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特表2023-510679コーティング中に触媒モノリスを支持するためのパレット
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  • 特表-コーティング中に触媒モノリスを支持するためのパレット 図1a
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-15
(54)【発明の名称】コーティング中に触媒モノリスを支持するためのパレット
(51)【国際特許分類】
   C04B 41/85 20060101AFI20230308BHJP
   C23C 24/08 20060101ALI20230308BHJP
【FI】
C04B41/85 C
C23C24/08 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022527807
(86)(22)【出願日】2021-01-08
(85)【翻訳文提出日】2022-05-27
(86)【国際出願番号】 GB2021050043
(87)【国際公開番号】W WO2021144554
(87)【国際公開日】2021-07-22
(31)【優先権主張番号】62/961,868
(32)【優先日】2020-01-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590004718
【氏名又は名称】ジョンソン、マッセイ、パブリック、リミテッド、カンパニー
【氏名又は名称原語表記】JOHNSON MATTHEY PUBLIC LIMITED COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132263
【弁理士】
【氏名又は名称】江間 晴彦
(72)【発明者】
【氏名】フィッシュ、デイヴィッド
【テーマコード(参考)】
4K044
【Fターム(参考)】
4K044AA13
4K044AB03
4K044BA08
4K044BA12
4K044BA14
4K044BB02
4K044BB11
4K044BC09
4K044CA24
4K044CA27
4K044CA53
(57)【要約】
コーティング中に触媒モノリスを支持するためのパレットであって、リングの内部にわたって2つ以上の支持棒が延在しているリングを備える、パレット。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コーティング中に触媒モノリスを支持するためのパレットであって、リングの内部にわたって2つ以上の支持棒が延在している前記リングを備える、パレット。
【請求項2】
前記2つ以上の支持棒が、互いに平行に位置決めされる、請求項1に記載のパレット。
【請求項3】
前記リングが、円形又は楕円形の形状である、請求項1に記載のパレット。
【請求項4】
前記リングが、前記リングから径方向内側に突出するリップを含まない、請求項1に記載のパレット。
【請求項5】
前記リングが、ステンレス鋼で作製される、請求項1に記載のパレット。
【請求項6】
前記リングが、セラミックで作製される、請求項1に記載のパレット。
【請求項7】
前記支持棒が、ステンレス鋼で作製される、請求項1に記載のパレット。
【請求項8】
前記支持棒が、セラミックで作製される、請求項1に記載のパレット。
【請求項9】
前記支持棒が、独立した部品であり、各々が前記リングに固定される、請求項1に記載のパレット。
【請求項10】
前記支持棒が、前記リング内に形成された収容スロットに挿入される、請求項9に記載のパレット。
【請求項11】
前記収容スロットが、前記支持棒が載るばねを更に備える、請求項10に記載のパレット。
【請求項12】
基材位置プレートを更に備える、請求項1に記載のパレット。
【請求項13】
多数の軸方向に整列した通路を有する触媒モノリスをコーティングする方法であって、
a.触媒スラリーを前記モノリスに塗布することと、
b.前記モノリスに真空を適用して、前記触媒スラリーを引き込み、前記通路の表面上に触媒コーティングを形成することと、を含み、
前記触媒モノリスが前記支持棒上で平衡を保って支持されるように、前記触媒モノリスが、請求項1に記載のパレット上に位置決めされる、方法。
【請求項14】
前記モノリスを乾燥及び焼成することを更に含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記触媒スラリーを前記モノリスの上端部に塗布することを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記真空が、前記パレットの真下から適用される、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記触媒モノリスの最外縁部上に位置する通路の表面上の触媒コーティングの量が、前記触媒モノリスの中央に位置する通路の表面上の触媒コーティングの量と実質的に同様である、請求項13に記載の方法。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
車両の排気ガス中の有害成分の触媒変換は、大気汚染を克服することでよく知られている。様々な形態のコンバータのための触媒は、高表面積を提供するために、一般的に、各ユニット内に多数の長手方向通路のハニカム配置を有する触媒コーティングされた剛性モノリスとして製造される。
【0002】
モノリスを触媒でコーティングする一般的な方法は、触媒スラリーをモノリスに塗布し、次いで真空を適用して、触媒スラリーをモノリス及び通路を通して引き込み、それにより、通路の表面上に触媒コーティングを形成する。この真空適用中、モノリスは、多くの場合、モノリスが載るリングの内側縁部の周りにリップを有する支持リング上で支持され、真空は、支持リングの真下から適用される。しかしながら、このリップが外側通路を真空引きから遮断し、したがって、これらの通路内の触媒スラリーが効果的に引き込まれず、不十分な又は不均一な触媒コーティング及び/又は通路の遮断をもたらす場合がある。
【0003】
その結果、真空引きから外側通路を遮断することなく、コーティング中にモノリスを支持して平衡を保つことができる支持パレットは、直ちに利益を提供するであろう。
【発明の概要】
【0004】
本発明のいくつかの態様では、コーティング中に触媒モノリスを支持するためのパレットは、リングの内部にわたって2つ以上の支持棒が延在しているリングを含む。2つ以上の支持棒は、互いに平行に位置決めされ得る。いくつかの態様では、リングは、円形又は楕円形の形状である。好ましくは、リングは、リングから径方向内側に突出するリップを含まない。リングは、例えば、ステンレス鋼又はセラミックで作製され得る。支持棒は、例えば、ステンレス鋼又はセラミックで作製され得る。支持棒は、各々がリングに固定され得る独立した部品であり得る。いくつかの態様では、支持棒は、リング内に形成された収容スロットに挿入される。いくつかの態様では、収容スロットは、支持棒が載るばねを含む。いくつかの態様では、パレットは、基材位置プレートを含む。
【0005】
本発明のいくつかの態様では、多数の軸方向に整列した通路を有する触媒モノリスをコーティングする方法は、(a)触媒スラリーをモノリスに塗布することと、(b)モノリスに真空を適用して、触媒スラリーを引き込み、通路の表面上に触媒コーティングを形成することと、を含み、触媒モノリスが支持棒上で平衡を保って支持されるように、触媒モノリスが、リングの内部にわたって2つ以上の支持棒が延在しているリングを含むパレット上に位置決めされる。本方法は、モノリスを乾燥及び焼成することを更に含み得る。本方法は、触媒スラリーをモノリスの上端部に塗布することを含み得る。いくつかの態様では、真空は、パレットの真下から適用される。いくつかの態様では、触媒モノリスの最外縁部上に位置する通路の表面上の触媒コーティングの量は、触媒モノリスの中央に位置する通路の表面上の触媒コーティングの量と実質的に同様である。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1a】本発明の態様のパレットを示す。
図1b】本発明の態様のパレットを示す。
図2】本発明の態様のパレットを示す。
図3】パレット及び基材を備えた投入ライン構成を示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の物品、方法及びシステムは、触媒モノリスを触媒スラリーで効果的にコーティングするための改善に関する。本発明は、特に、コーティング中に触媒モノリスを支持するための新規のパレットを対象とし、触媒モノリスの周辺通路上に改善された触媒コーティングをもたらす。
【0008】
パレット
本発明に従って構成されたパレットは、パレットの内縁部から径方向内側に突出するリップが存在しないため、特に触媒モノリスの周辺通路上に、改善された触媒コーティング被覆率をもたらし得ることが見出された。
【0009】
一般に、パレットは、外側リング、及びリングの内部にわたって延在する2つ以上の支持棒を有し得る。外側リングは、構造的に堅固であるために、かつコーティングされる所望の触媒モノリスを支持するために、任意の好適なサイズ及び形状を有し得る。好適なリング形状としては、限定されないが、円形、楕円形、長円形、矩形、長方形などが挙げられ得る。例えば、パレットは、約150mm~約300mm、約150mm~約290mm、約160mm~約280mm、約170mm~約270mm、約180mm~約260mm、約190mm~約250mm、約180mm、又は約250mmの内径を有し得る。
【0010】
支持棒
パレットは、リングの内部にわたって延在し、リングの一方の側から他方の側まで到達する2つ以上の支持棒を含み得、これらがコーティングプロセス中に触媒モノリスを支持し得る。リングの内部にわたって延在する支持棒を含むことにより、内側に突出するが、リングの内部全体にわたるまで延在しない支持棒を使用することと比較して、改善された支持及び触媒モノリスへの少ない損傷を提供し得ることが見出された。いくつかの態様では、パレットは、コーティング中に触媒モノリスを効果的に支持して平衡を保つために必要に応じて、2つの支持棒、2つ以上の支持棒、3つの支持棒、4つの支持棒、5つの支持棒、6つの支持棒、7つの支持棒、8つの支持棒などを含む。いくつかの態様では、支持棒の数は、リフト台のための余地を残す要件によって限定される。
【0011】
いくつかの態様では、リング及び支持棒は独立した部品として形成され、次いで支持棒はリングに固定される。例えば、支持棒は、リング内に形成された収容スロットに支持棒を挿入することによって、リングに固定され得る。次いで、支持棒は、限定されないが、ボルトを含む、任意の好適な手段によって所定の位置に固定され得る。いくつかの態様では、支持棒は、着脱可能であり、リング内で置き換えることができる。
【0012】
ある特定の態様では、パレットの上に位置付けられるときかつ/又はコーティング中の、触媒モノリスの表面への衝撃を低減するために、減衰システムが支持棒とともに含まれ得る。減衰システムは、支持棒が載る収容スロット内のばねを含み得る。そのようなばねは、過剰な負荷が加えられた場合に減衰効果を提供し、それにより、触媒モノリスの表面を損傷から保護することができる。
【0013】
いくつかの態様では、支持棒は、真空の引きからの通路の閉塞を最小限に抑えるように特別に成形及び/又は位置決めされる。例えば、支持棒は、狭い幅を有し得、かつ/又は可能な場合、開口部ではなく通路壁と整列するように位置決めされ得る。いくつかの態様では、支持棒は、1.5mm未満、1.25mm未満、1mm未満、0.75mm未満、約1.5mm、約1.25mm、約1mm、約0.75mm、又は約0.5mmの幅を有する。いくつかの態様では、支持棒は、互いに平行に位置決めされる。
【0014】
パレットは、任意の好適な手段によって製造され得る。いくつかの態様では、リングは、支持棒とは別個の部品として形成される、すなわち、支持棒は、独立した部品として形成され、次いでリングに固定される。支持棒は、リング内に形成された収容スロットに支持棒を挿入することによって、リングに固定され得る。次いで、支持棒は、限定されないが、ボルトを含む、任意の好適な手段によって所定の位置に固定され得る。いくつかの態様では、支持棒は、着脱可能であり、リング内で置き換えることができる。
【0015】
基材位置プレート
いくつかの態様では、パレットは、基材位置プレートを含み得る。基材位置プレートは、リングの外周に対応する外周を有するプレート、並びにコーティングされる所望の触媒モノリスに適合する形状及びサイズを有するプレートの中央の開口部を備え得る。基材位置プレートは、リングの上部に固定される着脱可能な部品であり得、コーティングされる所望の触媒モノリスのサイズ及び形状に特有であり得る。基材位置プレートは、例えば、ボルトによって、リングに固定され得る。所望の触媒モノリスは、コーティングのために基材位置プレートの中央にある開口部に位置付けられ得る。基材位置プレートを有することの利点は、単一のリングの使用のみを必要としながら、基材位置プレートを変更することによって、異なるサイズの触媒モノリスに適応することができることである。そのような設定は、時間及びコストの両方の観点から効率的である。
【0016】
材料
リング、支持棒及び基材位置プレートは、独立して、任意の好適な材料で作製され得る。好ましくは、リング及び/又は支持棒は、触媒モノリスの材料の硬度に等しいか、又はそれに近い硬度を有する材料で作製される。いくつかの態様では、リング及び支持棒は、同じ材料で作製される。いくつかの態様では、リング及び支持棒は、異なる材料で作製される。いくつかの態様では、リングは、ステンレス鋼で作製され得る。いくつかの態様では、支持棒は、ステンレス鋼で作製され得る。いくつかの態様では、リングは、セラミックで作製され得る。いくつかの態様では、支持棒は、セラミックで作製され得る。いくつかの態様では、基材位置プレートは、ステンレス鋼で作製され得る。いくつかの態様では、基材位置プレートは、セラミックで作製され得る。
【0017】
本発明のある特定の態様は、図を参照して記載され得る。図1を参照すると、パレット10は、コーティングされる所望の触媒モノリスを支持するための任意の好適なサイズ及び形状を有し得る外側リング15を含む。パレット10はまた、リング15の内部にわたって延在し、リング15の一方の側から他方の側まで到達する、支持棒20を含む。いくつかの態様では、パレット10は、コーティング中に触媒モノリスを効果的に支持して平衡を保つために必要に応じて、2つの支持棒20、2つ以上の支持棒20、3つの支持棒20、4つの支持棒20、5つの支持棒20などを含む。支持棒20は、触媒モノリスを支持するのに十分であるが、真空引きの閉塞を最小限に抑えるのに十分狭い幅25を有し得る。
【0018】
図1bを参照すると、支持棒20は、リング15内に形成された収容スロット30に支持棒20を挿入することによって、リング15に固定され得る。いくつかの態様では、収容スロット30は、リング15の下側に開口部を有するように構成され得る。次いで、支持棒20は、限定されないが、ボルト50を含む、任意の好適な手段によって所定の位置に固定され得る。
【0019】
リング15は、深さ35を有し得る。支持棒20は、深さ40を有し得る。いくつかの態様では、支持棒20の深さ40は、リング15の深さ35よりも浅い。そのような態様では、支持棒20は、支持棒20の底部がリング15の底部と同じ高さになるように、リング15に固定され、それにより、リング15の上部と支持棒20の上部との間に隆起部45を残し得る。このようにして、パレットによって支持された触媒モノリスは、パレットの中に着座し、リングの一部は、触媒モノリスの下縁部の上方に隆起している。いくつかの態様では、パレットは、リングと触媒モノリスとの間に最小の空間があるように設計される。
【0020】
図2を参照すると、パレット55は、コーティングされる所望の触媒モノリスを支持するのに少なくとも十分に大きい任意の好適なサイズ及び形状を有し得る外側リング60を含み得る。パレット55はまた、リング60の内部にわたって延在し、リング60の一方の側から他方の側まで到達する、支持棒65を含む。いくつかの態様では、パレット55は、コーティング中に触媒モノリスを効果的に支持して平衡を保つために必要に応じて、2つの支持棒65、2つ以上の支持棒65、3つの支持棒65、4つの支持棒65、5つの支持棒65、6つの支持棒65、7つの支持棒65、8つの支持棒65などを含む。支持棒65は、リング60内に形成された収容スロット70に支持棒65を挿入することによって、リング60に固定され得る。いくつかの態様では、収容スロット70は、リング60の上側に開口部を有するように構成され得る。次いで、支持棒65は、限定されないが、ボルトを含む、任意の好適な手段によって所定の位置に固定され得る。パレット55はまた、支持棒65が載る収容スロット70内にばね75を含み得、これが減衰システムとして作用し得る。
【0021】
パレット55は、基材位置プレート80を含み得る。基材位置プレート80は、リング60の外周に対応する外周、並びにコーティングされる所望の触媒モノリスに適合する形状及びサイズを有するプレートの中央の開口部を有し得る。基材位置プレート80は、例えば、ボルト85によって、リング60の上部に固定され得る。基材位置プレート80は、コーティングされる所望の触媒モノリスのサイズ及び形状に特有である着脱可能かつ交換可能な部品であり得る。
【0022】
図3を参照すると、パレット100は、任意の好適なコーティングライン内で使用され得る。コーティングプロセスの一部として、触媒モノリス105は、パレット100の上部に位置付けられ得る。いくつかの態様では、触媒スラリーは、シャワーヘッド110を通ってリザーバ115に入る。次いで、触媒スラリーは、
リザーバ115からモノリス基材105の上に投入され、真空120によってモノリス基材105を通って引き出される。いくつかの態様では、リザーバ115の上壁125は、平行ではなく、外向きに角度付けされ得る。いくつかの態様では、角度付けされたリザーバ壁125を有することにより、コーティング性能が改善され、基材モノリス105のより均一なコーティングが提供される。
【0023】
触媒スラリー
触媒モノリスは、触媒スラリーをモノリスに塗布することによって調製される。当技術分野では、アルミナ、可溶性及び/若しくは担持された触媒活性白金族金属、セリア、ジルコニア、バリウムなどの促進剤、並びに他の成分又はシリカ、ゼオライトなどの吸収性材料を含む、触媒成分並びに/又は高表面積粒子のスラリーを含むウォッシュコートで基材をコーティングすることが知られている。触媒スラリーの実際の組成は、本発明にとって重要ではない。場合によっては、ウォッシュコートが塗布及び乾燥されかつ/又は焼成されて、接着性コーティングを得た後に、1つ以上の追加の層が塗布される。これは、一般に白金、パラジウム及びロジウム並びに/又は可溶性促進剤のうちの1つ以上から選択される1つ以上のPGMの溶液を含浸することによって、かつ/又は同じ若しくは異なるタイプの触媒活性又は吸収性ウォッシュコートのより多くの層を塗布することによるものであり得る。
【0024】
触媒モノリス
触媒モノリス支持部は、一般に、押し出しセラミック、例えば、コーディエライト、又は製造された金属貫流ハニカム基材を含む。モノリスは、多数の軸方向に整列した通路を有し得る。モノリスは、一般に円柱形であるが、楕円形、又は「レーストラック形」、又は歪曲した楕円形であり、効果的な連続外皮を有し得る。そのような基材は、非常によく知られ、市販されており、50~1200セル/平方インチを有し得る。
【0025】
方法/システム
本発明の態様によれば、多数の軸方向に整列した通路を有する触媒モノリスをコーティングする方法は、(1)触媒スラリーをモノリスに塗布することと、(2)モノリスに真空を適用して、触媒スラリーを引き込み、通路の表面上に触媒コーティングを形成することと、を含み得る。いくつかの態様では、触媒スラリーは、モノリスの上端部に塗布され得る。いくつかの態様では、真空は、パレットの真下から適用される。いくつかの態様では、モノリスは、触媒スラリーがモノリスを通って引き込まれた後、乾燥及び/又は焼成され得る。
【0026】
コーティングプロセス中、触媒モノリスが支持棒上で平衡を保って支持されるように、触媒モノリスは、リングの内部にわたって2つ以上の支持棒が延在しているリングを有する上述のパレット上に位置決めされ得る。いくつかの態様では、パレットは、コーティングされる触媒モノリスに適応するようにサイズ決めされる基材位置プレートを含む。いくつかの態様では、コーティング方法は、触媒モノリスの中央に位置する通路の表面上の触媒コーティングの量と実質的に同様である触媒モノリスの最外縁部上に位置する通路の表面上の触媒コーティングの量を有するコーティングされた触媒モノリスを提供する。
【0027】
効果
本発明の物品、方法及びシステムは、触媒モノリスを触媒スラリーで効果的にコーティングするための改善を提供することが見出された。本発明に従って構成されたパレットは、パレットの内縁部から径方向内側に突出するリップが存在しないため、特に触媒モノリスの周辺通路上に、改善された触媒コーティング被覆率をもたらし得ることが見出された。そのような利益は、支持棒が真空の引きからの通路の閉塞を最小限に抑えるように特別にサイズ決め、成形及び/又は位置決めされるために実現することができる。
【0028】
いくつかの態様では、本発明の態様のパレットの使用は、触媒モノリスの中央に位置する通路の表面上の触媒コーティングの量と実質的に同様である触媒モノリスの最外縁部上に位置する通路の表面上の触媒コーティングの量を有するコーティングされた触媒モノリスを提供する。
【0029】
実施例
同じプロセスを使用して触媒モノリスをコーティングするために、4つのバッチ(バッチ1、バッチ2、バッチ3及びバッチ4)を実行した。各バッチを同じ触媒スラリー及び同じタイプ/サイズの触媒モノリスで実行した。バッチ1は、430の触媒モノリスを含み、バッチ2は、640の触媒モノリスを含み、バッチ3は3300の触媒モノリスを含み、バッチ4は、1700の触媒モノリスを含んでいた。各コーティングについては、触媒スラリーを上方から投入し、触媒モノリスを通して真空で引き出した。次いで、触媒モノリスを180度反転させ、触媒スラリーを上方から再び投入し、触媒モノリスを通して真空で引き出した。これらの2回の触媒スラリー投入が、第1の通過を一緒に構成する。第2の通過を構成するために、これらの工程を繰り返した。バッチ1~3については、触媒モノリスを典型的な段階的パレット上で支持し、パレットは、リングから径方向内側に突出するリップを有し、これのリップが触媒モノリスを支持した。バッチ4については、触媒モノリスを、2つの支持棒を有し、リングから径方向内側に突出するリップを有しないパレット上で支持し、真空が適用されたときに、空気が基材モノリスの縁部とリングの縁部との間を流れることができた。
【0030】
次いで、コーティングされた触媒モノリスを分析して、コーティングされていない領域の存在及び程度を決定した。バッチ1については、分析したコーティングされた触媒モノリスの50%が、コーティングされていないか、又は部分的にコーティングされた外側チャネルを有することを見出した。バッチ2については、分析したコーティングされた触媒モノリスの17%が、コーティングされていないか、又は部分的にコーティングされた外側チャネルを有することを見出した。バッチ3については、分析したコーティングされた触媒モノリスの5.7%が、コーティングされていないか、又は部分的にコーティングされた外側チャネルを有することを見出した。バッチ4については、分析したコーティングされた触媒モノリスが、コーティングされていないか、又は部分的にコーティングされた外側チャネルを有していないことを見出した。これらの結果は、触媒モノリスが外側チャネル上での大幅に改善されたコーティング被覆率を有していたため、本発明のパレットによって提供された利点を明確に示している。
【0031】
用語
本開示では、単数形「a」、「an」及び「the」は、特に明示しない限り、複数の参照含み、特定の数値への参照は、少なくともその特定の値を含む。
したがって、例えば、「材料」への言及は、そのような材料及び当業者に周知であるその均等物のうちの少なくとも1つへの言及である。
【0032】
値が記述語「約(about)」を使用することにより近似値として表現される場合、その特定の値が別の実施形態を形成することが理解されるであろう。概して、用語「約」の使用は、開示された主題により得られることが求められる所望の特性に応じて変化し得る近似値を示し、その機能に基づいて、それが使用される特定の文脈において解釈されるべきである。当業者は、これを日常的に行うこととして解釈できるであろう。場合によっては、特定の値に使用される有効数字の数が、単語「約」の範囲を決定する1つの非限定的な方法であり得る。他の場合、一連の値で使用される段階的な変化を使用して、各値について用語「約」に利用可能な意図された範囲を決定できる。存在する場合、全範囲は包括的かつ組み合わせ可能である。すなわち、範囲内で提示されている値への言及は、その範囲内のあらゆる値を含む。
【0033】
明確にするために、別個の実施形態の文脈において本明細書に記載される本発明の特定の特色はまた、単一の実施形態において組み合わせて提供されてもよいことを理解されたい。すなわち、明らかに互換性がないか又は具体的に除外されない限り、個々の実施形態はそれぞれ、任意の他の実施形態と組み合わせることが可能であるとみなされ、そのような組み合わせは別の実施形態であると考えられる。逆に、簡潔にするために、単一の実施形態の文脈で記載される本発明の様々な特色はまた、個別に、又は任意の部分的な組み合わせで提供されてもよい。最後に、実施形態は、一連の工程の一部、又はより一般的な構造の一部として記載され得るが、その各工程はまた、それ自体が独立した実施形態であり、他の工程と組み合わせることができるとみなされ得る。
【0034】
移行語(transitional term)「含む(comprising)」、「から本質的になる(consisting essentially of)」及び「からなる(consisting)」は、それらの特許専門用語において一般に認められた意味を内包することを意図しており、すなわち、(i)「含む(comprising)」は、「含む(including)」、「含有する(containing)」又は「特徴づけられる(characterized by)」と同義であり、包括的又はオープンエンドであり、追加の列挙されていない要素又は方法工程を除外しない。(ii)「からなる(consisting of)」は請求項で指定されていないあらゆる要素、工程、又は成分を除外し、(iii)「から本質的になる(consisting essentially of)」は、請求項の範囲を、指定された材料又は工程、及び特許請求された発明の「基本的かつ新規な特徴に実質的に影響を与えないもの」に限定する。語句「含む(comprising)」(又はその等価物)という用語で記載された実施形態はまた、実施形態として、「からなる(consisting of)」及び「から本質的になる(consisting essentially of)」という用語で独立して記載される実施形態を提供する。「から本質的になる(consisting essentially of)」という用語で提供されるこれらの実施形態では、基本的かつ斬新な特性は、燃料を効率的に燃焼させるシステムの能力であり、個別の点火装置を必要とせず、又は燃料混合物を触媒に導入する前に点火温度を超えて加熱する必要もない。このような動作性を損なわない材料又は工程は、このような実施形態の範囲内とみなされる。
【0035】
リストが提示される場合、別途記載のない限り、そのリストの各個別要素、及びそのリストの全ての組み合わせは、別個の実施形態であることを理解されたい。例えば、「A、B、又はC」として提示される実施形態のリストは、実施形態「A」、「B」、「C」、「A若しくはB」、「A若しくはC」、「B若しくはC」、又は「A、B、若しくはC」を含むものと解釈されるべきである。
【0036】
関連技術の当業者により理解されるように、本明細書全体を通して、単語は、それらの通常の意味を与えられるべきである。しかし、誤解を避けるために、特定の用語の意味は具体的に定義又は明確化される。
【0037】
「任意選択の(optional)」又は「任意選択的に(optionally)」は、その後に記載する状況が発生するか、又はしない場合があることを意味し、そのため、その記載には、その状況が発生する事例及び発生しない事例が含まれる。同様に、成分又は工程を「任意選択的に存在する(optionally present)」と称する実施形態は、それらの実施形態は、工程又は成分が存在する又は存在しない別個の独立した実施形態を含む。「任意選択の(optional)」という記載は、任意による条件の発生を可能とするが、必須ではない。

図1a
図1b
図2
図3
【国際調査報告】