(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-16
(54)【発明の名称】動物における活性物質の標的拡散のための圧電デバイス
(51)【国際特許分類】
A01M 1/20 20060101AFI20230309BHJP
A01K 13/00 20060101ALI20230309BHJP
【FI】
A01M1/20 D
A01K13/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022536917
(86)(22)【出願日】2020-12-16
(85)【翻訳文提出日】2022-08-04
(86)【国際出願番号】 FR2020000278
(87)【国際公開番号】W WO2021123519
(87)【国際公開日】2021-06-24
(32)【優先日】2019-12-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】521540128
【氏名又は名称】エービー7 イノベーション
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】カルメ,クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】グエン,デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】ヴィルバート,アルノー
【テーマコード(参考)】
2B121
【Fターム(参考)】
2B121AA11
2B121CA02
2B121CA15
2B121CA17
2B121CA20
2B121CA22
2B121CA26
2B121CA29
2B121CA32
2B121CA81
2B121CA90
2B121CC02
2B121CC21
2B121CC31
2B121EA13
2B121FA12
2B121FA13
(57)【要約】
本発明は、活性物質をスプレーするための、少なくとも1つの活性物質を含有するリザーバ(2)を備える、補充可能デバイス(1)に関し、該デバイスは、圧電式スプレー機構(6)を装備している。デバイスは動物の首輪に取り付けられるか、または首輪内に取り付けられる。本発明はまた、所望の方向において、ある距離から、制御された様態で、活性物質をスプレーするための該デバイスの使用に関する。該デバイスは、動物の移動とは無関係に多方向に使用することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性物質をスプレーするための再充填可能デバイスを装備している動物のための首輪であって、再充填可能スプレーデバイスが、前記首輪に取り付けられているか、または前記首輪内に取り付けられており、
前記再充填可能スプレーデバイスが、
a.芯および少なくとも1つの活性物質を包有する、取り外し可能なリザーバ(2)、
b.圧電式スプレー機構を包有する、噴霧化本体(1)、
c.前記リザーバ(2)と前記噴霧化本体(1)との間に緊密性を提供するシール(5)、を備える、首輪。
【請求項2】
前記圧電式スプレー機構が、前記活性物質と接触する圧電パッド(6)を備え、前記パッドが、75~190kHzの周波数で振動し、かつ穿孔サイズが1~40μmの穿孔膜で覆われていることを特徴とする、請求項1に記載の首輪。
【請求項3】
前記圧電パッド(6)は、端部が平面である芯(4)と接触していることを特徴とする、請求項2に記載の首輪。
【請求項4】
前記圧電パッド(6)は、端部が半球状である芯(4’)と接触していることを特徴とする、請求項2に記載の首輪。
【請求項5】
前記噴霧化本体が、前記圧電式スプレー機構のための配向システム(7)を装備していることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の首輪。
【請求項6】
前記活性物質が、殺虫剤、忌避剤、鎮痛剤、鎮静剤、抗菌剤、または消毒剤の活性物質であることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の首輪。
【請求項7】
前記活性物質が、液体組成物の0.01重量%~100重量%を表すことを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の首輪。
【請求項8】
前記液体組成物が、1μm~40μmの平均直径を有する粒子の形態でスプレーされることを特徴とする、請求項7に記載の首輪。
【請求項9】
前記デバイスが、前記動物の移動とは無関係に多方向様態で使用することができることを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の活性物質をスプレーするための再充填可能デバイスの使用。
【請求項10】
前記デバイスが、前記動物の標的ゾーンに前記活性物質を局所化された様態でスプレーすることを可能にすることを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の活性物質をスプレーするための再充填可能デバイスの使用。
【請求項11】
圧電式スプレー機構を装備している前記デバイスが、前記活性物質を制御された、かつ遠隔様態でスプレーすることを可能にすることを特徴とする、請求項9または10に記載の使用。
【請求項12】
前記スプレーすることが、前記動物の耳鼻咽喉領域を標的化することを特徴とする、請求項9~11のいずれか一項に記載の使用。
【請求項13】
前記スプレーすることが、前記動物の背部、腹部、胸部、脚、または脇腹を標的化することを特徴とする、請求項9~12のいずれか一項に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、拡散デバイスの分野に関し、より具体的には、高発振周波数での振動が粒子の拡散を可能にする超音波噴霧器型のエアロゾル拡散デバイスの分野に関する。本発明は、より具体的には、処置される動物が移動する場合であっても、動物の首輪によって携行されて、多方向様態で動作することができる圧電型の拡散システムを装備している、デバイスに関する。
【0002】
多くの活性物質拡散デバイスが市場に存在する。これらのデバイスのほとんどは、液体を周囲の環境に散布するために周囲の空気の移動のみを必要とする、「受動的」デバイスである。他のデバイスは、バッテリによって、または電源コンセントを介して電源供給される。しかしながら、後者の場合は、ケーブルによる電源供給を必要とし、したがって、家庭、またはせいぜい車両の乗客区画のみを意図する。
【0003】
他の拡散デバイスは、超音波トランスデューサを使用して、活性物質の液体溶液を空気中にスプレーする。しかしながら、現在、動物が移動する場合であっても、動物の首輪に取り付けられて、活性物質、特に忌避剤、鎮静剤、抗菌剤、または消毒剤を用いて可能な限り最良に処置する圧電デバイスはない。
【0004】
最先端技術は、特に、壁コンセント用の、加熱によって動作する拡散デバイスを指す。後者は、特に精油の場合がそうであるように、温度に最も敏感な活性物質を変化させるという不利益がある。壁コンセントによる使用温度を下げるために、特に、非常に揮発性の高いナフサ型を含む溶媒を用いて、活性物質を製剤化することが知られている。結果として、一方では、処置薬が希釈され、他方では、有機溶媒が放出されて潜在的に環境が有毒かつ可燃性になり、好ましくない。
【0005】
動物用のデバイスでは、忌避剤処置は、ほとんどの場合、例えば、この効果を有する物質を放出するように設計されたポリマーマトリックスを使用することによって、またはさらに、害虫駆除目的のためのシャンプーまたはローションなどの、スポットオンピペット用の製剤を適用することによって、実施される。ポリマーマトリックス内の活性物質の濃度は、時間の経過とともに減少する傾向にあり、したがって、活性物質の投与量および分布は、使用期間を通して非線形である。抗菌剤、消毒剤、またはいわゆる鎮静活性物質に関しては、ほとんどの場合、周囲の空気中に活性物質を気化させるサーマル拡散器用に対して予定されているため、アパートの動物によく適している。しかしながら、忌避剤および/または鎮静活性物質の適用の内容において、活性物質の溶液の噴霧の特性を、既存の適用である標的化および局所化された処置の態様と組み合わせることを可能にする実用的な解決策は存在しない。
【0006】
局所化された解決策の中には、空気圧式エアゾールデバイスがあるが、これらは必ずしも最も好適ではない。なぜなら、活性物質は高投与量では可燃性となるか、またはさらに毒性となる可能性がある推進剤を介して放出されるからである。ポリマーマトリックスの場合、別の欠点は、拡散される活性物質の量が、エアゾールデバイスの使用期間にわたって一定のままではないという事実にある。実際、使用回数が増加するにつれて推進剤ガスは減少し、活性成分の放出が徐々に減少する結果となる。さらに、空気圧式エアゾールデバイスは、組み込まれた活性物質を希釈する必要があるため、使用可能な濃度、したがって有効性を制限する。
【0007】
動物が着用する拡散器の中で、特に、首輪に取り付けて犬の吠えを抑止することを意図したケーシングを開示した特許US4627385、US8714113、およびUS5927233が言及されることがある。これを行うために、拡散器は、吠える音に応答して、電極を通じての電気ショック、または音声信号、またはケーシングに組み込まれたリザーバに貯蔵されたレモングラスの精油をスプレーすることによって得られる嗅覚信号を送達することができる。リザーバには、開口部が電子制御された電磁弁が装着されている。これらの特許は、寄生虫または他の害虫の処置に使用するための首輪への圧電システムの取り付けを開示または示唆していない。
【0008】
動物に適用されるデバイスに関して、ウシ用の治療用吸入器は、WO1993/013730A1から知られている。このタイプの吸入器は、マスクとデバイスとを接続しているパイプを介して治療用物質を伝達するために、治療用物質をスプレーするように設計された、呼吸用マスクに結合された圧電式拡散システムを備える。該当する動物に致命的な急病が発生した場合に使用されるエアゾール療法であり、周囲の空気への治療用物質の拡散を回避することを可能にする。このシステムは、呼吸困難の動物に使用することを意図しており、したがって、単発の処置中には動きがない。この文献は、オンデマンドかつ移動している動物に対して使用するために首輪に取り付けられた圧電デバイスを開示するものでは全くない。より一般的には、先行技術では、エアゾール療法処置は、拘束マスクを適用しなければならない動物にとって忍容性が低い。動物用のエアゾール療法デバイスを改善するための先行技術の提案は何もない。
【0009】
出願EP0897755A2は、圧電式液体スプレーデバイス、および有害な生物を忌避または排除する方法に関する発明を開示している。この特許は、霧化された殺虫剤粒子を空気中に放出することによって、虫を殺し、かつ忌避する方法を開示している。液体は、電気信号によって生じる振動によって霧化され、加圧されたガスタンクは必要としない。この方法により、システムのサイズを小さくすることが可能になる。霧化された粒子のサイズは20μm未満である。霧化された活性物質の量は0.01~20mg/h/m3である。この文献は、少なくとも1つの活性物質を噴霧することによって、有害な虫を忌避および排除する方法を開示している。活性物質は、単独で、または混合物中で使用され得、化学活性型である。本出願は、移動している動物の首輪に取り付けられた超音波デバイス、またはフェロモンもしくは精油に基づく処置を開示していない。
【0010】
文献EP2797411B1は、methofluthrin基から選択される、害虫駆除のための物質を含有する溶液のリザーバを備える、超音波霧化デバイスを開示している。しかしながら、この文献は、首輪に取り付けられた圧電デバイスの使用についても、鎮静処置についても、具体的には開示していない。
【0011】
代替的に、特許US9185884B2は、動物用制御首輪を開示している。この首輪は、香り拡散器を備える。しかしながら、この特許は、いかなる圧電デバイスについても言及しておらず、活性物質のいかなる拡散についても言及していない。
【0012】
特許US8741965は、特にストレスを受けたとき、動物を落ち着かせることを目的とする、動物の行動変容方法を開示している。この目的のために、本発明は、スプレーされる溶液の形態で、または動物が着用するように設計されている、ポリマーマトリックスに統合された活性物質の形態で、鎮静フェロモンを使用することにある。しかしながら、この文献は、活性物質を拡散するための首輪に取り付けられた圧電デバイスについては言及していない。
【0013】
先行技術を考慮に入れると、処置されるエリアをより良好に標的化するために、動物の首の周りに設置されこと、ならびに局所化された処置および/または所与の方向への処置を可能にすることに好適な圧電デバイスを提供する必要性がある。
【0014】
さらに、デバイスの位置決めに関係なく、多方向様態で動作することができ、移動している動物であっても動作を可能にするデバイスを提供する必要性もある。多方向とは、デバイスの配向およびデバイスが受ける移動に関係なく、活性物質を効果的にスプレーすることができるデバイスを意味すると理解される。
【0015】
したがって、上述の目的を達成するためには、活性物質スプレーシステムを軽量化し、小型化し、かつ改善する必要性がある。
【0016】
本発明によるデバイスは、これらの異なる必要性を満たすことを提案する。
【0017】
他の拡散システムに関する本発明の別の利点は、潜在的に危険な溶媒および可燃性推進剤を分注することを可能にする圧電デバイスの使用に基づく。
【0018】
さらに、本発明による圧電デバイスは、純粋な活性物質または希釈された活性物質のいずれかを使用する可能性を提示し、したがって、最先端技術の空気圧式デバイスよりも広範囲の活性物質濃度範囲で使用する可能性を提示する。したがって、所望の有効性に適合した範囲の値を提案することがより容易である。したがって、忌避活性物質は、必要に応じて、純粋に、または必要であれば溶液中に非常に濃縮させて、使用され得る。同様に、鎮静活性物質は、スプレーを変更することなく、非常に希釈された状態で使用され得る。さらに、本発明による圧電システムは、活性物質の濃度を、経時的に、かつ使用回数にかかわらず安定させるという利点を提示する。
【0019】
本発明の圧電式拡散システムはまた、精油などの、特にそれらの熱に対する敏感度により脆弱な活性物質の損失を、制限することを可能にする。実際、該デバイスは、動作中に熱を生じないため、熱に弱い活性物質に対して好ましいこととなる。
【0020】
現在知られているスプレー処置手段は、活性物質の正確な、制御された投与量を可能としない。動物の処置に関して言えば、動きながら、かつ局所化された様態で処置を可能にしながら、投与される用量の正確な調節を可能にするデバイスから利益を得る必要があることが証明され得る。これは、本発明による圧電システムが可能にするものである。
【0021】
本発明は、上述の目的を果たし、最先端技術のデバイスの欠点を克服することを可能にする。
【0022】
動物が走るまたは歩くとき、圧電システムを含む従来のシステムは、動いている間、具体的には、動物の移動がデバイスに課すあらゆる方向におけるデバイスの動作を可能としない。さらに、従来の拡散システムは、処置される特定のゾーンまたは別のゾーンに向かって標的化および局所化された様態で拡散する可能性を提示していない。しかし、必要なときに作動させることができるデバイスを永久的に動物に着用させることができることは有用である。
【0023】
不安な状態または興奮した動物の場合、適切な活性物質を拡散することにより、速やかにそれを鎮静化する必要があることが証明され得る。そのような場合、耳鼻咽喉(ENT)領域を標的化することができることが重要である。
【0024】
代替的に、動物がかゆみに苦しみ、例えば、胸部を自ら傷つける場合、それを緩和または処置するために、かゆみ止め、忌避剤、またはさらに殺虫剤スプレーを動物の体に向けてスプレーすることがより賢明となる。したがって、そのようなデバイスのスプレー、流れの配向、および可動性のモジュール性機能を提示するポータブルデバイスを有することが必要である。
【0025】
本出願の目的は、動物における新規の圧電デバイス、およびこのデバイスの新規の用途を提案することである。
【0026】
動物は、本発明に説明されるようなデバイスを着用することができる任意の動物を意味すると理解される。好ましくは、動物は、ネコ、イヌ、またはウマなどの家畜を意味すると理解される。
【0027】
本発明の目的は、圧電デバイス、および処置される体の所望のエリアに効果的に到達することができる、動物の首の近くに設置された活性物質、特に、害虫忌避剤、鎮静剤、または鎮痛剤の拡散のための、その使用を提供することである。例えば、害虫忌避製品の場合、所望のエリアは特に、腹部、胸部、脚、および脇腹であり得る。実際、例えば、ペットの体の下部に到達するためのダニの侵入経路は、脚であることが知られている。鎮静剤、抗ストレス活性物質の拡散のためには、活性物質の吸入を可能にするためにENT領域に向かって拡散することが好ましいこととなる。鎮痛剤活性物質の分布のために、デバイスは、処置される体の任意のゾーン、例えば、背中に向かって方向付けられ得る。
【0028】
別の目的は、動物の体の関心エリアに向かって雲または霧の生成を可能にするか、または活性物質が吸入に好適であるようなサイズの、活性物質を含有する粒子を拡散するように設計された、自動化デバイスを提供することである。
【0029】
本発明によるデバイスの実現は、小型化に関連する技術的制約、液体中の活性物質の安定性だけでなく、標的に対するその有効性、ならびに動物およびその飼い主の両方に対する実用性を考慮することは明らかである。実際、デバイスの着用は、妨げになる、または動物に対してそれを取り除くことを仕向けてはならない。
【0030】
よって、本発明の目的は、少なくとも1つの活性物質を包有するリザーバを備える再充填可能スプレーデバイスであり、該デバイスは、該活性物質を制御された、かつ遠隔様態でスプレーすることを可能にし、該デバイスが動物の首輪に取り付けられることを特徴とする、圧電式スプレー機構を装備している。
【0031】
本発明はまた、動物の首輪に取り付けられ、動物の移動とは無関係に、多方向様態で使用することができることを特徴とする、該デバイスの使用に関する。多方向の方角に使用可能であるとは、動物の移動または位置に関係なく、したがって、着用されるデバイスの移動または位置に関係なく、活性物質の拡散のために圧電システムを作動することができることを意味すると理解される。動物が立っているか、横になっているか、動かないか、または動いているかにかかわらず、本発明によるデバイスは、水平に、垂直に、または「逆さまに」位置決めされているかにかかわらず、機能を維持し、活性物質を効果的に拡散することを可能にする。
【0032】
再充填可能デバイスは、デバイスが、当業者に既知の手段によって、リザーバが空であるときに使用後に補充されることができることを意味すると理解される。よって、リザーバは、取り替えられるカートリッジの形態で含まれるか、またはリザーバの表面に直接統合された充填バルブを備えることができる。
【0033】
本発明によるデバイスは、
図1に示すように、噴霧化本体(1)およびリザーバ(2)からなる。噴霧化本体は、シーリングシステムを含むケーシング、圧電システム、電子基板、およびシステムに電力を供給するバッテリを備える。特定の実施形態では、噴霧化本体は、圧電システムの配向機構を装備し得、それは定義された方向にスプレーすることを可能にする。本出願の残りの部分において、本発明によるデバイスのリザーバは、リザーバまたは「カートリッジ」のいずれかとして定義されることとなり、該カートリッジは、区別なく、補充可能かつ再利用可能なカートリッジまたは使い捨てカートリッジであってもよい。
【0034】
好ましい実施形態において、リザーバ(2)は、リザーバのサイズに従って選択された長さの、浸漬される芯(4)を備えるカートリッジ(3)であり、これは、実質的に円筒形のカートリッジに類似する。この芯は、円筒形のカートリッジ内に長手方向に挿入され、円筒形のカートリッジは、その端部のうちの一方に分注開口部、他方に底部を備える。分注開口部は、円筒の直径よりも小さい直径を有し、芯を収容するように設けられている。したがって、該芯は、カートリッジの出口にある空間を埋め、出口から突出する。芯の直径とリザーバの開口部の直径との間の適切性は、有利に、移動の制約によって引き起こされる不適切で望ましくない流出を回避し、したがって、芯と分注開口部との間の第1のシールを確保することを可能にする。
【0035】
好ましくは、芯は、可撓性であり、撥水性またはそうでないように処理されたセルロースタイプまたは誘導体の織り繊維で作製される。別の実施形態では、芯は、セラミックまたはプラスチックタイプの多孔質材料で剛性であってもよい。当業者は、芯の性質を送達される活性物質の性質に適応させることとなる。
【0036】
本発明によるデバイスでは、芯は、円筒形の形状であり、
図2に示すように、その端部は平坦な表面を有する。次いで、圧電パッドは、芯の平坦な表面全体と接触している。この実施形態では、霧の放出は、芯の表面に垂直な単一の方向にある。
【0037】
代替的な実施形態では、圧電パッドと接触している芯の表面は、丸みを帯びた形状を有し、尖頭アーチまたは好ましくは半球の形状である。この変形例では、本発明によるデバイスは、芯と接触している圧電パッドのオンデマンドの配向を可能にするという利点を有する。さらに、この形状は、圧電パッドの配向に関係なく、圧電パッド上に位置する穿孔膜の中心との均整の取れた接触を維持する。これにより、システムの脆弱な構成要素であるパッドの張力を低減しながら、圧電セルに十分かつ一定量の液体を供給することが可能になる。この変形例のおかげで、デバイスは、圧電パッドの配向を修正することを可能にし、したがって、表示(
図5)に従ってスプレーに選択された特定の方向を定義することができる。
【0038】
特定の実施形態では、本実施形態の配向機構は、圧電システムの噴霧化本体(1)の垂直軸を中心とした枢動を可能にするためのボールアンドソケット型機構(7)を備える。この機構は、標的化されたエリアに向かって、より正確に噴霧を方向付けることを可能にするだけでなく、移動中にデバイスのリザーバ(2)に包有された液体が誤ってこぼれるリスクを保証することを可能にし、システムのシールを強化することにも寄与する。このようなボールアンドソケットを配向機構に使用することにより、コンパクトかつ動いている動物に対して使用するのにより好適なデバイスにすることにより、デバイスの小型化を簡素化することも可能になる。
【0039】
圧電パッドの配向機構(7)は、2つの別個の部品間のボールアンドソケット型接続に基づいている。よって、圧電パッドの方向付け機構(7)は、圧電パッドおよびその特定のシールを支持する、球形または半球形状の可動部(8’)を備えるが、可動部がその中に埋め込まれたフレームを構成して、デバイスの出口において噴霧を方向付けるために、可動部が回転することを可能にする、好ましくは半球形状の、固定部(8)も備える。
【0040】
処置の角度および方向は、該機構によって定義され、意図される用途に依存する。配向システム(7)によるパッド(6)の最大配向角度は、すべての方向で芯(4または4’)の軸に対して45度である。したがって、芯(4または4’)と圧電パッド(6)との間の永続的かつ最適な接触を確保にするために、芯上のパッドの傾きは45°に制限される。
【0041】
ノッチ機構を追加するか、または接触している表面に特定の処理をして粗さを制御するかのいずれかによって、角度をロックすることにより、この機構を強化することが可能である。
【0042】
デバイスの芯が垂直のままである実施形態では、圧電パッド(6)の配向機構(7)は、デバイスを傾けることなく、スプレーを選択された方向に方向付けることを有利に可能にし、よって、部分的に空のまたは傾斜したリザーバの場合でも、液体が完全に消費されるまでの液体供給の連続性を確保するために、芯(4または4’)の最適な含浸を維持することを可能にする。この問題は、ディップチューブを備えたスプレーデバイスで頻繁に遭遇する。ディップチューブは、リザーバが空であると、傾いているときにもはやスプレーすることができなくなる。したがって、本発明は、デッドボリュームによる欠点またはディップチューブにアクセス可能な体積を克服する。
【0043】
好ましい実施形態によれば、リザーバ(2)と噴霧化本体(1)との間のシールは、本発明によるデバイスに特に適した、接合システム(5)によって確保される。シールは、好ましくは、アクリロニトリルブタジエンゴム、フッ素化ゴム、フルオロシリコーンゴム、ポリアクリレート、エチレンアクリレートゴム、過フッ素化ゴム、シリコーン、EPDM、フッ素化エチレンプロピレンコポリマー、ポリテトラフルオロエチレン、またはポリウレタンなどの材料から選択される弾性材料において、Oリングの形態にある。シールは、50~100ショアAの硬度を持つものの中から選択され、リザーバ交換が容易であり、かつ挿入後の補充の良好な機械的強度の両方を可能にする。このシールシステムは、デバイスの再充填中に誘発される機械的応力がかかっている間、または動物の移動中に、補充カートリッジの緊密性および最適な位置決めを確保するように特別に適合された溝に配置されている。
【0044】
本発明の意図の範囲内において、リザーバまたはカートリッジは、ガラス、プラスチック、または当業者が本発明に好適とみなす任意の他の材料など、従来使用されてきた既知の材料で作製され得る。
【0045】
カートリッジは、芯を挿入する前に活性物質で満たされることとなることが理解される。次に、活性物質は、毛細管現象に従って芯を通って立ち上がった後、カートリッジから分注開口部に向かって拡散することができる。
【0046】
有利には、活性物質を圧電素子(6)と接触させることは、活性物質が毛細管作用によって芯に沿ってその端部まで輸送されるときに行われることとなる。そうすると、活性物質は、粒子の雲の形態で噴霧され得る。本発明の意図の範囲内において、粒子は液体溶液の液滴であることが理解される。
【0047】
本発明による圧電システムはまた、加圧された空気圧システムとは異なり、使用することができる活性物質の濃度に関して、ある特定のモジュール性を可能にする。実際、本発明のデバイスは、驚くべきことに、活性物質の非常に濃縮された組成物を用いて、または純粋な活性物質を用いてでさえ、よって溶媒を使用せずに、機能することを可能にし、したがって、用量依存性の活性物質を使用しているときの効率を増加させる。
【0048】
本発明による特定の実施形態では、活性物質は、圧電デバイスと接触することができるように、液体組成物内に製剤化された物質であり、その振動周波数により、液体を霧化して、該物質を雲またはミストとして散布させることが可能となる。
【0049】
本発明によれば、活性物質を含有する液体組成物は、水性、アルコール性、水性アルコール性、もしくは油性タイプであるか、または活性物質に性質が適合することとなる乳剤の形態である。特定の実施形態によれば、組成物は、溶媒を含まない純粋な活性物質のみで構成される。別の実施形態によれば、活性物質は、少なくとも1つの溶媒によって組成物内に希釈される。
【0050】
既知の様態で、活性物質は、適切な溶媒中で製剤化される。使用され得る溶媒の例としては、具体的には、芳香族もしくは脂肪族炭化水素、ハロゲン化炭化水素、芳香族もしくは脂肪族アルコール、エステル、エーテルおよびケトン、または水を含む。より好ましくは、使用され得る溶媒は、植物油または動物油などのトリグリセリド、またはエタノールなどのアルコール溶媒である。
【0051】
例えば、安定剤、界面活性剤、相乗剤、または抗菌剤などの、当該分野で周知の製剤アジュバントも添加されてもよい。
【0052】
好ましい変形例において、本発明に従う活性物質は、0.01%~100%の液体組成物、好ましくは0.1%~50%、さらにより好ましくは0.5%~30%を表す。
【0053】
一実施形態によれば、活性物質は、殺虫剤、忌避剤、芳香剤、抗ストレス剤、精力剤、化粧品ヘアケア剤、かゆみ止め剤、呼吸器疾患の処置のための活性物質、鎮痛剤、またはこれらの混合物から選択される。
【0054】
本発明の殺虫剤および忌避剤は、前述の有害な生物との闘いに対して従来使用されるものであり、当業者に既知である。例えば、殺虫剤および忌避剤は、具体的には、ピレスロイド、ピレスリンおよびこれらの誘導体、カルバメート、ホルムアミジン、カルボン酸エステル、N,N-ジエチル-3-メチルベンズアミド(DEET)、イカリジン、フェニルピラゾール、有機リン化合物、有機ハロゲン化合物、ネオニコチノイド、アベルメクチンおよびこれらの誘導体、スピノシン、精油およびこれらの成分、例えば、テルペンおよびこれらの誘導体(アルコール、エステル、アルデヒド)、ならびにセスキテルペンおよびこれらの誘導体(アルコール、エステル、アルデヒド)によって形成される群から選択される。
【0055】
好ましい実施形態の変形例では、活性物質は、ラバンジン精油、レモンユーカリ精油、レモングラス、ラベンダー、ニーム、ペパーミント、スペアミント、ペニーロイヤル、ウィンターグリーン、もしくはバジル、またはこれらの混合物などの精油から選択される忌避剤または殺虫剤である。
【0056】
本発明の変形例によれば、忌避剤は、ゲラニオール、リモネン、メンソール、α-ピネン、リナロール、シトリオジオール、シトロネラール、またはこれらの混合物などの精油の成分から選択される。
【0057】
芳香剤は、天然または合成由来であり得、香水、芳香、精油、およびこれらの成分から選択される。
【0058】
抗ストレス剤または鎮静剤は、具体的には、カンナビノイドが豊富な大麻油などの植物油であり得、またはバレリアン、イヌハッカ、マツ、タンジェリン、ビターオレンジ、バーベナ、ラヴィンサラ、カモミール、ラベンダー、マジョラム、イランイラン、ローズマリー、ユーカリ、もしくはミントの精油などの精油であり得、またはフェロモンもしくはこれらの混合物であり得る。
【0059】
かゆみ止め剤は、精油、脂肪族アルコール、エステル、脂肪酸およびそのエステル、ビタミン、またはこれらの混合物であり得る。
【0060】
化粧品ヘアケア剤は、アルコール、エステル、植物油、グリセリド、酸、セラミド、またはビタミンなどの脂肪性物質であり得る。
【0061】
呼吸器疾患を処置するための活性物質は、喘息または慢性気管支炎などの、動物の気道または鼻腔の呼吸器の病状を処置することができる、任意の活性物質を意味すると理解される。活性物質は、コルチコステロイド、気管支拡張剤、気管支収縮剤、抗ヒスタミン剤、または病状に好適な任意の他の処置から選択され得る。
【0062】
鎮痛剤は、精油、モノテルペンアルコール、モノテルペンアルデヒド、モノテルペンエステル、またはこれらの混合物、好ましくはTHCを含まない、具体的には、大麻油に由来する、カンナビノイド誘導体であり得る。特に好ましいのは、サリチル酸メチル、メンソール、ウィンターグリーンの精油、ジュニパー、ペパーミント、レモンユーカリ、または大麻油の使用である。
【0063】
抗菌剤および/または消毒剤は、精油、モノテルペンアルコール、モノテルペンアルデヒド、モノテルペンエステル、またはハイドロアルコール性誘導体、もしくはこれらの混合物であり得る。特に、ラバンジン、グレープフルーツの精油、レモン、ティーツリー、マジョラム、ユーカリラディアータ、ラヴィンサラ、またはこれらの混合物が好まれることとなる。
【0064】
本発明の内容において、上述の活性物質は、意図される目的に応じて、単独でまたは組み合わせて使用されてもよい。
【0065】
上述のように、本発明によるデバイスは、当業者に周知の圧電素子も備える。例として、該デバイスは、特に、芯を介して噴霧するために、溶液と接触させる圧電セラミックパッドを含む。圧電パッドは穿孔膜で覆われており、穿孔サイズは1~40μm、好ましくは3~20μmで変化し得る。作動すると、パッドは75~190kHzの周波数で振動する。本発明によれば、穿孔のサイズおよび振動の周波数を変化させることによって、噴霧される粒子の特定のサイズを標的化することが可能である。
【0066】
本発明によれば、液体組成物は、1μm~40μmの平均直径を有する粒子の形態でスプレーされる。粒子のサイズは、意図される使途に適合される。スプレー粒子のサイズは、一方においてデバイスの圧電パッドの振動発振周波数で変調され、他方において、圧電デバイスの膜の微細穿孔のサイズに依存する。
【0067】
特定の実施形態によれば、害虫に対する活性物質の拡散の場合、活性物質の組成物は、好ましくは10~40μm、より好ましくは20~40μmの粒径でスプレーされることとなる。
【0068】
好ましい実施形態において、活性物質が、鎮静剤、鎮痛剤、または呼吸器疾患の処置のための活性物質の液体溶液である場合、特権的様態で耳鼻咽喉領域を標的化することが適切である。標的臓器に到達し、活性物質の吸入を可能にするためには、好ましくは、動物の鼻口部または嗅覚系に向けてスプレーを行う必要がある。したがって、滴の直径は、吸入のための鎮静剤活性溶液を噴霧するのに好適であることが適切である。本発明によるデバイスによって生成された滴は、最適な吸入を可能にするために、1μm~20μm、好ましくは1~10μmの直径を有する。
【0069】
本出願の意図の範囲内において、純粋な活性物質または活性物質を含有する製剤は、上記のようにデバイスのリザーバに統合されなければならない。デバイスは、移動している動物に対してあらゆる方向に使用することができなければならない。したがって、該デバイスは、ハーネスまたは首輪、好ましくは首輪によって動物に取り付けられるべきであり、デバイスは取り外し可能であるべきである。
【0070】
本発明によるデバイスの締結手段は、自己把持テープ、レースまたは接着システム、押ボタンシステム、ノッチングシステム、もしくは当業者に周知の任意の他の締結手段から選択される。
【0071】
特に有利な実施形態では、締結手段は、所望の効果に応じて配向およびスプレーを修正することを可能にすることができる。この目的のために、本発明によるデバイスは、首輪に取り付けられた回転式または調整可能な取り付けシステムから利益を得ることができるようにも提供される。そのような特定の実施形態では、締結手段は、首輪に留められた回転式締結具に装着される。圧電デバイスは、活性物質の360度分布を保証することができる回転支持体に取り付けられることとなる。忌避剤または殺虫剤活性物質のスプレーを伴う特定の実施形態では、スプレーは、好ましくは、動物の胸部、脇腹、および/または動物の体の下部に向かって方向付けられる。鎮静剤および/または鎮痛剤の場合、スプレーは好ましくは吸入のためにENT領域に向かって方向付けられることとなる。
【0072】
したがって、本発明によれば、デバイスの使用は、異なる選択された方向にスプレーを発生させる利点を提示する。一方では、本発明によるデバイスは、あらゆる方向における動作を可能にし、特に、首輪上のその締結手段を通じて、到達されるゾーンに応じて配向させることができる。一方、デバイス内の半球状の端部を有する芯の使用は、所与の方向に、該芯と接触する圧電パッドを配向させることを可能にする。
【0073】
本発明によれば、デバイスの圧電式スプレー機構は、電子基板を含む。該電子基板は、圧電システムの作動を可能にする。特定の実施形態によれば、作動は、デバイス上で直接かつ手動でボタンを押すことによって行われてもよい。好ましい実施形態では、電子基板は、遠隔的にスプレーを制御および/またはトリガすることを可能にする。特定の実施形態では、トリガは、プログラミングによって実行され、プログラミングは、日および/または時間および/またはスプレーの時間を定義することができる。別の変形例では、トリガは、遠隔制御を通じてオンデマンドで実行される。当業者は、適切な遠隔作動システムを本発明によるデバイスに適合させることとなる。
【0074】
したがって、本発明は、活性物質をスプレーするための再充填可能デバイスであって、芯および少なくとも1つの活性物質を包有する、取り外し可能なリザーバ、圧電式スプレー機構を包有する、噴霧化本体、該リザーバと該噴霧化本体との間の緊密性を確保する、シール、を備え、デバイスが、動物の首輪に取り付けられるか、または首輪内に取り付けられることを特徴とする、再充填可能デバイスに関する。
【0075】
本発明は、該デバイスを複数の方向に配向させることができることを特徴とする、該デバイスに関する。
【0076】
本発明によるデバイスは、圧電式スプレー機構が活性物質と接触する圧電パッドを備え、該パッドが、75~190kHzの周波数で振動し、かつ穿孔が1~40μmのサイズである穿孔膜で覆われていることを特徴とする。
【0077】
本発明によるデバイスは、圧電パッドが、端部が平面または半球状である芯と接触していることを特徴とする。
【0078】
本発明によるデバイスは、活性物質が、殺虫剤、忌避剤、鎮痛剤、または鎮静活性物質であり、かつ液体組成物の0.01重量%~100重量%を表すことを特徴とする。
【0079】
本発明のデバイスは、液体組成物が、1μm~40μmの平均直径を有する粒子の形態でスプレーされることを特徴とする。
【0080】
要約すると、本発明は、(a)少なくとも1つの活性物質を包有する取り外し可能なリザーバ、(b)電子基板によって制御される圧電素子を備える圧電式スプレー機構、を備え、(c)該デバイスが動物の首輪に取り付けられるか、または首輪内に取り付けられることを特徴とする、再充填可能スプレーデバイスに関する。該リザーバは、芯がそこを通って、デバイスの使用方向に関係なく、活性物質を圧電素子に向かって方向付けることを可能にする分注開口部を備える。アセンブリの緊密性は、リザーバが充填されるか、または補充カートリッジが取り替えられることを可能にするように選択された、リザーバとデバイスの噴霧化本体との間の接合システムによって確保される。
【0081】
本発明はまた、少なくとも該活性物質を包有するリザーバと、圧電式スプレー機構を備える、活性物質をスプレーするための再充填可能デバイスの使用に関し、デバイスは、動物の首輪上または首輪内に締結されることを意図されることを特徴とする。
【0082】
デバイスの使用は、デバイスが動物の移動に関係なく多方向の方角に使用可能であることを特徴とする。
【0083】
デバイスの使用はまた、デバイスが、動物の標的ゾーンに活性物質を局所化された様態でスプレーすることを可能にすることを特徴とする。
【0084】
デバイスの使用は、活性物質を含有する液体組成物が、1μm~40μmの平均直径を有する粒子の形態でスプレーされることを特徴とする。
【0085】
デバイスの使用は、スプレーが動物の耳鼻咽喉領域、または動物の腹部、胸部、脚、または脇腹を対象とすることを特徴とする。
【0086】
したがって、本発明は、該活性物質を制御された、かつ遠隔様態でスプレーすることを可能にする圧電式スプレー機構を装備しているデバイスの使用に関する。
【0087】
図1~
図6は、本発明によるデバイスの例を、その形状を限定することなく示す。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【
図1】2つの主要部分、すなわち、噴霧化本体(1)を構成するデバイスの本体および噴霧化本体(1)内に埋め込まれたリザーバ(2)からなる、本発明による完成したデバイスの例を表す。
【
図2】活性物質または活性物質を含む組成物を包有するカートリッジ部(3)からなる、リザーバ(2)を表し、リザーバ(2)内で平坦な端部を有する芯(4)が締結されている。シール(5)は、リザーバがデバイス内の所定の位置にあるときに、リザーバと噴霧化本体との間の緊密性を確保する。
【
図3】活性物質または活性物質を含む組成物を包有するカートリッジ部(3)からなるリザーバ(2)の代替例を表し、リザーバ(2)内で丸みを帯びた半球状の端部を有する別の変形例である芯(4’)が締結されている。
【
図4-5】噴霧化本体の要素内に配置されているときの、所定の位置にある、圧電パッド(6)を有するリザーバを表す。
【
図4】圧電パッド(6)が平坦な端部(4)を有する芯上に設置されている場合を示す。
【
図5】圧電パッド(6)が半球状の端部(4’)を有する芯上に設置されており、スプレーを選択された方向に方向付けるためにセルを配向させることを可能にする場合を表す。
【
図6】圧電パッド(6)が半球状の芯(4’)を介して活性物質と接触しているときの、圧電パッド(6)の配向システムの拡大を示す。この特定の実施形態では、圧電パッドは、圧電パッドに与える配向を選択することを可能にし、したがって、スプレーを所望の方向に方向付ける、傾斜システム内に埋め込まれている。
【
図7】圧電パッドの配向システムを表し、具体的には、固定部(8)と、該固定部(8)内に埋め込まれた可動部(8’)と、からなるボールアンドソケット型機構(7)の詳細を表す。
【0089】
本発明を、以下の非網羅的かつ非限定的な実施例によって示す。
【0090】
実施例1:イヌ用防ダニ・ノミ活性物質用拡散デバイス
ダニおよびノミに対する活性物質の分布のためのデバイスの試作品を作製した。デバイスは、
・直径4cm、高さ2cmの半球状ポリプロピレンケーシング、
・容積3mL(直径3cm、高さ0.44cm)の円筒形のポリプロピレンリザーバ内に包有されている、5重量%の組成物を表すラバンジンの精油を含むアルコール溶液であって、リザーバに、出口オリフィスが設けられている、アルコール溶液、
・リザーバから圧電パッドに液体を伝達することを役割とするセルロース芯、
・リザーバと半球状ケーシングとの間のシールを確保するためのニトリルゴムOリング、
・溶液と接触して、溶液が噴霧されることを可能にする、圧電セラミックパッド(PZT4 SMMOD10F190、Steminc)、を備える組立体からなる。円環形状の圧電パッド(外径16mm、高さ3mm)は、穿孔膜(直径4mmのエリアにわたって穿孔サイズ3~20μmである)で覆われている。パッドは110kHzの周波数で振動し、
・電子制御基板が、スプレーを作動させるためにケーシングの半球の中心に位置する押ボタンを使用して、圧電パッドを手動で作動させることを可能にし、
・3.7V、300mAh、1.11Whバッテリ(29×19×5mm)が、デバイスに電力供給し、
・充填オリフィスが、ケーシング上に位置し、かつ可撓性シリコーンキャップが装着されており、リザーバが活性液体で満たされることを可能にし、
・コネクタにUSBポートが装着されており、バッテリの再充電を可能し、
・今記載したデバイス全体が、例えば、ベルクロなどの首輪ループ型閉鎖手段を備えたナイロン首輪に取り付けられている。デバイスは、液体リザーバが上向きである状態で、溶液を下向きにスプレーするために締結され、
このデバイスは、標的化された寄生虫(ダニおよびノミ)による侵入から着用者の体を守るために、ノズルの出口に活性物質のミストが形成されて、着用者の体の下部に沿って移動するように設計されている。電子回路基板は、約77μLの噴霧化体積のために、パッドの20秒間の作動を可能にするようにプログラムされた。バッテリの自律性により、完全に再充電する前に約100回の作動をトリガすることを可能にする。
【0091】
実施例2:イヌ用防ダニ・ノミ活性物質用拡散デバイス
ノミおよびダニに対する忌避剤活性物質の分布のためのデバイスの試作品を作製した。デバイスは、
・幅4cm、高さ3.5cm、および深さ1.5cmのブロックの形状のケーシングであって、圧電パッド(
図1を参照)を収納するための突起、およびシールを中に収納することができる溝がある、ケーシング、
・ダニおよびノミに対する忌避特性を有するタンジェリン精油およびセイロンシトロネラ精油(50/50)に基づく溶液であって、容積1.5mL(直径1.1cm、高さ3cm)の円筒形のガラスリザーバ内に包有され、リザーバに、出口オリフィスが設けられている、溶液、
溶液と接触して、溶液が噴霧されることを可能にする、圧電セラミック(PZT4 SMMOD10F190、Steminc)、を備える組立体からなる。円環形状の圧電パッド(外径16mm、高さ3mm)は、穿孔膜(直径4mmのエリアにわたって穿孔サイズ3~20μmである)で覆われている。パッドは110kHzの周波数で振動し、
・直径6mm、高さ3.5cmの疎水化処理セルロース芯が、リザーバから圧電パッドに精油の混合物を伝達することを役割とし、
・直径11mmのニトリルゴムOリングが、リザーバと半球状ケーシングとの間のシールを確保し、
・スプレーを作動させることを可能にする遠隔制御を使用して、圧電システムの操縦の手動遠隔作動を可能にする電子制御カードが、ケーシングの半球の中心に位置しており、
・3.7V、300mAh、1.11Whバッテリ(29×19×5mm)が、デバイスに電力供給し、
・コネクタにUSBポートが装着されており、バッテリの再充電を可能し、
・今記載したデバイス全体が、首輪ループ型閉鎖手段を備えたナイロン首輪に取り付けられている。
・組立体が、動物に対して溶液を下向きにスプレーするために首輪上に設置されている。このデバイスは、ノズルの出口で活性物質のミストが形成されて、動物の下部に沿って移動し、したがって着用者をノミまたはダニによる咬傷から守るような配向で、設計され、動物上に設置されている。電子回路基板は、約17μLの噴霧化体積のために、パッドの4秒間の作動を可能にするようにプログラムされた。バッテリの自律性により、完全に再充電する前に約500回の作動をトリガすることを可能にする。
【0092】
実施例3:ネコ用鎮静活性物質用拡散デバイス
ネコ用の鎮静組成物の拡散のためのデバイスの試作品を作製した。デバイスは、
・幅4cm、高さ3.5cm、および深さ1.5cmのブロックの形状のケーシングであって、圧電パッドを収納するための突起、およびシールを中に収納することができる溝がある、ケーシング、
・THCを含まない、カンナビノイドを豊富に含む、鎮静および鎮痛特性を有するイヌハッカ精油および大麻精油に基づく溶液(50/50)であって、最大10%までエタノール中に希釈され、容積1.5mL(直径1.1cm、高さ3cm)の円筒形のガラスリザーバ内に包有され、リザーバに、出口オリフィスが設けられている、溶液、
・直径6mm、高さ3.5cmの、半球状の端部を有するセルロース芯であって、リザーバから圧電パッドに精油の混合物を伝達することを役割とした、セルロース芯、
・リザーバと半球状ケーシングとの間のシールを確保するための11mmニトリルゴムOリング、
・溶液と接触して、溶液が半球状の芯を介して噴霧されることを可能にする、圧電セラミック(PZT4 SMMOD10F190、Steminc)、を備える組立体からなる。円環形状の圧電パッド(外径16mm、高さ3mm)は、穿孔膜(直径4mmのエリアにわたって穿孔サイズ1~10μmである)で覆われている。パッドは110kHzの周波数で振動し、
・スプレーを作動させることを可能にする遠隔制御を使用して、圧電システムの操縦の手動遠隔作動を可能にする電子制御基板が、ケーシングの半球の中心に位置しており、
・3.7V、300mAh、1.11Whバッテリ(29×19×5mm)が、デバイスに電力供給し、
・コネクタにUSBポートが装着されており、バッテリの再充電を可能し、
・今記載したデバイス全体が、バックル型閉鎖手段が装着されたEVA首輪に取り付けられており、
・組立体が、動物の頭頂に向けて溶液をスプレーするために首輪上に設置されている。
【0093】
このデバイスは、ノズルの出口で、活性物質のミストが形成されて、ネコのENT領域に向かって方向付けられるような配向で、設計され、動物上に設置されている。電子回路基板は、約38μLの噴霧化体積のために、パッドの10秒間の作動を可能にするようにプログラムされた。バッテリの自律性により、完全に再充電する前に約200回の作動をトリガすることを可能にする。
【国際調査報告】