(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-16
(54)【発明の名称】細胞形質導入のための容器及び方法
(51)【国際特許分類】
C12M 1/00 20060101AFI20230309BHJP
C12N 15/115 20100101ALI20230309BHJP
C12N 15/867 20060101ALI20230309BHJP
C12N 15/86 20060101ALI20230309BHJP
【FI】
C12M1/00 A
C12N15/115 Z
C12N15/867 Z
C12N15/86 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022540704
(86)(22)【出願日】2020-12-29
(85)【翻訳文提出日】2022-07-27
(86)【国際出願番号】 US2020067282
(87)【国際公開番号】W WO2021138303
(87)【国際公開日】2021-07-08
(32)【優先日】2019-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500149223
【氏名又は名称】サン-ゴバン パフォーマンス プラスティックス コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キャンベル、ケイティー
(72)【発明者】
【氏名】フェケーテ、ナタリー
(72)【発明者】
【氏名】ピテル、レイチェル、ゼット.
【テーマコード(参考)】
4B029
【Fターム(参考)】
4B029AA08
4B029BB11
4B029BB13
4B029GB09
(57)【要約】
本開示は、一般に、1つ又は2つ以上のアプタマー配列を含む表面を有する容器(バッグなど)に関する。より詳細には、本開示は、1つ又は2つ以上の生物学的薬剤に対して結合親和性を有するアプタマー配列に結合したフルオロポリマーを含むバッグなどの容器、及びそのような容器を使用する形質導入方法に関する。一態様では、本開示は、外面及び内面を有する容器(例えば、バッグ)を提供し、内面はフルオロポリマー;フルオロポリマーに結合した複数の官能基;及び官能基の少なくとも一部の各々に結合した、ウイルスベクターに対して結合親和性を有する第1のアプタマー配列を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外面及び内面を有する容器(例えば、バッグ)であって、前記内面が、
フルオロポリマー;
前記フルオロポリマーに結合した複数の官能基;及び
前記官能基の少なくとも一部の各々に結合し、ウイルスベクターに対して結合親和性を有する第1のアプタマー配列
を含む、容器。
【請求項2】
内面が、官能基の一部に結合した、VLA-4及びVLA-5から選択される細胞受容体に対して結合親和性を有する第2のアプタマー配列をさらに含む、請求項1に記載の容器。
【請求項3】
官能基の少なくとも一部の各々が、第1のアプタマー配列及び/又は第2のアプタマー配列を含むオリゴヌクレオチドに直接結合している、請求項1に記載の容器。
【請求項4】
官能基の少なくとも一部の各々が、第1のアプタマー配列又は第2のアプタマー配列の2つ以上のリピートを含むポリヌクレオチドに直接結合している、請求項1に記載の容器。
【請求項5】
ポリヌクレオチドが、第1のアプタマー配列及び第2のアプタマー配列のそれぞれの少なくとも1つのリピートを含む、請求項4に記載の容器。
【請求項6】
ポリヌクレオチドが、第1のアプタマー配列又は第2のアプタマー配列の少なくとも10個、少なくとも100個、又は少なくとも500個のリピートを含む、請求項4に記載の容器。
【請求項7】
官能基の少なくとも一部の各々が、リンカーを介して、第1のアプタマー配列を含む少なくとも1つのオリゴヌクレオチド及び第2のアプタマー配列を含む少なくとも1つのオリゴヌクレオチドに結合し、少なくとも10個の前記オリゴヌクレオチドが前記リンカーの少なくとも一部の各々に結合している、請求項1に記載の容器。
【請求項8】
官能基が、
フルオロポリマーのエッチングの生成物;
反応種の存在下でのフルオロポリマーの活性化の生成物;又は
活性化フルオロポリマーの化学的な処理による生成物
である、請求項1に記載の容器。
【請求項9】
官能基が、カルボキシ基、ヒドロキシル基、アルデヒド基、アミン基、イミン基、アミド基及びエステル基のうちの1つ又は2つ以上を含む、請求項1に記載の容器。
【請求項10】
官能基がアミン基を含む、請求項1に記載の容器。
【請求項11】
フルオロポリマーが、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、パーフルオロアルコキシ(PFA)、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、エチレンクロロトリフルオロエチレン(ECTFE)、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)、エチレンフッ素化エチレンプロピレン(EFEP)、パーフルオロポリエーテル(PFPE)、変性ポリテトラフルオロエチレン(TFM)、ポリフッ化ビニル(PVF)、又はそれらの任意の混合物である、請求項1に記載の容器。
【請求項12】
フルオロポリマーがフッ素化エチレンプロピレンである、請求項1に記載の容器。
【請求項13】
水性媒体、ウイルスベクター及び標的細胞を含む、請求項1に記載の容器。
【請求項14】
ウイルスベクターがレンチウイルス又はレトロウイルスを含み、標的細胞が1つ又は2つ以上のVLA-4又はVLA-5表面受容体を含む、請求項13に記載の容器。
【請求項15】
請求項1に記載の容器に、ウイルスベクター及び標的細胞を含ませることを含む、形質導入方法。
【請求項16】
ウイルスベクターがレンチウイルス又はレトロウイルスを含み、標的細胞が1つ又は2つ以上のVLA-4又はVLA-5表面受容体を含む、請求項15に記載の形質導入方法。
【請求項17】
第1の水性媒体中のウイルスベクターの懸濁液を容器に含ませること;
前記ウイルスベクターを含む前記容器を第1の期間にわたってインキュベートすること;
標的細胞を(例えば、第2の水性媒体中の懸濁液として)前記容器に加えること;
前記標的細胞及び前記ウイルスベクターを含む前記容器を第2の期間にわたってインキュベートすること;及び、次いで
形質導入された細胞を前記容器から回収すること
を含む、請求項15に記載の形質導入方法。
【請求項18】
容器を第1の期間にわたってインキュベートした後、
第1の水性媒体の少なくとも一部を取り出すこと;次いで
洗浄媒体を前記容器に加えること;次いで
前記洗浄媒体の少なくとも一部を前記容器から取り出すこと;及び、次いで
標的細胞を前記容器に加えること
をさらに含む、請求項17に記載の形質導入方法。
【請求項19】
形質導入された細胞を容器から回収することが、
細胞解離媒体を前記容器に加えること;及び、次いで
前記形質導入された細胞の懸濁液を前記容器から取り出すこと
を含む、請求項17に記載の形質導入方法。
【請求項20】
第1の水性媒体中のウイルスベクターと標的細胞の懸濁液を容器に含めること;
前記標的細胞及び前記ウイルスベクターを含む前記容器を第1の期間にわたってインキュベートすること;及び、次いで
形質導入された細胞を前記容器から回収すること
を含む、請求項15に記載の形質導入方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年12月30日に出願された米国仮特許出願第62/954,735号の優先権の利益を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
開示の分野
本開示は、一般に、1つ又は2つ以上のアプタマー配列を含む表面を有する容器(バッグなど)に関する。より詳細には、本開示は、1つ又は2つ以上の生物学的薬剤に対して結合親和性を有するアプタマー配列に結合したフルオロポリマーを含むバッグなどの容器、及びそのような容器を使用する形質導入方法に関する。
【背景技術】
【0003】
形質導入、例えばウイルスベクターによって外来DNAを標的細胞に導入する方法は、いくつかの用途において重要である。例えば、CAR T細胞療法は、患者から採取したT細胞にキメラ抗原受容体(CAR)をコードする遺伝子を形質導入によって導入するがん処置である。改変された細胞は、増殖及び患者への再導入後、がん細胞に結合して死滅させることができる。さらに、ウイルス形質導入は、基礎的な遺伝子研究において通常に使用されている。
【0004】
しかしながら、ウイルスベクターからの遺伝子導入は、造血細胞及び他の浮遊細胞などのある特定の細胞型にとって非効率であり得る。慣例的に、そのような系に対する形質導入効率は、ポリブレン、硫酸プロタミン又はレトロネクチンなどのエンハンサーの使用によって改善することができる。ポリブレン及び硫酸プロタミンは、標的細胞の表面特性を改変することによって形質導入効率を改善する。しかしながら、これらの種類のエンハンサーは、細胞生存率に悪影響を及ぼし得る。代替的に、レトロネクチン(ウイルス粒子に対して結合親和性を有するヘパリン結合ドメインと、VLA-4及びVLA-5表面受容体に対して結合親和性を有する2つの細胞結合ドメインとを含むポリペプチド)は、ウイルスベクターと標的細胞との共局在化を促進することによって形質導入効率を改善することができる。
【0005】
慣例的に、レトロネクチンなどの形質導入エンハンサーを、形質導入プロセスの前に容器に手動でコーティングしなければならない。コーティングされた容器は特別な冷蔵を必要とし、貯蔵寿命が短いため、比較的高価で時間のかかるコーティングプロセスは、通常、プロセスの直前に、形質導入プロセスを実施するユーザによって実行されなければならない。
【0006】
したがって、細胞形質導入のための単純で、費用効果が高く、及び/又は時間効果の高い系が依然として必要とされている。
【発明の概要】
【0007】
一態様では、本開示は、外面(outer surface)及び内面(inner surface)を有する容器(例えば、バッグの形態)を提供し、内面は、
フルオロポリマー;
フルオロポリマーに結合した複数の官能基;及び
官能基の少なくとも一部の各々に結合し、ウイルスベクターに対して結合親和性を有する第1のアプタマー配列
を含む。
【0008】
別の態様では、本開示は、本明細書に記載の容器(container)にウイルスベクター及び標的細胞を含めることを含む形質導入方法を提供する。
【0009】
本開示の他の態様は、本明細書の開示を考慮すると当業者には明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本開示の一実施形態によるバッグの概略上面図(上)及び断面図(下)である。
【0011】
【
図2】本開示のある特定の実施形態によるバッグの概略上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
様々な態様では、本開示は、複数の官能基が結合したフルオロポリマーと、官能基の少なくとも一部の各々に結合した第1のアプタマー配列とを含む内面を有する容器に関する。本開示の容器を、いくつかの形態で提供することができる。1つの特に便利な形態は、例えば、本明細書に記載のフルオロポリマー材料の1つ又は2つ以上のシートから形成されるバッグである。当業者は、細胞培養で使用されるものなどのバッグ構造に精通しており、本明細書の記載に基づいて本開示のバッグ及び方法で使用するために従来のバッグ構造を適合させることができるであろう。当然のことながら、当業者は、本開示の容器をいくつかの他の形態、例えばフラスコ、チューブ、ディッシュで提供できることを理解するであろう。
【0013】
バッグの形態のそのような容器の一実施形態が、
図1の概略上面図(上)及び断面図(下)に示されている。
図1のバッグ100は、外面112及び内面114を有するバッグ壁110を含み、バッグに媒体を加える又はバッグから媒体を取り出すためにバッグの両端に位置するポート130及び140をさらに含む。ポートの数及び位置は特に限定されず、したがって、例えば使用又は製造の便宜のために配置することができることを当業者は理解するであろう。バッグ100は、区画120を形成するためにそれらの縁部で(例えば、レーザ溶接、コロナ放電、放射、熱又はメルトラミネーション、エッチング、プラズマ処理、ウェッティング、接着剤、又はそれらの組合せによって)、2つのフルオロポリマー含有シート(例えば、その内側表面にフッ素化エチレンプロピレンの層を有する2つのシート)を互いに接着した生成物であり得る。ポート130及び140は、密閉区画120を設けるために密閉可能であり得る。
【0014】
バッグ壁110は、その組成において均一であり得、又は、代替的に、2つ以上の異なるドメイン(例えば、2つ以上の層)を含み得る。例えば、2つのフルオロポリマーシートを互いに接着させ、次いで接着されたシートをコーティングすることにより、内面114とは組成が異なる外面112を設けることができる。同様に、2つの多層シートを互いに接着することにより、内面114とは組成が異なる外面112を設けることができる。多層シートは、フルオロポリマー材料及び非フッ素化ポリマー材料の両方から形成することができる。そのような場合、多層シートのうちの1つ又は2つ以上の内面にフルオロポリマー層を設けることができる。バッグ壁110の厚さ、区画120の容積、ならびにバッグ100及び/又は区画120の形状は特に限定されず、使用又は製造の便宜のために、及び/又は特定の用途に適するように選択することができる。例えば、容器壁の厚さは、ある特定の実施形態では0.0003インチ~0.2インチの範囲内であり得、区画の容積は、ある特定の実施形態では100mL~100Lの範囲内であり得る。
【0015】
図2は、本開示のバッグ及び方法での使用に適した培養バッグの構成のいくつかの例示的な実施形態を示す。バッグ200aは、区画220aへのアクセスを提供する、単一のポート230aのみを有する。バッグ200bは、系を通るより長い経路長を提供することができる、いわゆる「蛇行」構成にあり、ポート230b及び240bは、バッグを形成するシートの適切な溶接によって形成された蛇行形状区画220bによって形成された蛇行経路によって接続されている。また、バッグ200cは非矩形形状を有し、ポート230cと240cとの間に対応する非矩形区画220cを有する。
【0016】
容器の壁のうちの1つ又は2つ以上は多孔質であり得、例えば、細胞培養で産生及び消費されるガス(例えば、O2、CO2)に対して透過性であり得るが、液体(例えば、水)に対して不透過性であり得る。これは、バッグ内の細胞の呼吸を可能にするために、容器壁を横切るガスの大気との受動的交換を可能にし得る。
【0017】
本開示の容器は、望ましくは、容器内の流体の汚染が実質的にないように形成される。したがって、容器の内面は、有機物を流体に浸出させない材料から形成されることが望ましい。例えば、本明細書に別途記載のある特定の実施形態では、容器壁の内面は、水中で0.1mg/cm2未満(例えば、0.05mg/cm2未満、又は0.05mg/cm2未満)の全有機体炭素(TOC)を有するポリマー(例えば、フッ素化エチレンプロピレンなどのフルオロポリマー)から形成される。そのような容器は、例えば、米国特許出願公開第2016/0178490号及び第2016/0178491号に記載されており、これらの各々は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。当業者は、本明細書の記載に基づいて、本開示の容器及び方法で使用するためにそのような容器を適合させることができる。
【0018】
本明細書で使用される場合、TOCは、例えば容器の内面のエリアからの抽出を含む本開示の系で用いられる容器について測定される(mg/cm2として評価される結果は、内部面積の平方センチメートル当たりのTOCである)。TOCは、米国薬局方(USP)643に従い、UV促進化学酸化(Ultra-Clean Technology Handbook:第1巻:Ultra-Pure Water,Ohmi,Tadahiro;CRC Press,1993,497-517頁)の高温湿式酸化反応を利用する装置を用いて測定される。精製水を70℃で24時間、例えば、水1mLに対して物品の表面積3cm2の比でポリマーと接触させる。水をポリマーとの接触から取り出し、TOC分析器で試験する。適切な機器は、TEKMAR DOHRMANN Model Phoenix 8000 TOC分析器である。
【0019】
上記のように、容器の内面は、フルオロポリマーに結合した複数の官能基を含む。例えば、内面のフルオロポリマーは、カルボキシ基、ヒドロキシル基、アルデヒド基、カルボニル基、アミン基、イミン基、アミド基、エステル基、無水物基、チオール基、ジスルフィド基、フェノール基、グアニジン基、チオエーテル基、インドール基、イミダゾール基、アミノエチルアミド基、アルキン基、アルケン基、アジリジン基、エポキシ基、イソニトリル基、イソシアニド基、テトラジン基、ジアゾニウム表面基、アルキン基、アルケン基、アジリジン基、エポキシ基、イソニトリル基、イソシアニド基、テトラジン基、アルキル基、アミノエチルアミド基、エステル基、又はそれらの任意の混合物で官能化されてもよい。例えば、ある特定のそのような実施形態では、官能基はアルデヒド基を含む。本明細書に別途記載のある特定の実施形態では、官能基は窒素含有基を含む。例えば、ある特定のそのような実施形態では、容器の内面は、複数のアミン基を含む。当業者は、これらの「官能基」が、アプタマー配列が結合している基として特定されることを理解するであろう。例えば、「アミン」官能基は、カルボキシを有するアプタマー配列に結合して、アプタマー配列にカルボキサミド結合を形成することができる。
【0020】
当業者は、官能基が多くの方法でフルオロポリマー表面にもたらされ得ることを理解するであろう。本明細書に別途記載のある特定の実施形態では、容器の内面の官能基は、フルオロポリマーのエッチングの生成物である。例えば、ある特定のそのような実施形態では、エッチングは、化学エッチング、物理機械エッチング、又はプラズマエッチングを含む。例えば、ある特定の実施形態では、内面を構成する官能基は、フルオロポリマーの化学エッチングの生成物である。ある特定のそのような実施形態では、化学エッチングは、アンモニアナトリウム又はナフタレンナトリウムを用いたエッチングを含む。別の例では、ある特定の実施形態では、内面を構成する官能基は、物理機械エッチングの生成物である。ある特定のそのような実施形態では、物理機械エッチングは、シリカによるサンドブラスト又はエアアブレーションを含む。別の例では、内面を構成する官能基は、プラズマエッチングの生成物である。ある特定のそのような実施形態では、プラズマエッチングは、水素、酸素、アセチレン、メタン、及びそれらの窒素、アルゴン、及びヘリウムとの混合物などの反応性プラズマを用いたエッチングを含む。
【0021】
本明細書に別途記載のある特定の実施形態では、容器の内面の官能基は、反応種の存在下でのフルオロポリマーの活性化の生成物である。例えば、ある特定のそのような実施形態では、活性化はプラズマ活性化である。ある特定の実施形態では、プラズマ活性化は、例えばアルゴン、水素、窒素、二酸化炭素、酸素及びそれらの混合物などのガスでの処理によるフルオロポリマー上の反応種の形成を含む。ある特定の実施形態では、プラズマ活性化は、フルオロポリマーにラジカル及び/又は過酸化物を生成する。プラズマ活性化は、ある特定の実施形態では、0.1トル~0.6トルの範囲内、又は700トル~760トルの範囲内の圧力で行うことができる。別の例では、ある特定のそのような実施形態では、活性化はコロナ活性化である。ある特定の実施形態では、コロナ活性化は、フルオロポリマー上に活性部位(例えば、反応種又はその後の化学処理の影響を受けやすい)を形成するための、例えばアルゴン、窒素、水素、及びそれらの混合物などのガス下でのフルオロポリマーの活性化を含む。ある特定の実施形態では、活性化(例えば、プラズマ活性化又はコロナ活性化)は、例えばケトン、アルコール、p-クロロスチレン、アクリロニトリル、プロピレンジアミン、無水アンモニア、スチレンスルホン酸、四塩化炭素、テトラエチレンペンタミン、シクロヘキシルアミン、テトライソプロピルチタナート、デシルアミン、テトラヒドロフラン、ジエチルトリアミン、第三級ブチルアミン、エチレンジアミン、トルエン-2,4-ジイソシアナート、グリシジルメタクリラート、トリエチレンテトラミン、ヘキサン、トリエチルアミン、メチルアルコール、酢酸ビニル、メチルイソプロピルアミン、ビニルブチルエーテル、メチルメタクリラート、2-ビニルピロリドン、メチルビニルケトン、キシレン、又はそれらの混合物などの反応性炭化水素蒸気を含む。本明細書に別途記載のある特定の実施形態では、例えば、ブチレン、エチレン、グルタルアルデヒドなどから選択される重合可能な炭化水素蒸気を含む活性化(例えば、プラズマ活性化)は、フルオロポリマー上にコーティングされたポリマー(すなわち、本明細書に別途記載の官能基を含む)をもたらす。当業者は、ある特定の実施形態では、重合可能な炭化水素蒸気を含むプラズマ活性化(すなわち、プラズマ重合)が、比較的無秩序で高度に架橋されたポリマーコーティングをもたらすことができることを理解するであろう。
【0022】
本明細書に別途記載のある特定の実施形態では、容器の内面の官能基は、活性化フルオロポリマーを化学的に処理した生成物である。例えば、ある特定のそのような実施形態では、活性化フルオロポリマーは、フルオロポリマーのプラズマ活性化又はコロナ活性化の生成物である。ある特定のそのような実施形態では、化学処理は、例えば、グラフト重合、カップリング、クリックケミストリー、縮合、又は付加などの化学反応である。ある特定の実施形態では、化学処理は、ラジカル重合(例えば、フルオロポリマーのプラズマ活性化によって生成されるラジカルによって開始される)を介してビニルモノマーを重合することを含む、溶液中でのグラフト重合である。ある特定のそのような実施形態では、ビニルモノマーは、例えば、アクリル酸、(メタ)アクリラート、(メタ)アルキルアクリラート、スチレン、ジエン、アルファ-オレフィン、ハロゲン化アルケン、(メタ)アクリロニトリル、アクリルアミド、N-ビニルカルバゾール、N-ビニルピロリドン、及び無水マレイン酸から選択される。例えば、フルオロポリマー上でのアクリル酸モノマーのラジカル重合は、ある特定の実施形態では、カルボキシル基の高密度表面を実現することができる。ある特定の実施形態では、そのような重合生成物は、比較的秩序化することができる(例えば、プラズマ重合生成物と比較して)。
【0023】
本明細書に別途記載のある特定の実施形態では、容器の内面の官能基は、活性化フルオロポリマーをコーティングした生成物である。例えば、ある特定のそのような実施形態では、活性化フルオロポリマーは、フルオロポリマーのプラズマ活性化又はコロナ活性化の生成物である。ある特定のそのような実施形態では、コーティングは、湿式コーティング、粉末コーティング、又は化学蒸着である。ある特定の実施形態では、コーティングは、プラズマ強化化学気相成長又は開始剤を用いた化学気相成長である。
【0024】
上記のように、容器の内面は、ウイルスベクターに対して結合親和性を有する第1のアプタマー配列を含み、配列は官能基の少なくとも一部の各々に結合している(すなわち、本明細書に別途記載されるように、フルオロポリマーに結合している)。本明細書で使用される場合、「アプタマー配列」は、非共有的相互作用(例えば、静電的相互作用、疎水性相互作用、形状相補性)を介して1つ又は2つ以上の標的部位(例えば、ウイルスカプシド、細胞表面上など)に選択的に結合することができるヌクレオチド配列を含む。ある特定の実施形態では、アプタマー配列は、個々のオリゴヌクレオチドを含む。他の実施形態では、アプタマー配列の2つ以上のリピートはポリヌクレオチドを含む。
【0025】
本明細書で使用される場合、「ウイルスベクター」は、ヌクレオチド配列を含み、ヌクレオチド配列を標的細胞に導入することができるウイルス(例えば、レンチウイルス、レトロウイルス)を含む。当業者は、そのようなウイルスの表面が、アプタマー配列が結合し得る1つ又は2つ以上の分子を含み得ることを理解するであろう。本明細書に別途記載のある特定の実施形態では、第1のアプタマー配列は、ウイルスベクターに対して少なくとも0.1nMの結合親和性を有する。例えば、ある特定のそのような実施形態では、第1のアプタマー配列は、ウイルスベクターに対して、少なくとも0.25nM、又は少なくとも0.5nM、0.75nM、又は少なくとも1nM、又は少なくとも2.5nM、又は少なくとも5nM、又は少なくとも10nM、又は少なくとも25nM、又は少なくとも50nM、又は少なくとも75nM、又は少なくとも100nMの結合親和性を有する。当業者は、容器の内面へのウイルスベクターの望ましい程度の結合をもたらす結合親和性を選択することができる。
【0026】
本明細書に別途記載のある特定の実施形態では、容器の内面は、VLA-4及びVLA-5から選択される細胞受容体(cell receptor)に対して結合親和性を有する第2のアプタマー配列をさらに含み、配列は官能基の一部(すなわち、本明細書に別途記載のように、フルオロポリマーに結合している)に結合している。本明細書に別途記載のある特定の実施形態では、第2のアプタマー配列は、細胞受容体に対して少なくとも0.1nMの結合親和性を有する。例えば、ある特定のそのような実施形態では、第1のアプタマー配列は、細胞受容体に対して、少なくとも0.25nM、又は少なくとも0.5nM、0.75nM、又は少なくとも1nM、又は少なくとも2.5nM、又は少なくとも5nM、又は少なくとも10nM、又は少なくとも25nM、又は少なくとも50nM、又は少なくとも75nM、又は少なくとも100nMの結合親和性を有する。
【0027】
当業者は、そのようなアプタマー(すなわち、ウイルスベクターと標的の両方に対する)を、例えばSELEX法などの一般的に公知の手順に従って調製することができることを理解するであろう。当業者は、容器の内面への所望の種類の細胞の望ましい程度の結合をもたらす結合親和性を選択することができる。
【0028】
第1のアプタマー配列と第2のアプタマー配列の両方を容器の内面に結合させることにより、ウイルスベクターと、ウイルスベクターで形質導入されることが望まれる細胞とを互いに近くに共配置することができ、それによって形質導入を単純化する。以下でより詳細に説明するように、アプタマー配列は別々のアプタマー分子で表面に別々に結合され得るか、又は他の実施形態では同じアプタマー分子で一緒にもたらされ得る。
【0029】
本明細書に別途記載のある特定の実施形態では、第1のアプタマー配列は、少なくとも5塩基対の長さである。例えば、ある特定のそのような実施形態では、第1のアプタマー配列は、少なくとも10、又は少なくとも15、又は少なくとも20、又は少なくとも25、又は少なくとも30塩基対の長さである。本明細書に別途記載のある特定の実施形態では、第2のアプタマー配列は、少なくとも5塩基対の長さである。例えば、ある特定のそのような実施形態では、第2のアプタマー配列は、少なくとも10、又は少なくとも15、又は少なくとも20、又は少なくとも25、又は少なくとも30塩基対の長さである。
【0030】
本明細書に別途記載のある特定の実施形態では、官能基の少なくとも一部の各々は、第1のアプタマー配列及び/又は第2のアプタマー配列を含むオリゴヌクレオチドに直接結合(すなわち、共有結合を介して)している。例えば、ある特定のそのような実施形態では、内面は複数のオリゴヌクレオチドを含み、それぞれが第1のアプタマー配列及び/又は第2のアプタマー配列を含み、それぞれが共有結合を介してフルオロポリマーの官能基に(例えば、アミン基に)結合している。ある特定のそのような実施形態では、各オリゴヌクレオチドは、第1のアプタマー配列を含むが、第2のアプタマー配列を含まない、第2のアプタマー配列を含むが、第1のアプタマー配列を含まない;又は第1のアプタマー配列と第2のアプタマー配列の両方を含む。例えば、ある特定のそのような実施形態では、内面は、第1の複数のオリゴヌクレオチド(それぞれが共有結合を介してフルオロポリマーの官能基に(例えば、アミン基に)それぞれ結合した第1のアプタマー配列を含む)を含み、第2の複数のオリゴヌクレオチド(それぞれが共有結合を介してフルオロポリマーの官能基に(例えば、アミン基に)それぞれ結合した第2のアプタマー配列をさらに含む)を含む。異なるオリゴヌクレオチドが第1及び第2のアプタマー配列に使用される場合、それらは同じ化学を使用して、又は異なる化学を使用してフルオロポリマーに結合することができる。他のそのような実施形態では、内面は複数のオリゴヌクレオチドを含み、それぞれが第1のアプタマー配列及び/又は第2のアプタマー配列を含み、それぞれが共有結合を介してフルオロポリマーの官能基に(例えば、アミン基に)結合している。
【0031】
他の実施形態では、非共有結合を使用して、例えば(ストレプト)アビジン/ビオチンなどの非共有結合会合を使用して、アプタマー配列を容器の内面に結合させることができる。
【0032】
本明細書に別途記載のある特定の実施形態では、容器の内面のオリゴヌクレオチド(例えば、第1のアプタマー配列及び/又は第2のアプタマー配列を含む)の平均濃度は、表面の平方ミクロン当たり少なくとも50個のオリゴヌクレオチドである。例えば、ある特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドの平均濃度は、容器の内面の平方ミクロン当たり少なくとも60個、少なくとも70個、少なくとも80個、少なくとも90個、少なくとも100個、少なくとも250個、少なくとも500個、少なくとも750個、又は少なくとも1,000個のオリゴヌクレオチドである。当業者は、所望の程度の形質導入を可能にするために、所望の程度のウイルスベクター及び細胞の結合をもたらすオリゴヌクレオチド濃度(複数可)を選択するであろう。
【0033】
本明細書に別途記載のある特定の実施形態では、官能基の少なくとも一部の各々は、第1のアプタマー配列の2つ以上のリピートを含むポリヌクレオチドに直接結合している。例えば、ある特定のそのような実施形態では、内面は複数のポリヌクレオチドを含み、それぞれが第1のアプタマー配列の2つ以上のリピートを含み、それぞれが共有結合を介してフルオロポリマーの官能基に(例えば、アミン基に)結合している。ある特定のそのような実施形態では、各ポリヌクレオチドは、第1のアプタマー配列の少なくとも10個、又は少なくとも25個、又は少なくとも50個、又は少なくとも75個、又は少なくとも100個、又は少なくとも200個、又は少なくとも300個、又は少なくとも400個、又は少なくとも500個、又は少なくとも750個、又は少なくとも1000個のリピートを含む。
【0034】
同様に、本明細書に別途記載のある特定の実施形態では、官能基の一部の各々は、第2のアプタマー配列の2つ以上のリピートを含むポリヌクレオチドに直接結合している。例えば、ある特定のそのような実施形態では、内面は、第1の複数のポリヌクレオチド(それぞれが共有結合を介してフルオロポリマーの官能基に(例えば、アミン基に)それぞれ結合した第1のアプタマー配列の2つ以上のリピートを含む)を含み、第2の複数のポリヌクレオチド(それぞれが共有結合を介してフルオロポリマーの官能基に(例えば、アミン基に)それぞれ結合した第2のアプタマー配列の2つ以上のリピートを含む)をさらに含む。ある特定のそのような実施形態では、各ポリヌクレオチドは、第1のアプタマー配列又は第2のアプタマー配列の少なくとも10個、又は少なくとも25個、又は少なくとも50個、又は少なくとも75個、又は少なくとも100個、又は少なくとも200個、又は少なくとも300個、又は少なくとも400個、又は少なくとも500個、又は少なくとも750個、又は少なくとも1000個のリピートを含む。
【0035】
所与のアプタマー配列の複数のリピートを含むポリヌクレオチドは、フルオロポリマーに(例えば、アミン基を介して)共有結合したヌクレオチドプライマーから始まって、所望のアプタマー配列に対応するテンプレートのローリングサークル増幅(RCA)によって作製することができる。
【0036】
本明細書に別途記載のある特定の実施形態では、官能基の少なくとも一部の各々は、第1のアプタマー配列及び第2のアプタマー配列のそれぞれの少なくとも1つのリピートを含むポリヌクレオチドに直接結合している。例えば、ある特定のそのような実施形態では、ポリヌクレオチドは、フルオロポリマーに(例えば、アミン基を介して)共有結合したヌクレオチドプライマーから始まって、連続した第1のアプタマー配列及び第2のアプタマー配列に対応するテンプレートのローリングサークル増幅(RCA)の産物である。ある特定のそのような実施形態では、各ポリヌクレオチドは、第1のアプタマー配列及び第2のアプタマー配列の少なくとも10個、又は少なくとも25個、又は少なくとも50個、又は少なくとも75個、又は少なくとも100個、又は少なくとも200個、又は少なくとも300個、又は少なくとも400個、又は少なくとも500個、又は少なくとも750個、又は少なくとも1000個の総リピートを含む。ある特定の実施形態では、ポリヌクレオチドは、第1のアプタマー配列及び第2のアプタマー配列の交互の一連のリピートを含む。当然のことながら、他の実施形態では、ポリヌクレオチドは、連続した第1のアプタマー配列の2つ以上のリピートの1つ又は2つ以上のブロックと、連続した第2のアプタマー配列の2つ以上のリピートの1つ又は2つ以上のブロックとを含む。
【0037】
ある特定のそのような実施形態では、容器の内面を占めるポリヌクレオチド(例えば、第1のアプタマー配列及び/又は第2のアプタマー配列のリピートを含む)の平均濃度は、表面の平方ミクロン当たり少なくとも50個のポリヌクレオチドである。例えば、ある特定の実施形態では、ポリヌクレオチドの平均濃度は、容器の内面の平方ミクロン当たり少なくとも60個、少なくとも70個、少なくとも80個、少なくとも90個、少なくとも100個、少なくとも250個、少なくとも500個、少なくとも750個、又は少なくとも1,000個のポリゴヌクレオチドである。
【0038】
本明細書に別途記載のある特定の実施形態では、官能基の少なくとも一部の各々は、第1のアプタマー配列を含む少なくとも1つのオリゴヌクレオチドにリンカーを介して結合している。ある特定のそのような実施形態では、リンカーはポリペプチド又はポリヌクレオチドを含む。例えば、ある特定の実施形態では、内面は、共有結合を介してフルオロポリマーの官能基に(例えば、アミン基に)結合した複数のリンカー(例えば、ポリペプチド又はポリヌクレオチド)を含み、各リンカーは、第1のアプタマー配列を含む少なくとも1つのオリゴヌクレオチドに結合している。本明細書に別途記載のある特定の実施形態では、官能基の一部の各々は、第2のアプタマー配列を含む少なくとも1つのオリゴヌクレオチドにリンカーを介して結合している。例えば、ある特定のそのような実施形態では、内面は、共有結合を介してフルオロポリマーに(例えば、アミン基に)結合した第1の複数のリンカー(例えば、ポリペプチド又はポリヌクレオチド)(各リンカーは、第1のアプタマー配列を含む少なくとも1つのオリゴヌクレオチドに結合している)を含み、共有結合を介してフルオロポリマーの官能基に(例えば、アミン基に)結合した第2の複数のリンカー(例えば、ポリペプチド又はポリヌクレオチド)(各リンカーは、第2のアプタマー配列を含む少なくとも1つのオリゴヌクレオチドに結合している)をさらに含む。別の例では、ある特定のそのような実施形態では、内面は、共有結合を介してフルオロポリマーの官能基に(例えば、アミン基に)結合した複数のリンカー(例えば、ポリペプチド又はポリヌクレオチド)を含み、各リンカーは、第1のアプタマー配列及び第2のアプタマー配列を含む少なくとも1つのオリゴヌクレオチド含む、少なくとも1つのオリゴヌクレオチドに結合している。リンカーは、例えば(ストレプト)アビジン/ビオチン相互作用によって、非共有結合的相互作用で使用することもできる。
【0039】
ある特定のそのような実施形態では、少なくとも2つのオリゴヌクレオチド(例えば、第1のアプタマー配列及び/又は第2のアプタマー配列を含む)は、リンカーの少なくとも一部の各々に結合している。例えば、ある特定の実施形態では、少なくとも5個、少なくとも10個、少なくとも20個、少なくとも30個、少なくとも40個、又は少なくとも50個のオリゴヌクレオチドは、リンカーの少なくとも一部の各々に結合している。
【0040】
ある特定のそのような実施形態では、容器の内面を占めるリンカー(例えば、それに結合した第1のアプタマー配列及び/又は第2のアプタマー配列を含む)の平均濃度は、表面の平方ミクロン当たり少なくとも50個のリンカーである。例えば、ある特定の実施形態では、リンカーの平均濃度は、容器の内面の平方ミクロン当たり少なくとも60個、少なくとも70個、少なくとも80個、少なくとも90個、少なくとも100個、少なくとも250個、少なくとも500個、少なくとも750個、又は少なくとも1,000個のリンカーである。
【0041】
様々なフルオロポリマーを本明細書に記載の容器の内面で使用することができる。本明細書に別途記載のある特定の実施形態では、容器の内面は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、パーフルオロアルコキシ(PFA)、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、エチレンクロロトリフルオロエチレン(ECTFE)、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)、エチレンフッ素化エチレンプロピレン(EFEP)、パーフルオロポリエーテル(PFPE)、変性ポリテトラフルオロエチレン(TFM)、ポリフッ化ビニル(PVF)、又はそれらの任意の混合物から選択されるフルオロポリマーを含む。例えば、本明細書に別途記載のある特定の実施形態では、容器の内面はフッ素化エチレンプロピレンを含む。本明細書に別途記載のある特定の実施形態では、容器の内面は、フルオロポリマー(例えば、フッ素化エチレンプロピレン)ならびにそれに結合した官能基及びアプタマー配列から本質的になる。本明細書に別途記載のある特定の実施形態では、容器の内面のフルオロポリマー材料は、少なくとも0.0003インチ、少なくとも0.0004インチ、少なくとも0.0005インチ、少なくとも0.0006インチ、少なくとも0.001インチ、又は少なくとも0.10インチの厚さを有する。例えば、ある特定のそのような実施形態では、容器の内面を占める材料は、0.0003インチ~0.2インチ、又は0.0003インチ~0.1インチ、又は0.0005インチ~0.08インチ、又は0.001インチ~0.07インチ、又は0.001インチ~0.05インチ、又は0.001インチ~0.03インチ、又は0.001インチ~0.018インチ、又は0.001インチ~0.016インチ、又は0.001インチ~0.014インチ、又は0.001インチ~0.012インチの範囲内の厚さを有する。
【0042】
本明細書に別途記載のある特定の実施形態では、容器壁を構成する材料は、その内面にフルオロポリマーの層を有し、その外面に別のポリマー材料(フルオロポリマー又は他のもの)の層を有する多層材料である。本明細書に別途記載のある特定の実施形態では、容器の外面の材料は、少なくとも0.0005インチ、又は少なくとも0.001インチ、又は少なくとも0.005インチ、又は少なくとも0.0075インチ、又は少なくとも0.01インチ、又は少なくとも0.02インチ、又は少なくとも0.03インチ、又は少なくとも0.04インチ、又は少なくとも0.05インチ、又は少なくとも0.06インチ、又は少なくとも0.07インチ、又は少なくとも0.08インチ、又は少なくとも0.09インチ、又は少なくとも0.1インチ、又は少なくとも0.11インチの厚さを有する。例えば、ある特定のそのような実施形態では、容器の外面の材料は、0.0005インチ~0.2インチ、又は0.005インチ~0.18インチ、又は0.01インチ~0.16インチ、又は0.01インチ~0.14インチ、又は0.01インチ~0.12インチ、又は0.06インチ~0.13インチ、又は0.09インチ~0.126インチの範囲内の厚さを有する。
【0043】
本明細書に別途記載のある特定の実施形態では、容器の外面はフルオロポリマー以外の材料を含む。例えば、ある特定のそのような実施形態では、容器の外面の材料は、熱可塑性ポリマー、熱可塑性エラストマー、シリコン、ゴム、又はそれらの任意の組合せを含む。あるいは、容器の外面は、本明細書に別途記載のある特定の実施形態では、例えば内面のフルオロポリマー又は異なるフルオロポリマーなどのフルオロポリマーを含むことができる。ある特定のそのような実施形態では、内面及び外面(例えば、容器壁)の材料は、フルオロポリマー(例えば、フッ素化エチレンプロピレン)、ならびに内面に結合した官能基及びアプタマー配列から本質的になる。
【0044】
本明細書に別途記載のある特定の実施形態では、容器は、水性媒体をさらに含む。水性媒体は、例えば、ウイルスベクター(例えば、本明細書に別途記載されるように)及び場合により標的細胞を含む細胞培養培地であり得る。本明細書で使用される場合、「標的細胞」は、ウイルスベクターによる形質導入に感受性の細胞を含む。ある特定の実施形態では、標的細胞は、VLA-4及びVLA-5表面受容体のうちの1つ又は2つ以上を含む。したがって、本明細書に別途記載のある特定の実施形態では、容器はウイルスベクター(例えば、レンチウイルス又はレトロウイルスを含む)を含む。本明細書に別途記載のある特定の実施形態では、容器は、標的細胞(例えば、VLA-4及びVLA-5表面受容体のうちの1つ又は2つ以上を含む)を含む。
【0045】
有利には、本発明者らは、本明細書に記載の容器が、形質導入方法に関与するウイルスベクターと標的細胞との共局在化を容易にすることができ、望ましくは、形質導入を行う直前にユーザが手動コーティングプロセスを行う必要なしに、その効率を高めることができることを見つけた。したがって、本開示の別の態様は、本明細書に別途記載の容器にウイルスベクター及び標的細胞を含めることを含む形質導入方法である。ある特定のそのような実施形態では、容器は水性媒体(例えば、細胞培養培地)を含む。ある特定のそのような実施形態では、ウイルスベクターは、レンチウイルス又はレトロウイルスを含む。ある特定のそのような実施形態では、標的細胞は、VLA-4及びVLA-5表面受容体のうちの1つ又は2つ以上を含む。
【0046】
本明細書に別途記載のある特定の実施形態では、形質導入方法は、容器内の第1の水性媒体中にウイルスベクターの懸濁液(例えば、ウイルスベクター上清)を含めること;及び、次いでウイルスベクターを含む容器を第1の期間にわたってインキュベートすることを含む。第1の期間は、ウイルスベクターの少なくとも一部と容器の内面の第1のアプタマー配列との会合を可能にするのに十分な任意の長さであり得る。例えば、ある特定の実施形態では、ウイルスベクターを含む容器を、例えば、32~37℃の範囲内の温度で、少なくとも1時間、又は少なくとも2時間、又は少なくとも3時間、又は少なくとも4時間、又は少なくとも5時間インキュベートする。第1の期間にわたってインキュベートした後、本方法は、標的細胞を(例えば、第2の水性媒体中の懸濁液として)容器に加えること;及び、次いで標的細胞及びウイルスベクターを含む容器を第2の期間にわたってインキュベートすることを含む。第2の期間は、標的細胞の少なくとも一部の形質導入を可能にするのに十分な任意の長さであり得る。例えば、ある特定の実施形態では、ウイルスベクター及び標的細胞を含む容器を、例えば、35~39℃の範囲内の温度で、少なくとも6時間、又は少なくとも12時間、又は少なくとも18時間、又は少なくとも1日間、又は少なくとも1.5日間、又は少なくとも2日間、又は少なくとも2.5日間インキュベートする。第2の期間インキュベートした後、本方法は、形質導入された細胞を容器から回収することを含む。
【0047】
ある特定のそのような実施形態では、方法は、容器を第1の期間にわたってインキュベートした後、第1の水性媒体の少なくとも一部を取り出すこと;次いで、洗浄媒体を容器に加えること;及び、次いで洗浄媒体の少なくとも一部を容器から取り出す(すなわち、標的細胞を容器に加える前に)ことをさらに含む。
【0048】
他の実施形態では、形質導入方法は、第1の水性媒体中のウイルスベクターと標的細胞の懸濁液(例えば、ウイルスベクター上清と標的細胞の混合物)を容器に含めること;及び、次いで標的細胞及びウイルスベクターを含む容器を第1の期間にわたってインキュベートすることを含む。第1の期間は、標的細胞の少なくとも一部の形質導入を可能にするのに十分な任意の長さであり得る。例えば、ある特定の実施形態では、ウイルスベクター及び標的細胞を含む容器を、例えば、35~39℃の範囲内の温度で、少なくとも6時間、又は少なくとも12時間、又は少なくとも18時間、又は少なくとも1日間、又は少なくとも1.5日間、又は少なくとも2日間、又は少なくとも2.5日間インキュベートする。第1の期間にわたってインキュベートした後、本方法は、形質導入された細胞を容器から回収することを含む。
【0049】
本明細書に別途記載のある特定の実施形態では、形質導入された細胞を回収することは、形質導入された細胞の懸濁液を容器から取り出すことを含む。ある特定の実施形態では、形質導入された細胞を回収することは、細胞解離媒体を容器に加えること(例えば、形質導入媒体の少なくとも一部を容器から取り出した後)、及び、次いで細胞解離媒体中の形質導入された細胞の懸濁液を容器から取り出すことを含む。細胞の解離は、標的細胞を容器の内面から放出することができる1つ又は2つ以上の解離剤を含むことができる。例えば、ある特定のそのような実施形態では、細胞解離媒体は、塩及びキレート剤(例えば、標的細胞への第2のアプタマー配列の結合を破壊することができる)のうちの1つ又は2つ以上を含む。別の例では、ある特定のそのような実施形態では、細胞解離媒体は、1つ又は2つ以上の制限酵素(例えば、第2のアプタマー配列を含むオリゴ-又はポリヌクレオチドを分解することができる)を含む。別の例では、ある特定のそのような実施形態では、細胞解離媒体は、第2のアプタマー配列に相補的なヌクレオチド配列(例えば、結合した標的細胞を第2のアプタマー配列から置き換えることができる)を含むオリゴ-又はポリヌクレオチドを含む。
【0050】
本開示の様々な態様及び実施形態は、論理的及び科学的に矛盾しない任意の数及び任意の組合せで組み合わされ得る、実施形態の以下の列挙されたリストによって提供される。
実施形態1.外面及び内面を有する容器(例えば、バッグ)であって、内面が、
フルオロポリマー;
フルオロポリマーに結合した複数の官能基;及び
官能基の少なくとも一部の各々に結合し、ウイルスベクターに対して結合親和性を有する第1のアプタマー配列
を含む、容器。
実施形態2.内面が、官能基の一部に結合した、VLA-4及びVLA-5から選択される細胞受容体に対して結合親和性を有する第2のアプタマー配列をさらに含む、実施形態1に記載の容器。
実施形態3.官能基の少なくとも一部の各々が、第1のアプタマー配列及び/又は第2のアプタマー配列を含むオリゴヌクレオチドに直接結合している、実施形態1又は2に記載の容器。
実施形態4.官能基の少なくとも一部の各々が、第1のアプタマー配列又は第2のアプタマー配列の2つ以上のリピートを含むポリヌクレオチドに直接結合している、実施形態1又は2に記載の容器。
実施形態5.ポリヌクレオチドが、第1のアプタマー配列及び第2のアプタマー配列のそれぞれの少なくとも1つのリピートを含む、実施形態4に記載の容器。
実施形態6.ポリヌクレオチドが、第1のアプタマー配列又は第2のアプタマー配列の少なくとも10個、少なくとも100個、又は少なくとも500個のリピートを含む、実施形態4又は5に記載の容器。
実施形態7.官能基の少なくとも一部の各々が、第1のアプタマー配列及び/又は第2のアプタマー配列を含む少なくとも1つのオリゴヌクレオチドにリンカーを介して結合している、実施形態1又は2に記載の容器。
実施形態8.官能基の少なくとも一部の各々が、第1のアプタマー配列を含む少なくとも1つのオリゴヌクレオチド及び第2のアプタマー配列を含む少なくとも1つのオリゴヌクレオチドにリンカーを介して結合している、実施形態7に記載の容器。
実施形態9.少なくとも2個、少なくとも5個、少なくとも10個、又は少なくとも50個のオリゴヌクレオチドが、リンカーの少なくとも一部の各々に結合している、実施形態7又は8に記載の容器。
実施形態10.リンカーが、ポリペプチド又はポリヌクレオチドを含む、実施形態7又は8に記載の容器。
実施形態11.官能基が、フルオロポリマーのエッチングの生成物である、実施形態1から10のいずれかに記載の容器。
実施形態12.エッチングが、化学エッチング、物理機械エッチング、又はプラズマエッチングである、実施形態11に記載の容器。
実施形態13.官能基が、反応種の存在下でのフルオロポリマーの活性化の生成物である、実施形態1から10のいずれかに記載の容器。
実施形態14.活性化が、プラズマ活性化又はコロナ活性化であり;
反応種が、1つ又は2つ以上の反応性炭化水素蒸気を含む、
実施形態13に記載の容器。
実施形態15.活性化がプラズマ活性化であり;
反応種が、1つ又は2つ以上の重合可能な炭化水素蒸気(例えば、ブチレン、エチレン、及びグルタルアルデヒドから選択される)を含む、
実施形態13に記載の容器。
実施形態16.官能基が、活性化フルオロポリマーを化学的に処理した生成物である、実施形態1から10のいずれかに記載の容器。
実施形態17.活性化フルオロポリマーが、プラズマ活性化又はコロナ活性化の生成物であり;
化学処理が、グラフト重合、カップリング、クリックケミストリー、縮合、又は付加である、
実施形態16に記載の容器。
実施形態18.官能基が、活性化フルオロポリマーをコーティングした生成物である、実施形態1から10のいずれかに記載の容器。
実施形態19.活性化フルオロポリマーが、プラズマ活性化又はコロナ活性化の生成物であり;
コーティングが、湿式コーティング、粉末コーティング、又は化学蒸着である、
実施形態18に記載の容器。
実施形態20.官能基が、カルボキシ基、ヒドロキシル基、アルデヒド基、カルボニル基、アミン基、イミン基、アミド基、エステル基、無水物基、チオール基、ジスルフィド基、フェノール基、グアニジン基、チオエーテル基、インドール基、イミダゾール基、アミノエチルアミド基、アルキン基、アルケン基、アジリジン基、エポキシ基、イソニトリル基、イソシアニド基、テトラジン基、ジアゾニウム表面基、アルキン基、アルケン基、アジリジン基、エポキシ基、イソニトリル基、イソシアニド基、テトラジン基、アルキル基、アミノエチルアミド基、又はエステル基のうちの1つ又は2つ以上を含む、実施形態1から19のいずれかに記載の容器。
実施形態21.官能基が、カルボキシ基、ヒドロキシル基、アルデヒド基、アミン基、イミン基、アミド基及びエステル基のうちの1つ又は2つ以上を含む、実施形態1から19のいずれかに記載の容器。
実施形態22:官能基がアミン基を含む、実施形態1から19のいずれかに記載の容器。
実施形態23.官能基の(例えば、オリゴマー、ポリヌクレオチド、又はリンカーへの)結合が共有結合である、実施形態1から22のいずれかに記載の容器。
実施形態24.フルオロポリマーが、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、パーフルオロアルコキシ(PFA)、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、エチレンクロロトリフルオロエチレン(ECTFE)、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)、エチレンフッ素化エチレンプロピレン(EFEP)、パーフルオロポリエーテル(PFPE)、変性ポリテトラフルオロエチレン(TFM)、ポリフッ化ビニル(PVF)、又はそれらの任意の混合物である、実施形態1から23のいずれかに記載の容器。
実施形態25.フルオロポリマーがフッ素化エチレンプロピレンである、実施形態1から23のいずれかに記載の容器。
実施形態26.フルオロポリマーが、水中で0.1mg/cm2のTOCを有する、実施形態1から25のいずれかに記載の容器。
実施形態27.ウイルスベクターが、レンチウイルス又はレトロウイルスを含む、実施形態1から26のいずれかに記載の容器。
実施形態28.水性媒体を含む、実施形態1から27のいずれかに記載の容器。
実施形態29.ウイルスベクター(例えば、レンチウイルス又はレトロウイルスを含む)を含む、実施形態28に記載の容器。
実施形態30.標的細胞(例えば、VLA-4及びVLA-5表面受容体のうちの1つ又は2つ以上を含む)を含む、実施形態28又は29に記載の容器。
実施形態31.実施形態1から29のいずれかに記載の容器に、ウイルスベクター及び標的細胞を含めることを含む、形質導入方法。
実施形態32.ウイルスベクターが、レンチウイルス又はレトロウイルスを含む、実施形態31に記載の形質導入方法。
実施形態33.標的細胞が、1つ又は2つ以上のVLA-4又はVLA-5表面受容体を含む、実施形態31又は32に記載の形質導入方法。
実施形態34.実施形態31から33のいずれかに記載の形質導入方法であって、
第1の水性媒体中のウイルスベクターの懸濁液を容器に含めること;
ウイルスベクターを含む容器を第1の期間にわたってインキュベートすること;
標的細胞を(例えば、第2の水性媒体中の懸濁液として)容器に加えること;
標的細胞及びウイルスベクターを含む容器を第2の期間にわたってインキュベートすること;及び、次いで
形質導入された細胞を容器から回収すること
を含む、方法。
実施形態35.容器を第1の期間にわたってインキュベートした後、
第1の水性媒体の少なくとも一部を取り出すこと;次いで
洗浄媒体を容器に加えること;次いで
洗浄媒体の少なくとも一部を容器から取り出すこと;及び、次いで
標的細胞を容器に加えること
をさらに含む、実施形態34に記載の形質導入方法。
実施形態36.第1の水性媒体中のウイルスベクターと標的細胞の懸濁液を容器に含めること;
標的細胞及びウイルスベクターを含む容器を第1の期間にわたってインキュベートすること;及び、次いで
形質導入された細胞を容器から回収すること
を含む、実施形態31から33のいずれかに記載の形質導入方法。
実施形態37.形質導入された細胞を容器から回収することが、
細胞解離媒体を容器に加えること;及び、次いで
形質導入された細胞の懸濁液を容器から取り出すこと
を含む、実施形態31から36のいずれかに記載の形質導入方法。
実施形態38.細胞解離媒体が、塩及びキレート剤のうちの1つ又は2つ以上を含む、実施形態37に記載の形質導入方法。
実施形態39.細胞解離媒体が、1つ又は2つ以上の制限酵素を含む、実施形態37に記載の形質導入方法。
実施形態40.細胞解離媒体が、第2のアプタマー配列に相補的なヌクレオチド配列を含む、オリゴ-又はポリヌクレオチドを含む、実施形態37に記載の形質導入方法。
実施形態41:容器がバッグの形態である、実施形態1から39のいずれかに記載の容器又は方法。
【0051】
本明細書に示されている詳細は、例としてのものであり、本発明の好ましい実施形態の例示的な議論のためのものにすぎず、本発明の様々な実施形態の原理及び概念的態様の最も有用で容易に理解される説明であると考えられるものを提供するために提示されている。これに関連して、本発明の基本的な理解のために必要なものよりも詳細に本発明の構造的詳細を示す試みはなされておらず、図面及び/又は例を用いた説明は、本発明のいくつかの形態が実際にどのように具現化され得るかは当業者に明らかである。したがって、開示された方法及びデバイスが説明される以前に、本明細書に記載の態様は、特定の実施形態、装置、又は構成に限定されず、よって、当然のことながら変化し得ることを理解されたい。本明細書で使用される専門用語は、特定の態様のみを説明する目的のためだけであり、本明細書で具体的に定義されない限り、限定することを意図するものではないことも理解されたい。
【0052】
本発明を説明する文脈で(特に以下の特許請求の範囲の文脈で)使用される用語「a」、「an」、「the」及び同様の指示対象は、本明細書に別段の指示がない限り、又は文脈と明らかに矛盾しない限り、単数及び複数の両方を包含すると解釈されるべきである。本明細書における値の範囲の列挙は、単に、範囲内に入る各別個の値を個別に参照する簡略方法として役立つことを意図している。本明細書に別段の指示がない限り、各個々の値は、本明細書に個別に列挙されているかのように本明細書に組み込まれる。各範囲の端点は、他方の端点に関しても、他方の端点とは無関係にも意味があることがさらに理解されよう。
【0053】
本明細書に記載のすべての方法は、本明細書に別段の指示がない限り、又は文脈と明らかに矛盾しない限り、任意の適切な順序のステップで実行することができる。本明細書で提供されるありとあらゆる例又は例示的な言語(例えば、「など(such as)」)の使用は、単に本発明をよりよく明らかにすることを意図しており、別途特許請求される本発明の範囲を限定するものではない。本明細書のいかなる言語も、本発明の実施に不可欠な特許請求されていない要素を示すと解釈されるべきではない。
【0054】
文脈が明らかにそうでないことを要求しない限り、明細書及び特許請求の範囲を通して、「含む(comprise)」、「含む(comprising)」などの単語は、排他的又は網羅的な意味とは対照的に包括的な意味で解釈されるべきである;すなわち、「含むが、限定されない」という意味である。単数又は複数を使用する単語はまた、それぞれ複数及び単数を含む。さらに、「本明細書において」、「上に(above)」、及び「下に(below)」という単語、ならびに同様の意味の単語は、本出願で使用される場合、本出願全体を指すものとし、本出願の任意の特定の部分を指すものではない。
【0055】
当業者によって理解されるように、本明細書に開示の各実施形態は、その特定の記載された要素、ステップ、成分又は構成要素を含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなり得る。本明細書で使用される場合、移行用語「含む(comprise)」又は「含む(comprises)」は、含むが限定されないことを意味し、指定されていない要素、ステップ、成分、又は構成要素を、大量であっても含むことが可能である。「からなる(consisting of)」という移行句は、指定されていないいかなる要素、ステップ、成分及び構成要素も除外する。「から本質的になる」という移行句は、実施形態の範囲を、指定された要素、ステップ、成分又は構成要素、及び実施形態に実質的に影響を及ぼさないものに限定する。
【0056】
反対のことが示されていない限り、本明細書及び添付の特許請求の範囲に記載の数値パラメータは、本発明によって得ようとする所望の特性に応じて変化し得る近似値である。少なくとも、特許請求の範囲に対する均等論の適用を制限する試みとしてではなく、各数値パラメータは、報告された有効数字の数に照らして、通常の丸め技術を適用することによって少なくとも解釈されるべきである。
【0057】
本発明の広い範囲を示す数値範囲及びパラメータは近似値であるにもかかわらず、特定の例に示される数値は可能な限り正確に報告されている。しかしながら、任意の数値は、それぞれの試験測定値に見られる標準偏差から必然的に生じるある特定の誤差を本質的に含む。
【0058】
本明細書に開示される本発明の代替的な要素又は実施形態のグループ化は、限定として解釈されるべきではない。各グループメンバーは、個々に、又はグループの他のメンバーもしくは本明細書に見られる他の要素と任意に組み合わせて参照され、特許請求され得る。グループの1つ又は2つ以上のメンバーは、利便性及び/又は特許性の理由から、グループに含まれ得るか、又はグループから削除され得ることが予想される。そのような包含又は削除が生じる場合、本明細書は、改変されたグループを含み、したがって添付の特許請求の範囲で使用されるすべてのマーカッシュ群の記載を満たすとみなされる。
【0059】
本発明の実施に関して本発明者らに知られている最良の形態を含む、本発明のいくつかの実施形態を本明細書に記載する。当然のことながら、前述の説明を読めば、これらの記載された実施形態の変形が当業者には明らかになるであろう。本発明者は、当業者がそのような変形を適切に用いることを期待しており、本発明者らは、本発明が本明細書に具体的に記載されている以外の方法で実施されることを意図している。したがって、本発明は、適用法によって許容される場合、添付の特許請求の範囲に列挙された主題のすべての改変物及び均等物を含む。さらに、本明細書に別段の指示がない限り、又は文脈と明らかに矛盾しない限り、そのすべての可能な変形における上述の要素の任意の組合せが本発明に包含される。
【0060】
本明細書全体を通して、特許及び印刷された刊行物がいくつか参照されている。引用された参考文献及び印刷された刊行物の各々は、その全体が参照により本明細書に個別に組み込まれる。
【0061】
さらに、本明細書に開示された本発明の実施形態は、本発明の原理の例示であることを理解されたい。用いられ得る他の改変は、本発明の範囲内である。したがって、限定ではなく例として、本明細書の教示に従って本発明の代替構成を利用することができる。したがって、本発明は、正確に図示及び説明されたものに限定されない。
【国際調査報告】