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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-16
(54)【発明の名称】R718*圧縮機における容積比
(51)【国際特許分類】
   F04C 28/10 20060101AFI20230309BHJP
   F25B 1/00 20060101ALI20230309BHJP
   F25B 1/053 20060101ALI20230309BHJP
   F04C 29/00 20060101ALI20230309BHJP
【FI】
F04C28/10
F25B1/00 396R
F25B1/053 Z
F04C29/00 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022544696
(86)(22)【出願日】2021-01-20
(85)【翻訳文提出日】2022-09-08
(86)【国際出願番号】 EP2021051215
(87)【国際公開番号】W WO2021148475
(87)【国際公開日】2021-07-29
(31)【優先権主張番号】DE102020000350.8
(32)【優先日】2020-01-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522292275
【氏名又は名称】エル-718 シュピンデル ゲーベーエル
【氏名又は名称原語表記】R-718 Spindel GbR
【住所又は居所原語表記】c/o Dietmar Rook, An der Raa 8, 25421 Pinneberg,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100111567
【弁理士】
【氏名又は名称】坂本 寛
(74)【代理人】
【識別番号】519268632
【氏名又は名称】丹羽 愛深
(72)【発明者】
【氏名】シュテフェンス ラルフ
【テーマコード(参考)】
3H129
【Fターム(参考)】
3H129AA03
3H129AB05
3H129BB52
3H129CC03
3H129CC51
3H129CC80
(57)【要約】
本発明は、特に、冷却技術、空調技術、およびヒートポンプ技術のための、回転変位機における水溶液としての、添加物の添加の有無を問わない、R718としての水蒸気の圧縮に関する。効率に対して有害な動作中の過圧縮または圧縮不足を大きく回避する目的で、変位器におけるいわゆるiV値としての現在有効な内部容積比を最も容易に調整するために、圧縮機ハウジング(1)が、出口側(1.2)から開始し、ロータプロファイル長さLを有し、長さLiVにわたり、平面Pを有する平面的すなわち平坦なiVディスク(3)を備え、平面Pは好ましくは中立軸ANに垂直であり、添え字jは、1≦j≦nであり、nは、iVディスク(3)の数であり、n≧1であり、各iVディスク(3)は幅bを有し、iVディスク(3)は、それぞれの動作条件のために、0<s≦sである距離sだけ、その都度iVディスク(3)ごとの動き制御装置(5)により、的を絞った方法で個別に変位される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス状の移送媒体、好ましくはR718冷媒(水溶液でもある)としての水蒸気、を移送および圧縮するための2シャフト回転変位機としてのR718*圧縮機であって、圧縮機入口(1.1)においては圧力pを呈し、動作中は圧縮機出口(1.2)においてより高い圧力pを呈する、圧縮機ハウジング(1)内のスピンドルロータ対(2)を備え、
前記R718*圧縮機の内部容積比(「iV値」という)のそれぞれの調整について、前記R718*圧縮機の前記圧縮機ハウジング(1)は、前記出口側(1.2)から開始して、ロータプロファイル長さLを有し、長さLiVにわたり、平面Pを有する、平面的すなわち平坦なiVディスク(3)を備え、前記平面Pは好ましくは中立軸Aに垂直であり、添え字jは、1≦j≦nであり、nは、これらのiVディスク(3)の数であり、n≧1であり、各iVディスク(3)は幅bを有し、前記iVディスク(3)は、それぞれの動作条件のために、0<s≦sでありsをiVディスク(3)ごとの最大変位距離とする距離sだけ、その都度iVディスク(3)ごとの動き制御装置(5)を介して個別に変位され、これにより、凝縮チャンバ(1.2)内へのガス排出Go1およびGo2ならびにGoSが、R718*圧縮機における効率に対して有害な過圧縮または圧縮不足を大きく回避するような態様で可能となることを特徴とする、R718*圧縮機。
【請求項2】
各iVディスク(3)の正確な位置決めは、前記圧縮機ハウジング(1)に対して、かつお互いに対して、位置決めピン(4)を介して達成され、これにより、すべての前記iVディスク(3)が前記位置決めピン(4)を介して明確に画定された状態で互いに当接する閉状態において、スピンドルロータ対(2)と圧縮機ハウジング(1)との間のクリアランス値が常に維持されるように、前記圧縮機ハウジング(1)の内部輪郭の生成機械加工が、完全に当接したiVディスクのこの状態で達成されることを特徴とする、請求項1に記載のR718*圧縮機。
【請求項3】
iVディスク(3)ごとの動き制御装置(5)が、好ましくはR718*水圧で動作され、各動作点について、0<s≦sであり、sをiVディスク(3)ごとの最大変位距離とする任意の中間位置sが可能となることを特徴とする、請求項1または2に記載のR718*圧縮機。
【請求項4】
iVディスク(3)ごとの平面(P)が、相応に平滑で光沢があり、好ましくは磨かれた表面を有し、お互いに対する、および前記圧縮機ハウジング(1)に対するシーリングを容易とするように設計されていることを特徴とする、先行請求項のいずれか一項に記載のR718*圧縮機。
【請求項5】
ガイド支持表面(F)が、それぞれの前記iVディスク(3)の変位のための、前記動き制御装置(5)を介した力の好適な印加によるそれぞれの前記iVディスク(3)の変位中において、対応するガイド長さにわたるそれぞれの前記iVディスク(3)の円周方向の均一な動きおよびガイド精度が保証され、かつ前記iVディスク(3)のいかなる傾きも回避されるように設計されていることを特徴とする、先行請求項のいずれか一項に記載のR718*圧縮機。
【請求項6】
前記ガイド支持表面(F)が、iVディスク(3)ごとの前記動き制御装置(5)を介した力の前記均一な印加と同様に、前記中央ガイド直径ΦDFに関連付けることを特徴とする、請求項5に記載のR718*圧縮機。
【請求項7】
前記iVディスク(3)は、iVディスク(3)ごとの前記動き制御装置(5)を介して、前記R718*圧縮機が最小のエネルギー消費量で動作するように、前記それぞれの作業点/動作点のために位置付けられていることを特徴とする、先行請求項のいずれか一項に記載のR718*圧縮機。
【請求項8】
ロータプロファイル長さLに対して、前記iVディスク(3)の前記長さLiVが、前記圧縮機入口側(1.1)の少なくとも前記第1の作業チャンバが常に閉じられたままとなるように、設計されていることを特徴とする、先行請求項のいずれか一項に記載のR718*圧縮機。
【請求項9】
前記位置決めピン(4)が、iVディスク(3)ごとの正確な位置決めのみならず、前記動き制御装置(5)を介した前記iVディスクの変位中における前記iVディスクの案内およびエントレインメントをも引き受けることを特徴とする、先行請求項のいずれか一項に記載のR718*圧縮機。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
冷却市場は現在、変化しつつある。例えば、主要なフッ素系冷媒(FKW、HFO)は気候および環境に有害であるため、例えば、フッ素系温室効果ガスに関する(EU)規制No.842/2006およびNo.517/2014における、いわゆる「Fガス規制」によると、これらフッ素系冷媒の使用は低減すべき課題として、人々の関心を集めている。したがって、冷却技術において、自然冷媒が強く望まれており、水は、熱力学特性が良好であるゆえ、特に優れている。
【0002】
しかしながら、水は、例えばアンモニアと比較して、同じ機能において、同じ成果のために移送される体積流量がおよそ300倍多く必要とされる。そのため、R718冷媒としての水の広範な実用は、これまで失敗している。同時に、仮に可能であっても、10倍を超える圧力比は非常に高いため、圧縮機の要件が極めて高くなる。同時に、圧縮機はオイルフリーである必要があり、6mbar~200mbarの範囲、またそれよりも高い可能性がある真空において、可能な限り効率よく動作する必要がある。
【0003】
R718冷媒としての水の破壊的特性は明白であり、今日の冷媒による既知の環境問題および気候問題に関して世界で実施されている集中的な討議は、それをもって突然終わることになるであろう。
【0004】
今までのところ、ターボ圧縮機を用いてこの課題に対応する試みが行われている。ターボ圧縮機は、中間冷却を有する二段設計にも関わらず、約6という、より低い圧力比しか発生しない。そのため、この冷却回路においては、凝縮器(液化器)における必要な熱放散は、十分に実行されない。これに加え、様々な動作点について安定した動作を保証するためのソフトワーク特性(すなわち、圧力値を体積流量で割ったもの)に関する、フローマシンに関する重大なデメリットがある。
【0005】
R718冷却回路における水蒸気圧縮のこれらの課題を克服するためには、変位機が水蒸気圧縮のより良い解決策であることに疑いの余地はない。しかしながら、このR718の課題のために、今日の変位機のいくつかの短所を取り除き、圧縮機の効率を改善する必要がある。圧縮機は、好ましくは、例えばDE102018001519A1による二波回転変位機を含むため、この二波回転変位機における必須の特徴は、以降「iV」と略して表されるいわゆる「内部容積比」を有することである。このiV値は、無次元数としての、入口側の作業チャンバ容積と出口側の作業チャンバ容積との比率として得られ、スピンドルロータ対の場合は、交角、直径、および傾き挙動によって主に形成される。完成品のスピンドルロータ対の場合、このiV値は、基本的には不変の定量であり、R718の課題に係る幅広い作業範囲を満たすために、通常は3~20の範囲にある。しかし、使用においては、例えば、頻繁に変化する高い周囲温度と低い周囲温度との間において、異なる可変の使用条件が存在する。したがって、効率に対して有害な過圧縮または圧縮不足を避けるために、可能な限り最良の方法でR718圧縮機のiV値が調整可能であり、その都度、各動作点で最適な有効iV値を設定することができれば、有益であろう。例えば、コントロールスフィアを使用した従来の手法は、必要な流れ断面のみならず圧力差もまた非常に小さく、それにより現在有効なiV値は、有害な過圧縮または圧縮不足を十分に防ぐことができないため、比較的好ましくない。したがって、本発明の目的は、先行技術に対して、以下のとおり記載され得る。
【0006】
注記
a)ここで、R718*圧縮機について述べるとき、例えば、圧縮機が0℃以下でも動作し、氷の形成を回避しなければならないときには、R718*圧縮機には、エタノールの添加も含まれる。この添加を含むために、本文では、R718*圧縮機という名称を使用することとし、水溶液としての好ましくはアルコール(例えば、エタノールなど)の添加は、アスタリスク*に含まれるものとする。
【0007】
b)スピンドルロータ対(2)が「多段」と称されるとき、これは、入口(1.1)と出口(1.2)との間に、既知のプロファイルであるラップアラウンド角度(wrap-around angle)が360°を大幅に超える閉スピンドルロータ対作業チャンバがいくつか存在することを意味する。スピンドルロータ対(2)が多段であることが、本発明を実行するための、好ましい実施形態の基本的な要件であり得る。
【発明の概要】
【0008】
発明の説明:目的、解決策、利点:
従来技術と比較して、R718*変位圧縮機は、効率に対して有害な動作中の過圧縮または圧縮不足を大きく回避するために、広い作業範囲にわたり、可能な限り容易かつ確実にコスト効率よく、様々な動作条件に対して、有効iV値が可能な限り効率的、迅速、かつ確実に調整可能であるように設計されるべきである。
【0009】
本発明によれば、スピンドルロータ対(2)を有する請求項1に記載のR718*変位圧縮機におけるiV調整の目的は、以下のようにして達成される。すなわち、圧縮機ハウジング(1)は、出口側(1.2)から開始して、ロータプロファイル長さLを有し、長さLiVにわたり、平面Pを有する平面的、すなわち平坦なiVディスク(3)を備える。平面Pは好ましくは中立軸ANに垂直である。添え字jは、1≦j≦nであり、nは、iVディスク(3)の数であり、n≧1である。各iVディスク(3)は幅bを有する。iVディスク(3)は、それぞれの動作条件のために、0<s≦sである距離sだけ、その都度動き制御装置(5)を介して個別(specifically individually)に変位され、これにより、凝縮チャンバ(1.2)内へのガス排出Go1およびGo2ならびにGoSが、過圧縮または圧縮不足を大きく回避するような態様で可能となる。
【0010】
数nおよびiVディスク(3)ごとの幅bは、R718*変位圧縮機の傾斜および設計された使用領域によって決定され、したがって、用途別に設計される。距離sは、iVディスク(3)ごとに異なるように設計され得るため、sと表される。0<s≦sである実質的にいずれの中間位置sも、動き制御装置(5)によって距離sに好適に設定することができ、それにより、GoSとしてのガス排出がスピンドルロータ対(2)のガス移送ねじ山(gas conveying thread)を介して起こり続ける一方で、ガス排出Go1およびGo2を現在の動作条件のために特別に設定することができることが、特に有用かつ有益である。
【0011】
好ましくは、各iVディスク(3)の正確な位置決めは、圧縮機ハウジング(1)に対して、かつお互いに対して、位置決めピン(4)を介して達成される。これにより、位置決めピン(4)によって好適かつ明確に画定されたすべてのiVディスクが互いに当接した、例えば図1に示す閉状態において、スピンドルロータ対(2)と圧縮機ハウジング(1)との間のクリアランス値は常に維持され、好ましくは、スピンドルロータ対(2)と圧縮機ハウジング(1)との間のいかなる接触も確実に防止され、さらに好ましくは、完全に当接したiVディスクのこの状態において、圧縮機ハウジング(1)の内部輪郭の生成機械加工が行われる。
【0012】
ロータプロファイル長さLに対して、長さLiVを、入口側で少なくとも第1の作業チャンバが閉じられるような態様で選択することができる(With the rotor profile length LR, the length LiV can now be selected in such a manner that on the inlet side at least the first working chamber is closed.)。最大iV値は、すべてのiVディスクが完全に当接している、いわゆる「閉状態」で達成される。
【0013】
圧縮機ハウジング(1)内のスピンドルロータ対(2)を囲む内部輪郭を形成する際、すべてのiV-ディスク(3)を、閉状態に従って平坦になるように互いにしっかりと押圧し、位置決めピン(4)を介して確実に固定することができる。これにより、圧縮機ハウジング(1)およびすべてのiV-ディスク(3)について内部輪郭全体を、同時に製造することができるため、長さL全体にわたり、スピンドルロータ対(2)の望ましいクリアランス値を達成することができる。
【0014】
さらに好ましくは、ガイド支持表面(F)は、それぞれのiVディスク(3)の変位のための、動き制御装置(5)を介した力の好適な印加によるそれぞれのiVディスク(3)の変位中において、対応するガイド長さにわたるそれぞれのiVディスク(3)の円周方向の均一な動きおよびガイド精度が保証され、かつ、iVディスク(3)のいかなる傾きも回避されるように設計され得る。
【0015】
さらに好ましくは、ガイド支持表面(F)は、iVディスク(3)ごとの動き制御装置(5)を介した力の均一な印加と同様に、中央ガイド直径ΦDFに関連付けることができる。
【0016】
iVディスクが動いているときのそれぞれのiVディスクの傾きを確実に回避するために、ガイド支持表面Fを提供することができ、動き制御装置(5)によるiVディスクの動きのための力の印加は、iVディスクの傾きまたは締め付けを回避するために、中立軸Aに対して中央支持ΦDFを参照することにより、外周全体にわたって均一に達成されることが好ましい。
【0017】
iVディスクごとの動き制御装置(5)は、R718*の水圧によって動作されることが好ましい。
【0018】
さらに、各動作点について、0<s≦sであり、sをiVディスク(3)ごとの最大変位距離とする中間位置sが可能となる。
【0019】
ガス排出GoSおよびGo2と同様に、ガス排出Go1は、直接凝縮チャンバ(1.2)内へ成されることが好ましい。
【0020】
iVディスク(3)ごとの平面(P)が、相応に平滑で光沢があり、好ましくは磨かれた表面を有し、お互いに対する、および圧縮機ハウジング(1)に対するシーリングを容易とするように設計されていることが好ましい。
【0021】
したがって、当接しているiVディスク間のシーリングは、相応に光沢があるかまたは平滑な接触表面(好ましくは、表面が磨かれている)を有する平坦な平面Pを介して成されることが好ましく、例えば、Oリングを保持機能を有する対応する溝に挿入することにより、改善することができる。
【0022】
動作条件のそれぞれの使用領域およびスピンドルロータ対(2)の選択された傾斜に応じて、iVディスク(3)の数nおよびiVディスク(3)の幅bを、その用途に特有の態様で、効率に対して有害な過圧縮または圧縮不足を最良の方法で回避することができるように、指定することができる。圧縮機の各製造者は、当該製造者の顧客の要求に合わせてこの設計を個別に遂行するため、より詳細な指示はここではできない。
【0023】
さらに、iVディスク(3)は、R718*圧縮機が最小のエネルギー消費量で動作するように、iVディスク(3)ごとの動き制御装置(5)を介して、それぞれの作業点/動作点のために位置付けられる。
【0024】
ロータプロファイル長さLに対して、iVディスク(3)の長さLiVが、圧縮機入口側(1.1)の少なくとも第1の作業チャンバが常に閉じられたままとなるように、設計されていることが好ましい。
【0025】
さらに、位置決めピン(4)が、iVディスク(3j)ごとの正確な位置決めのみならず、動き制御装置(5)を介したiVディスクの変位中におけるiVディスクの案内およびエントレインメントをも引き受ける。
【0026】
iV値の最もエネルギー効率のよい調整における最大の課題は、以下のとおりである。すなわち、例えば、(圧縮機iV値が好ましく設計される)最大作業範囲圧縮は、
・純粋なR718の約7℃の気化温度に対応する10mbarから、
・純粋なR718の約60℃の液化温度に対応する200mbar
で行われる(温度ストロークとも表され得る)が、同時に、同じ機械を用いた異なる使用条件下では、例えば、圧縮は、
・25mbarから
・90mbar
でも行われるべきである場合、圧縮機の出口からの排出は非常に早く(すなわちより小さいiV値で)起こらなければならず、絶対圧力差が非常に小さいため、様々な動作点について圧力を大幅に損失することなく十分な流れ断面を形成しなければならない。その結果、移送されるR718*媒体がより早く排出されるためには、利用可能な断面における流量差としての圧力差は、移送される媒体が可能な限り低い抵抗でより早く流出することができるように、大きいものであってはならない。具体的には、僅か数mbar、すなわち、10mbarを大きく下回る圧力差が、ここでは影響するので、より小さい温度ストロークのより早期の出口の場合、圧力損失が小さい程、iV調整がより効率的に実行される、という単純な所説が適合する。
【0027】
本発明による平面的なiVディスクの変位の結果として、移送される媒体の3つの出口流、すなわち、
1)Go1=iVディスク間の出口
2)Go2=スピンドルロータヘッドを介する出口
3)GoS=スピンドルロータ対のガス供給ねじ山を介する出口、
における個々の位置決めにより、最小の圧力損失で極めて大きい断面が形成されるため、本発明は、上記要件に対して特に好適である。
【0028】
さらに、最良の形状適合精度での容易な製造は、圧縮機ハウジング(1)におけるスピンドルロータ対(2)を取り囲む作業チャンバの内部輪郭を、iVディスク(3)が位置決めピン(4)を介して正確かつ再現性良く位置付けられiVディスク(3)が完全に当接した状態で製造することができるため、特に有益である。
【0029】
さらに、関連する動作点について、最も効率的かつ実際に有効なiV値をその都度達成するために、実際に有効なiV値を、0≦s≦sでの特有の位置決めsにより、その都度、柔軟に任意の中間位置に設定することができる。この場合、図3図6では、それぞれの経路長さsは、単にsとして簡単に示されるが、iVディスク(3)ごとの差別化は、当然実施することができ、それぞれの要件次第である。
【0030】
有利なことに、iVディスクの各々の閉状態において、正確には、内部輪郭の製造が再度達成される間、およびiVディスク(3)の取り外し中、すなわちiVディスク(3)の開放中の状況においては、クリアランス値は、iVディスク(3)とスピンドルロータヘッドとの間のクリアランス値の増加により、常に非クリティカルである。
【図面の簡単な説明】
【0031】
以下、本発明を、添付の図を参照して詳細に説明する。
図1図1は、iVディスクが完全に所定の位置にあるR718*圧縮機の断面図を示す。
図2図2は、中立軸に垂直なR718*圧縮機の断面図を示す。
図3図3は、R718*圧縮機の詳細な拡大図を示す。
図4図4は、第1の変位されたiVディスクを有するR718*圧縮機の断面図を示す。
図5図5は、いくつかの変位されたiVディスクを有するR718*圧縮機の断面図を示す。
図6図6は、すべてのiVディスクが変位されたR718*圧縮機の断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図の詳細な説明
スピンドルロータ(2)ごとのガス移送器雄ねじは、AutoCAD描画ソフトウェアによる「ANGLE」の指定のもと、斜線領域として示される(すなわち、各々45°傾斜の2本の線が、互いに直交しており、これらが整列して配置されている)。
【0033】
図1は、R718*圧縮機の断面図の一例を示す。図において、対応する圧縮機設計の最大iV値が有効となるように、すべてのiVディスク(3)(1≦j≦nであり、nはiVディスク(3)の数であり、各iVディスク(3)は幅bを有する)が完全に所定の位置にある。したがって、ガス流体流(G)として、スピンドルロータ対(2)のガス移送器ねじ山(gas conveyor thread)を介した出口GoSのみが存在する。iVディスク(3)の数nは、R718*圧縮機の使用におけるそれぞれの要件プロファイルによって決定される。これには、実装されるiVディスク(3)が多い程、実際に有効なiV値をより細かく段階的に変えることができ、それぞれのiVディスクの幅bは、考慮に入れられるべきである、ということが適用される。
【0034】
さらに、一例として、平面Pは、好ましくは中立軸Aに対して垂直な破線としてさらにプロットされている。iVディスク(3)が動いているときの傾きを可能な限り確実に回避するために、さらに、一例として、ガイド支持表面FFzは、ΦDFに対して中立軸Aを中心として示される。(guide support surfaces FFz are shown centrally to the neutral axis AN relative to ΦDF.)
【0035】
図2は、一例として、クロスハッチングの平面Pにおける、中立軸Aに対して垂直な断面図を示す。さらに、iVディスクごとの好ましくは中央のガイド支持表面Fを示し、ΦDFと、スピンドルロータ対(2)に対する各iVディスクの正確な位置決めのための、iVディスクごとの対の位置決めピン(4)と、を提示する。
【0036】
本発明における、異なるiV値を容易に実現するためのiVディスク(3)の様々な位置は、以下の図3図6に示す。各図において、明確化のために、片側のみを示し、好ましくは中立軸Aに対する鏡像とする。
【0037】
「iV.m」と題する図3は、図1の詳細な拡大図としての例示的な断面図である。図3は、動き制御装置(5)がBSgに設定されることで、すべてのiVディスク(3)が完全に所定の位置にあり、したがって最大iV値が有効である、いわゆる「閉」位置を示す。これにより、ガス流GoSは、ガス移送器ねじ山を介してのみ、R718*圧縮機から排出される。その結果、圧力比は、圧縮機出口(1.2)におけるp2.Hを、入口(1.1)におけるp*で除したものとなる。
【0038】
「iV.n1」と題する図4は、図3の続きとしての例示的な断面図である。図4は、第1のiVディスク(3.1)の制御装置(5)において、このiVディスクの所望の中間位置のための動き制御BSiが、0<s<sでの変位距離sを特別に設定するという点で、第1のiVディスク(3.1)の変位中の位置を示す。したがって、第1のiVディスク(3.1)が「閉」位置から離れるとき、図3からの最大iV値に初めて達しない。圧縮機出口(1.2)から見たときの最初のiVディスクが、第1のiVディスク(3.1)と見なされる。この位置では、ガス流Go1およびGo2ならびにGoSがR718*圧縮機から排出される。結果として、図3とは異なり、圧力比は、対応する気化器または液化器の温度での、圧縮機出口(1.2)におけるp2.N1を入口(1.1)におけるp*°で除したものとなる。
【0039】
「iV.nj」と題する図5は、図3および図4の続きとしての例示的な断面図である。図5は、nをiVディスクの数とするときの、いくつかのiVディスク(3j*)(1≦j*≦n)の変位中の任意の位置を示す。iVディスク(3)の制御装置(5)において、動き制御BSiが、これらのiVディスク(複数であることが重要である)の所望の中間位置のために、0<s<sでの変位距離sを特別に設定し、これにより、現在有効なiV値のための、各用途別の所望の中間値が達成される。
【0040】
この位置では、ガス流Go1およびGo2ならびにGoSがR718*圧縮機から排出される。図3および図4とは異なり、圧力比は、対応する気化器または液化器温度での、圧縮機出口(1.2)におけるp2.NNを、入口(1.1)におけるp**で除したものとなる。
【0041】
「iV.L」と題する図6は、図3図4、および図5の続きとしての例示的な断面図である。図6は、最小有効iV値の位置を示し、これにより、すべてのiVディスクは、開位置のための動き制御BSoごとの完全な変位経路だけ、変位される。
【0042】
この位置では、ガス流Go1およびGo2ならびにGoSがR718*圧縮機から排出される。上述のものとは異なり、圧力比は、対応する気化器または液化器温度での、圧縮機出口(1.2)におけるp2.Lを、入口(1.1)におけるp*’*で除したものとなる。
【符号の説明】
【0043】
参照記号リスト
1 圧力pを有する入口側(1.1)およびpを有する出口側(1.2)と、回転軸としての軸ARに対する角二等分線としての中立軸Aと、を有する圧縮機ハウジング
1.1 動作中には、気化温度tでの圧力pを有し、同時に気化空間を形成する圧縮機入口側
1.2 動作中には、凝縮温度tでの圧力pを有し、同時に凝縮空間を形成する圧縮機出口側
2 スピンドルロータ対であって、好ましくは、2歯の鏡対称的に同一の多段ガス移送器雄ねじを有し、スピンドルロータごとに、お互いに、かつ中立軸に対して角度γの回転軸Aを有する
3 所望の使用領域におけるiVディスクであって、各iVディスク(3)は幅bを有し、添え字jは1≦j≦nであり、nはiVディスクの数であり、n≧1である
4 好ましくはガイド長さおよびエントレインメント機能も有する位置決めピン
5 好ましくは水圧で動作する、iVディスク(3)ごとの動き制御装置
符号リスト
ΦDF iVディスク(3)の中立軸Aに対する中央ガイド直径
鏡像対称的に同一のスピンドルロータにおける、お互いに対して角度γを有する両回転軸Aの角二等分線としての中立軸
スピンドルロータごとの回転軸、または中心線ともいう
好ましくは(材料を節約するために)円形のセグメントとして設計された、iVディスク(3)の傾きを防止するためのガイド支持表面
Fz ΦDFに対して中立軸Aを中心とするガイド支持表面
iVディスク間の平面(例えば図1に破線で示される)であって、光沢があり平滑な接触表面(好ましくは磨かれている)を介して平面的に当接する場合、隣接するiVディスクに対してシーリングとして作用する
G ガス流体流
in 添え字「in」が付くのは、圧縮機入口におけるもの
添え字「o」が付くのは、圧縮機出口におけるものであり、変位されたiVディスクにより、以下に分けられる
o1 iVディスク間の出口
o2 スピンドルロータヘッドを介する出口
oS スピンドルロータ対のガス移送器ネジ山を介する出口
関連する動き制御装置(5)におけるそれぞれのiVディスク(3)の位置決め矢印としての動き図であって、以下のように示される
Sg それぞれのiVディスクの閉位置の動き制御
Si それぞれのiVディスクの任意の中間位置の動き制御
So それぞれのiVディスクの開位置の動き制御
それぞれのiVディスク(3)の幅
0<s≦sでの、それぞれのiVディスクの変位距離
スピンドルロータプロファイル長さ
iV すべてのiVディスクの長さ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】