態が存在し、第2の流体流路に閉塞状態が存在するなど)、キャニスタの満杯状態、通常の動作(例えば、流体流路のいずれかに閉塞が存在しない)などを含み得る。
【0136】
いくつかの実施形態では、システム400は、決定された総流量および1つ以上の流れ閾値の比較に基づいて、患者または介護者にシステム400の運転状態を伝えるための警報などの指示を提供することができる。いくつかの実施形態では、システム400の動作条件に対応する流れ閾値は、事前に決定される。いくつかの実施形態では、流れ閾値は、システムの特定のモード(例えば、較正モード)の間の、流量または圧力などのシステム400の動的測定値または計算に少なくとも部分的に基づく。
【0137】
図12は、いくつかの実施形態による陰圧を適用するためのシステムの図を例示する。例示したように、システム500は、流体流路540aおよび540bそれぞれと接続される吸引経路528aおよび528bを介して1つ以上の創傷部位に陰圧を印加するために、流体流路540d、入口マニホールド分岐取り付け部544、および流体流路540a、540bを介して、創傷被覆材506a、506bと流体接続する、陰圧源522を含む。吸引経路528aは、コネクタ530で流れチャネル540aに接続されてもよく、吸引経路528bは、コネクタ530で流れ溝540bに接続されてもよい。第1の流体流路540aおよび第2の流体流路540bの各々は、それぞれ、流体を制御された空気リーク経路526aおよび526bの中に入れるように構成された空気リーク部512、514を含む。制御された空気リーク経路526aおよび526bは、制御された空気リーク経路および吸引経路が創傷床を通してのみ流体接続されるように、吸引チャネル528aおよび528bと流体分離されてもよい。
【0138】
いくつかの実施形態では、空気リーク部は、システムのコントローラによって電子的にまたは電気機械的に調整されて、リークを閉鎖または拡大することができる。例えば、コントローラは、空気リーク部と通信して、各空気リーク部を個々にまたはユニットとして開閉することができる。例えば、空気リーク部は、電磁弁であってもよい。空気リーク部とコントローラとの間の通信は、有線または無線であってもよい。
【0139】
いくつかの実施形態では、システム500または1000は、空気リーク部を通して一定のリークレートを維持することができ、一方、陰圧は、陰圧源を通して印加される。いくつかの実施形態は、1、2、3、4、5、6、7、8、9mL/分またはそれ以上(+/-.5mL/分または別の適切な偏差)の空気リークを支援し得る。いくつかの実施形態は、10、20、30、40、50、60、70、80、90mL/分、またはそれ以上(+/-数mL/分または別の適切な偏差)の空気リークを支援し得る。いくつかの実施形態は、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9L/分、またはそれ以上(+/-数セントリター/分または別の適切な偏差)の空気リークを支援し得る。一部の実例では、リークレートは、制御されたリーク経路(CLP)の観点から論じられてもよく、CLPは適切な定数である。例えば、空気リークは、0.25、0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上のリークレートを有し得る。例えば、0.1L/分のリークレートを想定すると、1CLPは0.1L/分に相当してもよく、5CLPは0.5L/分に相当してもよい。より強度の高い空気リークがある場合、より速く電源を消耗してしまうため、この陰圧源はより強く機能しなければならない。したがって、いくつかの実施形態では、比較的低いリークレートが選択される。
【0140】
いくつかの実施形態では、第1の空気リーク部512は、第2の空気リーク部514とは異なる、異なるリークレートを有する。例えば、第1の空気リーク部は、1CLPのリークレートを有してもよく、第2の空気リーク部は、2CLPのリークレートを有してもよい。代替的に、第1の空気リーク部は、0.5CLPのリークレートを有してもよく、第2のリーク部は、1CLPのリークレートを有してもよい。しかしながら、システムのリークレートは、任意の適切な流量であり得ることに留意されたい。異なるリークレートのために、第1および第2の流体流路520a、520bは、異なる流量を有し得る。代替的に、第1の空気リーク部512および第2の空気リーク部514は、等しくまたはほぼ等しくてもよい(例えば、+/-0.1L/分または別の適切な偏差)。例えば、第1の空気リーク部512および第2の空気リーク部514はそれぞれ、1CLPのリークレートを有し得る。しかしながら、システムのリークレートは、任意の適切な流量であり得ることに留意されたい。等しいリークレートのために、第1の流体流路520a、および第2の流体流路520bは、類似の流量を有し得る。いくつかの実施形態では、システムの総流量(TFR)は、システムの1つ以上の創傷被覆材から来る流れの合計である。したがって、いくつかの実例では、TFRは、流体流路520dの流量と同等であり得る。
【0141】
流量監視
システム500または1000は、例えば、陰圧源522または1022の活動を監視することに基づいて、システム内のTFRを監視または決定することができる。特定の実施形態では、流量監視は、ポンプ制御プロセッサ(
図3のポンプ制御プロセッサ370など)によって単独で、またはプロセッサ(
図3のユーザインターフェースプロセッサ310など)と組み合わせて実施することができる。流量の監視は、とりわけ、治療が1つ以上の創傷に適切に送達されることを保証するため、閉塞、キャニスタの満杯の状態、流れの状態がない、または1つ以上の流体流路でのリーク、高圧を検出するため、さらに流量が危険ではない(例えば、危険なほど高い)ことを保証するために、使用され得る。
【0142】
特定の実施では、システムは、例えば、流体流路内に位置付けられた1つ以上の流量計を使用して、直接流量監視を行う。いくつかの実施形態では、システムは、アクチュエータの活動を監視することによってなど、陰圧源の活動を測定するかまたは監視することによって間接的に流量監視を実行する。例えば、システムは、タコメータを使用して真空ポンプモータの速度を監視すること、ポンプに供給される電流または電圧(PWM信号の電流または電圧など)を監視すること、およびこれに類するものを含む、真空ポンプモータの活動を監視することができる。システムは、これらの特性のうちの1つ以上を連続的に監視して、陰圧源の活動を決定することができる。
【0143】
いくつかの実施形態では、タコメータ(ホール効果センサなど)を使用して、ポンプモータの活動レベルを測定することができる。タコメータは、例えば100ミリ秒毎または別の適切な期間ごとなど、周期的に読み取ることができ、32秒または別の適切な期間などのある期間にわたって行われる周期的読み取りを組み合わせることができる(例えば、平均化)。結合されたタコメータの測定値は、流量を決定するのに使用されてもよく、これは次に、リーク検出、閉塞検出、最大流量の制限などのために使用され得る。組み合わせたタコメータの測定値(例えば、計数またはパルス)は、システムのTFR(例えば、創傷被覆材に関連付けられた各流体流路における流れの合計)が決定されるように、1つ以上の変換方程式または表を使用して、流量(例えば、mL/分)に変換することができる。いくつかの実施形態では、TFRは、以下の方程式に従って決定される:
TFR=C1*F*P+C2
式中、TFRは総流量であり、Fはポンプタコメータ信号の周波数であり、Pはポンプによって生成される圧力(例えば、陰圧設定値)であり、C1およびC2は適した定数(所与の陰圧源に対して決定される)である。決定された流量は、1つ以上の閉塞閾値などの様々な流量閾値と比較して、閉塞、漏出、キャニスタ満杯などの特定の状態の存在を決定することができる。
【0144】
いくつかの実施形態では、システムの総流量を決定することができる。TFRは、陰圧源によって見られるリークレートの総和に対応することができる。例えば、予想されるTFRは、例えば、較正モードで、1つ以上の変換方程式または表などを使用して決定することができる。予想されるTFRは、空気リークなどが存在しない場合、定常状態動作(例えば、陰圧設定点に到達した時)におけるシステムのTFRに対応することができる。次に、システムは、TFRを監視し、1つ以上のリークまたは流量閾値と比較して、閉塞、流れなし、通常動作、キャニスタ満杯などの特定の状態の存在を決定することができる。いくつかの実施では、予想されるTFRは、非定常状態で決定することができる。特定の事例では、複数の予想されるTFRを利用することができる。
【0145】
いくつかの実施形態では、決定された流量が1つ以上の流れ閾値を満たさないときに、閉塞状態が検出される。例えば、閉塞状態が30秒または別の適切な時間など、ある時間の間存在する場合、閉塞警報を有効化することができる。このアプローチは、システムが1つ以上の動作条件の存在を誤って報告しないように、ヒステリシスを実施することができる。システムが複数の創傷被覆材を含む実施形態では、異なる閉塞警報を各創傷被覆材に対して有効にすることができる。決定された流量が1つ以上の流量閾値を超えると、閉塞警報を無効化することができる。いくつかの実施形態では、システムは、1つ以上の流体流路内の閉塞とキャニスタ満杯状態とを区別することができる。
【0146】
いくつかの実施形態では、1つ以上の流体流路内の流体の閉塞および存在は、流路内の任意の適切な位置に位置付けられ得る、1つ以上の圧力センサ(図示せず)からのデータを処理することによって検出される。いくつかの実施形態では、圧力センサは、陰圧源の入口に、またはその近くに位置付けられる。この検出は、ポンプによって送達される圧力レベルの増加、圧力レベルの減少、ポンプの停止、ポンプ速度の変更、ポンプのケイデンスの変更など、ポンプの1つ以上の設定を変更することによって強化することができる。
【0147】
いくつかの実施形態では、流量は、単位時間当たりの流体流路内を移動する空気、ガス、またはその他の流体体積が、標準温度および標準圧力(例えば、1気圧)に正規化されたものとして推定され得る。流量は、以下の式に従って、250ミリ秒毎または任意の他の適切な時間値など、定期的に計算することができる。
TFR=Slope*Tachometer+Intercept
【0148】
Tachometerは、短いタコメータ平均(例えば、Hzで測定できる最新のタコメータの測定値(例えば、2.5秒または別の好適な時間)の平均)であり、SlopeおよびInterceptは、陰圧設定値に基づく定数である。SlopeおよびInterceptの値は、所与の陰圧源の可能な圧力設定点(例えば、-25mmHg、-40mmHg、-50mmHg、-60mmHg、-70mmHg、-80mmHg、-90mmHg、-100mmHg、-120mmHg、-140mmHg、-160mmHg、-180mmHg、-200mmHg)に対して決定することができる。ポンプ速度の関数としての流量は、より低い流量でより効率的になるように設計することができるため、単一のラインとして最適ではない場合がある。このため、slope値およびintercept値は、様々なセットポイントおよび様々なポンプに対して事前計算され得る。本明細書に記載されるように、決定された流量は、様々な流れ閾値と比較して、閉塞状態、流れ状態なし、キャニスタ満杯状態、異常状態、正常状態などの特定の動作状態の存在を決定することができる。
【0149】
さらに、システムは、1つ以上のセンサを使用して、流体流路内の圧力を決定および監視できる。例えば、流体流路は、入口マニホールド分岐取り付け部444で、またはその近く、または流体流路上の他の任意の場所に、創傷被覆材406でまたはその近くに圧力センサを含み得る。いくつかの実施形態では、ポンプ組立体は、ポンプ組立体の入口(またはキャニスタ接続)内またはその近くに圧力センサを含む。この圧力センサは、キャニスタ内の(またはキャニスタレスシステムの被覆材内またはその近く)の圧力を測定することができる。ポンプ組立体は、ミリ秒毎またはその他の任意の適切な持続時間など、キャニスタ内の圧力を連続的に測定することができる。好適な数の最新の圧力センサ測定値を平均して、1つ以上の誤った測定値の影響を軽減することができる。
【0150】
決定された総流量に基づいて、ポンプ組立体は、本明細書に記載の様々な動作条件を監視および検出することができる。これらの状態のうちの1つ以上は、例えば、
図13および14に図示したフローチャート700または800によって検出され得る。1つ以上の流体流路内の閉塞は、総流量を1つ以上の流れ閾値と比較することによって決定することができる。比較は、例えば、2分またはその他の任意の適切な期間など、ある期間にわたって、またはある期間の間に、連続的にまたは実質的に連続的に実施されるヒステリシスを実施することができる。1つ以上の流れ閾値は、予想されるTFRが、設定点にも依存し得るので、特定の圧力設定点に基づいて選択または決定され得る。すなわち、閉塞を検出するために、ポンプ組立体は、特定の圧力設定点に対応する複数の流れ閾値を利用することができる。別の方法として、または追加的に、流れ閾値は、1つ以上の空気リーク部のリークレートに基づいて選択または決定され得る。本明細書で説明するように、流量は、ポンプ速度を検出および監視することによって間接的に決定することができる。
【0151】
1つ以上の流れ閾値が満たされるか、または満たされない場合(例えば、ある期間にわたって)、システムは、流体流路の少なくとも1つに閉塞があると判定し、警報(例えば、視覚、音声、または触覚)の起動、陰圧の動作の停止、またはこれに類するものを含み得る表示を提供する。例えば、閉塞の存在を決定するために、ポンプ組立体は、総流量が、2分間の時間の間、または任意の他の適切な時間の間に、流れ閾値を満たすか、超えるか、または下回るかを決定することができる。総流量は、タコメータの定期的なサンプリングのために定期的な時間間隔で更新され得るため、ポンプ組立体は、2分間にわたって流量閾値に更新されている総流量を比較し得る。2分間の間隔の間に決定された各総流量が、流れ閾値を満たす、超える、または下回ることを条件として、遮断を検出することができる。別の方法としてまたは追加的に、10個中9個または任意の他の適切な数などの計算された総流量の大部分が、流れ閾値を満たす、超える、または下回る場合に、閉塞を検出することができる。検出された閉塞は、総流量が、5秒またはその他の任意の適切な期間など、ある時間の間、1つ以上の流れ閾値を下回る(または超える)とき、クリアされ得る。
【0152】
閾値は、本明細書に記載されるように決定され得る、陰圧設定値および流体流路内の予想される流量に基づいて選択または決定される値などの、任意の適切な流れ閾値とすることができる。
【0153】
いくつかの実施形態では、流体流を直接測定するために、1つ以上の流れセンサまたは流量計を使用できる。いくつかの実施形態では、ポンプ組立体は、ポンプを制御し、様々な条件を検出するために、本明細書に記載の技術のうちの1つ以上を並列に利用することができる。ポンプ組立体は、異なる技術によって決定される使用パラメータの間を、適切に調停するように構成され得る。例えば、ポンプ組立体は、タコメータによって測定されるポンプ速度に基づいてなど、間接的に決定された流量間、および流量計を使用することによってなど、直接、調停することができる。特定の実施形態において、ポンプ組立体は、流量を間接的に決定し、例えば、間接的に決定された流量が不正確または信頼できないと知覚されるときなど、必要に応じて流量の決定を方向付けるために利用することができる。
【0154】
いくつかの実施形態では、複数の創傷の治療のためにY-またはW-接続特徴を選択または起動することは、閉塞、リーク、キャニスタ満杯状態などの1つ以上の動作条件の検出を変更または修正することができる。Y-またはW-接続特徴の起動は、本明細書に記載の様々な閾値のうちの1つ以上を調整できる。いくつかの実施形態では、システムは、Y-またはW-コネクタが存在することを自動的に検出する。例えば、1つのCLPのリークレートを有する単一の創傷被覆材が接続される場合、システムは、予想される1CLPのリークよりも高いリークを検出することによって、Y-コネクタが存在することを自動的に検出することができる。例えば、システムは、例えば、2CLPのリークレートを有する別の流路が存在することを確認するようにユーザに促してもよい。ユーザが確認すると、システムは閉塞を検出することを知り、少なくともリークレートの決定の一部に基づいて流れ閾値を決定することができる。3つの流路を有するW-コネクタに同様の判定を使用できる。例えば、前の例で続けた場合、システムが予想される3CLPのリークよりも高いリークを検出すると、システムは、W-コネクタが存在することを検出することができ、例えば、4CLPのリークレートを有する別の流路が存在することを確認するようにユーザに促すことができる。いくつかの実施形態では、3つ以上の創傷が治療されている時に、類似のアプローチを利用することができる。
【0155】
図13は、いくつかの実施形態による、1つ以上の動作条件を決定および示すためのプロセス700の流れ図を示す。いくつかの実施形態では、プロセス700は、システムの1つ以上のコントローラによってなど、減圧創傷治療システム500によって実施される。
【0156】
ブロック702で、プロセス700は、1つ以上の動作パラメータを決定する。例えば、プロセス700は、取り付けられた創傷被覆材の数、取り付けられた創傷被覆材に対応する流体流路が、空気リーク部、1つ以上の空気リーク部のリークレート、システムの予想総流量(TFR)、流体流路の各々の予想流量、1つ以上の流れ閾値、および陰圧源の活動レベルなどを含むかどうかを決定することができる。いくつかの実施形態では、プロセス600は、較正モードでこのような判定のうちの1つ以上を実施することができる。別の方法として、これらの決定の一部またはすべては、各創傷被覆材の付着時に、プロセスによって自動的に検出または受信され得る。いくつかの実施形態では、ユーザは、動作パラメータの一部またはすべてを入力することができ、またはプロセスは、内部計算を実施するか、または変換方程式もしくは表を利用することができる。
【0157】
本明細書に記載されるように、いくつかの実施形態では、プロセス700は、予想よりも高いリークレートを検出することによって、1つ以上の取り付けられた創傷被覆材の存在を検出することができる。例えば、プロセスは、予想リークレートよりも高い漏れを検出することによって、Y-コネクタが存在することを自動的に検出し、別の流路が存在することを確認するようにユーザに促すことができる。ユーザが確認すると、プロセスは、閉塞を検出する方法を決定し得る。他の実施形態では、プロセスは、創傷被覆材がいつ取り付けられるかを検出してもよく、取り付けられた創傷被覆材に基づいて、空気リーク部としての仕様を知り得る。
【0158】
プロセス700はまた、取り付けられた創傷被覆材の各々に対応する、流体流路の各々の予想される流量を決定することができる。本明細書に記載するように、流体流路の各々は、空気リーク部が位置する流体流路内に流体を受け入れるように構成され得る、1つ以上の空気リーク部を含み得る。さらに、空気リーク部の各々は、異なるリークレート(例えば、流体が流体流路内に入るレート)を有してもよい。したがって、流体流路の各々は、異なる予想される流量を有し得る。
【0159】
少なくとも部分的には、1つ以上の空気リーク部の創傷被覆材の数またはリークレートに基づいて、プロセス700は、複数の流れ閾値を決定することができる。例えば、プロセスは、2つの創傷被覆材を有してもよく、各々が異なる流量を有する。プロセスは、第1の流れ閾値が、第1の流体流路の予想の流量および第2の流体流路の予想の流量の合計に等しい流量に対応すると決定することができる。第2の流れ閾値は、第2の流体流路の予想される流量に対応する。第3の流れ閾値は、第1の流体流路の予想される流量に対応する。したがって、監視されたTFRが第1の流れ閾値を満たす場合、システムは正常に動作する。監視されたTFRが第2の流れ閾値を満足するが、第3の流れ閾値を満足しない場合、プロセスは、第1の流体流路が遮断されていると決定することができる。流量が第2の流体流路の予想される流量と等しい場合、プロセスは第2の流体流路の流量のみを検出するため、プロセスはこの決定をすることができる。このように、プロセスは、第1の流体流路からの任意の流れを検出しないため、プロセスは、第1の流体流路が遮断されていることを決定することができる。いくつかの実施形態では、1つ以上の閾値は、例えば、動作中の変動を可能にするために、予想される流量よりも高いか、または低い場合がある。
【0160】
いくつかの実施形態では、流れ閾値は、システムのリークレートに対応し得る。例えば、システムは、2つの創傷被覆材を有し得る。各創傷被覆材は、関連する流体流路を有し得る。第1の創傷被覆材に関連付けられた第1の流体流路は、1CLPの空気リーク部を含む。第2の創傷被覆材に関連付けられた第2の流体流路は、2CLPの空気リーク部を含む。プロセス700は、第1の流れ閾値が、3CLPのリークレートに対応し、第2の流れ閾値が、2CLPのリークレートに対応し、第3の流れ閾値が、1CLPに対応すると決定することができる。したがって、プロセスが1CLPのTFRを検出する場合(例えば、第3の閾値を満たすが、第2の閾値または第3の閾値を満たさない)、プロセスは、第2の流体流路が遮断されていると決定することができる。TFRが1CLPと等しい場合、システムは第1の流体流路内の流れのみを検出するため、プロセスはこの決定をすることができる。このように、プロセスは、第2の流体流路からの流れを検出しないため、プロセスは、第2の流体流路が遮断されていることを決定することができる。同様に、プロセスが2CLPのTFRを検出する場合(例えば、TFRが第2の閾値を満たし、第3の閾値を満たさない場合)、プロセスは、第1の流体流路が遮断されていると決定することができる。同様に、プロセスが3CLPのTFRを検出する場合(例えば、TFRが第3の閾値を満たす)、プロセスは、第1の流体流路も第2の流体流路も遮断されておらず、システムが正常に稼働していると決定することができる。また、プロセスが流れを感知しない場合、プロセスは、例えば、遮断されているかまたはキャニスタが満杯である、すべての流体流路によるシステム閉塞を決定することができる。以下の表により概要を示す。
【表1】
【0161】
いくつかの実施形態では、閾値のうちの1つ以上は、不正確さを説明するために、より高いか低いかであり得る。例えば、第1の空気リークは1CLPに等しいが、第1の流れ閾値は、閾値が1CLPをわずかに下回るか、またはわずかに上回るように、小さなバッファ(例えば、0.03、0.05、0.1、0.15、0.2、または0.25CLP)を提供する。同様のバッファを他の流れ閾値に使用することができる。例えば、第1および第2の閾値は、それぞれ0.5CLPおよび1CLPとすることができ、プロセスは、以下の決定をすることができる:
【表2】
【0162】
ブロック704で、プロセス700は、本明細書に記述された流量監視技術のうちの1つ以上を利用して、総流量(TFR)を監視する。プロセスは、1つ以上のそのような技術が並列に実行される場合、複数の流量監視技術を使用して決定された流量間で適切に調停することができる。特定の実施形態では、プロセスは、ポンプ速度に基づく流量決定などの技術のうちの1つを実行し、必要に応じて、1つ以上の他の技術を利用することができる。様々な実施形態において、プロセスは、決定流量が不正確であるか、または信頼できないと知覚される場合に、1つ以上の他の技術を利用することができる。いくつかの実施形態では、総流量は、プロセスにおける各流路の流量の合計に対応する。例えば、総流量は、第1の流体流路の流量および第2の流体流路の流量の合計に対応し得る。
【0163】
いくつかの実施形態では、監視されたTFRは、システムが正常に動作しているかどうかを決定するために、予期されるTFRと比較され得る。したがって、監視されるTFRを、予想されるTFRと比較することによって(例えば、監視TFRから予想されるTFRを差し引くことによって)、プロセス700は、予想される流量からの現在の流量の偏差を決定することができる。この偏差は、1つ以上の動作条件の存在に起因する可能性がある。
【0164】
ブロック706で、プロセス700は、監視されたTFRが、予想されるTFRに相当し得る、第1の流れ閾値を満たすか(例えば、実質的に等しいか、またはそれを超えるか)を決定する。第1の流れ閾値が満たされる場合、ブロック708で、システムは、システムが正常に動作していることを示すことができる。ブロック708またはプロセス700の任意の他のブロックにおける指示は、本明細書に記載されるアプローチのいずれかを使用して実施することができる。
【0165】
監視されたTFRが第1の閾値を満たさない場合、プロセス700はブロック710に移行し、そこで監視されたTFRが第2の流れ閾値を満たすかどうかを決定する。第2の流れ閾値が満たされる場合(例えば、TFRが第2の流れ閾値と実質的に等しいか、またはそれを上回る)、次いで、ブロック712で、プロセス700は、第1の流体流路内に閉塞状態が存在することを示し得る。プロセスは、TFRが第2の閾値を満たす(かつ第1の流れ閾値を満たさない)と決定することに基づいて、第2の流体流路からの流れのみを検出すると決定することができるため、この決定を行うことができる。
【0166】
監視されたTFRが第2の閾値を満たさない場合、プロセス700はブロック714に移行し、そこで監視されたTFRが第3の流れ閾値を満たすかどうかを決定する。第3の流れ閾値が満たされる場合(例えば、TFRは第3の閾値と実質的に等しいか、またはそれを上回る)、ブロック716で、プロセスは、第2の流体流路内に閉塞状態が存在することを示し得る。プロセスは、TFRが第3の閾値を満たす(かつ第1および第2の閾値を満たさない)ことを決定することに基づいて、第1の流体流路からの流れのみを検出すると決定することができる。
【0167】
監視されたTFRが第3の閾値を満たさない場合、プロセス700はブロック718に移行し、そこでシステムが遮断されたことを決定し示す。
【0168】
プロセス700と併せて提供される実施例は、概して、第1および第2の創傷被覆材を有するシステムに関するが、同様の技術は、任意の数の創傷被覆材を有するシステムに対して実施され得ることに留意されたい。
【0169】
さらに、プロセス700の一部として使用できるブロックは、より少ない、より多く、または異なることが理解され得る。例えば、プロセス700は、例えば、1つ以上のリークレートが等しいか、またはほぼ等しい場合(例えば、+/-0.1L/分または別の適切な偏差)、より少ないブロックを含むことができる。上述したように、システムは2つの創傷被覆材を有してもよく、各創傷被覆材は関連する流体流路を有してもよい。例えば、第1の創傷被覆材に関連付けられた第1の流体流路は、1CLPの空気リークを含んでもよく、第2の創傷被覆材に関連付けられた第2の流体流路はまた、1CLPの空気リークを含んでもよい。したがって、プロセス700は、2つの流れ閾値、すなわち、2CLPのリークレートに対応する第1の流れ閾値、および1CLPのリークレートに対応する第2の流れ閾値を利用することができる。プロセス700が、1CLPのTFRを検出する場合(例えば、第1の閾値を満たすが、第2の閾値を満たさない)、プロセスは、第1または第2の流体流路のいずれかが遮断されていると決定することができる。プロセス700は、TFRが1CLPと等しい時、プロセスは、1つの流体流路からの流れのみを検出するため、この決定をすることができる。一部の事例では、プロセスは、どの流体流路が遮断されているかを決定または示すことができ、一方で他の事例では、プロセスは、閉塞が、流体流路のうちの1つのどこかで生じたかを決定または示すことができる。プロセス700が、2CLPのTFRを検出する場合(例えば、TFRが第2の閾値を満たす)、プロセスは、第1の流体流路も第2の流体流路も遮断されておらず、システムが正常に稼働していると決定できる。また、プロセスが流れを感知しない場合、プロセスは、例えば、遮断されているかまたはキャニスタが満杯である、すべての流体流路によるシステム閉塞を決定することができる。以下の表により概要を示す。
【表3】
【0170】
図14は、いくつかの実施形態による、1つ以上の動作条件を決定および示すためのプロセス800のフロー図を示す。いくつかの実施形態では、プロセス800は、システムの1つ以上のコントローラによってなど、減圧創傷治療システム600によって実施される。
【0171】
ブロック802で、
図7のブロック702を参照して記載するものと同様に、プロセス800は、1つ以上の動作パラメータを決定する。例えば、プロセスは、取り付けられた創傷被覆材の数、取り付けられた創傷被覆材に対応する流体流路が、空気リーク部、1つ以上の空気リーク部のリークレート、総リークレート、システムの予想総流量(TFR)、各流体流路の予想流量、1つ以上の流れ閾値、ポンプの活動レベルなどを含むかどうかを決定することができる。いくつかの実施形態では、プロセスは、較正モードでこのような決定のうちのいくつかまたは全てを実施することができる。別の方法として、これらの動作パラメータのいくつかまたはすべては、各創傷被覆材の付着時に、プロセスによって自動的に検出または受信され得る。いくつかの実施形態では、ユーザは、動作パラメータの一部またはすべてを入力することができ、またはプロセスは、内部計算を実施するか、または変換方程式もしくは表を利用することができる。
【0172】
本明細書に記載されるように、プロセス800は、予想よりも高いリークレートを検出することによって、1つ以上の取り付けられた創傷被覆材の存在を検出し得る。例えば、プロセスは、予想リークレートよりも高い漏れを検出することによって、W-コネクタが存在することを自動的に検出し、別の流路が存在することを確認するようにユーザに促すことができる。ユーザが確認すると、プロセスは、閉塞をどのように検出するかを知り得る。他の実施形態では、プロセスは、創傷被覆材がいつ取り付けられるかを検出してもよく、取り付けられた創傷被覆材に基づいて、空気リーク部としての仕様を知り得る。
【0173】
プロセス800は、複数の流れ閾値を決定することができる。この例では、プロセスは、少なくとも7つの流れ閾値を決定することができる。しかしながら、より多くのまたはより少ない流れ閾値を決定することができることに留意されたい。
図7のブロック702に関して記載したように、流れ閾値は、1つ以上の動作条件の存在下でシステムのTFRに対応することができる。
【0174】
いくつかの実施形態では、第1の流れ閾値は、第1の流体流路の予想される流量(予想される第1の流量)、第2の流体流路の予想される流量(予想される第2の流量)、および第3の流体流路の予想される流量(予想される第3の流量)の合計に等しい流量に対応する。第2の流れ閾値は、予想される第2の流量および予想される第3の流量の合計に等しい流量に対応する。第3の流れ閾値は、予想される第1の流量および予想される第3の流量の合計に等しい流量に対応する。第4の流れ閾値は、予想される第1の流量および予想される第2の流量の合計に等しい流量に対応する。第5の流れ閾値は、予想される第3の流量に等しい流量に対応する。第6の流れ閾値は、予想される第2の流量に等しい流量に対応する。第7の流れ閾値は、予想される第1の流量に等しい流量に対応する。
【0175】
例えば、第1の流体流路は、1CLPのリークレートを有してもよく、第2の流体流路は、3CLPのリークレートを有してもよく、第3の流体流路は、5CLPのリークレートを有してもよい。第1の流れ閾値は、9CLP(例えば、すべてのリークレートの合計)に等しいリークレートに対応する。第2の流れ閾値は、8CLPに等しいリークレートに対応する。第3の流れ閾値は、6CLPに等しいリークレートに対応する。第4の流れ閾値は、5CLPに等しいリークレートに対応する。第5の流れ閾値は、4CLPに等しいリークレートに対応する。第6の流れ閾値は、3CLPに等しいリークレートに対応する。第7の流れ閾値は、1CLPに等しいリークレートに相当する。この概要は以下のとおりである:
【表4】
【0176】
いくつかの実施形態では、流れ閾値の順序は、空気リーク部のリークレートに基づいて変化し得る。
【0177】
ブロック804で、
図7のブロック704を参照して記載するものと類似して、プロセス800は、本明細書に記載の1つ以上の流量監視技術を利用して、TFRを監視する。
【0178】
ブロック806で、プロセス800は、監視されたTFRが第1の流れ閾値を満たすか(例えば、実質的に等しいか、またはそれを超えるか)を決定する。第1の流れ閾値が満たされる場合、ブロック808で、プロセスは、システムが正常に稼働していることを示すことができる。ブロック808またはプロセス800の任意の他のブロックにおける指示は、本明細書に記載されるアプローチのいずれかを使用して実施することができる。
【0179】
監視されたTFRが第1の流れ閾値を満たさない場合、プロセスはブロック810に移行し、監視されたTFRが第2の流れ閾値を満たすか(例えば、実質的に等しいか、またはそれを超えるか)を決定する。第2の流れ閾値が満たされる場合(かつ第1の流れ閾値が満たされない場合)、次いで、ブロック812で、プロセスは、第1の流体流路内に閉塞状態が存在することを示し得る。プロセスは、満たされた閾値に基づいて、プロセスが、第2および第3の流体流路からの流れのみを検出すると決定することができるので、この決定をすることができる。
【0180】
監視されたTFRが第2の流れ閾値を満たさない場合、プロセスはブロック814に移行し、そこで、監視されたTFRが第3の流れ閾値を満たすか(例えば、実質的に等しいか、またはそれを超えるか)を決定する。第3の流れ閾値が満たされる場合(および第1および第2の流れ閾値が満たされない場合)、次いで、ブロック816で、プロセスは、第2の流体流路内に閉塞状態が存在することを示し得る。プロセスは、満たされた閾値に基づいて、プロセスが、第1および第3の流体流路からの流れのみを検出すると決定することができるため、この決定をすることができる。
【0181】
監視されたTFRが第3の流れ閾値を満たさない場合、プロセスはブロック818に移行し、そこで、監視されたTFRが第4の流れ閾値を満たすか(例えば、実質的に等しいか、またはそれを超えるか)を決定する。第4の流れ閾値が満たされる場合(および第1、第2、および第3の流れ閾値が満たされていない場合)、次いで、ブロック820で、プロセスは、第1および第2の流体流路に閉塞状態が存在することを示し得る。プロセスは、満たされた閾値に基づいて、プロセスが、第3の流体流路からの流れのみを検出すると決定することができるので、この決定をすることができる。
【0182】
監視されたTFRが第4の流れ閾値を満たさない場合、プロセスはブロック822に移行し、そこで、監視されたTFRが第5の流れ閾値を満たすか(例えば、実質的に等しいか、またはそれを超えるか)を決定する。第5の流れ閾値が満たされる場合(および第1~第4の流れ閾値が満たされていない場合)、次いで、ブロック824で、プロセスは、第3の流体流路に閉塞状態が存在することを示し得る。プロセスは、満たされた閾値に基づいて、プロセスが、第1および第2の流体流路からの流れのみを検出すると決定することができるので、この決定をすることができる。
【0183】
監視されたTFRが第5の流れ閾値を満たさない場合、プロセスはブロック826に移行し、そこで、監視されたTFRが第6の流れ閾値を満たすか(例えば、実質的に等しいか、またはそれを超えるか)を決定する。第6の流れ閾値が満たされる場合(および第1~第5の流れ閾値が満たされていない場合)、次いで、ブロック828で、プロセスは、第1および第3の流体流路に閉塞状態が存在することを示し得る。プロセスは、満たされた閾値に基づいて、プロセスが、第2の流体流路からの流れのみを検出すると決定することができるため、この決定をすることができる。
【0184】
監視されたTFRが第6の流れ閾値を満たさない場合、プロセスはブロック830に移行し、そこで、監視されたTFRが第7の流れ閾値を満たすか(例えば、実質的に等しいか、またはそれを超えるか)を決定する。第7の流れ閾値が満たされる場合(および第1~第6の流れ閾値が満たされない場合)、次いで、ブロック832で、プロセスは、第3の流体流路内に閉塞状態が存在することを示し得る。プロセスは、満たされた閾値に基づいて、プロセスが、第1の流体流路からの流れのみを検出すると決定することができるので、この決定をすることができる。
【0185】
ブロック834で、プロセス800は、流れ閾値が満たされていないと判定し、システム遮断状態を示す。
【0186】
プロセス800と併せて提供される実施例は、第1、第2および第3の創傷被覆材を有するシステムに関するが、同様の技術は、任意の数の創傷被覆材を有するシステムに対して実施され得ることに留意されたい。
【0187】
較正されたリーク経路を有する陰圧創傷治療システムのための実施例、実施形態、方法、プロセス、または装置は、さらに、2018年3月15日に出願された、「MULTIPLE DRESSING NEGATIVE PRESSURE WOUND THERAPY SYSTEM WITH CLALIBRATED LEAK PATHS」と題された、国際出願第PCT/EP2018/056494号に提供され、その国際出願は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0188】
用語
実施形態によっては、本明細書に記載されるプロセスのいずれかの特定の操作、作用、事象、または機能は、異なる順序で実施され得、また全体として、(プロセスの実践に必要なもの等)、追加、融合、または除外され得る(例えば、本プロセスの実践にすべてが必要となるわけではない)。さらに、特定の実施形態では、動作、作用、機能、または事象は、例えば、マルチスレッド処理、割込処理、または複数のプロセッサもしくはプロセッサコアを通じて、または他のパラレルアーキテクチャー上で、シーケンシャルにではなく、同時に実行することができる。
【0189】
図示されたシステムのさまざまな構成要素の処理は、複数の機械、ネットワーク、およびその他の演算リソースにわたって分配され得る。さらに、システムの2つ以上の構成要素を、より少ない構成要素に組み合わせることができる。図示されたシステムの様々な構成要素を、専用コンピュータハードウェアシステムおよび/またはコンピューティングデバイスではなく、1つ以上の仮想マシンに実装することができる。同様に、示されるデータレポジトリは、例えば、記憶エリアネットワークまたはその他の分散型記憶システムを含む、物理的および/または論理的データ保存を表すことができる。さらに、いくつかの実施形態では、図示した構成要素間の接続は、ハードウェア間の実際の接続ではなく、データフローの可能な経路を表す。可能な接続の一部の例が示されているが、図示された構成要素のサブセットのいずれかは、様々な実施の構成要素のその他任意のサブセットと通信できる。
【0190】
添付の出願書類に記載されている可能性のあるものを含む、上記の特許および明細書およびその他の参考文献は、参照により本明細書に組み込まれる。本開示の態様は、必要に応じて、本明細書に記載の様々な参考文献のシステム、機能、および概念を使用して、さらにさらなる実施を提供するように修正することができる。
【0191】
特定の態様、実施形態、または実施例に関連して説明される特性、物質、特徴、または群は、本明細書に記載される他の任意の態様、実施形態、または実施例に、これらと両立できないことがない限り、適用可能であることを理解されたい。本明細書(あらゆる添付の特許請求の範囲、要約書、および図面を含む)に開示されるすべての特徴、または同様に開示される任意の方法もしくはプロセスのすべてのステップは、そのような特徴またはステップの少なくとも一部が互いに排他的である組み合わせを除いて、あらゆる組み合わせで組み合わされ得る。保護対象は、前述の任意の実施形態の詳細に限定されない。保護対象は、本明細書(あらゆる添付の特許請求の範囲、要約書、および図面を含む)に開示される特徴のうちの任意の新規のもの、もしくは任意の新規の組み合わせ、または同様に開示される任意の方法もしくはプロセスのステップのうちの任意の新規のもの、もしくは任意の新規の組み合わせに及ぶ。
【0192】
特定の実施形態が説明されてきたが、これらの実施形態は、単に例として提示されており、保護範囲を限定することを意図するものではない。実際、本明細書に説明される新規の方法およびシステムは、様々な他の形態で具現化され得る。さらに、本明細書に記載の方法およびシステムの形態において、様々な省略、置換、および変更がなされ得る。当業者であれば、いくつかの実施形態では、図示または開示されたプロセスにおいて実施される実際のステップが、図面に示されたものとは異なり得ることを理解するであろう。実施形態によっては、上述したステップのうちのある特定のステップが除かれる場合もあれば、他のものが追加される場合もある。例えば、開示されたプロセスにおいて実施される実際のステップまたはステップの順序は、図面に示されたものとは異なり得る。実施形態によっては、上述したステップのうちのある特定のステップが除かれる場合もあれば、他のものが追加される場合もある。例えば、図面に図示した様々な構成要素は、プロセッサ、コントローラ、ASIC、FPGA、または専用ハードウェア上のソフトウェアまたはファームウェアとして実装され得る。プロセッサ、ASIC、FPGA等のハードウェア構成要素には論理回路が含まれ得る。さらに、上記に開示された特定の実施形態の特徴および特性は、異なる方式で組み合わされて追加の実施形態を形成し得るが、そのすべては本開示の範囲内に収まる。
【0193】
本開示には、特定の実施形態、実施例、および用途が含まれるが、本開示は、具体的に開示された実施形態の範囲を超えて、他の代替の実施形態または使用ならびにその明らかな変更形およびその等価物にまでおよび、これには本明細書に記載された特徴および利点のすべてを提供しているとは限らない実施形態が含まれることは、当業者に理解されるであろう。従って、本開示の範囲は、記載の実施形態によって限定されることを意図するものではなく、本明細書に提示されるまたはこの後に提示される特許請求の範囲によって定義され得る。
【0194】
「し得る(can)」、「できる(could)」、「可能性がある(might)」、または「場合がある(may)」等の条件付き言い回しは、別途具体的に記載されない限り、または使用される文脈の範囲内で別途解釈されない限り、特定の実施形態が、特定の特徴、要素、またはステップを含む一方で、他の実施形態は含まないということの伝達を意図するのが通例である。したがって、そのような条件付き言い回しは、概して、特徴、要素、もしくはステップが1つ以上の実施形態に多少なりとも必要とされるということ、またはこれらの特徴、要素、もしくはステップが任意の特定の実施形態に含まれているかどうか、もしくは任意の特定の実施形態で実施されるべきかどうかを、ユーザ入力または命令の有無にかかわらず決定するためのロジックが、1つ以上の実施形態に必然的に含まれているということを示唆することを意図するものではない。「備える」、「含む」、および「有する」等の用語は、同義語であり、包含的に、オープンエンドの様式で使用され、追加の要素、特徴、行為、動作などを排除するものではない。また、「または」という用語は、包括的な意味で(排他的な意味ではなく)使用されることにより、例えば、要素の列記をつなぐのに使用される場合、「または」という用語は、列記内の要素のうちの1つ、いくつか、またはすべてを意味する。同様に、「および(and)/または(or)」という用語は、2つ以上の項目の列挙に関して、言葉の以下の解釈のすべて:列挙内の項目も任意の1つ、列挙内のすべての項目、および列挙内の項目の任意の組み合わせ、を網羅する。加えて、「各々」という用語は、本明細書で使用される場合、その通常の意味を有することに加えて、「各々」という用語が適用されている一連の要素の任意のサブセットも意味し得る。さらに、本明細書で使用される場合、「本明細書での(herein)」、「上記(above)」、「下記(below)」および類似する言葉は、本出願で使用される場合、本明細書の全体を指し、本明細書の特定の部分を指すものではないことを意味する。
【0195】
語句「X、Y、およびZのうちの少なくとも1つ」等の連言的言い回しは、別途具体的に記載されない限り、ある項目や用語等が、Xか、Yか、Zのいずれかであり得ることを示唆するのに一般的に用いられる文脈によって、別途解釈されるものである。したがって、こうした連言的言い回しは、特定の実施形態が、少なくとも1つのXと、少なくとも1つYと、少なくとも1つのZとを含むことを必要とするという示唆を必ずしも意図するものではない。
【0196】
本明細書で使用される「およそ」、「約」、「概して」、および「実質的に」という用語等の、本明細書で使用される程度を表す言い回しは、所望の機能を依然として果たすかまたは所望の結果をもたらす所定の値、量、または特性に近い値、量、または特性を表すものである。例えば、「およそ」、「約」、「概して」、および「実質的に」という用語は、所定の量の10%未満以内、5%未満以内、1%未満以内、0.1%未満以内、および0.01%未満以内である量を指し得る。別の例として、特定の実施形態では、「概して平行」および「実質的に平行」という用語は、丁度平行である状態から15度以下、10度、5度、3度、1度、または0.1度逸脱する値、量、または特性を指す。
【0197】
本明細書に記載される実施形態のいずれかは、キャニスタと共に、またはキャニスタなしで使用することができる。本明細書に記載される被覆材実施形態のいずれかは、創傷滲出液を吸収および貯蔵することができる。
【0198】
本開示の範囲は、特定の実施形態の説明によって制限されることは意図されておらず、請求項によって定義されてもよい。本特許請求の範囲の言い回しは、本特許請求の範囲で用いられている言い回しに基づいて広い意味で解釈されるべきであり、本明細書に記載される例または本出願の手続き中に記載される例に限定されるものではなく、それらの例は非排他的なものとして解釈されるべきである。
【国際調査報告】