(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-15
(54)【発明の名称】超低粘度エチレン-ブテン共重合体およびそれを含むホットメルト接着剤用組成物
(51)【国際特許分類】
C08F 210/08 20060101AFI20230308BHJP
C09J 123/08 20060101ALI20230308BHJP
C09J 123/18 20060101ALI20230308BHJP
C08F 4/6592 20060101ALI20230308BHJP
【FI】
C08F210/08
C09J123/08
C09J123/18
C08F4/6592
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022542448
(86)(22)【出願日】2021-01-07
(85)【翻訳文提出日】2022-07-11
(86)【国際出願番号】 IB2021050080
(87)【国際公開番号】W WO2021144667
(87)【国際公開日】2021-07-22
(31)【優先権主張番号】10-2020-0005144
(32)【優先日】2020-01-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515298556
【氏名又は名称】サビック エスケー ネクスレン カンパニー ピーティーイー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【氏名又は名称】岩池 満
(72)【発明者】
【氏名】ジョン ミン ホ
(72)【発明者】
【氏名】チョン サン ベ
(72)【発明者】
【氏名】シム チョン シク
(72)【発明者】
【氏名】キム ジ ウン
(72)【発明者】
【氏名】ベ ジ ヒュン
(72)【発明者】
【氏名】シン ソン ミ
(72)【発明者】
【氏名】シン デ ホ
【テーマコード(参考)】
4J040
4J100
4J128
【Fターム(参考)】
4J040DA041
4J040DA131
4J040JB01
4J040KA29
4J040LA04
4J040LA08
4J100AA02P
4J100AA04Q
4J100CA04
4J100DA01
4J100DA09
4J100DA13
4J100DA24
4J100FA10
4J100FA19
4J100JA03
4J100JA05
4J128AA01
4J128AA02
4J128AB01
4J128AB02
4J128AD02
4J128AD11
4J128AD13
4J128BA00A
4J128BA02B
4J128BB00A
4J128BB01B
4J128BC12B
4J128BC15B
4J128EA01
4J128EB02
4J128EB05
4J128EC02
4J128FA02
4J128GA04
4J128GA05
4J128GA19
4J128GA26
(57)【要約】
本発明は、エチレンおよびブテンから誘導された共重合体であって、密度が0.874~0.900g/cm3であり、融点が63~90℃である超低粘度エチレン-ブテン共重合体、およびそれを含むホットメルト接着剤用組成物に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エチレンおよびブテンから誘導された共重合体であって、
密度が0.874~0.900g/cm
3であり、融点が63~90℃である、超低粘度エチレン-ブテン共重合体。
【請求項2】
177℃で測定された粘度が6,000~20,000cPである、請求項1に記載の超低粘度エチレン-ブテン共重合体。
【請求項3】
シングルサイトメタロセン触媒下で溶液重合したものである、請求項1に記載の超低粘度エチレン-ブテン共重合体。
【請求項4】
重量平均分子量が15,000~30,000g/molである、請求項1に記載の超低粘度エチレン-ブテン共重合体。
【請求項5】
剪断接着破壊温度(SAFT)が70℃以上である、請求項1に記載の超低粘度エチレン-ブテン共重合体。
【請求項6】
ブテンの含量が10~30重量%である、請求項1に記載の超低粘度エチレン-ブテン共重合体。
【請求項7】
ホットメルト接着剤用である、請求項1に記載の超低粘度エチレン-ブテン共重合体。
【請求項8】
密度が0.874~0.900g/cm
3であり、融点が63~90℃である超低粘度エチレン-ブテン共重合体、粘着樹脂、およびワックスを含む、ホットメルト接着剤用組成物。
【請求項9】
前記ホットメルト接着剤用組成物は、超低粘度エチレン-ブテン共重合体25~50重量%、粘着樹脂20~45重量%、およびワックス20~40重量%を含む、請求項8に記載のホットメルト接着剤用組成物。
【請求項10】
前記超低粘度エチレン-ブテン共重合体は、177℃で測定された粘度が6,000~20,000cPである、請求項8に記載のホットメルト接着剤用組成物。
【請求項11】
前記超低粘度エチレン-ブテン共重合体は、シングルサイトメタロセン触媒下で溶液重合したものである、請求項8に記載のホットメルト接着剤用組成物。
【請求項12】
前記超低粘度エチレン-ブテン共重合体は、ブテンの含量が10~30重量%である、請求項8に記載のホットメルト接着剤用組成物。
【請求項13】
酸化防止剤をさらに含む、請求項8に記載のホットメルト接着剤用組成物。
【請求項14】
剪断接着破壊温度(SAFT)が95℃以上であり、剥離接着破壊温度(PAFT)が45℃以上である、請求項8に記載のホットメルト接着剤用組成物。
【請求項15】
下記式1および2を満たす、請求項8に記載のホットメルト接着剤用組成物。
[式1]
【数1】
[式2]
【数2】
前記式1および2中、
前記T
aは、ホットメルト接着剤用組成物の剪断接着破壊温度(℃)であり、前記T
bは、ホットメルト接着剤用組成物の剥離接着破壊温度(℃)であり、T
cは、超低粘度エチレン-ブテン共重合体の融点(℃)である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超低粘度エチレン-ブテン共重合体およびそれを含むホットメルト接着剤用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ホットメルト接着剤(HMA、hot-melt adhesive)は、常温では一般的に固体状態であり、加熱させて溶融した状態で付着物または基板などに冷却および固化して接着剤層を形成するものである。上記のようなホットメルト接着剤は、瞬間的な接合性に優れるため、製品の組立ておよび包装などのような多様な分野に広く用いられており、その例として紙製品、包装材、使い捨て商品などに用いられる多くの商業的適用例を有している。
【0003】
また、前記ホットメルト接着剤は、ベース樹脂の凝集力および接着力に物性が大きく左右される。そこで、従来はベース樹脂として高分子量の樹脂を提供して凝集力および接着力を増大させようとしたが、高い粘度上昇がもたされ、このような高粘度のホットメルト接着剤は、接着剤の分解、炭化、ゲル化、または接着力の喪失などを誘発可能な高い加工温度を必要とする。それに応じた高い加工温度は、生産性が低下し、安全上の危険が発生し、付着物または基板の変形および変色を誘発するという問題が発生する。
【0004】
それを解決するために、従来はベース樹脂の含量を減少させてホットメルト接着剤を低粘度化する研究を行ったが、この場合、低い凝集力および接着力を有するだけでなく、軟化点が過度に低下するという問題が発生し得る。また、可塑剤を過量使用することになり、ベース樹脂との相分離が起こり、ブリード現象が発生し得る。
【0005】
さらに、従来に提供されていたベース樹脂としてオレフィン系またはスチレン系などの多様な樹脂を用いたが、無臭かつ流れ性に優れたエチレン-α-オレフィン共重合体に代替されてきた。しかし、従来に提供されていたエチレン-α-オレフィン共重合体は、接着力には優れるものの、凝集力が顕著に低いという短所がある。
そこで、ホットメルト接着剤として、優れた凝集力および接着力を同時に確保可能なベース樹脂の開発が切実に必要な実情である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のような問題を解決するための本発明の目的は、低い加工温度を有する超低粘度エチレン-ブテン共重合体を提供することにある。
【0007】
また、本発明の他の目的は、エチレン-オクテン共重合体と比べてさらに優れた耐熱性を有することができる超低粘度エチレン-ブテン共重合体を提供することにある。それとともに、優れた凝集力および接着力を同時に確保可能な超低粘度エチレン-ブテン共重合体を含むホットメルト接着剤組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明に係る超低粘度エチレン-ブテン共重合体は、エチレンおよびブテンから誘導された共重合体であって、密度が0.874~0.900g/cm3であり、融点が63~90℃である。
【0009】
本発明の一態様に係る前記超低粘度エチレン-ブテン共重合体は、177℃で測定された粘度が6,000~20,000cPであってもよい。
本発明の一態様に係る前記超低粘度エチレン-ブテン共重合体は、シングルサイトメタロセン(single active site metallocene)触媒下で溶液重合したものであってもよい。
【0010】
本発明の一態様に係る前記超低粘度エチレン-ブテン共重合体は、重量平均分子量が15,000~30,000g/molであってもよい。
本発明の一態様に係る前記超低粘度エチレン-ブテン共重合体は、剪断接着破壊温度(SAFT、Shear adhesion failure Temperature)が70℃以上であってもよい。
【0011】
本発明の一態様に係る前記超低粘度エチレン-ブテン共重合体は、ブテンの含量が10~30重量%であってもよい。
本発明の一態様に係る前記超低粘度エチレン-ブテン共重合体は、ホットメルト接着剤用であってもよい。
【0012】
本発明の他の態様は、密度が0.874~0.900g/cm3であり、融点が63~90℃である超低粘度エチレン-ブテン共重合体、粘着樹脂、およびワックスを含むホットメルト接着剤用組成物である。
【0013】
本発明の一態様に係る前記ホットメルト接着剤用組成物は、超低粘度エチレン-ブテン共重合体25~50重量%、粘着樹脂20~45重量%、およびワックス20~40重量%を含んでもよい。
【0014】
本発明の一態様に係る前記ホットメルト接着剤用組成物の超低粘度エチレン-ブテン共重合体は、177℃で測定された粘度が6,000~20,000cPであってもよい。
【0015】
本発明の一態様に係る前記ホットメルト接着剤用組成物の超低粘度エチレン-ブテン共重合体は、シングルサイトメタロセン触媒下で溶液重合したものであってもよい。
【0016】
本発明の一態様に係る前記ホットメルト接着剤用組成物の超低粘度エチレン-ブテン共重合体は、ブテンの含量が10~30重量%であってもよい。
本発明の一態様に係る前記ホットメルト接着剤用組成物は、酸化防止剤をさらに含んでもよい。
【0017】
本発明の一態様に係る前記ホットメルト接着剤用組成物は、剪断接着破壊温度(SAFT、Shear adhesion failure Temperature)が95℃以上であり、剥離接着破壊温度(PAFT、Peel adhesion failure Temperature)が45℃以上であってもよい。
【0018】
本発明の一態様に係る前記ホットメルト接着剤用組成物は、下記式1および2を満たしてもよい。
【0019】
【0020】
前記式1および2中、
前記Taは、ホットメルト接着剤用組成物の剪断接着破壊温度(℃)であり、前記Tbは、ホットメルト接着剤用組成物の剥離接着破壊温度(℃)であり、Tcは、超低粘度エチレン-ブテン共重合体の融点(℃)である。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係るエチレン-ブテン共重合体は、特定の融点以上において速かに溶融が可能であり、顕著に低い粘度で低い加工温度を提供できるという長所がある。
【0022】
また、本発明に係るホットメルト接着剤組成物は、エチレン-ブテン共重合体を含むことで、高い剪断接着破壊温度および剥離接着破壊温度により優れた耐熱性を有し、優れた凝集力および接着力を同時に確保できるという長所がある。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付図面を含む具体例または実施例を挙げて本発明をより詳細に説明する。ただし、下記の具体例または実施例は、本発明を詳細に説明するための1つの参照にすぎず、本発明がこれに限定されるものではなく、多様な形態で実現可能である。
【0024】
また、他に定義しない限り、全ての技術的用語および科学的用語は、本発明が属する技術分野における当業者の1人により一般的に理解される意味と同一の意味を有する。本発明における説明で用いられる用語は、単に特定の具体例を効果的に記述するためのものであり、本発明を制限する意図ではない。
【0025】
本発明を記述する明細書の全般にわたって、ある部分がある構成要素を「含む」とは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素をさらに含んでもよいことを意味する。
また、明細書および添付された特許請求の範囲で用いられる単数の形態は、文脈上、特に指示しない限り、複数の形態も含むことを意図し得る。
【0026】
上記の目的を達成するための本発明は、超低粘度エチレン-ブテン共重合体およびそれを含むホットメルト接着剤用組成物に関する。
本発明を具体的に説明すると下記のとおりである。
【0027】
本発明に係る超低粘度エチレン-ブテン共重合体は、エチレンおよびブテンから誘導された共重合体であって、密度が0.874~0.900g/cm3であり、融点が63~90℃である。
本発明に係る超低粘度エチレン-ブテン共重合体は、前記密度および融点を満たすことで、優れた耐熱性を確保することができる。
【0028】
より具体的に、本発明に係る超低粘度エチレン-ブテン共重合体は、既存の同一密度を有するエチレン-オクテン共重合体と比べて低い融点を示し、それを含んでホットメルト接着剤組成物として提供された際に、高い剪断接着破壊温度および剥離接着破壊温度を実現し、優れた耐熱性を確保することができる。
【0029】
本発明の一態様により、前記超低粘度エチレン-ブテン共重合体は、好ましくは、密度が0.874~0.895g/cm3であってもよく、融点が63~90℃であってもよい。より好ましくは、密度が0.875~0.890g/cm3であってもよく、融点が64~80℃であってもよい。最も好ましくは、密度が0.880~0.890g/cm3であってもよく、融点が70~80℃であってもよい。上記のような密度および融点を同時に満たすことで、低い加工温度において使用可能であり、優れた剪断接着破壊温度および剥離接着破壊温度を有し、接着力および凝集力に顕著に優れる。
【0030】
本発明の一態様により、前記超低粘度エチレン-ブテン共重合体は、具体的にエチレン-1-ブテン共重合体であってもよく、一例として、ランダム共重合体、ブロック共重合体、または交互共重合体であってもよいが、これに制限されない。
【0031】
本発明の一態様により、前記超低粘度エチレン-ブテン共重合体は、ブルックフィールド粘度計を用いて177℃で測定された粘度が6,000~20,000cPであってもよい。好ましくは、177℃で測定された粘度が6,000~18,000cPであってもよい。上記のような低い粘度を有することで、低い加工温度においても溶融が可能であり、ホットメルト接着剤組成物として提供する場合、分解、炭化、ゲル化、または接着力の喪失などを防止することができる。
【0032】
本発明の一態様により、前記超低粘度エチレン-ブテン共重合体は、ブテンの含量が10~30重量%であってもよい。好ましくは、10~28重量%であってもよい。上記のようなブテンの含量を有することで、優れた耐熱性を確保することができ、ホットメルト接着剤として基材との優れた密着性を提供することができる。
【0033】
本発明の一態様により、前記超低粘度エチレン-ブテン共重合体は、数平均分子量(Mn)が10,000~20,000g/molであってもよい。好ましくは、数平均分子量が10,000~15,000g/molであってもよい。
【0034】
本発明の一態様により、前記超低粘度エチレン-ブテン共重合体は、重量平均分子量(Mw)が15,000~30,000g/molであってもよい。好ましくは、重量平均分子量が15,000~27,000g/molであってもよい。より好ましくは、重量平均分子量が18,000~27,000g/molであってもよい。
【0035】
本発明の一態様により、前記超低粘度エチレン-ブテン共重合体は、分子量分布(Mw/Mn)が1.5~3.0であってもよい。好ましくは、分子量分布(Mw/Mn)が1.8~2.5であってもよい。
【0036】
本発明の一態様により、前記超低粘度エチレン-ブテン共重合体は、ASTM D1238に準じて、190℃で2.16kgの荷重で測定された溶融指数が400~800g/10minであってもよく、好ましくは440~700g/10minであってもよい。
【0037】
上記のような分子量、分子量分布、および溶融指数を有する場合、超低粘度エチレン-ブテン共重合体を提供することができ、低い融点にもかかわらず、ホットメルト接着剤用組成物として粘着樹脂およびワックスとともに含んだ際に、顕著に増加した剪断接着破壊温度および剥離接着破壊温度を実現することができる。
【0038】
本発明の一態様により、前記超低粘度エチレン-ブテン共重合体は、適切な有機溶媒の存在下で、触媒、助触媒、エチレン、およびブテンを接触させて進行してもよい。この際、触媒と助触媒成分は、反応器内に別に投入するか、または各成分を予め混合して反応器に投入してもよく、投入順、温度、または濃度などの混合条件は別に制限がない。
【0039】
本発明の一態様により、前記有機溶媒は、具体的に例を挙げると、C3-C20炭化水素であってもよく、好ましくは、ブタン、イソブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン、ノナン、デカン、ドデカン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、およびキシレンなどから選択されるいずれか1つまたは2つ以上の混合溶媒であってもよい。
【0040】
本発明の一態様により、前記超低粘度エチレン-ブテン共重合体は、前記触媒としてシングルサイトメタロセン触媒の存在下で重合したものであってもよい。前記シングルサイトメタロセン触媒は、単一種の触媒活性点を有する均一系触媒であり、チーグラー・ナッタ触媒に比べて、分子量分布が狭く、均一なエチレン系共重合体を製造することができる。また、前記超低粘度エチレン-ブテン共重合体は、シングルサイトメタロセン触媒下で重合することで、本発明が目的とする融点および密度を満たすことができる共重合体の製造が可能である。これにより、本発明が目的とする物性を達成することができる。
【0041】
具体的に、前記シングルサイトメタロセン触媒は、遷移金属触媒であり、具体的に、中心金属として周期律表上の4族遷移金属が堅固な平面構造を有し、電子が豊かで広く非偏在化しているとともに、窒素含有置換体およびシリル基が置換されたアミド基により連結された構造を有するインデンまたはその誘導体を含む遷移金属化合物であってもよい。
【0042】
また、本発明の一態様により、前記シングルサイトメタロセン触媒は、重合反応器内で均一な形態で存在するため、当該重合体の溶融点以上の温度で行われる溶液重合工程に適用することが好ましい。
【0043】
より具体的に、前記シングルサイトメタロセン触媒は、下記化学式1で表される遷移金属化合物であってもよい。
【0044】
【0045】
[前記化学式1中、Mは、周期律表上の4族遷移金属であり、
nは1または2の整数であり、nが2である場合、R1は同一でも異なっていてもよく、
R1は、水素、(C1-C50)アルキル、ハロ(C1-C50)アルキル、(C3-C50)シクロアルキル、(C6-C30)アリール、(C6-C30)アル(C1-C50)アルキル、((C1-C50)アルキル(C6-C30)アリール)(C1-C50)アルキル、-NRaRb、-SiRcRdRe、または1つ以上の窒素原子を含む5員~7員のN-ヘテロシクロアルキルであり、
R2およびR3は、互いに独立して、水素、(C1-C50)アルキル、(C1-C50)アルコキシ、ハロ(C1-C50)アルキル、(C3-C50)シクロアルキル、(C6-C30)アリール、(C6-C30)アリールオキシ、(C1-C50)アルキル(C6-C30)アリールオキシ、(C6-C30)アル(C1-C50)アルキル、((C1-C50)アルキル(C6-C30)アリール)(C1-C50)アルキル、-NRaRb、または-SiRcRdReであり、
R4、R5、R10、R11、およびR12は、互いに独立して、(C1-C50)アルキル、ハロ(C1-C50)アルキル、(C3-C50)シクロアルキル、(C6-C30)アリール、(C6-C30)アル(C1-C50)アルキル、((C1-C50)アルキル(C6-C30)アリール)(C1-C50)アルキル、-NRaRb、または-SiRcRdReであり、R11およびR12は、(C4-C7)アルキレンにより連結されて環を形成してもよく、
R6、R7、R8、およびR9は、互いに独立して、水素、(C1-C50)アルキル、ハロ(C1-C50)アルキル、(C3-C50)シクロアルキル、(C1-C50)アルコキシ、(C6-C30)アリール、(C6-C30)アル(C1-C50)アルキル、((C1-C50)アルキル(C6-C30)アリール)(C1-C50)アルキル、(C6-C30)アリールオキシ、(C1-C50)アルキル(C6-C30)アリールオキシ、N-カルバゾリル、-NRaRb、または-SiRcRdReであるか、隣接した置換体と(C1-C5)アルキレンにより連結されて環を形成してもよく、前記アルキレンの1つ以上の-CH2-は、-O-、-S-、および-NR’-から選択されるヘテロ原子で置換されていてもよく、前記アルキレンは、(C1-C50)アルキルでさらに置換されていてもよく、
前記R1~R12のアリールは、(C1-C50)アルキル、ハロ(C1-C50)アルキル、(C1-C50)アルコキシ、(C6-C30)アリールオキシ、(C6-C30)アリール、(C1-C50)アルキル(C6-C30)アリール、および(C6-C30)アル(C1-C50)アルキルからなる群から選択される1つ以上の置換体でさらに置換されていてもよく、
R’およびRa~Reは、互いに独立して、(C1-C50)アルキルまたは(C6-C30)アリールであり、
X1およびX2は、互いに独立して、ハロゲン、(C1-C50)アルキル、(C2-C50)アルケニル、(C3-C50)シクロアルキル、(C6-C30)アリール、(C6-C30)アル(C1-C50)アルキル、((C1-C50)アルキル(C6-C30)アリール)(C1-C50)アルキル、(C1-C50)アルコキシ、(C6-C30)アリールオキシ、(C1-C50)アルキル(C6-C30)アリールオキシ、(C1-C50)アルコキシ(C6-C30)アリールオキシ、(C1-C50)アルキリデン、または水素を除いたN、P、O、S、Si、ハロゲンなどを含む60個以下の原子からなるアニオンまたはジアニオン性配位子であり、ただし、X1またはX2のうち1つがジアニオン性配位子である場合、残りの1つは無視される。]
より具体的に、前記シングルサイトメタロセン触媒としては、韓国登録特許第10-1212637 B1公報などに記載されたものを用いてもよい。
【0046】
本発明の一態様において、前記シングルサイトメタロセン触媒の他にも、助触媒および溶媒などをさらに用いてもよい。
前記助触媒は、通常用いられるものであれば制限されないが、具体的に例を挙げると、ホウ素化合物およびアルミニウム化合物から選択されるいずれか1つまたは2つ以上の混合物を含んでもよい。
【0047】
前記アルミニウム化合物として使用可能な具体的な例としては、アルミノキサン化合物として、メチルアルミノキサン、改良メチルアルミノキサン、テトライソブチルアルミノキサンが挙げられ;有機アルミニウム化合物の例として、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、およびトリヘキシルアルミニウムを含むトリアルキルアルミニウム;ジメチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、ジプロピルアルミニウムクロリド、ジイソブチルアルミニウムクロリド、およびジヘキシルアルミニウムクロリドを含むジアルキルアルミニウムクロリド;メチルアルミニウムジクロリド、エチルアルミニウムジクロリド、プロピルアルミニウムジクロリド、イソブチルアルミニウムジクロリド、およびヘキシルアルミニウムジクロリドを含むアルキルアルミニウムジクロリド;ジメチルアルミニウムヒドリド、ジエチルアルミニウムヒドリド、ジプロピルアルミニウムヒドリド、ジイソブチルアルミニウムヒドリド、およびジヘキシルアルミニウムヒドリドを含むジアルキルアルミニウムヒドリドなどから選択されるいずれか1つまたは2つ以上の混合物であってもよい。
【0048】
本発明の一態様により、前記アルミニウム化合物は、好ましくは、アルキルアルミノキサン化合物またはトリアルキルアルミニウムから選択される1つまたは2つ以上の混合物、より好ましくは、メチルアルミノキサン、改良メチルアルミノキサン、テトライソブチルアルミノキサン、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、およびトリイソブチルアルミニウムなどから選択されるいずれか1つまたは2つ以上の混合物であってもよい。
【0049】
前記ホウ素系助触媒の具体的な例としては、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン、トリス(2,3,5,6-テトラフルオロフェニル)ボラン、トリス(2,3,4,5-テトラフルオロフェニル)ボラン、トリス(3,4,5-トリフルオロフェニル)ボラン、トリス(2,3,4-トリフルオロフェニル)ボラン、フェニルビス(ペンタフルオロフェニル)ボラン、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(2,3,5,6-テトラフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(2,3,4,5-テトラフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(3,4,5,6-テトラフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(2,2,4-トリフルオロフェニル)ボレート、フェニルビス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、またはテトラキス(3,5-ビストリフルオロメチルフェニル)ボレートが挙げられる。また、これらの特定の配合例としては、フェロセニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、1,1’-ジメチルフェロセニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルメチリウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルメチリウムテトラキス(3,5-ビストリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリエチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリプロピルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリ(n-ブチル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリ(n-ブチル)アンモニウムテトラキス(3,5-ビストリフルオロメチルフェニル)ボレート、N,N-ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N-ジエチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N-ジテトラデシルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N-ジヘキサデシルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N-ジオクタデシルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N-2,4,6-ペンタメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジシクロヘキシルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルホスホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリ(メチルフェニル)ホスホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、またはトリ(ジメチルフェニル)ホスホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートが含まれ、中でも、最も好ましいものは、N,N-ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルメチリウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N-ジテトラデシルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N-ジヘキサデシルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N-ジオクタデシルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、またはトリス(ペンタフルオロ)ボランである。
一方、前記助触媒は、反応物中の触媒に毒として作用する不純物を除去するスカベンジャ(scavenger)の役割をすることができる。
【0050】
本発明の一態様により、前記超低粘度エチレン-ブテン共重合体は、剪断接着破壊温度(SAFT)が70℃以上であってもよい。具体的には、剪断接着破壊温度(SAFT)が70~100℃であってもよい。
【0051】
上記のような超低粘度エチレン-ブテン共重合体は、既存の同一密度を有するエチレン-オクテン共重合体と比べて、高い剪断接着破壊温度を有することができ、耐熱性を確保することができる。
【0052】
さらに、前記超低粘度エチレン-ブテン共重合体は、既存のエチレン-オクテン共重合体と比べて、高密度に製造しても顕著に低い融点を示すことができ、低い加工温度において加工が可能であり、これにより、迅速な接着を実現することができる。
【0053】
すなわち、上記のような超低粘度エチレン-ブテン共重合体は、共重合体自体の物性が低い融点を有するにもかかわらず、優れた剪断接着破壊温度を有しており、ホットメルト接着剤組成物として提供する場合、向上した接着力および凝集力を同時に確保することができる。
【0054】
本発明の一態様により、前記超低粘度エチレン-ブテン共重合体は、ホットメルト接着剤用であってもよい。ホットメルト接着剤の場合、含まれるベース樹脂の融点、密度、または分子量などに応じて物性が大きく左右される。これにより、特定の密度および融点を全て満たす本発明に係る超低粘度エチレン-ブテン共重合体は、低い融点により加工温度も低く、優れた剪断接着破壊温度により優れた耐熱性を確保することができるため、ホットメルト接着剤用として卓越している。
【0055】
本発明の他の態様は、密度が0.870~0.900g/cm3であり、融点が63~90℃である超低粘度エチレン-ブテン共重合体、粘着樹脂、およびワックスを含むホットメルト接着剤用組成物である。
【0056】
本発明に係るホットメルト接着剤用組成物は、低い加工温度を提供し、本発明に係る前記超低粘度エチレン-ブテン共重合体、粘着樹脂、およびワックスを含むこれらの組み合わせにより高い剪断接着破壊温度および剥離接着破壊温度を実現し、優れた耐熱性を確保することができる。
【0057】
さらに、本発明に係るホットメルト接着剤用組成物は、既存の同一密度を有するエチレン-オクテン共重合体を含むホットメルト接着剤用組成物と比べて、耐熱性、接着性、および凝集性に優れるだけでなく、同一含量のベース樹脂における超低粘度エチレン-ブテン共重合体中のブテンの含量がオクテンの含量と比べて少ない含量で含まれることができるため、費用および生産の面にも優れる。
【0058】
本発明の一態様により、前記粘着樹脂は、接着初期の濡れ性および粘着性を向上させ、加工性を向上させるためのものであり、ホットメルト接着剤に通常用いられる粘着樹脂であれば、特に制限されないが、例えば、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、クマロンインデン系樹脂、および石油系樹脂などから選択されるいずれか1つまたは2つ以上の混合物であってもよい。具体的には、前記ロジン系樹脂は、具体的に、ガムロジン(gum rosin)、ウッドロジン(wood rosin)、トール油ロジン(tall oil rosin)、蒸留ロジン(distilled rosin)、水素添加ロジン(hydrogenated rosin)、二量化ロジン(dimerized rosin)、樹脂酸塩(resinate)、および重合ロジン(polymerized rosin)などから選択される天然ロジン;変性ロジン;またはこれらのエステル化物;などから選択されるいずれか1つまたは2つ以上の混合物であってもよい。また、前記テルペン系樹脂は、スチレン/テルペンまたはα-メチルスチレン/テルペンのような天然テルペン(terpene)のコポリマーおよびターポリマー;ポリテルペン樹脂;またはフェノール変性テルペン樹脂およびその水素添加誘導体などから選択されるいずれか1つまたは2つ以上の混合物であってもよい。また、前記石油系樹脂は、脂肪族炭化水素樹脂(Aliphatic hydrocarbon resin)、脂環族炭化水素樹脂(Cycloaliphatic hydrocarbon resin)、芳香族炭化水素樹脂(Aromatic hydrocarbon resin)、芳香族により改質された脂肪族炭化水素樹脂(Aromatic modified aliphatic hydrocarbon resin)、および水素添加炭化水素樹脂(Hydrogenated hydrocarbon resin)などから選択されるいずれか1つまたは2つ以上の混合物またはこれらの共重合体であってもよい。また、単量体の炭素数が4~10の炭化水素樹脂、具体的には、C5脂肪族樹脂、C9芳香族樹脂、C5/C9脂肪族/芳香族共重合樹脂などから選択されるいずれか1つまたは2つ以上の混合物であってもよい。
【0059】
前記粘着樹脂は、本発明に係る超低粘度エチレン-ブテン共重合体およびワックスと混合してホットメルト接着剤用組成物として提供した際に、さらに向上した接着性を有するだけでなく、塗布される基材との優れた密着性により、ホットメルト接着剤用組成物として卓越した効果を発現することができる。
【0060】
本発明の一態様により、前記ワックスは、結晶化および硬化速度の向上を促進するものであり、ホットメルト接着剤に通常用いられるワックスであれば、特に制限されないが、具体的に例を挙げると、パラフィンワックス、ポリオレフィンワックス、フィッシャー・トロプシュ(Fischer-Tropsch)ワックス、石油ワックス、合成ワックス、鉱物性ワックス、植物性ワックス、微晶質ワックス、エチレンビニルアセテートワックス、スラックワックス、およびエチレンアクリル酸コポリマーワックスなどから選択されるいずれか1つまたは2つ以上の混合物であってもよい。
【0061】
前記ワックスは、本発明に係る超低粘度エチレン-ブテン共重合体および粘着樹脂と混合してホットメルト接着剤用組成物として提供した際に、加工性に優れ、優れた熱安定性を確保することができる。
【0062】
本発明の一態様により、前記ホットメルト接着剤用組成物は、総重量に対し、超低粘度エチレン-ブテン共重合体25~50重量%、粘着樹脂20~45重量%、およびワックス20~40重量%を含んでもよい。好ましくは、超低粘度エチレン-ブテン共重合体25~45重量%、粘着樹脂25~45重量%、およびワックス25~40重量%を含んでもよい。より好ましくは、超低粘度エチレン-ブテン共重合体25~40重量%、粘着樹脂20~40重量%、およびワックス20~35重量%を含んでもよい。上記のようなの含量で含む場合、高い剪断接着破壊温度および剥離接着破壊温度を実現することができ、優れた凝集力および接着力を同時に確保することができる。
【0063】
本発明の一態様により、前記ホットメルト接着剤用組成物の超低粘度エチレン-ブテン共重合体は、177℃で測定された粘度が6,000~20,000cPであってもよい。好ましくは、177℃で測定された粘度が6,000~18,000cPであってもよい。上記のような低い粘度を有する超低粘度エチレン-ブテン共重合体を含むことで、低い加工温度においても溶融が可能であり、分解、炭化、ゲル化、または接着力の喪失などを防止することができる。さらに、優れた耐熱性を確保することができる。
【0064】
本発明の一態様により、前記ホットメルト接着剤用組成物の超低粘度エチレン-ブテン共重合体は、適切な有機溶媒の存在下で、触媒、助触媒、エチレン、およびブテンを接触させて進行してもよい。この際、触媒と助触媒成分は、反応器内に別に投入するか、または各成分を予め混合して反応器に投入してもよく、投入順、温度、または濃度などの混合条件は別に制限がない。
【0065】
本発明の一態様により、前記ホットメルト接着剤用組成物の超低粘度エチレン-ブテン共重合体は、触媒としてシングルサイトメタロセン触媒の存在下で重合したものであってもよい。前記シングルサイトメタロセン触媒は、単一種の触媒活性点を有する均一系触媒であり、チーグラー・ナッタ触媒に比べて、分子量分布が狭く、均一なエチレン系共重合体を製造することができる。また、前記超低粘度エチレン-ブテン共重合体は、シングルサイトメタロセン触媒下で重合することで、本発明が目的とする融点および密度を満たすことができる共重合体の製造が可能である。これにより、本発明が目的とする物性を達成することができる。
前記助触媒および有機溶媒は、超低粘度エチレン-ブテン共重合体の説明において上述したとおりであるため、省略する。
【0066】
本発明の一態様に係る前記ホットメルト接着剤用組成物の超低粘度エチレン-ブテン共重合体は、ブテンの含量が10~30重量%であってもよい。好ましくは、10~28重量%であってもよい。上記のようなブテンの含量を有することで、優れた耐熱性を確保することができ、ホットメルト接着剤用組成物として基材との優れた密着性を提供することができる。
【0067】
本発明の一態様に係る前記ホットメルト接着剤用組成物は、酸化防止剤をさらに含んでもよい。例えば、前記酸化防止剤は、特に制限されないが、フェノール系酸化防止剤、ホスファイト系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、ヒンダードアミン系酸化防止剤などから選択されるいずれか1つまたはこれらの混合物であってもよい。
【0068】
具体的には、前記フェノール系酸化防止剤は、1,3,5-トリス(3’,5’-ジ-t-ブチル-4’-ヒドロキシベンジル)イソシアヌル酸、1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェニル)ブタン、3-(4’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-t-ブチルフェニル)プロピオン酸-n-オクタデシル、3-(4’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-t-ブチルフェニル)プロピオン酸-n-オクタデシル、3,9-ビス{2-[3-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ]-1,1-ジメチルエチル}2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、2-t-ブチル-4-メトキシフェノール、3-t-ブチル-4-メトキシフェノール、2,6-ジ-t-ブチル-4-エチルフェノール、2,2’-メチレン-ビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、4,4’-チオビス-(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)、4,4’-ブチリデンビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、およびテトラキス-[メチレン-3-(3’,5’-ジ-t-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンなどから選択されるいずれか1つ以上であってもよい。
【0069】
前記ホスファイト系酸化防止剤は、トリフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、4,4’-ブチリデン-ビス(3-メチル-6-t-ブチルフェニルジトリデシル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(ノニルフェニル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(ジノニルフェニル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルトリス(ノニルフェニル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルトリス(ジノニルフェニル)ホスファイト、10-(2,5-ジヒドロキシフェニル)-10H-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキシド、2,2-メチレンビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ジイソデシルペンタエリトリトール、およびトリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスファイトなどから選択されるいずれか1つ以上であってもよい。
【0070】
前記硫黄系酸化防止剤は、テトラキス[メチレン-3-(ドデシルチオ)プロピオネート]メタン、ジラウリル3,3’-チオジプロピオネート、ジステアリル3,3’-チオジプロピオネート、N-シクロヘキシルチオフタルイミド、およびN-n-ブチルベンゼンスルホンアミドなどから選択されるいずれか1つまたは2つ以上であってもよい。
【0071】
前記ヒンダードアミン系酸化防止剤は、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)セバケート、3-ドデシル-1-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)ピロリジン-2,5-ジオン、N-メチル-3-ドデシル-1-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)ピロリジン-2,5-ジオン、N-アセチル-3-ドデシル-1-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)ピロリジン-2,5-ジオン、ポリ({6-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)イミノ-1,3,5-トリアジン-2,4-ジイル}{(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ})などから選択されるいずれか1つ以上であってもよいが、これに制限されない。
【0072】
本発明の一態様により、前記酸化防止剤は、ホットメルト接着剤用組成物の総重量に対し、0.01~5重量%さらに含んでもよく、好ましくは0.01~2重量%さらに含んでもよく、より好ましくは0.1~1重量%さらに含んでもよいが、これに制限されない。
【0073】
本発明の一態様により、前記ホットメルト接着剤用組成物は、剪断接着破壊温度(SAFT)が95℃以上であってもよい。より好ましくは、剪断接着破壊温度(SAFT)が95℃以上であってもよく、剥離接着破壊温度(PAFT)が45℃以上であってもよい。具体的には、剪断接着破壊温度(SAFT)が95~110℃であってもよく、剥離接着破壊温度(PAFT)が45~70℃であってもよい。好ましくは、剪断接着破壊温度(SAFT)が96~110℃であってもよく、剥離接着破壊温度(PAFT)が47~70℃であってもよい。
【0074】
好ましくは、本発明の一態様により、前記ホットメルト接着剤用組成物は、下記式1または2を満たしてもよい。より好ましくは、下記式1および2を全て満たしてもよい。
【0075】
【0076】
前記式1および2中、
前記Taは、ホットメルト接着剤用組成物の剪断接着破壊温度(℃)であり、前記Tbは、ホットメルト接着剤用組成物の剥離接着破壊温度(℃)であり、Tcは、超低粘度エチレン-ブテン共重合体の融点(℃)である。具体的には、前記式1は、25~50を満たしてもよく、好ましくは26~50を満たしてもよい。前記式2は、-24~0を満たしてもよい。
【0077】
本発明に係るホットメルト接着剤用組成物は、上記のような高い剪断接着破壊温度および剥離接着破壊温度を有することで、優れた耐熱性を確保することができる。
【0078】
さらに、本発明に係るホットメルト接着剤用組成物は、超低粘度エチレン-ブテン共重合体を既存のエチレン-オクテン共重合体と比べて高い密度に製造しても低い融点を有し、それにもかかわらず、優れた剪断接着破壊温度を実現することができるため、さらに向上した接着力および凝集力を同時に確保することができる。
【0079】
以下、本発明の好ましい実施例おより比較例を記載する。ただし、下記の実施例は本発明の好ましい一実施例にすぎず、本発明が下記の実施例に限定されるものではない。
【0080】
[物性の測定方法]
1.1-ブテンまたは1-オクテンの含量
13C-NMRを用いて分析し、13C-NMR(nuclear magnetic resonance)spectroscopyを用いて測定した。
【0081】
2.分子量および分子量分布
実施例および比較例から製造された試験片(共重合体)をGPC(gel permeation chromatography)を用いて測定した。
【0082】
溶媒としては1,2,4-トリクロロベンゼンを用いた。160℃で測定し、シリーズで連結された3個のPL gel columnに分離分析した。相対分子量の計算のための標準物としては分子量580~6,870,000のpolystyrene standardを用い、ポリエチレンのMark Houwink定数(K、α)を用いた。
【0083】
3.密度
実施例および比較例から製造された試験片(共重合体、ペレット)を100℃で1時間乾燥した後、乾燥された試料を105℃のプレスモールド(Press Mold)において3mmの厚さにシートを作製し、2~3gを取り、ASTM D792に準じてAutodensimeterで測定した(装置はToyoseiki社製)。
【0084】
4.換算溶融指数(MI)
ASTM D1238に準じて、100℃で2.16kgの荷重で測定し、10分間溶融して吐出された重合体の重さ(g)を計算し、実験式に基づいて190℃のMIに換算した。換算実験式は以下のとおりである。
換算MI(190℃/2.16kg)=MI(100℃/2.16kg測定値)×9.96+30
【0085】
5.粘度
ブルックフィールド(Brookfield)社製の粘度計およびサーモセルを用いて、177℃での溶融粘度を測定した(モデル名:DV2T)。
【0086】
6.剪断接着破壊温度(SAFT)および剥離接着破壊温度(PAFT)
試験片の準備:2.5cm×2.5cmの2枚のクラフト紙の界面に、共重合体またはホットメルト接着剤用組成物を、ローラを用いて3回往復して均一に塗布し、24時間加圧して試験片を製造した。
【0087】
-剪断接着破壊温度:実施例および比較例から製造された試験片(共重合体またはホットメルト接着剤用組成物)を直角(垂直)方向にかけ、500gの重りをぶら下げた後、0.5℃/分で昇温させ、試験片が分離し剥離される温度を測定した。
【0088】
-剥離接着破壊温度:実施例および比較例から製造された試験片(共重合体)を水平方向に(Peel-mode)かけ、100gの重りをぶら下げた後、0.5℃/分で昇温させ、試験片が分離し剥離される温度を測定した。
【0089】
7.溶融点(Tm)、DSC使用(一般的なDSC測定法を使用)
Mettler社製のDifferential Scanning Calorimeterを用いた。
窒素雰囲気で-100℃から200℃の範囲を分当たりに10℃ずつ変化させ、2nd scanのTm peakを溶融点として測定した。
【0090】
[実施例1-6]
連続式重合装置を用いて、次のようにエチレンと1-ブテンとの共重合を行った。シングルサイト触媒として下記表1のように触媒A、触媒B、触媒C、または触媒Dを用い、溶媒としてメチルシクロヘキサンを用い、触媒使用量は下記表1に記載されたとおりである。Tiは触媒、Alはトリイソブチルアルミニウム、Bは製造例1で合成されたN,N-ジオクタデシルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートをそれぞれ示す。触媒はキシレンに0.5g/Lの濃度で溶解させて注入し、トリイソブチルアルミニウムをメチルシクロヘキサンに1.6g/Lの濃度で注入し、N,N-ジオクタデシルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートをキシレンに1.0g/Lの濃度で溶解させて注入し、共単量体として1-ブテンを用いて合成を行った。下記表1にその条件および結果を記載し、下記表2に共重合体の物性を測定して示した。
【0091】
[比較例1]連続溶液工程によるエチレンと1-オクテンの共重合
連続式重合装置を用いて、次のようにエチレンと1-オクテンとの共重合を行った。シングルサイト触媒として触媒Bを用い、溶媒としてメチルシクロヘキサンを用い、触媒使用量は下記表1に記載されたとおりである。Tiは触媒、Alはトリイソブチルアルミニウム、Bは製造例1で合成されたN,N-ジオクタデシルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートをそれぞれ示す。触媒はキシレンに0.5g/Lの濃度で溶解させて注入し、トリイソブチルアルミニウムをメチルシクロヘキサンに2.4g/Lの濃度で注入し、N,N-ジオクタデシルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートをメチルシクロヘキサンに0.375g/Lの濃度で溶解させて注入し、共単量体として1-オクテンを用いて合成を行った。下記表1にその条件および結果を記載し、下記表2に共重合体の物性を測定して示した。
【0092】
[比較例2]
Dow GA1950(エチレン-1-オクテン共重合体)を用いて、下記表2に物性を測定して示した。
【0093】
[比較例3]
Dow GA1900(エチレン-1-オクテン共重合体)を用いて、下記表2に物性を測定して示した。
【0094】
【0095】
【0096】
前記表2に示されたように、本発明に係るエチレン-ブテン共重合体は、エチレン-オクテン共重合体と比べて、低い融点を有するにもかかわらず、顕著に向上した剪断接着破壊温度を有し、基材との密着性に優れることを確認することができた。また、共重合体の総重量に対し、ブテンの含量をオクテンの含量と比べて減少させても、優れた凝集性および接着性を維持することを確認することができた。これにより、本発明に係るエチレン-ブテン共重合体は、費用および生産の面で経済性に優れる。
また、比較例1と比べて、高密度に製造しても低い融点を有するとともに、剪断接着強度が顕著に向上することを確認することができた。
【0097】
[実施例7]
前記実施例1で製造されたエチレン-ブテン共重合体を150℃で十分に溶融させて混練させた後、粘着樹脂(Kolon Sukorez SU-120)、ワックス(Sasolwax H1)、および酸化防止剤(Irganox 1010)を追加投入して混合し、ホットメルト接着剤用組成物を製造した。
この際、添加量は、エチレン-ブテン共重合体34.5重量%、粘着樹脂35重量%、ワックス30重量%、および酸化防止剤0.5重量%にして混合した。
【0098】
[実施例8]
前記実施例7において、エチレン-ブテン共重合体として実施例2で製造されたものを用いたことを除いては同様に行った。
【0099】
[実施例9]
前記実施例7において、エチレン-ブテン共重合体として実施例3で製造されたものを用いたことを除いては同様に行った。
【0100】
[実施例10]
前記実施例7において、エチレン-ブテン共重合体として実施例4で製造されたものを用いたことを除いては同様に行った。
【0101】
[実施例11]
前記実施例7において、エチレン-ブテン共重合体として実施例5で製造されたものを用いたことを除いては同様に行った。
【0102】
[実施例12]
前記実施例7において、エチレン-ブテン共重合体として実施例6で製造されたものを用いたことを除いては同様に行った。
【0103】
[比較例4]
前記実施例7において、エチレン-ブテン共重合体の代わりに、比較例1のエチレン-オクテン共重合体を用いたことを除いては同様に行った。
【0104】
[比較例5]
前記実施例7において、エチレン-ブテン共重合体の代わりに、比較例2のエチレン-オクテン共重合体を用いたことを除いては同様に行った。
【0105】
[比較例6]
前記実施例7において、エチレン-ブテン共重合体の代わりに、比較例3のエチレン-オクテン共重合体を用いたことを除いては同様に行った。
前記実施例7~12および比較例4~6で製造されたホットメルト接着剤用組成物の物性を測定し、下記表3に示した。
【0106】
【0107】
前記表3に示されたように、本発明に係るホットメルト接着剤用組成物は、高い剪断接着破壊温度および剥離接着破壊温度を有し、優れた耐熱性を実現し、優れた凝集力および接着力を同時に確保可能であることを確認することができた。
【0108】
したがって、本発明に係るホットメルト接着剤用組成物は、本発明に係るエチレン-ブテン共重合体を含むことで、既存の同一密度のエチレン-オクテン共重合体と比べて、低い融点を有するため、低い加工温度において製造されるだけでなく、既存のエチレン-オクテン共重合体と比べて、高密度に製造しても低い融点を有することができる。それのみならず、本発明に係る低い融点を有するエチレン-ブテン共重合体を含むことで、顕著に向上した高い剪断接着破壊温度および剥離接着破壊温度を有し、優れた熱安定性によりホットメルト接着剤として卓越していることを確認することができた。
【0109】
以上、特定の事項と限定された実施例により本発明を説明したが、これは、本発明のより全般的な理解のために提供されたものにすぎず、本発明は上記の実施例に限定されない。本発明が属する分野において通常の知識を有する者であれば、このような記載から多様な修正および変形が可能である。
【0110】
したがって、本発明の思想は、説明された実施例に限定されて決まってはならず、後述の特許請求の範囲だけでなく、この特許請求の範囲と均等または等価的変形を有するものは、いずれも本発明の思想の範囲に属するといえる。
【国際調査報告】