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特表2023-511334一体化されたホイールハブおよびポンプ/モータユニット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-17
(54)【発明の名称】一体化されたホイールハブおよびポンプ/モータユニット
(51)【国際特許分類】
   B60K 7/00 20060101AFI20230310BHJP
   B60K 17/14 20060101ALI20230310BHJP
   F16D 57/06 20060101ALI20230310BHJP
   B60T 8/176 20060101ALI20230310BHJP
【FI】
B60K7/00
B60K17/14
F16D57/06
B60T8/176 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022543681
(86)(22)【出願日】2021-01-25
(85)【翻訳文提出日】2022-09-15
(86)【国際出願番号】 GB2021050171
(87)【国際公開番号】W WO2021148824
(87)【国際公開日】2021-07-29
(31)【優先権主張番号】2001018.7
(32)【優先日】2020-01-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520352621
【氏名又は名称】エヴェクテック エルティーディー
(74)【代理人】
【識別番号】100102406
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 健二
(74)【代理人】
【識別番号】100100240
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 孝
(72)【発明者】
【氏名】ライトン,ジョージ
【テーマコード(参考)】
3D042
3D235
3D246
3J058
【Fターム(参考)】
3D042AA06
3D042AB01
3D042BA02
3D042BA16
3D042BC05
3D235BB51
3D235CC46
3D235GA04
3D235GA13
3D235GB12
3D235GB19
3D246AA01
3D246DA03
3D246EA01
3D246GA14
3D246GB01
3D246LA33Z
3D246LA56Z
3J058AB02
3J058BA62
3J058CD22
3J058CD30
(57)【要約】
車両制御システムによって指令および制御される、電気-油圧式推進システムを使用する車両のための、一体化されたホイールハブおよび多段速油圧モータ/ポンプおよび制動ユニット、制御弁システム、および駆動クラッチが開示される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホイール駆動システムであって、ハブを有するホイールと、油圧回路を介して加圧圧媒油を供給するための推進システムと、前記油圧回路からのエネルギーを貯蔵するための、およびエネルギーを前記油圧回路に供給するための、エネルギー貯蔵システムと、前記推進システム、油圧モータ/ポンプユニット、および前記貯蔵システムの間の流れを制御するための弁システムと、前記ハブに搭載されて油圧回路に接続された油圧ポンプ/モータであって、前記油圧回路からの加圧圧媒油の適用によって前記ホイールを駆動可能な、および制動時にエネルギーを前記油圧回路に再供給可能な、油圧ポンプ/モータと、前記油圧ポンプ/モータの駆動および制動を制御する車両制御システムとを備え、前記推進システムおよび前記エネルギー貯蔵システムは前記ハブに搭載された前記油圧ポンプ/モータから遠く離れた位置にある、ホイール駆動システム。
【請求項2】
請求項1に記載のホイール駆動モータ/ポンプユニットであって、前記ユニットは前記ホイールを駆動するために使用される、および、他の実施形態においては、前記車両のばね下重量を相殺するために使用可能である、ホイール駆動モータ/ポンプユニット。
【請求項3】
制動中に回収されたエネルギーが油圧アキュムレータに貯蔵される、請求項1または2に記載のホイール駆動システム。
【請求項4】
ABSシステムが含まれている、請求項1~3の何れか一項に記載のホイール駆動システム。
【請求項5】
前記ABSシステムは、自動的に前記ABSシステムに独立に係合するように設計されたABS駆動クラッチを含み、前記車両を独立に制動し、前記車両の前記制動を変調するので、通常運転下で標準的な制御機能に何れかの障害が発生すると、前記車両制御システムに頼らずに、前記車両を停止させる、請求項4に記載のホイール駆動システム。
【請求項6】
前記ホイール駆動部は、主として前記フェールセーフパーキングブレーキとして作用するためのクラッチを含むが、前記車両制御システムによって指令され得る、または指令され得ない、他の機能のために利用され得る、または利用され得ない、請求項1~5の何れか一項に記載のホイール駆動システム。
【請求項7】
前記車両制御システムは、運転者指令に応答する、あるいは自動運転システムからの指令に応答する、請求項1~6の何れか一項に記載のホイール駆動システム。
【請求項8】
前記車両制御システムは、走行状態に応じて前記さまざまなサブシステムの動作を最適化する、請求項1~7の何れか一項に記載のホイール駆動システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一体化されたホイールハブおよびモータ/ポンプユニットに関し、限定的ではないが特に、電気-油圧式推進システムを使用する車両のための制御弁システムを有する、電気-油圧式推進システムに適した多段速油圧モータ/ポンプユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
電気機器およびエネルギー貯蔵技術における進歩および気候変動を食い止めようとする複数社会の総合的目標は、エレクトロモビリティの発展を推進および加速させてきた。都市における低エミッションまたはゼロエミッションゾーンの導入および政治的枠組みの変化は、その発展を加速化させるであろう。いくつかの事業体がエレクトロモビリティに投資しており、既存の概念を拡張し、技術革新を導入し、それらの将来の用途を計画している。本発明は、機械式駆動システムの必要性を減らし、既存の摩擦制動システムから大気に排出される有害な塵粒子を取り巻く明らかにマイナスの問題を解決するための、エレクトロモビリティへの現在のソリューションのこの必要な進化の一部である。この要素は、今や、政治的にも都市部における健康の面でも深刻な問題になっている。
【0003】
エレクトロモビリティの諸利点は当業者には広く知られており、CO2排出および他の有毒ガスの低減に対する直接的影響ばかりでなく、メンテナンスの改善および騒音公害の低減によっても証明可能である。
【0004】
加えて、近い将来、著しく混雑して汚染された都心部がゼロエミッションゾーンに変わり、ゼロエミッション車両のみがそれらゾーン内を走行可能になるであろう。
【0005】
現在のエレクトロモビリティソリューションは、最大効率40%の内燃機関に比べ、最大96%という高い効率を有する。
【0006】
車両の運動力学および操作に関して、エレクトロモビリティ車両推進システムは、停止時にフルトルク特性を有するので、出力が同様の内燃機関を有する車両より迅速な加速が可能である。
【0007】
エレクトロモビリティソリューション駆動システムは、利用可能な全てのソリューション間で機能が同様の主要構成要素をいくつか含む:
・エネルギー貯蔵部およびその関連の制御
・電気モータ/ジェネレータおよび関連の制御
・動力の伝達および制御
・制動システムを含む安全システム
・車両環境制御システム
【0008】
これらさまざまなサブシステムの位置は、ソリューション間で可変であり、主に、追求される車両アーキテクチャに依存する。ただし、車両内の重量構成要素の配置自由度は、車両アーキテクチャ、主に伝達システムのアーキテクチャ、に起因するそれぞれの重量および体積の故に、制限されている。
【0009】
本発明によると、エレクトロモビリティソリューションは、パワーモジュールおよび後続の駆動システムサブコンポーネントを種々の車両のシャシー構成内の何れか有利な位置に置くことができる。
【0010】
本発明は、抑止的で高価で複雑で厄介な機械式駆動用構成要素なしに複輪駆動を有する車両の設計を可能にし、革新的な設計ソリューションのためにかなりの自由度をもたらす。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によると、独立請求項に記載のホイール駆動モータシステムが提供される。
【0012】
本願明細書において開示されるエレクトロモビリティソリューションが使用するホイール駆動システムは、複雑な機械式伝達システムを使用せず、摩擦制動を排除する。
【0013】
この車両アーキテクチャは、最適な重量配分および低重心を実現するために、種々の車両のための主要部品のより大きな配置自由度を可能にする。
【0014】
この場合、重量および複雑度を低減するには、油圧モータ/ポンプ、弁システム、ABSシステム、および対応付けられたクラッチユニットがホイールハブ内に一体化されると理想的である。これにより、あらゆるドライブシャフトおよび関連の伝達用構成要素が不要になるので、総部品点数が減り、駆動システム全体の設計が簡素化される。
【0015】
一代替実施形態においては、車両のばね下重量を相殺するためにモータ/ポンプハブユニットを使用できる。したがって、ばね下重量ファクタにおける慣性を大きく減らすことによって、スプリングおよびダンパーにおいて時間調整される周波数応答が低減される。
【0016】
モータ/ポンプの重量は、ホイールの重量に対して相殺され、ひいては車両の運動力学を向上させる。モータ/ポンプはホイールハブから独立しており、サスペンション制御要素、すなわちスプリングおよびダンパー、における慣性効果を減らす、またはなくす、ために、ホイールおよびハブアセンブリの重量を相殺するようにウイッシュボーン製ホイールハブおよびモータ/ポンプのサブアセンブリ上に載置される。これにより、より良い乗り心地および制御、ならびに操作および運動力学の向上が可能になる。フェールセーフABSシステムは、ホイールハブ内に留まることになるので、粒子を放出しない独立の制動システムとして別個の制御戦略下で使用できる。
【0017】
本発明は、パワーユニットから機械式駆動部を不要にする、更には既存の摩擦ブレーキを不要にする、ホイール駆動ユニットをもたらす。
【0018】
この車両アーキテクチャは、一輪および多輪駆動システムに適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】多輪駆動システムのための、一体化されたホイールハブモータ/ポンプ、制御弁システム、ABSシステム、および複数の制御クラッチの模式図である。
図2】ホイールハブに搭載された、一体化されたホイールハブ弁システムアセンブリと、油圧力貯蔵部および制御弁とのその相互作用とを示す模式図の部分詳細図である。
図3】ホイールハブに搭載された、一体化されたホイールハブポンプ/モータ、ABSシステム、およびホイールクラッチアセンブリを示す模式図の部分詳細図である。
図4A】ホイールに搭載されたLHホイール駆動ユニットの三次元図である。
図4B】ホイールに搭載されたRHホイール駆動ユニットの三次元図である。
図5】ホイールに搭載されたホイール駆動ユニットの三次元底面図である。
図5A】ホイールに搭載されたホイール駆動ユニットの側面図である。
図5B】ホイールに搭載されたホイール駆動ユニットの正面図である。
図6】ホイール、ホイールハブ、およびホイール駆動ユニットアセンブリの詳細断面図A-Aである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下の説明においては、本発明の理解をもたらすために多くの詳細が記載されている。ただし、本発明は、これらの詳細なしに実施され得ること、または記載の諸実施形態からの多数の変形または変更が可能であり得ること、を当業者は理解されるであろう。
【0021】
本発明は、電気-油圧式推進システムを使用する車両のための一体化されたホイールハブおよび多段速油圧モータ/ポンプユニット、ABSシステム、ホイールクラッチ、および制御弁システムと、標準車両およびスポーツビークルにおけるその実際の実装と、に関する。ただし、本発明の装置および方法は、本願明細書に記載されている特定の用途における使用に限定されるものではない。
【0022】
図1を全般的に参照すると、動力配分および制御手段として油圧力を使用するエレクトロモビリティソリューションのマルチ駆動システムのための、一体化されたホイールハブモータ/ポンプ、ABSシステムおよびホイールクラッチ15およびホイール16、および制御弁システム20の模式図が示されている。
【0023】
この模式図は、主要なサブシステムとそれらの相互接続を示している。すなわち、
図2-弁システムと相互接続、および車両システムコントローラ
図3-インホイール油圧モータ/ポンプ、ABSシステム、およびホイールクラッチ。
【0024】
制動中、各ホイール16から、ホイール搭載モータ/ポンプユニットを介して、動力が取り出される。ホイール搭載モータ/ポンプユニットについては、以下で詳細に説明する。制動中にホイール搭載モータ/ポンプユニットが発生させた圧媒油の流れおよび圧力は、アキュムレータに貯蔵可能である。貯蔵されたエネルギーは、制動が中止されたときにホイールを駆動するために、または他の諸用途に向けるために、アキュムレータに保持しておくことができる。
【0025】
システムの最適制御のためのロジックは、車両システムコントローラに埋め込まれている。
【0026】
図2を全般的に参照すると、ホイール制御弁の詳細模式図が示されている。これら弁の制御は走行状態に依存し、車両システムコントローラによって行われる。
【0027】
システムのための油圧力供給部は、理想的には、圧媒油を加圧するために電気モータを使用する電気-油圧ユニットであり、より理想的には、発電機として戻り流を利用できる電気-油圧ユニットである。上述のように、油圧力を貯蔵し、システムに供給するために、理想的にはアキュムレータも併用され得る。圧力逃し弁5および絞り4を通過した後、油圧力供給部は、車両制御システムによって制御されるホイール制御弁ブロック2、3を介して、ホイールポンプ/モータを制御する。
【0028】
車両制御システムは、弁ブロック1も制御する。弁ブロック1は、制動システムを作動させるために、圧媒油をABS駆動クラッチに供給する。制動中、ホイールポンプ/モータは、圧媒油を加圧する。この圧媒油は弁ブロック2、3を介してシステムに戻され、電気-油圧ユニットおよび/またはアキュムレータによって利用される。
【0029】
車両制御システムは、弁ブロック6も制御する。弁ブロック6は、ホイールポンプ/モータとホイール16との間のホイール駆動クラッチに供給する。
【0030】
各ホイールポンプ/モータ、ホイールクラッチ、および各ABS駆動クラッチは、理想的には、単一ホイールを制御する。ここでは1つのホイールについて図示および説明しているが、本願明細書に記載の諸原理は、複輪駆動車、他の種類の車両、連結式車両トレーラ、および一輪駆動または二輪駆動システムとしての自動二輪車、にも等しく適用可能である。
【0031】
図3を全般的に参照すると、ホイールモータ/ポンプユニット、ABSシステム、およびホイール駆動クラッチ構成の詳細模式図が示されている。ハブホイール16は、ABSシステム8によって制御されるABS駆動クラッチ9と、油圧入口/出口ポートによって供給されるホイールポンプ/モータ7によって駆動されるホイール駆動クラッチ10と、に係合可能である。ABS駆動クラッチ9、ホイール駆動クラッチ10、およびホイールポンプ/モータの動作は、最終的に車両制御システムによって制御される。
【0032】
図4A図4B図5A、および図5Bを全般的に参照すると、ホイールに搭載されたホイール駆動ユニットアセンブリが示されている。ホイール駆動アセンブリユニット21は、ホイールおよびタイヤアセンブリ24の中心にあるホイールハブアセンブリ22に搭載される。ホイールハブアセンブリ22は、油圧入口/出口ポート11を含む。ホイール駆動アセンブリユニット21
【0033】
図6を全般的に参照すると、ホイールに搭載されたホイール駆動ユニットアセンブリの注釈付き詳細断面図が示されている。ホイールアセンブリ24は、管状スタブ軸30を有する。ホイールハブアセンブリ22は軸受31によって回転可能にスタブ軸30上に搭載されるので、ホイールハブアセンブリはホイールアセンブリ24の向きを制御でき、ホイールアセンブリ24を回転させることができる。管状スタブ軸30は、ドライブシャフト32に楔止される。ドライブシャフト32はホイール駆動ユニットアセンブリ21内まで延在し、ABSユニット8内のABSクラッチユニット9とホイール/ポンプモータ7内のホイール/ポンプモータクラッチユニット10とに楔止される。
【0034】
ここでは、クラッチユニット9とクラッチユニット10とが図示されている。多種類のクラッチ機構が公知であり、ホイール駆動ユニットでの使用に適合化され得る。有利に使用可能な1種類のクラッチは、クラッチプレートを潤滑する圧媒油内に密封された複数のプレートを使用するクラッチである。有利に使用可能な一代替油圧クラッチは、入力と出力との間のトルク伝達を実現するために、ポンプおよびタービンのように動作する流体継手である。有利に使用可能な更なる種類のクラッチは、粘性継手である。この場合、クラッチ内の圧媒油の加圧が増加すると、流体の粘性が増し、ひいては入力プレートと出力プレートとを結合する。使用されるクラッチの種類に拘わらず、クラッチは車両制御システムによって油圧で作動および制御される。
【0035】
これらクラッチの結合部分は密閉されたユニットであるので、如何なる極小摩耗も流体内の粒子になる。これら粒子は、フィルタによって、および/または流体の交換によって、除去可能であるので、大気への微粒子の放出が防止される。
【0036】
ホイール駆動ユニットアセンブリ21には、複数の油圧入口/出口ポート11を介して、圧媒油が供給される。これら油圧入口/出口ポート11は、弁システムマニホールドアセンブリ35に収容された上記の弁ブロックによって制御される。圧媒油をホイール/ポンプモータクラッチユニット10に導くために弁ブロック2を作動させると、ホイール/ポンプモータ7がドライブシャフトに係合する。圧媒油を(正逆回転可能な)ホイール/ポンプモータ7に導くために弁ブロック6、7を作動させると、ドライブシャフトが回転し、ホイールアセンブリ24を回転させる。ホイール/ポンプモータクラッチユニット10は、ホイール/ポンプモータ7に、例えば複数のスプラインによって、楔止され、更にはドライブシャフト32に(この場合も理想的には複数のスプラインによって)別個に楔止される。ABSクラッチ9も同様に(理想的には複数のスプラインによって)ドライブシャフト32に楔止される。各クラッチユニットは、冷却用ウォータジャケットによって都合よく冷却可能である。その熱せられた冷却用流体は、熱回収ユニットを通して循環させることができ、その熱の一部を電気エネルギーに変換してバッテリに貯蔵できる、またはシステムの電気構成要素に向かわせることができる。環境への放熱が最小化されるように、各クラッチユニットおよび冷却システムも断熱され得る。
【0037】
圧媒油をABSクラッチユニット9に向かわせるために弁ブロック1を作動させると、ABSユニット8に係合する。
【0038】
通常の走行状態において、駆動は、車両制御モジュールによって指示された諸条件が求めるように、電気モータ/油圧が組み合わされたパワーユニットおよび/またはアキュムレータからの流れおよび圧力を介して制御される速度でモータとしてのモータ/ポンプを介して、行われる。
【0039】
制動中、加圧流体がABSユニットにおいて生じる。その後、この加圧流体をシステムに戻すことができるので、エネルギーをアキュムレータに貯蔵する(または、車両の他のシステムに向かわせる)ために使用できる。通常の減速時、制動効果の度合いは、弁システムを介してホイール上のモータ/ポンプ間の変調によって設定される。ポンプ作用からのエネルギーは、通常、制動用アキュムレータに貯蔵され、必要に応じて使用される。これにより、通常状態では、運転手の「ワンペダル」制御によって車両を駆動できる。場合によっては、第2ペダルをブレーキに係合させることも可能である。この係合は、このペダルにかかる圧力によって制動効果を制御することによって行われる(より標準的な構成)。この構成では、ホイール上のモータ/ポンプ間の変調は、このペダルにかかる圧力によって制御される。この制御下で、またはワンペダルシステムにおいて、ホイールがロックすると、ABSは同じ変調効果によって引き継ぐが、通常の駆動システムはABSによって制御されない。
【0040】
独立したABSシステムクラッチは通常は係合解除されており、動力が失われると、如何なる理由であれ、通常のホイール駆動システムに係合するように設計されているので、通常は車両を停止させる。この制御は車両制御システムに課せられるが、機能としてホイール内で機械式に制御される。これは、再循環油圧ポンプであり、回転がなくなるまでロックとアンロック間を変調するために、ホイールシャフトの回転によって作動される弁を有する。その後、ホイールシャフトはロックされる。
【0041】
ABS駆動クラッチ9およびホイール駆動クラッチ10の両方が回生動作を行う。すなわち、ホイールの回転時にブレーキとして作用するように両クラッチを作動させることができ、この作用によって加圧されたクラッチ内の流体のエネルギーを回収できる。ABS駆動クラッチ9およびホイール駆動クラッチ10は、完全に別個に作動可能である。ホイール駆動クラッチ10は一定の速度で作動可能であるが、ABS駆動クラッチ9は、トルクを減らし、ホイール駆動クラッチ10がドライブシャフトに伝達する余剰エネルギーを回収するために、必要に応じて係合される。これは、ホイール駆動クラッチ10の速度を絶えず変化させるより効率的であり得る。
【0042】
ABS駆動クラッチ9は更に付勢されるので、その作動システムに油圧力を加えると、ABS駆動クラッチ9はドライブシャフトから係合解除される。したがって、油圧力が失われると、ホイールを制動するためにABS駆動クラッチ9は係合するので、油圧力が失われたときにホイールを停止させるためのフェールセーフブレーキとして働く。更に、ABS駆動クラッチ9の制動作用は一時的に油圧力を増加させる。この油圧力は、ABS駆動クラッチ9を解放するために使用できるので、ホイールをフルロックさせずに停止させる。
【0043】
本システムは、理想的には、四輪駆動車両および4つより多い数の車輪を有する車両に適しており、各ホイールを独立に駆動および制動できる(ただし、本システムは、勿論、車両の2つのホイールのみにも適用され得る)。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図5A
図5B
図6
【国際調査報告】