(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-17
(54)【発明の名称】ポリエーテルポリマーのジアシル誘導体
(51)【国際特許分類】
C08G 65/00 20060101AFI20230310BHJP
【FI】
C08G65/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022542979
(86)(22)【出願日】2021-01-14
(85)【翻訳文提出日】2022-09-12
(86)【国際出願番号】 US2021013470
(87)【国際公開番号】W WO2021146448
(87)【国際公開日】2021-07-22
(32)【優先日】2020-01-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-06-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-10-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517257629
【氏名又は名称】ピー2・サイエンス・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】P2 Science, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100156144
【氏名又は名称】落合 康
(74)【代理人】
【識別番号】100221578
【氏名又は名称】林 康次郎
(72)【発明者】
【氏名】フォリー,パトリック
(72)【発明者】
【氏名】バッタチャルジー,アショク
(72)【発明者】
【氏名】サラム,タニア
(72)【発明者】
【氏名】イクラム,アナム
【テーマコード(参考)】
4J005
【Fターム(参考)】
4J005AA21
4J005BA00
4J005BB01
4J005BD02
(57)【要約】
本発明は、特定のポリエーテルポリマーのジアシル誘導体、これらを含む組成物、および置換または環状無水物の反応によるそれらの製造方法、およびそれらの使用方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式I:
【化1】
〔式中、
R
1は場合により置換されていてよいC
1-C
12アルキルであり;
R
2は水素およびC
1-C
6アルキルから選択されるか、またはMであり、ここで前記Mは一価または二価のカチオン(例えば、金属イオン、アンモニウムイオン、または四級アンモニウムイオン)であり;
Xは、場合により置換されていてよいC
1-C
12アルキル、場合により置換されていてよいC
2-
12アルケニル、場合により置換されていてよいC
2-
12アルキニル、場合により置換されていてよいC
3-C
12シクロアルキル、場合により置換されていてよいC
3-C
12シクロアルケニルおよび場合により置換されていてよいアリール(例えば、フェニルまたはビフェニル)から選択され;
nは0~20(例えば、0~5)の整数である〕
の化合物。
【請求項2】
R
1が場合により置換されていてよい直鎖C
1-C
12アルキルまたは場合により置換されていてよい分岐C
1-C
12アルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
R
1が非置換直鎖C
1-C
12アルキルまたは非置換分岐C
3-C
12アルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
R
1がCH
2CH
2CH(CH
3)CH
2CH
2である、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
Xが非置換または置換C
1-C
12アルキル(例えば、C
1-6アルキル)である、請求項1~4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
Xが非置換C
1、C
2、C
3、C
4、C
5またはC
6アルキル(例えば、直鎖アルキルまたは分岐鎖アルキル)である、請求項1~4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
Xが、置換C
1-12アルキル(例えば、C
1-6アルキル、C
1-6アルコキシ、C
2-6アルケニル、C
2-6アルキニル、ヒドロキシ、カルボキシ、ハロゲンおよび置換または非置換アリールからそれぞれ独立して選択される1~9個の基で置換されたC
1-6アルキル)である、請求項1~4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項8】
Xが非置換または置換C
2-C
12アルケニル(例えば、C
2-6アルケニル)である、請求項1~4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項9】
Xが非置換または置換C
3-C
12シクロアルキル(例えば、C
3-9シクロアルキル)またはC
3-C
12シクロアルケニル(例えば、C
3-9シクロアルケニル)である、請求項1~4のいずれかに記載の化合物。
【請求項10】
Xが非置換アリール(例えば、フェニルまたはビフェニル)である、請求項1~4のいずれかに記載の化合物。
【請求項11】
R
2が水素である、請求項1~10のいずれかに記載の化合物。
【請求項12】
R
2がMであり、ここで前記Mが一価または二価のカチオン(例えば、金属イオン、アンモニウムイオンまたは四級アンモニウムイオン)である請求項1~10のいずれかに記載の化合物。
【請求項13】
Mがアルカリ金属またはアルカリ土類金属イオン(例えば、Na
+、K
+、Ca
2+またはMg
2+)である、請求項12に記載の化合物。
【請求項14】
nが0、1、2、3または4である、請求項1~13のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項15】
末端基
【化2】
が
【化3】
である、請求項1~14のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項16】
式Iの化合物が下記化合物:
【化4】
〔式中、
nは0~20(例えば、0、1または2)であり、
mは2~5(例えば、2、3、4または5)であり、
MはHまたはNa
+である〕
である、請求項1~10のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項17】
mが2であり、MがHである、請求項16に記載の化合物。
【請求項18】
請求項1~17のいずれか一項に記載の式Iの化合物を含む組成物。
【請求項19】
40%超、例えば、50%超、60%超、または70%超、または80%超、または90%超、または40~70%または40~60%、または40~50%の程度の前記式Iの化合物を含み、前記パーセントが組成物中の分子の数字パーセントとして、または組成物の総重量の重量パーセントとして測定されたものである、請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
1以上の式Iの化合物を含み、ここで各々の化合物が独立して、0~4のnの値を有し、各化合物が少なくとも1%かつ最大90%、例えば、5~50%、または5~40%、または5~30%、または5~25%、または5~20%、または5~15%、または5~10%、または40~50%、または30~40%、または20~30%、または10~20%、または1~10%、または1~5%、または1~2%の量で存在し、前記パーセントが組成物中の分子の数字パーセントとして、または組成物の総重量の重量パーセントとして測定されたものである、請求項18または19に記載の組成物。
【請求項21】
重量平均または数平均で測定して約0、場合により約0.5の平均n値を有するものである、請求項18~20のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項22】
場合により溶媒中または無溶媒で、および場合により酸または塩基触媒の存在下、式I(a)の化合物を式Aの化合物と反応させる工程、式Iの化合物を単離(例えば、蒸留またはクロマトグラフィー)し、完全にまたは一部精製する工程含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の化合物の製造方法。
【請求項23】
請求項1~17のいずれか一項に記載の化合物または組成物を含む、製品組成物。
【請求項24】
製品が、芳香剤製品、香水製品、石鹸製品、防虫剤製品、殺虫剤製品、洗剤製品、家庭用クリーニング剤製品、空気清浄剤製品、ルームスプレー製品、パモンダー製品、キャンドル製品、美容製品、化粧水製品、ローション製品、タルカムパウダー製品、ヘアケア製品、ボディデオドラント製品、制汗剤製品、シャンプー製品、ペットリター製品、局所適用皮膚ケア製品、塗料またはコーティング製品、滑沢剤製品、プラスチック製品、消泡剤製品、作動液製品、抗微生物剤製品、作物ケア製品、油回収増進、フラッキングおよび/または他の油分野用途のための製品、除光液製品、筆記用インクまたは印刷用インク製品、粘着製品、オーラルケア製品、食品製品または医薬製品から選択されるものである、請求項23に記載の製品組成物。
【請求項25】
組成物が、冷感剤、温感剤および/または刺激剤;風味剤または芳香剤;ビタミン、ミネラル、栄養剤、精力剤、無痛化剤、着色剤、アミノ酸、抗酸化剤、防腐剤、pH調整剤、粘性調整剤および前記いずれかの組合せから選択される1以上の添加剤をさらに含む、請求項20または21に記載の製品組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年1月14日に出願された米国仮出願番号第62/961,041号、2020年6月24日に出願された米国仮出願番号第63/043,254号、2020年10月15日に出願された米国仮出願番号第63/092,409号、および2020年12月15日に出願された米国仮出願番号第63/125,854号の優先権および利益を主張する国際PCT出願であり、それらの各々の内容は全体の参照により本明細書に包含させる。
【0002】
本発明は、特定のポリエーテルポリマーのジアシル誘導体、置換または非置換環状酸無水物との反応によるそれらの製造方法、それらを含む組成物、およびそれらの使用方法に関する。前記誘導体のポリエーテルポリマー前駆体は、例えば、ポリシトロネロール、ポリプレノール、ポリイソシトロネロールおよびポリイソプレノールを含む。環状酸無水物はアルカン、アルケン、シクロアルカンおよび芳香族無水物ならびにテルペン由来の酸無水物を含む。
【背景技術】
【0003】
液体ポリマーは、美容およびパーソナルケア用途において重要な有用性を有し、ビジュアルディスプレイ、レオロジー、トライボロジーおよびドラッグデリバリーにおいて重要な役割を果たす。例えば、それらは滑沢剤、皮膚軟化剤、または皮膚治癒やUV保護のための保護バリアとして使用され得る。理想的には、これらの材料は簡便な方法で製造でき、機能を修飾するために容易に誘導体化でき、さらに好ましくは安全かつ持続可能な原材料から製造できる。
【0004】
シトロネロール、プレノールおよびイソプレノールは全て、商業的に大量に入手可能である、天然に存在する分子である。しかしながら、これらの分子は、それらが重合および官能基化されることを可能にするイソブチレン基およびアルコール官能基の十分に使用されていない組合せを有する。
【0005】
このタイプの化学は、ポリマー化学において大部分が見過ごされてきた。その理由の一つは、重合は平衡反応であること、および容易に大量のイソブチレンアルコールが常に利用可能ではないことによるものであり得る。しかしながら、近年、シトロネロールの生産が急速に増加し、最も大規模な生産経路の一つもまた、プレノールおよびイソプレノールを中間体として使用し、それにより利用可能性が大幅に増加している。
【0006】
国際公開第2019/028053には、天然に存在し、かつ商業的に入手可能なモノマーであるシトロネロール、プレノールおよびイソプレノールに由来する新規ポリマーが開示されている。これらのモノマーは制御された方法で効率的に重合され、多くの十分に特徴付けられたポリマー性エーテルアルコールを生ずる。さらに、初めに形成されたポリマーは一級アルコール官能基を有するため、国際公開第2019/028053号には、エーテル、エステルおよび他の誘導体生成物を誘導するためのアルコールの官能基化がさらに開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ポリマー科学の驚くべき進歩において、各々の内容を参照により本明細書に包含させる本発明者の以前の公報、米国出願第2017/0283553号、米国出願2017/0057940号および国際公開第2019/028053号には、ポリエーテルポリマーおよびその誘導体の一般的な製造方法が教示されている。これらのポリエーテルは、液体ポリマー技術の進歩を代表し、商業的適用分野に多くの望ましい利点をもたらす。ポリエーテルポリマーおよびその単純なエーテルおよびエステル誘導体は、滑沢剤、皮膚軟化剤、湿潤剤および界面活性剤として利用されている。
【0008】
本発明は、新規な化合物、組成物ならびに種々の物理的および化学的性質を有するそのようなポリマー誘導体の製造方法の提供により、発明者らの先の研究を発展させたものである。これらの構造的に独特なジアシルフラグメントは、ポリエーテルポリマーの性質を修飾し、多様な新規用途を提供することができる。
【0009】
本明細書に開示されるポリマー誘導体は、美容または特殊化学製剤において使用され得て、いくつかの場合において、シリコーンポリマーに対する天然由来の代替品として使用され得る。これらのポリマーは、製品の機能または用途性能を変化させ、改善するために、パーソナルケア組成物を含む様々な特殊化学用途用に配合することができる。しかしながら、これらのポリマーの正確な機能性は、それらのサイズおよび組成、従って、そのモノマー分布、多分散性、およびさらなる官能化に依存する。
【0010】
好ましくは、商業的に入手可能なまたは容易に製造される環状無水物、例えば、コハク酸無水物、グルタル酸無水物、アジピン酸無水物、ピメリン酸無水物、メチルコハク酸無水物、イタコン無水物、マレイン酸無水物、フタル酸無水物、フェニルコハク無水物、カンファー酸無水物およびジフェン酸無水物。あるいは、フェランドレンおよび他のテルペンなどの1,2-ジエンに由来する環状無水物は、ディールスアルダー環縮合と、続く得られた二酸の脱水による無水物の形成を経由して使用され得る。
【0011】
第一の態様において、本発明は下記式I:
【化1】
〔式中、
R
1は場合により置換されていてよいC
1-C
12アルキルであり;
R
2は水素およびC
1-C
6アルキルから選択されるか、またはMであり、ここで前記Mは一価または二価のカチオン(例えば、金属イオン、アンモニウムイオンまたは四級アンモニウムイオン)であり;
Xは場合により置換されていてよいC
1-C
12アルキル、場合により置換されていてよいC
2-
12アルケニル、場合により置換されていてよいC
2-
12アルキニル、場合により置換されていてよいC
3-C
12シクロアルキル、場合により置換されていてよいC
3-C
12シクロアルケニルおよび場合により置換されていてよいアリール(例えば、フェニルまたはビフェニル)から選択され;
nは0~20(例えば、0~5)の整数である〕
の化合物を提供する。
【0012】
-----は任意の二重結合(すなわち、単結合または二重結合)であることおよび、それ故に、末端基
【化2】
は3個の示された任意の結合が存在していても(すなわち、二重結合)、全ての任意の結合が存在しなくても(すなわち、全て単結合)よいことが理解される。
【0013】
さらなる態様において、本発明は、さらなる組成物および前記化合物の製造方法および前記化合物の使用方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】CDCl
3溶媒中で測定した、実施例2の生成物の
1H-NMRスペクトルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
発明の詳細な説明
理論に縛られないが、イソブチレン基は、酸触媒メカニズムによりアルコールとエーテルを形成し得る。この化学は、有機合成でエーテル結合を形成するために他の例で使用されている。
【0016】
この反応の平衡的性質により、これらのエーテルを大規模に製造することが困難となり得る。しかし、本発明者らは、モノマーの再生利用、適切な触媒の選択、および高濃度の反応条件により、これらの分子が多くの異なる用途で使用するために十分な重合度に達し得ることを発見した。さらに、これらの低分子量ポリマーはさらに誘導体化され、より高い分子量に到達し、新たな機能性を実現し得る。
【0017】
有機化学において、エステル交換反応は、環状無水物がアルコールと反応することにより開環し、二官能性誘導体を生じ得る場合に極めて重要な合成法である。これらの二官能性誘導体は、一方の末端に遊離のカルボン酸を有し、これは特定の用途のための物理的および化学的特性を調整するためのハンドルとして作用し得る。塩基(例えば、金属水酸化物、MOH)と反応するときの例について、それは対応する酸の金属塩を形成し得る。ポリマー酸、金属塩またはそれらの組合せは、限定されないが、パーソナルケア、洗剤またはヘアケア組成物への製剤、または増粘剤および/または可溶化剤としての使用を含む多くの可能性のある用途を有する水性媒体中にゲルとして製剤化され得る。
【0018】
本明細書に記載の方法により形成された化合物は、多様な特殊化学用途に配合され得て、そのような製品の機能を変更、修正および改善し得る。それらのポリエーテルポリマー誘導体の機能性は、適用性能を改善する可能性があるため、それらの大きさおよび組成に依存し、新たなかつ再生可能な組成が強く望まれる。
【0019】
第一の態様において、本発明は、下記式Iの化合物:
【化3】
〔式中、
R
1は場合により置換されていてよいC
1-C
12アルキルであり;
R
2は水素およびC
1-C
6アルキルから選択されるか、またはMであり、ここで前記Mは一価または二価のカチオン(例えば、金属イオン、アンモニウムイオンまたは四級アンモニウムイオン)であり;
Xは場合により置換されていてよいC
1-C
12アルキル、場合により置換されていてよいC
2-
12アルケニル、場合により置換されていてよいC
2-
12アルキニル、場合により置換されていてよいC
3-C
12シクロアルキル、場合により置換されていてよいC
3-C
12シクロアルケニルおよび場合により置換されていてよいアリール(例えば、フェニルまたはビフェニル)から選択され;
nは0~20(例えば、0~5)の整数である〕
の化合物(化合物1)を提供する。
【0020】
第一の態様のさらなる実施態様において、本発明は、次のいずれかを提供する:
1.1 R
1が場合により置換されていてよい直鎖C
1-C
12アルキルまたは場合により置換されていてよい分岐C
1-C
12アルキルである、化合物1。
1.2 R
1が非置換直鎖C
1-C
12アルキルまたは非置換分岐C
3-C
12アルキルである、化合物1。
1.3 R
1が非置換直鎖C
1-C
12アルキルである、化合物1。
1.4 R
1が非置換分岐C
3-C
12アルキルである、化合物1。
1.5 R
1がCH
2である、化合物1。
1.6 R
1が非置換分岐または直鎖C
6アルキルである、化合物1。
1.7 R
1がCH
2CH
2CH(CH
3)CH
2CH
2である、化合物1。
1.8 Xが非置換または置換C
1-C
12アルキル(例えば、C
1-6アルキル)である、化合物1または1.1~1.7のいずれかの化合物。
1.9 Xが非置換C
1、C
2、C
3、C
4、C
5またはC
6アルキル(例えば、直鎖アルキルまたは分岐鎖アルキル)である、化合物1.8。
1.10 Xが-CH
2-、-CH
2CH
2-、-CH
2CH
2CH
2-、-CH
2CH(CH
3)-、-CH(CH
3)CH
2-、-CH(CH
3)
2-CH
2CH
2CH
2CH
2-、-CH
2CH
2CH(CH
3)-、-CH(CH
3)CH
2CH
2-、-CH
2CH(CH
3)CH
2-、-CH
2(CH
3)CH
2(CH
3)-、-(CH
2)
5-、-CH(CH
3)CH
2CH(CH
3)-、-CH
2CH(CH
3)
2CH
2-、-(CH
2)
6-、-CH(CH
3)CH
2CH
2CH(CH
3)-、-CH
2CH
2CH(CH
3)
2CH
2-、-CH
2CH(CH
3)
2CH
2CH
2-およびCH
2CH(CH
3)CH(CH
3)CH
2-から選択されるものである、化合物1.9。
1.11 Xが、置換C
1-12アルキル(例えば、C
1-6アルキル、C
1-6アルコキシ、C
2-6アルケニル、C
2-6アルキニル、ヒドロキシ、カルボキシ、ハロゲンおよび置換または非置換アリールから各々独立して選択される1~9個の基で置換されたC
1-6アルキル)である、1または1.1~1.7のいずれかの化合物。
1.12 Xが、C
1-6アルキル、C
1-6アルコキシ、C
2-6アルケニル、C
2-6アルキニル、ヒドロキシ、カルボキシ、ハロゲン、および置換または非置換アリールから各々独立して選択される1~6個の基で置換されたC
1、C
2、C
3、C
4、C
5またはC
6アルキル(例えば、直鎖アルキルまたは分岐鎖アルキル)である、化合物1.11。
1.13 Xが、置換または非置換アリールで置換されたC
1-6アルキル(例えば、C
1-2アルキル)である、化合物1.11。
1.14 前記アリールが、C
1-6アルキル、C
1-6アルコキシ、C
2-6アルケニル、C
2-6アルキニル、ヒドロキシ、カルボキシおよびハロゲンから各々独立して選択される1~4個の基で場合により置換されていてよいものである、化合物1.13。
1.15 前記アリールがフェニル(例えば、非置換フェニル)である、化合物1.13。
1.16 Xが非置換または置換C
2-C
12アルケニル(例えば、C
2-6アルケニル)である、1または1.1~1.7のいずれかの化合物。
1.17 Xが非置換C
2、C
3、C
4、C
5またはC
6アルケニル(例えば、直鎖アルケニルまたは分岐鎖アルケニル)である、化合物1.16。
1.18 Xが、-CH=CH-、-CH
2CH=CH-、-CH=C(CH
3)-、-C(CH
3)=CH-、-CH
2CH=CHCH
2-および-C(=CH
2)CH
2-から選択されるものである、化合物1.17。
1.19 Xが、置換C
2-12アルケニル(例えば、C
1-6アルキル、C
1-6アルコキシ、C
2-6アルケニル、C
2-6アルキニル、ヒドロキシ、カルボキシ、ハロゲンおよび置換または非置換アリールから各々独立して選択される1~9個の基で置換されたC
2-6アルケニル)である、1または1.1~1.7のいずれかの化合物。
1.20 Xが、C
1-6アルキル、C
1-6アルコキシ、C
2-6アルケニル、C
2-6アルキニル、ヒドロキシ、カルボキシ、ハロゲンおよび置換または非置換アリールから各々独立して選択される1~6個の基で置換されたC
2、C
3、C
4、C
5またはC
6アルケニル(例えば、直鎖アルキルまたは分岐鎖アルキル)である、化合物1.19。
1.21 Xが、置換または非置換アリールで置換されたC
2-6アルキル(例えば、C
2-3アルケニル)である、化合物1.20。
1.22 前記アリールが、C
1-6アルキル、C
1-6アルコキシ、C
2-6アルケニル、C
2-6アルキニル、ヒドロキシ、カルボキシおよびハロゲンから各々独立して選択される1~4個の基で場合により置換されていてよいものである、化合物1.21。
1.23 前記アリールがフェニル(例えば、非置換フェニル)である、化合物1.21。
1.24 Xが、非置換または置換C
3-C
12シクロアルキル(例えば、C
3-9シクロアルキル)またはC
3-C
12シクロアルケニル(例えば、C
3-9シクロアルケニル)である、化合物1。
1.25 Xが単環式非置換C
3-9シクロアルキルまたはC
3-9シクロアルケニルである、化合物1.24。
1.26 Xが非置換シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロペンテニルまたはシクロヘキセニルである、化合物1.25。
1.27 Xがシクロペンチルまたはシクロヘキシルである、化合物1.26。
1.28 Xが二環式非置換C
3-9シクロアルキルまたはC
3-9シクロアルケニル(例えば、ビシクロ[2.2.2]オクチルまたはビシクロ[2.2.2]オクテニル)である、化合物1.24。
1.29 Xが置換C
3-12シクロアルキルまたはC
3-12シクロアルケニル(例えば、C
1-6アルキル、C
1-6アルコキシ、C
2-6アルケニル、C
2-6アルキニル、ヒドロキシ、カルボキシ、ハロゲンおよび置換または非置換アリールから各々独立して選択される1~9個の基で場合により置換されたC
3-9シクロアルキルまたはC
3-9シクロアルケニル)である、化合物1または1.1~1.7のいずれかの化合物。
1.30 Xが単環式置換C
3-9シクロアルキルまたはC
3-9シクロアルケニルである、化合物1.29。
1.31 XがC
1-6アルキル、C
1-6アルコキシ、C
2-6アルケニル、C
2-6アルキニル、ヒドロキシ、カルボキシ、ハロゲンおよび置換または非置換アリールから各々独立して選択される1~6個の基で置換されたものである、化合物1.30。
1.32 Xが、C
1-6アルキル(例えば、メチル)および置換または非置換アリールから各々独立して選択される1~6個の基で置換されたシクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロペンテニルまたはシクロヘキセニルである、化合物1.31。
1.33 Xが二環式置換C
3-9シクロアルキルまたはC
3-9シクロアルケニル(例えば、ビシクロ[2.2.2]オクチルまたはビシクロ[2.2.2]オクテニル)である、化合物1.29。
1.34 Xが、C
1-6アルキル、C
1-6アルコキシ、C
2-6アルケニル、C
2-6アルキニル、ヒドロキシ、カルボキシ、ハロゲンおよび置換または非置換アリールから各々独立して選択される1~6個の基で置換されたものである、化合物1.33。
1.35 Xが、C
1-6アルキル(例えば、メチル)および置換または非置換アリールから各々独立して選択される1~6個の基で置換されたビシクロ[2.2.2]オクチルまたはビシクロ[2.2.2]オクテニルであり、場合により、前記Xが、メチルおよびイソプロピルから各々独立して選択される1~2個の基(例えば、1個のメチルおよび1個のイソプロピル)で置換されたビシクロ[2.2.2]オクチルまたはビシクロ[2.2.2]オクテニルである、化合物1.34。
1.36 Xが非置換アリール(例えば、フェニルまたはビフェニル)である、化合物1または1.1~1.7のいずれかの化合物
1.37 Xが置換アリール(例えば、C
1-6アルキル、C
1-6アルコキシ、C
2-6アルケニル、C
2-6アルキニル、ヒドロキシ、カルボキシおよびハロゲンから各々独立して選択される1~4個の基で置換されたフェニルまたはビフェニル)である、化合物1または1.1~1.7のいずれかの化合物。
1.38 R
2が水素であり;場合により、前記化合物が自己乳化剤である、化合物1または1.1~1.37のいずれかの化合物。
1.39 R
2がC
1-6アルキル(例えば、メチル、エチル、プロピルまたはイソプロピル)である、化合物1または1.1~1.37のいずれかの化合物。
1.40 R
2がMであり、ここで前記Mが一価または二価のカチオン(例えば、金属イオン、アンモニウムイオン、または四級アンモニウムイオン)である、化合物1または1.1~1.37のいずれかの化合物。
1.41 Mがアルカリ金属またはアルカリ土類金属イオン(例えば、Na
+、K
+、Ca
2+またはMg
2+)である、化合物1.40。
1.42 Mがアンモニウムイオン(NH
4
+)または四級アンモニウムイオンである、化合物1.40。
1.43 Mがテトラアルキルアンモニウムイオン、例えば、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラプロピルアンモニウムまたはテトラブチルアンモニウムである、化合物1.42。
1.44 nが0~8である、1または1.1以降のいずれかの化合物。
1.45 nが0~6である、1または1.1以降のいずれかの化合物。
1.46 nが0~4である、1または1.1以降のいずれかの化合物。
1.47 nが0、1、2、3または4である、1または1.1以降のいずれかの化合物。
1.48 nが0、1または2である、1または1.1以降のいずれかの化合物。
1.49 R
1がCH
2CH
2CH(CH
3)CH
2CH
2、nが0~3(例えば、0、1または2)である、1または1.1以降のいずれかの化合物。
1.50 末端基
【化4】
が
【化5】
である、化合物1または1.1以降のいずれかの化合物。
1.51 末端基
【化6】
が
【化7】
である、化合物1または1.1以降のいずれかの化合物。
1.52 末端基
【化8】
が
【化9】
である、化合物1または1.1以降のいずれかの化合物。
1.53 式Iの化合物が下記化合物:
【化10】
〔式中、
nは0~20(例えば、0、1または2)であり、
mは2~5(例えば、2、3、4または5)であり、
MはHまたはNa
+である〕
である、化合物1または1.1以降のいずれかの化合物。
1.54 mが2であり、MがHである、化合物1.53。
1.55 mが2であり、MがNa
+である、化合物1.53。
1.56 mが3、4または5であり、MがNa
+である、化合物1.53。
1.57 式Iの化合物が下記化合物:
【化11】
〔式中、
nは0~20(例えば、0、1または2)であり、
MはHまたはNa
+であり、
-----は単結合または二重結合である〕
である、化合物1または1.1以降のいずれかの化合物。
1.58 MがNa
+である、化合物1.57。
1.59
-----が単結合である、化合物1.57または1.58。
1.60
-----が二重結合である、化合物1.57または1.58。
1.61 式Iの化合物が下記化合物:
【化12】
〔式中、
nは0~20(例えば、0、1または2)であり、
MはHまたはNa
+であり、
-----は単結合または二重結合である〕
である、化合物1または1.1以降のいずれかの化合物。
1.62 MがNa
+である、化合物1.61。
1.63
-----が単結合である、化合物1.61または1.62。
1.64
-----が二重結合である、化合物1.61または1.62。
1.65 式Iの化合物が下記化合物:
【化13】
〔式中、
nは0~20(例えば、0、1または2)であり、
MはHまたはNa
+である〕
である、化合物1または1.1以降のいずれかの化合物。
1.66 MがNa
+である、化合物1.65。
1.67 式Iの化合物が下記化合物:
【化14】
〔式中、
nは0~20(例えば、0、1または2)であり、
MはHまたはNa
+である〕
である、化合物1または1.1以降のいずれかの化合物。
1.68 MがNa
+である、化合物1.67。
1.69 式Iの化合物が下記化合物:
【化15】
〔式中、
nは0~20(例えば、0、1または2)であり、
MはHまたはNa
+である〕
である、化合物1または1.1以降のいずれかの化合物。
1.70 MがNa
+である、化合物1.69。
1.71 式Iの化合物が下記化合物:
【化16】
〔式中、
nは0~20(例えば、0、1または2)であり、
MはHまたはNa
+である〕
である、化合物1または1.1以降のいずれかの化合物。
1.72 MがNa
+である、化合物1.71。
1.73 式Iの化合物が下記化合物:
【化17】
〔式中、
nは0~20(例えば、0、1または2)であり、
MはHまたはNa
+である〕
である、化合物1または1.1以降のいずれかの化合物。
1.74 MがNa
+である、化合物1.73。
1.75 式Iの化合物が下記化合物:
【化18】
〔式中、
nは0~20(例えば、0、1または2)であり、
MはHまたはNa
+である〕
である、化合物1または1.1以降のいずれかの化合物
1.76 MがNa
+である、化合物1.75。
1.77 式Iの化合物が下記化合物:
【化19】
〔式中、
nは0~20(例えば、0、1または2)であり、
MはHまたはNa
+である〕
である、化合物1または1.1以降のいずれかの化合物。
1.78 MがNa
+である、化合物1.77。
1.79 式Iの化合物が下記化合物:
【化20】
〔式中、
nは0~20(例えば、0、1または2)であり、
MはHまたはNa
+である〕
である、化合物1または1.1以降のいずれかの化合物。
1.80 MがNa
+である、化合物1.79。
1.81 式Iの化合物が下記化合物:
【化21】
〔式中、
nは0~20(例えば、0、1または2)であり、
MはHまたはNa
+である〕
である、化合物1または1.1以降のいずれかの化合物。
1.82 MがNa
+である、化合物1.81。
1.83 式Iの化合物が下記化合物:
【化22】
〔式中、
nは0~20(例えば、0、1または2)であり、
MはHまたはNa
+である〕
である、化合物1または1.1以降のいずれかの化合物。
1.84 MがNa
+である、化合物1.83。
1.85 式Iの化合物が下記化合物:
【化23】
〔式中、
nは0~20(例えば、0、1または2)であり、
MはHまたはNa
+である〕
である、化合物1または1.1以降のいずれかの化合物。
1.86 MがNa
+である、化合物1.85。
1.87 化合物がエナンチオマー的に富化された、例えば、70%を超えるジアステレオマー過剰率(例えば、エナンチオマー過剰率(e.e.))を有するものである、化合物1または1.1以降のいずれかの化合物。
1.88 化合物が、80%を超える、または85%を超える、または90%を超える、または95%を超える、または97%を超えるまたは99%を超えるジアステレオマー過剰率(例えば、エナンチオマー過剰率(e.e.))を有する、化合物1.87。
1.89 R
1基の各々の各々のキラル炭素が(R)配置を有する、化合物1.87または1.88。
1.90 R
1基の各々のキラル炭素が(S)配置を有する、化合物1.87または1.88。
【0021】
式Iの化合物は、式I(a)
【化24】
〔式中、nは0~20(例えば、0、1または2)である〕
の化合物を形成する、制御されたモノマー単位間の単独重合反応により形成され得るポリマー骨格から成ることが理解される。
【0022】
いくつかの実施態様において、式I(a)の化合物は、下記化合物である。
【化25】
〔式中、nは0~20(例えば、0、1または2)である〕
【0023】
その後の(1以上の)反応において、式Iの化合物は、式I(a)の化合物のOH基と式A:
【化26】
の環状酸無水物を反応させることにより形成され得る。
【0024】
得られた式Iのポリマー誘導体は、対応する式I(a)の化合物からポリマー構造的特徴-例えば、nの値ならびにポリマー骨格の種々のモノマー単位の間の同一性および構造的関係-を必然的に、実質的に保持する。
【0025】
式I(a)の前駆体化合物を形成する重合反応は必然的に、整数nの値が異なる生成物の混合物をもたらし、その結果として、ポリマーの総分子量もまた、異なる。このポリマーの混合物は、完全に精製することが困難であり得て、さらに、そのように形成された任意の混合物に起因する固有の物理的および化学的特性の利点を利用するために、ポリマーの混合物を保持することが望ましいことがある。従って、全体として特定の望ましい物理的または化学的特性(例えば、沸点、融点、粘性、表面張力、溶解度、密度、反応性)を有する関連ポリマーの混合物を得るためには、蒸留またはクロマトグラフィーのような手段による部分精製が好ましいことがある。
【0026】
従って、第二の態様において、本発明は、1以上の式Iの化合物を含む組成物(組成物2)を提供する。第二の態様のさらなる実施態様において、本発明は、次のものを提供する:
2.1 1.1~1.90の化合物のいずれか1以上を含む組成物。
2.2 1以上の化合物1.1~1.90のいずれか1つの含む組成物であって、ここで前記化合物が、それらのnの値のみが異なるものである、組成物。
2.3 1以上の化合物1.1~1.90のいずれか1つのから成る組成物であって、ここで前記化合物が、それらのnの値のみが異なるものである、組成物。
2.4 単一の化合物1または1.1~1.90の化合物を含み、ここで前記化合物が40%を超える、例えば、50%を超える、60%を超える、または70%を超える、または80%を超える、または90%を超える、または40~70%または40~60%、または40~50%の程度で存在し、前記パーセントが、組成物中の分子の数パーセント(number percent)または組成物の総重量の重量パーセントとして測定されたものである、組成物2または2.1~2.3のいずれかの組成物。
2.5 1以上の化合物(例えば、1個から10個までの特定の化合物)を含み、ここで各化合物が独立して、化合物1または1.1~1.90の化合物であり、各化合物が少なくとも1%かつ最大90%、例えば、5~50%、または5~40%、または5~30%、または5~25%、または5~20%または5~15%、または、5~10%、または、40~50%、または、30~40%、または20~30%、または10~20%、または1~10%、または1~5%、または1~2%の量で存在し、前記パーセントが組成物中の分子の数パーセントまたは組成物の総分子量の重量パーセントとして測定されたものである、組成物2または2.1~2.4のいずれかの組成物。
2.6 場合により-(OCR
2R
3CR
4R
5)-OH基を除く組成物中の化合物の数平均分子量(M
n)が150~2000ダルトン(例えば、300~800ダルトン)である、組成物2または2.1~2.5のいずれか1つの組成物。
2.7 場合により-(OCR
2R
3CR
4R
5)-OH基を除く組成物中の化合物の数平均分子量(M
n)が、300~1900ダルトン、例えば、300~1600ダルトン、または300~1300ダルトン、または300~1100ダルトン、または300~1000ダルトン、または300~800ダルトン、または300~700ダルトン、または300~500ダルトン、または400~1000ダルトン、または400~700ダルトン、または600~1100ダルトン、または600~1000ダルトン、または600~800ダルトンまたは約500ダルトン、または約414ダルトンである、組成物2.6。
2.8 場合により-C(O)-X-C(O)-R
2基を除く組成物中の化合物の重量平均分子量(M
w)が150~2000ダルトンである、組成物2または2.1~2.7のいずれか1つの組成物。
2.9 場合により-C(O)-X-C(O)-R
2基を除く組成物中の化合物の重量平均分子量(M
w)が、300~1900ダルトン、例えば、300~1600ダルトン、または300~1300ダルトン、または300~1100ダルトン、または300~1000ダルトン、または300~800ダルトン、または300~700ダルトン、または300~500ダルトン、または400~1000ダルトン、または400~700ダルトン、または600~1100ダルトン、または600~1000ダルトン、または600~800ダルトン、または約438ダルトンである、組成物2.8。
2.10 (場合により-C(O)-X-C(O)-R
2基の質量を考慮しない)組成物中の化合物の多分散性が1~5の範囲である、組成物2または2.1~2.9のいずれか1つの組成物。
2.11 多分散性(M
w/M
n)が1~4、または1~3、または1~2.5、または1~2、または1~1.5、または約1~1.25、または約1、または1.5~3.5、または1.5~2.5、または約1.5、または2~4、または2~3、または2~2.5、または約2、または1~1.25、または1~1.20、または1~1.15、または1~1.10の範囲、または約1.06である、組成物2.10。
2.12 組成物中の化合物が、重量平均または数平均として測定された0~8の平均n値を有する、組成物2または2.1~2.11のいずれか1つの組成物。
2.13 組成物中の化合物が、重量平均または数平均として測定された0~6の平均n値を有するものである、組成物2.12。
2.14 組成物中の化合物が、重量平均または数平均として測定された0~5の平均n値を有するものである、組成物2.12。
2.15 組成物中の化合物が、重量平均または数平均として測定された約0、約1、約2、約3または約4の平均n値を有するものである、組成物2.12。
2.16 組成物中の化合物が、重量平均または数平均として測定された約0、約1または約2の平均n値を有するものである、組成物2.12。
2.17 重量平均として測定された約0.5、例えば、約0.52の平均n値を有するものである、組成物2.16。
2.18 組成物中の化合物が全て
【化27】
〔式中、
XおよびR
2は、1または化合物1.8~1.86のいずれかの化合物で定義されるとおりであり、
nは0~8(例えば、0~4)である〕
である、1または1.1以降のいずれかの組成物。
2.19 化合物の少なくとも95重量%が、例えば、前記化合物の少なくとも97%または少なくとも98%または少なくとも99%が0、1、2、3または4のn値を有する、組成物2.18。
2.20 化合物の少なくとも90重量%が、0、1または2、例えば、前記化合物の90~98%または95~98%のn値を有する、組成物2.19。
2.21 化合物の少なくとも70重量%、例えば、前記化合物の少なくとも80%、または80~90%または80~85%が0または1のn値を有する、組成物2.20。
2.22 組成物2.21、化合物の少なくとも30重量%、例えば、前記化合物の少なくとも40%、または40~60%または45~55%が0のn値を有する、組成物2.21。
【0027】
本明細書に記載の2以降の組成物は、整数nの正確な値が異なる別個の式Iのポリマーの混合物を含む(そして、場合により何らかの他の成分をさらに含む)ことが理解される。従って、2以降の組成物は、異なる整数nの値を有する式Iの化合物、例えば、異なる整数nの値を有する少なくとも2つの式Iの化合物の混合物(例えば、nが0である式Iの化合物と、nが1である式Iの化合物の混合物)であると理解され得る。典型的に、このような組成物において、組成物中の実質的に全ての式Iのポリマーは、同一の基R1、R2、R3、XおよびMを有する、すなわち、組成物中の多様な式Iのポリマーは、整数nの値においてのみ異なる。上記で使用される(および同様に本明細書中で使用される)用語「実質的に全ての式Iのポリマー」は、R1、R2、R3、Xおよび/またはMが組成物の大部分のものと異なる少量の合成不純物が存在する(例えば、精製での努力にもかかわらず存在し得る出発物質中の少量不純物、合成における少量の副生成物または未反応の少量の中間体のため)ことを認識すると理解される。特に、実施態様、2以降の組成物は、0、1、2、3、4、5、6および7の1以上から選択されるnの値を有する式Iの化合物の混合物を含み得る。
【0028】
式(I)の化合物の平均分子量および多分散性についての数値は、ヒドロキシル水素を除いた分子のポリマー骨格、すなわち、式I(a)に対応する部分に基づいて記述され得ることが理解される。例えば、分子量および多分散性の測定および計算は、エポキシド化合物との反応前のアルコール性ポリマー(式I(a))について実施され得て、得られた値は、後に誘導された式Iの誘導体へ外挿され得る。
【0029】
第三の態様において、本発明は、場合により溶媒中でまたは無溶媒で、および場合により酸または塩基触媒の存在下、式I(a)の化合物と式Aの化合物を、反応させ、続いて式Iの化合物(例えば、蒸留またはクロマトグラフィーにより)を単離し、完全にまたは一部精製する工程を含む、式Iの化合物の製造方法(方法3)を提供する。
【0030】
第三の態様のさらなる実施態様において、本発明は次のものを提供する:
3.1 方法の生成物が式Iの化合物または1.1~1.90のいずれかの化合物である、方法3。
3.2 方法の生成物が組成物2または2.1~2.22のいずれかの組成物である、方法3。
3.3 反応が酸触媒(例えば、酸性イオン交換樹脂)を含むものである、方法3、3.1または3.2。
3.4 酸触媒がカルボン酸またはスルホン酸部分で官能基化された樹脂、例えば、Amberlyst型樹脂(スルホン酸またはカルボン酸基に共有結合したマクロ網状もしくは多孔性樹脂またはシリカ)である、方法3.3。
3.5 酸触媒が無溶媒の酸または可溶性の酸である、方法3.3。
3.6 酸がルイス酸、例えば、三価塩化鉄、塩化カルシウム、塩化チタン、三フッ化ホウ素、トリフルオロメタンスルホン酸亜鉛、過塩素酸マグネシウム、過塩素酸ナトリウムおよび過塩素酸リチウムから選択されるものである、方法3.5。
3.7 硫酸、塩酸、臭化水素酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、酢酸、トルエンスルホン酸、リン酸、トリフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸、過塩素酸およびギ酸から選択されるものである、方法3.5。
3.8 触媒が塩基触媒(例えば、水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩、アルコキシド、または水素化物)である、方法3.3。
3.9 塩基がリチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウムまたはマグネシウムの水酸化物塩、炭酸塩、炭酸水素塩、メトキシド塩、エトキシド塩、プロポキシド塩または水素化物塩から選択されるものである、方法3.8。
3.10 触媒が、場合により相間移動物質とともに、溶媒、例えば、有機溶媒、水性溶媒またはその混和性混合物に溶解または懸濁されるものである、3.3~3.9のいずれかの方法。
3.11 溶媒または溶媒の混合物中で式I(a)の化合物と式Aの化合物を混合し、その後、得られた溶液または懸濁液に触媒を添加する工程を含む、方法3.10。
3.12 溶媒または溶媒の混合物中で式I(a)の化合物と式Aの化合物を混合し、その後、混合物を触媒(例えば、樹脂に結合した触媒)を含む固定層を通過させることを含む、方法3.10。
3.13 触媒が式I(a)の化合物と式Aの化合物の無溶媒混合物に溶解または懸濁されるものである、3.3~3.9のいずれかの方法。
3.14 反応が触媒を含まないものである、3、3.1または3.2の方法。
3.15 溶媒、例えば、有機溶媒、水性溶媒またはそれらの混和性混合物中で式I(a)の化合物と式Aの化合物を組み合わせる工程を含む、方法3.14。
3.16 式I(a)の化合物と式Aの化合物を溶媒なし(例えば、無溶媒)で混合する工程を含む、方法3.14。
3.17 反応温度が30~180℃、例えば、60~140℃、または80~120℃である、方法3または3.1~3.16のいずれかの方法。
3.18 反応がバッチ反応器で実施されるものである、方法3または3.1~3.17のいずれかの方法。
3.19 連続充填層反応器で実施されるものである、方法3または3.1~3.17のいずれかの方法。
3.20 生成物が蒸留、例えば、減圧蒸留により単離されるものである、方法3または方法3.1~3.19のいずれかの方法。
3.21 単離された生成物が、R2が水素である式Iの化合物である、方法3または3.1~3.20のいずれかの方法。
3.22 本明細書のいずれかの実施態様(例えば、MがNa+である場合)で提供されるような、R2がMである式Iの化合物を形成するために、適切な溶媒中でR2が水素である式Iの化合物を塩基と反応させる工程をさらに含む、方法3.21。
3.23 Mの水酸化物、炭酸塩、炭素水素塩または水素化物である、方法3.22。
3.24 塩基が、水酸化物、炭酸塩、炭素水素塩または水素化物のリチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウムまたはマグネシウム塩(例えば、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウムまたは水素化ナトリウム)から選択される、方法3.23。
3.25 塩基を用いた反応に適切な溶媒が、有機溶媒、水性溶媒またはそれらの混和性混合物(例えば、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、THF、ジオキサン、アセトニトリルまたはそれらの混合物)である、3.22~3.24のいずれかの方法。
【0031】
用語「本発明の化合物」および「本発明の組成物」は、それぞれ、式Iの化合物および1および1.1~1.90の化合物、および組成物2および2.1~2.22の組成物、ならびにそのいずれかのかつ全ての他の実施態様を含む。
【0032】
本発明のカルボン酸化合物-すなわち、R2が水素である式Iの化合物は、水と混合されたとき、界面活性剤の添加の必要なしにエマルジョンを形成するという特有の性質を有することが、予期せず発見された。通常、疎水性有機化合物は水に不溶性であり、組み合わせられたとき、混ざり合わないまたは混合後に分離する2つの相(層)を形成する。このような系において、2つの層の間にエマルジョン(水中油型エマルジョンまたは油中水型エマルジョン、それぞれo/wおよびw/o)を形成するために、さらなる第三の成分である界面活性剤が通常必要とされる。界面活性剤は、一般に、エマルジョンにおける油/水インターフェースを安定化する疎水性の頭部と親水性の尾部を有する直鎖状分子である。しかしながら、R2がHである本発明の化合物は、化合物自体が自己乳化性である直鎖状分子のカルボキシル末端で十分に親水性であり、反対側の末端で十分に疎水性であることが、予期せず発見された。従って、化合物が水と混合し、界面活性剤の添加の必要なしに安定なエマルジョンを形成する。
【0033】
本発明のいくつかの実施態様において、本発明の化合物および組成物は、例えば、HPLCでTHFを移動相として使用する定組成クロマトグラフィーの方法で測定したとき、150~3000g/mol、好ましくは00~500g/molの範囲の数平均モル重量(Mw)を有するポリエーテル骨格を有する。
【0034】
いくつかの実施態様において、本発明の組成物は、1~5、および好ましくは1~2の範囲の多分散性(Mw/Mn)を有する。いくつかの実施態様において、本発明の化合物は、シトロネロール、ゲラニオール、リナロール、シトロネル酸、リモネン、ジヒドロミルセン、ミルセノール、アジピン酸、プロパンジオール、エチレングリコール、グリセロール、1,9-ノナンジオールまたは1,6-ヘキサンジオールの単独重合生成物に由来するポリエーテルアルコールに基づく。好ましくは、それらはシトロネロールおよびその誘導体の重合に基づく。
【0035】
いくつかの実施態様において、本発明の組成物は、100~1000g/molの範囲、好ましくは100~500g/molの範囲のポリエーテルアルコールおよびその誘導体の数平均分子量を有する化合物を含む。数平均分子量は、例えば、HPLCでAgilent Oligopore GPCカラムおよび移動相としてTHFを用いて、定組成クロマトグラフィーの方法で測定され得る。
【0036】
本発明の化合物および組成物、特に1~2の多分散性を有する本発明の化合物および組成物は、次の好ましい特徴の1以上を有する:化合物は短鎖ポリマーである;化合物は可逆性重合反応を用いて製造される;ポリマーは生分解性であり、生体適合性である;およびポリマーは全て天然の成分を用いて製造され得る。これらの特徴は、それらの化合物が使用され得る商業的用途の多くにおける重要な利益である。1~5、好ましくは1~2の範囲の多分散性を有する本明細書に記載の組成物は、多様な市販製品、例えば、美容品および医薬組成物における界面活性剤、ポリマーおよびシリコーンとの代替または代用物として、作物保護製剤におけるアジュバントとして、および原油回収増進、フラッキングおよび油田用途における滑沢剤または溶媒として適切である。本明細書に記載の化合物および組成物は、改善された物理的特性、例えば、外観、芳香、粘性、屈折率および/または表面張力を与える。
【0037】
いくつかの実施態様において、本発明の組成物は、100ダルトン以上、200ダルトン以上、300ダルトン以上、400ダルトン以上、500ダルトン以上、600ダルトン以上、700ダルトン以上、800ダルトン以上、900ダルトン以上および1000ダルトン以上の重量平均分子量(Mw)を有する化合物を含む。別の実施態様において、重量平均分子量は、330、331、332、333、334、335、336、337、338、339、340、341、342、343、344、345、346、347、348、349、350、351、352、353、354、355、356、357、358、359および360ダルトンから成る群から選択され得る。
【0038】
本発明のいくつかの実施態様において、本発明の化合物および組成物の多分散性指数(PDI)は、または約1.25未満、約1.24未満、約1.23未満、約1.22未満、約1.21未満、約1.20未満、約1.19未満、約1.18未満、約1.17未満、約1.16未満、約1.15未満、約1.14未満、約1.13未満、約1.12未満、約1.11未満または約1.10未満である。いくつかの実施態様において、PDIは、約1.00以上、約1.01以上、約1.02以上、約1.03以上、約1.04以上、約1.05以上、約1.06以上、約1.07以上、約1.08以上または約1.09以上であり得る。
【0039】
本発明のいくつかの実施態様において、本明細書に記載の化合物および組成物は:芳香保持、芳香の固定、または芳香担体として;臭気相殺物質として;塗料またはコーティングにおいて、収穫管理のためのアジュバントとして;美容成分として(例えば、シリコーンの代替またはホワイトオイルの代替として);マニキュア液において;筆記または印刷用インクにおいて;樹脂または樹脂代替品として;防虫剤(例えば、防蚊剤)として;および日焼け止め製剤において有用である。前記の性質を有するポリマー化合物は、次の平均分子量(Mw)、390ダルトン、391ダルトン、392ダルトン、393ダルトン、394ダルトン、395ダルトン、396ダルトン、397ダルトン、398ダルトン、399ダルトン、400ダルトン、401ダルトン、402ダルトン、403ダルトン、404ダルトン、405ダルトン、406ダルトン、407ダルトン、408ダルトン、409ダルトン、410ダルトン、411ダルトン、412ダルトン、413ダルトン、414ダルトン、415ダルトン、416ダルトン、417ダルトン、418ダルトン、419ダルトンおよび420ダルトンの1つを有し得る。他の実施態様において、前記の性質を有するポリマー化合物は、1.00以上、1.01以上、1.02以上、1.03以上、1.04以上、1.05以上、1.06以上、1.07以上、1.08以上および1.09以上の多分散性指数(PDI)を有し得る。
【0040】
式I(a)のポリエーテルを製造するための方法は、その内容を全体の参照により本明細書に包含させる米国出願第2017/0283553号および国際公開第2019/028053号に記載されている。このようなポリマーは、一般に、樹脂に結合した酸触媒、例えば(登録商標)を用いて、無溶媒、溶媒を含まない条件下で、短時間で高い重合度で製造され得る。Amberlyst型樹脂は当分野において知られ、スルホン酸またはカルボン酸基、好ましくはスルホン酸基に共有結合したマクロ網状もしくは多孔性樹脂である。このような重合は、室温以下、好ましくはわずかに加温された温度、30~110℃、または好ましくは40~90℃(例えば、約50℃)で実施され得る。このような重合は、バッチ反応器、セミバッチ反応器、またはより好ましくは、参照により本明細書に包含させる米国仮出願第62/384,939号およびPCT/US2017/50808号および米国2019-0210948号に記載される種類の連続充填層型反応器中で実施され得る。
【0041】
請求される化合物の重合の可逆性は、隣接する酸素原子と三級炭素原子を有するこれらのポリマーの性質に由来する。その結果、O-C結合の開裂を促進する条件下では、得られた三級カルボカチオンは極めて安定である。これにより、隣接する水素原子が容易に脱離し、出発物質のアルコールおよびアルケン官能基が再生する。このような脱重合は、弱酸性(例えば、ルイス酸またはブレンステッド酸を用いた)条件または熱条件または酵素(天然由来の細菌に見られる酵素による)条件により促進され得る。
【0042】
この解重合特性は生分解をもたらす。この特性はまた、ポリマーの解重合を制御して、モノマーポリマー成分(例えば、シトロネロール)または短縮ポリマー成分(例えば、より大きなポリマーの解重合によるシトロネロールのダイマーの放出)の遅い放出を可能にし得る、化合物を含む組成物の形成を可能にする。本発明は、製剤がポリマーの遅い、制御された解重合および得られたモノマーまたは短縮オリゴマーの拡散を提供する場合、それは(例えば、組成物の表面における気化により)組成物から放出され得る本明細書に記載のいずれかの化合物または組成物を含む固体および/または液体製剤(例えば、製品)を包含する。このような製剤は、このような解重合を加速させる成分(例えば、ルイス酸またはブレンステッド酸または酵素)を含み得るか、またはこのような製剤は、熱解重合を促進するために電熱体を含むデバイスと組み合わせられ得る。このような方法で精製されたモノマーおよび/または短縮オリゴマー(例えば、シトロネロールまたはシトロネロールのダイマーもしくはトリマー)はそれ自体、多くの理由、例えば、芳香剤、防虫剤、抗酸化剤、抗菌剤として、または活性医薬成分(例えば、組成物が医薬組成物である)として有益なものである。
【0043】
本明細書に記載の化合物および組成物は特に、美容組成物、例えば、コンシーラー、プライマーおよび/または保湿剤中のシリコーン、鉱油および/またはパラフィンの代替に適切である。
【0044】
第四の態様において、本発明は、化合物1または1.1~1.90のいずれかの化合物、または組成物2または2.1~2.22のいずれかの組成物を、少なくとも1つの適切な溶媒、担体または他の賦形剤との組合せで含む、製品組成物(製品1)を提供する。第四の態様のさらなる実施態様において、本発明は、次の製品組成物を提供する:
1.1 製品組成物が芳香製品組成物である、製品1。
1.2 製品組成物が香水製品組成物である、製品1。
1.3 製品組成物が石鹸製品組成物である、製品1。
1.4 製品組成物が防虫製品組成物、例えば、防蚊製品組成物である、製品1。
1.5 製品組成物が殺虫剤製品組成物である、製品1。
1.6 製品組成物が洗剤製品組成物である、製品1。
1.7 製品組成物が家庭用クリーニング剤製品組成物である、製品1。
1.8 製品組成物が空気清浄製品組成物である、製品1。
1.9 製品組成物がルームスプレー製品組成物である、製品1。
1.10 製品組成物がポマンダー製品組成物である、製品1。
1.11 製品組成物がキャンドル製品組成物である、製品1。
1.12 パラフィンワックスおよび/または蜜蝋ベースをさらに含む、製品組成物1.11。
1.13 パラフィンワックスおよび/または蜜蝋ベース中に分散させた化合物1または1.1~1.90のいずれかの化合物、または組成物2または2.1~2.22のいずれかの組成物と、そこに埋め込まれた適切な芯から成る、製品組成物1.12。
1.14 製品組成物が美容製品組成物である、製品1。
1.15 製品組成物が化粧水製品組成物である、製品1。
1.16 製品組成物がプレシェーブまたはアフターシェーブローション製品組成物である、製品1。
1.17 製品組成物がタルカムパウダー製品組成物である、製品1。
1.18 製品組成物が、例えば、毛髪修復または毛髪保護を提供するヘアケア製品組成物である、製品1。
1.19 製品組成物がボディデオドラント製品組成物である、製品1。
1.20 製品組成物が制汗剤製品組成物である、製品1。
1.21 製品組成物がシャンプー製品組成物である、製品1。
1.22 製品組成物がペットリター製品組成物である、製品1。
1.23 製品組成物が局所適用皮膚ケア製品組成物であり、場合により、皮膚ケア製品が、皮膚コンディショニング剤;皮膚浸透強化剤;皮膚保護剤;皮膚無痛化剤;シェービングクリームおよびシェービングゲル;皮膚クリームおよびローション(例えば、保湿クリームおよびローション);皮膚治癒剤;紫外線吸収剤または散乱剤;捕捉剤;抗アクネ剤;抗アンドロゲン剤;脱毛剤;サリチル酸などの角質溶解剤/剥離剤/除去剤;D-パンテノールなどのパンテノール保湿剤;ヒアルロン酸およびデンプングラフト型ナトリウムポリアクリレートなどの可溶性またはコロイド可溶性保湿剤;および日焼け止め剤から選択されるものである、製品1。
1.24 皮膚ケア製品が皮膚保護剤である、製品組成物1.23。
1.25 皮膚ケア製品が皮膚無痛化剤である、製品組成物1.23。
1.26 皮膚ケア製品が日焼け止め剤である、製品組成物1.23。
1.27 製品組成物が塗料またはコーティング製品組成物である、製品1。
1.28 製品組成物が滑沢剤製品組成物である、製品1。
1.29 製品組成物が可塑剤製品組成物である、製品1。
1.30 製品組成物が消泡剤製品組成物である、製品1。
1.31 製品組成物が作動液製品組成物である、製品1。
1.32 製品組成物が抗微生物製品組成物である、製品1。
1.33 製品組成物が収穫ケア製品組成物である、例えば、前記化合物が作物ケア製剤におけるアジュバントである、製品1。
1.34 製品組成物が、強化された油回収、フラッキングおよび/またはその他油田用途のための製品組成物である、例えば、前記化合物が前記製剤における滑沢剤または溶媒である、製品1。
1.35 前記組成物が電気発熱体を含む容器に保管または貯蔵されるものであり、発熱体の作動により組成物の加熱、化合物の熱分解および揮発性物質の放出がもたらされるものである、前記いずれかの組成物を含む、製品。
1.36 前記化合物が芳香保持剤、芳香固定剤または芳香担体として使用されるものである、化合物1または1.1~1.90のいずれかの化合物、または組成物2または2.1~2.22のいずれかの組成物、またはそのいずれかの混合物を含む、香水製品の芳香剤。
1.37 前記化合物がシリコーンの代替としておよび/または白色油の代替として使用されるものである、化合物1または1.1~1.90のいずれかの化合物、または組成物2または2.1~2.22のいずれかの組成物、またはそのいずれかの混合物を含む、美容製品。
1.38 化合物1または1.1~1.90のいずれかの化合物、または組成物2または2.1~2.22のいずれかの組成物、またはそのいずれかの混合物を含む、マニキュア液製品。
1.39 化合物1または1.1~1.90のいずれかの化合物、または組成物2または2.1~2.22のいずれかの組成物、またはそのいずれかの混合物を含む、筆記用インクまたは印刷用インク製品。
1.40 化合物1または1.1~1.90のいずれかの化合物、または組成物2または2.1~2.22のいずれかの組成物、またはそのいずれかの混合物を含む粘着製品組成物。
1.41 場合により、歯磨き粉、歯磨きゲル、またはマウスウォッシュから選択される、化合物1または1.1~1.90のいずれかの化合物、または組成物2または2.1~2.22のいずれかの組成物、またはそのいずれかの混合物を含むオーラルケア製品組成物。
1.42 場合により、製品組成物がチューインガムまたは炭酸飲料から選択されるものである、化合物1または1.1~1.90のいずれかの化合物、または組成物2または2.1~2.22のいずれかの組成物、またはそのいずれかの混合物を含む、食品製品組成物。
1.43 場合により、医薬製品組成物がカプセル剤、錠剤(例えば、チュアブル錠剤)、シロップ剤(例えば、咳止めシロップ)、ロゼンジ剤(例えば、咳止めドロップ)および液剤(例えば、経口摂取のための溶液剤または懸濁剤)から選択される、化合物1または1.1~1.90のいずれかの化合物、または組成物2または2.1~2.22のいずれかの組成物、またはそのいずれかの混合物を含む医薬製品。
1.44 組成物が、例えば、化合物1がその系のための自己乳化剤として作用するために界面活性剤を含まないエマルジョン(例えば、o/wエマルジョンまたはw/oエマルジョン)である、前記いずれかの組成物。
1.45 製品組成物がエアロゾル製品である、前記いずれかの製品組成物。
1.46 製品が、エアロゾル消臭剤、エアロゾル制汗剤、エアロゾルボディスプレー剤、エアロゾル空気清浄剤、エアロゾル芳香剤または香水、エアロゾル殺虫剤、エアロゾル滑沢剤、エアロゾルヘアケア製品(例えば、ヘアスプレー)、エアロゾル日焼け止め剤、エアロゾル咽喉鎮痛剤またはエアロゾル防虫剤である、製品組成物1.44。
1.47 エアロゾル噴射剤、例えば、プロパン、n-ブタン、イソブタン、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル、クロロフッ化炭素、フッ化炭素、ヒドロクロロフッ化炭素、ヒドロフッ化炭素(例えば、1,1-ジフルオロエタン、または1,1,1,-トリフルオロエタン、または1,1,1,2-テトラフルオロエタン、または1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン、または1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン、または1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパン、または1,3,3,3-テトラフルオロプロペン、または2,3,3,3-テトラフルオロプロペン)、亜酸化窒素、二酸化炭素、窒素、空気またはそのいずれかの組合せをさらに含む、1.45または1.46の製品。
1.48 製品が、場合により、プロパン、n-ブタン、イソブタン、1,1-ジフルオロエタン、1,1,1,-トリフルオロエタン、1,1,1,2-テトラフルオロエタン、1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン、1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン、1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパンおよびその組合せ、特に、プロパン、n-ブタン、イソブタンおよび1,1-ジフルオロエタンの組合せから選択される噴射剤を含んでよいエアロゾルボディスプレー剤である、1.45~1.47のいずれかの製品組成物。
【0045】
別の実施態様において、本発明は、化合物1または1.1~1.48のいずれかの製品組成物において使用するための、化合物1または1.1~1.90のいずれかの化合物、または組成物2または2.1~2.22のいずれかの組成物、またはそのいずれかの混合物を提供する。
【0046】
前記態様の他の実施態様において、本発明は、化合物1または1.1~1.90のいずれかの化合物を含む組成物、または組成物2または2.1~2.22のいずれかの組成物、またはそのいずれかの混合物、または化合物1または1.1~1.48のいずれかの製品を提供し、ここで前記組成物または製品は、冷感剤、温感剤および/または刺激剤;風味剤または芳香剤;ビタミン、ミネラル、栄養剤、精力剤、無痛化剤、着色剤、アミノ酸、抗酸化剤、防腐剤、pH調整剤、粘性調整剤および前記いずれかの組合せから選択される1以上の添加剤をさらに含む。
【0047】
特定の実施態様において、このような組成物は冷感剤、温感剤および/または刺激剤を含む。このような組成物は、例えば希釈により、感覚剤の影響を増強または減少させ得るか、または弱め得るか、または他の方法で、組成物の成分間の拮抗または相乗効果により、感覚剤の性質または知覚を変化させ得る。感覚剤は、皮膚または口腔もしくは咽頭の粘膜への冷感剤、温感剤および/または刺激剤を含む。そのため、感覚剤は、広範な組成物および製品において風味剤または芳香剤として有用であり得る。これらのような組成物は、組成物の身体への適用直後に温感、冷感および/または刺激を提供し得る。いくつかの実施態様において、これは皮膚軟化効果の提供に役立つ。いくつかの実施態様において、本発明の化合物(例えば、化合物1または1.1~1.90のいずれかの化合物)または本発明の組成物(例えば、組成物2または2.1~2.22のいずれかの組成物)はまた、組成物の感覚剤のために、粘性調整剤、担体、分配剤、希釈剤または保持剤の1以上として作用し得る。これは制御、持続および/または遅延冷感剤、温感剤および/または刺激剤を与える感覚剤組成物をもたらすことに役立ち得る。
【0048】
上記態様のいくつかの実施態様において、感覚剤は、所望の冷感または温感効果を誘発または低減するために、TRPVタンパク質と相互作用する。上記態様のいくつかの実施態様において、感覚剤は天然化合物であり、他の実施態様において、感覚剤は合成化合物である。
【0049】
適切な冷感剤は、メントール、レボメントール、ペパーミント油、n-N-置換-p-メンタン-3-カルボキサミド、三級および二級アクリルカルボキサミド、3-1-メントキシプロパン-1,2-ジオールおよびそれらの混合物を含む。
【0050】
適切な温感剤は、バニリルn-ブチルエーテル、バニリルアルコールn-プロピルエーテル、バニリルアルコールイソプロピルエーテル、バニリルアルコールイソブチルエーテル、バニリルアルコールn-アミノエーテル、バニリルアルコールイソアミルエーテル、バニリルアルコールn-ヘキシルエーテル、バニリルアルコールメチルエーテル、バニリルアルコールエチルエーテル、ギンゲロー、ショウガオール、パラドール、ジンゲロン、カプサイシン、ジヒドロカプサイシン、ノルジヒドロカプサイシン、ホモカプサイシン、ホモジヒドロカプサイシン、エタノール、イソプロピルアルコール、イソアミルアルコール、ベンジルアルコール、オイゲノール、シナモン油、シンナミルアルデヒドおよびそのホスフェート誘導体、松葉油、ウィンターグリーン油、ローズマリー油、ユーカリ油、芳香油およびそれらの混合物を含む。いくつかの実施態様において、冷感剤は、金属イオン(例えば、スズ、カルシウム、亜鉛、銅など)または非金属対イオン(例えば、フッ化物など)と組み合わせられ、開始、強度または効果および期間の点で、冷感剤の強化された活性を提供する。
【0051】
適切な刺激剤は、食品製品に使用するためのジャンブーオレオレジン抽出物を含む。
【0052】
いくつかの実施態様において、感覚剤は、特に局所組成物において誘導効果を誘発するために使用される。この目的のための適切な感覚剤は、メントール、松葉油、オレンジ油、レモン油、ウィンターグリーン油、ベルガモット油、ローズマリー油、ラベンダー油、グリコサミノグリカンおよびそれらの混合物を含む。
【0053】
いくつかの実施態様において、感覚剤は、三叉神経感覚を誘導する化合物である、化学感覚刺激化合物である。
【0054】
このような感覚剤を含む本発明による製品組成物は、美容品(例えば、リップスティック、アフターシェーブローション、ファンデーションなど)、パーソナルケア製品(例えば、スキンクリーム、アストリンゼントローション、クレンジングローション、消臭剤、シャンプー、コンディショナー、石鹸、ヘアゲル、ヘアトニック、育毛刺激剤、シェービングフォーム、シェービングクリーム、発泡バスビーズ、防虫スプレーなど)および医薬製品(例えば、鎮痛製剤、ロゼンジ剤など)を含む。
【0055】
他の適切な添加剤は、風味剤(例えば、ザクロ、アサイー、ラズベリー、ブルーベリー、ストロベリー、ボイセンベリー、および/またはクランベリーなどのベリー系風味剤;天然もしくは合成風味剤または芳香剤、例えば、ペパーミント、スペアミント、ウィンターグリーン、チョコレート、カンゾウ、柑橘系;リンゴ、モモ、セイヨウナシ、サクランボ、プラム、オレンジ、ライム、ブドウ、マンゴー、パッションフルーツ、パイナップルおよびグレープフルーツのような果物風味剤、ガンマオクタラクトン、バニリン、エチルバニリン、バター、ラム、ココナッツ、アーモンド、ペカン、クルミ、ヘーゼルナッツ、フレンチバニラ、サトウキビ、メープル、カシス、キャラメル、バナナ、麦芽、エスプレッソ、ホワイトチョコレート、シナモン、クローブ、シラントロ、バジル、オレガノ、ガーリック、マスタード、ナツメグ、ローズマリー、タイム、タラゴン、ディル、セージ、アニスおよびウイキョウなどのスパイス風味剤、サリチル酸メチル、リナロール、ジャスミン、コーヒー、オリーブ油、ゴマ油、ヒマワリ油、ベルガモット油、ゲラニウム油、ピーナツ油、レモン油、ショウガ油、バルサミコ酢、米酢、赤ワイン酢;植物風味剤、例えば、トマト、ニンジン、ホウレンソウ、ブロッコリー、カボチャ、タマネギ、ビート、カブ、パースニップ、アスパラガス、トウガラシ、ウイキョウ、ズッキーニ、ジャガイモ;およびそれらのいずれかの組合せ);補足的ビタミン(例えば、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK、チアミン、リボフラビン、ナイアシン、葉酸、ピリドキシン、コリン、イノシトール、ビタミンB12、PABA、ビタミンCおよびそれらの混合物);防腐剤(例えば、メチルパラベン、プロピルパラベン、プロピオン酸ナトリウム、クエン酸、アスコルビン酸、ソルビン酸アルカリ金属塩、例えば、ソルビン酸カリウム、安息香酸アルカリ金属塩、例えば、安息香酸ナトリウムなど);栄養剤(例えば、天然食物源および/または遺伝的に修飾された食物源に由来する化合物);およびアミノ酸(例えば、バリン、ロイシン、イソロイシン、リシン、スレオニン、トリプトファン、メチオニンおよびフェニルアラニン、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、プロリン、セリン、チロシンおよびそれらの混合物)を含む。別の特に有用な添加剤は、葛粉であり、これは例えば、美容組成物中でタルクの代替物として使用され得る。
【0056】
前記態様の他の実施態様、特に第四の態様において、本発明は、化合物1または1.1~1.90のいずれかの化合物を含む組成物、または組成物2または2.1~2.22のいずれかの組成物、またはそのいずれかの混合物、または化合物1または1.1~1.48のいずれかの製品を提供し、ここで場合により、前記組成物または製品は上記のとおり1以上の添加剤をさらに含み、前記組成物または製品は、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、ポリプロピレン(PP)またはポリエチレンテレフタラート(PET)またはそれらの組合せから成る包装を含む容器またはデバイスに包装される。好ましくは、組成物または製品は、高密度ポリエチレン(HDPE)から成る包装を含む容器またはデバイスに包装される。さらなる実施態様において、本発明は次のものを提供する:
4.1 場合により、組成物または製品が上記の1以上の添加剤をさらに含み、かつ組成物または製品が高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、ポリプロピレン(PP)またはポリエチレンテレフタラート(PET)またはそれらの組合せから成る包装を含む容器またはデバイスに包装される、化合物1または1.1~1.90のいずれかの化合物を含む組成物、または組成物2または2.1~2.22のいずれかの組成物、またはそのいずれかの混合物を含む、組成物、または化合物1または1.1~1.47のいずれかの製品。
4.2 包装がHDPEを含むか、これから成るものである、組成物または製品4.1。
4.3 組成物または製品が、芳香組成物、香水、石鹸、防虫剤および殺虫剤、洗剤、家庭用クリーニング剤、空気清浄剤、ルームスプレー、ポマンダー、キャンドル、美容品、化粧水、プレシェーブまたはアフターシェーブローション、タルカムパウダー、ヘアケア製品、ボディデオドラント、制汗剤、シャンプー、皮膚ケア適用、医薬品、抗微生物剤、ペットリター、作物ケア製剤または油田用途、フラッキングまたは原油増進回収である4.1または4.2の組成物または製品。
4.4 美容組成物または美容製品である、組成物または製品4.3。
4.5 エマルジョン形態である美容製剤を含む、組成物または製品4.4。
4.6 エマルジョンが水中油型エマルジョン(油/水エマルジョン)である、4.5の組成物または製品。
4.7 エマルジョンが油中水型エマルジョン(水/油エマルジョン)である、4.5の組成物または製品。
4.8 美容製剤が、化合物1または1.1~1.90のいずれかの化合物または組成物2または2.1~2.22のいずれかの組成物を美容製剤の重量に基づいて0.1~10%の量で含むものである、4.7、4.8または4.9の組成物または製品。
4.9 化合物1または1.1~1.90のいずれかの化合物または組成物2または2.1~2.22のいずれかの組成物を、美容組成物または製品の重量に基づいて、0.1~10%の量で含む、4.4~4.10のいずれかの組成物または製品。
【0057】
第五の態様において、本発明は、製品組成物(例えば、製品組成物1以降)、または4.1~4.9の製品または組成物、例えば、芳香組成物、香水、石鹸、防虫剤、殺虫剤、洗剤、家庭用クリーニング剤、空気清浄剤、ルームスプレー、ポマンダー、キャンドル、美容品、化粧水、プレシェーブまたはアフターシェーブローション、タルカムパウダー、ヘアケア製品(例えば、毛髪修復または毛髪保護製品)、ボディデオドラント、制汗剤、シャンプー、皮膚ケア適用、医薬品、抗微生物剤、ペットリター、作物ケア製剤または油田用途、フラッキングまたは原油増進回収の製造における、化合物1または1.1~1.90のいずれかの化合物、または組成物2または2.1~2.22のいずれかの組成物、またはそのいずれかの混合物の使用方法を提供する。
【0058】
本明細書に記載の物質の付加的な利益は、それらが完全に生分解性かつ生体適合性であることである。
【0059】
これらのポリエーテルを評価する過程で、シトロネロール型ポリマーでは、驚くべきことに、モノマーに戻る解重合が約180℃で自発的に起こることが観測された。この熱解重合特性、または同様の酵素および/または酸触媒による解重合特性は、制御された方法で経時的にシトロネロールモノマーを送達するために有利に使用され得る。
【0060】
ある態様において、制御された放出でモノマーを空気中に送達するために熱分解重合が使用され得る。ある態様において、本発明は、3以降の方法により製造される1以降の化合物、および/または2以降の組成物を、例えば、香気制御および/または蚊の制御に使用されるキャンドルまたは加熱式ディスペンサーにおいて、解重合モノマー成分を時間とともに放出させて有益な香気を促進し得る低pH産業用洗浄剤、および酵素を使用してポリマーを時間とともに消化させて長期間新鮮な香気を有する洗濯用洗剤において使用することを企図するものである。
【0061】
本発明の化合物および組成物についての他の態様は、全体の参照により本明細書に包含させる米国出願第2017/0283553号および国際公開第2019/028053号に記載のとおりに見られ得る。
【0062】
1以上の本発明の実施態様の詳細を、以下に付随する記載で説明する。特に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、当業者により通常理解されるものと同一の意味を有する。矛盾する場合は、本明細書が優先する。
【0063】
特に断らない限り、本明細書で使用される用語は、特定の実施態様のみを記載することを目的とし、限定することを意図しない。本明細書およびその後の特許請求の範囲において、以下に示す定義を有するものとするいくつかの用語が参照される。
【0064】
本明細書で使用される単数形「ある(a)」、「ある(an)」および「その(the)」は、文脈により明確に示されない限り、複数の指示対象を含む。従って、例えば、「反応材」への言及へ、1個の反応材のみならず、2以上の異なる反応物の組合せまたは混合物を含み、「置換基」への言及は、1個の置換基および2以上の置換基などを含む。
【0065】
本明細書で使用される語句「例えば(for example)」、「例えば(for instance)」、「例えば(such as)」または「含む」は、より一般的な内容をさらに明確化するため例を紹介することを意味する。これらの例は、本発明を理解する目的のみとして提供され、いかなる形式においても限定することを意味しない。さらに、本明細書で使用される用語「あり得る」「任意の」、「場合により」または「場合により~でよい」は、前後に記載される状況が生じても生じなくてもよく、その結果、当該記載はその状況が生じる例およびそれが生じない例を含む。例えば、語句「場合により存在してよい」は、対象が存在してもしなくてもよく、従って、当該記載は対象が存在する例および対象が存在しない例を含む。
【0066】
本明細書で使用される語句「式を有する」または「構造を有する」は、限定することを意図せず、用語「含む」が通常使用されるのと同様の方法で使用される。
【0067】
本願のいくつかの式において、1以上のキラル中心は、キラル炭素の隣に位置する星印により特定される。他の式において、キラル中心は特定されないが、それでもなお、これらの式によりキラル異性体が含まれる。
【0068】
本発明のいくつかの化合物は、本発明の範囲内に包含されることもまた意図される互変異性形態で存在し得る。
【0069】
「互変異性体」とは、分子の配列が大きく異なるが、容易かつ迅速な平衡状態で存在する化合物をいう。本発明の化合物は異なる互変異性体として示され得ると理解されるべきである。また、化合物が互変異性形態を有するとき、全ての互変異性形態は本発明の範囲内であることが意図され、かつ化合物の名称はいかなる互変異性形態も排除しないと理解されるべきである。さらに、ある互変異性体が記載され得るとしても、本発明は本発明化合物の全ての互変異性体を含む。
【0070】
本明細書で使用される用語「塩」は、臭化水素酸塩、臭化水素酸、リン酸、硫酸塩、硫酸水素塩、アルキルスルホン酸塩、アリールスルホン酸塩、酢酸塩、安息香酸塩、クエン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、乳酸塩および酒石酸塩を含む酸付加塩;Na+、K+、Li+などのアルカリ金属カチオン、Mg2+またはCa2+などのアルカリ土類金属塩、または有機アミン塩、または有機ホスホニウム塩を含み得る。
【0071】
本明細書で使用される用語「アルキル」とは、1~22個の炭素原子を有するが、典型的には、必ずしもそうではないが、1~約12個の炭素原子を含む一価もしくは二価または分岐もしくは非分岐飽和炭化水素基、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、t-ブチル、オクチルなどをいう。文脈から、いくつかの場合において、用語「アルキル」とは、一価のラジカルではなく二価のラジカルを示すことが理解される。文脈によりラジカルが二価であることが示されている場合において、用語「アルキル」は二価のラジカルとして「メチル」、「エチル」、「プロピル」などと示され得るが、このような用語は、「-CH2-」、「-CH2CH2-」および「-CH2CH2CH2-」をそれぞれ示すと理解され得る。
【0072】
本明細書で使用される用語「アルケニル」とは、必ずしもではないが、典型的には、2~12個の炭素原子を有し1~10個の炭素-炭素二重結合を含む一価もしくは二価または分岐もしくは非分岐不飽和炭化水素基、例えば、エチレン、n-プロピレン、イソプロピレン、n-ブチレン、イソブチレン、t-ブチレン、オクチレンなどをいう。
【0073】
本明細書で使用される用語「アルキニル」は、必ずしもではないが、典型的には、2~12個の炭素原子を有し1~8個の炭素-炭素三重結合を含む一価もしくは二価または分岐もしくは非分岐不飽和炭化水素基、例えば、エチン、プロピン、ブチン、ペンチン、ヘキシン、ヘプチン、オクチンなどをいう。
【0074】
本明細書で使用される「アリール」とは、少なくとも1つの芳香環に5~6個の炭素原子を含む芳香族炭化水素部分をいい、例えば、これは2つの縮合した環および10個の炭素原子を有する芳香族炭化水素(すなわち、ナフタレン)を含む。
【0075】
「置換アルキル」、「置換アルケニル」、「置換アルキニル」などにおける「置換」により、アルキル、アルケニル、アルキニルまたは他の部分において、炭素原子に結合した少なくとも1個の水素原子が1以上の非水素置換基、例えば、官能基により置換されることを意味する。
【0076】
Ca~Cb炭素原子のアルキル部分への言及で使用されるとき、用語「分岐」および「直鎖」(または「非分岐」)は、アルキル部分を定義するそれらの炭素原子に適用される。例えば、C4アルキル部分について、その分岐の実施態様はイソブチルを含むが、一方でその非分岐の実施態様はn-ブチルであり得る。しかしながら、イソブチルはC1アルキル(メチル)で置換された直鎖C3アルキル部分(プロピル)としても適当であり得る。
【0077】
官能基の例は、限定されないが、ハロ、ヒドロキシル、スルフィヒドリル、C1-C24アルコキシ、C2-C24アルケニルオキシ、C2-C24アルキニルオキシ、C5-C20アリールオキシ、アシル(C2-C24アルキルカルボニル(-CO-アルキル)およびC6-C20アリールカルボニル(-CO-アリール)を含む)、アシルオキシ(-O-アシル)、C2-C24アルコキシカルボニル(-(CO)-O-アルキル)、C6-C20アリールオキシカルボニル(-(CO)-O-アリール)、Xがハロであるハロカルボニル(-CO)-X)、C2-C24アルキルカーボネート(-O-(CO)-O-アルキル)、C6-C20アリールカーボネート(-O-(CO)-O-アリール)、カルボキシ(-COOH)、カルボキシレート(-COO-)、カルバモイル(-(CO)-NH2)、モノ置換C1-C24アルキルカルバモイル(-(CO)-NH(C1-C24アルキル))、ジ置換アルキルカルバモイル(-(CO)-N(C1-C24アルキル)2)、モノ置換アリールカルバモイル(-(CO)-NH-アリール)、チオカルバモイル(-(CS)-NH2)、カルバミド(-NH-(CO)-NH2)、シアノ(-C≡N)、イソシアノ(-N+≡C-)、シアナト(-O-C≡N)、イソシアナト(-O-N+≡C-)、イソチオシアナト(-S-C≡N)、アジド(-N=N+=N-)、ホルミル(-(CO)-H)、チオホルミル(-(CS)-H)、アミノ(-NH2)、モノおよびジ(C1-C24アルキル)-置換アミノ、モノおよびジ(C5-C20アリール)-置換アミノ、C2-C24アルキルアミド(-NH-(CO)-アルキル)、C5-C20アリールアミド(-NH-(CO)-アリール)、イミノ(R=水素、C1-C24アルキル、C5-C20アリール、C6-C20アルカリール、C6-C20アラルキルなどである-CR=NH)、アルキルイミノ(R=水素、アルキル、アリール、アルカリールなどである-CR=N(アルキル))、アリールイミノ(-CR=N(アリール)、R=水素、アルキル、アリール、アルカリール、など)、ニトロ(-NO2)、ニトロソ(-NO)、スルホ(-SO2-OH)、スルホナト(-SO2-O-)、C1-C24アルキルスルファニル(-S-アルキル;「アルキルチオ」とも称される)、アリールスルファニル(-S-アリール;「アリールチオ」とも称される)、C1-C24アルキルスルフィニル(-(SO)-アルキル)、C5-C20アリールスルフィニル(-(SO)-アリール)、C1-C24アルキルスルホニル(-SO2-アルキル)、C5-C20アリールスルホニル(-SO2-アリール)、ホスホノ(-P(O)(OH)2)、ホスホナト(-P(O)(O-)2)、ホスフィナト(-P(O)(O-))、ホスホ(-PO2)、ホスフィノ(-PH2)、モノおよびジ(C1-C24アルキル)置換ホスフィノ、モノおよびジ(C5-C20アリール)置換ホスフィノ;ならびにヒドロカルビル部分、例えば、C1-C24アルキル(C1-C18アルキルを含み、C1-C12アルキルをさらに含み、C1-C6アルキルをさらに含む)、C2-C24アルケニル(C2-C18アルケニルを含み、C2-C12アルケニルをさらに含み、C2-C6アルケニルをさらに含む)、C2-C24アルキニル(C2-C18アルキニル、C2-C12アルキニルをさらに含み、C2-C6アルキニルをさらに含む)、C5-C30アリール(C5-C20アリールを含み、C5-C12アリールをさらに含む)およびC6-C30アラルキル(C6-C20アラルキルを含み、C6-C12アラルキルをさらに含む)を含む。さらに、前記官能基は、特定の基が許容するならば、上記で具体的に列挙されるような1以上のさらなる官能基または1以上のさらなるで置換され得る。例えば、アルキルまたはアルケニル基は分岐したものであり得る。例えば、「置換基」はアルキル基、例えば、メチル基である。
【0078】
本明細書で使用される「芳香組成物」は、例えば、化合物1または1.1~1.62のいずれかの化合物、または組成物2または2.1~2.22のいずれかの組成物を含み、所望により補助物質を含み、適切な溶媒に溶解されたまたは製品に所望の香気を付与するために使用される粉末基質と混合された、場合により製品4または4.1~4.9の組成物または製品に包装された、香料成分の混合物を意味する。
【0079】
芳香組成物の製造に使用される開示された化合物と組み合わせられ得る芳香成分および芳香成分の混合物は、限定されないが、動物産生物およびエッセンシャルオイル、アブソリュート、レジノイド、樹脂およびコンクリートを含む天然物、ならびに限定されないが、アルコール、アルデヒド、ケトン、エーテル、酸、エステル、アセタール、フェノール、エーテル、ラクトン、フラン骨格、ニトリル、飽和および不飽和化合物および脂肪族炭素環式およびヘテロ環式化合物および動物産生物を含む酸および炭化水素を含む合成芳香物質を含む。
【0080】
本明細書で使用される「シトロネロールポリマー」および「プレノールポリマー」は、シトロネロールおよびプレノールおよびポリマーの全ての誘導体ならびに環状形態を含むことを意味する。
【0081】
本明細書において、化合物の構造式は、いくつかの場合において便宜上、特定の異性体を表すが、本発明は、全ての異性体例えば、幾何異性体、不斉炭素に基づく光学異性体、立体異性体、互変異性体などを含む。さらに、その式により表される化合物について結晶多形が存在し得て、任意の結晶形態、結晶形態混合物、またはその無水物もしくは水和物が本発明の範囲に含まれることに留意する。
【0082】
0~10または1~7などの範囲が引用される場合、その範囲は、その範囲の全ての整数値および整数部分範囲を包含する。従って、範囲0~10は、0~9、0~8、0~7、0~6、0~5、0~4、0~3、0~2、1~10、1~9、1~8、1~7、1~6、1~5、1~4、1~3、1~2、1~9、2~10、2~9、2~8、2~7、2~6、2~5、2~4、2~3、3~10、3~9、3~8、3~7、3~6、3~5、3~4、4~10、4~9、4~8、4~7、4~6、4~5、4~4、4~3、5~10、5~9、5~8、5~7、5~6、6~10、6~9、6~8、6~7、7~10、7~9、7~8、8~10、8~9、9~10、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9および10を含む。
【0083】
本明細書で使用される全てのパーセンテージは、特に断らない限り、体積のパーセンテージである。
【0084】
本明細書で使用される全ての比は、特に断らない限り、モル比である。
【実施例】
【0085】
実施例1:カチオン交換樹脂による連続的なシトロネロール重合
0.01インチ壁厚の6フィート長、0.25インチのスムーズボアステンレス鋼チューブにAmberlyst樹脂を充填し、コイル状に巻いて一端に連続フローのためのPTFEチューブを装着する。コイルをオイルバス中で50℃に加熱し、充填されたコイルを通して300gのシトロネロールを2ml/分の速度で送液した。コイルから出てきた物質は、1H-NMR分析により示されるとおり、高い重合度に達する。NMRは、アルコール酸素原子に隣接するメチレン基に関連するプロトン(約3.6ppm)と比較して、エーテル酸素原子に隣接するメチレン基に関連するプロトン(約3.3ppm)の数の劇的な増加を示す。この2つの異なるプロトンセットの積分比は、約1:1であることがわかった。
【0086】
加圧した窒素ガスを用いて、コイルから全ての物質を排出させた。回収した物質を真空中(0.7ミリバール)、加温下(160℃)でさらに蒸留してモノマーおよびダイマー種を除去し、下記に示す透明、無臭の液体を得た:
【化28】
【0087】
多様なフラクションが回収され得て、これらの各々は、数平均分子量、重量平均分子量、多分散性およびnの値について異なる値を有する。このようなフラクションは、異なる物理的性質、例えば、粘性、屈折率、沸点および表面張力を有する。
【0088】
シトロネロールポリマーが0~4のnの平均値を有するフラクションが得られる。
【0089】
実施例2:ポリシトロネロール-コハク酸無水物生成物
【化29】
ポリシトロネロール(94g、1当量)およびコハク無水物(21.6g、0.85当量)を無溶媒で組み合わせ、環境温度で撹拌する。全てのコハク酸無水物の固体が溶解し、反応物が均一になるまで、反応温度をゆっくりと120℃に上昇させる。2時間後、NMRは出発物質の生成物への完全な変換を示す。生成物をNMRにより特徴付け、これは所望の生成物と一致する(
図1を参照)。生成物は、次の物理的特性を有することが確認される:
密度(g/mL):0.95466
粘度(25℃でのcP):492.5
屈折率(25℃):1.46766
表面張力(25℃でのcP):29.3mN/m
【0090】
実施例3:シトロネロールポリマー誘導体の多分散性の決定
シトロネロールポリマー誘導体のサンプルを計量し(例えば、10mL体積のフラスコに20~25mg)、溶媒(例えば、THF、不安定)でフラスコ体積まで希釈する。均一になるまで混合物をよく撹拌する。分析のために、定組成クロマトグラフィー条件を使用し、ポリマーピークを分離するクロマトグラフィーのパラメーターを下記に列挙する:
カラム:Agilent Oligopore GPC、6μm、3.5 mm×700 mm
希釈剤:THF、BHT阻害剤なし(不安定)
移動相:THF、BHT阻害剤なし(不安定)
流速:1.0mL/分
カラム温度:25±2℃
検出:220nm
注入体積:30μL
作動時間:25分
【0091】
計算:各ポリマー分子中に1個の二重結合が存在し、これは220nmの波長の光を吸収する唯一の官能基であるため、クロマトグラムから得られる面積%の値はモル%の値と等価である。従って、HPLCレポートデータのピーク値が計算に使用され、重量パーセント計算のための補正のみが必要である。
質量=(理論分子量)×(面積%)
質量%=(質量/合計質量)×100
Mn(数平均)=mAUの面積/分子量
Mw(重量平均)=(mAUの面積)×(分子量)
PDI(多分散性指数)=Mw/Mn
【0092】
HPLCクロマトグラムから、各ピークは、保持時間、%面積および分子量により特徴付けられ得る。質量および質量%は、これらの値から導かれ得る。その後、これらの数値から数平均分子量、重量平均分子量および多分散性を計算する。
【0093】
多様なシトロネロールポリマーおよびシトロネロールポリマー誘導体が、この方法に従って多分散性について試験される。あるポリマーについて、データは、シトロネロールポリマー誘導体組成物の主成分はダイマーであり、50重量パーセントの推定量で存在することを示す。残りの主成分は、テトラマー、ペンタマーおよびヘキサマーであり、これらの総量は50.36重量パーセントであると推定される。別のポリマーについて、データは、シトロネロールポリマー組成物の主成分はトリマーであり、約45~57重量パーセントの推定量で存在することを示す。残りの主成分は、テトラマー、ペンタマーおよびヘキサマーであり、これらの総量は42~46重量パーセントであり、残りはヘプタマーおよびオクタマーと推定される。
【国際調査報告】