(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-16
(54)【発明の名称】自己免疫疾患および免疫不全疾患における免疫レパートリーバイオマーカー
(51)【国際特許分類】
C12Q 1/6881 20180101AFI20230309BHJP
C12Q 1/686 20180101ALI20230309BHJP
C12Q 1/6813 20180101ALI20230309BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20230309BHJP
A61K 31/519 20060101ALI20230309BHJP
A61K 31/7076 20060101ALI20230309BHJP
A61P 19/02 20060101ALI20230309BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20230309BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20230309BHJP
【FI】
C12Q1/6881 Z ZNA
C12Q1/686 Z
C12Q1/6813 Z
A61K45/00
A61K31/519
A61K31/7076
A61P19/02
A61P29/00 101
A61P35/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022544702
(86)(22)【出願日】2021-01-22
(85)【翻訳文提出日】2022-09-12
(86)【国際出願番号】 US2021070065
(87)【国際公開番号】W WO2021151114
(87)【国際公開日】2021-07-29
(32)【優先日】2020-01-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-01-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】502221282
【氏名又は名称】ライフ テクノロジーズ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100123766
【氏名又は名称】松田 七重
(74)【代理人】
【識別番号】100136249
【氏名又は名称】星野 貴光
(72)【発明者】
【氏名】ルーニー ティモシー
【テーマコード(参考)】
4B063
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4B063QA13
4B063QA19
4B063QQ02
4B063QR08
4B063QS24
4B063QS28
4B063QS36
4B063QX02
4C084AA17
4C084NA05
4C084ZA96
4C084ZB15
4C084ZB21
4C084ZB27
4C086AA01
4C086AA02
4C086CB09
4C086EA18
4C086MA04
4C086NA05
4C086ZA96
4C086ZB15
4C086ZB27
(57)【要約】
本開示は、対象のB細胞免疫レパートリーを特徴付けることに基づいて、自己免疫疾患もしくは障害を有する対象の療法に対する臨床応答を予測するための方法、および/または免疫不全(例えば、白血病)を有する対象の予後を予測するための方法を提供する。一態様において、方法は、治療前の試料におけるB細胞受容体レパートリーのクラススイッチ組換えおよび/または体細胞超変異の頻度を決定することと、測定されたクラススイッチおよび/または体細胞超変異の頻度に基づいて対象の予後および/または治療に対する応答を予測することと、を提供する。別の態様において、方法は、免疫受容体クラススイッチおよび/または体細胞超変異の頻度の決定、ならびに測定されたクラススイッチおよび/もしくは体細胞超変異の頻度に基づいた予後および/または治療に対する応答の得られる予測に基づいて対象を治療することを提供する。
【選択図】
図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自己免疫疾患または障害を有する対象の療法に対する臨床応答を、前記対象のB細胞免疫レパートリーを特徴付けることに基づいて予測する方法であって、
a)多重増幅反応を行って、対象からの生物学的試料に由来する標的B細胞免疫受容体核酸鋳型分子を増幅させることであって、
前記多重増幅反応が、
i)(a)V遺伝子内のフレームワーク領域1(FR1)の少なくとも一部を含む少なくとも1つのBCRコード配列の異なる前記V遺伝子のうちの大多数に対する複数のV遺伝子プライマー、
(b)V遺伝子内のフレームワーク領域2(FR2)の少なくとも一部を含む少なくとも1つのBCRコード配列の異なる前記V遺伝子のうちの大多数に対する複数のV遺伝子プライマー、または
(c)V遺伝子内のフレームワーク領域3(FR3)の少なくとも一部を含む少なくとも1つのBCRコード配列の異なる前記V遺伝子のうちの大多数に対する複数のV遺伝子プライマー、および
ii)前記少なくとも1つのBCRコード配列のC遺伝子の少なくとも一部に対する1つ以上のC遺伝子プライマー、のうちの少なくとも1つのセットを含み、
i)およびii)のプライマーの各セットが、標的IgH BCR遺伝子のコード配列に対するものであり、前記増幅を行うことが、前記試料における前記標的BCRレパートリーを表すアンプリコン分子をもたらし、それによって、前記標的免疫受容体レパートリーを含む標的B細胞免疫受容体アンプリコン分子を生成する、増幅させることと、
b)前記標的免疫受容体レパートリーアンプリコンの配列決定を行うことと、
c)前記配列決定から免疫受容体クローンを特定して、前記免疫受容体クローン間の可変遺伝子部分内の体細胞超変異(SHM)のレベルを特定することであって、SHMを示すクローン系統免疫受容体クローンのVDJ領域が、類似のヌクレオチド配列を有する、特定することと、
d)前記試料における前記B細胞免疫受容体クローンのサブクラス、その上、前記試料における非スイッチ化IgMおよび/またはIgDならびにスイッチ化IgG、IgA、および/またはIgE発現細胞の頻度を決定することと、
e)前記対象を、(i)前記SHM頻度が、前記試料における非スイッチ化IgM/IgD発現B細胞で頻度閾値未満であり、前記免疫レパートリーで、前記試料における高頻度のスイッチ化アイソタイプIgG、IgA、もしくはIgE発現B細胞が優位を占めている場合に、化学療法に対する応答者、(ii)前記SHM頻度が、頻度閾値よりも高く、前記免疫レパートリーで、前記試料における高頻度の非スイッチ化IgM/IgD発現B細胞が優位を占めている場合、化学療法に対する非応答者、および/または(iii)前記SHM頻度が、頻度閾値よりも高く、前記免疫レパートリーで、前記試料における高頻度の非スイッチ化IgM/IgD発現B細胞が優位を占めている場合、免疫療法に対する応答者、の可能性が高いとして特定することと、を含む、方法。
【請求項2】
前記複数のV遺伝子プライマーの各々、および/または前記1つ以上のC遺伝子プライマーが、以下の基準:
(1)前記プライマー内に2つ以上の修飾ヌクレオチドを含み、そのうちの少なくとも1つが、前記プライマーの末端の近くまたは末端に含まれ、そのうちの少なくとも1つが、前記プライマーの中心ヌクレオチド位置またはその付近に含まれる、
(2)長さが、約15~約40個の塩基の長さである、
(3)60℃を超えて約70℃までのT
m、
(4)前記試料中に存在する非標的配列に対して低い交差反応性を有する、
(5)少なくとも最初の4個のヌクレオチド(3’から5’方向に)が、同じ反応に存在するいずれの他のプライマー内のいずれの配列に対しても非相補的である、および
(6)いずれの他の生成された標的アンプリコン内の少なくとも5個のヌクレオチドのいずれの連続した伸長に対しても非相補的である、のうちのいずれか1つ以上を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記複数のV遺伝子プライマーの各々、および/または前記1つ以上のC遺伝子プライマーが、好ましくは、(i)前記プライマーの前記末端の近くもしくは末端、または(ii)前記プライマーの中心ヌクレオチドの近くもしくはその付近に位置する、1つ以上の切断可能な基を含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記複数のV遺伝子プライマーの各々、および/または前記1つ以上のC遺伝子プライマーが、メチルグアニン、8-オキソ-グアニン、キサンチン、ヒポキサンチン、5,6-ジヒドロウラシル、ウラシル、5-メチルシトシン、チミンダイマー、7-メチルグアノシン、8-オキソ-デオキシグアノシン、キサントシン、イノシン、ジヒドロウリジン、ブロモデオキシウリジン、ウリジン、または5-メチルシチジンから選択される切断可能な基を有する2つ以上の修飾ヌクレオチドを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記複数のV遺伝子プライマーが、前記鋳型分子の前記FR1部分の少なくとも一部にアニーリングし、前記1つ以上のC遺伝子プライマーが、前記鋳型分子の前記C遺伝子部分の少なくとも一部にアニーリングする少なくとも5つのプライマーを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記生成された標的BCRアンプリコン分子が、前記標的BCR遺伝子配列の相補性決定領域CDR1、CDR2、およびCDR3を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記i)およびii)のうちの少なくとも1つのセットが、それぞれ表3および表6~10のプライマーから選択される、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記i)およびii)のうちの少なくとも1つのセットが、表11のプライマーセットから選択される、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
前記i)およびii)のうちの少なくとも1つのセットが、i)(c)およびii)(a)であり、前記複数のV遺伝子プライマーが、前記鋳型分子の前記FR3部分の少なくとも一部にアニーリングし、前記1つ以上のC遺伝子プライマーが、前記鋳型分子の前記C遺伝子部分の少なくとも一部にアニーリングする少なくとも5つのプライマーを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記生成された標的BCRアンプリコン分子が、前記標的BCR遺伝子配列の相補性決定領域CDR3を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記i)およびii)のうちの少なくとも1つのセットが、それぞれ表2および表6~10のプライマーから選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記SHM頻度のカットオフが、8%である、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
ステップb)の前に、少なくとも1つのアダプターを、前記標的免疫受容体アンプリコン分子のうちの少なくとも1つに付加し、それによって、アダプター修飾された標的免疫受容体アンプリコン分子のライブラリーを生成することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記少なくとも1つのアダプターが、ライゲーションによって付加される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記配列決定が、初期配列読み取りを得ることと、前記初期配列読み取りを参照配列に対して整列させることと、生産的読み取りを特定することと、1つ以上のインデルエラーを修正して救済された生産的配列読み取りを生成することと、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
生産的読み取りおよび救済された生産的読み取りの組み合わせが、配列決定読み取りの少なくとも50%である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
自己免疫疾患または障害の症状を有する対象を、前記対象のB細胞免疫レパートリーを特徴付けることに基づいて慢性可変免疫不全障害を有するとして診断する方法であって、
a)多重増幅反応を行って、対象からの生物学的試料に由来する標的B細胞免疫受容体核酸鋳型分子を増幅させることであって、
前記多重増幅反応が、
i)(a)V遺伝子内のフレームワーク領域1(FR1)の少なくとも一部を含む少なくとも1つのBCRコード配列の異なる前記V遺伝子のうちの大多数に対する複数のV遺伝子プライマー、
(b)V遺伝子内のフレームワーク領域2(FR2)の少なくとも一部を含む少なくとも1つのBCRコード配列の異なる前記V遺伝子のうちの大多数に対する複数のV遺伝子プライマー、または
(c)V遺伝子内のフレームワーク領域3(FR3)の少なくとも一部を含む少なくとも1つのBCRコード配列の異なる前記V遺伝子のうちの大多数に対する複数のV遺伝子プライマー、および
ii)前記少なくとも1つのBCRコード配列のC遺伝子の少なくとも一部に対する1つ以上のC遺伝子プライマー、のうちの少なくとも1つのセットを含み、
i)およびii)のプライマーの各セットが、標的IgH BCR遺伝子のコード配列に対するものであり、前記増幅を行うことが、前記試料における前記標的BCRレパートリーを表すアンプリコン分子をもたらし、それによって、前記標的免疫受容体レパートリーを含む標的B細胞免疫受容体アンプリコン分子を生成する、増幅させることと、
b)前記標的免疫受容体レパートリーアンプリコンの配列決定を行うことと、
c)前記配列決定から免疫受容体クローンを特定して、前記免疫受容体クローン間の可変遺伝子部分内の体細胞超変異(SHM)のレベルを特定することであって、SHMを示すクローン系統免疫受容体クローンのVDJ領域が、類似のヌクレオチド配列を有する、特定することと、
d)前記試料における前記B細胞免疫受容体クローンのクラススイッチ組換え頻度を決定することと、
e)前記SHM頻度がスイッチ化アイソタイプで頻度閾値未満であり、前記試料におけるクラススイッチ組換え(CSR)の前記頻度が、頻度閾値未満であり、前記免疫レパートリーで、前記試料における非スイッチ化IgM/IgD発現B細胞が優位を占めている場合、前記対象を原発性免疫不全障害を有するとして特定し、それによって前記対象が慢性可変免疫不全障害を有すると診断することと、を含む、方法。
【請求項18】
前記複数のV遺伝子プライマーの各々、および/または前記1つ以上のC遺伝子プライマーが、以下の基準:
(1)前記プライマー内に2つ以上の修飾ヌクレオチドを含み、そのうちの少なくとも1つが、前記プライマーの末端の近くまたは末端に含まれ、そのうちの少なくとも1つが、前記プライマーの中心ヌクレオチド位置またはその付近に含まれる、
(2)長さが、約15~約40個の塩基の長さである、
(3)60℃を超えて約70℃までのT
m、
(4)前記試料中に存在する非標的配列に対して低い交差反応性を有する、
(5)少なくとも最初の4個のヌクレオチド(3’から5’方向に)が、同じ反応に存在するいずれの他のプライマー内のいずれの配列に対しても非相補的である、および
(6)いずれの他の生成された標的アンプリコン内の少なくとも5個のヌクレオチドのいずれの連続した伸長に対しても非相補的である、のうちのいずれか1つ以上を有する、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記複数のV遺伝子プライマーの各々、および/または前記1つ以上のC遺伝子プライマーが、好ましくは、(i)前記プライマーの前記末端の近くもしくは末端、または(ii)前記プライマーの中心ヌクレオチドの近くもしくはその付近に位置する、1つ以上の切断可能な基を含む、請求項17または18に記載の方法。
【請求項20】
前記複数のV遺伝子プライマーの各々、および/または前記1つ以上のC遺伝子プライマーが、メチルグアニン、8-オキソ-グアニン、キサンチン、ヒポキサンチン、5,6-ジヒドロウラシル、ウラシル、5-メチルシトシン、チミンダイマー、7-メチルグアノシン、8-オキソ-デオキシグアノシン、キサントシン、イノシン、ジヒドロウリジン、ブロモデオキシウリジン、ウリジン、または5-メチルシチジンから選択される切断可能な基を有する2つ以上の修飾ヌクレオチドを含む、請求項17~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記複数のV遺伝子プライマーが、前記鋳型分子の前記FR1部分の少なくとも一部にアニーリングし、前記1つ以上のC遺伝子プライマーが、前記鋳型分子の前記C遺伝子部分の少なくとも一部にアニーリングする少なくとも5つのプライマーを含む、請求項17~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記生成された標的BCRアンプリコン分子が、前記標的BCR遺伝子配列の相補性決定領域CDR1、CDR2、およびCDR3を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記i)およびii)のうちの少なくとも1つのセットが、それぞれ表3および表6~10のプライマーから選択される、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記i)およびii)のうちの少なくとも1つのセットが、表11のプライマーセットから選択される、請求項21に記載の方法。
【請求項25】
前記i)およびii)のうちの少なくとも1つのセットが、i)(c)およびii)(a)であり、前記複数のV遺伝子プライマーが、前記鋳型分子の前記FR3部分の少なくとも一部にアニーリングし、前記1つ以上のC遺伝子プライマーが、前記鋳型分子の前記C遺伝子部分の少なくとも一部にアニーリングする少なくとも5つのプライマーを含む、請求項17~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記生成された標的BCRアンプリコン分子が、前記標的BCR遺伝子配列の相補性決定領域CDR3を含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記i)およびii)のうちの少なくとも1つのセットが、それぞれ表2および表6~10のプライマーから選択される、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
ステップb)の前に、少なくとも1つのアダプターを、前記標的免疫受容体アンプリコン分子のうちの少なくとも1つに付加し、それによって、アダプター修飾された標的免疫受容体アンプリコン分子のライブラリーを生成することをさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項29】
前記少なくとも1つのアダプターが、ライゲーションによって付加される、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記配列決定が、初期配列読み取りを得ることと、前記初期配列読み取りを参照配列に対して整列させることと、生産的読み取りを特定することと、1つ以上のインデルエラーを修正して救済された生産的配列読み取りを生成することと、を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項31】
生産的読み取りおよび救済された生産的読み取りの組み合わせが、配列決定読み取りの少なくとも50%である、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
自己免疫疾患または障害を有する対象を、前記対象のB細胞免疫レパートリーに基づいて治療するための方法であって、
a)多重増幅反応を行って、対象からの生物学的試料に由来する標的B細胞免疫受容体核酸鋳型分子を増幅させることであって、
前記多重増幅反応が、
i)(a)V遺伝子内のフレームワーク領域1(FR1)の少なくとも一部を含む少なくとも1つのBCRコード配列の異なる前記V遺伝子のうちの大多数に対する複数のV遺伝子プライマー、
(b)V遺伝子内のフレームワーク領域2(FR2)の少なくとも一部を含む少なくとも1つのBCRコード配列の異なる前記V遺伝子のうちの大多数に対する複数のV遺伝子プライマー、または
(c)V遺伝子内のフレームワーク領域3(FR3)の少なくとも一部を含む少なくとも1つのBCRコード配列の異なる前記V遺伝子のうちの大多数に対する複数のV遺伝子プライマー、および
ii)前記少なくとも1つのBCRコード配列のC遺伝子の少なくとも一部に対する1つ以上のC遺伝子プライマー、のうちの少なくとも1つのセットを含み、
i)およびii)のプライマーの各セットが、標的IgH BCR遺伝子のコード配列に対するものであり、前記増幅を行うことが、前記試料における前記標的BCRレパートリーを表すアンプリコン分子をもたらし、それによって、前記標的免疫受容体レパートリーを含む標的B細胞免疫受容体アンプリコン分子を生成する、増幅させることと、
b)前記標的免疫受容体レパートリーアンプリコンの配列決定を行うことと、
c)前記配列決定から免疫受容体クローンを特定して、前記免疫受容体クローン間の可変遺伝子部分内の体細胞超変異(SHM)のレベルを特定することであって、SHMを示すクローン系統免疫受容体クローンのVDJ領域が、類似のヌクレオチド配列を有する、特定することと、
d)前記試料における前記B細胞免疫受容体クローンのクラススイッチ組換え頻度を決定することと、
e)前記対象を、(i)前記SHM頻度が、前記試料における非スイッチ化IgM/IgD発現B細胞で頻度閾値未満であり、前記免疫レパートリーで、前記試料における高頻度のスイッチ化アイソタイプIgG、IgA、またはIgE発現B細胞が優位を占めている場合、化学療法を用いて、(ii)前記SHM頻度が、頻度閾値よりも高く、前記免疫レパートリーで、前記試料における高頻度の非スイッチ化IgM/IgD発現B細胞が優位を占めている場合、免疫療法を用いて、治療することと、を含む、方法。
【請求項33】
前記複数のV遺伝子プライマーの各々、および/または前記1つ以上のC遺伝子プライマーが、以下の基準:
(1)前記プライマー内に2つ以上の修飾ヌクレオチドを含み、そのうちの少なくとも1つが、前記プライマーの末端の近くまたは末端に含まれ、そのうちの少なくとも1つが、前記プライマーの中心ヌクレオチド位置またはその付近に含まれる、
(2)長さが、約15~約40個の塩基の長さである、
(3)60℃を超えて約70℃までのT
m、
(4)前記試料中に存在する非標的配列に対して低い交差反応性を有する、
(5)少なくとも最初の4個のヌクレオチド(3’から5’方向に)が、同じ反応に存在するいずれの他のプライマー内のいずれの配列に対しても非相補的である、および
(6)いずれの他の生成された標的アンプリコン内の少なくとも5個のヌクレオチドのいずれの連続した伸長に対しても非相補的である、のうちの任意の1つ以上を有する、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記複数のV遺伝子プライマーの各々、および/または前記1つ以上のC遺伝子プライマーが、好ましくは、(i)前記プライマーの前記末端の近くもしくは末端、または(ii)前記プライマーの中心ヌクレオチドの近くもしくはその付近に位置する、1つ以上の切断可能な基を含む、請求項32または33に記載の方法。
【請求項35】
前記複数のV遺伝子プライマーの各々、および/または前記1つ以上のC遺伝子プライマーが、メチルグアニン、8-オキソ-グアニン、キサンチン、ヒポキサンチン、5,6-ジヒドロウラシル、ウラシル、5-メチルシトシン、チミンダイマー、7-メチルグアノシン、8-オキソ-デオキシグアノシン、キサントシン、イノシン、ジヒドロウリジン、ブロモデオキシウリジン、ウリジン、または5-メチルシチジンから選択される切断可能な基を有する2つ以上の修飾ヌクレオチドを含む、請求項32~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記複数のV遺伝子プライマーが、前記鋳型分子の前記FR1部分の少なくとも一部にアニーリングし、前記1つ以上のC遺伝子プライマーが、前記鋳型分子の前記C遺伝子部分の少なくとも一部にアニーリングする少なくとも5つのプライマーを含む、請求項32~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記生成された標的BCRアンプリコン分子が、前記標的BCR遺伝子配列の相補性決定領域CDR1、CDR2、およびCDR3を含む、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記i)およびii)のうちの少なくとも1つのセットが、それぞれ表3および表6~10のプライマーから選択される、請求項36に記載の方法。
【請求項39】
前記i)およびii)のうちの少なくとも1つのセットが、表11のプライマーセットから選択される、請求項36に記載の方法。
【請求項40】
前記i)およびii)のうちの少なくとも1つのセットが、i)(c)およびii)(a)であり、前記複数のV遺伝子プライマーが、前記鋳型分子の前記FR3部分の少なくとも一部にアニーリングし、前記1つ以上のC遺伝子プライマーが、前記鋳型分子の前記C遺伝子部分の少なくとも一部にアニーリングする少なくとも5つのプライマーを含む、請求項32~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記生成された標的BCRアンプリコン分子が、前記標的BCR遺伝子配列の相補性決定領域CDR3を含む、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記i)およびii)のうちの少なくとも1つのセットが、それぞれ表2および表6~10のプライマーから選択される、請求項40に記載の方法。
【請求項43】
前記SHM頻度のカットオフが、8%である、請求項32に記載の方法。
【請求項44】
ステップb)の前に、少なくとも1つのアダプターを、前記標的免疫受容体アンプリコン分子のうちの少なくとも1つに付加し、それによって、アダプター修飾された標的免疫受容体アンプリコン分子のライブラリーを生成することをさらに含む、請求項32に記載の方法。
【請求項45】
前記少なくとも1つのアダプターが、ライゲーションによって付加される、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記配列決定が、初期配列読み取りを得ることと、前記初期配列読み取りを参照配列に対して整列させることと、生産的読み取りを特定することと、1つ以上のインデルエラーを修正して救済された生産的配列読み取りを生成することと、を含む、請求項32に記載の方法。
【請求項47】
生産的読み取りおよび救済された生産的読み取りの組み合わせが、配列決定読み取りの少なくとも50%である、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記対象が、関節リウマチを有する、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
前記免疫療法が、チェックポイント遮断剤、またはB細胞枯渇剤を含む、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
前記化学療法が、メトトレキサートを含む、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
白血病を有する対象の予後を、前記対象のB細胞免疫レパートリーを特徴付けることに基づいて予測する方法であって、
a)多重増幅反応を行って、対象からの生物学的試料に由来する標的B細胞免疫受容体核酸鋳型分子を増幅させることであって、
前記多重増幅反応が、
i)(a)V遺伝子内のフレームワーク領域1(FR1)の少なくとも一部を含む少なくとも1つのBCRコード配列の異なる前記V遺伝子のうちの大多数に対する複数のV遺伝子プライマー、
(b)V遺伝子内のフレームワーク領域2(FR2)の少なくとも一部を含む少なくとも1つのBCRコード配列の異なる前記V遺伝子のうちの大多数に対する複数のV遺伝子プライマー、または
(c)V遺伝子内のフレームワーク領域3(FR3)の少なくとも一部を含む少なくとも1つのBCRコード配列の異なる前記V遺伝子のうちの大多数に対する複数のV遺伝子プライマー、および
ii)前記少なくとも1つのBCRコード配列のC遺伝子の少なくとも一部に対する1つ以上のC遺伝子プライマー、のうちの少なくとも1つのセットを含み、
i)およびii)のプライマーの各セットが、標的IgH BCR遺伝子のコード配列に対するものであり、前記増幅を行うことが、前記試料における前記標的BCRレパートリーを表すアンプリコン分子をもたらし、それによって、前記標的免疫受容体レパートリーを含む標的B細胞免疫受容体アンプリコン分子を生成する、増幅させることと、
b)前記標的免疫受容体レパートリーアンプリコンの配列決定を行うことと、
c)前記配列決定から免疫受容体クローンを特定して、前記免疫受容体クローン間の可変遺伝子部分内の体細胞超変異(SHM)の頻度を特定することと、
d)SHMを示すクローン系統免疫受容体クローンのVDJ領域が、類似のヌクレオチド配列を有する進行中のSHM頻度、ならびに/またはスイッチ化アイソタイプの少なくとも1つおよび/もしくは組み合わせが、前記試料における前記B細胞免疫受容体クローンの同じ可変系統で特定される進行中のクラススイッチ組換え(CSR)頻度、を決定することと、
e)前記レパートリークローンを、以下のサブクラス:
クラスI:進行中のCSRもSHMもなし、V遺伝子SHMなし、
クラスII:進行中のCSRもSHMもなし、0よりも高く、6%未満であるV遺伝子SHM、
クラスIII:進行中のCSRもSHMもなし、約6%よりも高いV遺伝子SHM、
クラスIV:進行中のCSRおよび/またはSHM、に従って分類することと、
f)前記対象の予後を、前記B細胞免疫レパートリーの前記細分類に基づいて、
クラスI:最悪の予後、
クラスII:不良な予後、
クラスIII:良好な予後、
クラスIV:最良の予後、に特定することと、を含む、方法。
【請求項52】
前記複数のV遺伝子プライマーの各々、および/または前記1つ以上のC遺伝子プライマーが、以下の基準:
(1)前記プライマー内に2つ以上の修飾ヌクレオチドを含み、そのうちの少なくとも1つが、前記プライマーの末端の近くまたは末端に含まれ、そのうちの少なくとも1つが、前記プライマーの中心ヌクレオチド位置またはその付近に含まれる、
(2)長さが、約15~約40個の塩基の長さである、
(3)60℃を超えて約70℃までのT
m、
(4)前記試料中に存在する非標的配列に対して低い交差反応性を有する、
(5)少なくとも最初の4個のヌクレオチド(3’から5’方向に)が、同じ反応に存在するいずれの他のプライマー内のいずれの配列に対しても非相補的である、および
(6)いずれの他の生成された標的アンプリコン内の少なくとも5個のヌクレオチドのいずれの連続した伸長に対しても非相補的である、のうちの任意の1つ以上を有する、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記複数のV遺伝子プライマーの各々、および/または前記1つ以上のC遺伝子プライマーが、好ましくは、(i)前記プライマーの前記末端の近くもしくは末端、または(ii)前記プライマーの中心ヌクレオチドの近くもしくはその付近に位置する、1つ以上の切断可能な基を含む、請求項51または52に記載の方法。
【請求項54】
前記複数のV遺伝子プライマーの各々、および/または前記1つ以上のC遺伝子プライマーが、メチルグアニン、8-オキソ-グアニン、キサンチン、ヒポキサンチン、5,6-ジヒドロウラシル、ウラシル、5-メチルシトシン、チミンダイマー、7-メチルグアノシン、8-オキソ-デオキシグアノシン、キサントシン、イノシン、ジヒドロウリジン、ブロモデオキシウリジン、ウリジン、または5-メチルシチジンから選択される切断可能な基を有する2つ以上の修飾ヌクレオチドを含む、請求項51~53のいずれか一項に記載の方法。
【請求項55】
前記複数のV遺伝子プライマーが、前記鋳型分子の前記FR1部分の少なくとも一部にアニーリングし、前記1つ以上のC遺伝子プライマーが、前記鋳型分子の前記C遺伝子部分の少なくとも一部にアニーリングする少なくとも5つのプライマーを含む、請求項51~54のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
前記生成された標的BCRアンプリコン分子が、前記標的BCR遺伝子配列の相補性決定領域CDR1、CDR2、およびCDR3を含む、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記i)およびii)のうちの少なくとも1つのセットが、それぞれ表3および表6~10のプライマーから選択される、請求項55に記載の方法。
【請求項58】
前記i)およびii)のうちの少なくとも1つのセットが、表11のプライマーセットから選択される、請求項55に記載の方法。
【請求項59】
前記i)およびii)のうちの少なくとも1つのセットが、i)(c)およびii)(a)であり、前記複数のV遺伝子プライマーが、前記鋳型分子の前記FR3部分の少なくとも一部にアニーリングし、前記1つ以上のC遺伝子プライマーが、前記鋳型分子の前記C遺伝子部分の少なくとも一部にアニーリングする少なくとも5つのプライマーを含む、請求項51~54のいずれか一項に記載の方法。
【請求項60】
前記生成された標的BCRアンプリコン分子が、前記標的BCR遺伝子配列の相補性決定領域CDR3を含む、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
前記i)およびii)のうちの少なくとも1つのセットが、それぞれ表2および表6~10のプライマーから選択される、請求項59に記載の方法。
【請求項62】
前記クラスIIIの平均SHM頻度が、約2%である、請求項51に記載の方法。
【請求項63】
ステップb)の前に、少なくとも1つのアダプターを、前記標的免疫受容体アンプリコン分子のうちの少なくとも1つに付加し、それによって、アダプター修飾された標的免疫受容体アンプリコン分子のライブラリーを生成することをさらに含む、請求項51に記載の方法。
【請求項64】
前記少なくとも1つのアダプターが、ライゲーションによって付加される、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
前記配列決定が、初期配列読み取りを得ることと、前記初期配列読み取りを参照配列に対して整列させることと、生産的読み取りを特定することと、1つ以上のインデルエラーを修正して救済された生産的配列読み取りを生成することと、を含む、請求項51に記載の方法。
【請求項66】
生産的読み取りおよび救済された生産的読み取りの組み合わせが、配列決定読み取りの少なくとも50%である、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
白血病を有する対象を、前記対象のB細胞免疫レパートリーに基づいて治療するための方法であって、
a)多重増幅反応を行って、対象からの生物学的試料に由来する標的B細胞免疫受容体核酸鋳型分子を増幅させることであって、
前記多重増幅反応が、
i)(a)V遺伝子内のフレームワーク領域1(FR1)の少なくとも一部を含む少なくとも1つのBCRコード配列の異なる前記V遺伝子のうちの大多数に対する複数のV遺伝子プライマー、
(b)V遺伝子内のフレームワーク領域2(FR2)の少なくとも一部を含む少なくとも1つのBCRコード配列の異なる前記V遺伝子のうちの大多数に対する複数のV遺伝子プライマー、または
(c)V遺伝子内のフレームワーク領域3(FR3)の少なくとも一部を含む少なくとも1つのBCRコード配列の異なる前記V遺伝子のうちの大多数に対する複数のV遺伝子プライマー、および
ii)前記少なくとも1つのBCRコード配列のC遺伝子の少なくとも一部に対する1つ以上のC遺伝子プライマー、のうちの少なくとも1つのセットを含み、
i)およびii)のプライマーの各セットが、標的IgH BCR遺伝子のコード配列に対するものであり、前記増幅を行うことが、前記試料における前記標的BCRレパートリーを表すアンプリコン分子をもたらし、それによって、前記標的免疫受容体レパートリーを含む標的B細胞免疫受容体アンプリコン分子を生成する、増幅させることと、
b)前記標的免疫受容体レパートリーアンプリコンの配列決定を行うことと、
c)前記配列決定から免疫受容体クローンを特定して、前記免疫受容体クローン間の可変遺伝子部分内の体細胞超変異(SHM)のレベルを特定することと、
d)SHMを示すクローン系統免疫受容体クローンのVDJ領域が、類似のヌクレオチド配列を有する進行中のSHM頻度、ならびに/またはスイッチ化アイソタイプの少なくとも1つおよび/もしくは組み合わせが、前記試料における前記B細胞免疫受容体クローンの同じ可変系統で特定される進行中のクラススイッチ組換え(CSR)頻度、を決定することと、
e)前記レパートリークローンを、以下のサブクラス:
クラスI:進行中のCSRもSHMもなし、V遺伝子SHMなし、
クラスII:進行中のCSRもSHMもなし、0よりも高く、6%未満であるV遺伝子SHM、
クラスIII:進行中のCSRもSHMもなし、約6%よりも高いV遺伝子SHM、
クラスIV:進行中のCSRおよび/またはSHM、に従って分類することと、
f)前記対象を、前記B細胞免疫レパートリーの前記細分類に基づいて、
クラスI:化学療法、放射線、またはDNA修復誘導剤のうちのいずれかの任意選択的な追加を用いた幹細胞療法、
クラスII:任意選択的なDNA修復誘導剤を用いた化学療法、放射線、または免疫療法、
クラスIII:化学療法または免疫療法、および
クラスIV:標準的な化学療法または免疫療法、で治療することと、を含む、方法。
【請求項68】
前記複数のV遺伝子プライマーの各々、および/または前記1つ以上のC遺伝子プライマーが、以下の基準:
(1)前記プライマー内に2つ以上の修飾ヌクレオチドを含み、そのうちの少なくとも1つが、前記プライマーの末端の近くまたは末端に含まれ、そのうちの少なくとも1つが、前記プライマーの中心ヌクレオチド位置またはその付近に含まれる、
(2)長さが、約15~約40個の塩基の長さである、
(3)60℃を超えて約70℃までのT
m、
(4)前記試料中に存在する非標的配列に対して低い交差反応性を有する、
(5)少なくとも最初の4個のヌクレオチド(3’から5’方向に)が、同じ反応に存在するいずれの他のプライマー内のいずれの配列に対しても非相補的である、および
(6)いずれの他の生成された標的アンプリコン内の少なくとも5個のヌクレオチドのいずれの連続した伸長に対しても非相補的である、のうちのいずれか1つ以上を有する、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
前記複数のV遺伝子プライマーの各々、および/または前記1つ以上のC遺伝子プライマーが、好ましくは、(i)前記プライマーの前記末端の近くもしくは末端、または(ii)前記プライマーの中心ヌクレオチドの近くもしくはその付近に位置する、1つ以上の切断可能な基を含む、請求項67または68に記載の方法。
【請求項70】
前記複数のV遺伝子プライマーの各々、および/または前記1つ以上のC遺伝子プライマーが、メチルグアニン、8-オキソ-グアニン、キサンチン、ヒポキサンチン、5,6-ジヒドロウラシル、ウラシル、5-メチルシトシン、チミンダイマー、7-メチルグアノシン、8-オキソ-デオキシグアノシン、キサントシン、イノシン、ジヒドロウリジン、ブロモデオキシウリジン、ウリジン、または5-メチルシチジンから選択される切断可能な基を有する2つ以上の修飾ヌクレオチドを含む、請求項67~69のいずれか一項に記載の方法。
【請求項71】
前記複数のV遺伝子プライマーが、前記鋳型分子の前記FR1部分の少なくとも一部にアニーリングし、前記1つ以上のC遺伝子プライマーが、前記鋳型分子の前記C遺伝子部分の少なくとも一部にアニーリングする少なくとも5つのプライマーを含む、請求項67~70のいずれか一項に記載の方法。
【請求項72】
前記生成された標的BCRアンプリコン分子が、前記標的BCR遺伝子配列の相補性決定領域CDR1、CDR2、およびCDR3を含む、請求項71に記載の方法。
【請求項73】
前記i)およびii)のうちの少なくとも1つのセットが、それぞれ表3および表6~10のプライマーから選択される、請求項71に記載の方法。
【請求項74】
前記i)およびii)のうちの少なくとも1つのセットが、表11のプライマーセットから選択される、請求項71に記載の方法。
【請求項75】
前記i)およびii)のうちの少なくとも1つのセットが、i)(c)およびii)(a)であり、前記複数のV遺伝子プライマーが、前記鋳型分子の前記FR3部分の少なくとも一部にアニーリングし、前記1つ以上のC遺伝子プライマーが、前記鋳型分子の前記C遺伝子部分の少なくとも一部にアニーリングする少なくとも5つのプライマーを含む、請求項67~70のいずれか一項に記載の方法。
【請求項76】
前記生成された標的BCRアンプリコン分子が、前記標的BCR遺伝子配列の相補性決定領域CDR3を含む、請求項75に記載の方法。
【請求項77】
前記i)およびii)のうちの少なくとも1つのセットが、それぞれ表2および表6~10のプライマーから選択される、請求項75に記載の方法。
【請求項78】
前記SHM頻度のカットオフが、8%である、請求項67に記載の方法。
【請求項79】
ステップb)の前に、少なくとも1つのアダプターを、前記標的免疫受容体アンプリコン分子のうちの少なくとも1つに付加し、それによって、アダプター修飾された標的免疫受容体アンプリコン分子のライブラリーを生成することをさらに含む、請求項67に記載の方法。
【請求項80】
前記少なくとも1つのアダプターが、ライゲーションによって付加される、請求項79に記載の方法。
【請求項81】
前記配列決定が、初期配列読み取りを得ることと、前記初期配列読み取りを参照配列に対して整列させることと、生産的読み取りを特定することと、1つ以上のインデルエラーを修正して救済された生産的配列読み取りを生成することと、を含む、請求項67に記載の方法。
【請求項82】
生産的読み取りおよび救済された生産的読み取りの組み合わせが、配列決定読み取りの少なくとも50%である、請求項81に記載の方法。
【請求項83】
前記対象が、慢性リンパ性白血病を有する、請求項51~82のいずれか一項に記載の方法。
【請求項84】
前記免疫療法が、標的化した生物学的薬剤、またはB細胞枯渇剤を含む、請求項51~83のいずれか一項に記載の方法。
【請求項85】
前記化学療法が、フルダラビンを含む、請求項51~83に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2020年1月22日に出願された米国仮出願第62/964,524号および2020年1月22日に出願された米国仮出願第62/964,550号の各々の米国特許法第119条(e)に基づく優先権および利益を主張する。前述の出願のそれぞれの全内容は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
配列表
本出願は、これと同時に提出された電子配列表の資料を参照により組み込む。電子配列表における資料は、2021年1月21日に作成された「LT01523_ST25.txt」と題されたテキスト(.txt)ファイルとして提出され、185KBのファイルサイズを有し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0003】
本発明は、標的免疫レパートリー核酸配列のライブラリーを調製する方法ならびにそのための組成物および使用に関する。
【背景技術】
【0004】
適応免疫応答は、抗原を認識するB細胞およびT細胞の選択的応答を含む。抗体(Ab、B細胞で)およびT細胞受容体(TCR、T細胞で)の抗原受容体をコードする免疫グロブリン遺伝子は、複雑な遺伝子座を含み、多種多様な受容体が、それぞれの可変性(V)、多様性(D)、および結合性(J)遺伝子セグメントの組換え、ならびにその後に続く初期リンパ球分化中の体細胞超変異事象の結果として生成される。組換えプロセスは、各受容体の両サブユニット鎖において別々に発生し、その後のヘテロダイマー対形成が、さらに大きい組換えの多様性を生じる。ヒト免疫受容体レパートリーに寄与する潜在的な組み合わせおよび接合の可能性の計算は、可能性の数が、個人における末梢のB細胞またはT細胞の総数を大幅に超えると推定されている。例えば、Davis and Bjorkman(1988)Nature 334:395-402、Arstila et al.(1999)Science286:958-961、van Dongen et al.,In:Leukemia,Henderson et al.(eds)Philadelphia:WB Saunders Company,2002,pp 85-129を参照されたい。
【0005】
多大な努力が、免疫レパートリーの分析を高分解能で改善するために、長年にわたってなされてきている。リンパ球の拡張したクローンの特異的な検出およびモニタリングのための手段は、正常および病原性の免疫反応および応答の特徴付けおよび分析のための重要な機会を提供するであろう。努力にもかかわらず、効果的な高分解能分析は、課題を提供している。サンガーシーケンシングなどの低スループット技術は分解能を提供し得るが、免疫レパートリー全体を広く捕捉するための効率的な手段を提供することに限定されている。次世代配列決定(NGS)の進歩は、レパートリーを捕捉するアクセスを提供しているが、関連する多数の配列の性質および技術の結果としての配列誤差の導入により、真のレパートリーの効率的かつ効果的な反映は、困難であると証明されている。高度に可変な免疫細胞受容体配列の複雑な集団を分析することができる改善された配列決定の方法論およびワークフローが開発されている。免疫細胞応答をよりよく理解し、診断および治療能力を増強し、新規療法を考案するために、免疫細胞受容体の膨大なレパートリーを効果的にプロファイリングするための新規方法が必要とされ続けている。
【発明の概要】
【0006】
自己免疫疾患または障害を有する対象の療法に対する臨床応答を、対象のB細胞免疫レパートリーを特徴付けることに基づいて予測するための方法が、本明細書で提供される。さらに、白血病を有する対象の予後を、対象のB細胞免疫レパートリーを特徴付けることに基づいて予測するための方法が、本明細書で提供される。かかる方法は、対象の試料から得られる標的BCR核酸鋳型分子を増幅するために、単一の多重増幅反応を、
i)(a)V遺伝子内のFR1の少なくとも一部を含む少なくとも1つのBCRコード配列の異なるV遺伝子のうちの大多数に対する複数のV遺伝子プライマー、
(b)V遺伝子内のFR2の少なくとも一部を含む少なくとも1つのBCRコード配列の異なるV遺伝子のうちの大多数に対する複数のV遺伝子プライマー、または
(c)V遺伝子内のFR3の少なくとも一部を含む少なくとも1つのBCRコード配列の異なるV遺伝子のうちの大多数に対する複数のV遺伝子プライマー、および
ii)少なくとも1つのBCRコード配列のC遺伝子の少なくとも一部に対する1つ以上のC遺伝子プライマー、のうちの少なくとも1つのセットを使用して行うことを含み、
i)およびii)のプライマーの各セットは、同じ標的IgH BCR遺伝子のコード配列に対するものであり、i)およびii)のプライマーの少なくとも1つのセットを使用して増幅を行うことが、試料における標的BCRレパートリーを表すアンプリコン分子をもたらし、それによって、標的BCRレパートリーを含む標的BCRアンプリコン分子を生成する。本方法はさらに、標的BCRアンプリコン分子の配列決定を行って、分子の配列を決定することであって、配列を決定することが、初期配列読み取りを得て、初期配列読み取りを参照配列に整列させて、生産的読み取りを特定して、1つ以上のインデルを修正して救済された生産的配列読み取りを作成することを含む、決定することと、決定された標的BCR配列からBCRレパートリークローン集団を特定することと、クローン間の可変遺伝子部分内の体細胞超変異(SHM)の頻度を特定することと、を含む。本方法はさらに、SHMを示すクローン系統免疫受容体クローンのVDJ領域が類似のヌクレオチド配列を有する進行中のSHM頻度を決定すること、かつ/または進行中のクラススイッチ組換え(CSR)頻度を決定することを含む。いくつかの実施形態において、スイッチ化アイソタイプの少なくとも1つおよび/または組み合わせは、試料におけるB細胞免疫受容体クローンの同じ可変系統で特定される。いくつかの実施形態において、次に、自己免疫疾患または障害を有する対象を、(i)SHM頻度が、試料における非スイッチ化IgM/IgD発現B細胞で頻度閾値未満であり、免疫レパートリーで、試料における高頻度のスイッチ化アイソタイプIgG、IgA、もしくはIgE発現B細胞が優位を占めている場合、化学療法に対する応答者、(ii)SHM頻度が、頻度閾値よりも高く、免疫レパートリーで、試料における高頻度の非スイッチ化IgM/IgD発現B細胞が優位を占めている場合、化学療法に対する非応答者、および/または(iii)SHM頻度が、頻度閾値よりも高く、免疫レパートリーで、試料における高頻度の非スイッチ化IgM/IgD発現B細胞が優位を占めている場合、免疫療法に対する応答者、の可能性があるとして特定することを含む方法が提供される。いくつかの実施形態において、次に、レパートリークローンを、以下のサブクラス:クラスI:進行中のCSRもSHMもなし、V遺伝子SHMなし、クラスII:進行中のCSRもSHMもなし、0よりも高く、6%未満であるV遺伝子SHM、クラスIII:進行中のCSRもSHMもなし、約6%よりも高いV遺伝子SHM、クラスIV:進行中のCSRおよび/またはSHM、に従って分類することと、免疫不全を有する対象の予後を、B細胞免疫レパートリーの細分類に基づいて、クラスI:最悪の予後、クラスII:不良な予後、クラスIII:良好な予後、クラスIV:最良の予後、に特定することと、を含む方法が提供される。
【0007】
さらに、自己免疫疾患または障害の症状を有する対象を、対象のB細胞免疫レパートリーの特徴付けることに基づいて慢性可変免疫不全障害を有するとして診断する方法が提供される。いくつかの実施形態において、かかる方法は、対象の試料から得られる標的BCR核酸鋳型分子を増幅するために、単一の多重増幅反応を、
i)(a)V遺伝子内のFR1の少なくとも一部を含む少なくとも1つのBCRコード配列の異なるV遺伝子のうちの大多数に対する複数のV遺伝子プライマー、
(b)V遺伝子内のFR2の少なくとも一部を含む少なくとも1つのBCRコード配列の異なるV遺伝子のうちの大多数に対する複数のV遺伝子プライマー、または
(c)V遺伝子内のFR3の少なくとも一部を含む少なくとも1つのBCRコード配列の異なるV遺伝子のうちの大多数に対する複数のV遺伝子プライマー、および
ii)少なくとも1つのBCRコード配列のC遺伝子の少なくとも一部に対する1つ以上のC遺伝子プライマー、のうちの少なくとも1つのセットを使用して行うことを含み、
i)およびii)のプライマーの各セットは、同じ標的IgH BCR遺伝子のコード配列に対するものであり、i)およびii)のプライマーの少なくとも1つのセットを使用して増幅を行うことが、試料における標的BCRレパートリーを表すアンプリコン分子をもたらし、それによって、標的BCRレパートリーを含む標的BCRアンプリコン分子を生成する。本方法はさらに、標的BCRアンプリコン分子の配列決定を行って、分子の配列を決定することであって、配列を決定することが、初期配列読み取りを得て、初期配列読み取りを参照配列に整列させて、生産的読み取りを特定して、1つ以上のインデルエラーを修正して救済された生産的配列読み取りを作成することを含む、決定することと、配列決定からBCRレパートリークローン集団を特定して、免疫受容体クローン間の可変遺伝子部分内の体細胞超変異(SHM)のレベルを特定することであって、SHMを示すクローン系統免疫受容体クローンのVDJ領域が類似のヌクレオチド配列を有する、特定することと、試料におけるB細胞免疫受容体クローンのクラススイッチ組換え頻度を決定することと、を含む。本方法はさらに、SHM頻度がスイッチ化アイソタイプにおける頻度閾値未満であり、試料におけるクラススイッチ組換え(CSR)の頻度が、頻度閾値未満であり、免疫レパートリーで、試料における非スイッチ化IgM/IgD発現B細胞が優位を占めている場合、対象を、原発性免疫不全障害を有するとして特定することと、それによって対象を、慢性可変免疫不全障害を有すると診断することと、を含む。
【0008】
さらに、自己免疫疾患もしくは障害または免疫不全を有する対象を、対象のB細胞免疫レパートリーに基づいて治療するための方法が、本明細書で提供される。いくつかの実施形態において、かかる方法は、対象の試料から得られる標的BCR核酸鋳型分子を増幅するために、単一の多重増幅反応を、
i)(a)V遺伝子内のFR1の少なくとも一部を含む少なくとも1つのBCRコード配列の異なるV遺伝子のうちの大多数に対する複数のV遺伝子プライマー、
(b)V遺伝子内のFR2の少なくとも一部を含む少なくとも1つのBCRコード配列の異なるV遺伝子のうちの大多数に対する複数のV遺伝子プライマー、または
(c)V遺伝子内のFR3の少なくとも一部を含む少なくとも1つのBCRコード配列の異なるV遺伝子のうちの大多数に対する複数のV遺伝子プライマー、および
ii)少なくとも1つのBCRコード配列のC遺伝子の少なくとも一部に対する1つ以上のC遺伝子プライマー、のうちの少なくとも1つのセットを使用して行うことを含み、
i)およびii)のプライマーの各セットは、同じ標的IgH BCR遺伝子のコード配列に対するものであり、i)およびii)のプライマーの少なくとも1つのセットを使用して増幅を行うことが、試料における標的BCRレパートリーを表すアンプリコン分子をもたらし、それによって、標的BCRレパートリーを含む標的BCRアンプリコン分子を生成する。本方法はさらに、標的BCRアンプリコン分子の配列決定を行って、分子の配列を決定することであって、配列を決定することが、初期配列読み取りを得て、初期配列読み取りを参照配列に整列させて、生産的読み取りを特定して、1つ以上のインデルエラーを修正して救済された生産的配列読み取りを作成することを含む、決定することと、配列決定からBCRレパートリークローン集団を特定し、配列決定から免疫受容体クローンを特定し、免疫受容体間の可変遺伝子部分内の体細胞超変異(SHM)のレベルを特定することと、を含む。本方法はさらに、SHMを示すクローン系統免疫受容体クローンのVDJ領域が、類似のヌクレオチド配列を有する進行中のSHM頻度を決定すること、ならびに/またはスイッチ化アイソタイプの少なくとも1つもしくは組み合わせが、試料におけるB細胞免疫受容体クローンの同じ可変系統で特定される進行中のクラススイッチ組換え(CSR)頻度を決定することを含む。いくつかの実施形態において、自己免疫疾患もしくは障害を有する対象を、(i)SHM頻度が、試料において、非スイッチ化IgM/IgD発現B細胞における頻度閾値未満であり、試料において、免疫レパートリーで、高頻度のスイッチ化アイソタイプIgG、IgA、もしくはIgE発現B細胞が優位を占めている場合、化学療法を用いて、および/または(ii)SHM頻度が、試料において、頻度閾値よりも高く、免疫レパートリーで、高頻度の非スイッチ化IgM/IgD発現B細胞が優位を占めている場合、免疫療法を用いて、治療することをさらに含む方法が提供される。いくつかの実施形態において、レパートリークローンを、以下のサブクラス:クラスI:進行中のCSRもSHMもなし、V遺伝子SHMなし、クラスII:進行中のCSRもSHMもなし、0よりも高く、6%未満であるV遺伝子SHM、クラスIII:進行中のCSRもSHMもなし、約6%よりも高いV遺伝子SHM、クラスIV:進行中のCSRおよび/またはSHM、に従って分類することと、免疫不全対象を、B細胞免疫レパートリーの細分類に基づいて、クラスI:化学療法、放射線、またはDNA修復誘導剤のうちのいずれかの任意選択的な追加を用いた幹細胞療法、クラスII:任意選択的なDNA修復誘導剤を用いた化学療法、放射線、または免疫療法、クラスIII:化学療法または免疫療法、およびクラスIV:標準的な化学療法または免疫療法、で治療することと、をさらに含む方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】類似のCDR3ヌクレオチド配列の段階的なクラスタリングを使用して、PCRまたは配列決定に由来するエラーの除去のための例示的なワークフローの図であり、(A)類似性に基づく群への非常に高速なヒューリスティッククラスタリング(cd-hit-est)のステップ、(B)つながりのために無作為に取り上げられた、最も共通する配列として代表的なクラスターが選択されるステップ、(C)読み取りを代表にマージするステップ、(D)代表を比較し、割り当てられたハミング距離内である場合、クラスターをマージするステップ、を有する。
【
図2】レーベンシュタイン距離を使用してホモポリマー崩壊CDR3配列を比較することによる、残留挿入/欠失(インデル)エラーの除去のための例示的なワークフローの図であり、(A)ホモポリマーを崩壊させ、クラスター代表間のレーベンシュタイン距離を計算するステップ、(B)ここで一緒にクラスター化して、複雑なインデルエラーを表す読み取りをマージするステップ、(C)ユーザーに系統を報告するステップ、を有する。
【
図3】BCRアッセイのみ、1つのプールで増幅されたBCRおよびTCRアッセイ、ならびに2つの別々のプールで増幅されたBCRおよびTCRアッセイにおける、読み取りの数および読み取りの質(生産性対標的外または非生産性)の特徴付けの結果を示すグラフである。
【
図4A-4B】(
図4A)検出されたクローンの総数、および(
図4B)組み合わせたアッセイにおけるBCRおよびTCRクローンの集団(全体のパーセンテージによる)を示す。
【
図5A-5G】様々な細胞または組織試料のRNAからのIgHレパートリーの配列読み取り長を示すヒストグラムである:(
図5A)PBL、(
図5B)CD19+細胞、(
図5C)扁桃腺FFPE、(
図5D)肺腫瘍FFPE、(
図5E)骨髄、(
図5F)正常な脾臓、および(
図5G)正常な脳。
【
図6】例示的なIgH V遺伝子FR1-C遺伝子プライマーセット1~7を使用したPBL cDNAの多重増幅後に得られた配列読み取り長を示す。
【
図7A-7B】棒グラフは、例示的なIgH V遺伝子FR1-C遺伝子多重増幅反応を使用するアッセイから得られたアイソタイプごとの配列読み取り(
図7A)およびアイソタイプごとに検出されたクローン(
図7B)としてPBL試料内の全アイソタイプ表現を示す。
【
図8A-8B】(
図8A)すべてのIgHアイソタイプおよび(
図8B)IgDのみについて、PBL試料におけるIgH V遺伝子変異率のヒストグラムを示す。
【
図9】試料からの総生産的リード(各グラフの右端ポイント)および総生産的読み取りから引き出された8つの低解像度処理したデータセットにおけるIgHクローン分析結果を示す。
【
図10】白血球cDNAと混合された等モル濃度の20の対照プラスミドのプールから生成されたIgHライブラリーにおけるプラスミド検出の直線性を示すグラフを示す。プラスミドID番号に関連するプラスミドを表15に示す。
【
図11A-11B】メトトレキサートで治療された関節リウマチ患者からの試料の遡及的分析のIgHクローン分析結果を示す。
図11Aは、治療過程にわたるIGG、IGA、およびIGE発現B細胞の頻度を示し、
図11Bは、応答者および非応答者におけるIGMおよびIGD発現B細胞の体細胞超変異の頻度を示す。
【
図12】リンパ腫患者からの試料における体細胞超組換え(SHM)およびクラススイッチ組換え(CSR)の遡及的分析からのIgHクローン分析結果を示す。2または3パーセントのV遺伝子変異のパーセンテージによる従来の分類もプロットされている。
【発明を実施するための形態】
【0010】
メトトレキサートは、関節リウマチの第一選択治療として一般的に用いられているが、サブセットのレシピエントのみが疾患症状の永続的な寛解を経験する。有利に反応しない者は、代替療法(例えば、TNF拮抗薬またはリツキシマブなどのB細胞枯渇剤、以下のウェブサイトの拡張リストを参照)を受けるオプションを有する。メトトレキサート活性の遅い動態のために、疾患軽減の最初の兆候は、一般的に療法の開始後4~6週間で観察され、応答を評価するには、長期間のモニタリングを必要とし、その間、個人は疾患の症状に苦しみ続ける可能性がある。さらに、サブセットの個人は、数ヶ月間症状の一時的な寛解を示した後に最終的に治療前の疾患状態に戻り得る。したがって、治療(例えば、メトトレキサート)に対する応答を予測するバイオマーカーが極めて必要とされている。かかるバイオマーカーは、効果的な治療法を特定するために必要とされる時間を低減させ、それによって患者の転帰を改善し、治療費を低下させる。
【0011】
B細胞体細胞超変異(SHM)およびクラススイッチ組換え(CSR)は、機構的に関連しているが、一本鎖および二本鎖DNA切断の正確に標的化された生成および修復を必要とする別個のプロセスである。理論に拘束されることなく、本発明者らは、白血病(CLLなど)の文脈内で、進行中のSHMまたはCSRの存在は、DNA損傷修復経路の機能性を、DNA切断の生成(例えば、化学免疫療法)またはDNA修復機構の阻害(例えば、PARP阻害)を含む治療戦略と関連する可能性とともに明らかにし得るという仮説を立てている。今日まで、白血病(例えば、CLL)の予後診断は、IGHV領域内のSHMの定量化にのみ依存してきている。免疫不全障害における予後および/または治療に対する応答を予測するバイオマーカーについて未解決の必要性が残存している。かかるバイオマーカーは、効果的な治療法を特定するために必要とされる期間を低減させ、それによって患者の転帰を改善し、治療費を低下させる。
【0012】
本発明者らは、治療を受ける前に対象のB細胞免疫レパートリーを特徴付けることに基づいて、対象の予後および/または治療に対する応答を予測する方法を開発してきている。一態様において、本発明は、治療を受ける前に、対象のB細胞免疫レパートリーの体細胞超変異頻度およびクラススイッチ組換え頻度を特定することによって、治療に対する自己免疫疾患を有する対象の臨床応答を予測するための方法を提供する。一態様において、本発明は、治療を受ける前に、対象のB細胞免疫レパートリーの体細胞超変異頻度およびクラススイッチ組換え頻度を特定することによって、治療に対する免疫不全(例えば、白血病)を有する対象の臨床応答を予測するための方法を提供する。
【0013】
いくつかの実施形態において、療法に対する自己免疫疾患を有する対象の臨床応答性を予測および/または治療する方法で使用するための本明細書に提供される方法、組成物、および分析は、対象の試料における免疫受容体配列(例えば、T細胞受容体(TCR)、B細胞受容体(BCRまたはAb)標的)の高精度増幅および配列決定のための方法論を使用して、対象からの治療前試料における体細胞超組換え(SHM)免疫受容体サブクラス群のレベルおよび頻度を特定することを含む。免疫受容体配列決定データを使用して、試料中の免疫受容体における免疫受容体クローンおよび体細胞体超組換え変異を有するすべてのクローンの頻度を、試料中のスイッチ化および非スイッチ化サブクラスタイプの頻度と併せて、療法に対する対象の臨床応答の予測因子として特定する。いくつかの実施形態において、対象は、試料中の免疫受容体クローンのSHM頻度、ならびにスイッチ化および非スイッチ化アイソタイプのレベルに依存する手段で療法によって治療される。例えば、いくつかの実施形態において、指定された閾値(例えば、8%)未満のIgMおよび/またはIgD発現B細胞のSHM頻度を有し、免疫受容体クローン頻度で、高頻度のスイッチ化アイソタイプIgG、IgA、またはIgE発現B細胞が優位を占めている対象は、対象が化学療法(例えば、メトトレキサート)に応答性である可能性があり、化学療法(例えば、メトトレキサート)の候補であることを示し、一方、指定された閾値(例えば、8%)よりも高いIgMおよび/またはIgD発現B細胞のSHM頻度を有し、免疫受容体クローン頻度で、高頻度の非スイッチ化IgM/IgD発現B細胞が優位を占めている対象は、対象が化学療法(例えば、メトトレキサート)に応答性である可能性が低く、化学療法(例えば、メトトレキサート)の候補ではなく、むしろ、かかる対象は、免疫療法、および/またはB細胞枯渇療法に対してより応答性である可能性があり、かかる対象は、好ましくは、免疫療法および/またはB細胞枯渇治療の候補であり得る。
【0014】
いくつかの実施形態において、白血病疾患を有する対象における療法に対する予後および/または臨床応答性を予測する際に使用するための本明細書に提供される方法、組成物、および分析は、免疫受容体配列(例えば、T細胞受容体(TCR)、B細胞受容体(BCRまたはAb)標的)の高精度増幅および配列決定のための方法論を使用して、対象からの試料における体細胞超組換え(SHM)およびクラスサブタイプ組換え(CSR)のレベルおよび頻度を特定することを含む。免疫受容体配列決定データを使用して、試料中の免疫受容体における免疫受容体クローン、ならびに進行中の体細胞超組換え変異(SHM)および/またはクラスサブタイプ組換え(CSR)を有するすべてのクローンの頻度、その上、対象の予後および/または療法に対する臨床応答の予測因子として試料中のクローンのSHMの頻度を特定する。いくつかの実施形態において、対象は、試料中の免疫受容体クローンにおける進行中のSHM/CSRおよびSHMの頻度に依存する手段で、不良または良好な予後を有すると予測される。いくつかの実施形態において、対象は、得られるSHM/CRSプロファイルに従って、例えば、クラスI:進行中のCSRもSHMもなし、V遺伝子SHMなし、クラスII:進行中のCSRもSHMもなし、0よりも高く、6%未満であるV遺伝子SHM、クラスIII:進行中のCSRもSHMもなし、約6%よりも高いV遺伝子SHM、クラスIV:進行中のCSRおよび/またはSHM、に分類される。特定の実施形態において、対象は、かかる分類に基づいて特定の予後、例えば、クラスI:最悪の予後、クラスII:不良な予後、クラスIII:良好な予後、クラスIV:最良の予後、を有すると予測される。いくつかの実施形態において、対象は、試料中の免疫受容体クローンにおける進行中のSHM/CRSおよびSHM頻度に依存する手段で療法によって代替的および/または追加的に治療され、任意選択的に再分類に従い、例えば、いくつかの実施形態において、クラスI:化学療法、放射線、またはDNA修復誘導剤のうちのいずれかの任意選択的な追加を用いた幹細胞療法のための候補であり得、クラスII:任意選択的なDNA修復誘導剤を用いた化学療法、放射線、または免疫療法のための候補であり得、クラスIII:化学療法または免疫療法のための候補であり得、クラスIV:標準的な化学療法または免疫療法のための候補であり得る。
【0015】
本発明の追加の実施形態において、自己免疫疾患または障害の症状を有する対象を、慢性可変免疫不全障害を有するとして診断する方法で使用するための本明細書に提供される方法、組成物および分析は、対象の試料における免疫受容体配列(例えば、T細胞受容体(TCR)、B細胞受容体(BCRまたはAb)標的)の高精度増幅および配列決定のための方法論を使用して、対象からの治療前試料における体細胞超組換え(SHM)免疫受容体サブクラス群のレベルおよび頻度を特定することを含む。免疫受容体配列決定データを使用して、試料中の免疫受容体における免疫受容体クローンおよび体細胞体細胞超組換え変異を有するすべてのクローンの頻度を、試料中のスイッチ化および非スイッチ化サブクラスタイプの頻度と併せて、原発性免疫不全障害の診断として特定する。いくつかの実施形態において、対象は、試料中の免疫受容体クローンのSHM頻度、ならびにスイッチ化および非スイッチ化アイソタイプのレベルに依存して診断される。例えば、いくつかの実施形態において、非常に低いレベルおよび/もしくはほぼ無視できるレベルのスイッチ化アイソタイプIgG、IgA、またはIgE発現B細胞、ならびに指定された閾値(例えば、8%)未満のIgMおよび/またはIgD発現B細胞のSHM頻度を有する対象は、原発性免疫不全障害、例えば、慢性可変免疫不全障害を有するとして診断される。
【0016】
いくつかの実施形態において、提供される方法は、V遺伝子同一性および配列ならびにC遺伝子同一性配列を使用して、免疫受容体クローンのSHMおよびIgアイソタイプならびに/またはCSRを特定することを含む。いくつかの実施形態において、提供される方法は、CDR3配列、CDR1およびCDR3配列、またはCDR2およびCDR3配列もしくはCDR、CDR2、およびCDR3配列、ならびにC遺伝子配列を含む配列を使用する免疫受容体クローンの分析を含む。いくつかの実施形態において、提供される方法は、BCRクローンを、ヌクレオチド配列において類似または同一であるBCR可変およびC遺伝子再配列を含むものとして特定することを含む。例えば、互いに1つまたはいくつかの残基が異なるBCRのかなりの部分は、それにもかかわらず、抗原に対して類似または同一の特異性を有し得、したがって、かかるBCRは関連していると見なされ得る。
【0017】
本発明の一態様において、対象のB細胞免疫レパートリーを特徴付けることに基づいて、自己免疫障害を有する対象の治療に対する臨床応答および/または免疫不全(例えば、白血病)を有する対象の予後を予測するための方法が提供される。提供される方法は、多重増幅反応を行って、対象からの生物学的試料に由来する標的B細胞免疫受容体核酸鋳型分子を増幅させることを含む。いくつかの実施形態において、提供される方法は、i)(a)V遺伝子内のフレームワーク領域1(FR1)の少なくとも一部を含む少なくとも1つのBCRコード配列の異なるV遺伝子のうちの大多数に対する複数のV遺伝子プライマー、(b)V遺伝子内のフレームワーク領域2(FR2)の少なくとも一部を含む少なくとも1つのBCRコード配列の異なるV遺伝子のうちの大多数に対する複数のV遺伝子プライマー、または(c)V遺伝子内のフレームワーク領域3(FR3)の少なくとも一部を含む少なくとも1つのBCRコード配列の異なるV遺伝子のうちの大多数に対する複数のV遺伝子プライマー、およびii)少なくとも1つのBCRコード配列のC遺伝子の少なくとも一部に対する1つ以上のC遺伝子プライマー、のうちの少なくとも1つのセットを含む多重増幅反応を含む。i)およびii)のプライマーの各セットは、標的IgH BCR遺伝子のコード配列に対するものであり、増幅を行うことが、試料における標的BCRレパートリーを表すアンプリコン分子をもたらし、それによって、標的免疫受容体レパートリーを含む標的B細胞免疫受容体アンプリコン分子を生成する。いくつかの実施形態において、提供される方法は、標的免疫受容体レパートリーアンプリコンの配列決定を行うことと、配列決定から免疫受容体クローンを特定して、免疫受容体クローン間の可変遺伝子部分内の体細胞超変異(SHM)のレベルを決定することであって、SHMを示すクローン系統免疫受容体クローンのVDJ領域が類似のヌクレオチド配列を有する、決定することと、試料中のB細胞免疫受容体クローンのサブクラス、その上、試料中の非スイッチ化IgMおよび/またはIgDならびにスイッチ化IgG、IgA、および/またはIgE発現細胞の頻度を決定することと、をさらに含む。方法は、対象を、(i)SHM頻度が、試料において、非スイッチ化IgM/IgD発現B細胞における頻度閾値未満であり、免疫レパートリーで、高頻度のスイッチ化アイソタイプIgG、IgA、もしくはIgE発現B細胞が優位を占めている場合に、化学療法に対する応答者、(ii)SHM頻度が、試料において、頻度閾値よりも高く、免疫レパートリーで、高頻度の非スイッチ化IgM/IgD発現B細胞が優位を占めている場合、化学療法に対する非応答者、および/または(iii)SHM頻度が、試料において、頻度閾値よりも高く、免疫レパートリーで、高頻度の非スイッチ化IgM/IgD発現B細胞が優位を占めている場合、免疫療法に対する応答者、の可能性があるとして特定することを提供する。いくつかの実施形態において、提供される方法は、標的免疫受容体レパートリーアンプリコンの配列決定を行うことと、配列決定から免疫受容体クローンを特定して、免疫受容体クローン間の可変遺伝子部分内の体細胞超変異(SHM)のレベルを決定することであって、SHMを示すクローン系統免疫受容体クローンのVDJ領域が類似のヌクレオチド配列を有する、決定することと、その上、SHMを示すクローン系統免疫受容体クローンのVDJ領域が、類似のヌクレオチド配列を有する進行中のSHM頻度、ならびに/またはスイッチ化アイソタイプの少なくとも1つおよび/もしくは組み合わせが、試料におけるB細胞免疫受容体クローンの類似の可変系統で特定される進行中のクラススイッチ組換え(CSR)頻度を決定することと、をさらに含む。方法は、レパートリークローンを、以下のサブクラス:クラスI:進行中のCSRもSHMもなし、V遺伝子SHMなし、クラスII:進行中のCSRもSHMもなし、0よりも高く、6%未満であるV遺伝子SHM、クラスIII:進行中のCSRもSHMもなし、約6%よりも高いV遺伝子SHM、クラスIV:進行中のCSRおよび/またはSHM、に従って分類することと、対象の免疫不全予後を、B細胞免疫レパートリーの細分類に基づいて、クラスI:最悪の予後、クラスII:不良な予後、クラスIII:良好な予後、クラスIV:最良の予後、に特定することと、を提供する。
【0018】
いくつかの実施形態において、対象のB細胞免疫レパートリーを特徴付けることに基づいて、自己免疫疾患もしくは障害を有する対象の療法に対する臨床応答を予測するための方法、および/または免疫不全(例えば、白血病)を有する対象の予後を予測するための方法が提供され、複数のV遺伝子プライマーの各々、および/または1つ以上のC遺伝子プライマーが、以下の基準:(1)プライマー内に2つ以上の修飾ヌクレオチドを含み、そのうちの少なくとも1つが、プライマーの末端の近くまたは末端に含まれ、そのうちの少なくとも1つが、プライマーの中心ヌクレオチド位置またはその付近に含まれる、(2)長さが、約15~約40個の塩基の長さである、(3)60℃を超えて約70℃までのTm、(4)試料中に存在する非標的配列に対して低い交差反応性を有する、(5)少なくとも最初の4個のヌクレオチド(3’から5’方向に)が、同じ反応に存在するいずれの他のプライマー内のいずれの配列に対しても非相補的である、および(6)いずれの他の生成された標的アンプリコン内の少なくとも5個のヌクレオチドのいずれの連続した伸長に対しても非相補的である、のうちのいずれか1つ以上を有する。
【0019】
いくつかの実施形態において、対象のB細胞免疫レパートリーを特徴付けることに基づいて、自己免疫疾患もしくは障害を有する対象の療法に対する臨床応答を予測するための方法、および/または免疫不全(例えば、白血病)を有する対象の予後を予測するための方法が提供され、複数のV遺伝子プライマーの各々、および/または1つ以上のC遺伝子プライマーは、好ましくは、(i)プライマーの末端の近くもしくは末端、または(ii)プライマーの中心ヌクレオチドの近くもしくはその付近に位置する、1つ以上の切断可能な基を含む。提供される方法のいくつかの実施形態において、複数のV遺伝子プライマーの各々、および/または1つ以上のC遺伝子プライマーは、メチルグアニン、8-オキソ-グアニン、キサンチン、ヒポキサンチン、5,6-ジヒドロウラシル、ウラシル、5-メチルシトシン、チミンダイマー、7-メチルグアノシン、8-オキソ-デオキシグアノシン、キサントシン、イノシン、ジヒドロウリジン、ブロモデオキシウリジン、ウリジン、または5-メチルシチジンから選択される切断可能な基を有する2つ以上の修飾ヌクレオチドを含む。提供される方法のいくつかの実施形態において、複数のV遺伝子プライマーは、鋳型分子のFR1部分の少なくとも一部にアニーリングし、1つ以上のC遺伝子プライマーは、鋳型分子のC遺伝子部分の少なくとも一部にアニーリングする少なくとも5つのプライマーを含む。
【0020】
いくつかの実施形態において、対象のB細胞免疫レパートリーを特徴付けることに基づいて、自己免疫疾患または障害を有する対象の療法に対する臨床応答を予測するための方法、および/または免疫不全(例えば、白血病)を有する対象の予後を予測するための方法が提供され、生成される標的BCRアンプリコン分子には、標的BCR遺伝子配列の相補性決定領域CDR1、CDR2、およびCDR3が含まれる。特定の実施形態において、i)およびii)のうちの少なくとも1つのセットは、それぞれ、表3および表6~10のプライマーから選択される。他の特定の実施形態において、i)およびii)のうちの少なくとも1つのセットは、表11のプライマーセットから選択される。
【0021】
いくつかの実施形態において、対象のB細胞免疫レパートリーを特徴付けることに基づいて、自己免疫疾患もしくは障害を有する対象の療法に対する臨床応答を予測するための方法、および/または免疫不全(例えば、白血病)を有する対象の予後を予測するための方法が提供され、i)およびii)のうちの少なくとも1つのセットは、i)(c)およびii)(a)であり、複数のV遺伝子プライマーは、鋳型分子のFR3部分の少なくとも一部にアニーリングし、1つ以上のC遺伝子プライマーは、鋳型分子のC遺伝子部分の少なくとも一部にアニーリングする少なくとも5つのプライマーを含む。特定の実施形態において、生成された標的BCRアンプリコン分子は、標的BCR遺伝子配列の相補性決定領域CDR3を含む。他の特定の実施形態において、i)およびii)のうちの少なくとも1つのセットは、それぞれ、表2および表6~10のプライマーから選択される。
【0022】
本明細書における対象のB細胞免疫レパートリーを特徴付けることに基づいて、自己免疫疾患または障害を有する対象の療法に対する臨床応答を予測するための提供される方法の特定の実施形態において、好ましいSHM頻度カットオフは、8%である。
【0023】
本明細書における対象のB細胞免疫レパートリーを特徴付けることに基づいて、白血病を有する対象の予後を予測するために提供される方法の特定の実施形態において、クラスIIIの平均SHM頻度は、約2%である。
【0024】
いくつかの実施形態において、対象のB細胞免疫レパートリーを特徴付けることに基づいて、自己免疫疾患もしくは障害を有する対象の療法に対する臨床応答を予測するための方法、および/または免疫不全(例えば、白血病)を有する対象の予後を予測するための提供される方法は、ステップb)の前に、少なくとも1つのアダプターを標的免疫受容体アンプリコン分子のうちの少なくとも1つに付加し、それによって、アダプター修飾された標的免疫受容体アンプリコン分子のライブラリーを生成することをさらに含む。特定の実施形態において、少なくとも1つのアダプターは、ライゲーションによって付加される。
【0025】
いくつかの実施形態において、対象のB細胞免疫レパートリーを特徴付けることに基づいて、自己免疫疾患もしくは障害を有する対象の療法に対する臨床応答を予測するための方法、および/または免疫不全(例えば、白血病)を有する対象の予後を予測するための提供される方法は、配列決定が、初期配列読み取りを得ることと、初期配列読み取りを参照読み取りと整列することと、生産的読み取りを特定することと、1つ以上のインデルエラーを修正して救済された生産的配列読み取りを生成することと、を含む。特定の実施形態において、生産的読み取りおよび救済された生産的読み取りの組み合わせは、配列決定読み取りの少なくとも50%である。
【0026】
本発明の別の態様において、自己免疫疾患または障害の症状を有する対象を、対象のB細胞免疫レパートリーの特徴付けることに基づいて、慢性可変免疫不全障害を有するとして診断するための方法が提供される。提供される方法は、多重増幅反応を行って、対象からの生物学的試料に由来する標的B細胞免疫受容体核酸鋳型分子を増幅させることを含む。いくつかの実施形態において、提供される方法は、i)(a)V遺伝子内のフレームワーク領域1(FR1)の少なくとも一部を含む少なくとも1つのBCRコード配列の異なるV遺伝子のうちの大多数に対する複数のV遺伝子プライマー、(b)V遺伝子内のフレームワーク領域2(FR2)の少なくとも一部を含む少なくとも1つのBCRコード配列の異なるV遺伝子のうちの大多数に対する複数のV遺伝子プライマー、または(c)V遺伝子内のフレームワーク領域3(FR3)の少なくとも一部を含む少なくとも1つのBCRコード配列の異なるV遺伝子のうちの大多数に対する複数のV遺伝子プライマー、およびii)少なくとも1つのBCRコード配列のC遺伝子の少なくとも一部に対する1つ以上のC遺伝子プライマー、のうちの少なくとも1つのセットを含む多重増幅反応を含む。i)およびii)のプライマーの各セットは、標的IgH BCR遺伝子のコード配列に対するものであり、増幅を行うことが、試料における標的BCRレパートリーを表すアンプリコン分子をもたらし、それによって、標的免疫受容体レパートリーを含む標的B細胞免疫受容体アンプリコン分子を生成する。提供される方法は、標的免疫受容体レパートリーアンプリコンの配列決定を行うことと、配列決定から免疫受容体クローンを特定して、免疫受容体クローン間の可変遺伝子部分内の体細胞超変異(SHM)のレベルを決定することであって、SHMを示すクローン系統免疫受容体クローンのVDJ領域が類似のヌクレオチド配列を有する、決定することと、試料中のB細胞免疫受容体クローンのサブクラス、ならびに試料中のクラススイッチ組換えの頻度を決定することと、をさらに含む。方法は、SHM頻度がスイッチ化アイソタイプにおける頻度閾値未満であり、試料におけるクラススイッチ組換え(CSR)の頻度が、頻度閾値未満であり、免疫レパートリーで、試料における非スイッチ化IgM/IgD発現B細胞が優位を占めている場合、対象を、原発性免疫不全障害を有するとして特定することと、それによって対象を、慢性可変免疫不全障害を有すると診断することと、を含む。
【0027】
いくつかの実施形態において、提供される方法は、自己免疫疾患もしくは障害の症状を有する対象を、慢性可変免疫不全障害を有するとして診断する方法が提供され、複数のV遺伝子プライマーの各々、および/または1つ以上のC遺伝子プライマーが、以下の基準:(1)プライマー内に2つ以上の修飾ヌクレオチドを含み、そのうちの少なくとも1つが、プライマーの末端の近くまたは末端に含まれ、そのうちの少なくとも1つが、プライマーの中心ヌクレオチド位置またはその付近に含まれる、(2)長さが、約15~約40個の塩基の長さである、(3)60℃を超えて約70℃までのTm、(4)試料中に存在する非標的配列に対して低い交差反応性を有する、(5)少なくとも最初の4個のヌクレオチド(3’から5’方向に)が、同じ反応に存在するいずれの他のプライマー内のいずれの配列に対しても非相補的である、および(6)いずれの他の生成された標的アンプリコン内の少なくとも5個のヌクレオチドのいずれの連続した伸長に対しても非相補的である、のうちのいずれか1つ以上を有する。
【0028】
自己免疫疾患または自己免疫疾患の症状を有する対象を、慢性可変免疫不全障害を有するとして診断する提供される方法のいくつかの実施形態において、複数のV遺伝子プライマーの各々、および/または1つ以上のC遺伝子プライマーは、好ましくは、(i)プライマーの末端の近くもしくは末端、または(ii)プライマーの中心ヌクレオチドの近くもしくはその付近に位置する、1つ以上の切断可能な基を含む。提供される方法のいくつかの実施形態において、複数のV遺伝子プライマーの各々、および/または1つ以上のC遺伝子プライマーは、メチルグアニン、8-オキソ-グアニン、キサンチン、ヒポキサンチン、5,6-ジヒドロウラシル、ウラシル、5-メチルシトシン、チミンダイマー、7-メチルグアノシン、8-オキソ-デオキシグアノシン、キサントシン、イノシン、ジヒドロウリジン、ブロモデオキシウリジン、ウリジン、または5-メチルシチジンから選択される切断可能な基を有する2つ以上の修飾ヌクレオチドを含む。提供される方法のいくつかの実施形態において、複数のV遺伝子プライマーは、鋳型分子のFR1部分の少なくとも一部にアニーリングし、1つ以上のC遺伝子プライマーは、鋳型分子のC遺伝子部分の少なくとも一部にアニーリングする少なくとも5つのプライマーを含む。
【0029】
自己免疫疾患または障害の症状を有する対象を、慢性可変免疫不全障害を有するとして診断する提供される方法のいくつかの実施形態において、生成された標的BCRアンプリコン分子は、標的BCR遺伝子配列の相補性決定領域CDR1、CDR2、およびCDR3を含む。特定の実施形態において、i)およびii)のうちの少なくとも1つのセットは、それぞれ、表3および表6~10のプライマーから選択される。他の特定の実施形態において、i)およびii)のうちの少なくとも1つのセットは、表11のプライマーセットから選択される。
【0030】
提供される方法のいくつかの実施形態において、i)およびii)のうちの少なくとも1つのセットは、i)(c)およびii)(a)であり、複数のV遺伝子プライマーは、鋳型分子のFR3部分の少なくとも一部にアニーリングし、1つ以上のC遺伝子プライマーは、鋳型分子のC遺伝子部分の少なくとも一部にアニーリングする少なくとも5つのプライマーを含む。特定の実施形態において、生成された標的BCRアンプリコン分子は、標的BCR遺伝子配列の相補性決定領域CDR3を含む。他の特定の実施形態において、i)およびii)のうちの少なくとも1つのセットは、それぞれ、表2および表6~10のプライマーから選択される。
【0031】
いくつかの実施形態において、自己免疫疾患または障害の症状を有する対象を、慢性可変免疫不全障害を有するとして診断する提供される方法は、ステップb)の前に、少なくとも1つのアダプターを、標的免疫受容体アンプリコン分子のうちの少なくとも1つに付加し、それによって、アダプター修飾された標的免疫受容体アンプリコン分子のライブラリーを生成することをさらに含む。特定の実施形態において、少なくとも1つのアダプターは、ライゲーションによって付加される。
【0032】
いくつかの実施形態において、自己免疫疾患または障害の症状を有する対象を、慢性可変免疫不全障害を有するとして診断する提供される方法は、配列決定が、初期配列読み取りを得ることと、初期配列読み取りを参照配列に対して整列させることと、生産的読み取りを特定することと、1つ以上のインデルエラーを修正して救済された生産的配列読み取りを生成することと、を含む。特定の実施形態において、生産的読み取りおよび救済された生産的読み取りの組み合わせは、配列決定読み取りの少なくとも50%である。
【0033】
本発明の別の態様において、対象のB細胞免疫レパートリーを特徴付けることに基づいて、自己免疫疾患または障害を有する対象を治療するための方法が提供される。提供される方法は、多重増幅反応を行って、対象からの生物学的試料に由来する標的B細胞免疫受容体核酸鋳型分子を増幅させることを含む。いくつかの実施形態において、提供される方法は、i)(a)V遺伝子内のフレームワーク領域1(FR1)の少なくとも一部を含む少なくとも1つのBCRコード配列の異なるV遺伝子のうちの大多数に対する複数のV遺伝子プライマー、(b)V遺伝子内のフレームワーク領域2(FR2)の少なくとも一部を含む少なくとも1つのBCRコード配列の異なるV遺伝子のうちの大多数に対する複数のV遺伝子プライマー、または(c)V遺伝子内のフレームワーク領域3(FR3)の少なくとも一部を含む少なくとも1つのBCRコード配列の異なるV遺伝子のうちの大多数に対する複数のV遺伝子プライマー、およびii)少なくとも1つのBCRコード配列のC遺伝子の少なくとも一部に対する1つ以上のC遺伝子プライマー、のうちの少なくとも1つのセットを含む多重増幅反応を含む。i)およびii)のプライマーの各セットは、標的IgH BCR遺伝子のコード配列に対するものであり、増幅を行うことが、試料における標的BCRレパートリーを表すアンプリコン分子をもたらし、それによって、標的免疫受容体レパートリーを含む標的B細胞免疫受容体アンプリコン分子を生成する。提供される方法は、標的免疫受容体レパートリーアンプリコンの配列決定を行うことと、配列決定から免疫受容体クローンを特定して、免疫受容体クローン間の可変遺伝子部分内の体細胞超変異(SHM)のレベルを決定することであって、SHMを示すクローン系統免疫受容体クローンのVDJ領域が類似のヌクレオチド配列を有する、決定することと、試料中のB細胞免疫受容体クローンのサブクラス、その上、試料中の非スイッチ化IgMおよび/またはIgDならびにスイッチ化IgG、IgA、および/またはIgE発現細胞の頻度を決定することと、をさらに含む。方法は、対象を、(i)SHM頻度が、試料における非スイッチ化IgM/IgD発現B細胞で頻度閾値未満であり、免疫レパートリーで、試料における高頻度のスイッチ化アイソタイプIgG、IgA、またはIgE発現B細胞が優位を占めている場合、化学療法を用いて、(ii)SHM頻度が、頻度閾値よりも高く、免疫レパートリーで、高頻度の非スイッチ化IgM/IgD発現B細胞が優位を占めている場合、免疫療法を用いて、治療することを提供する。
【0034】
いくつかの実施形態において、自己免疫疾患もしくは障害を有する対象を、対象のB細胞免疫レパートリーを特徴付けることに基づいて治療するための方法が提供され、複数のV遺伝子プライマーの各々、および/または1つ以上のC遺伝子プライマーが、以下の基準:(1)プライマー内に2つ以上の修飾ヌクレオチドを含み、そのうちの少なくとも1つが、プライマーの末端の近くまたは末端に含まれ、そのうちの少なくとも1つが、プライマーの中心ヌクレオチド位置またはその付近に含まれる、(2)長さが、約15~約40個の塩基の長さである、(3)60℃を超えて約70℃までのTm、(4)試料中に存在する非標的配列に対して低い交差反応性を有する、(5)少なくとも最初の4個のヌクレオチド(3’から5’方向に)が、同じ反応に存在するいずれの他のプライマー内のいずれの配列に対しても非相補的である、および(6)いずれの他の生成された標的アンプリコン内の少なくとも5個のヌクレオチドのいずれの連続した伸長に対しても非相補的である、のうちのいずれか1つ以上を有する。
【0035】
自己免疫疾患または障害を有する対象を、対象のB細胞免疫レパートリーを特徴付けることに基づいて治療するための提供される方法のいくつかの実施形態において、複数のV遺伝子プライマーの各々、および/または1つ以上のC遺伝子プライマーは、好ましくは、(i)プライマーの末端の近くもしくは末端、または(ii)プライマーの中心ヌクレオチドの近くもしくはその付近に位置する、1つ以上の切断可能な基を含む。提供される方法のいくつかの実施形態において、複数のV遺伝子プライマーの各々、および/または1つ以上のC遺伝子プライマーは、メチルグアニン、8-オキソ-グアニン、キサンチン、ヒポキサンチン、5,6-ジヒドロウラシル、ウラシル、5-メチルシトシン、チミンダイマー、7-メチルグアノシン、8-オキソ-デオキシグアノシン、キサントシン、イノシン、ジヒドロウリジン、ブロモデオキシウリジン、ウリジン、または5-メチルシチジンから選択される切断可能な基を有する2つ以上の修飾ヌクレオチドを含む。提供される方法のいくつかの実施形態において、複数のV遺伝子プライマーは、鋳型分子のFR1部分の少なくとも一部にアニーリングし、1つ以上のC遺伝子プライマーが、鋳型分子のC遺伝子部分の少なくとも一部にアニーリングする少なくとも5つのプライマーを含む。
【0036】
自己免疫疾患または障害を有する対象を、対象のB細胞免疫レパートリーを特徴付けることに基づいて治療するために提供される方法のいくつかの実施形態において、生成された標的BCRアンプリコン分子は、標的BCR遺伝子配列の相補性決定領域CDR1、CDR2、およびCDR3を含む。特定の実施形態において、i)およびii)のうちの少なくとも1つのセットは、それぞれ、表3および表6~10のプライマーから選択される。他の特定の実施形態において、i)およびii)のうちの少なくとも1つのセットは、表11のプライマーセットから選択される。
【0037】
自己免疫疾患または障害を有する対象を、対象のB細胞免疫レパートリーを特徴付けることに基づいて治療するために提供される方法のいくつかの実施形態において、i)およびii)のうちの少なくとも1つのセットは、i)(c)およびii)(a)であり、複数のV遺伝子プライマーが、鋳型分子のFR3部分の少なくとも一部にアニーリングし、1つ以上のC遺伝子プライマーが、鋳型分子のC遺伝子部分の少なくとも一部にアニーリングする少なくとも5つのプライマーを含む。特定の実施形態において、生成された標的BCRアンプリコン分子は、標的BCR遺伝子配列の相補性決定領域CDR3を含む。他の特定の実施形態において、i)およびii)のうちの少なくとも1つのセットは、それぞれ、表2および表6~10のプライマーから選択される。
【0038】
自己免疫疾患または障害を有する対象を、対象のB細胞免疫レパートリーを特徴付けることに基づいて治療するために提供される方法の特定の実施形態において、好ましいSHM頻度カットオフは、8%である。
【0039】
いくつかの実施形態において、自己免疫疾患または障害を有する対象を、対象のB細胞免疫レパートリーを特徴付けることに基づいて治療するための方法が提供され、ステップb)の前に、少なくとも1つのアダプターを標的免疫受容体アンプリコン分子のうちの少なくとも1つに付加し、それにより、アダプター修飾された標的免疫受容体アンプリコン分子のライブラリーを生成することをさらに含む。特定の実施形態において、少なくとも1つのアダプターは、ライゲーションによって付加される。
【0040】
いくつかの実施形態において、自己免疫疾患または障害を有する対象を、対象のB細胞免疫レパートリーを特徴付けることに基づいて治療するための方法が提供され、配列決定することは、初期配列読み取りを得ることと、初期配列読み取りを参照読み取りと整列することと、生産的読み取りを特定することと、1つ以上のインデルエラーを修正して救済された生産的配列読み取りを生成することと、を含む。特定の実施形態において、生産的読み取りおよび救済された生産的読み取りの組み合わせは、配列決定読み取りの少なくとも50%である。
【0041】
いくつかの実施形態において、自己免疫疾患または障害を有する対象を、対象のB細胞免疫レパートリーを特徴付けることに基づいて治療するための方法が提供され、対象は関節リウマチを有する。
【0042】
いくつかの実施形態において、自己免疫疾患または障害を有する対象を、対象のB細胞免疫レパートリーを特徴付けることに基づいて治療するための方法が提供され、免疫療法は、チェックポイント遮断剤、またはB細胞枯渇剤を含む。
【0043】
いくつかの実施形態において、自己免疫疾患または障害を有する対象を、対象のB細胞免疫レパートリーを特徴付けることに基づいて治療するための方法が提供され、化学療法は、メトトレキサートを含む。
【0044】
本発明の別の態様において、免疫不全(例えば、白血病)を有する対象を、対象のB細胞免疫レパートリーを特徴付けることに基づいて治療するための方法が提供される。提供される方法は、多重増幅反応を行って、対象からの生物学的試料に由来する標的B細胞免疫受容体核酸鋳型分子を増幅させることを含む。いくつかの実施形態において、提供される方法は、i)(a)V遺伝子内のフレームワーク領域1(FR1)の少なくとも一部を含む少なくとも1つのBCRコード配列の異なるV遺伝子のうちの大多数に対する複数のV遺伝子プライマー、(b)V遺伝子内のフレームワーク領域2(FR2)の少なくとも一部を含む少なくとも1つのBCRコード配列の異なるV遺伝子のうちの大多数に対する複数のV遺伝子プライマー、または(c)V遺伝子内のフレームワーク領域3(FR3)の少なくとも一部を含む少なくとも1つのBCRコード配列の異なるV遺伝子のうちの大多数に対する複数のV遺伝子プライマー、およびii)少なくとも1つのBCRコード配列のC遺伝子の少なくとも一部に対する1つ以上のC遺伝子プライマー、のうちの少なくとも1つのセットを含む多重増幅反応を含む。i)およびii)のプライマーの各セットは、標的IgH BCR遺伝子のコード配列に対するものであり、増幅を行うことが、試料における標的BCRレパートリーを表すアンプリコン分子をもたらし、それによって、標的免疫受容体レパートリーを含む標的B細胞免疫受容体アンプリコン分子を生成する。いくつかの実施形態において、提供される方法は、標的免疫受容体レパートリーアンプリコンの配列決定を行うことと、配列決定から免疫受容体クローンを特定して、免疫受容体クローン間の可変遺伝子部分内の体細胞超変異(SHM)のレベルを決定することであって、SHMを示すクローン系統免疫受容体クローンのVDJ領域が類似のヌクレオチド配列を有する、決定することと、その上、SHMを示すクローン系統免疫受容体クローンのVDJ領域が、類似のヌクレオチド配列を有する進行中のSHM頻度、ならびに/またはスイッチ化アイソタイプの少なくとも1つおよび/もしくは組み合わせが、試料におけるB細胞免疫受容体クローンの類似の可変系統で特定される進行中のクラススイッチ組換え(CSR)頻度を決定することと、をさらに含む。方法は、レパートリークローンを、以下のサブクラス:クラスI:進行中のCSRもSHMもなし、V遺伝子SHMなし、クラスII:進行中のCSRもSHMもなし、0よりも高く、6%未満であるV遺伝子SHM、クラスIII:進行中のCSRもSHMもなし、約6%よりも高いV遺伝子SHM、クラスIV:進行中のCSRおよび/またはSHM、に従って分類し、対象を、B細胞免疫レパートリーの細分類に基づいて、クラスI:化学療法、放射線、またはDNA修復誘導剤のうちのいずれかの任意選択的な追加を用いた幹細胞療法、クラスII:任意選択的なDNA修復誘導剤を用いた化学療法、放射線、または免疫療法、クラスIII:化学療法または免疫療法、およびクラスIV:標準的な化学療法または免疫療法、で治療するために提供される。
【0045】
いくつかの実施形態において、白血病を有する対象を、対象のB細胞免疫レパートリーに基づいて治療するための方法が提供され、複数のV遺伝子プライマーの各々、および/または1つ以上のC遺伝子プライマーが、以下の基準:(1)プライマー内に2つ以上の修飾ヌクレオチドを含み、そのうちの少なくとも1つが、プライマーの末端の近くまたは末端に含まれ、そのうちの少なくとも1つが、プライマーの中心ヌクレオチド位置またはその付近に含まれる、(2)長さが、約15~約40個の塩基の長さである、(3)60℃を超えて約70℃までのTm、(4)試料中に存在する非標的配列に対して低い交差反応性を有する、(5)少なくとも最初の4個のヌクレオチド(3’から5’方向に)が、同じ反応に存在するいずれの他のプライマー内のいずれの配列に対しても非相補的である、および(6)いずれの他の生成された標的アンプリコン内の少なくとも5個のヌクレオチドのいずれの連続した伸長に対しても非相補的である、のうちのいずれか1つ以上を有する。
【0046】
白血病を有する対象を、対象のB細胞免疫レパートリーに基づいて治療するための提供される方法のいくつかの実施形態において、複数のV遺伝子プライマーの各々、および/または1つ以上のC遺伝子プライマーは、好ましくは、(i)プライマーの末端の近くもしくは末端、または(ii)プライマーの中心ヌクレオチドの近くもしくはその付近に位置する、1つ以上の切断可能な基を含む。提供される方法のいくつかの実施形態において、複数のV遺伝子プライマーの各々、および/または1つ以上のC遺伝子プライマーは、メチルグアニン、8-オキソ-グアニン、キサンチン、ヒポキサンチン、5,6-ジヒドロウラシル、ウラシル、5-メチルシトシン、チミンダイマー、7-メチルグアノシン、8-オキソ-デオキシグアノシン、キサントシン、イノシン、ジヒドロウリジン、ブロモデオキシウリジン、ウリジン、または5-メチルシチジンから選択される切断可能な基を有する2つ以上の修飾ヌクレオチドを含む。提供される方法のいくつかの実施形態において、複数のV遺伝子プライマーは、鋳型分子のFR1部分の少なくとも一部にアニーリングし、1つ以上のC遺伝子プライマーが、鋳型分子のC遺伝子部分の少なくとも一部にアニーリングする少なくとも5つのプライマーを含む。
【0047】
白血病を有する対象を、対象のB細胞免疫レパートリーに基づいて治療するために提供される方法のいくつかの実施形態において、生成された標的BCRアンプリコン分子は、標的BCR遺伝子配列の相補性決定領域CDR1、CDR2、およびCDR3を含む。特定の実施形態において、i)およびii)のうちの少なくとも1つのセットは、それぞれ、表3および表6~10のプライマーから選択される。他の特定の実施形態において、i)およびii)のうちの少なくとも1つのセットは、表11のプライマーセットから選択される。
【0048】
白血病を有する対象を、対象のB細胞免疫レパートリーに基づいて治療するために提供される方法のいくつかの実施形態において、i)およびii)のうちの少なくとも1つのセットは、i)(c)およびii)(a)であり、複数のV遺伝子プライマーが、鋳型分子のFR3部分の少なくとも一部にアニーリングし、1つ以上のC遺伝子プライマーが、鋳型分子のC遺伝子部分の少なくとも一部にアニーリングする少なくとも5つのプライマーを含む。特定の実施形態において、生成された標的BCRアンプリコン分子は、標的BCR遺伝子配列の相補性決定領域CDR3を含む。他の特定の実施形態において、i)およびii)のうちの少なくとも1つのセットは、それぞれ、表2および表6~10のプライマーから選択される。
【0049】
白血病を有する対象を、本明細書における対象のB細胞免疫レパートリーに基づいて治療するために提供される方法の特定の実施形態において、クラスIIIの平均SHM頻度は、約2%である。
【0050】
いくつかの実施形態において、白血病を有する対象を、対象のB細胞免疫レパートリーに基づいて治療するための方法が提供され、ステップb)の前に、少なくとも1つのアダプターを標的免疫受容体アンプリコン分子のうちの少なくとも1つに付加し、それにより、アダプター修飾された標的免疫受容体アンプリコン分子のライブラリーを生成することをさらに含む。特定の実施形態において、少なくとも1つのアダプターは、ライゲーションによって付加される。
【0051】
いくつかの実施形態において、白血病を有する対象を、対象のB細胞免疫レパートリーに基づいて治療するための方法が提供され、配列決定することは、初期配列読み取りを得ることと、初期配列読み取りを参照読み取りと整列することと、生産的読み取りを特定することと、1つ以上のインデルエラーを修正して救済された生産的配列読み取りを生成することと、を含む。特定の実施形態において、生産的読み取りおよび救済された生産的読み取りの組み合わせは、配列決定読み取りの少なくとも50%である。
【0052】
白血病を有する対象を、対象のB細胞免疫レパートリーに基づいて治療するために提供される方法のいくつかの実施形態において、対象は、慢性リンパ性白血病を有する。
【0053】
白血病を有する対象を、対象のB細胞免疫レパートリーに基づいて治療するために提供される方法のいくつかの実施形態において、免疫療法は、標的化した生物学的薬剤またはB細胞枯渇剤を含む。
【0054】
いくつかの実施形態において、多重次世代配列決定ワークフローは、提供される方法と組み合わせて、試料における免疫レパートリーの効果的な検出および分析のために使用される。提供される方法は、対象における複雑な免疫細胞レパートリー(複数可)を監視および分析する際に、免疫細胞受容体配列(例えば、T細胞受容体(TCR)、B細胞受容体(BCRまたはAb)標的)の高精度増幅および配列決定に使用するためのワークフロー、組成物、システム、およびキットを利用する。標的免疫細胞受容体遺伝子は、VDJまたはVJ遺伝子セグメントの再配列(または組換え)を受けており、遺伝子セグメントは特定の受容体遺伝子(例えば、IgH、IgK、TCRベータ、またはTCRアルファ)に依存する。特定の実施形態において、本開示は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)などの核酸増幅を使用するワークフロー、組成物、およびシステムを、その後の配列決定のために免疫受容体標的核酸の発現された可変領域を豊富化するために使用する方法を提供する。特定の実施形態において、本開示は、PCRなどの核酸増幅を使用するワークフロー、組成物、およびシステムを、その後の配列決定のためにgDNAから再配列された標的免疫細胞受容体遺伝子配列を豊富化するために利用する方法を提供する。特定の実施形態において、本開示はまた、増幅または配列決定に由来するエラー(複数可)の効果的な特定および除去のためのワークフローおよびシステムを使用して、読み取り割り当ての精度を改善し、偽陽性率を低下させる方法を提供する。特に、本明細書に記載の提供される方法は、ゲノム組換えおよび高い変異性に関連するヌクレオチド配列を用いる配列決定アプリケーションにおける精度および性能を改善し得る。いくつかの実施形態において、本明細書に提供される方法、組成物、システム、およびキットは、試料における発現された免疫受容体の相補性決定領域(CDR)の増幅および配列決定に使用するためのものである。いくつかの実施形態において、本明細書に提供される方法、組成物、システム、およびキットは、試料における再配列された免疫細胞受容体gDNAのCDRの増幅および配列決定に使用するためのものである。したがって、次世代配列決定技術およびワークフローソリューション(例えば、手動または自動)と組み合わせて使用される、多重ライブラリー調製のための多重免疫細胞受容体発現組成物および免疫細胞受容体遺伝子指向組成物は、本明細書に提供される方法と組み合わせて試料における免疫レパートリーの効果的な検出および特徴付けのために使用することができる。
【0055】
TCRまたはBCRのCDRは、V(D)J遺伝子セグメントの組換えならびに遺伝子セグメント接合部でのヌクレオチドの付加および/または欠失を受けているゲノムDNAから生じる。V(D)J遺伝子セグメントの組換えおよびそれに続く超変異事象は、発現される免疫細胞受容体の広範な多様性につながる。V(D)J組換えの確率的性質により、T細胞受容体またはB細胞受容体のゲノムDNAの再配列は、機能的な受容体を生成できず、代わりに「非生産的」再配列と呼ばれるものを生成する場合が頻繁にある。通常、非生産的再配列は、フレーム外の可変および結合コードセグメントを有し、未熟な終止コドンの存在および無関係なペプチドの合成につながる。非生産的TCRまたはBCR遺伝子再配列は、1)未熟な終止コドンを含むmRNAを破壊する、ナンセンス媒介性崩壊、2)機能的受容体を有するBおよびT細胞のみが生存する、B細胞およびT細胞選択、3)単一の再配列受容体対立遺伝子のみが任意の所定のB細胞またはT細胞で発現される、対立遺伝子排除、などのいくつかの生物学的または生理学的理由のために、cDNAベースのレパートリー配列決定において一般に稀である。
【0056】
したがって、いくつかの実施形態において、本明細書に提供される方法および組成物は、免疫細胞受容体mRNA、例えばBCRおよび/またはTCR mRNAの組換えられて発現された可変領域を増幅するために使用される。いくつかの実施形態において、生物学的試料から抽出されたRNAは、cDNAに変換される。多重増幅は、受容体の可変領域の少なくとも一部を含むBCRまたはTCR cDNAの一部を豊富化するために使用される。いくつかの実施形態において、増幅されたcDNAは、標的受容体における1つ以上の相補性決定領域CDR1、CDR2、および/またはCDR3を含む。いくつかの実施形態において、増幅されたcDNAは、免疫グロブリン重鎖(IgH)における1つ以上の相補性決定領域CDR1、CDR2、および/またはCDR3を含む。
【0057】
BCRおよびTCR配列はまた、増幅反応中または配列決定プロセス中に導入されたエラーからの非生産的再配列として出現し得る。例えば、標的増幅または配列決定反応中の挿入もしくは欠失(インデル)エラーは、得られるコード配列のリーディングフレームにフレームシフトを生じ得る。かかる変化は、生産的再配列の標的配列読み取りが非生産的再配列として解釈され、特定されたクロノタイプの群から廃棄される結果をもたらし得る。したがって、いくつかの実施形態において、本明細書に提供される方法およびシステムは、決定された免疫受容体配列からPCRまたは配列決定に由来するエラーを特定および/もしくは除去するためのプロセスを含む。
【0058】
いくつかの実施形態において、提供される方法および組成物は、免疫細胞受容体gDNAの再配列された可変領域、例えば、再配列されたBCRおよび/またはTCR遺伝子DNAを増幅するために使用される。多重増幅を使用して、受容体の可変領域の少なくとも一部を含む、再配列されたBCRまたはTCR gDNAの一部を豊富化する。いくつかの実施形態において、増幅されたgDNAは、標的受容体における1つ以上の相補性決定領域CDR1、CDR2、および/またはCDR3を含む。いくつかの実施形態において、増幅されたgDNAは、IgHにおける1つ以上の相補性決定領域CDR1、CDR2、および/またはCDR3を含む。いくつかの実施形態において、増幅されたgDNAは、標的受容体におけるCDR3、例えば、IgHにおけるCDR3を主に含む。
【0059】
本明細書で使用される場合、「免疫細胞受容体」および「免疫受容体」は、互換的に使用される。
【0060】
本明細書で使用される場合、「相補性決定領域」および「CDR」という用語は、分子が抗原の立体構造を補完し、それによって分子の特異性および特定抗原との接触を決定するT細胞受容体または抗体(免疫グロブリン)の領域を指す。T細胞受容体および抗体の可変領域では、CDRは、フレームワーク領域(FR)と呼ばれる、より保存された領域に散在している。T細胞受容体および抗体の各可変領域は、CDR1、CDR2、およびCDR3と呼ばれる3つのCDRを含み、またFR1、FR2、FR3、およびFR4と呼ばれる4つのフレームワークサブ領域を含む。
【0061】
本明細書で使用される場合、「フレームワーク」または「フレームワーク領域」もしくは「FR」という用語は、本明細書に定義されるCDR残基以外の可変領域の残基を指す。フレームワークを構成する4つの別個のフレームワークサブ領域:FR1、FR2、FR3、およびFR4がある。
【0062】
受容体分子(TCRまたは免疫グロブリン)内のCDRおよびFRの正確な位置に関する当技術分野での特定の指定は、用いられる定義に応じて異なる。特に明記しない限り、IMGT指定がCDRおよびFR領域を記載する際に本明細書で使用される(本明細書に参照により具体的に組み込まれるBrochet et al.(2008)Nucleic Acids Res.36:W503-508を参照されたい)。CDR/FRアミノ酸指定の一例として、T細胞受容体ベータのFRおよびCDRを構成する残基は、IMGTによって、残基1~26(FR1)、27~38(CDR1)、39~55(FR2)、56~65(CDR2)、66~104(FR3)、105~117(CDR3)、および118~128(FR4)として特徴付けられている。
【0063】
領域を記載するための他のよく知られた標準指定には、参照により本明細書に具体的に組み込まれるKabat et al.,(1991)Sequences of Proteins of Immunological Interest,5thEd.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,Md.、およびChothia and Lesk(1987)J.Mol.Biol.196:901-917に認められるものが含まれる。CDR指定の一例として、6つの免疫グロブリンCDRを構成する残基は、Kabatによって、軽鎖変数における残基24~34(CDRL1)、50~56(CDRL2)、および89~97(CDRL3)、ならびに重鎖可変領域における31~35(CDRH1)、50~65(CDRH2)、および95~102(CDRH3)として、Chothiaによって、軽鎖可変領域における残基26~32(CDRL1)、50~52(CDRL2)、および91~96(CDRL3)、ならびに重鎖可変領域における26~32(CDRH1)、53~55(CDRH2)、および96~101(CDRH3)として特徴付けられている。
【0064】
本明細書で使用される「T細胞受容体」または「T細胞抗原受容体」または「TCR」という用語は、脊椎動物、例えば、哺乳動物のTCR遺伝子複合体の抗原/MHC結合ヘテロダイマータンパク質産物を指し、ヒトTCRアルファ、ベータ、ガンマ、およびデルタ鎖が含まれる。例えば、ヒトTCRベータ遺伝子座の完全な配列が配列決定されており、例えば、Rowen et al.(1996)Science 272:1755-1762を参照し、ヒトTCRアルファ遺伝子座が配列決定され、再配列決定されており、例えば、Mackelprang et al.(2006)Hum Genet.119:255-266を参照し、T細胞受容体V遺伝子セグメントファミリーの一般的な分析について、例えば、Arden(1995)Immunogenetics42:455-500を参照し、これらの各々は、刊行物で提供および参照される配列情報について、参照により本明細書に具体的に組み込まれる。
【0065】
本明細書で使用される「抗体」または「免疫グロブリン」または「B細胞受容体」もしくは「BCR」という用語は、ジスルフィド結合によって相互結合された4つのポリペプチド鎖である、2つの重鎖(H)鎖および2つの軽(L)鎖(ラムダまたはカッパ)からなる。抗体は、それが結合する既知の特異的抗原を有する。抗体の各重鎖は、重鎖可変領域(本明細書ではHCVR、HV、またはVHと略される)および重鎖定常領域からなる。重鎖定常領域は、3つのドメインであるCH1、CH2、およびCH3からなる。各軽鎖は、軽鎖可変領域(本明細書では、カッパまたはラムダ軽鎖を示すためにLCVRまたはVLまたはKVまたはLVと略される)および軽鎖定常領域からなる。軽鎖定常領域は、1つのドメインであるCLからなる。重鎖は、免疫グロブリンが属するクラスまたはアイソタイプを決定する。例えば、哺乳動物では、5つの主要な免疫グロブリンアイソタイプは、IgA、IgD、IgG、IgE、およびIgMであり、それらがそれぞれ含むアルファ、デルタ、イプシロン、ガンマ、またはミュー重鎖に従って分類される。
【0066】
記載のように、TCRおよびBCR鎖CDRの多様性は、生殖系列可変性(V)、多様性(D)、および結合(J)遺伝子セグメントの組換えによって、ならびに各TCRおよびBCR遺伝子再配列の過程中の遺伝子セグメント接合部の各々で、独立した付加および欠失によって作成される。BCR重鎖をコードする再配列された核酸において、CDR1およびCDR2は、V遺伝子セグメントに認められ、CDR3は、V遺伝子セグメントならびにDおよびJ遺伝子セグメントのいくつかを含む。BCR軽鎖をコードする再配列された核酸において、CDR1およびCDR2は、V遺伝子セグメントに認められ、CDR3は、V遺伝子セグメントおよびJ遺伝子セグメントのいくつかを含む。TCRベータおよびTCRデルタをコードする再配列された核酸では、例えば、CDR1およびCDR2は、V遺伝子セグメントに認められ、CDR3は、V遺伝子セグメントのいくつか、ならびにDおよびJ遺伝子セグメントを含む。TCRアルファおよびTCRガンマをコードする再配列された核酸では、CDR1およびCDR2は、V遺伝子セグメントに認められ、CDR3は、V遺伝子セグメントおよびJ遺伝子セグメントのいくつかを含む。
【0067】
いくつかの実施形態において、多重増幅反応を使用して、再配列されたBCRおよび/またはTCRゲノムDNAから発現されたmRNAに由来するcDNAを増幅させる。いくつかの実施形態において、多重増幅反応を使用して、生物学的試料に由来するcDNAからBCRおよび/またはTCR CDRの少なくとも一部を増幅させる。いくつかの実施形態において、多重増幅反応を使用して、生物学的試料に由来するcDNAからBCRおよび/またはTCRの少なくとも2つのCDRを増幅させる。いくつかの実施形態において、多重増幅反応を使用して、生物学的試料に由来するcDNAからBCRおよび/またはTCRの少なくとも3つのCDRを増幅させる。いくつかの実施形態において、得られたアンプリコンを使用して、試料において発現されるBCRおよび/またはTCR CDRのヌクレオチド配列を決定する。いくつかの実施形態において、少なくとも3つのCDRを含むかかるアンプリコンのヌクレオチド配列を決定することは、新規BCRおよび/またはTCR対立遺伝子を特定および特徴付けるために使用される。
【0068】
いくつかの実施形態において、多重増幅反応を使用して、V(D)J再配列を受けているBCRおよび/またはTCRゲノムDNAを増幅させる。いくつかの実施形態において、多重増幅反応を使用して、生物学的試料に由来するgDNAからBCRおよび/またはTCR CDRの少なくとも一部を含む核酸分子(複数可)を増幅させる。いくつかの実施形態において、多重増幅反応を使用して、生物学的試料に由来するgDNAからBCRおよび/またはTCRの少なくとも2つのCDRを含む核酸分子(複数可)を増幅させる。いくつかの実施形態において、多重増幅反応を使用して、生物学的試料に由来するgDNAからBCRおよび/またはTCRの少なくとも3つのCDRを含む核酸分子を増幅させる。いくつかの実施形態において、得られたアンプリコンを使用して、試料中の再配列されたBCRおよび/またはTCR CDRのヌクレオチド配列を決定する。いくつかの実施形態において、少なくともCDRを含むかかるアンプリコンのヌクレオチド配列を決定することは、新規BCRおよび/またはTCR対立遺伝子を特定および特徴付けるために使用される。
【0069】
多重増幅反応のいくつかの実施形態において、使用される各プライマーセットは、同じBCRまたはTCR領域を標的とするが、セット内の異なるプライマーは、遺伝子の異なるV(D)J遺伝子再配列を標的とすることを可能にする。例えば、発現されたIgHまたは再配列されたIgH gDNAの増幅のためのプライマーセットはすべて、それぞれIgH mRNAまたはIgH gDNAの同じ領域(複数可)を標的にするように設計されているが、セット内の個々のプライマーは、様々なIgH VDJ遺伝子組み合わせの増幅をもたらす。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのプライマーまたはプライマーセットは、免疫受容体遺伝子の比較的保存された領域(例えば、C遺伝子の一部)に対するものであり、他のプライマーセットは、同じ遺伝子のより可変的な領域(例えば、V遺伝子の一部)に対する様々なプライマーを含む。他の実施形態において、少なくとも1つのプライマーセットは、免疫受容体遺伝子のJ遺伝子セグメントの少なくとも一部に対する様々なプライマーを含み、他のプライマーセットは、同じ遺伝子のV遺伝子セグメントの少なくとも一部に対する様々なプライマーを含む。
【0070】
いくつかの実施形態において、多重増幅反応を使用して、再配列されたIgH、IgK、およびIgLゲノムDNAを含む、再配列されたBCRゲノムDNAから発現されるmRNAに由来するcDNAを増幅させる。いくつかの実施形態において、BCR CDRの少なくとも一部、例えば、CDR3は、cDNAから多重増幅反応で増幅される。いくつかの実施形態において、BCRの少なくとも2つのCDR部分は、cDNAから多重増幅反応で増幅される。特定の実施形態において、多重増幅反応を使用して、BCR cDNAの少なくともCDR1、CDR2、およびCDR3領域を増幅させる。いくつかの実施形態において、得られたアンプリコンを使用して、発現されたBCR CDRヌクレオチド配列を決定する。いくつかの実施形態において、得られたアンプリコンを使用して、発現されたBCR CDRヌクレオチド配列および配列のIgアイソタイプを決定する。いくつかの実施形態において、得られたアンプリコンを使用して、発現されたIgH CDRヌクレオチド配列ならびにIgアイソタイプおよびIgサブアイソタイプを決定する。
【0071】
いくつかの実施形態において、多重増幅反応を使用して、再配列されたIgH、IgK、およびIgLゲノムDNAを含む、再配列されたBCRゲノムDNAを増幅させる。いくつかの実施形態において、BCR CDRの少なくとも一部、例えば、CDR3は、gDNAから多重増幅反応で増幅される。いくつかの実施形態において、BCRの少なくとも2つのCDR部分は、gDNAから多重増幅反応で増幅される。特定の実施形態において、多重増幅反応を使用して、BCR gDNAの少なくともCDR1、CDR2、およびCDR3領域を増幅させる。いくつかの実施形態において、得られたアンプリコンを使用して、再配列されたBCR CDRヌクレオチド配列を決定する。いくつかの実施形態において、得られたアンプリコンを使用して、再配列されたBCR CDRヌクレオチド配列および配列のIgアイソタイプを決定する。
【0072】
いくつかの実施形態において、多重増幅反応は、標的免疫受容体mRNAの発現されたCDR1、CDR2、および/またはCDR3領域を含むアンプリコンを生成するように設計されたプライマーセットを用いて行われる。いくつかの実施形態において、多重増幅反応は、(i)各プライマーがV遺伝子のフレームワーク領域FR1の少なくとも一部に対する1つのプライマーのセット、および(ii)標的免疫受容体の少なくとも1つのC遺伝子の一部に対する少なくとも1つのプライマー、を使用して行われる。他の実施形態において、多重増幅反応は、(i)各プライマーがV遺伝子のフレームワーク領域FR2の少なくとも一部に対する1つのプライマーのセット、および(ii)標的免疫受容体の少なくとも1つのC遺伝子の一部に対する少なくとも1つのプライマー、を使用して行われる。他の実施形態において、多重増幅反応は、(i)各プライマーがV遺伝子のフレームワーク領域FR3の少なくとも一部に対する1つのプライマーのセット、および(ii)標的免疫受容体の少なくとも1つのC遺伝子の一部に対する少なくとも1つのプライマー、を使用して行われる。いくつかの実施形態において、多重増幅反応は、標的mRNAの1つ以上の発現されたIgHアイソタイプを含むアンプリコンを生成するように設計されたプライマーセットを用いて行われ、かかる反応は、(i)上記のFR1、FR2、またはFR3プライマーセットのうちの1つ、および(ii)各プライマーが、IgA、IgD、IgE、IgG、および/またはIgMのうちの少なくとも1つのC遺伝子の一部に対するプライマーのセットを使用して行われる。いくつかの実施形態において、C遺伝子指向プライマー(複数可)は、C遺伝子(複数可)の5’末端の約200個のヌクレオチド内のC遺伝子コード配列に対するものである。いくつかの実施形態において、C遺伝子指向プライマー(複数可)は、C遺伝子(複数可)の5’末端の約150個のヌクレオチド内のC遺伝子コード配列に対するものである。いくつかの実施形態において、C遺伝子指向プライマー(複数可)は、C遺伝子(複数可)の5’末端の約100個のヌクレオチド内のC遺伝子コード配列に対するものである。いくつかの実施形態において、C遺伝子指向プライマー(複数可)は、C遺伝子(複数可)の5’末端の約50個以内のヌクレオチド、約50~約150個以内、約75~約175以内、または約100~約200個以内のヌクレオチドのC遺伝子コード配列に対するものである。いくつかの実施形態において、C遺伝子指向プライマー(複数可)は、アイソタイプを区別するだけでなく、サブアイソタイプの決定も可能にするC遺伝子コード配列決定に対するものである。例えば、いくつかの実施形態において、C遺伝子指向プライマー(複数可)は、アンプリコン内の定常領域の十分な部分を生成し、それによって、サブアイソタイプを決定された配列データに基づいて決定することができる。いくつかの実施形態において、C遺伝子指向プライマー(複数可)は、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、およびIgA2サブアイソタイプの特定を可能にするIgGおよび/またはIgA C遺伝子コード配列に対するプライマーを含む。
【0073】
いくつかの実施形態において、多重増幅反応は、(i)各々がV遺伝子FR1領域の少なくとも一部にアニーリングするプライマーのセット、および(ii)定常(C)遺伝子の一部にアニーリングする少なくとも1つのプライマーを使用してBCR cDNAを増幅させ、それによって、得られるアンプリコンは、BCR mRNAのCDR1、CDR2、およびCDR3コード部分を含む。特定の実施形態において、FR1指向プライマーセットは、少なくとも2つのC遺伝子指向プライマーのセットと組み合わされて、BCR mRNAの少なくともCDR1、CDR2、およびCDR3コード部分を含むアンプリコンを生成する。いくつかの実施形態において、IgH FR1指向プライマーセットは、2つの異なるIgHアイソタイプのコード部分に対する少なくとも2つのC遺伝子プライマーのセットと組み合わされて、IgH mRNAの少なくともCDR1、CDR2、およびCDR3コード部分を含むアンプリコンを生成する。いくつかの実施形態において、IgH FR1指向プライマーセットは、異なるIgHアイソタイプのコード部分に対する少なくとも3つ、少なくとも4つ、または少なくとも5つのプライマーと組み合わされる。例えば、IgH V遺伝子FR1領域に特異的な例示的プライマーが表3に示され、IgH C遺伝子に特異的な例示的プライマーが表6~10に示される。
【0074】
いくつかの実施形態において、多重増幅反応は、(i)各々がV遺伝子FR2領域の少なくとも一部にアニーリングするプライマーのセット、および(ii)C遺伝子の一部にアニーリングする少なくとも1つのプライマーを使用してBCR cDNAを増幅させ、それによって、得られるアンプリコンは、BCR mRNAのCDR2およびCDR3コード部分を含む。特定の実施形態において、かかるFR2指向プライマーセットは、少なくとも2つのC遺伝子指向プライマーと組み合わされて、BCR mRNAのCDR2およびCDR3コード部分を含むアンプリコンを生成する。いくつかの実施形態において、IgH FR2指向プライマーセットは、2つの異なるIgHアイソタイプのコード部分に対する少なくとも2つのC遺伝子プライマーのセットと組み合わされて、IgH mRNAのCDR2およびCDR3コード部分部分を有するアンプリコンを生成する。いくつかの実施形態において、IgH FR2指向プライマーセットは、異なるIgHアイソタイプのコード部分に対する少なくとも3つ、少なくとも4つ、または少なくとも5つのC遺伝子プライマーと組み合わされる。例示的なFR2指向プライマーには、欧州学術研究所および研究病院のコンソーシアムによって開発および標準化されたBIOMED-2プライマー(van Dongen et al.(2003)Leukemia 17:2257-2327)が含まれ、表4に示される。IgH C遺伝子に特異的な例示的プライマーが、表6~10に示される。
【0075】
いくつかの実施形態において、多重増幅反応は、(i)各々がV遺伝子FR3領域の少なくとも一部にアニーリングするプライマーのセット、および(ii)C遺伝子の一部にアニーリングする少なくとも1つのプライマーを使用してBCR cDNAを増幅させ、それによって、得られるアンプリコンは、BCR mRNAのCDR3コード部分を主に含む。特定の実施形態において、かかるFR3指向プライマーセットは、少なくとも2つのC遺伝子指向プライマーと組み合わされて、BCR mRNAのCDR3コード部分を有するアンプリコンを生成する。いくつかの実施形態において、IgH FR3指向プライマーセットは、2つの異なるIgHアイソタイプのコード部分に対する少なくとも2つのC遺伝子プライマーのセットと組み合わされて、IgH mRNAのCDR3コード部分を有するアンプリコンを生成する。いくつかの実施形態において、IgH FR3指向プライマーセットは、異なるIgHアイソタイプのコード部分に対する少なくとも3つ、少なくとも4つ、または少なくとも5つのC遺伝子プライマーと組み合わされる。例えば、IgH V遺伝子FR3領域に特異的な例示的プライマーが表2に示され、IgH C遺伝子に特異的な例示的プライマーが表6~10に示される。
【0076】
いくつかの実施形態において、多重増幅反応は、標的免疫受容体mRNAまたは再配列されたgDNAのCDR1、CDR2、および/またはCDR3領域を含むアンプリコンを生成するように設計されたプライマーセットを用いて行われる。いくつかの実施形態において、多重増幅反応は、(i)各プライマーがV遺伝子のフレームワーク領域FR1の少なくとも一部に対する一つのプライマーのセット、および(ii)各プライマーが標的免疫受容体のJ遺伝子の少なくとも一部に対する1つのプライマーのセット、を使用して行われる。他の実施形態において、多重増幅反応は、(i)各プライマーがV遺伝子のフレームワーク領域FR2の少なくとも一部に対する1つのプライマーのセット、および(ii)各プライマーが標的免疫受容体のJ遺伝子の少なくとも一部に対する1つのプライマーのセット、を使用して行われる。他の実施形態において、多重増幅反応は、(i)各プライマーがV遺伝子のフレームワーク領域FR3の少なくとも一部に対する1つのプライマーのセット、および(ii)各プライマーが標的免疫受容体のJ遺伝子の少なくとも一部に対する1つのプライマーのセット、を使用して行われる。
【0077】
いくつかの実施形態において、多重増幅反応は、(i)各々がV遺伝子FR1領域の少なくとも一部にアニーリングするプライマーのセット、および(ii)J遺伝子の一部にアニーリングするプライマーのセットを使用してBCR核酸増幅させ、それによって、得られるアンプリコンは、BCR mRNAまたは再構成されたgDNAのCDR1、CDR2、およびCDR3コード部分を含む。例えば、IgH V遺伝子FR1領域に特異的な例示的プライマーが表3に示され、IgH J遺伝子に特異的な例示的プライマーが表5に示される。
【0078】
いくつかの実施形態において、多重増幅反応は、(i)各々がV遺伝子FR2領域の少なくとも一部にアニーリングするプライマーのセット、および(ii)J遺伝子の一部にアニーリングするプライマーのセットを使用してBCR cDNAを増幅させ、それによって、得られるアンプリコンは、BCR mRNAまたは再配列されたgDNAのCDR2およびCDR3コード部分を含む。例えば、IgH V遺伝子FR2領域に特異的な例示的プライマーが表4に示され、IgH J遺伝子に特異的な例示的プライマーが表5に示される。
【0079】
いくつかの実施形態において、多重増幅反応は、(i)各々がV遺伝子FR3領域の少なくとも一部にアニーリングするプライマーのセット、および(ii)J遺伝子の一部にアニーリングするプライマーのセットを使用してBCR核酸増幅させ、それによって、得られるアンプリコンは、BCR mRNAまたは再構成されたgDNAのCDR3コード部分を主に含む。例えば、IgH V遺伝子FR3領域に特異的な例示的プライマーが表2に示され、IgH J遺伝子に特異的な例示的プライマーが表5に示される。
【0080】
いくつかの実施形態において、発現されたBCR可変領域の少なくとも一部の多重増幅のための組成物が提供される。いくつかの実施形態において、組成物は、免疫グロブリン重鎖(IgH)、免疫グロブリン軽鎖ラムダ(IgL)、および免疫グロブリン軽鎖カッパ(IgK)からなる群から選択される再配列された標的免疫受容体遺伝子のV遺伝子フレームワーク領域の一部および定常(C)遺伝子の一部に対する複数のプライマー対試薬のセットを含む。いくつかの実施形態において、組成物は、IgH、IgL、およびIgKからなる群から選択される再配列された標的免疫受容体遺伝子のV遺伝子フレームワーク領域の一部およびJ遺伝子の一部に対する複数のプライマー対試薬のセットを含む。
【0081】
いくつかの実施形態において、組成物は、(i)再配列されたIgH遺伝子のIgH V遺伝子フレームワーク領域の一部およびIgH C遺伝子の一部に対する複数のプライマー対試薬のセットと、(ii)再配列されたTCRベータ遺伝子のTCRベータV遺伝子フレームワーク領域の一部およびTCRベータC遺伝子の一部に対する複数のプライマー対試薬のセットと、を含む。いくつかの実施形態において、組成物は、(i)再配列されたIgH遺伝子のIgH V遺伝子フレームワーク領域の一部およびIgH J遺伝子の一部に対する複数のプライマー対試薬のセットと、(ii)再配列されたTCRベータ遺伝子のTCRベータV遺伝子フレームワーク領域の一部およびTCRベータJ遺伝子の一部に対する複数のプライマー対試薬のセットと、を含む。
【0082】
PCRによる増幅は、少なくとも2つのプライマーを用いて行われる。本明細書に提供される方法では、目的の遺伝子座で可変配列のすべてまたは定められた部分を増幅するのに十分なプライマーのセットが使用され、遺伝子座は、前述のTCRおよび免疫グロブリン遺伝子座のいずれかまたはすべてを含み得る。いくつかの実施形態において、本明細書に概説される様々なパラメータまたは基準を使用して、多重増幅のための標的特異的プライマーのセットを選択し得る。
【0083】
いくつかの実施形態において、多重反応に使用されるプライマーセットは、目的の遺伝子座での既知の発現されたgDNAまたはgDNA再配列の少なくとも50%を増幅するように設計される。特定の実施形態において、多重反応に使用されるプライマーセットは、目的の遺伝子座での既知の発現されたgDNAまたはgDNA再配列の少なくとも75%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、またはそれ以上を増幅するように設計される。別の例では、各々が異なるIgH V遺伝子からのFR1領域の一部に対する表3の27種類のフォワードプライマーを、各々が異なるIgH C遺伝子の一部に対する表6~10の少なくとも1種類のリバースプライマーと組み合わせた使用は、所定のアイソタイプについて現在知られている発現されたIgH再配列のすべてを増幅する。別の例では、各々が異なるIgH V遺伝子からのFR3領域の一部に対する表2の68種類のフォワードプライマーを、各々が異なるIgH C遺伝子の一部に対する表6~10の少なくとも1種類のリバースプライマーと組み合わせた使用は、所定のアイソタイプについて現在知られている発現されたIgH再配列のすべてを増幅する。別の例として、各々が異なるIgH V遺伝子からのFR3領域の一部に対する表2の68種類のフォワードプライマーを、各々が異なるIgH J遺伝子の一部に対する表5の4種類のリバースプライマーと組み合わせが使用は、現在知られている発現されたgDNA IgHまたはgDNA IgH再配列のすべてを増幅する。別の例として、各々が異なるIgH V遺伝子からのFR1領域の一部に対する表3の27種類のフォワードプライマーを、各々が異なるIgH J遺伝子の一部に対する表5の4種類のリバースプライマーと組み合わせが使用は、現在知られている発現されたgDNA IgHまたはgDNA IgH再配列のすべてを増幅する。
【0084】
例えば、かかる多重増幅反応は、少なくとも15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、または90、好ましくは22、23、24、25、26、27、28、29、30、34、38、42、46、50、54、58、または62種類のリバースプライマーを含み、各リバースプライマーは、1つ以上のBCR V遺伝子FR1領域の少なくとも一部に対応する配列に対するものである。かかる実施形態において、BCR V遺伝子FR1領域に対する複数のリバースプライマーは、同じBCR遺伝子の定常遺伝子の少なくとも一部に対応する配列に対する少なくとも1つのフォワードプライマーと組み合わされる。いくつかの実施形態において、BCR V遺伝子FR1領域に対する複数のリバースプライマーは、各々が同じBCR遺伝子の定常遺伝子のうちの少なくとも1つの少なくとも一部に対応する配列に対する、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも15、または約2~約7、約5~約20、約5~約15、または約7~約12種類のフォワードプライマーと組み合わされる。多重増幅反応のいくつかの実施形態において、BCR V遺伝子FR1指向プライマーは、フォワードプライマーであり得、BCR C遺伝子指向プライマー(複数可)は、リバースプライマー(複数可)であり得る。したがって、いくつかの実施形態において、多重増幅反応は、少なくとも15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、または90、好ましくは22、23、24、25、26、27、28、29、30、34、38、42、46、50、54、58、または62種類のフォワードプライマーを含み、各フォワードプライマーは、1つ以上のBCR V遺伝子FR1領域の少なくとも一部に対応する配列に対するものである。かかる実施形態において、BCR V遺伝子FR1領域に対する複数のフォワードプライマーは、同じBCR遺伝子のC遺伝子の少なくとも一部に対応する配列に対する少なくとも1つのリバースプライマーと組み合わされる。いくつかの実施形態において、BCR V遺伝子FR1領域に対する複数のフォワードプライマーは、各々が同じBCR遺伝子のC遺伝子のうちの少なくとも1つの少なくとも一部に対応する配列に対する、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも15、または約2~約7、約5~約20、約5~約15、または約7~約12種類のリバースプライマーと組み合わされる。いくつかの実施形態において、かかるFR1およびC遺伝子増幅プライマーセットは、IgH遺伝子配列に対するものであり得る。いくつかの好ましい実施形態において、異なるIgH V遺伝子FR1領域に対する約22~約35種類のリバースプライマーは、IgH C遺伝子の一部に対する約2~約8種類のフォワードプライマーと組み合わされる。他の好ましい実施形態において、異なるIgH V遺伝子FR1領域に対する約22~約35種類のリバースプライマーは、IgH C遺伝子の一部に対する約5~約15種類のフォワードプライマーと組み合わされる。他の好ましい実施形態において、異なるIgH V遺伝子FR1領域に対する約48~約60種類のリバースプライマーは、IgH C遺伝子の一部に対する約5~約15種類のフォワードプライマーと組み合わされる。いくつかの好ましい実施形態において、異なるIgH V遺伝子FR1領域に対する約22~約35種類のフォワードプライマーは、IgH C遺伝子の一部に対する約2~約8種類のリバースプライマーと組み合わされる。他の好ましい実施形態において、異なるIgH V遺伝子FR1領域に対する約22~約35種類のフォワードプライマーは、IgH C遺伝子の一部に対する約5~約15種類のリバースプライマーと組み合わされる。さらに他の好ましい実施形態において、異なるIgH V遺伝子FR1領域に対する約48~約60種類のフォワードプライマーは、IgH C遺伝子の一部に対する約5~約15種類のリバースプライマーと組み合わされる。いくつかの好ましい実施形態において、IgH V遺伝子FR1領域に対するフォワードプライマーは、表3に列挙されるものから選択され、IgH C遺伝子に対するリバースプライマーは、表6~10に列挙されるものから選択される。他の実施形態において、FR1およびC遺伝子増幅プライマーセットは、Ig軽鎖ラムダ、Ig軽鎖カッパ、TCRアルファ、TCRガンマ、TCRデルタ、またはTCRベータ遺伝子配列に対するものであり得る。
【0085】
いくつかの実施形態において、多重増幅反応は、少なくとも5、10、15、20、25、30、40、50、60、70、80、または90種類のリバースプライマーを含み、各リバースプライマーは、1つ以上のBCR V遺伝子FR2領域の少なくとも一部に対応する配列に対するものである。かかる実施形態において、BCR V遺伝子FR2領域に対する複数のリバースプライマーは、同じBCR遺伝子のC遺伝子の少なくとも一部に対応する配列に対する少なくとも1つのフォワードプライマーと組み合わされる。いくつかの実施形態において、BCR V遺伝子FR2領域に対する複数のリバースプライマーは、各々が同じBCR遺伝子のC遺伝子のうちの少なくとも1つの少なくとも一部に対応する配列に対する、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも15、または約2~約7、約5~約20、約5~約15、または約7~約12種類のフォワードプライマーと組み合わされる。多重増幅反応のいくつかの実施形態において、BCR V遺伝子FR2指向プライマーは、フォワードプライマーであり得、BCR C遺伝子指向プライマー(複数可)は、リバースプライマー(複数可)であり得る。したがって、いくつかの実施形態において、多重増幅反応は、少なくとも5、10、15、20、25、30、40、50、60、70、80、または90種類のフォワードプライマーを含み、各フォワードプライマーは、1つ以上のBCR V遺伝子FR2領域の少なくとも一部に対応する配列に対するものである。かかる実施形態において、BCR V遺伝子FR2領域に対する複数のフォワードプライマーは、同じBCR遺伝子のC遺伝子の少なくとも一部に対応する配列に対する少なくとも1つのリバースプライマーと組み合わされる。いくつかの実施形態において、BCR V遺伝子FR2領域に対する複数のフォワードプライマーは、各々が同じBCR遺伝子のC遺伝子のうちの少なくとも1つの少なくとも一部に対応する配列に対する、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも15、または約2~約7、約5~約20、約5~約15、または約7~約12種類のリバースプライマーと組み合わされる。いくつかの実施形態において、かかるFR2およびC遺伝子増幅プライマーセットは、IgH遺伝子配列に対するものであり得る。いくつかの実施形態において、異なるIgH V遺伝子FR2領域に対する約5~約15種類のリバースプライマーは、IgH C遺伝子の一部に対する約2~約8種類のフォワードプライマーと組み合わされる。いくつかの実施形態において、異なるIgH V遺伝子FR2領域に対する約5~約15種類のリバースプライマーは、IgH C遺伝子の一部に対する約5~約15種類のフォワードプライマーと組み合わされる。いくつかの実施形態において、異なるIgH V遺伝子FR2領域に対する約5~約15種類のフォワードプライマーは、IgH C遺伝子の一部に対する約2~約8種類のリバースプライマーと組み合わされる。いくつかの実施形態において、異なるIgH V遺伝子FR2領域に対する約5~約15種類のフォワードプライマーは、IgH C遺伝子の一部に対する約5~約15種類のリバースプライマーと組み合わされる。いくつかの好ましい実施形態において、IgH V遺伝子FR2領域に対するフォワードプライマーは、表4に列挙されるものから選択され、IgH C遺伝子に対するリバースプライマーは、表6~10に列挙されるものから選択される。他の実施形態において、FR2およびC遺伝子増幅プライマーセットは、Ig軽鎖ラムダ、Ig軽鎖カッパ、TCRアルファ、TCRガンマ、TCRデルタ、またはTCRベータ遺伝子配列に対するものであり得る。
【0086】
いくつかの実施形態において、多重増幅反応は、少なくとも20、25、30、40、45、好ましくは50、55、60、65、70、75、80、85、または90種類のリバースプライマーを含み、各リバースプライマーは、1つ以上のBCR V遺伝子FR3領域の少なくとも一部に対応する配列に対するものである。かかる実施形態において、BCR V遺伝子FR3領域に対する複数のリバースプライマーは、同じBCR遺伝子のC遺伝子の少なくとも一部に対応する配列に対する少なくとも1つのフォワードプライマーと組み合わされる。いくつかの実施形態において、BCR V遺伝子FR3領域に対する複数のリバースプライマーは、各々が同じBCR遺伝子のC遺伝子のうちの少なくとも1つの少なくとも一部に対応する配列に対する、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも15、または約2~約7、約5~約20、約5~約15、または約7~約12種類のフォワードプライマーと組み合わされる。多重増幅反応のいくつかの実施形態において、BCR V遺伝子FR3指向プライマーは、フォワードプライマーであり得、BCR C遺伝子指向プライマー(複数可)は、リバースプライマー(複数可)であり得る。したがって、いくつかの実施形態において、多重増幅反応は、少なくとも20、25、30、40、45、好ましくは50、55、60、65、70、75、80、85、または90種類のリバースプライマーを含み、各フォワードプライマーは、1つ以上のBCR V遺伝子FR3領域の少なくとも一部に対応する配列に対するものである。かかる実施形態において、BCR V遺伝子FR3領域に対する複数のフォワードプライマーは、同じBCR遺伝子のC遺伝子の少なくとも一部に対応する配列に対する少なくとも1つのリバースプライマーと組み合わされる。いくつかの実施形態において、BCR V遺伝子FR3領域に対する複数のフォワードプライマーは、各々が同じBCR遺伝子のC遺伝子のうちの少なくとも1つの少なくとも一部に対応する配列に対する、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも15、または約2~約7、約5~約20、約5~約15、または約7~約12種類のリバースプライマーと組み合わされる。いくつかの実施形態において、かかるFR3およびC遺伝子増幅プライマーセットは、IgH遺伝子配列に対するものであり得る。いくつかの好ましい実施形態において、異なるIgH V遺伝子FR3領域に対する約62~約75種類のリバースプライマーは、IgH C遺伝子の一部に対する約2~約8種類のフォワードプライマーと組み合わされる。他の好ましい実施形態において、異なるIgH V遺伝子FR3領域に対する約62~約75種類のリバースプライマーは、IgH C遺伝子の一部に対する約5~約15種類のフォワードプライマーと組み合わされる。いくつかの好ましい実施形態において、異なるIgH V遺伝子FR3領域に対する約62~約75種類のフォワードプライマーは、IgH C遺伝子の一部に対する約2~約8種類のリバースプライマーと組み合わされる。他の好ましい実施形態において、異なるIgH V遺伝子FR3領域に対する約62~約75種類のフォワードプライマーは、IgH C遺伝子の一部に対する約5~約15種類のリバースプライマーと組み合わされる。いくつかの好ましい実施形態において、IgH V遺伝子FR3領域に対するフォワードプライマーは、表2に列挙されるものから選択され、IgH C遺伝子に対するリバースプライマーは、表6~10に列挙されるものから選択される。他の実施形態において、FR3およびC遺伝子増幅プライマーセットは、Ig軽鎖ラムダ、Ig軽鎖カッパ、TCRアルファ、TCRガンマ、TCRデルタ、およびTCRベータ遺伝子配列に対するものであり得る。
【0087】
いくつかの実施形態において、かかる多重増幅反応は、少なくとも15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、または90、好ましくは22、23、24、25、26、27、28、29、30、34、38、42、46、50、54、58、または62種類のリバースプライマーを含み、各リバースプライマーは、1つ以上のBCR V遺伝子FR1領域の少なくとも一部に対応する配列に対するものである。かかる実施形態において、BCR V遺伝子FR1領域に対する複数のリバースプライマーは、同じBCR遺伝子のJ遺伝子の少なくとも一部に対応する配列に対する少なくとも2、3、4、5、6、8、または約3~6種類のフォワードプライマーと組み合わされる。多重増幅反応のいくつかの実施形態において、BCR V遺伝子FR1指向プライマーは、フォワードプライマーであり得、BCR J遺伝子指向プライマーは、リバースプライマーであり得る。したがって、いくつかの実施形態において、多重増幅反応は、少なくとも15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、または90、好ましくは22、22.23、24、25、26、27、28、29、30、34、38、42、46、50、54、58、または62種類のフォワードプライマーを含み、各フォワードプライマーは、1つ以上のBCR V遺伝子FR1領域の少なくとも一部に対応する配列に対するものである。かかる実施形態において、BCR V遺伝子FR1領域に対する複数のフォワードプライマーは、同じBCR遺伝子のJ遺伝子の少なくとも一部に対応する配列に対する少なくとも2、3、4、5、6、8、または約3~6種類のリバースプライマーと組み合わされる。いくつかの実施形態において、かかるFR1およびJ遺伝子増幅プライマーセットは、IgH遺伝子配列に対するものであり得る。いくつかの好ましい実施形態において、異なるIgH V遺伝子FR1領域に対する約22~約35種類のリバースプライマーは、異なるIgH J遺伝子に対する約3~約6種類のフォワードプライマーと組み合わされる。いくつかの好ましい実施形態において、異なるIgH V遺伝子FR1領域に対する約22~約35種類のフォワードプライマーは、異なるIgH J遺伝子に対する約3~約6種類のリバースプライマーと組み合わされる。いくつかの好ましい実施形態において、IgH V遺伝子FR1領域に対するフォワードプライマーは、表3に列挙されるものから選択され、IgH J遺伝子に対するリバースプライマーは、表5に列挙されるものから選択される。他の実施形態において、FR1およびJ遺伝子増幅プライマーセットは、Ig軽鎖ラムダ、Ig軽鎖カッパ、TCRアルファ、TCRガンマ、TCRデルタ、またはTCRベータ遺伝子配列に対するものであり得る。
【0088】
いくつかの実施形態において、多重増幅反応は、少なくとも5、10、15、20、25、30、40、50、60、70、80、または90種類のリバースプライマーを含み、各リバースプライマーは、1つ以上のBCR V遺伝子FR2領域の少なくとも一部に対応する配列に対するものである。かかる実施形態において、BCR V遺伝子FR2領域に対する複数のリバースプライマーは、同じBCR遺伝子のJ遺伝子の少なくとも一部に対応する配列に対する少なくとも2、3、4、5、6、8、または約3~6種類のフォワードプライマーと組み合わされる。多重増幅反応のいくつかの実施形態において、BCR V遺伝子FR2指向プライマーは、フォワードプライマーであり得、BCR J遺伝子指向プライマーは、リバースプライマーであり得る。したがって、いくつかの実施形態において、多重増幅反応は、少なくとも5、10、15、20、25、30、40、50、60、70、80、または90種類のフォワードプライマーを含み、各フォワードプライマーは、1つ以上のBCR V遺伝子FR2領域の少なくとも一部に対応する配列に対するものである。かかる実施形態において、BCR V遺伝子FR2領域に対する複数のフォワードプライマーは、同じBCR遺伝子のJ遺伝子の少なくとも一部に対応する配列に対する少なくとも2、3、4、5、6、8、または約3~6種類のリバースプライマーと組み合わされる。いくつかの実施形態において、かかるFR2およびJ遺伝子増幅プライマーセットは、IgH遺伝子配列に対するものであり得る。いくつかの好ましい実施形態において、異なるIgH V遺伝子FR2領域に対する約5~約15種類のリバースプライマーは、異なるIgH J遺伝子に対する約3~約6種類のフォワードプライマーと組み合わされる。いくつかの好ましい実施形態において、異なるIgH V遺伝子FR2領域に対する約5~約15種類のフォワードプライマーは、異なるIgH J遺伝子に対する約3~約6種類のリバースプライマーと組み合わされる。いくつかの好ましい実施形態において、IgH V遺伝子FR2領域に対するフォワードプライマーは、表4に列挙されるものから選択され、IgH J遺伝子に対するリバースプライマーは、表5に列挙されるものから選択される。他の実施形態において、FR2およびJ遺伝子増幅プライマーセットは、Ig軽鎖ラムダ、Ig軽鎖カッパ、TCRアルファ、TCRガンマ、TCRデルタ、またはTCRベータ遺伝子配列に対するものであり得る。
【0089】
いくつかの実施形態において、多重増幅反応は、少なくとも20、25、30、40、45、好ましくは50、55、60、65、70、75、80、85、または90種類のリバースプライマーを含み、各リバースプライマーは、1つ以上のBCR V遺伝子FR3領域の少なくとも一部に対応する配列に対するものである。かかる実施形態において、BCR V遺伝子FR3領域に対する複数のリバースプライマーは、同じBCR遺伝子のJ遺伝子の少なくとも一部に対応する配列に対する少なくとも2、3、4、5、6、8、または約3~6種類のフォワードプライマーと組み合わされる。多重増幅反応のいくつかの実施形態において、BCR V遺伝子FR3指向プライマーは、フォワードプライマーであり得、BCR J遺伝子指向プライマーは、リバースプライマーであり得る。したがって、いくつかの実施形態において、多重増幅反応は、少なくとも20、25、30、40、45、好ましくは50、55、60、65、70、75、80、85、または90種類のフォワードプライマーを含み、各フォワードプライマーは、1つ以上のBCR V遺伝子FR3領域の少なくとも一部に対応する配列に対するものである。かかる実施形態において、BCR V遺伝子FR3領域に対する複数のフォワードプライマーは、同じBCR遺伝子のJ遺伝子の少なくとも一部に対応する配列に対する少なくとも2、3、4、5、6、8、または約3~6種類のリバースプライマーと組み合わされる。いくつかの実施形態において、かかるFR3およびJ遺伝子増幅プライマーセットは、IgH遺伝子配列に対するものであり得る。いくつかの好ましい実施形態において、異なるIgH V遺伝子FR3領域に対する約62~約75種類のリバースプライマーは、異なるIgH J遺伝子に対する約3~約6種類のフォワードプライマーと組み合わされる。いくつかの好ましい実施形態において、異なるIgH V遺伝子FR3領域に対する約62~約75種類のフォワードプライマーは、異なるIgH J遺伝子に対する約3~約6種類のリバースプライマーと組み合わされる。いくつかの好ましい実施形態において、IgH V遺伝子FR3領域に対するフォワードプライマーは、表2に列挙されるものから選択され、IgH J遺伝子に対するリバースプライマーは、表5に列挙されるものから選択される。他の実施形態において、FR3およびJ遺伝子増幅プライマーセットは、Ig軽鎖ラムダ、Ig軽鎖カッパ、TCRアルファ、TCRガンマ、TCRデルタ、およびTCRベータ遺伝子配列に対するものであり得る。
【0090】
いくつかの実施形態において、フォワードプライマーの濃度は、多重増幅反応においてリバースプライマーの濃度にほぼ等しい。他の実施形態において、フォワードプライマーの濃度は、多重増幅反応においてリバースプライマーの濃度の約2倍である。他の実施形態において、フォワードプライマーの濃度は、多重増幅反応においてリバースプライマーの濃度の約半分である。いくつかの実施形態において、V遺伝子FR領域を標的とするプライマーの各々の濃度は、約5nM~約2000nMである。いくつかの実施形態において、V遺伝子FR領域を標的とするプライマーの各々の濃度は、約50nM~約800nMである。いくつかの実施形態において、V遺伝子FR領域を標的とするプライマーの各々の濃度は、約50nM~約400nMまたは約100nM~約500nMである。いくつかの実施形態において、V遺伝子FR領域を標的とするプライマーの各々の濃度は、約200nM、約400nM、約600nM、または約800nMである。いくつかの実施形態において、V遺伝子FR領域を標的とするプライマーの各々の濃度は、約5nM、約10nM、約50nM、約100nM、約150nMである。いくつかの実施形態において、V遺伝子FR領域を標的とするプライマーの各々の濃度は、約1000nM、約1250nM、約1500nM、約1750nM、または約2000nMである。いくつかの実施形態において、V遺伝子FR領域を標的とするプライマーの各々の濃度は、約50nM~約800nMである。いくつかの実施形態において、J遺伝子を標的とするプライマーの各々の濃度は、約5nM~約2000nMである。いくつかの実施形態において、J遺伝子を標的とするプライマーの各々の濃度は、約50nM~約800nMである。いくつかの実施形態において、J遺伝子を標的とするプライマーの各々の濃度は、約50nM~約400nMまたは約100nM~約500nMである。いくつかの実施形態において、J遺伝子を標的とするプライマーの各々の濃度は、約200nM、約400nM、約600nM、または約800nMである。いくつかの実施形態において、J遺伝子を標的とするプライマーの各々の濃度は、約5nM、約10nM、約50nM、約100nM、約150nMである。いくつかの実施形態において、J遺伝子を標的とするプライマーの各々の濃度は、約1000nM、約1250nM、約1500nM、約1750nM、または約2000nMである。いくつかの実施形態において、J遺伝子を標的とするプライマーの各々の濃度は、約50nM~約800nMである。いくつかの実施形態において、C遺伝子を標的とするプライマーの各々の濃度は、約5nM~約2000nMである。いくつかの実施形態において、C遺伝子を標的とするプライマーの各々の濃度は、約50nM~約800nMである。いくつかの実施形態において、C遺伝子を標的とするプライマーの各々の濃度は、約50nM~約400nMまたは約100nM~約500nMである。いくつかの実施形態において、C遺伝子を標的とするプライマーの各々の濃度は、約200nM、約400nM、約600nM、または約800nMである。いくつかの実施形態において、C遺伝子を標的とするプライマーの各々の濃度は、約5nM、約10nM、約50nM、約100nM、約150nMである。いくつかの実施形態において、C遺伝子を標的とするプライマーの各々の濃度は、約1000nM、約1250nM、約1500nM、約1750nM、または約2000nMである。いくつかの実施形態において、C遺伝子を標的とするプライマーの各々の濃度は、約50nM~約800nMである。いくつかの実施形態において、多重反応における各フォワードおよびリバースプライマーの濃度は、約50nM、約100nM、約200nM、または約400nMである。いくつかの実施形態において、多重反応における各フォワードおよびリバースプライマーの濃度は、約5nM~約2000nMである。いくつかの実施形態において、多重反応における各フォワードおよびリバースプライマーの濃度は、約50nM~約800nMである。いくつかの実施形態において、多重反応における各フォワードおよびリバースプライマーの濃度は、約50nM~約400nMまたは約100nM~約500nMである。いくつかの実施形態において、多重反応における各フォワードおよびリバースプライマーの濃度は、約600nM、約800nM、約1000nM、約1250nM、約1500nM、約1750nM、または約2000nMである。いくつかの実施形態において、多重反応における各フォワードおよびリバースプライマーの濃度は、約5nM、約10nM、約150nM、または50nM~約800nMである。
【0091】
いくつかの実施形態において、V遺伝子FRおよびC遺伝子標的指向プライマーは、増幅プライマー対として組み合わされて、標的免疫受容体cDNA配列を増幅し、標的アンプリコンを生成する。一般に、標的アンプリコンの長さは、C遺伝子プライマー(複数可)と対となるV遺伝子プライマーセット(例えば、FR1、FR2、またはFR3指向プライマー)に依存する。したがって、いくつかの実施形態において、標的アンプリコンは、長さが約100個のヌクレオチド(または塩基もしくは塩基対)~約600個のヌクレオチド(または塩基もしくは塩基対)の範囲であることができる。いくつかの実施形態において、標的アンプリコンは、長さが約80個のヌクレオチド~約600個のヌクレオチドの範囲であることができる。いくつかの実施形態において、標的アンプリコンは、長さが約200~約600または約300~約600個のヌクレオチドである。いくつかの実施形態において、標的アンプリコンは、長さが約80~約140、約90~約130、または約100~約120個のヌクレオチドである。いくつかの実施形態において、標的アンプリコンは、長さが約250~約275、約250~約350、約300~約350、約310~約330、約325~約375、約300~約400、約350~約400、約350~約425、約350~約450、約380~約410、約375~約425、約400~約500、約425~約500、約450~約550、約500~約600、約400~約500、または約400~約600個のヌクレオチドである。いくつかの実施形態において、標的アンプリコンは、長さが約80、約100、約120、約140、約200、約250、約275、約300、約320、約350、約375、約400、約425、約450、約500、約550、または約600個のヌクレオチドである。いくつかの実施形態において、IgHアンプリコンは、長さが約100、約80~約140、約90~約130、または約100~約120個のヌクレオチドである。いくつかの実施形態において、IgHアンプリコンは、長さが約320、約300~約350、または約310~約330個のヌクレオチドである。いくつかの実施形態において、IgHアンプリコンは、長さが約400、約375~約425、または約390~約410個のヌクレオチドである。
【0092】
いくつかの実施形態において、V遺伝子FRおよびJ遺伝子標的指向プライマーは、増幅プライマー対として組み合わされて、標的免疫受容体cDNA配列または再配列されたgDNA配列を増幅し、標的アンプリコンを生成する。一般に、標的アンプリコンの長さは、J遺伝子プライマーと対となるV遺伝子プライマーセット(例えば、FR1、FR2、またはFR3指向プライマー)に依存する。したがって、いくつかの実施形態において、標的アンプリコンは、長さが約50個のヌクレオチド~約350個のヌクレオチドの範囲であることができる。いくつかの実施形態において、標的アンプリコンは、長さが約50~約200、約70~約170、約200~約350、約250~約320、約270~約300、約225~約300、約250~約275、約200~約235、約200~約250、または約175~約275個のヌクレオチドである。いくつかの実施形態において、IgHアンプリコンは、長さが約80、約60~約100、または約70~約90個のヌクレオチドである。いくつかの実施形態において、V遺伝子FR3指向およびJ遺伝子指向プライマー対を使用して生成されるものなどのIgHアンプリコンは、長さが約50~約200個のヌクレオチド、好ましくは長さが約60~約160、約65~約120、約90~約90~約120、約70~約90個のヌクレオチド、または約80個のヌクレオチドである。いくつかの実施形態において、かかる長さが短いアンプリコンを生成することは、提供される方法および組成物が、FFPE試料または無細胞DNA(cfDNA)に由来するものなどの高度に分解されたgDNA鋳型材料から免疫レパートリーを効果的に検出および分析することを可能にする。
【0093】
いくつかの実施形態において、増幅プライマーは、例えば、試料中の複数の増幅された標的配列を区別または分離するために、バーコード配列を含み得る。いくつかの実施形態において、増幅プライマーは、例えば、試料中の複数の増幅された標的配列を区別または分離するために、2つ以上のバーコード配列を含み得る。いくつかの実施形態において、増幅プライマーは、生成されたアンプリコンのその後のカタログ化、特定、または配列決定を補助することができるタグ化配列を含み得る。いくつかの実施形態において、バーコード配列(複数可)またはタグ化配列(複数可)は、増幅プライマーに含めることによって、またはアダプターのライゲーションによって、増幅されたヌクレオチド配列に組み込まれる。プライマーは、その後の配列決定、例えば、パイロシークエンシングに有用なヌクレオチドをさらに含み得る。かかる配列は、市販のソフトウェアプログラムまたは企業によって容易に設計される。
【0094】
いくつかの実施形態において、多重増幅は、タグ化配列を含まない標的指向増幅プライマーを用いて行われる。他の実施形態において、多重増幅は、例えば、フォワードプライマーまたはプライマーセットがタグ化配列1を含み、リバースプライマーまたはプライマーセットがタグ化配列2を含むなど、各々が標的指向配列およびタグ化配列を含む増幅プライマーを用いて行われる。さらに他の実施形態において、多重増幅は、一方のプライマーまたはプライマーセットが標的指向配列およびタグ化配列を含み、他方のプライマーまたはプライマーセットが標的指向配列を含むが、タグ化配列を含まない、例えば、フォワードプライマーまたはプライマーセットはタグ化配列を含み、リバースプライマーまたはプライマーセットはタグ化配列を含まない、などの増幅プライマーを用いて行われる。
【0095】
したがって、いくつかの実施形態において、複数の標的cDNAまたはgDNA鋳型分子は、フォワードおよび/またはリバースプライマーがタグ化配列を含む、BCRおよび/またはTCR指向増幅プライマーを用いた単一の多重増幅反応混合物中で増幅され、得られるアンプリコンは、標的BCRおよび/またはTCR配列ならびに片端もしくは両端にタグ化配列を含む。いくつかの実施形態において、フォワードおよび/またはリバース増幅プライマーもしくはプライマーセットはまた、バーコードを含み得、そのため、1つ以上のバーコードが、得られるアンプリコンに含まれる。
【0096】
いくつかの実施形態において、複数の標的cDNAまたはgDNA鋳型分子は、BCRおよび/またはTCR指向増幅プライマーを用いた単一の多重増幅反応混合物中で増幅され、得られるアンプリコンは、BCRおよび/またはTCR配列のみを含む。いくつかの実施形態において、タグ化配列は、例えば、アダプターライゲーションを介して、かかるアンプリコンの末端に付加される。いくつかの実施形態において、バーコード配列は、例えば、アダプターライゲーションを介して、かかるアンプリコンの片端または両端に付加される。
【0097】
バーコードとしての使用およびバーコードライブラリーに好適なヌクレオチド配列は、当技術分野で知られている。バーコード配列を含むアダプターならびに増幅プライマーおよびプライマーセットは、市販されている。バーコード配列を含むオリゴヌクレオチドアダプターも市販されており、例えば、IonXpress(商標)、IonCode(商標)、およびIon Selectバーコードアダプター(Thermo Fisher Scientific)が含まれる。同様に、当該技術分野において報告さら、知られている追加および他のユニバーサルアダプター/プライマー配列(例えば、Illuminaユニバーサルアダプター/プライマー配列、PacBioユニバーサルアダプター/プライマー配列など)を、本明細書に提供される方法および組成物ならびに支援分析プラットフォームを使用した配列決定された得られるアンプリコンと併せて使用することができる。
【0098】
いくつかの実施形態において、多重化された試料を配列決定するときに、2つ以上のバーコードがアンプリコンに追加される。いくつかの実施形態において、多重化試料を配列決定する前に少なくとも2つのバーコードをアンプリコンに付加して、試料間のバーコード相互汚染またはバーコードブリードスルーに由来する人為的結果(例えば、免疫受容体遺伝子再配列またはクローン特定)の頻度を低下させる。いくつかの実施形態において、免疫レパートリーの低頻度クローンを追跡する場合、試料を標識するために少なくとも2つのバーコードが使用される。いくつかの実施形態において、アッセイを使用して1:1,000未満の頻度のクローンを検出する場合、少なくとも2つのバーコードがアンプリコンに付加される。いくつかの実施形態において、アッセイを使用して1:10,000未満の頻度のクローンを検出する場合、少なくとも2つのバーコードがアンプリコンに付加される。他の実施形態において、アッセイを使用して、頻度が1:20,000未満、1:40,000未満、1:100,000未満、1:200,000未満、1:400,000未満、1:500,00未満、または1:1,000,000未満のクローンを検出する場合、少なくとも2つのバーコードがアンプリコンに付加される。クローン当たりの高い配列決定深度および/またはかかる低頻度でのクローンの検出から利益を得る免疫レパートリーを特徴付けるための方法には、治療を受けている過剰増殖性疾患を有する患者のモニタリングおよび治療後の微小残存病変に関する試験が含まれるが、これらに限定されない。
【0099】
いくつかの実施形態において、本発明の方法で使用される標的特異的プライマー(例えば、V遺伝子FR1、FR2、およびFR3指向プライマー、J遺伝子指向プライマー、ならびにC遺伝子指向プライマー)は、以下の基準:(1)プライマー配列内に2つ以上の修飾ヌクレオチドを含み、そのうちの少なくとも1つが、プライマーの末端の近くまたは末端に含まれ、そのうちの少なくとも1つが、プライマーの中心ヌクレオチド位置またはその付近に含まれる、(2)長さが、約15~約40個の塩基の長さ、(3)60℃を超えて約70℃までのTm(4)目的の試料中に存在する非標的配列に対して低い交差反応性を有する、(5)少なくとも最初の4個のヌクレオチド(3’から5’方向に)が、同じ反応に存在するいずれの他のプライマー内のいずれの配列に対しても非相補的である、および(6)いずれの他の生成された標的アンプリコン内の少なくとも5個のヌクレオチドのいずれの連続した伸長に対しても非相補的、のうちのいずれか1つ以上を満たすように選択または設計される。いくつかの実施形態において、提供される方法で使用される標的特異的プライマーは、上記の基準のいずれか2、3、4、5、または6つを満たすように選択または設計される。
【0100】
いくつかの実施形態において、本発明の方法で使用される標的特異的プライマーは、切断可能な基を有する1つ以上の修飾ヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態において、本発明の方法で使用される標的特異的プライマーは、切断可能な基を有する2つ以上の修飾ヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態において、標的特異的プライマーは、メチルグアニン、8-オキソ-グアニン、キサンチン、ヒポキサンチン、5,6-ジヒドロウラシル、ウラシル、5-メチルシトシン、チミンダイマー、7-メチルグアノシン、8-オキソ-デオキシグアノシン、キサントシン、イノシン、ジヒドロウリジン、ブロモデオキシウリジン、ウリジン、または5-メチルシチジンから選択される切断可能な基を有する少なくとも1つの修飾ヌクレオチドを含む。
【0101】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される増幅方法(および関連する組成物、システム、およびキット)を使用する標的アンプリコンは、免疫受容体レパートリーライブラリーの調製に使用される。いくつかの実施形態において、免疫受容体レパートリーライブラリーは、アダプター配列を標的アンプリコン配列の末端に導入することを含む。特定の実施形態において、免疫受容体レパートリーライブラリーを調製するための方法は、本明細書に記載の多重増幅法のうちのいずれかに従って標的免疫受容体アンプリコン分子を生成することと、アンプリコン分子のプライマー配列内の修飾ヌクレオチドを消化することによってアンプリコン分子を処理することと、少なくとも1つのアダプターを処理されたアンプリコン分子のうちの少なくとも1つに連結することと、を含み、それによって標的免疫受容体レパートリーを含むアダプター連結標的免疫受容体アンプリコン分子のライブラリーを生成する。いくつかの実施形態において、ライブラリーを調製するステップは、添加ステップのみを含む単一の反応容器内で実行される。特定の実施形態において、方法は、少なくとも1つのアダプター連結標的アンプリコン分子の一部をクローン的に増幅することをさらに含む。
【0102】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される方法(および関連する組成物、システム、およびキット)を使用する標的アンプリコンは、ライブラリー調製および核酸配列決定など、これらに限定されない下流プロセスと合わされる。例えば、標的アンプリコンは、ブリッジ増幅、エマルジョンPCR、または等温増幅を使用して増幅し、核酸配列決定に好適な複数のクローン鋳型を生成することができる。いくつかの実施形態において、アンプリコンライブラリーは、Ion Torrent配列決定プラットフォームなどの半導体配列決定技術を含む、任意の次世代配列決定プラットフォームなどの任意の好適なDNA配列決定プラットフォームを使用して配列決定される。いくつかの実施形態において、アンプリコンライブラリーは、Ion GeneStudio S5 540(商標)システムまたはIon GeneStudio S5 520(商標)システムまたはIon GeneStudio S5 530(商標)システムまたはIon PGM 318(商標)システムを使用して配列決定される。
【0103】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される方法(および関連する組成物およびキット)を使用して生成される免疫受容体アンプリコンの配列決定は、長さが約200~約600個のヌクレオチドの連続した配列読み取りを生成する。いくつかの実施形態において、連続した読み取り長は、約300~約400個のヌクレオチドである。いくつかの実施形態において、連続した読み取り長は、約350~約450個のヌクレオチドである。いくつかの実施形態において、読み取り長は、平均して約300個のヌクレオチド、約350個のヌクレオチド、または約400個のヌクレオチドである。いくつかの実施形態において、連続した読み取り長は、約250~約350個のヌクレオチド、約275~約340、または約295~約325個のヌクレオチドの長さである。いくつかの実施形態において、読み取り長は、平均して約270、約280、約290、約300、または約325個のヌクレオチドの長さである。他の実施形態においした読み取り長は、約180~約300個のヌクレオチド、約200~約290個のヌクレオチド、約225~約280個のヌクレオチド、または約230~約250個のヌクレオチドの長さである。いくつかの実施形態において、読み取り長は、平均して約200、約220、約230、約240、または約250個のヌクレオチドの長さである。他の実施形態において、連続した読み取り長は、約70~約200個のヌクレオチド、約80~約150個のヌクレオチド、約90~約140個のヌクレオチド、または約100~約120個のヌクレオチドの長さである。いくつかの実施形態において、連続した読み取り長は、約50~約170個のヌクレオチド、約60~約160個のヌクレオチド、約60~約120個のヌクレオチド、約70~約100個のヌクレオチド、約70~約90個のヌクレオチド、または約80個のヌクレオチドの長さである。いくつかの実施形態において、読み取り長は、平均して約70、約80、約90、約100、約110、または約120個のヌクレオチドである。いくつかの実施形態において、配列読み取り長は、アンプリコン配列およびバーコード配列を含む。いくつかの実施形態において、配列読み取り長は、バーコード配列を含まない。
【0104】
いくつかの実施形態において、プライマーおよびプライマー対は、核酸分子の特定の領域を増幅することができる標的特異的核酸分子である。いくつかの実施形態において、標的特異的プライマーは、発現されたRNAまたはcDNAを増幅することができる。いくつかの実施形態において、標的特異的プライマーは、ヒトRNAもしくはそれから調製されるcDNA、またはマウスRNAもしくはそれから調製されるcDNAなどの哺乳動物RNAを増幅することができる。いくつかの実施形態において、標的特異的プライマーは、gDNAなどのDNAを増幅することができる。いくつかの実施形態において、標的特異的プライマーは、ヒトDNAまたはマウスDNAなどの哺乳動物DNAを増幅することができる。
【0105】
本明細書で提供される方法および組成物、例えば、生物学的試料中の免疫レパートリーを決定、特徴付け、および/または追跡するためのものにおいて、標的配列の増幅に必要とされる入力RNAまたはgDNAの量は、試料における免疫受容体担持細胞(例えば、T細胞またはB細胞)の割合に部分的に依存する。例えば、B細胞が豊富化された試料など、試料中のB細胞の割合が高いほど、増幅のために低い量の入力RNAまたはgDNAの使用が可能である。いくつかの実施形態において、1つ以上の標的配列の増幅のための入力RNAの量は、約0.05ng~約10マイクログラムであることができる。いくつかの実施形態において、1つ以上の標的配列の多重増幅のために使用される入力RNAの量は、約5ng~約2マイクログラムであることができる。いくつかの実施形態において、1つ以上の標的配列の多重増幅のために使用されるRNAの量は、約5ng~約1マイクログラムまたは約10ng~約1マイクログラムであることができる。いくつかの実施形態において、1つ以上の免疫レパートリー標的配列の多重増幅のために使用されるRNAの量は、約1.5マイクログラム、約2マイクログラム、約2.5マイクログラム、約3マイクログラム、約3.5マイクログラム、約4.0マイクログラム、約5マイクログラム、約6マイクログラム、約7マイクログラム、または約10マイクログラムである。いくつかの実施形態において、1つ以上の免疫レパートリー標的配列の多重増幅のために使用されるRNAの量は、約10ng、約25ng、約50ng、約100ng、約200ng、約250ng、約500ng、約750ng、または約1000ngである。いくつかの実施形態において、1つ以上の免疫レパートリー標的配列の多重増幅のために使用されるRNAの量は、約25ng~約500ngのRNAまたは約50ng~約200ngのRNAである。いくつかの実施形態において、1つ以上の免疫レパートリー標的配列の多重増幅のために使用されるRNAの量は、約0.05ng~約10ngのRNA、約0.1ng~約5ngのRNA、約0.2ng~約2ngのRNA、または約0.5ng~約1ngのRNAである。いくつかの実施形態において、1つ以上の免疫レパートリー標的配列の多重増幅のために使用されるRNAの量は、約0.05ng、約0.1ng、約0.2ng、約0.5ng、約1.0ng、約2.0ng、または約5.0ngである。
【0106】
本明細書に記載されるように、生物学的試料からのRNAは、多重増幅の前に、典型的には逆転写反応に逆転写酵素を使用して、cDNAに変換される。いくつかの実施形態において、逆転写反応は、入力RNAを用いて行われ、逆転写反応からのcDNAの一部が、多重増幅反応に使用される。いくつかの実施形態において、入力RNAから調製された実質的にすべてのcDNAが、多重増幅反応に添加される。他の実施形態において、入力RNAから調製されたcDNAの一部、例えば約80%、約75%、約66%、約50%、約33%、または約25%などが、多重増幅反応に添加される。他の実施形態において、入力RNAから調製されたcDNAの約15%、約10%、約8%、約6%、または約5%が多重増幅反応に添加される。
【0107】
いくつかの実施形態において、多重増幅反応に添加される、試料からのcDNAの量は、約0.001ng~約5マイクログラムであることができる。いくつかの実施形態において、1つ以上の免疫レパートリー標的配列の多重増幅のために使用されるcDNAの量は、約0.01ng~約2マイクログラムであることができる。いくつかの実施形態において、1つ以上の標的配列の多重増幅のために使用されるcDNAの量は、約0.1ng~約1マイクログラムまたは約1ng~約0.5マイクログラムであることができる。いくつかの実施形態において、1つ以上の免疫レパートリー標的配列の多重増幅のために使用されるcDNAの量は、約0.5ng、約1ng、約5ng、約10ng、約25ng、約50ng、約100ng、約200ng、約250ng、約500ng、約750ng、または約1000ngである。いくつかの実施形態において、1つ以上の免疫レパートリー標的配列の多重増幅のために使用されるcDNAの量は、約0.01ng~約10ngのcDNA、約0.05ng~約5ngのcDNA、約0.1ng~約2ngのcDNA、または約0.01ng~約1ngのcDNAである。いくつかの実施形態において、1つ以上の免疫レパートリー標的配列の多重増幅のために使用されるcDNAの量は、約0.005ng、約0.01ng、約0.05ng、約0.1ng、約0.2ng、約0.5ng、約1.0ng、約2.0ng、または約5.0ngである。
【0108】
いくつかの実施形態において、mRNAは、生物学的試料から得られ、増幅目的のために従来の方法を使用してcDNAに変換される。生物学的試料から核酸を抽出または単離するための方法および試薬はよく知られており、市販されている。いくつかの実施形態において、生物学的試料からのRNA抽出は、本明細書に記載されるか、さもなければ当業者に知られている任意の方法、例えば、プロテイナーゼK組織消化およびアルコールベースの核酸沈殿、汚染DNAを消化するDNアーゼによる処理、ならびにシリカ-ゲル-膜技術を使用したRNA精製、またはそれらの任意の組み合わせを含む方法によって行われる。市販キットを使用する生物学的試料からのRNA抽出の例示的な方法には、RecoverAll(商標)多試料RNA/DNAワークフロー(Invitrogen)、RecoverAll(商標)全核酸単離キット(Invitrogen)、NucleoSpin(登録商標)RNA血液(Macherey-Nagel)、PAXgene(登録商標)血液RNAシステム、TRI Reagent(商標)(Invitrogen)、PureLink(商標)RNAマイクロスケールキット(Invitrogen)、MagMAX(商標)FFPE DNA/RNA Ultraキット(Applied Biosystems)、ZR RNA MicroPrep(商標)キット(Zymo Research)、RNeasy Microキット(Qiagen)、およびReliaPrep(商標)RNA Tissue miniPrepシステム(Promega)が含まれる。
【0109】
いくつかの実施形態において、1つ以上の標的配列の増幅のための入力gDNAの量は、約0.1ng~約10マイクログラムであることができる。いくつかの実施形態において、1つ以上の標的配列の増幅のために必要とされるgDNAの量は、約0.5ng~約5マイクログラムであることができる。いくつかの実施形態において、1つ以上の標的配列の増幅のために必要とされるgDNAの量は、約1ng~約1マイクログラムまたは約10ng~約1マイクログラムであることができる。いくつかの実施形態において、1つ以上の免疫レパートリー標的配列の増幅のために必要とされるgDNAの量は、約10ng~約500ng、約25ng~約400ng、または約50ng~約200ngである。いくつかの実施形態において、1つ以上の標的配列の増幅のために必要とされるgDNAの量は、約0.5ng、約1ng、約5ng、約10ng、約20ng、約50ng、約100ng、または約200ngである。いくつかの実施形態において、1つ以上の免疫レパートリー標的配列の増幅のために必要とされるgDNAの量は、約1マイクログラム、約2マイクログラム、約3マイクログラム、約4.0マイクログラム、または約5マイクログラムである。
【0110】
いくつかの実施形態において、gDNAは、生物学的試料から従来の方法を使用して得られる。生物学的試料から核酸を抽出または単離するための方法および試薬はよく知られており、市販されている。いくつかの実施形態において、生物学的試料からのDNA抽出は、本明細書に記載されるか、さもなければ当業者に知られている任意の方法、例えば、プロテイナーゼK組織消化およびアルコールベースの核酸沈殿、汚染RNAを消化するRNアーゼによる処理、ならびにシリカ-ゲル-膜技術を使用したDNA精製、またはそれらの任意の組み合わせを含む方法によって行われる。市販キットを使用する生物学的試料からのDNA抽出の例示的な方法には、Ion AmpliSeq(商標)Direct FFPE DNAキット、MagMAX(商標)FFPE DNA/RNA Ultraキット、TRI Reagent(商標)(Invitrogen)、PureLink(商標)Genomic DNA Miniキット(Invitrogen)、RecoverAll(商標)全核酸単離キット(Invitrogen)、MagMAX(商標)DNAマルチ試料キット(Invitrogen)、およびBioChain Institute Inc.のDNA抽出キット(例えば、FFPE組織DNA抽出キット、ゲノムDNA抽出キット、血液および血清DNA分離キット)が含まれる。
【0111】
試料または生物学的試料は、本明細書で使用される場合、免疫系に関連する細胞を含むか、または含む得る個体からの組成物を指す。例示的な生物学的試料には、限定されないが、組織(例えば、リンパ節、器官組織、骨髄)、全血、滑液、脳脊髄液、腫瘍生検、および細胞を含む他の臨床標本が含まれる。試料には、正常細胞および/または疾患細胞を含み得、細針吸引物、細針生検、コア試料、または他の試料であり得る。いくつかの実施形態において、生物学的試料は、造血細胞、末梢血単核細胞(PBMC)、T細胞、B細胞、腫瘍浸潤リンパ球(「TIL」)、または他のリンパ球を含み得る。いくつかの実施形態において、試料は、新鮮(例えば、保存されていない)、凍結、またはホルマリン固定パラフィン包埋組織(FFPE)であり得る。いくつかの試料は、がん腫、黒色腫、肉腫、リンパ腫、骨髄腫、白血病などのがん細胞を含み、がん細胞は、循環腫瘍細胞であり得る。いくつかの実施形態において、生物学的試料は、例えば、血液または血漿中に認められるようなcfDNAを含む。
【0112】
生物学的試料は、組織もしくは細胞型の混合物、少なくとも1つの特定のカテゴリーもしくは型の細胞について豊富化された細胞の調製物、または特定の型もしくは表現型の細胞の単離された集団であることができる。試料は、分析前に、遠心分離、エルトリエーション、密度勾配分離、アフェレーシス、アフィニティー選択、パンニング、FACS、Hypaqueによる遠心分離などによって分離することができる。特定の細胞型を選別、豊富化、および単離するための方法はよく知られており、当業者によって容易に実行することができる。いくつかの実施形態において、試料は、B細胞について豊富化された調製物であり得る。
【0113】
いくつかの実施形態において、提供される方法およびシステムは、免疫レパートリー受容体cDNAまたはgDNA配列データの分析、ならびに決定された免疫受容体配列からPCRまたは配列決定由来のエラー(複数可)を特定および/または除去するためのプロセスを含む。
【0114】
いくつかの実施形態において、エラー修正戦略は、
1)配列決定された再配列を、可変性、多様性、および結合/定常遺伝子の参照データベースに整列させて、問い合わせ配列/参照配列対を生成するステップであって、多くの整列手順がこの目的のために使用され得、例えば、NCBIからの無料公開ツールであるIgBLAST、およびカスタムコンピュータスクリプトが含まれる、生成するステップと、
2)参照配列と問い合わせ配列を互いに再整列させて、配列決定に使用されるフロー順序を考慮するステップであって、フロー順序が、いくつかのタイプの誤った整列を特定および修正することを可能にする、考慮するステップと、
3)CDR3領域の境界をそれらの特徴的な配列モチーフによって特定するステップと、
4)CDR3領域を除く、可変遺伝子および結合/定常遺伝子に対応する再配列の整列部分にわたって、問い合わせ内のインデルを参照に対して特定し、ミスマッチの問い合わせ塩基位置が、参照と一致するように変更するステップと、
5)CDR3領域について、CDR3の長さが3の倍数でない(インデルエラーを示す)場合:
(a)PHREDスコア(eで示される)に基づいて、配列エラーを含む最も高い確率を有するホモポリマー伸長についてCDR3を探索することと、
(b)PHREDスコア(tで示される)に基づいて、CDR3領域全体にわたるエラーの確率を得ることと、
(c)e/tが定義された閾値よりも高い場合、CDR3ヌクレオチド長が3の倍数であるように、ホモポリマーの長さを1つの塩基を増加させるか、または減少させるいずれかによって、ホモポリマーを編集することと、
(d)ステップa~cの代替として、CDR3で最長のホモポリマーを探索し、ホモポリマーの長さが定義された閾値を超えている場合、CDR3ヌクレオチド長が3の倍数であるように、ホモポリマーの長さを1つの塩基を増加させるか、または減少させるいずれかによって、ホモポリマーを編集するステップと、を含む。
【0115】
いくつかの実施形態において、PCRおよび配列決定のエラーに対して頑強であるレパートリーデータにおいてB細胞および/またはT細胞クローンを特定するための方法が提供される。したがって、かかる方法で用いて、B細胞および/またはT細胞クローンを、PCRおよび配列決定のエラーに対して頑強な手段で特定し得るステップが、以下に記載される。表1は、免疫受容体配列決定データからPCRまたは配列決定由来のエラーを特定および除去する際に使用するための例示的なワークフローの図である。このワークフローの例示的な部分および実施形態もまた、
図1~2に示される。
【表1】
【0116】
mRNAまたはgDNAに由来するTCRまたはBCR配列のセットでは、1)各配列は、ネイティブとしてか、または前述のようにエラー修正後のいずれかで、生産的再配列として注釈されており、2)各配列は、特定されたV遺伝子およびCDR3ヌクレオチド領域を有しており、いくつかの実施形態において、方法は以下を含む。
1)キメラ配列を特定して除外する。データセットに存在する各々の固有なCDR3ヌクレオチド配列について、そのCDR3ヌクレオチド配列およびV遺伝子の可能性があるものの読み取り数を集計する。そのCDR3ヌクレオチド配列における総読み取り数の10%未満を構成するV遺伝子-CDR3組み合わせは、キメラとしてフラグが立てられ、下流の分析から排除される。例として、同じCDR3ヌクレオチド配列を有する以下の配列について、例えば、CDR3nt配列AATTGGTと対形成するTRBV3およびTRBV6を有する配列は、キメラとしてフラグが立てられる。
【表2】
【0117】
2)単純なインデルエラーを含む配列を特定して除外する。データセット内の各読み取りについて、その読み取りのCDR3配列のホモポリマー崩壊した表現を得る。同じV遺伝子および崩壊したCDR3の組み合わせを有する読み取りの各セットについて、崩壊していない各CDR3ヌクレオチド配列の出現数を集計する。その読み取りセットにおいて総読み取りの<10%を構成する崩壊していないCDR3配列は、単純なホモポリマーエラーを有するとしてフラグが立てられる。例として、3つの異なるV遺伝子-CDR3ヌクレオチド配列が、CDR3ヌクレオチド配列のホモポリマー崩壊後に同一であるとして示される。より頻度の低い2つのV遺伝子-CDR3組み合わせが、読み取りセットにおいて総読み取りの<10%未満を構成し、単純なインデルエラーを含むとしてフラグが立てられる。例えば、
【表3】
【0118】
3)シングルトン読み取りを特定して除外する。データセット内の各読み取りについて、正確な読み取り配列がデータセットに認められる回数を集計する。データセットに1回のみ出現する読み取りは、シングルトン読み取りとしてフラグを立てる。
4)切り詰められた読み取りを特定して除外する。データセット内の各読み取りについて、IgBLAST参照V遺伝子セットに対する読み取りのIgBLAST整列によって示されるとき、読み取りが注釈されたV遺伝子FR1、CDR1、FR2、CDR2、およびFR3領域を有するか決定する。上記の領域を有さない読み取りは、領域(複数可)が増幅のために使用された特定のV遺伝子プライマーに基づいて予想される場合、切り詰められたとしてフラグが立てられる。
5)双方向サポートを欠く再配列を特定して除外する。データセット内の各読み取りについて、読み取りのV遺伝子およびCDR3配列、ならびに読み取りの鎖方向(プラスまたはマイナス鎖)を得る。データセット内の各V遺伝子-CDR3組み合わせについて、そのV遺伝子-CDR3ntの組み合わせを有するプラス鎖およびマイナス鎖の読み取り数を集計する。一方向の読み取りにのみ存在するV遺伝子-CDR3nt組み合わせは、偽と見なされる。偽V遺伝子-CDR3nt組み合わせを有するすべての読み取りには、双方向サポートを欠いているとフラグを立てられる。
6)フラグが立てられていない遺伝子について、CDR3ヌクレオチド類似性に基づいて段階的なクラスタリングを行う。配列を、対立遺伝子情報を除いて、読み取りのV遺伝子同一性に基づいて群に分ける(v遺伝子群)。各群について、
a.各群における読み取りを、cd-hit-estおよび以下のパラメータ:
cd-hit-est-i vgene_groups.fa-o clustered_vgene_groups.cdhit-T24-d0-M100000-B0-r0-g1-S0-U2-uL.05-n10-l7を使用して、クラスターに配置する。(無料で入手できるソフトウェアプログラムcd-hit-estは、ヌクレオチドデータセットを、ユーザー定義の類似性閾値を満たすクラスターにクラスター化する。(cd-hit-estに関するコードおよび説明について、https://github.com/weizhongli/cdhit/wiki/3.-User%27s-Guide#CDHITESTを参照されたい)。
ここで、vgene_groups.faは、同じV遺伝子を有する配列のCDR3ヌクレオチド領域のfasta形式のファイルであり、clustered_vgene_groups.cdhitは、細分化された配列を含む出力である。
b.クラスター内の各配列に同じクローンIDを割り当て、下位群のメンバーが同じT細胞クローンまたはB細胞クローンを表すと考えられることを示すために使用される。
c.各クラスターについて、代表的な配列が最大回数出現する配列であるか、または同じ回数の場合は、無作為的に選択されるように、代表的な配列を選択する。
d.クラスター内の他のすべての読み取りを代表的な配列にマージし、それによって、代表的な配列における読み取り数が、マージされた配列における読み取り数に応じて増加される。
e.v遺伝子群内の代表的な配列を、ハミング距離に基づいて、互いに比較する。代表的な配列が、>50倍豊富な代表的な配列に対して1のハミング距離内にある場合、その配列は、より共通する代表的な配列にマージする。代表的な配列が、>10000倍豊富な代表的な配列に対して2のハミング距離内にある場合、その配列は、より共通する代表的な配列にマージする。
f.複雑な配列エラーを特定する。各V遺伝子群内の代表的な配列をホモポリマー崩壊させ、次いでレーベンシュタイン距離を使用して互いに比較する。代表的な配列が、>50倍豊富な代表的な配列に対して1のレーベンシュタイン距離内にある場合、その配列は、より共通する代表的な配列にマージする。
g.CDR3の誤注釈エラーを特定する。各V遺伝子群内の代表的な配列をホモポリマー崩壊させ、次いで各ホモポリマー崩壊した配列の段階的比較を行う。配列の各対について、一方の配列が他方の配列のサブセットであるか決定する。その場合、少ない量の配列は、より豊富な配列が>500倍豊富である場合、より豊富な配列にマージする。
7)クラスター代表をユーザーに報告する。
【0119】
いくつかの実施形態において、上記のワークフローのステップ6は、V遺伝子同一性(対立遺伝子情報を除く)、およびCDR3ヌクレオチド長に基づいて、再配列の配列を群に分ける。他の実施形態において、J遺伝子同一性および/またはアイソタイプ同一性もまた、群分け基準の一部として使用される。したがって、いくつかの実施形態において、上記ワークフローのステップ6は、以下のステップを含む:
a.各群における読み取りを、cd-hit-estおよび以下のパラメータ:
cd-hit-est-i vgene_groups.fa-o clustered_vgene_groups.cdhit-T24-l9-d0-M100000-B0-r0-g1-S15-U2-uL.05-n9を使用して、クラスターに配置する。
ここで、vgene_groups.faは、VDJ再配置の配列決定された部分のfasta形式のファイルである。
いくつかの実施形態において、体細胞超変異がVDJ領域全体で起こり得るため、VDJの全配列がクラスター化のために考慮される。
b.クラスター内の各配列に同じクローンIDを割り当て、下位群のメンバーが同じT細胞クローンまたはB細胞クローンを表すと考えられることを示すために使用される。
c.各クラスターについて、代表的な配列が最大回数出現する配列であるか、または同じ回数の場合は、無作為的に選択されるように、代表的な配列を選択する。
d.クラスター内の他のすべての読み取りを代表的な配列にマージし、それによって、代表的な配列における読み取り数が、マージされた配列における読み取り数に応じて増加される。
e.v遺伝子群内の代表的な配列を、ハミング距離に基づいて、互いに比較する。代表的な配列が、>50倍豊富な代表的な配列に対して1のハミング距離内にある場合、その配列は、より共通する代表的な配列にマージする。代表的な配列が、>10000倍豊富な代表的な配列に対して2のハミング距離内にある場合、その配列は、より共通する代表的な配列にマージする。いくつかの実施形態において、とりわけ、>50/3および>1000/3の倍率閾値が、それぞれハミング距離1または2の配列をマージするために使用される。配列が長いほど、増幅および/または配列のエラーを蓄積する機会が高くなるため、倍率閾値を低下させることは、CDR3領域のみの配列ではなく、VDJ領域全体の配列を比較する場合に有用であり得る。
f.複雑な配列エラーを特定する。各V遺伝子群内の代表的な配列をホモポリマー崩壊させ、次いでレーベンシュタイン距離を使用して互いに比較する。代表的な配列が、>50倍豊富な代表的な配列に対して1のレーベンシュタイン距離内にある場合、その配列は、より共通する代表的な配列にマージする。
g.CDR3の誤注釈エラーを特定する。各V遺伝子群内の代表的な配列をホモポリマー崩壊させ、次いで各ホモポリマー崩壊した各配列の段階的比較を行う。配列の各対について、一方の配列が他方の配列のサブセットであるか決定する。その場合、少ない量の配列は、より豊富な配列が>500倍豊富である場合、より豊富な配列にマージする。
【0120】
いくつかの実施形態において、提供されるワークフローは、様々なステップに列挙される頻度比閾値に限定されず、他の頻度比閾値が、上記に含まれる代表的な頻度比閾値の代わりになり得る。頻度比は、より少ない共通の代表的な配列の存在量値に対する、より多い共通の代表的な配列の存在量値の比を指す。頻度比閾値は、より少ない代表的な配列が、より多い共通の代表的配列にマージされる閾値を与える。例えば、いくつかの実施形態において、v遺伝子群内の代表的な配列をハミング距離に基づいて互いに比較することは、上記のステップ(e)に列挙されるもの以外の頻度比閾値を使用し得る。例えば、限定されないが、代表的な配列が代表的な配列に対して2のハミング距離内にある場合、1000、5000、20,000などの頻度比閾値が使用され得る。例えば、限定されないが、代表的な配列が代表的な配列に対して1のハミング距離内にある場合、20、100、200などの頻度比閾値が使用され得る。提供される頻度比閾値は、類似した対のより多い存在量の配列を正しい配列として表示する一般的なプロセスを表す。
【0121】
同様に、ワークフローにおける他のステップ、例えば、ステップ(1)、ステップ(2)、ステップ(6f)、およびステップ(6g)で2つの配列の頻度を比較する場合、上記のステップに列挙されるもの以外の頻度比閾値が利用され得る。
【0122】
本明細書で使用される場合、「ホモポリマー崩壊配列」という用語は、反復される塩基が単一の塩基代表に崩壊された配列を表すことが意図される。例として、非崩壊配列AAAATTTTTATCCCCCCCCGGG(配列番号603)では、ホモポリマー崩壊配列は、ATATCGである。
【0123】
本明細書で使用される場合、「クローン」、「クロノタイプ」、「系統」、または「再配列」という用語は、TCRまたはBCRなどの免疫受容体における固有のV遺伝子ヌクレオチドの組み合わせを記載することが意図される。例えば、固有のV遺伝子-CDR3ヌクレオチド組み合わせ。
【0124】
本明細書で使用される場合、「生産的読み取り」という用語は、終止コドンを有さず、インフレーム可変遺伝子および結合遺伝子セグメントを有する、TCRまたはBCR配列読み取りを指す。生産的読み取りは、ポリペプチドのコード化において生物学的に信頼性がある。
【0125】
本明細書で使用される場合、「キメラ」または「キメラ配列」は、PCRなどの標的増幅の際に鋳型切り換えから生じる人工配列を指す。キメラは、典型的には、無関係のV遺伝子に移植されたCDR3配列として存在し、データセット内の複数のV遺伝子に関連付けられるCDR3配列をもたらす。キメラ配列は通常、データセット内の真の配列よりもはるかに少ない存在量である。
【0126】
本明細書で使用される場合、「インデル」という用語は、核酸配列における1つ以上のヌクレオチド塩基の挿入および/または欠失を指す。核酸配列のコード領域では、インデルの長さが3の倍数でない場合、配列が翻訳されるときにフレームシフトを生じる。本明細書で使用される場合、「単純なインデルエラー」は、配列のホモポリマー崩壊提示を変更しないエラーである。本明細書で使用される場合、「複雑なインデルエラー」は、配列のホモポリマー崩壊表現を変更するインデル配列決定エラーであり、限定されないが、ホモポリマーを排除するか、ホモポリマーを配列に挿入するか、または読み取り不可型エラーを作成する、エラーが含まれる。
【0127】
本明細書で使用される場合、「シングルトン読み取り」は、インデル修正された配列がデータセットに一度だけ出現する配列読み取りを指す。通常、シングルトン読み取りは、PCRまたは配列決定のエラーを含む読み取りで増加される。
【0128】
本明細書で使用される場合、「切り詰められた読み取り」は、注釈付きのV遺伝子領域が欠落している免疫受容体配列読み取りを指す。例えば、切り詰められた読み取りには、限定されないが、注釈付きのTCRまたはBCRV遺伝子FR1、CDR1、FR2、CDR2、もしくはFR3領域が欠落している配列読み取りが含まれる。かかる読み取りは、一般的には、質のトリミングのためにV遺伝子配列の一部が欠落している。切り詰められた読み取りは、切り詰めがV遺伝子を誤認させる場合、人工物を生じさせ得る。
【0129】
特定されたV遺伝子-CDR3配列(クロノタイプ)の文脈において、「双方向サポート」は、特定のV遺伝子-CDR3配列がプラス鎖にマッピングされる少なくとも1つの読み取り(V遺伝子から定常遺伝子に向けて進む)、およびマイナス鎖にマッピングされる少なくとも1つの読み取り(定常遺伝子からV遺伝子に向けて進む)に認められることを示す。体系的な配列決定エラーは、しばしば一方向サポートを有するV遺伝子-CDR3配列の特定をもたらす。
【0130】
PCRまたは配列決定のエラーによる変動を説明するために事前に決定した配列類似性閾値に従って群分けされている配列のセットでは、「クラスター代表」は、エラーがない可能性が最も高いとして選択される配列である。これは典型的には、通常、最も存在量の多い配列である。
【0131】
本明細書で使用される「IgBLAST注釈エラー」は、CDR3の境界が誤った隣接位置にあると特定される稀な事象を指す。これらの事象は典型的には、CDR3ヌクレオチド配列の5’または3’末端に3つの塩基を付加する。
【0132】
等しい長さの2つの配列において、「ハミング距離」は、対応する塩基またはアミノ酸が異なる位置の数である。任意の2つの配列において、「レーベンシュタイン距離」または「編集距離」は、1つのヌクレオチドまたはアミノ酸配列を別のヌクレオチドまたはアミノ酸配列にするために必要とされる単一の塩基またはアミノ酸編集の数である。
【0133】
J遺伝子指向プライマーが免疫受容体配列の増幅、例えば、V遺伝子FR3領域に対するプライマーおよびJ遺伝子に対するプライマーによる多重増幅に使用されるいくつかの実施形態において、アッセイから導き出される生の配列読み取りは、任意の下流分析の前に、J遺伝子配列推測を受ける。このプロセスでは、生の読み取り配列の開始および終了が、Jプライマーによる増幅、および配列決定前のそれに続くアンプリコン末端の操作または処理(例えば、消化)の後に存在することが予測されるJ遺伝子配列の一部に対応する10~30個のヌクレオチドの特徴的な配列の存在について調査される。特徴的なヌクレオチド配列は、Jプライマーの配列、ならびに各J遺伝子の配列が知られているために標的化されたJ遺伝子の残りの部分を推測することを可能にする。J遺伝子配列推論プロセスを完了するために、推測されたJ遺伝子配列が生の読み取りに追加され、次いで全J遺伝子にまたがる拡張した読み取りが作成される。そして拡張した読み取りは、J遺伝子配列全体、CDR3領域の配列全体体、およびV遺伝子配列の少なくとも一部を含み、下流分析後に報告される。拡張した読み取りにおけるV遺伝子配列の部分は、多重増幅に使用されるV遺伝子指向プライマー、例えば、FR3、FR2、またはFR1指向プライマーに依存する。
【0134】
発現された免疫受容体配列または再配列された免疫受容体gDNA配列を増幅するV遺伝子FR3プライマーおよびJ遺伝子プライマーの使用は、CDR3領域全体の報告を可能にするデータをさらに生成しながら、最小長のアンプリコン(例えば、長さが約60~100または約80個のヌクレオチド)を生成する。短いアンプリコン長の予想により、長さが<100個のヌクレオチドのアンプリコンの読み取りは、配列分析ワークフローの際に低品質および/または標的外生成物として排除されない。しかしながら、生の読み取りで予想されるJ遺伝子配列に関する明示的な探索は、J遺伝子プライマーによる標的外増幅に由来するアンプリコンを排除することを可能にする。加えて、この短いアンプリコン長は、FFPEまたはcfDNA試料に由来するものなどの高度に分解された鋳型材料でのアッセイの性能を改善する。
【0135】
いくつかの実施形態において、提供される方法は、免疫受容体ライブラリーを配列決定することと、得られた配列データをエラー特定および修正プロセスに供して、救済された生産的読み取りを生成することと、生産的および救済された生産的配列読み取りを特定することと、を含む。いくつかの実施形態において、提供される方法は、免疫受容体ライブラリーを配列決定することと、得られた配列データセットをエラー特定および修正プロセスに供することと、生産的および救済された生産的配列読み取りを特定することと、配列読み取りをクロノタイプによって群分けしてライブラリーにおける免疫受容体クロノタイプを特定することと、を含む。
【0136】
いくつかの実施形態において、提供される方法は、再配列された免疫受容体DNAライブラリーを配列決定し、得られた配列データをV遺伝子部分についてエラー特定および修正プロセスに供して、救済された生産的読み取りを作成することと、生産的、救済された生産的、および非生産的配列読み取りを特定することと、を含む。いくつかの実施形態において、提供される方法は、再配列された免疫受容体DNAライブラリーを配列決定し、得られた配列データセットをV遺伝子部分についてエラー特定および修正プロセスに供することと、生産的、救済された生産的、および非生産的配列読み取りを特定することと、配列読み取りをクロノタイプによって群分けして、ライブラリー内の免疫受容体クロノタイプを特定することと、を含む。いくつかの実施形態において、再配列された免疫受容体DNAの生産的および非生産的配列読み取りの両方が別々に報告される。
【0137】
いくつかの実施形態において、提供されるエラー特定および修正ワークフローは、非生産的再配列からとして特定される配列読み取りにつながるPCRまたは配列決定に由来するエラーを特定および解決するために使用される。いくつかの実施形態において、提供されるエラー特定および修正ワークフローは、配列データを生成する際にインデルまたは他のフレームシフトを引き起こすエラーが発生する配列決定プラットフォームから生成される免疫受容体配列データに適用される。
【0138】
いくつかの実施形態において、提供されるエラー特定および修正ワークフローは、Ion Torrent配列決定プラットフォームによって生成される配列決定データに適用される。いくつかの実施形態において、提供されるエラー特定および修正ワークフローは、Roche 454 Life Sciences配列決定プラットフォーム、PacBio配列決定プラットフォーム、およびOxford Nanopore配列決定プラットフォームによって生成される配列データに適用される。
【0139】
いくつかの実施形態において、BCRレパートリー分析ワークフローは、試料中のクローン系統を特定する追加の最後のステップを含む。クローン系統は、共通VDJ再配列に由来するが、体細胞超変異および/またはクラススイッチ組換えで異なるB細胞クローンのセット(例えば、固有のVDJ配列を有するとして特定される)を表す。一般に、クローン系統のメンバーは、異なるクローン系統のメンバーよりも同じ抗原を標的とする高い可能性があり得ると推測される。
【0140】
いくつかの実施形態において、クローン系統特定のプロセスは、特定された(例えば、本明細書に記載されるように)1セットのBCRクローン(例えば、IgHクローン)を使用して、以下を行うことを含む。
1.クローン配列を、群メンバーが同じ可変遺伝子(対立遺伝子情報を除く)、同じCDR3ヌクレオチド長、および同じ結合遺伝子(対立遺伝子情報を除く)を共有する群に分ける。いくつかの実施形態において、上記のJ遺伝子基準は省略され得る。
2.各群におけるクローン配列を、クローン配列のCDR3ヌクレオチド類似性に基づいてクラスターに配置する。CDR3ヌクレオチド類似性における閾値は、約0.70~約0.99である。いくつかの実施形態において、CDR3ヌクレオチド類似性の閾値は、約0.80~約0.99である。いくつかの実施形態において、CDR3ヌクレオチド類似性の閾値は、約0.80~約0.90である。特定の実施形態において、CDR3ヌクレオチド類似性の閾値は、約0.80、0.81、0.82、0.83、0.84、0.85、0.86、0.87、0.88、0.89、0.90、0.91、0.92、0.93、0.94、0.95、0.96、0.97、0.98、または0.99である。
a.いくつかの実施形態において、クラスタリングは、
cd-hit-est-i vgene_groups.fa-o clustered_vgene_groups.cdhit-T24-l9-d0-M100000-B0-r0-g1-S0-c.85-n5に記載されるようにcd-hit-estを使用して行われ、vgene_groups.faは、群内の各クローンのCDR3ヌクレオチド配列のセットからなる。同じクラスター内のクローンは、同じクローン系統のメンバーと考えられる。
b.いくつかの事例において、体細胞超変異は、記載されるクラスタリング基準がすべてのクローン系統メンバーを群分けし得ないほど広範囲におよび得る。かかる事例では、いくつかの実施形態において、追加のステップを行って、(a)で特定されたクラスターにマージする。追加のステップは、クローン系統間の可変遺伝子における共有される体細胞超変異に由来する変異の事例を探索することと、次いで、共有される変異の割合および/または数が特定の閾値を超えている場合にクローン系統にマージすることと、からなる。可変遺伝子変異は、説明されているように、可変遺伝子配列をIMGTデータベース内の最も一致する可変遺伝子配列と比較することによって特定される。いくつかの実施形態において、共有される変異の数における閾値は、2以上である。いくつかの実施形態において、共有される変異の数における閾値は、3以上である。他の実施形態において、共有される変異の数における閾値は、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上である。いくつかの実施形態において、共有される変異の割合は、約0.15~約0.95である。いくつかの実施形態において、共有される変異の割合は、約0.75~約0.85である。他の実施形態において、共有される変異の割合は、約0.15、0.2、0.25、0.3、0.35、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、または0.95である。
【0141】
いくつかの事例において、IMGTデータベースに提示されない可変遺伝子つかの対立遺伝子が特定され得る。かかる事例において、IMGTデータベースとの整列は、体細胞超変異に由来しない不一致を示す。かかる注釈のない遺伝的変異によって引き起こされるノイズを回避するために、いくつかの実施形態において、最初のステップが(b)の前に行われ、試料中のすべての推定的な新規可変遺伝子対立遺伝子を特定し、参照とは異なる各位置に注目する。いくつかの実施形態において、かかる位置は、(b)に記載される分析で考慮から除外される。免疫レパートリー配列決定データからの新規対立遺伝子の特定のための方法は、例えば、Gadala-Maria et al.(2015)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 112:E862-E870およびPCT出願公開第2018/136562号に記載されている。
【0142】
このクローン系統特定プロセスの最後に、各クローンがクローン系統に割り当てられている。多様性、均一性、および収斂などのBCRレパートリー特性は、分析の単位としてクローン系統を用いて計算され得る。いくつかの実施形態において、系統に属するクローンの数、それらクローンのアイソタイプ、系統におけるクローンの最大および最小の頻度、系統における最大および最小の可変遺伝子体細胞超変異、および他などのクローン系統の特性が、計算されてユーザーに報告される。
【0143】
体細胞超変異が存在しない場合、BCR収斂は、アミノ酸配列では同一または機能的に同一であるがヌクレオチド配列では異なるクローンの頻度として計算され得る。これらは、独立してVDJ組換えを受け、一般的に、共通の抗原に応答して増殖してきたと想定されるクローンを表す。しかしながら、体細胞超変異は、独立してVDJ組換えを受けたB細胞を表さない別のVDJ配列を作成することができる。これを説明するために、クローン系統の特定を考慮に入れた収斂の定義が使用される。この目的のために、「BCR収斂」は、上記で決定されたように、異なるクローン系統のメンバーであるが、アミノ酸配列が類似または同一であるB細胞クローンの頻度として定義される。いくつかの実施形態において、2つのIGH再配列は、それらが別個のクローン系統に割り当てられるが、同じ可変遺伝子(対立遺伝子情報を除く)および同じまたは類似のCDR3アミノ酸配列を有する場合、収斂性であると考えられる。配列決定がIGH鎖の3つのCDRドメインすべてを網羅する他の実施形態において、2つのIGH再配列は、それらが別々のクローン系統に割り当てられるが、同じ可変遺伝子(対立遺伝子情報を除く)ならびに同じまたは類似のCDR1、2、および3アミノ酸配列を有する場合、収斂性であると考えられ得る。いくつかの実施形態において、類似のCDRアミノ酸配列は、1のハミングまたはレーベンシュタイン編集距離内にある。他の実施形態において、類似のCDRアミノ酸配列は、2のハミングまたはレーベンシュタイン編集距離内にある。
【0144】
したがって、いくつかの実施形態において、機能的に同等なB細胞は、1もしくは2のハミングまたはレーベンシュタイン編集距離内にある同じ可変遺伝子およびCDRアミノ酸配列を有するBCRクローンについて探索することによって特定される。いくつかの実施形態において、プログラムcd-hitを使用して、類似しているが機能的に同等のアミノ酸配列を有するクローンを特定する。(プログラムcd-hitのコードおよび情報について、https://github.com/weizhongli/cdhit/wiki/3.-User%27s-Guideを参照されたい)いくつかの実施形態において、cd-hitは以下のコマンド:
cd-hit-i vgene_groups.fa-o clustered_vgene_groups.cdhit-T24-l5-d0-M100000-B0-g1-S1-U1-n5を使用して実行され、vgene_groups.faは、同じ可変遺伝子を有するクローンのCDR3アミノ酸配列のセットからなる。同じクラスター内のクローンは、機能的に同等であると考えられる。
いくつかの実施形態において、パラメータ-Sの値は、0、1、2、または3であり得る。いくつかの実施形態において、パラメータ-Uの値は、0、1、2、または3であり得る。
いくつかの実施形態において、vgene_groups.faは、同じ可変遺伝子を有するクローンのCDR1、2、および3アミノ酸配列のセットからなる。いくつかの実施形態において、vgene_groups.faは、同じ可変遺伝子および同じCDR3長の両方を有するクローンのセットからなる。
【0145】
いくつかの実施形態において、提供される配列分析ワークフローは、ダウンサンプリング分析を含む。免疫レパートリー配列決定およびその後の分析では、ダウンサンプリング分析の使用は、例えば、アッセイにわたる配列決定深度の差による変動を排除するのに役立ち得る。例えば、RNAまたはcDNAの配列決定および分析ワークフローで使用するための例示的なダウンサンプリング分析は、データに以下の手順:a)生産的+救済された生産的読み取りの全セットで開始し、配列読み取りをいくつかの固定された読み取り震度のうちの1つに無作為に下げて取り除くことと、b)読み取りのこのサブセットを使用して、ダウンストリーム計算(例えば、均一性、収斂、多様性、検出されたクローンの数および同一性、ならびにクローン系統を含むがこれらに限定されない二次レパートリー特性のクロノタイピングおよび計算)を行うことと、を適用する。
【0146】
いくつかの実施形態において、ダウンサンプリング分析は、特定の試料が飽和まで配列決定される地点、例えば、追加の読み取りが追加のクローンもしくは系統を特定しないか、または検出されたレパートリーに追加の多様性を加えない地点を特定する。いくつかの実施形態において、ダウンサンプリングは、類似の試料タイプを用いたアッセイ間(3つ以上の試料タイプ)もしくはアッセイ間(2つの試料タイプ)での配列決定震度または多重化の精錬を可能にする。
【0147】
いくつかの実施形態において、提供されるアッセイ方法および組成物によって検出される可変遺伝子対立遺伝子のセットは、ヒト集団内のハプロタイプ群の新規特定のために使用され得る。特定の実施形態において、IgH CDR1、2、および3ヌクレオチド配列を増幅するための複数のV遺伝子特異的プライマーおよび少なくとも1つのC遺伝子特異的プライマーの使用を含む提供されるアッセイ方法および組成物を使用して、対象のBCRレパートリーのIgHハロタイプを特定し得る。例えば、いくつかの実施形態において、表3から選択される複数のV遺伝子FR1プライマーおよび表6~10から選択される少なくとも1つのC遺伝子プライマーを含む少なくとも一組のプライマーを使用する提供される方法および組成物を使用して、対象のBCRレパートリーのIgHハプロタイプを特定し得る。TCRハプロタイプ群の特定のための方法は、2019年3月22日に出願されたPCT出願第PCT/US2019/023731号に記載されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれ、本明細書に提供される方法および組成物と併せて同様に使用して、IgHハプロタイプ群を特定し得る。いくつかの実施形態において、IgH CDR1、2、および3ヌクレオチド配列を増幅および配列決定することによって検出される可変遺伝子対立遺伝子のセットを使用して、試料を、免疫療法後の自己免疫疾患または有害事象のリスクを予測するための多くの手順のうちの一部として、いくつかの既存のハロタイプ群のうちの1つに割り当て得る。試料をハプロタイプ群に、免疫療法後の自己免疫疾患または有害事象のリスクを予測するための手順で割り当てる方法はまた、2019年3月22日に出願されPCT出願第PCT/US2019/023731号に記載されており、参照により本明細書に組み込まれ、例えば、かかるリスクを予測するために、本明細書で提供される方法および組成物と組み合わせて使用して、試料をIgHハプロタイプ群に割り当てることができる。いくつかの実施形態において、提供されるアッセイ方法および組成物を使用して得られるIgH CDR1、2、3配列データを使用して、段階化したIgH遺伝子座ハプロタイプを推測し得る(例えば、Kidd et al.(2012)J.Immunol.188(3):1333-1340)。
【0148】
いくつかの実施形態において、提供される方法は、複数の免疫受容体特異的アンプリコンの調製および形成を含む。いくつかの実施形態において、方法は、複数のV遺伝子特異的プライマーおよび少なくとも1つのC遺伝子特異的プライマーをcDNA分子にハイブリダイズさせることと、プライマー対の第1のプライマー(例えば、V遺伝子特異的プライマー)を伸長させることと、伸長した第1のプライマーをcDNA分子から変性させることと、伸長した第1のプライマー産物に、プライマー対の第2のプライマー(例えば、C遺伝子特異的プライマー)をハイブリダイズさせて第2のプライマーを伸長させることと、標的特異的プライマー対を消化して複数の標的アンプリコンを生成することと、を含む。他の実施形態において、方法は、複数のV遺伝子特異的プライマーおよび複数のJ遺伝子特異的プライマーをcDNA分子にハイブリダイズさせることと、プライマー対の第1のプライマー(例えば、V遺伝子特異的プライマー)を伸長させることと、伸長した第1のプライマーをcDNA分子から変性させることと、伸長した第1のプライマー産物に、プライマー対の第2のプライマー(例えば、J遺伝子特異的プライマー)をハイブリダイズさせて第2のプライマーを伸長させることと、標的特異的プライマー対を消化して複数の標的アンプリコンを生成することと、を含む。いくつかの実施形態において、アダプターは、ニックトランスレーション反応を行う前に、標的アンプリコンの末端に連結させて、核酸配列決定に好適な複数の標的アンプリコンを生成する。いくつかの実施形態において、連結されたアダプターのうちの少なくとも1つは、少なくとも1つのバーコード配列を含む。いくつかの実施形態において、標的アンプリコンの末端に連結された各アダプターは、バーコード配列を含む。いくつかの実施形態において、1つ以上の標的アンプリコンは、ブリッジ増幅、エマルションPCR、または等温増幅を使用して増幅させ、核酸配列決定に好適な複数のクローン鋳型を生成することができる。
【0149】
いくつかの実施形態において、提供される方法は、複数の免疫受容体特異的アンプリコンの調製および形成を含む。いくつかの実施形態において、方法は、複数のV遺伝子特異的プライマーおよび複数のJ遺伝子特異的プライマーをgDNA分子にハイブリダイズさせることと、プライマー対の第1のプライマー(例えば、V遺伝子特異的プライマー)を伸長させることと、伸長した第1のプライマーをgDNA分子から変性させることと、伸長した第1のプライマー産物に、プライマー対の第2のプライマー(例えば、J遺伝子特異的プライマー)をハイブリダイズさせて第2のプライマーを伸長させることと、標的特異的プライマー対を消化して複数の標的アンプリコンを作成することと、を含む。いくつかの実施形態において、アダプターは、ニックトランスレーション反応を行う前に、標的アンプリコンの末端に連結させて、核酸配列決定に好適な複数の標的アンプリコンを生成する。いくつかの実施形態において、連結されたアダプターのうちの少なくとも1つは、少なくとも1つのバーコード配列を含む。いくつかの実施形態において、標的アンプリコンの末端に連結された各アダプターは、バーコード配列を含む。いくつかの実施形態において、1つ以上の標的アンプリコンは、ブリッジ増幅またはエマルションPCRを使用して増幅して、核酸配列決定に好適な複数のクローン鋳型を生成することができる。
【0150】
いくつかの実施形態において、本開示は、標的アンプリコンを配列決定し、配列データを処理して、cDNAが由来する生物学的試料で発現される生産的免疫受容体再配列を特定するための方法を提供する。他の実施形態において、本開示は、標的アンプリコンを配列決定し、配列データを処理して、生物学的試料から生産的免疫受容体遺伝子再配列gDNAを特定するための方法を提供する。J遺伝子指向プライマーを使用して、発現される免疫受容体配列または再配列された免疫受容体gDNA配列を増幅する実施形態において、配列データの処理することは、本明細書に記載されるように、増幅に使用されるJ遺伝子プライマーのヌクレオチド配列ならびに標的化されたJ遺伝子の残りの部分を推測することを含む。いくつかの実施形態において、配列データを処理することは、提供されるエラー特定および修正ステップを行って、救済された生産的配列を生成することを含む。いくつかの実施形態において、提供されるエラー特定および修正ワークフローの使用は、免疫受容体cDNAまたはgDNA試料における配列決定読み取りの少なくとも50%である生産的読み取りおよび救済された生産的読み取りの組み合わせをもたらすことができる。いくつかの実施形態において、提供されるエラー特定および修正ワークフローの使用は、免疫受容体cDNAまたはgDNA試料における配列決定読み取りの少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、または少なくとも95%である、生産的読み取りおよび救済された生産的読み取りの組み合わせをもたらすことができる。いくつかの実施形態において、提供されるエラー特定および修正ワークフローの使用は、免疫受容体cDNAまたはgDNA試料における配列決定読み取りの約50~60%、約60~70%、約70~80%、約80~90%、約50~80%、または約60~90%である生産的読み取りおよび救済された生産的読み取りの組み合わせをもたらすことができる。いくつかの実施形態において、提供されるエラー特定および修正ワークフローの使用は、免疫受容体cDNAまたはgDNA試料における配列決定読み取りの、平均して約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%である生産的読み取りおよび救済された生産的読み取りの組み合わせをもたらすことができる。
【0151】
特定の試料では、提供されるエラー特定および修正ワークフローの使用は、特定の試料が使用される場合、免疫受容体cDNAまたはgDNA試料における配列決定読み取りの50%未満である生産的読み取りおよび救済された生産的読み取りの組み合わせをもたらすことができる。かかる試料には、例えば、RNAまたはgDNAが高度に分解されている、FFPE試料およびcfDNA試料などのもの、ならびに、標的免疫細胞の数が非常に少ない、例えば、非常に少ないB細胞数を有する試料または重度の白血球減少症を経験している対象からの試料などのものが含まれる。したがって、いくつかの実施形態において、提供されるエラー特定および修正ワークフローの使用は、免疫受容体cDNAまたはgDNA試料における配列決定読み取りの約30~50%、約40~50%、約30~40%、約40~60%、少なくとも30%、または少なくとも40%である生産的読み取りおよび救済された生産的読み取りの組み合わせをもたらすことができる。
【0152】
特定の実施形態において、本発明の方法は、プライマーが同じ標的免疫受容体遺伝子、例えば、BCR(免疫グロブリン)およびTCR遺伝子の配列に対するものである、標的免疫受容体プライマーセットの使用を含む。いくつかの実施形態において、免疫受容体は、重鎖アルファ、重鎖デルタ、重鎖イプシロン、重鎖ガンマ、重鎖ミュー、軽鎖カッパ、および軽鎖ラムダからなる群から選択される抗体受容体である。いくつかの実施形態において、T細胞受容体は、TCRアルファ、TCRベータ、TCRガンマ、およびTCRデルタからなる群から選択されるT細胞受容体である。いくつかの実施形態において、本発明の方法は、標的免疫受容体プライマーセットの使用を含み、プライマーセットのうちの少なくとも1つは、BCRの配列に対するものであり、別のプライマーセットは、TCRの配列に対するものであり、試料からのBCRおよびTCR標的核酸の両方が、単一の多重増幅反応で増幅される。
【0153】
特定の実施形態において、試料におけるBCRレパートリーの発現核酸配列の増幅のための方法が提供され、多重増幅反応を行って、定常部分および可変部分を有するBCR核酸鋳型分子を、i)V遺伝子内のフレームワーク領域の少なくとも一部を含む少なくとも1つのBCRコード配列の異なるV遺伝子のうちの大多数に対する複数のV遺伝子プライマー、およびii)BCRコード配列のそれぞれの標的定常遺伝子の少なくとも一部に対する1つ以上のC遺伝子プライマー、の少なくとも1つのセットを使用して増幅させることを含み、同じ標的免疫受容体配列に対するi)およびii)のプライマーの各セットは、IgH、IgL、およびIgKからなる群から選択され、各セットを使用して増幅を行うことは、試料におけるそれぞれの免疫受容体のレパートリー全体を表すアンプリコンをもたらし、それにより、BCRのレパートリーを含む免疫受容体アンプリコンを生成する。特定の実施形態において、i)の1つ以上の複数のV遺伝子プライマーは、フレームワーク領域の約80個のヌクレオチド部分にわたる配列に対するものである。より特定の実施形態において、i)の1つ以上の複数のV遺伝子プライマーは、フレームワーク領域の約50個のヌクレオチド部分にわたる配列に対するものである。
【0154】
特定の実施形態において、試料における免疫受容体レパートリーの発現核酸配列の増幅のための方法が提供され、多重増幅反応を行って、定常部分および可変部分を有するBCR核酸鋳型分子を、i)V遺伝子内のフレームワーク領域1(FR1)の少なくとも一部を含む少なくとも1つのBCRコード配列の異なるV遺伝子のうちの大多数に対する複数のV遺伝子プライマー、およびii)BCRコード配列のそれぞれの標的C遺伝子の少なくとも一部に対する1つ以上のC遺伝子プライマー、の少なくとも1つのセットを使用して増幅させることを含み、同じ標的免疫受容体配列に対するi)およびii)のプライマーの各セットは、IgH、IgL、およびIgKからなる群から選択され、各セットを使用して増幅を行うことは、試料におけるそれぞれの免疫受容体のレパートリー全体を表すアンプリコンをもたらし、それにより、BCRのレパートリーを含む免疫受容体アンプリコンを生成する。特定の実施形態において、i)の1つ以上の複数のV遺伝子プライマーは、フレームワーク領域の約80個のヌクレオチド部分にわたる配列に対するものである。より特定の実施形態において、i)の1つ以上の複数のV遺伝子プライマーは、フレームワーク領域の約50個のヌクレオチド部分にわたる配列に対するものである。いくつかの実施形態において、i)の1つ以上の複数のV遺伝子プライマーは、鋳型分子のフレームワーク領域1の少なくとも一部にアニーリングする。特定の実施形態において、ii)の1つ以上のC遺伝子プライマーは、鋳型分子のC遺伝子部分の少なくとも一部にアニーリングする少なくとも2つのプライマーを含む。いくつかの実施形態において、ii)の1つ以上のC遺伝子プライマーは、各々がIgA、IgD、IgG、IgM、またはIgE鋳型分子のC遺伝子の少なくとも一部にアニーリングする少なくとも2つのプライマーを含む。いくつかの実施形態において、ii)の1つ以上のC遺伝子プライマーは、別個にIgA、IgD、IgG、IgM、およびIgE鋳型分子の各々のC遺伝子の一部に対する少なくとも1つのプライマーを含む。特定の実施形態において、生成されたアンプリコンの少なくとも1つのセットは、BCR発現配列の相補性決定領域CDR1、CDR2、およびCDR3を含む。いくつかの実施形態において、アンプリコンは、長さが約300~約600個のヌクレオチド、または長さが少なくとも約350~約500個のヌクレオチドである。いくつかの実施形態において、方法で使用される核酸鋳型は、生物学的試料から抽出された核酸分子を逆転写することによって生成されるcDNAである。
【0155】
特定の実施形態において、試料におけるBCRレパートリーの配列を提供するための方法が提供され、多重増幅反応を行って、定常部分および可変部分を有するBCR核酸鋳型分子を、i)V遺伝子内のフレームワーク領域1(FR1)の少なくとも一部を含む少なくとも1つのBCRコード配列の異なるV遺伝子のうちの大多数に対する複数のV遺伝子プライマー、およびii)BCRコード配列のそれぞれの標的C遺伝子(複数可)の少なくとも一部に対する1つ以上のC遺伝子プライマーを含む、プライマーの少なくとも1つのセットを使用して増幅させることを含み、同じ標的免疫受容体配列に対するi)およびii)のプライマーの各セットは、IgH、IgL、およびIgKからなる群から選択され、それにより、BCRアンプリコン分子を生成する。次に、得られたBCRアンプリコン分子の配列決定が行われ、それによって決定されたBCRアンプリコン分子の配列が、試料におけるBCRレパートリーの配列を提供する。特定の実施形態において、BCRアンプリコン分子の配列を決定することは、初期配列読み取りを得ることと、初期配列読み取りを参照配列に整列させて生産的読み取りを特定することと、1つ以上のインデルエラーを修正して救済された生産的配列読み取りを生成することと、得られたBCR分子の配列を決定することと、を含む。特定の実施形態において、生産的読み取りと救済された生産的読み取りとの組み合わせは、BCRにおける配列決定読み取りの少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、または少なくとも75%である。追加の実施形態において、方法は、配列読み取りクラスタリングおよびBCRクロノタイプ報告をさらに含む。いくつかの実施形態において、特定された免疫レパートリーの配列は、IMGTデータベースの同時期または最新のバージョンと比較され、そのIMGTデータベースに存在しない少なくとも1つの対立遺伝子変異体の配列が特定される。いくつかの実施形態において、平均配列読み取り長は、読み取り長における任意のバーコード配列の包含に部分的に応じて、300~600個のヌクレオチドであり、または350~550個のヌクレオチドであり、または330から425個のヌクレオチドであり、または約350~約425個のヌクレオチドである。特定の実施形態において、配列決定されたアンプリコンのうちの少なくとも1つのセットは、BCR発現配列の相補性決定領域CDR1、CDR2、およびCDR3を含む。
【0156】
いくつかの実施形態において、提供される方法は、V遺伝子プライマーを含む標的BCRプライマーセットを利用し、複数のV遺伝子プライマーのうちの1つ以上は、長さ約70個のヌクレオチドのFR1領域にわたる配列に対するものである。他の特定の実施形態において、複数のV遺伝子プライマーのうちの1つ以上は、長さが約50個のヌクレオチドのFR1領域にわたる配列に対するものである。特定の実施形態において、標的BCRプライマーセットは、約18~約45種類の異なるFR1指向プライマーを含むV遺伝子プライマーを含む。いくつかの実施形態において、標的BCRプライマーセットは、約22~約35種類の異なるFR1指向プライマーを含むV遺伝子プライマーを含む。いくつかの実施形態において、標的BCRプライマーセットは、約25~約35種類の異なるFR1指向プライマーを含むV遺伝子プライマーを含む。特定の実施形態において、標的BCRプライマーセットは、約40~約65種類の異なるFR1指向プライマーを含むV遺伝子プライマーを含む。いくつかの実施形態において、標的BCRプライマーセットは、約48~約60種類の異なるFR1指向プライマーを含むV遺伝子プライマーを含む。いくつかの実施形態において、標的BCRプライマーセットは、1つ以上のC遺伝子プライマーを含む。特定の実施形態において、標的免疫受容体プライマーセットは、少なくとも5~約15種類のC遺伝子プライマーを含み、各々は、標的C遺伝子の各々内の同じ50個のヌクレオチド領域の少なくとも一部に対するものである。特定の実施形態において、標的免疫受容体プライマーセットは、少なくとも2~約8種類のC遺伝子プライマーを含み、各々は、標的C遺伝子の各々内の同じ50個のヌクレオチド領域の少なくとも一部に対するものである。いくつかの実施形態において、標的BCRプライマーセットは、異なるIgアイソタイプ分子、例えば、IgA、IgD、IgG、IgM、およびIgEに対する2種類以上のC遺伝子プライマーを含む。いくつかの実施形態において、標的BCRプライマーセットは、各プライマーが異なるIgアイソタイプ分子のC遺伝子に対するものである少なくとも5種類のC遺伝子プライマーを含む。
【0157】
特定の実施形態において、本発明の方法は、それぞれ表3および表6~10から選択されるV遺伝子プライマーi)およびC遺伝子プライマーii)を含むプライマーの少なくとも1つのセットの使用を含む。特定の実施形態において、本発明の方法は、プライマーi)およびii)の少なくとも1つのセットの使用を含み、それぞれ表3から選択される約15~約35種類のプライマーおよび表6~10から選択される約5~約20種類のプライマーを含む。いくつかの実施形態において、提供される方法は、i)表3から選択される約22~約35種類のプライマー、およびii)表6~10の各々から選択される1つ以上のプライマーを含む、プライマーの少なくとも1つのセットの使用を含む。特定の実施形態において、本発明の方法は、プライマーi)およびii)の少なくとも1つのセットの使用を含み、それぞれ表3から選択される約40~約65種類のプライマーおよび表6~10から選択される約5~約20種類のプライマーを含む。いくつかの実施形態において、提供される方法は、i)表3から選択される約48~約60種類のプライマー、およびii)表6~10の各々から選択される1つ以上のプライマーを含む、プライマーの少なくとも1つのセットの使用を含む。他の特定の実施形態において、本発明の方法は、i)配列番号137~283から選択されるプライマー、およびii)配列番号448~459、472~479、488~513、540~551、および564~582から選択されるプライマーを含む、プライマーの少なくとも1つのセットの使用を含む。他の実施形態において、提供される方法は、i)配列番号284~430から選択されるプライマー、およびii)配列番号460~471、480~487、514~539、552~563、および583~601から選択されるプライマーを含む、プライマーの少なくとも1つのセットの使用を含む。いくつかの実施形態において、本発明の方法は、i)配列番号137~283から選択されるプライマー、ならびにii)配列番号460~471、480~487、514~539、552~563、および583~601から選択されるプライマーを含むか、またはi)配列番号284~430から選択されるプライマーおよびii)配列番号448~459、472~479、488~513、540~551、および564~582から選択されるプライマーを含む、プライマーの少なくとも1つのセットの使用を含む。
【0158】
いくつかの実施形態において、本発明の方法は、プライマーi)およびii)の少なくとも1つのセットの使用を含み、配列番号137~283から選択される少なくとも20または少なくとも25種類のプライマー、ならびに配列番号448~459、472~479、488~513、540~551、および564~582から選択される少なくとも1種類のプライマーを含む。いくつかの実施形態において、提供される方法は、プライマーi)およびii)の少なくとも1つのセットの使用を含み、配列番号137~283から選択される約15~約35種類のプライマーならびに配列番号448~459、472~479、488~513、540~551、および564~582から選択される約5~約15種類のプライマーを含む。いくつかの実施形態において、提供される方法は、i)配列番号137~283から選択される約22~約35種類のプライマー、ならびにii)配列番号448~459から選択される少なくとも1つのプライマー、配列番号472~479から選択される少なくとも1つのプライマー、配列番号488~513から選択される少なくとも1つのプライマー、配列番号540~551から選択される少なくとも1つのプライマー、および配列番号564~582から選択される少なくとも1つのプライマーを含む、プライマーの少なくとも1つのセットの使用を含む。他の実施形態において、本発明の方法は、プライマーi)およびii)の少なくとも1つのセットの使用を含み、配列番号284~430から選択される少なくとも20または少なくとも25種類のプライマー、ならびに配列番号460~471、480~487、514~539、552~563、および583~601から選択される少なくとも1種類のプライマーを含む。いくつかの実施形態において、提供される方法は、プライマーi)およびii)の少なくとも1つのセットの使用を含み、配列番号284~430から選択される約15~約35種類のプライマーならびに配列番号460~471、480~487、514~539、552~563、および583~601から選択される約5~約15種類のプライマーを含む。いくつかの実施形態において、提供される方法は、i)配列番号284~430から選択される約22~約35種類のプライマー、ならびにii)配列番号460~471から選択される少なくとも1つのプライマー、配列番号480~487から選択される少なくとも1つのプライマー、配列番号514~539から選択される少なくとも1つのプライマー、配列番号552~563から選択される少なくとも1つのプライマー、および配列番号583~601から選択される少なくとも1つのプライマーを含む、プライマーの少なくとも1つのセットの使用を含む。いくつかの実施形態において、本発明の方法は、プライマーi)およびii)の少なくとも1つのセットの使用を含み、配列番号284~430から選択される少なくとも20または少なくとも25種類のプライマー、ならびに配列番号448~459、472~479、488~513、540~551、および564~582から選択される少なくとも1種類のプライマーを含む。他の実施形態において、本発明の方法は、プライマーi)およびii)の少なくとも1つのセットの使用を含み、配列番号137~283から選択される少なくとも20または少なくとも25種類のプライマー、ならびに配列番号460~471、480~487、514~539、552~563、および583~601から選択される少なくとも1種類のプライマーを含む。
【0159】
いくつかの実施形態において、本発明の方法は、プライマーi)およびii)の少なくとも1つのセットの使用を含み、配列番号137~283から選択される少なくとも40または少なくとも50種類のプライマー、ならびに配列番号448~459、472~479、488~513、540~551、および564~582から選択される少なくとも1種類のプライマーを含む。いくつかの実施形態において、提供される方法は、プライマーi)およびii)の少なくとも1つのセットの使用を含み、配列番号137~283から選択される約40~約65種類のプライマーならびに配列番号448~459、472~479、488~513、540~551、および564~582から選択される約5~約15種類のプライマーを含む。いくつかの実施形態において、提供される方法は、i)配列番号137~283から選択される約48~約60種類のプライマー、ならびにii)配列番号448~459から選択される少なくとも1つのプライマー、配列番号472~479から選択される少なくとも1つのプライマー、配列番号488~513から選択される少なくとも1つのプライマー、配列番号540~551から選択される少なくとも1つのプライマー、および配列番号564~582から選択される少なくとも1つのプライマーを含む、プライマーの少なくとも1つのセットの使用を含む。他の実施形態において、本発明の方法は、プライマーi)およびii)の少なくとも1つのセットの使用を含み、配列番号284~430から選択される少なくとも40または少なくとも50種類のプライマー、ならびに配列番号460~471、480~487、514~539、552~563、および583~601から選択される少なくとも1種類のプライマーを含む。いくつかの実施形態において、提供される方法は、プライマーi)およびii)の少なくとも1つのセットの使用を含み、配列番号284~430から選択される約40~約65種類のプライマーならびに配列番号460~471、480~487、514~539、552~563、および583~601から選択される約5~約15種類のプライマーを含む。いくつかの実施形態において、提供される方法は、i)配列番号284~430から選択される約48~約60種類のプライマー、ならびにii)配列番号460~471から選択される少なくとも1つのプライマー、配列番号480~487から選択される少なくとも1つのプライマー、配列番号514~539から選択される少なくとも1つのプライマー、配列番号552~563から選択される少なくとも1つのプライマー、および配列番号583~601から選択される少なくとも1つのプライマーを含む、プライマーの少なくとも1つのセットの使用を含む。いくつかの実施形態において、本発明の方法は、プライマーi)およびii)の少なくとも1つのセットの使用を含み、配列番号284~430から選択される少なくとも40または少なくとも50種類のプライマー、ならびに配列番号448~459、472~479、488~513、540~551、および564~582から選択される少なくとも1種類のプライマーを含む。他の実施形態において、本発明の方法は、プライマーi)およびii)の少なくとも1つのセットの使用を含み、配列番号137~283から選択される少なくとも40または少なくとも50種類のプライマー、ならびに配列番号460~471、480~487、514~539、552~563、および583~601から選択される少なくとも1種類のプライマーを含む。
【0160】
特定の実施形態において、試料におけるBCRの発現核酸配列の増幅のための方法が提供され、多重増幅反応を行って、定常部分および可変部分を有するBCR核酸鋳型分子を、i)V遺伝子内のフレームワーク領域3(FR3)の少なくとも一部を含む少なくとも1つのBCRコード配列の異なるV遺伝子のうちの大多数に対する複数のV遺伝子プライマー、およびii)BCRコード配列のそれぞれの標的C遺伝子の少なくとも一部に対する1つ以上のC遺伝子プライマー、のうちの少なくとも1つのセットを使用して増幅させることを含み、同じ標的免疫受容体配列に対するi)およびii)のプライマーの各セットは、IgH、IgL、およびIgKからなる群から選択され、各セットを使用して増幅を行うことは、試料におけるそれぞれの免疫受容体のレパートリー全体を表すアンプリコンをもたらし、それにより、BCRレパートリーを含む免疫受容体アンプリコンを生成する。特定の実施形態において、i)の1つ以上の複数のV遺伝子プライマーは、フレームワーク領域の約80個のヌクレオチド部分にわたる配列に対するものである。より特定の実施形態において、i)の1つ以上の複数のV遺伝子プライマーは、フレームワーク領域の約50個のヌクレオチド部分にわたる配列に対するものである。より特定の実施形態において、i)の1つ以上の複数のV遺伝子プライマーは、フレームワーク領域の約40~約60個のヌクレオチド部分にわたる配列に対するものである。いくつかの実施形態において、i)の1つ以上の複数のV遺伝子プライマーは、鋳型分子のフレームワーク3領域の少なくとも一部にアニーリングする。特定の実施形態において、ii)の1つ以上のC遺伝子プライマーは、BCR鋳型分子のC遺伝子部分の少なくとも一部にアニーリングする少なくとも2つのプライマーを含む。いくつかの実施形態において、ii)の1つ以上のC遺伝子プライマーは、各々がIgA、IgD、IgG、IgM、またはIgE鋳型分子のC遺伝子の少なくとも一部にアニーリングする少なくとも2つのプライマーを含む。いくつかの実施形態において、ii)の1つ以上のC遺伝子プライマーは、別個にIgA、IgD、IgG、IgM、およびIgE鋳型分子の各々のC遺伝子の一部に対する少なくとも1つのプライマーを含む。特定の実施形態において、生成されたアンプリコンの少なくとも1つのセットは、BCR発現配列の相補性決定領域CDR3を含む。いくつかの実施形態において、アンプリコンは、長さが約80~約200個のヌクレオチド、長さが約80~約140個のヌクレオチド、長さが約90~約130個のヌクレオチド、または長さが少なくとも約100~約120個のヌクレオチドである。いくつかの実施形態において、方法で使用される核酸鋳型は、生物学的試料から抽出された核酸分子を逆転写することによって生成されるcDNAである。
【0161】
特定の実施形態において、試料におけるBCRレパートリーの配列を提供するための方法が提供され、多重増幅反応を行って、定常部分および可変部分を有するBCR核酸鋳型分子を、i)V遺伝子内のフレームワーク領域3(FR3)の少なくとも一部を含む少なくとも1つのBCRコード配列の異なるV遺伝子のうちの大多数に対する複数のV遺伝子プライマー、およびii)BCRコード配列のそれぞれの標的C遺伝子(複数可)の少なくとも一部に対する1つ以上のC遺伝子プライマーを含む、プライマーの少なくとも1つのセットを使用して増幅させることを含み、同じ標的免疫受容体配列に対するi)およびii)のプライマーの各セットは、IgH、IgL、およびIgKからなる群から選択され、それにより、BCRアンプリコン分子を生成する。次に、得られるBCRアンプリコン分子の配列決定が行われ、それによって決定されたBCRアンプリコン分子の配列が、試料におけるBCRの配列を提供する。特定の実施形態において、BCRアンプリコン分子の配列を決定することは、初期配列読み取りを得ることと、初期配列読み取りを参照配列に整列させて生産的読み取りを特定することと、1つ以上のインデルエラーを修正して救済された生産的配列読み取りを生成することと、得られたBCR分子の配列を決定することと、を含む。特定の実施形態において、生産的読み取りと救済された生産的読み取りとの組み合わせは、BCRにおける配列決定読み取りの少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、または少なくとも75%である。追加の実施形態において、方法は、配列読み取りクラスタリングおよびBCRクロノタイプ報告をさらに含む。いくつかの実施形態において、特定されたBCRレパートリーの配列は、IMGTデータベースの同時期または最新のバージョンと比較され、そのIMGTデータベースに存在しない少なくとも1つの対立遺伝子変異体の配列が特定される。いくつかの実施形態において、平均配列読み取り長は、読み取り長における任意のバーコード配列の包含に部分的に応じて、80~185個のヌクレオチドであり、または115~200個のヌクレオチドであり、または90~130個のヌクレオチドであり、または約100~約120個のヌクレオチドである。特定の実施形態において、配列決定されたアンプリコンのうちの少なくとも1つのセットは、BCR発現配列の相補性決定領域CDR3を含む。
【0162】
特定の実施形態において、提供される方法は、V遺伝子プライマーを含む標的BCRプライマーセットを利用し、複数のV遺伝子プライマーのうちの1つ以上は、長さ約70個のヌクレオチドのFR3領域にわたる配列に対するものである。特定の実施形態において、提供される方法は、V遺伝子プライマーを含む標的BCRプライマーセットを利用し、複数のV遺伝子プライマーのうちの1つ以上は、長さ約50個のヌクレオチドのFR3領域にわたる配列に対するものである。他の特定の実施形態において、複数のV遺伝子プライマーのうちの1つ以上は、長さが約40~約60個のヌクレオチドのFR3領域にわたる配列に対するものである。特定の実施形態において、標的BCRプライマーセットは、約50~約85種類の異なるFR3指向プライマーを含むV遺伝子プライマーを含む。特定の実施形態において、標的BCRプライマーセットは、約55~約80種類の異なるFR3指向プライマーを含むV遺伝子プライマーを含む。いくつかの実施形態において、標的免疫受容体プライマーセットは、約62~約75種類の異なるFR3指向プライマーを含むV遺伝子プライマーを含む。いくつかの実施形態において、標的BCRプライマーセットは、約65、66、67、68、69、または約70種類の異なるFR3指向プライマーを含むV遺伝子プライマーを含む。いくつかの実施形態において、標的BCRプライマーセットは、1つ以上のC遺伝子プライマーを含む。特定の実施形態において、標的免疫受容体プライマーセットは、少なくとも5~約15種類のC遺伝子プライマーを含み、各々は、標的C遺伝子の各々内の同じ50個のヌクレオチド領域の少なくとも一部に対するものである。特定の実施形態において、標的BCRプライマーセットは、少なくとも2~約8種類のC遺伝子プライマーを含み、各々は、標的C遺伝子の各々内の同じ50個のヌクレオチド領域の少なくとも一部に対するものである。いくつかの実施形態において、ii)の1つ以上のC遺伝子プライマーは、各々がIgA、IgD、IgG、IgM、またはIgE鋳型分子のC遺伝子の少なくとも一部にアニーリングする少なくとも2つのプライマーを含む。いくつかの実施形態において、ii)の1つ以上のC遺伝子プライマーは、別個にIgA、IgD、IgG、IgM、およびIgE鋳型分子の各々のC遺伝子の一部に対する少なくとも1つのプライマーを含む。
【0163】
特定の実施形態において、本発明の方法は、それぞれ表2および表6~10から選択されるV遺伝子プライマーi)およびC遺伝子プライマーii)を含むプライマーの少なくとも1つのセットの使用を含む。特定の実施形態において、本発明の方法は、プライマーi)およびii)の少なくとも1つのセットの使用を含み、それぞれ表2から選択される約55~約80種類のプライマーおよび表6~10から選択される約5~約20種類のプライマーを含む。いくつかの実施形態において、提供される方法は、i)表2から選択される約62~約75種類のプライマー、およびii)表6~10の各々から選択される1つ以上のプライマーを含む、プライマーの少なくとも1つのセットの使用を含む。他の特定の実施形態において、本発明の方法は、プライマーi)およびii)の少なくとも1つのセットの使用を含み、配列番号1~68、ならびに448~459、472~479、488~513、540~551、および564~582から選択されるか、または配列番号69~136、ならびに460~471、480~487、514~539、552~563、および583~601から選択されるプライマーを含む。いくつかの実施形態において、本発明の方法は、プライマーi)およびii)の少なくとも1つのセットの使用を含み、配列番号1~68、ならびに460~471、480~487、514~539、552~563、および583~601から選択されるか、または配列番号69~136、ならびに448~459、472~479、488~513、540~551、および564~582から選択されるプライマーを含む。
【0164】
いくつかの実施形態において、本発明の方法は、プライマーi)およびii)の少なくとも1つのセットの使用を含み、配列番号1~68から選択される少なくとも60種類のプライマー、ならびに配列番号448~459、472~479、488~513、540~551、および564~582から選択される少なくとも1種類のプライマーを含む。いくつかの実施形態において、提供される方法は、プライマーi)およびii)の少なくとも1つのセットの使用を含み、配列番号1~68から選択される少なくとも60種類のプライマーならびに配列番号448~459、472~479、488~513、540~551、および564~582から選択される約5~約15種類のプライマーを含む。いくつかの実施形態において、提供される方法は、プライマーi)およびii)の少なくとも1つのセットの使用を含み、配列番号1~68から選択される少なくとも60種類のプライマー、ならびに配列番号448~459から選択される少なくとも1つのプライマー、配列番号472~479から選択される少なくとも1つのプライマー、配列番号488~513から選択される少なくとも1つのプライマー、配列番号540~551から選択される少なくとも1つのプライマー、および配列番号564~582から選択される少なくとも1つのプライマーを含む。他の実施形態において、本発明の方法は、プライマーi)およびii)の少なくとも1つのセットの使用を含み、配列番号1~136から選択される少なくとも60種類のプライマー、ならびに配列番号460~471、480~487、514~539、552~563、および583~601から選択される少なくとも1種類のプライマーを含む。いくつかの実施形態において、提供される方法は、プライマーi)およびii)の少なくとも1つのセットの使用を含み、配列番号69~136から選択される少なくとも60種類のプライマーならびに配列番号460~471、480~487、514~539、552~563、および583~601から選択される約5~約15種類のプライマーを含む。いくつかの実施形態において、提供される方法は、プライマーi)およびii)の少なくとも1つのセットの使用を含み、配列番号69~136から選択される少なくとも60種類のプライマー、ならびに配列番号460~471から選択される少なくとも1つのプライマー、配列番号480~487から選択される少なくとも1つのプライマー、配列番号514~539から選択される少なくとも1つのプライマー、配列番号552~563から選択される少なくとも1つのプライマー、および配列番号583~601から選択される少なくとも1つのプライマーを含む。いくつかの実施形態において、本発明の方法は、プライマーi)およびii)の少なくとも1つのセットの使用を含み、配列番号1~68から選択される少なくとも60種類のプライマー、ならびに配列番号460~471、480~487、514~539、552~563、および583~601から選択される少なくとも1種類のプライマーを含む。他の実施形態において、本発明の方法は、プライマーi)およびii)の少なくとも1つのセットの使用を含み、配列番号69~136から選択される少なくとも60種類のプライマー、ならびに配列番号448~459、472~479、488~513、540~551、および564~582から選択される少なくとも1種類のプライマーを含む。
【0165】
特定の実施形態において、試料におけるBCRの発現核酸配列の増幅のための方法が提供され、多重増幅反応を行って、定常部分およびV遺伝子部分を有するBCR核酸鋳型分子を、i)V遺伝子内のフレームワーク領域2(FR2)の少なくとも一部を含む少なくとも1つのBCRコード配列の異なるV遺伝子のうちの大多数に対する複数のV遺伝子プライマー、およびii)それぞれのBCRコード配列のC遺伝子の少なくとも一部に対する1つ以上のC遺伝子プライマー、のうちの少なくとも1つのセットを使用して増幅させることを含み、同じ標的免疫受容体配列に対するi)およびii)のプライマーの各セットは、IgH、IgL、およびIgKからなる群から選択され、各セットを使用して増幅を行うことは、試料におけるそれぞれの免疫受容体のレパートリー全体を表すアンプリコンをもたらし、それにより、BCRレパートリーを含むアンプリコンを生成する。特定の実施形態において、i)の1つ以上の複数のV遺伝子プライマーは、フレームワーク領域の約80個のヌクレオチド部分にわたる配列に対するものである。より特定の実施形態において、i)の1つ以上の複数のV遺伝子プライマーは、フレームワーク領域の約50個のヌクレオチド部分にわたる配列に対するものである。いくつかの実施形態において、i)の1種類以上の複数のV遺伝子プライマーは、BCR鋳型分子のFR2領域の少なくとも一部にアニーリングする。特定の実施形態において、ii)の1つ以上のC遺伝子プライマーは、BCR鋳型分子の定常部分C遺伝子部分の少なくとも一部にアニーリングする少なくとも2つのプライマーを含む。いくつかの実施形態において、ii)の1つ以上のC遺伝子プライマーは、各々がIgA、IgD、IgG、IgM、またはIgE鋳型分子のC遺伝子の少なくとも一部にアニーリングする少なくとも2つのプライマーを含む。いくつかの実施形態において、ii)の1つ以上のC遺伝子プライマーは、別個にIgA、IgD、IgG、IgM、およびIgE鋳型分子の各々のC遺伝子の一部に対する少なくとも1つのプライマーを含む。特定の実施形態において、生成されたアンプリコンの少なくとも1つのセットは、BCR発現配列の相補性決定領域CDR2およびCDR3を含む。いくつかの実施形態において、アンプリコンは、長さが約180~約375個のヌクレオチド、約200~約350個のヌクレオチド、約225~約325個のヌクレオチド、または長さが約250~約300ヌクレオチドである。いくつかの実施形態において、方法で使用される核酸鋳型は、生物学的試料から抽出された核酸分子を逆転写することによって生成されるcDNAである。
【0166】
特定の実施形態において、試料におけるBCRレパートリーの配列を提供するための方法が提供され、多重増幅反応を行って、定常部分および可変部分を有するBCR核酸鋳型分子を、i)V遺伝子内のFR2の少なくとも一部を含む少なくとも1つのBCRコード配列の異なるV遺伝子のうちの大多数に対する複数のV遺伝子プライマー、およびii)BCRコード配列のそれぞれの標的C遺伝子の少なくとも一部に対する1つ以上のC遺伝子プライマーを含む、プライマーの少なくとも1つのセットを使用して増幅させることを含み、同じ標的免疫受容体配列に対するi)およびii)のプライマーの各セットは、IgH、IgL、およびIgKからなる群から選択され、それにより、BCRアンプリコン分子を生成する。次に、得られるBCRアンプリコン分子の配列決定が行われ、それによって決定されたBCRアンプリコン分子の配列が、試料におけるBCRレパートリーの配列を提供する。特定の実施形態において、BCRアンプリコン分子の配列を決定することは、初期配列読み取りを得ることと、初期配列読み取りを参照配列に整列させて生産的読み取りを特定することと、1つ以上のインデルエラーを修正して救済された生産的配列読み取りを生成することと、得られたBCR分子の配列を決定することと、を含む。特定の実施形態において、生産的読み取りと救済された生産的読み取りとの組み合わせは、BCRにおける配列決定読み取りの少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、または少なくとも75%である。追加の実施形態において、方法は、配列読み取りクラスタリングおよびBCRクロノタイプ報告をさらに含む。いくつかの実施形態において、特定された免疫レパートリーの配列は、IMGTデータベースの同時期または最新のバージョンと比較され、そのIMGTデータベースに存在しない少なくとも1つの対立遺伝子変異体の配列が特定される。いくつかの実施形態において、平均配列読み取り長は、読み取り長における任意のバーコード配列の包含に部分的に応じて、約200~約375個のヌクレオチド、約250~約350個のヌクレオチド、または約275~約350個のヌクレオチドである。特定の実施形態において、配列決定されたアンプリコンの少なくとも1つのセットは、BCR発現配列の相補性決定領域CDR2およびCDR3を含む。
【0167】
特定の実施形態において、提供される方法は、V遺伝子プライマーを含む標的BCRプライマーセットを利用し、複数のV遺伝子プライマーのうちの1つ以上は、長さ約70個のヌクレオチドのFR2領域にわたる配列に対するものである。他の特定の実施形態において、複数のV遺伝子プライマーのうちの1つ以上は、長さが約50個のヌクレオチドのFR2領域にわたる配列に対するものである。特定の実施形態において、標的BCRプライマーセットは、約4~約20種類の異なるFR2指向プライマーを含むV遺伝子プライマーを含む。いくつかの実施形態において、標的BCRプライマーセットは、約5~約15種類の異なるFR2指向プライマーを含むV遺伝子プライマーを含む。いくつかの実施形態において、標的BCRプライマーセットは、約5、6、7、8、9、10、11、または12種類の異なるFR2指向プライマーを含むV遺伝子プライマーを含む。いくつかの実施形態において、標的BCRプライマーセットは、1つ以上のC遺伝子プライマーを含む。特定の実施形態において、標的免疫受容体プライマーセットは、少なくとも5~約15種類のC遺伝子プライマーを含み、各々は、標的C遺伝子の各々内の同じ50個のヌクレオチド領域の少なくとも一部に対するものである。特定の実施形態において、標的BCRプライマーセットは、少なくとも2~約8種類のC遺伝子プライマーを含み、各々は、標的C遺伝子の各々内の同じ50個のヌクレオチド領域の少なくとも一部に対するものである。いくつかの実施形態において、ii)の1つ以上のC遺伝子プライマーは、各々がIgA、IgD、IgG、IgM、またはIgE鋳型分子のC遺伝子の少なくとも一部にアニーリングする少なくとも2つのプライマーを含む。いくつかの実施形態において、ii)の1つ以上のC遺伝子プライマーは、別個にIgA、IgD、IgG、IgM、およびIgE鋳型分子の各々のC遺伝子の一部に対する少なくとも1つのプライマーを含む。
【0168】
特定の実施形態において、本発明の方法は、それぞれ表4および表6~10から選択されるV遺伝子プライマーi)およびC遺伝子プライマーii)を含むプライマーの少なくとも1つのセットの使用を含む。特定の他の実施形態において、本発明の方法は、プライマーi)およびii)の少なくとも1つのセットの使用を含み、配列番号431~437、ならびに448~459、472~479、488~513、540~551、および564~582から選択されるプライマーを含む。他の実施形態において、本発明の方法は、配列番号431~437、ならびに460~471、480~487、514~539、552~563、および583~601から選択されるプライマーを含む。いくつかの実施形態において、本発明の方法は、プライマーi)およびii)の少なくとも1つのセットの使用を含み、配列番号431~437から選択される少なくとも5種類のプライマー、ならびに配列番号448~459、472~479、488~513、540~551、および564~582から選択される少なくとも1種類のプライマーを含む。いくつかの実施形態において、提供される方法は、プライマーi)およびii)の少なくとも1つのセットの使用を含み、配列番号431~437から選択される少なくとも5種類のプライマー、ならびに配列番号448~459から選択される少なくとも1つのプライマー、配列番号472~479から選択される少なくとも1つのプライマー、配列番号488~513から選択される少なくとも1つのプライマー、配列番号540~551から選択される少なくとも1つのプライマー、および配列番号564~582から選択される少なくとも1つのプライマーを含む。他の実施形態において、本発明の方法は、プライマーi)およびii)の少なくとも1つのセットの使用を含み、配列番号431~437から選択される少なくとも5種類のプライマー、ならびに配列番号460~471、480~487、514~539、552~563、および583~601から選択される少なくとも1種類のプライマーを含む。いくつかの実施形態において、提供される方法は、プライマーi)およびii)の少なくとも1つのセットの使用を含み、配列番号431~437から選択される少なくとも5種類のプライマー、ならびに配列番号460~471から選択される少なくとも1つのプライマー、配列番号480~487から選択される少なくとも1つのプライマー、配列番号514~539から選択される少なくとも1つのプライマー、配列番号552~563から選択される少なくとも1つのプライマー、および配列番号583~601から選択される少なくとも1つのプライマーを含む。
【0169】
特定の実施形態において、試料におけるBCRレパートリーの発現核酸配列の増幅のための方法が提供され、多重増幅反応を行って、J遺伝子部分およびV遺伝子部分を有するBCR核酸鋳型分子を、i)V遺伝子内のフレームワーク領域の少なくとも一部を含むBCRコード配列の異なるV遺伝子のうちの大多数に対する複数のV遺伝子プライマー、およびii)それぞれの標的免疫受容体コード配列の異なるJ遺伝子のうちの大多数に対する複数のJ遺伝子プライマー、のうちの少なくとも1つのセットを使用して増幅させることを含み、同じ標的免疫受容体配列に対するi)およびii)のプライマーの各セットは、IgH、IgL、およびIgKからなる群から選択され、各セットを使用して増幅を行うことは、試料におけるそれぞれの免疫受容体のレパートリー全体を表すアンプリコンをもたらし、それにより、BCRのレパートリーを含むアンプリコンを生成する。特定の実施形態において、i)の1つ以上の複数のV遺伝子プライマーは、フレームワーク領域の約80個のヌクレオチド部分にわたる配列に対するものである。より特定の実施形態において、i)の1つ以上の複数のV遺伝子プライマーは、フレームワーク領域の約50個のヌクレオチド部分にわたる配列に対するものである。特定の実施形態において、ii)の1つ以上の複数のJ遺伝子プライマーは、J遺伝子の約50個のヌクレオチド部分にわたる配列に対するものである。より特定の実施形態において、ii)の1つ以上の複数のJ遺伝子プライマーは、J遺伝子の約30個のヌクレオチド部分にわたる配列に対するものである。特定の実施形態において、ii)の1つ以上の複数のJ遺伝子プライマーは、完全にJ遺伝子内の配列に対するものである。
【0170】
特定の実施形態において、試料におけるBCRレパートリーの発現核酸配列の増幅のための方法が提供され、多重増幅反応を行って、J遺伝子部分およびV遺伝子部分を有するBCR核酸鋳型分子を、i)V遺伝子内のフレームワーク領域3(FR3)の少なくとも一部を含む少なくとも1つのBCRコード配列の異なるV遺伝子のうちの大多数に対する複数のV遺伝子プライマー、およびii)それぞれの標的BCRコード配列の異なるJ遺伝子のうちの大多数に対する複数のJ遺伝子プライマー、のうちの少なくとも1つのセットを使用して増幅させることを含み、同じ標的免疫受容体配列に対するi)およびii)のプライマーの各セットは、IgH、IgL、およびIgKからなる群から選択され、各セットを使用して増幅を行うことは、試料におけるそれぞれの免疫受容体のレパートリー全体を表すアンプリコンをもたらし、それにより、BCRのレパートリーを含むBCRアンプリコンを生成する。特定の実施形態において、i)の1つ以上の複数のV遺伝子プライマーは、フレームワーク領域の約80個のヌクレオチド部分にわたる配列に対するものである。より特定の実施形態において、i)の1つ以上の複数のV遺伝子プライマーは、フレームワーク領域の約50個のヌクレオチド部分にわたる配列に対するものである。より特定の実施形態において、i)の1つ以上の複数のV遺伝子プライマーは、フレームワーク領域の約40~約60個のヌクレオチド部分にわたる配列に対するものである。いくつかの実施形態において、i)の1つ以上の複数のV遺伝子プライマーは、鋳型分子のフレームワーク3領域の少なくとも一部にアニーリングする。特定の実施形態において、ii)の複数のJ遺伝子プライマーは、鋳型分子のJ遺伝子部分の少なくとも一部にアニーリングする少なくとも2つのプライマーを含む。いくつかの実施形態において、ii)の複数のJ遺伝子プライマーは、鋳型分子のJ遺伝子部分の少なくとも一部にアニーリングする少なくとも2~約8種類のプライマーを含む。いくつかの実施形態において、ii)の複数のJ遺伝子プライマーは、鋳型分子のJ遺伝子部分の少なくとも一部にアニーリングする約4種類のプライマーを含む。いくつかの実施形態において、ii)の複数のJ遺伝子プライマーは、鋳型分子のJ遺伝子部分の少なくとも一部にアニーリングする約3~約6種類のプライマーを含む。特定の実施形態において、生成されたアンプリコンの少なくとも1つのセットは、BCR発現配列の相補性決定領域CDR3を含む。いくつかの実施形態において、アンプリコンは、長さが約60~約160個のヌクレオチド、長さが約70~約100個のヌクレオチド、長さが約100~約120個のヌクレオチド、長さが少なくとも約70~約90個のヌクレオチド、長さが約80~約90個のヌクレオチド、または長さ約80個のヌクレオチドである。いくつかの実施形態において、方法で使用される核酸鋳型は、生物学的試料から抽出された核酸分子を逆転写することによって生成されるcDNAである。
【0171】
特定の実施形態において、試料におけるBCRレパートリーの配列を提供するための方法が提供され、多重増幅反応を行って、J遺伝子部分およびV遺伝子部分を有するBCR核酸鋳型分子を、i)V遺伝子内のフレームワーク領域3(FR3)の少なくとも一部を含む少なくとも1つのBCRコード配列の異なるV遺伝子のうちの大多数に対する複数のV遺伝子プライマー、およびii)それぞれの標的免疫受容体コード配列の異なるJ遺伝子のうちの大多数に対する複数のJ遺伝子プライマーを含む、プライマーの少なくとも1つのセットを使用して増幅させることを含み、同じ標的免疫受容体配列に対するi)およびii)のプライマーの各セットは、IgH、IgL、およびIgKからなる群から選択され、それにより、BCRアンプリコン分子を生成する。次に、得られるBCRアンプリコン分子の配列決定が行われ、それによって決定された免疫受容体アンプリコン分子の配列が、試料におけるBCRレパートリーの配列を提供する。いくつかの実施形態において、BCRアンプリコン分子の配列を決定することは、初期配列読み取りを得ることと、初期配列読み取りを参照配列に整列させて生産的読み取りを特定することと、1つ以上のインデルエラーを修正して救済された生産的配列読み取りを生成することと、得られた免疫受容体分子の配列を決定することと、を含む。特定の実施形態において、BCRアンプリコン分子の配列を決定することは、初期配列読み取りを得ることと、推測されるJ遺伝子配列を配列読み取りに加えて伸長した配列読み取りを作成することと、伸長した配列読み取りを参照配列に整列させて生産的読み取りを特定することと、1つ以上のインデルエラーを修正して救済された生産的配列読み取りを生成することと、得られたBCR分子の配列を決定することと、を含む。特定の実施形態において、生産的読み取りと救済された生産的読み取りとの組み合わせは、BCRにおける配列決定読み取りの少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、または少なくとも75%である。追加の実施形態において、方法は、配列読み取りクラスタリングおよびBCRクロノタイプ報告をさらに含む。いくつかの実施形態において、特定されたBCRレパートリーの配列は、IMGTデータベースの同時期または最新のバージョンと比較され、そのIMGTデータベースに存在しない少なくとも1つの対立遺伝子変異体の配列が特定される。いくつかの実施形態において、配列読み取り長は、読み取り長における任意のバーコード配列の包含に部分的に応じて、約60~約185個のヌクレオチドである。いくつかの実施形態において、平均配列読み取り長は、90~120個のヌクレオチドであり、70~90個のヌクレオチドであるか、または約75~約85個のヌクレオチドであるか、または約80個のヌクレオチドである。特定の実施形態において、配列決定されたアンプリコンのうちの少なくとも1つのセットは、BCR発現配列の相補性決定領域CDR3を含む。
【0172】
特定の実施形態において、提供される方法は、V遺伝子プライマーを含む標的BCRプライマーセットを利用し、複数のV遺伝子プライマーのうちの1つ以上は、長さ約50個のヌクレオチドのFR3領域にわたる配列に対するものである。他の特定の実施形態において、複数のV遺伝子プライマーのうちの1つ以上は、長さが約70個のヌクレオチドのFR3領域にわたる配列に対するものである。他の特定の実施形態において、複数のV遺伝子プライマーのうちの1つ以上は、長さが約40~約60個のヌクレオチドのFR3領域にわたる配列に対するものである。特定の実施形態において、標的BCRプライマーセットは、約50~約85種類の異なるFR3指向プライマーを含むV遺伝子プライマーを含む。特定の実施形態において、標的BCRプライマーセットは、約55~約80種類の異なるFR3指向プライマーを含むV遺伝子プライマーを含む。いくつかの実施形態において、標的免疫受容体プライマーセットは、約62~約75種類の異なるFR3指向プライマーを含むV遺伝子プライマーを含む。いくつかの実施形態において、標的BCRプライマーセットは、約65、66、67、68、69、または約70種類の異なるFR3指向プライマーを含むV遺伝子プライマーを含む。いくつかの実施形態において、標的BCRプライマーセットは、複数のJ遺伝子プライマーを含む。いくつかの実施形態において、標的BCRプライマーセットは、少なくとも2つのJ遺伝子プライマーを含み、各々が、標的ポリヌクレオチド内のJ遺伝子の少なくとも一部に対するものである。いくつかの実施形態において、標的BCRプライマーセットは、2~約8つのJ遺伝子プライマーを含み、各々が、標的ポリヌクレオチド内のJ遺伝子の少なくとも一部に対するものである。いくつかの実施形態において、標的BCRプライマーセットは、約3~約6つの異なるJ遺伝子プライマーを含み、各々が、標的ポリヌクレオチド内のJ遺伝子の少なくとも一部に対するものである。いくつかの実施形態において、標的BCRプライマーセットは、約2、3、4、5、6、7、または8つの異なるJ遺伝子プライマーを含む。特定の実施形態において、標的免疫受容体プライマーセットは、約4種類のJ遺伝子プライマーを含み、各々が標的ポリヌクレオチド内のJ遺伝子の少なくとも一部に対するものである。
【0173】
特定の実施形態において、本発明の方法は、それぞれ表2および5から選択されるV遺伝子プライマーi)およびJ遺伝子プライマーii)を含む、プライマーの少なくとも1つのセットの使用を含む。特定の他の実施形態において、本発明の方法は、プライマーi)およびii)の少なくとも1つのセットの使用を含み、配列番号1~68および438~442から選択されるか、または配列番号69~136および443~447から選択されるプライマーを含む。特定の他の実施形態において、本発明の方法は、プライマーi)およびii)の少なくとも1つのセットの使用を含み、配列番号1~68および443~447から選択されるか、または配列番号69~136および438~442から選択されるプライマーを含む。
【0174】
いくつかの実施形態において、本発明の方法は、プライマーi)およびii)の少なくとも1つのセットの使用を含み、配列番号1~68から選択される少なくとも60種類のプライマー、および配列番号438~442から選択される少なくとも2種類のプライマー、少なくとも3種類のプライマー、または少なくとも4種類のプライマーを含む。いくつかの実施形態において、本発明の方法は、プライマーi)およびii)の少なくとも1つのセットの使用を含み、配列番号69~136から選択される少なくとも60種類のプライマー、および配列番号443~447から選択される少なくとも2種類のプライマー、少なくとも3種類のプライマー、または少なくとも4種類のプライマーを含む。いくつかの実施形態において、本発明の方法は、プライマーi)およびii)の少なくとも1つのセットの使用を含み、配列番号69~136から選択される少なくとも60種類のプライマー、および配列番号438~442から選択される少なくとも2種類のプライマー、少なくとも3種類のプライマー、または少なくとも4種類のプライマーを含む。いくつかの実施形態において、本発明の方法は、プライマーi)およびii)の少なくとも1つのセットの使用を含み、配列番号1~68から選択される少なくとも60種類のプライマー、および配列番号443~447から選択される少なくとも2種類のプライマー、少なくとも3種類のプライマー、または少なくとも4種類のプライマーを含む。
【0175】
特定の実施形態において、試料におけるBCRレパートリーの発現核酸配列の増幅のための方法が提供され、多重増幅反応を行って、J遺伝子部分およびV遺伝子部分を有するBCR核酸鋳型分子を、i)V遺伝子内のフレームワーク領域1(FR1)の少なくとも一部を含む少なくとも1つのBCRコード配列の異なるV遺伝子のうちの大多数に対する複数のV遺伝子プライマー、およびii)それぞれの標的免疫受容体コード配列の異なるJ遺伝子のうちの大多数に対する複数のJ遺伝子プライマー、のうちの少なくとも1つのセットを使用して増幅させることを含み、同じ標的免疫受容体配列に対するi)およびii)のプライマーの各セットは、IgH、IgL、およびIgKからなる群から選択され、各セットを使用して増幅を行うことは、試料におけるそれぞれの免疫受容体のレパートリー全体を表すアンプリコンをもたらし、それにより、BCRのレパートリーを含むBCRアンプリコンを生成する。特定の実施形態において、i)の1つ以上の複数のV遺伝子プライマーは、フレームワーク領域の約80個のヌクレオチド部分にわたる配列に対するものである。より特定の実施形態において、i)の1つ以上の複数のV遺伝子プライマーは、フレームワーク領域の約50個のヌクレオチド部分にわたる配列に対するものである。いくつかの実施形態において、i)の1つ以上の複数のV遺伝子プライマーは、鋳型分子のフレームワーク1領域の少なくとも一部にアニーリングする。特定の実施形態において、ii)の複数のJ遺伝子プライマーは、鋳型分子のJ遺伝子部分の少なくとも一部にアニーリングする少なくとも2種類のプライマーを含む。いくつかの実施形態において、ii)の複数のJ遺伝子プライマーは、鋳型分子のJ遺伝子部分の少なくとも一部にアニーリングする少なくとも2~約8種類のプライマーを含む。いくつかの実施形態において、ii)の複数のJ遺伝子プライマーは、鋳型分子のJ遺伝子部分の少なくとも一部にアニーリングする約4種類のプライマーを含む。いくつかの実施形態において、ii)の複数のJ遺伝子プライマーは、鋳型分子のJ遺伝子部分の少なくとも一部にアニーリングする約3~約6種類のプライマーを含む。特定の実施形態において、生成されたアンプリコンの少なくとも1つのセットは、BCR発現配列の相補性決定領域CDR1、CDR2、およびCDR3を含む。いくつかの実施形態において、アンプリコンは、長さが約220~約350個のヌクレオチド、約225~約300個のヌクレオチド、約250~約325個のヌクレオチド、約250~約270個のヌクレオチド、または長さが約270~約300個のヌクレオチドである。いくつかの実施形態において、方法で使用される核酸鋳型は、生物学的試料から抽出された核酸分子を逆転写することによって生成されるcDNAである。
【0176】
特定の実施形態において、試料におけるBCRレパートリーの配列を提供するための方法が提供され、多重増幅反応を行って、J遺伝子部分およびV遺伝子部分を有するBCR核酸鋳型分子を、i)V遺伝子内のフレームワーク領域1(FR1)の少なくとも一部を含む少なくとも1つのBCRコード配列の異なるV遺伝子のうちの大多数に対する複数のV遺伝子プライマー、およびii)それぞれの標的免疫受容体コード配列の異なるJ遺伝子のうちの大多数に対する複数のJ遺伝子プライマー、を含むプライマーの少なくとも1つのセットを使用して増幅させることを含み、同じ標的免疫受容体配列に対するi)およびii)のプライマーの各セットは、IgH、IgL、およびIgKからなる群から選択され、それにより、BCRアンプリコン分子を生成する。次に、得られた免疫受容体アンプリコン分子の配列決定が行われ、それによって決定されたBCRアンプリコン分子の配列が、試料におけるBCRレパートリーの配列を提供する。いくつかの実施形態において、BCRアンプリコン分子の配列を決定することは、初期配列読み取りを得ることと、初期配列読み取りを参照配列に整列させて生産的読み取りを特定することと、1つ以上のインデルエラーを修正して救済された生産的配列読み取りを生成することと、得られた免疫受容体分子の配列を決定することと、を含む。特定の実施形態において、BCRアンプリコン分子の配列を決定することは、初期配列読み取りを得ることと、推測されるJ遺伝子配列を配列読み取りに加えて伸長した配列読み取りを作成することと、伸長した配列読み取りを参照配列に整列させて生産的読み取りを特定することと、1つ以上のインデルエラーを修正して救済された生産的配列読み取りを生成することと、得られたBCR分子の配列を決定することと、を含む。特定の実施形態において、生産的読み取りと救済された生産的読み取りとの組み合わせは、免疫受容体における配列決定読み取りの少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、または少なくとも75%である。追加の実施形態において、方法は、配列読み取りクラスタリングおよびBCRクロノタイプ報告をさらに含む。いくつかの実施形態において、特定された免疫レパートリーの配列は、IMGTデータベースの同時期または最新のバージョンと比較され、そのIMGTデータベースに存在しない少なくとも1つの対立遺伝子変異体の配列が特定される。いくつかの実施形態において、平均配列読み取り長は、任意のバーコード配列の包含に部分的に応じて、200~350個のヌクレオチド、225~325個のヌクレオチド、250~300個のヌクレオチド、270~300個のヌクレオチドであり、または約295~約325個のヌクレオチドである。特定の実施形態において、配列決定されたアンプリコンの少なくとも1つのセットは、BCR発現配列の相補性決定領域CDR1、CDR2、およびCDR3を含む。
【0177】
特定の実施形態において、提供される方法は、V遺伝子プライマーを含む標的BCRプライマーセットを利用し、複数のV遺伝子プライマーのうちの1つ以上は、長さ約70個のヌクレオチドのFR1領域にわたる配列に対するものである。他の特定の実施形態において、複数のV遺伝子プライマーのうちの1つ以上は、長さが約80個のヌクレオチドのFR1領域にわたる配列に対するものである。他の特定の実施形態において、複数のV遺伝子プライマーのうちの1つ以上は、長さが約50個のヌクレオチドのFR1領域にわたる配列に対するものである。特定の実施形態において、標的BCRプライマーセットは、約18~約45種類の異なるFR1指向プライマーを含むV遺伝子プライマーを含む。いくつかの実施形態において、標的BCRプライマーセットは、約22~約35種類の異なるFR1指向プライマーを含むV遺伝子プライマーを含む。いくつかの実施形態において、標的BCRプライマーセットは、約25~約35種類の異なるFR1指向プライマーを含むV遺伝子プライマーを含む。特定の実施形態において、標的BCRプライマーセットは、約40~約65種類の異なるFR1指向プライマーを含むV遺伝子プライマーを含む。いくつかの実施形態において、標的BCRプライマーセットは、約48~約60種類の異なるFR1指向プライマーを含むV遺伝子プライマーを含む。いくつかの実施形態において、標的BCRプライマーセットは、複数のJ遺伝子プライマーを含む。いくつかの実施形態において、標的BCRプライマーセットは、少なくとも2つのJ遺伝子プライマーを含み、各々が、標的ポリヌクレオチド内のJ遺伝子の少なくとも一部に対するものである。いくつかの実施形態において、標的BCRプライマーセットは、2~約8つのJ遺伝子プライマーを含み、各々が、標的ポリヌクレオチド内のJ遺伝子の少なくとも一部に対するものである。いくつかの実施形態において、標的BCRプライマーセットは、約3~約6つの異なるJ遺伝子プライマーを含み、各々が、標的ポリヌクレオチド内のJ遺伝子の少なくとも一部に対するものである。いくつかの実施形態において、標的BCRプライマーセットは、約2、3、4、5、6、7、または8つの異なるJ遺伝子プライマーを含む。特定の実施形態において、標的免疫受容体プライマーセットは、約4種類のJ遺伝子プライマーを含み、各々が標的ポリヌクレオチド内のJ遺伝子の少なくとも一部に対するものである。
【0178】
特定の実施形態において、本発明の方法は、それぞれ表3および5から選択されるV遺伝子プライマーi)およびJ遺伝子プライマーii)を含む、プライマーの少なくとも1つのセットの使用を含む。特定の他の実施形態において、本発明の方法は、配列番号137~283および438~442から選択されるか、または配列番号284~430および443~447から選択されるプライマーを含む、プライマーi)およびii)の少なくとも1つのセットの使用を含む。他の実施形態において、本発明の方法は、プライマーi)およびii)の少なくとも1つのセットの使用を含み、配列番号137~283および443~447から選択されるか、または配列番号284~430および438~442から選択されるプライマーを含む。いくつかの実施形態において、本発明の方法は、プライマーi)およびii)の少なくとも1つのセットの使用を含み、配列番号137~283から選択される少なくとも20、または少なくとも25種類のプライマー、および配列番号438~442から選択される少なくとも2種類のプライマー、少なくとも3種類のプライマー、または少なくとも4種類のプライマーを含む。いくつかの実施形態において、提供される方法は、プライマーi)およびii)の少なくとも1つのセットの使用を含み、配列番号137~283から選択される約15~35種類のプライマー、および配列番号438~442から選択される少なくとも2種類のプライマー、少なくとも3種類のプライマー、または少なくとも4種類のプライマーを含む。いくつかの実施形態において、提供される方法は、プライマーi)およびii)の少なくとも1つのセットの使用を含み、配列番号137~283から選択される約22~35種類のプライマー、および配列番号438~442から選択される少なくとも2種類のプライマー、少なくとも3種類のプライマー、または少なくとも4種類のプライマーを含む。他の実施形態において、本発明の方法は、プライマーi)およびii)の少なくとも1つのセットの使用を含み、配列番号284~430から選択される少なくとも20、または少なくとも25種類のプライマー、および配列番号443~447から選択される少なくとも2種類のプライマー、少なくとも3種類のプライマー、または少なくとも4種類のプライマーを含む。いくつかの実施形態において、提供される方法は、プライマーi)およびii)の少なくとも1つのセットの使用を含み、配列番号284~430から選択される約15~35種類のプライマー、および配列番号443~447から選択される少なくとも2種類のプライマー、少なくとも3種類のプライマー、または少なくとも4種類のプライマーを含む。いくつかの実施形態において、提供される方法は、プライマーi)およびii)の少なくとも1つのセットの使用を含み、配列番号284~430から選択される約22~35種類のプライマー、および配列番号443~447から選択される少なくとも2種類のプライマー、少なくとも3種類のプライマー、または少なくとも4種類のプライマーを含む。いくつかの実施形態において、本発明の方法は、プライマーi)およびii)の少なくとも1つのセットの使用を含み、配列番号137~283から選択される少なくとも20、または少なくとも25種類のプライマー、および配列番号443~447から選択される少なくとも2種類のプライマー、少なくとも3種類のプライマー、または少なくとも4種類のプライマーを含む。他の実施形態において、本発明の方法は、プライマーi)およびii)の少なくとも1つのセットの使用を含み、配列番号284~430から選択される少なくとも20、または少なくとも25種類のプライマー、および配列番号438~442から選択される少なくとも2種類のプライマー、少なくとも3種類のプライマー、または少なくとも4種類のプライマーを含む。
【0179】
いくつかの実施形態において、本発明の方法は、プライマーi)およびii)の少なくとも1つのセットの使用を含み、配列番号137~283から選択される少なくとも40、または少なくとも50種類のプライマー、および配列番号438~442から選択される少なくとも2種類のプライマー、少なくとも3種類のプライマー、または少なくとも4種類のプライマーを含む。いくつかの実施形態において、提供される方法は、プライマーi)およびii)の少なくとも1つのセットの使用を含み、配列番号137~283から選択される約40~65種類のプライマー、および配列番号438~442から選択される少なくとも2種類のプライマー、少なくとも3種類のプライマー、または少なくとも4種類のプライマーを含む。いくつかの実施形態において、提供される方法は、プライマーi)およびii)の少なくとも1つのセットの使用を含み、配列番号137~283から選択される約48~60種類のプライマー、および配列番号438~442から選択される少なくとも2種類のプライマー、少なくとも3種類のプライマー、または少なくとも4種類のプライマーを含む。他の実施形態において、本発明の方法は、プライマーi)およびii)の少なくとも1つのセットの使用を含み、配列番号284~430から選択される少なくとも40、または少なくとも50種類のプライマー、および配列番号443~447から選択される少なくとも2種類のプライマー、少なくとも3種類のプライマー、または少なくとも4種類のプライマーを含む。いくつかの実施形態において、提供される方法は、プライマーi)およびii)の少なくとも1つのセットの使用を含み、配列番号284~430から選択される約40~65種類のプライマー、および配列番号443~447から選択される少なくとも2種類のプライマー、少なくとも3種類のプライマー、または少なくとも4種類のプライマーを含む。いくつかの実施形態において、提供される方法は、プライマーi)およびii)の少なくとも1つのセットの使用を含み、配列番号284~430から選択される約48~60種類のプライマー、および配列番号443~447から選択される少なくとも2種類のプライマー、少なくとも3種類のプライマー、または少なくとも4種類のプライマーを含む。いくつかの実施形態において、本発明の方法は、プライマーi)およびii)の少なくとも1つのセットの使用を含み、配列番号137~283から選択される少なくとも40、または少なくとも50種類のプライマー、および配列番号443~447から選択される少なくとも2種類のプライマー、少なくとも3種類のプライマー、または少なくとも4種類のプライマーを含む。他の実施形態において、本発明の方法は、プライマーi)およびii)の少なくとも1つのセットの使用を含み、配列番号284~430から選択される少なくとも40、または少なくとも50種類のプライマー、および配列番号438~442から選択される少なくとも2種類のプライマー、少なくとも3種類のプライマー、または少なくとも4種類のプライマーを含む。
【0180】
特定の実施形態において、試料におけるBCRレパートリーの発現核酸配列の増幅のための方法が提供され、多重増幅反応を行って、J遺伝子部分およびV遺伝子部分を有するBCR核酸鋳型分子を、i)V遺伝子内のフレームワーク2(FR2)の少なくとも一部を含む少なくとも1つのBCRコード配列の異なるV遺伝子のうちの大多数に対する複数のV遺伝子プライマー、およびii)それぞれの標的免疫受容体コード配列の異なるJ遺伝子のうちの大多数に対する複数のJ遺伝子プライマー、のうちの少なくとも1つのセットを使用して増幅させることを含み、同じ標的免疫受容体配列に対するi)およびii)のプライマーの各セットは、IgH、IgL、およびIgKからなる群から選択され、各セットを使用して増幅を行うことは、試料におけるそれぞれの免疫受容体のレパートリー全体を表すアンプリコンをもたらし、それにより、BCRのレパートリーを含むアンプリコンを生成する。特定の実施形態において、i)の1つ以上の複数のV遺伝子プライマーは、フレームワーク領域の約80個のヌクレオチド部分にわたる配列に対するものである。より特定の実施形態において、i)の1つ以上の複数のV遺伝子プライマーは、フレームワーク領域の約50個のヌクレオチド部分にわたる配列に対するものである。いくつかの実施形態において、i)の1種類以上の複数のV遺伝子プライマーは、鋳型分子のFR2領域の少なくとも一部にアニーリングする。特定の実施形態において、ii)の複数のJ遺伝子プライマーは、鋳型分子のJ遺伝子の少なくとも一部にアニーリングする少なくとも10種類のプライマーを含む。いくつかの実施形態において、ii)の複数のJ遺伝子プライマーは、鋳型分子のJ遺伝子部分の少なくとも一部にアニーリングする約14種類のプライマーを含む。いくつかの実施形態において、ii)の複数のJ遺伝子プライマーは、鋳型分子のJ遺伝子部分の少なくとも一部にアニーリングする少なくとも2種類のプライマーを含む。いくつかの実施形態において、ii)の複数のJ遺伝子プライマーは、鋳型分子のJ遺伝子部分の少なくとも一部にアニーリングする少なくとも2~約8種類のプライマーを含む。いくつかの実施形態において、ii)の複数のJ遺伝子プライマーは、鋳型分子のJ遺伝子部分の少なくとも一部にアニーリングする約4種類のプライマーを含む。いくつかの実施形態において、ii)の複数のJ遺伝子プライマーは、鋳型分子のJ遺伝子部分の少なくとも一部にアニーリングする約3~約6種類のプライマーを含む。特定の実施形態において、生成されたアンプリコンの少なくとも1つのセットは、BCR遺伝子配列の相補性決定領域CDR2およびCDR3を含む。いくつかの実施形態において、アンプリコンは、長さが約160~約270個のヌクレオチド、約180~約250個のヌクレオチド、または約195~約225ヌクレオチドである。いくつかの実施形態において、方法で使用される核酸鋳型は、生物学的試料から抽出された核酸分子を逆転写することによって生成されるcDNAである。
【0181】
特定の実施形態において、試料におけるBCRレパートリーの配列を提供するための方法が提供され、多重増幅反応を行って、J遺伝子部分およびV遺伝子部分を有するBCR核酸鋳型分子を、i)V遺伝子内のFR2の少なくとも一部を含む少なくとも1つのBCRコード配列の異なるV遺伝子のうちの大多数に対する複数のV遺伝子プライマー、およびii)それぞれの標的免疫受容体コード配列の異なるJ遺伝子のうちの大多数に対する複数のJ遺伝子プライマーを含む、プライマーの少なくとも1つのセットを使用して増幅させることを含み、同じ標的免疫受容体配列に対するi)およびii)のプライマーの各セットは、IgH、IgL、およびIgKからなる群から選択され、それにより、BCRアンプリコン分子を生成する。次に、得られた免疫受容体アンプリコン分子の配列決定が行われ、それによって決定されたBCRアンプリコン分子の配列が、試料におけるBCRレパートリーの配列を提供する。いくつかの実施形態において、BCRアンプリコン分子の配列を決定することは、初期配列読み取りを得ることと、初期配列読み取りを参照配列に整列させて生産的読み取りを特定することと、1つ以上のインデルエラーを修正して救済された生産的配列読み取りを生成することと、得られた免疫受容体分子の配列を決定することと、を含む。特定の実施形態において、BCRアンプリコン分子の配列を決定することは、初期配列読み取りを得ることと、推測されるJ遺伝子配列を配列読み取りに加えて伸長した配列読み取りを作成することと、伸長した配列読み取りを参照配列に整列させて生産的読み取りを特定することと、1つ以上のインデルエラーを修正して救済された生産的配列読み取りを生成することと、得られたBCR分子の配列を決定することと、を含む。特定の実施形態において、生産的読み取りと救済された生産的読み取りとの組み合わせは、BCRにおける配列決定読み取りの少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、または少なくとも75%である。追加の実施形態において、方法は、配列読み取りクラスタリングおよびBCRクロノタイプ報告をさらに含む。いくつかの実施形態において、特定された免疫レパートリーの配列は、IMGTデータベースの同時期または最新のバージョンと比較され、そのIMGTデータベースに存在しない少なくとも1つの対立遺伝子変異体の配列が特定される。いくつかの実施形態において、平均配列読み取り長は、任意のバーコード配列の包含に部分的に応じて、160~300個のヌクレオチド、180~280個のヌクレオチド、200~260個のヌクレオチド、または約225~約270個のヌクレオチドである。特定の実施形態において、配列決定されたアンプリコンの少なくとも1つのセットは、BCR発現配列の相補性決定領域CDR2およびCDR3を含む。
【0182】
特定の実施形態において、提供される方法は、V遺伝子プライマーを含む標的BCRプライマーセットを利用し、複数のV遺伝子プライマーのうちの1つ以上は、長さ約70個のヌクレオチドのFR2領域にわたる配列に対するものである。他の特定の実施形態において、複数のV遺伝子プライマーのうちの1つ以上は、長さが約50個のヌクレオチドのFR2領域にわたる配列に対するものである。特定の実施形態において、標的BCRプライマーセットは、約4~約20種類の異なるFR2指向プライマーを含むV遺伝子プライマーを含む。いくつかの実施形態において、標的BCRプライマーセットは、約5~約15種類の異なるFR2指向プライマーを含むV遺伝子プライマーを含む。いくつかの実施形態において、標的BCRプライマーセットは、約5、6、7、8、9、10、11、または12種類の異なるFR2指向プライマーを含むV遺伝子プライマーを含む。いくつかの実施形態において、標的BCRプライマーセットは、複数のJ遺伝子プライマーを含む。いくつかの実施形態において、標的BCRプライマーセットは、少なくとも2つのJ遺伝子プライマーを含み、各々が、標的ポリヌクレオチド内のJ遺伝子の少なくとも一部に対するものである。いくつかの実施形態において、標的BCRプライマーセットは、2~約8つのJ遺伝子プライマーを含み、各々が、標的ポリヌクレオチド内のJ遺伝子の少なくとも一部に対するものである。いくつかの実施形態において、標的BCRプライマーセットは、約3~約6つの異なるJ遺伝子プライマーを含み、各々が、標的ポリヌクレオチド内のJ遺伝子の少なくとも一部に対するものである。いくつかの実施形態において、標的BCRプライマーセットは、約2、3、4、5、6、7、または8つの異なるJ遺伝子プライマーを含む。特定の実施形態において、標的免疫受容体プライマーセットは、約4種類のJ遺伝子プライマーを含み、各々が標的ポリヌクレオチド内のJ遺伝子の少なくとも一部に対するものである。
【0183】
特定の実施形態において、本発明の方法は、それぞれ表4および5から選択されるV遺伝子プライマーi)およびJ遺伝子プライマーii)を含む、プライマーの少なくとも1つのセットの使用を含む。特定の他の実施形態において、本発明の方法は、配列番号431~437および438~442から選択されるか、または配列番号431~437および443~447から選択されるプライマーを含む、プライマーi)およびii)の少なくとも1つのセットの使用を含む。いくつかの実施形態において、本発明の方法は、プライマーi)およびii)の少なくとも1つのセットの使用を含み、配列番号431~437から選択される少なくとも5種類のプライマー、および配列番号438~442から選択される少なくとも2種類のプライマー、少なくとも3種類のプライマー、または少なくとも4種類のプライマーを含む。他の実施形態において、本発明の方法は、プライマーi)およびii)の少なくとも1つのセットの使用を含み、配列番号431~437から選択される少なくとも5種類のプライマー、および配列番号443~447から選択される少なくとも2種類のプライマー、少なくとも3種類のプライマー、または少なくとも4種類のプライマーを含む。
【0184】
特定の実施形態において、本発明の方法は、造血細胞、リンパ球、および腫瘍細胞からなる群から選択される生物学的試料の使用を含む。いくつかの実施形態において、生物学的試料は、末梢血単核細胞(PBMC)、T細胞、B細胞、循環腫瘍細胞、および腫瘍浸潤リンパ球(本明細書では「TIL」(複数)または「TIL」)からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、生物学的試料は、エクスビボでの活性化および/または増殖を受けているB細胞を含む。いくつかの実施形態において、生物学的試料は、例えば、血液または血漿中に認められるようなcfDNAを含む。いくつかの実施形態において、生物学的試料は、組織(例えば、リンパ節、器官組織、骨髄)、全血、滑液、脳脊髄液、腫瘍生検、および細胞を含む他の臨床標本からなる群から選択される。
【0185】
いくつかの実施形態において、生物学的試料からの発現された免疫受容体RNAおよび再配列された免疫受容体ゲノムDNA(gDNA)の両方を評価することによって生物学的試料の免疫レパートリーを決定するための方法、組成物、およびシステムが提供される。いくつかの実施形態において、試料RNAおよびgDNAは、同時に評価され得、RNAの逆転写によってcDNAを形成し、cDNAおよびgDNAは、同じ多重増幅反応で増幅され得る。いくつかの実施形態において、試料RNAからのcDNAおよび試料gDNAは、別の反応で多重増幅を受け得る。いくつかの実施形態において、試料RNAからのcDNAおよび試料gDNAは、並列プライマープールを用いて多重増幅を受け得る。いくつかの実施形態において、同じBCR指向プライマープールを使用して、試料からのgDNAおよびRNAのBCRレパートリーを評価する。いくつかの実施形態において、異なる免疫受容体指向プライマープールを使用して、試料からのgDNAおよびRNAの免疫レパートリーを評価する。いくつかの実施形態において、多重増幅反応は、試料RNAからのcDNAおよび試料gDNAを用いて別々に行われ、試料からの同じかまたは異なる標的免疫受容体分子を増幅させ、得られた免疫受容体アンプリコンを配列決定し、それによって生物学的試料の発現された免疫受容体RNAおよび再配列された免疫受容体gDNAの配列を提供する。
【0186】
いくつかの実施形態において、異なる免疫受容体指向プライマープールを使用して、試料からのgDNAおよび/またはRNAの免疫レパートリーを評価する。いくつかの実施形態において、多重増幅反応は、本明細書に提供されるIgHプライマーのセット、ならびに、例えば、参照により各々の全体が本明細書に組み込まれる2018年1月17日に出願されたPCT出願第PCT/US2018/014111号、および2018年8月31日に出願されたPCT出願第PCT/US2018/049259号に記載されるようなTCRベータ指向プライマーのセット、またはOncomine(商標)TCRベータ-SRアッセイDNA、Oncomine(商標)TCRベータ-SRアッセイRNA、およびOncomine(商標)TCRベータ-LRアッセイ(Thermo Fisher Scientific)として市販されているTCRベータ指向プライマーのセットを用いて行われる。単一の多重増幅反応を使用して試料からBCR(例えば、IgH)およびTCR(例えば、TCRベータ)の両方のレパートリーを評価する能力は、時間および限られた生物学的試料を節約するのに有用であり、本明細書に記載の方法の多くに適用でき、アレルギーおよび自己免疫、ワクチン開発および使用、ならびに免疫腫瘍学に関連する方法が含まれる。例えば、B細胞レパートリー分析をT細胞レパートリー分析と組み合わせて使用して、免疫療法への応答を潜在的に示す、チェックポイント遮断またはチェックポイント阻害剤免疫療法などの免疫療法の投与後の免疫レパートリーにおける変化の検出を改善し得る。また、B細胞レパートリー分析をT細胞レパートリー分析と組み合わせて使用して、ワクチン有効性の評価を改善し得る。免疫療法に応答するか、またはワクチン投与に応答する例示的な免疫レパートリーの変化には、限定されないが、治療前の均一値と比較した、治療後(例えば、限定されないが、治療後7~14日)のT細胞およびB細胞の均一性における減少、ならびに治療前の値と比較した、治療(複数可)後のIgG1発現B細胞の提示における増加が含まれる。
【0187】
いくつかの実施形態において、提供される方法および組成物を使用して、対象の免疫レパートリーを特定および/または特徴付ける。いくつかの実施形態において、提供される方法および組成物を使用して、対象の免疫レパートリーの新規または非標準的なBCR対立遺伝子を特定および特徴付ける。いくつかの実施形態において、特定された免疫レパートリーの配列は、IMGTデータベースの同時期または最新のバージョンと比較され、そのIMGTデータベースに存在しない少なくとも1つの対立遺伝子変異体の配列が特定される。いくつかの実施形態において、IMGTデータベースに存在しない特定された対立遺伝子変異体は、例えば、クローン番号サポート、配列読み取りサポート、および/または対立遺伝子変異体を有する個体数などの基準を使用するエビデンスベースの選別に供される。IMGTに存在しないとして特定および報告された対立遺伝子変異体は、NCBI NRデータベースおよびLym1Kデータベースなどの免疫レパートリー配列情報を含む他のデータベースと比較して、報告された新規または非標準のBCR対立遺伝子を相互検証し得る。報告されていないか、または非標準的なIgH多型の存在を特徴付けることは、例えば、自己免疫疾患、感染症、および免疫療法に対する応答に影響を与える要因を理解することに役立ち得る。いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるように特定された新規または非標準的なBCR対立遺伝子の配列を使用して、組換えBCR核酸または分子を生成し得る。したがって、他の実施形態において、特定された新規IgH対立遺伝子変異体をコードする組換え核酸を作製するための方法が提供される。いくつかの実施形態において、組換えIgH対立遺伝子変異体分子を作製するため、かつそれを発現する組換え細胞を作製するための方法が提供される。
【0188】
いくつかの実施形態において、提供される方法および組成物を使用して、対象の免疫レパートリーの新規または非標準的なBCR対立遺伝子を特定および特徴付ける。いくつかの実施形態において、患者の免疫レパートリーは、療法処置、例えば、がんもしくは免疫障害の治療の前および/または後に特定あるいは特徴付けられ得る。いくつかの実施形態において、免疫レパートリーの特定または特徴付けを使用して、治療の効果もしくは効能を評価して、治療レジメンを変更し、かつ/または治療薬の選択を最適化し得る。いくつかの実施形態において、免疫レパートリーの特定または特徴付けを使用して、免疫療法、がんワクチン、および/または他の免疫ベースの治療もしくはそれらの組み合わせ(複数可)に対する患者の応答を評価し得る。いくつかの実施形態において、免疫レパートリーの特定または特徴付けは、治療薬に応答する患者の可能性を示し得るか、または治療薬に応答しない患者の可能性を示し得る。
【0189】
いくつかの実施形態において、患者のBCRレパートリーを特定または特徴付けして、患者の治療後の残存疾患の検出を含む過剰増殖性疾患の進行および/または治療を監視し、自己免疫疾患の進行および/または治療を監視し、移植を監視し、かつワクチン接種後、細菌、真菌、寄生虫、もしくはウイルスの抗原への曝露、または細菌、真菌、寄生虫、もしくはウイルスによる感染を含む、抗原刺激の状態を監視し得る。いくつかの実施形態において、BCRレパートリーの特定または特徴付けを使用して、抗感染療法または抗炎症療法に対する患者の応答を評価し得る。
【0190】
いくつかの実施形態において、対象からの試料における免疫レパートリークローン集団を特定および/または特徴付けるための方法および組成物が提供され、試料または試料から調製されたcDNAを用いて1つ以上の多重増幅反応を行って、定常部分および可変部分を有する免疫レパートリー核酸鋳型分子を、i)V遺伝子内のフレームワーク領域1(FR1)の少なくとも一部を含む少なくとも1つのBCRコード配列の異なるV遺伝子のうちの大多数に対する複数のV遺伝子プライマー、およびii)免疫レパートリーコード配列のそれぞれの標的C遺伝子の少なくとも一部に対する1つ以上のC遺伝子プライマーを含む、プライマーの少なくとも1つのセットを使用して増幅させることを含み、同じ標的免疫受容体配列に対するi)およびii)のプライマーの各セットは、IgH、IgL、およびIgKからなる群から選択され、それにより、BCRアンプリコン分子を生成する。本方法はさらに、得られたBCRアンプリコン分子を配列決定することと、BCRアンプリコン分子の配列を決定することと、試料からの標的BCRについて1つ以上の免疫レパートリークローン集団を特定することと、を含む。特に、免疫レパートリーアンプリコン分子の配列を決定する実施形態は、初期配列読み取りを得ることと、初期配列読み取りを参照配列に整列させて生産的読み取りを特定することと、1つ以上のインデルエラーを修正して救済された生産的配列読み取りを生成することと、得られた免疫受容体分子の配列を決定することと、を含む。かかる方法および組成物の他の実施形態において、1つ以上の多重増幅反応は、i)V遺伝子内のフレームワーク領域3(FR3)の少なくとも一部を含む少なくとも1つのBCRコード配列の異なるV遺伝子のうちの大多数に対する複数のV遺伝子プライマー、およびii)BCRコード配列のそれぞれの標的C遺伝子の少なくとも一部に対する1つ以上のC遺伝子プライマーを含む、プライマーの少なくとも1つのセットを使用して行われ、同じ標的免疫受容体配列に対するi)およびii)のプライマーの各セットは、IgH、IgL、およびIgKからなる群から選択される。かかる方法および組成物の他の実施形態において、1つ以上の多重増幅反応は、i)V遺伝子内のフレームワーク領域2(FR2)の少なくとも一部を含む少なくとも1つのBCRコード配列の異なるV遺伝子のうちの大多数に対する複数のV遺伝子プライマー、およびii)BCRコード配列のそれぞれの標的C遺伝子(複数可)の少なくとも一部に対する1つ以上のC遺伝子プライマーを含む、プライマーの少なくとも1つのセットを使用して行われ、同じ標的免疫受容体配列に対するi)およびii)のプライマーの各セットは、IgH、IgL、およびIgKからなる群から選択される。
【0191】
いくつかの実施形態において、対象からの試料における免疫レパートリークローン集団を特定および/または特徴付けるための方法および組成物が提供され、試料または試料から調製されたcDNAを用いて1つ以上の多重増幅反応を行って、J遺伝子部分およびV遺伝子部分を有する免疫レパートリー核酸鋳型分子を、i)V遺伝子内のフレームワーク領域3(FR3)の少なくとも一部を含む少なくとも1つのBCRコード配列の異なるV遺伝子のうちの大多数に対する複数のV遺伝子プライマー、およびii)それぞれのBCRコード配列の異なるJ遺伝子のうちの大多数に対する複数のJ遺伝子プライマーを含む、プライマーの少なくとも1つのセットを使用して増幅させることを含み、同じ標的免疫受容体配列に対するi)およびii)のプライマーの各セットは、IgH、IgL、およびIgKからなる群から選択され、それにより、BCRアンプリコン分子を生成する。本方法はさらに、得られたBCRアンプリコン分子を配列決定することと、BCRアンプリコン分子の配列を決定することと、試料からの標的BCRについて1つ以上の免疫レパートリークローン集団を特定することと、を含む。特定の実施形態において、免疫受容体アンプリコン分子の配列を決定することは、初期配列読み取りを得ることと、推測されるJ遺伝子配列を配列読み取りに加えて伸長した配列読み取りを作成することと、伸長した配列読み取りを参照配列に整列させて生産的読み取りを特定することと、1つ以上のインデルエラーを修正して救済された生産的配列読み取りを生成することと、得られた免疫受容体分子の配列を決定することと、を含む。かかる方法および組成物の他の実施形態において、多重増幅反応は、i)V遺伝子内のフレームワーク領域1(FR1)の少なくとも一部を含む少なくとも1つのBCRコード配列の異なるV遺伝子のうちの大多数に対する複数のV遺伝子プライマー、およびii)それぞれの標的BCRコード配列の異なるJ遺伝子のうちの大多数に対する複数のJ遺伝子プライマーを含む、プライマーの少なくとも1つのセットを使用して行行われ、同じ標的免疫受容体配列に対するi)およびii)のプライマーの各セットは、IgH、IgL、およびIgKからなる群から選択される。かかる方法および組成物の他の実施形態において、多重増幅反応は、i)V遺伝子内のフレームワーク領域2(FR2)の少なくとも一部を含む少なくとも1つのBCRコード配列の異なるV遺伝子のうちの大多数に対する複数のV遺伝子プライマー、およびii)それぞれの標的BCRコード配列の異なるJ遺伝子のうちの大多数に対する複数のJ遺伝子プライマーを含む、プライマーの少なくとも1つのセットを使用して行われ、同じ標的免疫受容体配列に対するi)およびii)のプライマーの各セットは、IgH、IgL、およびIgKからなる群から選択される。
【0192】
したがって、いくつかの実施形態において、提供される方法、組成物、およびワークフローは、限定されないが、B細胞集団のクローン性、多様性、および豊富さを評価する際に使用するためのものである。例えば、クローン増殖は、抗原負荷に応答しているB細胞を特定し得、縦断的分析を使用して、ワクチン接種の有効性を評価し得る。いくつかの実施形態において、提供される方法、組成物、およびワークフローは、多くのメンバーを有するクローン系統を特定する際に使用するためのものである。例えば、多くのメンバーを有するクローン系統は、長期的な抗原刺激に応答しているB細胞を表し得る。いくつかの実施形態において、提供される方法、組成物、およびワークフローは、抗原特異的B細胞を特定する際に使用するためのものである。例えば、同じ抗原に曝露されている個人の群にわたってIgHレパートリーを比較することによって、抗原特異的IgH鎖を示す共有IgHアミノ酸モチーフが明らかにされ得る。いくつかの実施形態において、提供される方法、組成物、およびワークフローは、クローンの重複を評価する際に使用するためのものである。例えば、クローン重複分析は、B細胞往来およびB細胞の集団間の発達上の関係を明らかにし得る。いくつかの実施形態において、提供される方法、組成物、およびワークフローは、縦断的分析に含まれる、優性クローンのVDJ配列を決定する際に使用するためのものである。いくつかの実施形態において、提供される方法、組成物、およびワークフローは、クローン系統分析を介して悪性サブクローンを特定する際に使用するためのものである。例えば、いくつかのB細胞悪性腫瘍(例えば、濾胞性リンパ腫)では、体細胞超変異が進行しており、提供される方法、組成、およびワークフローで追跡し得る、異なるが関連するIgH配列を有する悪性サブクローンの存在をもたらす。
【0193】
いくつかの実施形態において、提供される方法、組成物、およびワークフローは、クローンの進化を評価する際に使用するためのものである。例えば、クローン系統の分析は、抗原結合のために重要なアイソタイプスイッチおよびIgH残基を明らかにし得る。いくつかの実施形態において、提供される方法、組成物、およびワークフローは、アイソタイプ存在量を評価する際に使用するためのものである。例えば、特定のアイソタイプの過大または過小な表現は、限定されないが、ウイルス感染に応答したIgG1の上昇、アレルギーにおけるIgEの上昇などの疾患または免疫不全を示し得、欠落または過小表現されるアイソタイプは、原発性免疫不全を示し得る。いくつかの実施形態において、提供される方法、構成、およびワークフローは、体細胞超変異を定量化する際に使用するためのものである。例えば、体細胞超変異の頻度は、悪性形質転換が生じたB細胞発達の段階への洞察を提供する。
【0194】
いくつかの実施形態において、提供される方法および組成物を使用して、BCRレパートリーまたはクローン集団内の体細胞超変異(SHM)を特定および/または特徴付けする。いくつかの実施形態において、提供される方法および組成物を使用して、稀なBCRクローンまたはサブクローン、例えば、体細胞的に超変異したVDJ再配列を有するものを、特定および/またはスクリーニングする。いくつかの実施形態において、稀なBCRクローンの特定、定量化、および/または特徴付けは、所与の状態または治療応答におけるバイオマーカーを提供し得る。したがって、いくつかの実施形態において、本明細書で提供される方法および組成物を使用して、例えば遡及的または縦断的な対象試験から得られる試料を使用して、BCRクローンをバイオマーカーとして特定、スクリーニング、および/または特徴付ける。
【0195】
いくつかの実施形態において、BCRクローン系統およびSHMを特定および/または特徴付けるための方法は、対象の試料を用いて1つ以上の多重増幅反応を行って、定常部分および可変部分を有するBCR核酸鋳型分子を、V遺伝子内のFR1、FR2、またはFR3の少なくとも一部を含む少なくとも1つのBCRコード配列の異なるV遺伝子うちの大多数に対するプライマー、およびBCRコード配列のそれぞれの標的C遺伝子の少なくとも一部に対する1つ以上のC遺伝子プライマー、のうちの少なくとも1つのセットを使用して増幅させることと、得られたBCRアンプリコンを配列決定することと、本明細書に提供されるVDJ配列分析を行って、試料からの標的BCRにおけるSMHおよびクローン系統を特定および/または定量化することと、を含む。他の実施形態において、BCRクローン系統およびSHMを特定および/または特徴付けるための方法は、対象の試料を用いて1つ以上の多重増幅反応を行って、J遺伝子部分および可変部分を有するBCR核酸鋳型分子を、V遺伝子内のFR1、FR2、またはFR3の少なくとも一部を含む少なくとも1つのBCRコード配列の異なるV遺伝子うちの大多数に対するプライマー、およびそれぞれの標的BCRコード配列の異なるJ遺伝子のうちの大多数に対する複数のJ遺伝子プライマーのセットを使用して増幅させることと、得られたBCRアンプリコンを配列決定することと、本明細書に提供されるVDJ配列分析を行って、試料からの標的BCRにおけるSHMおよびクローン系統を特定することと、を含む。
【0196】
いくつかの実施形態において、提供される方法および組成物は、BCRレパートリーまたはB細胞クローン系統内のアイソタイプ(またはサブアイソタイプ)クラスまたはアイソタイプクラススイッチを特定、定量化、特徴付け、および/または監視するために使用される。いくつかの実施形態において、かかる方法は、対象の試料を用いて1つ以上の多重増幅反応を行って、定常部分および可変部分を有するIgH核酸鋳型分子を、V遺伝子内のFR1、FR2、またはFR3の少なくとも一部を含む異なるIgH V遺伝子うちの大多数に対するプライマー、およびIgHコード配列のC遺伝子の少なくとも一部に対する1つ以上のC遺伝子プライマー、のうちの少なくとも1つのセットを使用して増幅させることと、得られたアンプリコンを配列決定することと、本明細書に提供される配列分析を行って、試料のBCRレパートリーまたはクローン系統のIgHアイソタイプクラス(複数可)を特定することと、を含む。いくつかの実施形態において、プライマーセットは、単一のアイソタイプ、例えば、IgE、のC遺伝子の少なくとも一部に対する1つ以上のプライマーを含む。他の実施形態において、プライマーセットは、各々が2つの異なるアイソタイプのC遺伝子の少なくとも一部に対する少なくとも2つのプライマーを含む。他の実施形態において、プライマーセットは、IgA、IgD、IgG、IgM、およびIgEアイソタイプクラスのC遺伝子の少なくとも一部に別々に対する少なくとも1つのプライマーを含む。
【0197】
特定の実施形態において、提供される方法および組成物を使用して、BCRレパートリークローン集団およびクローン系統の変化、例えば、クローン拡張における変化、クローン縮小における変化、BCRレパートリー内のクローンまたはクローン集団の相対的比率の変化、クローン系統の拡張または縮小における変化、体細胞超変異における変化、および/またはレパートリー内のアイソタイプクラススイッチを監視する。いくつかの実施形態において、提供される方法および組成物を使用して、腫瘍増殖に応答するBCRレパートリークローン集団またはクローン系統における変化(例えば、クローン集団または系統の拡張、クローン集団または系統の縮小、相対的比率におけるクローン集団または系統の変化、体細胞超変異および/またはクラススイッチにおける変化)を監視する。いくつかの実施形態において、提供される方法および組成物を使用して、腫瘍治療に応答するBCRレパートリークローン集団またはクローン系統の変化(例えば、クローン集団または系統の拡張、クローン集団または系統の縮小、相対的比率におけるクローン集団または系統の変化、体細胞超変異おける変化および/またはクラススイッチ)を監視する。いくつかの実施形態において、提供される方法および組成物を使用して、寛解期間中にBCRレパートリークローン集団またはクローン系統の変化(例えば、クローン集団または系統の拡張、クローン集団または系統の縮小、相対的比率におけるクローン集団または系統変化、体細胞超変異おける変化および/またはクラススイッチ)を監視する。多くのリンパ性悪性腫瘍では、クローンB細胞受容体配列は、特定のがん(例えば、白血病)の悪性細胞におけるバイオマーカーとして使用することができ、残存疾患、腫瘍拡張、縮小、および/または治療応答を監視することができる。特定の実施形態において、クローンB細胞受容体は、治療、バイオマーカー、および/または診断の使用における新規有用性を確認するために特定され、さらに特徴付けられ得る。
【0198】
いくつかの実施形態において、対象におけるBCRクローン集団の変化を監視するための方法および組成物が提供され、対象の試料を用いて1つ以上の多重増幅反応を行って、定常部分および可変部分を有するBCR核酸鋳型分子を、V遺伝子内のFR1、FR2、またはFR3の少なくとも一部を含む少なくとも1つのBCRコード配列の異なるV遺伝子のうちの大多数に対するプライマー、およびii)BCRコード配列のそれぞれの標的C遺伝子の少なくとも一部に対する1つ以上のC遺伝子プライマー、のうちの少なくとも1つのセットを使用して増幅させることと、得られたBCRアンプリコンを配列決定することと、試料からの標的BCRにおける免疫レパートリークローン集団を特定することと、特定されたBCRレパートリークローン集団を、異なる時期に対象から得られた試料で特定されるものと比較することと、を含む。いくつかの実施形態において、対象におけるBCRクローン集団の変化を監視するための方法および組成物が提供され、対象の試料を用いて1つ以上の多重増幅反応を行って、J遺伝子部分およびV遺伝子部分を有する免疫レパートリー核酸鋳型分子を、V遺伝子内のFR1、FR2、またはFR3の少なくとも一部を含む少なくとも1つのBCRコード配列の異なるV遺伝子のうちの大多数に対するプライマー、およびそれぞれの標的BCRコード配列の異なるJ遺伝子のうちの大多数に対する複数のJ遺伝子プライマー、のうちの少なくとも1つのセットを使用して増幅させることと、得られたBCRアンプリコンを配列決定することと、試料からの標的BCRにおける免疫レパートリークローン集団を特定することと、特定されたBCRレパートリークローン集団を、異なる時期に対象から得られた試料で特定されるものと比較することと、を含む。様々な実施形態において、かかる方法で実施される1つ以上の多重増幅反応は、単一の多重増幅反応であり得るか、または並行して行われる2つ以上の多重増幅反応、例えば、異なるプライマープールを用いて行われる並行した高度に多重化された増幅反応であり得る。BCRレパートリークローン集団における変化を監視する際に使用する試料には、限定されないが、診断前に得られる試料、診断の任意の段階で得られる試料、寛解中に得られる試料、治療前の任意の時期に得られる試料(治療前試料)、治療の完了後の任意の時期に得られる試料(治療後試料)、および治療の経過期間中に得られる試料が含まれる。
【0199】
特定の実施形態において、患者のBCRレパートリーを特定および/または特徴付けして、患者の過剰増殖性疾患の進行および/または治療を監視する方法および組成物が提供される。いくつかの実施形態において、提供される方法および組成物は、治療後の患者の微小残存病変(MRD)モニタリングのために使用される。いくつかの実施形態において、提供される方法および組成物は、MRD測定および稀なBCRクローンを特定することのために有用な患者のBCRレパートリーのディープシークエンシングを可能にする。いくつかの実施形態において、MRDのモニタリングすることは、BCRレパートリーの体細胞超変異を評価することを含む。いくつかの実施形態において、方法および組成物を使用して、B細胞系統悪性腫瘍またはT細胞系統の悪性腫瘍を特定および/または追跡する。いくつかの実施形態において、方法および組成物を使用して、限定されないが、急性リンパ芽球性白血病、慢性骨髄球性白血病、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、皮膚T細胞リンパ腫、B細胞リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、および多発性骨髄腫を含む、白血病またはリンパ腫を有すると診断された患者におけるMRDを検出および/または監視する。いくつかの実施形態において、方法および組成物を使用して、限定されないが、乳がん、肺がん、結腸直腸、および神経芽細胞腫を含む、固形腫瘍を有すると診断された患者におけるMRDを検出および/または監視する。いくつかの実施形態において、方法および組成物を使用して、これらに限定されないが、骨髄移植、リンパ球注入、養子T細胞療法、他の細胞ベースの免疫療法、および抗体ベースの免疫療法を含む、がん治療後に、患者におけるMRDを検出および/または監視する。
【0200】
いくつかの実施形態において、患者のBCRレパートリーを特定および/または特徴付けて患者の過剰増殖性疾患の予後および/または治療を監視するための方法および組成物が提供され、患者からの試料または試料から調製されたcDNAを用いて1つ以上の多重増幅反応を行って、定常部分および可変部分を有するBCR核酸鋳型分子を、i)V遺伝子内のフレームワーク領域1(FR1)の少なくとも一部を含む少なくとも1つのBCRコード配列の異なるV遺伝子のうちの大多数に対する複数のV遺伝子プライマー、およびii)BCRコード配列のそれぞれの標的C遺伝子の少なくとも一部に対する1つ以上のC遺伝子プライマーを含む、プライマーの少なくとも1つのセットを使用して増幅させることを含み、同じ標的免疫受容体配列に対するi)およびii)のプライマーの各セットは、IgH、IgL、およびIgKからなる群から選択され、それによってBCRアンプリコン分子を生成する。本方法は、得られたBCRアンプリコン分子を配列決定することと、BCRアンプリコン分子の配列を決定することと、試料からの標的BCRについて免疫レパートリーを特定することと、をさらに含む。特に、免疫レパートリーアンプリコン分子の配列を決定する実施形態は、初期配列読み取りを得ることと、初期配列読み取りを参照配列に整列させて生産的読み取りを特定することと、1つ以上のインデルエラーを修正して救済された生産的配列読み取りを生成することと、得られた免疫受容体分子の配列を決定することと、を含む。かかる方法および組成物の他の実施形態において、多重増幅反応は、i)V遺伝子内のFR3の少なくとも一部を含む少なくとも1つのBCRコード配列の異なるV遺伝子のうちの大多数に対する複数のV遺伝子プライマー、およびii)BCRコード配列のそれぞれの標的C遺伝子の少なくとも一部に対する1つ以上のC遺伝子プライマーを含む、プライマーの少なくとも1つのセットを使使用して行われ、同じ標的免疫受容体配列に対するi)およびii)のプライマーの各セットは、IgH、IgL、およびIgKからなる群から選択される。かかる方法および組成物の他の実施形態において、多重増幅反応は、i)V遺伝子内のFR2の少なくとも一部を含む少なくとも1つのBCRコード配列の異なるV遺伝子のうちの大多数に対する複数のV遺伝子プライマー、およびii)BCRコード配列のそれぞれの標的C遺伝子の少なくとも一部に対する1つ以上のC遺伝子プライマーを含む、プライマーの少なくとも1つのセットを使用して行われ、同じ標的免疫受容体配列に対するi)およびii)のプライマーの各セットは、IgH、IgL、およびIgKからなる群から選択される。
【0201】
いくつかの実施形態において、患者のBCRレパートリーを特定および/または特徴付けて患者の過剰増殖性疾患の予後および/または治療を監視するための方法および組成物が提供され、患者からの試料または試料から調製されたcDNAを用いて1つ以上の多重増幅反応を行って、J遺伝子部分およびV遺伝子部分を有する免疫レパートリー核酸鋳型分子を、i)V遺伝子内のフレームワーク領域3(FR3)の少なくとも一部を含む少なくとも1つのBCRコード配列の異なるV遺伝子のうちの大多数に対する複数のV遺伝子プライマー、およびii)それぞれの標的BCRコード配列の異なるJ遺伝子のうちの大部分に対する複数のJ遺伝子プライマーを含む、プライマーの少なくとも1つのセットを使用して増幅させることを含み、同じ標的免疫受容体配列に対するi)およびii)のプライマーの各セットは、IgH、IgL、およびIgKからなる群から選択され、それによってBCRアンプリコン分子を生成する。本方法は、得られたBCRアンプリコン分子を配列決定することと、BCRアンプリコン分子の配列を決定することと、試料からの標的BCRについて免疫レパートリーを特定することと、をさらに含む。特定の実施形態において、免疫受容体アンプリコン分子の配列を決定することは、初期配列読み取りを得ることと、推測されるJ遺伝子配列を配列読み取りに加えて伸長した配列読み取りを作成することと、伸長した配列読み取りを参照配列に整列させて生産的読み取りを特定することと、1つ以上のインデルエラーを修正して救済された生産的配列読み取りを生成することと、得られた免疫受容体分子の配列を決定することと、を含む。かかる方法および組成物の他の実施形態において、多重増幅反応は、i)V遺伝子内のFR1の少なくとも一部を含む少なくとも1つのBCRコード配列の異なるV遺伝子のうちの大多数に対する複数のV遺伝子プライマー、およびii)それぞれの標的BCRコード配列の異なるJ遺伝子のうちの大多数に対する複数のJ遺伝子プライマーを含む、プライマーの少なくとも1つのセットを使用して行われ、同じ標的免疫受容体配列に対するi)およびii)のプライマーの各セットは、IgH、IgL、およびIgKからなる群から選択される。かかる方法および組成物の他の実施形態において、多重増幅反応は、i)V遺伝子内のFR2の少なくとも一部を含む少なくとも1つのBCRコード配列の異なるV遺伝子のうちの大多数に対する複数のV遺伝子プライマー、およびii)それぞれの標的BCRコード配列の異なるJ遺伝子のうちの大多数に対する複数のJ遺伝子プライマーを含む、プライマーの少なくとも1つのセットを使用して行われ、同じ標的免疫受容体配列に対するi)およびii)のプライマーの各セットは、IgH、IgL、およびIgKからなる群から選択される。
【0202】
いくつかの実施形態において、過剰増殖性疾患を有する患者におけるMRDモニタリングのための方法および組成物が提供され、患者の試料を用いて1つ以上の多重増幅反応を行って、定常部分および可変部分を有するBCR核酸鋳型分子を、V遺伝子内のFR1、FR2、またはFR3の少なくとも一部を含む少なくとも1つのBCRコード配列の異なるV遺伝子のうちの大多数に対するプライマー、およびii)BCRコード配列のそれぞれの標的C遺伝子の少なくとも一部に対する1つ以上のC遺伝子プライマー、のうちの少なくとも1つのセットを使用して増幅させることと、得られたBCRアンプリコンを配列決定することと、標的BCRにおける免疫レパートリー配列を特定することと、過剰増殖性疾患に関連する試料におけるBCR配列(複数可)の存在または不存在を検出することと、を含む。いくつかの実施形態において、過剰増殖性疾患を有する患者におけるMRDモニタリングのための方法および組成物が提供され、患者の試料を用いて1つ以上の多重増幅反応を行って、J遺伝子部分およびV遺伝子部分を有する免疫レパートリー核酸鋳型分子を、V遺伝子内のFR1、FR2、またはFR3の少なくとも一部を含む少なくとも1つのBCRコード配列の異なるV遺伝子のうちの大多数に対するプライマー、およびそれぞれの標的BCRコード配列の異なるJ遺伝子のうちの大多数に対する複数のJ遺伝子プライマー、のうちの少なくとも1つのセットを使用して増幅させることと、得られたBCRアンプリコンを配列決定することと、標的BCRにおける免疫レパートリー配列を特定することと、過剰増殖性疾患に関連する試料における免疫受容体配列(複数可)の存在または不存在を検出することと、を含む。様々な実施形態において、かかる方法で行われる1つ以上の多重増幅反応は、単一の多重増幅反応であり得るか、または並行して行われる2つ以上の多重増幅反応、例えば、異なるプライマープールを用いて行われる並行した高度に多重化された増幅反応であり得る。MRDモニタリングにおける使用のための試料には、限定されないが、寛解中に得られる試料、治療完了後の任意の時期に得られる試料(治療後試料)、および治療の経過期間中に得られる試料が含まれる。
【0203】
特定の実施形態において、治療に応答する対象のBCRレパートリーを特定および/または特徴付けるための方法および組成物が提供される。いくつかの実施形態において、方法および組成物を使用して、腫瘍治療の前、期間中、および/または後に腫瘍浸潤リンパ球(TIL)の集団またはクローンを特徴付けおよび/または監視する。いくつかの実施形態において、TILの免疫受容体レパートリーをプロファイリングすることによって、腫瘍微小環境の特徴付けおよび/または評価が提供される。いくつかの実施形態において、免疫レパートリーを決定するための方法および組成物を使用して、治療的T細胞集団(複数可)およびB細胞集団(複数可)を特定および/または追跡する。いくつかの実施形態において、提供される方法および組成物を使用して、患者治療後の細胞ベース療法の持続性を特定および/または監視し、限定されないが、CAR-T細胞集団、TCR操作されたT細胞集団、持続性CAR-T発現、投与されたTIL集団の存在(例えば、持続的存在)、養子T細胞療法後のTIL発現(例えば、持続的発現)、および/または同種造血細胞移植後の免疫再構成を含む、操作されたT細胞集団の存在(例えば、持続的存在)が含まれるが、これらに限定されない。
【0204】
いくつかの実施形態において、提供される方法および組成物を使用して、患者への細胞ベース療法、例えば、限定されないが、がんワクチン細胞、CAR-T、TIL、および/または他の操作された細胞ベース療法の投与後に、患者試料中に存在するB細胞クローンまたは集団を特徴付けおよび/または監視する。いくつかの実施形態において、提供される方法および組成物を使用して、細胞ベース療法後の患者試料におけるBCRレパートリーを特徴付けおよび/または監視し、投与された細胞ベース療法に対する患者の応答を評価および/または監視する。細胞ベース療法後のかかる特徴付けおよび/または監視に使用するための試料には、限定されないが、患者からの循環血液細胞、循環腫瘍細胞、TIL、組織、cfDNA、および腫瘍試料(複数可)が含まれる。
【0205】
いくつかの実施形態において、細胞ベース療法をかかる療法を受ける患者のために監視するための方法および組成物が提供され、患者の試料を用いて1つ以上の多重増幅反応を行って、定常部分および可変部分を有するBCR核酸鋳型分子を、V遺伝子内のFR1、FR2、またはFR3の少なくとも一部を含む少なくとも1つのBCRコード配列の異なるV遺伝子のうちの大多数に対するプライマー、およびii)BCRコード配列のそれぞれの標的C遺伝子の少なくとも一部に対する1つ以上のC遺伝子プライマー、のうちの少なくとも1つのセットを使用して増幅させることと、得られたBCRアンプリコンを配列決定することと、標的BCRにおける免疫レパートリー配列を特定することと、細胞ベース療法に関連する試料におけるBCR配列(複数可)の存在または不存在を検出することと、を含む。いくつかの実施形態において、細胞ベース療法をかかる療法を受ける患者のために監視するための方法および組成物が提供され、患者の試料を用いて1つ以上の多重増幅反応を行って、J遺伝子部分およびV遺伝子部分を有する免疫レパートリー核酸鋳型分子を、V遺伝子内のFR1、FR2、またはFR3の少なくとも一部を含む少なくとも1つのBCRコード配列の異なるV遺伝子のうちの大多数に対するプライマー、およびそれぞれの標的BCRコード配列の異なるJ遺伝子のうちの大多数に対する複数のJ遺伝子プライマー、のうちの少なくとも1つのセットを使用して増幅させることと、得られたBCRアンプリコンを配列決定することと、標的BCRにおける免疫レパートリー配列を特定することと、細胞ベース療法に関連する試料におけるBCR配列(複数可)の存在または不存在を検出することと、を含む。
【0206】
いくつかの実施形態において、細胞ベース療法の投与後の患者の応答を監視するための方法および組成物が提供され、患者の試料を用いて1つ以上の多重増幅反応を行って、定常部分および可変部分を有するBCRレパートリー核酸鋳型分子を、V遺伝子内のFR1、FR2、またはFR3の少なくとも一部を含む少なくとも1つのBCRコード配列の異なるV遺伝子のうちの大多数に対するプライマー、およびii)BCRコード配列のそれぞれの標的C遺伝子の少なくとも一部に対する1つ以上のC遺伝子プライマー、のうちの少なくとも1つのセットを使用して増幅させることと、得られたBCRアンプリコンを配列決定することと、標的BCRについて免疫レパートリー配列を特定することと、特定されたBCRレパートリーを、異なる時期に対象から得られた試料で特定された免疫レパートリー配列(複数可)と比較することと、を含む。いくつかの実施形態において、細胞ベース療法の投与後の患者の反応を監視するための方法および組成物が提供され、患者の試料を用いて1つ以上の多重増幅反応を行って、J遺伝子部分およびV遺伝子部分を有するBCRレパートリー核酸鋳型分子を、V遺伝子内のFR1、FR2、またはFR3の少なくとも一部を含む少なくとも1つのBCRコード配列の異なるV遺伝子のうちの大多数に対するプライマー、およびそれぞれのBCRコード配列の異なるJ遺伝子のうちの大多数に対する複数のJ遺伝子プライマー、のうちの少なくとも1つのセットを使用して増幅させることと、得られたBCRアンプリコンを配列決定することと、標的BCRにおける免疫レパートリー配列を特定することと、特定されたBCRレパートリーを、異なる時期に患者から得られた試料で特定された免疫レパートリー配列(複数可)と比較することと、を含む。かかるモニタリングに好適な細胞ベース療法には、限定されないが、CAR-T細胞、TCR操作されたT細胞、TIL、およびその他の豊富化された自家細胞が含まれる。様々な実施形態において、かかる方法で行われる1つ以上の多重増幅反応は、単一の多重増幅反応であり得るか、または並行して行われる2つ以上の多重増幅反応、例えば、異なるプライマープールを用いて行われる並行した高度に多重化された増幅反応であり得る。かかる監視する際に使用するための試料には、限定されないが、診断前に得られる試料、診断の任意の段階で得られる試料、寛解中に得られる試料、治療前の任意の時期に得られる試料(治療前試料)、治療の完了後の任意の時期に得られる試料(治療後試料)、および治療の経過期間中に得られる試料が含まれる。
【0207】
いくつかの実施形態において、B細胞受容体レパートリー、またはB細胞およびT細胞受容体レパートリーを決定するための方法および組成物を使用して、限定されないが、臓器移植または骨髄移植を含む治療の前、期間中、または後に、免疫能力を測定および/または評価する。
【0208】
特定の実施形態において、提供される方法および組成物を使用して、限定されないが、免疫療法、抗アレルギー治療、および抗感染症剤治療を含む、治療処置に応答する対象のBCRレパートリーを特定および/または特徴付ける。したがって、いくつかの実施形態において、提供される方法および組成物を使用して、療法処置に対する有利な応答(例えば、成功したワクチン接種)または有害な応答(例えば、免疫系媒介性有害事象)などの治療応答のBCRレパートリーまたはクローン系統バイオマーカーもしくはシグナチャーを特定する。いくつかの実施形態において、治療に応答する対象のBCRレパートリーを特定および/または特徴付けるための方法および組成物が提供され、治療の開始後に対象から試料を得ることと、試料または試料から調製されたcDNAを用いて1つ以上の多重増幅反応を行って、定常部分および可変部分を有するBCR核酸鋳型分子を、i)V遺伝子内のフレームワーク領域1(FR1)の少なくとも一部を含む少なくとも1つのBCRコード配列の異なるV遺伝子のうちの大多数に対する複数のV遺伝子プライマー、およびii)BCRコード配列のそれぞれの標的C遺伝子の少なくとも一部に対する1つ以上のC遺伝子プライマー、を含むプライマーの少なくとも1つのセットを使用して増幅させることを含み、同じ標的免疫受容体配列に対するi)およびii)のプライマーの各セットは、IgH、IgL、およびIgKからなる群から選択され、それにより、BCRアンプリコン分子を生成する。本方法は、得られたBCRアンプリコン分子を配列決定することと、BCRアンプリコン分子の配列を決定することと、試料からの標的BCRについて免疫レパートリーを特定することと、を含む。いくつかの実施形態において、本方法は、治療開始後に得られた試料から特定されたBCRレパートリーを、治療前に得られた患者の試料からのBCRレパートリーと比較することをさらに含む。特に、BCRアンプリコン分子の配列を決定する実施形態は、初期配列読み取りを得ることと、初期配列読み取りを参照配列に整列させて生産的読み取りを特定することと、1つ以上のインデルエラーを修正して救済された生産的配列読み取りを生成することと、得られた免疫受容体分子の配列を決定することと、を含む。かかる方法および組成物の他の実施形態において、多重増幅反応は、i)V遺伝子内のFR3の少なくとも一部を含む少なくとも1つのBCRコード配列の異なるV遺伝子のうちの大多数に対する複数のV遺伝子プライマー、およびii)BCRコード配列のそれぞれの標的C遺伝子(複数可)の少なくとも一部に対する1つ以上のC遺伝子プライマーを含む、プライマーの少なくとも1つのセットを使用して行われ、同じ標的免疫受容体配列に対するi)およびii)のプライマーの各セットは、IgH、IgL、およびIgKからなる群から選択される。かかる方法および組成物の他の実施形態において、多重増幅反応は、i)V遺伝子内のFR2の少なくとも一部を含む少なくとも1つのBCRコード配列の異なるV遺伝子のうちの大多数に対する複数のV遺伝子プライマー、およびii)BCRコード配列のそれぞれの標的C遺伝子(複数可)の少なくとも一部に対する1つ以上のC遺伝子プライマーを含む、プライマーの少なくとも1つのセットを使用して行われ、同じ標的免疫受容体配列に対するi)およびii)のプライマーの各セットは、IgH、IgL、およびIgKからなる群から選択される。
【0209】
いくつかの実施形態において、治療に応答する対象のBCRレパートリーを特定および/または特徴付けるための方法および組成物が提供され、治療の開始後に対象から試料を得ることと、試料または試料から調製されたcDNAを用いて1つ以上の多重増幅反応を行って、J遺伝子部分およびV遺伝子部分を有するBCR核酸鋳型分子を、i)V遺伝子内のフレームワーク領域3(FR3)の少なくとも一部を含む少なくとも1つのBCRコード配列の異なるV遺伝子のうちの大多数に対する複数のV遺伝子プライマー、およびii)それぞれの標的BCRコード配列の異なるJ遺伝子のうちの対多数に対する複数のJ遺伝子プライマーを含む、少なくとも1つのセットを使用して増幅させることを含み、同じ標的免疫受容体配列に対するi)およびii)のプライマーの各セットは、IgH、IgL、およびIgKからなる群から選択され、それにより、BCRアンプリコン分子を生成する。本方法は、得られたBCRアンプリコン分子を配列決定することと、BCRアンプリコン分子の配列を決定することと、試料からの標的BCRについて免疫レパートリーを特定することと、を含む。いくつかの実施形態において、本方法は、治療開始後に得られた試料から特定されたBCRレパートリーを、治療前に得られた患者の試料からのBCRレパートリーと比較することをさらに含む。特に、BCRアンプリコン分子の配列を決定する実施形態は、初期配列読み取りを得ることと、推測されるJ遺伝子配列を配列読み取りに追加して拡張配列読み取りを作成することと、拡張配列読み取りを参照配列に整列させて生産的読み取りを特定することと、1つ以上のインデルエラーを修正して救済された生産的配列読み取りを生成することと、得られたBCR分子の配列を決定することと、を含む。かかる方法および組成物の他の実施形態において、多重増幅反応は、i)V遺伝子内のFR1の少なくとも一部を含む少なくとも1つのBCRコード配列の異なるV遺伝子のうちの大多数に対する複数のV遺伝子プライマー、およびii)それぞれの標的BCRコード配列の異なるJ遺伝子のうちの大多数に対する複数のJ遺伝子プライマーを含む、プライマーの少なくとも1つのセットを使用して行われ、同じ標的免疫受容体配列に対するi)およびii)のプライマーの各セットは、IgH、IgL、およびIgKからなる群から選択される。かかる方法および組成物の他の実施形態において、多重増幅反応は、i)V遺伝子内のFR2の少なくとも一部を含む少なくとも1つのBCRコード配列の異なるV遺伝子のうちの大多数に対する複数のV遺伝子プライマー、およびii)それぞれの標的BCRコード配列の異なるJ遺伝子のうちの大多数に対する複数のJ遺伝子プライマーを含む、プライマーの少なくとも1つのセットを使用して行われ、同じ標的免疫受容体配列に対するi)およびii)のプライマーの各セットは、IgH、IgL、およびIgKからなる群から選択される。
【0210】
いくつかの実施形態において、治療に応答する対象のBCRレパートリーにおける変化を監視するための方法および組成物が提供され、対象または患者の試料を用いて1つ以上の多重増幅反応を行って、定常部分および可変部分を有するBCR核酸鋳型分子を、V遺伝子内のFR1、FR2、またはFR3の少なくとも一部を含む少なくとも1つのBCRコード配列の異なるV遺伝子のうちの大部分に対するプライマー、およびBCRコード配列のそれぞれの標的C遺伝子の少なくとも一部に対する1つ以上のC遺伝子プライマー、のうちの少なくとも1つのセットを使用して増幅させることと、得られたBCRアンプリコンを配列決定することと、試料からの標的BCRにおける免疫レパートリー配列を特定することと、特定されたBCRレパートリーを、異なる時期に対象から得られた試料で特定されるものと比較することと、を含む。いくつかの実施形態において、治療に応答する対象のBCRレパートリーの変化を監視するための方法および組成物が提供され、対象または患者の試料を用いて1つ以上の多重増幅反応を行って、J遺伝子部分およびV遺伝子部分を有するBCR核酸鋳型分子を、V遺伝子内のFR1、FR2、またはFR3の少なくとも一部を含む少なくとも1つのBCRコード配列の異なるV遺伝子のうちの大部分に対するプライマー、およびそれぞれの標的BCRコード配列の異なるJ遺伝子のうちの大部分に対する複数のJ遺伝子プライマー、のうちの少なくとも1つのセットを使用して増幅させることと、得られたBCRアンプリコンを配列決定することと、試料からの標的BCRにおける免疫レパート配列を特定することと、特定されたBCRレパートリーを、異なる時期に対象から得られた試料で特定されるものと比較することと、を含む。様々な実施形態において、かかる方法で行われる1つ以上の多重増幅反応は、単一の多重増幅反応であり得るか、または並行して行われる2つ以上の多重増幅反応、例えば、異なるプライマープールを用いて行われる並行した高度に多重化された増幅反応であり得る。BCRレパートリーにおける変化を監視する際に使用するための試料には、限定されないが、診断前に得られる試料、診断の任意の段階で得られる試料、寛解中に得られる試料、治療前の任意の時期に得られる試料(治療前試料)、治療の完了後の任意の時期に得られる試料(治療後試料)、および治療の経過期間中に得られる試料が含まれる。
【0211】
特定の実施形態において、提供される方法および組成物を使用して、限定されないが、炎症状態、自己免疫反応、および/または自己免疫疾患もしくは障害に関連するものを含む、免疫系媒介性有害事象に関連するBCRレパートリーを特徴付けおよび/または監視する。いくつかの実施形態において、提供される方法および組成物を使用して、限定されないが、多発性硬化症、I型糖尿病、麻痺、関節リウマチ、強直性脊椎炎、喘息、およびSLEを含む、慢性自己免疫疾患もしくは障害に関連するB細胞、またはB細胞およびT細胞、免疫レパートリーを特定および/あるいは監視する。いくつかの実施形態において、血液試料などの全身試料を使用して、自己免疫状態を有する個体の免疫レパートリー(複数可)を決定する。いくつかの実施形態において、発症した関節または腫れの領域からの流体試料などの局所試料を使用して、自己免疫状態を有する個体の免疫レパートリー(複数可)を決定する。いくつかの実施形態において、限局または発症領域の試料に認められる免疫レパートリーと全身試料に認められる免疫レパートリーとの比較によって、除去の標的となるクローンT細胞またはB細胞集団を特定することができる。
【0212】
いくつかの実施形態において、患者の免疫系媒介性有害事象(複数可)の進行および/または治療に関連するBCRレパートリーを特定および/または監視するための方法および組成物が提供され、患者の試料を用いて1つ以上の多重増幅反応を行って、定常部分および可変部分を有するBCRレパートリー核酸鋳型分子を、V遺伝子内のFR1、FR2、またはFR3の少なくとも一部を含む少なくとも1つのBCRコード配列の異なるV遺伝子のうちの大多数に対するプライマー、およびBCRコード配列のそれぞれの標的C遺伝子の少なくとも一部に対する1つ以上のC遺伝子プライマー、のうちの少なくとも1つのセットを使用して増幅させることと、得られたBCRアンプリコンを配列決定することと、試料からの標的BCRについて免疫レパートリー配列を特定することと、特定されたBCRレパートリーを、異なる時期に対象から得られた試料で特定されたBCRレパートリー配列(複数可)と比較することと、を含む。いくつかの実施形態において、患者の免疫系媒介性有害事象(複数可)の進行および/または治療に関連するBCRレパートリーを特定および/または監視するための方法および組成物が提供され、患者の試料を用いて1つ以上の多重増幅反応を行って、J遺伝子部分およびV遺伝子部分を有するBCR核酸鋳型分子を、V遺伝子内のFR1、FR2、またはFR3の少なくとも一部を含む少なくとも1つのBCRコード配列の異なるV遺伝子のうちの大多数に対するプライマー、およびそれぞれの標的BCRコード配列の異なるJ遺伝子のうちの大多数に対する複数のJ遺伝子プライマー、のうちの少なくとも1つのセットを使用して増幅させることと、得られたBCRアンプリコンを配列決定することと、試料からの標的免疫レパートリーにおけるBCR配列を特定することと、特定されたBCRレパートリーを、異なる時期に患者から得られた試料で特定されたBCRレパートリー(複数可)と比較することと、を含む。様々な実施形態において、かかる方法で行われる1つ以上の多重増幅反応は、単一の多重増幅反応であり得るか、または並行して行われる2つ以上の多重増幅反応、例えば、異なるプライマープールを用いて行われる並行した高度に多重化された増幅反応であり得る。免疫系媒介性有害事象に関連する免疫レパートリーにおける変化を監視する際に使用するための試料には、限定されないが、診断前に得られる試料、診断の任意の段階で得られる試料、寛解中に得られる試料、治療前の任意の時期に得られる試料(治療前試料)、治療の完了後の任意の時期に得られる試料(治療後試料)、および治療の経過期間中に得られる試料が含まれる。
【0213】
いくつかの実施形態において、提供される方法および組成物を使用して、自然に獲得された受動免疫療法および人工的に獲得された受動免疫療法を含む、受動免疫に関連する免疫レパートリーを特徴付けおよび/または監視する。例えば、提供される方法および組成物を使用して、限定されないが、母親から妊娠期間中に胎児に、もしくは授乳によって乳児に運ばれるか、またはレシピエントへの抗体の投与を介して運ばれる抗体媒介性免疫の移行後に、受動免疫をレシピエントに提供する保護抗体を特定および/または監視し得る。別の例では、提供される方法および組成物を使用して、ドナーと組織適合性のあるレシピエントへの成熟循環リンパ球の投与など、レシピエントへの細胞媒介性免疫の受動的移行に関連するB細胞および/またはT細胞免疫レパートリーを特定および/または監視し得る。いくつかの実施形態において、提供される方法および組成物を使用して、レシピエントにおける受動免疫の持続時間を監視する。
【0214】
いくつかの実施形態において、提供される方法および組成物を使用して、能動免疫またはワクチン接種療法に関連する免疫レパートリーを特徴付けおよび/または監視する。例えば、ワクチンまたは感染性病原体への曝露後に、提供される方法および組成物を使用して、曝露された個体に能動免疫を提供し得る、保護抗体もしくは保護クローンB細胞集団、またはクローンB細胞およびT細胞集団を特定および/または監視し得る。いくつかの実施形態において、提供される方法および組成物を使用して、曝露された個体における免疫に寄与するB細胞クローン、またはB細胞およびT細胞クローンの持続期間を監視する。いくつかの実施形態において、提供される方法および組成物を使用して、細菌、真菌、寄生虫、またはウイルスの抗原への曝露に関連するB細胞および/またはT細胞免疫レパートリーを特定および/または監視する。いくつかの実施形態において、提供される方法および組成物を使用して、細菌、真菌、寄生虫、またはウイルスの感染に関連するB細胞および/またはT細胞免疫レパートリーを特定および/または監視する。したがって、いくつかの実施形態において、提供される方法および組成物は、ワクチン開発における使用のためのものであり、限定されないが、ワクチン候補に対する1つ以上の応答を特定および/または特徴付けること、ならびに品質または規制目的のためにワクチンに対する1つ以上の応答を評価することを含む。
【0215】
いくつかの実施形態において、ワクチンまたは感染性病原体への曝露後にBCRレパートリーにおける変化を監視するための方法および組成物が提供され、曝露された対象の試料を用いて1つ以上の多重増幅反応を行って、定常部分および可変部分を有するBCRレパートリー核酸鋳型分子を、V遺伝子内のFR1、FR2、またはFR3の少なくとも一部を含む少なくとも1つのBCRコード配列の異なるV遺伝子のうちの大多数に対するプライマー、およびBCRコード配列のそれぞれの標的C遺伝子の少なくとも一部に対する1つ以上のC遺伝子プライマー、のうちの少なくとも1つのセットを使用して増幅させることと、得られたBCRアンプリコンを配列決定することと、試料からの標的BCRにおける免疫レパートリー配列を特定することと、特定されたBCRレパートリーを、異なる時期(例えば、曝露前または試験される試料が得られた後)に対象から得られた試料で特定されるBCRレパートリー(複数可)と比較することと、を含む。いくつかの実施形態において、ワクチン接種または感染性病原体への曝露後にBCRレパートリーにおける変化を監視するための方法および組成物が提供され、曝露された対象の試料を用いて1つ以上の多重増幅反応を行って、J遺伝子部分およびV遺伝子部分を有するBCRレパートリー核酸鋳型分子を、V遺伝子内のFR1、FR2、またはFR3の少なくとも一部を含む少なくとも1つのBCRコード配列の異なるV遺伝子のうちの大多数に対するプライマー、およびそれぞれの標的BCRコード配列の異なるJ遺伝子のうちの大多数に対する複数のJ遺伝子プライマー、のうちの少なくとも1つのセットを使用して増幅させることと、得られたBCRアンプリコンを配列決定することと、試料からの標的免疫レパートリーにおけるBCR配列を特定することと、特定されたBCRレパートリーを、異なる時期に患者から得られた試料で特定されたBCRレパートリー(複数可)と比較することと、を含む。特定の実施形態において、ワクチンまたは感染性病原体への曝露後のBCRレパートリーにおける変化を監視するための方法および組成物が提供され、曝露された対象の試料から調製されたcDNAを用いて1つ以上の多重増幅反応を行って、定常部分および可変部分を有するIgH核酸鋳型分子を、i)V遺伝子内のFR1、FR2、またはFR3の少なくとも一部を含む異なるIgH V遺伝子のうちの大多数に対する複数のV遺伝子プライマー、およびIgH C遺伝子の少なくとも一部に対する1つ以上のC遺伝子プライマーを含む、プライマーの少なくとも1つのセットを使用して増幅させることと、得られたBCRアンプリコンを配列決定することと、レパートリーアイソタイプ情報を含む試料からの発現IgHレパートリー配列を特定することと、特定されたIgHレパートリーを、異なる時期異なる時期(例えば、曝露前または試験される試料が得られた後)に対象から得られた試料で特定されたIgHレパートリー(複数可)と比較することと、を含む。いくつかの実施形態において、プライマーセットは、単一のアイソタイプ、例えば、IgG、のC遺伝子の少なくとも一部に対する1つ以上のプライマーを含む。他の実施形態において、プライマーセットは、各々が2つの異なるアイソタイプのC遺伝子の少なくとも一部に対する少なくとも2つのプライマーを含む。他の実施形態において、プライマーセットは、IgA、IgD、IgG、IgM、およびIgEアイソタイプクラスのC遺伝子の少なくとも一部に別々に対する少なくとも1つのプライマーを含む。したがって、方法および組成物を使用して、B細胞レパートリー(アイソタイプクラススイッチを含む)における変化を監視し、ワクチン曝露に対する対象の応答を評価し得る。
【0216】
特定の実施形態において、アレルゲンまたはアレルギー反応もしくは応答を誘発する媒介物への曝露後の対象のIgEレパートリーを特定および/または特徴付けるための方法および組成物が提供され、曝露された対象の試料を用いて1つ以上の多重増幅反応を行って、定常部分および可変部分を有するIgHレパートリー核酸鋳型分子を、V遺伝子内のFR1、FR2、またはFR3の少なくとも一部を含む異なるIgH V遺伝子のうちの大多数に対するプライマー、およびIgE遺伝子コード配列の少なくとも一部に対する1つ以上のC遺伝子プライマー、のうちの少なくとも1つのセットを使用して増幅させることと、得られたIgHアンプリコンを配列決定することと、試料から発現されたIgE免疫レパートリー配列を特定することと、を含む。いくつかの実施形態において、アレルゲンまたはアレルギー反応もしくは応答を誘発する媒介物への曝露後の対象のIgEレパートリーにおける変化を監視するための方法および組成物が提供され、曝露された対象の試料を用いて1つ以上の多重増幅反応を行って、定常部分および可変部分を有するIgHレパートリー核酸鋳型分子を、V遺伝子内のFR1、FR2、またはFR3の少なくとも一部を含む異なるIgH V遺伝子のうちの大多数に対するプライマー、およびIgE遺伝子コード配列の少なくとも一部に対する1つ以上のC遺伝子プライマー、のうちの少なくとも1つのセットを使用して増幅させることと、得られたIgHアンプリコンを配列決定することと、試料からの発現されたIgE免疫レパートリー配列を特定することと、特定されたIgEレパートリーを、異なる時期(例えば、曝露前または試験される試料が得られた後)に対象から得られた試料で特定されたIgEレパートリー(複数可)と比較することと、を含む。いくつかの実施形態において、かかる方法および組成物の少なくとも1つのプライマーセットは、IgG、IgM、IgA、および/またはIgD指向プライマーなどの他のIgHアイソタイプの少なくとも一部に対する追加のC遺伝子プライマーを含む。他の実施形態において、プライマーセットは、IgA、IgD、IgG、IgM、およびIgEアイソタイプクラスのC遺伝子の少なくとも一部に別々に対する少なくとも1つのプライマーを含む。したがって、方法および組成物を使用して、全BCRレパートリー内のIgEレパートリーにおける変化(アイソタイプクラススイッチを含む)を監視し、アレルギー反応またはアレルゲン曝露に対する対象の応答を評価し得る。いくつかの実施形態において、かかる方法および組成物を使用して、レパートリー内のIgE発現B細胞のアイソタイプスイッチ起源を決定および/または監視する。
【0217】
いくつかの実施形態において、提供される方法および組成物を使用して、免疫療法剤として、または免疫療法に基づくレジメンで使用するためにインビトロで増殖および/または活性化されるリンパ球集団をスクリーニングあるいは特徴付ける。いくつかの実施形態において、提供される方法および組成物を使用して、インビトロで増殖および/もしくは活性化されるTIL集団または他の収集されたB細胞集団をスクリーニングまたは特徴付ける。いくつかの実施形態において、BCRのIgH配列を決定することは、抗原特異的B細胞の特定および産生を容易にする。いくつかの実施形態において、提供される方法および組成物を使用して、例えば、免疫療法または抗体産生における使用のために、インビトロで増殖および/または活性化される操作されたB細胞集団をスクリーニングまたは特徴付ける。いくつかの実施形態において、提供される方法および組成物を使用して、例えば、品質管理または規制試験の目的のために、操作された細胞調製物を製造するためのエクスビボワークフロー中にBCRレパートリーを監視することによって細胞集団を評価する。
【0218】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるように特定された新規または非標準的なBCR対立遺伝子の配列を使用して、組換えBCR核酸または分子を生成し得る。いくつかの実施形態において、提供される方法および組成物は、組換え抗体ライブラリーのスクリーニングおよび/または産生で使用される。BCRを特定するように対応された組成物を使用して、組換え抗体ライブラリーのサイズおよび組成物を迅速に評価して、目的の抗体を特定することができる。
【0219】
いくつかの実施形態において、本明細書に提供されるような免疫受容体レパートリーをプロファイリングすることは、免疫応答遺伝子発現をプロファイリングすることと組み合わせて、腫瘍微小環境の特徴付けを提供し得る。いくつかの実施形態において、腫瘍試料のBCRレパートリープロファイルを標的免疫応答遺伝子発現プロファイルと組み合わせるか、または相関させることは、腫瘍微小環境のより完全な分析を提供し、免疫療法治療のためのガイダンスを示唆または提供し得る。
【0220】
分析に好適な細胞には、限定されないが、末梢血単核細胞(PBMC)、T細胞、B細胞、循環腫瘍細胞、および腫瘍浸潤リンパ球(TIL)などの様々な造血細胞、リンパ球、および腫瘍細胞が含まれる。免疫グロブリンを発現するリンパ球には、プレB細胞、B細胞、例えば、メモリB細胞、および形質細胞が含まれる。T細胞受容体を発現するリンパ球には、胸腺細胞、NK細胞、プレT細胞、およびT細胞が含まれ、多くのT細胞のサブセット、例えば、Th1、Th2、Th17、CTL、T regが当技術分野で知られている。例えば、いくつかの実施形態において、PBMCを含む試料は、抗体免疫レパートリー分析の供給源として使用され得る。試料は、例えば、リンパ球、単球、およびマクロファージ、ならびに抗体および他の生物学的構成物を含み得る。
【0221】
BCRレパートリーの分析は、限定されないが、がんの存在、がん抗原への曝露、感染性病原体からの抗原への曝露、ワクチンへの曝露、アレルゲンへの曝露、食品への曝露、移植片または移植の存在、および自己免疫活性または疾患の存在を含む、細胞増殖および抗原曝露を含む状態における関心対象のものである。免疫不全に関連する状態もまた、分析の関心対象のものであり、先天性および後天性免疫不全症候群が含まれる。
【0222】
関心対象のB細胞系統悪性腫瘍には、限定されないが、多発性骨髄腫、急性リンパ性白血病(ALL)、再発/難治性B細胞ALL、慢性リンパ性白血病(CLL)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、粘膜関連リンパ組織リンパ腫(MALT)、小細胞リンパ球性リンパ腫、マントル細胞リンパ腫(MCL)、バーキットリンパ腫、縦隔大細胞型B細胞リンパ腫、ワルデンストレームマクログロブリン血症、節性辺縁帯B細胞リンパ腫(NMZL)、脾辺縁帯リンパ腫(SMZL)、血管内大細胞型B細胞リンパ腫、原発性滲出性リンパ腫、リンパ腫様肉芽腫症などが含まれる。非悪性B細胞の過剰増殖状態には、モノクローナルB細胞リンパ球増加症(MBL)が含まれる。
【0223】
関心対象のT細胞系列の悪性腫瘍には、限定されないが、前駆T細胞リンパ芽球性リンパ腫、T細胞前リンパ球性白血病、T細胞顆粒リンパ球性白血病、活動性NK細胞白血病、成人T細胞リンパ腫/白血病(HTLV1陽性)、節外性NK/T細胞リンパ腫、腸管症型T細胞リンパ腫、肝脾γδT細胞リンパ腫、皮下脂肪織炎様T細胞リンパ腫、菌状息肉腫/セザリー症候群、未分化大細胞リンパ腫、T/ヌル細胞、末梢T細胞リンパ腫、血管免疫芽球性T細胞リンパ腫、慢性リンパ性白血病(CLL)、急性リンパ性白血病(ALL)、前リンパ球性白血病、有毛細胞白血病が含まれる。
【0224】
関心対象の他の悪性腫瘍には、限定されないが、急性骨髄性白血病、頭頸部がん、脳がん、乳がん、卵巣がん、頸部がん、結腸直腸がん、子宮内膜がん、胆嚢がん、胃がん、膀胱がん、前立腺がん、精巣がん、肝臓がん、肺がん、腎臓(腎細胞)がん、食道がん、膵臓がん、甲状腺がん、胆管がん、下垂体腫瘍、ウィルムス腫瘍、カポジ肉腫、骨肉腫、胸腺がん、皮膚がん、心臓がん、口腔および喉頭がん、神経芽細胞腫、および非ホジキンリンパ腫が含まれる。
【0225】
神経学的炎症状態、例えばアルツハイマー病、パーキンソン病、ルーゲーリック病など、および多発性硬化症、慢性炎症性脱髄性多発神経障害などの脱髄性疾患、ならびに関節リウマチなどの炎症性状態は、関心対象のものである。全身性エリテマトーデス(SLE)は、多クローン性B細胞活性化を特徴とする自己免疫疾患であり、様々な抗タンパク質および非タンパク質自己抗体をもたらす(Kotzin et al.(1996)Cell 85:303-306を参照されたい)。これらの自己抗体は、複数の器官系に沈着する免疫複合体を形成し、組織の損傷を引き起こす。自己免疫成分は、アテローム性動脈硬化症に起因し得、候補自己抗原には、Hsp60、酸化LDL、および2-糖タンパク質I(2GPI)が含まれる。
【0226】
本明細書に記載の方法における使用のための試料は、リンパ腫、白血病、および形質細胞腫を含む、悪性腫瘍または過剰増殖状態を有する対象から収集されるものであり得る。リンパ腫は、リンパ球起源の固形新生物であり、リンパ組織に最も頻繁に認められる。したがって、例えば、かかるリンパ腫を含むリンパ節、例えば扁桃腺からの生検は、好適な生検を構成するであろう。試料は、疾患の進行および/または疾患の治療における1つもしくは複数の時点で対象または患者から得ることができる。
【0227】
いくつかの実施形態において、本開示は、複数の発現された免疫受容体標的配列を有するcDNA試料における標的特異的多重PCRを、切断可能な基を有するプライマーを使用して行うための方法を提供する。
【0228】
特定の実施形態において、配列決定されるライブラリーおよび/または鋳型調製物は、本明細書で提供される組成物を使用して、自動化システム、例えば、Ion Chef(商標)システムを使用して、核酸試料の集団から自動的に調製される。
【0229】
本明細書で使用される場合、「対象」という用語は、人、患者、個人、評価される者などを含む。
【0230】
本明細書で使用される場合、「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、「含む(includes)」、「含む(including)」、「有する(has)」、「有する(having)」という用語、またはそれらの他の任意の変化形は、非排他的な包含に及ぶことが意図されている。例えば、特徴のリストを含むプロセス、方法、物品、または機器は、必ずしもそれらの特徴のみに限定されず、明示的に記載されていないか、またはそのようなプロセス、方法、物品、または機器に固有である他の特徴を含み得る。さらに、明示的に断りの記載がない限り、「または」は、包含的論理和を指し、排他的論理和を指さない。
【0231】
本明細書で使用される場合、「抗原」は、例えば対象の、体内に導入されたときに、抗原を認識する抗体またはT細胞受容体の産生などの免疫応答を刺激することができる任意の物質を指す。抗原には、核酸、脂質、リボヌクレオタンパク質複合体、タンパク質複合体、タンパク質、ポリペプチド、ペプチドなどの分子、ならびにTおよび/またはBリンパ球が関与する免疫応答を生じることができるかかる分子の天然もしくは合成修飾が含まれる。自己免疫疾患に関して、抗原は。本明細書においてしばしば自己抗原と呼ばれる。アレルギー性疾患に関して、抗原は、本明細書においてしばしばアレルゲンと呼ばれる。自己抗原は、免疫応答の標的であり得る、生物によって産生される任意の分子であり、生物のゲノム内にコードされているペプチド、ポリペプチド、およびタンパク質、ならびにこれらのペプチド、ポリペプチド、およびタンパク質の翻訳後に生成される修飾が含まれる。かかる分子にはまた、炭水化物、脂質、および生物によって産生される他の分子が含まれる。抗原にはまた、限定されないが、病原体抗原、がん関連抗原、アレルゲンなどを含むワクチン抗原が含まれる。
【0232】
本明細書で使用されるとき、「増幅する」、「増幅すること」、または「増幅反応」、およびそれらの派生語は、核酸分子の少なくとも一部(鋳型核酸分子と呼ばれる)が、複製されるか、または少なくとも1つの追加の核酸分子にコピーされる、任意の作用またはプロセスを指す。追加の核酸分子は、鋳型核酸分子の少なくともいくらかの部分と実質的に同一または実質的に相補的である配列を任意選択的に含む。鋳型核酸分子は、一本鎖または二本鎖であることができ、追加の核酸分子は、独立して、一本鎖または二本鎖であることができる。いくつかの実施形態において、増幅は、核酸分子の少なくともいくつかの部分の少なくとも1つのコピーの生成、または核酸分子の少なくともいくつかの部分に相補的である核酸配列の少なくとも1つのコピーの生成のための鋳型依存性インビトロ酵素触媒反応を含む。増幅は、核酸分子の線形または指数関数的複製を任意選択的に含む。いくつかの実施形態では、かかる増幅は、等温条件を使用して実施され、他の実施形態では、かかる増幅は、熱サイクリングを含むことができる。いくつかの実施形態において、増幅は、単一の増幅反応における複数の標的配列の同時増幅を含む多重増幅である。標的配列のうちの少なくともいくつかは、単一の増幅反応に含まれる同じ核酸分子または異なる標的核酸分子に位置することができる。いくつかの実施形態において、「増幅」は、DNAベースおよびRNAベースの核酸の少なくともいくつかの部分の増幅を、単独または組み合わせで含む。増幅反応は、一本鎖または二本鎖核酸基質を含むことができ、当業者に知られている増幅プロセスのうちのいくつかをさらに含むことができる。いくつかの実施形態において、増幅反応は、PCRを含む。
【0233】
本明細書で使用される場合、「増幅条件」および派生語は、1つ以上の核酸配列を増幅するために好適な条件を指す。かかる増幅は、一次または指数関数的であり得る。いくつかの実施形態において、増幅条件は、等温条件を含むことができるか、または代替的に、熱サイクル条件、もしくは等温条件と熱サイクル条件との組み合わせを含むことができる。いくつかの実施形態において、1つ以上の核酸配列を増幅するために好適な条件は、PCR条件を含む。典型的には、増幅条件は、1つ以上の標的配列などの核酸を増幅するか、または1つ以上のアダプターに連結した増幅標的配列、例えば、アダプター連結増幅標的配列を増幅するのに十分な反応混合物を指す。増幅条件は、増幅または核酸合成のための触媒、例えば、ポリメラーゼ、増幅される核酸に対してある程度の相補性を有するプライマー、および核酸にハイブリダイズされるとプライマーの伸長を促進するデオキシリボヌクレオシド三リン酸(dNTP)などのヌクレオチドを含む。増幅条件は、核酸とプライマーのハイブリダイゼーションまたはアニーリング、プライマーの伸長、および伸長したプライマーが増幅を受けている核酸配列から分離される変性ステップを必要とし得る。典型的には、しかし必ずしもそうではないが、増幅条件は熱サイクルを含むことができ、いくつかの実施形態において、増幅条件は、アニーリング、伸長、および分離のステップが繰り返される複数のサイクルを含む。典型的には、増幅条件は、Mg2+またはMn2+などのカチオン(例えば、MgCl2など)を含み、イオン強度の様々な調節剤も含むことができる。
【0234】
本明細書で使用される場合、「標的配列」または「関心対象の標的配列」およびその派生語は、試料中に存在することが疑われるか、または予測される任意の核酸配列を含む、本開示に従って増幅または合成することができる、任意の一本または二本鎖核酸配列を指す。いくつかの実施形態では、標的配列は、二本鎖形態で存在し、標的特異的プライマーまたは付加されたアダプターの添加前に、増幅または合成される特定のヌクレオチド配列の少なくとも一部、またはその相補体を含む。標的配列は、増幅または合成反応において有用なプライマーが、ポリメラーゼによる伸長の前にハイブリダイズすることができる核酸を含むことができる。いくつかの実施形態では、この用語は、ヌクレオチドの配列同一性、順序付けまたは場所が、本開示の方法のうちの1つ以上によって決定される核酸配列を指す。
【0235】
本明細書で定義される場合、「試料」およびその派生語は、その最も広い意味で使用され、標的を含むことが疑われる、任意の標本、培養物などを含む。いくつかの実施形態において、試料は、cDNA、RNA、PNA、LNA、キメラ、ハイブリッド、または核酸の多重形態を含む。試料は、1つ以上の核酸を含む、生物学的、臨床的、外科的、農業的、大気ベース、または水生ベースの標本を含むことができる。本用語はまた、発現されたRNA、新鮮-凍結またはホルマリン固定したパラフィン包埋の核酸標本などの任意の単離された核酸試料を含む。
【0236】
本明細書で使用される場合、「接触させること」およびその派生語は、2つ以上の成分に関して使用されるとき、言及される成分の接近、近接、混合、もしくは混入が、かかる成分の物理的な接触を必ずしも必要とせずに促進または達成される任意のプロセスを指し、言及される成分のうちのいずれか1つ以上を含有する溶液を互いに混合することを含む。参照される成分は、任意の特定の順序または組み合わせで接触され得、成分の列挙の特定の順序は、限定的ではない。例えば、「AをBおよびCと接触させること」は、AをまずB、次いでCと接触させる実施形態、ならびにCをA、次いでBと接触させる実施形態、ならびにAおよびCの混合物をBと接触させる実施形態などを包含する。さらに、かかる接触させることは、接触プロセス中のある時点で、参照される成分のすべてが同時に存在するか、または同じ混合物もしくは溶液に同時に含まれる限り、接触プロセスの最終結果が参照される成分のすべてを含む混合物であることを必ずしも必要としない。接触させる参照成分の1つ以上が複数を含む(例えば、「標的配列を複数の標的特異的プライマーおよびポリメラーゼと接触させる」)場合、複数の各メンバーは、接触させることが、複数のいずれか1つ以上のメンバーを複数のいずれかの他のメンバーと、および/またはいずれかの他の参照成分と(例えば、複数の標的特異的プライマーのすべてではないがいくつかは、標的配列、次いでポリメラーゼ、および次いで複数の標的特異的プライマーの他のメンバーと接触させることができる)いずれかの順序または組み合わせで接触させることを含むことができるように、接触プロセスの個々の成分として見ることができる。
【0237】
本明細書で使用される場合、「プライマー」という用語およびその派生語は、関心対象の標的配列にハイブリダイズすることができる任意のポリヌクレオチドを指す。いくつかの実施形態では、プライマーは、核酸合成を開始するのに役立つこともできる。典型的には、プライマーは、ヌクレオチドがポリメラーゼによって重合され得る基質として機能するが、しかしいくつかの実施形態において、プライマーは、合成された核酸鎖に組み込まれて、別のプライマーがハイブリダイズして、合成された核酸分子に相補的である新たな鎖の合成を開始することができる部位を提供することができる。プライマーは、ヌクレオチドまたはその類似体の任意の組み合わせからなり得、任意選択的に連結されて、任意の好適な長さの線状ポリマーを形成し得る。いくつかの実施形態において、プライマーは、一本鎖オリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドである。(本開示の目的では、「ポリヌクレオチド」および「オリゴヌクレオチド」という用語は、本明細書において互換的に使用され、二者間の長さの違いを必ずしも示さない)。いくつかの実施形態において、プライマーは一本鎖であるが、それは二本鎖であることもできる。プライマーは、精製された制限消化におけるように、任意選択的に自然に発生するか、または合成的に生成することができる。いくつかの実施形態において、プライマーは、増幅または合成条件に曝露される場合、増幅または合成における開始点として作用し、かかる増幅または合成は、鋳型依存様式で生じることができ、任意選択的に、標的配列の少なくとも一部分に相補的であるプライマー伸長生成物の形成をもたらす。例示的な増幅または合成条件は、プライマーをポリヌクレオチド鋳型(例えば、標的配列を含む鋳型)、ヌクレオチド、およびポリメラーゼなどの誘導剤と好適な温度およびpHで接触させて、標的特異的プライマーの末端へのヌクレオチドの重合を誘導することを含むことができる。二本鎖の場合、プライマーは、プライマー伸長生成物を調製するために使用される前に、その鎖を分離するように任意選択的に処理することができる。いくつかの実施形態では、プライマーは、オリゴデオキシリボヌクレオチドまたはオリゴリボヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、プライマーは、1つ以上のヌクレオチド類似体を含むことができる。標的特異的プライマーの、配列を含む、正確な長さおよび/または組成は、融解温度(Tm)、GC含有量、二次構造の形成、反復ヌクレオチドモチーフ、予測されるプライマー伸長生成物の長さ、目的の核酸分子にわたるカバレッジの程度、単一の増幅または合成反応に存在するプライマーの数、プライマー内のヌクレオチド類似体または修飾ヌクレオチドの存在などを含む、多くの特性に影響を及ぼすことができる。いくつかの実施形態では、プライマーは、増幅または合成反応内で適合性プライマーと対合して、順方向プライマーおよび逆方向プライマーからなるプライマー対を形成することができる。いくつかの実施形態では、プライマー対の順方向プライマーは、核酸分子の鎖の少なくとも一部分と実質的に相補的である配列を含み、プライマー対のプライマーの逆方向プライマーは、鎖の少なくとも一部分と実質的に同一である配列を含む。いくつかの実施形態では、順方向プライマーおよび逆方向プライマーは、核酸二重鎖の反対の鎖にハイブリダイズすることができる。任意選択的に、順方向プライマーは、第1の核酸鎖の合成を開始し、逆方向プライマーは、第2の核酸鎖の合成を開始し、第1および第2の鎖は、互いに実質的に相補的であるか、またはハイブリダイズして二本鎖核酸分子を形成することができる。いくつかの実施形態では、増幅または合成生成物の一末端は、順方向プライマーによって定義され、増幅または合成生成物の他端は、逆方向プライマーによって定義される。いくつかの実施形態では、エクソン、コーディング領域、または遺伝子の増幅などの、長いプライマー伸長生成物の増幅または合成が必要である場合、領域の十分な増幅を可能にするために所望の長さに及ぶよりもいくつかのプライマー対を作成することができる。いくつかの実施形態では、プライマーは、1つ以上の切断可能な基を含むことができる。いくつかの実施形態では、プライマー長さは、約10~約60ヌクレオチド、約12~約50ヌクレオチド、および約15~約40ヌクレオチドの範囲の長さである。典型的には、プライマーは、dNTPおよびポリメラーゼの存在下で増幅条件に曝露される場合、対応する標的配列にハイブリダイズし、プライマー伸長を受けることができる。いくつかの実施形態では、プライマーは、プライマー内の1つ以上の位置に1つ以上の切断可能な基を含む。
【0238】
本明細書で使用される場合、「標的特異的プライマー」およびその派生語は、標的配列を含む核酸分子の少なくとも一部分に対して、少なくとも50%相補的、典型的には少なくとも75%相補的、もしくは少なくとも85%相補的、より典型的には少なくとも90%相補的、より典型的には少なくとも95%相補的、より典型的には少なくとも98%、もしくは少なくとも99%相補的、または同一である少なくとも1つの配列を含む、一本鎖または二本鎖ポリヌクレオチド、典型的にはオリゴヌクレオチドを指す。そのような事例では、標的特異的プライマーおよび標的配列は、互いに「対応する」と記載されている。いくつかの実施形態では、標的特異的プライマーは、その対応する標的配列の少なくとも一部分(または標的配列の相補体)にハイブリダイズすることができ、そのようなハイブリダイゼーションは、任意選択で、標準的なハイブリダイゼーション条件下または厳密なハイブリダイゼーション条件下で任意に行われることができる。いくつかの実施形態では、標的特異的プライマーは、標的配列またはその補体にハイブリダイズすることができないが、標的配列またはその補体を含む核酸鎖の一部分にハイブリダイズすることができる。いくつかの実施形態では、標的特異的プライマーは、標的配列自体の少なくとも一部分に対して、少なくとも75%相補的、典型的には少なくとも85%相補的、より典型的には少なくとも90%相補的、より典型的には少なくとも95%相補的、より典型的には少なくとも98%相補的、またはより典型的には少なくとも99%相補的である少なくとも1つの配列を含み、他の実施形態では、標的特異的プライマーは、標的配列以外の核酸分子の少なくとも一部に対して、少なくとも75%相補的、典型的には少なくとも85%相補的、より典型的には少なくとも90%相補的、より典型的には少なくとも95%相補的、より典型的には少なくとも98%相補的、またはより典型的には少なくとも99%相補的である少なくとも1つの配列を含む。いくつかの実施形態では、標的特異的プライマーは、試料中に存在する他の標的配列に対して実質的に非相補的であり、任意選択的に、標的特異的プライマーは、試料中に存在する他の核酸分子に対して実質的に非相補的である。いくつかの実施形態では、標的配列(または標的配列の補体)を含まないか、またはそれに対応しない試料中に存在する核酸分子は、「非特異的」配列または「非特異的核酸」と呼ばれる。いくつかの実施形態では、標的特異的プライマーは、その対応する標的配列の少なくとも一部分と実質的に相補的であるヌクレオチド配列を含むように設計される。いくつかの実施形態では、標的特異的プライマーは、その対応する標的配列を含む核酸分子の少なくとも一部分に対してその全長にわたって、少なくとも95%相補的、もしくは少なくとも99%相補的、または同一である。いくつかの実施形態において、標的特異的プライマーは、その対応する標的配列の少なくとも一部分に対してその全長にわたって、少なくとも90%、少なくとも95%相補的、少なくとも98%相補的、もしくは少なくとも99%相補的、または同一であり得る。いくつかの実施形態において、フォワード標的特異的プライマーおよびリバース標的特異的プライマーは、鋳型依存的プライマー伸長を介して標的配列を増幅するために使用される標的特異的プライマー対を定義する。典型的には、標的特異的プライマー対の各プライマーは、対応する標的配列を含む核酸分子の少なくとも一部分と実質的に相補的であるが、試料における少なくとも1つの他の標的配列と50%未満相補的である少なくとも1つの配列を含む。いくつかの実施形態において、増幅は、単一の増幅反応において複数の標的特異的プライマー対を使用して行われ、各プライマー対は、フォワード標的特異的プライマーおよびリバース標的特異的プライマーを含み、各々が、試料中の対応する標的配列と実質的に相補的または実質的に同一である少なくとも1つの配列を含み、各プライマー対が、異なる対応する標的配列を有する。いくつかの実施形態において、標的特異的プライマーは、増幅反応に存在する任意の他の標的特異的プライマーに対して、その3’末端またはその5’末端で実質的に非相補的である。いくつかの実施形態では、標的特異的プライマーは、増幅反応における他の標的特異的プライマーへの最小限のクロスハイブリダイゼーションを含むことができる。いくつかの実施形態では、標的特異的プライマーは、増幅反応混合物中の非特異的配列への最小限のクロスハイブリダイゼーションを含む。いくつかの実施形態では、標的特異的プライマーは、最小限の自己相補性を含む。いくつかの実施形態では、標的特異的プライマーは、3’末端に位置する1つ以上の切断可能な基を含むことができる。いくつかの実施形態では、標的特異的プライマーは、標的特異的プライマーの中心ヌクレオチドの近くまたは周囲に位置する1つ以上の切断可能な基を含むことができる。いくつかの実施形態では、1つ以上の標的特異的プライマーは、標的特異的プライマーの5’末端に切断不可能なヌクレオチドのみを含む。いくつかの実施形態では、標的特異的プライマーは、任意選択的に同じ増幅反応において、1つ以上の異なる標的特異的プライマーと比較して、プライマーの3’末端または5’末端で最小限のヌクレオチド配列重複を含む。いくつかの実施形態では、単一の反応混合物中の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個以上の標的特異的プライマーは、上記の実施形態の1つ以上を含む。いくつかの実施形態では、単一の反応混合物中の複数の標的特異的プライマーの実質的にすべては、上記の実施形態の1つ以上を含む。
【0239】
本明細書で使用される場合、「ポリメラーゼ」およびその派生語は、ヌクレオチド(その類似体を含む)の核酸鎖への重合を触媒することができる任意の酵素を指す。必ずしもそうではないが、典型的には、かかるヌクレオチド重合は、鋳型依存様式で生じ得る。かかるポリメラーゼには、限定することなく、天然ポリメラーゼおよびその任意のサブユニットおよびトランケーション、変異ポリメラーゼ、バリアントポリメラーゼ、組換え、融合、または他の様式で操作されたポリメラーゼ、化学的に修飾されたポリメラーゼ、合成分子または集合体、ならびにかかる重合を触媒する能力を保持するそれらの任意の類似体、誘導体、または断片が含まれ得る。任意選択的に、ポリメラーゼは、1つ以上のアミノ酸の他のアミノ酸との置換、ポリメラーゼからの1つ以上のアミノ酸の挿入もしくは欠失、または2つ以上のポリメラーゼの部分の結合を伴う1つ以上の変異を含む変異ポリメラーゼである。典型的には、ポリメラーゼは、ヌクレオチド結合および/またはヌクレオチド重合の触媒が生じ得る1つ以上の活性部位を含む。いくつかの例示的なポリメラーゼは、限定なしに、DNAポリメラーゼおよびRNAポリメラーゼを含む。本明細書で使用される、「ポリメラーゼ」という用語およびその変形は、互いに連結した少なくとも2つの部分を含む融合タンパク質も指し、第1の部分は、ヌクレオチドの核酸鎖への重合を触媒することができるペプチドを含み、第2のポリペプチドを含む第2の部分に連結している。いくつかの実施形態では、第2のポリペプチドは、レポーター酵素または加工性増強ドメインを含むことができる。任意選択的に、ポリメラーゼは、5’エキソヌクレアーゼ活性またはターミナルトランスフェラーゼ活性を有することができる。いくつかの実施形態において、ポリメラーゼは、例えば、熱、化学物質の使用、または反応混合物への新たな量のポリメラーゼの再追加を通して、任意選択的に再活性化される。いくつかの実施形態において、ポリメラーゼは、任意選択的に再活性化されるホットスタートポリメラーゼおよび/またはアプタマーベースのポリメラーゼを含むことができる。
【0240】
本明細書で使用される場合、「ヌクレオチド」という用語およびその変形は、ポリメラーゼに選択的に結合することができるか、またはポリメラーゼによって重合される、天然に存在するヌクレオチドまたはその類似体を含むがこれらに限定されない任意の化合物を含む。典型的には、しかし必ずしもそうではないが、ヌクレオチドのポリメラーゼとの選択的な結合に、ポリメラーゼによるヌクレオチドの核酸鎖への重合が続くが、しかし時折、ヌクレオチドは、核酸鎖に組み込まれることなくポリメラーゼから解離し得る。かかるヌクレオチドは、天然ヌクレオチドだけでなく、その構造にかかわらず、ポリメラーゼに選択的に結合するか、またはそれによって重合され得る任意の類似体も含む。天然ヌクレオチドは典型的に塩基、糖、およびリン酸部分を含む一方、本開示のヌクレオチドは、かかる部分のうちのいずれか1つ、いくつか、またはすべてを欠く化合物を含み得る。いくつかの実施形態では、ヌクレオチドは、任意に、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上のリン原子を含むリン原子の鎖を含み得る。いくつかの実施形態において、リン鎖は、糖環の任意の炭素、例えば、5’炭素に結合される。リン鎖は、介在するOまたはSによって糖に連結することができる。一実施形態において、鎖中の1つ以上のリン原子は、PおよびOを有するリン酸基の一部であることができる。別の実施形態において、鎖中のリン原子は、介在するO、NH、S、メチレン、置換メチレン、エチレン、置換エチレン、CNH2、C(O)、C(CH2)、CH2CH2、またはC(OH)CH2R(Rは4-ピリジンまたは1-イミダゾールであることができる)とともに連結される。一実施形態において、鎖中のリン原子は、O、BH3、またはSを有する側基を有する。リン鎖において、O以外の側基を有するリン原子は、置換リン酸基であり得る。リン鎖において、O以外の介在原子を有するリン原子は、置換リン基であり得る。ヌクレオチド類似体のいくつかの例は、米国特許第7,405,281号に記載されている。いくつかの実施形態において、ヌクレオチドは標識を含み、本明細書では「標識ヌクレオチド」と呼ばれる。標識ヌクレオチドの標識は、本明細書では「ヌクレオチド標識」と呼ばれ、いくつかの実施形態において、標識は、末端リン酸基、すなわち、糖から最も遠位のリン酸基に結合される蛍光色素の形態にある。開示される方法および組成物において使用することができるヌクレオチドのいくつかの例には、リボヌクレオチド、デオキシリボヌクレオシド、修飾リボヌクレオチド、修飾デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチドポリホスフェート、デオキシリボヌクレオチドポリホスフェート、修飾リボヌクレオチドポリホスフェート、修飾デオキシリボヌクレオチドポリホスフェート、ペプチドヌクレオチド、修飾ペプチドヌクレオチド、メタロヌクレオシド、ホスホネートヌクレオシド、および修飾リン酸糖骨格ヌクレオチド、前述の化合物の類似体、誘導体、または変形が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、ヌクレオチドは、ヌクレオチドのアルファリン酸および糖、またはヌクレオチドのアルファおよびベータリン酸、またはヌクレオチドのベータおよびガンマリン酸、またはヌクレオチドの任意の他の2つのリン酸、またはそれらの任意の組み合わせを架橋する酸素部分の代わりに例えば、チオ-またはボラノ-部分等の非酸素部分を含み得る。「ヌクレオチド5’-三リン酸」は、三リン酸エステル基を5’位に有するヌクレオチドを指し、「NTP」、またはリボース糖の構造的特徴を特に指摘するために「dNTP」および「ddNTP」としばしば呼ばれる。三リン酸エステル基は、様々な酸素における硫黄置換、例えば、アルファ-チオ-ヌクレオチド5’-三リン酸を含むことができる。核酸化学のレビューについて、Shabarova,Z.and Bogdanov,A.Advanced Organic Chemistry of Nucleic Acids,VCH,New York,1994を参照されたい。
【0241】
「伸長」という用語およびその変形は、本明細書で使用される場合、所与のプライマーに関して使用されるとき、既存核酸分子の末端への1つ以上のヌクレオチドの重合に関連する所与のポリメラーゼに特徴的な任意のインビボまたはインビトロ酵素活性を含む。典型的には、しかし必ずしもそうではないが、かかるプライマー伸長は、鋳型依存様式で生じ、鋳型依存伸長の間、塩基の順序および選択は、ワトソン-クリック型塩基対規則を含むことができる確立された塩基対規則によって、または代替的に(特にヌクレオチド類似体が関与する伸長反応の場合)いくつかの他の型の塩基対パラダイムによって駆動される。非限定的な一例において、伸長は、ポリメラーゼによる核酸分子の3’OH末端におけるヌクレオチドの重合を介して生じる。
【0242】
本明細書で使用される、「部分」という用語およびその変形は、所定の核酸分子、例えば、プライマーまたは鋳型核酸分子に関して使用される場合、核酸分子の部分または全長を含む、核酸分子の長さ内の任意の数の連続ヌクレオチドを含む。
【0243】
本明細書で使用される「同一性」および「同一」という用語ならびにそれらの変形は、2つ以上の核酸配列を参照して使用される場合、2つ以上の配列(例えば、ヌクレオチドまたはポリペプチド配列)の配列類似性を指す。2つ以上の相同配列の状況下において、配列またはその部分配列の同一性または相同性パーセントは、同じ(すなわち、約70%同一性、好ましくは75%、80%、85%、90%、95%、98%、または99%同一性)であるすべてのモノマー単位(例えば、ヌクレオチドまたはアミノ酸)のパーセンテージを示す。同一性パーセントは、比較ウィンドウ上で最大の一致について比較および整列される場合、特定される領域、または以下に記載されるデフォルトパラメータでBLASTもしくはBLAST 2.0配列比較アルゴリズムを使用して、または手動アライメントおよび目視検査により、指定される領域を超えることができる。アミノ酸レベルまたはヌクレオチドレベルで少なくとも85%同一性がある場合、配列は「実質的に同一」であると言われる。好ましくは、同一性は、長さが少なくとも約25、50、もしくは100残基である領域にわたって、または少なくとも1つの比較配列の全長にわたって存在する。配列同一性および配列類似性のパーセントを決定するための典型的なアルゴリズムは、BLASTおよびBLAST 2.0アルゴリズムであり、これらは、Altschul et al,Nuc.Acids Res.25:3389-3402(1977)に記載される。他の方法には、Smith&Waterman,Adv.Appl.2:482(1981)、およびNeedleman&Wunsch,J.Mol.Biol.48:443(1970)などのアルゴリズムが含まれる。2つの核酸配列が実質的に同一であるという別の指標は、2つの分子またはそれらの相補体がストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で互いにハイブリダイズすることである。
【0244】
本明細書で使用される「相補的」および「補体」という用語ならびにそれらの変形は、ハイブリダイズされた二重鎖のように、逆平行配向にある2つ以上の個々の対応する位置で累積塩基対合を受けることができる任意の2つ以上の核酸配列(例えば、鋳型核酸分子の部分または全体、標的配列および/またはプライマー)を指す。かかる塩基対合は、確立された規則の任意のセットに従って、例えば、ワトソン-クリック塩基対合規則に従って、またはいくらかの他の塩基対合パラダイムに従って進めることができる。任意選択的に、第1の核酸配列と第2の核酸配列との間に「完全」または「総」相補性があり得、第1の核酸配列中の各ヌクレオチドは、第2の核酸配列上の対応する逆平行位置のヌクレオチドとの安定化塩基対合相互作用を受けることができる。「部分的」相補性は、一方の核酸配列の残基の少なくとも20%であるが、100%未満が、他方の核酸配列中の残基に相補的である、核酸配列を表現する。いくつかの実施形態では、一方の核酸配列の残基の少なくとも50%であるが、100%未満は、他方の核酸配列中の残基に相補的である。いくつかの実施形態では、一方の核酸配列の残基の少なくとも70%、80%、90%、95%、または98%であるが、100%未満は、他方の核酸配列中の残基に相補的である。一方の核酸配列の残基の少なくとも85%が他方の核酸配列中の残基に相補的である場合、配列は、「実質的に相補的」であると言われる。いくつかの実施形態では、2つの相補的または実質的に相補的な配列は、標準的またはストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で互いにハイブリダイズすることができる。「非相補的」は、一方の核酸配列の残基の20%未満が他方の核酸配列中の残基に相補的である、核酸配列を表現する。一方の核酸配列の残基の15%未満が他方の核酸配列中の残基に相補的である場合、配列は、「実質的に非相補的」であると言われる。いくつかの実施形態では、2つの非相補的または実質的に非相補的な配列は、標準的またはストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で互いにハイブリダイズすることができない。「ミスマッチ」は、2つの対向したヌクレオチドが相補的ではない配列中の任意の位置に存在する。相補的ヌクレオチドは、生理学的条件下でのDNA複製中に互いに対向するDNAポリメラーゼにより効率的に組み込まれるヌクレオチドを含む。典型的な実施形態では、相補的ヌクレオチドは、互いに逆平行な位置にあるヌクレオチドおよび/またはポリヌクレオチドの核酸塩基の間に、特定のワトソン-クリック型水素結合を通して形成されたA-T/UおよびG-C塩基対、またはいくらかの他のタイプの塩基対合パラダイムを通して形成された塩基対などの、互いの塩基対を形成することができる。他の人工塩基対の相補性は、塩基の他のタイプの水素結合および/もしくは疎水性ならびに/または塩基間の形状相補性に基づくことができる。
【0245】
本明細書で使用される場合、「増幅された標的配列」およびその派生語は、標的特異的プライマーおよび本明細書に提供される方法を使用して標的配列の増幅/これらを増幅することにより生成された核酸配列を指す。増幅された標的配列は、標的配列に関して同じセンス(2回以降の偶数回の増幅で生成されたプラス鎖)またはアンチセンス(すなわち、1回以降の奇数回の増幅中に生成されたマイナス鎖)のいずれかであり得る。いくつかの実施形態において、増幅された標的配列は、反応における別の増幅された標的配列の任意の部分に対して50%未満相補的である。他の実施形態において、増幅された標的配列は、反応における別の増幅された標的配列の任意の部分に対して、50%超、60%超、70%超、80%超、または90%超相補的である。
【0246】
本明細書で使用される場合、「連結する」、「連結」という用語およびそれらの派生語は、2つ以上の分子を一緒に共有結合する、例えば、2つ以上の核酸分子を互いに共有結合するための作用またはプロセスを指す。いくつかの実施形態では、連結は、核酸の隣接するヌクレオチド間のニックを接合することを含む。いくつかの実施形態では、連結は、第1の核酸分子の末端と第2の核酸分子の末端との間に共有結合を形成することを含む。いくつかの実施形態、例えば、連結される核酸分子が従来のヌクレオチド残基を含む実施形態では、連結は、1つの核酸の5’リン酸基と第2の核酸の3’ヒドロキシル基との間に共有結合を形成し、これにより連結された核酸分子を形成することを含むことができる。いくつかの実施形態では、ニックを接合するか、または隣接するヌクレオチド間で5’リン酸を3’ヒドロキシルに結合するための任意の手段を使用することができる。例示的な実施形態において、リガーゼなどの酵素が使用される。本開示の目的では、増幅された標的配列をアダプターに連結して、アダプター連結増幅標的配列を生成することができる。
【0247】
本明細書で使用される場合、「リガーゼ」およびその派生語は、2つの基質分子の連結を触媒することができる任意の薬剤を指す。いくつかの実施形態では、リガーゼは、核酸の隣接するヌクレオチド間のニックの接合を触媒することができる酵素を含む。いくつかの実施形態において、リガーゼは、1つの核酸分子の5’リン酸と別の核酸分子の3’ヒドロキシルとの間の共有結合の形成を触媒し、それにより連結核酸分子を形成することができる酵素を含む。いくつかの実施形態において、リガーゼは等温リガーゼである。いくつかの実施形態において、リガーゼは、熱安定性リガーゼである。好適なリガーゼには、T4 DNAリガーゼ、T4 RNAリガーゼ、およびE.coli DNAリガーゼが含まれ得るが、これらに限定されない。
【0248】
本明細書で使用される場合、「ライゲーション条件」およびその派生物は、2つの分子を互いに連結するために好適な条件を指す。いくつかの実施形態において、ライゲーション条件は、核酸間のニックまたはギャップを塞ぐために好適である。本明細書で定義される場合、「ニック」または「ギャップ」は、核酸配列の内部ヌクレオチド内の隣接するモノヌクレオチドペントース環の3’ヒドロキシルにモノヌクレオチドペントース環の直接結合した5’リン酸を欠く核酸分子を指す。本明細書で使用される場合、ニックまたはギャップという用語は、当技術分野における用語の使用と一致している。通常、ニックまたはギャップは、適切な温度およびpHでリガーゼなどの酵素の存在下でライゲーションされる。いくつかの実施形態において、T4 DNAリガーゼは、約70~72℃の温度で核酸間のニックに結合することができる。
【0249】
本明細書で使用される場合、「平滑末端ライゲーション」およびその派生語は、2つの平滑末端二本鎖核酸分子の互いのライゲーションを指す。「平滑末端」は、核酸分子の一方の鎖の末端における実質的にすべてのヌクレオチドは、同じ核酸分子の他方の鎖における対向するヌクレオチドと塩基対形成される、二本鎖核酸分子の末端を指す。核酸分子は、長さが2個を超えるヌクレオチドの一本鎖部分を含む末端を有する場合、平滑末端ではなく本明細書では「オーバーハング」と呼ばれる。いくつかの実施形態において、核酸分子の末端は、いずれの一本鎖部分も含まず、そのため、末端の一方の鎖のすべてのヌクレオチドは、同じ核酸分子の他方の鎖の対向するヌクレオチドと塩基対形成される。いくつかの実施形態において、互いに連結されるようになる2つの平滑末端核酸分子の末端は、重複するか、共有されるか、または相補的ないかなる配列も含まない。通常、平滑末端ライゲーションは、米国特許公開第2010/0129874号に記載されているパッチオリゴヌクレオチドなどの二本鎖増幅標的配列の二本鎖アダプターとのライゲーションを支援する追加のオリゴヌクレオチドアダプターの使用を除外する。いくつかの実施形態において、平滑末端ライゲーションは、ライゲーションプロセス中に作成されたニックを塞ぐニックトランスレーション反応を含む。
【0250】
本明細書で使用される場合、「アダプター」または「アダプターおよびその相補体」およびそれらの派生語は、本開示の核酸分子にライゲーションされ得る任意の直鎖状オリゴヌクレオチドを指す。任意に、アダプターは、試料内の少なくとも1つの標的配列の3’末端または5’末端に実質的に相補的ではない核酸配列を含む。いくつかの実施形態では、アダプターは、試料中に存在する任意の標的配列の3’末端または5’末端と実質的に非相補的である。いくつかの実施形態では、アダプターは、増幅された標的配列と実質的に相補的ではない任意の一本鎖または二本鎖直鎖状オリゴヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、アダプターは、試料の核酸分子の少なくとも1つ、いくつか、またはすべてと実質的に非相補的である。いくつかの実施形態では、好適なアダプター長さは、約10~100ヌクレオチド長、約12~60ヌクレオチド長、および約15~50ヌクレオチド長の範囲である。アダプターは、ヌクレオチドおよび/または核酸のいずれかの組み合わせを含むことができる。いくつかの態様において、アダプターは、1つ以上の位置に1つ以上の切断可能な基を含むことができる。いくつかの実施形態において、アダプターは、プライマー、例えば、ユニバーサルプライマーの少なくとも一部分と実質的に同一または実質的に相補的である配列を含むことができる。ユニバーサル増幅プライマーの構造および特性は、当業者に周知であり、特定の分析プラットフォームに適合させるように、提供される方法および組成物とともに利用するために実装することができる(例えば、本明細書に記載されるように、ユニバーサルP1およびAプライマーは、当該技術分野において記載されており、Ion Torrentシーケンシングプラットフォームでの配列決定に利用されている)。同様に、当該技術分野において記載され、知られている追加および他のユニバーサルアダプター/プライマー配列(例えば、Illuminaユニバーサルアダプター/プライマー配列、PacBioユニバーサルアダプター/プライマー配列など)は、本明細書で提供される方法および組成物とともに使用することができる。いくつかの実施形態では、アダプターは、ダウンストリームのカタログ化、識別、または配列決定を補助するバーコードまたはタグを含み得る。いくつかの実施形態では、一本鎖アダプターは、増幅された標的配列にライゲーションされたとき、特に好適な温度およびpH下でポリメラーゼおよびdNTPの存在下、増幅のための基板として作用し得る。
【0251】
いくつかの実施形態において、アダプターは、平滑末端ライゲーションを介してポリヌクレオチドに連結される。他の実施形態において、アダプターは、アダプターおよびポリヌクレオチドの末端におけるヌクレオチドオーバーハングを介してポリヌクレオチドに連結される。オーバーハングライゲーションでは、アダプターが連結されるポリヌクレオチド(例えば、アンプリコン)が、それぞれの鎖の3’および/または5’末端に付加される相補的オーバーハングを有する場合、アダプターは、それぞれの鎖の3’および/または5’末端に付加されるヌクレオチドオーバーハングを有し得る。例えば、アデニンヌクレオチドは、末端が修復されたPCR産物の3’末端に付加することができる。次に、チミンヌクレオチドによって形成されたオーバーハングを有するアダプターは、アンプリコンのA-オーバーハングとドッキングし、T4 DNAリガーゼなどのDNAリガーゼによってアンプリコンに連結することができる。
【0252】
本明細書で使用される場合、「再増幅すること」または「再増幅」およびそれらの派生語は、増幅された核酸分子の少なくとも一部が、任意の好適な増幅プロセス(いくつかの実施形態において「二次」増幅または「再増幅」と呼ばれる)によってさらに増幅され、それにより再増幅された核酸分子を生成する任意のプロセスを指す。二次増幅は、増幅された核酸分子が生成された最初の増幅プロセスと同一である必要はなく、また、再増幅された核酸分子は、増幅された核酸分子と完全に同一または完全に相補的である必要はなく、再増幅された核酸分子が、増幅された核酸分子またはその相補体の少なくとも一部を含むことのみが必要とされるすべてである。例えば、再増幅は、一次増幅とは異なる標的特異的プライマーを含む、異なる増幅条件および/または異なるプライマーの使用を含むことができる。
【0253】
本明細書で定義される場合、「切断可能な基」は、核酸に組み込まれると、適切な条件下で切断することができる任意の部分を指す。例えば、切断可能な基は、標的特異的プライマー、増幅された配列、アダプター、または試料の核酸分子に組み込むことができる。例示的な実施形態では、標的特異的プライマーは、増幅生成物に組み込まれる切断可能な基を含むことができ、その後増幅後に切断され、それにより増幅生成物から標的特異的プライマーの一部または全部を除去する。切断可能な基は、任意の許容可能な手段により、標的特異的プライマー、増幅された配列、アダプター、または試料の核酸分子から切断またはさもなければ除去することができる。例えば、切断可能な基は、標的特異的プライマー、増幅された配列、アダプター、または試料の核酸分子から、酵素、熱、光酸化、または化学処理によって除去することができる。一態様において、切断可能な基は、天然に存在しない核酸塩基を含むことができる。例えば、オリゴデオキシリボヌクレオチドは、ウラシルグリコシラーゼによって除去することができるウラシルなどの1つ以上のRNA核酸塩基を含むことができる。いくつかの実施形態では、切断可能な基は、1つ以上の修飾された核酸塩基(7-メチルグアニン、8-オキソ-グアニン、キサンチン、ヒポキサンチン、5,6-ジヒドロウラシル、または5-メチルシトシンなど)または1つ以上の修飾されたヌクレオシド(すなわち、7-メチルグアノシン、8-オキソ-デオキシグアノシン、キサントシン、イノシン、ジヒドロウリジン、または5-メチルシチジン)を含むことができる。修飾された核酸塩基またはヌクレオチドは、酵素的、化学的、または熱的手段により核酸から除去することができる。一実施形態では、切断可能な基は、増幅(または合成)後、紫外線(すなわち、ブロモデオキシウリジン)への曝露時に、プライマーから除去することができる部分を含むことができる。別の実施形態では、切断可能な基は、メチル化シトシンを含むことができる。典型的には、メチル化シトシンは、例えば、増幅(または合成)の誘導後、亜硫酸水素ナトリウム処理時に、プライマーから切断することができる。いくつかの実施形態では、切断可能な部分は、制限部位を含むことができる。例えば、プライマーまたは標的配列は、1つ以上の制限酵素に特異的な核酸配列を含むことができ、増幅(または合成)に続いて、プライマーまたは標的配列は、切断可能な基が除去されるように1つ以上の制限酵素で処理することができる。典型的には、1つ以上の切断可能な基は、標的特異的プライマー、増幅された配列、アダプター、または試料の核酸分子で、1つ以上の位置に含めることができる。
【0254】
本明細書で使用される場合、「切断ステップ」およびその派生語は、切断可能な基が、標的特異的プライマー、増幅された配列、アダプター、または試料の核酸分子から切断されるか、さもなければ除去される任意のプロセスを指す。いくつかの実施形態において、切断ステップは、化学的、熱的、光酸化的、または消化的なプロセスを含む。
【0255】
本明細書で使用される場合、「ハイブリダイゼーション」という用語は、当該技術分野でのその使用と一致しており、2つの核酸分子が塩基対合相互作用を受けるプロセスを指す。2つの核酸分子は、一方の核酸分子の任意の部分が他方の核酸分子の任意の部分と塩基対合される場合、ハイブリダイズされると言われ、2つの核酸分子がそれらのそれぞれの全長にわたってハイブリダイズされることは必ずしも必要ではなく、いくつかの実施形態では、核酸分子の少なくとも1つは、他の核酸分子とハイブリダイズされない部分を含むことができる。「ストリンジェントな条件下でハイブリダイズすること」という句およびその変形は、標的特異的プライマーと標的配列とのハイブリダイゼーションが、高いハイブリダイゼーション温度および低いイオン強度の存在下で起こる条件を指す。例示的な一実施形態において、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は、約60~68℃で約30mMの硫酸マグネシウム、約300mMのトリス-硫酸、pH8.9、および約90mMの硫酸アンモニウム、またはそれらの等価物を含有する水性環境を含む。本明細書で使用される場合、「標準的なハイブリダイゼーション条件」という句およびその変形は、プライマーとオリゴヌクレオチド(すなわち、標的配列)とのハイブリダイゼーションが、低いハイブリダイゼーション温度および高いイオン強度の存在下で起こる条件を指す。1つの例示的な実施形態では、標準的なハイブリダイゼーション条件には、約100mMの硫酸マグネシウム、pH8.9の約500mMの硫酸トリス、および約50~55℃の約200mMの硫酸アンモニウム、またはその等価物を含有する水性環境が含まれる。
【0256】
本明細書で使用される場合、「GC含有量」およびその派生語は、核酸分子のシトシンおよびグアニン含有量を指す。本開示の標的特異的プライマー(またはアダプター)のGC含量は、85%以下である。より典型的には、本開示の標的特異的プライマーまたはアダプターのGC含有量は、15~85%である。
【0257】
本明細書で使用されるとき、「末端」という用語およびその変形は、核酸分子、例えば、標的配列または増幅された標的配列に関して使用される場合、核酸分子の末端30ヌクレオチド、末端20、およびさらにより典型的には末端15ヌクレオチドを含むことができる。結合した一連の連続ヌクレオチドからなる線状核酸分子は、典型的には少なくとも2つの末端を含む。いくつかの実施形態において、核酸分子の一方の末端は、3’ヒドロキシル基またはその等価物を含むことができ、「3’末端」およびその派生語として呼ばれる。任意選択的に、3’末端は、モノヌクレオチドペントース環の5’リン酸基に結合していない3’ヒドロキシル基を含む。典型的には、3’末端は、非結合3’ヒドロキシル基を含むヌクレオチドに隣接して位置する1つ以上の5’結合ヌクレオチド、典型的には3’ヒドロキシルに隣接して位置する30ヌクレオチド、典型的には末端20、およびさらにより典型的には末端15ヌクレオチドを含む。1つ以上の結合ヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドに存在するヌクレオチドのパーセンテージとして表すことができるか、または非結合3’ヒドロキシルに隣接する結合ヌクレオチドの数として提供することができる。例えば、3’末端は、オリゴヌクレオチドのヌクレオチド長の50%未満を含むことができる。いくつかの実施形態では、3’末端は、いずれの非結合3’ヒドロキシル基も含まないが、プライマー伸長および/またはヌクレオチド重合によるヌクレオチドの付着部位として機能することができる任意の部分を含むことができる。いくつかの実施形態では、「3’末端」という用語は、例えば、標的特異的プライマーを指す場合、3’末端に末端10ヌクレオチド、末端5ヌクレオチド、末端4、3、2、またはそれより少ないヌクレオチドを含むことができる。いくつかの実施形態では、「3’末端」という用語は、標的特異的プライマーを指す場合、3’末端から10ヌクレオチド位以下に位置するヌクレオチドを含むことができる。
【0258】
本明細書で使用される場合、「5’末端」、およびその派生語は、核酸分子、例えば、標的配列または増幅された標的配列、の末端を指し、遊離5’リン酸基またはその等価物を含む。いくつかの実施形態では、5’末端は、隣接するモノヌクレオチドペントース環の3’ヒドロキシルに結合していない5’リン酸基を含む。典型的には、5’末端は、5’リン酸に隣接して位置する1つ以上の結合ヌクレオチド、典型的には5’リン酸基を含むヌクレオチドに隣接して位置する30ヌクレオチド、典型的には末端20、およびさらにより典型的には末端15ヌクレオチドを含む。1つ以上の結合ヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドに存在するヌクレオチドのパーセンテージとして表すことができるか、または5’リン酸に隣接する結合ヌクレオチドの数として提供することができる。例えば、5’末端は、オリゴヌクレオチドのヌクレオチド長の50%未満であり得る。別の例示的な実施形態では、5’末端は、末端5’リン酸を含むヌクレオチドに隣接する約15ヌクレオチドを含むことができる。いくつかの実施形態では、5’末端は、いずれの非結合5’リン酸基も含まないが、3’ヒドロキシル基、または別の核酸分子の3’末端への付着部位として機能することができる任意の部分を含むことができる。いくつかの実施形態では、「5’末端」という用語は、例えば、標的特異的プライマーを指す場合、5’末端に末端10ヌクレオチド、末端5ヌクレオチド、末端4、3、2、またはそれより少ないヌクレオチドを含むことができる。いくつかの実施形態では、「5’末端」という用語は、標的特異的プライマーを指す場合、5’末端から10位以下に位置するヌクレオチドを含むことができる。いくつかの実施形態では、標的特異的プライマーの5’末端は、切断不可能なヌクレオチドのみ、例えば、本明細書に開示される1つ以上の切断可能な基を含有しないヌクレオチド、または当業者によって容易に決定される切断可能なヌクレオチドを含むことができる。
【0259】
本明細書で使用される場合、「DNAバーコード」およびその派生語は、試料中の複数の増幅された標的配列を区別または分離する「鍵」として作用することができるアダプター内の固有の短い(例えば、6~14個のヌクレオチド)核酸配列を指す。この開示の目的では、DNAバーコードは、アダプターのヌクレオチド配列に組み込むことができる。
【0260】
本明細書で使用される場合、「2ラウンドの標的特異的ハイブリダイゼーション」または「2ラウンドの標的特異的選択」という句およびそれらの派生語は、同じ標的配列が、2ラウンドの連続したハイブリダイゼーションベースの標的特異的選択に供される任意のプロセスを指し、標的配列は標的特異的配列にハイブリダイズされる。ハイブリダイゼーションベースの標的特異的選択の各ラウンドは、標的特異的配列の少なくともいくつかの部分との複数の標的特異的ハイブリダイゼーションを含むことができる。例示的な一実施形態において、標的特異的選択のラウンドは、標的配列の第1の領域を含む第1の標的特異的ハイブリダイゼーションおよび標的配列の第2の領域を含む第2の標的特異的ハイブリダイゼーションを含む。第1および第2の領域は、同じであるか、または異なることができる。いくつかの実施形態において、ハイブリダイゼーションベースの標的特異的選択の各ラウンドは、2つの標的特異的オリゴヌクレオチド(例えば、フォワード標的特異的プライマーおよびリバース標的特異的プライマー)の使用を含むことができ、それによって、選択の各ラウンドは、2つの標的特異的ハイブリダイゼーションを含む。
【0261】
本明細書で使用される場合、「比較可能な最高最低融解温度」およびその派生語は、切断可能な基の切断後の単一アダプターまたは標的特異的プライマーにおける各核酸断片の融解温度(Tm)を指す。単一のアダプターまたは標的特異的プライマーによって生成された各核酸断片のハイブリダイゼーション温度を比較して、標的特異的プライマーまたはアダプターからの任意の核酸断片と標的配列とのハイブリダイゼーションを防ぐために必要とされる最高最低温度を決定する。最高ハイブリダイゼーション温度がわかると、アダプターまたは標的特異的プライマーを、例えば、プライマーの長さに沿って切断可能な基の位置を移動することによって操作して、各核酸断片に対して比較可能な最高最低融解温度を達成することが可能である。
【0262】
本明細書で使用される場合、「添加のみ」およびその派生語は、試薬および成分が第1または単一の反応混合物に加えられる一連のステップを指す。典型的には、一連のステップは、一連のステップを完了するために、第1の容器から第2の容器に反応混合物を取り出すことを除外する。添加のみのプロセスでは、反応混合物を含有する容器の外側での反応混合物の操作を除外する。典型的には、添加のみのプロセスは、自動化および高スループットに適している。
【0263】
本明細書で使用される場合、「合成すること」およびその派生語は、任意選択的に鋳型依存様式において、ポリメラーゼによるヌクレオチド重合を含む反応を指す。ポリメラーゼは、ヌクレオシド三リン酸(NTP)、デオキシヌクレオシド三リン酸(dNTP)、またはジデオキシヌクレオシド三リン酸(ddNTP)から、伸長するオリゴヌクレオチド鎖の3’ヒドロキシルへのヌクレオシド一リン酸の転移を介して、オリゴヌクレオチドを合成する。本開示の目的では、合成することは、デオキシヌクレオシド三リン酸からのヌクレオシド一リン酸の転移を介した、ハイブリダイズしたアダプターまたは標的特異的プライマーの連続的な伸長を含む。
【0264】
本明細書で使用される場合、「重合条件」およびその派生語は、ヌクレオチド重合のために好適な条件を指す。典型的な実施形態では、かかるヌクレオチド重合は、ポリメラーゼによって触媒される。いくつかの実施形態では、重合条件は、合成された核酸配列の生成をもたらす、任意選択的に鋳型依存様式での、プライマー伸長のための条件を含む。いくつかの実施形態において、重合条件には、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)が含まれる。典型的には、重合条件は、核酸を合成するのに十分であり、ポリメラーゼおよびヌクレオチドを含む反応混合物の使用を含む。重合条件は、標的特異的プライマーの標的配列へのアニーリングおよびポリメラーゼの存在下での鋳型依存様式でのプライマーの伸長のための条件を含むことができる。いくつかの実施形態において、重合条件は、熱サイクルを使用して行われる。加えて、重合条件は、2つの核酸鎖のアニーリング、伸長、および分離のステップが繰り返される複数のサイクルを含むことができる。典型的には、重合条件には、MgCl2などのカチオンが含まれる。核酸鎖を形成する1つ以上のヌクレオチドの重合は、ヌクレオチドがホスホジエステル結合を介して互いに結合されることを含むが、代替的な結合が特定のヌクレオチド類似体の文脈において可能であり得る。
【0265】
本明細書で使用されるとき、「核酸」という用語は、ポリヌクレオチドおよびオリゴヌクレオチドを含む、天然の核酸、人工の核酸、それらの類似体、またはそれらの組み合わせを指す。本明細書で使用されるとき、「ポリヌクレオチド」および「オリゴヌクレオチド」という用語は、互換的に使用され、これらに限定されないが、ヌクレオチド間ホスホジエステル結合、例えば、3’-5’および2’-5’、逆結合、例えば、3’-3’および5’-5’、分岐構造、またはアナログ核酸によって結合した2’-デオキシリボヌクレオチド(核酸)およびリボヌクレオチド(RNA)を含む、ヌクレオチドの一本鎖および二本鎖ポリマーを意味する。ポリヌクレオチドは、H+、NH4+、トリアルキルアンモニウム、Mg2+、Na+などの関連する対イオンを有する。オリゴヌクレオチドは、デオキシリボヌクレオチドのみ、リボヌクレオチドのみ、またはそれらのキメラ混合物で構成することができる。オリゴヌクレオチドは、核酸塩基および糖の類似体で構成することができる。ポリヌクレオチドは、典型的には、それらがより一般的には当該技術分野において頻繁にオリゴヌクレオチドと呼ばれる場合、数個のモノマー単位、例えば、5~40個から、それらがより一般的には当該技術分野においてポリヌクレオチドと呼ばれる場合、数千個のモノマーヌクレオチド単位までのサイズの範囲であり、本開示の目的では、しかしながら、オリゴヌクレオチドおよびポリヌクレオチドの両方は、任意の好適な長さのものであり得る。別段に示されない限り、オリゴヌクレオチド配列が表されるときはいつでも、ヌクレオチドは左から右へ5’~3’の順序であり、「A」はデオキシアデノシンを示し、「C」はデオキシシチジンを示し、「G」はデオキシグアノシンを示し、「T」はチミジンを示し、「U」はデオキシウリジンを示すことが理解されるであろう。モノヌクレオチドは、典型的には、1つのヌクレオチドの5’リン酸または同等の基と、その隣接するヌクレオチドの3’ヒドロキシルまたは同等の基との結合を介して、任意選択的にホスホジエステルまたは他の好適な結合を介して、オリゴヌクレオチドを形成するように反応するため、オリゴヌクレオチドは、「5’末端」および「3’末端」を有すると言われる。
【0266】
本明細書で定義される場合、「ニックトランスレーション」という用語およびその変形は、核酸鎖内の1つ以上のニックまたはギャップの、核酸鎖に沿った新しい位置への転位を含む。いくつかの実施形態において、ニックは、二本鎖アダプターが二本鎖増幅標的配列に連結されるときに形成される。一例において、プライマーは、その5’末端に、二本鎖増幅標的配列に連結することができるリン酸基を含むことができ、アダプターと相補鎖における増幅標的配列との間にニックを残す。いくつかの実施形態において、ニックトランスレーションは、核酸鎖の3’末端へのニックの移動をもたらす。いくつかの実施形態において、ニックを移動することは、アダプター連結増幅標的配列でニックトランスレーション反応を行うことを含むことができる。いくつかの実施形態において、ニックトランスレーション反応は、結合された5’から3’へのDNA重合/分解反応、または結合された5’から3’へのDNA重合/鎖置換反応である。いくつかの実施形態において、ニックを移動することは、DNA鎖伸長反応をニック部位で行うことを含むことができる。いくつかの実施形態において、ニックを移動することは、一本鎖エキソヌクレアーゼ反応をニックで行って、アダプター連結増幅標的配列の一本鎖部分を形成して、DNA鎖伸長反応をアダプター連結増幅標的配列の一本鎖部分で新たな位置まで行うことを含むことができる。いくつかの実施形態において、ニックは、連結部位の反対側の核酸鎖に形成される。
【0267】
本明細書で使用される場合、「ポリメラーゼ連鎖反応」(「PCR」)という用語は、参照により本明細書に組み込まれる、K.B.Mullisの米国特許第4,683,195号および同第4,683,202号の方法を指し、クローニングまたは精製を伴わずに発現されたRNAまたはcDNAの混合物中の関心対象のポリヌクレオチドのセグメントの濃度を増加させるための方法を記載する。目的のポリヌクレオチドを増幅するためのこのプロセスは、大過剰の2つのオリゴヌクレオチドプライマーを目的の所望のポリヌクレオチドを含有するDNA混合物に導入し、続いてDNAポリメラーゼの存在下で正確な順序の熱サイクリングを行うことからなる。2つのプライマーは、目的の二本鎖ポリヌクレオチドのそれらのそれぞれの鎖と相補的である。増幅を行うために、混合物は変性され、プライマーは次いで目的分子のポリヌクレオチド内のそれらの相補的な配列にアニールされる。アニーリングに続いて、プライマーは、ポリメラーゼで伸長され、相補的な鎖の新しい対を形成する。変性、プライマーアニーリング、およびポリメラーゼ伸長のステップは、高濃度の目的の所望のポリヌクレオチドの増幅されたセグメントを得るために、多数回繰り返すことができる(すなわち、変性、アニーリング、および伸長は、1つの「サイクル」を構成し、多数の「サイクル」があり得る)。目的の所望のポリヌクレオチドの増幅されたセグメント(アンプリコン)の長さは、互いに対するプライマーの相対位置によって決定され、したがって、この長さは制御可能なパラメータである。プロセスを繰り返すことにより、方法は、「PCR」と呼ばれる。目的のポリヌクレオチドの所望の増幅されたセグメントは、混合物において(濃度に関して)主要な核酸配列になるので、「PCR増幅された」と言われる。本明細書で定義されるとき、複数の標的核酸分子を含む試料内の標的核酸分子は、PCRを介して増幅される。上記で考察される方法の変更において、標的核酸分子は、複数の異なるプライマー対、いくつかの事例では、関心対象の標的核酸分子あたり1つ以上のプライマー対、を使用してPCR増幅され、それにより多重PCR反応を形成する。本明細書で提供されるいくつかの実施形態において、多重PCR増幅は、複数の異なるプライマー対、典型的な事例では、標的核酸分子当たり1つのプライマー対を使用して行われる。多重PCRを使用すると、試料から複数の目的の核酸分子を同時に増幅して、増幅された標的配列を形成することが可能である。いくつかの異なる方法論(例えば、バイオアナライザーまたはqPCRによる定量化、標識プローブでのハイブリダイゼーション、ビオチン化プライマーの組み込み、続いてアビジン酵素共役検出、dCTPまたはdATPなどの32P標識デオキシヌクレオチド三リン酸の増幅された標的配列への組み込み)によって増幅された標的配列を検出することも可能である。任意のオリゴヌクレオチド配列は、適切なプライマーのセットを用いて増幅することができ、それにより、RNA、cDNA、ホルマリン固定したパラフィン包埋DNA、細針生検、および様々な他の供給源からの標的核酸分子の増幅を可能にする。特に、本明細書に開示される多重PCRプロセスによって作成された増幅標的配列は、それ自体が後続のPCR増幅または様々な下流アッセイもしくは操作のための効率的な基質である。
【0268】
本明細書で定義されるとき、「多重増幅」とは、少なくとも1つの標的特異的プライマーを使用した試料内の2つ以上の標的配列の選択的かつ非ランダムな増幅を指す。いくつかの実施形態では、多重増幅は、標的配列のいくつかまたはすべてが単一の反応容器内で増幅されるように実施される。所定の多重増幅の「プレキシー」または「プレックス」は、その単一の多重増幅中に増幅される異なる標的特異的配列の数を指す。いくつかの実施形態において、プレックスは、約12プレックス、24プレックス、48プレックス、74プレックス、96プレックス、120プレックス、144プレックス、168プレックス、192プレックス、216プレックス、240プレックス、264プレックス、288プレックス、312プレックス、336プレックス、360プレックス、384プレックス、または398プレックスである。いくつかの実施形態において、高度に多重化された増幅反応は、12プレックスを超えるプロキシーを有する反応を含む。
【0269】
いくつかの実施形態において、増幅された標的配列は、PCRを介して形成される。標的特異的プライマーの伸長は、1つ以上のDNAポリメラーゼを使用して達成することができる。一実施形態において、ポリメラーゼは、任意のファミリーA DNAポリメラーゼ(ポリIファミリーとしても知られている)または任意のファミリーB DNAポリメラーゼである。いくつかの実施形態において、DNAポリメラーゼは、標的特異的プライマーを、非組換えDNAポリメラーゼと比較して優れた精度および収量で伸長することができる、組換え形態である。例えば、ポリメラーゼは、高フィデリティポリメラーゼまたは熱安定性ポリメラーゼを含むことができる。いくつかの実施形態において、標的特異的プライマーの伸長のための条件は、「ホットスタート」条件、例えば、Amplitaq Gold(登録商標)DNAポリメラーゼ(Applied Biosciences)、Platinum(登録商標)Taq DNAポリメラーゼ高フィデリティ(Invitrogen)、またはKODホットスタートDNAポリメラーゼ(EMD Biosciences)などのホットスタートポリメラーゼを含むことができる。「ホットスタート」ポリメラーゼは、熱安定性ポリメラーゼ、および周囲温度でDNAポリメラーゼおよび3’-5’エキソヌクレアーゼ活性を阻害する1つ以上の抗体を含む。いくつかの事例では、「ホットスタート」条件は、アプタマーを含むことができる。
【0270】
いくつかの実施形態において、ポリメラーゼは、Taqポリメラーゼ(Thermus aquaticus由来)、Tfiポリメラーゼ(Thermus filiformis由来)、Bstポリメラーゼ(Bacillus stearothermophilus由来)、Pfuポリメラーゼ(Pyrococcus furiosus由来)、Tthポリメラーゼ(Thermus thermophilus由来)、Powポリメラーゼ(Pyrococcus woesei由来)、Tliポリメラーゼ(Thermococcus litoralis由来)、Ultimaポリメラーゼ(Thermotoga maritima由来)、KODポリメラーゼ(Thermococcus kodakaraensis由来)、PolIおよびIIポリメラーゼ(Pyrococcus abyssi由来)、ならびにPab(Pyrococcus abyssi由来)などの酵素である。いくつかの実施形態において、DNAポリメラーゼは、Amplitaq Gold(登録商標)DNAポリメラーゼ(Applied Biosciences)、Stoffel fragment of Amplitaq(登録商標)DNAポリメラーゼ(Roche)、KODポリメラーゼ(EMD Biosciences)、KOD Hot Startポリメラーゼ(EMD Biosciences)、Deep Vent(商標)DNAポリメラーゼ(New England Biolabs)、Phusionポリメラーゼ(New England Biolabs)、Klentaq1ポリメラーゼ(DNA Polymerase Technology,Inc)、Klentaq Long Accuracy ポリメラーゼ(DNA Polymerase Technology,Inc)、Omni KlenTaq(商標)DNAポリメラーゼ(DNA Polymerase Technology,Inc)、Omni KlenTaq(商標)LA DNAポリメラーゼ(DNA Polymerase Technology,Inc)、Platinum(登録商標)Taq DNAポリメラーゼ(Invitrogen)、Hemo Klentaq(商標)(New England Biolabs)、Platinum(登録商標)Taq DNAポリメラーゼハイフィデリティ(Invitrogen)、Platinum(登録商標)Pfx(Invitrogen)、Accuprime(商標)Pfx(Invitrogen)、またはAccuprime(商標)Taq DNAポリメラーゼハイフィデリティ(Invitrogen)などの少なくとも1つのポリメラーゼを含むことができる。
【0271】
いくつかの実施形態において、DNAポリメラーゼは、熱安定性DNAポリメラーゼである。いくつかの実施形態において、dNTPの混合物は、ランダムまたは定義された順序で同時もしくは連続して適用される。いくつかの実施形態において、多重反応に存在するDNAポリメラーゼの量は、対応する単重PCR反応で使用されるDNAポリメラーゼの量よりも有意に高い。本明細書で定義される場合、「有意に高い」という用語は、多重PCR反応に存在するDNAポリメラーゼが、対応する単重PCR反応と比較して少なくとも3倍高い濃度を指す。
【0272】
いくつかの実施形態において、増幅反応は、例えば、ローリングサークル増幅によって開示されるような、増幅産物の環状化を含まない。
【0273】
本主題の実施は、別段に示されない限り、当技術分野の技術の範囲内である有機化学、分子生物学(組換え技術を含む)、細胞生物学、および生化学の従来の技法および説明を使用することができる。そのような従来の技法には、合成ポリヌクレオチドの調製、重合技法、ポリマー粒子の化学的および物理的分析、核酸ライブラリーの調製、核酸配列決定および分析などが含まれるが、これらに限定されない。適切な技法の特定の図は、本明細書で提供される実施例を参照することによって使用することができる。他の同等の従来の手順も使用することができる。このような従来の技法および説明は、Genome Analysis:A Laboratory Manual Series(Vols.I-IV),PCR Primer:A Laboratory Manual,and Molecular Cloning:A Laboratory Manual(all from Cold Spring Harbor Laboratory Press),Hermanson,Bioconjugate Techniques,Second Edition(Academic Press,2008)、Merkus,Particle Size Measurements(Springer,2009)、Rubinstein and Colby,Polymer Physics(Oxford University Press,2003)などの標準的な実験室マニュアルに見出すことができる。
【0274】
様々な例示的な実施形態によれば、上記の教示および/または例示的な実施形態のうちの任意の1つ以上のうちの1つ以上の特徴は、適切に構成および/またはプログラムされたハードウェアおよび/またはソフトウェア要素を使用して行われ、または実装され得る。実施形態がハードウェアおよび/またはソフトウェア要素を使用して実装されるかどうかの判定は、任意の要因、例えば、所望の計算速度、出力レベル、耐熱性、処理サイクル予算、入力データ速度、出力データ速度、メモリリソース、データバススピードなど、および他の設計または性能の制約に基づき得る。
【0275】
ハードウェア要素の例は、プロセッサ、マイクロプロセッサ、ローカルインターフェース回路を介して通信可能に連結した入力および/または出力(I/O)デバイス(または周辺機器)、回路要素(例えば、トランジスタ、抵抗器、コンデンサ、インダクタなど)、集積回路、特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラム可能論理デバイス(PLD)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、論理ゲート、レジスタ、半導体デバイス、チップ、マイクロチップ、チップセットなどを含み得る。ローカルインターフェースは、例えば、ハードウェアコンポーネント間の適切な通信を可能にするために、1つ以上のバスまたは他の有線もしくは無線接続、制御器、バッファ(キャッシュ)、ドライバ、リピータ、および受信機などを含み得る。プロセッサは、ソフトウェア、特にメモリに格納されているソフトウェアを実行するためのハードウェアデバイスである。プロセッサは、任意のカスタムメイドまたは市販のプロセッサ、中央処理ユニット(CPU)、コンピュータに関連付けられたいくつかのプロセッサのうちの補助プロセッサ、半導体ベースのマイクロプロセッサ(例えば、マイクロチップまたはチップセットの形態で)、マクロプロセッサ、またはソフトウェア命令を実行するための任意のデバイスであることができる。プロセッサはまた、分散型処理アーキテクチャを表すことができる。I/Oデバイスは、入力デバイス、例えば、キーボード、マウス、スキャナー、マイクロフォン、タッチスクリーン、様々な医療デバイスおよび/または実験機器のためのインターフェース、バーコード読み取り機、スタイラス、レーザ読み取り機、無線周波デバイス読み取り機などを含むことができる。さらに、I/Oデバイスはまた、出力デバイス、例えば、プリンタ、バーコードプリンタ、ディスプレイなどを含むことができる。最後に、I/Oデバイスはまた、入力および出力の両方として通信するデバイス、例えば、変調器/復調器(モデム;別のデバイス、システム、またはネットワークにアクセスするため)、無線周波(RF)トランシーバまたは他のトランシーバ、電話インターフェース、ブリッジ、ルータなどをさらに含むことができる。
【0276】
ソフトウェアの例は、ソフトウェアコンポーネント、プログラム、アプリケーション、コンピュータプログラム、アプリケーションプログラム、システムプログラム、マシンプログラム、オペレーティングシステムソフトウェア、ミドルウェア、ファームウェア、ソフトウェアモジュール、ルーチン、サブルーチン、関数、方法、手続き、ソフトウェアインターフェース、アプリケーションプログラムインターフェース(API)、命令セット、演算コード、コンピュータコード、コードセグメント、コンピュータコードセグメント、ワード、値、記号、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。メモリにおけるソフトウェアは、論理関数を実装するための実行可能な命令が順序付けられたリストを含み得る1つ以上の別個のプログラムを含み得る。メモリにおけるソフトウェアは、本教示に従ってデータ流を識別するためのシステム、ならびにシステムなどの他のコンピュータプログラムの実行を制御し得、スケジューリング、入出力制御、ファイルおよびデータ管理、メモリ管理、通信制御などを提供する任意の好適なカスタムメイドまたは市販のオペレーティングシステム(O/S)を含み得る。
【0277】
様々な例示的な実施形態によれば、上記の教示および/または例示的な実施形態のうちの任意の1つ以上のうちの1つ以上の特徴は、機械によって実行された場合、例示的な実施形態による方法および/または動作を機械が行わせ得る命令または命令のセットを格納し得る、適切に構成および/またはプログラムされた非一時的機械可読媒体または物品を使用して行われ、または実装され得る。そのような機械は、例えば、任意の好適な処理プラットフォーム、コンピューティングプラットフォーム、コンピューティングデバイス、処理デバイス、コンピューティングシステム、処理システム、コンピュータ、プロセッサ、科学機器または実験機器などを含み得、ハードウェアおよび/またはソフトウェアの任意の好適な組み合わせを使用して実装され得る。機械可読媒体または物品は、例えば、任意の好適な種類のメモリユニット、メモリデバイス、メモリ物品、メモリ媒体、記憶デバイス、記憶物品、記憶媒体、および/または記憶ユニット、例えば、メモリ、取り外し可能または取り外し不可能な媒体、消去可能または消去不可能な媒体、書き込み可能または書き換え可能な媒体、デジタルまたはアナログ媒体、ハードディスク、フロッピーディスク、読み出し専用コンパクトディスク(CD-ROM)、記録可能コンパクトディスク(CD-R)、書き換え可能コンパクト(CD-RW)、光ディスク、磁気媒体、光磁気媒体、リムーバブルメモリカードまたはディスク、様々な種類のデジタル多用途ディスク(DVD)、テープ、カセットなどを含み得、コンピュータにおける使用に好適な任意の媒体を含む。メモリは、揮発性メモリ素子(例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM、例えば、DRAM、SRAM、SDRAMなど))および不揮発性メモリ素子(例えば、ROM、EPROM、EEROM、フラッシュメモリ、ハードドライブ、テープ、CDROMなど)のうちの任意の1つまたは組み合わせを含むことができる。さらに、メモリは、電気、磁気、光、および/または他の種類の格納媒体を組み込みことができる。メモリは、様々なコンポーネントが互いから離れて位置しているが、依然としてプロセッサによってアクセスされる分散型アーキテクチャを有することができる。命令は、任意の好適な種類のコード、例えば、任意の好適な高レベル、低レベル、オブジェクト指向、ビジュアル、コンパイル済み、および/または解釈されたプログラミング言語を使用して実装された、ソースコード、コンパイル済みコード、解釈されたコード、実行可能コード、静的コード、動的コード、暗号化されたコードなどを含み得る。
【0278】
様々な例示的な実施形態によると、上記の教示および/または例示的な実施形態のうちのいずれか1つ以上の1つ以上の特徴は、分散型、クラスター、リモート、またはクラウド計算リソースを少なくとも部分的に使用して実施または実装され得る。
【0279】
様々な例示的な実施形態によれば、上記の教示および/または例示的な実施形態のうちの任意の1つ以上のうちの1つ以上の特徴は、ソースプログラム、実行可能プログラム(目的コード)、スクリプト、または行われる命令のセットを含む任意の他のエンティティを使用して行われ、または実装され得る。ソースプログラムである場合、プログラムは、O/Sと通信して正常に動作するように、メモリ内に含まれるかまたは含まれない場合があるコンパイラ、アセンブラ、インタープリタ等を介して翻訳され得る。命令は、(a)データおよび方法のクラスを有するオブジェクト指向プログラミング言語、または(b)例えば、C、C++、Pascal、Basic、Fortran、Cobol、Perl、Java、およびAdaを含み得る、ルーチン、サブルーチン、および/または機能を有する手続き型プログラミング言語を使用して書き込まれ得る。
【0280】
様々な例示的な実施形態によれば、上記の例示的な実施形態のうちの1つ以上は、ユーザーインタフェースデバイス、コンピュータ可読記憶媒体、ローカルコンピュータシステム、またはリモートコンピュータシステムに、そのような例示的な実施形態によって生成、アクセス、または使用された任意の情報、信号、データ、および/または中間もしくは最終結果を伝達、表示、保存、印刷、または出力することを含み得る。そのような伝送、表示、格納、印刷、または出力された情報は、例えば、実行および報告、画像、表、チャート、グラフ、スプレッドシート、相関、配列、ならびにそれらの組み合わせの検索可能および/またはフィルタリング可能なリストの形式を取ることができる。
【0281】
様々な追加の例示的な実施形態は、上記の例示的な実施形態のうちの1つ以上に示される任意の全般的または具体的に記載される特性および/または成分および/または物質および/またはステップおよび/または操作条件を繰り返すこと、追加すること、または置換することによって引き出され得る。さらに、特に明記しない限り、ステップまたはアクションの目的が達成可能である限り、ステップの順序または特定のアクションを行うための順序は重要ではないことが理解されるべきである。さらに、特に明記しない限り、ステップまたはアクションの目的が達成可能である限り、2つ以上のステップまたはアクションを同時に実施することができる。さらに、特に明記しない限り、上記の例示的な実施形態のうちの1つで言及される任意の1つ以上の特性、成分、態様、ステップ、または他の特徴は、上記の例示的な実施形態のうちの他のいずれかの潜在的な任意選択的な特性、成分、態様、ステップ、または他の特徴であると、上記の例示的な実施形態のかかる他のいずれかの目的が達成可能である限り見なされ得る。
【0282】
特定の実施形態において、本発明の組成物は、プライマーが同じ標的BCR遺伝子の配列に対するものである標的BCRプライマーセットを含む。いくつかの実施形態において、免疫受容体は、重鎖アルファ、重鎖デルタ、重鎖イプシロン、重鎖ガンマ、重鎖ミュー、軽鎖カッパ、および軽鎖ラムダからなる群から選択される抗体受容体である。いくつかの実施形態において、標的BCRプライマーセットは、TCRアルファ、TCRベータ、TCRガンマ、およびTCRデルタからなる群から選択されるTCRに対するプライマーセットと組み合わせることができる。
【0283】
いくつかの実施形態において、本発明の組成物は、本明細書に概説される様々なパラメータまたは基準を有するように選択される標的BCRプライマーセットを含む。いくつかの実施形態において、本発明の組成物は、長さが約15個のヌクレオチド~約40個のヌクレオチドの複数の標的特異的プライマー(例えば、V遺伝子FR1、FR2、およびFR3指向プライマー、J遺伝子指向プライマー、およびC遺伝子指向プライマー)であって、少なくとも2つ以上の以下の基準:切断可能な基が複数のプライマーのうちの実質的にすべての3’末端に位置する、切断可能な基が複数のプライマーのうちの実質的にすべての中央ヌクレオチドの近くまたはその付近に位置する、複数のプライマーのうちの実質的にすべてが5’末端に切断不可能なヌクレオチドのみを含む、複数のプライマーにおけるプライマーのうちの実質的にすべてに対して最小限のクロスハイブリダイゼーション、試料中に存在する非特異的配列に対する最小限のクロスハイブリダイゼーション、最小限の自己相補性、および複数のプライマーにおける実質的にすべてのプライマーの3’末端または5’末端での最小限のヌクレオチド配列重複、を有するプライマーを含む。いくつかの実施形態において、組成物は、上記の基準のいずれか3、4、5、6、または7つを有するプライマーを含むことができる。
【0284】
いくつかの実施形態において、組成物は、以下の基準:切断可能な基が複数のプライマーのうちの実質的にすべての中央ヌクレオチドの近くまたはその付近に位置する、複数のプライマーのうちの実質的にすべてが5’末端に切断不可能なヌクレオチドのみを含む、複数のプライマーのうちの実質的にすべてが切断可能な基を含むプライマーの全長にわたってヌクレオチドのうちの20%未満を有する、少なくとも1つのプライマーが試料中に存在する標的配列に対する全長にわたる相補的ヌクレオチド配列を有する、複数のプライマーにおけるプライマーのうちの実質的にすべてに対する最小限のクロスハイブリダイゼーション、試料中に存在する非特異的配列に対する最小限のクロスハイブリダイゼーション、および複数のプライマーにおける実質的にすべてのプライマーの3’末端または5’末端での最小限のヌクレオチド配列重複、のうちの2つ以上を有する、約15個のヌクレオチド~約40個のヌクレオチドの複数の標的特異的プライマーを含む。いくつかの実施形態において、組成物は、上記の基準のいずれか3、4、5、6、または7つを有するプライマーを含むことができる。
【0285】
いくつかの実施形態において、本発明の組成物で使用される標的特異的プライマー(例えば、V遺伝子FR1、FR2、およびFR3指向プライマー、J遺伝子指向プライマー、ならびにC遺伝子指向プライマー)は、以下の基準:(1)プライマー配列内に2つ以上の修飾ヌクレオチドを含み、そのうちの少なくとも1つが、プライマーの末端の近くまたは末端に含まれ、そのうちの少なくとも1つが、プライマーの中心ヌクレオチド位置またはその付近に含まれる、(2)長さが、約15~約40個の塩基の長さ、(3)60℃を超えて約70℃までのTm(4)試料中に存在する非標的配列に対して低い交差反応性を有する、(5)少なくとも最初の4個のヌクレオチド(3’から5’方向に)が、組成物に存在するいずれの他のプライマー内のいずれの配列に対しても非相補的である、および(6)プライマーによる増幅のために標的とされたいずれの他の配列内の少なくとも5個のヌクレオチドのいずれの連続した伸長に対しても非相補的、のうちのいずれか1つ以上を満たすように選択または設計される。いくつかの実施形態において、提供される組成物で使用される標的特異的プライマーは、上記の基準のいずれか2、3、4、5、または6つを満たすように選択または設計される。いくつかの実施形態において、2つ以上の修飾ヌクレオチドは、切断可能な基を有する。いくつかの実施形態において、複数の標的特異的プライマーの各々は、メチルグアニン、8-オキソ-グアニン、キサンチン、ヒポキサンチン、5,6-ジヒドロウラシル、ウラシル、5-メチルシトシン、チミンダイマー、7-メチルグアノシン、8-オキソ-デオキシグアノシン、キサントシン、イノシン、ジヒドロウリジン、ブロモデオキシウリジン、ウリジン、または5-メチルシチジンの切断可能な基から選択される2つ以上の修飾ヌクレオチドを含む。
【0286】
いくつかの実施形態において、組成物は、試料中の免疫レパートリーの分析のために提供され、i)V遺伝子内のフレームワーク領域1(FR1)の少なくとも一部を含む少なくとも1つのBCRコード配列の異なるV遺伝子のうちの大多数に対する複数のV遺伝子プライマー、およびii)BCRコード配列のそれぞれの標的C遺伝子の少なくとも一部に対する1つ以上のC遺伝子プライマーの少なくとも1つのセットを含み、同じ標的免疫受容体配列に対するi)およびii)のプライマーの各セットは、IgH、IgL、およびIgKからなる群から選択され、同じ標的BCRに対するi)およびii)のプライマーの各セットは標的BCRレパートリーを増幅させるように構成される。特定の実施形態において、i)およびii)を含むプライマーの単一セットが、組成物中に包含される。より特定の実施形態において、かかるセットは、IgHに対するプライマーを含む。さらに他の実施形態において、プライマーの少なくとも2つのセットが組成物中に包含され、セットは、IgHおよびTCRベータに対するものである。
【0287】
特定の実施形態において、提供される組成物は、長さが約70ヌクレオチドのFR1領域にわたる配列に対する複数のV遺伝子プライマーのうちの1つ以上を含む標的BCRプライマーセットを含む。他の特定の実施形態において、複数のV遺伝子プライマーのうちの1つ以上は、長さが約50個のヌクレオチドのFR1領域にわたる配列に対するものである。特定の実施形態において、標的BCRプライマーセットは、約18~約45種類の異なるFR1指向プライマーのV遺伝子プライマーを含む。いくつかの実施形態において、標的BCRプライマーセットは、約22~約35種類の異なるFR1指向プライマーのV遺伝子プライマーを含む。いくつかの実施形態において、標的BCRプライマーセットは、約25~約35種類の異なるFR1指向プライマーのV遺伝子プライマーを含む。特定の実施形態において、標的BCRプライマーセットは、約40~約65種類の異なるFR1指向プライマーのV遺伝子プライマーを含む。いくつかの実施形態において、標的BCRプライマーセットは、約48~約60種類の異なるFR1指向プライマーのV遺伝子プライマーを含む。いくつかの実施形態において、標的BCRプライマーセットは、1つ以上のC遺伝子プライマーを含む。特定の実施形態において、標的BCRプライマーセットは、少なくとも5~約15種類のC遺伝子プライマーを含み、各々は、標的C遺伝子の各々内の同じ50個のヌクレオチド領域の少なくとも一部に対するものである。特定の実施形態において、標的BCRプライマーセットは、少なくとも2~約8種類のC遺伝子プライマーを含み、各々は、標的C遺伝子の各々内の同じ50個のヌクレオチド領域の少なくとも一部に対するものである。いくつかの実施形態において、標的BCRプライマーセットは、異なるIgアイソタイプ分子、例えば、IgA、IgD、IgG、IgM、およびIgEに対する2種類以上のC遺伝子プライマーを含む。いくつかの実施形態において、標的BCRプライマーセットは、各プライマーが異なるIgアイソタイプ分子のC遺伝子に対するものである少なくとも5種類のC遺伝子プライマーを含む。
【0288】
特定の実施形態において、本発明の組成物は、それぞれ表3および表6~10から選択されるV遺伝子プライマーi)およびC遺伝子プライマーii)を含むプライマーの少なくとも1つのセットを含む。特定の実施形態において、本発明の組成物は、プライマーi)およびii)の少なくとも1つのセットを含み、それぞれ表3から選択される約15~約35種類のプライマーおよび表6~10から選択される約5~約20種類のプライマーを含む。いくつかの実施形態において、提供される組成物は、i)表3から選択される約22~約35種類のプライマー、およびii)表6~10の各々から選択される1つ以上のプライマーを含む、プライマーの少なくとも1つのセットを含む。特定の実施形態において、本発明の組成物は、プライマーi)およびii)の少なくとも1つのセットを含み、それぞれ表3から選択される約40~約65種類のプライマーおよび表6~10から選択される約5~約20種類のプライマーを含む。いくつかの実施形態において、提供される組成物は、i)表3から選択される約48~約65種類のプライマー、およびii)表6~10の各々から選択される1つ以上のプライマーを含む、プライマーの少なくとも1つのセットを含む。他の特定の実施形態において、本発明の組成物は、i)配列番号137~283から選択されるプライマー、およびii)配列番号448~459、472~479、488~513、540~551、および564~582から選択されるプライマーを含む、プライマーの少なくとも1つのセットを含む。他の実施形態において、提供される組成物は、i)配列番号284~430から選択されるプライマー、およびii)配列番号460~471、480~487、514~539、552~563、および583~601から選択されるプライマーを含む、プライマーの少なくとも1つのセットを含む。いくつかの実施形態において、本発明の組成物は、i)配列番号137~283から選択されるプライマー、ならびにii)配列番号460~471、480~487、514~539、552~563、および583~601から選択されるプライマーを含むか、またはi)配列番号284~430から選択されるプライマーおよびii)配列番号448~459、472~479、488~513、540~551、および564~582から選択されるプライマー、を含む、プライマーの少なくとも1つのセットを含む。
【0289】
いくつかの実施形態において、本発明の組成物は、プライマーi)およびii)の少なくとも1つのセットを含み、配列番号137~283から選択される少なくとも20または少なくとも25種類のプライマー、ならびに配列番号448~459、472~479、488~513、540~551、および564~582から選択される少なくとも1種類のプライマーを含む。いくつかの実施形態において、提供される組成物は、プライマーi)およびii)の少なくとも1つのセットを含み、配列番号137~283から選択される約15~約35種類のプライマー、ならびに配列番号448~459、472~479、488~513、540~551、および564~582から選択される約5~約15種類のプライマーを含む。いくつかの実施形態において、提供される組成物は、i)配列番号137~283から選択される約22~約35種類のプライマー、ならびにii)配列番号448~459から選択される少なくとも1つのプライマー、配列番号472~479から選択される少なくとも1つのプライマー、配列番号488~513から選択される少なくとも1つのプライマー、配列番号540~551から選択される少なくとも1つのプライマー、および配列番号564~582から選択される少なくとも1つのプライマーを含む、プライマーの少なくとも1つのセットを含む。他の実施形態において、本発明の組成物は、プライマーi)およびii)の少なくとも1つのセットを含み、配列番号284~430から選択される少なくとも20または少なくとも25種類のプライマー、ならびに配列番号460~471、480~487、514~539、552~563、および583~601から選択される少なくとも1種類のプライマーを含む。いくつかの実施形態において、提供される組成物は、プライマーi)およびii)の少なくとも1つのセットを含み、配列番号284~430から選択される約15~約35種類のプライマーならびに配列番号460~471、480~487、514~539、552~563、および583~601から選択される約5~約15種類のプライマーを含む。いくつかの実施形態において、提供される組成物は、i)配列番号284~430から選択される約22~約35種類のプライマー、ならびにii)配列番号460~471から選択される少なくとも1つのプライマー、配列番号480~487から選択される少なくとも1つのプライマー、配列番号514~539から選択される少なくとも1つのプライマー、配列番号552~563から選択される少なくとも1つのプライマー、および配列番号583~601から選択される少なくとも1つのプライマーを含む、プライマーの少なくとも1つのセットを含む。いくつかの実施形態において、本発明の組成物は、プライマーi)およびii)の少なくとも1つのセットを含み、配列番号137~283から選択される少なくとも20または少なくとも25種類のプライマー、ならびに配列番号460~471、480~487、514~539、552~563、および583~601から選択される少なくとも1種類のプライマーを含む。他の実施形態において、本発明の組成物は、プライマーi)およびii)の少なくとも1つのセットを含み、配列番号284~430から選択される少なくとも20または少なくとも25種類のプライマー、ならびに配列番号448~459、472~479、488~513、540~551、および564~582から選択される少なくとも1種類のプライマーを含む。
【0290】
いくつかの実施形態において、本発明の組成物は、プライマーi)およびii)の少なくとも1つのセットを含み、配列番号137~283から選択される少なくとも40または少なくとも50種類のプライマー、ならびに配列番号448~459、472~479、488~513、540~551、および564~582から選択される少なくとも1種類のプライマーを含む。いくつかの実施形態において、提供される組成物は、プライマーi)およびii)の少なくとも1つのセットを含み、配列番号137~283から選択される約40~約65種類のプライマーならびに配列番号448~459、472~479、488~513、540~551、および564~582から選択される約5~約15種類のプライマーを含む。いくつかの実施形態において、提供される組成物は、i)配列番号137~283から選択される約48~約60種類のプライマー、ならびにii)配列番号448~459から選択される少なくとも1つのプライマー、配列番号472~479から選択される少なくとも1つのプライマー、配列番号488~513から選択される少なくとも1つのプライマー、配列番号540~551から選択される少なくとも1つのプライマー、および配列番号564~582から選択される少なくとも1つのプライマーを含む、プライマーの少なくとも1つのセットを含む。他の実施形態において、本発明の組成物は、プライマーi)およびii)の少なくとも1つのセットを含み、配列番号284~430から選択される少なくとも40または少なくとも50種類のプライマー、ならびに配列番号460~471、480~487、514~539、552~563、および583~601から選択される少なくとも1種類のプライマーを含む。いくつかの実施形態において、提供される組成物は、プライマーi)およびii)の少なくとも1つのセットを含み、配列番号284~430から選択される約45~約65種類のプライマーならびに配列番号460~471、480~487、514~539、552~563、および583~601から選択される約5~約15種類のプライマーを含む。いくつかの実施形態において、提供される組成物は、i)配列番号284~430から選択される約48~約60種類のプライマー、ならびにii)配列番号460~471から選択される少なくとも1つのプライマー、配列番号480~487から選択される少なくとも1つのプライマー、配列番号514~539から選択される少なくとも1つのプライマー、配列番号552~563から選択される少なくとも1つのプライマー、および配列番号583~601から選択される少なくとも1つのプライマーを含む、プライマーの少なくとも1つのセットを含む。いくつかの実施形態において、本発明の組成物は、プライマーi)およびii)の少なくとも1つのセットを含み、配列番号137~283から選択される少なくとも40または少なくとも50種類のプライマー、ならびに配列番号460~471、480~487、514~539、552~563、および583~601から選択される少なくとも1種類のプライマーを含む。他の実施形態において、本発明の組成物は、プライマーi)およびii)の少なくとも1つのセットを含み、配列番号284~430から選択される少なくとも40または少なくとも50種類のプライマー、ならびに配列番号448~459、472~479、488~513、540~551、および564~582から選択される少なくとも1種類のプライマーを含む。
【0291】
いくつかの実施形態において、組成物は、試料中のBCRレパートリーの分析のために提供され、i)V遺伝子内のフレームワーク領域3(FR3)の少なくとも一部を含む少なくとも1つのBCRコード配列の異なるV遺伝子のうちの大多数に対する複数のV遺伝子プライマー、およびii)BCRコード配列のそれぞれの標的C遺伝子の少なくとも一部に対する1つ以上のC遺伝子プライマーの少なくとも1つのセットを含み、同じ標的免疫受容体配列に対するi)およびii)のプライマーの各セットは、IgH、IgL、およびIgKからなる群から選択され、同じ標的免疫受容体に対するi)およびii)のプライマーの各セットは標的BCRレパートリーを増幅させるように構成される。特定の実施形態において、i)およびii)を含むプライマーの単一セットが、組成物中に包含される。より特定の実施形態において、かかるセットは、IgHに対するプライマーを含む。さらに他の実施形態において、プライマーの少なくとも2つのセットが組成物中に包含され、セットは、IgHおよびTCRベータに対するものである。
【0292】
特定の実施形態において、提供される組成物は、V遺伝子プライマーを含む標的BCRプライマーセットを含み、複数のV遺伝子プライマーのうちの1つ以上は、長さ約70個のヌクレオチドのFR3領域にわたる配列に対するものである。特定の実施形態において、提供される組成物は、V遺伝子プライマーを含む標的BCRプライマーセットを含み、複数のV遺伝子プライマーのうちの1つ以上は、長さ約50個のヌクレオチドのFR3領域にわたる配列に対するものである。他の特定の実施形態において、複数のV遺伝子プライマーのうちの1つ以上は、長さが約40~約60個のヌクレオチドのFR3領域にわたる配列に対するものである。特定の実施形態において、標的BCRプライマーセットは、約50~約85種類の異なるFR3指向プライマーのV遺伝子プライマーを含む。特定の実施形態において、標的BCRプライマーセットは、約55~約80種類の異なるFR3指向プライマーのV遺伝子プライマーを含む。いくつかの実施形態において、標的BCRプライマーセットは、約62~約75種類の異なるFR3指向プライマーのV遺伝子プライマーを含む。いくつかの実施形態において、標的BCRプライマーセットは、約65、66、67、68、69、または70種類の異なるFR3指向プライマーのV遺伝子プライマーを含む。いくつかの実施形態において、標的BCRプライマーセットは、1つ以上のC遺伝子プライマーを含む。特定の実施形態において、標的BCRプライマーセットは、少なくとも5~約15種類のC遺伝子プライマーを含み、各々は、標的C遺伝子の各々内の同じ50個のヌクレオチド領域の少なくとも一部に対するものである。特定の実施形態において、標的免疫受容体プライマーセットは、少なくとも2~約8種類のC遺伝子プライマーを含み、各々は、標的C遺伝子の各々内の同じ50個のヌクレオチド領域の少なくとも一部に対するものである。いくつかの実施形態において、標的BCRプライマーセットは、異なるIgアイソタイプ分子、例えば、IgA、IgD、IgG、IgM、およびIgEに対する2種類以上のC遺伝子プライマーを含む。いくつかの実施形態において、標的BCRプライマーセットは、各プライマーが異なるIgアイソタイプ分子のC遺伝子に対するものである少なくとも5種類のC遺伝子プライマーを含む。
【0293】
特定の実施形態において、本発明の組成物は、それぞれ表2および表6~10から選択されるV遺伝子プライマーi)およびC遺伝子プライマーii)を含むプライマーの少なくとも1つのセットを含む。特定の実施形態において、本発明の組成物は、プライマーi)およびii)の少なくとも1つのセットを含み、それぞれ表2から選択される約55~約80種類のプライマーおよび表6~10から選択される約5~約20種類のプライマーを含む。いくつかの実施形態において、提供される組成物は、i)表2から選択される約62~約75種類のプライマー、およびii)表6~10の各々から選択される1つ以上のプライマーを含む、プライマーの少なくとも1つのセットを含む。他の特定の実施形態において、本発明の組成物は、プライマーi)およびii)の少なくとも1つのセットを含み、配列番号1~68、ならびに448~459、472~479、488~513、540~551、および564~582から選択されるか、または配列番号69~136、ならびに460~471、480~487、514~539、552~563、および583~601から選択されるプライマーを含む。いくつかの実施形態において、本発明の組成物は、プライマーi)およびii)の少なくとも1つのセットを含み、配列番号1~68、ならびに460~471、480~487、514~539、552~563、および583~601から選択されるか、または配列番号69~136、ならびに448~459、472~479、488~513、540~551、および564~582から選択されるプライマーを含む。
【0294】
いくつかの実施形態において、本発明の組成物は、プライマーi)およびii)の少なくとも1つのセットを含み、配列番号1~68から選択される少なくとも60種類のプライマー、ならびに配列番号448~459、472~479、488~513、540~551、および564~582から選択される少なくとも1種類のプライマーを含む。いくつかの実施形態において、提供される組成物は、プライマーi)およびii)の少なくとも1つのセットを含み、配列番号1~68から選択される少なくとも60種類のプライマーならびに配列番号448~459、472~479、488~513、540~551、および564~582から選択される約5~約15種類のプライマーを含む。いくつかの実施形態において、提供される組成物は、i)配列番号1~68から選択される少なくとも60種類のプライマー、ならびにii)配列番号448~459から選択される少なくとも1つのプライマー、配列番号472~479から選択される少なくとも1つのプライマー、配列番号488~513から選択される少なくとも1つのプライマー、配列番号540~551から選択される少なくとも1つのプライマー、および配列番号564~582から選択される少なくとも1つのプライマーを含む、プライマーの少なくとも1つのセットを含む。他の実施形態において、本発明の組成物は、プライマーi)およびii)の少なくとも1つのセットを含み、配列番号69~136から選択される少なくとも60種類のプライマー、ならびに配列番号460~471、480~487、514~539、552~563、および583~601から選択される少なくとも1種類のプライマーを含む。いくつかの実施形態において、提供される組成物は、プライマーi)およびii)の少なくとも1つのセットを含み、配列番号69~136から選択される少なくとも60種類のプライマーならびに配列番号460~471、480~487、514~539、552~563、および583~601から選択される約5~約15種類のプライマーを含む。いくつかの実施形態において、提供される組成物は、i)配列番号69~136から選択される少なくとも60種類のプライマー、ならびにii)配列番号460~471から選択される少なくとも1つのプライマー、配列番号480~487から選択される少なくとも1つのプライマー、配列番号514~539から選択される少なくとも1つのプライマー、配列番号552~563から選択される少なくとも1つのプライマー、および配列番号583~601から選択される少なくとも1つのプライマーを含む、プライマーの少なくとも1つのセットを含む。いくつかの実施形態において、本発明の組成物は、プライマーi)およびii)の少なくとも1つのセットを含み、配列番号1~68から選択される少なくとも60種類のプライマー、ならびに配列番号460~471、480~487、514~539、552~563、および583~601から選択される少なくとも1種類のプライマーを含む。他の実施形態において、本発明の組成物は、プライマーi)およびii)の少なくとも1つのセットを含み、配列番号69~136から選択される少なくとも60種類のプライマー、ならびに配列番号448~459、472~479、488~513、540~551、および564~582から選択される少なくとも1種類のプライマーを含む。
【0295】
いくつかの実施形態において、組成物は、試料中のBCRレパートリーの分析のために提供され、i)V遺伝子内のFR2の少なくとも一部を含む少なくとも1つのBCRコード配列の異なるV遺伝子のうちの大多数に対する複数のV遺伝子プライマー、およびii)BCRコード配列のそれぞれの標的C遺伝子の少なくとも一部に対する1つ以上のC遺伝子プライマーの少なくとも1つのセットを含み、同じ標的免疫受容体配列に対するi)およびii)のプライマーの各セットは、IgH、IgL、およびIgKからなる群から選択され、同じ標的免疫受容体に対するi)およびii)のプライマーの各セットは標的BCRレパートリーを増幅させるように構成される。特定の実施形態において、i)およびii)を含むプライマーの単一セットが、組成物中に包含される。より特定の実施形態において、かかるセットは、IgHに対するプライマーを含む。さらに他の実施形態において、プライマーの少なくとも2つのセットが組成物中に包含され、セットは、IgHおよびTCRベータに対するものである。
【0296】
特定の実施形態において、提供される組成物は、V遺伝子プライマーを含む標的BCRプライマーセットを含み、複数のV遺伝子プライマーのうちの1つ以上は、長さ約70個のヌクレオチドのFR2領域にわたる配列に対するものである。他の特定の実施形態において、複数のV遺伝子プライマーのうちの1つ以上は、長さが約50個のヌクレオチドのFR2領域にわたる配列に対するものである。特定の実施形態において、標的BCRプライマーセットは、約5~約15種類の異なるFR2指向プライマーのV遺伝子プライマーを含む。いくつかの実施形態において、標的BCRプライマーセットは、約5、6、7、8、9、10、11、または12種類の異なるFR2指向プライマーのV遺伝子プライマーを含む。いくつかの実施形態において、標的BCRプライマーセットは、1つ以上のC遺伝子プライマーを含む。特定の実施形態において、標的BCRプライマーセットは、少なくとも5~約15種類のC遺伝子プライマーを含み、各々は、標的C遺伝子の各々内の同じ50個のヌクレオチド領域の少なくとも一部に対するものである。特定の実施形態において、標的BCRプライマーセットは、少なくとも2~約8種類のC遺伝子プライマーを含み、各々は、標的C遺伝子の各々内の同じ50個のヌクレオチド領域の少なくとも一部に対するものである。いくつかの実施形態において、標的BCRプライマーセットは、異なるIgアイソタイプ分子、例えば、IgA、IgD、IgG、IgM、およびIgEに対する2種類以上のC遺伝子プライマーを含む。いくつかの実施形態において、標的BCRプライマーセットは、各プライマーが異なるIgアイソタイプ分子のC遺伝子に対するものである少なくとも5種類のC遺伝子プライマーを含む。
【0297】
特定の実施形態において、本発明の組成物は、それぞれ表4および表6~10から選択されるV遺伝子プライマーi)およびC遺伝子プライマーii)を含むプライマーの少なくとも1つのセットを含む。特定の他の実施形態において、本発明の組成物は、プライマーi)およびii)の少なくとも1つのセットを含み、配列番号431~437、ならびに448~459、472~479、488~513、540~551、および564~582から選択されるプライマーを含む。他の実施形態において、本発明の組成物は、プライマーi)およびii)の少なくとも1つのセットを含み、配列番号431~437、ならびに460~471、480~487、514~539、552~563、および583~601から選択されるプライマーを含む。他の実施形態において、本発明の組成物は、プライマーi)およびii)の少なくとも1つのセットを含み、配列番号431~437から選択される少なくとも5種類のプライマー、ならびに配列番号448、472、488、540、541、564、および565から選択される少なくとも1種類のプライマーを含む。他の実施形態において、本発明の組成物は、プライマーi)およびii)の少なくとも1つのセットを含み、配列番号431~437から選択される少なくとも5種類のプライマー、ならびに配列番号460、480、514、552、553、583、および584から選択される少なくとも1種類のプライマーを含む。
【0298】
いくつかの実施形態において、組成物は、試料中のBCRレパートリーの分析のために提供され、i)V遺伝子内のフレームワーク領域3(FR3)の少なくとも一部を含む少なくとも1つのBCRコード配列の異なるV遺伝子のうちの大多数に対する複数のV遺伝子プライマー、およびii)それぞれの標的BCRコード配列の異なるJ遺伝子の対多数に対する複数のJ遺伝子プライマーの少なくとも1つのセットを含み、同じ標的免疫受容体配列に対するi)およびii)のプライマーの各セットは、IgH、IgL、およびIgKからなる群から選択され、同じ標的免疫受容体に対するi)およびii)のプライマーの各セットは標的BCRレパートリーを増幅させるように構成される。特定の実施形態において、i)およびii)を含むプライマーの単一セットが、組成物中に包含される。より特定の実施形態において、かかるセットは、IgHに対するプライマーを含む。さらに他の実施形態において、プライマーの少なくとも2つのセットが組成物中に包含され、セットは、IgHおよびTCRベータに対するものである。
【0299】
特定の実施形態において、提供される組成物は、V遺伝子プライマーを含む標的BCRプライマーセットを含み、複数のV遺伝子プライマーのうちの1つ以上は、長さが約50個のヌクレオチドのFR3領域にわたる配列に対するものである。他の特定の実施形態において、複数のV遺伝子プライマーのうちの1つ以上は、長さが約70個のヌクレオチドのFR3領域にわたる配列に対するものである。他の特定の実施形態において、複数のV遺伝子プライマーのうちの1つ以上は、長さが約40~約60個のヌクレオチドのFR3領域にわたる配列に対するものである。いくつかの実施形態において、標的BCRプライマーセットは、約50~約85種類の異なるFR3指向プライマーを含むV遺伝子プライマーを含む。特定の実施形態において、標的BCRプライマーセットは、約55~約80種類の異なるFR3指向プライマーを含むV遺伝子プライマーを含む。いくつかの実施形態において、標的BCRプライマーセットは、約62~約75種類の異なるFR3指向プライマーを含むV遺伝子プライマーを含む。いくつかの実施形態において、標的BCRプライマーセットは、約65、66、67、68、69、または約70種類の異なるFR3指向プライマーを含むV遺伝子プライマーを含む。いくつかの実施形態において、標的BCRプライマーセットは、複数のJ遺伝子プライマーを含む。いくつかの実施形態において、標的BCRプライマーセットは、少なくとも2つのJ遺伝子プライマーを含み、各々が、標的ポリヌクレオチド内のJ遺伝子の少なくとも一部に対するものである。特定の実施形態において、標的BCRプライマーセットは、2~約8つのJ遺伝子プライマーを含み、各々が、標的ポリヌクレオチド内のJ遺伝子の少なくとも一部に対するものである。いくつかの実施形態において、標的BCRプライマーセットは、約3~約6つの異なるJ遺伝子プライマーを含み、各々が、標的ポリヌクレオチド内のJ遺伝子の少なくとも一部に対するものである。いくつかの実施形態において、標的BCRプライマーセットは、約2、3、4、5、6、7、または8つの異なるJ遺伝子プライマーを含み、各々が、標的ポリヌクレオチド内のJ遺伝子の少なくとも一部に対するものである。いくつかの実施形態において、標的BCRプライマーセットは、約4つのJ遺伝子プライマーを含み、各々が、標的ポリヌクレオチド内のJ遺伝子の少なくとも一部に対するものである。
【0300】
特定の実施形態において、本発明の組成物は、それぞれ表2および5から選択されるV遺伝子プライマーi)およびJ遺伝子プライマーii)を含む、プライマーの少なくとも1つのセットを含む。他の特定の実施形態において、本発明の組成物は、プライマーi)およびii)の少なくとも1つのセットを含み、配列番号1~68および438~442から選択されるか、または配列番号69~136および443~447から選択されるプライマーを含む。他の特定の実施形態において、本発明の組成物は、プライマーi)およびii)の少なくとも1つのセットを含み、配列番号1~68および443~447から選択されるか、または配列番号69~136および438~442から選択されるプライマーを含む。
【0301】
いくつかの実施形態において、本発明の組成物は、プライマーi)およびii)の少なくとも1つのセットを含み、配列番号1~68から選択される少なくとも60種類のプライマー、および配列番号438~442から選択される少なくとも2種類のプライマー、少なくとも3種類のプライマー、または少なくとも4種類のプライマーを含む。いくつかの実施形態において、本発明の組成物は、プライマーi)およびii)の少なくとも1つのセットを含み、配列番号69~136から選択される少なくとも60種類のプライマー、および配列番号443~447から選択される少なくとも2種類のプライマー、少なくとも3種類のプライマー、または少なくとも4種類のプライマーを含む。いくつかの実施形態において、本発明の組成物は、プライマーi)およびii)の少なくとも1つのセットを含み、配列番号1~68から選択される少なくとも60種類のプライマー、および配列番号443~447から選択される少なくとも2種類のプライマー、少なくとも3種類のプライマー、または少なくとも4種類のプライマーを含む。いくつかの実施形態において、本発明の組成物は、プライマーi)およびii)の少なくとも1つのセットを含み、配列番号69~136から選択される少なくとも60種類のプライマー、および配列番号438~442から選択される少なくとも2種類のプライマー、少なくとも3種類のプライマー、または少なくとも4種類のプライマーを含む。
【0302】
いくつかの実施形態において、組成物は、試料中のBCRレパートリーの分析のために提供され、i)V遺伝子内のフレームワーク領域1(FR1)の少なくとも一部を含む少なくとも1つのBCRコード配列の異なるV遺伝子のうちの大多数に対する複数のV遺伝子プライマー、およびii)それぞれの標的BCRコード配列の異なるJ遺伝子の対多数に対する複数のJ遺伝子プライマーの少なくとも1つのセットを含み、同じ標的免疫受容体配列に対するi)およびii)のプライマーの各セットは、IgH、IgL、およびIgKからなる群から選択され、同じ標的免疫受容体に対するi)およびii)のプライマーの各セットは標的BCRレパートリーを増幅させるように構成される。特定の実施形態において、i)およびii)を含むプライマーの単一セットが、組成物中に包含される。より特定の実施形態において、かかるセットは、IgHに対するプライマーを含む。さらに他の実施形態において、プライマーの少なくとも2つのセットが組成物中に包含され、セットは、IgHおよびTCRベータに対するものである。
【0303】
特定の実施形態において、提供される組成物は、長さが約70個のヌクレオチドのFR1領域にわたる配列に対する複数のV遺伝子プライマーのうちの1つ以上を含む標的BCRプライマーセットを含む。他の特定の実施形態において、複数のV遺伝子プライマーのうちの1つ以上は、長さが約80個のヌクレオチドのFR1領域にわたる配列に対するものである。他の特定の実施形態において、複数のV遺伝子プライマーのうちの1つ以上は、長さが約50個のヌクレオチドのFR1領域にわたる配列に対するものである。特定の実施形態において、標的BCRプライマーセットは、約18~約45種類の異なるFR1指向プライマーを含むV遺伝子プライマーを含む。いくつかの実施形態において、標的BCRプライマーセットは、約22~約35種類の異なるFR1指向プライマーのV遺伝子プライマーを含む。いくつかの実施形態において、標的BCRプライマーセットは、約25~約35種類の異なるFR1指向プライマーのV遺伝子プライマーを含む。特定の実施形態において、標的BCRプライマーセットは、約40~約65種類の異なるFR1指向プライマーのV遺伝子プライマーを含む。いくつかの実施形態において、標的BCRプライマーセットは、約48~約60種類の異なるFR1指向プライマーのV遺伝子プライマーを含む。いくつかの実施形態において、標的BCRプライマーセットは、複数のJ遺伝子プライマーを含む。いくつかの実施形態において、標的BCRプライマーセットは、少なくとも2つのJ遺伝子プライマーを含み、各々が、標的ポリヌクレオチド内のJ遺伝子の少なくとも一部に対するものである。特定の実施形態において、標的BCRプライマーセットは、2~約8つのJ遺伝子プライマーを含み、各々が、標的ポリヌクレオチド内のJ遺伝子の少なくとも一部に対するものである。いくつかの実施形態において、標的BCRプライマーセットは、約3~約6つの異なるJ遺伝子プライマーを含み、各々が、標的ポリヌクレオチド内のJ遺伝子の少なくとも一部に対するものである。いくつかの実施形態において、標的BCRプライマーセットは、約2、3、4、5、6、7、または8つの異なるJ遺伝子プライマーを含み、各々が、標的ポリヌクレオチド内のJ遺伝子の少なくとも一部に対するものである。いくつかの実施形態において、標的BCRプライマーセットは、約4つのJ遺伝子プライマーを含み、各々が、標的ポリヌクレオチド内のJ遺伝子の少なくとも一部に対するものである。
【0304】
特定の実施形態において、本発明の組成物は、それぞれ表3および5から選択されるV遺伝子プライマーi)およびJ遺伝子プライマーii)を含む、プライマーの少なくとも1つのセットを含む。特定の他の実施形態において、本発明の組成物は、配列番号137~283および438~442から選択されるか、または配列番号284~430および443~447から選択されるプライマーを含む、プライマーi)およびii)の少なくとも1つのセットを含む。他の特定の実施形態において、本発明の組成物は、プライマーi)およびii)の少なくとも1つのセットを含み、配列番号137~283および443~447から選択されるか、または配列番号284~430および438~442から選択されるプライマーを含む。
【0305】
いくつかの実施形態において、本発明の組成物は、プライマーi)およびii)の少なくとも1つのセットを含み、配列番号137~283から選択される少なくとも20または少なくとも25種類のプライマー、および配列番号438~442から選択される少なくとも2種類のプライマー、少なくとも3種類のプライマー、または少なくとも4種類のプライマーを含む。いくつかの実施形態において、提供される組成物は、プライマーi)およびii)の少なくとも1つのセットを含み、配列番号137~283から選択される約15~35種類のプライマー、および配列番号438~442から選択される少なくとも2種類のプライマー、少なくとも3種類のプライマー、または少なくとも4種類のプライマーを含む。いくつかの実施形態において、提供される組成物は、プライマーi)およびii)の少なくとも1つのセットを含み、配列番号137~283から選択される約22~35種類のプライマー、および配列番号438~442から選択される少なくとも2種類のプライマー、少なくとも3種類のプライマー、または少なくとも4種類のプライマーを含む。いくつかの実施形態において、本発明の組成物は、プライマーi)およびii)の少なくとも1つのセットを含み、配列番号284~430から選択される少なくとも20または少なくとも25種類のプライマー、および配列番号443~447から選択される少なくとも2種類のプライマー、少なくとも3種類のプライマー、または少なくとも4種類のプライマーを含む。いくつかの実施形態において、提供される組成物は、プライマーi)およびii)の少なくとも1つのセットを含み、配列番号284~430から選択される約15~35種類のプライマー、および配列番号443~447から選択される少なくとも2種類のプライマー、少なくとも3種類のプライマー、または少なくとも4種類のプライマーを含む。いくつかの実施形態において、提供される組成物は、プライマーi)およびii)の少なくとも1つのセットを含み、配列番号284~430から選択される約22~35種類のプライマー、および配列番号443~447から選択される少なくとも2種類のプライマー、少なくとも3種類のプライマー、または少なくとも4種類のプライマーを含む。いくつかの実施形態において、本発明の組成物は、プライマーi)およびii)の少なくとも1つのセットを含み、配列番号137~283から選択される少なくとも20または少なくとも25種類のプライマー、および配列番号443~447から選択される少なくとも2種類のプライマー、少なくとも3種類のプライマー、または少なくとも4種類のプライマーを含む。いくつかの実施形態において、本発明の組成物は、プライマーi)およびii)の少なくとも1つのセットを含み、配列番号284~430から選択される少なくとも20または少なくとも25種類のプライマー、および配列番号438~442から選択される少なくとも2種類のプライマー、少なくとも3種類のプライマー、または少なくとも4種類のプライマーを含む。
【0306】
いくつかの実施形態において、本発明の組成物は、プライマーi)およびii)の少なくとも1つのセットを含み、配列番号137~283から選択される少なくとも40または少なくとも50種類のプライマー、および配列番号438~442から選択される少なくとも2種類のプライマー、少なくとも3種類のプライマー、または少なくとも4種類のプライマーを含む。いくつかの実施形態において、提供される組成物は、プライマーi)およびii)の少なくとも1つのセットを含み、配列番号137~283から選択される約40~65種類のプライマー、および配列番号438~442から選択される少なくとも2種類のプライマー、少なくとも3種類のプライマー、または少なくとも4種類のプライマーを含む。いくつかの実施形態において、提供される組成物は、プライマーi)およびii)の少なくとも1つのセットを含み、配列番号137~283から選択される約48~60種類のプライマー、および配列番号438~442から選択される少なくとも2種類のプライマー、少なくとも3種類のプライマー、または少なくとも4種類のプライマーを含む。いくつかの実施形態において、本発明の組成物は、プライマーi)およびii)の少なくとも1つのセットを含み、配列番号284~430から選択される少なくとも40または少なくとも50種類のプライマー、および配列番号443~447から選択される少なくとも2種類のプライマー、少なくとも3種類のプライマー、または少なくとも4種類のプライマーを含む。いくつかの実施形態において、提供される組成物は、プライマーi)およびii)の少なくとも1つのセットを含み、配列番号284~430から選択される約40~65種類のプライマー、および配列番号443~447から選択される少なくとも2種類のプライマー、少なくとも3種類のプライマー、または少なくとも4種類のプライマーを含む。いくつかの実施形態において、提供される組成物は、プライマーi)およびii)の少なくとも1つのセットを含み、配列番号284~430から選択される約48~60種類のプライマー、および配列番号443~447から選択される少なくとも2種類のプライマー、少なくとも3種類のプライマー、または少なくとも4種類のプライマーを含む。いくつかの実施形態において、本発明の組成物は、プライマーi)およびii)の少なくとも1つのセットを含み、配列番号137~283から選択される少なくとも40または少なくとも50種類のプライマー、および配列番号443~447から選択される少なくとも2種類のプライマー、少なくとも3種類のプライマー、または少なくとも4種類のプライマーを含む。いくつかの実施形態において、本発明の組成物は、プライマーi)およびii)の少なくとも1つのセットを含み、配列番号284~430から選択される少なくとも40または少なくとも50種類のプライマー、および配列番号438~442から選択される少なくとも2種類のプライマー、少なくとも3種類のプライマー、または少なくとも4種類のプライマーを含む。
【0307】
いくつかの実施形態において、組成物は、試料中のBCRレパートリーの分析のために提供され、i)V遺伝子内のFR2の少なくとも一部を含む少なくとも1つのBCRコード配列の異なるV遺伝子のうちの大多数に対する複数のV遺伝子プライマー、およびii)それぞれの標的BCRコード配列の異なるJ遺伝子の対多数に対する複数のJ遺伝子プライマーの少なくとも1つのセットを含み、同じ標的免疫受容体配列に対するi)およびii)のプライマーの各セットは、IgH、IgL、およびIgKからなる群から選択され、同じ標的免疫受容体に対するi)およびii)のプライマーの各セットは標的BCRレパートリーを増幅させるように構成される。特定の実施形態において、i)およびii)を含むプライマーの単一セットが、組成物中に包含される。より特定の実施形態において、かかるセットは、IgHに対するプライマーを含む。さらに他の実施形態において、プライマーの少なくとも2つのセットが組成物中に包含され、セットは、IgHおよびTCRベータに対するものである。
【0308】
特定の実施形態において、提供される組成物は、V遺伝子プライマーを含む標的BCRプライマーセットを含み、複数のV遺伝子プライマーのうちの1つ以上は、長さが約70個のヌクレオチドのFR2領域にわたる配列に対するものである。他の特定の実施形態において、複数のV遺伝子プライマーのうちの1つ以上は、長さが約50個のヌクレオチドのFR2領域にわたる配列に対するものである。特定の実施形態において、標的BCRプライマーセットは、約5~約15種類の異なるFR2指向プライマーを含むV遺伝子プライマーを含む。いくつかの実施形態において、標的BCRプライマーセットは、約5、6、7、8、9、10、11、または12種類の異なるFR2指向プライマーのV遺伝子プライマーを含む。いくつかの実施形態において、標的BCRプライマーセットは、複数のJ遺伝子プライマーを含む。いくつかの実施形態において、標的BCRプライマーセットは、少なくとも2つのJ遺伝子プライマーを含み、各々が、標的ポリヌクレオチド内のJ遺伝子の少なくとも一部に対するものである。特定の実施形態において、標的BCRプライマーセットは、2~約8つのJ遺伝子プライマーを含み、各々が、標的ポリヌクレオチド内のJ遺伝子の少なくとも一部に対するものである。いくつかの実施形態において、標的BCRプライマーセットは、約3~約6つの異なるJ遺伝子プライマーを含み、各々が、標的ポリヌクレオチド内のJ遺伝子の少なくとも一部に対するものである。いくつかの実施形態において、標的BCRプライマーセットは、約2、3、4、5、6、7、または8つの異なるJ遺伝子プライマーを含み、各々が、標的ポリヌクレオチド内のJ遺伝子の少なくとも一部に対するものである。いくつかの実施形態において、標的BCRプライマーセットは、約4つのJ遺伝子プライマーを含み、各々が、標的ポリヌクレオチド内のJ遺伝子の少なくとも一部に対するものである。
【0309】
特定の実施形態において、本発明の組成物は、それぞれ表4および5から選択されるV遺伝子プライマーi)およびJ遺伝子プライマーii)を含む、プライマーの少なくとも1つのセットを含む。いくつかの実施形態において、本発明の組成物は、配列番号431~437および438~442から選択されるか、または配列番号431~437および443~447から選択されるプライマーを含む、プライマーi)およびii)の少なくとも1つのセットを含む。いくつかの実施形態において、本発明の組成物は、プライマーi)およびii)の少なくとも1つのセットを含み、配列番号431~437から選択される少なくとも5種類のプライマー、および配列番号438~442から選択される少なくとも2種類のプライマー、少なくとも3種類のプライマー、または少なくとも4種類のプライマーを含む。他の実施形態において、本発明の組成物は、プライマーi)およびii)の少なくとも1つのセットを含み、配列番号431~437から選択される少なくとも5種類のプライマー、および配列番号443~447から選択される少なくとも2種類のプライマー、少なくとも3種類のプライマー、または少なくとも4種類のプライマーを含む。
【0310】
いくつかの実施形態において、少なくとも1つの修飾ヌクレオチドを含む複数の異なるプライマーは、単一の増幅反応で使用することができる。例えば、修飾ヌクレオチドを含む多重化プライマーを増幅反応混合物に加えることができ、各プライマー(またはプライマーのセット)は、核酸集団内の異なる再配列された標的核酸分子に選択的にハイブリダイズし、増幅を促進する。いくつかの実施形態において、標的特異的プライマーは、少なくとも1つのウラシルヌクレオチドを含むことができる。
【0311】
いくつかの実施形態において、多重増幅は、PCRを使用して、設定された温度の設定された時間での変性ステップ、プライマーアニーリングステップ、およびポリメラーゼ伸長ステップのサイクルを使用して実施され得る。いくつかの実施形態において、約12サイクル~約30サイクルを使用して、多重増幅反応でアンプリコンライブラリーを生成する。いくつかの実施形態において、13サイクル、14サイクル、15サイクル、16サイクル、17サイクル、18サイクル、19サイクル、好ましくは20サイクル、23サイクル、または25サイクルを使用して、多重増幅反応でアンプリコンライブラリーを生成する。いくつかの実施形態において、17~25サイクルを使用して、多重増幅反応でアンプリコンライブラリーを生成する。
【0312】
いくつかの実施形態において、増幅反応は、単一反応相内で(例えば、単一のウェルまたはチューブ内の同じ増幅反応混合物内で)並行して行われる。いくつかの事例では、増幅反応は、意図されたアンプリコン産物、ならびにプライマーダイマーなどの、意図されず、望ましくない、非特異的な増幅アーチファクトの両方を含む産物の混合物を生成し得る。増幅後、反応は、過剰の組み込まれていないプライマーおよび増幅アーチファクト内の修飾ヌクレオチドのヌクレオチド結合を選択的に切断するか、またはさもなければ選択的に破壊する任意の適切な薬剤で、特定の増幅産物を切断または破壊することなく処理される。例えば、プライマーは、UNG/UDG(任意選択的に熱および/またはアルカリを用いて)を使用して選択的に切断することができるウラシル含有核酸塩基を含むことができる。いくつかの実施形態において、プライマーは、UNGおよびFpgを使用して選択的に切断することができるウラシル含有ヌクレオチドを含むことができる。いくつかの実施形態において、切断処理は、ジチオールの選択的切断のための酸化条件への曝露、RNA特異的部分(例えば、リボース糖など)を含む修飾ヌクレオチドの選択的切断のためのRNアーゼHによる処理などを含む。この切断処理は、元の増幅プライマーおよび非特異的増幅産物を、それぞれ比較的少数のヌクレオチドを含む小さな核酸断片に効果的に断片化することができる。かかる断片は、通常、高温でさらなる増幅を促進することができない。かかる断片はまた、当技術分野で知られている様々な増幅後クリーンアップ手順(例えば、スピンカラム、NaEtOH沈殿など)を介して反応プールから比較的容易に除去することができる。
【0313】
いくつかの実施形態において、修飾ヌクレオチドのヌクレオチド結合の切断または他の選択的破壊後の増幅産物は、任意選択的に処理されて、5’末端にリン酸を有する増幅産物を生成する。いくつかの実施形態において、リン酸化処理は、5’リン酸化増幅産物を生成する酵素的操作を含む。一実施形態において、ポリメラーゼなどの酵素を使用して、5’リン酸化増幅産物を生成することができる。例えば、T4ポリメラーゼを使用して、5’リン酸化アンプリコン産物を調製することができる。クレノウを1つ以上の他の酵素と組み合わせて使用して、5’リン酸を有する増幅産物を生成することができる。いくつかの実施形態において、当技術分野で知られている他の酵素を使用して、5’リン酸基を有する増幅産物を調製することができる。例えば、ウラシルヌクレオチド含有増幅産物と酵素UDG、Fpg、およびT4ポリメラーゼとのインキュベーションを使用して、5’末端にリン酸を有する増幅産物を生成することができる。本明細書に具体的に記載されているもの以外の他の技術を適用して、リン酸化アンプリコンを生成することができることは、当業者には明らかであろう。本明細書に開示される方法、システム、キット、組成物、および装置を実施するために適用されるかかる変形および修正は、過度の実験に頼ることなく、本開示の範囲内であると見なされることを理解されたい。
【0314】
いくつかの実施形態において、プライマーは意図された(特定の)増幅産物に組み込まれ、これらのプライマーは、同様に切断または破壊され、特定の増幅産物内に「粘着末端」(例えば、5’または3’オーバーハング)の形成をもたらす。かかる「粘着末端」は、いくつかの方法で対処することができる。例えば、特定の増幅産物をクローニングする場合、オーバーハング領域は、クローニングベクターに導入されたオーバーハングを補完するように設計でき、これにより、平滑末端ライゲーションよりも迅速かつ効率的な粘着末端ライゲーションを可能する。代替的に、オーバーハングは修復する必要があり得る(いくつかの次世代配列決定法と同様)。かかる修復は、天然塩基のみからなるフォワードおよびリバース増幅プライマー(例えば、AおよびP1プライマーに対応)のみを使用する二次増幅反応のいずれかによって達成することができる。この手段では、それに続く増幅ラウンドによって二本鎖鋳型が再構築され、プライマー破壊前の元の鎖の完全な配列を有するアンプリコンの発生期の初期コピーを伴う。代替的に、粘着末端は、フォワードおよびリバースプライマーが鋳型にアニーリングされる、いくつかの形態のフィルインおよびライゲーション処理を使用して除去することができる。そしてポリメラーゼを用いてプライマーを伸長させ、次にリガーゼ、任意選択的に熱安定性リガーゼを利用して、得られた核酸鎖を接続することができる。これはまた、環状伸長ライゲーションなど、他の様々な反応経路によっても明らかに達成できた。いくつかの実施形態において、ライゲーションステップは、1つ以上のDNAリガーゼを使用して行うことができる。
【0315】
いくつかの実施形態において、標的特異的プライマー対を使用して調製されるアンプリコンライブラリーは、エマルションPCR、ブリッジPCR、または等温増幅などの下流の豊富化アプリケーションに使用することができる。いくつかの実施形態において、アンプリコンライブラリーは、豊富化アプリケーションおよび配列決定アプリケーションで使用することができる。例えば、アンプリコンライブラリーは、任意の好適な次世代DNA配列決定プラットフォームを含む、任意の好適なDNA配列決定プラットフォームを使用して配列決定することができる。いくつかの実施形態において、アンプリコンライブラリーは、Ion PGMシーケンサーまたはIon GeneStudio S5シーケンサー(Thermo Fisher Scientific)を使用して配列決定することができる。いくつかの実施形態において、PGMシーケンサーまたはS5シークエンサーは、パラメータまたはソフトウェアを適用するサーバーと接続して、増幅された標的核酸分子の配列を決定することができる。いくつかの実施形態において、アンプリコンライブラリーは、24時間未満で調製、豊富化、および配列決定することができる。いくつかの実施形態において、アンプリコンライブラリーは、約9時間で調製、豊富化、および配列決定することができる。
【0316】
いくつかの実施形態において、アンプリコンライブラリーを生成するための方法は、免疫受容体遺伝子のcDNAを、V遺伝子特異的およびC遺伝子特異的プライマーを使用して増幅させてアンプリコンを生成することと、アンプリコンを入力DNAおよびプライマーから精製することと、アンプリコンをリン酸化することと、アダプターをリン酸化アンプリコンに連結することと、連結されたアンプリコンを精製することと、増幅されたアンプリコンをニックトランスレーションすることと、ニックトランスレーションされたアンプリコンを精製して、アンプリコンライブラリーを生成することと、を含むことができる。いくつかの実施形態において、アンプリコンライブラリーを生成するための方法は、免疫受容体遺伝子のcDNAを、V遺伝子特異的およびJ遺伝子特異的プライマーを使用して増幅させてアンプリコンを生成することと、アンプリコンを入力DNAおよびプライマーから精製することと、アンプリコンをリン酸化することと、アダプターをリン酸化アンプリコンに連結することと、連結されたアンプリコンを精製することと、増幅されたアンプリコンをニックトランスレーションすることと、ニックトランスレーションされたアンプリコンを精製して、アンプリコンライブラリーを生成することと、を含むことができる。いくつかの実施形態において、追加のアンプリコンライブラリー操作は、再配列された免疫受容体遺伝子標的の増幅のステップ後に行って、アンプリコンを生成することができる。いくつかの実施形態において、追加の反応の任意の組み合わせは、任意の順序で実施することができ、精製すること、リン酸化すること、アダプターを連結すること、ニックトランスレーションすること、増幅および/または配列決定すること、を含むことができる。いくつかの実施形態において、これらの反応のいずれかは省略することができるか、または繰り返すことができる。方法が上記のステップのうちのいずれか1つ以上を繰り返すかまたは省略することができることは、当業者には容易に明らかであろう。ステップの順序および組み合わせを変更して必要とされるアンプリコンライブラリーを生成し得、したがって、提供される例示的な方法に限定されないことも当業者には明らかであろう。
【0317】
リン酸化アンプリコンをアダプターに結合して、ニックトランスレーション反応、それに続く下流増幅(例えば、鋳型調製)、または粒子(例えば、ビーズ)への付着、あるいはその両方を実施することができる。例えば、リン酸化アンプリコンに結合されるアダプターは、粒子に付着したオリゴヌクレオチド捕捉プライマーにアニーリングすることができ、プライマー伸長反応を実施して、粒子または表面に付着したアンプリコンの相補的コピーを生成することができ、それによってアンプリコンを表面または粒子に付着させることができる。アダプターは、1つ以上の増幅プライマーハイブリダイゼーション部位、配列決定プライマーハイブリダイゼーション部位、バーコード配列、およびそれらの組み合わせを有することができる。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される方法によって調製されるアンプリコンは、1つ以上のIon Torrent(商標)互換性アダプターに結合させて、アンプリコンライブラリーを構築することができる。かかる方法によって生成されるアンプリコンは、ライブラリー構築のための1つ以上のアダプターに結合させて、次世代配列決定プラットフォームと互換性を持たせることができる。例えば、本開示の教示によって生成されるアンプリコンは、Ion AmpliSeq(商標)ライブラリーキット2.0またはIon AmpliSeq(商標)ライブラリーキットプラス(Thermo Fisher Scientific)で提供されるアダプターに取り付けることができる。
【0318】
いくつかの実施形態において、免疫受容体cDNAまたは再配列されたgDNAの増幅は、5×Ion AmpliSeq(商標)HiFiマスターミックスを使用して実施することができる。いくつかの実施形態において、5×Ion AmpliSeq(商標)HiFiマスターミックスは、グリセロール、dNTP、およびPlatinum(商標)Taq DNAポリメラーゼハイフィデリティなどのDNAポリメラーゼを含むことができる。いくつかの実施形態において、5×Ion AmpliSeq(商標)HiFiマスターミックスは、保存剤、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、トリス-硫酸、および/または硫酸アンモニウムのうちの少なくとも1つをさらに含むことができる。
【0319】
いくつかの実施形態において、免疫受容体再配列gDNA多重増幅反応は、標的における増幅、増幅収量、および/または生産的配列決定読み取りの割合を改善する少なくとも1つのPCR添加剤をさらに含む。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのPCR添加剤は、塩化カリウムまたは追加のdNTP(例えば、dATP、dCTP、dGTP、dTTP)のうちの少なくとも1つを含む。いくつかの実施形態において、PCR添加剤としてのdNTPは、dNTPの等モル混合物である。いくつかの実施形態において、PCR添加剤としてのdNTP混合物は、dATP、dCTP、dGTP、およびdTTPの等モル混合物である。いくつかの実施形態において、約0.2mM~約5.0mMのdNTPが、多重増幅反応に添加される。いくつかの実施形態において、再配列された免疫受容体gDNAの増幅は、反応混合物中の5×Ion AmpliSeq(商標)HiFiマスターミックスおよび追加の約0.2mM~約5.0mMのdNTPを使用して実施することができる。いくつかの実施形態において、再配列された免疫受容体gDNAの増幅は、反応混合物中の5×Ion AmpliSeq(商標)HiFiマスターミックスおよび追加の約0.5mM~約4mM、約0.5mM~約3mM、約0.5mM~約2.5mM、約0.5mM~約1.0mM、約0.75mM~約1.25mM、約1.0mM~約1.5mM、約1.0~約2.0mM、約2.0mM~約3.0mM、約1.25~約1.75mM、約1.3~約1.8mM、約1.4mM~約1.7mM、または約1.5~約2.0mMのdNTPを使用して実施することができる。いくつかの実施形態において、再配列された免疫受容体gDNAの増幅は、反応混合物中の5×Ion AmpliSeq(商標)HiFiマスターミックスおよび追加の約0.2mM、約0.4mM、約0.6mM、約0.8mM、約1.0mM、約1.2mM、約1.4mM、約1.6mM、約1.8mM、約2.0mM、約2.2mM、約2.4mM、約2.6mM、約2.8mM、約3.0mM、約3.5mM、または約4.0mMのdNTPを使用して実施することができる。いくつかの実施形態において、約10mM~約200mMの塩化カリウムが多重増幅反応に添加される。いくつかの実施形態において、再配列された免疫受容体gDNAの増幅は、反応混合物中の5×Ion AmpliSeq(商標)HiFiマスターミックスおよび追加の約10mM~約200mMの塩化カリウムを使用して実施することができる。いくつかの実施形態において、再配列された免疫受容体gDNAの増幅は、反応混合物中の5×Ion AmpliSeq(商標)HiFiマスターミックスおよび追加の約10mM~約60mM、約20mM~約70mM、約30mM~約80mM、約40mM~約90mM、約50mM~約100mM、約60mM~約120mM、約80mM~約140mM、約50mM~約150mM、約150mM~約200mM、または約100mM~約200mMの塩化カリウムを使用して実施することができる。いくつかの実施形態において、再配列された免疫受容体gDNAの増幅は、反応混合物中の5×Ion AmpliSeq(商標)HiFiマスターミックスおよび追加の約10mM、約20mM、約30mM、約40mM、約50mM、約60mM、約70mM、約80mM、約90mM、約100mM、約120mM、約140mM、約150mM、約160mM、約180mM、または約200mMの塩化カリウムを使用して実施することができる。
【0320】
いくつかの実施形態において、アンプリコンのリン酸化は、FuPa試薬を使用して実施することができる。いくつかの実施形態において、FuPa試薬は、DNAポリメラーゼ、DNAリガーゼ、少なくとも1つのウラシル切断または修飾酵素、および/または保存緩衝液を含むことができる。いくつかの実施形態において、FuPa試薬は、保存剤および/または洗浄剤のうちの少なくとも1つをさらに含むことができる。
【0321】
いくつかの実施形態において、アンプリコンのリン酸化は、FuPa試薬を使用して実施することができる。いくつかの実施形態において、FuPa試薬は、DNAポリメラーゼ、少なくとも1つのウラシル切断または修飾酵素、抗体、および/または保存緩衝液を含むことができる。いくつかの実施形態において、FuPa試薬は、保存剤および/または洗浄剤のうちの少なくとも1つをさらに含むことができる。いくつかの実施形態において、抗体は、DNAポリメラーゼおよび3’-5’エキソヌクレアーゼ活性を周囲温度で阻害するために提供される。
【0322】
いくつかの実施形態において、本開示の教示によって生成されるアンプリコンライブラリーは、Ion Chef(商標)装置およびIon S5(商標)配列決定システム(Thermo Fisher Scientific)を含む様々な下流アプリケーションで使用されるのに十分な収量である。
【0323】
ワイルドファイアPCRおよびブリッジ増幅などのクローン増幅のための他の多くの技法、プラットフォーム、または方法が、本開示の増幅された標的配列と組み合わせて使用できることは、当業者には明らかであろう。本明細書に提供される条件のさらなる改良または最適化に関して、当業者は、クローン増幅ステップを行うことなく、核酸配列決定(例えば、Ion PGM(商標)システムまたはIon S5(商標)システムまたはIon Proton(商標)システムシーケンサー、Thermo Fisher Scientific)に直接的に進めることができることも想像される。
【0324】
いくつかの実施形態において、クローン増幅される増幅標的配列のうちの少なくとも1つは、支持体または粒子に付着することができる。支持体は、任意の好適な材料で構成することができ、例えば、平面、回転楕円体、または微粒子を含む、任意の好適な形状を有することができる。いくつかの実施形態では、支持体は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2010/0304982号に記載される足場ポリマー粒子である。
【0325】
いくつかの実施形態において、キットが、単一の反応において核酸分子の集団から複数の免疫受容体発現配列を増幅するために提供される。いくつかの実施形態において、キットは、1つ以上の切断可能な基を複数の標的特異的プライマー対、1つ以上のDNAポリメラーゼ、dNTPの混合物、および少なくとも1つの切断試薬を含む。一実施形態において、切断可能な基は、8-オキソ-デオキシグアノシン、デオキシウリジン、またはブロモデオキシウリジンである。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの切断試薬には、RNアーゼH、ウラシルDNAグリコシラーゼ、Fpg、またはアルカリが含まれる。一実施形態において、切断試薬は、ウラシルDNAグリコシラーゼである。いくつかの実施形態において、キットは、単一の反応チャンバーまたは容器において多重PCRを行うために提供される。いくつかの実施形態において、キットは、熱安定性DNAポリメラーゼである少なくとも1つのDNAポリメラーゼを含む。いくつかの実施形態において、1つ以上のDNAポリメラーゼの濃度は、単一のPCR反応と比較して、3倍過剰に存在する。いくつかの実施形態において、最終濃度の各標的特異的プライマー対は、約5nM~約2000nMで存在する。いくつかの実施形態において、最終濃度の各標的特異的プライマー対は、約25nM~約50nMまたは約100nM~約800nMで存在する。いくつかの実施形態において、最終濃度の各標的特異的プライマー対は、約50nM~約400nMまたは約50nM~約200nMで存在する。いくつかの実施形態において、最終濃度の各標的特異的プライマー対は、約200nMまたは約400nMで存在する。いくつかの実施形態において、キットは、単一の反応チャンバー内の核酸分子の集団から、TCRベータ、TCRアルファ、TCRガンマ、TCRデルタ、免疫グロブリン重鎖ガンマ、免疫グロブリン重鎖ミュー、免疫グロブリン重鎖アルファ、免疫グロブリン重鎖デルタ、免疫グロブリン重鎖イプシロン、免疫グロブリン軽鎖ラムダ、または免疫グロブリン軽鎖カッパからの免疫レパートリー発現配列の増幅を提供する。特定の実施形態において、提供されるキットは、試験キットである。いくつかの実施形態において、キットは、1つ以上のアダプター、バーコード、および/または抗体をさらに含む。
【表4-1】
【表4-2】
【表4-3】
【表4-4】
【表5-1】
【表5-2】
【表5-3】
【表5-4】
【表5-5】
【表5-6】
【表5-7】
【表5-8】
【表6】
【表7】
【表8】
【表9】
【表10-1】
【表10-2】
【表11】
【表12-1】
【表12-2】
【0326】
様々な例示的な実施形態の以下の説明は、例示的かつ説明的なものにすぎず、いかなる方法においても限定的または制限的であると解釈されるべきではない。本教示の他の実施形態、特性、目的、および利点は、説明および付随する図面、ならびに特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【0327】
本説明は、特定の例示的な実施形態を詳細に記載しているが、他の実施形態も可能であり、本発明の範囲内である。変形および修正は、明細書および図、ならびに明細書および図に記載された教示の実施、ならびに特許請求の範囲を考慮することから当業者には明らかであろう。
【実施例】
【0328】
提供される免疫レパートリー組成物は、限定されないが、発現されたIgH配列および再配列されたゲノムIgH配列のライブラリー調製ならびに配列決定のために設計された試薬を含む。一般に、試料(例えば、血液試料、選別された細胞試料、正常組織試料、腫瘍試料(例えば、新鮮、凍結、FFPE、様々なタイプ))から抽出されたRNAは逆転写され、gDNAが試料から抽出され、ライブラリーが生成され、鋳型が、例えば、Ion Chef(商標)またはIon One Touch(商標)2システムなどを使用して調製され、調製された鋳型が、次世代配列決定技術例えば、Ion S5(商標)システム、Ion PGM(商標)システムを使用して配列決定され、配列分析が、Ion Reporter(商標)ソフトウェアを使用して行われた。生物学的試料からRNAおよびゲノムDNAを抽出および/または単離するために好適なキットは、例えば、Thermo Fisher ScientificおよびBioChain Institute Incから市販されている。
【0329】
実施例1
末梢血白血球からの全RNAは、SuperScript(商標)IV VILO(商標)マスターミックス(Thermo Fisher Scientific)を製造業者の説明書に従って用いて、cDNAに逆転写した。cDNA(25ngまたは50ng)を多重PCRに使用して、IgHおよび/またはTCRベータCDR3ドメイン配列を増幅させた。1つの多重PCRでは、表2および5から選択されたフォワードおよびリバースプライマーのセットを、IgH cDNAのV遺伝子FR3領域からJ遺伝子までの配列を増幅する際のプライマー対として使用した。別の多重PCRでは、これらの同じセットのIgHフォワードおよびリバースFR3-Jプライマーを、同じ反応におけるIgHおよびTCRベータのFR3-J領域を増幅させる際に、Oncomine(商標)TCR Beta-SRアッセイ(RNA)からのTCRベータFR3-Jプライマーパネルと組み合わせた。別の多重PCRでは、Oncomine(商標)TCRベータ-SRアッセイ、RNA(Thermo Fisher Scientific)を、TCRベータcDNAのFR3-J領域の配列を増幅させる際に使用した。例示的なIgH V遺伝子FR3-J増幅反応において、多重プライマーセットは、68種類の異なるIGHVフォワードプライマー配列番号69~136および4種類の異なるIGHJリバースプライマー配列番号443~446を含んだ。
【0330】
典型的には、多重増幅反応は以下のように行われた。96ウェルPCRプレートのシングルウェルに、10マイクロリットルの調製したcDNA(25ngまたは50ng)、4マイクロリットルの2μMフォワードおよびリバースプライマープール、4マイクロリットルの5×Ion AmpliSeq(商標)HiFi Mix(グリセロール、dNTP、およびPlatinum(登録商標)TaqハイフィデリティDNAポリメラーゼ(Invitrogen、カタログNo.11304)を含むことができる増幅反応混合物)、および2マイクロリットルのDNアーゼ/RNアーゼフリー水を添加して、最終反応体積を20マイクロリットルにした。IgH+TCRベータ(1プール)反応物を同様な方法で調製した。Oncomine(商標)TCRベータ-SRアッセイ,RNAを、製造業者の説明書に従って行った。
【0331】
PCRプレートを密封し、反応混合物を混合し、サーマルサイクラー(例えば、Veriti(商標)96ウェルサーマルサイクラー(Applied Biosystems))にロードし、以下の温度プロファイルで実行してアンプリコンライブラリーを生成した。最初の保持段階は、95℃で2分間行い、続いて95℃で15秒間の変性段階、60℃で45秒間のアニーリング段階、72℃で45秒間の伸長段階を約20サイクル行った。サイクル実施後、72℃で10分間の最終伸長を行い、アンプリコンライブラリーを次に進めるまで10℃で保持した。典型的には、約20サイクルを使用して、アンプリコンライブラリーを生成する。いくつかの適用では、最大30サイクルを使用することができる。
【0332】
アンプリコン試料を短時間遠心分離して内容物を収集して、次に進めた。アンプリコンライブラリー(約20マイクロリットル)に、2マイクロリットルのFuPa試薬を添加した。反応混合物を密封し、完全に混合して均一性を確実にし、50℃で10分間、55℃で10分間、60℃で20分間インキュベートし、次に10℃で最大1時間保持した。試料を短時間遠心分離して内容物を収集して、次に進めた。
【0333】
インキュベーション後、反応混合物はそのままライゲーションステップに進めた。そして、リン酸化アンプリコンライブラリーを含有する反応混合物を、2マイクロリットルのIon Selectバーコードアダプター、各5μM(Thermo Fisher Scientific)、4マイクロリットルのAmpliSeq Plusスイッチ溶液(Ion AmpliSeq(商標)Library Kit Plus,Thermo Fisher Scientificの構成要素として販売されている)、および最後に添加した2マイクロリットルのDNAリガーゼ(Ion AmpliSeq(商標)Library Kit Plus,Thermo Fisher Scientificの構成要素として販売されている)とともに混合し、次いで22℃で30分間、68℃で5分間、72℃で5分間インキュベートし、次に10℃で最大1時間保持した。試料を短時間遠心分離して内容物を収集して、次に進めた。
【0334】
インキュベーションステップ後、45マイクロリットル(1.5×試料体積)の室温AMPure(登録商標)XPビーズ(Beckman Coulter)をライゲーションしたDNAに添加し、混合物を完全にピペッティングしてビーズ懸濁液をDNAと混合した。混合物を室温で5分間インキュベートし、DynaMag(商標)-96サイドマグネット(Invitrogen、部品番号12331D)などの磁気ラックに2分間設置した。溶液が澄明になった後、上清を廃棄した。プレートを磁気ラックから取り外さずに、150マイクロリットルの新たに調製した70%エタノールを試料に導入し、磁気ラック上でチューブを静かに回転させながらインキュベートした。溶液が澄明になった後、ペレットを乱すことなく上清を廃棄した。2回目のエタノール洗浄を行い、上清を廃棄し、チューブをパルススピンし、ペレットを乱さないように注意深く残留エタノールを除去することによって、残存するエタノールをすべて除去した。ペレットを室温で約5分間風乾した。ライゲーションされたDNAは、50マイクロリットルの低TE緩衝液でビーズから溶離させた。
【0335】
溶離したライブラリーは、Ion Library TaqMan(登録商標)定量キット(Ion Torrent、カタログ番号No.4468802)を製造業者の説明書に従って使用して定量した。定量後、ライブラリーを約25pMの濃度に希釈した。
【0336】
ライブラリーは20pMに基準化し、最終的なライブラリーの小分けを、鋳型の調製およびIon Chef(商標)装置を製造業者の説明書に従って使用してチップへのロードに使用した。配列決定は、Ion S5(商標)システムでIon540(商標)チップを製造業者の説明書に従って使用して行い、遺伝子配列分析は、Ion Torrent Suite(商標)ソフトウェアを使用して行った。配列はJ遺伝子プライマーの使用から生成されたため、本明細書に記載されるように、それらは、推測されるJ遺伝子配列を配列読み取りに追加することを含むJ遺伝子配列推測プロセスに供して拡張配列読み取りを作成し、拡張配列読み取りを参照配列に整列させ、生産的読み取りを特定した。加えて、生成されたすべての配列データは、本明細書で提供されるエラー特定および除去プログラムにさらに供された。
【0337】
12ライブラリーの配列決定は、試料あたり平均6M個の読み取りをもたらした。
図3に示されるように、IgHアッセイが単独で実施された場合、総読み取りの最大66%が生産的であった。IgH(BCR)およびTCRベータ(TCR)アッセイを組み合わせた場合、読み取りの約12%が生産的IgH読み取りであり、読み取りの約58%がTCRベータの生産的読み取りだった。
【0338】
検出されたB細胞およびT細胞クローンの総数は、血液中のリンパ球の相対的な存在量に比例した。
図4Aに示されるように、IgHアッセイが単独で実行された場合、約45,000個のBCRクローンが特定され、IgHおよびTCRベータプライマーが組み合わされた場合、約30,000個のBCRクローンが特定された。2つのアッセイ間で検出されたBCRクローンの数のこの差は、ライブラリーが配列決定前に基準化され、BCRの読み取り深度が低下したためであると予想される。BCRおよびTCRアッセイを1つのプールで組み合わせた場合と、2つの別々のプールで増幅した場合のクローン数の類似性は、組み合わせた増幅反応にプライマー干渉がないことを示す。IgH(BCR)およびTCRベータ(TCR)クローンの集団は、末梢血中のB細胞とT細胞の相対的な存在量に比例する(
図4B)。Tリンパ球およびBリンパ球の相対的な比率は、それぞれ61~85%および7~23%の範囲であり得る(Palmer et al.(2006)BMC Genomics 7:115)。
【0339】
実施例2
表2のIgH V遺伝子FR3プライマーおよび表5のIgH J遺伝子プライマーは、現在知られている発現されたかまたはgDNAのヒトIgH再配列のすべてを増幅するように設計された。多重PCRでは、表2および5から選択されたフォワードおよびリバースプライマーのプールを、IgH cDNAのV遺伝子FR3領域からJ遺伝子までの配列を増幅する際のプライマー対として使用した。例示的なIgH V遺伝子FR3-J増幅反応において、多重プライマーセットプールは、フォワードプライマー配列番号69~136およびリバースプライマー配列番号443~446を含んだ。アッセイは、様々なヒト細胞および組織試料からのcDNAについて行った。
【0340】
ヒト成人正常末梢血白血球からの全RNA(BioChain Institute,Inc.)は、SuperScript(商標)IV VILO(商標)マスターミックス(Thermo Fisher Scientific)を製造業者の説明書に従って使用して、cDNAに逆転写した。96ウェルPCRプレートのシングルウェルに、10マイクロリットルの調製cDNA(50ng)、4マイクロリットルの2μMフォワードおよびリバースプライマープール、4マイクロリットルの5×Ion AmpliSeq(商標)HiFi Mix(Thermo Fisher Scientific)、および1マイクロリットルのDNアーゼ/RNアーゼフリー水を添加して、最終反応体積を20マイクロリットルにした。PCRプレートを密封し、反応混合物を混合し、サーマルサイクラー(例えば、Veriti(商標)96ウェルサーマルサイクラー(Applied Biosystems))にロードし、以下の温度プロファイルで実行してアンプリコンライブラリーを生成しました。最初の保持段階は、95℃で2分間行い、続いて95℃で15秒間の変性段階、60℃で45秒間のアニーリング段階、72℃で45秒間の伸長段階を約20サイクル行った。サイクル実施後、72℃で10分間の最終伸長を行い、アンプリコンライブラリーを次に進めるまで10℃で保持した。典型的には、約20サイクルを使用して、アンプリコンライブラリーを生成する。いくつかの適用(例えば、多少のcDNA出発物質、FFPE由来RNAなど)では、サイクル数を減少させるか(例えば、-3)、または増加させ得る(例えば、+3、+6、最大30サイクル)。
【0341】
アンプリコン試料を短時間遠心分離して内容物を収集して、次に進めた。アンプリコンライブラリー(約20マイクロリットル)に、2マイクロリットルのFuPa試薬を添加した。反応混合物を密封し、完全に混合して均一性を確実にし、50℃で10分間、55℃で10分間、60℃で20分間インキュベートし、次に10℃で最大1時間保持した。ライゲーションステップに進む前に、試料を短時間遠心分離して内容物を収集した。リン酸化アンプリコンライブラリーを含有する反応混合物を、2マイクロリットルのIon Torrent(商標)デュアルバーコードアダプター(Thermo Fisher Scientific)、4マイクロリットルのAmpliSeq Plusスイッチ溶液(Ion AmpliSeq(商標)Library Kit Plus,Thermo Fisher Scientificの構成要素として販売されている)、および最後に添加した2マイクロリットルのDNAリガーゼ(IonAmpliSeq(商標)Library Kit Plus,Thermo Fisher Scientificの構成要素として販売されている)とともに混合し、次いで22℃で30分間、68℃で5分間、72℃で5分間インキュベートし、次に10℃で最大1時間保持した。ライブラリー精製ステップに進む前に、試料を短時間遠心分離して内容物を収集した。
【0342】
ライゲーションステップのインキュベーション後、45マイクロリットル(1.5×試料体積)の室温AMPure(登録商標)XPビーズ(Beckman Coulter)をライゲーションしたDNAに添加し、混合物を完全にピペッティングしてビーズ懸濁液をDNAと混合した。混合物を室温で5分間インキュベートし、DynaMag(商標)-96サイドマグネット(Invitrogen、部品番号12331D)などの磁気ラックに2分間設置した。溶液が澄明になった後、上清を廃棄した。プレートを磁気ラックから取り外さずに、150マイクロリットルの新たに調製した70%エタノールを試料に導入し、磁気ラック上でチューブを静かに回転させながらインキュベートした。溶液が澄明になった後、ペレットを乱すことなく上清を廃棄した。2回目のエタノール洗浄を行い、上清を廃棄し、チューブをパルススピンし、ペレットを乱さないように注意深く残留エタノールを除去することによって、残存するエタノールをすべて除去した。ペレットを室温で約5分間風乾した。ライゲーションされたDNAは、50マイクロリットルの低TE緩衝液でビーズから溶離させた。
【0343】
溶離したライブラリーは、Ion Library TaqMan(登録商標)定量キット(Ion Torrent、カタログ番号4468802)を製造業者の説明書に従って使用して定量した。定量後、ライブラリーを約25pMの濃度に希釈した。
【0344】
ライブラリーは25pMに基準化し、最終的なライブラリーの小分けを、鋳型の調製およびIon Chef(商標)装置を製造業者の説明書に従って使用してチップへのロードに使用した。配列決定は、Ion S5(商標)システムでIon540(商標)チップを製造業者の説明書に従って使用して行い、遺伝子配列分析は、Ion Torrent Suite(商標)ソフトウェアを使用して行った。配列はJ遺伝子プライマーの使用から生成されたため、本明細書に記載されるように、それらは、推測されるJ遺伝子配列を配列読み取りに追加することを含むJ遺伝子配列推測プロセスに供して拡張配列読み取りを作成し、拡張配列読み取りを参照配列に整列させ、生産的読み取りを特定した。加えて、生成されたすべての配列データは、本明細書で提供されるエラー特定および除去プログラムにさらに供された。
【0345】
開始試料として末梢血白血球RNAの4つの別々のチューブを使用したIgH FR3-Jアッセイからの例示的な結果が、表11に示される。これらのアッセイの各々は、2~3M個の生配列読み取りを生じ、そのうち約75%が生産的だった。クローン基準化シャノンエントロピーとも呼ばれる均一性は、試料内のクローン表現がどのくらい均一であるかを説明し、1.0に近いほど、クローン集団のサイズはより均一である。
【表13】
【0346】
全RNAは、ヒト細胞および組織試料(BioChain Institute、Inc.)から得られ、かかる試料中に一般的に存在するB細胞の量が異なる。RNA試料には、単離されたCD19+細胞、正常脾臓組織、末梢血白血球(PBL)、骨髄、正常脳組織、肺腫瘍組織(FFPE)、扁桃腺(FFPE)、およびジャーカット細胞(T細胞株)から抽出されたものが含まれた。各全RNA試料について、cDNAを調製し、上記のように、配列番号69~136および443~446を含むプライマーセットを使用して多重増幅に供した。ライブラリーを得られたアンプリコンから調製し、ライブラリーを上記のように配列決定した。様々な試料におけるアッセイ結果が表12に示され、
図5A~5Gは、PBL、CD19+細胞、扁桃腺FFPE、肺腫瘍FFPE、骨髄、脾臓、および脳RNA試料について得られた読み取り長のヒストグラムを示す。ジャーカット細胞および正常な脳組織試料からのものを除いて、これらのアッセイの各々は、配列読み取りの約70~80%が生産的IgH読み取りであるという結果をもたらした。ジャーカット細胞RNA試料は、IgHを発現しないT細胞株であるという点で、陰性対照として機能した。
【表14】
【0347】
実施例3
表3のIgH V遺伝子FR1プライマーおよび表6~10のIgH C遺伝子プライマーは、現在知られている発現されたヒトIgH再配列のすべてを増幅するように設計された。IgH cDNAのV遺伝子FR1領域からC遺伝子までの配列を増幅するための様々なプライマーセットが、表3から選択されたフォワードプライマーおよび表6~10から選択されたリバースプライマーを使用して生成された。プライマーセットのうちのいくつかは、IgHアイソタイプIgA、IgD、IgG、IgM、およびIgEの各々におけるC遺伝子に対する少なくとも1つのプライマーを含んだ。例示的なFR1-Cプライマーセットパネルが、1マイクロモル濃度でセット内の各プライマーとともに表13に記載される。
【表15】
【0348】
cDNAを、実施例2に記載されるように、PBL全RNAから調製した。多重増幅反応は、50ngのPBL cDNAおよび表13のプライマーセットを使用して行い、ライブラリーは、得られたアンプリコンから調製し、ライブラリーは、実施例2に記載されるように配列決定した。
図6は、例示的なプライマーセット1~7について得られた配列読み取り長の結果を示す。これらのプライマーセットからの例示的なアッセイ結果が表14に示される。
【表16】
【0349】
提供される多重増幅および配列決定分析ワークフローにおいて表6~10から選択される1つ以上のC遺伝子プライマーを使用したB細胞レパートリープロファイリングは、検出されたIgHクローン配列のアイソタイプ特徴付けをもたらす。アイソタイプIgA、IgD、IgG、IgM、およびIgEの各々におけるC遺伝子に対する少なくとも1つのプライマーを含むプライマーセットの使用によって、試料におけるB細胞受容体レパートリーおよびクローン系統のすべてのアイソタイプが検出および特徴付けされる。
図7A~7Bは、上記のように、IgH V遺伝子FR1-C多重増幅反応(25~50ngのcDNA入力を用いる)および配列決定分析において表13のプライマーセット8を使用して検出されたPBL試料の例示的なアイソタイプ利用の結果示す。
図7の棒グラフは、アイソタイプ当たりの読み取り数(
図7A)およびアイソタイプ当たりのクローンおよび系統(
図7B)によって報告された、PBL試料内の全アイソタイプ表現の要約を示す。得られたアイソタイプ表現(IgM、IgD、およびIgEよりも高度に表現されるIgAおよびIgG)は、PBL RNAにおけるIgAおよびIgGアイソタイプのより高い発現が得られると予想される。
【0350】
本明細書に提供されるバイオインフォマティクスワークフローは、クローン系統の体細胞超変異を特定し、試料の体細胞超変異プロファイルを生成する。例えば、
図8A~8Bは、上記のように、IgH V遺伝子FR1-C多重増幅反応(25~50ngのcDNA入力を用いる)および配列分析において表13のプライマーセット8を使用してアッセイされたPBL RNA試料からの例示的なSMHプロファイルを示す。
図8Aは、試料のすべてのアイソタイプについてIgH V遺伝子変異率のヒストグラムを示し、SHMを有さないクローンの予想される集団および最大約15%のSHMを有するクローンの分布を報告する。
図8Bに示されるSMHプロファイルは、低率のSHMが予想されるナイーブB細胞アイソタイプである、アイソタイプIgDにおけるIgH V遺伝子変異を表す。
【0351】
本明細書に提供される配列分析ワークフローは、例えば、アッセイ全体の配列深度の差による変動性を排除するのに役立てることができるダウンサンプリング分析を含み得る。かかるダウンサンプリング分析では、クローン分析の前に、配列読み取りが固定された読み取り深度までランダムに除去される。かかる分析では、PBL RNA試料を、25~50ngのcDNA入力および表13のプライマーセット9、ならびに上記の配列決定ワークフローを使用して、IgH V遺伝子FR1-C多重増幅反応でアッセイした。生成された配列データは、本明細書に提供されるエラー特定および除去ステップに供され、試料の一連の生産的読み取り(すなわち、生産的および救済された生産的読み取り)が特定された。選択された固定深度の各々へのダウンサンプリングは、生産的読み取りの全セットを開始点として使用して行い、次に読み取りの固定数をランダムに選択した。ダウンサンプリングは、固定深度:10K、50K、250K、500K、750K、1M、1.5M、および2M読み取りまで行った。各ダウンサンプリング分析は生産的読み取りの全セットから開始されるため、より低いダウンサンプリング深度における読み取りは、必ずしもより高いダウンサンプリング深度の読み取りのものではない。クローン分析は、ダウンサンプリングされた各データセットの各々、ならびに全生産的読み取りセットで行った。IgH配列読み取りへのダウンサンプリングの適用後の例示的なクローン分析の結果が
図9に示される。
図9のグラフは、検出されたクローンおよび系統の数、クローンと系統のシャノン多様性、ならびにダウンサンプリングされたデータセットの各々および試料での全生産的読み取りにおけるクローンおよび系統の均一性(各グラフの右端)を示す。ダウンサンプリング分析は、ユーザーが、特定の試料が飽和まで配列決定されるポイントを特定することを可能にし、ポイントは追加の読み取りが追加のクローンもしくは系統を特定しないか、または追加の多様性を検出されたレパートリーに追加しない地点を意味する。例えば、ダウンサンプリングは、ユーザーが、アッセイ間または同様の試料タイプを用いた将来のアッセイで、配列決定深度または多重化を洗練させることを可能にする。
【0352】
実施例4
20例の対照プラスミドのライブラリー(表15)を生成して様々なIgH配列のセットを表し、本明細書に提供されるアッセイおよびワークフローの性能を評価するために使用した。各対照プラスミドは、11例の慢性リンパ性白血病(CLL)のうちの1例または広範に中和するHIV-1抗体(bnAb)系統の9メンバーのうちの1つからのIgH cDNAのVDJ領域からC遺伝子CH1ドメイン(定常遺伝子の最初の約300bp)までを含んだ(Liao et al.(2013)Nature 496:469-476)。対照プラスミドのライブラリーには、生殖細胞系列および変異型再配列を含む、V遺伝子多様性を最大化するすべてのIgHアイソタイプおよびCLL再配列の代表を含んだ。各プラスミドは、全長が約650bpのIgHインサートを有した。対照プラスミドライブラリーのうちのいくつかのプラスミドは、プライマー結合を妨げるFR1領域内のヌクレオチド変異(プラスミド18)またはアイソタイプエラー(プラスミド17および20)を用いて設計された。対照ライブラリーはまた、配列分析ワークフローで非生産的読み取りとして除外されるべきであるフレーム外の非機能的な受容体配列を用いて生成されたプラスミド(プラスミド19)を含んだ。
【表17】
【0353】
アッセイおよびワークフローの検出限界を評価するために、100ngの白血球cDNAのバックグラウンドに単一の既知の入力濃度でプールしたプラスミドを使用して、対照ライブラリーを調製した。プラスミド入力濃度は、10pg~0.00001pg(5Mコピー~約5コピーに相当)の範囲だった。対照プラスミドは、アッセイで使用する前に線形化(個別またはバルク)するか、ネイティブのままにした。プールしたライブラリーは、表13のプライマーセット8またはプライマーセット9を各プライマー200nMで使用して多重反応で増幅させ、増幅および配列決定は、実施例3に記載されるように行った。生成された配列データは、本明細書に提供されるエラー特定および除去プログラムに供した。
【0354】
図10に示されるように、1pMの等モル濃度での20例の対照プラスミドのプールにおけるアッセイの性能は、1桁以内で検出されたプラスミド頻度をもたらした。生産的配列読み取りをもたらさないように配列エラーを有して設計された対照プラスミド17~20は、アッセイで検出されなかった。
【0355】
対照プラスミド2のIgH VDJ-Cインサートを含む合成オリゴ(JX432218.1_IGHV3-9*01_96.3_IGHA1)を使用して、検出限界を評価し、アッセイおよび分析ワークフローの能力を示して、関心対象の単一クローンの特定および検出をした。対照合成オリゴを25ngのPBL全RNA試料に様々な濃度で添加し、対照配列のクロノタイプ頻度を、フォワードプライマー配列番号69~136およびリバースプライマー配列番号443~446を含むIgH V遺伝子FR3-J多重プライマーセットを各プライマー200nMで用いて、多重反応を使用して決定し、増幅、配列決定、および分析を、上記および実施例2に記載されるように行った。対照オリゴの入力量は、0.1pg~0.00001pgの範囲だった。反復アッセイにおけるクローン検出頻度が表16に示される。
【表18】
【0356】
他のクロノタイプ頻度検出アッセイでは、対照プラスミド2のIgH VDJ-Cインサートを含む合成オリゴ(JX432218.1_IGHV3-9*01_96.3_IGHA1)を、50ngのPBL全RNA、100ngのPBL全RNA、および100ngの骨髄(BM)全RNAに、0.1pg~0.0000001pgの入力量で添加した。多重増幅反応は、フォワードプライマー配列番号69~136およびリバースプライマー配列番号443~446を含むIgH V遺伝子FR3-J多重プライマーセットを使用して行い、得られたアンプリコンの配列決定および分析を、実施例2に記載されるように行った。DNAアッセイでは、合成オリゴを、1μgのPBL gDNAに0.1pg~0.0000001pgの入力量で添加した。多重増幅反応は、フォワードプライマー配列番号69~136およびリバースプライマー配列番号443~446を含む多重プライマーセットを使用して実施し、得られたアンプリコンの配列決定および分析を、実施例2に記載されるように実施した。かかるクローン頻度アッセイの検出結果の例示的な限界が表17に示される。IgH FR3-Jアッセイは、わずか100ngの入力PBLまたは骨髄RNAを使用して、対照CLL配列を、単一のライブラリーで7.6×10
-6~1.0×10
-6の頻度で特定することができた。IgH FR3-Jアッセイは、1μgの入力PBL gDNAを使用して、対照CLL配列を約5.2×10
-6で特定することができた。同じアッセイを、オリゴの入力量の範囲を用いて1μgの骨髄gDNAのバックグラウンドで行って、得られたライブラリーを、Ion S5(商標)システムおよびIon 540(商標)チップを使用して、標的深度10M読み取りまで配列決定した。骨髄バックグラウンドを用いたIgH FR3-JDNAアッセイは、単一ライブラリーを使用して、対照CLL配列を10
-5の頻度まで検出することができた。
【表19】
【0357】
IgH V遺伝子FR1-Cプライマーセットを用いたクロノタイプ頻度検出アッセイでは、対照プラスミド13のIgH VDJ-Cインサートを含む合成オリゴ(KC575862.1_IGHV4-59*01_96.9_IGHM*01)を、50ngの骨髄(BM)に0.1pg~0.0000001pgの入力量で添加した。多重増幅反応を、表13の多重プライマーセット9を使用して行い、得られたアンプリコンの配列決定および分析を、実施例2に記載されるように行った。かかるクローン頻度アッセイの検出結果の例示的な限界が表18に示される。IgH FR1-Cアッセイは、わずか50ngの入力骨髄RNAを使用して、対照bnAb配列を、単一のライブラリーで1.1×10
-4~8.7×10
-5の頻度で特定することができた。
【表20】
【0358】
体細胞超変異(SHM)ならびに生殖細胞系列および変異CLL IgHクローンのアイソタイプを定量化する、本明細書に提供されるアッセイおよびワークフローの能力が、CLL由来のインサートを有する対照プラスミドを使用して評価された。表15の選択されたプラスミド構築物を、PBL全RNAバックグラウンドに添加した。多重増幅反応は、表13の多重プライマーセット9を使用して行い、ライブラリーを調製して配列決定し、Ion S5(商標)システムおよびIon 530(商標)チップを使用して標的深度1.5M読み取りまで配列決定されたライブラリーを用いて、配列を実施例2に記載されるように分析した。かかるSHM定量化アッセイにおける例示的な結果が表19に示される。表19は、アッセイへの入力に基づいた各プラスミドにおける予測されるSHMステータス、SHM頻度、およびアイソタイプ、ならびにアッセイ結果からの各プラスミドにおける観察されたSHMステータス、SHM頻度、およびアイソタイプを示す。示されるように、アッセイは、対照CLLパネルのSHMおよびアイソタイプを正確に定量する。
【表21】
【0359】
検出限界、クロノタイプ頻度検出、ならびにSHMおよびアイソタイプ定量化のかかる結果は、稀なBCRクローンを特定および検出する提供されるアッセイおよび分析ワークフローの能力を実証する。この能力は、特定のクローン(またはクローンの小群)の頻度が追跡される縦断的な試験に十分適している。
【0360】
実施例5
試験コホート:Glasgow大学で関節リウマチのためにメトトレキサートで治療された18名の個体からの試料。コホートは、6名の完全応答者(CDAIスコアリングガイドラインに従って、メトトレキサート治療開始後少なくとも12ヶ月間の疾患寛解)、6名の部分的応答者(治療開始の12か月以内に発赤を伴う疾患の寛解)、6名の非応答者(療法後に疾患の寛解なし)からなる。
【0361】
全RNAは、ベースライン(最初のメトトレキサート投与時)、治療後6か月および12か月に末梢血白血球(PBL)から抽出した。末梢血白血球からの25ngの全RNAを分析に使用した。一般的な出発物質には、末梢血白血球/バフィーコート、全血、または末梢血単核細胞(PBMC)が含まれる。
【0362】
RNAは逆転写によってcDNAに変換し、続いてOncomine IGH-LRアッセイを使用してcDNAの標的増幅を行った。他のアプローチでは、IGHのVDJ-C領域の配列を提供する別のライブラリー調製およびNGSベースのアプローチを使用することができる。ここでは、25ngの全RNAの変換に由来する25ngのcDNAを、ライブラリー調製のための入力として使用した。他の実施形態において、10ng、50ng、100ng、200ng、300ng…2ugの入力材料をライブラリー調製のために使用し得る。
【0363】
調製されたライブラリーを配列決定することは、NGSプラットフォームのために試料当たり1.5M読み取りの標的にIon Gene Studio S5配列決定を使用して実行された。データは、Ion Reporter 5.12を介して分析された。他のアプローチでは、ライブラリー生成と互換性のある代替のNGS配列決定システムを使用し得、それに分析が続く。
【0364】
固有のIGH再配列(すなわちクローン)を特定する配列決定データの分析は、各クローンについて以下を決定することを含んだ。
a.各クローンの可変遺伝子部分内の体細胞超変異(SHM)のレベル。可変遺伝子の配列を、一般的に使用される公開参照データベース(例えば、IMGT)内で最も一致する生殖細胞系列可変遺伝子の配列と比較することによって決定される。IgBLASTなどの一般的なアライメントアプローチがこの作業のために使用され得る。
b.各クローンのアイソタイプ同一性を決定すること。
c.IGH再配列の全セットの割合としての各クローンの頻度の計算。
【0365】
事前定義された閾値よりも高いV遺伝子変異頻度(SHM頻度)を有するIgMおよび/またはIgD発現クローンの総頻度を決定する。ここでは、8%のSHM閾値を使用した。他の例では、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、約15%、約20%の閾値を使用し得る。好ましい例では、約2%、約4%、約6%、または約8%の閾値が最適な閾値範囲を定義し得る。
【0366】
高SHM IgDおよび/またはIgM発現B細胞の特定に続いて、試料中のかかる細胞の総頻度が決定された。個体の応答状態の予測は、かかるIgMまたはIgD発現B細胞の総頻度が事前定義された閾値よりも高いかまたは低いかを決定することによって推定された。いくつかの実施形態において、0.007の閾値が利用された。他の実施形態において、約.001、約.002、約.003、約.004、約.005、約.006、約.007、約.008、約.009、約.01、約.02、約.03、約.04、約.05、約.06、約.07、約.08、約.09、約0.1、またはそのあたりの閾値が使用される。いくつかの実施形態において、約.005、約006、約.007、約.008、約.009、約.01の値が使用される。いくつかの実施形態において、約.006、約.007、約.008の値が好ましい。
【0367】
他の例では、上記方法の代替として、方法は以下を含み得る。
a.事前定義された閾値よりも高いV遺伝子変異頻度を有するIgMまたはIgD発現クローンの総数を決定すること。いくつかの例では、8%の閾値が使用される。他の例では、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、約15%、約20%の閾値が使用され得る。いくつかの例では、約2%、約4%、約6%、約8%、または約10%の閾値が最適な閾値範囲を定義し得る。
b.ステップaの数を、試料で検出されたIgMおよびIgD発現B細胞クローンの総数で除すること。
c.ステップbの結果が事前定義された閾値より高いかまたは低いかを決定することによって、個体の応答ステータスを予測する。いくつかの実施形態において、0.017の閾値が利用される。他の実施形態において、約.008、約.009、約.010、約.011、約.012、約.013、約.014、約.015、約.016、約.017、約.018、約.019、約.020、約021、約.022、約.023、約.024、約.025、約.03、約.04、約.05、約.06、約.07、約.08、約.09、約0.1、またはそのあたりの閾値が利用される。いくつかの実施形態において、約.015、約.016、約.017、約.018、約.019、約.020の値が使用される。いくつかの実施形態において、約.016、約.017、約.018の値が好ましい。
【0368】
メトトレキサートは、12か月の治療の経過にわたって、IgG、IgA、またはIgE発現B細胞の相対頻度を低下させる。メトトレキサートで治療された個体のIGHレパートリーの連続的なモニタリングは、12か月の治療の経過にわたって、IgMおよびIgDを発現するB細胞と比較してIgG、IgA、またはIgEを発現するB細胞の頻度の漸進的な減少を明らかにした。RAを有する未治療の個体は、高頻度のIgG、IgA、またはIgE発現B細胞を有する傾向がある。メトトレキサートは、IgMまたはIgDを発現するB細胞と比較して、スイッチアイソタイプを発現するB細胞の頻度を低下させるようである(p=.003、ウィルコクソン)。
図11を参照されたい。メトトレキサートは、IgMまたはIgDを発現する病原性B細胞の頻度に最小限の影響を有し得る。その結果、病原性B細胞が主にIgMまたはIgDを発現する場合、療法は疾患を低下させるのに失敗し得る。かかる個体が病原性B細胞を保有し続け得ることを考えると、例えば、リツキシマブなどのB細胞枯渇療法が好ましいものであり得る。
【0369】
高度に変異したIgM/IgD B細胞の頻度は、メトトレキサートに対する応答を予測する。
図11B:IgMまたはIgDを発現する高度に変異した(>8%のV遺伝子変異)B細胞の頻度を応答ステータスの関数として示す箱ひげ図での分析の結果を示す。メトトレキサートに対する応答者は、非応答者と比較して、高度に変異したIgM/IgD発現B細胞の低い頻度を有する。高度に変異したIgM/IgDの頻度の上昇は、メトトレキサートに対する耐性と相関した。
【0370】
理論に拘束されることなく、自己免疫疾患、例えば、関節リウマチの検出および治療応答の予測は、アイソタイプの状況と組み合わせたB細胞免疫レパートリーの体細胞超変異の効果的な評価を必要し得ることが予測される。高度に変異したIgM/Dの頻度を用いて応答を予測するモデルにおけるROC曲線分析(AUC0.847)は、100%の感度および83%の特異性の性能を示した。この分析は、CDR3特異的アミノ酸モチーフとは無関係だった。
【0371】
慢性可変免疫不全障害(CVID)は、B細胞成熟およびアイソタイプスイッチに影響を与える生殖細胞系列にコードされた変異にしばしば由来する原発性免疫不全症である。CVIDを有する個体は、関節リウマチ(約15%の同時発生)および他の自己免疫疾患を発症するリスクが高い。
【0372】
IGH-LR分析は、この研究コホート内の1名の対象における潜在的なCVIDの兆候が明らかにした。試料は、健康なドナーと比較して、少量のIgG発現B細胞、およびより少ない程度でIgA発現B細胞、ならびにIgG1発現B細胞内の低下したSHMを示した。この結果は、原発性免疫不全障害、ならびにトランスレーショナルリサーチにおける自己免疫疾患および障害を評価するためのIGH-LRアッセイの幅広い潜在的な有用性を裏付ける。
【0373】
実施例6
IGH鎖配列決定データのクローン系統分析を適用して、68例のCLL研究試料のコホートにおけるCSRとSHMを評価した。試料の重要なサブセットにおいて、進行中のCSRおよびSHMの証拠が認められた。
【0374】
IGHフレームワーク1領域およびアイソタイプ領域を標的とする多重プライマー(Oncomine IGH-LRアッセイ、9種すべてのアイソタイプの検出)を、CLLを有する68名の個体および脾辺縁帯リンパ腫(SMZL)を有する4名の個体に由来する25ngの末梢血全RNAからのIGHレパートリー配列決定のために使用した。クロノタイピングおよびクローン系統分析は、Ion Reporterによって行った。クローン系統は、共有変数および結合遺伝子、同じCDR3長、ならびに85%のCDR3ヌクレオチド最小類似性を有する固有の再配列のセットとして定義される。進行中のCSRは、同じ系統内におけるIgM/IgDおよび少なくとも1つのスイッチ化アイソタイプ(IgG、IgA、またはIgE)、またはスイッチ化アイソタイプの組み合わせの存在として定義された。進行中のSHMは、他のクローン系統メンバーと比較して、VDJ領域配列内における異なるサブクローンの存在として定義された。
【0375】
68例中11例が、進行中のCSRまたはSHMの証拠を示した。進行中のCSRまたはSHMの証拠がない57例で、可変遺伝子変異分析は、i)SHMなし、ii)中度SHM(平均2%変異)、またはiii)高度SHM(>6%変異)のいずれかを有する3つの異なるサブグループの存在を明らかにした。4例のSMZLのうち3例は、進行中のCSRまたはSHMの証拠を示した。
図11を参照されたい。
【0376】
結果は、CLL内の過去に認識されていない不均一性を示唆し、IGHV変異レベルと進行中のSHMまたはCSRの存在との組み合わせに基づいたCLLのサブグループへの細分化を示唆する。
図11を参照されたい。追加の試験は、予後および治療目的のためのこの細分化の有用性をさらに描き出し得る。CLLを、IGHV遺伝子変異状態と、CLLクローン系統が最近もしくは進行中のクラススイッチ組換え(CSR)または体細胞超変異(SHM)の証拠を示すか、との組み合わせに基づいて、4つのカテゴリーにサブグループ化することを提案する。
【0377】
進行中のCSRは、IgM/IgD、および少なくとも1つの他のスイッチ化アイソタイプ(IgG、IgA、またはIgE)またはスイッチ化アイソタイプの組み合わせを発現するメンバーを含むCLLクローン系統として定義される。進行中のSHMは、同じCLL系統の他のメンバーと比較してVDJ領域配列内の異なるサブクローンの存在として定義される。
図12を参照されたい。
【0378】
進行中のSHMまたはCSRの証拠は、化学免疫療法およびDNA損傷を開始する薬剤またはDNA修復機構の活性を調節する薬剤、例えば、PARP阻害剤の使用に関連する、機能的なDNAエラー修復機構を示し得る。
【0379】
歴史的に、損傷修復に関与する遺伝子の数および構造的な複雑さのために、DNA修復機構の機能を評価することは困難であった。例えば、ATM遺伝子は、損傷修復に重要な役割を果たし、しばしばCLLを無力化した。さらに、ATM遺伝子の非活性化は、インビトロモデルにおいてクラススイッチ組換えを損なうことが示されている。(www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2211853)しかし、この遺伝子のサイズが大きく、ATM遺伝子修復経路が複雑なため、ATM機能テストは日常的に行われない。
【0380】
試料の「進行中のCSRもSHMもなし」または「進行中のCSRまたはSHM」への細分化に続いて、さらにIGHV変異頻度に基づいて細分化を行った。これによって、「進行中のCSRもSHMもなし」カテゴリー内のCLLの3つのサブ集団として提案するものの存在が明らかにされた。最小限、本発明者らは、各サブグループは異なる臨床経過および薬剤感受性プロファイルを有し得ると仮定している。以下は、分析に基づいて提案されたCLLの細分化である。
【0381】
クラスI:最悪の予後を有すると仮定される。がんを化学免疫療法に対して難治性にするDNA修復欠陥を有するCLLが高められている。潜在的にPARP阻害剤療法に、より好適である。
【0382】
クラスII:不良な予後。DNA修復欠陥を有するCLLが高められている。潜在的にPARP阻害剤療法に、より好適である。
【0383】
クラスIII:良好な予後。このグループのCLLは、疾患の進行における持続的な抗原刺激の役割と一致する高いSHMレベルを有する。仮説的には、進行までの時間が長い無痛性疾患として出現し得る。
【0384】
クラスIV:最良の予後。進行中のCSRまたはSHMは、機能的なDNA修復機構を明らかにし、化学免疫療法に対する改善された応答性を示唆する。潜在的にPARP阻害剤療法にはあまり適さない。
【0385】
従来の2%および3%のSHMカットオフが、i)変異CLL(MCLL)を分離する場合、3%超のSHMおよびかかる個体は良好な予後を有すると考えられ、ii)2%~3%カットオフの中間CLLおよびかかる個体は、不均一な転帰を有すると考えられ、iii)2%未満のSHMを有する未変異CLL(UCLL)およびかかる個体は、不良な予後を有すると考えられ、提案される4つのサブグループに重ね合わされる。2~3%のSHMサブセットは、グループIIとIVの混合からなることに注意されたい。グループIIは、一般的に不良な予後を有すると仮定され、グループIVは、良好な予後を有すると仮定される。>3%のSHMを有する試料は、グループIIIおよびIVで高められており、最良の予後を有すると仮定される。
【配列表】
【国際調査報告】