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特表2023-511352脂肪由来幹細胞の馴化培地からのタンパク質濃縮物を含む化粧品組成物
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-17
(54)【発明の名称】脂肪由来幹細胞の馴化培地からのタンパク質濃縮物を含む化粧品組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/64 20060101AFI20230310BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20230310BHJP
   A61K 8/02 20060101ALI20230310BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20230310BHJP
   A61K 8/20 20060101ALI20230310BHJP
   A61K 8/41 20060101ALI20230310BHJP
【FI】
A61K8/64
A61Q19/00
A61K8/02
A61K8/34
A61K8/20
A61K8/41
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022544108
(86)(22)【出願日】2021-01-19
(85)【翻訳文提出日】2022-08-29
(86)【国際出願番号】 IL2021050057
(87)【国際公開番号】W WO2021149047
(87)【国際公開日】2021-07-29
(31)【優先権主張番号】272145
(32)【優先日】2020-01-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IL
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TRITON
(71)【出願人】
【識別番号】519398386
【氏名又は名称】ステム セル メディスン リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ゲフェン,ヨナ
(72)【発明者】
【氏名】マロム,エフード
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB032
4C083AB282
4C083AB331
4C083AB332
4C083AC072
4C083AC131
4C083AC132
4C083AC182
4C083AC302
4C083AC352
4C083AC402
4C083AC422
4C083AC442
4C083AC531
4C083AC532
4C083AC852
4C083AD042
4C083AD092
4C083AD152
4C083AD392
4C083AD411
4C083AD412
4C083AD642
(57)【要約】
脂肪由来幹細胞の馴化培地から調製されたアンチエイジング化粧品組成物が提供される。化粧品組成物は、好ましくは、2つの別個の成分:脂肪由来幹細胞馴化培地から精製されたタンパク質画分を含む製品の美容上活性な成分として機能する乾燥形態のタンパク質成分と、皮膚への塗布の直前に凍結乾燥タンパク質成分を再構成するための再構成成分と、を含む、すぐに混合できる組成物である。
【選択図】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒト脂肪由来幹細胞馴化培地から精製された乾燥タンパク質画分と、少なくとも1つの美容上許容される賦形剤と、を含む、粉末形態の化粧品組成物であって、前記タンパク質画分が、1kDa未満の成分の除去後に残ったタンパク質および粒子を含む、化粧品組成物。
【請求項2】
前記タンパク質画分が、3kDa未満の成分の除去後に残ったタンパク質および粒子を含む、請求項1に記載の化粧品組成物。
【請求項3】
タンパク質1mg当たり少なくとも10個のエクソソームを含む、請求項1または2に記載の化粧品組成物。
【請求項4】
前記タンパク質画分が、前記ヒト脂肪由来幹細胞が増殖した細胞培養培地の成分を実質的に欠いている、先行請求項のいずれか一項に記載の化粧品組成物。
【請求項5】
前記ヒト脂肪由来幹細胞が、前記培地の収集前に、少なくとも24時間血清含有培地中で、続いて少なくとも48時間無血清培地中で増殖した、先行請求項のいずれか一項に記載の化粧品組成物。
【請求項6】
前記乾燥タンパク質画分が、凍結乾燥タンパク質画分である、先行請求項のいずれか一項に記載の化粧品組成物。
【請求項7】
前記組成物のタンパク質含有量が、少なくとも0.2μg/mg粉末である、先行請求項のいずれか一項に記載の化粧品組成物。
【請求項8】
前記組成物が、5重量%未満の残留水を含有する、先行請求項のいずれか一項に記載の化粧品組成物。
【請求項9】
以下、(a)ヒト脂肪由来幹細胞(hADSC)を得るステップと、(b)少なくとも24時間、血清含有培地中で前記hADSCを培養するステップと、(c)少なくとも48時間、無血清培地中で前記hADSCを継代培養して、馴化培地を得るステップと、(d)前記hADSCおよび細胞残屑を分離し、前記馴化培地を収集するステップと、(e)タンジェンシャルフロー濾過(TFF)を使用して前記馴化培地を濃縮および濾過して、1kDa未満の成分を除去し、前記タンパク質画分を保持液として得るステップと、(f)少なくとも1つの美容上許容される増量剤と、任意選択的に少なくとも1つのさらなる美容上許容される賦形剤と、を含む、水性製剤を使用して前記タンパク質画分を透析濾過して、細胞培養培地成分から精製され、前記水性製剤で製剤化された前記タンパク質画分を得るステップと、(g)前記得られたタンパク質画分を乾燥させるステップと、を含む、プロセスによって得られた、先行請求項のいずれか一項に記載の化粧品組成物。
【請求項10】
以下、(a)ヒト脂肪由来幹細胞(hADSC)を得るステップと、(b)少なくとも24時間、血清含有培地中で前記hADSCを培養するステップと、(c)少なくとも48時間、無血清培地中で前記hADSCを継代培養して、馴化培地を得るステップと、(d)前記hADSCおよび細胞残屑を分離し、前記馴化培地を収集するステップと、(e)タンジェンシャルフロー濾過(TFF)を使用して前記馴化培地を濃縮および濾過して、3kDa未満の成分を除去し、前記タンパク質画分を保持液として得るステップと、(f)少なくとも1つの美容上許容される増量剤と、任意選択的に少なくとも1つのさらなる美容上許容される賦形剤と、を含む、水性製剤を使用して前記タンパク質画分を透析濾過して、細胞培養培地成分から精製され、前記水性製剤で製剤化された前記タンパク質画分を得るステップと、(g)前記得られたタンパク質画分を乾燥させるステップと、を含む、プロセスによって得られた、先行請求項のいずれか一項に記載の化粧品組成物。
【請求項11】
前記水性製剤が、2%~10%(w/v)の前記少なくとも1つの増量剤を含む、請求項9または10に記載の化粧品組成物。
【請求項12】
前記増量剤が、マンニトールを含む、請求項11に記載の化粧品組成物。
【請求項13】
前記水性製剤が、少なくとも1つの安定剤と、少なくとも1つの等張化剤と、をさらに含む、請求項9~12のいずれか一項に記載の化粧品組成物。
【請求項14】
前記水性製剤が、0.01~1%(w/v)の前記少なくとも1つの安定剤を含む、請求項13に記載の化粧品組成物。
【請求項15】
前記少なくとも1つの安定剤が、EDTAを含む、請求項13または14に記載の化粧品組成物。
【請求項16】
前記水性製剤が、0.1~1%(w/v)の前記少なくとも1つの等張化剤を含む、請求項13~15のいずれか一項に記載の化粧品組成物。
【請求項17】
前記少なくとも1つの等張化剤が、塩化ナトリウムを含む、請求項13~16のいずれか一項に記載の化粧品組成物。
【請求項18】
前記培地が、以下、(a)吸引脂肪組織(lipoaspirate)を凍結させるステップと、(b)前記吸引脂肪組織を解凍し、組織解離酵素で、または機械的破砕によって解離するステップと、(c)遠心分離によってADSCを含む細胞画分をペレット化し、任意選択的に、細胞生存を支援することができる懸濁培地で前記ペレットを洗浄し、懸濁液を少なくとも1回のさらなる遠心分離に供するステップと、(d)ステップ(c)で得られた前記ペレットを、細胞生存を支援することができる懸濁培地中で再懸濁し、前記再懸濁したペレット中の細胞集団からADSCを選択するステップと、(e)任意選択的に、前記ADSCの選択前に少なくとも1回の濾過を実施するステップと、(f)任意選択的に、前記ADSCを少なくとも3つの継代の間培養するステップと、を含む、プロセスによって得られたヒト脂肪由来幹細胞によって馴化される、先行請求項のいずれか一項に記載の化粧品組成物。
【請求項19】
前記培地が、前記細胞の少なくとも90%によるCD73、CD90およびCD105の陽性発現、ならびに前記細胞の5%未満によるCD45の陽性発現を特徴とするヒト脂肪由来幹細胞の集団によって馴化される、先行請求項のいずれか一項に記載の化粧品。
【請求項20】
加齢に関連する少なくとも1つの皮膚状態を改善するための方法であって、前記方法が、先行請求項のいずれか一項に記載の化粧品組成物を提供することと、前記組成物を再構成して、前記皮膚への塗布に好適な組成物を得ることと、前記皮膚に塗布することと、を含む、方法。
【請求項21】
2成分化粧品であって、混合するための準備ができている別個の組成物として、
(a)ヒト脂肪由来幹細胞馴化培地から精製されたタンパク質画分と、少なくとも1つの美容上許容される賦形剤と、を含む、粉末形態の乾燥タンパク質組成物であって、前記タンパク質画分が、1kDa未満の成分の除去後に残ったタンパク質および粒子を含む、乾燥タンパク質組成物と、
(b)凍結乾燥タンパク質組成物を再構成して対象の皮膚への局所塗布に好適な組成物を形成するための、水および少なくとも1つの美容上許容される賦形剤を含む水性再構成組成物と、を含み、
前記2成分が、別個に維持され、使用前に混合される、2成分化粧品。
【請求項22】
前記タンパク質画分が、3kDa未満の成分の除去後に残ったタンパク質および粒子を含む、請求項21に記載の化粧品。
【請求項23】
前記乾燥タンパク質組成物が、タンパク質1mg当たり少なくとも10個のエクソソームを含む、請求項21または22に記載の化粧品。
【請求項24】
前記タンパク質画分が、前記ヒト脂肪由来幹細胞が増殖した細胞培養培地の成分を実質的に欠いている、請求項21~23のいずれか一項に記載の化粧品。
【請求項25】
前記ヒト脂肪由来幹細胞が、前記培地の収集前に、少なくとも24時間血清含有培地中で、続いて少なくとも48時間無血清培地中で増殖した、請求項21~24のいずれか一項に記載の化粧品。
【請求項26】
前記乾燥タンパク質組成物のタンパク質含有量が、少なくとも0.2μg/mg粉末である、請求項21~25のいずれか一項に記載の化粧品。
【請求項27】
前記乾燥タンパク質組成物が、5重量%未満の残留水を含有する、請求項21~26のいずれか一項に記載の化粧品。
【請求項28】
前記乾燥タンパク質組成物が、以下、タンジェンシャルフロー濾過(TFF)を使用して前記馴化培地を濃縮および濾過して、1kDa未満の成分を除去し、前記タンパク質画分を保持液として得るステップと、少なくとも1つの美容上許容される増量剤と、任意選択的に、少なくとも1つのさらなる美容上許容される賦形剤と、を含む、水性製剤を使用して前記タンパク質画分を透析濾過して、細胞培養培地成分から精製され、前記水性製剤で製剤化されたタンパク質画分を得るステップと、前記製剤化されたタンパク質画分を乾燥させるステップと、を含む、プロセスによって得られる、請求項21~27のいずれか一項に記載の化粧品。
【請求項29】
前記乾燥タンパク質組成物が、以下、タンジェンシャルフロー濾過(TFF)を使用して前記馴化培地を濃縮および濾過して、3kDa未満の成分を除去し、前記タンパク質画分を保持液として得るステップと、少なくとも1つの美容上許容される増量剤と、任意選択的に、少なくとも1つのさらなる美容上許容される賦形剤と、を含む、水性製剤を使用して前記タンパク質画分を透析濾過して、細胞培養培地成分から精製され、前記水性製剤で製剤化されたタンパク質画分を得るステップと、前記製剤化されたタンパク質画分を乾燥させるステップと、を含む、プロセスによって得られる、請求項21~28のいずれか一項に記載の化粧品。
【請求項30】
前記水性製剤が、2%~10%(w/v)の前記少なくとも1つの増量剤を含む、請求項28または29に記載の化粧品。
【請求項31】
前記増量剤が、マンニトールを含む、請求項30に記載の化粧品。
【請求項32】
前記水性製剤が、少なくとも1つの安定剤と、少なくとも1つの等張化剤と、をさらに含む、請求項28~31のいずれか一項に記載の化粧品。
【請求項33】
前記水性製剤が、0.01~1%(w/v)の前記少なくとも1つの安定剤を含む、請求項32に記載の化粧品。
【請求項34】
前記少なくとも1つの安定剤が、EDTAを含む、請求項32または33に記載の化粧品。
【請求項35】
前記水性製剤が、0.1~1%(w/v)の前記少なくとも1つの等張化剤を含む、請求項32~34のいずれか一項に記載の化粧品。
【請求項36】
前記少なくとも1つの等張化剤が、塩化ナトリウムを含む、請求項32~35のいずれか一項に記載の化粧品。
【請求項37】
前記培地が、以下、(a)吸引脂肪組織を凍結させるステップと、(b)前記吸引脂肪組織を解凍し、組織解離酵素で、または機械的破砕によって解離するステップと、(c)遠心分離によってADSCを含む細胞画分をペレット化し、任意選択的に、細胞生存を支援することができる懸濁培地で前記ペレットを洗浄し、懸濁液を少なくとも1回のさらなる遠心分離に供するステップと、(d)ステップ(c)で得られた前記ペレットを、細胞生存を支援することができる懸濁培地中で再懸濁し、前記再懸濁したペレット中の細胞集団からADSCを選択するステップと、(e)任意選択的に、前記ADSCの選択前に少なくとも1回の濾過を実施するステップと、(f)任意選択的に、前記ADSCを少なくとも3つの継代の間培養するステップと、を含む、プロセスによって得られたヒト脂肪由来幹細胞によって馴化される、請求項21~36のいずれか一項に記載の化粧品。
【請求項38】
前記培地が、前記細胞の少なくとも90%によるCD73、CD90およびCD105の陽性発現、ならびに前記細胞の5%未満によるCD45の陽性発現を特徴とするヒト脂肪由来幹細胞の集団によって馴化される、請求項21~37のいずれか一項に記載の化粧品。
【請求項39】
前記乾燥タンパク質組成物が、凍結乾燥タンパク質組成物である、請求項21~38のいずれか一項に記載の化粧品。
【請求項40】
前記乾燥タンパク質組成物と混合する前の前記再構成組成物の粘度パラメーターが、室温でBrookfield粘度計を使用して測定して、以下、12RPM:1800~2700cP、18RPM:1400~2000cP、60RPM:700~1000cP、100RPM:500~800cPの通りである、請求項21~39のいずれか一項に記載の化粧品。
【請求項41】
前記水性再構成組成物が、蒸留水と、少なくとも1つの乳化剤および少なくとも1つの皮膚軟化剤を含む美容上許容される賦形剤と、を含む、請求項21~40のいずれか一項に記載の化粧品。
【請求項42】
前記水性再構成組成物が、2~10%(w/w)の前記少なくとも1つの乳化剤を含む、請求項41に記載の化粧品組成物。
【請求項43】
前記水性再構成組成物が、2~10%(w/w)の前記少なくとも1つの皮膚軟化剤を含む、請求項41または42に記載の化粧品。
【請求項44】
前記乾燥タンパク質組成物と前記水性再構成組成物との重量比が、少なくとも1:20である、請求項21~43のいずれか一項に記載の化粧品。
【請求項45】
前記乾燥タンパク質組成物と前記水性再構成組成物との前記重量比が、1:20~1:50の範囲にある、請求項44に記載の化粧品。
【請求項46】
前記水性再構成組成物と混合する前の前記乾燥タンパク質組成物のpHが、7.0~7.6の範囲にある、請求項21~45のいずれか一項に記載の化粧品。
【請求項47】
前記乾燥タンパク質組成物と混合する前の前記水性再構成組成物の前記pHが、7.0~7.6の範囲にある、請求項21~46のいずれか一項に記載の化粧品。
【請求項48】
2つの組成物の混合後の前記再構成組成物の前記pHが、7.0~7.6の範囲にある、請求項21~47のいずれか一項に記載の化粧品。
【請求項49】
プレフィルドシリンジとして提供され、前記シリンジが、前記水性再構成組成物を含む第1のチャンバーと、前記乾燥タンパク質組成物を含む第2のチャンバーと、プランジャーと、を備え、前記プランジャーが移動すると、前記水性再構成組成物が、前記第1のチャンバーから前記第2のチャンバーに送達され、再構成のために前記乾燥タンパク質組成物と混合される、請求項21~48のいずれか一項に記載の化粧品組成物。
【請求項50】
加齢に関連する少なくとも1つの皮膚状態を改善するための方法であって、前記方法が、請求項21~49のいずれか一項に記載の2成分化粧品を提供することと、前記乾燥タンパク質組成物を前記水性再構成組成物と混合して、前記皮膚への塗布に好適な再構成組成物を形成することと、前記皮膚に塗布することと、を含む、方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脂肪由来幹細胞の馴化培地から調製されたアンチエイジング化粧品に関し、これらは特に効果的であり、また、長い貯蔵寿命および長期安定性を特徴とする。本発明のアンチエイジング化粧品は、馴化培地から精製され、化粧品賦形剤で製剤化されたタンパク質濃縮物に基づく。本発明の化粧品は、乾燥形態の馴化培地に由来するタンパク質組成物と、使用前に再構成するための再構成媒体と、を含む、2成分化粧品組成物として提供することができる。
【背景技術】
【0002】
皮膚の老化は、シミ、小じわおよびしわ、容積および弾力性の低下、ならびに皮膚の質感の変化などの特性を特徴とする。
【0003】
皮膚の色合い、皮膚の外観などのパラメーターを改善し、より健康的で、より若く見える皮膚を維持するために、様々な市販のアンチエイジング化粧品が利用可能である。これらには通常、脂肪酸とアルコール、様々なビタミンとビタミン誘導体、コラーゲンおよびヒアルロン酸などの充填剤、ならびに植物抽出物が含まれている。化粧品業界が進歩するにつれて、新しい化粧品成分が開発されている。
【0004】
血清、クリーム、ローション、トナー、およびクレンザーを含む、幹細胞馴化培地に基づくアンチエイジング化粧品組成物が開発されている。このような製品は、例えば、Amirthalingam and Seetharam(2016)MJMS.,1(2):46-52に概説されている。さらなる例示的な製品には、脂肪由来幹細胞馴化培地、精製水およびグリセリンを含有する保湿クリームである、ADIOStem(商標)(Celprogen Inc.)が含まれる(製品プロトコル、www.celprogen.com)。
【0005】
EP2257272は、個体における皮膚老化の美容的予防または治療のための方法であって、美容上活性な量の歯肉線維芽細胞由来製品、例えば、歯肉線維芽細胞全細胞、歯肉線維芽細胞培養物、および歯肉線維芽細胞馴化培地を当該個体に投与することを含む、方法を開示している。
【0006】
US7,160,726は、三次元培養物中で増殖した細胞、特に、皮膚線維芽細胞、ケラチノサイト、上皮細胞、軟骨細胞、平滑筋細胞、および筋細胞によって馴化された細胞培養培地を含む組成物を開示している。馴化細胞培地は、とりわけ、化粧品用途、薬用化粧品用途、および医薬品用途のうちの少なくとも1つに使用することができる。
【0007】
US8,101,167は、炎症および/または免疫障害の徴候の治療に使用するための組成物の調製のための、少なくとも1つの馴化細胞培養培地またはその抽出物の使用、ならびにそれらのそのような使用を開示しており、当該培地は、消化管細胞のうちの少なくとも1つの培養物および少なくとも1つのプロバイオティック微生物との接触によって得ることができる。
【0008】
US8,361,485は、馴化細胞培養培地の組成および使用方法を開示している。培地は、間質細胞、実質細胞、間葉系幹細胞、肝臓貯蔵細胞、神経幹細胞、膵臓幹細胞および/または胚性幹細胞によって馴化され得る。細胞は遺伝子修飾され得る。三次元組織構築物が好ましい。馴化培地の物理的実施形態には、液体もしくは固体、凍結、凍結乾燥、または粉末への乾燥が含まれる。培地は、内部投与用のビヒクルとして薬学的に許容される担体で製剤化されるか、食品もしくは製品に直接適用されるか、局所塗布のための膏薬もしくは軟膏で製剤化されるか、または例えば、侵襲的処置後の縫合の治癒を加速するために外科用接着剤にされるか、もしくは加えられる。培地はさらに、培地内に含まれる1つ以上の因子または成分を濃縮または低減させるために処理され得る。
【0009】
US8,586,540は、羊水中の胎児由来間葉系幹細胞のための培養培地を開示している。さらに開示されるのは、羊水中の胎児由来間葉系幹細胞の培養培地を有効成分として含む皮膚状態を改善するための組成物であり、改善されるべき皮膚状態には、白化、しわ、紫外線によって引き起こされる皮膚損傷または皮膚の浮き上がりが含まれる。
【0010】
US9,109,045は、好適な培地および条件でヒト脂肪細胞から抽出された脂肪由来幹細胞を培養することにより、ヒト成長因子を著しく大量に合成することができる方法を開示している。また、本発明の方法に従って産生された幹細胞培養培地、および培養培地から単離されたヒト成長因子は、薬物および化粧品の原料として有利に使用することができる。
【0011】
本発明の出願人に譲渡されたWO2018/211498は、とりわけ、現在使用されている方法と比較して、より費用効果が高く、より高い収量を提供する、脂肪由来幹細胞(ADSC)を取得するための方法を開示している。
【0012】
ほとんどの化粧品、特に天然に存在する成分に基づいた化粧品は、貯蔵寿命および安定性が限られており、典型的には、開封後は、室温で最大12ヶ月、多くの場合、最大6ヶ月しか持続できない。
【0013】
皮膚の若返り、皮膚の外観、皮膚の色合いなどの改善に効果的かつ有用であり、また、様々な貯蔵条件下での長い貯蔵寿命および改善された安定性を特徴とする化粧品組成物が必要とされている。
【発明の概要】
【0014】
本発明は、脂肪由来幹細胞の馴化培地から調製されたアンチエイジング化粧品組成物を提供する。本発明の化粧品組成物は、馴化培地から精製され、化粧品賦形剤で製剤化されたタンパク質濃縮物に基づく。いくつかの実施形態において、本発明の化粧品組成物は、2つの別個の成分:脂肪由来幹細胞馴化培地から精製されたタンパク質画分を含む製品の美容上活性な成分として機能する乾燥(例えば、凍結乾燥)形態のタンパク質成分と、皮膚への塗布の直前に乾燥タンパク質成分を再構成するための再構成成分と、を含む、すぐに混合できる組成物として提供される。2つの成分は、製造、輸送、および貯蔵中は、別個に維持され、使用前に直接混合される。本発明は、使用直前に局所塗布のための組成物を形成するために、安定で、混合される2つの別個の成分から構成される製品を提供することによって、化粧品組成物の不安定性および限られた貯蔵寿命の問題を克服する。
【0015】
有利なことに、乾燥タンパク質組成物を再構成媒体とは別に2つの別個の成分として維持することは、活性タンパク質画分の効力を維持しながら、高湿度および/または温度の条件下でさえ顕著な安定性を提供する。本明細書で以下に例示するように、安定性アッセイは、乾燥タンパク質組成物および再構成組成物の両方が、40℃/75%RHで少なくとも6ヶ月間貯蔵された場合に安定であることを示し、これは、室温の標準的な貯蔵条件下で少なくとも1.5年の貯蔵寿命に相当する。
【0016】
本発明のいくつかの実施形態によるタンパク質画分は、培地の収集前に少なくとも48時間、血清含有培地中で、続いて無血清培地中で増殖した脂肪由来幹細胞によって馴化された細胞培養培地から精製される。タンパク質画分は、馴化培地を濃縮し、1kDa未満の成分を除去することによって得られる。いくつかの実施形態において、タンパク質画分は、3kDa未満の成分を除去することによって得られる。好ましくは、タンパク質画分は、化粧品賦形剤で製剤化され、細胞培養培地の成分を実質的に欠いている。
【0017】
いくつかの例示的な実施形態において、タンパク質画分は、適切な分子量カットオフ(例えば、1kDaまたは3kDa)でタンジェンシャルフロー濾過(TFF)を使用して馴化培地を濃縮および濾過して、タンパク質画分を保持液として得ることによって得られる。いくつかの実施形態において、得られたタンパク質画分は、美容上許容される賦形剤を含む水性製剤に対して透析濾過されて、細胞培養培地成分から精製され、化粧品賦形剤で製剤化されたタンパク質画分を得る。
【0018】
化粧品賦形剤で製剤化されたタンパク質画分は、本明細書で以下に例示されるように、様々な金属などの細胞培養培地の成分を実質的に欠いている。有利なことに、製剤化されたタンパク質画分はまた、幹細胞の増殖中に使用されたあらゆる抗生物質を実質的に欠いている。これは、馴化培地が収集され、培地成分の精製または分離を全くせずに様々な賦形剤で製剤化される、馴化培地に基づく前述の化粧品とは対照的である
【0019】
本発明によるタンパク質画分は、本明細書で以下に例示されるように、インビトロでのヒトケラチノサイトの生存率の増加および増殖の誘導に有効であることが見出された。ヒト対象が使用した場合、本発明による乾燥タンパク質成分および再構成媒体の混合後に得られた再構成化粧品組成物は、安全で刺激性がないことが見出され、さらに、使用から6週間後にすでに、より滑らかな皮膚およびしわの深さの減少を示した。しわの深さの減少は、使用から12週間後にも観察された。さらに、皮膚の軟化が、使用から6週間後に観察され、使用から12週間後も継続した。
【0020】
したがって、本発明は、皮膚の若返り、皮膚の外観、皮膚の色合いなどの改善に特に効果的かつ有用な化粧品組成物を提供し、また、安定性の改善および貯蔵寿命の延長も特徴とする。
【0021】
一態様によれば、本発明は、ヒト脂肪由来幹細胞馴化培地から精製された乾燥タンパク質画分と、少なくとも1つの美容上許容される賦形剤と、を含む、粉末形態の化粧品組成物であって、タンパク質画分が、1kDa未満の成分の除去後に残ったタンパク質および粒子を含む、化粧品組成物を提供する。
【0022】
いくつかの実施形態において、タンパク質画分は、3kDa未満の成分の除去後に残ったタンパク質および粒子を含む。
【0023】
いくつかの実施形態において、化粧品組成物は、タンパク質1mg当たり少なくとも10個のエクソソームを含む。
【0024】
いくつかの実施形態において、タンパク質画分は、ヒト脂肪由来幹細胞が増殖した細胞培養培地の成分を実質的に欠いている。
【0025】
いくつかの実施形態において、ヒト脂肪由来幹細胞は、培地の収集前に、少なくとも24時間血清含有培地中で、続いて少なくとも48時間無血清培地中で増殖した。
【0026】
いくつかの実施形態において、乾燥タンパク質画分は、凍結乾燥タンパク質画分である。
【0027】
いくつかの実施形態において、組成物のタンパク質含有量は、少なくとも0.2μg/mg粉末である。
【0028】
いくつかの実施形態において、組成物は、5重量%未満の残留水を含有する。
【0029】
いくつかの実施形態において、化粧品組成物は、以下、(a)ヒト脂肪由来幹細胞(hADSC)を得るステップと、(b)少なくとも24時間、血清含有培地中でhADSCを培養するステップと、(c)少なくとも48時間、無血清培地中でhADSCを継代培養して、馴化培地を得るステップと、(d)hADSCおよび細胞残屑を分離し、馴化培地を収集するステップと、(e)タンジェンシャルフロー濾過(TFF)を使用して馴化培地を濃縮および濾過して、1kDa未満の成分を除去し、タンパク質画分を保持液として得るステップと、(f)少なくとも1つの美容上許容される増量剤と、任意選択的に少なくとも1つのさらなる美容上許容される賦形剤と、を含む、水性製剤を使用してタンパク質画分を透析濾過して、細胞培養培地成分から精製され、水性製剤で製剤化されたタンパク質画分を得るステップと、(g)得られたタンパク質画分を乾燥させるステップと、を含む、プロセスによって得られる。
【0030】
いくつかの実施形態において、化粧品組成物は、以下、(a)ヒト脂肪由来幹細胞(hADSC)を得るステップと、(b)少なくとも24時間血清含有培地中でhADSCを培養するステップと、(c)少なくとも48時間無血清培地中でhADSCを継代培養して、馴化培地を得るステップと、(d)hADSCおよび細胞残屑を分離し、馴化培地を収集するステップと、(e)タンジェンシャルフロー濾過(TFF)を使用して馴化培地を濃縮および濾過して、3kDa未満の成分を除去し、タンパク質画分を保持液として得るステップと、(f)少なくとも1つの美容上許容される増量剤と、任意選択的に少なくとも1つのさらなる美容上許容される賦形剤と、を含む、水性製剤を使用してタンパク質画分を透析濾過して、細胞培養培地成分から精製され、水性製剤で製剤化されたタンパク質画分を得るステップと、(g)得られたタンパク質画分を乾燥させるステップと、を含む、プロセスによって得られる。
【0031】
いくつかの実施形態において、水性製剤は、2%~10%(w/v)の少なくとも1つの増量剤を含む。いくつかの実施形態において、増量剤は、マンニトールを含む。いくつかの実施形態において、水性製剤は、少なくとも1つの安定剤と、少なくとも1つの等張化剤と、をさらに含む。いくつかの実施形態において、水性製剤は、0.01~1%(w/v)の少なくとも1つの安定剤を含む。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの安定剤は、EDTAを含む。いくつかの実施形態において、水性製剤は、0.1~1%(w/v)の少なくとも1つの等張化剤を含む。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの等張化剤は、塩化ナトリウムを含む。
【0032】
いくつかの実施形態において、培地は、以下、(a)吸引脂肪組織(lipoaspirate)を凍結させるステップと、(b)吸引脂肪組織を解凍し、組織解離酵素で、または機械的破砕によって解離するステップと、(c)遠心分離によってADSCを含む細胞画分をペレット化し、任意選択的に、細胞生存を支援することができる懸濁培地でペレットを洗浄し、懸濁液を少なくとも1回のさらなる遠心分離に供するステップと、(d)ステップ(c)で得られたペレットを、細胞生存を支援することができる懸濁培地中で再懸濁し、再懸濁したペレット中の細胞集団からADSCを選択するステップと、(e)任意選択的に、ADSCの選択前に少なくとも1回の濾過を実施するステップと、(f)任意選択的に、ADSCを少なくとも3つの継代の間培養するステップと、を含む、プロセスによって得られたヒト脂肪由来幹細胞によって馴化される。
【0033】
いくつかの実施形態において、培地は、細胞の少なくとも90%によるCD73、CD90およびCD105の陽性発現、ならびに細胞の5%未満によるCD45の陽性発現を特徴とするヒト脂肪由来幹細胞の集団によって馴化される。
【0034】
別の態様によれば、本発明は、加齢に関連する少なくとも1つの皮膚状態を改善するための方法であって、当該方法が、本明細書に開示される化粧品組成物を提供することと、組成物を再構成して、皮膚への塗布に好適な組成物を得ることと、皮膚に塗布することと、を含む、方法を提供する。
【0035】
さらなる態様によれば、本発明は、2成分化粧品であって、混合するための準備ができている別個の組成物として、
(a)ヒト脂肪由来幹細胞馴化培地から精製されたタンパク質画分と、少なくとも1つの美容上許容される賦形剤と、を含む、粉末形態の乾燥タンパク質組成物であって、タンパク質画分が、1kDa未満の成分の除去後に残ったタンパク質および粒子を含む、乾燥タンパク質組成物と、
(b)凍結乾燥タンパク質組成物を再構成して対象の皮膚への局所塗布に好適な組成物を形成するための、水および少なくとも1つの美容上許容される賦形剤を含む水性再構成組成物と、を含み、
2成分が、別個に維持され、使用前に混合される、2成分化粧品を提供する。
【0036】
いくつかの実施形態において、タンパク質画分は、3kDa未満の成分の除去後に残ったタンパク質および粒子を含む。
【0037】
いくつかの実施形態において、乾燥タンパク質組成物は、タンパク質1mg当たり少なくとも10個のエクソソームを含む。
【0038】
いくつかの実施形態において、タンパク質画分は、ヒト脂肪由来幹細胞が増殖した細胞培養培地の成分を実質的に欠いている。
【0039】
いくつかの実施形態において、ヒト脂肪由来幹細胞は、培地の収集前に、少なくとも24時間血清含有培地中で、続いて少なくとも48時間無血清培地中で増殖した。
【0040】
いくつかの実施形態において、乾燥タンパク質組成物のタンパク質含有量は、少なくとも0.2μg/mg粉末である。
【0041】
いくつかの実施形態において、乾燥タンパク質組成物は、5重量%未満の残留水を含有する。
【0042】
いくつかの実施形態において、乾燥タンパク質組成物は、以下、タンジェンシャルフロー濾過(TFF)を使用して馴化培地を濃縮および濾過して、1kDa未満の成分を除去し、タンパク質画分を保持液として得るステップと、少なくとも1つの美容上許容される増量剤と、任意選択的に、少なくとも1つのさらなる美容上許容される賦形剤と、を含む、水性製剤を使用してタンパク質画分を透析濾過して、細胞培養培地成分から精製され、水性製剤で製剤化されたタンパク質画分を得るステップと、製剤化されたタンパク質画分を乾燥させるステップと、を含む、プロセスによって得られる。
【0043】
いくつかの実施形態において、乾燥タンパク質組成物は、以下、タンジェンシャルフロー濾過(TFF)を使用して馴化培地を濃縮および濾過して、3kDa未満の成分を除去し、タンパク質画分を保持液として得るステップと、少なくとも1つの美容上許容される増量剤と、任意選択的に、少なくとも1つのさらなる美容上許容される賦形剤と、を含む、水性製剤を使用してタンパク質画分を透析濾過して、細胞培養培地成分から精製され、水性製剤で製剤化されたタンパク質画分を得るステップと、製剤化されたタンパク質画分を乾燥させるステップと、を含む、プロセスによって得られる。
【0044】
いくつかの実施形態において、水性製剤は、2%~10%(w/v)の少なくとも1つの増量剤を含む。いくつかの実施形態において、増量剤は、マンニトールを含む。いくつかの実施形態において、水性製剤は、少なくとも1つの安定剤と、少なくとも1つの等張化剤と、をさらに含む。いくつかの実施形態において、水性製剤は、0.01~1%(w/v)の少なくとも1つの安定剤を含む。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの安定剤は、EDTAを含む。いくつかの実施形態において、水性製剤は、0.1~1%(w/v)の少なくとも1つの等張化剤を含む。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの等張化剤は、塩化ナトリウムを含む。
【0045】
いくつかの実施形態において、培地は、以下、(a)吸引脂肪組織を凍結させるステップと、(b)吸引脂肪組織を解凍し、組織解離酵素で、または機械的破砕によって解離するステップと、(c)遠心分離によってADSCを含む細胞画分をペレット化し、任意選択的に、細胞生存を支援することができる懸濁培地でペレットを洗浄し、懸濁液を少なくとも1回のさらなる遠心分離に供するステップと、(d)ステップ(c)で得られたペレットを、細胞生存を支援することができる懸濁培地中で再懸濁し、再懸濁したペレット中の細胞集団からADSCを選択するステップと、(e)任意選択的に、ADSCの選択前に少なくとも1回の濾過を実施するステップと、(f)任意選択的に、ADSCを少なくとも3つの継代の間培養するステップと、を含む、プロセスによって得られたヒト脂肪由来幹細胞によって馴化される。
【0046】
いくつかの実施形態において、培地は、細胞の少なくとも90%によるCD73、CD90およびCD105の陽性発現、ならびに細胞の5%未満によるCD45の陽性発現を特徴とするヒト脂肪由来幹細胞の集団によって馴化される。
【0047】
いくつかの実施形態において、乾燥タンパク質組成物は、凍結乾燥タンパク質組成物である。
【0048】
いくつかの実施形態において、乾燥タンパク質組成物と混合する前の再構成組成物の粘度パラメーターは、室温でBrookfield粘度計を使用して測定して、以下、12RPM:1800~2700cP、18RPM:1400~2000cP、60RPM:700~1000cP、100RPM:500~800cPの通りである。
【0049】
いくつかの実施形態において、水性再構成組成物は、蒸留水と、少なくとも1つの乳化剤および少なくとも1つの皮膚軟化剤を含む美容上許容される賦形剤と、を含む。いくつかの実施形態において、水性再構成組成物は、2~10%(w/w)の少なくとも1つの乳化剤、例えば、2~5%(w/w)の少なくとも1つの乳化剤を含む。各可能性は、本発明の個別の実施形態を表す。いくつかの実施形態において、水性再構成組成物は、2~10%(w/w)の少なくとも1つの皮膚軟化剤、例えば、2~5%(w/w)の少なくとも1つの皮膚軟化剤を含む。各可能性は、本発明の個別の実施形態を表す。いくつかの実施形態において、水性再構成組成物は、湿潤剤、pH調整剤、増粘剤および保存剤からなる群から選択される少なくとも1つのさらなる美容上許容される賦形剤をさらに含む。
【0050】
いくつかの実施形態において、乾燥タンパク質組成物と水性再構成組成物との重量比は、少なくとも1:20、例えば、少なくとも1:25、1:20~1:100の範囲、1:20~1:50の範囲にある。各可能性は、本発明の個別の実施形態を表す。いくつかの実施形態において、乾燥タンパク質組成物と水性再構成組成物との重量比は、1:20~1:50の範囲にある。
【0051】
いくつかの実施形態において、混合後、乾燥(凍結乾燥)タンパク質組成物は、30秒以内に、例えば、20秒以内に再構成される。各可能性は、本発明の個別の実施形態を表す。
【0052】
いくつかの実施形態において、水性再構成組成物と混合する前の乾燥タンパク質組成物のpHは、7.0~7.6の範囲にある。
【0053】
いくつかの実施形態において、乾燥タンパク質組成物と混合する前の水性再構成組成物のpHは、7.0~7.6の範囲にある。
【0054】
いくつかの実施形態において、2つの組成物の混合後の再構成組成物のpHは、7.0~7.6の範囲にある。
【0055】
混合後に得られた最終的な再構成組成物は、好ましくは、等張であることが理解されるであろう。
【0056】
局所塗布に好適な再構成組成物は、典型的には、ローション、クリームおよびゲルからなる群から選択される形態である。各可能性は、別々の実施形態を表す。現在好ましい実施形態では、再構成組成物は、ローションである。
【0057】
本発明の化粧品組成物は、例えば、顔、首、腕および手を含む、任意の皮膚部分への塗布に好適である。
【0058】
いくつかの実施形態において、化粧品は、プレフィルドシリンジとして提供され、シリンジが、水性再構成組成物を含む第1のチャンバーと、乾燥タンパク質組成物を含む第2のチャンバーと、プランジャーと、を備え、プランジャーが移動すると、水性再構成組成物が、第1のチャンバーから第2のチャンバーに送達され、再構成のために乾燥タンパク質組成物と混合される。
【0059】
さらなる態様によれば、本発明は、加齢に関連する少なくとも1つの皮膚状態を改善するための方法であって、当該方法が、本明細書に開示される2成分化粧品を提供することと、乾燥タンパク質組成物を水性再構成組成物と混合して、皮膚への塗布に好適な再構成組成物を形成することと、皮膚に塗布することと、を含む、方法を提供する。
【0060】
本発明のこれらのおよびさらなる態様および特徴は、以下の詳細な説明、実施例および特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0061】
図1】タンパク質画分の製剤-増量剤の選択。F1~F17製剤の組成。値は、w/v%を表す。
図2】増量剤の特性評価。組成物F1~F7の凍結乾燥中の材料損失、凍結乾燥後の質感および再構成時間。
図3】増量剤の特性評価。組成物F8~F17の凍結乾燥後の残留水分含有量および再構成時間。
図4】組成物F8~F17の(A)再構成時間、および(B)凍結乾燥後の残留水分含有量のグラフ表示。
図5】例示的なタンパク質画分の水性製剤。値は、本文で指定されているように、それぞれのストック溶液から得られた体積を示す。
図6】初代表皮角化細胞の増殖に対する馴化培地(「CM」)の効果。正常、ヒト、成人(NHPEK)細胞。(A、B)細胞の相対的増殖、それぞれ、NHPEK細胞100k/mlまたは50k/ml;(C、D)集団デルタ、それぞれ、NHPEK細胞100k/mlまたは50k/ml;(E、F)倍加時間、それぞれ、NHPEK細胞100k/mlまたは50k/ml;(G、H)生存率(MPI)、それぞれ、NHPEK細胞100k/mlまたは50k/ml。
図7】NHPEK細胞増殖に対する馴化培地(「CM」)および製剤化タンパク質画分(「F19」)の効果。(A)細胞の相対的増殖;(B)集団デルタ;(C)倍加時間;(D)生存率(MPI)。
図8】濾過による増殖培地クリアランス。
図9】安定性アッセイ。(A)本発明による凍結乾燥タンパク質組成物の長期安定性アッセイ、および(B)加速安定性アッセイ。(C)本発明による再構成組成物の長期安定性アッセイおよび(D)加速安定性アッセイ。
図10】本発明による化粧品の消費者知覚-アンケート回答。(A)質問1~12;(B)質問13。
図11】プレフィルドシリンジとして提供される、本発明のいくつかの実施形態による化粧品。
図12】製品の特性評価-エクソソーム含有量。(A)エクソソームマーカー発現のフローサイトメトリー分析の概略図;(B)エクソソームマーカーの発現結果;(C)NanoSight(商標)を使用したエクソソームの定量化。
【発明を実施するための形態】
【0062】
本発明は、長い貯蔵寿命および長期安定性を特徴とする、脂肪由来幹細胞の馴化培地から調製されたアンチエイジング化粧品を提供する。本発明は、いくつかの実施形態によれば、使用直前に局所塗布のための組成物を形成するために、安定で、混合される2つの別個の成分から構成される製品を提供することによって、化粧品組成物の不安定性および限られた貯蔵寿命の問題を克服する。
【0063】
より具体的には、いくつかの実施形態において、本発明によって提供される化粧品組成物は、2つの別個の成分:脂肪由来幹細胞馴化培地から精製されたタンパク質画分を含む製品の美容上活性な成分として機能する乾燥形態(例えば、凍結乾燥)形態のタンパク質組成物と、皮膚への塗布の直前に乾燥タンパク質成分を再構成するための再構成組成物と、を含み、すぐに混合できる。2つの成分は、製造、輸送、および貯蔵中は、別個に維持され、使用前に直接混合される。
【0064】
本発明のタンパク質組成物は、1kDa未満の成分を除去するために濃縮および分離した後に残ったタンパク質および粒子を含むタンパク質画分を含む。いくつかの実施形態において、タンパク質画分は、3kDa未満の成分を除去するために濃縮および分離した後に残ったタンパク質および粒子を含む。いくつかの特定の実施形態において、タンパク質画分は、適切な分子量カットオフ(例えば、1kDaまたは3kDa)でタンジェンシャルフロー濾過(TFF)を使用して、脂肪由来幹細胞馴化培地から得られる。本発明によるタンパク質画分は、使用から6週間後にすでに、皮膚を軟化させ、しわの深さを減少させるのに非常に効果的であることが見出された。
【0065】
したがって、本発明は、改善された安定性および延長された貯蔵寿命を備えた効果的なアンチエイジング化粧品を提供する。
【0066】
脂肪由来幹細胞の単離および馴化培地の調製
皮下脂肪から脂肪由来幹細胞(ADSC)を得るための例示的なプロセスは、以下の実施例のセクションに記載されている。概して、ADSCは、以下を含むプロセスによって皮下脂肪から得ることができる。
(a)吸引脂肪組織を得ること、
(b)吸引脂肪組織を、組織解離酵素でまたは機械的破砕によって解離すること、
(c)遠心分離によってADSCを含む細胞画分をペレット化し、任意選択的に、細胞生存を支援することができる懸濁培地(例えば、等張緩衝液または培養培地)でペレットを洗浄し、懸濁液を少なくとも1回のさらなる遠心分離に供すること、
(d)ステップ(c)で得られたペレットを、細胞生存を支援することができる懸濁培地(例えば、等張緩衝液または培養培地)中で再懸濁し、再懸濁したペレット中の細胞集団からADSCを選択すること、
(e)任意選択的に、ADSCの選択前に少なくとも1回の濾過を実施すること、および(f)任意選択的に、ADSCを少なくとも3つの継代の間培養すること。
【0067】
いくつかの実施形態において、新鮮な吸引脂肪組織が使用される。他の実施形態において、凍結吸引脂肪組織が使用される。これらの実施形態によれば、ADSCを得ることは、以下のステップを含み得る。
(a)吸引脂肪組織を凍結すること、
(b)吸引脂肪組織を解凍し、組織解離酵素で、または
機械的破砕によって解離すること、
(c)遠心分離によってADSCを含む細胞画分をペレット化し、任意選択的に、細胞生存を支援することができる懸濁培地(例えば、等張緩衝液または培養培地)でペレットを洗浄し、懸濁液を少なくとも1回のさらなる遠心分離に供すること、
(d)ステップ(c)で得られたペレットを、細胞生存を支援することができる懸濁培地(例えば、等張緩衝液または培養培地)中で再懸濁し、再懸濁したペレット中の細胞集団からADSCを選択すること、
(e)任意選択的に、ADSCの選択前に少なくとも1回の濾過を実施すること、および(f)任意選択的に、ADSCを少なくとも3つの継代の間培養すること。
【0068】
本発明は、脂肪由来間葉系幹細胞、特に、ヒト脂肪由来間葉系幹細胞を利用する。本明細書で使用される場合、「脂肪由来間葉系幹細胞」または「脂肪由来幹細胞」という用語は、「ADSC」または「hADSC」(すなわち、ヒト脂肪由来幹細胞)と略され、脂肪組織から採取された可塑性付着性の多能性細胞集団を指す。細胞集団は、細胞の少なくとも90%によるCD73、CD90およびCD105の陽性発現、ならびに細胞の5%未満によるCD45の陽性発現を特徴とする。ヒト脂肪由来幹細胞の集団は、典型的には、少なくとも70%の生存率および線維芽細胞様形態をさらに特徴とする。
【0069】
細胞表面マーカー発現の特性評価は、例えば、蛍光活性化セルソーティング(FACS)を使用する、当該技術分野で公知の方法によって実施され得る。FACSプロトコルは、例えば、Flow Cytometry Protocols,Methods in Molecular Biology Volume 699 2011,Editors:Teresa S.Hawley,Robert G.Hawley Humana Pressに概説されている。例示的な手順は、以下に記載される。
【0070】
本発明によるADSCは、好ましくは、遺伝子修飾されていない。
【0071】
本発明の実施形態によるADSCは、ヒト皮下脂肪に由来する。特定の実施形態によれば、細胞は、脂肪吸引法による吸引によって得られたヒト皮下脂肪に由来する。ADSCは、胃、腰部、大腿部、腕部、首および臀部を含む、体の様々な領域での脂肪吸引手順によって得ることができる。腹壁形成術によるレーザー、超音波および脂肪除去を含むが、これらに限定されない、ADSCを得るための本発明による脂肪吸引の任意の手順を使用することができる。
【0072】
脂肪組織は、脂肪由来の幹細胞を単離するために処理される。調製方法は、典型的には、PBSおよび生理食塩水などの緩衝液、ならびに/または増殖培地(典型的には、外部サイトカインまたは成長因子などの添加物を全く含まない)、例えば、DMEM、StemMACS(商標)またはPlasma-Lyteで組織を洗浄するステップ、ならびにコラゲナーゼなどの組織解離酵素で組織を処理するステップ、ならびに/または例えば、Tulip Nano Transfer(商標)などのデバイスを使用して、組織を非酵素的機械的破砕に供するステップを含む。試料の酵素消化は、ジスパーゼおよびコラゲナーゼの組み合わせを使用して実施することもできる。全体的に凝集しているリポソームは、幹細胞、ならびに赤血球、内皮細胞、および線維芽細胞などの他の細胞を含む遊離間質細胞から遠心分離によって分離することができる。赤血球は、好適な溶解緩衝液を使用して懸濁ペレットから溶解することができ、残りの細胞は濾過または遠心分離することができる。
【0073】
いくつかの実施形態において、ADSCは、吸引脂肪組織に元々見出される赤血球の溶解を引き起こすために緩衝液を適用することなく得ることができる。したがって、いくつかの実施形態において、吸引脂肪組織は、赤血球溶解緩衝液を適用することなく、脂肪由来幹細胞を単離するために処理される。赤血球溶解緩衝液を用いずに脂肪由来幹細胞を単離するための方法は、本発明の出願人に譲渡された、WO2018/211498に記載されているように、さらなる処理の前に脂肪組織を凍結および解凍することを含む。他の実施形態において、赤血球溶解緩衝液は、遠心分離によってhADSCを含む細胞画分をペレット化した後で、細胞の集団からhADSCを選択する前に適用される。
【0074】
いくつかの実施形態による吸引脂肪組織の凍結は、以下のように実施される:吸引脂肪組織を凍結バッグに入れ、DMSOを最終濃度10%で加える。凍結バッグを凍結キャニスターに入れ、試料を-80Cで一晩(約24時間)維持する。次に、凍結した試料を気相液体窒素タンクに移す。安定性試験は、貯蔵期間中に実施することができる。解凍のために、いくつかの実施形態によれば、試料が取り出され、室温で数分間、典型的には、5~10分間放置される。次に、試料を37Cの水浴中で数分間、典型的には、5~10分間、または試料の大部分が解凍するまで解凍する。次に、試料を、間葉系幹細胞に好適な等張緩衝液または培養培地、例えば、PBSなどの緩衝液として本明細書で定義される、細胞生存を支持することができる懸濁培地で、37Cで洗浄する。試料は、典型的には、2回洗浄される。
【0075】
いくつかの実施形態において、プロセスは、少なくとも1回の濾過を行うことを含む。濾過は、いくつかの実施形態において、組織をさらに解離し、SVF画分の収集を容易にするために、100ミクロンメッシュを通して、続いて40ミクロンメッシュを通して実施される。
【0076】
SVF画分の細胞集団内からADSCを単離するために、細胞培養容器への付着による(例えば、可塑性付着による)、および/またはビーズ/抗体を介した選択などのプロセスが、典型的には、適用される。任意選択的に、細胞は、セルソーティングによって分離され得るか、または免疫組織化学的に分離され得る。Bunnell et al.(2008)Methods.,45(2):115-120は、ADSCを単離するための方法を概説している。
【0077】
培養容器への付着による選択は、典型的には、いかなるコーティングも有しない好適な培養培地を含む培養フラスコ(例えば、プラスチックフラスコ)内にSVF細胞を播種すること、播種した細胞を一晩(いくつかの実施形態では少なくとも12時間、または24~48時間)インキュベートすること、フラスコを洗浄して、非付着細胞および組織残屑を除去すること、ならびに新鮮な培養培地をフラスコに加えること、によって実行される。付着細胞(ADSC)は、所望のレベルのコンフルエンシーまで培養することができ、その後、それらを収集して保存することができるか、またはさらなる継代まで継代培養することができる。典型的には、細胞は、3~10、好ましくは3~5または3~4の継代数まで継代培養される。細胞は、使用するまで凍結保存することができる。
【0078】
馴化培地を作製するために、凍結細胞の試料を解凍し、細胞を細胞培養容器中に播種し、細胞培養培地、すなわち、最初に血清含有細胞培養培地中で、続いて無血清細胞培養培地中で培養する。細胞培養培地は、培養される細胞の栄養必要性に十分に対処する培地である。間葉系幹細胞用の培養培地は、市販されている。例えば、培地は、血清が添加されているか、または添加されていない、ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)に基づき得る。血清として、ウシ胎仔血清(FBS)を添加することができる。FBSを添加せずに使用したDMEMは、無血清培地である。FBSは、L-グルタミンおよび抗生物質(例えば、硫酸ゲンタマイシン)とともに、「完全血清培地」または「完全培地」を得るためにDMEM培地に添加され得る。
【0079】
いくつかの実施形態において、細胞は、血清含有培地中で約24時間培養され、その後、培地は、無血清培地と交換される。無血清培地は、好ましくは、動物性産物を含まない培地(ゼノフリー)である。
【0080】
細胞培養は、好ましくは、インキュベーター内で、35~39℃の温度で、5±1%のCOの条件下で実施される。細胞培養は、典型的には、二次元細胞培養である。
【0081】
培養培地が細胞とインキュベートされると、それは、「使用済み」または「馴化培地」として当業者に知られている。馴化培地は、培地の元の成分の多く、ならびに例えば、生物学的に活性な成長因子を含む、様々な細胞代謝産物および分泌タンパク質を含有する。
【0082】
細胞は、培地を収集する前に、無血清培地中で少なくとも48時間、好ましくは72時間以内で培養される。いくつかの実施形態において、細胞は、培地を収集する前に、無血清培地中で48~96時間培養される。他の実施形態において、細胞は、培地を収集する前に、無血清培地中で48~72時間培養される。無血清培地中でのインキュベーション後、細胞および任意の細胞残屑を培地から分離し(例えば、遠心分離または濾過により)、馴化培地を収集する。収集した馴化培地は、収集後すぐに処理され得るか、または使用するまで凍結保存され得る。
【0083】
タンパク質画分の精製および乾燥タンパク質組成物の作製
本発明のタンパク質画分は、馴化培地を処理して1kDa未満の成分を除去することにより、好ましくは、3kDa未満の成分を除去することにより得られる。タンパク質画分は、好ましくは、細胞培養培地の成分から精製され、化粧品賦形剤で製剤化される。以下のセクションは、タンジェンシャルフロー濾過(TFF)システムを使用する濃縮、濾過、および透析濾過に基づく、本発明のいくつかの実施形態によるタンパク質画分の精製を記載する。当業者は、例えば、遠心濾過、透析、沈殿、およびそれらの組み合わせを含む、タンパク質画分を精製するための他の方法を、本発明とともに使用できることを理解するであろう。
【0084】
馴化培地(新鮮または解凍)は、好ましくは、濃縮に供されて、所望の体積の濃縮馴化培地を得る。濃縮係数は、典型的には、馴化培地の初期体積に応じて、2~10の範囲である。馴化培地の濃縮は、タンパク質画分の精製前または精製中に実行することができる。
【0085】
いくつかの実施形態において、馴化培地は、タンジェンシャルフロー濾過(TFF)システムを使用して処理され、馴化培地を濃縮し、1kDa未満の成分を除去し、好ましくは、3kDa未満の成分を除去する。精製されたタンパク質画分は、保持液として得られる。いくつかの実施形態において、馴化培地は、1kDaの分子量カットオフを有するTFFシステムを使用して処理される。さらなる実施形態において、馴化培地は、3kDaの分子量をカットオフするTFFシステムを使用して処理される。いくつかの実施形態において、10kDaまでのより高い分子量カットオフ(例えば、5kDaのカットオフまたは10kDaのカットオフ)を使用することができる。
【0086】
保持液(精製されたタンパク質画分)は、様々な成長因子を含むタンパク質と、エクソソームと、を含む。いくつかの実施形態において、タンパク質画分のエクソソーム含有量は、総タンパク質1mg当たり少なくとも10個のエクソソームである。さらなる実施形態において、タンパク質画分のエクソソーム含有量は、総タンパク質1mg当たり少なくとも10個のエクソソームである。
【0087】
いくつかの実施形態において、保持液(タンパク質画分)は、馴化培地を、化粧品賦形剤を含む液体製剤と交換し、化粧品賦形剤で製剤化された精製タンパク質画分を得るために、透析濾過に供される。
【0088】
いくつかの実施形態において、馴化培地からタンパク質画分を精製するために、1kDaの分子量をカットオフする濾過システムを使用して濾過を実行して、1kDa未満の分子および粒子が除去された保持液を得る。いくつかの実施形態において、濾過は、3kDaの分子量をカットオフする濾過システムを使用して実行して、3kDa未満の分子および粒子が除去された保持液を得る。いくつかの実施形態において、10kDaまでのより高い分子量カットオフ(例えば、5kDaのカットオフまたは10kDaのカットオフ)を使用することができる。
【0089】
いくつかの実施形態において、タンパク質画分は、1kDaの分子量をカットオフする濾過によって、ヒト脂肪由来幹細胞馴化培地から精製されたタンパク質画分である。いくつかの実施形態において、タンパク質画分は、3kDaの分子量をカットオフする濾過によって、ヒト脂肪由来幹細胞馴化培地から精製されたタンパク質画分である。いくつかの実施形態において、10kDaまでのより高い分子量カットオフ(例えば、5kDaのカットオフまたは10kDaのカットオフ)を使用することができる。
【0090】
精製されたタンパク質画分はまた、本明細書では、「間葉系成長因子(MGF)画分」、「MGF調製物」などとも称される。
【0091】
本明細書に開示される精製されたタンパク質画分は、本明細書以下に例示されるように、様々な金属などの、細胞培養培地に由来する成分を実質的に含まない。例えば、タンパク質画分は、Mg、CaおよびKを実質的に欠いている。したがって、本発明の乾燥(例えば、凍結乾燥)タンパク質組成物は、Mg、CaおよびKを実質的に欠いている。本明細書で使用される場合、「実質的に欠く」は、検出可能な量未満の量、例えば、CaおよびKについて1mg/kg未満、およびMgについて0.2mg/kg未満を示す。
【0092】
次に、精製されたタンパク質画分および化粧品賦形剤を含む液体製剤を、乾燥、例えば、凍結乾燥(「フリーズドライ」とも呼ばれる)に供して、粉末形態の乾燥(例えば、凍結乾燥)タンパク質組成物を得る。本発明による乾燥タンパク質組成物は、好ましくは、5重量%未満の残留水を含有する。いくつかの実施形態において、乾燥タンパク質組成物は、2重量%未満の残留水を含有する。
【0093】
いくつかの実施形態において、ヒト脂肪由来幹細胞馴化培地から精製されたタンパク質画分を含む化粧品組成物を作製するためのプロセスであって、当該プロセスが、ヒト脂肪由来幹細胞(hADSC)を得ることと、hADSCを、血清含有培地中で少なくとも24時間培養することと、hADSCを、無血清培地中で少なくとも48時間継代培養して、馴化培地を得ることと、hADSC(細胞残屑を含む)を分離し、馴化培地を収集することと、馴化培地を濃縮し、1kDa未満の成分を除去して、タンパク質画分を得ることと、タンパク質画分を化粧品賦形剤で製剤化することと、製剤化されたタンパク質画分を乾燥(例えば、凍結乾燥)させることと、を含む、プロセスが本明細書に提供される。
【0094】
いくつかの実施形態において、ヒト脂肪由来幹細胞馴化培地から精製されたタンパク質画分を含む化粧品組成物を作製するためのプロセスであって、当該プロセスが、ヒト脂肪由来幹細胞(hADSC)を得ることと、hADSCを、血清含有培地中で少なくとも24時間培養することと、hADSCを、無血清培地中で少なくとも48時間継代培養して、馴化培地を得ることと、hADSC(細胞残屑を含む)を分離し、馴化培地を収集することと、馴化培地を濃縮し、3kDa未満の成分を除去して、タンパク質画分を得ることと、タンパク質画分を化粧品賦形剤で製剤化することと、製剤化されたタンパク質画分を乾燥(例えば、凍結乾燥)させることと、を含む、プロセスが本明細書に提供される。
【0095】
いくつかの実施形態において、馴化培地の濃縮および1kDa未満の成分の除去は、1kDaの分子量をカットオフする濾過システムを使用して実行される。いくつかの実施形態において、馴化培地の濃縮および1kDa未満の成分の除去は、1kDaの分子量をカットオフするタンジェンシャルフロー濾過(TFF)システムを使用して実行される。
【0096】
いくつかの実施形態において、馴化培地の濃縮および3kDa未満の成分の除去は、3kDaの分子量をカットオフする濾過システムを使用して実行される。いくつかの実施形態において、馴化培地の濃縮および3kDa未満の成分の除去は、3kDaの分子量をカットオフするタンジェンシャルフロー濾過(TFF)システムを使用して実行される。
【0097】
いくつかの実施形態において、化粧品賦形剤でのタンパク質画分の製剤化は、透析を使用して実行される。いくつかの実施形態において、化粧品賦形剤でのタンパク質画分の製剤化は、透析濾過を使用して実施される。
【0098】
いくつかの実施形態において、本発明のプロセスによって作製された化粧品組成物が本明細書に提供される。
【0099】
いくつかの実施形態において、本発明のプロセスによって得られた乾燥(例えば、凍結乾燥)タンパク質組成物と、再構成組成物と、を含む、2成分化粧品が本明細書に提供される。
【0100】
乾燥(例えば、凍結乾燥)タンパク質組成物
「タンパク質組成物」または「タンパク質成分」という用語は、本明細書では互換的に使用され、安定性を維持し、対象の皮膚へのタンパク質画分の塗布のための再構成を容易にするように設計された1つ以上の美容上許容される賦形剤を含む、本発明のタンパク質画分(すなわち、脂肪由来幹細胞馴化培地から精製されたタンパク質画分)の調製物を指す。本発明による対象は、典型的には、ヒト対象である。
【0101】
本明細書で使用される場合、「美容上許容される賦形剤」という用語は、皮膚に重大な刺激を引き起こさず、本発明のタンパク質派の有益な活性および特性を無効にしない賦形剤を指す。
【0102】
いくつかの実施形態において、本発明の化粧品は、一対のバイアル、すなわち、乾燥(例えば、凍結乾燥)タンパク質組成物を含有するタンパク質バイアル、および再構成組成物を含有する再構成バイアルとして提供され、各バイアル中の量は、皮膚への塗布に好適な化粧品組成物を得るための混合および再構成に好適である。他の実施形態において、本発明の化粧品は、例えば、図11に例示されるように、プレフィルドシリンジとして提供される。例示した例では、プレフィルドシリンジは、水性再構成組成物を含む第1のチャンバーと、乾燥(例えば、凍結乾燥)タンパク質組成物を含む第2のチャンバーと、プランジャーと、を備え、プランジャーが移動すると、水性再構成組成物が、第1のチャンバーから第2のチャンバーに送達され、再構成のために乾燥タンパク質組成物と混合される。
【0103】
いくつかの実施形態では、本発明による乾燥(例えば、凍結乾燥)タンパク質組成物のタンパク質含有量は、少なくとも0.2μg/mg粉末である。さらなる実施形態において、乾燥(例えば、凍結乾燥)タンパク質組成物のタンパク質含有量は、少なくとも0.25μg/mg粉末である。いくつかの実施形態において、乾燥(例えば、凍結乾燥)タンパク質組成物のタンパク質含有量は、0.2~0.5μg/mg粉末の範囲にある。
【0104】
本発明の混合するための準備ができている乾燥(例えば、凍結乾燥)タンパク質組成物のタンパク質含有量は、好ましくは、少なくとも0.2μg/mg粉末であり、これは、再構成組成物と混合するための準備ができている乾燥タンパク質組成物のアリコート(例えば、凍結乾燥タンパク質組成物を含むバイアルまたはタンパク質組成物を含むシリンジチャンバー)のタンパク質含有量が、粉末1mg当たり少なくとも0.2μgであることを意味する。さらなる実施形態において、乾燥タンパク質組成物のタンパク質含有量は、少なくとも0.25μg/mg粉末である。いくつかの実施形態において、乾燥タンパク質組成物のタンパク質含有量は、0.2~0.5μg/mg粉末の範囲にある。
【0105】
いくつかの実施形態において、本発明のタンパク質組成物は、非ヒト動物タンパク質を欠いている。
【0106】
タンパク質組成物に含まれる賦形剤は、典型的には、増量剤を含む。増量剤は、典型的には、乾燥(例えば、凍結乾燥)製剤に質量を加えるために使用される。増量剤は、乾燥(例えば、凍結乾燥)ケーキの物理的構造、均一性、および安定性に寄与し得る。「ケーキ」という用語は、本明細書に記載されるように液体製剤が乾燥した(例えば、凍結乾燥した)ときに生じる乾燥ペレットを指す。増量剤は、バイアル当たりの必要量が少ない強力な生物学的薬剤に特に必要である。多くの場合、増量剤は、安定剤および/または等張化剤などの追加の機能を製剤に提供することもできる。
【0107】
ペプチドおよび/またはタンパク質の乾燥製剤に好適な増量剤の例には、マンニトール、ソルビトール、ラクトース、グルコース、スクロースおよびトレハロースなどの糖が含まれる。各可能性は、本発明の個別の実施形態を表す。ペプチドおよび/またはタンパク質の乾燥製剤用の増量剤の他の例には、ヒスチジン、アルギニンおよびグリシンなどのアミノ酸が含まれる。各可能性は、本発明の個別の実施形態を表す。これらのいくつかは、緩衝剤および/または安定剤としても機能することができる。アルブミンは、安定剤としてだけでなく増量剤としても役立つことができるさらに別の賦形剤である。いくつかの好ましい実施形態によれば、本発明のタンパク質組成物で使用される増量剤は、タンパク質以外のものである。いくつかの実施形態において、増量剤は、糖を含む。いくつかの実施形態において、増量剤は、糖である。
【0108】
タンパク質組成物に含まれる賦形剤は、典型的には、等張化剤も含む。本発明の化粧品組成物は、混合時および皮膚への塗布前に等張であることが一般に望ましい。塩化ナトリウム塩は、等張化剤の一例である。等張性を達成するために、最終的な組成および再構成体積を選択すべきである。
【0109】
いくつかの実施形態において、本発明のタンパク質組成物は、増量剤として糖を含み、これは、等張化剤としても機能する。例えば、マンニトールは、等張化剤としても機能する糖増量剤である。いくつかの実施形態において、タンパク質組成物は、糖増量剤と、塩化ナトリウムなどの少なくとも1つの等張化剤と、を含む。
【0110】
本発明のタンパク質組成物に添加/含まれ得るさらなる賦形剤には、安定剤(例えば、EDTA)、クエン酸塩(例えば、クエン酸ナトリウム)、リン酸塩(例えば、リン酸二水素ナトリウム一水和物)、トリス、および酢酸塩などの緩衝剤、抗酸化剤(例えば、アスコルビン酸、クエン酸)、非イオン性界面活性剤(例えば、ポリソルベート)などの界面活性剤、ならびにそれらの組み合わせが含まれる。各可能性は、本発明の個別の実施形態を表す。
【0111】
いくつかの実施形態において、本発明によるタンパク質組成物中の少なくとも1つの美容上許容される賦形剤は、少なくとも1つの増量剤と、少なくとも1つの安定剤と、少なくとも1つの等張化剤と、を含む。
【0112】
上記のように、いくつかの実施形態において、タンパク質画分は、馴化培地から精製され、化粧品賦形剤を含む液体製剤(水性製剤)に製剤化され、その後、液体製剤は、乾燥(例えば、凍結乾燥)に供される。いくつかの実施形態において、馴化培地から精製されたタンパク質画分は、水性製剤でタンパク質画分を製剤化するために透析濾過に供される。
【0113】
いくつかの実施形態において、水性製剤は、指定された範囲内の各値を含む、2%~10%(w/v)の増量剤または増量剤の組み合わせ、例えば、2%~5%(w/v)の増量剤または増量剤の組み合わせを含む。いくつかの実施形態において、乾燥(例えば、凍結乾燥)後、乾燥した(例えば、凍結乾燥した)タンパク質組成物は、70%~85%(w/w)の増量剤または増量剤の組み合わせを含む。
【0114】
いくつかの実施形態において、水性製剤は、指定された範囲内の各値を含む、0.01~1%(w/v)のEDTAなどの安定剤、例えば、0.025~0.5%(w/v)の安定剤を含む。いくつかの実施形態において、乾燥(例えば、凍結乾燥)後、乾燥(例えば、凍結乾燥)タンパク質組成物は、1.0%~1.5%(w/w)の安定剤を含む。
【0115】
いくつかの実施形態において、水性製剤は、指定された範囲内の各値を含む、0.1~1%(w/v)の等張化剤、例えば、0.25%~1%(w/v)の等張化剤を含む。いくつかの実施形態において、乾燥(例えば、凍結乾燥)後、乾燥(例えば、凍結乾燥)タンパク質組成物は、10%~15%(w/w)の等張化剤を含む。
【0116】
タンパク質/ペプチドベースの製品の製剤化および凍結乾燥は、例えば、Costantino and Pikal Eds. Lyophilization of Biopharmaceuticals,Springer Science & Business Media,2004、およびPearlman and Wang Eds. Stability and Characterization of Protein and Peptide Drugs:Case Histories,Springer Science & Business Media,29 Jun 2013に概説されている。
【0117】
再構成組成物
「再構成組成物」または「再構成媒体」などの用語は、本明細書では互換的に使用され、乾燥タンパク質組成物の再構成および対象の皮膚への塗布を容易にする1つ以上の美容上許容される賦形剤を含む水性組成物を指す。
【0118】
再構成組成物に含まれる賦形剤は、典型的には、乳化剤および皮膚軟化剤、ならびに任意選択的にまた、増粘剤、緩衝剤またはpH調整剤、湿潤剤、ならびにそれらの組み合わせを含む。各可能性は、別々の実施形態を表す。含まれ得るさらなる賦形剤は、界面活性剤、酸化防止剤、香料、着色剤、およびそれらの組み合わせを含む。各可能性は、別々の実施形態を表す。本発明の再構成組成物は、典型的には、抗菌性保存剤を含む。
【0119】
好適な乳化剤には、ステアリン酸のポリエチレングリコールエーテル、例えば、ステアレス-2、ステアレス-4、ステアレス-6、ステアレス-7、ステアレス-10、ステアレス-11、ステアレス-13、ステアレス-15、およびステアレス-20など、ステアリン酸グリセリル、ステアリルアルコール、セチルアルコール、セテアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ジエタノールアミン、レシチン、ポリエチレングリコール、ならびにこれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。各可能性は、別々の実施形態を表す。乳化剤の組み合わせは、例えば、商標名Dow Corning(登録商標)5225C(DC 5225C)、Montanov(商標)68、Emulium(登録商標)Deltaとして市販されている。
【0120】
好適な皮膚軟化剤には、脂肪、油、脂肪アルコール、脂肪酸、およびエステルが含まれ、これらは、塗布および付着を助け、光沢を生じ、閉塞性の保湿を提供する。例には、シリコーン油(例えば、商標名Dow Corning(登録商標)245(DC 245)およびDow Corning(登録商標)246(DC 246)として入手可能なもの)、グリセリン、鉱油、ワセリン、パラフィン、セレシン、オゾケライト、微結晶ワックス、ポリエチレン、およびペルヒドロスクアレンを含む、炭化水素油およびワックス;ホホバ油およびシアバターを含む植物、動物、および海洋源に由来するものを含む、トリグリセリド脂肪および油;アセチル化モノグリセリドなどのアセトグリセリドエステル;エトキシル化グリセリルモノステアレートなどのエトキシル化グリセリド;脂肪酸、脂肪アルコールおよびそれらの誘導体、例えば、ミリスチン酸イソプロピルが含まれるが、これらに限定されない。各可能性は、別々の実施形態を表す。
【0121】
好適な増粘剤には、様々なポリマー、例えば、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、アクリルアミドコポリマー、アクリル酸ナトリウムコポリマー、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カルシウム、アルギン酸マグネシウム、アルギン酸、ヒアルロン酸、ポリグルクロン酸(ポリ-α-および-β-1,4-グルクロン酸)、硫酸コンドロイチン、ファーセレラン、カルボキシメチルセルロース、ポリカルボン酸、カルボマー、ベントナイト、キチン、キトサン、カルボキシメチルキチン、および商標名Carbopol(登録商標)として入手可能な架橋ポリアクリレート材料、ならびにポリマー、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、ポリビニルピロリドン(ポビドン、PVP)、ポリビニルアルコール、中間~高分子量ポリエチレングリコール(PEG-3350、PEG-6000など)、グルコシドおよびエチドロン酸四ナトリウムが含まれるが、これらに限定されない。各可能性は、本発明の個別の実施形態を表す。
【0122】
好適な緩衝剤またはpH調整剤には、短鎖脂肪酸、クエン酸、酢酸、塩酸、硫酸、およびフマル酸などの酸性緩衝剤;ならびにトリス、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、および水酸化マグネシウムなどの塩基性緩衝剤が含まれるが、これらに限定されない。各可能性は、別々の実施形態を表す。
【0123】
好適な湿潤剤には、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ポリエチレングリコールなどのグリコール、ソルビトールなどの糖アルコール、ヘキシレン、尿素、およびコラーゲンが含まれるが、これらに限定されない。各可能性は、別々の実施形態を表す。
【0124】
美容上許容される抗菌性保存剤の例には、ホルムアルデヒド放出剤(例えば、イミダゾリジニル尿素)、パラベン(例えば、メチルパラベン、プロピルパラベン)、イソチアゾリノン(例えば、カトン)、フェノキシエタノール(例えば、オプティフェン)および有機酸(例えば、安息香酸/安息香酸ナトリウム、ソルビン酸/ソルビン酸カリウム)が含まれる。各可能性は、本発明の個別の実施形態を表す。
【0125】
本発明の化粧品組成物および製品は、皮膚の若返り、皮膚の外観、皮膚の色合いなどの改善に有用である。特に、本発明の化粧品組成物および製品は、例えば、しわ、小じわ、皮膚の欠陥、黒子または日光黒子を含む斑点、不均一な皮膚の色合いまたは質感、UV放射によって誘発された損傷した皮膚または光損傷した皮膚、色素過剰の皮膚または黒皮症、乾燥皮膚、たるんだ皮膚、荒れた皮膚、およびそれらの任意の組み合わせを含む、様々な皮膚状態を改善するのに有用である。
【0126】
以下の実施例は、本発明の特定の実施形態をより完全に例示するために提示される。しかしながら、それらは決して本発明の広い範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。当業者は、本発明の範囲から逸脱することなく、本明細書に開示された原理の多くの変形および修正を容易に考案することができる。
【実施例
【0127】
実施例1.
本発明によるタンパク質画分の作製
1.吸引脂肪組織の凍結保存
吸引脂肪組織の調製
吸引脂肪組織の試料を採取し、容器の底(浮遊組織の下)の水層を除去する。残りの組織を、500ml/1000mlの滅菌ボトルに移す。
【0128】
吸引脂肪組織洗浄
組織体積(ml)を推定し、等しい体積の冷PBSを、組織を含有するボトルに添加する。ボトルを閉じ、逆さにし、穏やかに回転させて、層の分離を促進し、洗浄手順を補助する。次に、ボトルを垂直に置き、2つの相を分離させる。次に、脂肪組織の下に形成された水層を除去する。前述のPBSによる洗浄をさらに3回繰り返す。
【0129】
吸引脂肪組織のクライオバギング(cryobagging)
組織の上部に形成された黄色の薄層(存在する場合)を、注意深く吸引し、捨てる。実際の脂肪組織の体積(ml)を測定し、それに応じて必要なクライオバッグの数を計算する。次に、150ml(または他の残りの体積)の脂肪組織を、各クライオバッグに移す。詰まりを防ぐために、組織の塊は、シリンジに収集しない。残っている組織はすべて捨てる。
【0130】
DMSO溶液の調製
50%DMSO溶液の必要体積を以下のように計算する。
DMSO溶液の体積=0.27ml×実際の脂肪組織の体積
【0131】
必要な体積の50%DMSO溶液を、等体積の100%DMSOおよびPBSを両方とも22±5℃で混合することによって調製する。得られた50%DMSO溶液を、使用するまで氷中に保持する。
【0132】
DMSO溶液の添加
各クライオバッグの1ml組織当たり0.25mlの冷50%DMSO溶液をゆっくりと添加する(すなわち、150mlの組織の場合、37.5mlの50%DMSO溶液を添加する)。DMSOを添加しながら、クライオバッグを手で軽く押してマッサージすることにより、DMSOを均等に分配する。凍結バッグのチューブを、約2cmおよび約4cmで2回密封し、2番目の密封点の後で切断する。各クライオバッグを、対応する凍結バッグに入れ、二次凍結バッグを密封する。各凍結バッグを凍結キャニスターに移し、-80℃の冷凍庫に入れ、18~24時間保存する。
【0133】
長期保存の場合、凍結キャニスターを、-80Cの冷凍庫から気相窒素貯蔵容器に移す。
【0134】
2.吸引脂肪組織の解凍および間質血管画分(SVF)の単離
溶液の調製
5%コラゲナーゼストック溶液(50mg/ml)を調製する(PBS中)。
【0135】
細胞培養培地の調製
DMEM LG完全培地を、L-グルタミン、FBS、および硫酸ゲンタマイシンをDMEM LGに添加することによって調製する。調製したDMEM LG完全増殖培地を、使用するまで2~8℃で保持する。
【0136】
FBSを含まないDMEM LG培地を、L-グルタミンおよび硫酸ゲンタマイシンのみをDMEM LGに添加することによって調製する。調製した増殖培地を、使用するまで2~8℃に保持する。
【0137】
吸引脂肪組織の解凍
PBSを、37±1℃の水浴中で温める。解凍するクライオバッグを含有するキャニスターを、蒸気窒素タンク/-80℃冷凍庫から取り出して開く。クライオバッグをそれらのキャニスターから取り出し、室温で5±0.5分間保持する。次に、クライオバッグを、37±1℃の水浴中に5±0.5分間入れる。次に、各クライオバッグを乾燥させて開く。組織を500mlの滅菌ボトルに移し、等しい体積の予熱したPBSで2回洗浄する。
【0138】
組織処理および間質血管画分(SVF)の単離
洗浄した組織を、500mlの遠心分離チューブに移す。おおよその組織体積(ml)を記録する。150mlの組織の場合、7.5mlの5%コラゲナーゼストック溶液を、滅菌ボトル内に添加する。次に、0.6mlの1MのCaClストック溶液および142mlのPBSを、コラゲナーゼ含有ボトル(最終体積150ml)に添加する。コラゲナーゼを含有するボトルを、37±1℃の水浴中で約15分間温める。次に、ボトル内のコラゲナーゼ溶液を、組織を含有する遠心分離チューブに1:1v/v比(コラゲナーゼ:組織)で添加し、遠心分離チューブを約10秒間回転させる。次に、遠心分離チューブを、37±1℃の水浴に入れ、約35分間振とう(130rpm)する。次に、遠心分離チューブを水浴から取り出し、FBSを含まないDMEM LG培地をRTで添加する(150mlの初期組織ごとにFBSを含まない200mlのDMEM LG培地)。遠心分離チューブを閉じ、500×g、21±2℃で10分間遠心分離する。遠心分離後、上清の大部分が除去され、約5mlが残り、ペレットを、上下にピペッティングすることによって再懸濁し、その後50mlのコニカルチューブに移す。次に、FBSを含まない45mlのDMEM L/Gを、50mlのコニカルチューブに添加し、卓上遠心分離機を使用して、コニカルチューブを、500×g、21±2℃で10分間遠心分離する。遠心分離後、上清を除去して捨てる。細胞ペレットを、10mlの赤血球溶解緩衝液中に再懸濁し、室温で10±1分間インキュベートする。次に、20mlのPBSを添加し(RT)、試料を、500×g、21±2℃で10分間遠心分離する。細胞ペレットを、FBSを含まない5mlのDMEM LG培地中に再懸濁する。新しい50mlのチューブの上に100μmのセルストレーナーを置き、懸濁液を濾過する。濾液を、卓上遠心分離機を使用して500×g、21±2℃で10分間遠心分離する。上清を捨て、細胞ペレットを、FBSを含まない5mlのDMEM LG培地中に再懸濁する。次に、新しい50mlのチューブの上に40μmのセルストレーナーを置き、懸濁液を濾過することにより、2回目の濾過を実行する。フィルターを、FBSを含まないさらなる5mlのDMEM LG培地で洗浄し、卓上遠心分離機を使用して、濾液を、500×g、21±2℃で10分間遠心分離する。上清を捨て、細胞ペレットを、5mlの完全DMEM LG培地(約37℃)中に再懸濁する。得られた試料は、間質血管画分(SVF)と称される。
【0139】
SVF細胞計数
20μlの細胞懸濁液を180μlの完全DMEM LGに移すことにより、1:10に希釈した細胞懸濁液の200μlの試料を、Eppendorfチューブ中で調製し、細胞を計数する。
【0140】
SVF播種
細胞を、約3.5×10細胞/cmの濃度で、コーティングを含まない細胞培養フラスコ中に播種する。
- 175cmフラスコの場合、6×10個の細胞を播種する
- 75cmフラスコの場合、2.6×10個の細胞を播種する。
【0141】
35mlの完全DMEM LGを、各175cmフラスコに添加する。15mlの完全DMEM LGを、各75cmフラスコに添加する。フラスコを、5±1%CO、37±2.5℃のインキュベーター内で一晩インキュベートして、可塑性付着細胞(脂肪由来幹細胞、ADSC)を選択する。
【0142】
培地交換
完全DMEM LGおよびPBSボトルを、37±1℃の水浴中で30±5分間予熱する。細胞フラスコをインキュベーターから取り出し、培地をフラスコから吸引する。細胞を2回洗浄して、75cmフラスコ当たり5mlの温かいPBSまたは175cm当たり10mlを注意深く添加し、続いて滅菌ピペットを使用してPBSを吸引することによって、付着していない細胞および組織残屑を除去する。次に、完全DMEM LGを、75cmフラスコ当たり15mlまたは175cmフラスコ当たり35mlで添加し、フラスコを、5±1%CO、37±2.5℃のインキュベーター内でインキュベートする。
【0143】
細胞を、2~3日ごとに培地を交換して70%~100%の細胞コンフルエンシーで増殖させる。
【0144】
3.間葉系幹細胞の採取および再培養
増殖培地の調製
NutriStem(登録商標)増殖培地に、L-グルタミン、NutriStem(登録商標)サプリメントおよび硫酸ゲンタマイシンをNutriStem(登録商標)を添加することによって調製する。調製したNutriStem(登録商標)増殖培地を、37±1℃の水浴中で30±5分間温める。
【0145】
細胞培養フラスコのコーティング
無血清培地中で培養したヒト間葉系幹細胞(hMSC)の付着および拡散を支持する滅菌した、アフィニティー精製ヒトフィブロネクチン(hFN)から構成されるMSC付着溶液(Biological Industries)を、滅菌PBSを含む濃縮した付着溶液1:100を溶解することによって調製する。調製した付着溶液を室温で保持し、フラスココーティングの同じ日の間に使用する。調製した付着溶液を、175cmフラスコ(10ml)または75cmフラスコ(5ml)に移す。フラスコを穏やかに傾けることにより、付着溶液がフラスコ上に十分に分散していることを確認する。コーティングしたフラスコを、5±1%CO、37±2.5℃のインキュベーターに少なくとも30分間移す。
【0146】
細胞の採取
調製したNutriStem(登録商標)増殖培地を、水浴から取り出す。細胞を含有するフラスコをインキュベーターから注意深く取り出し、培地をフラスコから吸引する。各フラスコを、PBSで洗浄し(175cmフラスコについて10mlのPBS、および75cmフラスコについて5mlのPBS)、続いてPBSを吸引する。次に、室温で各フラスコにTrypLE(商標)を添加し(175cmフラスコに10ml、および75cmフラスコに5ml)、フラスコを5±1%CO、37±2.5℃のインキュベーターで最大10分間インキュベートすることによって細胞をトリプシン処理する。次に、フラスコをインキュベーターから取り出し、顕微鏡下で観察して、ほとんどの細胞が剥離したかどうかを確認する。そうでない場合は、フラスコを軽くたたいて残りの細胞を剥離させる。必要に応じて、トリプシン処理を繰り返す。トリプシン処理後、NutriStem(登録商標)増殖培地を、各フラスコに添加し(各175cmフラスコに10ml、および各75cmフラスコに5ml)、懸濁液を穏やかに上下にピペットで移して、組織培養フラスコを洗浄する。次に、懸濁液を50mlチューブに移し、チューブを400×g、21±2℃で10分間遠心分離する。遠心分離後、上清を注意深く吸引し、細胞ペレットを、5mlのNutriStem(登録商標)増殖培地で再懸濁し、細胞を計数する。この手順は、細胞の生存率が75%を超える場合にのみ進める。
【0147】
細胞の再培養
各フラスコについての播種体積を以下のように計算する。
【数1】
【数2】
【0148】
プレコーティングした細胞培養フラスコをインキュベーターから取り出し、付着溶液を吸引する。次に、各フラスコを室温でPBSで洗浄し(175cmフラスコについて10mlのPBS、75cmについて5ml)、PBSを吸引し、NutriStem(登録商標)増殖培地を各フラスコに添加する(175cmフラスコに35mlおよび75cmフラスコに15ml)。上記で計算したように細胞を各フラスコに播種し、フラスコを5±1%CO、37±2.5℃のインキュベーターに移す。
【0149】
細胞増殖評価
細胞を含有するフラスコをインキュベーターから注意深く取り出し、細胞の増殖を顕微鏡下で評価する。特に、細胞を、均一に広がった線維芽細胞状の形態および70~80%のコンフルエンシーについてチェックする。細胞が均一に広がっている、かつ/または70~80%コンフルエントである場合、上記のように細胞を採取し、再培養する。細胞が70~80%コンフルエントでない場合、増殖培地を交換し、フラスコをインキュベーター内に戻す。細胞が線維芽細胞状の形態を有しない、かつ/または顕著な凝集を示す場合、プロセスは停止され、細胞は処分される。細胞は、継代3~5まで継代培養される。細胞は、使用するまで液体窒素で凍結保存される。
【0150】
4.馴化培地の作製
増殖培地の調製
NutriStem(登録商標)増殖培地に、L-グルタミン、MSC NutriStem(登録商標)サプリメントおよび硫酸ゲンタマイシンをNutriStem(登録商標)を添加することによって調製する。調製したNutriStem(登録商標)増殖培地を、37±1℃の水浴中で30±5分間温める。
【0151】
DMEM LG完全増殖培地に、FBS、L-グルタミン、および硫酸ゲンタマイシンをDMEM LGを添加することによって調製する。調製した増殖培地を、使用するまで2~8℃に保持する。
【0152】
飢餓培地に、L-グルタミンおよび硫酸ゲンタマイシンをDMEM LGを添加することによって調製する。調製した飢餓培地を、使用するまで2~8℃に保持する。
【0153】
細胞培養フラスコのコーティング
MSC付着溶液(Biological Industries)を、濃縮した付着溶液1:100を滅菌PBSで溶解することによって調製する。調製した付着溶液を室温で保持し、フラスココーティングの同じ日の間に使用する。調製した付着溶液を、175cmフラスコ(10ml)または75cmフラスコ(5ml)に移す。フラスコを穏やかに傾けることにより、付着溶液がフラスコ上に十分に分散していることを確認する。コーティングしたフラスコを、5±1%CO、37±2.5℃のインキュベーターに少なくとも30分間移す。
【0154】
細胞試料の解凍
予熱したNutriStem(登録商標)増殖培地を、15mlのチューブに移す(チューブ当たり8ml)。解凍する細胞(合計15・10^6細胞)を含有するクライオチューブを液体窒素容器から取り出し、すぐに37±1℃の水浴に入れる。クライオチューブを穏やかに回転させる。培地のほとんどが解凍したら(まだいくらかの凍結した材料が残っている)、クライオチューブを水浴から取り出し、1mlのNutriStem(登録商標)増殖培地を、室温で各クライオチューブに滴下して添加する。細胞懸濁液を、培地を含有するチューブに穏やかに戻す(総体積約9ml)。次に、クライオチューブを、さらなる1mlのNutriStem(登録商標)増殖培地で洗浄し、培地を15mlのチューブに移す。15mlのチューブの総体積は、約10mlである。次に、15mlのチューブを、400×gで10分間21±2℃で遠心分離する。上清を吸引し、細胞ペレットを、5mlのNutriStem(登録商標)増殖培地で穏やかに再懸濁し、細胞を計数する。次の段階では、180μlのPBSまたはNutriStem(登録商標)増殖培地をEppendorfチューブに添加し、20μlの細胞懸濁液と混合することにより、200μlの1:10希釈細胞懸濁液を調製する。細胞を再び計数する。この手順は、細胞の生存率が75%を超える場合にのみ進める。
【0155】
細胞播種
各フラスコについての播種体積を以下のように計算する。
【数3】
【数4】
【0156】
プレコーティングした細胞培養フラスコをインキュベーターから取り出し、付着溶液を吸引する。次に、各フラスコを室温でPBSで洗浄し(175cmフラスコについて10mlのPBS、75cmについて5ml)、PBSを吸引し、NutriStem(登録商標)増殖培地を各フラスコに添加する(175cmフラスコに35mlおよび75cmフラスコに15ml)。上記で計算したように細胞を各フラスコに播種し、フラスコを5±1%CO、37±2.5℃のインキュベーターに移す。細胞を一晩(24時間以内)インキュベートする。
【0157】
増殖培地交換
NutriStem(登録商標)増殖培地を、37±1℃の水浴中で30±5分間温める。細胞培養フラスコをインキュベーターから注意深く取り出し、培地をフラスコから吸引する。各フラスコをPBSで洗浄し(75cmフラスコについて5mlのPBS、175cmフラスコについて10ml)、PBSを吸引し、NutriStem(登録商標)増殖培地を添加する(75cmフラスコに15ml、および175cmフラスコに35ml)。フラスコを5±1%CO、37±2.5℃のインキュベーターに戻し、細胞を3~5日、または細胞が約80%のコンフルエンシーに達するまで増殖させる。
【0158】
DMEM LG完全培地での細胞の採取および再培養
DMEM LG完全増殖培地を、37±1℃の水浴中で30±5分間ワームする。細胞を含有するフラスコをインキュベーターから注意深く取り出し、培地をフラスコから吸引する。各フラスコを、PBSで洗浄し(175cmフラスコについて10mlのPBS、および75cmフラスコについて5mlのPBS)、続いてPBSを吸引する。次に、室温で各フラスコにTrypLE(商標)を添加し(175cmフラスコに10ml、および75cmフラスコに5ml)、フラスコを5±1%CO、37±2.5℃のインキュベーターで最大10分間インキュベートすることによって細胞をトリプシン処理する。次に、フラスコをインキュベーターから取り出し、顕微鏡下で観察して、ほとんどの細胞が剥離したかどうかを確認する。そうでない場合は、フラスコを軽くたたいて残りの細胞を剥離させる。必要に応じて、トリプシン処理を繰り返す。トリプシン処理後、DMEM LG完全増殖培地を、各フラスコに添加し(75cmフラスコに5ml、および175cmフラスコに10ml)、懸濁液を穏やかに上下にピペットで移して、組織培養フラスコを洗浄する。次に、懸濁液を50mlチューブに移し、チューブを400×g、21±2℃で10分間遠心分離する。洗浄ステップを繰り返し、50mlのチューブを400×g、21±2℃で10分間遠心分離する。上清を注意深く吸引し、細胞ペレットを5mlのDMEM LG完全培地で再懸濁し、細胞を計数する。この手順は、細胞の生存率が75%を超える場合にのみ進める。
【0159】
細胞試料の播種
DMEM LG完全培地を細胞培養フラスコに添加する(75cmフラスコに10ml、および175cmフラスコに23.3ml)。各フラスコについての播種体積を以下に記載するように計算し、細胞を播種する。
【数5】
【数6】
【0160】
フラスコを、5±1%CO、37±2.5℃のインキュベーターに約24時間移す。
【0161】
増殖培地を飢餓培地(無血清)と交換する
DMEM LG飢餓培地を、37±1℃の水浴中で30±5分間温める。細胞培養フラスコをインキュベーターから取り出し、培地をフラスコから吸引する。細胞を計数する目的のために、1つの細胞培養フラスコをインキュベーター内に残す。インキュベーターから取り出した各フラスコをPBSで洗浄し(75cmフラスコについて5ml、および175cmフラスコについて10ml)、PBSを吸引し、DMEM LG飢餓培地を添加する(75cmフラスコに7.5ml、および175cmフラスコに17.5ml)。フラスコを、5±1%CO、37±2.5℃のインキュベーターに約48時間移す。
【0162】
インキュベーター内に残った細胞培養フラスコを、飢餓プロセスの開始時の細胞数を評価するために細胞計数分析に使用する。細胞計数は上記のように実行する(培地吸引、PBSでの洗浄、トリプシン処理による細胞採取、DMEM LG飢餓培地への懸濁および細胞計数)。
【0163】
馴化培地収集
細胞培養フラスコを、インキュベーターから注意深く取り出す。培地を50mlのチューブに収集し、400×g、21±2℃で10分間遠心分離する。上清(馴化培地)を、500mlボトルに収集する。ペレットからの細胞および残屑の収集を避けるために、ピペットの先端をチューブの側面に位置付け、上清のすべてを収集しない。馴化培地の収集後、ボトルを回転させる。QC試料(例えば、全タンパク質の測定)を、Eppendorfチューブにアリコートする。馴化培地の残りを、50mlのチューブにアリコートし、使用するまで-80±10℃で凍結保持する。
【0164】
5.間葉系成長因子(MGF)の精製、透析濾過、凍結乾燥およびパッケージング
溶液の調製
水酸化ナトリウム(NaOH)0.05N溶液を調製し、0.22μmのフィルターボトルを通して濾過し、室温で保持する。
【0165】
2.5~3.5%の増量剤(例えば、マンニトール)、0.045~0.055%の安定剤(例えば、EDTA)、0.45~0.55%の等張化剤(例えば、NaCl)、および洗浄用の水を含有する、MGF製剤溶液(2L)を調製する。MGF製剤溶液のpHを測定し、NaOH 0.5Nで滴定することにより7.4±0.2に調整する。次に、1LのMGF製剤溶液を、2セットの1L、0.22μmフィルターボトルを通して濾過する。MGF製剤溶液を、使用するまで2~8℃で保持する。
【0166】
MGFの精製、透析濾過および製剤
馴化培地(200~1000ml)を氷上で解凍する。馴化培地を、100mlに濃縮し(すなわち、2~10の濃縮係数)、MGFタンパク質画分を精製し、続いてCogent μScale TFFシステム(EMD Millipore)を使用して上記のようにMGF製剤溶液で製剤化する。
【0167】
濃縮プロセス中、馴化培地を、Cogentシステム内で、供給タンク(4±2℃でインキュベート)から1.0±0.2バールの圧力レベルで3kDaの濾過カセットに循環させ、供給タンクに戻す。3kDa未満の粒子を保有する濾液を、廃棄物タンクに流す。保持液は、MGFタンパク質画分である。循環および濾過は、100mlの濃縮MGFタンパク質画分が供給タンク内に残るまで継続する。
【0168】
透析濾過および製剤化は、100mlのMGF製剤溶液4±2℃を、供給タンク内の100mlの濃縮MGFタンパク質画分に添加することから開始する。次に、溶液を、1.5±0.5バールの圧力レベルでCogentシステムに循環させて、100mlの体積を取り除く。このプロセスを10回繰り返して、馴化培地の210希釈係数を作成し、それをMGF製剤溶液と交換する。得られた液体製剤中のタンパク質画分の濃度は、好ましくは、0.015~0.025%(w/v)の範囲である。
【0169】
本発明のいくつかの実施形態によるMGF画分を含む液体製剤の例示的な組成は、以下の通りである。
【表1】
【0170】
製剤化したMGF(F-MGF)の試料を、QC分析(例えば、全タンパク質の測定および任意選択的に活性アッセイ)のために取得し、F-MGFの残りを、凍結乾燥まで2~8℃で保存する。mg/ml単位のF-MGF濃度を、全タンパク質分析に基づいて決定する。
【0171】
凍結乾燥調製物
真空レベルを、0.02±0.002ミリバールに設定し、事前凍結レベルを、-75±7℃に設定する。デバイスの操作後、温度および真空レベルを、目的の温度が得られるまでモニタリングする。
【0172】
部分区画
F-MGF溶液をバイアルに分注し(バイアル当たり2ml)、バイアルを密封する。
【0173】
凍結乾燥事前凍結
凍結乾燥機の真空を停止し、F-MGF溶液を含有するバイアルを凍結乾燥機の棚に置く。バイアルを、12±4時間(または一晩)事前凍結する。
【0174】
F-MGF凍結乾燥
棚の温度を、-40±4℃に設定し、真空が0.02±0.002ミリバールに設定されていることを確認する。所望の値に達したら、バイアルを72±4時間フリーズドライする。
【0175】
凍結乾燥後、QC分析(微生物試験、外観、pHおよびタンパク質含有量)のために試料を取得し、凍結乾燥F-MGFの残りを、2~8Cで保存する。
【0176】
実施例2.
タンパク質画分の製剤-増量剤の選択
目的:タンパク質画分による製剤のための増量剤を選択するために、凍結乾燥後のそれらの特性および再構成時に溶解するそれらの能力について、いくつかの候補増量剤を試験すること。
【0177】
方法
図1に特定した組成物F1~F17は、各組成物の成分を精製水中で混合することによって調製した。各組成物5mlを含有する複製バイアルを、-80℃のイソプロパノール浴に入れることによって直ちに凍結した。真空を防ぐために、すべてのキャップを部分的に開いた。すべての組成物が凍結したら、バイアルを事前凍結した凍結乾燥機に移し、3~4日間凍結乾燥させた。次に、バイアルを取り出し、スケーリングし、カールフィッシャーアッセイによって残留水分含有量およびPBSでの再構成時間を試験した。
【0178】
結果
増量剤の特性評価を、マンニトール、ヒスチジン、およびBSAの3つの候補材料の分析によって実行した。最初に、各材料を独自に試験した(組成物F1~F7)。凍結乾燥中の材料損失を、凍結乾燥後の組成物を秤量し、その重量を各材料の初期重量と比較することによって評価した。さらに、凍結乾燥後の質感を、各組成物について記録した。最後に、PBSでの再構成時間を記録し、90秒未満の再構成時間を、再構成の成功として決定した。結果を図2に要約する。
【0179】
この結果は、凍結乾燥組成物の調製中に実質的に材料損失がないことを示した。組成物のほとんどにおいて、各材料の初期重量よりも凍結乾燥後に高い材料重量の兆候さえある。これは、凍結乾燥組成物中に残っている残留水が原因である可能性があるが、凍結乾燥組成物の水分含有量は、この実験では測定しなかった。
【0180】
次に、より低い濃度の各材料自体およびまた、3つの材料間の異なる組み合わせを試験した(組成物F8~F14)。さらに、EDTA(安定剤、キレート剤として)および塩化ナトリウム(等張剤として)を含有する組成物を試験した(組成物F15~F17)。
【0181】
すべての組成物を、凍結乾燥後の残留水分含有量および凍結乾燥後の再構成時間(PBS中)について試験した。5%未満の残留水分含有量および20秒未満の再構成時間を、成功として決定した。結果を図3に要約する。図4A~Bは、結果のグラフ表示を提供する。凍結乾燥後の残留水分含有量および再構成時間の両方で成功した組成物は、F8、F9、およびF15であった(図で強調表示されている)。F10の複製の1つが凍結乾燥中に崩壊したため、F10についての水分含有量は測定しなかった。
【0182】
結論
組成物は、凍結乾燥前の増量剤を溶解する時間、および凍結乾燥された組成物の再構成時間に影響を与えるので、好ましくは、5%w/v以下の各増量剤を含有するべきである。
【0183】
ヒスチジンは、試験した条件下では増量剤としてあまり適していないことがわかった。ヒスチジンの5%はかなり成功したが、3%は、単一の増量剤として、または別の増量剤と組み合わせて、首尾よく再構成できなかった。ヒスチジンを含有する最も成功した組成物は、1%のヒスチジンと1%のBSAを組み合わせたもので、再構成時間は約30秒に達した。
【0184】
最も速い再構成は、主に、マンニトール、特に3%のマンニトールを含有した組成物によって達成された。遅い再構成を示した唯一のマンニトール含有組成物は、ヒスチジンも含有したF10であった。
【0185】
すべての組成物の残留水分含有量は、凍結乾燥プロセスの成功についての良好な指標を提供した。それにもかかわらず、5%未満の残留水を示した組成物のみが成功として判定された。
【0186】
BSA含有組成物F11、F12およびF16は、凍結乾燥後に最も高い水分含有量を示した。これらの組成物は、BSAのみ、またはヒスチジンもしくはEDTAおよびNaClとの組み合わせのいずれかを含有した。残留水分含有量に関してBSAを含有する最も成功した組成物はF9であり、これはまた、マンニトールも含有した。したがって、試験した条件下では、BSAは、マンニトールと組み合わせると、増量剤として有用であり得る。
【0187】
まとめると、マンニトールベースの組成物は、凍結乾燥後の残留水分含有量および再構成時間の両方について最良の値をもたらした。唯一の例外は、マンニトールがヒスチジンと混合されたマンニトールベースの組成物であり、これは、おそらく、完全な凍結乾燥を達成せず、また、長い再構成時間を示した。試験した他の2つの材料、BSAおよびヒスチジンは、試験した条件下での凍結乾燥後の水分含有量および/または再構成時間に関して劣った結果を示し、タンパク質の安定性に不可欠な場合は再較正すべきである。
【0188】
実施例3.
タンパク質画分の製剤-さらなる賦形剤
タンパク質画分のいくつかの水性製剤を図5に提供する。製剤は、以下のように調製することができる。
中空糸濾過システムをDWで洗浄し、続いてFBSを含まないDMEM F12で洗浄する。上記のように得られた馴化培地を最初に濾過し、10倍で濃縮し、次に3%(w/v)マンニトールで2回洗浄して、3%(w/v)マンニトール中で製剤化した精製タンパク質画分を得る。タンパク質濃度を、濾過ステップの各々で濾液および保持液で分析する。
【0189】
ストック溶液を、表2に従って調製する。精製水中のマンニトール3%(w/v)を調製し、その後、他のすべての製剤材料をマンニトール3%溶液中に溶解する。
【表2】
【0190】
組成物F19~F28を、図5に指定されているように調製する。表中の数字は、それぞれのストック溶液から取得された体積を示す。
【0191】
次に、3%(w/v)マンニトール中で製剤化された精製タンパク質画分を組成物F19~F28の各々に添加して、各組成物中の2×10-3%(w/v)のタンパク質濃度を得る。
【0192】
実施例4.
ADSC馴化培地(CM)および製剤化MGF(F-MGF)の活性アッセイ
以下の実験では、初代表皮角化細胞;正常、ヒト、成人(NHPEK)(ATCC(登録商標)PCS-200-011(商標))細胞の増殖に対する、収集後のADSC馴化培地(CM)および製剤化MGF(「F-MGF」と省略される)の効果を試験した。実施例3に記載の製剤F19をアッセイに使用した。
【0193】
まず、NHPEK細胞継代数2または3を、真皮細胞完全培地(DMEM-F12+真皮細胞基礎培地、1:1(Biological Industries、Israel))で希釈して、50kおよび100k細胞/mlのストック溶液を得た。各ストック溶液を、96ウェルプレート中でウェル当たり100μlに3連に分けた。プレート内の残りのウェルにPBSを充填して、湿潤環境を維持し、試料の蒸発を避けた。プレートを、37℃、5%COで一晩インキュベートした。
【0194】
翌日、培地を吸引し、ウェルを200μlのPBSで洗浄した。PBS吸引後、50μl/ウェルのTrypLE(商標)を添加し、プレートを、37℃、5%COで10分間インキュベートした。次に、プレートの側面を数回ノックし、ウェルを顕微鏡下で検査して、細胞が完全に分離していることを確実にした。次に、ウェルに150μlの完全真皮培地を加え、自動セルカウンターを使用して細胞を計数した。
【0195】
KGF10ng/mlを、ストック溶液(2μg/ml、PBS中0.1%BSA、-80℃で保持)から調製した。KGFを、真皮細胞基礎培地およびDMEM-F12培地(それぞれ50%および50%)で希釈した。
【0196】
CM(DMEM-F12に基づく)を、真皮細胞基礎およびDMEM-F12培地(それぞれ50%および50%)で希釈して、10%のCMを得た。
【0197】
NHPEKを含有するウェルを、表3に指定されているように処理し、プレートを、37℃、5%COで一晩インキュベートした。
【表3】
【0198】
一晩のインキュベーション後、ウェルを吸引し、200μlのPBSで洗浄した。PBS吸引後、50μl/ウェルのTrypLE(商標)を添加し、プレートを、37℃、5%COで10分間インキュベートした。プレートの側面を数回ノックし、ウェルを顕微鏡下で検査して、細胞が完全に分離していることを確実にした。次に、ウェルに150μlの完全真皮培地を加え、自動カウンターを使用して細胞を計数した。各処理群および未処理の細胞についての相対的な細胞増殖(%)、集団デルタ、および倍加時間を、処理前後の細胞数に基づいて計算した。
【0199】
結果を、図6A~Hに要約する。馴化培地(「10%CM」)は、未処理の群と比較してNHPEK増殖を有意に誘導し、KGF処理対照群と同様の値を示した(図6A~B)。馴化培地の効果は、NHPEK細胞の両方の濃度(100Kまたは50K/ml)で同様あった。
【0200】
集団デルタ値を比較すると、未処理の群ではNHPEKの分裂が不十分であることが示されたが、KGFおよびCM処理では、総集団が増加した(図6C~D)。KGFは100K/mlでCMと同様に増殖を誘導したが、CMは、低NHPEK濃度(50K/ml)でKGFと比較してより高い集団デルタを示した。
【0201】
CMは、NHPEKの増殖を誘導しただけでなく、倍加時間を大幅に短縮した(図6E~F)。アッセイの1つにおいて100K/mlの未処理の群は増殖せず、死にさえし始めたため、倍加時間の値は示していない。
【0202】
最後に、細胞の健康評価指標である、細胞のMoxi Population Index(MPI)は、KGFおよびCM処理下でかなり良好な生存率を示したが、この結果は、統計的に有意ではなかった(図6G~H)。
【0203】
さらなる実験では、NHPEK細胞増殖に対するCMの効果を、製剤化MGF(F-MGF)の効果と比較した。アッセイに使用したF-MGFは、実施例3に記載されたF19であった。アッセイは上記のように実行し、F19についてのデータを、0日目(「F19 0日目」)、ならびにその後、室温で7日および30日後(それぞれ、「F19 7日目」および「F19 30日目」)に測定した。KGF 10ng/mlによる処理は、陽性対照として機能した。MGF(「製剤」)を含まないF19の成分による処理は、陰性対照として機能した。結果を、図7A~Dに要約する。
【0204】
この結果は以下を示す。
1.NHPEK増殖アッセイによって検出されるように、F-MGFの効力は少なくとも30日間安定である。
2.F-MGFは、NHPEK細胞の細胞生存率を増加させ、倍加時間を減少させる。
3.F-MGFにおけるタンパク質の組み合わせは、独立型のKGF増殖因子よりも効率的(より速い増殖速度)である。
【0205】
実施例5.
濾過による増殖培地のクリアランス
次の実験は、MGFタンパク質画分の生成中の馴化培地の処理をシミュレートするプロセスにおける細胞培養培地成分のクリアランスを示した。特に、実験は、プロセスが、未処理の細胞培養培地(市販の細胞培養培地DMEM-F12)から、濾過および希釈(洗浄)のいくつかのステップを経て進行するときに、選択された金属のクリアランスを示した。
【0206】
方法
中空糸濾過システム(MicroKros(登録商標))を設置し、蠕動ポンプを介して接続した。流量を4.00に設定した。濾過速度は、約0.5ml/分に較正した。このシステムを、4℃の冷蔵庫に入れ、DDWで洗浄した。次に、400mlの市販の増殖培地DMEM F12を濾過して、40mlの保持液を得た。元の増殖培地の5mlの複製を、陽性対照として分析のために保持した。5mlのマンニトール3%の複製は、陰性対照として機能した。
【0207】
濾過後、5mlの保持液の複製を収集し、分析のために送った。270mlのマンニトール3%を残りの30mlの保持液に加えて、300mlの希釈された保持液を得、これを本明細書では「DMEM F12洗浄1」と称する。
【0208】
DMEM F12洗浄1を、中空糸濾過システムを使用して濾過して、30mlの保持液を得た。分析のために、5mlのDMEM F12洗浄1保持液の複製を保持した。180mlのマンニトール3%を残りの20mlの保持液に加えて、200mlの希釈された保持液を得、これを本明細書では「DMEM F12洗浄2」と称する。
【0209】
DMEM F12洗浄2を中空糸濾過システムを使用して濾過して、20mlの保持液を得た。分析のために、5mlのDMEM F12洗浄2保持液の複製を保持した。
【0210】
残りのDMEM F12をマンニトール3%で1:50に希釈して(10mlの保持液を490mlの3%マンニトール溶液と混合して500mlの希釈溶液を作製した)、タンパク質画分の基本的な製剤を模倣し、5mlの複製を分析のために送った(本明細書では「製剤」と称する)。
【0211】
すべての試料を、カルシウム、カリウムおよびマグネシウムの存在を追跡するためのICP質量分析のために送った。
【0212】
結果
結果を表4および図8に要約する。
【表4】
【0213】
選択した3つの金属はすべて製剤試料中で検出されず、これは、製品製造の間の最後の処理段階を表す。
【0214】
カリウムは、他の金属成分と比較して、市販のDMEM F12において最も高い初期値を有する。表および図から明らかなように、Kでさえ、細胞培養培地の処理の間に検出可能なレベルを下回って除去される。
【0215】
実施例6.
化粧品のためのMSCの免疫表現型
PBS、EDTAおよびFBSを含有するMACS緩衝液は調製されるか、または商業的に得られる。
【0216】
細胞染色を、以下のように行う。
5×10細胞を含有する試料を、300×g、4±2℃で5分間遠心分離する。上清を捨て、ペレットを0.5mlの冷MACS緩衝液で再懸濁する。100ul(1x10細胞)のアリコートを、4本の標識されたEppendorfチューブに分注する。表5に従って、抗体を各チューブに加える。
【表5】
【0217】
各チューブを短時間ボルテックスし、光から保護するためにチューブをアルミホイルで包む。チューブを、2~8℃で30分または15分間RTでインキュベートする。
【0218】
インキュベーション後、1mlの冷MACS緩衝液を各チューブに加え、チューブを300×g、4±2℃で5分間遠心分離する。上清を捨て、ペレットを400μlの冷MACS緩衝液中で再懸濁する。
【0219】
細胞懸濁液を、各Eppendorfチューブから対応する12×75mm試験管に移し、フローサイトメトリーによってその試験管を分析する。
【0220】
表6は、本発明に従って使用するためのMSC細胞についての値を要約している。
【表6】
【0221】
実施例7.
本発明による再構成溶液の製剤
望ましい粘度、質感、pH、および40℃までの温度での安定性を備えた組成物を得るために、再構成組成物の異なる製剤を試験した。
【0222】
表7は、本発明のいくつかの実施形態による再構成組成物の製剤を示す。
【表7】
【0223】
表8は、本発明のさらなる実施形態による再構成組成物の製剤を示す。
【表8】
【0224】
表9は、室温でBrookfield粘度計を使用して測定した、本発明の実施形態による再構成組成物の粘度パラメーターを示す。
【表9】
【0225】
再構成組成物のpHを測定し、0.5N NaOHまたは1N HClで7.2~7.6に調整し、使用/パッケージングするまで室温で保存する。
【0226】
使用/パッケージングのために、再構成組成物を、それぞれが3mlの組成物(正味重量2.5~3.5g)を含有するバイアルに分注する。
【0227】
実施例8
2成分化粧品
表10~11は、本発明のいくつかの実施形態による最終製品組成物についての製品仕様を示す。
NLT=以上
【表10】
【表11】
【0228】
バイアルA中に製剤化されたタンパク質画分のpHを測定するために、1つのバイアルの含有物を500μlの水中に溶解し、pHを測定する。再構成溶液のpHは、バイアルBの含有物をそのまま使用することによって測定する。
【0229】
バイアルA中に製剤化されたタンパク質画分のタンパク質含有量を測定するために、1つのバイアルの含有物を100μlのDMEM中に溶解する。タンパク質含有量を、Quick Start(商標)Bradford1倍色素試薬を使用して以下のように測定する。
色素試薬を冷蔵(2~8℃)から取り出し、室温に到達させる。色素試薬を、使用前に数回反転させる。試料を表12に従って、96ウェルプレート中に3連で調製し、200μlの色素試薬を各ウェルに分注する。次に、プレートを、室温で5~15分間インキュベートする。
【表12】
【0230】
インキュベーション後、ELISAプレートリーダーを595nmに設定し、各試料の吸光度を測定し、記録する。
【0231】
標準曲線を、595nmの値(y軸)とBSA標準の濃度をμg/ml(x軸)でプロットし、線形回帰方程式を生成することによって作成する。標準曲線で受け入れられる基準は、R≧0.95である。
【0232】
未知の試料濃度は、以下のように標準曲線を使用して決定する。
【数7】
【0233】
実施例9
2成分化粧品についての安定性アッセイ
この実施例では、「加速安定性アッセイ」は、標準的な貯蔵条件下での化粧品の安定性を評価するために、極限の条件下での化粧品の安定性を試験するアッセイを示す。本発明の化粧品などの、室温での貯蔵を目的とした化粧品の場合、加速安定性アッセイは、40±2℃/75±5%RHで実施する。安定性は、0、3、および6ヶ月で試験する。
【0234】
「長期安定性アッセイ」は、製品についての推奨された貯蔵条件を模倣する条件下で実施される安定性アッセイを示す。室温での貯蔵を目的とした化粧品に関して、長期安定性アッセイは、25±2℃/60±5%RHで実施される安定性は、0、3、6、9、12、18、および24ヶ月で試験する。
【0235】
以下のパラメーターを評価および測定する:外観、pH、総含有量(総重量)およびタンパク質含有量。
【0236】
製品の安定性を評価する生理化学的試験に加えて、微生物学的(滅菌)試験も実施する:Enterobacteriaceae、Staphylococcus aureus、Pseudomonas aeruginosa、総微生物計数、酵母/カビ。
【0237】
図9A~Bは、本発明の実施形態による凍結乾燥タンパク質組成物の長期安定性アッセイ(図9A)および加速安定性アッセイ(図9B)の結果を示す。図9C~Dは、本発明の実施形態による再構成組成物の長期安定性アッセイ(図9C)および加速安定性アッセイ(図9D)の結果を示す。
【0238】
結果から理解され得るように、両方の組成物は、25℃/60%RHで少なくとも6ヶ月間貯蔵された場合、安定である。注目すべきことに、両方の組成物は、加速安定性アッセイの極限の貯蔵条件下(40℃/75%RH)でも少なくとも6か月間安定であり、これは、室温で標準的な貯蔵条件下での1.5年の貯蔵寿命に相当する。
【0239】
実施例10
安全性評価-インビトロ
A.MatTek Corporation EpiDerm(商標)皮膚モデル
目的:MatTek Corporation EpiDerm(商標)インビトロ毒性試験システムを利用して、刺激の可能性について試験材料を評価すること。
【0240】
このモデルシステムは、正常なヒト由来の表皮角化細胞(NHEK)からなり、これは、培養されて、ヒト表皮の多層で高度に分化したモデルを形成している。角化細胞は、特別に調製された透過性の細胞培養挿入物で培養される。この手順は、水溶性の黄色のテトラゾリウム塩(MTT{3-[4,5-ジメチルチアゾール-2-イル]-2,5-ジフェニル-テトラゾリウムブロミド})を利用し、これは生細胞のミトコンドリアにおけるコハク酸デヒドロゲナーゼによって、紫色の不溶性ホルマザン誘導体に還元される。このミトコンドリア酵素を損傷させる物質は、テトラゾリウム塩の還元を阻害する。したがって、培養によって減少するMTTの量は、生細胞の数に比例する。
【0241】
方法:
適切な組織調製後、(i)本発明による再構成組成物、(ii)Triton X-100(1%)(陽性対照)、および(iii)蒸留水(陰性対照)のそれぞれ100マイクロリットルを、EpiDerm(商標)試料を含有するMillicellsに加えた。次に、プレートを、37℃、5%二酸化炭素および90%超の湿度でインキュベートした。
【0242】
適切な曝露期間の後(以下の表13を参照)、各挿入物をそのプレートから個別に除去し、PBSで2回リンスして、残留物をすべて除去した。余分な液体を振り落とし、各EpiDerm(商標)試料を、300マイクロリットルのMTT溶液に入れた。次に、EpiDerm(商標)試料を、インキュベーターに戻した。
【0243】
3時間のMTT曝露後、各挿入物を除去し、PBSで穏やかにリンスして、残留MTT溶液をすべて除去した。余分なPBSを挿入物のそれぞれから振り落とし、次に、ペーパータオルを使用して底でふき取った。次に、挿入物を、それぞれ24ウェル抽出プレートの1つのウェルに配置した。次に、各挿入物を、2ミリリットルの抽出溶液に一晩浸した。曝露後、各挿入物内の液体をデカントしてウェルに戻し、そこから採取した。次に、残りの抽出剤溶液を攪拌し、評価のために各抽出物の200マイクロリットルのアリコートを取り出した。BioTek 800TSマイクロプレートリーダーを使用して、570nmでの各抽出物の吸光度を測定した。陰性対照の吸光度を100%と定義し、試験材料および陽性対照の吸光度パーセントを決定した。以下に列挙されているパーセンテージは、EpiDerm(商標)試料における細胞代謝と直接相関する。
【0244】
結果:
結果を表13に要約する。
【表13】
【0245】
各物品について、片対数スケールを使用して、線形y軸にパーセント生存能力と、対数x軸に投与時間をプロットした。内挿により、可能な場合は、パーセント生存能力が50%になる時間(ET-50)を推定した。
【0246】
本発明による再構成組成物は、24時間を超えるET-50を誘発した。Triton X-100参照/陽性対照の物品は、約7.6時間のET-50を誘発した。MatTek Corporationによれば、一般的なガイドラインとして、MatTekのEpiDermを使用して得られたET-50の結果に基づいて、予想されるインビボ刺激反応を割り当てる際に以下のグループを使用することができる。
【表14】
【0247】
この試験の条件下で、本発明による再構成組成物は、非刺激範囲において予想されるインビボ皮膚刺激性の可能性を有する。
【0248】
B.鶏卵試験-絨毛尿膜(HET-CAM)
目的:HET-CAM試験を利用して、刺激性の可能性について試験材料を評価すること。
【0249】
ニワトリ胚の絨毛尿膜(CAM)は、すべての生殖細胞層からのオルガノイド要素を含む完全な組織である。絨毛膜上皮は外胚葉であり、尿膜上皮は内胚葉である。これらの上皮の間に位置する中胚葉は、動脈、毛細血管、静脈、およびリンパ管を含む完全な結合組織である。CAMは、ウサギ眼試験において誘導されたものに匹敵する、完全な炎症反応による損傷に応答する。
【0250】
方法:
白色レグホーンの卵を入手し、Kuhlの加湿インキュベーターに入れた。インキュベーターは、卵が1時間に1回自動的に回転するようになっている。温度は、37℃(+2℃)に制御した。8日目に、鋭角の端が下を向くように卵を回転させた。
【0251】
10日目に、各卵をインキュベーターから取り出し、プレキシグラスの作業用エンクロージャーに入れた。このエンクロージャーは、その環境がインキュベーターの環境に近づくように予熱および加湿されていた。気嚢が位置する、各卵の大きい方の端で切断を行った。各切断を行うために、Dremel(登録商標)カットオフホイール(No.409)を備えたDremel(登録商標)Moto-Flex Tool(モデル232-5)を使用した。次に、鉗子を使用して、殻を、殻-膜接合部まで下げて除去した。次に、内側の卵膜を、温かい生理食塩水で水和させた。生理食塩水は、2~5分の曝露後に除去した。次に、先の尖った鉗子を利用して、内側の卵膜を注意深く取り除き、CAMを露出させた。
【0252】
次に、本発明による再構成化粧品組成物、または参照物品を、1ミリリットルの液体の10分の3(0.3ml)の投与量で、4つのCAMのそれぞれに投与した。使用した参照物品は、Nivea Visage Liposome Eye Contour GelおよびPond’s Revitalizing Eye Gel with Vitamin Eである。20秒後、再構成化粧品組成物または参照物品を、各CAMから5ミリリットルの生理食塩水でリンスした。すべてのCAMを、試験材料の投与直前、ならびに試験材料への曝露後、30秒、2分および5分に観察した。CAM、毛細血管を含む血管、およびアルブミンの反応を調べ、以下に詳述するように刺激作用についてスコア付けした。
【表15】
【0253】
数値の時間依存スコアは、CAMごとに合計した。各反応タイプは、CAMごとに1回しか記録できないため、CAMごとの最大スコアは32である。同様に試験したすべてのCAMについての平均スコアを決定した。
【0254】
結果:
結果を表14A~Cに要約する。
【表16】
【表17】
【表18】
【0255】
次に、各物品を以下に示すように分類した。
【表19】
【0256】
以前の研究では、鶏卵のCAMは、ウサギ眼よりも液体刺激物に敏感であることが示された。したがって、試験材料および参照物品の50%希釈を使用して、それらの刺激の可能性を100%に近づけた。
【0257】
参照製品は、100%で投与し、ドレイズ視覚刺激法(ドレイズスケール:0~110)を使用して試験した場合、24時間で、実質的に刺激性がなく、スコアが0に近づくことを誘導するものとして以前に分類されている。
【0258】
この試験の条件下で、結果は、本発明の再構成化粧品組成物が、100%で、インビボで実質的に視覚刺激の可能性を有しないことを示す。
【0259】
実施例11
安全性評価-臨床-反復発作パッチ試験
目的:反復的な表皮接触により、一次もしくは累積刺激および/またはアレルギー性接触感作を誘発する試験材料の可能性を決定すること。
【0260】
参加者:資格のある対象(n=108)、男性および女性、年齢は19歳から79歳までの範囲。参加者には、試験材料からの皮膚反応と混同する可能性のある目に見える皮膚疾患はなかった。参加者は、研究開始前の少なくとも7日間、局所もしくは全身ステロイドおよび/または抗ヒスタミン剤を使用することを禁じられた。
【0261】
方法論:
各試験日に、試験材料を以下のように調製した。
凍結乾燥タンパク質組成物を含有するバイアルおよび再構成組成物を含有するバイアルを開いた。ピペットを使用して、そのバイアルから再構成組成物を吸引し、それをタンパク質含有バイアルに移した。すべてのタンパク質粉末が溶解し、再構成タンパク質組成物が得られるまで、再構成組成物を吸引および放出することにより、組成物を混合した。再構成組成物は、ピペット(約0.2ml)を使用して吸引し、透明な粘着性包帯の1”×1”の吸収パッド部分に適用した。次に、粘着性包帯を肩甲骨の間の背中上部に適用して、半閉塞性パッチを形成した。皮膚への塗布は、混合から12時間以内に行った。
【0262】
導入段階:
パッチは、週に3回塗布して、合計9回塗布した。部位は、パッチ塗布の継続性を確保するためにマークした。最初の誘導パッチの管理された除去およびスコア付けに続いて、参加者は、塗布の24時間後に、自宅で後続のすべての誘導パッチを除去するように指示された。治療領域の評価は、再塗布の直前に行った。
【0263】
最初の管理された誘導パッチの読み取りを除いて、治療領域が、誘導段階中に中程度(レベル2)の反応を示した場合、塗布は隣接する領域に移動させた。新しい治療領域に中程度(レベル2)の反応が観察された場合、試験段階の残りについて塗布は中止される。マークされた(レベル3)または重度の(レベル4)反応性が認められた場合も、塗布は中止される。休止期間は、各パッチを取り外してから1日または2日から構成した。
【0264】
チャレンジ段階:
最後の誘導パッチ塗布から約2週間後、誘導について記載したものと同じ手順に従って、チャレンジパッチを、元の誘導パッチ部位に隣接する未使用の治療部位に塗布した。パッチを取り除き、塗布後1日目および3日目に診療所で治療領域をスコア付けした。
【0265】
評価基準(紅斑およびさらなる皮膚後遺症):
【表20】
【0266】
紅斑は、このキーに従って数値的にスコア付けした。存在する場合、さらなる皮膚後遺症は、適切な文字コードおよび重症度についての数値によって示した。
【0267】
結果:
観察結果は、試験間隔全体を通して陰性のままであった。試験材料は、皮膚刺激性またはアレルギー性接触感作の可能性を示さなかった。
【0268】
実施例12
有効性評価
試験目的
週1回の使用レジメンに続いて、12週間の使用期間にわたって、しわおよび不均質な皮膚の色合いの外観を減らし、皮膚の堅さおよび水和を増加させる化粧品の有効性を評価すること。
【0269】
アンチエイジング製品に対する消費者の認識を判断するために、週に1回の使用の12週間後、アンケートを利用する(以下を参照)。
【0270】
対象の選択および離脱
対象の数
35人の女性の対象が研究を完了した。組み入れ基準のすべてを満たし、除外基準のいずれも満たさない対象を適格とする。
【0271】
組み入れ基準
1.対象は、すべて45歳~65歳までの女性でなければならず、
2.対象は、フィッツパトリックの皮膚のフォトタイプI、II、III、またはIVを有しなければならず、
【表21】
3.対象は、顔にしわおよび不均質な皮膚の色合いを有しなければならず、
4.対象は、0日目の7日前および試験段階の間、付属のコンディショニング段階のクレンザーを使用することに同意しなければならず、
5.対象は、保湿剤または化粧をせずに、事前に顔を洗って(自宅で)、各試験施設を訪問しなければならず、
6.対象は、試験期間中、自然(太陽)または人工(日焼けベッド)にかかわらず、顔または体への毎日の直接紫外線曝露を避けることに同意しなければならず、
7.対象は、試験段階中、各試験施設訪問時に顔の測定を行うことに同意しなければならず、
8.対象は、HIPAAステートメントを含むインフォームドコンセントフォームを読み、署名し、日付を記入しなければならず、
9.対象は、写真リリースフォームを読み、署名し、日付を記入しなければならず、
10.対象は、信頼でき、指示に従うことができると見なされなければならない。
【0272】
除外基準
1.PIによって決定して、健康状態が悪い対象、
2.任意の全身もしくは局所コルチコステロイド、免疫抑制剤、抗炎症剤、抗ヒスタミン剤、抗生物質、または治験責任医師の意見で、試験の目的、完全性、もしくは結果に影響を与える可能性のある他の医薬などの、避妊以外の医薬を服用している対象、
3.試験材料に対する反応と混同する可能性のある任意の目に見える疾患を有する対象、
4.喫煙者である対象、
5.写真もしくは測定を妨げる可能性のある顔の入れ墨、傷痕、もしくはピアスがある対象、
6.3ヶ月以内に顔に処方薬もしくはOTCレチノイドもしくはアンチエイジング処置を使用した対象、
7.試験開始から1週間以内にフェイシャルトリートメント(例えば、フェイシャルピール、ディープクリーニング、マイクロダーマブレーションなど)を受けた対象、
8.試験期間中に妊娠しているか、妊娠を計画しているか、もしくは授乳中の対象、
9.化粧品、OTC医薬品、もしくはその他のパーソナルケア製品に対する副作用もしくはアレルギーの病歴がある対象、または
10.試験期間中に任意の新しい化粧品、トイレタリー、もしくはパーソナルケア製品の使用を導入する対象。
【0273】
対象の離脱
対象は、世界医師会のヘルシンキ宣言(改定された)およびベルモントレポートの原則に従って、いつでも理由を問わず、試験に参加することへの同意を自由に撤回することができる。PIはまた、安全性、有効性の欠如、または管理上の理由により、対象を試験から離脱させる権利を有する。
【0274】
対象が試験から離脱する可能性のある理由には、以下が含まれる。
1.重度もしくは許容できないAEを経験するか、
2.試験期間中、妊娠を含む、除外基準に列挙されている症状または状態を発生するか、
3.除外基準に記載されているように、禁忌の医薬を服用するか、
4.指定された治療レジメンに従わないか、もしくは訪問スケジュールに従わないなどのプロトコル違反を招くか、または
5.次の理由により、早期の中止を要求する:
-PIが試験からの除外が必要であるとみなさなかった臨床反応、
-その他の(非特定の)対象が開始した理由。
【0275】
離脱した対象の処分
対象が試験から離脱した日付および中止の理由を、ケースレポートフォーム(CRF)に記録する。対象が試験から離脱した後、できるだけ早く最終試験訪問に予定されているすべての評価を実施するように試みられる。対象が予定された試験訪問のために戻ってこなかった場合、PIは対象に連絡し、対象が戻ってこなかった理由を判断するために妥当な努力をする。この情報はCRFに記録される。対象が試験から離脱した場合(理由に関係なく)、PIは、対象に悪影響がないことを保証するために必要であり得るすべての評価を完了し、いずれかの継続的な問題について適切なフォローアップを求めるように対象に促す。
【0276】
方法論
可能性のある対象のそれぞれは、試験に参加する前にインフォームドコンセントを提供する。
【0277】
設計
これは、13週間の期間の単一施設、モナディック、ランダム化、ベースライン対照臨床試験設計である。
【0278】
試験の時点の詳細を以下に示す。
【表22】
【0279】
機器
環境制御された部屋。環境制御された部屋は、DX-100コントローラーを備えたJohnson Control Metasys(登録商標)システムを使用して、70±5°Fの温度および40±5%の相対湿度に維持される。温度および湿度の測定値は、毎分電子的に記録される。
【0280】
各対象は、すべての測定および写真撮影の前に、環境制御された部屋で少なくとも30分間、平衡化される。すべての測定は、これらの条件下で行われる。
【0281】
VISIA-CR(登録商標)デジタルイメージング(Canfield Scientific,Inc.、Parsippany,NJ)。VISIA-CR(登録商標)は、制御された照明環境内で、一連の標準化された再現可能なデジタル顔画像を撮影する。対象のポジショニングは重要であり、各時点で繰り返さなければならない。スツールの高さならびに対象の顎および額をイメージングデバイスに慎重に配置するなどの項目を維持する。また、対象の髪の毛は顔から外れ、宝石は取り除かれ、衣服を標準化するために黒いドレープが使用されている。
【0282】
対象の正面、左、および右の表示は、以下の照明パラメーターを使用して目をそっと閉じた状態でキャプチャされる。
●標準1-汎用白色光
●標準2-フラット照明
●交差偏光-表面下の詳細の優れた可視化のために表面反射をフィルターで除去する
●カスタム-しわの可視化
【0283】
VISIA-CR(登録商標)を使用して、訓練を受けた生体計測技術者が、ベースライン(塗布前)、6週目、および12週目の訪問時に顔の標準化されたデジタル画像をキャプチャする。これらの画像を使用して、各評価間隔で皮膚の色合いの均一性を評価する。
【0284】
PRIMOS 3D(GFMesstechnik GmbH、Tetlow、Germany)。右眼または左眼の外眼角(ランダム化)の画像を、Primos Optical 3D測定デバイスを用いて撮影する。この機器は、マイクロミラーシステムを使用して平行なストライプパターンを皮膚表面上に投影し、高解像度カメラのCCDチップに投影して3D画像を生成する。対象は、外眼角がカメラに垂直になるように配置され、画像の一方の端が眼窩周囲窩と整列する。それらの正確な頭の位置は拘束装置で固定され、その後の画像キャプチャで使用するためにその位置を記録する。内部ソフトウェアには、キャプチャされた画像が、カメラの被写界深度3mm以内にあることを確保するための焦点調節システムが含まれる。PRIMOS 3Dを使用して、訓練を受けた生体計測技術者が、ベースライン(塗布前)、6週目、および12週目の訪問時に顔のデジタル画像をキャプチャする。
【0285】
Cutometer(登録商標)MPA580プローブ開口部:2mm(Courage+Khazaka、Koln、Germany)。1つのCutometer測定は、右上または左上の頬のいずれかで行う(ランダム化)。測定原理は、吸引および伸長に基づく。450mbarの負圧を使用する。プローブを、一定の適用圧力を使用して、試験部位に配置する。測定される皮膚領域は、一定の負圧でプローブの開口部に引き込まれる。この吸引時間は測定サイクルの最初の部分であり、「オンタイム」と呼ばれ、持続時間は3秒である。その後、負圧がオフになり(0mbar)、皮膚は元の形状に戻る。これは、緩和時間または「オフタイム」として知られており、持続時間はまた、3秒である。3秒ごとの「オンタイム」および「オフタイム」サイクルが3回繰り返される。プローブは、測定サイクルが終了するまで皮膚に残る。吸引位相曲線の第1の部分は、弾性成分と見なされる。曲線の第2の部分は、皮膚(可塑性成分)の粘弾性を特徴付ける。測定値は、ストレッチおよびリバウンドとして記録する。Cutometer(登録商標)を使用して、訓練を受けた生体計測技術者が、ベースライン(塗布前)、6週目、および12週目の訪問時に測定値をキャプチャする。
【0286】
MoistureMeterSC(登録商標)(Delfin Technologies Ltd.、Kuopio,Finland)。MoistureMeterSC(登録商標)は、表皮層と、角質層の乾燥層の厚さの変化との間に発生する誘電率を任意の単位で測定する。誘電率を増加させると、インピーダンスが低下し、コンダクタンスおよび静電容量が増加する。値が高いほど、角質層(皮膚の最上層)が、より水和する。5つのMoistureMeterSC(登録商標)測定値をキャプチャし、各評価間隔で試験部位にて平均化する。すべてのMoistureMeterSC(登録商標)測定値を、対象が環境制御された部屋に座った位置にいる状態で、試験部位にてキャプチャする。MoistureMeterSC(登録商標)の測定値を、ベースライン(0週目)、6週目、および12週目にキャプチャする。
【0287】
コンディショニング段階((-7)日)
可能性のある対象は、保湿剤または化粧をせずに、事前に顔を洗って(自宅で)、試験施設に報告し、ICFおよび写真リリースフォームに記入する。ICFを完了したヒトが対象になる。対象は付けまつげを付けていない。対象は病歴フォームに記入して、最初の資格を決定する。
【0288】
試験の試験段階の前の7日間、対象は顔へのあらゆる種類の保湿製品の使用を中止する。対象は、試験施設が提供する非保湿クレンザー、SoftSoap(登録商標)で1日2回顔を洗う。対象は、試験のコンディショニング段階および試験段階の両方で、提供されたクレンザーのみ使用する必要がある。
【0289】
顔の各クレンジングを記録するために、毎日の日記が各対象に提供される。
【0290】
試験段階(第0週)
対象は、保湿剤または化粧をせずに、事前に顔を洗って(自宅で)、予定された予約時間に試験施設に報告する。
【0291】
対象の日記は返却され、コンプライアンスが確認され、試験施設が保持した。
【0292】
専門の評価者が、以下の評価キーを使用して、紅斑、浮腫、および乾燥、ならびにその他の異常の証拠について各対象の顔を評価する。
評価キー:
0=なし
0.5=ほとんど知覚できない
1=軽度
2=中等度
3=顕著
4=重度
【0293】
紅斑および浮腫について中等度(2)以上のスコアを示す対象は不適格となる。乾燥度について少なくとも軽度(1)のスコアを示す対象は、試験について適格となる。すべての評価スコアはCRFに記録される。
【0294】
また、専門の評価者が、前述の評価キーを使用して、各対象の顔のしわおよび不均質な皮膚の色合いの評価を実施する。それぞれについて少なくとも軽度(1)のスコアを示す対象は、試験について適格となる。
【0295】
適格な対象は、上記のように、環境制御された部屋で少なくとも30分間平衡化する。平衡化後、上記のように、生体計測技術者によって以下の手順を完了する。
●各対象の顔のVISIA-CR(登録商標)画像。
●ランダム化後の各対象の外眼角のPRIMOS 3D画像。
●ランダム化後の各対象の頬上部のCutometer(登録商標)測定。
●MoistureMeterSC(登録商標)測定。
【0296】
対象には、12週間の試験材料、および使用を記録するための日記が提供される。各対象は、以下のように、試験材料の使用方法を指示される。
1.プラスチックディスクを上に引っ張ることによってバイアルを含有するローションを開き、アルミニウム製のシーリングキャップを捨てる。
2.バイアルを含有するローションからゴム栓を取り外して捨てる。
3.プラスチックディスクを上に引っ張ることによってバイアルを含有するタンパク質を開き、アルミニウム製のシーリングキャップを捨てる。
4.タンパク質を含有するバイアルからゴム栓を取り外して捨てる。
5.付属の使い捨てピペットを見つけ、その開いた端を、ローションを含有するバイアルに挿入する。
6.ピペットの先端をしっかりと押して放し、ローションをピペットに引き込む。
7.ピペットを、タンパク質を含有するバイアルに移し、ピペットの先端を押してローションを放出する。
8.すべてのタンパク質粉末が溶解するまで、ローションを引き込んで放出することにより、数回十分に混合する。
9.ピペットでローションを含有するタンパク質を引き込み、皮膚に局所的に塗布する。
10.タンパク質ローションを混ぜたら、12時間以内に使用する。
11.レジメン:週に1回
【0297】
各対象について、最初の試験材料の使用は、臨床監督下の試験施設で実施される。
【0298】
対象は通常の顔の化粧製品を使い続けることができる。対象は、試験期間中に任意の新しい化粧品、トイレタリー、もしくはパーソナルケア製品の使用を導入することはできない。
【0299】
試験段階(第6週)
対象は、保湿剤または化粧をせずに、事前に顔を洗って(自宅で)、予定された予約時間に試験施設に報告する。対象は日記を持って試験施設に報告する。日記はコンプライアンスについて確認され、各対象に返却する。
【0300】
対象は、上記のように、環境制御された部屋で少なくとも30分間平衡化する。平衡化後、上記のように、生体計測技術者によって以下の手順を完了する。
●各対象の顔のVISIA-CR(登録商標)画像。
●ランダム化後の各対象の外眼角のPRIMOS 3D画像。
●ランダム化後の各対象の頬上部のCutometer(登録商標)測定。
●MoistureMeterSC(登録商標)測定。
【0301】
試験段階(第12週)
対象は、12週間の使用期間後、保湿剤または化粧をせずに、事前に顔を洗って(自宅で)、予定された予約時間に試験施設に報告する。いずれかの未使用の試験材料および完成した日記は返却される。
【0302】
対象は、上記のように、環境制御された部屋で少なくとも30分間平衡化する。平衡化後、上記のように、生体計測技術者によって以下の手順を完了する。
●各対象の顔のVISIA-CR(登録商標)画像。
●ランダム化後の各対象の外眼角のPRIMOS 3D画像。
●ランダム化後の各対象の頬上部のCutometer(登録商標)測定。
●MoistureMeterSC(登録商標)測定。
【0303】
アンケートは各対象によって記入される。対象の解任前に、アンケートおよび日記の完全性が確認される。
【0304】
プロトコルコンプライアンス
試験の試験段階から83日後、予定された訪問から2日以内の試験施設への予定された訪問は、プロトコルに準拠していると見なされる。
【0305】
統計分析
統計分析は、生体計測デバイス(VISIA-CR(登録商標)画像分析、PRIMOS 3D、Cutometer(登録商標)、およびMoistureMeterSC(登録商標))から収集したデータに対して実行する。分析を実行する前に、データの診断試験を実行して、データの分散の正規性および/または均質性が維持されているかどうかを決定する。上記の条件が維持される場合、パラメトリックスチューデントのt検定または分散分析が実行される。上記の条件のいずれかが維持されない場合、上記の統計的試験と同等のノンパラメトリックが利用される。統計的有意性が観察され、さらに統計的比較が必要な場合、多重比較検定が実行され、それに応じてp値が適切に調整される。
【0306】
上記の分析に加えて、アンケートデータに対して統計分析が行われる。該当する各評価パラメーター/質問に対する回答は、「成功」および「失敗」の2つのカテゴリーに分類される。対象が試験材料を気に入ったこと、または試験材料について肯定的な意見に同意したことを示す回答は、「成功」と見なされる。対象が試験材料を嫌ったこと、または試験材料についての肯定的な意見に同意しなかったことを示す応答は、「失敗」と見なされる。いずれかの中間点の回答(すなわち、好きでも嫌いでもない、同意も反対でもない)の場合、中間点の回答の半分は「成功」としてカウントされ、残りの半分は「失敗」としてカウントされる。中間点の回答の数が奇数の場合、「成功」のカテゴリーが追加の中間点の回答を受け取る。各評価パラメーター/質問の「成功」および「失敗」の比率は、「成功」および「失敗」の数を回答の総数で割ることによって決定される。これらの比率が比較され、統計的に有意な差が、各評価パラメーター/質問についての比率z検定を使用して識別される。
【0307】
上記のすべての分析について、統計的有意性は95%の信頼水準で達成される(p<0.050)。
【0308】
安全性
各対象は、あらゆる有害事象(AE)の発生について注意深くモニタリングされる。PIは、すべてのAEを、試験材料(または他の原因)とのそれらの関係または関連、およびそれらの強さについて評価する。
【0309】
アンケート
アンチエイジング製品に対する消費者の認識は、各対象が以下の記述に対する同意のレベルを評価するアンケートを使用して評価し、「1」は、「非常に同意する」を示し、「5」は、「中立/意見なし」を示し、「9」は、「まったくそう思わない」を示す。
1.ローション製品を使用した全体的な経験は肯定的であった。
2.ローションは皮膚に心地よい、なめらかな質感であった。
3.ローションは塗布しやすかった。
4.ローションの色は魅力的であった。
5.ローションを使用した後、皮膚はより均一な色合いに見えた。
6.ローションを使用すると、皮膚の質感が改善した。
7.ローションを定期的に使用すると、皮膚が若く見えた。
8.ローションを使用すると、しわの減少に貢献する。
9.ローションを使用すると、肌を刺激し、新しく再生したように見える。
10.ローションを使用すると、加齢の外観が減少している感じがする。
11.ローションを使用すると、皮膚の外観が引き締まるのを促進した。
12.ローションを使用すると、皮膚が若返った外観になる。
13.この製品を友人に勧める。
【0310】
結果
上記のPRIMOS、Cutometer、およびMoistureMeterSC(登録商標)を使用した皮膚の滑らかさ、堅さ、および水和の分析では、6週間の使用後にすでに肌が滑らかになり、しわの深さが減少していることが示された(p<0.01)。しわの深さの減少は、使用から12週間後にも観察された(P<0.02)。さらに、皮膚の軟化が、使用から6週間後に観察され、使用から12週間後も継続した(P<0.001)。皮膚の粗さの統計的に有意な減少(より滑らかな皮膚)およびしわの深さの減少が、PRIMOSを使用して達成されることはめったになく、本発明の化粧品の有益な効果がさらに強調されることに留意されたい。
【0311】
アンケートの回答は図10A~Bに要約されている。回答を、試験材料の特性に1(「非常に同意する」)から4を選択した対象についての「成功」、および試験材料の特性に6から9(「まったくそう思わない」)を選択した対象についての「失敗」の2つのカテゴリーにプールした。5(「中立」)を選択した対象は、2つのカテゴリーの間に均等に分けた。未決定の回答の分布が不均一だった場合、「成功」カテゴリーは追加の未決定の回答を受け取った。
【0312】
図から理解することができるように、回答は、消費者の製品に対する非常に肯定的な認識を示した。
【0313】
実施例13
製品の特性評価-エクソソーム含有量
エクソソームの含有量を、実施例1に記載されるように調製した、化粧品賦形剤で製剤化した本発明によるタンパク質画分中で測定した。タンパク質画分は、本発明の化粧品の「バイアルA」としてその凍結乾燥形態で提供した。測定は、エクソソームマーカー発現のFACS分析、およびナノ粒子トラッキングアナライザー(NanoSight(商標))を使用したエクソソームの定量化を含んだ。
【0314】
フローサイトメトリープロトコル
エクソソームマーカー発現のフローサイトメトリー分析を、製造業者の指示書に従ってMACSPlex(商標)キット(Miltenyi Biotec)を使用して実施した。分析したマーカーは、CD81、CD63およびCD9陽性のエクソソームマーカーである。分析に使用したフローサイトメーターは、Beckman Coulter Gallios(商標)である。
【0315】
分析は、マーカー特異的抗体でコーティングされたビーズの集団へのエクソソームの結合に基づく。キットは、様々な蛍光標識されたビーズ集団のカクテルを含有し、それぞれは、特定のエクソソーム表面マーカーに結合する特定の抗体でコーティングされている。全体として、39のビーズ集団が含まれ、フローサイトメトリーによる異なる蛍光強度によって区別できる。キットは、ビーズへのエクソソームの結合を検出するために、各マーカーに特異的なAPCコンジュゲート抗体をさらに含有する。
【0316】
手順の概略図を図12Aに示す。分析試料を、抗体でコーティングされたビーズとインキュベートする。続いて、または並行して、ビーズに結合したエクソソームを、APCコンジュゲート抗体で標識する。この実施例では、CD81、CD63、およびCD9に特異的なAPCコンジュゲート抗体を使用した。
【0317】
ビーズ-エクソソーム標識化抗体複合体の形成を、ビーズおよび標識化抗体の蛍光に基づいてフローサイトメーターを使用して評価する。目的のマーカーでコーティングされたビーズの集団における陽性のAPCシグナルは、エクソソーム集団内の目的のマーカーの存在を示す。
【0318】
以下の試料を分析に使用した。
-緩衝液バックグラウンド(陰性対照)
-精製したADSCエクソソーム60μg(陽性対照)。ADSCエクソソームを、以下のように、標準的な分画遠心分離プロトコルに従って、ADSC増殖後に収集した馴化培地から精製した。
1.馴化培地を、3回の遠心分離、それに続く濾過、および上清の収集によって清澄化した。
●4℃で10分間300G、
●4℃で10分間2000G、
●4℃で30分間10,000G、
●0.22μmフィルターを通す真空支援濾過。
2.清澄化した上清を、100,000G4℃で2時間超遠心分離に供した。
3.ペレットを収集し、分子濾過装置Amicon(登録商標)Ultra 100kDaにロードした。
4.保持した100kDa超の画分をPBSで5回洗浄した。体積は最大0.5mlのPBSで完了し、装置は、15000Gを10分間、または体積が100μl未満に減少するまで遠心分離した。
5.洗浄したエクソソームを、-80℃で保存した。
-バイアルA 100kDaのペレット120μg
-バイアルA 100kDaのフロースルー
「バイアルA 100kDaのペレット120μg」および「バイアルA 100kDaのフロースルー」は、以下のように調製した。
1.化粧品のバイアルAの内容物(凍結乾燥タンパク質組成物)をPBS中に溶解し、分子濾過装置Amicon(登録商標)Ultra 100kDaにロードした。
2.フロースルー画分(<100kDa)を収集し、「バイアルA 100kDaのフロースルー」として保持した。
3.保持した100kDa超の画分をPBSで5回洗浄した。体積は最大0.5mlのPBSで完了し、装置は、15000Gを10分間、または体積が100μl未満に減少するまで遠心分離した。
4.洗浄した保持画分を、「バイアルA 100kDaのペレット120μg」と同定し、分析まで-80℃で保存した。
【0319】
結果を図12Bに要約し、この図は、対照および試験試料における3つのエクソソームマーカーのそれぞれについて検出したAPC蛍光シグナルのフローサイトメトリー密度プロットを示す。縦棒は、APC信号についての陽性を示す。本発明のタンパク質組成物において、CD81、CD63およびCD9の陽性発現が検出され、これは、エクソソームが組成物中に存在することを示している。
【0320】
NanoSight(商標)分析
本発明のタンパク質組成物中のエクソソームの数および平均直径を、ナノ粒子トラッキングアナライザーNanoSight(商標)を使用して測定した。
【0321】
以下の試料を分析に使用した。
-「化粧品」-PBS中に溶解したバイアルAの含有量。NanoSight(商標)機器にロードした試料は、27個のバイアルから10mlを含み、これは、約1.5個のバイアルの体積に相当する。
-「精製したADSCエクソソーム60μg」-上記の通り。
【0322】
結果を、図12Cに要約する。結果は、エクソソームが、バイアル当たり10個のエクソソームの量で組成物中に存在することを示し、これは、総タンパク質1mg当たり10個のエクソソームの含有量を反映している。エクソソームの平均直径は約130nmである。
【0323】
前述の特定の実施形態の説明は、本発明の一般的な性質を完全に明らかにするので、他の人は、現在の知識を適用することによって、過度の実験なしに、および一般的な概念から逸脱することなく、かかる特定の実施形態の様々な用途に容易に修正および/または適合することができ、したがって、かかる適合および修正は、本開示の実施形態の均等物の意味および範囲内で理解されるべきであり、そのように意図されている。本明細書で使用される表現または用語は、説明を目的としたものであり、限定を目的としたものではないことを理解されたい。様々な本開示の機能を実施するための手段、材料、およびステップは、本発明から逸脱することなく、様々な代替形態をとることができる。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図6F
図6G
図6H
図7A
図7B
図7C
図7D
図8
図9A
図9B
図9C
図9D
図10A
図10B
図11
図12A
図12B
図12C
【国際調査報告】