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特表2023-511214アスファルト混合組成物を調製する低温方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-16
(54)【発明の名称】アスファルト混合組成物を調製する低温方法
(51)【国際特許分類】
   C08G 18/64 20060101AFI20230309BHJP
   C08G 59/40 20060101ALI20230309BHJP
   C08G 12/32 20060101ALI20230309BHJP
   E01C 7/18 20060101ALI20230309BHJP
【FI】
C08G18/64 076
C08G59/40
C08G12/32
E01C7/18
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022544820
(86)(22)【出願日】2021-01-15
(85)【翻訳文提出日】2022-08-05
(86)【国際出願番号】 EP2021050773
(87)【国際公開番号】W WO2021148313
(87)【国際公開日】2021-07-29
(31)【優先権主張番号】20153372.6
(32)【優先日】2020-01-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521037411
【氏名又は名称】ベーアーエスエフ・エスエー
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100133086
【弁理士】
【氏名又は名称】堀江 健太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100163522
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 晋平
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル・ツァイリンガー
(72)【発明者】
【氏名】ヴァルデマール・シャッツ
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン・ボーカーン
(72)【発明者】
【氏名】ダグ・ヴィーベルハウス
(72)【発明者】
【氏名】イラン・オテロ・マルティネス
【テーマコード(参考)】
2D051
4J033
4J034
4J036
【Fターム(参考)】
2D051AG02
2D051AG14
2D051AH01
2D051AH02
4J033EA02
4J033EA45
4J033EA61
4J033HB01
4J034EA16
4J034HA01
4J034HA02
4J034HA06
4J034HA07
4J034HA08
4J034HB05
4J034HB06
4J034HB07
4J034HB08
4J034HB09
4J034HC03
4J034HC12
4J034HC13
4J034HC17
4J034HC22
4J034HC34
4J034HC35
4J034HC46
4J034HC52
4J034HC61
4J034HC64
4J034HC65
4J034HC67
4J034HC71
4J034HC73
4J034JA25
4J034JA32
4J034MA01
4J034QB03
4J034QB14
4J034RA10
4J036AC08
4J036AD08
4J036AD20
4J036AF06
4J036AJ09
4J036FB21
4J036JA14
(57)【要約】
本発明は、アスファルト混合組成物を製造する方法であって、(1)アスファルト組成物を準備し、前記組成物を150~175℃の範囲の温度に加熱する工程;(2)粒状材料を準備し、前記材料を130~170℃の範囲の温度に加熱する工程;(3)1種又は複数の熱硬化反応性化合物を準備する工程;(4)(3)で準備された1種又は複数の熱硬化反応性化合物を(1)で得られたアスファルト組成物に添加し、2~180秒の範囲の時間混合物を均質化する工程;(5)(4)で得られた混合物を(2)で得られた粒状材料に添加し、5~180秒の範囲の時間スラリーを均質化する工程を含み、その結果として得られるアスファルト混合組成物の温度が、130~155℃の範囲である方法に関する。更に、本発明は、前記方法によって得られた又は得られるアスファルト混合組成物及びその使用、並びに低い敷設温度でアスファルト舗装工事をする方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アスファルト混合組成物の製造方法であって、
(1)アスファルト組成物を準備し、前記組成物を150~175℃の範囲の温度に加熱する工程;
(2)粒状材料を準備し、前記材料を130~170℃の範囲の温度に加熱する工程;
(3)1種又は複数の熱硬化反応性化合物を準備する工程;
(4)(3)において準備した1種又は複数の熱硬化反応性化合物を(1)において得られたアスファルト組成物に添加し、2~180秒の範囲の時間のあいだ、混合物を均質化する工程;
(5)(4)において得られた混合物を(2)において得られた粒状材料に添加し、5~180秒の範囲の時間のあいだ、スラリーを均質化する工程を含み、
その結果得られるアスファルト混合組成物の温度が、130~155℃の範囲である、製造方法。
【請求項2】
(4)の後、且つ(5)の前に、(4)において得られた混合物を、130~160℃の範囲の温度において保管する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
(4)の後、且つ(5)の前に、(4)において得られた混合物を、100rpm以下の混合速度で混合する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
(4)において得られた混合物を(5)において直接処理する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記1種又は複数の熱硬化反応性化合物が、ポリイソシアネート、エポキシ樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、及びそれらのうちの2種又はそれ以上の混合物からなる群から選択される1種又は複数の化合物を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記1種又は複数の熱硬化反応性化合物の総量と前記アスファルト組成物との質量比が0.1:99.9~25:75の範囲にある、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
(4)において得られる混合物と(2)において得られる粒状材料との質量比が0.5:99.5~25:75の範囲にある、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
(2)において準備された粒状材料が、砂利、再生アスファルト舗装材、砂、1種又は複数のフィラー材料、及びそれらのうちの2種又はそれ以上の混合物からなる群から選択される1種又は複数の粒状材料を含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
(1)において準備されたアスファルト組成物が、1種若しくは複数の添加剤を含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
(2)において準備された粒状材料が、再生アスファルト舗装材を5~100質量%含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
(2)において準備された粒状材料が、0.1~70mmの範囲の粒子径を示す、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
(4)及び/又は(5)が、酸素含有雰囲気下で実施される、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
(4)及び/又は(5)が、バッチプロセス又は連続プロセスとして実施される、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか一項に記載の方法に従って得られた又は得られるアスファルト混合組成物。
【請求項15】
請求項14に記載のアスファルト混合組成物の、舗装用途での使用。
【請求項16】
低い敷設温度においてアスファルト舗装工事をする方法であって、
(1)アスファルト混合プラントのサイロからアスファルト混合物を輸送するために設計された車両に、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法によって得られたアスファルト混合組成物を積み込む工程;
(2)建設現場において、舗装機械に前記アスファルト混合組成物を入れる工程;
(3)舗装機械によってアスファルトを敷設し、続いてロードローラーによって締固める工程を含み、
敷設中の温度が110℃~155℃の範囲である、方法。
【請求項17】
アスファルト舗装工事中のビチューメンエアロゾル及び煙霧の合計が、10mg/m未満である、請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アスファルト混合組成物を調製する低温方法、前記方法によって得られた、又は得られるアスファルト混合組成物、その使用、及び低い敷設温度でアスファルト舗装工事をする方法に関する。
【背景技術】
【0002】
導入
一般に、アスファルトは、アスファルテン及びマルテンに分類されるさまざまな分子種を含有するコロイド状物質である。アスファルトは粘弾性及び熱可塑性を有するため、極度の寒さから極度の暑さまで、さまざまな温度において性状が変化する。アスファルトは、暑い気候では柔らかくなり、極寒時にはひび割れる傾向がある。低温においてアスファルトはもろくなり、亀裂が入りやすくなるが、高温では柔らかくなり、物理的性状が失われる。
【0003】
結合材(バインダー)、又はより一般的な用語では改質材として熱硬化反応性成分を添加することにより、アスファルトの物理的性状をさまざまな温度においてより一定に保ち、及び/又はアスファルトがさらされる温度範囲にわたって物理的性状を改善することができる。
【0004】
添加された結合材又は改質材によって改質されるそのようなアスファルトは、当該技術分野で長年の間知られている。しかし、アスファルト業界では、改善されたアスファルトが依然として必要である。これは、部分的には、現在知られているポリマー改質アスファルトにいくつかの欠点があるためである。これらの欠点には、例えば、永久変形(わだち掘れ)、曲げ疲労、湿気に影響されやすいこと、低温で使われたときの弾性の低下が含まれる。
【0005】
WO 01/30911 A1には、組成物の総質量に対して、ポリメリックMDIを約1~8質量%含むアスファルト組成物であって、ポリメリックMDIの官能基数が少なくとも2.5である、アスファルト組成物が開示されている。この文献はまた、2時間未満の反応時間を使う、前記アスファルト組成物を調製する方法にも関する。生成物であるMDI-アスファルトの形成は、生成物の粘度の増大によって、又はより好ましくは動的機械分析(DMA)によって測定される。
【0006】
WO 01/30912 A1には、アスファルト及び水の他に、乳化性ポリイソシアネートを含む水性アスファルトエマルジョンが開示されている。この文献はまた、前記エマルジョンを含む骨材組成物、及び前記組成物を調製する方法に関する。
【0007】
WO 01/30913 A1には、組成物の総質量に対して、ポリメリックMDIをベースとするプレポリマーを約1~5質量%含むアスファルト組成物であって、そのポリメリックMDIの官能基数が少なくとも2.5である、アスファルト組成物が開示されている。この文献はまた、前記アスファルト組成物を調製する方法に関する。
【0008】
https://eapa.org/wp-content/uploads/2018/07/EAPA-paper-Warm-MixAsphalt-version-2014-1.pdf「The use of Warm Mix Asphalt」、EAPA Position Paper、2014年1月1日、1~23頁には、100℃をわずかに超える温度で、従来のHMAと同等の性状又は性能を有するアスファルトを製造するためのウォームミックスアスファルト(WMA)技術が開示されている。
【0009】
https://www.faa.gov/documentlibrary/media/advisory_circular/150-5370-14A/150_5370_14a_app 1 _part_I I_a. pdf:「Hot Mix Asphalt Paving Handbook, AC 150/5370-14A, Appendix 1, Part II-a」、2001年1月1日、1~11頁には、いくつかの種類のアスファルトプラント環境、すなわちバッチプラント、並流式ドラム混合プラント、及び向流式ドラム混合プラントにおけるホットミックスアスファルトプラントの操作が開示されている。
【0010】
http://web.archive.org/web/20071223141536/http://www.in.gov/indot/files/chapter_03(5).pdf:「HOT MIX ASPHALT PLANT OPERATIONS, Chapter 3」、2007年12月23日、1~78頁には、バッチ及びドラムプラント環境でのホットミックスアスファルトプラントの操作、HMAの性状、骨材の混合、プラントの検査及びスケールチェック、プラントのキャリブレーション、プラントのトラブルシューティングにおけるプラントの種類の影響が開示されている。
【0011】
http://www.astecinc.com/images/file/literature/Nomad_with_Baghouse.pdf:「NOMAD(TM) Hot Mix Asphalt Plant」、2008年1月1日、1~5頁には、コールドフィードビン、スキャルピングスクリーン、乾燥ドラム、液体アスファルトタンク、ツインシャフトコータ、バグハウス、サージビン及び操作室を備えるNomad(商標)ホットミックスアスファルトプラントが開示されている。
【0012】
https://store.asphaltpavement.org/pdfs/ec-101.pdf:「Best Management Practices To Minimize Emissions During HMA Construction; EC-101 4/00」、2000年4月1日、1~12頁には、HMA建設中の排出量を最小限に抑えるために最良な管理方式が開示されている。これに関連して、ホットミックスアスファルト(HMA)製造業者は、HMAにとって適切な保管、混合、及び締固め温度を使用することが、排出量を最小限に抑えるための鍵であると認識する必要があることが開示されている。更に、主要な目標は、規定密度を満たしながら温度を最低限に抑えることであることが開示されている。
【0013】
Malcolm D Grahamら「Reduced Mixing Time for Asphalt Concrete Mixes」、Paper presented at the 47th Annual Meeting、1968年1月1日、1~17頁には、個々のプラントの設計及び条件が、骨材粒子の適切な分布及びアスファルトコーティングのための時間要件に影響を与えるため、時間が短縮されたとみなされるにはプラントごとの試験が必要であるとの文脈において言及される、アスファルトコンクリートミキサーにおける混合時間の短縮が開示されている。
【0014】
BECKER Yら「Polymer Modified Asphalt」、VISION TECNOLOGICA, INTEVEP, LOS TEQUES, VE、vol. 9、no. 1、2001年1月1日、39~50頁には、ポリマーによるアスファルト改質が、アスファルトの性状を改善するための最良の選択肢であると考えられることが開示されている。更に、ポリマーにより、バインダーの有用温度範囲が大幅に増大することが開示されている。更に、改質ビチューメンに伴う、考えられる制限は、(i)コスト増加、(ii)起こり得る適合性及び安定性の問題、(iii)ビチューメンの保管で発生する可能性のあるいくつかの問題、(iv)混合温度、並びに(v)敷設前に材料が高温で保持される時間の長さであることが開示されている。
【0015】
Bjarne Bo Jensenら「15 YEARS EXPERIENCE ADDING POLYMER POWDER DIRECLY INTO THE ASPHALT MIXER」、5th Eurasphalt & Eurobitume Congress, 13-15th June 2012, Istanbul、2012年6月15日、1~8頁において、より良好なアスファルト特性(より良好なわだち掘れ耐性及びより良好な耐疲労性)を得るために、特殊なポリマー粉末のポリマー添加の増加を試みたことが開示されている。実験室の結果では、バインダー特性の改善が示されており、さまざまな種類の道路での実地試験では、アスファルト舗装の機能改善(亀裂の伝播が少なく、わだち掘れ耐性がより良好である)が示されている。更に、ポリマーをアスファルトミキサーに直接添加する場合、ビチューメン硬度の異なる少量のアスファルトでも改質することが可能であり、特別なビチューメン保管設備を必要としないことが開示されている。
【0016】
HESAMI EBRAHIMら「Study of the amine-based liquid anti-stripping agents by simulating hot mix asphalt plant production process」、CONSTRUCTION AND BUILDING MATERIALS、vol. 157、2017、1011~1017頁において、HMAの製造条件をシミュレーションし、次いで、2種のアミン系液体剥離防止剤によるHMAの性能への影響を、引張強度比(TSR)及び半円形供試体曲げ(SCB)試験を使用して調査することが開示されている。また、この研究の結果により、HMA製造のため長期間加熱後、これらの添加剤の有効性が大幅に低下したことが示されたことも開示されている。
【0017】
LUO SANGら「Performance evaluation of epoxy modified open graded porous asphalt concrete」、CONSTRUCTION AND BUILDING MATERIALS、ELSEVIER、NETHERLANDS、vol. 76、2014年12月12日、97~102頁において、混合物の耐久性を改善するためにバインダーとしてエポキシアスファルトを使用する新規開粒度多孔質アスファルト混合物が開示されている。この研究では、橋面舗装用の密粒度アスファルトコンクリートに正常に塗布されたエポキシアスファルトの1種が選択された。更に、混合物をスラブ供試体に締固める手順、並びに新規混合物の性能を評価するため、カンタブロ損失、透過性、吸音、圧裂引張、摩擦、剪断剛性、剪断強度、及びホイールのわだち掘れ試験を含む、一連の実験室試験が実施されたことが開示されている。更に、その結果、従来の開粒度多孔質アスファルト混合物と比較して、エポキシ改質開粒度多孔質アスファルト混合物は全体的に優れた性能を示したことが開示されている。
【0018】
FANG CHANGQINGら「Preparation and properties of isocyanate and nano particles composite modified asphalt」、CONSTRUCTION AND BUILDING MATERIALS、ELSEVIER、NETHERLANDS、vol. 119、2016年5月13日、113~118頁において、ベースアスファルトに定量的なイソシアネートを添加することによって、イソシアネート改質アスファルトのサンプルが得られたことが開示されている。イソシアネート及びナノ粒子の複合改質アスファルトサンプルは、定量的なイソシアネート及び3種の無機ナノ粒子(二酸化ケイ素、二酸化チタン、酸化亜鉛)をそれぞれベースアスファルトに添加することにより製造された。イソシアネート改質アスファルト、イソシアネート及びナノ粒子複合改質アスファルトは、物理的試験、SEM、蛍光顕微鏡検査、TG及びFTIR試験を行うことによって特性決定され、イソシアネート及びナノ粒子複合改質アスファルトの高温及び低温性能が効果的に改善されたことが実証された。更に、微視的観点から、ベースアスファルトの改質が非常に重要であり、その結果により、複合改質アスファルトの温度感度が低下したことも示されたことが開示されている。更に、ベースアスファルト及びイソシアネート改質アスファルトと比較した場合、熱安定性も同時に改善されたことが開示されている。
【0019】
EP 3 006 525 A1において、2つ以上のヒドロキシル基を有するポリオレフィンポリオール、短鎖多価アルコール、MDIモノマー、MDIモノマー、及び溶媒aを反応させることによって生成されたMDIプレポリマーを添加することによって得られる成分(A)、並びにアスファルト、触媒、及び溶媒bを含む成分(B)を少なくとも含有するアスファルト-ウレタン組成物が開示されている。
【0020】
WO 2017/125421 A1において、アスファルト、ポリエステル樹脂、及び骨材を130℃以上200℃以下で30秒以上混合する工程であって、ポリエステル樹脂が、ビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物を65mol%以上含有するアルコール成分由来の構成成分と、テレフタル酸及びイソフタル酸からなる群から選択される少なくとも1つを50mol%以上含有するカルボン酸成分由来の構成成分とを有するポリエステルであり、軟化点が95℃以上130℃以下、ヒドロキシル基値が20mgKOH/g以上50mgKOH/g以下であり、ポリエステル樹脂が、アスファルト100質量部に対して、5質量部以上50質量部以下の比率で混合される、工程を含む、道路舗装用のアスファルト組成物を製造する方法が開示されている。
【0021】
EP 0 537 638 B1において、100質量部のビチューメンに対して0.5~10質量部の官能化ポリオクテナマー、及び任意選択で架橋剤を含有するポリマー改質ビチューメン組成物であって、ポリオクテナマーが主にトランスポリオクテナマーであり、カルボキシル基、及びそれに由来する基、例えばマレイン酸を含有することを特徴とする、ポリマー改質ビチューメン組成物が開示されている。
【0022】
一方、WO 2018/228840 A1において、さまざまな温度においてより一定であるという点で改善された物理的性状を示す、改善されたアスファルト組成物であって、アスファルトと熱硬化反応性化合物とを混合し、混合物を少なくとも2.5時間撹拌することを含む方法によって得られる、アスファルト組成物が開示されている。
【0023】
欧州特許出願番号19198042.4において、110~200℃の温度範囲での特定の連続した短い混合工程を使用するアスファルト混合組成物を調製する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0024】
【特許文献1】WO 01/30911 A1
【特許文献2】WO 01/30912 A1
【特許文献3】WO 01/30913 A1
【特許文献4】EP 3 006 525 A1
【特許文献5】WO 2017/125421 A1
【特許文献6】EP 0 537 638 B1
【特許文献7】WO 2018/228840 A1
【特許文献8】欧州特許出願番号19198042.4
【非特許文献】
【0025】
【非特許文献1】https://eapa.org/wp-content/uploads/2018/07/EAPA-paper-Warm-MixAsphalt-version-2014-1.pdf「The use of Warm Mix Asphalt」、EAPA Position Paper、2014年1月1日、1~23頁
【非特許文献2】https://www.faa.gov/documentlibrary/media/advisory_circular/150-5370-14A/150_5370_14a_app 1 _part_I I_a. pdf:「Hot Mix Asphalt Paving Handbook, AC 150/5370-14A, Appendix 1, Part II-a」、2001年1月1日、1~11頁
【非特許文献3】http://web.archive.org/web/20071223141536/http://www.in.gov/indot/files/chapter_03(5).pdf:「HOT MIX ASPHALT PLANT OPERATIONS, Chapter 3」、2007年12月23日、1~78頁
【非特許文献4】http://www.astecinc.com/images/file/literature/Nomad_with_Baghouse.pdf:「NOMAD(TM) Hot Mix Asphalt Plant」、2008年1月1日、1~5頁
【非特許文献5】https://store.asphaltpavement.org/pdfs/ec-101.pdf:「Best Management Practices To Minimize Emissions During HMA Construction; EC-101 4/00」、2000年4月1日、1~12頁
【非特許文献6】Malcolm D Grahamら「Reduced Mixing Time for Asphalt Concrete Mixes」、Paper presented at the 47th Annual Meeting、1968年1月1日、1~17頁
【非特許文献7】BECKER Yら「Polymer Modified Asphalt」、VISION TECNOLOGICA, INTEVEP, LOS TEQUES, VE、vol. 9、no. 1、2001年1月1日、39~50頁
【非特許文献8】Bjarne Bo Jensenら「15 YEARS EXPERIENCE ADDING POLYMER POWDER DIRECLY INTO THE ASPHALT MIXER」、5th Eurasphalt & Eurobitume Congress, 13-15th June 2012, Istanbul、2012年6月15日、1~8頁
【非特許文献9】HESAMI EBRAHIMら「Study of the amine-based liquid anti-stripping agents by simulating hot mix asphalt plant production process」、CONSTRUCTION AND BUILDING MATERIALS、vol. 157、2017、1011~1017頁
【非特許文献10】LUO SANGら「Performance evaluation of epoxy modified open graded porous asphalt concrete」、CONSTRUCTION AND BUILDING MATERIALS、ELSEVIER、NETHERLANDS、vol. 76、2014年12月12日、97~102頁
【非特許文献11】FANG CHANGQINGら「Preparation and properties of isocyanate and nano particles composite modified asphalt」、CONSTRUCTION AND BUILDING MATERIALS、ELSEVIER、NETHERLANDS、vol. 119、2016年5月13日、113~118頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0026】
アスファルト組成物の物理的性状に関しては大幅な改善が達成されているが、前記の利点のためには調製及びアスファルト舗装工事中のエネルギー消費を削減する点でより大きな努力が必要である。上記を考慮して、特に、エネルギー効率、アスファルト舗装工事中の施工性、及びアスファルト混合物性能に関して、非常に効果的な方法で前記材料を得るための改善された方法の提供が依然として必要である。
【0027】
したがって、本発明の目的は、有利な物理的性状及び高い性能を示すアスファルト混合組成物を調製するためのエネルギー効率が改善された方法を提供することであった。
【課題を解決するための手段】
【0028】
本発明によれば、「アスファルト」、「ビチューメン」、「アスファルトバインダー」、及び「アスファルト組成物」という用語は、同等のものとして使用される。一般に、アスファルトは、アスファルテン及びマルテンに分類されるさまざまな分子種を含有するコロイド状物質である。
【0029】
アスファルト/ビチューメン/アスファルトバインダー/アスファルト組成物は、未改質であったり、改質されたりする可能性がある。未改質アスファルト/ビチューメン/アスファルトバインダー/アスファルト組成物は、舗装グレードビチューメン/舗装グレードアスファルトともまた呼ばれ、例えば、貫入グレード(=penグレード)50~70又は70~100(DIN EN 1426に準拠して求められた針入度)であり得る。改質アスファルト組成物は、例えば、ポリマー改質ビチューメン(PmB)であり得る。それぞれのポリマーは、熱可塑性エラストマー、ラテックス、熱可塑性ポリマー、熱硬化性ポリマー、及びそれらのうちの2種又はそれ以上の混合物からなる群から選択され得る。熱可塑性エラストマーは、例えば、スチレンブタジエンエラストマー(SBE)、スチレンブタジエンスチレン(SBS)、又はスチレンブタジエンゴム(SBR)であり得る。SBS改質ビチューメンの例は、PmB 25/55-55 RCである。
【0030】
本発明によれば、「再生アスファルト舗装材」(RAPとも略される)、「リサイクルアスファルト」、「再生アスファルト」、「再生アスファルト舗装材料」、及び「再生アスファルト混合物」という用語は、「アスファルト及び骨材を含有する再処理された舗装材」とも記載され得る材料を説明するために同様に使用される。
【0031】
本発明によれば、「粒状材料」という用語は、単一又は複数の「骨材」(aggregateあるいはaggregates)としても記述され得る成分を記述するために同様に使用される。更に、本発明によれば、粒状材料又は骨材は、砂利、砂、フィラー、及び細骨材のうちの1つ又は複数を含み得る。この点に関して、追加の特定の及び/又は好ましい実施形態が本明細書に開示されている。
【0032】
本発明によれば、「アスファルト混合組成物」及び「アスファルト混合物」という用語は、骨材/粒状材料、再生アスファルト、任意の種類の添加剤(例えば、熱硬化反応性化合物、繊維、再生用添加剤、反応性改質材等)、及びアスファルト/ビチューメン/アスファルトバインダー/アスファルト組成物(改質又は未改質)の混合物を記述するために使用される。
【0033】
本発明によれば、「回収アスファルト」又は「回収ビチューメン」又は「回収アスファルトバインダー」という用語は、アスファルト混合組成物から抽出されるアスファルト/ビチューメンを記述するために使用される。それぞれの回収手順は、実験の項に記載される。
【0034】
本発明によれば、「均質化された」又は「均質化」という用語は、多様な要素を混合して、くまなく同一である混合物にすることを記述するために使用され、例えば混合することによって、構造又は組成をくまなく均一にすることを意味する。
【0035】
したがって、驚くべきことに、従来技術の教示とは異なって、調製方法中に低温であってさえも、熱硬化反応性化合物によるそれぞれのアスファルトの改質が達成でき、さまざまな温度においてより一定であるという点で、砂又は砂利等の粒状材料との集中的混合後アスファルトの改善された物理的性状を有するアスファルト混合組成物が得られることが見出された(すなわち、このようなアスファルト混合組成物に含有されるアスファルトは、有用温度間隔(UTI)の増大、回復不能なクリープコンプライアンス(Jnr)の減少、弾性応答の増大、軟化点の上昇、及び針入度の減少を示し、したがって、例えば、わだち掘れ耐性、耐疲労性、耐低温性、及びより広い温度範囲での道路耐久性の向上という点で、該当するアスファルト混合組成物のより良好な性能をもたらす)。したがって、非常に驚くべきことに、有利な性状を有するアスファルト混合組成物が、低温処理と組み合わせた特定の連続した比較的短い混合工程を使用して得ることができ、調製方法のあいだ、時間及びエネルギーの大幅な節約をもたらすだけでなく、更に、従来技術において既知の基準となるアスファルト混合物、例えば、SBS改質ビチューメンを更にしのぐ利点、すなわち、(i)骨材、再生アスファルト、及びアスファルトバインダーがより低い温度に加熱されるのでCO排出量の削減をもたらす、アスファルト混合温度の低下、(ii)アスファルト敷設中の建設現場でのビチューメン排出量(エアロゾル及び煙霧)の削減、及び(iii)舗装後のより短い冷却期間をもつ、低い敷設温度で高い施工性を示す改質アスファルト混合物を得られることが見出された。
【0036】
この理論にとらわれることなく、本発明者らは、大量の再生アスファルト含有量を用いてさえも施工性が優れているのは、同等の低い加工温度ですら熱硬化反応性化合物は、再生アスファルトに由来する劣化ビチューメン、及び未劣化未改質舗装グレードビチューメンと反応して架橋するという事実の結果であると考えている。酸化劣化に起因して、劣化ビチューメンは、より高い密度の(酸化によって発生した)官能基を備えている。反応性改質材の性質に起因して、劣化及び未劣化ビチューメンの両方で利用可能な官能基は、反応性架橋のための、したがって、化学的に連結する劣化及び未劣化ビチューメンのためのアンカー基(anchor group)として働く。
【0037】
したがって、本発明は、アスファルト混合組成物を調製する方法であって、
(1)アスファルト組成物を準備し、前記組成物を150~175℃の範囲の温度に加熱する工程;
(2)粒状材料を準備し、前記材料を130~170℃の範囲の温度に加熱する工程;
(3)1種又は複数の熱硬化反応性化合物を準備する工程;
(4)(3)で準備された1種又は複数の熱硬化反応性化合物を(1)で得られたアスファルト組成物に添加し、2~180秒の範囲の時間混合物を均質化する工程;
(5)(4)で得られた混合物を(2)で得られた粒状材料に添加し、5~180秒の範囲の時間スラリーを均質化する工程を含み、結果として得られるアスファルト混合組成物の温度が、130~155℃の範囲である、方法に関する。
【0038】
(5)で得られた均質化されたスラリー、すなわち結果として得られるアスファルト混合組成物の温度は、132~155℃、より好ましくは135~152℃、より好ましくは135~150℃、より好ましくは135~148℃、より好ましくは135~147℃、より好ましくは135~145℃の範囲であることが好ましい。
【0039】
(4)の熱硬化反応性化合物の添加から始まり、その後(5)の均質化されたスラリーが得られるまでの合計時間は、10秒~7日、より好ましくは10秒~3日、より好ましくは15秒~1日、より好ましくは15秒~12時間、より好ましくは20秒~6時間、より好ましくは20秒~1時間、より好ましくは25秒~30分、より好ましくは25秒~15分、より好ましくは30秒~6分、より好ましくは30秒~3分、より好ましくは35秒~2分、より好ましくは35秒~90秒、より好ましくは40秒~85秒、より好ましくは45秒~70秒、より好ましくは50秒~60秒の範囲であることが好ましい。
【0040】
(4)の後及び(5)の前に、(4)で得られた混合物は、60~175℃、より好ましくは70~170℃、より好ましくは80~168℃、より好ましくは90~165℃、より好ましくは110~165℃、より好ましくは130~163℃、より好ましくは150~160℃の範囲の温度で保管されることが好ましい。
【0041】
(4)の後及び(5)の前に、(4)で得られた混合物は、0秒~7日、より好ましくは5秒~3日、より好ましくは10秒~1日、より好ましくは15秒~12時間、より好ましくは20秒~6時間、より好ましくは25秒~1時間、より好ましくは30秒~30分、より好ましくは35秒~15分、より好ましくは40秒~6分、より好ましくは45秒~3分、より好ましくは50秒~2分、より好ましくは55秒~90秒、及びより好ましくは60秒~70秒の範囲の時間保管されることが好ましい。
【0042】
(4)の後及び(5)の前に、(4)で得られた混合物を、100rpm以下、より好ましくは50rpm以下、より好ましくは25rpm以下、より好ましくは20rpm以下、より好ましくは15rpm以下、より好ましくは10rpm以下、より好ましくは5rpm以下、より好ましくは3rpm以下の混合速度で混合することが好ましい。
【0043】
(4)の後及び(5)の前に、(4)で得られた混合物は混合されないことが好ましく、より好ましくは(4)の後及び(5)の前に(4)で得られた混合物は均質化されない。
【0044】
或いは、(4)で得られた混合物は、(5)で直接処理されることが好ましい。
【0045】
(1)において、アスファルト組成物は、150~172℃、より好ましくは155~172℃、より好ましくは155~170℃、より好ましくは158~170℃、より好ましくは160~170℃の範囲の温度に加熱されることが好ましい。
【0046】
(2)において、粒状材料は、135~170℃、より好ましくは140~170℃、より好ましくは145~170℃、より好ましくは150~170℃、より好ましくは155~168℃の範囲の温度に加熱されることが好ましい。
【0047】
(5)における均質化は、135~155℃、より好ましくは138~155℃、より好ましくは140~155℃、より好ましくは140~152℃、より好ましくは145~150℃の範囲の温度で実施することが好ましい。
【0048】
一般に、本発明で使用されるアスファルト組成物は、既知の任意のアスファルトであることができ、一般に、任意のビチューメン化合物を包含する。このアスファルト組成物は、ビチューメン又はアスファルトとよばれる材料のいずれかであり得る。特に、本発明との関連において、本明細書で使用される「アスファルト」又は「アスファルト組成物」という用語は、ASTM D8-02に記載される定義(アスファルトは、主成分が自然界に存在する、又は石油処理で得られるビチューメンである、暗褐色から黒色のセメント質材料として定義される)を指すことが好ましい。
【0049】
(1)で準備されたアスファルト組成物は、針入度が20~30、30~45、35~50、40~60、50~70、70~100、100~150、160~220、及び250~330からなる群から選択され、又はパフォーマンスグレードが52~16、52~22、52~28、52~34、52~40、58~16、58~22、58~28、58~34、58~40、64~16、64~22、64~28、64~34、64~40、70~16、70~22、70~28、70~34、70~40、76~16、76~22、76~28、76~34、76~40であり、より好ましくは、(1)で準備されたアスファルト組成物は、針入度が30~45、35~50、40~60、50~70、70~100、100~150、及び160~220からなる群から選択され、又はパフォーマンスグレードが52~16、52~22、52~28、52~34、52~40、58~16、58~22、58~28、58~34、58~40、64~16、64~22、64~28、64~34、70~16、70~22、70~28、76~16、76~22であり、より好ましくは、(1)で準備されたアスファルト組成物は、針入度が40~60、50~70、70~100、及び100~150からなる群から選択され、又はパフォーマンスグレードが52~16、52~22、52~28、52~34、52~40、58~16、58~22、58~28、58~34、64~16、64~22、64~28、70~16、70~22、76~16、76~22であり、より好ましくは、(1)で準備されたアスファルト組成物は、針入度が50~70又は70~100であることが好ましく、針入度は、DIN EN 1426に準拠して求められる。
【0050】
(1)で準備されたアスファルト組成物が改質ビチューメンを含む場合は、ビチューメンは、化学改質材(例えば、有機金属化合物、硫黄、リン酸(PA)、ポリリン酸(PPA)、スルホン酸、硫酸、カルボン酸無水物、酸エステル、過酸化ジベンゾイル、シラン、有機及び無機尿素硫化物)、リサイクル材料(例えば、クラムラバー、プラスチック)、繊維(例えば、リグニン、セルロース、ガラス繊維、アルミノケイ酸マグネシウム、ポリエステル、ポリプロピレン)、接着増強剤(例えば、有機アミン、アミド)、天然アスファルト(例えば、トリニダードレイクアスファルト(TLA)、ギルソナイト、ロックアスファルト)、酸化防止剤(例えば、フェノール類、有機亜鉛化合物、有機鉛化合物)、フィラー(例えば、カーボンブラック、消石灰、石灰、フライアッシュ)、粘度調整剤(例えば、フラックスオイル、ワックス)、反応性ポリマー(例えば、エチレン、アクリル酸エステル及びグリシジルメタクリレートのランダムターポリマー、無水マレイン酸グラフト化スチレン-ブタジエン-スチレンコポリマー)、並びにそれらのうちの2種又はそれ以上の混合物)からなる群から選択される1種又は複数の化合物を使用して改質されていることが好ましい。
【0051】
(3)の1種又は複数の熱硬化反応性化合物は、ポリイソシアネート、エポキシ樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、及びそれらのうちの2種又はそれ以上の混合物からなる群から、好ましくは脂肪酸ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネート、及びそれらのうちの2種又はそれ以上の混合物からなる群から、より好ましくは、芳香族ジイソシアネート、オリゴメリック芳香族ポリイソシアネート、及びそれらのうちの2種又はそれ以上の混合物からなる群から選択される1種又は複数の化合物を含むことが好ましく、より好ましくは、1種又は複数の熱硬化反応性化合物は、1種又は複数の芳香族ジイソシアネートと1種又は複数のオリゴメリック芳香族ポリイソシアネートとの混合物を含み、より好ましくは、1種又は複数の熱硬化反応性化合物は、1種又は複数の芳香族ジイソシアネートと1種又は複数のオリゴメリック芳香族ポリイソシアネートとの混合物からなる。
【0052】
本発明によれば、ポリイソシアネートは、脂肪族、脂環式、芳香脂肪族であることが好ましく、より好ましくは当該技術分野で既知の芳香族多価イソシアネートである。そのような多官能性イソシアネートは既知であり、それ自体が既知である方法によって製造することができる。多官能性イソシアネートはまた、特に混合物として使用することができるため、この場合のポリイソシアネートは、さまざまな多官能性イソシアネートを含有する。本発明によれば、ポリイソシアネートは、分子あたり2つ(以下、ジイソシアネートと呼ぶ)又は3つ以上のイソシアネート基を有する多官能性イソシアネートである。更に、本発明によれば、「オリゴメリックポリイソシアネート」、より詳細には「オリゴメリック芳香族ポリイソシアネート」という用語は、1分子あたり3つ又は4つ以上のイソシアネート基を有する多官能性イソシアネートを指す。
【0053】
特に、本発明によれば、ポリイソシアネートは、1,12-ドデカンジイソシアネート、2-エチルテトラメチレンジイソシアネート-1,4、2-メチルペンタメチレンジイソシアネート-1,5、テトラメチレンジイソシアネート-1,4、好ましくはヘキサメチレンジイソシアネート-1,6等の、アルキル基が4~12個の炭素原子を有するアルキレンジイソシアネート;シクロヘキサン-1,3-及び1,4-ジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネート、並びにこれらの異性体による任意の混合物、1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチルシクロヘキサン(IPDI)、2,4-及び2,6-ヘキサヒドロトルエンジイソシアネート、並びに対応する異性体混合物、4,4’-、2,2’-及び2,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、並びに対応する異性体混合物、好ましくは2,4-及び2,6-トルエンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート、並びに対応する異性体混合物、4,4’-、2,4’-及び2,2’-ジフェニルメタンジイソシアネート、並びに対応する異性体混合物、4,4’-、及び2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネートの混合物、ポリフェニルポリメチレンポリイソシアネート、4,4’-、2,4’-及び2,2’-ジフェニルメタンジイソシアネートとポリフェニルポリエチレンポリイソシアネートとの混合物、並びにMDIとトルエンジイソシアネートとの混合物からなる群から選択されることが好ましい。
【0054】
特に好適なのは、2,2’-、2,4’-及び/又は4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5-ナフチレンジイソシアネート(NDI)、2,4-及び/又は2,6-トルエンジイソシアネート(TDI)、3,3’-ジメチルジフェニルジイソシアネート、1,2-ジフェニルエタンジイソシアネート及び/又はp-フェニレンジイソシアネート(PPDI)、トリ-、テトラ-、ペンタ-、ヘキサ-、ヘプタ-及び/又はオクタメチルジイソシアネート、2-メチルペンタメチレン-1,5-ジイソシアネート、2-エチルブチレン-1,4-ジイソシアネート、ペンタメチレン-1,5-ジイソシアネート、ブチレン-1,4-ジイソシアネート、1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチル-シクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート、IPDI)、1,4-及び/又は1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(HXDI)、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、1-メチル-2,4-及び/又は-2,6-シクロヘキサンジイソシアネート、並びに4,4’-、2,4’-及び/又は2,2’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートである。
【0055】
改質されたポリイソシアネート、すなわち有機ポリイソシアネートの化学反応によって得られ、1分子あたり少なくとも2つの反応性イソシアネート基を含有する生成物もまた、好ましくは使用される。特に言及されるのは、エステル、尿素、ビウレット、アロファネート、カルボジイミド、イソシアヌレート、ウレトジオン、カルバメート及び/又はウレタン基を含有するポリイソシアネートであり、多くの場合未反応のポリイソシアネートと共に言及される。
【0056】
本発明によれば、ポリイソシアネートは、特に好ましくは2,2’-MDI、2,4’-MDI、4,4’-MDI、又はそれらのイソシアネートのうち少なくとも2種の混合物(モノメリックジフェニルメタン若しくはMMDIともよばれる)、又は少なくとも3つの芳香核を有し、官能基数が少なくとも3である、コアがより大きい(higher-core)MDIの同族体からなるオリゴメリックMDI、又は上記のジフェニルメタンジイソシアネートのうちの2種若しくはそれ以上の混合物、又はMDI調製で得られた粗製MDI、又は好ましくは、少なくとも1種の、コアがより大きいMDIの同族体と、少なくとも1種の低分子量MDI誘導体2,2’-MDI、2,4’-MDI若しくは4,4’-MDIとの混合物(該混合物はポリメリックMDIともよばれる)を含有する。ポリメリックMDI含有ポリイソシアネートの平均官能基数は、約2.2~約4、特に2.4~3.8、特に2.6~3.0の範囲で変化し得る。
【0057】
多官能性イソシアネート、又はMDIをベースとするいくつかの多官能性イソシアネートの混合物は既知であり、例えばBASF社から市販されている。本発明によれば、1種又は複数の熱硬化反応性化合物は、好ましくは、2,2’-MDI、2,4’-MDI、4,4’-MDI及びより大きいMDIの同族体からなる群から選択される1種又は複数のイソシアネートを、1種又は複数の熱硬化反応性化合物の総質量に対して、少なくとも70質量%、特に好ましくは少なくとも90質量%、特に100質量%含有する。3つより多い環を有するより大きい同族体の含有量は、1種又は複数の熱硬化反応性化合物の総質量に対して、好ましくは少なくとも20質量%、特に好ましくは30質量%より多く80質量%未満である。
【0058】
本発明の方法で使用される1種又は複数の熱硬化反応性化合物の粘度は、広範囲にわたって変化し得る。1種又は複数の熱硬化反応性化合物は、25℃で100~3,000mPa・s、特に好ましくは100~1,000mPa・s、特に好ましくは100~600mPa・s、特に200~600mPa・s、特に400~600mPa・sの粘度を有することが好ましい。1種又は複数の熱硬化反応性化合物の粘度は、広い範囲内で変化し得る。
【0059】
1種又は複数の熱硬化反応性化合物が脂肪族ポリイソシアネートを含む場合、脂肪族ポリイソシアネートは、アルキレン基が4~12個の炭素原子を有するアルキレンジイソシアネート、及びそれらのうちの2種又はそれ以上の混合物、1,12-ドデカンジイソシアネート、2-エチルテトラメチレンジイソシアネート-1,4、2-メチルペンタメチレンジイソシアネート-1,5、テトラメチレンジイソシアネート-1,4、ヘキサメチレンジイソシアネート-1,6、トリメチルジイソシアネート、テトラメチルジイソシアネート、ペンタメチルジイソシアネート、ヘキサメチルジイソシアネート、ヘプタメチルジイソシアネート、オクタメチルジイソシアネート、2-メチルペンタメチレン-1,5-ジイソシアネート、2-エチルブチレン-1,4-ジイソシアネート、ペンタメチレン-1,5-ジイソシアネート、ブチレン-1,4-ジイソシアネートからなる群から、好ましくはトリメチルジイソシアネート、テトラメチルジイソシアネート、ペンタメチルジイソシアネート、ヘキサメチルジイソシアネート、ヘプタメチルジイソシアネート、オクタメチルジイソシアネート、2-メチルペンタメチレン-1,5-ジイソシアネート、2-エチルブチレン-1,4-ジイソシアネート、ペンタメチレン-1,5-ジイソシアネート、ブチレン-1,4-ジイソシアネート、及びそれらのうちの2種又はそれ以上の混合物からなる群から選択される1種又は複数の化合物を含むことが好ましく、より好ましくは、脂肪族ポリイソシアネートは、ヘキサメチレンジイソシアネート-1,6を含み、より好ましくは、脂肪族ポリイソシアネートは、ヘキサメチレンジイソシアネート-1,6からなる。
【0060】
1種又は複数の熱硬化反応性化合物が脂環式ポリイソシアネートを含む場合、脂肪族ポリイソシアネートは、1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチル-シクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート、IPDI)、1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン及び/又は1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(HXDI)、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、1-メチル-2,4-及び/又は-2,6-シクロヘキサンジイソシアネート、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、2,2’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、2,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、シクロヘキサン-1,3-ジイソシアネート、シクロヘキサン-1,4-ジイソシアネート、2,4-ヘキサヒドロトルエンジイソシアネート、2,6-ヘキサヒドロトルエンジイソシアネート、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、2,2’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、2,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、並びにそれらのうちの2種又はそれ以上の混合物からなる群から、好ましくは、1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチル-シクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート、IPDI)、1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン及び/又は1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(HXDI)、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、1-メチル-2,4-及び/又は-2,6-シクロヘキサンジイソシアネート、及び4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、2,2’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、2,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、並びにそれらのうちの2種又はそれ以上の混合物からなる群から選択される1種又は複数の脂環式化合物を含むことが好ましい。
【0061】
1種又は複数の熱硬化反応性化合物が芳香族ポリイソシアネートを含む場合、芳香族ポリイソシアネート、及び好ましくは芳香族ジイソシアネートは、2,4-トルエンジイソシアネート、2,6-トルエンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2’-ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5-ナフチレンジイソシアネート(NDI)、3,3’-ジメチルジフェニルジイソシアネート、1,2-ジフェニルエタンジイソシアネート、p-フェニレンジイソシアネート(PPDI)、及びそれらのうちの2種又はそれ以上の混合物からなる群から、好ましくは、2,4-トルエンジイソシアネート(2,4-TDI)、2,6-トルエンジイソシアネート(2,6-TDI)、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(4,4’-MDI)、2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(2,4’-MDI)、2,2’-ジフェニルメタンジイソシアネート(2,2’-MDI)、MDI調製で得られたクルードMDI、及びそれらのうちの2種又はそれ以上の混合物からなる群から、より好ましくは、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2’-ジフェニルメタンジイソシアネート、及びそれらのうちの2種又はそれ以上の混合物(異性体4,4’-、2,4’-及び2,2’-ジフェニルメタンジイソシアネートの混合物は、モノメリックジフェニルメタン又はMMDIともいわれる)からなる群から選択される1種又は複数の化合物を含むことが好ましく、より好ましくは、芳香族ポリイソシアネート、及び好ましくは芳香族ジイソシアネートは、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、及び2,2’-ジフェニルメタンジイソシアネートの混合物を含み、より好ましくは、芳香族ポリイソシアネート、及び好ましくは芳香族ジイソシアネートは、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、及び2,2’-ジフェニルメタンジイソシアネートの混合物からなる。
【0062】
1種又は複数の熱硬化反応性化合物がポリイソシアネートを含む場合、ポリイソシアネートは、1つ若しくは複数のエステル、尿素、ビウレット、アロファネート、カルボジイミド、イソシアヌレート、ウレトジオン、カルバメート及び/又はウレタン基を含有する改質ポリイソシアネート、好ましくは改質有機ポリイソシアネート、より好ましくは改質有機ポリイソシアネートを含むことが好ましい。
【0063】
1種又は複数の熱硬化反応性化合物がオリゴメリック芳香族ポリイソシアネートを含む場合、オリゴメリック芳香族ポリイソシアネートは、ポリフェニルポリメチレンポリイソシアネート、ポリフェニルポリエチレンポリイソシアネート、及びそれらのうちの2種又はそれ以上の混合物からなる群から、好ましくは、1種又は複数のポリメチレンポリフェニルイソシアネート、ポリエチレンポリフェニルイソシアネート、及びそれらのうちの2種又はそれ以上の混合物からなる群から選択される1種又は複数の化合物を含むことが好ましく、より好ましくは、芳香族ポリイソシアネートは、1種又は複数のポリメチレンポリフェニルイソシアネートを含み、より好ましくは、芳香族ポリイソシアネートは、1種又は複数のポリメチレンポリフェニルイソシアネートからなる。
【0064】
1種又は複数の熱硬化反応性化合物がオリゴメリック芳香族ポリイソシアネートを含む場合、オリゴメリック芳香族ポリイソシアネートは、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、及び2,2’-ジフェニルメタンジイソシアネートのうち1種又は複数の、コアがより大きい同族体からなる1種又は複数のオリゴマーを含み、コアがより大きい該同族体は、少なくとも3つの芳香核を有し、官能基数が少なくとも3であることが好ましい。
【0065】
1種又は複数の熱硬化反応性化合物が、ポリイソシアネート、エポキシ樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、及びそれらのうちの2種又はそれ以上の混合物からなる群から選択される1種又は複数の化合物を含む場合、1種又は複数の熱硬化反応性化合物はポリメリックMDIであり、ポリメリックMDI中の4,4’-MDIの総量は、1種又は複数の熱硬化反応性化合物100質量%に対して、26~98質量%の範囲、好ましくは30~95質量%の範囲、より好ましくは35~92質量%の範囲であることが好ましい。
【0066】
1種又は複数の熱硬化反応性化合物が、ポリイソシアネート、エポキシ樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、及びそれらのうちの2種又はそれ以上の混合物からなる群から選択される1種又は複数の化合物を含む場合、1種又は複数の熱硬化反応性化合物はポリメリックMDIであり、ポリメリックMDIの2環含有量は、ポリメリックMDI100質量%に対して、20~62%の範囲、より好ましくは26~48質量%の範囲、最も好ましくは26~48%の範囲であることが好ましい。1種又は複数の熱硬化反応性化合物が、ポリイソシアネート、エポキシ樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、及びそれらのうちの2種又はそれ以上の混合物からなる群から選択される1種又は複数の化合物を含む場合、1種又は複数の熱硬化反応性化合物、及び好ましくは該化合物に含有されるポリイソシアネート全体におけるイソシアネート基平均官能基数が、2.1~3.5、好ましくは2.3~3.2、より好ましくは2.4~3、より好ましくは2.5~2.9、及びより好ましくは2.6~2.8であることが好ましい。
【0067】
1種又は複数の熱硬化反応性化合物の鉄含有量は、1~100wppm、好ましくは1~80wppm、より好ましくは1~60wppm、より好ましくは1~40wppm、より好ましくは1~20wppm、より好ましくは1~10wppm、より好ましくは1~5wppmの範囲であることが好ましい。
【0068】
1種又は複数の熱硬化反応性化合物が、100~3,000mPa・s、好ましくは100~1,000mPa・s、より好ましくは100~600mPa・s、より好ましくは200~600mPa・s、より好ましくは400~600mPa・sの範囲の粘度を示すことが好ましく、粘度は25℃で測定された粘度である。
【0069】
1種又は複数の熱硬化反応性化合物が1種又は複数のエポキシ樹脂を含む場合、エポキシ樹脂は、芳香族エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、及びそれらのうちの2種又はそれ以上の混合物の群から選択される1種又は複数の化合物、より好ましくは、ビスフェノールAビスグリシジルエーテル(DGEBA)、ビスフェノールFビスグリシジルエーテル、環水素化ビスフェノールAビスグリシジルエーテル、環水素化ビスフェノールFビスグリシジルエーテル、ビスフェノールSビスグリシジルエーテル(DGEBS)、テトラグリシジルメチレンジアニリン(TGMDA)、エポキシノボラック(エピクロロヒドリン及びフェノール樹脂(ノボラック)からの反応生成物)、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル、3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ジグリシジルヘキサヒドロフタレート、及びそれらのうちの2種又はそれ以上の混合物からなる群から選択される1種又は複数の化合物を含むことが好ましく、より好ましくは、エポキシ樹脂は、ビスフェノールAビスグリシジルエーテル及び/又はビスフェノールFビスグリシジルエーテルを含み、より好ましくは、エポキシ樹脂は、ビスフェノールAビスグリシジルエーテル及び/又はビスフェノールFビスグリシジルエーテルのみからなる。
【0070】
1種又は複数の熱硬化反応性化合物が1種又は複数のメラミンホルムアルデヒド樹脂を含む場合、メラミンホルムアルデヒド樹脂は、樹脂含有量が、水性メラミン樹脂混合物100質量%に対して50~70質量%の範囲であり、メラミン及びホルムアルデヒドが、1:3~1:1、好ましくは1:1.3~1:2.0、より好ましくは1:1.5~1:1.7のモル比で樹脂中に存在する、水性メラミン樹脂混合物を含むことが好ましい。
【0071】
更に、1種又は複数の熱硬化反応性化合物が1種又は複数のメラミンホルムアルデヒド樹脂を含む場合、メラミンホルムアルデヒド樹脂は、多価アルコールを1~10質量%、より好ましくは多価アルコールを3~6質量%、より好ましくはC~C12ジオールを3~6質量%、より好ましくは、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、及びそれらのうちの2種又はそれ以上の混合物からなる群から選択される1種又は複数の化合物を3~6質量%、並びにより好ましくはジエチレングリコールを3~6質量%含有することが好ましい。
【0072】
更に、1種又は複数の熱硬化反応性化合物が1種又は複数のメラミンホルムアルデヒド樹脂を含む場合、メラミンホルムアルデヒド樹脂は、それぞれメラミンホルムアルデヒド樹脂100質量%に対して、カプロラクタムを0~8質量%、並びに2-(2-フェノキシエトキシ)-エタノール及び/又は平均分子量が200~1,500であるポリエチレングリコールを0.5~10質量%含有することが好ましい。
【0073】
(4)において、混合物は、3~120秒、より好ましくは4~90秒、より好ましくは6~60秒、より好ましくは8~40秒、より好ましくは10~30秒、より好ましくは12~25秒、より好ましくは15~20秒の範囲の時間、均質化されることが好ましい。
【0074】
(5)において、スラリーは、10~120秒、より好ましくは15~100秒、より好ましくは20~80秒、より好ましくは30~60秒、より好ましくは40~50秒の範囲の時間、均質化されることが好ましい。
【0075】
1種又は複数の熱硬化反応性化合物の総量とアスファルト組成物との質量比は、0.1:99.9~25:75、より好ましくは0.3:99.7~15:85、より好ましくは0.5:99.5~10:90、より好ましくは0.8:99.2~7:93、より好ましくは1:99~5:95、より好ましくは1.3:98.7~4:96、より好ましくは1.5:98.5~3.5:96.5、より好ましくは1.8:98.2~3.2:96.8、より好ましくは2:98~3:97、より好ましくは2.2:97.8~2.8:97.2、より好ましくは2.4:97.6~2.6:97.4の範囲であることが好ましい。
【0076】
(4)で得られた混合物と(2)で得られた粒状材料との質量比は、0.5:99.5~25:75、より好ましくは1:99~20:80、より好ましくは1.5:98.5~15:85、より好ましくは2:98~10:90、より好ましくは2.5:97.5~7:93、より好ましくは3:97~5:95、より好ましくは3.5:96.5~4.5:95.5の範囲であることが好ましい。
【0077】
(2)で準備された粒状材料は、砂利、再生アスファルト舗装材、砂、1種又は複数のフィラー材料、及びそれらのうちの2種又はそれ以上の混合物からなる群から、より好ましくは、石灰岩、ベイサナイト、輝緑岩、再生アスファルト舗装材、及びそれらのうちの2種又はそれ以上の混合物からなる群から、より好ましくは、石灰岩、ベイサナイト、輝緑岩、再生アスファルト舗装材、及びそれらのうちの2種又はそれ以上の混合物からなる群から選択される1種又は複数の粒状材料を含むことが好ましい。
【0078】
(1)で準備されたアスファルト組成物は、1種若しくは複数の添加剤、より好ましくは1種若しくは複数の繊維材料及び/又は1種若しくは複数の再生用添加剤を含むことが好ましい。(1)で準備されたアスファルト組成物は、セルロース繊維を含むことが特に好ましい。本発明によれば、繊維材料、再生用添加剤、及びセルロース繊維が添加剤と考えられる。
【0079】
(1)で準備されたアスファルト組成物が1種又は複数の添加剤を含む場合、(1)で準備されたアスファルト組成物は、アスファルト組成物100質量%に対して、1種又は複数の添加剤を10質量%以下、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下、より好ましくは2質量%以下、より好ましくは1質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下含むことが好ましく、より好ましくは、アスファルト組成物100質量%に対して、1種又は複数の添加剤を0.1質量%以下含むことが好ましい。
【0080】
(2)で準備された粒状材料は、粒状材料100質量%に対して、再生アスファルト舗装材を5~100質量%含むことが好ましく、より好ましくは、粒状材料は、粒状材料100質量%に対して、再生アスファルト舗装材を10~90質量%、より好ましくは15~80質量%、より好ましくは20~70質量%、より好ましくは25~60質量%、より好ましくは30~50質量%、より好ましくは35~45質量%含むことが好ましい。
【0081】
(2)で準備された粒状材料の粒子径には、特定の限定は適用されない。(2)で準備された粒状材料は、0.1~70mm、より好ましくは0.3~50mm、より好ましくは0.5~40mm、より好ましくは1~30mm、より好ましくは3~25mm、より好ましくは5~20mm、より好ましくは7~15mm、より好ましくは8~11mmの範囲の粒子径を示すことが好ましい。
【0082】
(4)における添加は、1種又は複数の熱硬化反応性化合物の少なくとも一部を、アスファルト組成物の少なくとも一部に投入することによって行われることが好ましい。投入は、計量ポンプを用いて行われることが特に好ましい。
【0083】
(4)における添加は、レシーバータンク、より好ましくは秤量されたレシーバータンク(weighted receiver tank)中で実施されることが好ましい。
【0084】
(4)における添加がレシーバータンク又は秤量されたレシーバータンク中で実施される場合、1種又は複数の熱硬化反応性化合物の添加前に、(1)で得られたアスファルト組成物をレシーバータンク又は秤量されたレシーバータンクに添加することが好ましい。
【0085】
(4)における均質化は、1つ若しくは複数のダイナミックミキサーを用いて、より好ましくは1つ若しくは複数の循環ポンプ、及び/又は高剪断ミキサー、及び/又は1つ若しくは複数の撹拌機、及び/又は1つ若しくは複数のスクリューを用いて、より好ましくは1つ若しくは複数の撹拌機を用いて行われることが好ましい。
【0086】
(4)における均質化は、1つ若しくは複数のスタティックミキサーを用いて、より好ましくは1つ若しくは複数のノズル、及び/又はSulzerミキサー、及び/又はKenicsミキサーを用いて行われることが好ましい。
【0087】
(4)における均質化は、少なくとも部分的に、混合ユニット内、より好ましくは荷重された撹拌槽(weighted stirred vessel)内で実施されることが好ましい。
【0088】
(4)における均質化は、混合によって行われることが好ましい。(4)における均質化が混合によって行われる場合、混合速度は、30~12,000rpm、より好ましくは50~8,000rpm、より好ましくは100~5,000rpm、より好ましくは300~4,000rpm、より好ましくは500~3,000rpm、より好ましくは800~2,500rpm、より好ましくは1,000~2,000rpm、より好ましくは1,200~1,800rpm、より好ましくは1,400~1,600rpmの範囲であることが好ましい。
【0089】
(5)における添加は、(4)で得られた混合物の少なくとも一部を、(2)で得られた粒状材料の少なくとも一部に投入することによって行われることが好ましい。(5)における添加は、(4)で得られた混合物の少なくとも一部を、計量ポンプを用いて、(2)で得られた粒状材料の少なくとも一部に投入することによって行われることが特に好ましい。
【0090】
(5)における均質化は、1つ若しくは複数のダイナミックミキサーを用いて、より好ましくは1つ若しくは複数の撹拌機、及び/又は1つ若しくは複数のスクリューを用いて、より好ましくは2軸コンパルソリーミキサー(2軸パグミル)を用いて行われることが好ましい。
【0091】
(5)における均質化は、混合装置で実施されることが好ましい。混合装置はアスファルト混合プラントの一部であることが特に好ましい。
【0092】
(5)における均質化が混合装置で実施される場合、(4)で得られた混合物の添加前に、(2)で得られた粒状材料を混合装置に添加することが好ましい。
【0093】
(4)では、添加及び均質化が同時に実施されることが好ましい。
【0094】
(5)では、添加及び均質化が同時に実施されることが好ましい。
【0095】
(4)及び/又は(5)、より好ましくは(4)及び(5)は、酸素含有雰囲気下で、より好ましくは1~21体積%、より好ましくは5~21体積%、より好ましくは10~21体積%の量の酸素を含む雰囲気下で実施されることが好ましい。(4)及び/又は(5)、より好ましくは(4)及び(5)は、空気中で実施されることが特に好ましい。
【0096】
(4)及び/又は(5)、より好ましくは(4)及び(5)は、バッチプロセス又は連続プロセスとして実施されることが好ましい。(4)及び/又は(5)、より好ましくは(4)及び(5)は、連続プロセスとして実施されることが特に好ましい。
【0097】
更に、本発明は、本明細書に開示される実施形態のいずれか1つに記載の方法に従って得られた、又は得られるアスファルト混合組成物に関する。
【0098】
更に、本発明は、本明細書に開示される実施形態のいずれか1つに記載のアスファルト混合組成物の、舗装用途のための使用に関する。
【0099】
更に、本発明は、低い敷設温度においてアスファルト舗装工事する方法であって、
(1)アスファルト混合プラントのサイロからアスファルト混合物を輸送するために設計された車両に、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法によって得られたアスファルト混合組成物を積み込む工程、
(2)建設現場で舗装機械に前記アスファルト混合組成物を入れる工程、
(3)舗装機械によってアスファルトを敷設し、続いてロードローラーによって締固める工程を含み、敷設中の温度が110℃~155℃の範囲である方法に関する。
【0100】
一般に、アスファルト混合プラントから建設現場へのアスファルト混合組成物の輸送、舗装機械の充填、及びロードローラーによる締固めは、任意の適切な方法で実施でき、当該技術分野において周知である。
【0101】
一般に、敷設温度は、それぞれのアスファルト混合組成物の施工性、並びにビチューメンエアロゾル及び煙霧の排出量に大きな影響を与える。一般に、アスファルト舗装工事の敷設中、160℃を超える温度で調製されたアスファルト混合組成物が使用される。本発明によれば、「低い敷設温度」という用語は、130℃~155℃の温度範囲で製造されたアスファルト混合組成物を用いて、155℃以下の敷設温度でアスファルト舗装工事をすることを意味する。
【0102】
敷設中の温度は、115~155℃、より好ましくは120~152℃、より好ましくは125~150℃、より好ましくは125~148℃、より好ましくは130~148℃、より好ましくは135~145℃の範囲であることが好ましい。
【0103】
アスファルト舗装工事中のビチューメンエアロゾル及び煙霧の排出量は、0.2~10mg/m、より好ましくは0.2~9mg/m、より好ましくは0.2~8.5mg/m、より好ましくは0.2~8.3mg/m、より好ましくは0.2~8mg/m、より好ましくは0.2~7mg/mの範囲であることが好ましい。
【0104】
本発明は、示される依存関係及び後方参照から生じる、以下の一連の実施形態、及び実施形態の組み合わせによって更に説明される。特に、実施形態の範囲が言及される各場合において、例えば、「実施形態1から4のいずれか1つに記載の方法」等の用語の文脈において、この範囲におけるすべての実施形態は、当業者にとって明示的に開示されていることが意図されていると留意されたい。すなわち、この用語の言い回しは、当業者には、「実施形態1、2、3、及び4のいずれか1つに記載の方法」と同義であると理解されるべきである。更に、以下の一連の実施形態は、保護の範囲を決定するクレームセットではなく、本発明の一般的且つ好ましい態様に関する記載の好適に構造化された部分を表すことに明確に留意されたい。
【0105】
実施形態1.アスファルト混合組成物を調製する方法であって、
(1)アスファルト組成物を準備し、前記組成物を150~175℃の範囲の温度に加熱する工程;
(2)粒状材料を準備し、前記材料を130~170℃の範囲の温度に加熱する工程;
(3)1種又は複数の熱硬化反応性化合物を準備する工程;
(4)(3)で準備された1種又は複数の熱硬化反応性化合物を(1)で得られたアスファルト組成物に添加し、2~180秒の範囲の時間、混合物を均質化する工程;
(5)(4)で得られた混合物を(2)で得られた粒状材料に添加し、5~180秒の範囲の時間スラリーを均質化する工程を含み、
結果として得られるアスファルト混合組成物の温度が、130~155℃、より好ましくは132℃~155℃、より好ましくは135℃~152℃、より好ましくは135℃~150℃、より好ましくは135℃~148℃、より好ましくは135℃~147℃、より好ましくは135℃~145℃の範囲である、方法。
【0106】
実施形態2.(4)の熱硬化反応性化合物の添加から始まり、その後(5)の均質化されたスラリーが得られるまでの合計時間が、10秒~7日、好ましくは10秒~3日、より好ましくは15秒~1日、より好ましくは15秒~12時間、より好ましくは20秒~6時間、より好ましくは20秒~1時間、より好ましくは25秒~30分、より好ましくは25秒~15分、より好ましくは30秒~6分、より好ましくは30秒~3分、より好ましくは35秒~2分、より好ましくは35秒~90秒、より好ましくは40秒~85秒、より好ましくは45秒~70秒、より好ましくは50秒~60秒の範囲である、実施形態1に記載の方法。
【0107】
実施形態3.(4)の後及び(5)の前に、(4)で得られた混合物が、60~175℃、より好ましくは70~170℃、より好ましくは80~168℃、より好ましくは90~165℃、より好ましくは110~165℃、より好ましくは130~163℃、より好ましくは150~160℃の範囲の温度で保管される、実施形態1又は2に記載の方法。
【0108】
実施形態4.(4)の後及び(5)の前に、(4)で得られた混合物が、0秒~7日、好ましくは5秒~3日、より好ましくは10秒~1日、より好ましくは15秒~12時間、より好ましくは20秒~6時間、より好ましくは25秒~1時間、より好ましくは30秒~30分、より好ましくは35秒~15分、より好ましくは40秒~6分、より好ましくは45秒~3分、より好ましくは50秒~2分、より好ましくは55秒~90秒、及びより好ましくは60秒~70秒の範囲の時間保管される、実施形態1から3のいずれか1つに記載の方法。
【0109】
実施形態5.(4)の後及び(5)の前に、(4)で得られた混合物を、100rpm以下、好ましくは50rpm以下、より好ましくは25rpm以下、より好ましくは20rpm以下、より好ましくは15rpm以下、より好ましくは10rpm以下、より好ましくは5rpm以下、より好ましくは3rpm以下の混合速度で混合する、実施形態1から4のいずれか1つに記載の方法。
【0110】
実施形態6.(4)の後及び(5)の前に(4)で得られた混合物が混合されず、好ましくは(4)の後及び(5)の前に(4)で得られた混合物が均質化されない、実施形態1から4のいずれか1つに記載の方法。
【0111】
実施形態7.(4)で得られた混合物が(5)で直接処理される、実施形態1に記載の方法。
【0112】
実施形態8.(1)において、アスファルト組成物が、150~172℃、好ましくは155~172℃、より好ましくは155~170℃、より好ましくは158~170℃、より好ましくは160~170℃の範囲の温度に加熱される、実施形態1から7のいずれか1つに記載の方法。
【0113】
実施形態9.(2)において、粒状材料が、135~170℃、より好ましくは140~170℃、より好ましくは145~170℃、より好ましくは150~170℃、より好ましくは155~168℃の範囲の温度に加熱される、実施形態1から8のいずれか1つに記載の方法。
【0114】
実施形態10.(5)における均質化が、135~155℃、より好ましくは138~155℃、より好ましくは140~155℃、より好ましくは140~152℃、より好ましくは145~150℃の範囲の温度で実施される、実施形態1から9のいずれか1つに記載の方法。
【0115】
実施形態11.(1)で準備されたアスファルト組成物の針入度が、20~30、30~45、35~50、40~60、50~70、70~100、100~150、160~220、及び250~330からなる群から、より好ましくは30~45、35~50、40~60、50~70、70~100、100~150、及び160~220からなる群から、より好ましくは40~60、50~70、70~100、及び100~150からなる群から選択され、より好ましくは、(1)で準備されたアスファルト組成物の針入度が50~70又は70~100であり、針入度はDIN EN 1426に準拠して求められる、実施形態1から10のいずれか1つに記載の方法。
【0116】
実施形態12.(1)で準備されたアスファルト組成物が、改質ビチューメンを含む、実施形態1から11のいずれか1つに記載の方法。
【0117】
実施形態13.改質ビチューメンが、化学改質剤(例えば、有機金属化合物、硫黄、リン酸(PA)、ポリリン酸(PPA)、スルホン酸、硫酸、カルボン酸無水物、酸エステル、過酸化ジベンゾイル、シラン、有機及び無機尿素硫化物)、リサイクル材料(例えば、クラムラバー、プラスチック)、繊維(例えば、リグニン、セルロース、ガラス繊維、アルミノケイ酸マグネシウム、ポリエステル、ポリプロピレン)、接着増強剤(例えば、有機アミン、アミド)、天然アスファルト(例えば、トリニダードレイクアスファルト(TLA)、ギルソナイト、ロックアスファルト)、酸化防止剤(例えば、フェノール類、有機亜鉛化合物、有機鉛化合物)、フィラー(例えば、カーボンブラック、消石灰、石灰、フライアッシュ)、粘度調整剤(例えば、フラックスオイル、ワックス)、反応性ポリマー(例えば、エチレン、アクリル酸エステル及びグリシジルメタクリレートのランダムターポリマー、無水マレイン酸グラフト化スチレン-ブタジエン-スチレンコポリマー)、並びにそれらのうちの2種又はそれ以上の混合物)からなる群から選択される1種又は複数の化合物を使用して改質されている、実施形態12に記載の方法。
【0118】
実施形態14.1種又は複数の熱硬化反応性化合物が、ポリイソシアネート、エポキシ樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、及びそれらのうちの2種又はそれ以上の混合物からなる群から、好ましくは脂肪酸ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネート、及びそれらのうちの2種又はそれ以上の混合物からなる群から、より好ましくは、芳香族ジイソシアネート、オリゴメリック芳香族ポリイソシアネート、及びそれらのうちの2種又はそれ以上の混合物からなる群から選択される1種又は複数の化合物を含み、より好ましくは、1種又は複数の熱硬化反応性化合物は、1種又は複数の芳香族ジイソシアネートと1種又は複数のオリゴメリック芳香族ポリイソシアネートとの混合物を含み、より好ましくは、1種又は複数の熱硬化反応性化合物は、1種又は複数の芳香族ジイソシアネートと1種又は複数のオリゴメリック芳香族ポリイソシアネートとの混合物からなる、実施形態1から13のいずれか1つに記載の方法。
【0119】
実施形態15.脂肪族ポリイソシアネートが、アルキレン基が4~12個の炭素原子を有するアルキレンジイソシアネート、及びそれらのうちの2種又はそれ以上の混合物、1,12-ドデカンジイソシアネート、2-エチルテトラメチレンジイソシアネート-1,4、2-メチルペンタメチレンジイソシアネート-1,5、テトラメチレンジイソシアネート-1,4、ヘキサメチレンジイソシアネート-1,6、トリメチルジイソシアネート、テトラメチルジイソシアネート、ペンタメチルジイソシアネート、ヘキサメチルジイソシアネート、ヘプタメチルジイソシアネート、オクタメチルジイソシアネート、2-メチルペンタメチレン-1,5-ジイソシアネート、2-エチルブチレン-1,4-ジイソシアネート、ペンタメチレン-1,5-ジイソシアネート、ブチレン-1,4-ジイソシアネートからなる群から、好ましくはトリメチルジイソシアネート、テトラメチルジイソシアネート、ペンタメチルジイソシアネート、ヘキサメチルジイソシアネート、ヘプタメチルジイソシアネート、オクタメチルジイソシアネート、2-メチルペンタメチレン-1,5-ジイソシアネート、2-エチルブチレン-1,4-ジイソシアネート、ペンタメチレン-1,5-ジイソシアネート、ブチレン-1,4-ジイソシアネート、及びそれらのうちの2種又はそれ以上の混合物からなる群から選択される1種又は複数の化合物を含み、より好ましくは、脂肪族ポリイソシアネートは、ヘキサメチレンジイソシアネート-1,6を含み、より好ましくは、脂肪族ポリイソシアネートは、ヘキサメチレンジイソシアネート-1,6からなる、実施形態14に記載の方法。
【0120】
実施形態16.脂肪族ポリイソシアネートが、1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチル-シクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート、IPDI)、1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン及び/又は1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(HXDI)、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、1-メチル-2,4-及び/又は-2,6-シクロヘキサンジイソシアネート、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、2,2’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、2,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、シクロヘキサン-1,3-ジイソシアネート、シクロヘキサン-1,4-ジイソシアネート、2,4-ヘキサヒドロトルエンジイソシアネート、2,6-ヘキサヒドロトルエンジイソシアネート、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、2,2’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、2,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、並びにそれらのうちの2種又はそれ以上の混合物からなる群から、好ましくは、1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチル-シクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート、IPDI)、1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン及び/又は1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(HXDI)、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、1-メチル-2,4-及び/又は-2,6-シクロヘキサンジイソシアネート、及び4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、2,2’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、2,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、並びにそれらのうちの2種又はそれ以上の混合物からなる群から選択される1種又は複数の脂環式化合物を含む、実施形態14又は15に記載の方法。
【0121】
実施形態17.芳香族ポリイソシアネート、及び好ましくは芳香族ジイソシアネートが、2,4-トルエンジイソシアネート、2,6-トルエンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2’-ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5-ナフチレンジイソシアネート(NDI)、3,3’-ジメチルジフェニルジイソシアネート、1,2-ジフェニルエタンジイソシアネート、p-フェニレンジイソシアネート(PPDI)、及びそれらのうちの2種又はそれ以上の混合物からなる群から、好ましくは、2,4-トルエンジイソシアネート(2,4-TDI)、2,6-トルエンジイソシアネート(2,6-TDI)、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(4,4’-MDI)、2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(2,4’-MDI)、2,2’-ジフェニルメタンジイソシアネート(2,2’-MDI)、MDI調製で得られたクルードMDI(crude MDI)、及びそれらのうちの2種又はそれ以上の混合物からなる群から、より好ましくは、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2’-ジフェニルメタンジイソシアネート、及びそれらのうちの2種又はそれ以上の混合物(異性体4,4’-、2,4’-及び2,2’-ジフェニルメタンジイソシアネートの混合物は、モノメリックジフェニルメタン又はMMDIともいわれる)からなる群から選択される1種又は複数の化合物を含み、より好ましくは、芳香族ポリイソシアネート、及び好ましくは芳香族ジイソシアネートは、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、及び2,2’-ジフェニルメタンジイソシアネートの混合物を含み、より好ましくは、芳香族ポリイソシアネート、及び好ましくは芳香族ジイソシアネートは、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、及び2,2’-ジフェニルメタンジイソシアネートの混合物からなる、実施形態14から16のいずれか1つに記載の方法。
【0122】
実施形態18.ポリイソシアネートが、1つ若しくは複数のエステル、尿素、ビウレット、アロファネート、カルボジイミド、イソシアヌレート、ウレトジオン、カルバメート及び/又はウレタン基を含有する改質ポリイソシアネート、好ましくは改質有機ポリイソシアネート、より好ましくは改質有機ポリイソシアネートを含む、実施形態14から17のいずれか1つに記載の方法。
【0123】
実施形態19.オリゴメリック芳香族ポリイソシアネートが、ポリフェニルポリメチレンポリイソシアネート、ポリフェニルポリエチレンポリイソシアネート、及びそれらのうちの2種又はそれ以上の混合物からなる群から、好ましくは、1種又は複数のポリメチレンポリフェニルイソシアネート、ポリエチレンポリフェニルイソシアネート、及びそれらのうちの2種又はそれ以上の混合物からなる群から選択される1種又は複数の化合物を含み、より好ましくは、芳香族ポリイソシアネートは、1種又は複数のポリメチレンポリフェニルイソシアネートを含み、より好ましくは、芳香族ポリイソシアネートは、1種又は複数のポリメチレンポリフェニルイソシアネートからなる、実施形態14から18のいずれか1つに記載の方法。
【0124】
実施形態20.オリゴメリック芳香族ポリイソシアネートは、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、及び2,2’-ジフェニルメタンジイソシアネートのうち1種又は複数の、コアがより大きい同族体からなる1種又は複数のオリゴマーを含み、コアがより大きい該同族体は、少なくとも3つの芳香核を有し、官能基数が少なくとも3である、実施形態14から19のいずれか1つに記載の方法。
【0125】
実施形態21.1種又は複数の熱硬化反応性化合物がポリメリックMDIであり、ポリメリックMDI中の4,4’-MDIの総量が、1種又は複数の熱硬化反応性化合物100質量%に対して、26~98質量%の範囲、好ましくは30~95質量%の範囲、より好ましくは35~92質量%の範囲である、実施形態14から20のいずれか1つに記載の方法。
【0126】
実施形態22.1種又は複数の熱硬化反応性化合物がポリメリックMDIであり、ポリメリックMDIの2環含有量が、ポリメリックMDI100質量%に対して、20~62%の範囲、より好ましくは26~48質量%の範囲、最も好ましくは26~48%の範囲である、実施形態14から21のいずれか1つに記載の方法。
【0127】
実施形態23.1種又は複数の熱硬化反応性化合物、及び好ましくは該化合物に含まれるポリイソシアネート全体におけるイソシアネート基平均官能基数が、2.1~3.5、好ましくは2.3~3.2、より好ましくは2.4~3、より好ましくは2.5~2.9、及びより好ましくは2.6~2.8である、実施形態14から22のいずれか1つに記載の方法。
【0128】
実施形態24.1種又は複数の熱硬化反応性化合物の鉄含有量が、1~100wppm、好ましくは1~80wppm、より好ましくは1~60wppm、より好ましくは1~40wppm、より好ましくは1~20wppm、より好ましくは1~10wppm、より好ましくは1~5wppmの範囲である、実施形態1から23のいずれか1つに記載の方法。
【0129】
実施形態25.1種又は複数の熱硬化反応性化合物が、100~3,000mPa・s、好ましくは100~1,000mPa・s、より好ましくは100~600mPa・s、より好ましくは200~600mPa・s、より好ましくは400~600mPa・sの範囲の粘度を示し、粘度は25℃で測定された粘度である、実施形態1から24のいずれか1つに記載の方法。
【0130】
実施形態26.エポキシ樹脂が、芳香族エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、及びそれらのうちの2種又はそれ以上の混合物の群から選択される1種又は複数の化合物、好ましくは、ビスフェノールAビスグリシジルエーテル(DGEBA)、ビスフェノールFビスグリシジルエーテル、環水素化ビスフェノールAビスグリシジルエーテル、環水素化ビスフェノールFビスグリシジルエーテル、ビスフェノールSビスグリシジルエーテル(DGEBS)、テトラグリシジルメチレンジアニリン(TGMDA)、エポキシノボラック(エピクロロヒドリン及びフェノール樹脂(ノボラック)からの反応生成物)、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル、3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ジグリシジルヘキサヒドロフタレート、及びそれらのうちの2種又はそれ以上の混合物からなる群から選択される1種又は複数の化合物を含み、より好ましくは、エポキシ樹脂が、ビスフェノールAビスグリシジルエーテル及び/又はビスフェノールFビスグリシジルエーテルを含み、より好ましくは、エポキシ樹脂が、ビスフェノールAビスグリシジルエーテル及び/又はビスフェノールFビスグリシジルエーテルからなる、実施形態14から25のいずれか1つに記載の方法。
【0131】
実施形態27.メラミンホルムアルデヒド樹脂は、樹脂含有量が、水性メラミン樹脂混合物100質量%に対して50~70質量%の範囲であり、メラミン及びホルムアルデヒドが、1:3~1:1、好ましくは1:1.3~1:2.0、より好ましくは1:1.5~1:1.7のモル比で樹脂中に存在する、水性メラミン樹脂混合物を含む、実施形態14から26のいずれか1つに記載の方法。
【0132】
実施形態28.メラミンホルムアルデヒド樹脂が、多価アルコールを1~10質量%、好ましくは多価アルコールを3~6質量%、より好ましくはC~C12ジオールを3~6質量%、より好ましくは、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、及びそれらのうちの2種以上の混合物からなる群から選択される1種又は複数の化合物を3~6質量%、並びにより好ましくはジエチレングリコールを3~6質量%含有する、実施形態14から27のいずれか1つに記載の方法。
【0133】
実施形態29.メラミンホルムアルデヒド樹脂が、それぞれメラミンホルムアルデヒド樹脂100質量%に対して、カプロラクタムを0~8質量%、並びに平均分子量が200~1,500である2-(2-フェノキシエトキシ)-エタノール及び/又はポリエチレングリコールを0.5~10質量%含有する、実施形態14から28のいずれか1つに記載の方法。
【0134】
実施形態30.(4)において、混合物が、3~120秒、好ましくは4~90秒、より好ましくは6~60秒、より好ましくは8~40秒、より好ましくは10~30秒、より好ましくは12~25秒、より好ましくは15~20秒の範囲の時間、均質化される、実施形態1から29のいずれか1つに記載の方法。
【0135】
実施形態31.(5)において、スラリーが、10~120秒、好ましくは15~100秒、より好ましくは20~80秒、より好ましくは30~60秒、より好ましくは40~50秒の範囲の時間、均質化される、実施形態1から30のいずれか1つに記載の方法。
【0136】
実施形態32.1種又は複数の熱硬化反応性化合物の総量とアスファルト組成物との質量比が、0.1:99.9~25:75、好ましくは0.3:99.7~15:85、より好ましくは0.5:99.5~10:90、より好ましくは0.8:99.2~7:93、より好ましくは1:99~5:95、より好ましくは1.3:98.7~4:96、より好ましくは1.5:98.5~3.5:96.5、より好ましくは1.8:98.2~3.2:96.8、より好ましくは2:98~3:97、より好ましくは2.2:97.8~2.8:97.2、より好ましくは2.4:97.6~2.6:97.4の範囲である、実施形態1から31のいずれか1つに記載の方法。
【0137】
実施形態33.(4)で得られた混合物と(2)で得られた粒状材料との質量比が、0.5:99.5~25:75、好ましくは1:99~20:80、より好ましくは1.5:98.5~15:85、より好ましくは2:98~10:90、より好ましくは2.5:97.5~7:93、より好ましくは3:97~5:95、より好ましくは3.5:96.5~4.5:95.5の範囲である、実施形態1から32のいずれか1つに記載の方法。
【0138】
実施形態34.(2)で準備された粒状材料が、砂利、再生アスファルト舗装材、砂、1種又は複数のフィラー材料、及びそれらのうちの2種又はそれ以上の混合物からなる群から、好ましくは、石灰岩、ベイサナイト、輝緑岩、再生アスファルト舗装材、及びそれらのうちの2種又はそれ以上の混合物からなる群から、より好ましくは、石灰岩、ベイサナイト、輝緑岩、再生アスファルト舗装材、及びそれらのうちの2種又はそれ以上の混合物からなる群から選択される1種又は複数の粒状材料を含む、実施形態1から33のいずれか1つに記載の方法。
【0139】
実施形態35.(1)で準備されたアスファルト組成物が、1種若しくは複数の添加剤、好ましくは1種若しくは複数の繊維材料及び/又は1種若しくは複数の再生用添加剤を含み、より好ましくは、(1)で準備されたアスファルト組成物がセルロース繊維を含む、実施形態1から34のいずれか1つに記載の方法。
【0140】
実施形態36.(1)で準備されたアスファルト組成物が、アスファルト組成物100質量%に対して、1種又は複数の添加剤を10質量%以下、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下、より好ましくは2質量%以下、より好ましくは1質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下含み、より好ましくは、アスファルト組成物100質量%に対して、1種又は複数の添加剤を0.1質量%以下含む、実施形態35に記載の方法。
【0141】
実施形態37.(2)で準備された粒状材料が、粒状材料100質量%に対して、再生アスファルト舗装材を5~100質量%含み、より好ましくは、粒状材料は、粒状材料100質量%に対して、再生アスファルト舗装材を10~90質量%、より好ましくは15~80質量%、より好ましくは20~70質量%、より好ましくは25~60質量%、より好ましくは30~50質量%、より好ましくは35~45質量%含む、実施形態1から36のいずれか1つに記載の方法。
【0142】
実施形態38.(2)で準備された粒状材料が、0.1~70mm、好ましくは0.3~50mm、より好ましくは0.5~40mm、より好ましくは1~30mm、より好ましくは3~25mm、より好ましくは5~20mm、より好ましくは7~15mm、より好ましくは8~11mmの範囲の粒子径を示す、実施形態1から37のいずれか1つに記載の方法。
【0143】
実施形態39.(4)における添加が、1種又は複数の熱硬化反応性化合物の少なくとも一部を、アスファルト組成物の少なくとも一部に投入することによって行われ、投入が好ましくは計量ポンプを用いて行われる、実施形態1から38のいずれか1つに記載の方法。
【0144】
実施形態40.(4)における添加が、レシーバータンク、好ましくは加重レシーバータンクで実施される、実施形態1から39のいずれか1つに記載の方法。
【0145】
実施形態41.1種又は複数の熱硬化反応性化合物の添加前に、(1)で得られたアスファルト組成物をレシーバータンクに添加する、実施形態40に記載の方法。
【0146】
実施形態42.(4)における均質化が、1つ若しくは複数のダイナミックミキサーを用いて、好ましくは1つ若しくは複数の循環ポンプ、及び/又は高剪断ミキサー、及び/又は1つ若しくは複数の撹拌機、及び/又は1つ若しくは複数のスクリューを用いて、好ましくは1つ若しくは複数の撹拌機を用いて行われる、実施形態1から41のいずれか1つに記載の方法。
【0147】
実施形態43.(4)における均質化が、1つ若しくは複数のスタティックミキサーを用いて、好ましくは1つ若しくは複数のノズル、及び/又はSulzerミキサー、及び/又はKenicsミキサーを用いて行われる、実施形態1から42のいずれか1つに記載の方法。
【0148】
実施形態44.(4)における均質化が、少なくとも部分的に、混合ユニット内、好ましくは加重撹拌槽内で実施される、実施形態1から43のいずれか1つに記載の方法。
【0149】
実施形態45.(4)における均質化が混合によって行われ、好ましくは混合速度が30~12,000rpm、好ましくは50~8,000rpm、より好ましくは100~5,000rpm、より好ましくは300~4,000rpm、より好ましくは500~3,000rpm、より好ましくは800~2,500rpm、より好ましくは1,000~2,000rpm、より好ましくは1,200~1,800rpm、より好ましくは、1,400~1,600rpmの範囲である、実施形態1から44のいずれか1つに記載の方法。
【0150】
実施形態46.(5)における添加が、(4)で得られた混合物の少なくとも一部を、(2)で得られた粒状材料の少なくとも一部に投入することによって行われ、投入が好ましくは計量ポンプを用いて行われる、実施形態1から45のいずれか1つに記載の方法。
【0151】
実施形態47.(5)における均質化が、1つ若しくは複数のダイナミックミキサーを用いて、好ましくは1つ若しくは複数の撹拌機、及び/又は1つ若しくは複数のスクリューを用いて、より好ましくは2軸コンパルソリーミキサー(2軸パグミル)を用いて行われる、実施形態1から46のいずれか1つに記載の方法。
【0152】
実施形態48.(5)における均質化が混合装置で実施され、好ましくは混合装置がアスファルト混合プラントの一部である、実施形態1から47のいずれか1つに記載の方法。
【0153】
実施形態49.(4)で得られた混合物の添加前に、(2)で得られた粒状材料を混合装置に添加する、実施形態48に記載の方法。
【0154】
実施形態50.(4)において、添加及び均質化が同時に実施される、実施形態1から49のいずれか1つに記載の方法。
【0155】
実施形態51.(5)において、添加及び均質化が同時に実施される、実施形態1から50のいずれか1つに記載の方法。
【0156】
実施形態52.(4)及び/又は(5)、好ましくは(4)及び(5)は、酸素含有雰囲気下で、好ましくは1~21体積%、より好ましくは5~21体積%、より好ましくは10~21体積%の量の酸素を含有する雰囲気下で実施され、より好ましくは(4)及び/又は(5)、好ましくは(4)及び(5)が空気中で実施される、実施形態1から51のいずれか1つに記載の方法。
【0157】
実施形態53.(4)及び/又は(5)、好ましくは(4)及び(5)が、バッチプロセス又は連続プロセスとして実施され、好ましくは連続プロセスとして実施される、実施形態1から52のいずれか1つに記載の方法。
【0158】
実施形態54.実施形態1から53のいずれか1つに記載の方法によって得られたアスファルト混合組成物。
【0159】
実施形態55.実施形態54に記載のアスファルト混合組成物の、舗装用途での使用。
【0160】
実施形態56.低い敷設温度でアスファルト舗装工事をする方法であって、
(1)アスファルト混合プラントのサイロからアスファルト混合物を輸送するために設計された車両に、実施形態1から53のいずれか1つに記載の方法によって得られたアスファルト混合組成物を積み込む工程;
(2)建設現場で舗装機械に前記アスファルト混合組成物を入れる工程;
(3)舗装機械によってアスファルトを敷設し、続いてロードローラーによって締固める工程を含み、敷設中の温度が、110℃~155℃、好ましくは115~155℃、より好ましくは120~152℃、より好ましくは125~150℃、より好ましくは125~148℃、より好ましくは130~148℃、より好ましくは135~145℃の範囲であり、アスファルト舗装工事中のビチューメンエアロゾル及び煙霧の排出量が、0.2~10mg/m、より好ましくは0.2~9mg/m、より好ましくは0.2~8.5mg/m、より好ましくは0.2~8.3mg/m、より好ましくは0.2~8mg/m、より好ましくは0.2~7mg/mの範囲である、方法。
【0161】
本発明は、以下の実施例及び参考例によって更に説明される。
【実施例
【0162】
実験の項
特性評価方法
<軟化点 DIN EN 1427>
座付の真ちゅう環の型に入れた、2つのビチューメン水平円板を、それぞれが鋼球を支えている間、液体浴中において制御された速度で加熱する。軟化点は、ビチューメンに包まれた各球が25±0.4mmの距離を落下するのに十分なほど、2つの円板が軟化する温度の平均として報告される。
【0163】
<ダイナミックシアレオメータ(DSR) DIN EN 14770-ASTM D7175>
ダイナミックシアレオメータ試験系は、平行板、供試体温度の制御手段、載荷装置、並びに制御及びデータ取得系で構成されている。
【0164】
<温度掃引DIN EN 14770>
本試験は、アスファルトバインダーの複素剪断弾性率及び位相角を測定することを目的としている。試験は、規定された周波数及び温度において、平行な金属板の間で直径8又は25mmの供試体を加圧することからなる。一方の平行板は、この場合、1.59Hz及びたわみ角振幅で他方の平行板に対して振動する。試験が線形挙動の領域内に収まるように、必要な振幅を選択する必要がある。試験は、30、40、50、60、70、80、及び90℃で繰り返される。
【0165】
<多重応力クリープ回復試験(MSCRT)DIN EN 16659-ASTM D7405>
本試験方法は、2つの応力レベル(0.1及び3.2kPa)及び指定された温度(60℃)での剪断クリープ及び回復下におけるアスファルトバインダーの弾性応答の存在を測定するために使用される。本試験では、DSRを使用して一定の応力で1秒間25mmの荷重をかけ、その後9秒間回復させる。0.100kPaのクリープ応力で10回のクリープ及び回復サイクルが実行され、続いて3.200kPaのクリープ応力で10回のサイクルが実行される。
【0166】
<ビチューメン排出量測定(エアロゾル及び煙霧)方法6305-1>
アスファルト敷設中のエアロゾル及び煙霧は、IFA(Institut fur Arbeitsschutz der Deutschen Gesetzlichen Unfallversicherung)方法6305-1に準拠して決定した。判定限界は、0.2mg/mである。
【0167】
<アスファルト混合組成物からのアスファルトバインダーの回収(回収アスファルト)>
アスファルト分析装置を用いて、アスファルト混合組成物およそ3kgを、トリクロロエチレンと混合する。骨材を、約60分かかる方法でアスファルトバインダーから分離する。その手順を行った後、トリクロロエチレン及びビチューメンの溶液およそ600mlを得る。次いで、その溶液を、部分真空及び空気流にさらしながら、加熱されたオイルバスにロータリーエバポレーターの回転蒸留フラスコを部分的に沈めることによって蒸留する。この方法には2段階ある。第1段階は60分かかり、摂氏90度、40kPaの圧力下、及び回転速度75rpmで行われる。第2段階は、160度、2kPa下、及び回転速度75rpmで行われる。アスファルトバインダーの種類及びアスファルト混合物中のアスファルトバインダー含有量に応じて、アスファルトバインダー100~150gを回収し、次いで、必要に応じて試験に供する。
【0168】
(実施例1)低い混合温度でのアスファルト混合プラントにおけるアスファルト混合組成物の調製(アスファルト:As20で改質)
バッチアスファルト混合プラントは、アスファルト混合プラントにおけるアスファルト計量器(撹拌容器)への熱硬化反応性化合物の注入を可能にするカスタマイズされた計量注入システム(加熱可能な注入ライン、計量ポンプ)を備えていた。更に、アスファルト計量器には、i)熱硬化反応性化合物が計量注入され、ii)アスファルトの最小充填レベル20kgに達した場合に作動する撹拌機が装備されていた。添加剤の計量注入量及び速度、並びに混合は、アスファルト混合プラントのプロセス制御システムを介して制御される。
【0169】
アスファルトが、イソシアネート基平均官能基数2.7であるポリメリックジフェニルメタンジイソシアネート(以下「As20」と称する)で改質されたアスファルト混合組成物およそ1000tを製造した。バッチサイズは4tである。アスファルト混合物の粒度曲線は、AC 22 BSであった。製造されたアスファルト混合物について得られた粒子径分布を表1に示す。アスファルト混合物は、再生アスファルト(骨材+アスファルト)50質量%及び未使用材料50質量%を含む。アスファルトと骨材との混合物中の総アスファルト含有量は、4.7質量%、すなわち4tバッチあたり188kgのアスファルトであった。アスファルト188kgのうち108kgは、再生アスファルトに由来し、残りの80kgは、未改質(舗装グレード)アスファルトpen70/100(DIN EN 1426に準拠して7~10mmの針入度)の添加によるものである。熱硬化反応性化合物As20の使用量は3.76kg、すなわち、使用されたアスファルトの総量(すなわち、再生アスファルトに由来するアスファルト+添加された未改質(舗装グレード)アスファルトpen70/100)を基準として2.0質量%であった。
【0170】
未加工粒状材料及び再生アスファルトをそれぞれ別々に予熱し、その後、6秒間一緒に混合する(予備混合)。加熱電力及び混合時間は、最終アスファルト混合組成物の温度140~155℃が達成できるように調整された。未改質(舗装グレード)アスファルトpen70/100 80kgを165~175℃の温度に予熱し、撹拌容器(=アスファルト計量器)に量り入れた。次いでAs20 3.76kgを、撹拌(1500rpm)しながらアスファルトに添加し、次いで得られた混合物を更に撹拌する。ここで、計量注入速度は0.1L/秒~2.0L/秒に設定され、更なる撹拌時間は10秒に設定されている(表3を参照されたい)。予備混合材料(≦170℃の温度を有する、未加工骨材と再生アスファルトとの混合物)と共に、得られた改質アスファルトを、混合ユニット(2軸コンパルソリーミキサー)に添加し、得られた混合物を更に混合する。ここで更なる混合の合計時間は20秒である(表3を参照されたい)。この方法のこの段階において得られた最終アスファルト混合組成物の温度は、145~150℃であることが決定された(表3を参照されたい)。その後、アスファルト混合組成物は、そこでトラックに積み込まれたり、数時間保管されたりする可能性があるサイロへと吐出された。その混合物は、道路舗装用に使用される。
【0171】
(実施例2)135~145℃でのアスファルト敷設(アスファルト:As20で改質)
実施例1の製造されたアスファルト混合組成物を道路舗装用に使用した(バインダー層、AC 22 BS)。舗装は、Vogele社舗装機械Super 1800-3iによって実施した。敷設中のアスファルト混合組成物の温度は、135℃~145℃の範囲であった(表6を参照されたい)。敷設中のビチューメン放出量(エアロゾル及び煙霧)は、1.03mg/m、1.30mg/m、及び6.67mg/mであることが決定された(表6を参照されたい)。さらに、アスファルト混合組成物のサンプルを舗装機械から直接採った。その後、アスファルトバインダーを上記の手順によるサンプルから抽出し、さまざまな特性評価方法に供した。結果を表4に示す。
【0172】
(比較例1)典型的混合温度でのアスファルト混合プラントにおけるアスファルト混合組成物の調製(アスファルト:SBSで改質、すなわち、PmB 25/55-55 RC)
バッチアスファルト混合プラントは、アスファルト混合プラントのアスファルト計量器(撹拌容器)への熱硬化反応性化合物の計量注入を可能にする、カスタマイズされた計量注入システム(加熱可能な注入ライン、計量注入ポンプ)を備えていた。更に、アスファルト計量器には、i)熱硬化反応性化合物が計量注入され、ii)アスファルトの最小充填レベル20kgに達した場合に作動する撹拌機が装備されていた。添加剤の計量注入量及び速度、並びに混合は、アスファルト混合プラントのプロセス制御システムによって制御される。比較例1については、熱硬化反応性化合物は計量注入されなかった。
【0173】
SBS改質ビチューメン(PmB 25/55-55 RC)2.1質量%を含有するアスファルト混合組成物およそ805tを製造した。バッチサイズは4トンである。そのアスファルト混合物の粒度曲線は、AC 22 BSであった。製造されたアスファルト混合物について得られた粒子径分布を表2に示す。アスファルト混合物は、再生アスファルト(骨材+アスファルト)50質量%及び未使用材料50質量%を含む。アスファルトと骨材との混合物中の総アスファルト含有量は、4.8質量%、すなわち4tバッチあたりアスファルト192kgであった。アスファルト192kgのうち108kgは、再生アスファルトに由来し、残りの84kgは、PmB 25/55-55 RC(軟化点62.6℃を有するSBS改質ビチューメン)の添加によるものである。
【0174】
未使用粒状材料及び再生アスファルトをそれぞれ別々に予熱し、その後6秒間一緒に混合する(予備混合)。加熱電力及び混合時間は、最終アスファルト混合組成物の温度160~175℃が達成できるように調整した。PmB 25/55-55 RC 84kgを165~175℃の温度に予熱し、アスファルト計量器に量り入れた。予備混合した材料(≦200℃の温度を有する、未使用骨材と再生アスファルトとの混合物)と共にアスファルトを、混合ユニット(2軸コンパルソリーミキサー)に添加し、得られた混合物を更に混合する。ここで、更なる混合の合計時間は18秒である。本方法のこの段階において得られる最終アスファルト混合組成物の温度は、165~175℃であると決定された(表3を参照されたい)。次に、アスファルト混合組成物はサイロへ放出され、組成物はそこでトラックに積み込まれ、あるいは数時間保管されうる。その混合物は、道路舗装用に使用される。
【0175】
(比較例2)160~170℃でのアスファルト敷設(アスファルト:SBSで改質、PmB 25/55-55 RC)
比較例1の製造されたアスファルト混合組成物を道路舗装用に使用した(バインダー層、AC 22 BS)。舗装は、Vogele社舗装機械Super 1800-3iによって実施した。敷設中のアスファルト混合組成物の温度は、160℃~170℃の範囲であった(表6を参照されたい)。敷設中のビチューメン放出量(エアロゾル及び煙霧)は、2.81mg/m、3.07mg/m、及び10.38mg/mであると決定された(表6を参照されたい)。更に、アスファルト混合組成物のサンプルを舗装機械から直接採った。続いて、アスファルトバインダーを上記の手順によるサンプルから抽出し、さまざまな特性評価方法に供した。結果を表4に示す。
【0176】
(比較例3)典型的な混合温度でのアスファルト混合プラント中でのアスファルト混合組成物の調製(アスファルト:改質なし、舗装グレードアスファルト)
バッチアスファルト混合プラントは、アスファルト混合プラントにおけるアスファルト計量器(撹拌容器)への熱硬化反応性化合物の注入を可能にするカスタマイズされた注入システム(加熱可能な注入ライン、注入ポンプ)を備えていた。更に、アスファルト計量器には、i)熱硬化反応性化合物が計量注入され、ii)アスファルトの最小充填レベル20kgに達した場合に作動する撹拌機が装備されていた。添加剤の計量注入量及び速度、並びに混合は、アスファルト混合プラントのプロセス制御システムによって制御される。比較例3について、熱硬化反応性化合物は計量注入されなかった。
【0177】
未改質(舗装グレード)アスファルト(penグレード70/100、すなわちDIN EN 1426に準拠して7~10mmの針入度)2.1質量%を含有するアスファルト混合組成物7tを製造した。バッチサイズは3.5トンである。そのアスファルト混合物の粒度曲線は、AC 22 BSであった。アスファルト混合物は、再生アスファルト(骨材+アスファルト)50質量%及び未使用材料50質量%を含む。アスファルトと骨材との混合物中の総アスファルト含有量は4.8質量%、すなわち3.5tバッチあたりアスファルト168kgであった。アスファルト168kgのうち94.5kgは、再生アスファルトに由来し、残りの73.5kgは、未改質(舗装グレード)アスファルトpen70/100の添加によるものである。
【0178】
未使用粒状材料及び再生アスファルトをそれぞれ別々に予熱し、その後6秒間一緒に混合する。加熱電力及び混合時間は、最終アスファルト混合組成物の温度160~175℃が達成できるように調整された。73.5kgの未改質(舗装グレード)アスファルトpen70/100を165~175℃の温度に予熱し、アスファルト計量器に量り入れた。予備混合した材料(≦200℃の温度を有する、未使用骨材と再生アスファルトとの混合物)と共にアスファルトを、混合ユニット(2軸コンパルソリーミキサー)に添加し、得られた混合物を更に混合する。ここで、更なる混合の合計時間は20秒である。本方法のこの段階において得られた最終アスファルト混合組成物の温度は、161℃であると決定された(表3を参照されたい)。その後、そのアスファルト混合組成物を、サイロに放出し、そのアスファルト混合物のサンプルを採取したすぐ後にサイロから組成物を抜き出した。それぞれのサンプルのアスファルトバインダーを第3章に記載した手順にしたがって抽出した。次に、回収したアスファルトを、さまざまな特性評価方法に供した。結果を表4に示す。
【0179】
【表1】
【0180】
【表2】
【0181】
【表3】
【0182】
【表4】
【0183】
【表5】
【0184】
【表6】
【0185】
本発明にしたがって調製されたアスファルト混合組成物は、50質量%の再生アスファルト含有量でさえ、舗装プロセスにおけるアスファルト混合物の温度が110~155℃の範囲である舗装時になおよく処理できることが驚くべきことに発見された。表4中の回収アスファルトバインダーの特性を比較すると、As20によるアスファルトバインダー改質はうまく機能し、非改質変形例と比較して、軟化点及び3.2kPaにおける回復は大きくなり、位相角及び回復不能なクリープコンプライアンス(Jnr)は低下する。その上、SBS及びAs20で改質されたバインダーの性能特性は、同様のレベルにある。
【0186】
表5からわかるように、アスファルトバインダーのAs20改質は、一般に、未改質バインダーの粘度を上昇させるが、SBS改質よりもその程度はずっと低い。このことは、130℃~155℃の温度において、それらの温度におけるSBS改質バインダーを含むアスファルト混合物と比較した場合の、As20改質バインダーを含むアスファルト混合組成物の優れた作業性を説明している。SBS改質アスファルト混合物は、そのような低い温度において適切に加工できないことが知られている。このことはまた、表5中の例によって示されており、ポリマーで改質されたビチューメンの粘度は、As20で改質されたビチューメンに対して135℃でほぼ2倍の高さである。
【国際調査報告】