(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-15
(54)【発明の名称】変性エポキシ樹脂固定化酵素、製造方法及び使用
(51)【国際特許分類】
C12N 11/08 20200101AFI20230308BHJP
C12N 9/10 20060101ALI20230308BHJP
C12N 9/02 20060101ALI20230308BHJP
C12N 9/88 20060101ALI20230308BHJP
C12P 1/00 20060101ALI20230308BHJP
【FI】
C12N11/08 ZNA
C12N9/10
C12N9/02
C12N9/88
C12P1/00 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022542698
(86)(22)【出願日】2020-01-14
(85)【翻訳文提出日】2022-07-26
(86)【国際出願番号】 CN2020072009
(87)【国際公開番号】W WO2021142618
(87)【国際公開日】2021-07-22
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516156282
【氏名又は名称】▲凱▼菜英生命科学技▲術▼(天津)有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】洪 浩
(72)【発明者】
【氏名】ジェイムズ,ゲイジ
(72)【発明者】
【氏名】肖 毅
(72)【発明者】
【氏名】ラジャセカール,ビャサラヤニ ウィリアムズ
(72)【発明者】
【氏名】崔 瑜霞
(72)【発明者】
【氏名】張 娜
(72)【発明者】
【氏名】趙 佳東
(72)【発明者】
【氏名】高 妍妍
【テーマコード(参考)】
4B033
4B050
4B064
【Fターム(参考)】
4B033NA22
4B033NB34
4B033NC05
4B033ND02
4B033NH09
4B050CC02
4B050CC08
4B050GG10
4B050LL05
4B064CA35
4B064CB01
4B064CB17
4B064CB28
4B064DA16
(57)【要約】
変性エポキシ樹脂固定化酵素、製造方法及び使用を提供する。前記製造方法は、エポキシ樹脂を変性し、変性エポキシ樹脂にポリエチレンイミンを加えて更なる修飾を行い、次に、固定化対象酵素とグルタルアルデヒドを加えて固定化し、変性エポキシ樹脂固定化酵素を得るステップを含む。エポキシ樹脂を変性し、変性エポキシ樹脂にポリエチレンイミンを加えて更なる修飾を行い、樹脂のアルデヒド基及びポリエチレンイミンのアミノ基によって各種の酵素を共有結合し、次に、二重機能性試薬であるグルタルアルデヒドで活性化させることによって、空間における樹脂分岐を増やし、網状構造を形成し、共有結合によって酵素をより容易に結合させることができ、空間上の制限が減少するため、酵素担持も改善される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
変性エポキシ樹脂固定化酵素の製造方法であって、
エポキシ樹脂を変性し、変性エポキシ樹脂にポリエチレンイミンを加えて更なる修飾を行い、次に、固定化対象酵素とグルタルアルデヒドを加えて固定化し、前記変性エポキシ樹脂固定化酵素を得るステップを含む、ことを特徴とする変性エポキシ樹脂固定化酵素の製造方法。
【請求項2】
前記エポキシ樹脂を変性することは、過ヨウ素酸ナトリウムを用いてエポキシ樹脂を酸化すること、又はイミノ二酢酸を用いてエポキシ樹脂と反応させることを含む、ことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記エポキシ樹脂を変性することが、過ヨウ素酸ナトリウムを用いてエポキシ樹脂を酸化することである場合に、過ヨウ素酸ナトリウムを加えるに先立って、先ず酢酸で前記エポキシ樹脂を処理し、そして、固定化対象酵素とグルタルアルデヒドを加えて固定化した後に、架橋剤としてグルタルアルデヒド又はデキストランアルデヒドを添加して二次架橋を行うステップをさらに含む、ことを特徴とする請求項2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記エポキシ樹脂を変性することが、イミノ二酢酸をエポキシ樹脂と反応させることである場合に、変性エポキシ樹脂にポリエチレンイミンを加えて更なる修飾を行った後に、金属イオン溶液を加えて処理するステップをさらに含み、かつ、前記固定化対象酵素はhisタグを有し、
好ましくは、前記金属イオン溶液は塩化コバルト、硫酸コバルト、塩化ニッケル、硫酸銅、塩化第一鉄、硫酸第一鉄から選択される1種又は複数種であり、
好ましくは、前記金属イオン溶液の濃度は5mmol/L~100mmol/Lで、好ましくは10mmol/L~50mmol/Lである、ことを特徴とする請求項2に記載の製造方法。
【請求項5】
前記固定化対象酵素及びグルタルアルデヒドの添加順番は、前記固定化対象酵素、グルタルアルデヒド、又はグルタルアルデヒド、前記固定化対象酵素の順である、ことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項6】
変性エポキシ樹脂にポリエチレンイミンを加えて更なる修飾を行うステップは、NAD
+、NADP
+又はPLPである補因子を添加することをさらに含み、
好ましくは、前記ポリエチレンイミンはポリエチレンイミン水溶液の形態で反応に参加し、前記ポリエチレンイミン水溶液中の前記補因子の最終濃度が1mg/mL~10mg/mLで、好ましくは3mg/mL~6mg/mLであり、
好ましくは、前記架橋剤であるグルタルアルデヒド又はデキストランアルデヒドは、使用する前にPEGで架橋剤を修飾するステップを受け、前記架橋剤であるグルタルアルデヒド又はデキストランアルデヒドを前記PEGで修飾するステップは、架橋剤を水で溶解し、次にPEGを加えて20℃~30℃で1h~6h撹拌することを含み、PEGは、PEG400~PEG2000から選択され、PEGと架橋剤との質量比が1:1~10:1で、さらに好ましくは2:1~4:1である、ことを特徴とする請求項3に記載の製造方法。
【請求項7】
前記酢酸によるエポキシ樹脂処理において、使用される酢酸は、酢酸濃度が0.5M~3Mで、好ましくは1M~2Mの酢酸溶液であり、前記酢酸溶液と前記エポキシ樹脂との体積質量比は5~20:1で、好ましくは10~15:1であり、
好ましくは、前記過ヨウ素酸ナトリウムを用いてエポキシ樹脂を酸化する際に使用される過ヨウ素酸ナトリウム溶液において、過ヨウ素酸ナトリウムの濃度は50mM~500mMで、好ましくは100mM~200mMであり、前記過ヨウ素酸ナトリウム溶液とエポキシ樹脂との体積質量比は5~20:1で、好ましくは5~15:1であり、
好ましくは、前記ポリエチレンイミンの分子量は3KDa~70KDaであり、前記ポリエチレンイミン水溶液の濃度は0.5%~3%で、好ましくは1%~2%であり、前記ポリエチレンイミン水溶液のpHは6~11で、さらに好ましくは7~10であり、
好ましくは、架橋剤であるグルタルアルデヒド又はデキストランアルデヒドの体積/質量最終濃度は0.1%~3%で、好ましくは0.3%~2%であり、
好ましくは、酵素と前記変性エポキシ樹脂との質量比は0.05~0.3:1であり、
好ましくは、前記イミノ二酢酸を用いてエポキシ樹脂と反応させる際に、イミノ二酢酸としては濃度0.5M~3Mで、好ましくは1M~2Mのイミノ二酢酸水溶液が使用され、前記イミノ二酢酸水溶液とエポキシ樹脂との体積質量比は5~20:1で、好ましくは10~15:1であり、前記イミノ二酢酸水溶液のpHは6.0~10.0で、好ましくは7.0~9.0である、ことを特徴とする請求項6に記載の製造方法。
【請求項8】
前記酢酸と前記エポキシ樹脂を混合した後の処理時間は6h~24hで、好ましくは10h~15hであり、
好ましくは、前記過ヨウ素酸ナトリウム溶液と前記エポキシ樹脂を混合した後の反応時間は1h~6h、好ましくは2~3hであり、
好ましくは、前記ポリエチレンイミン水溶液と前記エポキシ樹脂を混合した後の反応時間は1h~20hで、好ましくは3h~6hであり、
好ましくは、前記酵素と前記変性エポキシ樹脂を混合した後の反応時間は2h~24hで、好ましくは15h~20hであり、
好ましくは、架橋剤を加えた後の反応時間は10min~120minで、好ましくは20min~60minであり、
好ましくは、前記イミノ二酢酸水溶液と前記エポキシ樹脂を混合した後の作用時間は0.5h~6hで、好ましくは1~2hであり、
好ましくは、前記ポリエチレンイミン水溶液と担体を混合した後の作用時間は1h~20hで、さらに3h~6hであり、
金属イオンを加えた後の作用時間は1h~6hで、さらに1h~3hであり、
酵素液と担体を混合した後の作用時間は4h~48hで、さらに15h~20hである、ことを特徴とする請求項7に記載の製造方法。
【請求項9】
前記エポキシ樹脂は、Purolite
(R)Lifetech
TMECR8285、ECR8204、ECR8209、SEPLITE
(R)LX1000EA、LX1000EP、LX103B、EP200、LX1000HFA、HFA001、LX107S、LX1000SW、LX1000SD、HECHENG
(R)ES1、ES103、ES105、ES108、及びES109からなる群から選択される1種又は複数種である、ことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項10】
前記固定化対象酵素は、Chromobacterium violaceum DSM30191由来のトランスアミナーゼ、Aspergillus fumigatus由来のトランスアミナーゼ、Vibrio fluvialis strain JS17由来のトランスアミナーゼ、Acetobacter sp. CCTCC M209061由来のケトレダクターゼ、Candida macedoniensis AKU4588由来のケトレダクターゼ、Rhodococcus sp. Phil由来のシクロヘキサノンモノオキシゲナーゼ、Brachymonas petroleovorans由来のシクロヘキサノンモノオキシゲナーゼ、Rhodococcus ruber-SD1由来のモノオキシゲナーゼ、photorhabdus luminescens由来のアンモニアリアーゼ、Solenostemon scutellarioides由来のアンモニアリアーゼ、Saccharomyces cerevisiae由来のエンレダクターゼ、ChrySEQbacterium sp. CA49由来のエンレダクターゼ、Streptomyces sp又はBacillus cereus由来のイミンレダクターゼ、Bacillus cereus由来のロイシンデヒドロゲナーゼ、Bacillus sphaericus由来のフェニルアラニンデヒドロゲナーゼ、Aspergillus niger CBS 513.88由来のニトリラーゼ、及びNeurospora crassa OR74A由来のニトリラーゼからなる群から選択される1種又は複数種であり、
好ましくは、前記Chromobacterium violaceum DSM30191由来のトランスアミナーゼはSEQ ID NO:2配列又はSEQ ID NO:3を有する突然変異体であり、前記Arthrobacter citreus由来のトランスアミナーゼはSEQ ID NO:5配列又はSEQ ID NO:6配列を有する突然変異体であり、前記Acetobacter sp. CCTCC M209061由来のケトレダクターゼはSEQIDNO:8配列又はSEQIDNO:9配列を有する突然変異体であり、前記Rhodococcus sp. Phil由来のシクロヘキサノンモノオキシゲナーゼはSEQ ID NO:11配列又はSEQ ID NO:12配列を有する突然変異体であり、前記Rhodococcus ruber-SD1由来のシクロヘキサノンモノオキシゲナーゼはSEQ ID NO:14配列又はSEQ ID NO:15配列を有する突然変異体である、ことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか1項に記載の製造方法によって製造される、ことを特徴とする変性エポキシ樹脂固定化酵素。
【請求項12】
水性緩衝液反応系又は有機溶媒反応系における請求項11に記載の変性エポキシ樹脂固定化酵素の使用。
【請求項13】
前記水性緩衝液反応系又は有機溶媒反応系は、充填層反応器又は連続撹拌槽反応器にて反応を行う、ことを特徴とする請求項12に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は生体触媒の技術分野に関し、具体的には、変性エポキシ樹脂固定化酵素、製造方法及び使用に関する。
【背景技術】
【0002】
酵素は生体触媒として様々な工業過程に広く用いられ、化学触媒と比べて酵素は高活性で、選択性が強く、特異性が高いという利点がある。酵素は非常に温和な反応条件下で複雑な化合物を生成することができ、これにより、より持続可能なプロセスを開発することができ、それによって、酵素触媒プロセスは新興のプラットフォームになった。酵素は生物由来であるため、一般に、工業過程に必要な操作特性とは異なる操作特性を有する。
【0003】
生体触媒は、酵素の種類及び使用に応じて、全生細胞、死細胞、粗酵素又は精製酵素を用いて製造することができる。酵素の生産拡大とタンパク質工学の進歩により、生体触媒は商業的な使用が可能となり、経済的価値も高い。
【0004】
酵素は独特なプロセスとコストの優位性があるため、工業過程にますます広く応用されており、酵素の固定化形式にもますます高い要件が求められている。一般的に「生体触媒」と呼ばれる固定化酵素は、工業的な有機合成や生物変換に広く用いられている。
【0005】
バイオテクノロジーで酵素の使用を成功させる最も有用な戦略の1つは、それらの固定化である。適切な酵素固定化は、激しい反応条件(例えば、その生理学的範囲を大幅に超えたpH及び温度)に対する抵抗性、酵素活性の向上、循環使用性、連続使用性、及び基質特異性、エナンチオマー特異性又は生成物選択性の向上などの酵素性能を向上させる強力な手段である。
【0006】
新しい固定化プラットフォームの出現により、固定化酵素は連続流動生体触媒においてうまく統合されている。新しい高性能酵素の発見及び進化、生体触媒を強調した新しい逆方向合成方法、減少した組換えタンパク質コストと酵素固定化策略などはすべて生体触媒が連続合成に応用する良好な基礎である。
【0007】
酵素のアミノ酸側鎖の官能基の独特な特徴により、可逆的結合(例えばファンデルワールス力、疎水性又はイオン結合)と不可逆的化学結合(例えば共有結合)を担体表面に吸着させることによって、担体と固定化することができる(Sheldonら,2013)。
【0008】
共有結合により生体触媒と担体とが不可逆的に結合されるので、酵素の漏洩を防止し、酵素の回収性を効果的に向上させることができる。共有結合担体の中で、エポキシ活性化担体はほぼ理想的な基質であり、実験室及び工業的規模で極めて容易にタンパク質を固定化することができる(Hannibal-Friedrich et al 1980; Hernaiz et al 2000; Calleri et al 2004; Podgornik, H. et al 2002)。これらの担体は活性化された形態で存在する。また、これらの担体は中性水性媒体中に懸濁させても貯蔵と輸送の過程で非常に安定であり、長期間の固定化に使用でき、酵素が支持表面を完全に覆うことができる。非常に温和な実験条件(例えばpH7.0)でエポキシ活性化担体をタンパク質と反応させることで、タンパク質(2級アミン、チオエーテル及びエーテル)の非常に小さな化学修飾を促進することができる。
【0009】
一般に、可溶性タンパク質は中性pHでエポキシ基と反応しにくい。エポキシ樹脂担体のこのような低い反応性により、これらの担体上の酵素の固定化は2段階のメカニズムを通じて産生する。まず、タンパク質が担体上に迅速で温和に物理的吸着され、次に、吸着タンパク質と隣接するエポキシ基との間で共有結合反応が起こる[Wheatley et al 1999; Bauer-Arnaz et al 1998]。
【0010】
このようなメカニズムにより、タンパク質を固定化するための市販のエポキシ樹脂担体は、高いイオン強度(疎水性相互作用)でインキュベートされたときにタンパク質を吸着するために、かなり疎水性である。いくつかの場合に、疎水性担体の使用は、タンパク質構造の誤った折り畳みを促進し、ここで、当該タンパク質構造は、外層に位置する内部疎水性アミノ酸の異常構造の安定化に起因するものである(Fitzpatrick PA et al 1993)。また、一般的に高濃度の塩を使用することは、さまざまな酵素、特にサブユニット間のイオン力で結合したポリメラーゼの活性を失わせることができる(Fernandez-Lafuente et al 2009)。エポキシ樹脂担体は非常に重要な固定化プラットフォームであるが、新しい酵素、特に進化したポリメラーゼの出現に伴い、エポキシ樹脂担体の全体的な改良と新しい固定化プロセスが必要となっている。
【0011】
Bolivarら(2007)は、エポキシ樹脂と、アミノエポキシ樹脂と、グリオキサール(エポキシ樹脂)と、グルタルアルデヒド処理によりアミノ化担体に吸着した酵素とを用いてCandida boidinii由来のギ酸デヒドロゲナーゼを固定化する異なる固定化戦略を評価した。中でも、アミノエポキシ樹脂担体(可溶性酵素に比べて12倍因子)とエチレングリコールアガロース担体(150倍因子)を用いることが最適な安定性を示した。しかし、いずれの場合も活性回復は15%をわずかに上回る程度にとどまった。
【0012】
Truppoら(2012)は、有機溶媒中での固定化酵素の使用のために、三菱社の重合体系樹脂(SEPABEADS)を用いたJanuviaトランスアミナーゼ(CDX0117、Codexis)の固定化を評価した。選択された樹脂は、共有結合固定化のための3つのエポキシド官能化担体(EC-EP、EC-HFA/S及びEXE119)と、疎水性相互作用による固定化のための2つの吸着担体(EXA252及びEXE120)とを含む。試験した多くの担体が活性を示したが、高疎水性オクタデシル官能化ポリメタクリレート樹脂SEPABEAD EXE120(吸着担体)が最も高い比活性を示した。EXE120樹脂上において、固定化過程で添加した酵素における、45%まで高い活性を回収した結果、トランスアミナーゼの樹脂への担持量は4wt%(固体担体トランスフェラーゼ1gあたり40mg)となった。エポキシ樹脂担体EC-EPは、固定化条件下では酵素結合及び発現が低下しており、これはエポキシ樹脂担体が酵素を変性させるためであるかもしれないと考えられる。
【0013】
Hui Renら(2016)は、古生物Archaeoglobus fulgidus由来の好熱性エステラーゼAFESTをエポキシ樹脂担体Sepabeads EC-EPに共有結合により固定化し、固定化酵素を重合反応(「-カプロラクトン」)の生体触媒として用いることを報告している。基質としてp-ニトロフェニルオクタン酸塩を用い、固定化酵素の酵素担持量及び回収活性を80℃でそれぞれ測定した結果、72mg/g及び10.4U/mgであった。固定化酵素は繰り返し使用性に優れ、15回のバッチ反応で75%を超える単量体転化率を示した。
【0014】
Ana I.Benitez-Mateosら(2018)は、多孔質担体が補因子PLPと結合することにより、自給型固定化トランスアミナーゼの開発に利用されていることを報告している。このプロジェクトでは、Halomonas elongata由来のω-アミノトランスフェラーゼが、ポリエチレンイミンでコーティングされた多孔質メタクリル酸エステル系金属キレート担体にPLPとともに固定化された。充填層反応器はモデルアミン(α-メチルベンジルアミン)のエナンチオ選択的脱アミノ化において、1.45mL×min-1で50個のカラム体積まで連続的に運転し、すべてのサイクルで90%より高い転化率を発生し、外因性補因子を添加する必要がない。クロモバクテリウム・ビオラセウム及びシュードモナス・フルオレッセンス由来のトランスアミナーゼを用いて同様の方法を行う場合に、同様の活性を示す。しかし、この方法は積極的であるように思われるが、全体的に最も長い操作時間の場合に、酵素報告の安定性は133分間であった。
【0015】
固定化酵素の報告はいくつかあるが、表1に挙げた酵素の固定化酵素の報告はほとんどないか、ない。
【0016】
【0017】
従来技術で報告されている酵素固定化方法は、表1の酵素の産業上の利用には適さず、その安定性をさらに向上させる必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明は、酵素の繰り返し使用の安定性を向上させるために、変性エポキシ樹脂固定化酵素、製造方法及び使用を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記目的を達成させるために、本発明の一態様によれば、変性エポキシ樹脂固定化酵素の製造方法を提供する。該製造方法は、エポキシ樹脂を変性し、変性エポキシ樹脂にポリエチレンイミンを加えて更なる修飾を行い、次に、固定化対象酵素とグルタルアルデヒドを加えて固定化し、変性エポキシ樹脂固定化酵素を得るステップを含む。
【0020】
さらに、エポキシ樹脂を変性することは、過ヨウ素酸ナトリウムを用いてエポキシ樹脂を酸化すること、又はイミノ二酢酸を用いてエポキシ樹脂と反応させることを含む。
【0021】
さらに、エポキシ樹脂を変性することが、過ヨウ素酸ナトリウムを用いてエポキシ樹脂を酸化することである場合に、過ヨウ素酸ナトリウムを加えるに先立って、酢酸でエポキシ樹脂を処理し、固定化対象酵素とグルタルアルデヒドを加えて固定化した後に、架橋剤であるグルタルアルデヒド又はデキストランアルデヒドを添加して二次架橋を行うステップをさらに含む。
【0022】
さらに、エポキシ樹脂を変性することが、イミノ二酢酸を用いてエポキシ樹脂と反応させることである場合に、変性エポキシ樹脂にポリエチレンイミンを加えて更なる修飾を行った後に、金属イオン溶液を加えて処理するステップをさらに含み、かつ、固定化対象酵素はhisタグを有し、好ましくは、金属イオン溶液は塩化コバルト、硫酸コバルト、塩化ニッケル、硫酸銅、塩化第一鉄、硫酸第一鉄から選択される1種又は複数種であり、好ましくは、金属イオン溶液の濃度は5~100mmol/Lで、好ましくは10~50mmol/Lである。
【0023】
さらに、固定化対象酵素及びグルタルアルデヒドの添加順番は、固定化対象酵素、グルタルアルデヒド又はグルタルアルデヒド、固定化対象酵素の順である。
【0024】
さらに、変性エポキシ樹脂にポリエチレンイミンを加えて更なる修飾を行うステップは、NAD+、NADP+又はPLPである補因子を添加することをさらに含み、好ましくは、ポリエチレンイミンはポリエチレンイミン水溶液の形態で反応に参加し、ポリエチレンイミン水溶液中の補因子の最終濃度が1~10mg/mLで、好ましくは3~6mg/mLであり、好ましくは、架橋剤であるグルタルアルデヒド又はデキストランアルデヒドは、使用する前にPEGで架橋剤を修飾するステップを受け、架橋剤であるグルタルアルデヒド又はデキストランアルデヒドをPEGで修飾するステップは、架橋剤を水で溶解し、次にPEGを加えて、20~30℃で1~6h撹拌することを含み、PEGは、PEG400~PEG2000から選択され、PEGと架橋剤との質量比が1:1~10:1で、さらに好ましくは2:1~4:1である。
【0025】
さらに、酢酸によるエポキシ樹脂処理において、使用される酢酸は、酢酸濃度が0.5~3Mで、好ましくは1~2Mの酢酸溶液であり、酢酸溶液とエポキシ樹脂との体積質量比は5~20:1で、好ましくは10~15:1であり、好ましくは、過ヨウ素酸ナトリウムを用いてエポキシ樹脂を酸化する際に使用される過ヨウ素酸ナトリウム溶液において、過ヨウ素酸ナトリウムの濃度は50~500mMで、好ましくは100~200mMであり、過ヨウ素酸ナトリウム溶液とエポキシ樹脂との体積質量比は5~20:1で、好ましくは5~15:1であり、好ましくは、ポリエチレンイミンの分子量は3KDa~70KDaであり、ポリエチレンイミン水溶液の濃度は0.5%~3%で、好ましくは1%~2%であり、ポリエチレンイミン水溶液のpHは6~11で、さらに好ましくは7~10であり、好ましくは、架橋剤であるグルタルアルデヒド又はデキストランアルデヒドの体積/質量最終濃度は0.1%~3%で、好ましくは0.3%~2%であり、好ましくは、酵素と変性エポキシ樹脂との質量比は0.05~0.3:1であり、好ましくは、イミノ二酢酸を用いてエポキシ樹脂と反応させる際に、イミノ二酢酸としては濃度0.5~3Mで、好ましくは1~2Mのイミノ二酢酸水溶液が使用され、イミノ二酢酸水溶液とエポキシ樹脂との体積質量比は5~20:1で、好ましくは10~15:1であり、イミノ二酢酸水溶液のpHは6.0~10.0で、好ましくは7.0~9.0である。
【0026】
さらに、酢酸とエポキシ樹脂を混合した後の処理時間は6~24hで、好ましくは10~15hであり、好ましくは、過ヨウ素酸ナトリウム溶液とエポキシ樹脂を混合した後の反応時間は1~6hで、好ましくは2~3hであり、好ましくは、ポリエチレンイミン水溶液とエポキシ樹脂を混合した後の反応時間は1~20hで、好ましくは3~6hであり、好ましくは、酵素と変性エポキシ樹脂を混合した後の反応時間は2~24hで、好ましくは15~20hであり、好ましくは、架橋剤を加えた後の反応時間は10~120minで、好ましくは20~60minであり、好ましくは、イミノ二酢酸水溶液とエポキシ樹脂を混合した後の作用時間は0.5~6hで、好ましくは1~2hであり、好ましくは、ポリエチレンイミン水溶液と担体を混合した後の作用時間は1~20hで、さらに3~6hであり、金属イオンを加えた後の作用時間は1~6hで、さらに1~3hであり、酵素液と担体を混合した後の作用時間は4~48hで、さらに15~20hである。
【0027】
さらに、エポキシ樹脂は、Purolite(R)LifetechTMECR8285、ECR8204、ECR8209、SEPLITE(R)LX1000EA、LX1000EP、LX103B、EP200、LX1000HFA、HFA001、LX107S、LX1000SW、LX1000SD、HECHENG(R)ES1、ES103、ES105、ES108和ES109からなる群から選択される1種又は複数種である。
【0028】
さらに、固定化対象酵素は、Chromobacterium violaceum DSM30191由来のトランスアミナーゼ、Aspergillus fumigatus由来のトランスアミナーゼ、Vibrio fluvialis strain JS17由来のトランスアミナーゼ、Acetobacter sp. CCTCC M209061由来のケトレダクターゼ、Candida macedoniensis AKU4588由来のケトレダクターゼ、Rhodococcus sp. Phil由来のシクロヘキサノンモノオキシゲナーゼ、Brachymonas petroleovorans由来のシクロヘキサノンモノオキシゲナーゼ、Rhodococcus ruber-SDl由来のモノオキシゲナーゼ、photorhabdus luminescens由来のアンモニアリアーゼ、Solenostemon scutellarioides由来のアンモニアリアーゼ、Saccharomyces cerevisiae由来のエンレダクターゼ(Ene-Reductase)、ChrySEQbacterium sp. CA49由来のエンレダクターゼ、Streptomyces sp又はBacillus cereus由来のイミンレダクターゼ、Bacillus cereus由来のロイシンデヒドロゲナーゼ、Bacillus sphaericus由来のフェニルアラニンデヒドロゲナーゼ、Aspergillus niger CBS 513.88由来のニトリラーゼ、及びNeurospora crassa OR74A由来のニトリラーゼからなる群から選択される1種又は複数種である。Chromobacterium violaceum DSM30191由来のトランスアミナーゼはSEQ ID NO:2配列又はSEQ ID NO:3を有する突然変異体であり、Arthrobacter citreus由来のトランスアミナーゼはSEQ ID NO:5配列又はSEQ ID NO:6配列を有する突然変異体であり、Acetobacter sp. CCTCC M209061由来のケトレダクターゼはSEQ ID NO:8配列又はSEQ ID NO:9配列を有する突然変異体であり、Rhodococcus sp. Phil由来のシクロヘキサノンモノオキシゲナーゼはSEQ ID NO:11配列又はSEQ ID NO:12配列を有する突然変異体であり、Rhodococcus ruber-SDl由来のシクロヘキサノンモノオキシゲナーゼはSEQ ID NO:14配列又はSEQ ID NO:15配列を有する突然変異体である。
【0029】
本発明の別の態様によれば、変性エポキシ樹脂固定化酵素を提供する。該固定化酵素は上記のいずれかの製造方法によって製造される。
【0030】
本発明のさらなる態様によれば、水性緩衝液反応系又は有機溶媒反応系における変性エポキシ樹脂固定化酵素の使用を提供する。
【0031】
さらに、水性緩衝液反応系又は有機溶媒反応系は充填層反応器又は連続撹拌槽反応器において行われる。
【発明の効果】
【0032】
本発明の技術的解決手段を使用すると、エポキシ樹脂を変性し、変性エポキシ樹脂にポリエチレンイミンを加えて更なる修飾を行い、樹脂のアルデヒド基及びポリエチレンイミンのアミノ基によって各種の酵素を共有結合し、次に、二重機能性試薬であるグルタルアルデヒドで活性化させることによって、空間における樹脂分岐を増やし、網状構造を形成し、共有結合によって酵素をより結合させることができ、空間上の制限が減少するため、酵素担持も改善される。
【発明を実施するための形態】
【0033】
なお、矛盾がない限り、本願の実施例及び実施例の特徴は互いに組み合わせられてもよい。以下、実施例を参照して本発明を詳細に説明する。
【0034】
名詞の解釈及び略語:
IDA:Iminodiacetic acid disodium salt hydrate、イミノ二酢酸二ナトリウム塩水和物。
GA:Glutaraldehyde、グルタルアルデヒド
PEI:polyethyleneimine、ポリエチレンイミン
PEG:polyethylene glycol、ポリエチレングリコール
【0035】
ほとんどの場合、生体触媒することは効果的な生体触媒に依存し得る。酵素は多機能性生体触媒であり、高い立体選択性、高い領域選択性及び高い回転率を有する。しかしながら、遊離酵素は比較的敏感であり、かつ不安定であり、効果的に回収して再利用することができない。これらの制限を解消し、その適用性を広げるために、使用する前に、遊離酵素は通常固定化作用を介して不活性不溶性物質に連結される。
【0036】
エポキシ樹脂は既に脂肪酵素、アシルトランスフェラーゼなどの複数種の酵素の固定化に用いられており、このプロセスは非常に操作されやすいが、酵素は優れた回復活性を得るために固定化前に精製する必要があり、ただし、このように活性を回復させていても、他の担体固定化手段、ひいては純粋な酵素の使用よりも劣る。このことに対して、本願は以下の技術的解決手段を提案している。
【0037】
本発明の1つの代表的な実施形態によれば、変性エポキシ樹脂固定化酵素の製造方法が提供されている。該製造方法は、エポキシ樹脂を変性し、変性エポキシ樹脂にポリエチレンイミンを加えてさらなる修飾を行い、次に、固定化対象酵素とグルタルアルデヒドを加えて固定化し、変性エポキシ樹脂固定化酵素を得るステップを含む。
【0038】
本発明の技術的解決手段を使用すると、エポキシ樹脂を変性し、変性エポキシ樹脂にポリエチレンイミンを加えて更なる修飾を行い、樹脂のアルデヒド基及びポリエチレンイミンのアミノ基によって各種の酵素を共有結合し、次に、二重機能性試薬であるグルタルアルデヒドで活性化させることによって、空間における樹脂分岐を増やし、網状構造を形成し、共有結合によって酵素をより結合させることができ、空間上の制限が減少するため、酵素担持も改善される。
【0039】
本発明の1つの代表的な実施形態では、エポキシ樹脂を変性することは、過ヨウ素酸ナトリウムを用いてエポキシ樹脂を酸化すること、又はイミノ二酢酸を用いてエポキシ樹脂と反応させることを含み、これにより、性能が改善されたエポキシ樹脂が得られる。好ましくは、エポキシ樹脂を変性することが、過ヨウ素酸ナトリウムを用いてエポキシ樹脂を酸化することである場合に、過ヨウ素酸ナトリウムを加えるに先立って、酢酸でエポキシ樹脂を処理し、固定化対象酵素とグルタルアルデヒドを加えて固定化した後に、架橋剤であるグルタルアルデヒド又はデキストランアルデヒドを添加して二次架橋を行うステップをさらに含み、これにより、固定化をより強固なものとする。
【0040】
本願では、イミノ二酢酸及び金属によるエポキシ樹脂変性を修正した。エポキシ樹脂とイミノ二酢酸が反応した後に、PEIを加えてイオン付着を通じて樹脂と結合させ、次に、適切な金属で処理する。その後、His標識酵素を加えて、次に、グルタルアルデヒドで架橋させて付着をより強固なものとする。PEIは、イミノ二酢酸よりも強い金属を結合することができるし、グルタルアルデヒドと架橋することもでき、これにより、酵素の漏洩が大幅に減少する。本発明の1つの代表的な実施形態によれば、エポキシ樹脂を変性することが、イミノ二酢酸を用いてエポキシ樹脂と反応させることである場合に、変性エポキシ樹脂にポリエチレンイミンを加えて更なる修飾を行った後に、金属イオン溶液を加えて処理するステップをさらに含み、かつ固定化対象酵素はhisタグを有し、好ましくは、金属イオン溶液は塩化コバルト、硫酸コバルト、塩化ニッケル、硫酸銅、塩化第一鉄、硫酸第一鉄から選択される1種又は複数種であり、好ましくは、金属イオン溶液の濃度は5~100mmol/Lで、好ましくは10~50mmol/Lである。
【0041】
好ましくは、固定化対象酵素及びグルタルアルデヒドの添加順番は、固定化対象酵素、グルタルアルデヒド又はグルタルアルデヒド、固定化対象酵素の順である。
【0042】
本発明の1つの代表的な実施形態によれば、変性エポキシ樹脂にポリエチレンイミンを加えて更なる修飾を行うステップは、NAD+、NADP+又はPLPである補因子を添加することをさらに含み、好ましくは、ポリエチレンイミンはポリエチレンイミン水溶液の形態で反応に参加し、ポリエチレンイミン水溶液中の補因子の最終濃度が1~10mg/mLで、好ましくは3~6mg/mLであり、好ましくは、架橋剤であるグルタルアルデヒド又はデキストランアルデヒドは、使用する前にPEGで架橋剤を修飾するステップを受け、架橋剤であるグルタルアルデヒド又はデキストランアルデヒドをPEGで修飾するステップは、架橋剤を水で溶解し、次にPEGを加えて、20~30℃で1~6h撹拌することを含み、PEGはPEG400~PEG2000から選択され、PEGと架橋剤との質量比が1:1~10:1であり、繰り返し使用性が全て優れており、さらに好ましくは2:1~4:1である。
【0043】
本発明の1つの代表的な実施形態によれば、酢酸によるエポキシ樹脂処理において、使用される酢酸は、酢酸濃度が0.5~3Mで、好ましくは1~2Mの酢酸溶液であり、酢酸溶液とエポキシ樹脂との体積質量比は5~20:1で、好ましくは10~15:1であり、好ましくは、過ヨウ素酸ナトリウムを用いてエポキシ樹脂を酸化する際に使用される過ヨウ素酸ナトリウム溶液において、過ヨウ素酸ナトリウムの濃度は50~500mMで、好ましくは100~200mMであり、過ヨウ素酸ナトリウム溶液とエポキシ樹脂との体積質量比は5~20:1で、好ましくは5~15:1であり、好ましくは、ポリエチレンイミンの分子量は3KDa~70KDaであり、ポリエチレンイミン水溶液の濃度は0.5%~3%で、好ましくは1%~2%であり、ポリエチレンイミン水溶液のpHは6~11で、さらに好ましくは7~10でありで、好ましくは、架橋剤であるグルタルアルデヒド又はデキストランアルデヒドの体積/質量最終濃度は0.1%~3%で、好ましくは0.3%~2%であり、好ましくは、酵素と変性エポキシ樹脂との質量比は0.05~0.3:1であり、好ましくは、イミノ二酢酸を用いてエポキシ樹脂と反応させる際に、イミノ二酢酸としては濃度0.5~3Mで、好ましくは1~2Mのイミノ二酢酸水溶液が使用され、イミノ二酢酸水溶液とエポキシ樹脂との体積質量比は5~20:1で、好ましくは10~15:1であり、イミノ二酢酸水溶液のpHは6.0~10.0で、好ましくは7.0~9.0であり、このとき、安定性は最も優れる。
【0044】
本発明の1つの代表的な実施形態によれば、酢酸とエポキシ樹脂を混合した後の処理時間は6~24hで、好ましくは10~15hであり、好ましくは、過ヨウ素酸ナトリウム溶液とエポキシ樹脂を混合した後の反応時間は1~6hで、好ましくは2~3hであり、好ましくは、ポリエチレンイミン水溶液とエポキシ樹脂を混合した後の反応時間は1~20hで、好ましくは3~6hであり、好ましくは、酵素と変性エポキシ樹脂を混合した後の反応時間は2~24hで、好ましくは15~20hであり、好ましくは、架橋剤を加えた後の反応時間は10~120minで、好ましくは20~60minであり、好ましくは、イミノ二酢酸水溶液とエポキシ樹脂を混合した後の作用時間は0.5~6hで、好ましくは1~2hであり、好ましくは、ポリエチレンイミン水溶液と担体を混合した後の作用時間は1~20hで、さらに3~6hであり、金属イオンを加えた後の作用時間は1~6hで、さらに1~3hであり、酵素液と担体を混合した後の作用時間は4~48hで、さらに作用時間は15~20hである。
【0045】
本発明の1つの代表的な実施形態によれば、エポキシ樹脂は、Purolite(R)LifetechTMECR8285、ECR8204、ECR8209、SEPLITE(R)LX1000EA、LX1000EP、LX103B、EP200、LX1000HFA、HFA001、LX107S、LX1000SW、LX1000SD、HECHENG(R)ES1、ES103、ES105、ES108、及びES109からなる群から選択される1種又は複数種である。
【0046】
本発明の1つの代表的な実施形態によれば、固定化対象酵素は、Chromobacterium violaceum DSM30191由来のトランスアミナーゼ、Aspergillus fumigatus由来のトランスアミナーゼ、Vibrio fluvialis strain JS17由来のトランスアミナーゼ、Acetobacter sp. CCTCC M209061由来のケトレダクターゼ、Candida macedoniensis AKU4588由来のケトレダクターゼ、Rhodococcus sp. Phi1由来のシクロヘキサノンモノオキシゲナーゼ、Brachymonas petroleovorans由来のシクロヘキサノンモノオキシゲナーゼ、Rhodococcus ruber-SDl由来のモノオキシゲナーゼ、photorhabdus luminescens由来のアンモニアリアーゼ、Solenostemon scutellarioides由来のアンモニアリアーゼ、Saccharomyces cerevisiae由来のエンレダクターゼ、ChrySEQbacterium sp. CA49由来のエンレダクターゼ、Streptomyces sp又はBacillus cereus由来のイミンレダクターゼ、Bacillus cereus由来のロイシンデヒドロゲナーゼ、Bacillus sphaericus由来のフェニルアラニンデヒドロゲナーゼ、Aspergillus niger CBS 513.88由来のニトリラーゼ、及びNeurospora crassa OR74A由来のニトリラーゼからなる群から選択される1種又は複数種である。Chromobacterium violaceum DSM30191由来のトランスアミナーゼは、SEQ ID NO:2 配列又はSEQ ID NO:3を有する突然変異体であり、Arthrobacter citreus由来のトランスアミナーゼはSEQ ID NO:5配列又はSEQ ID NO:6配列を有する突然変異体であり、Acetobacter sp. CCTCC M209061由来のケトレダクターゼはSEQ ID NO:8配列又はSEQ ID NO:9配列を有する突然変異体であり、Rhodococcus sp. Phil由来のシクロヘキサノンモノオキシゲナーゼはSEQ ID NO:11配列又はSEQ ID NO:12配列を有する突然変異体であり、Rhodococcus ruber-SD1由来のシクロヘキサノンモノオキシゲナーゼはSEQ ID NO:14配列又はSEQ ID NO:15配列を有する突然変異体である。
【0047】
上記酵素が参加する反応の化学的プロセスは以下のように簡単に説明する。
【化1】
【0048】
上記反応式において、R、R1及びR2は、それぞれ独立に、H、置換又は非置換のアルキル基、置換又は非置換のシクロアルキル基、置換又は非置換のアラルキル基、置換又は非置換のヘテロシクリル基、置換又は非置換のヘテロシクロアルキル基から選択されてもよく、又はR1はそれが連結する複素環と縮合環系を形成してもよい。
【0049】
本発明の1つの代表的な実施形態によれば、変性エポキシ樹脂固定化酵素が提供されている。該固定化酵素は上記のいずれかの製造方法によって製造される。
【0050】
本発明の1つの代表的な実施形態によれば、水性緩衝液反応系又は有機溶媒反応系における変性エポキシ樹脂固定化酵素の使用が提供されている。好ましくは、水性緩衝液反応系又は有機溶媒反応系は充填層反応器又は連続撹拌槽反応器において反応を行う。
【0051】
本発明の1つの代表的な実施形態では、エポキシ樹脂(例えば、表2に示すエポキシ樹脂であり、Epoxyはエポキシ基である)を変性することで、エポキシ樹脂固定化酵素の繰り返し使用性を向上させる。
【0052】
【0053】
代表的には、過ヨウ素酸ナトリウムを用いてエポキシ樹脂を酸化すること、又はイミノ二酢酸でエポキシ樹脂を変性することによりエポキシ樹脂の性能を変更する。具体的には、以下のように説明する。
【0054】
一、過ヨウ素酸ナトリウムで酸化されたエポキシ樹脂への酵素の固定化
過ヨウ素酸ナトリウムで酸化した後に、酸化したエポキシ樹脂をPEI(ポリエチレンイミン)又はPEIと他の補因子でさらに修飾し、樹脂のアルデヒド基とPEIのアミノ基を介して各種の酵素を共有結合し、次に、二重機能性試薬であるグルタルアルデヒドで活性化させることによって、空間における樹脂分岐を増やし、網状構造を形成し、共有結合によって酵素をより容易に結合させることができ、空間上の制限が減少するため、酵素担持も改善される。固定化をより強固なものとするために、追加のリンカー(linker)として例えばグルタルアルデヒド又はデキストランアルデヒドを二次架橋用に添加してもよい。
【0055】
酵素はイオン吸着を介してPEI変性酸化エポキシ樹脂に結合され、次に、架橋剤を加えて酵素、PEI及び樹脂同士は架橋を行い、網状構造及び強い結合は形成されてもよい。
【0056】
二、イミノ二酢酸変性エポキシ樹脂への酵素の固定化
His標識酵素を金属変性エポキシ樹脂に固定化することが報告されており、まず、エポキシ樹脂とイミノ二酢酸を反応させて担体表面上の一部のエポキシ化物を転化し、次に、適切な金属イオン溶液で処理することにより樹脂に錯化した。次に、Hisタグ付き酵素を添加し、Hisタグと金属との間の選択的相互作用により迅速な錯化を可能とし、次に、タンパク質の表面上の求核性残基(Lys、Cys又はSer)と担体上の未反応エポキシ残基とを反応させ、共有結合による連結を完了した。次に、EDTA溶液で洗浄して金属イオンを除去した。反応性エポキシ化物が残留されないように、最後に、グリシンをエンドキャッピング剤として担体を処理した。酵素は樹脂上に特異的に結合できるが、安定性が不十分であり、6サイクルした結果、残留活性は10%未満である。金属とイミノ二酢酸変性樹脂との錯化の強度が不十分であり、酵素の漏洩が発生しやすい。
【0057】
本願では、イミノ二酢酸と金属によるエポキシ樹脂の変性を修正した。エポキシ樹脂とイミノ二酢酸が反応した後に、PEIを加えてイオン付着を通じて樹脂と結合させ、次に、適切な金属で処理した。その後、His標識酵素を加えて、次に、グルタルアルデヒドで架橋させて付着をより強固なものとした。PEIはイミノ二酢酸よりも強い金属を結合することができるし、グルタルアルデヒドと架橋することもでき、これにより、酵素の漏洩が大幅に減少する。
【0058】
該解決手段がHisタグ無し酵素に適用できるように、PEI修飾後に金属を使用する代わりに、グルタルアルデヒドを加えて、グルタルアルデヒドをPEIとともに共有結合を形成し、エポキシ樹脂の表面上にヒドロキシ基を残留し、次に、酵素を加えて共有結合連結により結合させた。
【0059】
この2種の方法では、酵素は、PEIとのイオン吸着及び金属イオンとの親和吸着の2種の方式で担体に結合されるように、グルタルアルデヒドを加える前に加えられてもよく、次に、架橋剤は添加され、酵素、PEI及び樹脂は架橋を行い、網状構造や強結合が形成される。
【0060】
以下、実施例を参照して本発明の有益な効果をさらに説明する。
【0061】
以下の実施例に使用される酵素及びその由来は以下の表3~8に示される。
【0062】
【0063】
【0064】
【0065】
【0066】
【0067】
【0068】
実施例1
過ヨウ素酸ナトリウムで酸化されたエポキシ樹脂への酵素の固定化
エポキシ樹脂ECR8285又はLX1000EP 5gを1M酢酸20mLにそれぞれ加え、室温で12時間軽く撹拌し、蒸留水20mLを用いて酢酸で処理された担体を3回洗浄し、処理された担体を50mM過ヨウ素酸ナトリウム20mlに懸濁させ、室温で2時間軽く撹拌し、ろ過して蒸留水で洗浄した。
変性エポキシ樹脂5gを0.1Mリン酸緩衝液で再懸濁させ、最終濃度が1%となるようにPEIを加え、pHを7.0に調整し、2時間軽く撹拌した後に、50~100mMグルタルアルデヒドを加え、室温で1~2時間軽く撹拌した。次に、担体樹脂をろ過して水10mlで洗浄した。洗浄した担体を酵素溶液(5mg/mL補因子を含有する10ml酵素であって、100mMリン酸塩緩衝液40mLに溶解させ、pH7.0とした。)に加えて、10~25℃で4時間撹拌し、一晩冷蔵庫に放置した。一晩静置後に、酵素をろ過して、0.1M PB緩衝液(pH7.0)で洗浄した。必要に応じて、一晩静置後に、過量のグルタルアルデヒド(20~50mM)又はデキストランアルデヒド(10~50mM)を溶液に加え、10~25℃で1時間軽く撹拌し、次に、ろ過して0.1M PB緩衝液(pH7.0)で洗浄した。
【0069】
実施例2
過ヨウ素酸ナトリウムで酸化されたエポキシ樹脂への酵素の固定化
エポキシ樹脂ビーズ5gを1M酢酸50mLに加え、室温で12時間軽く撹拌し、蒸留水50mLを用いて酢酸で処理された担体を3回洗浄し、毎回10分間軽く撹拌し、処理した担体を過ヨウ素酸ナトリウム100mlに懸濁させ、室温で2時間軽く撹拌し、ろ過して蒸留水で洗浄した。
変性エポキシ樹脂5gを0.1Mリン酸緩衝液で再懸濁させ、最終濃度が1%となるようにPEIを加え、pHを7.0に調整し、2時間軽く撹拌した。次に、担体をろ過して水10mlで洗浄した。洗浄した担体を酵素溶液(5mg/mL補因子を含有する10ml酵素であって、100mMリン酸塩緩衝液40mLに溶解させ、pH7.0とした。)に加え、室温で4時間撹拌し、一晩冷蔵庫に放置した。一晩静置後に、20~100mMグルタルアルデヒドを溶液に加え、10~25℃で1時間軽く撹拌した後に、ろ過して0.1M PB緩衝液(pH7.0)で洗浄した。
【0070】
実施例3
イミノ二酢酸変性エポキシ樹脂への酵素の固定化
担体4gを担体修飾緩衝液(0.1Mホウ酸ナトリウム、1Mイミノ二酢酸、pH8.5)8mLに加え、室温で2時間振とうさせた。2時間後、担体をろ別して担体修飾緩衝液を除去し、再蒸留水で洗浄し、次に、リン酸塩緩衝液で再懸濁させ、PEI最終濃度が1%となるようにPEIを加え、pHを8.0~11.0に調整し、3時間軽く撹拌した。担体をろ過して水30mlで3回洗浄し、次に、リン酸緩衝液20mLで再懸濁させ、金属イオンの濃度が10~30mMとなるように金属イオンを加えた。金属イオンはCoCl2又はNiCl2・6H2O又はCuSO4・5H2O又はFeCl2又はFeCl2から選択される。
室温で2時間振とうさせた。樹脂をさらに再蒸留水でリンスし、0.1M PB緩衝液(pH8.0)で洗浄した。さらに50mMグルタルアルデヒド含有緩衝液(0.1M PB pH=8.0)で再懸濁させ(酵素のそれぞれに従って補因子で前処理した。)、室温で1時間軽く撹拌した。ろ過して0.1M PB pH=7.0で3回洗浄した。
前処理した樹脂を0.1M PB pH=7.0 16mLで再懸濁させ、酵素溶液(50~100mg/mLタンパク質含有量で、補因子3~10mg/mLであった。)を4~8mL加え、30分間軽く撹拌し、一晩放置した後に、ろ過した。0.05M PB緩衝液(pH7.5で、0.05M EDTA及び0.5M NaClを含有した。)20mlで2回洗浄し、毎回10分間軽く撹拌した。その後、水20mlで3回洗浄し、次に、0.1M PB緩衝液(pH7.5)で洗浄した。
【0071】
実施例4
イミノ二酢酸変性エポキシ樹脂への酵素の固定化
担体4gを担体修飾緩衝液(0.1Mホウ酸ナトリウム、1Mイミノ二酢酸、pH8.5)8mLに加え、室温で2時間振とうさせた。2時間後、担体をろ別して担体修飾緩衝液を除去し、再蒸留水で洗浄し、次に、リン酸塩緩衝液で再懸濁させ、PEI最終濃度が1%となるまでPEIを加え、pHを8.0~11.0に調整し、3時間軽く撹拌した。
担体をろ過して水30mlで3回洗浄し、次に、リン酸緩衝液20mLで再懸濁させ、金属イオンの濃度が10~30mMとなるように、金属イオンを加えた。金属イオンはCoCl2又はNiCl2・6 H2O又はCuSO4・5H2O又はFeCl2又はFeCl2から選択される。
室温で2時間振とうさせた。樹脂をさらに再蒸留水でリンスし、0.1M PB緩衝液(pH8.0)で洗浄した。さらに緩衝液(0.1M PB pH=8.0)16mLで再懸濁させ、酵素溶液(50~100mg/mLタンパク質含有量で、補因子3~10mg/mLであった。)4~8mLを加え、30分間軽く撹拌し、一晩放置した後、ろ過した。0.05M PB緩衝液(pH7.5で、0.05M EDTA及び0.5M NaClを含有した。)20mlで2回洗浄し、毎回10分間軽く撹拌した。次に、水20mlで3回洗浄し、次に、用0.1M PB緩衝液(pH7.5)で洗浄した。
【0072】
実施例5
イミノ二酢酸変性エポキシ樹脂への酵素の固定化
担体4gを担体修飾緩衝液(0.1Mホウ酸ナトリウム、1Mイミノ二酢酸、pH8.5)8mLに加え、室温で2時間振とうさせた。2時間後、担体をろ別して担体修飾緩衝液を除去し、再蒸留水で洗浄し、次に、リン酸塩緩衝液で再懸濁させ、PEI最終濃度が1%となるようにPEIを加え、pHを8.0~11.0に調整し、再懸濁させて3時間軽く撹拌した。担体をろ過して水30mlで3回洗浄し、次に、リン酸緩衝液20mLで再懸濁させ、金属イオンの濃度が10~30mMとなるように、金属イオンを加えた。金属イオンは、CoCl2又はNiCl2・6 H2O又はCuSO4・5H2O又はFeCl2又はFeCl2から選択される。
担体をろ過して水30mlで3回洗浄し、次に、PB緩衝液(0.1 M pH=8.0)16mLに再懸濁させ、酵素溶液(50~100mg/mLタンパク質含有量で、補因子3~10mg/mLであった。)4~8mLを加え、30分間軽く撹拌し、一晩放置した後、ろ過した。0.1 M PB(pH=8.0)16mL、5mg/ml補因子と50mMグルタルアルデヒドを加え、室温で軽く30分間振とうさせた。0.05M PB緩衝液(pH7.5で、0.05M EDTA及び0.5M NaClを含有した。)20mlで2回洗浄し、毎回10分間軽く撹拌した。次に、水20mlで3回洗浄し、次に、0.1M PB緩衝液(pH7.5)で洗浄した。
【0073】
実施例6
イミノ二酢酸変性エポキシ樹脂への酵素の固定化
担体4gを担体修飾緩衝液(0.1Mホウ酸ナトリウム、1Mイミノ二酢酸、pH8.5)8mLに加え、室温で2時間振とうさせた。2時間後、担体をろ別して担体修飾緩衝液を除去し、再蒸留水で洗浄し、次に、リン酸塩緩衝液で再懸濁させ、PEI最終濃度が1%となるようにPEIを加え、pHを8.0~11.0に調整し、3時間軽く撹拌した。担体をろ過して水30mlで3回洗浄し、次に、リン酸緩衝液20mLで再懸濁させ、金属イオンの濃度が10~30mMとなるように、金属イオンを加えた。金属イオンはCoCl2又はNiCl2・6 H2O又はCuSO4・5H2O又はFeCl2又はFeCl2から選択される。
担体をろ過して水30mlで3回洗浄し、前処理した担体をPB緩衝液(0.1 M pH=8.0)16mLに再懸濁させ、酵素溶液(50~100mg/mLタンパク質含有量で、補因子3~10mg/mLであった。)4~8mLを加え、30分間軽く撹拌し、一晩放置した後、ろ過した。0.1 M PB(pH=8.0)16mL、5mg/ml補因子、及び50mMグルタルアルデヒドを加え、室温で30分間軽く振とうさせた。0.05M PB緩衝液(pH7.5で、0.05M EDTA及び0.5M NaClを含有した。)20mlで2回洗浄し、毎回10分間軽く撹拌した。次に、水20mlで3回洗浄し、次に、0.1M PB緩衝液(pH7.5)で洗浄した。
又は、前処理した樹脂を0.1M PB pH=7.0 16mLで再懸濁させ、酵素溶液(50~100mg/mLタンパク質含有量で、補因子3~10mg/mLであった。)4~8mLを加え、30分間軽く撹拌し、一晩放置した後、ろ過した。0.05M PB緩衝液(pH7.5で、0.05M EDTA及び0.5M NaClを含有した。)20mlで2回洗浄し、毎回10分間軽く撹拌した。次に、水20mlで3回洗浄し、次に、0.1M PB緩衝液(pH7.5)で洗浄した。
【0074】
実施例7
グルタルアルデヒドを、PEI修飾グルタルアルデヒド、PEG分子量を6000Da、PEGとグルタルアルデヒドの質量比を1:1に変更した以外、実施例2と同様であった。
【0075】
実施例8
グルタルアルデヒドをアルデヒド化デキストランに変更した以外、実施例1と同様であった。
【0076】
実施例9
グルタルアルデヒドを、PEI修飾グルタルアルデヒド、PEG分子量を6000Da、PEGとグルタルアルデヒドとの質量比を1:1に変更した以外、実施例5と同様であった。
【0077】
実施例10
固定化トランスアミナーゼの転化及び繰り返し使用の試験
【化2】
10mL反応フラスコに、0.3mLMeOHを加えて、主原料1又は主原料2を0.1g溶解し、イソプロピルアミン塩酸塩4eqとPLP(ピリドキサールリン酸)1.0mgを加え、0.1M PB 7.0を反応液の最終体積が1mLとなるように補充し、さらに酵素粉5mg又は酵素粉20mgを用いて製造された架橋酵素凝集体としての湿酵素又は架橋酵素凝集体としての凍結乾燥粉末を加え、30℃で16~20h撹拌した。系についてHPLCにより転化率を検出し、反応データを以下の表9に示す。
【0078】
【表9】
(表9注)
IDA
*-エポキシ担体をIDA及び金属イオンで修飾した後、親和吸着により酵素を結合させる。
IDA
1-エポキシ担体をIDAで修飾した後、さらにPEI及び金属イオンで修飾し、酵素を加える前に架橋剤で修飾する。
IDA
2-エポキシ担体をIDAで修飾した後、さらにPEI及び金属イオンで修飾し、酵素を結合させてから架橋剤で架橋させる。
IDA
3-エポキシ担体をIDAで修飾した後、さらにPEI及び金属イオンで修飾し、酵素を加える前にPEG処理架橋剤で修飾する。
IDA
4-エポキシ担体をIDAで修飾した後、さらにPEI及び金属イオンで修飾し、酵素を結合させた後、PEG処理架橋剤でさらに架橋させる。
SP
1-エポキシ担体を過ヨウ素酸ナトリウムで酸化し、さらにPEIで修飾し、酵素を加える前に架橋剤で修飾する。
SP
2-エポキシ担体を過ヨウ素酸ナトリウムで酸化し、PEIで修飾し、次に、グルタルアルデヒドで修飾し、酵素を加えた後、架橋剤で架橋させる。
SP
3-エポキシ担体を過ヨウ素酸ナトリウムで酸化し、PEIで修飾し、酵素を加えた後、さらに架橋剤で架橋させる。
SP
4-エポキシ担体を過ヨウ素酸ナトリウムで酸化した後、さらにPEI及び金属イオンで修飾し、酵素を結合させた後、PEG処理架橋剤で架橋させる。
【0079】
実施例11
固定化ケトレダクターゼの転化及び繰り返し使用の試験
【化3】
10mL反応フラスコに、イソプロピルアルコール(IPA)0.5mLを加えて、主原料3又は4を0.1g溶解し、0.1M PB 7.0 0.5mL及びNAD
+ 1~10mgを加え、さらに酵素粉5mg又は酵素粉10mgを用いて製造された固定化酵素を加え、30℃で16~20h撹拌した。系についてGCにより転化率を検出し、反応データを以下の表10に示す。
【0080】
【0081】
実施例12
固定化CHMOsの転化及び繰り返し使用の試験
CHMOエポキシ担体固定化酵素の活性は以下の基質5を用いて反応を行うことによって検出される。
【化4】
イソプロピルアルコール0.3mLを反応フラスコ10mlに容れた後、基質5 100mg、NADP
+を5mg含有する0.1M PB(pH8.0)3mLを加え、次に、アルコールデヒドロゲナーゼADH-Tb遊離酵素2mg及びシクロヘキサノンモノオキシゲナーゼ遊離酵素を用いて50mgの遊離酵素で製造された固定化酵素20mgを加えた。30℃で16~20時間反応させ、転化率をテストし、1回の反応が終了するごとに、固定化酵素を分離して、次の反応に再利用し、繰り返し使用回数を調べた。系についてGCにより転化率を検出し、反応データを以下の表11に示す。
【0082】
【0083】
実施例13
固定化EREDの転化及び繰り返し使用の試験
EREDエポキシ担体固定化酵素の活性は以下の基質6を用いて反応を行うことによって検出される。
【化5】
0.1M PB(pH7.0~8.0)3mLを反応フラスコ10mlに容れた後、基質6を100mg加え、次に、NAD(P)+ 10mg、ギ酸アンモニウム80mg、FDH 2mg及びERED遊離酵素10mg又は遊離酵素30mgで製造された固定化酵素を加えた。30℃で16~20時間反応させ、転化率をテストし、1回の反応が終了するごとに、固定化酵素を分離して、次の反応に再利用し、繰り返し使用回数を調べた。系についてGCにより転化率を検出し、反応データを以下の表12に示す。
【0084】
【0085】
実施例14
固定化NITsの転化及び繰り返し使用の試験
NITアミノ担体固定化酵素の活性は以下の基質7を用いて反応を行うことによって検出される。
【化6】
0.1 M PB緩衝液(pH7.0~8.0)2mLを10mL反応フラスコに加え、上記基質9を100mg加え、次に、NIT遊離酵素20mgを含有する又は遊離酵素30mgを用いて製造された固定化酵素を加えた。30℃で16時間反応させた後、転化率を検出し、1回の反応が終了するごとに、固定化酵素を分離して、次の反応に再利用し、繰り返し使用回数を調べた。系についてGCにより転化率を検出し、反応データを以下の表13に示す。
【0086】
【0087】
実施例15
固定化IREDの転化及び繰り返し使用の試験
以下の基質8を用いて検出を行った。
0.1 M PB緩衝液(pH7.0~8.0)2mLを10mL反応フラスコに加え、次に、基質8 100mg、NAD
+10mg、ギ酸アンモニウム60mg、FDH 10mg及びIRED遊離酵素10mg又は遊離酵素30mgを用いて製造された固定化化酵素を加えた。30℃で20時間反応させた後、転化率を検出し、1回の反応が終了するごとに、固定化酵素を分離して、次の反応に再利用し、繰り返し使用回数を調べた。
【化7】
系についてHPLCにより転化率を検出し、反応データを以下の表14に示す。
【0088】
【0089】
実施例16
固定化PALの転化及び繰り返し使用の試験
固定化酵素の活性及び繰り返し使用回数は以下の基質9を用いて反応を行うことによって検出される。
【化8】
4Mアミノ基ギ酸アンモニウム水溶液(pH9.0~9.5)8mLを10mL反応フラスコに加え、上記基質9を100mg加え、次に、アンモニアリアーゼ遊離酵素10mg又は遊離酵素40mgを加えた。30℃で16~20時間反応させた後、転化率を検出し、1回の反応が終了するごとに、固定化酵素を分離して、次の反応に再利用し、繰り返し使用回数を調べた。
系についてHPLCにより転化率を検出し、反応データを以下の表15に示す。
【0090】
【0091】
実施例17
固定化AADHの転化及び繰り返し使用の試験
【化9】
10mL反応フラスコに、0.1 M Tris-Cl緩衝液(pH8.0~9.0)5mLを加え、主原料10、主原料11又は主原料12を100mg溶解し、塩化アンモニウム108mgを加えて、pHをpH7.5~8.0に調整し、次に、NAD
+10~50mg、グルコース150mg及びGDH 5mg、AADH 10mg又は遊離酵素30mgを用いて製造された固定化AADHを加えた。30℃で16~20h撹拌した。
系についてHPLCにより転化率を検出し、反応データを以下の表16に示す。
【0092】
【0093】
実施例18
固定化FDHの転化及び繰り返し使用の試験
10mL反応フラスコに、0.1 M Tris-Cl緩衝液(pH8.0~9.0)5mLを加え、主原料12を100mg溶解し、塩化アンモニウム108mg、アンモニウム塩80mgを加え、pHをpH7.5~8.0に調整し、次に、NAD+10~50mg、AADH-Bc遊離酵素100mg及びFDH 5mg、又は遊離酵素10mgを用いて製造された固定化FDHを加えた。30℃で16~20h撹拌した。系についてHPLCにより転化率を検出し、反応データを以下の表17に示す。
【0094】
【0095】
実施例19
充填層を用いた連続反応におけるトランスアミナーゼアミノ担体固定化酵素の使用
実施例においてトランスアミナーゼTA-Cv-V1をIDA1の方式で担体ECR8285に固定化し、得た固定化酵素をカラム体積の120mLのカラム状反応器に充填し、固定化酵素の使用量を72gとした。
基質1 500gを、エタノール1.5Lで溶解したものに、イソプロピルアミン塩酸塩(6Mイソプロピルアミン塩酸塩水溶液1.8L)4eq及びPLP 5gを加え、PB緩衝液(0.1 M、pH8.0)を加えず、5Lに定容した。
流速を0.6mL/min、即ち、保留時間を200minに設定して、連続反応を行い、出口からの流出液について転化率を検出したところ、転化率>98%であり、さらに260h運転していても、転化率には低下が認められず、280h運転したところ、転化率は90%に低下した。具体的には、表18に示す。
【0096】
【0097】
実施例20
連続撹拌槽を用いた反応におけるトランスアミナーゼ固定化酵素の使用
実施例1と同様な固定化酵素TA-Ac-V1を用いて、担体LX1000HFAにSP2の方式で固定化した。200mL反応器にトランスアミナーゼTA-Ac-V1固定化酵素を50g加え、リン酸緩衝液150mLを加えた。
基質1 500gに、PB(0.1M、pH7.0)3.2L、イソプロピルアミン塩酸塩水溶液(6M)1.8L、及びPLP 5gを加え、スラリー化して懸濁液とした。
0.4mL/minの速度で反応フラスコに基質懸濁液(即ち保留時間500minである。)を連続的に添加し、それと同時に、同じ流速で出口から反応系を抽出した(管路の末端にろ過ヘッドを追加し、固定化酵素の抽出を防止する)。このような条件では、転化率は90%以上に達し、かつ2000h連続して運転していても、転化率にはほぼ低下が認められなかった。結果を表19に示す。
【0098】
【0099】
実施例21
アンモニアリアーゼPAL-Ss固定化酵素を、担体HFA001にIDA4の方式で固定化した。得た固定化酵素6gを10mLカラム状反応器に充填した。
基質9 500gを、アミノ基ギ酸アンモニウム水溶液(4M、pH9.0~9.5)4.5Lで溶解した。
流速を0.03mL/min、即ち、保留時間を330minに設定し、連続反応を行い、出口からの流出液について転化率を検出したところ、転化率は80%であり、300h持続して運転していても、転化率には低下が認められず、310h運転したところ、転化率は70%に低下した。表20に示す。
【0100】
【0101】
実施例22
実施例で製造されたケトレダクターゼKRED-Ac-V1固定化酵素を、担体LX1000EPにIDA4の方式で固定化した。得た固定化酵素6gを10mLカラム状反応器に充填した。
基質3 100gを、イソプロピルアルコール0.3Lで溶解し、PB緩衝液(0.1M、pH7.0)0.7Lを加えて溶解し、次に、NAD+0.1gを加えた。
流速を0.05mL/min、即ち、保留時間を200minに設定して、連続反応を行い、出口からの流出液について転化率を検出したところ、転化率>90%であり、200h持続して運転していても、転化率には低下が認められず、210h運転したところ、転化率は80%に低下した。表21に示す。
【0102】
【0103】
実施例23
過ヨウ素酸ナトリウムで酸化されたエポキシ樹脂の固定化の各パラメータの調査
酢酸の濃度及び使用量、過ヨウ素酸ナトリウムの濃度及び使用量、並びに架橋剤の濃度の調査
実施例4の方法によって、FDHをLX1000HFA担体に固定化し、イミノ二酢酸(IDA)の濃度を0.2~3mol/L、IDA溶液と担体との体積/質量比を2~25:1、金属イオンの濃度を5~100mmol/Lに設定して、架橋剤であるデキストランアルデヒド(DA)の範囲を調べた。その中でも、IDA濃度は、1~2mol/Lである場合に最も好ましく、担体との体積/質量比は、10~20:1である場合に最も好ましく、金属イオンの濃度は、10~100mmol/Lである場合に、活性はいずれも良好であり、コストを考慮して、10~50mmol/Lの濃度としてもよく、架橋剤DAは、0.5%~2%である場合に最も好ましい。具体的なパラメータ及び結果を表22に示す。
【0104】
【0105】
酢酸濃度、酢酸溶液と担体との体積/質量比、過ヨウ素酸ナトリウムの濃度、過ヨウ素酸ナトリウム溶液と担体との体積/質量比、並びに架橋剤GAの濃度を調べた。
実施例3の方法によって、FDHを担体HFAに固定化し、酢酸濃度、酢酸溶液と担体との体積/質量比、過ヨウ素酸ナトリウムの濃度、過ヨウ素酸ナトリウム溶液と担体との体積/質量比、並びに架橋剤GAの濃度をさまざまに設定した。その結果、酢酸濃度は1~2mol/Lが最も好ましく、酢酸溶液と担体との体積/質量比は10~15:1が最も好ましく、過ヨウ素酸ナトリウム濃度は、0.1~0.2mol/Lが最も好ましく、過ヨウ素酸ナトリウムと担体との体積質量比は、5~25では、最も効果に優れており、コストダウンを考慮して、5~15:1が好ましく、架橋剤濃度は、0.5%~2%では、好ましい。具体的なパラメータ及び結果を表23に示す。
【0106】
【0107】
PEIの使用量の調査
実施例2(IDA4)及び実施例5(SP3)の方法によって、FDHを担体ECR8285に固定化し、分子量の様々なPEIを選択し、PEI濃度をさまざまに設定し、PEIの適切な使用量を調べ、さまざまなpH値による固定化酵素への影響を調べた。その結果、PEI分子量が3KDa~70KDaである場合、類似した効果が認められ、PEIの最適な濃度の範囲は1%~2%であり、pH6.0~10.0では、固定化酵素の活性への影響が少なく、pH7~9では、安定性は最も良好である。具体的なパラメータ及び結果を表24に示す。
【0108】
【0109】
PEG修飾架橋剤の割合の調査
実施例7(SP4)及び実施例9(IDA4)の方法によって、FDHを担体ECR8285に固定化し、PEGでグルタルアルデヒドを修飾する方法におけるPEGの範囲、及びPEGとGAの比を調べた。その結果、PEG200、PEG2000、PEG6000はいずれもグルタルアルデヒドを修飾することができ、PEGとGAとの比が1:1~10:1の範囲である場合、酵素の繰り返し使用性は良好であり、2:1~4:1では、最も好ましい。具体的なパラメータ及び結果を表25に示す。
【0110】
【0111】
以上は本発明の好適な実施例に過ぎず、本発明を限定するものではなく、当業者にとっては、本発明にさまざまな変更や変化を加えることが明らかである。本発明の主旨及び原則を逸脱することなく行われる修正、同等置換や改良などであれば、本発明の特許範囲に含まれるものとする。
【配列表】
【手続補正書】
【提出日】2022-07-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
変性エポキシ樹脂固定化酵素の製造方法であって、
エポキシ樹脂を変性し、変性エポキシ樹脂にポリエチレンイミンを加えて更なる修飾を行い、次に、固定化対象酵素とグルタルアルデヒドを加えて固定化し、前記変性エポキシ樹脂固定化酵素を得るステップを含む、ことを特徴とする変性エポキシ樹脂固定化酵素の製造方法。
【請求項2】
前記エポキシ樹脂を変性することは、過ヨウ素酸ナトリウムを用いてエポキシ樹脂を酸化すること、又はイミノ二酢酸を用いてエポキシ樹脂と反応させることを含む、ことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記エポキシ樹脂を変性することが、過ヨウ素酸ナトリウムを用いてエポキシ樹脂を酸化することである場合に、過ヨウ素酸ナトリウムを加えるに先立って、先ず酢酸で前記エポキシ樹脂を処理し、そして、固定化対象酵素とグルタルアルデヒドを加えて固定化した後に、架橋剤としてグルタルアルデヒド又はデキストランアルデヒドを添加して二次架橋を行うステップをさらに含む、ことを特徴とする請求項2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記エポキシ樹脂を変性することが、イミノ二酢酸をエポキシ樹脂と反応させることである場合に、変性エポキシ樹脂にポリエチレンイミンを加えて更なる修飾を行った後に、金属イオン溶液を加えて処理するステップをさらに含み、かつ、前記固定化対象酵素はhisタグを有し、
好ましくは、前記金属イオン溶液は塩化コバルト、硫酸コバルト、塩化ニッケル、硫酸銅、塩化第一鉄、硫酸第一鉄から選択される1種又は複数種であり、
好ましくは、前記金属イオン溶液の濃度は5mmol/L~100mmol/Lで、好ましくは10mmol/L~50mmol/Lである、ことを特徴とする請求項2に記載の製造方法。
【請求項5】
前記固定化対象酵素及びグルタルアルデヒドの添加順番は、前記固定化対象酵素、グルタルアルデヒド、又はグルタルアルデヒド、前記固定化対象酵素の順である、ことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項6】
変性エポキシ樹脂にポリエチレンイミンを加えて更なる修飾を行うステップは、NAD
+、NADP
+又はPLPである補因子を添加することをさらに含み、
好ましくは、前記ポリエチレンイミンはポリエチレンイミン水溶液の形態で反応に参加し、前記ポリエチレンイミン水溶液中の前記補因子の最終濃度が1mg/mL~10mg/mLで、好ましくは3mg/mL~6mg/mLであり、
好ましくは、前記架橋剤であるグルタルアルデヒド又はデキストランアルデヒドは、使用する前にPEGで架橋剤を修飾するステップを受け、前記架橋剤であるグルタルアルデヒド又はデキストランアルデヒドを前記PEGで修飾するステップは、架橋剤を水で溶解し、次にPEGを加えて20℃~30℃で1h~6h撹拌することを含み、PEGは、PEG400~PEG2000から選択され、PEGと架橋剤との質量比が1:1~10:1で、さらに好ましくは2:1~4:1である、ことを特徴とする請求項3に記載の製造方法。
【請求項7】
前記酢酸によるエポキシ樹脂処理において、使用される酢酸は、酢酸濃度が0.5M~3Mで、好ましくは1M~2Mの酢酸溶液であり、前記酢酸溶液と前記エポキシ樹脂との体積質量比は5~20:1で、好ましくは10~15:1であり、
好ましくは、前記過ヨウ素酸ナトリウムを用いてエポキシ樹脂を酸化する際に使用される過ヨウ素酸ナトリウム溶液において、過ヨウ素酸ナトリウムの濃度は50mM~500mMで、好ましくは100mM~200mMであり、前記過ヨウ素酸ナトリウム溶液とエポキシ樹脂との体積質量比は5~20:1で、好ましくは5~15:1であり、
好ましくは、前記ポリエチレンイミンの分子量は3KDa~70KDaであり、前記ポリエチレンイミン水溶液の濃度は0.5%~3%で、好ましくは1%~2%であり、前記ポリエチレンイミン水溶液のpHは6~11で、さらに好ましくは7~10であり、
好ましくは、架橋剤であるグルタルアルデヒド又はデキストランアルデヒドの体積/質量最終濃度は0.1%~3%で、好ましくは0.3%~2%であり、
好ましくは、酵素と前記変性エポキシ樹脂との質量比は0.05~0.3:1であり、
好ましくは、前記イミノ二酢酸を用いてエポキシ樹脂と反応させる際に、イミノ二酢酸としては濃度0.5M~3Mで、好ましくは1M~2Mのイミノ二酢酸水溶液が使用され、前記イミノ二酢酸水溶液とエポキシ樹脂との体積質量比は5~20:1で、好ましくは10~15:1であり、前記イミノ二酢酸水溶液のpHは6.0~10.0で、好ましくは7.0~9.0である、ことを特徴とする請求項6に記載の製造方法。
【請求項8】
前記酢酸と前記エポキシ樹脂を混合した後の処理時間は6h~24hで、好ましくは10h~15hであり、
好ましくは、前記過ヨウ素酸ナトリウム溶液と前記エポキシ樹脂を混合した後の反応時間は1h~6h、好ましくは2~3hであり、
好ましくは、前記ポリエチレンイミン水溶液と前記エポキシ樹脂を混合した後の反応時間は1h~20hで、好ましくは3h~6hであり、
好ましくは、前記酵素と前記変性エポキシ樹脂を混合した後の反応時間は2h~24hで、好ましくは15h~20hであり、
好ましくは、架橋剤を加えた後の反応時間は10min~120minで、好ましくは20min~60minであり、
好ましくは、前記イミノ二酢酸水溶液と前記エポキシ樹脂を混合した後の作用時間は0.5h~6hで、好ましくは1~2hであり、
好ましくは、前記ポリエチレンイミン水溶液と担体を混合した後の作用時間は1h~20hで、さらに3h~6hであり、
金属イオンを加えた後の作用時間は1h~6hで、さらに1h~3hであり、
酵素液と担体を混合した後の作用時間は4h~48hで、さらに15h~20hである、ことを特徴とする請求項7に記載の製造方法。
【請求項9】
前記エポキシ樹脂は、Purolite
(R)Lifetech
TMECR8285、ECR8204、ECR8209、SEPLITE
(R)LX1000EA、LX1000EP、LX103B、EP200、LX1000HFA、HFA001、LX107S、LX1000SW、LX1000SD、HECHENG
(R)ES1、ES103、ES105、ES108、及びES109からなる群から選択される1種又は複数種である、ことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項10】
前記固定化対象酵素は、Chromobacteriumviolaceum DSM30191由来のトランスアミナーゼ、Aspergillusfumigatus由来のトランスアミナーゼ、Vibrio fluvialis strain JS17由来のトランスアミナーゼ、
Arthrobactercitreus由来のトランスアミナーゼ、Acetobacter sp. CCTCC M209061由来のケトレダクターゼ、Candidamacedoniensis AKU4588由来のケトレダクターゼ、Rhodococcussp. Phil由来のシクロヘキサノンモノオキシゲナーゼ、Brachymonas petroleovorans由来のシクロヘキサノンモノオキシゲナーゼ、Rhodococcusruber-SD1由来の
シクロヘキサノンモノオキシゲナーゼ、photorhabdusluminescens由来のアンモニアリアーゼ、Solenostemonscutellarioides由来のアンモニアリアーゼ、Saccharomycescerevisiae由来のエンレダクターゼ、ChrySEQbacteriumsp. CA49由来のエンレダクターゼ、Streptomyces sp又はBacillus cereus由来のイミンレダクターゼ、Bacillus cereus由来のロイシンデヒドロゲナーゼ、Bacillussphaericus由来のフェニルアラニンデヒドロゲナーゼ、Aspergillusniger CBS 513.88由来のニトリラーゼ、及びNeurosporacrassa OR74A由来のニトリラーゼからなる群から選択される1種又は複数種であり、
好ましくは、前記Chromobacteriumviolaceum DSM30191由来のトランスアミナーゼはSEQ ID NO:2配列又はSEQ IDNO:3を有する突然変異体であり、前記Arthrobactercitreus由来のトランスアミナーゼはSEQ ID NO:5配列又はSEQ IDNO:6配列を有する突然変異体であり、前記Acetobactersp. CCTCC M209061由来のケトレダクターゼはSEQIDNO:8配列又はSEQIDNO:9配列を有する突然変異体であり、前記Rhodococcussp. Phil由来のシクロヘキサノンモノオキシゲナーゼはSEQ ID NO:11配列又はSEQ IDNO:12配列を有する突然変異体であり、前記Rhodococcusruber-SD1由来のシクロヘキサノンモノオキシゲナーゼはSEQID NO:14配列又はSEQ IDNO:15配列を有する突然変異体である、ことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか1項に記載の製造方法によって製造される、ことを特徴とする変性エポキシ樹脂固定化酵素。
【請求項12】
水性緩衝液反応系又は有機溶媒反応系における請求項11に記載の変性エポキシ樹脂固定化酵素の使用。
【請求項13】
前記水性緩衝液反応系又は有機溶媒反応系は、充填層反応器又は連続撹拌槽反応器にて反応を行う、ことを特徴とする請求項12に記載の使用。
【国際調査報告】