(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-15
(54)【発明の名称】免疫細胞関与効果を調節するための手段および方法
(51)【国際特許分類】
A61K 39/395 20060101AFI20230308BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20230308BHJP
C07K 16/46 20060101ALI20230308BHJP
C12N 1/15 20060101ALI20230308BHJP
C12N 1/19 20060101ALI20230308BHJP
C12N 1/21 20060101ALI20230308BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20230308BHJP
C12N 15/13 20060101ALI20230308BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20230308BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230308BHJP
【FI】
A61K39/395 E
C12N15/63 Z ZNA
C07K16/46
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C12N15/13
A61K39/395 U
A61K39/395 T
A61P35/00
A61P43/00 105
A61P43/00 111
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022541676
(86)(22)【出願日】2021-01-28
(85)【翻訳文提出日】2022-07-05
(86)【国際出願番号】 NL2021050051
(87)【国際公開番号】W WO2021154073
(87)【国際公開日】2021-08-05
(32)【優先日】2020-01-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510340757
【氏名又は名称】メルス ナムローゼ フェンノートシャップ
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ピーテル・フォッコ・ファン・ロー
(72)【発明者】
【氏名】マーク・スロスビー
【テーマコード(参考)】
4B065
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA93X
4B065AB01
4B065AC14
4B065AC15
4B065BA02
4B065CA25
4B065CA44
4C085AA13
4C085AA14
4C085AA16
4C085DD62
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4C085EE03
4H045AA10
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA40
4H045CA42
4H045DA76
4H045EA28
4H045FA74
4H045GA26
(57)【要約】
本発明は、第1の腫瘍抗原(TA1)に結合する第1の可変ドメイン、第2の腫瘍抗原(TA2)に結合する第2の可変ドメイン、および免疫細胞関与抗原(IEA)に結合する第3の可変ドメインを含む多価抗体を含む組成物に関し、この組成物は、TA1またはTA2に結合する第2の結合分子をさらに含む。本発明はまた、多価抗体および第2の結合分子を含む部分のキット、ならびにがんの治療を必要とする対象に多価抗体および第2の結合分子を投与することを含む、がんの治療のための手段および方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療用組成物であって、第1の腫瘍抗原(TA1)に結合する第1の可変ドメイン、第2の腫瘍抗原(TA2)に結合する第2の可変ドメイン、および免疫細胞関与抗原(IEA)に結合する第3の可変ドメインを含む多価抗体を含み、前記組成物が、TA1またはTA2に結合する第2の結合分子をさらに含む、治療用組成物。
【請求項2】
前記多価抗体が、Fc領域を含む、請求項1に記載の治療用組成物。
【請求項3】
免疫細胞関与抗原(IEA)に結合する前記第3の可変ドメイン、および第2の腫瘍抗原(TA2)に結合する前記第2の可変ドメインが、Fc領域と関連し、第1の腫瘍抗原(TA1)に結合する前記第1の可変ドメインが、免疫細胞関与抗原(IEA)に結合する前記第3の可変ドメインに連結される、請求項1または2に記載の治療用組成物。
【請求項4】
免疫細胞関与抗原(IEA)に結合する前記第3の可変ドメイン、および第1の腫瘍抗原(TA1)に結合する前記第1の可変ドメインが、Fc領域と関連し、第2の腫瘍抗原(TA2)に結合する前記第2の可変ドメインが、免疫細胞関与抗原(IEA)に結合する前記第3の可変ドメインに連結される、請求項1または2に記載の治療用組成物。
【請求項5】
前記第1、第2、および/または第3の可変ドメインが、共通の軽鎖可変領域を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の治療用組成物。
【請求項6】
免疫細胞関与抗原に結合する前記可変ドメインが、CD3、TCR-α鎖、TCR-β鎖、CD2、CD4、CD5、CD7、CD8、CD137、CD28、CD16、CD16A、CD64、OX40、CD27、CD40、ICOS、GITR、NKG2D、NKp46、NKp44、またはNKp30、好ましくはCD3、TCR-α鎖、TCR-β鎖、CD2、またはCD5、より好ましくはCD3に結合する、請求項1~5のいずれか一項に記載の治療用組成物。
【請求項7】
第1の腫瘍関連抗原(TA1)に結合する前記可変ドメインが、PD-L1、PD-L2、HVEM、CD47、B7-H3、B7-H4、B7-H7、またはSiglec-15、好ましくはPD-L1またはPD-L2、より好ましくはPD-L1に結合する、請求項1~6のいずれか一項に記載の治療用組成物。
【請求項8】
第2の腫瘍関連抗原(TA2)に結合する前記可変ドメインが、CLEC12AまたはEGFR、好ましくはEGFRに結合する、請求項1~7のいずれか一項に記載の治療用組成物。
【請求項9】
前記第1の腫瘍関連抗原(TA1)が、非腫瘍細胞上で発現される、請求項1~8のいずれか一項に記載の治療用組成物。
【請求項10】
前記第2の結合分子が、TA1に結合する、請求項1~9のいずれか一項に記載の治療用組成物。
【請求項11】
前記第2の結合分子が、二価の単一特異性抗体である、請求項1~10のいずれか一項に記載の治療用組成物。
【請求項12】
前記第2の結合分子が、前記多価抗体の前記第1の可変ドメインもしくは第2の可変ドメインのTA1もしくはTA2に対する結合親和性と同等である、それと等しい、またはそれよりも低いTA1またはTA2に対する結合親和性を有する、請求項1~11のいずれか一項に記載の治療用組成物。
【請求項13】
前記第2の結合分子が、低減されたエフェクタ-機能を有する、請求項1~12のいずれか一項に記載の治療用組成物。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか一項に記載の多価抗体および第2の結合分子を含む、部分のキット。
【請求項15】
請求項1~13のいずれか一項に記載の治療用組成物、および前記組成物を投与することを必要とする対象にそれを行うための説明書を含む、部分のキット。
【請求項16】
前記キットが、同時にまたは連続的に前記多価抗体および第2の結合分子を投与することを必要とする対象に、それを行うための説明書を含む、請求項14または15に記載の部分のキット。
【請求項17】
前記キットが、前記多価抗体を投与する前に、前記第2の結合分子を投与するための説明書を含む、請求項14~16のいずれか一項に記載の部分のキット。
【請求項18】
請求項1~13のいずれか一項に記載の多価抗体および第2の結合分子と、薬学的に許容される担体、希釈剤、または賦形剤と、を含む、薬学的組成物。
【請求項19】
非腫瘍細胞への前記多価抗体の結合を軽減もしくは低減するため、かつ/または前記多価抗体によって誘導された非腫瘍細胞の細胞殺滅を軽減もしくは低減するための、請求項1~13のいずれか一項に記載の多価抗体および第2の結合分子の組み合わせ、請求項1~13のいずれか一項に記載の多価抗体および第2の結合分子を含む組成物、請求項1~13のいずれか一項に記載の治療用組成物、請求項14~17のいずれか一項に記載の部分のキット、または請求項18に記載の薬学的組成物。
【請求項20】
薬剤として使用するための、請求項1~13のいずれか一項に記載の多価抗体および第2の結合分子の組み合わせ、請求項1~13のいずれか一項に記載の多価抗体および第2の結合分子を含む組成物、請求項1~13のいずれか一項に記載の治療用組成物、請求項14~17のいずれか一項に記載の部分のキット、または請求項18に記載の薬学的組成物。
【請求項21】
治療を必要とする対象、特にがんを有する対象の治療に使用するための、請求項1~13のいずれか一項に記載の多価抗体および第2の結合分子の組み合わせ、請求項1~13のいずれか一項に記載の多価抗体および第2の結合分子を含む組成物、請求項1~13のいずれか一項に記載の治療用組成物、請求項14~17のいずれか一項に記載の部分のキット、または請求項18に記載の薬学的組成物。
【請求項22】
がんの治療のための薬剤の製造における、請求項1~13のいずれか一項に記載の多価抗体および第2の結合分子の組み合わせ、請求項1~13のいずれか一項に記載の多価抗体および第2の結合分子を含む組成物、請求項1~13のいずれか一項に記載の治療用組成物、請求項14~17のいずれか一項に記載の部分のキット、または請求項18に記載の薬学的組成物の、使用。
【請求項23】
TA1またはTA2を発現する非腫瘍細胞への、請求項1~13のいずれか一項に記載の多価抗体の結合を軽減または低減するための方法であって、前記方法が、前記多価抗体と併せてTA1またはTA2に結合する、請求項1~13のいずれか一項に記載の第2の結合分子を使用することを含む、方法。
【請求項24】
前記非腫瘍細胞がTA1を発現し、前記第2の結合分子がTA1に結合する、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
TA1またはTA2を発現する非腫瘍細胞への前記多価抗体の結合が、前記第2の結合分子を使用しない方法において、TA1またはTA2を発現する非腫瘍細胞への前記多価抗体の結合と比較して低減される、請求項23または24に記載の方法。
【請求項26】
がんの治療の方法であって、前記方法が、
-それを必要とする対象に、請求項1~13のいずれか一項に記載の多価抗体を投与すること、および前記対象に、請求項1~13のいずれか一項に記載の第2の結合分子を追加で投与すること、
-それを必要とする対象に、請求項1~13のいずれか一項に記載の多価抗体および第2の結合分子を含む組成物を投与すること、または
-それを必要とする対象に、請求項1~13のいずれか一項に記載の治療用組成物を投与すること、または
-それを必要とする対象に、請求項18に記載の薬学的組成物を投与すること、を含む、方法。
【請求項27】
前記多価抗体および第2の結合分子が、単一の組成物として、または2つの別個の組成物として同時に投与される、請求項19~21のいずれか一項に記載の使用のための組み合わせ、組成物、治療用組成物、もしくは部分のキット、または請求項23~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記多価抗体が、前記第2の結合分子の前に投与される、請求項19~21のいずれか一項に記載の使用のための組み合わせ、組成物、治療用組成物、もしくは部分のキット、または請求項23~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記第2の結合分子が、前記多価抗体の前に投与される、請求項19~21のいずれか一項に記載の使用のための組み合わせ、組成物、治療用組成物、もしくはキット、または請求項23~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
請求項1~13のいずれか一項に記載の多価抗体の前記第1、第2、および第3の可変ドメインの重鎖可変領域をコ-ドする核酸を含むベクタ-であって、前記ベクタ-が、請求項1~13のいずれか一項に記載の第2の結合分子の前記重鎖可変領域をコ-ドする異なる核酸をさらに含む、ベクタ-。
【請求項31】
請求項1~13のいずれか一項に記載の多価抗体の前記第1、第2、および第3の可変ドメインの重鎖可変領域をコ-ドする核酸を含む宿主細胞であって、前記宿主細胞が、請求項1~13のいずれか一項に記載の第2の結合分子の前記重鎖可変領域をコ-ドする異なる核酸をさらに含む、宿主細胞。
【請求項32】
前記宿主細胞が、請求項1~13のいずれか一項に記載の多価抗体の前記第1、第2、および第3の可変ドメインの前記軽鎖可変領域、ならびに第2の結合分子の前記軽鎖可変領域をコ-ドする核酸をさらに含む、請求項31に記載の宿主細胞。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象における免疫細胞を活性化する手段および方法、ならびに免疫細胞関与結合分子を用いて対象におけるがんを治療する方法に関する。一態様では、本発明は、2つ以上の結合分子を含む組成物に関し、第1は、免疫細胞活性化分子に結合する可変ドメイン、および2つの腫瘍抗原(TA1およびTA2)に結合する2つの可変ドメインを有する多価抗体である。第2の結合分子は、TA1またはTA2に結合する結合分子である。本発明はまた、当該抗体を含む部分のキット、および当該結合分子を用いてがんを治療するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
がんは、依然として主要な死因の1つである。様々な第一線での治療の進歩は、ある特定の適応症および患者集団における治療および生存率の改善をもたらした。有望な方向は、腫瘍標的化療法の開発である。腫瘍に指向された抗体は、いくつかの方法で、腫瘍の成長および継続的な存在を妨害することができる。いくつかは、腫瘍を標的とし、宿主の免疫系が腫瘍細胞を破壊することができるようにそれをマ-クする。いくつかは、がん状態に関連するシグナル伝達経路を標的とする。他は、腫瘍細胞または腫瘍細胞を宿主とする環境に対して宿主免疫系から隠れるかまたは下方調節する腫瘍細胞の能力を妨害する。他の様々な作用様式が説明されている。
【0003】
抗体は、有効性および副作用の種類および重症度の低減の両方において、従来のがん治療方法よりも顕著な進歩である。比較的新しいことは、多重特異性抗体の開発である。かかる抗体は、典型的には、複数の標的に結合するように設計される。多重特異性抗体は、多重特異性抗体のそれぞれの結合特性を有する2つ以上の単一特異性抗体の単純な組み合わせとは異なる活性スペクトルを有し得る。つまり、2つ以上の抗原を標的とする多重特異性抗体の使用から、それらの抗原の各々を標的とする単一特異性抗体の組み合わせの使用から、異なる作用機序および結果を得ることができる。その一例は、T細胞関与多重特異性抗体である。かかる抗体は、例えば、T細胞の膜上のCD3または別のT細胞活性化抗原に結合する可変ドメイン、および腫瘍抗原に結合する可変ドメインを有する。理論に拘束されることなく、T細胞関与抗体は、(腫瘍)標的細胞の近傍にT細胞をもたらし/保持し、T細胞の活性化を通じて、腫瘍に対する免疫応答を誘導/刺激すると考えられている。
【0004】
これらの治療の多くは依然として改善可能である。改善され得る態様は、例えば、抗体に対する患者におけるより高い傷害性または忍容性の低下を含む、望ましくない副作用をもたらす可能性がある多重特異性抗体の正常細胞に対する効果を低下させることである。多くの腫瘍抗原は、厳密には腫瘍細胞上で発現されない。実際、腫瘍抗原の多くは、本明細書で「正常」とも称される非腫瘍細胞上にも発現される。例えば、タンパク質のErbBファミリ-は、様々ながんにおいて過剰発現および/または変異されるが、個体の様々な正常細胞上にも通常発現される。かかる腫瘍抗原を切除抗体(ablative antibody)で標的化することは、典型的には、正常な非腫瘍細胞に影響を及ぼし、それによって、抗体の腫瘍攻撃態様に関連しない効果を少なくとも潜在的に引き起こす。かかる標的特異的な副作用は、重症例では、衰弱させる傷害性、死亡さえもたらす可能性があり、より一般的には、生活の質の低下、ならびに特定の治療の減少、中断、または中止をもたらす可能性がある。例えば、EGFRへの抗体の標的化は、EGFRが通常、皮膚などの生理学的機能を調節するために発現される組織で最も明らかである反応をもたらし得る。EGFR阻害剤で治療された患者は、丘疹膿疱性発疹、乾燥皮膚、かゆみ、ならびに毛髪および爪周囲(爪を取り囲む領域)の変化を発達させる可能性があることが報告されている(Lacouture 2006,nature reviews:cancer Vol 6,pp 803-812:doi:10.1038/nrc1970)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Lacouture 2006,nature reviews:cancer Vol 6,pp 803-812:doi:10.1038/nrc1970
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、多価、特に多重特異性抗体治療の有効性および/または傷害性ウィンドウを改善するための手段および方法を提供する。治療有効性は、本発明の手段および方法の不在下での類似の用量の多価抗体と比較した場合に、増強され、傷害性が低下し、忍容性が増加し得るか、またはこれらの結果の各々であり得る。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、第1の腫瘍抗原(TA1)に結合する第1の可変ドメイン、第2の腫瘍抗原(TA2)に結合する第2の可変ドメイン、および免疫細胞関与抗原(IEA)に結合する第3の可変ドメインを含む多価抗体を含む組成物を提供し、この組成物は、TA1またはTA2に結合する第2の結合分子をさらに含む。
本明細書に記載の多価抗体と第2の結合分子との組み合わせは、多価抗体単独の投与とは対照的に、多価抗体のオフタ-ゲット効果が第2の結合分子と組み合わせて投与される場合に軽減される、より大きな治療ウィンドウを提供する。
【0008】
本発明の多価抗体は、当該技術分野で既知の任意の抗体形式を有し得る。当技術分野で既知の抗体形式の例としては、限定されないが、
図12に示され、例えば、WO2019/190327に開示されているものが挙げられる。本発明の多価抗体は、多重特異性抗体である。
【0009】
本発明の多価抗体の例は、免疫細胞関与抗原(IEA)、好ましくはCD3、TCR-α鎖、またはTCR-β鎖に結合する可変ドメイン、およびTA2に結合する可変ドメインを含む塩基抗体を含む。TA1に結合する多価抗体の可変ドメインは、免疫細胞関与抗原(IEA)に結合する可変ドメインに連結されるか、またはTA2に結合する可変ドメインに連結される追加の可変ドメインであり得る。本発明の多価抗体の別の例は、免疫細胞関与抗原(IEA)、好ましくはCD3、TCR-α鎖、またはTCR-β鎖に結合する可変ドメイン、およびTA1に結合する可変ドメインを含む塩基抗体を含む。TA2に結合する多価抗体の可変ドメインは、免疫細胞関与抗原(IEA)に結合する可変ドメインに連結されるか、またはTA1に結合する可変ドメインに連結される追加の可変ドメインであり得る。本発明の多価抗体のさらなる例は、TA1に結合する可変ドメイン、およびTA2に結合する可変ドメインを含む塩基抗体を含む。免疫細胞関与抗原(IEA)、好ましくはCD3、TCR-α鎖、またはTCR-β鎖に結合する多価抗体の可変ドメインは、TA1に結合する可変ドメインに連結されるか、またはTA2に結合する可変ドメインに連結される追加の可変ドメインであり得る。
【0010】
可変ドメインは、重鎖可変領域または軽鎖可変領域のうちの少なくとも1つ、好ましくは少なくとも重鎖可変領域、より好ましくは重鎖可変領域および軽鎖可変領域の両方を含む。
【0011】
参照を容易にするために、多価または多特異性抗体上の可変ドメインは、ドメイン1、ドメイン2、およびドメイン3と呼ばれ得る。異なる重鎖可変領域は、VH1、VH2、およびVH3などの異なる番号によって参照され得る。したがって、本発明は、塩基抗体の可変ドメインおよび追加の可変ドメインが重鎖可変領域VH1、VH2、およびVH3を含む、多価抗体を含む組成物または部分のキットを提供する。ある特定の実施形態では、免疫細胞関与抗原(IEA)に結合する上述の塩基抗体可変ドメインは、重鎖可変領域VH2を含む。ある特定の実施形態では、TA2に結合する塩基抗体可変ドメインは、重鎖可変領域VH3を含む。ある特定の実施形態では、TA1に結合する追加の可変ドメインは、重鎖可変領域VH1を含む。ある特定の実施形態では、VH1を有する可変ドメインは、好適には、リンカ-によって、VH2を有する可変ドメインに連結される。ある特定の実施形態では、免疫細胞関与抗原(IEA)に結合する塩基抗体の可変ドメインは、重鎖可変領域VH2を含み、TA2に結合する塩基抗体可変ドメインは、重鎖可変領域VH3を含み、TA1に結合する追加の可変ドメインは、重鎖可変領域VH1を含み、VH1を有する可変ドメインは、好適には、リンカ-によって、VH2を有する可変ドメインに連結される。多価抗体の好適な形式の一例は、
図1に概略図として提供される。
図12に含まれるその他は、本明細書に記載されており、参照により組み込まれるWO2019/190327に提供されている。異なる軽鎖可変領域は、VL1、VL2、およびVL3などの異なる番号によっても参照され得る。本発明で使用される多価または多重特異性抗体は、3つの異なる重鎖可変領域を有する共通の軽鎖、3つの異なる軽鎖可変領域を有する共通の重鎖、または3つの異なる可変ドメイン(各々が互いに異なる重鎖および軽鎖可変領域を含むドメインなど)を含み得る。
【0012】
本発明の第2の結合分子は、TA1またはTA2に結合する単一特異性結合分子である。第2の結合分子は、TA1またはTA2に対する特異性を有する任意の結合分子であってもよく、これには、当該抗体の結合特異性を維持する抗体またはその断片もしくはバリアント、あるいは当該断片を含む構造が含まれるが、これらに限定されない。第2の結合分子は、好ましくは、全長抗体、Fab、修飾Fab、またはscFvである。
【0013】
第2の結合分子は、TA1またはTA2に結合し、それにより、多価抗体によるTA1もしくはTA2の結合を防止するか、またはそれと競合する。これは、TA1を発現するがTA2を発現しない場合、またはTA2を発現するがTA1を発現しない場合に、細胞の殺滅を防止または低減する。細胞がTA1およびTA2の両方を発現する場合、多価抗体がTA2に結合し、それによってTA1に結合するための第2の結合分子に対して競合優位性が増強されるか、または多価抗体がTA1に結合し、それによってTA2に結合するための第2の結合分子に対して競合優位性が増強される。したがって、多価抗体は、TA1またはTA2のいずれかを単独で発現する細胞と比較して、TA1およびTA2の両方を発現する細胞に対して増強された効果を示すと考えられる。
【0014】
本発明は、本発明の多価抗体および本発明の第2の結合分子を含む部分のキットをさらに提供する。
【0015】
本発明は、本発明の多価抗体および本発明の第2の結合分子を含む治療用組成物をさらに提供する。
【0016】
本発明は、本発明の多価抗体、本発明の第2の結合分子、ならびに薬学的に許容される担体および/または希釈剤を含む薬学的組成物をさらに提供する。本発明の多価抗体および第2の結合分子は、一緒にまたは別個に製剤化および/または投与され得る。
【0017】
本発明は、非腫瘍細胞への多価抗体の結合を軽減もしくは低減するため、かつ/または多価抗体によって誘導された非腫瘍細胞の細胞殺滅を軽減もしくは低減するための、本発明の多価抗体および第2の結合分子の組み合わせをさらに提供する。本発明は、薬剤として使用するための、本発明の多価抗体および第2の結合分子の組み合わせをさらに提供する。本発明は、治療を必要とする対象の治療における使用、特にがんの治療における使用のための、本発明の多価抗体および第2の結合分子の組み合わせをさらに提供する。多価抗体および第2の結合分子は、多価抗体の投与の前または後に、第2の結合分子と同時に、または連続して投与され得る。
【0018】
本発明は、非腫瘍細胞への多価抗体の結合を軽減もしくは低減するため、かつ/または多価抗体によって誘導された非腫瘍細胞の細胞殺滅を軽減もしくは低減するための、本発明の多価抗体および第2の結合分子を含む組成物をさらに提供する。本発明は、薬剤として使用するための、本発明の多価抗体および第2の結合分子を含む組成物をさらに提供する。本発明は、治療を必要とする対象の治療における使用、特にがんの治療における使用のための、本発明の多価抗体および第2の結合分子を含む組成物をさらに提供する。
【0019】
第1の腫瘍抗原(TA1)に結合する第1の可変ドメイン、第2の腫瘍抗原(TA2)に結合する第2の可変ドメイン、および免疫細胞関与抗原(IEA)に結合する第3の可変ドメインを含む多価抗体を含む組成物(組成物は、手段、方法、本発明の任意の形態または組み合わせでの使用に記載されるように、TA1またはTA2に結合する第2の結合分子をさらに含む)は、好ましくは治療用組成物である。
【0020】
本発明は、非腫瘍細胞への多価抗体の結合を軽減もしくは低減するため、かつ/または多価抗体によって誘導された非腫瘍細胞の細胞殺滅を軽減もしくは低減するための、本発明の多価抗体および第2の結合分子を含む治療用組成物をさらに提供する。本発明は、薬剤として使用するための、本発明の多価抗体および第2の結合分子を含む治療用組成物をさらに提供する。本発明は、治療を必要とする対象の治療における使用、特にがんの治療における使用のための、本発明の多価抗体および第2の結合分子を含む治療用組成物をさらに提供する。
【0021】
本発明は、非腫瘍細胞への多価抗体の結合を軽減もしくは低減するため、かつ/または多価抗体によって誘導された非腫瘍細胞の細胞殺滅を軽減もしくは低減するための、本発明の多価抗体および第2の結合分子を含む部分のキットをさらに提供する。本発明は、薬剤として使用するための、本発明の多価抗体および第2の結合分子を含む部分のキットをさらに提供する。本発明は、治療を必要とする対象の治療における使用、特にがんの治療における使用のための、本発明の多価抗体および第2の結合分子を含む部分のキットをさらに提供する。多価抗体および第2の結合分子は、多価抗体の投与の前または後に、第2の結合分子と同時に、または連続して投与され得る。
【0022】
本発明は、非腫瘍細胞への本発明の多価抗体の結合を軽減もしくは低減するため、かつ/または多価抗体によって誘導された非腫瘍細胞の細胞殺滅を軽減もしくは低減するための方法をさらに提供し、方法は、多価抗体と併せて本明細書に記載される第2の結合分子を使用することを含む。
【0023】
本発明は、がんの治療の方法をさらに提供し、方法は、それを必要とする対象に、本発明の多価抗体を投与すること、および、対象に、本発明の第2の結合分子を追加で投与することを含む。
【0024】
以下に例示されるもの以外の本発明の特徴および態様は、添付の図面と併せた詳細な説明から明らかであり、添付の図面は、例として、本発明の実施形態による特徴を図示することに留意されたい。提供される図面の各々は、例示的であり、本明細書に記載の発明を説明し、可能にする、特許請求の範囲、態様、および本開示の完全な範囲によって定義される、提供される本発明の範囲を限定することを企図するものではない。
参照の容易さのために、本明細書における本発明の多価抗体を説明する場合、以下の形式を使用する:TA1=IEAxTA2は、腫瘍関連抗原1結合ドメイン(TA1)、リンカ-(=)、腫瘍関連抗原2結合ドメイン(TA2)を用いて二量体化(x)された免疫細胞関与抗原結合ドメイン(IEA)を表し、そのため、TA1=IEAが「長いア-ム」を構成し、一方、xは二量体化を示し、続いて、多価抗体の「短いア-ム」を指定するTA2を示す。多価抗体が共通の軽鎖を含む場合、対応するVH領域は以下の通りである:TA1(VH1)=IEA(VH2)xTA2(VH3)。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】多価抗体の例の概略図である。VHは重鎖可変領域であり、CHは重鎖定常領域であり、CLは軽鎖定常領域であり、VLは軽鎖可変領域である。この特定の実施形態では、共通の軽鎖は、結合ドメインの各々に用いられる。軽鎖またはVLは、結合ドメインのうちの1つ以上に関して共通であり、別の結合ドメインまたは他の結合ドメインに関して異なり得る。この特定の実施形態では、TA1に結合するVH1を有する追加の結合ドメインは、CH1およびCLドメインを含む。多価抗体はまた、例えば、これらのドメインの一方または両方を欠いてもよいか、またはCH1およびCLドメインを入れ替えてもよい。この特定の実施形態では、多価抗体は、TA1に結合するVH1を有する追加の結合ドメインのCH1ドメインと、VH2を有するIEA結合ドメインのVHドメインとの間にリンカ-を含む。リンカ-はまた、TA1に結合するVH1を有する追加の結合ドメインのCLドメインと、VH2を有するIEA結合ドメインのVLとの間に、追加のリンカ-として、または単一のリンカ-として存在し得る。
【
図2】PD-L1、EGFR、およびCD3の結合ドメインを有する多価抗体の例の概略図である。VHは重鎖可変領域であり、CHは重鎖定常領域であり、CLは軽鎖定常領域であり、VLは軽鎖可変領域である。この特定の実施形態では、共通軽鎖は、結合ドメインの各々に用いられる。軽鎖またはVLは、結合ドメインのうちの1つ以上に関して共通であり、別の結合ドメインまたは他の結合ドメインに関して異なり得る。この特定の実施形態では、PD-L1に結合する追加の結合ドメインは、CH1およびCLドメインを含む。多価抗体はまた、例えば、これらのドメインの一方または両方を欠いてもよいか、またはCH1およびCLドメインを入れ替えてもよい。この特定の実施形態では、多価抗体は、PD-L1に結合する追加の結合ドメインのCH1ドメインとCD3結合ドメインのVHドメインとの間にリンカ-を含む。リンカ-はまた、PD-L1に結合する追加の結合ドメインのCLドメインとCD3結合ドメインのVLとの間に、追加のリンカ-として、または単一のリンカ-として存在し得る。
【
図3A】a)共通の軽鎖のアミノ酸配列、b)共通の軽鎖可変領域DNA配列および翻訳(IGKV1-39/jk1)、c)共通の軽鎖定常領域DNA配列および翻訳。
【
図3B】d)IGKV1-39/jk5、共通の軽鎖可変領域のアミノ酸配列、e)V領域IGKV1-39のアミノ酸配列、f)共通の軽鎖のCDR1、CDR2、およびCDR3アミノ酸配列。
【
図4A】二重特異性分子の生成に好適な例示的なIgG重鎖核酸およびアミノ酸配列。a)CH1領域。b)ヒンジ領域。c)CH2領域。
【
図4B】二重特異性分子の生成に好適な例示的なIgG重鎖核酸およびアミノ酸配列。d)バリエ-ションL351KおよびT366K(KK)を含むCH3ドメイン。e)バリエ-ションL351DおよびL368E(DE)を含むCH3ドメイン。
【
図5】パネルAは、PD-L1陽性およびEGFR陰性、またはEGFR陽性およびPD-L1陰性のいずれかである正常な非腫瘍細胞を示す。かかる細胞は、単一特異的PD-L1結合分子の存在下で、三重特異的PD-L1=CD3×EGFR抗体によって効率的に溶解されない。矢印上の十字(X)は、溶解なしまたは弱溶解を意味する。 単一特異性PD-L1結合分子は、例えば、PD-L1結合分子の二価性および/またはPD-L1に対する三重特異性抗体の親和性と比較してPD-L1結合分子のより高い親和性に起因して、PD-L1陽性およびEGFR陰性細胞上で三重特異性抗体を上回る。三重特異性抗体は、例えば、結合の一価の特性のために、活性を誘導しないか、または比較的弱い活性を誘導するEGFR陽性およびPD-L1陰性細胞に結合する。しかしながら、腫瘍細胞などのEGFRおよびPD-L1の両方を発現する細胞では、三重特異性抗体は、EGFRを介して細胞にドッキングし、PD-L1標的化ア-ムは、単一特異性抗PD-L1結合分子に関して競合優位性が増強される(パネルB)。三重特異性抗体は、単一特異性PD-L1結合分子と比較して、EGFRおよびPD-L1の両方への結合を介したアビディティによって達成される、かかるPD-L1陽性およびEGFR陽性細胞へのより大きな結合を有する。これは、EGFR標的化ア-ムの高い親和性を使用することによってさらに増強され得る。
【
図6A-1】ヒトT細胞と共培養したBxPC3細胞を使用して行った細胞傷害性研究の結果を示す。2つの異なるPD-L1=CD3x EGFR三重特異性抗体を試験した。1つは、配列番号38を含むPD-L1結合ドメイン、配列番号8を含むCD3結合ドメイン、および配列番号56を含むEGFR結合ドメインを有し、もう1つは、配列番号42を含むPD-L1結合ドメイン、配列番号22を含むCD3結合ドメイン、および配列番号56を含むEGFR結合ドメインを有する。三重特異性抗体の細胞殺滅活性を、配列番号46に記載のアミノ酸配列を有する重鎖を含むPD-L1結合ドメインを有する単一特異性二価PD-L1抗体(
図6A)、または配列番号47に記載のアミノ酸配列を有する重鎖を含むPD-L1結合ドメインを有する単一特異性二価PD-L1抗体(
図6B)の存在下で試験した。単一特異性PD-L1抗体を、異なる濃度で使用した:20nM、2.05nM、0.205nM、0.0205nM、0.00205nM、および0nM(左から右列)。各プロットのy軸は、抗体を含まない対照試料と比較した標的細胞殺滅%を示す。各プロットのx軸は、試料中のそれぞれの三重特異性抗体のナノモル(nM)での量を示す。パネルは、PD-L1=CD3xEGFR三重特異性抗体の活性を、三重特異性PD-L1=CD3xモック対照抗体と比較する。モック可変ドメインは、配列番号68の重鎖可変領域を有し、これは、共通の軽鎖と共に破傷風トキソイド結合可変ドメイン(TT)を形成する。TT可変ドメインは、様々なインキュベ-ションにおいて結合パ-トナ-を有せず、したがって、モックドメインとして機能する。
【
図6A-2】ヒトT細胞と共培養したBxPC3細胞を使用して行った細胞傷害性研究の結果を示す。2つの異なるPD-L1=CD3x EGFR三重特異性抗体を試験した。1つは、配列番号38を含むPD-L1結合ドメイン、配列番号8を含むCD3結合ドメイン、および配列番号56を含むEGFR結合ドメインを有し、もう1つは、配列番号42を含むPD-L1結合ドメイン、配列番号22を含むCD3結合ドメイン、および配列番号56を含むEGFR結合ドメインを有する。三重特異性抗体の細胞殺滅活性を、配列番号46に記載のアミノ酸配列を有する重鎖を含むPD-L1結合ドメインを有する単一特異性二価PD-L1抗体(
図6A)、または配列番号47に記載のアミノ酸配列を有する重鎖を含むPD-L1結合ドメインを有する単一特異性二価PD-L1抗体(
図6B)の存在下で試験した。単一特異性PD-L1抗体を、異なる濃度で使用した:20nM、2.05nM、0.205nM、0.0205nM、0.00205nM、および0nM(左から右列)。各プロットのy軸は、抗体を含まない対照試料と比較した標的細胞殺滅%を示す。各プロットのx軸は、試料中のそれぞれの三重特異性抗体のナノモル(nM)での量を示す。パネルは、PD-L1=CD3xEGFR三重特異性抗体の活性を、三重特異性PD-L1=CD3xモック対照抗体と比較する。モック可変ドメインは、配列番号68の重鎖可変領域を有し、これは、共通の軽鎖と共に破傷風トキソイド結合可変ドメイン(TT)を形成する。TT可変ドメインは、様々なインキュベ-ションにおいて結合パ-トナ-を有せず、したがって、モックドメインとして機能する。
【
図6B-1】ヒトT細胞と共培養したBxPC3細胞を使用して行った細胞傷害性研究の結果を示す。2つの異なるPD-L1=CD3x EGFR三重特異性抗体を試験した。1つは、配列番号38を含むPD-L1結合ドメイン、配列番号8を含むCD3結合ドメイン、および配列番号56を含むEGFR結合ドメインを有し、もう1つは、配列番号42を含むPD-L1結合ドメイン、配列番号22を含むCD3結合ドメイン、および配列番号56を含むEGFR結合ドメインを有する。三重特異性抗体の細胞殺滅活性を、配列番号46に記載のアミノ酸配列を有する重鎖を含むPD-L1結合ドメインを有する単一特異性二価PD-L1抗体(
図6A)、または配列番号47に記載のアミノ酸配列を有する重鎖を含むPD-L1結合ドメインを有する単一特異性二価PD-L1抗体(
図6B)の存在下で試験した。単一特異性PD-L1抗体を、異なる濃度で使用した:20nM、2.05nM、0.205nM、0.0205nM、0.00205nM、および0nM(左から右列)。各プロットのy軸は、抗体を含まない対照試料と比較した標的細胞殺滅%を示す。各プロットのx軸は、試料中のそれぞれの三重特異性抗体のナノモル(nM)での量を示す。パネルは、PD-L1=CD3xEGFR三重特異性抗体の活性を、三重特異性PD-L1=CD3xモック対照抗体と比較する。モック可変ドメインは、配列番号68の重鎖可変領域を有し、これは、共通の軽鎖と共に破傷風トキソイド結合可変ドメイン(TT)を形成する。TT可変ドメインは、様々なインキュベ-ションにおいて結合パ-トナ-を有せず、したがって、モックドメインとして機能する。
【
図6B-2】ヒトT細胞と共培養したBxPC3細胞を使用して行った細胞傷害性研究の結果を示す。2つの異なるPD-L1=CD3x EGFR三重特異性抗体を試験した。1つは、配列番号38を含むPD-L1結合ドメイン、配列番号8を含むCD3結合ドメイン、および配列番号56を含むEGFR結合ドメインを有し、もう1つは、配列番号42を含むPD-L1結合ドメイン、配列番号22を含むCD3結合ドメイン、および配列番号56を含むEGFR結合ドメインを有する。三重特異性抗体の細胞殺滅活性を、配列番号46に記載のアミノ酸配列を有する重鎖を含むPD-L1結合ドメインを有する単一特異性二価PD-L1抗体(
図6A)、または配列番号47に記載のアミノ酸配列を有する重鎖を含むPD-L1結合ドメインを有する単一特異性二価PD-L1抗体(
図6B)の存在下で試験した。単一特異性PD-L1抗体を、異なる濃度で使用した:20nM、2.05nM、0.205nM、0.0205nM、0.00205nM、および0nM(左から右列)。各プロットのy軸は、抗体を含まない対照試料と比較した標的細胞殺滅%を示す。各プロットのx軸は、試料中のそれぞれの三重特異性抗体のナノモル(nM)での量を示す。パネルは、PD-L1=CD3xEGFR三重特異性抗体の活性を、三重特異性PD-L1=CD3xモック対照抗体と比較する。モック可変ドメインは、配列番号68の重鎖可変領域を有し、これは、共通の軽鎖と共に破傷風トキソイド結合可変ドメイン(TT)を形成する。TT可変ドメインは、様々なインキュベ-ションにおいて結合パ-トナ-を有せず、したがって、モックドメインとして機能する。
【
図7A】ヒトT細胞と共培養したBxPC3細胞(上部パネル)またはHTC116細胞(下部パネル)を使用して行った細胞傷害性研究の結果を示す。3つの異なるPD-L1=CD3xEGFR三重特異性抗体を試験した。1つは、配列番号38を含むPD-L1結合ドメイン、配列番号8を含むCD3結合ドメイン、および配列番号56を含むEGFR結合ドメインを有し(左列)、1つは、配列番号38を含むPD-L1結合ドメイン、配列番号22を含むCD3結合ドメイン、および配列番号56を含むEGFR結合ドメインを有し(中央列)、1つは、配列番号42を含むPD-L1結合ドメイン、配列番号22を含むCD3結合ドメイン、および配列番号56を含むEGFR結合ドメインを有する(右列)。三重特異性抗体の細胞殺滅活性を、配列番号46に記載されるアミノ酸配列を有する重鎖を含むPD-L1結合ドメインを有する単一特異性二価PD-L1抗体、または配列番号47に記載されるアミノ酸配列を有する重鎖を含むPD-L1結合ドメインを有する単一特異性二価PD-L1抗体の存在下で試験した。単一特異性PD-L1抗体を、三重特異性抗体の10倍の濃度で使用した。各プロットのy軸は、三重特異性抗体を含まない対照試料と比較した標的細胞殺滅%を示す。各プロットのx軸は、試料中のそれぞれの三重特異性抗体のng/mlでの量を示す。パネルは、PD-L1=CD3xEGFR三重特異性抗体の活性を、三重特異性PD-L1=CD3xモック対照抗体および三重特異性モック=CD3xEGFR対照抗体と比較する。モック可変ドメインは、配列番号68の重鎖可変領域を有し、これは、共通の軽鎖と共に破傷風トキソイド結合可変ドメイン(TT)を形成する。TT可変ドメインは、様々なインキュベ-ションにおいて結合パ-トナ-を有せず、したがって、モックドメインとして機能する。
【
図7B】ヒトT細胞と共培養したBxPC3細胞(上部パネル)またはHTC116細胞(下部パネル)を使用して行った細胞傷害性研究の結果を示す。3つの異なるPD-L1=CD3xEGFR三重特異性抗体を試験した。1つは、配列番号38を含むPD-L1結合ドメイン、配列番号8を含むCD3結合ドメイン、および配列番号56を含むEGFR結合ドメインを有し(左列)、1つは、配列番号38を含むPD-L1結合ドメイン、配列番号22を含むCD3結合ドメイン、および配列番号56を含むEGFR結合ドメインを有し(中央列)、1つは、配列番号42を含むPD-L1結合ドメイン、配列番号22を含むCD3結合ドメイン、および配列番号56を含むEGFR結合ドメインを有する(右列)。三重特異性抗体の細胞殺滅活性を、配列番号46に記載されるアミノ酸配列を有する重鎖を含むPD-L1結合ドメインを有する単一特異性二価PD-L1抗体、または配列番号47に記載されるアミノ酸配列を有する重鎖を含むPD-L1結合ドメインを有する単一特異性二価PD-L1抗体の存在下で試験した。単一特異性PD-L1抗体を、三重特異性抗体の10倍の濃度で使用した。各プロットのy軸は、三重特異性抗体を含まない対照試料と比較した標的細胞殺滅%を示す。各プロットのx軸は、試料中のそれぞれの三重特異性抗体のng/mlでの量を示す。パネルは、PD-L1=CD3xEGFR三重特異性抗体の活性を、三重特異性PD-L1=CD3xモック対照抗体および三重特異性モック=CD3xEGFR対照抗体と比較する。モック可変ドメインは、配列番号68の重鎖可変領域を有し、これは、共通の軽鎖と共に破傷風トキソイド結合可変ドメイン(TT)を形成する。TT可変ドメインは、様々なインキュベ-ションにおいて結合パ-トナ-を有せず、したがって、モックドメインとして機能する。
【
図7C】ヒトT細胞と共培養したBxPC3細胞(上部パネル)またはHTC116細胞(下部パネル)を使用して行った細胞傷害性研究の結果を示す。3つの異なるPD-L1=CD3xEGFR三重特異性抗体を試験した。1つは、配列番号38を含むPD-L1結合ドメイン、配列番号8を含むCD3結合ドメイン、および配列番号56を含むEGFR結合ドメインを有し(左列)、1つは、配列番号38を含むPD-L1結合ドメイン、配列番号22を含むCD3結合ドメイン、および配列番号56を含むEGFR結合ドメインを有し(中央列)、1つは、配列番号42を含むPD-L1結合ドメイン、配列番号22を含むCD3結合ドメイン、および配列番号56を含むEGFR結合ドメインを有する(右列)。三重特異性抗体の細胞殺滅活性を、配列番号46に記載されるアミノ酸配列を有する重鎖を含むPD-L1結合ドメインを有する単一特異性二価PD-L1抗体、または配列番号47に記載されるアミノ酸配列を有する重鎖を含むPD-L1結合ドメインを有する単一特異性二価PD-L1抗体の存在下で試験した。単一特異性PD-L1抗体を、三重特異性抗体の10倍の濃度で使用した。各プロットのy軸は、三重特異性抗体を含まない対照試料と比較した標的細胞殺滅%を示す。各プロットのx軸は、試料中のそれぞれの三重特異性抗体のng/mlでの量を示す。パネルは、PD-L1=CD3xEGFR三重特異性抗体の活性を、三重特異性PD-L1=CD3xモック対照抗体および三重特異性モック=CD3xEGFR対照抗体と比較する。モック可変ドメインは、配列番号68の重鎖可変領域を有し、これは、共通の軽鎖と共に破傷風トキソイド結合可変ドメイン(TT)を形成する。TT可変ドメインは、様々なインキュベ-ションにおいて結合パ-トナ-を有せず、したがって、モックドメインとして機能する。
【
図8A-1】ヒトT細胞およびBxPC3細胞を使用してT細胞媒介性標的細胞殺滅を決定するための細胞傷害性アッセイにおいて、単一特異性二価PD-L1抗体と組み合わせた、PD-L1=CD3×EGFR三重特異性抗体。2つの異なるPD-L1=CD3x EGFR三重特異性抗体を試験した。1つは、配列番号38を含むPD-L1結合ドメイン、配列番号8を含むCD3結合ドメイン、および配列番号56を含むEGFR結合ドメインを有し(左列)、1つは、配列番号42を含むPD-L1結合ドメイン、配列番号22を含むCD3結合ドメイン、および配列番号56を含むEGFR結合ドメインを有する(右列)。x軸は、三重特異性抗体の量をnMで示す。y軸は、抗体が添加されていない場合の細胞殺滅%を示す。一番上の段は、二価の単一特異性抗体が存在しない(ビヒクル)場合の、三重特異性PD-L1=CD3xEGFR抗体またはモック対照の細胞殺滅活性を示す。中央の段は、二価の単一特異性抗体を等量で添加した場合の、三重特異性PD-L1=CD3xEGFR抗体またはモック対照の細胞殺滅活性を示す(三重特異性:単一特異性比は1:1である)。一番下の段は、二価単一特異性抗体を10倍過剰で添加した場合の、三重特異性PD-L1=CD3×EGFR抗体またはモック対照の細胞殺傷活性を示す(三重特異性:単一特異性比は1:10である)。
図8Aは、配列番号46の重鎖を含む二価単一特異性抗体が添加された場合の結果を示し、
図8Bは、配列番号51の重鎖を含む二価単一特異性抗体が添加されたときの結果を示す。
【
図8A-2】ヒトT細胞およびBxPC3細胞を使用してT細胞媒介性標的細胞殺滅を決定するための細胞傷害性アッセイにおいて、単一特異性二価PD-L1抗体と組み合わせた、PD-L1=CD3×EGFR三重特異性抗体。2つの異なるPD-L1=CD3x EGFR三重特異性抗体を試験した。1つは、配列番号38を含むPD-L1結合ドメイン、配列番号8を含むCD3結合ドメイン、および配列番号56を含むEGFR結合ドメインを有し(左列)、1つは、配列番号42を含むPD-L1結合ドメイン、配列番号22を含むCD3結合ドメイン、および配列番号56を含むEGFR結合ドメインを有する(右列)。x軸は、三重特異性抗体の量をnMで示す。y軸は、抗体が添加されていない場合の細胞殺滅%を示す。一番上の段は、二価の単一特異性抗体が存在しない(ビヒクル)場合の、三重特異性PD-L1=CD3xEGFR抗体またはモック対照の細胞殺滅活性を示す。中央の段は、二価の単一特異性抗体を等量で添加した場合の、三重特異性PD-L1=CD3xEGFR抗体またはモック対照の細胞殺滅活性を示す(三重特異性:単一特異性比は1:1である)。一番下の段は、二価単一特異性抗体を10倍過剰で添加した場合の、三重特異性PD-L1=CD3×EGFR抗体またはモック対照の細胞殺傷活性を示す(三重特異性:単一特異性比は1:10である)。
図8Aは、配列番号46の重鎖を含む二価単一特異性抗体が添加された場合の結果を示し、
図8Bは、配列番号51の重鎖を含む二価単一特異性抗体が添加されたときの結果を示す。
【
図8B-1】ヒトT細胞およびBxPC3細胞を使用してT細胞媒介性標的細胞殺滅を決定するための細胞傷害性アッセイにおいて、単一特異性二価PD-L1抗体と組み合わせた、PD-L1=CD3×EGFR三重特異性抗体。2つの異なるPD-L1=CD3x EGFR三重特異性抗体を試験した。1つは、配列番号38を含むPD-L1結合ドメイン、配列番号8を含むCD3結合ドメイン、および配列番号56を含むEGFR結合ドメインを有し(左列)、1つは、配列番号42を含むPD-L1結合ドメイン、配列番号22を含むCD3結合ドメイン、および配列番号56を含むEGFR結合ドメインを有する(右列)。x軸は、三重特異性抗体の量をnMで示す。y軸は、抗体が添加されていない場合の細胞殺滅%を示す。一番上の段は、二価の単一特異性抗体が存在しない(ビヒクル)場合の、三重特異性PD-L1=CD3xEGFR抗体またはモック対照の細胞殺滅活性を示す。中央の段は、二価の単一特異性抗体を等量で添加した場合の、三重特異性PD-L1=CD3xEGFR抗体またはモック対照の細胞殺滅活性を示す(三重特異性:単一特異性比は1:1である)。一番下の段は、二価単一特異性抗体を10倍過剰で添加した場合の、三重特異性PD-L1=CD3×EGFR抗体またはモック対照の細胞殺傷活性を示す(三重特異性:単一特異性比は1:10である)。
図8Aは、配列番号46の重鎖を含む二価単一特異性抗体が添加された場合の結果を示し、
図8Bは、配列番号51の重鎖を含む二価単一特異性抗体が添加されたときの結果を示す。
【
図8B-2】ヒトT細胞およびBxPC3細胞を使用してT細胞媒介性標的細胞殺滅を決定するための細胞傷害性アッセイにおいて、単一特異性二価PD-L1抗体と組み合わせた、PD-L1=CD3×EGFR三重特異性抗体。2つの異なるPD-L1=CD3x EGFR三重特異性抗体を試験した。1つは、配列番号38を含むPD-L1結合ドメイン、配列番号8を含むCD3結合ドメイン、および配列番号56を含むEGFR結合ドメインを有し(左列)、1つは、配列番号42を含むPD-L1結合ドメイン、配列番号22を含むCD3結合ドメイン、および配列番号56を含むEGFR結合ドメインを有する(右列)。x軸は、三重特異性抗体の量をnMで示す。y軸は、抗体が添加されていない場合の細胞殺滅%を示す。一番上の段は、二価の単一特異性抗体が存在しない(ビヒクル)場合の、三重特異性PD-L1=CD3xEGFR抗体またはモック対照の細胞殺滅活性を示す。中央の段は、二価の単一特異性抗体を等量で添加した場合の、三重特異性PD-L1=CD3xEGFR抗体またはモック対照の細胞殺滅活性を示す(三重特異性:単一特異性比は1:1である)。一番下の段は、二価単一特異性抗体を10倍過剰で添加した場合の、三重特異性PD-L1=CD3×EGFR抗体またはモック対照の細胞殺傷活性を示す(三重特異性:単一特異性比は1:10である)。
図8Aは、配列番号46の重鎖を含む二価単一特異性抗体が添加された場合の結果を示し、
図8Bは、配列番号51の重鎖を含む二価単一特異性抗体が添加されたときの結果を示す。
【
図9A】ヒトT細胞およびBxPC3細胞を使用してT細胞媒介性標的細胞殺滅を決定するための細胞傷害性アッセイにおいて、単一特異性二価PD-L1抗体と組み合わせた、PD-L1=CD3×EGFR三重特異性抗体。3つの異なるPD-L1=CD3xEGFR三重特異性抗体を試験した。1つは、配列番号38を含むPD-L1結合ドメイン、配列番号8を含むCD3結合ドメイン、および配列番号56を含むEGFR結合ドメインを有し(左列)、1つは、配列番号38を含むPD-L1結合ドメイン、配列番号22を含むCD3結合ドメイン、および配列番号56を含むEGFR結合ドメインを有し(中央列)、1つは、配列番号42を含むPD-L1結合ドメイン、配列番号22を含むCD3結合ドメイン、および配列番号56を含むEGFR結合ドメインを有する(右列)。使用される二価単一特異性PD-L1抗体は、配列番号46に記載のアミノ酸配列を有する重鎖を含む。x軸は、三重特異性抗体の量をnMで示す。y軸は、抗体が添加されていない場合の細胞殺滅%を示す。一番上の段は、二価の単一特異性抗体が存在しない(ビヒクル)場合の、三重特異性PD-L1=CD3xEGFR抗体またはモック対照の細胞殺滅活性を示す。中央の段は、二価の単一特異性抗体を等量で添加した場合の、三重特異性PD-L1=CD3xEGFR抗体またはモック対照の細胞殺滅活性を示す(三重特異性:単一特異性比は1:1である)。一番下の段は、二価単一特異性抗体を10倍過剰で添加した場合の、三重特異性PD-L1=CD3×EGFR抗体またはモック対照の細胞殺傷活性を示す(三重特異性:単一特異性比は1:10である)。
【
図9B】ヒトT細胞およびBxPC3細胞を使用してT細胞媒介性標的細胞殺滅を決定するための細胞傷害性アッセイにおいて、単一特異性二価PD-L1抗体と組み合わせた、PD-L1=CD3×EGFR三重特異性抗体。3つの異なるPD-L1=CD3xEGFR三重特異性抗体を試験した。1つは、配列番号38を含むPD-L1結合ドメイン、配列番号8を含むCD3結合ドメイン、および配列番号56を含むEGFR結合ドメインを有し(左列)、1つは、配列番号38を含むPD-L1結合ドメイン、配列番号22を含むCD3結合ドメイン、および配列番号56を含むEGFR結合ドメインを有し(中央列)、1つは、配列番号42を含むPD-L1結合ドメイン、配列番号22を含むCD3結合ドメイン、および配列番号56を含むEGFR結合ドメインを有する(右列)。使用される二価単一特異性PD-L1抗体は、配列番号46に記載のアミノ酸配列を有する重鎖を含む。x軸は、三重特異性抗体の量をnMで示す。y軸は、抗体が添加されていない場合の細胞殺滅%を示す。一番上の段は、二価の単一特異性抗体が存在しない(ビヒクル)場合の、三重特異性PD-L1=CD3xEGFR抗体またはモック対照の細胞殺滅活性を示す。中央の段は、二価の単一特異性抗体を等量で添加した場合の、三重特異性PD-L1=CD3xEGFR抗体またはモック対照の細胞殺滅活性を示す(三重特異性:単一特異性比は1:1である)。一番下の段は、二価単一特異性抗体を10倍過剰で添加した場合の、三重特異性PD-L1=CD3×EGFR抗体またはモック対照の細胞殺傷活性を示す(三重特異性:単一特異性比は1:10である)。
【
図9C】ヒトT細胞およびBxPC3細胞を使用してT細胞媒介性標的細胞殺滅を決定するための細胞傷害性アッセイにおいて、単一特異性二価PD-L1抗体と組み合わせた、PD-L1=CD3×EGFR三重特異性抗体。3つの異なるPD-L1=CD3xEGFR三重特異性抗体を試験した。1つは、配列番号38を含むPD-L1結合ドメイン、配列番号8を含むCD3結合ドメイン、および配列番号56を含むEGFR結合ドメインを有し(左列)、1つは、配列番号38を含むPD-L1結合ドメイン、配列番号22を含むCD3結合ドメイン、および配列番号56を含むEGFR結合ドメインを有し(中央列)、1つは、配列番号42を含むPD-L1結合ドメイン、配列番号22を含むCD3結合ドメイン、および配列番号56を含むEGFR結合ドメインを有する(右列)。使用される二価単一特異性PD-L1抗体は、配列番号46に記載のアミノ酸配列を有する重鎖を含む。x軸は、三重特異性抗体の量をnMで示す。y軸は、抗体が添加されていない場合の細胞殺滅%を示す。一番上の段は、二価の単一特異性抗体が存在しない(ビヒクル)場合の、三重特異性PD-L1=CD3xEGFR抗体またはモック対照の細胞殺滅活性を示す。中央の段は、二価の単一特異性抗体を等量で添加した場合の、三重特異性PD-L1=CD3xEGFR抗体またはモック対照の細胞殺滅活性を示す(三重特異性:単一特異性比は1:1である)。一番下の段は、二価単一特異性抗体を10倍過剰で添加した場合の、三重特異性PD-L1=CD3×EGFR抗体またはモック対照の細胞殺傷活性を示す(三重特異性:単一特異性比は1:10である)。
【
図12A】好適な多価抗体形式の例の概略図である。これらの多価抗体形式は、さらなる追加の結合ドメインを含み得る。Fc領域を含む多価抗体形式の例を示す。BD1、BD2、およびBD3は、結合ドメイン1、2、および3である。これらの例におけるある特定の結合ドメインは、Fabドメインとして示されるが、例えば、単一ドメイン抗体、VHH、Fv、VHH2、scFv、ダイアボディ、CODVなどの他の種類のドメイン、ならびにそれらの組み合わせも使用され得る。これらの例におけるある特定の結合ドメインは、scFvドメインとして示されるが、例えば、単一ドメイン抗体、VHH、Fv、VHH2、Fab、ダイアボディ、CODVなどの他の種類のドメイン、ならびにそれらの組み合わせも使用され得る。結合ドメインのうちの1つ以上は、CH2に連結され得るか、またはCH1、CH2、および/もしくはCH3の領域で操作され得る。多価抗体形式は、共通の重鎖、共通の軽鎖、直交重鎖、および直交HC:LCを含む、任意の種類の重鎖ならびに軽鎖を含み得る。多価抗体形式におけるリンカ-の位置およびまたは性質は、当該技術分野で既知であるものに従って変化し得る。
【
図12B】好適な多価抗体形式の例の概略図である。これらの多価抗体形式は、さらなる追加の結合ドメインを含み得る。以下を含む多価抗体形式の追加の例を示す:Vドメイン、FvおよびFabベ-スの多重特異性抗体(VHH3、トリプルボディ、タンデムFab3)、Fvベ-スのIgG多重特異性抗体(CODV-Fab TsAb、scFv-IgG TsAb)、Fabベ-スのIgG多重特異性抗体(orthoTsAb)、ならびにCrossMab 2:1 TCB。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本説明をより容易に理解することができるように、ある特定の用語が最初に定義される。追加の定義が発明を実施するための形態全体を通して記載される。別途記載されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、当業者によって一般的に理解される意味と同じ意味を有し、免疫学、タンパク質化学、生化学、組換えDNA技術、および薬理学の従来の方法が用いられる。
【0027】
冠詞「a」および「an」は、冠詞の1つまたは1つより多く(すなわち、1つまたは少なくとも1つ)の文法的目的語を指すために本明細書で使用される。
【0028】
本明細書および添付の特許請求の範囲および態様を通して、「含む(comprise)」、「含む(include)」、および「有する(having)」という単語、ならびに「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、「含む(includes)」、および「含む(including)」などの変形は、包括的に解釈されるものとする。すなわち、これらの単語は、内容が許容する場合、具体的に列挙されていない他の要素または整数の可能な包含を伝えることを意図している。
【0029】
本明細書で使用される「結合ドメイン」という用語は、可変ドメインを含むタンパク質を意味するか、もしくは可変ドメインを含み得るか、またはそれは、可変ドメインと配列相同性を共有する。可変ドメインを含む結合ドメインの非限定的な例は、Fvドメイン、Fabドメイン、および修飾Fabドメインである。典型的な変動は、相補性決定領域またはCDRである、VHおよびVLドメイン内の3つの表面的なル-プ形成領域に見られる。本明細書で使用される「抗体」という用語は、抗原上のエピト-プに結合する1つ以上のドメインを含有する、タンパク質の免疫グロブリンクラスに属するタンパク質分子を意味し、かかるドメインは、抗体の可変ドメインであるか、それに由来するか、またはそれと配列相同性を共有する。抗体は、典型的には、各々2つの重鎖および2つの軽鎖を有する基本的な構造単位から構成される。治療的使用のための抗体は、可能な限り治療される対象の天然抗体に近いことが好ましい(例えば、ヒト対象のためのヒト抗体)。本発明による抗体は、任意の特定の形式またはその産生方法に限定されない。
【0030】
「塩基抗体」または「塩基抗体部分」は、2つの結合ドメインを含む。好ましくは、2つの重鎖および2つの軽鎖が結合して「Y」型分子を形成する、4つのポリペプチドからなる。Yの塩基は、重鎖、典型的にはCH3およびCH2ドメインを対合する多量体化ドメインを含有する。Yの2つの分岐は、2つの可変ドメインに連結された2つのCH1ドメインを含有する。CH3配列の一方は、適合性ヘテロ二量体化ドメインの一部分を有し、他方のCH3配列は、ヘテロ二量体化ドメインの相補的な部分を有する。
【0031】
一実施形態では、塩基抗体は、各々重鎖可変領域、CH1、軽鎖可変領域、およびCLを含む2つの結合ドメインを含み、各結合ドメインは、それらのCH1領域とヒンジおよびFc領域に関連している。
【0032】
抗体結合は、特異性、親和性、およびアビディティを含む異なる特質を有する。特異性は、どの抗原またはそのエピト-プが結合ドメインによって特異的に結合されるかを決定する。親和性は、特定の抗原またはエピト-プへの結合の強度の尺度である。抗体の「特異性」は、特定の抗原に対するその選択性を指すが、「親和性」は、抗体の抗原結合部位とそれが結合するエピト-プとの相互作用の強度を指すことに留意するのが便利である。
【0033】
したがって、本明細書で使用される「結合特異性」は、個々の抗体結合部位が抗原決定基と反応する能力を指す。典型的には、本発明の抗体の結合部位は、Fabドメインの可変ドメイン内に位置し、重鎖および/または軽鎖の超可変領域から構築される。
【0034】
「親和性」は、単一抗原結合部位とその抗原との間の相互作用の強度である。抗原に対する本発明の抗体の単一抗原結合部位は、解離定数(kd)に関して表され得る。
【0035】
「アビディティ」は、二価または多価結合分子とその抗原との間の相互作用の蓄積された強度を指す。アビディティは、複数の抗原結合部位の統合した親和性によって決定され、標的細胞上の各抗原の発現レベルに依存する。二価または多価結合分子がアビディティ結合を示す能力は、二価または多価結合分子がそれらの抗原に同時に結合する能力に依存し、交差結合能力と呼ばれる。
【0036】
「エピト-プ」または「抗原決定基」は、免疫グロブリンまたは抗体が特異的に結合する抗原上の部位である。エピト-プは、タンパク質の三次フォ-ルディング(それぞれ、いわゆる直鎖状エピト-プおよび立体構造エピト-プ)によって並置された隣接アミノ酸または非隣接アミノ酸から形成することができる。隣接直鎖状アミノ酸から形成されたエピト-プは、典型的には、変性溶媒への曝露時に保持されるが、三次フォ-ルディングによって形成されたエピト-プは、典型的には、変性溶媒での処理時に立体構造が失われる。エピト-プは、典型的には、特有の空間的立体構造内に3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または15個のアミノ酸を含み得る。
【0037】
「重鎖」または「免疫グロブリン重鎖」という用語は、任意の生物からの免疫グロブリン重鎖定常領域配列を含み、特に明記しない限り、重鎖可変ドメインを含む。重鎖可変ドメインという用語は、特に明記しない限り、3つの重鎖CDRおよび4つのFR領域を含む。重鎖の断片には、CDR、CDRおよびFR、ならびにそれらの組み合わせが含まれる。典型的な重鎖は、可変ドメインに続いて、(N末端からC末端に)CH1ドメイン、ヒンジ、CH2ドメイン、およびCH3ドメインを有する。重鎖の機能的断片は、抗原を特異的に認識することができ、少なくとも1つのCDRを含む断片を含む。
【0038】
「軽鎖」という用語は、任意の生物由来の免疫グロブリン軽鎖可変ドメインまたはVL(またはその機能的断片)、ならびに免疫グロブリン定常ドメイン、たはCL(またはその機能的断片)配列を含む。特に明記しない限り、軽鎖という用語は、ヒトカッパ、ラムダ、およびそれらの組み合わせから選択される軽鎖を含み得る。軽鎖可変(VL)ドメインには、特に明記しない限り、典型的には、3つの軽鎖CDRおよび4つのフレ-ムワ-ク(FR)領域が含まれる。一般に、全長軽鎖は、N末端からC末端に、FR1-CDR1-FR2-CDR2-FR3-CDR3-FR4を含むVLドメイン、および軽鎖定常ドメインを含む。本発明で使用され得る軽鎖には、例えば、重鎖によって選択的に結合されたエピト-プに選択的に結合しないものが含まれる。
【0039】
多価抗体本発明に使用するのに好適な軽鎖には、共通の軽鎖、例えば、既存の抗体ライブラリ(湿潤ライブラリまたはインシリコ)における最も共通して用いられている軽鎖についてスクリ-ニングすることによって特定することができるものが含まれ、これらの軽鎖は、重鎖のエピト-プ結合ドメインの親和性および/または選択性を実質的に妨害しないが、重鎖のアレイとの対合にも好適である。例えば、好適な軽鎖には、抗原への曝露時に、ゲノムに組み込まれる共通の軽鎖を含み、かつ重鎖で多様性を有する共通の軽鎖抗体の大パネルを生成するために使用することができる、トランスジェニック動物、例えば、トランスジェニックゲッ歯類由来のものが含まれる(WO2009/157771)。多価抗体の一部である共通の軽鎖は、第2の抗体の軽鎖として使用することもできる。
【0040】
本発明による「共通の軽鎖」という用語は、同一であり得るか、またはいくつかのアミノ酸配列差を有し得るが、本発明の抗体の結合特異性が影響を受けない、すなわち、差が機能的結合領域の形成に実質的に影響を及ぼさない軽鎖を指す。
【0041】
例えば、本明細書で使用される共通の鎖の定義の範囲内で、例えば、保存的アミノ酸変化、同族鎖と対合されたときに結合特異性に寄与しないか、または部分的にしか寄与しない領域におけるアミノ酸の変化などを導入して試験することにより、同一ではないが、依然として機能的に等価である可変鎖を調製するか、または見つけることが可能である。それ故に、かかるバリアントは、異なる同族鎖に結合し、機能的抗原結合ドメインを形成することもできる。したがって、本明細書で使用される「共通軽鎖」という用語は、同一であり得るか、またはいくつかのアミノ酸配列差を有し得るが、重鎖と対になった後に結果として得られた抗体の結合特異性を保持する軽鎖を指す。ある特定の共通軽鎖とかかる機能的に等価なバリアントとの組み合わせは、「共通軽鎖」という用語に包含される。
【0042】
好ましい共通の軽鎖は、IgVκ1-39*01/IGJκ1*01と称される。IgVκ1-39は、免疫グロブリン可変カッパ1-39遺伝子の略である。この遺伝子は、免疫グロブリンカッパ可変1-39、IGKV139、IGKV1-39としても知られている。この遺伝子の外部Idは、HGNC:5740、Entrez Gene:28930、Ensembl:ENSG00000242371である。IgVκ1-39の好ましいアミノ酸配列が
図4に提示される。この図は、V領域の配列を列記する。V領域は、5つのJ領域のうちの1つと組み合わせることができる。
図4は、J領域と組み合わせたIgVκ1-39の2つの好ましい配列を記載する。合わせられた配列は、IGKV1-39/jk1およびIGKV1-39/jk5と示され、代替名は、IgVκ1-39*01/IGJκ1*01またはIgVκ1-39*01/IGJκ5*01(imgt.orgのIMGTデ-タベ-スワ-ルドワイドウェブによる命名)である。
【0043】
当業者であれば、「共通」が、アミノ酸配列が同一ではない軽鎖の機能的等価物も指すことを認識するであろう。機能的結合領域の形成に実質的に影響を及ぼさない変異(欠失、置換、付加)が存在する当該軽鎖の多くのバリアントが存在する。
【0044】
「Fvドメイン」とは、重鎖可変領域(VH)および軽鎖可変領域(VL)を有する可変ドメインを含む結合ドメインを意味する。
【0045】
「Fabドメイン」とは、可変領域を含む結合ドメイン、典型的には、対合した重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含む結合ドメインを意味する。Fabドメインは、CH1を含む定常領域ドメイン、および定常軽ドメイン(CL)と対合されたVHドメイン、およびVLドメインを含み得る。かかる対合は、例えば、CH1およびCLドメインにおけるジスルフィド架橋を介した共有結合として行われ得る。
【0046】
「修飾Fabドメイン」とは、CH1およびVHドメインを含む結合ドメインを意味し、VHは、VLドメインと対合され、CLドメインは存在しない。あるいは、修飾Fabドメインは、CLおよびVLドメインを含む結合ドメインであり、VLは、VHドメインと対合され、CH1ドメインは存在しない。CH1またはCL領域が非対合形態で存在することができるためには、疎水性の領域を除去するか、またはその長さを短縮する必要があり得る。一本鎖抗体を天然に発現する種の動物由来のCH1領域、例えば、ラマもしくはラクダなどのラクダ科動物由来のCH1領域、またはサメ由来のCH1領域を使用してもよい。修飾Fabドメインの他の例としては、定常領域(同族領域と対合されていないCH1またはCL、かつ/または同族領域と対対合されていないVHもしくはVLが存在する)を含むFab、およびFab(VHがVLと入れ替えられ、対の一方のポリペプチドはVL-CH1を含み、他方のポリペプチドはVH-CLを含む)が挙げられる。
【0047】
本明細書で使用される「免疫エフェクタ-細胞」または「エフェクタ-細胞」という用語は、標的細胞の生存率に影響を与えるように活性化され得る、哺乳類免疫系における細胞の天然レパ-トリ-内の細胞を指す。免疫エフェクタ-細胞は、ナチュラルキラ-(NK)細胞などのリンパ系統の細胞、細胞傷害性T細胞を含むT細胞、またはB細胞を含むが、単球またはマクロファ-ジ、樹状細胞、および好中性顆粒球などの骨髄系統の細胞も、免疫エフェクタ-細胞とみなすことができる。当該エフェクタ-細胞は、好ましくは、NK細胞、T細胞、B細胞、単球、マクロファ-ジ、樹状細胞、または好中性顆粒球である。
【0048】
本明細書で使用される「免疫細胞関与抗原」という用語は、当該免疫エフェクタ-細胞の細胞膜上に発現される分子または部分を指し、そのリガンドまたは本発明の活性化抗体に結合すると、免疫細胞の活性化、刺激、または共刺激がもたらされ、標的とされるかかる抗原の非限定的な例としては、CD2、CD3、CD137、CD28、OX40、CD5、CD16、CD16Aが挙げられる。
【0049】
本明細書における核酸配列またはアミノ酸配列に関する「同一性パ-セント(%)」は、最適比較目的のために配列を整列させた後の、選択された配列内の残基と同一の候補配列内の残基のパ-センテ-ジとして定義される。これらの2つの配列間のアラインメントを最適化するために、比較されるこれらの2つの配列のうちのいずれかにギャップが導入され得る。かかるアラインメントは、比較される配列の全長にわたって行うことができる。あるいは、アラインメントは、より短い長さ、例えば、約20、約50、約100、またはそれ以上の核酸/ベ-スまたはアミノ酸にわたって行われ得る。配列同一性は、報告された整列した領域にわたるこれらの2つの配列間の完全な一致のパ-センテ-ジである。
【0050】
配列の比較および2つの配列間の配列同一性のパ-センテ-ジの決定は、数学アルゴリズムを使用して達成することができる。当業者であれば、2つの配列を整列し、2つの配列間の同一性を決定するためのいくつかの異なるコンピュ-タプログラムが利用可能であるという事実を認識するであろう(Kruskal,J.B.(1983)An overview of sequence comparison In D.Sankoff and J.B.Kruskal,(ed.),Time warps,string edits and macromolecules:the theory and practice of sequence comparison,pp.1-44 Addison Wesley)。2つのアミノ酸配列または核酸配列間の配列同一性パ-セントは、2つの配列のアラインメントのためのNeedlemanおよびWunschアルゴリズムを使用して決定され得る。(Needleman,S.B.and Wunsch,C.D.(1970)J.Mol.Biol.48,443-453)。Needleman-Wunschアルゴリズムは、コンピュ-タプログラムNEEDLEに実装されている。本発明の目的のために、EMBOSSパッケ-ジからのNEEDLEプログラムを使用して、アミノ酸および核酸配列の同一性パ-セントを決定する(バ-ジョン2.8.0またはそれ以上、EMBOSS:The European Molecular Biology Open Software Suite(2000)Rice,P.LongdenJ.and Bleasby,A.Trends in Genetics 16,(6)pp276- 277,http://emboss.bioinformatics.nl/)。タンパク質配列については、EBLOSUM62が置換マトリックスに使用される。DNA配列については、DNAFULLが使用される。使用されるパラメ-タは、ギャップオ-プンペナルティ10およびギャップ伸長ペナルティ0.5である。
【0051】
上述のようにプログラムNEEDLEによるアラインメントの後、クエリ配列と本発明の配列との間の配列同一性のパ-センテ-ジは、以下のように計算される:アラインメントにおける対応する位置の数は、両方の配列内の同一のアミノ酸または同一のヌクレオチドを、アラインメントにおけるギャップの総数の減算後のアラインメントの総長で除したものを示す。
【0052】
本明細書において、「接続された」または「連結された」という用語は、一次アミノ酸配列でペプチド結合によって互いに結合されているドメインを指す。例えば、VH-CH1-CH2-CH3を含む塩基抗体部分の重鎖は、1つのポリペプチド鎖を一緒に構成するリンカ-(CH1における追加の結合ドメインの重鎖を塩基抗体部分のVH領域に接続する)を介して、追加の結合ドメインVH-CH1(または追加の結合ドメインへの追加の結合ドメイン)の重鎖に接続され得る。同様に、CH1ドメインは、可変重領域に接続されてよく、CLドメインは、可変軽領域に接続され得る。抗体ドメインはまた、例えば、単一のポリペプチドの一部としてなど、リンカ-を必要としない手段によって「接続」され得る。
【0053】
「対合」は、本発明の多価抗体を構成するポリペプチド間の相互作用を指し、そのため、それらは多量体化することができる。例えば、追加の結合ドメインは、軽鎖領域(VL-CL)に対合される重鎖領域(VH-CH1)を含み得、CH1およびCLは、対合して当該結合ドメインを形成する。本明細書に記載されるように、抗体ドメイン(例えば、重および軽)の対合は、非共有結合相互作用に起因して、またジスルフィド結合を介しても生じ、本明細書に開示される技法および当該技術分野で既知の方法によって操作することもできる。かかる非共有結合相互作用は、典型的には、CH1およびCLに加えて、VHとVLとの間の抗体で生じる。
【0054】
「二重特異性抗体」は、抗体の1つの可変ドメインが第1の抗原に結合する一方で、抗体の第2の可変ドメインが第2の抗原に結合する、本明細書に記載の抗体であり、当該第1および第2の抗原は同一ではない。「二重特異性抗体」という用語は、二重パラトピック抗体も包含し、抗体の1つの可変ドメインが抗原上の第1のエピト-プに結合する一方で、抗体の第2の可変ドメインが抗原上の第2のエピト-プに結合する。この用語は、少なくとも1つのVHが、第1の抗原を特異的に認識することができ、免疫グロブリン可変ドメイン内の少なくとも1つのVHと対合されるVLが、第2の抗原を特異的に認識することができる抗体をさらに含む。得られたVH/VL対は、抗原1または抗原2のいずれかに結合し、例えば、WO2008/027236、WO2010/108127、およびSchaefer et al(Cancer Cell 20,472-486,October 2011)に記載される「ツ--イン-ワン抗体」と呼ばれる。本発明による二重特異性抗体は、任意の特定の二重特異性形式またはその産生の方法に限定されない。
【0055】
本明細書に記載される三重特異性抗体などの多重特異性抗体は、抗体の1つの可変ドメインが第1の抗原に結合し、抗体の第2の可変ドメインが第2の抗原に結合し、三重特異性抗体の場合、抗体の第3の可変ドメインが第3の抗原に結合し、当該第1、第2、および第3の抗原が同一ではないか、またはそれらが結合するエピト-プが同一ではない、抗体である。すなわち、三重特異性抗体は、同じ抗原上の3つの異なるエピト-プ、または1つの抗原上の2つのエピト-プおよび第2の抗原上の1つのエピト-プに結合するという点で、三重特異性であり得る。
【0056】
二重特異性または三重特異性抗体などの多価抗体は、2つ以上の結合ドメインを有する。結合ドメインは、可変ドメインおよびCH1/CL領域を含み得る。しかしながら、結合ドメインのいくつかまたはすべては、同じ抗原に指向され得るが、典型的には、本発明の場合と同様に、少なくとも2つ、好ましくは少なくとも3つの結合ドメインが、異なる抗原に結合する。三重特異性抗体の場合、3つの結合ドメインは典型的には、すべて異なる抗原に結合する。したがって、結合ドメインは、好ましくはすべて異なる抗原に結合する。そのような場合、結合ドメインもすべて、異なる配列を有する。
【0057】
多価抗体は、細胞融合、化学コンジュゲ-ト、または組換えDNA技法を含む様々な技術を使用して生成され得る。多価抗体形式は、当該技術分野で既知である。例は、2つの異なる抗原、または同じ抗原内の2つの異なるエピト-プに結合し得る、二重特異性抗体などの2つの異なる結合ドメインを有する抗体である。かかる形式は、多価抗体が、1つの抗原を発現する健全な細胞を標的としない一方で、腫瘍細胞などの2つの抗原もしくはエピト-プを発現する細胞もしくは標的を選択的に標的とすることを可能にするか、または低い発現レベルで1つの抗原を発現するかかる健全な細胞を標的とすることを可能にする、較正された結合の使用を可能にし得る。同様に、二重特異性抗体などの多価抗体上の2つの異なる結合ドメインを有することは、異なる抗原の結合を可能にし得るため、当該多価抗体を使用して、単一の細胞または2つの相互作用する細胞上の阻害分子および刺激分子の両方を標的化して、多価抗体の効力を増強させることができる。多価抗体を使用して、腫瘍に再指向され得る細胞、例えば免疫調節細胞を再指向することもできる。多価抗体の非限定的な例は、当技術分野に記載される。多価抗体は、参照により本明細書に組み込まれるWO2019/190327にも記載される。
【0058】
一態様では、本発明は、第1の腫瘍抗原(TA1)に結合するVH1を有する第1の可変ドメイン、第2の腫瘍抗原(TA2)に結合するVH3を有する第2の可変ドメイン、および免疫細胞関与抗原(IEA)に結合するVH2を有する第3の可変ドメインを含む多価抗体を含む組成物を提供し、組成物は、TA1またはTA2に結合する第2の結合分子をさらに含む。
【0059】
免疫細胞関与抗原(IEA)に結合するVH2を有する多価抗体の可変ドメインは、例えば、CD3、TCR-α鎖、またはTCR-β鎖などの免疫エフェクタ-細胞の表面上に発現される任意の分子に結合することができる。他の好適な免疫細胞関与抗原は、例えば、限定されないが、CD2、CD4、CD5、CD7、CD8、CD137、CD28、CD16、CD16A、CD64、OX40、CD27、CD40、ICOS、GITR、NKG2D、NKp46、NKp44、およびNKp30である。好ましくは、この可変ドメインは、CD3、TCR-α鎖、TCR-β鎖、CD2、またはCD5に結合する。この可変ドメインは、好ましくはCD3に結合する。結合は、好ましくは、免疫細胞関与抗原(IEA)の細胞外部分に結合する。好ましくは、IEAへの多価抗体の結合は、免疫エフェクタ-細胞を活性化するか、または共刺激シグナルを提供する。好ましくは、IEAへの多価抗体の結合は、免疫エフェクタ-細胞を活性化する。
【0060】
用語「CD3」(分化クラスタ-3)は、CD3γ鎖(SwissProt P09693)、CD3δ鎖(SwissProt P04234)、CD3ε鎖(SwissProt P07766)、およびCD3ゼ-タ鎖ホモ二量体(SwissProt P20963)から構成されるタンパク質複合体を指す。CD3εは、様々な別名で知られており、そのいくつかは以下である:「CD3e分子、エプシロン(CD3-TCR複合体)」;「CD3e抗原、エプシロンポリペプチド(TiT3複合体)」;T細胞表面抗原T3/Leu-4エプシロン鎖;T3E;T細胞抗原受容体複合体、T3のエプシロンサブユニット;CD3e抗原;CD3-エプシロン3;IMD18;TCRE。CD3E遺伝子のIdは、HGNC:1674、Entrez Gene:916、Ensembl:ENSG00000198851;OMIM:186830およびUniProtKB:P07766である。これらの鎖は、T細胞受容体(TCR)およびζ鎖と関連して、有糸分裂シグナル伝達時に活性化シグナルをTリンパ球内で生成することができるTCR複合体を形成する。CD3は、T細胞およびNK T細胞上で発現される。本明細書でCD3について言及される場合、別途記載されない限り、参照はヒトCD3について言及される。
【0061】
CD3結合ドメインは、親和性、エピト-プ、および他の特徴が様々であり得る。CD3の細胞外部分に結合することができる特定の可変ドメインは、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号6、配列番号7、配列番号9、配列番号10、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号20、配列番号21、配列番号23、配列番号24、および配列番号25からなる群から選択される少なくとも1つの重鎖相補性決定領域(CDR)を含む可変ドメインである。
【0062】
CD3抗原結合ドメインは、配列番号2、配列番号6、配列番号9、配列番号12、配列番号16、配列番号20、または配列番号23の重鎖CDR1、配列番号3、配列番号7、配列番号10、配列番号13、配列番号17、または配列番号24の重鎖CDR2、および配列番号4、配列番号14、配列番号18、配列番号21、または配列番号25の重鎖CDR3を含むことができる。
【0063】
CD3抗原結合ドメインは、以下からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である重鎖CDR1、CDR2、および/またはCDR3配列を含むことができる:配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号6、配列番号7、配列番号9、配列番号10、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号20、配列番号21、配列番号23、配列番号24、および配列番号25。
【0064】
CD3抗原結合ドメインは、以下の群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である重鎖可変領域配列を含むことができる:配列番号1、配列番号5、配列番号8、配列番号11、配列番号15、配列番号19、および配列番号22。
【0065】
CD3結合ドメインは、配列番号1、配列番号5、配列番号8、配列番号11、配列番号15、配列番号19、および配列番号22のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域、ならびに0~10、好ましくは0~5のアミノ酸挿入、欠失、置換、付加、またはそれらの組み合わせを有する、配列番号93または配列番号99のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含むことができる。
【0066】
CD3抗原結合ドメインは、配列番号1、配列番号5、配列番号8、配列番号11、配列番号15、配列番号19、および配列番号22の重鎖可変領域、ならびに配列番号93または配列番号99のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含むことができる。
【0067】
ある特定の実施形態では、VH1を有する多価抗体の可変ドメインは、TA1に結合する。
【0068】
TA1は、腫瘍細胞上に発現される任意の抗原であり得る。TA1は、好ましくは、PD-L1、PD-L2、HVEM、CD47、B7-H3、B7-H4、B7-H7、またはSiglec-15である。
【0069】
TA1は、好ましくは、例えば、PD-L1またはPD-L2などの免疫チェックポイント受容体/リガンド対のメンバ-である。可変ドメインは、対のシグナル伝達経路を阻害し、それにより、そうでなければ少なくともある程度抑制されるであろう免疫応答を刺激する。
【0070】
PD-L1は、妊娠、組織同種移植片、自己免疫疾患、および肝炎などの他の疾患状態などの特定の事象の間、免疫応答を抑制する役割を果たす1型膜貫通タンパク質である。PD-1またはB7.1(CD80)へのPD-L1の結合は、PD-1発現T細胞の増殖を低減する阻害シグナルを伝達する。PD-1は、アポト-シスを介して外来抗原特異的T細胞の蓄積を制御することができると考えられている。PD-L1は様々ながん細胞によって発現され、その発現は、がん細胞に対する免疫応答の減衰に少なくとも部分的に関与していると考えられている。PD-L1は、タンパク質のB7ファミリ-のメンバ-であり、CD274分子、CD274抗原、B7ホモログ1、PDCD1リガンド1、PDCD1LG1、PDCD1L1、B7H1、PDL1、プログラム細胞死1リガンド1、プログラム死リガンド1、B7-H1、およびB7-Hなどの様々な他の名称で知られている。CD274の外部Idは、HGNC:17635、Entrez Gene:29126、Ensembl:ENSG00000120217;OMIM:605402;UniProtKB:Q9NZQ7である。
【0071】
PD-L2は、PD-1の第2のリガンドである。PD-L2によるPD-1の関与は、T細胞受容体(TCR)媒介性増殖およびCD4+T細胞によるサイトカイン産生を阻害する。低抗原濃度では、PD-L2/PD-1結合は、B7-CD28シグナルを阻害する。高い抗原濃度では、PD-L2/PD-1結合は、サイトカイン産生を低減する。PD-L発現は、インタ-フェロンガンマ処理によって抗原提示細胞上で上方調節される。それは、いくつかの正常組織および様々な腫瘍で発現される。PD-L1およびPD-L2は、重複する機能を有し、T細胞応答を調節すると考えられている。タンパク質は、プログラム細胞死1リガンド2、B7樹状細胞分子、プログラム死リガンド2、ブチロフィリンB7-DC、PDCD1リガンド2、PD-1リガンド2、PDCD1L2、B7-DC、CD273、B7DC、PDL2、PD-1-リガンド2、CD273抗原、BA574F11.2、およびBtdcなどのいくつかの他の名称で知られている。PD-L2の外部Idは、HGNC:18731、Entrez Gene:80380、Ensembl:ENSG00000197646;OMIM:605723;およびUniProtKB:Q9BQ51である。
【0072】
腫瘍壊死因子受容体ス-パ-ファミリ-メンバ-14(TNFRSF14)およびCD270としても知られるHVEMは、TNF受容体(腫瘍壊死因子)ス-パ-ファミリ-のヒト細胞表面受容体である。ヒトにおいて、タンパク質は、TNFRSF14遺伝子によってコ-ドされる。HVEMは、少なくとも4つの異なるリガンド、TNFSFメンバ-LIGHT(TNFSF14)およびTNFβ/LTα(腫瘍壊死因子β/リンホトキシンα)、ならびに免疫グロブリンス-パ-ファミリ-メンバ-B-およびT-リンパ球減衰器(BTLA)、ならびにCD160に関与し得る。ヒトHVEMの参照配列については、Swiss-Prot番号Q92956.3;aa1-283を参照されたい。参照は、HVEM遺伝子/タンパク質を特定するためだけに行われる。本明細書に記載されるHVEMを、デ-タベ-スエントリの特定の配列に限定することは意図されていない。BTLA、CD160、LIGHT、およびTNFβに結合することができ、本明細書に記載される抗体によって結合され得るHVEMの天然のバリアントは、本発明の範囲内である。
【0073】
CD47は、ヒトにおいてCD47遺伝子によってコ-ドされる膜貫通タンパク質である。このタンパク質は、インテグリン関連タンパク質(IAP)、MER6、OA3、およびCD47分子などのいくつかの他の名称で知られている。CD47は、免疫グロブリンス-パ-ファミリ-に属し、リガンドトロンボスポンジン-1(TSP-1)およびシグナル調節タンパク質アルファ(SIRPα)に結合することができる。CD47は、ヒト細胞において普遍的に発現され、多くの異なる腫瘍細胞において過剰発現されることが見出されている。代替的にスプライスされたCD47のアイソフォ-ムは4つある。CD47の外部IDは、HGNC:1682、OMIM:601028、Entrez Gene:961、Ensembl:ENSG00000196776、およびUniProtKB:Q08722である。
【0074】
免疫チェックポイント分子であるB7-H3は、CD28、CTLA-4、およびICOSなどのCD28ファミリ-分子を通してシグナル伝達する共刺激B7分子である。このタンパク質は、分化クラスタ-276(CD276)、4Ig-B7-H3、B7H3、B7RP-2、およびCD276分子などのいくつかの他の名称で知られている。B7-H3は、固形腫瘍によって過剰発現されることが見出されている。B7-H3の外部IDは、HGNC:19137、OMIM:605717、Entrez Gene:80381、Ensembl:ENSG00000103855、およびUniProtKB:Q5ZPR3である。
【0075】
B7-H4は、免疫チェックポイント分子であり、共刺激分子のB7ファミリ-に属する。ヒトにおいて、タンパク質は、VTCN1遺伝子によってコ-ドされる。このタンパク質は、V-setドメイン含有T細胞活性化阻害剤1(VTCN1)、B7H4、B7S1、B7X、B7h.5、PRO1291、VCTN1などのいくつかの他の名称で知られている。B7-H4の外部IDは、HGNC:28873、OMIM:608162、Entrez Gene:79679、Ensembl:ENSG00000134258、およびUniProtKB:Q7Z7D3である。
【0076】
B7-H7は、以前は、ヒト内因性レトロウイルスH長末端反復関連2(HHLA2)として知られており、共刺激分子のB7ファミリ-に属する。B7-H7は、一緒にCD4+T細胞増殖およびサイトカイン産生を促進するヒトCD28Hの特異的リガンドとして特定されている。B7-H7の外部IDは、HGNC:4905、Entrez Gene:11148、Ensembl:ENSG00000114455、OMIM:604371およびUniProtKB:Q9UM44である。
【0077】
Siglec-15、シアル酸結合免疫グロブリン型レクチンは、シアル酸に結合する細胞表面タンパク質であり、主に免疫細胞の表面上に見出される。このタンパク質は、CD33抗原様3、CD33分子様3、CD33L3、およびシアル酸結合Ig様レクチン15などのいくつかの他の名称で知られている。Siglec-15の外部IDは、HGNC:27596、OMIM:618105、Entrez Gene:284266、Ensembl:ENSG00000197046、およびUniProtKB:Q6ZMC9である。
【0078】
ある特定の実施形態では、多価抗体のTA1結合ドメインは、ヒトPD-L1に特異的に結合する。多価抗体のPD-L1結合ドメインまたは可変ドメインは、親和性、エピト-プ、および他の特徴が様々であり得る。PD-L1の細胞外部分に結合することができる特定の可変ドメインは、配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号31、配列番号32、配列番号33、配列番号35、配列番号36、および配列番号37、配列番号39、配列番号40、配列番号41、配列番号43、配列番号44、および配列番号45からなる群から選択される少なくとも1つの重鎖CDRを含む可変ドメインである。
【0079】
PD-L1抗原結合ドメインは、配列番号27、配列番号31、配列番号35、配列番号39、または配列番号43の重鎖CDR1、配列番号28、配列番号32、配列番号36、配列番号40、または配列番号44の重鎖CDR2、および配列番号29、配列番号33、配列番号37、配列番号41、または配列番号45の重鎖CDR3を含むことができる。
【0080】
PD-L1抗原結合ドメインは、以下からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である重鎖CDR1、CDR2、および/またはCDR3配列を含むことができる:配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号31、配列番号32、配列番号33、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号39、配列番号40、配列番号41、配列番号43、配列番号44、および配列番号45。
【0081】
PD-L1抗原結合ドメインは、以下の群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である重鎖可変領域配列を含むことができる:配列番号26、配列番号30、配列番号34、配列番号38、および配列番号42。
【0082】
PD-L1抗原結合ドメインは、0~10、好ましくは0~5のアミノ酸挿入、欠失、置換、付加、またはそれらの組み合わせを有する、配列番号26、配列番号30、配列番号34、配列番号38、および配列番号42のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を含むことができる。
【0083】
PD-L1抗原結合ドメインは、配列番号26、配列番号30、配列番号34、配列番号38、または配列番号42の重鎖可変領域、および配列番号93または配列番号99のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含むことができる。
【0084】
ある特定の実施形態では、PD-L1抗原結合ドメインは、配列番号46、配列番号47、配列番号51のアミノ酸配列、またはMSB-0010718C(WO2013/079174を参照されたい)、STI-1014(WO2013/181634を参照されたい)、CX-072(WO2016/149201を参照されたい)、KN035(Zhang et al.,Cell Discov.7:3(March 2017)を参照されたい)、LY3300054(例えば、WO2017/034916を参照されたい)、ならびにCK-301(Gorelik et al.,AACR:Abstract 4606(Apr 2016))および12A4もしくはMDX-1105(例えば、WO2013/173223を参照されたい)について開示されているアミノ酸配列を有する重鎖を含むPD-L1抗体の重鎖ならびに/または軽鎖、特に重鎖可変領域を含む。
【0085】
ある特定の実施形態では、PD-L1抗原結合ドメインは、配列番号46、配列番号47、配列番号51を有する重鎖を含むPD-L1抗体、またはMSB-0010718C(WO2013/079174を参照されたい)、STI-1014(WO2013/181634を参照されたい)、CX-072(WO2016/149201を参照されたい)、KN035(Zhang et al.,Cell Discov.7:3(March 2017)を参照されたい)、LY3300054(例えば、WO2017/034916を参照されたい)、およびCK-301(Gorelik et al.,AACR:Abstract 4606(Apr 2016))、ならびに12A4もしくはMDX-1105(例えば、WO2013/173223を参照されたい)の重鎖および/または軽鎖可変領域と同じエピト-プに結合する。
【0086】
ある特定の実施形態では、PD-L1抗原結合ドメインは、PD-L1抗体、MPDL3280A、RG7446(US2010/0203056 A1を参照されたい)、MEDI-4736(WO2011/066389を参照されたい)、MSB-0010718C(WO2013/079174を参照されたい)、STI-1014(WO2013/181634を参照されたい)、CX-072(WO2016/149201を参照されたい)、KN035(Zhang et al.,Cell Discov.7:3(March 2017)を参照されたい)、LY3300054(例えば、WO2017/034916を参照されたい)、およびCK-301(Gorelik et al.,AACR:Abstract 4606(Apr 2016))、ならびに12A4もしくはMDX-1105(例えば、WO2013/173223を参照されたい)の重鎖および軽鎖可変領域を有するPD-L1に結合について競合する。
【0087】
ある特定の実施形態では、VH3を有する多価抗体の可変ドメインは、TA2に結合する。
【0088】
TA2は、任意の腫瘍関連抗原であり得るが、好ましくは、CLEC12Aまたはタンパク質のErbBファミリ-のメンバ-であり、好ましくはEGFRである。
【0089】
CLEC12Aはまた、C型レクチンドメインファミリ-12、メンバ-A、C型レクチンタンパク質CLL-1、MICL、樹状細胞関連レクチン2、C型レクチンス-パ-ファミリ-、骨髄阻害性C型レクチン様受容体、C型レクチン様分子-1、CLL-1、DCAL2、CLL1、C型レクチン様分子1、DCAL-2、キラ-細胞レクチン様受容体サブファミリ-L、メンバ-1(KLRL1)、CD371(Bakker A.et al.Cancer Res.2004,64,p8843 50、GenBankTM受入番号AY547296、Zhang W.et al.GenBankTM受入番号AF247788、A.S.Marshall,et al.J Biol Chem 2004,279,p14792-802、GenBankTM受入番号AY498550、Y.Han et al.Blood 2004,104,p2858 66、H.Floyd,et al.GenBankTM受入番号AY426759、C.H.Chen,et al.Blood 2006,107,p1459 67)とも呼ばれる。Id:HGNC:31713、Entrez Gene:160364、Ensembl:ENSG00000172322;OMIM:612088;UniProtKB:Q5QGZ9。CLEC12Aは、CD34陰性またはCD34低発現白血病幹細胞(サイドポピュレ-ション)を含む、急性骨髄性白血病(AML)における白血病芽細胞および白血病幹細胞上に発現される抗原である(A.B.Bakker et al.Cancer Res 2004,64,p8443 50、Van Rhenen et al.2007 Blood 110:2659、Moshaver et al.2008 Stem Cells 26:3059)。CLEC12Aの発現は、そうでなければ、造血系統、特に末梢血および骨髄、すなわち、顆粒球、単球、および樹状細胞前駆体における骨髄細胞に限定されると考えられている。より重要なことに、CLEC12Aは造血幹細胞上には存在しない。この発現プロファイルにより、CLEC12Aは、AMLにおいて特に好ましい標的となる。CLEC12Aの全長形態は、他のほとんどのアイソフォ-ムでは存在しない10個のアミノ酸の追加の細胞内ストレッチを含む275個のアミノ酸残基を含み、厳密には骨髄発現プロファイル(表面発現およびmRNAレベル)を示す。「CLEC12Aまたはその機能的等価物」という用語は、Bakker et al.Cancer Res 2004,64,p8443-50およびMarshall 2004-J Biol Chem 279(15),p14792-802に記載されているように、(表面発現レベルおよびmRNAレベルの両方で)厳密な骨髄発現プロファイルを保持する、上記で参照されるすべての(スプライスおよび変異などの)バリアントおよびそのアイソフォ-ムを意味する。本発明のCLEC12A結合抗体は、ヒトCLEC12Aに結合する。本明細書でCLEC12Aについて言及される場合、別途記載されない限り、ヒトCLEC12Aについて言及される。
【0090】
「ErbB1」または「EGFR」は、Her-またはcErbB-1、-2、-3、および-4という名称の4つの受容体チロシンキナ-ゼ(RTK)のファミリ-のメンバ-である。EGFRは、4つのサブドメインから構成される細胞外ドメイン(ECD)を有し、そのうちの2つはリガンド結合に関与し、そのうちの1つはホモ二量体化およびヘテロ二量体化に関与する。このセクションで使用する参照番号は、「明細書で引用される参考文献」の欄の参照番号の付番を指す。EGFRは、様々なリガンドからの細胞外シグナルを統合し、多様な細胞内応答をもたらす。EGFRによって活性化される主要なシグナル伝達経路は、Ras-マイトジェン活性化プロテインキナ-ゼ(MAPK)有糸分裂シグナル伝達カスケ-ドから構成される。この経路の活性化は、Grb2のチロシンリン酸化EGFRへの動員によって開始される。これにより、Grb2結合Ras-グアニンヌクレオチド交換因子セブンレスの息子(Son of Sevenless)(SOS)によるRasの活性化がもたらされる。加えて、PI3-キナ-ゼ-Aktシグナル伝達経路はEGFRによっても活性化されるが、Her3の共発現がある場合には、この活性化は非常に強い。EGFRは、いくつかのヒト上皮悪性腫瘍、特に乳房、膀胱、非小細胞肺がん肺、結腸、卵巣、頭頸部、および脳のがんに関与している。遺伝子における活性化変異、ならびに受容体およびそのリガンドの過剰発現が見出され、自己分泌活性化ル-プを生じる。したがって、このRTKは、がん療法の標的として広く使用されている。RTKを標的とする小分子阻害剤および細胞外リガンド結合ドメインに指向されるモノクロ-ナル抗体(mAb)の両方が開発され、これまでにいくつかの臨床的成功が示されているが、ほとんどが選択された患者群に対してである。ヒトEGFRタンパク質およびそれをコ-ドする遺伝子のデ-タベ-ス受入番号は、(GenBank NM_005228.3)である。受入番号は、主に、EGFRタンパク質を標的として特定するさらなる方法を提供するために与えられ、抗体によって結合されたEGFRタンパク質の実際の配列は、例えば、いくつかのがんなどで生じる変異などのコ-ド遺伝子における変異のため、変化し得る。本明細書でEGFRについて言及される場合、別途記載されない限り、参照はヒトEGFRについて言及される。EGFRに結合する抗原結合部位は、EGFRおよびその様々なバリアント、例えば、いくつかのEGFR陽性腫瘍上に発現されるものに結合する。
【0091】
本明細書で使用される「ErbB-2」または「HER2」は、ヒトにおいてERBB-2遺伝子によってコ-ドされるタンパク質を指す。遺伝子またはタンパク質の代替名としては、CD340、HER-2、HER-2/neu、MLN19、NEU、NGL、TKR1が挙げられる。ERBB-2遺伝子は、(ヒト上皮成長因子受容体2から)HER2と呼ばれることが多い。本明細書においてErbB-2が参照される場合、参照はヒトErbB-2を指す。ErbB-2に結合する抗原結合部位を含む抗体は、ヒトErbB-2に結合する。ErbB-2抗原結合部位は、ヒトと他の哺乳類オ-ソログとの間の配列および三次構造の類似性に起因して、かかるオ-ソログにも結合し得るが、必ずしもそうではない。ヒトErbB-2タンパク質およびそれをコ-ドする遺伝子のデ-タベ-ス受入番号は、(NP_001005862.1、NP_004439.2 NC_000017.10 NT_010783.15 NC_018928.2)である。受入番号は、主に、ErbB-2を標的として特定するさらなる方法を提供するために与えられ、抗体によって結合されたErbB-2タンパク質の実際の配列は、例えば、いくつかのがんなどで生じる変異などのコ-ド遺伝子における変異のため、変化し得る。ErbB-2抗原結合部位は、ErbB-2およびその様々なバリアント、例えば、いくつかのErbB-2陽性腫瘍細胞によって発現されるものに結合する。
【0092】
本明細書で使用される「ErbB-3」または「HER3」は、ヒトにおいてERBB-3遺伝子によってコ-ドされるタンパク質を指す。遺伝子またはタンパク質の代替名は、HER3、LCCS2、MDA-BF-1、c-ErbB-3、c-erbb-3、erbb-3-S、p180-Erbb-3、p45-sErbb-3、およびp85-sErbb-3である。本明細書においてErbB-3が参照される場合、参照はヒトErbB-3を指す。ErbB-3に結合する抗原結合部位を含む抗体は、ヒトErbB-3に結合する。ErbB-3抗原結合部位は、ヒトと他の哺乳類オ-ソログとの間の配列および三次構造の類似性に起因して、かかるオ-ソログにも結合し得るが、必ずしもそうではない。ヒトErbB-3タンパク質およびそれをコ-ドする遺伝子のデ-タベ-ス受入番号は、(NP_001005915.1、NP_001973.2 NC_000012.11 NC_018923.2 NT_029419.12)である。受入番号は、主に、ErbB-3を標的として特定するさらなる方法を提供するために与えられ、抗体によって結合されたErbB-3タンパク質の実際の配列は、例えば、いくつかのがんなどで生じる変異などのコ-ド遺伝子における変異のため、変化し得る。ErbB-3抗原結合部位は、ErbB-3およびその様々なバリアント、例えば、いくつかのErbB-2陽性腫瘍細胞によって発現されるものに結合する。
【0093】
ある特定の実施形態では、標的細胞抗原結合は、ヒト上皮成長因子受容体(EGFR)に特異的に結合する。EGFR結合ドメインは、親和性、エピト-プ、および他の特徴が様々であり得る。EGFRの細胞外部分に結合することができる特定の可変ドメインは、配列番号53、配列番号54、配列番号55、配列番号57、配列番号59、配列番号61、および配列番号63からなる群から選択される少なくとも1つの重鎖CDRを含む可変ドメインである。
【0094】
EGFR抗原結合ドメインは、配列番号53の重鎖CDR1、配列番号54の重鎖CDR2、および配列番号55、配列番号57、配列番号59、配列番号61、または配列番号63の重鎖CDR3を含むことができる。
【0095】
EGFR抗原結合ドメインは、以下からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である重鎖CDR1、CDR2、および/またはCDR3配列を含むことができる:配列番号53、配列番号54、配列番号55、配列番号57、配列番号59、配列番号61、および配列番号63。
【0096】
EGFR抗原結合ドメインは、以下の群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である重鎖可変領域配列を含むことができる:配列番号52、配列番号56、配列番号58、配列番号60、および配列番号62。
【0097】
EGFR結合ドメインは、0~10、好ましくは0~5のアミノ酸挿入、欠失、置換、付加、またはそれらの組み合わせを有する、配列番号52、配列番号56、配列番号58、配列番号60、および配列番号62のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を含むことができる。
【0098】
EGFR抗原結合ドメインは、配列番号52、配列番号56、配列番号58、配列番号60、または配列番号62の重鎖可変領域、および配列番号93または配列番号99のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含むことができる。
【0099】
ある特定の実施形態では、EGFR抗原結合ドメインは、EGFR抗体セツキシマブまたはパニツムマブの重鎖および/または軽鎖可変領域を含む。
【0100】
ある特定の実施形態では、EGFR抗原結合ドメインは、EGFR抗体セツキシマブまたはパニツムマブの重鎖および軽鎖可変領域と同じエピト-プに結合する。
【0101】
ある特定の実施形態では、EGFR抗原結合ドメインは、EGFRへの結合について、EGFR抗体セツキシマブまたはパニツムマブの重鎖および軽鎖可変領域と競合する。
【0102】
ある特定の実施形態では、標的細胞抗原結合は、ヒトCLEC12Aに特異的に結合する。CLEC12A結合ドメインは、親和性、エピト-プ、および他の特徴が様々であり得る。CLEC12Aの細胞外部分に結合し得る特定の可変ドメインは、配列番号65、配列番号66、および配列番号67からなる群から選択される少なくとも1つの重鎖CDRを含む可変ドメインである。
【0103】
CLEC12A抗原結合ドメインは、それぞれ配列番号65、配列番号66、および配列番号67の重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3を含み得る。
【0104】
CLEC12A抗原結合ドメインは、配列番号65、配列番号66、または配列番号67のアミノ酸配列と少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である重鎖CDR1、CDR2、および/またはCDR3配列を含むことができる。
【0105】
CLEC12A抗原結合ドメインは、配列番号64のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である重鎖可変領域配列を含むことができる。
【0106】
CLEC12A結合ドメインは、0~10、好ましくは0~5のアミノ酸挿入、欠失、置換、付加、またはそれらの組み合わせを有する、配列番号64のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を含むことができる。
【0107】
CLEC12A抗原結合ドメインは、配列番号64の重鎖可変領域、および配列番号93または配列番号99のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含むことができる。
【0108】
一実施形態では、本発明の多価抗体は、PD-L1に結合するVH1を有する第1の可変ドメイン、CD3に結合するVH2を有する第2の可変ドメイン、およびEGFRに結合するVH3を有する第3の可変ドメインを含み、可変ドメインは、本明細書に定義される通りである。第2の結合分子は、TA1またはTA2、好ましくはTA1に対する特異性を有する任意の結合分子であり得る。TA1は、好ましくはPD-L1である。かかる結合分子は、当該抗体の結合特異性を維持する抗体またはその断片もしくはバリアント、あるいは当該断片を含む構造が含まれるが、これらに限定されない。
【0109】
多価抗体を第2の結合分子と組み合わせることにより、多価抗体が、腫瘍細胞などの両方の抗原であるTA1およびTA2(例えば、PD-L1およびEGFR)を発現する細胞の細胞殺滅を誘発することのみ、または主にそれを誘発することを可能にする。多価抗体は、非腫瘍細胞などのTA1もしくはTA2のみを発現する(例えば、PD-L1を発現するがEGFRは発現しないか、またはEGFRを発現するがPD-L1は発現しない)細胞の細胞殺滅を誘導してはならないか、または少なくとも第2の結合分子が存在しない場合よりも程度が小さくなければならない。
【0110】
多価抗体と第2の結合分子との組み合わせは、TA1を発現するがTA2を発現しない非腫瘍細胞、およびTA2を発現するがTA1を発現しない非腫瘍細胞が存在し、多価抗体のアビディティが、TA1およびTA2の両方を発現する細胞の細胞殺滅のみを誘導する、または主に誘導するのに不十分である状況において特に有用である。多価抗体が依然としてTA1を発現するがTA2を発現しない非腫瘍細胞に結合し、かつ/またはその細胞殺滅を誘導する場合、本明細書に記載される第2の結合分子はTA1に結合する。これにより、本明細書に記載される多価抗体の、TA1を発現するがTA2を発現しない非腫瘍細胞への結合が防止もしくは低減され、かつ/または多価抗体によって誘導された非腫瘍細胞の細胞殺滅が低減される。同様に、多価抗体が依然としてTA2を発現するがTA1を発現しない非腫瘍細胞に結合し、かつ/またはその細胞殺滅を誘導する場合、本明細書に記載される第2の結合分子はTA2に結合する。これにより、本明細書に記載される多価抗体の、TA2を発現するがTA1を発現しない非腫瘍細胞への結合が防止もしくは低減され、かつ/または多価抗体によって誘導された非腫瘍細胞の細胞殺滅が低減される。
【0111】
TA1またはTA2に結合する本発明の第2の結合分子は、TA1またはTA2への結合について多価抗体と競合する。二重陽性TA1、TA2発現細胞に対する選択的活性は、多価抗体および第2の結合分子のTA1またはTA2結合ドメインの親和性、第2の結合分子の原子価、多価抗体および第2の結合分子のエピト-プ特異性、第2の結合分子に起因する標的抗原の内在化もしくは脱落、またはこれらの態様の組み合わせに起因して、これらの細胞への多価抗体の優れた結合によって引き起こされ得る。したがって、第2の結合分子は、多価抗体のTA1もしくはTA2への結合を軽減するか、あるいはTA2の発現を欠くか、もしくは発現が低減したTA1細胞、またはTA1の発現を欠くか、もしくは発現が低減したTA2細胞への多価抗体の結合を低減させる。
【0112】
多価抗体のTA1およびTA2結合ドメインの親和性は、腫瘍細胞および非腫瘍細胞上のTA1およびTA2の発現レベルに基づいて選択され得る。例えば、腫瘍細胞上のTA2の発現レベルがTA1よりも高い場合、多価抗体のTA2結合ドメインの親和性は、例えば、2桁または3桁のnMなどの低いまたは中の下の親和性であってもよく、多価抗体のTA1結合ドメインの親和性は、例えば、1桁または2桁のnMなどの中または中の高の親和性であってもよい。同様に、腫瘍細胞上のTA1の発現レベルがTA2よりも高い場合、多価抗体のTA1結合ドメインの親和性は、例えば、2桁または3桁のnMなどの低いまたは中の下の親和性であってもよく、多価抗体のTA2結合ドメインの親和性は、例えば、1桁または2桁のnMなどの中または中の高の親和性であってもよい。腫瘍細胞上のTA2の発現レベルがTA1の発現レベルと同等である場合、多価抗体のTA2結合ドメインおよびTA1結合ドメインの親和性は、例えば、高、中の高、中、中の下、または低の親和性の範囲などの同じ範囲内であることが好ましい。腫瘍細胞上のTA2の発現レベルがTA1の発現レベルよりも低い場合、多価抗体のTA2結合ドメインの親和性は、高の中または高の親和性であってもよく、多価抗体のTA1結合ドメインは、低、中の下、または中の親和性であってもよい。同様に、腫瘍細胞上のTA1の発現レベルが、TA2の発現レベルよりも低い場合、多価抗体のTA1結合ドメインの親和性は、高の中または高の親和性であってもよく、多価抗体のTA2結合ドメインは、低、中の下、または中の親和性であってもよい。
【0113】
第2の結合分子は、好ましくは、全長抗体、Fab、修飾Fab、またはscFvである。第2の結合分子は、好ましくは、TA2結合可変ドメインを含まない。好ましくは、それは、免疫細胞関与抗原(IEA)に結合する結合ドメインを含まない。多価抗体のTA1またはTA2結合可変ドメインは、第2の結合分子のTA1またはTA2結合可変ドメインと同じであり得る。第2の結合分子は、少なくとも1つのTA1またはTA2結合可変ドメインを含むが、複数のTA1またはTA2結合可変ドメインも含み得る。第2の結合分子は、好ましくは2つのTA1またはTA2結合可変ドメインを含む。第2の結合分子のTA1またはTA2結合可変ドメインは、便宜的に同じであるが、必ずしも同じではない。第2の結合分子は、好ましくは、2つの同一のTA1またはTA2結合可変ドメインを含む二価単一特異性抗体である。ある特定の実施形態では、第2の結合分子は、同じアッセイで測定されるとき、多価抗体よりも低いアビディティを有する。好適なアッセイの例は、FACS結合アッセイである。
【0114】
第2の結合分子は、例えば、アテゾリズマブもしくはデュルバルマブなどの市販の抗体、またはそれらの類似体もしくはバリアントであり得る。使用され得る別の抗PD-L1抗体は、配列番号47を有する重鎖、またはその機能的等価物を含む抗体である。さらなる例としては、MSB-0010718C(WO2013/079174を参照されたい)、STI-1014(WO2013/181634を参照されたい)、CX-072(WO2016/149201を参照されたい)、KN035(Zhang et al.,Cell Discov.7:3(March 2017)を参照されたい)、LY3300054(WO2017/034916を参照されたい)、およびCK-301(Gorelik et al.,AACR:Abstract 4606(Apr 2016))を参照されたい)、ならびに12A4(MDX-1105としても知られる)(例えば、WO2013/173223を参照されたい)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0115】
一実施形態では、第2の結合分子は、配列番号46、47、または51を有する2つの重鎖を含む。
【0116】
多価抗体は、TA1またはTA2への結合について第2の結合分子と競合するはずである。多価抗体は、TA1およびTA2の両方を発現する細胞への結合のための第2の結合分子を上回ることができるはずであり、第2の結合分子は、第2の結合分子によって標的とされる抗原(TA1またはTA2)のうちの1つのみを発現する結合細胞のための多価分子を上回ることができるはずである。
【0117】
正しい標的化(例えば、より高い比率で単一抗原発現細胞に結合する第2の結合分子および二重抗原細胞に結合する多価抗体)を得ることは、本明細書に記載の発明によって達成され得る。
【0118】
これは、多価抗体のTA1もしくはTA2結合ドメインおよび/または第2の結合分子のTA1もしくはTA2結合ドメインの親和性を調節することによって達成され得る。多価抗体のTA1もしくはTA2結合ドメインおよび/または第2の結合分子のTA1もしくはTA2結合ドメインの親和性の調節は、腫瘍細胞および非腫瘍細胞上のTA1およびTA2の発現レベルに基づき得る。TA1またはTA2に結合する第2の結合分子のkdは、多価抗体のTA1またはTA2結合ドメインのkdと同等である、それと等しい、またはそれよりも低いことが好ましい。Kdは、konレ-トおよびkoffレ-トによって決定される。TA1またはTA2に結合する第2の結合分子のkonは、多価抗体のTA1またはTA2結合ドメインのkonと同等である、それと等しい、またはそれよりも低いことが好ましい場合がある。また、TA1に結合する第2の結合分子のkoffが、多価抗体のTA1またはTA2結合ドメインのkoffと同等である、それと等しい、またはそれよりも低いことが好ましい場合がある。また、TA1またはTA2に結合する第2の結合分子のkonレ-トが、多価抗体のTA1またはTA2結合ドメインのkonレ-トと同等である、それと等しい、またはそれよりも高く、TA1に結合する第2の結合分子のkoffレ-トが、多価抗体のTA1またはTA2結合ドメインのkoffレ-トと同等である、それと等しい、またはそれよりも低いことが好ましい場合がある。これにより、第2の結合分子が、多価抗体よりもTA1もしくはTA2により強く結合すること、および/または多価抗体よりも多くのTA1もしくはTA2を占有することが可能となり、それにより、多価抗体がTA1またはTA2に結合することを防止する。細胞がTA1およびTA2の両方を発現する場合、多価抗体は、第2の結合分子によって結合されない腫瘍関連抗原(TA1またはTA2)に結合し、より高いアビディティに起因して、それに結合される腫瘍関連抗原への結合について第2の結合分子を上回る。
【0119】
これは、第2の結合分子によって結合されない腫瘍関連抗原が第2の結合分子によって標的化された腫瘍関連抗原に対して過剰に存在するような方法でTA1およびTA2を選択すること、および/もしくは第2の結合分子によって標的化されない腫瘍関連抗原に対して高い親和性を有する多価抗体の結合ア-ムを選択することにより、または両方の組み合わせにより増強され得る。本明細書に例示されるが、限定されないこれらの作用様式は、TA1もしくはTA2のみを発現する非腫瘍細胞への結合について多価抗体を軽減するか、またはTA1およびTA2の両方を発現する標的腫瘍細胞よりも小さい程度に軽減する。
【0120】
二重抗原発現細胞の多価標的化に対する親和性およびアビディティ駆動選択性に加えて、他の機械的手段を用いることができる。第2の結合分子が、標的化抗原(TA1またはTA2)の内在化または脱落を引き起こすことが好ましい場合がある。結合されると内在化または脱落する能力を有する多くの腫瘍関連抗原が当技術分野で既知である。第2の結合分子のこの特徴は、単一発現細胞について多価分子の抗原標的を除去するが、二重発現細胞については、多価分子は、結合分子によって標的とされない第2の抗原上にドッキングし、次いで、経時的に再出現する第2の結合分子によって標的とされる抗原に固定される。
【0121】
同様に、多価分子は、第2の結合分子が抗原を標的とすることができなくなるように、結合時に抗原を変化させる標的化ドメインを有するように設計することができる。いずれにしても、1つの分子(多価分子または第2の結合分子)の標的化は、第2の分子が、第1の分子によって既に結合されている同じ抗原を標的とする可能性を妨げるべきである。
【0122】
一態様では、第2の結合分子のTA1またはTA2結合可変ドメインの親和性は、多価抗体のTA1またはTA2結合可変ドメインの親和性と同等である。これにより、多価抗体が、TA1およびTA2の両方を発現する細胞上で、第2の結合分子を上回るか、またはTA1もしくはTA2への結合が増強されることが可能になる。TA1およびTA2のうちの1つのみを発現する細胞上のTA1またはTA2への第2の結合分子の結合を増加させるために、第2の結合分子の原子価および/または親和性を増加させてもよい。
【0123】
一態様では、第2の結合分子のTA1またはTA2結合可変ドメインの親和性は、多価抗体のTA1またはTA2結合可変ドメインの親和性と等しい。これにより、多価抗体が、TA1およびTA2の両方を発現する細胞上で、第2の結合分子を上回るか、またはTA1もしくはTA2への結合が増強されることが可能になる。TA1およびTA2のうちの1つのみを発現する細胞上のTA1またはTA2への第2の結合分子の結合を増加させるために、第2の結合分子の原子価および/または親和性を増加させてもよい。
【0124】
一態様では、第2の結合分子のTA1またはTA2結合可変ドメインの親和性は、多価抗体のTA1またはTA2結合可変ドメインの親和性よりも高い。これにより、第2の結合分子が、TA1またはTA2への結合について多価抗体を上回ることが可能になる。TA1およびTA2の両方を発現する細胞上のTA1への多価抗体の結合を増加させ、したがって、TA1への結合について第2の結合分子を上回るために、多価抗体のTA2結合可変ドメインの親和性を増加させてもよい。
【0125】
本明細書に記載される可変ドメインのkdまたはkonまたはkoffは、好ましくはbiacoreで、好ましくは二重特異性一価形式で、すなわち、kdまたはkonまたはkoffが決定される1つの可変ドメイン、および無関係な標的に結合する1つの可変ドメインを有する二重特異性抗体を使用して測定される。本出願では、この無関係な標的は、好ましくは、配列番号68の同じ共通の軽鎖およびVH鎖を有する、好適には破傷風トキソイド結合ドメインである。
【0126】
TA1に結合する多価抗体の追加の可変ドメインは、好ましくは、scFvドメイン、Fabドメイン、または修飾Fabドメインの一部として存在する。好ましくは、追加の変数は、そのC末端のCH1領域と関連し、好ましくはリンカ-によって、免疫細胞関与抗原(IEA)に結合する可変ドメインのN末端に連結される。好ましくは、追加の結合ドメインは、重鎖可変領域(VH)および軽鎖可変領域(VL)を含むFabドメインであり、当該Fabドメインの当該重鎖可変領域は、CH1領域(VH-CH1)を含み、当該Fabの当該軽鎖可変領域は、CL領域(VL-CL)を含む。追加の結合ドメインはまた、VH-CH1およびVLからなる修飾Fabドメインであり得る。あるいは、追加の結合ドメインは、VL-CLおよびVHからなる修飾Fabドメインである。かかる修飾Fabドメインでは、同族領域と対合していない定常領域CH1またはCLが存在し、かつ/または、同族領域と対合していない可変領域VHもしくはVLが存在する。
【0127】
免疫細胞関与抗原(IEA)に結合する多価抗体の可変ドメインおよび/またはTA2に結合する多価抗体の可変ドメインは、好ましくはCH1領域と関連する。好ましくは、免疫細胞関与抗原(IEA)に結合する結合ドメインおよび/またはTA2に結合する結合ドメインは、重鎖可変領域(VH)および軽鎖可変領域(VL)を含むFabドメインであり、当該Fabドメインの当該重鎖可変領域は、CH1領域(VH-CH1)を含み、当該Fabの当該軽鎖可変領域は、CL領域(VL-CL)を含む。免疫細胞関与抗原(IEA)に結合する結合ドメインおよび/またはTA2に結合する結合ドメインはまた、VH-CH1およびVLからなる修飾Fabドメインであり得る。あるいは、追加の結合ドメインは、VL-CLおよびVHからなる修飾Fabドメインである。そのような修飾Fabドメインでは、その同族領域と対合していない定常領域CH1またはCLが存在し、かつ/または、その同族領域と対合していない可変領域VHもしくはVLが存在する。
【0128】
リンカ-を使用して、追加の結合ドメインを塩基抗体に接続してもよい。リンカ-は、当該技術分野で既知の任意の好適なリンカ-であり得、好ましくは、ペプチド領域、例えば、1つ以上のヒンジ領域および/またはヒンジ領域に由来する1つ以上の領域を含む。リンカ-とそれが接続される定常領域(例えば、CH1)との組み合わせは、多価抗体の特性を決定し得る。リンカ-は、抗体の正しい機能性および/または塩基抗体に対する1つ以上の追加の結合ドメインの配向を可能にし得る。結合ドメインにおけるCH1領域の組み合わせは、抗体の機能性および/または塩基抗体に対する結合ドメインの配向を改善し得る。所与のサブタイプのヒンジに基づくリンカ-配列は、好ましくは、追加の結合ドメインにおける同じサブタイプの定常領域と組み合わせられる。
【0129】
好ましくは、リンカ-は、自然に発生する配列であるか、または自然に発生する配列に基づく。より具体的には、当該リンカ-は、好ましくはヒンジ配列であるか、またはヒンジ配列に基づく配列を含む。より具体的には、当該リンカ-は、IgG1ヒンジ領域、IgG2ヒンジ領域、IgG3ヒンジ領域、またはIgG4ヒンジ領域に基づくヒンジ領域を含み得る。リンカ-は、好ましくは、7~30個のアミノ酸残基のペプチドである。リンカ-は、好ましくは、本明細書に記載される抗体のヒンジ配列を含む。
【0130】
あるいは、当該リンカ-は、以下の配列のうちの1つ以上を含む7~30個のアミノ酸残基のペプチドを含む:
1:ESKYGPP(配列番号69)、
2:EPKSCDKTHT(配列番号70)、
3:GGGGSGGGGS(配列番号71)、
4:ERKSSVESPPSP配列番号72)、
5:ERKCSVESPPSP(配列番号73)、
6:ELKTPLGDTTHT(配列番号74)、
7:ESKYGPPSPSSP(配列番号75)、
8:ERKSSVEAPPVAG(配列番号76)、
9:ERKCSVEAPPVAG(配列番号77)、
10:ESKYGPPAPEFLGG(配列番号78)、
11:EPKSCDKTHTSPPSP(配列番号79)、
12:EPKSCDGGGGSGGGGS(配列番号80)、
13:GGGGSGGGGSAPPVAG(配列番号81)、
14:EPKSCDKTHTAPELLGG(配列番号82)、
15:ERKSSVESPPSPAPPVAG(配列番号83)、
16:ERKCSVESPPSPAPPVAG(配列番号84)、
17:ELKTPLGDTTHTAPEFLGG(配列番号85)、
18:ESKYGPPSPSSPAPEFLGG(配列番号86)、
19:EPKSCDKTHTSPPSPAPELLGG(配列番号87)、
20:ERKSSVEEAAAKEAAAKAPPVAG(配列番号88)、
21:ERKCSVEEAAAKEAAAKAPPVAG(配列番号89)、
22:ESKYGPPEAAAKEAAAKAPEFLGG(配列番号90)、
23:EPKSCDKTHTEAAAKEAAAKAPELLGG(配列番号91)、
24:ELKTPLGDTTHTEAAAKEAAAKAPEFLGG(配列番号92)、
またはそれらのいずれか1つに対して少なくとも約85%の配列同一性を有する配列。
【0131】
塩基抗体を1つ以上の追加の結合ドメインに接続するリンカ-は、好ましくは、ペプチド配列1~24のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含むペプチド、またはペプチド配列1~24と少なくとも約85%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドである。
【0132】
多価抗体の結合ドメインは、任意の好適な軽鎖を有し得る。それらは各々、異なる軽鎖を有し得るか、または2つ以上の結合ドメインは、同じまたは類似の軽鎖を有し得る。かかる軽鎖は、本明細書では、共通の軽鎖と呼ばれ、これは、共通の軽鎖可変領域を含む軽鎖である。軽鎖定常領域(CL)は、かかる共通の軽鎖において、必ずしも同じまたは類似していない。好ましくは、多価抗体のすべての結合ドメインは、共通の軽鎖を含む。第2の結合分子はまた、共通の軽鎖を含み得る。典型的には、これは、多価抗体で使用されるのと同じ共通の軽鎖である。
【0133】
共通の軽鎖または軽鎖可変領域を有することは、免疫グロブリン鎖の関連時に形成され得る異なる分子の数を制限するため、多価抗体の産生を容易にする。産生細胞は、ここで、2つの重鎖および1つの軽鎖または1つの軽鎖可変領域のみを産生する必要がある。当該軽鎖が、3つ以上の重鎖可変領域を有する2つの重鎖をコ-ドするDNAを含む宿主細胞内で発現される場合、当該軽鎖は、各利用可能な重鎖可変領域またはCH1-VH1領域と対合することができ、それによって少なくとも3つの機能的抗原結合ドメインを形成する。
【0134】
共通の軽鎖または共通軽鎖可変領域は、異なる重鎖または重鎖可変領域、例えば、重鎖をVH1、VH2、および/またはVH3と対合することができる。かかる共通の軽鎖または共通の軽鎖可変領域の例は、WO2004/009618およびWO2009/157771に記載されている。共通の軽鎖または共通の軽鎖可変領域は、好ましくは生殖系列配列を有する。好ましい生殖系列配列は、ヒトレパ-トリ-で頻繁に使用され、良好な熱力学的安定性、収率、および溶解性を有する軽鎖可変領域である。好ましい生殖系列軽鎖は、IgVκ1-39可変領域Vセグメントを含む。共通の軽鎖は、好ましくは、再配列された生殖系列ヒトカッパ軽鎖可変領域IgVκ1-39*01/IGJκ1*01を含む(
図3B)。それは、0~5のアミノ酸挿入、欠失、置換、付加、またはそれらの組み合わせを含み得る。共通の軽鎖は、好ましくは、軽鎖定常領域をさらに含む。これは、カッパまたはラムダ軽鎖定常領域、好ましくはカッパ軽鎖定常領域であり得る(
図3C)。
【0135】
好ましくは、本発明の多価抗体は、カッパ軽鎖可変領域IgVκ1-39*01/IGJκ1*01またはIgVκ1-39*01/IGJκ5*01を含む。好ましくは、多価抗体における共通の軽鎖可変領域は、IgVκ1-39*01/IGJκ1*01(配列番号93)である。
【0136】
好ましくは、本発明の第2の結合分子は、カッパ軽鎖可変領域IgVκ1-39*01/IGJκ1*01またはIgVκ1-39*01/IGJκ5*01も含む。好ましくは、第2の結合分子における共通の軽鎖可変領域は、IgVκ1-39*01/IGJκ1*01(配列番号93)である。
【0137】
他の共通の軽鎖可変領域が当該技術分野で既知であり、使用することができ、例えば、IgVκ3-20/IgJκ1、IgVκ3-15/IgJκ1、およびIgVλ3-21/IgJλ3を含む。
【0138】
IgVκ1-39は、免疫グロブリン可変カッパ1-39遺伝子の略である。この遺伝子は、免疫グロブリンカッパ可変1-39、IGKV139、IGKV1-39としても知られている。この遺伝子の外部Idは、HGNC:5740、Entrez Gene:28930、Ensembl:ENSG00000242371である。IgVκ1-39の好ましいアミノ酸配列は、配列番号107として提示される。これは、V領域の配列である。V領域は、5つのJ領域のうちの1つと組み合わせることができる。2つの好ましい合わせられた配列は、IGKV1-39/jk1およびIGKV1-39/jk5と示され、代替名は、IgVκ1-39*01/IGJκ1*01またはIgVκ1-39*01/IGJκ5*01(imgt.orgのIMGTデ-タベ-スワ-ルドワイドウェブによる命名)である。これらの名称は、例示的なものであり、遺伝子セグメントの対立遺伝子バリアントを包含する。
【0139】
IgVκ3-20は、免疫グロブリン可変カッパ3-20遺伝子の略である。この遺伝子は、免疫グロブリンカッパ可変3-20、IGKV320、IGKV3-20としても知られている。この遺伝子の外部Idは、HGNC:5817、Entrez Gene:28912、Ensembl:ENSG00000239951である。IgVκ3-20の好ましいアミノ酸配列は、配列番号108である。これは、V領域の配列である。V領域は、5つのJ領域のうちの1つと組み合わせることができる。好ましい合わせられた配列は、IGKV3-20/jk1と示され、代替名は、IgVκ3-20*01/IGJκ1*01(imgt.orgのIMGTデ-タベ-スワ-ルドワイドウェブによる命名)である。この名称は、例示的なものであり、遺伝子セグメントの対立遺伝子バリアントを包含する。
【0140】
IgVκ3-15は、免疫グロブリン可変カッパ3-15遺伝子の略である。この遺伝子は、免疫グロブリンカッパ可変3-15、IGKV315、IGKV3-15としても知られている。この遺伝子の外部Idは、HGNC:5816、Entrez Gene:28913、Ensembl:ENSG00000244437である。IgVκ3-15の好ましいアミノ酸配列は、配列番号109として提示される。これは、V領域の配列である。V領域は、5つのJ領域のうちの1つと組み合わせることができる。好ましい合わせられた配列は、IGKV3-15/jk1と示され、代替名は、IgVκ3-15*01/IGJκ1*01(imgt.orgのIMGTデ-タベ-スワ-ルドワイドウェブによる命名)である。この名称は、例示的なものであり、遺伝子セグメントの対立遺伝子バリアントを包含する。
【0141】
IgVλ3-21は、免疫グロブリン可変ラムダ3-21遺伝子の略である。この遺伝子は、免疫グロブリンラムダ可変3-21、IGLV320、IGLV3-21としても知られている。この遺伝子の外部Idは、HGNC:5905、Entrez Gene:28796、Ensembl:ENSG00000211662.2である。IgVλ3-21の好ましいアミノ酸配列は、配列番号110として提示される。これは、V領域の配列である。V領域は、5つのJ領域のうちの1つと組み合わせることができる。好ましい合わせられた配列は、IGλV3-21/jk3と示され、代替名は、IgVλ3-21/IGJκ3(imgt.orgのIMGTデ-タベ-スワ-ルドワイドウェブによる命名)である。この名称は、例示的なものであり、遺伝子セグメントの対立遺伝子バリアントを包含する。
【0142】
多価抗体は、好ましくは、定常領域を含む全長抗体である。好ましくは、多価抗体は、重鎖のヘテロ二量体化のために最適化される定常領域を含む全長抗体である。重鎖のヘテロ二量体化を最適化するための技法は、当技術分野で既知であり、ノブインホ-ル変異の使用、およびDEKK変異の使用が挙げられるが、これらに限定されない(WO2013/157954およびDe Nardis et al.,J.Biol.Chem.(2017)292(35)14706-14717、参照により本明細書に組み込まれる)。
【0143】
多価抗体は、エフェクタ-機能を誘導する抗体であり得る。多価抗体はまた、エフェクタ-機能を誘導しないか、または低減したエフェクタ-機能を誘導する抗体であってもよい。多価抗体は、好ましくは、Fc受容体を介してエフェクタ-機能を誘導することができない。第2の結合分子は、好ましくは、エフェクタ-機能を誘導しないか、または低減したエフェクタ-機能を誘導する。
【0144】
当該技術分野で既知のエフェクタ-機能の1つのタイプは、多くの場合、抗体依存性細胞傷害性(ADCC)と称され、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害性とも称される。ADCCは、細胞媒介性免疫防御機構であり、それにより、免疫系のエフェクタ-細胞が、膜表面抗原が特定の抗体によって結合された標的細胞を能動的に溶解する。ADCCエフェクタ-機能は、典型的には、Fc受容体(FcR)によって媒介される。これらの受容体は、抗体媒介性(体液性)免疫応答を細胞エフェクタ-機能に接続する主要な免疫調節受容体である。FcγR(IgG)、FcεRI(IgE)、FcαRI(IgA)、FcμR(IgM)、およびFcδR(IgD)を含むすべてのクラスの免疫グロブリンの受容体が特定されている。白血球上に見られるヒトIgGの3つのクラスの受容体:CD64(FcγRI)、CD32(FcγRIIa、FcγRIIb、およびFcγRIIc)、およびCD16(FcγRIIIaおよびFcγRIIIb)が存在する。FcγRIが高親和性受容体(ナノモル範囲のKD)に分類される一方で、FcγRIIおよびFcγRIIIは、低~中間親和性(マイクロモル範囲のKD)である。抗体依存性細胞傷害性(ADCC)では、エフェクタ-細胞(ナチュラルキラ-細胞、マクロファ-ジ、単球、および好酸球)の表面上のFcvRは、それ自体が標的細胞に結合するIgGのFc領域に結合する。結合時、標的細胞の破壊を媒介する溶解酵素、パ-フォリン、グランザイム、および腫瘍壊死因子などの様々な物質の分泌をもたらすシグナル伝達経路が引き起こされる。ADCCエフェクタ-機能のレベルは、ヒトIgGサブタイプによって異なる。これは、簡単に言えば、アロタイプおよび特定のFcvRに依存するが、ADCCエフェクタ-機能は、ヒトIgG1およびIgG3では高く、IgG2およびIgG4では低い。FcvRの結合部位が抗体上に存在するという知識により、ADCCエフェクタ-機能を有しない操作された抗体がもたらされた。
【0145】
エフェクタ-機能の別のタイプは、エフェクタ-細胞に依存せず、しばしば、補体依存性細胞傷害性(CDC)と称される。これは、IgGおよびIgM抗体のエフェクタ-機能である。治療用抗体または抗体断片が抗腫瘍効果を達成することができる別の作用機序である。CDCは、古典的な補体経路の開始成分であるC1qが標的結合抗体のFc部分に固定されたときに開始される。これは、最終的に抗体標識細胞の溶解をもたらすことができる複合体補体活性化カスケ-ドの最初のステップである。
【0146】
第2の結合分子は、好ましくは、抗体のADCCおよび/またはCDC活性を低減するように操作される定常領域を含む単一特異性抗体である。抗体のADCCおよび/またはCDC活性を低減する技法が当該技術分野で既知であり、本発明で好適に用いることができる。第2の結合分子がIgG1抗体である場合、それは修飾CH2領域を含むことが好ましく、修飾は、抗体のADCCおよび/またはCDC活性が低減または無効化されるようなものであることが好ましい。いくつかの抗体は、例えば、Fc受容体相互作用を低減するか、またはC1q結合を低減するように、CH2/下部ヒンジ領域が修飾される。本発明の第2の結合分子は、第2の結合分子とFc受容体、好ましくはFc-ガンマ受容体との相互作用が低減されるような、変異体CH2および/または下部ヒンジドメインを有するIgG抗体であり得る。
【0147】
多価抗体は、抗体のADCCおよび/またはCDC活性を低減するように操作される定常領域を有することができる。多価抗体がIgG1抗体である場合、それは修飾CH2領域を含むことが好ましく、修飾は、抗体のADCCおよび/またはCDC活性が低減または無効化されるようなものであることが好ましい。いくつかの抗体は、例えば、Fc受容体相互作用を低減するか、またはC1q結合を低減するように、CH2/下部ヒンジ領域が修飾される。本発明の多価抗体は、多価抗体とFc受容体、好ましくはFc-ガンマ受容体との相互作用が低減されるように、変異体CH2および/または下部ヒンジドメインを有するIgG抗体であり得る。低減したエフェクタ-機能を示す多価抗体は、免疫細胞関与抗原との結合を通じて、エフェクタ-細胞に結合することが可能なままであり、TA1および/またはTA2結合可変ドメインを介して結合したときに、これらをがん細胞などの異常細胞の近傍で活性化する。
【0148】
したがって、本発明は、本明細書で定義される多価抗体および第2の結合分子を含む組成物を提供する。組成物は、好ましくは、多価抗体および第2の結合分子を含む治療用組成物、または多価抗体、第2の結合分子、ならびに薬学的に許容される担体および/もしくは希釈剤を含む薬学的組成物である。患者に投与される、本発明による組成物中の多価抗体および第2の結合分子の量は、典型的には、治療ウィンドウ内にあり、治療効果を得るために十分な量が使用されることを意味するが、量は、許容できない程度の副作用をもたらす閾値を超えない。
【0149】
本明細書で定義される本発明の多価抗体および第2の結合分子を含む部分のキットも提供される。部分のキットは、単一の組成物として、または別個の組成物として(すなわち、1つの組成物が多価抗体を含み、別の組成物が第2の結合分子を含む)、本発明の多価抗体および第2の結合分子を含むことができる。ある特定の実施形態では、キットは、同時にまたは連続的に多価抗体および第2の結合分子を投与することを必要とする対象に、それを行うための説明書を含む。ある特定の実施形態では、キットは、多価抗体を投与する前に第2の結合分子を投与するための説明書を含む。
【0150】
本明細書に記載される多価抗体および第2の結合分子の組み合わせ、組成物、または部分のキットは、非腫瘍細胞への多価抗体の結合を軽減もしくは低減するため、および/または多価抗体によって誘導された非腫瘍細胞の細胞殺滅を軽減または低減するために使用され得る。
【0151】
特に、本発明の文脈において、非腫瘍細胞は、例えば、TA1を発現するがTA2を発現しない細胞、およびTA2を発現するがTA1を発現しない細胞などの、多価抗体が結合する腫瘍関連抗原のうちの1つのみを発現する。TA1を発現するがTA2を発現しない非腫瘍細胞、およびTA2を発現するがTA1を発現しない非腫瘍細胞は、同時に存在することができる。低減した結合および低減した細胞殺滅とは、第2の結合分子の不在下での多価抗体の結合または細胞殺滅活性と比較した場合、低減した結合および細胞殺滅活性を指す。
【0152】
ある特定の実施形態では、本発明は、非腫瘍細胞への本明細書に記載される多価抗体の結合を軽減もしくは低減するため、かつ/または本明細書に記載される多価抗体によって誘導された非腫瘍細胞の細胞殺滅を軽減もしくは低減するための方法に関し、方法は、多価抗体と併せてTA1またはTA2に結合する、本明細書に記載される第2の結合分子を使用することを含む。
【0153】
ある特定の実施形態では、本発明は、非腫瘍細胞への本明細書に記載される多価抗体の結合を軽減もしくは低減するため、かつ/または本明細書に記載される多価抗体によって誘導された非腫瘍細胞の細胞殺滅を軽減もしくは低減するための、本明細書に記載される第2の結合分子の使用に関する。
【0154】
ある特定の実施形態では、本発明は、非腫瘍細胞への多価抗体の結合を軽減もしくは低減するため、かつ/または多価抗体によって誘導された非腫瘍細胞の細胞殺滅を軽減もしくは低減するための、本明細書に記載される多価抗体および第2の結合分子の組み合わせの使用に関する。
【0155】
ある特定の実施形態では、本発明は、非腫瘍細胞への多価抗体の結合を軽減もしくは低減するため、かつ/または多価抗体によって誘導された非腫瘍細胞の細胞殺滅を軽減もしくは低減するための、本明細書に記載される多価抗体および第2の結合分子を含む組成物の使用に関する。ある特定の実施形態では、組成物は、本明細書に記載される治療用組成物である。ある特定の実施形態では、組成物は、本明細書に記載される薬学的組成物である。
【0156】
ある特定の実施形態では、本発明は、非腫瘍細胞への多価抗体の結合を軽減もしくは低減する際に使用するための、かつ/または多価抗体によって誘導された非腫瘍細胞の細胞殺滅を軽減もしくは低減するための、本明細書に記載される多価抗体および第2の結合分子の組み合わせに関する。
【0157】
ある特定の実施形態では、本発明は、非腫瘍細胞への多価抗体の結合を軽減もしくは低減する際に使用するための、かつ/または多価抗体によって誘導された非腫瘍細胞の細胞殺滅を軽減もしくは低減するための、本明細書に記載される第2の結合分子に関する。ある特定の実施形態では、多価抗体は、本明細書に記載される多価抗体である。
【0158】
ある特定の実施形態では、本発明は、非腫瘍細胞への多価抗体の結合を軽減もしくは低減する際に使用するための、かつ/または多価抗体によって誘導された非腫瘍細胞の細胞殺滅を軽減もしくは低減するための、本明細書に記載される多価抗体および第2の結合分子を含む組成物に関する。ある特定の実施形態では、組成物は、本明細書に記載される治療用組成物である。ある特定の実施形態では、組成物は、本明細書に記載される薬学的組成物である。
【0159】
それらの臨床使用に加えて、本明細書に記載される多価抗体および第2の結合分子を含む組成物、本明細書に記載される多価抗体および第2の結合分子の組み合わせ、本明細書に記載される方法、および本明細書に記載される使用は、治療用抗体の研究および開発、ならびにかかる抗体を含む組成物において有用である。これには、インビトロアッセイにおける使用、インビボ実験(インビトロアッセイを含む)、および前臨床的特徴付けにおけるインビボ実験が含まれるが、これらに限定されない。
【0160】
本明細書に記載される多価抗体および第2の結合分子の組み合わせ、組成物、または部分のキットは、医学的適応症、特にがんに罹患しているヒトまたは動物の治療方法において使用することができ、この方法は、それを必要とするヒトまたは動物に、治療有効量の本明細書に定義される本発明の多価抗体および第2の結合分子の組み合わせを投与することを含む。
【0161】
がんの治療の方法が提供され、方法は、
-それを必要とする対象に、本明細書に記載される多価抗体を投与すること、および対象に、本明細書に記載される第2の結合分子を追加で投与すること、
-それを必要とする対象に、本明細書に記載される組成物を投与すること、
-それを必要とする対象に、本明細書に記載される治療用組成物を投与すること、または
-それを必要とする対象に、本明細書に記載される薬学的組成物を投与することを含む。
【0162】
がんの治療において使用するための、本明細書で定義される多価抗体および第2の結合分子を含む組成物、または本明細書に定義される多価抗体および第2の結合分子を含む部分のキットがさらに提供される。
【0163】
ある特定の実施形態では、本発明は、がんの治療において使用するための、本明細書に記載される多価抗体および第2の結合分子の組み合わせの使用に関する。
【0164】
ある特定の実施形態では、本発明は、がんの治療において使用するための、本明細書に記載される多価抗体および第2の結合分子を含む組成物の使用に関する。ある特定の実施形態では、組成物は、本明細書に記載される治療用組成物である。ある特定の実施形態では、組成物は、本明細書に記載される薬学的組成物である。
【0165】
ある特定の実施形態では、本発明は、がんの治療において使用するための、本明細書に記載される多価抗体および第2の結合分子の組み合わせに関する。
【0166】
ある特定の実施形態では、本発明は、がんの治療において使用するための、本明細書に記載される多価抗体および第2の結合分子を含む組成物に関する。ある特定の実施形態では、組成物は、本明細書に記載される治療用組成物である。ある特定の実施形態では、組成物は、本明細書に記載される薬学的組成物である。
【0167】
がんを有する個体の治療のための薬剤の製造のための、本明細書で定義される本発明の多価抗体および第2の結合分子の組み合わせ、本明細書で定義される本発明の多価抗体および第2の結合分子を含む組成物、または本明細書で定義される多価抗体および第2の結合分子を含む部分のキットの使用がさらに提供される。ある特定の実施形態では、組成物は、本明細書に記載される治療用組成物である。ある特定の実施形態では、組成物は、本明細書に記載される薬学的組成物である。
【0168】
がんの治療の方法がさらに提供され、これには、それを必要とする対象に、本明細書で定義される本発明の多価抗体を投与すること、および対象に、本明細書で定義される本発明の第2の結合分子を追加で投与することが含まれる。
【0169】
本発明の多価抗体および第2の結合分子は、1つの組成物として、または別個の組成物として、同時に投与することができる。本発明の多価抗体および第2の結合分子はまた、順次投与することができ、第2の結合分子が最初に投与され、続いて多価抗体が投与されるか、またはその逆も同様である。好ましくは、第2の結合分子は、多価抗体の前に投与される。
【0170】
がんは、任意の固形がんまたは血液がんであり得る。固形がんの例としては、上皮由来のもの、卵巣および子宮内膜がん、乳がんなどの婦人科がん、前立腺がん、および脳がんが挙げられる。
【0171】
血液がんは、好ましくは骨髄由来の白血病または前白血病疾患であり得るが、B細胞リンパ腫であってもよい。本発明によって治療することができる疾患としては、骨髄性白血病または前白血病疾患、例えば、急性骨髄性白血病(AML)、骨髄異形成症候群(MDS)、および慢性骨髄性白血病(CML)、ならびにホジキンリンパ腫およびほとんどの非ホジキンリンパ腫が挙げられる。また、B-ALL、T-ALL、マントル細胞リンパ腫はまた、本発明の組成物または部分のキットで治療するための好ましい標的である。
【0172】
したがって、本発明は、骨髄異形成症候群(MDS)、慢性骨髄性白血病(CML)、多発性骨髄腫(MM)、または好ましくは急性骨髄性白血病(AML)の治療における医薬品として使用するための、添付の特許請求の範囲による組成物または部分のキットを提供する。MDS、CML、MM、または好ましくはAMLの治療または予防のための薬剤の調製における、特許請求の範囲に記載の組成物または部分のキットの使用も提供される。腫瘍抗原がCLEC12Aであることが好ましい。
【0173】
本発明は、本明細書に記載される多価抗体の重鎖および軽鎖をコ-ドする核酸を含む発現ベクタ-、ならびに本明細書に記載される第2の結合分子の重鎖および軽鎖をコ-ドする核酸を含む発現ベクタ-をさらに提供する。多価抗体および第2の結合分子の両方のための単一の発現ベクタ-の使用も想定される。
【0174】
したがって、本発明はまた、本明細書で定義される多価抗体の第1、第2、および第3の可変ドメインの重鎖可変領域をコ-ドする核酸を含む発現ベクタ-に関し、ベクタ-は、本明細書で定義される第2の結合分子の重鎖可変領域をコ-ドする核酸をさらに含む。第2の結合分子の重鎖可変領域をコ-ドする核酸は、多価抗体の第1、第2、および第3の可変ドメインの重鎖可変領域をコ-ドする核酸とは異なる核酸である。例えば、例示的な多価抗体は、免疫細胞関与抗原(IEA)に結合する結合ドメインおよびTA1に結合する結合ドメインを含むポリペプチド、およびTA2に結合する結合ドメインを含むポリペプチドを含む。したがって、第2の結合分子の重鎖可変領域をコ-ドする核酸は、TA2に対して特異性を有する重鎖可変領域ではなく、TA1に対して特異性を有する重鎖可変領域をコ-ドする。
【0175】
したがって、多価抗体において、免疫細胞関与抗原(IEA)に結合する第3の可変ドメインおよび第2の腫瘍抗原(TA2)に結合する第2の可変ドメインがFc領域と関連し、第1の腫瘍抗原(TA1)に結合する第1の可変ドメインが免疫細胞関与抗原(IEA)に結合する第3の可変ドメインに連結される実施形態では、第2の結合分子の重鎖可変領域をコ-ドする核酸は、TA1に対して特異性を有する重鎖可変領域をコ-ドする。多価抗体において、免疫細胞関与抗原(IEA)に結合する第3の可変ドメインおよび第1の腫瘍抗原(TA1)に結合する第1の可変ドメインがFc領域と関連し、第2の腫瘍抗原(TA2)に結合する第2の可変ドメインが免疫細胞関与抗原(IEA)に結合する第3の可変ドメインに連結される実施形態では、第2の結合分子の重鎖可変領域をコ-ドする核酸は、TA2に対して特異性を有する重鎖可変領域をコ-ドする。
【0176】
本明細書に定義される多価抗体の第1、第2、および第3の可変ドメインの重鎖可変領域をコ-ドする核酸、および本明細書に定義される第2の結合分子の重鎖可変領域をコ-ドする核酸は、好ましくはCH1、CH2、およびCH3を含む重鎖定常領域をさらにコ-ドし得る。
【0177】
発現ベクタ-は、本明細書で定義される多価抗体の第1、第2、および第3の可変ドメインの軽鎖可変領域をコ-ドする核酸、および本明細書で定義される第2の結合分子の軽鎖可変領域をコ-ドする核酸をさらに含み得る。かかる核酸は、軽鎖定常領域(CL)をさらにコ-ドし得る。
【0178】
本発明はさらに、本明細書で定義される多価抗体の第1、第2、および第3の可変ドメインの重鎖可変領域をコ-ドする核酸を含む宿主細胞に関し、宿主細胞は、本明細書で定義される第2の結合分子の重鎖可変領域をコ-ドする核酸をさらに含む。第2の結合分子の重鎖可変領域をコ-ドする核酸は、発現ベクタ-について上記で説明したように、多価抗体の第1、第2、および第3の可変ドメインの重鎖可変領域をコ-ドする核酸とは異なる核酸である。
【0179】
本明細書に定義される多価抗体の第1、第2、および第3の可変ドメインの重鎖可変領域をコ-ドする核酸、および本明細書に定義される第2の結合分子の重鎖可変領域をコ-ドする核酸は、好ましくはCH1、CH2、およびCH3を含む重鎖定常領域をさらにコ-ドし得る。
【0180】
宿主細胞は、本明細書で定義される多価抗体の第1、第2、および第3の可変ドメインの軽鎖可変領域をコ-ドする核酸、および本明細書で定義される第2の結合分子の軽鎖可変領域をコ-ドする核酸をさらに含み得る。かかる核酸は、軽鎖定常領域(CL)をさらにコ-ドし得る。
【0181】
宿主細胞は、単一細胞からの多価抗体および第2の結合分子の両方の発現を可能にする。
【0182】
好適なベクタ-の例としては、原核宿主細胞もしくは真核宿主細胞、例えば、哺乳類細胞内で複製可能なプラスミド、ファ-ジミド、コスミド、ウイルス、およびファ-ジ核酸、または他の核酸分子が挙げられる。ベクタ-は、重鎖および軽鎖をコ-ドする核酸が発現制御要素に作動可能に連結されている発現ベクタ-であり得る。典型的な発現ベクタ-は、ポリヌクレオチドの発現の調節に有用な転写および翻訳タ-ミネ-タ-、開始配列、およびプロモ-タ-を含む。
【0183】
多価抗体の重鎖をコ-ドする核酸は、重鎖のヘテロ二量体化を促進する1つ以上の修飾を含むことが好ましい。かかる修飾は、当技術分野で既知であり、本明細書に提供される修飾の例を含むが、これに限定されない。第2の結合分子の1つ以上の重鎖をコ-ドする核酸は、好ましくは、ヘテロ二量体化を促進する修飾を有しない。代わりに、ホモ二量体化を促進する1つ以上の修飾を含み得る。
【0184】
当該技術分野では、抗体および他の種類の結合分子を産生するための様々な方法が存在する。抗体および結合分子は、典型的には、抗体または結合分子をコ-ドする核酸を発現する細胞によって産生される。したがって、本発明は、本発明の抗体および/または第2の結合分子を産生および/または含む単離された細胞、または組織培養物中の細胞も提供する。典型的には、これは、インビトロ細胞、単離された細胞、または組換え細胞である。かかる細胞は、本発明の抗体および/または第2の結合分子をコ-ドする核酸を含む。この細胞は、好ましくは動物細胞、より好ましくは哺乳類細胞、より好ましくは霊長類細胞、最も好ましくはヒト細胞である。本発明の目的のために、好適な細胞は、本発明による抗体を含むことができ、好ましくは産生することができ、かつ/または本発明による核酸を含むことができる任意の細胞である。好ましくは、この細胞は、ハイブリド-マ細胞、チャイニ-ズハムスタ-卵巣(CHO)細胞、NS0細胞、またはPER.C6細胞である。細胞がCHO細胞であることが特に好ましい。
【0185】
本発明による細胞を含む細胞培養物または細胞株がさらに提供される。タンパク質および抗体の工業規模産生のために開発された細胞株は、本明細書でさらに工業的細胞株と称される。
【0186】
本発明は、本発明の多価抗体および/または第2の結合分子を産生するための方法をさらに提供し、方法は、本発明の細胞を培養すること、ならびに多価抗体および/または第2の結合分子を当該培養物から採取することを含む。当該細胞は、無血清培地中で培養され得る。好ましくは、当該細胞は、浮遊増殖に適している。多価抗体および/または第2の結合分子は、培養物の培地から精製され得る。好ましくは、当該多価抗体および/または第2の結合分子は、親和性精製される。
【0187】
本発明は、本明細書に記載される多価抗体および第2の結合分子、ならびに薬学的に許容される担体、希釈剤、または賦形剤を含む薬学的組成物をさらに提供する。
【0188】
本発明の多価抗体および/または第2の結合分子が点滴用の注射溶液または注入溶液として使用されるように製剤化される場合、注射溶液または注入溶液は、任意の形態の水溶液、懸濁液、もしくは乳濁液であり得るか、またはその薬剤が使用時に溶媒中に溶解されるか、懸濁されるか、もしくは乳化されるように、薬学的に許容される担体と一緒に固体薬剤として製剤化され得る。点滴用の注射溶液または注入溶液に使用される溶媒の例には、注射用蒸留水、生理食塩水、グルコ-ス溶液、および等張溶液(例えば、その中で、塩化ナトリウム、塩化カリウム、グリセリン、マンニト-ル、ソルビト-ル、ホウ酸、ホウ砂、プロピレングリコ-ルなどが可溶性である)が挙げられる。
【0189】
薬学的に許容される担体の例には、安定剤、可溶化剤、懸濁剤、乳化剤、鎮静剤、緩衝剤、防腐剤、消毒剤、pH調整剤、および抗酸化剤が挙げられる。安定剤として、様々なアミノ酸、アルブミン、グロブリン、ゼラチン、マンニト-ル、グルコ-ス、デキストラン、エチレングリコ-ル、プロピレングリコ-ル、ポリエチレングリコ-ル、アスコルビン酸、亜硫酸水素ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、エデト酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、ジブチルヒドロキシトルエンなどを使用することができる。可溶化剤として、アルコ-ル(例えば、エタノ-ル)、ポリオ-ル(例えば、プロピレングリコ-ルおよびポリエチレングリコ-ル)、非イオン性界面活性剤(例えば、Polysorbate 20(登録商標)、Polysorbate 80(登録商標)、およびHCO-50)などを使用することができる。懸濁剤として、モノステアリン酸グリセリン、モノステアリン酸アルミニウム、メチルセルロ-ス、カルボキシメチルセルロ-ス、ヒドロキシメチルセルロ-ス、ラウリル硫酸ナトリウムなどを使用することができる。乳化剤として、アラビアガム、アルギン酸ナトリウム、トラガカントなどを使用することができる。鎮静剤として、ベンジルアルコ-ル、クロロブタノ-ル、ソルビト-ルなどを使用することができる。緩衝剤として、リン酸緩衝液、酢酸緩衝液、ホウ酸緩衝液、炭酸緩衝液、クエン酸緩衝液、トリス緩衝液、グルタミン酸緩衝液、イプシロンアミノカプロン酸緩衝液などを使用することができる。防腐剤として、パラヒドロキシ安息香酸メチル、パラヒドロキシ安息香酸エチル、パラヒドロキシ安息香酸プロピル、パラヒドロキシ安息香酸ブチル、クロロブタノ-ル、ベンジルアルコ-ル、塩化ベンザルコニウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、エデト酸ナトリウム、ホウ酸、ホウ砂などを使用することができる。消毒剤として、塩化ベンザルコニウム、パラヒドロキシ安息香酸、クロロブタノ-ルなどを使用することができる。pH調整剤として、塩酸、水酸化ナトリウム、リン酸、酢酸などを使用することができる。抗酸化剤として、(1)アスコルビン酸、塩酸システイン、重硫酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウムなどの水性抗酸化剤、(2)パルミチン酸アスコルビル、ブチル化ヒドロキシアニソ-ル、ブチル化ヒドロキシトルエン、レシチン、没食子酸プロピル、およびα-トコフェロ-ルなどの油溶性抗酸化剤、または(3)クエン酸、エチレンジアミン四酢酸、ソルビト-ル、酒石酸、およびリン酸などの金属キレ-ト剤を使用することができる。
【0190】
点滴用の注入溶液または注入溶液は、最終プロセスで滅菌、または無菌操作、例えば、フィルタ-での濾過による滅菌を行い、その後、無菌容器に充填することによって生産することができる。点滴用の注射溶液または注入溶液は、使用時に真空乾燥または凍結乾燥した無菌粉末(薬学的に許容される担体粉末を含み得る)を適切な溶媒中に溶解させることによって使用され得る。
【0191】
本発明は、対象におけるがんを治療する方法をさらに提供し、これには、それを必要とする対象に、有効量の、本明細書に記載される多価抗体および第2の結合分子、または薬学的組成物を投与することが含まれる。したがって、本発明は、対象におけるがんの治療に使用するための、本明細書に記載される多価抗体および第2の結合分子の組み合わせを提供する。本発明は、がんを予防する、がんの症状進行もしくは再発を抑制する、および/またはがんを治療する際に使用するための薬学的薬剤をさらに提供し、薬学的薬剤は、本明細書に記載される多価抗体および第2の結合分子を含む。
【0192】
特許文献または背景として与えられる他の事柄への本明細書における言及は、その文献または事柄が既知であったこと、またはその中に含まれる情報が、特許請求の範囲のいずれかの優先日における共通の一般知識の一部であったことを認めるものとみなされるべきではない。
【0193】
本明細書に記載される各参照文献の開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0194】
明確さおよび簡潔な説明の目的のために、特徴は、同じまたは別個の実施形態の一部として本明細書に記載されるが、本発明の範囲は、記載される特徴のすべてまたはいくつかの組み合わせを有する実施形態を含み得ることが理解されるであろう。
【実施例】
【0195】
実施例1
細胞および細胞株
HCT116(ECACC91091005)は、ヒト結腸がん細胞株である。BxPC3(BxPC-3 ATCC(登録商標)CRL-1687)は、ヒト膵臓がん細胞である。BxPC3細胞は、比較的高レベルのEGFRおよびPD-L1を発現するが、HCT116は、より低レベルのEGFRおよびPD-L1を発現する。
【0196】
抗体
本明細書で調製される多価抗体は、
図1に示される一般的な構造を有する2つの重鎖を有する三重特異性抗体である。
【0197】
異なるVH1およびVH2領域、ならびに同じVH3領域を含む異なる三重特異性抗体を産生した。単一のVH3領域をEGFRに特異的なFabから選択し(配列番号56)、2つのVH2領域をCD3に特異的なFabから選択し(配列番号8および22)、2つのVH1領域をPD-L1に特異的なFabから選択した(配列番号38および42)。選択された2つのPD-L1 Fabは、単一特異性PD-L1抗体(配列番号47を含む)のうちの1つに使用されたPD-L1 Fabよりも高い相対親和性を有し、配列番号46を有する重鎖を含む単一特異性PD-L1抗体よりも低い。
【0198】
重鎖は、WO2013/157954およびWO2013/157953に記載されるヘテロ二量体化ドメインを有する。VH3を有する重鎖は、DE残基351Dおよび368Eを有するCH3ドメインを有する。VH2およびVH1を有する重鎖は、EU付番によりCH3領域にKK残基(351K、366K)を有する相補CH3ドメインを有する。異なる技術の使用を通じて、またはVH3側にKK残基、そしてVH2およびVH1側にDE残基を有することのいずれかで、ヘテロ二量体化CH3領域の代替的な包含を適用することができる。細胞における2つの重鎖の産生は、両方の重鎖のIgG重鎖ヘテロ二量体の生成につながる(WO2013/157954およびWO2013/157953)。
【0199】
KK-重鎖は、次のNからC末端の構造VH1-CH1-リンカ--VH2-CH1-ヒンジ-CH2-CH3を有する。発現ベクタ-をMV3032(
図10)に基づいて作製し、細胞において重鎖および軽鎖を発現させた。本明細書で使用される軽鎖は、IGKV1-39/jk1可変領域を含む共通軽鎖(
図3に示す配列)であった。
【0200】
DE-重鎖は、次のNからC末端の構造VH3-CH1-ヒンジ-CH2-CH3を有する。細胞において重鎖および軽鎖を発現する発現ベクタ-は、MV1625に基づいて作製した(
図11)。このベクタ-によってコ-ドされる軽鎖は、IGKV1-39/jk1可変領域を含む共通の軽鎖(
図3に示す配列)であった。
【0201】
3つの二価単一特異性PD-L1抗体を産生した:1)配列番号46に記載されるアミノ酸を有する2つの重鎖、および配列番号105に記載されるアミノ酸配列を含む軽鎖を含む抗体、2)配列番号47に記載されるアミノ酸を有する2つの重鎖、および配列番号98に記載されるアミノ酸配列を含む軽鎖を含む抗体、ならびに3)配列番号51に記載されるアミノ酸を有する2つの重鎖、および配列番号106に記載されるアミノ酸配列を含む軽鎖を含む抗体。
【0202】
抗体の産生
Hek293細胞を、配列番号47を有する重鎖および配列番号98を有する軽鎖を含む三重特異性抗体および単一特異性PD-L1抗体の発現に使用した。トランスフェクションの2日前に、Hek293細胞ストックを1:1の比率で293培地に分割し、155rpmの軌道振盪速度で、37℃および8% CO2で一晩インキュベ-トした。細胞を、トランスフェクションの前日に、5×10e5細胞/mLの密度に希釈した。懸濁細胞をプレ-トに播種し、通気性シ-ルで覆い、285rpmの軌道振盪速度で、37℃および8% CO2で一晩インキュベ-トした。トランスフェクションの日に、293-F培養培地をポリエチレンイミン(PEI)直鎖状(MW 25,000)と混合した。産生される各IgGについて、293F培養培地-PEIミックスを、それぞれの発現ベクタ-DNA(IgGヘテロ二量体については、各重鎖をコ-ドするDNA)に添加した。混合物を室温で20分間インキュベ-トした後、穏やかに細胞に添加した。トランスフェクションの翌日、293-F培地で希釈したペニシリン-ストレプトマイシン(Pen Strep)を各培養物に添加した。培養物を、トランスフェクションの7日後の採取まで、285rpmの軌道振盪速度で、37℃および8% CO2でインキュベ-トした。培養物を5分間、500gで遠心分離し、IgGを含有する上清を、10~12μmのメルトブロ-ポリプロピレンフィルタ-プレ-トを使用して濾過し、精製前に-20℃で保管した。
【0203】
上清を、1MのTrizma pH8およびProtein A Sepharose CL-4Bビ-ズ(50% v/v、G.E Healthcare Life Sciences)と混合し、600rpmの軌道振盪で、25℃で2時間インキュベ-トした。ビ-ズを真空濾過し、PBS pH7.4で2回洗浄した。抗体の溶出を、クエン酸緩衝液0.1M、pH3を添加し、続いて1MのTrizma pH8で中和することによって行った。精製されたIgG画分を、直ちにPBS pH7.4に緩衝液交換した。IgG試料を30kDaフィルタ-、ポリエ-テルスルホン膜に移し、1500g、4℃で遠心分離し、PBSを残留物に添加し、試料を500rpmで3分間混合した後、IgGを収集し、4℃で保管した。IgG濃度を、OctetおよびProtein Aバイオセンサ-(Pall ForteBio)によって決定した。ヒトIgGを、7回の2倍希釈において標準として使用した。IgG試料の濃度を二つ組で決定した。
【0204】
配列番号46に記載されるアミノ酸を有する2つの重鎖、および配列番号105に記載されるアミノ酸配列を含む軽鎖を含む単一特異性PD-L1抗体、ならびに配列番号51に記載されるアミノ酸を有する2つの重鎖、および配列番号106に記載されるアミノ酸配列を含む軽鎖を含む単一特異性PD-L1抗体を、CHO細胞において産生した。
【0205】
細胞傷害性アッセイ
BxPC3およびHCT116細胞株を使用して、T細胞媒介性細胞殺滅活性を測定する。
【0206】
標準的な技法に従いFicollおよびEasySepヒトT細胞単離キットを使用して、静置T細胞を健康なドナ-からの全血から単離し、フロ-サイトメトリ-分析を使用して抗CD3抗体により95%超のT細胞純度をチェックし、その後凍結保存した。凍結保存したT細胞を解凍し、その生存率が解凍時に90%を超えた場合に使用し、標準的なトリパンブル-染色によって決定した。
【0207】
短時間解凍した静置T細胞およびBxPC3またはHCT116標的細胞における細胞傷害性アッセイを、5:1のE:T比で48時間共培養した。標的細胞溶解を、CellTiter-Glo(Promega)によって評価されたATPレベルを測定することにより、生細胞の画分を測定することによって決定した。Envision Microplateリ-ダ-で発光によって測定されたATPレベルは、相対光単位(RLU)値をもたらし、これらはGraphPad Prismを使用して分析された。
【0208】
各試料の標的細胞溶解を以下のように計算した:
殺滅率=(100-(RLU試料/RLU IgGなし)×100)。
【0209】
第1の実験では、BxPC3細胞傷害性アッセイを使用して、標的細胞の殺滅を誘導する三重特異性抗体の能力に対する単一特異性抗PD-L1抗体の添加の効果を示した。三重特異性抗体および対照については、20.5nMの濃度から開始して、20倍の4段階希釈系列を使用した。
【0210】
ヒトT細胞をBxPC3標的細胞と共培養し、2つの異なるPD-L1=CD3×EGFR三重特異性抗体と共にインキュベ-トした。第1の三重特異性抗体は、配列番号38を有する重鎖可変領域を含むPD-L1結合ドメイン、配列番号8を有する重鎖可変領域を含むCD3結合ドメイン、および配列番号56を有する重鎖可変領域を含むEGFR結合ドメインを含んだ。第2の三重特異性抗体は、配列番号42を有する重鎖可変領域を含むPD-L1結合ドメイン、配列番号22を有する重鎖可変領域を含むCD3結合ドメイン、および配列番号56を有する重鎖可変領域を含むEGFR結合ドメインを含んだ。細胞殺滅のパ-センテ-ジは、陰性対照破傷風毒素(TT)=CD3xTT三重特異性抗体に対して相殺され、TT結合ア-ムは、配列番号68を有する重鎖可変領域を含み、CD3結合ドメインは、配列番号8または配列番号22を有する重鎖可変領域を含む。第1および第2の三重特異性抗体の細胞殺滅活性を、三重特異性PD-L1=CD3xモック抗体の細胞殺滅活性と比較し、モックア-ムはTTに対して特異性を有した。
【0211】
図6は、第1の三重特異性抗体および三重特異性PD-L1=CD3xモック抗体の両方が、単一特異性PD-L1抗体の不在下で同様のレベルでT細胞媒介性細胞殺滅を誘導することを示す(
図6A;右列)。同じことが第2の三重特異性抗体にも当てはまる(
図6B;右列)。したがって、PD-L1結合ドメインおよびEGFR結合ドメインを含む三重特異性抗体、ならびにPD-L1結合ドメインを含むが、EGFR結合ドメインを欠く三重特異性抗体の両方は、単一特異性PD-L1抗体の不在下で、T細胞媒介性細胞殺滅を誘導する。これは、抗体のT細胞媒介性細胞殺滅活性が、EGFRへの結合から独立して生じることを示し、これは、PD-L1を発現するが、EGFRを発現しないかまたはそのレベルが低い細胞(非腫瘍細胞を含むであろう)が、PD-L1およびEGFR結合ドメインを含む三重特異性抗体を含む、これらの抗体によって殺滅されることを意味する。
【0212】
単一特異性PD-L1抗体の量を増加させることは、三重特異性PD-L1=CD3xモック抗体の活性に影響を与えるが、PD-L1およびEGFR結合ドメインを含む三重特異性抗体の活性には影響を及ぼさない。PD-L1結合ドメインおよびEGFR結合ドメインを含む三重特異性抗体は、依然として、単一特異性PD-L1抗体の存在下でT細胞媒介性細胞殺滅を誘導するが、PD-L1結合ドメインを含むが、EGFR結合ドメインを欠く三重特異性抗体は、誘導しないか、またはあまり効率的に誘導しない。これは、抗体の細胞殺滅活性が、単一特異性PD-L1抗体の存在下でEGFRへの結合に依存することを示す。これは、PD-L1を発現するが、EGFRを発現しないか、またはその発現が低量の細胞(例えば、非腫瘍細胞)は、単一特異性PD-L1抗体が存在する場合、PD-L1およびEGFR結合ドメインを含む三重特異性抗体によって殺滅されないかまたはあまり効率的に殺滅されないことを意味する。
【0213】
結果は、このアッセイにおいて、EGFRが三重特異性抗体によって結合されていないかまたはその程度が低い場合、二価単一特異性PD-L1抗体が、三重特異性抗体によるT細胞媒介性標的細胞殺滅を防止することができることを示している。換言すれば、二価単一特異性PD-L1抗体は、PD-L1を発現するが、EGFRを発現しないか、または低量のEGFRのみを発現する細胞のT細胞媒介性細胞殺滅を低減することができる。三重特異性抗体を二価単一特異性抗体と組み合わせることにより、三重特異性抗体は、所望のTA1、TA2陽性標的細胞に対してより特異的に標的化される。
【0214】
第2の実験では、細胞傷害性アッセイを使用して、HCT116細胞およびBxPC3細胞のT細胞媒介性殺滅を誘導するための三重特異性抗体の能力に対する単一特異性抗体の効果を決定した。三重特異性抗体および対照については、20.5nMの濃度から開始して、8倍の8段階希釈を使用した。
【0215】
ヒトT細胞を、3つの異なるPD-L1=CD3xEGFR三重特異性抗体の存在下で、BxPC3またはHCT116標的細胞と共培養した。第1の三重特異性抗体は、配列番号38を有する重鎖可変領域を含むPD-L1結合ドメイン、配列番号8を有する重鎖可変領域を含むCD3結合ドメイン、および配列番号56を有する重鎖可変領域を含むEGFR結合ドメインを含んだ。第2の三重特異性抗体は、配列番号38[5359]を有する重鎖可変領域を含むPD-L1結合ドメイン、配列番号22を有する重鎖可変領域を含むCD3結合ドメイン、および配列番号56を有する重鎖可変領域を含むEGFR結合ドメインを含んだ。第3の三重特異性抗体は、配列番号42を有する重鎖可変領域を含むPD-L1結合ドメイン、配列番号22を有する重鎖可変領域を含むCD3結合ドメイン、および配列番号56を有する重鎖可変領域を含むEGFR結合ドメインを含んだ。PD-L1=CD3xTT陰性対照とは別に、TT=CD3xEGFR対照も含めた。陰性対照TT=CD3xTT三重特異性抗体、配列番号68を含むTT結合ア-ム、および配列番号8または22を含むCD3結合ドメインに対して細胞殺滅のパ-センテ-ジを再び相殺する。
【0216】
図7は、三重特異性PD-L1=CD3xモック抗体が、単一特異性PD-L1抗体の不在下でT細胞媒介性細胞殺滅を誘導することを示す。このT細胞媒介性標的細胞殺滅は、PD-L1を発現するが、EGFRを発現しないか、またはその発現が低量である正常な非腫瘍細胞、ならびにPD-L1およびEGFRの両方を発現する腫瘍細胞上にあり得るPD-L1のみに結合する抗体に起因するものである。このT細胞媒介性標的細胞殺滅は、単一特異性PD-L1抗体の存在下で強く低減または減少する。これは、PD-L1が、単一特異性PD-L1抗体と競合しなければならないため、三重特異性PD-L1=CD3xモック抗体に対してあまり利用可能ではないことに起因すると考えられる。
【0217】
PD-L1=CD3xEGFR三重特異性抗体はまた、単一特異性PD-L1抗体の不在下で、T細胞媒介性細胞殺滅を誘発する。このT細胞媒介性細胞殺滅は、単一特異性PD-L1抗体の存在下で、三重特異性PDL1=CD3xモック抗体と比較して、低減しないかまたは低減の程度が小さい。また、ここでは、単一特異性PD-L1抗体に起因して、三重特異性PD-L1=CD3xEGFR抗体の結合に利用可能なPD-L1が少ない。しかしながら、PD-L1=CD3xEGFR三重特異性抗体は、EGFRにも結合するため、PD-L1=CD3xEGFR三重特異性抗体は、EGFRおよびPD-L1の両方を発現する細胞に対してその細胞殺滅効果を示すことができるが、EGFRを発現しないかまたは低量のEGFRのみを発現する細胞には、効果がないか、または効果の程度が小さい。
【0218】
配列番号46に記載される配列を有する重鎖を含む二価単一特異性抗PD-L1抗体との三重特異性抗体の組み合わせを、三重特異性抗体のみの使用と比較した。二価単一特異性抗PD-L1抗体を、単一特異性抗体が三重特異性抗体に対して常に顕著な余剰で存在するように、三重特異性抗体対単一特異性抗体を固定比1:10で添加した。機能性PD-L1可変ドメインを欠くTT=CD3xEGFR対照抗体は、ある程度T細胞媒介性標的細胞殺滅を誘導するが、機能性PD-L1可変ドメインを有する三重特異性抗体よりも効果ははるかに低い(
図7を参照されたい;PD-L1=CD3xEGFRまたはPD-L1=CD3xTT)。PD-L1=CD3xEGFR抗体は、EGFR陰性PD-L1陽性細胞に結合しないかまたは結合の程度が低いにもかかわらず、依然として、二価単一特異性PD-L1抗体の存在下でT細胞媒介性標的細胞殺滅を誘導する。これは、二価単一特異性抗体の存在下でT細胞媒介性標的細胞殺滅活性の大部分を失うPD-L1=CD3xモック抗体とは対照的である。それらが活性を失うという事実は、二価単一特異性PD-L1抗体が三重特異性PD-L1=CD3xEGFR抗体の作用に顕著な特異性を付加することを示す。単一特異性PD-L1抗体は、三重特異性抗体の治療ウィンドウを改善する。
【0219】
平均して、HCT116細胞は、BxPC3細胞よりも低いEGFRおよびPD-L1レベルを有する。これは、三重特異性抗体のT細胞媒介性細胞殺滅活性の量が、単一特異性PD-L1抗体の存在下ではある程度低いにもかかわらず(
図7の下部パネル)、三重特異性抗体のより特異的な細胞標的化に対する単一特異性PD-L1抗体の効果を変化させるものではない。
【0220】
第3の実験では、BxPC3細胞傷害性アッセイを使用して、BxPC3細胞を殺滅する能力に対する異なる比率の三重特異性抗体対単一特異性抗体の効果を決定した。三重特異性抗体および対照については、20.5nMの濃度から開始して、3倍の8段階希釈を使用した。
【0221】
ヒトT細胞を、2つの異なるPD-L1=CD3xEGFR三重特異性抗体の存在下で、BxPC3標的細胞と共培養した。第1の三重特異性抗体は、配列番号38を有する重鎖可変領域を含むPD-L1結合ドメイン、配列番号8を有する重鎖可変領域を含むCD3結合ドメイン、および配列番号56を有する重鎖可変領域を含むEGFR結合ドメインを含んだ。第2の三重特異性抗体は、配列番号42[5426]を有する重鎖可変領域を含むPD-L1結合ドメイン、配列番号22を有する重鎖可変領域を含むCD3結合ドメイン、および配列番号56を有する重鎖可変領域を含むEGFR結合ドメインを含んだ。2つの異なる二価単一特異性PD-L1抗体を試験した。1つは配列番号46に記載されるアミノ酸配列を有する重鎖を含み(
図8A)、もう1つは配列番号51に記載されるアミノ酸配列を有する重鎖を含む(
図8B)。
【0222】
図8は、二価単一特異性抗体の存在が、EGFR結合ア-ムを欠く三重特異性抗体のT細胞媒介性標的細胞殺滅を低減させるが、EGFR結合ア-ムを含む三重特異性抗体のT細胞媒介性標的細胞殺滅を低減させないことを示す。これは、三重特異性抗体が二価単一特異性PD-L1抗体の存在下でPD-L1のみに結合する場合と比較して、三重特異性抗体がPD-L1およびEGFRの両方を発現する細胞上のPD-L1およびEGFRに結合する場合、T細胞媒介性細胞殺滅がより高いことを示す。このことから、単一特異性PD-L1抗体は、T細胞媒介性標的細胞殺滅が、主に、またはより高い程度に、PD-L1およびEGFR陽性細胞に結合する抗体によって誘導され、PD-L1陽性およびEGFR陰性細胞に結合する抗体によって誘導されないことを確実にすると結論付けることができる。結果は、試験した2つの異なる二価単一特異性抗体と同様であった。
【0223】
第4の実験は、第3の実験の繰り返しであるが、配列番号38を有する重鎖可変領域を含むPD-L1結合ドメイン、配列番号22を有する重鎖可変領域を含むCD3結合ドメイン、および配列番号56を有する重鎖可変領域を含むEGFR結合ドメインを含む別の三重特異性抗体を含み、配列番号46に記載されるアミノ酸配列を有する重鎖を含む二価単一特異性抗体のみを使用する。三重特異性抗体および対照については、20.5nMの濃度から開始して、8倍の8段階希釈を使用した。
【0224】
図9は、この三重特異性抗体が他の2つの三重特異性抗体と同様の結果をもたらすことを示す。したがって、異なるPD-L1および/またはCD3結合ドメインを有する三重特異性抗体が、同じ結果を達成すると結論付けることができる。
【0225】
本発明の態様
1.組成物であって、第1の腫瘍抗原(TA1)に結合する第1の可変ドメイン、第2の腫瘍抗原(TA2)に結合する第2の可変ドメイン、および免疫細胞関与抗原(IEA)に結合する第3の可変ドメインを含む多価抗体を含み、組成物が、TA1またはTA2に結合する第2の結合分子をさらに含む、組成物。
2.免疫細胞関与抗原(IEA)に結合する第3の可変ドメイン、および第2の腫瘍抗原(TA2)に結合する第2の可変ドメインが、Fc領域と関連し、第1の腫瘍抗原(TA1)に結合する第1の可変ドメインが、免疫細胞関与抗原(IEA)に結合する第3の可変ドメインに連結される、態様1に記載の組成物。
3.免疫細胞関与抗原(IEA)に結合する第3の可変ドメイン、および第1の腫瘍抗原(TA1)に結合する第1の可変ドメインが、Fc領域と関連し、第2の腫瘍抗原(TA2)に結合する第2の可変ドメインが、免疫細胞関与抗原(IEA)に結合する第3の可変ドメインに連結される、態様1に記載の組成物。
4.第1、第2、および/または第3の可変ドメインが、共通の軽鎖可変領域を含む、態様1~3のいずれか一項に記載の組成物。
5.免疫細胞関与抗原に結合する可変ドメインが、CD3、TCR-α鎖、TCR-β鎖、CD2、CD4、CD5、CD7、CD8、CD137、CD28、CD16、CD16A、CD64、OX40、CD27、CD40、ICOS、GITR、NKG2D、NKp46、NKp44、またはNKp30、好ましくはCD3、TCR-α鎖、TCR-β鎖、CD2、またはCD5、より好ましくはCD3に結合する、態様1~4のいずれか一項に記載の組成物。
6.第1の腫瘍関連抗原(TA1)に結合する可変ドメインが、PD-L1、PD-L2、HVEM、CD47、B7-H3、B7-H4、B7-H7、またはSiglec-15、好ましくはPD-L1またはPD-L2、より好ましくはPD-L1に結合する、態様1~5のいずれか一項に記載の組成物。
7.第2の腫瘍関連抗原(TA2)に結合する可変ドメインが、CLEC12AまたはEGFR、好ましくはEGFRに結合する、態様1~6のいずれか一項に記載の組成物。
8.第2の結合分子が、TA1に結合する、態様1~7のいずれか一項に記載の組成物。
9.第2の結合分子が、二価の単一特異性抗体である、態様1~8のいずれか一項に記載の組成物
10.第2の結合分子が、低減されたエフェクタ-機能を有する、態様9に記載の組成物。
11.態様1~10のいずれか一項に記載の多価抗体および第2の結合分子を含む、部分のキット。
12.態様1~10のいずれか一項に記載の多価抗体および第2の結合分子を含む、薬学的組成物。
13.治療を必要とする対象、特にがんを有する対象の治療に使用するための、態様1~10のいずれか一項に記載の多価抗体および第2の結合分子の組み合わせ、態様1~10のいずれか一項に記載の組成物、態様11に記載の部分のキット、または態様12に記載の薬学的組成物。
14.がんの治療の方法であって、
-それを必要とする対象に、態様1~10のいずれか一項に記載の多価抗体を投与すること、および対象に、態様1~10のいずれか一項に記載の第2の結合分子を追加で投与すること、または
-それを必要とする対象に、態様1~10のいずれか一項に記載の組成物を投与すること、または
-それを必要とする対象に、態様12に記載の薬学的組成物を投与すること、を含む、方法。
15.がんを有する個体の治療のための医薬品の製造のための、態様1~10のいずれか一項に記載の多価抗体および第2の結合分子を含む組成物、または態様1~10のいずれか一項に記載の多価抗体および第2の結合分子を含む部分のキットの、使用。
16.多価抗体および第2の結合分子が、単一の組成物として、または2つの別個の組成物として同時に投与される、態様13に記載の治療に使用するための組み合わせ、態様14に記載の治療の方法、または態様15に記載の使用。
17.多価抗体が、第2の結合分子の前に投与される、態様13に記載の治療に使用するための組み合わせ、態様14に記載の治療の方法、または態様15に記載の使用。
18.第2の結合分子が、多価抗体の前に投与される、態様13に記載の治療に使用するための組み合わせ、態様14に記載の治療の方法、または態様15に記載の使用。
19.態様1~10のいずれか一項に記載の多価抗体の第1、第2、および第3の可変ドメインの重鎖可変領域をコ-ドする核酸を含むベクタ-であって、ベクタ-が、態様1~10のいずれか一項に記載の第2の結合分子の重鎖可変領域をコ-ドする異なる核酸をさらに含む、ベクタ-。
20.態様1~10のいずれか一項に記載の多価抗体の第1、第2、および第3の可変ドメインの重鎖可変領域をコ-ドする核酸を含む宿主細胞であって、宿主細胞が、態様1~10のいずれか一項に記載の第2の結合分子の重鎖可変領域をコ-ドする異なる核酸をさらに含む、宿主細胞。
【0226】
配列
配列番号1:重鎖可変領域
EVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGGTFRSFGISWVRQAPGQGLEWMGGFIPVLGTANYAQKFQGRVTIIADKSTNTAYMELSSLRSEDTAVYYCARRGNWNPFDPWGQGTLVTVSS
配列番号2:KabatによるHCDR1
SFGIS
配列番号3:KabatによるHCDR2
GFIPVLGTANYAQKFQG
配列番号4:KabatによるHCDR3
RGNWNPFDP
配列番号5:重鎖可変領域QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGDAFKSKTFTISWVRQAPGQGLEWLGGIIPLFGTITYAQKFQGRVTITADKSTNTAFMELSSLRSEDTAMYYCTRRGNWNPFDPWGQGTLVTVSS
配列番号6:KabatによるHCDR1
SKTFTIS
配列番号7:KabatによるHCDR2
GIIPLFGTITYAQKFQG
配列番号8:重鎖可変領域EVQLVQSGSELKKPGSSVKVSCKASGVTFNSRTFTISWVRQAPGQGLEWLGSIIPIFGTITYAQKFQGRVTITADKSTSTAFMELTSLRSEDTAIYYCTRRGNWNPFDPWGQGTLVTVSS
配列番号9:KabatによるHCDR1
SRTFTIS
配列番号10:KabatによるHCDR2
SIIPIFGTITYAQKFQG
配列番号11:重鎖可変領域QVQLVQSGGGLVQPGGSLRLSCATSGFKFSSYALSWVRQAPGKGLEWVSGISGSGRTTWYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCARDGGYSYGPYWYFDLWGRGTLVTVSS
配列番号12:KabatによるHCDR1
SYALS
配列番号13:KabatによるHCDR2
GISGSGRTTWYADSVKG
配列番号14:KabatによるHCDR3
DGGYSYGPYWYFDL
配列番号15:重鎖可変領域EVQLVQSGAEVKKPGESLKISCKGSGYSFTRFWIGWVRQMPGKGLEWMGIIYPGDSDTRYSPSFQGQVTISADKSTSTAYLQWSSLKASDTGMYYCVRHIRYFDWSEDYHYYLDVWGKGTTVTVSS
配列番号16:KabatによるHCDR1
RFWIG
配列番号17:KabatによるHCDR2
IIYPGDSDTRYSPSFQG
配列番号18:KabatによるHCDR3
HIRYFDWSEDYHYYLDV
配列番号19:重鎖可変領域EVQLVESGAEVKKPGESLKISCKGSGYSFTRYWIGWVRQMPGKGLEWMGIIYPGDSDTRYSPSFQGQVTISADKSISTAYLQWSSLKASDTAMYYCVRNIRYFVWSEDYHYYMDVWGKGTTVTVSS
配列番号20:KabatによるHCDR1
RYWIG
配列番号21:KabatによるHCDR3
NIRYFVWSEDYHYYMDV
配列番号22:重鎖可変領域EVQLVESGGGLVQPGRSLRLSCATSGFNFDDYTMHWVRQAPGKGLEWVSDISWSSGSIGYADSVKGRFTISRDNAKNSLWLQMNSLRTEDTALYFCAKDHRGYGDYEGGGFDYWGQGTLVTVSS
配列番号23:KabatによるHCDR1
DYTMH
配列番号24:KabatによるHCDR2
DISWSSGSIGYADSVKG
配列番号25:KabatによるHCDR3
DHRGYGDYEGGGFDY
配列番号26:重鎖可変領域EVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGGIFSTYAISWVRQAPGQGLEWMGGIIPIFDTPNYAQKFQGRVTITADKSTSTAYMDLSSLRSEDTAVYYCAKNVRGYSAYDLDYWGQGTLVTVSS
配列番号27:KabatによるHCDR1
TYAIS
配列番号28:KabatによるHCDR2
GIIPIFDTPNYAQKFQG
配列番号29:KabatによるHCDR3
NVRGYSAYDLDY
配列番号30:重鎖可変領域QVQLVQSGSELKKPGASVKVSCKASGYTFTSYSMNWVRQAPGQGLEWMGWINTNTGNPTYAQGFTGRFVFSLDTSVSTAYLQISSLKAEDTAVYYCARDHDFRTGRAFDIWGQGTTVTVSS
配列番号31:KabatによるHCDR1
SYSMN
配列番号32:KabatによるHCDR2
WINTNTGNPTYAQGFTG
配列番号33:KabatによるHCDR3
DHDFRTGRAFDI
配列番号34:重鎖可変領域EVQLVESGGDVVQPGRSLRLSCAASGFTFSSYGMHWVRQAPGKGLEWVAVISYDGSNKYYADSVKGRFTISRDNSKSTLFLQMNSLRAEDTAVYFCVRGLPITMVRGAYSFDYWGQGTLVTVSS
配列番号35:KabatによるHCDR1
SYGMH
配列番号36:KabatによるHCDR2
VISYDGSNKYYADSVKG
配列番号37:KabatによるHCDR3
GLPITMVRGAYSFDY
配列番号38:重鎖可変領域EVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGDTFNTYSITWVRQAPGQGLEWMGSIVPIFGTINNAQKFQGRVTITADKSANTAYMELSSLRSEDTAVYYCARDNTMVRGVDYYYMDVWGKGTMVTVSS
配列番号39:KabatによるHCDR1
TYSIT
配列番号40:KabatによるHCDR2
SIVPIFGTINNAQKFQG
配列番号41:KabatによるHCDR3
DNTMVRGVDYYYMDV
配列番号42:重鎖可変領域QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGDTFRSYGITWVRQAPGQGLEWMGGIIPIFGTTNYAQKFQGRVTITADKSTSTVYMELSSLRSEDTAVYYCARRRGYSNPHWLDPWGQGTLVTVSS
配列番号43:KabatによるHCDR1
SYGIT
配列番号44:KabatによるHCDR2
GIIPIFGTTNYAQKFQG
配列番号45:KabatによるHCDR3
RRGYSNPHWLDP
配列番号46:重鎖配列EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSDSWIHWVRQAPGKGLEWVAWISPYGGSTYYADSVKGRFTISADTSKNTAYLQMNSLRAEDTAVYYCARRHWPGGFDYWGQGTLVTVSAASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKRVEPKSCDKTHTCPPCPAPELGRGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGN
配列番号47:重鎖QVQLVQSGAEVKKPGSSVRVSCKASGGTFNTYAINWVRQAPGQGLEWVGRIIPIFGTANYAQKFQGRVTISADKSTTTAYMELSSLRSEDTAVFYCAKDETGYSSSNFQHWGRGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKRVEPKSCDKTHTCPPCPAPELGRGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGN
配列番号48:KabatによるHCDR1
TYAIN
配列番号49:KabatによるHCDR2
RIIPIFGTANYAQKFQG
配列番号50:KabatによるHCDR3
DETGYSSSNFQH
配列番号51:重鎖配列EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSRYWMSWVRQAPGKGLEWVANIKQDGSEKYYVDSVKGRFTISRDNAKNSLYLQMNSLRAEDTAVYYCAREGGWFGELAFDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKRVEPKSCDKTHTCPPCPAPEFEGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPASIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNV
FSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
配列番号52:重鎖可変領域QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTFTSYGISWVRQAPGQGLEWMGWISAYNANTNYAQKLQGRVTMTTDTSTSTAYMELRSLRSDDTAVYYCAKDRHWHWWLDAFDYWGQGTLVTVSS
配列番号53:KabatによるHCDR1
SYGIS
配列番号54:KabatによるHCDR2
WISAYNANTNYAQKLQG
配列番号55:KabatによるHCDR3
DRHWHWWLDAFDY
配列番号56:重鎖可変領域QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTFTSYGISWVRQAPGQGLEWMGWISAYNANTNYAQKLQGRVTMTTDTSTSTAYMELRSLRSDDTAVYYCAKDLYGHWWLDAFDYWGQGTLVTVSS
配列番号57:KabatによるHCDR3
DLYGHWWLDAFDY
配列番号58:重鎖可変領域QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTFTSYGISWVRQAPGQGLEWMGWISAYNANTNYAQKLQGRVTMTTDTSTSTAYMELRSLRSDDTAVYYCAKGPGSHWWLDAFDYWGQGTLVTVSS
配列番号59:KabatによるHCDR3
GPGSHWWLDAFDY
配列番号60:重鎖可変領域QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTFTSYGISWVRQAPGQGLEWMGWISAYNANTNYAQKLQGRVTMTTDTSTSTAYMELRSLRSDDTAVYYCAKDRGWHWWLDAFDYWGQGTLVTVSS
配列番号61:KabatによるHCDR3
DRGWHWWLDAFDY
配列番号62:重鎖可変領域QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTFTSYGISWVRQAPGQGLEWMGWISAYNANTNYAQKLQGRVTMTTDTSTSTAYMELRSLRSDDTAVYYCAKDRHWHWWLDGFDYWGQGTLVTVSS
配列番号63:KabatによるHCDR3
DRHWHWWLDGFDY
配列番号64:重鎖可変領域QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTFTSYYMHWVRQAPGQGLEWMGIINPSGGSTSYAQKFQGRVTMTRDTSTSTVYMELSSLRSEDTAVYYCAKGTTGDWFDYWGQGTLVTVSS
配列番号65:KabatによるHCDR1
SYYMH
配列番号66:KabatによるHCDR2
IINPSGGSTSYAQKFQG
配列番号67:KabatによるHCDR3
GTTGDWFDY
配列番号68:重鎖可変領域EVQLVETGAEVKKPGASVKVSCKASDYIFTKYDINWVRQAPGQGLEWMGWMSANTGNTGYAQKFQGRVTMTRDTSINTAYMELSSLTSGDTAVYFCARSSLFKTETAPYYHFALDVWGQGTTVTVSS
配列番号69:リンカ-1
ESKYGPP
配列番号70:リンカ-2
EPKSCDKTHT
配列番号71:リンカ-3
GGGGSGGGGS
配列番号72:リンカ-4
ERKSSVESPPSP
配列番号73:リンカ-5
ERKCSVESPPSP
配列番号74:リンカ-6
ELKTPLGDTTHT
配列番号75:リンカ-7
ESKYGPPSPSSP
配列番号76:リンカ-8
ERKSSVEAPPVAG
配列番号77:リンカ-9
ERKCSVEAPPVAG
配列番号78:リンカ-10
ESKYGPPAPEFLGG
配列番号79:リンカ-11
EPKSCDKTHTSPPSP
配列番号80:リンカ-12
EPKSCDGGGGSGGGGS
配列番号81:リンカ-13
GGGGSGGGGSAPPVAG
配列番号82:リンカ-14
EPKSCDKTHTAPELLGG
配列番号83:リンカ-15
ERKSSVESPPSPAPPVAG
配列番号84:リンカ-16
ERKCSVESPPSPAPPVAG
配列番号85:リンカ-17
ELKTPLGDTTHTAPEFLGG
配列番号86:リンカ-18
ESKYGPPSPSSPAPEFLGG
配列番号87:リンカ-19
EPKSCDKTHTSPPSPAPELLGG
配列番号88:リンカ-20
ERKSSVEEAAAKEAAAKAPPVAG
配列番号89:リンカ-21
ERKCSVEEAAAKEAAAKAPPVAG
配列番号90:リンカ-22
ESKYGPPEAAAKEAAAKAPEFLGG
配列番号91:リンカ-23
EPKSCDKTHTEAAAKEAAAKAPELLGG
配列番号92:リンカ-24
ELKTPLGDTTHTEAAAKEAAAKAPEFLGG
配列番号93:軽鎖可変領域
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQSISSYLNWYQQKPGKAPKLLIYAASSLQSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQSYSTPPTFGQGTKVEIK
配列番号94:IMGTによるLCDR1
QSISSY
配列番号95:IMGTによるLCDR2
AAS
配列番号96:IMGTによるLCDR3
QQSYSTPPT
配列番号97:軽鎖定常領域
RTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
配列番号98:軽鎖配列
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQSISSYLNWYQQKPGKAPKLLIYAASSLQSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQSYSTPPTFGQGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
配列番号99:IGKV1-39/jk5軽鎖可変領域
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQSISSYLNWYQQKPGKAPKLLIYAASSLQSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQSYSTPPITFGQGTRLEIK
配列番号100:CH1配列
ASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKRV
配列番号101:ヒンジ
EPKSCDKTHTCPPCP
配列番号102:CH2配列
APELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAK
配列番号103:修飾CH3配列
GQPREPQVYTKPPSREEMTKNQVSLKCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
配列番号104:修飾CH3配列
GQPREPQVYTDPPSREEMTKNQVSLTCEVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
配列番号105:軽鎖配列
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQDVSTAVAWYQQKPGKAPKLLIYSASFLYSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQYLYHPATFGQGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
配列番号106:軽鎖配列
EIVLTQSPGTLSLSPGERATLSCRASQRVSSSYLAWYQQKPGQAPRLLIYDASSRATGIPDRFSGSGSGTDFTLTISRLEPEDFAVYYCQQYGSLPWTFGQGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
配列番号107:IgVk1-39 V領域
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQSISSYLNWYQQKPGKAPKLLIYAASSLQSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQSYSTP
配列番号108:IgVk 3-20 V領域
EIVLTQSPGTLSLSPGERATLSCRASQSVSSSYLAWYQQKPGQAPRLLIYGASSRATGIPDRFSGSGSGTDFTLTISRLEPEDFAVYYCQQYGSSP
配列番号109:IgVk3-15 V領域
EIVMTQSPATLSVSPGERATLSCRASQSVSSNLAWYQQKPGQAPRLLIYGASTRATGIPARFSGSGSGTEFTLTISSLQSEDFAVYYCQQYNNWP
配列番号110:IgVL3-21 V領域
SYVLTQPPSVSVAPGETARITCGGDNIGRKSVYWYQQKSGQAPVLVIYYDSDRPSGIPERFSGSNSGNTATLTISRVEAGDEADYYCQVWDGSSDH
【配列表】
【国際調査報告】