(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-15
(54)【発明の名称】生物変換のためのプロセス制御
(51)【国際特許分類】
C12P 7/06 20060101AFI20230308BHJP
C12N 1/20 20060101ALI20230308BHJP
C12P 7/40 20060101ALI20230308BHJP
【FI】
C12P7/06
C12N1/20 A
C12P7/40
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022542381
(86)(22)【出願日】2020-12-15
(85)【翻訳文提出日】2022-07-11
(86)【国際出願番号】 US2020065092
(87)【国際公開番号】W WO2021146013
(87)【国際公開日】2021-07-22
(32)【優先日】2020-01-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520314674
【氏名又は名称】ジュペン バイオ (エイチケイ) リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100123766
【氏名又は名称】松田 七重
(72)【発明者】
【氏名】ノイベック マイケル
(72)【発明者】
【氏名】スティルウェル トレバー
(72)【発明者】
【氏名】カマルゴ ネスター
【テーマコード(参考)】
4B064
4B065
【Fターム(参考)】
4B064AC03
4B064CA02
4B064CD07
4B064DA16
4B065AA01X
4B065AC14
4B065BA30
4B065BD29
4B065CA06
(57)【要約】
ガス状基質を有用な最終生成物、例えば、エタノールに変換するための生物学的プロセスを強化するための制御プロセスを提供する。プロセスは、基質添加速度で、CO及びCO
2の1種以上を含むガス状基質をバイオリアクターに供給する工程を含む。バイオリアクターに供給された酢酸生成菌は、発酵ブロス中でガス状基質を発酵させる。プロセスは、発酵ブロス中のカルボン酸及び/又はカルボキシレートの濃度を決定する工程を含む。制御アルゴリズムにより、これらの濃度を用いてガス状基質の添加速度を調整する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセスであって、
基質添加速度で、COを含むガス状基質をバイオリアクターに供給する工程、
酢酸生成菌を前記バイオリアクターに供給する工程、
発酵ブロス中で前記ガス状基質を発酵させる工程、
発酵ブロス中のA
Mの濃度を決定する工程であって、A
Mが、カルボン酸及びカルボキシレートの濃度である、前記工程、及び
A
Mを制御アルゴリズムに用いてガス状基質の添加速度を調整する工程
を含む、前記プロセス。
【請求項2】
制御アルゴリズムが、式I
term=E
int/IによりI
termを決定する工程を含み、
式中、Iは、定数であり、
式中、E
int=(前のE
int)+(A
M-A
T)
*dtであり、式中、dtは、透過物中のA
Mを決定する間の時間間隔であり、式中、前のE
int及びE
intは、開始時及び終了時の値、又は時間間隔dtでの値である、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
制御アルゴリズムが、式P
term=(A
M-A
T)
*PによりP
termを決定する工程を含み、
式中、A
Tは、カルボン酸及びカルボキシレートの目標濃度であり、Pは、定数である、請求項2に記載のプロセス。
【請求項4】
制御アルゴリズムが、
式E
int=(前のE
int)+(A
M-A
T)
*dtによりE
intを決定する工程であって、式中、dtが、透過物中のA
Mを決定する間の時間間隔であり、式中、前のE
int及びE
intが、開始時及び終了時の値、又は時間間隔dtでの値である、前記工程、
式I
term=E
int/IによりI
termを決定する工程であって、Iが、定数である、前記工程、及び
式コントローラー
output=P
term+I
termによりコントローラー
outputを決定する工程
を更に含む、請求項2に記載のプロセス。
【請求項5】
Iが、100~10,000である、請求項2に記載のプロセス。
【請求項6】
Pが、0~50である、請求項3に記載のプロセス。
【請求項7】
透過物が、発酵ブロスから形成され、カルボン酸が、該透過物で測定される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項8】
カルボン酸の濃度が、近赤外線分光法(NIR)、ガスクロマトグラフィー、高圧液体クロマトグラフィー、質量分析法、及びこれらの組み合わせからなる群より選ばれる分析技術により測定される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項9】
プロセスが、少なくとも約100gエタノール/(L・日)のSTYを提供する、請求項1に記載のプロセス。
【請求項10】
発酵ブロス中のA
Mの濃度を決定する工程、及びA
Mを制御アルゴリズムに用いてガス状基質の添加速度を調整する工程が、30分内に完了する、請求項1に記載のプロセス。
【請求項11】
酢酸生成菌が、クロストリジウム属細菌、クロストリジウム・アセチカム、クロストリジウム・アセトブチリカム、クロストリジウム・アセトブチリクムP262(DSMZドイツのDSM19630)、クロストリジウム・オートエタノゲナム(DSMZドイツのDSM19630)、クロストリジウム・オートエタノゲナム(DSMZドイツのDSM10061)、クロストリジウム・オートエタノゲナム(DSMZドイツのDSM23693)、クロストリジウム・オートエタノゲナム(DSMZドイツのDSM24138)、クロストリジウム・カルボキシディボランスP7(ATCC PTA-7827)、クロストリジウム・コスカチイ(ATCC PTA-10522)、クロストリジウム・ドラケイ、クロストリジウム・リュングダリイPETC(ATCC 49587)、クロストリジウム・リュングダリイERI2(ATCC 55380)、クロストリジウム・リュングダリイC-01(ATCC 55988)、クロストリジウム・リュングダリイO-52(ATCC 55889)、クロストリジウム・マグナム、クロストリジウム・パストゥリアヌム(DSMZドイツのDSM525)、クロストリジウム・ラグスダリP11(ATCC BAA-622)、クロストリジウム・スカトロゲネス、クロストリジウム・サーモアセチカム、クロストリジウム・ウルツネンセ、酢酸生成菌、アセトバクテリウム属細菌、アセトゲニウム・キブイ、アセトバクテリウム・ノテラエ、アルカリバクルム・バッキCP11(ATCC BAA-1772)、ブラウティア・プロダクタ、ブチリバクテリウム・メチロトロフィカム、カルダナエロバクター・サブテラネウス、カルダナエロバクター・サブテラネウス・パシフィカム、カーボキシドサーマス・ハイドロゲノフォルマンス、デスルホトマクルム・クズネツォビイ、ユーバクテリウム・リモスム、ゲオバクター・スルフレデュセンス、メタノサルシナ・アセチボランス、メタノサルシナ・バーケリ、モーレラ・サーモアセティカ、モーレラ・サーモオートトロフィカ、オキソバクター・フェニジイ、ペプトストレプトコッカス・プロダクツス、ルミノコッカス・プロダクツス、サーモアネロバクター・キブイ、クロストリジウム・スティックランディイ、及びこれらの組み合わせからなる群より選ばれる、請求項1に記載のプロセス。
【請求項12】
プロセスが、約4~約6.9の範囲に維持される、請求項1に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2020年1月16日に出願された米国仮特許出願第62/961,743号の利益を主張するものであり、該仮特許出願のすべての内容は、参照として本明細書に含まれる。
一酸化炭素を含むガス状基質の生物変換のプロセスを提供する。より具体的には、該プロセスは、カルボン酸及び/又はカルボキシレートの濃度を用いてガス状基質の添加速度を制御することにより、ガス状基質の生物変換を制御する工程を含む。
【背景技術】
【0002】
一酸化炭素の生成は、自然のプロセスのみならず、石炭、石油及び天然ガスなどの化石燃料の燃焼を含む工業的プロセスからも起こる。工業的プロセスが一因で、環境への炭素放出が、増加し続けている。
発酵の制御は、多くの場合、手動測定、及びかかる測定の結果に基づく調整に基づいている。かかる手動プロセスは、測定と調整との間にある程度の時間差を有するため、発酵の効率が悪くなることがある。さらに、より自動化された制御戦略の使用により、より精密な制御を提供し、より速い反応時間を提供し、労働コストを下げることができる。
一酸化炭素(CO)の大量発生を考慮すると、一酸化炭素を効率的に利用することができる細菌発酵システムのニーズがある。
【発明の概要】
【0003】
プロセスは、基質の添加速度で、COを含むガス状基質をバイオリアクターに供給する工程を含む。バイオリアクターに供給された酢酸生成菌は、発酵ブロス中でガス状基質を発酵させる。本発明のプロセスは、発酵ブロス中のAMの濃度を決定する工程を含み、AMは、カルボン酸及びカルボキシレートの濃度である。制御アルゴリズムにより、AMを用いてガス状基質の添加速度を調整する。
【0004】
上記で述べた本開示の特徴を詳しく理解することができるように、上記で簡潔に要約した本開示のより具体的な説明は、そのいくつかが、添付の図面に示されている実施形態を参照することによって得ることができる。しかしながら、本開示が他の等しく有効な実施形態を認め得るため、添付の図面は、本開示の典型的な実施形態を示すものにすぎず、したがって本開示の範囲を限定するものと考慮すべきではないことに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】
図1は、バイオリアクターシステムを示すものである。
【
図2】
図2は、自動化制御プロセスでのエタノールのSTY値を、非自動化制御プロセスでのエタノールのSTY値と比較するグラフである。
【
図3】
図3は、自動化制御プロセスでの細胞密度値を、非自動化制御プロセスでの細胞密度値と比較するグラフである。
【
図4】
図4は、プロセス制御方法論の全体的な概要を提供するフローチャートである。
【
図5】
図5は、酸コントローラーのための、プロセス制御方法論を説明するフローチャートである。
【
図6】
図6は、酸コントローラーのための、プロセス制御方法論の別の態様を説明するフローチャートである。
【
図7】
図7は、ガス流コントローラーのための、プロセス制御方法論を説明するフローチャートである。
【
図8】
図8は、ガス流コントローラーのための、プロセス制御方法論の別の態様を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0006】
以下の記載は、限定的な意味で捉えるべきではなく、単に例示的な実施形態の一般原理を説明する目的のために行うものにすぎない。本開示の範囲は、特許請求の範囲を参照して決定すべきである。
定義
特に定義されていない限り、本開示のために本明細書全体を通して使用されている以下の用語は、以下のとおり定義されており、以下に定義されている定義の単数形又は複数形のどちらかを含むことができる。
任意の量を修飾する用語「約」は、現実世界の状況、例えば、実験室、パイロットプラント又は生産施設において遭遇する量の変動を指す。例えば、混合物若しくは量に使用される成分又は測定の量は、「約」により修飾される場合、生産プラント又は実験室内の実験条件下で測定する際に通常使用される変更及び注意の度合いを含む。例えば、生成物の成分量は、「約」により修飾される場合、プラント又は実験室内の複数の実験におけるバッチ間の変動、及び分析方法に固有の変動を含む。「約」により修飾されるか否かにかかわらず、量は、該量と同等のものを含む。本明細書において述べられており、「約」により修飾されている量はいずれも、「約」により修飾されていない量として本開示に使用することもできる。
【0007】
用語「発酵槽」は、1つ以上の容器及び/若しくは塔、又は配管からなる発酵装置/バイオリアクターを含み、回分反応器、半回分反応器、連続反応器、連続撹拌槽型反応器(CSTR)、気泡塔反応器、外部循環ループ式反応器、内部循環ループ式反応器、固定化細胞反応器(ICR)、トリクルベッド反応器(TBR)、移動床式バイオフィルム反応器(moving bed biofilm reactor、MBBR)、ガスリフト型発酵槽、中空糸膜バイオリアクター(HFMBR)などの膜反応器、スタティックミキサー、ガスリフト型発酵槽、又は気液接触に適した他の容器若しくは他の装置が挙げられる。
用語「発酵」、「発酵プロセス」又は「発酵反応」等は、プロセスの増殖期及び生成物の生合成期の両方を包含することを意図している。一態様において、発酵は、COのカルボン酸への変換を指す。別の態様において、発酵は、COのアルコールへの変換を指す。更に別の態様において、発酵は、COの、アルコール及びカルボン酸への変換を指す。
用語「細胞密度」は、発酵ブロスの単位体積あたりの微生物細胞の質量、例えば、グラム/リットルを意味する。
【0008】
本明細書において使用されているように、生産性は、STYとして表される。この態様において、生産性STY(空時収量)は、アルコールSTY(gエタノール/(リットル*日))として表され得る。
本明細書において使用されているように、「含酸素炭化水素系化合物」としては、例えば、エタノールやブタノールなどの、炭素と、H2と、酸素とを含有する化合物を挙げることができる。
一態様において、システムは、ガス状基質を受け入れるために設けられた1つ以上のバイオリアクターを含んでもよい。前記1つ以上のバイオリアクターは、酢酸生成菌と発酵培地とを含有する発酵ブロスを含んでもよい。発酵制御システムは、バイオリアクターから発酵ブロスの試料を単離するために設けられたサンプリング装置と、単離された試料を分析するために設けられた分析計とを含んでもよい。前記システムは、ガス状基質の添加速度を制御するために設けられたコントローラーを含んでもよく、該ガス状基質の添加速度は、少なくとも部分的に該分析計により決定されたカルボン酸及びカルボキシレートの濃度に基づくものである。
更なる態様は、非一時的なコンピューター可読媒体を含むコンピュータープログラム製品であって、該媒体が、それに具体化されるコンピュータープログラムを有する、前記製品に関する。かかるコンピュータープログラムは、本明細書に記載の制御プロセスを行うために必要な工程をプロセッサーに実行させるための命令を含む。かかるプロセスは、ガス状基質の添加速度を制御するために設けられたコントローラーに入力する情報を受け取る工程を含む。このように受け取って、かつ入力する情報としては、バイオリアクターからの試料を分析するために設けられた分析計から受け取った情報を含む。
【0009】
ガス状基質の変換のためのバイオリアクターシステム
プロセスは、バイオリアクターシステム、例えば、両方とも2019年8月2日に出願された米国特許出願第16/530,481号及び第16/530,502号、2012年5月15日に出願された米国特許出願第13/471,858号、2012年5月15日に出願された米国特許出願第13/471,827号(2018年5月22日に登録された米国特許第9,976,158号)、並びに2012年5月16日に出願された米国特許出願第13/473,16号(2013年11月26日に登録された米国特許第8,592,19号)に記載のものなどを利用してもよい。これらのすべては、参照として本明細書に含まれる。
バイオリアクターシステムの一態様は、
図1に示されている。該システムは、ガス状基質添加ライン103により供給されるガス状基質を発酵するのに適合されているバイオリアクター101を含み得る。該システムは、オフガス排出ライン105を通してバイオリアクター101からオフガスを排出するのを可能にする。バイオリアクター101は、栄養供給槽107から栄養が供給され得る。
図1に更に示されているように、発酵ブロスは、発酵ブロス引き出しライン113を通してバイオリアクター101から除去され、精密ろ過又は限外ろ過115に供給され得る。精密ろ過又は限外ろ過115からの少なくとも一部の細胞は、細胞戻しライン133により、バイオリアクター101に戻され得る。透過物(permeate)は、透過物ライン117により、精密ろ過又は限外ろ過115から蒸留供給槽119に運ばれ、次に、蒸留塔121に運ばれ得る。蒸留塔121は、蒸留生成物135及び水(蒸留底部)を提供する。水(蒸留底部)は、水戻しライン123を通してバイオリアクター101に戻され得る。
一態様において、透過物ライン117からの透過物は、酸制御装置125により分析さえ得る。酸制御装置125は、ガス流コントローラー129にシグナル(点線シグナルライン127と示される)を提供し得る。
【0010】
ガス状基質
ガス状基質は、COを含んでもよい。より具体的には、ガス状基質は、CO含有基質、又はCO含有基質とCO2含有基質との組み合わせであってもよい。
CO含有基質:CO含有基質は、COを含むあらゆるガスを含んでもよい。この態様において、CO含有ガスとしては、合成ガス、工業ガス、及びこれらの混合物を挙げることができる。関連態様において、ガス状基質は、COに加えて、窒素ガス(N2)、二酸化炭素(CO2)、メタンガス(CH4)、合成ガス、及びこれらの組み合わせを含んでもよい。
合成ガスは、任意の既知の供給源から供給されてもよい。一態様において、合成ガスは、炭素質材料のガス化から供給されてもよい。ガス化は、酸素供給が制限された状態でのバイオマスの部分燃焼を含む。得られたガスは、CO及びH2を含むことがある。この態様において、合成ガスは、少なくとも約10モル%CO、一態様において、少なくとも約20モル%、一態様において、約10~約100モル%、別の態様において、約20~約100モル%CO、別の態様において、約30~約90モル%CO、別の態様において、約40~約80モル%CO、及び別の態様において、約50~約70モル%COを含むであろう。好適なガス化方法及び装置のいくつかの例は、米国特許出願第61/516,667号、第61/516,704号及び第61/516,646号(いずれも2011年4月6日に出願された)、並びに米国特許出願第13/427,144号、第13/427,193号及び第13/427,247号(いずれも2012年3月22日に出願された)において提供される。これらのすべては、参照として本明細書に含まれる。
【0011】
別の態様において、プロセスは、COを大量に含有する工業ガスなどのガス状基質からのアルコールの生産を支える適用性を有する。いくつかの態様において、COを含むガスは、炭素含有廃棄物、例えば、産業廃棄物のガスに由来するか、又は他の廃棄物のガス化に由来する。したがって、該プロセスは、そうでなければ環境中に排出されるであろう炭素を捕捉するための効果的なプロセスを表す。工業ガスの例としては、鉄金属製品の製造、非鉄製品の製造、石油精製プロセス、石炭のガス化、バイオマスのガス化、電力生産、カーボンブラック生産、アンモニア生産、メタノール生産、コークス製造、及びガス改質の間に生成されるガスが挙げられる。
別の態様において、H2は、産業廃棄物のガスから供給されるか、又は他の廃棄物のガス化から供給されてもよい。したがって、該プロセスは、そうでなければ環境中に排出されるであろうH2を捕捉するための効果的なプロセスを表す。工業ガスの例としては、鉄金属製品の製造、非鉄製品の製造、石油精製プロセス、石炭のガス化、バイオマスのガス化、電力生産、カーボンブラック生産、アンモニア生産、メタノール生産、及びコークス製造の間に生成されるガスが挙げられる。H2の他の供給源としては、例えば、H2Oの電解やバイオ生成H2が挙げられる。
【0012】
CO含有基質の組成に応じて、CO含有基質は、発酵プロセスに直接提供されるか、又は適切なH2対COのモル比を含むように更に改変されてもよい。一態様において、発酵槽に供給されるCO含有基質は、約0.2以上、別の態様において、約0.25以上、及び別の態様において、約0.5以上のH2対COのモル比を有する。別の態様において、発酵槽に供給されるCO含有基質は、約40モル%以上のCOプラスH2かつ約30モル%以下のCO、別の態様において、約50モル%以上のCOプラスH2かつ約35モル%以下のCO、及び別の態様において、約80モル%以上のCOプラスH2かつ約20モル%以下のCOを含んでもよい。
一態様において、CO含有基質は、CO及びH2を含む。この態様において、CO含有基質は、少なくとも約10モル%のCO、一態様において、少なくとも約20モル%のCO、一態様において、約10~約100モル%のCO、別の態様において、約20~約100モル%のCO、別の態様において、約30~約90モル%のCO、別の態様において、約40~約80モル%のCO、及び別の態様において、約50~約70モル%のCOを含むであろう。
【0013】
一態様において、ガス分離器は、少なくとも一部のガス流(その一部は、1種以上の成分を含む)を実質的に分離するために設けられる。例えば、ガス分離器により、以下の成分:CO、CO2、H2を含むガス流からCO2を分離することができ、CO2をCO2貯蔵部に移すことができ、残りのガス流(CO及びH2を含む)をバイオリアクターに移すことができる。当技術分野において知られている任意のガス分離器を利用してもよい。この態様において、発酵槽に供給される合成ガスは、約10モル%以下のCO2、別の態様において、約1モル%以下のCO2、及び別の態様において、約0.1モル%以下のCO2を有するであろう。
ある種のガス流は、高濃度のCOと低濃度のH2とを含んでもよい。一態様において、より高い効率のアルコール生産及び/又は全体的な炭素捕捉を達成するために、基質流の組成を最適化するのが望ましいことがある。別の態様において、基質流をバイオリアクターに移す前に、該基質流中のH2の濃度を高めてもよい。
【0014】
本開示の特定の態様によれば、2種以上の供給源からの流れを組み合わせ、及び/又はブレンドして、望ましい及び/又は最適化された基質流を生産することができる。例えば、製鋼工場の転炉からの排ガスなどの高濃度のCOを含む流れを、製鋼工場のコークス炉からのオフガスなどの高濃度のH2を含む流れと組み合わせることができる。
ガス状CO含有基質の組成に応じて、該ガス状CO含有基質を発酵に導入する前に、あらゆる望ましくない不純物、例えば、ダスト粒子、及びシアン化物や酸素などの化学的不純物を除去するために、該ガス状CO含有基質を処理するのが望ましいこともある。例えば、既知の方法を用いて、ガス状基質をろ過又はスクラブし得る。
【0015】
酢酸生成菌
プロセスは、酢酸生成菌を用いて、発酵バイオリアクター中で発酵を行う工程を含む。有用な酢酸生成菌の例としては、クロストリジウム属(genus Clostridium)の酢酸生成菌、例えば、国際公開第2000/68407号、EP117309、米国特許第5,173,429号、第5,593,886号及び第6,368,819号、国際公開第1998/00558号及び国際公開第2002/08438号に記載の酢酸生成菌を含むクロストリジウム・リュングダリイ(Clostridium ljungdahlii)の株、国際公開第2007/117157号及び国際公開第2009/151342号に記載の酢酸生成菌を含むクロストリジウム・オートエタノゲナム(Clostridium autoethanogenum)(DSMZドイツのDSM10061及びDSM19630)の株、米国特許第7,704,723号及び「Biofuels and Bioproducts from Biomass-Generated Synthesis Gas」, Hasan Atiyeh, presented in Oklahoma EPSCoR Annual State Conference, April 29, 2010に記載の酢酸生成菌のそれぞれを含むクロストリジウム・ラグスダリ(Clostridium ragsdalei)(P11、ATCC BAA-622)及びアルカリバクルム・バッキ(Alkalibaculum bacchi)(CP11、ATCC BAA-1772)、及び米国特許出願第2007/0276447号に記載のクロストリジウム・カルボキシディボランス(Clostridium carboxidivorans)(ATCC PTA-7827)が挙げられる。他の好適な微生物としては、ムーレラ属(genus Moorella)(ムーレラ種HUC22-1を含む)の微生物、及びカーボキシドサーマス属(genus Carboxydothermus)の微生物が挙げられる。これらの文献のそれぞれは、参照として本明細書に含まれる。2種以上の微生物の混合培養を使用してもよい。
【0016】
有用な酢酸生成菌の追加の例としては、アセトゲニウム・キブイ(Acetogenium kivui)、アセトアナエロビウム・ノテラエ(Acetoanaerobium noterae)、アルカリバクルム・バッキCP11(ATCC BAA-1772)、ブラウティア・プロダクタ(Blautia producta)、ブチリバクテリウム・メチロトロフィカム(Butyribacterium methylotrophicum)、カルダナエロバクター・サブテラネウス(Caldanaerobacter subterraneous)、カルダナエロバクター・サブテラネウス・パシフィカム(Caldanaerobacter subterraneous pacificus)、カーボキシドサーマス・ハイドロゲノフォルマンス(Carboxydothermus hydrogenoformans)、クロストリジウム・アセチカム(Clostridium aceticum)、クロストリジウム・アセトブチリカム(Clostridium acetobutylicum)、クロストリジウム・アセトブチリカムP262(DSMZドイツのDSM19630)、クロストリジウム・オートエタノゲナム(DSMZドイツのDSM19630)、クロストリジウム・オートエタノゲナム(DSMZドイツのDSM10061)、クロストリジウム・オートエタノゲナム(DSMZドイツのDSM23693)、クロストリジウム・オートエタノゲナム(DSMZドイツのDSM24138)、クロストリジウム・カルボキシディボランスP7(ATCC PTA-7827)、クロストリジウム・コスカチイ(Clostridium coskatii)(ATCC PTA-10522)、クロストリジウム・ドラケイ(Clostridium drakei)、クロストリジウム・リュングダリイPETC(ATCC 49587)、クロストリジウム・リュングダリイERI2(ATCC 55380)、クロストリジウム・リュングダリイC-01(ATCC 55988)、クロストリジウム・リュングダリイO-52(ATCC 55889)、クロストリジウム・マグナム(Clostridium magnum)、クロストリジウム・パストゥリアヌム(Clostridium pasteurianum)(DSMZドイツのDSM525)、クロストリジウム・ラグスダリP11(ATCC BAA-622)、クロストリジウム・スカトロゲネス(Clostridium scatologenes)、クロストリジウム・サーモアセチカム(Clostridium thermoaceticum)、クロストリジウム・ウルツネンセ(Clostridium ultunense)、デスルホトマクルム・クズネツォビイ(Desulfotomaculum kuznetsovii)、ユーバクテリウム・リモスム(Eubacterium limosum)、ゲオバクター・スルフレデュセンス(Geobacter sulfurreducens)、メタノサルシナ・アセチボランス(Methanosarcina acetivorans)、メタノサルシナ・バーケリ(Methanosarcina barkeri)、モーレラ・サーモアセティカ(Moorella thermoacetica)、モーレラ・サーモオートトロフィカ(Moorella thermoautotrophica)、オキソバクター・フェニジイ(Oxobacter pfennigii)、ペプトストレプトコッカス・プロダクツス(Peptostreptococcus productus)、ルミノコッカス・プロダクツス(Ruminococcus productus)、サーモアネロバクター・キブイ(Thermoanaerobacter kivui)、クロストリジウム・スティックランディイ(Clostridium Stick-landii)、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0017】
発酵培地
一態様によれば、発酵プロセスは、反応容器への培地の添加により開始する。培地組成物のいくつかの例は、2012年5月22日に出願された米国特許出願第61/650,098号及び第61/650,093号、並びに2001年7月23日に出願された米国特許第7,285,402号に記載されており、これらのすべては、参照として本明細書に含まれる。培地を滅菌して望ましくない微生物を除去することができ、反応器に所望の微生物を接種する。滅菌は、必ずしも必要なわけではない。
別の態様において、酢酸生成菌と共に使用するための様々な培地成分の濃度は、以下のとおりである。
【表1】
一態様において、培地は、約0.01g/L未満の酵母エキスと約0.01g/L未満の炭水化物とを含む。
【0018】
発酵制御
自動化され得る制御方法論により、ガス状基質を有用な最終生成物、例えば、エタノールに変換するための生物学的プロセスを強化することができる。例えば、自動化制御戦略を用いると、自動化制御戦略を用いていないプロセスと比べて、生産性を300%以上向上させることができる。
本明細書に記載の発酵制御方法論を用いて、本明細書に記載の培地及び酢酸生成菌を使用してバイオリアクターで行う発酵は、少なくとも約100gエタノール/(L・日)のSTY(空時収量)を提供するのに有効である。可能なSTY値としては、約100gエタノール/(L・日)~約300gエタノール/(L・日)、別の態様において、約100gエタノール/(L・日)~約250gエタノール/(L・日)、及び別の態様において、約100gエタノール/(L・日)~約200gエタノール/(L・日)が挙げられる。本明細書に記載のような自動化制御システムを用いたSTY値(201及び203として示されている)と、手動制御システムを用いたSTY値(205及び207として示されている)との比較は、
図2に示されている。
図2に示されている別の態様において、自動化制御システムは、手動システムより一層速くSTYを向上させることができた。この態様において、発酵ブロス中のA
Mの濃度を決定する工程、及びA
Mを制御アルゴリズムに用いてガス状基質の添加速度を調整する工程は、30分未満、別の態様において、約0.1秒~約30分、別の態様において、約0.1秒~約20分、別の態様において、約0.21秒~約10分、別の態様において、約0.1秒~約1分、及び別の態様において、約1秒~約5分で完了する。
【0019】
本明細書に記載の発酵制御方法論を用いて、本明細書に記載の培地及び酢酸生成菌を使用してバイオリアクターで行う発酵は、少なくとも約1グラム/リットル、別の態様において、約1~約50グラム/リットル、及び別の態様において、約3~約30グラム/リットルの細胞密度を提供するのに有効である。本明細書に記載のような自動化された自動化制御システムを用いた細胞密度値(301及び303として示されている)と、手動制御システムを用いた細胞密度値(305及び307として示されている)との比較は、
図3に示されている。
図3に示されている別の態様において、自動化制御システムは、手動システムより一層速く細胞密度を向上させることができた。
プロセス制御方法論は、
図4~8において説明している。様々な制御態様は、これらの図に示されている。全体的なプロセス制御方法論を提供するために、任意の方法により様々な制御態様を組み合わせることができる。
プロセス制御方法論の全体的な概要は、
図4に示されている。この態様において、プロセスは、ガス状基質の添加速度で、CO及びCO
2の1種以上を含むガス状基質をバイオリアクターに供給する工程を含む。前記バイオリアクター内の酢酸生成菌は、発酵ブロス中で前記ガス状基質を発酵させる。前記プロセスは、酸濃度の測定を用いて、発酵槽から前記発酵ブロス中の酸濃度を決定する工程を含む。ガスコントローラーにより、前記ガス状基質の添加速度を調整して、酸濃度の目標範囲に達する。測定される酸濃度は、カルボン酸の濃度、カルボキシレートの濃度、又はカルボン酸とカルボキシレートとの組み合わせの濃度である。発酵ブロスを酸測定に直接利用し得る。別の態様において、発酵ブロスから透過物を形成してもよく、該透過物中の酸濃度を決定し得る。本明細書に記載の分析技術のいずれかを用いて、酸濃度の測定を行ってもよい。
【0020】
酸コントローラーのためのプロセス制御方法論の別の態様は、
図5に示されている。この態様において、コントローラー入力は、酸濃度の設定値と酸濃度の測定値とを含む。入力を、積分動作を有するコントローラーにより提供される制御アルゴリズムにおいて使用し得る。前記コントローラーは、ガス流目標値の出力を提供する。
酸コントローラーのためのプロセス制御方法論の別の態様は、
図6に示されている。この態様において、コントローラー入力は、酸濃度の設定値と酸濃度の測定値とを含む。入力を、積分動作を有するコントローラーにより提供される制御アルゴリズムにおいて使用し得る。線形から指数への変換を、ガス流目標値の出力を提供するのに適用し得る。
ガスコントローラーのためのプロセス制御方法論の別の態様は、
図7に示されている。この態様において、ガス流目標値の入力をガス流制御装置に提供する。前記ガス流制御装置は、発酵槽へのガス流を制御する。
ガスコントローラーのためのプロセス制御方法論の別の態様は、
図8に示されている。この態様において、コントローラー入力は、ガス流目標値の入力とガス流の測定値とを含む。入力を、積分動作を有するコントローラーにより提供される制御アルゴリズムにおいて使用し得る。前記コントローラーは、作動してガス流制御装置を制御する。前記ガス流制御装置は、発酵槽へのガス流の出力(a gas flow to fermentor output)を提供する。
【0021】
サンプリング:発酵ブロスは、バイオリアクターから直接取り出すことができる。発酵ブロスを取り出すための、流出流(bleed stream)又は他の流れからの試料ラインは、オンライン測定用の適切な分析装置に流動的に連結され得る。1又は複数の反応器からの、オンライン分析のためのサンプリングシステムは、所望の時間で所望のバイオリアクターの自動化サンプリングを可能にするための、好適な導管(例えば、チューブや配管)、バルブ、ポンプ、及びアクチュエータ、並びに試料ラインをフラッシュ(パージ)するのに適した装置を含み得る。
一態様において、プロセスは、ろ過又は膜分離の結果、細菌細胞を有しないか又は実質的に有しない透過物に対して、分析を行う工程を含む。細胞分離システムから透過物流を得ることができ、該透過物流を分析に用いることができる。試料コンディショニング方法、例えば、炭素ろ過、温度制御、気泡除去、及び1種以上の試料コンディショニング方法の組み合わせを利用し得る。
発酵ブロスを、連続的に測定するか、又は断続的に、例えば、連続する各測定間の期間、一般的には0.1秒~10分、一態様において、0.1秒~5分、一態様において、0.1秒ごと~120秒ごと、一態様において、0.5秒ごと~60秒ごと、及び別の態様において、1秒ごと~10秒ごとに周期的に測定することができる。
【0022】
カルボン酸及びカルボキシレートの測定:一態様において、プロセスは、発酵ブロス中のAMの濃度を決定する工程であって、AMが、カルボン酸及びカルボキシレートの濃度である、前記工程を含む。プロセスは、近赤外線分光法(NIR)、ガスクロマトグラフィー、高圧液体クロマトグラフィー、質量分析法、及びこれらの組み合わせからなる群より選ばれる分析装置を使用して、カルボン酸及びカルボキシレートの濃度を決定する工程を含む。一態様において、NIRにより、透過物中のカルボン酸及び/又はカルボキシレートを測定する。NIRは、連続測定を可能にする、インラインのものであってもよい。有用なNIR周波数としては、一態様において、約800~2200nm、別の態様において、約1280~約2184nm、別の態様において、約1640~約1724nm、別の態様において、約1630~約1910nm、及び別の態様において、約870~約2184nmを挙げることができる。
制御アルゴリズム:一態様において、本明細書に記載のような制御方法論は、自動化されたものであり、該制御方法論を行うための必要なシグナルをコントローラーに送るのをプロセッサーに実行させるための、適切な命令を有するコンピュータープログラムの使用を含む。
【0023】
一態様において、カルボン酸及びカルボキシレートの測定により提供されるAM値を制御アルゴリズムに用いて、基質添加速度を調整する。この態様において、前記制御アルゴリズムは、式Iterm=Eint/IによりItermを決定する工程を含み、式中、Iは、定数であり、式中、Eint=(前の(previous)Eint)+(AM-AT)*dtである(式中、dtは、透過物中のAMを決定する間の時間間隔であり、式中、前のEint及びEintは、開始時及び終了時の値、又は時間間隔dtでの値である)。前記制御アルゴリズムは、式Pterm=(AM-AT)*PによりPtermを決定する工程を更に含んでもよく、式中、ATは、カルボン酸及びカルボキシレートの目標濃度であり、Pは、定数である。加えて、前記制御アルゴリズムは、式Eint=(前のEint)+(AM-AT)*dtによりEintを決定する工程であって、式中、dtは、透過物中のAMを決定する間の時間間隔であり、式中、前のEint及びEintは、開始時及び終了時の値、又は時間間隔dtでの値である、前記工程;式Iterm=Eint/IによりItermを決定する工程であって、Iは、定数である、前記工程;及び式コントローラーoutput=Pterm+Itermによりコントローラーoutputを決定する工程を更に含む。定数I及び定数Pは、プロセス条件及び/又は設備に基づいて決められる。この態様において、Pは、0~50、別の態様において、約1~約30、及び別の態様において、約3~約10であってもよい。Iは、約100~約10,000、別の態様において、約500~約5000、及び別の態様において、約800~約2500であってもよい。コントローラーのチューニング定数であるI及びPの値及び範囲は、以下の条件に従って適切であり:時間増分(「dt」):秒単位;酸測定(及び酸誤差):g/L総酸単位;次に、コントローラー出力の0から100までの線形スパンを、接種条件(~1g/L細胞濃度)下で必要とされる~10%の初期GFRから高生産性の定常状態で必要とされる約150%のGFRまでのGFRの指数スパンにマッピングするように、コントローラー出力を指数化する。異なる時間単位(例えば、分)、酸測定単位(例えば、ppm)、又は指数化スパンの使用により、コントローラーのチューニング定数及び指数定数の種々の適切な値及び範囲をもたらすであろう。
【0024】
システムに利用されるコントローラーとしては、Iコントローラー、PIコントローラー、IDコントローラー、及びPIDコントローラーを挙げることができる。
発酵制御中、発酵ブロスのpHは、ある範囲に維持される。例えば、一態様において、pHは、約4~約6.9、別の態様において、約5~約6.5、別の態様において、約5.1~約6、別の態様において、約5.2~約6、別の態様において、約4.5~約5、別の態様において、約4~約4.5、別の態様において、約4.75~約4.9、別の態様において、約4.6~約4.75、別の態様において、約4.45~約4.6、別の態様において、約4.3~約4.45、別の態様において、約4.6~約4.9、別の態様において、約4.45~約4.75、及び更に別の態様において、約4.3~約4.6の間に維持される。
【実施例】
【0025】
実施例1:制御の計算
クロストリジウム・リュングダリイC-01(ATCC 55988)を用いて、発酵を行った。NIRを用いて透過物流中の酸を測定した。下記の表には、いくつかの繰り返しにわたる制御の計算が示されている。表に示されているように、酸濃度が高くなった場合、コントローラーは、ガス流速を正確に増加させた。或いは、酸濃度が低くなった場合、コントローラーは、ガス流速を正確に低減させた。
誤差値=AM-AT
比例項=P_const*E_val
誤差積分=IF(モード=「Cas」、(前のE_int)+E_val*dt、(LN(前のGFR)/exp_const-P_term)*I_const)
積分項=E_int/I_const
PID出力=P_term+I_term
ガス流速=IF(モード=「Cas」、EXP(exp_const*PID_out)、前のGFR)
酸の目標値(AT)=2.5g/L
【0026】
【0027】
dt=60、P_const=5、I_cont=1036、exp_const=0.062146
本明細書において開示されている本開示は、特定の実施形態、実施例及びそれらの応用により説明されているが、特許請求の範囲に記載の本開示の範囲から逸脱することなく、当業者により、多数の変更及び変形を本開示に加えることができる。
【国際調査報告】