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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-15
(54)【発明の名称】流入流体分流器ポート
(51)【国際特許分類】
   C12M 1/00 20060101AFI20230308BHJP
   C12M 1/21 20060101ALI20230308BHJP
【FI】
C12M1/00 D
C12M1/21
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022540852
(86)(22)【出願日】2020-11-03
(85)【翻訳文提出日】2022-07-26
(86)【国際出願番号】 US2020058620
(87)【国際公開番号】W WO2021150288
(87)【国際公開日】2021-07-29
(31)【優先権主張番号】62/964,486
(32)【優先日】2020-01-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504115013
【氏名又は名称】イー・エム・デイー・ミリポア・コーポレイシヨン
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チャンチオロ,ジョーセフ
【テーマコード(参考)】
4B029
【Fターム(参考)】
4B029AA02
4B029BB01
4B029DA03
4B029DE08
4B029DF05
4B029DG06
4B029GB09
(57)【要約】
本開示の幾つかの実施形態は、バイオコンテナ又はバイオリアクタで用いる分流器であって、第1の表面と、第1の表面の反対側の第2の表面とを有する肩部と、肩部の前記第1の表面から延びる導管と、導管の第1の端部にある入口であって、第1の端部がコネクタを備える、入口と、導管の第1の端部の反対側の端部で入口と流体連通して、肩部の第2の表面内に形成される出口と、出口に隣接するフードであって、分流器が、バイオコンテナ又はバイオリアクタの側壁の下方に流体を導き、飛散又は泡立ち状態を減衰させることができる、フードと、を備える分流器を備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイオコンテナ又はバイオリアクタで用いる分流器であって、
第1の表面と、第1の表面の反対側の第2の表面とを有する肩部と、
肩部の第1の表面から延びる導管と、
導管の第1の端部にある入口であって、第1の端部がコネクタを具備する入口と、
導管の第1の端部の反対側の端部で入口と流体連通して、肩部の第2の表面内に形成される出口と、
出口に隣接するフードであって、分流器が、バイオコンテナ又はバイオリアクタの側壁の下方に流体を導き、飛散又は泡立ち状態を減衰させることができるフードと、
を備える分流器。
【請求項2】
分流器は、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン46、セルロース系、フェノール系、熱硬化性ポリエステル及び熱硬化性ポリウレタン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリフッ化ビニリデン、エチレン-テトラフルオロエチレン、ポリスルホン、又は、ポリエーテルスルホンのうちの1つから形成される、請求項1に記載の分流器。
【請求項3】
分流器がバイオコンテナ又はバイオリアクタの側壁に接合される、請求項1又は2に記載の分流器。
【請求項4】
バイオコンテナ又はバイオリアクタは使い捨てバイオコンテナ又はバイオリアクタを構成する、請求項1~3のいずれか一項に記載の分流器。
【請求項5】
バイオコンテナ又はバイオリアクタは多層プラスチックフィルムを備える、請求項1~4のいずれか一項に記載の分流器。
【請求項6】
バイオコンテナ又はバイオリアクタで用いる分流器であって、
第1の表面と、第1の表面の反対側の第2の表面とを有する肩部と、
肩部の第1の表面から延びる導管と、
導管の第1の端部にある入口であって、第1の端部がコネクタを具備する入口と、
導管の第1の端部の反対側の端部で入口と流体連通して、肩部の第2の表面内に形成される出口と、
出口に隣接して接合される偏向フィルムであって、分流器が、バイオコンテナ又はバイオリアクタの側壁の下方に流体を導き、飛散又は泡立ち状態を減衰させることができる、偏向フィルムと、
を備える分流器。
【請求項7】
偏向フィルムは、バイオコンテナ又はバイオリアクタの側壁に部分的に接合される、請求項6に記載の分流器。
【請求項8】
分流器は、高密度ポリエチレン(HDPE)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン46、ポリスルホン、又は、ポリエーテルスルホンのうちの少なくとも1つを備える、請求項6又は7に記載の分流器。
【請求項9】
分流器の肩部は、バイオコンテナ又はバイオリアクタの側壁に接合される、請求項6~8のいずれか一項に記載の分流器。
【請求項10】
バイオコンテナ又はバイオリアクタが使い捨てバイオコンテナ又はバイオリアクタを構成する、請求項6から9のいずれか一項に記載の分流器。
【請求項11】
前記バイオコンテナ又はバイオリアクタは多層プラスチックフィルムを備える、請求項6~10のいずれか一項に記載の分流器。
【請求項12】
バイオコンテナ又はバイオリアクタであって、
上面、下面、及び、上面と下面との間に配置される側壁であって、液体を保持するための内容積が上面と下面との間に形成される、上面、下面、及び、側壁と、
側壁に配置される第1の分流器と、
側壁に配置される第2の分流器と、
1つ以上の流体出口と、
を備えるバイオコンテナ又はバイオリアクタ。
【請求項13】
第1の分流器又は第2の分流器は、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン46、セルロース系、フェノール系、熱硬化性ポリエステル及び熱硬化性ポリウレタン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリフッ化ビニリデン、エチレン-テトラフルオロエチレン、ポリスルホン、又は、ポリエーテルスルホンのうちの1つから形成される、請求項12に記載のバイオコンテナ又はバイオリアクタ。
【請求項14】
バイオコンテナ又はバイオリアクタは多層プラスチックフィルムを備える、請求項12又は13に記載のバイオコンテナ又はバイオリアクタ。
【請求項15】
第1の分流器又は第2の分流器はバイオコンテナ内又はバイオリアクタ内の流体レベルの上方に配置される、請求項12~14のいずれか一項に記載のバイオコンテナ又はバイオリアクタ。
【請求項16】
バッフルを更に備える、請求項12~15のいずれか一項に記載のバイオコンテナ又はバイオリアクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、その全体が参照により本願に組み入れられる、2020年1月22日付けの米国仮特許出願第62/964,486号明細書の優先権の利益を主張する。
【0002】
この開示は、バイオコンテナ内又はバイオリアクタ内の生体液の送達、混合及び/又はバイオマニュファクチャリングに関する。より詳細には、バイオコンテナ及びバイオリアクタと共に使用するための流体分流器が開示される。
【背景技術】
【0003】
生体液は、バイオプロセス産業において溶液中で処理される。プロセスは、例えば、生体液の植物系及び動物系の細胞及び関連する治療に使用するための所望の生成物、例えば細胞、ウイルス、キャプシド、モノクローナル抗体、抗体薬物複合体、及び不活化ウイルスの生成及び細胞培養を含む。処理中、化学物質、試薬、緩衝液、アジュバント、加工助剤などが生物学的溶液に添加される。しかしながら、これらの添加は、一般に、流体レベルを超えて送達され、飛散効果をもたらす。飛散は、生体液の望ましくない泡立ち及び/又は曝気を生じさせ、消泡剤の送達の必要性をもたらす可能性がある。
【0004】
バイオリアクタに流体を送達するための過去の試みは、底部に隣接して、すなわち、流体液位よりも下方に位置されるポートの使用を、それと流体連通するポンプと併せて含んできた。しかしながら、生体液と接触する全ての構成要素は無菌である必要がある。各使用後にポンプを滅菌することは、高価な作業であり、故障モードが多い。更に、ポンプは、一度使用して廃棄するには高価すぎる。また、分流器が浸漬された入口で使用される場合には、バイオリアクタ内に「デッド」スポット、すなわち、液体が混合しないように過度に隔離される領域が形成され、したがって、溶解しないで沈降する任意の成分は溶解しないままである傾向がある。更に、入口ポートは、導管に取り付けられた出口ポートに隣接する傾向があり、この場合、導管は、出口ポートとバイオリアクタの外側のバルブとの間に配置される。溶解していない成分が導管内に不都合に集まり、試薬の浪費及び生物学的溶液の濃度変動をもたらす可能性がある。2つの流体をバイオリアクタの底部に送達しなければならない場合、2つの分流器、並びに、底部付近に配置されたバッフルが必要となり、それにより、停滞領域が生じる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
飛散又は曝気状態を作り出すことなく、流体レベルを超えて保持液、試薬、緩衝液、化学物質などをバイオコンテナ又はバイオリアクタに迅速に送達することを可能にし、前述の技術の制限を克服する分流器は、当技術分野の進歩に相当する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の幾つかの実施形態は、バイオコンテナ又はバイオリアクタで用いる分流器であって、第1の表面と、第1の表面の反対側の第2の表面とを有する肩部と、肩部の前記第1の表面から延びる導管と、導管の第1の端部にある入口であって、第1の端部がコネクタを具備する入口と、導管の第1の端部の反対側の端部で入口と流体連通して、肩部の第2の表面内に形成される出口と、出口に隣接するフードであって、分流器が、バイオコンテナ又はバイオリアクタの側壁の下方に流体を導き、飛散又は泡立ち状態を減衰させることができる、フードと、を具備する分流器を備える。
【0007】
本開示の幾つかの実施形態は、バイオコンテナ又はバイオリアクタで用いる分流器であって、第1の表面と、第1の表面の反対側の第2の表面とを有する肩部と、肩部の前記第1の表面から延びる導管と、導管の第1の端部にある入口であって、第1の端部がコネクタを具備する入口と、導管の第1の端部の反対側の端部で入口と流体連通して、肩部の第2の表面内に形成される出口と、出口に隣接して結合される偏向フィルムであって、分流器が、バイオコンテナ又はバイオリアクタの側壁の下方に流体を導き、飛散又は泡立ち状態を減衰させることができる、偏向フィルムとを備える分流器を備える。
【0008】
本開示の幾つかの実施形態は、任意選択的に、使い捨てバイオコンテナ又はバイオリアクタで用いる複数の分流器を備える。
【0009】
これら及び他の対策は、以下の説明、特許請求の範囲、及び、図面から明らかになる。本開示の様々な利点、態様、新規な及び発明的特徴、並びに、その典型的な実施形態の詳細は、以下の説明及び図面からより完全に理解される。したがって、本明細書に開示される特徴を詳細に理解できる態様、上記で簡単に要約された本開示の実施形態のより具体的な説明は、添付図面を参照することによって得ることができる。しかしながら、添付図面は、この開示の単なる典型的な実施形態を示すにすぎず、したがって、記載された実施形態が他の等しく有効な分流器を許容できるため、その範囲を限定するものと見なされるべきでないことに留意すべきである。また、1つの実施形態の要素及び特徴を更なる列挙を伴わずに他の実施形態に見出すことができ、想定し得る場合には、図に共通する同等の要素を示すために同一の参照番号が使用されていることも理解されるべきである。本明細書で使用される単数形「1つ(a)」、「1つ(an)」及び「その(the)」は、文脈が別段に明確に指示しなければ、複数の指示対象を含む。別段に規定されなければ、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、これらの実施形態が関係する当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。また、本明細書で使用される以下の用語は、文脈が別段に指示しなければ、以下の定義に従う。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1A】本開示の実施形態に係る分流器の正面図を示す。
図1B】本開示の実施形態に係る図1Aの分流器の右側平面図を示す。
図1C図1Aの分流器の後面図を示す。
図1D】本開示の実施形態に係る図1Aの分流器の下方斜視図を示す。
図1E】本開示の実施形態に係る図1Aの分流器の下面斜視図を示す。
図2A】本開示の実施形態に係る分流器の第2の実施形態の正面平面図を示す。
図2B】本開示の実施形態に係る図2Aの分流器の第2の実施形態の側平面図を示す。
図3】本開示の幾つかの実施形態に係る図1A又は図2Aの分流器のいずれかを備えるバイオコンテナを示す。
図4】本開示の幾つかの実施形態に係る複数の分流器及び可撓性フィルムバッフルを備えるバイオコンテナを示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1Aは、本開示の実施形態に係る分流器100の正面平面図を示す。分流器100は、肩部105の内面124から延びるフード102を備える。また、バーブコネクタの端部の入口を通じて供給される、以下で説明される、流体を送達するための導管の内径110が隠れ線で示される。図示のように、分流器100は円形であるが、実際には、分流器100は、任意の適切な形状、すなわち、正方形、矩形等とすることができる。
【0012】
図1Bは、本開示の実施形態に係る図1Aの分流器100の右側平面図を示す。分流器100は、内面124の反対側である外面122から延びる導管106の遠位端部にバーブコネクタ104を備える。分流器100は、入口108と流体連通する出口112を更に備える。
【0013】
図1Cは、図1Aの分流器100の後面図を示す。バーブコネクタ104は、面取りされた表面を有し、入口108を示す。図1Dは、本開示の実施形態に係る図1Aの分流器100の下方斜視図を示す。フード102は、内面124から延びるとともにフード102の下方に出口112を有して示されており、フード102は、出口118を通じて供給される液体を偏向させる。図1Eは、本開示の実施形態に係る図1Aの分流器100の下面斜視図を示す。図示のように、フード102は、内面124から延びるとともに、出口118から距離Dである。出口118は、導管106の内径110と流体連通していることが示される。分流器100は、高密度ポリエチレン(HDPE)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン46、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、及び、バイオプロセス産業で一般に使用される、すなわち、当業者に知られている、蒸気処理又はアルコール溶液滅菌プロセスによる他の滅菌可能なポリマーから形成されてもよい。ガンマ線滅菌プロセスが、ガンマ安定性のポリマー、例えばHDPEのために使用されてもよい。分流器100は、例えば射出成形プロセスを使用して製造されてもよく、単一の一体部品であってもよく、すなわち、単一の射出成形プロセスを介して成形されてもよい。幾つかの実施形態において、分流器は、様々な材料で付加製造(3Dプリンティング)により製造することもできる。幾つかの実施形態において、分流器100は、単一のストック部品、すなわち、プラスチック、セラミック、又は、金属から機械加工される。また、分流器100は、接着剤又は熱かしめプロセスによって接合される複数の部品であってもよい。入口108で分流器100に入る流体が出口112で分流器100から出ることが理解されるべきである。出口112は、流体がバイオコンテナ又はバイオリアクタの側壁と平行に流れる及び/又は導かれるように方向付けられ、流体はバイオコンテナの側壁を流れ落ちる。上記に示されるように、流体は、バイオコンテナ内又はバイオリアクタ内の流体レベルよりも上方で出口112から出ると、側面114に沿って流れ、この場合、飛散又は泡立ちが低減又は排除される。分流器100は、接着剤、熱かしめ、接合、又は、他の結合方法などで、外面122に沿ってフィルムに接着されてもよい。幾つかの実施形態において、接合は、フィルム及び分流器100を取り囲み、すなわち、360°の接合領域である。
【0014】
図2Aは、本開示の実施形態に係る分流器200の第2の実施形態の正面平面図を示す。図2Aは、壁210を備える、バイオリアクタの内側からの、例えばフィルムの内面220からの正面図を示す。分流器200は、壁210に組み込まれているものとして示され、すなわち、壁210は、バイオコンテナ又はバイオリアクタの構成要素であってもよい。図2Aは、分流器200を部分的に断面で示す。接合部230がフィルム間接合を示す。壁210のフィルムには偏向フィルム216が結合される。接合部216は、連続的な接合を形成しない、すなわち、円周方向又は360°の接合を形成しない。図示のように、接合部230は約300°の接合領域を備える。非接合部240では、導管を横切って通過して出口212から出る液体は、偏向フィルム216に接触し、その後、方向Fに流れる。図示のように、非接合領域は、出口212の直径の幅の約2倍である。実際には、非接合領域240は、例えば、出口212の直径と同じ幅又は直径の3倍又は4倍とすることができる。非接合部240は、流体がバイオコンテナの側壁を流れ落ちることができるように出口212の下方に位置される。
【0015】
壁210は、使い捨てバイオコンテナ/バイオリアクタの壁であってもよく、例えば、壁210は、当業者に知られているようにプラスチックフィルムを備える。また、分流器200は、ステンレス鋼タンクに恒久的に組み込まれてもよく、又は、ステンレス鋼タンクに取り外し可能に接合されて一回以上の使用後に廃棄されてもよい。幾つかの実施形態では、壁210及び偏向フィルム216は同じ材料を備える。一般に、バイオリアクタは、内面220が生細胞に対して非毒性であり、且つ化学抽出物を殆ど又は全く放出しないポリエチレンである多層積層体を備える。
【0016】
図2Bは、本開示の実施形態に係る図2Aの分流器200の第2の実施形態の側面図を示す。上記のように、分流器100に対して、分流器200は、肩部252で終端する内径110を有する導管106の遠位端部にあるバーブコネクタ104及び入口108と、バイオリアクタ又はバイオコンテナのフィルム214に接合される外面250とを備える。
【0017】
図3は、本開示の幾つかの実施形態に係る、図1A又は図2Aの分流器100,200のいずれかを備えるバイオコンテナ300の外観図を示す。バイオコンテナ300は、上側入口302及び出口304を備える。また、バイオコンテナ300は、側壁310上に分流器100、200をも備え、分流器100,200は、バーブコネクタ104及び入口108を介して、当業者に知られているように、生体液、生物学的加工助剤、緩衝溶液、アジュバント溶液、又は、バイオプロセスで使用される他の流体などの流体を送達するために、流体レベル314の上方に配置される。
【0018】
図4は、本開示の幾つかの実施形態に係る、複数の分流器100,200及び可撓性フィルムバッフル324を備えるバイオコンテナ400を示す。本明細書に開示される可撓性フィルムバッフルは、その全体が参照により組み入れられる米国特許出願公開第2016/0040113号明細書に記載される。幾つかの実施形態によれば、ディスポ又は使い捨てコンテナなどの下面318、上面316、及び、側壁310を有するコンテナ400であって、内容積330を有し、任意選択的に、1つ以上の入口302及び1つ以上の分流器100,200と、1つ以上の出口304と、ミキサとを有する、コンテナ400が記載され、ミキサは、コンテナに収容され又は加えられる1つ以上の成分の混合及び分散を引き起こすために、駆動装置334とコンテナと関連付けられた攪拌機332とを備える。駆動装置334はシャフトレスドライブであってもよく、攪拌機は磁石(図示せず)及びブレード336を備える。幾つかの実施形態によれば、コンテナ400は、混合を改善するためにコンテナ400内に成形され且つ配置される可撓性バッフル324を含む。バッフル324は、ミキサによって形成される渦を破壊する又は渦の形成を防止するようにコンテナ内に位置され、バッフル324は、バイオコンテナ400の内容積330内に収容された流体から突出する。渦の形成は、不十分な混合の停滞ゾーンを引き起こす場合があり、多くの場合、単一の攪拌機と関連付けられる。渦形成を抑制するために、第1の対角部材322と、第1の対角部材と向かい合う第2の対角部材320とを有する可撓性バッフル324が付加されることができる。図示のように、第2の対角部材320は、第1の対角部材322の前方に配置される。実際には、第1の対角部材322と第2の対角部材320とは一体であってもよい。幾つかの実施形態では、第1の対角部材322と第2の対角部材320の両方が、内容積330の中心点を通過してもよい。幾つかの実施形態では、第1の対角部材322及び第2の対角部材320が中心点を通過しなくてもよい。ミキサの位置は、渦が形成され得る場所を決定付けることができる。例えば、ミキサ自体が側壁310に近い場合には、渦が側壁310に近く形成される可能性がある。したがって、下面318から上面316まで延在する対角部材320,322を有するバッフル324を設けることにより、流体レベル314に関係なく形成される渦の破壊が必然的に可能になる。上記のように、バイオコンテナ400は、生体液、生物学的加工助剤、緩衝液、アジュバント溶液、又は、当業者に知られているようなバイオプロセスで使用される他の流体などの流体を送達するために流体レベル314の上方に配置される側壁310上の複数の分流器100,200も備え、この場合、分流器100,200は、ポートに入る任意の流体が側壁310を流れ落ちることができるようにし、それにより、任意の潜在的な飛散又は泡立ち状態を減衰させる。図示のように、バイオコンテナ400は複数の分流器100,200を備える。また、バイオコンテナ300が複数の分流器100,200を備えてもよいことが理解されるべきである。複数の分流器100,200を設けることにより、複数の液体をバイオコンテナ400の内容積330に送達することができる。例えば、幾つかの灌流又は接線流濾過プロセスは、濾過ステップ後の保持流体の再循環を含み、この場合、保持流体は、バイオコンテナ400から引き出され、その後、濾過ステップ後に分流器100,200のうちの1つを介してバイオコンテナ400に送達される。同様に、緩衝液又はアジュバント溶液が、分流器100,200のうちの1つ以上を通じてバイオコンテナ400に送達されることができる。
【0019】
分流器100,200は、高密度ポリエチレン(HDPE)、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン46、ポリエーテルスルホン、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)又はそれらのコポリマーもしくはブレンド、及びバイオプロセス産業で一般に使用される他の滅菌可能なポリマーから形成されてもよい。分流器100,200は、例えば、射出成形プロセス、機械加工プロセス、フライス加工プロセス、3Dプリンティングなどを使用して製造されてもよい。幾つかの実施形態において、分流器100,200は、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、セルロース系、フェノール系、熱硬化性ポリエステル及び熱硬化性ポリウレタン、ポリエチレンテレフタレート、又はポリブチレンテレフタレート、ポリフッ化ビニリデン、エチレン-テトラフルオロエチレン、並びに、それらのコポリマー又はブレンドを備える。
【0020】
任意のバイオコンテナ又はバイオリアクタは、任意選択的に複数の入口、したがって任意選択的に複数の分流器を有してもよいことに留意すべきである。更に、任意選択的に、分流器がプラスチックから形成され、また、全ての角部等が丸みを帯びているので、分流器が出荷前にバイオリアクタ又はバイオコンテナに接合される場合、分流器がバイオリアクタ又はバイオコンテナを穿刺又は摩耗するリスクが最小限に抑えられることに留意すべきである。そのような形態は、輸送中又は輸送後にバイオリアクタ/バイオコンテナが無菌性を損なうことを更に防止する。分流器100,200及びその他のありとあらゆる実施形態は、従来技術に対して多くの進歩を有することが更に理解されるべきである。本明細書に記載される分流器のいずれも、様々な流体の添加を安定して制御するために様々な管、ポート、コネクタに対応するように、様々なサイズ、例えば、外部サイズ、導管の内径、様々なサイズのコネクタ、様々なコネクタスタイルなどにスケーリングされることができる。
【0021】
本明細書に列挙される構成の全ての範囲は、それらの間の範囲を含み、終点を含むか又は除外することができる。任意選択的に含まれる範囲は、その間の整数値(又は1つの元の終点を含む)からのものであり、列挙された大きさの程度又は次のより小さい程度であり、例えば、より低い範囲値が0.2である場合、任意選択的に含まれる終点は、0.3、0.4、・・・1.1、1.2など、並びに1、2、3などとすることができる。より高い範囲が8である場合、任意選択の含まれる終点は、7、6など、並びに7.9、7.8などとすることがでlきる。3以上などの片側境界も同様に、列挙された程度又は1つ下の整数値から始まる一貫した境界(又は範囲)を含む。例えば、3以上は、4又は3.1以上を含む。
【0022】
この明細書の全体にわたって、「1つの実施形態」、「1つ以上の実施形態」、「幾つかの実施形態」、又は「一実施形態」への言及は、実施形態に関連して説明される特徴、構造、材料、又は、特性が本開示の少なくとも1つの実施形態に含まれることを示す。したがって、この明細書の全体にわたって、「1つ以上の実施形態では」、「特定の実施形態では」、「1つの実施形態では」、「幾つかの実施形態では」、又は、「一実施形態では」などの語句の出現は、必ずしも同じ実施形態を指しているわけではない。それにもかかわらず、本明細書中に記載される任意の特徴を本明細書に開示される任意の実施形態に組み入れることができることが理解されるべきである。
【0023】
この明細書で引用される特許出願、特許、及び、非特許参考文献の刊行物の一節は、あたかも各刊行物又は参考文献が完全に記載されているものとして参照により本願に組み入れられるように具体的且つ個別的に示されているかのように、その全体が参照により本願に組み入れられる。この出願が優先権を主張する特許出願も参照によりその全体が組み入れられる。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図2A
図2B
図3
図4
【国際調査報告】