IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ イレリーマール・ベー・フェーの特許一覧

<>
  • 特表-熱交換器、および熱交換器の使用 図1
  • 特表-熱交換器、および熱交換器の使用 図2
  • 特表-熱交換器、および熱交換器の使用 図3
  • 特表-熱交換器、および熱交換器の使用 図4
  • 特表-熱交換器、および熱交換器の使用 図5
  • 特表-熱交換器、および熱交換器の使用 図6
  • 特表-熱交換器、および熱交換器の使用 図7
  • 特表-熱交換器、および熱交換器の使用 図8
  • 特表-熱交換器、および熱交換器の使用 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-16
(54)【発明の名称】熱交換器、および熱交換器の使用
(51)【国際特許分類】
   F28D 7/10 20060101AFI20230309BHJP
   F28F 13/12 20060101ALI20230309BHJP
【FI】
F28D7/10 Z
F28F13/12 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022544357
(86)(22)【出願日】2021-01-19
(85)【翻訳文提出日】2022-08-23
(86)【国際出願番号】 EP2021051005
(87)【国際公開番号】W WO2021148374
(87)【国際公開日】2021-07-29
(31)【優先権主張番号】2024720
(32)【優先日】2020-01-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522290330
【氏名又は名称】イレリーマール・ベー・フェー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】コルネリス・アドリアヌス・ファン・デル・メイデン
【テーマコード(参考)】
3L103
【Fターム(参考)】
3L103AA35
3L103BB35
3L103DD10
3L103DD38
(57)【要約】
第1の流体と第2の流体との間で熱を交換するように適合される熱交換器が提供される。熱交換器は、外側管状体と、内側体と、第1の入口と、第1の出口と、第2の入口と、第2の出口とを備える。外側管状体は内面を有する。内側体は、外側管状体の内側に配置され、外側管状体の内面を向く外面を有し、外側管状体の内面と内側体の外面との間の隙間を自由にしたままにする。第1の入口および第1の出口は、第1の入口から第1の通路および第2の通路を介して第1の出口へと、第1の流体のための第1の流路を提供するように配置される。第2の入口および第2の出口は、外側管状体の内面と内側体の外面との間の隙間において、第2の入口から第2の出口へと第2の流体のための第2の流路を提供するように配置される。外側管状体は第1の通路を備える。内側体は第2の通路を備える。内側体および第2の通路は、外側管状体および第1の通路に対して回転可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の流体(110)と第2の流体(120)との間で熱を交換するように適合される熱交換器(100)であって、
内面(103)を有する外側管状体(101)と、
前記外側管状体(101)の内側に配置され、前記外側管状体(101)の前記内面(103)を向く外面(104)を有する内側体(102)であって、前記外側管状体(101)の前記内面(103)と前記内側体(102)の前記外面(104)との間の隙間を自由にしたままにする内側体(102)と、
第1の入口(112)から第1の通路および第2の通路を介して第1の出口(114)へと、前記第1の流体(110)のための第1の流路(116)を提供するように配置される第1の入口(112)および第1の出口(114)と、
前記外側管状体(101)の前記内面(103)と前記内側体(102)の前記外面(104)との間の前記隙間を介して、第2の入口(122)から第2の出口(124)へと前記第2の流体(120)のための第2の流路(126)を提供するように配置される第2の入口(122)および第2の出口(124)と、
を備え、
前記外側管状体(101)は前記第1の通路を備え、
前記内側体(102)は前記第2の通路を備え、
前記内側体(102)および前記第2の通路は、前記外側管状体(101)および前記第1の通路に対して回転可能であり、
前記内面(103)は長手方向軸(204)に沿って延び、
前記長手方向軸(204)に対して垂直な前記内面(103)の断面は非円形である、熱交換器(100)。
【請求項2】
前記外側管状体(101)の前記内面(103)は第1の螺旋形要素(105)を有する、請求項1に記載の熱交換器(100)。
【請求項3】
前記内側体(102)の前記外面(104)は第2の螺旋形要素(106)を有する、請求項1または2に記載の熱交換器(100)。
【請求項4】
前記外側管状体(101)の前記内面(103)は第1の螺旋形要素(105)を有し、前記内側体(102)の前記外面(104)は第2の螺旋形要素(106)を有し、前記第1の螺旋形要素(105)および前記第2の螺旋形要素(106)はそれぞれ、互いと平行な長手方向軸を有する、請求項1に記載の熱交換器(100)。
【請求項5】
前記第1の螺旋形要素(105)と前記第2の螺旋形要素(106)とは、同じ方向において螺旋状に成形される、請求項4に記載の熱交換器(100)。
【請求項6】
前記第1の螺旋形要素(105)と前記第2の螺旋形要素(106)とは、反対方向において螺旋状に成形される、請求項4に記載の熱交換器(100)。
【請求項7】
前記第2の螺旋形要素(106)は第1の方向において螺旋状に成形され、前記内側体(102)は、前記第1の方向と反対の第2の方向において前記外側管状体(101)に対して回転可能である、請求項4から6のいずれか一項に記載の熱交換器(100)。
【請求項8】
前記第1の螺旋形要素(105)および前記第2の螺旋形要素(106)の少なくとも一方は、それぞれの前記内面(103)および/または前記外面(104)の波形によって形成される、請求項2から7のいずれか一項に記載の熱交換器(100)。
【請求項9】
前記第1の螺旋形要素(105)および前記第2の螺旋形要素(106)の少なくとも一方はネジを備える、請求項2から7のいずれか一項に記載の熱交換器(100)。
【請求項10】
前記第1の螺旋形要素(105)および前記第2の螺旋形要素(106)の少なくとも一方は溝を備える、請求項2から7のいずれか一項に記載の熱交換器(100)。
【請求項11】
前記内側体(102)は軸に沿って細長くされ、前記内側体(102)は、前記軸に沿って前記外側管状体(101)に対して回転可能である、請求項1から10のいずれか一項に記載の熱交換器(100)。
【請求項12】
前記内側体(102)は軸に沿って細長くされ、前記内側体(102)は、前記軸に対して垂直な平面において前記軸を移動させることで回転可能である、請求項1から11のいずれか一項に記載の熱交換器(200)。
【請求項13】
前記内側体(102)は、前記軸に対して垂直な前記平面における円形の経路に沿って前記軸を移動させることで回転可能である、請求項12に記載の熱交換器(200)。
【請求項14】
前記内側体(102)および前記外側管状体(101)に取り付けられ、前記外面(104)と前記内面(103)との間にシールを作り出すように配置される蛇腹を備える、請求項12または13に記載の熱交換器(200)。
【請求項15】
前記熱交換器(100)は向流式熱交換器であり、前記第1の流路(116)と前記第2の流路(126)とは反対方向である、請求項1から14のいずれか一項に記載の熱交換器(100)。
【請求項16】
前記第2の流体(120)は、20cPを超え、好ましくは100cPを超え、より好ましくは500cPを超える粘度を有する、請求項1から15のいずれか一項に記載の熱交換器(100)の使用。
【請求項17】
前記第2の流体(120)は食品または飼料製品である、請求項1から15のいずれか一項に記載の熱交換器(100)の使用。
【請求項18】
前記第2の流体(120)は非食品である、請求項1から15のいずれか一項に記載の熱交換器(100)の使用。
【請求項19】
第1の流体(110)と第2の流体(120)との間で熱を交換するように適合される熱交換器(200)であって、
内面(103)を有する外側管状体(101)と、
前記外側管状体(101)の内側に配置され、前記外側管状体(101)の前記内面(103)を向く外面(104)を有する内側体(102)であって、前記外側管状体(101)の前記内面(103)と前記内側体(102)の前記外面(104)との間の隙間を自由にしたままにする内側体(102)と、
第1の入口(112)から第1の通路および第2の通路を介して第1の出口(114)へと、前記第1の流体(110)のための第1の流路(116)を提供するように配置される第1の入口(112)および第1の出口(114)と、
前記外側管状体(101)の内面(103)と前記内側体(102)の前記外面(104)との間の前記隙間を介して、第2の入口(122)から第2の出口(124)へと前記第2の流体(120)のための第2の流路(126)を提供するように配置される第2の入口(122)および第2の出口(124)と、
を備え、
前記外側管状体(101)は前記第1の通路を備え、
前記内側体(102)は前記第2の通路を備え、
前記内側体(102)は前記外側管状体(101)に対して回転可能であり、
前記内側体(102)は軸(202)に沿って細長くされ、
前記内側体(102)は、前記軸(202)に対して垂直な平面において前記軸(202)を移動させることで回転可能である、熱交換器(200)。
【請求項20】
前記内側体(102)は、前記軸(202)に対して垂直な前記平面における円形の経路(302)に沿って前記軸(202)を移動させることで回転可能である、請求項19に記載の熱交換器(200)。
【請求項21】
前記内側体(102)および前記外側管状体(101)に取り付けられ、前記外面(104)と前記内面(103)との間にシールを作り出すように配置される蛇腹(206)を備える、請求項19または20に記載の熱交換器(200)。
【請求項22】
前記内面(103)は長手方向軸(204)に沿って延び、前記長手方向軸(204)に対して垂直な前記内面(103)の断面は非円形である、請求項19から21のいずれか一項に記載の熱交換器(200)。
【請求項23】
前記外側管状体(101)の前記内面(103)は第1の螺旋形要素(105)を有する、請求項19から22のいずれか一項に記載の熱交換器(200)。
【請求項24】
前記内側体(102)の前記外面(104)は第2の螺旋形要素(106)を有する、請求項19から23のいずれか一項に記載の熱交換器(200)。
【請求項25】
前記外側管状体(101)の前記内面(103)は第1の螺旋形要素(105)を有し、前記内側体(102)の前記外面(104)は第2の螺旋形要素(106)を有し、前記第1の螺旋形要素(105)および前記第2の螺旋形要素(106)はそれぞれ、互いと平行な長手方向軸を有する、請求項19から22のいずれか一項に記載の熱交換器(200)。
【請求項26】
前記第1の螺旋形要素(105)と前記第2の螺旋形要素(106)とは、同じ方向において螺旋状に成形される、請求項25に記載の熱交換器(200)。
【請求項27】
前記第1の螺旋形要素(105)と前記第2の螺旋形要素(106)とは、反対方向において螺旋状に成形される、請求項25に記載の熱交換器(200)。
【請求項28】
前記第2の螺旋形要素(106)は第1の方向において螺旋状に成形され、前記内側体(102)は、前記第1の方向と反対の第2の方向において前記外側管状体(101)に対して回転可能である、請求項25から27のいずれか一項に記載の熱交換器(200)。
【請求項29】
前記第1の螺旋形要素(105)および前記第2の螺旋形要素(106)の少なくとも一方は、それぞれの前記内面(103)および/または前記外面(104)の波形によって形成される、請求項23から28のいずれか一項に記載の熱交換器(200)。
【請求項30】
前記第1の螺旋形要素(105)および前記第2の螺旋形要素(106)の少なくとも一方はネジを備える、請求項23から29のいずれか一項に記載の熱交換器(200)。
【請求項31】
前記第1の螺旋形要素(105)および前記第2の螺旋形要素(106)の少なくとも一方は溝を備える、請求項23から30のいずれか一項に記載の熱交換器(200)。
【請求項32】
前記内側体(102)は、前記軸(202)に沿って前記外側管状体(101)に対して回転可能である、請求項19から30のいずれか一項に記載の熱交換器(200)。
【請求項33】
前記熱交換器(100)は向流式熱交換器であり、前記第1の流路(116)と前記第2の流路(126)とは反対方向である、請求項19から32のいずれか一項に記載の熱交換器(200)。
【請求項34】
前記第2の流体(120)は、20cPを超え、好ましくは100cPを超え、より好ましくは500cPを超える粘度を有する、請求項19から33のいずれか一項に記載の熱交換器(200)の使用。
【請求項35】
前記第2の流体(120)は食品または飼料製品である、請求項19から34のいずれか一項に記載の熱交換器(200)の使用。
【請求項36】
前記第2の流体(120)は非食品である、請求項19から34のいずれか一項に記載の熱交換器(200)の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱交換器、および、熱を流体と交換するための熱交換器の使用に関する。より具体的には、流体は高粘度流体である。流体は食料または非食料である。
【背景技術】
【0002】
数々の適用において、熱交換器が熱を第1の流体から第2の流体へと伝達するために使用されている。例えば、食料産業では、知られている熱交換器は、熱を流体食品から水といった熱媒液体へと伝達するために使用されている。熱交換器は、例えば、流体食品を殺菌もしくは低温殺菌するために、または、流体食品の化学反応を達成するために、水を介して流体食品へと熱を加えて流体食品の温度を上昇させるように使用され得る。熱交換器は、例えば流体食品が低温殺菌された後など、流体食品の温度を低下させるために、水を介して流体食品から熱を除去するためにも使用され得る。
【0003】
知られている熱交換器では、流体食品と熱媒液体とは互いから面によって分離される。典型的には、面は管によって形成される。熱媒液体は管の外面と接触しており、流体食品は管の内側にあり、管の内面と接触している。
【0004】
流体食品が高粘度流体であるとき、特別な状況が生じる。このような流体食品には、ペースト、ハチミツ、トマト製品、シロップ、果物濃縮物、野菜濃縮物、および動物性脂肪がある。このような高粘度流体は、高粘度流体を熱交換器に押し通すのに十分な圧力を適用することで、熱交換器を通じて流れることができる。また、一部の高粘度流体は、粘着性があり、残留物を熱交換器に容易に残してしまう。これらの残留物は、流体同士の間の熱伝達に悪影響を与える。これらの残留物は、熱交換器に過剰に長く留まる場合腐る可能性があり、製品の品質にも悪影響を与える可能性がある。そのため、残留物を除去するために、熱交換器の定期的な洗浄が必要とされる。しかしながら、熱交換器を洗浄することで、残留物は廃棄され、そのため、最終製品とならないため無駄にさせられる。また、熱交換器を洗浄するために必要とされる時間は、熱交換器が洗浄されている間には流体食品を処理するために使用できないため、熱交換器の生産効率を低下させる。
【0005】
知られている熱交換器が、2014年7月30日に公開されたEP2759796A2に開示されている。知られている熱交換器は、3本の内側管を伴う外側シェルを有する。各々の内側管には、細長い回転棒材が設けられる。細長い回転棒材の各々には、内側管の内壁において堆積し、または固着した製品流体を擦り落とすのに適している擦り落とし要素が設けられる。細長い回転棒材には、擦り落とし要素同士の間に存在する空間を通じて長手方向で回転ロッドに沿って延びて回転ロッドを包囲する無端螺旋部がさらに設けられる。無端螺旋部は、内側管を通じた製品流体の排除に適しており、自己汲み上げ効果を発生させる。外側シェルは、熱媒液体の循環のための入口および出口を有する。知られている熱交換器は、内側管の内面を介して、製品流体と熱媒液体との間で熱を交換することができる。
【0006】
知られている熱交換器の欠点は、擦り落とし器が内側管の内側から残留物を除去するとき、擦り落とし器が内側管の表面にわたって引っ掻くことである。結果として、擦り落とし器および面が摩耗し、粒子が剥がし落とされる。これらの金属粒子は最終的に食品に含まれる。
【0007】
別の欠点は、擦り落とし器が内側管の面から残留物を除去するとしても、残留物がなおも擦り落とし器自体に残り得ることである。そのため、残留物を擦り落とし器から除去するために、熱交換器の洗浄が定期的に必要とされる。
【0008】
知られている熱交換器は、製品流体と熱媒液体との間の接触面積を増加させようとする試みにおいて、3本の内側管を有する。接触面積は、内側管の内面によって提供される。3本の内側管は一緒になって、それら内側管の組み合わされた断面積と同じ断面積を有する1本の内側管よりも、大きな接触面積を有する。しかしながら、接触面積はなおも限られており、製品を内側管に押し通すためには、1本のより大きい内側管に通すのに必要な圧力より大きい圧力を必要とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】EP2759796A2
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
熱交換器に向上した熱伝達を提供することが本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の目的は、第1の流体と第2の流体との間で熱を交換するように適合される熱交換器であって、
内面を有する外側管状体と、
外側管状体の内側に配置され、外側管状体の内面を向く外面を有する内側体であって、外側管状体の内面と内側体の外面との間の隙間を自由にしたままにする内側体と、
第1の入口から第1の通路および第2の通路を介して第1の出口へと、第1の流体のための第1の流路を提供するように配置される第1の入口および第1の出口と、
外側管状体の内面と内側体の外面との間の隙間において、第2の入口から第2の出口へと第2の流体のための第2の流路を提供するように配置される第2の入口および第2の出口と
を備え、
外側管状体は第1の通路を備え、
内側体は第2の通路を備え、
内側体および第2の通路は、外側管状体および第1の通路に対して回転可能であり、
内面は長手方向軸に沿って延び、
長手方向軸に対して垂直な内面の断面は非円形である、熱交換器によって達成される。
【0012】
熱交換器は、第1の流体と第2の流体との間で熱を交換するように適合される。第1の流体は、例えば、水、熱用油、ブライン、またはグリコールなどの熱媒液体である。異なる種類の流体が使用され得る。ある例では、第1の流体は完全に液体の状態である。しかしながら、第1の流体は、完全に液体状態である必要はない。例えば、第1の流体は液体と気体とを含んでもよい。例えば、第1の流体はアンモニアを液相および気相で含む。使用中、アンモニアは、液相と気相との間で質量比を変えることで熱を伝達する。気体の例は、所望のpH値の第1の流体で所望の酸性度を達成するために、第1の流体に存在する二酸化炭素である。気体は、第1の流体に溶解し得、または、第1の流体において泡を形成するように気体状態で第1の流体に存在し得る。本発明を説明する観点において、第1の流体はさらに、「熱媒液体」の表現で指示される。
【0013】
第2の流体は、例えば、高粘度食料流体などの食品である。第2の流体は、液体、液体と固体との組み合わせ、液体と気体との組み合わせ、または、液体と固体と気体との組み合わせである。例えば、食品がフルーツジュースである場合、第2の流体は果肉および種子を含み得る。食品がバターである場合、バターは完全に液体の状態へと加熱され得る。食品は、例えば、飼料製品または動物用飼料製品と典型的には称される、動物のための食料である。ある例では、第2の流体は粘弾性的に振る舞う。第2の流体は、例えば非食品である。非食品は、例えば、石油化学製品または塗料などの化学製品である。非食品は、例えば肥料またはポリマである。すべてのこれらの例において、第2の流体は、流れることができる特性を有する。本発明を説明する観点において、第2の流体はさらに、「製品」の表現で指示される。
【0014】
外側管状体は、例えば細長い中空体である。外側管状体の内側には、内側体が配置される。隙間が、内側体の外面と外側管状体の内面とによってそれらの間に定められる。隙間は、外側管状体と内側体との間の空間である。製品は、内側体と外側管状体との間の隙間を介して入口から出口へと流路を辿る。入口と出口とは隙間を介して互いと連通している。任意選択で、ポンプが、内側体と外側管状体との間の隙間に製品を押し通すために提供される。
【0015】
入口および出口は、熱媒液体が外側管状体および内側体を通じて流れるために提供される。外側管状体は少なくとも1つの通路を有し、内側体は、熱媒液体が第1の流路を介して流れるのに通る少なくとも1つの通路を有する。熱が製品と外側管状体との間で交換され、熱が製品と内側体との間で交換される。第1の流路は、外側管状体に配置される通路と、内側体に配置される通路とを通じて提供される。第1の流路は、外側管状体と内側体との両方に配置される。第1の流路の一部は、外側管状体を通る第1の通路を介している。外側管状体における第1の通路は、第1の入口および第1の出口と連通している。熱媒液体は、第1の入口から、外側管状体における第1の通路を介して、第1の出口へと流れる。第1の通路は、例えば、外側管状体の壁に配置される。第1の流路の別の一部は、内側体を通る第2の通路を介している。内側体における第2の通路は、第1の入口および第1の出口と連通している。熱媒液体は、第1の入口から、内側体における第2の通路を介して、第1の出口へと流れる。第1の通路と第2の通路とは、互いと並列に、または直列に、配置される。第2の入口および第2の出口は、内面と外面との両方を介して第1の流体と熱を交換するために、内面と外面との間の隙間において、第2の流体のための第2の流路を提供するように配置される。
【0016】
内側体は外側管状体に対して回転可能である。ある実施形態では、外側管状体は静止しており、内側体は回転可能である。内側体が回転するとき、第2の通路は内側体と共に回転する。ある実施形態では、内側体は静止しており、外側管状体は内側体のまわりに回転可能である。外側体が回転するとき、第1の通路は外側管状体と共に回転する。他の実施形態では、外側管状体と内側体との両方が異なる回転速度でそれぞれ回転する。
【0017】
第1の通路および第2の通路を外側管状体および内側体にそれぞれ設けることで、2つの熱伝達経路が、製品と熱媒液体との間で熱を交換するために作り出される。一方の熱伝達経路は外側管状体を介してである。他方の熱伝達経路は内側体を介してである。熱媒液体は、外面および内面を介して熱を製品と交換する。外側管状体および内側体における通路は、熱交換器における共通の入口または別々の入口を介して熱媒液体を受け入れる。2つの熱伝達経路を設けることで、製品との熱交換器の接触面積が拡大され、結果として、熱交換が向上させられる。
【0018】
内側体と第2の通路とは、外側管状体および第1の通路に対して回転可能である組み合わされた物体を一緒に形成する。外側管状体と第1の通路とは、さらなる組み合わされた物体を一緒に形成する。内側体と第2の通路とが組み合わされた物体を一緒に形成するため、および、外側管状体と第1の通路とがさらなる組み合わされた物体を一緒に形成するため、製品と熱媒液体とを分離するために必要とされるシールが少なくて済む。シールの数を減らすことで、製品または熱媒液体の漏れの可能性を低減する。
【0019】
外側管状体の内面は長手方向軸に沿って延びる。長手方向軸は、例えば、外側管状体の長さに沿っている。例えば、長手方向軸は内側体の長手方向と平行である。製品は第2の流路に沿って流れ、第2の流路は、かなりの部分で長手方向軸と平行な方向になっている。長手方向軸に対して垂直な内面の断面を非円形に作ることで、外側管状体の内面と内側体の外面との間の距離が、内側体の周囲に沿う位置に応じて異なる。結果として、内面と外面との間の隙間は、内側体の周囲に沿って異なる。内側体が外側管状体に対して回転するとき、製品は、変化している隙間を通じて流れる。内側体の周囲に沿っての隙間の変化のため、製品はより激しい乱流とさせられる。より激しい乱流のため、製品と熱媒液体との間により大きな熱交換がある。
【0020】
内面の断面の非円形は、例えば、正方形、長方形、六角形、または八角形である。内面の非円形は、例えば回転対称である。内面には、例えば、内面の長手方向に沿って延びる突出および/または溝が設けられる。例えば、内面は、円筒面の周囲に沿って互いからある距離で配置される複数の突出および/または溝が設けられる円筒状の面である。溝および/または突出は、内面の全長に沿って延びる、または、内面の長さの一部のみに沿って延びる。例えば、突出および/または溝は内面に波形を形成する。波形は、製品の乱流を向上させる形を提供するが、容易な洗浄を可能にする。他の例では、非円形は、内面における螺旋形要素によって形成される。螺旋形は、製品の乱流を向上させるが、隙間における製品のこびり付きを防止するように、製品に追加的な圧力を提供する。
【0021】
内側体および第2の通路を外側管状体および第1の通路に対して回転させることで、製品は、異なる速度にある2つの面と接触している。2つの面、つまり、外側管状体の内面と内側体の外面とは、互いに対して移動しているため、製品は内面および/または外面によりこびり付きにくい。特に、内面と外面との間の隙間が、例えば、1~5mmの範囲、好ましくは、1.5mmなどの1~2mmの範囲といった小さいとき、製品のこびり付きは、内側体および第2の通路を外側管状体および第1の通路に対して回転させることで、低減または防止される。知られている熱交換器におけるこのような隙間が、こびり付いた製品によって部分的に妨害される場合、洗浄するのは困難である。洗浄液体は、隙間における妨害物の周りを移動する傾向を有する。内側体および第2の通路を外側管状体および第1の通路に対して回転させることで、内面と外面との両方にこびり付く残留物がないため、このような妨害物は防止される。残留物は洗浄液体によってより容易に除去される。本発明は、食料が約135℃~140℃の温度において殺菌される超高温加熱処理法(UHT)にとって特に有用である。食品は、製品におけるバクテリアを殺すために、この温度を数秒間だけ保つ必要があるが、香りの喪失、色の変化などの製品の劣化を防ぐために、できるだけ素早く冷却されなければならない。内面と外面との間の隙間を最小限にすることで、UHTの後に製品が100℃超で留まる時間は最小限とされる。
【0022】
ある実施形態では、外側管状体の内面は第1の螺旋形要素を有する。
【0023】
この実施形態では、内面は螺旋形要素を有する。好ましくは、螺旋形要素は、外側管状体の内面の大部分または全部に沿って延びる。螺旋形要素は、例えば、内面から延び出す突出である。螺旋形要素は、例えば、内面の湾曲である。螺旋形要素は、例えば、内面または外面に作り出される凹部である。
【0024】
ポンプが、第2の流路に沿って製品を隙間に押し通すために提供される。内面に螺旋形要素を設けることで、内面に沿っての製品の流れは擾乱され、製品の流れを乱流とさせる。螺旋形要素のない滑らかな内面であれば、製品の流れを層流とさせてしまう。製品の乱流は、製品と内面との間により良好な熱伝達をもたらす。
【0025】
ある実施形態では、内側体の外面は第2の螺旋形要素を有する。
【0026】
この実施形態では、外面は螺旋形要素を有する。好ましくは、螺旋形要素は、内側体の外面の大部分または全部に沿って延びる。螺旋形要素は、例えば、外面から延び出す突出である。螺旋形要素は、例えば、外面の湾曲である。螺旋形要素は、例えば、外面に作り出される凹部である。
【0027】
ポンプが、第2の流路に沿って製品を隙間に押し通すために提供される。外面に螺旋形要素を設けることで、外面に沿っての製品の流れは擾乱され、製品の流れを乱流とさせる。螺旋形要素のない滑らかな外面であれば、製品の流れを層流とさせてしまう。製品の乱流は、製品と外面との間により良好な熱伝達をもたらす。
【0028】
乱流のため、製品が層流である場合よりも多くの製品が内面および外面と接触する。結果として、乱流は製品と熱媒液体との間の熱伝達を向上させる。熱交換器の適切なパラメータが選択される場合、高粘度の製品でさえ乱流で流れることができる。このようなパラメータの例は、内側体と外側管状体との間の隙間の大きさ、外側管状体に対する内側体の回転速度、および/または、螺旋形要素の寸法である。製品は、内面の近く、および/または、外面の近くで、乱流になる。前述されているパラメータに応じて、製品は隙間にわたって乱流となる。
【0029】
内側体を外側管状体に対して回転させるとき、螺旋形要素は製品に圧力を作り出す。この圧力は、第1の螺旋形要素のみを有する実施形態と、第1の螺旋形要素および第2の螺旋形要素を有する実施形態とで作り出される。外側管状体に対する内側体の回転によって作り出される圧力は、ポンプを支援して製品を熱交換器に押し通す。
【0030】
ある実施形態では、第1の螺旋形要素および第2の螺旋形要素はそれぞれ、互いと平行な長手方向軸を有する。例えば、内側体は、長手方向軸に延びる管または棒材である。第2の螺旋形要素は管の周囲面に沿って配置される。第2の螺旋形要素の螺旋の軸は、内側体の長手方向軸と並べられる。内側体は、外側管状体における空間の内部に配置される。空間は、内側体の長手方向と平行な方向に延びる。空間は、第1の螺旋形要素が配置される内面を有する。第1の螺旋形要素の螺旋の軸は、内側体の長手方向軸と平行である。
【0031】
ある実施形態では、第1の螺旋形要素と第2の螺旋形要素とは、同じ方向において螺旋状に成形される。
【0032】
螺旋は左巻きまたは右巻きのいずれかとされ得る。左巻きと右巻きとは互いの反対の方向である。観察者が螺旋の軸に沿って見て、時計回りの捩じる動きが螺旋を観察者から遠くへ移動させる場合、螺旋は右巻きである。観察者が螺旋の軸に沿って見て、時計回りの捩じる動きが螺旋を観察者に向けて移動させる場合、螺旋は左巻きである。同様に、第1の螺旋要素と第2の螺旋要素とは、両方とも右巻きである、または、両方とも左巻きである。これは、第1の螺旋形要素と第2の螺旋形要素とが同じ方向で螺旋形とされるという利点を有するが、その理由は、製品の流れの速度および外側管状体に対する内側体の回転速度とは無関係に、熱交換器における製品のすべてが流れ続けることを確保するのを助けるためである。この実施形態は、製品が2~100cPの範囲でといった低い粘度を有する場合、特に適している。
【0033】
ある実施形態では、第1の螺旋形要素と第2の螺旋形要素とは、反対方向において螺旋状に成形される。螺旋形要素を反対方向で配置することで、外側管状体に対して内側体を回転させることは、追加の圧力を製品に提供して製品を熱交換器に押し通す。この実施形態は、製品が100~500cP以上の範囲でといった大きい粘度を伴う製品に特に適している。
【0034】
さらなる実施形態において、内側体には、互いから反対方向に配置される2つの螺旋形要素が設けられる。例えば、内側体には、左巻きの螺旋形要素と右巻きの螺旋形要素との両方が設けられる。螺旋形要素同士は内側体において互いと交差する。なおも他の実施形態において、外側管状体には、互いから反対方向に配置される2つの螺旋形要素が設けられる。例えば、外側管状体には、左巻きの螺旋形要素と右巻きの螺旋形要素との両方が設けられる。螺旋形要素同士は外側管状体において互いと交差する。この実施形態は、製品の流れに追加的な乱流を作り出す。
【0035】
ある実施形態では、第2の螺旋形要素は第1の方向において螺旋状に成形される。内側体は、第1の方向と反対の第2の方向において外側管状体に対して回転可能である。ある例では、内側体には、右巻きとされた螺旋形要素が設けられ、熱交換器には、外側管状体に対して第2の流路に沿って時計回りに内側体を回転させるように配置される。内側体をこの方向に回転させることで増加した乱流をもたらし、これは、例えば、100cP超、200cP超、または500cP超といった大きな粘度を伴う製品を処理するとき、有益である。また、増加した乱流は、その粘度に拘わらず、製品を混合するのに有用である。例えば、製品の2つの成分が第2の入口を介して提供され、それら2つの成分は異なる温度を有する。この実施形態による熱交換器は、それら成分を所望の温度にさせるだけでなく、2つの成分が製品において適切に分け与えられた均質な製品を作り出すのも助ける。
【0036】
ある実施形態では、第1の螺旋形要素および第2の螺旋形要素の少なくとも一方は、それぞれの内面および/または外面の波形によって形成される。螺旋形要素は、螺旋状の波形を作り出すために、内面および/または外面を捩じることで形成される。波形は、湾曲した表面である。波形の角度は、例えば、30°といった15°~45°の範囲にある。波形は、例えば5~100mmの範囲といった深さを有する。波形における溝は、例えば1~10mmの範囲での半径で丸められる。
【0037】
ある実施形態では、第1の螺旋形要素および第2の螺旋形要素の少なくとも一方はネジを備える。ネジは第1の表面または外面から延び出す。ネジの種類は、例えば、V字形ネジ、角ネジ、アクメネジ、または鋸歯ネジである。ネジは、一条ネジまたは多条ネジである。ネジの角度は、例えば、30°といった15°~45°の範囲にある。ネジは、例えば5~100mmの範囲において、第1の表面または外面から延び出す。ある実施形態では、ネジは内側体から転造加工または機械加工される。ある実施形態では、ネジは外側管状体から転造加工または機械加工される。
【0038】
ある実施形態では、第1の螺旋形要素および第2の螺旋形要素の少なくとも一方は溝を備える。この実施形態では、螺旋形要素は、例えば内側体に、溝を設けることで形成される。内側体は、溝を作り出すために、転造加工されて塑性的に変形させられる。ある実施形態では、内側体は、外面に溝を作り出すために転造加工される管である。代替で、内側体は、例えばフライス加工によって、溝が切断される管である。ある実施形態では、内面は単一の溝または複数の溝を有する。ある実施形態では、外面は単一の溝または複数の溝を有する。溝の角度は、例えば、30°といった15°~45°の範囲にある。溝は、例えば5~100mmの範囲といった深さを有する。溝の縁は、例えば1~10mmの範囲での半径で丸められる。
【0039】
内側体における螺旋形要素は、内側体を変形させることで、または、螺旋形要素を内側体に追加することで、形成される。例えば転造加工することによって内側体を変形させることは、内側体の外面と螺旋形要素との間の滑らかな移行が形成できるという利点を有する。滑らかな移行は内側体の適切な洗浄を可能とし、これは、例えば製品が食品であるとき、重要である。例えば、螺旋形材料を内側体に溶接することで、螺旋形要素を内側体に追加することは、例えば肥料または廃棄物を処理するためなど、大規模な熱交換器を構築するためのコスト効率の高い方法である。このような実施において、少量の製品が、内側体の外面と、外面に連結された螺旋形要素との間の移行領域に残るかどうかは、より重要性が小さくなる。
【0040】
ある実施形態では、内側体は軸に沿って細長くされる。内側体は軸に沿って外側体に対して回転可能である。例えば、内側体は、軸に沿って延びる管または棒材である。軸は、管の長手方向軸である。外面は管の周囲面である。管の端面は、端面と製品との間の接触を防止するために封止される。周囲面は滑らかである、または、周囲面には螺旋形要素が設けられる。内側体は長手方向軸に沿って回転可能であり、そのため、長手方向軸の位置は外側管状体に対して静止したままであるが、内側体は外側管状体に対して回転する。この実施形態では、内側体と外側管状体とを互いとつなぐ軸受の配置が、比較的単純である。軸受は、長手方向軸に沿っての外側体に対する内側体の回転を許容し、他の自由度においては内側体を外側体に対して制約する。
【0041】
他の実施形態では、内側体は軸に沿って細長くされる。内側体は、軸に対して垂直な平面において軸を移動させることで回転可能である。例えば、内側体は、軸に沿って延びる管または棒材である。軸は、管の長手方向軸である。外面は管の周囲面である。管の端面は、端面と製品との間の接触を防止するために封止される。周囲面は滑らかである、または、周囲面には螺旋形要素が設けられる。内側体は、軸に対して垂直な平面において軸を移動させることで回転可能である。軸に対して垂直な平面において軸を移動させることで、内側体は、軸に対して垂直な平面において移動させられる。内側体の移動は、例えば左側といった内側体の一方の側において、内側体と外側管状体との間の隙間を局所的に減少させ、同時に、例えば右側といった反対の側において、隙間を増加させる。軸に対して垂直な平面において内側体をあちこちへ移動させることで、圧力が隙間における製品に加えられて製品を前方へと押し、製品が第1の表面または外面にこびり付き、残留物を作り出すのを防止する。
【0042】
さらなるその実施形態において、内側体は、軸に対して垂直な平面における円形の経路に沿って軸を移動させることで回転可能である。この移動は、内側体が、内側体自体をそれ自体の軸に沿って回転させることなく、中心点に沿って回転する惑星のような移動に相当する。第1の外面に沿って圧力を均一に分けるために、軸は、軸に対して垂直な平面における円形の経路に沿って移動させられる。軸を円形の経路に沿って移動させることで、圧力は、第1の外面の周囲の一部において一度に適用される。軸が円形の経路を完走したとき、圧力は第1の外面の周囲全体に沿って加えられている。なおも他の実施形態では、円形の経路の代わりに、任意の他の楕円の経路が適用される。
【0043】
内側体を外側管状体に対して回転させるために、軸受は内側体と外側管状体とを互いとつなぐために提供される。軸受は、内側体の一方または両方の端の近くに配置される。軸受は、グリース、油、または金属粒子が製品に混入するのを防止するために、製品から適切に分離される必要がある。ある実施形態では、シールが、外側管状体の内面と内側体の外面との間に提供される。シールは製品を軸受から分離する。シールは、内側体が外側管状体に対して回転するのを許容する。例えば、シールは外側管状体に固定される。シールの表面は内側体と接触している。内側体が外側管状体に対して回転するとき、内側体は、内側体と接触しているシールの面に沿って滑る。
【0044】
ある実施形態では、蛇腹が、内側体および外側管状体に取り付けられ、外面と内面との間にシールを作り出すように配置される。蛇腹は、軸受を製品から分離するシールを作り出すために提供される。蛇腹は、軸が軸に対して垂直な平面において移動するとき、外側管状体に対する内側体の回転を許容することができる。この回転の間、蛇腹は弾性的に変形される。蛇腹の一端は内側体に固定され、蛇腹の他端は外側管状体に固定される。軸に対して垂直な平面における軸の移動との蛇腹の組み合わせは、滑りシールが必要とされないという利点を有する。滑りシールの場合、内側体が滑りシールに対して移動し、シールを内側体に対して滑らせることになる。製品は滑りシールと内側体との間に残留物を形成し、これは、残留物を除去するために追加の洗浄を必要とする。蛇腹を使用することで、内側体と蛇腹との間に滑りが生じない。
【0045】
ある実施形態では、熱交換器は向流式熱交換器である。第1の流路と第2の流路とは反対方向である。この実施形態では、第2の流路における製品の最も高温の部分は、第1の流路における熱媒液体の最も高温の部分の近くであり、第2の流路における製品の最も低温の部分は、第1の流路における熱媒液体の最も低温の部分の近くである。結果として、第2の流路に沿って、製品は、製品との適切な温度差を有する熱媒液体の部分の近くに常にある。代替で、熱交換器は並流式熱交換器である。並流式熱交換器では、第1の流路と第2の流路とは同じ方向にある。製品の最終的な温度は、典型的には、向流式熱交換器の代わりに並流式熱交換器を使用するときにより正確に決定される。
【0046】
本発明のさらなる態様において、熱交換器は、20cP超の粘度を有する第2の流体と熱を交換するために使用される。好ましくは、粘度は100cPを上回る。より好ましくは、粘度は500cPを上回る。この態様によれば、熱交換器は、大きい粘度を伴う流体製品を処理するために使用される。このような大きな粘度を伴う製品は、知られている熱交換器に押し通すためには高い圧力を必要とする。このような製品は、知られている熱交換器の内側に容易にこびり付きもし、除去される必要がある残留物をもたらす。このような大きな粘度を伴う流体製品を、本発明による熱交換器で処理することで、残留物の量が低減され、または防止さえされる。また、外側管状体に対する内側体の回転によって作り出される圧力は、流体製品が熱交換器を通じて流れるのを助ける。粘度は、典型的には製品の温度に依存する。より低い温度は、典型的には、粘度についてより大きい値をもたらし、つまり、製品はより低い温度において「よりどろり」となる。製品の粘度は、例えば、第2の入口の近くだけにおいて500cPを上回る、または、第2の出口の近くだけにおいて500cPを上回る。
【0047】
製品の他の特性が、知られている熱交換器において、製品を処理するときに困難をもたらす。例えば、流体として卵を低温殺菌するときである。卵が典型的に低温殺菌されるときの温度は、卵が凝固し始める65~66℃の温度の近くである。卵を本発明による熱交換器で処理するとき、凝固した卵の蓄積が低減または防止される。少しの一部だけの凝固した卵が流体に存在し、これは製品の品質を低下させない。また、乱流のため、熱媒液体は、知られている熱交換器におけるより低い温度で設定される。より低い温度であっても、卵は所望の低温殺菌温度に到達する。より低い温度は、卵の凝固の可能性を低下させる。結果として、熱交換器は、洗浄が必要となる前にはるかにより長く作動させることができる。
【0048】
ある実施形態では、熱交換器は、食品である第2の流体と熱を交換するために使用される。流体状態であるときに冷却または加熱される多くの製品がある。高品質の製品にするために、製品との熱交換が所望の時間内に行われることと、食品のすべてが熱を交換することができることとは、重要である。例えば、流体状態でのダークチョコレートとの不適切な熱交換は、完成した冷却された製品に白い層または白い点を生じさせてしまう。本発明による熱交換器を使用することで、製品との熱交換はより予測可能となる。
【0049】
ある実施形態では、熱交換器は、非食品である第2の流体と熱を交換するために使用される。先の記載は第2の流体を製品として記載しているが、ある実施形態では、第2の流体は、化学製品などの非食品である。ある実施形態では、化学製品は、例えば500cPを上回る大きい粘度を有する。化学製品は、例えば、塗料製品、油製品、またはポリマである。非食品は、液体、液体と固体との組み合わせ、または、液体と固体と気体との組み合わせである。ある実施形態では、非食品は粒状材料である。砂および肥料などの粒状材料は、小さい大きさの固体から作られるが、流体のように流れることができる。
【0050】
本発明の第2の態様では、向上した熱伝達が、第1の流体と第2の流体との間で熱を交換するように適合される熱交換器によって達成される。熱交換器は、
内面を有する外側管状体と、
外側管状体の内側に配置され、外側管状体の内面を向く外面を有する内側体であって、外側管状体の内面と内側体の外面との間の隙間を自由にしたままにする内側体と、
第1の入口から第1の通路および第2の通路を介して第1の出口へと、第1の流体のための第1の流路を提供するように配置される第1の入口および第1の出口と、
外側管状体の内面と内側体の外面との間の隙間を介して、第2の入口から第2の出口へと第2の流体のための第2の流路を提供するように配置される第2の入口および第2の出口と
を備え、
外側管状体は第1の通路を備え、
内側体は第2の通路を備え、
内側体は外側管状体に対して回転可能であり、
内側体は軸に沿って細長くされ、
内側体は、軸に対して垂直な平面において軸を移動させることで回転可能である。
【0051】
熱交換器は、第1の流体と第2の流体との間で熱を交換するように適合される。第1の流体は、例えば、水、熱用油、ブライン、またはグリコールなどの熱媒液体である。異なる種類の流体が使用され得る。ある例では、第1の流体は完全に液体の状態である。しかしながら、第1の流体は、完全に液体状態である必要はない。例えば、第1の流体は液体と気体とを含んでもよい。例えば、第1の流体はアンモニアを液相および気相で含む。使用中、アンモニアは、液相と気相との間で質量比を変えることで熱を伝達する。気体の例は、所望のpH値の第1の流体で所望の酸性度を達成するために、第1の流体に存在する二酸化炭素である。気体は、第1の流体に溶解し得、または、第1の流体において泡を形成するように気体状態で第1の流体に存在し得る。本発明を説明する観点において、第1の流体はさらに、「熱媒液体」の表現で指示される。
【0052】
第2の流体は、例えば、高粘度食料流体などの食品である。第2の流体は、液体、液体と固体との組み合わせ、液体と気体との組み合わせ、または、液体と固体と気体との組み合わせである。例えば、食品がフルーツジュースである場合、第2の流体は果肉および種子を含み得る。食品がバターである場合、バターは完全に液体の状態へと加熱され得る。食品は、例えば、飼料製品または動物用飼料製品と典型的には称される、動物のための食料である。ある例では、第2の流体は粘弾性的に振る舞う。第2の流体は、例えば非食品である。非食品は、例えば、石油化学製品または塗料などの化学製品である。非食品は、例えば肥料またはポリマである。すべてのこれらの例において、第2の流体は、流れることができる特性を有する。本発明を説明する観点において、第2の流体はさらに、「製品」の表現で指示される。
【0053】
外側管状体は、例えば細長い中空体である。外側管状体の内側には、内側体が配置される。隙間が、内側体の外面と外側管状体の内面とによってそれらの間に定められる。隙間は、外側管状体と内側体との間の空間である。製品は、内側体と外側管状体との間の隙間を介して入口から出口へと流路を辿る。入口と出口とは隙間を介して互いと連通している。任意選択で、ポンプが、内側体と外側管状体との間の隙間に製品を押し通すために提供される。
【0054】
入口および出口は、熱媒液体が外側管状体および内側体を通じて流れるために提供される。外側管状体は少なくとも1つの通路を有し、内側体は、熱媒液体が第1の流路を介して流れるのに通る少なくとも1つの通路を有する。熱が製品と外側管状体との間で交換され、熱が製品と内側体との間で交換される。第1の流路は、外側管状体に配置される通路と、内側体に配置される通路とを通じて提供される。第1の流路は、外側管状体と内側体との両方に配置される。第1の流路の一部は、外側管状体を通る第1の通路を介している。外側管状体における第1の通路は、第1の入口および第1の出口と連通している。熱媒液体は、第1の入口から、外側管状体における第1の通路を介して、第1の出口へと流れる。第1の通路は、例えば、外側管状体の壁に配置される。第1の流路の別の一部は、内側体を通る第2の通路を介している。内側体における第2の通路は、第1の入口および第1の出口と連通している。熱媒液体は、第1の入口から、内側体における第2の通路を介して、第1の出口へと流れる。第1の通路と第2の通路とは、互いと並列に、または直列に、配置される。第2の入口および第2の出口は、内面と外面との両方を介して第1の流体と熱を交換するために、内面と外面との間の隙間において、第2の流体のための第2の流路を提供するように配置される。
【0055】
内側体は外側管状体に対して回転可能である。ある実施形態では、外側管状体は静止しており、内側体は回転可能である。内側体が回転するとき、第2の通路は内側体と共に回転する。ある実施形態では、内側体は静止しており、外側管状体は内側体のまわりに回転可能である。外側体が回転するとき、第1の通路は外側管状体と共に回転する。他の実施形態では、外側管状体と内側体との両方が異なる回転速度でそれぞれ回転する。
【0056】
第1の通路および第2の通路を外側管状体および内側体にそれぞれ設けることで、2つの熱伝達経路が、製品と熱媒液体との間で熱を交換するために作り出される。一方の熱伝達経路は外側管状体を介してである。他方の熱伝達経路は内側体を介してである。熱媒液体は、外面および内面を介して熱を製品と交換する。外側管状体および内側体における通路は、熱交換器における共通の入口または別々の入口を介して熱媒液体を受け入れる。2つの熱伝達経路を設けることで、製品との熱交換器の接触面積が拡大され、結果として、熱交換が向上させられる。
【0057】
内側体と第2の通路とは、外側管状体および第1の通路に対して回転可能である組み合わされた物体を一緒に形成する。外側管状体と第1の通路とは、さらなる組み合わされた物体を一緒に形成する。内側体と第2の通路とが組み合わされた物体を一緒に形成するため、および、外側管状体と第1の通路とがさらなる組み合わされた物体を一緒に形成するため、製品と熱媒液体とを分離するために必要とされるシールが少なくて済む。シールの数を減らすことで、製品または熱媒液体の漏れの可能性を低減する。
【0058】
内側体および第2の通路を外側管状体および第1の通路に対して回転させることで、製品は、異なる速度にある2つの面と接触している。2つの面、つまり、外側管状体の内面と内側体の外面とは、互いに対して移動しているため、製品は内面および/または外面によりこびり付きにくい。特に、内面と外面との間の隙間が、例えば、1~5mmの範囲、好ましくは、1.5mmなどの1~2mmの範囲といった小さいとき、製品のこびり付きは、内側体および第2の通路を外側管状体および第1の通路に対して回転させることで、低減または防止される。知られている熱交換器におけるこのような隙間が、こびり付いた製品によって部分的に妨害される場合、洗浄するのは困難である。洗浄液体は、隙間における妨害物の周りを移動する傾向を有する。内側体および第2の通路を外側管状体および第1の通路に対して回転させることで、内面と外面との両方にこびり付く残留物がないため、このような妨害物は防止される。残留物は洗浄液体によってより容易に除去される。本発明は、食料が約135℃~140℃の温度において殺菌される超高温加熱処理法(UHT)にとって特に有用である。食品は、製品におけるバクテリアを殺すために、この温度を数秒間だけ保つ必要があるが、香りの喪失、色の変化などの製品の劣化を防ぐために、できるだけ素早く冷却されなければならない。内面と外面との間の隙間を最小限にすることで、UHTの後に製品が100℃超で留まる時間は最小限とされる。
【0059】
例えば、内側体は、軸に沿って延びる管または棒材である。軸は、管の長手方向軸である。外面は管の周囲面である。管の端面は、端面と製品との間の接触を防止するために封止される。周囲面は滑らかである、または、周囲面には螺旋形要素が設けられる。内側体は、軸に対して垂直な平面において軸を移動させることで回転可能である。軸に対して垂直な平面において軸を移動させることで、内側体は、軸に対して垂直な平面において移動させられる。内側体の移動は、例えば左側といった内側体の一方の側において、内側体と外側管状体との間の隙間を局所的に減少させ、同時に、例えば右側といった反対の側において、隙間を局所的に増加させる。軸に対して垂直な平面において内側体をあちこちへ移動させることで、圧力が隙間における製品に加えられて製品を前方へと押し、製品が第1の表面または外面にこびり付き、残留物を作り出すのを防止する。
【0060】
ある実施形態では、内側体は、軸に対して垂直な平面における円形の経路に沿って軸を移動させることで回転可能である。
【0061】
この実施形態によれば、この移動は、内側体が、内側体自体をそれ自体の軸に沿って回転させることなく、中心点に沿って回転する惑星のような移動に相当する。第1の外面に沿って圧力を均一に分けるために、軸は、軸に対して垂直な平面における円形の経路に沿って移動させられる。軸を円形の経路に沿って移動させることで、圧力は、第1の外面の周囲の一部において一度に適用される。軸が円形の経路を完走したとき、圧力は第1の外面の周囲全体に沿って加えられている。なおも他の実施形態では、円形の経路の代わりに、任意の他の楕円の経路が適用される。
【0062】
内側体を外側管状体に対して回転させるために、軸受は内側体と外側管状体とを互いとつなぐために提供される。軸受は、内側体の一方または両方の端の近くに配置される。軸受は、グリース、油、または金属粒子が製品に混入するのを防止するために、製品から適切に分離される必要がある。ある実施形態では、シールが、外側管状体の内面と内側体の外面との間に提供される。シールは製品を軸受から分離する。シールは、内側体が外側管状体に対して回転するのを許容する。例えば、シールは外側管状体に固定される。シールの表面は内側体と接触している。内側体が外側管状体に対して回転するとき、内側体は、内側体と接触しているシールの面に沿って滑る。
【0063】
ある実施形態では、熱交換器は、内側体および外側管状体に取り付けられ、外面と内面との間にシールを作り出すように配置される蛇腹を備える。
【0064】
この実施形態によれば、蛇腹は、軸受を製品から分離するシールを作り出すために提供される。蛇腹は、軸が軸に対して垂直な平面において移動するとき、外側管状体に対する内側体の回転を許容することができる。この回転の間、蛇腹は弾性的に変形される。蛇腹の一端は内側体に固定され、蛇腹の他端は外側管状体に固定される。軸に対して垂直な平面における軸の移動との蛇腹の組み合わせは、滑りシールが必要とされないという利点を有する。滑りシールの場合、内側体が滑りシールに対して移動し、シールを内側体に対して滑らせることになる。製品は滑りシールと内側体との間に残留物を形成し、これは、残留物を除去するために追加の洗浄を必要とする。蛇腹を使用することで、内側体と蛇腹との間に滑りが生じない。
【0065】
ある実施形態では、外側管状体の内面は第1の螺旋形要素を有する。
【0066】
この実施形態によれば、内面は螺旋形要素を有する。好ましくは、螺旋形要素は、外側管状体の内面の大部分または全部に沿って延びる。螺旋形要素は、例えば、内面から延び出す突出である。螺旋形要素は、例えば、内面の湾曲である。螺旋形要素は、例えば、内面または外面に作り出される凹部である。
【0067】
ある実施形態では、内側体の外面は第2の螺旋形要素を有する。
【0068】
この実施形態によれば、外面は螺旋形要素を有する。好ましくは、螺旋形要素は、内側体の外面の大部分または全部に沿って延びる。螺旋形要素は、例えば、外面から延び出す突出である。螺旋形要素は、例えば、外面の湾曲である。螺旋形要素は、例えば、外面に作り出される凹部である。
【0069】
ポンプが、第2の流路に沿って製品を隙間に押し通すために提供される。内面および/または外面に螺旋形要素を設けることで、内面および/または外面に沿っての製品の流れは擾乱され、製品の流れを乱流とさせる。螺旋形要素のない滑らかな面であれば、製品の流れを層流とさせてしまう。製品の乱流は、製品と内面との間により良好な熱伝達をもたらす。
【0070】
乱流のため、製品が層流である場合よりも多くの製品が内面および外面と接触する。結果として、乱流は製品と熱媒液体との間の熱伝達を向上させる。熱交換器の適切なパラメータが選択される場合、高粘度の製品でさえ乱流で流れることができる。このようなパラメータの例は、内側体と外側管状体との間の隙間の大きさ、外側管状体に対する内側体の回転速度、および/または、螺旋形要素の寸法である。製品は、内面の近く、および/または、外面の近くで、乱流になる。前述されているパラメータに応じて、製品は隙間にわたって乱流となる。
【0071】
ある実施形態では、内面は長手方向軸に沿って延びる。長手方向軸に対して垂直な内面の断面は非円形である。
【0072】
ある実施形態では、外側管状体の内面は第1の螺旋形要素を有し、内側体の外面は第2の螺旋形要素を有し、第1の螺旋形要素および第2の螺旋形要素はそれぞれ、互いと平行な長手方向軸を有する。
【0073】
この実施形態によれば、例えば、内側体は、長手方向軸に延びる管または棒材である。第2の螺旋形要素は管の周囲面に沿って配置される。第2の螺旋形要素の螺旋の軸は、内側体の長手方向軸と並べられる。内側体は、外側管状体における空間の内部に配置される。空間は、内側体の長手方向と平行な方向に延びる。空間は、第1の螺旋形要素が配置される内面を有する。第1の螺旋形要素の螺旋の軸は、内側体の長手方向軸と平行である。
【0074】
ある実施形態では、第1の螺旋形要素と第2の螺旋形要素とは、同じ方向において螺旋状に成形される。
【0075】
この実施形態によれば、螺旋は左巻きまたは右巻きのいずれかとされ得る。左巻きと右巻きとは互いの反対の方向である。第1の螺旋要素と第2の螺旋要素とは、両方とも右巻きである、または、両方とも左巻きである。これは、第1の螺旋形要素と第2の螺旋形要素とが同じ方向で螺旋形とされるという利点を有するが、その理由は、製品の流れの速度および外側管状体に対する内側体の回転速度とは無関係に、熱交換器における製品のすべてが流れ続けることを確保するのを助けるためである。この実施形態は、製品が2~100cPの範囲でといった低い粘度を有する場合、特に適している。
【0076】
ある実施形態では、第1の螺旋形要素と第2の螺旋形要素とは、反対方向において螺旋状に成形される。
【0077】
この実施形態によれば、螺旋形要素を反対方向で配置することで、外側管状体に対して内側体を回転させることは、追加の圧力を製品に提供して製品を熱交換器に押し通す。この実施形態は、製品が100~500cP以上の範囲でといった大きい粘度を伴う製品に特に適している。
【0078】
ある実施形態では、第2の螺旋形要素は第1の方向において螺旋状に成形され、内側体は、第1の方向と反対の第2の方向において外側管状体に対して回転可能である。
【0079】
この実施形態によれば、ある例では、内側体には、右巻きとされた螺旋形要素が設けられ、熱交換器には、外側管状体に対して第2の流路に沿って時計回りに内側体を回転させるように配置される。内側体をこの方向に回転させることで増加した乱流をもたらし、これは、例えば、100cP超、200cP超、または500cP超といった大きな粘度を伴う製品を処理するとき、有益である。また、増加した乱流は、その粘度に拘わらず、製品を混合するのに有用である。例えば、製品の2つの成分が第2の入口を介して提供され、それら2つの成分は異なる温度を有する。この実施形態による熱交換器は、それら成分を所望の温度にさせるだけでなく、2つの成分が製品において適切に分け与えられた均質な製品を作り出すのも助ける。
【0080】
ある実施形態では、第1の螺旋形要素および第2の螺旋形要素の少なくとも一方は、それぞれの内面および/または外面の波形によって形成される。
【0081】
この実施形態によれば、螺旋形要素は、螺旋状の波形を作り出すために、内面および/または外面を捩じることで形成される。波形は、湾曲した表面である。波形の角度は、例えば、30°といった15°~45°の範囲にある。波形は、例えば5~100mmの範囲といった深さを有する。波形における溝は、例えば1~10mmの範囲での半径で丸められる。
【0082】
ある実施形態では、第1の螺旋形要素および第2の螺旋形要素の少なくとも一方はネジを備える。
【0083】
この実施形態によれば、ネジは第1の表面または外面から延び出す。ネジの種類は、例えば、V字形ネジ、角ネジ、アクメネジ、または鋸歯ネジである。ネジは、一条ネジまたは多条ネジである。ネジの角度は、例えば、30°といった15°~45°の範囲にある。ネジは、例えば5~100mmの範囲において、第1の表面または外面から延び出す。ある実施形態では、ネジは内側体から転造加工または機械加工される。ある実施形態では、ネジは外側管状体から転造加工または機械加工される。
【0084】
ある実施形態では、第1の螺旋形要素および第2の螺旋形要素の少なくとも一方は溝を備える。
【0085】
この実施形態によれば、螺旋形要素は、例えば内側体に、溝を設けることで形成される。内側体は、溝を作り出すために、転造加工されて塑性的に変形させられる。ある実施形態では、内側体は、外面に溝を作り出すために転造加工される管である。代替で、内側体は、例えばフライス加工によって、溝が切断される管である。ある実施形態では、内面は単一の溝または複数の溝を有する。ある実施形態では、外面は単一の溝または複数の溝を有する。溝の角度は、例えば、30°といった15°~45°の範囲にある。溝は、例えば5~100mmの範囲といった深さを有する。溝の縁は、例えば1~10mmの範囲での半径で丸められる。
【0086】
ある実施形態では、内側体は軸に沿って外側管状体に対して回転可能である。
【0087】
この実施形態によれば、内側体は、軸に対して垂直な平面を通じて移動することで、外側管状体に対して回転するだけでなく、軸に沿って回転もする。
【0088】
ある実施形態では、熱交換器は向流式熱交換器である。第1の流路と第2の流路とは反対方向である。
【0089】
この実施形態によれば、第2の流路における製品の最も高温の部分は、第1の流路における熱媒液体の最も高温の部分の近くであり、第2の流路における製品の最も低温の部分は、第1の流路における熱媒液体の最も低温の部分の近くである。結果として、第2の流路に沿って、製品は、製品との適切な温度差を有する熱媒液体の部分の近くに常にある。
【0090】
本発明のさらなる態様において、熱交換器は、ある実施形態では、20cPを超え、好ましくは100cPを超え、より好ましくは500cPを超える粘度を有する第2の流体と使用される。他の実施形態では、熱交換器は、食品または飼料製品である第2の流体と使用される。なおも他の実施形態では、熱交換器は、非食品である第2の流体と使用される。
【0091】
本発明は、本発明の非限定的な手法の例示の実施形態が示されている図面を参照して、以下においてより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0092】
図1】本発明の実施形態による熱交換器の図である。
図2】本発明のさらなる実施形態による熱交換器の図である。
図3図2の熱交換器の内側体の移動経路の図である。
図4】本発明のなおもさらなる実施形態の詳細図である。
図5】本発明のなおもさらなる実施形態の詳細図である。
図6】本発明のなおもさらなる実施形態の詳細図である。
図7】本発明のなおもさらなる実施形態の詳細図である。
図8】本発明のなおもさらなる実施形態の詳細図である。
図9】本発明のなおもさらなる実施形態の詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0093】
図1は、本発明の実施形態による熱交換器100の図である。図1は、熱交換器100の内部の部分的な図を示している。熱交換器100は、第1の流体110と第2の流体120との間で熱を交換するためのものである。熱交換器100は、外側管状体101と、内側体102と、第1の入口112と、第2の入口122と、第1の出口114と、第2の出口124とを備える。外側管状体101は内面103を有する。内側体102は、外側管状体101の内部に配置され、外面104を有する。外面104は内面103を向いている。第1の入口112および第1の出口114は、外側管状体101における第1の通路および内側体102における第2の通路を介して、第1の流体110のための第1の流路116を提供するように配置される。第2の入口122および第2の出口124は、内面103と外面104とを介して第1の流体と熱を交換するために、内面103と外面104との間において、第2の流体120のための第2の流路126を提供するように配置される。内側体102は外側管状体101に対して回転可能である。第1の通路は外側管状体101に配置される。第2の通路は内側体102に配置される。
【0094】
内面103は第1の螺旋形要素105を有する。外面104は第2の螺旋形要素106を有する。
【0095】
内側体102は、内側体102の長手方向軸であるx軸に沿って延びている。内側体102は長手方向軸に沿って回転可能である。
【0096】
第1の流体110は、例えば水や水蒸気といった熱媒液体である。第1の流体110は、第2の流体120が加熱を必要とする場合、高温である。第1の流体110は、第2の流体120が冷却を必要とする場合、低温である。
【0097】
第2の流体120は、処理されている製品である。第2の流体120は、加熱または冷却のいずれかがされる熱交換器100へと汲み上げられる。
【0098】
第1の流体110は、第1の入口112から第1の通路および第2の通路を介して第1の出口114へと、熱交換器100を通る第1の流路116を辿る。図1に示されているように、第1の流体110は、第1の通路を介して外側管状体101を通じて流れ、同様に第2の通路を介して内側体102を通じて流れる。外側管状体101において、第1の流体110は、内面103と熱接触している第1の通路を通じて流れる。内面103を介して、第1の流体110は第2の流体120と熱を交換する。内側体102において、第1の流体110は、外面104と熱接触している第2の通路を通じて流れる。外面104を介して、第1の流体110は第2の流体120と熱を交換する。ある実施形態では、第1の流体110は外側管状体101および内側体102の一方だけを通じて流れる。
【0099】
第2の流体120は、第2の入口122から第2の出口124へと、熱交換器100を通る第2の流路126を辿る。第2の流路126は内面103と外面104との間の隙間にある。この実施形態では、内面103と外面104とは実質的に円筒形とされる。結果として、x軸に対して垂直な内面103と外面104との間の隙間の断面は、実質的に環状の形とされる。
【0100】
矢印によって指示されているように、第1の流路116は+x方向にあり、第2の流路126は-x方向にある。そのため、第1の流路116は第2の流路126と反対の方向にある。この実施形態では、熱交換器100は向流式熱交換器である。これは以下の利点を有する。熱交換器100が第2の流体120を加熱するために使用される場合、第1の流体110は、第1の入口112の近くにおいて最も高い温度を有する。第1の流体110の温度は、熱が第1の流体110から第2の流体120へと伝達されるため、第1の流体110が第1の出口114へと進むにつれて低下する。そのため、第1の流体110は第1の出口114の近くで最も低い温度を有する。第1の流路116を第2の流路126と反対の方向に設けることで、第2の入口122の近くでの第2の流体120は、第1の出口114の近くでもある。第1の出口114の近くの第2の流体120は、その場所において第2の流体120が熱交換器100に入るため、最も低い温度を有する。そのため、その場所における第1の流体110の低い温度であっても、第1の流体110と第2の流体120との間にはなおも温度に適切な差がある。結果として、熱交換は第2の入口122の近くですでに始まっている。第2の流体120が第2の出口124に向けて進むにつれて、第2の流体120はより暖かくなる。第1の入口112が第2の出口124の近くにあるため、第1の流体110は第2の出口124に向けてより暖かくなる。結果として、第2の流体120が第2の流路126を介して流れる間、第1の流体110と第2の流体120との間での適切な温度差が維持される。代替で、熱交換器100は、第1の流路116と第2の流路126とが同じ方向にある並流式熱交換器である。
【0101】
図1に示されているように、第1の螺旋形部材と第2の螺旋形部材との両方がx軸に沿って長手方向軸を有する。外側管状体101における第1の螺旋形部材は右巻きであり、内側体102における第2の螺旋形部材は左巻きである。そのため、第1の螺旋形部材と第2の螺旋形部材とは反対方向において螺旋状に成形される。
【0102】
熱交換器100は、第1の流体110、つまり熱媒液体を、第1の入口112を介して提供することで、使用される。第1の流体110は、第1の流路116を介して第1の出口114に向けて流れる。第1の流体110は、第1の通路を介して外側管状体101を通じて流れ、第2の通路を介して内側体102を通じて流れる。第2の流体120、つまり処理される製品は、第2の入口122を介して提供される。第2の流体120は、第2の流路126を介して第2の出口124に向けて流れる。第2の流路126は、外側管状体101の内面103と内側体102の外面104との間の隙間にある。第2の流体120は、内面103および外面104を介して第1の流体110と熱を交換する。
【0103】
図2は、本発明のさらなる実施形態による熱交換器200を示している。熱交換器200は、第1の流体110と第2の流体120との間で熱を交換するためのものである。熱交換器200は、外側管状体101と、内側体102と、第1の入口112と、第2の入口122と、第1の出口114と、第2の出口124とを備える。外側管状体101は内面103を有する。内側体102は、外側管状体101の内部に配置され、外面104を有する。外面104は内面103を向いている。第1の入口112および第1の出口114は、外側管状体101および内側体102を介して、第1の流体110のための第1の流路116を提供するように配置される。第2の入口122および第2の出口124は、内面103および外面104の少なくとも一方を介して第1の流体110と熱を交換するために、内面103と外面104との間において、第2の流体120のための第2の流路126を提供するように配置される。内側体102は外側管状体101に対して回転可能である。内面103は第1の螺旋形要素105を有する。外面104は第2の螺旋形要素106を有する。
【0104】
内側体102は長手方向軸に沿って延びている。内側体102は実質的に円筒の形とされ、円筒形の軸は軸202である。第2の螺旋形要素106は、円筒形の内側体102の外面に設けられる。内側体102は、外側管状体101における空間の内部に配置される。空間は内面103によって形成される。第1の螺旋形要素105は内面103に設けられる。空間は、長手方向軸204を伴う円筒形とされる。図2に示されているように、内側体102の軸202と外側管状体101の軸204との間にはずれがある。内側体102が外側管状体101に対して回転させられるとき、内側体102の軸202は、軸202に対して垂直な平面において移動する。内側体102の回転の詳細が図3に示されている。図3は、内側体102および外側管状体101の断面を示している。外側管状体101は、外側管状体101を通じて第1の流路116を提供するために、第1の通路を有する。内側体102は、内側体102を通じて第1の流路116を提供するために、第2の通路を有する。第1の螺旋形要素105および第2の螺旋形要素106は、図面の簡略化のために指示されていない。内側体102は、外側管状体101における空間の下方右部分においての初期位置で描写されている。内側体102が外側管状体101に対して回転させられるとき、内側体102の軸202は、内側体102の軸202に対して垂直な平面において経路に沿って移動させられる。この経路は点線の円302によって指示されている。内側体102は、内側体102の軸202を外側管状体101の軸204とずれている点線の円302に沿って移動させることで、回転させられる。初期位置において、内面103と外面104との間での内側体102の下方の隙間は、内面103と外面104との間での内側体102の上方の隙間より小さい。内側体102は、点線の円302に沿って矢印の方向に移動することで、初期位置からさらなる位置へと回転させられる。さらなる位置では、内側体102は外側管状体101の空間の上方右部分にある。さらなる位置において、内面103と外面104との間での内側体102の上方の隙間は、内面103と外面104との間での内側体102の下方の隙間より小さい。内側体102を点線の円302に沿って移動させることで、第2の流体120は第2の流路126に沿って押される。
【0105】
点線の円302に沿っての内側体102の回転の間、内側体102は、それ自体の軸に沿って、つまり、内側体102の軸202に沿って、回転しない。そのため、例えば、内側体102の上方部、つまり、最も高いz位置を有する内側体102の部分は、外側管状体101の軸204に沿っての内側体102の回転の間、上方部に留まる。
【0106】
内側体102が外側管状体101の軸204に沿って回転させられているとき、外側管状体101の軸204と内側体102の軸202とは互いと平行なままである。ある実施形態では、内側体102が外側管状体101の軸204に沿って回転させられているとき、外側管状体101の軸204と内側体102の軸202とは、外側管状体101の軸204に対して垂直な軸に沿って、つまり、y軸、z軸、またはy軸とz軸との組み合わせに沿って、互いに対して回転する。この実施形態では、例えば、内側体102の一端は点線の円302に沿って上へ移動させられ、同時に、内側体102の他端は点線の円302に沿って下へ移動させられる。
【0107】
点線の円302に沿っての内側体102の回転は、偏心機構208および222を使用することで実施される。偏心機構208および222は、外側管状体101に対する内側体102の回転を許容しつつ、外側管状体101に対する内側体102の他の移動を制約するために、軸受を備える。偏心機構208および222は、外側管状体101に対する内側体102の回転を駆動するためにモータを備える。
【0108】
蛇腹206が内側体および外側管状体に取り付けられる。蛇腹206は、外面104と内面103との間にシールを作り出すために配置される。
【0109】
熱交換器200は、第1の流体110、つまり熱媒液体を、第1の入口112を介して提供することで、使用される。第1の流体110は、第1の流路116を介して第1の出口114に向けて流れる。第1の流体110は外側管状体101および内側体102を通じて流れる。第2の流体120、つまり処理される製品は、第2の入口122を介して提供される。第2の流体120は、第2の流路126を介して第2の出口に向けて流れる。第2の流路126は、外側管状体101の内面103と内側体102の外面104との間にある。第2の流体120は、内面103および外面104を介して第1の流体110と熱を交換する。
【0110】
ある実施形態では、熱交換器200の内側体102は、軸202に沿って外側管状体101に対して回転するように適合される。そのため、内側体102は、点線の円302に沿って移動することに加えて、軸202に沿って回転する。同様に、ある実施形態では、図1に描写されているような熱交換器100は、内側体102を軸202に沿って回転させることに加えて、軸204に対して垂直な平面において内側体102を移動させるように適合されている。
【0111】
図4図9は、本発明のなおもさらなる実施形態の詳細を描写している。図4図9は、内側体102および外側管状体101の詳細図を示している。内側体102および外側管状体101は、図1図3の実施形態のいずれか1つと組み合わされてもよい。
【0112】
図4は、外側管状体101に配置されている内側体102を示している。内側管420は内側体102の内部に配置される。外側管430は外側管状体101の周りに配置される。第1の流路116は、内側管420と内側体102との間にあり、外側管状体101と外側管430との間にある。第2の流路126は、内側体102の外面104と外側管状体101の内面103との間の隙間にある。
【0113】
内面103は、非円形である長手方向軸204に対して垂直な断面を有する。内面103が波形400を備えるため、断面は非円形である。波形400は、長手方向軸204に沿って回転対称に配置され、長手方向に沿って延びる突出または溝によって形成される。波形400は、内側体102の周囲に沿って見られるとき、内側体102と外側体101との間の隙間に違いをもたらす。突出または溝の幅および高さは、例えば、第2の流路に沿って流れる製品の種類に基づいて選択される。
【0114】
外面104には、内面103と同様の波形410が設けられる。波形410は、内側体102に沿って回転対称に配置され、内側体102の長手方向軸に沿って延びる突出または溝によって形成される。波形410は、内側体102の周囲に沿って見られるとき、内側体102と外側体101との間の隙間にさらなる違いをもたらす。突出または溝の幅および高さは、例えば、第2の流路に沿って流れる製品の種類に基づいて選択される。波形410の幅および高さは、例えば、波形400と同じである、または異なる。代替の実施形態では、内面103だけが波形400を有し、外面104は波形のない滑らかな形を有する。
【0115】
図5は、以下のことを除いて図4の実施形態と同じである実施形態を示している。波形の代わりに、内側体102の外面104には第2の螺旋形要素106が設けられている。
【0116】
図6は、以下のことを除いて図4の実施形態と同じである実施形態を示している。内面103は、非円形である長手方向軸204に対して垂直な断面を有する。内面103が第1の螺旋形要素105を備えるため、断面は非円形である。第1の螺旋形要素105は、長手方向軸204に沿って螺旋形に配置される突出または溝によって形成される。外面104には波形410が設けられる。
【0117】
図7は、以下のことを除いて図4の実施形態と同じである実施形態を示している。内面103は、非円形である長手方向軸204に対して垂直な断面を有する。内面103が第1の螺旋形要素105を備えるため、断面は非円形である。第1の螺旋形要素105は、長手方向軸204に沿って螺旋形に配置される突出または溝によって形成される。外面104には第2の螺旋形要素106が設けられる。内面103における第1の螺旋形要素105の方向は左巻きである。外面104における第2の螺旋形要素106は右巻きである。第1の螺旋形要素105と第2の螺旋形要素106とは、反対方向に方向付けられる。内側体102を管状外側体101に対して回転させることで、隙間における製品に乱流および圧力を作り出す。
【0118】
図8は、第1の螺旋形要素105の方向と第2の螺旋形要素106の方向とが同じであることを除いて、図7の実施形態と同じである実施形態を示している。第1の螺旋形要素105と第2の螺旋形要素106とは両方とも左巻きである。内側体102を管状外側体101に対して回転させることで、隙間における製品に乱流を作り出す。
【0119】
図9は、以下のことを除いて図6の実施形態と同じである実施形態を示している。外側管状体101は、第1の螺旋形要素105を伴う内面103を有するように形成されている。また、外側管状体101の外面900に螺旋形要素910が設けられている。外側管状体101の薄い壁厚のため、螺旋形要素910と第1の螺旋形要素103とは、外側管状体101の壁を変形させるときに同時に形成される。螺旋形要素910は、外側管状体101と外側管430との間で流れる熱媒液体をより乱流にさせ、これは、第2の流路126に沿っての熱媒液体と製品との間での熱伝達を増加させる。長手方向軸204に沿っての外側管状体101の外面900の断面が非円形である限り、螺旋形要素910の代わりに、任意の他の適切な形が外側管状体101の外面900に設けられてもよい。外側管状体101は、記載されている実施形態のいずれかにおける非円形の断面を伴う外面900を有することができる。
【0120】
図4図9の実施形態において内側体102を外側管状体101に対して回転させるとき、波形400、410、第1の螺旋形要素105、および/または第2の螺旋形要素106は、第2の流路126に沿って流れる製品をより乱流とさせ、これは、第2の流路126に沿う製品と、第1の流路116に沿う熱媒液体との間での熱伝達を向上させる。
【符号の説明】
【0121】
100、200 熱交換器
101 外側管状体
102 内側体
103 内面、第1の螺旋形要素
104 外面
105 第1の螺旋形要素
106 第2の螺旋形要素
110 第1の流体
112 第1の入口
114 第1の出口
116 第1の流路
120 第2の流体
122 第2の入口
124 第2の出口
126 第2の流路
202 内側体102の軸
204 外側管状体101の軸
206 蛇腹
208、222 偏心機構
302 経路
400 内面103の波形
410 外面104の波形
900 外側管状体101の外面
910 螺旋形要素
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【国際調査報告】