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特表2023-510940ゲルマニウム-68同位体を製造のためのシステムおよび方法
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  • 特表-ゲルマニウム-68同位体を製造のためのシステムおよび方法 図1A
  • 特表-ゲルマニウム-68同位体を製造のためのシステムおよび方法 図1B
  • 特表-ゲルマニウム-68同位体を製造のためのシステムおよび方法 図2
  • 特表-ゲルマニウム-68同位体を製造のためのシステムおよび方法 図3
  • 特表-ゲルマニウム-68同位体を製造のためのシステムおよび方法 図4A
  • 特表-ゲルマニウム-68同位体を製造のためのシステムおよび方法 図4B
  • 特表-ゲルマニウム-68同位体を製造のためのシステムおよび方法 図4C
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-15
(54)【発明の名称】ゲルマニウム-68同位体を製造のためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   G21G 4/08 20060101AFI20230308BHJP
【FI】
G21G4/08 G
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022543688
(86)(22)【出願日】2021-01-15
(85)【翻訳文提出日】2022-08-26
(86)【国際出願番号】 IB2021000023
(87)【国際公開番号】W WO2021144655
(87)【国際公開日】2021-07-22
(31)【優先権主張番号】62/962,525
(32)【優先日】2020-01-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/148,880
(32)【優先日】2021-01-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522285576
【氏名又は名称】ビーダブリューエックスティー メディカル リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウォン、チャン、カイ マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ホワイト、レイモンド、ジェフリー
(57)【要約】
ゲルマニウム-68(Ge-68)同位体を製造するためのシステムおよび方法が提供される。この方法は、ガリウムを含む鍍金またはカプセル化されたターゲットに放射線照射するステップと、放射線照射されたターゲットを酸で溶解させるステップと、精製されたGe-68を生成するために、溶解したターゲットを蒸留により精製するステップとを含む。溶解セル・アセンブリが、この方法の溶解させるステップで使用するために提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲルマニウム-68同位体を製造する方法であって、
放射線照射されたGa-Ni合金鍍金ターゲットを形成するために、Ga-Ni合金で鍍金された固体ターゲットに放射線照射するステップと、
前記放射線照射されたGa-Ni合金鍍金固体ターゲットを酸で溶解させるステップと、
精製されたゲルマニウム-68を生成するために、前記溶解した放射線照射された鍍金ターゲットを蒸留により精製するステップと
を含む、方法。
【請求項2】
前記固体ターゲットは銀を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記固体ターゲットは絶縁層で鍍金される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記絶縁層は、銅、アルミニウム、ニッケル、タングステン、銀-銅合金、タングステン-銀合金、ロジウム、ロジウム-ガリウム合金、ニオブ、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記酸は、塩酸(HCl)、硫酸、硝酸、または他の強酸の組み合わせである、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記溶解は、70℃~80℃の範囲の温度で起こる、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
溶解中に生成された蒸気を凝縮するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
溶解後に温度を上昇させるステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記温度は、90℃~100℃まで上昇させる、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記蒸気は、蒸留凝縮器で凝縮される、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
精製されたGe-68を収集するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記精製されたGe-68は、医療グレードである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
Ge-68同位体を製造する方法であって、
放射線照射されたカプセル化ターゲットを形成するために、金属または金属合金内にカプセル化されたガリウム金属に放射線照射するステップと、
前記Ga金属を融解させるために、前記放射線照射されたターゲットを加熱するステップと、
前記加熱されたターゲットに穴あけするステップと、
前記穴あけしたターゲットを酸で溶解させるステップと、
精製されたGa-68を製造するために、前記溶解したターゲットを蒸留により精製するステップと
を含む、方法。
【請求項14】
前記金属合金は、ニオブ-ジルコニウム合金である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記ニオブ-ジルコニウム合金は、最大50重量パーセントのジルコニウムを含有する、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記溶解は、溶解セル・アセンブリ内で起こる、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
溶解タンクまたはタンク・アセンブリと、
ヒーターまたはヒーター・アセンブリと
を備える、溶解セル・アセンブリ。
【請求項18】
前記ヒーターまたはヒーター・アセンブリは、溶解セル・ベース・ヒーター・アセンブリおよび溶解セル・ヒーター・プラグ・アセンブリを含む、請求項17に記載の溶解セル・アセンブリ。
【請求項19】
ピペット先端部をさらに含む、請求項18に記載の溶解セル・アセンブリ。
【請求項20】
蒸気色指示薬が前記ピペット先端部内に存在する、請求項19に記載の溶解セル・アセンブリ。
【請求項21】
前記溶解セル・アセンブリは、蒸留凝縮器と組み合わされる、請求項17に記載の溶解セル・アセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲルマニウム-68(Ge-68)同位体を製造するためのシステムおよび方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
通常、抽出またはクロマトグラフィーのいずれかを含む、Ge-68製造のための既存の方法がある。
【0003】
溶媒抽出は、非極性溶媒と極性溶媒など、2つの異なる非混和性液体への相対的な溶解度に基づいて化合物を分離する方法である。非極性溶媒の例は、四塩化炭素およびヘキサンなどの有機溶媒である。
【0004】
溶媒抽出法では、四塩化炭素を使用する必要がある。食品医薬品局(FDA)は、四塩化炭素を有毒で発がん性のある溶媒として分類しており、FDAはクラス1の溶媒を避けることを提案している。従来技術の抽出方法の図1Aを参照されたい。極性溶媒の例は、水とエタノールである。抽出の欠点には、微量のクラス1毒性溶媒が生成物に存在する可能性があること、抽出は手作業の集約的な手順であること、および溶解したターゲット廃棄物と有毒な溶媒廃棄物が生成されることが挙げられる。
【0005】
Ge-68の製造に使用される別の方法は、吸着剤への化合物の吸着差に基づいて物質を分離する方法である、カラムクロマトグラフィーである。各々の化合物は、カラム内を異なる速度で移動する。従来技術のクロマトグラフィー法の図1Bを参照されたい。クロマトグラフィーの欠点としては、コバルト(Co)、ガリウム(Ga)、ニッケル(Ni)、および亜鉛(Zn-65を含むがこれらに限定されない)などの微量の出発物質およびターゲット物質が生成物に存在する可能性があること、カラムクロマトグラフィーは手作業の集約的な手順であること、および溶解したターゲット廃棄物と溶媒廃棄物が生成されることが挙げられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、これらの既知の方法の欠点を克服する、Ge-68同位体、特に医療グレードのGe-68同位体を製造するためのシステムおよび方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、ゲルマニウム-68(Ge-68)同位体、好ましくはGe-68医療グレード同位体を製造する方法に関するものである。
【0008】
本発明の一実施形態では、Ge-68同位体を製造する方法が提供される。この方法は、放射線照射されたGa-Ni合金鍍金ターゲットを形成するために、Ga-Ni合金で鍍金された固体ターゲットに放射線照射するステップと、放射線照射されたGa-Ni合金鍍金固体ターゲットを酸で溶解させるステップと、精製されたGe-68を生成するために、溶解した放射線照射された鍍金ターゲットを蒸留により精製するステップとを含む。
【0009】
本発明の一実施形態では、Ge-68同位体を製造する方法が提供される。この方法は、放射線照射されたカプセル化ターゲットを形成するために、金属または金属合金内にカプセル化されたガリウム金属に放射線照射するステップと、Ga金属を融解させるために、放射線照射されたターゲットを加熱するステップと、加熱されたターゲットに穴あけするステップと、穴あけしたターゲットを酸で溶解させるステップと、精製されたGa-68を製造するために、溶解したターゲットを蒸留により精製するステップとを含む。
【0010】
本発明の一実施形態では、方法(複数可)を実施するためのシステムが提供される。システムは、溶解セル・アセンブリを含む。溶解セル・アセンブリは、溶解タンクまたはタンク・アセンブリ、およびヒーターまたはヒーター・アセンブリを含む。
【0011】
本発明の適用可能性のさらなる領域は、以下に提供される詳細な説明から明らかになるであろう。詳細な説明および特定の例は、本発明の好ましい実施形態を示しているが、例示のみを目的とすることを意図しており、本発明の範囲を限定することを意図していないことを理解すべきである。
【0012】
本発明は、詳細な説明および必ずしも縮尺通りではない添付の図面からより完全に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1A】従来技術の抽出方法である。
図1B】従来技術のクロマトグラフィー法である。
図2】本発明に係るシステム図である。
図3】本発明に係る別のシステム図である。
図4A図2の溶解セル・アセンブリの斜視図である。
図4B図4Aの溶解セル・アセンブリの分解図である。
図4C】本発明の溶解セル・アセンブリの別の図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施形態の以下の説明は、本質的に単なる例示であり、決して本発明、その用途、または使用を限定することを意図するものではない。以下の説明は、本発明の実施可能な開示を提供する目的で単に例として本明細書に提供されるが、本発明の範囲または内容を限定するものではない。
【0015】
本発明の一実施形態では、ゲルマニウム-68(Ge-68)同位体、好ましくはGe-68医療グレード同位体を製造する方法が提供される。
【0016】
本発明の一実施形態では、この方法は、一般的に、鍍金されたターゲットを提供するステップと、鍍金されたターゲットに放射線照射するステップと、放射線照射されたターゲットを溶解させるステップと、Ge-68同位体を得るために、蒸留によって溶解したターゲットを精製するステップとを含む。
【0017】
ターゲットの鍍金: 固体金属をベースまたはベース層として使用し、Ga-Ni合金で鍍金して、それによって鍍金されたターゲットを形成する。あるいはまた、鍍金されたターゲットは、ベースまたはベース層と、任意選択の絶縁層と、Ga-Ni合金層とを含む。好ましくは、ベースまたはベース層は、銀(Ag)を含む。しかしながら、ベース層用の他の金属または金属合金には、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、タングステン(W)、Ag-Cu合金、W-Ag合金、ロジウム(Rh)、Rh-Ga合金、ニオブ(Nb)、その他の熱伝導性金属または金属合金、またはそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。絶縁層用の金属または金属合金には、銀(Ag)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、タングステン(W)、Ag-Cu合金、W-Ag合金、ロジウム(Rh)、Rh-Ga合金、ニオブ(Nb)、その他の熱伝導性金属または金属合金、またはそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。
【0018】
鍍金されたターゲットの放射線照射: 鍍金されたターゲットはサイクロトロンに送られ、放射線照射され、放射線照射されたGa-Ni合金鍍金されたAg固体ターゲットを形成する。
【0019】
鍍金されたターゲットの溶解: 放射線照射されたGa-Ni合金鍍金された銀固体ターゲットは、溶解セル・アセンブリ内に配置される。塩酸(HCl)を使用して、Ga-Ni合金を約70℃~80℃で約6時間から24時間溶解させる。溶解中に生成された蒸気は凝縮器で凝縮され、溶解セル・アセンブリに戻される。
【0020】
生成物の蒸留精製: 溶解終了後、バルブ設定を変更し、約90℃~100℃まで昇温する。四塩化ゲルマニウムは、約95℃で唯一の揮発性化合物であるため、蒸気は蒸留凝縮器で凝縮され、精製されたGe-68生成物が受器で収集される。精製は、約20~60分で行われる。
【0021】
本発明の一実施形態では、システムが提供される。図2および図3を参照すると、システムは、本体10、蒸留凝縮器20、収集アセンブリ30、受器40、還流凝縮器(バルブなし)50、ガラス管60、凝縮器ホルダー70、溶解セル・アセンブリ80、およびベース支持スタンド(複数可)(好ましくは磁器)90を含む。例えば、図3に示すように、システムは、2つの凝縮器と、本体に接続された受器とを有する。どちらの凝縮器も凝縮器ホルダーから分離できる。
【0022】
図4Aは、図2の溶解セル・アセンブリの斜視図である。図4Bは、図4Aの溶解セル・アセンブリの分解図である。図4Cは、本発明の溶解セル・アセンブリの写真である。
【0023】
溶解セル・アセンブリ80は、一般的に、溶解タンクまたはタンク・アセンブリ、およびヒーターまたはヒーター・アセンブリを含む。ヒーターまたはヒーター・アセンブリは、通常、溶解セル・ベース・ヒーター・アセンブリおよび溶解セル・ヒーター・プラグ・アセンブリを含む。
【0024】
図に示すように、溶解セル・アセンブリ80は、溶解セルクロスバーサブアセンブリ110、溶解タンク・アセンブリ120、ピペットアダプタ(複数可)130、位置決めピン(複数可)140、溶解セル・ベース・ヒーター・アセンブリ150、キャップ(複数可)160、溶解セル・ヒーター・プラグ・アセンブリ170、カラム(複数可)180、ピペット先端部(複数可)190、200、およびステンレス鋼(SS)六角穴付き皿頭ねじ210、220を含む。ピペット先端部190、200は、溶解セルクロスバーサブアセンブリ110に開けられた穴を通して、溶解タンク・アセンブリ120にねじ込まれたピペットアダプタ130に挿入される。溶解セルクロスバーサブアセンブリ110の穴は、溶解タンク・アセンブリ120の穴と整列している。2つの位置決めピン140が、溶解セル・ベース・ヒーター・アセンブリ150の2つの穴に挿入される。2つのカラム180も、溶解セル・ベース・ヒーター・アセンブリ150の2つの穴に挿入される。カラム180は、溶解タンク・アセンブリ120のノッチを通して挿入されることによって、溶解タンク・アセンブリ120に接続する。溶解セル・ヒーター・プラグ・アセンブリ170は、溶解セル・ベース・ヒーター・アセンブリ150に接続される。ねじを使用して、2つのカラム180および2つの位置決めピン140の各々を溶解セル・ベース・ヒーター・アセンブリ150に接続する。ねじ210はまた、キャップ160を通って溶解セルクロスバーサブアセンブリ110にねじ込まれる。
【0025】
溶解セル・アセンブリの目的は、Agターゲット上に鍍金されたGa-Ni合金を4N~12NのHCl溶液に溶解するための目的達成手段として使用することである。Ga-Ni合金鍍金ターゲットは、溶解セル・ベース・ヒーター・アセンブリ150と溶解タンク・アセンブリ120との間にセットアップされる。4N~12NのHCl約30ml~70mlを添加して、Ga-Ni合金をゆっくり溶解させる。銀は、好都合にもHClとは反応しない。Ga-Ni 合金が完全に溶解した後、溶液を精製プロセス用の丸底フラスコに移す。
【0026】
溶解タンク・アセンブリ120は、ガラスまたはプラスチックから構成される。好ましいプラスチックは、アクリルである。しかしながら、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、フルオロエチレンプロピレン(FEP)、ペルフルオロアルコキシ(PFA)、エチレンテトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、エチレン-クロロトリフルオロエチレン(E-CTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)、テレフタレート(PET)、ポリエチレン(PE)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリプロピレン(PP)、またはそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない他のプラスチックを使用してもよい。Ge-68四塩化物は揮発性であるため、任意選択で蒸気色指示薬をピペット先端部190に添加して存在させてもよい。溶解セル・アセンブリ180および精製用の蒸留凝縮器20は別個のユニットとして示されているが、溶解セル・アセンブリ180を蒸留凝縮器120と組み合わせることも本発明の範囲内である。
【0027】
本発明の一実施形態では、Ge-68同位体を製造する方法であって、カプセル化されたターゲットを提供するステップと、カプセル化されたターゲットに放射線照射するステップと、放射線照射されたターゲットを溶解させるステップと、Ge-68同位体を得るために、溶解したターゲットを蒸留によって精製するステップとを含む、方法が提供される。
【0028】
カプセル化されたターゲット: ガリウム金属は、金属または金属合金でカプセル化され、それによりカプセル化されたターゲットを形成する。例えば、6~18グラムのGa金属をニオブ-ジルコニウム合金にカプセル化することができる。この合金は、最大50重量パーセントのジルコニウムを含むことができる。カプセル化されたターゲットに放射線照射される。放射線照射が終了したら、放射線照射されたターゲットを30~40℃に加熱してGa金属を融解させる。次に、ニオブ合金カプセルを穴あけ(穿刺)し、液体Gaを50~250mlの丸底フラスコなどのフラスコに移す。この方法は、放射線照射されたターゲットを、好ましくは溶解セル・アセンブリ内で溶解するステップをさらに含む。約10ml~100mlの4N~12NのHClおよび10ml~100mlの30%のHを丸底フラスコに添加する。溶解は、すべてのGa金属が塩化物の形態に酸化されたときに完了する。次のステップは、溶解したターゲットを蒸留によって精製するステップであり、これは、Ge-68固体ターゲットプロセスと同じである。
【0029】
本発明のシステムおよび方法の利点には、既知の不純物がないこと、最終生成物が唯一の揮発性化合物(HClおよび水である溶媒を除く)であること、単純かつ効率的な一段階精製、および溶解したターゲット廃棄物の量は最小であるが、溶剤の廃棄物は無いことが挙げられる。
【実施例
【0030】
2時間、50~200μA、29MeVのプロトン照射が、電気鍍金された銀ターゲットである0.5~2.0グラムのGaNi合金上に行われた。30~70mlの量の6NのHClを使用して、GaNi合金を溶解させ、溶解したターゲット溶液(DTS)を形成した。DTSのサンプルを、ガンマ分光法を使用して分析し、表1に示す「精製前放射能」のデータを生成した。次に、DTSを蒸留により精製し、5~10mlの留出物を収集した。精製されたサンプルの一サンプルを、ガンマ分光法を使用して分析して、「精製後放射能」データを生成した。
【0031】
【表1】
【0032】
Ge-68の%収率は97.7%であった。精製後、すべての非Ge同位体は検出されなかった(不検出)。
【0033】
したがって、当業者は、本発明が幅広い有用性および応用の可能性があることを容易に理解するであろう。本明細書に記載されたもの以外の本発明の多くの実施形態および適応、ならびに多くの変形、修正、および等価の構成は、本発明の内容または範囲から逸脱することなく、本発明およびその前述の説明から明らかであるか、または合理的に示唆されるであろう。したがって、本発明をその好ましい実施形態に関連して本明細書で詳細に説明したが、本開示は、本発明の実例および例示にすぎず、本発明の完全かつ実施可能な開示を提供する目的でのみ行われたものであることを理解すべきである。前述の開示は、本発明を限定すること、またはさもなければ任意のそのような他の実施形態、適応、変形、修正、および等価な構成を除外することを意図または解釈するものではない。
図1A
図1B
図2
図3
図4A
図4B
図4C
【国際調査報告】