(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-15
(54)【発明の名称】充電デバイスにおけるマルチコイル選択
(51)【国際特許分類】
H02J 50/40 20160101AFI20230308BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20230308BHJP
H02J 50/80 20160101ALI20230308BHJP
H02J 50/10 20160101ALI20230308BHJP
H01F 38/14 20060101ALI20230308BHJP
【FI】
H02J50/40
H02J7/00 301D
H02J50/80
H02J50/10
H01F38/14
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022541828
(86)(22)【出願日】2021-01-04
(85)【翻訳文提出日】2022-08-22
(86)【国際出願番号】 US2021012102
(87)【国際公開番号】W WO2021141863
(87)【国際公開日】2021-07-15
(32)【優先日】2020-01-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520310643
【氏名又は名称】アイラ,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】AIRA,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】弁理士法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】ゴッドチャイルド,エリック,ハインデル
(72)【発明者】
【氏名】ウィンターズ,ジョン
(72)【発明者】
【氏名】スラトニック,ジェイク
【テーマコード(参考)】
5G503
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB01
5G503GB08
5G503GD04
(57)【要約】
ワイヤレスで充電するためのシステム、方法および装置が開示されている。ワイヤレス充電デバイスを動作させる方法は、ワイヤレス充電デバイスの充電面に設けられた複数の充電コイルに充電式デバイスが近接して配置されていることを判定するステップと、充電式デバイスのための2以上の充電構成を識別するステップと、2以上の充電構成のうちの各充電構成について、充電式デバイスに電力をワイヤレスで伝送する間の電力損失を求めるステップと、ワイヤレス充電デバイスを構成するために最も低い電力損失に関連する充電構成を用いて、充電デバイスの充電を開始するステップとを含む。各充電構成は、複数の充電コイルのうちの少なくとも1つを含む。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤレス充電デバイスを動作させる方法であって、
前記ワイヤレス充電デバイスの充電面に設けられた複数の充電コイルに充電式デバイスが近接して配置されていることを判定するステップと、
前記充電式デバイスのための2以上の充電構成を識別するステップであって、各充電構成が前記複数の充電コイルのうちの少なくとも1つを含む、ステップと、
前記2以上の充電構成のうちの各充電構成について、前記充電式デバイスに電力をワイヤレスで伝送している間の電力損失を求めるステップと、
前記ワイヤレス充電デバイスを構成するために最も低い電力損失に関連する充電構成を使用して、前記充電式デバイスの充電を開始するステップとを備えることを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、
電力損失を求めることが、
現在の充電構成に基づいて、前記複数の充電コイルを構成すること、並びに、
前記現在の充電構成を使用して前記充電式デバイスが充電されている間に、前記充電式デバイスから報告された電力を受信することを含むことを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法において、
報告された電力と、前記充電式デバイスの充電中に充電デバイスによって消費された電力との間の差として、電力損失を計算するステップをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1~3の何れか一項に記載の方法において、
前記充電式デバイスが前記充電面上に位置することを検出した後に、充電構成を選択するステップをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項1~4の何れか一項に記載の方法において、
前記充電式デバイスが前記充電面上で再配置されたことを検出した後に、充電構成を選択するステップをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項6】
ワイヤレス充電デバイスであって、
複数の充電セルと、
コントローラとを備え、前記コントローラが、
前記ワイヤレス充電デバイスの充電面に設けられた複数の充電コイルに充電式デバイスが近接して配置されていることを判定するステップと、
前記充電式デバイスのための2以上の充電構成を識別するステップであって、各充電構成が前記複数の充電コイルのうちの少なくとも1つを含む、ステップと、
前記2以上の充電構成のうちの各充電構成について、前記充電式デバイスに電力をワイヤレスで伝送している間の電力損失を求めるステップと、
前記ワイヤレス充電デバイスを構成するために最も低い電力損失に関連する充電構成を使用して、前記充電式デバイスの充電を開始するステップとを実行するように構成されていることを特徴とするワイヤレス充電デバイス。
【請求項7】
請求項6に記載のワイヤレス充電デバイスにおいて、
前記コントローラが、
現在の充電構成に基づいて、前記複数の充電コイルを構成し、
前記現在の充電構成を使用して前記充電式デバイスが充電されている間に、前記充電式デバイスから報告された電力を受信するように構成されていることを特徴とするワイヤレス充電デバイス。
【請求項8】
請求項7に記載のワイヤレス充電デバイスにおいて、
前記コントローラが、
報告された電力と、前記充電式デバイスの充電中に充電デバイスによって消費された電力との間の差として、電力損失を計算するように構成されていることを特徴とするワイヤレス充電デバイス。
【請求項9】
請求項6~8の何れか一項に記載のワイヤレス充電デバイスにおいて、
前記コントローラが、
前記充電式デバイスが前記充電面上に位置することを検出した後に、充電構成を選択するように構成されていることを特徴とするワイヤレス充電デバイス。
【請求項10】
請求項6~9の何れか一項に記載のワイヤレス充電デバイスにおいて、
前記コントローラが、
前記充電式デバイスが前記充電面上で再配置されたことを検出した後に、充電構成を選択するように構成されていることを特徴とするワイヤレス充電デバイス。
【請求項11】
コードを含むプロセッサ可読記憶媒体であって、
前記コードが、
ワイヤレス充電デバイスの充電面に設けられた複数の充電コイルに充電式デバイスが近接して配置されていることを判定し、
前記複数の充電コイルのうちの少なくとも1つをそれぞれ含む、前記充電式デバイスのための2以上の充電構成を識別し、
前記2以上の充電構成のうちの各充電構成について、前記充電式デバイスに電力をワイヤレスで伝送している間の電力損失を求め、
前記ワイヤレス充電デバイスを構成するために最も低い電力損失に関連する充電構成を使用して、前記充電式デバイスの充電を開始するためのものであることを特徴とするプロセッサ可読記憶媒体。
【請求項12】
請求項11に記載の記憶媒体において、
電力損失を求めることが、
現在の充電構成に基づいて、前記複数の充電コイルを構成すること、並びに、
前記現在の充電構成を使用して前記充電式デバイスが充電されている間に、前記充電式デバイスから報告された電力を受信することを含むことを特徴とする記憶媒体。
【請求項13】
請求項12に記載の記憶媒体において、
報告された電力と、前記充電式デバイスの充電中に充電デバイスによって消費された電力との間の差として、電力損失を計算するためのコードをさらに含むことを特徴とする記憶媒体。
【請求項14】
請求項11~13の何れか一項に記載の記憶媒体において、
前記充電式デバイスが前記充電面上に位置することを検出した後に、充電構成を選択するためのコードをさらに含むことを特徴とする記憶媒体。
【請求項15】
請求項11~14の何れか一項に記載の記憶媒体において、
前記充電式デバイスが前記充電面上で再配置されたことを検出した後に、充電構成を選択するためのコードをさらに含むことを特徴とする記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、マルチコイルのワイヤレス充電デバイスの表面上のモバイルデバイスの位置に関係なくモバイルデバイス内のバッテリを充電するためのマルチコイルのワイヤレス充電デバイスの使用を含む、バッテリのワイヤレス充電に関する。
【0002】
優先権の主張
本出願は、2020年1月6日に米国特許庁に出願された仮特許出願第62/957,427号の優先権および利益を主張するものであり、この出願の内容全体は、すべての適用可能な目的のために、その全体が以下に完全に記載されているかのように、引用により本明細書に援用されるものとする。
【背景技術】
【0003】
物理的な充電接続を使用せずに、特定のタイプのデバイスが内部バッテリを充電できるようにするために、ワイヤレス充電システムが開発されている。ワイヤレス充電を利用できるデバイスには、モバイル処理デバイスおよび/またはモバイル通信デバイスが含まれる。Wireless Power Consortiumにより規定されたQi規格などの標準規格は、第1のサプライヤによって製造されたデバイスを、第2のサプライヤによって製造された充電器を使って、ワイヤレスで充電することを可能にする。ワイヤレス充電の規格は、デバイスの比較的単純な構成向けに最適化されており、基本的な充電機能を提供する傾向にある。
【0004】
ワイヤレス充電機能の改善は、絶えず複雑化するモバイルデバイスと変化するフォームファクタをサポートするために必要である。例えば、マルチコイル、マルチデバイス充電パッドのための充電技術の改良が必要とされている。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】
図1は、本明細書に開示の特定の態様に従ってワイヤレス充電デバイスに充電面を提供するために採用され得る充電セルの一例を示している。
【
図2】
図2は、本明細書に開示の特定の態様に従って適合され得る充電面のセグメントの単一の層上に提供される充電セルの配置構成の一例を示している。
【
図3】
図3は、本明細書に開示の特定の態様に従って適合され得る充電面のセグメント内に複数の層が重ねられている場合の充電セルの配置構成の一例を示している。
【
図4】
図4は、本明細書に開示の特定の態様に従って構成された充電セルの複数の層を含む充電面によって提供される電力伝送領域の配置構成を示している。
【
図5】
図5は、本明細書に開示の特定の態様に係る、充電器基地局に提供され得るワイヤレス送信機を示している。
【
図6】
図6は、本明細書に開示の特定の態様に従って適合されるワイヤレス充電デバイスにおいて使用するためのマトリクス多重化スイッチングをサポートする第1のトポロジーを示している。
【
図7】
図7は、本明細書に開示の特定の態様に従って適合されるワイヤレス充電デバイスにおける直流駆動をサポートする第2のトポロジーを示している。
【
図8】
図8は、本明細書に開示の特定の態様に係る、充電面の第1の構成および充電式デバイスを示している。
【
図9】
図9は、本明細書に開示の特定の態様に係る、充電式デバイスが充電されているときの充電面の第2の充電構成を示している。
【
図10】
図10は、本明細書に開示の特定の態様に従って提供されるマルチデバイスワイヤレス充電器の充電面を示している。
【
図11】
図11は、本明細書に開示の特定の態様に従って提供されるマルチコイル選択方法の一例を示す第1のフローチャートである。
【
図12】
図12は、本明細書に開示の特定の態様に従って提供されるマルチコイル選択方法の一例を示す第2のフローチャートである。
【
図13】
図13は、本明細書に開示の特定の態様に従って適合され得る処理回路を採用した装置の一例を示している。
【発明を実施するための形態】
【0006】
添付の図面に関連して以下に記載される詳細な説明は、様々な構成を説明することを意図しており、本明細書に記載の概念が実施され得る唯一の構成を示すことを意図したものではない。詳細な説明には、様々な概念の完全な理解を提供するための具体的な詳細が含まれている。しかしながら、それらの概念が具体的な詳細なしで実施できることは当業者には明らかであろう。時には、そのような概念を不明瞭にしないために、周知の構造および構成要素をブロック図の形式で示している。
【0007】
次に、ワイヤレス充電システムのいくつかの態様を、様々な装置および方法を参照して提示する。それらの装置および方法は、以下の詳細な説明に記載されるとともに、添付の図面において、様々なブロック、モジュール、コンポーネント、回路、ステップ、プロセス、アルゴリズムなど(総称して「要素」と呼ぶ)によって示される。それら要素は、電子ハードウェア、コンピュータソフトウェアまたはそれらの任意の組合せを使用して実現することができる。そのような要素がハードウェアとして実現されるか、またはソフトウェアとして実現されるかは、具体的なアプリケーションおよびシステム全体に課される設計上の制約に依存する。
【0008】
例えば、要素、要素の任意の部分、または要素の任意の組合せは、1または複数のプロセッサを含む「処理システム」で実現され得る。プロセッサの例には、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プログラマブルロジックデバイス(PLD)、ステートマシン、ゲートロジック、ディスクリートハードウェア回路、および本開示全体を通して記載される様々な機能を実行するように構成された他の適切なハードウェアが含まれる。処理システムの1または複数のプロセッサは、ソフトウェアを実行することができる。ソフトウェアは、ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコードまたはハードウェア記述言語などと呼ばれるかどうかにかかわらず、命令、命令セット、コード、コードセグメント、プログラムコード、プログラム、サブプログラム、ソフトウェアモジュール、アプリケーション、ソフトウェアアプリケーション、ソフトウェアパッケージ、ルーチン、サブルーチン、オブジェクト、実行可能ファイル、実行スレッド、プロシージャ、関数などを意味するものとして、広く解釈されるものとする。ソフトウェアは、プロセッサ可読記憶媒体に常駐するようにしてもよい。本明細書でコンピュータ可読媒体とも呼ばれるプロセッサ可読記憶媒体は、例えば、磁気ストレージデバイス(例えば、ハードディスク、フロッピーディスク、磁気ストリップ)、光ディスク(例えば、コンパクトディスク(CD)、デジタル多用途ディスク(DVD))、スマートカード、フラッシュメモリデバイス(例えば、カード、スティック、キードライブ)、近距離無線通信(NFC)トークン、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、プログラマブルROM(PROM)、消去可能PROM(EPROM)、電気的消去可能PROM(EEPROM)、レジスタ、リムーバブルディスク、搬送波、伝送路、ソフトウェアを格納または伝送するのに適した他の任意の媒体を含むことができる。コンピュータ可読媒体は、処理システムに存在していても、処理システムの外部にあっても、処理システムを含む複数のエンティティに分散していてもよい。コンピュータ可読媒体は、コンピュータプログラム製品に具現化されるものであってもよい。一例として、コンピュータプログラム製品は、パッケージ材料内のコンピュータ可読媒体を含むことができる。当業者は、具体的なアプリケーションおよびシステム全体に課せられた全体的な設計上の制約に応じて、本開示全体にわたって提示された記載の機能を実現するための最良の方法を認識するであろう。
【0009】
概要
本開示の特定の態様は、複数の伝送コイルを有するフリーポジションの充電面、または複数の受信デバイスを同時に充電することができるフリーポジションの充電面を提供するワイヤレス充電デバイスに適用可能なシステム、装置および方法に関する。一態様では、ワイヤレス充電デバイスのコントローラが、充電されるデバイスを見つけ出すことができ、受信デバイスに電力を供給するために最適な位置にある1または複数の伝送コイルを構成することができる。充電セルは、1または複数の誘導伝送コイルを備えるかまたは構成することができ、複数の充電セルを、充電面を提供するために配置または構成することができる。充電されるデバイスの位置は、デバイスの位置を充電面の既知の位置を中心とする物理的特性の変化に関連付ける検知技術によって検出することができる。いくつかの例では、位置の検知が、容量性、抵抗性、誘導性、タッチ、圧力、荷重、歪みおよび/または別の適切なタイプの検知を用いて実行することができる。
【0010】
本明細書に開示の特定の態様は、ワイヤレス充電技術の改善に関する。マルチコイルのワイヤレス充電デバイスの表面上に充電式デバイスを自由に配置することに対応するシステム、装置および方法が開示されている。特定の態様は、受信デバイスへのワイヤレス電力伝送の効率および容量を改善することができる。一例では、ワイヤレス充電装置が、バッテリ充電電源と、マトリックスに構成された複数の充電セルと、第1の複数のスイッチであって、各スイッチがマトリックス内のコイルの横列をバッテリ充電電源の第1の端子に結合するように構成された第1の複数のスイッチと、第2の複数のスイッチであって、各スイッチがマトリックス内のコイルの縦列をバッテリ充電電源の第2の端子に結合するように構成された第2の複数のスイッチとを備える。複数の充電セル内の各充電セルは、電力伝送領域を取り囲む1または複数のコイルを含むことができる。複数の充電セルは、複数の充電セル内の充電セルの電力伝送領域が重なることなく、充電面に隣接して配置することができる。
【0011】
本明細書に開示の特定の態様によれば、充電可能とされる個別の配置位置に関係なく、任意に規定されたサイズおよび/または形状を有することができる充電面上の任意の位置にある受信デバイスに電力を無線伝送することができる。複数のデバイスを単一の充電面上で同時に充電することができる。充電面は、プリント回路基板技術を使用して、低コストで、かつ/またはコンパクトな設計で製造することができる。
【0012】
充電セル
本開示の特定の態様は、複数の伝送コイルを有するフリーポジションの充電面、または複数の受信デバイスを同時に充電することができるフリーポジションの充電面を提供するワイヤレス充電デバイスに適用可能なシステム、装置および方法に関する。一態様では、フリーポジションの充電面に結合された処理回路が、充電されるデバイスの位置を特定するように構成することができ、受信デバイスに電力を供給するために最適な位置にある1または複数の伝送コイルを選択および構成することが可能である。充電セルは、1または複数の誘導伝送コイルを備えるように構成することができ、複数の充電セルを、充電面を提供するように配置または構成することができる。充電されるデバイスの位置は、デバイスの位置を充電面の既知の位置を中心とする物理的特性の変化に関連付ける検知技術によって検出することができる。いくつかの例では、位置の検知が、容量性、抵抗性、誘導性、タッチ、圧力、荷重、歪みおよび/または別の適切なタイプの検知を用いて実行することができる。
【0013】
本明細書に開示の特定の態様によれば、ワイヤレス充電デバイスの充電面を、充電面に隣接して配置された充電セルを使用して提供することができる。一例では、充電セルが、ハニカムパッケージング構成に従って配置される。充電セルは、コイルに隣接する充電面に実質的に直交する軸に沿って磁場をそれぞれ誘導することができる1または複数のコイルを使用して実現することができる。本開示において、充電セルは、1または複数のコイルを有する要素であって、各コイルが、充電セル内の他のコイルによって生成される磁場に対して加算的であり、共通の軸に沿ってまたは近接して向けられる電磁場を生成するように構成される、要素を指すことができる。本明細書では、充電セル内のコイルを、充電コイルまたは伝送コイルと呼ぶこともある。
【0014】
いくつかの例では、充電セルが、共通の軸に沿って積み重ねられたコイルを含む。1または複数のコイルは、充電面に実質的に直交する誘導磁場に寄与するように重なり合うものであってもよい。いくつかの例では、充電セルが複数のコイルを含み、それらコイルが、充電面の規定された部分内に配置されるとともに、充電面の規定された部分内の誘導磁場に寄与し、その磁場が、充電面に実質的に直交するように延びる磁束に寄与する。いくつかの態様では、充電セルが、動的に規定された充電セルに含まれるコイルに励磁電流を提供することによって構成可能であってもよい。例えば、ワイヤレス充電デバイスは、充電面全体に配置された複数のコイルのスタックを含むことができ、ワイヤレス充電デバイスは、充電されるデバイスの位置を検出し、コイルのスタックのいくつかの組合せを選択して、充電されるデバイスに隣接する充電セルを提供することができる。いくつかの例では、充電セルが、単一のコイルを含むか、または単一のコイルとして特徴付けられるものであってもよい。しかしながら、充電セルは、複数の積層されたコイルおよび/または複数の隣接するコイル若しくはコイルのスタックを含むことができることを理解されたい。
【0015】
図1は、ワイヤレス充電デバイスの充電面を提供するように展開および/または構成され得る充電セル100の一例を示している。一例では、充電セル100が、電力伝送領域104に電磁場を生成するのに十分な電流を受け取ることができる、導体、ワイヤまたは回路基板トレースを用いて構築された1または複数のコイル102を含む、実質的に六角形の形状を有している。様々な態様では、いくつかのコイル102が、
図1に示す六角形の充電セル100を含む、実質的に多角形である形状を有することができる。他の実施態様では、他の形状を有するコイル102を含み、または使用することができる。コイル102の形状は、製造技術の能力または制限によって、またはプリント回路基板などの基板106上の充電セルのレイアウトを最適化するように、少なくとも部分的に決定され得る。各コイル102は、スパイラル構成のワイヤ、プリント回路基板のトレースおよび/または他のコネクタを使用して実現することができる。各充電セル100は、異なる層のコイル102が共通の軸108を中心に配置されるように、絶縁体または基板106によって分離された2以上の層に跨るようにしてもよい。
【0016】
図2は、本明細書に開示の特定の態様に従って適応され得る充電面のセグメントまたは一部分の単一層上に設けられた充電セル202の配置200の一例を示している。充電セル202は、ハニカムパッケージ構成に従って配置されている。この例では、充電セル202が、重なり合うことなく、端と端とを接して配置されている。この配置は、スルーホールまたはワイヤ相互接続なしで提供することができる。充電セル202の一部分が重なる配置を含む、他の配置も可能である。例えば、2以上のコイルのワイヤが、ある程度、交互配置されるようにしてもよい。
【0017】
図3は、本明細書に開示の特定の態様に従って適応され得る充電面のセグメントまたは一部分内に複数の層が重ねられている場合の、2つの視点300、310からの充電セルの配置の一例を示している。充電セルの層302、304、306、308は、充電面内に設けられている。充電セルの各層302、304、306、308内の充電セルは、ハニカムパッケージ構成に従って配置されている。一例では、充電セルの層302、304、306、308が、4以上の層を有するプリント回路基板上に形成されるようにしてもよい。充電セル100の配置は、図示のセグメントに隣接する指定された充電領域を完全にカバーするように選択することができる。
【0018】
図4は、本明細書に開示の特定の態様に従って構成された充電セルの複数の層を採用する充電面400に提供される電力伝送領域の配置を示している。図示の充電面は、充電セルの4つの層402、404、406、408から構成されている。
図4では、充電セルの第1の層402内の充電セルによって提供される各電力伝送領域が「L1」と記され、充電セルの第2の層404内の充電セルによって提供される各電力伝送領域が「L2」と記され、充電セルの第3の層406内の充電セルによって提供される各電力伝送領域が「L3」と記され、充電セルの第4の層408内の充電セルによって提供される各電力伝送領域が「L4」と記されている。
【0019】
ワイヤレス送信機
図5は、ワイヤレス充電デバイスの基地局に設けることができるワイヤレス送信機500の一例を示している。ワイヤレス充電デバイスの基地局は、ワイヤレス充電デバイスの動作を制御するために使用される1または複数の処理回路を含むことができる。コントローラ502は、フィルタ回路508によってフィルタリングまたは他の方法で処理されたフィードバック信号を受信することができる。コントローラは、共振回路506に交流電流を供給するドライバ回路504の動作を制御することができる。いくつかの例では、コントローラ502が、ドライバ回路504によって出力される交流電流の周波数を制御するために使用されるデジタル周波数基準信号を生成することができる。場合によっては、デジタル周波数基準信号は、プログラマブルカウンタなどを使用して生成することができる。いくつかの例では、ドライバ回路504が電力インバータ回路および1または複数の電力増幅器を含み、それらが協働して、直流源または入力から交流電流を生成することができる。いくつかの例では、デジタル周波数基準信号が、ドライバ回路504または別の回路によって生成されるようにしてもよい。共振回路506は、コンデンサ512およびインダクタ514を含む。インダクタ514は、交流電流に応答して磁束を生成する充電セル内の1または複数の伝送コイルを示すか、またはそれを含むことができる。共振回路506は、本明細書では、タンク回路、LCタンク回路またはLCタンクとも呼ばれ、共振回路506のLCノード510で測定された電圧516は、タンク電圧とも呼ばれる。
【0020】
パッシブping技術は、本明細書に開示の特定の態様に従って適応されたデバイスの充電パッドに近接する受信コイルの存在を識別するために、LCノード510で測定または観察された電圧および/または電流を使用することができる。一部の従来のワイヤレス充電デバイスは、共振回路506のLCノード510における電圧または共振回路506における電流を測定する回路を含む。これらの電圧および電流は、電力調整の目的で、かつ/またはデバイス間の通信をサポートするために監視することができる。本開示の特定の態様によれば、
図5に示すワイヤレス送信機500のLCノード510における電圧は、共振回路506を介して送信されるエネルギーの短いバースト(ping)に対する共振回路506の応答に基づいて、充電式デバイスまたは他の物体の存在を検出することができるパッシブping技術をサポートするために監視され得る。
【0021】
パッシブping検出技術は、高速で低電力の検出を提供するために使用することができる。パッシブpingは、共振回路506を含むネットワークを、少量のエネルギーを含む高速パルスで駆動することによって生成され得る。高速パルスは、共振回路506を励起し、注入されたエネルギーが減衰して消散するまで、ネットワークをその固有共振周波数で発振させる。高速パルスに対する共振回路506の応答は、共振LC回路の共振周波数によって部分的に求められる。初期電圧=V
0であるパッシブpingに対する共振回路506の応答は、以下のように、LCノード510で観測される電圧V
LCによって示すことができる。
【0022】
コントローラ502または別のプロセッサがデジタルpingを使用して物体の存在を検出するときに、共振回路506を監視することができる。デジタルpingは、一定時間、共振回路506を駆動することによって生成される。共振回路506は、ワイヤレス充電デバイスの伝送コイルを含む同調ネットワークである。受信デバイスは、変調信号の信号状態に応じてその電力受信回路により提示されるインピーダンスを変更することによって、共振回路506において観測される電圧または電流を変調することができる。その後、コントローラ502または他のプロセッサは、受信デバイスが近くにあることを示すデータ変調された応答を待つ。
【0023】
選択的に作動させるコイル
本明細書に開示の特定の態様によれば、適合するデバイスを充電するために最適な電磁場を提供するように、1または複数の充電セル内のコイルを選択的に作動させることができる。場合によっては、複数のコイルが充電セルに割り当てられ、いくつかの充電セルが他の充電セルに重なり合うようにしてもよい。最適な充電構成は、充電セルレベルで選択することができる。いくつかの例では、充電構成が、充電されるデバイスと整列しているかまたはその近くに位置していると判定される充電面または充電面内の充電セルを含むことができる。コントローラは、充電構成に基づいて、単一のコイルまたはコイルの組合せを作動させることができ、その充電構成は、充電されるデバイスの位置の検出に基づくものとなる。いくつかの態様では、ワイヤレス充電デバイスが、充電イベント中に1または複数の伝送コイルまたは1または複数の予め設定された充電セルを選択的に作動させることができるドライバ回路を備えることができる。
【0024】
図6は、本明細書に開示の特定の態様に従って適合されたワイヤレス充電デバイスで使用するためのマトリクス多重化スイッチングをサポートする第1のトポロジー600を示している。ワイヤレス充電デバイスは、受信デバイスを充電するために1または複数の充電セル100を選択することができる。使用されていない充電セル100は、電流の流れから切り離すことができる。比較的多数の充電セル100を、対応する数のスイッチを必要とする
図2および
図3に示すハニカムパッケージ構成で使用することができる。本明細書に開示の特定の態様によれば、充電セル100を、特定のセルが電力供給されることを可能にする2以上のスイッチに接続された複数のセルを有するマトリックス608に論理的に配置することができる。図示のトポロジー600では、2次元マトリックス608が提供され、次元がXおよびY座標によって表される。第1のセットのスイッチ606の各々は、セルの縦列における各セルの第1の端子を、ワイヤレス充電中に1または複数の充電セルのコイルを作動させるために電流を供給する電圧源または電流源602の第1の端子に選択的に結合するように構成されている。第2のセットのスイッチ604の各々は、セルの横列における各セルの第2の端子を、電圧源または電流源602の第2の端子に選択的に結合するように構成されている。充電セルは、その両方の端子が電圧源または電流源602に結合されると、アクティブになる。
【0025】
マトリックス608の使用により、同調LC回路のネットワークを動作させるために必要なスイッチングコンポーネントの数を大幅に削減することができる。例えば、N個の個別に接続されたセルは少なくともN個のスイッチを必要とするが、N個のセルを有する2次元マトリックス608は√N個のスイッチで動作させることができる。マトリックス608の使用により、大幅にコストを削減することができ、回路および/またはレイアウトの複雑さを低減することができる。一例では、9セルの態様は、6個のスイッチを使用して3×3マトリックス608で実現することができ、3個のスイッチを節約することができる。別の例では、16セルの態様は、8個のスイッチを使用して4×4マトリックス608で実現することができ、8個のスイッチを節約することができる。
【0026】
動作中、少なくとも2のスイッチが、1つのコイルまたは充電セルを電圧源または電流源602に能動的に結合するために閉じられる。複数のコイルまたは充電セルを電圧源または電流源602に容易に接続するために、複数のスイッチを一度に閉じることができる。例えば、受信デバイスに電力を伝送する際に複数の伝送コイルを駆動する動作モードを可能にするために、複数のスイッチを閉じることができる。
【0027】
図7は、本明細書に開示の特定の態様に従って、個々の各コイルまたは充電セルがドライバ回路702によって個別にかつ/または直接駆動される第2のトポロジー700を示している。ドライバ回路702は、受信デバイスを充電するためにコイルのグループ704のなかから1または複数のコイルまたは充電セル100を選択するように構成することができる。充電セル100に関連して本明細書に開示した概念は、個々のコイルまたはコイルのスタックの選択的な作動に適用され得ることが理解されよう。使用されていない充電セル100は、電流を受け取らない。比較的多数の充電セル100が使用中であってもよく、個々のコイルまたはコイルのグループを駆動するためにスイッチングマトリックスを採用することができる。一例では、第1のスイッチングマトリックスが、充電イベント中に使用される充電セルまたはコイルのグループを規定する接続を構成することができ、第2のスイッチングマトリックスが、充電セルおよび/または選択されたコイルのグループを作動させるために使用され得る。
【0028】
マルチコイルのワイヤレス充電器におけるフラックス操作
図8は、ワイヤレス充電デバイスの充電面における充電セルのグループ上の充電式デバイス802の配置の具体的な例800、820、830、840を示している。各充電セルは、少なくとも1の充電コイルを含む。充電式デバイス802は、充電面上に自由に配置することができる。充電式デバイス802は、充電面の各充電セルの電力伝送領域によって占められる面積、または充電セル内の構成誘導充電コイルの電力伝送領域によって占められる面積と同程度の面積を有する。図示の例800、820、830、840では、充電式デバイス802が、単一の充電コイル804よりも幾分大きくなっている。充電コイル804、806、808、810の形状および配置に基づいて、充電式デバイス802は、隣接する充電コイルを物理的に覆うことができる。第3および第4の例830、840では、充電式デバイス802が、単一の充電コイル808と実質的に重なり、複数の他の充電コイル804、806、810を部分的に覆うように配置されている。充電式デバイス802は、その存在を確立した後、1または複数の充電コイル804、806、808、810から電力を受け取ることができる。
【0029】
本開示の特定の態様は、複数の隣接する充電セルまたは充電コイル804、806、808、810を使用する充電構成に対応することができる。本開示の特定の態様によれば、充電式デバイスを充電するために任意の数の充電コイルを利用することが可能である。
図9は、充電式デバイス902、922が充電のために提示されるか、またはワイヤレス充電デバイスの充電面上または充電面で充電されているときにワイヤレス充電デバイスに対して規定することができる充電構成900、920の特定の態様を示している。使用可能な充電セルまたは充電コイルの数および位置は、最適に配置された充電コイル910、926のタイプ、充電面と充電式デバイス902、922との間でネゴシエートされた充電コントラクト、および充電面のトポロジーまたは構成に基づいて変化し得る。例えば、使用可能な充電セルまたは充電コイルの数および位置は、最大充電電力に基づくか、またはアクティブなコイル910を介してまたは潜在的に別の充電コイル904を介して伝送される、コントラクトされた充電電力に基づくか、または他のファクタに基づくことができる。
【0030】
第1の構成900では、充電式デバイス902は、充電構成に含まれる候補である充電セルを識別することができる。各充電セルは、少なくとも1の充電コイルを含む。図示の例では、充電式デバイス902は、その中心が第1の充電コイル910と実質的に同軸となるように配置されている。この説明の目的のために、充電式デバイス902内の第1の受信コイル910の中心が、充電式デバイス902の中心に位置すると仮定する。この例において、ワイヤレス充電デバイスは充電コイル906の次のバンド906、908のコイルに対して、第1の充電コイル910が充電式デバイス902内の受信コイルと最も強い結合を有することを判定することができる。一例では、ワイヤレス充電デバイスが、少なくとも第1の充電コイル910を含むものとして、充電構成を規定することができる。いくつかの例では、充電構成が、充電処理中に作動される第1のバンド906の1または複数の充電コイルを識別することができる。
【0031】
第2の充電構成920では、ワイヤレス充電デバイスが、充電式デバイス922のエッジを検出することができる検知技術を採用することができる。例えば、充電式デバイス922の輪郭を、静電容量式検知、誘導検知、圧力、Q値測定、または他の任意の適切なデバイス位置特定技術を使用して検出することができる。場合によっては、充電式デバイス922の輪郭を、充電面内または充電面上に設けられた1または複数のセンサを使用して特定することができる。図示の例では、充電式デバイス922が、細長い形状を有する。本説明の目的のために、充電式デバイス922内の第1の受信コイル924の中心が、充電式デバイス922の中心に位置すると仮定する。ワイヤレス充電デバイスは、第1の充電コイル924が充電式デバイス922内の受信コイルと最も強い結合を有すると判定することができる。一例では、ワイヤレス充電デバイスが、少なくとも第1の充電コイル924を含むものとして充電構成を規定することができる。第1の受信コイル924に隣接し、充電式デバイス922の下方かつ輪郭内にある充電コイル926、928は、いくつかの充電構成に含まれ得る。第1の受信コイル924に隣接し、部分的に充電式デバイス922の下方かつ輪郭内にある他のコイル930、932は、特定の充電処理中に作動されるようにいくつかの充電構成によって規定されるようにしてもよい。
【0032】
いくつかの例では、充電式デバイスが、2以上のアクティブな充電セルおよび/または充電コイルから電力を受け取ることができる。一例では、充電式デバイスが、充電面に対して比較的大きなフットプリントを有することができ、電力を受け取るために複数の充電コイルに関与することができる複数の受信コイルを有することができる。別の例では、充電式デバイスの受信コイルを、2以上の充電コイルからほぼ等距離に配置することができ、充電面における2以上の隣接する充電コイルが充電式デバイスに電力を供給する充電構成を規定することができる。
【0033】
図10は、受信デバイス1002が配置されたワイヤレス充電デバイスの充電面1000を示している。受信デバイス1002は、充電面1000内の1または複数の充電セルまたは伝送コイル(LP-1~LP-18)と電磁的に結合することができる単一の受信コイル1004を有する。図示の例では、受信コイル1004が、3つの充電セルまたは伝送コイル1006、1008、1010に隣接し、それらを部分的に覆っている。3つの充電セルまたは伝送コイル1006、1008、1010に充電電流を供給するために、1または複数のドライバを作動させることができる。一例では、ドライバ回路が、3つの充電セルまたは伝送コイル1006、1008、1010の各々に対して充電電流を設定することができる。別の例では、ドライバ回路が、3つの充電セルまたは伝送コイル1006、1008、1010のうちの2以上に供給される充電電流を設定することができる。
【0034】
本開示の特定の態様によれば、マルチコイルのワイヤレス充電システムが、受信デバイスへの電力伝送のために最大限の効率をもたらす充電コイルの構成を選択するように適合または構成され得る。一例では、充電システムが、報告された電力を使用して、選択された構成をチェックすることができる。受信デバイス1002は、受信した電力を測定し、ワイヤレス充電デバイスに送信されるメッセージで、測定した電力の報告を送信するように構成することができる。一例では、メッセージを、送信デバイスにおけるタンク電圧または電流を変調する振幅シフトキーによって送信することができる。一例では、次のように求めることができるシステムにおける総損失電力(デルタ電力)に基づいて、選択した構成の効率を導き出すことができる。
ΔP=PTx(電力入力)-PTx(報告された電力)
報告された電力は、異物検出(FOD)機能の一部として異物を検出する方法として、多くのワイヤレス充電システムで提供されている。報告された電力と伝送された電力との差は、受信機の出力負荷の変化に関係している場合がある。選択した構成の効率を、構成選択処理におけるフィードバックとして使用することができる。いくつかの態様では、タンク電圧(Vpk)とも呼ばれるタンク回路のノードで測定された電圧を、充電コイルの最適な構成を選択する際の指標として使用することができる。例えば、タンク電圧の低下は、タンク回路に存在する反応エネルギーが少なくなるため、結合の改善を示すものとなる。
【0035】
図11は、ワイヤレス充電デバイスにおける充電コイルの構成を選択するための方法の一例を示すフローチャート1100である。本方法は、ワイヤレス充電装置に設けられたコントローラによって実行され得る。ブロック1102では、コントローラが、充電コイルの構成が使用可能であるか否かを判定することができる。受信デバイス1002内の受信コイル1004が複数の充電コイル1006、1008、1010に隣接または結合されている場合、充電コイルの複数の構成が利用可能になり得る。表1は、可能性のある構成の例を示しており、いくつかの良い構成といくつかの悪い構成が特定されている。
充電コイルの構成は、例えば、受信デバイス1002の再配置の検出を含む、充電システムの動作に変化が生じた後に、再評価することができる。
【0036】
ブロック1102において、コントローラが、テストすべき新しい構成がないと判定した場合、ブロック1112において、コントローラは、計算したデルタ電力が最も低い構成を選択することができる。ブロック1102において、コントローラが、テストすべき1または複数の構成が残っていると判定した場合、ブロック1104において、コントローラは、充電コイルの異なる組合せを使用して充電構成を再設定することができる。
【0037】
ブロック1106では、コントローラが、受信デバイス1002が充電面1000を介して伝送デバイスと通信しているか否かを判定することができる。ブロック1106において、コントローラが、受信デバイス1002が通信していると判定した場合、ブロック1114において、コントローラは、現在の充電構成に関連するデルタ電力を計算および/または記録し、ブロック1102での構成チェックを再開することができる。ブロック1106において、コントローラが、受信デバイス1002が通信していないと判定した場合、ブロック1108において、コントローラは、以前の充電構成を復元することができる。
【0038】
以前の充電構成を復元した後、コントローラは、ブロック1110において、受信デバイス1002との通信が復元または再確立されたか否かを判定することができる。ブロック1110において、コントローラが、受信デバイス1002が通信していると判定した場合、コントローラは、任意選択的に、ブロック1104において通信が失敗する結果となった構成を再試行することができる。ブロック1110において、コントローラが、受信デバイス1002が通信していないと判定した場合、コントローラは、ブロック1102における構成チェックを再開することができる。
【0039】
図12は、充電面を含むかまたは実装するワイヤレス充電デバイスを動作させるための方法の一例を示すフローチャート1200である。本方法は、ワイヤレス充電デバイスに設けられたコントローラによって実行され得る。ブロック1202では、コントローラが、充電面に設けられた複数の充電コイルに充電式デバイスが近接して配置されていることを判定することができる。ブロック1204では、コントローラが、充電式デバイスのための2以上の充電構成を識別することができ、各充電構成が、複数の充電コイルのうちの少なくとも1つを含む。ブロック1206では、コントローラが、2以上の充電構成のうちの各充電構成について、充電式デバイスに電力をワイヤレスで伝送している間の電力損失を求めることができる。ブロック1208では、コントローラが、充電面を構成するために最も低い電力損失に関連する充電構成を使用して、充電式デバイスの充電を開始することができる。
【0040】
特定の態様では、電力損失を求めることが、現在の充電構成に基づいて複数の充電コイルを構成すること、並びに、現在の充電構成を使用して充電式デバイスが充電されている間に、充電式デバイスから報告された電力を受信することを含む。コントローラは、報告された電力と、充電式デバイスを充電している間にワイヤレス充電デバイスによって消費された電力との間の差として、電力損失を計算することができる。
【0041】
一例では、コントローラが、充電式デバイスが充電面上に位置することを検出した後に、充電構成を選択することができる。一例では、コントローラが、充電式デバイスが充電面上に再配置されたことを検出した後に、充電構成を選択することができる。
【0042】
処理回路の例
図13は、バッテリをワイヤレスで充電することを可能にするワイヤレス充電デバイスまたは受信デバイスに組み込むことができる装置1300のハードウェア実装の一例を示している。いくつかの例では、装置1300が、本明細書に開示の1または複数の機能を実行することができる。本開示の様々な態様によれば、本明細書に開示の要素、要素の任意の部分、または要素の任意の組合せは、処理回路1302を用いて実現することができる。処理回路1302は、ハードウェアモジュールおよびソフトウェアモジュールのある組合せによって制御される1または複数のプロセッサ1304を含むことができる。プロセッサ1304の例には、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、SoC、ASIC、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プログラマブルロジックデバイス(PLD)、ステートマシン、シーケンサ、ゲートロジック、ディスクリートハードウェア回路、および本開示全体を通して記載される様々な機能を実行するように構成された他の適切なハードウェアが含まれる。1または複数のプロセッサ1304は、特定の機能を実行する専用のプロセッサを含むことができ、ソフトウェアモジュール1316の1つによって構成、増強または制御することができる。1または複数のプロセッサ1304は、初期化中にロードされたソフトウェアモジュール1316の組合せを通じて構成されるものであってもよく、動作中に1または複数のソフトウェアモジュール1316をロードまたはアンロードすることによってさらに構成されるものであってもよい。
【0043】
図示の例では、処理回路1302が、全体としてバス1310で示されるバスアーキテクチャで実現することができる。バス1310は、処理回路1302の具体的なアプリケーションおよび全体的な設計上の制約に応じて、任意の数の相互接続バスおよびブリッジを含むことができる。バス1310は、1または複数のプロセッサ1304およびストレージ1306を含む様々な回路をリンクする。ストレージ1306は、メモリデバイスおよび大容量ストレージデバイスを含むことができ、本明細書では、コンピュータ可読媒体および/またはプロセッサ可読媒体とも呼ばれる。ストレージ1306は、一時的な記憶媒体および/または非一時的な記憶媒体を含むことができる。
【0044】
バス1310は、タイミングソース、タイマ、周辺機器、電圧レギュレータおよび電源管理回路などの様々な他の回路もリンクすることができる。バスインターフェース1308は、バス1310と1または複数のトランシーバ1312との間のインターフェースを提供することができる。一例では、標準規定プロトコルに従って、装置1300が充電デバイスまたは受信デバイスと通信できるようにするために、トランシーバ1312を設けることができる。また、装置1300の性質に応じて、ユーザインタフェース1318(例えば、キーパッド、ディスプレイ、スピーカ、マイクロフォン、ジョイスティック)も提供することができ、バス1310に直接またはバスインタフェース1308を介して通信可能に結合することができる。
【0045】
プロセッサ1304は、バス1310の管理と、ストレージ1306を含むコンピュータ可読媒体に格納されたソフトウェアの実行を含む全体的な処理とを担うことができる。この点において、プロセッサ1304を含む処理回路1302は、本明細書に開示の方法、機能および技術のいずれかを実現するために使用することができる。ストレージ1306は、ソフトウェアの実行時にプロセッサ1304によって操作されるデータを格納するために使用することができ、ソフトウェアは、本明細書に開示の方法のいずれか一つを実行するように構成することができる。
【0046】
処理回路1302の1または複数のプロセッサ1304は、ソフトウェアを実行することができる。ソフトウェアは、ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコードまたはハードウェア記述言語などと呼ばれるかどうかにかかわらず、命令、命令セット、コード、コードセグメント、プログラムコード、プログラム、サブプログラム、ソフトウェアモジュール、アプリケーション、ソフトウェアアプリケーション、ソフトウェアパッケージ、ルーチン、サブルーチン、オブジェクト、実行可能ファイル、実行スレッド、プロシージャ、関数、アルゴリズムなどを意味するものとして、広く解釈されるものとする。ソフトウェアは、コンピュータ可読形式でストレージ1306に存在するようにしても、外部のコンピュータ可読媒体に存在するようにしてもよい。外部のコンピュータ可読媒体および/またはストレージ1306は、非一時的なコンピュータ可読媒体を含むことができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、例えば、磁気ストレージデバイス(例えば、ハードディスク、フロッピーディスク、磁気ストリップ)、光ディスク(例えば、コンパクトディスク(CD)またはデジタル多用途ディスク(DVD))、スマートカード、フラッシュメモリデバイス(例えば、「フラッシュドライブ」、カード、スティック、キードライブ)、RAM、ROM、プログラマブルリードオンリーメモリ(PROM)、EEPROMを含む消去可能PROM(EPROM)、レジスタ、リムーバブルディスク、およびコンピュータがアクセスして読み取ることができるソフトウェアおよび/または命令を格納するための他の任意の適切な媒体を含むことができる。また、コンピュータ可読媒体および/またはストレージ1306は、例えば、搬送波、伝送ライン、およびコンピュータがアクセスして読み取ることができるソフトウェアおよび/または命令を送信するための他の任意の適切な媒体も含むことができる。コンピュータ可読媒体および/またはストレージ1306は、処理回路1302に存在していても、プロセッサ1304に存在していても、処理回路1302の外部にあっても、処理回路1302を含む複数のエンティティに分散していてもよい。コンピュータ可読媒体および/またはストレージ1306は、コンピュータプログラム製品に具現化されるものであってもよい。一例として、コンピュータプログラム製品は、パッケージ材料内のコンピュータ可読媒体を含むことができる。当業者は、具体的なアプリケーションおよびシステム全体に課せられた全体的な設計上の制約に応じて、本開示全体にわたって提示された記載の機能を実現するための最良の方法を認識するであろう。
【0047】
ストレージ1306は、ロード可能なコードセグメント、モジュール、アプリケーション、プログラムなどにおいてソフトウェアを維持および/または編成することができ、それらの一部分またはすべてが、本明細書においてソフトウェアモジュール1316と呼ばれることがある。ソフトウェアモジュール1316の各々は、処理回路1302にインストールまたはロードされて、1または複数のプロセッサ1304によって実行されると、1または複数のプロセッサ1304の動作を制御するランタイムイメージ1314に寄与する命令およびデータを含むことができる。特定の命令は、実行されると、処理回路1302に、本明細書に記載の特定の方法、アルゴリズムおよびプロセスに従って機能を実行させることができる。
【0048】
ソフトウェアモジュール1316のいくつかは、処理回路1302の初期化中にロードされるものであってもよく、それらのソフトウェアモジュール1316は、本明細書に開示の様々な機能の実行を可能にするように処理回路1302を構成することができる。例えば、いくつかのソフトウェアモジュール1316は、プロセッサ1304の内部デバイスおよび/または論理回路1322を構成することができ、トランシーバ1312、バスインターフェース1308、ユーザインターフェース1318、タイマ、数値演算コプロセッサなどの外部デバイスへのアクセスを管理することができる。ソフトウェアモジュール1316は、割り込みハンドラおよびデバイスドライバと相互作用し、処理回路1302が提供する様々なリソースへのアクセスを制御する制御プログラムおよび/またはオペレーティングシステムを含むことができる。リソースは、メモリ、処理時間、トランシーバ1312へのアクセス、ユーザインタフェース1318などを含むことができる。
【0049】
処理回路1302の1または複数のプロセッサ1304は、多機能であり、それにより、ソフトウェアモジュール1316のいくつかがロードされ、異なる機能または同じ機能の異なるインスタンスを実行するように構成される。さらに、1または複数のプロセッサ1304は、例えば、ユーザインタフェース1318、トランシーバ1312およびデバイスドライバからの入力に応答して開始されるバックグラウンドタスクを管理するように適合されるようにしてもよい。複数の機能の実行をサポートするために、1または複数のプロセッサ1304は、マルチタスク環境を提供するように構成されるようにしてもよく、それにより、複数の機能の各々が、必要に応じて1または複数のプロセッサ1304によって提供されるタスクのセットとして実現される。一例では、マルチタスク環境は、異なるタスク間でプロセッサ1304の制御を引き渡すタイムシェアリングプログラム1320を使用して実現されるものであってもよく、それにより、各タスクは、未処理の動作の完了時にかつ/または割り込みなどの入力に応答して、1または複数のプロセッサ1304の制御をタイムシェアリングプログラム1320に戻す。タスクが1または複数のプロセッサ1304の制御を有する場合、処理回路は、制御タスクに関連する機能によって対処される目的のために効果的に特化される。タイムシェアリングプログラム1320は、オペレーティングシステム、ラウンドロビンベースで制御を転送するメインループ、機能の優先順位に従って1または複数のプロセッサ1304の制御を割り当てる機能、および/または、1または複数のプロセッサ1304の制御を処理機能に提供することによって外部イベントに応答する割込み作動メインループを含むことができる。
【0050】
一例では、装置1300が、充電回路に結合されたバッテリ充電電源と、複数の充電セルと、1または複数のプロセッサ1304に含まれるコントローラとを有するワイヤレス充電装置を含むか、またはワイヤレス充電装置として作動することができる。複数の充電セルは、充電面を提供するように構成することができる。少なくとも1のコイルは、各充電セルの電荷移動領域を介して電磁場を向けるように構成することができる。
【0051】
コントローラは、充電面に設けられた複数の充電コイルに充電式デバイスが近接して配置されていることを判定し、複数の充電コイルのうちの少なくとも1つをそれぞれ含む充電式デバイスのための2以上の充電構成を識別し、2以上の充電構成のうちの各充電構成について充電式デバイスに電力をワイヤレスで伝送する間の電力損失を求め、ワイヤレス充電デバイスを構成するために最小の電力損失に関連付けられた充電構成を使用して充電式デバイスの充電を開始するよう構成されるものであってもよい。
【0052】
特定の態様では、コントローラが、現在の充電構成に基づいて複数の充電コイルを構成し、現在の充電構成を使用して充電式デバイスが充電されている間に、充電式デバイスから報告された電力を受信するように構成されている。コントローラは、報告された電力と、充電式デバイスを充電している間にワイヤレス充電デバイスによって消費された電力との間の差として、電力損失を計算するように構成されるものであってもよい。コントローラは、充電式デバイスが充電面上に位置することを検出した後に、充電構成を選択するように構成されるものであってもよい。コントローラは、充電式デバイスが充電面上に再配置されたことを検出した後に、充電構成を選択するように構成されるものであってもよい。
【0053】
いくつかの態様では、ストレージ1306が命令および情報を保持し、命令が、1または複数のプロセッサ1304に、ワイヤレス充電デバイスの充電面によって提供される充電コイルに充電式デバイスが近接して配置されていることを判定させ、充電コイルに充電電流を提供させ、充電コイルに電流が提供されている間に複数の隣接するコイルを動作から除外させるように構成されている。隣接するコイルの各々は、充電コイルに隣接する充電面内に配置され得る。
【0054】
いくつかの態様では、命令が、1または複数のプロセッサ1304に、充電面内または充電面に設けられた複数の充電コイルに充電式デバイスが近接して配置されていることを判定させ、複数の充電コイルのうちの少なくとも1つをそれぞれ含む充電式デバイスのための2以上の充電構成を識別させ、2以上の充電構成のうちの各充電構成について、充電式デバイスに電力をワイヤレスで伝送する間の電力損失を導出させ、ワイヤレス充電デバイスを構成するために最も低い電力損失に関連する充電構成を使用して充電式デバイスの充電を開始させるように構成されている。
【0055】
特定の例では、命令が、1または複数のプロセッサ1304に、現在の充電構成に基づいて複数の充電コイルを構成させ、現在の充電構成を使用して充電式デバイスが充電されている間に充電式デバイスから報告された電力を受信させるように構成されている。命令は、1または複数のプロセッサ1304に、報告された電力と、充電式デバイスを充電している間にワイヤレス充電デバイスによって消費された電力との間の差として、電力損失を計算させるように構成されるものであってもよい。命令は、1または複数のプロセッサ1304に、充電式デバイスが充電面上に位置することを検出した後に、充電構成を選択させるように構成されるものであってもよい。命令は、1または複数のプロセッサ1304に、充電式デバイスが充電面上に再配置されたことを検出した後に、充電構成を選択させるように構成されるものであってもよい。
【0056】
上述した説明は、当業者が本明細書に記載の様々な態様を実施できるようにするために提供されたものである。これらの態様に対する様々な変更は、当業者には明らかであり、本明細書で規定される一般的な原理は、他の態様に適用することができる。このため、特許請求の範囲は、本明細書に示される態様に限定されることを意図するものではなく、請求項の文言と一致する全範囲が認められるものであり、単数形の要素への言及は、特に明記がなければ、「唯一の」を意味するものではなく、「1または複数」を意味するものとする。特に明記されていない限り、「いくつか」という用語は1または複数を指している。当業者に知られている、または後に当業者に知られるようになる、本開示を通して説明される様々な態様の要素に対するすべての構造的および機能的均等物は、引用により本明細書に明示的に援用されるとともに、特許請求の範囲に含まれることが意図される。さらに、本明細書に開示されているものは、そのような開示が特許請求の範囲に明示的に記載されているか否かにかかわらず、公衆に捧げられることを意図していない。請求項の要素が「のための手段(means for)」という文言を使用して明示的に記載されていない限り、また、方法の請求項の場合には、「のためのステップ(step for)」という文言を使用して記載されていない限りは、何れの請求項の要素も、米国特許法第112条第6項の規定に基づいて解釈されるべきではない。
【国際調査報告】