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特表2023-510936無線ネットワーク内における信号ソースの位置特定のための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-15
(54)【発明の名称】無線ネットワーク内における信号ソースの位置特定のための方法
(51)【国際特許分類】
   G01S 5/14 20060101AFI20230308BHJP
【FI】
G01S5/14
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022543671
(86)(22)【出願日】2021-03-25
(85)【翻訳文提出日】2022-07-15
(86)【国際出願番号】 US2021070309
(87)【国際公開番号】W WO2021195666
(87)【国際公開日】2021-09-30
(31)【優先権主張番号】63/199,622
(32)【優先日】2021-01-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/001,003
(32)【優先日】2020-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.WCDMA
(71)【出願人】
【識別番号】522285325
【氏名又は名称】ウークラ・エルエルシイ
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】コバリョフ,アンドレイ
(72)【発明者】
【氏名】クネーブル,マシュー
(72)【発明者】
【氏名】コルツォフ,アルチョム
【テーマコード(参考)】
5J062
【Fターム(参考)】
5J062AA09
5J062CC11
(57)【要約】
無線送信機の位置を推定する方法であって:送信機と受信機との間の複数の無線測定値を収集するステップ;バッファ円を各測定値の周りに描画するステップであって、上記バッファ円は、タイミングアドバンス遅延測定値によって画定される半径を有する、ステップ;複数のバッファ円をプロットし、隣接する測定値のみに関して交差点を特定するステップ;遅延測定値の交点に基づいて、上記複数の無線測定値から、上記位置を推定するステップを含む、方法。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線送信機の位置を推定する方法であって:
a.前記無線送信機と受信機との間の複数の無線測定値を収集するステップであって、前記無線測定値は、前記無線送信機と前記受信機との間の遅延測定値(TA値)と、受信機ロケーションとを含む、ステップ;
b.前記受信機ロケーションの周りにバッファ円を描画するステップであって、前記バッファ円は、
【数1】
に等しい半径を有し、ここでxはTA値の各ユニットに対する距離測定値を表わす、ステップ;
c.隣接する無線測定値の間の交差点を抽出するステップ;
d.ステップ(c)からの交差点の少なくとも1つのクラスタを特定するステップ;
e.最多数の前記交差点を有する前記クラスタを特定するステップ;及び
f.前記無線送信機の初期推定ロケーションを、最多数の前記交差点を有する前記クラスタから決定するステップ
を含む、方法。
【請求項2】
e1.ステップ(e)の直後に、ステップ(e)からの最多数の前記交差点を有する前記クラスタに対応する多角形を作成するステップ;
e2.ステップ(e1)の前記多角形から中心を抽出するステップ;
e3.前記多角形の外接円を作成するステップ;及び
e4.外接円を作成された前記多角形内のあるロケーションに対応する、前記無線送信機の第1の初期推定ロケーションを決定するステップ
を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記交差点は、閾値Dに等しいポイント間距離と、ポイントの最小個数の閾値Mとを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
D及びMの値は、D=30メートル、M=5ポイントである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
D及びMの値は、D=10メートル、M=10ポイントである、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記TA値は、前記受信機のハードウェア又はソフトウェアに基づいて修正される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記受信機によって報告される前記TA値は、デバイス製造元、チップセット、及びソフトウェアリリースに固有のものであり、一意のプロファイルが、報告された前記TA値を正規化する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
e5.前記第1の初期推定ロケーションから、前記クラスタ内の全ての前記バッファ円までの、最短距離を計算するステップ;
e6.前記第1の初期推定ロケーションを新たなロケーションへと距離D及び角度Aだけシフトし、前記クラスタ内の全ての前記バッファ円までの距離を計算するステップ;
e7.ステップ(e5)とステップ(e6)との間で、計算された前記距離を比較するステップ;並びに
e8.第2の新たなロケーションを設定するステップであって、前記第2の新たなロケーションは、前記第1の初期推定ロケーションから全てのバッファ円までの距離よりも短い、全てのバッファ円までの距離を有する、ステップ
を更に含む、請求項2に記載の方法。
【請求項9】
前記複数の無線測定値は信号レベルを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
ステップ(e8)において、前記新たなロケーションは信号レベルを更に測定し、測定された信号レベルに基づいて前記新たなロケーションを修正する、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記多角形は、最多数の前記交差点を有する前記クラスタ内の前記交差点をつなぐことによって描画される、請求項2に記載の方法。
【請求項12】
無線送信機の位置を推定する方法は:
a.位置及びTA値を含む、送信機と受信機との間の複数の無線測定値を収集するステップ;
b.前記複数の無線測定値それぞれについて、バッファ円を前記受信機の位置の周りに描画するステップであって、前記バッファ円は、
【数2】
に等しい半径を有する、ステップ;
c.少なくとも2つのバッファ円の間の交差点を特定するステップ;並びに
d.前記送信機の前記位置を、前記交差点のロケーションに基づいて推定するステップ
を含む、方法。
【請求項13】
前記複数の無線測定値は、隣接する測定値である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
隣接は、時間に関する又はロケーションに関する隣接を意味する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記位置を推定する前記ステップは、交差点のクラスタを特定し、前記交差点の前記クラスタから作成された多角形の周りに円を外接させることによって推定され、ここで前記推定位置は前記外接円内にある、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記推定位置は、前記円内のロケーションポイントをプロットすることによって推定される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
プロットされる前記ロケーションポイントは、前記円内の各前記交点までの最短距離を生成するようにプロットされる、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
無線送信機の位置を推定する方法であって:
送信機と受信機との間の複数の無線測定値を収集するステップ;
バッファ円を各無線測定値のロケーションの周りに描画するステップであって、前記バッファ円は、前記受信機によって収集されたタイミングアドバンス遅延測定値によって画定される半径を有する、ステップ;
複数のバッファ円をプロットし、隣接する測定値のみに関して交差点を特定するステップ;及び
前記複数の無線測定値からのタイミングアドバンス遅延測定値の交点に基づいて、前記位置を推定するステップ
を含む、方法。
【請求項19】
無線送信機の位置を推定する方法であって:
a.前記無線送信機と受信機との間の複数の無線測定値を収集するステップであって、前記無線測定値は、前記無線送信機と前記受信機との間の遅延測定値(TA値)と、受信機ロケーションとを含む、ステップ;
b.前記受信機ロケーションの周りにバッファ円を描画するステップであって、前記バッファ円は、
【数3】
に等しい半径を有し、ここでxはTA値の各ユニットに対する距離測定値を表わす、ステップ;
c.隣接する無線測定値の間の交差点を抽出するステップ;
d.ステップ(c)からの交差点の少なくとも1つのクラスタを特定するステップ;
e.最多数の前記交差点を有する前記クラスタを特定するステップ;
f.ステップ(e)からの最多数の前記交差点を有する前記クラスタに対応する、多角形を作成するステップ;
g.ステップ(f)の前記多角形から中心を抽出するステップ;
h.前記多角形の外接円を作成するステップ;及び
i.外接円を作成された前記多角形内のあるロケーションに対応する、前記無線送信機の初期推定ロケーションを決定するステップ
を含む、方法。
【請求項20】
j.前記初期推定ロケーションから、前記クラスタ内の全ての前記バッファ円までの、最短距離を計算するステップ;
k.前記初期推定ロケーションを新たなロケーションへと距離D及び角度Aだけシフトし、前記クラスタ内の全ての前記バッファ円までの距離を計算するステップ;
l.ステップ(j)とステップ(k)との間で、計算された前記距離を比較するステップ;並びに
m.新たなロケーションを設定するステップであって、前記新たなロケーションは、前記初期推定ロケーションから全てのバッファ円までの距離よりも短い、全てのバッファ円までの距離を有する、ステップ
を更に含む、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、米国特許商標庁による、2020年3月27日出願の米国仮特許出願第63/001,003号、及び2021年1月13日出願の米国仮特許出願第63/199,622号の利益を主張するものであり、これらの仮特許出願の内容は、その全体が参照により本出願に援用される。
【0002】
本発明は、少なくとも1つの無線デバイスからの複数の測定値を分析し、該無線デバイスの遅延測定値及び既知の座標を用いて、送信機のロケーションを推定することによって、無線ネットワーク内の送信機の地理的ロケーションを特定及び推定することに関する。
【背景技術】
【0003】
現代の無線ネットワークは典型的には、様々な静止ロケーション及び移動ロケーションにある多数の無線基地局からなる。無線ネットワークは典型的には、移動体デバイスと通信する多数の無線基地局からなる。典型的には、無線基地局及び移動体デバイスはいずれも、双方向通信のためのトランシーバを含む。現代の無線システムでは、送信機と受信機との間の送信のタイミングは、共有無線スペクトルの干渉を低減するために厳密に制御される。
【0004】
無線ネットワークの送信設備のロケーションは、多くの関係者にとって強い関心の的である。例えば無線ネットワーク事業者は、競合するネットワークが無線基地局設備を展開している場所に関心を有する。無線基地局は、アンテナによって送受信される電波を介した、携帯電話と更に広い電話網との間の接続を提供し、また典型的には無線基地局は複数のトランシーバ及び/又は送信機を含み、ある送信機は別の送信機とは異なる方向への送信を行うため、単一のポイントから比較的大きなカバー範囲を提供する。この情報は、独自の新しい無線トランシーバのロケーション及び優先順位付けに関する意思決定の改善を補助できる。例えば事業者は、自社のネットワークが現在カバーしていないエリアに競合他社が無線基地局を構築したことを知ることができ、従ってこの競合他社のサービスのアドバンテージを取り除くために、当該エリアに無線基地局を構築することを決定できる。更に、(トランシーバを保持する)セルラータワー(cellular tower)等のインフラストラクチャを無線ネットワーク事業者に提供する企業、例えばタワー所有者、及び無線ネットワーク事業者にリースするための屋上の権利を確保している企業は、事業者が基地局を展開している場所を把握することに関心を有し、これにより、カバー範囲若しくは容量の増大に関して満たされていない潜在的なニーズがあるエリアを特定でき、又は1つのネットワーク事業者のみが利用している、他の事業者にとっても有益であるかもしれないセルラータワーといった、潜在的に十分に活用されていない資産を特定できる。更に、建造物の所有者及びテナントは、例えばいずれの個々のネットワーク(又は全てのネットワーク)に関してカバー範囲が良好であるか劣悪であるかを推定するために、無線ネットワークインフラストラクチャが存在する場所を彼らの資産に関連して把握することに関心を有する場合がある。
【0005】
使用する媒体にかかわらず、無線信号の送信と受信との間には本来的に遅延が存在する。無線ネットワークでは、媒体は空間であり、遅延を発生させる因子は媒体自体(自由空間)、送信機と受信機との間の経路内の障害物(反射、屈折等を発生させる)、又は送信機と受信機との間の距離である。通信の同期を達成するために、引き起こされる受信の遅延を考慮して、無線信号を事前に送信する。この早期送信は、セルラーネットワークにおける事前に定義された期間、遅延間隔、例えばタイミングアドバンス(Timing Advance:「TA」)の増分として測定される。無線ネットワークは、信号の送信と受信との間の時間差を継続的に監視する。無線信号の到着が早すぎる場合、送信機は小さなTAオフセットによって、信号をより遅く送信するように指示され、またその逆も同様である。移動体デバイスは、インストールされたアプリケーションを用いて、これらのTA値を、インストールされたアプリケーションを用いて、TA値の測定値が収集された地理的ロケーション(緯度、経度、高度)及び無線信号ソースの識別と共に記録できる(TAデータは上記地理的ロケーション及び上記TA値の総称である)。よって、測定毎に、異なる地理的ロケーション、及び場合によっては異なるTA値が生成されるため、ポイントAからポイントBに移動する単一のデバイスが、複数の異なるTAデータをキャプチャして記録できる。その後、これらの測定値の集合を利用して、無線基地局(送信機)のロケーションをより良好に特定する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
出願人は、TA値等の遅延測定データ、及び地理的ロケーションを含むTAデータの使用によって、トランシーバ基地局の特定及び位置決めを改善するための、新規かつ有用な方法を作成した。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の方法は、ネットワーク内の無線送信機の地理的ロケーションを、該ネットワークによってサービスを提供される無線デバイスが収集した無線信号測定値に基づいて特定するためのソリューションを提案する。これは例えば、無線ネットワーク基地局、セルラーサイト、トランシーバステーション、無線タワー等を含む1つ以上の無線送信機のロケーションの推定に役立つ。
【0008】
本発明は、受信した信号レベル値のみに依存し、信号フェージング、侵入損失、経路妨害、測定値の空間的多様性の低さ等によって損なわれる現行の方法に比べて、無線送信機の地理的ロケーションの検出の高い正確度及び精度を達成する。
【0009】
本発明の実施形態の特徴は、移動体デバイス上で実行されてこのデバイスの地理的ロケーション及び広範な無線ネットワーク情報を収集できる、アプリケーションを含む。1つ以上のデバイスから収集されたデータは、本発明の方法を用いて、無線ネットワーク基地局のロケーションを決定するために分析され、また特定の実施形態では送信機のロケーションの特定の精度を改善するために反復して分析される。
【0010】
ある好ましい実施形態では、無線タワーの位置を推定する方法は:(a)送信機と受信機との間のTAデータ等の複数の無線測定値を収集し、上記送信機と上記受信機との間のタイミングアドバンス(TA)を収集するステップ;(b)上記受信機の周りにバッファ円を描画するステップであって、上記円は、
【0011】
【数1】
【0012】
に等しい半径を有する、ステップ;(c)隣接する無線測定値の間の交差点を抽出するステップ;(d)ステップ(c)からの交差点のクラスタを特定するステップ;(e)最多数の交差点を有する上記クラスタを特定するステップ;(f)ステップ(e)からの上記クラスタに対応する多角形を作成するステップ;(g)ステップ(f)の上記多角形から中心を抽出するステップ;(h)ステップ(f)からの上記多角形の外接円を作成するステップ;及び(i)上記円内のロケーションに対応する、上記無線タワーの初期推定ロケーションを決定するステップを含む。
【0013】
更なる実施形態では、上記方法では、上記交差点は、閾値D(距離)に等しいポイント間距離と、ポイントの最小個数の閾値M(測定値)とを有する。
【0014】
更なる実施形態では、上記方法では、閾値D及びMは、密集して配置された交差点をグループ化するために十分に小さな値に設定される。
【0015】
更なる実施形態では、上記方法では、D及びMの値は、経験的に、地方エリアではおよそD=30メートル及びM=5ポイント、郊外及び都市エリアではおよそD=10メートル及びM=10ポイントであることがそれぞれわかった。
【0016】
更なる実施形態では、上記方法は更に:(j)ステップ(i)から決定されたロケーションを、上記初期推定ロケーションとして設定し、このロケーションから全ての上記バッファ円までの最短距離を計算するステップ;(k)上記初期ロケーションを新たなロケーションへと距離D及び角度Aだけシフトし、全ての上記バッファ円までの距離を計算するステップ;(l)ステップ(j)とステップ(k)との間で、計算された上記距離を比較するステップ;並びに(m)上記新たなロケーションを次の推定ロケーションとして設定するステップであって、上記新たなロケーションは、前の推定ロケーションより短い距離を有する、ステップを含む。
【0017】
更なる実施形態では、上記方法では、ステップ(m)において、上記新たなロケーションは信号レベルを更に測定し、測定された信号レベルに基づいて上記新たなロケーションを修正する。
【0018】
更なる好ましい実施形態では、無線送信機の位置を推定する方法は:(a)送信機と受信機との間の複数の無線測定値を収集するステップ;及び(b)上記複数の無線測定値からの遅延測定値の交点に基づいて、上記位置を推定するステップを含む。
【0019】
更なる実施形態では、上記方法では、遅延測定値の上記交点は、無線測定値の周りにバッファ円を描画することによって画定され、上記円の半径は、
【0020】
【数2】
【0021】
として定義され、また互いに隣接して収集された2つの測定値の間の交差点を特定する。
【0022】
更なる実施形態では、上記方法では、「隣接(adjacent)」は、時間に関する又はロケーションに関する隣接を意味する。
【0023】
更なる実施形態では、上記方法では、上記推定位置は、交点のクラスタを特定し、上記交点の上記クラスタから作成された多角形の周りに円を外接させることによって推定され、ここで上記推定位置は上記外接円内にある。
【0024】
更なる実施形態では、上記方法では、上記推定位置は、上記円内のロケーションポイントをプロットすることによって推定される。
【0025】
更なる実施形態では、上記方法では、プロットされる上記ロケーションポイントは、上記円内の各上記交点までの最短距離を生成するようにプロットされる。
【0026】
更なる実施形態では、無線送信機、例えばタワー、屋上、街灯又は看板等の上にあってよい基地局の位置を推定する方法は:送信機と受信機との間の複数の無線測定値を収集するステップ;各測定値の周りに、タイミングアドバンス遅延測定値によって定義される半径を有するバッファ円を描画するステップ;上記複数の無線測定値に対応する複数のバッファ円をプロットし、少なくとも2つの隣接する測定値に関する少なくとも1つの交差点を特定するステップ;上記複数の無線測定値からの遅延測定値の交点に基づいて、上記位置を推定するステップを含む。
【0027】
上記方法では、少なくとも1つの交差点を特定するステップにおいて、上記隣接する測定値のみを利用する。
【0028】
上記方法では、上記受信機は移動体デバイスである。
【0029】
更なる好ましい実施形態では、無線送信機の位置を推定する方法は:(a)上記無線送信機と受信機との間の複数の無線測定値を収集するステップであって、上記無線測定値は、上記無線送信機と上記受信機との間の遅延測定値(TA値)と、受信機ロケーションとを含む、ステップ;(b)上記受信機ロケーションの周りにバッファ円を描画するステップであって、上記バッファ円は、
【0030】
【数3】
【0031】
に等しい半径を有し、ここでxはTA値の各ユニットに対する距離測定値を表わす、ステップ;(c)隣接する無線測定値の間の交差点を抽出するステップ;(d)ステップ(c)からの交差点の少なくとも1つのクラスタを特定するステップ;(e)最多数の上記交差点を有する上記クラスタを特定するステップ;及び(f)上記無線送信機の初期推定ロケーションを、最多数の上記交差点を有する上記クラスタから決定するステップを含む。
【0032】
更なる実施形態では、上記方法は更に:(e1)ステップ(e)の直後に、ステップ(e)からの最多数の上記交差点を有する上記クラスタに対応する多角形を作成するステップ;(e2)ステップ(e1)の上記多角形から中心を抽出するステップ;(e3)上記多角形の外接円を作成するステップ;及び(e4)外接円を作成された上記多角形内のあるロケーションに対応する、上記無線送信機の第1の初期推定ロケーションを決定するステップを含む。
【0033】
更なる実施形態では、上記方法では、上記交差点は、閾値Dに等しいポイント間距離と、ポイントの最小個数の閾値M(測定値)とを有する。
【0034】
更なる実施形態では、上記方法では、D及びMの値は、D=30メートル、M=5ポイントである。
【0035】
更なる実施形態では、上記方法では、D及びMの値は、D=10メートル、M=10ポイントである。
【0036】
更なる実施形態では、上記方法では、上記TA値は、上記受信機のハードウェア又はソフトウェアに基づいて修正される。
【0037】
更なる実施形態では、上記方法では、上記受信機によって報告される上記TA値は、デバイス製造元、チップセット、及びソフトウェアリリースに固有のものであり、一意のプロファイルが、報告された上記TA値を正規化する。
【0038】
更なる実施形態では、上記方法は更に:(e5)上記第1の初期推定ロケーションから、上記クラスタ内の全ての上記バッファ円までの、最短距離を計算するステップ;(e6)上記初期推定ロケーションを新たなロケーションへと距離D及び角度Aだけシフトし、上記クラスタ内の全ての上記バッファ円までの距離を計算するステップ;(e7)ステップ(e5)とステップ(e6)との間で、計算された上記距離を比較するステップ;並びに(e8)第2の新たなロケーションを設定するステップであって、上記第2の新たなロケーションは、上記第1の初期推定ロケーションから全てのバッファ円までの距離よりも短い、全てのバッファ円までの距離を有する、ステップを含む。
【0039】
更なる実施形態では、上記方法では、上記複数の無線測定値は信号レベルを含む。
【0040】
更なる実施形態では、上記方法では、ステップ(e8)において、上記新たなロケーションは信号レベルを更に測定し、測定された信号レベルに基づいて上記新たなロケーションを修正する。
【0041】
更なる好ましい実施形態では、上記方法では、上記多角形は、最多数の上記交差点を有する上記クラスタ内の上記交差点をつなぐことによって描画される。
【0042】
更なる好ましい実施形態では、無線送信機の位置を推定する方法は:(a)位置及びTA値を含む、送信機と受信機との間の複数の無線測定値を収集するステップ;(b)上記複数の無線測定値それぞれについて、バッファ円を上記受信機の位置の周りに描画するステップであって、上記バッファ円は、
【0043】
【数4】
【0044】
に等しい半径を有する、ステップ;(c)少なくとも2つのバッファ円の間の交差点を特定するステップ;並びに(d)上記送信機の上記位置を、上記交差点のロケーションに基づいて推定するステップを含む。
【0045】
更なる実施形態では、上記方法では、上記複数の無線測定値は、隣接する測定値である。
【0046】
更なる実施形態では、上記方法では、「隣接」は、時間に関する又はロケーションに関する隣接を意味する。
【0047】
更なる実施形態では、上記位置を推定する上記ステップでは、上記位置は交差点のクラスタを特定し、上記交差点の上記クラスタから作成された多角形の周りに円を外接させることによって推定され、ここで上記推定位置は上記外接円内にある。
【0048】
更なる実施形態では、上記方法では、上記推定位置は、上記円内のロケーションポイントをプロットすることによって推定される。
【0049】
更なる実施形態では、上記方法では、プロットされる上記ロケーションポイントは、上記円内の各上記交点までの最短距離を生成するようにプロットされる。
【0050】
更なる好ましい実施形態では、無線送信機の位置を推定する方法は:送信機と受信機との間の複数の無線測定値を収集するステップ;バッファ円を各無線測定値のロケーションの周りに描画するステップであって、上記バッファ円は、上記受信機によって収集されたタイミングアドバンス遅延測定値によって画定される半径を有する、ステップ;複数のバッファ円をプロットし、隣接する測定値のみに関して交差点を特定するステップ;及び上記複数の無線測定値からのタイミングアドバンス遅延測定値の交点に基づいて、上記位置を推定するステップを含む。
【0051】
更なる好ましい実施形態では、無線送信機の位置を推定する方法は:(a)上記無線送信機と受信機との間の複数の無線測定値を収集するステップであって、上記無線測定値は、上記無線送信機と上記受信機との間の遅延測定値(TA値)と、受信機ロケーションとを含む、ステップ;(b)上記受信機ロケーションの周りにバッファ円を描画するステップであって、上記バッファ円は、
【0052】
【数5】
【0053】
に等しい半径を有し、ここでxはTA値の各ユニットに対する距離測定値を表わす、ステップ;(c)隣接する無線測定値の間の交差点を抽出するステップ;(d)ステップ(c)からの交差点の少なくとも1つのクラスタを特定するステップ;(e)最多数の上記交差点を有する上記クラスタを特定するステップ;(f)ステップ(e)からの最多数の上記交差点を有する上記クラスタに対応する、多角形を作成するステップ;(g)ステップ(f)の上記多角形から中心を抽出するステップ;(h)上記多角形の外接円を作成するステップ;及び(i)外接円を作成された上記多角形内のあるロケーションに対応する、上記無線送信機の初期推定ロケーションを決定するステップを含む。
【0054】
更なる実施形態では、上記方法は更に:(j)上記初期推定ロケーションから、上記クラスタ内の全ての上記バッファ円までの、最短距離を計算するステップ;(k)上記初期推定ロケーションを新たなロケーションへと距離D及び角度Aだけシフトし、上記クラスタ内の全ての上記バッファ円までの距離を計算するステップ;(l)ステップ(j)とステップ(k)との間で、計算された上記距離を比較するステップ;並びに(m)新たなロケーションを設定するステップであって、上記新たなロケーションは、上記初期推定ロケーションから全てのバッファ円までの距離よりも短い、全てのバッファ円までの距離を有する、ステップを含む。
【図面の簡単な説明】
【0055】
図1図1は、サービングセルサイトから受信される単一の測定値を示す。図示されているのは:ここでは移動体デバイス1である受信機;ここでは無線基地局3である送信機;及び5に等しいTAを有する、移動体デバイスから無線タワーまで描画される線として定義される、遅延測定値2である。
図2図2は、移動体デバイス1の周りに描画された、距離として表現される受信したTAに等しい半径を有するバッファ円4を示し、1/2TAだけオフセットされたバッファ円(4X及び4Y)が、連続するTA間の増分差を説明するために描画されている。
図3図3は、3つの別個のロケーション(1A、1B、1C)にある無線移動体デバイスと、重なり合うバッファ円(4A、4B、4C)とを示す。上記バッファ円は交差することによって、無線タワーの位置に関する情報を与える。
図4図4は、フェーズIに関する、セルサイト特定方法のある実施形態のフローチャートを示す。
図5図5は、4つの異なるロケーション(ポイントA 43、ポイントB 44、ポイントC 45、ポイントD 46)にある無線デバイス、並びに時間的に隣接する測定値に関して得られたバッファ円(バッファ円A 7、バッファ円B 8、バッファ円C 42、バッファ円D 41)の間、即ちバッファ円Aとバッファ円B(交点6A、6B)、バッファ円Bとバッファ円C(交点9A、9B)、及びバッファ円Cとバッファ円D(交点47A、47B)の間の交差点の計算を示し、これは、互いから事前に定義された距離以内において地理的に収集された測定値の集合である交点5のクラスタ50をもたらす。
図6図6は、図5と同一のデータであるが、マップ上の交差点のクラスタ52を簡単に図示するために、バッファ円が除去されている。クラスタは、「Density‐based spatial clustering of applications with noise」アルゴリズムに基づいて、20メートルの閾値ポイント間距離及び3に設定されたポイントの最小個数を用いてタグ付けされる。クラスタ1 52は、4つのうちポイントの個数が最も多く、残りのクラスタ(クラスタ2 51、クラスタ3 53、クラスタ4 54)はそれぞれ1ポイントを含む。
図7図7は、複数のポイントに向かって描画されたドロネー三角形分割の例を示す。ドロネー三角形の外接円56は、交差点(55、57、58、59)のボロノイ図の作成に利用される。作成されたドロネー三角形を折り畳む(マージする)ことにより、複数のポイントのクラスタから単一の幾何学形状(多角形)が得られ、これを利用して、無線基地局の推定ロケーションを表現し、クラスタの境界を定義できる。
図8図8は、ドロネー三角形分割を用いてクラスタ1 52の複数のポイントから描画された、幾何学形状のサンプル61を示し、ここでは3つのポイントからの三角形が使用されている。
図9図9は、三角形である幾何学形状61の更なる詳細を提供し、三角形の中心点に「+」の記号で重心62が示されている。
図10図10は、無線基地局の位置に関する誤差のマージンを表すために、幾何学形状61を円63の内側に囲む様子を示す。
図11図11は、クラスタ72内の交差点73のセットが幾何学形状75の描画につながる様子、及びその後の初期推定無線基地局ロケーション76の計算を示す。初期推定無線基地局ロケーションから個々のバッファ円71それぞれへの最短距離74も描画されている。
図12図12は、初期推定ロケーションと比較した場合に全てのバッファ円71までの距離74を短くすることが潜在的に可能である新たなロケーション77への、初期推定送信機(無線基地局)位置の、事前に定義された距離及び角度での空間的シフトを示す。
図13図13は、無線基地局のロケーションの精度を向上させるためのフェーズIIの最適化方法を示すフローチャートを示し、これは、予測の正確度を向上させるために信号レベルの測定値を含めるという選択肢を含み、また具体的にはこの場合、信号レベルが送信機の方位角の決定も支援できる。
図14図14は、フェーズI及びフェーズIIの結果の一例を示し、これは、初期予測信号ソースロケーション83、最終予測信号ソースロケーション81、及び実際の信号ソースロケーション90を、バッファ円84及びその交点85(ポイント間距離に基づいてクラスタ化されている)、並びに本明細書中で詳述される反復法によって得られる反復経路82と共に示す。
図15図15は、Cell Analytics WebポータルGUIにおける、上記のアプローチの実施形態の例を示す。この図では、セルラーネットワーク無線基地局の推定ロケーションが、マップ上の複数のポイント(凡例は異なる複数の基地局ポイントを示す)及びクラスタ50によって示されている。ソースの測定値は、Speedtestアプリケーションのユーザからバックグラウンドで収集される。このWebポータルGUIにより、推定セルラーネットワーク無線基地局ロケーションを既存の方法よりも高い精度で表示するための、Webベースのポータルでの表現が可能となる。
図16図16は、典型的には約120°の広がりでの、送信機の方位角を詳細に示し、これは、バッファ円91に囲まれた基地局95の異なる方向の3つの異なる送信機(92、93、94)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0056】
無線送信機の位置は従来、様々な信号レベル値を用いて推定されてきたが、これはフェージング、侵入損失、経路妨害等の影響を受ける。無線送信機は、セルラーネットワーク基地局、双方向陸上移動体通信サイト、放送送信機、移動無線、モノのインターネット(IoT)デバイス、及び信号を送信する他の同様のデバイスを含んでよい。従って、これらの様々な影響により、これらの推定は、様々な誤差の中でも特に、正確度が低い位置のロケーション、及び無線送信機ロケーションの低精度での特定をもたらす。無線送信機のロケーションの定義における正確度及び精度の両方を向上させる方法が必要である。このロケーションデータは、産業上重要な価値を有する。例えば、無線送信機の存在の特定、及び無線送信機のロケーションのより高い精度での特定の両方の能力は、無線ネットワーク事業者が、例えば競合他社の、無線送信機又は一般に送信機を含む無線基地局のロケーションについての洞察を得ることができるようにするための有用なツールとなり得る。インフラストラクチャ企業(即ちセルラーネットワークタワー及び屋上ロケーションを作成、設置、又は管理する企業)にとっては、実施形態は、(1つ以上の送信機を格納又は保持する)既存のタワーの財務評価、新たなタワーを構築するための潜在的なロケーションの特定、及び最も価値が高いロケーションに基づいて権利を保護するためにタワーのロケーションを可視化する能力を支援できる。
【0057】
無線信号(例えば電波)の移動時間を測定することにより、受信機と送信機との間の距離の指標を得ることができる。ここでは、受信機は無線デバイス(電話、タブレット、コンピュータ、ラジオ、他の通信デバイス等)であり、上記受信機はその位置を経度及び緯度によって定義できるが、送信機の位置は不確実である。電波の速度が有限であるため、現代のネットワーク内の送信機は、隣接する「タイムスロット(time slot)」の送信との干渉を回避するために、正確に正しい時点に受信機に到達するように「事前(ahead of time)」送信を行う。この「タイミングアドバンス」値は、送信機と受信機との間の距離に対応する。というのは、距離が長いと、適切な時点に受信機に到達するには送信をより早める必要があるためである。本明細書に記載の方法による多数のタイミングアドバンス測定値の集約及び処理と、受信機(無線デバイス)の既知の経度及び緯度とを組み合わせて、送信機のロケーションを正確に推定できる。
【0058】
タイミングアドバンス(TA)は、信号伝播時間の増分持続時間を示す遅延測定値であるため、自由空間伝播及び視線経路の一般的な仮定を用いて、この値に光速(c=299,792m/s)を乗算することによって、この値を距離測定値に変換できる。広帯域符号分割多重接続(Wideband Code Division Multiple Access:WCDMA)ネットワークでは、各TAユニットは3.69μsに等しく、距離は1,106メートルとなる。LTEネットワークでは、TAユニットは0.52μsに等しく、156メートルの距離のラウンドトリップ遅延が発生する。よって、ネットワークの特定のタイプ、及びネットワークハードウェアが、遅延測定値内の距離に関係しているため、得られた測定値に基づいて変数を制御できる。特定のハードウェアデバイスはTA値を誤って表現するため、最適な正確度のためにこれらの差異を補償することが重要である。実際には、(チップセットの形態での)ハードウェアの実装、及びこれらを制御するソフトウェアは、TAの単位からメートル又は秒の単位への異なる変換式をもたらす。データセット内の全てのデータの正規化を可能にするために、特定のハードウェア及びソフトウェアプロファイルを作成でき、ソフトウェアアップデートに基づいてアップデートすることもできる。
【0059】
任意のTA測定値に関して、距離(メートル)で表されるTA値を半分にすることにより、送信機から受信機までの一方向距離を計算できる。図1は、LTEネットワーク(TAユニット=1.56メートル)における例示的なシナリオを詳細に示しており、これは、無線基地局(送信機)3及び受信機(無線デバイス)1の実際のロケーションを、受信機によって記録されたTA値5と共に示している。これら2つのデバイスの間の距離は、1/2×(5×156)、即ち390メートルに等しいと計算される。送信機3は無線基地局であり、受信機は、携帯電話、ノートブック、コンピュータ、ラジオ等といった無線デバイス1であり、これらは無線受信及び/又は送信機能を有する電子デバイスであることが、当業者には知られている。TAライン2は、測定の瞬間における送信機3と無線デバイス1との間の距離であり、正確な距離は、デバイス上のハードウェア及びソフトウェアに基づいて調整される。
【0060】
無線デバイス1によって受信される、TAを伴う単一の測定値は、送信機3のロケーションの決定には不十分である。というのは、上記単一の測定値は、送信機3がデバイス1から「x」メートル離れていることしか示していないためである。
【0061】
図2は、LTE送信機3が無線デバイス1に、送信機3との通信中にTA=10(780メートルに等しい)を使用することを要求したことを記録する、単一の移動体デバイス1の例を示す。送信機3は、無線デバイス1のロケーションを中心とする半径780メートルのバッファ円4の縁部上のどこにあってもよい。より正確には、バッファ円4は実際には、連続する値の間の増分差により、単一のTA値に対応するオフセットされたバッファ円(4X、4Y)の間のバンドである(即ちTA=10は、TA=10±1/2の間のどこかにある移動体デバイスによって受信される)。よって、どこから信号が来るかが不明である場合、特定のTAを受信する無線デバイス1を取り上げてバッファ円4を作成することにより、送信機3の可能性のあるロケーションを得ることができ、ここで送信機3は、バッファ円4上にあるはずであるものの、その実際の位置は、TAの1/2に関連する領域内にあり、オフセットされたバッファ円4X、4Yに対応するこの1/2TAに関連するマージン内にある。
【0062】
受信機によって記録されたTA値を伴う同一の送信機3からの複数の測定値により、異なるバッファ円が得られ、これらは交差する(即ち交差点5を形成する)ことになり、この交差点5を利用して、送信機3の可能性のあるロケーションを特定できる。これらのバッファ円が図3に示されているように重なっている場合、これらは、ソース送信機3のロケーションを絞ることができる。というのは、この例では、送信機3は、3つ以上のバッファ円が交差5するロケーションにしか存在できないためである。図3は特にTAを利用して、それぞれ異なるTAを有する無線移動体デバイスの3つの異なるロケーション(1A、1B、1C)を示し、1AのTAは4であり、1BのTAは2であり、1CのTAは5である。これら3つの重なり合ったバッファ円(4A、4B、4C)は、メートルで表されたTAの半径を利用する。ここで、この簡略化された例では、これら3つは交差点5で交差しており、この交差点5は、送信された信号のソースとなり得る唯一の点であり、従って送信機3のロケーションを特定するものである。標識されていない他の交差点は送信のソースにはなり得ないが、それは、例えば特定の交点が別のバッファ円内にある場合であっても、全ての送信が正確に交差のポイントを画定するわけではないためである。重なり合ったバッファ円(4A、4B、4C)は、可能性のある送信機のロケーションを描画するが、これらは実際には単なるデータ点であり、ある特定のセット内のデータ点が多いほど、推定送信機のロケーションの信頼性が高まる。
【0063】
単一の信号無線基地局ソースは複数の送信機(水平方位角が異なるアンテナ、ハードウェア構成等)を使用できるため、ロケーションの決定は、第1のフェーズで第1のロケーションの決定を提供するために、そして任意の第2のフェーズで第1のロケーションの決定を微調整するために実施される。これらのフェーズは以下の通りである:
【0064】
フェーズI:送信機、例えば基地局のロケーションにある1つ又は全ての送信機に関して、信号ソースの地理的ロケーションを推定する。
【0065】
フェーズII:各送信機、例えば無線基地局のロケーションにある送信機に関して、信号ソースのロケーションを推定することにより、地理的ロケーションを微調整する。
【0066】
最後に、信号強度を利用して、いずれのフェーズにおいて送信機の方位角を特定できる。
【0067】
フェーズI:信号ソースの地理的ロケーションの推定
図4は、単一の信号ソースの初期地理的ロケーションを推定するための、フェーズIのステップを示すフローチャートを詳細に示しており、これは以下のように実施される:
【0068】
ステップ1:全ての無線デバイスの測定値(測定値は1つ以上の無線デバイス10、11、12、13、14から収集される)及びそれらのロケーションを収集15して、一意のソースIDによって、与えられた信号ソースを特定する。図1は移動体デバイス1、TA2、及び送信機3を特定しており、ここで無線デバイスの測定値は、ロケーション及びTA値を含むTAデータを含む。
【0069】
ステップ2:報告された最小のTA値に関して、少なくともN個のポイントを用いて測定値をフィルタリング16する。このステップは、送信機3のロケーションを確実に検出するには不十分であり得る、又は外れ値のポイントが多すぎる可能性がある、サンプル数が低いTA測定値を排除する。実際には、外れ値の測定値は、報告された地理的ロケーション(緯度/経度)の垂直及び/若しくは水平方向の正確度が低いものであるか、又はRF条件若しくは高速で移動する移動体デバイスの影響を受けた不正確なTA値である。経験的テストにより、N≧10が、信頼性の高いデータを提供するための良好な出発点であることが示されているが、Nの値が高いほどデータの信頼性は向上し、例えばNは50を超える。ただし、わずか3つのサンプルも可能である。
【0070】
ステップ3:各測定値のロケーション(緯度/経度)を中心とし、半径が
【0071】
【数6】
【0072】
に等しいバッファ円を描画17する。ここでxは、TAの各ユニットに関する距離の測定値を表わす(例えばLTEの測定に関してはおよそ156メートル)。このステップは図1、2に示されており、図1はTAであり、図2は本明細書に記載されているような半径の、4Xと4Yとの間のバッファを有するバッファ円4の描画を示す。上記距離は、移動体デバイス(受信機)からのハードウェア及びソフトウェア的な影響に基づいて調整できる。
【0073】
ステップ4:報告された各移動体デバイス及びロケーションに関するバッファ円の交点を抽出18する。ここで交差は、測定値の記録されたタイムスタンプで昇順にソートされた、時間的に隣接する測定値に対して実施される。図3では、3つの測定値及び3つのTAによる、このステップの簡単な例が提供されており、ここで交差点5は、3つの測定値のロケーションが交差するポイントである。実際には完璧な交差点5が存在しない場合があり、従って特定の実施形態では、近接した関係の交差点のクラスタが利用される。このステップは、計算する必要のある交点の個数を削減し、バッファ円の交差が空間的に別個の測定値のみに対して実施されることを保証する。実際には図3のように、全ての交点を計算する必要があるわけではない。というのは、隣接する測定値の交差、即ち記録された昇順のタイムスタンプに基づくもののみを計算に利用するためである。よって、円4Aと円4Cとの間の交差は隣接する測定値ではないため利用されず、4Aと4B、及び4Bと4Cの交差のみが使用される。
【0074】
図5は、ポイントA 43からポイントD 46までの移動経路に沿ってデータを報告するデバイスに関する測定ロケーション(ポイントA 43、ポイントB 44、ポイントC 45、ポイントD 46)を示す、更なる例を提供する。各ロケーション7、8、41、42のバッファ円は、メートルで表される、単一の送信機に関して記録された最小のTAに等しい半径を有する。また、報告された隣接する測定値の間の交差点(バッファ円Bと交差するバッファ円Aに関してA&B 6A及び6B;バッファ円Cと交差するバッファ円Bに関してB&C 9A及び9B等)も示されている。
【0075】
ここで、図3の簡略化されたバージョンとは異なり、4つのバッファ円(7、8、41、42)は完璧に単一のポイントで交差していないため、複数の交点(6B、9B、47B)をマークしてクラスタ50を定義する。しかしながら、生じ得るあらゆる交差に関して交点をマークするわけではない。というのは、そのようにすると数千個又は数万個の交点が発生し、これらは不要である上あまりに多くのデータをもたらすためである。代わりに、時間的に隣接した(即ち記録されたタイムスタンプでソートされた)測定値のみを利用する。与えられている例では、デバイスは時計周りのパターン(A→B→C→D)で移動しており、バッファ円の交点はA&B、B&C、C&Dのみで得られる。
【0076】
ステップ5:閾値Dに等しいポイント間距離と、ポイントの最小個数の閾値Mとを有する交点のクラスタ(サンプルロケーション)を特定19する。閾値D、Mは、密集して配置された交差点をグループ化するために十分に小さい値に設定される。D、Mの値は、経験的に、地方エリアではおよそD=30メートル及びM=5ポイント、郊外及び都市エリアではおよそD=10メートル及びM=10ポイントであることがそれぞれわかった。
【0077】
図6は、バッファ円の交点(51、52、53、54)を示す交差点のクラスタの例を詳細に示す。クラスタ化(即ちグループ化)すると、交点(51、53、54)はクラスタ1個あたり1つのポイントをもたらす(クラスタ2 51、クラスタ3 53、クラスタ4 54)が、クラスタ1 52は最多数の交差点をとらえる。関数を用いて、互いに対する近接度に基づいて、及びポイントの所望の最小個数に基づいて、ポイントをクラスタ化できる。
【0078】
特に、最多数の交差点を有するクラスタは、Density‐based spatial clustering of applications with noise(DBSCAN)アルゴリズムを、上で定義した閾値D、Mと共に用いてタグ付けされる。図6では、クラスタ1 52が最多数の交差点を有するクラスタである。
【0079】
ステップ6:特定されたクラスタ内のポイントのドロネー三角形分割に基づいて、最大のクラスタを多角形として生成20する。このステップは、交差点を単一の幾何学的特徴で表現することを可能とする。図7は、ドロネー三角形の外接円を作成56して交差点のボロノイ図を作成し、ドロネー三角形分割を用いてポイント55、57、58、59から作成される多角形を得る、一般的な例を詳細に示す。作成されたドロネー三角形を折り畳む(マージする)ことにより、複数のポイントのクラスタから単一の幾何学形状(多角形)が得られ、これを利用して、無線タワーの推定ロケーションを表現できる。
【0080】
図8は、クラスタ1 52の複数のポイントから描画された幾何学形状のサンプルを示す。この単純なサンプルのサイズにより、ここで幾何学形状61は、3つのポイントから作成された三角形である。従って図8では、これらのポイント及びドロネー三角形分割から多角形が作成されている。例えば、より多くのデータ点がある場合、ドロネー三角形分割法を用いて、全ての三角形を1つの形状に集約し、最終的に最小個数のポイントの多角形とする。
【0081】
ステップ7:信号ソースの推定ロケーションを表す、生成された幾何学形状の重心62を抽出21する。図9は、上述の例に従ってクラスタ1 52の多角形に関して抽出された重心62(ここでは三角形である幾何学形状61内に、「+」の記号として示されている)の例を詳細に示す。重心62は、ソースである無線送信機の初期推定ロケーションとして計算される。
【0082】
ステップ8:正確度及び/又は精度の信頼性インジケータとして、重心62の周りに円63を描画することにより、多角形を円として一般化22する。図10は、クラスタ1 52の幾何学形状61及び重心62を取り囲む円63の例を詳細に示す。セルサイトは幾何学形状61自体の中にある可能性が最も高いが、正確度を高めるために誤差のマージンが作成され、従って実際の送信機のロケーションは円63内である。従って、正確なロケーションは幾何学形状61内である可能性が高いが、円63はその実際のロケーションの信頼性を表す。しかしながら、円63のサイズは信頼性の程度を表すものではない。典型的には、円が小さいほど信頼性は高まる。しかしながらここでは逆であり、無線基地局が円内に位置することについて、円が小さいほど信頼性が低く、円が大きいほど信頼性が高い。簡潔に述べると、小さな円はより高い精度を意味し、大きな円はより高い正確度を意味する。
【0083】
ステップ9では、外接する円63は、無線基地局のロケーションの簡略化された表現である(即ち送信機のロケーション及び円を伴う出力を提供23する)。図4のフローチャートから、この円63からロケーションを決定24できる。よってこの円は、無線基地局が円63内に位置することを、高い正確度で特定できる。
【0084】
フェーズII:信号ソースの地理的ロケーションの微調整
推定無線送信機ロケーションは、過去に計算された推定ロケーションを組み込み、より多くのデータ又は改善されたデータのフィッティングに基づいてロケーションを再計算することによって、更に改善できる。例えば、推定ロケーションは前年からの測定値を用いて毎月実行できる。新しい改善された推定ロケーションは、古い推定サイトロケーションと新しい推定サイトロケーションとの平均とすることができ、又は古いロケーション及び新たなロケーションに、測定サンプルの個数若しくは測定サンプルの空間的広がりによって重み付けしてもよい。古いロケーションを、ロケーション推定プロセスの最初のステップの根源(seed)となるロケーションとすることもできる。このデータを利用して機械学習システムを訓練でき、この機械学習システムは、全ての推定ロケーションからのデータを組み込み、より多くのデータが収集されたときにロケーションを継続的にアップデートする。特に、いくつかのポイントでは、計算されたロケーションは修正されない。即ち一致していると判断される。しかしながら計算を引き続き再実行してよく、過去の一致したロケーションからの逸脱をデータが示す場合にのみ、新たなロケーションを決定する。例えば送信機のロケーションが、比較的短い距離であったとしても新しいタワーへと移動されている場合があり、これが逸脱となる。
【0085】
多くの場合、ロケーションの初期決定24は十分なものであり得るが、推定送信機位置の精度を向上させるため、即ち地理的ロケーションを微調整するために、決定されたロケーション24を変更するための修正を利用できる。図13は、反復プロセスを通して、各送信機の信号に基づいて信号ソースの地理的ロケーションを微調整するためのステップを示すフローチャートを詳細に示し、これは以下のように実施される:
【0086】
ステップ1:フェーズIで見出された、信号ソースの初期に決定されたロケーション24(Loc_0)から、各送信機の一意のIDによってグループ化された全てのTA測定値の全てのバッファ円までの、全ての円に対する最短距離Dを計算25する。
【0087】
図11は、「+」の記号でマークされた、無線基地局76の位置のLoc_0の例を、バッファ円71、例えば73である交差点、交差点のクラスタ化72においてバッファ円71から生成される交差点のクラスタからの幾何学図形(三角形)75と共に詳細に示す。そして、推定初期無線基地局ロケーション76は、図11において点線で示されているように、各バッファ円71までの最小/最短距離74でマークされる。
【0088】
初期推定送信機ロケーションは最良のロケーションではない場合があることがわかっている。というのは、全てのバッファ円が同一の交点で交差しないためである。目標は、交差点のクラスタから、全てのバッファ円に最も近いロケーションを特定することである。
【0089】
ステップ2:推定無線基地局ロケーションLoc_0(図11の76)を、初期位置から方位角0°において距離D(ユーザによって設定された距離)だけシフト26して、新たなロケーション(図12の77)を生成する。よって図12は、(図11からの)初期ロケーション76が新たなロケーション77へと修正され、全てのバッファ円71までの距離74を用いてプロセスが再計算されることを示している。また、新たなロケーションが過去のロケーションよりも良好な(短い)距離を与えるものである場合に、再計算を行う。そして、更に良好な結果が見つかるまで、これを送信機の新たな推定ロケーションとする。最終的には、それ以上短い距離がなくなるまで繰り返す。最終的には、データセット内の過去に計算されたロケーションも使用して、送信機のロケーションを計算する際の反復プロセスの機械学習のための機械を訓練できる。
【0090】
ステップ3:新たなロケーション77から、各送信機の一意のIDによってグループ化された全てのバッファ円までの最短距離を再計算27する。
【0091】
ステップ4:距離を比較28し、ステップ3で計算された距離がステップ2で計算されたものより小さい場合、ロケーション77を信号ソースの新たな推定ロケーションとして設定する。そうでない場合、信号ソースの初期推定ロケーションを、再計算において計算されたように、Dメートル及び方位角+A°だけシフトし、ステップ2に戻り29(反復プロセス)、最短距離を計算するための新たな位置を配置する。
【0092】
ステップ5:ステップ3、4を、計算された距離が変化しないままとなるまで反復29し、ここでは、推定ロケーションの距離のシフトが、事前に定義された閾値までの徐々に小さくなるD及びAの増分で実施される。適切な計算能力があれば、これは数秒で繰り返し実行でき、送信機のリアルタイムでの計算が可能となる。これは特に、送信機が特定のロケーションにわずかな時間しかない可能性があるものの、その時点でのロケーションの計算が必要であるような状況において、役立つ可能性がある。例えば、可動式のタワー、又は他の移動体デバイス若しくはトランシーバと通信している、車両を備えた移動体送信機/トランシーバが使用される場合がある。
【0093】
ステップ6:計算が、計算された距離の削減をもたらさない場合、最後のロケーションを、微調整済みの信号ソースロケーションと見なす30。そしてこのロケーションを確認済みのロケーションとして設定できる。
【0094】
ステップ7:各送信機のクラスタのロケーションにおいて測定された信号レベル31を用いて、推定信号ソースロケーションの正確度及び精度を更に改善できる。これは、セルサイトの物理的なロケーションに対する個々の送信機のアンテナの方位角を推定するために使用することもできる。これは図16に更に詳細に示されており、ここでは複数の送信機アンテナ92、93、94がタワー95に配置され、特定の送信機アンテナの特定の方位角が、バッファ円91内に示されている。信号レベルを用いて、送信機の特定の方位角を決定することもできる。例えば、移動する受信機は1つの経路に沿った異なる複数の信号レベルを特定でき、ロケーションが確認されると、信号レベルに関するデータは、方位角を、その方向範囲を用いて概略的に示すことができる。典型的には、矢印で示されているアンテナ(例えば92)は、上記矢印の各側におよそ60°ずつ、120°の範囲を有する。信号は、(方位角の矢印で示されている)アンテナのメインビームの方向において最も強く、120°の範囲のエッジにおいて低減される。
【0095】
このように、信号レベルの低下は、送信機のロケーション又はアンテナのメインビームの経路からの離脱を示し得るため、信号レベルの測定値31を組み込むことによって、推定ソース送信機ロケーションの精度及び正確度を更に改善33できる。特にこれにより、送信機のアンテナの指向性に関する側面を得ることができ、このような指向性情報を、送信機に関する情報に含めることができる。
【0096】
これらのステップは図13のフローチャートによって概説されており、これは、提供されたデータに基づいて最良のフィッティング及びロケーションが推定されるまで継続的に再計算を行うための、反復プロセス29を含む。データが修正される場合、即ちセットが(新たな又は追加のデータを採り入れる)オープンセットである場合、送信機のロケーションは、一致が確認されるまで継続的に修正できる。
【0097】
実際のデータの例に移ると、図14は、収集された測定値のクラスタ85、及びこれに添付された、対応するバッファ円84の例を詳細に示す。初期ロケーションを、収集された測定値のクラスタ85から決定した(ポイント83)。次に、反復プロセスを用いて無線送信機の初期推定位置83を微調整した。推定無線タワー位置の決定の経路が図示されており(線82)、これは最終的な予測送信機ロケーション(ポイント81)で終端する。最終推定送信機ロケーションは実際のロケーション(ポイント90)に隣接しているが、この図は、ロケーションを特定するための、反復プロセスを用いて獲得される位置の改善を示すものである。
【0098】
図15は、本明細書に記載の方法を用いて計算される複数の無線基地局のWeb GUIの図を詳細に示す。これによってユーザは、自身のネットワークでサービスを提供している送信機若しくはタワー、又は他のサービスプロバイダの送信機若しくはタワーを識別でき、無線サービスを改善するために必要な又は価値のある位置をより良好に特定できる。
【0099】
特定の用途では、フェーズIのみを用いるものであるかフェーズIIも用いるものであるかにかかわらず、上記方法を用いて送信機のロケーションを迅速に決定及び特定できる。TAデータに基づいて、送信機のアンテナの方位角も推定できる。特定の用途では、送信機は数秒又は数分しか静止しない場合がある(又は移動し続ける場合さえある)。しかしながら、この送信機と通信する他のデバイスのための基準ポイントとして、上記ポイントを計算することが必要な場合がある。
【0100】
以上のように、本明細書で説明されている方法は、当業者に、TAデータを用いて無線送信機の位置を推定するための新たな方法を教示している。当業者であれば、本発明の慣用かつ理解された態様が、当業者に理解されるように一般化又は省略されているものである可能性があること、及び上記方法が上記方法の範囲及び発明的性質を修正することなく、上記方法を修正して、既知の及び理解された要素を組み込むことができることを認識するだろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
【手続補正書】
【提出日】2022-07-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線送信機の位置を推定する方法であって:
a.前記無線送信機と受信機との間の複数の無線測定値を収集するステップであって、前記無線測定値はそれぞれ、前記無線送信機と前記受信機との間の遅延測定値(TA値)と、受信機ロケーションとを含む、ステップ;
b.前記無線測定値それぞれに関して、前記受信機ロケーションの周りにバッファ円を描画するステップであって、前記バッファ円は、
【数1】
に等しい半径を有し、ここでxはTA値の各ユニットに対する距離測定値を表わす、ステップ;
c.隣接する無線測定値の間の複数の交差点を抽出するステップ;
d.ステップ(c)からの交差点の少なくとも1つのクラスタを特定するステップ;
e.最多数の前記交差点を有する前記クラスタを特定するステップ;及び
f.前記無線送信機の初期推定ロケーションを、最多数の前記交差点を有する前記クラスタから決定するステップ
を含む、方法。
【請求項2】
e1.ステップ(e)の直後に、ステップ(e)からの最多数の前記交差点を有する前記クラスタに対応する多角形を作成するステップ;
e2.ステップ(e1)の前記多角形から中心を抽出するステップ;
e3.前記多角形の外接円を作成するステップ;及び
e4.外接円を作成された前記多角形内のあるロケーションに対応する、前記無線送信機の第1の初期推定ロケーションを決定するステップ
を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記交差点は、閾値Dに等しいポイント間距離と、ポイントの最小個数の閾値Mとを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
D及びMの値は、D=30メートル、M=5ポイントである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
D及びMの値は、D=10メートル、M=10ポイントである、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記TA値は、前記受信機のハードウェア又はソフトウェアに基づいて修正される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記受信機によって報告される前記TA値は、デバイス製造元、チップセット、及びソフトウェアリリースに固有のものであり、一意のプロファイルが、報告された前記TA値を正規化する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
e5.前記第1の初期推定ロケーションから、最多数の交差点を有する前記クラスタ内の全ての前記バッファ円までの、最短距離を計算するステップ;
e6.前記第1の初期推定ロケーションを新たなロケーションへと距離D及び角度Aだけシフトし、最多数の交差点を有する前記クラスタ内の全ての前記バッファ円までの距離を計算するステップ;
e7.ステップ(e5)とステップ(e6)との間で、計算された前記距離を比較するステップ;並びに
e8.第2の新たなロケーションを設定するステップであって、前記第2の新たなロケーションは、前記第1の初期推定ロケーションから全てのバッファ円までの距離よりも短い、全てのバッファ円までの距離を有する、ステップ
を更に含む、請求項2に記載の方法。
【請求項9】
前記複数の無線測定値は信号レベルを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
ステップ(e8)において、前記新たなロケーションは信号レベルを更に測定し、測定された信号レベルに基づいて前記新たなロケーションを修正する、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記多角形は、最多数の前記交差点を有する前記クラスタ内の前記交差点をつなぐことによって描画される、請求項2に記載の方法。
【請求項12】
無線送信機の位置を推定する方法は:
a.送信機と受信機との間の複数の無線測定値を収集するステップであって、各前記測定値は、前記受信機の位置、及びTA値を含む、ステップ;
b.前記複数の無線測定値それぞれについて、バッファ円を前記受信機の位置の周りに描画するステップであって、前記バッファ円は、
【数2】
に等しい半径を有する、ステップ;
c.少なくとも2つのバッファ円の間の複数の交差点を特定するステップ;並びに
d.前記送信機の前記位置を、前記交差点のロケーションに基づいて推定するステップ
を含む、方法。
【請求項13】
前記複数の無線測定値は、隣接する測定値である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
隣接は、時間に関する又はロケーションに関する隣接を意味する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記位置を推定する前記ステップは、交差点のクラスタを特定し、前記交差点の前記クラスタから作成された多角形の周りに円を外接させることによって推定され、ここで前記推定位置は前記外接円内にある、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記推定位置は、外接させた前記円の中のロケーションポイントをプロットすることによって推定される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
プロットされる前記ロケーションポイントは、外接させた前記円の中の各前記交点までの最短距離を生成するようにプロットされる、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
無線送信機の位置を推定する方法であって:
送信機と受信機との間の複数の無線測定値を収集するステップ;
バッファ円を各無線測定値のロケーションの周りに描画するステップであって、前記バッファ円は、前記受信機によって収集されたタイミングアドバンス遅延測定値によって画定される半径を有する、ステップ;
複数のバッファ円をプロットし、隣接する測定値のみに関して交差点を特定するステップ;及び
前記複数の無線測定値からのタイミングアドバンス遅延測定値の交点に基づいて、前記送信機の前記位置を推定するステップ
を含む、方法。
【請求項19】
無線送信機の位置を推定する方法であって:
a.前記無線送信機と受信機との間の複数の無線測定値を収集するステップであって、前記無線測定値はそれぞれ、前記無線送信機と前記受信機との間の遅延測定値(TA値)と、受信機ロケーションとを含む、ステップ;
b.前記受信機ロケーションの周りにバッファ円を描画するステップであって、前記バッファ円は、
【数3】
に等しい半径を有し、ここでxはTA値の各ユニットに対する距離測定値を表わす、ステップ;
c.隣接する無線測定値の間の交差点を抽出するステップ;
d.ステップ(c)からの交差点の少なくとも1つのクラスタを特定するステップ;
e.最多数の前記交差点を有する前記クラスタを特定するステップ;
f.ステップ(e)からの最多数の前記交差点を有する前記クラスタに対応する、多角形を作成するステップ;
g.ステップ(f)の前記多角形から中心を抽出するステップ;
h.前記多角形の外接円を作成するステップ;及び
i.外接円を作成された前記多角形内のあるロケーションに対応する、前記無線送信機の初期推定ロケーションを決定するステップ
を含む、方法。
【請求項20】
j.前記初期推定ロケーションから、最多数の交差点を有する前記クラスタ内の全ての前記バッファ円までの、最短距離を計算するステップ;
k.前記初期推定ロケーションを新たなロケーションへと距離D及び角度Aだけシフトし、最多数の交差点を有する前記クラスタ内の全ての前記バッファ円までの距離を計算するステップ;
l.ステップ(j)とステップ(k)との間で、計算された前記距離を比較するステップ;並びに
m.新たなロケーションを設定するステップであって、前記新たなロケーションは、前記初期推定ロケーションから全てのバッファ円までの距離よりも短い、全てのバッファ円までの距離を有する、ステップ
を更に含む、請求項19に記載の方法。
【国際調査報告】