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特表2023-510610ブロモドメインタンパク質阻害剤の結晶形、塩形態及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-14
(54)【発明の名称】ブロモドメインタンパク質阻害剤の結晶形、塩形態及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07D 471/04 20060101AFI20230307BHJP
   A61K 31/4427 20060101ALI20230307BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20230307BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20230307BHJP
【FI】
C07D471/04 104Z
C07D471/04 CSP
A61K31/4427
A61P35/00
A61P35/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022543423
(86)(22)【出願日】2021-01-19
(85)【翻訳文提出日】2022-07-29
(86)【国際出願番号】 CN2021072651
(87)【国際公開番号】W WO2021143922
(87)【国際公開日】2021-07-22
(31)【優先権主張番号】202010057297.0
(32)【優先日】2020-01-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202010060110.2
(32)【優先日】2020-01-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516089784
【氏名又は名称】チア タイ ティエンチン ファーマシューティカル グループ カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Chia Tai Tianqing Pharmaceutical Group Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】No.369 Yuzhou South Rd.,Lianyungang,Jiangsu 222062 China
(71)【出願人】
【識別番号】521035451
【氏名又は名称】ショウヤオ ホールディングス (ベイジン) カンパニー,リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シュー,ウェンウェイ
(72)【発明者】
【氏名】シャン,ジェンリアン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン,インヤー
(72)【発明者】
【氏名】ジャン,グオリアン
(72)【発明者】
【氏名】ゴー,ユン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン,アイミン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン,シーチュエン
【テーマコード(参考)】
4C065
4C086
【Fターム(参考)】
4C065AA05
4C065BB04
4C065CC01
4C065DD02
4C065EE02
4C065HH09
4C065JJ04
4C065KK01
4C065LL01
4C065PP03
4C065PP12
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086CB05
4C086GA15
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA03
4C086ZB26
4C086ZB27
(57)【要約】
式(I)に示されるブロモドメインタンパク質阻害剤の結晶形、塩形態及びその製造方法、並びにBETタンパク質媒介性疾患の治療薬物の製造における前記結晶形及び塩形態の用途。
【化1】
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)化合物又は薬学的に許容されるその塩の結晶形であって、
【化1】
X線粉末回折パターンが2θ角度12.4°±0.2°、14.5°±0.2°、17.4°±0.2°、18.5°±0.2°、20.4°±0.2°、及び24.7°±0.2°に特徴回折ピークを有する式(I)化合物の結晶形Iと、
X線粉末回折パターンが2θ角度6.8°±0.2°、8.4°±0.2°、9.4°±0.2°、10.2°±0.2°、及び16.8°±0.2°に特徴回折ピークを有する式(I)化合物の塩酸塩の結晶形Aと、
X線粉末回折パターンが2θ角度8.7°±0.2°、9.5°±0.2°、10.5°±0.2°、14.5°±0.2°、及び17.4°±0.2°に特徴回折ピークを有する式(I)化合物の塩酸塩の結晶形Bと、
X線粉末回折パターンが2θ角度6.8°±0.2°、9.5°±0.2°、12.9°±0.2°、20.5°±0.2°、及び24.6°±0.2°に特徴回折ピークを有する式(I)化合物の塩酸塩の結晶形Cと、
X線粉末回折パターンが2θ角度13.5°±0.2°、14.7°±0.2°、18.6°±0.2°、21.2°±0.2°、23.0°±0.2°、及び24.1°±0.2°に特徴回折ピークを有する式(I)化合物の硫酸塩の結晶形Dと、
X線粉末回折パターンが2θ角度10.1°±0.2°、10.5°±0.2°、19.0°±0.2°、21.0°±0.2°、22.7°±0.2°、及び24.0°±0.2°に特徴回折ピークを有する式(I)化合物のリン酸塩の結晶形Eと、
X線粉末回折パターンが2θ角度8.8°±0.2°、10.1°±0.2°、17.7°±0.2°、18.0°±0.2°、24.1°±0.2°、及び24.8°±0.2°に特徴回折ピークを有する式(I)化合物のメシル酸塩の結晶形Fと
から選ばれる前記結晶形。
【請求項2】
X線粉末回折パターンが、
2θ角度6.6°±0.2°、9.3°±0.2°、12.4°±0.2°、14.5°±0.2°、16.6°±0.2°、17.4°±0.2°、18.5°±0.2°、20.0°±0.2°、20.4°±0.2°、及び24.7°±0.2°に特徴回折ピークを有し、
典型的には、2θ角度6.6°±0.2°、9.3°±0.2°、12.4°±0.2°、14.5°±0.2°、16.6°±0.2°、17.4°±0.2°、18.5°±0.2°、20.0°±0.2°、20.4°±0.2°、21.5°±0.2°、22.5°±0.2°、23.6°±0.2°、24.7°±0.2°、及び25.2°±0.2°に特徴回折ピークを有し、
より典型的には、
【表1】
上記のXRPDパターン解析データを有し、
最も典型的には、XRPDパターンが、図1のXRPDパターンによって表される特徴を有する、
式(I)化合物の結晶形Iである、請求項1に記載の式(I)化合物又は薬学的に許容されるその塩の結晶形。
【請求項3】
前記結晶形が、式(I)化合物の塩酸塩の結晶形であり、好ましくは、前記結晶形が、水和物であり、より好ましくは、前記水和物が、半水和物、一水和物、二水和物、三水和物、及び四水和物から選ばれ、さらに好ましくは、前記水和物が、一水和物、二水和物、及び四水和物から選ばれ、最も好ましくは、前記水和物が、一水和物、及び四水和物から選ばれる、請求項1に記載の式(I)化合物又は薬学的に許容されるその塩の結晶形。
【請求項4】
X線粉末回折パターンが、
2θ角度6.8°±0.2°、8.4°±0.2°、9.4°±0.2°、10.2°±0.2°、14.4°±0.2°、16.8°±0.2°、20.5°±0.2°、及び24.7°±0.2°に特徴回折ピークを有し、
典型的には、2θ角度6.8°±0.2°、8.4°±0.2°、9.4°±0.2°、10.2°±0.2°、14.4°±0.2°、16.8°±0.2°、19.2°±0.2°、20.5°±0.2°、21.7°±0.2°、23.3°±0.2°、及び24.7°±0.2°に特徴回折ピークを有し、
より典型的には、
【表2】
上記のXRPDパターン解析データを有し、
最も典型的には、XRPDパターンが、図3のXRPDパターンによって表される特徴を有する、
式(I)化合物の塩酸塩の結晶形Aである、請求項3に記載の式(I)化合物又は薬学的に許容されるその塩の結晶形。
【請求項5】
X線粉末回折パターンが、
2θ角度6.8°±0.2°、8.7°±0.2°、9.5°±0.2°、10.5°±0.2°、14.5°±0.2°、17.4°±0.2°、21.0°±0.2°、及び22.2°±0.2°に特徴回折ピークを有し、
典型的には、2θ角度6.8°±0.2°、8.7°±0.2°、9.5°±0.2°、10.5°±0.2°、14.5°±0.2°、17.4°±0.2°、18.8°±0.2°、20.1°±0.2°、21.0°±0.2°、22.2°±0.2°、及び24.6°±0.2°に特徴回折ピークを有し、
より典型的には、
【表3】
上記のXRPDパターン解析データを有し、
最も典型的には、XRPDパターンが、図6のXRPDパターンによって表される特徴を有する、
式(I)化合物の塩酸塩の結晶形Bである、請求項3に記載の式(I)化合物又は薬学的に許容されるその塩の結晶形。
【請求項6】
X線粉末回折パターンが、
2θ角度6.8°±0.2°、9.5°±0.2°、12.9°±0.2°、14.8°±0.2°、17.5°±0.2°、20.5°±0.2°、23.3°±0.2°、及び24.6°±0.2°に特徴回折ピークを有し、
典型的には、2θ角度6.8°±0.2°、9.5°±0.2°、11.9°±0.2°、12.9°±0.2°、14.8°±0.2°、15.8°±0.2°、17.5°±0.2°、20.5°±0.2°、23.3°±0.2°、24.6°±0.2°、及び28.7°±0.2°に特徴回折ピークを有し、
より典型的には、
【表4】
上記のXRPDパターン解析データを有し、
最も典型的には、XRPDパターンが、図7のXRPDパターンによって表される特徴を有する、
式(I)化合物の塩酸塩の結晶形Cである、請求項3に記載の式(I)化合物又は薬学的に許容されるその塩の結晶形。
【請求項7】
X線粉末回折パターンが、
2θ角度7.1°±0.2°、8.9°±0.2°、9.8°±0.2°、13.2°±0.2°、13.5°±0.2°、14.7°±0.2°、18.6°±0.2°、21.2°±0.2°、23.0°±0.2°、及び24.1°±0.2°に特徴回折ピークを有し、
典型的には、2θ角度7.1°±0.2°、8.9°±0.2°、9.8°±0.2°、13.2°±0.2°、13.5°±0.2°、14.7°±0.2°、16.3°±0.2°、18.6°±0.2°、19.7°±0.2°、21.2°±0.2°、21.9°±0.2°、23.0°±0.2°、24.1°±0.2°、及び26.2°±0.2°に特徴回折ピークを有し、
より典型的には、
【表5】
上記のXRPDパターン解析データを有し、
最も典型的には、XRPDパターンが、図8のXRPDパターンによって表される特徴を有する、
式(I)化合物の硫酸塩の結晶形Dである、請求項1に記載の式(I)化合物又は薬学的に許容されるその塩の結晶形。
【請求項8】
X線粉末回折パターンが、
2θ角度9.0°±0.2°、10.1°±0.2°、10.5°±0.2°、17.9°±0.2°、19.0°±0.2°、21.0°±0.2°、21.7°±0.2°、22.7°±0.2°、及び24.0°±0.2°に特徴回折ピークを有し、
典型的には、2θ角度5.2°±0.2°、9.0°±0.2°、10.1°±0.2°、10.5°±0.2°、15.5°±0.2°、17.9°±0.2°、19.0°±0.2°、20.2°±0.2°、21.0°±0.2°、21.7°±0.2°、22.2°±0.2°、22.7°±0.2°、23.4°±0.2°、及び24.0°±0.2°に特徴回折ピークを有し、
より典型的には、
【表6】
上記のXRPDパターン解析データを有し、
最も典型的には、XRPDパターンが、図11のXRPDパターンによって表される特徴を有する、
式(I)化合物のリン酸塩の結晶形Eである、請求項1に記載の式(I)化合物又は薬学的に許容されるその塩の結晶形。
【請求項9】
X線粉末回折パターンが、
2θ角度8.8°±0.2°、10.1°±0.2°、16.4°±0.2°、17.7°±0.2°、18.0°±0.2°、21.7°±0.2°、22.1°±0.2°、24.1°±0.2°、24.8°±0.2°、及び26.6°±0.2°に特徴回折ピークを有し、
典型的には、2θ角度8.8°±0.2°、10.1°±0.2°、13.1°±0.2°、14.3°±0.2°、16.4°±0.2°、17.7°±0.2°、18.0°±0.2°、20.2°±0.2°、21.7°±0.2°、22.1°±0.2°、24.1°±0.2°、24.8°±0.2°、26.0°±0.2°、及び26.6°±0.2°に特徴回折ピークを有し、
より典型的には、
【表7】
上記のXRPDパターン解析データを有し、
最も典型的には、XRPDパターンが、図14のXRPDパターンによって表される特徴を有する、
式(I)化合物のメシル酸塩の結晶形Fである、請求項1に記載の式(I)化合物又は薬学的に許容されるその塩の結晶形。
【請求項10】
式(I)化合物の薬学的に許容される塩であって、
【化2】
前記薬学的に許容される塩が、式(I)化合物の塩酸塩、式(I)化合物の硫酸塩、式(I)化合物のリン酸塩、及び式(I)化合物のメシル酸塩から選ばれ、
好ましくは、前記塩酸塩が、前記式(I)化合物と塩酸とがモル比1:1で形成した塩であり、
好ましくは、前記硫酸塩が、式IIに示されるものであり、式中、xは0.5~1から選ばれ、好ましくは1であり、
【化3】
好ましくは、前記リン酸塩が、式IIIに示されるものであり、式中、xは0.5~1から選ばれ、好ましくは1であり、
【化4】
好ましくは、前記メシル酸塩が、式IVに示されるものであり、式中、xは0.5~1から選ばれ、好ましくは1である
【化5】
前記式(I)化合物の薬学的に許容される塩。
【請求項11】
請求項1~9のいずれか1項に記載の結晶形を含む結晶組成物であって、前記結晶形が、結晶組成物の重量の、50%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、最も好ましくは95%以上を占める結晶組成物。
【請求項12】
請求項1~9のいずれか1項に記載の結晶形、請求項10に記載の薬学的に許容される塩及び請求項11に記載の結晶組成物からなる群から選ばれる有効成分を治療有効量で含む医薬組成物。
【請求項13】
BETタンパク質媒介性疾患の治療薬物の製造における請求項1~9のいずれか1項に記載の結晶形、又は請求項10に記載の薬学的に許容される塩、請求項11に記載の結晶組成物、又は請求項12に記載の医薬組成物の用途。
【請求項14】
前記BETタンパク質媒介性疾患が、がんから選ばれ、好ましくは、前記がんが、固形腫瘍、及び血液腫瘍から選ばれ、より好ましくは、前記固形腫瘍が、乳がん、及び前立腺がんから選ばれ、より好ましくは、前記血液腫瘍が、急性骨髄性白血病、多発性骨髄腫、及びびまん性大細胞型B細胞リンパ腫から選ばれることを特徴とする、請求項13に記載の用途。
【請求項15】
(1)式(I)化合物と溶媒Iとを混合するステップであって、任意選択でステップ(1)の混合物と溶媒IIとを混合するステップと、
(2)濾過して、乾燥するステップと
を含み、
前記溶媒I、及び溶媒IIが、それぞれ、水、アセトニトリル、メタノール、エタノール、イソプロパノール、酢酸エチル、アセトン、ジメチルスルホキシド、及びジクロロメタンから選ばれる1つ又はそれ以上の混合溶媒であるのが好ましく、好ましくは水、アセトニトリル、メタノール、ジメチルスルホキシド、及びジクロロメタンから選ばれる1つ又はそれ以上の混合溶媒であり、より好ましくは水、及びジメチルスルホキシドから選ばれ、さらに好ましくはジクロロメタンとメタノールとの混合溶媒である、請求項1に記載の式(I)化合物の結晶形Iの製造方法。
【請求項16】
(1)式(I)化合物の塩酸塩と溶媒IIIとを混合するステップであって、任意選択でステップ(1)の混合物と溶媒IVとを混合するステップと、
(2)濾過して、乾燥するステップと
を含み、
前記溶媒III、及び溶媒IVが、それぞれ独立して、水、アセトニトリル、メタノール、エタノール、イソプロパノール、酢酸エチル、及びアセトンから選ばれるのが好ましく、好ましくは水、アセトニトリル、メタノール、エタノール、及びイソプロパノールから選ばれ、より好ましくは水、アセトニトリル、及びメタノールから選ばれ、
前記式(I)化合物の塩酸塩が、結晶形A、結晶形B、及び結晶形Cから選ばれ、好ましくは結晶形Aから選ばれる、請求項1に記載の式(I)化合物の結晶形Iの製造方法。
【請求項17】
請求項1に記載の式(I)化合物の薬学的に許容される塩の結晶形の製造方法であって、
(1)式(I)化合物と溶媒Aとを混合するステップと、
(2)ステップ(1)の混合物に塩酸、硫酸、リン酸又はメタンスルホン酸を加えるステップと、
(3)濾過して、乾燥するステップと
を含み、
前記溶媒Aが、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、酢酸エチル、及びアセトニトリルから選ばれる1つ又はそれ以上の混合溶媒であるのが好ましく、好ましくはメタノール、エタノール、イソプロパノール、酢酸エチル、及びアセトニトリルから選ばれ、より好ましくはメタノール、及びアセトニトリルから選ばれ、
好ましくは、前記結晶形が、結晶形A、結晶形D、結晶形E又は結晶形Fである
前記方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願では、2020年1月19日に中国国家知識産権局に提出された中国特許出願第202010057297.0号、及び2020年1月19日に中国国家知識産権局に提出された中国特許出願第202010060110.2号の優先権が主張され、これらの出願が全体として援用により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本願は、医薬品化学分野に属し、具体的には、ブロモドメインタンパク質阻害剤の結晶形、その製造方法、当該結晶形を含む結晶組成物、当該結晶形又はその結晶組成物を含む医薬組成物及びそれらの用途に関する。さらに、前記ブロモドメインタンパク質阻害剤の塩酸塩、硫酸塩、リン酸塩、メシル酸塩、及びそれらの結晶形、製造方法、前記塩を含む医薬組成物並びにその用途に関する。
【背景技術】
【0003】
転写遺伝子のエピジェネティック制御は腫瘍、炎症、代謝性疾患などの進行で重要な役割を果たす。核小体のヒストンリシンのN末端残基のアセチル化はエピジェネティクスの遺伝子制御にとって特に重要である。ヒストンのアセチル化は一般に遺伝子転写の活性化と最も関係が深く、ヒストンリシンのアセチル化の認識はヒストンのアセチル化がエピジェネティックな制御に関与するための重要なステップである。ブロモドメイン(Bromodomain、略称BRD)はヒストンにおけるアセチル化リシン(KAc)を特異的に認識できる保存されたタンパク質ドメインで、アセチル化リシンとの結合によりクロマチンリモデリング因子や転写因子などの関連タンパク質が特定の遺伝子転写部位へ集中することを促し、RNAIIポリメラーゼの活性を変え、協調的に遺伝子の発現制御を行う。
【0004】
BET(Bromodomain and Extra Terminal)タンパク質は互いに関連する2つのブロモドメイン中心と1つの外側末端ドメインとを含み、アミノ酸配列によってBrd2、Brd3、Brd4、BrdTの4種類のタンパク質に分類され、そのうちBrd2~Brd4が人体の各器官に幅広く分布する。BETは1種の転写制御タンパク質で、クロマチンとの相互作用で遺伝子の発現制御に極めて重要な役割を果たす。BETタンパク質は細胞内の網状のシグナル伝達経路に共活性化と共阻害の双方向の制御機能を有し、その例として挙げられるのがインスリンの転写、脂肪組織における脂肪形成、造血系の分化などである。近年の研究では、BETタンパク質を標的とする薬物ががん、炎症、腎臓病、自己免疫疾患の治療や、男性避妊などに利用できることが判明した。したがって、BETタンパク質はエピジェネティクス分野で重要な標的の1つとして、大手製薬会社と研究機関から大きな注目が集まっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願の一態様では、式(I)化合物又は薬学的に許容されるその塩の結晶形が提供される。
【化1】
前記結晶形は、
X線粉末回折パターンが2θ角度12.4°±0.2°、14.5°±0.2°、17.4°±0.2°、18.5°±0.2°、20.4°±0.2°、24.7°±0.2°に特徴回折ピークを有する式(I)化合物の結晶形Iと、
X線粉末回折パターンが2θ角度6.8°±0.2°、8.4°±0.2°、9.4°±0.2°、10.2°±0.2°、16.8°±0.2°に特徴回折ピークを有する式(I)化合物の塩酸塩の結晶形Aと、
X線粉末回折パターンが2θ角度8.7°±0.2°、9.5°±0.2°、10.5°±0.2°、14.5°±0.2°、17.4°±0.2°に特徴回折ピークを有する式(I)化合物の塩酸塩の結晶形Bと、
X線粉末回折パターンが2θ角度6.8°±0.2°、9.5°±0.2°、12.9°±0.2°、20.5°±0.2°、24.6°±0.2°に特徴回折ピークを有する式(I)化合物の塩酸塩の結晶形Cと、
X線粉末回折パターンが2θ角度13.5°±0.2°、14.7°±0.2°、18.6°±0.2°、21.2°±0.2°、23.0°±0.2°、24.1°±0.2°に特徴回折ピークを有する式(I)化合物の硫酸塩の結晶形Dと、
X線粉末回折パターンが2θ角度10.1°±0.2°、10.5°±0.2°、19.0°±0.2°、21.0°±0.2°、22.7°±0.2°、24.0°±0.2°に特徴回折ピークを有する式(I)化合物のリン酸塩の結晶形Eと、
X線粉末回折パターンが2θ角度8.8°±0.2°、10.1°±0.2°、17.7°±0.2°、18.0°±0.2°、24.1°±0.2°、24.8°±0.2°に特徴回折ピークを有する式(I)化合物のメシル酸塩の結晶形Fとから選ばれる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願の別の態様では、式(I)化合物の結晶形Iが提供される。
【化2】
【0007】
前記結晶形Iは、X線粉末回折(XRPD)パターンが2θ=12.4°±0.2°、14.5°±0.2°、17.4°±0.2°、18.5°±0.2°、20.4°±0.2°、24.7°±0.2°の特徴回折ピークを有することを特徴とする。
【0008】
いくつかの実施形態において、前記結晶形IはX線粉末回折(XRPD)パターンにおいて2θ=6.6°±0.2°、9.3°±0.2°、12.4°±0.2°、14.5°±0.2°、16.6°±0.2°、17.4°±0.2°、18.5°±0.2°、20.0°±0.2°、20.4°±0.2°、24.7°±0.2°の特徴回折ピークを有する。
【0009】
いくつかの実施形態において、前記結晶形IはX線粉末回折(XRPD)パターンにおいて2θ=6.6°±0.2°、9.3°±0.2°、12.4°±0.2°、14.5°±0.2°、16.6°±0.2°、17.4°±0.2°、18.5°±0.2°、20.0°±0.2°、20.4°±0.2°、21.5°±0.2°、22.5°±0.2°、23.7°±0.2°、24.7°±0.2°、25.2°±0.2°の特徴回折ピークを有する。
【0010】
いくつかの実施形態において、前記結晶形IのX線粉末回折(XRPD)パターンにおける特徴回折ピークの位置及び相対強度は表1に示すとおりである。
【表1】
【0011】
いくつかの実施形態において、前記結晶形IのX線粉末回折(XRPD)パターンは図1のXRPDパターンによって表される特徴を有する。
【0012】
いくつかの実施形態において、前記結晶形Iの示差走査熱量測定(DSC)曲線は図2のDSC曲線によって表される特徴を有する。
【0013】
いくつかの実施形態において、前記結晶形IのDSC曲線は275℃±3℃で吸熱ピークを有する。
【0014】
いくつかの実施形態において、前記結晶形Iは水、アセトニトリル、メタノール、エタノール、イソプロパノール、酢酸エチル、アセトン、ジメチルスルホキシド、ジクロロメタンから選ばれる1つ又はそれ以上の混合溶媒において製造される。いくつかの実施形態において、前記結晶形Iは水、メタノール、ジメチルスルホキシド、ジクロロメタン、アセトニトリルから選ばれる1つ又はそれ以上の混合溶媒において製造される。いくつかの実施形態において、前記結晶形Iはジメチルスルホキシド、メタノール又は水において製造される。いくつかの実施形態において、前記結晶形Iはジメチルスルホキシドと水の混合溶媒、ジメチルスルホキシドとメタノールの混合溶媒、ジクロロメタンとメタノールの混合溶媒、又はアセトニトリルと水の混合溶媒において製造される。
【0015】
いくつかの実施形態において、前記結晶形Iの粒度分布X90は30μm未満である。いくつかの実施形態において、前記結晶形Iの粒度分布X90は20μm未満である。いくつかの実施形態において、前記結晶形Iの粒度分布X90は15μm未満である。いくつかの実施形態において、前記結晶形Iの粒度分布X90は12μm未満である。いくつかの実施形態において、前記結晶形Iの粒度分布X90は10μm未満である。いくつかの実施形態において、前記結晶形Iの粒度分布X90は7μm未満である。
【0016】
いくつかの実施形態において、前記結晶形Iの粒度分布X90は3.0~14.0μmであり、好ましくは3.5~13.5μmであり、より好ましくは4.0~13.0μmであり、さらに好ましくは4.5~12.5μmであり、一層好ましくは5.0~12.0μmである。
【0017】
いくつかの実施形態において、前記結晶形Iの粒度分布X90は3.5~8.5μmであり、好ましくは4.5~7.5μmであり、より好ましくは5.5~6.5μmである。
【0018】
いくつかの実施形態において、前記結晶形Iの粒度分布X90は9.5~13.5μmであり、好ましくは10.5~12.5μmであり、より好ましくは11.0~12.0μmである。
【0019】
いくつかの実施形態において、前記結晶形Iの粒度分布X90は結晶形Iをジェットミリングで粉砕した後に測定される。いくつかの実施形態において、前記ジェットミリングの粉砕圧力は0.1~0.7MPaから選ばれ、好ましくは0.1~0.6MPaから選ばれる。又は、前記ジェットミリングの粉砕圧力は0.1MPa、0.2MPa、0.3MPa、0.4MPa、0.5MPa、0.6MPa、0.7MPa又は任意の前記値からなる範囲から選ばれる。
【0020】
本願では、さらに、
(1)式(I)化合物と溶媒Iを混合するステップと、
(2)濾過して、乾燥するステップと、
を含む式(I)化合物の結晶形Iの製造方法が提供される。
前記溶媒Iは、好ましくは水、アセトニトリル、メタノール、エタノール、イソプロパノール、酢酸エチル、アセトン、ジメチルスルホキシド、ジクロロメタンから選ばれる1つ又はそれ以上の混合溶媒であり、より好ましくは水、アセトニトリル、メタノール、ジメチルスルホキシド、ジクロロメタンから選ばれる1つ又はそれ以上の混合溶媒であり、さらに好ましくは水、ジメチルスルホキシドから選ばれ、一層好ましくはジクロロメタンとメタノールの混合溶媒である。
【0021】
いくつかの実施形態において、前記式(I)化合物の結晶形Iの製造方法は、
(1)式(I)化合物と溶媒Iを混合するステップと、
(2)ステップ(1)の混合物と溶媒IIを混合するステップと、
(3)濾過して、乾燥するステップと、
を含む。
前記溶媒I、溶媒IIはそれぞれ独立して水、アセトニトリル、メタノール、エタノール、イソプロパノール、酢酸エチル、アセトン、ジメチルスルホキシド、ジクロロメタンから選ばれるのが好ましく、より好ましくは水、アセトニトリル、メタノール、ジメチルスルホキシド、ジクロロメタンから選ばれ、さらに好ましくは水、メタノール、ジメチルスルホキシドから選ばれ、一層好ましくはジクロロメタンとメタノールである。
【0022】
いくつかの実施形態において、ステップ(2)で、ステップ(1)の混合物と溶媒II混合をすることの方式は、a.溶媒IIにステップ(1)の混合物を加えること、b.ステップ(1)の混合物に溶媒IIを加えることを含むが、それらに限定されない。いくつかの実施形態において、加えることの方式として好ましくは滴加である。
【0023】
いくつかの実施形態において、前記ステップ(2)は適切な温度下で、溶媒IIにステップ(1)の混合物を滴加することである。いくつかの実施形態において、前記適切な温度は-10~30℃である。いくつかの実施形態において、前記適切な温度は-5~10℃である。いくつかの実施形態において、前記適切な温度は0℃である。
【0024】
本願では、さらに、
(1)式(I)化合物の薬学的に許容される塩と溶媒IIIを混合するステップと、
(2)濾過して、乾燥するステップとを含む式(I)化合物の結晶形Iの製造方法が提供される。
前記溶媒IIIは、好ましくは水、アセトニトリル、メタノール、エタノール、イソプロパノール、酢酸エチル、アセトンから選ばれる1つ又はそれ以上の混合溶媒であり、より好ましくは水、アセトニトリル、メタノールから選ばれる1つ又はそれ以上の混合溶媒であり、さらに好ましくは水、アセトニトリルと水の混合溶媒、メタノールと水の混合溶媒から選ばれる。
【0025】
いくつかの実施形態において、ステップ(1)で、式(I)化合物の薬学的に許容される塩と溶媒IIIを混合した後、所定の時間、好ましくは3~4時間攪拌する。いくつかの実施形態において、前記攪拌は室温下で行う。
【0026】
いくつかの実施形態において、前記式(I)化合物の結晶形Iの製造方法は、
(1)式(I)化合物の薬学的に許容される塩と溶媒IIIを混合するステップと、
(2)ステップ(1)の混合物と溶媒IVを混合するステップと、
(3)濾過して、乾燥するステップとを含む。
前記溶媒III、溶媒IVはそれぞれ独立して水、アセトニトリル、メタノール、エタノール、イソプロパノール、酢酸エチル、アセトンから選ばれるのが好ましく、より好ましくは水、アセトニトリル、メタノール、エタノール、イソプロパノールから選ばれ、さらに好ましくは水、アセトニトリル、メタノールから選ばれる。
【0027】
いくつかの実施形態において、ステップ(2)で、ステップ(1)の混合物と溶媒IVを混合することの方式は、a.溶媒IVにステップ(1)の混合物を加えること、b.ステップ(1)の混合物に溶媒IVを加えることを含むが、それらに限定されない。いくつかの実施形態において、加えることの方式として好ましくは滴加である。
【0028】
いくつかの実施形態において、ステップ(2)で、ステップ(1)の混合物と溶媒IVを混合した後、結晶化させる。いくつかの実施形態において、前記結晶化は室温下で行う。
【0029】
いくつかの実施形態において、前記式(I)化合物の薬学的に許容される塩は式(I)化合物の塩酸塩から選ばれる。いくつかの実施形態において、前記式(I)化合物の塩酸塩は結晶形A、結晶形B、結晶形Cから選ばれ、好ましくは結晶形Aである。
【0030】
本願では、さらに、前記式(I)化合物の薬学的に許容される塩(塩形態)が提供される。前記薬学的に許容される塩は式(I)化合物の塩酸塩、式(I)化合物の硫酸塩、式(I)化合物のリン酸塩、式(I)化合物のメシル酸塩から選ばれる。
【0031】
本願の更なる態様では、式(I)化合物の塩酸塩が提供される。
【化3】
【0032】
本願では、さらに、式(I)化合物の塩酸塩の結晶形及びその製造方法並びに対応の結晶組成物が提供される。
【0033】
いくつかの実施形態において、前記式(I)化合物の塩酸塩は前記式(I)化合物と塩酸がモル比1:1で形成した塩である。
【0034】
いくつかの実施形態において、前記式(I)化合物の塩酸塩で塩酸含有量は5~10wt%であり、好ましくは6~9wt%、6~8wt%である。又は、前記式(I)化合物の塩酸塩で塩酸含有量は6.0wt%、6.1wt%、6.2wt%、6.3wt%、6.4wt%、6.5wt%、6.6wt%、6.7wt%、6.8wt%、6.9wt%、7.0wt%、7.1wt%、7.2wt%、7.3wt%、7.4wt%、7.5wt%、7.6wt%、7.7wt%、7.8wt%、7.9wt%、8.0wt%、8.1wt%、8.2wt%、8.3wt%、8.4wt%、8.5wt%、8.6wt%、8.7wt%、8.8wt%、8.9wt%、9.0wt%又は任意の前記値からなる範囲から選ばれる。
【0035】
いくつかの実施形態において、前記式(I)化合物の塩酸塩の結晶形は水和物であり、前記水和物は半水和物、一水和物、二水和物、三水和物、四水和物から選ばれ、好ましくは一水和物、二水和物、四水和物であり、より好ましくは一水和物、四水和物である。
【0036】
いくつかの実施形態において、前記式(I)化合物の塩酸塩の結晶形は一水和物である。
【0037】
いくつかの実施形態において、前記式(I)化合物の塩酸塩の結晶形は四水和物である。
【0038】
本願では、X線粉末回折(XRPD)パターンが2θ=6.8°±0.2°、8.4°±0.2°、9.4°±0.2°、10.2°±0.2°、16.8°±0.2°の回折ピークを有することを特徴とする式(I)化合物の塩酸塩の結晶形Aが提供される。
【0039】
いくつかの実施形態において、前記結晶形Aは、X線粉末回折(XRPD)パターンが2θ=6.8°±0.2°、8.4°±0.2°、9.4°±0.2°、10.2°±0.2°、14.4°±0.2°、16.8°±0.2°、20.5°±0.2°、24.7°±0.2°の回折ピークを有することを特徴とする。
【0040】
いくつかの実施形態において、前記結晶形Aは、X線粉末回折(XRPD)パターンが2θ=6.8°±0.2°、8.4°±0.2°、9.4°±0.2°、10.2°±0.2°、14.4°±0.2°、16.8°±0.2°、19.2°±0.2°、20.5°±0.2°、21.7°±0.2°、23.3°±0.2°、24.7°±0.2°の回折ピークを有することを特徴とする。
【0041】
いくつかの実施形態において、前記結晶形AのX線粉末回折(XRPD)パターンにおける特徴回折ピークの位置及び相対強度は表2に示すとおりである。
【表2】
【0042】
いくつかの実施形態において、前記結晶形AのX線粉末回折(XRPD)パターンは図3のXRPDパターンによって表される特徴を有する。
【0043】
いくつかの実施形態において、前記結晶形Aの示差走査熱量測定(DSC)曲線は図4のDSC曲線によって表される特徴を有する。
【0044】
いくつかの実施形態において、前記結晶形AのDSC曲線は149.61℃±3℃で吸熱ピークを有する。いくつかの実施形態において、前記結晶形AのDSC曲線は101.14℃±3℃で吸熱ピークを有する。いくつかの実施形態において、前記結晶形AのDSC曲線は80.15℃±3℃で吸熱ピークを有する。いくつかの実施形態において、前記結晶形AのDSC曲線は62.98℃±3℃で吸熱ピークを有する。いくつかの実施形態において、前記結晶形AのDSC曲線は149.61℃±3℃、及び/又は101.14℃±3℃、及び/又は80.15℃±3℃、及び/又は62.98℃±3℃で吸熱ピークを有する。
【0045】
本願で重量損失、水分含有量を示す時に使用する%は全てwt%である。
【0046】
いくつかの実施形態において、前記結晶形Aの熱重量分析(TGA)曲線は図5のTGA曲線によって表される特徴を有する。
【0047】
いくつかの実施形態において、前記結晶形Aの熱重量分析曲線は119.1±3℃で重量損失が2.37±0.2%である。
【0048】
いくつかの実施形態において、前記結晶形Aの熱重量分析曲線は119.1±3℃で重量損失が2.37±0.2%であり、且つ/又は258.7±3℃で重量損失が16.78±0.2%であり、且つ/又は494.1±3℃で重量損失が38.60±0.2%である。
【0049】
いくつかの実施形態において、前記結晶形Aはメタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、酢酸エチル、アセトニトリルから選ばれる1つ又はそれ以上の混合溶媒において製造される。いくつかの実施形態において、前記結晶形Aはメタノール、エタノール、又はイソプロパノールにおいて製造される。いくつかの実施形態において、前記結晶形Aはメタノールにおいて製造される。
【0050】
本願では、さらに、
(1)式(I)化合物と溶媒Aを混合するステップと、
(2)ステップ(1)の混合物に塩酸を加えるステップと、
(3)濾過して、乾燥するステップと、
を含む式(I)化合物の塩酸塩の結晶形Aの製造方法が提供される。
前記溶媒Aはメタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、酢酸エチル、アセトニトリルから選ばれる1つ又はそれ以上の混合溶媒であり、好ましくはメタノール、エタノール、イソプロパノールから選ばれ、より好ましくはメタノールである。
【0051】
いくつかの実施形態において、前記結晶形Aの水分含有量は5.0~9.0%であり、好ましくは5.5~8.5%であり、より好ましくは5.8~8.1%である。いくつかの実施形態において、前記結晶形Aの水分含有量は4.7%である。いくつかの実施形態において、前記結晶形Aの水分含有量は5.8%である。いくつかの実施形態において、前記結晶形Aの水分含有量は6.6%である。いくつかの実施形態において、前記結晶形Aの水分含有量は8.1%である。
【0052】
本願では、X線粉末回折(XRPD)パターンが2θ=8.7°±0.2°、9.5°±0.2°、10.5°±0.2°、14.5°±0.2°、17.4°±0.2°の回折ピークを有することを特徴とする式(I)化合物の塩酸塩の結晶形Bが提供される。
【0053】
いくつかの実施形態において、前記結晶形Bは、X線粉末回折(XRPD)パターンが2θ=6.8°±0.2°、8.7°±0.2°、9.5°±0.2°、10.5°±0.2°、14.5°±0.2°、17.4°±0.2°、21.0°±0.2°、22.2°±0.2°の回折ピークを有することを特徴とする。
【0054】
いくつかの実施形態において、前記結晶形Bは、X線粉末回折(XRPD)パターンが2θ=6.8°±0.2°、8.7°±0.2°、9.5°±0.2°、10.5°±0.2°、14.5°±0.2°、17.4°±0.2°、18.8°±0.2°、20.1°±0.2°、21.0°±0.2°、22.2°±0.2°、24.6°±0.2°の回折ピークを有することを特徴とする。
【0055】
いくつかの実施形態において、前記結晶形BのX線粉末回折(XRPD)パターンにおける特徴回折ピークの位置及び相対強度は表3に示すとおりである。
【表3】
【0056】
いくつかの実施形態において、前記結晶形BのX線粉末回折(XRPD)パターンは図6のXRPDパターンによって表される特徴を有する。
【0057】
いくつかの実施形態において、前記結晶形Bの水分含有量は2.0~5.5%であり、好ましくは3.0~5.0%であり、より好ましくは3.6~4.6%である。いくつかの実施形態において、前記結晶形Bの水分含有量は3.6%である。いくつかの実施形態において、前記結晶形Bの水分含有量は4.6%である。
【0058】
いくつかの実施形態において、前記結晶形Bは60±2℃下で結晶形Aから製造される。
【0059】
本願では、さらに、結晶形Aを60±2℃下で30日間静置するステップを含む式(I)化合物の塩酸塩の結晶形Bの製造方法が提供される。
【0060】
本願では、X線粉末回折(XRPD)パターンが2θ=6.8°±0.2°、9.5°±0.2°、12.9°±0.2°、20.5°±0.2°、24.6°±0.2°の回折ピークを有することを特徴とする式(I)化合物の塩酸塩の結晶形Cが提供される。
【0061】
いくつかの実施形態において、前記結晶形Cは、X線粉末回折(XRPD)パターンが2θ=6.8°±0.2°、9.5°±0.2°、12.9°±0.2°、14.8°±0.2°、17.5°±0.2°、20.5°±0.2°、23.3°±0.2°、24.6°±0.2°の回折ピークを有することを特徴とする。
【0062】
いくつかの実施形態において、前記結晶形Cは、X線粉末回折(XRPD)パターンが2θ=6.8°±0.2°、9.5°±0.2°、11.9°±0.2°、12.9°±0.2°、14.8°±0.2°、15.8°±0.2°、17.5°±0.2°、20.5°±0.2°、23.3°±0.2°、24.6°±0.2°、28.7°±0.2°の回折ピークを有することを特徴とする。
【0063】
いくつかの実施形態において、前記結晶形CのX線粉末回折(XRPD)パターンにおける特徴回折ピークの位置及び相対強度は表4に示すとおりである。
【表4】
【0064】
いくつかの実施形態において、前記結晶形CのX線粉末回折(XRPD)パターンは図7のXRPDパターンによって表される特徴を有する。
【0065】
いくつかの実施形態において、前記結晶形Cの水分含有量は9.0~14.0%であり、好ましくは9.5~13.5%であり、より好ましくは10.0~13.0%である。いくつかの実施形態において、前記結晶形Cの水分含有量は11.9%である。いくつかの実施形態において、前記結晶形Cの水分含有量は12.2%である。いくつかの実施形態において、前記結晶形Cの水分含有量は13.0%である。
【0066】
いくつかの実施形態において、前記結晶形Cは室温下、相対湿度92.5±5%において結晶形Aから製造される。
【0067】
本願では、さらに、結晶形Aを室温下、相対湿度92.5±5%において30日間静置するステップを含む式(I)化合物の塩酸塩の結晶形Cの製造方法が提供される。
【0068】
本願の別の態様では、式(I)化合物の硫酸塩が提供される。
【化4】
【0069】
いくつかの実施形態において、前記式(I)化合物の硫酸塩は式(II)に示すとおりである。
【化5】
式中、xは0.5~1から選ばれる。
【0070】
いくつかの実施形態において、前記xは0.5、1から選ばれる。
【0071】
いくつかの実施形態において、前記xは1から選ばれる。
【0072】
いくつかの実施形態において、前記式(I)化合物の硫酸塩で硫酸含有量は15~20wt%であり、好ましくは16~19wt%、17~19wt%である。又は、前記式(I)化合物の硫酸塩で硫酸含有量は16.1wt%、16.2wt%、16.3wt%、16.4wt%、16.5wt%、16.6wt%、16.7wt%、16.8wt%、16.9wt%、17.0wt%、17.1wt%、17.2wt%、17.3wt%、17.4wt%、17.5wt%、17.6wt%、17.7wt%、17.8wt%、17.9wt%、18.0wt%、18.1wt%、18.2wt%、18.3wt%、18.4wt%、18.5wt%、18.6wt%、18.7wt%、18.8wt%、18.9wt%、19.0wt%又は任意の前記値からなる範囲から選ばれる。
【0073】
本願では、さらに、式(II)化合物の結晶形Dが提供され、xは1である。前記結晶形Dは、X線粉末回折(XRPD)パターンが2θ=13.5°±0.2°、14.7°±0.2°、18.6°±0.2°、21.2°±0.2°、23.0°±0.2°、24.1°±0.2°の特徴回折ピークを有することを特徴とする。
【0074】
いくつかの実施形態において、前記結晶形Dは、X線粉末回折(XRPD)パターンが2θ=7.1°±0.2°、8.9°±0.2°、9.8°±0.2°、13.2°±0.2°、13.5°±0.2°、14.7°±0.2°、18.6°±0.2°、21.2°±0.2°、23.0°±0.2°、24.1°±0.2°の特徴回折ピークを有する。
【0075】
いくつかの実施形態において、前記結晶形Dは、X線粉末回折(XRPD)パターンが2θ=7.1°±0.2°、8.9°±0.2°、9.8°±0.2°、13.2°±0.2°、13.5°±0.2°、14.7°±0.2°、16.3°±0.2°、18.6°±0.2°、19.7°±0.2°、21.2°±0.2°、21.9°±0.2°、23.0°±0.2°、24.1°±0.2°、26.2°±0.2°の特徴回折ピークを有する。
【0076】
いくつかの実施形態において、前記結晶形DのX線粉末回折(XRPD)パターンにおける特徴回折ピークの位置及び相対強度は表5に示すとおりである。
【表5】
【0077】
いくつかの実施形態において、前記結晶形DのX線粉末回折(XRPD)パターンは図8のXRPDパターンによって表される特徴を有する。
【0078】
いくつかの実施形態において、前記結晶形Dの示差走査熱量測定(DSC)曲線は図9のDSC曲線によって表される特徴を有する。
【0079】
いくつかの実施形態において、前記結晶形DのDSC曲線は262.82℃±3℃で発熱ピークを有する。いくつかの実施形態において、前記結晶形DのDSC曲線は272.31℃±3℃で発熱ピークを有する。いくつかの実施形態において、前記結晶形DのDSC曲線は272.31℃±3℃、及び/又は262.82℃±3℃で発熱ピークを有する。
【0080】
いくつかの実施形態において、前記結晶形Dの熱重量分析(TGA)曲線は図10のTGA曲線によって表される特徴を有する。
【0081】
いくつかの実施形態において、前記結晶形Dの熱重量分析曲線は425.0±3℃で重量損失が40.74±0.2%である。
【0082】
いくつかの実施形態において、前記結晶形Dはメタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、酢酸エチルから選ばれる1つ又はそれ以上の混合溶媒において製造される。いくつかの実施形態において、前記結晶形Dはメタノール、エタノール又はイソプロパノールから選ばれる1つ又はそれ以上の混合溶媒において製造される。いくつかの実施形態において、前記結晶形Dはメタノールにおいて製造される。
【0083】
本願では、さらに、式(I)化合物を硫酸と接触させるステップを含む式(I)化合物の硫酸塩の結晶形Dの製造方法が提供される。
【0084】
いくつかの実施形態において、前記結晶形Dの製造方法は、
(1)式(I)化合物と溶媒Dを混合するステップと、
(2)ステップ(1)の混合物に硫酸の溶媒Dの溶液を加えるステップと、
(3)濾過して、乾燥するステップとを含む。
前記溶媒Dはメタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、酢酸エチルから選ばれる1つ又はそれ以上の混合溶媒であり、好ましくはメタノール、エタノール、イソプロパノールから選ばれ、より好ましくはメタノールである。
【0085】
本願の更なる態様では、式(I)化合物のリン酸塩が提供される。
【化6】
【0086】
いくつかの実施形態において、前記式(I)化合物のリン酸塩は式(III)に示すとおりである。
【化7】
式中、xは0.5~1から選ばれる。
【0087】
いくつかの実施形態において、前記xは0.5、1から選ばれる。
【0088】
いくつかの実施形態において、前記xは1から選ばれる。
【0089】
いくつかの実施形態において、前記式(I)化合物のリン酸塩でリン酸含有量は10~20wt%であり、好ましくは12~19wt%である。又は、前記式(I)化合物のリン酸塩でリン酸含有量は12.1wt%、12.2wt%、12.3wt%、12.4wt%、12.5wt%、12.6wt%、12.7wt%、12.8wt%、12.9wt%、13.0wt%、13.1wt%、13.2wt%、13.3wt%、13.4wt%、13.5wt%、13.6wt%、13.7wt%、13.8wt%、13.9wt%、14.0wt%、14.1wt%、14.2wt%、14.3wt%、14.4wt%、14.5wt%、14.6wt%、14.7wt%、14.8wt%、14.9wt%、15.0wt%、15.1wt%、15.2wt%、15.3wt%、15.4wt%、15.5wt%、15.6wt%、15.7wt%、15.8wt%、15.9wt%、16.0wt%、16.1wt%、16.2wt%、16.3wt%、16.4wt%、16.5wt%、16.6wt%、16.7wt%、16.8wt%、16.9wt%、17.0wt%、17.1wt%、17.2wt%、17.3wt%、17.4wt%、17.5wt%、17.6wt%、17.7wt%、17.8wt%、17.9wt%、18.0wt%、18.1wt%、18.2wt%、18.3wt%、18.4wt%、18.5wt%、18.6wt%、18.7wt%、18.8wt%、18.9wt%、19.0wt%又は任意の前記値からなる範囲から選ばれる。
【0090】
本願では、さらに、式(III)化合物の結晶形Eが提供される。前記結晶形Eは、X線粉末回折(XRPD)パターンが2θ=10.1°±0.2°、10.5°±0.2°、19.0°±0.2°、21.0°±0.2°、22.7°±0.2°、24.0°±0.2°の特徴回折ピークを有することを特徴とする。
【0091】
いくつかの実施形態において、前記結晶形Eは、X線粉末回折(XRPD)パターンが2θ=9.0°±0.2°、10.1°±0.2°、10.5°±0.2°、17.9°±0.2°、19.0°±0.2°、21.0°±0.2°、21.7°±0.2°、22.7°±0.2°、24.0°±0.2°の特徴回折ピークを有することを特徴とする。
【0092】
いくつかの実施形態において、前記結晶形Eは、X線粉末回折(XRPD)パターンが2θ=5.2°±0.2°、9.0°±0.2°、10.1°±0.2°、10.5°±0.2°、15.5°±0.2°、17.9°±0.2°、19.0°±0.2°、20.2°±0.2°、21.0°±0.2°、21.7°±0.2°、22.2°±0.2°、22.7°±0.2°、23.4°±0.2°、24.0°±0.2°の特徴回折ピークを有することを特徴とする。
【0093】
いくつかの実施形態において、前記結晶形EのX線粉末回折(XRPD)パターンにおける特徴回折ピークの位置及び相対強度は表6に示すとおりである。
【表6】
【0094】
いくつかの実施形態において、前記結晶形EのX線粉末回折(XRPD)パターンは図11のXRPDパターンによって表される特徴を有する。
【0095】
いくつかの実施形態において、前記結晶形Eの示差走査熱量測定(DSC)曲線は図12のDSC曲線によって表される特徴を有する。
【0096】
いくつかの実施形態において、前記結晶形EのDSC曲線は171.37℃±3℃で吸熱ピークを有する。いくつかの実施形態において、前記結晶形EのDSC曲線は159.07℃±3℃で吸熱ピークを有する。いくつかの実施形態において、前記結晶形EのDSC曲線は141.12℃±3℃で吸熱ピークを有する。いくつかの実施形態において、前記結晶形EのDSC曲線は116.46℃±3℃で吸熱ピークを有する。いくつかの実施形態において、前記結晶形EのDSC曲線は171.37℃±3℃、及び/又は159.07℃±3℃、及び/又は141.12℃±3℃、及び/又は116.46℃±3℃で吸熱ピークを有する。
【0097】
いくつかの実施形態において、前記結晶形Eの熱重量分析(TGA)曲線は図13のTGA曲線によって表される特徴を有する。
【0098】
いくつかの実施形態において、前記結晶形Eの熱重量分析曲線は157.5±3℃で重量損失が2.24±0.2%である。
【0099】
いくつかの実施形態において、前記結晶形Eの熱重量分析曲線は157.5±3℃で重量損失が2.24±0.2%であり、且つ/又は270.8±3℃で重量損失が7.85±0.2%であり、且つ/又は493.8±3℃で重量損失が27.85±0.2%である。
【0100】
いくつかの実施形態において、前記結晶形Eはメタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、酢酸エチル、アセトニトリルから選ばれる1つ又はそれ以上の混合溶媒において製造される。いくつかの実施形態において、前記結晶形Eは酢酸エチル、アセトニトリルから選ばれる1つ又はそれ以上の混合溶媒において製造される。いくつかの実施形態において、前記結晶形Eはアセトニトリルにおいて製造される。
【0101】
本願では、さらに、式(I)化合物をリン酸と接触させるステップを含む式(I)化合物のリン酸塩の結晶形Eの製造方法が提供される。
【0102】
いくつかの実施形態において、前記結晶形Eの製造方法は、
(1)式(I)化合物と溶媒Eを混合するステップと、
(2)ステップ(1)の混合物にリン酸を加えるステップと、
(3)濾過して、乾燥するステップとを含む。
前記溶媒Eはメタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、酢酸エチル、アセトニトリルから選ばれる1つ又はそれ以上の混合溶媒であり、好ましくは酢酸エチル、アセトニトリルから選ばれ、より好ましくはアセトニトリルである。
【0103】
本願の更なる態様では、式(I)化合物のメシル酸塩が提供される。
【化8】
【0104】
いくつかの実施形態において、前記式(I)化合物のメシル酸塩は式(IV)に示すとおりである。
【化9】
式中、xは0.5~1から選ばれる。
【0105】
いくつかの実施形態において、前記xは0.5、1から選ばれる。
【0106】
いくつかの実施形態において、前記xは1から選ばれる。
【0107】
いくつかの実施形態において、前記式(I)化合物のメシル酸塩でメタンスルホン酸含有量は10~20wt%であり、好ましくは12~19wt%である。又は、前記式(I)化合物のメシル酸塩でメタンスルホン酸含有量は12.1wt%、12.2wt%、12.3wt%、12.4wt%、12.5wt%、12.6wt%、12.7wt%、12.8wt%、12.9wt%、13.0wt%、13.1wt%、13.2wt%、13.3wt%、13.4wt%、13.5wt%、13.6wt%、13.7wt%、13.8wt%、13.9wt%、14.0wt%、14.1wt%、14.2wt%、14.3wt%、14.4wt%、14.5wt%、14.6wt%、14.7wt%、14.8wt%、14.9wt%、15.0wt%、15.1wt%、15.2wt%、15.3wt%、15.4wt%、15.5wt%、15.6wt%、15.7wt%、15.8wt%、15.9wt%、16.0wt%、16.1wt%、16.2wt%、16.3wt%、16.4wt%、16.5wt%、16.6wt%、16.7wt%、16.8wt%、16.9wt%、17.0wt%、17.1wt%、17.2wt%、17.3wt%、17.4wt%、17.5wt%、17.6wt%、17.7wt%、17.8wt%、17.9wt%、18.0wt%、18.1wt%、18.2wt%、18.3wt%、18.4wt%、18.5wt%、18.6wt%、18.7wt%、18.8wt%、18.9wt%、19.0wt%又は任意の前記値からなる範囲から選ばれる。
【0108】
本願では、さらに、式(IV)化合物の結晶形Fが提供される。前記結晶形Fは、X線粉末回折(XRPD)パターンが2θ=8.8°±0.2°、10.1°±0.2°、17.7°±0.2°、18.0°±0.2°、24.1°±0.2°、24.8°±0.2°の特徴回折ピークを有することを特徴とする。
【0109】
いくつかの実施形態において、前記結晶形Fは、X線粉末回折(XRPD)パターンが2θ=8.8°±0.2°、10.1°±0.2°、16.4°±0.2°、17.7°±0.2°、18.0°±0.2°、21.7°±0.2°、22.1°±0.2°、24.1°±0.2°、24.8°±0.2°、26.6°±0.2°の特徴回折ピークを有することを特徴とする。
【0110】
いくつかの実施形態において、前記結晶形Fは、X線粉末回折(XRPD)パターンが2θ=8.8°±0.2°、10.1°±0.2°、13.1°±0.2°、14.3°±0.2°、16.4°±0.2°、17.7°±0.2°、18.0°±0.2°、20.2°±0.2°、21.7°±0.2°、22.1°±0.2°、24.1°±0.2°、24.8°±0.2°、26.0°±0.2°、26.6°±0.2°の特徴回折ピークを有することを特徴とする。
【0111】
いくつかの実施形態において、前記結晶形FのX線粉末回折(XRPD)パターンにおける特徴回折ピークの位置及び相対強度は表7に示すとおりである。
【表7】
【0112】
いくつかの実施形態において、前記結晶形FのX線粉末回折(XRPD)パターンは図14のXRPDパターンによって表される特徴を有する。
【0113】
いくつかの実施形態において、前記結晶形Fの示差走査熱量測定(DSC)曲線は図15のDSC曲線によって表される特徴を有する。
【0114】
いくつかの実施形態において、前記結晶形FのDSC曲線は282.74℃±3℃で発熱ピークを有する。いくつかの実施形態において、前記結晶形FのDSC曲線は221.41℃±3℃で吸熱ピークを有する。いくつかの実施形態において、前記結晶形FのDSC曲線は167.36℃±3℃で吸熱ピークを有する。いくつかの実施形態において、前記結晶形FのDSC曲線は167.36℃±3℃で吸熱ピークを有し、且つ/又は221.41℃±3℃で吸熱ピークを有し、且つ/又は282.74℃±3℃で発熱ピークを有する。
【0115】
いくつかの実施形態において、前記結晶形Fの熱重量分析(TGA)曲線は図16のTGA曲線によって表される特徴を有する。
【0116】
いくつかの実施形態において、前記結晶形Fの熱重量分析曲線は170.2±3℃で重量損失が2.80±0.2%である。
【0117】
いくつかの実施形態において、前記結晶形Fの熱重量分析曲線は170.2±3℃で重量損失が2.80±0.2%であり、且つ/又は261.4±3℃で重量損失が5.28±0.2%であり、且つ/又は311.4±3℃で重量損失が9.21±0.2%であり、且つ/又は396.3±3℃で重量損失が25.22±0.2%であり、且つ/又は554.9±3℃で重量損失が13.88±0.2%である。
【0118】
いくつかの実施形態において、前記結晶形Fはメタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、酢酸エチル、アセトニトリルから選ばれる1つ又はそれ以上の混合溶媒において製造される。いくつかの実施形態において、前記結晶形Fは酢酸エチル、アセトニトリルから選ばれる1つ又はそれ以上の混合溶媒において製造される。いくつかの実施形態において、前記結晶形Fはアセトニトリルにおいて製造される。
【0119】
本願では、さらに、式(I)化合物をメタンスルホン酸と接触させるステップを含む結晶形Fの製造方法が提供される。
【0120】
いくつかの実施形態において、前記結晶形Fの製造方法は、
(1)式(I)化合物と溶媒Fを混合するステップと、
(2)ステップ(1)の混合物にメタンスルホン酸を加えるステップと、
(3)濾過して、乾燥するステップとを含む。
前記溶媒Fはメタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、酢酸エチル、アセトニトリルから選ばれる1つ又はそれ以上の混合溶媒であり、好ましくは酢酸エチル、アセトニトリルから選ばれ、より好ましくはアセトニトリルである。
【0121】
本願の更なる態様では、前記結晶形を含む結晶組成物が提供される。前記結晶形は結晶組成物の重量の50%以上を、好ましくは80%以上を、より好ましくは90%以上を、最も好ましくは95%以上を占める。
【0122】
本願の更なる態様では、前記結晶形又はその結晶組成物を含む医薬組成物が提供される。前記医薬組成物は任意選択で薬学的に許容される担体、賦形剤及び/又は媒体を含んでもよい。また、本願の医薬組成物は1つ又は複数の他の治療剤をさらに含んでもよい。
【0123】
いくつかの実施形態において、前記医薬組成物は、結晶形I若しくはその結晶組成物、結晶形A若しくはその結晶組成物、結晶形B若しくはその結晶組成物、結晶形C若しくはその結晶組成物、結晶形D若しくはその結晶組成物、結晶形E若しくはその結晶組成物、又は結晶形F若しくはその結晶組成物を含む。いくつかの実施形態において、前記医薬組成物は、結晶形I、結晶形A、結晶形B、結晶形C、結晶形D、結晶形E、又は結晶形Fを含む。いくつかの実施形態において、前記医薬組成物は、0.0001~500mgの結晶形I、結晶形A、結晶形B、結晶形C、結晶形D、結晶形E、又は結晶形Fを、好ましくは0.001~250mgの結晶形I、結晶形A、結晶形B、結晶形C、結晶形D、結晶形E、又は結晶形Fを、より好ましくは0.005~100mgの結晶形I、結晶形A、結晶形B、結晶形C、結晶形D、結晶形E、又は結晶形Fを、最も好ましくは0.005~50mgの結晶形I、結晶形A、結晶形B、結晶形C、結晶形D、結晶形E、又は結晶形Fを含む。本願では、さらに、治療を必要とする哺乳動物(好ましくはヒト)に治療有効量の前記結晶形、又は塩形態、又はその結晶組成物、又は医薬組成物を投与することを含む哺乳動物のBETタンパク質媒介性疾患の治療方法が提供される。
【0124】
本願では、さらに、BETタンパク質媒介性疾患の治療薬物の製造における前記結晶形、又は塩形態、又はその結晶組成物、又は医薬組成物の用途が提供される。
【0125】
本願では、さらに、BETタンパク質媒介性疾患を治療するための前記結晶形、又は塩形態、又はその結晶組成物、又は医薬組成物が提供される。
【0126】
本願では、さらに、BETタンパク質媒介性疾患を治療するための前記結晶形、又は塩形態、又はその結晶組成物、又は医薬組成物の用途が提供される。
【0127】
本願のいくつかの実施形態において、前記BETタンパク質媒介性疾患はがんから選ばれる。好ましくは、前記がんは固形腫瘍、血液腫瘍から選ばれる。より好ましくは、前記固形腫瘍は乳がん、前立腺がんから選ばれる。より好ましくは、前記血液腫瘍は急性骨髄性白血病、多発性骨髄腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫から選ばれる。
【発明の効果】
【0128】
本願の結晶形は良好な安定性を有し、安定性試験では高湿度、高温又は光などにおいて良好な結果を示している。インビボ又はインビトロ試験では良好な薬理学的活性を示している。原料として製剤に使用される場合に、生成物が溶解、放出又は薬物動態において良好な特性を有することから、本願の結晶形は良好な医薬特性を有し薬物になりやすいことが示される。本願の結晶形は化合物の固体形態を得るための有益な知恵をもたらしている。
【0129】
「定義」
特に説明のない限り、本明細書で使用する下記の用語は次の意味を有する。特定の用語は、特に定義がなければ、確定しないもの又は不明瞭なものとしてではなく、本分野の通常の意味で理解する。本明細書で商品名が記載される場合に、対応する商品又はその有効成分を指す。
【0130】
なお、X線粉末回折パターンで、ピークの位置又はピークの相対強度が測定装置、測定方法/条件などによって異なる可能性がある。いかなる確定した結晶形でも、ピークの位置に誤差がある可能性があり、2θ角度の測定誤差は±0.2°であってもよい。そのため、さまざまな結晶形を確定する際は、当該誤差を考慮すべきであり、誤差内にあるものは本願の範囲に含まれる。
【0131】
なお、同じ結晶形でも、DSCにおける吸熱ピークの出現位置は測定装置、測定方法/条件などによって異なる可能性がある。いかなる確定した結晶形でも、吸熱ピークの位置に誤差がある可能性があり、誤差は±5℃でもよいし、±3℃でもよい。そのため、さまざまな結晶形を確定する際は、当該誤差を考慮すべきであり、誤差内にあるものは本願の範囲に含まれる。
【0132】
製薬分野で用語「水和物」とは薬物分子と結晶水の水和反応で生成した固体状態の共結晶物を指す。1つの本願の化合物の分子が1つの水分子と結合することができ、例えば、一水和物を得る。また、1つの本願の化合物の分子が2つ以上の水分子と結合することもでき、例えば、二水和物、三水和物、四水和物を得る。1つの本願の化合物の分子は1つ未満の水分子と結合することもでき、例えば、半水和物を得る。本願に記載の水和物には前記化合物の非水和形態の生物学的利用能が保たれている。
【0133】
前記用語「含む(comprise)」、類似の用語及び英語の同等な表現、例えば、「comprises」「comprising」又は同等なものは、「…を含むが、それらに限定されない」と開放的で非排他的な表現として理解される。
【0134】
用語「薬学的に許容される」とは、人間又は動物の組織に接触して使用するのに適し、毒性又は刺激性はなく、アレルギー反応、その他の問題又は合併症を引き起こさないと医学的に判断され、利益対リスクが合理的である化合物、材料、組成物及び/又は剤形に対して使用される。「薬学的に許容される添加物」とは有効成分と一緒に投与され、有効成分を投与しやすくする不活性物質であり、中国国家食品薬品監督管理局がヒト又は動物(例えば家畜)への使用を認める任意の流動促進剤、甘味料、希釈剤、防腐剤、染料/着色剤、矯味剤、界面活性剤、湿潤剤、分散剤、崩壊剤、懸濁剤、安定剤、等張剤、溶媒又は乳化剤を含むが、それらに限定されない。前記賦形剤の非限定的な例は炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、さまざまな糖類とさまざまなデンプン、セルロース誘導体、ゼラチン、植物油、ポリエチレングリコールを含む。
【0135】
用語「医薬組成物」とは1つ又は複数の本願の化合物又はその塩と薬学的に許容される添加物とからなる混合物を指す。医薬組成物は本願の化合物を生体に投与しやすくするためのものである。
【0136】
本願の医薬組成物は本願の化合物と薬学的に許容される適切な添加物を組み合わせて製造することができ、例えば、固体、半固体、液体剤又は気体の製剤として製造され、例えば、錠剤、丸薬、カプセル、パウダー、顆粒、軟膏、エマルジョン、懸濁剤、坐剤、注射剤、吸入剤、ゲル剤、ミクロスフェア、エアロゾルなどである。
【0137】
本願に記載の結晶形又はその医薬組成物の典型的な投与経路は、経口、経直腸、局所、吸入、非経口、舌下、膣内、鼻腔内、眼内、腹腔内、筋肉内、皮下、静脈内を含むが、それらに限定されない。
【0138】
本願の医薬組成物は、本分野で周知の手法、例えば、混合、溶解、造粒、糖衣錠法、粉砕、乳化、凍結乾燥などの通常の方法で製造することができる。
【0139】
いくつかの実施形態において、医薬組成物は経口投与用である。経口投与用の場合は、活性化合物と本分野で周知の薬学的に許容される添加物を混合して、当該医薬組成物を製造することができる。このような添加物によって本願の化合物は、患者に経口投与する錠剤、丸薬、糖衣コーティング剤、カプセル、液体剤、ゲル剤、シロップ、懸濁剤などとして製剤化される。
【0140】
本願の化合物の治療用量は、治療の目的、化合物の投与方式、患者の健康状態、処方を下す医師の判断などで決定される。医薬組成物における本願の化合物の割合又は濃度は必ずしも変わらないとは限らず、用量、化学的特性(例えば、疎水性)、投与経路などさまざまな要因によって決定される。用語「治療」とは、疾患又は前記疾患に関連する1つ又は複数の症状を改善又は解消するために、本願に記載の化合物又は製剤を投与することを意味し、且つ以下の事項を含む。
(i)疾患又は疾患の状態を阻害し、即ちその進行を抑えること、
(ii)疾患又は疾患の状態を緩和し、即ち当該疾患又は疾患の状態を解消させること。
【0141】
用語「予防」とは、疾患又は前記疾患に関連する1つ又は複数の症状を予防するために、本願に記載の化合物又は製剤を投与することを意味し、且つ、哺乳動物における疾患又は疾患の状態の出現を予防すること、特に当該疾患の状態になりやすい哺乳動物が、当該疾患の状態と診断されていない時の予防を含む。
【0142】
薬物又は薬理学的に活性な薬剤に対して使用される場合に用語「治療有効量」とは、毒性を持たず所望の効果を得られる薬物又はその製剤の十分な用量を指す。当該有効量は、投与対象の年齢、一般状況で決定され、有効物質種によって異なる。実際の投与では、当業者が通常の試験を行って有効量を適切に决定することができる。
【0143】
本願に記載の水分含有量は水分測定法(中国薬典2015年版四部通則0832第1法1)に従って測定される。
【0144】
用語「粒度分布X90」とは、粉体サンプルにおける積算分布のパーセントが90%になっている時の対応の粒径を指す。
【0145】
本願に記載の粒度分布X90は光散乱法(中国薬典2020版四部通則0982粒度及び粒度分布測定第3法)に従って測定される。
【0146】
本願に記載の結晶形の治療有効量は約0.0001から20mg/kg体重/日であり、例えば、0.001から10mg/kg体重/日である。
【0147】
本願に記載の結晶形の用量と投与頻度は、患者の状態によって決定され、例えば、1日に1回若しくは2回、又は1日にそれ以上の複数回である。投与は間欠的に行われてもよく、例えば、一定の日数において患者に結晶形の1日用量を投与し、それから同日数又はより長い期間において、患者に結晶形の1日用量を投与しない。
【0148】
本願の中間体化合物は、下記の特定の実施形態、他の化学の合成方法と組み合わせた実施形態及び当業者が熟知する代替的な入れ替え形態を含み、好ましい実施形態は本願の実施例を含むが、それらに限定されない、当業者が熟知するさまざまな合成方法で製造することができる。
【0149】
本願の特定の実施形態の化学反応は適切な溶媒において行われ、前記溶媒は本願の化学的変化及び使用する試薬と原料に適する。本願の化合物を得るために、場合によって当業者が既存の実施形態を踏まえ合成ステップ又は反応プロセスを選択し又は変更する必要がある。
【0150】
本明細書において、特に明確な規定のない限り、単数形の用語は複数の指示対象の場合をカバーし、逆の場合も同様である。
【0151】
本明細書において、特に説明のない限り、各パラメータの値(2θ角度、反応条件を含む)はいずれも、測定などによる値の誤差を含むように、用語「約」で修飾されたものと見なされ、例えば、記載された値に対し、±5%の誤差がある。
【0152】
本明細書では説明と開示のために、特許、特許出願又は既存の刊行物が援用により全体として組み込まれる。これらの刊行物は本願の出願日前に発表されているため提供できる。これらの書類の開示日に関する声明又はその内容の記載は出願人が知り得た情報に基づくもので、これらの書類の開示日又はその内容が正しいと承諾するものではない。しかも全ての対象国において、本明細書へのこれらの刊行物の援用で、当該刊行物が本分野の周知の常識になると認めるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0153】
図1図1は結晶形IのXRPDパターンである。
図2図2は結晶形IのDSC曲線である。
図3図3は結晶形AのXRPDパターンである。
図4図4は結晶形AのDSC曲線である。
図5図5は結晶形AのTGA曲線である。
図6図6は結晶形BのXRPDパターンである。
図7図7は結晶形CのXRPDパターンである。
図8図8は結晶形DのXRPDパターンである。
図9図9は結晶形DのDSC曲線である。
図10図10は結晶形DのTGA曲線である。
図11図11は結晶形EのXRPDパターンである。
図12図12は結晶形EのDSC曲線である。
図13図13は結晶形EのTGA曲線である。
図14図14は結晶形FのXRPDパターンである。
図15図15は結晶形FのDSC曲線である。
図16図16は結晶形FのTGA曲線である。
【発明を実施するための形態】
【0154】
次に、本願の内容の一層の理解のために、特定の実施例を用いて更なる説明を行う。ただし、これらの特定の実施形態は本願の内容に対する限定ではない。
【実施例
【0155】
本願で使用する溶媒は全て市販品で、精製しなくても使用できる。本願で使用する略号とその意味は次のとおりである。DCMはジクロロメタンである。DMFはN,N-ジメチルホルムアミドである。DMSOはジメチルスルホキシドである。MeOHはメタノールである。ACNはアセトニトリルである。EtOAcは酢酸エチルである。PEは石油エーテルである。CDClは重水素化クロロホルムである。(Boc)Oは二炭酸ジ-tert-ブチルである。Bocはtert-ブトキシカルボニル基である。DMAPは4-ジメチルアミノピリジンである。Nは窒素ガスである。MSは質量分析である。Pd(dba)はトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウムである。XantPhosは4,5-ビス(ジフェニルホスフィノ)-9,9-ジメチルキサンテンである。Xphosは2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,4’,6’-トリイソプロピルビフェニルである。本願で「室温」とは常温を指し、一般に10~30℃である。
【0156】
XRPD、DSC、TGAの構成(装置型番、各パラメータなど):
本願の粉末X線回折(X-ray powder diffractometer、XRPD)方法:
装置モデル:Bruker D8 Advance X線回折計。
詳細なXRPDパラメータは次のとおりである。
線源:Cu
管電圧:40kV、管電流:40mA
走査角度範囲:3.00~60.00°
角度ステップ:0.02°
走査間隔:0.1秒。
本願の示差走査熱量測定(Differential Scanning Calorimeter、DSC)方法:
装置モデル:METTLER TOLEDO DSC1型示差走査熱量計
温度範囲:50~320℃
加熱速度:10K/分。
本願の熱重量分析(Thermal Gravimetric Analyzer、TGA)方法:
装置モデル:NETZSCH TG 209F3型熱重量分析装置
温度範囲:30~700℃
加熱速度:10K/分。
【0157】
実施例1:式(I)化合物
【化10】
【0158】
ステップA:5-フルオロピリジンギ酸エチル
【化11】
0℃下で、5-フルオロピリジンギ酸(5.00g)のエタノール(42mL)溶液にゆっくりとDMF(0.1mL)、塩化チオニル(5.6mL)をこの順に滴加し、終わったら引き続き攪拌15分間し、続いてゆっくりと加熱して還流させながら4時間反応させた。冷却し、減圧下で濃縮し、残留物を氷水に注ぎ、飽和炭酸水素ナトリウム溶液でpHを8~9に調整し、酢酸エチルで3回抽出した。抽出液を合わせて、水、そして飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮して溶媒を除去して生成物(5.50g)を得た。
【0159】
ステップB:5-(2,4-ジフルオロフェノキシ)ピリジンギ酸エチル
【化12】
室温下で、5-フルオロピリジンギ酸エチル(5.40g)のDMF(60mL)溶液に2,4-ジフルオロフェノール(4.15g)、炭酸カリウム(8.82g)をこの順に加え、終わったら100℃に加熱して一晩反応させた。冷却し、水(400mL)を加えて希釈し、酢酸エチルで3回抽出した。抽出液を合わせて、水、そして飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮して溶媒を除去して生成物(8.40g)を得た。
H NMR(400MHz,CDCl)δ 8.48(d,J=2.8Hz,1H),8.10(d,J=8.8Hz,1H),7.15~7.24(m,2H),6.92~7.04(m,2H),4.46(q,J=7.2Hz,2H),1.44(t,J=7.2Hz,3H)。
【0160】
ステップC:5-(2,4-ジフルオロフェノキシ)-2-(エトキシカルボニル)ピリジン1-オキシド
【化13】
室温下で、5-(2,4-ジフルオロフェノキシ)ピリジンギ酸エチル(1.00g)のジクロロメタン(30mL)溶液に85%メタクロロ過安息香酸(1.45g)を加え、終わったら室温下で一晩反応させた。反応終了後、飽和炭酸水素ナトリウム溶液(40mL)を加えて、15分間攪拌し、ジクロロメタンで3回抽出した。抽出液を合わせ、飽和チオ硫酸ナトリウム溶液、水、そして飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮して溶媒を除去して生成物(1.00g)を得た。
H NMR(400MHz,CDCl)δ 7.95(d,J=2.4Hz,1H),7.63(d,J=8.8Hz,1H),7.19(td,J=8.8Hz,5.6Hz,1H),6.93~7.04(m,2H),6.86(dd,J=8.8Hz,2.4Hz,1H),4.44(q,J=7.2Hz,2H),1.40(t,J=7.2Hz,3H)。
【0161】
ステップD:6-ブロモ-5-(2,4-ジフルオロフェノキシ)ピリジンギ酸エチル
【化14】
0℃下で、5-(2,4-ジフルオロフェノキシ)-2-(エトキシカルボニル)ピリジン1-オキシド(1.00g)のDMF(15mL)溶液に臭化テトラメチルアンモニウム(1.37g)、メタンスルホン酸無水物(1.24g)をこの順に加えた。終わったらゆっくりと室温に上げて3時間反応させた。反応終了後、氷水を含む炭酸水素ナトリウム溶液(40mL)を注ぎ、5分間攪拌し、酢酸エチルで3回抽出した。抽出液を合わせ、水、そして飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥して、減圧下で濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc:PE=1:5~1:1)で精製して生成物(0.80g)を得た。
H NMR(400MHz,CDCl)δ 7.99(d,J=8.0Hz,1H),7.20(td,J=8.8Hz,5.6Hz,1H),6.94~7.05(m,3H),4.46(q,J=7.2Hz,2H),1.42(t,J=7.2Hz,3H)。
【0162】
ステップE:6-ブロモ-5-(2,4-ジフルオロフェノキシ)ピリジンギ酸
【化15】
0℃下で、6-ブロモ-5-(2,4-ジフルオロフェノキシ)ピリジンギ酸エチル(0.60g)のテトラヒドロフラン(10mL)溶液に30%水酸化カリウム溶液(1.50mL)を加えた。終わったら室温に上げて2時間反応させた。反応終了後、減圧下で濃縮し、水を加えて、希塩酸でpHを4~5に調整し、5分間攪拌して、濾過し、固体を収集して生成物(0.50g)を得た。
【0163】
ステップF:[6-ブロモ-5-(2,4-ジフルオロフェノキシ)ピリジン-2-イル]tert-ブチルカルバメート
【化16】
室温下で、6-ブロモ-5-(2,4-ジフルオロフェノキシ)ピリジンギ酸(0.45g)のtert-ブタノール無水物(10mL)溶液にジフェニルホスホリルアジド(0.75g)、トリエチルアミン(0.80mL)、二炭酸ジ-tert-ブチル(1.19g)をこの順に加えた。終わったら温度を90℃に上げて4時間反応させた。反応終了後、減圧下で濃縮して、氷水を含む飽和炭酸水素ナトリウム溶液(20mL)を注ぎ、酢酸エチルで3回抽出した。抽出液を合わせ、水、そして飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥して、減圧下で濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc:PE=1:10~1:3)で精製して生成物(0.31g)を得た。
H NMR(400MHz,CDCl)δ 7.84(d,J=8.8Hz,1H),7.21(s,1H),7.15(d,J=8.8Hz,1H),6.92-6.99(m,2H),6.81~6.87(m,1H),1.51(s,9H)。
【0164】
ステップG:6-ブロモ-5-(2,4-ジフルオロフェノキシ)ピリジン-2-アミン
【化17】
0℃下で、[6-ブロモ-5-(2,4-ジフルオロフェノキシ)ピリジン-2-イル]tert-ブチルカルバメート(0.31g)のジオキサン(10mL)溶液に濃塩酸(5mL)を滴加し、終わったら室温に上げて24時間反応させた。反応終了後、減圧下で濃縮して、氷水を含む飽和炭酸水素ナトリウム溶液(20mL)を注ぎ、酢酸エチルで3回抽出した。抽出液を合わせて、水、そして飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮して生成物(0.22g)を得た。
H NMR(400MHz,CDCl)δ 7.09(d,J=8.4Hz,1H),6.91~6.97(m,1H),6.75~6.86(m,2H),6.42(d,J=8.4Hz,1H),4.52(br s,2H)。
【0165】
ステップH:2-ブロモ-3-(2,4-ジフルオロフェノキシ)-6-ヨードピリジン
【化18】
室温下で、6-ブロモ-5-(2,4-ジフルオロフェノキシ)ピリジン-2-アミン(0.32g)のジヨードメタン(4mL)溶液にヨウ素(0.27g)、ヨウ化第一銅(0.20g)をこの順に加え、80℃に加熱し、亜硝酸イソアミル(0.34g)を滴加し、終わったら引き続き2時間反応させた。反応終了後、冷却して、氷水を含む炭酸水素ナトリウム溶液(20mL)を注ぎ、ジクロロメタンで3回抽出した。抽出液を合わせて、水、そして飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮して、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(DCM:PE=1:10~1:3)で精製して生成物(0.20g)を得た。
H NMR(400MHz,CDCl)δ 7.55(d,J=8.4Hz,1H),7.11(td,J=8.8Hz,5.6Hz,1H),6.97~7.02(m,1H),6.89~6.94(m,1H),6.67(dd,J=8.4Hz,0.8Hz,1H)。
【0166】
ステップI:((6-ブロモ-5-(2,4-ジフルオロフェノキシ)ピリジン-2-イル)イミノ)ジメチル-λ-スルホニルイミン
【化19】
保護下で、無水ジオキサン(4mL)に2-ブロモ-3-(2,4-ジフルオロフェノキシ)-6-ヨードピリジン(0.09g)、ジメチルスルホキシミン(25mg)、炭酸セシウム(0.14g)、Xantphos(10mg)、Pd(dba)(8mg)をこの順に加え、続いて100℃に加熱して3時間攪拌した。反応混合物を室温に冷却して、水を加え、酢酸エチルで抽出した。抽出液を水、そして飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥して、減圧下で濃縮した。残留物を分取用薄層プレート(EtOAc:PE=1:1)で分離して生成物を得た。
H NMR(400MHz,CDCl)δ 7.10(d,J=8.4Hz,1H),6.92~6.97(m,1H),6.87(td,J=8.8Hz,5.6Hz,1H),6.77~6.82(m,1H),6.69(d,J=8.4Hz,1H),3.37(s,6H)。
【0167】
ステップJ:4-ブロモ-6-メチル-7-オキソ-6,7-ジヒドロ-1H-ピロロ[2,3-c]ピリジン-1-ギ酸tert-ブチル
【化20】
4-ブロモ-6-メチル-1,6-ジヒドロ-7H-ピロロ[2,3-c]ピリジン-7-オン(1.73g)のアセトニトリル(20mL)溶液に(Boc)O(2.47g)、DMAP(1.44g)をこの順に加え室温下で一晩攪拌した。反応液を濃縮し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:石油エーテル=1:20)で精製して生成物(2.10g)を得た。
H NMR(400MHz,CDCl)δ 7.55(d,J=3.6Hz,1H),7.21(s,1H),6.35(d,J=3.6Hz,1H),3.55(s,3H),1.62(s,9H)。
【0168】
ステップK:6-メチル-7-オキソ-4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-6,7-ジヒドロ-1H-ピロロ[2,3-c]ピリジン-1-ギ酸tert-ブチル
【化21】
保護下で、1,4-ジオキサン(20mL)と水(2mL)の混合溶媒に4-ブロモ-6-メチル-7-オキソ-6,7-ジヒドロ-1H-ピロロ[2,3-c]ピリジン-1-ギ酸tert-ブチル(0.53g)、ビス(ピナコラト)ジボロン(0.66g)、Xphos(31mg)、酢酸カリウム(0.28g)、Pd(dba)(30mg)をこの順に加え、80℃に加熱して一晩攪拌し、室温に冷却し、反応液を酢酸エチルに分散させ、飽和NaHCO水溶液、そして水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、溶媒を蒸発させて除去し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc:PE=1:3~1:1)で精製して生成物を得た。
H NMR(400MHz,CDCl)δ 7.60(s,1H),7.55(d,J=3.6Hz,1H),6.79(d,J=3.6Hz,1H),3.62(s,3H),1.65(s,9H),1.341.65(s,12H)。
【0169】
ステップL:4-{3-(2,4-ジフルオロフェノキシ)-6-{[ジメチル(オキソ)-λ-チオ]アミノ}-ピリジン-2-イル}-6-メチル-7-オキソ-6,7-ジヒドロ-1H-ピロロ[2,3-c]ピリジン-1-ギ酸tert-ブチル
【化22】
窒素保護下で、80%ジオキサン水溶液(3mL)に((6-ブロモ-5-(2,4-ジフルオロフェノキシ)ピリジン-2-イル)イミノ)ジメチル-λ-スルホニルイミン(59mg)、6-メチル-7-オキソ-4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-6,7-ジヒドロ-1H-ピロロ[2,3-c]ピリジン-1-ギ酸tert-ブチル(65mg)、フッ化セシウム(83mg)、PdCl(AtaPhos)(9mg)をこの順に加え、続いて85℃に加熱して一晩攪拌した。室温に冷却して、水を加え、酢酸エチルで抽出して、抽出液を水、そして飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥して、減圧下で濃縮した。残留物を分取用薄層プレート(MeOH:DCM=1:20)で分離して生成物(58mg)を得た。
H NMR(400MHz,CDCl)δ 7.82(s,1H),7.58~7.59(m,1H),7.23(d,J=8.4Hz,1H),7.15~7.17(m,1H),6.85~6.92(m,1H),6.65~6.75(m,3H),3.63(s,3H),3.33(s,6H),1.65(s,9H)。
【0170】
ステップM:4-{3-(2,4-ジフルオロフェノキシ)-6-{[ジメチル(オキソ)-λ-チオ]アミノ}-ピリジン-2-イル}-6-メチル-1,6-ジヒドロ-7H-ピロロ[2,3-c]ピリジン-7-オン
【化23】
室温下で、4-{3-(2,4-ジフルオロフェノキシ)-6-{[ジメチル(オキソ)-λ-チオ]アミノ}-ピリジン-2-イル}-6-メチル-7-オキソ-6,7-ジヒドロ-1H-ピロロ[2,3-c]ピリジン-1-ギ酸tert-ブチル(50mg)に4mol/Lの塩化水素のジオキサン溶液(1mL)を加え、終わったら室温に上げて2時間反応させた。反応終了後、減圧下で濃縮して、氷水を含む炭酸水素ナトリウム溶液(5mL)を注ぎ、酢酸エチルで3回抽出した。抽出液を合わせて、水、そして飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮して生成物(35mg)を得た。
H NMR(400MHz,CDCl)δ 12.01(br s,1H),9.56(br s,1H),7.72(s,1H),7.24(d,J=8.8Hz,1H),7.14(t,J=2.4Hz,1H),6.85~6.91(m,1H),6.64~6.76(m,3H),3.66(s,3H),3.35(s,6H)。
【0171】
実施例2:結晶形Iの製造方法
方法1:
1gの式(I)化合物に10mLのDMSOを加え、温度を80℃に上げて、攪拌して溶解させた。30mLの精製水に、氷浴下で攪拌しながら前記式(I)化合物のDMSO溶液を滴加し、10分間攪拌して、析出した固体を濾過し、ケーキを60℃下で減圧下2時間乾燥して、生成物を得、XRPDを測定して、結晶形Iであった。
【0172】
方法2:
1gの式(I)化合物に5mLのDMSOを加え、温度を100℃に上げて、攪拌して清澄化させ、自然に冷却して結晶化させ、濾過して、ケーキを60℃下で減圧下乾燥して、生成物を得、XRPDを測定して、結晶形Iであった。
【0173】
方法3:
1gの式(I)化合物に10mLのDMSOを加え、温度を80℃に上げて、攪拌して溶解させた。30mLの無水メタノールに、氷浴下で攪拌しながら前記式(I)化合物のDMSO溶液を滴加し、10分間攪拌して、析出した固体を濾過し、ケーキを60℃下で減圧下3.5時間乾燥して、生成物を得、XRPDを測定して、結晶形Iであった。XRPDパターンは図1に示すとおりである。
【0174】
方法4:
1.0gの式(I)化合物に400mLのDCM、100mLのメタノールを加え、室温下で攪拌して清澄化させ、30~35℃下で減圧下濃縮し、35℃下で減圧下乾燥して、生成物を得、XRPDを測定して、結晶形Iであった。DSC曲線は図2に示すとおりである。
【0175】
方法5:
10gの式(I)化合物の塩酸塩に200mLの精製水を加え、室温下で4時間攪拌して、濾過し、ケーキを収集して、50℃下で減圧下3.5時間乾燥して、生成物を得、XRPDを測定して、結晶形Iであった。
【0176】
方法6:
0.5gの式(I)化合物の塩酸塩に10mLの20%アセトニトリル/水溶液を加え、室温下で3時間攪拌して、濾過し、ケーキを収集して、50℃下で減圧下4時間乾燥して、生成物を得、XRPDを測定して、結晶形Iであった。
【0177】
方法7:
1gの式(I)化合物の塩酸塩に15mLのメタノールを加え、温度を60℃に上げて、攪拌して清澄化させ、30mLの水を加えて、室温に下げて30分間結晶化させ、濾過して、ケーキを60℃下で減圧下3時間乾燥して、生成物を得、XRPDを測定して、結晶形Iであった。
【0178】
方法5から方法7で使用する式(I)化合物の塩酸塩は結晶形Aであった。
【0179】
実施例3:塩酸塩の結晶形の製造方法
結晶形Aの製造方法は次のとおりである。100gの式(I)化合物に1300mLの無水メタノール、160mLの6mol/L塩酸を加え、攪拌して溶解させて、10gの活性炭を加え、10分間脱色させ、濾過して、濾液を収集した。濃縮して液体の重量が約380gになると、液体の温度を上げて清澄化させ、自然に冷却して結晶化させ、0℃下で結晶化させて、濾過し、ケーキを50℃下で減圧下4時間以上乾燥して、生成物を得、XRPDを測定して、結晶形Aであり、水分含有量は5.8%であった。XRPDパターン、DSC曲線、TGA曲線はそれぞれ図3図4図5に示すとおりである。生成物の塩酸含有量は7.7%であった。
【0180】
結晶形Bの製造方法は次のとおりである。結晶形Aを60±2℃下で30日間静置して、生成物を得、XRPDを測定して、結晶形Bであり、水分含有量は4.6%であった。XRPDパターンは図6に示すとおりである。
【0181】
結晶形Cの製造方法は次のとおりである。結晶形Aを室温下、相対湿度92.5±5%において30日間静置して、生成物を得、XRPDを測定して、結晶形Cであり、水分含有量は11.9%であった。XRPDパターンは図7に示すとおりである。
【0182】
実施例4:硫酸塩の結晶形の製造方法
12gの式(I)化合物に100mLのメタノールを加えて、均一に分散させ、2.2mLの3mol/L硫酸:メタノール溶液を加えて、室温下で3時間攪拌し、濾過して、ケーキを収集し、50℃下で減圧下4時間以上乾燥して、生成物を得、XRPDを測定して、結晶形Dであった。XRPDパターン、DSC曲線、TGA曲線はそれぞれ図8図9図10に示すとおりである。生成物の硫酸含有量は18.3%であった。
【0183】
実施例5:リン酸塩の結晶形の製造方法
方法1:
0.4gの式(I)化合物に4mLのアセトニトリルを加え、室温下で0.22gの85%リン酸を加えて、70℃に加熱して30分間攪拌し、自然冷却で室温に戻ると、濾過して、ケーキを50℃下で減圧下4時間乾燥して、生成物を得、XRPDを測定して、結晶形Eであった。
【0184】
方法2:
3.5gの式(I)化合物に35mLのアセトニトリルを加え、温度を70℃に上げて、4.5gの85%リン酸を加え、保温して2時間攪拌し、室温に下げて、濾過した。ケーキを収集し、60℃下で減圧下6時間乾燥して、生成物を得、XRPDを測定して、結晶形Eであった。XRPDパターン、DSC曲線、TGA曲線はそれぞれ図11図12図13に示すとおりである。
【0185】
実施例6:メシル酸塩の結晶形の製造方法
3.5gの式(I)化合物に17.5gのアセトニトリルを加え、温度を70℃に上げて、1.89gのメタンスルホン酸を加えて、保温して30分間攪拌し、ゆっくりと室温に冷却して、氷浴下で2時間攪拌し、濾過して、ケーキを収集し、60℃下で減圧下6.5時間乾燥して、生成物を得、XRPDを測定して、結晶形Fであった。XRPDパターン、DSC曲線、TGA曲線はそれぞれ図14図15図16に示すとおりである。生成物のメタンスルホン酸含有量は17.9%であった。
【0186】
実験例1:影響因子下の安定性に関する研究
本願の結晶形の固体の安定性を評価するために、結晶形I、結晶形A、結晶形D、結晶形E、結晶形Fに対しそれぞれ影響因子(高温、高湿度、光)下の安定性を検討した。前記結晶形をそれぞれ高温(60℃±2℃、開放(秤量瓶))、高湿度(室温、92.5%RH±5%、開放(秤量瓶)、パッケージ付き)下で5日間、10日間、30日間静置し、ICH光照射条件下(5500Lux、0.9W/m、閉鎖(秤量瓶)、パッケージ付き)で5日間、10日間静置した。パッケージを付けたサンプルの内側包装材は医薬用低密度ポリエチレンバッグで、外側包装材はポリエステル:アルミニウム:ポリエチレン医薬用複合バッグであった。静置後のサンプルに対し性状、純度(HPLC)、結晶形(XRD)、水分を確定することにより、結晶形及び純度の変化を検出した。結果を表8~表12に示す(「」とはICH条件を表す)。
【表8】
【表9】
【表10】
【表11】
【表12】
【0187】
実験結論:本願の結晶形は安定性が高く、薬物になりやすい。
【0188】
実験例2:結晶形Iの安定性に関する研究
1.影響因子下の安定性に関する研究
本願の結晶形Iの固体の安定性を評価するために、影響因子(高温、高湿度、光)下の安定性を検討した。結晶形Iをそれぞれ高温(40℃、開放(秤量瓶))、高温(60℃、開放(秤量瓶))、高湿度(室温、75%RH、開放(秤量瓶))、高湿度(室温、92.5%RH、開放(秤量瓶)、パッケージ付き)下で5日間、10日間、30日間静置し、ICH光照射条件(5500Lux、0.9W/m、開放(秤量瓶)、パッケージ付き)で5日間、10日間静置した。パッケージを付けたサンプルの内側包装材は2層の医薬用低密度ポリエチレンバッグで、外側包装材はポリエステル:アルミニウム:ポリエチレン医薬パッケージ用複合バッグであった。静置後のサンプルに対し性状、対象物質(HPLC)、結晶形(XRD)、水分、含有量を測定することにより、高温、高湿度、光条件の本品に対する影響を検討した。結果を表13に示す(「」とはICH条件を表す)。
【表13】
【0189】
2.加速下安定性及び長期安定性に関する研究
本願の結晶形Iに対し加速下及び長期下の安定性を検討し、加速(40±2℃、75%RH±5%、パッケージ付き)条件下で1、2、3、6か月静置し、長期(25±2℃、65%RH±5%、パッケージ付き)条件下で3、6、9、12、18、24、36か月静置した。パッケージを付けたサンプルの内側包装材は2層の医薬用低密度ポリエチレンバッグで、外側包装材はポリエステル:アルミニウム:ポリエチレン医薬パッケージ用複合バッグであった。静置後のサンプルに対し性状、対象物質(HPLC)、結晶形(XRD)、水分、含有量を測定することにより、本品の安定性を検討した。
【表14】
【0190】
実験結論:本願の結晶形Iは安定性が高く、薬物になりやすい。
【0191】
実験例3:生物学的活性試験
1.インビトロ酵素BRD4(BD2)活性測定
本願では、ホモジニアス時間分解蛍光法(HTRF)でBRD4(BD2)酵素結合反応に対する式(I)化合物の阻害を表すIC50値を測定した。式(I)化合物を1mMから100%DMSOで5倍勾配希釈し(合計で7つの濃度)、各濃度は2μLの式(I)化合物を18μLの反応緩衝液(pH7.5で20mM HEPES、150mM NaCl、5mM DTT、0.005%ポリソルベート20、100μg/mL BSA)に加えて希釈し、均一に混合した後に各濃度は2μLの式(I)化合物を48μLの前記反応緩衝液に加えて再度希釈して均一に混合した(式(I)化合物中のDMSOの最終濃度は0.1%)。2.5μLを取り分けて384ウェルプレート(OptiPlate-384、パーキンエルマー(PerkinElmer)社より購入)に加え、その後、5μLのGST-BRD4(BD2、349~460aa)(最終濃度2nM)を加え、遠心分離して均一に混合し、さらに2.5μLのビオチン(Biotin)-AHA-SGRGK(Ac)GGK(Ac)GLGK(Ac)GGAK(Ac)RHRKVペプチド(最終濃度200nM)を加えて反応を開始させた(総反応体積10μL)。384ウェルプレートをインキュベーターに入れて23℃下で1時間反応させ、その後、5μLのEu3+クリプテート標識抗GST抗体(cryptate-labled anti-GST antibody)(シスバイオ(Cisbio)社より購入)、5μLのストレプトアビジン-XL-665(Streptavidin-XL-665)(シスバイオ(Cisbio)社より購入)を加えて反応を停止させた。インキュベーターにおいて再び1時間インキュベートした後、Envision(パーキンエルマー(PerkinElmer)社より購入)において蛍光値を読み取った(320nmで励起し、665nm及び620nmの発光を検出し、両者の比は酵素結合信号であった)。7つの濃度においてそれぞれ式(I)化合物とBRD4(BD2)タンパク質の結合強度を測定し、GraphPad Prismを用いてデータから式(I)化合物のIC50値を算出した。
【0192】
2.インビトロ酵素BRD4(BD1)活性測定
本願では、ホモジニアス時間分解蛍光法(HTRF)法でBRD4(BD1)酵素結合反応に対する式(I)化合物の阻害を表すIC50値を測定した。式(I)化合物を0.2mMから100%DMSOで5倍勾配希釈し(合計で7つの濃度)、各濃度は2μLの式(I)化合物を48μLの反応緩衝液(pH7.5で20mM HEPES、150mM NaCl、5mM DTT、0.005%ポリソルベート20、100μg/mL BSA)に加えて希釈し、均一に混合した。2.5μLを取り分けて384ウェルプレート(OptiPlate-384、パーキンエルマー(PerkinElmer)社より購入)に加え、その後、5μLのGST-BRD4(BD1、44~168aa)(最終濃度1nM)を加え、遠心分離して均一に混合し、さらに2.5μLのビオチン(Biotin)-AHA-SGRGK(Ac)GGK(Ac)GLGK(Ac)GGAK(Ac)RHRKV)短ペプチド(最終濃度100nM)を加えて反応を開始させた(総反応体積10μL)。384ウェルプレートをインキュベーターに入れて23℃下で1時間反応させ、その後、5μLのEu3+クリプテート標識抗GST抗体(cryptate-labled anti-GST antibody)(シスバイオ(Cisbio)社より購入)、5μLのストレプトアビジン-XL-665(Streptavidin-XL-665)(シスバイオ(Cisbio)社より購入)を加えて反応を停止させた。インキュベーターにおいて再び1時間インキュベートした後、Envision(パーキンエルマー(PerkinElmer)社より購入)において蛍光値を読み取った(320nmで励起し、665nm及び620nmの発光を検出し、両者の比は酵素結合信号であった)。7つの濃度においてそれぞれ式(I)化合物とBRD4(BD1)タンパク質の結合強度を測定し、GraphPad Prismを用いてデータから式(I)化合物のIC50値を算出した。
【0193】
前記測定の結果を表15に示す。
【表15】
【0194】
3.MV4-11細胞増殖活性の測定
PRIM1640培地、10%ウシ胎児血清(FBS、Biological Industries(BI)社より購入)と1%ペニシリン/ストレプトマイシン(P/S、ライフテクノロジーズ(Life Techonology)社より購入)でヒト急性リンパ性白血病細胞株MV4-11を培養し、培養条件は37℃、5%COであった。式(I)化合物の測定を行う前日に、MV4-11細胞を8000個の細胞/195μL/ウェルの濃度で96ウェルプレート(コーニング(Corning)社より購入)にプレーティングした。24時間後に式(I)化合物を10mMから100%DMSOで4倍勾配希釈し(合計で9つの濃度)、その後、各濃度は2μLの式(I)化合物を48μLのPRIM1640培地に加えて希釈した。希釈後の式(I)化合物の各濃度から5μL取り分けてプレーティングした細胞懸濁液に加え、式(I)化合物と細胞を細胞インキュベーターにおいて72時間(3日間)インキュベートした後に35μLのCell-Titer Blue(プロメガ(Promega)社より購入)試薬を加えてさらに4時間インキュベートした。その後、Flexstation IIIにおいて蛍光値を読み取り(560nmで励起し、590nmで検出した)、GraphPad Prismを用いてデータから細胞増殖に対する式(I)化合物の阻害を表すIC50値を算出した。
【0195】
4.Kasumi-1細胞増殖活性の測定
PRIM1640培地、20%ウシ胎児血清(FBS、Biological Industries(BI)社より購入)と1%ペニシリン/ストレプトマイシン(P/S、ライフテクノロジーズ(Life Techonology)社より購入)でヒト急性骨髄芽球性白血病細胞株Kasumi-1細胞を培養し、培養条件は37℃、5%COであった。式(I)化合物の測定を行う前日に、Kasumi-1細胞を5000個の細胞/195μL/ウェルの濃度で96ウェルプレート(コーニング(Corning)社より購入)にプレーティングした。24時間後に式(I)化合物を10mMから100%DMSOで4倍勾配希釈し(合計で9つの濃度)、その後、各濃度は2μLの式(I)化合物を48μLのPRIM1640培地に加えて希釈した。希釈後の式(I)化合物の各濃度から5μL取り分けてプレーティングした細胞懸濁液に加え、式(I)化合物と細胞を細胞インキュベーターにおいて72時間(3日間)インキュベートした後に35μLのCell-Titer Blue(プロメガ(Promega)社より購入)試薬を加えてさらに4時間インキュベートした。その後、Flexstation IIIにおいて蛍光値を読み取り(560nmで励起し、590nmで検出した)、GraphPad Prismを用いてデータから細胞増殖に対する式(I)化合物の阻害を表すIC50値を算出した。前記測定の結果を表16に示す。
【表16】
【0196】
5.動物薬物動態研究
動物薬物動態実験では、北京維通利華実験動物技術有限公司が提供する健常な成体雄ラット3匹を用いた。式(I)化合物を2%無水エタノール、5%ポリソルベート80、20%ポリエチレングリコール400、73%(水中5%ヒドロキシプロピルメチルセルロース)(V:V:V:V)に懸濁させ、濃度は1mg/mLで、投与体積は5mL/kgであり、単回強制経口投与とし、用量は5mg/kgであった。実験前に動物を一晩絶食させ、絶食時間は投与前10時間から投与後4時間までとした。投与後0.25、0.5、1、2、4、6、8、24時間で採血した。イソフルランで動物を浅麻酔し、ガラス製採血管で眼窩静脈叢から約0.4mLの全血を採血し、ヘパリン抗凝固管に入れ、4℃下4200rpmでサンプルを5分間遠心分離し、血漿を遠心管に移し、分析に備えて-80℃で保存しておいた。血漿サンプルの分析はアセトニトリルタンパク質沈殿法でラット血漿から被験化合物及び内部標準物質(ワルファリン又はプロプラノロール)を抽出し、LC/MS/MS法で抽出液を分析した。測定した動物個体の血漿濃度-時間データをWinNonlin(バージョン5.2.1、Pharsight社)のノンコンパートメントモデルで解析し、薬物動態パラメータとして次の表17に示す最大(ピーク)血漿薬物濃度Cmax、最高血中濃度到達時間Tmax、半減期T1/2、無限時間までの血中濃度-時間曲線下面積AUC0~infを得た。
【表17】
【0197】
式(I)化合物は良好な活性と良好な薬物動態特性を有することが分かった。
【0198】
実験例4:粒度分布測定
結晶形Iをジェットミリングで粉砕した後、中国薬典2020版四部通則0982粒度及び粒度分布測定第3法(光散乱法)に従って粒度分布を測定し、詳しくは次のとおりである。10mgのサンプルを計量し、レーザ回折/散乱式の粒度分布測定装置において測定した(トリガー条件:10秒、1%、分散圧力:2.0bar)。測定結果を表18に示す。
【表18】
図1
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【国際調査報告】