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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-16
(54)【発明の名称】直交流膜モジュール
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/22 20060101AFI20230309BHJP
   B01D 63/10 20060101ALI20230309BHJP
   B01D 63/00 20060101ALI20230309BHJP
【FI】
B01D53/22
B01D63/10
B01D63/00 510
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022544093
(86)(22)【出願日】2021-01-21
(85)【翻訳文提出日】2022-09-15
(86)【国際出願番号】 US2021014262
(87)【国際公開番号】W WO2021150649
(87)【国際公開日】2021-07-29
(31)【優先権主張番号】62/963,637
(32)【優先日】2020-01-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/963,639
(32)【優先日】2020-01-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/963,643
(32)【優先日】2020-01-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519169465
【氏名又は名称】メンブレイン テクノロジー アンド リサーチ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ベイカー, リチャード ダブリュー.
(72)【発明者】
【氏名】ワイマンズ, ヨハネス ジー.
(72)【発明者】
【氏名】マーケル, ティモシー シー.
(72)【発明者】
【氏名】アモ, カール ディー.
【テーマコード(参考)】
4D006
【Fターム(参考)】
4D006GA25
4D006GA41
4D006HA42
4D006HA61
4D006JA05A
4D006JA06A
4D006JA22C
4D006KA12
4D006KA16
4D006MA03
4D006MA10
4D006PA01
4D006PB12
4D006PB32
4D006PB63
4D006PB64
4D006PB65
4D006PB68
4D006PB70
(57)【要約】
本発明は、1つ以上の膜シートを横断して、給送物流体を透過物流体と残留物流体とに分離するように構成された直交流膜モジュールに関する。直交流モジュールは、第1の方向に沿って第1の端部からオフセットされる第2の端部を備え、入口が、第1の端部に提供され、出口が、第2の端部に提供される。1つ以上の膜シートの各々は、第1の部分と、第2の部分とを有する。導管が、各膜シートの第1の側に隣接し、給送物流体から分離された透過物流体を受け取り、出力するように構成されている。膜シートの第2の部分は、膜シートの第2の部分を横断した分離によって発生させられる透過物流体の第2の部分が、第1の部分を横断した分離によって発生させられる透過物流体の第1の部分より高い濃度の主要成分を有するように、第1の部分より高い主要成分のための透過率を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
微量成分および主要成分を備えている給送物流体を透過物流体と残留物流体とに分離するように構成された直交流膜モジュールであって、前記残留物流体は、前記給送物流体より低い濃度の前記微量成分を有し、前記透過物流体は、前記給送物流体より高い濃度の前記微量成分を有し、前記モジュールは、
第1の端部および第2の端部を有する筐体であって、前記第2の端部は、第1の方向に沿って前記第1の端部から間隔を置かれている、筐体と、
前記筐体の前記第1の端部と第2の端部との間に延びている1つ以上の膜シートと
を備え、
各膜シートは、第1の端部および第2の端部を備え、前記第2の端部は、前記第1の方向に沿って前記第1の端部から間隔を置かれ、各膜シートは、前記第1の端部と第2の端部との間に延びている第1および第2の側を備え、前記第1の側は、第2の方向に沿って前記第2の側から間隔を置かれ、前記第2の方向は、前記第1の方向に対して横方向であり、各膜シートは、第1の主要表面および第2の主要表面を備え、前記第2の主要表面は、前記第1の主要表面と反対側にあり、各膜シートは、前記給送物流体を前記残留物流体と前記透過物流体とに分離するように構成され、
前記膜モジュールは、前記給送物流体および前記残留物流体が前記第1の方向に各膜シートの前記第1の主要表面に沿って流動するが、各膜シートの前記第2の主要表面に沿って流動せず、前記透過物流体が各膜シートの前記第2の主要表面に沿って流動するが、各膜シートの前記第1の主要表面に沿って流動しないように構成され、
前記膜モジュールは、
前記筐体の前記第1の端部における入口であって、前記入口は、各膜シートの前記第1の主要表面の前記第1の端部と流体連通し、前記給送物流体が各膜シートの前記第1の主要表面に沿って流動するように、前記給送物流体を送達するように構成されている、入口と、
前記筐体の前記第2の端部における出口であって、前記出口は、各膜シートの前記第1の主要表面の前記第2の端部と流体連通し、前記給送物流体から分離された前記残留物流体を受け取り、出力するように構成されている、出口と、
前記膜シートの前記第2の主要表面の前記第1の側に隣接している導管であって、前記導管は、前記給送物流体から分離された前記透過物流体を受け取り、出力するように構成されている、導管と
をさらに備え、
前記1つ以上の膜シートのうちの少なくとも1つは、第1の部分および第2の部分を備え、それによって、前記第1の部分を横断した前記給送物流体の分離が、前記透過物流体の第1の部分を発生させ、前記第2の部分を横断した分離が、前記透過物流体の第2の部分を発生させ、
前記膜シートの前記第2の部分は、前記透過物流体の前記第2の部分が前記透過物流体の前記第1の部分より前記主要成分の高い濃度を有するように、前記第1の部分より高い前記主要成分のための透過率を有し、
前記第2の部分は、前記第2の方向に沿って前記膜シートの前記第1の側から間隔を置かれ、それによって、前記透過ガスの前記第2の部分に前記膜シートの前記第1の側に向かって流動させ、それによって、前記透過ガスの前記第2の部分が、前記透過ガスの前記第1の部分と混合し、それによって、前記透過物流体の前記第1の部分中の前記微量成分の濃度を低減させる、膜モジュール。
【請求項2】
前記導管は、前記第1の方向に前記第1の側の長さの少なくとも50%、好ましくは、少なくとも70%、より好ましくは、少なくとも80%に沿って延びている、請求項1に記載の膜モジュール。
【請求項3】
前記導管は、各膜シートの前記第1の側と整列させられている、請求項1に記載の膜モジュール。
【請求項4】
前記モジュールは、第2の導管をさらに備え、前記第2の導管は、前記第2の側と流体連通し、前記第2の導管は、前記給送物流体から分離された前記透過物流体を受け取り、出力するように構成され、前記第2の部分は、前記第1の方向に沿って前記第1の側および前記第2の側の両方から間隔を置かれている、請求項1に記載の膜モジュール。
【請求項5】
前記第2の部分は、前記第1の端部と前記第2の端部との間で前記第1の方向に沿って延び、好ましくは、前記第2の部分は、細片として形成され、より好ましくは、前記第2の部分は、前記第1の側と前記第2の側との間でそれらから等距離にある、請求項1に記載の膜モジュール。
【請求項6】
前記直交流膜モジュールは、渦巻状に巻きつけられ、
前記導管は、前記第1の方向に沿って延びている中心管であり、
前記1つ以上の膜シートは、前記第1の方向と垂直な渦巻を画定するように前記中心管の周りに巻きつけられ、それによって、前記1つ以上の膜シートの前記第1の側が、前記第2の側より前記中心管に近く、
前記中心管は、円筒形表面と第1および第2の終端端部とを備え、前記第1および第2の終端端部は、管腔をそれらの間に画定し、
前記中心管は、1つ以上の開口部を前記円筒形表面内に備え、前記1つ以上の開口部は、前記給送物流体から分離された前記透過物流体を受け取るように構成され、前記1つ以上の開口部は、前記膜シートの前記第1の側と流体連通し、
前記中心管は、前記1つ以上の開口部によって受け取られる前記透過物流体を出力するように構成された出口をさらに備え、前記出口は、前記中心管の前記第1または第2の終端端部にある、請求項1に記載の直交流膜モジュール。
【請求項7】
前記1つ以上の開口部は、前記第1の方向に沿って互いに間隔を置かれ、好ましくは、前記1つ以上の開口部の軸方向範囲は、前記第1の方向に前記第2の部分の軸方向範囲と重複し、より好ましくは、前記1つ以上の開口部は、前記第1の側と整列させられている、請求項6に記載の膜モジュール。
【請求項8】
前記1つ以上の膜シートの前記第2の部分は、前記1つ以上の膜シートの外縁に沿って延びている、請求項1に記載の膜モジュール。
【請求項9】
前記第2の部分は、前記第2の側の少なくとも一部に沿って延び、好ましくは、前記第2の部分は、前記第2の側によって形成される縁全体に沿って延びている、請求項8に記載の膜モジュール。
【請求項10】
前記モジュールは、
前記1つ以上の膜シートに間隔を保たせるように構成された1つ以上の給送スペーサであって、各給送スペーサは、前記出口までの前記給送物流体および残留物流体の流動のための流体路を画定するためである、1つ以上の給送スペーサと、
前記1つ以上の膜シートに間隔を保たせるように構成された1つ以上の透過スペーサであって、各透過スペーサは、前記導管までの前記透過物流体の流動のための流体路を画定するためである、1つ以上の透過スペーサと
をさらに備えている、請求項1に記載の膜モジュール。
【請求項11】
前記1つ以上の膜シートのうちの第1の膜シートは、給送スペーサが前記第1の膜シートの前記第1の主要表面に隣接し、透過スペーサが、前記第1の膜シートの前記第2の主要表面に隣接するように配置されている、請求項10に記載の膜モジュール。
【請求項12】
前記膜シート、前記1つ以上の給送スペーサ、および前記1つ以上の透過スペーサは、積み重ねられた構成で配置され、隣接する膜シート間の各空間は、給送スペーサまたは透過スペーサのいずれかによって画定され、前記膜シートは、各膜シートの前記第1の主要表面が給送スペーサと接触し、各膜シートの前記第2の主要表面が透過スペーサと接触するように、交互する向きである、請求項10に記載の膜モジュール。
【請求項13】
給送スペーサによって間隔を置かれた隣接する膜シートは、それらの第1の主要表面の前記第1および第2の側に沿ってシールされることによって、前記第1の主要表面に沿った前記給送物流体および残留物流体の流動のための流体路を流動的にシールし、透過スペーサによって間隔を置かれた隣接する膜シートは、それらの第2の主要表面のそれらの第1および第2の端部に沿ってシールされることによって、前記第2の主要表面に沿った前記透過物流体のための流体路を流動的にシールし、好ましくは、前記透過スペーサによって間隔を置かれた前記隣接する膜シートも、それらの第2の主要表面の前記第2の側に沿ってシールされている、請求項10に記載の膜モジュール。
【請求項14】
各給送スペーサは、前記第1の方向に沿って流体の流動を方向付けるように構成され、各透過スペーサは、前記第2の方向に沿って流体の流動を方向付けるように構成されている、請求項10に記載の膜モジュール。
【請求項15】
前記第2の部分の面積は、前記膜シートの総面積の20%未満、好ましくは、15%未満、より好ましくは、10%未満、最も好ましくは、6%未満である、請求項1に記載の膜モジュール。
【請求項16】
前記主要成分のための前記第2の部分の透過率は、前記主要成分のための前記第1の部分の透過率の2倍、好ましくは、少なくとも10倍を上回る、請求項1に記載の膜モジュール。
【請求項17】
前記第2の部分は、前記第2の主要表面の一部を形成する、請求項1に記載の膜モジュール。
【請求項18】
前記第2の部分は、前記第1の主要表面の一部を形成する、請求項1に記載の膜モジュール。
【請求項19】
請求項1に記載の膜モジュールの膜シートを製造する方法であって、前記方法は、
前駆体シートのロールを提供することと、
前記前駆体シートの前記ロールの第1のエリアを第1のコーティング溶液でコーティングし、前記前駆体シートの前記ロールの第2のエリアを第2のコーティング溶液でコーティングし、前記膜シートの前記ロールを形成することと、
前記膜シートの1つ以上のロールを別個の膜シートに分離することと
を含み、
各膜シートの前記第1の部分は、前記膜シートの前記ロールの前記第1のエリアによって形成され、各膜シートの前記第2の部分は、前記膜シートの前記ロールの前記第2のエリアによって形成され、各膜シートの前記第2の部分は、前記第1の部分より高い前記主要成分のための透過率を有する、方法。
【請求項20】
前記第1のエリアおよび前記第2のエリアは、互いに隣接し、好ましくは、前記第2のエリアは、2つの第1のエリア間に位置付けられ、それによって、各膜シートにおいて、前記第2の部分は、細片として形成され、前記第1の部分は、前記第2の部分の両側に提供される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記方法は、各膜シートが一対の膜シートを形成するように、各膜シートを給送スペーサの周りで折り畳むことをさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
それらの第1の主要表面の第1の側に沿って2つの膜シートを一緒にシールし、給送スペーサをそれらの間に位置付けることをさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
前記第1のエリアをコーティングするステップおよび前記第2のエリアをコーティングするステップは、同時に実施される、請求項19に記載の方法。
【請求項24】
前記コーティングするステップは、前記膜シートの前記ロールをコーティングコンテナ内の第1および第2の溶液と接触させることによって実施され、前記コーティングコンテナは、セパレータによって互いに流動的に分離された第1および第2の区分を有し、前記第1の区分は、前記第1のコーティング溶液を含み、前記第2の区分は、前記第2のコーティング溶液を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項25】
前記コーティングコンテナの前記第2の区分は、前記コーティングコンテナの2つの第1の区分間に位置付けられている、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記セパレータの位置を移動させ、前記第2の部分の位置およびサイズを調節することをさらに含む、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
直交流膜モジュールを使用して、主要成分および微量成分を備えている給送物流から微量成分を分離する方法であって、残留物流体が、前記給送物流体より低い濃度の前記微量成分を有し、透過物流体が、前記給送物流体より高い濃度の前記微量成分を有し、好ましくは、前記微量成分は、二酸化炭素であり、前記主要成分は、メタンまたは窒素であり、
前記モジュールは、
第1の端部および第2の端部を有する筐体であって、前記第2の端部は、第1の方向に沿って前記第1の端部から間隔を置かれている、筐体と、
前記筐体の前記第1の端部と第2の端部との間に延びている1つ以上の膜シートであって、各膜シートは、第1の端部および第2の端部を備え、前記第2の端部は、前記第1の方向に沿って前記第1の端部から間隔を置かれ、各膜シートは、前記第1の端部と第2の端部との間に延びている第1および第2の側を備え、前記第1の側は、第2の方向に沿って前記第2の側から間隔を置かれ、前記第2の方向は、前記第1の方向に対して横方向であり、各膜シートは、第1の主要表面および第2の主要表面を備え、前記第2の主要表面は、前記第1の主要表面と反対側にある1つ以上の膜シートと、
前記筐体の前記第1の端部における入口であって、前記入口は、各膜シートの前記第1の主要表面の前記第1の端部と流体連通している、入口と、
前記筐体の前記第2の端部における出口であって、前記出口は、各膜シートの前記第1の主要表面の前記第2の端部と流体連通している、出口と、
前記膜シートの前記第2の主要表面の前記第1の側に隣接した導管と
を備え、
前記1つ以上の膜シートのうちの少なくとも1つは、第1の部分および第2の部分を備え、
前記方法は、
前記第1の方向に各膜シートの前記第1の主要表面に沿って流動するように、前記主要成分および前記微量成分を備えている給送物流体を前記入口を介して各膜シートの前記第1の主要表面に送達することと、
前記残留物流体が前記第1の主要表面に沿って前記第1の方向に前記出口まで流動し、前記透過物流体が前記第2の主要表面に沿って前記第2の方向に前記導管まで流動するように、各膜シートを横断する前記給送物流体を前記透過物流体と前記残留物流体とに分離することと
を含み、
前記膜モジュールは、前記給送物流体および前記残留物流体が前記第1の方向に各膜シートの前記第1の主要表面に沿って流動するが、各膜シートの前記第2の主要表面に沿って流動せず、前記透過物流体が各膜シートの前記第2の主要表面に沿って流動するが、各膜シートの前記第1の主要表面に沿って流動しないように構成され、
前記分離するステップは、前記膜シートの前記第1の部分を横断して前記給送物流体を分離することによって、前記透過物流体の第1の部分を発生させ、前記膜シートの前記第2の部分を横断して前記給送物流体を分離することによって、前記透過物流体の第2の部分を発生させることを含み、前記膜シートの前記第2の部分は、前記透過物流体の前記第2の部分が前記透過物流体の前記第1の部分より前記主要成分の高い濃度を有するように、前記第1の部分より高い前記主要成分のための透過率を有し、
前記第2の部分は、前記第2の方向に沿って前記膜シートの前記第1の側から間隔を置かれ、それによって、前記透過ガスの前記第2の部分に前記膜シートの前記第1の側に向かって流動させ、それによって、前記透過ガスの前記第2の部分は、前記透過ガスの前記第1の部分と混合し、それによって、前記透過物流体の前記第1の部分中の前記微量成分の濃度を低減させ、
前記方法は、前記残留物流体を前記モジュールから前記出口を介して出力することと、前記透過物流体を前記モジュールから前記導管を介して出力することとをさらに含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直交流膜モジュールおよびそれを作製する方法に関する。直交流膜モジュールは、特に、透過気化法およびガス分離用途のために有用である。
【背景技術】
【0002】
続く文章では、使用される成分の濃度は、別様に述べられない限り、モル濃度である。用語「主要成分」は、給送物流体中の最高濃度を有する成分を指す一方、用語「微量成分」は、給送物流体中の主要成分より低い濃度を有する成分を指す。「微量成分」は、膜分離プロセスによって、透過物流体中で濃縮され、分離プロセスの標的成分である。用語「流体」は、ガスおよび/または液体を指し得る。
【0003】
分離モジュールでは、給送物流体は、主要成分と、微量成分とを含み、微量成分より高い濃度を有する主要成分は、膜を横断して、透過物流と残留物流とに分離される。残留物流体は、給送物流体より低い濃度の微量成分を有し、透過物流体は、給送物流体より高い濃度の微量成分を有する。直交流モジュールでは、透過物流は、主として、給送物流に対して横方向、好ましくは、垂直である。対向流モジュールでは、透過物流は、主として、給送物流と反対方向である。
【0004】
公知の直交流分離デバイスが、図1に示される。直交流分離デバイスでは、給送物の流動は、第1の方向(図1における左から右)であって、透過物の流動は、第2の方向、すなわち、第1の方向に対して横方向(図1における下向き)である。給送物中の大部分の透過性成分の濃度は、給送物が膜表面に沿って第1の方向に(すなわち、左から右)流動するにつれて、減少する。その結果、透過物における大部分の透過性成分の濃度も、第1の方向に沿って減少する。直交流モジュールでは、透過物ガス流は、流入透過物と同じ濃度を有し、混合は、膜分離に影響を及ぼさない。
【0005】
外部掃引を使用して、膜を横断した駆動力を増加させ、したがって、直交流モジュールのための効率を改良することが公知である。モジュールの出口端に導入される掃引ガスは、入口に向かってあらゆる点において、大部分の透過性成分を希釈する。この希釈は、膜を横断した大部分の透過性成分の濃度差を増加させ、その結果、膜を横断した分離のための駆動力を増加させる。この効果は、掃引として知られる。駆動力のこの増加は、より小さい膜面積が使用され得るように、効率を改良する。
【0006】
外部掃引は、流出口の近位の透過物の中に注入されるモジュールの外部で発生させられるガス流を使用して、掃引効果を発生させる。そのようなシステムは、図3に示され、本願で後にさらに詳細に説明される。図3(b)に示されるように、残留物流体は、出口端において透過物流に導入される前、弁320を横断して拡張され得る。例えば、処理された残留物流体の一部を弁に通し、それをモジュールの透過物側に導入することが公知である。しかしながら、そのようなシステムは、信頼性のある動作のために、掃引流量を制御するための追加の配管および弁を要求し、それは、増加させられたコストにつながる。さらに、そのようなモジュールは、産業工場内では、多数使用され、それによって、多くの制御ユニットを要求し、任意の1つの故障は、残留物からのガスの透過物流への大規模な非制御漏出につながり、全体的工場の動作に影響を及ぼすであろう。
【0007】
図4および5に示されるデバイスは、代わりに、掃引ガス流を内部から発生させることによって、掃引ガスが外部から発生させられるモジュールに関する問題に対処することを試みた。図4に示されるデバイスは、対向流中空ファイバモジュールデバイスであり、ファイバは、裸端部部分403を除き、選択的層401でコーティングされている。裸端部部分は、ファイバの主要部分よりはるかに高い透過率を有するが、選択率ではない。したがって、給送物流体は、裸端部を通して透過し、内部発生掃引ガス409の流動としての機能を果たすであろう。図5に示されるデバイスも、対向流中空ファイバモジュールである。給送物流体502は、中空ファイバ505間の空間内で左から右に流動する。残留物パイプが、モジュールを通して延び、モジュール509の右側端部の前で終端する。給送物流体の一部は、ファイバ膜を透過し、給送物流と反対方向にファイバの内側を進行する。膜を透過しない給送物流体は、残留物収集パイプ内の孔を通して除去される。残留物収集パイプの端部は、オリフィス511によって穿孔されたプラグでシールされる。処理された残留物流体の一部は、このオリフィスを通して漏出し、次いで、ファイバ514の開放端に進入し、掃引ガスとしての機能を果たすことができる。
【0008】
内部掃引の使用は、対向流中空ファイバ分離モジュールに限定されている。内部掃引は、構築および動作上の難点に起因して、プレートおよびフレームモジュールまたは渦巻状に巻きつけられたモジュール等、膜シートを備えている、直交流分離モジュールに適用されていない。本発明は、内部発生掃引の利点を平坦な膜シートを備えている直交流モジュールに適用することを模索する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によると、請求項によって定義されるような直交流膜モジュールおよびモジュールを作製する方法が、提供される。
【0010】
請求項1に記載されるように、微量成分および主要成分を備えている給送物流体を透過物流体と残留物流体とに分離するように構成された直交流膜モジュールが、提供される。残留物流体は、給送物流体より低い濃度の微量成分を有し、透過物流体は、給送物流体より高い濃度の微量成分を有する。モジュールは、第1の端部および第2の端部を有する筐体であって、第2の端部は、第1の方向に沿って第1の端部から間隔を置かれる、筐体を備えている。モジュールは、筐体の第1の端部と第2の端部との間の1つ以上の膜シートであって、1つ以上の膜シートは、第1の端部および第2の端部を備え、第2の端部は、第1の方向に沿って第1の端部から間隔を置かれる、1つ以上の膜シートをさらに備えている。各膜シートは、第1の端部と第2の端部との間の第1および第2の側を備えている。第1の側は、第2の方向に沿って第2の側から間隔を置かれ、第2の方向は、第1の方向に対して横方向である。各膜シートは、第1の主要表面および第2の主要表面を備え、第2の主要表面は、第1の主要表面と反対側にあり、各膜シートは、給送物流体を残留物流体および透過物流体に分離するように構成されている。膜モジュールは、給送物流体および残留物流体が、第1の方向に各膜シートの第1の主要表面に沿って流動するが、各膜シートの前記第2の主要表面に沿って流動せず、透過物流体が各膜シートの第2の主要表面に沿って流動するが、各膜シートの第1の主要表面に沿って流動しないように構成されている。膜モジュールは、筐体の第1の端部における入口をさらに備え、入口は、各膜シートの第1の主要表面の第1の端部と流体連通し、各膜シートの第1の主要表面に沿って流動するように、給送物流体を送達するように構成されている。膜モジュールは、筐体の第2の端部における出口をさらに備え、出口は、各膜シートの第1の主要表面の第2の端部と流体連通し、給送物流体から分離された残留物流体を受け取り、出力するように構成されている。膜モジュールはさらに、膜シートの第2の主要表面の第1の側と流体連通する導管を備え、導管は、給送物流体から分離された透過物流体を受け取り、出力するように構成されている。1つ以上の膜シートのうちの少なくとも1つは、第1の部分を横断した給送物流体の分離が、透過物流体の第1の部分を発生させ、第2の部分を横断した分離が、透過物流体の第2の部分を発生させるように、第1の部分および第2の部分を備えている。膜シートの第2の部分は、透過物流体の第2の部分が、透過物流体の第1の部分より高い濃度の主要成分を有するように、第1の部分より高い主要成分のための透過率を有する。第2の部分は、透過物流体の第2の部分が、透過物流体の第1の部分と混合し、それによって、透過物流体の第1の部分中の微量成分の濃度を低減させるように、第2の方向に沿って膜シートの第1の側から間隔を置かれ、それによって、透過物流体の第2の部分を膜シートの第1の側に向かって流動させる。
【0011】
故に、本発明では、透過物流体の第2の部分は、掃引流体としての機能を果たし、第1の側により近い透過物流体中の微量成分の濃度を希釈する。透過物流体中の微量成分の濃度を希釈することによって、微量成分のための膜を横断した濃度勾配が、増加させられる。濃度勾配の増加は、透過物流体および残留物流体への膜を横断した給送物流体の分離のための駆動力の増加につながる。透過物流体の第2の部分は、本明細書では、掃引ガス/掃引流/掃引流体とも称される。本発明は、したがって、これが内部で発生させられるので、給送物流体の流動および供給を制御するために、弁または配管を要求しない。
【0012】
1つ以上の膜シートは、平坦、すなわち、平面である。
【0013】
給送物流体は、第1の方向に膜の主要表面に沿って流動する。給送物流体は、透過物流体および残留物流体に分離される。残留物流体も、第1の方向に膜の主要表面に沿って流動する。透過物流体は、膜を通り抜け、典型的に、膜の給送物流体および残留物流体と反対の主要表面に沿って流動する給送物流体の部分を備えている。本願では、それに沿って残留物および給送物流体が流動する、膜の主要表面は、第1の主要表面と称され、それに沿って透過物流体が流動する、膜の主要表面は、第2の主要表面と称される。第1の主要表面は、膜の給送物側にあると考えられ得、第2の主要表面は、膜の透過物側にあると考えられ得る。第2の主要表面は、第1の主要表面に対向する。換言すると、第2の主要表面は、膜シートの厚さによって、第1の主要表面から分離される。本発明では、透過物流体の少なくとも一部は、第2の側から第1の側に向かった方向(すなわち、第1の方向に対して横方向、具体的に、垂直方向)に流動する。
【0014】
各膜シートに関して、入口と出口との間の第1の主要表面に沿った流体路は、流体が膜シートを第1の主要表面から第2の主要表面に通り抜けることのみ可能であるように、第2の主要表面に沿った導管までの流体路から流動的にシールされる。シールは、膜シートの第1の主要表面上の給送物/残留物流体と膜シートの第2の主要表面上の透過物流体との混合を引き起こすであろう漏出を防止する。シールは、モジュールの内外への流体を外側環境から分離する役割も果たす。シールは、エポキシ糊または同等シール材料等の接着剤、接着剤テープ、または熱シールを使用することによって、達成され得る。
【0015】
1つ以上の膜シートは、1つ以上の膜シートの第1の端部が、筐体の第1の端部の近位にあり、1つ以上の膜シートの第2の端部が、筐体の第2の端部の近位にあるように、筐体の第1の端部と第2の端部との間に延びている。好ましくは、筐体は、円筒形形状であり得、第1の方向は、筐体の直径を画定し、第1および第2の端部は、直径方向に対向する。
【0016】
1つ以上の膜シートの第1および第2の端部および第1および第2の側は、1つ以上の膜シートの外縁を形成する。1つ以上の膜シートの第1および第2の端部は、第1の方向に沿って間隔を置かれる1つ以上の膜シートの外縁を形成する。1つ以上の膜シートの第1および第2の側は、第2の方向に沿って間隔を置かれる1つ以上の膜シートの外縁を形成する。
【0017】
上で議論されるように、導管は、透過物流体を受け取り、出力するように構成されている。導管は、膜シートのうちの1つ以上のものの第2の主要表面の第1の側に流動的に接続され、第2の主要表面は、第1の主要表面と反対側にある。好ましくは、膜シートの全ては、それらの第2の主要表面の第1の側を介して、導管に流動的に接続される。導管は、複数の導管の第1の導管であり得る。導管は、軸方向にその長さの少なくとも50%に沿って、透過物流体を第2の主要表面から受け取るように開放され得る。導管は、典型的に、透過物流体を受け取るための開口部/開口を備えている。第1の方向における導管内の開口部/開口の軸方向範囲は、第2の部分の軸方向範囲と重複し、好ましくは、ほぼ同じである。導管内の開口部/開口は、第1の方向における膜シートの長さと同じ軸方向範囲を有し得る。導管は、第1の方向に第1の側の長さの少なくとも50%、好ましくは、少なくとも70%、より好ましくは、少なくとも80%に沿ってある。導管は、第1の方向に第1の側の全長に沿って延び得る。導管内の開口部/開口の軸方向範囲は、第1の方向に第1の側の長さの少なくとも50%、好ましくは、少なくとも70%、より好ましくは、少なくとも80%、最も好ましくは、100%に沿って延び得る。導管は、典型的に、各膜シートの第1の側と整列させられる。より具体的に、導管内の開口/開口部は、典型的に、各膜シートの第1の側と整列させられる。
【0018】
モジュールは、膜の第2の側に流動的に結合された第2の導管をさらに備え得る。第2の導管は、典型的に、1つ以上の膜シートの第2の主要表面にも流動的に接続され、第2の主要表面は、第1の主要表面と反対側にある。
【0019】
第1および第2の導管の両方を備えている構成では、透過物流体は、第1および第2の側の第1および第2の導管の両方まで流動することができ、そこで、受け取られ、モジュールから出力される。
【0020】
1つ以上の膜シートのうちの少なくとも1つは、第1の部分と、第2の部分とを備えている。膜の第2の部分は、第1の部分より高い主要成分のための透過率を有する。好ましくは、主要成分に対する第2の部分の透過率は、主要成分に対する第1の部分の透過率の少なくとも2倍である。より好ましくは、主要成分に対する第2の部分の透過率は、主要成分に対する第1の部分の透過率の少なくとも10倍である。膜シートの第1の部分は、微量成分を主要成分より優先するように選択的である、選択率を有する。第2の部分は、給送物流体の成分に対する選択率を有していないが、依然として、第1の主要表面(給送物側)から第2の主要表面(透過物側)への分離されていない給送物流体の流動を調整することが可能である、コーティングされない膜シートの一部であり得る。しかしながら、膜シートの第2の部分も、微量成分を主要成分より優先するように選択的であるように、選択率を有し得る。第2の部分も、実施されている分離のために選択的である場合、それは、有益であるが、要求されない。第2の部分も、実施されている分離のために選択的である場合、膜の第2の部分は、第1の部分より低い選択率を有する。
【0021】
第2の部分は、膜シートの第2の主要表面の一部を形成するが、第1の主要表面を形成しないこともある。代替として、第2の部分は、膜シートの第1の主要表面の一部を形成するが、第2の主要表面を形成しないこともある。さらなる代替として、第2の部分は、膜シートの第1および第2の主要表面の両方の一部を形成し得る。第1の部分は、膜シートの第2の主要表面の一部を形成するが、第1の主要表面を形成しないこともある。代替として、第1の部分は、膜シートの第1の主要表面の一部を形成するが、第2の主要表面を形成しないこともある。さらなる代替として、第1の部分は、膜シートの第1および第2の主要表面の両方の一部を形成し得る。好ましい配置では、第1の部分は、第1の主要表面の一部を形成し、第2の部分も、第1の主要表面の一部を形成する。第1の部分および第2の部分が、同じ主要表面の一部を形成する場合、第1の部分は、第2の部分を形成しない主要表面の残りを形成し得る。第1の部分および第2の部分が、両方の主要表面の一部を形成する場合、第1の部分および第2の部分は、重複しない。
【0022】
第1および第2の部分は、それぞれ、膜シートを第1および第2のコーティングでコーティングすることによって形成され得る。より具体的に、第1の部分は、膜シートの関連区分を第1のコーティングでコーティングすることによって形成され得、第2の部分は、膜の関連区分を第2のコーティングでコーティングすることによって形成され得る。第2のコーティングは、第1のコーティングより薄くあることができる、または異なるより透過性のコーティング材料から作製されることができる。その目的は、第1の部分より高い給送物流体の主要成分のための透過率を有する第2の部分を作製することである。第2のコーティングは、第1のコーティングと異なる組成を有し得る。
【0023】
第1および/または第2のコーティングは、1つ以上の膜シートの第2の主要表面に適用されるが、1つ以上の膜シートの第1の主要表面に適用されないこともある。代替として、第1および/または第2のコーティングは、第1の主要表面に適用されるが、1つ以上の膜シートの第2の主要表面に適用されないこともある。いくつかの実施形態では、第1および/または第2のコーティングは、1つ以上の膜シートの第1の主要表面および第2の主要表面の両方に適用され得る。いくつかの配置では、第1のコーティングは、第1の主要表面に適用され得、第2のコーティングは、第2の主要表面に適用され得る(すなわち、第2の部分が、第2の主要表面の一部に沿って延び/形成され、第1の部分が、第1の主要表面の一部に沿って延びている/形成されるように)。さらなる代替配置では、第1のコーティングは、第2の主要表面に適用され得、第2のコーティングは、第1の主要表面に適用され得る(すなわち、第2の部分が、第1の主要表面の一部に沿って延び/形成され、第1の部分が、第2の主要表面の一部に沿って延び/形成されるように)。第1のコーティングが、第2のコーティングと反対側の主要表面に適用される場合、第1のコーティングによってコーティングされたエリアは、エリアコーティングされた第2のコーティングによってコーティングされたエリアと重複しない。いくつかの配置では、第1の部分は、膜シートの関連区分を第1のコーティングでコーティングすることによって形成され得、第2の部分は、給送物流体の成分に対する選択率を有していないが、依然として、第1の主要表面(給送物側)から第2の主要表面(透過物側)への分離されていない給送物流体の流動を調整することが可能である、コーティングされない膜シートの区分であり得る。
【0024】
代替として、第1の部分は、第1の部分を第1の膜材料から切断することによって形成され得、第2の部分は、第2の部分を第2の膜材料から切断することによって形成され得る。第2の膜材料は、第1の膜材料より高い主要成分のための透過率を有する。第1の膜材料は、第2の膜材料より高い選択率を有し得る。第1および第2の部分は、例えば、接着剤を使用して、一緒にシールされ得る。この配置では、第2の部分は、膜シートの第1および第2の主要表面の両方の一部を形成し、第1の部分は、膜シートの第1および第2の主要表面の両方の一部を形成する。
【0025】
第2の部分は、第2の方向に沿って膜シートの第1の側から間隔を置かれる。膜シートの第2の部分は、1つ以上の膜シートの外縁に沿って延び得る。第2の部分は、第2の側の少なくとも一部に沿って延び得る。第2の部分は、第2の側によって形成される縁全体に沿って延び得る。第2の部分は、第1の方向に沿って延びているその長さを有する細片として形成され得る。第2の部分の面積は、膜シートの総面積の50%未満、典型的に、膜シートの総面積の20%未満、好ましくは、膜シートの総面積の15%未満、より好ましくは、10%未満、最も好ましくは、膜シートの総面積の6%未満である。好ましくは、第2の部分の面積は、膜シートの総面積の1%~14%である。膜シートの残りの面積は、第1の部分を形成する。故に、第2の部分は、第1の部分に隣接する。
【0026】
膜の第2の部分の面積(掃引発生領域)は、広い範囲にわたって変動させられることができる。掃引発生領域の透過率も、使用される材料および膜の厚さを変化させることによって、変動させられることができる。したがって、掃引効果のサイズは、膜製造プロセスを調節することによって、容易に制御されることができる。膜モジュールが、作製されると、掃引効果の発生は、完全に自動であることができ、制御弁等は、要求されない。
【0027】
第1および第2の導管が上で議論されるように採用される実施形態では、第2の部分は、第1および第2の側の両方から間隔を置かれ得る。第2の部分は、第1の方向に沿って延びているその長さを有する細片として形成され得る。第2の部分は、第1および第2の側の両方から等距離にあり得る。
【0028】
膜モジュールは、1つ以上の膜シートに間隔を保たせるように構成された1つ以上の給送スペーサをさらに備え得、各給送スペーサは、出口までの給送物流体および残留物流体の流動のための流体路を画定するためである。膜モジュールは、1つ以上の膜シートに間隔を保たせるように構成された1つ以上の透過スペーサをさらに備え得、各透過スペーサは、導管までの透過物流体の流動のための流体路を画定するためである。
【0029】
透過スペーサおよび給送スペーサは、それぞれ、膜シートの第1および第2の端部および第1および第2の側に対応する第1および第2の端部および第1および第2の側を有し得る。換言すると、各スペーサの第2の端部は、第1の方向に沿って第1の端部から間隔を置かれる。各スペーサの第1の側は、第2の方向に沿って第2の側から間隔を置かれ、第2の方向は、第1の方向に対して横方向である。
【0030】
透過スペーサおよび給送スペーサは、透過性である。膜シートの第1の主要表面に沿った給送物流体および残留物流体のための流体路は、給送スペーサを通る。膜シートの第2の主要表面に沿った透過物流体のための流体路は、透過スペーサを通る。
【0031】
1つ以上の膜シートのうちの第1の膜シートは、給送スペーサが第1の膜シートの第1の主要表面に隣接し、透過スペーサが、第1の膜シートの第2の主要表面に隣接するように配置され得る。給送スペーサは、典型的に、第1の膜シートの第1の主要表面と直接接触し、透過スペーサは、典型的に、第2の膜シートの第2の主要表面と直接接触する。
【0032】
膜シート、1つ以上の給送スペーサ、および1つ以上の透過スペーサは、積み重ねられた構成で配置され得、隣接する膜シート間の各空間は、給送スペーサまたは透過スペーサのいずれかによって画定され、膜シートは、各膜シートの第1の主要表面が給送スペーサと接触し、各膜シートの第2の主要表面が透過スペーサと接触するように、交互する向きで配置される。
【0033】
給送スペーサによって間隔を置かれた隣接する膜シートは、それらの第1の主要表面(給送物側)の第1および第2の側に沿ってシールされ、第1の主要表面に沿った給送物流体および残留物流体の流動のための流体路を流動的にシールし得る。透過スペーサによって間隔を置かれた隣接する膜シートは、その第2の主要表面(透過物側)のその第1および第2の端部および第2の側に沿ってシールされ、第2の主要表面に沿った透過物流体のための流体路を流動的にシールする。シールは、例えば、Oリング、接着剤、または熱シールを使用することによって達成され得る。給送スペーサは、それらの第1および第2の側にも沿ってシールされ得、それらは、膜シートの第1および第2の側に対応する。同様に、透過スペーサは、それらの第1および第2の端部および第2の側にも沿ってシールされ得、それらは、膜シートの第1および第2の端部および第2の側に対応する。1つの随意の配置では、隣接する膜シートの第1の主要表面は、それらの第1および第2の側に沿って、一緒にシールされ得る。同様に、隣接する膜シートの第2の主要表面は、それらの第1および第2の端部および第2の側に沿って、一緒にシールされ得る。
【0034】
膜シートは、給送スペーサの周りに折り畳まれ、それによって、一対の膜シートを形成し得、各膜シートの第1の主要表面は、給送スペーサに隣接する。換言すると、各膜シートの第1の主要表面は、互いに面し、それらの間の給送スペーサによって間隔を置かれる。この配置では、シールは、対の膜シートの各々の第1の側間の折り畳みによって提供される。
【0035】
各給送スペーサは、流体の流動を第1の方向に沿って方向付けるように構成され得、各透過スペーサは、流体の流動を第2の方向に沿って方向付けるように構成され得る。給送および透過スペーサは、流体の流動を方向付けるための溝を有し得る。例えば、溝は、給送および透過スペーサの表面内に形成され得る。給送スペーサおよび透過スペーサは、給送スペーサ内の溝が、第1の方向に沿って延び、透過スペーサ内の溝が、第2の方向に沿って延びているように、向けられ得る。代替として、給送および透過スペーサは、流体の流動を方向付けるように波形にされ得る。波形給送および透過スペーサは、流体の流動を方向付けるための隆起を有し得る。波形給送スペーサは、隆起の縦方向が第1の方向と平行であるように、向けられ得る。波形透過スペーサは、隆起の縦方向が第2の方向と平行であるように、向けられ得る。さらなる代替として、流体の流動を方向付けるために、給送スペーサおよび透過スペーサは、異なる透過性を異なる方向に有する材料から形成され得る。この透過性の差異は、スペーサを形成するために使用される材料内の繊維の織方によって達成され得る。給送スペーサは、高透過方向(すなわち、低流動抵抗)が第1の方向と平行であるように、向けられ得る。透過スペーサは、高透過エリア(すなわち、低流動抵抗)が第2の方向と平行であるように、向けられ得る。
【0036】
スペーサは、約0.03~0.06インチの厚さを有し得る。スペーサは、樹脂が含浸され、次いで、表面を平滑または溝切させるようにカレンダ処理され得る織布材料から形成され得る。
【0037】
給送および透過スペーサは、典型的に、膜シートと同じエリアの上に延びている。直交流膜モジュールは、渦巻状に巻きつけられ得る。そのような実施形態では、導管は、第1の方向に沿って延びている中心管である。1つ以上の膜シートは、1つ以上の膜シートの第1の側が第2の側より中心管に近くなるように、第1の方向と垂直な渦巻を画定するように、中心管の周りに巻きつけられる。中心管は、円筒形表面と、管腔をそれらの間に画定する第1および第2の終端端部とを備えている。中心管は、1つ以上の開口部を円筒形表面内に備え、1つ以上の開口部は、給送物流体から分離された透過物流体を受け取るように構成されている。1つ以上の開口部は、膜シートの第1の側と流体連通する。中心管はさらに、1つ以上の開口部によって受け取られる透過物流体を出力するように構成された出口を備え、出口は、中心管の第1または第2の終端端部内にある。
【0038】
1つ以上の開口部は、互いに間隔を置かれ得る。好ましくは、1つ以上の開口部は、第1の方向に沿って間隔を置かれる。第2の部分は、典型的に、第1の方向に1つ以上の開口部と同じ軸方向範囲にわたって延びている。第2の部分は、第1の方向に1つ以上の開口部と重複し、典型的に、直接整列させられる。
【0039】
中心管は、1つ以上の開口部によって受け取られ、次いで、第1または第2の終端端部内の出口に向かって、かつそこから外に、管の縦方向に沿って、中心管の管腔内を流動するように、透過物流体のための流動経路を提供する。
【0040】
直交流膜モジュールは、プレートおよびフレームモジュールでもあり得る。プレートおよびフレームモジュールは、膜シートのスタックを含む。膜シートは、典型的に、給送スペーサおよび透過スペーサによって、互いに分離される。給送スペーサおよび透過スペーサによって分離される膜シートのスタックは、フレームによって一緒に接続される2つの端部プレート間に圧縮され得る。Oリングシールまたは接着剤シール層は、流体をモジュール内に含み、各膜シートの第1の主要表面(給送物側)上の流体を各膜シートの第2の主要表面(透過物側)上の流体から分離するために使用され得る。ダクトが、モジュールの縁の周りに提供され、流体を各膜シートの第1および第2の主要表面に導入し、そこから除去し得る。
【0041】
本発明は、上で説明される膜モジュールの膜シートを製造する方法にも関する。方法は、前駆体シートのロールを提供することと、前駆体シートのロールの第1のエリアを第1のコーティング溶液でコーティングし、前駆体シートのロールの第2のエリアを第2のコーティング溶液でコーティングし、膜シートのロールを形成することとを含む。方法はさらに、膜シートの1つ以上のロールを別個の膜シートに分離することを含み、各膜シートの第1の部分は、膜シートのロールの第1のエリアによって形成され、各膜シートの第2の部分は、膜シートのロールの第2のエリアによって形成され、各膜シートの第2の部分は、第1の部分より高い主要成分のための透過率を有する。
【0042】
第1のコーティング溶液は、第2のコーティング溶液と同じ組成を有し得る。本実施形態では、第2のエリアは、第2の部分が第1の部分より高い透過率を有するように、第1のエリアより薄いコーティング溶液のコーティングを有し得る。
【0043】
第1のコーティング溶液は、第2のコーティング溶液と異なる組成を有し得る。第1のコーティング溶液は、第1の部分より低い主要成分のための透過性を有し得る。
【0044】
前駆体シートのロールの第1のエリアを第1のコーティング溶液でコーティングすることおよび前駆体シートのロールの第2のエリアを第2のコーティング溶液でコーティングすることは、第1および第2の主要表面の両方のために実施され得る。代替として、前駆体シートのロールの第1のエリアを第1のコーティング溶液でコーティングすることおよび前駆体シートのロールの第2のエリアを第2のコーティング溶液でコーティングすることは、第1の主要表面のみのために実施され得る。
【0045】
第1のエリアおよび第2のエリアは、互いに隣接し得る。好ましくは、第2のエリアは、各膜シートにおいて、第2の部分が、細片として形成され、第1の部分が、第2の部分の両側に提供されるように、2つの第1のエリア間に位置付けられる。
【0046】
方法は、各膜シートが一対の膜シート(すなわち、スペーサの上側の膜シートおよびスペーサの下側の膜シート)を形成するように、各膜シートを給送スペーサの周りで折り畳むことをさらに含み得る。各膜シートの第1の主要表面は、給送スペーサに隣接する。換言すると、各膜シートの第1の主要表面は、互いに面し、それらの間の給送スペーサによって間隔を置かれる。
【0047】
方法は、それらの第1の側に沿って、2つの膜シートを一緒にシールし、給送スペーサをそれらの間に位置付けることをさらに含み得る。給送スペーサに隣接する、膜シートの表面は、第1の主要表面である。
【0048】
第1のエリアをコーティングするステップおよび第2のエリアをコーティングするステップは、同時に実施され得る。
【0049】
コーティングするステップは、膜シートのロールをコーティングコンテナ内の第1および第2の溶液と接触させることによって実施され得、コーティングコンテナは、セパレータによって互いに流動的に分離された第1および第2の区分を有し、第1の区分は、第1のコーティング溶液を含み、第2の区分は、第2のコーティング溶液を含む。方法はさらに、セパレータの位置を移動させ、第2の部分の位置およびサイズを調節することを含み得る。好ましくは、コーティングコンテナの第2の区分は、コーティングコンテナの2つの第1の区分間に位置付けられる。
【0050】
第1のエリアをコーティングするステップおよび第2のエリアをコーティングするステップは、別個のステップにおいて実施され得る。
【0051】
本発明の別の側面は、上で説明される直交流膜モジュールを使用して、主要成分および微量成分を備えている給送物流から微量成分を分離する方法に関する。方法は、入口を通して、各膜シートの第1の主要表面に沿って、主要成分および微量成分を備えている給送物流体を流動させることを含み得る。方法は、膜シートを横断して、給送物流体を透過物流体と残留物流体とに分離することをさらに含み得、残留物流体は、給送物流体より低い濃度の微量成分を有し、透過物流体は、給送物流体より高い濃度の微量成分を有する。膜シートを横断して給送物流体を分離することは、膜シートの第1の部分を横断して給送物流体を分離し、透過物流体の第1の部分を発生させることと、膜シートの第2の部分を横断して給送物流体を分離し、透過物流体の第2の部分を発生させることとを含み得る。方法は、導管を介して、透過物流体を直交流膜モジュールから出力することと、出口を介して、残留物流体を直交流膜モジュールから出力することとをさらに含み得る。給送物流体は、メタンと、二酸化炭素とを備え得、方法が二酸化炭素をメタンから分離する方法であるように、メタンは、主要成分であって、二酸化炭素は、微量成分である。代わりに、給送物流体は、窒素と、二酸化炭素とを備え得、方法が二酸化炭素を窒素から分離する方法であるように、窒素は、主要成分であり、二酸化炭素は、微量成分である。
【図面の簡単な説明】
【0052】
本発明のより深い理解のために、かつそれが実行され得る方法を示すために、ここで、例のみとして、付随の図面が参照されるであろう。
【0053】
図1図1は、対向流、直交流、および並行流膜モジュールの公知の構成の概略図である。
【0054】
図2図2は、達成され得る分離が圧力比制御される公知の膜モジュールの分離効率を実証する例示的計算を含む概略図である。
【0055】
図3図3(a)-3(d)は、公知の対向流膜モジュール構成の概略図であり、それは、掃引ガス流を外部から発生させる。
【0056】
図4図4(a)および(b)は、米国特許第4687578号からの概略図であり、内部発生掃引流を採用する公知の中空ファイバ膜モジュールを描写する。
【0057】
図5図5は、米国特許第6740140号からの概略図であり、内部発生掃引流を採用する公知の中空ファイバ膜モジュールを描写する。
【0058】
図6図6(a)-6(c)は、圧力比限定領域内にある分離に及ぼされるモジュール流動構成の効果を実証する例示的計算を含む概略図である。図6(a)は、直交流膜モジュールを図示し、図6(b)は、対向流膜モジュールを図示し、図6(c)は、外部から発生させられる掃引流を採用する対向流膜モジュールを図示する。
【0059】
図7図7(a)-(c)は、部分的に圧力比限定領域の外側にある分離に及ぼされるモジュール流動構成の効果を実証する例示的計算を含む概略図である。
【0060】
図8図8は、本発明による膜シートを形成するために使用され得るコーティングプロセスの概略図であり、各膜シートは、第1および第2の部分を有する。
【0061】
図9図9は、本発明による膜シートを形成するために使用される膜コーティングプロセスの概略図であり、各膜シートは、第1および第2の部分を有する。
【0062】
図10図10は、本発明の直交流膜モジュールを形成するために使用されるプロセスの一部の概略図である。
【0063】
図11図11は、本発明の直交流膜モジュールを形成するために使用されるプロセスの一部の概略図である。
【0064】
図12図12は、本発明を理解するために有用な多層複合膜の例証である。
【0065】
図13図13(a)および(b)は、本発明の第1の実施形態による膜シートの概略図である。
【0066】
図14図14(a)および(b)は、本発明の第2の実施形態による膜シートの概略図である。
【0067】
図15A図15(a)は、モジュールがプレートおよびフレームモジュールとして構成される本発明の直交流モジュールの斜視図の概略図である。
【0068】
図15B図15(b)は、図15(a)に描写されるプレートおよびフレームモジュールの断面図である。
【0069】
図16図16(a)、(b)、および(c)は、本発明の直交流モジュールの斜視図の概略図であり、モジュールは、プレートおよびフレームモジュールとして構成されている。図16(a)(i)、(b)(i)、および(c)(i)は、それぞれ、図16(a)、(b)、および(c)に描写されるプレートおよびフレームモジュールの断面図である。
【0070】
図17-1】図17(a)および(b)は、本発明の直交流モジュールの分解図であり、モジュールは、渦巻状に巻きつけられたモジュールとして構成され、膜シートと、中心管とを備えている。
【0071】
図17-2】図17(c)は、図17(a)および(b)のモジュールの斜視図であり、膜シートは、中心管の周りに部分的に巻きつけられている。
【0072】
図17-3】図17(d)は、中心管の終端端部からの図17(a)、(b)、および(c)のモジュールの断面図であり、膜シートは、中心管の周りに完全に巻きつけられている。
【0073】
図18図18(b)は、透過物流体中のCO濃度対膜シートが図18(a)に示されるように、構成される膜シートの総面積の割合としての区分部分の膜面積のグラフである。
【0074】
図19】説明なし
【発明を実施するための形態】
【0075】
本発明以前は、掃引流体を採用するモジュールは、図3、4、5、および7におけるものに類似する形態を伴う対向流中空ファイバモジュールに適用されており、モジュールにおいて、掃引流体は、対向流モジュールの性能を向上させるために、モジュールの残留端において導入されていた。我々の発明のモジュール構成は、直交流モジュールの中に内部発生掃引流体を使用する。膜または特許文献に説明される掃引設計は、対向流設計に限定されている。本発明者らは、直交流モジュールに適用される掃引構成が、予想外にも、分離性能における著しい改良を生成し、内部掃引を装備する直交流モジュールが特に好ましいことを見出している。本発明では、掃引流体流は、給送物流体の一部を透過物流体の中に透過させることによって制御される。故に、掃引流体は、内部で発生させられる。膜シートを有する直交流膜モジュール内で、内部発生掃引を使用することは、驚くべき技術的効果につながる。本発明は、特に、平坦なシート膜を使用して形成された膜モジュール、特に、渦巻状に巻きつけられたモジュール、またはプレートおよびフレームモジュールに好適である。
【0076】
(膜シート形成)
本発明は、平坦なシート膜を備えている、モジュールの使用に焦点を当てる。平坦なシート膜は、渦巻状に巻きつけられたモジュールまたはプレートおよびフレームモジュールの中に形成され得る。モジュールを作製するために使用される膜は、通常、典型的に、40~60インチ幅および数百メートル長の持続ロールとして作製される。分離を実施するために使用される選択的層は、通常、薄く、かつ繊細であり、したがって、ほぼ全ての膜は、コーティングまたは鋳造/析出プロセスによって作製され、プロセスにおいて、膜は、機械的強度を提供する丈夫な不織支持紙のロール上に形成される。ある範囲のコーティングおよび鋳造手順が、例えば、“Membrane Technology and Applications”,Richard Baker,John Wileyed.,(2012)に説明されるように、これらの膜を調製するために使用される。本発明は、任意の特定のタイプの膜に限定されず、当業者は、公知の膜生成技法を修正し、本発明のために必要とされる膜シートを作製することが可能であろう。
【0077】
例として、図8は、従来のコーティングプロセスが、本発明において使用される第1および第2の部分を有する膜シートを作製するために、どのように適合されることができるかを示す。図8では、支持膜のロールが、給送物ロール801から引き出され、コーティングコンテナ806の下かつコーティングロール809の上に引っ張られる。コーティング溶液を分注するために使用されるコーティングコンテナ806は、第2の区分804の両側に位置付けられた第1の区分905を有し、区分804、805は、セパレータ(堰堤)810および811によって互いに分離されている。セパレータ810、811は、薄い。第1の区分805は、第1のコーティング溶液を含み、第2の区分804は、第2のコーティング溶液を含む。2つのコーティングされたエリアは、コーティングコンテナの下を通過するにつれて、紙フィルム上に生成される。第1のエリア807は、コーティング溶液805でコーティングされ、膜シートの第1の部分を形成する。第2のエリア808は、コーティング溶液804でコーティングされ、第2の部分を形成する。第2のコーティング溶液は、第1のコーティング溶液より高い主要成分のための透過率を有する。その結果、第2の部分は、第1の部分より高い、特に、主要成分のための透過率を有する。第1の部分は、第2の部分より高い選択率を有する。
【0078】
第1および第2のエリア807、808のコーティングは、各膜シートの第1の主要表面にのみ実施され得る。代替として、第1および第2のエリア807、808のコーティングは、各膜シートの第1の主要表面および第2の主要表面の両方に実施され得る。
【0079】
セパレータ/堰堤810、811の位置を移動させることによって、第2の部分(高透過率膜)の細片の位置およびサイズが、膜の片側から他の側まで変動させられることができる。膜のこの部分/エリアを通した透過物の流束は、コーティング溶液の組成および細片の面積を調節することによって、容易に制御される。
【0080】
図8に示される例示的装置では、膜の両方の部分が、同じコーティング動作で形成された。しかしながら、最初に、膜の1つの部分を形成し、次いで、第2の動作において、第2の部分を形成する方がより容易であり得る。両方のオプションが、本発明に包含される。
【0081】
本発明の膜シートを作製するために使用され得るものを表す、第2のタイプの膜コーティング装置が、図9に示される。このタイプの機器は、図12に示されるような多層複合膜シートである膜シートを作製するために使用される。複合膜シートは、機械的強度を提供する微孔性支持体1201と、選択的膜を構成するいくつかのコーティング層とから成る多層構造である。第1の層は、ガター層1202であり、それは、非常に高透過であるが、非選択的である材料から作製される。ガター層1202は、透過物を支持膜の細孔に伝える役割を果たし、それは、選択的層1203がコーティングされることができる平滑な表面を提供する。選択的層1203は、次いで、モジュール調製または使用中、選択的層を損傷から保護する役割を果たす高透過ポリマーの最終保護層1204でコーティングされる。
【0082】
そのような膜シートを作製するために使用され得る装置は、図9に示される。支持紙901のロールが、最初に、ガター層アプリケータ906に通され、その後、膜は、オーブン907内で乾燥させられる。膜は、次いで、選択的層アプリケータを通過し、選択的層が、適用され、その後、膜は、オーブン903内で再び乾燥させられる。最後に、膜は、オーブン905内で乾燥させられる前、アプリケータ904を用いて、保護層でコーティングされる。
【0083】
装置において使用されるコーティングコンテナのうちの1つ以上のものは、図10(b)に示されるように、修正され、必要とされる異なる透過特性を伴う膜の領域を生成することができる。2つのテフロン(登録商標)プレート914および915が、鋼鉄圧延バーの周りにぴったり合うように成形され、コーティングコンテナを2つの区分に分割する役割を果し、異なる膜が移動する支持体上にコーティングされることを可能にする。
【0084】
図8および9に図示されるプロセスによって生成される膜シートの第2の部分(高透過エリア)は、膜シートに沿った連続した細片として形成される。構築されている膜モジュールの構成に応じて、細片の区分は、所望に応じて、テープまたは他の手段で覆うことによって、塞がれ得る。
【0085】
(膜モジュールの構築)
図8および9の説明では、第2の部分(すなわち、高透過エリア)が膜のロールの一方の縁に沿って細片として形成される膜ロールを作製する方法が、説明された。そのような膜ロールは、図10が示すように、いくつかの方法において一緒に組み立てられ得る膜シートに切断され、製作され得る。
【0086】
図10(a)では、膜のシートが、一方の縁に沿って、高透過率膜(すなわち、第2の部分)1006の細片を有する高選択率膜から成るロールから切断される。第2の部分1006ではない膜シートの残り(すなわち、高選択率のエリア)は、第1の部分1005を形成する。図10(b)および10(c)は、膜の2つのシートが、側縁に沿って一緒にシールされ得る方法を示す。図10bでは、これは、接着剤テープ1020を使用することによって行われるが、エポキシまたはウレタン糊も、加えて、または代わりに、使用され得る。図10(b)では、第2の部分(高透過細片)1006は、縁に対して横方向に延び、縁において、膜シートが、接合される。図10(c)では、膜シートは、第2の部分(高透過細片)と反対の縁において接合される。膜モジュールのために膜シートをともに積層する例示的方法は、米国特許第8、661,648号に説明される。最後に、図10dに示されるように、膜シートを切断し、それを縦軸1010に沿って折り畳むことも、可能である。第2の部分(高透過の領域)1006は、縦軸1010に対して横の方向に沿って、折り畳み部1021から間隔を置かれる。特に、第2の部分1006は、折り畳み部1021と反対側にある。給送スペーサ1040が、折り畳み部によって画定された空間内、またはシールされた膜シート間の空間内に提供され、膜シート1000の主要表面に沿って流体路を提供する。膜は、給送スペーサ1040の周囲で折り畳まれ得、それによって、膜シート1000は、給送スペーサ1040の両側に提供される。
【0087】
図11は、いくつかの膜シート1100が、その縦軸1120に沿って、膜の長方形シートを切断し、次いで、横方向1130に沿って、膜シートを折り畳むことによって、一緒に組み立てられ得ることを示す。折り畳み部1121は、次いで、好ましくは、第2の部分(膜の高透過エリア)1106と垂直である。給送スペーサ1140が、折り畳み部によって画定された空間内に提供されることによって、膜シート1100の主要表面に沿って、流体路を提供する。
【0088】
膜シート1000、1100が、給送スペーサ1040、1140の周囲で折り畳まれると、それは、一対の膜シートを形成すると考えられ得、各膜シートの第1の主要表面は、給送スペーサに隣接する。換言すると、各膜シートの第1の主要表面は、互いに面し、それらの間の給送スペーサ1240、1340によって間隔を置かれる。対の膜シートは、膜エンベロープであると考えられ得る。
【0089】
膜シート1000、1100は、モジュール(典型的に、図16および17に示されるように、渦巻状に巻きつけられたモジュールまたはプレートおよびフレームモジュール)において組み立てられる。これらのモジュールは、ガス分離および透過気化法用途において広く使用される。渦巻状に巻きつけられたモジュールは、典型的に、円筒形圧力容器内に含まれる。公知のモジュールでは、透過物流体のための流体路を包囲する、膜シート1000、1100全体は、同じ選択的膜から作製されるであろう。我々の発明では、膜シート1000、1100の一部(第2の部分1006、1106)は、膜シートの残りよりはるかに高い平均透過率を有する。第2の部分1006、1106は、より低い選択率も有するであろう。そのより高い透過率およびより低い選択率により、掃引効果は、膜シートの第2の部分1006、1106を透過する流体によって、透過物流体のための流動経路内に発生させられる。
【0090】
(膜モジュールの構成)
第1の実施形態による膜シート1300のための構成が、給送および残留物流体のための流動経路と、透過物のための流動経路と一緒に、図13(a)および(b)に示される。第2の実施形態による膜シート1400のための構成が、給送および残留物流体のための流動経路と、透過物のための流動経路と一緒に、図14(a)および(b)に示される。図13に示される構成を有する膜シートは、直交流の渦巻状に巻きつけられたモジュールまたはプレートおよびフレームモジュールの中に組み込まれることができる。図14に示される構成を有する膜シートは、プレートおよびフレームモジュールの中に組み込まれることができる。各膜シート1300、1400に関して、膜シート1300、1400の第2の端部1302、1402は、第1の方向1350、1450に沿って、第1の端部1301、1401から間隔を置かれる。膜シート1300、1400の第2の側1304、1404は、第1の方向1350、1450に対して横方向である第2の方向に沿って第1の側1303、1403から間隔を置かれる。透過物流体の第2の部分のための流動経路は、参照番号1307、1407で標識された矢印によって示される。給送および残留物流のための流動経路は、参照番号1380、1480で標識された矢印によって示される。図13および14に示される例示的構成では、膜シート1300、1400の第1の主要表面に沿って流動する給送物流体は、図中の下から上である第1の方向1350、1450に沿って、略直線経路を辿る。図13および14における構成内の透過物流は、給送物流体および残留物流体の流動に対して横方向(より具体的に、垂直)(すなわち、図中の右から左および/または左から右)の方向である。透過物流体は、給送物流体および残留物流体と反対の主要表面に沿って流動する。図13および14では、給送および残留物流体は、上側主要表面に沿って流動し、透過物は、下側残留物表面に沿って流動する。
【0091】
第2の部分1306、1406は、膜の残り(第1の部分1305、1405)より著しく高い給送物流体の主要成分のための透過率を有し、好ましくは、より低い選択率を有する。図13(b)および14(b)における側面図は、高透過部分(第2の部分1306、1406)の存在による透過物流体に関する流動パターンを示す。
【0092】
図13(a)に示される構成では、第2の部分1306(膜シートの高透過率領域)は、第2の側1304の外縁に沿って延び、細片として形成される。特に、第2の部分1306は、第2の側1304によって形成される外縁全体に沿って延び、それによって、第1の方向1350におけるその軸方向範囲は、第1の方向1350における膜シート1300の長さと同じである。
【0093】
透過物流体の第2の部分(第2の部分1306を貫通する給送物流体によって発生させられる透過物流体の一部である)は、矢印1307に従って、第1の側に向かって流動する。透過物流体1307の第2の部分は、膜シート1300の第1の部分1305を横断した分離によって発生させられる透過物流体の隣接する部分より低い濃度の透過する微量成分を有する。透過物流体1307の第2の部分は、矢印1360で標識された透過物流体の隣接する部分と混合し、それは、矢印1360で標識された透過物流体中の微量成分の濃度の希釈につながり、その結果、透過のための駆動力を増加させる。生成された混合流体は、同じ希釈効果を第1の側により近い透過物流体1361および1362の一部に及ぼし、したがって、それは、膜のこの領域における透過のための駆動力の増加にもつながる。駆動力のこの増加の全体的結果は、総透過物1363が、掃引効果を伴わないであろうものより著しく大きいことである。続く例では、我々は、この掃引効果の影響が、膜シート1300を通した流体透過を2倍以上増加させ得ることを示すであろう。我々は、非常に驚くべきことに、掃引効果が、透過純度も増加させ得ることを示すであろう。
【0094】
図14に示される第2の実施形態では、第2の部分は、第1の方向に沿って延びている細片として形成され、第1の側と第2の側との間に位置付けられる。第2の部分は、第1の方向に沿って第1の端部と第2の端部との間に延びている長さを有する。第2の部分は、この配置では、随意に、第1の側と第2の側との間でそれらから等距離にある。
【0095】
透過物流体の第2の部分(第2の部分1406を貫通する給送物流体によって発生させられる透過物流体の一部である)は、矢印1407に従って、第1および第2の側1403、1404に向かって流動する(すなわち、透過物流体1407の第2の部分の一部は、第1の側1403に向かって流動し、透過物流体1407の第2の部分の第2の部分は、第2の側1404に向かって流動する)。典型的に、透過物流体の約半分は、左に、残り半分は、右に流動する。透過物流体1407の第2の部分は、膜シート1400の第1の部分1405を横断した分離によって発生させられる透過物流体の隣接する部分より低い濃度の透過する微量成分を有する。透過物流体1407の第2の部分は、矢印1462で標識された透過物流体の隣接する部分と混合し、それは、矢印1462で標識された透過物流体中の微量成分の濃度の希釈につながり、その結果、透過のための駆動力を増加させる。生成された混合流体は、同じ希釈効果を第2の部分1406からより離れた透過物流体1462の一部に及ぼし、したがって、膜の本領域内の透過のための駆動力の増加にもつながる。図13に関して上で議論されるように、駆動力のこの増加の全体的結果は、総透過物が、掃引効果を伴わないであろうものより著しく大きいことである。
【0096】
導管(図に示されない)が、膜シートの第1の側1303、1403に隣接し、それと流体連通するであろう。導管1409は、透過物流体を受け取るように構成された開口部/開口を備えている。導管内の開口部/開口の軸方向範囲は、第1の方向1350、1450における第2の部分1306、1406の軸方向範囲と同じである。導管は、第2の方向に沿って第2の部分1306から間隔を置かれる/そと反対側にあるであろう。
【0097】
図15(a)は、プレートおよびフレームモジュールとして形成される本発明の直交流膜モジュール1の斜視図である。図15(b)は、モジュール1の膜シート1500の平面図である。モジュール1は、筐体10を備えている。筐体10は、第1の方向に沿って第2の端部12から間隔を置かれた第1の端部11を備えている。筐体10は、第1の方向1550に対して横方向である第2の方向に沿って第2の側14から間隔を置かれた第1の側13を備えている。モジュール1は、積み重ねられた構成で配置された複数の膜シート1500と、給送スペーサ1540と、透過スペーサ1560とを備えている。隣接する膜シート1500間の各空間は、給送スペーサ1540または透過スペーサ1560のいずれかによって画定される。膜シート1500は、各膜シート1500の第1の主要表面が、給送スペーサ1540と接触し、各膜シート1500の第2の主要表面が、透過スペーサ1560と接触するように、交互する向きで配置される。給送スペーサ1540および透過スペーサ1560は、各膜シート1500間の流体の流動のための経路を画定する。膜シート1500は、特に、図14(b)-14(e)に示される構成の本願に議論されるもののいずれかであり得る。膜シート1500は、給送スペーサ1540の周囲で折り畳まれ、対の膜シートを形成し得、各対の膜シートに関して、第1の主要表面は、それらの間の給送スペーサ1540によって分離される。給送スペーサ1540の両側の第1の主要表面は、第1の主要表面に沿って、給送スペーサ1540を通して流体路を画定するように、その第2の側1504に沿ってシールされ得る。
【0098】
透過スペーサ1560は、各膜シート1500の第2の主要表面に隣接して提供される。透過スペーサ1560は、給送スペーサ1540の周囲で折り畳まれる各対の膜シート1500を後続の対の膜シート1500から分離する。各膜シート1500の第2の主要表面(透過物側)は、第2の主要表面に沿って、透過スペーサ1560を通して導管1509までの流体路を画定するように、その第2の側1504、第1の端部1501、および第2の端部1502に沿ってシールされ得る。シールは、例えば、テープ、シール流体、熱シール、Oリング、またはシール層で達成され得る。第2の主要表面1503の第1の側は、開放され(すなわち、シールされず)、導管1509と流動的に接続する。
【0099】
図15(a)に示される配置では、給送スペーサ1540および透過スペーサ1560は、波形にされる。波形給送スペーサ1540は、隆起の縦方向が第1の方向と平行に延びているように配置される。隆起は、流動経路を画定し、それによって、流動を第1の方向に沿って方向付ける。波形透過スペーサ1560は、隆起の縦方向が第2の方向と平行に延びているように配置される。隆起は、流動経路を画定し、それによって、流動を第2の方向に沿って方向付ける。
【0100】
膜シート1500が給送スペーサ1540の周囲で折り畳まれる配置は、膜エンベロープであると考えられ得る。一連の膜エンベロープが、生成され、次いで、透過スペーサ1560と交互配置されるように、一方を他方の上に層状にされ得る。50~100程度の数のエンベロープが、筐体10内に含まれ得る。
【0101】
入口15が、筐体10の第1の端部11に提供され、出口16が、筐体10の第2の端部12に提供される。入口15は、膜シート1500の各々の第1の主要表面(給送物側)の第1の端部1501と流体連通する。出口16は、膜シート1600の各々の第1の主要表面(給送物側)の第2の端部1602と流体連通する。ダクトが、膜シート1500の各々の第1の主要表面とともに、入口15と出口16との間の流体連通を達成するために採用され得る。ダクトは、給送スペーサ1540および透過スペーサ1560によって画定された流体路の内部構成が見えるように、この図面には示されない。
【0102】
配置全体は、大きな書籍のような一般的形態を有する。図15(a)に示される実施形態では、導管1509、入口15、および出口16は、筐体の外面上に位置付けられ、入口15は、第1の端部11の近位にあり、出口は、第2の端部12の近位にあり、導管は、第1の側の近位にある。導管は、第1の端部11と第2の端部12との間に等距離で間隔を置かれる。これは、典型的に、3ポートモジュールであると考えられる。
【0103】
使用時、給送物流体は、膜シート1500の1つの主要表面に沿って、入口15から出口16に向かって、第1の方向1550に沿って隣接する膜シート1500間の給送スペーサ1540によって画定された流体路を介して(すなわち、給送スペーサ1540を通して)、通る。給送物流体の一部は、それぞれの膜シート1500を通して透過し、透過物流体と称される。透過物流体は、給送物流体から反対側の主要表面(すなわち、第2の主要表面)に沿って移動する。透過物流体の第1の部分は、膜シート1500の第1の部分1505を通り抜ける給送物流体によって発生させられ、透過物流体の第2の部分は、膜シート1500の第2の部分1506を通り抜ける給送物流体によって発生させられる。第2の部分1506は、第1の部分1505より高い主要成分のための透過率を有し、したがって、透過物流体の第2の部分は、主要成分のより高い濃度を有する。第2の部分は、第1の端部11に向かって移動する。第2の部分は、したがって、透過物流体の第1の部分中の微量成分の濃度を希釈し(すなわち、掃引効果)、それによって、膜シート1500を横断した分離のための駆動力を増加させる。導管1509は、膜の第1の側1503に隣接する。各膜シート1500の第2の主要表面の第1の側1503は、導管1509に隣接する膜シート1500の開放縁である。換言すると、各膜シートの第2の主要表面の第1の側1503は、シールされない。各膜シートの第2の主要表面の第1および第2の端部は、例えば、テープまたはシール流体でシールされ得る。導管1509は、開口/開口部を介して、透過物流体を受け取り、透過物流体をモジュール1から出力する。
【0104】
図15(b)に示されるように、膜シート1500は、第2の部分1506が、第2の側によって形成される外縁に沿って延びているように構成され得る。第2の部分1506は、第2の方向に沿って第1の側から間隔を置かれる。第2の部分1506は、第2の側の全長にわたって延びている。第2の部分1506は、第1の方向に沿って延びているその長さを有する細片として形成される。
【0105】
図16(a)および16(b)は、本発明に従って形成されるプレートおよびフレームモジュール2の簡略化された斜視図である。図16(a)(i)および16(b)(i)は、モジュールにおける膜シート1600のうちの1つの構成を例証するための図16(a)および(b)のモジュールのある区分の平面図である。図16(a)および(b)に示されるモジュールでは、複数の膜シート1600が、給送スペーサ1640および透過スペーサ1660をそれらの間に伴って、互いの上に積み重ねられる。特に、給送スペーサ1640は、膜シート1600が、図12および13に関して議論されるように、折り畳み部の両側にあるように、膜の折り畳み部内に設置され得る。給送スペーサ1640をそれらの間に有する50~100対程度の数の膜シート1600が、筐体20内に含まれ得る。給送スペーサ1640および透過スペーサ1660は、図15に関して議論されるように構成されている。
【0106】
筐体20は、図16(a)および16(b)では、円柱として形成される。筐体は、第1の方向1650に沿ってその第1の端部21から間隔を置かれたその第2の端部22と、第1の方向に対して横方向である第2の方向に沿ってその第1の側23から間隔を置かれたその第2の側24とを有する。入口25が、筐体20の第1の端部21に提供され、出口26が、筐体20の第2の端部22に提供される。入口25は、膜シート1600の各々の第1の端部1601と流体連通する。出口26は、膜シート1500の各々の第2の端部1602と流体連通する。
【0107】
図16(a)に示される実施形態では、図16(a)(i)に示されるように、その中の膜シートは、上で議論されている図13に示されるように、構成されている。上で議論されるように、膜シート1600の各々は、膜シート1600の第2の側1604によって形成される外縁に沿って延びている第2の部分1606を有する。導管1609が、筐体20の第1の側23に提供される。導管1609は、膜シート600の各々の第1の側1603に隣接する。導管1609は、透過物流体の受け取りのための開口部/開口を有する。
【0108】
図16(a)に示される実施形態では、膜シート1600の各々の第1の主要表面は、その第1および第2の側1603、1604に沿ってシールされ、第1の主要表面に沿って、給送スペーサ(図示せず)を通して、入口25から出口26までの流体路を画定するであろう。膜シート1600の各々の第2の主要表面は、その第1の端部1601、第2の端部1602、および第2の側1604に沿ってシールされ、透過スペーサ(図示せず)を通して、第2の主要表面に沿って、導管1609までの流体路を画定するであろう。第2の主要表面の第1の側1603は、開放され(すなわち、シールされず)、導管1509と流動的に接続する。
【0109】
図16(b)に示される実施形態では、図16(a)(i)に示されるように、その中の膜シートは、上で議論されている図13に示されるように、構成されている。上で議論されるように、膜シート1600の各々は、第1および第2の側1603、1604の両方から間隔を置かれた第2の部分1606を有する。第2の部分1606は、膜シートの第1および第2の端部1601、1602間に第1の方向に沿って延びている細片として形成される。第2の部分1606は、である第1および第2の側1603、1604間にほぼ等距離で間隔を置かれる。
【0110】
本実施形態では、2つの導管が存在する。第1の導管1609は、第1および第2の導管1609、1609’が第2の方向に沿って間隔を置かれるように、筐体20の第1の側1603に提供され、第2の導管1609’は、筐体24の第2の側に提供される。第1の導管1609は、膜シート1600の第1の側1603に隣接し、それと流体連通し、第2の導管1609’は、膜シート1600の第2の側1604に隣接し、それと流体連通する。第1および第2の導管1609、1609’の両方は、透過物流体の受け取りのための開口部/開口を有する。
【0111】
図16(b)に示される実施形態では、膜シート1600の各々の第1の主要表面は、その第1および第2の側1603、1604に沿ってシールされ、第1の主要表面に沿って、給送スペーサ(図示せず)を通して、入口25から出口26までの流体路を画定するであろう。膜シート1600の各々の第2の主要表面は、その第1の端部1601および第2の端部1602に沿ってシールされ、透過スペーサ(図示せず)を通して、第2の主要表面に沿って、第1および第2の導管1609、1609’までの流体路を画定するであろう。第2の主要表面の第1の側1603および第2の側1604は、開放され(すなわち、シールされず)、それぞれ、第1の導管1509および第2の導管1609’と流動的に接続する。
【0112】
図16(b)に示される実施形態に関して、使用時、給送物流体は、膜シート1600の第1の主要表面に沿って、入口25から出口26に向かって、第1の方向1650に沿って隣接する膜シート1600間の給送スペーサ(図示せず)によって画定された流体路を介して、通る。各膜シート1600の第1の主要表面の第1および第2の側1603、1604は、シールされ、第1の主要表面に沿った給送物流体および残留物流体のための流体路を流動的にシールする。給送物流体の一部は、それぞれの膜シート1600を通して透過し、透過物流体と称される。透過物流体は、膜シート1600の第2の主要表面(すなわち、それに沿って給送および残留物流体が流動する主要表面と反対側の膜シート1600の主要表面)に沿って移動する。透過物流体の第1の部分は、膜シートの第1の部分1605を通り抜ける給送物流体によって発生させられ、透過物流体の第2の部分は、膜シート1600の第2の部分1606を通り抜ける給送物流体によって発生させられる。第2の部分1606は、第1の部分1605より高い主要成分のための透過率を有し、したがって、透過物流体の第2の部分は、主要成分のより高い濃度を有する。矢印1607によって示されるように、透過物流体の第2の部分の約半分は、第1の側23に向かって移動し、透過物流の第2の部分の残り半分は、第2の側24に向かって移動する。透過物流体の第2の部分は、したがって、透過物流体の第1の部分中の微量成分の濃度を希釈し(すなわち、掃引効果)、それによって、膜シート1600を横断した分離のための駆動力を増加させる。上で議論されるように、各膜シート1600の第2の主要表面の第1および第2の側1603、1604は、膜シート1600の第2の主要表面の第1および第2の側1603、1604が導管1609と流体連通するように開放される。各膜シート1600の第2の主要表面の第1および第2の端部1601、1602は、テープまたは接着剤でシールされ、透過物流体のための透過スペーサ(図示せず)によって画定された流体路をシールし得る。導管1609、1609’は、透過物流体を受け取り、透過物流体をモジュール2から出力する。
【0113】
図17(a)-(d)は、渦巻状に巻きつけられたモジュールとして形成される本発明の直交流膜モジュールを描写する。図17(a)および(b)は、モジュール3の分解図である。そのようなモジュールは、ガス分離および透過気化法用途のために非常に有用である。この配置では、膜シート1700は、分解図に起因して図示されないが、導管1709の周りに巻きつけられ、第1の方向と垂直な渦巻を画定するであろう。しかしながら、この分解図では、膜シート1700は、巻きつけられていない状態に示される。膜シート1700の間の給送スペーサ1740および透過スペーサ1760の存在に起因して、各膜シート1700間に流体流動のための空間が存在する。膜シート1700は、給送スペーサ1740を覆って折り畳まれ、一対の膜シートを形成し得、各膜シートの第1の主要表面は、給送スペーサ1740に隣接する。換言すると、各膜シートの第1の主要表面は、互いに面し、それらの間の給送スペーサ1740によって間隔を置かれる。対の膜シートは、透過スペーサ1760によって、隣接する対の膜シートから分離され得、各透過スペーサ1760は、膜シート1700の第2の主要表面に隣接する。各膜シートの第1の主要表面は、その第1の側1703および第2の側1704に沿ってシールされ、第1の主要表面に沿って、給送物流体および残留物流体のための流体路を画定し得る。この配置では、第1の側1703に沿ったシールは、対の膜シート1700の各々の第1の側1703間の折り畳み部によって提供される。各膜シート1700の第2の主要表面は、その第1の端部1701、第2の端部1702、および第2の側1704に沿ってシールされ、第2の主要表面に沿って、透過物流体のための流体路を画定し得る。図17(b)は、より多くの膜シート1700、給送スペーサ1740、および透過スペーサ1760が存在するので、17(a)と異なる。給送スペーサ1740は、流体の流動を第1の方向に方向付けるように構成されている。透過スペーサ1760は、流体の流動を第2の方向に方向付けるように構成されている。スペーサによる流体の流動の方向は、異なる透過性を異なる方向に有する材料のスペーサを形成することによって達成される。透過性におけるこの差異は、スペーサを形成するために使用される材料内の繊維の織方によって達成される。給送スペーサは、高透過方向(すなわち、低流動抵抗)が第1の方向と平行であるように向けられる。透過スペーサは、高透過エリア(すなわち、低流動抵抗)が第2の方向と平行であるように向けられる。
【0114】
導管1709は、第1の方向1750に沿って延びている中心管である。中心管1709は、円筒形表面1770と、管腔をそれらの間に画定する第1および第2の終端端部1771、1772とを備えている。中心管は、開口部1773を円筒形表面内に備えている。開口部は、給送物流体から分離された透過物流体を受け取るように構成されている。開口部は、膜シート1700の第1の側1703と流体連通する。開口部1773は、膜シートの第2の部分1706と整列させられる。
【0115】
導管1709は、1つ以上の開口部によって受け取られた透過物流体を出力するように構成された出口1774をさらに備え、出口は、中心管の第1または第2の終端端部1771、1772にある。出口は、随意に、図17における中心管1771の第1の終端端部に示される。
【0116】
導管1709内の開口部/開口1773は、第1の方向1750に沿って間隔を置かれる。導管1709内の開口部/開口1773の軸方向範囲は、膜シート1700の第2の部分1706の軸方向範囲と重複する。特に、導管内の開口部/開口1773の軸方向範囲は、膜シート1700の第2の部分1706の軸方向範囲と同じである。開口部/開口1773の軸方向範囲および第2の部分1706の軸方向範囲は、第1の方向1750における膜シート1700の長さと同じであり得る。典型的に、導管1709は、導管1709の軸方向範囲全体にわたって開口部を有し、それは、第1の方向1750における膜シート1700の長さに延びている。
【0117】
第2の部分1706は、細片として形成される。第2の部分1706は、第1の側1703から間隔を置かれる。第2の部分1706は、膜シートの第2の側1704によって形成される外縁全体に沿って延びている。換言すると、第2の部分1706は、第2の方向に沿って導管1709と反対側にある。
【0118】
図17(c)は、渦巻状に巻きつけられたモジュールとして構成される本発明の直交流膜モジュール3の部分的に巻きつけられたバージョンを示す。図17(d)は、渦巻状に巻きつけられたモジュールとして構成される本発明の直交流膜モジュール3の巻きつけられたバージョンの断面を示す。筐体は、示されない。導管1709は、第1の方向1750に沿って延びている中心管である。膜シート1700は、1つ以上の膜シートの第1の側1703が第2の側1704より中心管1709に近くなるように、第1の方向1750と垂直な渦巻を画定するように、中心管1709の周りに巻きつけられる。
【0119】
使用時(すなわち、膜シート1700が、導管/中心管1709の周りに巻きつけられ、渦巻を形成すると)、給送物流体は、第1の端部1701において、モジュール3に進入し、第1の主要表面に沿って、すなわち、破線矢印200によって示されるように、第1の端部1701から第2の端部1702までの膜シート1700間の給送スペーサ1740によって画定された空間内に通過する。給送物流体は、各膜シート1700を横断して分離され、膜シート1700を通り抜ける部分は、透過物流体である。透過物流体は、膜シート1700の第1の主要表面と反対側にある各膜シート1700の第2の主要表面に沿って(すなわち、透過スペーサ1760によって画定された空間内を)移動する。透過物流体の移動の方向は、図17(c)における矢印220によって示される。残留物流体は、各膜シート1700の第1の主要表面に沿って通過し、したがって、矢印200と同じ経路を辿る。換言すると、残留物流体は、給送物流体と同じ主要表面に沿って通過し、透過物流体は、反対主要表面に沿って通過する。透過物流体の第2の部分の流動は、矢印220によって示されるように、第2の側1704の第2の部分から、第1の側1703上の導管1709内の開口部/開口1773へであり、したがって、第2の側1704から第1の側1703への方向である(すなわち、透過物流体の流動は、給送物流体および残留物流体の流動に対して横方向にある)(すなわち、第1の方向1750に対して横方向である)。したがって、透過物流体の第2の部分は、透過物流体の第1の部分を希釈する。この希釈は、膜シート1700を横断した分離のための駆動力を増加させる。図17(c)では、膜シートの一部は、下方の給送スペーサ1740を示すために、図から隠されている。この図に示されるように、給送スペーサ1740および透過スペーサ1760は、膜シート1700とほぼ同じ長さおよび幅を有する。
【0120】
第1の端部1701からの渦巻状に巻きつけられた直交流モジュールの断面図が、図17(d)に示される。この図から分かるように、給送スペーサ1740は、膜シート1700の第1の主要表面に沿って、給送物流体および残留物流体の移動のための流体路を画定する空間を提供する。透過スペーサ1760は、膜シート1700の第2の主要表面に沿って、透過物流体の移動のための流体路を画定する空間を提供する。換言すると、給送物流体および残留物流体は、給送スペーサ1740を通して流動し、透過物流体は、透過スペーサ1760を通して流動する。矢印は、膜シートに沿った、中心管/導管1709に向かって、かつその中に内向きに渦巻状の透過物流体の移動を示す。
【0121】
図17(a)は、給送スペーサ1740の周りに巻きつけられる膜シート1700を示す。スペーサ1740の周りに巻きつけられる膜シート1700は、膜エンベロープであると考えられ得る。産業用の渦巻状に巻きつけられたモジュールでは、多くの膜エンベロープが、図17(b)に示されるように、使用される。生成プロセスでは、導管1709は、回転させられ、膜シート1700を導管1709の周りに巻きつけ、それが回転するにつれて、エポキシ糊等のシーラントが、膜シート1700の第2の主要表面の第1の端部1701および第2の端部1702に沿って適用される。膜シート1700が、導管1709の周りに巻きつけられると、シーラントは、膜シート1700の第1および第2の主要表面の第2の側1704にも沿って適用される。シーラントは、膜シート1700の表面に沿って、給送物流体のための流動経路を透過物流体のための流動経路から分離するシールを形成する。シーラントは、透過スペーサ1760の第1および第2の端部と、給送および透過スペーサ1740、1760の第2の側とにも適用され得る。図17(b)に最良に示されるように、渦巻状に巻きつけられたモジュールの外側層(図17(b)におけるスタックの底部層に示される)を形成する透過スペーサ1760は、第1の方向に他の透過スペーサ1760および給送スペーサ1740より長く、導管1709に取り付けられる。導管1709が、回転させられるにつれて、膜シート1700、透過スペーサ1740、および1760は、導管1709の周りに巻きつけられる。渦巻状に巻きつけられたモジュールの内側層(図17(b)におけるスタックの上部に示される)を形成する透過スペーサ1760は、透過スペーサ1760にシールされ、外側層を形成する。
【0122】
(本発明を例証するための実施例)
いくつかの実施例が、種々のプロセスに対する本発明の用途を例証するために、下記に与えられる。これらの計算は、微分要素コンピュータプログラムを使用することによって行われる。
【0123】
(実施例1:膜性能への透過直交流掃引流の効果)
図18(b)は、図18(a)に示されるように構成された1mの膜シート1800を用いて取得される計算された性能を示し、膜シート1800は、上で説明された図13に示されるそれと同じである。膜シート1800は、第1の方向1850に沿って間隔を置かれた第1および第2の端部1801、1802と、第1の方向1850に対して横方向である第2の方向に沿って間隔を置かれた第1および第2の側1803、1804とを有する。第2の部分1806は、選択的膜から形成されるが、第1の部分1805より高い主要成分のための透過率を有する。第2の部分1806は、第2の側1804によって形成される外縁に沿って延びている。第2の部分1806は、第1の方向1850に延びているその長さを有する細片である。膜シート1800の残りは、第2の部分1806より低い主要成分のための透過率を有する選択的膜から形成される第1の部分1805である。給送物流体の流動は、第1の方向1850に沿って、第1の端部1801から第2の端部1802へである。透過物流体の流動は、第2の方向に沿っている(すなわち、横方向、具体的に、給送物流体の流動と垂直である)。給送物流体および残留物流体は、第1の主要表面に沿って流動する。透過物流体は、第1の主要表面と反対側にある第2の主要表面に沿って流動する。
【0124】
第2の部分は、4,800gpuのCO透過率と、600gpuのN透過率と(8のCO/N選択率)を伴うシリコーンゴム(PDMS)から作製される薄膜である。第1の部分は、1,800gpuのCO透過率と、60gpuのN透過率と(30のCO/N選択率)を伴うMembrane Technology and Research,Inc.(MTR)製のPolaris CO/N選択的膜である。この例では、第2の部分1806のN透過率(高透過細片)は、第1の部分1805(膜シートの残り)のN透過率より10倍大きい。
【0125】
これらの計算は、プロセスの微分要素コンピュータシミュレーションを使用して実施された。
【0126】
この例の組では、膜シート1800の第2の部分1806の面積は、0~30%まで変動させられる。計算された性能は、下記の表1に示される。第2の部分のエリアが、ゼロに設定されると、膜は、1.0mの面積を伴う単純Polaris直交流モジュールとして性能を発揮する。この直交流モジュールの給送物流量が、0.76scfmに設定される場合、膜は、6.0%COを含む処理された残留ガスを生成し、透過ガスは、38.8%COを含む。
【表1】
【0127】
上記の表1に示される例に関するデータは、図18に示される。菱形形状の点を伴う上側線は、第2の部分1806の面積に伴う透過CO濃度の変動を示す。正方形形状の点を伴う下側線は、第2の部分1806の面積に伴う給送物流量の変動を示す。第2の部分の面積が0%から増加させられると、透過CO濃度が減少するであろうことが予期された。しかしながら、第2の部分1806の面積が、膜シート1800の総面積の1%~14%であるとき、透過CO濃度は、驚くべきことに、実際に、第2の部分1806を伴わない(すなわち、掃引効果を伴わない)ものを上回る。故に、膜シートの性能は、驚くべきことに、膜シート1800の総面積の1%~14%の面積を有する第2の部分1806を提供することによって改良される。掃引効果に起因する膜性能における最大改良は、第2の部分1806が膜シート1800の総面積の約4%であるときに達成される。
【0128】
第2の部分1806が、膜シート1800の総面積の4%であるとき、給送ガスの流量は、1.13scfmまでほぼ50%増加させられ得、透過CO濃度も、38.8%COから40.9%まで増加する。膜シートは、依然として、6%COを処理された残留ガス中に生成する。
【0129】
第2の部分1806の面積が、膜シート1800の総面積の14%であるとき、給送ガスの流量は、約1.7scfmまで増加させられ得、それは、第2の部分1806を伴わない(すなわち、掃引効果を伴わない)膜シートに関する給送ガスの流量の2倍を上回り、透過CO濃度は、依然として、38.8%に維持される。膜シートは、依然として、6%COを処理されたガス中に生成する。
【0130】
第2の部分1806の面積が、膜シート1800の総面積の30%まで増加させられると、給送ガスの流量は、約2.24scfmまで増加させられ得、それは、第2の部分1806を伴わない(すなわち、掃引効果を伴わない)膜シートに関する給送ガスの流量のほぼ3倍であり、透過CO濃度は、依然として、34.53%で十分である。膜シートは、依然として、6%COを処理されたガス中に生成する。
【0131】
したがって、掃引効果を発生させる第2の部分1806を提供することによって、同じ透過物濃度を有するプロセスは、2倍を上回る流量で行われることができる。これは、膜シートの総面積が半分未満まで低減させられ得ることを意味する。流量を増加させることは、したがって、これがより効率的膜モジュールを提供し、それが、次に、同じ/類似分離を達成しながら、より小さい膜シートが使用されることを可能にするので、望ましい。
【0132】
したがって、図18は、対向流掃引モジュールと異なる我々の直交流掃引モジュールの特性特徴を示す。対向流掃引モジュールでは、掃引の使用は、透過のための駆動力を変化させることによって、膜流束のかなりの増加を生成することができるが、最終透過物における透過する成分の濃度は、常時、減少する。プロセス開発者は、膜流束における改良を透過物濃度における減少と釣り合わせることによって、必要とされる掃引の量を選定する。その一方、我々の発明では、掃引が使用されるときの透過物濃度の初期増加と、透過物流束の増加とが存在する。実際、この直交流モジュールでは、透過する成分の濃度は、第2の部分の面積が総面積の1%~14%であるときに、増加する。掃引の流動が、増加させられる場合、流束は、増加し続け、透過物濃度は、増加し、次いで、水平となり、最後に、降下し始める。第2の部分の面積が総面積の0%である点と、第2の部分の面積が総面積の14%である点(すなわち、掃引がゼロである点(100%直交流ケース)と、掃引が透過物濃度を100%直交流透過CO濃度値に戻らせるために十分に大きい点)との間の領域は、掃引流のための好ましい動作領域である。この領域内の全ての点において、掃引効果は、掃引効果を伴わない単純直交流モジュールのそれを上回って、微量成分の流束および透過物の濃度の両方を上昇させる。この動作領域では、対向流掃引動作を用いて生じる膜流束と透過物濃度との間のトレードオフは、生じない。
【0133】
第2の部分の面積が、総面積の12%まで増加させられる場合、流量は、初期ガス流の2倍を上回る、1.58scfmまでさらに増加させられ得る一方、膜は、依然として、6%COを処理されたガス中に生成し、透過CO濃度は、依然として、掃引を伴わずに取得される値を超える。これらの結果は、内部透過掃引の使用によってもたらされる分離性能における非常に大きい改良を示す。
【0134】
(実施例2)
上記の例1における内部透過掃引効果は、約8のCO/N透過率を有するPDMS膜から形成される第2の部分によってもたらされた。我々の発明は、第2の部分に関する膜タイプに限定されない。膜シートの第2の部分の要求される重要な特性は、ガスの高流束を比較的に小掃引膜面積(掃引膜面積は、第2の部分の面積)から生成するように、膜シートの第1の部分(主要部分)より低い選択率と、給送ガス混合物のためのより高い透過率とを有することである。第2の部分が、実施されている分離のために選択的でもある場合、それは、有益であるが、要求されない。
【0135】
表2は、例1と同じ構成であるが、第2の部分1806の面積が総膜面積の12%に固定されているという点で異なる膜の計算された性能を示す。第2の部分1806(掃引エリア)のN透過率は、再び、例1における第1の部分1805(主要面積)の値の10倍に固定されるが、第2の部分1806のCO透過率は、変動させられ、第2の部分1806の膜選択率を変化させる。表2における第1の行の計算は、膜シート1800の第2の部分1806が、4,800gpuのCO透過率および8のCO/N選択率のPDMS性質を有するときの膜性能を示す。他の行は、第2の部分のCO/N選択率を8から1の選択率を伴う完全に非選択的膜に低減させることの影響を示す。第2の部分の選択率を低減させることは、透過ガス中のCO濃度を低減させ、モジュールが分離し得るガスの体積に及ぼされる掃引の効果を低減させるが、取得される全体的結果は、依然として、非常に良好である。
【表2】
【0136】
上記の表2に示される例に関する掃引効果を伴わない100%直交流モジュールに対する膜モジュール流束に対してプロットされたCO濃度のプロットが、図19に示される。軸上に標識された点は、第2の部分を伴わない(すなわち、掃引エリアを伴わない)、100%直交流モジュールの性能を示す。このモジュールは、38.8%COの濃度を伴う透過を生成する。膜流束およびCO透過物濃度の変化が、8、4、2、および1のCO/N選択率を伴う膜に関してプロットされる。8の濃度選択率でマークされたケースは、表2に示される濃度曲線と同じである。他の曲線は、異なる選択率における透過物濃度を示す。図上に示される4つの点は、表2に示される計算に関するデータ点であり、第2の部分の面積は、総面積の12%に固定された。
【0137】
図19は、図18におけるように、透過物濃度が、最初に、増加させられた掃引流に伴って増加し、次いで、減ることを示す。この予期しない結果は、直交流モジュール内の掃引によって生成され、結果として、図19におけるAと標識されたエリアは、最も好ましい性能領域を表す。この領域では、膜流束は、100%直交流データより最大2倍高いが、CO濃度は、直交流無掃引モジュールのそれを上回る。
【0138】
(実施例3)
変化し得る別の性能変数は、膜シート1800を横断する圧力比である。例1および2では、圧力比は、5.5(1.1バール/0.2バール)に設定され、使用される膜は、30の選択率を伴うMTRのPolaris膜である。これらの計算の条件下、Polaris膜は、モジュール全体を通して圧力比限定制御領域内にある。掃引効果を伴わない場合、モジュールの給送端における最大透過物濃度は、式5によって、66%CO(12%CO×1.1バール/0.2バール)として、透過端では、33%CO(6%CO×1.1バール/0.2バール)として与えられる。透過圧力が、0.1バールまで低減させられると、モジュールの第1の端部1801は、圧力比領域の外側にあり、モジュールは、CO給送ガスがモジュールを通して流動すると、圧力比領域の外側から内側に遷移し、COは、除去され、ガス中のCOの濃度は、落ちる。モジュールの第2の端部で、ガスは、圧力比制御領域(6%CO×1.1バール/0.1バール)内にある。
【0139】
透過圧力が、0.05バールまで低減させられると、圧力比は、22となり、膜モジュールは、モジュール全体を通して、圧力比領域の外側である。表3は、全て同じ第2の部分を用いて、すなわち、第2の部分の面積が、膜シートの総面積の12%である、圧力比に対するこれらの変化の膜性能への効果を図示する。圧力比が、増加するにつれて、モジュールは、圧力比制御領域から離れるようにさらに遠くに移動し、掃引によって生成される流束の増加は、より小さくなる。しかしながら、22の圧力比でさえ、モジュール全体が、圧力比制御領域の外側になると、膜シートを通した流束の有用な増加が、取得される。
【表3】
【0140】
(実施例4)
上で説明される例1-3では、本発明は、CO/Nに関して選択的膜を使用して例証されているが、我々の発明は、様々なガス分離および透過気化法問題に適用されることができる。表4は、例えば、ヘリウムを天然ガスから分離するための膜プロセスのために実施されるいくつかの計算を示す。いくつかの天然ガス流は、小量のヘリウムを含む。ガスを分離することは、ヘリウムが、供給不足であり、非常に貴重であるので、価値がある。極低温凝縮および分留が、通常、使用される。これらのプロセスのコストは、ヘリウム濃度が、増加させられ得、したがって、膜分離ユニットが、ヘリウム前置凝縮器として使用される場合、大きく低減させられることができる。
【0141】
表4は、典型的分離問題を示す。天然ガス(主に、メタン)は、高圧にあり、1%ヘリウムを含む。100の範囲内の高ヘリウム/メタン選択率を有するいくつかの膜が、公知である。分離の目的は、ヘリウムの90%を低圧(4バール)透過物流の中に除去すること、すなわち、25の圧力比にすることである。モジュール全体が、優に、圧力比限定領域内にある。1,000gpuのヘリウム透過率と、100gpuのメタン透過率とを有する第2の部分(掃引エリア)を有する膜が、使用される。この例では、第2の部分は、第1の部分の透過率の20倍のCH透過率を有する。
【0142】
表4における第1の行は、第2の部分を伴わない(すなわち、掃引エリアを伴わない)、単純直交流モジュールの性能を示す。透過は、7.95%ヘリウムを含み、1mモジュールは、7.3scfmの給送ガスを処理することができる。透過掃引を使用する効果は、顕著である。透過ヘリウム濃度は、8.0%ヘリウムから9.7%まで20%増加し、より重要なこととして、同じ1m膜モジュールは、はるかに多くのガスを処理することができる。
【表4】
【0143】
(実施例5)
本発明が有用な結果を提供する別の例は、天然ガス処理工場におけるメタンからの軽炭化水素の分離、または石油化学工場における窒素からの軽炭化水素の分離である。表5は、典型的用途、この場合、ポリオレフィン工場における窒素からのブタンの分離を図示する。給送ガスは、20バールにおける窒素中5%ブタンである。透過ガスは、3バールにある。この実験の条件下では、膜モジュール全体が、圧力比限定領域内にある。この分離のために通常使用されるゴム膜は、典型的に、約15のブタン/窒素のための選択率を有する。使用される膜シートの第2の部分(掃引エリア)は、8のブタン/窒素のための選択率と、125gpuの窒素透過率とを有し、したがって、窒素に対する第2の部分の透過率は、第1の部分の透過率の2倍をわずかにのみ上回る。これらのタイプの機器の設計者は、そのプロセスの要件に応じて、最適掃引エリアを選定するであろう。
【表5】
【0144】
(実施例6)
本発明が有用な結果を生成する別の例は、バイオエタノールの生成において広く使用されるプロセスであるエタノールを脱水するための透過気化法である。モジュールの性能は、表6に示される。給送物は、100℃における、90重量%エタノールと、10重量%HOとである。第1の部分は、2,500gpuの水透過率と、500の選択率とを有する。第2の部分は、50の選択率と、5,000gpuのHO透過率とを有する。第2の部分の面積は、膜シートの総面積の0%(単純直交流モジュール)から10%まで増加させられる。掃引エリアが、約5~6%を下回ると、膜は、単純直交流ケース(掃引なし)と同じまたはより優れた透過を生成するが、膜は、単純直交流モジュール(すなわち、掃引効果を伴わない)の流束の最大2倍を有する。
【表6】
【0145】
上記に記載のデータは、図18(a)に示される構成に関するが、このデータによって実証された利点は、本明細書に説明される本発明の膜シートのための他の構成にも等しく適用されることを理解されたい。
【0146】
上記から、このプロセスは、いくつかの透過気化法およびガス分離用途に適用され得ることが明白であろう。例として、これらのうちのいくつかが、下記の表7に列挙される。
【表7】
【0147】
(本発明を理解するために有用な情報)
現在公知の3つの一般的膜モジュール構成が、図1に示される。示される設計では、給送物流体は、膜表面に沿って、左から右に流動する。給送物流体の一部は、膜を通して透過し、透過物流体を形成する。構成は、流体が出口に移動するにつれて、給送物流体に対する透過物流体の流動方向において異なる。対向流モジュールでは、透過物流体は、膜の他の側では、給送物流体の流動と反対の右から左に流動する。直交流モジュールでは、透過物流体は、給送物流体流動に対して直角に流動する。並行流モジュールでは、透過物流体は、給送物流体と同じ方向に流動する。
【0148】
一般に、同じ膜を使用するとき、取得される分離および分離を実施するために要求される膜面積は、以下の順序において、3つの構成に関して異なり、対向流は、直交流より良好であって、直交流は、並行流より良好である。多くの用途では、3つの異なるモジュール設計に関する、同じ膜を用いて取得される分離性能は、小さいが、その他では、特に、下記に説明されるように、膜分離が、圧力比限定されるとき、差異は、大きい。この結果は、対向流モジュールが好ましいモジュール構成であることを示唆する。しかしながら、対向流モジュールは、直交流モジュールより作製することが機械的に困難である。この問題に関する種々の研究が、説明されているが、広く採用されておらず、したがって、直交流モジュールが、ガス分離および透過気化法用途の多くで(おそらく、大部分において)使用されている。並行流モジュールは、稀にのみ使用されている。これらの問題は、多くの膜文献、例えば、Baker,R.W.,Membrane Technology and Applications,3rd Edition,(2012),John Wiley and Sonsの第3、4、8、および9章において議論されている。
【0149】
続く議論では、我々は、大部分に関して、簡単のために、ガス透過例を使用することによって、我々の発明を例証するであろう。しかしながら、本発明の改良されたモジュールは、我々が後に示す透過気化法にも等しく適用可能である。
【0150】
図1に示される3つのモジュール構成の分離性能における差異は、駆動力問題である。膜の給送物側から膜の透過物側への成分の流動は、膜を横断した各成分の部分圧駆動力における差異に比例する。膜の給送物側にかかる部分圧は、ni0(モル濃度ni0、圧力p)であり、膜の透過物側では、nil(モル濃度nil、圧力p)である。したがって、部分圧駆動力は、以下によって与えられる。
【数1】
全ての他の影響が無い場合、膜の透過物側における任意の時点でのモル濃度は、膜を透過するガスの濃度によって決定される。しかし、透過物チャネルにおけるガス流構成に応じて、透過するガス濃度は、透過物チャネルの他の部分からのガスと混合することによって変化させられることができる。
【0151】
図1に示されるモジュール構成では、大部分の透過性成分の濃度は、ガスがモジュールを通して左から右に通過するにつれて、減少する。これは、膜を透過するガスの大部分の透過性成分の濃度も、膜に沿って、左から右に減少することを意味する。対向流モジュールでは、右から左への透過ガスの流動は、透過ガスと混合するガスが流入透過物を希釈し、大部分の透過性成分の濃度を低減させ、したがって、膜を横断する駆動力を増加させるので、有益な効果を透過物に及ぼす。並行流モジュールでは、透過物ガス流は、反対効果を有し、流入透過物と混合されると、透過物濃度を増加させる。これは、膜を横断した透過のための駆動力を減少させ、流束は、落ちる。直交流モジュールでは、透過物ガス流は、流入透過物と同じ濃度を有し、混合は、膜分離に影響を及ぼさない。
【0152】
異なるモジュール構成間の差異の大きさは、膜選択率(αi/j)、すなわち、成分iと成分jとの透過性の比率を含むいくつかの要因の関数である。
【数2】
同時に、膜を横断した圧力比は、以下のように記述される。
【数2-1】
また、膜の給送物側のより大きい透過性の成分のモル濃度は、ni0である。
【0153】
これらの効果を例証するための例として、図2に図示される分離を検討する。この例では、非常に少量の透過性ガスCOのみが、膜に沿って左から右に移動するとき、給送から除去される。これは、膜の透過物側のCOの濃度が、いずれの場所においてもほぼ同じであり、対向流、直交流、および並行流間の差異は、非常に小さいことを意味する。先に説明されたように、膜透過は、膜の透過物側の部分的圧力が給送物未満である(すなわち、以下である)場合にのみ生じる。
【数3】
この不等式は、以下のよう並べ替えられ得る。
【数4】
それは、透過する成分(CO)の富化が、常時、圧力比(給送圧力/透過圧力)未満であることを示す。それは、透過する成分(CO)の濃度が以下の式を上回ることは決してないということにもなる。
【数5】
図2における例に関して、それは、nilが、膜がどんなに選択的であっても、50%CO(ni0=10%COおよび
【数5-1】
)を上回ることができないことを意味する。この結果は、いくつかの含みを有し、第1に、透過物の少なくとも半分は、低速成分(N)でなければならず、特定の量の給送物流体を処理するために要求される膜面積を決定するものは、低速成分の透過である。膜の選択率が増加するにつれて、同じ量のCOを透過させるために要求される膜面積の量も、増加する。無限選択率の限界では、低速成分は、透過せず、故に、無限膜面積が、要求される。
【0154】
膜プロセスは、式5によって与えられる最大透過物濃度
【数5-2】
が、100%未満である場合、圧力比限定領域内に優にあると考えられる。この領域では、モジュール構成の効果は、概して、顕著である。差異は、加えて、膜選択率が、圧力比より大きい場合、さらにより著しく、膜選択率が、圧力比より2または3倍を上回って大きい場合、さらにより著しいであろう。これが、当てはまるとき、対向流膜モジュール、直交流膜モジュール、および並行流膜モジュール間の著しい差異が、生成される。圧力比の問題および膜分離に及ぼされるその効果のうちのいくつかは、Huang,et al.,Journal of Membrane Science,463,33(2014)によって詳細に議論されている。
【0155】
上で説明される圧力比限界を緩和するための1つの方法は、膜掃引を使用することである。これらのデバイスは、いくつかの標準的文献および特許に説明される。図3は、モジュールの性能を改良するために対向流膜モジュールに適用される種々の外部掃引分離プロセスの設計を示す。最初に、図3aに示される1プロセスを検討する。ガスまたは液体であり得る給送物流体(301)が、選択的膜(306)の表面を横断する一方、概して、給送物流の2~10%である掃引流体(304)が、膜の透過物側を横断して通される。透過のための駆動力が、部分的に膜を横断した圧力の差異によって発生させられるだけでなく、掃引によって発生させられる濃度(部分圧)差異によっても、発生させられる。このプロセスが効果的であるために、掃引流体(304)の流量が慎重に制御されることが必要である。このタイプの外部掃引流体を採用するプロセスは、例えば、米国特許第4,824,443号、第6,515,725号、第7,153,343号、および第8,246,718号に説明される。
【0156】
残留掃引プロセスと呼ばれる、代替タイプの外部掃引プロセスが、図3bおよび3cに図示される。図3bに示されるガス分離モジュールの場合、処理された残留物流体(318)の一部は、弁(320)を横断して拡張され、残留端において、モジュール(325)の透過物側に導入される。残留物流体(321)の量に依存する、分離の変化が、掃引として使用される。典型的に、残留物流体の約2~10%が、使用される。掃引流は、透過物流体を希釈し、膜を横断した給送物の透過成分の流動を増加させる。膜を通した流束は、増加するが、透過物濃度は、落ちる。図3cに示される透過気化法掃引は、残留物流(309)が、掃引として使用され得る前、蒸発器(313)によって蒸発させられる必要があることを除き、類似する。このタイプの外部掃引を採用するプロセスは、例えば、米国特許第5,444,540号および第5,205,842号に説明される。
【0157】
稀に使用されている、最終タイプの外部掃引流体発生方法は、図3dに示される。そのようなデバイスは、例えば、米国特許第5,383,956号に説明される。本デバイスでは、図3bに示される制御弁(320)または図3cに示される蒸発器(313)への制御弁(311)は、第2の膜ユニット(320)と置換される。ユニットからの透過物流体(322)は、次いで、主要分離モジュール(318)に送流され、対向流掃引効果をモジュールの透過物側に生成する。
【0158】
図3に示されるプロセス設計の全ては、モジュールの外部から発生させられる掃引流体流を使用する。流体は、次いで、モジュールの残留端において、膜の透過物側に送達され、対向流掃引効果を生成する。このタイプの配置に関する問題のうちの1つは、流体の制御された流動をモジュールの中に導入するために必要とされる配管および弁である。
【0159】
いくつかの試みが、外部掃引デバイスの欠点を克服するために行われている。2つのそのような試みが、Stookeyの米国特許第4,687,578号およびGiglia,et al.の米国特許第6,740,140号からの図4および5に図示されている。図4に図示される第’578号デバイスは、対向流中空ファイバモジュールデバイスであり、ファイバの一端は、選択的膜層でコーティングされていない。1つのファイバの拡大図が、図4aに示される。ファイバの大部分は、選択的層(401)でコーティングされるが、ファイバ(403)の端部部分は、コーティングされない。ファイバのこの部分は、選択率を有していないが、ファイバの主要部分よりはるかに高い透過率を有し、したがって、ここでは透過する給送物流体(409)は、残留掃引流体(409)の流動としての機能を果たすことができる。このように、残留掃引流体の内部で発生させられる対向流が、生成される。
【0160】
類似デバイスが、Giglia,et al.の米国特許第6,740,140号から得られた図5に示される。第’578号特許デバイスと同様、基部モジュールは、シェル側給送を伴う対向流中空ファイバモジュールである。給送物流体(502)が、モジュールの一端において進入し、中空ファイバ(505)間の空間内で左から右に流動する。残留パイプが、モジュールを通して延び、モジュール(509)の右端直前で終端する。給送物流体が、中空ファイバ間を流動するにつれて、一部が、ファイバ膜を透過し、ファイバの内側で左から右に進行し(給送物に対して対向流)、透過ポート(503)を通して退出する。中空ファイバ膜を透過しない給送物流体の大部分は、残留物収集パイプ(512)内の孔を通して除去される。残留物収集パイプの端部は、小オリフィス(511)によって穿孔されたプラグでシールされる。処理された残留物流体の一部は、このオリフィスを通して漏出し、次いで、ファイバ(514)の開放端に進入し、したがって、所望の残留物流体対向流掃引効果を生成することができる。内部掃引デバイスの使用は、第’140号および第’578号特許に説明されるタイプの非対向流中空ファイバデバイスに限定されている。内部掃引は、本願に説明されるタイプの平坦シートの渦巻状に巻きつけられたモジュールまたはプレートおよびフレームモジュールに適用されていない。我々は、本願に説明される設計を使用することによって、これらのデバイス内でも内部発生掃引の利点を取得することが可能であることを示すであろう。
【0161】
対向流モジュールを用いた制御された掃引の有益な効果を図示する2つの具体的な組の例が、図6および7に示される。図6の例では、10%COを含む5バールにおける1,000std m/時給送物流体が、10%外部掃引を伴う直交流、対向流、および並行流モジュールを用いて処理される。圧力比は、5であり、したがって、膜モジュール全体が、圧力比限定領域内にある。膜は、30のCO/N選択率も有する。これは、圧力比より6倍大きく、したがって、対向流および掃引は、実質的効果を有することが予期され、これが、当てはまる。対向流モジュールは、同じCO除去を達成し、直交流モジュールより著しく高い濃度の透過物を生成するために、36%より小さい膜面積を必要とする。残留物流体流からの追加の10%掃引を伴う対向流モジュールを使用することは、透過物濃度を低減させるが、分離を行うために必要とされる面積において、直交流モジュールよりさらに18%の低減を生成する。
【0162】
図7の例では、同じ組の例が、示されるが、差異として、給送圧力が、20バールに設定され、したがって、圧力比が、20である。結果として、対向流および掃引例は、直交流モジュール結果より良好であるが、効果は、あまり大きくない。これは、20の圧力比および10%の給送物濃度では、給送端における膜モジュールの一部が、圧力比限定領域の外側にあるからである。20の圧力比におけるモジュールの給送端では、式5は、透過物における最大理論値COが200%であり、したがって、モジュールの給送端が、圧力比限定面積の優に外側にあることを示す。モジュールの残留端では、給送物流体濃度は、わずか1%COであって、したがって、式5によって与えられる透過物における最大濃度は、次いで、20%であ、したがって、モジュールのこの部分は、圧力比限定領域内にある。モジュールは、給送物流体濃度が5%COであるとき、モジュール内の点において、圧力比制御領域に遷移する。モジュールは、部分的にのみ、圧力比限定領域内にあるので、対向流モジュールは、ここでは、11%より小さい膜面積のみを使用して、透過物濃度は、直交流結果を若干のみ上回る。対向流掃引モジュールも、より小さい面積を使用するが、ここでは、透過CO濃度は、直交流結果より低い。これは、この試験の条件下では、10%掃引が大きすぎるからである。掃引を5%まで低減させることは、より良好な結果を生成する。分離を行うために要求される面積は、次いで、60m、すなわち、単純対向流と比較して、16%の面積低減であり、透過物濃度は、40.8%CO、すなわち、対向流例未満であるが、依然として、直交流ケースより良好である。
【0163】
掃引動作から利益を享受し得るガス分離および透過気化法プロセスは、多くの場合、直交流モジュールを使用し、それらは、特に、渦巻状に巻きつけられたモジュールおよびプレートおよびフレームモジュール幾何学形状に形成される平坦なシート膜に関して、構築および動作が機械的により容易である。
【0164】
渦巻状に巻きつけられたモジュールまたはプレートおよびフレームモジュールを用いて、外部掃引効果を生成することも、可能性であるが、かなりの修正をモジュールの構築に対して要求する。内部掃引プロセスは、我々の発明に説明されるように、適用がはるかに容易であり、より良好な結果を生成する。外部掃引体制を使用する全てのモジュールは、信頼性のある動作のために、掃引流量の良好な制御も要求する。外部掃引デバイスを用いてこのレベルの精度を達成し得る制御は、安価ではなく、掃引が使用されるであろう全てのモジュールに適合されなければならない。産業工場では、これは、数十~数百の制御ユニットであり得、1つのユニットの故障さえ、残留物から透過物流への流体の大規模な非制御された漏出につながり、全体的工場の動作に影響を及ぼし得る。
【0165】
これまで説明された掃引プロセスの多くに関する別の問題は、掃引が、図3aおよび3bに示されるように、モジュールからの残留ガスまたは液体を弁を通して拡張させることによって生成されることである。このプロセスは、本質的に、特別な潜在的分離ステップを無駄にする。我々が示すであろうように、より良好なアプローチは、部分的分離を掃引発生プロセスの中に組み込むことである。これは、我々のプロセスの革新のうちの1つである。
【0166】
(第1の組の付記)
本発明は、以下の第1の組の付記によっても説明され得る。
【0167】
付記1.微量成分および主要成分を備えている給送物流体を透過物流体と残留物流体とに分離するように構成された直交流膜モジュールであって、残留物流体は、給送物流体より低い濃度の微量成分を有し、透過物流体は、給送物流体より高い濃度の微量成分を有し、
モジュールは、
第1の端部および第2の端部を有する筐体であって、第2の端部は、第1の方向に沿って第1の端部から間隔を置かれている、筐体と、
筐体の第1の端部と第2の端部との間に延びている1つ以上の膜シートであって、各膜シートは、第1の端部および第2の端部を備え、第2の端部は、第1の方向に沿って第1の端部から間隔を置かれ、各膜シートは、第1の端部と第2の端部との間に延びている第1および第2の側を備え、第1の側は、第2の方向に沿って第2の側から間隔を置かれ、第2の方向は、第1の方向に対して横方向であり、各膜シートは、第1の主要表面および第2の主要表面を備え、第2の主要表面は、第1の主要表面と反対側にあり、各膜シートは、給送物流体を残留物流体および透過物流体に分離するように構成されている、1つ以上の膜シートと
を備え、
膜モジュールは、給送物流体および残留物流体が、第1の方向に各膜シートの第1の主要表面に沿って流動するが、各膜シートの前記第2の主要表面に沿って流動せず、透過物流体が各膜シートの第2の主要表面に沿って流動するが、各膜シートの第1の主要表面に沿って流動しないように構成され、
膜モジュールは、
筐体の第1の端部における入口であって、入口は、各膜シートの第1の主要表面の第1の端部と流体連通し、各膜シートの第1の主要表面に沿って流動するように、給送物流体を送達するように構成されている、入口と、
筐体の第2の端部における出口であって、出口は、各膜シートの第1の主要表面の第2の端部と流体連通し、給送物流体から分離された残留物流体を受け取り、出力するように構成されている、出口と、
膜シートの第2の主要表面の第1の側に隣接する導管であって、導管は、給送物流体から分離された透過物流体を受け取り、出力するように構成されている、導管と
をさらに備え、
1つ以上の膜シートのうちの少なくとも1つは、第1の部分を横断した給送物流体の分離が、透過物流体の第1の部分を発生させ、第2の部分を横断した分離が、透過物流体の第2の部分を発生させるように、第1の部分および第2の部分を備え、
膜シートの第2の部分は、透過物流体の第2の部分が透過物流体の第1の部分より高い濃度の主要成分を有するように、第1の部分より高い主要成分のための透過率を有し、
第2の部分は、透過ガスの第2の部分が透過ガスの第1の部分と混合し、それによって、透過物流体の第1の部分中の微量成分の濃度を低減させるように、第2の方向に沿って膜シートの第1の側から間隔を置かれ、それによって、透過ガスの第2の部分を膜シートの第1の側に向かって流動させる、膜モジュール。
【0168】
付記2.導管は、第1の方向に第1の側の長さの少なくとも50%、好ましくは、少なくとも70%、より好ましくは、少なくとも80%に沿って延びている、付記1に記載の膜モジュール。
【0169】
付記3.導管は、各膜シートの第1の側と整列させられる、付記1または付記2に記載の膜モジュール。
【0170】
付記4.モジュールは、第2の導管をさらに備え、第2の導管は、第2の側と流体連通し、第2の導管は、給送物流体から分離された透過物流体を受け取り、出力するように構成され、第2の部分は、第1の方向に沿って第1の側および第2の側の両方から間隔を置かれる、付記1に記載の膜モジュール。
【0171】
付記5.第2の部分は、第1の方向に沿って第1の端部と第2の端部との間に延び、好ましくは、第2の部分は、細片として形成され、より好ましくは、第2の部分は、第1の側と第2の側との間でそれらから等距離にある、付記1-4のいずれか1項に記載の膜モジュール。
【0172】
付記6.直交流膜モジュールは、渦巻状に巻きつけられ、
導管は、第1の方向に沿って延びている中心管であり、
1つ以上の膜シートは、1つ以上の膜シートの第1の側が第2の側より中心管に近くなるように、第1の方向と垂直な渦巻を画定するように、中心管の周りに巻きつけられ、
中心管は、円筒形表面と、管腔をそれらの間に画定する第1および第2の終端端部とを備え、
中心管は、1つ以上の開口部を円筒形表面内に備え、1つ以上の開口部は、給送物流体から分離された透過物流体を受け取るように構成され、1つ以上の開口部は、膜シートの第1の側と流体連通し、
中心管は、1つ以上の開口部によって受け取られる透過物流体を出力するように構成された出口をさらに備え、出口は、中心管の第1または第2の終端端部にある、付記1-4のいずれか1項に記載の直交流膜モジュール。
【0173】
付記7.1つ以上の開口部は、第1の方向に沿って互いに間隔を置かれ、好ましくは、1つ以上の開口部の軸方向範囲は、第1の方向に第2の部分の軸方向範囲と重複し、より好ましくは、1つ以上の開口部は、第1の側と整列させられる、付記6に記載の膜モジュール。
【0174】
付記8.1つ以上の膜シートの第2の部分は、1つ以上の膜シートの外縁に沿って延びている、先行付記のいずれかに記載の膜モジュール。
【0175】
付記9.第2の部分は、第2の側の少なくとも一部に沿って延び、好ましくは、第2の部分は、第2の側によって形成される縁全体に沿って延びている、付記8に記載の膜モジュール。
【0176】
付記10.モジュールは、
1つ以上の膜シートに間隔を保たせるように構成された1つ以上の給送スペーサであって、各給送スペーサは、出口までの給送物流体および残留物流体の流動のための流体路を画定するためである、1つ以上の給送スペーサと、
1つ以上の膜シートに間隔を保たせるように構成された1つ以上の透過スペーサであって、各透過スペーサは、導管までの透過物流体の流動のための流体路を画定するためである、1つ以上の透過スペーサと、
をさらに備えている、先行付記のいずれかに記載の膜モジュール。
【0177】
付記11.1つ以上の膜シートのうちの第1の膜シートは、給送スペーサが第1の膜シートの第1の主要表面に隣接し、透過スペーサが、第1の膜シートの第2の主要表面に隣接するように配置されている、付記10に記載の膜モジュール。
【0178】
付記12.膜シート、1つ以上の給送スペーサ、および1つ以上の透過スペーサは、積み重ねられた構成で配置され、隣接する膜シート間の各空間は、給送スペーサまたは透過スペーサのいずれかによって画定され、膜シートは、各膜シートの第1の主要表面が給送スペーサと接触し、各膜シートの第2の主要表面が透過スペーサと接触するように、交互する向きである、付記10または付記11に記載の膜モジュール。
【0179】
付記13.給送スペーサによって間隔を置かれた隣接する膜シートは、それらの第1の主要表面の第1および第2の側に沿ってシールされ、第1の主要表面に沿った給送物流体および残留物流体の流動のための流体路を流動的にシールし、透過スペーサによって間隔を置かれた隣接する膜シートは、それらの第2の主要表面のそれらの第1および第2の端部に沿ってシールされ、第2の主要表面に沿った透過物流体のための流体路を流動的にシールし、好ましくは、透過スペーサによって間隔を置かれた隣接する膜シートも、それらの第2の主要表面の第2の側に沿ってシールされている、付記10、付記11、または付記12に記載の膜モジュール。
【0180】
付記14.各給送スペーサは、第1の方向に沿って流体の流動を方向付けるように構成され、各透過スペーサは、第2の方向に沿って流体の流動を方向付けるように構成されている、付記10-13のいずれか1項に記載の膜モジュール。
【0181】
付記15.第2の部分の面積は、膜シートの総面積の20%未満、好ましくは、15%未満、より好ましくは、10%未満、最も好ましくは、6%未満である、先行付記のいずれかに記載の膜モジュール。
【0182】
付記16.主要成分のための第2の部分の透過率は、主要成分のための第1の部分の透過率の2倍、好ましくは、少なくとも10倍を上回る、先行付記のいずれかに記載の膜モジュール。
【0183】
付記17.第2の部分は、第2の主要表面の一部を形成する、先行付記のいずれかに記載の膜モジュール。
【0184】
付記18.第2の部分は、第1の主要表面の一部を形成する、先行付記のいずれかに記載の膜モジュール。
【0185】
付記19.付記1-18のいずれか1項に記載の膜モジュールの膜シートを製造する方法であって、方法は、
前駆体シートのロールを提供することと、
前駆体シートのロールの第1のエリアを第1のコーティング溶液でコーティングし、前駆体シートのロールの第2のエリアを第2のコーティング溶液でコーティングし、膜シートのロールを形成することと、
膜シートの1つ以上のロールを別個の膜シートに分離することであって、各膜シートの第1の部分は、膜シートのロールの第1のエリアによって形成され、各膜シートの第2の部分は、膜シートのロールの第2のエリアによって形成され、各膜シートの第2の部分は、第1の部分より高い主要成分のための透過率を有する、ことと
を含む、方法。
【0186】
付記20.第1のエリアおよび第2のエリアは、互いに隣接し、好ましくは、第2のエリアは、各膜シートにおいて、第2の部分が、細片として形成され、第1の部分が、第2の部分の両側に提供されるように、2つの第1のエリア間に位置付けられる、付記19に記載の方法。
【0187】
付記21.方法は、各膜シートが一対の膜シートを形成するように、各膜シートを給送スペーサの周りで折り畳むことをさらに含む、付記18または付記19に記載の方法。
【0188】
付記22.それらの第1の主要表面の第1の側に沿って2つの膜シートを一緒にシールし、給送スペーサをそれらの間に位置付けることをさらに含む、付記18または付記19に記載の方法。
【0189】
付記23.第1のエリアをコーティングするステップおよび第2のエリアをコーティングするステップは、同時に実施される、先行付記のいずれかに記載の方法。
【0190】
付記24.コーティングするステップは、膜シートのロールをコーティングコンテナ内の第1および第2の溶液と接触させることによって実施され、コーティングコンテナは、セパレータによって互いに流動的に分離された第1および第2の区分を有し、第1の区分は、第1のコーティング溶液を含み、第2の区分は、第2のコーティング溶液を含む、先行付記のいずれかに記載の方法。
【0191】
付記25.コーティングコンテナの第2の区分は、コーティングコンテナの2つの第1の区分間に位置付けられる、付記24に記載の方法。
【0192】
付記26.セパレータの位置を移動させ、第2の部分の位置およびサイズを調節することをさらに含む、付記24または付記25に記載の方法。
【0193】
付記27.直交流膜モジュールを使用して、主要成分および微量成分を備えている給送物流から微量成分を分離する方法であって、残留物流体は、給送物流体より低い濃度の微量成分を有し、透過物流体は、給送物流体より高い濃度の微量成分を有し、好ましくは、微量成分は、二酸化炭素であり、主要成分は、メタンまたは窒素であり、モジュールは、
第1の端部および第2の端部を有する筐体であって、第2の端部は、第1の方向に沿って第1の端部から間隔を置かれる、筐体と、
筐体の第1の端部と第2の端部との間に延びている1つ以上の膜シートであって、各膜シートは、第1の端部および第2の端部を備え、第2の端部は、第1の方向に沿って第1の端部から間隔を置かれ、各膜シートは、第1の端部と第2の端部との間に延びている第1および第2の側を備え、第1の側は、第2の方向に沿って第2の側から間隔を置かれ、第2の方向は、第1の方向に対して横方向であり、各膜シートは、第1の主要表面および第2の主要表面を備え、第2の主要表面は、第1の主要表面と反対側にある、1つ以上の膜シートと、
筐体の第1の端部における入口であって、入口は、各膜シートの第1の主要表面の第1の端部と流体連通する、入口と、
筐体の第2の端部における出口であって、出口は、各膜シートの第1の主要表面の第2の端部と流体連通する、出口と、
膜シートの第2の主要表面の第1の側に隣接する導管と、
を備え、
1つ以上の膜シートのうちの少なくとも1つは、第1の部分および第2の部分を備え、
方法は、
第1の方向に各膜シートの第1の主要表面に沿って流動するように、主要成分および微量成分を備えている給送物流体を入口を介して、各膜シートの第1の主要表面に送達することと、
残留物流体が第1の主要表面に沿って、第1の方向に出口まで流動し、透過物流体が第2の主要表面に沿って、第2の方向に導管まで流動するように、各膜シートを横断する給送物流体を透過物流体と残留物流体とに分離することと、
を含み、
膜モジュールは、給送物流体および残留物流体が、第1の方向に各膜シートの第1の主要表面に沿って流動するが、各膜シートの前記第2の主要表面に沿って流動せず、透過物流体が各膜シートの第2の主要表面に沿って流動するが、各膜シートの第1の主要表面に沿って流動しないように構成され、
分離するステップは、膜シートの第1の部分を横断して給送物流体を分離し、透過物流体の第1の部分を発生させ、膜シートの第2の部分を横断して給送物流体を分離し、透過物流体の第2の部分を発生させることを含み、膜シートの第2の部分は、透過物流体の第2の部分が、透過物流体の第1の部分より高い濃度の主要成分を有するように、第1の部分より高い主要成分のための透過率を有し、
第2の部分は、透過ガスの第2の部分が、透過ガスの第1の部分と混合し、それによって、透過物流体の第1の部分中の微量成分の濃度を低減させるように、第2の方向に沿って膜シートの第1の側から間隔を置かれ、それによって、透過ガスの第2の部分を膜シートの第1の側に向かって流動させ、
方法は、残留物流体をモジュールから出口を介して出力し、透過物流体をモジュールから導管を介して出力することをさらに含む、方法。
【0194】
本発明は、以下の第2の組の付記によっても説明され得る。
【0195】
付記1.ガスまたは液体給送混合物を処理するための膜プロセスであって、該混合物は、微量成分および主要成分を備え、プロセスは、
(a)給送物側および給送物チャネルおよび透過物側および透過物チャネルを有する平坦なシート膜を提供するステップと、
(b)膜を給送物マニホールド、残留物マニホールド、および少なくとも1つの透過物マニホールドを有する直交流膜モジュールの中に形成するステップと、
(c)(b)の給送物、残留物、および膜透過物マニホールドが、透過物チャネル内の透過物の流動が、主として、モジュールの給送物チャネル内の給送物の流動に対して直角方向にあるように配置されるステップと、
(d)(a)の該膜が、給送混合物の成分に対して透過性である、2つの膜エリアを有するステップであって、第1の膜エリアは、給送混合物の主要成分より微量成分のために選択的であり、第2の膜エリアは、第1の膜エリアより高い給送混合物の主要成分のための透過率を有し、膜の第1および第2の膜エリアは、第2のエリアからの透過物が、第1の膜エリアの透過物チャネル空間を通過し、したがって、掃引効果を第1の膜エリア上に生成するように間隔を置かれる、ステップと、
(e)給送物マニホールドからの給送混合物を(a)の膜を横断して通過させ、処理された給送混合物を残留物マニホールドから除去し、並行して、膜透過物を透過物マニホールドから除去するステップと
を含む、プロセス。
【0196】
付記2.プロセスは、ガス分離プロセスである、付記1に記載のプロセス。
【0197】
付記3.プロセスは、透過気化法プロセスである、付記1に記載のプロセス。
【0198】
付記4.(b)における膜モジュールは、渦巻状に巻きつけられたモジュールである、付記1に記載のプロセス。
【0199】
付記5.(b)における膜モジュールは、プレートおよびフレームモジュールである、付記1に記載のプロセス。
【0200】
付記6.分離プロセスは、COの窒素からの分離である、付記1に記載のプロセス。
【0201】
付記7.分離プロセスは、軽炭化水素C3-C5の窒素またはメタンからの分離である、付記1に記載のプロセス。
【0202】
付記8.分離プロセスは、COの水素からの分離である、付記1に記載のプロセス。
【0203】
付記9.分離プロセスは、メタンからの水素である、付記1に記載のプロセス。
【0204】
付記10.分離プロセスは、メタンからのCOである、付記1に記載のプロセス。
【0205】
付記11.分離プロセスは、透過気化法による水のエタノールからの分離である、付記1に記載のプロセス。
【0206】
付記12.分離プロセスは、透過気化法による芳香族の脂肪族炭化水素からの分離である、付記1に記載のプロセス。
【0207】
付記13.分離プロセスで使用される(b)における膜モジュールは、少なくとも部分的に圧力比限定領域内で動作する、付記1に記載のプロセス。
【0208】
付記14.(d)の第2の膜エリアの透過率および面積は、(e)における膜透過物における微量成分の濃度が、第2の膜エリアを伴わない同じ膜面積および構成のモジュールによって生成される透過物の濃度と等しいまたはそれを上回るようなものである、付記1に記載のプロセス。
【0209】
付記15.給送混合物の主要成分に対する(d)の第2の膜エリアの透過率は、給送混合物の主要成分に対する(d)の第1の膜エリアの透過率の少なくとも2倍である、付記1に記載のプロセス。
【0210】
付記16.給送混合物の主要成分に対する(d)の第2の膜エリアの透過率は、給送混合物の主要成分に対する(d)の第1の膜エリアの透過率の少なくとも10倍である、付記1に記載のプロセス。
【0211】
付記17.(d)の第2の膜エリアは、非選択的である、付記1に記載のプロセス。
【0212】
付記18.(d)の第2の膜エリアは、給送物流の一般的方向と平行に向けられ、透過物マニホールドと反対の平坦な膜シートの縁上にあるように位置付けられる細長い細片の形態を有する、付記1に記載のプロセス。
【0213】
付記19.(b)の直交流モジュールは、2つの透過物マニホールドを有し、(d)の第2の膜エリアは、給送物流の一般的方向と平行に向けられ、第2の膜エリアからの透過物が、第1の膜エリアの透過物チャネル空間を通して、2つの透過物マニホールドの各々に通過するように、第1の膜エリアの中央部分内に位置付けられる細長い細片の形態を有する、付記1に記載のプロセス。
【0214】
付記20.微量成分および主要成分のガスまたは液体混合物を分離するために有用な平坦なシート膜モジュールを製造する方法であって、方法は、
(a)膜のロールを形成することであって、膜は、給送物の主要成分より給送物の微量成分に対して選択的である第1の膜エリアと、第1の膜エリアより高い給送物の主要成分のための透過率を有する第2の膜エリアとを有する、ことと、
(b)(a)の膜ロールを画定された幾何学形状の膜シートに形成し、シートを給送物マニホールドおよび残留物マニホールドに接続される給送物チャネル空間と、少なくとも1つの透過物マニホールドに接続される透過物チャネル空間とを有する平坦なシート膜モジュールの中にパッケージングすることと、
(c)給送および残留物マニホールドマニホールドが、給送物チャネルを通して、給送物マニホールドから残留物マニホールドまでの略直線流動経路を生成するように配置されることと、
(d)透過物マニホールドおよび第2の膜エリアが、第2の膜エリアを通して流動する透過物が、直交流または部分的対向流掃引効果を膜の第1のエリア上に生成するように位置付けられることと、
を含む、方法。
【0215】
付記21.(b)における膜モジュールは、渦巻状に巻きつけられたモジュールである、付記20に記載の方法。
【0216】
付記22.(b)における膜モジュールは、プレートおよびフレームモジュールである、付記20に記載の方法。
【0217】
付記23.(d)の第2の膜エリアの透過率および面積は、(e)における膜透過物における微量成分の濃度が、第2の膜エリアを伴わない同じ膜面積および構成のモジュールによって生成される透過物の濃度を上回るようなものである、付記20に記載の方法。
【0218】
付記24.給送混合物の主要成分に対する(d)の第2の膜エリアの透過率は、給送混合物の主要成分に対する(d)の第1の高選択率膜の透過率の少なくとも2倍である、付記20に記載の方法。
【0219】
付記25.給送混合物の主要成分に対する(d)の第2の膜エリアの透過率は、(d)給送混合物の主要成分に対する第1の高選択率膜の透過率の少なくとも10倍である、付記20に記載の方法。
【0220】
付記26.(d)の第2の膜は、給送物流の一般的方向と平行に向けられ、透過物マニホールドと反対の平坦な膜シートの縁にあるように位置付けられる細長い細片の形態を有する、付記20に記載の方法。
【0221】
付記27.(b)の直交流モジュールは、2つの透過物マニホールドを有し、(d)の第2の膜エリアは、給送物流の一般的方向と平行に向けられ、第2の膜エリアからの透過が、第1の膜エリアの透過物チャネル空間を通して、2つの透過物マニホールドの各々に通過するように、第1の膜エリアの中央部分内に位置付けられる、細長い細片の形態を有する、付記20に記載の方法。
【0222】
付記28.(d)の第2の膜エリアは、給送物流の一般的方向に対して直角に向けられ、給送物チャネル残留物マニホールドに隣接する平坦な膜シートの縁にあるように位置付けられる細長い細片の形態を有する、付記20に記載の方法。
【0223】
付記29.(c)における給送物チャネルを通した流動に対向する(d)における透過の掃引流動を向上させるように配置される流動指向バッフルが、透過物チャネル空間の中に組み込まれる、付記20に記載の方法。
図1
図2
図3(a)】
図3(b)】
図3(c)】
図3(d)】
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10(a)】
図10(b)】
図10(c)】
図10(d)】
図11(a)】
図11(b)】
図12
図13
図14
図15(a)】
図15(b)】
図16
図17-1】
図17-2】
図17-3】
図18
図19
【国際調査報告】