(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-16
(54)【発明の名称】印刷可能な曲面ペロブスカイト太陽電池及其製造方法
(51)【国際特許分類】
H10K 30/50 20230101AFI20230309BHJP
【FI】
H01L31/04 112Z
H01L31/04 182Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022515653
(86)(22)【出願日】2020-12-17
(85)【翻訳文提出日】2022-03-07
(86)【国際出願番号】 CN2020137186
(87)【国際公開番号】W WO2022126479
(87)【国際公開日】2022-06-23
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】317012086
【氏名又は名称】湖北万度光能有限責任公司
(74)【代理人】
【識別番号】100216471
【氏名又は名称】瀬戸 麻希
(72)【発明者】
【氏名】盛余松
(72)【発明者】
【氏名】戴佳坤
【テーマコード(参考)】
5F151
【Fターム(参考)】
5F151AA11
5F151CB21
5F151CB24
5F151FA10
5F151GA02
(57)【要約】
本発明は、印刷可能な曲面ペロブスカイト太陽電池であって、曲面導電性基板と、多孔質
電子輸送層と、多孔質絶縁離隔層と、多孔質背面電極層と、ペロブスカイトフィラーとを
含み、前記曲面導電性基板は、曲面透明基板と、曲面透明基板上に蒸着された導電層とを
含み、前記多孔質電子輸送層、多孔質絶縁離隔層及び多孔質背面電極層は、下から上に導
電層上に順次蒸着され、前記ペロブスカイトフィラーは、多孔質電子輸送層、多孔質絶縁
離隔層及び多孔質背面電極層の空隙に充填される印刷可能な曲面ペロブスカイト太陽電池
を提供する。当該太陽電池は、他の物品との集積を容易にする。本発明は、上記の印刷可
能な曲面ペロブスカイト太陽電池の製造方法を更に提供する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷可能な曲面ペロブスカイト太陽電池であって、
曲面導電性基板と、多孔質電子輸送層と、多孔質絶縁離隔層と、多孔質背面電極層と、ペ
ロブスカイトフィラーとを含み、
前記曲面導電性基板は、曲面透明基板と、曲面透明基板上に蒸着された導電層とを含み、
前記多孔質電子輸送層、多孔質絶縁離隔層及び多孔質背面電極層は、下から上に導電層上
に順次蒸着され、
前記ペロブスカイトフィラーは、多孔質電子輸送層、多孔質絶縁離隔層及び多孔質背面電
極層の空隙に充填されることを特徴とする印刷可能な曲面ペロブスカイト太陽電池。
【請求項2】
前記多孔質電子輸送層の厚さは300~1000nmであり、前記多孔質絶縁離隔層の厚
さは1~6μmであり、前記多孔質背面電極層の厚さは10~40μmであることを特徴
とする請求項1に記載の印刷可能な曲面ペロブスカイト太陽電池。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の印刷可能な曲面ペロブスカイト太陽電池の製造方法であって、
(1)清潔な曲面導電性基板をレーザーエッチングして、エッチング線P1を形成するス
テップと、
(2)多孔質電子輸送層スラリーでエッチング線P1を有する曲面導電性基板の導電層を
覆った後、ホットメルト接着剤で多孔質電子輸送層スラリーを覆って第1ホットメルト接
着剤膜を形成し、第1ホットメルト接着剤膜を取り外した後に多孔質電子輸送層を有する
第1プレハブ品を得るステップと、
(3)多孔質絶縁離隔層スラリーで第1プレハブ品の多孔質電子輸送層を覆った後、第2
ホットメルト接着剤で多孔質絶縁離隔層スラリーを覆って第2ホットメルト接着剤膜を形
成し、第2ホットメルト接着剤膜を取り外した後に多孔質絶縁離隔層を有する第2プレハ
ブ品を得るステップと、
(4)多孔質背面電極層スラリーで第2プレハブ品の多孔質絶縁離隔層を覆って多孔質背
面電極層を形成して、多孔質背面電極層を有する第3プレハブ品を得るステップと、
(5)ペロブスカイト前駆体スラリーを第3プレハブ品の多孔質背面電極層上に印加して
、ペロブスカイト前駆体スラリーが多孔質電子輸送層、多孔質絶縁離隔層及び多孔質背面
電極層の空隙に充填されるようにして、印刷可能な曲面ペロブスカイト太陽電池を得るス
テップと
を含むことを特徴とする製造方法。
【請求項4】
第1ホットメルト接着剤及び第2ホットメルト接着剤は、それぞれポリウレタン、オレフ
ィンエラストマー、ポリエーテルスルホン樹脂、コポリアミド、エチレン-アクリル酸共
重合体又はエチレン-酢酸ビニル共重合体のうちの1つから独立的に選択されることを特
徴とする請求項3に記載の製造方法。
【請求項5】
前記多孔質電子輸送層スラリーは、電子輸送材料とテルピネオールとを含み、前記多孔質
電子輸送層スラリー中の電子輸送材料の固形分は2~10wt%であり、
前記テルピネオールにα-テルピネオールが含まれており、テルピネオール中の前記α-テ
ルピネオールの含有量は30wt%以上であり、
前記電子輸送材料は、二酸化チタン、二酸化スズ、酸化亜鉛又はスズ酸バリウムのうちの
1つ又は複数から選択されることを特徴とする請求項3に記載の製造方法。
【請求項6】
前記多孔質絶縁離隔層スラリーは、絶縁材料と、エチルセルロースと、テルピネオールと
を含み、絶縁材料とエチルセルロースの質量比は、1:0.15~0.4であり、絶縁材
料とテルピネオールの質量比は1:2~6であり、絶縁材料は、二酸化ジルコニウム、二
酸化ケイ素、酸化アルミニウム又はチタン酸バリウムのうちの1つ又は複数から選択され
、テルピネオールにα-テルピネオールが含まれており、テルピネオール中の前記α-テル
ピネオールの含有量は30wt%以上であり、
前記多孔質背面電極層スラリーは、グラファイトと、カーボンブラックと、二酸化ジルコ
ニウムと、エチルセルロースと、テルピネオールとを含み、
前記グラファイトと二酸化ジルコニウムの質量比は1:0.15~0.5であり、前記グ
ラファイトと二酸化ジルコニウムの質量比は1:0.1~0.5であり、前記グラファイ
トとエチルセルロースの質量比は1:0.1~0.5であり、前記グラファイトとテルピ
ネオールの質量比は1:2~6であることを特徴とする請求項3に記載の製造方法。
【請求項7】
前記多孔質絶縁離隔層スラリーは氷酢酸を更に含み、絶縁材料と氷酢酸の質量比は1:0
.05~1であり、
前記多孔質背面電極層スラリーは氷酢酸を更に含み、前記グラファイトと氷酢酸の質量比
は1:0.01~0.6であることを特徴とする請求項6に記載の製造方法。
【請求項8】
多孔質電子輸送層を有する第1プレハブ品を300~600℃で10~60minアニー
ルした後、ステップ(3)に使用するステップを更に含むことを特徴とする請求項3に記
載の製造方法。
【請求項9】
多孔質絶縁離隔層を有する第2プレハブ品上でレーザーエッチングを行ってエッチング線
P2を形成するステップを更に含み、
前記エッチング線P2は、前記エッチング線P1の左側に位置し、かつエッチング線P1
に接しており、前記エッチング線P2の幅は0.3~1mmであることを特徴とする請求
項3に記載の製造方法。
【請求項10】
多孔質背面電極層を有する第3プレハブ品上でレーザーエッチングを行ってエッチング線
P3を形成した後、300~600℃で10~60minアニールするステップを更に含
み、
前記エッチング線P3は、前記エッチング線P2の左側に位置し、かつエッチング線P2
に接しており、前記エッチング線P3の幅は0.05~0.3mmであることを特徴とす
る請求項9に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷可能な曲面ペロブスカイト太陽電池に関するものであり、また、印刷可能
な曲面ペロブスカイト太陽電池の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
社会の急速な発展に伴い、人間のエネルギーに対する需要は増大し続け、エネルギー供給
の形態が調整され続け、化石エネルギーが主であることから電力エネルギーが主であるこ
とへ徐々に移行している。現在、電気化機器やインテリジェント機器が日増しに普及され
ており、我々の生活に利便を図るとともに、電力供給形態の多様化への要求も高まってい
る。ポータブル自家発電電源を発展させることは、日常で使用される様々な電子端末製品
にとって非常に重要な意味があり、エネルギー貯蔵電源の短いバッテリー持ち時間の問題
を効果的に補うことができる。太陽エネルギーは用いても使い切れなくかつ広く分布して
いるため、太陽電池は大きな潜在力を秘めているポータブル自家発電電源と考えられてい
る。
【0003】
主流の太陽電池技術は、主に大型の太陽光発電所で規模化発電システムを実現するのに使
用されているが、ポータブル太陽電池技術の発展は相対的に比較的立ち後れている。自動
車蓄電池の電力不足、携帯電話電量の使い果たし、野外活動での電力への差し迫った需要
によってもたらされる迷惑を考えると、ポータブル太陽電池技術を発展させることは非常
に重要であり、特に、太陽電池と自動車の屋根、携帯電話のケーシング、ポータブルテン
ト等の集積は、特定の時刻で重要な役割を果たすことができるため、重要な発展の展望が
あり、著しい経済的効果と利益をもたらすことができる。
【0004】
現在の主流の結晶シリコン太陽電池技術は既に成熟しているが、他の機器と集積してポー
タブル電源に作られる面で比較的大きな挑戦に直面しており、主にはシリコンベース材料
自体の機械的性能によって制限されている。有機太陽電池技術は、ポータブル電源に集積
される面で著しい技術的利点があるが、有機太陽電池の光電変換効率が低いため、その応
用が制約されている。ペロブスカイト材料は、無機半導体材料及び有機半導体材料の優れ
た半導体性能及び加工性能の両方の利点を備えており、ペロブスカイト太陽電池技術を急
速に発展させている。平面基板に基づくペロブスカイト太陽電池の光電変換効率は既に2
5.2%を突破しているため、ペロブスカイト太陽電池と他の機器との集積技術を発展さ
せることは重要な意味がある。
【0005】
CN107146847Aは、下から上に、透明導電性基板と、光アノードと、絶縁層と
、第1カーボン層と、第2カーボン層とを含み、第1カーボン層は多孔質カーボン層であ
り、第2カーボン層は低温カーボン層である、カーボン対極ペロブスカイト太陽電池を開
示している。当該ペロブスカイト太陽電池の製造方法は、(1)透明導電性基板上に1層
の緻密層を製造するステップと、(2)シルクスクリーン印刷によって、緻密層上に1層
のTiO2メソポーラス層と、1層のZrO2層を順次製造するステップと、(3)絶縁
層上に多孔質の第1カーボン層を製造するステップと、(4)ペロブスカイト前駆体スラ
リーを前記第1カーボン層表面に滴下して、緻密層、TiO2メソポーラス層、ZrO2
絶縁層及び第1カーボン層の各々の層の多孔質薄膜層に充填させるステップと、(5)第
1カーボン層上に第2カーボン層を製造するステップとを含む。上記のペロブスカイト太
陽電池の基板は、平板状である。上記の製造方法では、曲面ペロブスカイト太陽電池を製
造することができない。
【0006】
CN108550705Aは、導電性基板と、ペロブスカイト光吸収層と、対電極とを含
み、導電性基板とペロブスカイト光吸収層の間に正孔遮断層と、電子輸送層と、絶縁層と
が設けられており、前記対電極と前記ペロブスカイト光吸収層の間に正孔輸送層が設けら
れている、ペロブスカイト太陽電池モジュールを開示している。当該ペロブスカイト太陽
電池の製造方法は、FTOガラス基板上にTiO2緻密層を製造するステップと、緻密層
上に二酸化チタンスラリーをシルクスクリーン印刷して電子輸送層とし、溶剤はテルピネ
オールであるステップと、電子輸送層上に二酸化ジルコニウムスラリーをシルクスクリー
ン印刷し、溶剤がテルピネオールであるステップと、CH3NH3PbI3ペロブスカイ
ト前駆体スラリーを配合製造しかつ溶剤がジメチルスルホキシド及びDMFであり、スピ
ンコーティング法によってペロブスカイト光吸収層を製造するステップと、ペロブスカイ
ト光吸収層上にカーボンスラリーをシルクスクリーン印刷して正孔輸送層として、ペロブ
スカイト太陽電池を得るステップであって、溶剤はテルピネオールであり、対電極は常温
離型導電性テープで形成されるステップとを含む。上記のペロブスカイト太陽電池は、正
孔遮断層と正孔輸送層とが設けられ、基板が平板状であるべきである。上記の製造方法で
は、曲面ペロブスカイト太陽電池を製造することができない。
【発明の内容】
【0007】
本発明の一目的は、基板が曲面である印刷可能な曲面ペロブスカイト太陽電池を提供する
ことである。このような電池は、他の物品との集積を容易にし、ペロブスカイト太陽電池
の使用範囲を拡大する。本発明の別の目的は、曲面ペロブスカイト太陽電池を製造するこ
とができる、印刷可能な曲面ペロブスカイト太陽電池の製造方法を提供することである。
さらに、当該方法で製作された曲面ペロブスカイト太陽電池は、各機能層の均一性が高い
。
【0008】
一態様では、本発明は、印刷可能な曲面ペロブスカイト太陽電池であって、曲面導電性基
板と、多孔質電子輸送層と、多孔質絶縁離隔層と、多孔質背面電極層と、ペロブスカイト
フィラーとを含み、
前記曲面導電性基板は、曲面透明基板と、曲面透明基板上に蒸着された導電層とを含み、
前記多孔質電子輸送層、多孔質絶縁離隔層及び多孔質背面電極層は、下から上に導電層上
に順次蒸着され、
前記ペロブスカイトフィラーは、多孔質電子輸送層、多孔質絶縁離隔層及び多孔質背面電
極層の空隙に充填される、印刷可能な曲面ペロブスカイト太陽電池を提供する。
【0009】
本発明の印刷可能な曲面ペロブスカイト太陽電池によれば、好ましくは、前記多孔質電子
輸送層の厚さは300~1000nmであり、前記多孔質絶縁離隔層の厚さは1~6μm
であり、前記多孔質背面電極層の厚さは10~40μmである。
【0010】
別の態様では、本発明は、印刷可能な曲面ペロブスカイト太陽電池の製造方法であって、
(1)清潔な曲面導電性基板をレーザーエッチングして、エッチング線P1を形成するス
テップと、
(2)多孔質電子輸送層スラリーでエッチング線P1を有する曲面導電性基板の導電層を
覆った後、ホットメルト接着剤で多孔質電子輸送層スラリーを覆って第1ホットメルト接
着剤膜を形成し、第1ホットメルト接着剤膜を取り外した後に多孔質電子輸送層を有する
第1プレハブ品を得るステップと、
(3)多孔質絶縁離隔層スラリーで第1プレハブ品の多孔質電子輸送層を覆った後、第2
ホットメルト接着剤で多孔質絶縁離隔層スラリーを覆って第2ホットメルト接着剤膜を形
成し、第2ホットメルト接着剤膜を取り外した後に多孔質絶縁離隔層を有する第2プレハ
ブ品を得るステップと、
(4)多孔質背面電極層スラリーで第2プレハブ品の多孔質絶縁離隔層を覆って多孔質背
面電極層を形成して、多孔質背面電極層を有する第3プレハブ品を得るステップと、
(5)ペロブスカイト前駆体スラリーを第3プレハブ品の多孔質背面電極層上に印加して
、ペロブスカイト前駆体スラリーが多孔質電子輸送層、多孔質絶縁離隔層及び多孔質背面
電極層の空隙に充填されるようにして、印刷可能な曲面ペロブスカイト太陽電池を得るス
テップとを含む、印刷可能な曲面ペロブスカイト太陽電池の製造方法を提供する。
【0011】
本発明の製造方法によれば、好ましくは、第1ホットメルト接着剤及び第2ホットメルト
接着剤は、それぞれポリウレタン、オレフィンエラストマー、ポリエーテルスルホン樹脂
、コポリアミド、エチレン-アクリル酸共重合体又はエチレン-酢酸ビニル共重合体のう
ちの1つから独立的に選択される。
【0012】
本発明の製造方法によれば、好ましくは、前記多孔質電子輸送層スラリーは、電子輸送材
料とテルピネオールとを含み、前記多孔質電子輸送層スラリー中の電子輸送材料の固形分
は2~10wt%であり、前記テルピネオールにα-テルピネオールが含まれており、テ
ルピネオール中の前記α-テルピネオールの含有量は30wt%以上であり、前記電子輸
送材料は、二酸化チタン、二酸化スズ、酸化亜鉛又はスズ酸バリウムのうちの1つ又は複
数から選択される。
【0013】
本発明の製造方法によれば、好ましくは、前記多孔質絶縁離隔層スラリーは、絶縁材料と
、エチルセルロースと、テルピネオールとを含み、絶縁材料とエチルセルロースの質量比
は、1:0.15~0.4であり、絶縁材料とテルピネオールの質量比は1:2~6であ
り、絶縁材料は、二酸化ジルコニウム、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム又はチタン酸バ
リウムのうちの1つ又は複数から選択され、テルピネオールにα-テルピネオールが含ま
れており、テルピネオール中の前記α-テルピネオールの含有量は30wt%以上であり
、前記多孔質背面電極層スラリーは、グラファイトと、カーボンブラックと、二酸化ジル
コニウムと、エチルセルロースと、テルピネオールとを含み、前記グラファイトと二酸化
ジルコニウムの質量比は1:0.15~0.5であり、前記グラファイトと二酸化ジルコ
ニウムの質量比は1:0.1~0.5であり、前記グラファイトとエチルセルロースの質
量比は1:0.1~0.5であり、前記グラファイトとテルピネオールの質量比は1:2
~6である。
【0014】
本発明の製造方法によれば、好ましくは、前記多孔質絶縁離隔層スラリーは氷酢酸を更に
含み、絶縁材料と氷酢酸の質量比は1:0.05~1であり、前記多孔質背面電極層スラ
リーは氷酢酸を更に含み、前記グラファイトと氷酢酸の質量比は1:0.01~0.6で
ある。
【0015】
本発明の製造方法によれば、好ましくは、多孔質電子輸送層を有する第1プレハブ品を3
00~600℃で10~60minアニールした後、ステップ(3)に使用するステップ
を更に含む。
【0016】
本発明の製造方法によれば、好ましくは、
多孔質絶縁離隔層を有する第2プレハブ品上でレーザーエッチングを行ってエッチング線
P2を形成するステップを更に含み、
前記エッチング線P2は、前記エッチング線P1の左側に位置し、かつエッチング線P1
に接しており、前記エッチング線P2の幅は0.3~1mmである。
【0017】
本発明の製造方法によれば、好ましくは、
多孔質背面電極層を有する第3プレハブ品上でレーザーエッチングを行ってエッチング線
P3を形成した後、300~600℃で10~60minアニールするステップを更に含
み、
前記エッチング線P3は、前記エッチング線P2の左側に位置し、かつエッチング線P2
に接しており、前記エッチング線P3の幅は0.05~0.3mmである。
【0018】
本発明の印刷可能なペロブスカイト太陽電池の基板は曲面であり、これにより他の物品(
例えば、自動車の屋根、携帯電話のケーシング、ポータブルテント等)との集積を容易に
し、ポータブル太陽電池に使用されることができ、印刷可能なペロブスカイト太陽電池の
使用範囲を拡大する。本発明は、コーティングスラリーをホットメルト接着剤膜で覆い、
これによりコーティングスラリーを曲面基板上に固定することができ、コーティングスラ
リーが基板のラジアンに沿って堆積されするのを防ぎ、各機能層の均一性を向上させる。
本発明の好ましい技術方案によれば、コーティングスラリーの組成を調整制御することに
よって、コーティングスラリーに適切な流動性を持たせ、各機能層の均一性をさらに向上
させる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】実施例1で得られた印刷可能な曲面ペロブスカイト太陽電池の実物図である。
【
図2】本発明の印刷可能な曲面ペロブスカイト太陽電池の構造概略図である。
【
図3】実施例1及び実施例2の多孔質電子輸送層スラリーの粘度の温度による変化図である。
【
図4】実施例1及び実施例2の多孔質絶縁離隔層スラリーの粘度の温度による変化図である。
【
図5】
図5(A)は、実施例1の多孔質電子輸送層の三次元プロファイルトポグラフィーの俯瞰図である。
図5(B)は、実施例1の多孔質電子輸送層の三次元プロファイルトポグラフィーの正面図である。
【
図6】
図6(A)は、実施例2の多孔質電子輸送層の三次元プロファイルトポグラフィーの俯瞰図である。
図6(B)は、実施例2の多孔質電子輸送層の三次元プロファイルトポグラフィーの正面図である。
【
図7】
図7(A)は、実施例1の多孔質絶縁離隔層の三次元プロファイルトポグラフィーの俯瞰図である。
図7(B)は、実施例1の多孔質絶縁離隔層の三次元プロファイルトポグラフィーの正面図である。
【
図8】
図8(A)は、実施例2の多孔質絶縁離隔層の三次元プロファイルトポグラフィーの俯瞰図である。
図8(B)は、実施例2の多孔質絶縁離隔層の三次元プロファイルトポグラフィーの正面図である。
【0020】
[符号の説明]
1 曲面透明基板
2 導電層
3 多孔質電子輸送層
4 多孔質絶縁離隔層
5 多孔質背面電極層
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明を以下に詳細に説明するが、本発明がこれに限定されるものではない。
【0022】
<印刷可能な曲面ペロブスカイト太陽電池>
図1に示されるように、本発明の印刷可能な曲面ペロブスカイト太陽電池の基板は、一定
のラジアンを有する。これは、既存の平面材料を基板とする印刷可能なペロブスカイト太
陽電池とは異なる。その基板は一定のラジアンを有するため、印刷されたウェットフィル
ムの流動性を大幅に増加させ、ペロブスカイト太陽電池の製造に大きな困難をもたらして
いる。印刷可能な平面ペロブスカイト太陽電池は広く使用されているが、印刷可能な曲面
ペロブスカイト太陽電池はまだ報告されていない。
【0023】
本発明的の印刷可能な曲面ペロブスカイト太陽電池は、曲面導電性基板と、多孔質電子輸
送層と、多孔質絶縁離隔層と、多孔質背面電極層と、ペロブスカイトフィラーとを含む。
実際、多孔質電子輸送層、多孔質絶縁離隔層、多孔質背面電極層も曲面構造である。ペロ
ブスカイトフィラーは、多孔質電子輸送層、多孔質絶縁離隔層、多孔質背面電極層の空隙
に充填される。本発明の印刷可能なペロブスカイト太陽電池は、封止層を更に含み得る。
いくつかの実施形態では、印刷可能な曲面ペロブスカイト太陽電池は、曲面導電性基板と
、多孔質電子輸送層と、多孔質絶縁離隔層と、多孔質背面電極層と、ペロブスカイトフィ
ラーとから構成される。他のいくつかの実施形態では、印刷可能な曲面ペロブスカイト太
陽電池は、曲面導電性基板と、多孔質電子輸送層と、多孔質絶縁離隔層と、多孔質背面電
極層と、ペロブスカイトフィラーと、封止層とから構成される。
【0024】
曲面導電性基板
本発明の曲面導電性基板は、曲面透明基板と、導電層とを含み得る。導電層は、曲面透明
基板上に蒸着され得る。好ましくは、本発明の曲面導電性基板は、曲面透明基板と、曲面
透明基板上に蒸着された導電層とから構成される。いわゆる「曲面」とは、1つの動線が
空間内で連続的に運動して形成される軌跡を指す。本発明の曲面は、直線織出し面でもあ
り得、双曲曲面でもあり得る。直線織出し面は、円柱面、円錐面、楕円柱面、楕円錐面、
錐状面又は柱状面のうちの1つを含むが、これらに限定されない。双曲曲面は、球面、円
環面を含むが、これらに限定されない。本発明の一実施形態によれば、曲面は円柱面であ
る。
【0025】
曲面透明基板は、透明ガラス又は透明ポリマーであり得る。透明重合体の実例は、ポリ塩
化ビニル、ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエチレン、
エチレン-酢酸ビニル共重合体を含むが、これらに限定されない。本発明の一実施形態に
よれば、曲面透明基板は透明ガラスである。
【0026】
導電層は、フッ素ドープ酸化スズ、スズドープ酸化インジウム、アルミニウムドープ酸化
亜鉛、グラフェン、透明金属導電性薄膜等から形成され得る。本発明の一実施形態によれ
ば、導電層は、フッ素ドープ酸化スズから形成される。
【0027】
多孔質電子輸送層
本発明の多孔質電子輸送層は、導電層上に蒸着され得る。多孔質電子輸送層は、曲面であ
り得る。本発明の曲面は、直線織出し面でもあり得、双曲曲面でもあり得る。直線織出し
面は、円柱面、円錐面、楕円柱面、楕円錐面、錐状面又は柱状面のうちの1つを含むが、
これらに限定されない。双曲曲面は、球面、円環面を含むが、これらに限定されない。本
発明の一実施形態によれば、曲面は円柱面である。
【0028】
多孔質電子輸送層は、二酸化チタン、二酸化スズ、酸化亜鉛又はスズ酸バリウムから形成
され得る。本発明の一実施形態によれば、前記多孔質電子輸送層は、二酸化チタンから形
成される。多孔質電子輸送層の厚さは、300~1000nm、好ましくは400~80
0nm、より好ましくは500~600nmであり得る。多孔質電子輸送層の孔径は、2
~100nm、好ましくは15~50nm、より好ましくは25~35nmであり得る。
多孔質電子輸送層の結晶粒サイズは、10~50nm、好ましくは15~35nm、より
好ましくは25~35nmであり得る。
【0029】
多孔質絶縁離隔層
本発明の多孔質絶縁離隔層は、多孔質電子輸送層上に蒸着され得る。多孔質絶縁離隔層は
、曲面であり得る。本発明の曲面は、直線織出し面でもあり得、双曲曲面でもあり得る。
直線織出し面は、円柱面、円錐面、楕円柱面、楕円錐面、錐状面又は柱状面のうちの1つ
を含むが、これらに限定されない。双曲曲面は、球面、円環面を含むが、これらに限定さ
れない。本発明の一実施形態によれば、曲面は円柱面である。
【0030】
多孔質絶縁離隔層は、二酸化ジルコニウム、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム又はチタン
酸バリウムから形成され得る。本発明の一実施形態によれば、多孔質絶縁離隔層は、二酸
化ジルコニウムから形成される。多孔質絶縁離隔層の厚さは、1~6μm、好ましくは2
~5μm、より好ましくは3~4μmであり得る。多孔質電子輸送層の孔径は、10~5
00nm、好ましくは30~200nm、より好ましくは50~100nmであり得る。
多孔質絶縁離隔層の結晶粒サイズは、10~500nm、好ましくは30~200nm、
より好ましくは100~200nmであり得る。
【0031】
多孔質背面電極層
本発明の多孔質背面電極層は、多孔質絶縁離隔層上に蒸着され得る。多孔質背面電極層は
、曲面であり得る。本発明の曲面は、直線織出し面でもあり得、双曲曲面でもあり得る。
直線織出し面は、円柱面、円錐面、楕円柱面、楕円錐面、錐状面又は柱状面のうちの1つ
を含むが、これらに限定されない。双曲曲面は、球面、円環面を含むが、これらに限定さ
れない。本発明の一実施形態によれば、曲面は円柱面である。
【0032】
多孔質背面電極層は、多孔質電極材料を含む原料から形成され得る。多孔質電極材料は、
多孔質炭素電極材料又は多孔質導電性酸化物電極材料であり得る。多孔質炭素電極材料の
実例は、グラファイト、カーボンブラック、活性炭、グラフェン、カーボンナノチューブ
を含むが、これらに限定されない。多孔質導電性酸化物電極材料は、フッ素ドープ酸化ス
ズ、スズドープ酸化インジウム、アルミニウムドープ酸化亜鉛を含むが、これらに限定さ
れない。本発明の一実施形態によれば、多孔質背面電極層は、グラファイト、カーボンブ
ラック及びジルコニアから形成される。グラファイトとカーボンブラックの質量比は、1
:0.15~0.5、好ましくは1:0.25~0.4、より好ましくは1:0.3~0
.35であり得る。グラファイトと二酸化ジルコニウムの質量比は、1:0.15~0.
5、好ましくは1:0.25~0.4、より好ましくは1:0.3~0.35であり得る
。グラファイトと二酸化ジルコニウムの質量比は、1:0.1~0.5、好ましくは1:
0.1~0.3、より好ましくは1:0.15~0.2であり得る。これにより、より良
い硬化及び強化の効果を達成することができ、したがって膜の品質を向上させ、ひいては
膜の電気学性能及び充填性能を向上させる。
【0033】
多孔質背面電極層の厚さは、10~50μm、好ましくは15~40μm、より好ましく
は20~30μmであり得る。多孔質背面電極グラファイトシートのサイズは、1~10
0μm、好ましくは5~50μm、より好ましくは10~20μmであり得る。
【0034】
ペロブスカイトフィラー
本発明のペロブスカイトフィラーは、多孔質電子輸送層、多孔質絶縁離隔層及び多孔質背
面電極層の空隙に充填される。ペロブスカイトフィラーは、下記の式(I)に示すような
構造を有する化合物である。
ABX3(I)
【0035】
ここで、Aは、アルキルアミン、ホルマミジン又はアルカリ金属から形成された陽イオン
であり、好ましくは、Aは、メチルアミン、ホルマミジン、セシウム又はルビジウムから
形成された陽イオンである。より好ましくは、Aは、メチルアミンから形成された陽イオ
ンである。Bは、鉛又はスズから形成された陽イオンである。好ましくは、Bは、鉛から
形成された陽イオンである。Xは、ヨウ素、臭素、塩素又は擬ハロゲンから形成された陰
イオンである。擬ハロゲンの実例は、ジシアン、チオシアン、セレンシアン、オキシシア
ン、アジド二硫化炭素を含むが、これらに限定されない。好ましくは、Xはヨウ素イオン
である。本発明の一実施形態によれば、ペロブスカイト構造を有する化合物は、ヨウ化メ
チルアンモニウム(CH3NH3PbI3)である。
【0036】
封止層
本発明の封止層は、ホットメルト接着剤膜と、可撓性バックプレートとを含み得る。ホッ
トメルト接着剤膜は、多孔質背面電極層を覆っている。可撓性バックプレートは、ホット
メルト接着剤膜を覆っている。本発明のホットメルト接着剤膜は、ポリウレタン又はエチ
レン-酢酸ビニル共重合体から形成され得る。ホットメルト接着剤膜は、曲面であり得る
。本発明の曲面は、直線織出し面でもあり得、双曲曲面でもあり得る。直線織出し面は、
円柱面、円錐面、楕円柱面、楕円錐面、錐状面又は柱状面のうちの1つを含むが、これら
に限定されない。双曲曲面は、球面、円環面を含むが、これらに限定されない。本発明の
一実施形態によれば、曲面は円柱面である。本発明の可撓性バックプレートは、防水及び
絶縁役割を有する可撓性機能膜であり得る。可撓性バックプレートは、曲面であり得る。
本発明の曲面は、直線織出し面でもあり得、双曲曲面でもあり得る。直線織出し面は、円
柱面、円錐面、楕円柱面、楕円錐面、錐状面又は柱状面のうちの1つを含むが、これらに
限定されない。双曲曲面は、球面、円環面を含むが、これらに限定されない。本発明の一
実施形態によれば、曲面は円柱面である。
【0037】
<製造方法>
本発明の曲面ペロブスカイト太陽電池の製造方法は、(1)エッチング線P1を形成する
ステップと、(2)多孔質電子輸送層を形成するステップと、(3)多孔質絶縁離隔層を
形成するステップと、(4)多孔質背面電極層を形成するステップと、(5)ペロブスカ
イトを充填するステップとを含む。任意選択で、本発明の製造方法は、(6)封止のステ
ップを更に含む。本発明において、多孔質電子輸送層、多孔質絶縁離隔層、多孔質背面電
極層は、別々にアニール処理されても良く、そのうちの2つの層が一緒にアニール処理さ
れても良く、3つの層が一緒にアニール処理されても良い。詳細な説明を以下に示すこと
にする。
【0038】
エッチング線P1を形成するステップ
清潔な曲面導電性基板をレーザーエッチングして、エッチング線P1を形成する。
【0039】
レーザーエッチングの前に、曲面導電性基板は、洗浄処理される必要がある。清潔な曲面
導電性基板とは、表面の汚れが除去された曲面導電性基板を指す。曲面導電性基板を洗浄
剤に置いて超音波洗浄してから、エタノールに置いて洗浄し、洗浄された曲面導電性基板
を乾燥させて、清潔な曲面導電性基板を得る。洗浄剤は、ウィリス、ミスターマッスル、
潔士奇、LOPO、Cleafe、White Cat、~iby、Kleen MCT
511及びHellmanexRIII洗浄液のうちの1つ又は複数から選択され得る。好ましくは、
洗浄剤は、Cleafe、White Cat、~iby、Kleen MCT511及
びHellmanexRIII洗浄液のうちの1つ又は複数から選択され得、より好ましくはHellmanex
RIII洗浄液である。洗浄剤中での超音波洗浄の時間は、5~30min、好ましくは10
~25min、より好ましくは15~20minであり得る。エタノール中での超音波洗
浄の時間は、1~20min、好ましくは3~15min、より好ましくは3~10mi
nであり得る。乾燥温度は、50~80℃、好ましくは55~75℃、より好ましくは5
5~60℃であり得る。これにより、曲面導電性基板上の汚れをより徹底的に除去できる
。
【0040】
ナノ秒レーザーエッチング機を採用して曲面導電性基板をレーザーエッチングして、エッ
チング線P1を形成し得る。エッチング線P1の幅は、0.02~0.15mm、好まし
くは0.03~0.1mm、より好ましくは0.05~0.1mmであり得る。
【0041】
エッチング線P1を有する曲面導電性基板を洗浄する。具体的には、エッチング線P1を
有する曲面導電性基板を脱イオン水中に置いて超音波洗浄してから、エタノール中に置い
て超音波洗浄する。洗浄された曲面導電性基板をその表面に水分や斑点不純物がなくなる
まで乾燥させる。脱イオン水中の超音波洗浄の時間は、5~30min、好ましくは10
~25min、より好ましくは15~20minであり得る。エタノール中での超音波洗
浄の時間は、1~20min、好ましくは3~15min、より好ましくは3~10mi
nであり得る。乾燥温度は、50~80℃、好ましくは55~75℃、より好ましくは6
0~70℃であり得る。これにより、蒸着されるべき部位の清潔度を確保し、後続のステ
ップがスムーズに進行されることを確保する。
【0042】
洗浄されたエッチング線P1を有する曲面導電性基板を紫外線及びオゾンで処理する。処
理時間は、5~30min、好ましくは10~20min、より好ましくは10~15m
inであり得る。紫外線及びオゾンは、曲面導電性基板の表面の有機物を洗浄でき、曲面
導電性基板の表面の浸潤性を改善させる。
【0043】
多孔質電子輸送層を形成するステップ
多孔質電子輸送層スラリーでエッチング線P1を有する曲面導電性基板の導電層を覆った
後、ホットメルト接着剤で多孔質電子輸送層スラリーを覆って第1ホットメルト接着剤膜
を形成する。第1ホットメルト接着剤膜を取り外した後に多孔質電子輸送層を有する第1
プレハブ品を得る。具体的には、エッチング線P1を有する曲面導電性基板の導電層を多
孔質電子輸送層スラリーで均一に覆った後、第1ホットメルト接着剤で多孔質電子輸送層
スラリーを均一に覆い、乾燥を経て第1ホットメルト接着剤膜を得、第1ホットメルト接
着剤膜を取り外すと、多孔質電子輸送層を有する第1プレハブ品が得られる。第1ホット
メルト接着剤膜を取り外す方式は特に限定されず、当該技術分野における従来の方法を採
用し得る。
【0044】
多孔質電子輸送層スラリーは、シルクスクリーン印刷、スリットコーティング、ブレード
コーティング、インクジェット印刷、スプレー蒸着等の技術によってエッチング線P1を
有する曲面導電性基板の導電層を覆い得る。本発明の一実施形態によれば、シルクスクリ
ーン印刷技術によって、エッチング線P1を有する曲面導電性基板の導電層上に多孔質電
子輸送層スラリーを印刷する。シルクスクリーン印刷技術は、曲面シルクスクリーン印刷
機によって実現され得る。
【0045】
多孔質電子輸送層スラリーは、電子輸送材料と、テルピネオールとを含み得る。電子輸送
材料は、二酸化チタン、二酸化スズ、酸化亜鉛又はスズ酸バリウムのうちの1つから選択
され得る。好ましくは、電子輸送材料は、二酸化チタンである。電子輸送材料の孔径は、
2~50nm、好ましくは15~35nm、より好ましくは25~35nmであり得る。
電子輸送材料の結晶粒サイズは、10~40nm、好ましくは15~35nm、より好ま
しくは25~35nmであり得る。テルピネオールは、α-テルピネオール、β-テルピネ
オール又はγ-テルピネオールのうちの1つ又は複数から選択され得る。好ましくは、テ
ルピネオールにα-テルピネオールが含まれる。より好ましくは、テルピネオールは、α-
テルピネオールである。テルピネオール中のα-テルピネオールの用量は、30wt%以
上、好ましくは80wt%以上、より好ましくは90wt%以上である。α-テルピネオ
ールで配合製造されたスラリーは、室温ではゼリー状であるが、温度が40℃を超えると
流動性が良好であり、これにより曲面導電性基板上に均一な多孔質電子輸送層を形成する
のに役立つ。本発明の一実施形態によれば、多孔質電子輸送層スラリーは、二酸化チタン
と、α-テルピネオールとを含む。二酸化チタンは、二酸化チタンスラリーから提供され
得る。二酸化チタンスラリーは、Greatcell solar社から購入され得る。
好ましくは、二酸化チタンスラリーは、Greatcell solar社のNR-18
又はNR30から選択される。本発明の一実施形態によれば、二酸化チタンスラリーは、
Greatcell solar社からモデルがNR-30である二酸化チタンスラリー
である。多孔質電子輸送層スラリー中の電子輸送材料の固形分は、2~10wt%、好ま
しくは3~7wt%、より好ましくは4~5wt%であり得る。
【0046】
多孔質電子輸送層スラリーは、混合の方式によって配合製造される。好ましくは、混合の
後、真空消泡のステップを更に含む。真空消泡の時間は、20~80min、好ましくは
30~70min、より好ましくは40~50minであり得る。これにより、膜形成の
均一性を向上させることができる。
【0047】
多孔質電子輸送層スラリーでエッチング線P1を有する曲面導電性基板の導電層を覆った
後、先ず室温で3~20min、好ましくは5~15min、より好ましくは10~15
min静置した後、多孔質電子輸送層スラリー上に第1ホットメルト接着剤を塗布し得る
。先ず第1ホットメルト接着剤を塗布してから、室温で静置しても良い。また、室温で静
置せずに直接第1ホットメルト接着剤を塗布しても良い。静置することで、薄膜表面の平
坦度が増し、静置されていない薄膜は比較的粗い。
【0048】
第1ホットメルト接着剤は、ポリウレタンホットメルト接着剤、オレフィンエラストマー
、ポリエーテルスルホン樹脂、コポリアミド、エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン
-酢酸ビニル共重合体ホットメルト接着剤のうちの1つから選択され得る。好ましくは、
第1ホットメルト接着剤は、ポリウレタンホットメルト接着剤である。より好ましくは、
第1ホットメルト接着剤は、深セン恒盛龍接着剤製品有限会社のHSL-U60型ホット
メルト接着剤、上海星霞高分子製品有限会社のXJU-5C型ホットメルト接着剤、江蘇
和和新材料株式有限会社のLV368B-10-FQ型ホットメルト接着剤のうちの1つか
ら選択される。本発明の一実施形態によれば、第1ホットメルト接着剤は、上海星霞高分
子製品有限会社のXJU-5C型ホットメルト接着剤である。第1ホトメルト接着剤は、
多孔質電子輸送層スラリーを曲面導電性基板上に固定するのを補助でき、多孔質電子輸送
層の均一性を向上させ、乾燥後の取り外しを容易にし、かつペロブスカイト太陽電池の性
能に影響を与えない。
【0049】
乾燥は、真空乾燥オーブン内で行われ得る。乾燥温度は、80~130℃、好ましくは9
0~120℃、より好ましくは90~110℃であり得る。乾燥時間は、5~20min
、好ましくは10~20min、より好ましくは13~17minであり得る。これによ
り、ホットメルト接着剤によって形成された固体薄膜を取り外しやすくすることができ、
多孔質電子輸送層を曲面導電性基板上に蒸着させることができる。
【0050】
いくつかの実施形態では、多孔質電子輸送層を有する第1プレハブ品をアニールする。ア
ニール温度は、300~600℃、好ましくは400~600℃、より好ましくは450
~550℃であり得る。アニール時間は、10~60min、好ましくは20~50mi
n、より好ましくは20~40minであり得る。これにより、多孔質電子輸送層の性能
を増強することができる。
【0051】
多孔質絶縁離隔層を形成するステップ
多孔質絶縁離隔層スラリーで第1プレハブ品の多孔質電子輸送層を覆って後、第2ホット
メルト接着剤で多孔質絶縁離隔層スラリーを覆って第2ホットメルト接着剤膜を形成する
。第2ホットメルト接着剤膜を取り外した後に多孔質絶縁離隔層を有する第2プレハブ品
が得られる。具体的には、多孔質絶縁離隔層スラリーで第1プレハブ品の多孔質電子輸送
層を覆った後、第2ホットメルト接着剤で多孔質絶縁離隔層を均一に覆い、乾燥後に第2
ホットメルト接着剤膜が形成される。第2ホットメルト接着剤膜を取り外すと、多孔質絶
縁離隔層を有する第2プレハブ品が得られる。第2ホットメルト接着剤膜を取り外す方式
は特に限定されず、当該技術分野における従来の方法を採用し得る。
【0052】
多孔質絶縁離隔層スラリーは、シルクスクリーン印刷、スリットコーティング、ブレード
コーティング、インクジェット印刷、スプレー蒸着等の技術によって第1プレハブ品の多
孔質電子輸送層を覆い得る。本発明の一実施形態によれば、シルクスクリーン印刷技術に
よって多孔質絶縁離隔層スラリーを第1プレハブ品の多孔質電子輸送層上に印刷する。シ
ルクスクリーン印刷技術は、曲面シルクスクリーン印刷機によって実現され得る。
【0053】
多孔質絶縁離隔層スラリーは、絶縁材料と、エチルセルロースと、テルピネオールとを含
み得る。いくつかの実施形態では、多孔質絶縁離隔層のスラリーは、氷酢酸を更に含み得
る。多孔質絶縁離隔層スラリーは、遊星型ボールミルによる分散、高速剪断機による分散
、サンドミルによる分散、自転公転攪拌機、ナノメートル粉砕による分散等の工程によっ
て製造され得る。また、真空消泡のステップを更に含み得る。真空消泡の時間は、20~
80min、好ましくは30~70min、より好ましくは40~50minであり得る
。これにより、膜形成の均一性を向上させることができる。
【0054】
絶縁材料は、二酸化ジルコニウム、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム又はチタン酸バリウ
ムのうちの1つから選択され得る。好ましくは、絶縁材料は、二酸化ジルコニウムである
。絶縁材料は、多孔質構造を有し、その孔径は、10~500nm、好ましくは30~2
00nm、より好ましくは50~100nmであり得る。絶縁機能を有する原料の結晶粒
サイズは、10~500nm、好ましくは30~200nm、より好ましくは50~20
0nmであり得る。
【0055】
エチルセルロースの粘度は、8~60cP(センチポアズ)、好ましくは10~55cP
、より好ましくは10~46cP(センチポアズ)であり得る。エチルセルロースは、粘
度が10cPであるエチルセルロース、粘度が20cPであるエチルセルロース、粘度が
46cPであるエチルセルロース又は粘度が55cPであるエチルセルロースのうちの1
つ又は複数から選択され得る。好ましくは、エチルセルロースは、粘度が10cPである
エチルセルロース又は粘度が46cPであるエチルセルロースのうちの1つ又は複数から
選択され得る。より好ましくは、エチルセルロースは、粘度が10cPであるエチルセル
ロースと、粘度が46cPであるエチルセルロースとの混合物である。粘度が10cPで
あるエチルセルロースと粘度が46cPであるエチルセルロースの質量比は、1:0.0
1~1、好ましくは1:0.3~1、より好ましくは1:0.5~1であり得る。これに
より、多孔質絶縁離隔層スラリーの流動性を調節することができ、多孔質絶縁離隔層の均
一性を向上させる。
【0056】
テルピネオールは、α-テルピネオール、β-テルピネオール又はγ-テルピネオールのう
ちの1つ又は複数から選択され得る。好ましくは、テルピネオールにα-テルピネオール
が含まれる。より好ましくは、テルピネオールは、α-テルピネオールである。テルピネ
オール中のα-テルピネオールの用量は、30wt%以上、好ましくは80wt%以上、
より好ましくは90wt%以上である。α-テルピネオールで配合製造されたスラリーは
、室温ではゼリー状であるが、温度が40℃超えると流動性が良好であり、これにより曲
面導電性基板上に均一な多孔質絶縁離隔層を形成するのに役立つ。
【0057】
絶縁材料とエチルセルロースの質量比は、1:0.15~0.4、好ましくは1:0.2
~0.35、より好ましくは1:0.25~0.3であり得る。これにより、多孔質絶縁
離隔層スラリーの流動性を改善させ、多孔質絶縁離隔層の均一性を向上させることができ
る。
【0058】
絶縁材料とテルピネオールの質量比は、1:2~6、好ましくは1:2~5、より好まし
くは1:3~5であり得る。これにより、多孔質絶縁離隔層スラリーの流動性を改善させ
、多孔質絶縁離隔層の均一性を向上させることができる。
【0059】
絶縁材料と氷酢酸の質量比は、1:0.05~1、好ましくは1:0.2~0.8、より
好ましくは1:0.3~0.6であり得る。氷酢酸は、スラリーの分散性を改善させ、ス
ラリーの安定性を向上させることができ、したがって多孔質絶縁離隔層の均一性を向上さ
せることができる。
【0060】
多孔質絶縁離隔層スラリーで第1プレハブ品の多孔質電子輸送層を覆った後、先ず室温で
3~20min、好ましくは5~15min、より好ましくは10~15min静置して
から、多孔質電子輸送層スラリー上に第1ホットメルト接着剤を塗布する。先ず第1ホッ
トメルト接着剤を塗布してから、室温で静置しても良い。あるいは、静置せずに直接第1
ホットメルト接着剤を塗布しても良い。静置することで、薄膜表面の平坦度が増し、静置
されていない薄膜は比較的粗い。第2ホットメルト接着剤は、ポリウレタンホットメルト
接着剤、オレフィンエラストマー、ポリエーテルスルホン樹脂、コポリアミド、エチレン
-アクリル酸共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体ホットメルト接着剤のうちの1つ
から選択され得る。好ましくは、第2ホットメルト接着剤は、ポリウレタンホットメルト
接着剤である。より好ましくは、第2ホットメルト接着剤は、深セン恒盛龍接着剤製品有
限会社のHSL-U60型ホットメルト接着剤、上海星霞高分子製品有限会社のXJU-5
C型ホットメルト接着剤、江蘇和和新材料株式有限会社のLV368B-10-FQ型ホッ
トメルト接着剤のうちの1つから選択される。本発明の一実施形態によれば、第2ホット
メルト接着剤は、上海星霞高分子製品有限会社のXJU-5C型ホットメルト接着剤であ
る。第2ホトメルト接着剤は、多孔絶縁離隔スラリーを曲面導電性基板上に固定すること
ができ、多孔質絶縁離隔層を向上させ、乾燥後に簡便に取り外され、かつペロブスカイト
太陽電池の性能に影響を与えない。
【0061】
乾燥は、真空乾燥オーブン内で行われ得る。乾燥温度は、80~130℃、好ましくは9
0~120℃、より好ましくは90~110℃であり得る。乾燥時間は、5~20min
、好ましくは10~20min、より好ましくは13~17minであり得る。これによ
り、第2ホットメルト接着剤によって形成された固体薄膜を取り外しやすくすることがで
き、多孔質絶縁離隔層を曲面導電性基板上に蒸着させることができる。
【0062】
いくつかの実施形態では、多孔質絶縁離隔層を有する第2プレハブ品上でレーザーエッチ
ングを行ってエッチング線P2を形成する。エッチング線P2は、エッチング線P1の左
側に位置し、かつエッチング線P1に接している。エッチング線P2の幅は、0.3~1
mm、好ましくは0.4~0.7mm、より好ましくは0.4~0.6mmであり得る。
【0063】
いくつかの実施形態では、多孔質絶縁離隔層を有する第2プレハブ品をアニールするか、
或いはエッチング線P2を有する第2プレハブ品をアニールする。アニール温度は、30
0~600℃、好ましくは400~600℃、より好ましくは450~550℃であり得
る。アニール時間は、10~60min、好ましくは20~50min、より好ましくは
20~40minであり得る。これにより、多孔質絶縁離隔層の性能を増強することがで
きる。
【0064】
多孔質背面電極層を形成するステップ
多孔質背面電極層スラリーで第2プレハブ品の多孔質絶縁離隔層を覆って多孔質背面電極
層を形成して、多孔質背面電極層を有する第3プレハブ品を得る。具体的には、多孔質背
面電極層スラリーで第2プレハブ品の多孔質絶縁離隔層を覆い、乾燥後に多孔質背面電極
層が形成されることで、多孔質背面電極層を有する第3プレハブ品が得られる。
【0065】
多孔質背面電極層スラリーは、シルクスクリーン印刷、スリットコーティング、ブレード
コーティング、インクジェット印刷、スプレー蒸着等の技術によって第2プレハブ品の多
孔質絶縁離隔層を覆い得る。本発明の一実施形態によれば、シルクスクリーン印刷技術に
よって多孔質背面電極層スラリーを第2プレハブ品の多孔質絶縁離隔層上に印刷する。シ
ルクスクリーン印刷技術は、曲面シルクスクリーン印刷機によって実現され得る。
【0066】
多孔質背面電極層スラリーは、多孔質電極材料と、二酸化ジルコニウムと、エチルセルロ
ースと、テルピネオールとを含み得る。いくつかの実施形態では、多孔質背面電極層スラ
リーは、氷酢酸を更に含み得る。多孔質背面電極層スラリーは、遊星型ボールミルによる
分散、高速剪断機による分散、サンドミルによる分散、自転公転攪拌機、ナノメートル粉
砕による分散等の工程によって製造され得る。
【0067】
多孔質電極材料は、グラファイト、カーボンブラック、活性炭、グラフェン、カーボンナ
ノチューブ、フッ素ドープ酸化スズ、スズドープ酸化インジウム、アルミニウムドープ酸
化亜鉛のうちの1つ又は複数から選択され得る。本発明の一実施形態によれば、多孔質電
極材料は、グラファイトと、カーボンブラックとの混合物である。グラファイトとカーボ
ンブラックの質量比は、1:0.15~0.5、好ましくは1:0.25~0.4、より
好ましくは1:0.3~0.35であり得る。グラファイトの粒径は、1~100μm、
好ましくは5~50μm、より好ましくは10~20μmであり得る。
【0068】
二酸化ジルコニウムは、二酸化ジルコニウム粉体である。二酸化ジルコニウムの結晶粒サ
イズは、10~500nm、好ましくは30~200nm、より好ましくは100~20
0nmであり得る。グラファイトと二酸化ジルコニウムの質量比は、1:0.1~0.5
、好ましくは1:0.1~0.3、より好ましくは1:0.15~0.2であり得る。二
酸化ジルコニウムは、強化及び硬化の役割を果たすことができ、焼結後の膜の品質を改善
させ、ひいては背面電極層の電気学性能及び充填性能を向上させる。
【0069】
エチルセルロースの粘度は、8~60cP(センチポアズ)、好ましくは10~55cP
、より好ましくは10~46cP(センチポアズ)であり得る。エチルセルロースは、粘
度が10cPであるエチルセルロース、粘度が20cPであるエチルセルロース、粘度が
46cPであるエチルセルロース又は粘度が55cPであるエチルセルロースのうちの1
つ又は複数から選択され得る。好ましくは、エチルセルロースは、粘度が10cPである
エチルセルロース又は粘度が46cPであるエチルセルロースのうちの1つ又は複数から
選択される。より好ましくは、エチルセルロースは、粘度が10cPであるエチルセルロ
ースと、粘度が46cPであるエチルセルロースとの混合物である。粘度が10cPであ
るエチルセルロースと粘度が46cPであるエチルセルロースの質量比は、1:0.01
~3、好ましくは1:0.05~2、より好ましくは1:0.7~1.2であり得る。グ
ラファイトとエチルセルロースの質量比は、1:0.1~0.5、好ましくは1:0.1
~0.3、より好ましくは1:0.15~0.2であり得る。これにより、多孔質背面電
極層を曲面導電性基板上に堅固に蒸着させることばかりではなく、多孔質背面電極層スラ
リーの流動性を調節することもでき、多孔質背面電極層の均一性を改善させる。
【0070】
テルピネオールは、α-テルピネオール、β-テルピネオール又はγ-テルピネオールのう
ちの1つ又は複数から選択され得、好ましくはα-テルピネオール及びγ-テルピネオール
である。α-テルピネオールとγ-テルピネオールの質量比は、1:0.01~3、好まし
くは1:0.5~2、より好ましくは1:0.8~1.3であり得る。これにより、曲面
導電性基板上に均一な多孔質背面電極層を形成するのに役立つ。グラファイトとテルピネ
オールの質量比は、1:2~6、好ましくは1:2~5、より好ましくは1:3~5であ
り得る。これにより、多孔質背面電極層スラリーの流動性を改善させることができ、多孔
質背面電極層の均一性を改善させる。
【0071】
グラファイトと氷酢酸の質量比は、1:0.01~0.6、好ましくは1:0.05~0
.4、より好ましくは1:0.1~0.2であり得る。氷酢酸は、スラリーの分散性を改
善させ、スラリーの安定性を向上させることができ、したがって多孔質背面電極層の均一
性を向上させることができる。
【0072】
乾燥は、真空乾燥オーブン内で行われ得る。乾燥温度は、80~130℃、好ましくは9
0~120℃、より好ましくは90~10℃であり得る。乾燥の時間は、5~20min
、好ましくは10~20min、より好ましくは13~17minであり得る。
【0073】
いくつかの実施形態では、多孔質背面電極層を有する第3プレハブ品上でレーザーエッチ
ングを行ってエッチング線P3を形成する。エッチング線P3は、エッチング線P2の左
側に位置し、かつエッチング線P2に接している。エッチング線P3の幅は、0.05~
0.3mm、好ましくは0.07~0.14mm、より好ましくは0.08~0.12m
mであり得る。
【0074】
いくつかの実施形態では、多孔質背面電極層の第3プレハブ品をアニールするか、或いは
エッチング線P3を有する第3プレハブ品をアニールする。アニール温度は、300~6
00℃、好ましくは300~500℃、より好ましくは350~450℃であり得る。ア
ニール時間は、10~60min、好ましくは20~50min、より好ましくは20~
40minであり得る。これにより、多孔質メソポーラス膜の機械的性能を増強して、ペ
ロブスカイト前駆体スラリーの充填を容易にすることができる。
【0075】
ペロブスカイトを充填するステップ
ペロブスカイト前駆体スラリーを第3プレハブ品の多孔質背面電極層上に印加して、ペロ
ブスカイト前駆体スラリーが多孔質電子輸送層、多孔質絶縁離隔層及び多孔質背面電極層
の空隙に充填されるようにして、印刷可能な曲面ペロブスカイト太陽電池を得る。
【0076】
ペロブスカイト前駆体スラリーは、ペロブスカイト構造を有する化合物と、溶剤とを含む
。ペロブスカイト構造を有する化合物は、式(I)に示す通りである。
ABX3(I)
【0077】
Aは、アルキルアミン、ホルマミジン又はアルカリ金属から形成された陽イオンである。
好ましくは、Aは、メチルアミン、ホルマミジン、セシウム又はルビジウムから形成され
た陽イオンである。より好ましくは、Aは、メチルアミンから形成された陽イオンである
。Bは、鉛又はスズから形成された陽イオンである。好ましくは、Bは、鉛から形成され
た陽イオンである。Xは、ヨウ素、臭素、塩素又は擬ハロゲンから形成された陰イオンで
ある。擬ハロゲンの実例は、ジシアン、チオシアン、セレンシアン、オキシシアン、アジ
ド二硫化炭素を含むが、これらに限定されない。好ましくは、Xはヨウ素から形成された
陰イオンである。本発明の一実施形態によれば、ペロブスカイト構造を有する化合物は、
ヨウ化メチルアンモニウム(CH3NH3PbI3)である。溶剤は、γ-ブチロラクト
ン、N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチルホルムアミド、メチルピロリドン又はジメ
チルスルホキシドのうちの1つ又は複数から選択され得る。好ましくは、溶剤は、γ-ブチ
ロラクトン、N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチルホルムアミドのうちの1つ又は複数
から選択される。より好ましくは、溶剤は、γ-ブチロラクトンである。ペロブスカイト
前駆体スラリー中の溶質の質量分率は、15~45wt%、好ましくは20~40wt%
、より好ましくは25~35wt%であり得る。
【0078】
ディスペンシングの方式によってペロブスカイト前駆体スラリーを第3プレハブ品の多孔
質背面電極層上に印加し得る。ペロブスカイト前駆体スラリーが多孔質電子輸送層、多孔
質絶縁離隔層及び多孔質背面電極層の多孔質構造に充填された後、アニールが行われる。
アニール温度は、50~150℃、好ましくは50~100℃、より好ましくは50~7
0℃であり得る。アニール時間は、0.5~24h、好ましくは1~12h、より好まし
くは6~12hであり得る。
【0079】
封止のステップ
ホットメルト接着剤膜で印刷可能な曲面ペロブスカイト太陽電池の多孔質背面電極層を覆
った後、可撓性バックプレートを置き、真空ラミネート後に印刷可能な曲面ペロブスカイ
ト太陽電池の封止を完成する。可撓性バックプレート層は、防水及び絶縁役割を有する可
撓性機能膜であり得る。ホットメルト接着剤膜は、ポリウレタンホットメルト接着剤又は
エチレン-酢酸ビニル共重合体ホットメルト接着剤であり得る。ホットメルト接着剤膜の
コーティング膜厚は、0.3~0.8mmであり得る。真空ラミネート温度は、90~1
20℃であり得る。真空ラミネート時間は、5~15minであり得る。
【0080】
本発明は、スラリー中のテルピネオール及びエチルセルロースのモデル及び用量の調合比
率を調整することにより、室温でのスラリーの粘度を増大させるとともに、印刷温度での
スラリーの良好な流動性を保ち、曲面薄膜印刷の可制御性を向上させる。表面をホットメ
ルト接着剤で覆う方式によって印刷後の曲面薄膜を固定することで、膜形成の均一性を向
上させる。
【0081】
以下では、具体的な実施例を通して本発明の実施形態をさらに説明することにする。
【0082】
以下の実施例及び比較例におけるホットメルト接着剤は、モデルがXJU-5Cであり、
上海星霞高分子製品有限会社から購入されたものである。曲面シルクスクリーン印刷機は
、モデルがATMAOE67であり、東遠機械工業(昆山)有限会社から購入されたもの
である。ナノ秒レーザーエッチング機は、モデルがET660であり、武漢拓普銀光電技
術有限会社から購入されたものである。フェムトセカンドレーザーエッチング機は、モデ
ルがETG1370であり、武漢元禄光電技術有限会社から購入されたものである。曲面
導電性基板は、曲面透明ガラス基板と、曲面透明ガラス基板上に蒸着されたフッ素ドープ
酸化スズ導電層から構成される。二酸化チタンスラリーは、モデルがNR-30であり、
オーストラリアGreatcell solar社から購入されたものであり、二酸化チ
タンの結晶粒サイズは30nmである。二酸化ジルコニウム粉体の結晶粒サイズは50n
mである。グラファイトの粒径は15μmである。
【0083】
実施例1
図2は、本発明の印刷可能な曲面ペロブスカイト太陽電池の構造概略図である。印刷可能
な曲面ペロブスカイト太陽電池は、曲面導電性基板を有する。曲面導電性基板は、曲面透
明基板1と、曲面透明基板1上に蒸着された導電層2とを含む。多孔質電子輸送層3、多
孔質絶縁離隔層4及び多孔質背面電極層5は、下から上に導電層2上に順次蒸着されてい
る。ペロブスカイトフィラーは、多孔質電子輸送層2、多孔質絶縁離隔層3及び多孔質背
面電極層4の空隙に充填される。印刷可能な曲面ペロブスカイト太陽電池の製造方法は次
の通りである。
【0084】
(1)曲面導電性基板をHellmanexRIII洗浄剤に置いて、15min超音波洗浄した後、
エタノールで10min超音波洗浄する。洗浄された曲面導電性基板を55℃で乾燥させ
て、清潔な曲面導電性基板を得る。清潔な曲面導電性基板をプロファイルモデリング治具
上に置き、真空で吸着固定させる。ナノ秒レーザーエッチング機を採用して曲面導電性基
板の導電層をレーザーエッチングして、エッチング線P1を形成する。エッチング線P1
の幅は0.08mmである。エッチング線P1を有する曲面導電性基板を脱イオン水に置
いて、15min超音波洗浄した後、エタノール中で5min超音波洗浄する。洗浄され
たエッチング線P1を有する曲面導電性基板を60℃で乾燥させて、その表面に水分や斑
点不純物がないようにする。乾燥されたエッチング線P1を有する曲面導電性基板を紫外
線及びオゾンで15min処理する。
【0085】
(2)多孔質電子輸送層スラリーの原料を混合し、45min真空消泡させて、多孔質電
子輸送層スラリーを得る。多孔質電子輸送層スラリーの組成は、表1に示す通りである。
シルクスクリーン曲面印刷機を採用してエッチング線P1を有する曲面導電性基板の導電
層上に多孔質電子輸送層スラリーを印刷する。多孔質電子輸送層スラリーが印刷された曲
面導電性基板を室温で10min静置してから、ポリウレタンホットメルト接着剤で多孔
質電子輸送層スラリーを均一に覆った後、真空乾燥オーブンに置いて、100℃で15m
in真空乾燥させる。真空乾燥が完了した後、ポリウレタン膜を取り外して、多孔質電子
輸送層を有する第1プレハブ品を得る。多孔質電子輸送層を有する第1プレハブ品を50
0℃で30minアニールする。
【0086】
(3)多孔質絶縁離隔層スラリーの原料を遊星ボールミルで均一に分散させ、45min
真空消泡させて、多孔質絶縁離隔層スラリーを得る。多孔質絶縁離隔層スラリーの組成は
、表2に示す通りである。シルクスクリーン曲面印刷機を採用して第1プレハブ品の多孔
質電子輸送層上に多孔質絶縁離隔層スラリーを印刷する。多孔質絶縁離隔層スラリーが印
刷されている第1プレハブ品を室温で10min静置してから、ポリウレタンホットメル
ト接着剤で多孔質絶縁離隔層スラリーに覆った後、真空乾燥オーブンに置いて、100℃
で15min真空乾燥させる。真空乾燥が完了した後、ポリウレタン膜を取り外して、多
孔質絶縁離隔層を有する第2プレハブ品を得る。
【0087】
(4)多孔質背面電極層スラリーを遊星ボールミルで分散させ、多孔質背面電極層スラリ
ーの組成は、表3に示す通りである。シルクスクリーン曲面印刷機を採用して第2プレハ
ブ品の多孔質絶縁離隔層上に多孔質背面電極層スラリーを印刷する。多孔質背面電極層ス
ラリーが印刷されている第2プレハブ品を真空乾燥オーブンに置いて、100℃で15m
in真空乾燥させて、多孔質背面電極層を有する第3プレハブ品を得る。多孔質背面電極
層を有する第3プレハブ品を400℃で30minアニールし、室温まで冷却させる。
【0088】
(5)ディスペンシングを採用する方式は、ヨウ化メチルアンモニウム前駆体スラリー(
溶剤がγ-ブチロラクトンであり、溶質の質量分率が30wt%である)を多孔質背面電
極層上に印加して、多孔質電子輸送層、多孔質絶縁離隔層及び多孔質背面電極層の空隙に
浸透させる。得られた産物を50℃で10hアニールして、印刷可能な曲面ペロブスカイ
ト太陽電池を得る。実物は、
図1に示す通りである。
【0089】
(6)印刷可能な曲面ペロブスカイト太陽電池の多孔質背面電極層をポリウレタン膜で覆
い(コーティング膜厚は0.5mmである)、可撓性バックプレートを置いた後、110
℃で15minラミネートして、印刷可能な曲面ペロブスカイト太陽電池の封止を完成す
る。
【0090】
実施例2
実施例2は、ステップ(2)~ステップ(3)において実施例1と異なる。詳細は以下の
通りである。
【0091】
(1)曲面導電性基板をHellmanexRIII洗浄剤に置いて、15min超音波洗浄した後、
エタノール中で10min超音波洗浄する。洗浄された曲面導電性基板を55℃で乾燥さ
せて、清潔な曲面導電性基板を得る。清潔な曲面導電性基板をプロファイルモデリング治
具上に置き、真空で吸着固定させる。ナノ秒レーザーエッチング機を採用して曲面導電性
基板の導電層をレーザーエッチングして、エッチング線P1を形成する。エッチング線P
1の幅は0.08mmである。エッチング線P1を有する曲面導電性基板を脱イオン水に
置いて、15min超音波洗浄した後、エタノールで5min超音波洗浄する。洗浄され
たエッチング線P1を有する曲面導電性基板を60℃で乾燥させて、その表面に水分や斑
点不純物がないようにする。乾燥されたエッチング線P1を有する曲面導電性基板を紫外
線及びオゾンで15min処理する。
【0092】
(2)多孔質電子輸送層スラリーの原料を混合し、45min真空消泡させて、多孔質電
子輸送層スラリーを得る。多孔質電子輸送層スラリーの組成は、表1に示す通りである。
シルクスクリーン曲面印刷機を採用してエッチング線P1を有する曲面導電性基板の導電
層上に多孔質電子輸送層スラリーを印刷する。ポリウレタンホットメルト接着剤で多孔質
電子輸送層スラリーを均一に覆った後、真空乾燥オーブンに置いて、100℃で15mi
n真空乾燥させる。真空乾燥が完了した後、ポリウレタン膜を取り外して、多孔質電子輸
送層を有する第1プレハブ品を得る。多孔質電子輸送層を有する第1プレハブ品を500
℃で30minアニールする。
【0093】
(3)多孔質絶縁離隔層スラリーの原料を遊星ボールミルで均一に分散させ、45min
真空消泡させて、多孔質絶縁離隔層スラリーを得る。多孔質絶縁離隔層スラリーの組成は
、表2に示す通りである。シルクスクリーン曲面印刷機を採用して第1プレハブ品の多孔
質電子輸送層上に多孔質絶縁離隔層スラリーを印刷する。ポリウレタンホットメルト接着
剤で多孔質絶縁離隔層スラリーを均一に覆った後、真空乾燥オーブンに置いて、100℃
で15min真空乾燥させる。真空乾燥が完了した後、ポリウレタン膜を取り外して、多
孔質絶縁離隔層を有する第2プレハブ品を得る。
【0094】
(4)多孔質背面電極層スラリーを遊星ボールミルで分散させ、多孔質背面電極層スラリ
ーの組成は、表3に示す通りである。シルクスクリーン曲面印刷機を採用して第2プレハ
ブ品の多孔質絶縁離隔層上に多孔質背面電極層スラリーを印刷する。多孔質背面電極層ス
ラリーが印刷されている第2プレハブ品を真空乾燥オーブンに置いて、100℃で15m
in真空乾燥させて、多孔質背面電極層を有する第3プレハブ品を得る。多孔質背面電極
層を有する第3プレハブ品を400℃で30minアニールし、室温まで冷却させる。
【0095】
(5)ディスペンシングの方式によってヨウ化メチルアンモニウム前駆体スラリー(溶剤
がγ-ブチロラクトンであり、溶質の質量分率が30wt%である)を多孔質背面電極層
上に印加して、多孔質電子輸送層、多孔質絶縁離隔層及び多孔質背面電極層の空隙に浸透
させる。得られた産物を50℃で10hアニールして、印刷可能な曲面ペロブスカイト太
陽電池を得る。
【0096】
(6)印刷可能な曲面ペロブスカイト太陽電池の多孔質背面電極層をポリウレタン膜で覆
い(コーティング膜厚は0.5mmである)、可撓性バックプレートを置いた後、110
℃で15minラミネートして、印刷可能な曲面ペロブスカイト太陽電池の封止を完成す
る。本実施例では、多孔質電子輸送層スラリー及び多孔質絶縁離隔層スラリーの室温での
粘度は比較的低い。上記のスラリーを印刷した後、室温で静置すると、基板が曲面構造を
有するため、スラリーが深刻に流れ、薄膜の形成に不利である。したがって、本実施例で
は、上記のスラリーを印刷した後に室温で静置するステップが省略されている。これによ
り、印刷可能な曲面太陽電池が製造され得る。然しながら、得られた薄膜は、表面が比較
的粗く、平坦性が良くない。
【0097】
実施例3
実施例3は、ステップ(3)~ステップ(4)において実施例1と異なる。詳細は以下の
通りである。
【0098】
(1)曲面導電性基板をHellmanexRIII洗浄剤に置いて、15min超音波洗浄したあ後
、エタノールで10min超音波洗浄する。洗浄された曲面導電性基板を55℃で乾燥さ
せて、清潔な曲面導電性基板を得る。清潔な曲面導電性基板をプロファイルモデリング治
具上に置き、真空で吸着固定させる。ナノ秒レーザーエッチング機を採用して曲面導電性
基板の導電層をレーザーをエッチングして、エッチング線P1を形成する。エッチング線
P1の幅は、0.08mmである。エッチング線P1を有する曲面導電性基板を脱イオン
水に置いて、15min超音波洗浄した後、エタノールで5min超音波洗浄する。洗浄
されたエッチング線P1を有する曲面導電性基板を60℃で乾燥させて、その表面に水分
や斑点不純物がないようにする。乾燥されたエッチング線P1を有する曲面導電性基板を
紫外線及びオゾンで15min処理する。
【0099】
(2)多孔質電子輸送層スラリーの原料を混合し、45min真空消泡させて、多孔質電
子輸送層スラリーを得る。多孔質電子輸送層スラリーの組成は、表1に示す通りである。
シルクスクリーン曲面印刷機を採用してエッチング線P1を有する曲面導電性基板の導電
層上に多孔質電子輸送層スラリーを印刷する。多孔質電子輸送層スラリーが印刷された曲
面導電性基板を室温で10min静置してから、ポリウレタンホットメルト接着剤で多孔
質電子輸送層スラリーを均一に覆った後、真空乾燥オーブンに置いて、100℃で15m
in真空乾燥させる。真空乾燥が完了した後、ポリウレタン膜を取り外して、多孔質電子
輸送層を有する第1プレハブ品を得る。多孔質電子輸送層を有する第1プレハブ品を50
0℃で30minアニールする。
【0100】
(3)多孔質絶縁離隔層スラリーの原料を遊星ボールミルで均一に分散させ、45min
真空消泡させて、多孔質絶縁離隔層スラリーを得る。多孔質絶縁離隔層スラリーの組成は
、表2に示す通りである。シルクスクリーン曲面印刷機を採用して第1プレハブ品の多孔
質電子輸送層上に多孔質絶縁離隔層スラリーを印刷する。多孔質絶縁離隔層スラリーが印
刷された第1プレハブ品を室温で10min静置してから、ポリウレタンホットメルト接
着剤で多孔質絶縁離隔層スラリーを均一に覆った後、真空乾燥オーブンに置いて、100
℃で15min真空乾燥させる。真空乾燥が完了した後、ポリウレタン膜を取り外して、
多孔質絶縁離隔層を有する第2プレハブ品を得る。フェムトセカンドレーザーエッチング
機を採用して第2プレハブ品上でエッチングを行って、エッチング線P2を形成する。エ
ッチング線P2は、エッチング線P1の左側に位置しかつエッチング線P1に接しており
、エッチング線P2の幅は0.5mmである。
【0101】
(4)多孔質背面電極層スラリーを遊星ボールミルで分散させ、多孔質背面電極層スラリ
ーの組成は、表3に示す通りである。シルクスクリーン曲面印刷機を採用してエッチング
線P2を有する第2プレハブ品的多孔質絶縁離隔層上に多孔質背面電極層スラリーを印刷
する。多孔質背面電極層スラリーが印刷されている第2プレハブ品を真空乾燥オーブンに
置いて、100℃で15min真空乾燥させ、室温まで冷却させて、多孔質背面電極層を
有する第3プレハブ品を得る。フェムトセカンドレーザーエッチング機を採用して第3プ
レハブ品上でエッチングを行って、エッチング線P3を形成する。エッチング線P3は、
エッチング線P2の左側に位置しかつエッチング線P2に接しており、エッチング線P3
の幅は0.1mmである。エッチング線P3を有する第3プレハブ品を400℃で30m
inアニールし、室温まで冷却させる。
【0102】
(5)ディスペンシングの方式によってヨウ化メチルアンモニウム前駆体スラリー(溶剤
がγ-ブチロラクトンであり、溶質の質量分率が30wt%である)を多孔質背面電極層
上に印加して、多孔質電子輸送層、多孔質絶縁離隔層及び多孔質背面電極層の空隙に浸透
させた後、50℃で10hアニールして、印刷可能な曲面ペロブスカイト太陽電池を得る
。
【0103】
(6)印刷可能な曲面ペロブスカイト太陽電池の多孔質背面電極層をポリウレタン膜で覆
い(コーティング膜厚は0.5mmである)、可撓性バックプレートを置いた後、110
℃で15minラミネートして、印刷可能な曲面ペロブスカイト太陽電池の封止を完成す
る。
【0104】
【0105】
【0106】
【0107】
比較例1
比較例1は、ポリウレタンホットメルト接着剤で多孔質電子輸送層スラリーを均一に覆う
ステップが省略されているという点において実施例1と異なる。詳細は以下の通りである
。
【0108】
(1)曲面導電性基板をHellmanexRIII洗浄剤に置いて、15min超音波洗浄した後、
エタノールで10min超音波洗浄する。洗浄された曲面導電性基板を55℃で乾燥させ
て、清潔な曲面導電性基板を得る。清潔な曲面導電性基板をプロファイルモデリング治具
上に置き、真空で吸着固定させる。ナノ秒レーザーエッチング機を採用して曲面導電性基
板の導電層をレーザーエッチングして、エッチング線P1を形成する。エッチング線P1
の幅は、0.08mmである。エッチング線P1を有する曲面導電性基板を脱イオン水に
置いて、15min超音波洗浄した後、エタノールで5min超音波洗浄する。洗浄され
たエッチング線P1を有する曲面導電性基板を60℃で乾燥させて、その表面に水分や斑
点不純物がないようにする。乾燥されたエッチング線P1を有する曲面導電性基板を紫外
線及びオゾンで15min処理する。
【0109】
(2)多孔質電子輸送層スラリーの原料を混合し、45min真空消泡させて、多孔質電
子輸送層スラリーを得る。多孔質電子輸送層スラリーの組成は、表1に示す通りである。
シルクスクリーン曲面印刷機を採用してエッチング線P1を有する曲面導電性基板の導電
層上に多孔質電子輸送層スラリーを印刷する。多孔質電子輸送層スラリーが印刷された曲
面導電性基板を室温で10min静置した後、真空乾燥オーブンに置いて、100℃で1
5min真空乾燥させる。
【0110】
多孔質電子輸送層は、100℃でスラリー粘度が低下した。導電性基板は曲面であるため
、ポリウレタン膜の補助的固定がなく、スラリーが深刻に流れ、乾燥された後には曲面導
電性基板上に薄膜を形成することが不可能であり、多孔質電子輸送層を有する第1プレハ
ブ品が取得できず、ひいては曲面ペロブスカイト太陽電池を製造することができない。
【0111】
実験例
1.1 スラリーの粘度試験
米国ブルックフィールド(Brookfield)のDV2TLV型粘度計で18~40
℃でのスラリーの粘度を測定する。得られた結果は、
図3及び
図4に示す通りである。
【0112】
T11は実施例1の多孔質電子輸送層スラリーを表し、T10は実施例2の多孔質電子輸
送層スラリーを表し、Z11は実施例1の多孔質絶縁離隔層スラリーを表し、Z10は実
施例2の多孔質絶縁離隔層スラリーを表す。
【0113】
図3から、多孔質電子輸送層スラリーは温度の影響を比較的著しく受け、温度が上がると
、多孔質電子輸送層スラリーの粘度は低下することが分かる。温度が40℃に上昇すると
、T10粘度は僅か110cP、T11粘度は約510cPになり、T10及びT11の
流動性はいずれも曲面印刷条件を満たすことができるが、T11の可制御性がより強くな
り、膜形成の均一性に有利である。室温(25℃)で、T10の粘度は約450cPであ
り、T11の粘度は約1800cPである。T11の粘度は著しく増大し、流動性は著し
く低下し、室温での薄膜の可制御性に有利であり、したがってより均一な膜形成をもたら
す。
【0114】
図4から、多孔質絶縁離隔層スラリーは温度の影響を比較的著しく受け、温度が上がると
、多孔質絶縁離隔層スラリーの粘度は低下することが分かる。温度が38℃に上昇すると
、Z11の粘度は約50000cPになり、その流動性はZ10よりもはるかに低くなり
、Z11は曲面印刷の要件を満たすだけでなく、膜形成の可制御性を向上させることもで
きる。室温(25℃)で,Z11の粘度は約100000cPであり、Z10の粘度は約
50000cPであり、Z11の粘度は約Z10の粘度の2倍であり、Z11によって形
成される薄膜の可制御性能が強く、膜形成の均一性を高めるのに有利である。
【0115】
1.2 多孔質電子輸送層の膜厚試験
第1プレハブ品を室温まで冷却し、第1プレハブ品の表面で10cm×10cmの領域を
選択し、フェムトセカンドレーザーエッチング機を採用して選択領域内で十字形に交差す
るグリッドをエッチングした後、ドイツのBrukerのプローブタイプのステッププロ
ファイラー(モデルがDektak XTである)を採用して多孔質電子輸送層の厚さを
測定する。試験曲面内の多孔質電子輸送層の膜厚データに基づいて、多孔質電子輸送層の
三次元プロファイルを描画する。
【0116】
図5は実施例1の多孔質電子輸送層の三次元プロファイルトポグラフィーであり、
図6は
実施例2の多孔質電子輸送層の三次元プロファイルトポグラフィーである。
【0117】
図5及び
図6から、実施例1の多孔質電子輸送層の厚さは約550nmであり、表面及び
周囲が比較的平坦であり、薄膜の均一性は良好であることが分かる。実施例2の多孔質電
子輸送層の厚さは約600nmであり、表面の厚さが比較的大きく変動し、エッジ位置で
スラリーが深刻に流失され、膜厚は僅か300nmであり、中心位置との差は300nm
を超える。
【0118】
1.3 多孔質絶縁離隔層膜厚試験
第2プレハブ品を室温まで冷却し、第2プレハブ品の表面で10cm×10cm領域を選
択し、フェムトセカンドレーザーエッチング機を採用して選択領域内で十字形に交差する
グリッドをエッチングした後、ドイツのBrukerのプローブタイプのステッププロフ
ァイラーを採用して多孔質電子輸送層の厚さを測定する。試験曲面内の多孔質電子輸送層
の膜厚データに基づいて、多孔質電子輸送層三次元プロファイルトポグラフィーを描画す
る。
【0119】
図7は実施例1の多孔質電子輸送層の三次元プロファイルトポグラフィーであり、
図8は
実施例2の多孔質電子輸送層の三次元プロファイルトポグラフィーである。
【0120】
図7及び
図8から、実施例1の多孔質絶縁離隔層の厚さは約2.2μmであり、表面及び
周囲が比較的平坦であり、多孔質薄膜の均一性は良好であることが分かる。実施例2の多
孔質絶縁離隔層の厚さが比較的大きく変動し、試験領域における膜厚分布は2.0~4.0
μmの範囲にある。これは主に、スラリーの流動性が比較的良くて、スラリーの流動凝集
によるものであり、エッジの薄膜の厚さは4.0μmであり、中心位置の膜厚は2.0μm
であり、厚さの差は2.0μmを超える。
【0121】
本発明は、上記の実施形態に限定されず、本発明の実質的内容から逸脱することなく当業
者によって想到され得る任意の変形、改良及び置換は全て本発明の範囲に含まれる。
【国際調査報告】