(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-15
(54)【発明の名称】眼鏡フレームを提供するための方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
G02C 13/00 20060101AFI20230308BHJP
G02C 5/00 20060101ALI20230308BHJP
【FI】
G02C13/00
G02C5/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022543120
(86)(22)【出願日】2021-01-12
(85)【翻訳文提出日】2022-07-14
(86)【国際出願番号】 EP2021050472
(87)【国際公開番号】W WO2021144256
(87)【国際公開日】2021-07-22
(32)【優先日】2020-01-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518007555
【氏名又は名称】エシロール・アンテルナシオナル
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ブリュノ・アミール
【テーマコード(参考)】
2H006
【Fターム(参考)】
2H006AA00
2H006DA00
(57)【要約】
完全に自動化された方式で眼鏡フレームを提供することは、(d)フレームの3D表現に関連するデータセットを、(a)フレームの初期表現に関連する初期情報、(b)場合によっては自動的に変更される、少なくとも1つの着用者パラメータ、(c)場合によっては自動的に変更される、少なくとも1つのフレームパラメータ、から、取得し、フレームの幾何学的形状に関連する、少なくとも1つの制約又は自動的に変更された制約を考慮に入れることと、取得されたデータセットから3D表現を自動的に提供することと、(e)評価基準を適用して、3D表現が制約又は自動的に変更された制約を満たすかどうかを判定することと、そうでない場合に、(f)自動的に変更された着用者パラメータ、及び/又は自動的に変更された眼鏡フレームパラメータ、及び/又は自動的に変更された制約で、取得(d)及び適用(e)を繰り返すことと、を含み、これにより、フレームの最終表現に関連する、制約に準拠したデータセットを自動的に提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼鏡フレームを提供するためのコンピュータ実施方法であって、以下のステップ:
(a)前記眼鏡フレームの初期表現に関連する初期情報を取得することと、
(b)
- 前記眼鏡フレームの所定の着用者の顔に関連する形態学的パラメータ、及び
- 前記着用者が提供する好みパラメータ、
を含むグループにおいて採用された、少なくとも1つの着用者パラメータを取得することと、
(c)
- 前記眼鏡フレームの幾何学的形状に関連するパラメータ、
- 前記眼鏡フレームの材料に関連するパラメータ、及び
- 前記眼鏡フレームを製造するための製造技術に関連するパラメータ、
を含むグループにおいて採用された、少なくとも1つの眼鏡フレームパラメータを取得することと、
(d)少なくとも1つのプロセッサによって、前記眼鏡フレームの3D表現に関連するデータセットを、少なくとも、
- 前記初期情報、及び
- 前記取得された少なくとも1つの着用者パラメータ又は少なくとも1つの自動的に変更された着用者パラメータ、及び
- 前記取得された少なくとも1つの眼鏡フレームパラメータ又は少なくとも1つの自動的に変更された眼鏡フレームパラメータ、及び
- 両方とも前記眼鏡フレームの幾何学的形状に関連している、少なくとも1つの制約又は少なくとも1つの自動的に変更された制約、
から、前記眼鏡フレームの3D表現に関連するデータセットを取得し、
前記取得されたデータセットから前記眼鏡フレームの前記3D表現を自動的に提供することと、
(e)少なくとも1つの評価基準を前記眼鏡フレームの前記3D表現に適用して、前記眼鏡フレームの前記3D表現が前記少なくとも1つの制約を満たすかどうかを判定することと、
(f)前記眼鏡フレームの前記3D表現が前記少なくとも1つの制約及び前記少なくとも1つの自動的に変更された制約のうちの少なくとも1つの制約を満たさない限り、前記少なくとも1つの自動的に変更された着用者パラメータ、及び/又は前記少なくとも1つの自動的に変更された眼鏡フレームパラメータ、及び/又は前記少なくとも1つの自動的に変更された制約で、ステップ(d)及び(e)を繰り返すことと、
を含み、
これにより、前記眼鏡フレームの3D最終表現に関連する、制約に準拠したデータセットを自動的に提供する、コンピュータ実施方法。
【請求項2】
前記評価基準が、前記3D最終表現と前記眼鏡フレームの前記初期表現との間の類似性又は偏差に関連している、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
(g)前記制約に準拠したデータセットから前記眼鏡フレームを製造すること
を更に含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
ステップ(d)において、前記データセットを前記取得することが、製造技術に関連する少なくとも1つの追加の制約を更に考慮に入れる、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記初期情報を前記取得することが、データベースから前記初期情報を検索することを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記着用者によって提供される前記好みパラメータが、前記眼鏡フレームの一般的な外観、スタイル、形状、材料、及び色に関連するパラメータを含むグループにおいて採用される、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
ステップ(e)において、前記評価基準を前記適用することが、前記初期情報から得られた2D投影を前記3D表現の2D投影と比較して、両方の投影間の差が所定の閾値を下回っているかどうかを判定することを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記比較することが、前記比較された2D投影の少なくとも1つの所定の位置において、又は前記比較された2D投影の少なくとも1つの所定の関心領域における少なくとも1つの曲率で、又は前記少なくとも1つの曲率の導出物に基づいて、前記比較された2D投影間の差を取得することを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記眼鏡フレームの前記幾何学的形状に関連する前記制約を変更することにより、前記所定の関心領域に応じて前記曲率の前記比較を自動的に変更する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記眼鏡フレームが、内部輪郭及び外部輪郭を有する前面を有し、前記所定の位置が、前記比較された2D投影の前記前面それぞれの前記比較されたそれぞれの内部輪郭及び/又は外部輪郭上にある、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記眼鏡フレームが、内部輪郭、外部輪郭、及びステップ(f)から生じる新しい中間輪郭を有する前面を有し、前記所定の位置が、前記比較された2D投影の前記比較されたそれぞれの中間輪郭上にある、請求項8~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記比較することが、それぞれの所定の重みを所定の関心位置に割り当てることを更に含み、前記重みが、前記少なくとも1つの制約若しくは前記少なくとも1つの自動的に修正された制約に依存するか、又は前記着用者によって提供される前記好みパラメータに依存し、両方の投影間の差が前記所定の閾値を下回っているかどうかを判定する際に、前記重みを考慮に入れる、請求項7~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
ステップ(f)が、ユーザからの要求に応じて、前記眼鏡フレームを更に変更することを更に含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
眼鏡フレームを提供するためのシステムであって、
少なくとも1つのプロセッサであって、
(a)前記眼鏡フレームの初期表現に関連する初期情報を取得し、
(b)
- 前記眼鏡フレームの所定の着用者の顔に関連する形態学的パラメータ、及び
- 前記着用者が提供する好みパラメータ、
を含むグループにおいて採用された、少なくとも1つの着用者パラメータを取得し、
(c)
- 前記眼鏡フレームの幾何学的形状に関連するパラメータ、
- 前記眼鏡フレームの材料に関連するパラメータ、及び
- 前記眼鏡フレームを製造するための製造技術に関連するパラメータ、
を含むグループにおいて採用された、少なくとも1つの眼鏡フレームパラメータを取得し、
(d)前記少なくとも1つのプロセッサによって、前記眼鏡フレームの3D表現に関連するデータセットを、少なくとも、
- 前記初期情報、及び
- 前記取得された少なくとも1つの着用者パラメータ又は少なくとも1つの自動的に変更された着用者パラメータ、及び
- 前記取得された少なくとも1つの眼鏡フレームパラメータ又は少なくとも1つの自動的に変更された眼鏡フレームパラメータ、及び
- 両方とも前記眼鏡フレームの幾何学的形状に関連している、少なくとも1つの制約又は少なくとも1つの自動的に変更された制約、
から、前記眼鏡フレームの3D表現に関連するデータセットを取得し、
前記取得されたデータセットから前記眼鏡フレームの前記3D表現を自動的に提供し、
(e)少なくとも1つの評価基準を前記眼鏡フレームの前記3D表現に適用して、前記眼鏡フレームの前記3D表現が前記少なくとも1つの制約を満たすかどうかを判定し、
(f)前記眼鏡フレームの前記3D表現が前記少なくとも1つの制約及び前記少なくとも1つの自動的に変更された制約のうちの少なくとも1つの制約を満たさない限り、前記少なくとも1つの自動的に変更された着用者パラメータ、及び/又は前記少なくとも1つの自動的に変更された眼鏡フレームパラメータ、及び/又は前記少なくとも1つの自動的に変更された制約で、ステップ(d)及び(e)を繰り返す、
ように構成された、少なくとも1つのプロセッサ、を備え、
これにより、前記眼鏡フレームの3D最終表現に関連する、制約に準拠したデータセットを自動的に提供する、システム。
【請求項15】
プロセッサにアクセス可能な1つ以上の命令シーケンスを含むコンピュータプログラム製品であって、前記命令シーケンスは、前記プロセッサによって実行されると、前記プロセッサに、
(a)前記眼鏡フレームの初期表現に関連する初期情報を取得させ、
(b)
- 前記眼鏡フレームの所定の着用者の顔に関連する形態学的パラメータ、及び
- 前記着用者が提供する好みパラメータ、
を含むグループにおいて採用された、少なくとも1つの着用者パラメータを取得させ、
(c)
- 前記眼鏡フレームの幾何学的形状に関連するパラメータ、
- 前記眼鏡フレームの材料に関連するパラメータ、及び
- 前記眼鏡フレームを製造するための製造技術に関連するパラメータ、
を含むグループにおいて採用された、少なくとも1つの眼鏡フレームパラメータを取得させ、
(d)少なくとも1つのプロセッサによって、前記眼鏡フレームの3D表現に関連するデータセットを、少なくとも、
- 前記初期情報、及び
- 前記取得された少なくとも1つの着用者パラメータ又は少なくとも1つの自動的に変更された着用者パラメータ、及び
- 前記取得された少なくとも1つの眼鏡フレームパラメータ又は少なくとも1つの自動的に変更された眼鏡フレームパラメータ、及び
- 両方とも前記眼鏡フレームの幾何学的形状に関連している、少なくとも1つの制約又は少なくとも1つの自動的に変更された制約、
から、前記眼鏡フレームの3D表現に関連するデータセットを取得させ、
前記取得されたデータセットから前記眼鏡フレームの前記3D表現を自動的に提供させ、
(e)少なくとも1つの評価基準を前記眼鏡フレームの前記3D表現に適用して、前記眼鏡フレームの前記3D表現が前記少なくとも1つの制約を満たすかどうかを判定させ、
(f)前記眼鏡フレームの前記3D表現が前記少なくとも1つの制約及び前記少なくとも1つの自動的に変更された制約のうちの少なくとも1つの制約を満たさない限り、前記少なくとも1つの自動的に変更された着用者パラメータ、及び/又は前記少なくとも1つの自動的に変更された眼鏡フレームパラメータ、及び/又は前記少なくとも1つの自動的に変更された制約で、ステップ(d)及び(e)を繰り返させ、
これにより、前記眼鏡フレームの3D最終表現に関連する、制約に準拠したデータセットを自動的に提供する、コンピュータプログラム製品。
【請求項16】
非一時的情報記憶媒体であって、プロセッサにアクセス可能な1つ以上の命令シーケンスを記憶し、前記命令シーケンスは、前記プロセッサによって実行されると、前記プロセッサに、
(a)前記眼鏡フレームの初期表現に関連する初期情報を取得させ、
(b)
- 前記眼鏡フレームの所定の着用者の顔に関連する形態学的パラメータ、及び
- 前記着用者が提供する好みパラメータ、
を含むグループにおいて採用された、少なくとも1つの着用者パラメータを取得させ、
(c)
- 前記眼鏡フレームの幾何学的形状に関連するパラメータ、
- 前記眼鏡フレームの材料に関連するパラメータ、及び
- 前記眼鏡フレームを製造するための製造技術に関連するパラメータ、
を含むグループにおいて採用された、少なくとも1つの眼鏡フレームパラメータを取得させ、
(d)少なくとも1つのプロセッサによって、前記眼鏡フレームの3D表現に関連するデータセットを、少なくとも、
- 前記初期情報、及び
- 前記取得された少なくとも1つの着用者パラメータ又は少なくとも1つの自動的に変更された着用者パラメータ、及び
- 前記取得された少なくとも1つの眼鏡フレームパラメータ又は少なくとも1つの自動的に変更された眼鏡フレームパラメータ、及び
- 両方とも前記眼鏡フレームの幾何学的形状に関連している、少なくとも1つの制約又は少なくとも1つの自動的に変更された制約、
から、前記眼鏡フレームの3D表現に関連するデータセットを取得させ、
前記取得されたデータセットから前記眼鏡フレームの前記3D表現を自動的に提供させ、
(e)少なくとも1つの評価基準を前記眼鏡フレームの前記3D表現に適用して、前記眼鏡フレームの前記3D表現が前記少なくとも1つの制約を満たすかどうかを判定させ、
(f)前記眼鏡フレームの前記3D表現が前記少なくとも1つの制約及び前記少なくとも1つの自動的に変更された制約のうちの少なくとも1つの制約を満たさない限り、前記少なくとも1つの自動的に変更された着用者パラメータ、及び/又は前記少なくとも1つの自動的に変更された眼鏡フレームパラメータ、及び/又は前記少なくとも1つの自動的に変更された制約で、ステップ(d)及び(e)を繰り返させ、
これにより、前記眼鏡フレームの3D最終表現に関連する、制約に準拠したデータセットを自動的に提供する、非一時的情報記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、眼鏡フレームを提供するための方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
最先端技術では、眼鏡フレームのカスタマイズには、通常、眼鏡フレームの「ユーザ」に加えて、いくつかのタイプの専門家が関与する。「ユーザ」とは、眼鏡フレームを着用しているか又は使用している人、言い換えれば、カスタマイズ又はパーソナライズされた眼鏡の入手に関心のある顧客のことである。
【0003】
非限定的な例として、これらの「専門家のいくつかのタイプ」には、眼鏡フレームデザイナ及び/又は眼科用レンズデザイナ及び/又はフレーム製造業者及び/又は眼科用レンズ製造業者及び/又は(ECPとも呼ばれる)アイケア専門家が含まれる。
【0004】
提案された眼鏡フレームが、ユーザと、デザイン、製造、及び販売に携わる専門家との両方に受け入れられるまで、ユーザの審美的及び場合によっては技術的な好み、又はそのユーザによって表されたコスト基準に基づいて、それらの専門家による複数のアクション及びそのような専門家間の相互作用が、一般的に、カスタマイズのプロセスにおいて行われる。
【0005】
しかしながら、ユーザの要求を完全に満たすことができない場合がある。最悪の場合、それらの要求をまったく満たすことができない。
【0006】
これは、利用可能な標準フレームの再鋳造、又は処方の特性値(補正、若しくは色合い、又は他のレンズ要件)を有するレンズのカスタマイズされたフレームへの適合、のいずれかによる法外な費用のために、所望の眼鏡フレームが入手可能でないためであり得る。
【0007】
加えて、ユーザは、そのような実行不可能性について単に通知される前に、長い間待たなければならない場合がある。すなわち、ECPはまた、多くの場合、ユーザの要求に関係する他の専門家から、ユーザが望むカスタマイズされた眼鏡フレームの技術的実現可能性に関する肯定的若しくは否定的な応答を取得するか、又はユーザの好みの全てに完全には一致しない眼鏡フレームの提案を伴う応答を取得するか、のいずれかまで、待機しなければならない。
【0008】
したがって、顧客の全ての好み又は要求を満たすことができるかどうかを手動で判定することは、多くの場合、不可能ではないにしても、非常に難しい。
【0009】
更に、ユーザが表現したカスタマイズの好みが満足のいく人間工学と両立しないことが分かり得るため、最終的な提案がユーザの着用にとって快適でないことになるリスクが存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示の目的は、先行技術の上述した欠点を克服することである。
【0011】
そのために、本開示は、眼鏡フレームを提供するためのコンピュータ実施方法を提供し、方法は、以下のステップ:
(a)眼鏡フレームの初期表現に関連する初期情報を取得することと、
(b)
- 眼鏡フレームの所定の着用者の顔に関連する形態学的パラメータ、及び
- 着用者が提供する好みパラメータ、
を含むグループにおいて採用された、少なくとも1つの着用者パラメータを取得することと、
(c)
- 眼鏡フレームの幾何学的形状に関連するパラメータ、
- 眼鏡フレームの材料に関連するパラメータ、及び
- 眼鏡フレームを製造するための製造技術に関連するパラメータ、
を含むグループにおいて採用された、少なくとも1つの眼鏡フレームパラメータを取得することと、
(d)少なくとも1つのプロセッサによって、眼鏡フレームの3D表現に関連するデータセットを、少なくとも、
- 上記の初期情報、及び
- 取得された少なくとも1つの着用者パラメータ又は少なくとも1つの自動的に変更された着用者パラメータ、及び
- 取得された少なくとも1つの眼鏡フレームパラメータ又は少なくとも1つの自動的に変更された眼鏡フレームパラメータ、及び
- 両方とも眼鏡フレームの幾何学的形状に関連している、少なくとも1つの制約又は少なくとも1つの自動的に変更された制約、
から取得し、
取得されたデータセットから眼鏡フレームの3D表現を自動的に提供することと、
(e)眼鏡フレームの3D表現に少なくとも1つの評価基準を適用して、眼鏡フレームの3D表現が少なくとも1つの制約を満たすかどうかを判定することと、
(f)眼鏡フレームの3D表現が少なくとも1つの制約及び少なくとも1つの自動的に変更された制約のうちの少なくとも1つの制約を満たさない限り、少なくとも1つの自動的に変更された着用者パラメータ、及び/又は少なくとも1つの自動的に変更された眼鏡フレームパラメータ、及び/又は少なくとも1つの自動的に変更された制約で、ステップ(d)及び(e)を繰り返すことと、
を含み、
これにより、眼鏡フレームの3D最終表現に関連する、制約に準拠したデータセットを自動的に提供する。
【0012】
したがって、本開示は、たとえ顧客が連続する可能なフレームを提示されているときに非常に多くの変更を求めた場合でも、完全に自動化された方式で、瞬時にデザイン及び計算されるカスタマイズされた一対の眼鏡を、顧客に提供することを可能にする。これは、本開示による方法が、必要に応じて、顧客の要求を考慮し、それに応じて一対の眼鏡の製造用の製造プロセス及び想定され得る材料に対する制約を適合させながら、眼鏡フレームの全ての特性を即座に再計算することを可能にするためである。
【0013】
その結果、カスタマイズに対する顧客のニーズを、スマート、迅速、且つ効率的な方式で満たすことができる。
【0014】
同時に、本方法は、眼鏡フレームの幾何学的形状に関連する制約の形態でフレーム作成ルールを考慮して、完全に自動化された方式で、顧客が選択したカスタマイズに関係なく、人間のユーザが着用することを目的とした眼鏡フレームとして機能するように適合されたフレームを提供し、又は実現不可能性を導出する。
【0015】
同時に、本方法は、完全に自動化された方式で、そのような形態に適合したフレームを提供するために、着用者の形態学的パラメータを考慮に入れる。したがって、本開示は、顧客が望むカスタマイズが何であれ、着用者にとって、カスタマイズされた眼鏡フレームを快適に保つことを可能にする。これはまた、顧客が最終的な着用者である場合もそうでない場合もあり、且つ着用者がカスタマイズされた一対の眼鏡を試着するために必ずしも物理的に立ち会う必要がないため、有利である。
【0016】
一実施形態では、眼鏡フレームの初期表現に関連する初期情報を取得するステップ(a)は、人工知能を使用することによって初期情報を生成することを含み得る。
【0017】
一実施形態では、ステップ(d)に関連して上述された少なくとも1つの制約のうちの少なくとも1つは、眼鏡フレームパラメータのうちの少なくとも1つに依存する。
【0018】
一実施形態では、ステップ(e)において、評価基準を適用することは、初期情報から得られた2D投影を眼鏡フレームの3D表現の2D投影と比較して、両方の投影間の差が所定の閾値を下回っているかどうかを判定することを含み得る。
【0019】
一実施形態では、そのような比較は、比較された2D投影のうちの少なくとも1つの所定の位置において、その比較された2D投影間の差を取得することを含み得る。
【0020】
眼鏡フレームが少なくとも1つのリム部分を有する一実施形態では、上記の所定の位置は、比較された2D投影の比較されたそれぞれのリム部分上にあってもよい。
【0021】
眼鏡フレームが少なくとも1つの眼科用レンズを備えている一実施形態では、上記の所定の位置は、比較された2D投影の比較されたそれぞれの眼科用レンズ上にあってもよい。
【0022】
眼鏡フレームがブリッジを有する一実施形態では、上記の所定の位置は、比較された2D投影の比較されたそれぞれのブリッジ上にあってもよい。
【0023】
一実施形態では、初期情報から得られた2D投影の眼鏡フレームの3D表現の2D投影との上記の比較は、眼鏡フレームの少なくとも1つの所定の領域における2D投影の曲率を比較することを更に含み得る。
【0024】
一実施形態では、初期情報から得られた2D投影と眼鏡フレームの3D表現の2D投影との上述の比較は、2D投影において所定の数の関心領域を定義し、2D投影の対応する関心領域を比較することを更に含み得る。
【0025】
本開示はまた、眼鏡フレームを提供するためのシステムを提供し、システムは、
少なくとも1つのプロセッサであって、
(a)眼鏡フレームの初期表現に関連する初期情報を取得し、
(b)
- 眼鏡フレームの所定の着用者の顔に関連する形態学的パラメータ、及び
- 着用者が提供する好みパラメータ、
を含むグループにおいて採用された、少なくとも1つの着用者パラメータを取得し、
(c)
- 眼鏡フレームの幾何学的形状に関連するパラメータ、
- 眼鏡フレームの材料に関連するパラメータ、及び
- 眼鏡フレームを製造するための製造技術に関連するパラメータ、
を含むグループにおいて採用された、少なくとも1つの眼鏡フレームパラメータを取得し、
(d)少なくとも1つのプロセッサによって、眼鏡フレームの3D表現に関連するデータセットを、少なくとも、
- 上記の初期情報、及び
- 取得された少なくとも1つの着用者パラメータ又は少なくとも1つの自動的に変更された着用者パラメータ、及び
- 取得された少なくとも1つの眼鏡フレームパラメータ又は少なくとも1つの自動的に変更された眼鏡フレームパラメータ、及び
- 両方とも眼鏡フレームの幾何学的形状に関連している、少なくとも1つの制約又は少なくとも1つの自動的に変更された制約、
から取得し、
取得されたデータセットから眼鏡フレームの3D表現を自動的に提供し、
(e)眼鏡フレームの3D表現に少なくとも1つの評価基準を適用して、眼鏡フレームの3D表現が少なくとも1つの制約を満たすかどうかを判定し、
(f)眼鏡フレームの3D表現が少なくとも1つの制約及び少なくとも1つの自動的に変更された制約のうちの少なくとも1つの制約を満たさない限り、少なくとも1つの自動的に変更された着用者パラメータ、及び/又は少なくとも1つの自動的に変更された眼鏡フレームパラメータ、及び/又は少なくとも1つの自動的に変更された制約で、ステップ(d)及び(e)を繰り返す、
ように構成された、少なくとも1つのプロセッサを備え、
これにより、眼鏡フレームの3D最終表現に関連する、制約に準拠したデータセットを自動的に提供する。
【0026】
本開示によるシステムは、方法に関連して上記でリストした利点を有するだけでなく、加えて、本開示によるシステムは、所与の顧客に適した眼鏡フレームを作り上げるプロセスに関与する、デザイナ、製造業者、及び顧客などの様々な関係者が互いに協調することを可能にする。その結果、関係者は互いに協業することができ、各関係者は、関与する他の関係者のいずれかによって提供される全てのデータにアクセスすることができる。
【0027】
本開示はまた、プロセッサにアクセス可能な1つ以上の命令シーケンスを含むコンピュータプログラム製品を提供し、命令シーケンスは、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、
(a)眼鏡フレームの初期表現に関連する初期情報を取得させ、
(b)
- 眼鏡フレームの所定の着用者の顔に関連する形態学的パラメータ、及び
- 着用者が提供する好みパラメータ、
を含むグループにおいて採用された、少なくとも1つの着用者パラメータを取得させ、
(c)
- 眼鏡フレームの幾何学的形状に関連するパラメータ、
- 眼鏡フレームの材料に関連するパラメータ、及び
- 眼鏡フレームを製造するための製造技術に関連するパラメータ、
を含むグループにおいて採用された、少なくとも1つの眼鏡フレームパラメータを取得させ、
(d)少なくとも1つのプロセッサによって、眼鏡フレームの3D表現に関連するデータセットを、少なくとも、
- 上記の初期情報、及び
- 取得された少なくとも1つの着用者パラメータ又は少なくとも1つの自動的に変更された着用者パラメータ、及び
- 取得された少なくとも1つの眼鏡フレームパラメータ又は少なくとも1つの自動的に変更された眼鏡フレームパラメータ、及び
- 両方とも眼鏡フレームの幾何学的形状に関連している、少なくとも1つの制約又は少なくとも1つの自動的に変更された制約、
から取得させ、
取得されたデータセットから眼鏡フレームの3D表現を自動的に提供させ、
(e)眼鏡フレームの3D表現に少なくとも1つの評価基準を適用して、眼鏡フレームの3D表現が少なくとも1つの制約を満たすかどうかを判定させ、
(f)眼鏡フレームの3D表現が少なくとも1つの制約及び少なくとも1つの自動的に変更された制約のうちの少なくとも1つの制約を満たさない限り、少なくとも1つの自動的に変更された着用者パラメータ、及び/又は少なくとも1つの自動的に変更された眼鏡フレームパラメータ、及び/又は少なくとも1つの自動的に変更された制約で、ステップ(d)及び(e)を繰り返させ、
これにより、眼鏡フレームの3D最終表現に関連する、制約に準拠したデータセットを自動的に提供する。
【0028】
本開示はまた、プロセッサにアクセス可能な1つ以上の命令シーケンスを記憶する非一時的情報記憶媒体を提供し、命令シーケンスは、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、
(a)眼鏡フレームの初期表現に関連する初期情報を取得させ、
(b)
- 眼鏡フレームの所定の着用者の顔に関連する形態学的パラメータ、及び
- 着用者が提供する好みパラメータ、
を含むグループにおいて採用された、少なくとも1つの着用者パラメータを取得させ、
(c)
- 眼鏡フレームの幾何学的形状に関連するパラメータ、
- 眼鏡フレームの材料に関連するパラメータ、及び
- 眼鏡フレームを製造するための製造技術に関連するパラメータ、
を含むグループにおいて採用された、少なくとも1つの眼鏡フレームパラメータを取得させ、
(d)少なくとも1つのプロセッサによって、眼鏡フレームの3D表現に関連するデータセットを、少なくとも、
- 上記の初期情報、及び
- 取得された少なくとも1つの着用者パラメータ又は少なくとも1つの自動的に変更された着用者パラメータ、及び
- 取得された少なくとも1つの眼鏡フレームパラメータ又は少なくとも1つの自動的に変更された眼鏡フレームパラメータ、及び
- 両方とも眼鏡フレームの幾何学的形状に関連している、少なくとも1つの制約又は少なくとも1つの自動的に変更された制約、
から取得させ、
取得されたデータセットから眼鏡フレームの3D表現を自動的に提供させ、
(e)眼鏡フレームの3D表現に少なくとも1つの評価基準を適用して、眼鏡フレームの3D表現が少なくとも1つの制約を満たすかどうかを判定させ、
(f)眼鏡フレームの3D表現が少なくとも1つの制約及び少なくとも1つの自動的に変更された制約のうちの少なくとも1つの制約を満たさない限り、少なくとも1つの自動的に変更された着用者パラメータ、及び/又は少なくとも1つの自動的に変更された眼鏡フレームパラメータ、及び/又は少なくとも1つの自動的に変更された制約で、ステップ(d)及び(e)を繰り返させ、
これにより、眼鏡フレームの3D最終表現に関連する、制約に準拠したデータセットを自動的に提供する。
【0029】
コンピュータプログラム製品及び非一時的情報記憶媒体は、方法及びシステムに関して上記でリストされたものと同様の利点を有するため、それらの利点はここでは繰り返さない。
【0030】
本明細書で提供される記載及びその利点をより詳細に理解するために、添付の図面及び詳細な説明に関連してここで以下の簡単な説明を参照し、ここで、同様の参照番号は、同様の部品を表す。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】特定の実施形態における、本開示による眼鏡フレームを提供するための方法のステップを示すフローチャートである。
【
図2】特定の実施形態における、本開示による眼鏡フレームを提供するためのシステムの概略図である。
【
図3】特定の実施形態における、本開示による方法によって提供され得る眼鏡フレームの非限定的な例の概略図である。
【
図4】本開示の方法に従って比較される眼鏡フレームの2つの重ね合わされた2D投影の概略図であり、眼鏡フレームの幾何学的形状が、本開示をよりよい理解のために図面において簡略化されている。
【
図5】本開示の方法による眼鏡フレームの2つの2D投影の概略図である。
【
図6】特定の実施形態における、本開示の方法において使用される、半分の外側フレーム形状の曲率図の非限定的な例の概略図である。
【
図7】特定の実施形態における、
図6と同じフレームデザインの異なるサイズの概略図であり、本開示による方法において
図6の曲率図を使用することによって異なるサイズが得られている。
【
図8】特定の実施形態における、本開示による方法を使用することによって得られた、異なるノーズフィットを有する2つの眼鏡フレームの概略図である。
【
図9】特定の実施形態における、本開示による眼鏡フレームを提供するためのシステムに含まれるデザインデータベースに顧客がカスタマイズの好みを入力することを可能にするためのツールの非限定的な例を示す概略図である。
【
図10】
図9のツールを使用して顧客が以前に入力した顧客のカスタマイズの好みに従って顧客に提案された、眼鏡フレームの様々なモデルのリストの非限定的な例の概略図である。
【
図11】特定の実施形態における、本開示による眼鏡フレームを提供するためのシステムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下の説明では、様々な実施形態の作成及び使用が以下で詳細に論じられるが、本明細書に記載されるように、多様な状況で具体化されてもよい多くの発明の概念が提供されることを理解されたい。本明細書で論じられる実施形態は、単に代表的なものに過ぎず、本開示の範囲を限定するものではない。当業者には、プロセスに関連して定義される全ての技術的特徴が個別に又は組み合わせてデバイスに置き換えることができ、逆にデバイスに関連する全ての技術的特徴が個別に又は組み合わせてプロセスに置き換えることができ、異なる実施形態の技術的特徴が、他の実施形態の特徴と交換又は組み合わせることができることも明らかであろう。
【0033】
用語「備える(comprise)」(並びに「備える(comprises)」及び「備える(comprising)」等のそのいずれかの文法的変形形態)、「有する(have)」(並びに「有する(has)」及び「有する(having)」等のそのいずれかの文法的変形形態)、「含有する(contain)」(並びに「含有する(contains)」及び「含有する(containing)」等のそのいずれかの文法的変形形態)並びに「含む(include)」(並びに「含む(includes)」及び「含む(including)」等のそのいずれかの文法的変形形態)は、オープンエンドの連結動詞である。これらは、述べられる特徴、整数、工程若しくは構成要素、又はこれらのグループの存在を規定するために用いられるが、1つ以上の他の特徴、整数、工程若しくは構成要素、又はこれらのグループの存在又は追加を排除するものではない。結果として、1つ以上の工程又は要素を「備える(comprises)」、「有する(has)」、「含有する(contains)」又は「含む(includes)」方法又は方法における工程は、それらの1つ以上の工程又は要素を有するが、それらの1つ以上の工程又は要素のみを有することに限定されない。
【0034】
本開示の条件内のプロセッサは、専用のハードウェア、並びに適切なソフトウェアに伴ってソフトウェアを実行することができるハードウェアを備え得る。これは、単一の専用プロセッサ、単一の共有プロセッサ、又は複数の個別のプロセッサで構成され、それらのいくつかは共有され得る。更に、「プロセッサ」という用語の明示的な使用は、ソフトウェアを実行することができるハードウェアを排他的に指すと解釈されるべきではなく、一般的な方法で、例えばコンピュータ、マイクロプロセッサ、集積回路、又はプログラマブルロジックデバイス(PLD)を含み得る処理デバイスを指す。加えて、関連する機能及び/又は結果として生じる機能を実行することを可能にする命令及び/又はデータは、例えば、集積回路、ハードディスク、CD(コンパクトディスク)、DVD(デジタル多用途ディスク)、RAM(ランダムアクセスメモリ)、ROM(読み取り専用メモリ)などの光ディスクなどの、任意のプロセッサ読み取り可能な媒体に記憶され得る。命令は、特にハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又は任意のそれらの組み合わせに記憶され得る。
【0035】
本開示によるコンピュータ実施方法は、眼鏡フレームを提供するためのものである。本方法は、いくつかの主要なフェーズ、すなわち、デザインの作成、デザインの選択、デザインの変更、場合によってはフレームの製造、を含む。
【0036】
特定の実施形態では、本開示による方法は、完全に自動化された方式で、完全に又は部分的にカスタマイズされた眼鏡フレームを人間の個人に提供する。
【0037】
非限定的な例として、個人とは、眼鏡フレームを注文することを意図する若しくは注文する顧客、及び/又はカスタマイズした後に眼鏡フレームを購入することを意図する若しくは購入する顧客であり得る。個人は、自身のため(したがって、個人は自身が眼鏡の着用者であり得る)、又は他の人のためにそのような眼鏡フレームをカスタマイズした後に他の誰かのため、注文又は購入することができる。
【0038】
注文又は購入は、物理的な、すなわち実際の店又は店舗で行われてもよく、開示による方法は、コンピュータ、タブレット、スマートフォン、又は他の任意の電子デバイス上で実行する。変形例として、個人は、ECPからの支援なしに、100%オンラインで、すなわちインターネット上で、眼鏡を注文及び/又は購入することができる。
【0039】
図1のフローチャートを参照すると、特定の実施形態では、本開示による方法は、以下に詳述されるステップ(a)~(g)を含む。ステップ(a)、(b)、及び(c)は、少なくとも部分的に同時に実行することを含む、任意の順序で実行することができる。
【0040】
本開示による方法は、提供される眼鏡フレームの初期表現に関連する初期情報を自動的に取得するステップ(a)を含む。
【0041】
非限定的な例として、そのような「初期情報」は、既存の眼鏡フレームから検索されてもよく、又は眼鏡フレームの2次元(以降、「2D」と呼ばれる)スケッチであってもよく、そのようなスケッチは、そのスケッチの一部又はその全体のいずれかに対して、例えば、コンピュータ及び/又はタブレット及び/又はスマートフォン又は他の電子機器上で、電子形式で直接、人間の眼鏡フレームデザイナによって作成されている。
【0042】
別の可能性として、眼鏡フレームの2Dスケッチは、ペン又は他の非仮想の書き込み、描画、又はペイントツールを用いて、デザイナによって1枚の紙上に作成されて、スキャンされ得るか、又は他の方法でデジタルデータセットに変換されてもよく、そのようなデータセットは、データベース内、ハードウェア電子デバイス上、又はインターネットなどの電気通信ネットワーク上、例えばクラウド内に含まれ得る永続的ファイル又は一時的ファイルに含まれている。言い換えれば、初期情報を取得する上記のステップは、データベースからその初期情報を検索することを含み得る。
【0043】
更に別の可能性として、スケッチは、フレームデザイナによって考案若しくは提供されたフレームのプロトタイプの暫定バージョン又は最終バージョン、又はフレームデザイナによって考案若しくは提供されたフレームの形状の暫定バージョン又は最終バージョン、又はフレームデザイナによって考案若しくは提供されたフレームのモデルの暫定バージョン又は最終バージョンなどの、眼鏡のフレームの3次元(以降、「3D」と呼ばれる)表現であり得る。そのような3Dスケッチは、例えば、コンピュータ支援又はコンピュータ支援デザイン(CAD)ツール上で利用可能であり得、又は例えば、従来型及び/又は積層造形を伴うプロセスである、製造プロセスの結果であり得る。
【0044】
更に別の実施形態では、上記の初期情報を取得するステップ(a)は、人工知能又は機械学習を使用することによって初期情報を生成することを含み得る。例えば、ニューラルネットワークは、人間のデザイナ又はECPによって適切に訓練することができ、以前に学習したフレームデザインに基づいて、元の眼鏡フレームを自動的にスケッチするために使用され得る。
【0045】
ステップ(a)において、非限定的な例として、例えばデータベース20からデータを自動的に受信することによって(特に
図2を参照して本開示によるシステムの以下の説明を参照)、又はデータベース20からデータを自動的にダウンロード又は他の方法で検索することによって、本開示による方法は、「初期情報」として、2Dスケッチに関連するデータセット、又はスケッチが3次元(以降、「3D」と呼ばれる)の場合のスケッチの2D投影に関連するデータセットを取得する。
【0046】
初期情報は、幾何学的形状データ用のIGES、SVG、若しくはPDF(ベクトル)、AI(Adobe(登録商標)Illustrator(登録商標))、又はSTEPなどの、様々な標準フォーマットのデータファイルで取得又は提供され得る。
【0047】
図2に示されるように、デザイナは、数百又は数千のデザイナによって入力され得る、データベース20などのデータベースに、デザインをアップロードすることができる。したがって、各デザイナは、ユーザ(ECP、又はオンライン着用者、又はフレーム及びレンズの製造者を含むアイウェア製造者などの任意の他の顧客)に次いで提供されることになる異なるデザインを提案することができる。
【0048】
図2の「ユーロ」矢印で示されているように、眼鏡フレームデザイナは、ユーザから、又は例えば眼鏡製造者から、又はデータベース20の管理者からお金を獲得することができる。
【0049】
加えて、特定の実施形態における開示による眼鏡フレームを提供するためのシステムのおかげで、いくつかの特定のサービス、すなわち、
- 以前にアップロードされたたデザインとの類似点が過度に多く存在するデザインをアップロードすることが可能でないように、自身の新しいデザインを既存のデザインと比較するための1つ以上のソリューション、
- トレンド又は着用者からのフィードバックに応じて調整するように、デザイナが自身のアップロードされたデザインを変更することを可能にするための1つ以上のソリューション、
- 着用者がデザインを(例えば、快適さや審美について)ランク付けし、又は推奨事項を与えることができるように、着用者からのフィードバックを取得するためのサービス、
などが、人間のデザイナに提供され得る。このように、デザイナは、自身のデザインの関連性を評価し、着用者のフィードバックに従ってそれを適合/変更することができ、
- デザイン仕様に従って眼鏡フレームを製造することができる製造者のリストをデザイナに提供するためのサービスを行うことができ、
- その他、
任意選択的に、眼鏡フレームの初期表現は、
図2に示されるフレームデザインデータベース20などのデータベースを介して、ユーザ(ECP、又は着用者、又は他の顧客)に利用可能にされ得る。データベースには、リモートでアクセスすることができる。したがって、ユーザは、例えば審美的及び/又は人間工学の考慮事項に基づいて、自身のニーズが最もよく叶うデザインを取得するための好みを表すことができる。
【0050】
非限定的な例として、眼鏡フレームの初期表現は、フレームの前面のデザインを含み得る。
【0051】
任意選択的に、ステップ(a)において、眼鏡フレームのテンプル又はヒンジのデザインもまた、人間又は仮想のデザイナによって提案され得る。この点に関して、眼鏡フレームのテンプル及びヒンジの非限定的な例を示す一目瞭然の
図3を参照することができる。変形例では、ステップ(a)において取得された眼鏡の表現がない場合、眼鏡フレームのテンプル又はヒンジのデザインは、ステップ(c)又は(d)において自動的に判定され得る。
【0052】
一実施形態では、異なる眼鏡フレームデザイナは、眼鏡フレームモデルを提案することができ、検討されたモデルがデータベース20に以前にアップロードされた可能性のある審美的及び快適性ルールに準拠しているとすぐに、フレームデザインデータベース20などのデータベースにアップロードすることができる。
【0053】
本開示による方法はまた、少なくとも1つの着用者パラメータPw、すなわち、眼鏡を着用している人に関連する1つ以上のパラメータを取得するステップ(b)を含む。すなわち、眼鏡フレームのデザインは、様々なパラメータに応じてカスタマイズされ得る。
【0054】
着用者パラメータは、
- 例えば、我々が提供した写真を使用することによって、又は着用者が物理的に存在するか若しくは画像キャプチャデバイスを備えている場合に着用者の3D顔スキャンを実行することによって、取得され得る、フレームの所定の着用者の顔に関連する形態学的パラメータ、例えば、場合によっては、耳の位置及び/若しくは眼窩の位置での頭のサイズを含み、及び/又は場合によっては、眉の位置、頬骨、鼻のサイズ、髪、若しくは肌の色などを含む可能性がある顔の形態、
- ユーザ(ECP、着用者、又は他の顧客)によって提供される好みパラメータ、すなわち、眼鏡フレームをカスタマイズするための寄与としてユーザが提供するパラメータ、
の中から、採用され得る。
【0055】
非限定的な例として、着用者によって又はより一般的には任意のユーザによって提供される好みパラメータは、一般的な外観、スタイル、形状(例えば、長方形、正方形、円形、楕円形、キャットアイ、バタフライ、アビエイタ、クラシック…、
図9で提案されているフレーム形状の例を参照)、眼鏡フレームの材料及び色を含むグループにおいて採用され得る。
【0056】
任意選択的に、フレームをカスタマイズするために、眼鏡フレームにフィットされるレンズのタイプもまた、考慮に入れることができる。
【0057】
本開示による方法はまた、少なくとも1つの眼鏡フレームパラメータPf、すなわち、フレームに関する1つ以上のパラメータを取得するステップ(c)を含む。
【0058】
フレームパラメータは、
- 眼鏡フレームの幾何学的形状に関連するパラメータ、
- 眼鏡フレームの材料に関連するパラメータ、及び
- 眼鏡フレームを製造するための製造技術に関連するパラメータ、
の中から採用され得る。
【0059】
非限定的な例として、フレームパラメータは、眼鏡フレームの前面に関連し得、したがって、
- 少なくとも2Dでの、フレーム面の内部輪郭又はレンズ形状ジオメトリの形状及び/又は位置、
- 眼鏡フレームがリムレスの場合は内部輪郭と同じであり得る、フレーム面の外部輪郭の形状及び/又は位置、
- ノーズの幾何学的形状及び位置、
- フレームの内部輪郭と外部輪郭との間の差に関連する、エッジの厚さ、
- エンドピースの位置(エンドピースの非限定的な例が
図3に示されている)、
などのフレーム面の1つ以上の幾何学的特徴を含み得る。
【0060】
したがって、大部分の実施形態では、眼鏡フレームの幾何学的形状に関連するパラメータは、フレームのサイズに関連し得るだけでなく、フレームの少なくとも1つの他のタイプの幾何学的形状パラメータを含み得る。
【0061】
フレームパラメータはまた、フレーム面の材料、又は
- 色パターン若しくは色のリスト、
- テクスチャ若しくはテクスチャのリスト、
- フレームの透明度若しくは不透明度、
- 使用される材料、
- パッドの幾何学的形状(
図3に示されるパッドの非限定的な例を参照)、
- テンプル形状の幾何学的形状及び/若しくは材料及び/若しくは装飾的特徴、
- フレームのヒンジの形状及び/又はその高さ方向の位置(
図3のヒンジの非限定的な例を参照)、
- 利用可能な色パターンのリスト、可能な変形の値のリスト及び範囲(パントスコピック角度、ラップ角度、エッジの厚さ範囲、形状変形の割合若しくは変形範囲など)などの、利用可能な眼鏡フレームの変更のリスト(値のタイプ及び範囲)、
- 連続性の順序0、1、若しくは2、若しくは幾何学的形状変形が全くないかほとんどないゾーンなどの幾何学的形状の制約のリスト、
- デザイナ名、眼鏡フレームの名前、ブランド名、フレームスタイルに関する要素、
- 金属インサート、外側エッジの面取り、斜角等、
などのフレームのいくつかの装飾的特徴に関連し得る。
【0062】
フレームパラメータは、ステップ(a)において取得された眼鏡の初期表現から、少なくとも1つのプロセッサを使用して自動的に判定され得る。
【0063】
同様の初期情報のセットは記憶され得るが、いくつかのパラメータのバリエーション、例えば、異なる頭の幅(男性、女性、子供…)に適合するために、同じ審美的側面を有するがサイズが異なる眼鏡フレーム面のセットを伴う。
【0064】
本開示による方法はまた、ステップ(a)、(b)、及び(c)の後に、少なくとも1つのプロセッサによって、眼鏡フレームの3D表現に関連するデータセットを、少なくとも、
- 上記の初期情報、及び
- 取得された少なくとも1つの着用者パラメータPw又は少なくとも1つの自動的に変更された着用者パラメータ、及び
- 取得された少なくとも1つの眼鏡フレームパラメータPf又は少なくとも1つの自動的に変更された眼鏡フレームパラメータ、及び
- 両方とも眼鏡フレームの幾何学的形状に関連している、少なくとも1つの制約又は少なくとも1つの自動的に変更された制約、
から、自動的に取得し、
取得されたデータセットから眼鏡フレームの3D表現を自動的に提供する、ステップ(d)を含む。
【0065】
本開示では、「変数」という用語は、提案された方法によって自動的に変更されるパラメータを指す。したがって、いくつかのパラメータは定数であり、他のパラメータは変数であり、いくつかのパラメータは他のパラメータにバインドされており、これらのパラメータを変更することにより、それにバインドされているパラメータが自動的に変更される。
【0066】
システムはパラメータセットを利用することができ、そのいくつかは、ステップ(b)又は(c)の間に提供される値を有し、全ての他のパラメータは、ステップ(d)中に自動的に割り当てられる値を有し得る。次いで、このように判定されたパラメータセットをステップ(d)において使用して、眼鏡フレームのその3D表現を形成することができる。
【0067】
ステップ(d)において自動的に提供される眼鏡フレームの3D表現は、必ずしもディスプレイに関連しているとは限らない。眼鏡フレームの初期表現と同様に、それは、他の多くの形態をとることができる。非限定的な例として、それは、少なくとも1つのプロセッサによって自動的に処理され、且つステップ(d)において提供される眼鏡フレームの3D表現、フレームの形状又はモデル、積層造形などを使用することによって自動的に製造される可能性のあるプロトタイプ、に関連するデータセットを含むファイルであり得る。
【0068】
ステップ(d)において、任意選択的に、上記のデータセットを取得することでは、製造技術に関連する少なくとも1つの追加の制約を更に考慮に入れる。
【0069】
一実施形態では、少なくとも1つの制約のうちの少なくとも1つは、眼鏡フレームパラメータPfのうちの少なくとも1つに依存し得る。
【0070】
ステップ(d)に続いて、本開示による方法はまた、眼鏡フレームの3D表現に少なくとも1つの評価基準を適用して、眼鏡フレームの3D表現が上記の少なくとも1つの制約を満たすかどうかを判定するステップ(e)を含む。
【0071】
ステップ(e)は、ユーザの介入なしに実行され得る、すなわち、自動化されたステップであり得る。
【0072】
一実施形態では、制約は、一般的な人間の着用者が着用可能な眼鏡フレームとすることを可能にするルールに関連し得る。更なる実施形態では、制約のうちの少なくとも1つは、所定の着用者が着用可能な眼鏡フレームとすることを可能にするルールに関連し得る。
【0073】
更なる実施形態では、制約のうちの少なくとも1つは、フレームの得られた3D表現とフレームの初期表現との間の類似性をチェックするルールに関連し得る。
【0074】
したがって、特定の実施形態では、評価基準は、類似性、又は逆に、フレームの3D最終表現とフレームの初期表現との間の偏差に関連している。
【0075】
一実施形態では、少なくとも1つの評価基準を適用することは、上記の初期情報から得られた2D投影を3D表現の2D投影と比較して、両方の投影間の差が所定の閾値を下回っているかどうかを判定することを含み得る。
【0076】
1つの同じ実施形態に組み合わされても組み合わされなくてもよい様々な実施形態では、そのような比較プロセスは、
- 比較された2D投影の少なくとも1つの所定の位置において、及び/又は
- 比較された2D投影の少なくとも1つの所定の関心領域における少なくとも1つの曲率で、及び/又は
- 少なくとも1つの曲率の導出物に基づいて、
比較された2D投影間の差を取得することを含み得る。
【0077】
一実施形態では、眼鏡フレームの幾何学的形状に関連する制約を変更することにより、所定の関心領域に応じて曲率の比較を自動的に変更することができる。
【0078】
眼鏡フレームが内部輪郭及び外部輪郭を有する前面を有する一実施形態では、上記の所定の位置は、比較された2D投影のそれぞれの前面の比較されたそれぞれの内部輪郭及び/又は外部輪郭上にあってもよい。
【0079】
眼鏡フレームが少なくとも1つのリム部分を有する実施形態では、所定の位置は、比較された2D投影の比較されたそれぞれのリム部分上にあってもよい。
【0080】
眼鏡フレームのリム及び他の部分の非限定的な例は、一目瞭然の
図3に示されている。これは、本開示にわたって使用される眼鏡フレームの周知の用語を例示している。
【0081】
眼鏡フレームが少なくとも1つのレンズ(
図3を参照)又は眼科用レンズを備えている実施形態では、所定の位置は、比較された2D投影の比較されたそれぞれの眼科用レンズ上にあってもよい。
【0082】
図3に示されるように眼鏡フレームがブリッジを有する実施形態では、所定の位置は、比較された2D投影の比較されたそれぞれのブリッジ上にあってもよい。
【0083】
一実施形態では、上述の初期情報から得られた2D投影と上述の3D表現の2D投影との比較は、眼鏡フレームの少なくとも1つの所定の領域における2D投影の曲率を比較することを更に含み得る。
【0084】
一実施形態では、上述の初期情報から得られた2D投影と上述の3D表現の2D投影との比較は、2D投影において所定の数の関心領域を定義し、2D投影の対応する関心領域を比較することを更に含み得る。
【0085】
一実施形態では、上記の初期情報から得られた2D投影と上述の3D表現の2D投影との比較は、それぞれの所定の重みを所定の関心位置に割り当てることを更に含み得る。重みは、少なくとも1つの制約若しくは少なくとも1つの自動的に修正された制約、又は着用者パラメータPwに関連して着用者によって提供された好みパラメータに依存し得る。次いで、両方の投影間の差が上記の所定の閾値を下回っているかどうかを判断する際に、重みが考慮される。
【0086】
変形例として、フレームは、眼鏡フレームの初期表現から開始して、デザイン目標及びデザイン制約を与え、次いで最終デザインがデザイン目標及びデザイン制約を尊重したデザインに可能な限り近くなるようにフレームパラメータを変更する、デザインの最適化に基づいて、カスタマイズすることができる。
【0087】
次いで、ステップ(f)において、本開示による方法は、ステップ(d)で自動的に提供された、眼鏡フレームの3D表現が少なくとも1つの制約及び少なくとも1つの自動的に変更された制約のうちの少なくとも1つの制約を満たさない限り、少なくとも1つの自動的に変更された着用者パラメータ、及び/又は少なくとも1つの自動的に変更された眼鏡フレームパラメータ、及び/又は少なくとも1つの自動的に変更された制約で、ステップ(d)及び(e)を繰り返すことを含み、これにより、眼鏡フレームの3D最終表現に関連する、制約に準拠したデータセットを自動的に提供する。
【0088】
眼鏡フレームが、内部輪郭、外部輪郭を有する前面を有し、新しい中間輪郭、すなわち、内部輪郭と外部輪郭との間の新しい輪郭がステップ(f)から生じる一実施形態では、所定の位置は、比較された2D投影のその比較されたそれぞれの中間輪郭上にあってもよい。
【0089】
ユーザは、提供されたフレームが自身にとって満足のいくものであるかどうかを決定するために、自身が仮想的にフレームを試すことができるような方式で、眼鏡フレームの3D表現を提示され得る。
【0090】
特定の実施形態では、ステップ(f)はまた、そのユーザによって初期に表され得る好みから生じる変更に加えて、ユーザからの要求に応じて眼鏡フレームを更に変更することを含み得る。これは、例えば、ユーザが提供されたフレームに満足できない場合に当てはまる。
【0091】
カスタマイズ手順(d)~(f)において、非常に多数のパラメータがカスタマイズされ得る。それにもかかわらず、審美及び快適さが維持される必要がある。
【0092】
変更することができる技術パラメータは、少なくとも、
- 変更がデザインデータによって許可された値の範囲内である場合の、全ての幾何学的フレームパラメータ、色パターン、材料など、
- フレーム形状、内部又は外部の輪郭、Bサイズ、Aサイズ、Dサイズ…(そのような寸法の定義は当該技術分野において既知である)、
- 眼鏡フレームのパントスコピック角度、
- フレーム面のフォーム角度(フォーム角度の定義は、例えば標準ISO 8624に与えられている)、
- ベース曲線、
- ローカル/グローバルエッジの(高さ方向の)厚さ
- フレームの透明度、不透明度、及び色、
- テンプルの傾斜(水平方向/垂直方向)
- ブリッジの高さ、
- ノーズの形状、パッドの形状、
である。
【0093】
変数である上記の変更可能なパラメータは、必ずしもユーザが視認可能であるわけではなく、ユーザは代わりに、「よりリラックスしたデザイン/よりシリアスなデザイン」というタイプの好みを選択することができる。その例では、「よりリラックスした」は丸い形状に対応し、「よりシリアスな」は長方形に対応し得る。タイプ「より多く/より少なく視認可能なアイウェア」の好みは、エッジの厚さ、又はフレームの透明度若しくは色の変更に対応し得る。
【0094】
これはまた、技術的な方式で自身のニーズを定型化することに慣れていないユーザにとって有利である。
【0095】
ステップ(e)において、評価基準を適用することが2D投影を比較することを含む一実施形態では、フレームは、フレーム面の2D投影を同一に又はほとんど変更せずに維持しながら、その技術を変更することによってカスタマイズされ得る。その実施形態は、あるレベルのカスタマイズを可能にしながら、フレームデザインが全体的に変更されないままであること、及びフレームを着用する快適性が低下しないことを確実にする。
【0096】
こうして、そのような実施形態では、初期フレームデザイン、すなわち、ユーザの初期選択に対応する、眼鏡フレームの初期表現に関連する初期情報から開始して、眼鏡フレームの前面の2D投影が抽出される。
【0097】
次いで、ユーザが変更することを望むパラメータに従って、初期フレームを変更することができる。
【0098】
例えば、ユーザは、自身の顔にフィットするフレームを入手したいと望む場合がある。そのような場合、例えば頬骨との干渉を防ぐために、顔の形態の角度を最適化して、ユーザの顔の形態によりよく適合させ、且つパントスコピック角度を最適化してまた、ユーザの顔の形態によりよく適合させることができる。フレームのノーズ領域のパッド又は内角はまた、着用者の鼻によりよくフィットするように最適化され得る。
【0099】
ユーザはまた、視認性が向上したフレームを入手することを望む。そのような場合、フレームのリムの厚さは、特にフレームのリムのテンプル又はノーズエッジでおいて変更することができ、その結果、レンズエッジの厚さ及びフレームのエッジの厚さが同様となる。眼鏡のベース曲線はまた、レンズエッジがフレームのエッジにフィットするように、又はレンズとフレームのリムとの間のベース曲線の差を減少させるように変更され得る。
【0100】
ユーザはまた、たとえレンズが厚い場合でもフレームテンプルが正しく閉じるのを確実にすることを望む場合があり、すなわち、テンプルとレンズエッジの間に干渉がないようにする必要がある。そのような場合、フレーム上のヒンジの高さ方向の位置を変更することができる。
【0101】
したがって、ステップ(f)において、変更する必要のあるパラメータに従って初期デザインが変更されるが、2D平面(例えば、垂直2D平面、又はフレームの前面を含む最良の平面)における投影は同様に維持される。
【0102】
ステップ(f)において行われ得る計算の非限定的な例を、以下に示す。
【0103】
IGESモデルから、曲線のリスト(Cini3D,i)が抽出される。
【0104】
(Cini2D,i),i=1,…,Nは、平面Pの2D曲線のリストである。
【0105】
(Cfinal3D,i),i=1,…,Nは、変更後の最終的な面の眼鏡フレームの3D曲線のリストである。
【0106】
(Cfinal2D,i)i=1,…,Nは、平面Pの(Cfinal3D,i)i=1,…,N曲線の2D投影である、2D曲線のリストである。
【0107】
各(Cfinal2D,i)と(Cini2D,i)i=1,…,N曲線との間の最大偏差の絶対値は、閾値alpha未満であるべきである。
【0108】
これは、最初と最後との間の2D投影間の類似性又は非類似性に基づく評価基準である。
【0109】
これを達成する1つの方法は、各曲線をサンプリングすることであり、
(Xini3D,i;Yini3D,i;Zini3D,i)i=1,…,Nは、初期のフレーム面デザインの3D座標のリストである。
【0110】
これらの座標は、平面Pに投影され、
(Xini2D,i;Yini2D,i)i=1,…,Nは、平面Pの2D座標のリストである。
(Xfinal3D,i;Yfinal3D,i;Zfinal3D,i)i=1,…,Nは、(変更後の)最終的な面のアイウェアの3D座標のリストである。
【0111】
(Xfinal2D,i;Yfinal2D,i)i=1…Nは、最終的なフレーム面デザイン用の平面Pの2D座標のリストである。
【0112】
次いで、座標のリスト内で、デザインを表す座標、すなわち、眼鏡フレームの内部若しくは外部の輪郭又はエッジを与える座標である、
(Xini2D,k;Yini2D,k)k=k1,k2,…,kn
(XFinal2D,k;YFinal2D,k)k=k1,k2,…,kn
が抽出される。
【0113】
次いで、各座標(Xini2D,k;Yini2D,k)に対して、最も近い座標(Xfinal2D,j,Yfinal2D,j)が、リスト(Xfinal2D,k,YFinal2D,k)に採用される。
【0114】
初期の3Dデザインは、k=k1,…,knごとに、
[(Xfinal2D,j-Xini2D,k)2+(Yfinal2D,j-Yini2D,k)2]<アルファ(Xini2D,k2+Yini2D,k2)
で取得されるように変更される。
【0115】
そのような距離に基づく評価基準は、2D最終投影と2D初期投影との間に許容可能な差を与える。通常、それは、10%未満、好ましくは5%、より好ましくは2.5%超である。
【0116】
図4は、パントスコピック角度の3Dフレーム変更後も2D投影がほとんど変化しないままである、非限定的な例を示している。すなわち、2D最終投影は、フレームの外側エッジ又は輪郭上のわずかに暗い部分によって
図4に示されている。
【0117】
図5は、パントスコピック角度も同様に変更した、2D投影の非限定的な例を示している。2D平面は(O、X、Y)であり、且つ垂直である。
【0118】
更に、ステップ(d)、(e)、及び(f)において、フレームの幾何学的形状に関連するパラメータの最適化を介して、望まれる変更に対応する定義された目標で、及び保持されるアイウェアパラメータに対応する制約を用いて、少なくとも1つの制約がフレームのカスタマイズに使用される。
【0119】
そのような場合、上記の例の比較プロセスは、少なくとも1つのカスタマイズ制約によって変調されて適用され得、その結果、2D平面(例えば、垂直2D平面、又はフレームの前面を含む最良の平面)での投影が、異なる基準に従って評価される1つ以上の特定の領域又はパラメータを除いて同様に維持される。
【0120】
以下は、目標パラメータTarget M=1,…,mの非限定的な例、すなわち、
- フレームの面フォーム角度、
- パントスコピック角度、
- Aサイズ、又はBサイズ、
- フレーム形状のベース曲線、
- 輪郭又はエッジの厚さ、Zの厚さ、すなわち、高さ方向の厚さ、
- レンズの斜角を保持する、リムの幾何学的形状、
- ヒンジ位置(X、Y、又はZ、すなわち、長さ又は幅における水平方向又は垂直方向)
である。
【0121】
制約の非限定的な例は、面のグローバルデザインを維持するために、内部又は外部のフレーム形状に対して、傾斜又は曲率の変化を維持するために眼鏡フレーム内の位置のセットを必要とすることである。この点で、
図6は、半分の外部フレーム形状の曲率図を示している。
【0122】
本開示の方法及びシステムのおかげで、同じフレームデザインの3つの異なるサイズを示す
図7に示されるように、同じデザインを維持しながらフレームのサイズを変更することができる。
【0123】
制約の別の例は、快適さを維持するために、2D又は3Dのノーズ形状を、制約にフィットするように変更するか、又はわずかに変更する必要があることである(幅又は高さ、スプレイ角度)。
図8は、ノーズフィットのみが異なる2つの眼鏡フレームを示している(図面上部のフレームは白人、下部はアジア人)。そのような場合、上記の例の比較プロセスが適用され、制約によって変調され、その結果、2D平面(例えば、垂直2D平面、又はフレームの前面を含む最良の平面)での投影が、別の基準に従って評価されるノーズ領域を除いて同様に維持される。
【0124】
制約の別の例は、優れた審美、アイウェアの堅牢性、並びに使いやすさを提供するために、
- Zの厚さは、薄すぎたり(初期の厚さの50%超)、又は厚すぎたり(初期の厚さの2倍超)するべきでなく、
- 又は、厚さが2.5mm~7mmであることを確実にする必要があり、
- ヒンジのZ位置は、面のアイウェアから15mm超であってはならず、好ましくは10mm未満である必要がある、
ことである。
【0125】
制約の別の例は、
- 良好なレンズフィッティングを可能にするため、
- リムの幾何学的形状は、レンズの斜角が内側にフィットすることを可能にする必要があり、通常、リムの幅は少なくとも1mm、リムの角度は120°以下にする必要がある、ことである。
【0126】
眼鏡フレームの最適化を実行するために、例えば、面のセットを使用する3Dモデルが使用され得る。
【0127】
面は、(例えば、その制御ポイント又はその表面のポイントによって定義される)NURBS表面、又はメッシュにすることができる。
【0128】
面の各々は、最適化手順を使用して変更され得る。
Fは、アイウェアの幾何学的形状の面を示している。
【0129】
面Fは、制約パラメータが尊重されるようにされている。
【0130】
面Fは、アイウェアが目標に達するように、又は目標に可能な限り近くなるようにされている。
【0131】
ステップ(f)に続いて、本開示による方法は、任意選択的に、制約に準拠したデータセットから眼鏡フレームを製造する追加のステップ(g)を含み得る。
【0132】
ここで、
図2、
図9、
図10、及び
図11を参照して、本開示によるシステムについて説明する。
図2及び
図11は非常に類似しているが、
図11に示されている実施形態は、関与する全てのデータ、並びにデータを共有及び交換するためのプラットフォームの同じ側面と主要な有益な側面との間の関係をより具体的に示すことを目的とし、一方、
図2は、システムの基本機能、すなわち、2D又は3Dデザインデータの記憶、眼鏡フレームカスタマイズ用のサービスの提供、及び完全に自動化された瞬時の方式で変更された眼鏡フレームの計算にフォーカスしている。
【0133】
実際、本開示による眼鏡フレームを提供するためのシステムは、よりグローバルなアセンブリの一部、例えばプラットフォームの形式を採用して実装又は統合することができ、これにより、ユーザ(カスタマイズされた眼鏡を入手したいと望む顧客、ECP、眼鏡着用者など)、眼鏡フレームデザイナ、眼鏡フレーム製造者、場合によってはレンズ製造者などの様々な関係者が、情報をアップロード及びダウンロードして、プラットフォームを介して他の関係者によって行われたアクションから利益を得ることを可能にする。
【0134】
本開示によるそのようなシステムは、眼鏡フレームを提供するためのものである。上記で詳細に説明した方法と同様に、システムは、
少なくとも1つのプロセッサであって、
(a)眼鏡フレームの初期表現に関連する初期情報を取得し、
(b)
- 眼鏡フレームの所定の着用者の顔に関連する形態学的パラメータ、及び
- 着用者が提供する好みパラメータ、
を含むグループにおいて採用された、少なくとも1つの着用者パラメータを取得し、
(c)
- 眼鏡フレームの幾何学的形状に関連するパラメータ、
- 眼鏡フレームの材料に関連するパラメータ、及び
- 眼鏡フレームを製造するための製造技術に関連するパラメータ、
を含むグループにおいて採用された、少なくとも1つの眼鏡フレームパラメータを取得し、
(d)少なくとも1つのプロセッサによって、眼鏡フレームの3D表現に関連するデータセットを、少なくとも、
- 初期情報、及び
- 取得された少なくとも1つの着用者パラメータ又は少なくとも1つの自動的に変更された着用者パラメータ、及び
- 取得された少なくとも1つの眼鏡フレームパラメータ又は少なくとも1つの自動的に変更された眼鏡フレームパラメータ、及び
- 両方とも眼鏡フレームの幾何学的形状に関連している、少なくとも1つの制約又は少なくとも1つの自動的に変更された制約、
から取得し、
取得されたデータセットから眼鏡フレームの3D表現を自動的に提供し、
(e)眼鏡フレームの3D表現に少なくとも1つの評価基準を適用して、眼鏡フレームの3D表現が少なくとも1つの制約を満たすかどうかを判定し、
(f)眼鏡フレームの3D表現が少なくとも1つの制約及び少なくとも1つの自動的に変更された制約のうちの少なくとも1つの制約を満たさない限り、少なくとも1つの自動的に変更された着用者パラメータ、及び/又は少なくとも1つの自動的に変更された眼鏡フレームパラメータ、及び/又は少なくとも1つの自動的に変更された制約で、ステップ(d)及び(e)を繰り返す、
ように構成された、少なくとも1つのプロセッサを備え、
これにより、眼鏡フレームの3D最終表現に関連する、制約に準拠したデータセットを自動的に提供する。
【0135】
図11を参照すると、プラットフォームは、特定の実施形態において本開示のシステムを実施する。
【0136】
そのようなプラットフォームの利点は、カスタマイズされた眼鏡フレームの3D表現又はモデルを作成し、(i)フレームの表現に関連する初期情報の形態である初期デザイン、及び(ii)クライアントデータF0から開始して、製造特性F1に関して3Dモデルを指定することによって、眼鏡フレームデザイナ、フレーム及び場合によってはレンズ製造者、並びに(ECP、着用者、他の顧客を含む)ユーザが互いに連絡を取り合うことである。
【0137】
I0は、クライアントのニーズ及びクライアントデータに関するクライアントの入力を示す。
【0138】
I1は、フレーム製造者からの入力を示す。
【0139】
I2は、デザイナから入力されたデザインデータを示す。
【0140】
デザイナは、自身の「通常の」デザインデータを2D又は3Dスケッチとして共有し、見返りにプラットフォームのユーザからそれらのデザインに関するフィードバック、又は所与のデザインに関連する可能な変更の提案されたリストさえも受け取るため、プラットフォームからの恩恵を受ける。これらの返されたデータはO2と呼ばれ、関数F2の出力である。
【0141】
例えば、デザイナによってアップロードされた初期デザインから開始して、プラットフォームは、ユーザによる許容を増大させ得るフレームに加えられる可能な変更についての推奨事項を、デザイナに提案することができ、以前にダウンロードされたフレームデザインから、プラットフォームは、同様のデザイン及びユーザが必要とする最も一般的な変更を識別することができる。例えば、そのような最も一般的な変更は、特定の色、又はより厚いフレームエッジの要求であり得る。
【0142】
プラットフォームはまた、デザイナが製造の実現可能性、又はデザインがデザイナによってアップロードされたデータベース内の別のデザインとの類似性が高すぎることに対する基準を入力することをチェックすることができる。
【0143】
例えば、プラットフォームは、製造コスト及びデザインの実現可能性についてのフィードバックをデザイナに提供し、コストを制限して大部分のフレーム製造者による実現可能性を確保するためのいくつかの変更についてアドバイスすることができる。
【0144】
そのようなフィードバックは、特に、3D表現プロセスの計算を伴うサブルーチンを適用し、適用された各デザインへの開示に従ってその後の基準ベースの評価を適用することによって、行われ得る。3D表現と他の基準とのその比較、又はステップ(d)及び(e)又は他の要素の可能な複数の反復を使用して、例えば実現可能性若しくは可能な製造コスト若しくは独創性、又はそれらのデザインの可能な魅力若しくは許容可能なカスタマイズに関して、デザイナにフィードバックを提供することができる。
【0145】
後者は、初期の眼鏡フレームの幅広い選択肢を提供し、且つユーザによるカスタマイズを可能にする自動ソフトウェアエンジンを提供することによって、カスタマイズ可能な眼鏡フレームの幅広い選択肢をユーザに提供するため、ユーザは、このようにカスタマイズされた一対の眼鏡が審美的且つ快適であるようにカスタマイズされ、本開示の方法に関連して前述したような光学レンズを取り付けることができることを確実にする、というプラットフォームからの恩恵を受ける。
【0146】
方法に関連して詳細に前述したように、ユーザは、カスタマイズ用の好みを提供することができる。ユーザはまた、処方又はレンズのタイプ(クリア、フォトクロミック…)などの追加データを提供することができる。
【0147】
ユーザの好みに応じて、少なくとも1つのカスタマイズ可能なフレームを含むリストが作成される。ユーザは、リストからモデルを選択することができる。
【0148】
【0149】
リスト内の全てのモデルは、デザイナによって定義された制約又は可能な変更(材料、色の範囲、幾何学的形状…)と一致している。様々な眼鏡フレームの価格範囲もまた、示されている。
【0150】
次いで、ユーザは、モデルリストから少なくとも1つのデザインを選択する。
【0151】
選択されたデザインごとに、カスタマイズされた3Dモデルが作成され、
O0=F0(I0,I2)
である。
【0152】
図10を参照すると、ユーザは、デザインデータベースにおいて、自身が好む1つのアイウェアを選択する。
【0153】
非限定的な例として、ユーザは、長方形形状を有するフレームを好む女性である。彼女は、オンラインプラットフォーム上で形状タイプ「長方形」を選択することができる(
図9を参照)。
【0154】
次いで、長方形の眼鏡フレームのリストが提供される。次に、ユーザは、彼女の好むもの、すなわち、「フレーム4」を選択することができる。全てのフレームに対して、表示には、写真及び簡単な情報での可能な変更が含まれている(「フルカスタマイズ可能」とは、例えば全ての幾何学的形状パラメータを変更できることを意味し、一方、「セミカスタマイズ可能」とは、ここでは2D投影が同一に維持されることを意味する)。
【0155】
デザイナの名前又はランキング(
図10における星)、可能な材料、可能な色などの他の情報が表示されてもよい。
【0156】
「フレーム4」を選択した後、ユーザは、エッジの厚さを変更し、X-Yの厚さを増大してフレームをより視認可能にし、同じ理由で色/透明度を変更し、且つより「サングラス」の外観にするために、面のフォーム角度を増大する/パントスコピック角度を増大することを決定する。
【0157】
ユーザはまた、レンズエッジが見えないようにフレームのZの厚さを変更したいと望む(フレームのZの厚さはレンズエッジの厚さと同様になる)。フレームデザインデータベースから、オンラインプラットフォームは、可能なX-Y厚さの変更の値の範囲、及び許容される面のフォーム角度/パントスコピック角度の範囲、可能な色(ここでは3色が利用可能)、並びに可能なZの厚さの変更をユーザに提供する。
【0158】
ユーザは、フレームデザインデータに基づいて、可能な変更と変更の範囲のみを提案するオンラインインターフェースを介して、これらのパラメータ(厚さ、面のフォーム角度、パントスコピック角度、色、透明度)を変更することができる。これは、+/-変更の形態であってもよく、又は値を直接入力することによって行うこともできる(入力I0)。
【0159】
ユーザはまた、自身の処方及びレンズ特性(レンズ度数、望ましい反射防止コーティング、薄いレンズ用の高屈折率材料)にリンクされたパラメータを入力することができ、したがって、レンズ特性(ベース曲線、エッジの厚さ)が評価され得る。
【0160】
ユーザがパラメータを変更すると、オンラインプラットフォームは、初期フレームデザインを自動的に変更し、変更されたフレームの視覚化をユーザに提案し、ここではまた、レンズがフレーム上に取り付けられる。オプションとして、ユーザが自身の選択を行うのを支援するために、カスタマイズされたフレームの表現、又は選択されたフレームでの自身の顔の表現を着用者に与えること(仮想試着)が可能である(出力O0)。
【0161】
そのようなパラメータの変更後、ユーザは、眼鏡を注文することを決定する。
【0162】
このステップにおいて、フレームの最終デザインの全てのパラメータが明確に定義されて、例えば、更なる製造に使用されることになる標準のCADフォーマット(IGES、STEP、STL)又は特定のフォーマット(XML、JSON…)で記憶される。
【0163】
フレームの最終デザインデータでは、
- 以下の変更不可能な(一定の)パラメータ、すなわち、
- フレーム名又は基準、
- 材料:アセテートのみ、
- pdfフォーマットでの2Dフレームデザイン、
- 3Dリム幾何学的形状(レンズフィッティング用)、
が提供され、
- 変更可能なパラメータには、以下の1つ(ユーザが選択した1つ)の単一の値、すなわち、
- 例えば2mmに割り当てられたX-Yエッジの厚さ、
- 例えば、標準の青の代わりに黒に割り当てられた色、
- 標準の透明度プロパティの代わりに割り当てられた不透明度、
- 10°が割り当てられた面フォーム角度、
- IGESフォーマットでの最終フレームの3D幾何学的形状、
- レンズエッジの厚さと同様に割り当てられたZ-厚さ、
が割り当てられる。
【0164】
次いで、プラットフォームは、I1に応じて製造者、すなわち、選択されたフレーム(材料、製造期間、納期、コスト…)を製造することができる製造者を自動的に選択し、
O1=F1(O0,I1)である。
【0165】
この例では、製造者は、黒色のアセテートフレームを提供することができる。
【0166】
ユーザが選択した機器に応じて、最終的なコストが計算され、ユーザに提案される。
【0167】
ユーザが製造者を選択してもよく、又はプラットフォームが自動的に製造者を選択する場合がある。
【0168】
製造業者は、例えば原材料の入手可能性、スケジュール、作業負荷の観点から、機器(フレーム、及び/又はレンズをフレームに取り付けることができる場合はレンズ)を製造する能力を検証する。
【0169】
機器は、製造業者によって注文エンティティ(エンドユーザ又はECP)に納品される場合があり、又は製造業者によって、機器を注文エンティティ(エンドユーザ又はECP)に納品する役割のプラットフォームに納品される場合がある。
【0170】
最後に、プラットフォームは、注文された機器のフレームデザイナ及びアイウェア製造者に支払いを行うことになる。
【0171】
図11に示されるように、デザイナがプラットフォームにサブスクライブしてデザインをアップロードするときに、フレームの各パラメータは、指定された範囲又はオープン範囲の定数又は変数として、デザイナによって宣言されてもよい。
【0172】
デザイナはまた、性別(女性、男性、ユニセックス)、又は予期される価格帯のような、材料又はいくつかのラベルに向けられた制約などの、いくつかの制約を追加することができる。そのような制約は、デザイナの自身のデザインに対する個人的な認識に関連し得る。
【0173】
製造業者はまた、プラットフォームに登録して、生産拠点の場所及び名前、生産の種類(フレーム、レンズ、リモートエッジング)、製造能力(利用可能な材料の種類、仕上げ、利用可能な色、可能なデザイン、プロセスの制約、精度、バッチあたりの部品数、納品用の最小及び最大数量)、製造時間、及び納品に関する情報を提供することができる。
【0174】
これらのデータは全て、眼鏡フレームの最終的な表現に従って、又はデザイナの入力データから、眼鏡フレームが製造データに準拠しているかどうかをチェックするために使用される。
【0175】
例えば、眼鏡のフレーム材料に関するデザイナの入力が「木」である場合、その種類の材料を有している眼鏡製造者のみが選択されることになる。
【0176】
したがって、本開示による本発明は、カスタマイズの結果として、本提案方法によって取得された上記の初期情報に対応する眼鏡フレームの初期表現の一般的な外観とは異ならない最終的な一般的な外観を有する眼鏡フレームを取得することを可能にする。
【0177】
本発明による方法は、コンピュータで実施される。すなわち、コンピュータプログラム製品は、上記の少なくとも1つのプロセッサであり得るプロセッサにアクセス可能であり、且つプロセッサによって実行されると、プロセッサに、上述のような眼鏡フレームを提供する方法のステップを実行させる1つ以上の命令シーケンスを含む。
【0178】
命令シーケンスは、コンピュータ可読であり得る1つ又はいくつかの非一時的情報記憶媒体/メディアに記憶され得、そのような記憶媒体/メディアは、場合によってはクラウド内の所定の場合を含む。
【0179】
本開示による方法は、計算エンジンにおいて実施され得る。すなわち、上記の少なくとも1つのプロセッサは、ユーザによって任意のアイテム上、又はフレームの任意の位置若しくは領域若しくはエリアにおいて要求された変更が何であれ、その変更がユーザによって要求されていないが、ユーザによって要求された変更の結果として変更されたパラメータを含む、フレームの全てのパラメータ及び変数の瞬時の再計算を自動的に実行することを可能にする、ソフトウェア及び/又はハードウェアを備える。
【0180】
代表的なシステム及び方法が本明細書で詳細に説明されているが、当業者であれば、添付の特許請求の範囲によって説明及び定義されているものの範囲から逸脱することなく、様々な置換形態及び修正形態がなされてもよいことを認識するであろう。
【手続補正書】
【提出日】2022-08-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼鏡フレームを提供するためのコンピュータ実施方法であって、以下のステップ:
(a)前記眼鏡フレームの初期表現に関連する初期情報を取得することと、
(b)
- 前記眼鏡フレームの所定の着用者の顔に関連する形態学的パラメータ、及び
- 前記着用者が提供する好みパラメータ、
を含むグループにおいて採用された、少なくとも1つの着用者パラメータを取得することと、
(c)
- 前記眼鏡フレームの幾何学的形状に関連するパラメータ、
- 前記眼鏡フレームの材料に関連するパラメータ、及び
- 前記眼鏡フレームを製造するための製造技術に関連するパラメータ、
を含むグループにおいて採用された、少なくとも1つの眼鏡フレームパラメータを取得することと、
(d)少なくとも1つのプロセッサによって、前記眼鏡フレームの3D表現に関連するデータセットを、少なくとも、
- 前記初期情報、及び
- 前記取得された少なくとも1つの着用者パラメータ又は少なくとも1つの自動的に変更された着用者パラメータ、及び
- 前記取得された少なくとも1つの眼鏡フレームパラメータ又は少なくとも1つの自動的に変更された眼鏡フレームパラメータ、及び
- 両方とも前記眼鏡フレームの幾何学的形状に関連している、少なくとも1つの制約又は少なくとも1つの自動的に変更された制約、
から、前記眼鏡フレームの3D表現に関連するデータセットを取得し、
前記取得されたデータセットから前記眼鏡フレームの前記3D表現を自動的に提供することと、
(e)少なくとも1つの評価基準を前記眼鏡フレームの前記3D表現に適用して、前記眼鏡フレームの前記3D表現が前記少なくとも1つの制約を満たすかどうかを判定することと、
(f)前記眼鏡フレームの前記3D表現が前記少なくとも1つの制約及び前記少なくとも1つの自動的に変更された制約のうちの少なくとも1つの制約を満たさない限り、前記少なくとも1つの自動的に変更された着用者パラメータ、及び/又は前記少なくとも1つの自動的に変更された眼鏡フレームパラメータ、及び/又は前記少なくとも1つの自動的に変更された制約で、ステップ(d)及び(e)を繰り返すことと、
を含み、
これにより、前記眼鏡フレームの3D最終表現に関連する、制約に準拠したデータセットを自動的に提供する、コンピュータ実施方法。
【請求項2】
前記評価基準が、前記3D最終表現と前記眼鏡フレームの前記初期表現との間の類似性又は偏差に関連している、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
(g)前記制約に準拠したデータセットから前記眼鏡フレームを製造すること
を更に含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
ステップ(d)において、前記データセットを前記取得することが、製造技術に関連する少なくとも1つの追加の制約を更に考慮に入れる、請求項
1に記載の方法。
【請求項5】
前記初期情報を前記取得することが、データベースから前記初期情報を検索することを含む、請求項
1に記載の方法。
【請求項6】
前記着用者によって提供される前記好みパラメータが、前記眼鏡フレームの一般的な外観、スタイル、形状、材料、及び色に関連するパラメータを含むグループにおいて採用される、請求項
1に記載の方法。
【請求項7】
ステップ(e)において、前記評価基準を前記適用することが、前記初期情報から得られた2D投影を前記3D表現の2D投影と比較して、両方の投影間の差が所定の閾値を下回っているかどうかを判定することを含む、請求項
1に記載の方法。
【請求項8】
前記比較することが、前記比較された2D投影の少なくとも1つの所定の位置において、又は前記比較された2D投影の少なくとも1つの所定の関心領域における少なくとも1つの曲率で、又は前記少なくとも1つの曲率の導出物に基づいて、前記比較された2D投影間の差を取得することを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記眼鏡フレームの前記幾何学的形状に関連する前記制約を変更することにより、前記所定の関心領域に応じて前記曲率の前記比較を自動的に変更する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記眼鏡フレームが、内部輪郭及び外部輪郭を有する前面を有し、前記所定の位置が、前記比較された2D投影の前記前面それぞれの前記比較されたそれぞれの内部輪郭及び/又は外部輪郭上にある、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記眼鏡フレームが、内部輪郭、外部輪郭、及びステップ(f)から生じる新しい中間輪郭を有する前面を有し、前記所定の位置が、前記比較された2D投影の前記比較されたそれぞれの中間輪郭上にある、請求項8~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記比較することが、それぞれの所定の重みを所定の関心位置に割り当てることを更に含み、前記重みが、前記少なくとも1つの制約若しくは前記少なくとも1つの自動的に
変更された制約に依存するか、又は前記着用者によって提供される前記好みパラメータに依存し、両方の投影間の差が前記所定の閾値を下回っているかどうかを判定する際に、前記重みを考慮に入れる、請求項
7に記載の方法。
【請求項13】
ステップ(f)が、ユーザからの要求に応じて、前記眼鏡フレームを更に変更することを更に含む、請求項
1に記載の方法。
【請求項14】
眼鏡フレームを提供するためのシステムであって、
少なくとも1つのプロセッサであって、
(a)前記眼鏡フレームの初期表現に関連する初期情報を取得し、
(b)
- 前記眼鏡フレームの所定の着用者の顔に関連する形態学的パラメータ、及び
- 前記着用者が提供する好みパラメータ、
を含むグループにおいて採用された、少なくとも1つの着用者パラメータを取得し、
(c)
- 前記眼鏡フレームの幾何学的形状に関連するパラメータ、
- 前記眼鏡フレームの材料に関連するパラメータ、及び
- 前記眼鏡フレームを製造するための製造技術に関連するパラメータ、
を含むグループにおいて採用された、少なくとも1つの眼鏡フレームパラメータを取得し、
(d)前記少なくとも1つのプロセッサによって、前記眼鏡フレームの3D表現に関連するデータセットを、少なくとも、
- 前記初期情報、及び
- 前記取得された少なくとも1つの着用者パラメータ又は少なくとも1つの自動的に変更された着用者パラメータ、及び
- 前記取得された少なくとも1つの眼鏡フレームパラメータ又は少なくとも1つの自動的に変更された眼鏡フレームパラメータ、及び
- 両方とも前記眼鏡フレームの幾何学的形状に関連している、少なくとも1つの制約又は少なくとも1つの自動的に変更された制約、
から、前記眼鏡フレームの3D表現に関連するデータセットを取得し、
前記取得されたデータセットから前記眼鏡フレームの前記3D表現を自動的に提供し、
(e)少なくとも1つの評価基準を前記眼鏡フレームの前記3D表現に適用して、前記眼鏡フレームの前記3D表現が前記少なくとも1つの制約を満たすかどうかを判定し、
(f)前記眼鏡フレームの前記3D表現が前記少なくとも1つの制約及び前記少なくとも1つの自動的に変更された制約のうちの少なくとも1つの制約を満たさない限り、前記少なくとも1つの自動的に変更された着用者パラメータ、及び/又は前記少なくとも1つの自動的に変更された眼鏡フレームパラメータ、及び/又は前記少なくとも1つの自動的に変更された制約で、ステップ(d)及び(e)を繰り返す、
ように構成された、少なくとも1つのプロセッサ、を備え、
これにより、前記眼鏡フレームの3D最終表現に関連する、制約に準拠したデータセットを自動的に提供する、システム。
【請求項15】
プロセッサにアクセス可能な1つ以上の命令シーケンスを含むコンピュータプログラム製品であって、前記命令シーケンスは、前記プロセッサによって実行されると、前記プロセッサに、
(a
)眼鏡フレームの初期表現に関連する初期情報を取得させ、
(b)
- 前記眼鏡フレームの所定の着用者の顔に関連する形態学的パラメータ、及び
- 前記着用者が提供する好みパラメータ、
を含むグループにおいて採用された、少なくとも1つの着用者パラメータを取得させ、
(c)
- 前記眼鏡フレームの幾何学的形状に関連するパラメータ、
- 前記眼鏡フレームの材料に関連するパラメータ、及び
- 前記眼鏡フレームを製造するための製造技術に関連するパラメータ、
を含むグループにおいて採用された、少なくとも1つの眼鏡フレームパラメータを取得させ、
(d)少なくとも1つのプロセッサによって、前記眼鏡フレームの3D表現に関連するデータセットを、少なくとも、
- 前記初期情報、及び
- 前記取得された少なくとも1つの着用者パラメータ又は少なくとも1つの自動的に変更された着用者パラメータ、及び
- 前記取得された少なくとも1つの眼鏡フレームパラメータ又は少なくとも1つの自動的に変更された眼鏡フレームパラメータ、及び
- 両方とも前記眼鏡フレームの幾何学的形状に関連している、少なくとも1つの制約又は少なくとも1つの自動的に変更された制約、
から、前記眼鏡フレームの3D表現に関連するデータセットを取得させ、
前記取得されたデータセットから前記眼鏡フレームの前記3D表現を自動的に提供させ、
(e)少なくとも1つの評価基準を前記眼鏡フレームの前記3D表現に適用して、前記眼鏡フレームの前記3D表現が前記少なくとも1つの制約を満たすかどうかを判定させ、
(f)前記眼鏡フレームの前記3D表現が前記少なくとも1つの制約及び前記少なくとも1つの自動的に変更された制約のうちの少なくとも1つの制約を満たさない限り、前記少なくとも1つの自動的に変更された着用者パラメータ、及び/又は前記少なくとも1つの自動的に変更された眼鏡フレームパラメータ、及び/又は前記少なくとも1つの自動的に変更された制約で、ステップ(d)及び(e)を繰り返させ、
これにより、前記眼鏡フレームの3D最終表現に関連する、制約に準拠したデータセットを自動的に提供する、コンピュータプログラム製品。
【請求項16】
非一時的情報記憶媒体であって、プロセッサにアクセス可能な1つ以上の命令シーケンスを記憶し、前記命令シーケンスは、前記プロセッサによって実行されると、前記プロセッサに、
(a
)眼鏡フレームの初期表現に関連する初期情報を取得させ、
(b)
- 前記眼鏡フレームの所定の着用者の顔に関連する形態学的パラメータ、及び
- 前記着用者が提供する好みパラメータ、
を含むグループにおいて採用された、少なくとも1つの着用者パラメータを取得させ、
(c)
- 前記眼鏡フレームの幾何学的形状に関連するパラメータ、
- 前記眼鏡フレームの材料に関連するパラメータ、及び
- 前記眼鏡フレームを製造するための製造技術に関連するパラメータ、
を含むグループにおいて採用された、少なくとも1つの眼鏡フレームパラメータを取得させ、
(d)少なくとも1つのプロセッサによって、前記眼鏡フレームの3D表現に関連するデータセットを、少なくとも、
- 前記初期情報、及び
- 前記取得された少なくとも1つの着用者パラメータ又は少なくとも1つの自動的に変更された着用者パラメータ、及び
- 前記取得された少なくとも1つの眼鏡フレームパラメータ又は少なくとも1つの自動的に変更された眼鏡フレームパラメータ、及び
- 両方とも前記眼鏡フレームの幾何学的形状に関連している、少なくとも1つの制約又は少なくとも1つの自動的に変更された制約、
から、前記眼鏡フレームの3D表現に関連するデータセットを取得させ、
前記取得されたデータセットから前記眼鏡フレームの前記3D表現を自動的に提供させ、
(e)少なくとも1つの評価基準を前記眼鏡フレームの前記3D表現に適用して、前記眼鏡フレームの前記3D表現が前記少なくとも1つの制約を満たすかどうかを判定させ、
(f)前記眼鏡フレームの前記3D表現が前記少なくとも1つの制約及び前記少なくとも1つの自動的に変更された制約のうちの少なくとも1つの制約を満たさない限り、前記少なくとも1つの自動的に変更された着用者パラメータ、及び/又は前記少なくとも1つの自動的に変更された眼鏡フレームパラメータ、及び/又は前記少なくとも1つの自動的に変更された制約で、ステップ(d)及び(e)を繰り返させ、
これにより、前記眼鏡フレームの3D最終表現に関連する、制約に準拠したデータセットを自動的に提供する、非一時的情報記憶媒体。
【国際調査報告】