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特表2023-511313複数の電気コネクタを有する燃料電池
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-17
(54)【発明の名称】複数の電気コネクタを有する燃料電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 12/08 20060101AFI20230310BHJP
   H01M 4/86 20060101ALI20230310BHJP
【FI】
H01M12/08 K
H01M4/86 M
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022543521
(86)(22)【出願日】2021-01-14
(85)【翻訳文提出日】2022-09-09
(86)【国際出願番号】 US2021013336
(87)【国際公開番号】W WO2021146359
(87)【国際公開日】2021-07-22
(31)【優先権主張番号】62/961,668
(32)【優先日】2020-01-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522284052
【氏名又は名称】サンダージー・インダストリー・カンパニー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】THUNDERZEE INDUSTRY CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100113170
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 和久
(72)【発明者】
【氏名】リン,チー フン
(72)【発明者】
【氏名】チェン,ロン-ジエ
【テーマコード(参考)】
5H018
5H032
【Fターム(参考)】
5H018AA10
5H018AS03
5H032AA01
5H032AS03
5H032AS11
5H032CC01
5H032CC02
5H032CC07
5H032CC11
5H032CC21
5H032CC23
5H032CC25
5H032EE04
(57)【要約】
複数の電気コネクタを有する空気亜鉛燃料電池は、空間を形成するケースと、空間内に配置された複数のガスチャンバと、空間内に配置され、放電用の正極として機能する2つの空気極層と、空間内に配置され、充電用の正極として機能する金属層と、空間内に配置され、負極として機能する亜鉛材料と、空気極層と亜鉛材料と金属層とが別々に配置されるように空間内に配置された複数のセパレータと、空気極層、亜鉛材料、および金属層がそれぞれ電気的に接続されるように、空間内に配置され、セパレータを通って流れることができ、空気極層、金属層および亜鉛材料と接触する電解質と、を備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電気コネクタを有する空気亜鉛燃料電池であって、
空間を形成するケースと、
前記空間内に配置された複数のガスチャンバと、
前記空間内に配置され、化学反応における放電用の正極として機能する2つの空気極層と、
前記空間内に配置され、前記化学反応における充電用の正極として機能する金属層と、
前記空間内に配置され、前記化学反応における放電のために前記空気極層に付随する負極、または、前記化学反応における充電のために前記金属層に付随する負極として機能する亜鉛材料と、
前記空間内に配置され、前記空気極層と前記亜鉛材料と前記金属層とが別々に配置されるように、前記空気極層と前記金属層との間にそれぞれ配置された複数のセパレータと、
前記空気極層、前記亜鉛材料、および前記金属層がそれぞれ電気的に接続されるように、前記空間内に配置され、前記セパレータを通って流れることができ、前記空気極層、前記金属層および前記亜鉛材料と接触する電解質と、
を備える、
空気亜鉛燃料電池。
【請求項2】
前記ケースが、ポリアリールスルホン材料を含み、前記電解質が漏れるのを防止するためにインサート成形法によって形成される、
請求項1に記載の空気亜鉛燃料電池。
【請求項3】
前記空間に接続され、前記空間内の前記電解質の高さを調整する移送装置をさらに備える、
請求項1に記載の空気亜鉛燃料電池。
【請求項4】
前記移送装置は、前記空間への前記電解質の流入を調整する、
請求項3に記載の空気亜鉛燃料電池。
【請求項5】
前記移送装置は、前記空間からの前記電解質の流出を調整する、
請求項3に記載の空気亜鉛燃料電池。
【請求項6】
前記移送装置は、前記空間へのガスの流入を調整する、
請求項3に記載の空気亜鉛燃料電池。
【請求項7】
前記移送装置は、前記空間からのガスの流出を調整する、
請求項3に記載の空気亜鉛燃料電池。
【請求項8】
前記高さにより、前記電解質が、前記空気極層、前記金属層、および前記亜鉛材料に同時に接触することができる場合に、前記複数の電気コネクタを有する空気亜鉛燃料電池は、充電反応または放電反応のために作動する、
請求項3に記載の空気亜鉛燃料電池。
【請求項9】
前記高さにより、前記電解質が、前記空気極層および前記亜鉛材料に同時に接触することができる場合に、前記複数の電気コネクタを有する空気亜鉛燃料電池は、放電反応のために作動する、
請求項3に記載の空気亜鉛燃料電池。
【請求項10】
前記高さにより、前記電解質が、前記金属層および前記亜鉛材料に同時に接触することができる場合に、前記複数の電気コネクタを有する空気亜鉛燃料電池は、充電反応のために作動する、
請求項3に記載の空気亜鉛燃料電池。
【請求項11】
前記電解質は、前記空気極層、前記金属層、および前記亜鉛材料のうちの1つに接触している場合に、前記複数の電気コネクタを有する空気亜鉛燃料電池は、化学反応のために停止される、
請求項1に記載の空気亜鉛燃料電池。
【請求項12】
前記ガスチャンバは、ガス循環を緩衝する、
請求項1に記載の空気亜鉛燃料電池。
【請求項13】
前記ガスチャンバは、電解質循環を緩衝する、
請求項1に記載の空気亜鉛燃料電池。
【請求項14】
前記亜鉛材料を収容するために前記亜鉛材料に隣接して接触するように前記空間の両側に配置された2つの導電層をさらに備える、
請求項1に記載の空気亜鉛燃料電池。
【請求項15】
前記導電層のうちの少なくとも1つは、前記亜鉛材料を収容するための凹部を形成するために、周辺領域よりも低い中央領域を有する、
請求項14に記載の空気亜鉛燃料電池。
【請求項16】
前記亜鉛材料は、流動性亜鉛スラリー、亜鉛粒子、または亜鉛板からなる群から選択される、
請求項1に記載の空気亜鉛燃料電池。
【請求項17】
前記空気極層は、第1の空気極層および第2の空気極層を含み、
前記第1の空気極層、前記金属層、前記亜鉛材料および前記第2の空気極層は、垂直に配置されている、
請求項1に記載の空気亜鉛燃料電池。
【請求項18】
前記第1の空気極層は、最上層であり、
前記亜鉛材料は、最下層であり、
前記金属層は、前記第1の空気極層と前記亜鉛材料との間に配置されている、
請求項17に記載の空気亜鉛燃料電池。
【請求項19】
前記亜鉛材料は、第1の負極および第2の負極を含み、
前記空気極層は、第1の正極および第2の正極を含み、
前記第1の負極および前記第2の負極は、前記第1の正極と前記第2の正極と前記充電用の正極との間に配置されている、
請求項1に記載の空気亜鉛燃料電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本特許出願は、2020年1月15日に出願された仮特許出願第62/961,668号の優先権を主張する。その内容は、参照により本明細書に含まれる。
【0002】
本発明は、一般に、燃料電池に関する。特に、本発明は、複数の電気コネクタを有する空気燃料電池に関するものであり、各電気コネクタは、亜鉛負極、空気正極、充電用の正極、および空気燃料電池の作動モードおよび停止モードを調整する電解質を含む空気燃料電池の電極として機能する。
【背景技術】
【0003】
燃料電池エネルギーは、化学エネルギーを電気エネルギーに直接変換することを目的とした科学分野を支配している。燃料電池は、エネルギー生成の過程で高密度のエネルギーを有し、電気エネルギーは、正極と負極との間の電位差に由来し、同時に環境への汚染をほとんどもたらさない。したがって、燃料電池は、世界的な炭素(石油化学)排出現象、エネルギー不足および環境汚染の革命的な改善につながるように、学術界および産業界によって広く研究されている。
【0004】
従来の空気亜鉛燃料電池(ZAFC)の内部構成は、空気極、亜鉛アノード、液体貯留空間および電解質から構成されることが多い。従来の空気亜鉛燃料電池(ZAFC)は、通常、手動で交換可能なセルである。換言すれば、そのようなセルの電極または電解質は、その電気容量を再生するために手動でのみ交換可能である。空気亜鉛燃料電池は、放電することができ、または充電することができる。放電反応は、以下の半反応を含むことができる。
【0005】
負極:
I.Zn+4OH→Zn(OH) 2-+2e
II.Zn(OH) 2-→ZnO+HO+2OH
【0006】
正極:
1/2O+HO+2e→2OH
【0007】
全体的な反応:
Zn+1/2O→ZnO
【0008】
充電反応は、以下の半反応を含むことができる:。
【0009】
カソード:
I.ZnO+HO+2OH→Zn(OH) 2-
II.Zn(OH) 2-+2e→Zn+4OH
【0010】
アノード:
2OH→1/2O+HO+2e
【0011】
全体的な反応:
ZnO→Zn+1/2O
【0012】
酸化亜鉛は、電気分解においてアルカリ電解質の存在下でナノスケールの亜鉛に還元される。
【0013】
未使用のままにされるか、または長時間使用された後、亜鉛アノードの分極、不動態化およびデンドライト成長は、亜鉛アノードの急速な腐食、空気亜鉛燃料電池の性能の悪化、電解質の酸性化、および電解質中の空気極および亜鉛アノードの連続浸漬による電池寿命の低下をもたらした。3つの電極を有する空気亜鉛燃料電池構造の存在は利用可能であるが、それは大電流充放電および酸化還元効率などの問題を解決することができず、空気亜鉛燃料電池の漏れの問題は依然として解決されていない。さらに、従来の燃料電池は、単電池および複数の直列および並列電池のサイクルブロッキング(cycle blocking)問題に効果的に対処することができない。
【発明の概要】
【0014】
本発明の主な目的は、本発明の複数の電気コネクタを有する空気亜鉛燃料電池が未使用状態に維持されているときにセル内の電解液を部分的または完全に除去し、アノード構造と電解液との接触をさらに回避して電気化学反応を停止させることを回避し、アノード構造またはカソード構造の破損または表面剥離を回避し、ならびに空気燃料電池の貯蔵寿命(storage life)または耐用年数(service life)を延ばすことにある。
【0015】
本発明の第2の目的は、電極または電解質の手動交換を必要とせずに単一セル自体が充電の化学反応または放電の化学反応を同時に受けることができるように、正極および負極を有する複数の電気コネクタを有する空気亜鉛燃料電池を設計することにある。
【0016】
本発明の別の目的は、本発明の複数の電気コネクタを有する空気亜鉛燃料電池へのまたは空気亜鉛燃料電池からの移送装置(transport device)を介した亜鉛材料および電解液のうちの少なくとも一方の流入または流出を可能にして、亜鉛材料または電解液の交換または更新作業プロセスを促進し、作業プロセスの効率を倍増することである。空気亜鉛燃料電池の設計では、単一の電池のサイクルブロッキング問題を低減するために複数のガスチャンバを提供してもよい。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記目的を達成するために、本発明の複数の電気コネクタを有する空気亜鉛燃料電池は、
空間を形成するケースと、
空間内に配置された複数のガスチャンバと、
空間内に配置され、化学反応における放電用の正極として機能する2つの空気極層と、
空間内に配置され、化学反応における充電用の正極として機能する金属層と、
空間内に配置され、化学反応における放電のために空気極層に付随する負極、または、化学反応における充電のために金属層に付随する負極として機能する亜鉛材料と、
空間内に配置され、空気極層と亜鉛材料と金属層とが別々に配置されるように、空気極層と金属層との間にそれぞれ配置された複数のセパレータと、
空気極層、亜鉛材料、および金属層がそれぞれ電気的に接続されるように、空間内に配置され、セパレータを通って流れることができ、空気極層、金属層および亜鉛材料と接触する電解質と、を備える。
【0018】
亜鉛材料は、流動性亜鉛スラリー、亜鉛粒子および亜鉛板からなる群から選択される。導電層の実施形態は、亜鉛材料の選択に対応するために異なっていてもよい。流動性亜鉛スラリーは、亜鉛粒子、液体およびいくつかの任意の添加剤の混合物などの「モルタル状」の形態であってもよい。流動性亜鉛スラリーの粘度は、その循環速度(circulation speed)に関連する。循環速度が速いほど粘度は低くなり、循環速度が遅いほど粘度は高くなる。
【0019】
さらにまた、セルを支持する平面が水平基準として使用される場合、空気極層、金属層および亜鉛材料は、平面に対して垂直に配置されるように構成されている。この構成は、従来の横配置の直立位置とは異なる。亜鉛材料は、流動性亜鉛スラリー、亜鉛粒子または亜鉛板を含んでもよい。
【0020】
複数の電気コネクタを有する空気亜鉛燃料電池は、移送装置をさらに含んでもよい。移送装置は、空間に接続され、電解質を流出または流入することができ、それによって空間内の電解質の高さ位置を変化させる。空間内の電解質の総量と液体の高さが接触することができる内部構造とを変化させることにより、特定の高さにある構造物と液体との接触および空間内の位置と液体との接触を回避することができ、特定の構造物の破損または表面剥離を防止することができる。
【0021】
本発明は、本発明の亜鉛材料が負極として使用され、空気極層および金属層がそれぞれ正極として使用されることを特徴とする。正極および負極は、空気亜鉛燃料電池において複数の電気コネクタを集合的に(collectively)または個別に形成することができる。
【0022】
さらに、本発明の複数の電気コネクタを有する空気亜鉛燃料電池が貯蔵されているかまたは使用されていないときに空間内の内部構造と電解質との接触を回避するために、本発明の複数の電気コネクタを有する空気亜鉛燃料電池の望ましくない自己放電または充電反応を回避するために、および、本発明の複数の電気コネクタを有する空気亜鉛燃料電池の貯蔵寿命または耐用年数を延ばすよう空間内の内部構造の破損または表面剥離を回避するために、空間を接続する移送装置は、空間から電解質の大部分を除去することによって電解質の総量および電解質の液体高さを変化させることができる。
【0023】
本発明のこれらおよび他の目的は、様々な図および図面に示されている好ましい実施形態の以下の詳細な説明を読めば、当業者には明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明のセル構造(cell structure)の分解図の実施形態の概略図
図1A】本発明のセル構造の図1に対応する変形実施形態の分解図の概略図
図2】本発明の図1に対応する5つの電気コネクタを有する空気亜鉛燃料電池の実施形態の側面図の概略図
図3】本発明の5つの電気コネクタを有する空気亜鉛燃料電池の実施形態の斜視図の概略図
図3A】直立位置にある本発明のセル構造の図1Aに対応する簡略化された斜視図の別の概略図
図4】本発明の5つの電気コネクタを有する空気亜鉛燃料電池の実施形態の正面図の概略図
図4A】直立位置にある本発明のセル構造の図1Aに対応する簡略化された正面図の別の概略図
図5】水平位置にある本発明の5つの電気コネクタを有する空気亜鉛燃料電池の実施形態の図4の線A-A’に沿った断面図の概略図
図5A】水平位置にある本発明の5つの電気コネクタを有する空気亜鉛燃料電池の実施形態の図5に対応する斜視図の概略図
図6】本発明の5つの電気コネクタを有する複数の空気亜鉛燃料電池に対応する複数のセル構造から構成されたセルアセンブリ(cell assembly)の実施形態の斜視図の概略図
図6A】本発明の図6に対応する側面図の概略図
図6B】本発明の図6に対応する平面図の概略図
【発明を実施するための形態】
【0025】
当業者が理解するように、電子機器製造業者は、異なる名称によって構成要素を指すことがある。本書では、名称が異なるが機能が異なる構成要素を区別することを意図していない。以下の説明および特許請求の範囲において、「含む(include)」、「備える(comprise)」、および「有する(have)」という用語は、非限定的に使用され、したがって「限定されないが含む(include,but not limited to)」を意味すると解釈されるべきである。要素または層が別の要素または層の「上にある(on)」または「接続されている(connected to)」と言及される場合、それは他の要素または層の上に直接ある、または他の要素または層に直接接続されてもよく、または介在する要素または層が提示されてもよい。第1、第2、第3などの用語は、多様な構成要素を説明するために使用されることができるが、そのような構成要素は、その用語によって限定されない。これらの用語は、本明細書において、ある構成要素を他の構成要素と区別するためにのみ使用される。特許請求の範囲は、同じ用語を使用しなくてもよく、代わりに、要素がクレームされる順序に関して第1、第2、第3などの用語を使用してもよい。したがって、以下の説明において、第1の構成要素は、特許請求の範囲における第2の構成要素であってもよい。
【0026】
図1は、本発明の5つの電気コネクタを有する空気亜鉛燃料電池に関するセル構造の分解図の実施形態を示している。例えば、セル構造100は、5つの電気コネクタを有し、ケースセット110、空気極層、金属層130、亜鉛材料140、導電層、および複数のセパレータなどの要素を含むことができる。セル構造100は、例えば左部分、右部分および中央部分を組み立てるための複数の部分を構造的に有してもよいが、本発明はこれらに限定されない。
【0027】
ケースセット110は、複数のケース要素を含むことができる。複数のケース要素が一体になって、セル構造100のセルケースとして機能するケースセット110を集合的に(collectively)形成してもよい。例えば、ケースセット110は、フレームの形態の第1のハウジングと、フレームの形態の第2のハウジングと、フレームの形態の第3のハウジングと、フレームの形態の第4のハウジングと、を備えてもよいが、本発明はこれらに限定されない。第1のハウジング、第2のハウジング、第1のハウジングおよび第4のハウジングは、セル構造100の他の要素を収容するための空間を集合的に形成し、5つの電気コネクタを有する空気亜鉛燃料電池において使用するための流体の流入循環または流出循環を緩衝するためのガスチャンバを画定し、セル構造100をしっかりと支持することができる。
【0028】
例えば、第1のハウジングは、左部分の左ハウジング111であってもよい。第2のハウジングは、右部分の右ハウジング112であってもよい。中央ハウジング113は、中央部分の中央ハウジング113であってもよい。ケースセット110は、流体の循環のためのチャネルを形成するために中央ハウジング113に接続される蓋114をさらに含むことができる。第4のハウジングは、左ハウジング111、右ハウジング112、中央ハウジング113および蓋114を収容するケースハウジング115であってもよい。各ハウジングまたは蓋は、セル構造100の気密性および/または防漏性を改善するためにセル構造100を得るために相互の係合を容易にするために、2つのハウジング片または蓋片(two pieces of housing or of lid)を締結するための、または2つのハウジング片または蓋片をスナップアップ(snap up)するための1つまたは複数の孔など、互いに対して相補的な構造(complementary structure)を有することができる。
【0029】
いくつかの実施形態では、右ハウジング112は、ケースハウジング115との係合のための1つ以上の孔112Hを有することができる。例えば、孔112Hは、右ハウジング112およびケースハウジング115のフレームを締結することによって、接着剤(図示せず)が、右ハウジング112およびケースハウジング115をともに一時的に保持するのを助けることができる。右ハウジング112およびケースハウジング115は、孔112Hおよび接着剤(図示せず)の存在下で、気密および/または防漏セル構造などの恒久的な密封構造を形成するために、後続のインサート成形法に供されることができる。左ハウジング111、中央ハウジング113、蓋114、およびケースハウジング115は、同様の使用のために同様の孔を有することができるが、本発明はこれらに限定されない。いくつかの実施形態では、2つの隣接する要素は、相互係合のための相補的な構成要素を有することができる。例えば、中央ハウジング113は、蓋114の中央蓋片114Cに対応する中央ハウジング領域113Cを有することができる。中央ハウジング領域113Cは、2つの要素を締結するための、または2つの要素をスナップアップするための2つの特定の部品の相互の係合を容易にするために、中央蓋片114Cに対して相補的な凹部を有することができるが、本発明はこれらに限定されない。
【0030】
ケースセット110は、セル構造100の機械的強度を高めるために、ポリアリールスルホン材料を含むことができる。例えば、左ハウジング111、右ハウジング112、中央ハウジング113、蓋114、およびケースハウジング115のうちの少なくとも1つは、ポリアリールスルホン材料を含むことができる。ポリアリールスルホン材料は、2つの物質、例えば有機ポリマーと金属材料との間の界面の接着性を改善することができる。さらに、ポリアリールスルホン材料がインサート成形法に供されて、ハウジングまたは蓋のうちの一方を得て、セル構造100の気密性および/または防漏性を向上させてもよい。本発明は、インサート成形法の基材としてポリアリールスルホン材料系樹脂を使用して、空気亜鉛燃料電池内に要素を封入して、従来技術における液漏れの問題を排除することができる。例えば、気密性が高いほどガス漏れの可能性が低く、防漏性が高いほど電解質漏れの可能性が低くなる。気密性および/または防漏性は、セル構造100の流体密封性または信頼性を高めることができる。
【0031】
ポリアリールスルホン材料は、スルホニル基を有する熱可塑性樹脂とすることができる。本発明のいくつかの実施形態では、ポリアリールスルホン材料は、ポリスルホン(PSF、PSU)、ポリエーテルスルホン(PES、PESU)、ポリアリールエーテルスルホン(PAES)およびポリフェニレンスルホン(PPSU、PPSF)とすることができるが、本発明はこれらに限定されない。
【0032】
左ハウジング111は、中央ハウジング113とともに、第1の空間、例えば左部分の左空間101を形成してもよい。左空間101は、1つの空気極層、金属層、亜鉛材料、1つの導電層、複数のセパレータおよび電解質170を収容して締結してもよい。同様に、右ハウジング112は、中央ハウジング113とともに、第2の空間、例えば右部分の右空間102を形成することができる。右空間102は、1つの空気極層、金属層、亜鉛材料、1つの導電層、複数のセパレータおよび電解質170を収容して締結してもよい。
【0033】
中央ハウジング113は、例えば第1のガスチャンバ103Aおよび第2のガスチャンバ103Bのような2つのガスチャンバなどの複数のガスチャンバを有することができる。ガスチャンバは、空間内に配置されてもよく、例えば、第1のガスチャンバ103Aおよび第2のガスチャンバ103Bは、左空間101および右空間102に配置されてもよい。換言すれば、第1のガスチャンバ103A、第2のガスチャンバ103B、左空間101および右空間102は、収容の観点から相互に接続され、空気燃料電池で使用する流体の連続的な循環を容易にしてもよい。第1のガスチャンバ103Aまたは第2のガスチャンバ103Bは、独立して、亜鉛金属燃料の流体循環を緩衝するのを助けることができる。
【0034】
中央ハウジング113は、例えば、亜鉛金属燃料の流体循環を緩衝または案内するのを助けるために、第1のガスチャンバ103Aと第2のガスチャンバ103Bとの間、または左空間101と右空間102との間に配置されたガイドカラム(guide column)113Aをさらに有してもよい。流体循環は、ガス循環および電解質循環のうちの少なくとも一方を含むことができる。
【0035】
蓋114および中央ハウジング113は、第1のガスチャンバ103Aまたは第2のガスチャンバ103Bをともに画定することができる。蓋114は、さらに孔を有していてもよい。例えば、蓋114は、第1の孔114Aおよび第2の孔114Bを有してもよい。第1の孔114Aおよび第2の孔114Bは、それぞれ、第1のガスチャンバ103Aおよび第2のガスチャンバ103Bに対応していてもよい。孔は、流体を第1のガスチャンバ103Aまたは第2のガスチャンバ103Bに出入りできるようにすることができる。
【0036】
ケースハウジング115は、開口部をさらに有していてもよい。例えば、ケースハウジング115は、第1の開口部115Aおよび第2の開口部115Bを有してもよい。第1の開口部115Aおよび第2の開口部115Bは、それぞれ、第1の孔114Aおよび第2の孔114Bに対応してもよい。開口部は、第1のガスチャンバ103Aまたは第2のガスチャンバ103Bを通過することによって、流体をセル構造100に出入りできるようにすることができる。
【0037】
空気極セット120は、2つの空気極層を含んでいてもよい。例えば、空気極セット120は、左空間101に配置されて締結された左空気極層121と、右空間102に配置されて締結された右空気極層122とを含むことができる。左空気極層121または右空気極層122は、一括してまたは個別に、所定の化学反応における放電用の正極として機能してもよい。空気極は、空気セルのアノードとして機能することができる。空気極層は、互いにプレスされた金属メッシュ、防水通気層および触媒層を含むことができる。空気極層は、空気中の正極として機能する酸素ガスを収容し、活性炭および触媒の存在下で電解質とともに負極中の燃料(Al、Mg、Zn…など)と反応させて、電気エネルギーを発生させてもよい。
【0038】
左空気極層121または右空気極層122は、それぞれ、Niなどの金属材料を含んでもよいが、本発明はこれに限定されない。各空気極層は、電流用の電気コネクタとして機能する延長ストリップ(extending strip)をさらに有してもよい。例えば、左空気極層121は、左放電正極電気コネクタ121Eを有してもよく、右空気極層122は、右放電正極電気コネクタ122Eを有してもよい。
【0039】
金属層130は、空間の一方、例えば左空間101または右空間102に配置されてもよい。図1は、左空間101および左空気極層121と中央ハウジング113との間に配置された金属層130の実施形態を示しているが、本発明はこれらに限定されない。金属層130は、Niなどの金属材料を含んでもよいが、本発明はこれに限定されない。金属層130は、316ステンレス鋼メッシュなどのステンレス鋼層をさらに含むことができる。金属層130は、化学反応における充電の正極として機能することができる。金属層130は、電流用の電気コネクタとして機能する延長ストリップをさらに有してもよい。例えば、金属層130は、充電正極電気コネクタ130Eを有してもよい。
【0040】
亜鉛材料140は、充電/放電反応のための化学的に活性な負極として機能するように空間内に配置されてもよい。例えば、亜鉛材料140は、化学反応における放電のために空気極層(正極)に付随する負極であってもよい。また、亜鉛材料140は、化学反応における充電のために金属層130(正極)に付随する負極であってもよい。亜鉛材料140は、本発明の5つの電気コネクタを有する空気亜鉛燃料電池の燃料として機能する流動性亜鉛スラリー、亜鉛粒子、および亜鉛板のうちの少なくとも1つを含むことができる。流動性亜鉛スラリーは、亜鉛粒子、液体およびいくつかの任意の添加剤の混合物などのモルタル状の形態であってもよい。流動性亜鉛スラリーの粘度は、その循環速度に関連する。循環速度が速いほど、粘度は低くなる。液体は、電解液を含んでいてもよい。
【0041】
導電性セットは、空間の両側に配置された2つの導電層を含んでもよいが、本発明はこれらに限定されない。例えば、導電性セットは、左側、すなわち左空間101に配置されて固定された左導電層151と、右側、すなわち右空間102に配置されて固定された右導電層155とを含むことができる。導電性セットは、亜鉛材料140に隣接して、またはさらに亜鉛材料140と接触して配置されてもよい。
【0042】
いくつかの実施形態では、左導電層151および右導電層155のうちの少なくとも一方は、亜鉛材料140を収容するために亜鉛材料140と直接接触してもよい。導電層は、亜鉛材料140を収容するための凹部を有してもよい。例えば、左導電層151は、中央領域152および周辺領域153を有してもよい。中央領域152は、左凹部154を形成するために周辺領域153よりも低くてもよい。左凹部154は、化学反応を受ける亜鉛材料140を収容することができる。同様に、右導電層155は、中央領域156および周辺領域157を有してもよい。中央領域156は、右凹部158を形成するために周辺領域157よりも低くてもよい。右凹部158は、化学反応を受ける亜鉛材料140を収容することができる。
【0043】
一方の導電層は、化学的に活性な亜鉛材料140を収容するための構造電極(structual electrode)として機能してもよく、そのため、導電層のうちの一方は、化学反応を受けるために亜鉛材料140を支持してもよい。さらに、導電層のうちの一方は、化学反応に関与する電子を伝達するための電流チャネルとして機能してもよい。導電層の材料は、導電性であり、化学的に不活性であり、化学反応に関与しないものであってもよい。左導電層151または右導電層155は、それぞれNiまたはCuなどの金属材料を含んでもよいが、本発明はこれらに限定されない。各導電層は、電流のための電気コネクタとして機能する延長ストリップを有してもよい。例えば、左導電層151は、左負極電気コネクタ151Eを有してもよい。右導電層155は、右負極電気コネクタ155Eを有してもよい。
【0044】
本発明の複数の電気コネクタを有する空気亜鉛燃料電池は、複数のガスチャンバ、例えば、第1のガスチャンバ103Aおよび第2のガスチャンバ103Bを有することができる。本発明の複数の電気コネクタを有する空気亜鉛燃料電池は、緩衝目的のために有利な複数のガスチャンバを有することができる。燃料のサイクル効率の改善に加えて、それらはまた、内圧の相対バランスの機能の達成を容易にすることができる。3つの電気コネクタを有する従来のセル構造は、燃料サイクルチャネルのみを有し、空間に関して燃料とガスのバランスのとれたサイクルの効率を達成することができない。そのような構造は、セル内に過剰な圧力を生じさせやすく、循環不良および循環効率の低下をもたらす。
【0045】
本発明の6つの電気コネクタを有する空気亜鉛燃料電池の場合、ガスチャンバセットは、4つのガスチャンバに分割されてもよく、または2つのガスチャンバの構成を維持してもよい。電気コネクタに関して、構成は、2つの空気亜鉛燃料電池と3つの電気コネクタとの直列または並列接続と同等であってもよく、構成の設計は任意である。
【0046】
複数の緩衝ガスチャンバに関して、例えば4つの緩衝ガスチャンバの場合、それらは、2つの分割された緩衝ガスチャンバから到来する。効率の調整の目的に加えて、非同期循環の効果を達成するために、ガスからの燃料の別個の循環に別の目的が存在してもよい。例えば、非同期循環は、ガスの循環を可能にして放電効率を向上させるだけであってもよく、あるいは、燃料の循環を可能にして充電または放電効率を向上させるだけであってもよい。6つ以上のガスチャンバも同様に機能する。
【0047】
図1に示すように、複数のセパレータを空間に設けることができる。例えば、左空間101には、セパレータ161、セパレータ162、およびセパレータ163を設けることができる。右空間102には、他のセパレータ164を設けることができる。いくつかの実施形態では、セパレータ161、セパレータ162、セパレータ163、およびセパレータ164は、それぞれ、親水性セパレータを含んでもよい。セパレータは、2つの隣接する要素を分離するために2つの隣接する要素の間に配置されてもよく、要素は、2つの隣接するセパレータの間に配置されてもよい。例えば、左空気極層121、左導電層151(亜鉛材料140を収容する)、金属層130、中央ハウジング113、右導電層155(亜鉛材料140を収容する)、および右空気極層122が別々に配置されるように、左空気極層121と左導電層151との間にセパレータ161が配置され、左導電層151と金属層130との間にセパレータ162が配置され、金属層130と中央ハウジング113との間にセパレータ163が配置され、右導電層155と右空気極層122との間にセパレータ164が配置されてもよい。セパレータは、電解質170を通過させることができる。
【0048】
図1Aは、本発明のセル構造の図1に対応する変形実施形態の分解図の概略図を示している。図1Aは、本発明の3つの電気コネクタを有する単純化されたセル構造を示している。5つの電気コネクタ100を有するセル構造および3つの電気コネクタ100Aを有する単純化されたセル構造は、流体の循環を緩衝するための複数のガスチャンバを有するという共通の特徴を共有することができる。5つの電気コネクタ100を有するセル構造と3つの電気コネクタ100Aを有する単純化されたセル構造との主な相違点は、任意の右空気極層122および任意の右導電層155にある。さらに、セパレータ164はまた、3つの電気コネクタ100Aを有する単純化されたセル構造において任意であってもよい。
【0049】
3つの電気コネクタ100Aを有する単純化されたセル構造は、片側換気の適用に有用であり得る。例えば、単純化されたセル構造は、セルの片側が回路基板に取り付けられてガス交換の可能性を制限する場合に有用であり得る。片側空気極の構成は、より薄い構造をもたらし、製造プロセスおよび成形プロセスを単純化することができる。両側空気極の5つの電気コネクタ100を有するセル構造は、より多くのガス交換ができるためより高い放電効率をもたらす。
【0050】
図2は、本発明の5つの電気コネクタを有する空気亜鉛燃料電池の実施形態の側面図を示している。したがって、左放電正極電気コネクタ121E、右放電正極電気コネクタ122E、充電正極電気コネクタ130E、左負極電気コネクタ151E、または右負極電気コネクタ155Eのそれぞれは、本発明の空気亜鉛燃料電池の5つの電気コネクタのうちの1つの電気コネクタとして機能することができる。構造的に言えば、左負極電気コネクタ151Eは、左放電正極電気コネクタ121Eと充電正極電気コネクタ130Eとの間に配置されてもよい。右負極電気コネクタ155Eは、充電正極電気コネクタ130Eと右放電正極電気コネクタ122Eとの間に配置されてもよい。
【0051】
図3は、本発明の5つの電気コネクタを有する空気亜鉛燃料電池の実施形態の斜視図を示している。図4は、本発明の5つの電気コネクタを有する空気亜鉛燃料電池の実施形態の概略図を示している。第1の開口部115Aまたは第2の開口部115Bにより、流体はセル構造100に出入りすることができる。流体は、ガス、電解質および燃料からなる群から選択されてもよい。いくつかのハウジングには、例えば右ハウジング112に孔112Hのように、例えばインサート成形法において使用するために、成形の位置合わせを助けるためのいくつかの孔があってもよい。
【0052】
電解質170は、任意に、完全レベル(full level)170Fまで充填されるか、または第1のガスチャンバ103A、第2のガスチャンバ103B、左空間101および右空間102内を循環し、セパレータ161、セパレータ162、セパレータ163およびセパレータ164などのセパレータを通過するように流れることができる。電解質170は、アルカリ水溶液を含む電解液などの液体電解質とすることができる。アルカリ水溶液は、電解溶質および溶媒を含むことができる。いくつかの実施形態では、電解溶質は、水酸化カリウムなどの水酸化物、および水などの溶媒を含むことができる。デュポンから市販されているものなどの親水性セパレータは、水分子、カリウムイオンおよび水酸化物イオンなどの極性分子を選択的に通過させることができ、亜鉛は通過させることができないが、本発明はこれに限定されない。電解質170は、空気極層、金属層130および亜鉛材料140のうちの少なくとも1つと接触して、空気極層、亜鉛材料140および金属層130がそれぞれ放電反応または充電反応を受けるように電気的に接続されてもよい。
【0053】
図5は、水平位置にある本発明の5つの電気コネクタを有する空気亜鉛燃料電池の図4の線A-A’に沿った実施形態の断面図の概略図を示している。図5Aは、水平位置にある本発明の5つの電気コネクタを有する空気亜鉛燃料電池の実施形態の図5に対応する斜視図の概略図を示している。図5に示すように、左空気極層121および右空気極層122を含む空気極セット120、金属層130、導電性セットに収容された亜鉛材料140は、セルを支持するための平坦面(図示せず)が水平基準として使用される場合、平坦面、すなわち積層構造(stacking structure)に対して垂直に配置されるように構成されてもよい。例えば、左空気極層121が最上層とされ、亜鉛材料140が最下層とされ、左空気極層121と亜鉛材料140との間に金属層130が配置されてもよい。この新規な構成は、横方向配置の従来の直立位置とは異なる。
【0054】
本発明は、亜鉛材料と空気とを用いて酸化還元反応を受ける燃料電池に関し、特に、本発明は、電解質と亜鉛材料とを同時に反応物質として有し、5つの電気コネクタを介して他の外部電子製品と電気的に接続される空気亜鉛燃料電池に関する。燃料電池は、従来技術の漏れ問題を低減するために、インサート成形/射出成形法によって包装されるポリスルホン樹脂を使用することができる。5つの電気コネクタ構造は、2つの別個の電極、または単一の充電ならびに充放電を同時に行う特殊な使用をさらに容易にすることができる。
【0055】
本発明の5つの電気コネクタを有する空気亜鉛燃料電池は、単一セル自体が充電の化学反応または放電の化学反応を同時に受けることができるように、3つの正極および2つの負極の設計を有する。
【0056】
図6は、本発明の5つの電気コネクタを有する複数の空気亜鉛燃料電池に対応する複数のセル構造から構成されたセルアセンブリの実施形態の斜視図の概略図を示している。図6Aは、本発明の図6に対応する側面図の概略図を示している。図6Bは、本発明の図6に対応する平面図の概略図を示している。セルアセンブリは、本発明の2つ以上のセル構造を含むことができる。例えば、セルアセンブリ200は、セル構造201、セル構造202、セル構造203、セル構造204、セル構造205、セル構造206、セル構造207、セル構造208、セル構造209、セル構造210、セル構造211、セル構造212などの12個のセル構造を含むことができるが、本発明はこれに限定されない。セルアセンブリ200内の少なくとも1つのセル構造は、本発明の5つの電気コネクタを有する空気亜鉛燃料電池に対応してもよい。
【0057】
例えばセル構造201を例にとると、一方のセル構造は、第1の開口部115A、第2の開口部115B、空気極セット120の右空気極層122、左放電正極電気コネクタ121E、右放電正極電気コネクタ122E、充電正極電気コネクタ130E、左負極電気コネクタ151E、および右負極電気コネクタ155Eを収容するようにケースハウジング115を含むことができるが、本発明はこれに限定されない。他のセル構造における同様の参照符号は、簡略化のために省略されている。セル構造の詳細については、上記の説明を参照されたい。
【0058】
セルアセンブリ200内のセル構造は、互いに接続されてもよい。いくつかの実施形態では、1つのセル構造は、別のセル構造に並列に電気的に接続されてもよい。いくつかの実施形態では、1つのセル構造は、別のセル構造に直列に電気的に接続されてもよい。さらに、隣接するセル構造の開口部は、互いに接続されてもよい。隣接する開口部は、接続管によって接続されてもよい。例えば、隣接する2つの開口部は、接続管によって接続されてもよい。図6は、接続管210A、接続管210B、接続管210C、接続管210D、接続管210E、接続管210F、接続管210G、接続管210H、接続管210I、接続管210Jおよび接続管210Kを含み得るセルアセンブリ200を示しているが、本発明はこれらに限定されない。例えば、セル構造201の第2の開口部115Bおよびセル構造202の第2の開口部115B’は、接続管210Eによって接続されている。同様に、セル構造201の第1の開口部115Aおよびセル構造202の第1の開口部115A’は、接続管210Fによって接続されている。セル構造内の他の隣接する開口部は、同様の方法で接続されてもよい。
【0059】
さらに、セルアセンブリ200は、流体が接続管を介してセル構造の少なくとも一方に分配されることを可能にする循環チューブセット220を含むことができる。流体は、ガス、電解質および燃料からなる群から選択されてもよい。例えば、循環チューブセット220は、ソース循環チューブ(source circulation tube)およびドレイン循環チューブ(drain circulation tube)を含んでもよい。ソース循環チューブは、流体をセルアセンブリ200に入れることができ、ドレイン循環チューブは、流体をセルアセンブリ200から出すことができる。
【0060】
図6は、第1の循環チューブ221および第2の循環チューブ222を含むことができるセルアセンブリ200を示している。第1の循環チューブ221がソース循環チューブである場合、第2のチューブは、対応するドレイン循環チューブであってもよい。あるいは、第1の循環チューブ221がドレイン循環チューブである場合、第2のチューブは、対応するソース循環チューブであってもよい。例えば、流体が第2の循環チューブ222を通ってセルアセンブリ200のセル構造201に入る場合、流体は、最初に、セル構造201の第1のガスチャンバ(図示せず)、第2のガスチャンバ(図示せず)、左空間(図示せず)および右空間(図示せず)を通過し、次いで、セル構造202、セル構造203、セル構造204、セル構造205、セル構造206、セル構造207、セル構造208、セル構造209、セル構造210、セル構造211、および第1のガスチャンバ(図示せず)、第2のガスチャンバ(図示せず)、セル構造212の左空間(図示せず)および右空間(図示せず)に入り、次いで、セル構造212の第1の循環チューブ221を通ってセルアセンブリ200を出ることができるが、本発明はこれらに限定されない。
【0061】
さらに、セルアセンブリ200は、接続管を通るセル構造の少なくとも1つおよび/またはセル構造の少なくとも1つの間の流体の調整および/または循環を容易にするために、1つまたは複数の調整装置を備えることができる。例えば、調整装置は、燃料タンク230および循環ポンプ233を含んでもよいが、本発明はこれに限定されない。循環ポンプ233は、流体の循環、またはセルアセンブリ200内に分配される流体の容積の調整を容易にするための移送装置として機能してもよいが、本発明はこれに限定されない。燃料タンク230は、化学反応を緩衝するために、例えば電解質、亜鉛材料およびそれらの組み合わせなどの化学物質をセルアセンブリ200に供給することができる。
【0062】
いくつかの実施形態では、本発明のセル構造100は、循環ポンプ233などの任意の移送装置をさらに含んでもよい。任意の循環ポンプ233は、セル構造100内の電解質170の存在または非存在を調整するのを助けてもよく、あるいは所定の化学反応を活性化する、または所定の化学反応を不活性化するのをさらに補助してもよい。セル構造100内に十分な電解質170が存在しない場合、所定の化学反応は、従来のセルまたは従来の電池における問題を克服するために、可能な限り任意に停止または著しく不活性化されてもよい。循環ポンプ233によって調整されることができる流体の流入または流出は、少なくとも1つの空間内の電解質170の高さを変化させることができ、その結果、電解質170は、少なくとも1つの空間内の異なる要素に接触して、本発明のセル構造100の状態をそれに応じて変化させることができる。これは、本発明のセル構造100の特徴の1つである。
【0063】
移送装置は、流体の流入または流出を調整するために、例えばガスおよび/または電解質170の流入または流出を調整するために、空間またはガスチャンバに接続されてもよい。さらに、移送装置は、空間内の電解質170の高さを調整することができる。高さは、電解質170と、左空気極層121または右空気極層122などの空気極セット120、金属層130または亜鉛材料140との接触を可能にして、所定の化学反応の活性化または不活性化を決定することができる。この手法は、セル構造100が貯蔵されているか、または使用されていないときに、本発明の5つの電気コネクタを有する空気亜鉛燃料電池の望ましくない自己放電または充電反応を回避し、さらに空間内の内部構造の破損または表面剥離を回避して、本発明の5つの電気コネクタを有する空気亜鉛燃料電池の貯蔵寿命または耐用寿命を延ばすことができる。
【0064】
いくつかの実施形態では、第1のガスチャンバ103A、第2のガスチャンバ103B、左空間101および右空間102が互いに接続されている場合、移送装置は、第1のガスチャンバ103Aおよび/または第2のガスチャンバ103Bを通って左空間101および右空間102への電解質170の流入を調整することができる。例えば、移送装置は、セル構造100内の電解質170の容積を増加させるように制御された状態で亜鉛材料140および電解質170のうちの少なくとも一方をセル構造100に供給してもよく、任意に完全レベル170F(図4に示す)までであってもよい。電解質170の容積が増加すると、左空間101および右空間102における電解質170の高さが増加する。
【0065】
いくつかの実施形態では、第1のガスチャンバ103A、第2のガスチャンバ103B、左空間101および右空間102が互いに接続されている場合、移送装置は、左空間101および右空間102から第1のガスチャンバ103Aおよび/または第2のガスチャンバ103Bを通る亜鉛材料140および電解質170のうちの少なくとも一方の流出を調整することができる。例えば、移送装置は、セル構造100内の亜鉛材料140および電解質170のうちの少なくとも一方の容積を減少させるように制御された状態でセル構造100から亜鉛材料140および電解質170のうちの少なくとも一方を排出してもよい。電解質170の容積が減少すると、左空間101および右空間102における電解質170の高さが減少することがある。
【0066】
いくつかの実施形態では、第1のガスチャンバ103A、第2のガスチャンバ103B、左空間101および右空間102が互いに接続されている場合、移送装置は、第1のガスチャンバ103Aおよび/または第2のガスチャンバ103Bを通って左空間101および右空間102へのガスの流入を調整することができる。ガスは、酸素および空気のうちの少なくとも一方を含んでもよい。例えば、移送装置は、所定の化学反応の活性化または継続を容易にするために、制御された状態のガスをセル構造100に供給することができる。
【0067】
いくつかの実施形態では、第1のガスチャンバ103A、第2のガスチャンバ103B、左空間101および右空間102が互いに接続されている場合、移送装置は、第1のガスチャンバ103Aおよび/または第2のガスチャンバ103Bを通る左空間101および右空間102からのガスの流出を調整することができる。ガスは、酸素、空気、低酸素空気および低酸素空気のうちの少なくとも1つを含んでもよい。例えば、移送装置は、所定の化学反応の継続、停止、または抑制を容易にするために、制御された状態でセル構造100からガスを排出してもよい。
【0068】
いくつかの実施形態では、電解質170の高さは、本発明のセル構造100の状態を調整することができる。状態は、充電反応の活性化、放電反応の活性化、放電反応の不活性化、および所定の化学反応の不活性化を含んでもよい。
【0069】
例えば、電解質170の高さにより、電解質140が左空気極層121または右空気極層122などの空気極セット120、金属層130、および亜鉛材料140に同時に接触することができる場合、セル構造100は、放電反応のために活性化されてもよい。
【0070】
例えば、電解質170の高さにより、電解質170が左空気極層121または右空気極層122などの空気極セット120、金属層130、および亜鉛材料140に同時に接触することができる場合に、セル構造100は、充電反応のために活性化されてもよい。
【0071】
例えば、電解質170の高さにより、電解質170が左空気極層121または右空気極層122などの空気極セット120に接触することができ、同時に亜鉛材料140に接触することができる場合に、セル構造100は、放電反応のために活性化されてもよい。
【0072】
例えば、電解質170の高さにより電解質170を金属層130および亜鉛材料140に同時に接触させる場合に、セル構造100は、充電反応のために活性化されてもよい。
【0073】
例えば、電解質170が、左空気極層121または右空気極層122などの空気極セット120、金属層130、および亜鉛材料140のうちの1つのみと排他的に接触している場合に、セル構造100は、化学反応のために非活性化されてもよい。
【0074】
本発明は、本発明の複数の電気コネクタを有する空気亜鉛燃料電池への、または空気亜鉛燃料電池からの移送装置を介した亜鉛材料140および電解液170のうちの少なくとも一方の流入または流出を可能にして、亜鉛材料140または電解液170の交換または更新作業プロセスを促進し、作業プロセスの効率を倍増させることができる。
【0075】
本発明の複数の電気コネクタを有する空気亜鉛燃料電池は、燃料電池の反応効率および充放電性能を改善することができる。
【0076】
いくつかの実施形態では、燃料タンク230は、ガス孔230G、燃料出口231O、および燃料入口232Iを有してもよい。ガス孔230Gは、燃料タンク230内のガス圧力のバランスをとるのを容易にすることができる。例えば、燃料タンク230内の余剰ガスは、ガス孔230Gから排出されてもよい。燃料出口231Oは、第1の循環チューブ221に接続された燃料管231に接続されてもよい。燃料入口232Iは、循環ポンプ233に接続された別の燃料管232に接続されてもよい。
【0077】
いくつかの実施形態では、循環ポンプ233は、燃料出口232Oおよび燃料入口222Iを有してもよい。燃料出口232Oは、燃料入口232Iに接続された燃料管232に接続されてもよい。燃料入口222Iは、第2の循環チューブ222に接続されてもよい。電解質および/または亜鉛材料は、燃料管231を通って循環方向233Dに沿って燃料タンク230の燃料出口231Oからセルアセンブリ200の第1の循環チューブ221に入ることができる。電解質および/または亜鉛材料は、第2の循環チューブ222を通って循環方向233Dに沿ってセルアセンブリ200の第2の開口部115Bから循環ポンプ233の燃料入口222Iに入ることができる。電解質および/または亜鉛材料は、循環ポンプ233の燃料出口232Oから燃料管232を通って燃料タンク230の燃料入口232Iに戻り、全体の循環を完了することができる。
【0078】
当業者は、本発明の教示を保持しながら、装置および方法の多数の変更および代替を行うことができることを容易に理解するであろう。したがって、上記の開示は、添付の特許請求の範囲の境界によってのみ限定されると解釈されるべきである。
図1
図1A
図2
図3
図3A
図4
図4A
図5
図5A
図6
図6A
図6B
【国際調査報告】