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特表2023-510656心臓補助システムの排出開口部から流出する流体の流れをガイドするための静翼装置、静翼装置を備える心臓補助システム、静翼装置を動作させる方法、および製造方法
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  • 特表-心臓補助システムの排出開口部から流出する流体の流れをガイドするための静翼装置、静翼装置を備える心臓補助システム、静翼装置を動作させる方法、および製造方法 図1
  • 特表-心臓補助システムの排出開口部から流出する流体の流れをガイドするための静翼装置、静翼装置を備える心臓補助システム、静翼装置を動作させる方法、および製造方法 図2
  • 特表-心臓補助システムの排出開口部から流出する流体の流れをガイドするための静翼装置、静翼装置を備える心臓補助システム、静翼装置を動作させる方法、および製造方法 図3
  • 特表-心臓補助システムの排出開口部から流出する流体の流れをガイドするための静翼装置、静翼装置を備える心臓補助システム、静翼装置を動作させる方法、および製造方法 図4
  • 特表-心臓補助システムの排出開口部から流出する流体の流れをガイドするための静翼装置、静翼装置を備える心臓補助システム、静翼装置を動作させる方法、および製造方法 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-15
(54)【発明の名称】心臓補助システムの排出開口部から流出する流体の流れをガイドするための静翼装置、静翼装置を備える心臓補助システム、静翼装置を動作させる方法、および製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 60/812 20210101AFI20230308BHJP
   A61M 60/174 20210101ALI20230308BHJP
   A61M 60/216 20210101ALI20230308BHJP
   A61M 60/411 20210101ALI20230308BHJP
【FI】
A61M60/812
A61M60/174
A61M60/216
A61M60/411
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2020571386
(86)(22)【出願日】2019-06-21
(85)【翻訳文提出日】2021-02-12
(86)【国際出願番号】 EP2019066499
(87)【国際公開番号】W WO2019243588
(87)【国際公開日】2019-12-26
(31)【優先権主張番号】102018210058.6
(32)【優先日】2018-06-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520469457
【氏名又は名称】カルディオン ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】KARDION GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100165803
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100170900
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 渉
(72)【発明者】
【氏名】ストッツ, インゴ
(72)【発明者】
【氏名】ベット, ヨハネス
(72)【発明者】
【氏名】シュエルケ, アルミン
(72)【発明者】
【氏名】ミンゼンメイ, ダーヴィト
【テーマコード(参考)】
4C077
【Fターム(参考)】
4C077AA04
4C077DD10
4C077FF04
4C077KK01
(57)【要約】
本発明は、心臓補助システム(100)の排出開口部(110)から流出する流体の流れをガイドするための静翼装置(105)に関する。静翼装置(105)は、心臓補助システム(100)に接続され、排出開口部(110)の領域内に配置される、少なくとも一つの静翼(115)を有する。少なくとも一つの静翼(115)は、一緒に折り畳まれて心臓補助システム(100)の挿入状態を取り、開かれてフローガイド状態を取るように形成される。少なくとも一つの静翼(115)は、フローガイド状態で心臓補助システム(100)から放射状または斜めに突出するように設計される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
心臓補助システム(100)の排出開口部(110)から流出する流体の流れをガイドするための静翼装置(105)であって、
前記心臓補助システム(100)に接続され、前記排出開口部(110)の領域内に配置されることができ、一緒に折り畳まれて前記心臓補助システム(100)の挿入状態を取ることができ、開かれて前記フローガイド状態を取ることができるように形成される、少なくとも一つの静翼(115)を有し、
前記少なくとも一つの静翼(115)が、前記フローガイド状態で前記心臓補助システム(100)から放射状または斜めに突出するように設計される、静翼装置(105)。
【請求項2】
前記静翼装置(105)が、少なくとも部分的に形状記憶材料から形成される、請求項1に記載の静翼装置(105)。
【請求項3】
前記静翼装置(105)が、少なくとも部分的に生体適合性材料から形成される、請求項1または2に記載の静翼装置(105)。
【請求項4】
前記少なくとも一つの静翼(115)が、前記挿入状態で前記心臓補助システム(100)上に層状で当接するように形成される、請求項1~3のいずれか一項に記載の静翼装置(105)。
【請求項5】
前記少なくとも一つの静翼(115)が、前記挿入状態で前記排出開口部(110)に部分的に挿入され得るように形成される、請求項1~4のいずれか一項に記載の静翼装置(105)。
【請求項6】
前記心臓補助システム(100)に接続され、前記排出開口部(110)の前記領域内に配置されることができ、一緒に折り畳まれて前記心臓補助システム(100)の前記挿入状態を取り、開かれて前記フローガイド状態を取ることができるように形成される、少なくとも一つのさらなる静翼(115’)を備え、
前記少なくとも一つのさらなる静翼(115’)が、前記フローガイド状態で前記心臓補助システム(100)から放射状に突出するように設計される、請求項1~5のいずれか一項に記載の静翼装置(105)。
【請求項7】
前記静翼(115)に対して移動可能であり、前記静翼(115)を前記挿入状態で封入し、前記フローガイド状態への前記移行を開始するために、前記静翼(115)を解放するように形成されるスリーブを備える、請求項1~6のいずれか一項に記載の静翼装置(105)。
【請求項8】
前記静翼装置(105)が、前記心臓補助システム(100)のポンプハウジングセクション(135)に着脱可能に接続可能であるか、または接続される、請求項1~7のいずれか一項に記載の静翼装置(105)。
【請求項9】
前記心臓補助システム(100)が、長手方向に延在するポンプハウジングセクション(135)を有し、前記ポンプハウジングセクション(135)内に配置され、前記ポンプハウジングセクション(135)の前記長手方向に平行な回転軸(122)の周りで回転可能なインペラ(120)を有することを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の静翼装置(105)。
【請求項10】
前記排出開口部(110)が、前記ポンプハウジングセクション(135)内に形成されることを特徴とする、請求項9に記載の静翼装置(105)。
【請求項11】
前記少なくとも一つの静翼(115)が、前記フローガイド状態で、前記ポンプハウジング(135)の前記長手方向に対して、前記インペラ(120)の前記回転軸(122)に同軸な前記ポンプハウジングセクション(135)の横方向表面から、突出するように設計されることを特徴とする、請求項10に記載の静翼装置(105)。
【請求項12】
前記少なくとも一つの静翼(115)が、前記フローガイド状態で、前記ポンプハウジング(135)の前記横方向表面から、前記インペラ(120)の前記回転軸(122)に対する半径方向に対して平行な方向成分および垂直な方向成分を有する方向に突出するように設計されることを特徴とする、請求項11に記載の静翼装置。
【請求項13】
前記少なくとも一つの静翼(115)が、前記インペラ(120)の前記回転軸(122)に平行であることを特徴とする、請求項12に記載の静翼装置。
【請求項14】
前記少なくとも一つの静翼(115)が、前記インペラ(120)の前記回転軸(122)に対して斜めに延在することを特徴とする、請求項12に記載の静翼装置。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか一項に記載の静翼装置(105)を備える心臓補助システム(100)。
【請求項16】
前記静翼装置(105)が、前記心臓補助システム(100)のポンプハウジング(135)の一部として設計される、請求項15に記載の心臓補助システム(100)。
【請求項17】
カテーテルによって血管内に簡単に位置付けられる丸みのある先細りの端部を有する円筒形の細長い構造によって特徴付けられる、請求項15または16に記載の心臓補助システム(100)。
【請求項18】
長手方向に延在するポンプハウジングセクション(135)および前記ポンプハウジングセクション(135)内に配置され、前記ポンプハウジングセクション(135)の前記長手方向に平行な回転軸(122)の周りで回転可能なインペラ(120)によって特徴付けられる、請求項15~17のいずれか一項に記載の心臓補助システム(100)。
【請求項19】
前記インペラ(120)の回転によって運ばれる流体のための、前記ポンプハウジングセクション(110)内に形成された排出開口部(110)によって特徴付けられる、請求項18に記載の心臓補助システム(100)。
【請求項20】
前記少なくとも一つの静翼(115)が、前記ポンプハウジングセクション(110)の前記排出開口部(110)の前記領域内に配置される、請求項19に記載の心臓補助システム(100)。
【請求項21】
前記少なくとも一つの静翼(115)が、前記フローガイド状態で、前記ポンプハウジングセクション(135)の横方向表面から突出する、請求項20に記載の心臓補助システム(100)。
【請求項22】
前記ポンプハウジングセクションの前記横方向表面が、前記インペラ(120)の前記回転軸に同軸であり、前記少なくとも一つの静翼(115)が、前記フローガイド状態で、前記ポンプハウジングセクションの前記横方向表面(135)から、前記インペラ(120)の前記回転軸に対して半径方向に対して平行な方向成分および垂直な方向成分を有する方向に突出する、請求項21に記載の心臓補助システム。
【請求項23】
前記少なくとも一つの静翼(115)が、前記インペラ(120)の前記回転軸に対して平行である、請求項22に記載の心臓補助システム。
【請求項24】
前記少なくとも一つの静翼(115)が、前記インペラ(120)の前記回転軸に対して斜めに延在する、請求項22に記載の心臓補助システム。
【請求項25】
前記少なくとも一つの静翼(115)が、折り畳まれた状態から前記フローガイド状態へと開かれ得る、請求項20~24のいずれか一項に記載の心臓補助システム(100)。
【請求項26】
前記挿入状態から前記フローガイド状態への前記移行中に、前記少なくとも一つの静翼(115)を開く工程(405)を有し、
前記少なくとも一つの静翼(115)を、前記フローガイド状態で前記心臓補助システム(100)から放射状または斜めに突出させる、請求項1~14のいずれか一項に記載の静翼装置(105)を動作させるための方法(400)。
【請求項27】
心臓補助システム(100)に接続し、心臓補助システム(100)の排出開口部(110)領域に配置することができ、一緒に折り畳んで前記心臓補助システム(100)の挿入状態を取ることができ、開いてフローガイド状態を取ることができる、少なくとも一つの静翼(115)を静翼装置(105)に提供する工程(505)を有し、
前記少なくとも一つの静翼(115)を、前記フローガイド状態で前記心臓補助システム(100)から放射状または斜めに突出するように設計し、前記静翼装置(105)を、前記心臓補助システム(100)のポンプハウジングの一部として特に設計する、請求項1~11のいずれか一項に記載の静翼装置(105)を製造するための製造方法(500)。
【請求項28】
請求項26に記載の方法(400)および/または請求項27に記載の製造方法(500)を実行および/または制御するように構成される、コンピュータプログラム。
【請求項29】
請求項28に記載のコンピュータプログラムが格納される、機械可読記憶媒体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、心臓補助システムの排出開口部から流出する流体の流れをガイドするための静翼装置に関する。本発明はまた、静翼装置を備える心臓補助システム、静翼装置を動作させる方法、および静翼装置を製造する製造方法に関する。本発明はさらに、コンピュータプログラム、およびコンピュータプログラムが記憶される機械可読記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
心不全を有する患者の心血管補助のために、心臓のポンプ機能の一部またはすべてを引き継ぐ、いわゆる心室補助装置(VAD)が使用され得る。これらのシステムは、例えば、適切なドナー心臓が利用可能となり移植され得るまでのつなぎなどの短期間の心臓補助のための一時的なシステム、および患者上または患者内での長期的な保持のための永久システムに細分化され得る。このようなシステムの一つの構成要素は、血流を送り出すためのポンプ、典型的には、内蔵された電気モータによって駆動され得、インペラによって必要な血流を産生し得る遠心ポンプ(ターボポンプ)であり得る。この場合、ポンプは、異なる位置に移植され得る:ポンプは、例えば、侵襲性外科手術によって外側から心臓に縫合され得るか、またはポンプはカテーテルによって低侵襲的様式で、経大腿的または経大動脈的に大動脈内に、および心室内に完全もしくは部分的に配置され得る。低侵襲的様式で導入され得るポンプの場合、ポンプの可能な最大外径は、ポンプの経大腿または経大動脈挿入を可能にするために制限され得、それがポンプが軸設計を有し得る理由である。ポンプは、心室からの血流を大動脈内に送り出し、そこに送達し得る。これにより、総圧力損失、ひいては大動脈に対するポンプの断面ジャンプによるポンプ効率の低下につながる可能性がある。さらに、速度成分は、円周方向のインペラ、すなわち、角運動量または渦成分などによって血流に適用し得、この渦成分に含まれるエネルギーは効果がなく、したがって圧力蓄積に使用し得ない。
【発明の概要】
【0003】
本発明の目的は、心臓補助システムが位置する流体の流れに影響を与えることである。特に、本発明の目的は、心臓補助システムが配置されている血管内の血液の流れに影響を与えることである。本発明の目的はまた、心臓補助システム内のポンプ効率を最適化することである。
【0004】
これらの目的は、心臓補助システムの排出開口部から流出する流体の流れをガイドするための、請求項1に記載の静翼装置、および請求項15に記載の静翼装置を備える心臓補助システムによって達成される。本発明の有利な実施形態およびさらなる展開は、従属請求項に明記されており、これはまた、静翼装置を動作させるための方法および静翼装置を製造するための製造方法に関する。独立特許請求項に規定された装置の有利な発展および改善は、従属請求項に列挙された手段によって可能である。
【0005】
本発明は、適切な静翼装置によって、心臓補助システムの排出開口部から流出する流体の流れ挙動を変えることが可能であるという知識に基づく。静翼装置によって、心臓補助システムのポンプのインペラによって適用される流体の流れにおける角運動量を有利に低減させ得る。さらに、角運動量は、部分的に圧力エネルギーに変換され得、これにより有利にはポンプ効率を向上させ得る。
【0006】
心臓補助システムの排出開口部から流出する流体の流れをガイドするための静翼装置が提示される。静翼装置は、少なくとも一つの静翼を有する。少なくとも一つの静翼は心臓補助システムに接続され、排出開口部の領域内に配置され得る。さらに、少なくとも一つの静翼は、折り畳まれて心臓補助システムの挿入状態をとり、開かれてフローガイド状態をとることができるように形成される。少なくとも一つの静翼は、フローガイド状態で心臓補助システムから放射状または斜めに突出するように設計される。
【0007】
静翼装置は、例えば、静翼装置を心臓補助システムに固定するための固定装置を有し得、または静翼装置は、例えば、心臓補助システムのポンプハウジングセクションの一部として形成され得る。少なくとも一つの静翼は、例えば、ブレード形状のガイド表面を有し得る。「流れをガイドする」という用語は、例えば、流体を表面に沿って、例えば、少なくとも一つの静翼の形態で操舵することによって、流れ挙動を調整することを意味すると理解され得る。心臓補助システムは、例えば、右心室補助システム、左心室補助システム、両室補助システム、または血管もしくは弁プロテーゼなどの心臓ポンプであり得る。低侵襲的な経大腿または経大動脈挿入のために、心臓補助システムは、例えば、5~8ミリメートルの外径を有する細長い円筒形状を有し得る。排出開口部は、例えば、心臓補助システムの血液ポンプのインペラの領域に配置され得る。排出開口部は、例えば、心臓補助システムのポンプハウジングのセクションに配置され、当該セクションから切開またはパンチアウトされ得る。流体は、例えば、心臓補助システムによって送り出され得る血液であり得る。心臓補助システムの挿入状態は、例えば、心臓補助システムを血管への挿入のために移動させることができる状態を表し得、この目的のために、心臓補助システムは、例えば、ヒト大動脈の直径よりも小さい外径を有する円筒形状を有し得る。挿入状態では、静翼装置は、例えば、心臓補助システムの長手方向軸の軸方向に折り畳まれ得る。少なくとも一つの静翼を開くことによって、静翼装置は、例えば、心臓補助システムが目的の場所に移植され、動作準備完了時に、挿入状態からフローガイド状態へと移動し得る。この目的のために、静翼は、例えば、フローガイド状態で心臓補助システムから放射状または斜めに突出するように開かれ得る。フローガイド状態では、静翼はまた、例えば、半径に対して特定の空間的可変角度で、斜めに突出するように開かれ得る。この場合、静翼の傾斜角は、半径方向および接線方向成分を有し得る。
【0008】
一実施形態によれば、静翼装置は、少なくとも部分的に形状記憶材料から形成され得る。この目的のために、少なくとも一つの静翼は、例えば、形状記憶材料から作製されてもよく、または静翼は、形状記憶材料から形成され、シリコーンまたはポリウレタンなどの別の材料で劣化した支持構造を有してもよい。形状記憶材料は、ニチノールなどの形状記憶ポリマーまたは形状記憶合金であり得る。さらに、静翼装置全体が例えばニチノールなどの形状記憶合金から作製されることも可能である。その形状記憶特性のため、ニチノールなどの形状記憶材料の使用によって、挿入状態とフローガイド状態への移行の間の展開の特に単純な実現が可能となる。形状記憶材料としてニチノールを使用することは、ニチノール材料が、医療、具体的には心臓弁人工装具、ステント、血管人工装具などの心血管医療分野で実績のある材料であり、その形状記憶特性により、一層複雑な構造物を、狭い設置スペース内で目的の場所に送達し、そこにそれらを配置することが可能であるという点で有利である。
【0009】
一実施形態による静翼装置は、さらに、少なくとも部分的に生体適合性材料から形成され得る。生体適合性材料は、ヒトまたは動物の組織の成分が、この生体適合性材料と接触したときに、変化しない、特に劣化しないままである材料とし得る。例えば、生体適合性材料は、ニチノールまたは生体適合性シリコーンまたはポリウレタンとし得る。生体適合性材料からの静翼装置の少なくとも一部分の形成は、例えば、心臓補助システムに関連して人体に移植され得る装置としての静翼装置の使用に関して有利である。
【0010】
一実施形態によれば、少なくとも一つの静翼は、挿入状態で心臓補助システムに層状に当接するように形成され得る。この目的のために、静翼は、例えば、挿入状態で心臓補助システムの方向に折り畳まれ得る。挿入状態では、静翼は、例えば、ポンプハウジングセクション上に当接し得る。これによりコンパクト設計が可能となり、例えば、カテーテルなどの挿入装置内に心臓補助システムを備えた静翼装置を導入し得るために、静翼装置または静翼装置に接続された心臓補助システムの低侵襲的挿入を可能とするために、有利である。
【0011】
さらに、少なくとも一つの静翼は、挿入状態で排出開口部に部分的に挿入可能であるように形成され得る。この目的のために、静翼は、例えば、少なくとも部分的に排出開口部に対応するように形成され得る。静翼装置は、例えば、心臓補助システムのハウジングセクションの一部として形成される場合、ハウジングセクションはまた、管から切り出されることができ、排出開口部を形成するための少なくとも一つの静翼の形状も管内に切り込むことができ、静翼をハウジングセクションから折り畳み、排出開口部を開くことができる。この実施形態は、有利なことに、コンパクト設計を可能にし、低侵襲的導入に好適な設計に関して特に有利である。
【0012】
一実施形態によれば、静翼装置はまた、少なくとも一つのさらなる静翼を有し得、これは心臓補助システムに接続され、排出開口部の領域内に配置され得る。少なくとも一つのさらなる静翼は、一緒に折り畳まれて心臓補助システムの挿入状態を取り、開かれてフローガイド状態を取るように形成され得る。少なくとも一つのさらなる静翼は、フローガイド状態で心臓補助システムから放射状または斜めに突出するように設計され得る。少なくとも一つのさらなる静翼は、例えば、静翼の反対側に配置され得る。静翼装置はまた、複数の静翼を有し得、これは心臓補助システムの周囲に等距離に配置され得る。静翼および排出開口部の形状に応じて、少なくとも一つのさらなる静翼の設計は、流出流体の流れをガイドすることに関して有利であり得、その結果、心臓補助システムのポンプ効率を向上させ得る。
【0013】
一実施形態によれば、静翼装置はまた、静翼に対して移動可能であり、静翼を挿入状態で封入し、フローガイド状態への移行を開始するために、静翼を解放するように形成されるスリーブを有し得る。スリーブは、挿入状態を維持するための取付装置、例えば、挿入状態で静翼を封入し、それによってそれを心臓補助システムに押し付ける管であり得る。スリーブは、例えば、円筒形状に形成され、スリーブを有する静翼装置が挿入状態で市販のカテーテルに挿入され得るように設計され得る。スリーブは、例えば、静翼を折り畳まれた状態で保持し、それによって、静翼装置が例えば、形状記憶材料から完全にまたは部分的に作製されている場合でも、さらに挿入状態で安定させるために使用され得る。
【0014】
一実施形態によれば、静翼装置は、心臓補助システムのポンプハウジングセクションへ着脱可能に接続可能であるか、または接続され得る。この目的のために、静翼装置は、例えば、静翼装置または少なくとも一つの静翼を、心臓補助システムのポンプハウジングセクションに、形状嵌合様式で接続するための固定装置または接続装置を有してもよく、固定装置または接続装置は、機械的にまたは形状記憶材料からの形成の結果として、分離され得る。この実施形態は、例えば、ポンプハウジングから独立して静翼装置を置き換えることができるか、またはポンプハウジングセクションに対する静翼の位置を変更することができるため、コスト節約になる。
【0015】
前述の静翼装置の実施形態による心臓補助システムも提示される。特に、静翼装置は、心臓補助システムのポンプハウジングの一部として設計され得、これは設計に関して有利である。
【0016】
このアプローチでは、前述の静翼装置の実施形態を動作させる方法もまた提示される。方法は、挿入状態からフローガイド状態への移行中に少なくとも一つの静翼を開く工程を有し、少なくとも一つの静翼は、フローガイド状態で心臓補助システムから放射状または斜めに突出する。
【0017】
前述の静翼装置の実施形態を製造するための製造方法は、少なくとも一つの静翼を静翼装置に提供する工程を含む。少なくとも一つの静翼は心臓補助システムに接続され、心臓補助システムの排出開口部の領域内に配置され得る。少なくとも一つの静翼は、一緒に折り畳まれて心臓補助システムの挿入状態を取り、開かれてフローガイド状態を取るように形成される。少なくとも一つの静翼は、フローガイド状態で心臓補助システムから放射状または斜めに突出することができ、静翼装置は、心臓補助システムのポンプハウジングの一部として特に設計される。
【0018】
この方法は、例えば、ソフトウェアもしくはハードウェア、または例えば、制御装置中のソフトウェアとハードウェアの混合形態で実装することができる。
【0019】
半導体メモリ、ハードドライブメモリ、または光メモリなどの機械可読キャリアまたは記憶媒体に記憶することができるプログラムコードを有するコンピュータプログラム製品またはコンピュータプログラムは、上記の実施形態の一つによる方法の工程を実行、実施、および/または制御するために使用され、特に、プログラム製品またはプログラムがコンピューターまたは装置上で実行される場合有利である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
本明細書に提示されるアプローチの例示的な実施形態は、図面に示されており、以下の説明でより詳細に説明される。図面は以下を示す。
【0021】
図1図1は、例示的一実施形態による、心臓補助システムの排出開口部から流出する流体の流れをガイドするための静翼装置を備えた心臓補助システムの概略図である。
図2図2は、例示的一実施形態による、フローガイド状態にある心臓補助システムの排出開口部から流出する流体の流れをガイドするための静翼装置の概略図である。
図3図3は、例示的一実施形態による、挿入状態にある心臓補助システムの排出開口部から流出する流体の流れをガイドするための静翼装置の概略図である。
図4図4は、例示的一実施形態による静翼装置を動作させるための方法の流れ図である。
図5図5は、例示的一実施形態による静翼装置を製造するための製造方法の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の好ましい例示的実施形態の以下の説明では、様々な図に示され、同様の効果を有する構成要素について、同じまたは類似した参照符号が使用されるが、これらの要素についての反復した説明は省略する。
【0023】
図1は、例示的一実施形態による、心臓補助システム100の排出開口部110から流出する流体の流れをガイドするための静翼装置105を備えた心臓補助システム100の概略図を示す。心臓補助システム100の斜視図が示される。心臓補助システム100として、大動脈弁位置のための左心室心臓補助システムが例として示される。
【0024】
静翼装置105は、少なくとも一つの静翼115を有する。少なくとも一つの静翼115は、心臓補助システム100に接続され得る。さらに、少なくとも一つの静翼115は、心臓補助システム100の排出開口部110の領域に配置され得る。少なくとも一つの静翼115は、一緒に折り畳まれて心臓補助システム100の挿入状態を取り、開かれてフローガイド状態を取るように形成される。フローガイド状態では、少なくとも一つの静翼115は、心臓補助システム100から放射状または斜めに突出する。静翼装置105はフローガイド状態で例としてここに示され、従って、静翼115は開かれ、心臓補助システム100から放射状に突出する。ここで例として、開いた状態で互いに対向して配置された二つの静翼115を示す。あるいは、静翼115はまた、心臓補助システム100の半径に対して鋭角または鈍角で、心臓補助システム100から斜めに突出し得る。この場合、静翼115の傾斜角は、半径方向および接線方向成分を有し得る。ここに示す例示的実施形態によると、静翼115の平面は、心臓補助システム100の長手方向延長軸の方向に延在する。
【0025】
心臓補助システム100は、実質的に一定の外径と血管、例えば大動脈内でカテーテルによって容易に位置付けできるように丸みを帯びた先細りの端部とを備えた、円筒状の細長い構造を有する。ここに示す細長い軸設計は、心臓補助システム100の経大腿移植を可能にし、心臓補助システム100の外径は、移植部位の領域における大腿動脈の直径によって挿入状態で制限される。以下では、心臓補助システム100はまた、略してポンプ100とも称される。
【0026】
ポンプ100は、ポンプ100の長手方向軸に対して軸流インペラとして形成されるインペラ120を有する。インペラ120は、運ばれる流体を導入するための入口開口部を有する入口管125と、心臓補助システム100の駆動装置130を備えるセクションとの間で、心臓補助システム100のポンプハウジングセクション135内に配置される。インペラ120は、ポンプハウジングセクション135の長手方向に平行な回転軸122の周りを回転し得る。インペラ120は、排出開口部110を有するインペラ120の回転軸122に同軸に配置された横方向表面を有するポンプハウジングセクション135によって囲まれ、横方向表面は、排出開口部110によって中断される。心臓補助システム100によって運ばれる流体、例えば、血液は、入口管125の入口開口部を通して導入され、心臓補助システム100の移植状態で大動脈に戻るために、ポンプハウジングセクション135の周囲上に取り付けられた排出開口部110を通して排出され得る。ポンプハウジングセクション135は、例として、二つの窓様の排出開口部110を有する。
【0027】
例示的一実施形態によれば、静翼装置105は、少なくとも部分的に形状記憶材料から、追加的または代替的に、生体適合性材料から少なくとも部分的に形成される。加えて、一実施形態によれば、静翼装置105は、心臓補助システムのポンプハウジングセクション135に着脱可能に接続可能であるか、または接続され得る。
【0028】
例示的一実施形態によれば、心臓補助システム100は、例えば、ポンプハウジングセクション135の一部として、心臓補助システム100のポンプハウジングの一部として、静翼装置105を有する。
【0029】
低侵襲的挿入については、ポンプ100は、大動脈よりも著しく小さい外径を有し、以下の図2を参照して概略的に示されるように、血液は、心臓補助システム100の動作中、移植された状態で流出する。静翼装置105がない場合、大きく、急な断面ジャンプにより、永久的な総圧力損失をもたらし、したがってポンプ効率の低下をもたらす。さらに、速度成分は、インペラ120によって円周方向、すなわち渦成分で流体に適用される。この渦成分に含まれるエネルギーは効果がないため、失われる。ここで示される静翼装置105の例示的一実施形態によって、流れにおける前述の渦は、少なくとも一つの静翼115によって低減され、ポンプ100の効率を向上させるために少なくとも部分的に圧力エネルギーに変換される。
【0030】
少なくとも一つの静翼115は、フローガイド状態でポンプハウジングセクション135の横方向表面から突出する。フローガイド状態では、少なくとも一つの静翼115は、ポンプハウジングセクション135の横方向表面から、インペラ120の回転軸122に対する半径方向に対して平行な方向成分および垂直な方向成分を有する方向に突出し得る。少なくとも一つの静翼115は、インペラ120の回転軸122に平行であり得る。しかしながら、少なくとも一つの静翼115はまた、原則的に、インペラ120の回転軸122に対して斜めに延在し得る。
【0031】
静翼装置105のフローガイド状態で開いた静翼115によって達成される流れのガイドは、ポンプ100の効率の向上を可能にする。この場合、血液は、心室から入口管125を通ってアクティブなポンプ部分、特にインペラ120に供給される。インペラ120は、排出開口部110を有し、例として、ここでは円筒形である、ポンプハウジングセクション135によって外側で部分的に囲まれる。ここに示す例示的実施形態によれば、ポンプハウジングセクション135はまた、支柱とも称されるバー140を有する。少なくとも一つの静翼115は、排出開口部110またはバー140の領域に配置される。少なくとも一つの静翼115は、可撓性、折り畳み可能、および展開可能である。以下の図2および図3を参照して示されるように、静翼115は一緒に折り畳まれて挿入状態を取り、静翼115は開かれてフローガイド状態を取り得る。
【0032】
挿入状態およびフローガイド状態を取るために、静翼装置105および、追加的または代替的に、静翼装置105を備えたポンプハウジングセクション135全体が、例示的一実施形態によれば、少なくとも一つの静翼115を小さな直径に折り畳むために、生体適合性形状記憶合金であるニチノールから形成される。
【0033】
例示的一実施形態によれば、静翼装置105は、例えば、管によるものなどの追加の取付装置によって、この小さな直径で維持されるように、取付装置としてスリーブを備える。スリーブは静翼115に対して移動可能であり、静翼115を挿入状態で封入し、フローガイド状態への移行を開始するために、静翼115を解放するように形成される。静翼が、一例示的な実施形態によって、ニチノールから形成される場合、少なくとも一つの静翼115は、心臓補助システム100の移植後の体熱の影響および追加の取付装置の除去によって、所望の開かれた状態、すなわち、フローガイド状態に開かれる。随意に、静翼115全体は、この場合、ニチノールから形成されないが、ニチノールから作られ、シリコーンまたはポリウレタンなどの別の材料で充填された支持構造の形態のニチノールから部分的にのみ構成される。
【0034】
図2は、例示的一実施形態による、フローガイド状態にある心臓補助システム100の排出開口部から流出する流体の流れをガイドするための静翼装置105の概略図を示す。フローガイド状態に従って、静翼115は開いた状態で、心臓補助システム100から放射状に突出、すなわち、ポンプハウジングセクション135の長手方向に平行なインペラ120の回転軸122に対して、ポンプハウジングセクション135の横方向表面から放射状に突出して、示される。ここで示される心臓補助システム100およびここで示される静翼装置105は、上述の図1からの心臓補助システムおよび静翼装置に類似または対応する。例として、静翼装置105を備えた心臓補助システム100は、ここでは大動脈205内に配置される。
【0035】
ここに示す例示的実施形態によれば、静翼装置105は、心臓補助システム100に接続され、排出開口部の領域内に配置され、一緒に折り畳まれて心臓補助システム100の挿入状態を取り得、フローガイド状態を取り得るように開かれ得る、静翼115および少なくとも一つのさらなる静翼115’を備える。ここに示すフローガイド状態において、少なくとも一つのさらなる静翼115’は、静翼115と同様に、心臓補助システム100から放射状に突出、すなわち、インペラ120の回転軸122に同軸であるポンプハウジングセクション135の横方向表面から放射状に突出する。
【0036】
心臓補助システム100は、それがその中に配置され得る血管、すなわち大動脈205よりも著しく小さい外径を有する。これは、心臓補助システムの外径を示すマーキング210、および大動脈の直径を示すマーキング215によってここに示される。心臓補助システム100の排出開口部から血液が大動脈205に流出する時、永久的な総圧力損失、ひいてはポンプ効率の低下が、大きな、急な断面積ジャンプにより、静翼装置105なしで発生し、さらに円周方向の速度成分、すなわち渦成分が、インペラによって流体、血液に加えられる。この渦成分に含まれるエネルギーは効果がないため、失われる。静翼115および、随意に、ここで示されるフローガイド状態にあるさらなる静翼115’によって、記載される渦は低減し、圧力エネルギーに変換され、ポンプ効率が向上する。
【0037】
図3は、例示的一実施形態による、挿入状態にある心臓補助システム100の排出開口部から流出する流体の流れをガイドするための静翼装置105の概略図を示す。挿入状態は、前の図を参照して記載した静翼装置105および心臓補助システム100のさらなる状況として示される。
【0038】
挿入状態では、心臓補助システム100および静翼装置105は、マーキング210および215によって示されるように、大動脈205の直径よりも著しく小さい外径を有する。これは、心臓補助システム100および静翼装置105の低侵襲的挿入に有利である。
【0039】
随意に、少なくとも一つの静翼115は、さらなる静翼115’によって例としてここに示すように、挿入状態で層状で当接するように形成される。静翼115’は、心臓補助システム100のポンプハウジングに当接し、折り畳まれた状態の心臓補助システム100の外径210を著しく増大させない。ここで示される例示的実施形態によれば、少なくとも一つの静翼115は、例えば、静翼115によって例として示されるように、挿入状態で排出開口部内に部分的に挿入され得るように追加的に形成される。静翼115およびさらなる静翼115’の記載された形状は、折り畳まれた状態で心臓補助システム100のポンプハウジングに添えられる、または追加的にまたは代替的に、排出開口部に少なくとも部分的に置かれるため、低侵襲的移植を可能にするという利点を提供する。静翼115およびさらなる静翼115’は、心臓補助システム100のポンプハウジングの一部として随意に設計される。
【0040】
図4は、例示的一実施形態による静翼装置を動作させるための方法400の流れ図を示す。この方法400により、前述の静翼装置の例示的一実施形態が動作する。方法400は、少なくとも一つの開く工程405を有する。開く工程405では、少なくとも一つの静翼は、挿入状態からフローガイド状態への移行の間に開かれる。フローガイド状態では、少なくとも一つの静翼は、心臓補助システムから放射状または斜めに突出する。
【0041】
図5は、例示的一実施形態による静翼装置を製造するための製造方法500の流れ図を示す。この製造方法500により、前述の静翼装置の例示的一実施形態が製造される。方法500は、少なくとも一つの提供する工程505を有する。提供する工程505では、心臓補助システムに接続され、排出開口部の領域内に配置されることができ、一緒に折り畳まれて心臓補助システムの挿入状態を取ることができ、開かれてフローガイド状態を取ることができるように形成される、少なくとも一つの静翼を備えた静翼装置が提供され、少なくとも一つの静翼が、フローガイド状態で心臓補助システムから放射状または斜めに突出する。静翼装置は、心臓補助システムのポンプハウジングの一部として特に提供される。
【0042】
例示的な実施形態が、第一の特徴と第二の特徴との間に「および/または」の接続詞を含む場合、一実施形態による例示的な実施形態が、第一の特徴および第二の特徴の両方を有し、別の実施形態によれば、第一の特徴のみまたは第二の特徴のみのいずれかを有することを意味するとして理解されるべきである。
【0043】
要約すると、本発明の以下の特徴は特に注目すべきである。
本発明は、心臓補助システム100の排出開口部110から流出する流体の流れをガイドするための静翼装置105に関する。静翼装置105は、心臓補助システム100に接続され、排出開口部110の領域内に配置される、少なくとも一つの静翼115を有する。少なくとも一つの静翼115は、一緒に折り畳まれて心臓補助システム100の挿入状態を取り、開かれてフローガイド状態を取るように形成される。少なくとも一つの静翼115は、フローガイド状態で心臓補助システム100から放射状または斜めに突出するように設計される。
【0044】
特に、本発明は、以下の態様を有し得る。
【0045】
(態様1)
心臓補助システム(100)の排出開口部(110)から流出する流体の流れをガイドするための静翼装置(105)であって、
心臓補助システム(100)に接続され、排出開口部(110)の領域内に配置されることができ、一緒に折り畳まれて心臓補助システム(100)の挿入状態を取ることができ、開かれてフローガイド状態を取ることができるように形成される、少なくとも一つの静翼(115)を有し、少なくとも一つの静翼(115)が、フローガイド状態で心臓補助システム(100)から放射状または斜めに突出するように設計される、静翼装置(105)である。
【0046】
(態様2)
静翼装置(105)が、形状記憶材料から少なくとも部分的に形成される、態様1に記載の静翼装置(105)である。
【0047】
(態様3)
静翼装置(105)が、生体適合性材料から少なくとも部分的に形成される、態様1または2に記載の静翼装置(105)である。
【0048】
(態様4)
少なくとも一つの静翼(115)が、挿入状態で心臓補助システム(100)上に層状で当接するように形成される、態様1~3のいずれか一つに記載の静翼装置(105)である。
【0049】
(態様5)
少なくとも一つの静翼(115)が、挿入状態で排出開口部(110)に部分的に挿入され得るように形成される、態様1~4のいずれか一つに記載の静翼装置(105)である。
【0050】
(態様6)
心臓補助システム(100)に接続され、排出開口部(110)の領域内に配置されることができ、一緒に折り畳まれて心臓補助システム(100)の挿入状態を取り、開かれてフローガイド状態を取ることができるように形成される、少なくとも一つのさらなる静翼(115’)を備え、少なくとも一つのさらなる静翼(115’)が、フローガイド状態で心臓補助システム(100)から放射状に突出するように設計される、態様1~5のいずれか一つに記載の静翼装置(105)である。
【0051】
(態様7)
静翼(115)に対して移動可能であり、静翼(115)を挿入状態で封入し、フローガイド状態への移行を開始するために、静翼(115)を解放するように形成されるスリーブを備える、態様1~6のいずれか一つに記載の静翼装置(105)である。
【0052】
(態様8)
静翼装置(105)が、心臓補助システム(100)のポンプハウジングセクション(135)に着脱可能に接続可能であるか、または接続される、態様1~7のいずれか一つに記載の静翼装置(105)である。
【0053】
(態様9)
静翼装置(105)が、心臓補助システム(100)のポンプハウジングの一部として設計される、態様1~8のいずれか一つに記載の静翼装置(105)を備えた心臓補助システム(100)。
【0054】
(態様10)
挿入状態からフローガイド状態への移行中に、少なくとも一つの静翼(115)を開く工程(405)を有し、少なくとも一つの静翼(115)を、フローガイド状態で心臓補助システム(100)から放射状または斜めに突出させる、態様1~8のいずれか一つに記載の静翼装置(105)を動作させるための方法(400)。
【0055】
(態様11)
心臓補助システム(100)に接続し、心臓補助システム(100)の排出開口部(110)領域に配置することができ、一緒に折り畳んで心臓補助システム(100)の挿入状態を取ることができ、開いてフローガイド状態を取ることができる、少なくとも一つの静翼(115)を静翼装置(105)に提供する工程(505)を有し、少なくとも一つの静翼(115)を、フローガイド状態で心臓補助システム(100)から放射状または斜めに突出するように設計し、静翼装置(105)を、心臓補助システム(100)のポンプハウジングの一部として特に設計する、態様1~8のいずれか一つに記載の静翼装置(105)を製造するための製造方法(500)。
【0056】
(態様12)
態様10に記載の方法(400)および/または態様11に記載の製造方法(500)を実行および/または制御するように構成される、コンピュータプログラム。
【0057】
(態様13)
態様12に記載のコンピュータプログラムが格納される、機械可読記憶媒体。

図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2022-06-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
心臓補助システムであって、
長手方向に延在する入口管であって、前記心臓補助システムに血液を受けるように構成されている入口開口部を有する入口管と、
前記入口管に接続され、前記長手方向に延在し、前記入口管から血液を受けるように構成されているポンプハウジングであって、
前記ポンプハウジングから排出される血液を受けるように構成されている少なくとも一つの排出開口部を有する横方向表面と、
前記少なくとも一つの排出開口部の領域に配置されている静翼装置であって、前記入口管およびポンプハウジングがカテーテルを用いて血管に挿入された後、折り畳まれた状態からフローガイド状態に展開するように構成されている少なくとも一つの静翼を備え、前記少なくとも一つの静翼は前記フローガイド状態では前記ポンプハウジングの前記横方向表面から放射状または斜めに突出するように構成されている静翼装置と、を備えているポンプハウジングと、
前記ポンプハウジング内に配置され、前記ポンプハウジングの前記長手方向に平行な回転軸を有するインペラであって、前記ポンプハウジングの前記横方向表面は前記インペラの前記回転軸と同軸であるインペラと、
前記入口管と反対側の前記インペラの側面上に配置され、前記インペラを駆動するように構成されている駆動装置と、を備える心臓補助システム。
【請求項2】
前記少なくとも一つの静翼に対して移動可能に構成されているスリーブをさらに備え、前記スリーブは、前記折り畳まれた状態で前記少なくとも一つの静翼を囲み、前記折り畳まれた状態から前記フローガイド状態への前記少なくとも一つの静翼の前記展開を開始させるよう前記少なくとも一つの静翼を解放するように構成されている、請求項1に記載の心臓補助システム。
【請求項3】
前記入口管は、血管内に受容されるように構成された丸みのある先細りの端部を含む、請求項1に記載の心臓補助システム。
【請求項4】
前記少なくとも一つの静翼は、前記インペラの前記回転軸に平行に延在しているエッジを含む、請求項1に記載の心臓補助システム。
【請求項5】
前記少なくとも一つの静翼は、前記インペラの前記回転軸に対して斜めに延在している、請求項1に記載の心臓補助システム。
【請求項6】
前記少なくとも一つの静翼は、前記フローガイド状態で、前記ポンプハウジングの前記横方向表面から、前記インペラの前記回転軸に対する半径方向に平行な方向成分と垂直な方向成分とを有する方向に突出するように構成されている、請求項1に記載の心臓補助システム。
【請求項7】
前記静翼装置は、少なくとも部分的に形状記憶材料から形成されている、請求項1に記載の心臓補助システム。
【請求項8】
前記静翼装置は、少なくとも部分的に生体適合性材料から形成されている、請求項1に記載の心臓補助システム。
【請求項9】
前記少なくとも一つの静翼は、前記折り畳まれた状態で前記ポンプハウジングの前記横方向表面に当接するように構成されている、請求項1に記載の心臓補助システム。
【請求項10】
前記少なくとも一つの静翼は、前記折り畳まれた状態で前記少なくとも一つの排出開口部に部分的に挿入されている、請求項1に記載の心臓補助システム。
【請求項11】
前記少なくとも一つの静翼は、複数の静翼を備えている、請求項1に記載の心臓補助システム。
【請求項12】
前記複数の静翼は、前記ポンプハウジングの周囲に等距離に配置されている、請求項11に記載の心臓補助システム。
【請求項13】
前記少なくとも一つの排出開口部は、一つ以上のバーによって画定された排出窓を備えている、請求項1に記載の心臓補助システム。
【請求項14】
前記少なくとも一つの排出開口部は、複数の排出開口部を含み、前記複数の排出開口部のそれぞれは、排出窓を備え、それぞれの排出窓はバーによって少なくとも一つの隣接する排出窓から分離されている、請求項1に記載の心臓補助システム。
【請求項15】
心臓ポンプシステムを動作させるための方法であって、
前記心臓ポンプシステムの入口管とポンプハウジングとをカテーテルを用いて血管に挿入する工程であって、前記心臓ポンプシステムは、
前記入口管であって、長手方向に延在し、前記心臓補助システムに血液を受けるように構成されている入口開口部を有する前記入口管と、
前記入口管に接続され、前記長手方向に延在し、前記入口管から血液を受けるように構成されている前記ポンプハウジングであって、
前記ポンプハウジングから排出される血液を受けるように構成されている少なくとも一つの排出開口部を有する横方向表面と、
前記少なくとも一つの排出開口部の領域に配置されている静翼装置であって、少なくとも一つの静翼を備えている静翼装置と、を備えているポンプハウジングと、
前記ポンプハウジング内に配置され、前記ポンプハウジングの前記長手方向に平行な回転軸を有するインペラであって、前記ポンプハウジングの前記横方向表面は前記インペラの前記回転軸と同軸であるインペラと、
前記入口管と反対側の前記インペラの側面に配置され、前記インペラを駆動するように構成されている駆動装置と、を備える、前記心臓ポンプシステムの入口管とポンプハウジングとをカテーテルを用いて血管に挿入する工程と、
前記少なくとも一つの静翼を折り畳まれた状態からフローガイド状態に展開する工程であって、前記少なくとも一つの静翼は、前記フローガイド状態において前記ポンプハウジングの前記横方向表面から放射状または斜めに突出するように構成されている、前記少なくとも一つの静翼を折り畳まれた状態からフローガイド状態に展開する工程と、を含む心臓ポンプシステムを動作させるための方法。
【請求項16】
前記少なくとも一つの静翼を露出させ、前記少なくとも一つの静翼を前記折り畳まれた状態から前記フローガイド状態に展開する前記工程を開始させるよう前記少なくとも一つの静翼に対してスリーブを移動させる工程をさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記入口管は、血管内に受容されるように構成された丸みのある先細りの端部を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記静翼装置は、少なくとも部分的に形状記憶材料から形成されている、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記静翼装置は、少なくとも部分的に生体適合性材料から形成されている、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記少なくとも一つの静翼は、前記折り畳まれた状態で前記少なくとも一つの排出開口部に部分的に挿入されている、請求項15に記載の方法。
【国際調査報告】