(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-15
(54)【発明の名称】柔軟な静電容量型微細加工超音波振動子アレイ
(51)【国際特許分類】
A61B 8/00 20060101AFI20230308BHJP
H04R 1/40 20060101ALI20230308BHJP
H04R 19/00 20060101ALI20230308BHJP
【FI】
A61B8/00
H04R1/40 330
H04R19/00 330
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022543643
(86)(22)【出願日】2021-01-18
(85)【翻訳文提出日】2022-09-15
(86)【国際出願番号】 CA2021050052
(87)【国際公開番号】W WO2021142554
(87)【国際公開日】2021-07-22
(32)【優先日】2020-01-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-01-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-01-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522284959
【氏名又は名称】ザ ユニヴァーシティ オブ ブリティッシュ コロンビア
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】ローリング ロバート
(72)【発明者】
【氏名】ジェラルド カルロス ディー
(72)【発明者】
【氏名】クレトゥ エドモンド
【テーマコード(参考)】
4C601
5D019
【Fターム(参考)】
4C601EE04
4C601GB03
4C601GB20
4C601GB41
4C601GB45
4C601GD04
4C601GD06
4C601LL21
5D019DD01
5D019FF04
5D019FF05
5D019HH01
(57)【要約】
基板上に配置されたポリマー系静電容量型微細加工超音波振動子のアレイを含む装置。基板は、電離放射線に対して少なくとも実質的に透過性であり、柔軟であり、及び/又は振動子を保護するために配置された壁を有することができる。
【選択図】
図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)電離放射線に対して少なくとも77.4%透過的である基板と、
(ii)前記基板上に配置されたポリマー系静電容量型微細加工超音波振動子のアレイであって、前記振動子の第1の行と、前記第1の行の前記振動子を直列に電気的に接続する電気的相互接続部とを含むアレイと、
を備えることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記電離放射線はX線である、
請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記基板の少なくとも1つの隅部に配置された基準マーカをさらに備え、前記基準マーカは、前記基板よりもX線に対して透過的でない、
請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記アレイは、前記振動子のさらなる行と、前記さらなる行のうちのいずれか1つの行の振動子を互いに直列に電気的に接続する電気的相互接続部とをさらに含む、
請求項1から3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
前記行は互いに並列に配置される、
請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記振動子が電気的に相互接続されたマトリックスを含むように前記行をまたぐ電気的相互接続部をさらに備える、
請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記振動子は染色ポリマーを含む、
請求項1から6のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
前記振動子のアレイが配置された前記基板の側の一部は接着剤であり、前記接着剤である前記一部は前記アレイの周囲に位置する、
請求項1から7のいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
前記基板は弾性ファブリックを含む、
請求項1から8のいずれか1項に記載の装置。
【請求項10】
前記基板は金属箔を含む、
請求項1から8のいずれか1項に記載の装置。
【請求項11】
前記基板は可撓性である、
請求項1から8のいずれか1項に記載の装置。
【請求項12】
前記基板は非磁性体である、
請求項1から8のいずれか1項に記載の装置。
【請求項13】
前記基板は、紫外線、可視光線及び赤外光線のうちの少なくとも1つに対して実質的に透過的である、
請求項1から8のいずれか1項に記載の装置。
【請求項14】
前記基板はポリイミドを含む、
請求項1から8のいずれか1項に記載の装置。
【請求項15】
前記基板はポリカーボネートを含む、
請求項1から8のいずれか1項に記載の装置。
【請求項16】
前記基板はポリメチルメタクリレートを含む、
請求項1から8のいずれか1項に記載の装置。
【請求項17】
前記基板はアルミニウムを含む、
請求項1から8のいずれか1項に記載の装置。
【請求項18】
前記基板は酸化インジウムスズを含む、
請求項1から8のいずれか1項に記載の装置。
【請求項19】
前記基板の前記第1の行の前記振動子と同じ側から延びる2行の壁をさらに備え、前記振動子の前記第1の行は前記2行の壁間に存在するように配置され、前記壁は前記振動子の第1の行よりも丈が高い、
請求項1に記載の装置。
【請求項20】
前記アレイは、前記振動子のさらなる行と、前記さらなる行のうちのいずれか1つの行の前記振動子を互いに直列に電気的に接続する電気相互接続部とをさらに含み、前記装置は、前記振動子の前記さらなる行と同じ前記基板の側から延びる壁のさらなる行をさらに備え、前記振動子の前記さらなる行は、前記壁のさらなる行間にそれぞれ存在するように配置され、前記壁のさらなる行は、前記振動子のさらなる行よりも丈が高い、
請求項19に記載の装置。
【請求項21】
前記振動子と同じ前記基板の側から延びて前記壁の前記行を横切る壁の列をさらに備え、前記壁の列間に前記振動子の列がそれぞれ存在し、前記壁の列は前記振動子よりも丈が高い、
請求項20に記載の装置。
【請求項22】
前記壁は音響クロスカップリングを低減する、
請求項19から21のいずれか1項に記載の装置。
【請求項23】
前記壁の少なくとも一部はセグメント化される、
請求項19から22のいずれか1項に記載の装置。
【請求項24】
前記壁は少なくとも50μmの高さを有する、
請求項19又は20に記載の装置。
【請求項25】
前記壁の少なくとも一部は前記基板を横切って線形的に延びる、
請求項19から24のいずれか1項に記載の装置。
【請求項26】
前記壁の少なくとも一部は前記基板を横切ってジグザグパターンで延びる、
請求項19から24のいずれか1項に記載の装置。
【請求項27】
前記壁の少なくとも一部は機械的に補強される、
請求項19から26のいずれか1項に記載の装置。
【請求項28】
機械的に補強される前記壁は補強部分及び非補強部分を含み、前記補強部分は前記非補強部分よりも厚く、前記壁の少なくとも端部は前記補強部分を含む、
請求項27に記載の装置。
【請求項29】
機械的に補強される前記壁は補強部分及び非補強部分を含み、前記補強部分及び前記非補強部分は異なる断面を有する、
請求項27に記載の装置。
【請求項30】
機械的に補強される前記壁は補強部分及び非補強部分を含み、前記補強部分及び前記非補強部分は異なる材料から製造される、
請求項27に記載の装置。
【請求項31】
音響マイクロレンズをさらに備え、前記音響マイクロレンズは、前記壁の頂部と前記振動子の頂部との間に堆積した1又は2以上の材料層を含む、
請求項19から30のいずれか1項に記載の装置。
【請求項32】
前記基板は、物体に連続して適用するためのテープを含み、前記テープは、前記テープの上面沿いの上部ボンドパッドと、前記テープの下面沿いの下部ボンドパッドと、前記テープを貫通して前記上部及び下部ボンドパッドの対をそれぞれ電気的に接続するビアとを含み、前記ボンドパッドは、前記テープの隣接する行が互いに重なり合って、前記隣接する行の一方の行の前記上部ボンドパッドが前記隣接する行の他方の行の前記下部ボンドパッドに接触するように配置される、
請求項1から31のいずれか1項に記載の装置。
【請求項33】
前記上部及び下部ボンドパッドは、それぞれ前記上面及び下面の縁部に沿って延びる、
請求項32に記載の装置。
【請求項34】
前記振動子の前記行は、曲面に対する前記テープの前記適用を容易にするように前記テープの縁部に対して非直角に延びる、
請求項32記載の装置。
【請求項35】
前記テープは、前記ボンドパッドの重なり合いを容易にするように配置されたレリーフアライメントロックインパターンを含む、
請求項32から34のいずれか1項に記載の装置。
【請求項36】
前記レリーフアライメントロックインパターンは、前記上面及び下面の一方における突出部と、前記上面及び下面の他方における対応する凹部とを含む、
請求項35に記載の装置。
【請求項37】
前記基板に埋め込まれた光導波路をさらに備える、
請求項1から36のいずれか1項に記載の装置。
【請求項38】
前記光導波路は、前記振動子で終端する、
請求項37に記載の装置。
【請求項39】
前記光導波路は、前記振動子の外側の基板で終端する、
請求項37記載の装置。
【請求項40】
(i)前記振動子に通信可能に結合された無線送信機と、
(ii)前記無線送信機及び前記振動子に電気的に結合されたバッテリと、
をさらに備え、前記無線送信機は、前記振動子を使用して取得された超音波データをコントローラに無線で送信するように構成される、
請求項1から39のいずれか1項に記載の装置。
【請求項41】
(i)基板と、
(ii)前記基板上に配置されたポリマー系静電容量型微細加工超音波振動子のアレイであって、前記振動子の第1の行と、前記第1の行の前記振動子を直列に電気的に接続する電気的相互接続部とを含むアレイと、
(iii)前記基板の前記振動子と同じ側から延びる2行の壁と、
を備え、前記振動子の前記第1の行は前記2行の壁間に存在するように配置され、前記壁は前記振動子よりも丈が高い、
ことを特徴とする装置。
【請求項42】
前記アレイは、前記振動子のさらなる行と、前記さらなる行のうちのいずれか1つの行の前記振動子を互いに直列に電気的に接続する電気相互接続部とをさらに含み、前記装置は、前記振動子の前記さらなる行と同じ前記基板の側から延びる壁のさらなる行をさらに備え、前記振動子の前記さらなる行は、前記壁のさらなる行間にそれぞれ存在するように配置され、前記壁のさらなる行は、前記振動子のさらなる行よりも丈が高い、
請求項41に記載の装置。
【請求項43】
前記振動子の行は互いに並列に配置される、
請求項42に記載の装置。
【請求項44】
前記振動子が電気的に相互接続されたマトリックスを含むように前記壁をまたぐ電気的相互接続部をさらに備える、
請求項43に記載の装置。
【請求項45】
前記振動子と同じ前記基板の側から延びて前記壁の前記行を横切る壁の列をさらに備え、前記壁の列間に前記振動子の列がそれぞれ存在し、前記壁の列は前記振動子よりも丈が高い、
請求項42から44のいずれか1項に記載の装置。
【請求項46】
前記壁は音響クロスカップリングを低減する、
請求項41から45のいずれか1項に記載の装置。
【請求項47】
前記壁の少なくとも一部はセグメント化される、
請求項41から46のいずれか1項に記載の装置。
【請求項48】
前記振動子は染色ポリマーを含む、
請求項41から47のいずれか1項に記載の装置。
【請求項49】
前記基板は可撓性である、
請求項41から48のいずれか1項に記載の装置。
【請求項50】
前記振動子のアレイが配置された前記基板の側の一部は接着剤であり、前記接着剤である前記一部は前記アレイの周囲に位置する、
請求項49に記載の装置。
【請求項51】
前記基板は弾性ファブリックを含む、
請求項41から48のいずれか1項に記載の装置。
【請求項52】
前記基板は金属箔を含む、
請求項41から48のいずれか1項に記載の装置。
【請求項53】
前記基板は、電離放射線に対して実質的に透過的である、
請求項41から48のいずれか1項に記載の装置。
【請求項54】
前記電離放射線はX線である、
請求項53に記載の装置。
【請求項55】
前記基板は、X線に対する少なくとも77.4%の透過率を有する、
請求項54に記載の装置。
【請求項56】
前記基板の少なくとも1つの隅部に配置された基準マーカをさらに備え、前記基準マーカは、前記基板よりもX線に対して透過的でない、
請求項54又は55に記載の装置。
【請求項57】
前記基板は非磁性体である、
請求項41から48のいずれか1項に記載の装置。
【請求項58】
前記基板は、紫外線、可視光線及び赤外光線のうちの少なくとも1つに対して実質的に透過的である、
請求項41から48のいずれか1項に記載の装置。
【請求項59】
前記基板はポリイミドを含む、
請求項41から48のいずれか1項に記載の装置。
【請求項60】
前記基板はポリカーボネートを含む、
請求項41から48のいずれか1項に記載の装置。
【請求項61】
前記基板はポリメチルメタクリレートを含む、
請求項41から48のいずれか1項に記載の装置。
【請求項62】
前記基板はアルミニウムを含む、
請求項41から48のいずれか1項に記載の装置。
【請求項63】
前記基板は酸化インジウムスズを含む、
請求項41から48のいずれか1項に記載の装置。
【請求項64】
前記壁は少なくとも50μmの高さを有する、
請求項41から63のいずれか1項に記載の装置。
【請求項65】
前記壁の少なくとも一部は前記基板を横切って線形的に延びる、
請求項41から64のいずれか1項に記載の装置。
【請求項66】
前記壁の少なくとも一部は前記基板を横切ってジグザグパターンで延びる、
請求項41から64のいずれか1項に記載の装置。
【請求項67】
前記壁の少なくとも一部は機械的に補強される、
請求項41から64のいずれか1項に記載の装置。
【請求項68】
機械的に補強される前記壁は補強部分及び非補強部分を含み、前記補強部分は前記非補強部分よりも厚く、前記壁の少なくとも端部は前記補強部分を含む、
請求項67に記載の装置。
【請求項69】
機械的に補強される前記壁は補強部分及び非補強部分を含み、前記補強部分及び前記非補強部分は異なる断面を有する、
請求項67に記載の装置。
【請求項70】
機械的に補強される前記壁は補強部分及び非補強部分を含み、前記補強部分及び前記非補強部分は異なる材料から製造される、
請求項67に記載の装置。
【請求項71】
音響マイクロレンズをさらに備え、前記音響マイクロレンズは、前記壁の頂部と前記振動子の頂部との間に堆積した1又は2以上の材料層を含む、
請求項41から70のいずれか1項に記載の装置。
【請求項72】
前記基板は、物体に連続して適用するためのテープを含み、前記テープは、前記テープの上面沿いの上部ボンドパッドと、前記テープの下面沿いの下部ボンドパッドと、前記テープを貫通して前記上部及び下部ボンドパッドの対をそれぞれ電気的に接続するビアとを含み、前記ボンドパッドは、前記テープの隣接する行が互いに重なり合って、前記隣接する行の一方の行の前記上部ボンドパッドが前記隣接する行の他方の行の前記下部ボンドパッドに接触するように配置される、
請求項41から71のいずれか1項に記載の装置。
【請求項73】
前記上部及び下部ボンドパッドは、それぞれ前記上面及び下面の縁部に沿って延びる、
請求項72に記載の装置。
【請求項74】
前記振動子の前記行は、曲面に対する前記テープの前記適用を容易にするように前記テープの縁部に対して非直角に延びる、
請求項70に記載の装置。
【請求項75】
前記テープは、前記ボンドパッドの重なり合いを容易にするように配置されたレリーフアライメントロックインパターンを含む、
請求項72から74のいずれか1項に記載の装置。
【請求項76】
前記レリーフアライメントロックインパターンは、前記上面及び下面の一方における突出部と、前記上面及び下面の他方における対応する凹部とを含む、
請求項75に記載の装置。
【請求項77】
前記基板に埋め込まれた光導波路をさらに備える、
請求項41から76のいずれか1項に記載の装置。
【請求項78】
前記光導波路は、前記振動子で終端する、
請求項77に記載の装置。
【請求項79】
前記光導波路は、前記振動子の外側の基板で終端する、
請求項77に記載の装置。
【請求項80】
(i)前記振動子に通信可能に結合された無線送信機と、
(ii)前記無線送信機及び前記振動子に電気的に結合されたバッテリと、
をさらに備え、前記無線送信機は、前記振動子を使用して取得された超音波データをコントローラに無線で送信するように構成される、
請求項41から79のいずれか1項に記載の装置。
【請求項81】
(i)フレキシブル基板と、
(ii)前記基板上に配置されたポリマー系静電容量型微細加工超音波振動子のアレイであって、前記振動子の第1の行と、前記第1の行の前記振動子を直列に電気的に接続する電気的相互接続部とを含むアレイと、
を備えることを特徴とする装置。
【請求項82】
前記アレイは、前記振動子のさらなる行と、前記さらなる行のうちのいずれか1つの行の振動子を互いに直列に電気的に接続する電気的相互接続部とをさらに含む、
請求項81に記載の装置。
【請求項83】
前記行は互いに並列に配置される、
請求項82に記載の装置。
【請求項84】
前記振動子が電気的に相互接続されたマトリックスを含むように前記行をまたぐ電気的相互接続部をさらに備える、
請求項83に記載の装置。
【請求項85】
前記振動子は染色ポリマーを含む、
請求項81から84のいずれか1項に記載の装置。
【請求項86】
前記振動子のアレイが配置された前記基板の側の一部は接着剤であり、前記接着剤である前記一部は前記アレイの周囲に位置する、
請求項81から85のいずれか1項に記載の装置。
【請求項87】
前記基板は弾性ファブリックを含む、
請求項81から86のいずれか1項に記載の装置。
【請求項88】
前記基板は金属箔を含む、
請求項81から86のいずれか1項に記載の装置。
【請求項89】
前記基板は、電離放射線に対して実質的に透過的である、
請求項81から86のいずれか1項に記載の装置。
【請求項90】
前記電離放射線はX線である、
請求項89に記載の装置。
【請求項91】
前記基板は、X線に対する少なくとも77.4%の透過率を有する、
請求項90に記載の装置。
【請求項92】
前記基板の少なくとも1つの隅部に配置された基準マーカをさらに備え、前記基準マーカは、前記基板よりもX線に対して透過的でない、
請求項90又は91に記載の装置。
【請求項93】
前記基板は非磁性体である、
請求項81から86のいずれか1項に記載の装置。
【請求項94】
前記基板は、紫外線、可視光線及び赤外光線のうちの少なくとも1つに対して実質的に透過的である、
請求項81から86のいずれか1項に記載の装置。
【請求項95】
前記基板はポリイミドを含む、
請求項81から86のいずれか1項に記載の装置。
【請求項96】
前記基板はポリカーボネートを含む、
請求項81から86のいずれか1項に記載の装置。
【請求項97】
前記基板はポリメチルメタクリレートを含む、
請求項81から86のいずれか1項に記載の装置。
【請求項98】
前記基板はアルミニウムを含む、
請求項81から86のいずれか1項に記載の装置。
【請求項99】
前記基板は酸化インジウムスズを含む、
請求項81から86のいずれか1項に記載の装置。
【請求項100】
前記基板の前記第1の行の前記振動子と同じ側から延びる2行の壁をさらに備え、前記振動子の前記第1の行は前記2行の壁間に存在するように配置され、前記壁は前記振動子の第1の行よりも丈が高い、
請求項81に記載の装置。
【請求項101】
前記アレイは、前記振動子のさらなる行と、前記さらなる行のうちのいずれか1つの行の前記振動子を互いに直列に電気的に接続する電気相互接続部とをさらに含み、前記装置は、前記振動子の前記さらなる行と同じ前記基板の側から延びる壁のさらなる行をさらに備え、前記振動子の前記さらなる行は、前記壁のさらなる行間にそれぞれ存在するように配置され、前記壁のさらなる行は、前記振動子のさらなる行よりも丈が高い、
請求項100に記載の装置。
【請求項102】
前記振動子と同じ前記基板の側から延びて前記壁の前記行を横切る壁の列をさらに備え、前記壁の列間に前記振動子の列がそれぞれ存在し、前記壁の列は前記振動子よりも丈が高い、
請求項101に記載の装置。
【請求項103】
前記壁は音響クロスカップリングを低減する、
請求項100から102のいずれか1項に記載の装置。
【請求項104】
前記壁の少なくとも一部はセグメント化される、
請求項100から103のいずれか1項に記載の装置。
【請求項105】
前記壁は少なくとも50μmの高さを有する、
請求項100から104のいずれか1項に記載の装置。
【請求項106】
前記壁の少なくとも一部は前記基板を横切って線形的に延びる、
請求項100から105のいずれか1項に記載の装置。
【請求項107】
前記壁の少なくとも一部は前記基板を横切ってジグザグパターンで延びる、
請求項100から106のいずれか1項に記載の装置。
【請求項108】
前記壁の少なくとも一部は機械的に補強される、
請求項100から107のいずれか1項に記載の装置。
【請求項109】
機械的に補強される前記壁は補強部分及び非補強部分を含み、前記補強部分は前記非補強部分よりも厚く、前記壁の少なくとも端部は前記補強部分を含む、
請求項108に記載の装置。
【請求項110】
機械的に補強される前記壁は補強部分及び非補強部分を含み、前記補強部分及び前記非補強部分は異なる断面を有する、
請求項108に記載の装置。
【請求項111】
機械的に補強される前記壁は補強部分及び非補強部分を含み、前記補強部分及び前記非補強部分は異なる材料から製造される、
請求項108に記載の装置。
【請求項112】
音響マイクロレンズをさらに備え、前記音響マイクロレンズは、前記壁の頂部と前記振動子の頂部との間に堆積した1又は2以上の材料層を含む、
請求項81から111のいずれか1項に記載の装置。
【請求項113】
前記基板は、物体に連続して適用するためのテープを含み、前記テープは、前記テープの上面沿いの上部ボンドパッドと、前記テープの下面沿いの下部ボンドパッドと、前記テープを貫通して前記上部及び下部ボンドパッドの対をそれぞれ電気的に接続するビアとを含み、前記ボンドパッドは、前記テープの隣接する行が互いに重なり合って、前記隣接する行の一方の行の前記上部ボンドパッドが前記隣接する行の他方の行の前記下部ボンドパッドに接触するように配置される、
請求項81から112のいずれか1項に記載の装置。
【請求項114】
前記上部及び下部ボンドパッドは、それぞれ前記上面及び下面の縁部に沿って延びる、
請求項113に記載の装置。
【請求項115】
前記振動子の前記行は、曲面に対する前記テープの前記適用を容易にするように前記テープの縁部に対して非直角に延びる、
請求項113に記載の装置。
【請求項116】
前記テープは、前記ボンドパッドの重なり合いを容易にするように配置されたレリーフアライメントロックインパターンを含む、
請求項113から115のいずれか1項に記載の装置。
【請求項117】
前記レリーフアライメントロックインパターンは、前記上面及び下面の一方における突出部と、前記上面及び下面の他方における対応する凹部とを含む、
請求項116に記載の装置。
【請求項118】
前記基板に埋め込まれた光導波路をさらに備える、
請求項81から117のいずれか1項に記載の装置。
【請求項119】
前記光導波路は、前記振動子で終端する、
請求項118に記載の装置。
【請求項120】
前記光導波路は、前記振動子の外側の基板で終端する、
請求項118に記載の装置。
【請求項121】
(i)前記振動子に通信可能に結合された無線送信機と、
(ii)前記無線送信機及び前記振動子に電気的に結合されたバッテリと、
をさらに備え、前記無線送信機は、前記振動子を使用して取得された超音波データをコントローラに無線で送信するように構成される、
請求項81から120のいずれか1項に記載の装置。
【請求項122】
請求項1から121のいずれか1項に記載の装置の、構造的完全性試験のための使用。
【請求項123】
請求項1から121のいずれか1項に記載の装置の、パイプラインモニタリングのための使用。
【請求項124】
請求項1から121のいずれか1項に記載の装置の、水圧試験のための使用。
【請求項125】
請求項1から121のいずれか1項に記載の装置の、航空機の翼の非破壊検査のための使用。
【請求項126】
請求項1から121のいずれか1項に記載の装置の、医療診断のための使用。
【請求項127】
請求項1から121のいずれか1項に記載の装置の、乳房に対してマンモグラフィが実行されている間に乳房の超音波検査を実行するための使用。
【請求項128】
請求項1から121のいずれか1項に記載の装置の、化学的試験及び生物学的試験の一方又は両方のための使用。
【請求項129】
請求項1から121のいずれか1項に記載の装置の、心臓モニタリングのための使用。
【請求項130】
請求項1から121のいずれか1項に記載の装置の、血圧モニタリングのための使用。
【請求項131】
請求項1から121のいずれか1項に記載の装置の、経頭蓋超音波検査を実行するための使用。
【請求項132】
請求項1から121のいずれか1項に記載の装置の、デブリ洗浄のための使用。
【請求項133】
前記デブリは、汚れ、埃、水、氷及び血液のうちの1つ又は2つ以上を含む、
請求項132に記載の使用。
【請求項134】
請求項1から39、53から56、及び89から92のいずれか1項に記載の装置の、前記装置を通じてX線画像が取得されている間に超音波信号を生成するための使用。
【請求項135】
マンモグラフィ走査システムであって、
(i)乳房を受け取るための空間を間に有する上部圧縮装置及び下部圧縮装置と、
(ii)前記圧縮装置間の前記空間をX線で照射するように配置されたX線エミッタと、
(iii)前記空間を通過した後のX線を受け取るように配置されたX線受信機と、
(iv)前記X線エミッタと前記X線受信機との間に配置された、請求項1から39、53から56、及び89から92のいずれか1項に記載の装置と、
を備えることを特徴とするシステム。
【請求項136】
前記装置は、前記圧縮装置の一方に隣接して又は前記圧縮装置内に配置される、
請求項135に記載のシステム。
【請求項137】
前記アレイは、使用時に前記X線を不均一に減衰させ、前記システムは、前記X線エミッタと前記X線受信機との間に前記X線が移動する軌道に沿って配置された補償装置をさらに備え、前記補償装置は、前記装置及び前記補償装置が前記アレイを通過する前記X線を協働して均一に減衰するように前記補償装置にわたって厚みが変化するX線吸収材料を含む、
請求項135又は136記載のシステム。
【請求項138】
前記装置は、前記X線エミッタ及び前記X線受信機の視野よりも広い視野を有する、
請求項135から137のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項139】
前記装置の前記視野は、前記乳房の背後の胸壁を含む、
請求項138に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
〔関連出願との相互参照〕
本出願は、2020年1月17日に出願された「ウェアラブルCMUTモニタ(Wearable CMUT monitor)」という名称の米国仮特許出願第62/962,284号、2020年1月17日に出願された「柔軟な静電容量型微細加工超音波振動子ファブリック(Flexible Capacitive Micromachined Ultrasonic Transducer Fabric)」という名称の米国仮特許出願第62/962,285号、及び2020年1月17日に出願された「透過性ポリマー系静電容量型微細加工超音波振動子(Transparent Polymer-based Capacitive Micromachined Ultrasonic Transducer)」という名称の米国仮特許出願第62/962,291号に対する米国特許法第119条に基づく優先権を主張するものであり、これらの全ての文献は、引用による組み入れを認める権限内でその全体が引用により本明細書に組み入れられる。
【0002】
開示する主題は、一般に静電容量型微細加工超音波振動子アレイに関し、具体的には、橋脚、パイプライン及び航空機の翼を含む3次元無生物構造の非破壊検査(NDT)のための大型フレキシブルアレイ、人間モニタリング及び治療のための柔軟な衣類、並びに組織診断のための、特にX線機器に関連するX線透過コンポーネントに関する。
【背景技術】
【0003】
超音波画像診断は、年間作成画像数の観点から世界中で最も広く使用されている医用画像診断モダリティである。超音波画像診断では、振動子から発せられた超音波が物質中を伝わり、音響インピーダンスの異なる他の物質との界面から反射される。反射されたエコーは振動子に戻り、そこで処理されて超音波画像を形成する。超音波振動子は電圧を音波に、及び音波を電圧に変換する。
【0004】
従来、超音波システムは、1930年代から振動子に圧電材料を使用している。圧電性結晶(例えば、水晶)、セラミックス(例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT))、ポリマー(例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF))などが振動子材料として使用されてきた[1]。圧電振動子技術は、成熟したものであるにもかかわらず、大規模2次元アレイを製造する際のダイレベルでの相互接続及び統合課題[1]に起因する技術的課題などの多くの欠点を抱えている。
【0005】
音響インピーダンス(物質中の音速に物質の密度を乗じたもの、レイル単位で測定される)は、システムに加わる音圧に対してシステムが示す反発(opposition)の尺度である。音響インピーダンスは、画像化されるターゲット材に音響パワーがどれほど効果的に伝わるかを決定するので、圧電ベースの超音波システムでは重要な量である。圧電ベースのシステムでは、結晶のインピーダンスとターゲット材(例えば、組織又は金属)の低又は高インピーダンスとの間のインピーダンス不整合を低減するために、「音響整合層」が必須構造である。通常、これらの整合層は、高密度ゴムと液体ゲルとの組み合わせで形成され、結晶とターゲット材との間に配置される。
【0006】
静電容量型微細加工超音波振動子(CMUT)は、現在の圧電ベースの振動子の代替技術とみなされる[1]。本来、CMUTは、底部の固定電極が基板に固定され、懸架膜(suspended membran)がキャビティを覆って縁に沿ってシールされた平行板コンデンサである。懸架膜上には、金属電極がパターニングされる。CMUTは、DC電圧に重畳したAC信号が両電極間に付与されると超音波を発生し、或いは入射超音波の存在下でDC電圧が付与された状態でデバイスの静電容量の変化を測定することによって超音波を検出することができる。ほとんどのCMUTは、シリコン基板上にシリコン材料で形成される。シリコンは、軟組織よりも音響インピーダンスが高く、金属又は複合材料よりも音響インピーダンスが低いので、依然として不整合が存在する。
【0007】
本発明者らは、高分子膜を使用して超音波振動子の微細加工を可能にし、必要な動作電圧も減少させるポリマーベースの製造技術(Gerardo、Rohling及びCretuによる米国特許第10,509,013号B2、第10,564,132号B2及び第10,598,632号B1、これらの全ての文献は全体が引用により本明細書に組み入れられる)をこれまでに開発した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第10,509,013号明細書
【特許文献2】米国特許第10,564,132号明細書
【特許文献3】米国特許第10,598,632号明細書
【特許文献4】米国特許第10,598,362号明細書
【特許文献5】米国特許第7,673,375号明細書
【特許文献6】米国特許公開第2019187101号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
1つの態様によれば、(i)基板と、(ii)基板上に配置されたポリマー系静電容量型微細加工超音波振動子のアレイであって、振動子の第1の行と、第1の行の振動子を直列に電気的に接続する電気的相互接続部とを含むアレイと、(iii)基板の振動子と同じ側から延びる2行の壁と、が提供され、振動子の第1の行は2行の壁間に存在するように配置され、壁は振動子よりも丈が高い。
【0010】
アレイは、振動子のさらなる行と、さらなる行のうちのいずれか1つの行の振動子を互いに直列に電気的に接続する電気相互接続部とをさらに含むことができ、装置は、振動子のさらなる行と同じ基板の側から延びる壁のさらなる行をさらに備えることができ、振動子のさらなる行は、壁のさらなる行間にそれぞれ存在するように配置され、壁のさらなる行は、振動子のさらなる行よりも丈が高い。
【0011】
振動子の行は互いに並列に配置することができる。
【0012】
装置は、振動子が電気的に相互接続されたマトリックスを含むように壁をまたぐ電気的相互接続部をさらに備えることができる。
【0013】
装置は、振動子と同じ基板の側から延びて壁の行を横切る壁の列をさらに備えることができ、壁の列間に振動子の列がそれぞれ存在し、壁の列は振動子よりも丈が高い。
【0014】
壁は音響クロスカップリングを低減することができる。
【0015】
壁の少なくとも一部はセグメント化することができる。
【0016】
振動子は染色ポリマーを含むことができる。
【0017】
基板は可撓性とすることができる。
【0018】
振動子のアレイが配置された基板の側の一部は接着剤とすることができ、接着剤である一部はアレイの周囲に位置することができる。
【0019】
基板は弾性ファブリックを含むことができる。
【0020】
基板は金属箔を含むことができる。
【0021】
基板は、電離放射線に対して実質的に透過的であることができる。
【0022】
電離放射線はX線とすることができる。
【0023】
基板は、X線に対する少なくとも77.4%の透過率を有することができる。
【0024】
装置は、基板の少なくとも1つの隅部に配置された基準マーカ(fiducial markers)をさらに備えることができ、基準マーカは、基板よりもX線に対して透過的でない。
【0025】
基板は非磁性体とすることができる。
【0026】
基板は、紫外線、可視光線及び赤外光線のうちの少なくとも1つに対して実質的に透過的であることができる。
【0027】
基板は、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、アルミニウム及び/又は酸化インジウムスズを含むことができる。
【0028】
壁は少なくとも50μmの高さを有することができる。
【0029】
壁の少なくとも一部は基板を横切って線形的に延びることができる。
【0030】
壁の少なくとも一部は基板を横切ってジグザグパターンで延びることができる。
【0031】
壁の少なくとも一部は機械的に補強することができる。
【0032】
機械的に補強される壁は補強部分及び非補強部分を含むことができ、補強部分は非補強部分よりも厚く、壁の少なくとも端部は補強部分を含む。
【0033】
機械的に補強される壁は補強部分及び非補強部分を含むことができ、補強部分及び非補強部分は異なる断面を有する。
【0034】
機械的に補強される壁は補強部分及び非補強部分を含むことができ、補強部分及び非補強部分は異なる材料から製造される。
【0035】
装置は、音響マイクロレンズをさらに備えることができ、音響マイクロレンズは、壁の頂部と振動子の頂部との間に堆積した1又は2以上の材料層を含む。
【0036】
基板は、物体に連続して適用するためのテープを含むことができ、テープは、テープの上面沿いの上部ボンドパッドと、テープの下面沿いの下部ボンドパッドと、テープを貫通して上部及び下部ボンドパッドの対をそれぞれ電気的に接続するビアとを含み、ボンドパッドは、テープの隣接する行が互いに重なり合って、隣接する行の一方の行の上部ボンドパッドが隣接する行の他方の行の下部ボンドパッドに接触するように配置される。
【0037】
上部及び下部ボンドパッドは、それぞれ上面及び下面の縁部に沿って延びる。
【0038】
振動子の行は、曲面に対するテープの適用を容易にするようにテープの縁部に対して非直角に延びることができる。
【0039】
テープは、ボンドパッドの重なり合いを容易にするように配置されたレリーフアライメントロックインパターンを含むことができる。
【0040】
レリーフアライメントロックインパターンは、上面及び下面の一方における突出部と、上面及び下面の他方における対応する凹部とを含むことができる。
【0041】
装置は、基板に埋め込まれた光導波路をさらに備えることができる。
【0042】
光導波路は、振動子で終端することができる。
【0043】
光導波路は、振動子の外側の基板で終端することができる。
【0044】
装置は、(i)振動子に通信可能に結合された無線送信機と、(ii)無線送信機及び振動子に電気的に結合されたバッテリとをさらに備えることができ、無線送信機は、振動子を使用して取得された超音波データをコントローラに無線で送信するように構成される。
【0045】
別の態様によれば、(i)フレキシブル基板と、(ii)基板上に配置されたポリマー系静電容量型微細加工超音波振動子のアレイであって、振動子の第1の行と、第1の行の振動子を直列に電気的に接続する電気的相互接続部とを含むアレイとを備えた装置が提供される。
【0046】
アレイは、振動子のさらなる行と、さらなる行のうちのいずれか1つの行の振動子を互いに直列に電気的に接続する電気的相互接続部とをさらに含むことができる。
【0047】
行は互いに並列に配置することができる。
【0048】
装置は、振動子が電気的に相互接続されたマトリックスを含むように行をまたぐ電気的相互接続部をさらに備えることができる。
【0049】
振動子は染色ポリマーを含むことができる。
【0050】
振動子のアレイが配置された基板の側の一部は接着剤とすることができ、接着剤である一部はアレイの周囲に位置することができる。
【0051】
基板は弾性ファブリックを含むことができる。
【0052】
基板は金属箔を含むことができる。
【0053】
基板は、電離放射線に対して実質的に透過的であることができる。
【0054】
電離放射線はX線とすることができる。
【0055】
基板は、X線に対する少なくとも77.4%の透過率を有することができる。
【0056】
装置は、基板の少なくとも1つの隅部に配置された基準マーカをさらに備えることができ、基準マーカは、基板よりもX線に対して透過的でない。
【0057】
基板は非磁性体であることができ、及び/又は紫外線、可視光線及び赤外光線のうちの少なくとも1つに対して実質的に透過的であることができる。
【0058】
基板は、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、アルミニウム及び/又は酸化インジウムスズを含むことができる。
【0059】
装置は、基板の第1の行の振動子と同じ側から延びる2行の壁をさらに備えることができ、振動子の第1の行は2行の壁間に存在するように配置され、壁は、振動子の第1の行よりも丈が高い。
【0060】
アレイは、振動子のさらなる行と、さらなる行のうちのいずれか1つの行の振動子を互いに直列に電気的に接続する電気相互接続部とをさらに含むことができる。装置は、振動子のさらなる行と同じ基板の側から延びる壁のさらなる行をさらに備えることができ、振動子のさらなる行は、壁のさらなる行間にそれぞれ存在するように配置され、壁のさらなる行は、振動子のさらなる行よりも丈が高い。
【0061】
装置は、振動子と同じ基板の側から延びて壁の行を横切る壁の列をさらに備えることができる。壁の列間に振動子の列がそれぞれ存在することができ、壁の列は振動子よりも丈が高いことができる。
【0062】
壁は音響クロスカップリングを低減することができる。
【0063】
壁の少なくとも一部はセグメント化することができる。
【0064】
壁は少なくとも50μmの高さを有することができる。
【0065】
壁の少なくとも一部は基板を横切って線形的に延びることができる。
【0066】
壁の少なくとも一部は基板を横切ってジグザグパターンで延びることができる。
【0067】
壁の少なくとも一部は機械的に補強することができる。
【0068】
機械的に補強される壁は補強部分及び非補強部分を含むことができ、補強部分は非補強部分よりも厚く、壁の少なくとも端部は補強部分を含む。
【0069】
機械的に補強される壁は補強部分及び非補強部分を含むことができ、補強部分及び非補強部分は異なる断面を有する。
【0070】
機械的に補強される壁は補強部分及び非補強部分を含むことができ、補強部分及び非補強部分は異なる材料から製造される。
【0071】
装置は、音響マイクロレンズをさらに備えることができ、音響マイクロレンズは、壁の頂部と振動子の頂部との間に堆積した1又は2以上の材料層を含むことができる。
【0072】
基板は、物体に連続して適用するためのテープを含むことができ、テープは、テープの上面沿いの上部ボンドパッドと、テープの下面沿いの下部ボンドパッドと、テープを貫通して上部及び下部ボンドパッドの対をそれぞれ電気的に接続するビアとを含む。ボンドパッドは、テープの隣接する行が互いに重なり合って、隣接する行の一方の行の上部ボンドパッドが隣接する行の他方の行の下部ボンドパッドに接触するように配置することができる。
【0073】
上部及び下部ボンドパッドは、それぞれ上面及び下面の縁部に沿って延びることができる。
【0074】
振動子の行は、曲面に対するテープの適用を容易にするようにテープの縁部に対して非直角に延びることができる。
【0075】
テープは、ボンドパッドの重なり合いを容易にするように配置されたレリーフアライメントロックインパターンを含むことができる。
【0076】
レリーフアライメントロックインパターンは、上面及び下面の一方における突出部と、上面及び下面の他方における対応する凹部とを含むことができる。
【0077】
装置は、基板に埋め込まれた光導波路をさらに備えることができる。
【0078】
光導波路は、振動子で終端することができる。
【0079】
光導波路は、振動子の外側の基板で終端することができる。
【0080】
装置は、(i)振動子に通信可能に結合された無線送信機と、(ii)無線送信機及び振動子に電気的に結合されたバッテリとをさらに備えることができ、無線送信機は、振動子を使用して取得された超音波データをコントローラに無線で送信するように構成される。
【0081】
別の態様によれば、(i)電離放射線に対して少なくとも77.4%透過的である基板と、(ii)基板上に配置されたポリマー系静電容量型微細加工超音波振動子のアレイであって、振動子の第1の行と、第1の行の振動子を直列に電気的に接続する電気的相互接続部とを含むアレイと、を備えた装置が提供される。
【0082】
電離放射線はX線とすることができる。
【0083】
装置は、基板の少なくとも1つの隅部に配置された基準マーカをさらに備えることができ、基準マーカは、基板よりもX線に対して透過的でない。
【0084】
アレイは、振動子のさらなる行と、さらなる行のうちのいずれか1つの行の振動子を互いに直列に電気的に接続する電気的相互接続部とをさらに含むことができる。
【0085】
行は互いに並列に配置することができる。
【0086】
装置は、振動子が電気的に相互接続されたマトリックスを含むように行をまたぐ電気的相互接続部をさらに備えることができる。
【0087】
振動子は染色ポリマーを含むことができる。
【0088】
振動子のアレイが配置された基板の側の一部は接着剤であることができ、接着剤である一部はアレイの周囲に位置することができる。
【0089】
基板は、可撓性、非磁性体とすることができ、及び/又は紫外線、可視光線及び赤外光線のうちの少なくとも1つに対して実質的に透過的であることができる。
【0090】
基板は、弾性ファブリック、金属箔、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、アルミニウム及び/又は酸化インジウムスズを含むことができる。
【0091】
装置は、基板の第1の行の振動子と同じ側から延びる2行の壁をさらに備えることができ、振動子の第1の行は2行の壁間に存在するように配置され、壁は振動子の第1の行よりも丈が高い。
【0092】
アレイは、振動子のさらなる行と、さらなる行のうちのいずれか1つの行の振動子を互いに直列に電気的に接続する電気相互接続部とをさらに含むことができる。装置は、振動子のさらなる行と同じ基板の側から延びる壁のさらなる行をさらに備えることができ、振動子のさらなる行は、壁のさらなる行間にそれぞれ存在するように配置され、壁のさらなる行は、振動子のさらなる行よりも丈が高い。
【0093】
装置は、振動子と同じ基板の側から延びて壁の行を横切る壁の列をさらに備えることができる。壁の列間に振動子の列がそれぞれ存在することができ、壁の列は振動子よりも丈が高いことができる。
【0094】
壁は音響クロスカップリングを低減することができる。
【0095】
壁の少なくとも一部はセグメント化することができる。
【0096】
壁は少なくとも50μmの高さを有することができる。
【0097】
壁の少なくとも一部は基板を横切って線形的に延びることができる。
【0098】
壁の少なくとも一部は基板を横切ってジグザグパターンで延びることができる。
【0099】
壁の少なくとも一部は機械的に補強することができる。
【0100】
機械的に補強される壁は補強部分及び非補強部分を含むことができ、補強部分は非補強部分よりも厚く、壁の少なくとも端部は補強部分を含むことができる。
【0101】
機械的に補強される壁は補強部分及び非補強部分を含むことができ、補強部分及び非補強部分は異なる断面を有する。
【0102】
機械的に補強される壁は補強部分及び非補強部分を含むことができ、補強部分及び非補強部分は異なる材料から製造される。
【0103】
装置は、音響マイクロレンズをさらに備えることができ、音響マイクロレンズは、壁の頂部と振動子の頂部との間に堆積した1又は2以上の材料層を含むことができる。
【0104】
基板は、物体に連続して適用するためのテープを含み、テープは、テープの上面沿いの上部ボンドパッドと、テープの下面沿いの下部ボンドパッドと、テープを貫通して上部及び下部ボンドパッドの対をそれぞれ電気的に接続するビアとを含む。ボンドパッドは、テープの隣接する行が互いに重なり合って、隣接する行の一方の行の上部ボンドパッドが隣接する行の他方の行の下部ボンドパッドに接触するように配置することができる。
【0105】
上部及び下部ボンドパッドは、それぞれ上面及び下面の縁部に沿って延びることができる。
【0106】
振動子の行は、曲面に対するテープの適用を容易にするようにテープの縁部に対して非直角に延びることができる。
【0107】
テープは、ボンドパッドの重なり合いを容易にするように配置されたレリーフアライメントロックインパターンを含むことができる。
【0108】
レリーフアライメントロックインパターンは、上面及び下面の一方における突出部と、上面及び下面の他方における対応する凹部とを含むことができる。
【0109】
装置は、基板に埋め込まれた光導波路をさらに備えることができる。
【0110】
光導波路は、振動子で終端することができる。
【0111】
光導波路は、振動子の外側の基板で終端することができる。
【0112】
装置は、(i)振動子に通信可能に結合された無線送信機と、(ii)無線送信機及び振動子に電気的に結合されたバッテリとをさらに備えることができ、無線送信機は、振動子を使用して取得された超音波データをコントローラに無線で送信するように構成される。
【0113】
別の態様によれば、上述した装置の様々な用途が提供される。すなわち、上述した装置の、構造的完全性試験、パイプラインモニタリング、水圧試験、航空機の翼の非破壊試験、医療診断、乳房に対してマンモグラフィが実行されている間に乳房の超音波を実行すること、化学的試験及び生物学的試験の一方又は両方、心臓モニタリング、血圧モニタリング、経頭蓋超音波検査の実行、汚れ、埃、水、氷及び血液のうちの1つ又は2つ以上などのデブリ洗浄のための使用、並びに装置がX線に対して透過的である態様では、装置を通じてX線画像が取得されている間に超音波信号を生成するための使用が提供される。
【0114】
別の態様によれば、(i)乳房を受け取るための空間を間に有する上部圧縮装置及び下部圧縮装置と、(ii)圧縮装置間の空間をX線で照射するように配置されたX線エミッタと、(iii)空間を通過した後のX線を受け取るように配置されたX線受信機と、(iv)X線エミッタとX線受信機との間に配置された、X線に対して透過的な装置の上述した態様のうちのいずれかを備えるマンモグラフィ走査システムが提供される。
【0115】
装置は、圧縮装置の一方に隣接して又は圧縮装置内に配置することができる。
【0116】
アレイは、使用時にX線を不均一に減衰させ、装置は、X線エミッタとX線受信機との間にX線が移動する軌道に沿って配置された補償装置をさらに備えることができる。補償装置は、装置及び補償装置がアレイを通過するX線を協働して均一に減衰するように補償装置にわたって厚みが変化するX線吸収材料を含むことができる。
【0117】
装置は、X線エミッタ及びX線受信機の視野よりも広い視野を有することができる。
【0118】
装置の視野は、乳房の背後の胸壁を含むことができる。
【0119】
別の態様によれば、以下に限定するわけではないが、平面及び曲面、不規則な形状の表面、球面及び(パイプ及び管などの)円筒面を含む様々な表面を共形的に覆うことができる柔軟な静電容量型微細加工超音波振動子アレイ又はファブリックが提供される。
【0120】
別の態様によれば、フレキシブル基板上にポリマー系静電容量型超音波振動子を作製する方法が提供される。この製造方法は、安価であること、加工が容易であること、及び大規模アレイ内に形成できることなどの、ポリマー材料の利点を採用する。
【0121】
添付図に示す以下の選択された実施形態の詳細な説明を踏まえれば、本明細書の主題の特徴及び利点がより明らかになるであろう。理解されるように、開示して特許請求する主題は、全て特許請求の範囲から逸脱することなく様々な点で修正が可能である。従って、図面及び説明は本質的に限定ではなく例示とみなすべきであり、本主題の完全な範囲は特許請求の範囲に示される。
【0122】
添付図面と組み合わせて行う以下の詳細な説明から、本開示のさらなる特徴及び利点が明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0123】
【
図1A】単一のポリマー系静電容量型微細加工超音波振動子素子(「ポリCMUT」)の、構成部品を示す断面における線画である。
【
図1B】異なる構築層(building layers)のトポグラフィを示す
図1AのA-A’の断面図である。
【
図1C】異なる構築層のトポグラフィを示す
図1BのA-A’の断面図である。上部電極は埋め込まれておらず、犠牲層の真上に位置する。上部電極の急激な高さの推移を強調している。
【
図1D】第2の実施形態によるポリCMUTセルの上面図である。
【
図2A】ファブリックを形成するためのポリCMUT間の電気的接続の2つの可能な組織パターンを示す線画であり、左側は横並び配向の線形パターン(1.5D)であり、右側は2次元アレイパターン(2D)である。
【
図2B】個々のポリCMUTセルを互いに並列接続された円として示す2次元ポリCMUTアレイの線画である。
【
図2C】個々のセルが共通電極を使用してどのように並列に接続されているかを詳細に示す
図2Bの一部の拡大図である。
【
図3A】1次元での柔軟性を構造的に可能にするポリCMUTファブリックのモデルである。
【
図3B】2次元での柔軟性を構造的に可能にするポリCMUTファブリックのモデルである。
【
図4A】構造的平滑末端隆起(structural blunt-ended elevations)が間の「谷間」のCMUTパネルを保護するポリCMUTアレイの実施形態の線画である。なお、ポリCMUTは図示していない。
【
図4B】
図4Aの線A-A’の断面図である。なお、ポリCMUTは図示していない。
【
図4C】
図4Aの線画の斜視図である。なお、ポリCMUTは図示していない。
【
図5A】本発明の一実施形態によるファブリックを有するパイプの巻かれていない形態での線画である。
【
図5B】本発明の一実施形態によるファブリックを有するパイプの巻かれた形態での線画である。
【
図5C】本発明の一実施形態によるスリーブ形態のファブリックを有するパイプの線画である。
【
図5D】本発明の一実施形態による、もう一方に部分的に重なり合って2つの素子間にボンドパッド及び電気コネクタを有する、積層されたリボン形態又は線形形態のポリCMUTアレイの線画である。
【
図5E】本発明の一実施形態による、パイプを巻くために使用されるスプール状の(spooled)リボン形態のファブリックを有するパイプの線画である。
【
図6A】本発明の実施形態による、周期的環形態のファブリックが取り付けられた地下パイプラインのレイアウト及び監視のスケッチである。
【
図6B】互いに距離Dを置いた周期的環形態のファブリックを有するパイプの線画である。矢印は、パイプによって輸送される液体の流れを表す。
【
図7】図示していない部品の中でも特にプロセッサ、ビームフォーマ、アナログフロントエンド電子部品、バッテリ、複数のCMUT素子からの有線接続を受け取るマニホールド及びアンテナを含む汎用超音波制御パネルの線画である。
【
図8A】本発明の一実施形態による、ポリCMUTアレイのパッチを有するパイプの部分の線画である。
【
図8B】本発明の実施形態による、ポリCMUTアレイパッチを有するパイプの線画である。
【
図8C】パイプの対向する側面にポリCMUTアレイのパッチを有し、前記パイプの直径を横切って信号を送受信するパイプの断面の線画である。
【
図8D】パイプの周囲をポリCMUTアレイで完全に包んで前記パイプの直径を横切って信号を送受信するパイプの断面の線画である。
【
図9A】一実施形態によるポリCMUTパッチ、電源及びコントロールの概略図である。
【
図9B】別の実施形態によるポリCMUTパッチ、電源及びコントロールの概略図である。
【
図9C】さらに別の実施形態によるポリCMUTパッチ、電源及びコントロールの概略図である。
【
図10】例えばヒト組織との接触時に構造的平滑末端隆起が「谷間」のCMUTパネルを保護するCMUTファブリックの実施形態の線画である。
【
図11】人体からのリアルタイム超音波データ収集に使用されるポリCMUTファブリックの特定の位置付けを示す図である。
【
図12A】透過性ポリCMUTアレイがシステムに統合された、本文書の第1の実施形態による基本構造マンモグラフィスキャナを示す図である。
【
図12B】透過性ポリCMUTアレイを後付け目的で既存のマンモグラフィスキャナの位置にスライド又は配置できる、別の実施形態による基本構造マンモグラフィスキャナを示す図である。
【
図12C】乳房が圧縮されて透過性ポリCMUTアレイが下部圧縮パッドの上方に配置されたマンモグラフィシステムを示す図であり、ポリCMUTアレイ(1.5D又は2Dアレイ)は、アレイのビームステアリング及び集束能力によって胸壁付近の生体構造を撮像するために使用することができる。
【
図12D】透過性ポリCMUTアレイを光音響イメージング目的で使用できる、本文書の別の実施形態による基本構造マンモグラフィスキャナを示す図である。
【
図13A】透過性基板、相互接続ケーブル及びコントローラを示す、マトリックス形態の透過性ポリCMUTシステムを示す図である。
【
図13B】アレイの隅部に画像処理及び位置合わせのためのマーカ又は基準を示す、マトリックス(2D)形態の透過性ポリCMUTアレイを示す図である。
【
図14A】各線形アレイ(1D)を使用して人体構造の「スライス」を撮像できる1.5DポリCMUTアレイの側面図である。
【
図14B】線形アレイ(1D)の各グループを使用して最終的な画像の視野を拡大するようにステアリングして集束することができる超音波ビームを作成できる1.5DポリCMUTアレイの側面図である。
【
図15】複数のポリCMUTセルと、透過性超音波アレイに関連して任意に使用される補償層とを示す透過性超音波アレイの断面図である。
【
図16A】非電離レーザー源からのアレイの照明を背面から提供する光導波路が基板に埋め込まれた光音響適合ポリCMUTアレイを示す図である。
【
図16B】非電離レーザー源からのアレイの照明を背面から提供する光導波路が基板に埋め込まれた光音響適合透過性ポリCMUTアレイを示す図である。
【
図17】高さ50μm×50μmのピラーを有するポリCMUT超音波アレイに対して理論的乳房を圧迫した際のFEMシミュレーション結果のスクリーンショットである。
【
図18】乳房組織モデルに100Nの力を加えた時の有限要素解析(FEM)シミュレーション結果を示す図である。
【
図19】高さ60μm×100μmの壁を有するポリCMUT超音波アレイに対して理論的乳房を圧迫した際のシミュレーション結果のスクリーンショットである。
【
図20】高さ70μm×100μmの壁を有するポリCMUT超音波アレイに対して理論的乳房を圧迫した際のFEMシミュレーション結果のスクリーンショットである。
【
図21】高さ50μm×250μmの壁を有するポリCMUT超音波アレイに対して理論的乳房を圧迫した際のFEMシミュレーション結果のスクリーンショットである。
【
図22】X線照射された素子のX線画像の写真の横に、シリコン系ポリCMUTのX線透過性を同じ素子の線画によって示す図である。両パネル(線画及び写真画像)の上部の正方形は従来のシリコン系CMUTであり、2行目は本発明の少なくともいくつかの実施形態のアレイによるポリCMUTであり、3行目は従来の圧電ベースの振動子部分である。出力は、高密度な乳房組織に使用される平均出力である30kV@160mAsであった。
【
図23】グレースケールレベルに基づく様々な材料の計算されたX線透過率の写真であり、背景のグレースケールレベルは40であり、X線出力は40kV@10mAsである。Aは、X線透過率99.1%又はグレースケールレベル42のカプトン(Kapton)であり、Bは、X線透過率81.0%又はグレースケールレベル81のアルミニウムであり、Cは、X線透過率75.5%又はグレースケールレベル93のシリコンであり、Dは、X線透過率88.6%又はグレースケールレベル69のLexanであり、Eは、X線透過率89.8%又はグレースケールレベル62のプレキシガラスであり、Fは、X線透過率65.3%又はグレースケールレベル115のガラスであり、Gは、X線透過率1.39%又はグレースケールレベル253のステンレスである。濃い部分はX線透過性であり、白色はX線不透過性である。
【
図24】一実施形態による、ポリCMUTアレイ、物理コネクタ及び電気ビアを有するフレキシブルポリCMUTアレイの部分の斜視図である。
【
図25】電気的接続点101を示すポリCMUTアレイの片側の拡大図であり、各電気的相互接続点は、個々のポリCMUT素子42の上部電極に電気的に接続する。フレキシブルポリCMUTアレイの別の部分への位置合わせ及び機械的固定を容易にする機械的キャビティ又は空隙102が存在する。
【
図26】フレキシブルポリCMUTアレイの部分の反対方向からの別の斜視図であり、この場合も上部にポリCMUT素子が配置される。
【
図27】
図26に示すようなポリCMUTアレイ25の同じ側の拡大図であり、突出部104付近に電気的接続点103を示す。
【
図28】ポリCMUT素子42が側面うちの1つに関して角度θ105で作製されることを示す、ポリCMUTアレイ25の拡大図である。
【
図29】適所に固定されて相互接続されたポリCMUTアレイロールの3つの巻線又は素子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0124】
以下では、次の用語を定義する。
【0125】
ポリマー系静電容量型微細加工超音波振動子」(ポリCMUT)という用語は、キャビティ上に懸架された埋め込み上部電極を含む高分子膜を有する層状超音波デバイスを意味するように意図される。ポリCMUTの例は、Gerardo、Rohling及びCretuによる米国特許第10,598,362号に見出される。ポリCMUT構造の例は、
図1A(断面)、
図1B(同じ構造の上面)、
図1C(別の実施形態の断面)及び
図1D(
図1Cの実施形態の上面)に見出される。従来のCMUTとは異なり、ポリCMUTでは上部電極が2つのポリマー層に埋め込まれ、下部層の方が上部層よりも薄い。この構造は、十分に薄いCMUTキャビティの形成と相まって、CMUTが受け入れ難いほど高い動作電圧を必要とすることなくMHz動作領域に到達することを可能にすることができる。「ポリCMUT」素子は、Cretuらによる米国特許第10,598,362号、又はChangらによる米国特許第7,673,375号に開示される方法によって形成することができる。
図1Aでは、ポリCMUTの図を、電極10、第1のポリマー層1、第2のポリマー層2、キャビティ12及び基板又は基部14と共に15で示す。
【0126】
ポリCMUTの製造に使用されるのは、シクロペンタノン溶剤、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、ポリマー及び界面活性剤(それぞれ総量の1%未満)を含むOmniCoat(商標)組成物(Kayaku Advanced Materials社、マサチューセッツ州ウェストボロー)、シクロペンタノン、PGME、ポリ脂肪族イミドコポリマー、専用色素(総量の2%未満)及び界面活性剤で構成されるLOR(商標)(リフトオフレジスト)組成物(Kayaku社)、及び有機溶剤に溶解したビスフェノールAノボラック(商標)エポキシと最大10重量%のトリアリールスルホニウム/ヘキサフルオロアンチモン酸塩とを含む光透過性ポリマー系フォトレジスト材料「SU-8」(Kayaku社)である。
【0127】
本明細書で使用する、ポリマー層内に電極を「埋め込む」とは、その電極で行われる電気的接続を除いて電極を完全にポリマーで覆うことを意味する。これらの接続は、電極をポリマー層内に完全に埋め込む前に形成される。
【0128】
また、本明細書で使用する、材料を「パターニングする」とは、その材料を(例えば、感光性の場合には)直接又は(例えば、OmniCoat(商標)又はLOR(商標)組成物の場合には)マスキング層を使用して選択的に除去することを意味する。
【0129】
使用される犠牲層は、スピンコーティング又はスプレーコーティングを使用して平面又は曲面上に高度に制御可能な厚みで直接堆積させることができる。この(やはりポリマー系である)犠牲層の性質は、製造プロセスの大幅な柔軟性向上を可能にする。シリコン系CMUTと比べると、これらの犠牲層は、高温チャンバ内のみにおいて選択された基板の上方に堆積又は成長させることができる。
【0130】
「基板」は、ポリCMUTデバイスが作製される基となる基礎物質又は層を意味する。基板は、様々な範囲の金属(例えば、アルミニウム)、非金属(例えば、セラミック、複合材料)、半導体(例えば、シリコン)、さらにはポリイミド、カプトン(商標)、プレキシガラス又はレキサン(商標)などのポリマー系材料を含むことができる。基板は、ガラス又は酸化インジウムスズ(ITO)などの光透過性又は半透過性の材料を含むこともできる。基板は、硬質、半硬質又は軟質とすることができる。基板は、例えば酸化インジウムスズの層によって被覆されたガラス片、又は金属層によって被覆されたポリイミド片などの、上述した選択肢の組み合わせを含むこともできる。
【0131】
本明細書で使用する「ファブリック」又は「アレイ」は、有線通信又は無線信号のいずれかによって互いに通信してユーザインターフェイスと通信できるポリCMUT素子の線形アレイ(1Dアレイ)、複数行の線形アレイ(1.5Dアレイ)又は2次元アレイ(2Dアレイ)を意味するように意図される。
【0132】
「低電力」又は「受動電力」は、ポリCMUT振動子の共振周波数に一致する周波数で実行される電磁場を用いた無線電力伝送を意味するように意図される。例示的な周波数は、330kHzからの超長波(VLF)、30~300kHzの長波(LF)、300kHz~3MHzの中波(MF)、3~30MHzの短波(HF)、30~300MHzの超短波(VHF)、300MHz~3GHzの極超短波(UHF)を含むいわゆる高周波領域である。高MHz~低GHz帯は、セルラー、Bluetooth(商標)、WiFi(商標)周波数を含み、従ってこれらの技術を使用して無線電力伝送を行うことができる。無線電力伝送の周波数と、共振周波数付近の超音波を媒体内に発するポリCMUT振動子の共振周波数との間で変換を行う周波数振動子を含めることもできる。
【0133】
本明細書で使用する「アレイ」は、1次元(1-D)配置で横並びに位置合わせされた一群のポリCMUT素子、横並びに配置された複数の線形アレイ(1.5-D)、或いは有線通信又は無線信号のいずれかによって互いに通信(一度接続又はアクティブ)してユーザインターフェイスと通信できるポリCMUT素子の2次元アレイ(2-Dアレイ、しばしばマトリックスアレイと呼ばれる)を意味するように意図される。
図2Aには、観察者の左手側にポリCMUT15の1Dアレイを縦線で示し、観察者の右手側の画像に2Dアレイを示す。
図2Bは、基板14上にポリCMUTの一連の4本の線形ストリップが存在するレイアウトの拡大図である。
図2Cには、ポリCMUT15が電気コネクタ5を介して互いに通信するさらに詳細な2Dアレイを示す。X線透過アレイは、
図12Cの40で参照する。
【0134】
X線マンモグラフィは、患者の乳房のX線撮像を使用した乳癌検査の実施を意味する。特に若い女性は乳房組織が高密度である割合が高い。X線撮像中、高密度な乳房組織は潜在的な腫瘍組織とある程度同様にX線を吸収するため、高密度な乳房組織と潜在的な腫瘍組織とを区別することが困難である。ポリCMUTアレイは、X線マンモグラフィに関連して有用である。
【0135】
「ピラー」は、ポリCMUTに近接して衝突体(impinging bodies)による直接的な接触からポリCMUTを保護する構造である。画像では、ピラーを16番によって示す。
【0136】
光音響(PA)イメージングは、生物組織内に非電離レーザーパルスを照射する生物医学的イメージングモダリティである。照射されたエネルギーの一部は吸収されて熱に変換されることにより、過渡的な熱弾性膨張、従って広帯域(すなわちMHz)超音波放射をもたらす。圧電(PZT)技術に基づく従来のPZT超音波撮像振動子の典型的な受信周波数応答は、PA信号に含まれる情報全体を完全に保護するのに十分な広帯域ではない。CMUTは、受信時に高感度及び著しく広い周波数応答の両方を示し、PAイメージング用途との関連においてPZT超音波よりも有効である。
【0137】
エラストグラフィは、軟組織の弾性特性及び硬さをマッピングする医用画像診断モダリティである。その本旨は、組織が硬いか柔らかいかによって病気の存在又は状態に関する診断情報が与えられるというものである。例えば、癌性腫瘍は周囲組織よりも硬いことが多く、病的肝臓は健康な肝臓よりも硬い。ポリCMUTアレイは、エラストグラフィ装置との関連において、特にPZT超音波と比べて有用である。
【0138】
磁気共鳴撮像法(MRI)は、生体構造及び身体の生理学的過程の画像を形成するための、放射線医学において使用される医用撮像技術である。MRIスキャナは、強い磁場、磁場勾配及び電波を使用して体内の臓器の画像を生成する。MRIは、X線又は電離放射線の使用を伴わず、このためCT又はCATスキャン及びPETスキャンとは区別される。ポリCMUTアレイは、MRIスキャナとの関連において、特にPZT超音波と比べて有用である。
【0139】
本明細書で使用する「ウェアラブルポリCMUTパッチ」は、例えば
図9A、
図9B及び
図9Cに示すように、コントローラ50からの有線通信又は無線通信のいずれかによって電子信号を送受信するように接続された線形(リボン形態、1D)、一連のリボン形態(1.5D)又は2次元アレイ(2D)のポリCMUT素子を意味するように意図される。送受信用の電子機器は、
図7の26で示すような有線通信又は
図9Cに示すような無線通信75のいずれかによって(単複の)アレイに接続されたコントローラに接続される。
【0140】
本明細書で使用する「透過性の」は、(X線、紫外線、可視光線及び赤外線を含む)電磁スペクトルの一部又はその他の形態のエネルギーが大幅な減衰を伴わずに材料を通過できることを意味するように意図される。例えば、フォトポリマーSU8は、(400nm~800nm及びそれを上回る)光の97%近くを通すことができる。X線透過性に関連して、表1では異なる材料の吸収率を比較しており、ここではポリイミドで形成された1000μm厚の基板の方が鉛又はシリコンに比べてX線透過的であると考えられる。
【0141】
本開示における「備える、含む(comprising)」という単語は、この単語の後の項目を含むが具体的に言及していない項目も除外されないことを意味するように非限定的な意味で使用される。指定された特徴又は変数又はパラメータを含む又は含むことができる実施形態では、別の実施形態もこのような特徴又は変数又はパラメータから成り又は本質的に成ることができると理解されるであろう。不定冠詞「a」による要素への言及は、唯一の要素が存在することが文脈上明らかに必要でない限り、複数の要素が存在する可能性を排除するものではない。
【0142】
本開示における端点による数値範囲の記載は、全ての自然数(whole numbers)、全ての整数(integers)及び全ての中間分数(fractional intermediates)を含む範囲内に包含される全ての数字を含む(例えば、1~5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4及び5などを含む)。本開示における単数形の英文不定冠詞(「an」)及び英文定冠詞(「the」)は、文脈において別途明確に示されていない限り複数の照応を含む。従って、例えば「ある化合物(a compound)」を含む組成物についての言及は、2又は3以上の化合物の混合物を含む。
【0143】
本開示における「又は」という用語は、一般に文脈において別途明確に示されていない限り「及び/又は」を含む意味で採用される。
1は、第1のポリマー系層である。
2は、第2のポリマー系層である。
3は、超音波である。
4は、無線通信である。
5は、ポリCMUT振動子間の電気的接続である。
7は、モニタリング車両である。
10は、第1のポリマー層1と第2のポリマー系層2との間に挟まれた上部電極である。
12は、ポリCMUTセルのキャビティである。
14は、基板である。
15は、個々のポリCMUTセルである。
16は、ピラー/保護壁である。
17は、第2のポリマー系層である。
18は、第1のポリマー系層である。
19は、ブレース又はファスナである。
20は、マイクロプロセッサである。
21は、保護ポリマーコーティングである。
22は、ビームフォーマである。
23は、メモリである。
24は、バッテリである。
25は、複数のアレイを含むポリCMUTアレイ又は素子である。
26は、ポリCMUTアレイ又は素子への配線出し(wiring out)である。
27は、アンテナである。
29は、いずれかのパイプである。
30は、マンモグラフィ走査システムである。
31は、マンモグラフィ構造支持装置である。
32は、マンモグラフィの下部圧縮装置である。
33は、マンモグラフィの上部圧縮装置である。
34は、X線エミッタである。
35は、X線検出器である。
37は、外部光導波路である。
38は、外部光源である。
39は、組み合わせX線超音波である。
40は、X線透過性ポリCMUTシステムである。
41は、透過性ポリCMUT超音波アレイである。
42は、個々の線形アレイ(1D)である。
44は、基準マーカである。
46は、線形アレイからの集束超音波ビームの輪郭である。
47は、マトリクスアレイからの集束超音波ビームの輪郭である。
48は、ビームステアリングによって拡大された超音波画像の視野である。
50は、コントローラ/送信機/受信機である。
60は、補償装置である。この装置は、ポリCMUTアレイ41が完全にX線透過性でない場合に使用される。
61は、補償装置の基板(炭素繊維又はポリイミドなどのX線透過性であることが望ましい)である。
62は、異なる経路にわたるポリCMUTアレイの全減衰を「補正」するために使用できる特定の高さを有する吸収材料である。
64は、例えば光ファイバなどの、光源からの光を伝える主導波路又は導波路のマニホールドである。
65は、ポリCMUT素子又はセル間でレーザーパルスを分散させる内部導波路である。
66は、ポリCMUTセル又は素子の下方に配置されたこれらの導波路65の出力である。
75は、受動的給電インターフェイス(passive powering interface)である。
91は、超音波カップリングゲルである。
Aは、人間の乳房又はそのモデルである。
Z’~Z’’は、ステアリングされる超音波ビームの軌道である。
101は、電気的接続点又はビアである。
102は、アレイを互いに結合するための機械的キャビティ又はレセプタクルであり、104を参照。
103は、電気的接続点又はビアである。
104は、キャビティ102に摩擦的に適合するようなサイズの機械的突出部である。
【0144】
本文脈では、本発明の少なくともいくつかの実施形態が、物理的構造の非破壊検査及び臨床目的でのポリCMUT技術の具体的な特殊化に焦点を当てる。
【0145】
従来の超音波振動子のサイズ、重量、剛性、脆弱性及び電力伝達能力及びニーズは、金属材料及び複合材料の「非破壊(構造)検査」(NDT)、並びにヒト組織に関与するヘルスケア用途における使用性能をさらに制限している。
【0146】
次に図面、具体的には
図1Aに、ポリCMUT15の基本構造を線画で示す。基板14は、金属基板、ポリシリコン、又はより好ましくはシリコンウェハで構成される。電極10上のポリマー層2はキャビティ12を覆う。セル全体をシールする保護ポリマーオーバーコーティング(protective polymer overcoating)21も示す。
【0147】
図1Bは、Cretuらによる米国特許出願公開第2019187101号に開示される方法によるポリCMUTセルの上面図であり、ここでは明確化のために掲載する。
【0148】
図1Cは、異なる構築層のトポグラフィを示す
図1Dの断面
図A-A’である。密封キャビティ12は、Cretuらによる米国特許出願公開第2019187101号に記載される方法によって犠牲層をエッチングした後に達成される。
【0149】
図1Dは、製造プロセスの順序を変更した本文書の第2の実施形態によるポリCMUTセルの上面図である。上部電極10は、第1のポリマー系層1と第2のポリマー系層2との間に埋め込まれるのではなくキャビティ12の真上に配置される。
【0150】
電力
膜内に閉じ込められた電荷は、内蔵DCバイアスとして機能する。ポリCMUTは、受信中にパッシブデバイス(外部電源なし)として使用することができる。或いは、低励磁電圧(10V
DC+12V
AC)が必要である。このことは、CMUT又は圧電ベースの振動子が動作のために必要とする高電圧(>50V)とは対照的である。
図2Aでは、本明細書で使用する「ポリCMUTアレイ」を、線形アレイ(リボン形態)、横並びのリボンアレイ形態(1.5D)及び2次元アレイ形態のポリCMUTを示すように単純化している。図面では、これらの形態のうちのいずれか1つを25として表記する。
図2B及び
図2Cに示すように、ポリCMUTセル15は、コネクタ5を介して他のセルに接続される。その後、送受信エレクトロニクスは、
図9A~
図9Cに示すような概略図に例示するように有線通信又は無線通信のいずれかによって(単複の)アレイに接続されたコントローラに接続される。
図15では、X線の存在下で超音波画像を取得するためにX線透過性ポリCMUTアレイ41を使用する。アレイ41の真下には、軌道A-A’-A’’、B-B’-B’’、C-C’-C’’、D-D’-D’’を横切るX線の経路全体が同じX線減衰を有して最終的なX線画像内でアレイ41が均一にX線透過的に見えるように、(
図15Bに示す)補償装置60が取り付けらる(又は接着される)。
【0151】
いくつかの実施形態では、無線通信が無線電力伝送も含み、例えば
図9Cに75で示す、電源からの電力によって駆動される送信機デバイスは、時変電磁場を生成し、空間75を横切って受信機デバイスに電力を送信し、受信機装置は電場から電力を抽出してこれを電気負荷に供給する。無線電力伝送の例としては、誘導結合、共振誘導結合、容量結合、磁気力学的結合、マイクロ波及び光波が挙げられる。結合は、近距離結合又は中間結合とすることができる。これらは全て電磁エネルギーである。周波数は、キロヘルツ波~メガヘルツ波、マイクロ波、X線及び光波(太陽光発電及びレーザー)とすることができる。このような波は、アンテナ又はその他の結合装置によって生成することができる。この波は、同時磁気共鳴撮像又はX線撮像からの電磁エネルギーを含む。その他の例は、音波及び表面波からの運動エネルギー、並びに熱からの熱エネルギーから得られる。カプラーは、図示のようにポリCMUT振動子の外部に取り付けることも、或いはポリCMUT振動子素子に直接埋め込むこともできる。無線電力伝送を使用する利点は、利便性及び安全性を高め、ウェアラブルポリCMUTパッチのサイズ、重量、コスト及び複雑さを抑える点である。応用例としては、装着者の邪魔にならない軽量パッチが挙げられる。別の応用例としては、感染症に対する懸念からワイヤが禁止される埋め込み型又は移植型パッチが挙げられる。
【0152】
利点
ポリCMUTは、従来のシリコン系CMUTを上回る数多くの利点を有する。例えば、ポリマーの値段が高くなったり、或いは電極が金のような高額金属でない限り、ポリCMUTの総製造コストは$100をはるかに下回ると推定される。ポリCMUTは、最小限かつ安価な製造設備(マスクアライナー、金属蒸発器、臨界点乾燥機)しか必要としない。このことは、高価で煩雑な設備が必要とされるシリコン系CMUTよりも有利である。本発明の少なくともいくつかの実施形態のポリCMUTアレイは、3次元形状の周囲を包み込むピラー16の切れ目によって1(x)次元又は2(x、y)次元での可屈曲性(bendability)を示す
図3A及び
図3Bのアレイに示すような柔軟性、並びに
図4A、断面
図4B及び斜視
図4Cに示すような、ポリCMUTの超音波容量に影響を与えることなく表面との接触を可能にする保護ピラー16も有する。
図4Aは、ポリCMUTアレイ42が実装されたチャネルを保護する保護壁を有する線形ポリCMUTアレイの上面図及び断面図である。保護壁16は、異なる形態及びサイズを有することもできる。この図には矩形の壁を示しているが、構造の機械的堅牢性を高めるために、ジグザグフォーマットの壁などのより複雑な形状を使用することもできる。いくつかの実施形態では曲線的な壁も有用である。
【0153】
ポリマー系CMUTは、ウェアラブル用途のためにフレキシブル基板上に製造することができる。このような製造は、シリコン系CMUTでは硬質基板が必要であるため行うことができず、セラミック圧電材料では絶対に不可能である。
【0154】
ポリマー系CMUTの製造は、理論上はロールツーロール製造にスケールアップして製造コストをさらに抑えることもできる。
【0155】
ポリCMUTコンポーネントアレイの製造
製造では、犠牲層にOmniCoat(商標)組成物が使用される。他の可能な選択肢としては、LOR(商標)、又は製造で使用される化学物質及び材料に適合する金属が挙げられる。
【0156】
犠牲層の上に、S1813又は(Kayaku社から購入される)SU-8などのフォトレジストを堆積させる。次に、フォトマスク及びマスクアライナーの配置後にフォトレジスト層をUVに曝し、アルカリ系フォトレジスト現像液(MF319又はいずれかの同様のTMAHベースの現像液)を含む水溶液を使用して未架橋フォトレジストを除去する。
【0157】
次に、犠牲層を損傷することなく試料を溶解させるのに適したアセトン又はその他のいずれかの溶剤に試料を浸漬することによって正型フォトレジストのマスキング層を除去する。
【0158】
後には、最終的なデバイスのキャビティ12になる領域及びエッチングチャネルを含むパターン化された犠牲層が残る。
【0159】
次に、SU-8フォトレジストを使用して犠牲層を覆う。層の厚みは、犠牲層を共形的に被覆して、完成したCMUTの下部電極として機能する導電性基板と上部電極との間の良好な電気的絶縁性を維持するために、できるだけ薄くする。
【0160】
異なる実施形態では、ポリマー系材料が異なる組成を有することができる。少なくともいくつかの異なる実施形態では、SU-8の代わりに、ポリジメチルシロキサン(PDMS)又はポリメチルメタクリレート(PMMA)フォトレジストなどの部分的又は全体的に透過性であることができる材料を使用することができる。これらのポリマー系材料は、その光学的又は機械的特性を修正するように処理することもでき、例えば複合診断機器の特定の光波長をフィルタ処理するために色特異的色素(color-specific dye)を添加することができ、或いは電気的特性、機械的特性、熱的特性又は磁気的特性を修正するために金属又は磁気充填剤(例えば、銀ナノワイヤ、金ナノ粒子、カーボンナノチューブなど)を添加することができる。他の実施形態では、ポリCMUTがウェハボンディング技術で調製される。
【0161】
図1Aの10で示すように、第1のポリマー系層の架橋領域上には導電性上部電極(クロム、或いは金又はアルミニウムなどの他の金属)がパターニングされる。上部電極には、上部電極の機能を果たすことができる他のいずれかの材料(例えば、PEDOT、PSSなどの導電性ポリマー、酸化インジウムスズなどの光透過性材料など)を使用することもできる。この上部電極と架橋部との間の良好な接着は、完成したデバイスの通常動作中におけるいずれかの層間剥離の可能性を避けるために不可欠である。
【0162】
この時点では、全体的な膜(すなわち、架橋領域及び上部電極)の厚みがその直径に比べて薄いため、その共振周波数は完成したデバイスの所望の動作周波数の一部にすぎず、従って膜の上に第2のポリマー系層21を堆積させて、犠牲層、第1のポリマー系層及び上部電極を被覆する。例えば、この層を
図1A及び
図1Cに2で示す。
【0163】
第2のポリマー系層は、いくつかの実施形態では第1のポリマー系層と同じ感光性ポリマー(SU-8)のものであるが、他の実施形態では層が異なるポリマーを含む。この第2のポリマー系層の厚みは第1のポリマー系層の架橋領域の厚みよりもはるかに大きく、具体的には、いくつかの実施形態では約5倍の厚みである。
【0164】
上述したものと同様のプロセスに従って、フォトマスク及びマスクアライナーを使用して第2のポリマー系層をUVに曝す。UVに曝された領域は架橋領域になり、UVに曝されていない領域は無傷のまま(未架橋のまま)残る。この試料を、負型フォトレジスト現像液(SU-8現像液)を含む水溶液に入れることによって、第2のポリマー系層の未架橋領域をエッチング除去する。架橋領域は無傷のまま残る。
【0165】
この時点で、上部電極は2つのポリマー系層の架橋領域間に埋め込まれる。パターンニングされた犠牲層は除去される。
【0166】
この時点でいずれかの電気的相互接続部5を組み込まなければならない。
図2Aを参照すると、3つの可能なポリCMUTアレイ組織化計画(organization plans)が存在する。左側は、独立した電気的接続部を縁部に有するポリCMUT素子で構成された1Dアレイ又は「1.5D」アレイの横並びの線形アレイの行である。
図2Aの画像の右側は2次元マトリックスの実施形態を表しており、周辺部に独立した電気的接続部が配置される。線形アレイはストリップ形態であり、頭部から尾部への接続部のみを有する。別の実施形態では、電気的相互接続部をポリCMUT素子の裏面に設けて配線を単純化することもできる。
【0167】
図2B及び
図2Cに最も単純に示すように、円形はポリCMUTセル15を表し、円間の線は並列接続部5である。
【0168】
ポリCMUTアレイは、電気的接続部5が形成された後に、
図1の2で示すようなパリレンなどの好適なコーティングによってカプセル化される。このカプセル化材料のコーティングは、ポリCMUTアレイ全体をP=1×10
-3Torrなどの低圧チャンバ内に共形的に密封して、真空密閉された不浸透性の閉キャビティを形成する。必要な場合には、本発明の実施形態に従ってさらなる保護層が設けられる。
【0169】
ポリCMUTの別の製造は、第1のポリマー系層を下部電極10の真上に配置して電気絶縁層として機能させることを含む(
図1C)。このプロセスでは、次に犠牲層を堆積して後でキャビティになるようにパターニングする。次に、上部電極10(金属又は導電性ポリマーなどの導電性のもの)を堆積させてパターニングする。最後のステップでは、上部電極を覆う第2のポリマー系層を堆積させてパターニングする。この製造方法では、第2のポリマー系層の上方に電極が配置される場合と比べて電極間の有効距離が減少する。
【0170】
この製造方法では、上部電極の電気的均一性を維持するために上部電極の共形的堆積(conformal deposition)(例えば、金属スパッタリング)が必要である。或いは、指向性堆積法(例えば、金属蒸着)を使用する場合には、上部電極の厚みを犠牲層の厚みの少なくとも1.5倍とすべきである。次に、
図7に、マイクロプロセッサ20、ビームフォーマ22、メモリ23、バッテリ24及びアナログフロントエンド電子部品を有するプリント基板(PCB)の形態の制御パネルの実施形態を示す。ポリCMUTパネルへの配線を26で示す。アンテナ27は、用途に応じてグラフィックコンポーネント又は単純な合/否読み出し部(pass/fail readout)を有するユーザインターフェイス(図示せず)に信号を送信する。
【0171】
ポリCMUTアレイは、概略を
図7として示すコントローラ50によって制御されて時には電力供給され、そのコンポーネントは、(単複の)マイクロプロセッサ20、メモリ23、バッテリ24及びその他のいずれかの電源、コネクタ26のワイヤ整理のためのいずれかのマニホールド、アンテナ27、リレー、並びにポリCMUTアレイファブリックから信号を受信し、整理して送信するために必要な回路を含む。
【0172】
基板上の電気回路は、いくつかの実施形態では従来の超音波機械のものと同様であり、パルサー、メモリ23、通信コンポーネント、及びポリCMUTアレイに時間遅延を加えて集束超音波ビームを形成するビームフォーマ22、並びに必要に応じてアナログフロントエンド(AFE)エレクトロニクスを含む。電子インターフェイス回路は、例えばVerasonics社、US4US社、Interson社、及びTexas Instruments Ultrasound社から市販されている。このような回路は、電気信号から音響信号への変換、音響エコーから電気信号への変換、1又は2以上の振動子素子からの電気信号の処理、及び電気信号からターゲット材の測定値又は画像への変換を担う。非破壊検査、空挺用途及び特殊医療用途では、Raspberry Piなどの低コストハードウェアを使用した1-Dシングルラインリアルタイム測定が可能である。好ましい実施形態は、大容量バッテリ24と、一定間隔で又は連続して取り込まれたデータを記憶するメモリ22とを含む。
【0173】
ピラー
本発明の実施形態では、ポリCMUTアレイが、環境又は標的の表面からの膜の保護を必要とする環境において採用される。このようなアレイの構造は、ポリCMUTへの衝突を防ぐために、本明細書では「ピラー」と呼ぶ円筒形、矩形、円形又は壁様の保護構造を含む。保護ピラーを示す
図4A、
図4B及び
図4C、並びにピラー16によって保護されたポリCMUTアレイに接触しようとしている指先を示す
図10を参照されたい。
図10では、ポリCMUT素子15が基板14から突出しているが、ピラー16の方がCMUT素子よりも隆起していることによって直接接触を防ぐことが観察される。いくつかの実施形態では、ピラーの最低高さが50μmよりも高い。いくつかの実施形態では、ピラーをポリマー層のうちの1つから形成することができる。ピラーは、ポリCMUTアレイ上で導電性ポリマーゲルを支持して含むことができる。
【0174】
いくつかの実施形態では、ピラー又は壁のシステムが、加えられる機械的外圧に対する構造的支持をもたらすようにポリCMUTアレイ内に分散する。このような場合、振動子は(送信された超音波に対するエコーによって生成される)音圧のみに反応し、加えられた機械的圧力には反応しない。例えば、乳房マンモグラフィシステムにおける超音波撮像の使用時には、このような検査中に乳房が80~100Nの力で圧迫され、このような力が直接振動子に作用すべきではないためピラーが必要である。
【0175】
このようなシステムを実装する1つの方法は、振動子膜の製造に使用されるSU-8材料が補助層堆積及びパターニングステップを有するように製造技術を調整することに依拠する。この追加ステップは膜よりもはるかに高いピラー又は壁を製造し、80~100Nを含む印加圧力を支持することができる。
【0176】
このようなシステムを実装する第2の方法は、2つの加工基板間の接合技術を使用することに依拠する。米国特許第10,509,013号B2、第10,564,132号B2及び第10,598,632号B1に例示されるように、通常の製造ステップで第1の基板上にポリCMUTアレイを定める。別の基板上にはるかに厚いSU-8の層を堆積させてピラー/壁パターンを定める。その後に2つのモジュールを向かい合わせて接着し、SU-8ピラーを支持する基板を除去する。
【0177】
このピラー/壁システムは、機械的外圧が非常に薄いポリCMUT膜に直接加わるのではなくピラー/壁に加わるという点で機械的圧力からの保護を行う。
【0178】
機械的圧力が完全にピラーによって支えられ、音圧に対するポリCMUTセルの感度が機械的外圧に影響されず、両圧力間のクロスカップリングが排除されるため、ピラーは機械的圧力システムと音圧システムとの間の分離を行う。このようにすると、例えばプローブを身体に適用した時に、プローブの応答がオペレータによって加えられる圧力の影響を受けることがない。
【0179】
ピラーは、その具体的設計パターンに応じてセル間クロストークをさらに低減する。1つのセルの振動は、特に強いパルスで作動させた場合に固体又は流体環境を通じて隣接するセルに伝わって望ましくないクロストークを生じる恐れがあるため、CMUTアレイの主要課題のうちの1つは隣接するセル間のクロストークである。ピラーシステムは、このセル間結合にとってのさらなるフィルタリング障害物(filtering obstacle)を形成してクロストークを効果的に低減する。ピラーは、音響マイクロレンズのための支持システムをさらに提供し、すなわち壁/ピラーは、適切な技術ステップを通じて、音響マイクロレンズを定めるために使用される材料(例えば、PDMS)の1又は2以上の層で満たすことができる追加空間をCMUT膜の上方に提供することにより、音波のエネルギーが膜に垂直な方向に導かれるようにする。ピラーは、その高さに応じて(部分的な)音響導波路として機能できるため、音響マイクロレンズシステムの一部である。
【0180】
テープ/パッチの重ね合わせによる組み立て法。この方法は、フレキシブル基板上に規則的パターン(1×2、2×4、4×4など)で配置されたポリCMUTセルのアレイの一般的なモジュール組み立て法である。この方法では、柔軟なテープ又はパッチが、その上面に振動子のアレイを作製するための機械的基板として機能する一方で、下面は接着のために特別に処理することができる。上面に形成されたセルの行間の電気的相互接続性を確実にするために、各セル行は、パッチ/テープの両縁に関連するボンドパッド(電気的相互接続面)を有する。この縁部パッドは、フレキシブルプリントPCBの作製において使用されるものと同様のビア機構によって、テープ/パッチの下面にパターニングされた下縁部ボンドパッドに電気的に接続される。上部及び下部の縁部ボンドパッドの組は位置合わせされる。
【0181】
テープが規定の円周のパイプなどの円筒面を包み込むように形成されている場合、(テープの縁部に対して横方向に配置された)連続する振動子セルの行間の距離は、円筒の直径がその円周に沿って配置された行の整数に対応するように形成されることが好ましい。次のテープの巻きは、次の振動子行の組を前の振動子行の組と位置合わせし、前のテープの上縁部ボンドパッドを次のテープの巻きの下縁部ボンドパッドに重ね合わせることによって電気的相互接続を提供する。
【0182】
好ましい実施形態では、より良好な自己整合を確実にするために、テープ構造が、例えば振動子間の接続部の位置合わせを強制して安定化させるためにトレンチ及びウェッジなどのレリーフアライメントロックインパターン(relief alignment lock-in patterns)を有する。
【0183】
他の実施形態では、上述したボンドパッドの位置合わせが、様々な形状及びサイズのフレキシブルパッチ、バンド、ホイル、ファブリック、及び形成されるポリCMUTアレイの形状においても使用される。
【0184】
遠隔制御
「モノのインターネット」すなわち「IoT」は、互いに無線で接続されたデバイスを表す。多くのIoTデバイスはバッテリ駆動式であり、現場での寿命が長いことを必要とするため、消費電力が主要課題である。オフになったデバイスはバッテリ寿命を縮めるが必要時に感知を行わず、従ってIoTデバイスにアラートを発してオンにするためのエネルギー効率に優れた方法が必要とされている。すなわち、これらのデバイスは、IoTデバイスをオン/オフすることができるウェイクアップ受信機を必要とする。超音波は、このタスクを実行するためのいくつかの利点を有する。超音波は超短波長信号を使用することができ、従って無線信号を使用する同様のアラーム受信機よりもはるかに小型であると同時に極めて低い電力で動作して範囲も広い。このような超音波ベースの受信機は、いつデバイスをオンにすべきかを示す弱い固有の超音波信号をリスンする。このような受信機は、貴重な保存バッテリエネルギーのわずかな消費であるナノワットの信号電力しか必要としないことができる。さらに、このような超音波信号の範囲は必然的に制限されるので、例えば室内などに限定することができ、有益なプライバシー上の利点も有する。この概念は、単純なウェイクアップ信号のみに留まらず、暗号化パスワード又はその他の情報などの他の情報の送受信を含むこともできる。さらなる利点として、超音波周波数は、政府系規制機関によって決められるIoT通信のための厳密に制御された電磁波周波数範囲に干渉しない。
【0185】
図3A及び
図3Bに、本発明の少なくともいくつかの実施形態のファブリックの物理的構造を示す。このファブリックは、基板及びピラーによって剛性が維持されているが、ピラー16がどのように配置されるか、及び基板14が曲がりやすいかどうかに従って、1又は複数の長手方向軸に沿って柔軟である。
【0186】
ポリCMUTホイルの製造
ポリCMUTアレイは、金属基板上に金属箔のように振る舞うように作製することができる。金属の選択肢としては、アルミニウム、鋼、銅、又はその他の金属が挙げられる。このような金属箔は、最初に製造された形状から新たな形状に変形することができる。この変形は弾性域に限定することができ、従って変形力を取り除くと元の形状に戻ることができる。このことは、ポリCMUTを1つの形状のターゲット材に適用した後に取り外して別の異なる形状のターゲット材に適用しなければならない場合に有用である。この変形は塑性的なものとすることもでき、変形力を除去した後に形状を保持することもできる。このことは、ポリCMUTが長時間にわたってターゲット材の適所に留まらなければならない場合に有用である。
【0187】
ポリCMUTスリーブ
いくつかの実施形態では、ポリCMUTアレイを、伸縮性基板上に弾性ファブリックのように振る舞うように作製することができる。このことは、パイプ上のスリーブのようにポリCMUTとターゲット材との間に緊密な一致が必要な場合に有用である。例えば、管状のポリCMUTをわずかに大きな直径のパイプに引き伸ばしてパイプの長さに沿ってスライドさせた後に、元の形状に戻してパイプにぴったりと合わせることができる。この結果、パイプのようなターゲット材の周囲への取り付けを容易にすることができる。或いは、いくつかの実施形態では、伸縮性基板が伸縮性ファブリックのように振る舞うのではなく熱収縮チューブのように振る舞い、熱を適用すると基板が収縮して、ターゲット材にぴったり合わせるという同じ目標を達成することができる。当業で周知の他の解決策を使用して、ポリCMUTスリーブを緊密な共形的一致(tight conformal fit)でターゲット上に容易に取り付けることもできる。
【0188】
ポリCMUTリボンの製造
いくつかの実施形態では、ポリCMUTを伸縮性基板上に作製することにより、パイプのようなターゲット材の周囲に隙間なく密接に一致するようにきつく巻き付けることができる。
【0189】
構造的完全性試験
さらに他の実施形態では、透過性ポリCMUTアレイが材料の非破壊評価(NDT)に使用される。通常、材料の検査にはX線撮像が使用されるが、使用される線量には電離放射線が多く含まれており、このため場合によっては試験片に内部損傷が発生する。X線透過性のポリCMUTアレイを使用してハイブリッド画像(超音波及びX線)を取得し、必要なX線エネルギー量を削減できる可能性がある。
図5A~
図5Eに、パイプライン、航空機の油圧機器又はいずれかの種類の重要な配管の非破壊構造検査のための異なるフォーマットのCMUTアレイの実施形態を示す。例えば、NDT用途では構造が損なわれている恐れがあり、どこに欠陥が存在するかに関するグラフィック情報はユーザのニーズに応じて任意である。
【0190】
パイプラインモニタリング
いくつかの実施形態では、現場でのパイプ配置時にポリCMUTアレイをパイプの部分に設置することができる。或いは、パイプとのより良い統合及びポリCMUTアレイの損傷からの保護を可能にするために、パイプの製造時にポリCMUTアレイをパイプの部分に設置することもできる。
【0191】
水圧試験
いくつかの実施形態では、ポリCMUTを伸縮可能な基板上に、通常動作中の水圧ホースの変形と共に変形できるように作製することができる。
【0192】
図5Aに、本発明の1つの実施形態による、パイプ29に巻き付けられたアレイの開放形態での2次元アレイ25を示す。次に、
図5Bでは同じパイプにアレイ25が巻き付けられている。アレイ25は、
図5Cに示す実施形態に示すような可動スリーブの形態とすることができ、地上、地下、又は航空機などの車両内のいずれかの環境に設置される。本発明の実施形態によるアレイは、既にパイプが設置された後にパイプ29に巻き付くように、スプール状のリボンの形態の線形的又は2D的なものとすることができる。いくつかの実施形態では、
図5Dに示すような接着パッドシステムによって、スプール状のリボンが次のリボン巻きに接続される。別の接続形態では、
図24~
図29に、要素25をその長さに沿って他の要素25に機械的に接続する機械的接続キャビティ102及び嵌合突出部(fitted protrusions)104を有する実施形態を示す。
図5Dに示す実施形態の電気的接続部は、101及び103においてビアを貫通する。
【0193】
図5Eには、NDT用の構造に巻き付くように製造されるリボン形態のポリCMUTファブリックを示しており、このポリCMUTファブリックは長いパイプを覆うのに特に有用である。リボン形態は多くの場所を取らないロールの形で収納することができ、従ってあらゆる場所に搬送することができる。
【0194】
電気的相互接続部及び基板の柔軟性は、巻かれる配管の直径及び長さに応じてカスタマイズされる。
【0195】
本発明の実施形態は、「非破壊検査」すなわち「NDT」の形態での地下のパイプラインのリアルタイムモニタリングに有用である。
図6Aには、埋設パイプ29上を飛行している監視ドローン7を示す。トラック又は車などの地上車両7を使用してモニタすることもできる。パイプを取り囲むポリCMUTアレイに接続されたアンテナ27が信号を受信してドローン内のリーダに送信し、この信号が後で使用できるように記録され、又は集中モニタリングステーションにライブ送信される。別の実施形態では、アンテナ27が衛星アンテナによって置き換えられ又は補完される。衛星によって衛星送信が拾われ、地上のモニタリングステーションに送信される。
【0196】
地中に示すパイプ29は、コントローラ50に接続された部分的ポリCMUTスリーブ25を有し、コントローラ50は、地上の観測者にデータを送信するアンテナ27にさらに接続される。いくつかの実施形態では、コントローラ50内のバッテリによって補完される監視車両7又はドローン7によって送信される信号によって電力(受動電力)が供給される。他の実施形態では、より大型の電源をシステム内に配線することもできる。
【0197】
図6Bには、
図6Aに示すような部分的にスリーブ化されたパイプの詳細を示す。パイプ29は、地上、建物内又は地下に存在することができる。ここでは、部分的スリーブ25が設定距離だけ離れている。この配置は、パイプの機械的完全性、パイプに沿った流量(水、油、ガス)、及び亀裂又は漏れを示すことができるデータ収集点間のいずれかの圧力差を測定するのに有用である。
【0198】
図8Aに示すように、ポリCMUTセンサアレイは、パイプ29の直径を2つ又は3つ以上横切ってパイプを部分的に被覆する上で使用することもできる。
【0199】
パイプ29に適したポリCMUTセンサアレイは、
図8Bに示すような有限の2次元パッチ32の形態とすることができる。
【0200】
図8Cに示すように、ポリCMUTアレイホイル30がパイプ29を完全に取り囲んでいる場合には、信号の出力及びパイプのサイズの影響を受ける超音波信号がパイプ全体を通じて存在する。
図8Dは、ポリCMUTアレイホイルで完全に包まれたパイプの断面の拡大図である。
【0201】
航空機の翼のNDT
小型のポリCMUTでは、航空機の翼などの広い面積の検査は困難である。たとえ大型のポリCMUTアレイを使用しても、翼全体を覆うには複数のファブリックシートが必要である。翼の全ての部分にわたってポリCMUTを動かすことは可能であるが、移動速度及び常に翼との良好な接触を維持する能力が課題である。いくつかの実施形態では、翼上を素早く転がることができる車輪の周囲に設置できる転動可能なポリCMUTアレイが提供される。動作はペイントローラに類似する。アレイはローラ上に留まる。車輪の一部が翼に接触すると、接触したポリCMUTファブリック部分が超音波イメージングを実行することができる。超音波取得の速度は毎秒30サンプル~毎秒3000サンプル超と高速であるため、車輪の移動速度を高速にすることができる。ポリCMUTと翼との間の接触を隙間なく良好にするために、水又はゲルなどの流体源を断続的又は連続的に塗布することができる。この動作の利点は、ポリCMUTのデータ取得間隔が翼上における車輪の移動速度ではなく車輪上のポリCMUT素子の間隔によって決まるため規則的な点である。車輪は剛性又は変形可能とすることができ、変形可能な製品は翼上の接触点を大きくする。別の実施形態では、軍用戦車の無限軌道に類似する2又は3以上の車輪の周囲を包み込むファブリックにポリCMUTを適用して、ポリCMUTの実質的に平らな部分が任意の時点で翼に接触することを可能にすることもできる。
【0202】
例えば飛行機の翼又はその他の航空機を検査するために大規模ポリCMUT振動子アレイを使用する必要がある場合には、検査のために翼に大型の「ホイル」を一時的に取り付けることができる。恒久的モニタリングソリューションは、機体内部に振動子を組み込んで物理的摩耗及び自然の力から振動子を保護することを伴う。
【0203】
ウェアラブルポリCMUTアレイ
本発明の別の実施形態では、ポリCMUTアレイがヒト又は動物組織に対して採用される。医療用途又は農業用途のためにこのように形成された柔軟な又は剛性のアレイは、事故が発生した際に現場での負傷に関する情報を提供するのに有用である。緊急対応者は、負傷者をファブリックで包み、医療搬送の開始前に犠牲者の骨折及び軟組織の損傷を「見る」ことができる。この実務は、脚、腕、肋骨及び脊椎の骨折チェック、並びに頭蓋骨の衝突損傷チェックなどを含む。
図11に25で示すウェアラブルアレイの形態では、圧迫損傷を示す特定の部位の低血流を検出することもできる。このアレイの構造は、ポリCMUTとの直接接触を防ぐための保護構造を含む。ポリCMUT素子15は基板14から突出しているが、ピラー16の方がCMUT素子よりも隆起していることによって直接接触及び振動子機能の阻害を防ぐ。人に接触するポリCMUTアレイの製造では、電気的接続部5が形成された後に、エンクロージャ内の低圧(例えば、P=1×10
-3Torr)を保つために、ポリCMUTウェハを低圧チャンバ内でパリレンなどのポリ(p-キシリレン)ポリマー、又はポリフッ化ビニリデン(PVDF)、又はシリコーンなどの生体適合材料によってカプセル化する。カプセル化材料は、セル全体を共形的に密封して、真空密封された不浸透性の閉キャビティを形成する。
【0204】
外科用途
いくつかの実施形態では、透過性ポリCMUTアレイ(X線又は光透過性)を補助手術に使用することにより、X線、磁気共鳴撮像法(MRI)、及び/又はコンピュータ断層撮像法(CT)などの他の医用撮像モダリティと同時に超音波画像を生成して、例えば脊椎手術中などの手術中に医師のために使用できる患者の生体構造の拡張現実モデルを作成することができる。
図13A及び
図13Bに、ポリCMUT15のアレイ41を示す。基板14は、カプトン、ポリイミド、プレキシガラス又はレキサンなどのX線又は光透過性材料から選択される。この結果、操作中又は検討中の組織に関するさらなるデータ層をアレイが読み取って提供している間でも、外科医又は診断機器がこのアレイを「通して見る」ことが可能になる。
【0205】
実施形態では、透過性の柔軟な基板上に作製された透過性ポリCMUTアレイが、患者又は曲面を含む他の材料が動いている最中に連続的な超音波画像の取得を可能にする。
図11に、このようなウェアラブルアレイ形態25の例を示す。
【0206】
創傷用包帯
本発明の実施形態では、ポリCMUTアレイが、治癒中に傷を覆うために使用される包帯の形に作製される。この目的では、組織により良く適合できるように柔軟な基板が使用される。このポリCMUTアレイ包帯は、組織修復をモニタし、修復中の組織にエネルギーを供給して治癒プロセスの速度を高めることもできる。
【0207】
別の実施形態では、ポリCMUTアレイ包帯が、組織内の流体を空洞化して創傷清拭(debridement)を支援するために使用される。
【0208】
超音波は、創傷部位における超音波エネルギーの蓄積を通じて創傷の治癒に役立つ。創傷は、切り傷、擦過傷、熱傷、軟組織の打撲を含む。創傷は、骨破壊及び骨折も含む。治療は、創傷から壊死組織及び老化組織、並びに異物及び感染物質を取り除く創傷清拭を含む。治療は、低周波及び低強度超音波によって積極的に治癒を促すことも含む。超音波の周波数は、キロヘルツ~メガヘルツ周波数を含む。
【0209】
血管を流れる流体などの動的事象をモニタする際には、事象のアコースティックエミッション(acoustic emissions)を記録することが有利である。この事象は、血管を流れる血液などの医療用途からパイプラインを流れる石油などの非医療用途までを含む。血管の破裂などの動的事象のいくつかの異常は特徴的なアコースティックエミッションを引き起こす。ウェアラブルポリCMUTパッチは、これらのアコースティックエミッションを検出してこれらをコントローラに、その後にスマートフォンに中継してオペレータに通知することができる。また、サイズ、形状又は材料特性の異なる複数のポリCMUT素子が最も敏感に反応する音響周波数範囲を達成するために、これらの複数のポリCMUT素子から1つのデバイスを作製することも可能である。この結果、より広い範囲のアコースティックエミッションを検出できるようになる。別の実施形態では、
図10Cの無線電力伝送用カプラーを使用して、変換を実行する電子機器を必要とすることなくアコースティックエミッションを電波に変換する。
【0210】
診断機器
他の実施形態では、透過性ポリCMUTアレイのハイブリッド統合が、単一のシステム内でX線、超音波、光音響、エラストグラフィ及び/又はこれらの組み合わせを結合する。
図12Aに示すように、マンモグラフィ装置30を使用して検査中の乳房組織AをX線波長及び超音波波長の両方に曝すと、より多くの情報に基づく診断が達成される。実施形態では、既存の医療設備を改造することによって、
図12Bに示す機器30のようなポリCMUTアレイとその他のモダリティとの組み合わせが達成される。他の実施形態では、組み合わせ機器が新たに形成される。実施形態では、ポリCMUTアレイがマンモグラフィ機のX線透過性コンポーネントを形成して、乳房組織を通過するX線信号にさらなる読み出し及びデータ層を追加する。
【0211】
化学的及び生物学的感知
ポリCMUT素子の膜を機能化することによって、ウェアラブルポリCMUTパッチを化学的及び生物学的感知に使用することができる。機能化された膜は、膜の質量負荷を変化させる化学的又は生体学的物質の存在に反応する。例えば、ポリCMUT素子の共振周波数は膜の材料特性(例えば、質量、剛性及び粘性)に依存し、ドラムに類似する。機能化された膜は、「感知」されるように意図された特定の化学的又は生物学的物質の存在下で物質の一部を吸収することによって、膜の物理的特性が変化することができる。材料特性の変化は、例えば共振周波数の周波数、帯域幅又は振幅の変化によって検出することができる。具体的には、共振周波数の変化は膜の質量の相対的変化に比例することが知られている。ポリCMUTは、固有質量が比較的小さいため周波数変化が大きくなり、従って物質の高精度な測定を達成するという理由で、とりわけこの用途に適する。さらに、ポリCMUTの真空密封されたキャビティは、同様の活性領域を有するカンチレバーベースのセンサと比べて減衰性が小さく、従って品質係数及び周波数シフトの測定精度が高くなる。さらに、ポリCMUTは、膜の中心の振幅が最も大きな状態で膜が対称的に撓む基本モード、又は膜の左部分から右部分にエネルギーが伝わる非対称モードなどの他のモードのいずれかで動作することができる。このような非基本モードは、ポリCMUT素子から離れる音響エネルギーの放出を抑える上で利点がある。
【0212】
心臓モニタ
本発明の実施形態によるパッチは、一実施形態では5×5cm~10×10cmのサイズであり、皮膚に超音波パルスを集中させるエミッタ及び反射波を記録するマイクとして機能し、20~60kHzの範囲で動作する空中パルスドップラー超音波システムとして機能する。
【0213】
血圧モニタ
本発明の実施形態では、ポリCMUTウェアラブルアレイが、超音波ドップラー流量測定を使用して患者集団内で非侵襲的に血圧を測定する。開発されたポリCMUT法で血圧を測定し、侵襲的動脈経路又はオシロメトリックTerumo Elemano(商標)BPモニタと比較する。カフ収縮中に新たなポリCMUTパッチによって橈骨動脈内の血流速度を記録する。前処理した速度信号にシグモイド曲線を当てはめて、収縮期血圧及び平均動脈圧を測定する。用途としては、妊娠中の子癇前症モニタリング(pre-eclampsia monitoring)及び心臓病患者の自由行動下血圧モニタリング(ambulatory blood pressure monitoring)が挙げられる。
【0214】
経頭蓋集束超音波法(FUS)と静脈内循環マイクロバブル(intravenously circulating microbubbles)との組み合わせは、血液脳関門透過性を一時的かつ選択的に高めて中枢神経系への標的化された薬物送達を可能にする。この手法は、脳腫瘍、早期アルツハイマー病及び筋萎縮性側索硬化症の患者で使用することができる。本発明の少なくともいくつかの実施形態が取り組む課題は、FUSを介した血液脳関門透過上昇の幅広い臨床採用が行われるように、処置全体を通じて安全かつ効果的な音響曝露レベルが維持されることを確実にするリアルタイム治療モニタリング及び制御のためのシステム及び方法を開発することである。
【0215】
人に接触するポリCMUTアレイの製造では、電気的接続部5が形成された後に、エンクロージャ内の低圧(例えば、P=1×10-3Torr)を保つために、ポリCMUTアレイを低圧チャンバ内でパリレンなどのポリ(p-キシリレン)ポリマー、又はPVDF、又はシリコーンなどの生体適合材料によってカプセル化する。カプセル化材料は、ウェハ全体を共形的に密封して、真空密封された不浸透性の閉キャビティを形成する。
【0216】
次に、
図7に、マイクロプロセッサ20、ビームフォーマ22、メモリ23、バッテリ24及びアナログフロントエンド電子部品を有するプリント基板の形態の制御パネルの実施形態を示す。ポリCMUTパネルへの配線を26で示す。アンテナ27は、用途に応じてグラフィックコンポーネント又は単純な合/否読み出し部を有するユーザインターフェイス(図示せず)に信号を送信する。
【0217】
このように形成された医療用途のためのパッチは、事故が発生した際に現場での負傷に関する情報を提供するのに有用である。緊急対応者は、医療への搬送を開始する前に、負傷者をパッチで包んで犠牲者の骨折及び軟組織損傷を「見る」ことができる。この実務は、脚、腕、肋骨及び脊椎の骨折チェック、並びに頭蓋骨の衝突損傷チェックなどを含む。
図11に示すように、圧迫損傷を示す特定の部位の低血流量を識別することもできる。パッチは、ピラー16によって剛性が維持されるが、
図3Aに示すような柔軟なチャネル(pliancy channels)に起因して長手方向軸に沿って柔軟である。
【0218】
図9Aでは、ウェアラブルポリCMUTパッチが有線通信を使用して送受信エレクトロニクスに接続され、送受信エレクトロニクスが無線通信を使用してコントローラに接続される。送受信エレクトロニクス、従って接続されたポリCMUT振動子は、ウェアラブルポリCMUTパッチ上のバッテリ24によって電力供給される。また、コントローラ50は無線通信を使用してスマートフォン23に接続される。スマートフォン上では、ユーザインターフェイスソフトウェアが実行されてユーザに超音波データ又は情報を表示することができる。
図9Bでは、コントローラが送受信エレクトロニクスを内蔵し、有線通信を使用してウェアラブルポリCMUTパッチに接続される。送受信エレクトロニクス、従って接続されたポリCMUT振動子はコントローラから電力供給される。コントローラは、無線通信を使用してスマートフォンに接続される。
図9Cでは、ウェアラブルポリCMUTパッチが、コントローラに内蔵された送受信エレクトロニクスに無線通信によって接続される。
【0219】
時にトランシーバとも呼ばれる送受信エレクトロニクスは、例えばVerasonics社、US4US社、Interson社、及びTexas Instruments社から市販されている。空挺用途及び特殊医療用途では、Raspberry Piなどの低コストハードウェアを使用した1次元シングルラインリアルタイム測定が可能である。
【0220】
ポリCMUTの別の製造法は、第1のポリマー系層を下部電極の真上に配置して(
図1C及び
図1D)電気絶縁層として機能させるものである。このプロセスでは、次に犠牲層を堆積して後でキャビティになるようにパターニングする。次に、上部電極(金属又は導電性ポリマーなどの導電性のもの)を堆積させてパターニングする。最後のステップでは、上部電極を覆う第2のポリマー系層を堆積させてパターニングする。この製造方法では、第2のポリマー系層の上方に電極が配置される場合と比べて電極間の有効距離が減少する。
【0221】
この製造方法では、上部電極の電気的均一性を維持するために上部電極の共形的堆積(例えば、金属スパッタリング)が必要である。或いは、いくつかの実施形態では、(金属蒸着などの)指向性堆積法を使用する場合には、上部電極の厚みを犠牲層の厚みの少なくとも1.5倍とすべきである。
【0222】
ポリCMUTアレイの部分の接続
図24に、上部にポリCMUT素子42が配置されたフレキシブルポリCMUTアレイロール25の部分を示す。
図25には、アレイ25のキャビティ側を拡大する。電気的接続点101は、それぞれ個々のポリCMUTアレイ42の上部電極に電気的に接続する。キャビティ102は、
図27に示すような相互突出部104を有するフレキシブルポリCMUTアレイロール25の別の部分への位置合わせ及び機械的固定を容易にする。
【0223】
図26にもポリCMUTアレイロール25を示しているが、ここでは突出部側を観察者に向けている。こちら側の拡大図を
図27に示し、電気的接続点103を示す。これらの電気的接続点103は、個々のポリCMUTアレイ42の上部電極に電気的に接続される。機械的突出部102は、要素101及び103が適所に「スナップ嵌め」され、電気的相互接続点102及び104が巻軸(winding axis)に沿って導電性を維持するように、別のポリCMUTアレイロール25への位置合わせ及び機械的固定を容易にする。突出部は、ロールの縁部における機械的固定を強化するように台形(図示せず)などの他の幾何学的形状を有することもできる。
【0224】
ポリCMUT素子42は、円筒面、曲面又は平面の周囲における正しい接続に対応するために、側面のうちの1つに関して角度θ105で作製される。この角度θ105は、円筒面、曲面又は平面の正しい接続を可能にするように1~90度の範囲とすることができる。
図28は、この実施形態を示すポリCMUTアレイロール25の拡大図である。
【0225】
図29には、ポリCMUT素子が整列するように適所に固定されて互いに電気的に相互接続されたポリCMUTアレイロールの複数の巻線を示す。
【0226】
実施例1
ポリCMUT素子間に配置されて膜を外圧から保護するピラー及び「壁」の実現可能性を評価するために有限要素解析(FEM)シミュレーションを実施した。試料組織は、モデル化された人間の乳房とした。人間の乳房の圧縮力をシミュレートするために複数の仮定を行った。乳房は、皮膚、脂肪組織、腺組織という3層で構成されるものと仮定する。[1]に従って、皮膚は1~3mmであり、残りの高さを腺組織及び脂肪組織が均等に占めると仮定する。乳房径11cmのAカップを7cmの辺長の立方体に単純化した。20.4kPaの均等に分散した圧力を下側プレート上に生じさせるために100Nのクランプ力を仮定する。全ての組織は非圧縮性ν~0.5であると仮定する。
【0227】
表1に、異なる材料の厚みに対する垂直入射X線のエネルギー透過率の比較を示す。従来の圧電セラミックベースの超音波振動子(例えば、PZT)は、X線透過センサとして使用することができない。これらのPZT振動子に含まれる鉛は、通過する入射X線のほとんどを減衰させてしまう。同様に、可視光又は赤外光もこれらの鉛を簡単に通過することができない。
【0228】
X線透過性ポリCMUTアレイの基板としては、ポリイミド又はポリカーボネートなどの材料が最有力候補であることが分かった。ポリイミド及びポリカーボネートは高い光透過性も示す(比較表には不表示)。
【0229】
ポリCMUT電極では、X線透過性を達成するにはアルミニウムが良好な材料であるが、光透過性は達成されないことが分かった。酸化インジウムスズ(ITO)は、(電極のための)X線透過性と光透過性との間の合理的妥協点をもたらす。
【0230】
図12Aは、第1の実施形態によるマンモグラフィ走査システム30の基本構造の正面図である。マンモグラフィ走査システム30は、支持装置31、下部圧縮装置32、上部圧縮装置33、X線エミッタ34、X線検出器35、及びシステムに統合された透過性ポリCMUTシステム40を含む。この特定の例では、下部圧縮装置32と上部圧縮装置33との間の空間内に乳房Aが配置される。いずれかの圧縮装置を支持装置31の長軸に沿ってスライドさせ、支持装置31を軸Z上で軌道Z’-Z’’に沿って回転させて、異なる向きでの乳房Aの検査を可能にすることができる。透過性ポリCMUTシステム40は、下部圧縮装置32又は上部圧縮装置33のいずれかに近接して配置することができる。
【0231】
図12Bに、別の実施形態による
図12Aと同様のマンモグラフィ走査システムを示す(明確にするためにいくつかの要素を省略している)。この特定の例では、透過性ポリCMUTアレイ40を後付け目的で既存のマンモグラフィスキャナの位置(下部圧縮装置32の上方又は上部圧縮装置33の下方)に配置し又はスライドさせることができる。この透過性ポリCMUTシステム40は、患者検査の時点で超音波が必要であるかどうかに応じて取り外し又は取り付けることもできる。透過性ポリCMUTシステム40及び圧縮装置32又は33のいずれかには、安定性及び位置合わせ目的で隆起部又は歯(図示せず)の形態の整列支持体及び固定支持体も組み込まれる。この種の走査システム(X線と超音波との組み合わせ)では、画像位置合わせ及び処理を容易にするためにX線検出器35と超音波システム40との間の良好な位置合わせが最重要である。このようにして、X線画像と超音波スキャンとを記録内でユーザインターフェイスによって重ね合わせ又は組み合わせて、乳房Aの解剖学的構造の異常を明らかにすることができる。
図12Cで分かるように、1.5D又は2DポリCMUTアレイ40を使用する際には、
図12Aに示すような単純化されたマンモグラフィ走査システムが存在する。この特定の例では、透過性ポリCMUTアレイ40を使用して、超音波ビーム集束及びステアリングを通じて広い視野48を得ることができる。この広い視野48は、通常のマンモグラフィシステムでは検出されなかったはずの(癌細胞又は腫瘍又は内部病変などの)解剖学的異常Cを検出するのに有用と思われる。超音波信号の画像取得を容易にするために、超音波カップリングゲル91を使用することもできる。
【0232】
図12Dに、本発明の別の実施形態による、
図12Aのものと構造的に同様のマンモグラフィスキャナ30の基本構造を示す。この走査システム30では、透過性ポリCMUTアレイ40を光音響イメージング目的で使用することができる。透過性ポリCMUTシステムは、典型的には光音響用途に使用される非電離レーザーパルスを生成して制御する光源63に至る外部光導波路62(例えば、ガラス繊維)を有する。
【0233】
図13Aに、透過性ポリCMUT走査システム40を示す。このシステムは透過性部分(X線又は光透過性部分)を含み、その上に透過性ポリCMUTアレイ(線形アレイ1D、平行線形アレイ1.5D又はマトリックス2Dアレイ)が作製される。透過性ポリCMUTアレイ40のコントローラ50に通じる端部には、透過性ポリCMUT素子15への電気的相互接続部26が配置される。コントローラ50は、(単複の)マイクロプロセッサ、メモリ、バッテリ及び/又は他のいずれかの電源、ワイヤ整理のためのいずれかのマニホールド、コネクタ、リレー、並びにポリCMUTアレイ40との間で信号の受信、編成及び送信を行うために必要な回路を含む。相互接続部は、アルミニウムなどのX線透過性材料又はITOなどの光透過性材料で作製することができる。
【0234】
図13Bに、マトリックス(2D)の形態の透過性ポリCMUTアレイ40を示す。実施形態では、透過性ポリCMUTアレイ40が線形アレイ(1D)又は線形アレイのアレイ(1.5D)である。このアレイ40は、位置合わせ中の画像重畳(X線及び超音波)を目的としてアレイの隅部又は特定の領域に配置された基準マーカ44を含み、基準44は、このような後処理を容易にするために等しい又は異なる形状及びサイズを有することができる。これらの基準44は、CMUT素子をX線個別検出器(x-rays individual detectors)(図示せず)と正しく位置合わせしてX線画像取得中の不均一性を避けるために使用することもできる。
【0235】
図14Aは、ポリCMUT15の複数のポリCMUT線形アレイを隣同士に示す1.5D透過性ポリCMUTアレイ40の側面図である。この構成では、各線形アレイ42を使用して乳房(図示せず)の構造の画像「スライス」46を作成することができる。この同じ構成において線形アレイの間隔が緊密である場合には、これらの線形アレイを使用して、
図14Bに示すように軌道Z’-Z’’に沿って超音波ビーム47の集束及びステアリングを行って超音波画像の視野を広げることができる。
【0236】
図15は、複数のポリCMUTを示す透過性超音波アレイ40の断面図である。アレイの異なる軌道(経路A-A’~D-D’)を通過するX線は、アレイ40の異なる層(1、2、10、12)によって異なる割合で減衰される。いくつかの実施形態では、アレイ40の均一なX線透過性を保証するためにさらなる補償装置60が有用である。ポリCMUTアレイ40のX線透過率が高い(例えば、95%又はそれを上回る)場合には、補償装置60を不要とすることができる。
【0237】
図15に示すように、補償装置60は、異なる経路(経路A-A’’~D-D’’)にわたるポリCMUTアレイの総減衰を「補正」してポリCMUTアレイ40全体にわたって均一なX線減衰を達成するために使用できる特定の高さの吸収材料62を含む異なる(ただし基板14と同様の特性を有する)基板61上に個別に作製される。材料62のトポグラフィは、異なる経路の総X線吸収を「補正」するために異なる高さを有すると予想される。或いは、このようなトポグラフィを回避しながら異なる経路(パスA-A’’~D-D’’)にわたって同じレベルのX線減衰を取得するために、異なる材料又は材料の組み合わせを使用することもできる。本発明の他の実施形態では、補償装置をX線透過性ポリCMUTアレイ40の裏面に作製することもできる。
【0238】
図16Aに、非電離レーザー源から到来するアレイの照明を背面から提供するように基板に光導波路が埋め込まれた光音響適合性(photoacoustic-compatible)ポリCMUTアレイを示す。アレイ25の一方の側には、主導波路又は導波路のマニホールド64が配置される。内部では、導波路65がポリCMUT素子又はセル15間でレーザーパルスを分散させる。アレイの上部電極(明確にするために図示せず)が光透過性でない場合(例えば、アルミニウムの場合)、これらの導波管の出力部66はポリCMUTセル又は素子15間の空間内に配置される。
【0239】
図16Bに、非電離レーザー源から到来するアレイの照明を背面から提供するように基板に光導波路が埋め込まれた光音響適合性ポリCMUTアレイを示す。アレイ63の一方の側には、主導波路又は導波路のマニホールド64が配置される。内部では、導波路65がポリCMUT素子又はセル15間でレーザーパルスを分散させる。上部電極(明確にするために図示せず)が光透過性である場合(例えば、酸化インジウムスズで形成された場合)、これらの導波路の出力66はポリCMUTセル又は素子15の下方に配置される。
【0240】
説明したポリCMUTシステムは、イメージングシステムの能力をさらに高めるためにエラストグラフィ用途で使用することができる。この場合、超音波アレイを使用して組織を機械的に振動させる波を送信し、せん断波からの信号を記録して組織の硬さの視覚的画像を作成することができる。提示する透過性ポリCMUTアレイは、これらの能力をかなえることができる。
【0241】
説明したポリマー系CMUTシステムを作製するために使用される材料は磁性材料ではなく、従って透過性ポリマー系CMUTアレイは磁気共鳴撮像(MRI)法と共に安全に使用することができる。
【0242】
必要な検査のタイプに応じて、X線放射線の強度を抑えながら、2又は3以上の医用撮像モダリティの組み合わせ(例えば、X線と超音波、又はX線と光音響イメージング)から満足できる結果を得ることができる。この結果、患者の健康に利点がもたらされ、余分なX線量を必要とすることなくスキャン頻度を高めることができる。
【0243】
本発明の少なくともいくつかの実施形態は、本発明の範囲を限定するためではなくその様々な実施形態を説明するために示す以下の実施例を参照することによってさらに容易に理解されるであろう。
【実施例】
【0244】
実施例1
X線透過性
X線透過性ポリCMUTの作製に適した最良の材料を決定するために初期実験を行った。シリコン及び圧電ベースの超音波プローブ、プリント基板及び実験室環境から取り揃えたアイテムを含むGE Definium(商標)8000X線機器を使用して、異なる導電性材料でコーティングされた様々な金属及びプラスチックを試験した。
【0245】
表1は、材料及びその厚みに応じた入射X線のエネルギー透過率を示す比較表である。表2には、取得された画像についてのX線機器の取得パラメータを示しており、設定は軟組織撮像に典型的なものである。
表1
表2
【0246】
図23に示すように、ポリCMUT材料であるカプトン(商標)ポリイミドはX線透過性を有する(矢印で示す最上行)。
【0247】
図23には、画像のグレースケールレベルから推定されるX線透過率を示す。カプトンフィルムは99.1%の透過性を示す。実験結果に基づけば、ポリCMUTの作製にとって最良の材料候補はポリイミド(別名:カプトン(商標))フィルムである。この材料は、材料上でのポリCMUTの作製を可能にする優れた物理的、熱的及び化学的特性を有する。ポリCMUTアレイは、良好な機械的安定性を維持したまま内向き又は外向きに曲げることができ、非平面状の物体に巻き付けるのに理想的である。
図23は、ガラス、プレキシガラス、Lexan(商標)ポリカーボネート、シリコン、アルミニウム及びカプトン(商標)ポリイミドなどの試験した異なる材料を横並びに比較したものである。X線画像では、ポリイミド、プレキシガラス、ポリカーボネートが「透過性」のように見える。
【0248】
次に
図22を参照する。その後のX線を伴う実験では、AWS8000を有するHologic Selenia Dimensions(商標)というマンモグラフィ装置を試験に使用した。シリコンベースの超音波振動子CMUT(上)、線形ポリCMUTアレイ(中央)、及びPZT材料製の従来の圧電ベースの振動子(下)という3つのサンプルセットを試験した。全ての曝露について、本発明のこの実施形態例の振動子(中央)はX線に干渉しなかったのに対し、従来のシリコン系CMUT(上)及び圧電ベースの振動子(下)はX線に干渉した。
【0249】
このマンモグラフィシステムでは、5cmという圧縮された人間の乳房の平均的な厚みに応じて、推奨される電圧レベル、線量及びフィルタを使用した。X線画像は、30kV及び160mAs(高密度乳腺組織を有する患者に使用される典型的な設定)で取得した。
【0250】
実施例2
ピラー効果のシミュレーション
膜を外圧から保護するポリCMUT素子間のピラー及び「壁」の実現可能性を評価するために有限要素解析(FEM)シミュレーションを実施した。試験結果を
図17~
図21に視覚的に示す。理論的乳房組織をAで示す。ピラー16も示す。
【0251】
人間の乳房の圧縮力をシミュレートするために以下の複数の仮定を行った。乳房組織は、皮膚、脂肪組織、腺組織という3層で構成されるものと仮定し、皮膚は1~3mmであり、残りの高さを腺組織及び脂肪組織が均等に占めると仮定し、乳房径11cmのAカップを7cmの辺長の立方体に単純化し、20.4kPaの均等に分散した圧力を下側プレート上に生じさせるために100Nのクランプ力を仮定し、全ての組織は非圧縮性ν~0.5であると仮定した。
図17に、乳房組織モデルに100Nの力を加えた時のFEMシミュレーションを示す。
【0252】
図18は、高さ60μm×100μmのピラーを有するポリCMUT超音波アレイに対して理論的乳房を圧縮した場合のFEMシミュレーション結果であり、
図19は、壁の高さを70μm×100μmにした同じシミュレーション結果であり、
図20は、壁の高さを50μm×250μmにした同じシミュレーション結果であり、
図21は、壁の高さを50μm×50μmにした同じシミュレーション結果のスクリーンショットである。
【0253】
表3に、得られた異なるFEM結果の評価を示す。保護壁がわずか幅50μm及び高さ50μmの場合、これらはポリCMUTへの損傷を防ぐことができない。対照的に、幅が50μm、高さが100μm以上の防護壁は、ポリCMUT素子を保護することができる。
表3.材料及びX線透過率
+引張、-圧縮
【0254】
以上、好ましい実施形態について説明し添付図面に示したが、当業者には、本開示から逸脱することなく修正を行えることが明らかであろう。このような修正は、本開示の範囲に含まれる可能な変種とみなされる。
【0255】
参考文献
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【符号の説明】
【0256】
25 ポリCMUTアレイ
【国際調査報告】