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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-17
(54)【発明の名称】電子構成の磁気コア
(51)【国際特許分類】
   H01F 27/24 20060101AFI20230310BHJP
【FI】
H01F27/24 E
H01F27/24 K
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022544130
(86)(22)【出願日】2020-12-23
(85)【翻訳文提出日】2022-07-20
(86)【国際出願番号】 EP2020087746
(87)【国際公開番号】W WO2021148219
(87)【国際公開日】2021-07-29
(31)【優先権主張番号】102020200619.9
(32)【優先日】2020-01-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100195408
【弁理士】
【氏名又は名称】武藤 陽子
(72)【発明者】
【氏名】ハンセン,ヤン
(72)【発明者】
【氏名】スパノス,コンスタンティン
(57)【要約】
本発明は、中間領域(3)と、平らな板の形態で形成されている底(4a)と、蓋(4b)とを含む電子構成の磁気コアであって、中間領域(3)が、底(4a)と蓋(4b)の間に配置されており、中間領域(3)には、中心線(X)をもつ貫通口(2)が形成されており、底(4a)に平行で中心線(X)が存在している第1の切断面(6)内の、磁気コア(1)の第1の断面積(9)が、第1の切断面(6)に垂直で中心線(X)が存在している第2の切断面(7)内の、磁気コア(1)の第2の断面積(8)と実質的に同じであり、かつ底(4a)および蓋(4b)が、少なくとも2つの互いに向かい合う側で、中心線(X)の方向に中間領域(3)を越えて張り出す磁気コアに関する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
- 中間領域(3)と、
- 平らな板の形態で形成されている底(4a)と、
- 蓋(4b)とを含む電子構成の磁気コアであって、
- 前記中間領域(3)が、前記底(4a)と前記蓋(4b)の間に配置されており、
- 前記中間領域(3)には、中心線(X)をもつ貫通口(2)が形成されており、
- 前記底(4a)に平行で前記中心線(X)が存在している第1の切断面(6)内の、前記中間領域(3)の第1の断面積(9)が、前記第1の切断面(6)に垂直で前記中心線(X)が存在している第2の切断面(7)内の、前記磁気コア(1)の第2の断面積(8)と実質的に同じであり、かつ
- 前記底(4a)および前記蓋(4b)が、少なくとも2つの互いに向かい合う側で、前記中心線(X)の方向に前記中間領域(3)を越えて張り出す磁気コア。
【請求項2】
前記底(4a)および前記蓋(4b)が、前記中間領域(2)の長さ(40)の少なくとも5%、好ましくは少なくとも10%、特に好ましくは最大50%張り出している、請求項1に記載の磁気コア。
【請求項3】
前記中間領域(3)が、前記底(4a)に垂直な方向(Z)の第1の高さ(35)を有し、前記第1の高さ(35)が、前記磁気コア(1)の全高(50)の少なくとも10%、好ましくは少なくとも20%、特に好ましくは最大40%である、請求項1または2に記載の磁気コア。
【請求項4】
前記底(4a)および前記蓋(4b)が、前記中心線(X)の方向に両側で、とりわけ対称的に、前記中間領域(3)を越えて張り出す、請求項1から3のいずれか1項に記載の磁気コア。
【請求項5】
前記貫通口(2)が、前記底(4a)から前記蓋(4b)まで延びている、請求項1から4のいずれか1項に記載の磁気コア。
【請求項6】
前記底(4a)および前記蓋(4b)が、それぞれ直方体形の板の形態で形成されており、前記底(4a)および前記蓋(4b)が、とりわけ互いに平行に配置されている、請求項1から5のいずれか1項に記載の磁気コア。
【請求項7】
前記磁気コア(1)が2つの部分から形成されている、請求項1から6のいずれか1項に記載の磁気コア。
【請求項8】
前記中間領域(3)と前記底(4a)の間に間隙(15)が形成されている、請求項7に記載の磁気コア。
【請求項9】
中間領域(3)と、底(4a)と、蓋(4b)とが一体的に形成されている、請求項1から6のいずれか1項に記載の磁気コア。
【請求項10】
それぞれ1つの貫通口(2a、2b)を有する2つの中間領域(3a、3b)を含み、前記両方の中間領域(3a、3b)が、第2の切断面(7a、7b)に垂直な方向に互いに直接的に隣接する、請求項1から9のいずれか1項に記載の磁気コア。
【請求項11】
- 請求項1から10のいずれか1項に記載の磁気コア(1)と、
- 前記貫通口(2)を通り抜けて突き出ており、かつ前記磁気コア(1)の前記底(4a)に平行に配置されているプリント基板(20)と
を含む電子構成。
【請求項12】
前記プリント基板(20)上で、前記磁気コア(1)の前記底(4a)および前記蓋(4b)によって少なくとも部分的に覆われている少なくとも1つの電子部品(60)をさらに含む請求項11に記載の電子構成。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空間の活用を最適化した電子構成の磁気コアおよびこのような磁気コアを含む電子構成に関する。
【背景技術】
【0002】
パワーエレクトロニクス部品内での磁気コアの使用は、通常は、例えば電気エネルギーの貯蔵のためまたは伝導妨害のフィルタリングのためである。例えば独国特許出願公開第3333460号明細書に記載されているような、U字形またはE字形の磁気コアが知られている。このような磁気コアは、一般的にほかの電子コンポーネントに比べて非常に多くのスペースを使用し、これにより、磁気コアが、パワーエレクトロニクス部品が設置空間を必要とする主な要因となっている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
これに対し請求項1の特徴を有する本発明による磁気コアは、必要な設置空間に関して最適化された幾何形状の利点を提供する。これに関し、全体として磁気コアの高さおよび長さが小さい場合に、磁気コアの高いインダクタンスが可能にされている。これは本発明により、中間領域と、底と、蓋とを含む磁気コアによって達成される。底は平らな板の形態で形成されている。これに関し、平らな板と見なされるのは、少なくとも1つの平らな上面を有し、この上面がとりわけ中間領域の方向に向く実質的に板状の部分である。底は直方体として形成されることが好ましい。しかしながら、例えば湾曲した板としてまたは円弧としての、底のほかの幾何形状も基本的に可能であり、その際は底の上面の少なくとも一部が平らである。
【0004】
中間領域は、底と蓋の間に配置されている。中間領域には、中心線を有する貫通口が形成されている。貫通口はとりわけ全体的に中間領域内で形成されている。この貫通口が長方形または正方形の断面を有することが好ましい。
【0005】
これに関し、第1の切断面内の中間領域の第1の断面積が、第2の切断面内の磁気コアの第2の断面積と実質的に同じである。この第1の切断面は、底に平行であり、かつ中心線が第1の切断面内にあるように配置されている。したがって、第1の断面積の半分が、中間領域の磁気的断面積に相当する。第2の切断面は、第1の切断面に垂直であり、かつ同様に中心線が第2の切断面内にあるように配置されている。これにより、第2の断面積の半分が、底および蓋の磁気的断面積に相当する。この第1および第2の断面積、したがって磁気的断面積の大きさが、磁気コアのインダクタンスの主な要因である。これに関し、第1の断面積と第2の断面積が厳密に同じ大きさであることが好ましい。
【0006】
さらに、底および蓋は、少なくとも2つの互いに向かい合う側で、中心線の方向に中間領域を越えて張り出す。言い換えれば、中心線の方向での磁気コアの中間領域の第1の長さは、中心線の方向でのそれぞれ底および蓋の第2の長さより小さい。つまり例えば、底および蓋がそれぞれ、中間領域を越えて張り出す一種の張出屋根を形成する。それにより、とりわけ中間領域で、磁気コアの特にコンパクトな幾何形状を獲得でき、この場合、第2の断面積と実質的に同じである第1の断面積により、とりわけ、磁気コアの高い所望のインダクタンスが保証されている。ここでは、中間領域の比較的小さい軸方向の長さにより、磁気コアの特にコンパクトな幾何形状が獲得され得る。これにより、さらなる要素のためのより大きなスペースが提供され得る。これに関しては例えば、コンデンサまたはその類似物などのような電子部品が、中間領域の非常に近くに、好ましくは底および蓋によって形成された張出屋根の下に、配置され得る。これにより本願の磁気コアは、内部で磁気コアが使用される機器の長さの縮小を、磁気コアまたは機器の高さを維持したままで可能にする。これは、貫通口内に例えばプリント基板が配置される場合に特に好適である。これに加え、底および蓋のこの形状、つまり底および蓋が中心線の方向に張り出していることは、底および蓋がそれぞれ第1の切断面に垂直なZ軸の方向に比較的小さな寸法を有し得るにもかかわらず、第1の断面積の必要な大きさが保証され得るという利点を提供する。これにより、Z軸の方向での特に低い全高の場合の、高いインダクタンスをもつ磁気コアが提供され得る。つまりとりわけ、磁気コアのこの特殊な幾何形状が、インダクタンスを維持したままで、中間領域での磁気コアの長さの縮小を可能にし、その際に全高を拡大しなくてよい。第1の切断面内での中間領域の必要な断面積を確保するため、中間領域が例えば横方向に拡げられ得る。
【0007】
従属請求項の内容は本発明の好ましい変形形態である。
磁気コアが、フェライトおよび/または鉄粉材を有する材料から形成されることが好ましい。このような磁気コアは、例えば焼結またはプレス加工により、とりわけ1つの形態で、製造され、これにより、成形が柔軟な場合の、特に簡単かつ安価な製造が可能である。
【0008】
中間領域の長さ方向に関し、磁気コアの特にコンパクトな幾何形状を可能にするため、底および蓋がそれぞれ、中間領域の長さの少なくとも5%、好ましくは少なくとも10%、特に好ましくは最大50%張り出すことが好ましい。
【0009】
中間領域が、底に垂直な方向の第1の高さを有することが特に好ましく、この第1の高さは、底に垂直な方向での磁気コアの全高の少なくとも10%、好ましくは少なくとも20%、好ましくは最大40%、特に好ましくは30%である。これにより、とりわけ高い所望のインダクタンスおよびさらなる電子部品のための十分な空間の場合に小さな全高を達成するための、磁気コアの高さに関する磁気コアの最適な幾何形状が保証される。
【0010】
底および蓋は、中心線の方向に両側で中間領域を越えて張り出すことが好ましい。その際、底および蓋が、対称的に中間領域を越えて張り出すことが特に好ましく、つまり磁気コアが、中心線に垂直な断面に対して対称的な幾何形状を有することが好ましい。この場合、磁気コアは横から見るとT字形を有する。これにより、特にコンパクトな幾何形状と共に、磁束密度および磁場強度の均一な分布が達成され得る。
【0011】
貫通口が、底から蓋まで延びていることがさらに好ましい。つまり貫通口が、中間領域をとりわけ2つの別々の領域に隔てる。それにより中間領域が第1の壁および第2の壁を含むことが好ましい。両方の壁は、例えば、それぞれ中心線に対して所定の間隔をあけて配置されている。壁は、任意の断面を有し得る。壁の各々が長方形の断面を有することが特に好ましい。これにより、磁気コアの特に簡単かつ安価な製造が可能である。
【0012】
底および蓋は、2つの直方体形の板の形態で形成されることが好ましい。両方の板が同一の幾何形状を有することが好ましい。その代わりに、両方の板は、断面積が同じであり続ける限りは、異なる幾何形状、例えば異なる幅を有してもよい。両方の板が、互いに平行に、とりわけ両方の壁に垂直に配置されていることが好ましい。これによりこの磁気コアは、特に簡単に製造でき、かつ底および蓋の領域での大きな磁気的断面積を可能にする。
【0013】
磁気コアが2つの部分から形成されていることが有利である。この場合、とりわけ蓋と一体的に形成されている中間領域に対して底が別個に設けられることが好ましい。底と中間領域が、例えば接着結合または差込み結合によって相互に結合されていてもよく、この差込み結合は、とりわけ、底および中間領域が差し込まれるプラスチック製の差込み要素によって可能にされる。その代わりに底と中間領域が結合されていなくてもよい。磁気コアの2つの部分からの形成により、磁気コアの特に簡単かつ安価な製造が可能であり、この場合、とりわけ電子構成内での適用においても、例えば磁気コアがプリント基板の周囲に組み立てられ得ることにより、組立てが簡略化され得る。
【0014】
中間領域と底の間に間隙、好ましくは空隙が形成されていることが好ましい。つまり磁気コアが、互いに対して所定の最小間隔をあけて配置された2つの別々の部分からなっており、したがってこれらの部分の間に間隙が形成されている。その際、第1の部分は、中間領域および蓋を含み、この中間領域と蓋が相互に一体的に形成されていることが好ましい。磁気コアの第2の部分が底であることが好ましく、底は、底と中間領域の間に間隙が存在するように配置されている。したがって、間隙をもつ構造により、高い電流の場合に磁気コアの飽和が阻止され得る。磁気コアの両方の部分の間に間隙を確保するため、磁気コアがスペーサを含むことが好ましい。スペーサは、磁気を通さない材料、例えばプラスチックからなっていることが好ましい。例えば、両方の部分は、差込み要素を使った差込み結合によって相互に結合されていてもよく、この場合、とりわけこの差込み要素がスペーサになっている。
【0015】
中間領域と、底と、蓋とが一体的に形成されていることが特に好ましい。つまり、中心線の方向に見ると、一体的で、実質的にO字形で、周方向に閉じた磁気コアが、とりわけ間隙なしで生じる。
【0016】
磁気コアが、それぞれ1つの貫通口を有する2つの中間領域を含むことが好ましい。この両方の中間領域は、第2の切断面に垂直な方向に互いに直接的に隣接して配置されている。両方の貫通口が互いに平行であることが好ましい。したがってこの磁気コアは、とりわけE字形に形成されている。これに関し、例えば、両方の貫通口内にそれぞれプリント基板の一部が配置され得る。両方の中間領域が一体的に形成されていることが好ましく、つまり、両方の貫通口の間に、とりわけ両方の中間領域の両方の互いに隣接する壁から形成される中心壁が配置されていることが好ましい。これにより中心壁が、中間領域の壁の1つの倍の断面積を有することが好ましい。とりわけ、2つの中間領域を有する磁気コアの場合、それぞれ、両方の中間領域の第1の断面積が別々に考察される。つまり、両方の中間領域の各々が、別々にそれぞれ第1の断面積を有し、この第1の断面積は、第2の切断面内の第2の断面積と実質的に同じである。中心壁と底の間に間隙が設けられていることが特に好ましく、その際、とりわけ、それぞれ外側にある壁は間隙なく底に当接している。その代わりに、外側にある壁と底の間にもそれぞれ間隙が設けられ得ることが好ましい。
【0017】
本発明はさらに、上述の磁気コアおよびプリント基板を含む電子構成をもたらす。この電子構成は、例えば、とりわけ車両内で、例えば車両の制御機器内で適用するためのパワーエレクトロニクス部品であり得る。これに関しプリント基板は、磁気コアの貫通口を通り抜けて突き出ており、かつ磁気コアの底に平行に配置されている。これにより磁気コアは、とりわけ、電子構成の領域内での電流平滑化または伝導妨害のフィルタリングを可能にする。この電子構成がさらにハウジングを含んでもよく、このハウジング内に、プリント基板および磁気コアが配置されていることが好ましい。
【0018】
この電子構成がさらに、プリント基板上に配置されている少なくとも1つの電子部品を含むことが好ましい。この電子部品は、磁気コアの底および蓋によって少なくとも部分的に覆われて配置されており、これによりこの電子構成は特にコンパクトになっている。つまり電子部品が少なくとも部分的に、蓋および底によって規定された空間内に配置されていることが好ましい。電子部品は、例えばコンデンサまたは別の表面実装部品(surface mounted device、略してSMDとも言う)であり得る。プリント基板の領域で縮小された軸方向の長さを有するこの磁気コアの特殊な幾何形状により、とりわけ中心線の方向に、電子構成の特に小さな寸法を達成でき、その際、磁気コアおよび電子構成の全高は維持され得る。したがってこの電子構成が、車両内の制御機器内のような、設置空間が制限されている適用に適していることが好ましい。
【0019】
以下に、例示的実施形態に基づき、図と関連させて本発明を説明する。図中では、機能的に同じ部品にはそれぞれ同じ符号を付している。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の第1の実施形態に基づく磁気コアを備えた電子構成の透視図である。
図2図1の断面図である。
図3図1のさらなる断面図である。
図4】本発明の第2の実施形態に基づく磁気コアを備えた電子構成を示す図である。
図5】本発明の第3の実施形態に基づく磁気コアを備えた電子構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1図3は、本発明の第1の実施形態に基づく磁気コア1を備えた電子構成10を示す。方向付けのため、X軸、Y軸、およびZ軸がそれぞれ互いに垂直に描かれている。
【0022】
これに関し図1は電子構成10の透視図を示す。図2図1の断面図を示し、この場合、第2の切断面7がX軸およびZ軸によって規定されている。図3は、これに代わるX軸およびY軸によって規定されている第1の切断面6を有する、図1のさらなる断面図を示す。明瞭化のため、図1では第1の切断面6での切断に相応する第1の切断線6’および第2の切断面7での切断に相応する第2の切断線7’が磁気コア1にそれぞれ破線で示されている。
【0023】
電子構成10は、とりわけハウジング内に配置されており、このハウジングのハウジング底11が図1図3で概略的に示唆されている。
【0024】
電子構成10は、磁気コア1およびプリント基板20を含む。プリント基板20は、X軸に沿って延びており、とりわけX軸およびY軸によって規定された第1の切断面6内に配置されている。この磁気コア1は、中心線Xをもつ貫通口2を有し、この中心線XがX軸に相当する。プリント基板20は、貫通口2を通り抜けて延びている。
【0025】
貫通口2は、長方形の断面を有し、かつ磁気コア1の中間領域3内で形成されている。詳しくは、貫通口2が、とりわけ図3で認識できるように、中間領域3を2つの別々の壁31、32に隔てる。両方の壁31、32が、図2で認識できるように、例えば提供される設置空間を最適に活用するために、および/または製造を容易にするために、結合領域49によって相互に結合されていることが好ましい。
【0026】
両方の壁31、32は、中心線Xに対して対称的に形成されており、つまり両方の壁31、32は、それぞれ中心線Xに対して所定の間隔36をあけて配置されており、それぞれZ軸に平行に延びており、かつ第1の切断面内で、それぞれ同じ、実質的に長方形の壁断面積91、92を有する。
【0027】
磁気コア1はさらに、それぞれ実質的に直方体形の平らな板として形成されている底4aおよび蓋4bを含む。とりわけZ軸の方向での底4aと蓋4bの間に中間領域3が配置されている。これに関し蓋4bと中間領域3は一体的に形成されており、これにより、中心線Xの方向に見てU字形の中実体が生じている。
【0028】
底4aおよび中間領域3は、互いに直接的に隣接して、つまり間隙なく配置されている。
図1で認識できるように、中間領域3および蓋4bは、Y軸の方向には同じ第2の幅70を有する。これに関し底4aの第1の幅42は、僅かに大きく、しかしながらその代わりに第2の幅70と同じであってもよい。
【0029】
X軸の方向では、中間領域3が、底4aおよび蓋4bと比べて異なる第1の長さ30を有する。この中間領域3の第1の長さ30は、それぞれ底4aおよび蓋4bの第2の長さ40より30%小さい。この中間領域3および底4aおよび蓋4bは、底4aおよび蓋4bがそれぞれ中心線Xの方向に張出屋根のように中間領域3を越えて張り出すように配置されている。
【0030】
これにより中間領域3の領域で縮小された磁気コア1は、例えばコンデンサまたはほかの表面実装部品のような電子部品60をプリント基板20上に固定し得るための、より大きなスペースを提供する。このような電子部品60は、一般的に磁気コア1より明らかに小さく、それにより、少なくとも部分的に底4aおよび蓋4bによって覆われているように、プリント基板20上に配置され得る。つまりこの場合には電子部品60が、底4aおよび蓋4bによって規定されている空間内に少なくとも部分的に配置されている。これにより電子構成10の特に省スペースの全体的な設置寸法が可能にされ、これは、例えば一般的にスペースが非常に制限された自動車の制御機器内での適用において、特に有利に影響を及ぼす。これに関し通常は、とりわけ中心線および/またはZ軸の方向で設置空間が制限されており、この場合、中間領域3と、底4aと、蓋4bとを有するこの特殊な構造が、空間の最適な活用を可能にし、したがって特にコンパクトな磁気コア1の、高いインダクタンスを可能にする。
【0031】
プリント基板上の電子部品60のための最適化されたスペースを提供するには、中間領域3の第1の高さ35が、磁気コア1の全高50の約30%である場合(図2を参照)が特に有利である。これにより、とりわけ磁気コアの非常に低い設置高さが可能にされ、この場合、磁気コア1の特殊な幾何形状により、以下に述べるような最適な磁気特性が保証される。
【0032】
磁気コア1は、とりわけ、特にコンパクトな幾何形状にもかかわらず、例えば電気的干渉および/または磁気的干渉のフィルタリングに関する高い効果を確保するために、非常に高いインダクタンスを有するように形成されている。このために中間領域3、底4a、および蓋4bは、それぞれ同じ断面積8、9が存在し、これらの断面積8、9が、提供される設置空間をそれぞれ最適に活用するように、形成されている。
【0033】
これに関し第2の断面積8は、図2に示したX軸およびZ軸によって規定されている第2の切断面7内の総断面積に相当する。つまり第2の断面積8は、底4aおよび蓋4bの両方の断面積81、82の合計に相当する。底4aおよび蓋4bの両方の断面積81、82は、それぞれ、蓋4bまたは底4aの磁気的断面積に相当する。
【0034】
さらに第1の断面積9は、図3に示した第1の切断面6内の総断面積に相当する。つまり第1の断面積9は、両方の壁31、32の両方の断面積91、92の合計に相当する。両方の壁31、32の両方の断面積91、92は、それぞれ、中間領域3の磁気的断面積に相当する。
【0035】
図4は、本発明の第2の実施形態に基づく磁気コア1を備えた電子構成10を示す。この第2の実施形態は、図1図3の第1の実施形態に実質的に相応しており、違いは、蓋4bがより大きな第2の軸方向の長さ40’を有すること、および中間領域3と底4aの間に間隙15が形成されていることである。これに関し第2の軸方向の長さ40’は、底4aの第1の軸方向の長さ40より少なくとも10%大きい。これにより、蓋4bの高さ48が第1の実施形態に比べて減少されることで、磁気コア1の全高50がさらに減少され得る。それにもかかわらず、中心線の方向に比較的長い蓋4bにより、磁気コア1の高いインダクタンスを保証するための、蓋4bの十分に大きな第2の断面積8が確保される。間隙15は、例えば磁気を通さない材料から成る(不図示の)スペーサによって確保され得る。これに加え、例えば、好ましくは底4aと中間領域3の間の差込み結合を保証するために、底4aおよび中間領域3がそれぞれ差込み要素に差し込まれていてもよく、この場合、例えばこの差込み要素がスペーサになり得る。
【0036】
図5は、本発明の第3の実施形態に基づく磁気コア1を備えた電子構成10を示す。この第3の実施形態は、図1図3の第1の実施形態に実質的に相応しており、違いは、それぞれ1つの貫通口2a、2bを有する2つの中間領域3a、3bが設けられていることである。図5の第3の実施形態ではさらに、中心壁3cと底4aの間に間隙が存在し、この場合、磁気コア1内の磁束密度および磁場強度の特に好適な分布を得るために、両方の外側にある壁32、31は間隙なく底4aに配置されている。
【0037】
両方の中間領域3a、3bはそれぞれ、底4aと蓋3の間で、第2の切断面7a、7bに垂直な方向に沿って互いに直接的に隣接して配置されている。これに関し、両方の中間領域3a、3bの間に仮想の境界面45が示されている。詳しくは、内側にある第1の中間領域3aの第2の壁32と第2の中間領域3bの第1の壁31が一体的に、中心壁3cとして形成されている。したがって中心壁3cは、個々の壁31、32の倍の断面積を有する。
【0038】
第3の実施形態では、両方の中間領域3a、3bの断面積が別々に考察される。つまり、第1の切断面6内の磁気コア1の総断面積は、中間領域3a、3bの各々の第1の断面積8の倍であり、それに相応して、第2の切断面7a、7bが各々の中間領域3a、3bのために別々に規定されている。
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】