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特表2023-510944ベントバルブ及びベントバルブのバルブステムの取付方法
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  • 特表-ベントバルブ及びベントバルブのバルブステムの取付方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-15
(54)【発明の名称】ベントバルブ及びベントバルブのバルブステムの取付方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 33/02 20060101AFI20230308BHJP
【FI】
B29C33/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022543698
(86)(22)【出願日】2021-01-13
(85)【翻訳文提出日】2022-09-07
(86)【国際出願番号】 FI2021050019
(87)【国際公開番号】W WO2021144504
(87)【国際公開日】2021-07-22
(31)【優先権主張番号】20205043
(32)【優先日】2020-01-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FI
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522285772
【氏名又は名称】ダブリューディー・レーシング・オーワイ
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ペッカ・ペンッキマキ
【テーマコード(参考)】
4F202
【Fターム(参考)】
4F202AH20
4F202CA21
4F202CU01
4F202CU07
(57)【要約】
本発明は、ベントバルブ及びベントバルブのバルブステムを取り付ける方法に関する。ベントバルブ(3)はバルブ本体(4)を含み、その内部には通気チャネル(5)があり、バルブ部材(7)と、バルブステムの反対側の端部にカラー(8)と、を含む可動バルブステム(6)が設けられている。バネ要素(9)がバルブステムの周りに配置されている。バルブステムの動きは、バルブ本体の外部保持溝(12)に取り付けられた外部保持リング(11)によって制限されている。保持溝の底部は、通気チャネルまで延在している開口部を含み、保持リングは、開口部を通って通気チャネル内に部分的に突出し、それによって、保持リングの突出部分は規制面(15)を形成するように構成されており、カラーが規制面を通過するのを防止している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両タイヤの加硫金型(2)から空気を除去するためのベントバルブ(3)であって、該ベントバルブ(3)は、
- 前記金型(2)の内部に面するように構成された第1の端部(4a)と、前記金型(2)の内部から離れて面するように構成された第2の端部(4b)とを備えたバルブ本体(4)と、
- 該バルブ本体(4)を長手方向に貫通する通気チャネル(5)と、
- 該通気チャネル(5)の内部に配置され、前記通気チャネル(5)を開閉するバルブ部材(7)が設けられた第1の端部(6a)と、カラー(8)が設けられた第2の端部(6b)とを有する可動のバルブステム(6)と、
- 該バルブステム(6)を、開放位置に向かって開放方向(B)に押すためのバネ要素(9)であって、前記開放位置では、空気が前記通気チャネル(5)を通過して流れることができる、バネ要素(9)と、
- 前記バルブ本体(4)の前記第2の端部(4b)に配置され、前記開放方向(B)への前記バルブステム(6)の動きを制限するように構成されたロック要素と、
を備えており、
前記ロック要素は外部保持リング(11)であり、
前記バルブ本体(4)の前記第2の端部(4b)の外面には、前記保持リング(11)を受け入れるための保持溝(12)が設けられており、
該保持溝(12)の底部には、前記通気チャネル(5)まで延びる開口部を形成する2つまたはそれ以上のスリット(14)が設けられており、
前記保持溝(12)内に装着された前記保持リング(11)は、前記通気チャネル(5)の内側に部分的に突出するように構成されており、これにより前記保持リング(11)の突出部は、規制面(15)を形成し、前記カラー(8)が前記規制面(15)を通過するのを防止するように構成された、
ベントバルブ。
【請求項2】
前記バルブ本体(4)は、該バルブ本体(4)の両側に2つのスリット(14)を備えている、請求項1に記載のベントバルブ。
【請求項3】
前記保持リング(11)は基本形状を有し、より大きな寸法に拡張可能な弾性変形可能な要素である、請求項1に記載のベントバルブ。
【請求項4】
前記カラー(8)には、第1の円錐面(8a)が設けられ、
該第1の円錐面(8a)は前記バルブ本体(4)の前記第2の端部(4b)に面しており、前記バルブステム(6)が前記通気チャネル(5)内で取り付けられると、前記保持リング(11)を拡張させるように構成された、請求項1~3のいずれか一項に記載のベントバルブ。
【請求項5】
前記カラー(8)には、第2の円錐面(8b)が設けられ、
該第2の円錐面(8b)は前記バルブ本体(4)の第1の端部(4a)に面しており、前記バルブステム(6)を前記バルブ本体(4)の前記第1の端部(4a)に向かって押すことによって前記バルブステム(6)が前記通気チャネル(5)から取り外されると、前記保持リング(11)を拡張させるように構成された、請求項1~4のいずれか一項に記載のベントバルブ。
【請求項6】
前記バルブ本体(4)の前記第2の端部(4b)は、前記通気チャネル(5)内に支持面(16a)を備えると共に、前記バルブ本体(4)の前記第1の端部(4a)に面しており、
前記バネ要素(9)は、前記支持面(16a)に対して支持されている、請求項1~5のいずれか一項に記載のベントバルブ。
【請求項7】
前記保持リング(11)は、前記バネ要素(9)を軸方向に支持するように構成されている、請求項1~5のいずれか一項に記載のベントバルブ。
【請求項8】
前記保持リング(11)は、前記バネ要素(9)を横方向に支持するように構成されている、請求項1~7のいずれか一項に記載のベントバルブ。
【請求項9】
前記バルブステム(6)及び前記カラー(8)が中実構成を有している、請求項1~8のいずれか一項に記載のベントバルブ。
【請求項10】
前記保持リング(11)は、その中央部分に向かって半径方向に突出する少なくとも2つのラグ(11a)を備えている、請求項1~9のいずれか一項に記載のベントバルブ。
【請求項11】
長手方向の通気チャネル(5)が設けられたバルブ本体(4)を備えたベントバルブ(3)のバルブステム(6)を取り付ける方法であって、
バネ要素(9)によって生成されるバネ力に逆らって、前記通気チャネル(5)内で取り付け方向に外部取り付け力を受けて前記バルブステム(6)を長手方向に押すステップと、
前記バルブステム(6)にカラー(8)を設け、前記取り付け力が取り除かれ、前記バネ力が前記バルブステム(6)を取付け方向に対して移動させようとするときに、前記カラー(8)に対して支持するロック要素によって、前記バルブステム(6)が前記通気チャネル(5)から逃げるのを防止するステップと、
を含み、
前記ロック要素として外部保持リング(11)を用いるステップと、
前記保持リング(11)を、前記バルブ本体(4)の外面に形成された保持溝(12)に横方向に取り付けるステップと、
前記保持リング(11)を、組み立て中に半径方向に拡張し、前記保持溝(12)内に解放されると元の形状に戻ることを可能とするステップと、
前記保持リング(11)を、前記通気チャネル(5)内の選択された位置で部分的に突出させると共に、前記保持リング(11)が拡張されていない元の形状にある場合、前記カラー(8)が通過するのを防止する規制面(15)を形成することを可能とするステップと、
を更に含む、方法。
【請求項12】
前記保持リング(11)の突出部分のみによって前記バルブステム(6)に横方向の支持を提供するステップを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記バルブステム(6)を前記取り付け方向に向かって軸方向に押すときに、前記カラー(8)の円錐面(8a,8b)によって前記保持リング(11)を半径方向に拡張すると共に、対応して前記バルブステム(6)を取り外すときに、前記バルブステム(6)を反対方向に押すステップを含む、請求項11または12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、タイヤ製造プロセス及びそこで使用される手段に関する。
【0002】
より具体的には、開示された解決策は、車両タイヤの加硫金型(vulcanising mould)から空気を除去するためのベントバルブ(venting valve)に関する。
【0003】
本発明は更に、ベントバルブのバルブステム(valve stem)を取り付ける方法に関する。
【0004】
本発明の分野は、独立請求項のプリアンブルにおいてより具体的に定義される。
【背景技術】
【0005】
空気入り車両タイヤを製造する場合、加硫金型が使用される。内部からのブロー中に、グリーンタイヤまたはタイヤブランクが加硫金型の成形ツールと接触できるように、タイヤ加硫金型の通気性を確保する必要があることが知られている。この過程で、生タイヤ(green tyre)の外側が空気を放射状に外側に押し出している。この空気を排出できない場合、加硫金型の内側の輪郭と生タイヤの外側の輪郭との接触がずれ、設計された形状及びタイヤ表面パターンからの偏差が生じる可能性がある。タイヤメーカーが加硫金型の通気性にこだわる理由はここにある。加硫金型には、金型内の空気を排出するための多数の通気穴(venting bores)が設けられている。金型は、数百または場合によっては1000~9000の個々の通気穴を備えているため、エアポケットを回避できる。通気穴には、タイヤ材料が通気穴に入るのを防ぐベントバルブを装備することができる。そのようなベントバルブの例は、特許文献1に開示されている。ただし、既知のベントバルブとその取り付け原理は、いくつかの短所を含んでいることが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】欧州特許第0774333号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、新規で改良されたベントバルブ及びベントバルブを取り付ける方法を提供することである。
【0008】
本発明によるベントバルブは、装置に係る独立請求項の特徴部分によって特徴付けられる。
【0009】
本発明による方法は、方法に係る独立請求項の特徴部分及びステップによって特徴付けられる。
【0010】
開示された解決策のアイデアは、ベントバルブがバルブステムの動きを含むことであり、この動きは、ベントバルブのバルブ本体に対する保持リング(retaining ring)によって制限されている。保持リングは、バルブ本体の外面にある保持溝(retaining groove)に取り付けられている。つまり、ベントバルブには、バルブステムの外部ロック機構が備わっている。ロック要素は外部保持リングである。更に、保持溝の底部には、開口部を形成している少なくとも2つのスリットまたは切り込みがあり、これらの開口部は通気チャネル(venting channel)まで延在し、ロッキングリング(locking ring)をロックするための選択的なアクセスを提供している。保持溝の内側に取り付けられた保持リングは、通気チャネルの内側のスリットに突出することができる。保持リングの突出部分は、バルブステムのカラーが保持リングを通過するのを防止する規制面(retaining surface)を形成するように構成される。
【0011】
開示された解決策の利点は、外部保持リング組立体の構造がベントバルブ構造の残りの部分を単純にすることを可能にし、それによって製造が容易であり、安価であることである。保持リングの取り付けは、通気チャネルの横方向及び外側に取り付けると容易になる。更に、ベントバルブには、空気排出特性を改善する、明確で比較的広い通気経路(venting path)を設けることができる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
一実施形態によれば、保持リングまたはロッキングリングは、バルブステムに提供される唯一のロッキングシステムである。
【0013】
一実施形態によれば、バルブ本体は、バルブ本体の両側に2つのスリットを備える。保持リングは、その開放端に2つの拡大部分を有することができ、拡大部分は、2つのスリットまたは切り込みを通って突出するように構成されている。
【0014】
一実施形態によれば、バルブ本体は、3つまたは4つのスリットを備える。この場合、保持リングの拡大部分の数も3つまたは4つであってもよく、あるいは、2つの拡大部分及び2つ以上の代替取り付け位置が利用可能であってもよい。
【0015】
一実施形態によれば、保持リングは弾性的に変形可能な要素である。その場合、保持リングは基本形状を有することができ、外力がかかるとより大きな寸法に拡張可能である。
【0016】
一実施形態によれば、保持リングは、鋼等の金属材料でできている。
【0017】
一実施形態によれば、保持リングは、プラスチック材料または他のポリマー材料でできている。
【0018】
一実施形態によれば、保持リングは、外側から横方向に押されると、バルブ本体の外側に設けられた保持溝にスナップ留めされるように構成された保持バネ(retainer spring)である。換言すれば、保持リング(retainer ring)及び切り込みが設けられた溝は、スナップ嵌合を有していても良い。
【0019】
一実施形態によれば、保持リングの形状は略C字状とされており、それによって保持リングはC形状の構成を有する。C形状の端部には、溝の切り込みから突出することができる拡大部分を有している。
【0020】
一実施形態によれば、保持リングはE型保持リングであり、EリングまたはEクリップとしても知られている。次に、保持リングの3つの分枝全てに拡大部分を設けることができ、保持溝には少なくとも3つの切り込みまたはスリットを設けて、拡大部分が通気チャネル内に侵入できるようにされている。
【0021】
一実施形態によれば、カラーには第1の円錐面が設けられる。第1の円錐面は、バルブステムのバルブ部材から離れて面しており、すなわち、バルブ本体の第2の端部に位置している。円錐面は、バルブステムが通気チャネル内で押す動きによって取り付けられると、保持リングを拡張させる。円錐面の傾斜面のおかげで、取り付けは滑らかに行うことが可能である。
【0022】
一実施形態によれば、カラーには第2の円錐面が設けられる。第2の円錐面は、バルブ部材が設けられたバルブ本体の第1の端部に面している。バルブステムをバルブ本体の第1の端部に向かって押すことによってバルブステムが通気チャネルから取り外されると、円錐面によって保持リングが拡張する。この実施形態は、必要に応じて、バルブステム及び開放バネを含むバルブインサートを取り外すことを可能にする。傾斜面のおかげで、取り外しは簡単である。
【0023】
一実施形態によれば、バルブ本体は、バルブステムの開放バネのための通気チャネル内に支持面を備える。支持面は、バルブステムのバルブ部材に面している。開放バルブまたはバネ要素は、前述の支持面に対して支持される。
【0024】
一実施形態によれば、支持面は、バルブ本体の第1の端部に向かう環状面を有する肩面である。肩部は、バルブ本体の固定構造部分である。
【0025】
一実施形態によれば、保持リングは、バネ要素を軸方向に支持するように構成される。次に、保持リングは、カラーを保持することとバネを支持することの2つの目的を有する。
【0026】
一実施形態によれば、保持リングのみが、ベントバルブの第2の端部でバネ要素を軸方向に支持するように構成されている。
【0027】
一実施形態によれば、保持リングは、バルブステムに横方向に支持するように構成される。
【0028】
一実施形態によれば、保持リングは、3つの目的を有するように構成されている:カラーを保持すること、バルブステムを横方向に支持すること、更にバネを軸方向に支持すること。このおかげで、他の構成要素は比較的単純であり、それによってそれらを容易に製造することができる。
【0029】
一実施形態によれば、保持リングは、横方向の支持を提供するためのバルブの第2の端部における唯一の物理的要素である。換言すれば、バルブ本体は、バルブ本体の第2の端部にバルブステムのための支持面を有していない。
【0030】
一実施形態によれば、バルブステム及びそのカラーは中実構成を有する。言い換えれば、バルブステムは、それをより小さな半径方向寸法にプレスできるようにするための軸方向のスリットまたは空隙が無い。
【0031】
一実施形態によれば、保持リングは、その中央部分に向かって半径方向に突出する2つまたはそれ以上のラグを備える。
【0032】
一実施形態によれば、前述のラグは、保持溝の底部にあるスリットを通って通気チャネルに突出するように構成される。
【0033】
一実施形態によれば、開示された解決策は、長手方向通気チャネルを備えたバルブ本体を有するベントバルブのバルブステムを取り付ける方法に関する。この方法は、バネ要素によって生成されるバネ力に逆らって、通気チャネル内で取り付け方向に長手方向に外部取り付け力を受けてバルブステムを押すことを含む。この方法は更に、バルブステムにカラーを設け、取り付け力が取り除かれ、バネ力がバルブステムを取付け方向に対して移動させようとするときに、前述のカラーに対して支持する外部保持リングによって、バルブステムが通気チャネルから逃げるのを防止することを含む。上記保持リングは、バルブ本体の外面に形成された保持溝に横方向に取り付けられる。保持リングは、組み立て中に半径方向に拡張することができ、保持溝内に解放されると元の形状に戻ることが可能である。更に、保持リングは、通気チャネル内に選択的に突出することができ、それにより、バルブステムが通気チャネルから離れることを防止するための形状ロックを提供する規制面を形成することができる。保持リングは、保持リングが拡張されていない通常の状態にある場合、カラーが保持リングを通過するのを防止する。
【0034】
一実施形態によれば、この方法は、保持リングの突出部分のみによってバルブステムに横方向の支持を提供することを含む。
【0035】
一実施形態によれば、この方法は、バルブステムを取り付け方向に向かって軸方向に押すときにカラーの円錐面によって保持リングを半径方向に拡張し、及び/または対応してバルブステムを取り外すときに、バルブステムを反対方向に押すことを含む。
【0036】
上で開示された実施形態及び特徴は、必要とされる適切な解決策を形成するために組み合わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】加硫金型の通気穴に取り付けられたベントバルブの概略部分断面図である。
図2】外部保持溝に取り付けられた外部保持リングを備えたベントバルブの概略側断面図である。
図3図2のA-A断面の概略図である。
図4】ベントバルブの中央通気チャネル内に取り付け可能なバルブステムの概略側面図である。
図5】保持リングの概略側面図である。
図6】保持リングがバネ要素を支持する別のベントバルブの概略側面図である。
図7図6のA-A断面の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
いくつかの実施形態は、添付の図面でより詳細に説明されている。
【0039】
明確にするために、図面は、開示された解決策のいくつかの実施形態を簡略化して示している。図において、同様の参照番号は同様の要素を識別する。
【0040】
図1は、加硫金型2の通気穴1を開示している。通気穴1は、金型の内側に第1の開口部1aを有し、金型の第2の側に(図示しない)第2の開口部を有する。通気穴1には、ベントバルブ3が設けられている。金型内の空気は、ベントバルブ3と通気穴1とを通して金型の外に排出することができ、ベントバルブ3は、タイヤの材料が通気穴1を詰まらせないように、タイヤの材料の前で閉じるように意図されている。
【0041】
この文書では、用語「tyre」と「tire」はいずれも「タイヤ」を意味し、用語「mold」と「mould」はいずれも「金型」を意味していることに留意されたい。
【0042】
図2は、第1の端部4a及び第2の端部4bが設けられたバルブ本体4を備えるベントバルブ3を開示している。第1の端部4aは金型の内部に面しており、第2の端部4bは金型の内部ら離れて面している。バルブ本体4には、中央通気チャネル5が更に設けられており、この中央通気チャネルを介して、通気空気が流れるように構成されている。換言すれば、バルブ本体は、外面及び内面を備える細長いスリーブ状の要素である。外面は、通気穴の表面と摩擦係止を形成することができる。バルブステム6は、通気チャネル5の内側に取り付けられている。バルブステム6は、限られた距離だけバルブ本体4に対して軸方向に移動可能である。バルブステム6は、通気チャネル5を開閉するためのバルブ部材7が設けられた第1の端部6aを備える。バルブ部材7は、上面7a及び円錐形のシール面7bを備える。バルブステム6の第2の端部6bにはカラー8が設けられている。カラー8はバルブステム6の遠位端の拡大部分であり、カラー8には第1の円錐面8a及び第2の円錐面が設けられていても良い。バネ要素9は、バルブステム6を開放位置に向かって開放方向Bに押すように配置されており、この開放位置では、通気チャネル5を通る空気流Cが許容される。バネ要素9は、例えば、コイルバネであっても良い。金型内に供給されたタイヤブランク材料は、バネ要素9によって生成されたバネ力に抗してバルブ部材7を押し、バルブ部材7のシール面7bとバルブ本体4の合わせシール面との間のギャップを塞ぐ。言い換えれば、タイヤブランクがバルブステムを閉じる方向Dに動かしている。バルブステム6とバネ要素9は共に、バルブ本体4の内部に取り付けられたバルブインサート10を形成する。
【0043】
ベントバルブ3は、バルブ本体4の第2の端部4bに配置され、開放方向Bへのバルブステム6の動きを制限するように構成されたロック装置13またはシステムを更に備える。ロック装置13は、機械的ロック要素として機能する外部保持リング11を備える。バルブ本体4の第2の端部4bの外面には、保持リング11を受け入れるための保持溝12が設けられている。保持溝12の底部には、通気チャネル5まで延びる開口部を形成する2つまたはそれ以上のスリット14が設けられている。次に、保持溝12内に装着された保持リング11は、通気チャネル5の内側に部分的に突出することができる。保持リング11の突出部11aは、カラー8に対向し、カラー8が規制面15を通過するのを防止する規制面15を形成するように構成される。保持リング11の突出部11aは、図3にも示されている。
【0044】
カラー8は第1の円錐面8a及び第2の円錐面8bを有するので、バルブステム6は、通気チャネル5の内側に軸方向に押し込むことによって容易に取り付けることができ、バルブインサートを交換する必要がある場合、反対方向に軸方向に押し込むことによって容易に取り外すことができる。円錐面8a、8bは、バルブステム6が外部の取り付け力によって軸方向に移動するように強制されたときに、保持リング11を滑らかに拡張する。外向きの拡張Eは、矢印によって図3に示されている。
【0045】
図2に示される実施形態では、バネ要素9は、バルブ本体4の肩部16によって第2の端部4bで支持される。
【0046】
図6に示される別の実施形態では、保持リング11の突出部11aは、カラー8のための規制面15を形成するだけでなく、バネ要素9のための支持面17を提供するようにも構成される。従って、この解決策では、保持リング11は2つの目的を有する。バルブ本体4の構造は、バネ要素のための固定肩部を配置する必要が無い場合、更に単純になり得る。
【0047】
図3では、保持リング11の取り付け方向Mが矢印によって示されている。保持リング11は既にバルブ本体に取り付けられていてもよく、その後にのみ、バルブステム6が通気チャネルに沿って第2の端部4bに向かって押される。次に、第2の端部4bに面する第1の円錐面8aは、保持リング11を拡張させ、カラー8が保持リング11を通過できるようにしている。
【0048】
ラグ11aの内面は、バルブステム6を横方向Lに支持する。肩部とバルブステム6との間には環状ギャップがあり、取り除かれた空気が肩部を通過することを可能としている。従って、肩部は、図2に開示されている解決策では、バルブステムに横方向の支持を提供しない。
【0049】
図面及び関連する説明は、本発明の思想を例示することのみを意図している。その詳細において、本発明は、特許請求の範囲内で変更することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】