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特表2023-510963細胞のトランスフェクションおよび細胞のクローン集団の生成のためのデバイスおよび方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-15
(54)【発明の名称】細胞のトランスフェクションおよび細胞のクローン集団の生成のためのデバイスおよび方法
(51)【国際特許分類】
   C12M 1/00 20060101AFI20230308BHJP
   C12M 1/34 20060101ALI20230308BHJP
   C12N 15/09 20060101ALI20230308BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20230308BHJP
   C12Q 1/6869 20180101ALN20230308BHJP
   C12Q 1/6813 20180101ALN20230308BHJP
【FI】
C12M1/00 A
C12M1/00 C
C12M1/34 B
C12N15/09 110
C12N5/10
C12Q1/6869 Z
C12Q1/6813 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022544098
(86)(22)【出願日】2021-01-20
(85)【翻訳文提出日】2022-09-16
(86)【国際出願番号】 US2021014218
(87)【国際公開番号】W WO2021150631
(87)【国際公開日】2021-07-29
(31)【優先権主張番号】62/963,689
(32)【優先日】2020-01-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521324676
【氏名又は名称】シンテゴ コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ケルソ, リード
(72)【発明者】
【氏名】ダブロウスキ, ポール
(72)【発明者】
【氏名】ラジンコフ, イヴァン
(72)【発明者】
【氏名】ブラウン, アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】ホイットニー, ブランドン
(72)【発明者】
【氏名】コスロシャヒ, マリアム
【テーマコード(参考)】
4B029
4B063
4B065
【Fターム(参考)】
4B029AA02
4B029AA24
4B029BB01
4B029BB20
4B029DG01
4B029DG06
4B029DG08
4B029FA01
4B029GA08
4B029GB06
4B029HA05
4B063QA01
4B063QA08
4B063QQ42
4B063QQ52
4B063QR08
4B063QR32
4B063QR55
4B063QR62
4B063QS25
4B063QS34
4B063QX02
4B065AA90X
4B065AB01
4B065BA02
4B065BC01
4B065BD50
4B065CA44
4B065CA46
(57)【要約】
細胞をトランスフェクションする、および/または細胞のクローン集団を生成するためのカートリッジであって、a)細胞トランスフェクションを行うために構成された第1の区画であって、細胞試料を導入するために構成された第1の入口を備える第1の区画と、b)細胞選択を行うために構成された第2の区画であって、第2の区画の入口が第1の区画の出口に動作可能に結合されており、第2の区画が、少なくとも1つの光学的に透明な壁と、中間細胞取り出しポートに動作可能に結合された出口とをさらに備える、第2の区画と、c)細胞増殖を行うために構成された第3の区画であって、第3の区画の入口が第2の区画の出口に動作可能に結合されている、第3の区画と、を備えているカートリッジが、本明細書において開示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)細胞トランスフェクションを行うために構成された第1の区画であって、細胞試料を導入するために構成された第1の入口を備える第1の区画と、
b)細胞選択を行うために構成された第2の区画であって、前記第2の区画の入口が前記第1の区画の出口に動作可能に結合されており、前記第2の区画が、少なくとも1つの光学的に透明な壁と、中間細胞取り出しポートに動作可能に結合された出口とをさらに備える、第2の区画と、
c)細胞増殖を行うために構成された第3の区画であって、前記第3の区画の入口が前記第2の区画の前記出口に動作可能に結合されている、第3の区画と、
を備えているカートリッジ。
【請求項2】
a)細胞トランスフェクションを行うために構成された第1の区画であって、細胞試料を導入するために構成された第1の入口を備える第1の区画と、
b)細胞選択を行うために構成された第2の区画であって、前記第2の区画の入口が前記第1の区画の出口に動作可能に結合されており、前記第2の区画が、少なくとも1つの光学的に透明な壁をさらに備える、第2の区画と、
c)細胞増殖を行うために構成された第3の区画であって、前記第3の区画が、電気インピーダンス測定を行うために構成された少なくとも一対の電極を備えており、前記第3の区画の入口が前記第2の区画の出口に動作可能に結合されている、第3の区画と、
を備えているカートリッジ。
【請求項3】
a)細胞トランスフェクションを行うために構成された第1の区画であって、細胞試料を導入するために構成された第1の入口を備える第1の区画と、
b)細胞選択を行うために構成された第2の区画であって、前記第2の区画の入口が前記第1の区画の出口に動作可能に結合されており、前記第2の区画が、光剥離および光脱離を行うためのレーザ光の供給源に動作可能に結合された少なくとも1つの光学的に透明な壁を備える、第2の区画と、
c)細胞増殖を行うために構成された第3の区画であって、前記第3の区画の入口が前記第2の流体区画の出口に動作可能に結合されている、第3の区画と、
を備えているカートリッジ。
【請求項4】
細胞トランスフェクション、細胞選択、および/または細胞増殖の1つまたは複数を行うために構成された少なくとも1つの区画を備えたカートリッジであって、前記カートリッジが、細胞試料を導入するために構成された入口を備え、前記少なくとも1つの区画が光学的に透明な壁を備えている、カートリッジ
を備えている、システム。
【請求項5】
光脱離プロセスおよび/または光剥離プロセスの実行を容易にするための光源をさらに備えている、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記カートリッジが、細胞選択のための少なくとも1つの区画と、細胞増殖のための少なくとも1つの区画とを備えている、請求項4または5に記載のシステム。
【請求項7】
前記カートリッジが、細胞選択のための複数の区画と、細胞増殖のための複数の区画とを備えている、請求項4から6のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
前記カートリッジが、細胞選択のための少なくとも4つの区画、細胞選択のための少なくとも8つの区画、細胞選択のための少なくとも16個の区画、細胞選択のための少なくとも32個の区画、細胞選択のための少なくとも64個の区画、または細胞選択のための少なくとも96個の区画を備えている、請求項4から7のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
前記カートリッジが、細胞増殖のための少なくとも4つの区画、細胞増殖のための少なくとも8つの区画、細胞増殖のための少なくとも16個の区画、細胞増殖のための少なくとも32個の区画、細胞増殖のための少なくとも64個の区画、または細胞増殖のための少なくとも96個の区画を備えている、請求項4から8のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項10】
前記カートリッジが、細胞トランスフェクションのための少なくとも1つの区画を備えている、請求項4から9のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項11】
前記カートリッジが、細胞トランスフェクションのための区画を備えていない、請求項4から9のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項12】
前記第1の区画または少なくとも1つの区画が、(i)トランスフェクション剤を導入するために構成された第2の入口、(ii)くびれた流路、(iii)前記第1の区画または少なくとも1つの区画の対向する表面と電気接触し、前記表面上に位置付けられた、電極の対、および(iv)光学的に透明な壁、のうち少なくとも1つをさらに備えている、請求項1から10のいずれか一項に記載のカートリッジまたはシステム。
【請求項13】
前記電極の対が、白金、金、銀、銅、亜鉛、アルミニウム、グラフェン、または酸化インジウムスズから製作されている、請求項12に記載のカートリッジまたはシステム。
【請求項14】
前記第1の区画または少なくとも1つの区画の前記光学的に透明な壁が、電磁スペクトルの紫外線、可視光、もしくは近赤外線領域、またはそれらの任意の組合せにおいて透明である、請求項5から13のいずれか一項に記載のカートリッジまたはシステム。
【請求項15】
前記細胞選択区画が、内側表面上の窪みのパターン、および/または内側表面上の基質のパターンを備えている、請求項5から14のいずれか一項に記載のカートリッジまたはシステム。
【請求項16】
前記細胞増殖区画が、内側表面上の窪みのパターン、および/または内側表面上の基質のパターンを備えている、請求項5から15のいずれか一項に記載のカートリッジまたはシステム。
【請求項17】
前記基質がタンパク質基質である、請求項15または16に記載のカートリッジまたはシステム。
【請求項18】
前記窪みのパターンおよび/または前記基質のパターンが、前記区画内の細胞移動を防止するように構成されている、請求項15から17のいずれか一項に記載のカートリッジまたはシステム。
【請求項19】
前記第2の区画または少なくとも1つの区画の容積が、約1マイクロリットル~約10ミリリットルの間である、請求項1から18のいずれか一項に記載のカートリッジまたはシステム。
【請求項20】
前記第2の区画または少なくとも1つの区画の前記光学的に透明な壁が、電磁スペクトルの紫外線、可視光、もしくは近赤外線領域、またはそれらの任意の組合せにおいて透明である、請求項1から19のいずれか一項に記載のカートリッジまたはシステム。
【請求項21】
前記第2の区画または少なくとも1つの区画の前記光学的に透明な壁が、約1440nm~約1450nmの範囲で透明である、請求項1から20のいずれか一項に記載のカートリッジまたはシステム。
【請求項22】
前記第2の区画または少なくとも1つの区画の壁が、付着性細胞の付着を容易にするための表面コーティングまたは表面処置を備えている、請求項1から21のいずれか一項に記載のカートリッジまたはシステム。
【請求項23】
前記第2の区画または少なくとも1つの区画の壁が、懸濁液細胞の付着を容易にするための表面コーティングまたは表面処置を備えている、請求項1から22のいずれか一項に記載のカートリッジまたはシステム。
【請求項24】
前記表面コーティングが、α-ポリリジンコーティング、コラーゲンコーティング、ポリ-l-オルニチン、フィブロネクチンコーティング、ラミニンコーティング、Synthemax(商標)ビトロネクチンコーティング、iMatrix-511組換えラミニンコーティング、およびそれらの任意の組合せからなる群から選択される、請求項22または請求項23に記載のカートリッジまたはシステム。
【請求項25】
前記表面処置が、プラズマ処置、UV処置、オゾン処置、またはそれらの任意の組合せを含む、請求項22または請求項23に記載のカートリッジまたはシステム。
【請求項26】
前記表面コーティングまたは表面処置を備える前記第2の区画または少なくとも1つの区画の前記壁が、前記光学的に透明な壁である、請求項22から25のいずれか一項に記載のカートリッジまたはシステム。
【請求項27】
前記第2の区画(または少なくとも1つの区画)が、物理的障壁も、流れくびれ部も、その中に配置された仕切りもない、チャンバを備えている、請求項1から26のいずれか一項に記載のカートリッジまたはシステム。
【請求項28】
前記第3の区画(または少なくとも1つの区画)の最も長い寸法が、約1センチメートル~約20センチメートルの間である、請求項1から27のいずれか一項に記載のカートリッジまたはシステム。
【請求項29】
前記第3の区画(または少なくとも1つの区画)の容積が、約1マイクロリットル~約1ミリリットルの間である、請求項1から28のいずれか一項に記載のカートリッジまたはシステム。
【請求項30】
前記第3の区画(または少なくとも1つの区画)が、少なくとも1つの光学的に透明な壁をさらに備えている、請求項1から29のいずれか一項に記載のカートリッジまたはシステム。
【請求項31】
前記光学的に透明な壁が、電磁スペクトルの紫外線、可視光、もしくは近赤外線領域、またはそれらの任意の組合せにおいて透明である、請求項30に記載のカートリッジまたはシステム。
【請求項32】
前記第3の区画(または少なくとも1つの区画)が電気インピーダンス測定を行うために構成された少なくとも一対の電極をさらに備えている、請求項1から31のいずれか一項に記載のカートリッジまたはシステム。
【請求項33】
細胞成長培地を収納するために構成された第4の区画(または少なくとも1つの区画)をさらに備えている、請求項1から32のいずれか一項に記載のカートリッジまたはシステム。
【請求項34】
廃棄物を収納するために構成された第5の区画(または少なくとも1つの区画)をさらに備えている、請求項1から33のいずれか一項に記載のカートリッジまたはシステム。
【請求項35】
前記第4または第5の区画(または少なくとも1つの区画)が、気体透過性の膜をさらに備えている、請求項33または請求項34のいずれか一項に記載のカートリッジまたはシステム。
【請求項36】
前記第2の区画(または少なくとも1つの区画)の前記入口が、前記第2の区画(または前記少なくとも1つの区画)内の表面からの細胞の脱離を容易にする試薬の供給源に動作可能に結合されている、請求項1から35のいずれか一項に記載のカートリッジまたはシステム。
【請求項37】
前記第3の区画(または少なくとも1つの区画)の前記入口が、前記第3の区画(または少なくとも第2の区画)内の表面からの細胞の脱離を容易にする試薬の供給源に動作可能に結合されている、請求項1から36のいずれか一項に記載のカートリッジまたはシステム。
【請求項38】
前記カートリッジが、ガラス、溶融シリカ、シリコン、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリイミド(PI)、環状オレフィンポリマー(COP)、環状オレフィンコポリマー(COC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリスチレン(PS)、エポキシ樹脂、セラミック、金属、またはそれらの任意の組合せから製作されている、請求項1から37のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【請求項39】
前記第2の区画(または少なくとも1つの区画)の前記出口が、弁を使用して、前記細胞取り出しポートおよび前記第3の区画(または少なくとも第2の区画)の前記入口に動作可能に結合されている、請求項1から38のいずれか一項に記載のカートリッジまたはシステム。
【請求項40】
前記第3の区画(または少なくとも1つの区画)の前記入口が、弁を使用して、前記第2の区画(または少なくとも第2の区画)の前記出口および前記第4の区画(または少なくとも第3の区画)の出口に動作可能に結合されている、請求項33から40のいずれか一項に記載のカートリッジまたはシステム。
【請求項41】
前記弁がプログラム可能な三方弁である、請求項39または請求項40に記載のカートリッジまたはシステム。
【請求項42】
マイクロ流体カートリッジが、米国国家規格協会(ANSI)規格番号SLAS 4-2004(R2012)に準拠したフットプリントを有する、請求項1から41のいずれか一項に記載のカートリッジまたはシステム。
【請求項43】
マイクロ流体カートリッジが、127.76mm±0.5mmの長さおよび85.48mm±0.5mmの幅のフットプリントを有する、請求項1から41のいずれか一項に記載のカートリッジまたはシステム。
【請求項44】
トランスフェクションされた細胞のクローン集団を生産するための方法であって、
a)カートリッジを提供することであって、前記カートリッジが、細胞トランスフェクション、細胞選択、細胞増殖、またはそれらの任意の組合せを行うために構成された少なくとも1つの区画を備え、少なくとも1つの区画が光学的に透明な壁を備えていることと、
b)前記少なくとも1つの区画に細胞試料を導入することと、
c)前記細胞試料を1つまたは複数のトランスフェクション剤でトランスフェクションすることと、
d)前記トランスフェクションされた細胞試料に由来する少なくとも1つのクローン細胞コロニーを選択することと、
e)光剥離を行って、(d)において選択された前記少なくとも1つのクローン細胞コロニーを除くすべてのクローン細胞コロニーを破壊することと、
f)(d)において選択された前記少なくとも1つのクローン細胞コロニーを、1つまたは複数のサイクルの細胞分裂および成長に供し、トランスフェクションされた細胞のクローン集団を生産することと、を含む方法。
【請求項45】
(d)において選択された前記少なくとも1つのクローン細胞コロニーから細胞の第1のサブセットを脱離させることと、それらを検査のために前記カートリッジから取り出すこととをさらに含む、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
光剥離を行って、細胞の第1のサブセットが脱離されて検査を受けたクローン細胞コロニーのサブセットを除くすべての残りのクローン細胞コロニーを破壊することをさらに含む、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記細胞試料が付着性細胞を含む、請求項44から46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
前記細胞試料が懸濁液細胞を含む、請求項44から46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
前記細胞試料が哺乳動物細胞を含む、請求項44から48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
前記哺乳動物細胞がヒト細胞である、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記細胞試料中の細胞の数が10,000個未満である、請求項44から50のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
前記細胞試料中の細胞の数が5,000個未満である、請求項44から51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
前記細胞試料中の細胞の数が1,000個未満である、請求項44から52のいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
前記細胞試料中の細胞の数が500個未満である、請求項44から53のいずれか一項に記載の方法。
【請求項55】
前記1つまたは複数のトランスフェクション剤が、1つまたは複数のタイプのDNA分子、RNA分子、オリゴヌクレオチド、アプタマー、非プラスミド核酸分子、リボ核タンパク質(RNP)、プラスミド、ウィルスベクター、コスミド、人工染色体、またはそれらの任意の組合せを含む、請求項44から54のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
(c)において行われる前記トランスフェクションが、化学的トランスフェクション、機械的なトランスフェクション(スクイージング)、エレクトロポレーション、レーザ誘起フォトポレーション、針を用いたポレーション、インペールフェクション、マグネトフェクション、ソノポレーション、またはそれらの任意の組合せを含む、請求項44から55のいずれか一項に記載の方法。
【請求項57】
前記トランスフェクションされた細胞試料に由来する前記クローン細胞コロニーは、50細胞/mm未満のまたは50細胞/mmと等しい細胞表面密度で少なくとも1つの区画の表面にトランスフェクションされた細胞を播種することによって成長される、請求項44から56のいずれか一項に記載の方法。
【請求項58】
前記トランスフェクションされた細胞試料に由来する前記クローン細胞コロニーは、10細胞/mm未満のまたは10細胞/mmと等しい細胞表面密度で少なくとも1つの区画の表面にトランスフェクションされた細胞を播種することによって成長される、請求項44から57のいずれか一項に記載の方法。
【請求項59】
前記トランスフェクションされた細胞試料に由来する前記クローン細胞コロニーは、5細胞/mm未満のまたは5細胞/mmと等しい細胞表面密度で少なくとも1つの区画の表面にトランスフェクションされた細胞を播種することによって成長される、請求項44から58のいずれか一項に記載の方法。
【請求項60】
少なくとも1つの区画にトランスフェクションされた細胞を播種した後、単一細胞にクローンコロニーを形成させる前に、2つまたはそれより多い細胞を含む細胞のクラスタが、光剥離ステップを使用して破壊される、請求項44から59のいずれか一項に記載の方法。
【請求項61】
(d)における前記選択することが、1つまたは複数のクローン細胞コロニーをランダムに選択することを含む、請求項44から60のいずれか一項に記載の方法。
【請求項62】
(d)における前記選択することが、前記少なくとも1つの区画の内部表面上の位置に基づいて前記少なくとも1つのクローン細胞コロニーを選択することを含む、請求項44から60のいずれか一項に記載の方法。
【請求項63】
(d)における前記選択することが、前記少なくとも1つのクローン細胞コロニー内の細胞数、前記少なくとも1つのクローン細胞コロニー内の細胞の形態、前記少なくとも1つのクローン細胞コロニー内の細胞の表面密度、前記少なくとも1つのクローン細胞コロニー内の細胞の成長パターン、前記少なくとも1つのクローン細胞コロニー内の細胞の成長速度、前記少なくとも1つのクローン細胞コロニー内の細胞の分裂速度、前記少なくとも1つのクローン細胞コロニー内の細胞による外来性レポーターの発現、またはそれらの任意の組合せに基づく、請求項44から60のいずれか一項に記載の方法。
【請求項64】
(d)における前記選択することが、前記少なくとも1つのクローン細胞コロニーが成長している表面またはボリュームを撮像することに基づく、請求項44から63のいずれか一項に記載の方法。
【請求項65】
前記撮像することが、明視野撮像、暗視野撮像、位相コントラスト撮像、蛍光撮像、またはそれらの任意の組合せを行うことを含む、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
取得された画像が、自動化された画像分析ソフトウェアを使用して処理される、請求項64または請求項65に記載の方法。
【請求項67】
前記撮像を行うために使用される撮像システムの視野が、前記表面の面積またはボリュームよりも小さく、前記撮像することが、前記表面の面積またはボリュームのすべてまたは一部を集合的に覆う2つまたはそれより多い個々の画像を取得することを含む、請求項64から66のいずれか一項に記載の方法。
【請求項68】
前記撮像が、少なくとも一日に1回の頻度で行われる、請求項64から67のいずれか一項に記載の方法。
【請求項69】
前記撮像が、少なくとも1時間に1回の頻度で行われる、請求項64から68のいずれか一項に記載の方法。
【請求項70】
(d)における前記選択することが、1つまたは複数の画像の自動化された画像分析に基づいて自動的に行われる、請求項64から69のいずれか一項に記載の方法。
【請求項71】
少なくとも1つの区画の壁が、付着性細胞の付着を容易にするための表面コーティングまたは表面処置を備えている、請求項44から70のいずれか一項に記載の方法。
【請求項72】
少なくとも1つの区画の壁が、懸濁液細胞の付着を容易にするための表面コーティングまたは表面処置を備えている、請求項44から71のいずれか一項に記載の方法。
【請求項73】
前記表面コーティングが、α-ポリリジンコーティング、コラーゲンコーティング、ポリ-l-オルニチン、フィブロネクチンコーティング、ラミニンコーティング、Synthemax(商標)ビトロネクチンコーティング、iMatrix-511組換えラミニンコーティング、およびそれらの任意の組合せからなる群から選択される、請求項71または請求項72に記載の方法。
【請求項74】
前記表面処置が、プラズマ処置、UV処置、オゾン処置、またはそれらの任意の組合せを含む、請求項71または請求項72に記載の方法。
【請求項75】
前記表面コーティングまたは前記表面処置を備える前記少なくとも1つの区画の前記壁が、前記光学的に透明な壁である、請求項71から74のいずれか一項に記載の方法。
【請求項76】
細胞の前記第1のサブセットが、レーザ光脱離を使用して脱離される、請求項45から75のいずれか一項に記載の方法。
【請求項77】
前記少なくとも1つのクローン細胞コロニーが成長している表面のうち、前記少なくとも1つのクローン細胞コロニーの下方のまたはそれに隣接する領域をレーザ光で照明しながら、細胞の前記第1のサブセットを、前記表面を横切って誘導される液体の流れにさらすことをさらに含む、請求項76に記載の方法。
【請求項78】
レーザ光による照明が、前記少なくとも1つの区画の前記壁に細胞を係留するために使用される光切断可能なリンカーの切断を生じさせる、請求項76または請求項77に記載の方法。
【請求項79】
レーザ光による照明が、細胞の前記第1のサブセットの光熱的脱離を生じさせる、請求項76または請求項77に記載の方法。
【請求項80】
レーザ光による照明が、1つまたは複数の選択された細胞の光力学的脱離を生じさせる、請求項76または請求項77に記載の方法。
【請求項81】
レーザ光による照明が、1つまたは複数の選択された細胞の光音響的脱離を生じさせる、請求項76または請求項77に記載の方法。
【請求項82】
前記レーザ光脱離が、約1440nm~約1450nmの波長範囲のレーザ光を使用して行われる、請求項76から81のいずれか一項に記載の方法。
【請求項83】
細胞の前記第1のサブセットを光脱離する効率が少なくとも80%である、請求項76から82のいずれか一項に記載の方法。
【請求項84】
細胞の前記第1のサブセットを光脱離する効率が少なくとも90%である、請求項76から83のいずれか一項に記載の方法。
【請求項85】
細胞の前記第1のサブセットを光脱離する効率が少なくとも95%である、請求項76から84のいずれか一項に記載の方法。
【請求項86】
細胞の前記第1のサブセットが100個未満の細胞を含む、請求項45から85のいずれか一項に記載の方法。
【請求項87】
細胞の前記第1のサブセットが50個未満の細胞を含む、請求項45から86のいずれか一項に記載の方法。
【請求項88】
細胞の前記第1のサブセットが10個未満の細胞を含む、請求項45から87のいずれか一項に記載の方法。
【請求項89】
細胞の前記第1のサブセットが単一の細胞を含む、請求項45から88のいずれか一項に記載の方法。
【請求項90】
前記検査が核酸シーケンシングを含む、請求項45から89のいずれか一項に記載の方法。
【請求項91】
前記検査が遺伝子発現プロファイリングを含む、請求項45から89のいずれか一項に記載の方法。
【請求項92】
前記検査が、改変された遺伝子の検出を含む、請求項45から89のいずれか一項に記載の方法。
【請求項93】
前記検査が、CRISPRで編集された遺伝子の検出を含む、請求項45から89のいずれか一項に記載の方法。
【請求項94】
前記検査が、核酸分子の制限酵素部位分析を行うことを含む、請求項45から89のいずれか一項に記載の方法。
【請求項95】
前記検査がタンパク質の検出を含む、請求項45から89のいずれか一項に記載の方法。
【請求項96】
前記タンパク質が、変異タンパク質、レポータータンパク質、または遺伝子操作されたタンパク質を含む、請求項95に記載の方法。
【請求項97】
前記検査が、変更されたタンパク質機能に起因する細胞内シグナリング経路の変化の検出を含む、請求項45から89のいずれか一項に記載の方法。
【請求項98】
前記光剥離が、約1440nm~約1450nmの波長範囲のレーザ光を使用して行われる、請求項44から97のいずれか一項に記載の方法。
【請求項99】
光剥離の効率が少なくとも80%である、請求項44から98のいずれか一項に記載の方法。
【請求項100】
光剥離の効率が少なくとも90%である、請求項44から99のいずれか一項に記載の方法。
【請求項101】
光剥離の効率が少なくとも95%である、請求項44から100のいずれか一項に記載の方法。
【請求項102】
トランスフェクションされた細胞の前記クローン集団の成長が、電気インピーダンス測定を使用して監視される、請求項44から101のいずれか一項に記載の方法。
【請求項103】
指定された回数の細胞分裂および成長サイクルの後に、トランスフェクションされた細胞の前記クローン集団を収穫することをさらに含む、請求項44から102のいずれか一項に記載の方法。
【請求項104】
前記少なくとも1つの区画において少なくとも70%のコンフルエンスに達した後に、トランスフェクションされた細胞の前記クローン集団を収穫することをさらに含む、請求項44から103のいずれか一項に記載の方法。
【請求項105】
a)カートリッジであって、細胞トランスフェクション、細胞選択、細胞増殖、またはそれらの任意の組合せを行うために構成された少なくとも1つの区画を備え、少なくとも1つの区画が、光剥離および光脱離を行うためのレーザ光の供給源に動作可能に結合された光学的に透明な壁を備えている、カートリッジと、
b)コントローラと、
を備えている装置。
【請求項106】
前記コントローラが、
i)前記カートリッジを通って流れる1つまたは複数の流体についてタイミングおよび流量を制御すること、
ii)撮像ユニットによって取得された画像の、手動の、半自動化された、または完全自動化された画像処理を行い、前記処理された画像から導出されるデータに基づいて、レーザに基づく光脱離のための細胞の第1のサブセットおよびレーザに基づく光剥離のための細胞の第2のサブセットを選択すること、ならびに
iii)細胞の前記第1のサブセットが光脱離され、細胞の前記第2のサブセットが光剥離されるように、1つまたは複数のレーザおよびレーザターゲティングユニットのレーザ動作パラメータを制御すること、
の少なくとも1つを行うように構成されている、請求項105に記載の装置。
【請求項107】
細胞の前記第1のサブセットおよび細胞の前記第2のサブセットがいずれも、単一のクローン細胞コロニーに由来する、請求項106に記載の装置。
【請求項108】
前記レーザターゲティングユニットが、
前記少なくとも1つの区画内の表面上でまたは前記少なくとも1つの区画のボリューム内で成長している細胞を、前記撮像ユニットの対物面上のレーザ焦点にまたはそれに隣接して正確に位置付けるように構成された並進ステージを備えている、請求項106に記載の装置。
【請求項109】
前記レーザターゲティングユニットが、集束レーザ光を、前記少なくとも1つの区画内の表面上でまたは前記少なくとも1つの区画のボリューム内で成長している1つまたは複数の細胞の位置にまたはそれに隣接して誘導するように構成された走査機構を備えている、請求項106に記載の装置。
【請求項110】
細胞トランスフェクションが第1の区画内で行われ、細胞選択および細胞増殖が第2の区画内で行われる、請求項105から109のいずれか一項に記載の装置。
【請求項111】
細胞トランスフェクション、細胞選択、および細胞増殖がそれぞれ別個の区画内で行われる、請求項105から109のいずれか一項に記載の装置。
【請求項112】
細胞トランスフェクション、細胞選択、および細胞増殖がすべて同じ区画内で行われる、請求項105から109のいずれか一項に記載の装置。
【請求項113】
前記撮像ユニットが、明視野撮像、暗視野撮像、位相コントラスト撮像、蛍光撮像、またはそれらの任意の組合せを行うように構成されている、請求項106から112のいずれか一項に記載の装置。
【請求項114】
前記撮像ユニットの視野が、細胞が成長しているまたは付着している前記少なくとも1つの区画の表面の面積または前記少なくとも1つの区画内のボリュームよりも小さく、前記撮像ユニットが、前記表面の前記面積または前記ボリュームのすべてまたは一部を集合的に覆う2つまたはそれより多い個々の画像を取得し、タイリングするように構成されている、請求項106から113のいずれか一項に記載の装置。
【請求項115】
前記撮像ユニットが、少なくとも一日に1回の頻度で画像を取得するように構成されている、請求項106から114のいずれか一項に記載の装置。
【請求項116】
前記撮像ユニットが、少なくとも1時間に1回の頻度で画像を取得するように構成されている、請求項106から115のいずれか一項に記載の装置。
【請求項117】
(ii)における前記選択することが、1つまたは複数のクローン細胞コロニーをランダムに選択することを含む、請求項106から116のいずれか一項に記載の装置。
【請求項118】
(ii)における前記選択することが、前記少なくとも1つの区画の表面上の位置に基づいて1つまたは複数のクローン細胞コロニーを選択することを含む、請求項106から116のいずれか一項に記載の装置。
【請求項119】
(ii)における前記選択することが、クローン細胞コロニー内の細胞数、クローン細胞コロニー内の細胞の形態、クローン細胞コロニー内の細胞の表面密度、クローン細胞コロニー内の細胞の成長パターン、クローン細胞コロニー内の細胞の成長速度、クローン細胞コロニー内の細胞の分裂速度、クローン細胞コロニー内の細胞による外来性レポーターの発現、またはそれらの任意の組合せに基づく、請求項106から116のいずれか一項に記載の装置。
【請求項120】
光剥離および光脱離を行うために同じレーザが使用される、請求項106から119のいずれか一項に記載の装置。
【請求項121】
光脱離および光剥離に使用される前記1つまたは複数のレーザが、撮像に使用される対物レンズを通じて撮像システムに光学的に結合されている、請求項106から120のいずれか一項に記載の装置。
【請求項122】
光脱離および光剥離を行うために使用される前記1つまたは複数のレーザが、少なくとも1つのパルス化されたレーザを含む、請求項106から121のいずれか一項に記載の装置。
【請求項123】
光脱離および光剥離を行うために使用される前記1つまたは複数のレーザが、少なくとも1つの赤外線レーザを含む、請求項106から122のいずれか一項に記載の装置。
【請求項124】
前記装置が、レーザスポットサイズ、レーザスポット形状、レーザ光強度、レーザパルス周波数、レーザパルスエネルギー、前記少なくとも1つの区画の前記表面上もしくは前記ボリューム内の指定された位置に送達されるレーザパルスの合計数、前記少なくとも1つの区画の前記表面に対するもしくは前記ボリューム内でのレーザ焦点の位置、またはそれらの任意の組合せを制御することにより、光脱離動作モードと光剥離動作モードとの間で動作可能に切り替えられる、請求項105から123のいずれか一項に記載の装置。
【請求項125】
前記コントローラが、前記少なくとも1つの区画内の表面のうち、細胞の前記第1のサブセットの下方のまたはそれに隣接する領域をレーザ光で照明しながら、細胞の前記第1のサブセットを、前記表面を横切って誘導される液体の流れにさらすようにさらに構成される、請求項106から124のいずれか一項に記載の装置。
【請求項126】
細胞の前記第1のサブセットを光脱離する効率が少なくとも80%である、請求項106から125のいずれか一項に記載の装置。
【請求項127】
細胞の前記第1のサブセットを光脱離する効率が少なくとも90%である、請求項106から126のいずれか一項に記載の装置。
【請求項128】
細胞の前記第1のサブセットを光脱離する効率が少なくとも95%である、請求項106から127のいずれか一項に記載の装置。
【請求項129】
細胞の前記第2のサブセットが、90%よりも高い効率で光剥離される、請求項106から128のいずれか一項に記載の装置。
【請求項130】
細胞の前記第2のサブセットが、95%よりも高い効率で光剥離される、請求項106から129のいずれか一項に記載の装置。
【請求項131】
細胞の前記第2のサブセットが、99%よりも高い効率で光剥離される、請求項106から130のいずれか一項に記載の装置。
【請求項132】
細胞の前記第2のサブセットが、99.9%よりも高い効率で光剥離される、請求項106から131のいずれか一項に記載の装置。
【請求項133】
前記1つまたは複数のレーザが、前記少なくとも1つの区画内でレーザに基づく細胞のフォトポレーションを行うようにさらに構成される、請求項106から132のいずれか一項に記載の装置。
【請求項134】
前記カートリッジの少なくとも1つの区画が、化学的トランスフェクション、機械的トランスフェクション(スクイージング)、エレクトロポレーション、レーザ誘起フォトポレーション、針を用いたポレーション、インペールフェクション、マグネトフェクション、ソノポレーション、またはそれらの任意の組合せを行うように構成されている、請求項105から133のいずれか一項に記載の装置。
【請求項135】
前記カートリッジの前記少なくとも1つの区画を指定された成長条件のセットの下で維持するための培養器ユニットをさらに備えている、請求項105から134のいずれか一項に記載の装置。
【請求項136】
命令のセットを記憶した非一時的コンピュータ可読媒体であって、前記命令は、プロセッサによって実行されると、プロセッサ制御のシステムに、
a)細胞トランスフェクション、細胞選択、細胞増殖、またはそれらの任意の組合せを行うように構成された少なくとも1つの区画を備えるカートリッジを通って流れる1つまたは複数の流体について、タイミングおよび流量を制御することと、
b)前記少なくとも1つの区画内の表面またはボリュームを撮像するように構成された撮像ユニットによって取得された画像の画像処理を行い、前記処理された画像から導出されるデータに基づいて、(i)前記少なくとも1つの区画の表面上または前記少なくとも1つの区画内のボリューム内で成長している細胞の第1のサブセットをレーザに基づく光脱離のために選択し、(ii)前記少なくとも1つの区画の表面上または前記少なくとも1つの区画内のボリューム内で成長している細胞の第2のサブセットをレーザに基づく光剥離のために選択することと、
c)細胞の前記第1のサブセットが光脱離され、細胞の前記第2のサブセットが光剥離されるように、1つまたは複数のレーザおよびレーザターゲティングユニットの1つまたは複数の動作パラメータを制御することと、
を含むステップを行わせる、非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項137】
(b)における前記選択することが、1つまたは複数のクローン細胞コロニーをランダムに選択することを含む、請求項136に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項138】
(b)における前記選択することが、細胞選択区画の内部表面上の位置に基づいて1つまたは複数のクローン細胞コロニーを選択することを含む、請求項136または請求項137に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項139】
(b)における前記選択することが、クローン細胞コロニー内の細胞数、クローン細胞コロニー内の細胞の形態、クローン細胞コロニー内の細胞の表面密度、クローン細胞コロニー内の細胞の成長パターン、クローン細胞コロニー内の細胞の成長速度、クローン細胞コロニー内の細胞の分裂速度、クローン細胞コロニー内の細胞による外来性レポーターの発現、またはそれらの任意の組合せに基づく、請求項136から138のいずれか一項に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項140】
前記プロセッサ制御のシステムが、レーザスポットサイズ、レーザスポット形状、レーザ光強度、レーザパルス周波数、レーザパルスエネルギー、前記少なくとも1つの区画内の表面上の指定された位置に送達されるレーザパルスの合計数、前記少なくとも1つの区画内の前記表面に対するレーザ焦点の位置、前記少なくとも1つの区画の前記ボリューム内でのレーザ焦点の位置、またはそれらの任意の組合せを制御することにより、光脱離動作モードと光剥離動作モードとの間で動作可能に切り替えられる、請求項136から139のいずれか一項に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項141】
前記光脱離された細胞の第1のサブセットを、検査のために前記カートリッジの出口ポートに送達するための命令をさらに備えている、請求項136から140のいずれか一項に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項142】
細胞の前記第2のサブセットの光剥離に続いて、細胞の第3のサブセットの光脱離を行い、脱離した細胞の前記第3のサブセットを、少なくとも、細胞増殖を行うように構成された第2の区画に送達するための命令をさらに備えている、請求項136から141のいずれか一項に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
本出願は、2020年1月21日に出願された米国仮特許出願第62/963,689号に基づく優先権を主張しており、同出願はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
背景
ゲノム編集技術は、ゲノム中で正確な標的改変を導入するための優れた手段であるが、高スループットでそのような編集を実行し、編集された細胞のクローン集団を生成するという問題が依然として存在する。本開示は、特に、現在のゲノム編集技術の分野に存在するそれらおよび他の関連する問題に対処する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
要旨
細胞をトランスフェクションする、および/または細胞のクローン集団を生成するためのデバイス、方法、およびシステムが記載される。
【0004】
本明細書においてカートリッジが開示され、このカートリッジは、a)細胞トランスフェクションを行うために構成された第1の区画であって、細胞試料を導入するために構成された第1の入口を備える第1の区画と、b)細胞選択を行うために構成された第2の区画であって、第2の区画の入口が第1の区画の出口に動作可能に結合されており、第2の区画が、少なくとも1つの光学的に透明な壁と、中間細胞取り出しポートに動作可能に結合された出口とをさらに備える、第2の区画と、c)細胞増殖を行うために構成された第3の区画であって、第3の区画の入口が第2の区画の出口に動作可能に結合されている、第3の区画と、を備えている。
【0005】
また、カートリッジも開示され、このカートリッジは、a)細胞トランスフェクションを行うために構成された第1の区画であって、細胞試料を導入するために構成された第1の入口を備える第1の区画と、b)細胞選択を行うために構成された第2の区画であって、第2の区画の入口が第1の区画の出口に動作可能に結合されており、第2の区画が、少なくとも1つの光学的に透明な壁をさらに備える、第2の区画と、c)細胞増殖を行うために構成された第3の区画であって、第3の区画が、電気インピーダンス測定を行うために構成された少なくとも一対の電極を備えており、第3の区画の入口が第2の区画の出口に動作可能に結合されている、第3の区画と、を備えている。
【0006】
また、カートリッジも開示され、このカートリッジは、a)細胞トランスフェクションを行うために構成された第1の区画であって、細胞試料を導入するために構成された第1の入口を備える第1の区画と、b)細胞選択を行うために構成された第2の区画であって、第2の区画の入口が第1の区画の出口に動作可能に結合されており、第2の区画が、光剥離および光脱離を行うためのレーザ光の供給源に動作可能に結合された少なくとも1つの光学的に透明な壁を備える、第2の区画と、c)細胞増殖を行うために構成された第3の区画であって、第3の区画の入口が第2の流体区画の出口に動作可能に結合されている、第3の区画と、を備えている。
【0007】
また、カートリッジも開示され、このカートリッジは、a)細胞トランスフェクション、細胞選択、細胞増殖、またはそれらの任意の組合せを行うために構成された少なくとも1つの区画を備え、カートリッジは、細胞試料を導入するために構成された入口を備え、少なくとも1つの区画は、光脱離プロセスおよび光剥離プロセス両方の実施を容易にするために光源に動作可能に結合することが可能な、光学的に透明な壁を備えている。
【0008】
開示されるカートリッジの一部の実施形態では、第1の区画(または少なくとも1つの区画)は、(i)トランスフェクション剤を導入するために構成された第2の入口、(ii)くびれた流路、(iii)第1の区画または少なくとも1つの区画の対向する表面と電気接触し、これらの表面上に位置付けられた、電極の対、および(iv)光学的に透明な壁、の少なくとも1つをさらに備える。一部の実施形態では、第1の区画の(または少なくとも1つの区画の)最も長い寸法は、約1ミリメートル~約30ミリメートルの間である。一部の実施形態では、第1の区画の(または少なくとも1つの区画の)容積は、約1マイクロリットル~約1ミリリットルの間である。一部の実施形態では、くびれた流路は、約2マイクロメートル~約10マイクロメートルの幅の範囲である少なくとも1つの寸法でくびれ部を備えている。一部の実施形態では、くびれた流路は、細胞試料の細胞の平均直径より小さい少なくとも1つの寸法でくびれ部を備えている。一部の実施形態では、くびれた流路は、細胞試料の細胞の平均直径の2分の1より小さい少なくとも1つの寸法でくびれ部を備えている。一部の実施形態では、電極の対は、平行な平板電極を含む。一部の実施形態では、電極の対は、白金、金、銀、銅、亜鉛、アルミニウム、グラフェン、または酸化インジウムスズから製作される。一部の実施形態では、電極の対は、約10マイクロメートル~約10ミリメートルの範囲の距離だけ離間している。一部の実施形態では、第1の区画の(または少なくとも1つの区画の)光学的に透明な壁は、電磁スペクトルの紫外線、可視光、もしくは近赤外線領域、またはそれらの任意の組合せにおいて透明である。一部の実施形態では、第1の区画の(または少なくとも1つの区画の)光学的に透明な壁は、約355nmを中心とする波長範囲で透明である。一部の実施形態では、第1の区画の(または少なくとも1つの区画の)光学的に透明な壁は、約785nmを中心とする波長範囲で透明である。一部の実施形態では、第1の区画の(または少なくとも1つの区画の)光学的に透明な壁は、約1440nm~約1450nmの範囲で透明である。一部の実施形態では、第2の区画の(または少なくとも1つの区画の)最も長い寸法は、約1センチメートル~約10センチメートルの間である。一部の実施形態では、第2の区画の(または少なくとも1つの区画の)容積は、約1マイクロリットル~約10ミリリットルの間である。一部の実施形態では、第2の区画の(または少なくとも1つの区画の)光学的に透明な壁は、電磁スペクトルの紫外線、可視光、もしくは近赤外線領域、またはそれらの任意の組合せにおいて透明である。一部の実施形態では、第2の区画の(または少なくとも1つの区画の)光学的に透明な壁は、約1440nm~約1450nmの範囲で透明である。一部の実施形態では、第2の区画の(または少なくとも1つの区画の)壁は、付着性細胞の付着を容易にするための表面コーティングまたは表面処置を備えている。一部の実施形態では、第2の区画の(または少なくとも1つの区画の)壁は、懸濁液細胞の付着を容易にするための表面コーティングまたは表面処置を備えている。一部の実施形態では、表面コーティングは、α-ポリリジンコーティング、コラーゲンコーティング、ポリ-l-オルニチン、フィブロネクチンコーティング、ラミニンコーティング、Synthemax(商標)ビトロネクチンコーティング、iMatrix-511組換えラミニンコーティング、およびそれらの任意の組合せからなる群から選択される。一部の実施形態では、表面処置は、プラズマ処置、UV処置、オゾン処置、またはそれらの任意の組合せを含む。一部の実施形態では、表面コーティングまたは表面処置を備える第2の区画の(または少なくとも1つの区画の)壁は、光学的に透明な壁である。一部の実施形態では、第2の区画(または少なくとも1つの区画)は、物理的障壁も、流れくびれ部も、その中に配置された仕切りもない、チャンバを備えている。一部の実施形態では、第3の区画(または少なくとも1つの区画)の最も長い寸法は、約1センチメートル~約20センチメートルの間である。一部の実施形態では、第3の区画(または少なくとも1つの区画)の容積は、約1マイクロリットル~約1ミリリットルの間である。一部の実施形態では、第3の区画(または少なくとも1つの区画)は、少なくとも1つの光学的に透明な壁をさらに備えている。一部の実施形態では、光学的に透明な壁は、電磁スペクトルの紫外線、可視光、もしくは近赤外線領域、またはそれらの任意の組合せにおいて透明である。一部の実施形態では、第3の区画(または少なくとも1つの区画)は、電気インピーダンス測定を行うために構成された少なくとも一対の電極をさらに備えている。一部の実施形態では、カートリッジは、細胞成長培地を収納するために構成された第4の区画(または少なくとも1つの区画)をさらに備えている。一部の実施形態では、カートリッジは、廃棄物を収納するために構成された第5の区画(または少なくとも1つの区画)をさらに備えている。一部の実施形態では、第4または第5の区画(または少なくとも1つの区画)が、気体透過性の膜をさらに備えている。一部の実施形態では、第2の区画(または少なくとも1つの区画)の入口は、第2の区画(または少なくとも1つの区画)内の表面からの細胞の脱離を容易にする試薬の供給源に動作可能に結合されている。一部の実施形態では、第3の区画(または少なくとも1つの区画)の入口は、第3の区画(または少なくとも第2の区画)内の表面からの細胞の脱離を容易にする試薬の供給源に動作可能に結合されている。一部の実施形態では、カートリッジは、ガラス、溶融シリカ、シリコン、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリイミド(PI)、環状オレフィンポリマー(COP)、環状オレフィンコポリマー(COC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリスチレン(PS)、エポキシ樹脂、セラミック、金属、flexdym、またはそれらの任意の組合せから製作されている。一部の実施形態では、第2の区画(または少なくとも1つの区画)の出口は、三方弁を使用して、細胞取り出しポートおよび第3の区画(または少なくとも第2の区画)の入口に動作可能に結合されている。一部の実施形態では、第3の区画(または少なくとも1つの区画)の入口は、三方弁を使用して、第2の区画(または少なくとも第2の区画)の出口および第4の区画(または少なくとも第3の区画)の出口に動作可能に結合されている。一部の実施形態では、三方弁はプログラム可能な三方弁である。一部の実施形態では、マイクロ流体カートリッジは、米国国家規格協会(ANSI)規格番号SLAS 4-2004(R2012)に準拠したフットプリントを有する。一部の実施形態では、マイクロ流体カートリッジは、127.76mm±0.5mmの長さおよび85.48mm±0.5mmの幅のフットプリントを有する。
【0009】
本明細書において、トランスフェクションされた細胞のクローン集団を生産するための方法が開示され、この方法は、a)カートリッジを提供することであって、カートリッジが、細胞トランスフェクション、細胞選択、細胞増殖、またはそれらの任意の組合せを行うために構成された少なくとも1つの区画を備え、少なくとも1つの区画が光学的に透明な壁を備えていることと、b)少なくとも1つの区画に細胞試料を導入することと、c)細胞試料を1つまたは複数のトランスフェクション剤でトランスフェクションすることと、d)トランスフェクションされた細胞試料に由来する少なくとも1つのクローン細胞コロニーを選択することと、e)光剥離を行って、(d)において選択された少なくとも1つのクローン細胞コロニーを除くすべてのクローン細胞コロニーを破壊することと、(d)において選択された少なくとも1つのクローン細胞コロニーを、1つまたは複数のサイクルの細胞分裂および成長に供し、トランスフェクションされた細胞のクローン集団を生産することと、を含む。
【0010】
開示される方法の一部の実施形態では、方法は、(d)において選択された少なくとも1つのクローン細胞コロニーから細胞の第1のサブセットを脱離させ、それらを検査のためにカートリッジから取り出すことをさらに含んでよい。一部の実施形態では、検査、例えば望ましい編集の配列を確認するためのクローンのシーケンシング、の結果は、クローン増殖用の細胞を選択するための根拠として使用されてよい。一部の実施形態では、方法は、光剥離を行って、細胞の第1のサブセットが脱離されて検査を受けたクローン細胞コロニーのサブセットを除くすべての残りのクローン細胞コロニーを破壊することをさらに含み得る。一部の実施形態では、細胞試料は付着性細胞を含む。一部の実施形態では、細胞試料は、懸濁液細胞を含む。一部の実施形態では、細胞試料は、哺乳動物細胞を含む。一部の実施形態では、哺乳動物細胞は、ヒト細胞である。一部の実施形態では、細胞試料中の細胞の数は10,000個未満である。一部の実施形態では、細胞試料中の細胞の数は5,000個未満である。一部の実施形態では、細胞試料中の細胞の数は1,000個未満である。一部の実施形態では、細胞試料中の細胞の数は500個未満である。一部の実施形態では、1つまたは複数のトランスフェクション剤は、1つまたは複数のタイプのDNA分子、RNA分子、オリゴヌクレオチド、アプタマー、非プラスミド核酸分子、リボ核タンパク質(RNP)、プラスミド、ウィルスベクター、コスミド、人工染色体、またはそれらの任意の組合せを含む。一部の実施形態では、(c)において行われるトランスフェクションは、化学的トランスフェクション、機械的なトランスフェクション(スクイージング)、エレクトロポレーション、レーザ誘起フォトポレーション、針を用いたポレーション、インペールフェクション、マグネトフェクション、ソノポレーション、またはそれらの任意の組合せを含む。一部の実施形態では、トランスフェクションされた細胞試料に由来するクローン細胞コロニーは、50細胞/mm未満のまたは50細胞/mmと等しい細胞表面密度で少なくとも1つの区画の表面にトランスフェクションされた細胞を播種することによって成長される。一部の実施形態では、トランスフェクションされた細胞試料に由来するクローン細胞コロニーは、10細胞/mm未満のまたは10細胞/mmと等しい細胞表面密度で少なくとも1つの区画の表面にトランスフェクションされた細胞を播種することによって成長される。一部の実施形態では、トランスフェクションされた細胞試料に由来するクローン細胞コロニーは、5細胞/mm未満のまたは5細胞/mmと等しい細胞表面密度で少なくとも1つの区画の表面にトランスフェクションされた細胞を播種することによって成長される。一部の実施形態では、少なくとも1つの区画にトランスフェクションされた細胞を播種した後、単一細胞にクローンコロニーを形成させる前に、2つまたはそれより多い細胞を含む細胞のクラスタが、光剥離ステップを使用して破壊される。一部の実施形態では、(d)における選択することは、1つまたは複数のクローン細胞コロニーをランダムに選択することを含む。一部の実施形態では、(d)における選択することは、少なくとも1つの区画の内部表面上の位置に基づいて少なくとも1つのクローン細胞コロニーを選択することを含む。一部の実施形態では、(d)における選択することは、少なくとも1つのクローン細胞コロニー内の細胞数、少なくとも1つのクローン細胞コロニー内の細胞の形態、少なくとも1つのクローン細胞コロニー内の細胞の表面密度、少なくとも1つのクローン細胞コロニー内の細胞の成長パターン、少なくとも1つのクローン細胞コロニー内の細胞の成長速度、少なくとも1つのクローン細胞コロニー内の細胞の分裂速度、少なくとも1つのクローン細胞コロニー内の細胞による外来性レポーターの発現、またはそれらの任意の組合せに基づく。一部の実施形態では、(d)における選択することは、少なくとも1つのクローン細胞コロニーが成長している表面またはボリュームを撮像することに基づく。一部の実施形態では、撮像することは、明視野撮像、暗視野撮像、位相コントラスト撮像、蛍光撮像、またはそれらの任意の組合せを行うことを含む。一部の実施形態では、取得された画像は、自動化された画像分析ソフトウェアを使用して処理される。一部の実施形態では、撮像を行うために使用される撮像システムの視野は、表面の面積またはボリュームよりも小さく、撮像することが、表面の面積またはボリュームのすべてまたは一部を集合的に覆う2つまたはそれより多い個々の画像を取得することを含む。一部の実施形態では、撮像は、少なくとも一日に1回の頻度で行われる。一部の実施形態では、撮像は、少なくとも1時間に1回の頻度で行われる。一部の実施形態では、(d)における選択することは、1つまたは複数の画像の自動化された画像分析に基づいて自動的に行われる。一部の実施形態では、少なくとも1つの区画の壁は、付着性細胞の付着を容易にするための表面コーティングまたは表面処置を備えている。一部の実施形態では、少なくとも1つの区画の壁は、懸濁液細胞の付着を容易にするための表面コーティングまたは表面処置を備えている。一部の実施形態では、表面コーティングは、α-ポリリジンコーティング、コラーゲンコーティング、ポリ-l-オルニチン、フィブロネクチンコーティング、ラミニンコーティング、Synthemax(商標)ビトロネクチンコーティング、iMatrix-511組換えラミニンコーティング、およびそれらの任意の組合せからなる群から選択される。一部の実施形態では、表面処置は、プラズマ処置、UV処置、オゾン処置、またはそれらの任意の組合せを含む。一部の実施形態では、表面コーティングまたは表面処置を備える少なくとも1つの区画の壁は、光学的に透明な壁である。一部の実施形態では、細胞の第1のサブセットは、レーザ光脱離を使用して脱離される。一部の実施形態では、方法は、少なくとも1つのクローン細胞コロニーが成長している表面のうち、少なくとも1つのクローン細胞コロニーの下方のまたはそれに隣接する領域をレーザ光で照明しながら、細胞の第1のサブセットを、表面を横切って誘導される液体の流れにさらすことをさらに含む。一部の実施形態では、レーザ光による照明は、少なくとも1つの区画の壁に細胞を係留するために使用される光切断可能なリンカーの切断を生じさせる。一部の実施形態では、レーザ光による照明は、細胞の第1のサブセットの光熱的脱離を生じさせる。一部の実施形態では、レーザ光による照明は、1つまたは複数の選択された細胞の光力学的脱離を生じさせる。一部の実施形態では、レーザ光による照明は、1つまたは複数の選択された細胞の光音響的脱離を生じさせる。一部の実施形態では、レーザ光脱離は、約1440nm~約1450nmの波長範囲のレーザ光を使用して行われる。一部の実施形態では、細胞の第1のサブセットを光脱離する効率は少なくとも80%である。一部の実施形態では、細胞の第1のサブセットを光脱離する効率は少なくとも90%である。一部の実施形態では、細胞の第1のサブセットを光脱離する効率は少なくとも95%である。一部の実施形態では、細胞の第1のサブセットは100個未満の細胞を含む。一部の実施形態では、細胞の第1のサブセットは50個未満の細胞を含む。一部の実施形態では、細胞の第1のサブセットは10個未満の細胞を含む。一部の実施形態では、細胞の第1のサブセットは単一の細胞を含む。一部の実施形態では、検査は核酸シーケンシングを含む。一部の実施形態では、検査は遺伝子発現プロファイリングを含む。一部の実施形態では、検査は、改変された遺伝子の検出を含む。一部の実施形態では、検査は、CRISPRで編集された遺伝子の検出を含む。一部の実施形態では、検査は、核酸分子の制限酵素部位分析を行うことを含む。一部の実施形態では、検査はタンパク質の検出を含む。一部の実施形態では、タンパク質は、変異タンパク質、レポータータンパク質、または遺伝子操作されたタンパク質を含む。一部の実施形態では、検査は、変更されたタンパク質機能に起因する細胞内シグナリング経路の変化の検出を含む。一部の実施形態では、光剥離は、約1440nm~約1450nmの波長範囲のレーザ光を使用して行われる。一部の実施形態では、光剥離の効率は少なくとも80%である。一部の実施形態では、光剥離の効率は少なくとも90%である。一部の実施形態では、光剥離の効率は少なくとも95%である。一部の実施形態では、トランスフェクションされた細胞のクローン集団の成長は、電気インピーダンス測定を使用して監視される。一部の実施形態では、方法は、指定された回数の細胞分裂および成長サイクルの後に、トランスフェクションされた細胞のクローン集団を収穫することをさらに含む。一部の実施形態では、方法は、少なくとも1つの区画において少なくとも70%のコンフルエンスに達した後に、トランスフェクションされた細胞のクローン集団を収穫することをさらに含む。
【0011】
本明細書において装置が開示され、この装置は、a)カートリッジであって、細胞トランスフェクション、細胞選択、細胞増殖、またはそれらの任意の組合せを行うために構成された少なくとも1つの区画を備え、少なくとも1つの区画が、光剥離および光脱離を行うためのレーザ光の供給源に動作可能に結合された光学的に透明な壁を備えている、カートリッジと、b)コントローラと、を備えている。
【0012】
一部の実施形態では、コントローラは、i)カートリッジを通って流れる1つまたは複数の流体についてタイミングおよび流量を制御すること、ii)撮像ユニットによって取得された画像の、手動の、半自動化された、または完全自動化された画像処理を行い、処理された画像から導出されるデータに基づいて、レーザに基づく光脱離のための細胞の第1のサブセットおよびレーザに基づく光剥離のための細胞の第2のサブセットを選択すること、ならびにiii)細胞の第1のサブセットが光脱離され、細胞の第2のサブセットが光剥離されるように、1つまたは複数のレーザおよびレーザターゲティングユニットのレーザ動作パラメータを制御すること、の少なくとも1つを行うように構成されている。一部の実施形態では、細胞の第1のサブセットおよび細胞の第2のサブセットはいずれも、単一のクローン細胞コロニーに由来する。一部の実施形態では、レーザターゲティングユニットは、少なくとも1つの区画内の表面上でまたは少なくとも1つの区画のボリューム内で成長している細胞を、撮像ユニットの対物面上のレーザ焦点にまたはそれに隣接して正確に位置付けるように構成された並進ステージを備えている。一部の実施形態では、レーザターゲティングユニットは、集束レーザ光を、少なくとも1つの区画内の表面上でまたは少なくとも1つの区画のボリューム内で成長している1つまたは複数の細胞の位置にまたはそれに隣接して誘導するように構成された走査機構を備えている。一部の実施形態では、細胞トランスフェクションは第1の区画内で行われ、細胞選択および細胞増殖は第2の区画内で行われる。一部の実施形態では、細胞トランスフェクション、細胞選択、および細胞増殖はそれぞれ別個の区画内で行われる。一部の実施形態では、細胞トランスフェクション、細胞選択、および細胞増殖はすべて同じ区画内で行われる。一部の実施形態では、撮像ユニットは、明視野撮像、暗視野撮像、位相コントラスト撮像、蛍光撮像、またはそれらの任意の組合せを行うように構成されている。一部の実施形態では、撮像ユニットの視野は、細胞が成長しているまたは付着している少なくとも1つの区画の表面の面積または少なくとも1つの区画内のボリュームよりも小さく、撮像ユニットが、表面の面積またはボリュームのすべてまたは一部を集合的に覆う2つまたはそれより多い個々の画像を取得し、タイリングするように構成されている。一部の実施形態では、撮像ユニットは、少なくとも一日に1回の頻度で画像を取得するように構成されている。一部の実施形態では、撮像ユニットは、少なくとも1時間に1回の頻度で画像を取得するように構成されている。一部の実施形態では、(ii)における選択することは、1つまたは複数のクローン細胞コロニーをランダムに選択することを含む。一部の実施形態では、(ii)における選択することは、少なくとも1つの区画の表面上の位置に基づいて1つまたは複数のクローン細胞コロニーを選択することを含む。一部の実施形態では、(ii)における選択することは、クローン細胞コロニー内の細胞数、クローン細胞コロニー内の細胞の形態、クローン細胞コロニー内の細胞の表面密度、クローン細胞コロニー内の細胞の成長パターン、クローン細胞コロニー内の細胞の成長速度、クローン細胞コロニー内の細胞の分裂速度、クローン細胞コロニー内の細胞による外来性レポーターの発現、またはそれらの任意の組合せに基づく。一部の実施形態では、光剥離および光脱離を行うために同じレーザが使用される。一部の実施形態では、光脱離および光剥離に使用される1つまたは複数のレーザは、撮像に使用される対物レンズを通じて撮像システムに光学的に結合されている。一部の実施形態では、光脱離および光剥離を行うために使用される1つまたは複数のレーザは、少なくとも1つのパルス化されたレーザを含む。一部の実施形態では、光脱離および光剥離を行うために使用される1つまたは複数のレーザは、少なくとも1つの赤外線レーザを含む。一部の実施形態では、装置は、レーザスポットサイズ、レーザスポット形状、レーザ光強度、レーザパルス周波数、レーザパルスエネルギー、少なくとも1つの区画の表面上もしくはボリューム内の指定された位置に送達されるレーザパルスの合計数、少なくとも1つの区画の表面に対するもしくはボリューム内でのレーザ焦点の位置、またはそれらの任意の組合せを制御することにより、光脱離動作モードと光剥離動作モードとの間で動作可能に切り替えられる。一部の実施形態では、コントローラは、少なくとも1つの区画内の表面のうち、細胞の第1のサブセットの下方のまたはそれに隣接する領域をレーザ光で照明しながら、細胞の第1のサブセットを、表面を横切って誘導される液体の流れにさらすようにさらに構成される。一部の実施形態では、細胞の第1のサブセットを光脱離する効率は少なくとも80%である。一部の実施形態では、細胞の第1のサブセットを光脱離する効率は少なくとも90%である。一部の実施形態では、細胞の第1のサブセットを光脱離する効率は少なくとも95%である。一部の実施形態では、細胞の第2のサブセットは、90%よりも高い効率で光剥離される。一部の実施形態では、細胞の第2のサブセットは、95%よりも高い効率で光剥離される。一部の実施形態では、細胞の第2のサブセットは、99%よりも高い効率で光剥離される。一部の実施形態では、細胞の第2のサブセットは、99.9%よりも高い効率で光剥離される。一部の実施形態では、1つまたは複数のレーザは、少なくとも1つの区画内でレーザに基づく細胞のフォトポレーションを行うようにさらに構成される。一部の実施形態では、カートリッジの少なくとも1つの区画は、化学的トランスフェクション、機械的トランスフェクション(スクイージング)、エレクトロポレーション、レーザ誘起フォトポレーション、針を用いたポレーション、インペールフェクション、マグネトフェクション、ソノポレーション、またはそれらの任意の組合せを行うように構成されている。一部の実施形態では、装置は、カートリッジの少なくとも1つの区画を指定された成長条件のセットの下で維持するための培養器ユニットをさらに備えている。
【0013】
本明細書において、命令のセットを記憶した非一時的コンピュータ可読媒体が開示され、この命令は、プロセッサによって実行されると、プロセッサ制御のシステムに、a)細胞トランスフェクション、細胞選択、細胞増殖、またはそれらの任意の組合せを行うように構成された少なくとも1つの区画を備えるカートリッジを通って流れる1つまたは複数の流体について、タイミングおよび流量を制御することと、b)少なくとも1つの区画内の表面またはボリュームを撮像するように構成された撮像ユニットによって取得された画像の画像処理を行い、処理された画像から導出されるデータに基づいて、(i)少なくとも1つの区画の表面上または少なくとも1つの区画内のボリューム内で成長している細胞の第1のサブセットをレーザに基づく光脱離のために選択し、(ii)少なくとも1つの区画の表面上または少なくとも1つの区画内のボリューム内で成長している細胞の第2のサブセットをレーザに基づく光剥離のために選択することと、c)細胞の第1のサブセットが光脱離され、細胞の第2のサブセットが光剥離されるように、1つまたは複数のレーザおよびレーザターゲティングユニットの1つまたは複数の動作パラメータを制御することと、を含むステップを行わせる。
【0014】
一部の実施形態では、(b)における選択することは、1つまたは複数のクローン細胞コロニーをランダムに選択することを含む。一部の実施形態では、(b)における選択することは、細胞選択区画の内部表面上の位置に基づいて1つまたは複数のクローン細胞コロニーを選択することを含む。一部の実施形態では、(b)における選択することは、クローン細胞コロニー内の細胞数、クローン細胞コロニー内の細胞の形態、クローン細胞コロニー内の細胞の表面密度、クローン細胞コロニー内の細胞の成長パターン、クローン細胞コロニー内の細胞の成長速度、クローン細胞コロニー内の細胞の分裂速度、クローン細胞コロニー内の細胞による外来性レポーターの発現、またはそれらの任意の組合せに基づく。一部の実施形態では、プロセッサ制御のシステムは、レーザスポットサイズ、レーザスポット形状、レーザ光強度、レーザパルス周波数、レーザパルスエネルギー、少なくとも1つの区画内の表面上の指定された位置に送達されるレーザパルスの合計数、少なくとも1つの区画内の表面に対するレーザ焦点の位置、少なくとも1つの区画のボリューム内でのレーザ焦点の位置、またはそれらの任意の組合せを制御することにより、光脱離動作モードと光剥離動作モードとの間で動作可能に切り替えられる。一部の実施形態では、非一時的コンピュータ可読媒体は、光脱離された細胞の第1のサブセットを、検査のためにカートリッジの出口ポートに送達するための命令をさらに備えている。一部の実施形態では、非一時的コンピュータ可読媒体は、細胞の第2のサブセットの光剥離に続いて、細胞の第3のサブセットの光脱離を行い、脱離した細胞の第3のサブセットを、少なくとも、細胞増殖を行うように構成された第2の区画に送達するための命令をさらに備えている。
【0015】
参照による組み込み
本明細書中で言及されるすべての文献、特許、および特許出願は、各個々の文献、特許、または特許出願が参照によりその全体が組み込まれることが明確かつ個々に示される場合と同じ程度に、参照によってそれぞれの全体が本明細書に組み込まれる。本明細書における用語と組み込まれた参考文献における用語との間に矛盾が生じた場合は、本明細書における用語が優先する。
【0016】
本発明の新規な特徴は、添付の特許請求の範囲に詳細に記載される。本発明の原理が利用される例示的実施形態を述べる以下の詳細な説明および以下の添付図面を参照することにより、本発明の特徴および利点のよりよい理解が得られるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、本開示の細胞トランスフェクション、選択、およびクローン増殖カートリッジのレイアウトの非制限的な例を提供する。
【0018】
図2図2は、開示されるカートリッジの一例における、流体入口、流体出口、流体チャネルおよび流体区画(例えば、細胞のトランスフェクション、選択、および成長用、ならびに培養培地および廃棄物の収納用)のレイアウトの非制限的な図示を提供する。
【0019】
図3A-3D】図3A~3Dは、部分的に組み立てられた、および完全に組み立てられた、本開示の細胞トランスフェクション、選択、およびクローン増殖カートリッジの図を提供する。図3Aは、射出成型された、カートリッジの基板の写真を提供する。図3Bは、基板および取り付けられた細胞選択チャンバと、細胞増殖チャンバと、成長培地貯蔵部と、廃棄物貯蔵部と、弁とを備えるカートリッジの図示を提供する。図3Cは、試作品カートリッジの写真を提供する。図3Dは、組み立てられたカートリッジの写真を提供する。
【0020】
図4図4は、本開示の細胞トランスフェクション、選択、およびクローン増殖カートリッジ内で行われるプロセスステップの非制限的な例を提供する。
【0021】
図5A-5E】図5A~5Eは、細胞が成長している基質から細胞を選択的に脱離するためのレーザ光脱離の使用を示す。図5A:細胞選択区画内の成長表面上の細胞の顕微鏡写真である。図5B:選択的に細胞を脱離した後の同じ表面の顕微鏡写真である。図5C:レーザ光の照射による、クローン細胞クラスタ内の細胞の選択されたサブセットの選択的脱離および取り出しの図解である。図5D:選択された細胞の下にある表面に沿ってレーザ光が走査されたときの細胞の漸進的な脱離の図解である。図5E:細胞の下にある表面に沿ってレーザ光が走査され続けたときの細胞のさらなる漸進的な脱離の図解である。
【0022】
図6A-6E】図6A~6Eは、細胞が成長している基質から選択的に細胞を脱離し、取り出すための、誘導される流体流と組み合わせたレーザ光脱離の使用を示す。図6A:細胞選択区画内の成長表面の細胞の顕微鏡写真である。図6B:細胞を選択的に脱離した後の同じ表面の顕微鏡写真である。図6C:レーザ光の照射による、クローン細胞クラスタ内の細胞の選択されたサブセットの選択的脱離および取り出しの図解である。図6D:流体の流れが表面を横切って誘導されながら、選択された細胞の下にある表面に沿ってレーザ光が走査されたときの、細胞の漸進的な脱離の図解である。図6E:流体の流れが表面を横切って誘導されながら、細胞の下にある表面に沿ってレーザ光が走査され続けたときの、細胞のさらなる漸進的な脱離の図解である。
【0023】
図7図7は、本開示の一態様によるクローン細胞集団を生成するためのシステムを制御するために使用されるソフトウェアのブロック図の非制限的な例を提供する。
【0024】
図8A-8F】図8A~8Fは、本明細書に記載されるカートリッジ内での光剥離および光脱離を使用した細胞のクローン分離を示す。図8A:本明細書に記載されるカートリッジに付着した後のHEK293-GFP細胞とRFP細胞の混合集団が示される。図8B:レーザ剥離後のHEK293-GFP細胞とRFP細胞の混合集団が示される。図8C:培地流によって死細胞を取り出した後のHEK293-GFP細胞とRFP細胞の混合集団が示され、枠は、剥離の対象とされたエリアを示す。図8D:カートリッジから光脱離した後のクローンHEK293-RFPコロニーが示され、送出後、検出可能な相互汚染は観察されなかった。図8E:カートリッジから光脱離した後のクローンHEK-GFPコロニーが示され、送出後、検出可能な相互汚染は観察されなかった。図8F:細胞の両集団を含んでいる、非クローンの相互汚染されたコロニーが示される。
【0025】
図9A-9C】図9A~9Cは、本明細書に記載されるカートリッジの回転弁を介した相互汚染の検査を描いている。図9A:カートリッジの回転弁および液体経路が示される。接種された細菌および無菌培地が、共通の液体経路を使用して弁間を移送された。図9Bは、回転弁を備えるカートリッジ内で相互汚染が観察されなかったことを示す。無菌培地がマイクロウェルプレートの列1に配置され(「無菌」)、細菌を接種した培地が列2に配置された(「細菌」)。列10の培地(+CTRL)は、事前にソースウェルに浸されたピペット先端によって接種され、列11の培地(-CTRL)は、プレートに直接配置され、回転弁を通らず、列12(「ソース」)は細菌ソース培地を含んでいる。図9Cは、回転弁を備えるカートリッジ内で相互汚染が観察されなかったことを示す、相互汚染検査結果の表形式の図示を提供する。
【0026】
図10A-10B】図10A~10Bは、本明細書に記載されるカートリッジの様々な実施形態ならびにそれらの様々な実施形態の検査結果を示す。図10A:本明細書に記載されるカートリッジの多チャンバ実施形態が示される。図10Bは、本明細書に記載されるカートリッジの多チャンバ実施形態の寸法および前記チャンバにおける流れ検査の結果を詳細に示す表を提供する。
【0027】
図11A-11B】図11A~11Bは、本明細書に記載されるカートリッジの様々な実施形態を示す。図11A:本明細書に記載されるカートリッジの多チャンバ実施形態が示される。図11B:本明細書に記載されるカートリッジの多チャンバ実施形態の寸法を詳細に示す表を提供する。
【0028】
図12図12は、96個の並列の微小細胞培養チャンバ、6個の大きい細胞培養チャンバ、および流体接続を備える、本明細書に記載されるカートリッジの一実施形態を示す。
【0029】
図13図13は、カートリッジへの流れの出入りを容易にする2つの定置滅菌(SIP:sterilize in place)システムを備える、本明細書に記載されるカートリッジの一実施形態を示す。
【0030】
図14図14は、培地が充填されたシリンジ、シリンジを充填するためのポンプインターフェース、およびSIPシステムを備える、培地カートリッジの一実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
詳細な説明
定められた遺伝子型のクローン細胞集団を生成するために細胞トランスフェクション、選択、およびクローン増殖を行うための方法、デバイス、およびシステムが記載される。均質なクローン細胞集団を作成するための方法およびシステムは、新たに登場しつつある様々な用途のために次第に重要になってきており、そのような用途には、これらに限定されないが、遺伝子操作されたタンパク質、核酸、および他の細胞成分の発現および純化、生物学的薬剤(バイオ医薬品)の製造、ならびに幹細胞の治療的応用が含まれる。
【0032】
細胞のクローン集団を生成するための既存の方法は、培養プレートウェルまたは他の容器内に単一の細胞を配置し、その後適切な条件下でそれをインキュベートして、細胞が分割し、発達して成熟したクローン集団になることを確実にするために、主として段階希釈技術および/またはマイクロ流体デバイスの使用に着目する。前者に伴う課題の1つは、各培養プレートウェルが平均して1つのみの細胞を含むことを確実にするのに十分に希薄な細胞懸濁液を無作為に配置することが、培養プレートウェルの多くが空になることも確実にしてしまうことである(これはランダムなプロセスを支配するポアソン分布によって予測される)。よって、この手法は、処理されなければならず、かつ各ウェルが単一の細胞から生じた細胞培養を実際に含んでいることを確実にするためにその後各ウェルの集団の特徴付けを必要とする、培養プレートウェルの数の面で非常に非効率的なプロセスとなる。代替として、単一の細胞を配置するためのマイクロ流体デバイスに基づく手法は、しばしば詰まりを起こしやすく、細胞を細胞の生存性に負の影響を与えることがある機械的応力にさらしうる。
【0033】
よって、クローン細胞集団を商業的な規模で生産するための、細胞および培養プレートの高速で効率的な処理の手段を提供する新しい技術に対する満たされていない必要性が残っている。本明細書に開示されるマイクロ流体デバイス(またはカートリッジ)は、コンパクトな形式にパッケージされた統合された細胞処理機能を提供し、これは、一部の事例では、使い捨て可能であり、および/または標準的な試験所自動化機器と共に使用するための適合性がある。デバイスまたはカートリッジの機能構成要素は、細胞トランスフェクション区画、細胞選択区画、クローン細胞増殖区画、成長培地区画、廃棄物区画、またはそれらの任意の組合せを含んでよい。一部の事例では、開示されるデバイスまたはカートリッジは、遺伝子検査または他の検査技術にかけ得るように、1つもしくは複数のクローンコロニーから選択的に脱離された細胞を取り出すための細胞取り出しポート、光学撮像および成長監視技術、レーザ光脱離技術、ならびに/もしくはレーザ光剥離技術との適合性のための光学的に透明な壁もしくは窓、エレクトロポレーションを行う際に使用するための内蔵電極、細胞成長を監視するために電気インピーダンス測定を行うための内蔵電極、またはそれらの任意の組合せをさらに備えてよい。
【0034】
開示される細胞トランスフェクション、選択、およびクローン増殖カートリッジの1つまたは複数を含む、開示される装置またはシステムの機能構成要素は、フルイディスクコントローラ、温度コントローラもしくは培養器、ガスコントローラ、空圧コントローラ、遠心分離コントローラ、電子機器コントローラ、光学撮像ユニット、レーザ光脱離および/もしくは光剥離ユニット、マイクロプレート操縦ロボティクス、プロセッサ、システムコントローラ、またはそれらの任意の組合せを含んでよい。
【0035】
開示されるデバイスおよびシステムの固有の特徴は、多数の性能上の利点を生じ得、それには、これらに限定されないが、クローン細胞集団の生成のために入力として必要とされる細胞の総数の大幅な減少、クローン細胞集団の生成のために処理される必要がある細胞の総数の大幅な減少、細胞培養試薬および消耗品の消費の大幅な減少、細胞トランスフェクション効率の向上、クローン細胞集団を生成する全体的効率の向上、ならびにクローン細胞集団を生成するためのより高い総合スループット(すなわち、短縮された開始から終了までの時間)が含まれる。
【0036】
述べられたように、本開示は、細胞のトランスフェクション、選択、およびクローン細胞集団の増殖を行うための方法、デバイス、およびシステムを提供する。本明細書に記載される開示される方法、デバイス、およびシステムの様々な態様は、下記で述べられる特定の用途のいずれにも、または任意の他の種類の細胞系操作用途のためにも適用されてもよい。開示される方法、デバイス、およびシステムの異なる態様は、個々に、まとめて、または互いとの組合せで認識できることが理解されるものとする。
【0037】
定義:別途定義されない限り、本明細書で使用される技術用語は、本開示が属する分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。
【0038】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形の「a」「an」および「the」は、文脈が明らかに別のように要求しない限り、複数形の参照を含む。本明細書における「または」の参照はいずれも、断らない限り「および/または」を包含することが意図される。
【0039】
本明細書において使用される場合、数に付いた用語「約」は、その数にその数の10%を足したまたは引いた数を言う。範囲の文脈で使用されるときの用語「約」は、その範囲からその範囲の最も低い値の10%を引いた値およびその範囲の最も大きい値の10%を足した値を指す。
【0040】
本明細書において使用される場合、用語「トランスフェクション」は、真核細胞中に核酸を導入するプロセスだけでなく、例えば、細菌形質転換(細菌が環境から外来遺伝物質(例えばDNA)を取り込む)、および細菌形質導入(宿主細菌からの遺伝子が、細菌ウィルスのゲノムの中に組み込まれ(バクテリオファージ)、その後バクテリオファージが新しい宿主に感染すると別の宿主細菌に運ばれる)も意味するように、広く使用される。よって、本明細書において使用される場合、用語「トランスフェクション」は、核酸を任意種類の細胞に導入するための任意のプロセスを意味するように広く使用される(専門用語としてのその使用にかかわらず)。一部の事例では、例えばCRISPR編集の場合、「トランスフェクション」プロセスは、1つまたは複数のCasタンパク質および/または1つもしくは複数のガイドRNAをコードする1つもしくは複数の核酸分子の導入を含んでよく、あるいは、1つまたは複数のCasタンパク質自体および/または1つもしくは複数のガイドRNAの導入を含んでよい(例えば、ガイドRNAはCasタンパク質に事前結合されることも、またはCasタンパク質に事前結合されないこともある)。一部の事例では、例えばCRISPR編集の場合、「トランスフェクション」プロセスは、複数のガイドRNA、複数の酵素、複数のDNA修復テンプレート等の導入を含んでよい。
【0041】
本明細書において使用される場合、用語「デバイス」、「マイクロ流体デバイス」、および「カートリッジ」は、細胞トランスフェクション、細胞選択、および/またはクローン細胞増殖の1つまたは複数を行うための開示されるデバイスに言及する際は、交換可能に使用される。
【0042】
本明細書において使用される場合、用語「流体」は、気体、液体、または一部の事例では流体状の性質をもつのに十分に柔らかく変形可能であるゲル(例えば、ヒドロゲル)を指し得る。
【0043】
本明細書において使用される場合、用語「流体チャネル」または単に「チャネル」は、細胞トランスフェクション、細胞選択、クローン細胞増殖、またはそれらの任意の組合せを行うための開示されるデバイスに言及する際は、交換可能に使用される。同様に、「流体入口」は単に「入口」と称されることがあり、「流体出口」は単に「出口」と称されることがある。
【0044】
本明細書において使用される場合、用語「流体区画」、「流体チャンバ」、および「流体貯蔵部」、または単に「区画」、「チャンバ」、もしくは「貯蔵部」は、細胞トランスフェクション、細胞選択、クローン細胞増殖、またはそれらの任意の組合せを行うための開示されるデバイスに言及する際は、交換可能に使用される。一部の事例では、「区画」、「チャンバ」、または「貯蔵部」は、基質表面上の特定の領域を含み得る。一部の事例では、「区画」、「チャンバ」、「貯蔵部」、または「領域」は、蓋によって封入および封止されてよい。一部の事例では、「区画」、「チャンバ」、「貯蔵部」、または「領域」は、「区画」、「チャンバ」、「貯蔵部」、または「領域」の内部がアクセス可能となるように、取り外し可能な蓋によって封入されてよい。
【0045】
本明細書において使用される場合、用語「コントローラ」、「モジュール」、および「ユニット」は、細胞トランスフェクション、細胞選択、クローン細胞増殖、またはそれらの任意の組合せを行うための開示される装置またはシステムの構成要素または下位システムに言及する際は、交換可能に使用される。
【0046】
本明細書において使用される場合、用語、レーザ光脱離は、様々な波長(紫外線(UV)波長から赤外線(IR)波長に及ぶ)の光、例えば強い光に、パルス化モードまたは連続波モードのいずれかで曝露されたときに細胞が崩壊または破壊され得る様々な関係する機序を含むように、一般的な意味で使用される。
【0047】
本明細書において使用される場合、用語「レーザ光剥離」、「光剥離」、および単に「剥離」は、交換可能に、および、様々な波長(紫外線(UV)波長から赤外線(IR)波長に及ぶ)の光、例えば強い光に、パルス化モードまたは連続波モードのいずれかで曝露されたときに細胞が崩壊または破壊され得る様々な関係する機序を含むように一般的な意味で使用される。
【0048】
細胞:開示される方法およびシステムは、当業者に公知の各種細胞のうち任意のもののクローン集団を作製するために使用されてよい。一部の態様において、細胞は、任意の付着性および非付着性真核細胞、哺乳動物細胞、初代もしくは不死化ヒト細胞もしくは細胞系、初代もしくは不死化げっ歯類細胞もしくは細胞系、がん細胞、各種の異なる器官もしくは組織タイプのうち任意のものに由来する正常もしくは疾患ヒト細胞(例えば、白血球細胞、赤血球細胞、上皮細胞、内皮細胞、神経細胞、グリア細胞、星状膠細胞、線維芽細胞、骨格筋細胞、平滑筋細胞、生殖子、または心臓、肺、脳、肝臓、腎臓、脾臓、すい臓、胸腺、膀胱、胃、結腸、小腸からの細胞)、免疫細胞、CD8+T細胞、CD4+T細胞、CD44high/CD24lowがん幹細胞、Lgr5/6+幹細胞などの特異な細胞サブセット、未分化のヒト幹細胞、分化するように誘導されたヒト幹細胞、希少細胞(例えば、循環腫瘍細胞(CTC)、循環上皮細胞、循環内皮細胞、循環子宮内膜細胞、骨髄細胞、前駆細胞、泡沫細胞、間葉細胞、もしくは栄養膜)、動物細胞(例えば、マウス、ラット、ブタ、イヌ、ウシ、もしくはウマ)、植物細胞、酵母細胞、真菌細胞、細菌細胞、藻類細胞、付着性もしくは非付着性原核細胞、またはそれらの任意の組合せであってよい。一部の態様において、細胞は、免疫細胞、例えばT細胞、細胞傷害性(キラー)T細胞、ヘルパーT細胞、アルファベータT細胞、ガンマデルタT細胞、T細胞前駆細胞、B細胞、B細胞前駆細胞、リンパ系幹細胞、骨髄前駆細胞、リンパ細胞、顆粒球、ナチュラルキラー細胞、形質細胞、記憶細胞、好中球、好酸球、好塩基球、マスト細胞、単球、樹状細胞、マクロファージ、またはそれらの任意の組合せであってよい。
【0049】
述べられたように、一部の事例では、開示される方法およびシステムは、幹細胞のクローン集団、例えば胚幹細胞、成人の(組織固有)幹細胞、間葉幹細胞、または人工多能性(induced pluripotent)幹細胞を作製するために使用されてよい。胚幹細胞は、胚盤胞(ヒトでは、卵細胞が精子によって受精してから3~5日後に形成する細胞からなる主として中空の球体)の内部細胞集団から得られ、通例は多能性である。すなわち、それらは、身体の特化した細胞タイプのいずれを生成するためにも使用することができるが、通例、胎盤や臍帯のような支持構造は生成することができない。成人幹細胞は複能性(multipotent)である。すなわち、それらは通例、特定の組織または器官に見られるいくつかの異なる細胞タイプを生成することができる。間葉幹細胞(MSC;「間質細胞」と呼ばれることもある)は、例えば骨髄や間質(他の組織および器官を包囲する結合組織)から分離される。骨髄または他の組織に由来するMSCは、骨、軟骨、および脂肪細胞を作ることが可能であることが示されているが、それらが実際の幹細胞であるかどうか、またはそれらがどの他の細胞タイプを生成することが可能であるかは不明である。その特性は、それらがどの組織から分離されるか、およびそれらをどのように分離・成長させるかに依存すると思われる。
【0050】
一部の事例では、開示される方法およびシステムは、人工多能性幹細胞(IPSC)またはそれに由来する任意の分化した細胞系のクローン集団を作製するために使用されてよい。人工多能性幹細胞は、例えば、生物医学的研究および/または治療用途における使用のために、胚のような多能性状態に退行するように再プログラムされ、その後、分化して各種の特定の細胞タイプのいずれか、例えばベータ膵島細胞、卵子および精子前駆細胞、肝細胞、骨前駆細胞、血液細胞、神経細胞等、になるように誘発され得る、皮膚または血液細胞に由来する。
【0051】
細胞培養方法:一般に、使用される細胞培養条件(成長培地、インキュベーション温度、湿度、O2濃度、CO2濃度等)は、作製対象のクローン細胞集団のタイプに応じて異なる。適切な成長培地は、培養される特定の細胞タイプによって必要とされる基本的な栄養(アミノ酸、炭水化物、ビタミン、ミネラル等)を提供し、培養される特定の細胞タイプによって必要とされるpHおよび浸透圧を維持し、さらに成長因子、ホルモン等を含み得る。細胞は、典型的には固体または半固体の基質に付着した状態で培養される足場依存性細胞であってよい(例えば、付着性または単層培養)。一部の場合には、細胞は、典型的には培養培地中に浮いて成長させられる、非付着性または懸濁液細胞であってよい(例えば、懸濁液培養)。一部の事例では、開示される方法、デバイス、およびシステムは、細胞選択区画もしくは成長区画の底部表面(または区画に含まれている成長基質)に沈降させられた非付着性細胞のクローン培養を作製するために使用されてよい。一部の事例では、開示される方法、デバイス、およびシステムは、捕捉されて、例えば特定の細胞表面受容体を対象とする係留された捕捉抗体を使用して、細胞選択区画または成長区画の底部表面(または区画に含まれている成長基質)に係留された、非付着性細胞のクローン培養を作製するために使用されてよい。
【0052】
トランスフェクション剤:一部の事例では、開示されるデバイスまたはカートリッジに導入された細胞のトランスフェクションは、1つまたは複数のタイプのDNA分子、RNA分子、オリゴヌクレオチド、アプタマー、非プラスミド核酸分子、リボ核タンパク質(RNP)、プラスミド、ウィルスベクター、コスミド、人工染色体、またはそれらの任意の組合せを含む1つまたは複数のトランスフェクション剤で、細胞をトランスフェクションすることによって実施されてよい。
【0053】
細胞トランスフェクション、選択、およびクローン増殖カートリッジ:開示されるデバイスまたはカートリッジの機能構成要素は、1つまたは複数の流体入口(デバイスに細胞を導入するための入口を含む)、1つまたは複数の流体出口(デバイスから細胞を取り出すための出口を含む)、細胞トランスフェクション区画、細胞選択区画、クローン細胞増殖区画、成長培地区画、廃棄物区画、および1つもしくは複数の相互接続流体チャネル、またはそれらの任意の組合せを備えてよい。一部の事例では、開示されるデバイスまたはカートリッジは、1つまたは複数の微小なまたは微細加工された弁、1つまたは複数の微小なまたは微細加工されたポンプ、1つまたは複数の内蔵センサ(例えば、温度センサ、pHセンサ、酸素センサ、COセンサ等)をさらに備えてよい。一部の事例では、下記でより詳細に解説されるように、開示されるデバイスまたはカートリッジは、2つまたはそれより多い構成要素の組立体を備えてよい。
【0054】
一部の事例では、開示されるデバイスまたはカートリッジは、細胞選択区画からの流体出口と、クローン細胞増殖区画への流体入口との間の中間の場所に位置付けられた細胞取り出しポートを備えてよい。一部の事例では、そのような細胞取り出しポートは、例えば、遺伝子検査にかけ得るように、1つまたは複数のクローンコロニーから選択的に脱離された細胞を取り出すために使用されてよい。
【0055】
一部の事例では、開示されるデバイスまたはカートリッジは、光学撮像および成長監視技術、レーザ光脱離技術、ならびに/またはレーザ光剥離技術との適合性のための、光学的に透明な壁もしくは窓、エレクトロポレーションを行う際に使用するための内蔵電極、細胞成長を監視するために電気インピーダンス測定を行うための内蔵電極、またはそれらの任意の組合せをさらに備えてよい。
【0056】
流体チャネル:一般に、開示されるデバイスおよびカートリッジにおける流体チャネルの寸法は、(i)1つまたは複数の流体区画への細胞および他の試薬の効率的な送達を提供し、(ii)細胞懸濁液および試薬の消費を最小に抑える、ように最適化される。一部の事例では、流体チャネルの幅は、50ミクロン~2mmの間であってよい。一部の事例では、流体チャネルの幅は、少なくとも50ミクロン、少なくとも100ミクロン、少なくとも200ミクロン、少なくとも300ミクロン、少なくとも400ミクロン、少なくとも500ミクロン、少なくとも750ミクロン、少なくとも1mm、または少なくとも2mmであってよい。一部の事例では、流体チャネルの幅は、多くとも2mm、多くとも1mm、多くとも750ミクロン、多くとも500ミクロン、多くとも400ミクロン、多くとも300ミクロン、多くとも200ミクロン、多くとも100ミクロン、または多くとも50ミクロンであってよい。この段落に記載される低い方の値と高い方の値の任意のものを組み合わせて、本開示に包含される範囲を形成してよく、例えば、一部の事例では、流体チャネルの幅は、約100μm~約1mmの範囲であってよい。当業者は、流体チャネルの幅はこの範囲内の任意の値、例えば約1.45mm、を有してよいことを認識されよう。一部の事例では、特定の流体チャネルの寸法(幅、深さ、および/または長さ)は、そのチャネル固有の機能に応じて調節されてよい。
【0057】
一部の実施形態では、流体チャネルの深さは、約50ミクロン~約2mmの範囲であってよい。一部の事例では、流体チャネルの深さは、少なくとも50ミクロン、少なくとも100ミクロン、少なくとも200ミクロン、少なくとも300ミクロン、少なくとも400ミクロン、少なくとも500ミクロン、少なくとも750ミクロン、少なくとも1mm、少なくとも1.25mm、少なくとも1.5mm、少なくとも1.75mm、または少なくとも2mmであってよい。一部の事例では、流体チャネルの深さは、多くとも2mm、多くとも1.75mm、多くとも1.5mm、多くとも1.25mm、多くとも1mm、多くとも750ミクロン、多くとも500ミクロン、多くとも400ミクロン、多くとも300ミクロン、多くとも200ミクロン、多くとも100ミクロン、または多くとも50ミクロンであってよい。この段落に記載される低い方の値と高い方の値の任意のものを組み合わせて、本開示に包含される範囲を形成してよく、例えば、一部の事例では、流体チャネルの深さは、約100μm~約400μmの範囲であってよい。当業者は、流体チャネルの深さはこの範囲内の任意の値、例えば約555μm、を有してよいことを認識されよう。一部の事例では、特定の流体チャネルの寸法(幅、深さ、および/または長さ)は、そのチャネル固有の機能に応じて調節されてよい。
【0058】
流体区画:一部の事例では、開示されるデバイスまたはカートリッジは、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、または6つ以上の流体区画を備えてよい。一部の事例では、各区画は、望ましい遺伝子型を備える細胞のクローン集団を生成するために必要とされる一連の細胞処理ステップ中で異なる機能を果たしてよい。一部の事例では、単一の流体区画が、細胞のクローン集団を生成するために必要とされる一連の細胞処理ステップ中で2つまたはそれより多い異なる機能を果たしてよい。
【0059】
一部の事例では、各流体区画が、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、または少なくとも5つの流体入口(または細胞導入ポート)を有してよい。一部の事例では、各流体区画が、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、または少なくとも5つの流体出口(または細胞取り出しポート)を有してよい。
【0060】
一部の事例では、開示されるデバイスおよびカートリッジの流体区画の任意の所与の寸法(例えば、最も短い寸法もしくは最も長い寸法、または長さ、幅、もしくは高さ/深さ)は、約0.1mm~約20cmの範囲であってよい。一部の事例では、流体区画の所与の寸法は、少なくとも0.1mm、少なくとも0.2mm、少なくとも0.3mm、少なくとも0.4mm、少なくとも0.5mm、少なくとも0.6mm、少なくとも0.7mm、少なくとも0.8mm、少なくとも0.9mm、少なくとも1mm、少なくとも2mm、少なくとも3mm、少なくとも4mm、少なくとも5mm、少なくとも1cm、少なくとも1.5cm、少なくとも2cm、少なくとも2.5cm、少なくとも3cm、少なくとも3.5cm、少なくとも4cm、少なくとも4.5cm、少なくとも5cm、少なくとも5.5cm、少なくとも6cm、少なくとも6.5cm、少なくとも7cm、少なくとも7.5cm、少なくとも8cm、少なくとも8.5cm、少なくとも9cm、少なくとも9.5cm、少なくとも10cm、少なくとも12cm、少なくとも14cm、少なくとも16cm、少なくとも18cm、または少なくとも20cmであってよい。一部の事例では、流体区画の所与の寸法は、多くとも20cm、多くとも18cm、多くとも16cm、多くとも14cm、多くとも12cm、多くとも10cm、多くとも9.5cm、多くとも9cm、多くとも8.5cm、多くとも8cm、多くとも7.5cm、多くとも7cm、多くとも6.5cm、多くとも6cm、多くとも5.5cm、多くとも5cm、多くとも4.5cm、多くとも4cm、多くとも3.5cm、多くとも3cm、多くとも2.5cm、多くとも2cm、多くとも1.5cm、多くとも1cm、多くとも5mm、多くとも4mm、多くとも3mm、多くとも2mm、多くとも1mm、多くとも0.9mm、多くとも0.8mm、多くとも0.7mm、多くとも0.6mm、多くとも0.5mm、多くとも0.4mm、多くとも0.3mm、多くとも0.2mm、または多くとも0.1mmであってよい。この段落に記載される低い方の値と高い方の値の任意のものを組み合わせて、本開示に包含される範囲を形成してよく、例えば、一部の事例では、流体区画の所与の寸法が約1mm~約5cmの範囲であってよい。当業者は、流体区画の所与の寸法がこの範囲内の任意の値、例えば約5.45cm、を有してよいことを認識されよう。一部の事例では、特定の流体区画の寸法は、その区画固有の機能に応じて調節されてよい。
【0061】
一部の事例では、開示されるデバイスおよびカートリッジの任意の所与の流体区画の容積は、約1pl~約100mlの範囲であってよい。一部の事例では、任意の所与の流体区画の容積は、少なくとも1pl、少なくとも5pl、少なくとも10pl、少なくとも50pl、少なくとも100pl、少なくとも200pl、少なくとも300pl、少なくとも400pl、少なくとも(at leat)500pl、少なくとも600pl、少なくとも700pl、少なくとも800pl、少なくとも900pl、少なくとも1nl、少なくとも5nl、少なくとも10nl、少なくとも50nl、少なくとも100nl、少なくとも200nl、少なくとも300nl、少なくとも400nl、少なくとも500nl、少なくとも600nl、少なくとも700nl、少なくとも800nl、少なくとも900nl、少なくとも1μl、少なくとも5μl、少なくとも10μ、少なくとも50μl、少なくとも100μl、少なくとも200μl、少なくとも300μl、少なくとも400μl、少なくとも500μl、少なくとも600μl、少なくとも700μl、少なくとも800μl、少なくとも900μl、少なくとも1ml、少なくとも2ml、少なくとも3ml、少なくとも4ml、少なくとも5ml、少なくとも6ml、少なくとも7ml、少なくとも8ml、少なくとも9ml、少なくとも10ml、少なくとも20ml、少なくとも30ml、少なくとも40ml、少なくとも50ml、少なくとも60ml、少なくとも70ml、少なくとも80ml、少なくとも90ml、または少なくとも100mlであってよい。一部の事例では、任意の所与の流体区画の容積は、多くとも100ml、多くとも90ml、多くとも80ml、多くとも70ml、多くとも60ml、多くとも50ml、多くとも40ml、多くとも30ml、多くとも20ml、多くとも10ml、多くとも9ml、多くとも8ml、多くとも7ml、多くとも6ml、多くとも5ml、多くとも4ml、多くとも3ml、多くとも2ml、多くとも1ml、多くとも900μl、多くとも800μl、多くとも700μl、多くとも600μl 多くとも500μl、多くとも400μl、多くとも300μl、多くとも200μl、多くとも100μl、多くとも50μl、多くとも10μl、多くとも5μl、多くとも1μl、多くとも900nl、多くとも800nl、多くとも700nl、多くとも600nl、多くとも500nl、多くとも400nl、多くとも300nl、多くとも200nl、多くとも100nl、多くとも50nl、多くとも10nl、多くとも5nl、多くとも1nl、多くとも900pl、多くとも800pl、多くとも700pl、多くとも600pl、多くとも500pl、多くとも400pl、多くとも300pl、多くとも200pl、多くとも100pl、多くとも50pl、多くとも10pl、多くとも5pl、または多くとも1plであってよい。この段落に記載される低い方の値と高い方の値の任意のものを組み合わせて、本開示に包含される範囲を形成してよく、例えば、一部の事例では、任意の所与の流体区画の容積は、約800μl~約20mlの範囲であってよい。当業者は、任意の所与の流体区画の容積は、この範囲内の任意の値、例えば約4.8ml、を有してよいことを認識されよう。一部の事例では、特定の流体区画の容積は、その区画固有の機能に応じて調節されてよい。
【0062】
細胞トランスフェクション区画:一部の事例では、1つまたは複数の流体区画が、当業者に公知の各種のトランスフェクション方法のうち任意のものを行うように構成された細胞トランスフェクション区画として機能してよい。例には、これらに限定されないが、化学的トランスフェクション、機械的トランスフェクション、エレクトロポレーション、フォトポレーション等が含まれる。一部の場合に、例えば細胞トランスフェクション区画がエレクトロポレーションを行うように構成される場合、流体区画は、追加的な構造的特徴、例えば、くびれた流体流路、または1つもしくは複数の対の電極、または光学的に透明な壁、を備えてよい。
【0063】
細胞選択区画:一部の事例では、1つまたは複数の流体区画が、単一細胞(例えば、付着性細胞または懸濁液細胞)が表面に付着させられ(または表面に係留され)、クローン細胞クラスタの形成を開始する、細胞選択区画として機能してよい。一部の事例では、細胞選択区画は、細胞付着を容易にするように、またはレーザに基づく光脱離もしくは光剥離を容易にするように設計された表面コーティング層を含むように構成されてよい。一部の事例では、細胞選択区画は、例えば撮像によって細胞成長が監視され得るように、少なくとも1つの光学的に透明な壁を備えて構成されてよい。一部の事例では、細胞選択区画は、例えば電気インピーダンス測定によって細胞成長が監視され得るように、少なくとも一対の電極を備えて構成されてよい。一部の事例では、細胞選択区画は、光学的に透明な壁と少なくとも一対の電極の両方を備えてよい。
【0064】
述べられたように、一部の事例では、細胞選択区画(またはその中の1つもしくは複数の壁もしくは表面)は、細胞付着を容易にするように、またはレーザに基づく光脱離もしくは光剥離を容易にするように設計された表面コーティング層を含むように構成されてよい。適切な表面コーティングの例には、これらに限定されないが、α-ポリリジンコーティング、コラーゲンコーティング、ポリ-l-オルニチン、フィブロネクチンコーティング、およびラミニンコーティングが含まれる。一部の事例では、例えば開示されるデバイスまたはカートリッジが成人細胞に直接由来する人工多能性幹細胞(iPSC)に使用される場合、表面コーティングは、Synthemax(商標)ビトロネクチンコーティング(Corning,Inc.、Corning New York)、および/またはiMatrix-511組換えラミニンコーティング(Takara Bio USA、Mountain View、California)を含んでよい。一部の事例では、細胞選択区画(またはその中の1つもしくは複数の壁もしくは表面)は、細胞付着を容易にするための表面処置または表面コーティング層で処理されてよい。例には、これらに限定されないが、プラズマ処置が含まれる。
【0065】
一部の事例では、細胞選択区画は、下位区画、単一細胞トラップ、または単一細胞チャンバなどの内部構造を一切含まないこともある。一部の事例では、細胞選択区画は、個々の細胞が区画に分けられ得る、2つまたはそれより多い下位区画、単一細胞トラップ、または単一細胞チャンバを備えてよい。一部の事例では、細胞は、例えば、個々の細胞を捕らえるための流体力学的力、個々の細胞が係留される磁気ビーズおよび外部から印加される磁場、または個々の細胞を移動して位置付けるための光学ピンセットを使用して、下位区画、単一細胞トラップ、または単一細胞チャンバに導入されてよい。一部の事例では、細胞トランスフェクションは、例えば、レーザに基づくポレーション技術を使用して一時的に細胞膜を崩壊させ、細胞が存在している細胞培養培地または緩衝液中に溶解しているトランスフェクション剤が細胞に入れるようにすることにより、細胞選択区画内の下位区画、単一細胞トラップ、または単一細胞チャンバ内で行われてよい。
【0066】
下記でより詳細に解説されるように、当業者に公知の各種の細胞選択技術の任意のものが細胞選択区画内で行われてよい。一部の事例では、細胞選択区画が、クローン細胞増殖区画としても機能してよい。
【0067】
細胞増殖区画:一部の事例では、1つまたは複数の流体区画は、単一の細胞または小さなクローン細胞クラスタが1つまたは複数のサイクルの細胞成長および増殖にかけられる、クローン細胞増殖区画として機能してよい。一部の事例では、細胞選択区画は、細胞付着を容易にするように設計された表面コーティング層を含むように構成されてよい。一部の事例では、細胞増殖区画は、例えば撮像によって細胞成長が監視され得るように、少なくとも1つの光学的に透明な壁を備えて構成されてよい。一部の事例では、細胞増殖区画は、例えば電気インピーダンス測定によって細胞成長が監視され得るように、少なくとも一対の電極を備えて構成されてよい。一部の事例では、細胞増殖区画は、光学的に透明な壁と少なくとも一対の電極の両方を備えてよい。
【0068】
一部の事例では、細胞増殖区画(またはその中の1つもしくは複数の壁もしくは表面)は、細胞付着を容易にするように、または、例えば化学的手段、酵素的手段(例えばトリプシン処置)、レーザに基づく光脱離などを使用した細胞脱離を容易にするように設計された表面コーティング層および/または表面処置を備えてもよい。適切な表面コーティングの例には、これらに限定されないが、α-ポリリジンコーティング、コラーゲンコーティング、ポリ-l-オルニチン、フィブロネクチンコーティング、およびラミニンコーティングが含まれる。一部の事例では、例えば開示されるデバイスまたはカートリッジが、成人細胞に直接由来する人工多能性幹細胞(iPSC)に使用される場合、表面コーティングは、Synthemax(商標)ビトロネクチンコーティング(Corning,Inc.、Corning New York)、および/またはiMatrix-511組換えラミニンコーティング(Takara Bio USA、Mountain View、California)を含んでよい。一部の事例では、細胞選択区画(またはその中の1つもしくは複数の壁もしくは表面)は、細胞付着を容易にするための表面処置または表面コーティング層で処置されてよい。例には、これらに限定されないが、プラズマ処置が含まれる。
【0069】
一部の実施形態では、細胞選択区画は、内側表面上の窪みのパターン、および/または内側表面上の基質のパターンを備える。ある実施形態では、細胞増殖区画が、内側表面上の窪みのパターン、および/または内側表面上の基質のパターンを備える。一部の実施形態では、基質はタンパク質基質である。ある実施形態では、窪みのパターンおよび/または基質のパターンは、区画内の細胞移動を防止するように構成される。パターンは、細胞が容易に付着する領域と、細胞が付着しにくい領域とからなるようなチャンバの中に確立することができる。細胞が付着する領域は、これらに限定されないが、ポリ-D-リジン(MW)、ポリ-L-オルニチン、ラミニン(Lamnin)、フィブロネクチン、およびビトロネクチンを含む、マイクロ印刷/型押しされた接着基質からなり得る。細胞が接着しにくい表面の非制限的な例には、シランコーティングおよび未処置の実験器具プラスチックなどの疎水性表面が含まれ、それらを使用して、そのような領域をポリスチレン、COC、COP、シランなどの未処置のプラスチックから構築することにより、細胞が付着しにくい領域を生成することができる。
【0070】
成長培地貯蔵部:一部の事例では、1つまたは複数の流体区画が、デバイス内の細胞培養を維持し、増殖するための新鮮な成長培地の供給源として機能する成長培地貯蔵部として機能してよい。一部の事例では、開示されるデバイスまたはカートリッジ内の成長培地貯蔵部は、気体透過性の膜を備えてよく、これは、閉じ込められた空気または他の気体が区画から除去されることを可能にし、また追加的に、デバイスの流体チャネルおよび流体区画を通して成長培地流体を流れさせるために区画に収容されている成長培地に圧力を加える際に、利用されてよい。
【0071】
廃棄物貯蔵部:一部の事例では、開示されるデバイスまたはカートリッジ内の1つまたは複数の流体区画は、使用済みの成長培地、またはデバイスの細胞トランスフェクション、細胞選択、および/もしくは細胞培養増殖区画から除去された他の流体を収容するための収納区画として機能する廃棄物貯蔵部として機能してよい。
【0072】
デバイスおよびカートリッジの製作および組立て:一部の事例では、開示されるデバイスおよびカートリッジは、単一の材料から一体構造として製作されてよい。一部の事例では、開示されるデバイスまたはカートリッジは、完成したデバイスを作り出すように共に接合またはその他の方法で固定された、2つまたはそれより多い構成要素の組立体を備えてよい。
【0073】
カートリッジは、当業者に公知の各種の技術および材料を使用して製作されてよい。一般に、カートリッジは、一連の別個の構成部品として製作され、その後、各種の機械的な組立てまたは接合技術のいずれかを使用して組み立てられ得る。適切な製作技術の例には、これらに限定されないが、フォトリソグラフィおよび化学エッチング、従来の機械加工、CNC機械加工、射出成型、熱成形、3Dプリンティングが含まれる。カートリッジ構成部品が製作されると、それらは、ねじ、クリップ等を使用して機械的に組み立てられるか、または各種技術の任意のものを使用して、例えば、熱もしくは超音波接合/溶着、またはエポキシ系、アクリル系、シリコーン系、UV硬化性、ポリウレタン系、またはシアノアクリレート系の接着剤を含む、各種の接着剤もしくは接着フィルムの任意のものの使用を通じて、恒久的に接合されてよい(使用される材料の選択に応じて)。
【0074】
カートリッジ構成部品は、いくつかの適切な材料のうち任意のものを使用して製作されてよく、それらには、これらに限定されないが、シリコン、溶融シリカ、ガラス、各種ポリマー、例えばポリジメチルシロキサン(PDMS;エラストマー)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリイミド、環状オレフィンポリマー(COP)、環状オレフィンコポリマー(COC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、エポキシ樹脂、のいずれか、または金属(例えば、アルミニウム、ステンレス鋼、銅、ニッケル、クロム、およびチタン)、flexdymが含まれる。
【0075】
述べられたように、一部の事例では、開示されるデバイスまたはカートリッジ(またはその中に含まれている1つもしくは複数の流体チャネルおよび/もしくは流体区画の1つもしくは複数の壁もしくは表面)は、光学的に透明な材料を使用して製作されてよい。そのような光学的に透明な窓、壁、または表面は、デバイス内での細胞の光学撮像(例えば蛍光撮像もしくは他の撮像技術を使用する)を容易にするように、またはデバイス内での細胞もしくは細胞処理ステップの光学的監視(例えば分光測定技術を使用する)を容易にするように、設計されてよい。一部の事例では、そのような光学的に透明な窓、壁、または表面は、デバイス内での細胞のレーザに基づく光脱離および/または光剥離の使用を容易にするように設計されてよい。一部の事例では、開示されるデバイスおよびカートリッジの光学的に透明な窓、壁または表面は、電磁スペクトルの紫外線(UV)、可視光、もしくは近赤外線(近IR)領域またはそれらの任意の組合せにおいて透明であってよい。一部の事例では、光学的に透明な窓、壁、または表面は、約355nmを中心とする波長範囲で透明であってよい。一部の事例では、光学的に透明な窓、壁、または表面は、約785nmを中心とする波長範囲で透明であってよい。一部の事例では、光学的に透明な窓、壁、または表面は、約1440nm~約1450nmの波長範囲で透明であってよい。
【0076】
一部の事例では、開示されるデバイスまたはカートリッジの光学的に透明な窓、壁、または表面は、約220nm(UV光)~約1500nm(IR光)を範囲とする波長において光の透過を可能にしてもよい。一部の事例では、透過光の波長は、少なくとも220nm、少なくとも250nm、少なくとも300nm、少なくとも350nm、少なくとも400nm、少なくとも450nm、少なくとも500nm、少なくとも550nm、少なくとも600nm、少なくとも650nm、少なくとも700nm、少なくとも750nm、少なくとも800nm、少なくとも850nm、少なくとも900nm、少なくとも950nm、少なくとも1,000nm、少なくとも1,100nm、少なくとも1,200nm、少なくとも1,300nm、少なくとも1,400nm、または少なくとも1,500nmであってよい。一部の事例では、透過光の波長は、多くとも1,500nm、多くとも1,400nm、多くとも1,300nm、多くとも1,200nm、多くとも1,100nm、多くとも1,000nm、多くとも950nm、多くとも900nm、多くとも850nm、多くとも800nm、多くとも750nm、多くとも700nm、多くとも650nm、多くとも600n、多くとも550nm、多くとも500nm、多くとも450nm、多くとも400nm、多くとも350nm、多くとも300nm、多くとも250nm、または多くとも220nmであってよい。この段落に記載される低い方の値と高い方の値の任意のものを組み合わせて、本開示に包含される範囲を形成してよく、例えば、一部の事例では、透過光の波長は、約400nm~約900nmの範囲であってよい。当業者は、透過光の波長はこの範囲内の任意の値、例えば約855nm、を有してよいことを認識されよう。
【0077】
カートリッジの流体入口および/または流体出口は、外部計器との利便で漏れのない流体接続を提供するように設計されてよく、または、カートリッジとの間で細胞試料および試薬を手動で分注するための開口した貯蔵部の役割を果たしてもよい。入口および出口ポートコネクタのための利便な機械設計の例には、これらに限定されないが、ねじ式コネクタ、かしめコネクタ、ルアーロックコネクタ、ルアースリップまたは「スリップチップ(slip tip)」コネクタ、圧入コネクタ等が含まれる。一部の事例では、カートリッジの流体入口および/または流体出口は、カートリッジが計器内に位置付けられるときに開くまたは穿刺することができ、保管中に内部カートリッジ表面の汚染を防止する、および/またはカートリッジが計器から取り外されるときに流体がこぼれるのを防止する働きをする、キャップ、ばね付きのカバーもしくは覆い、相変化材料、またはポリマー膜をさらに備えてよい。
【0078】
一部の事例では、開示されるデバイスまたはカートリッジの全体的寸法(または「フットプリント」)は、長さおよび/または幅のいずれかにおいて約10mm~約150mmの範囲であってよい。一部の事例では、開示されるデバイスまたはカートリッジは、長さおよび/または幅のいずれかにおいて少なくとも10mm、少なくとも15mm、少なくとも20mm、少なくとも25mm、少なくとも30mm、少なくとも35mm、少なくとも40mm、少なくとも45mm、少なくとも50mm、少なくとも55mm、少なくとも60mm、少なくとも65mm、少なくとも70mm、少なくとも75mm、少なくとも80mm、少なくとも85mm、少なくとも90mm、少なくとも95mm、少なくとも100mm、少なくとも105mm、少なくとも105mm、少なくとも110mm、少なくとも115mm、少なくとも120mm、少なくとも125mm、少なくとも130mm、少なくとも135mm、少なくとも140mm、少なくとも145mm、または少なくとも150mmであってよい。一部の事例では、開示されるデバイスまたはカートリッジは、長さおよび/または幅のいずれかにおいて多くとも150mm、多くとも145mm、多くとも140mm、多くとも135mm、多くとも130mm、多くとも125mm、多くとも120mm、多くとも115mm、多くとも110mm、多くとも105mm、多くとも100mm、多くとも95mm、多くとも90mm、多くとも85mm、多くとも80mm、多くとも75mm、多くとも70mm、多くとも65mm、多くとも60mm、多くとも55mm、多くとも50mm、多くとも45mm、多くとも40mm、多くとも35mm、多くとも30mm、多くとも25mm、多くとも20mm、多くとも15mm、または多くとも10mmであってよい。この段落に記載される低い方の値と高い方の値の任意のものを組み合わせて、本開示に包含される範囲を形成してよく、例えば、一部の事例では、開示されるデバイスまたはカートリッジの長さおよび/または幅は、約30mm~約130mmの範囲であってよい。当業者は、開示されるデバイスまたはカートリッジの長さおよび/または幅は、この範囲内の任意の値、例えば約112.5mm、を有してよいことを認識されよう。
【0079】
一部の事例では、開示されるデバイスまたはカートリッジの寸法は、約±0.005mm~約±0.05mmの範囲の許容誤差(長さ、幅、および/または深さの)を有してよい。一部の事例では、任意の所与の寸法のこの許容誤差は、±0.005mm、±0.006mm、±0.007mm、±0.008mm、±0.009mm、±0.01mm、±0.02mm、±0.03mm、±0.04mm、または±0.05mm以内であってよい。当業者は、任意の所与の寸法のこの許容誤差は、この範囲内の任意の値、例えば約±0.0055mm、を有してよいことを認識されよう。
【0080】
好ましい事例では、開示されるデバイスまたはカートリッジの寸法または「フットプリント」は、他の製造者から入手可能な既存の試験所自動化機器、例えばマイクロプレート操縦ロボティクス、と適合するように、米国国家規格協会(ANSI)規格番号SLAS 4-2004(R2012)に準拠してよい。それらの事例では、デバイスまたはカートリッジは、127.76mm±0.5mmの長さおよび85.48mm±0.5mmの幅のフットプリントを有してよい。
【0081】
他のデバイスまたはカートリッジ構成部品:上記で述べられたように、一部の事例では、開示されるデバイスまたはカートリッジは、デバイスを通る流体流を制御するための内蔵された微小なまたは微細加工されたポンプまたは他の流体作動機構を含んでよい。適切な微小ポンプまたは流体作動機構の例には、これらに限定されないが、電気機械式もしくは空圧式作動の微小シリンジもしくはプランジャ機構、化学推進剤、空圧によってまたは外部ピストンによって作動される膜ダイヤフラムポンプ、空圧式作動の試薬パウチもしくは袋体、または電気浸透ポンプが含まれる。
【0082】
上記で述べられたように、一部の事例では、開示されるデバイスまたはカートリッジは、事前に充填された試薬を区画に分けるため、および/またはデバイスを通る流体流を制御するための微小なまたは微細加工された弁を含んでよい。適切な微小弁の例には、これらに限定されないが、溶融もしくは溶解させることができるワックスもしくはポリマーの栓または穿刺することができるポリマー膜を使用して製作されたワンショット「弁」、変形可能な膜を使用して構築されたピンチ弁、および変形可能な膜フラップを使用して構築された空圧、液圧、磁気、電磁気、または電気機械的(ソレノイド)作動の一方向弁、回転弁、ならびに微小仕切り弁が含まれる。
【0083】
一部の事例では、開示されるデバイスまたはカートリッジは、閉じ込められた空気または他の気体の排出路を提供するための通気孔を含んでよい。通気孔は、当業者に公知の各種技術に従って、例えば、ポリジメチルシロキサン(PDMS)または空気の毛管吸い上げを可能にするが水の浸透を阻止する他の疎水性材料からなる多孔栓を使用して、構築されてよい。通気孔は、疎水性のバリア材料を貫通した開口として構築されてもよく、その開口壁の濡れが、動作中に使用される圧力では発生しないようになっている。
【0084】
一般に、開示されるデバイスまたはカートリッジの機械的インターフェース機能は、外部の計器システムに対するカートリッジの、容易に取り外し可能であるが非常に正確で反復可能な位置決めを提供する。適切な機械的インターフェース機能には、これらに限定されないが、位置合わせピン、位置合わせガイド、機械的な止め部等が含まれる。
【0085】
一部の事例では、開示されるデバイスまたはカートリッジは、外部の温度制御モジュールに合わせるための温度制御構成要素または熱インターフェース特徴も含んでよい。適切な温度制御要素の例には、これらに限定されないが、抵抗加熱要素、微小赤外線放出光源、ペルティエ加熱または冷却デバイス、ヒートシンク、サーミスタ、熱電対等が含まれる。熱インターフェース特徴は通例、良好な熱伝導体である材料(例えば、銅、金、銀、アルミニウム等)から製作され、外部の加熱ブロックまたは冷却ブロックとの良好な熱接触をなすことが可能な1つまたは複数の平坦な表面を備えてよい。
【0086】
一部の事例では、開示されるデバイスもしくはカートリッジまたはその中に含まれている個々の流体区画の1つもしくは複数は、細胞の生存性を最適化し維持するためにデバイス内で成長させる細胞の微小環境を監視および規制するのに使用するための、1つまたは複数のセンサをさらに備えてよい。例には、これらに限定されないが、温度センサ、pHセンサ、ガスセンサ(例えば、Oセンサ、COセンサ)、グルコースセンサ、光学センサ、電気化学センサ、光電子センサ、圧電センサ、またはそれらの任意の組合せが含まれる。
【0087】
上記で述べられたように、一部の事例では、開示されるデバイスまたはカートリッジ(またはその中に含まれる流体チャネルおよび/もしくは流体区画)は、追加的な構成要素または機能、例えば、顕微鏡観察または分光監視技術を容易にするための透明な光学窓、マイクロレンズ構成要素、または導光機能、灌流システムへの接続をなすための入口ポートおよび出口ポート、外部プロセッサまたは電源に電極やセンサを接続するための電気接続等、をさらに備えてよい。
【0088】
図1は、本開示の細胞トランスフェクション、選択、およびクローン増殖カートリッジのレイアウトの非制限的な例を提供する。デバイスは、細胞トランスフェクション区画(例えば、電極の対を備えているエレクトロポレーションチャンバ)と流体連通している入口(左上)を備え、その流体出口は、細胞選択区画への入口と流体連通している。細胞選択区画の出口は、弁(円形の特徴として示されている)と流体連通しており、弁は、細胞が望ましい遺伝子型を呈する細胞コロニーを特定するための遺伝子検査にかけられ得るように、細胞選択区画内の表面上で成長しているクローン細胞コロニーから脱離された細胞を取り出すための手段を提供する。弁は、細胞増殖区画の入口とも流体連通しており、それにより、遺伝子検査の結果に基づいて、選択されたクローン細胞コロニーからの残りの細胞が脱離されて細胞増殖区画に転送され得る。数サイクルの細胞成長および分割に続いて、細胞のクローン集団は、例えば、細胞増殖区画内の成長表面からそれらを脱離して、図1のデバイスの左下に描かれる出口から取り出すためのトリプシン処置により、細胞増殖区画から収穫されてよい。
【0089】
図2は、開示されるカートリッジの一例における、流体入口、流体出口、流体チャネルおよび流体区画(例えば、細胞のトランスフェクション、選択、および成長用、ならびに培養培地および廃棄物の収納用)のレイアウトの非制限的な図示を提供する。この非制限的な例では、培養培地は、培地貯蔵部から、細胞選択およびクローン細胞成長を行うために使用される流体区画(細胞培養チャンバ)に供給される。デバイスはまた、廃棄物貯蔵部と、培養培地貯蔵部、廃棄物貯蔵部、および細胞培養チャンバにアクセスするための入口および出口とを含んでいる。一部の事例では、流体入口および出口は、無菌培養条件を維持し、漏れを防止するために、図に示されるように隔壁を備えてよい。一部の事例では、デバイスは、1つまたは複数の流体区画、例えば、培養培地貯蔵部または廃棄物貯蔵部、に出入りする流体流を空圧制御するのに使用するための空圧アクセスポートを備えてよく、流体区画は、区画内に収容された流体に圧力をかけるために使用される可撓膜を備えてよい。一部の事例では、デバイスは、1つまたは複数の流体区画、例えば培養培地貯蔵部または廃棄物貯蔵部、に出入りする流体流を制御する遠心分離デバイスと共に使用されてよい。一部の事例では、デバイスは、流体区画に入る、流体区画から出る、もしくは流体区画間の流体の流れを制御する、またはデバイスに細胞を導入するもしくはデバイスから細胞を取り出すのに使用される、1つまたは複数の流体弁を備えてよい。
【0090】
図3A~3Dは、部分的に組み立てられた、および完全に組み立てられた、本開示の細胞トランスフェクション、選択、およびクローン増殖カートリッジの図を提供する。図3Aは、丸い培養エリアおよび埋め込まれたアルミニウム電極と共に示されたエレクトロポレーションチャンバを有する、成型されたPDMSチップの写真を提供する。図3Bは、カートリッジの図解を提供し、このカートリッジは、基板および取り付けられた細胞選択チャンバと、細胞増殖チャンバと、成長培地貯蔵部と、廃棄物貯蔵部と、検査のために選択区画から細胞を取り出せるようにする細胞選択チャンバの出口および細胞増殖チャンバの入口と流体電通している弁とを備えている。図3Cは、試作品カートリッジの写真を提供し、このカートリッジは、基板および取り付けられた細胞選択チャンバと、細胞増殖チャンバと、成長培地貯蔵部と、廃棄物貯蔵部と、遺伝子検査のために選択区画から細胞を取り出せるようにする細胞選択チャンバの出口および細胞増殖チャンバの入口と流体連通している弁とを備えている。図3Dは、培地および廃棄物貯蔵部を含む、組み立てられたカートリッジの写真を提供する。
【0091】
使用の方法:図4は、本開示の細胞トランスフェクション、選択、およびクローン増殖カートリッジ内で行われるプロセスステップの非制限的な例を提供する。開示されるデバイスおよびカートリッジは、試薬の消費および空間要件を最小に抑えながら、少数の入力細胞を使用して高い効率で遺伝子組み換え細胞のクローン集団を生成することを可能にする。開示されるデバイスまたはカートリッジ内で行われるプロセスステップは、以下を含んでよい。(i)細胞トランスフェクション(例えば、エレクトロポレーションまたは当業者に公知のいくつかの他のトランスフェクション機序のうちの任意のものを使用する)、(ii)細胞付着およびコロニー形成(一部の事例では、細胞は、表面上ではなく懸濁液中またはゲル状のマトリクス中で成長させてよい)、(iii)細胞選択、(iv)検査のための部分的なコロニー脱離および細胞取り出し(カートリッジおよびシステムの構成に応じた必要に応じたステップ)、(v)細胞剥離、(vi)1つもしくは複数の選択された細胞コロニーのクローン増殖、(vii)選択された細胞コロニーの脱離および別個の細胞増殖チャンバへの転送(カートリッジおよびシステムの構成に応じた必要に応じたステップ)、(viii)細胞成長の監視、ならびに(ix)細胞脱離およびクローン細胞集団の収穫、またはそれらの任意の組合せ。
【0092】
細胞トランスフェクション:一部の事例では、開示されるデバイスおよびカートリッジは、当業者に公知の各種の細胞トランスフェクション技術のうち任意のものを行うように構成され得る、少なくとも1つの細胞トランスフェクション区画を備える。例には、これらに限定されないが、化学的トランスフェクション、機械的トランスフェクション(スクイージング)、エレクトロポレーション、レーザ誘起フォトポレーション、針を用いたポレーション、インペールフェクション(impalefection)、マグネトフェクション、ソノポレーション、またはそれらの任意の組合せが含まれ、細胞トランスフェクション区画の構成は、選択された特定のトランスフェクション技術(または技術の組合せ)の要件を満たすように設計される。一部の事例では、細胞トランスフェクション区画は、デバイス内の他の流体チャネルの寸法と同じまたは異なる寸法の流体チャネルであってよい。一部の事例では、細胞トランスフェクションは、細胞選択、細胞脱離、および/もしくは剥離、または細胞増殖プロセスステップの1つまたは複数と同じ区画で行われてよい。
【0093】
化学的トランスフェクション:一部の事例では、化学的トランスフェクションは、例えば、単に、化学的トランスフェクション試薬(例えば、一時的に細胞膜を崩壊させる、または核酸と結合して細胞膜を介した移送を容易にする、リン酸カルシウム、デンドリマー、ジエチルエタノールアミン(DEAE)-デキストランまたはポリエチレンイミン(PEI)などのカチオン性ポリマー等)を導入して、それを、細胞入口チャネルを通じて導入された細胞懸濁液と混合するための別個の流体チャネルを設けることにより実施されてよい。
【0094】
機械的トランスフェクション:一部の事例では、機械的トランスフェクション(スクイージング)は、例えば、流体チャネル内にくびれ部を設けて、それを通じて、細胞膜が一時的に崩壊されるような適切な速度で細胞を流れさせ、それにより、細胞と同じ培地中に懸濁しているトランスフェクション剤が細胞膜を通過できるようにすることにより実施されてよい。一部の事例では、細胞膜を機械的に崩壊させるために使用されるくびれ部は、幅、高さ、または直径が約1マイクロメートル(μm)~約10マイクロメートルの範囲であってよい。一部の事例では、くびれ部は、幅、高さ、または直径が少なくとも1μm、少なくとも2μm、少なくとも3μm、少なくとも4μm、少なくとも5μm、少なくとも6μm、少なくとも7μm、少なくとも8μm、少なくとも9μm、または少なくとも10μmであってよい。一部の事例では、くびれ部は、幅、高さ、または直径が多くとも10μm、多くとも9μm、多くとも8μm、多くとも7μm、多くとも6μm、多くとも5μm、多くとも4μm、多くとも3μm、多くとも2μm、または多くとも1μmであってよい。この段落に記載される低い方の値と高い方の値の任意のものを組み合わせて、本開示に包含される範囲を形成してよく、例えば、一部の事例では、くびれ部は、幅、高さ、または直径が約2μm~約8μmの範囲であってよい。当業者は、くびれ部は、この範囲内の任意の値、例えば約7.6μmの幅、高さ、または直径、を有してよいことを認識されよう。
【0095】
一部の事例では、くびれ部は、くびれ部を通る流体流および細胞移送の方向における、約1μm~約50μmの範囲の長さまたは寸法を有してよい。一部の事例では、くびれ部の長さは、少なくとも1μm、少なくとも2μm、少なくとも3μm、少なくとも4μm、少なくとも5μm、少なくとも6μm、少なくとも7μm、少なくとも8μm、少なくとも9μm、少なくとも10μm、少なくとも15μm、少なくとも20μm、少なくとも30μm、少なくとも40μm、または少なくとも50μmであってよい。一部の事例では、くびれ部の長さは、多くとも50μm、多くとも40μm、多くとも30μm、多くとも20μm、多くとも15μm、多くとも10μm、多くとも9μm、多くとも8μm、多くとも7μm、多くとも6μm、多くとも5μm、多くとも4μm、多くとも3μm、多くとも2μm、または多くとも1μmであってよい。この段落に記載される低い方の値と高い方の値の任意のものを組み合わせて、本開示に包含される範囲を形成してよく、例えば、一部の事例では、くびれ部の長さは、約5μm~約15μmの範囲であってよい。当業者は、くびれ部の長さは、この範囲内の任意の値、例えば約22.5μm、を有してよいことを認識されよう。
【0096】
一部の事例では、機械的トランスフェクションを行うために使用される1つまたは複数のくびれ部を備えた流体チャネルまたは流体区画は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1,000個、またはそれより多いくびれ部を直列および/または並列に備えてよい。一部の事例では、機械的トランスフェクションを行うために使用される1つまたは複数のくびれ部を備えた流体チャネルまたは流体区画は、この範囲内の任意の数のくびれ部(直列および/または並列)、例えば22個のくびれ部、を含んでよい。
【0097】
一部の事例では、機械的トランスフェクションを行うために使用されるくびれ部に、細胞が約1mm/秒~約1,400mm/秒の範囲の流量または速度で通されてよい。一部の事例では、速度は、少なくとも1mm/秒、少なくとも10mm/秒、少なくとも20mm/秒、少なくとも30mm/秒、少なくとも40mm/秒、少なくとも50mm/秒、少なくとも60mm/秒、少なくとも70mm/秒、少なくとも80mm/秒、少なくとも90mm/秒、少なくとも100mm/秒、少なくとも200mm/秒、少なくとも300mm/秒、少なくとも400mm/秒、少なくとも500mm/秒、少なくとも600mm/秒、少なくとも700mm/秒、少なくとも800mm/秒、少なくとも900mm/秒、少なくとも1,000mm/秒、少なくとも1,100mm/秒 少なくとも1,200mm/秒、少なくとも1,300mm/秒、または少なくとも1,400mm/秒であってよい。一部の事例では、速度は、多くとも1,400mm/秒、多くとも1,300mm/秒、多くとも1,200mm/秒、多くとも1,100mm/秒、多くとも1,000mm/秒、多くとも900mm/秒、多くとも800mm/秒、多くとも700mm/秒、多くとも600mm/秒、多くとも500mm/秒、多くとも400mm/秒、多くとも300mm/秒、多くとも200mm/秒、多くとも100mm/秒、多くとも90mm/秒、多くとも80mm/秒、多くとも70mm/秒、多くとも60mm/秒、多くとも50mm/秒、多くとも40mm/秒、多くとも30mm/秒、多くとも20mm/秒、多くとも15mm/秒、多くとも10mm/秒、または多くとも1mm/秒であってよい。この段落に記載される低い方の値と高い方の値の任意のものを組み合わせて、本開示に包含される範囲を形成してよく、例えば、一部の事例では、速度は、約10mm/秒~約1,000mm/秒の範囲であってよい。当業者は、速度はこの範囲内の任意の値、例えば約24mm/秒、を有してよいことを認識されよう。
【0098】
一部の事例では、細胞トランスフェクションチャンバ(または流体チャネル)は、電極間を通る細胞が、細胞膜を一時的に崩壊させてトランスフェクション剤が細胞に入ることを可能にする電場にさらされるような、適正な寸法および/または間隔である少なくとも一対の電極を備えてよい。
【0099】
エレクトロポレーション:一部の事例では、細胞トランスフェクション区画または流体チャネルは、電極間を通る細胞のエレクトロポレーションを行うように構成された少なくとも一対の電極を備えてよい。一部の事例では、細胞トランスフェクション区画は、個々の電極の対の間を通る細胞のエレクトロポレーションを行うように構成された、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個、または10個より多い対の電極を備えてよい。一部の事例では、2つまたはそれより多い対の電極が直列に配置されてよい。一部の事例では、2つまたはそれより多い対の電極が並列に配置されてよい。
【0100】
一部の事例では、エレクトロポレーションを行う目的で細胞が曝露される電極の対のうちの各電極の表面積は、約0.001mm~約100mmの範囲であってよい。一部の事例では、電極の対の各電極の表面積が同じであってよい。一部の事例では、電極の対の各電極の表面積が異なってよい。一部の事例では、各電極の表面積は、少なくとも0.001mm、少なくとも0.01mm、少なくとも0.1mm、少なくとも0.2mm、少なくとも0.3mm、少なくとも0.4mm、少なくとも0.5mm、少なくとも0.6mm、少なくとも0.7mm、少なくとも0.8mm、少なくとも0.9mm、少なくとも1.0mm、少なくとも1.5mm、少なくとも2.0mm、少なくとも2.5mm、少なくとも3.0mm、少なくとも3.5mm、少なくとも4.0mm、少なくとも4.5mm、少なくとも5mm、少なくとも10mm、少なくとも20mm、少なくとも30mm、少なくとも40mm、少なくとも50mm、少なくとも60mm、少なくとも70mm、少なくとも80mm、少なくとも90mm、または少なくとも100mmであってよい。一部の事例では、各電極の表面積は、多くとも100mm、多くとも90mm、多くとも80mm、多くとも70mm、多くとも60mm、多くとも50mm、多くとも40mm、多くとも30mm、多くとも20mm、多くとも10mm、多くとも5mm、多くとも4.5mm、多くとも4.0mm、多くとも3.5mm、多くとも3.0mm、多くとも2.5mm、多くとも2.0mm、多くとも1.5mm、多くとも1.0mm、多くとも0.9mm、多くとも0.8mm、多くとも0.7mm、多くとも0.6mm、多くとも0.5mm、多くとも0.4mm、多くとも0.3mm、多くとも0.2mm、多くとも0.1mm、多くとも0.01mm、または多くとも0.001mmであってよい。この段落に記載される低い方の値と高い方の値の任意のものを組み合わせて、本開示に包含される範囲を形成してよく、例えば、一部の事例では、各電極の表面積は、約0.1mm~約0.9mmの範囲であってよい。当業者は、各電極の表面積は、この範囲内の任意の値、例えば約0.66mm、を有してよいことを認識されよう。
【0101】
一部の事例では、電極対の電極同士の間の離間距離は、約10μm~約10mmの範囲であってよい。一部の事例では、電極の第1の対の電極間の離間距離と、電極の第2の対の電極間の離間距離とが同じであってよい。一部の事例では、電極の第1の対の電極間の離間距離と、電極の第2の対の電極間の離間距離とが異なってよい。一部の事例では、電極の対の電極間の離間距離は、少なくとも10μm、少なくとも50μm、少なくとも100μm、少なくとも200μm、少なくとも300μm、少なくとも400μm、少なくとも500μm、少なくとも600μm、少なくとも700μm、少なくとも800μm、少なくとも900μm、少なくとも1mm、少なくとも2mm、少なくとも3mm、少なくとも4mm、少なくとも5mm、少なくとも6mm、少なくとも7mm、少なくとも8mm、少なくとも9mm、または少なくとも10mmであってよい。一部の事例では、電極の対の電極間の離間距離は、多くとも10mm、多くとも9mm、多くとも8mm、多くとも7mm、多くとも6mm、多くとも5mm、多くとも4mm、多くとも3mm、多くとも2mm、多くとも1mm、多くとも900μm、多くとも800μm、多くとも700μm、多くとも600μm、多くとも500μm、多くとも400μm、多くとも300μm、多くとも200μm、多くとも100μm、多くとも50μm、または多くとも10μmであってよい。この段落に記載される低い方の値と高い方の値の任意のものを組み合わせて、本開示に包含される範囲を形成してよく、例えば、一部の事例では、電極の対の電極間の離間距離は、約100μm~約2mmの範囲であってよい。当業者は、電極の対の電極間の離間距離は、この範囲内の任意の値、例えば約785μm、を有してよいことを認識されよう。
【0102】
一部の事例では、電極の対の電極間に印加される電圧差(またはその絶対値)は、約10-5ボルト~約2,000ボルトの範囲であってよい。一部の事例では、電極の第1の対の電極間に印加される電圧差と、電極の第2の対の電極間に印加される電圧差とが同じであってよい。一部の事例では、電極の第1の対の電極間に印加される電圧差と、電極の第2の対の電極間に印加される電圧差とが異なっていてよい。一部の事例では、電極の対の電極間に印加される電圧差は、少なくとも10-5ボルト、少なくとも10-4ボルト、少なくとも10-3ボルト、少なくとも10-2ボルト、少なくとも10-1ボルト、少なくとも1ボルト、少なくとも10ボルト、少なくとも50ボルト、少なくとも100ボルト、少なくとも200ボルト、少なくとも300ボルト、少なくとも400ボルト、少なくとも500ボルト、少なくとも600ボルト、少なくとも700ボルト、少なくとも800ボルト、少なくとも900ボルト、少なくとも1,000ボルト、少なくとも1,200ボルト、少なくとも1,400ボルト、少なくとも1,600ボルト、少なくとも1,800ボルト、または少なくとも2,000ボルトであってよい。一部の事例では、電極の対の電極間に印加される電圧差は、多くとも2,000ボルト、多くとも1,800ボルト、多くとも1,600ボルト、多くとも1,400ボルト、多くとも1,200ボルト、多くとも1,000ボルト、多くとも900ボルト、多くとも800ボルト、多くとも700ボルト、多くとも600ボルト、多くとも500ボルト、多くとも400ボルト、多くとも300ボルト、多くとも200ボルト、多くとも100ボルト、多くとも50ボルト、多くとも10ボルト、多くとも1ボルト、多くとも10-1ボルト、多くとも10-2ボルト、多くとも10-3ボルト、多くとも10-4ボルト、または多くとも10-5ボルトであってよい。この段落に記載される低い方の値と高い方の値の任意のものを組み合わせて、本開示に包含される範囲を形成してよく、例えば、一部の事例では、電極の対の電極間に印加される電圧差 電極の対の電極間の離間距離は、約100ボルト~約800ボルトの範囲であってよい。当業者は、電極の対の電極間に印加される電圧差は、この範囲内の任意の値、例えば約756ボルト、を有してよいことを認識されよう。
【0103】
一部の事例では、細胞のエレクトロポレーションに使用される電場強度(またはその絶対値)は、約0ボルト/cm~約2,000ボルト/cmの範囲であってよい。一部の事例では、電場強度は、少なくとも0ボルト/cm、少なくとも50ボルト/cm、少なくとも100ボルト/cm、少なくとも150ボルト/cm、少なくとも200ボルト/cm、少なくとも250ボルト/cm、少なくとも300ボルト/cm、少なくとも350ボルト/cm、少なくとも400ボルト/cm、少なくとも450ボルト/cm、少なくとも500ボルト/cm、少なくとも550ボルト/cm、少なくとも600ボルト/cm、少なくとも650ボルト/cm、少なくとも700ボルト/cm、少なくとも750ボルト/cm、少なくとも800ボルト/cm、少なくとも850ボルト/cm、少なくとも900ボルト/cm、少なくとも950ボルト/cm、少なくとも1000ボルト/cm、少なくとも1,100ボルト/cm、少なくとも1,200ボルト/cm、少なくとも1,300ボルト/cm、少なくとも1,400ボルト/cm、少なくとも1,500ボルト/cm、少なくとも1,600ボルト/cm、少なくとも1,700ボルト/cm、少なくとも1,800ボルト/cm、少なくとも1,900ボルト/cm、または少なくとも2,000ボルト/cmであってよい。一部の事例では、電場強度は、多くとも2,000ボルト/cm、多くとも1,900ボルト/cm、多くとも1,800ボルト/cm、多くとも1,700ボルト/cm、多くとも1,600ボルト/cm、多くとも1,500ボルト/cm、多くとも1,400ボルト/cm、多くとも1,300ボルト/cm、多くとも1,200ボルト/cm、多くとも1,100ボルト/cm、多くとも1,000ボルト/cm、多くとも950ボルト/cm、多くとも900ボルト/cm、多くとも850ボルト/cm、多くとも800ボルト/cm、多くとも750ボルト/cm、多くとも700ボルト/cm、多くとも650ボルト/cm、多くとも600ボルト/cm、多くとも550ボルト/cm、多くとも500ボルト/cm、多くとも450ボルト/cm、多くとも400ボルト/cm、多くとも350ボルト/cm、多くとも300ボルト/cm、多くとも250ボルト/cm、多くとも200ボルト/cm、多くとも150ボルト/cm、多くとも100ボルト/cm、多くとも50ボルト/cm、または多くとも0ボルト/cmであってよい。この段落に記載される低い方の値と高い方の値の任意のものを組み合わせて、本開示に包含される範囲を形成してよく、例えば、一部の事例では、電場強度は、約100ボルト/cm~約1,800ボルト/cmの範囲であってよい。当業者は、電場強度は、この範囲内の任意の値、例えば約1,875ボルト/cm、を有してよいことを認識されよう。
【0104】
一部の事例では、細胞は、約0.1mm/秒~約100mm/秒の範囲の流量または速度で、1つまたは複数の対の電極を通して移送されてよい。一部の事例では、速度は、少なくとも0.1mm/秒、少なくとも1mm/秒、少なくとも5mm/秒、少なくとも10mm/秒、少なくとも20mm/秒、少なくとも30mm/秒、少なくとも40mm/秒、少なくとも50mm/秒、少なくとも60mm/秒、少なくとも70mm/秒、少なくとも80mm/秒、少なくとも90mm/秒、または少なくとも100mm/秒であってよい。一部の事例では、速度は多くとも100mm/秒、多くとも90mm/秒、多くとも80mm/秒、多くとも70mm/秒、多くとも60mm/秒、多くとも50mm/秒、多くとも40mm/秒、多くとも30mm/秒、多くとも20mm/秒、多くとも15mm/秒、多くとも10mm/秒、多くとも5mm/秒、多くとも1mm/秒、または多くとも0.1mm/秒であってよい。この段落に記載される低い方の値と高い方の値の任意のものを組み合わせて、本開示に包含される範囲を形成してよく、例えば、一部の事例では、速度は約1mm/秒~約20mm/秒の範囲であってよい。当業者は、速度はこの範囲内の任意の値、例えば約17mm/秒、を有してよいことを認識されよう。
【0105】
レーザ誘起フォトポレーション:一部の事例では、細胞トランスフェクション区画(または流体チャネル)は、フォトポレーション、例えばレーザ誘起フォトポレーション、を行うように構成されたレーザ光ビームまたは他の光源への光学的アクセスを提供する少なくとも1つの光学的に透明な壁を備えてよい。フォトポレーションは、集束した、連続的な、またはパルス化されたレーザ光を単独で、または感光性を与えるナノ粒子との組合せで使用して、細胞膜に局所化された一過性の細孔を生成することに基づく[例えばR. Xiong, et al. (2016), “Laser-Assisted Photoporation: Fundamentals, Technological Advances and Applications”, Advances in Physics, 1(4):596-620を参照]。電磁スペクトルの紫外線(UV)、可視光、または近赤外線(近IR)領域で動作するレーザを使用して、光熱的、光力学的および/または光化学的効果を通じて、集束したレーザビーム(通例は1~10μm直径の焦点を備える)により、最大数百ナノメートルの直径の細孔を細胞膜に形成することができる。適切なレーザ波長の例には、これに限定されないが、表1にリストされるものが含まれる。
【表1】
【0106】
一部の事例では、1つまたは複数のレーザが、レーザ誘起フォトポレーションを行うために使用されてよい。一部の事例では、使用されるレーザの1つまたは複数が、連続波レーザであってよい。一部の事例では、使用されるレーザの1つまたは複数が、パルス化されたレーザであってよい。選択されるレーザのタイプおよびパルスを生成するために使用される技術(例えば、モード同期固体レーザ、Qスイッチ固体レーザ、または利得スイッチ半導体レーザ)に応じて、レーザパルス周波数は、1Hz未満から100GHz超の範囲であり得る。同様に、選択されるレーザのタイプおよびパルスを生成するために使用される技術に応じて、レーザパルス幅は、1マイクロ秒超から100フェムト秒未満の範囲であり得る。一部の事例では、例えばフォトポレーションを行うために使用されるレーザは、例えば約550ピコ秒未満のパルス長をもつ約1,064nmのパルス光を生成してよい。
【0107】
一部の事例では、下記でより詳細に解説されるように、開示されるデバイスまたはカートリッジ内でレーザ誘起フォトポレーションを行うために使用されるレーザは、光脱離および/または光剥離を行うために使用されるレーザと同じであってよく、動作モードは、レーザの平均パワー設定、ピークパワー設定、パルス周波数、パルス継続時間(パルス幅)、曝露時間、またはそれらの任意の組合せの1つまたは複数を調整することによって切り替えられてよい。
【0108】
針を用いたポレーション:一部の事例では、開示されるデバイスまたはカートリッジの細胞トランスフェクション区画が、針を用いたポレーションを行うために構成されてよく、その場合は例えば、1つまたは複数のマイクロニードルを使用して、細胞膜を穿孔する、および/または細胞の内部にトランスフェクション剤を注入する。一部の事例では、細胞トランスフェクション区画は、容易にアクセスすることが可能な、デバイスまたはカートリッジの開口領域を備えてよい。一部の事例では、細胞トランスフェクション区画は、区画の内部へのアクセスを可能にするように取り外し可能な蓋で封止される区画を備えてよい。一部の事例では、個々の細胞をトランスフェクションのために狙いをつけ、マイクロニードルを案内するために、顕微鏡および/またはマイクロマニピュレータが使用されてよい。
【0109】
インペールフェクション:一部の事例では、細胞トランスフェクション区画が、インペールフェクションを行うために構成されてよい。インペールフェクションは、カーボンナノファイバー、カーボンナノチューブ、またはナノワイヤなどのナノ材料を使用して、細胞内区画にトランスフェクション剤を送達する方法である。一部の事例では、針状のナノ構造が細胞トランスフェクション区画内の表面上に合成されて、細胞内送達を目的とするトランスフェクション剤、例えば指定の遺伝子を含有するプラスミドDNA、で被覆されてよい。細胞トランスフェクション区画に導入される細胞は、表面上に沈降し得、または、表面に押し付けられてナノ構造によって刺通(impale)およびトランスフェクションされ、それによって送達された遺伝子の発現を生じさせてよい。
【0110】
マグネトフェクション:一部の事例では、細胞トランスフェクション区画は、OZ Biosciences,Inc.(San Diego、CA)によって商用化されている技術であるマグネトフェクションを行うために構成されてよい。マグネトフェクションは、磁場を使用してトランスフェクション剤を含有している磁気粒子を引き寄せ、それらを目標細胞内に引き込む。トランスフェクション剤、例えば核酸分子は、カチオン性磁気ナノ粒子と会合し、次いでそれらの分子複合体が濃縮され、適切な磁場を使用して細胞膜を通して移送されて細胞に入れられ、高いトランスフェクション効率をもたらす高用量のトランスフェクション剤の送達を提供する。
【0111】
ソノポレーション:一部の事例では、細胞トランスフェクション区画が、ソノポレーション(細胞音波破壊)を行うために構成されてよい。ソノポレーションは、マイクロ泡の超音波機械的振動および音響キャビテーションを利用して、細胞形質膜の浸透性を変え、それによってDNA分子などのトランスフェクション剤の細胞内への取り込みを可能にする。この技術のトランスフェクション効率は、エレクトロポレーションを使用して達成されるものと同等またはそれより良いものであり得るが、低周波数(<1MHz)の超音波に長く曝露すると破裂および細胞死につながることが示されており、そのため、得られた細胞生存性も調査されなければならない。一部の事例では、ソノポレーションは、市販のソノポレータ(sonoporator)を使用して実施されてよい。一部の事例では、ソノポレーションは、内蔵された圧電トランスデューサを使用して、開示されるデバイスまたはカートリッジ内で実施されてよい。
【0112】
細胞付着およびコロニー形成:一部の事例では、開示されるデバイスまたはカートリッジは、細胞トランスフェクション区画と流体連通しており、トランスフェクションステップ後に細胞が導入される、少なくとも1つの細胞選択区画を備える。複数の個々のトランスフェクションされた細胞が導入され、細胞選択区画内の表面(例えば「成長表面」)に付着させられ、その後、小さいクローン細胞コロニーを形成するために数サイクルの成長および分割を経ることができるようにされる。一部の事例では、細胞の二つ組または三つ組が意図せずに導入されて、細胞選択区画内の表面に付着させられることがあり、それらは、結果得られる細胞コロニーがすべて単一の遺伝子型の細胞からなることを確実にするために、取り出されるまたは破壊され得る(例えば、下記でより詳細に説明されるように、レーザ光剥離技術を使用して)。
【0113】
一部の事例では、開示されるデバイスまたはカートリッジは、付着性の細胞系から細胞のクローン集団を生成するために使用されてよい。そのような事例では、付着性細胞の懸濁液が初期濃度でデバイスまたはカートリッジに導入され、細胞トランスフェクション区画内でトランスフェクションされ、次いで細胞選択区画に導入され、沈降して、細胞選択区画内の1つまたは複数の成長表面に付着を形成することを許される。一部の事例では、成長表面は、例えばガラス、溶融シリカ、シリコン、またはポリマー表面を含んでよい。一部の事例では、成長表面は、例えばガラス、溶融シリカ、シリコン、またはポリマーからなる、下にある表面に適用された1つまたは複数のコーティング層を備えてよい。一部の事例では、1つまたは複数のコーティング層は、成長表面への付着性細胞の付着を容易にするように構成されてよい。一部の事例では、1つまたは複数のコーティング層は、例えば酵素処置、光分解技術、またはレーザ光脱離技術を使用する、後の遺伝子検査または収穫のために後に行われるクローン細胞コロニーのすべてまたは一部の脱離を容易にするように構成されてよい。適切なコーティングの例には、これらに限定されないが、α-ポリリジンコーティング、コラーゲンコーティング、ポリ-l-オルニチンコーティング、フィブロネクチンコーティング、ラミニンコーティング、シランコーティング、または酵素固有の基質(例えば、特定のプロテアーゼによって認識されるペプチド配列)もしくは光切断可能なリンカー分子を含むコーティングが含まれる。一部の事例では、例えば開示されるデバイスまたはカートリッジが、成人細胞に直接由来する人工多能性幹細胞(iPSC)に使用される場合、表面コーティングは、Synthemax(商標)ビトロネクチンコーティング(Corning,Inc.、Corning New York)、および/またはiMatrix-511組換えラミニンコーティング(Takara Bio USA、Mountain View、California)を含んでよい。
【0114】
一部の事例では、開示されるデバイスまたはカートリッジは、懸濁液細胞系から細胞のクローン集団を生成するために使用されてよい。そのような事例では、通常は溶液中で成長する細胞の懸濁液が初期濃度でデバイスまたはカートリッジに導入され、細胞トランスフェクション区画内でトランスフェクションされ、次いで細胞選択区画に導入され、沈降して、細胞選択区画内の1つまたは複数の成長表面に付着を形成することを許される。一部の事例では、成長表面は、例えばガラス、溶融シリカ、シリコン、またはポリマー表面を含んでよい。一部の事例では、成長表面は、例えばガラス、溶融シリカ、シリコン、またはポリマーからなる、下にある表面に適用された1つまたは複数のコーティング層を備えてよい。一部の事例では、1つまたは複数のコーティング層は、成長表面への懸濁液細胞の付着を容易にするように構成されてよい。一部の事例では、1つまたは複数のコーティング層は、例えば酵素処置、光分解技術、またはレーザ光脱離技術を使用する、後の遺伝子検査または収穫のために後に行われるクローン細胞コロニーのすべてまたは一部の脱離を容易にするように構成されてよい。そのような事例における適切な成長表面コーティングの例には、これらに限定されないが、α-ポリリジンコーティング、コラーゲンコーティング、ポリ-l-オルニチンコーティング、フィブロネクチンコーティング、ラミニンコーティング、シランコーティング、または、選択された細胞表面受容体に特異的に結合する係留された抗体、酵素固有の基質(例えば、特定のプロテアーゼによって認識されるペプチド配列)、もしくは光切断可能なリンカー分子を含むコーティングが含まれる。
【0115】
一部の事例では、細胞選択区画に、トランスフェクションされた細胞が播種されてよく、その細胞が沈降して区画内の表面(例えば、必要に応じて表面コーティングを備え得る成長表面)に付着を形成することを許される。一部の事例では、細胞は、1,000細胞/mm、900細胞/mm、800細胞/mm、700細胞/mm、600細胞/mm、500細胞/mm、400細胞/mm、300細胞/mm、200細胞/mm、100細胞/mm、50細胞/mm、10細胞/mm、または5細胞/mm、未満のまたはそれに等しい表面密度で播種されてよい。
【0116】
細胞成長の監視 - 撮像:上記で述べられたように、一部の事例では、細胞選択区画(および/またはデバイスの他の流体区画もしくは流体チャネル)は、光学的に透明であってよく、それにより、例えば顕微鏡撮像技術を使用して、細胞付着、細胞成長、および/またはクローン細胞コロニーの形成を監視することを可能にする。細胞選択区画(またはデバイス内の任意の他の流体区画)内の細胞成長およびクローン細胞コロニーの形成を監視するために、各種の顕微鏡撮像技術の任意のものが使用されてよい。例には、これらに限定されないが、明視野、暗視野、位相コントラスト、蛍光、および二光子蛍光撮像が含まれる。一部の事例では、超解像度撮像技術、例えば超解像度蛍光撮像が使用されてよく、これは、撮像波長における光の回折限界によって決まる空間解像度よりも高い空間解像度(例えば、10~200nmの解像度)で画像が捕捉されることを可能にし得る。一部の事例では、培養プレートウェルに配置された細胞のグレースケール画像が取得され、細胞同定および細胞位置座標の決定に使用されてよい。一部の事例では、培養プレートウェルに配置された細胞の赤緑青(RGBまたはカラー)画像が取得され、細胞同定および細胞位置座標の決定に使用されてよい。適切な撮像取得ハードウェアおよび画像処理ソフトウェアの例は、下記でより詳細に解説される。
【0117】
一部の事例では、撮像は、少なくとも一日に1回、少なくとも一日に2回、少なくとも一日に4回、少なくとも一日に6回、少なくとも一日に12回、少なくとも一日に24回(少なくとも1時間に1回)、または少なくとも30分に1回の頻度で、手動、半自動化、または全自動化方式で行われてよい。
【0118】
細胞成長の監視 - インピーダンス測定:一部の事例では、細胞選択区画(および/またはデバイスの他の流体区画もしくは流体チャネル)は、電気インピーダンス測定を使用して細胞成長を監視するように構成された1つまたは複数の対の電極を備えてよい。電気細胞基質インピーダンス感知は、生物細胞を無標識でリアルタイムに監視するための方法である[例えば、Lee, et al.(2014), “Electrical Impedance Characterization of Cell Growth on Interdigitated Microelectrode Array”, J. Nanosci. Nanotechnol. 14(11):8342-8346を参照]。一部の事例では、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10対、または10対より多い電極が、区画内の細胞成長を監視するための電気インピーダンス測定を行うために使用されてよい。一部の事例では、電極の対は、例えば、互いの間に入った指状部のセットを備える櫛形電極(IDE)アレイを備えてよい。例えばLee, et al, (2014)は、長さ1.2mm、幅50μm、間隔50μm、および厚み75nmの10本の指状部からなる櫛形電極(IDE)アレイを使用し、ロックイン増幅器に基づくシステムを使用して、100Hz~100kHzの周波数範囲内で、製作されたIDEのインピーダンススペクトルを、細胞が存在する状態と存在しない状態とで測定した。一部の事例では、互いの間に入った電極の対は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個、または10個より多い互いの間に入った指状部または互いの間に入った指状部の対を備えてよい。一部の事例では、電気インピーダンス測定を行うために使用される電極は、約0.1mm~約30mmの範囲の長さ(この範囲内の任意の長さ、例えば約15mmを有してよい)、約10μm~約2mmの範囲の幅(この範囲内の任意の幅、例えば約1.2mmを有してよい)、および約10nm~約1,000nmの範囲の厚み(この範囲内の任意の厚み、例えば約125nmを有してよい)を有してよい。電極は、これらに限定されないが、白金、金、銀、銅、亜鉛、アルミニウム、グラフェン、または酸化インジウムスズを含む、当業者に公知の各種材料のうち任意のものから製作されてよい。選択された周波数におけるインピーダンス測定を使用して、特定タイプの細胞の特性に依存する細胞の接着および繁殖性を監視してよい。
【0119】
細胞検出および選択:一部の事例では、細胞選択区画(または開示されるデバイスまたはカートリッジ内の任意の他の区画)は、細胞の位置を検出する目的、ならびに/または、光脱離、検査のための取り出し、光剥離、および/もしくは後の収穫に向けて1つもしくは複数のクローン細胞集団を作製する増殖のために個々の細胞もしくはクローン細胞コロニーを選択する目的で、撮像されてよい。一部の事例では、画像は、細胞の同定、および例えば光脱離または光剥離ステップの手動制御のために、熟練した作業者によって実況で見られてよい。一部の事例では、画像が捕捉され、以下のステップの1つまたは複数を行うために半自動化または完全自動化されたプロセスを使用して処理されてよい:(i)画像セグメント化、(ii)特徴抽出、(iii)細胞同定および位置座標の決定、(iv)細胞選択、ならびに(v)例えば、選択された細胞コロニーの一部を選択的に脱離する、または不要な細胞を選択的に剥離するためにレーザ走査システムを誘導するもしくは並進ステージおよびレーザ曝露の位置を制御するターゲティングシステムへの、破壊のために選択された細胞の細胞位置座標データの転送。
【0120】
一部の事例では、検査のために部分的に脱離する、またはクローン増殖のために維持する細胞またはクローン細胞クラスタ(または細胞もしくは細胞クラスタのサブセット)の選択はランダムに行われ、細胞選択区画内のすべての他の細胞が破壊される。一部の事例では、検査のために部分的に脱離する、またはクローン増殖のために維持する細胞またはクローン細胞クラスタ(または細胞もしくは細胞クラスタのサブセット)の選択は、細胞自体に固有の特質または性質とは無関係の選択基準に基づいて行われる(例えば、選択は、その細胞が外来性の標識または発現したレポーターを有するかどうかには基づかない)。例えば、一部の事例では、細胞またはクローン細胞クラスタは、単に細胞選択区画内の表面上でのその位置に基づいて、維持されるために選択される。一部の事例では、細胞選択区画内の表面の中心に最も近い細胞またはクローン細胞クラスタ(または細胞もしくはクローン細胞クラスタのサブセット)が維持されるために選択され、すべての他の細胞は剥離される。一部の事例では、細胞選択区画内の表面の中心から指定された距離にある細胞またはクローン細胞クラスタ(または細胞もしくはクローン細胞クラスタのサブセット)が維持されるために選択され、すべての他の細胞は剥離される。一部の事例では、細胞選択区画の壁に最も近い細胞またはクローン細胞クラスタ(または細胞もしくはクローン細胞クラスタのサブセット)が維持されるために選択され、すべての他の細胞は剥離される。一部の事例では、細胞の二つ組、三つ組、または他の細胞の集合体は、表面上または細胞選択区画内でのそれらの位置に関係なく剥離される。
【0121】
一部の事例では、維持する(または破壊する)細胞もしくはクローン細胞コロニー(または細胞もしくはクローン細胞コロニーのサブセット)の選択は、細胞自体に固有の特質または性質に依存する選択基準に基づいて行われる。例えば、細胞を選択し、維持する(または細胞を選択し、破壊する)ために使用され得る基準には、これらに限定されないが、細胞表現型、細胞遺伝子型、細胞形態、細胞サイズ、発達段階、1つもしくは複数の指定されたバイオマーカーおよび/もしくはレポーター分子の有無、(例えば、クローン細胞コロニー内の細胞による外来性レポーターの発現、例えば緑色蛍光タンパク質(GFP)シグナルの有無)、クローン細胞コロニー内の細胞数、クローン細胞コロニー内の細胞の表面密度、クローン細胞コロニー内の細胞の成長パターン、クローン細胞コロニー内の細胞の成長速度、クローン細胞コロニー内の細胞の分裂速度、またはそれらの任意の組合せが含まれる。
【0122】
一部の事例では、維持する(または破壊する)細胞もしくはクローン細胞クラスタ(または細胞もしくはクローン細胞クラスタのサブセット)の選択は、細胞表面受容体およびリガンド、例えば、Gタンパク質結合受容体(GPCR)、酵素結合受容体、イオンチャネル結合受容体、膜に基づく受容体チロシンキナーゼ、膜糖タンパク質等、を含む、1つまたは複数のバイオマーカーの有無に基づいて行われる。細胞選択の根拠として使用され得る細胞表面受容体およびリガンドの例には、これらに限定されないが、アンギオテンシン受容体、CD1a-e、CD3、CD4、CD6、CD8a-b、CD19、CD20、CD22、CD33、CD52、FGF受容体、成長ホルモン受容体、KCNE1イオンチャネル、KCNQ1イオンチャネル、ATP1G1 Mg輸送体等が含まれる(さらなる例については、例えば、Varady, et al. (2013), “Cell surface membrane proteins as personalized biomarkers: where we stand and where we are headed”, Biomarkers Med.7(5), 803-819を参照)。一部の事例では、1つまたは複数の細胞表面バイオマーカーの有無が、例えば、関心対象のバイオマーカーの1つに特異的に結合する1つまたは複数の蛍光タグ付けされた抗体を使用して検出されてよい。
【0123】
一部の事例では、維持する(または破壊する)細胞もしくはクローン細胞クラスタ(または細胞もしくはクローン細胞クラスタのサブセット)の選択は、遺伝子操作されたタンパク質、例えば緑色蛍光タンパク質(GFP)ドメイン(またはGFPの任意の変種からのドメイン)を含むキメラ受容体または酵素、を含む1つまたは複数のバイオマーカーの有無に基づいて行われてよい。一部の事例では、維持する(または破壊する)細胞もしくはクローン細胞クラスタ(または細胞もしくはクローン細胞クラスタのサブセット)の選択は、細胞遺伝子発現プロファイルの変化を検出するため(例えば、1つまたは複数の遺伝子からなる特定のセットの転写および/または翻訳の増加または減少を検出するため)のレポーターシステムの一部として1つまたは複数のGFP含有タンパク質を発現するように操作された細胞系のGFPドメインを含む、1つまたは複数のキメラタンパク質の有無に基づいて行われてよい。一部の事例では、維持する(または破壊する)細胞もしくはクローン細胞クラスタ(または細胞もしくはクローン細胞クラスタのサブセット)の選択は、CRISPR編集成功パラメータに起因する細胞遺伝子発現プロファイルの変化を検出するためのレポーターシステムの一部として1つまたは複数のGFP含有タンパク質を発現するように操作された細胞系のGFPドメインを含む、1つまたは複数のキメラタンパク質の有無に基づいて行われてよい。一部の事例では、CRISPR編集成功パラメータは、Casに依存する蛍光成分(例えば、Cas9に依存する蛍光成分)を含んでよい。一部の事例では、不活性化したCas(dCAS)にXFPをタグ付けし、ガイドとの組合せで使用して、編集された細胞を特定することができる(Ma, H. et al. (2015), “Multicolor CRISPR Labeling of Chromosomal Loci in Human Cells”, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 112, 3002-3007)。
【0124】
一部の事例では、維持する(または破壊する)細胞もしくはクローン細胞クラスタ(または細胞もしくはクローン細胞クラスタのサブセット)の選択は、細胞代謝状態の1つまたは複数の蛍光プローブに由来する蛍光シグナルを含む1つまたは複数のバイオマーカーの有無に基づいて行われてよい。細胞代謝状態を監視するために使用され得る蛍光プローブの例には、これらに限定されないが、生細胞と死細胞を判別するための「BioTracker」(Sigma-Aldrich、St.Louis、MO)シリーズの蛍光染料、細胞内カルシウム2+濃度についての蛍光プローブ(例えば、Fura 2 AM、Fura Red AM、Indo-1 AM、いずれもThermoFisher Scientific、Waltham、MAから)、膜内外電位差についての蛍光プローブ(例えば、FluoVolt膜電位色素、ジ-3-ANEPPDHQ、またはビス-(1,3-ジブチルバルビツール酸)トリメチンオキソノール(DiBAC(3))、いずれもThermoFisher Scientific、Waltham、MAから)等が含まれる。
【0125】
一部の事例では、維持する(または破壊する)ための細胞選択区画内で成長しているクローン細胞クラスタ(またはクローン細胞クラスタのサブセット)の選択は、下記でより詳細に説明されるように、クローン細胞クラスタを部分的に脱離して、クラスタ内の細胞の一部またはサブセットを検査のためにデバイスから取り出すことに基づいて行われてよい。
【0126】
一部の事例では、1つまたは複数の細胞(またはクローン細胞クラスタ)が、上記の手法のいずれかを使用して、維持のために選択されると、残りの不要な細胞またはクローン細胞クラスタは、下記で説明されるように光剥離されてよく、選択された細胞(またはクローン細胞クラスタ)は、1つまたは複数のサイクルの細胞成長および分割にかけられて、クローン細胞集団を増殖させる。一部の事例では、維持のために選択された1つまたは複数の細胞またはクローン細胞クラスタは、別の区画、例えばデバイスまたはカートリッジ内の細胞増殖区画、に転送されてよい。
【0127】
クローン細胞コロニーの部分的脱離:一部の事例では、個々のクローン細胞コロニー内の細胞の一部またはサブセットが、必要に応じて、検査のためにデバイスまたはカートリッジから取り出されてよい。一部の事例では、例えば少なくとも1つの光学的に透明な壁を備えている細胞選択区画と併せてレーザに基づく光脱離技術を使用して、個々のクローン細胞コロニー内の細胞の一部が、それらが成長している表面から脱離されてよい。レーザに基づく光脱離は、化学的な解離試薬を必要とせずに、細胞が成長している基質から付着性の細胞を解離させる、非致死的な手段を提供する。細胞膜を破壊することなく選択された細胞を効果的に脱離させるエネルギーパルスを作り出すように、レーザのパワー設定、パルス幅変調、および焦点面の調整を調整することができる。
【0128】
集束したレーザ光を、例えば1つまたは複数の選択された細胞の下方のまたは細胞に隣接する領域全体に走査して、細胞が成長している表面から細胞を脱離させてよい。一部の事例では、集束したレーザ光による照明が、1つまたは複数の選択された細胞の光熱的脱離を生じさせてよい。一部の事例では、集束したレーザ光による照明が、1つまたは複数の選択された細胞の光力学的脱離を生じさせてよい。一部の事例では、集束したレーザ光による照明が、1つまたは複数の選択された細胞の光音響的脱離を生じさせてよい。一部の事例では、細胞選択区画は、光熱的および/または光力学的脱離機序による、その上で成長している細胞の脱離を容易にするように特別に配合された1つまたは複数の表面コーティング層を備えてよい。一部の事例では、細胞選択区画は、細胞認識要素、例えば細胞表面受容体を対象とする抗体、を細胞選択区画内の表面に係留する光切断可能なリンカーを含む1つまたは複数の表面コーティング層を備えてよく、細胞認識要素は、懸濁液細胞を捕捉して表面に係留するために使用され、適切な波長の集束レーザ光によって照明されると、光切断可能なリンカーが崩壊され、選択された細胞のセットが表面から解放され得る。
【0129】
図5A~5Eは、細胞が成長している基質から細胞を選択的に脱離するためのレーザ光脱離の使用を示す。図5Aは、細胞選択区画内の成長表面上の細胞の顕微鏡写真を提供する。図5Bは、約1440nm~約1450nmの波長範囲のパルス化されたレーザ光を使用して選択的に細胞を脱離した後の同じ表面の顕微鏡写真を提供する。図5Cは、レーザ光の照射による、クローン細胞クラスタ内の細胞のサブセットの選択的脱離および取り出しの図解を提供する。図5Dは、選択された細胞の下にある表面に沿ってレーザ光が走査されたときの細胞の漸進的な脱離の図解を提供する。図5Eは、細胞の下にある表面に沿ってレーザ光が走査され続けたときの細胞のさらなる漸進的な脱離の図解を提供する。図5Aおよび図5B内の細胞は、輪郭マークによって強調されている。画像に見られる、大きい、焦点が合っていない物体は、試作品デバイスを製作するために使用された機械加工具によって生じたポリカーボネートの欠陥である。図5Aで、基質に付着した細胞のコロニーを観察することができる。図5Bに示されるように、細胞は、レーザ光への選択的な曝露の後、基質から脱離されている。脱離した細胞は、表面の上方に浮いており、この画像中では大部分は焦点が合っていない。
【0130】
静的な条件下では、脱離した細胞は、再び成長表面に沈降し得る。一部の事例では、そのため、レーザに基づく光脱離が、成長表面を横切る誘導される流体の流れを提供することと併せて行われて、脱離した細胞を、例えば細胞取り出しポートに向かって誘導してよく、それを通して細胞がデバイスから回収され得る。レーザに基づく光脱離と流れによって誘導される脱離細胞の取り出しとの組合せは、人手の介入を通じた(例えば、培地変化または化学的な解離試薬の使用を通じた)汚染の恐れなしに、狙った細胞を取り出すことを可能にする。
【0131】
図6A~6Eは、細胞が成長している基質表面から選択的に細胞を脱離し、取り出すための、誘導される流体流と組み合わせたレーザ光脱離の使用を示す。図6Aは、細胞選択区画内の成長表面の細胞の顕微鏡写真を提供する。図6Bは、細胞を選択的に脱離した後の同じ表面の顕微鏡写真を提供する。図6Cは、レーザ光の照射による、クローン細胞クラスタ内の細胞の選択されたサブセットの選択的脱離および取り出しの図解を提供する。図6Dは、流体の流れが表面を横切って誘導されながら、選択された細胞の下にある表面に沿ってレーザ光が走査されたときの、細胞の漸進的な脱離の図解を提供する。図6Eは、流体の流れが表面を横切って誘導されながら、細胞の下にある表面に沿ってレーザ光が走査され続けたときの、細胞のさらなる漸進的な脱離の図解を提供する。図6Aおよび図6Bでは、図5Aおよび図5Bに示されたものと同じ脱離プロセスが起こっているが、表面を横切って誘導される緩衝液または培養培地の流れで、表面を横切って移動する流体の力により、脱離した細胞からなるシートが折り重なっている。
【0132】
一部の事例では、1つまたは複数のレーザが、レーザ誘起光脱離を行うために使用されてよい。一部の事例では、光脱離は、電磁スペクトルの紫外線(UV)、可視光、または近赤外線(近IR)領域で動作するレーザを使用して行われてよい。適切なレーザ波長の例には、これらに限定されないが、表1にリストされるものが含まれる。一部の事例では、レーザ光脱離は、約1440nm~約1450nmの波長範囲のレーザ光を使用して行われてよい。
【0133】
一部の事例では、使用されるレーザの1つまたは複数が、連続波レーザであってよい。一部の事例では、使用されるレーザの1つまたは複数が、パルス化されたレーザであってよい。選択されるレーザのタイプおよびパルスを生成するために使用される技術(例えば、モード同期固体レーザ、Qスイッチ固体レーザ、または利得スイッチ半導体レーザ)に応じて、レーザパルス周波数は、1Hz未満から100GHz超の範囲であり得る。同様に、選択されるレーザのタイプおよびパルスを生成するために使用される技術に応じて、レーザパルス幅は、1マイクロ秒超から100フェムト秒未満の範囲であり得る。
【0134】
一部の事例では、同じ1つまたは複数のレーザが、フォトポレーション、光脱離、および/または光剥離を行うために使用されてよい。一部の事例では、異なるレーザが、フォトポレーション、光脱離、および/または光剥離を行うために使用されてよい。フォトポレーション、光脱離、および/または光剥離を行うために同じレーザまたはレーザのセットが使用される場合、開示されるデバイスまたはカートリッジと共に使用される装置は、レーザスポットサイズ、レーザスポット形状、レーザ光強度、レーザパルス周波数、レーザパルスエネルギー、少なくとも1つの区画の表面上もしくはその容積内の指定された位置に送達されるレーザパルスの合計数、少なくとも1つの区画の表面に対するもしくはその容積内でのレーザ焦点の位置、またはそれらの任意の組合せを制御することにより、フォトポレーション動作モード、光脱離動作モード、および/または光剥離動作モード間で動作可能に切り替えられてよい。
【0135】
一部の事例では、レーザ誘起光脱離の効率は、約50%~約100%の範囲であり得る。一部の事例では、レーザ誘起光脱離の効率は、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または約100%であってよい。一部の事例では、レーザ誘起光脱離の効率は、多くとも100%、多くとも99%、多くとも98%、多くとも95%、多くとも90%、多くとも85%、多くとも80%、多くとも70%、多くとも60%、または多くとも50%であってよい。この段落に記載される低い方の値と高い方の値の任意のものを組み合わせて、本開示に包含される範囲を形成してよく、例えば、一部の事例では、例えば、一部の事例では、レーザ誘起光脱離の効率は、約60%~約95%の範囲であり得る。当業者は、レーザ誘起光脱離の効率は、この範囲内の任意の値、例えば約93%、を有し得ることを認識されよう。
【0136】
細胞の取り出しおよび検査:一部の事例では、細胞選択区画(または開示されるデバイスもしくはカートリッジ内の任意の区画)内の成長表面から脱離された細胞は、必要に応じてデバイスから取り出され、さらなる検査にかけられてよい。一部の事例では、例えば細胞選択区画および別個の細胞増殖区画を備えているデバイスまたはカートリッジでは、デバイスまたはカートリッジは、細胞選択区画の出口と細胞増殖区画の入口とに動作可能に結合された中間細胞取り出しポートを備えてよく、それにより、脱離された細胞(例えば、1つまたは複数の選択されたクローン細胞クラスタのサブセットまたは一部)が、細胞増殖区画の汚染の恐れなく、便利にデバイスから取り出され得る。
【0137】
デバイスから取り出された1つまたは複数の細胞がかけられ得る検査の例には、これらに限定されないが、核酸シーケンシング、遺伝子発現プロファイリング、変更されたRNA分子、DNA分子、または遺伝子の検出、CRISPRで編集された遺伝子の検出、核酸分子の制限酵素部位分析、タンパク質(例えば、特定のバイオマーカータンパク質、変異タンパク質、レポータータンパク質、もしくは遺伝子操作されたタンパク質など)の検出、変更されたタンパク質機能に起因する細胞内シグナリング経路の変化の検出が含まれる。
【0138】
一部の事例では、検査は、クローン細胞コロニーから脱離されてデバイスから取り出された単一の細胞に行われてよい。一部の事例では、検査のために選択された各クローン細胞コロニーごとにデバイスから取り出される細胞の数(例えば、単一のクローン細胞コロニーから脱離され、取り出された細胞のサブセット)は、200個未満の細胞、100個未満の細胞、50個未満の細胞、40個未満の細胞、30個未満の細胞、20個未満の細胞、10個未満の細胞、または5個未満の細胞であってよい。
【0139】
不適切な表現型または遺伝子型をもつ細胞の光剥離:一部の事例では、選択されない細胞および/または適当でない表現型もしくは遺伝子型を有する細胞(例えば、1つまたは複数のクローン細胞クラスタから細胞のサブセットを脱離し、脱離した細胞を検査のために取り出すことにより決定される)は破壊されてよく、選択されたまたは望ましい細胞(またはクローン細胞クラスタ)だけが細胞増殖のために保持される。一部の事例では、レーザに基づく光剥離は、細胞選択区画、または少なくとも1つの光学的に透明な窓もしくは壁を備えるデバイスもしくはカートリッジ内の任意の他の区画で行われてよい。上記で述べられたように、本明細書で使用され、細胞の溶解および破壊に適用されるものとしての用語「光剥離」は、単一の細胞または細胞のグループを選択的に破壊するために細胞が強力な光のビームにさらされる各種の関連する技術を指し得る。
【0140】
細胞の崩壊は、焦点体積内の放射照度によって主として決まる各種の異なるレーザ光-細胞の相互作用機序を介して発生し得る(Zeigler and Chiu, (2009), “Laser Selection Significantly Affects Cell Viability Following Single-Cell Nanosurgery”, Photochem. Photobiol.85(5): 1218-1224)。細胞の光学的崩壊のための機序は、フェムト秒(fsec)から連続波(cw)までの広い時間スケール範囲にわたって発生し得、各種レーザのうち任意のものの使用を含んでよく、光熱的相互作用、光剥離、またはプラズマ誘起剥離(本明細書では総称的に「光剥離」と呼ばれる)を含んでよい。光熱的相互作用は、局所的な加熱に至る、細胞(または前記細胞に付着したタグ)による光の吸収を含む。形式上、光剥離は、分子による単一の光子の吸収が、結合軌道から非結合軌道へと電子を進ませ、結果としてその分子の解離を生じるときに発生することができる。光剥離はまた、結果として焦点体積から放射される機械的な圧力波を生じ得、これはキャビテーションとしても知られる機序である。プラズマ誘起剥離は、結果としてプラズマ、すなわち焦点体積内の陽イオンおよび自由電子を含むイオン化した気体、の形成を生じさせる多光子吸収プロセスに起因することができ、それは、近傍の細胞や組織の過度な損傷を最小に抑えることができ、またキャビテーション泡の形成にもつながり得る。異なるレーザ細胞相互作用の機序は、対象とする細胞について大きく異なる結果、例えば細胞生存性の差異、につながることがある。それらの機序のうちどれが細胞崩壊の用途において優勢になるかを決定し得る実験パラメータは、レーザパルスの持続時間およびその放射照度であり得る(Zeigler and Chiu, (2009), op.cit.)。
【0141】
開示されるデバイス、方法、およびシステムの一部の事例では、細胞の光剥離(またはフォトポレーション、もしくは光脱離)に使用されるレーザは、約220nm(UV光)~約1500nm(IR光)の範囲のピーク波長の光を発生させてよい。一部の事例では、光剥離(またはフォトポレーション、もしくは光脱離)に使用されるレーザ光のピーク波長は、少なくとも220nm、少なくとも250nm、少なくとも300nm、少なくとも350nm、少なくとも400nm、少なくとも450nm、少なくとも500nm、少なくとも550nm、少なくとも600nm、少なくとも650nm、少なくとも700nm、少なくとも750nm、少なくとも800nm、少なくとも850nm、少なくとも900nm、少なくとも950nm、少なくとも1,000nm、少なくとも1,100nm、少なくとも1,200nm、少なくとも1,300nm、少なくとも1,400nm、または少なくとも1,500nmであってよい。一部の事例では、光剥離(またはフォトポレーション、もしくは光脱離)に使用されるレーザ光のピーク波長は、多くとも1,500nm、多くとも1,400nm、多くとも1,300nm、多くとも1,200nm、多くとも1,100nm、多くとも1,000nm、多くとも950nm、多くとも900nm、多くとも850nm、多くとも800nm、多くとも750nm、多くとも700nm、多くとも650nm、多くとも600nm、多くとも550nm、多くとも500nm、多くとも450nm、多くとも400nm、多くとも350nm、多くとも300nm、多くとも250nm、または多くとも220nmであってよい。この段落に記載される低い方の値と高い方の値の任意のものを組み合わせて、本開示に包含される範囲を形成してよく、例えば、一部の事例では、光剥離(またはフォトポレーション、もしくは光脱離)に使用されるレーザ光のピーク波長は、約1,300nm~約1,500nmの範囲であってよい。当業者は、光剥離(またはフォトポレーション、もしくは光脱離)に使用されるレーザ光のピーク波長は、この範囲内の任意の値、例えば約1,460nm、を有してよいことを認識されよう。
【0142】
開示されるデバイス、方法、およびシステムの一部の事例では、細胞の光剥離(またはフォトポレーション、もしくは光脱離)に使用されるレーザは、ピーク波長およびレーザが連続波レーザであるかまたはパルス化されたレーザであるかに応じて、約0.0001nm~約10nmの範囲のピーク波長またはその近傍を中心とする帯域幅(例えば、半値全幅(FWHM))を有する光を発生させてよい。一部の事例では、帯域幅は、少なくとも0.0001nm、少なくとも0.001nm、少なくとも0.01nm、少なくとも0.1nm、少なくとも1nm、または少なくとも10nmであってよい。一部の事例では、帯域幅は、多くとも10nm、多くとも1nm、多くとも0.1nm、多くとも0.01nm、多くとも0.001nm、または多くとも0.0001nmであってよい。この段落に記載される低い方の値と高い方の値の任意のものを組み合わせて、本開示に包含される範囲を形成してよく、例えば、一部の事例では、帯域幅は、約0.001nm~約1nmの範囲であってよい。当業者は、光剥離に使用されるレーザ光の帯域幅は、この範囲内の任意の値、例えば約0.25nm、を有してよいことを認識されよう。
【0143】
開示されるデバイス、方法、およびシステムの一部の事例では、細胞の光剥離(またはフォトポレーション、もしくは光脱離)に使用されるレーザは、連続波光を発生させてよく、電気光学変調器または電子シャッターが使用されて、任意の長さ(例えば数十ピコ秒~数十秒の範囲)の持続時間の光のパルスを作り出してよい。開示される方法およびシステムの一部の事例では、細胞の光剥離(またはフォトポレーション、もしくは光脱離)に使用されるレーザは、パルス化されたレーザであってよく、約1フェムト秒~約100ミリ秒の範囲の持続時間を有する光パルスを発生させてよい。一部の事例では、光剥離に使用される光パルスは、少なくとも1フェムト秒、少なくとも1ピコ秒、少なくとも1ナノ秒、少なくとも1ミリ秒、少なくとも10ミリ秒、少なくとも100ミリ秒、または少なくとも1秒の持続時間であってよい。一部の事例では、光剥離に使用される光パルスは、多くとも1秒、多くとも100ミリ秒、多くとも10ミリ秒、多くとも1ミリ秒、多くとも1ナノ秒、多くとも1ピコ秒、または多くとも1フェムト秒の持続時間であってよい。この段落に記載される低い方の値と高い方の値の任意のものを組み合わせて、本開示に包含される範囲を形成してよく、例えば、一部の事例では、光剥離(またはフォトポレーション、もしくは光脱離)に使用される光パルスは、持続時間が約1ピコ秒~約1ナノ秒の範囲であってよい。当業者は、光剥離(またはフォトポレーション、もしくは光脱離)に使用されるレーザ光のパルス持続時間は、この範囲内の任意の値、例えば約0.250ナノ秒、を有してよいことを認識されよう。
【0144】
開示されるデバイス、方法、およびシステムの一部の事例では、細胞の光剥離(またはフォトポレーション、もしくは光脱離)に使用されるレーザ光は、使用されるレーザの種類に応じて、約1Hz~約100MHzの範囲のパルス反復周波数でパルス化されてよい。一部の事例では、パルス反復周波数は、少なくとも1Hz、少なくとも10Hz、少なくとも100Hz、少なくとも1KHz、少なくとも10KHz、少なくとも100KHz、少なくとも1MHz、少なくとも10MHz、または少なくとも100MHzであってよい。一部の事例では、パルス反復周波数は、多くとも100MHz、多くとも10MHz、多くとも1MHz、多くとも100KHz、多くとも10KHz、多くとも1KHz、多くとも100Hz、多くとも10Hz、または多くとも1Hzであってよい。この段落に記載される低い方の値と高い方の値の任意のものを組み合わせて、本開示に包含される範囲を形成してよく、例えば、一部の事例では、パルス反復率は、約10Hz~約1MHzの範囲であってよい。当業者は、パルス反復率は、この範囲内の任意の値、例えば約16.5KHz、を有してよいことを認識されよう。
【0145】
一部の事例では、レーザ光放射照度(すなわち、例えばW/cmの単位で測定された、単位表面積当たり送達される放射束(パワー))は、使用されるレーザの種類および試料平面における焦点の大きさに応じて、約0.1W/cm~約1010W/cmの範囲であってよい。一部の事例では、試料表面に送達される放射束は、少なくとも0.1W/cm、少なくとも1W/cm、少なくとも10W/cm、少なくとも100W/cm、少なくとも1,000W/cm、少なくとも10W/cm、少なくとも10W/cm、少なくとも10W/cm、少なくとも10W/cm、少なくとも10W/cm、少なくとも10W/cm、または少なくとも1010W/cmであってよい。一部の事例では、試料表面に送達される放射束は、多くとも多くとも1010W/cm、多くとも10W/cm、多くとも10W/cm、多くとも10W/cm、多くとも10W/cm、多くとも10W/cm、多くとも10W/cm、多くとも1,000W/cm、多くとも100W/cm、多くとも10W/cm、多くとも1W/cm、または多くとも0.1W/cmであってよい。この段落に記載される低い方の値と高い方の値の任意のものを組み合わせて、本開示に包含される範囲を形成してよく、例えば、一部の事例では、試料表面に送達される放射束は、約10W/cm~約1,000W/cmの範囲であってよい。当業者は、試料表面に送達される放射束は、この範囲内の任意の値、例えば約0.8W/cm、を有してよいことを認識されよう。
【0146】
開示される方法およびシステムの一部の事例では、不要な細胞は、毎分約10個の細胞から毎分約200個の細胞の範囲の率で光剥離されてよい。一部の事例では、不要な細胞は、毎分少なくとも10個の細胞、少なくとも20個の細胞、少なくとも30個の細胞、少なくとも40個の細胞、少なくとも50個の細胞、少なくとも60個の細胞、少なくとも70個の細胞、少なくとも80個の細胞、少なくとも90個の細胞、少なくとも100個の細胞、少なくとも110個の細胞、少なくとも120個の細胞、少なくとも130個の細胞、少なくとも140個の細胞、少なくとも150個の細胞、少なくとも160個の細胞、少なくとも170個の細胞、少なくとも180個の細胞、少なくとも190個の細胞、または少なくとも200個の細胞の率で光剥離されてよい。一部の事例では、不要な細胞は、毎分多くとも200個の細胞、多くとも190個の細胞、多くとも180個の細胞、多くとも170個の細胞、多くとも160個の細胞、多くとも150個の細胞、多くとも140個の細胞、多くとも130個の細胞、多くとも120個の細胞、多くとも110個の細胞、多くとも100個の細胞、多くとも90個の細胞、多くとも80個の細胞、多くとも70個の細胞、多くとも60個の細胞、多くとも50個の細胞、多くとも40個の細胞、多くとも30個の細胞、多くとも20個の細胞、または多くとも10個の細胞の率で光剥離されてよい。この段落に記載される低い方の値と高い方の値の任意のものを組み合わせて、本開示に包含される範囲を形成してよく、例えば、一部の事例では、不要な細胞は、毎分約50個の細胞から毎分約180個の細胞の範囲の率で光剥離されてよい。当業者は、光剥離率は、この範囲内の任意の値、例えば毎分約64個の細胞、を有してよいことを認識されよう。
【0147】
開示されるデバイス、方法、およびシステムの一部の事例では、光剥離ステップは、一区画、例えば開示されるデバイスまたはカートリッジの細胞選択区画、内の細胞の約80%~約99%の間の剥離を含んでよい。一部の事例では、表面上または区画内の細胞の少なくとも80%、85%、90%、95%、98%、99%、または99.5%が光剥離され、その表面上に当初あるまたは区画内に含まれている細胞の数は、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも70、少なくとも80、少なくとも90、少なくとも100、少なくとも125、少なくとも150、少なくとも175、少なくとも200個の細胞、少なくとも300個の細胞、少なくとも400個の細胞、または少なくとも500個の細胞である。上記に記載された剥離の割合と表面上に当初あるまたは区画内に含まれている細胞の数との任意の組合せが本開示に含まれる。
【0148】
開示されるデバイス、方法、およびシステムの一部の事例では、破壊のために選択された細胞を生存不能にする際の光剥離反応の効率は、約90%~約99.99%の範囲、またはそれよりも高い。一部の事例では、光剥離ステップの効率は、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.6%、少なくとも99.7%、少なくとも99.8%、少なくとも99.9%、または少なくとも99.99%である。一部の事例では、光剥離ステップの効率は、多くとも99.99%、多くとも99.9%、多くとも99.8%、多くとも99.7%、多くとも99.6%、多くとも99.5%、多くとも99%、多くとも98%、多くとも97%、多くとも96%、多くとも95%、または多くとも90%である。この段落に記載される低い方の値と高い方の値の任意のものを組み合わせて、本開示に包含される範囲を形成してよく、例えば、一部の事例では、光剥離ステップの効率は、約95%~約99.8%の範囲であり得る。当業者は、光剥離ステップの効率は、この範囲内の任意の値、例えば約99.85%、を有し得ることを認識されよう。
【0149】
選択された細胞またはクローン細胞コロニーのさらなる増殖:一部の事例では、選択された細胞またはクローン細胞クラスタ(すなわち、例えば光剥離を使用して破壊されなかった残りの細胞)は、クローン細胞集団を発生させるために1つまたは複数のサイクルの細胞成長および分割にかけられる。一部の事例では、選択された細胞またはクローン細胞クラスタは、成長表面から脱離されて、デバイスまたはカートリッジ内の別個の細胞増殖区画に転送されてよい。
【0150】
一部の事例では、選択された細胞またはクローン細胞クラスタは、細胞選択のために使用されるのと同じ区画内で1つまたは複数のサイクルの細胞成長および分割にかけられてよい。いずれの場合も、細胞には、上記で解説されたようにデバイスまたはカートリッジに内蔵され、細胞選択区画、細胞増殖区画、または細胞増殖に使用される他の区画の入口と流体連通している(動作可能に結合されている)成長培地貯蔵部に必要に応じて貯蔵された新鮮な成長培地が、供給されてよい。
【0151】
一部の事例では、選択された細胞またはクローン細胞クラスタが1つまたは複数のサイクルの細胞成長および分割にかけられるのに伴って、使用済みの成長培地、洗浄緩衝液、または他の流体が、必要に応じて転送され、上記で解説されたようにデバイスまたはカートリッジに内蔵され、細胞選択区画、細胞増殖区画、または細胞増殖に使用される他の区画の出口と流体連通している(動作可能に結合されている)廃棄物貯蔵部に貯蔵されてよい。
【0152】
一部の事例では、選択された細胞またはクローン細胞クラスタは、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、または少なくとも50サイクルの細胞成長および分割にかけられてよい。一部の事例では、選択された細胞またはクローン細胞クラスタは、多くとも50、多くとも40、多くとも30、多くとも20、多くとも15、多くとも10、多くとも5、多くとも4、多くとも3、多くとも2、または多くとも1サイクルの細胞成長および分割にかけられてよい。この段落に記載される低い方の値と高い方の値の任意のものを組み合わせて、本開示に包含される範囲を形成してよく、例えば、一部の事例では、選択された細胞またはクローン細胞クラスタは、約4~約8サイクルの細胞成長および分割にかけられてよい。当業者は、行われる細胞成長および分割のサイクル数は、この範囲内の任意の値、例えば約9サイクル、を有してよいことを認識されよう。
【0153】
一部の事例では、選択された細胞またはクローン細胞クラスタは、それらが成長している表面上で指定されたレベルのコンフルエンスに達するまで、反復される細胞成長および分割のサイクルにかけられてよい。一部の事例では、例えば、選択された細胞またはクローン細胞クラスタは、少なくとも10%のコンフルエンス、少なくとも20%のコンフルエンス、少なくとも30%のコンフルエンス、少なくとも40%のコンフルエンス、少なくとも50%のコンフルエンス、少なくとも60%のコンフルエンス、少なくとも70%のコンフルエンス、少なくとも80%のコンフルエンス、または80%より高いコンフルエンスに達するまで、反復される細胞成長および分割のサイクルにかけられてよい。一部の事例では、選択された細胞またはクローン細胞クラスタは、多くとも80%のコンフルエンス、多くとも70%のコンフルエンス、多くとも60%のコンフルエンス、多くとも50%のコンフルエンス、多くとも40%のコンフルエンス、多くとも30%のコンフルエンス、多くとも20%のコンフルエンス、または多くとも10%のコンフルエンスに達するまで、反復される細胞成長および分割のサイクルにかけられてよい。この段落に記載される低い方の値と高い方の値の任意のものを組み合わせて、本開示に包含される範囲を形成してよく、例えば、一部の事例では、選択された細胞またはクローン細胞クラスタは、約40%~約85%のコンフルエンスに達するまで、反復される細胞成長および分割のサイクルにかけられてよい。当業者は、選択された細胞またはクローン細胞クラスタは、この範囲内の任意の値、例えば約87%のコンフルエンス、に達するまで反復される細胞成長および分割のサイクルにかけられてよいことを認識されよう。
【0154】
細胞成長の監視:一部の事例では、上記で説明されたように、選択された細胞またはクローン細胞クラスタが1つまたは複数のサイクルの細胞成長および分割にかけられるときに、それらの成長状態が、撮像技術または電気インピーダンス測定を使用して監視されてよい。したがって、一部の事例では、細胞増殖に使用される区画は、撮像が行われ得るように、少なくとも1つの光学的に透明な窓または壁を備えてよい。一部の事例では、細胞増殖に使用される区画は、電気インピーダンス測定が行われ得るように、少なくとも一対の内蔵電極(例えば、櫛形電極)を備えてよい。
【0155】
クローン細胞集団の収穫:一部の事例では、クローン細胞集団は、解離試薬または処置で細胞増殖区画(または選択された細胞もしくはクローン細胞クラスタが成長している任意の他の区画)を処置し、脱離/放出された細胞をデバイスまたはカートリッジから取り出すことにより、収穫されてよい。使用され得る解離試薬または処置の例には、これらに限定されないが、機械的脱離(例えば、振とう)、トリプシン処置、トリプシン-EDTA処置、TrypLE(ThermoFisher)、クエン酸食塩水緩衝液処置などが含まれる。収穫される脱離したクローン細胞集団は次いで、細胞増殖区画(または細胞増殖が行われる他の区画)の出口から、例えば適切な成長培地または緩衝液を区画を通して流し、出口から回収槽に出すことにより、取り出されてよい。
【0156】
他の性能指標:上記で述べられたように、開示されるデバイスまたはカートリッジ、ならびに関連する方法およびシステムは、クローン細胞集団の生成において改良された性能指標を提供する。
【0157】
一部の事例では、確実なトランスフェクションおよびクローン細胞集団の生成のために必要とされる入力細胞の総数は、10,000個未満の細胞、7,500個未満の細胞、5,000個未満の細胞、2,500個未満の細胞、1,000個未満の細胞、900個未満の細胞、800個未満の細胞、700個未満の細胞、600個未満の細胞、または500個未満の細胞であってよい。
【0158】
一部の事例では、開示されるデバイスおよびカートリッジ内で細胞トランスフェクションを行う効率は、約10%~約100%の範囲であり得る。一部の事例では、開示されるデバイスおよびカートリッジ内で細胞トランスフェクションを行う効率は、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または約100%であってよい。一部の事例では、開示されるデバイスおよびカートリッジ内で細胞トランスフェクションを行う効率は、多くとも約100%、多くとも99%、多くとも98%、多くとも95%、多くとも90%、多くとも85%、多くとも80%、多くとも70%、多くとも60%、多くとも50%、多くとも40%、多くとも30%、多くとも20%、または多くとも10%であってよい。この段落に記載される低い方の値と高い方の値の任意のものを組み合わせて、本開示に包含される範囲を形成してよく、例えば、一部の事例では、細胞トランスフェクションを行う効率は、約40%~約95%の範囲であり得る。当業者は、細胞トランスフェクションを行う効率は、この範囲内の任意の値、例えば約87%、を有し得ることを認識されよう。
【0159】
一部の事例では、選択プロセスの効率(例えば、個々の細胞またはクローン細胞クラスタを選択し、必要に応じて、選択されたクローン細胞クラスタの一部を検査のために脱離して取り出し、例えばレーザに基づく光剥離を使用してすべての残りの選択されないおよび/または不要な細胞もしくはクローン細胞クラスタを破壊して、生存可能な細胞を得る全体的効率)は、約10%~約100%の範囲であり得る。一部の事例では、選択プロセスの効率は、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または約100%であってよい。一部の事例では、選択プロセスの効率は、多くとも約100%、多くとも99%、多くとも98%、多くとも95%、多くとも90%、多くとも85%、多くとも80%、多くとも70%、多くとも60%、多くとも50%、多くとも40%、多くとも30%、多くとも20%、または多くとも10%であってよい。この段落に記載される低い方の値と高い方の値の任意のものを組み合わせて、本開示に包含される範囲を形成してよく、例えば、一部の事例では、選択プロセスの効率は、約70%~約98%の範囲であり得る。当業者は、細胞トランスフェクションを行う効率は、この範囲内の任意の値、例えば約92%、を有し得ることを認識されよう。
【0160】
一部の事例では、開示されるデバイスおよびカートリッジ内で行われる細胞増殖プロセスの効率(例えば、細胞選択と、検査のための必要に応じた脱離および取り出しと、選択されないおよび/または不要な細胞の光剥離とを行った後に残っており、その後、指定された回数の細胞周期にわたり、または指定されたコンフルエンス状態まで成長させることに成功する生存可能細胞の割合)は、約10%~約100%の範囲であり得る。一部の事例では、細胞増殖プロセスの効率は、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または約100%であってよい。一部の事例では、細胞増殖プロセスの効率は、多くとも約100%、多くとも99%、多くとも98%、多くとも95%、多くとも90%、多くとも85%、多くとも80%、多くとも70%、多くとも60%、多くとも50%、多くとも40%、多くとも30%、多くとも20%、または多くとも10%であってよい。この段落に記載される低い方の値と高い方の値の任意のものを組み合わせて、本開示に包含される範囲を形成してよく、例えば、一部の事例では、細胞増殖プロセスの効率は、約70%~約98%の範囲であり得る。当業者は、細胞増殖プロセスの効率はこの範囲内の任意の値、例えば約89%、を有し得ることを認識されよう。
【0161】
一部の事例では、開示されるデバイスまたはカートリッジ内でクローン集団を生成する全体的効率(例えば、細胞トランスフェクション、細胞選択、および細胞増殖を行う合計効率)は、約10%~約100%の範囲であり得る。一部の事例では、クローン集団を生成する全体的効率は、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または約100%であってよい。一部の事例では、クローン集団を生成する全体的効率は、多くとも約100%、多くとも99%、多くとも98%、多くとも95%、多くとも90%、多くとも85%、多くとも80%、多くとも70%、多くとも60%、多くとも50%、多くとも40%、多くとも30%、多くとも20%、または多くとも10%であってよい。この段落に記載される低い方の値と高い方の値の任意のものを組み合わせて、本開示に包含される範囲を形成してよく、例えば、一部の事例では、クローン集団を生成する全体的効率は、約80%~約95%の範囲であり得る。当業者は、クローン集団を生成する全体的効率は、この範囲内の任意の値、例えば約91%、を有し得ることを認識されよう。
【0162】
一部の事例では、開示されるデバイスまたはカートリッジ(ならびに関連する方法およびシステム)は、クローン細胞集団を生成するために消費される細胞培養試薬の量、および必要とされる試験所空間の大幅な低減をもたらす。例えば、一部の事例では、必要とされる細胞培養試薬(例えば、成長培地、緩衝液等)の総量は、従来の培養プレートまたは他の培養槽形式で使用されるものと比較して、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、または少なくとも95%、低減され得る。
【0163】
システムおよびシステム構成要素:本明細書には、開示されるデバイスまたはカートリッジを使用して上記の方法を行うように構成されたシステムも開示される。一部の事例では、開示されるシステムは、(i)細胞トランスフェクション、細胞選択、および/または細胞増殖を行うための開示されるデバイスまたはカートリッジの1つまたは複数、(ii)表面上または区画、例えば細胞トランスフェクション区画、細胞選択区画、および/または細胞増殖区画、内の細胞を見るために構成された顕微鏡または他の撮像ユニット(光源および1つまたは複数の画像センサまたはカメラを含む)、(iii)フォトポレーション、光脱離、および/または光剥離を行うために構成された1つまたは複数のレーザ(一部の事例では、レーザの1つまたは複数が、撮像ユニットの対物レンズと光学的に結合されて、レーザと対物レンズが連携して、レーザ光を合焦させ、区画内の特定の場所に送達することができるようにしてよい)、(iv)レーザ焦点への個々の細胞の高速で正確な位置付け、または開示されるデバイスもしくはカートリッジ内の表面上のもしくは表面に近いもしくは区画内の特定の位置に、集束レーザ光を誘導することが可能なレーザターゲティングシステム(例えば、並進ステージまたはレーザ走査システム)、(v)1つまたは複数のプロセッサ、コントローラ、またはコンピュータ、(vi)細胞を特定し、一連の1つまたは複数の区画の各々の中でのそれらの位置座標を決定するための画像捕捉および処理ソフトウェア、(vii)レーザ焦点位置、レーザパワー、レーザパルス周波数、および/または曝露時間(滞留時間)を制御するためのレーザターゲティング制御ソフトウェア、(viii)流体制御、画像捕捉、画像処理、レーザターゲティング、ならびにプロセスのレーザ・ポレーション、脱離、および/または剥離ステップを連携させるためのシステム制御ソフトウェア、(ix)デバイスまたはカートリッジ内の細胞を、指定された細胞培養条件の組の下で維持する環境制御チャンバまたはモジュール(例えば、培養器)、あるいは(xi)それらの任意の組合せ、を備えてよい。
【0164】
顕微鏡または撮像ユニット:一部の事例では、開示されるシステムは、1つまたは複数の区画の表面上でまたは区画内で成長している細胞の画像を捕捉するように構成されたカメラを具備した顕微鏡(または他の撮像ユニット)を備えてよい。一部の事例では、顕微鏡は、市販の顕微鏡システム、例えば正立、倒立、または落射蛍光顕微鏡、を備えてよい。一部の事例では、顕微鏡または撮像ユニット(またはモジュール)は、1つもしくは複数のカメラもしくは画像センサ、光源、対物レンズ、その他のレンズ、プリズム、回折格子、ミラー、光学フィルタ、着色ガラスフィルタ、狭帯域干渉フィルタ、広帯域干渉フィルタ、二色性反射体、光学フィルタ、アパーチャ、光ファイバー、光導波管など、またはそれらの任意の組合せを備えてよい。
【0165】
一部の事例では、開示されるシステムの顕微鏡または撮像ユニットは、並進ステージを使用してデバイスまたはカートリッジの位置を変更すると、デバイスまたはカートリッジ内の表面(例えば、区画の成長表面または底部)に顕微鏡または撮像モジュールを再合焦するオートフォーカス機構を備えてよい。一部の事例では、開示されるシステムの顕微鏡または撮像ユニットは、例えばガルバノ走査デバイスまたはマイクロミラーアレイを使用して集束レーザビームの方向を変えると、デバイスまたはカートリッジ内の表面(例えば、区画の成長表面または底部)に顕微鏡または撮像モジュールを再合焦するオートフォーカス機構を備えてよい。
【0166】
これらに限定されないが、タングステンランプ、タングステン-ハロゲンランプ、アーク灯、レーザ、発光ダイオード(LED)、またはレーザダイオードを含む、各種の光源の任意のものが、撮像または励起光を提供するために使用されてよい。一部の事例では、1つまたは複数の光源、およびその他の光学構成要素、例えば、レンズ、フィルタ、アパーチャ、絞り、ミラーなど、の組合せが照明下位システムを構成する。
【0167】
これらに限定されないが、電荷結合素子(CCD)カメラまたはセンサ、画像増強CCDカメラまたはセンサ、CMOS画像カメラまたはセンサなどを含む、各種の画像センサの任意のものが撮像の目的に使用されてよい。一部の事例では、1つまたは複数の画像センサ、およびその他の光学構成要素、例えば、レンズ、フィルタ、アパーチャ、絞り、ミラーなど、の組合せが撮像下位ユニット(または下位モジュール)を構成する。
【0168】
撮像モード:開示される方法およびシステムを実施する際に、各種の撮像モードのいずれかが使用されてよい。例には、これらに限定されないが、明視野撮像、暗視野撮像、位相コントラスト撮像、蛍光撮像、超解像度蛍光撮像、二光子蛍光撮像などが含まれる。一部の事例では、二波長励起および発光(または多波長励起もしくは発光)蛍光撮像が行われてよい。
【0169】
一部の事例では、使用される倍率に応じて、各表面または区画の全体が単一の画像に撮像されてよく、すなわち、視野(FOV)が、表面または区画全体を包含してよい。一部の実施形態では、小さいFOVを構成する一連の画像を「タイリング」または「縫い合わせ」て、表面または区画全体の高解像度画像を作成してよい。一部の事例では、一連の1つまたは複数の画像が、表面または区画の全部分または一部分から取得されてよい。一部の事例では、一連の2つまたはそれより多い画像が、例えば脱離および/または剥離ステップを行う前および行った後の両方に取得された画像を構成してよい。一部の事例では、光脱離ステップを行った後に取得された1つまたは複数の画像を使用して、選択された細胞の脱離が成功したことを確認してよい。一部の事例では、光剥離ステップを行った後に取得された1つまたは複数の画像を使用して、選択された細胞の破壊が成功したことを確認してよい。一部の事例では、一連の画像は、1、2、3、4、5、10、15、20、30、40、50、60、70、80、90、もしくは100個の、またはそれより多い画像を含んでよい。
【0170】
画像処理:開示される方法およびシステムの一部の事例では、画像の前処理および/または画像処理が、手動、半自動、または完全自動方式で行われてよい。一部の事例では、一連の1つまたは複数の画像が、例えば、画像コントラストおよび輝度を補正する、不均一な照明を補正する、光学収差(例えば、球面収差、色収差等)を補正する、ノイズを除去する、など、またはそれらの任意の組合せを行うために、前処理されてよい。一部の事例では、一連の1つまたは複数の画像が、例えば、各画像内の物体(例えば、細胞または下位細胞構造)を特定する、各画像をセグメント化して、特定された物体を分離する、セグメント化された画像をタイリングして合成画像を作成する、特徴抽出を行う(例えば、観察可能な細胞表現型特質などの物体特性の特定および/または定量化)、1つまたは複数の選択された細胞の位置座標を決定する、光脱離および/または光剥離ステップを行った後に取得された1つまたは複数の画像から、選択された細胞の脱離および/または破壊の信頼度を判定する、あるいはそれらの任意の組合せを行うために、処理されてよい。
【0171】
当業者に公知の各種の画像処理方法の任意のものが、画像内の物体を特定するための画像処理に使用されてよい。例には、これらに限定されないが、Cannyエッジ検出方法、Canny-Dericheエッジ検出方法、1次勾配エッジ検出方法(例えば、Sobel演算子)、2次差分エッジ検出方法、位相一致性(位相コヒーレンス)エッジ検出方法、他の画像セグメント化アルゴリズム(例えば、強度閾値処理、強度クラスタリング法、強度ヒストグラムに基づく方法等)、特徴およびパターン認識アルゴリズム(例えば、任意の形状を検出するための一般化されたハフ変換、円ハフ変換等)、画像テクスチャ分析方法(例えば、グレーレベル共起行列)、ならびに数学的分析アルゴリズム(例えば、フーリエ変換、高速フーリエ変換、ウェーブレット分析、自己相関等)、またはそれらの任意の組合せが含まれる。
【0172】
レーザ:開示されるシステム(または装置)は、1つまたは複数のレーザを備えてよい。他個所で述べたように、一部の事例では、同じ1つまたは複数のレーザが、フォトポレーション、光脱離、および/または光剥離を行うために使用されてよい。一部の事例では、異なるレーザが、フォトポレーション、光脱離、および/または光剥離を行うために使用されてよい。各種のレーザの任意のものが、フォトポレーション、光脱離、および/または光剥離の目的に使用されてよい。例には、これらに限定されないが、ダイオード(または半導体)レーザ、固体レーザ、ガスレーザ、およびエキシマレーザが含まれる。ダイオードレーザは、各種波長に利用できる、コンパクトで比較的低パワーの光源を提供することができる。固体レーザは、固体のマトリクス中に分散したレージング(lasing)材料を有することができ、例えば、ルビーまたはネオジウムYAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)レーザなどである。ネオジウム-YAGレーザは、1.064マイクロメートルの赤外光を発することができる。ガスレーザ、例えばヘリウムおよびヘリウム-ネオン(HeNe)レーザは、可視赤色光の主出力を有することができる。COレーザは、遠赤外線(10.6マイクロメートル)のエネルギーを発することができ、硬質材料の切断に使用することができる。エキシマレーザは、電気的に刺激されると擬似分子または二量体を発生させ、レージングされると紫外線波長範囲の光を発生させる、アルゴン、クリプトン、またはキセノンなどの不活性ガスと混合された、塩素およびフッ素などの反応性ガスを使用することができる。
【0173】
上記で述べられたように、開示される方法およびシステムにおいて細胞のフォトポレーション、光脱離、および/または光剥離に使用されるレーザは、約220nm(UV光)~約1500nm(IR光)の範囲のピーク波長の光を発生させ得る。一部の事例では、光剥離に使用されるレーザ光のピーク波長は、少なくとも220nm、少なくとも250nm、少なくとも300nm、少なくとも350nm、少なくとも400nm、少なくとも450nm、少なくとも500nm、少なくとも550nm、少なくとも600nm、少なくとも650nm、少なくとも700nm、少なくとも750nm、少なくとも800nm、少なくとも850nm、少なくとも900nm、少なくとも950nm、少なくとも1,000nm、少なくとも1,100nm、少なくとも1,200nm、少なくとも1,300nm、少なくとも1,400nm、または少なくとも1,500nmであってよい。一部の事例では、光剥離に使用されるレーザ光のピーク波長は、多くとも1,500nm、多くとも1,400nm、多くとも1,300nm、多くとも1,200nm、多くとも1,100nm、多くとも1,000nm、多くとも950nm、多くとも900nm、多くとも850nm、多くとも800nm、多くとも750nm、多くとも700nm、多くとも650nm、多くとも600n、多くとも550nm、多くとも500nm、多くとも450nm、多くとも400nm、多くとも350nm、多くとも300nm、多くとも250nm、または多くとも220nmであってよい。この段落に記載される低い方の値と高い方の値の任意のものを組み合わせて、本開示に包含される範囲を形成してよく、例えば、一部の事例では、光剥離に使用されるレーザ光のピーク波長は、約1,300nm~約1,500nmの範囲であってよい。当業者は、フォトポレーション、光脱離、および/または光剥離に使用されるレーザ光のピーク波長は、この範囲内の任意の値、例えば約1,460nm、を有してよいことを認識されよう。
【0174】
一部の事例では、開示される方法およびシステムにおいて細胞のフォトポレーション、光脱離、および/または光剥離に使用されるレーザは、ピーク波長およびレーザが連続波レーザであるかまたはパルス化されたレーザであるかに応じて、約0.0001nm~約10nmの範囲のピーク波長またはその近傍を中心とする帯域幅(例えば、半値全幅(FWHM))を有する光を発生させてよい。一部の事例では、帯域幅は、少なくとも0.0001nm、少なくとも0.001nm、少なくとも0.01nm、少なくとも0.1nm、少なくとも1nm、または少なくとも10nmであってよい。一部の事例では、帯域幅は、多くとも10nm、多くとも1nm、多くとも0.1nm、多くとも0.01nm、多くとも0.001nm、または多くとも0.0001nmであってよい。この段落に記載される低い方の値と高い方の値の任意のものを組み合わせて、本開示に包含される範囲を形成してよく、例えば、一部の事例では、帯域幅は、約0.001nm~約1nmの範囲であってよい。当業者は、光剥離に使用されるレーザ光の帯域幅は、この範囲内の任意の値、例えば約0.25nm、を有してよいことを認識されよう。
【0175】
一部の事例では、開示される方法およびシステムにおいて細胞のフォトポレーション、光脱離、および/または光剥離に使用されるレーザは、連続波光を発生させてよく、電気光学変調器または電子シャッターが使用されて、任意の長さ(例えば、数十ピコ秒~数十秒の範囲)の持続時間の光のパルスを作り出してよい。開示される方法およびシステムの一部の事例では、細胞のフォトポレーション、光脱離、および/または光剥離に使用されるレーザは、パルス化されたレーザであってよく、約1フェムト秒~約100ミリ秒の範囲の持続時間を有する光パルスを発生させてよい。一部の事例では、フォトポレーション、光脱離、および/または光剥離に使用される光パルスは、少なくとも1フェムト秒、少なくとも1ピコ秒、少なくとも1ナノ秒、少なくとも1ミリ秒、少なくとも10ミリ秒、少なくとも100ミリ秒、または少なくとも1秒の持続時間であってよい。一部の事例では、光剥離に使用される光パルスは、多くとも1秒、多くとも100ミリ秒、多くとも10ミリ秒、多くとも1ミリ秒、多くとも1ナノ秒、多くとも1ピコ秒、または多くとも1フェムト秒の持続時間であってよい。この段落に記載される低い方の値と高い方の値の任意のものを組み合わせて、本開示に包含される範囲を形成してよく、例えば、一部の事例では、フォトポレーション、光脱離、および/または光剥離に使用される光パルスは、持続時間が約1ピコ秒~約1ナノ秒の範囲であってよい。当業者は、フォトポレーション、光脱離、および/または光剥離に使用されるレーザ光のパルス持続時間は、この範囲内の任意の値、例えば約0.250ナノ秒、を有してよいことを認識されよう。
【0176】
一部の事例では、開示される方法およびシステムにおいて細胞のフォトポレーション、光脱離、および/または光剥離に使用されるレーザ光は、使用されるレーザの種類に応じて、約1Hz~約100MHzの範囲のパルス反復周波数でパルス化されてよい。一部の事例では、パルス反復周波数は、少なくとも1Hz、少なくとも10Hz、少なくとも100Hz、少なくとも1KHz、少なくとも10KHz、少なくとも100KHz、少なくとも1MHz、少なくとも10MHz、または少なくとも100MHzであってよい。一部の事例では、パルス反復周波数は、多くとも100MHz、多くとも10MHz、多くとも1MHz、多くとも100KHz、多くとも10KHz、多くとも1KHz、多くとも100Hz、多くとも10Hz、または多くとも1Hzであってよい。この段落に記載される低い方の値と高い方の値の任意のものを組み合わせて、本開示に包含される範囲を形成してよく、例えば、一部の事例では、パルス反復率は、約10Hz~約1MHzの範囲であってよい。当業者は、パルス反復率は、この範囲内の任意の値、例えば約16.5KHz、を有してよいことを認識されよう。
【0177】
一部の事例では、レーザ光放射照度(すなわち、例えばW/cmの単位で測定された、単位表面積当たり送達される放射束(パワー))は、使用されるレーザの種類および試料平面における焦点の大きさに応じて、約0.1W/cm~約1010W/cmの範囲であってよい。一部の事例では、試料表面に送達される放射束は、少なくとも0.1W/cm、少なくとも1W/cm、少なくとも10W/cm、少なくとも100W/cm、少なくとも1,000W/cm、少なくとも10W/cm、少なくとも10W/cm、少なくとも10W/cm、少なくとも10W/cm、少なくとも10W/cm、少なくとも10W/cm、または少なくとも1010W/cmであってよい。一部の事例では、試料表面に送達される放射束は、多くとも多くとも1010W/cm、多くとも10W/cm、多くとも10W/cm、多くとも10W/cm、多くとも10W/cm、多くとも10W/cm、多くとも10W/cm、多くとも1,000W/cm、多くとも100W/cm、多くとも10W/cm、多くとも1W/cm、または多くとも0.1W/cmであってよい。この段落に記載される低い方の値と高い方の値の任意のものを組み合わせて、本開示に包含される範囲を形成してよく、例えば、一部の事例では、試料表面に送達される放射束は、約10W/cm~約1,000W/cmの範囲であってよい。当業者は、試料表面に送達される放射束は、この範囲内の任意の値、例えば約0.8W/cm、を有してよいことを認識されよう。
【0178】
一部の事例では、開示されるシステムは、2つまたはそれより多い細胞が並行してフォトポレーション、光脱離、および/または光剥離され得るように、並行して動作する2つまたはそれより多いレーザを備えてよい(例えば、同じ対物レンズを介して2つのレーザビームが試料平面に送達されるが、ビームそれぞれが、顕微鏡または撮像ユニットの中にまたはそれを貫通して進む異なる光路を有し、それにより異なる対の位置座標を個別に狙わせることができる)。一部の事例では、2つまたはそれより多い細胞が並行してフォトポレーション、光脱離、および/または光剥離され得るように、単一のレーザによって提供されるレーザ光が、同じ対物レンズを介して試料平面に送達される2つまたはそれより多いビームに分割されてよいが、顕微鏡または撮像モジュールの中にまたはそれを貫通して進む異なる光路を使用して、分割されたビームに、異なる対の位置座標を個別に狙わせることができる。
【0179】
他個所で述べたように、一部の事例では、開示されるデバイスまたはカートリッジにおいてレーザ誘起フォトポレーションを行うために使用されるレーザは、光脱離および/または光剥離を行うために使用されるレーザと同じであってよく、そのとき、動作モードは、レーザの平均パワー設定、ピークパワー設定、パルス周波数、パルス持続時間(パルス幅)、曝露時間、の1つもしくは複数、またはそれらの任意の組合せを調整することによって切り替えられてよい。例えば、一部の事例では、同じレーザが光剥離および光脱離を行うために使用されてよく、例えば、パルス幅を一定に(例えば、約300μ秒)保ちながら、パワー設定を最大の約100%(剥離用)から約75%(脱離用)に下げ、集束したレーザスポットが細胞が成長している表面を走査する率を変え(例えば、剥離に使用されるステップサイズ(例えば、X軸ステップサイズ=単位時間当たり5μm;Y軸ステップサイズ=単位時間当たり1μm)を脱離用の異なる値(例えば、X軸ステップサイズ=Y軸ステップサイズ=単位時間当たり15μm)に変える)、それにより表面に送達される有効パワー密度を減らすことにより、2つの動作モード間で切り替えられてよい。
【0180】
レーザターゲティングユニット:述べたように、一部の事例では、開示されるシステムは、画像を取得するために使用される顕微鏡または撮像ユニットの光軸および/または焦点面に対して表面または区画を位置付け、選択された細胞をレーザビームの焦点に対して位置付けるように構成された、並進ステージを備えてよい。一部の事例では、システムは、フォトポレーション、光脱離、および/または光剥離のために選択された1つまたは複数の細胞の位置座標にレーザ光を送達するように構成された走査機構、例えばガルバノ走査システムまたはマイクロミラーアレイ、を備えてよい。
【0181】
一部の事例では、開示される方法およびシステムは、顕微鏡または撮像モジュールの光軸および/または焦点面との関係で、表面または区画を位置付けし直すための高精度X-Y(または一部の場合にはX-Y-Z)並進ステージを利用してよい。適切な並進ステージは、様々な製造業者、例えばParker Hannifin、から市販されている。精密並進ステージシステムは、これらに限定されないが、リニアアクチュエータ、光学エンコーダ、サーボおよび/またはステッパモータ、ならびにモータコントローラまたは駆動ユニットを含む、いくつかの構成要素の組合せを備えることができる。一部の事例では、剥離の対象とされる個々の細胞の正確な位置付けを保証するために、ステージ移動の高い精度および繰り返し精度が、本明細書に開示されるシステムおよび方法に必要とされ得る。そのため、本明細書に開示される方法およびシステムは、並進ステージが顕微鏡もしくは撮像モジュールの光軸との関係でまたはレーザ光ビームの焦点との関係で細胞を位置付けし得る、精度および/または繰り返し精度を指定することをさらに含んでよい。一部の事例では、並進ステージの精度および/または繰り返し精度は、約0.5μm~約5μmの範囲であってよい。一部の事例では、並進ステージの精度および/または繰り返し精度は、少なくとも0.5μm、少なくとも1μm、少なくとも2μm、少なくとも3μm、少なくとも4μm、または少なくとも5μmであってよい。一部の事例では、並進ステージの精度および/または繰り返し精度は、多くとも5μm、多くとも4μm、多くとも3μm、多くとも2μm、多くとも1μm、または多くとも0.5μmであってよい。この段落に記載される低い方の値と高い方の値の任意のものを組み合わせて、本開示に包含される範囲を形成してよく、例えば、一部の事例では、並進ステージの精度および/または繰り返し精度は、約1μm~約4μmの範囲であってよい。当業者は、並進ステージの精度および/または繰り返し精度は、この範囲内の任意の値、例えば1.25μm、を有してよいことを認識されよう。
【0182】
一部の事例では、1つまたは複数のレーザビームを偏向して表面上または区画内の指定された位置に誘導するために、ガルバノ走査システムまたはプログラム可能マイクロミラーアレイが使用されてよい。一部の事例では、並進ステージの精度および/または繰り返し精度は、約0.5μm~約5μmの範囲であってよい。一部の事例では、ガルバノ走査システムまたはプログラム可能マイクロミラーアレイの精度および/または繰り返し精度は、少なくとも0.1μm、少なくとも0.5μm、少なくとも1μm、少なくとも2μm、少なくとも3μm、少なくとも4μm、または少なくとも5μmであってよい。一部の事例では、ガルバノ走査システムまたはプログラム可能マイクロミラーアレイの精度および/または繰り返し精度は、多くとも5μm、多くとも4μm、多くとも3μm、多くとも2μm、多くとも1μm、多くとも0.5μm、または多くとも0.1μmであってよい。この段落に記載される低い方の値と高い方の値の任意のものを組み合わせて、本開示に包含される範囲を形成してよく、例えば、一部の事例では、ガルバノ走査システムまたはプログラム可能マイクロミラーアレイの精度および/または繰り返し精度は、約0.1μm~約2μmの範囲であってよい。当業者は、ガルバノ走査システムまたはプログラム可能マイクロミラーアレイの精度および/または繰り返し精度は、この範囲内の任意の値、例えば0.55μm、を有してよいことを認識されよう。
【0183】
フルイディクスコントローラ:一部の事例では、開示されるシステムは、開示されるデバイスまたはカートリッジに導入される1つまたは複数の流体(例えば、細胞培養または成長培地、緩衝液等)についてのタイミングおよび/または流量の、手動の、半自動化された、および/または完全自動化された、ならびにプログラム可能な制御を提供するように構成された1つまたは複数のフルイディクスコントローラをさらに備えてよい。流体流は、例えばプログラム可能なシリンジポンプ、蠕動ポンプ、HPLCポンプ等を使用して制御されてよい。
【0184】
流体の流量または速度は、約0.1mm/秒~約1,400mm/秒の範囲であってよい。一部の事例では、速度は、少なくとも0.1mm/秒、少なくとも1mm/秒、少なくとも10mm/秒、少なくとも20mm/秒、少なくとも30mm/秒、少なくとも40mm/秒、少なくとも50mm/秒、少なくとも60mm/秒、少なくとも70mm/秒、少なくとも80mm/秒、少なくとも90mm/秒、少なくとも100mm/秒、少なくとも200mm/秒、少なくとも300mm/秒、少なくとも400mm/秒、少なくとも500mm/秒、少なくとも600mm/秒、少なくとも700mm/秒、少なくとも800mm/秒、少なくとも900mm/秒、少なくとも1,000mm/秒、少なくとも1,100mm/秒 少なくとも1,200mm/秒、少なくとも1,300mm/秒、または少なくとも1,400mm/秒であってよい。一部の事例では、速度は、多くとも1,400mm/秒、多くとも1,300mm/秒、多くとも1,200mm/秒、多くとも1,100mm/秒、多くとも1,000mm/秒、多くとも900mm/秒、多くとも800mm/秒、多くとも700mm/秒、多くとも600mm/秒、多くとも500mm/秒、多くとも400mm/秒、多くとも300mm/秒、多くとも200mm/秒、多くとも100mm/秒、多くとも90mm/秒、多くとも80mm/秒、多くとも70mm/秒、多くとも60mm/秒、多くとも50mm/秒、多くとも40mm/秒、多くとも30mm/秒、多くとも20mm/秒、多くとも15mm/秒、多くとも10mm/秒、多くとも1mm/秒、多くとも0.1mm/秒であってよい。この段落に記載される低い方の値と高い方の値の任意のものを組み合わせて、本開示に包含される範囲を形成してよく、例えば、一部の事例では、速度は、約10mm/秒~約1,000mm/秒の範囲であってよい。当業者は、速度は、この範囲内の任意の値、例えば約24mm/秒、を有してよいことを認識されよう。
【0185】
一部の事例では、体積流量は、約1マイクロリットル/秒~約1ミリリットル/秒の範囲であってよい。一部の事例では、体積流量は、少なくとも1マイクロリットル/秒、少なくとも5マイクロリットル/秒、少なくとも10マイクロリットル/秒、少なくとも25マイクロリットル/秒、少なくとも50マイクロリットル/秒、少なくとも75マイクロリットル/秒、少なくとも100マイクロリットル/秒、少なくとも200マイクロリットル/秒、少なくとも300マイクロリットル/秒、少なくとも400マイクロリットル/秒、少なくとも500マイクロリットル/秒、少なくとも600マイクロリットル/秒、少なくとも700マイクロリットル/秒、少なくとも800マイクロリットル/秒、少なくとも900マイクロリットル/秒、または少なくとも1マイクロリットル/秒であってよい。一部の事例では、体積流量は、多くとも1マイクロリットル/秒、多くとも900マイクロリットル/秒、多くとも800マイクロリットル/秒、多くとも700マイクロリットル/秒、多くとも600マイクロリットル/秒、多くとも500マイクロリットル/秒、多くとも400マイクロリットル/秒、多くとも300マイクロリットル/秒、多くとも200マイクロリットル/秒、多くとも100マイクロリットル/秒、多くとも75マイクロリットル/秒、多くとも50マイクロリットル/秒、多くとも25マイクロリットル/秒、多くとも10マイクロリットル/秒、または多くとも1マイクロリットル/秒であってよい。この段落に記載される低い方の値と高い方の値の任意のものを組み合わせて、本開示に包含される範囲を形成してよく、例えば、一部の事例では、体積流量は、約100マイクロリットル/秒~約500マイクロリットル/秒の範囲であってよい。当業者は、体積流量は、この範囲内の任意の値、例えば約10.35マイクロリットル/秒、を有してよいことを認識されよう。
【0186】
温度コントローラ:一部の実施形態では、開示されるシステムは、開示されるデバイスおよびカートリッジの1つまたは複数の区画を指定温度に維持するように構成された、1つまたは複数の温度コントローラおよび/または熱インターフェース特徴をさらに備えてよい。適切な温度制御要素の例には、これらに限定されないが、抵抗加熱要素、微小赤外線放出光源、ペルティエ加熱または冷却デバイス、ヒートシンク、サーミスタ、熱電対等が含まれる。熱インターフェース特徴は通例、良好な熱伝導体である材料(例えば、銅、金、銀等)から製作され、通例は、デバイスもしくはカートリッジの少なくとも1つの外部表面、および/または外部の加熱ブロックもしくは冷却ブロックとの良好な熱接触をなすことが可能な1つまたは複数の平坦な表面を備える。
【0187】
一部の事例では、温度コントローラは、開示されるデバイスおよびカートリッジの1つまたは複数の区画を、指定温度にまたは指定温度の指定範囲内に維持するように構成されてよい。一部の事例では、指定温度は、21℃、22℃、23℃、24℃、25℃、26℃、27℃、28℃、29℃、30℃、31℃、32℃、33℃、34℃、35℃、36℃、37℃、38℃、39℃、40℃、41℃、または42℃であってよい。一部の事例では、温度コントローラは、開示されるデバイスおよびカートリッジの1つまたは複数の区画を、指定温度の±0.1℃、±0.5℃、または±1℃以内に維持するように構成されてよい。
【0188】
システムコントローラ:一部の事例では、開示されるシステムは、以下を行うためのプログラム可能なソフトウェア符号化命令を実行するように構成された、1つまたは複数のプロセッサ、コントローラ、および/またはコンピュータを備えてよい:(i)細胞撮像、細胞選択、および細胞増殖中に細胞の生存性を最適化および/または維持するために、環境制御チャンバ内のまたは開示されるデバイスおよびカートリッジ内の環境パラメータ(例えば、温度、湿度、O濃度、CO濃度等)を設定および維持する、(ii)照明光設定(例えば、強度および波長)および画像取得(例えば、曝露時間、曝露周波数、取得される画像の数等)を制御する、(iii)画像の前処理(例えば、画像コントラストおよび輝度の補正、不均一な照明の補正、光学収差の補正、ノイズの除去等、もしくはそれらの任意の組合せ)、および/または、画像処理(一連の1つまたは複数の画像の各画像内の物体(例えば、細胞もしくは部分細胞構造)の特定、特定された物体を分離するための各画像のセグメント化、合成画像を作成するためのセグメント化された画像のタイリング、特徴抽出の実行(例えば、観察可能な細胞表現型特質などの物体の性質の特定および/または定量化)、1つまたは複数の選択された細胞の位置座標の決定、剥離ステップを行った後に取得された1つまたは複数の画像からの、選択された細胞の破壊についての信頼度の決定等、またはそれらの任意の組合せ)を制御する、(iv)選択されないもしくは不要な細胞のフォトポレーション、光脱離、および/または光剥離を行うために、レーザターゲティングシステムを制御する(例えば、選択された細胞の位置座標を読み取り、選択された細胞が順次レーザビームの焦点内に位置するように並進ステージを位置付けし直す、またはレーザビームの方向を変えることによる)、(v)レーザ出力(例えば、選択された細胞が曝露されるレーザ光の強度、パルス周波数、および/または持続時間)を制御する、ならびに(vi)ラボラトリ情報管理(LIMS)システムへのプロセス制御データおよび/または画像から導出されたデータの転送を制御する、またはこれらのステップの組合せ。一部の事例では、システムコントローラは、フルイディクスの制御および/または温度制御機能をさらに備えてよい。
【0189】
一部の事例では、開示されるシステムの1つまたは複数のプロセッサ、コントローラ、またはコンピュータはさらに、クローン細胞集団生成システムと長期細胞培養培養器との間でデバイスまたはカートリッジを往復移動するプレート操縦ロボットシステムを制御するための、プログラム可能なソフトウェア符号化命令を実行するように構成されてよい。
【0190】
一部の事例では、開示されるシステムの1つまたは複数のプロセッサは、中央演算処理装置(CPU)、グラフィック処理ユニット(GPU)、汎用処理ユニット、またはコンピューティングプラットフォームなどのハードウェアプロセッサを備えてよい。1つまたは複数のプロセッサは、各種の適切な集積回路(例えば、開示される画像処理に基づく方法を実装するように特別に設計された特定用途集積回路(ASIC)、もしくは演算時間を高速化させるおよび/または配備を容易にするフィールドプログラム可能ゲートアレイ(FPGA)等)、マイクロプロセッサ、登場しつつある次世代マイクロプロセッサ設計(例えば、メモリスタ(memristor)ベースのプロセッサ)、ロジックデバイスなどの任意のものからなってよい。本開示はプロセッサを参照して説明されるが、他の種類の集積回路およびロジックデバイスも適用可能であり得る。プロセッサは、任意の好適なデータ操作能力を有してよい。例えば、プロセッサは、512ビット、256ビット、128ビット、64ビット、32ビット、または16ビットのデータ操作を行い得る。1つまたは複数のプロセッサは、単一コアもしくはマルチコアプロセッサ、または並列処理用に構成された複数のプロセッサであってよい。
【0191】
開示される方法およびシステムを実装するために使用される1つまたは複数のプロセッサまたはコンピュータは、より大きいコンピュータシステムの一部であっても、ならびに/または、プロセスデータおよび/もしくは実験結果の伝送および共有を容易にするために、通信インターフェースを利用してコンピュータネットワーク(または「ネットワーク」)に動作的に結合されてもよい。ネットワークは、ローカルエリアネットワーク、イントラネットおよび/もしくはエクストラネット、インターネットと通信しているイントラネットおよび/もしくはエクストラネット、またはインターネットであってよい。一部の場合におけるネットワークは、遠隔通信ネットワークおよび/またはデータネットワークである。ネットワークは、一部の場合にはクラウドコンピューティングなどの分散コンピューティングを可能にする、1つまたは複数のコンピュータサーバを含んでよい。ネットワークは、一部の場合には、コンピュータシステムを利用して、コンピュータシステムに結合されたデバイスがクライアントまたはサーバとして振舞うことを可能にし得る、ピアツーピアネットワークを実装してよい。
【0192】
コンピュータシステムは、メモリもしくは記憶場所(例えば、ランダムアクセスメモリ、読出し専用メモリ、フラッシュメモリ、Intel(登録商標)Optane(商標)技術)、電子記憶装置(例えば、ハードディスク)、1つまたは複数の他のシステムと通信するための通信インターフェース(例えば、ネットワークアダプタ)、ならびにキャッシュや他のメモリ、データストレージおよび/または電子ディスプレイアダプタなどの周辺装置も含んでよい。メモリ、記憶装置、インターフェース、および周辺装置は、例えばマザーボードに見られるような通信バスを通じて、1つまたは複数のプロセッサ、例えばCPU、と通信してよい。記憶装置は、データを記憶するためのデータ記憶装置(またはデータリポジトリ)であってよい。
【0193】
1つまたは複数のプロセッサ、例えばCPUは、プログラム(または「ソフトウェア」)として具現化される一続きの機械可読命令を実行する。命令は、記憶場所に記憶される。命令はCPUに送られ、その後、本開示の方法を実装するようにCPUをプログラムするかまたはその他の方法で構成する。CPUによって行われる動作の例には、フェッチ、復号、実行、および書き戻しが含まれる。CPUは、集積回路などの回路の一部であってよい。システムの1つまたは複数の他の構成要素が、回路に含まれてよい。一部の場合には、回路は特定用途集積回路(ASIC)である。
【0194】
一部の事例では、本開示のコンピュータシステムは、ドライバ、ライブラリ、および保存されたプログラムなどのファイルを記憶する記憶装置を備えてよい。記憶装置は、ユーザデータ、例えばユーザによって指定された選好やユーザによって指定されたプログラム、を記憶してよい。コンピュータシステムは、一部の場合には、イントラネットまたはインターネットを通じてコンピュータシステムと通信する遠隔サーバに位置するなど、コンピュータシステムの外部にある、1つまたは複数の追加的なデータ記憶装置を含んでよい。
【0195】
ソフトウェア:培養プレートウェル内の細胞を選択して剥離するための開示される方法などの、本明細書に提供される方法およびシステムの一部の態様は、例えばメモリまたは電子記憶装置などのコンピュータシステムの電子記憶場所に記憶された機械実行可能コード(プロセッサ実行可能コード)を介して実装される。機械実行可能または機械可読コードは、ソフトウェアの形態で提供される。使用中、コードは、1つまたは複数のプロセッサによって実行される。一部の場合には、コードは、記憶装置から取り出され、1つまたは複数のプロセッサによる即座のアクセスのためにメモリに記憶される。状況によっては、電子記憶装置が含まれず、機械実行可能命令はメモリに記憶される。コードは、事前にコンパイルされて、当該コードを実行するために適合された1つまたは複数のプロセッサを有する機械と共に使用するために構成されても、または実行時にコンパイルされてもよい。コードは、コードを事前にコンパイルされた様式または都度コンパイルされる様式で実行できるようにするために選択されるプログラミング言語で供給されてよい。
【0196】
開示される方法およびシステムの様々な態様は、「製品」または「製造品」、例えば、通例は機械(もしくはプロセッサ)実行可能コードおよび/またはある種類の機械可読媒体に記憶されている関連データの形態である「コンピュータプログラムまたはソフトウェア製品」、と考えられてよく、実行可能コードは、本明細書に開示される方法の1つまたは複数を行う際にコンピュータまたはコンピュータシステムを制御するための複数の命令を含む。機械実行可能コードは、光学ディスク、CD-ROM、DVD、またはBlu-Ray(登録商標)ディスクなどの光学的に可読な媒体を備える光学記憶装置に記憶されてよい。機械実行可能コードは、メモリ(例えば、読出し専用メモリ、ランダムアクセスメモリ、フラッシュメモリ)またはハードディスクなどの、電子記憶装置に記憶されてよい。「記憶」型の媒体は、コンピュータ、プロセッサなど、またはその関連するモジュールの有形のメモリ、例えば様々な半導体メモリチップ、光学ドライブ、テープドライブ、ディスクドライブなどの任意のものまたはすべてを含み、これらは、本明細書に開示される方法およびアルゴリズムを符号化したソフトウェアのために、任意のときに非一時的な記憶を提供してよい。
【0197】
ソフトウェアコードのすべてまたは一部が、ときに、インターネットまたは様々な他の遠隔通信ネットワークを介して通信されてよい。そのような通信は、例えば、1つのコンピュータまたはプロセッサから別のものに、例えば管理サーバまたはホストコンピュータからアプリケーションサーバのコンピュータプラットフォームに、ソフトウェアをロードすることを可能にする。よって、ソフトウェア符号化命令を伝達するために使用される他の種類の培地には、ローカルデバイス間の物理的インターフェースにまたがって、有線および光学的な陸線ネットワークを通じて、ならびに様々な大気リンクを通じて使用されるものなどの、光学、電気、および電磁波が含まれる。有線または無線リンク、光リンクなどの、そのような波を搬送する物理的要素も、本明細書に開示される方法を行うためのソフトウェア符号化命令を伝達する媒体と考えられる。本明細書において使用される場合、非一時的なものに制約されない限り、コンピュータまたは機械「可読媒体」などの、有形の「記憶」媒体という用語は、実行のためにプロセッサに命令を提供することに関与する任意の媒体を指す。
【0198】
コンピュータシステムは通例、例えばマシンビジョンシステムによって捕捉された画像を提供するために、電子ディスプレイを含むかまたは電子ディスプレイと通信してよい。ディスプレイは通例、ユーザインターフェース(UI)を提供することも可能である。UIの例には、これらに限定されないが、グラフィカルユーザインターフェース(GUI)、ウェブベースのユーザインターフェースなどが含まれる。
【0199】
図7は、本開示の一態様によるクローン細胞集団生成光剥離システムを制御するために使用されるシステム制御ソフトウェアのブロック図の例を提供する。一部の事例では、制御ソフトウェアは、(i)画像取得モジュール、(ii)画像処理モジュール、(iii)レーザターゲティング制御モジュール、(iv)レーザ出力制御モジュール、(v)環境制御モジュール、および/もしくは(vi)LIMSインターフェース、またはそれらの任意の組合せ、と通信するおよび/またはそれらを制御するための機械可読または機械実行可能命令を備えてよい。一部の事例では、システム制御ソフトウェアは、本開示のクローン細胞集団生成システムを、(vii)クローン細胞集団生成システムと長期細胞培養培養器との間でデバイスまたはカートリッジを往復移動するためのロボットプレート操縦システム、とインターフェースするためのソフトウェアをさらに備えてよい。
【0200】
一部の事例では、システム制御ソフトウェアおよびそのすべての構成要素モジュールは、単一のプロセッサまたはコンピュータによって実行されてよい。一部の事例では、システム制御ソフトウェアおよび構成要素モジュールの1つまたは複数は、異なるプロセッサまたはコンピュータで実行されてよい。一部の事例では、システム制御ソフトウェアおよび/またはその構成要素モジュールのすべてまたは一部が、コンピュータネットワークおよび/またはクラウドベースのコンピューティングシステムによって実行されてよい。
【0201】
用途:本明細書に開示される方法およびシステムは、概して細胞のクローン集団の作製に適用可能である。開示される方法およびシステムが適用され得る具体的な用途の例には、これらに限定されないが、トランスフェクションされた細胞のクローン集団(無作為にトランスフェクションされた細胞、もしくは狙いを付けたトランスフェクションから生じた細胞のクローン集団を含む)、遺伝子編集された細胞(例えば、特定のCRISPR編集を含むクローン細胞集団)、未分化の幹細胞、in vitroで分化させた幹細胞、人工多能性幹細胞(iPSC)、哺乳動物細胞、植物細胞などのクローン集団の生成が含まれる。
【0202】
本開示の例示的な非制限的態様
上記で説明された本開示の主題の実施形態を含む態様は、単独で、または1つもしくは複数の他の態様もしくは実施形態との組合せで有益であり得る。上記の説明を制限することなく、1~142の番号が付された本開示のある特定の非制限的態様が以下に提供される。本開示を読むと当業者に明らかになるように、個々に番号が付された態様の各々は、先行するまたは後続の個々に番号が付された態様のうち任意のものと共に使用される、または組み合わせられてよい。これは、そのようなすべての態様の組合せに対する裏付けを提供するものであり、以下に提供される態様の組合せに制限されない。
実施形態1。 a)細胞トランスフェクションを行うために構成された第1の区画であって、細胞試料を導入するために構成された第1の入口を備える第1の区画と、
b)細胞選択を行うために構成された第2の区画であって、前記第2の区画の入口が前記第1の区画の出口に動作可能に結合されており、前記第2の区画が、少なくとも1つの光学的に透明な壁と、中間細胞取り出しポートに動作可能に結合された出口とをさらに備える、第2の区画と、
c)細胞増殖を行うために構成された第3の区画であって、前記第3の区画の入口が前記第2の区画の前記出口に動作可能に結合されている、第3の区画と、
を備えているカートリッジ。
実施形態2。 a)細胞トランスフェクションを行うために構成された第1の区画であって、細胞試料を導入するために構成された第1の入口を備える第1の区画と、
b)細胞選択を行うために構成された第2の区画であって、前記第2の区画の入口が前記第1の区画の出口に動作可能に結合されており、前記第2の区画が、少なくとも1つの光学的に透明な壁をさらに備える、第2の区画と、
c)細胞増殖を行うために構成された第3の区画であって、前記第3の区画が、電気インピーダンス測定を行うために構成された少なくとも一対の電極を備えており、前記第3の区画の入口が前記第2の区画の出口に動作可能に結合されている、第3の区画と、
を備えているカートリッジ。
実施形態3。 a)細胞トランスフェクションを行うために構成された第1の区画であって、細胞試料を導入するために構成された第1の入口を備える第1の区画と、
b)細胞選択を行うために構成された第2の区画であって、前記第2の区画の入口が前記第1の区画の出口に動作可能に結合されており、前記第2の区画が、光剥離および光脱離を行うためのレーザ光の供給源に動作可能に結合された少なくとも1つの光学的に透明な壁を備える、第2の区画と、
c)細胞増殖を行うために構成された第3の区画であって、前記第3の区画の入口が前記第2の流体区画の出口に動作可能に結合されている、第3の区画と、
を備えているカートリッジ。
実施形態4。 細胞トランスフェクション、細胞選択、および/または細胞増殖の1つまたは複数を行うために構成された少なくとも1つの区画を備えたカートリッジであって、前記カートリッジが、細胞試料を導入するために構成された入口を備え、前記少なくとも1つの区画が光学的に透明な壁を備えている、カートリッジ
を備えている、システム。
実施形態5。 光脱離プロセスおよび/または光剥離プロセスの実行を容易にするための光源をさらに備えている、実施形態4に記載のシステム。
実施形態6。 前記カートリッジが、細胞選択のための少なくとも1つの区画と、細胞増殖のための少なくとも1つの区画とを備えている、実施形態4または5に記載のシステム。
実施形態7。 前記カートリッジが、細胞選択のための複数の区画と、細胞増殖のための複数の区画とを備えている、実施形態4から6のいずれか一項に記載のシステム。
実施形態8。 前記カートリッジが、細胞選択のための少なくとも4つの区画、細胞選択のための少なくとも8つの区画、細胞選択のための少なくとも16個の区画、細胞選択のための少なくとも32個の区画、細胞選択のための少なくとも64個の区画、または細胞選択のための少なくとも96個の区画を備えている、実施形態4から7のいずれか一項に記載のシステム。
実施形態9。 前記カートリッジが、細胞増殖のための少なくとも4つの区画、細胞増殖のための少なくとも8つの区画、細胞増殖のための少なくとも16個の区画、細胞増殖のための少なくとも32個の区画、細胞増殖のための少なくとも64個の区画、または細胞増殖のための少なくとも96個の区画を備えている、実施形態4から8のいずれか一項に記載のシステム。
実施形態10。 前記カートリッジが、細胞トランスフェクションのための少なくとも1つの区画を備えている、実施形態4から9のいずれか一項に記載のシステム。
実施形態11。 前記カートリッジが、細胞トランスフェクションのための区画を備えていない、実施形態4から9のいずれか一項に記載のシステム。
実施形態12。 前記第1の区画または少なくとも1つの区画が、(i)トランスフェクション剤を導入するために構成された第2の入口、(ii)くびれた流路、(iii)前記第1の区画または少なくとも1つの区画の対向する表面と電気接触し、前記表面上に位置付けられた、電極の対、および(iv)光学的に透明な壁、のうち少なくとも1つをさらに備えている、実施形態1から10のいずれか一項に記載のカートリッジまたはシステム。
実施形態13。 前記電極の対が、白金、金、銀、銅、亜鉛、アルミニウム、グラフェン、または酸化インジウムスズから製作されている、実施形態12に記載のカートリッジまたはシステム。
実施形態14。 前記第1の区画または少なくとも1つの区画の前記光学的に透明な壁が、電磁スペクトルの紫外線、可視光、もしくは近赤外線領域、またはそれらの任意の組合せにおいて透明である、実施形態5から13のいずれか一項に記載のカートリッジまたはシステム。
実施形態15。 前記細胞選択区画が、内側表面上の窪みのパターン、および/または内側表面上の基質のパターンを備えている、実施形態5から14のいずれか一項に記載のカートリッジまたはシステム。
実施形態16。 前記細胞増殖区画が、内側表面上の窪みのパターン、および/または内側表面上の基質のパターンを備えている、実施形態5から15のいずれか一項に記載のカートリッジまたはシステム。
実施形態17。 前記基質がタンパク質基質である、実施形態15または16に記載のカートリッジまたはシステム。
実施形態18。 前記窪みのパターンおよび/または前記基質のパターンが、前記区画内の細胞移動を防止するように構成されている、実施形態15から17のいずれか一項に記載のカートリッジまたはシステム。
実施形態19。 前記第2の区画または少なくとも1つの区画の容積が、約1マイクロリットル~約10ミリリットルの間である、実施形態1から18のいずれか一項に記載のカートリッジまたはシステム。
実施形態20。 前記第2の区画または少なくとも1つの区画の前記光学的に透明な壁が、電磁スペクトルの紫外線、可視光、もしくは近赤外線領域、またはそれらの任意の組合せにおいて透明である、実施形態1から19のいずれか一項に記載のカートリッジまたはシステム。
実施形態21。 前記第2の区画または少なくとも1つの区画の前記光学的に透明な壁が、約1440nm~約1450nmの範囲で透明である、実施形態1から20のいずれか一項に記載のカートリッジまたはシステム。
実施形態22。 前記第2の区画または少なくとも1つの区画の壁が、付着性細胞の付着を容易にするための表面コーティングまたは表面処置を備えている、実施形態1から21のいずれか一項に記載のカートリッジまたはシステム。
実施形態23。 前記第2の区画または少なくとも1つの区画の壁が、懸濁液細胞の付着を容易にするための表面コーティングまたは表面処置を備えている、実施形態1から22のいずれか一項に記載のカートリッジまたはシステム。
実施形態24。 前記表面コーティングが、α-ポリリジンコーティング、コラーゲンコーティング、ポリ-l-オルニチン、フィブロネクチンコーティング、ラミニンコーティング、Synthemax(商標)ビトロネクチンコーティング、iMatrix-511組換えラミニンコーティング、およびそれらの任意の組合せからなる群から選択される、実施形態22または実施形態23に記載のカートリッジまたはシステム。
実施形態25。 前記表面処置が、プラズマ処置、UV処置、オゾン処置、またはそれらの任意の組合せを含む、実施形態22または実施形態23に記載のカートリッジまたはシステム。
実施形態26。 前記表面コーティングまたは表面処置を備える前記第2の区画または少なくとも1つの区画の前記壁が、前記光学的に透明な壁である、実施形態22から25のいずれか一項に記載のカートリッジまたはシステム。
実施形態27。 前記第2の区画(または少なくとも1つの区画)が、物理的障壁も、流れくびれ部も、その中に配置された仕切りもない、チャンバを備えている、実施形態1から26のいずれか一項に記載のカートリッジまたはシステム。
実施形態28。 前記第3の区画(または少なくとも1つの区画)の最も長い寸法が、約1センチメートル~約20センチメートルの間である、実施形態1から27のいずれか一項に記載のカートリッジまたはシステム。
実施形態29。 前記第3の区画(または少なくとも1つの区画)の容積が、約1マイクロリットル~約1ミリリットルの間である、実施形態1から28のいずれか一項に記載のカートリッジまたはシステム。
実施形態30。 前記第3の区画(または少なくとも1つの区画)が、少なくとも1つの光学的に透明な壁をさらに備えている、実施形態1から29のいずれか一項に記載のカートリッジまたはシステム。
実施形態31。 前記光学的に透明な壁が、電磁スペクトルの紫外線、可視光、もしくは近赤外線領域、またはそれらの任意の組合せにおいて透明である、実施形態30に記載のカートリッジまたはシステム。
実施形態32。 前記第3の区画(または少なくとも1つの区画)が電気インピーダンス測定を行うために構成された少なくとも一対の電極をさらに備えている、実施形態1から31のいずれか一項に記載のカートリッジまたはシステム。
実施形態33。 細胞成長培地を収納するために構成された第4の区画(または少なくとも1つの区画)をさらに備えている、実施形態1から32のいずれか一項に記載のカートリッジまたはシステム。
実施形態34。 廃棄物を収納するために構成された第5の区画(または少なくとも1つの区画)をさらに備えている、実施形態1から33のいずれか一項に記載のカートリッジまたはシステム。
実施形態35。 前記第4または第5の区画(または少なくとも1つの区画)が、気体透過性の膜をさらに備えている、実施形態33または実施形態34のいずれか一項に記載のカートリッジまたはシステム。
実施形態36。 前記第2の区画(または少なくとも1つの区画)の前記入口が、前記第2の区画(または前記少なくとも1つの区画)内の表面からの細胞の脱離を容易にする試薬の供給源に動作可能に結合されている、実施形態1から35のいずれか一項に記載のカートリッジまたはシステム。
実施形態37。 前記第3の区画(または少なくとも1つの区画)の前記入口が、前記第3の区画(または少なくとも第2の区画)内の表面からの細胞の脱離を容易にする試薬の供給源に動作可能に結合されている、実施形態1から36のいずれか一項に記載のカートリッジまたはシステム。
実施形態38。 前記カートリッジが、ガラス、溶融シリカ、シリコン、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリイミド(PI)、環状オレフィンポリマー(COP)、環状オレフィンコポリマー(COC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリスチレン(PS)、エポキシ樹脂、セラミック、金属、またはそれらの任意の組合せから製作されている、実施形態1から37のいずれか一項に記載のカートリッジ。
実施形態39。 前記第2の区画(または少なくとも1つの区画)の前記出口が、弁を使用して、前記細胞取り出しポートおよび前記第3の区画(または少なくとも第2の区画)の前記入口に動作可能に結合されている、実施形態1から38のいずれか一項に記載のカートリッジまたはシステム。
実施形態40。 前記第3の区画(または少なくとも1つの区画)の前記入口が、弁を使用して、前記第2の区画(または少なくとも第2の区画)の前記出口および前記第4の区画(または少なくとも第3の区画)の出口に動作可能に結合されている、実施形態33から40のいずれか一項に記載のカートリッジまたはシステム。
実施形態41。 前記弁がプログラム可能な三方弁である、実施形態39または実施形態40に記載のカートリッジまたはシステム。
実施形態42。 マイクロ流体カートリッジが、米国国家規格協会(ANSI)規格番号SLAS 4-2004(R2012)に準拠したフットプリントを有する、実施形態1から41のいずれか一項に記載のカートリッジまたはシステム。
実施形態43。 マイクロ流体カートリッジが、127.76mm±0.5mmの長さおよび85.48mm±0.5mmの幅のフットプリントを有する、実施形態1から41のいずれか一項に記載のカートリッジまたはシステム。
実施形態44。 トランスフェクションされた細胞のクローン集団を生産するための方法であって、
a)カートリッジを提供することであって、前記カートリッジが、細胞トランスフェクション、細胞選択、細胞増殖、またはそれらの任意の組合せを行うために構成された少なくとも1つの区画を備え、少なくとも1つの区画が光学的に透明な壁を備えていることと、
b)前記少なくとも1つの区画に細胞試料を導入することと、
c)前記細胞試料を1つまたは複数のトランスフェクション剤でトランスフェクションすることと、
d)前記トランスフェクションされた細胞試料に由来する少なくとも1つのクローン細胞コロニーを選択することと、
e)光剥離を行って、(d)において選択された前記少なくとも1つのクローン細胞コロニーを除くすべてのクローン細胞コロニーを破壊することと、
f)(d)において選択された前記少なくとも1つのクローン細胞コロニーを、1つまたは複数のサイクルの細胞分裂および成長に供し、トランスフェクションされた細胞のクローン集団を生産することと、を含む方法。
実施形態45。 (d)において選択された前記少なくとも1つのクローン細胞コロニーから細胞の第1のサブセットを脱離させることと、それらを検査のために前記カートリッジから取り出すこととをさらに含む、実施形態44に記載の方法。
実施形態46。 光剥離を行って、細胞の第1のサブセットが脱離されて検査を受けたクローン細胞コロニーのサブセットを除くすべての残りのクローン細胞コロニーを破壊することをさらに含む、実施形態45に記載の方法。
実施形態47。 前記細胞試料が付着性細胞を含む、実施形態44から46のいずれか一項に記載の方法。
実施形態48。 前記細胞試料が懸濁液細胞を含む、実施形態44から46のいずれか一項に記載の方法。
実施形態49。 前記細胞試料が哺乳動物細胞を含む、実施形態44から48のいずれか一項に記載の方法。
実施形態50。 前記哺乳動物細胞がヒト細胞である、実施形態49に記載の方法。
実施形態51。 前記細胞試料中の細胞の数が10,000個未満である、実施形態44から50のいずれか一項に記載の方法。
実施形態52。 前記細胞試料中の細胞の数が5,000個未満である、実施形態44から51のいずれか一項に記載の方法。
実施形態53。 前記細胞試料中の細胞の数が1,000個未満である、実施形態44から52のいずれか一項に記載の方法。
実施形態54。 前記細胞試料中の細胞の数が500個未満である、実施形態44から53のいずれか一項に記載の方法。
実施形態55。 前記1つまたは複数のトランスフェクション剤が、1つまたは複数のタイプのDNA分子、RNA分子、オリゴヌクレオチド、アプタマー、非プラスミド核酸分子、リボ核タンパク質(RNP)、プラスミド、ウィルスベクター、コスミド、人工染色体、またはそれらの任意の組合せを含む、実施形態44から54のいずれか一項に記載の方法。
実施形態56。 (c)において行われる前記トランスフェクションが、化学的トランスフェクション、機械的なトランスフェクション(スクイージング)、エレクトロポレーション、レーザ誘起フォトポレーション、針を用いたポレーション、インペールフェクション、マグネトフェクション、ソノポレーション、またはそれらの任意の組合せを含む、実施形態44から55のいずれか一項に記載の方法。
実施形態57。 前記トランスフェクションされた細胞試料に由来する前記クローン細胞コロニーは、50細胞/mm未満のまたは50細胞/mmと等しい細胞表面密度で少なくとも1つの区画の表面にトランスフェクションされた細胞を播種することによって成長される、実施形態44から56のいずれか一項に記載の方法。
実施形態58。 前記トランスフェクションされた細胞試料に由来する前記クローン細胞コロニーは、10細胞/mm未満のまたは10細胞/mmと等しい細胞表面密度で少なくとも1つの区画の表面にトランスフェクションされた細胞を播種することによって成長される、実施形態44から57のいずれか一項に記載の方法。
実施形態59。 前記トランスフェクションされた細胞試料に由来する前記クローン細胞コロニーは、5細胞/mm未満のまたは5細胞/mmと等しい細胞表面密度で少なくとも1つの区画の表面にトランスフェクションされた細胞を播種することによって成長される、実施形態44から58のいずれか一項に記載の方法。
実施形態60。 少なくとも1つの区画にトランスフェクションされた細胞を播種した後、単一細胞にクローンコロニーを形成させる前に、2つまたはそれより多い細胞を含む細胞のクラスタが、光剥離ステップを使用して破壊される、実施形態44から59のいずれか一項に記載の方法。
実施形態61。 (d)における前記選択することが、1つまたは複数のクローン細胞コロニーをランダムに選択することを含む、実施形態44から60のいずれか一項に記載の方法。
実施形態62。 (d)における前記選択することが、前記少なくとも1つの区画の内部表面上の位置に基づいて前記少なくとも1つのクローン細胞コロニーを選択することを含む、実施形態44から60のいずれか一項に記載の方法。
実施形態63。 (d)における前記選択することが、前記少なくとも1つのクローン細胞コロニー内の細胞数、前記少なくとも1つのクローン細胞コロニー内の細胞の形態、前記少なくとも1つのクローン細胞コロニー内の細胞の表面密度、前記少なくとも1つのクローン細胞コロニー内の細胞の成長パターン、前記少なくとも1つのクローン細胞コロニー内の細胞の成長速度、前記少なくとも1つのクローン細胞コロニー内の細胞の分裂速度、前記少なくとも1つのクローン細胞コロニー内の細胞による外来性レポーターの発現、またはそれらの任意の組合せに基づく、実施形態44から60のいずれか一項に記載の方法。
実施形態64。 (d)における前記選択することが、前記少なくとも1つのクローン細胞コロニーが成長している表面またはボリュームを撮像することに基づく、実施形態44から63のいずれか一項に記載の方法。
実施形態65。 前記撮像することが、明視野撮像、暗視野撮像、位相コントラスト撮像、蛍光撮像、またはそれらの任意の組合せを行うことを含む、実施形態64に記載の方法。
実施形態66。 取得された画像が、自動化された画像分析ソフトウェアを使用して処理される、実施形態64または実施形態65に記載の方法。
実施形態67。 前記撮像を行うために使用される撮像システムの視野が、前記表面の面積またはボリュームよりも小さく、前記撮像することが、前記表面の面積またはボリュームのすべてまたは一部を集合的に覆う2つまたはそれより多い個々の画像を取得することを含む、実施形態64から66のいずれか一項に記載の方法。
実施形態68。 前記撮像が、少なくとも一日に1回の頻度で行われる、実施形態64から67のいずれか一項に記載の方法。
実施形態69。 前記撮像が、少なくとも1時間に1回の頻度で行われる、実施形態64から68のいずれか一項に記載の方法。
実施形態70。 (d)における前記選択することが、1つまたは複数の画像の自動化された画像分析に基づいて自動的に行われる、実施形態64から69のいずれか一項に記載の方法。
実施形態71。 少なくとも1つの区画の壁が、付着性細胞の付着を容易にするための表面コーティングまたは表面処置を備えている、実施形態44から70のいずれか一項に記載の方法。
実施形態72。 少なくとも1つの区画の壁が、懸濁液細胞の付着を容易にするための表面コーティングまたは表面処置を備えている、実施形態44から71のいずれか一項に記載の方法。
実施形態73。 前記表面コーティングが、α-ポリリジンコーティング、コラーゲンコーティング、ポリ-l-オルニチン、フィブロネクチンコーティング、ラミニンコーティング、Synthemax(商標)ビトロネクチンコーティング、iMatrix-511組換えラミニンコーティング、およびそれらの任意の組合せからなる群から選択される、実施形態71または実施形態72に記載の方法。
実施形態74。 前記表面処置が、プラズマ処置、UV処置、オゾン処置、またはそれらの任意の組合せを含む、実施形態71または実施形態72に記載の方法。
実施形態75。 前記表面コーティングまたは前記表面処置を備える前記少なくとも1つの区画の前記壁が、前記光学的に透明な壁である、実施形態71から74のいずれか一項に記載の方法。
実施形態76。 細胞の前記第1のサブセットが、レーザ光脱離を使用して脱離される、実施形態45から75のいずれか一項に記載の方法。
実施形態77。 前記少なくとも1つのクローン細胞コロニーが成長している表面のうち、前記少なくとも1つのクローン細胞コロニーの下方のまたはそれに隣接する領域をレーザ光で照明しながら、細胞の前記第1のサブセットを、前記表面を横切って誘導される液体の流れにさらすことをさらに含む、実施形態76に記載の方法。
実施形態78。 レーザ光による照明が、前記少なくとも1つの区画の前記壁に細胞を係留するために使用される光切断可能なリンカーの切断を生じさせる、実施形態76または実施形態77に記載の方法。
実施形態79。 レーザ光による照明が、細胞の前記第1のサブセットの光熱的脱離を生じさせる、実施形態76または実施形態77に記載の方法。
実施形態80。 レーザ光による照明が、1つまたは複数の選択された細胞の光力学的脱離を生じさせる、実施形態76または実施形態77に記載の方法。
実施形態81。 レーザ光による照明が、1つまたは複数の選択された細胞の光音響的脱離を生じさせる、実施形態76または実施形態77に記載の方法。
実施形態82。 前記レーザ光脱離が、約1440nm~約1450nmの波長範囲のレーザ光を使用して行われる、実施形態76から81のいずれか一項に記載の方法。
実施形態83。 細胞の前記第1のサブセットを光脱離する効率が少なくとも80%である、実施形態76から82のいずれか一項に記載の方法。
実施形態84。 細胞の前記第1のサブセットを光脱離する効率が少なくとも90%である、実施形態76から83のいずれか一項に記載の方法。
実施形態85。 細胞の前記第1のサブセットを光脱離する効率が少なくとも95%である、実施形態76から84のいずれか一項に記載の方法。
実施形態86。 細胞の前記第1のサブセットが100個未満の細胞を含む、実施形態45から85のいずれか一項に記載の方法。
実施形態87。 細胞の前記第1のサブセットが50個未満の細胞を含む、実施形態45から86のいずれか一項に記載の方法。
実施形態88。 細胞の前記第1のサブセットが10個未満の細胞を含む、実施形態45から87のいずれか一項に記載の方法。
実施形態89。 細胞の前記第1のサブセットが単一の細胞を含む、実施形態45から88のいずれか一項に記載の方法。
実施形態90。 前記検査が核酸シーケンシングを含む、実施形態45から89のいずれか一項に記載の方法。
実施形態91。 前記検査が遺伝子発現プロファイリングを含む、実施形態45から89のいずれか一項に記載の方法。
実施形態92。 前記検査が、改変された遺伝子の検出を含む、実施形態45から89のいずれか一項に記載の方法。
実施形態93。 前記検査が、CRISPRで編集された遺伝子の検出を含む、実施形態45から89のいずれか一項に記載の方法。
実施形態94。 前記検査が、核酸分子の制限酵素部位分析を行うことを含む、実施形態45から89のいずれか一項に記載の方法。
実施形態95。 前記検査がタンパク質の検出を含む、実施形態45から89のいずれか一項に記載の方法。
実施形態96。 前記タンパク質が、変異タンパク質、レポータータンパク質、または遺伝子操作されたタンパク質を含む、実施形態95に記載の方法。
実施形態97。 前記検査が、変更されたタンパク質機能に起因する細胞内シグナリング経路の変化の検出を含む、実施形態45から89のいずれか一項に記載の方法。
実施形態98。 前記光剥離が、約1440nm~約1450nmの波長範囲のレーザ光を使用して行われる、実施形態44から97のいずれか一項に記載の方法。
実施形態99。 光剥離の効率が少なくとも80%である、実施形態44から98のいずれか一項に記載の方法。
実施形態100。 光剥離の効率が少なくとも90%である、実施形態44から99のいずれか一項に記載の方法。
実施形態101。 光剥離の効率が少なくとも95%である、実施形態44から100のいずれか一項に記載の方法。
実施形態102。 トランスフェクションされた細胞の前記クローン集団の成長が、電気インピーダンス測定を使用して監視される、実施形態44から101のいずれか一項に記載の方法。
実施形態103。 指定された回数の細胞分裂および成長サイクルの後に、トランスフェクションされた細胞の前記クローン集団を収穫することをさらに含む、実施形態44から102のいずれか一項に記載の方法。
実施形態104。 前記少なくとも1つの区画において少なくとも70%のコンフルエンスに達した後に、トランスフェクションされた細胞の前記クローン集団を収穫することをさらに含む、実施形態44から103のいずれか一項に記載の方法。
実施形態105。 a)カートリッジであって、細胞トランスフェクション、細胞選択、細胞増殖、またはそれらの任意の組合せを行うために構成された少なくとも1つの区画を備え、少なくとも1つの区画が、光剥離および光脱離を行うためのレーザ光の供給源に動作可能に結合された光学的に透明な壁を備えている、カートリッジと、
b)コントローラと、
を備えている装置。
実施形態106。 前記コントローラが、
i)前記カートリッジを通って流れる1つまたは複数の流体についてタイミングおよび流量を制御すること、
ii)撮像ユニットによって取得された画像の、手動の、半自動化された、または完全自動化された画像処理を行い、前記処理された画像から導出されるデータに基づいて、レーザに基づく光脱離のための細胞の第1のサブセットおよびレーザに基づく光剥離のための細胞の第2のサブセットを選択すること、ならびに
iii)細胞の前記第1のサブセットが光脱離され、細胞の前記第2のサブセットが光剥離されるように、1つまたは複数のレーザおよびレーザターゲティングユニットのレーザ動作パラメータを制御すること、
の少なくとも1つを行うように構成されている、実施形態105に記載の装置。
実施形態107。 細胞の前記第1のサブセットおよび細胞の前記第2のサブセットがいずれも、単一のクローン細胞コロニーに由来する、実施形態106に記載の装置。
実施形態108。 前記レーザターゲティングユニットが、
前記少なくとも1つの区画内の表面上でまたは前記少なくとも1つの区画のボリューム内で成長している細胞を、前記撮像ユニットの対物面上のレーザ焦点にまたはそれに隣接して正確に位置付けるように構成された並進ステージを備えている、実施形態106に記載の装置。
実施形態109。 前記レーザターゲティングユニットが、集束レーザ光を、前記少なくとも1つの区画内の表面上でまたは前記少なくとも1つの区画のボリューム内で成長している1つまたは複数の細胞の位置にまたはそれに隣接して誘導するように構成された走査機構を備えている、実施形態106に記載の装置。
実施形態110。 細胞トランスフェクションが第1の区画内で行われ、細胞選択および細胞増殖が第2の区画内で行われる、実施形態105から109のいずれか一項に記載の装置。
実施形態111。 細胞トランスフェクション、細胞選択、および細胞増殖がそれぞれ別個の区画内で行われる、実施形態105から109のいずれか一項に記載の装置。
実施形態112。 細胞トランスフェクション、細胞選択、および細胞増殖がすべて同じ区画内で行われる、実施形態105から109のいずれか一項に記載の装置。
実施形態113。 前記撮像ユニットが、明視野撮像、暗視野撮像、位相コントラスト撮像、蛍光撮像、またはそれらの任意の組合せを行うように構成されている、実施形態106から112のいずれか一項に記載の装置。
実施形態114。 前記撮像ユニットの視野が、細胞が成長しているまたは付着している前記少なくとも1つの区画の表面の面積または前記少なくとも1つの区画内のボリュームよりも小さく、前記撮像ユニットが、前記表面の前記面積または前記ボリュームのすべてまたは一部を集合的に覆う2つまたはそれより多い個々の画像を取得し、タイリングするように構成されている、実施形態106から113のいずれか一項に記載の装置。
実施形態115。 前記撮像ユニットが、少なくとも一日に1回の頻度で画像を取得するように構成されている、実施形態106から114のいずれか一項に記載の装置。
実施形態116。 前記撮像ユニットが、少なくとも1時間に1回の頻度で画像を取得するように構成されている、実施形態106から115のいずれか一項に記載の装置。
実施形態117。 (ii)における前記選択することが、1つまたは複数のクローン細胞コロニーをランダムに選択することを含む、実施形態106から116のいずれか一項に記載の装置。
実施形態118。 (ii)における前記選択することが、前記少なくとも1つの区画の表面上の位置に基づいて1つまたは複数のクローン細胞コロニーを選択することを含む、実施形態106から116のいずれか一項に記載の装置。
実施形態119。 (ii)における前記選択することが、クローン細胞コロニー内の細胞数、クローン細胞コロニー内の細胞の形態、クローン細胞コロニー内の細胞の表面密度、クローン細胞コロニー内の細胞の成長パターン、クローン細胞コロニー内の細胞の成長速度、クローン細胞コロニー内の細胞の分裂速度、クローン細胞コロニー内の細胞による外来性レポーターの発現、またはそれらの任意の組合せに基づく、実施形態106から116のいずれか一項に記載の装置。
実施形態120。 光剥離および光脱離を行うために同じレーザが使用される、実施形態106から119のいずれか一項に記載の装置。
実施形態121。 光脱離および光剥離に使用される前記1つまたは複数のレーザが、撮像に使用される対物レンズを通じて撮像システムに光学的に結合されている、実施形態106から120のいずれか一項に記載の装置。
実施形態122。 光脱離および光剥離を行うために使用される前記1つまたは複数のレーザが、少なくとも1つのパルス化されたレーザを含む、実施形態106から121のいずれか一項に記載の装置。
実施形態123。 光脱離および光剥離を行うために使用される前記1つまたは複数のレーザが、少なくとも1つの赤外線レーザを含む、実施形態106から122のいずれか一項に記載の装置。
実施形態124。 前記装置が、レーザスポットサイズ、レーザスポット形状、レーザ光強度、レーザパルス周波数、レーザパルスエネルギー、前記少なくとも1つの区画の前記表面上もしくは前記ボリューム内の指定された位置に送達されるレーザパルスの合計数、前記少なくとも1つの区画の前記表面に対するもしくは前記ボリューム内でのレーザ焦点の位置、またはそれらの任意の組合せを制御することにより、光脱離動作モードと光剥離動作モードとの間で動作可能に切り替えられる、実施形態105から123のいずれか一項に記載の装置。
実施形態125。 前記コントローラが、前記少なくとも1つの区画内の表面のうち、細胞の前記第1のサブセットの下方のまたはそれに隣接する領域をレーザ光で照明しながら、細胞の前記第1のサブセットを、前記表面を横切って誘導される液体の流れにさらすようにさらに構成される、実施形態106から124のいずれか一項に記載の装置。
実施形態126。 細胞の前記第1のサブセットを光脱離する効率が少なくとも80%である、実施形態106から125のいずれか一項に記載の装置。
実施形態127。 細胞の前記第1のサブセットを光脱離する効率が少なくとも90%である、実施形態106から126のいずれか一項に記載の装置。
実施形態128。 細胞の前記第1のサブセットを光脱離する効率が少なくとも95%である、実施形態106から127のいずれか一項に記載の装置。
実施形態129。 細胞の前記第2のサブセットが、90%よりも高い効率で光剥離される、実施形態106から128のいずれか一項に記載の装置。
実施形態130。 細胞の前記第2のサブセットが、95%よりも高い効率で光剥離される、実施形態106から129のいずれか一項に記載の装置。
実施形態131。 細胞の前記第2のサブセットが、99%よりも高い効率で光剥離される、実施形態106から130のいずれか一項に記載の装置。
実施形態132。 細胞の前記第2のサブセットが、99.9%よりも高い効率で光剥離される、実施形態106から131のいずれか一項に記載の装置。
実施形態133。 前記1つまたは複数のレーザが、前記少なくとも1つの区画内でレーザに基づく細胞のフォトポレーションを行うようにさらに構成される、実施形態106から132のいずれか一項に記載の装置。
実施形態134。 前記カートリッジの少なくとも1つの区画が、化学的トランスフェクション、機械的トランスフェクション(スクイージング)、エレクトロポレーション、レーザ誘起フォトポレーション、針を用いたポレーション、インペールフェクション、マグネトフェクション、ソノポレーション、またはそれらの任意の組合せを行うように構成されている、実施形態105から133のいずれか一項に記載の装置。
実施形態135。 前記カートリッジの前記少なくとも1つの区画を指定された成長条件のセットの下で維持するための培養器ユニットをさらに備えている、実施形態105から134のいずれか一項に記載の装置。
実施形態136。 命令のセットを記憶した非一時的コンピュータ可読媒体であって、前記命令は、プロセッサによって実行されると、プロセッサ制御のシステムに、
a)細胞トランスフェクション、細胞選択、細胞増殖、またはそれらの任意の組合せを行うように構成された少なくとも1つの区画を備えるカートリッジを通って流れる1つまたは複数の流体について、タイミングおよび流量を制御することと、
b)前記少なくとも1つの区画内の表面またはボリュームを撮像するように構成された撮像ユニットによって取得された画像の画像処理を行い、前記処理された画像から導出されるデータに基づいて、(i)前記少なくとも1つの区画の表面上または前記少なくとも1つの区画内のボリューム内で成長している細胞の第1のサブセットをレーザに基づく光脱離のために選択し、(ii)前記少なくとも1つの区画の表面上または前記少なくとも1つの区画内のボリューム内で成長している細胞の第2のサブセットをレーザに基づく光剥離のために選択することと、
c)細胞の前記第1のサブセットが光脱離され、細胞の前記第2のサブセットが光剥離されるように、1つまたは複数のレーザおよびレーザターゲティングユニットの1つまたは複数の動作パラメータを制御することと、
を含むステップを行わせる、非一時的コンピュータ可読媒体。
実施形態137。 (b)における前記選択することが、1つまたは複数のクローン細胞コロニーをランダムに選択することを含む、実施形態136に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
実施形態138。 (b)における前記選択することが、細胞選択区画の内部表面上の位置に基づいて1つまたは複数のクローン細胞コロニーを選択することを含む、実施形態136または実施形態137に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
実施形態139。 (b)における前記選択することが、クローン細胞コロニー内の細胞数、クローン細胞コロニー内の細胞の形態、クローン細胞コロニー内の細胞の表面密度、クローン細胞コロニー内の細胞の成長パターン、クローン細胞コロニー内の細胞の成長速度、クローン細胞コロニー内の細胞の分裂速度、クローン細胞コロニー内の細胞による外来性レポーターの発現、またはそれらの任意の組合せに基づく、実施形態136から138のいずれか一項に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
実施形態140。 前記プロセッサ制御のシステムが、レーザスポットサイズ、レーザスポット形状、レーザ光強度、レーザパルス周波数、レーザパルスエネルギー、前記少なくとも1つの区画内の表面上の指定された位置に送達されるレーザパルスの合計数、前記少なくとも1つの区画内の前記表面に対するレーザ焦点の位置、前記少なくとも1つの区画の前記ボリューム内でのレーザ焦点の位置、またはそれらの任意の組合せを制御することにより、光脱離動作モードと光剥離動作モードとの間で動作可能に切り替えられる、実施形態136から139のいずれか一項に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
実施形態141。 前記光脱離された細胞の第1のサブセットを、検査のために前記カートリッジの出口ポートに送達するための命令をさらに備えている、実施形態136から140のいずれか一項に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
実施形態142。 細胞の前記第2のサブセットの光剥離に続いて、細胞の第3のサブセットの光脱離を行い、脱離した細胞の前記第3のサブセットを、少なくとも、細胞増殖を行うように構成された第2の区画に送達するための命令をさらに備えている、実施形態136から141のいずれか一項に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【実施例
【0203】
これらの実施例は、説明の目的のみのために提供され、本明細書に提供される特許請求の範囲を制限しない。
【0204】
(実施例1)
仮説実施例-トランスフェクションされた細胞のクローン集団の作製
開示されるデバイスは、細胞培養試薬の消費および試験所空間要件を大幅に低減する形式で、平易化された細胞のトランスフェクションおよびそこからのクローン集団の生成を可能にする。図1を参照すると、希釈細胞懸濁液が溶液中のトランスフェクション剤と混合され、流体入口を通じてデバイスに導入される。デバイス内で、細胞とトランスフェクション剤の混合物は、トランスフェクション区画に通される。図1の例では、トランスフェクション区画は、少なくとも一対の電極を備え、細胞膜のエレクトロポレーションを行うように構成されており、それにより一時的に細胞膜を崩壊させて、トランスフェクション剤が細胞に入れるようにする。
【0205】
トランスフェクションに続いて、細胞が細胞選択区画に転送され、そこで細胞が沈降して区画内の下部表面に付着を形成する。一部の事例では、表面は、コーティングされた表面への細胞の付着および接着を容易にするように配合された1つまたは複数のコーティング層を備えてよい。付着した単一細胞(または細胞の小さいクローンクラスタ)の位置が、手動で、または自動化された画像処理ソフトウェアの使用を通じて、表面の撮像を使用して特定されてよく、いくつかの細胞を含むクローン細胞クラスタを形成するための細胞の初期の成長が監視される。必要に応じて、成長前に表面に沈降した細胞の二つ組、三つ組、またはより高い度合いの細胞の集合体は、細胞選択区画が少なくとも1つの光学的に透明な壁または窓を備えていれば、例えばレーザ光剥離技術を使用して破壊されてもよい。
【0206】
クラスタ当たりのおよその細胞数で指定されたサイズに達した後、1つまたは複数のクローン細胞クラスタが、望ましいトランスフェクション事象が発生したことを確認する検査のために選択されてよい。1つまたは複数の選択されたクラスタ内の細胞の一部またはサブセットが、例えばレーザ脱離技術を使用して脱離され、例えば、細胞選択区画の出口と流体連通し、細胞増殖区画の入口と流体連通している中間細胞取り出しポート(図1に示されるデバイスの右側の端にある円として示される)を使用して、デバイスから取り出される。脱離され、デバイスから取り出された細胞のサブセットは、望ましいトランスフェクション事象(例えば、CRISPR編集)が発生したことを確認するために、例えば核酸シーケンシングにかけられてよい。
【0207】
検査の結果に基づいて、選択され、検査されたクローン細胞クラスタの1つまたは複数が、さらなる増殖のために保持されてよく、一方、すべての選択されないおよび/または不要な細胞またはクローン細胞クラスタは、例えばレーザ光剥離技術を使用して破壊される。
【0208】
選択されないおよび/または不要な細胞の破壊に続いて、選択された細胞が、その成長表面から脱離され(例えば、トリプシンを使用して、またはレーザに基づく光脱離を行うことにより)、細胞増殖区画に転送されてよく、そこで数サイクルの細胞成長および分割にかけられる。細胞成長は、各種技術を使用して、例えば成長表面を撮像することにより、および/または細胞増殖区画に内蔵された電極を使用して電気インピーダンス測定を行うことにより、監視されてよい。
【0209】
細胞が指定された表面密度またはコンフルエンスのレベルに達すると、クローン細胞集団は、例えばトリプシンを使用して細胞増殖区画内の成長表面から脱離され、図1に示されるデバイスの左下に位置する流体出口を通じて取り出すことによって収穫されてよい。
【0210】
図1には明示的に示されていないが、多くの事例において、開示されるデバイス(またはカートリッジ)は、細胞選択および/または細胞増殖区画内で成長している細胞に新鮮な培地を供給する内蔵された細胞培養(または細胞成長)培地貯蔵部、ならびに使用済みの培地を収納する内蔵された廃棄物貯蔵部を備えてよい。
【0211】
(実施例2)
光剥離および光脱離を使用したカートリッジ内での細胞のクローン集団の作製
図8A~8Fは、本明細書に記載されるカートリッジ内での光剥離および光脱離を使用した細胞のクローン分離を示す。図8Aは、本明細書に記載されるカートリッジに付着した後のHEK293-GFPおよびRFPトランスフェクション細胞の混合集団を示す。図8Bには、レーザ剥離後のHEK293-GFP細胞とRFP細胞の混合集団が示される。図8Cは、培地流によって死細胞を取り出した後のHEK293-GFP細胞とRFP細胞の混合集団の図示を提供し、枠は、剥離の対象とされたエリアを示す。図8Dは、カートリッジから光脱離した後のクローンHEK293-RFPコロニーを示し、送出後、検出可能な相互汚染は観察されず、図8Eは、カートリッジから光脱離した後のクローンHEK-GFPコロニーを示し、送出後、検出可能な相互汚染は観察されなかった。図8Fは、細胞の両集団を含んでいる、非クローンの相互汚染されたコロニーを描いている。図8A~8Fに描かれた実験は、以下の方法に従って行われた。
【0212】
細胞培養:
HEK293-GFP(Creative Biogene、CSC-RR0040)、およびHEK293-RFP(Creative Biogene、CSC-RR0066)細胞を、10%のウシ胎児血清(FBS)を補充したダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)中で、37度、5%のCOで培養した。細胞は、80%のコンフルエンスに達した後、継代培養のために、TryplExpress(Invitrogen)を使用して解離させた。
【0213】
本明細書に記載されるカートリッジを無菌状態で組み立て、10mlのDMEM:10%FBS培地を充填した。HEK293-RFP細胞およびHEK293-GFP細胞の両方をTyplExpressで同時に解離させ、Nucleocounter(ChemoMetec)を用いて計数し、4:1のGFP:RFP比でプールした。プールした細胞を12,500/mlに希釈して、デバイス当たり2500個の細胞を実現し、次いで、送出チャネルを開いたままにして空気が逃げられるようにした状態で、培地供給ポートを通じてP200ピペットでカートリッジに充填した。充填後、カートリッジを閉じ、120分の回復、240分の加圧ガス抜き、48時間ごとの培地交換、の設定で培養器に入れた。
【0214】
クローンの樹立:
クローンを樹立するために、播種から24時間および48時間後に隣接する細胞をレーザで剥離してクローン集団を樹立し、播種から5日後に追加的な剥離でクローン性を強化した。各剥離の後、細胞チャンバを培地で洗い流して、脱離した細胞を除去した。
【0215】
クローンの送出:
播種から8日後に、レーザパルスを使用して個々のクローンを本明細書に記載されるカートリッジから脱離し、96ウェルの組織培養プレートの1つのウェルに送出した。クローンを付着させ、送出後4日間にわたって成長させ、その後Celigo Imaging Cytometer(Nexcelom Bioscience)を使用してGFPおよびRFPについて撮像した。同型接合RFP細胞または同型接合GFP細胞の度数を人力による観察によって求めた。単一の汚染細胞の存在は、不合格としてカウントした。
【0216】
(実施例3)
弁を備えるカートリッジの相互汚染検査
図9A~9Cは、本明細書に記載されるカートリッジの回転弁を介した相互汚染の検査を描いている。図9Aは、カートリッジの回転弁および液体経路を示す。接種した細菌および無菌培地を、共通の液体経路を使用して弁の間を通して移送した。図9Bは、回転弁を備えるカートリッジ内で相互汚染が観察されなかったことを示す。図9Cは、回転弁を備えるカートリッジ内で相互汚染が観察されなかったことを示す、相互汚染検査結果の表形式の図示を提供する。
【0217】
図9A~9Cに描かれた実験は、以下の方法に従って行われた。
【0218】
細菌培養:
pBluescriptプラスミド中にアンピシリン耐性カセットを担持するE.coliを、100μg/mlのアンピシリンを含む溶原培地(Lysogeny Broth)(LB)(LB+Amp)中で、振とうを加えて、37度で、定置滅菌(SIP:sterilize in place)検査前の24時間にわたり成長させた。
【0219】
相互汚染/SIP検査:
500μlの細菌培養を、深ウェルのポリプロピレンプレート(目的プレート)の列12の各ウェルに配置した。細菌培養を10mlシリンジにも充填し、最初の回転弁を備えるカートリッジに取り付けた。10mlシリンジにLB+Ampを充填し、最初の回転弁を備えるカートリッジに取り付けた。さらに、目的プレートの列10および11にLB+Ampを配置した。細菌汚染のための正の制御として、P20ピペットの先端を列12の細菌培養に浸し、次いで列10の培地に浸した。
【0220】
SIP検査には以下のパラメータが使用された。
1.回転弁を調整して、細菌溶液をプレートの列1に進ませ、10mlシリンジに圧力を加え、およそ500μlの細菌培養を目的プレートのウェルに蓄積させる。
2.弁を回転させて、洗浄ポートと廃棄物ポートを接続する。
3.70%のイソプロパノール:水で洗浄し(廃棄)、空気で洗浄する(廃棄)。
4.第2の弁を回転させて、目的プレートの培地ウェルへの経路を開く。
5.培地10mlシリンジに圧力をかけて、およそ500μlの培地を目的プレートのウェルに蓄積させる。
6.第1および第2の弁を回転させて、細菌経路を開く。
7.さらに他のウェルにプロセスを繰り返す。
【0221】
深ウェルプレートを、24時間にわたり37度に置く。培地混濁度についての目視検査によって培地接種を判定する。
【0222】
(実施例4)
多チャンバカートリッジ実施形態
図10A~10Bは、本明細書に記載されるカートリッジの様々な多チャンバ実施形態ならびにそれら様々な実施形態の検査結果を示す。図10Aは、本明細書に記載されるカートリッジの多チャンバ実施形態を示し、図10Bは、本明細書に記載されるカートリッジの多チャンバ実施形態の寸法および前記チャンバにおける流れ検査の結果を詳細に示す表を提供する。多チャンバカートリッジは、無菌状態で組み立て、200μlピペットによって加えられたDMEM:10%FBS培地でプライミングした。チップにわたる培地の分布が目視で判定された。
【0223】
図11A~11Bは、本明細書に記載されるカートリッジの様々な多チャンバ実施形態を示す。図11Aは、本明細書に記載されるカートリッジの多チャンバ実施形態を示し、図11Bは、本明細書に記載される多チャンバカートリッジの寸法を詳細に示す表を提供する。
【0224】
図12は、96個の並列な微小細胞培養チャンバ、6個の大きい細胞培養チャンバ、および流体接続を備える、本明細書に記載される多チャンバカートリッジの一実施形態を示す。流体インターフェースは、非掃き出し容積ゼロの入力/出力接続を備え、それと共に、カートリッジを封止し、入力/出力接続をそれらの関連する流路に沿って無菌化するための回転弁を備えている。入力ラインおよび出力ラインは、最初の充填、供給、廃棄物の取り出し、アッセイおよび送出を容易にする。選択された微小チャンバ内の細胞は、回転弁のセットを使用して、コロニーの増殖のために大きいチャンバに送出することができる。
【0225】
図13は、カートリッジへの流れの出入りを容易にする2つの定置滅菌(SIP)システムを備える、本明細書に記載される多チャンバカートリッジの一実施形態を示す。このシステムは、オーバーモールド成形された熱可塑性エラストマー材料およびロータリーシアー型弁からなる、2つの低死容積円錐形入力/出力ポートを含んでいる。この弁は、非掃き出しゼロの内部容積をもつ単一の内部チャネルを備えており、それを回転させて、入力ポートを出力ポートに接続する、または入力ポートを細胞培養チャンバに接続することができる。弁を細胞培養チャンバに切り替える前に、滅菌溶液をポートおよび弁に導入して、それらを滅菌してよい。このSIPルーチンは、培養チャンバと接続する前に流体インターフェースおよび弁が無菌状態であることを保証する。
【0226】
(実施例5)
培地カートリッジの実施形態
図14は、培地が充填されたシリンジ、シリンジを充填するためのポンプインターフェース、および図13のものと同一のSIPシステムを備える、培地カートリッジの一実施形態を示す。シリンジは、液体がチャンバに出入りするのに伴って変位することができる、自由移動するピストンを備えている。シリンジ下流のマイクロ流体通路は、部分弧状の経路にされた弾性区間を備えている。シリンジに入るまたはシリンジから出る流れを誘起するために、1つまたは複数のローラを備えた蠕動ポンプを、この弾性区間に押し付け、回転させてよい。シリンジの充填およびシリンジからの分配は、SIPシステムを用いて無菌で達成され得る。
【0227】
本発明の好ましい実施形態が、本明細書に示され、記載されたが、当業者には、そのような実施形態は単に例として与えられたことが明らかであろう。ここで、本発明から逸脱することなく、多数の変形例、変更、および置換が当業者に想到されるであろう。本明細書に記載される本発明の実施形態に対する様々な代替形態が、本発明を実施する際に任意の組合せで用いられてよいことが理解されるべきである。以下の特許請求の範囲が本発明の範囲を定め、それらの請求項およびその相当物の範囲内にある方法および構造がそれによって包括されることが意図される。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図4
図5A-5E】
図6A-6E】
図7
図8A
図8B
図8C
図8D
図8E
図8F
図9A-9C】
図10A-10B】
図11A-11B】
図12
図13
図14
【国際調査報告】