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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-17
(54)【発明の名称】多機能ヒューズ
(51)【国際特許分類】
   H01H 85/048 20060101AFI20230310BHJP
   H01H 85/12 20060101ALI20230310BHJP
   H01H 85/143 20060101ALI20230310BHJP
【FI】
H01H85/048
H01H85/12
H01H85/143
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022543151
(86)(22)【出願日】2020-12-29
(85)【翻訳文提出日】2022-09-02
(86)【国際出願番号】 CN2020140513
(87)【国際公開番号】W WO2021143506
(87)【国際公開日】2021-07-22
(31)【優先権主張番号】202010043544.1
(32)【優先日】2020-01-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510177809
【氏名又は名称】ビーワイディー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100169904
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100221372
【弁理士】
【氏名又は名称】岡崎 信治
(72)【発明者】
【氏名】徐芸湘
(72)【発明者】
【氏名】李▲亜▼▲飛▼
(72)【発明者】
【氏名】▲鄭▼雷
(72)【発明者】
【氏名】林▲ 艶▼▲紅▼
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼亭
【テーマコード(参考)】
5G502
【Fターム(参考)】
5G502AA01
5G502BA02
5G502BB05
5G502BB16
5G502BC05
5G502BC13
5G502CC26
5G502FF08
(57)【要約】
本開示は、多機能ヒューズを提供する。前記多機能ヒューズは、可溶体、予備充電抵抗及び内側ハウジングを含む。前記内側ハウジングに収容キャビティが設けられる。前記可溶体は、前記収容キャビティに収容される。前記予備充電抵抗は、前記内側ハウジングの外側に巻設され、前記内側ハウジングに貼り付けられる。本開示の多機能ヒューズは、従来技術における高電圧回路において予備充電抵抗及びヒューズの体積が大きく、コストが高いという課題を解決する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可溶体、予備充電抵抗及び内側ハウジングを含み、
前記内側ハウジングに収容キャビティが設けられ、
前記可溶体は、前記収容キャビティに収容され、
前記予備充電抵抗は、前記内側ハウジングの外側に設けられ、かつ前記内側ハウジングに貼り付けられることを特徴とする多機能ヒューズ。
【請求項2】
外側ハウジングをさらに含み、
前記外側ハウジングは、前記内側ハウジングの外側に嵌設され、かつ前記内側ハウジングとの間に隙間が形成され、
前記予備充電抵抗は、前記隙間内に収容されることを特徴とする請求項1に記載の多機能ヒューズ。
【請求項3】
第1導電端子及び第2導電端子をさらに含み、
前記第1導電端子と前記第2導電端子は、それぞれ、前記内側ハウジングの両端に接続されて前記収容キャビティを密封することを特徴とする請求項1に記載の多機能ヒューズ。
【請求項4】
圧着端子をさらに含み、
前記外側ハウジングには、前記圧着端子が貫通する圧着孔が設けられ、
前記予備充電抵抗は、第1接続端部及び第2接続端部を含み、
前記第1接続端部は、前記第1導電端子に接続され、
前記第2接続端部は、前記圧着端子の一端に接続されることを特徴とする請求項2の記載の多機能ヒューズ。
【請求項5】
前記隙間内に第1充填物が充填されることを特徴とする請求項2に記載の多機能ヒューズ。
【請求項6】
前記第1導電端子は、第1接続部と、前記第1接続部に折り曲げられるように接続された第2接続部とを含み、
前記第1接続部は、前記第1導電端子が前記第1端部に位置する前記収容キャビティの開口部を覆うように、前記第1導電端子を前記内側ハウジングの第1端部に固定し、
前記第2接続部は、第1導体に接続され、
前記第2導電端子は、第3接続部と、前記第3接続部に折り曲げられるように接続された第4接続部とを含み、
前記第3接続部は、前記第2導電端子が前記第2端部に位置する前記収容キャビティの開口部を覆うように、前記第2導電端子を前記内側ハウジングの第2端部に固定し、
前記第4接続部は、第2導体に接続されることを特徴とする請求項3に記載の多機能ヒューズ。
【請求項7】
前記第2接続部には、前記第1導体に固定接続される第1取り付け溝が設けられ、
前記第4接続部には、前記第2導体に固定接続される第2取り付け溝が設けられ、
前記第1取り付け溝と前記第2取り付け溝との延伸方向は、垂直であることを特徴とする請求項6に記載の多機能ヒューズ。
【請求項8】
前記第2接続部には、前記第1導体に固定接続される第1貫通孔が設けられ、
前記第4接続部には、前記第2導体に固定接続される第2貫通孔が設けられることを特徴とする請求項6に記載の多機能ヒューズ。
【請求項9】
前記収容キャビティと前記可溶体との間に第2充填物が充填されることを特徴とする請求項1に記載の多機能ヒューズ。
【請求項10】
前記予備充電抵抗は、前記内側ハウジングに巻設される抵抗線であることを特徴とする請求項1~9のいずれか1項に記載の多機能ヒューズ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2020年1月15日に中国国家知識産権局に提出された、「多機能ヒューズ」と題する中国特許出願第202010043544.1号の優先権を主張するものであり、その全ての内容は参照により本願に組み込まれるものとする。
【0002】
本開示は、新エネルギー自動車の技術分野に関し、具体的には多機能ヒューズに関する。
【背景技術】
【0003】
新エネルギー自動車の分野において、電気自動車を充電する前に予備充電するために、高電圧回路に予備充電回路を予め設計する。予備充電回路において、予備充電抵抗は、車両全体の高電圧の給電の初期においてコンデンサなどの高電圧電気部品を徐々に充電する抵抗である。予備充電抵抗がなければ、高電圧が高電圧電気部品に直接的に印加されて充電電流が過大となるため、高電圧電気部品が損傷する。したがって、予備充電回路を設計する際に予備充電抵抗を設置して、高電圧回路の安全を確保する必要がある。
【0004】
電気自動車の実際の動作において、高電圧部分では共通の電源が採用され、各高電圧回路における電圧、電流及び電力が相互に影響する。各高電圧回路に高電圧故障が発生したときの互いの係わり合い作用を減少させるために、各高電圧回路と主回路に個別の電流ヒューズを設置することにより、各高電圧回路に短絡及び過電流故障が発生したとき、タイムリーに溶断させて該回路をオフにして、高電圧回路全体における他の電気部品を損傷することを回避する。従来の高電圧回路において、予備充電抵抗及びヒューズの体積が大きく、コストが高かった。
【発明の概要】
【0005】
これに鑑み、本開示は、従来技術における高電圧回路において予備充電抵抗及びヒューズの体積が大きく、コストが高くなるという課題を解決するために、多機能ヒューズを提供する。
【0006】
本開示は、多機能ヒューズを提供し、前記多機能ヒューズは、可溶体と、予備充電抵抗と内側ハウジングと、を含む。
前記内側ハウジングに収容キャビティが設けられる。前記可溶体は、前記収容キャビティに収容される。前記予備充電抵抗は、前記内側ハウジングの外側に巻設され、かつ前記内側ハウジングに貼り付けられる。
【0007】
一実施例では、前記多機能ヒューズは、外側ハウジングをさらに含む。前記外側ハウジングは、前記内側ハウジングの外側に嵌設され、かつ前記内側ハウジングとの間に隙間が形成される。前記予備充電抵抗は、前記隙間内に収容される。
【0008】
一実施例では、前記多機能ヒューズは、第1導電端子及び第2導電端子をさらに含む。前記第1導電端子と前記第2導電端子は、それぞれ、前記内側ハウジングの両端に接続されて前記収容キャビティを密封する。
【0009】
一実施例では、前記多機能ヒューズは、圧着端子をさらに含む。前記外側ハウジングには、前記圧着端子が貫通する圧着孔が設けられる。前記予備充電抵抗は、第1接続端部及び第2接続端部を含む。前記第1接続端部は、前記第1導電端子に接続され、前記第2接続端部は、前記圧着端子の一端に接続される。
【0010】
一実施例では、前記隙間内に第1充填物が充填される。
【0011】
一実施例では、前記第1導電端子は、第1接続部と、前記第1接続部に折り曲げられるように接続された第2接続部とを含む。前記第1接続部は、前記第1導電端子が前記第1端部に位置する前記収容キャビティの開口部を覆うように、前記第1導電端子を前記内側ハウジングの第1端部に固定する。前記第2接続部は、第1導体に接続される。
前記第2導電端子は、第3接続部と、前記第3接続部に折り曲げられるように接続された第4接続部とを含む。前記第3接続部は、前記第2導電端子が前記第2端部に位置する前記収容キャビティの開口部を覆うように、前記第2導電端子を前記内側ハウジングの第2端部に固定する。前記第4接続部は、第2導体に接続される。
【0012】
一実施例では、前記第2接続部には、前記第1導体に固定接続される第1取り付け溝が設けられ、前記第4接続部には、前記第2導体に固定接続される第2取り付け溝が設けられる。前記第1取り付け溝と前記第2取り付け溝との延伸方向は、垂直である。
【0013】
一実施例では、前記第2接続部には、前記第1導体に固定接続される第1貫通孔が設けられる。前記第4接続部には、前記第2導体に固定接続される第2貫通孔が設けられる。
【0014】
一実施例では、前記収容キャビティと前記可溶体との間に第2充填物が充填される。
【0015】
一実施例では、前記予備充電抵抗は、前記内側ハウジングに巻設される抵抗線である。
【0016】
本開示の多機能ヒューズでは、予備充電抵抗と可溶体が一体に統合されている。これにより、予備充電回路が動作する際、予備充電抵抗は、まず通電して動作して予備充電回路の抵抗を向上させて、予備充電回路の予備充電電流を減少させることで、予備充電回路の安全を保証している。従って、高電圧回路がオンにされたときに、高電圧回路を流れる電流が安全電流の閾値範囲内にあることを保証することができる。加えて、予備充電回路がオフにされ、高電圧回路がオンにされたとき、予備充電抵抗がオフにされ可溶体が通電して動作する。従って、高電圧回路に瞬時大電流が発生すると、可溶体自体が発熱して溶断し、その溶断保護の性能を実現して、高電圧回路の短絡及び過電流保護を実現する。これにより、多機能ヒューズは、予備充電抵抗と電流ヒューズをそれぞれ設置することで車両全体の内部の大きなスペースを占用するという問題を効果的に回避して、予備充電抵抗と電流ヒューズの性能を変更することなく、予備充電抵抗と電流ヒューズとを1つの多機能ヒューズに統合することができる。一方では、多機能ヒューズは、予備充電保護機能を備えるだけでなく、過電流、短絡保護機能を備え、多機能ヒューズの使用性能を多様化することに役立つ。他方では、統合設置により、生産コストが減少し、生産効率が向上する。加えて、体積を大幅に縮小し、重量を低減しているので、車両全体の内部スペースのコンパクトなレイアウトに適応することに役立ち、柔軟性が高く、応用範囲が広い。
【0017】
本開示の実施例又は従来技術における技術手段をより明確に説明するために、以下、実施例又は従来技術の説明に必要な図面を簡単に説明し、明らかに、以下に説明される図面は、本開示のいくつかの実施例にすぎず、当業者であれば、創造的な労働をすることなく、これらの図面に基づいて他の図面を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本開示の実施例に係る多機能ヒューズの概略構成図である。
図2図1に示される多機能ヒューズの分解図である。
図3図1に示される多機能ヒューズの内側ハウジング、第1導電端子及び第2導電端子の組み立て概略図である。
図4図3に示される内側ハウジングの概略構成図である。
図5図1に示される多機能ヒューズの可溶体の概略構成図である。
図6図1に示される多機能ヒューズの一部の概略構成図である。
図7図1に示される多機能ヒューズの予備充電抵抗の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本開示の実施例における図面を参照しながら、本開示の実施例における技術手段を明確かつ完全に説明する。明らかに、説明される実施例は、本開示の実施例の一部にすぎず、全ての実施例ではない。本開示における実施例に基づいて、当業者が創造的な労力を要しない前提で取得する他の全ての実施例は、いずれも本開示の保護範囲に属するものである。
【0020】
新エネルギー自動車の分野において、高電圧システムの高電圧電気製品は大きな高電圧コンデンサを有する。高電圧電池パックが高電圧電気製品に電力を直接供給すると、高電圧コンデンサには電荷がないか又は少ない電荷しかないため、メインリレーが高電圧コンデンサに直接接続され、高電圧電池パックの高電圧が高電圧コンデンサに直接的に印加され、これは瞬間的に短絡することに相当し、過大な短絡電流により高電圧電気製品の損傷を引き起こす可能性がある。したがって、高電圧回路を設計する際に、高電圧電気製品の高電圧コンデンサを予備充電するために予備充電回路を設計して、高電圧回路の安全使用を確保する必要がある。予備充電回路において、予備充電抵抗は、高電圧コンデンサを緩やかに充電するために必要な電気部品である。
【0021】
一方、予備充電回路をオフにした後、高電圧電池パックは高電圧回路における各高電圧閉路に電力を供給する。各高電圧閉路には高電圧電気製品が設けられるため、各高電圧閉路における電圧、電流及び電力が互いに影響する。各高電圧閉路に高電圧故障が発生したときの互いの係わり合い作用を減少させるために、各高電圧閉路に個別の電流ヒューズを設置することにより、各高電圧閉路に短絡及び過電流故障が発生したとき、タイムリーに溶断させて該閉路をオフにして、高電圧回路全体における他の高電圧閉路を損傷することを回避する。従来の高電圧回路において、予備充電抵抗及びヒューズは、体積が大きく、コストが高い。
【0022】
これに鑑み、図1を参照し、本開示は、多機能ヒューズ100を提供する。多機能ヒューズ100は、高電圧回路に接続され、予備充電保護の機能を実現する一方、短絡及び過電流保護の機能を実現する。
【0023】
なお、高電圧回路は、複数の互いに並列接続された高電圧閉路を有する。各高電圧閉路は、実際に、1つの高電圧電気製品に対する電池の給電閉路である。高電圧電気製品は、高電圧コンデンサを有する。高電圧電気製品に給電する際、まず高電圧コンデンサを充電して、大電流が高電圧コンデンサに直接的に突入して高電圧電気製品を損傷する状況を回避する必要がある。言い換えれば、高電圧コンデンサを充電するために予備充電閉路を設計する必要がある。予備充電閉路が高電圧コンデンサを充電する原理は、予備充電閉路に予備充電抵抗及び予備充電リレーを追加して、高電圧コンデンサの充電電流を制御することである。電池の電圧U1、予備充電抵抗の抵抗値Rは事前に知ることができるものである。給電の際、まず、予備充電リレーを閉じ、予備充電閉路を動作させる。高電圧コンデンサの電圧U2が大きくなるにつれて、予備充電電流Ip=(U1-U2)/Rは小さくなる。電池の電圧U1に近づくと、すなわち電圧の変化量ΔU=U1-U2が所定の閾値未満になると、予備充電リレーをオフにし、メインリレーをオンにして高電圧閉路に給電することにより、メインリレーを閉じたときに高電圧閉路に大電流が突入されて高電圧電気製品を損傷する状況の発生を効果的に回避し、高電圧電気製品の電気安全を保証する。
【0024】
予備充電閉路をオフにした後、電池は、高電圧回路における各高電圧閉路に給電する。各高電圧閉路における電圧、電流及び電力が互いに影響するため、各高電圧閉路に高電圧故障が発生したときの互いの係わり合いを減少させるために、各高電圧閉路に個別の電流ヒューズを設置することにより、各高電圧閉路に短絡及び過電流故障が発生したとき、該電流ヒューズをタイムリーに溶断させて該閉路をオフにして、高電圧回路全体における他の高電圧閉路を損傷することを回避する。
【0025】
例えば、高電圧電気製品は、DC-DCコンバータ(Direct current-Direct current converter、直流-直流コンバータ)、車載充電器(On-borad Charger、OBC)、エアコン圧縮機(Positive Temperature Coefficient)、モータコントローラ(Motor Control Unit、MCU)、高電圧配電ボックス(Power Distributor Unit、PDU)、オイルポンプ、水ポンプなどの電気製品であってもよい。高電圧電気製品は、高電圧閉路及び予備充電閉路に設置される。言い換えれば、予備充電閉路がオンにされたとき、電池は、高電圧電気製品の高電圧コンデンサを充電して、高電圧コンデンサの電圧を調整することにより高電圧電気製品に流れる電流を調整する。それにより、予備充電が完了した後に、予備充電閉路がオフにされ、高電圧閉路がオンにされる。電池が高電圧電気製品に給電する際、高電圧電気製品に流れる電流は安全な電流であり、高電圧電気製品が大電流の突入により損傷されることがないことを効果的に保証する。
【0026】
図1及び図2を合わせて参照し、本開示の実施例では、多機能ヒューズ100は、可溶体10、予備充電抵抗20及び内側ハウジング30を含む。内側ハウジングに収容キャビティ31が設けられる。可溶体10は、収容キャビティ31に収容される。予備充電抵抗20は、内側ハウジングの外側に設けられ、かつ内側ハウジング30に貼り付けられる。
【0027】
理解できるように、予備充電抵抗20は、高電圧回路の予備充電閉路に直列接続され、予備充電回路がオンにされたときに通電して動作することにより、予備充電閉路の抵抗値を向上させる。可溶体10は、高電圧回路の高電圧閉路に直列接続され、予備充電閉路がオフにされた後に通電して動作することにより、高電圧閉路の短絡及び過電流保護を実現する。また、多機能ヒューズ100の予備充電抵抗20は、上記予備充電閉路の予備充電抵抗である。すなわち、予備充電抵抗20と予備充電リレーとは、高電圧回路の予備充電閉路において直列接続されて、高電圧電気製品への予備充電保護を実現する。多機能ヒューズ100の可溶体10は、高電圧閉路の電流ヒューズの溶断保護機能を実現することができる。すなわち、可溶体10は、高電圧閉路の電流ヒューズのコア部品であり、高電圧閉路において直列接続されて、高電圧電気製品の過電流及び短絡保護を実現する。
【0028】
予備充電抵抗20と可溶体10を一体に統合されている。これにより、予備充電閉路が動作する際、予備充電抵抗20が、まず通電して動作して予備充電閉路の抵抗を向上させ、予備充電閉路の予備充電電流を減少させることで、予備充電閉路の安全を保証する。従って、高電圧閉路がオンにされたとき、高電圧閉路を流れる電流が安全な電流の閾値範囲内にあることを保証することができる。また、予備充電閉路がオフにされ、高電圧閉路がオンにされたとき、予備充電抵抗20がオフにされ、可溶体10が通電して動作する。従って、高電圧閉路に瞬時大電流が発生すると、可溶体10自体が発熱して溶断し、その溶断保護の性能を実現することで、高電圧閉路の短絡及び過電流保護を実現する。これにより、多機能ヒューズ100は、予備充電抵抗と電流ヒューズをそれぞれ設置することで車両全体の内部の大きなスペースを占用するという問題を効果的に回避し、予備充電抵抗と電流ヒューズの性能を変更することなく1つの多機能ヒューズ100に予備充電抵抗と電流ヒューズとを統合することができる。一方では、多機能ヒューズ100は、予備充電保護機能を備えるだけでなく、過電流、短絡保護機能を備え、多機能ヒューズ100の使用性能を多様化することに役立つ。他方では、統合設置により、生産コストが減少し、生産効率が向上する。加えて、体積が大幅に縮小し、重量が低減されているので、車両全体の内部スペースのコンパクトなレイアウトに適応することに役立ち、柔軟性が高く、応用範囲が広い。
【0029】
なお、予備充電閉路の予備充電完了の判断条件を実際の状況に応じて設計することができる。本開示では、これについて具体的に限定しない。例えば、予備充電が完了したか否かの判断条件は、電池電圧の90%に達したか否かであってもよい。電池電圧の90%に達すると、予備充電が完了したと判断する。この時、予備充電閉路をオフにし、すなわち、予備充電抵抗20の電源を切る動作が行われる。
【0030】
ある可能な実施形態では、多機能ヒューズ100は、外側ハウジング40をさらに含む。外側ハウジング40は、内側ハウジング30の外側に嵌設され、内側ハウジング30との間に隙間が形成される。予備充電抵抗20は、隙間内に収容される。当然のことながら、他の実施形態では、外側ハウジング40は、内側ハウジング30の外側に塗布され、予備充電抵抗20を覆うことにより形成されてもよく、すなわち外側ハウジングと内側ハウジングとの間に隙間が存在しない。
【0031】
図2及び図3を合わせて参照し、ある可能な実施形態では、多機能ヒューズ100は、第1導電端子33及び第2導電端子34をさらに含む。内側ハウジング30は、対向して設置された第1端部301及び第1端部302を含む。第1導電端子33と第2導電端子34は、それぞれ、内側ハウジング30の第1端部301と第2端部302に接続され、マッチング(matching)により収容キャビティ31を密封する。可溶体10の対向した両端は、それぞれ、第1導電端子33と第2導電端子34に接続される。
【0032】
図4を参照し、ある可能な実施形態では、内側ハウジング30は、直方体であり、第1端部301及び第2端部302のそれぞれに開口部が設けられる。すなわち、内側ハウジング30により形成された収容キャビティ31は、外部環境と貫通可能な構造であるため、内側ハウジング30は外部環境と貫通可能なキャビティ構造である。内側ハウジング30は、熱伝導性能を有する絶縁材料で製造される。絶縁材料で製造された内側ハウジング30は、高い耐圧、熱伝導及び耐熱性能を有し、内側ハウジング30内に収容された可溶体10の熱量を外部環境に迅速に放散することができる。これは、可溶体10の動作時の安定性を向上させることに役立つ。例えば、内側ハウジング30の材料は、セラミック、耐火プラスチックなどであってもよい。当業者であれば、絶縁材料であること及び高い耐圧及び熱伝導性能を有することを満たす限り、実際の状況に応じて内側ハウジング30の材料を選択してもよい。本開示ではこれについて具体的に制限しない。
【0033】
図5を参照し、内側ハウジング30の収容キャビティ31に収容された可溶体10は、多機能ヒューズ100の溶断機能を実現する主な動作部品である。可溶体10は、相対融点が低く、特性が安定し、溶断しやすいという特徴を有する。可溶体10は、高電圧閉路において直列接続された特殊な導線に相当する。高電圧閉路に短絡又は過電流が発生すると、高電圧閉路内に流れる電流が過大となり、可溶体10が過熱により融解し、それにより高電圧閉路をオフにする。可溶体10は、鉛スズ合金、銀メッキ銅板、亜鉛、銀などの金属材料で製造されてもよく、糸状、グリッド状又は板状を呈してもよい。本開示の実施例では、可溶体10は、複数のネックを有する板状である。当然のことながら、他の実施例では、可溶体10は、他の形状であってもよく、ここでは制限しない。
【0034】
多機能ヒューズ100の溶断保護機能が可溶体10を高電圧閉路において直列接続することにより実現される。従って、本開示の実施例では、第1導電端子33が内側ハウジング30の第1端部301に設けられることにより、収容キャビティ31に収容された可溶体10の一端が、第1導電端子33に接続することができる。第2導電端子34が内側ハウジング30の第2端部302に設けられることにより、収容キャビティ31に収容された可溶体10の他端が、第2導電端子34に接続することができる。さらに、可溶体10の両端は、第1導電端子33と第2導電端子34にそれぞれ接続することができる。また、第1導電端子33及び第2導電端子34が、抵抗率が低く、熱伝導性が高く、一定の強度を有する導電材料で製造されるため、第1導電端子33及び第2導電端子34は、実際に金属導体と見なすことができ、さらに、可溶体10は、金属導体を利用して高電圧閉路において直列接続することができる。過負荷又は短絡電流が可溶体10を流れると、可溶体10は、自己発熱を引き起こして溶断し、高電圧閉路をオフにすることにより、構造が簡単であり、使用しやすく、応用範囲が広い。理解できるように、第1導電端子33及び第2導電端子34の形状及び寸法は、いずれも実際の取り付け要件に応じて調整することができる。
【0035】
なお、可溶体10と第1導電端子33及び第2導電端子34との接続は、電気的接続及び物理的接続であることにより、電流を導通し締結力を向上させるという二重作用を実現し、可溶体10が外れることがなく高い取り付け安定性及び導電性能を有することを保証し、後続に大電流が流れる際に溶断保護機能をスムーズに実現するために十分な準備を整えることができ、高電圧閉路の安全性及び信頼性を向上させることに役立つ。
【0036】
図3及び図6を合わせて参照し、第1導電端子33は、第1接続部331と、第1接続部331に折り曲げられるように接続された第2接続部332とを含む。第1接続部331は、第1導電端子33が第1端部301に位置する収容キャビティ31の開口部を覆うように、第1導電端子33を内側ハウジング30の第1端部301に固定し、第2接続部332は、第1導体(図示せず)に接続される。
【0037】
具体的には、第1接続部331は、内側ハウジング30の第1端部301の形状に合わせた構造であることにより、内側ハウジング30の第1端部301と位置合わせされて内側ハウジング30の第1端部301をパッケージすることができる。また、内側ハウジング30の第1端部301に設けられた開口部の寸法(長さ*幅)が第1接続部331の寸法(長さ*幅)未満であることにより、内側ハウジング30の第1端部301の端面は、第1接続部331を取り付けるために適切な取り付け面積を提供し、第1接続部331が内側ハウジング30の第1端部301と十分な接触面積を有して内側ハウジング30の第1端部301に迅速にかつ安定的に固定されることを保証することができる。本開示の実施例では、第1接続部331は、ネジにより内側ハウジング30の第1端部301に固定され、ネジの接続方式により第1導電端子33が内側ハウジング30の第1端部301に取り外し可能に接続されるため、内側ハウジング30の収容キャビティ31の可溶体10が溶断すると、第1導電端子33の着脱により可溶体10を取り換えることができる。また、第1導電端子33が失効したとき、タイムリーに取り換えることにより、多機能ヒューズ100の安定性及び信頼性を保証することができ、柔軟性が高く、応用範囲が広い。当然のことながら、他の実施例では、第1接続部331は、内側ハウジング30の第1端部301をパッケージすることができ、高い固定効果を有していれば、他の方式によって内側ハウジング30の第1端部301に固定されてもよい。本開示はこれについて具体的に制限しない。
【0038】
第1導電端子33を高電圧閉路における他の電気部品に接続しやすくするために、第2接続部332を設置して、第1導電端子33と他の電気部品との接続のための取り付けマージンを提供する。第2接続部332が第1接続部331に対して折り曲げられるように設置され、車両全体の内部スペースのコンパクトなレイアウトに適応することができることにより、第1導電端子33の取り付け安定性及び信頼性をさらに向上させる。本開示の実施例では、第2接続部332と第1接続部331は、直角に折り曲げられる。当然のことながら、他の実施例では、第2接続部332と第1接続部331は、円弧状に折り曲げられ、又は他の幾何学的形状に折り曲げられ、又は複数種の幾何学的形状に複合折り曲げられてもよい。本開示はこれについて具体的に制限しない。
【0039】
さらに、第2接続部332には、第1導体に固定接続される第1取り付け溝333が設けられる。本開示の実施例では、第1取り付け溝333は、U字形溝であり、第1取り付け溝333の溝口が第2接続部332の一辺の縁部を貫通することにより、第1取り付け溝333は第1導体に固定接続されやすい。例えば、第1導体は、高電圧閉路における導電銅バスバーであってもよく、又は高電圧閉路における他の電気部品であってもよい。固定接続の方式は、係合接続であってもよく、又はネジ接続であってもよく、当業者であれば、実際の必要に応じて設計することができる。本開示はこれについて具体的に制限しない。
【0040】
図3及び図6を引き続き参照し、第2導電端子34は、第3接続部341と、第3接続部341に折り曲げられるように接続された第4接続部342とを含む。第3接続部341は、第2導電端子34が第2端部302に位置する収容キャビティ31の開口部を覆うように、第2導電端子34を内側ハウジング30の第2端部302に固定する。第4接続部342は、第2導体に接続される。
【0041】
第3接続部341は、内側ハウジング30の第2端部302の形状に合わせた構造であることにより、内側ハウジング30の第2端部302と位置合わせされて内側ハウジング30の第2端部302をパッケージすることができる。また、内側ハウジング30の第2端部302に設けられた開口部の寸法(長さ*幅)が第3接続部341の寸法(長さ*幅)未満であることにより、内側ハウジング30の第2端部302の端面は、第3接続部341を取り付けるために適切な取り付け面積を提供し、第3接続部341が内側ハウジング30の第2端部302と十分な接触面積を有して内側ハウジング30の第2端部302に迅速にかつ安定的に固定されることを保証することができる。本開示の実施例では、第3接続部341は、ネジにより内側ハウジング30の第2端部302に固定され、ネジの接続方式により第1導電端子33が内側ハウジング30の第2端部302に取り外し可能に接続されるため、内側ハウジング30の収容キャビティ31の可溶体10が溶断すると、第1導電端子33の着脱により可溶体10を取り換えることができる。また、第1導電端子33が失効したとき、タイムリーに取り換えることにより、多機能ヒューズ100の安定性及び信頼性を保証することができ、柔軟性が高く、応用範囲が広い。当然のことながら、他の実施例では、第3接続部341は、内側ハウジング30の第2端部302をパッケージすることができ、高い固定効果を有していれば、他の方式によって内側ハウジング30の第2端部302に固定されてもよい。本開示はこれについて具体的に制限しない。
【0042】
第2導電端子34を高電圧回路における他の電気部品に接続しやすくするために、第4接続部342を設置して、第2導電端子34と他の電気部品との接続のための取り付けマージンを提供する。第4接続部342が第3接続部341に対して折り曲げられるように設置され、車両全体の内部スペースのコンパクトなレイアウトに適応することができることにより、第2導電端子34の取り付け安定性及び信頼性をさらに向上させる。本開示の実施例では、第4接続部342と第3接続部341は直角に折り曲げられる。当然のことながら、他の実施例では、第4接続部342と第3接続部341は円弧状に折り曲げられ、又は他の幾何学的形状に折り曲げられ、又は複数種の幾何学的形状に複合折り曲げられてもよい。本開示はこれについて具体的に制限しない。
【0043】
ある可能な実施形態では、第4接続部342には、第2導体に固定接続される第2取り付け溝343が設けられる。本開示の実施例では、第2取り付け溝343は、U字形溝であり、第2取り付け溝343の溝口が第4接続部342の一辺の縁部を貫通することにより、第2取り付け溝343は第2導体に固定接続されやすい。例えば、第2導体は、高電圧閉路における導電銅バスバーであってもよく、又は高電圧閉路における他の電気部品であってもよい。固定接続の方式は、係合接続であってもよく、又はネジ接続であってもよく、当業者であれば、実際の必要に応じて設計することができる。本開示はこれについて具体的に制限しない。
【0044】
さらに、第2接続部332と第4接続部342との折り曲げ方向は、逆である。具体的には、第2接続部332と第4接続部342がそれぞれ同一の基準方向(X方向又はY方向)において正方向と負方向に背向して延伸することにより、対向して延伸して互いに干渉する状況の発生を回避するために高さ方向(Z方向)において第1接続部331及び第3接続部341のマージンを予め設定する必要があることによる、生産コスト及び占用されたスペースの大きさが増加し、生産コスト及び取り付け難度が増加するという問題を大幅に回避することができる。
【0045】
さらに、第1取り付け溝333と第2取り付け溝343との延伸方向は、垂直である。言い換えれば、第1取り付け溝333の溝口の方向が第2取り付け溝343の溝口の方向と異なるため、第1導電端子33及び第2導電端子34が左右の取り付け公差が大きすぎることによる往復移動を効果的に防止し、取り付けの安定性及び信頼性を向上させることができる。
【0046】
当然のことながら、他の実施例では、第2接続部332には、第1導体に固定接続される第1貫通孔が設けられてもよく、第4接続部342には、第2導体に固定接続される第2貫通孔が設けられてもよい。第1貫通孔及び第2貫通孔は、いずれも円形の貫通孔であり、円形の貫通孔を設置して第1導体及び第2導体に固定接続して、高い取り外し可能性能及び安定性を有する。
【0047】
本開示の実施例では、第1導電端子33と第2導電端子34をそれぞれ内側ハウジング30の第1端部301と第2端部302に固定し、第1導電端子と第2導電端子が内側ハウジング30の収容キャビティ31をマッチング(matching)により密封することにより、多機能ヒューズ100の内側ハウジング構造を形成することができることにより、収容キャビティ31の可溶体10は、高い密封性能を備え、外部環境の干渉により故障することがない。また、理解できるように、内側ハウジング30、第1導電端子33、第2導電端子34及び内側ハウジング30の内部の可溶体10は、共に多機能ヒューズ100のヒューズを構成し、ヒューズを高電圧閉路において直列接続することにより、多機能ヒューズ100の溶断保護機能を実現する。具体的には、高電圧閉路が導通したとき、高電圧閉路の正常な動作電流の作用で、電流が「第1導電端子33-可溶体10-第2導電端子34」の電流経路により多機能ヒューズ100を流れることにより、可溶体10が正常に動作して溶断することがなく、回路に瞬時大電流が発生したとき、可溶体10自体が発熱して短時間で溶断して、回路を迅速にオフにして高電圧電気製品の安全を保護する。
【0048】
なお、可溶体10の仕様は、閉路の定格電圧及び定格電流に基づいて選択でき、多機能ヒューズ100のヒューズの部分の定格電圧が高電圧閉路における発生可能な最高電圧、すなわち電池の満充電電圧より高いことを規定することにより、溶断保護機能をスムーズに、安全に実現することを保証する。
【0049】
図2及び図7を合わせて参照し、多機能ヒューズ100は、圧着端子50をさらに含む。外側ハウジング40には、圧着端子50が貫通する圧着孔41が設けられる。予備充電抵抗20は、第1接続端部21及び第2接続端部22を含む。第1接続端部21は、第1導電端子33に接続され、第2接続端部22は、圧着端子50の一端に接続され、圧着端子50の他端は、予備充電回路の予備充電リレーに接続されるように、圧着孔41を貫通して外側ハウジング40から延在する。
【0050】
具体的には、外側ハウジング40は、両端が開口した中空の直方体構造であり、熱伝導性能を有する絶縁材料で製造される。絶縁材料で製造された外側ハウジング40は、高い耐圧、熱伝導及び耐熱性能を有し、外側ハウジング40と内側ハウジング30との間の予備充電抵抗20の熱量を外部環境に迅速に放散することができ、予備充電抵抗20の動作時の安定性を向上させることに役立つ。例えば、外側ハウジング40の材料は、セラミック、耐火プラスチックなどであってもよい。当業者であれば、絶縁材料であること及び高い耐圧及び熱伝導性能を有することを満たせば、実際の状況に応じて外側ハウジング40の材料を選択してもよい。本開示はこれについて具体的に制限しない。
【0051】
外側ハウジング40の両端の開口部の大きさ及び形状が、それぞれ、第1導電端子33の第1接続部331と第2導電端子34の第3接続部341の大きさ及び形状に適合することにより、第1導電端子33及び第2導電端子34は、外側ハウジング40の外側に位置して外側ハウジング40をパッケージし、外観の完全性及び外側ハウジング40の密封性能を向上させる。言い換えれば、第1導電端子33及び第2導電端子34は、内側ハウジング30の収容キャビティ31を密封する機能を有するだけでなく、外側ハウジング40をパッケージする機能を有する。このような設計は、第1導電端子33及び第2導電端子34の使用性能を多様化し、多機能ヒューズ100の外観の平坦度及び美観度を保証することができ、視覚効果を向上させることに役立ち、応用範囲が広い。
【0052】
また、外側ハウジング40の寸法が内側ハウジング30の寸法より僅かに大きいことにより、外側ハウジング40を内側ハウジング30の外側にスムーズに嵌設することができる。また、外側ハウジング40と内側ハウジング30との間に隙間を形成でき、当該隙間に予備充電抵抗20を収容することができる。ある可能な実施形態では、予備充電抵抗20は、内側ハウジング30に巻設される抵抗線である。すなわち、予備充電抵抗20は、多重巻の構造を呈して内側ハウジング30の外周壁に周設される。外側ハウジング40の内側キャビティ壁は、予備充電抵抗20を覆う。本開示の実施例では、抵抗線は、1本であり、外側ハウジング40の外周壁に沿ってくるくると外周壁に巻き付けられて設置され、外側ハウジング40の内側キャビティ壁に密着する。さらに、任意の隣接する2つのリングの抵抗線の間に隙間を有し、近すぎることによる干渉を回避する。加えて、隙間、すなわち、内側ハウジング30と、外側ハウジング40と予備充電抵抗20の周囲に第1充填物(図示せず)が充填され、隙間は、第1充填物の充填に充填スペースを提供することができる。
【0053】
具体的には、予備充電抵抗20は、第1充填物で囲まれる。一方では、内側ハウジング30と外側ハウジング40との間のガス隙間を効果的に減少させることができ、他方では、第1充填物は、効果的な熱伝達を提供することにより、予備充電抵抗20の熱量を放散することができ、多機能ヒューズ100の放熱性能を向上させる。例えば、第1充填物は、石英砂であってもよい。
【0054】
本開示の実施例では、第1導電端子33に位置する予備充電抵抗20の一端は、第1接続端部21であり、第1接続端部21は第1導電端子33に接続される。理解できるように、第1接続端部21と第1導電端子33との接続は、電気的接続及び物理的接続であることにより、電流を導通し締結力を向上させるという二重作用を実現し、予備充電抵抗20が外れることがなく高い取り付け安定性及び導電性能を有することを保証し、後に予備充電回路にオンにされたとき、予備充電抵抗20が第1導電端子33の導流作用により予備充電機能を実現することができ、予備充電回路の安全性及び信頼性を向上させることに役立つ。
【0055】
第2導電端子34に位置する予備充電抵抗20の一端は、第2接続端部22である。第2接続端部22は、圧着端子50の一端に接続され、圧着端子50の他端は、予備充電閉路の予備充電リレーに接続されるように、圧着孔41を貫通して外側ハウジング40の外側へ延在する。言い換えれば、予備充電抵抗20を予備充電閉路に直列接続するために圧着端子が予備充電リレーに接続されるよう、圧着端子50は、外側ハウジング40から露出させる必要がある。一方、第2接続端部22と圧着端子50との接続は、電気的接続及び物理的接続であることにより、電流を導通し締結力を向上させるという二重作用を実現し、予備充電抵抗20が外れることがなく高い取り付け安定性及び導電性能を有することを保証し、後に予備充電回路にオンにされたとき、予備充電抵抗20が圧着端子50の導流作用により予備充電機能を実現することができ、予備充電回路の安全性及び信頼性を向上させることに役立つ。
【0056】
理解できるように、給電初期に電池が高電圧コンデンサを充電する。制限されず、充電電流が大きすぎると、メインリレー、整流素子及び充電対象の高電圧コンデンサなどに大きな衝撃を与える。従って、予備充電抵抗20を用いて電流を制限する。ここで使用される予備充電抵抗20は、上記予備充電抵抗である。予備充電抵抗20を追加した後、予備充電閉路によりまず高電圧コンデンサを予備充電する。このようにして、高電圧閉路がオンにしたときに、電流が安全な範囲内で制御され、高電圧電気製品の正常な動作を確保することができる。
【0057】
予備充電閉路が導通すると、内側ハウジング30は、予備充電抵抗20を放熱する。内側ハウジング30の体積は、予備充電抵抗を単独で設置する場合の放熱部品の体積より大きいため、予備充電抵抗20の放熱面積を増加させ、予備充電抵抗20の放熱性能を向上させる。これは、予備充電抵抗20の熱量をよりよく放散することに役立つ。また、内側ハウジング30の体積が増大するため、内側ハウジングに周設された予備充電抵抗20の長さ及びリングの数が増加し、電力が増大することにより、予備充電抵抗20が耐えられる電圧がさらに増大し、予備充電抵抗20の使用効果をさらに向上させる。
【0058】
これにより、内側ハウジング30は、可溶体10をパッケージする機能を有し、予備充電抵抗20を放熱する機能をさらに有することにより、可溶体10及び予備充電抵抗20は、ともに、使用中に内側ハウジング30を使用することができる。すなわち、それぞれの機能を実現するために必要な部品として内側ハウジング30を共用できる。これは、内側ハウジング30の使用性能を多様化し、その応用範囲の広さを向上させ、生産コストを減少させ、生産効率を向上させることに役立つ。
【0059】
理解できるように、内側ハウジング30、外側ハウジング40、圧着端子50、予備充電抵抗20及び第1導電端子33は、共に多機能ヒューズ100の予備充電抵抗を構成し、予備充電抵抗が予備充電閉路に直列接続されることにより、多機能ヒューズ100の過電流、短絡保護機能を実現する。具体的には、給電初期において、予備充電閉路が導通し、予備充電閉路の通常の動作電流の作用で、電流が「第1導電端子33-予備充電抵抗20-圧着端子50」の電流経路により多機能ヒューズ100を流れることにより、予備充電抵抗20が通常どおり動作して予備充電閉路の電流を制限できる。予備充電が完了した後、予備充電抵抗20の電源を切り、すなわち、予備充電閉路をオフにして、通常の給電過程を行う。
【0060】
本開示の実施例では、予備充電閉路が導通すると、電流が「第1導電端子33-予備充電抵抗20-圧着端子50」の電流経路により多機能ヒューズ100を流れる。予備充電閉路がオフにされ、高電圧閉路が導通すると、電流が「第1導電端子33-可溶体10-第2導電端子34」の電流経路により多機能ヒューズ100を流れる。理解できるように、第1導電端子33は、予備充電抵抗20及び可溶体10の通電動作時に使用され、すなわち、予備充電抵抗20及び可溶体10は、それぞれの機能を実現するために必要な部品として第1導電端子33を共用する。これは、第1導電端子33の使用性能を多様化し、その応用範囲の広さを向上させ、生産コストを減少させ、生産効率を向上させることに役立つ。
【0061】
さらに、本開示の実施例では、収容キャビティ31と可溶体10との間に第2充填物(図示せず)が充填される。言い換えれば、可溶体10は、第2充填物により囲まれる。第2充填物は、よい安定した物理的及び化学的特性を有する。第2充填物により熱伝達を効果的に提供することができることにより、高電圧閉路が過電流でオフにされたときに、第2充填物はアークエネルギーを吸収して、多機能ヒューズ100のアーク消去能力を向上させることができる。
【0062】
理解できるように、予備充電抵抗20及び可溶体10の2種類の動作状態は、並行ではなく、順次行われる。例えば、車両全体が給電条件に適合する場合、まず予備充電リレーが閉じられる。この場合、予備充電抵抗20が通電して動作し、予備充電抵抗20により車両全体の高電圧電気製品の高電圧コンデンサが予備充電される。高電圧コンデンサの電圧値が予定した電圧、例えば、電池電圧の90%よりも大きくなると、予備充電リレーをオフにし、メインリレーを閉じる。このとき、予備充電抵抗20の電源が切られ、可溶体10が通電して動作し、可溶体10により高電圧閉路に対して過電流及び短絡保護を行う。
【0063】
本開示の多機能ヒューズ100は、予備充電抵抗20と可溶体10を一体に統合している。これにより、予備充電閉路が動作する際、予備充電抵抗20がまず通電して動作して予備充電閉路の抵抗を向上させ、予備充電閉路の予備充電電流を減少させて、予備充電閉路の安全を保証する。従って、高電圧閉路がオンにされたとき、高電圧閉路を流れる電流が安全電流の閾値範囲内にあることを保証することができる。また、予備充電閉路がオフにされ、高電圧閉路がオンにされたとき、予備充電抵抗20がオフにされ、可溶体10が通電して動作する。従って、高電圧閉路に瞬時大電流が発生すると、可溶体10自体が発熱して溶断し、その溶断保護の性能を実現し、高電圧閉路の短絡及び過電流保護を実現する。これにより、多機能ヒューズ100は、予備充電抵抗と電流ヒューズをそれぞれ設置することで車両全体の内部の大きなスペースを占用するという問題を効果的に回避し、予備充電抵抗と電流ヒューズの性能を変更することなく予備充電抵抗と電流ヒューズとを1つの多機能ヒューズ100に統合することができる。一方では、多機能ヒューズ100は、予備充電保護機能を備えるだけでなく、過電流、短絡保護機能を備え、多機能ヒューズ100の使用性能を多様化することに役立つ。他方では、統合設置により、生産コストが減少し、生産効率が向上する。加えて、体積が大幅に縮小され、重量が低減されるため、車両全体の内部スペースのコンパクトなレイアウトに適応することに役立ち、柔軟性が高く、応用範囲が広い。
【0064】
以上、本開示の実施例について詳細に説明し、本明細書において具体例を用いて本開示の原理及び実施形態を解説したが、以上の実施例の説明は、本開示の方法及びその主旨の理解を助けるためのものにすぎず、また、当業者であれば、本開示の思想に照らし、具体的な実施形態及び応用範囲を変更することが可能であり、要するに、本明細書の内容は、本開示を制限するものと理解すべきではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2022-09-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可溶体、予備充電抵抗及び内側ハウジングを含み、
前記内側ハウジングに収容キャビティが設けられ、
前記可溶体は、前記収容キャビティに収容され、
前記予備充電抵抗は、前記内側ハウジングの外側に設けられ、かつ前記内側ハウジングに貼り付けられることを特徴とする多機能ヒューズ。
【請求項2】
外側ハウジングをさらに含み、
前記外側ハウジングは、前記内側ハウジングの外側に嵌設され、かつ前記内側ハウジングとの間に隙間が形成され、
前記予備充電抵抗は、前記隙間内に収容されることを特徴とする請求項1に記載の多機能ヒューズ。
【請求項3】
第1導電端子及び第2導電端子をさらに含み、
前記第1導電端子と前記第2導電端子は、それぞれ、前記内側ハウジングの両端に接続されて前記収容キャビティを密封することを特徴とする請求項に記載の多機能ヒューズ。
【請求項4】
圧着端子をさらに含み、
前記外側ハウジングには、前記圧着端子が貫通する圧着孔が設けられ、
前記予備充電抵抗は、第1接続端部及び第2接続端部を含み、
前記第1接続端部は、前記第1導電端子に接続され、
前記第2接続端部は、前記圧着端子の一端に接続されることを特徴とする請求項3に記載の多機能ヒューズ。
【請求項5】
前記隙間内に第1充填物が充填されることを特徴とする請求項2に記載の多機能ヒューズ。
【請求項6】
前記第1導電端子は、第1接続部と、前記第1接続部に折り曲げられるように接続された第2接続部とを含み、
前記第1接続部は、前記第1導電端子が第1端部に位置する前記収容キャビティの開口部を覆うように、前記第1導電端子を前記内側ハウジングの第1端部に固定し、
前記第2接続部は、第1導体に接続され、
前記第2導電端子は、第3接続部と、前記第3接続部に折り曲げられるように接続された第4接続部とを含み、
前記第3接続部は、前記第2導電端子が第2端部に位置する前記収容キャビティの開口部を覆うように、前記第2導電端子を前記内側ハウジングの第2端部に固定し、
前記第4接続部は、第2導体に接続されることを特徴とする請求項3に記載の多機能ヒューズ。
【請求項7】
前記第2接続部には、前記第1導体に固定接続される第1取り付け溝が設けられ、
前記第4接続部には、前記第2導体に固定接続される第2取り付け溝が設けられ、
前記第1取り付け溝と前記第2取り付け溝との延伸方向は、垂直であることを特徴とする請求項6に記載の多機能ヒューズ。
【請求項8】
前記第2接続部には、前記第1導体に固定接続される第1貫通孔が設けられ、
前記第4接続部には、前記第2導体に固定接続される第2貫通孔が設けられることを特徴とする請求項6に記載の多機能ヒューズ。
【請求項9】
前記収容キャビティと前記可溶体との間に第2充填物が充填されることを特徴とする請求項1に記載の多機能ヒューズ。
【請求項10】
前記予備充電抵抗は、前記内側ハウジングに巻設される抵抗線であることを特徴とする請求項1~9のいずれか1項に記載の多機能ヒューズ。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0031
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0031】
図2及び図3を合わせて参照し、ある可能な実施形態では、多機能ヒューズ100は、第1導電端子33及び第2導電端子34をさらに含む。内側ハウジング30は、対向して設置された第1端部301及び第2端部302を含む。第1導電端子33と第2導電端子34は、それぞれ、内側ハウジング30の第1端部301と第2端部302に接続され、マッチング(matching)により収容キャビティ31を密封する。可溶体10の対向した両端は、それぞれ、第1導電端子33と第2導電端子34に接続される。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0041
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0041】
第3接続部341は、内側ハウジング30の第2端部302の形状に合わせた構造であることにより、内側ハウジング30の第2端部302と位置合わせされて内側ハウジング30の第2端部302をパッケージすることができる。また、内側ハウジング30の第2端部302に設けられた開口部の寸法(長さ*幅)が第3接続部341の寸法(長さ*幅)未満であることにより、内側ハウジング30の第2端部302の端面は、第3接続部341を取り付けるために適切な取り付け面積を提供し、第3接続部341が内側ハウジング30の第2端部302と十分な接触面積を有して内側ハウジング30の第2端部302に迅速にかつ安定的に固定されることを保証することができる。本開示の実施例では、第3接続部341は、ネジにより内側ハウジング30の第2端部302に固定され、ネジの接続方式により第2導電端子34が内側ハウジング30の第2端部302に取り外し可能に接続されるため、内側ハウジング30の収容キャビティ31の可溶体10が溶断すると、第2導電端子34の着脱により可溶体10を取り換えることができる。また、第2導電端子34が失効したとき、タイムリーに取り換えることにより、多機能ヒューズ100の安定性及び信頼性を保証することができ、柔軟性が高く、応用範囲が広い。当然のことながら、他の実施例では、第3接続部341は、内側ハウジング30の第2端部302をパッケージすることができ、高い固定効果を有していれば、他の方式によって内側ハウジング30の第2端部302に固定されてもよい。本開示はこれについて具体的に制限しない。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0052
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0052】
また、外側ハウジング40の寸法が内側ハウジング30の寸法より僅かに大きいことにより、外側ハウジング40を内側ハウジング30の外側にスムーズに嵌設することができる。また、外側ハウジング40と内側ハウジング30との間に隙間を形成でき、当該隙間に予備充電抵抗20を収容することができる。ある可能な実施形態では、予備充電抵抗20は、内側ハウジング30に巻設される抵抗線である。すなわち、予備充電抵抗20は、多重巻の構造を呈して内側ハウジング30の外周壁に周設される。外側ハウジング40の内側キャビティ壁は、予備充電抵抗20を覆う。本開示の実施例では、抵抗線は、1本であり、内側ハウジング30の外周壁に沿ってくるくると外周壁に巻き付けられて設置され、外側ハウジング40の内側キャビティ壁に密着する。さらに、任意の隣接する2つのリングの抵抗線の間に隙間を有し、近すぎることによる干渉を回避する。加えて、隙間、すなわち、内側ハウジング30と、外側ハウジング40と予備充電抵抗20の周囲に第1充填物(図示せず)が充填され、隙間は、第1充填物の充填に充填スペースを提供することができる。
【国際調査報告】