(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-17
(54)【発明の名称】超節水型洋式便器
(51)【国際特許分類】
E03D 11/13 20060101AFI20230310BHJP
E03D 1/26 20060101ALI20230310BHJP
【FI】
E03D11/13
E03D1/26
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022543709
(86)(22)【出願日】2021-01-08
(85)【翻訳文提出日】2022-07-15
(86)【国際出願番号】 KR2021000269
(87)【国際公開番号】W WO2021149952
(87)【国際公開日】2021-07-29
(31)【優先権主張番号】10-2020-0007279
(32)【優先日】2020-01-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522286023
【氏名又は名称】エルエス デザイン バス シーオー.,エルティーディー.
(74)【代理人】
【識別番号】100088904
【氏名又は名称】庄司 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100124453
【氏名又は名称】資延 由利子
(74)【代理人】
【識別番号】100135208
【氏名又は名称】大杉 卓也
(74)【代理人】
【識別番号】100183656
【氏名又は名称】庄司 晃
(74)【代理人】
【識別番号】100224786
【氏名又は名称】大島 卓之
(74)【代理人】
【識別番号】100225015
【氏名又は名称】中島 彩夏
(72)【発明者】
【氏名】ジュン,ヒュンホ
(72)【発明者】
【氏名】シン,グエン シグ
【テーマコード(参考)】
2D039
【Fターム(参考)】
2D039AA02
2D039AD04
2D039BA00
2D039BA02
2D039CB02
2D039DA04
(57)【要約】
本発明は、超節水型洋式便器に関するものであり、これを実現するための本発明は、一方の側に上部が開かれたボウル部が形成され、他方の側に前記ボウル部の内面の排出孔と設置面の汚水管とが連絡できるようにトラップ部が形成された便器本体と、前記便器本体の片側に配設され、水が貯留される内部の底面にはボウル部に前記水が移動できるように通孔が形成された貯水タンクと、前記貯水タンクの内部に配設され、前記貯水タンクの水が流れ込んで貯留される節水タンクと、前記通孔と接続される前記節水タンクの穴を選択的に開閉する排水装置及び一方の端は前記トラップ部に貫通接続され、他方の端は前記貯水タンクを介して前記節水タンクの内部と接続される空気移動部材を備えてなるところに特徴がある。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の側に上部が開かれたボウル部(110)が形成され、他方の側に前記ボウル部(110)の排出孔(111)と汚水管とが連絡するようにトラップ部(120)が形成される便器本体(100)と、
前記便器本体(100)の片側に配設され、水が貯留される内部の底面にボウル部(110)と連絡するように通孔(210)が形成される貯水タンク(200)と、
前記貯水タンク(200)の内部に配設され、前記貯水タンク(200)の水が流れ込んで貯留され、前記貯水タンク(200)の通孔(210)と連絡するように穴(311)が形成される節水タンク(300)と、
前記節水タンク(300)に配設されて前記穴(311)を選択的に開閉する排水装置と、
一方の端は前記トラップ部(120)の外面に接続され、他方の端は前記節水タンク(300)に接続されて前記トラップ部(120)の空気を前記節水タンク(300)の内部に移動させる空気移動部材(500)と、
を備える超節水型洋式便器。
【請求項2】
前記節水タンク(300)は、
上部が開かれ、下部の底面に前記穴(311)が形成される第1の貯留部(310)と、
前記第1の貯留部(310)の外側の周りに隔壁(330)により仕切られて形成される第2の貯留部(320)と、
を備え、
前記隔壁(330)は、前記第2の貯留部(320)と前記第1の貯留部(310)とが互いに連通するように連通口(331)が形成され、底面には前記貯水タンク(200)の水が前記第1の貯留部(310)と第2の貯留部(320)に流れ込むように少なくとも一つの流込口(340)が形成されたものである請求項1に記載の超節水型洋式便器。
【請求項3】
前記節水タンク(300)の上側には第2の貯留部(320)と連通する接続部(321)が突設されたものである請求項2に記載の超節水型洋式便器。
【請求項4】
前記第2の貯留部(320)の外面には少なくとも一つの補助流込口(350)が形成され、前記補助流込口(350)は、シャッター部材(360)が配設されて前記シャッター部材(360)を調節することで前記補助流込口(350)の開閉量が調節されるものである請求項2に記載の超節水型洋式便器。
【請求項5】
前記空気移動部材(500)は、
前記接続部(321)に上端が接続される第1の移動管(510)と、
前記トラップ部(120)の外側面に下端が接続される第2の移動管(520)と、
前記貯水タンク(200)の底面に気密が保持されるように貫通配設され、かつ、上側は前記第1の移動管(510)の下端と接続され、下側は前記第2の移動管(520)の上端と接続されて空気が移動可能なように前記第1の移動管(510)と第2の移動管(520)とを互いに接続する接続部材(530)と、
を備えるものである請求項3に記載の超節水型洋式便器。
【請求項6】
前記第1の移動管(510)の上端には繋ぎ具(511)が配設されて前記第2の貯留部(320)の接続部(321)に着脱自在に接続されるが、
前記繋ぎ具(511)は、水平部(512)と第1の垂直部(513)及び第2の垂直部(514)から構成され、第1の垂直部(513)は、前記第1の移動管(510)の上端と接続され、第2の垂直部(514)は、前記接続部(321)に嵌め込まれて接続され、前記水平部(512)の一方の端部には通気穴(311)が形成されたものである請求項5に記載の超節水型洋式便器。
【請求項7】
前記第1の移動管(510)の上端には繋ぎ具(511)が配設されて前記第2の貯留部(320)の接続部(321)に着脱自在に接続されるが、
前記繋ぎ具(511)は、水平部(512)と第1の垂直部(513)及び第2の垂直部(514)から構成され、第1の垂直部(513)は、前記第1の移動管(510)の上端と接続され、第2の垂直部(514)は、前記接続部(321)に嵌め込まれて接続され、前記水平部(512)の一方の端部は通気口(515)として形成され、前記通気口(515)は、通気孔(517) 付き栓体(516)により開閉されるものである請求項5に記載の超節水型洋式便器。
【請求項8】
前記第2の移動管(520)の下端は、結合具(521)を介して前記トラップ部(120)に形成される嵌合孔(124)と着脱自在に結合されるものである請求項5に記載の超節水型洋式便器。
【請求項9】
前記嵌合孔(124)は、前記トラップ部(120)の直線部(122)の上側における背面または側面に形成されるものである請求項8に記載の超節水型洋式便器。
【請求項10】
前記結合具(521)は、気密保持具(523)により包み込まれた弾性クリップ部(522)から構成され、前記弾性クリップ部(522)は、前記嵌合孔(124)に弾力的に結合され、前記嵌合孔(124)の外側に形成される嵌合溝(125)には前記気密保持具(523)の端部が嵌合するものである請求項8に記載の超節水型超節水型洋式便器。
【請求項11】
前記トラップ部(120)の直線部(122)には後方に突設された拡張空間部が形成され、前記拡張空間部に前記嵌合孔(124)が形成されるものである請求項9に記載の超節水型超節水型洋式便器。
【請求項12】
前記第1の移動管(510)と第2の移動管(520)は、金属管または合成樹脂管または強化ガラス管またはセラミック管またはゴム管のうちのいずれか一つから構成されたものである請求項5に記載の超節水型洋式便器。
【請求項13】
前記第1の移動管(510)と第2の移動管(520)は、内面に渦流状の空気誘導溝が形成されたものである請求項5に記載の超節水型洋式便器。
【請求項14】
前記第2の移動管(520)は、逆止め弁またはフィルターが配設されたものである請求項5に記載の超節水型洋式便器。
【請求項15】
前記ボウル部(110)またはトラップ部(120)、またはボウル部(110)とトラップ部(120)の両方とものうちのいずれか一つの内面にはナノ物質がコーティングされてなるものである請求項1に記載の超節水型洋式便器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洋式便器に係り、さらに詳しくは、少量の水で洋式便器の汚れ物を効果的に排出することのできる超節水型洋式便器に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、洋式便器は、使用者を着座状態で支持し、排尿や排便による汚れ物を一時的に収められるようにボウルが形成された便器本体と、該便器本体の一方の側に配置され、ボウルに一時的に収められた汚れ物を流し落とすための水が貯留される貯水タンクと、を備えてなる。
【0003】
このような洋式便器は、使用者が着座状態で排尿や排便に臨むことができて、姿勢が楽であるだけではなく、排尿や排便後に貯水タンクの水がボウルの汚れ物を便器本体と連絡された汚水管に直ちに排出することができて排尿や排便後の処理が衛生的であるという特徴を有する。
【0004】
しかしながら、従来の洋式便器は、排尿や排便などといった用便をした後、貯水タンクに貯留された概ね12リットル~15リットルの水の全体が便器本体のボウルに排出されてしまうが故に、使用に伴う水の消費が激しいという不都合があった。
【0005】
このような不都合を解決するために、大韓民国公開特許第10-2010-0095110号公報(公開日:2010.08.30)に開示されているように、用便をした後、貯水槽からの排水量を調節できるようにする改善型洋式便器が提案されている。
【0006】
このような改善型洋式便器は、貯水槽の外面に設けられる一対のボタンを選択的に操作することから、大便後の処理に際して貯水槽に貯留された概ね6~7Lの水を排出し、小便後の処理に際して貯水槽に貯留された概ね3~4Lの水を排出することにより、通常の洋式便器に比べて水の消費量を節減することはできる。
【0007】
しかしながら、洋式便器の本体の内下部に配備される排出路にはトラップ部が形成され、このようなトラップ部には常に空気が詰め込まれるが故に、排出路を介して汚れ物を排出するに際して、トラップ部の空気による排出干渉がかなり生じるため、汚れ物の排出が円滑に行われないという不都合があった。
【0008】
上記の理由から、当該分野においては、便器本体の汚れ物の処理のために貯水槽から便器本体へと移動する排水量を調節できるようにするが、トラップ部に詰め込まれた空気による排出干渉を極力抑えつつも、少量の水で汚れ物の排出を円滑に行えるようにする節水型洋式便器の開発を試みているが、これまでは満足のいく結果が得られないのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】大韓民国公開特許第10-2010-0095110号公報(2010.08.30公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上述した不都合を解消するために案出されたものであって、洋式便器において排尿または排便などの用便をした後、これを処理するときに少量の水が一定の加圧で追加されて汚れ物を効果的に排出できるようにした超節水型洋式便器を提供するところにその目的がある。
【0011】
本発明において解決しようとする技術的課題は、上述した技術的課題に何ら制限されるものではなく、未言及の他の技術的課題は、次の記載から本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者にとって明らかに理解できる筈である。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述したような目的を達成するための本発明に係る超節水型洋式便器は、一方の側に上部が開かれたボウル部が形成され、他方の側に前記ボウル部の排出孔と汚水管とが連絡するようにトラップ部が形成される便器本体と、前記便器本体の片側に配設され、水が貯留される内部の底面にボウル部と連絡するように通孔が形成される貯水タンクと、前記貯水タンクの内部に配設され、前記貯水タンクの水が流れ込んで貯留され、前記貯水タンクの通孔と連絡するように穴が形成される節水タンクと、前記節水タンクに配設されて前記穴を選択的に開閉する排水装置と、一方の端は前記トラップ部の外面に接続され、他方の端は前記節水タンクに接続されて前記トラップ部の空気を前記節水タンクの内部に移動させる空気移動部材と、を備えてなる。
【0013】
より好ましくは、前記節水タンクは、上部が開かれ、下部の底面に前記穴が形成される第1の貯留部と、前記第1の貯留部の外側の周りに隔壁により仕切られて形成される第2の貯留部と、を備え、前記隔壁は、前記第2の貯留部と前記第1の貯留部とが互いに連通するように連通口が形成され、底面には前記貯水タンクの水が前記第1の貯留部と第2の貯留部に流れ込むように少なくとも一つの流込口が形成されてもよい。
【0014】
さらに好ましくは、前記節水タンクの上側には第2の貯留部と連通する接続部が突設されてもよい。
【0015】
さらに好ましくは、前記第2の貯留部の外面には少なくとも一つの補助流込口が形成され、前記補助流込口はシャッター部材が配設されて前記シャッター部材を調節することで前記補助流込口の開閉量が調節されてもよい。
【0016】
さらに好ましくは、前記空気移動部材は、前記接続部に上端が接続される第1の移動管と、前記トラップ部の外側面に下端が接続される第2の移動管と、前記貯水タンクの底面に気密が保持されるように貫通配設され、かつ、上側は前記第1の移動管の下端と接続され、下側は前記第2の移動管の上端と接続されて空気が移動可能なように前記第1の移動管と第2の移動管とを互いに接続する接続部材と、を備えていてもよい。
【0017】
さらに好ましくは、前記第1の移動管の上端には繋ぎ具が配設されて前記第2の貯留部の接続部に着脱自在に接続されるが、前記繋ぎ具は、水平部と第1の垂直部及び第2の垂直部から構成され、第1の垂直部は、前記第1の移動管の上端と接続され、第2の垂直部は、前記接続部に嵌め込まれて接続され、前記水平部の一方の端部には通気穴が形成されてもよい。
【0018】
さらに好ましくは、前記第1の移動管の上端には繋ぎ具が配設されて前記第2の貯留部の接続部に着脱自在に接続されるが、前記繋ぎ具は、水平部と第1の垂直部及び第2の垂直部から構成され、第1の垂直部は、前記第1の移動管の上端と接続され、第2の垂直部は、前記接続部に嵌め込まれて接続され、前記水平部の一方の端部は通気口として形成され、前記通気口は、通気孔付き栓体により開閉されるように構成されてもよい。
【0019】
さらに好ましくは、前記第2の移動管の下端は、結合具を介して前記トラップ部に形成される嵌合孔と着脱自在に結合されるように構成されてもよい。
【0020】
さらに好ましくは、前記嵌合孔は、前記トラップ部の直線部の上側の背面または側面に形成されてもよい。
【0021】
さらに好ましくは、前記結合具は、気密保持具により包み込まれた弾性クリップ部から構成され、前記弾性クリップ部は、前記嵌合孔に弾力的に結合され、前記嵌合孔の外側に形成される嵌合溝には前記気密保持具の端部が嵌合してもよい。
【0022】
さらに好ましくは、前記トラップ部の直線部には後方に突設された拡張空間部が形成され、前記拡張空間部に前記嵌合孔が形成されてもよい。
【0023】
さらに好ましくは、前記第1の移動管と第2の移動管は、金属管または合成樹脂管または強化ガラス管またはセラミック管またはゴム管のうちのいずれか一つから構成されてもよい。
【0024】
さらに好ましくは、前記第1の移動管と第2の移動管は、内面に渦流状の空気誘導溝が形成されてもよい。
【0025】
さらに好ましくは、前記第2の移動管には、逆止め弁またはフィルターが配設されてもよい。
【0026】
さらに好ましくは、前記ボウル部またはトラップ部またはボウル部とトラップ部の両方とものうちのいずれか一つの内面にはナノ物質がコーティングされていてもよい。
【発明の効果】
【0027】
以上のような構成による本発明に係る超節水型洋式便器は、下記のような効果を奏する。
【0028】
すなわち、貯水タンクの内部に配設される節水タンクの水がボウル部に移動するとき、トラップ部から移動する空気により加圧が促進されることにより、ボウル部の汚れ物を少量の水で速やかにかつ効果的に排出することができ、トラップ部の空気を節水タンクに移動させるための空気移動部材が作製し易く、空気移動部材をトラップ部と節水タンクに手軽に着脱することができて設置の効率性及びメンテナンスの行い易さを向上させることができ、空気移動部材の内径が均一になるように作製できることから、空気の供給の効率性をさらに向上させることができるという効果を有する。
【0029】
また、使用者が節水タンクに配備される補助流込口の開閉量を使用者の意図や使用環境及び条件に応じて簡便に調節することができて、水の消費量の調節を手軽に行うことができるという効果を奏する。
【0030】
併せて、このように記載された本発明の効果は、発明者の認知有無とは無関係に記載された内容の構成により当然のことながら発揮されるものであるため、上述した効果は、記載されている内容に伴ういくつかの効果に過ぎず、発明者が捉えた、または実際に存在するあらゆる効果を記載したものであると認められてはならない。
【0031】
また、本発明の効果は、明細書の全般的な記載によりさらに捉えられるべきであり、たとえ明示的な文章として記載されていないとしても、記載されている内容が属する技術分野において通常の知識を有する者が本明細書を通じてそのような効果があると認められる効果であれば、本明細書に記載されている効果であるとみなすべきである。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】本発明の一実施形態に係る超節水型洋式便器を例示した要部分解斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態に従って超節水型洋式便器に配設される節水タンクと排水装置を例示した要部分解斜視図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る超節水型洋式便器の節水タンクを例示した正断面図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る節水タンクの補助流込口とシャッター部材の構成を示す要部斜視図である。
【
図5】(a)及び(bは)、本発明の一実施形態に従って節水タンクの補助流込口に配設されたシャッター部材の作動過程を示す要部正面図である。
【
図6】本発明の一実施形態に従って貯水タンクに配設された節水タンクと排水装置と空気移動部材を示す要部切り欠き斜視図である。
【
図7】本発明の一実施形態に従って節水タンクに貫通配設される空気移動部材を示す要部分解斜視図である。
【
図8】本発明の一実施形態に従って節水タンクに貫通配設される空気移動部材を示す要部結合断面図である。
【
図9】本発明の一実施形態に従って節水タンクに貯留された水がボウル部に移動する前の状態を示す超節水型洋式便器の側断面図である。
【
図10】本発明の一実施形態に従って節水タンクに貯留された水がボウル部に移動しつつ、トラップ部の空気が節水タンクに移動する過程を示す超節水型洋式便器の側断面図である。
【
図11】本発明の一実施形態に従って節水タンクに貯留された水がボウル部に移動して汚れ物が排出された後、貯水タンクの水が節水タンクに詰め込まれる過程を示す超節水型洋式便器の側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、添付図面に基づいて、本発明の好適な実施形態に係る構成及び作用について詳しく説明する。
【0034】
これは、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者が本発明の内容を容易に実施できるほどに詳しく説明するためのものに過ぎず、これにより本発明の技術的思想及び範ちゅうが限定されるということを意味しない。
【0035】
また、各図面の構成要素に対して参照符号を付するにあたって、同じ構成要素に限っては、たとえ異なる図面の上に示されているとしても、できる限り同じ番号にて表記されているということに留意すべきであり、本発明の構成及び作用を考慮して特別に定義された用語は、使用者、運用者の意図または慣例に応じて異なってくることがあり、これらの用語に関する定義は、本発明の全般に亘っての内容を踏まえて判断されるべきである。
【0036】
併せて、明細書の全般にわたって、ある部分がある構成要素を「備える」としたとき、これは、特に断りのない限り、他の構成要素を除外するわけではなく、他の構成要素をさらに備えていてもよいことを意味する。
【0037】
まず、本発明に係る超節水型洋式便器の構成要素は、汚れ物が一時的に収められるボウル部及びこのようなボウル部と汚水管とを連絡させるトラップ部から構成される便器本体と、便器本体の上側に配設され、内部に一定量の水が貯留される貯水タンクと、貯水タンクの内部に配設されて貯水タンクの水を供給される節水タンクと、節水タンクに収められた水をボウル部に移動させる排水装置及びトラップ部と節水タンクとを接続する空気移動部材に大きく分けられ、このようにして分けられる本発明の構成要素について、例示された図面に基づいてより具体的に説明すれば、下記の通りである。
【0038】
まず、便器本体100は、
図1に例示したように、上部が開かれた状態で内部に水や汚れ物が収められるように半球状の空間を有するボウル部110と、このようなボウル部110の内部の奥側に形成される排出孔111を汚水管に連絡させるトラップ部120と、を備えていてもよく、ボウル部110の上部には使用者の着座のための着座シートが配備されてもよく、ボウル部110の開かれた上部は蓋体により開閉されてもよい。
【0039】
トラップ部120は、
図9でのように、排出孔111から始まって上方に曲げられながら略「U」字状の第1のトラップ121が形成され、次いで、下方に直線部122をなしていて直線部122の終端からさらに上方に曲げられた後、さらに下方に曲げられて汚水管に連絡される略「U」字状の第2のトラップ123が形成されることにより、第1のトラップ121と第2のトラップ123に溜まる封水を用いて汚水管から上がってくる悪臭を二重に遮断することができる。
【0040】
便器本体100は、セラミックまたは合成樹脂または金属などから作製されてもよく、必要に応じて、ボウル部110の内面またはトラップ部120の内面またはボウル部110の内面とトラップ部120の内面の両方ともにナノ物質によりコーティング処理を施して表面張力を減少させることにより、このような内面を通過する汚れ物の移動を促して汚れ物の処理に用いられる水の消費量を節減することもできる。
【0041】
貯水タンク200は、
図1と
図9に例示されたように、叙上の便器本体100の後方の上部に配設され、内部に一定量の水が貯留できるように所定の大きさの空間が形成され、内部の底面にはボウル部110と連絡する通孔210が形成されることにより、このような通孔210を介して貯水タンク200の水がボウル部110に移動することが可能になる。
【0042】
貯水タンク200に形成された通孔210は、詳しくは後述する排水装置400を作動させることにより開かれることができ、このような排水装置400は、貯水タンク200の外面に配設されるレバーと接続されてレバーの操作に従って作動されることができる。
【0043】
貯水タンク200には、内部に水が詰め込まれるように外部の水道管と連絡された入水管(図示せず)が配設され、このような入水管には、貯水タンク200の内部に詰め込まれる水の水位を調節できるように水位調節装置(図示せず)が一緒に配備される。
【0044】
節水タンク300は、叙上の貯水タンク200の内部に配設されて貯水タンク200に詰め込まれた水を供給されて一定量の水を貯留することになり、節水タンク300に貯留された水は、排水装置400を作動させることでボウル部110に移動することが可能になる。
【0045】
節水タンク300は、その実施形態を挙げると、
図2と
図3に例示したように、上面は開かれ、内部の底面には貯水タンク200の通孔210と互いに連絡するように穴311が形成される第1の貯留部310が中央に形成され、該第1の貯留部310の外側の周りに隔壁330を介して仕切られる第2の貯留部320が形成され、隔壁330の下端には、第1の貯留部310と第2の貯留部320とが連通して水が移動できるように連通口331が形成される。
【0046】
節水タンク300の底面には、貯水タンク200の水が節水タンク300の第1の貯留部310及び第2の貯留部320に詰め込まれるように流込口340が形成され、このような流込口340は、単一が設けられてもよく、あるいは、底面に分散されて第1の貯留部310と第2の貯留部320に効果的に水が詰め込まれるように多数形成されてもよい。
【0047】
流込口340は、その直径や数を調節することで、節水タンク300に移動する水の量を調節することができ、流込口340を介して設定された量よりも多い量の水が節水タンク300に流れ込むように設計される場合、排水装置400の作動につれて節水タンク300の水がボウル部110に抜け出るとき、流込口340を介して節水タンク300に流れ込む水が多くなることに起因して、ボウル部110に一緒に抜け出る水が増えるので、汚れ物の処理に用いられる水の量を増やすことができ、相対的に節水タンク300に水が詰め込まれる時間が短縮されることにより、排水装置400の再作動に要される時間は短縮されることが可能になる。
【0048】
また、流込口340を介して設定された量よりも少ない量の水が節水タンク300に流れ込むように設計される場合、排水装置400の作動につれて節水タンク300の水がボウル部110に抜け出るとき、流込口340を介して節水タンク300に流れ込む水が少なくなることに起因して、ボウル部110に一緒に抜け出る水が減るので、汚れ物の処理に用いられる水の量を減らすことができ、相対的に節水タンク300に水が詰め込まれる時間が延びることにより、排水装置400の再作動に要される時間は延びることができる。
【0049】
したがって、節水タンク300の大きさと、節水タンク300に形成された穴311の直径と、節水タンク300に形成された通孔210の直径と、排水装置400の作動につれて通孔210が開かれてから閉じられる時間及び流込口340の直径と数を適切に調節して設計すれば、ボウル部に排出される水の使用量と排水装置の再作動に要される時間を使用者のニーズや設置環境及び条件、状況などを考慮して適切な形態で使用者に提供することができる。
【0050】
ここで、節水タンク300の大きさと、節水タンク300に形成された穴311の直径と、節水タンク300に形成された通孔210の直径及び流込口340を適切に設計することで、ボウル部110に移動する水の使用量をいずれか一つに定めることができるが、このような水の使用量は、洋式便器の作製過程において定められるため、使用中に使用者のニーズや設置環境及び条件、状況などに応じて水の使用量を増やすことはできないのである。
【0051】
したがって、洋式便器の使用過程においてボウル部110に移動する水の使用量を必要に応じて増やせる手段が提供される必要があり、このような手段として節水タンク300に補助流込口350を形成し、このような補助流込口350の開閉量を制御して貯水タンク200に流れ込む水の量を増やすこともできる。
【0052】
すなわち、
図4に示すように、節水タンク300の表面に四角い形状に貫通する補助流込口350が形成され、節水タンク300の裏面には補助流込口350の両側に案内ガイド351が向かい合って形成され、シャッター部材360は、このような案内ガイド351に嵌め込まれた状態で上下に摺動動作することにより、シャッター部材360の上下への摺動動作により補助流込口350の開閉量が調節されながら、補助流込口350を介して第2の貯留部320に移動する水の量が調節可能になるのである。
【0053】
ここで、補助流込口350は、開閉量が段階的に調節されることが可能であり、このための実施形態を挙げると、案内ガイド351の上端に弾性突起352を形成し、シャッター部材360の両側には長手方向に沿って案内ガイド351の弾性突起352が選択的に引っかかって固定できるように多数の係止溝361を形成することにより、シャッター部材360が案内ガイド351に沿って段階的に昇降しながら、補助流込口350の開閉量が簡便かつ正確に調節されることが可能になるのである。
【0054】
併せて、
図5の(a)、(b)でのように、シャッター部材360の外面には目盛りなどの標識部を設けることにより、シャッター部材360の上下への摺動に伴う補助流込口350の開閉量をシャッター部材360の標識部を介してさらに正確に判断することもできるのである。
【0055】
また、節水タンク300が貯水タンク200に配設され、水の中に沈んでいる状態でシャッター部材360を作動させることを余儀なくされる場合、シャッター部材360の位置を捉えやすいようにシャッター部材360の色合いを節水タンク300の色合いとは異ならせて構成してもよく、暗い環境下で視認し易いように夜光タイプに構成されてもよい。
【0056】
したがって、
図5の(a)に示すように、シャッター部材360を下降させて補助流込口350を遮断すると、貯水タンク200の水は貯水タンク200の底面に形成された流込口340を介してのみ流れ込むため、節水のために設定された水の使用量をそのまま保持することになり、
図5の(b)に示すように、シャッター部材360を上昇させて補助流込口350を開くと、貯水タンク200の水は貯水タンク200の底面に形成された流込口340及び補助流込口350を介して流れ込むことから、設定された水の使用量を補助流込口350の開き度に応じてさらに増やすことが可能になるのである。
【0057】
併せて、補助流込口350とシャッター部材360は、貯水タンク200の水が流れ込みやすいように節水タンク300の下側に位置づけられることが好ましく、必要に応じて、節水タンク300の表面に複数構成されてもよい。
【0058】
一方、節水タンク300は、単体として構成されてもよいが、作製のしやすさ及び内部の掃除及びメンテナンスのために、
図2でのように、上側と下側が両分されて互いに組み合わせられる形態に構成されてもよい。
【0059】
また、節水タンク300は、上側に第2の貯留部320と連通する接続部321が突設されてもよく、このような接続部321は、詳しくは後述する空気移動部材500と接続されながら、空気移動部材500を介して移動する空気が第2の貯留部320の上側から垂直下方へと正確にかつ速やかに移動するようにすることで、空気により第2の貯留部320の水が効果的に一定の圧力で追加されることができる。
【0060】
併せて、節水タンク300の穴311には、貯水タンク200の通孔210と連絡するとき、気密の保持のためにゴムパッキンが一緒に配設されてもよい。
【0061】
排水装置400は、叙上の節水タンク300に配設され、レバーを操作して節水タンク300の穴311を開閉することにより、節水タンク300に貯留された水がボウル部110に移動することを制御する。
【0062】
具体的に、
図2でのように、排水装置400は、節水タンク300の第1の貯留部310に配設され、円筒状胴体410の上側は、接続手段(図面符号を図示せず)を介して貯水タンク200の外部に配設されたレバーと接続され、円筒状胴体410の下側は、貯水タンク200の通孔210と連絡した節水タンク300の穴311と接続される。
【0063】
ここで、円筒状胴体410の下側の外側の周りには内外部が連通するように開口部430が形成され、該開口部430の中心の下側には中心部が貫通した円筒状受け止め部440が形成されるため、受け止め部440下端の出口は節水タンク300の穴311と一致して固定され、受け止め部440の上端の入口は円筒状胴体410の内部において昇降する開閉具420により気密が保持される状態で開閉され、受け止め部440の側面には上側に曲げられて所定の長さで延びるオーバーフロー450が配設されるため、このようなオーバーフロー450を介して流れ込む水は、受け止め部440の開閉有無とは無関係に、常に受け止め部440の出口に抜け出ることにより、貯水タンク200の氾濫(オーバーフロー)を防ぐ。
【0064】
空気移動部材500は、叙上の便器本体100のトラップ部120と節水タンク300とを互いに接続し、節水タンク300に収められた水がボウル部110に移動するとき、トラップ部120の空気が貯水タンク200の内部に流れ込むようにすることで、節水タンク300からボウル部110へと移動する水を一定の圧力で追加する。
【0065】
空気移動部材500は、好適な実施形態を挙げると、
図6から
図8に示すように、節水タンク300の接続部321に上端が接続される第1の移動管510と、トラップ部120の直線部122に下端が接続される第2の移動管520及び貯水タンク200の底面に気密が保持されるように貫通配設され、かつ、貯水タンク200の内部に位置する一方の側は第1の移動管510の下端と接続され、貯水タンク200の外部に位置する他方の側は第2の移動管520の上端と接続されて第1の移動管510と第2の移動管520とを連通させる接続部材530を備えるように構成されてもよい。
【0066】
ここで、接続部材530は、
図8に示すように、円筒状であり、かつ、下端にねじ線が配備される本体が気密保持リングとともに貯水タンク200の底面の内部から外部へと貫通し、貯水タンク200の底面の外部に貫通した本体のねじ線にナットが締め付けられることにより、接続部材530が貯水タンク200に貫通した状態で強固に固定されることが可能になるのである。
【0067】
併せて、第1の移動管510の上端は、繋ぎ具511を介して節水タンク300の接続部321に着脱自在に接続されてもよく、繋ぎ具511は、好適な実施形態を挙げると、
図7でのように、水平部512の一方の側には第1の移動管510と接続される第1の垂直部513が形成され、水平部512の他方の側には接続部321と接続される第2の垂直部514が形成され、水平部512の長手方向の終端には通気孔517が形成されることにより、トラップ部120から第1の移動管510を介して移動する空気は、第1の垂直部513と水平部512と第2の垂直部514と接続部321を経て第2の貯留部320に移動し、水平部512の通気孔517は、直線部122が真空引き状態となって空気の流れが止まってしまうことを防ぐ。
【0068】
繋ぎ具511は、水平部512の長手方向の終端を通気口515の形態に形成し、このような通気口515を通気孔517付き栓体516を介して開閉されるように構成することにより、トラップ部120の直線部122に形成される真空を速やかに解放する必要がある場合、あるいは、水平部512の内部や通気孔517が閉塞される場合、あるいは、水平部512の内部の点検が必要になる場合、通気口515の栓体516を開いて効果的に対応することもできるのである。
【0069】
一方、第2の移動管520の下端は、結合具521を介して直線部122の嵌合孔124に着脱自在に接続されてもよく、結合具521は、好適な実施形態を挙げると、
図7でのように、一方の側は第2の移動管520の下端と接続され、他方の側は弾性クリップ部522として構成されて、直線部122の嵌合孔124に弾性的に嵌着されることが可能になり、弾性クリップ部522を嵌合孔124から抜脱する場合には、弾性クリップ部522の外側を内側に押し付けると、弾性クリップ部522が嵌合孔124から簡単に抜脱されることが可能になるのである。
【0070】
併せて、弾性クリップ部522の外部は、シリコンなどの材質の気密保持具523により包まれて構成されてもよく、直線部122の嵌合孔124の外側の周りには嵌合溝125を形成することにより、弾性クリップ部522が嵌合孔124に嵌着されるとき、気密保持具523の端部が嵌合溝125に嵌め込まれることにより、気密保持具523を介して嵌合孔124と弾性クリップ部522との間の気密が強固に保持されることが可能になるのである。
【0071】
ここで、気密保持具523の端部の外側の周りに気密保持用の突起または気密保持用のリングが配設されることにより、嵌合孔124と弾性クリップ部522との間の気密の保持をさらに強固に行うことができる。
【0072】
一方、第2の移動管520の結合具521と接続される嵌合孔124は、トラップ部120の直線部122に形成されるとき、直線部122の空気が速やかにかつ効果的に空気移動部材500を介して節水タンク300の第2の貯留部320に移動できるように第1のトラップ121と遭遇する直線部122の上側に構成されることが好ましく、このような嵌合孔124は、トラップ部120の直線部122における側面または背面の中央に形成されてもよい。
【0073】
また、トラップ部120の直線部122に形成される嵌合孔124は、直線部122の表面に形成されてもよいが、直線部122に後方に所定の大きさの内部空間を有しつつ突出するように拡張部を形成し、このような拡張部に嵌合孔124を形成すれば、空気移動部材500を介してトラップ部120の直線部122から節水タンク300の第2の貯留部320へと移動する空気は、トラップ部120の直線部122に存在する空気と拡張部に存在する空気とが一緒に移動することになるため、より多くの量の空気を第2の貯留部320に移動させて節水タンク300からボウル部へと移動する水の移動を一定の圧力でさらに加速することもできるのである。
【0074】
一方、本発明の実施形態に係る空気移動部材500は、作製や組み立てと取り替え及びメンテナンスの行い易さのために、叙上のように、第1の移動管510と第2の移動管520及び接続部材530から構成されたものであるが、このような空気移動部材500は、単一の一体型管として構成されてもよい。
【0075】
併せて、本発明の実施形態に従って空気移動部材500を構成する第1の移動管510と第2の移動管520は、一定の内径を有するように作製されて空気の移動の効率性と正確性が得られる金属管または強化ガラス管またはセラミック管またはゴム管のうちのいずれか一つであってもよく、作製し易く、設置、取り替え及び点検のし易さが高い透明または不透明または半透明の合成樹脂管から構成されてもよい。
【0076】
また、第1の移動管510と第2の移動管520は、他の実施形態を挙げると、第1の移動管510と第2の移動管520の内面に空気の流れ性を向上させるように渦流形状の空気誘導溝が長手方向に沿って連続して形成されてもよい。
【0077】
併せて、トラップ部120の直線部122から空気が第2の移動管520へと移動するとき、直線部122を通過する汚れ物の一部が第2の移動管520に流れ込む虞もあるため、第2の移動管のいずれか一つの個所にはフィルターや逆止め弁が配設されてもよい。
【0078】
このような構成を有する本発明に係る超節水型洋式便器の使用過程について述べると、下記の通りである。
【0079】
まず、洋式便器の使用前には、
図9に示すように、排水装置400の開閉具420により節水タンク300の穴311は閉じられた状態であり、貯水タンク200の水位は満水の状態であり、節水タンク300の第1の貯留部310と第2の貯留部320もまた上方の余裕空間を除いて満水の状態である。
【0080】
このような状態で、使用者がボウル部110の上部の着座シートに着座して用便をした後、ボウル部110に一時的に収められた汚れ物を処理するために貯水タンク200の外部に位置しているレバーを作動させると、
図10でのように、節水タンク300の第1の貯留部310に位置している排水装置400の開閉具420が上昇して受け止め部440の上端の入口から離れ、排水装置400の開口部430を介して第1の貯留部310の水が抜け出て節水タンク300の穴311と貯水タンク200の通孔210を経て便器本体100のボウル部110に移動することになる。
【0081】
このとき、第2の貯留部320の水もまた、隔壁330の下側の連通口331に抜け出て開口部430と穴311と通孔210を経てボウル部110に抜け出ることになるが、この過程において、第2の貯留部320の上側に空気が流れ込める体積が嵩むことにより圧力が低くなり、このような減圧作用によりトラップ部120の直線部122に位置していた空気が空気移動部材500を介して瞬時に吸い込まれて第2の貯留部320に移動しながら、第2の貯留部320から穴311へと抜け出る水の移動を一定の圧力で加速することになり、このような作用によりボウル部110に存在していた汚れ物は、トラップ部120の第1のトラップ121を効果的に通過することになり、直線部122を経て第2のトラップ123を再度通過することになるため、サイフォンの作用により汚水管に排出されることが可能であるのである。
【0082】
したがって、節水タンク300の第1の貯留部310と第2の貯留部320に貯留された少ない量の水を用いて、ボウル部110に一時的に収められた汚れ物を効果的に排出することができるのであり、このときに用いられる水の使用量は、最大3.8リットル、かつ、最小2.7リットルになり、平均的に概ね3.5リットルになる。
【0083】
一方、排水装置400の開閉具420が開かれている間に、穴311と通孔210を経てボウル部110に水が移動するにあたり、節水タンク300の第1の貯留部310と第2の貯留部320に収められていた水に、節水タンク300の流込口340を介して内部に流れ込む水が加えられ、開閉口を介して穴311と通孔210を経てボウル部110に移動する。
【0084】
したがって、節水タンク300の底面に形成される流込口340の直径を大きく形成するか、あるいは、流込口340の数を増やして流込口340を介して節水タンク300の内部に流れ込む水の流込量を増やすと、用便後に汚れ物の処理に用いられる水の使用量は、平均である3.5リットルよりもやや多い量になり、逆に、流込口340の直径を小さく形成するか、あるいは、流込口340の数を減らして節水タンク300の内部に流れ込む水の流込量を減らすと、用便後に汚れ物の処理に用いられる水の使用量は、平均である3.5リットルよりもやや少ない量になるので、使用者の必要に応じて、あるいは、設置環境及び条件、状況などを考慮して、超節水型洋式便器の作製段階において適切な形態に設計して提供すればよい。
【0085】
また、使用者が設置された洋式便器の使用過程において汚れ物の処理に費やされる水の量を増やしたい場合には、補助流込口350に配設されたシャッター部材360を最大限に上昇させて補助流込口350を完全に開くと、汚れ物の処理のために排水装置400の開閉具420が開かれる間に節水タンクの内部に流れ込む水が流込口及び補助流込口に同時に流れ込んでボウル部に移動することにより、汚れ物の処理に費やされる水の量を増やすことができるのである。
【0086】
一方、ボウル部110の汚れ物の処理のために排水装置400の開閉具420が開かれながら、節水タンク300に貯留されていた水が排水装置400の開口部430を介して節水タンク300の穴311と貯水タンクの通孔210を経てボウル部110に抜け出るとき、貯水タンク200の水のうちの少量の水のみが節水タンク300の流込口340を介して流れ込むため、貯水タンク200の水位は、
図10に示すように、大きな変化がない。
【0087】
したがって、
図11に示すように、排水装置400の開閉具420が閉じられると、貯水タンク200に残っていた水が流込口340を介して節水タンク300に流れ込みながら、節水タンク300の第1の貯留部310と第2の貯留部320が速やかに満たされ、相対的に減る貯水タンク200の水位は、入水管に配備された水位調節装置を作動させることで補われることが可能である。
【0088】
これは、従来の洋式便器の場合、貯留容量が大きな貯水タンクに貯留された水を使い尽くすことにより、水の消費量が多いことはいうまでもなく、再び貯水タンクに水をさらに詰め込むのに長い時間がかかってしまうことに起因して、ボウル部に再び水を排出できる間隔が長くならざるを得ないものの、本発明に係る超節水型洋式便器は、貯留容量が相対的に小さな節水タンク300の水が汚れ物の処理に用いられた後、そのような節水タンク300に水が早い時間内に詰め込まれるため、ボウル部110に再び水を排出できる間隔が短縮されることが可能になり、その結果、使用者の使い勝手の良さが倍加できるのである。
【0089】
以上述べたように、本発明の詳細な説明の欄においては、具体的な実施形態について説明したが、記載されている内容の範ちゅうから逸脱しない範囲内において種々の変形が可能であるということはいうまでもない。よって、記載されている内容の範囲は、説明された実施形態に限られて定められる必要はなく、特許請求の範囲だけではなく、この特許請求の範囲と均等なものによって定められるべきである。
【符号の説明】
【0090】
100 便器本体
110 ボウル部
111 排出孔
120 トラップ部
121 第1のトラップ
122 直線部
123 第2のトラップ
124 嵌合孔
125 嵌合溝
200 貯水タンク
210 通孔
300 節水タンク
310 第1の貯留部
311 穴
320 第2の貯留部
321 接続部
330 隔壁
331 連通口
340 流込口
350 補助流込口
351 案内ガイド
352 弾性突起
360 シャッター部材
361 係止溝
400 排水装置
410 円筒状胴体
420 開閉具
430 開口部
440 受け止め部
450 オーバーフロー
500 空気移動部材
510 第1の移動管
511 繋ぎ具
512 水平部
513 第1の垂直部
514 第2の垂直部
515 通気口
516 栓体
517 通気孔
520 第2の移動管
521 結合具
522 弾性クリップ部
523 気密保持具
530 接続部材
【国際調査報告】