(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-15
(54)【発明の名称】電気油圧式推進システムが組み合わされたパワーモジュール
(51)【国際特許分類】
F16H 61/44 20060101AFI20230308BHJP
F15B 1/02 20060101ALI20230308BHJP
B60L 50/60 20190101ALI20230308BHJP
B60L 15/20 20060101ALI20230308BHJP
F16H 61/4096 20100101ALI20230308BHJP
【FI】
F16H61/44
F15B1/02 Z
B60L50/60
B60L15/20 S
F16H61/4096
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022538369
(86)(22)【出願日】2020-12-23
(85)【翻訳文提出日】2022-08-15
(86)【国際出願番号】 GB2020053364
(87)【国際公開番号】W WO2021130497
(87)【国際公開日】2021-07-01
(32)【優先日】2019-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520352621
【氏名又は名称】エヴェクテック エルティーディー
(74)【代理人】
【識別番号】100102406
【氏名又は名称】黒田 健二
(74)【代理人】
【識別番号】100100240
【氏名又は名称】松本 孝
(72)【発明者】
【氏名】ライトン,ジョージ
【テーマコード(参考)】
3H086
3J053
5H125
【Fターム(参考)】
3H086AA25
3H086AB03
3H086AB13
3H086AC20
3H086AD70
3J053DA30
3J053EA07
3J053EA14
3J053FB10
5H125AA01
5H125AB01
5H125AC12
5H125BA05
5H125FF30
(57)【要約】
車両駆動システムは、バッテリと、ハウジング内のパワーユニットであって、モータとしてバッテリによって駆動可能な、またはジェネレータとしてバッテリを充電可能な、少なくとも1つの電気モータ/ジェネレータと、圧媒油を加圧するために電気モータ/ジェネレータによって駆動可能な、またはジェネレータとしてモータジェネレータに電力を供給するために加圧圧媒油によって駆動可能な、少なくとも1つの油圧モータ/ポンプと、このポンプと連通する油圧レールと、この油圧レールと連通する方向制御弁と、を備えたパワーユニットと、加圧圧媒油を貯蔵するための少なくとも1つのアキュムレータと、加圧圧媒油によって駆動可能なホイール駆動部と、モータハウジングの方向制御弁をアキュムレータおよびホイール駆動部に接続する油圧回路と、バッテリ、パワーユニット、およびホイール駆動部の動作を制御するための制御システムと、を備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両駆動システムであって、
バッテリと、
ハウジング内のパワーユニットであって、
前記バッテリによってモータとして駆動可能な、またはジェネレータとして前記バッテリを充電可能な、少なくとも1つの電気モータ/ジェネレータと、
圧媒油を加圧するために前記電気モータ/ジェネレータによって駆動可能な、またはジェネレータとして前記モータジェネレータに電力を供給するために加圧圧媒油によって駆動可能な、少なくとも1つの油圧モータ/ポンプと、
前記ポンプに連通する油圧レールと、
前記油圧レールに連通する方向制御弁と、
を備えたパワーユニットと、
加圧圧媒油を貯蔵するための少なくとも1つのアキュムレータと、
加圧圧媒油によって駆動可能なホイール駆動部と、
前記モータハウジングの前記方向制御弁を前記アキュムレータおよびホイール駆動部に接続する油圧回路と、
前記バッテリ、パワーユニット、およびホイール駆動部の動作を制御するための制御システムと、
を備えた車両駆動システム。
【請求項2】
2つの独立した電気モータ/ジェネレータが設けられ、各電気モータ/ジェネレータは別個の油圧モータ/ポンプに接続され、独立した電気モータ/ジェネレータとそれぞれが接続された油圧モータ/ポンプとが独立に作動可能である、請求項1に記載の車両駆動システム。
【請求項3】
前記油圧レールは複数の弁に連通する、請求項1または2に記載の車両駆動システム。
【請求項4】
複数の油圧が設けられる、請求項1~3の何れか一項に記載の車両駆動システム。
【請求項5】
前記ハウジングは、一体型本体から形成され、前記1つ以上のモータ/ジェネレータのための穴と少なくとも1つの方向制御弁とが前記本体内に位置する、請求項1~4の何れか一項に記載の車両駆動システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、千差万別の複綸車両に使用されるように設計された分離型電気モータおよび油圧弁システムを収容した、組み合わされた特異なパワーモジュールに関する。本発明は、今日存在するハイブリッド電気内燃機関および油圧-電気パワーユニットに比べ、より簡素で、よりコンパクトな、より軽量の、したがって原価効率がより高い、ソリューションをもたらす。
【背景技術】
【0002】
我々が緑の時代にがむしゃらに突き進むに伴い、我々が求めているのは、エネルギーのために地球の鉱物および石油資源への我々の依存に対する現実的なソリューションである。このソリューションは、あらゆる種類のITCおよび電動車両構成のパワーおよび伝達モジュールに現在使用されている高価な材料(例えば、金属および希土類磁石)を減らすことによって、これら両要素に対処する。
【0003】
近年、電気機器およびエネルギー貯蔵技術における進歩と気候変動を食い止めようとする複数社会の総合的目標とがエレクトロモビリティの発展を推進および加速させてきた。都市における低エミッションまたはゼロエミッションゾーンの導入および政治的枠組みの変化は、その発展を加速させるであろう。いくつかの事業体がエレクトロモビリティに投資しており、既存の概念を拡張し、技術革新を導入し、それらの将来の用途を計画している。本発明は、車両の動力および伝達要素の製造に使用される材料の持続可能性を、同じ目的を達成するために使用される量を減らすことによって、向上させるための、エレクトロモビリティへの現在のソリューションのこの必要な発展の一部である。
【0004】
エレクトロモビリティの諸利点は当業者には広く知られており、CO2排出および他の有害ガスの低減に対する間接的影響ばかりでなく、メンテナンスの改善および騒音公害の低減によっても証明可能である。加えて、近い将来、著しく混雑して汚染された都心部がゼロエミッションゾーンになり、ゼロエミッション車両のみがそれらゾーン内を走行可能になるであろう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、製造し易い、および/または信頼性が高い、および/または効率的な、電動車両駆動部を提供することである。他の諸利点は、説明から明らかになるであろう。
【0006】
現在のエレクトロモビリティソリューションは、最大効率40%の内燃機関に比べ、最大96%という高い効率を有する。
【0007】
制動エネルギーを回収して必要時に再利用するために推進モータがジェネレータとして動作可能であることによって、効率が更に向上される。
【0008】
さまざまな技術の新しい電動車両の出現がこのソリューションをもたらした。このソリューションは、今日見られる既存の車両設計に存在する高価で複雑な既存の機械式駆動部品のほぼ全てを不要にする。
【0009】
本発明の複数の実施形態においては、これを理想的に実現するために、制動エネルギーをアキュムレータに貯蔵し、その後、これを使用してモータに動力を供給し、ジェネレータとしてバッテリを再充電する、または増加した動力でシステムを短時間駆動する、すなわち追い越しを行う。
【0010】
熱をシステム内に維持するために、ユニットは断熱されている。その後、この熱を、熱回収システムを介して電気に変換し、この電気をバッテリの再充電にも使用するので、総合効率を更に向上させる。システム内で発生した熱によるエネルギー損失は最小である。
【0011】
熱回収システムは、使用された場合、冷却システムとして利用可能であるので、総合効率を向上させる。冷却および油圧システムは組み合わされたシステムであり、水/グリコール系流体を初めに使用するので、「グリーン」エートスを達成する。
【0012】
本願明細書において提案されるソリューションは、本願明細書が提供し得る何れかの利点のために本システムを採用する何れの車両のシャシーにも戦略的に載置可能である。これは、一般的な機械式動力伝達要素の全てを排除することによって可能になる。
【0013】
切り離されるモータ/ジェネレータは、現在の諸ソリューションよりはるかに迅速に作動するように設計可能であり、必要な希土類磁石材料の量を減らす。これは、総原価要素を更に減らし、種々の車両の主要構成要素のより大きな配置自由度を可能にする。
【0014】
この完全に一体化された油圧-電気式推進ユニットは、既存の車両駆動ソリューションに比べ、より小型で、より軽量で、より効率的で、より簡素で、原価効率がより高い。それは、駆動部を切り離す。
【0015】
それは、複数のモータ/ジェネレータを有し得るので、動力の供給または貯蔵システムの充填のための完全な最適化を独立に、または同時に、可能にし得る。
【0016】
この高速且つコンパクトな永久磁石モータ/ジェネレータは、サイズおよび重量の低減が可能であり、車両の効率を更に向上させる。
【0017】
本発明は、2種類のエネルギー貯蔵部、すなわち、圧媒油貯蔵システムおよびバッテリ貯蔵システム、の使用によって、エネルギー貯蔵能力を増大させる可能性を開くことによって、電気/油圧伝達アプローチの使用を最適化する。本油圧システムは、始動時および制動時におけるバッテリの充放電レートを下げるために使用され、ひいてはその寿命を延ばす。
【0018】
このシステムの設計は、現在の電気ハイブリッドおよびICEソリューションに存在する基本的な機械式伝達要素を全て排除しようとするものである。
【0019】
各アキュムレータは、必要に応じて設けられる入口に一時的に取り付けられる圧縮空気によって、外部から独立に充填することも可能である。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明によると、請求項1に記載のエレクトロモビリティパワーユニットが提供される。
【0021】
本発明によると、駆動部を伝達システムから切り離す電気/油圧アーキテクチャを使用するエレクトロモビリティパワーモジュールソリューションが提供される。
【0022】
本発明によると、最適な重量配分の実現のために、および高性能車両の低重心のために、種々の車両のための主要構成要素の位置のより大きな自由度が可能になる。
【0023】
本発明によると、パワーモジュールの位置は重心の位置を下げ、車両操作およびロードホールディング特性を向上させることができる。
【0024】
本発明によると、パワーモジュールはドライブシャフトおよび対応付けられた伝達用構成要素を排除するので、総部品点数が減り、全体の機械設計が簡素化される。
【0025】
パワーモジュールは、そのサイズおよび重量を減らすために、ほぼ一定の高速で動作可能であり、車両の効率を更に向上させることが好ましい。
【0026】
圧媒油貯蔵システムは、バッテリ貯蔵部と組み合わされて、冗長エネルギー貯蔵ソリューションを提供することが好ましい。圧媒油貯蔵システムは、バッテリの充放電レートを下げ、ひいてはその寿命を延ばす。
【0027】
本発明は、複雑な機械式駆動システムなしに、複輪駆動車両アーキテクチャを可能にする。
【0028】
この完全に一体化された油圧-電気式推進ユニットは、既存の車両駆動ソリューションに比べ、より小型、より軽量、より効率的、より簡素で、原価効率がより高いソリューションである。それは、種々の車両のために主要構成要素のより大きな配置自由度を可能にするために、駆動部を切り離す。
【0029】
それは複数のモータ/ジェネレータを有し得るので、動力の供給または貯蔵システムの充填のための完全な最適化を独立に、または同時に、可能にし得る。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1a】一般的な電気-油圧式パワーモジュールアセンブリの模式図である。
【
図1b】更なる詳細を示す電気-油圧式パワーモジュールアセンブリの模式図である。
【
図2】モータジェネレータ内部アセンブリの模式図である。
【
図3】個々のホイール駆動部のための一体化された油圧弁システムを示す模式図の部分詳細図である。
【
図4】個々のホイール駆動および制動制御システムを示す模式図の部分詳細図である。
【
図5】モータ/ジェネレータに取り付けられた油圧クラッチの制御用の弁を示す模式図の部分詳細図である。
【
図6】アキュムレータまたは電気モータから各ホイールへの油圧力を制御するための油圧力供給弁を示す模式図の部分詳細図である。別の実施形態においては、ステアリングおよびトルクのベクタリング制御を実現するために個々のホイールに動力を配分するために使用可能なマルチウェイ分配弁への単一の油圧力供給。
【
図7】制動下で生成された油圧力をホイールポンプからアキュムレータに配分するための弁制御システムを示す詳細模式図である。
【
図9】断面
図A-A、B-B、C-C、F-F、およびG-Gの位置を示す、更には油圧弁入口/出口ポート構成を示す、パワーモジュールの側面図である。
【
図10】パワーモジュールの詳細断面A-Aを示す。断面D-Dの位置も示す。
【
図11】パワーモジュールの詳細断面B-Bを示す。断面E-Eの位置も示す。
【
図12】パワーモジュールの詳細断面C-Cを示す。
【
図13】パワーモジュールの詳細断面F-Fを示す。
【
図14】パワーモジュールの詳細断面G-Gを示す。
【
図15】冷却および油圧システムのための入口/出口ポートを示すパワーモジュールの詳細端面図を示す。
【
図16】パワーモジュール底面図を示す。断面H-Hの位置も示す。
【
図17】ポンプ/モータからの高圧供給のためのポートを示す、パワーモジュールの詳細断面D-Dを示す。
【
図18】ホイールポンプ/モータからの油圧供給および戻りを示すパワーモジュールの詳細断面E-Eを示す。
【
図19】電気油圧式駆動システム構成を示す、パワーモジュールの詳細断面H-Hを示す。
【
図20】主要構成要素の分散を示す三次元断面図である。
【
図21】明瞭化のために電気/油圧式駆動構成を示す詳細な三次元断面H-Hを示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下の説明においては、本発明の理解をもたらすために、非常に多くの詳細が記載されている。ただし、本発明はこれら詳細なしに実施され得ること、および記載の実施形態からの非常に多くの変形または修正が可能であること、を当業者は理解されるであろう。
【0032】
本発明は、一体化された電気/油圧式パワーモジュールと標準車両またはスポーツビークルにおけるその実際の実装とに関する。ただし、本発明の装置および方法は、本願明細書に記載されている特定の用途における使用に限定されるものではない。
【0033】
図1を全般的に参照すると、動力配分および制御手段として油圧力を使用する、完全に一体化された電気/油圧式パワーモジュールの模式図が示されている。
【0034】
モータ/油圧統合システムは、充電コントローラおよび制御システムによる制御に応じて、バッテリによって駆動される(または、双方向コンバータを介してバッテリを充電する)電気モータ/ジェネレータを含む。電気モータは、車両の各ホイールへの/からの油圧ラインを介して車両の各ホイールを制御するターボ機械に接続される。各ホイールは、油圧式フェールセーフABSシステムが組み込まれた可変油圧ポンプ/モータシステムによって駆動される。
【0035】
図1に示されているように、この一体化されたユニットは水冷式であり、熱を逃さないために断熱されている。熱回収システムも含まれ得る。この熱回収システムは、例えば、モータを駆動するために、または電力をバッテリに貯蔵するために、使用可能な(熱を電気に変換するためにペルティエ素子を使用し得る)有機ランキンサイクル熱-電気コンバータである。コンバータからの冷却された圧媒油は、その後、ハイブリッドユニット冷却システムによって、密閉型油圧リザーバを介して、モータ/油圧統合システムを取り囲んでいるウォータージャケットに還流され得る。
【0036】
図2は、システム内の主要回路とそれらの相互接続とを示す概略図である。すなわち、パワーモジュール、ホイール駆動および制動部、および一体化されたモータ/ジェネレータアセンブリのための入力/出力ポートへの一体化された制御弁および配分が示されている。
【0037】
図2を参照すると、動力および駆動システムの全体が示されている。その各サブシステムについては、それぞれ個別に説明する。更に
図3を参照すると、モータ/ジェネレータアセンブリ2が示されている。これらアセンブリは、パワーユニット内に一体化されたユニットであり、それぞれ独立に制御される。モータ/ジェネレータ1および2は、一体化された油圧モータ/ポンプ3、4を駆動する、またはこれらによって駆動される。これらは、クラッチ7および8を介して可能である。これにより、システムは、システムに動力を供給するために、バッテリまたは油圧アキュムレータに貯蔵されているエネルギーを利用できる。これにより、油圧制動用アキュムレータに貯蔵されている制動エネルギーによってバッテリを充電することもできる。
【0038】
アキュムレータを加圧するために、油圧または電気エネルギーを使用して、クラッチ9および10を介して、一体化されたコンプレッサ5および6を駆動することもできる。したがって、制御システムは、ユニット1~10を調節および起動することになる。
【0039】
モータリングモードにおいて、モータ/ジェネレータ1または2は、ポンプアセンブリ3および4を駆動する。
【0040】
ポンプアセンブリ3および4は、弁アセンブリ23、24、および25(
図6)を介して、ホイールを直接駆動することも、アキュムレータシステムを加圧することもできる。どちらの場合も、各ホイールを駆動するモータ/ポンプユニットに動力を供給できる。
【0041】
図3を参照すると、バッテリを充電するために制動用アキュムレータからの動力を使用するジェネレータとして、ポンプ/モータアセンブリ3および4のモータ構成を介して、クラッチ7および8(
図2を参照)および弁11~14を介して、モータ/ジェネレータを駆動するためのシステムの模式図が示されている。あるいは、他の諸用途のための油圧力を供給するために、ポンプ/モータアセンブリ3および4(
図2)のポンプ構成を使用する。2つのモータ/ジェネレータシステムは互いに独立しており、利用可能なアプリケーションと構成とは何れの時点においても制御システムによって設定される。一方のモータ/ジェネレータが圧媒油を加圧するために動作する一方で、もう一方のモータ/ジェネレータはバッテリを充電するために働く。あるいは、両モータ/ジェネレータが同時に圧媒油を加圧し得る、または同時にバッテリを充電するためにジェネレータとして機能し得る。
【0042】
モータ/ジェネレータM/G1は、モータとして駆動されると、ポンプから分流弁を介してホイール駆動部またはアキュムレータのどちらかに供給される圧媒油を加圧するために、一体化された油圧モータ/ポンプ3を駆動する。代わりに、または加えて、加圧された圧媒油をアキュムレータから方向弁13、圧力解放弁11、および逆流防止弁12を介してホイール駆動部に供給できる。リザーバが方向弁14を介して油圧モータ/ポンプ3に連通している。方向弁14は、流体をどちらかの方向に、および逆流防止弁12を介してホイール駆動部またはアキュムレータに、流すことができる。
【0043】
モータ/ジェネレータM/G2は、第2の弁セットと、モータ/ジェネレータM/G1と同じようにセットアップされた油圧モータ/ポンプ4とによって、ホイール駆動部、アキュムレータ、およびリザーバに接続されている。
【0044】
図4を参照すると、一方では、ホイールモータ/ポンプおよび制動システムへの、およびこれらからの、他方では、弁15、16、および17を使用した、アキュムレータ、制動用アキュムレータ、および/または油圧モータ/ポンプ3、4への、およびこれらからの、油圧駆動を制御するための模式図が示されている。これら弁のための構成は、車両制御システムによって設定される。
【0045】
図5を参照すると、車両制御システムによって設定されたシステム要件に応じて、弁18、19、20、21、および22を介して、クラッチ7、8、9、および10(
図2に図示)の作動を制御するための模式図が示されている。クラッチの作動は、理想的には、アキュムレータからの加圧流体によって行われる。
【0046】
図6を参照すると、車両制御システムによって設定されたシステム要件に応じて、各ホイールに直接、またはアキュムレータシステムを介して、動力を供給するために、弁23、24、および25を介して油圧ポンプM/G1およびM/G2(
図2を参照)によって駆動されるポンプ3および4からの油圧力配分を制御するための模式図が示されている。
【0047】
図7を参照すると、ホイールポンプ/モータからの戻り流を制御する各弁を示す模式図が示されている。弁26は、車両制御システムによって設定されたシステム要件に応じて、制動用ポンプからの流れを、弁27および28を介して、アキュムレータに向かわせる、または駆動部からの戻り流を、熱回収システムを介して、リザーバに向かわせる。
【0048】
制動中、動力は、各ホイールからホイール搭載モータ/ポンプユニットを介して取り出される。制動中にホイール搭載モータ/ポンプユニットが発生させた流れおよび圧力は、制動用アキュムレータに貯蔵される。貯蔵されたエネルギーは、アキュムレータに保持することも、主モータ/ポンプアセンブリ(
図2を参照)の駆動に使用することもできる。生成された電力は、バッテリを充電するために、双方向コンバータによって処理される。貯蔵かバッテリ充電かを選択するロジックは、走行状態および車両レンジを最適化するために設定される。エネルギー貯蔵の最適制御のためのロジックは、車両制御システムに埋め込まれている。
【0049】
双方向コントローラは、バッテリから引き出された電力をモータ/ジェネレータのための必要な入力に変換する。この変換は、バッテリおよびモータに依存するが、例えば、スイッチドDCモータのための多相入力へのDCバッテリ出力の変換を制御することもできる。同様に、双方向コントローラは、モータ/ジェネレータ(またはアキュムレータのコンプレッサ)からの充電電流エネルギーを制御してバッテリに貯蔵されるようにする。
【0050】
図8および
図9を参照すると、パワーモジュールの全体が示されている。これらの図は、基本的な接続のための主要ポートのうちの一部と、以下の各図に示されている断面とを示している。パワーモジュールは、モータ/ジェネレータM/G1およびM/G2と油圧モータ/ポンプ3、4、ならびに油圧システムへの接続部を収容する。これら接続部は、油圧供給入口ポート、油圧弁アセンブリ、油圧入口/出口ポート、冷却システム入口、および油圧および戻りポートを含む。これらについては、以下に更に説明する。
【0051】
図10を参照すると、パワーモジュールの断面A-Aの正投影図と、この断面に関連する主要構成要素のうちの一部の位置と、断面D-Dの位置とが示されている。
【0052】
パワーモジュールアウターケーシングは、モータ/ジェネレータM/G1およびM/G2と、油圧モータ/ポンプと、方向弁とを収容する。2つの電気モータ/ジェネレータロータは、同軸に直列に都合よく配置され、独立に動作可能である。パワーモジュールアウターケーシングハウジングは、鞍状部分によってモータ/ジェネレータロータの直径を収容するために好都合な形状を有するが、各弁アセンブリは、このハウジング厚さを必要としない。電気モータ/ジェネレータは、アウターステータと、センターベアリングサポートに搭載されたインナーロータとを都合よく有し、円筒形の電気モータ/ジェネレータアウターケーシングに収容される。モータ/ジェネレータ冷却用ジャケットが電気モータ/ジェネレータアウターケーシングを取り囲み、冷却用流体が冷却用ジャケット移送ポートを通して供給されて循環する。弁システムは、パワーモジュールアウターケーシングの側方部分に位置する。弁システムも弁システム冷却用ジャケットを有する。圧力を供給する各モータ/ジェネレータ用の4つの油圧コモンレールと戻りポートとがパワーモジュールの長軸に沿って延び、これらレールと各モータ/ジェネレータとの間にパーティション29(
図17に図示)を有するので、各レールの穴の出口は、他の図に示されているように、ケーシングの両端にある。パーティション29の代わりに、弁を通してこれらレールを組み合わせることもできる。
【0053】
図11を参照すると、パワーモジュールの断面B-Bの正投影図が示されている。この図は、冷却用ジャケット移送ポートの位置と断面E-Eの位置とを示している。
【0054】
図12を参照すると、パワーモジュールの断面C-Cの正投影図が示されている。この図は、この断面に関連する(この図では、下側の2つの油圧レールとの連通を制御する)油圧弁システム用の移送ポートの位置を示している。
【0055】
図13を参照すると、パワーモジュールの断面F-Fの正投影図が示されている。この図は、この断面に関連する(この図では、上側の2つの油圧レールとの連通を制御する)油圧弁システム用の移送ポートの位置を示している。
【0056】
図14を参照すると、パワーモジュールの断面G-Gの正投影図が示されている。この図は、一方のポンプ/モータ用の入口/出口ポートの位置を示している。このポンプ/モータは、下側の2つの油圧レール内の流体を加圧する。あるいは、これら油圧レールは、バッテリを再充電するための電力を発生させるために、モータ/ジェネレータを作動させることができる。
【0057】
図15を参照すると、パワーモジュールの正投影端面図が示されている。この図は、油圧コモンレールの入口/出口ポートおよび冷却システムの入口ポートの位置を示している。
【0058】
図16を参照すると、パワーモジュールの正投影底面図と断面H-Hとが示されている。
【0059】
図17を参照すると、パワーモジュールの断面D-Dが示されている。この図は、ポンプ/モータに対する弁システムからの圧力供給および戻り流オプションを示している。
【0060】
モータ/ジェネレータアセンブリ1、2は、パワーユニットに沿って軸線方向に延びる油圧レール(ここでは、下側のレール)からの加圧流体を供給する、または取り込む、ために、一体化されたコンプレッサ5および6と油圧モータ/ポンプ3、4とを駆動する、またはこれらによって駆動される。(一般に両端にある)複数の遮断弁が弁システム内の流れの方向を制御する。内部の各弁がパワーユニットの側面から離れたホイール駆動部への、またはこれらからの、油圧力配分を制御する。冷却用ジャケットへの供給は、冷却システム入口から行われる。出口は反対側の端部にある。
【0061】
図18を参照すると、パワーモジュールの断面E-Eが示されている。この図は、各ホイール駆動部への、およびこれらからの、油圧戻り配分を制御するための内部弁システムのオプションを示している。上側の油圧レールから取られたこの断面図では、更なる内部弁システムが各ホイール駆動部への、およびこれらからの、油圧配分を制御する。一体化されたコンプレッサ5および6のために、ポンプ/モータ入口/出口プレナムチャンバが設けられている。これらポンプ/モータ入口/出口プレナムチャンバは、クラッチ7および9とクラッチ6および10とを介して、モータ/ジェネレータアセンブリ1、2に係合する。
【0062】
図19を参照すると、パワーモジュールの断面H-Hの正投影図が示されている。この図は、冷却システムの貫流と、油圧ポンプ/モータ供給/戻り流オプションの位置と、この断面に関連する主要構成要素のうちの一部の位置とを示している。
【0063】
図20を参照すると、パワーモジュールの半透過三次元図が示されている。この図は、主要構成要素の分散を示している。
【0064】
図21を参照すると、パワーモジュールの断面H-Hの三次元図が示されている。この図は、主要構成要素の分散と、ポンプ/モータおよびコンプレッサユニットに対するクラッチ駆動構成とを示している。
【0065】
本願明細書に記載のシステムは、2つのモータ/ジェネレータを含む。本設計によるケーシング内の単一のモータ/ジェネレータによって電気/油圧式車両を駆動することも可能であろう(ケーシングの弁および油圧レールが適切に改造されている場合)。2つのモータ/ジェネレータを含むと、特に定速巡航時に、単一モータの使用が可能になり、効率を向上させることになる。このとき、第2のモータ/ジェネレータは、必要であれば、小さな偏差のために起動可能であろう。特に、第2のモータ/ジェネレータの油圧ポンプは、第1のモータ/ジェネレータが一定の動力を供給しているときに、自動車を加速するために(特に自動車の巡航中、加速要求が短時間で一時的であるとき)追加の動力を供給できる。逆に、自動車の減速中は、第2のモータ/ジェネレータを使用して、油圧システムおよび回生制動から過剰エネルギーを回収できる(この場合も、特に自動車の巡航中、制動または減速時間は短時間で一時的であり得る)。
【0066】
制動時、油圧力の増大が急速過ぎて第2のモータ/ジェネレータが過剰圧力を直ちに電気に変換できず、バッテリの充電に使用できないこともあり得る。この場合、第2のモータ/ジェネレータが加圧流体をバッテリの充電に使用できるようになるまで、加圧流体をアキュムレータに貯蔵できる。これにより、より滑らかな充電および放電が可能になるので、取り込まれる回生電力の増加、およびバッテリ寿命の延伸、が可能になる。
【0067】
アキュムレータは、加圧流体によるエネルギーの供給または貯蔵の過渡的要求に特に敏感である。したがって、自動車の動作中は一方または両方のモータ/パワージェネレータの速度変化が最小になり、動作効率の向上および部品の摩耗の減少がもたらされるように、2つのモータ/ジェネレータおよびアキュムレータを作動させることができる。
【国際調査報告】