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特表2023-511075脊椎除圧手技において使用する圧力作動式外科用器具及び該圧力作動式外科用器具を使用する方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-16
(54)【発明の名称】脊椎除圧手技において使用する圧力作動式外科用器具及び該圧力作動式外科用器具を使用する方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/16 20060101AFI20230309BHJP
   A61B 34/30 20160101ALI20230309BHJP
   A61B 34/20 20160101ALN20230309BHJP
【FI】
A61B17/16
A61B34/30
A61B34/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022543436
(86)(22)【出願日】2021-01-15
(85)【翻訳文提出日】2022-09-08
(86)【国際出願番号】 US2021013550
(87)【国際公開番号】W WO2021146503
(87)【国際公開日】2021-07-22
(31)【優先権主張番号】62/961,811
(32)【優先日】2020-01-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522283125
【氏名又は名称】スパイナル イノベーションズ、エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ティンダル、ドワイト エス.
(72)【発明者】
【氏名】シャピュイ、ケヴィン
(72)【発明者】
【氏名】ウヴァノヴィチ、ニコラス
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160LL09
4C160LL24
(57)【要約】
狭窄症を軽減するために椎骨から骨を切除するシステムにおいて使用する外科用器具が提供される。一実施例では、外科用器具は、近位端及び遠位端を有するドリル・ビットと、近位ロッド部及び遠位管状部を有するドライブ・シャフトであって、ドリル・ビット及び該ドライブ・シャフトが、時計回り方向に水平軸の周りに回転するように構成されている、ドライブ・シャフトと、ドリル・ビットとドライブ・シャフトとの間に配置された係合システムであって、該係合システムは、ドリル・ビットが第1の所定の抵抗で第1の物質と接触すると、電動回転のためにドリル・ビットをドライブ・シャフトと選択的に係合させるように構成されるとともに、ドリル・ビットが第2の所定の抵抗で第2の物質と係合すると、ドリル・ビットをドライブ・シャフトから解放するように構成され、第1の所定の抵抗は、第2の所定の抵抗よりも大きい、係合システムと、を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
狭窄症を軽減するために椎骨から骨を切除するシステムにおいて使用する外科用器具であって、
近位端及び遠位端を有するドリル・ビットと、
近位ロッド部及び遠位管状部を有するドライブ・シャフトであって、前記ドリル・ビット及び該ドライブ・シャフトが、時計回り方向に水平軸の周りに回転するように構成されている、ドライブ・シャフトと、
前記ドリル・ビットと前記ドライブ・シャフトとの間に配置された係合システムであって、該係合システムは、前記ドリル・ビットが第1の所定の抵抗で第1の物質と接触すると、電動回転のために前記ドリル・ビットを前記ドライブ・シャフトと選択的に係合させるように構成されるとともに、前記ドリル・ビットが第2の所定の抵抗で第2の物質と係合すると、前記ドリル・ビットを前記ドライブ・シャフトから解放するように構成され、前記第1の所定の抵抗は、前記第2の所定の抵抗よりも大きい、係合システムと、
を備える、外科用器具。
【請求項2】
前記係合システムは、外側ハウジングと、内側ハウジングと、基部と、第1の圧力検知装置と、を備え、前記第1の圧力検知装置は、前記内側ハウジング内に配置され、前記外科用器具の前記水平軸に沿って前記ドライブ・シャフトの前記遠位管状部と前記ドリル・ビットの前記近位端との間に位置決めされる、請求項1に記載の外科用器具。
【請求項3】
前記圧力検知装置は、圧縮ばねである、請求項2に記載の外科用器具。
【請求項4】
前記圧力検知装置は、電子的に作動される、請求項2に記載の外科用器具。
【請求項5】
前記圧力検知装置は、圧力ゲージ又は圧力検知トランスデューサである、請求項4に記載の外科用器具。
【請求項6】
前記ドライブ・シャフトの前記遠位管状部は、輪郭形成部を含み、前記内側ハウジングは、輪郭窓をさらに含み、前記基部は、前記内側ハウジングにおける前記輪郭窓に挿通されるピンを含む、請求項3に記載の外科用器具。
【請求項7】
前記ピンは、前記輪郭窓内を水平方向に移動するように構成され、前記ドリル・ビットが前記第1の所定の抵抗に晒されると、前記輪郭形成部内に嵌るように構成され、前記ドリル・ビットが前記第2の所定の抵抗に晒されると、前記輪郭窓内の遠位に移動して前記輪郭形成部から解放するように構成さている、請求項6に記載の外科用器具。
【請求項8】
ロボット・アームによって自動的に制御されるように構成されている、請求項1に記載の外科用器具。
【請求項9】
手動操作されるように構成されている、請求項1に記載の外科用器具。
【請求項10】
前記ドリル・ビット及び前記ドライブ・シャフトは、反時計回り方向に前記水平軸の周りに回転するようにさらに構成されている、請求項3に記載の外科用器具。
【請求項11】
前記係合システムは、第2の圧縮ばねと、前記反時計回り方向への前記ドリル・ビットの回転を促すように構成された係合六角部とをさらに備える、請求項10に記載の外科用器具。
【請求項12】
ロボット誘導脊椎除圧システムであって、
狭窄症を軽減するために椎骨から骨を切除するシステムにおいて使用する外科用器具であって、
近位端及び遠位端を有するドリル・ビットと、
近位ロッド部及び遠位管状部を有するドライブ・シャフトであって、前記ドリル・ビット及び該ドライブ・シャフトが、時計回り方向に水平軸の周りに回転するように構成されている、ドライブ・シャフトと、
前記ドリル・ビットと前記ドライブ・シャフトとの間に配置された係合システムであって、該係合システムは、前記ドリル・ビットが第1の所定の抵抗で第1の物質と接触すると、電動回転のために前記ドリル・ビットを前記ドライブ・シャフトと選択的に係合させるように構成されるとともに、前記ドリル・ビットが第2の所定の抵抗で第2の物質と係合すると、前記ドリル・ビットを前記ドライブ・シャフトから解放するように構成され、前記第1の所定の抵抗は、前記第2の所定の抵抗よりも大きい、係合システムと、
を備える、外科用器具と、
ロボット・アームであって、前記外科用器具が、該ロボット・アームによって制御されるように構成され、該ロボット・アームが、該ロボット・アームの動作によって所定のパターンでの前記外科用器具の動きを促す動きの範囲を有する、ロボット・アームと、
を備える、ロボット誘導脊椎除圧システム。
【請求項13】
前記係合システムは、外側ハウジングと、内側ハウジングと、基部と、第1の圧縮ばねと、を備え、前記第1の圧縮ばねは、前記内側ハウジング内に配置され、前記外科用器具の前記水平軸に沿って前記ドライブ・シャフトの前記遠位管状部と前記ドリル・ビットの前記近位端との間に位置決めされる、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記ドライブ・シャフトの前記遠位管状部は、輪郭形成部を含み、前記内側ハウジングは、輪郭窓をさらに含み、前記基部は、前記内側ハウジングにおける前記輪郭窓に挿通されるピンを含む、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記ピンは、前記輪郭窓内を水平方向に移動するように構成され、前記ドリル・ビットが前記第1の所定の抵抗に晒されると、前記輪郭形成部内に嵌るように構成され、前記ドリル・ビットが前記第2の所定の抵抗に晒されると、前記輪郭窓内の遠位に移動して前記輪郭形成部から解放するように構成さている、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記ドリル・ビット及び前記ドライブ・シャフトは、反時計回り方向に前記水平軸の周りに回転するようにさらに構成される、請求項12に記載のシステム。
【請求項17】
前記係合システムは、第2の圧縮ばねと、前記反時計回り方向への前記ドリル・ビットの回転を促すように構成された係合六角部とをさらに備える、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記所定のパターンは、術前コンピュータ・スキャン及び計画から得られる、請求項12に記載のシステム。
【請求項19】
術野の画像の取得を促すために前記ロボット・アームに動作可能に関連付けられた画像取得装置をさらに備える、請求項12に記載のシステム。
【請求項20】
前記ロボット・アームの動き及び前記外科用器具の動作を制御するように動作可能なコンピュータをさらに備える、請求項12に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、参照により本明細書に組み込まれている、「Robot-Guided Spinal Decompression」という名称の、2020年1月16日に出願された米国仮出願第62/961,811号の優先権を主張するものである。
【0002】
本開示は、一般に、脊椎手術に関する。より詳細に述べると、ロボット誘導下で行われる椎弓切開又は椎弓切除法による脊柱管狭窄症の除圧のためのシステム及び方法が、本明細書に開示される。
【背景技術】
【0003】
ヒト脊椎は、互いに積み重ねられた33個の個別の椎骨を有する複雑な構造体である。脊柱は、脊髄を損傷から保護しつつ、しなやかな多方向の動きを可能にする、人体の胴のための主要な支持をもたらす。図2図5に示されるように、ヒト脊椎100は、複数の椎骨102を有して図示され、椎骨はそれぞれ、前方椎体104及び後方椎弓106を有し、これら前方椎体及び後方椎弓は協働して、脊髄110が通る椎孔108を囲んでいる。椎弓106は、一対の椎弓板112と、それらの間に棘突起114とを含む。椎骨102は、椎間関節116によって連結されている。脊髄神経118が椎間孔120を通って脊髄110から出ている。前縦靭帯(図示せず)及び後縦靭帯122が脊柱の長さを延びており、硬膜124が脊髄110を包んでいる。
【0004】
脊椎100内における孔108又は120のうちの1つ又は複数の狭窄は一般に、脊柱管狭窄症と呼ばれる。孔108又は120のその狭窄により、神経118の快適且つ有効な通路に利用可能なスペースが減る。脊柱管狭窄症は、椎孔(まとめて、脊柱管)108内、又は、脊髄神経118が脊柱管108から出る椎間孔120内に発生する可能性がある。
【0005】
狭窄の位置及び重度に応じて、脊髄神経118又は脊髄110の圧迫により、重度が及び得るとともに痛み、刺痛、痺れ、及び虚弱を含み得る症状がもたらされる可能性がある。脊柱管狭窄症から生じる痛みは激しい可能性があるとともにヒトの腕若しくは脚の1つ若しくは複数に拡散する可能性があるか、又は、鈍いとともに首若しくは腰に局在化する可能性がある。痺れが起こる場合、感度減少から、腕、脚、又は身体の他の部分における全体的な痺れまで様々であり得る。脊柱管狭窄症はまた、強度低下、協調運動失調、及びさらにいっそう有害な影響を引き起こし得る。
【0006】
脊柱管狭窄症の特定の例では、理学療法、鎮痛剤、行動修正、又は硬膜外注射による等、非外科的に治療されることができる。非外科的治療が脊柱管狭窄症の影響を軽減するのに不十分である場合、外科的介入が必要となる場合がある。
【0007】
知られている一治療方法によれば、脊椎除圧法が行われた後、隣り合う椎骨102をスクリュ及びロッドによってともに融合させて脊椎を安定化させる侵襲性融合手技が行われる。そのような融合手技は、手術危険度の増加をもたらし、意図しない長期的な悪影響というリスクを伴うことが知られている。
【0008】
代替的な治療は、図6A図6B、及び図6Cに示されるように、椎弓板112の少なくとも一部、及び/又は、椎骨102をつなぐ、該椎骨の後部における骨突出部である棘突起114の少なくとも一部が切除される、椎弓切開手技である。椎弓106の一部のこの切除は、脊柱管狭窄症によって挟まれた又は炎症を引き起こされた脊髄110及び神経根118を除圧することを意図される。椎弓切開術は、首尾よく行われると、より侵襲性の融合手技の必要性を排除する。しかしながら、椎弓切開は、技術的に難関であり得る。残りの椎弓板112、棘突起114、椎間関節116、又は安定靭帯122を妥協することなく、脊椎100を除圧するのに十分な椎弓板112又は棘突起114の骨のみを切除するために極度の精度を必要とする。
【0009】
図7A及び図7Bに示されるように、別の利用可能な外科治療は、椎弓板112及び棘突起114の全体が切除される椎弓切除である。椎弓切除は、脊椎100の後方安定化部分が切除されるため、不安定化というさらなるリスクをもたらす。椎弓板骨112が脊髄110の真上にあるため、椎弓板骨に行われる手技は、本質的に切除を伴う不正確な場合が多い手技であることが理解される。脊髄110への損傷は、患者に対して極度に迅速で長期的な影響をもたらす可能性がある。
【0010】
周囲神経118を損傷させることなく、又は、椎間関節116又は棘間靭帯122のような安定解剖学的構造を過度に妥協することなく、所要の深さを首尾良く切削することは通常、外科医の技能及び正確性による。医師の技能又は正確性の欠如は、壊滅的な影響又は無益な手技をもたらしかねない。
【0011】
他の外科技術では、融合手技における骨スクリュのための正確な下穴を穿孔すること等、ロボット制御を使用することが知られている。かかるロボット・システムの使用は、手術の正確性及び有効性の向上をもたらそうとするものである。しかしながら、ロボット誘導の適用は分野が限定されている。
【0012】
椎弓切開及び椎弓切除手技でのロボット制御の使用に対する主な支障は、靭帯、関節、及び神経のより柔らかい組織に穿孔することに比して、骨の穿孔と切除との人為的な区別の重大な必要性である。必要とされる物質切除の位置に関する判定及び正確な措置がロボット制御の対処にも必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
椎弓切開及び椎弓切除手技を行う際の自動又は半自動操作可能なロボット手術の解決策は、当該技術分野において実質的な進歩を表すことが理解されている。かかるロボット誘導手技は、骨と組織との有効な区別を含む、機械的且つ操作的特性における随伴的な進歩を必要としていることがさらに理解されている。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】脊椎除圧システムにおいて使用する外科用器具の斜視図である。
図2】ヒト脊椎の一部の背面図である。
図3】ヒト脊椎の椎骨の横断面図である。
図4】2つの椎骨104及び104’を含む、ヒト脊椎の一部の側面図である。
図5】2つの椎骨104及び104’を含む、ヒト脊椎の一部の斜視図である。
図6A】椎弓切開手技前のヒト脊椎の一部の上断面図である。
図6B】椎弓切開手技後のヒト脊椎の一部の上断面図である。
図6C】椎弓切開手技後のヒト脊椎の一部の背面図である。
図7A】椎弓切除手技前のヒト脊椎の一部の上断面図である。
図7B】椎弓切除手技後のヒト脊椎の一部の上断面図である。
図8A】本明細書に開示されるような椎弓切除のための穿孔パターンを有するヒト脊椎の一部の斜視図である。
図8B】本明細書に開示されるような椎弓切開のための穿孔パターンを有するヒト脊椎の一部の斜視図である。
図9】本明細書に開示されるような、椎弓板の部分切除後の、ヒト脊椎の一部の前面図である。
図10】本明細書に開示されるような、椎弓板の部分切除後の、ヒト脊椎の一部の前面図である。
図11】本明細書に開示されるような、椎弓板の部分切除のための、穿孔パターンを示すヒト脊椎の一部の前面図である。
図12】脊椎除圧手技において使用するロボット支援システムの概略図である。
図13】圧力作動式外科用器具の側面分解図である。
図14】本明細書に開示されるような、圧力作動式外科用器具の部分断面側面図である。
図15図14の圧力作動式外科用器具の拡大部分断面側面図である。
図16】圧力作動式外科用器具の分解側面図である。
図17】圧力作動式外科用器具の拡大分解側面図である。
図18】圧力作動式外科用器具の係合部の部分断面側面図である。
図19】圧力作動式外科用器具の別の実施例の拡大側面図である。
図20】圧力作動式外科用器具の別の実施例の上面図である。
図21図21の圧力作動式外科用器具の分解切欠き上面図である。
図22A】圧力作動式外科用器具の別の実施例の斜視図である。
図22B図22Aの実施例の詳細図である。
図23】第1の物質を穿孔している圧力作動式外科用器具の概略側面図である。
図24】第1の物質を穿孔して第2の物質に達した後の圧力作動式外科用器具の概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
脊椎除圧手技において使用するシステム及び方法が本明細書に開示され、多様な実施例に供される。しかしながら、当業者が本発明を理解し、適切な場合は本発明を実践することができることを確実にするために、本明細書に示される、より広い発明の特定の実施例を、以下に説明するとともに添付の図面によって明らかにする。図示及び説明される実施例は、限定的であることを意図しない。
【0016】
ここで図1を参照すると、脊椎除圧手技において使用する外科用器具12が提示されている。この器具は、組織等のより柔らかい物質の周りで骨が切除される任意の手技に使用されることができることが理解されるべきである。例えば、外科用器具12は、椎体間固定術を実施するために、椎間関節突起切除を行うのにも使用されることができる。具体的には、器具12は、ロボット・ナビゲーション・システムと組み合わせられて、椎間板腔へのアクセスを行うために椎間関節における骨を切除することができる。外科用器具12を使用することによって、椎間関節突起切除は、カニューレを介して経皮的に行われ、そのため、椎間関節へのより直接的な曝露を可能にすることができる。
【0017】
一実施例では、外科用器具12は手動操作されてもよい。別の実施例では、外科用器具12は、図12に示されるように、ロボット・アーム14及びコンピュータ・システム16と組み合わさった脊椎除圧システム10の一部として操作されてもよい。
【0018】
例示のため、外科用器具12は脊椎除圧システム10の一部として説明され、この脊椎除圧システムは、方法論及び体系的操作における機械的、電気機械的、及び全体的な向上を取り入れたロボット誘導下で、椎弓切除、椎弓切開、及び考えら得る他の外科手技を行うことを可能にするように構成されることができる。一実施例では、ロボット誘導脊椎除圧システム10により脊椎除圧が自動で効率的且つ正確に行われることが可能となり、脊椎除圧手技の過程における操作者の技能及び器用さへの依存が減る。
【0019】
図7A及び図7Bに示されるように、腰椎椎弓切除時、狭窄症の原因を軽減するために椎弓板112の略すべてが切除される。しかしながら、そのような広範にわたる物質切除は実際の必要性を超え、それにより、過度の脊椎不安定性をもたらし、また、椎骨102、脊髄110、及び脊椎100の他の側面への過度の損傷というリスクをもたらす。
【0020】
しかしながら、本明細書に開示されるように、椎弓切除手技において圧力作動式器具を使用することにより、脊柱管狭窄症を実際に引き起こす骨部分のみを切除することに使用者が焦点を絞ることが可能となる。例えば、図11に示されるように、対象の椎弓切除部分126は、椎骨102のうち圧迫狭窄に関与していると判断された部分のみが切除されることを意図されるように特定される。そのような焦点を絞った切除の結果、より多くの骨が無傷のままとなり、結果として、脊椎100の構造がより安定し、周囲組織に損傷を与える可能性が減る。
【0021】
椎骨102の狭窄部分の焦点を絞った切除の考えられ得る結果が図9及び図10に示されている。図9の非限定的な例では、対象の椎弓切除部分126は概して、切除された骨物質の円形領域として示されている。図10において、対象の椎弓切除部分126はさらにいっそう焦点を絞られており、椎弓板112のうち、コンピュータ断層撮影(CT:computerized tomography)スキャン又は他の方法による術前計画によって等、狭窄圧迫に関与していると判断された部分のみを含む。
【0022】
焦点を絞った椎弓切除は、その形状及び局在化に基づいて、ポットホール椎弓切除(pothole laminectomy)と呼ばれることができる。ポットホール椎弓切除の場合、椎弓板112全部が切除されるわけではない。そうではなく、椎骨102の残りの部分を温存しつつ、椎弓板112(場合によっては棘突起114)のうち狭窄症を引き起こすと確認された部分のみが切除される、より正確な手技が試みられる。
【0023】
例えば図13図18をさらに参照すると、圧力作動式外科用器具12は、切削器具として用いられて、対象の椎弓切除126の狭窄骨と確認されたものを切除することができる。外科用器具12は、予め定められることができる、(図11に示されるような)穿孔パターン128で動作することができる。穿孔パターン128は手動で辿ることができるが、本発明の実施例は、ロボット制御下での穿孔パターン128の自動移動を想定している。
【0024】
例えば図12に示されるように、外科用器具12は、ロボット・アーム14の遠位端に保持されることができる。したがって、外科用器具12は、ロボット・アーム14によってロボット操作されることができる。ロボット・アーム14は、該ロボット・アーム14の動きの範囲内で外科用器具12の位置及び向きの調整を可能にする多自由度を有することができる。図示の実施例では、ロボット・アーム14は、縦軸を中心に旋回可能な近位部分18と、近位部分18に対して伸縮可能な第1の中間部分20と、第1の中間部分20に対して横軸を中心に旋回可能な第2の中間部分22と、第2の中間部分22に対して長手方向軸を中心に旋回可能な遠位部分24と、を有する。この構成下で、外科用器具12の位置及び向きは、ロボット・アーム14の動きの範囲内で実質的に無限に調整されることができる。
【0025】
ロボット・アーム14及び外科用器具12の作動及び動きは、部分的又は完全に自動化されることができる。ロボット・アーム14及び外科用器具12の制御は、特定の実施において、場合によっては、カメラ等の画像取得装置26により得られた画像情報と事前の分析により得られた画像情報とに基づいて、1つ又は複数のコンピュータ16から受け取ったコマンドによって行われることができる。コンピュータ16は、ロボット・アーム14及び外科用器具12の近くにあるものとすることができるか、又は遠隔に位置付けられることができる。画像取得装置26が用いられる場合、該画像取得装置は、図12に示されるようにロボット・アーム14によって保持されることができるか、又はロボット・アーム14と外科用器具12と動作領域との相対位置及び動作を知覚するように他のやり方で配置されることができる。
【0026】
外科用器具12は、図12におけるように外科用器具12の近くに又は遠隔に保持されることができる回転電源システム28によって選択的に給電されることができる。自動操作、手動制御、又はそれらの何らかの組み合わせにより、外科用器具12は、繰り返しの隣接穿孔によるか、側方運動によるか、又は何らかの他の運動若しくはそれらの組み合わせによるかにかかわらず、穿孔パターン128に沿って骨物質を切除せしめられることができる。したがって、外科用器具12は、コンピュータ制御下で操作されて、穿孔パターン128の所定の経路を移動し、この非限定的な例ではポットホール椎弓切除である所望の手術結果を達成することができる。
【0027】
上記で言及したように、穿孔パターン128の手術経路は術前計画によって決定されることができることが想定される。例えば、患者は、椎骨102と該椎骨102のうち狭窄症を引き起こす特定部分とを判断するためにコンピュータ断層撮影(CT)スキャン等の1つ又は複数のコンピュータ・スキャンを受けることができる。スキャンから得られたコンピュータ・データに基づき、外科医は、椎弓切除を計画することができ、椎弓切除を確立するのに必要とされる穿孔パターン128が、コンピュータ16によって自動的に、手動によって、又は、これら2つの何らかの組み合わせ若しくは他の方式によって確立されることができる。次いで、電子メモリに記憶された得られた手術計画は、本明細書に示されるとともに説明されるコンピュータ制御ロボット・システムに電子伝送されることができる。術前に、患者における所定の基準点を確立するとともに確認することができる。次いで、ロボット・アーム14及び外科用器具12を作動させるとともにコンピュータ16によって制御して、手術計画に従って、計画された椎弓切開又は椎弓切除を行うことができる。
【0028】
引き続き図12を参照すると、外科用器具12の図示の実施例は係合システム30を含む。一実施例では、係合システム30は、圧力作動式係合システム30とすることができる。係合システム30は、ドリル・ビット32が、骨等の、第1の所定の抵抗を有する第1の物質34と係合すると、電動回転のためにドリル・ビット32(又は骨切除若しくは切削に用いられる他の適した器具)と係合するように動作可能であり、また、ビット34が第2の所定の抵抗で第2の物質36と係合すると、ドリル・ビット32を回転電源から解放するように動作可能である。係合システム30は、長手方向、軸方向、側方向、回転方向、又は何らかの他の方向若しくはそれら方向の組み合わせの抵抗に基づいて、電動回転に対してドリル・ビット32を係合及び解放するように動作可能であることができる。本明細書に開示される係合システム30の非限定的な実施例は、軸方向又は長手方向の抵抗に基づいてドリル・ビット32を係合及び解放するように動作可能であるが、その一方、側方向、長手方向、軸方向、及び/又は回転方向の抵抗がドリル・ビット32の係合及び解放をもたらす係合システム30が、本発明の範囲内で想定される。
【0029】
開示される構成下で、ドリル・ビット32が、例えば、椎骨102の椎弓板112の骨(すなわち、第1の所定の抵抗を有する第1の物質34)と係合すると、ドリル・ビット32は回転されることができる。しかしながら、ドリル・ビット32が骨を通って下層組織(すなわち、第2の所定の抵抗にある第2の物質36)に達すると、ビット34への回転力は自動的に断ち切られ、それにより、椎孔108内及び他の場所における比較的柔らかい組織及び神経要素(第2の物質36)に損傷を与えないようにする。第1及び第2の所定の抵抗は、使用目的と患者の骨密度等の物理的属性とに基づいて調整されることができることが理解されるべきである。
【0030】
したがって、ロボット制御と係合システム30という組み合わせでの、場合によっては、1つ又は複数の画像取得装置26によってもたらされる画像誘導とのさらなる組み合わせでの作業により、下層及び隣接の軟組織及び神経要素に損傷を与えるリスクを最小限に抑えつつ、狭窄症を引き起こす骨の切除が可能となる。外科用器具12は、所定のプログラムされた軌道に沿って、隣接孔を穿孔するか又は所定の穿孔パターン128に沿って骨に対して側方に移動するように操作されて、所定の椎弓切開又は椎弓切除をもたらすことができる。従来の椎弓切開及び椎弓切除手技に比して向上した精度、一貫性、均一性、及びより高い成功率を達成することができる。したがって、係合システム30を用いて、ロボット誘導脊椎除圧システム10は、骨に直面すると、係合及び切削することができ、神経層を含む、骨の下にあり骨に隣接した組織に貫入する前に、解放及び切削停止することができる。精度及び一貫性が向上し、手術ミスのリスクが最小限に抑えられる。
【0031】
一実施例では、係合システム30は、機械的、電気機械的、電子的、又はいくつかの他の操作可能な係合機構若しくはそれらの組み合わせとすることができる。例及び非限定として、係合システム30は、クラッチ機構、機械的、電気機械的、又は電子圧力センサ、骨若しくは組織若しくは物質検出システムとして、或いは、組織又は神経物質に直面するとドリル・ビット32の回転を停止又は防止するが骨に直面するとドリル・ビット32の回転を許可するように動作可能な任意の他の具現で具体化されることができる。
【0032】
ロボット誘導脊椎除圧システム10の動作の間、外科用器具12は、係合システム30の動作による該外科用器具12の解放時に、後退及び次の穿孔位置との位置合わせ、又は収納若しくは非使用位置への引っ込みによる等、自動的に位置決め変更されることができる。自動的な位置決め変更は例えば、コンピューティング・システム16の制御下でロボット・アーム14と組み合わさった係合システム30によって誘導されることができる。
【0033】
本発明による圧力係合システム30を含む外科用器具12の構造及び動作は、図13図18を参照するとよりよく理解されることができる。図13を参照すると、一実施例では、外科用器具12は、係合システム30と、近位端及び遠位端を有するドリル・ビット32と、ドライブ・シャフト38と、を含む。ドライブ・シャフト38は、近位ロッド部40と、輪郭形成部44で終端する遠位管状部42と、を有する。
【0034】
ドライブ・シャフト38の近位ロッド部40は、例えばロボット穿孔プラットフォームの回転電源システム28の接続部と係合するように構成されている。一実施例では、第1の圧縮ばね46が、ドライブ・シャフト38の遠位管状部42に嵌合収容される。圧縮ばね46のばね定格は、ドリル・ビット32が係合されるのに必要とされる抵抗(第1の所定の抵抗)の量を主として制御し、同様に、ドリル・ビット32が解放される抵抗(第2の所定の抵抗)のレベルを主として制御する。一実施例では、圧縮ばね46は、標準コイル設計であってもよい。別の実施例では、図13A及び図19に示されるように、ばね46はウェーブ・スプリングであってもよい。
【0035】
さらに別の実施例では、圧縮ばね46の代わりに、電子圧力センサ又は強度ゲージを用いてもよく、電子圧力センサ又は強度ゲージは、ドリル・ビット32を係合及び解放するのに必要とされる抵抗(又は圧力)の量を制御するのに同様に使用される。適した電子センサの一例は、電位差圧力センサ、誘導性圧力センサ、容量型圧力センサ、圧電式圧力センサ、歪ゲージ圧力センサ、及び可変リラクタンス・センサ等の圧力トランスデューサとすることができる。
【0036】
次いでドライブ・シャフト38の遠位管状部42が、内側ハウジング48に嵌合収容される。外側ハウジング50が内側ハウジング48の近位部分を外被する。内側ハウジング48及び外側ハウジング50、第1の圧縮ばね46、並びにドライブ・シャフト38の遠位管状部42は、内側ハウジング48の外面におけるリッジ52と、外側ハウジング50の遠位端におけるレッジ54と、外側ハウジング50に近位に配置されたキャップ部56との組み合わさった作用によって、例えば図14及び図15の組み立てられた構成に圧縮下で保持される。内側ハウジング48、外側ハウジング50、ドライブ・シャフト38、及びドリル・ビット32は、同心円状に配置される。
【0037】
内側ハウジング48の円筒壁に輪郭窓58が貫設されており、ドリル・ビット32の基部62からピン60が側方に突出して輪郭窓58に嵌通される。窓58は、ピン60が有するよりも大きい構成部を外科用器具12の長手方向軸に沿って有し、ドリル・ビット32の基部62は、内側ハウジング48と摺動可能に係合される。
【0038】
図16図18の参照によって分かるように、ドリル・ビット32に十分な軸方向圧縮力が加えられると、ドリル・ビット32の基部62は、第1の圧縮ばね46を圧縮し、長手方向に内側ハウジング48内のより奥に移動することになる。基部62が内側ハウジング48内に移動するにつれ、ピン60は長手方向に輪郭窓58内の近位に移動する。基部62が十分に移動すると、ドライブ・シャフト38の遠位端における輪郭形成部44がピン60と係合する。ドライブ・シャフト38が回転すると、該ドライブ・シャフトは次いでドリル・ビット32を回転させて、穿孔を可能にする。
【0039】
しかしながら、ドリル・ビット32に加えられる軸方向力が第1のばね46の拡張力未満に低減されると、ドリル・ビット32の基部62は内側ハウジング48内の遠位に解放され、ピン60は長手方向に輪郭窓58内の遠位に移動する。基部62が移動してドライブ・シャフト38から十分に離れると、ドライブ・シャフト38の遠位管状部42における輪郭形成部44はピン60を解放し、ドリル・ビット32への回転力は自動的に断ち切られる。
【0040】
この構成下で、ドリル・ビット32は5,000~80,000RPMの速度で回転することができる。一実施例では、第1の圧縮ばね46と係合するのに必要とされる力は、約0.45重量キログラム(kgf)(約1重量ポンド(1df))~約9kgf(約20lbf)である。図23及び図24に示されるように、ドリル・ビット32が椎弓板の骨(すなわち第1の物質34)に直面する場合のような、ドリル・ビット32が十分な抵抗(すなわち、第1の所定の抵抗)に直面すると、第1の圧縮ばね46を圧縮するとともにドリル・ビット32をドライブ・シャフト38と係合させるのに十分な軸方向力Aが加えられることができる。ドライブ・シャフト38の回転により次いでドリル・ビット32の回転が引き起こされて、骨106の切削が可能となる。
【0041】
しかしながら、第1の物質34が穿孔され、より柔らかい組織又は神経物質(すなわち、第2の物質36)に直面すると、低減した長手方向抵抗A(すなわち第2の所定の抵抗)が、第1の圧縮ばね46の拡張力に圧倒され、それにより、ドリル・ビット32がドライブ・シャフト38から解放され、そのため、ドライブ・シャフト38が回転し続けてもドリル・ビット32によるさらなる回転切削は引き起こされない。
【0042】
そのように開示されるロボット誘導脊椎除圧システム10は、向上した精度を有するとともに、脊髄110への、及び、椎骨102の下層にあるとともに椎骨に隣接した他の組織への損傷リスクを最小限に抑えつつ、ロボット誘導下で椎弓切開及び椎弓切除を行うのに用いられることができる。コンピュータ16の誘導下で、ロボット・アーム14及び外科用器具12は、狭窄症に関与しない、骨性部分、椎間関節116、靭帯122、及び他の身体構成要素を温存しつつ、脊柱管狭窄症に関与する骨のみを切除するために、所定のロボット穿孔パターン128に沿って、椎弓板112及び他の骨性部分中での穿孔動作を行うことができる。これにより、脊椎100の構造の強度及び安定性への影響を最小限に抑えることができるとともに、椎弓切開及び椎弓切除の有効性及び精度を向上させることができる。
【0043】
別の実施例では、図19図20、及び図21に示されるとともに説明されるように、外科用器具12は、ドライブ・シャフト38の遠位管状部42の周りに配置される係合端80を有するドライブ・シャフト延長部72をさらに含む。係合端80は、内側ハウジング内の対応形状のポケット78と嵌合するように構成されている。したがって、第1の物質によって加えられた力によってばね46が圧縮すると、係合端80は、対応するポケット78へ長手方向に移動するとともに該ポケット内に嵌まって、ドリル・ビット32と係合する。
【0044】
さらに、内側ハウジング48の近位端は、外側ハウジング50の遠位端におけるねじ部76に取着するように構成されているねじ部74を含むことができる。これにより、使用者が、ドリル・ビット32と係合するのに必要とされる抵抗をカスタマイズするためにばね46を変更することが可能となる。この実施例では、ピン60は、外側ハウジング50の遠位端における開口を通って延び、内側ハウジングのねじ部74内の開口82内に嵌る。
【0045】
機械的係合システム30が多くの場合に本明細書に示されるとともに説明されるが、他の係合システム及び係合システムと機構との組み合わせが可能であり、本発明の範囲内にあることが理解されるであろう。例として、ドリル・ビット32が受ける抵抗力を検知するために、外科用器具12と動作可能に関連付けられた長手方向力センサを有することが可能である。係合システム30は、所定の抵抗を超える抵抗に直面するとドリル・ビット32の回転を許可するように動作可能であるとともに、所定の抵抗未満の抵抗に直面するとドリル・ビット32の回転を阻止するように動作可能であることができる。
【0046】
別の実施例では、図22A及び図22Bに示されるように、外科用器具12は、ドリル・ビット32及びドライブ・シャフト38を含むことができ、これらは時計回り方向及び反時計回り方向の双方に水平軸の周りに回転するように構成されている。この実施例では、係合システム30は、第2の圧縮ばね64と、反時計回り方向へのドリル・ビット32の回転を促す六角係合システムとをさらに含む。この実施例は六角幾何学的形状を用いているが、星形、ヘクサローブ、正方形等のような他の形状、又は摩擦面を用いることができることが理解されるべきである。
【0047】
使用者が骨等の第1の物質34を切開する場合、つくられる穴とドリル・ビット32のシャフトとの摩擦は、手動により又は機械的に加えられる静的逆方向力だけで克服することは困難である可能性がある。ドリル・ビットを反対方向に回転させることにより摩擦を低減させることで、ドリル・ビット32を穿孔穴から外すことがより容易となる。この実施例では、第1の圧縮ばね46を圧縮するのに必要とされる引張は、前方圧力により克服され、雄型係合六角部66が、システムの遠位端側に配置された雌型係合ポケット68へ移動し、それにより、ドリル・ビットと時計回り方向に係合する。しかしながら、第2の圧縮ばね64を圧縮するのに必要とされる引張は後方圧力により果たされ、雄型係合六角部66は、ドリル・ビット32が反時計回り方向に回転することを可能にするために外側ハウジングの近位端側に配置された雌型係合ポケット70と係合する。
【0048】
開示されるロボット誘導脊椎除圧のためのシステム及び方法についての、本発明の特定の詳細及び実施例により、それらに対して多くの変更及び追加を本発明の趣旨又は範囲から逸脱することなくなし得ることが当業者によって理解されるであろう。このことは、目下好ましい実施例が、本明細書において明らかにされる広範な発明を単に例示しているにすぎないことを留意する場合、特に当てはまる。したがって、本発明の主要な特徴を留意しておくことで、それら主要な特徴を組み込んだ実施例を作り上げることができ、その一方、好ましい実施例に含まれた特徴のすべては組み込んでいないことが明白となるであろう。
【0049】
したがって、本発明を保護するために最終的に用いられる特許請求の範囲は、特許権者に与えられる保護の範囲を定義するものとする。それら特許請求の範囲は、本発明の趣旨及び範囲から逸脱しない限り、同等の構造を含むものとする。複数の特定の請求項は、或る要素を特定の機能を実施するための手段として、時に構造又は材料を詳説することなく表し得るか又は表すものと解釈され得る。法の要件として、任意のそのような請求項は、本明細書で明示的に説明した、対応する構造及び材料だけではなく、法律的に認識できる、それらの均等物すべても網羅するように解釈されるものとする。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図8A
図8B
図9
図10
図11
図12
図13
図13A
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22A
図22B
図23
図24
【手続補正書】
【提出日】2022-09-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、参照により本明細書に組み込まれている、「Robot-Guided Spinal Decompression」という名称の、2020年1月16日に出願された米国仮出願第62/961,811号の優先権を主張するものである。
【0002】
本開示は、一般に、脊椎手術に関する。より詳細に述べると、ロボット誘導下で行われる椎弓切開又は椎弓切除法による脊柱管狭窄症の除圧のためのシステム及び方法が、本明細書に開示される。
【背景技術】
【0003】
ヒト脊椎は、互いに積み重ねられた33個の個別の椎骨を有する複雑な構造体である。脊柱は、脊髄を損傷から保護しつつ、しなやかな多方向の動きを可能にする、人体の胴のための主要な支持をもたらす。図2図5に示されるように、ヒト脊椎100は、複数の椎骨102を有して図示され、椎骨はそれぞれ、前方椎体104及び後方椎弓106を有し、これら前方椎体及び後方椎弓は協働して、脊髄110が通る椎孔108を囲んでいる。椎弓106は、一対の椎弓板112と、それらの間に棘突起114とを含む。椎骨102は、椎間関節116によって連結されている。脊髄神経118が椎間孔120を通って脊髄110から出ている。前縦靭帯(図示せず)及び後縦靭帯122が脊柱の長さを延びており、硬膜124が脊髄110を包んでいる。
【0004】
脊椎100内における孔108又は120のうちの1つ又は複数の狭窄は一般に、脊柱管狭窄症と呼ばれる。孔108又は120のその狭窄により、神経118の快適且つ有効な通路に利用可能なスペースが減る。脊柱管狭窄症は、椎孔(まとめて、脊柱管)108内、又は、脊髄神経118が脊柱管108から出る椎間孔120内に発生する可能性がある。
【0005】
狭窄の位置及び重度に応じて、脊髄神経118又は脊髄110の圧迫により、重度が及び得るとともに痛み、刺痛、痺れ、及び虚弱を含み得る症状がもたらされる可能性がある。脊柱管狭窄症から生じる痛みは激しい可能性があるとともにヒトの腕若しくは脚の1つ若しくは複数に拡散する可能性があるか、又は、鈍いとともに首若しくは腰に局在化する可能性がある。痺れが起こる場合、感度減少から、腕、脚、又は身体の他の部分における全体的な痺れまで様々であり得る。脊柱管狭窄症はまた、強度低下、協調運動失調、及びさらにいっそう有害な影響を引き起こし得る。
【0006】
脊柱管狭窄症の特定の例では、理学療法、鎮痛剤、行動修正、又は硬膜外注射による等、非外科的に治療されることができる。非外科的治療が脊柱管狭窄症の影響を軽減するのに不十分である場合、外科的介入が必要となる場合がある。
【0007】
知られている一治療方法によれば、脊椎除圧法が行われた後、隣り合う椎骨102をスクリュ及びロッドによってともに融合させて脊椎を安定化させる侵襲性融合手技が行われる。そのような融合手技は、手術危険度の増加をもたらし、意図しない長期的な悪影響というリスクを伴うことが知られている。
【0008】
代替的な治療は、図6A図6B、及び図6Cに示されるように、椎弓板112の少なくとも一部、及び/又は、椎骨102をつなぐ、該椎骨の後部における骨突出部である棘突起114の少なくとも一部が切除される、椎弓切開手技である。椎弓106の一部のこの切除は、脊柱管狭窄症によって挟まれた又は炎症を引き起こされた脊髄110及び神経根118を除圧することを意図される。椎弓切開術は、首尾よく行われると、より侵襲性の融合手技の必要性を排除する。しかしながら、椎弓切開は、技術的に難関であり得る。残りの椎弓板112、棘突起114、椎間関節116、又は安定靭帯122を妥協することなく、脊椎100を除圧するのに十分な椎弓板112又は棘突起114の骨のみを切除するために極度の精度を必要とする。
【0009】
図7A及び図7Bに示されるように、別の利用可能な外科治療は、椎弓板112及び棘突起114の全体が切除される椎弓切除である。椎弓切除は、脊椎100の後方安定化部分が切除されるため、不安定化というさらなるリスクをもたらす。椎弓板骨112が脊髄110の真上にあるため、椎弓板骨に行われる手技は、本質的に切除を伴う不正確な場合が多い手技であることが理解される。脊髄110への損傷は、患者に対して極度に迅速で長期的な影響をもたらす可能性がある。
【0010】
周囲神経118を損傷させることなく、又は、椎間関節116又は棘間靭帯122のような安定解剖学的構造を過度に妥協することなく、所要の深さを首尾良く切削することは通常、外科医の技能及び正確性による。医師の技能又は正確性の欠如は、壊滅的な影響又は無益な手技をもたらしかねない。
【0011】
他の外科技術では、融合手技における骨スクリュのための正確な下穴を穿孔すること等、ロボット制御を使用することが知られている。かかるロボット・システムの使用は、手術の正確性及び有効性の向上をもたらそうとするものである。しかしながら、ロボット誘導の適用は分野が限定されている。
【0012】
椎弓切開及び椎弓切除手技でのロボット制御の使用に対する主な支障は、靭帯、関節、及び神経のより柔らかい組織に穿孔することに比して、骨の穿孔と切除との人為的な区別の重大な必要性である。必要とされる物質切除の位置に関する判定及び正確な措置がロボット制御の対処にも必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
椎弓切開及び椎弓切除手技を行う際の自動又は半自動操作可能なロボット手術の解決策は、当該技術分野において実質的な進歩を表すことが理解されている。かかるロボット誘導手技は、骨と組織との有効な区別を含む、機械的且つ操作的特性における随伴的な進歩を必要としていることがさらに理解されている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
一実施例では、狭窄症を軽減するために椎骨から骨を切除するシステムにおいて使用する外科用器具は、近位端及び遠位端を有するドリル・ビットと、近位ロッド部及び遠位管状部を有するドライブ・シャフトであって、ドリル・ビット及び該ドライブ・シャフトが時計回り方向に水平軸の周りに回転するように構成されている、ドライブ・シャフトと、ドリル・ビットとドライブ・シャフトとの間に配置された係合システムであって、該係合システムは、ドリル・ビットが第1の所定の抵抗で第1の物質と接触すると、電動回転のためにドリル・ビットをドライブ・シャフトと選択的に係合させるように構成されるとともに、ドリル・ビットが第2の所定の抵抗で第2の物質と係合すると、ドリル・ビットをドライブ・シャフトから解放するように構成され、第1の所定の抵抗は、第2の所定の抵抗よりも大きい、係合システムと、を備える。
【0015】
別の実施例では、ロボット誘導脊椎除圧システムは、狭窄症を軽減するために椎骨から骨を切除するシステムにおいて使用する外科用器具であって、近位端及び遠位端を有するドリル・ビットと、近位ロッド部及び遠位管状部を有するドライブ・シャフトであって、ドリル・ビット及び該ドライブ・シャフトが時計回り方向に水平軸の周りに回転するように構成されている、ドライブ・シャフトと、ドリル・ビットとドライブ・シャフトとの間に配置された係合システムであって、該係合システムは、ドリル・ビットが第1の所定の抵抗で第1の物質と接触すると、電動回転のためにドリル・ビットをドライブ・シャフトと選択的に係合させるように構成されるとともに、ドリル・ビットが第2の所定の抵抗で第2の物質と係合すると、ドリル・ビットをドライブ・シャフトから解放するように構成され、第1の所定の抵抗は、第2の所定の抵抗よりも大きい、係合システムと、を備える、外科用器具と、ロボット・アームであって、外科用器具が、該ロボット・アームによって制御されるように構成され、該ロボット・アームが、該ロボット・アームの動作によって所定のパターンでの外科用器具の動きを促す動きの範囲を有する、ロボット・アームと、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】脊椎除圧システムにおいて使用する外科用器具の斜視図である。
図2】ヒト脊椎の一部の背面図である。
図3】ヒト脊椎の椎骨の横断面図である。
図4】2つの椎骨104及び104’を含む、ヒト脊椎の一部の側面図である。
図5】2つの椎骨104及び104’を含む、ヒト脊椎の一部の斜視図である。
図6A】椎弓切開手技前のヒト脊椎の一部の上断面図である。
図6B】椎弓切開手技後のヒト脊椎の一部の上断面図である。
図6C】椎弓切開手技後のヒト脊椎の一部の背面図である。
図7A】椎弓切除手技前のヒト脊椎の一部の上断面図である。
図7B】椎弓切除手技後のヒト脊椎の一部の上断面図である。
図8A】本明細書に開示されるような椎弓切除のための穿孔パターンを有するヒト脊椎の一部の斜視図である。
図8B】本明細書に開示されるような椎弓切開のための穿孔パターンを有するヒト脊椎の一部の斜視図である。
図9】本明細書に開示されるような、椎弓板の部分切除後の、ヒト脊椎の一部の前面図である。
図10】本明細書に開示されるような、椎弓板の部分切除後の、ヒト脊椎の一部の前面図である。
図11】本明細書に開示されるような、椎弓板の部分切除のための、穿孔パターンを示すヒト脊椎の一部の前面図である。
図12】脊椎除圧手技において使用するロボット支援システムの概略図である。
図13】圧力作動式外科用器具の側面分解図である。
図13A圧力作動式外科用器具とともに使用するのに適したウェーブ・スプリングの前面斜視図である。
図14】本明細書に開示されるような、圧力作動式外科用器具の部分断面側面図である。
図15図14の圧力作動式外科用器具の拡大部分断面側面図である。
図16】圧力作動式外科用器具の分解側面図である。
図17】圧力作動式外科用器具の拡大分解側面図である。
図18】圧力作動式外科用器具の係合部の部分断面側面図である。
図19】圧力作動式外科用器具の別の実施例の拡大側面図である。
図20】圧力作動式外科用器具の別の実施例の上面図である。
図21図21の圧力作動式外科用器具の分解切欠き上面図である。
図22A】圧力作動式外科用器具の別の実施例の斜視図である。
図22B図22Aの実施例の詳細図である。
図23】第1の物質を穿孔している圧力作動式外科用器具の概略側面図である。
図24】第1の物質を穿孔して第2の物質に達した後の圧力作動式外科用器具の概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
脊椎除圧手技において使用するシステム及び方法が本明細書に開示され、多様な実施例に供される。しかしながら、当業者が本発明を理解し、適切な場合は本発明を実践することができることを確実にするために、本明細書に示される、より広い発明の特定の実施例を、以下に説明するとともに添付の図面によって明らかにする。図示及び説明される実施例は、限定的であることを意図しない。
【0018】
ここで図1を参照すると、脊椎除圧手技において使用する外科用器具12が提示されている。この器具は、組織等のより柔らかい物質の周りで骨が切除される任意の手技に使用されることができることが理解されるべきである。例えば、外科用器具12は、椎体間固定術を実施するために、椎間関節突起切除を行うのにも使用されることができる。具体的には、器具12は、ロボット・ナビゲーション・システムと組み合わせられて、椎間板腔へのアクセスを行うために椎間関節における骨を切除することができる。外科用器具12を使用することによって、椎間関節突起切除は、カニューレを介して経皮的に行われ、そのため、椎間関節へのより直接的な曝露を可能にすることができる。
【0019】
一実施例では、外科用器具12は手動操作されてもよい。別の実施例では、外科用器具12は、図12に示されるように、ロボット・アーム14及びコンピュータ・システム16と組み合わさった脊椎除圧システム10の一部として操作されてもよい。
【0020】
例示のため、外科用器具12は脊椎除圧システム10の一部として説明され、この脊椎除圧システムは、方法論及び体系的操作における機械的、電気機械的、及び全体的な向上を取り入れたロボット誘導下で、椎弓切除、椎弓切開、及び考えら得る他の外科手技を行うことを可能にするように構成されることができる。一実施例では、ロボット誘導脊椎除圧システム10により脊椎除圧が自動で効率的且つ正確に行われることが可能となり、脊椎除圧手技の過程における操作者の技能及び器用さへの依存が減る。
【0021】
図7A及び図7Bに示されるように、腰椎椎弓切除時、狭窄症の原因を軽減するために椎弓板112の略すべてが切除される。しかしながら、そのような広範にわたる物質切除は実際の必要性を超え、それにより、過度の脊椎不安定性をもたらし、また、椎骨102、脊髄110、及び脊椎100の他の側面への過度の損傷というリスクをもたらす。
【0022】
しかしながら、本明細書に開示されるように、椎弓切除手技において圧力作動式器具を使用することにより、脊柱管狭窄症を実際に引き起こす骨部分のみを切除することに使用者が焦点を絞ることが可能となる。例えば、図11に示されるように、対象の椎弓切除部分126は、椎骨102のうち圧迫狭窄に関与していると判断された部分のみが切除されることを意図されるように特定される。そのような焦点を絞った切除の結果、より多くの骨が無傷のままとなり、結果として、脊椎100の構造がより安定し、周囲組織に損傷を与える可能性が減る。
【0023】
椎骨102の狭窄部分の焦点を絞った切除の考えられ得る結果が図9及び図10に示されている。図9の非限定的な例では、対象の椎弓切除部分126は概して、切除された骨物質の円形領域として示されている。図10において、対象の椎弓切除部分126はさらにいっそう焦点を絞られており、椎弓板112のうち、コンピュータ断層撮影(CT:computerized tomography)スキャン又は他の方法による術前計画によって等、狭窄圧迫に関与していると判断された部分のみを含む。
【0024】
焦点を絞った椎弓切除は、その形状及び局在化に基づいて、ポットホール椎弓切除(pothole laminectomy)と呼ばれることができる。ポットホール椎弓切除の場合、椎弓板112全部が切除されるわけではない。そうではなく、椎骨102の残りの部分を温存しつつ、椎弓板112(場合によっては棘突起114)のうち狭窄症を引き起こすと確認された部分のみが切除される、より正確な手技が試みられる。
【0025】
例えば図13図18をさらに参照すると、圧力作動式外科用器具12は、切削器具として用いられて、対象の椎弓切除126の狭窄骨と確認されたものを切除することができる。外科用器具12は、予め定められることができる、(図11に示されるような)穿孔パターン128で動作することができる。穿孔パターン128は手動で辿ることができるが、本発明の実施例は、ロボット制御下での穿孔パターン128の自動移動を想定している。
【0026】
例えば図12に示されるように、外科用器具12は、ロボット・アーム14の遠位端に保持されることができる。したがって、外科用器具12は、ロボット・アーム14によってロボット操作されることができる。ロボット・アーム14は、該ロボット・アーム14の動きの範囲内で外科用器具12の位置及び向きの調整を可能にする多自由度を有することができる。図示の実施例では、ロボット・アーム14は、縦軸を中心に旋回可能な近位部分18と、近位部分18に対して伸縮可能な第1の中間部分20と、第1の中間部分20に対して横軸を中心に旋回可能な第2の中間部分22と、第2の中間部分22に対して長手方向軸を中心に旋回可能な遠位部分24と、を有する。この構成下で、外科用器具12の位置及び向きは、ロボット・アーム14の動きの範囲内で実質的に無限に調整されることができる。
【0027】
ロボット・アーム14及び外科用器具12の作動及び動きは、部分的又は完全に自動化されることができる。ロボット・アーム14及び外科用器具12の制御は、特定の実施において、場合によっては、カメラ等の画像取得装置26により得られた画像情報と事前の分析により得られた画像情報とに基づいて、1つ又は複数のコンピュータ16から受け取ったコマンドによって行われることができる。コンピュータ16は、ロボット・アーム14及び外科用器具12の近くにあるものとすることができるか、又は遠隔に位置付けられることができる。画像取得装置26が用いられる場合、該画像取得装置は、図12に示されるようにロボット・アーム14によって保持されることができるか、又はロボット・アーム14と外科用器具12と動作領域との相対位置及び動作を知覚するように他のやり方で配置されることができる。
【0028】
外科用器具12は、図12におけるように外科用器具12の近くに又は遠隔に保持されることができる回転電源システム28によって選択的に給電されることができる。自動操作、手動制御、又はそれらの何らかの組み合わせにより、外科用器具12は、繰り返しの隣接穿孔によるか、側方運動によるか、又は何らかの他の運動若しくはそれらの組み合わせによるかにかかわらず、穿孔パターン128に沿って骨物質を切除せしめられることができる。したがって、外科用器具12は、コンピュータ制御下で操作されて、穿孔パターン128の所定の経路を移動し、この非限定的な例ではポットホール椎弓切除である所望の手術結果を達成することができる。
【0029】
上記で言及したように、穿孔パターン128の手術経路は術前計画によって決定されることができることが想定される。例えば、患者は、椎骨102と該椎骨102のうち狭窄症を引き起こす特定部分とを判断するためにコンピュータ断層撮影(CT)スキャン等の1つ又は複数のコンピュータ・スキャンを受けることができる。スキャンから得られたコンピュータ・データに基づき、外科医は、椎弓切除を計画することができ、椎弓切除を確立するのに必要とされる穿孔パターン128が、コンピュータ16によって自動的に、手動によって、又は、これら2つの何らかの組み合わせ若しくは他の方式によって確立されることができる。次いで、電子メモリに記憶された得られた手術計画は、本明細書に示されるとともに説明されるコンピュータ制御ロボット・システムに電子伝送されることができる。術前に、患者における所定の基準点を確立するとともに確認することができる。次いで、ロボット・アーム14及び外科用器具12を作動させるとともにコンピュータ16によって制御して、手術計画に従って、計画された椎弓切開又は椎弓切除を行うことができる。
【0030】
引き続き図12を参照すると、外科用器具12の図示の実施例は係合システム30を含む。一実施例では、係合システム30は、圧力作動式係合システム30とすることができる。係合システム30は、ドリル・ビット32が、骨等の、第1の所定の抵抗を有する第1の物質34と係合すると、電動回転のためにドリル・ビット32(又は骨切除若しくは切削に用いられる他の適した器具)と係合するように動作可能であり、また、ビット34が第2の所定の抵抗で第2の物質36と係合すると、ドリル・ビット32を回転電源から解放するように動作可能である。係合システム30は、長手方向、軸方向、側方向、回転方向、又は何らかの他の方向若しくはそれら方向の組み合わせの抵抗に基づいて、電動回転に対してドリル・ビット32を係合及び解放するように動作可能であることができる。本明細書に開示される係合システム30の非限定的な実施例は、軸方向又は長手方向の抵抗に基づいてドリル・ビット32を係合及び解放するように動作可能であるが、その一方、側方向、長手方向、軸方向、及び/又は回転方向の抵抗がドリル・ビット32の係合及び解放をもたらす係合システム30が、本発明の範囲内で想定される。
【0031】
開示される構成下で、ドリル・ビット32が、例えば、椎骨102の椎弓板112の骨(すなわち、第1の所定の抵抗を有する第1の物質34)と係合すると、ドリル・ビット32は回転されることができる。しかしながら、ドリル・ビット32が骨を通って下層組織(すなわち、第2の所定の抵抗にある第2の物質36)に達すると、ビット34への回転力は自動的に断ち切られ、それにより、椎孔108内及び他の場所における比較的柔らかい組織及び神経要素(第2の物質36)に損傷を与えないようにする。第1及び第2の所定の抵抗は、使用目的と患者の骨密度等の物理的属性とに基づいて調整されることができることが理解されるべきである。
【0032】
したがって、ロボット制御と係合システム30という組み合わせでの、場合によっては、1つ又は複数の画像取得装置26によってもたらされる画像誘導とのさらなる組み合わせでの作業により、下層及び隣接の軟組織及び神経要素に損傷を与えるリスクを最小限に抑えつつ、狭窄症を引き起こす骨の切除が可能となる。外科用器具12は、所定のプログラムされた軌道に沿って、隣接孔を穿孔するか又は所定の穿孔パターン128に沿って骨に対して側方に移動するように操作されて、所定の椎弓切開又は椎弓切除をもたらすことができる。従来の椎弓切開及び椎弓切除手技に比して向上した精度、一貫性、均一性、及びより高い成功率を達成することができる。したがって、係合システム30を用いて、ロボット誘導脊椎除圧システム10は、骨に直面すると、係合及び切削することができ、神経層を含む、骨の下にあり骨に隣接した組織に貫入する前に、解放及び切削停止することができる。精度及び一貫性が向上し、手術ミスのリスクが最小限に抑えられる。
【0033】
一実施例では、係合システム30は、機械的、電気機械的、電子的、又はいくつかの他の操作可能な係合機構若しくはそれらの組み合わせとすることができる。例及び非限定として、係合システム30は、クラッチ機構、機械的、電気機械的、又は電子圧力センサ、骨若しくは組織若しくは物質検出システムとして、或いは、組織又は神経物質に直面するとドリル・ビット32の回転を停止又は防止するが骨に直面するとドリル・ビット32の回転を許可するように動作可能な任意の他の具現で具体化されることができる。
【0034】
ロボット誘導脊椎除圧システム10の動作の間、外科用器具12は、係合システム30の動作による該外科用器具12の解放時に、後退及び次の穿孔位置との位置合わせ、又は収納若しくは非使用位置への引っ込みによる等、自動的に位置決め変更されることができる。自動的な位置決め変更は例えば、コンピューティング・システム16の制御下でロボット・アーム14と組み合わさった係合システム30によって誘導されることができる。
【0035】
本発明による圧力係合システム30を含む外科用器具12の構造及び動作は、図13図18を参照するとよりよく理解されることができる。図13を参照すると、一実施例では、外科用器具12は、係合システム30と、近位端及び遠位端を有するドリル・ビット32と、ドライブ・シャフト38と、を含む。ドライブ・シャフト38は、近位ロッド部40と、輪郭形成部44で終端する遠位管状部42と、を有する。
【0036】
ドライブ・シャフト38の近位ロッド部40は、例えばロボット穿孔プラットフォームの回転電源システム28の接続部と係合するように構成されている。一実施例では、第1の圧縮ばね46が、ドライブ・シャフト38の遠位管状部42に嵌合収容される。圧縮ばね46のばね定格は、ドリル・ビット32が係合されるのに必要とされる抵抗(第1の所定の抵抗)の量を主として制御し、同様に、ドリル・ビット32が解放される抵抗(第2の所定の抵抗)のレベルを主として制御する。一実施例では、圧縮ばね46は、標準コイル設計であってもよい。別の実施例では、図13A及び図19に示されるように、ばね46はウェーブ・スプリングであってもよい。
【0037】
さらに別の実施例では、圧縮ばね46の代わりに、電子圧力センサ又は強度ゲージを用いてもよく、電子圧力センサ又は強度ゲージは、ドリル・ビット32を係合及び解放するのに必要とされる抵抗(又は圧力)の量を制御するのに同様に使用される。適した電子センサの一例は、電位差圧力センサ、誘導性圧力センサ、容量型圧力センサ、圧電式圧力センサ、歪ゲージ圧力センサ、及び可変リラクタンス・センサ等の圧力トランスデューサとすることができる。
【0038】
次いでドライブ・シャフト38の遠位管状部42が、内側ハウジング48に嵌合収容される。外側ハウジング50が内側ハウジング48の近位部分を外被する。内側ハウジング48及び外側ハウジング50、第1の圧縮ばね46、並びにドライブ・シャフト38の遠位管状部42は、内側ハウジング48の外面におけるリッジ52と、外側ハウジング50の遠位端におけるレッジ54と、外側ハウジング50に近位に配置されたキャップ部56との組み合わさった作用によって、例えば図14及び図15の組み立てられた構成に圧縮下で保持される。内側ハウジング48、外側ハウジング50、ドライブ・シャフト38、及びドリル・ビット32は、同心円状に配置される。
【0039】
内側ハウジング48の円筒壁に輪郭窓58が貫設されており、ドリル・ビット32の基部62からピン60が側方に突出して輪郭窓58に嵌通される。窓58は、ピン60が有するよりも大きい構成部を外科用器具12の長手方向軸に沿って有し、ドリル・ビット32の基部62は、内側ハウジング48と摺動可能に係合される。
【0040】
図16図18の参照によって分かるように、ドリル・ビット32に十分な軸方向圧縮力が加えられると、ドリル・ビット32の基部62は、第1の圧縮ばね46を圧縮し、長手方向に内側ハウジング48内のより奥に移動することになる。基部62が内側ハウジング48内に移動するにつれ、ピン60は長手方向に輪郭窓58内の近位に移動する。基部62が十分に移動すると、ドライブ・シャフト38の遠位端における輪郭形成部44がピン60と係合する。ドライブ・シャフト38が回転すると、該ドライブ・シャフトは次いでドリル・ビット32を回転させて、穿孔を可能にする。
【0041】
しかしながら、ドリル・ビット32に加えられる軸方向力が第1のばね46の拡張力未満に低減されると、ドリル・ビット32の基部62は内側ハウジング48内の遠位に解放され、ピン60は長手方向に輪郭窓58内の遠位に移動する。基部62が移動してドライブ・シャフト38から十分に離れると、ドライブ・シャフト38の遠位管状部42における輪郭形成部44はピン60を解放し、ドリル・ビット32への回転力は自動的に断ち切られる。
【0042】
この構成下で、ドリル・ビット32は5,000~80,000RPMの速度で回転することができる。一実施例では、第1の圧縮ばね46と係合するのに必要とされる力は、約0.45重量キログラム(kgf)(約1重量ポンド(1df))~約9kgf(約20lbf)である。図23及び図24に示されるように、ドリル・ビット32が椎弓板の骨(すなわち第1の物質34)に直面する場合のような、ドリル・ビット32が十分な抵抗(すなわち、第1の所定の抵抗)に直面すると、第1の圧縮ばね46を圧縮するとともにドリル・ビット32をドライブ・シャフト38と係合させるのに十分な軸方向力Aが加えられることができる。ドライブ・シャフト38の回転により次いでドリル・ビット32の回転が引き起こされて、骨106の切削が可能となる。
【0043】
しかしながら、第1の物質34が穿孔され、より柔らかい組織又は神経物質(すなわち、第2の物質36)に直面すると、低減した長手方向抵抗A(すなわち第2の所定の抵抗)が、第1の圧縮ばね46の拡張力に圧倒され、それにより、ドリル・ビット32がドライブ・シャフト38から解放され、そのため、ドライブ・シャフト38が回転し続けてもドリル・ビット32によるさらなる回転切削は引き起こされない。
【0044】
そのように開示されるロボット誘導脊椎除圧システム10は、向上した精度を有するとともに、脊髄110への、及び、椎骨102の下層にあるとともに椎骨に隣接した他の組織への損傷リスクを最小限に抑えつつ、ロボット誘導下で椎弓切開及び椎弓切除を行うのに用いられることができる。コンピュータ16の誘導下で、ロボット・アーム14及び外科用器具12は、狭窄症に関与しない、骨性部分、椎間関節116、靭帯122、及び他の身体構成要素を温存しつつ、脊柱管狭窄症に関与する骨のみを切除するために、所定のロボット穿孔パターン128に沿って、椎弓板112及び他の骨性部分中での穿孔動作を行うことができる。これにより、脊椎100の構造の強度及び安定性への影響を最小限に抑えることができるとともに、椎弓切開及び椎弓切除の有効性及び精度を向上させることができる。
【0045】
別の実施例では、図19図20、及び図21に示されるとともに説明されるように、外科用器具12は、ドライブ・シャフト38の遠位管状部42の周りに配置される係合端80を有するドライブ・シャフト延長部72をさらに含む。係合端80は、内側ハウジング内の対応形状のポケット78と嵌合するように構成されている。したがって、第1の物質によって加えられた力によってばね46が圧縮すると、係合端80は、対応するポケット78へ長手方向に移動するとともに該ポケット内に嵌まって、ドリル・ビット32と係合する。
【0046】
さらに、内側ハウジング48の近位端は、外側ハウジング50の遠位端におけるねじ部76に取着するように構成されているねじ部74を含むことができる。これにより、使用者が、ドリル・ビット32と係合するのに必要とされる抵抗をカスタマイズするためにばね46を変更することが可能となる。この実施例では、ピン60は、外側ハウジング50の遠位端における開口を通って延び、内側ハウジングのねじ部74内の開口82内に嵌る。
【0047】
機械的係合システム30が多くの場合に本明細書に示されるとともに説明されるが、他の係合システム及び係合システムと機構との組み合わせが可能であり、本発明の範囲内にあることが理解されるであろう。例として、ドリル・ビット32が受ける抵抗力を検知するために、外科用器具12と動作可能に関連付けられた長手方向力センサを有することが可能である。係合システム30は、所定の抵抗を超える抵抗に直面するとドリル・ビット32の回転を許可するように動作可能であるとともに、所定の抵抗未満の抵抗に直面するとドリル・ビット32の回転を阻止するように動作可能であることができる。
【0048】
別の実施例では、図22A及び図22Bに示されるように、外科用器具12は、ドリル・ビット32及びドライブ・シャフト38を含むことができ、これらは時計回り方向及び反時計回り方向の双方に水平軸の周りに回転するように構成されている。この実施例では、係合システム30は、第2の圧縮ばね64と、反時計回り方向へのドリル・ビット32の回転を促す六角係合システムとをさらに含む。この実施例は六角幾何学的形状を用いているが、星形、ヘクサローブ、正方形等のような他の形状、又は摩擦面を用いることができることが理解されるべきである。
【0049】
使用者が骨等の第1の物質34を切開する場合、つくられる穴とドリル・ビット32のシャフトとの摩擦は、手動により又は機械的に加えられる静的逆方向力だけで克服することは困難である可能性がある。ドリル・ビットを反対方向に回転させることにより摩擦を低減させることで、ドリル・ビット32を穿孔穴から外すことがより容易となる。この実施例では、第1の圧縮ばね46を圧縮するのに必要とされる引張は、前方圧力により克服され、雄型係合六角部66が、システムの遠位端側に配置された雌型係合ポケット68へ移動し、それにより、ドリル・ビットと時計回り方向に係合する。しかしながら、第2の圧縮ばね64を圧縮するのに必要とされる引張は後方圧力により果たされ、雄型係合六角部66は、ドリル・ビット32が反時計回り方向に回転することを可能にするために外側ハウジングの近位端側に配置された雌型係合ポケット70と係合する。
【0050】
開示されるロボット誘導脊椎除圧のためのシステム及び方法についての、本発明の特定の詳細及び実施例により、それらに対して多くの変更及び追加を本発明の趣旨又は範囲から逸脱することなくなし得ることが当業者によって理解されるであろう。このことは、目下好ましい実施例が、本明細書において明らかにされる広範な発明を単に例示しているにすぎないことを留意する場合、特に当てはまる。したがって、本発明の主要な特徴を留意しておくことで、それら主要な特徴を組み込んだ実施例を作り上げることができ、その一方、好ましい実施例に含まれた特徴のすべては組み込んでいないことが明白となるであろう。
【0051】
したがって、本発明を保護するために最終的に用いられる特許請求の範囲は、特許権者に与えられる保護の範囲を定義するものとする。それら特許請求の範囲は、本発明の趣旨及び範囲から逸脱しない限り、同等の構造を含むものとする。複数の特定の請求項は、或る要素を特定の機能を実施するための手段として、時に構造又は材料を詳説することなく表し得るか又は表すものと解釈され得る。法の要件として、任意のそのような請求項は、本明細書で明示的に説明した、対応する構造及び材料だけではなく、法律的に認識できる、それらの均等物すべても網羅するように解釈されるものとする。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
狭窄症を軽減するために椎骨から骨を切除するシステムにおいて使用する外科用器具であって、
近位端及び遠位端を有するドリル・ビットと、
近位ロッド部及び遠位管状部を有するドライブ・シャフトであって、前記ドリル・ビット及び該ドライブ・シャフトが、時計回り方向に水平軸の周りに回転するように構成されている、ドライブ・シャフトと、
前記ドリル・ビットと前記ドライブ・シャフトとの間に配置された係合システムであって、該係合システムは、前記ドリル・ビットが第1の所定の抵抗で第1の物質と接触すると、電動回転のために前記ドリル・ビットを前記ドライブ・シャフトと選択的に係合させるように構成されるとともに、前記ドリル・ビットが第2の所定の抵抗で第2の物質と係合すると、前記ドリル・ビットを前記ドライブ・シャフトから解放するように構成され、前記第1の所定の抵抗は、前記第2の所定の抵抗よりも大きい、係合システムと、
を備え
前記係合システムは、外側ハウジングと、内側ハウジングと、基部と、第1の圧力検知装置と、を備え、
前記ドライブ・シャフトの前記遠位管状部は、輪郭形成部を含み、前記内側ハウジングは、輪郭窓をさらに含み、前記基部は、前記内側ハウジングにおける前記輪郭窓に挿通されるピンを含む、外科用器具。
【請求項2】
記第1の圧力検知装置は、前記内側ハウジング内に配置され、前記外科用器具の前記水平軸に沿って前記ドライブ・シャフトの前記遠位管状部と前記ドリル・ビットの前記近位端との間に位置決めされる、請求項1に記載の外科用器具。
【請求項3】
前記圧力検知装置は、圧縮ばねである、請求項2に記載の外科用器具。
【請求項4】
前記圧力検知装置は、電子的に作動される、請求項2に記載の外科用器具。
【請求項5】
前記圧力検知装置は、圧力ゲージ又は圧力検知トランスデューサである、請求項4に記載の外科用器具。
【請求項6】
前記ピンは、前記輪郭窓内を水平方向に移動するように構成され、前記ドリル・ビットが前記第1の所定の抵抗に晒されると、前記輪郭形成部内に嵌るように構成され、前記ドリル・ビットが前記第2の所定の抵抗に晒されると、前記輪郭窓内の遠位に移動して前記輪郭形成部から解放するように構成さている、請求項に記載の外科用器具。
【請求項7】
ロボット・アームによって自動的に制御されるように構成されている、請求項1に記載の外科用器具。
【請求項8】
手動操作されるように構成されている、請求項1に記載の外科用器具。
【請求項9】
前記ドリル・ビット及び前記ドライブ・シャフトは、反時計回り方向に前記水平軸の周りに回転するようにさらに構成されている、請求項に記載の外科用器具。
【請求項10】
前記係合システムは、第2の圧縮ばねと、前記反時計回り方向への前記ドリル・ビットの回転を促すように構成された係合六角部とをさらに備える、請求項に記載の外科用器具。
【請求項11】
ロボット誘導脊椎除圧システムであって、
狭窄症を軽減するために椎骨から骨を切除するシステムにおいて使用する外科用器具であって、
近位端及び遠位端を有するドリル・ビットと、
近位ロッド部及び遠位管状部を有するドライブ・シャフトであって、前記ドリル・ビット及び該ドライブ・シャフトが、時計回り方向に水平軸の周りに回転するように構成されている、ドライブ・シャフトと、
前記ドリル・ビットと前記ドライブ・シャフトとの間に配置された係合システムであって、該係合システムは、前記ドリル・ビットが第1の所定の抵抗で第1の物質と接触すると、電動回転のために前記ドリル・ビットを前記ドライブ・シャフトと選択的に係合させるように構成されるとともに、前記ドリル・ビットが第2の所定の抵抗で第2の物質と係合すると、前記ドリル・ビットを前記ドライブ・シャフトから解放するように構成され、前記第1の所定の抵抗は、前記第2の所定の抵抗よりも大きい、係合システムと、
を備える、外科用器具であって、
前記係合システムは、外側ハウジングと、内側ハウジングと、基部と、第1の圧縮ばねと、を備え、前記第1の圧縮ばねは、前記内側ハウジング内に配置され、前記外科用器具の前記水平軸に沿って前記ドライブ・シャフトの前記遠位管状部と前記ドリル・ビットの前記近位端との間に位置決めされ
前記ドライブ・シャフトの前記遠位管状部は、輪郭形成部を含み、前記内側ハウジングは、輪郭窓をさらに含み、前記基部は、前記内側ハウジングにおける前記輪郭窓に挿通されるピンを含む、外科用器具と、
ロボット・アームであって、前記外科用器具が、該ロボット・アームによって制御されるように構成され、該ロボット・アームが、該ロボット・アームの動作によって所定のパターンでの前記外科用器具の動きを促す動きの範囲を有する、ロボット・アームと、
を備える、ロボット誘導脊椎除圧システム。
【請求項12】
前記ピンは、前記輪郭窓内を水平方向に移動するように構成され、前記ドリル・ビットが前記第1の所定の抵抗に晒されると、前記輪郭形成部内に嵌るように構成され、前記ドリル・ビットが前記第2の所定の抵抗に晒されると、前記輪郭窓内の遠位に移動して前記輪郭形成部から解放するように構成さている、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記ドリル・ビット及び前記ドライブ・シャフトは、反時計回り方向に前記水平軸の周りに回転するようにさらに構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
前記係合システムは、第2の圧縮ばねと、前記反時計回り方向への前記ドリル・ビットの回転を促すように構成された係合六角部とをさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
前記所定のパターンは、術前コンピュータ・スキャン及び計画から得られる、請求項1に記載のシステム。
【請求項16】
術野の画像の取得を促すために前記ロボット・アームに動作可能に関連付けられた画像取得装置をさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項17】
前記ロボット・アームの動き及び前記外科用器具の動作を制御するように動作可能なコンピュータをさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【国際調査報告】