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特表2023-511357飛行追跡されるオブジェクトの軌道外挿及び始点決定
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-17
(54)【発明の名称】飛行追跡されるオブジェクトの軌道外挿及び始点決定
(51)【国際特許分類】
   A63B 69/36 20060101AFI20230310BHJP
   G01S 13/88 20060101ALI20230310BHJP
   G01S 13/86 20060101ALI20230310BHJP
【FI】
A63B69/36 522Z
A63B69/36 Z
G01S13/88
G01S13/86
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022544141
(86)(22)【出願日】2021-01-21
(85)【翻訳文提出日】2022-09-13
(86)【国際出願番号】 EP2021051381
(87)【国際公開番号】W WO2021148560
(87)【国際公開日】2021-07-29
(31)【優先権主張番号】62/964,095
(32)【優先日】2020-01-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522287765
【氏名又は名称】トップゴルフ スウェーデン エービー
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ハグマルク,ジョアキム ジョン マグナス
(72)【発明者】
【氏名】フォースグレン,ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ヤンソン,アントン ミカエル
【テーマコード(参考)】
5J070
【Fターム(参考)】
5J070AC01
5J070AC02
5J070AC06
5J070AC11
5J070AD10
5J070AF01
5J070BD08
(57)【要約】
センサによる観測に基づいてゴルフボール軌道を決定することと、軌道を時間的に遡って外挿することと、外挿軌道と物理位置との間の距離測度を計算することと、観測されたボール位置に影響を与える、観測の系統誤差を推定することと、観測されたボール位置から決定される軌道の角度に影響を与える、観測に関連する確率誤差を推定することと、推定系統誤差と推定確率誤差を組み合わせて距離測度の誤差測度を生成することと、誤差測度が基準を満たすときに物理位置のうちの1つをゴルフボールの始点として識別することと、誤差測度が基準を満たさないときにセンサによるゴルフボールのさらなる観測を待つことと、を含む方法を含む、オブジェクトの3D飛行追跡のための、メディアにエンコードされたコンピュータプログラム製品を含む方法、システム、及び装置。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴルフボールを三次元物理空間に打ち出す2つ以上の定義された物理位置と、
前記ゴルフボールが前記2つ以上の定義された物理位置から前記三次元物理空間に打ち出された後で飛行中の前記ゴルフボールを検出するべく前記三次元物理空間に対して配置された1つ又は複数のゴルフボールセンサと、
前記1つ又は複数のゴルフボールセンサと通信可能に結合された1つ又は複数のコンピュータと、
を備えるシステムであって、
前記1つ又は複数のコンピュータは、少なくとも1つのハードウェアプロセッサと、前記少なくとも1つのハードウェアプロセッサと結合された少なくとも1つのメモリデバイスを備え、
前記少なくとも1つのメモリデバイスは、
前記1つ又は複数のゴルフボールセンサによる前記ゴルフボールの最初の観測に基づいて前記三次元物理空間内の前記ゴルフボールの三次元軌道を決定することと、
前記ゴルフボールの前記三次元軌道を時間的に遡って外挿して外挿軌道を生成することと、
前記外挿軌道と前記2つ以上の定義された物理位置との間の1つ又は複数の距離測度を計算することと、
前記1つ又は複数のゴルフボールセンサによる前記ゴルフボールの前記最初の観測のうちの少なくとも1つの、観測されたボール位置に影響を与える系統誤差を推定することと、
前記1つ又は複数のゴルフボールセンサによる前記ゴルフボールの前記最初の観測のうちの少なくとも1つに関連する、前記観測されたボール位置から決定される軌道の角度に影響を与える確率誤差を推定することと、
前記推定系統誤差と前記推定確率誤差を組み合わせて前記1つ又は複数の距離測度の1つ又は複数の誤差測度を生成することと、
前記1つ又は複数の誤差測度が事前定義された基準を満たすときに前記2つ以上の定義された物理位置のうちの1つを前記ゴルフボールの始点として識別することと、
前記1つ又は複数の誤差測度が前記事前定義された基準を満たさないときに前記1つ又は複数のゴルフボールセンサによる前記ゴルフボールのさらなる観測を待つことと、
を含む動作を、前記少なくとも1つのハードウェアプロセッサに実行させるように構成された命令をエンコードする、
システム。
【請求項2】
前記2つ以上の定義された物理位置は、2つ以上のティーエリア内の2つ以上のティー位置を含み、前記計算することは、前記2つ以上のティーエリアのうちの第1のティーエリア内の前記2つ以上のティー位置のうちの第1のティー位置の第1の距離測度を計算することと、前記2つ以上のティーエリアのうちの第2のティーエリア内の前記2つ以上のティー位置のうちの第2のティー位置の第2の距離測度を計算することを含み、前記識別することは、
前記第1の距離測度が事前定義された閾値を満たし、且つ前記第2の距離測度が前記事前定義された閾値を満たさないとき、前記第1のティー位置を含む前記第1のティーエリアを前記ゴルフボールの前記始点として識別することと、
前記第1の距離測度が前記事前定義された閾値を満たし、前記第2の距離測度が前記事前定義された閾値を満たし、且つ前記第2のティー位置が前記外挿軌道に沿って前記第1のティー位置の後にくるときに、前記第2のティー位置を含む前記第2のティーエリアを前記ゴルフボールの前記始点として識別することと、
を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記1つ又は複数のゴルフボールセンサは、前記三次元物理空間内の前記ゴルフボールを独立して追跡する少なくとも2つの個別のゴルフボールセンサシステムを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記最初の観測は、前記少なくとも2つの個別のゴルフボールセンサシステムのうちの第1のゴルフボールセンサシステムからのものであり、前記動作は、
前記少なくとも2つの個別のゴルフボールセンサシステムのうちの第2のゴルフボールセンサシステムが前記ゴルフボールを検出する前に、前記第1のゴルフボールセンサシステムから前記ゴルフボールの前記さらなる観測を取得することと、
前記さらなる観測に基づいて前記ゴルフボールの前記三次元軌道を更新して、更新された三次元軌道を決定することと、
前記ゴルフボールの前記更新された三次元軌道を時間的に遡って外挿して、更新された外挿軌道を生成することと、
前記更新された三次元軌道に従って前記1つ又は複数の誤差測度を更新することと、
前記1つ又は複数の更新された誤差測度が前記事前定義された基準を満たすときに、前記2つ以上の定義された物理位置のうちの1つを前記ゴルフボールの前記始点として識別することと、
を含む、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記最初の観測は、前記少なくとも2つの個別のゴルフボールセンサシステムのうちの第1のゴルフボールセンサシステムからのものであり、前記動作は、
前記少なくとも2つの個別のゴルフボールセンサシステムのうちの第2のゴルフボールセンサシステムから前記ゴルフボールの前記さらなる観測を取得することと、
前記第2のゴルフボールセンサシステムによる前記ゴルフボールの前記さらなる観測に基づいて前記三次元物理空間内の前記ゴルフボールの個別の三次元軌道を決定することと、
前記ゴルフボールの前記個別の三次元軌道を時間的に遡って外挿して個別の外挿軌道を生成することと、
前記個別の外挿軌道と前記2つ以上の定義された物理位置との間の1つ又は複数の個別の距離測度を計算することと、
前記第2のゴルフボールセンサシステムによる前記ゴルフボールの前記さらなる観測のうちの少なくとも1つの個別の系統誤差を推定することと、
前記第2のゴルフボールセンサシステムによる前記ゴルフボールの前記さらなる観測のうちの前記少なくとも1つに関連する個別の確率誤差を推定することと、
前記個別の推定系統誤差と前記個別の推定確率誤差を組み合わせて、前記1つ又は複数の個別の距離測度の1つ又は複数の個別の誤差測度を生成することと、
前記1つ又は複数の個別の誤差測度が前記事前定義された基準を満たすときに、前記2つ以上の定義された物理位置のうちの1つを前記ゴルフボールの前記始点として識別することと、
を含む、請求項3に記載のシステム。
【請求項6】
前記1つ又は複数のゴルフボールセンサはカメラを含み、前記系統誤差を推定することは、前記カメラの焦点距離に基づいて固有の校正誤差を推定することを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記カメラはステレオカメラであり、前記固有の校正誤差を推定することは、前記ステレオカメラと前記最初の観測点との間の距離に基づいて前記ステレオカメラの視差を計算することを含み、前記系統誤差を推定することは、ステレオカメラの校正された回転の推定誤差として前記ステレオカメラのステレオ校正誤差を推定することを含む、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記確率誤差を推定することは、前記外挿軌道の総ランダム視差誤差を推定し、前記最初の観測点から前記ステレオカメラのベースラインまでの距離に基づいて前記総ランダム視差誤差からの誤差測度を調整することを含む、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記外挿軌道は、前記1つ又は複数のゴルフボールセンサの視野内にあるが、前記ゴルフボールの飛行のこの部分について前記ゴルフボールの観測は識別されない、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記1つ又は複数の距離測度を計算することは、
前記外挿軌道と、前記2つ以上の定義された物理位置を表す幾何学的形状との交差をチェックすることと、
前記外挿軌道と、前記2つ以上の定義された物理位置を表す前記それぞれの幾何学的形状内の打撃位置との間の距離を求めることと、
前記求めた距離のうちの1つだけが閾値距離を下回るときに、前記求めた距離に基づいて、系統誤差と確率誤差を推定する及び前記始点として識別するべく、前記2つ以上の定義された物理位置のうちの1つを選択することと、
前記求めた距離の両方とも前記閾値距離を下回る又はいずれも下回らないときに、前記最初の観測点のうちの前記少なくとも1つに向かう前記外挿軌道に沿った最後の交点に基づいて、系統誤差と確率誤差を推定する及び前記始点として識別するべく、前記2つ以上の定義された物理位置のうちの1つを選択することと、
を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記2つ以上の定義された物理位置を表す前記幾何学的形状は、三次元の幾何学的形状を含む、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記動作は、前記システムへの入力に基づいて前記打撃位置を決定することを含む、請求項10に記載のシステム。
【請求項13】
前記入力は、少なくとも1つの電子ロケーションシステムからの入力を含む、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記打撃位置を決定することは、ゴルファーによって打たれた1つ又は複数のテストゴルフショットで得られたセンサデータと、前記ゴルファーに関連するモバイル通信デバイスからの位置データに基づいて、ゴルファーの打撃位置を設定することを含み、前記モバイル通信デバイスは、前記少なくとも1つの電子ロケーションシステムと通信可能に結合される、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記少なくとも1つの電子ロケーションシステムは、全地球航法衛星システムを含む、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記2つ以上の定義された物理位置は、前記三次元物理空間及び前記ゴルフボールの様々な標的を含むゴルフ練習場のゴルフベイ又はティーエリアである、請求項12に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、カメラ、レーダ、及び/又は他のセンサデバイスから取得したデータを使用するゴルフボールなどのオブジェクトの飛行追跡に関する。
【背景技術】
【0002】
米国特許第5,413,345号は、ゴルフボールが打たれたとき又は飛んだ後にゴルフボールを見るためにレンジカメラ及びロケータカメラが配置される、ゴルフショット追跡及び分析システムを説明している。米国特許第5,413,345号で説明されているように、ロケータカメラは、ゴルフショットがティーエリアを離れる際にゴルフショットを表示し、レンジカメラは、ほぼ垂直な位置からダウンレンジまでのショットを表示する。さらに、カメラがティー上のボールを「映す」ことができなくても、飛行中のボールの特定のティーボックスの始点が決定される。加えて、米国特許公開番号20180011183は、レーダを使用して複数の発射体を追跡するためのシステムであって、1つ又は複数のレーダデバイスがレーダデバイスの視野(ビームカバレッジ)が最大になるように配置され、各レーダデバイスは、独自の三次元レーダ座標系を定義するための独自の関連するコンピュータを有し、中央コンピュータが、各オブジェクトを発射した打撃ベイを識別するべく各オブジェクトの軌道を後方にたどることができる、システムを説明している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本明細書は、カメラ、レーダ、及び/又は他のセンサデバイスから取得したデータを使用するゴルフボールなどのオブジェクトの飛行追跡、特に、フルフライト三次元(3D)追跡中の軌道外挿及び始点決定に関する技術を説明する。
【0004】
一般に、本明細書に記載の主題の1つ又は複数の態様は、ゴルフボールを三次元物理空間に打ち出す2つ以上の定義された物理位置と、ゴルフボールが2つ以上の定義された物理位置から三次元物理空間に打ち出された後で飛行中のゴルフボールを検出するべく三次元物理空間に対して配置された1つ又は複数のゴルフボールセンサと、1つ又は複数のゴルフボールセンサと通信可能に結合された1つ又は複数のコンピュータとを含み、1つ又は複数のコンピュータは、少なくとも1つのハードウェアプロセッサと、少なくとも1つのハードウェアプロセッサと結合された少なくとも1つのメモリデバイスを含み、少なくとも1つのメモリデバイスは動作を少なくとも1つのハードウェアプロセッサに実行させるように構成された命令をエンコードする、1つ又は複数のシステムで具体化することができる。少なくとも1つのハードウェアプロセッサは、1つ又は複数のゴルフボールセンサによるゴルフボールの最初の観測に基づいて三次元物理空間内のゴルフボールの三次元軌道を決定するように構成され、少なくとも1つのハードウェアプロセッサは、ゴルフボールの三次元軌道を時間的に遡って外挿して外挿軌道を生成するように構成され、少なくとも1つのハードウェアプロセッサは、外挿軌道と2つ以上の定義された物理位置との間の1つ又は複数の距離測度を計算するように構成され、少なくとも1つのハードウェアプロセッサは、1つ又は複数のゴルフボールセンサによるゴルフボールの最初の観測のうちの少なくとも1つの、観測されたボール位置に影響を与える系統誤差を推定するように構成され、少なくとも1つのハードウェアプロセッサは、1つ又は複数のゴルフボールセンサによるゴルフボールの最初の観測のうちの少なくとも1つに関連する、観測されたボール位置から決定される軌道の角度に影響を与える確率誤差を推定するように構成され、少なくとも1つのハードウェアプロセッサは、推定系統誤差と推定確率誤差を組み合わせて1つ又は複数の距離測度の1つ又は複数の誤差測度を生成するように構成され、少なくとも1つのハードウェアプロセッサは、1つ又は複数の誤差測度が事前定義された基準を満たすときに2つ以上の定義された物理位置のうちの1つをゴルフボールの始点として識別するように構成され、少なくとも1つのハードウェアプロセッサは、1つ又は複数の誤差測度が事前定義された基準を満たさないときに1つ又は複数のゴルフボールセンサによるゴルフボールのさらなる観測を待つように構成される。この態様の他の実施形態は、対応する方法、装置、及びコンピュータプログラム製品を含む。
【課題を解決するための手段】
【0005】
これらの及び他の実施形態は、随意的に、以下の特徴のうちの1つ又は複数を含み得る。2つ以上の定義された物理位置は、2つ以上のティーエリア内の2つ以上のティー位置を含み、少なくとも1つのハードウェアプロセッサは、2つ以上のティーエリアのうちの第1のティーエリア内の2つ以上のティー位置のうちの第1のティー位置の第1の距離測度を計算する、及び、2つ以上のティーエリアのうちの第2のティーエリア内の2つ以上のティー位置のうちの第2のティー位置の第2の距離測度を計算するように構成することができ、少なくとも1つのハードウェアプロセッサは、第1の距離測度が事前定義された閾値を満たし、且つ第2の距離測度が事前定義された閾値を満たさないとき、第1のティー位置を含む第1のティーエリアをゴルフボールの始点として識別し、第1の距離測度が事前定義された閾値を満たし、且つ第2の距離測度が事前定義された閾値を満たし、且つ第2のティー位置が外挿軌道に沿って第1のティー位置の後にくるときに、第2のティー位置を含む第2のティーエリアをゴルフボールの始点として識別するように構成することができる。
【0006】
1つ又は複数のゴルフボールセンサは、三次元物理空間内のゴルフボールを独立して追跡する少なくとも2つの個別のゴルフボールセンサシステムを含み得る。最初の観測は、少なくとも2つの個別のゴルフボールセンサシステムのうちの第1のゴルフボールセンサシステムからのものであり、少なくとも1つのハードウェアプロセッサは、少なくとも2つの個別のゴルフボールセンサシステムのうちの第2のゴルフボールセンサシステムがゴルフボールを検出する前に、第1のゴルフボールセンサシステムからゴルフボールのさらなる観測を取得するように構成することができ、少なくとも1つのハードウェアプロセッサは、さらなる観測に基づいてゴルフボールの三次元軌道を更新して、更新された三次元軌道を決定するように構成することができ、少なくとも1つのハードウェアプロセッサは、ゴルフボールの更新された三次元軌道を時間的に遡って外挿して、更新された外挿軌道を生成するように構成することができ、少なくとも1つのハードウェアプロセッサは、更新された三次元軌道に従って1つ又は複数の誤差測度を更新するように構成することができ、少なくとも1つのハードウェアプロセッサは、1つ又は複数の更新された誤差測度が事前定義された基準を満たすときに、2つ以上の定義された物理位置のうちの1つをゴルフボールの始点として識別するように構成することができる。
【0007】
最初の観測は、少なくとも2つの個別のゴルフボールセンサシステムのうちの第1のゴルフボールセンサシステムからのものであり、少なくとも1つのハードウェアプロセッサは、少なくとも2つの個別のゴルフボールセンサシステムのうちの第2のゴルフボールセンサシステムからゴルフボールのさらなる観測を取得するように構成することができ、少なくとも1つのハードウェアプロセッサは、第2のゴルフボールセンサシステムによるゴルフボールのさらなる観測に基づいて三次元物理空間内のゴルフボールの個別の三次元軌道を決定するように構成することができ、少なくとも1つのハードウェアプロセッサは、個別のゴルフボールの三次元軌道を時間的に遡って外挿して個別の外挿軌道を生成するように構成することができ、少なくとも1つのハードウェアプロセッサは、個別の外挿軌道と2つ以上の定義された物理位置との間の1つ又は複数の個別の距離測度を計算するように構成することができ、少なくとも1つのハードウェアプロセッサは、第2のゴルフボールセンサシステムによるゴルフボールのさらなる観測のうちの少なくとも1つの個別の系統誤差を推定するように構成することができ、少なくとも1つのハードウェアプロセッサは、第2のゴルフボールセンサシステムによるゴルフボールのさらなる観測のうちの少なくとも1つに関連する個別の確率誤差を推定するように構成することができ、少なくとも1つのハードウェアプロセッサは、個別の推定系統誤差と個別の推定確率誤差を組み合わせて1つ又は複数の個別の距離測度の1つ又は複数の個別の誤差測度を生成するように構成することができ、少なくとも1つのハードウェアプロセッサは、1つ又は複数の個別の誤差測度が事前定義された基準を満たすときに、2つ以上の定義された物理位置のうちの1つをゴルフボールの始点として識別するように構成することができる。
【0008】
1つ又は複数のゴルフボールセンサは、カメラを含み、少なくとも1つのハードウェアプロセッサは、カメラの焦点距離に基づいて固有の校正誤差を推定するように構成することができる。カメラはステレオカメラとすることができ、少なくとも1つのハードウェアプロセッサは、ステレオカメラと最初の観測点との間の距離に基づいてステレオカメラの視差を計算するように構成することができ、少なくとも1つのハードウェアプロセッサは、ステレオカメラの校正された回転の推定誤差としてステレオカメラのステレオ校正誤差を推定するように構成することができる。少なくとも1つのハードウェアプロセッサは、外挿軌道の総ランダム視差誤差を推定するように構成することができ、少なくとも1つのハードウェアプロセッサは、最初の観測点からステレオカメラのベースラインまでの距離に基づいて総ランダム視差誤差からの誤差測度を調整するように構成することができる。
【0009】
外挿軌道は、1つ又は複数のゴルフボールセンサの視野内にあり得るが、ゴルフボールの飛行のこの部分についてゴルフボールの観測が識別される必要はない。少なくとも1つのハードウェアプロセッサは、外挿軌道と2つ以上の定義された物理位置を表す幾何学的形状との交差をチェックするように構成することができ、少なくとも1つのハードウェアプロセッサは、外挿軌道と2つ以上の定義された物理位置を表すそれぞれの幾何学的形状内の打撃位置との間の距離を求めるように構成することができ、少なくとも1つのハードウェアプロセッサは、求めた距離のうちの1つだけが閾値距離を下回るときに、求めた距離に基づいて、系統誤差と確率誤差を推定する及び始点として識別するべく、2つ以上の定義された物理位置のうちの1つを選択するように構成することができ、少なくとも1つのハードウェアプロセッサは、求めた距離の両方とも閾値距離を下回る又はいずれも下回らないときに、最初の観測点のうちの少なくとも1つに向かう外挿軌道に沿った最後の交点に基づいて、系統誤差と確率誤差を推定する及び始点として識別するべく、2つ以上の定義された物理位置のうちの1つを選択するように構成することができる。
【0010】
2つ以上の定義された物理位置を表す幾何学的形状は、三次元の幾何学的形状を含み得る。少なくとも1つのハードウェアプロセッサは、システムへの入力に基づいて打撃位置を決定するように構成することができる。入力は、少なくとも1つの電子ロケーションシステムからの入力を含み得る。少なくとも1つのハードウェアプロセッサは、ゴルファーによって打たれた1つ又は複数のテストゴルフショットで得られたセンサデータと、ゴルファーに関連するモバイル通信デバイスからの位置データに基づいて、ゴルファーの打撃位置を設定するように構成することができ、モバイル通信デバイスは、少なくとも1つの電子ロケーションシステムと通信可能に結合される。少なくとも1つの電子ロケーションシステムは、全地球航法衛星システムを含み得る。2つ以上の定義された物理位置は、三次元物理空間を含むゴルフ練習場のゴルフベイ又はティーエリア及びゴルフボールの様々な標的であり得る。
【0011】
加えて、本明細書に記載の主題の1つ又は複数の態様は、1つ又は複数のゴルフボールセンサによるゴルフボールの最初の観測に基づいて三次元物理空間内のゴルフボールの三次元軌道を決定することと、ゴルフボールの三次元軌道を時間的に遡って外挿して外挿軌道を生成することと、外挿軌道と2つ以上の定義された物理位置との間の1つ又は複数の距離測度を計算することと、1つ又は複数のゴルフボールセンサによるゴルフボールの最初の観測のうちの少なくとも1つの、観測されたボール位置に影響を与える系統誤差を推定することと、1つ又は複数のゴルフボールセンサによるゴルフボールの最初の観測のうちの少なくとも1つに関連する、観測されたボール位置から決定される軌道の角度に影響を与える確率誤差を推定することと、推定系統誤差と推定確率誤差を組み合わせて1つ又は複数の距離測度の1つ又は複数の誤差測度を生成することと、1つ又は複数の誤差測度が事前定義された基準を満たすときに2つ以上の定義された物理位置のうちの1つをゴルフボールの始点として識別することと、1つ又は複数の誤差測度が事前定義された基準を満たさないときに1つ又は複数のゴルフボールセンサによるゴルフボールのさらなる観測を待つことを含む動作を少なくとも1つのハードウェアプロセッサに実行させるように構成された命令をエンコードする、1つ又は複数の方法及び/又は1つの又は有形のコンピュータ可読媒体(例えば、少なくとも1つのメモリデバイス)で具体化することができる。
【0012】
計算することは、2つ以上のティーエリアのうちの第1のティーエリア内の2つ以上のティー位置のうちの第1のティー位置の第1の距離測度を計算することと、2つ以上のティーエリアのうちの第2のティーエリア内の2つ以上のティー位置のうちの第2のティー位置の第2の距離測度を計算することを含み、識別することは、第1の距離測度が事前定義された閾値を満たし、且つ第2の距離測度が事前定義された閾値を満たさないとき、第1のティー位置を含む第1のティーエリアをゴルフボールの始点として識別することと、第1の距離測度が事前定義された閾値を満たし、且つ第2の距離測度が事前定義された閾値を満たし、且つ第2のティー位置が外挿軌道に沿って第1のティー位置の後にくるときに、第2のティー位置を含む第2のティーエリアをゴルフボールの始点として識別することを含み得る。
【0013】
1つ又は複数のゴルフボールセンサは、三次元物理空間内のゴルフボールを独立して追跡する少なくとも2つの個別のゴルフボールセンサシステムを含み、最初の観測は、少なくとも2つの個別のゴルフボールセンサシステムのうちの第1のゴルフボールセンサシステムからのものであり、動作は、少なくとも2つの個別のゴルフボールセンサシステムのうちの第2のゴルフボールセンサシステムがゴルフボールを検出する前に、第1のゴルフボールセンサシステムからゴルフボールのさらなる観測を取得することと、さらなる観測に基づいてゴルフボールの三次元軌道を更新して、更新された三次元軌道を決定することと、ゴルフボールの更新された三次元軌道を時間的に遡って外挿して、更新された外挿軌道を生成することと、更新された三次元軌道に従って1つ又は複数の誤差測度を更新することと、1つ又は複数の更新された誤差測度が事前定義された基準を満たすときに、2つ以上の定義された物理位置のうちの1つをゴルフボールの始点として識別することを含み得る。
【0014】
最初の観測は、少なくとも2つの個別のゴルフボールセンサシステムのうちの第1のゴルフボールセンサシステムからのものであり、動作は、少なくとも2つの個別のゴルフボールセンサシステムのうちの第2のゴルフボールセンサシステムからゴルフボールのさらなる観測を取得することと、第2のゴルフボールセンサシステムによるゴルフボールのさらなる観測に基づいて三次元物理空間内のゴルフボールの個別の三次元軌道を決定することと、個別のゴルフボールの三次元軌道を時間的に遡って外挿して個別の外挿軌道を生成することと、個別の外挿軌道と2つ以上の定義された物理位置との間の1つ又は複数の個別の距離測度を計算することと、第2のゴルフボールセンサシステムによるゴルフボールのさらなる観測のうちの少なくとも1つの個別の系統誤差を推定することと、第2のゴルフボールセンサシステムによるゴルフボールのさらなる観測のうちの少なくとも1つに関連する個別の確率誤差を推定することと、個別の推定系統誤差と個別の推定確率誤差を組み合わせて1つ又は複数の個別の距離測度の1つ又は複数の個別の誤差測度を生成することと、1つ又は複数の個別の誤差測度が事前定義された基準を満たすときに、2つ以上の定義された物理位置のうちの1つをゴルフボールの始点として識別することを含み得る。
【0015】
1つ又は複数のゴルフボールセンサは、カメラを含み、系統誤差を推定することは、カメラの焦点距離に基づいて固有の校正誤差を推定することを含み得る。カメラはステレオカメラとすることができ、固有の校正誤差を推定することは、ステレオカメラと最初の観測点との間の距離に基づいてステレオカメラの視差を計算することを含み、系統誤差を推定することは、ステレオカメラの校正された回転の推定誤差としてステレオカメラのステレオ校正誤差を推定することを含み得る。確率誤差を推定することは、外挿軌道の総ランダム視差誤差を推定し、最初の観測点からステレオカメラのベースラインまでの距離に基づいて総ランダム視差誤差からの誤差測度を調整することを含み得る。
【0016】
外挿軌道は、1つ又は複数のゴルフボールセンサの視野内にあり得るが、ゴルフボールの飛行のこの部分についてゴルフボールの観測が識別される必要はない。1つ又は複数の距離測度の計算は、外挿軌道と2つ以上の定義された物理位置を表す幾何学的形状との交差をチェックすることと、外挿軌道と2つ以上の定義された物理位置を表すそれぞれの幾何学的形状内の打撃位置との間の距離を求めることと、求めた距離のうちの1つだけが閾値距離を下回るときに、求めた距離に基づいて、系統誤差と確率誤差を推定する及び始点として識別するべく、2つ以上の定義された物理位置のうちの1つを選択することと、求めた距離の両方とも閾値距離を下回る又はいずれも下回らないときに、最初の観測点のうちの少なくとも1つに向かう外挿軌道に沿った最後の交点に基づいて、系統誤差と確率誤差を推定する及び始点として識別するべく、2つ以上の定義された物理位置のうちの1つを選択することを含み得る。
【0017】
2つ以上の定義された物理位置を表す幾何学的形状は、三次元の幾何学的形状を含み、動作は、システムへの入力に基づいて打撃位置を決定することを含み、入力は、少なくとも1つの電子ロケーションシステムからの入力を含み得る。打撃位置を決定することは、ゴルファーによって打たれた1つ又は複数のテストゴルフショットで得られたセンサデータと、ゴルファーに関連するモバイル通信デバイスからの位置データに基づいて、ゴルファーの打撃位置を設定することを含み、モバイル通信デバイスは、少なくとも1つの電子ロケーションシステムと通信可能に結合される。少なくとも1つの電子ロケーションシステムは、全地球航法衛星システムを含み得る。2つ以上の定義された物理位置は、三次元物理空間を含むゴルフ練習場のゴルフベイ又はティーエリア及びゴルフボールの様々な標的であり得る。
【0018】
本明細書に記載の主題の様々な実施形態は、以下の利点の1つ又は複数を実現するために実施することができる。ゴルフボール追跡システムを、複数の異なるゴルフベイ(又は他の定義された物理位置)から来るゴルフボールを同時に追跡するために使用するときでも、追跡するゴルフボールの始点を迅速に、また正確に識別することができ、したがって、誤った始点ゴルフベイに割り当てられる及び/又はゴルフショットが打たれた後まで始点ゴルフベイに割り当てることができないゴルフショットの数を減らすことができる。これは、ゴルフボール追跡システムがゴルフボールの追跡を通常よりも遅く開始し、ゴルフボールがゴルフベイに対して、正しい始点ゴルフベイを選択する際の誤差となるかなりの誤差(例えばステレオカメラシステムでの視差誤差)を生じるような角度をなしているときに起こり得る。
【0019】
この問題に対処するために、検出されたゴルフショットの各軌道の最初のポイントに関連する誤差を推定することができ、その誤差がゴルフベイの選択にどのように影響するかについて評価を行うことができる。これは、(1)ゴルフベイの後ろに外挿されたポイントの場合と同じように最初のポイントの位置誤差に影響を与える系統誤差、及び(2)ランダムな位置誤差を有する各軌道内のポイントから生成される外挿軌道の角度に影響を与える確率誤差、との2つのパートで誤差を推定することを含み得る。系統誤差は、軌道の最初の観測位置のベクトル値誤差を推定し、この値を選択されたゴルフベイに投影して、この誤差がゴルフベイの選択にどの程度影響するかを求めることで計算することができる。確率誤差は、軌道の最初の観測の角度誤差を推定して、この誤差が後方外挿アルゴリズムにどれだけ影響するかを求め、この誤差に選択されたゴルフベイまでの距離を乗算して、この誤差がゴルフベイの選択にどの程度影響するかを求めることで計算することができる。これらの2つのタイプの誤差を考慮すると、ゴルファーにゴルフショットが示されるまでの(例えば、さらなるデータ及び/又は軌道の新しいバージョンを待つための)遅延を増加させることなく、始点に誤って割り当てられるゴルフショットの数を大幅に減らすことができる。
【0020】
さらに、各ゴルフベイに別個の専用のゴルフボール追跡システムは必要とされず、これにより、複数のゴルファーが同時にゴルフボールを打つシステムのコストが削減される。ゴルフ練習場などの場で使用するゴルフボール追跡システムがより少ないことで、システムの管理、及びハードウェアエラーの修正、又は故障の修復に必要な作業を減らすことができる。さらに、より広い視野を達成することができ、ゴルファーの近く、例えば、ゴルフベイに配置する必要があるコンポーネントをより少なくすることができる。例えば、本開示で詳述するシステム及び技術を使用するゴルフボール追跡システムが、ゴルフ娯楽施設の各ゴルフベイに設置される追跡ユニットを備える必要はない。さらに、追跡システムがより少ないことで、特にゴルフ施設が単一のシステムだけで完全にカバーされているときに、ソフトウェアの観点からシステムの全体的な複雑さが低減される。
【0021】
本明細書に記載の主題の1つ又は複数の実施形態の詳細は、添付の図面と以下の説明に記載されている。本発明の他の特徴、態様、及び利点は、説明、図面、及び請求項から明らかとなるであろう。
【0022】
様々な図面での同様の参照番号及び名称は同様の要素を示す。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】三次元空間を通るゴルフボールの3D飛行追跡を実行するシステムの例を示す図である。
図2A】2つのゴルフベイの概略図であり、そのうちの1つは、ゴルフボールセンサシステムでゴルフショットの始点として識別される。
図2B】2つ以上のゴルフベイのうちの1つをゴルフショットの始点として識別するデータ処理システムの概略図である。
図3A】飛行中に検出及び追跡されるゴルフボールの始点物理位置を特定するプロセスの例を示すフローチャートである。
図3B】追跡機器の誤差及び/又は追跡システムの校正によって生じる系統誤差の例を示す図である。
図3C】ゴルフベイがゴルフショットの始点であるかどうかの推定エラーに系統誤差がどのように影響するかの例を示す図である。
図3D】センサ読取値のノイズによって生じる確率誤差の例を示す図である。
図3E】ゴルフベイがゴルフショットの始点であるかどうかの推定エラーに確率誤差がどのように影響するかの例を示す図である。
図4A】三次元空間を通るゴルフボールの3D飛行追跡を実行するシステムの別の例を示す図である。
図4B図4Aのシステムで使用することができるゴルフベイのレイアウトに関連して、ゴルフボールの3D飛行追跡を実行するシステムの例を示す図である。
図5A】飛行中に検出及び追跡されるゴルフボールの始点物理位置を特定するプロセスの別の例を示すフローチャートである。
図5B】ゴルファーのパーソナルモバイルデバイスに関連して、ゴルフボールの3D飛行追跡を実行するシステムの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は、三次元空間を通るゴルフボールの3D飛行追跡を実行するシステム100の例を示している。この例では、システム100は、ゴルフ練習場110での標的120と、ゴルフベイ130を含む建物115とを含む、ゴルフ施設の一部である。図1では、建物115は、長方形として示されているが、典型的な実装は、ゴルフベイ130が半月形の形状をなすようにゴルフ練習場110に面する、建物の湾曲部分を有することに留意されたい。標的120は、建物115よりも1段以上高い位置にあるゴルフベイ130から打たれたRFID付きのゴルフボールを読み取る無線周波数識別(RFID)タグ質問器を有し得る。さらに、標的120のうちの1つ又は複数は、ゴルフボールを異なる区域に関連したそれぞれのRFIDリーダボックスに入れるネットの個別の区域を有し得る。しかしながら、いくつかの実装では、そのようなRFIDシステムを使用せずに、飛行中のゴルフボールを追跡し、ゴルフボールが着地する場所を識別するために、ゴルフボールセンサシステム140、150を使用することができるので、そのようなRFIDタグ及びRFIDタグ質問器は必要とされない。
【0025】
図1の例では、ゴルフボールが追跡される三次元空間は、ゴルフ練習場110であり、これは様々な形状及びサイズであり得るが、通常、幅が300~500フィート、長さが600~900フィートである。ゴルフ練習場110は、平坦であるか、又は小さな丘又は1つ又は複数の傾斜を有し、また、水及びサンドトラップなどのハザードを有し得る。そのようなハザードは、必ずしも実際の水及び砂を含まず、単に水及び砂のような色を付けられていてもよいことに留意されたい。ゴルフ練習場110は、本物の草又は人工芝で構成することができる。さらに、標的は、一般に建物115からのそれらの距離を表すカテゴリにグループ化することができ、標的は、メイン標的の円形の形状及び練習場110の端にあるトレンチ標的の長方形の形状などの様々な形状、並びに、標的120又は標的120のグループごとに別々の色を有し得る。標的120の他の形状及びサイズ、並びに、示されているものとは異なる標的120の数も可能である。しかしながら、いくつかの実装では、三次元空間内に特定の標的は必要とされない及び/又は建物は必要とされない。例えば、ゴルフボールセンサシステム140、150は、オープンフィールド又はスポーツスタジアム又はアリーナに設置することができる。
【0026】
一般に、ゴルフボールセンサシステム140、150は、複数の定義された物理位置130のうちのどこからゴルフボールが打たれているかを識別するために使用される。ゴルフボールセンサシステム140、150は、少なくとも1つのゴルフボールセンサ140と、ゴルフボールセンサ140と通信可能に結合される少なくとも1つのコンピュータ150を含む。ゴルフボールセンサ140は、1つ又は複数の異なるタイプの1つ又は複数のセンサであり得る。例えば、ゴルフボールセンサ140は、光学センサ(例えば、飛行中のゴルフボールのステレオビジョンを提供するために一緒に動作するステレオカメラ又は2つのカメラ)、レーダセンサ、又はこれらの組み合わせであり得る。いくつかの実装では、2つ以上のステレオカメラ140が、三次元空間内の飛行中のゴルフボールを追跡するために使用される。いくつかの実装では、少なくとも1つのゴルフボールセンサ140は、ゴルフボールを三次元で追跡するためにレーダデバイスとカメラを一体化したセンサユニットであり、カメラは、ゴルフボールの角度情報を二次元平面で提供するために使用され、レーダデバイスは、例えばゴルフショットの各飛行中カメラ観測で、平面と垂直な次元のゴルフボールの深度情報を提供するために(カメラと組み合わせて)使用され、ゴルフボールまでの半径方向の距離は、(ピンホールカメラモデル、三角法、及びカメラとレーダデバイスとの既知の分離距離(この距離はゼロであり得る)を使用して)飛行中カメラ観測のカメラアングルに基づいてボールまでの深度距離を計算するために使用される。ボールまでの角度及び距離を求め、この情報を3D位置に変換するための1つ又は複数のフェーズドアレイレーダデバイス、又は測定データを組み合わせて3D飛行軌道を構築するための2つ以上のレーダデバイスなどの、他のセンサタイプとセンサデータの組み合わせも可能である。
【0027】
ゴルフボールセンサ140は、ゴルフボールが定義された物理位置130から三次元物理空間に打ち出された後に飛行中のゴルフボールを検出するべく三次元物理空間に対して配置される。いくつかの実装では、ゴルフボールセンサ140は、定義された物理位置130からゴルフボールが打ち出される瞬間にセンサがゴルフボールを観測することはできないように配置される。例えば、ゴルフボールセンサ140は、ゴルフベイ130の上方及び前方の日よけに取り付けられ、これにより、ゴルフボールセンサ140により広い視野が提供され、本開示で詳述するシステム及び技術はゴルフベイ内に追跡ユニットを含める必要性を回避する。いくつかの実装では、ゴルフボールセンサ140は、定義された物理位置130からゴルフボールが打ち出される瞬間にセンサがゴルフボールを観測することができるように配置される。しかし、理解されるように、そのような配置であっても、個々の各ゴルフボールは、打ち出しが行われるまでは検出されない可能性があり、したがって、打ち出しポイントの近くでのゴルフボールのセンサ観測は、多くの場合、利用できない可能性がある。したがって、ゴルフボールセンサ140がティー位置を観測できるかどうかに関係なく、本開示で詳述するシステム及び技術は、ボール軌道を決定し、各ボールが打ち出された位置130を識別するために用いることができる。
【0028】
ゴルフボールセンサ140は、1つ又は複数のコンピュータ150と通信可能に結合される。これは、ゴルフボールセンサ140がコンピュータ150にデータを提供することを可能にする有線接続、ゴルフボールセンサ140がコンピュータ150にデータを提供することを可能にする無線接続、又はこれらの組み合わせとすることができ、これらの接続は、シンプレックス接続、デュプレックス接続、又はハーフデュプレックス接続であり得る。いくつかの実装では、少なくとも1つのコンピュータ150が2つ以上のセンサ140のそれぞれと接続又は一体化されて個別のセンサシステムが作成され、これは、三次元空間内のゴルフボールを独立して/個別に検出及び追跡し、したがって、三次元空間を通って移動する同じゴルフボールの別個の観測に基づいて別個の軌道予測を提供する。本明細書で用いられる場合の「観測」は、使用するセンサのタイプに関係なく、事前定義された基準に基づいてゴルフボールを示すセンサデータの識別である。
【0029】
そのような個別のゴルフボールセンサシステムはまた、中央コンピュータシステム150、例えば、1つ又は複数のサーバコンピュータシステムと通信可能に結合することができ、これは、個別のゴルフボールセンサシステムから受信した軌道予測を統合し、定義された物理位置130のうちのどれを追跡されている特定のゴルフボールの始点として確認及びレポートするべきかについての最終決定を行う。中央コンピュータ150は、ゴルフゲームを管理し、ゴルフショットに関する情報(例えば、仮想ゴルフゲームにおけるシミュレートされたゴルフショットアニメーション及び/又は拡張現実ゴルフショットビューアにおけるボールトレースオーバーレイ)を物理位置130に関連するディスプレイ装置に送信する(例えば、ゴルフ施設の)コンピュータシステムの一部であり得ることに留意されたい。いずれにしても、コンピュータ150は、本開示で詳述する動作を実行するように構築及び/又はプログラムされている、少なくとも1つのハードウェアプロセッサと、少なくとも1つのハードウェアプロセッサと結合された少なくとも1つのメモリデバイスを含む。
【0030】
さらに、定義された物理位置130は、ゴルフベイ、ゴルフベイ内のティー位置、又は一般にティー位置であり得る。いくつかの実装では、三次元空間は、示されているようなゴルフ練習場ではない。したがって、ゴルフボールが打たれる定義された物理位置130は、例えば、地面のチョーク、テープ、又はロープによって示される、指定された打撃位置とすることができ、三次元空間は、例えば、ゴルフイベントのために予約されているスポーツスタジアム又はアリーナ又はオープンフィールド内の、ゴルフボールを打つのに安全な任意の場所であり得る。例えば、いくつかの実装では、三次元空間はオープングラスフィールドであり、定義された物理位置130は、個々のゴルファーによって選択されたティーラインに沿ったスポットである。本明細書で用いられる場合の「ゴルフベイ」への言及は、ゴルフベイ内に1つよりも多いティーエリアを有するゴルフベイに限定される実装として明示的に説明されない限り、一般にティーエリア又はティー位置を含むと理解されるべきである。
【0031】
図2Aは、2つのゴルフベイ220A、220Bの概略図であり、そのうちの1つは、ゴルフボールセンサシステム200でゴルフショットの始点として識別される。ゴルフボールセンサシステム200は、図1からのゴルフボールセンサシステム140、150の一例である。ゴルフボールセンサシステム200は、2つ以上のゴルフベイのうちの1つから打たれた後の飛行中のゴルフボール210を検出する。このゴルフボールの最初の観測及びゴルフボールの1つ又は複数のその後の観測から、システム200は三次元軌道212を決定する(図は、説明を明確にするために二次元のみを表すことに留意されたい)。次いで、三次元軌道212が時間的に遡って外挿されて外挿軌道214が生成され、これはゴルフベイ220Aとゴルフベイ220Bとの両方と交わる。したがって、最初の観測から2つのゴルフベイ220A、220Bのどちらがゴルフショットの始点位置として識別されるべきかを容易に認識することはできない。
【0032】
ゴルフボールの軌道を測定及び推定することは、ゴルフ体験を向上させるための多くの用途で有用である。一例は、センサによるゴルフボール観測のそのような処理がゴルファーにフィードバック及びメトリクスを提供するために使用される打ち放しのゴルフ練習場であるが、そのような処理は、仮想ゴルフコース及び他のゲームのプレイなどの娯楽目的にも有用である。いずれにしても、例えば、各ゴルフベイのために専用のセンサシステムを有することに関連したコストを節約するために、1つのゴルフボールセンサシステム200が2つ以上のゴルフベイ220A、220Bから打ち出されるゴルフボールを追跡するために使用されるとき、軌道を推定するシステムは、複数のゴルファーを同時に扱うことができ、したがって、どのショットがどのゴルファーによって打たれたかを区別することができるべきである。図2Aに示されている例では、システム200は、推定された軌道の精度を改善するべくゴルフボール210のさらなる観測を待つことができるが、これは始点ゴルフベイの識別が遅延することになる。対照的に、システム200がゴルフショットの始点ゴルフベイを識別するするのが早ければ早いほど、ゴルフベイ220A、220Bのどちらが始点ゴルフベイであるかを誤って識別する可能性が高くなり、これはユーザの観点からは容認できない。これにより、(1)少数の観測しか行われなかったときでも、単一のベイまで容易に後方に追跡される軌道を有するゴルフショットに対して始点ゴルフベイの識別を不必要に遅延することと、(2)2つの隣接するゴルフベイのうちの1つを始点として区別するのがより難しい軌道を有するゴルフショットに対して始点ゴルフベイを誤って識別することと、の望ましくないトレードオフが生じる。本出願に記載のシステム及び技術を用いることで、この望ましくないトレードオフを排除することができ、したがって、1と2の両方を回避することができる。
【0033】
図2Bは、2つ以上のゴルフベイのうちの1つのゴルフベイをゴルフショットの始点として識別するデータ処理装置250を含むデータ処理システムの概略図である。データ処理装置250は、ネットワーク280を通じて、1つ又は複数のコンピュータ290、ディスプレイ装置290、又はその両方と接続することができる。図2Aにデータ処理装置250としてコンピュータが1つだけ示されているが、複数のコンピュータを使用することができる。したがって、データ処理装置250を使用して、図1図2A図4A図4B、及び図5からのゴルフボールセンサシステム140、150、200、410、420、490、500のうちの1つ又は複数を実装することができる。
【0034】
データ処理装置250は、アプリケーション層とオペレーティングシステムとの間で分散することができる様々なソフトウェアモジュールを含み得る。これらは、3Dオブジェクト飛行追跡システムとして動作するプログラム270を含み得る実行可能及び/又は解釈可能なソフトウェアプログラム又はライブラリを含み得る。使用するソフトウェアモジュールの数は、実装ごとに異なる場合があり、ソフトウェアモジュールは、1つ又は複数のコンピュータネットワーク又は他の適切な通信ネットワークによって接続された1つ又は複数のデータ処理装置上に分散することができる。さらに、場合によっては、説明した機能は、動作速度を上げるためにデータ処理装置250のファームウェア及び/又はハードウェアに(部分的に又は完全に)実装される。したがって、プログラム及び/又は回路270は、本開示で詳述するように、ボール検出器、トラッカ、及び軌道決定&ボール始点識別機を実装するために使用することができる。
【0035】
ボール検出器、トラッカ、及び軌道決定&ボール始点識別機のプログラム/回路270は、ゴルフボールの飛行の物理モデルを使用して、センサの視野外にある又は他の理由でセンサによって見落とされた軌道の部分を外挿する。データ処理装置250は、1つ又は複数のハードウェアプロセッサ252、1つ又は複数のさらなるデバイス254、コンピュータ可読媒体256、通信インターフェース258、及び1つ又は複数のユーザインターフェースデバイス260を含む、ハードウェアデバイス又はファームウェアデバイスを含み得る。各プロセッサ252は、データ処理装置250内で実行するための命令を処理することができる。いくつかの実装では、プロセッサ252は、シングルスレッド又はマルチスレッドプロセッサである。各プロセッサ252は、コンピュータ可読媒体256、又はさらなるデバイス254のうちの1つなどの記憶装置に記憶された命令を処理することができる。データ処理装置250は、その通信インターフェース258を使用して、例えば、ネットワーク280を介して、1つ又は複数のコンピュータ/ディスプレイ装置290と通信する。したがって、様々な実装において、説明したプロセスは、パラレルに又はシリアルに、シングルコア又はマルチコアのコンピューティングマシン上で、及び/又はコンピュータクラスタ/クラウド上などで実行することができる。
【0036】
ユーザインターフェースデバイス260の例としては、ディスプレイ装置、タッチスクリーンディスプレイ装置、カメラ、スピーカ、マイクロフォン、触覚フィードバックデバイス、キーボード、及びマウスが挙げられる。データ処理装置250は、例えば、コンピュータ可読媒体256、又はフロッピーディスクデバイス、ハードディスクデバイス、光ディスクデバイス、テープデバイス、及びソリッドステートメモリデバイスのうちの1つ又は複数などの1つ又は複数のさらなるデバイス254に、本開示で詳述する動作を実施する命令を記憶することができる。一般に、命令を記憶するコンピュータ可読媒体256及び1つ又は複数のさらなるデバイス254は、少なくとも1つのハードウェアプロセッサに本開示で詳述する動作を実行させるように構成された命令をエンコードする少なくとも1つのメモリデバイスの例である。
【0037】
さらなるデバイス254はまた、センサとコンピュータが自己完結型のゴルフボールセンサシステム、例えば、システム200、490、500に一体化されるときなどに、1つ又は複数のセンサ140、410を含み得る。1つ又は複数のセンサ140、410はまた、データ処理装置250から遠隔に配置することができ、そのようなセンサ140、410からのデータは、有線又は無線技術のインターフェースなどの1つ又は複数の通信インターフェース258を使用して取得することができる。そのような通信インターフェース258はまた、外挿軌道、提案された始点ゴルフベイ、提案された始点ゴルフベイの信頼度(1つ又は複数の誤差測度)、及び/又は他のデータを別のコンピュータシステムに通信するために使用することができる。例えば、2つ以上のデータ処理装置250は、三次元物理空間内のゴルフボールを独立して追跡し、それらの結果を別のデータ処理装置250にレポートする個別のゴルフボールセンサシステムとすることができ、データ処理装置250は、どの結果を使用するか及びどのゴルフベイ220A、220Bを始点ゴルフベイとして識別するかを決定し、この情報は、識別されたゴルフベイに配置されたディスプレイ装置であり得るコンピュータ/ディスプレイ装置290、又はデータ処理装置250(例えば、識別されたゴルフベイにいる人が持っているスマートフォン又はタブレットコンピュータ)に通信することができる。
【0038】
図3Aは、飛行中に検出及び追跡されるゴルフボールの始点物理位置を特定するプロセスの例を示すフローチャートである。これは単なる例であることに留意されたい。説明した動作は、異なる順序で実行することができ、それでも望ましい結果を達成することができる。300において、センサデータでゴルフボールの観測が識別される(例えば、コンピュータ150、200、250、420、490、500によって)。これは、センサのタイプごとの事前定義されている基準に基づいてゴルフボールを示すデータを見つけるべく、1つ又は複数のセンサ(例えば、センサ140、200、410、490、500)から受信したデータを処理することを含む。例えば、レーダデータの場合、打たれた直後のゴルフボールの既知の速度範囲に従う、又は以前に検出されて現在追跡中のゴルフショットの予想測度に対応する、ボール速度基準を用いることができる。別の例として、カメラデータの場合、候補ゴルフボールであるビデオストリーム内の様々なオブジェクトを識別するべく、(例えば、オブジェクト分類器を使用して)ストリーミング画像データをリアルタイムで処理することができる。
【0039】
302において、ゴルフボールの観測が以前に検出されたゴルフショットと関連付けられ、新しいゴルフショットが検出される(例えば、コンピュータ150、200、250、420、490、500によって)。検出&関連付け302と識別300は、飛行中のゴルフボールのセンサデータが受信される際に一緒に実行することができることに留意されたい。これは、並列処理又はマルチタスクプロセッサアーキテクチャを使用した同時処理及び/又は並行処理を含み得る。カメラデータの場合、ビデオフレームセットにわたる一連の候補ボールがゴルフショットの1つ又は複数の確立された基準を満たす又は超えるときに、302においてゴルフショットを検出することができる。いくつかの実装では、画像データの分析は、関心あるオブジェクト(例えば、ゴルフボールのように見えるオブジェクト)の感度を最大にするための1つ又は複数の閾値(例えば、ピクセルごとに最適化された閾値)の自動調整、並びに、ゴルフショットのすべての画像データが受信される前にゴルフショットを検出できるようにするためのリアルタイムのフィルタリングに関係する。
【0040】
レーダデータの場合、レーダ時系列が、ゴルフボールの可能性が高い速度範囲(例えば、時速10~250マイル)に対応する特定の速度範囲でのみ開始できるように、ボール速度基準を使用することができる。同様に、範囲データがレーダセンサから直接入手できる場合、事前定義された範囲外で検出されたオブジェクトは無視することができる。これらの測定がリアルタイムで受信される際に、一連のレーダ測定にさらなる基準を用いることができる。例えば、ゴルフショットの一連のレーダ測定は、時間の経過とともに速度が低下するはずであり、このことは、レーダデータでゴルフショットを識別するのに用いることができる。したがって、予期しない距離又は速度で検出されたゴルフボール、並びに、鳥及び飛行機などの他のオブジェクトを簡単に無視することができる。
【0041】
さらに、1つよりも多いセンサタイプが用いられるとき、異なるセンサタイプからのデータを使用して、ゴルフショットの検出及び追跡を強化することができる。例えば、ゴルフショットがレーダデータで識別されるとき、カメラからの画像データを分析する際に用いられる1つ又は複数の基準の調整をトリガするべく信号を送信することができる。これにより、分析でゴルフショットに対応するオブジェクト識別セットの選択が優先され、したがって、ゴルフショットを識別する可能性が高まる。異なるセンサタイプからのデータ(例えば、レーダデバイス及びカメラデバイスからのデータ)の処理間の相互作用は、ショット検出の頑健性を向上させるべく両方向に進めることができることに留意されたい。異なるセンサタイプからのデータの1つよりも多いそのようなクロスチェックを実装することにより、システムは、複数のゴルファーがいる打ち放しのゴルフ練習場(又は同様のゴルフをテーマにした娯楽場所)においてより頑健なものにすることができる。
【0042】
レーダを光学追跡と組み合わせて使用するとき、例えば、前述の深度距離の計算を使用するとき、レーダのボール速度を正しい光学追跡と関連付けるには、(例えば、モード設定によって)測定のたびに複数のオブジェクトの速度をレポートするようにレーダデバイスを設計又はプログラミングすることを含み得ることに留意されたい。したがって、最も速い速度(又は最も強い反射)をピックアップして、その速度だけを送信するのではなく、レーダデバイスは、最も速いオブジェクトの速度又はレーダ反射が最も強いオブジェクトの速度をレポートするように設定することができる。このような動作モードでは、以下の方法で、空中の複数のボールに対するある程度の頑健性を達成することができる:(1)時間の相関に基づいて正しいレーダ時系列を識別する、(2)レーダ測定の新しいセットごとに、モデルによって予測された速度に対して受信したすべての速度を試行する、及び(3)レポートされた速度のいずれかが既存のレーダ時系列モデルで予測されたボール速度の閾値距離内にある場合、その値が時系列に追加され、モデルが更新され、次いで、システムは測定の次のセットを待つ。それでもなお、いくつかの実装では、例えば、2つ以上のステレオカメラシステムなどの、1つのセンサタイプのみが使用される。
【0043】
プロセスは、304で現在のセンサデータにおいて関連付けられない観測が残っていなければ、入ってくるセンサデータの受信及び分析を続けて、300でボール観測を識別する。300でボール観測が識別され、302で以前に検出されたゴルフショットと関連付けることができない場合、これらのボール観測は、302で新しいゴルフショットを検出する試みを検討され続け、プロセスは、300でボール観測を識別し、304で現在のセンサデータに関連付けられない観測が残っていて、306で新しいゴルフショットがまだ検出されていなければ、入ってくるセンサデータの受信及び分析を続ける。加えて、306で新しいゴルフショットが検出されるとき、新しいゴルフショットの始点を決定するべく、別個のプロセスが生成される。この別個のプロセスは、新しいセンサデータの受信及び分析中でも動作し、300でさらなるゴルフボール観測を識別し、302で新しいボール観測を新たに検出されたゴルフショットと関連付け、そのゴルフショットの始点は決定されている又は決定されていない場合がある。言い換えれば、ゴルフショットの検出、ゴルフショットの始点の決定、及びゴルフボールの飛行追跡はすべて、ゴルフボールがまだ飛行中であり、さらなるゴルフボールが打たれている状態で、複数のゴルフボールに対して、同時に、リアルタイムで実行することができる。
【0044】
新しいゴルフショットが検出されるとき、300で識別されているゴルフボールの最初の観測に基づいて、310で三次元物理空間内のゴルフボールの三次元軌道が決定される(例えば、コンピュータ150、200、250、420、490、500によって)。これは、ゴルフボールの最初の観測から決定された、三次元空間内の三次元座標に適用されるゴルフボールの飛行の物理モデルを使用することを含み得る。したがって、少なくとも重力の影響(例えば、抗力、揚力、及び重力)を考慮に入れることができ、風速及び風向、推定されるボールスピンなどの他の物理的パラメータも考慮に入れることができる。
【0045】
いくつかの実装では、軌道の物理モデリング及び外挿は、異なるショットの関連付けの前に行われる。物理モデルは、最初の観測だけでなく、ゴルフボールのすべての観測から決定することができる。物理モデルは、環境に依存する重力、抗力、及び揚力を含む飛行中のゴルフボールに影響を及ぼす力、ゴルフボールの物理的特性、風速及び風向、ボール速度、及びゴルフボールのスピンのモデリングを含み得る。
【0046】
312で、ゴルフボールの三次元軌道が時間的に遡って(及び場合によっては前方に)外挿されて、外挿軌道が生成される(例えば、コンピュータ150、200、250、420、490、500によって)。しかし、図2Aに示すように結果的に2つの交点を生じる可能性がある、外挿軌道とゴルフベイを表す幾何学的形状との交差を単に見つけるのではなく、314で、外挿軌道と2つ以上の定義された物理位置との間の1つ又は複数の距離測度が計算される(例えば、コンピュータ150、200、250、420、490、500によって)。例えば、314で、外挿軌道と1つ又は複数のゴルフベイを表す1つ又は複数の幾何学的形状(例えば、正方形、長方形、環状セクタ、立方体、ボックス、直方体、3D環状セクタなど)との各交点を計算することができ、各ゴルフベイの(又はゴルフベイ内の事前定義されたティーエリアの、又はゴルフベイ又はティーエリア内の主な打撃位置)中心点との間の距離を距離測度として計算することができる。
【0047】
別の例として、314で、外挿軌道とゴルフベイ(又はゴルフベイ内の事前定義されたティーエリア、又はゴルフベイ又はティーエリア内の主な打撃位置)を表す幾何学的形状の外部との間、又は、外挿軌道とこれらの幾何学的形状の中心点との間の最小距離を計算することができる。(1)軌道と幾何学的形状の外部、及び(2)軌道と幾何学的形状の中心点との間の最短距離の平均などの2つ以上の測定の組み合わせを含む他の距離測度も可能である。距離測度はまた、例えば、(ゴルフショットのモデル化された始点から)最後に交わった幾何学的形状が最初に交わった幾何学的形状よりも優先されるとみなされるとき、現在のゴルフショットに対してのゴルフベイ(又はティーエリア又は打撃位置)の幾何学的関係性を考慮に入れることができる。
【0048】
次いで、ゴルフショットの始点としてゴルフベイを識別するかどうか、いつ識別するかを決定する際に用いるために、軌道の観測の誤差並びにゴルフベイの位置の後ろに軌道を外挿する際の誤差に対処するために、計算された距離測度の確実性の測度を決定することができる。これは、図2Aに示すようにゴルフショットの外挿軌道が両方のベイの中心点から同様の距離で2つのベイと交わるときに、特にその場に2つ以上の追跡システムが存在し、別の追跡システムがすぐにより良好な結果を提供する可能性がある場合に、間違ったユーザにショットを表示するよりもショットをまったく表示しない方がよい場合があるため、特に重要であり得る。したがって、例えばゴルフベイと交わるポイントでの、外挿軌道の誤差の推定は、始点ゴルフベイの確実性レベルを推定するように計算することができ、システムは、その始点に関してあまりにも大きな不確実性が存在する場合、ゴルフショットをユーザに表示しないことを選択することができる。
【0049】
314で計算された距離測度に対して生成された誤差測度は、その距離測度を入力として使用する必要はないが、いくつかの実装では使用することができることに留意されたい。例えば、どのゴルフベイを可能な始点ベイとみなすかを決定するために第1の距離測度を計算することができ、その選択されたゴルフベイの誤差測度を生成する際に使用するために第2の距離測度を計算することができる。さらに、(1)最初の観測のうちの少なくとも1つと外挿軌道、及び(2)2つ以上の定義された物理位置のうちの1つ又は複数、の間の幾何学的関係性に基づいて1つ又は複数の誤差測度を計算することができる。
【0050】
外挿軌道の誤差は、追跡センサの様々な特性に依存するが、有益な推定を迅速に生成できる実行可能なシステムの構築を容易にするために、外挿軌道の誤差を以下の2つのタイプの誤差に減らすことができる:(1)観測されたボール位置に影響を与える系統誤差、及び(2)観測されたボール位置から決定される軌道の角度に影響を与える確率誤差。さらに、システムは、これらの2つのタイプの誤差を別々に推定することができる。316で、1つ又は複数のゴルフボールセンサによるゴルフボールの最初の観測のうちの少なくとも1つの系統誤差を推定することができ(例えば、コンピュータ150、200、250、420、490、500によって)、318で、1つ又は複数のゴルフボールセンサによるゴルフボールの最初の観測のうちの少なくとも1つに関連する確率誤差を推定することができる(例えば、コンピュータ150、200、250、420、490、500によって)。例えば、1つ又は複数のゴルフボールセンサは、ステレオカメラ(1つ又は複数のカメラ)を含み、系統誤差を推定することは、カメラの焦点距離とステレオカメラの視差に基づいて固有の校正誤差を推定し、ステレオカメラの校正された回転の推定誤差としてステレオカメラのステレオ校正誤差を推定することを含み得る。
【0051】
図3Bは、追跡機器の誤差及び/又は追跡システムの校正によって生じる系統誤差の例を示している。系統誤差は、センサ自体を校正するとき又はシステムがセットアップされるとき、例えば、センサのシステムが一緒に校正されるときの誤差によって生じる可能性がある。例えば、ステレオカメラセンサシステムの場合、系統誤差は、各カメラの固有の校正によって、また各ステレオシステムのステレオ校正によって生じる可能性がある。
【0052】
系統誤差は、一般に、何らかのオフセットをもたらし、2つの連続するセンサ読取値に同様の様態で影響を及ぼす。これは、1つの観測の誤差が前の観測の誤差とほぼ等しいことを意味する。したがって、図3Bに示すように、センサによって観測されたボールの実際の位置316BOと観測位置316SOとの間の誤差は、軌道の外挿された部分を含めて、一定のままである。したがって、この位置誤差は、ボールの観測されていない実際の位置316BEと外挿されたボール位置316SEとの間でゴルフベイ316GBまでずっと同じままである。さらに、系統誤差はゴルフボールの任意の観測316SOについて推定することができるが、必要なのは、ゴルフボールの最初の観測の誤差ベクトルeの推定であり、この誤差ベクトルeは誤差ベクトルebayに本質的に等しく、最初の(又はそれ以降の)ゴルフボール観測の系統誤差がゴルフベイで同様のサイズ及び方向の誤差を生じるため、これはゴルフベイ316GBでの系統位置誤差である、すなわち、この誤差は、ゴルフベイ316GBの後ろへの外挿とは無関係である。
【0053】
したがって、ゴルフボールの第1、第2、第3、第4、又はそれ以降の観測を使用して系統誤差の推定を計算し、誤差ベクトルを決定することができ、これは、ベイでのボールの位置の誤差ベクトルと同じであると考えることができる。次いで、この誤差ベクトルを隣接するゴルフベイの列に沿って指し示す方向ベクトル上に投影して、系統誤差がゴルフショットの始点ゴルフベイとしてのゴルフベイの選択にどのように影響するかを判断することができる。したがって、ゴルフベイと現在のゴルフショットとの幾何学的関係性が考慮に入れられる。
【0054】
この詳細な例をステレオカメラ追跡システムに関連してここで提供する。ステレオカメラシステムでは、位置誤差は、以下のソース誤差:(1)固有の校正の誤差、及び(2)ステレオ校正の誤差、の影響を受ける可能性があることに留意されたい。固有の校正の誤差は、ステレオカメラシステムに以下の影響があると理解することができる:(1)焦点距離の誤差、この誤差は、画像の主点でのゼロから、エッジに向かうにつれてより大きな誤差に直線的に増加する(画像の主点までの距離rに比例する誤差)、(2)歪み係数の誤差、この誤差は、画像の主点でのゼロからより大きな誤差への多項式的増大を呈する(r+rに比例する誤差)、及び(3)歪みモデルの誤差、この誤差は、画像の主点でのゼロから他の大きさの誤差に非直線的に増加及び/又は減少する(f(x,y)に比例する誤差)。誤差に影響を及ぼすこれらの因子に照らして、誤差モデルを単純化するために、第2及び第3の、これらの2つの因子(多項式的増加と非直線的増加/減少)は無視することができ、固有の校正の誤差は、画像の中央でゼロとなり、画像のエッジに向かうにつれて直線的に増加すると考えることができる。システムは、これらすべての誤差の排除を試みる歪みモデルを採用することができることに留意されたい。しかし、歪みモデル及び歪みを除去する試みは完全なものではないため、幾らかの残留誤差がシステムに残る可能性があり、この残留誤差の一部は、この残留誤差の他の部分よりも重要である。
【0055】
さらに、ステレオ校正の誤差は、ステレオカメラシステムに以下の影響があると理解することができる:(1)カメラの校正された回転の誤差、この誤差は、カメラからポイントまでの距離に回転の角度誤差をかけたものにほぼ等しい、及び(2)カメラの校正された位置の誤差、この誤差は、ポイントの位置誤差に直接変換される。この(2)は、非常に小さい可能性が高く、所与のステレオカメラの実装での位置誤差への影響はごくわずかであることに留意されたい。したがって、この(2)の影響は無視しても差し支えない。ゴルフショットのソースとしてゴルフベイを選択する際の影響について対処する必要があるのは、残留誤差のより重要な部分である。
【0056】
以下の詳細な例では、太字の変数はベクトルであり、「ハット」(^)記号は、長さ1の方向(単位)ベクトルを示し、|x|は、xの絶対値を示し、||a||は、aのベクトルノルムを示し、×は、2つのベクトル間の外積を示し、・は、2つのベクトル間のスカラー(ドット)積を示す。ゴルフボールの1つ又は複数の観測の系統誤差ベクトルeは、次式に従って計算することができる:
【数1】
(1)

式中、第1の項は、固有の校正誤差に対応し(視差によって生じる誤差は、有効なベースラインと直交することに留意されたい)、第2の項は、ステレオ校正誤差に対応し(回転の誤差のみが考慮され、このステレオ誤差は、有効なベースラインとほぼ同じ方向に沿っていることに留意されたい)、rは、カメラのベースラインと最初の観測ポイントとの距離であり、beffは、最初の観測ポイントに対する2つのカメラの有効なベースラインであり、fは、2つのカメラの(平均)焦点距離であり、erotは、ステレオ校正でのカメラの推定角度誤差であり(所与の設置で実験的に決定される)、
【数2】
は、y軸に沿った単位ベクトルを示し、ここで、
【数3】
(2)

であり、式中、α_hat_errは、画像の隅での固有の校正の推定角度誤差であり(所与の設置で実験的に決定される)、x、yは、ゴルフボール観測の画像座標であり、sは、カメラのセンササイズである。固有の校正誤差が観測の実際の位置に与える影響の取得において、その最大の影響は、2つのカメラ間の観測の視差の誤差を介して伝搬し、したがって、カメラのベースラインと観測ポイントとの間の距離の誤差が生じることであると考えることができる。視差と距離との関係性は次式によって与えられる:
【数4】
(3)

式中、Fは焦点距離fである。
【0057】
誤差ベクトルeがゴルフベイの推定エラーにどの程度影響を与えるかは、図3Cに示すように(打撃)方向と比較した誤差ベクトルeの方向によって決定される。図3Cでは、eは、ゴルフベイの選択に影響を与える誤差ベクトルebayの一部である。これは、次式に従って計算することができる:
【数5】
(4)

ここで、打撃方向は以下のように計算される:
【数6】
(5)

式中、pは、最初の観測位置であり、aは、ゴルフベイの位置である。したがって、この誤差がゴルフベイの選択に与える影響を取得するために、誤差ベクトルは、ゴルフショットの方向と直交するライン上に投影され、このラインは、ゴルフベイと最初の観測との間のベクトルによって定義することができる。打撃方向の他の推定も可能である。例えば、打撃方向は、システムの設置中に決定することができ、各ゴルフベイには、そのベイが物理的にどのように配向されているかに基づいて方向が与えられる。別の例として、打撃方向は、ベイごとに「メイン標的」を選択し、ベイからそのメイン標的へのベクトルを打撃方向として用いることで決定することができる。
【0058】
図3Dは、センサ読取値のノイズによって生じる確率誤差の例を示している。確率誤差は、ゴルフボールの追跡の誤差によって、例えば、様々な追跡動作に存在するノイズによって生じる可能性がある。例えば、ステレオカメラ追跡システムは、二次元(2D)追跡動作で小さなランダム誤差を有し、これは、ゴルフボールの観測の画像座標にピクセル誤差、ゴルフボールまでの推定深度(距離)e_dispに影響を及ぼす視差の誤差、及び/又はゴルフボールの推定方向の誤差e_dirを生じ得る。これにより、最初の観測ポイントと最後の観測ポイントとの間に角度誤差が生じ、物理モデルが僅かに間違った方向に後方外挿を実行することになる。
【0059】
したがって、確率誤差は、観測された軌道の様々な部分に異なる影響を及ぼし、ゴルフボールの各観測の誤差は、前の観測の誤差とは無関係である。図3Dの例に示すように、センサによって観測されたボールの実際の位置316BOと観測位置318SOとの間の誤差は、一定ではない。ゴルフボールの軌道を決定するために用いられる外挿アルゴリズムは、ゴルフボールに作用する物理的な力に基づいており、したがって、アルゴリズムは、タイムステップ間のゴルフボールの状態の変化の推定を試みる。これは、データポイント間の相対誤差に対してより敏感であることを意味する。したがって、このゴルフベイ316GBでのボールの観測されていない実際の位置316BEと外挿されたボール位置318SEとの間の位置誤差は、任意の所与の実際のボール位置316BOとその観測318SOとの間の位置誤差とは大きく異なる可能性がある。
【0060】
系統誤差と同様に、確率誤差の推定は、最初の(又はそれ以降の)観測ポイントで始めることができる。一般に、確率誤差は、軌道の任意のポイントで推定することができるが、多くの実装では、データの精度及び有用性はゴルフボールの最初の観測から離れるにつれて低下する可能性があるため、確率誤差の推定は軌道の最初のポイントで始まる。いずれにしても、この誤差がゴルフベイ316GBでの外挿位置の誤差にどのように影響するかを理解するために、外挿アルゴリズムはオフセット(位置誤差)よりも最初のポイント(又はそれ以降のポイント)の角度誤差の影響をより多く受けることから、この誤差は角度誤差に変換される。さらに、確率誤差は、この誤差が外挿距離とともに増大するゴルフベイ316GBの位置での誤差を生じるという意味で「角度」である。
【0061】
いくつかの実装では、この角度誤差は、以下の方法で推定される:ゴルフボールの最初の観測の誤差ベクトルeの大きさMを計算し、ゴルフボールが観測されている長さL(時間又は空間のいずれか)を決定し、或るポイントを超えての観測は外挿に役立たないことを考慮に入れるために非線形であり得るLの関数f(L)を構築し、次いで、辺がM、f(L)、及びf(L)の三角形の角度aを計算する。例えば、f(L)=xL/(y(time_of_last_observation-time_of_first_observation))、式中、x及びyは、実験的に決定される変数である。
【0062】
この角度aは、最初の(又はそれ以降の)観測ポイントの角度誤差である。次いで、この角度に、最初の(又はそれ以降の)観測ポイントとゴルフベイ316GBとの距離をかけて、この誤差がゴルフベイ316GBでの外挿位置に与える影響を取得する。この誤差の方向は、最初の(又はそれ以降の)観測位置でのゴルフボールの移動方向と直交すると考えることができる。したがって、この誤差ベクトルebayはまた、この誤差がゴルフベイの選択にどの程度影響を与えるかを判断するために、そのゴルフベイ316GBからの一般的な打撃方向と直交するベクトル上に投影される。したがって、ゴルフベイと現在のゴルフショットとの幾何学的関係性が考慮に入れられる。
【0063】
図3Dを参照すると、ゴルフボールの最初の観測の確率誤差ベクトルeは、次式に従って計算することができる:
【数7】
(6)

【数8】
(7)

【数9】
(8)

式中、rは、カメラのベースラインと最初の観測ポイントとの距離であり、beffは、最初に観測ポイントに対する2つのカメラの有効なベースラインであり、fは、2つのカメラの(平均)焦点距離であり、
【数10】
は、追跡の推定ピクセル誤差であり(所与の設置で実験的に決定される)、
【数11】
は、y軸に沿った単位ベクトルを示す。
【0064】
系統誤差に関しては、この誤差は、視差の式で位置誤差に変換され、この誤差はまた視差誤差によって生じるため、誤差の方向は同じである(式(7)参照)。さらに、ランダムピクセル誤差はまた、視差と直交する方向の位置誤差に影響を与える可能性がある。この場合、それは方向誤差であり、その誤差の大きさは、ベースラインからの距離に比例し、ピンホールカメラの式で計算することができる(式(8)参照)。
【0065】
すでに述べたように、この誤差の関心ある部分は、打撃方向と直交する部分である。これは、次式に従って計算することができる:
【数12】
(9)

さらに、上記のように、また図3Eに示すように、この誤差は、軌道が後方に外挿されるにつれて増大する。この誤差の増大を推定するために、角度βが計算され、ここで、角度βは、2つのベクトルの間:(1)ゴルフボールの第1の観測pと第2の観測pとの間、及び(2)第1の観測ベクトルと
【数13】
方向に沿って誤差
【数14】
が追加された第2の観測ベクトルとの間の角度として定義される:
【数15】
(10)

したがって、ゴルフベイ316GBの位置での確率誤差は、次式で与えられる:
【数16】
(11)
【0066】
確率誤差の推定は、ゴルフボールの最初の観測位置で正確に始める必要はなく、第2、第3、第4、又はそれ以降の観測位置で始めることができることに留意されたい。一般に、確率誤差の推定は、ゴルフボールの第1、第2、第3、第4、及びそれ以降の観測のうちの2つ以上を使用して(又は識別されたゴルフショットに現在関連付けられているすべての観測を使用して)計算することができる。言い換えれば、観測ポイントの数を考慮に入れることも可能である。その場合、角度βは、p及びpで計算されるのではなく、pとpの間で計算され、ここで、nは、利用可能な観測の数に依存する。さらに、誤差は、pではなくpに追加することもでき、pでの角度βを計算することができ、これは非常に類似した結果を提供する。したがって、2D追跡の誤差がこの誤差の唯一のソースであると考えられる場合、総ランダム視差誤差を推定することができる。
【0067】
角度βがベイでの確率誤差にどの程度影響を与えるかを推定する別の方法は、角度誤差βと外挿距離rがベイでの誤差にどの程度影響を与えるかを表す関数f(β,r)を構築することである。例えば、f(a)=sin(β)(r+zr)であり、ここで、zは角度誤差の二次因子である。成分sin(β)rは、外挿が誤差に及ぼし得る非線形効果の一部を取り込むものであり、zの値は実験的に決定される。外挿が角度誤差の影響をどの程度受けるかを概算する他の手法も可能である。しかし、関係性は線形ではない、すなわち、角度に距離をかけるだけでなく、(角度)誤差と外挿距離のより一般化された関数であることに留意されたい。
【0068】
他の変更も可能である。計算された誤差測度は、ゴルフベイから観測ポイントへの方向及びゴルフベイの幾何学的形状に応じて変化し得るゴルフベイの有効面積に基づいて調整することができる。例えば、ゴルフベイを表す幾何学的形状が長方形である場合、この形状を遠近法でみたとき、その長方形の有効幅は縮小する。これは、ゴルフショットの方向を長方形のベイの方向と比較し、それに応じて誤差をスケーリングすることで考慮に入れることができる:
【数17】
(12)

ここで、
【数18】
(13)

式中、ωは、ベイの方向角である。ゴルフベイ及び/又はその中のティー位置の幾何学的関係性及び/又はレイアウトに基づく他の調整も可能である。
【0069】
しかし、一般に、系統誤差と確率誤差(ベイ位置での同じ誤差と増大する誤差)の個別の処理は、特定のゴルフベイの幾何学的形状及び所与の実装で識別される特定の誤差のソースに関係なく、システムのパフォーマンスの向上をもたらす。異なるタイプのセンサ、例えばレーダセンサとステレオカメラセンサを使用するとき、実際の誤差を計算するための式は異なるが、異なるタイプの誤差がベイの選択にどのように影響するかは一般に同じである。例えば、FMCW(周波数変調連続波)レーダを使用すると、予想される誤差は、ステレオカメラペアの誤差と同様である。ボールに対する角度と範囲の系統誤差が予想される。さらに、角度及び範囲の確率誤差も予想される。これは、レーダによって測定された軌道内のすべてのデータポイントに当てはまる。したがって、同じ又は非常に類似した誤差の伝搬を使用して、レーダベースのシステムのベイ誤差を決定することができる。
【0070】
図3Aに戻ると、320で、(例えば、コンピュータ150、200、250、420、490、500によって)推定系統誤差と推定確率誤差を組み合わせて1つ又は複数の距離測度の1つ又は複数の誤差測度を生成することができる。例えば、推定系統誤差と推定確率誤差を合算することができる。他の組み合わせが可能である。2つの誤差の合算は、「ワーストケース」シナリオ、すなわち、両方の誤差が同じ方向の観測/測度に影響を与えるシナリオを推定する1つの方法である。これが当てはまらないことが示される場合、誤差を別の方法で組み合わせることができる。さらに、320で組み合わせることは、(1)最初の観測のうちの少なくとも1つと外挿軌道、及び(2)2つ以上の定義された物理位置のうちの1つ又は複数、並びに、ゴルフベイ及び/又はその中のティー位置の幾何学的形状及び/又はレイアウト間の幾何学的関係性を考慮に入れることができる。
【0071】
322で、1つ又は複数の誤差測度が事前定義された基準を満たすかどうかに関して(例えば、コンピュータ150、200、250、420、490、500によって)チェックが行われる。322で、1つ又は複数の誤差測度が事前定義された基準を満たさないとき、プロセスは、1つ又は複数のゴルフボールセンサによるゴルフボールのさらなる観測を待つことができる。したがって、プロセスは、ゴルフショットの新しい観測に基づいて三次元物理空間内のゴルフボールの三次元軌道を更新すること310に戻ることができる。例えば、同じ(又は別の冗長)システムが短い時間枠内でそのゴルフショットのより誤差が低いより新しいバージョンを提供する場合、第1のバージョンを安全に廃棄することができるので、合計誤差が特定の閾値よりも高い場合、識別されたゴルフショットはユーザにすぐに表示されない。図3Aは、系統誤差及び確率誤差はまた再計算316、318されることを示しているが、いくつかの実装では、所与の実装でこれらの誤差測度がどのように計算されるかの詳細に応じて、更新された軌道について系統誤差及び確率誤差の一方又は両方を再計算する必要はないことに留意されたい。
【0072】
例えば、前述のように、系統誤差は、以前に計算されたものと同じである可能性があるため、更新された軌道が系統誤差を変化させないとき、更新された計算は必要とされない。対照的に、確率誤差は新しいボール観測がセンサから受信される際に実質的に変化する可能性があるため、更新された軌道の第2の誤差推定及びそれ以降の誤差推定で誤差のこの部分を再計算318することができる。いくつかの実装では、観測された軌道の全長を誤差の式への入力として用いることができ、ゆえに、さらなる観測からの情報も用いられる。したがって、各再計算318は、軌道全体に関する情報を使用して、ゴルフベイでのボールのスタート位置の320で組み合わされた完全な誤差を計算することができる。
【0073】
さらに、322でチェックされる所定の基準は、単一の基準、例えば、単一の誤差閾値、又は2つ以上の基準であり得る。例えば、2つの各ゴルフベイの2つの誤差測度が決定され、これらの誤差測度の両方が誤差閾値を下回る場合、322で、2つの誤差測度を互いに比較して、より低い誤差測度に対応するゴルフベイをゴルフショットの始点として識別することができる。別の例として、マルチ検出器システムでは、他の検出システムがそのゴルフショットをピックアップしない一定の時間が経過した後に、ゴルフショットの第1の検出器は、ゴルフショットの始点ゴルフベイを識別するより良い機会を与えるべく、その追跡された軌道をより寛大な誤差閾値に対してテストすることができる。
【0074】
例えば、式(12)で計算された組み合わされた誤差を使用して、ステレオカメラゴルフボール追跡システムによって検出されたゴルフショットの第1のバージョンを0.15の閾値と比較することができ、一方、同じステレオカメラゴルフボール追跡システムによって検出されたゴルフショットの第2の及びそれ以降のバージョンは、0.25の閾値と比較することができる。別の例として、2つ以上のゴルフボール追跡システムのいずれかによって検出されたゴルフショットの第1のバージョンにのみ、より厳しい閾値(例えば、0.15)を適用することができ、ゴルフショットの後続のすべてのバージョン(2つ以上のゴルフボール追跡システムのいずれかによって検出される)は、より寛大な閾値(例えば、0.25)を適用することができる。322でこのような2レベルの基準を使用すると、ゴルフベイの選択の誤差が非常に低い場合にのみ、ゴルフショットの第1のバージョン(例えば、そのゴルフベイのプライマリシステムからではなく、そのゴルフベイの非プライマリシステムからの)を受け入れることができ、したがって、場合によっては、より一般的なケースでゴルフベイの選択を誤るリスクなしに、ゴルフベイの選択の待ち時間をさらに短縮することができる。
【0075】
図4Aは、三次元空間を通るゴルフボールの3D飛行追跡を実行するシステム400の例を示している。2つ以上のセンサ410がコンピュータシステム420と通信可能に結合(有線接続、無線接続、又はその両方)される。使用するセンサ410の数は、カバーする三次元空間のサイズによって変わるが、一般に、一組のセンサ410が、三次元空間全体(例えば、打ち放しのゴルフ練習場全体)をカバーするように設置される。さらに、センサ410の数は、空間のカバレッジの冗長性を提供するべく、例えば少なくとも2つのセンサ410が各ゴルフベイをカバーするように、増やすことができる。図4Aの例では、この説明を明確にするために、2つのセンサ410A、410Bのみが示されており、各センサ410は、3つのティアに配置されたすべてのゴルフベイ430をカバーする。
【0076】
図のように、ゴルフベイ430は、建物、例えば、図1の建物115内の3D空間である。これは3D構造であるため、ゴルフボール追跡システムでのゴルフベイ430を表す幾何学的形状も、建物の異なるフロアにある始点ゴルフベイを識別できるように三次元(幅及び高さを有する)であり得る。さらに、各センサ410(又はセンサ410A、410Bの組み合わせ)は、その視野内のすべてのゴルフボールを追跡し、ゴルフボールの飛行の物理モデル(コンピュータシステム420で動作する)は、視野外にある又は他の理由でセンサによって見落とされた軌道の部分を外挿するために使用される。単一のセンサ410Aは、2つの光学センサを有するが1つの信号を出力し得るステレオカメラの場合のように、複数のセンサコンポーネントを有することができることに留意されたい。加えて、複数のセンサ410A、410Bが、専用の処理ハードウェアを有するのではなく、コンピュータハードウェア420を共有するとき(図のように)でも、センサとコンピュータの組み合わせ410A、420及び410B、420は、ゴルフショットを独立して識別し、識別された各ゴルフショットを時間的に前方と後方の両方に外挿し、ゴルフショットの後方外挿に基づいて始点ゴルフベイを決定することを試みる、個別のセンサシステムであり得る。コンピュータ420又は別のコンピュータでも実行することができる、協働するプロセスで、これらの個別のセンサシステムからデータを取得し、どのゴルフベイを特定のゴルフショットの始点として識別するかに関する最終決定を行うことができる。
【0077】
外挿軌道を使用して、システムは、ゴルフボールの3D追跡を正しいゴルフベイにいる正しい人に表示することができるように、各ゴルフボールが打たれた物理位置を計算する。例えば、第1の個別のゴルフボールセンサシステム410A、420は、ゴルフショット412の最初の観測を識別し、ゴルフショット412を検出するが、ゴルフショット412をゴルフベイ430のいずれかで表示させるのに十分な信頼度が最初に識別された始点ベイにない(第1の誤差閾値が満たされない)ことがある。次いで、第2の個別のゴルフボールセンサシステム410B、420がゴルフショット412を検出する前に、第1の個別のゴルフボールセンサシステム410A、420によってゴルフショット412のさらなる観測が取得され得る。したがって、さらなる観測に基づいて3D軌道を更新すること、この更新された軌道を時間的に遡って外挿すること、更新された距離測度を計算すること、更新された誤差推定(例えば、現在観測された軌道全体を使用して確率誤差を更新すること)、及び推定系統誤差と推定確率誤差を組み合わせて更新された距離測度の更新された誤差測度を生成することはすべて、第2の個別のゴルフボールセンサシステム410B、420がゴルフショット412を検出する前に行われ得る。
【0078】
この更新後に、第1の個別のゴルフボールセンサシステム410A、420は、更新された誤差測度が事前定義された基準を満たす、例えば、第2の(最初のチェックに用いられたものよりも)より容易な誤差閾値が満たされるときに、ゴルフベイ432をゴルフショット412の始点として識別することができる。この場合、そのようなより容易な誤差閾値を使用することは、第2の個別のゴルフボールセンサシステム410B、420が実際にはゴルフショット412をまったく検出しない可能性があるので有利である。さらに、第1のシステム410A、420によって得られたゴルフショット412の後のバージョンが誤差測度を大幅に改善しない場合でも、これらの後のバージョンは、すべてのゴルフショットの始点ゴルフベイが確実に識別されるように、より寛大な閾値で再び考慮される。言い換えれば、特定の事前定義された時間内に利用可能なさらなる観測がない場合、最初の観測(及びさらなる観測)を処理し、別の(それほど厳しくない)事前定義された基準と比較することができる。いくつかの実装では、所定の時間にわたって2つよりも多い閾値が用いられる。
【0079】
いくつかの実装では、複数のシステムがゴルフボールを同時に追跡し、特定の間隔で新しいバージョンを送達する。検出されたゴルフショットの第1のバージョンにより厳しい閾値が用いられ、これは、第1の追跡システムがそのゴルフショットの第2のバージョンを送達する前に、第2の追跡システムがその第1のバージョンを送達する時間があることを意味する。システムからの第1のバージョンがより厳しい閾値をパスする場合にのみ、ゴルフショットのそのバージョンが始点ゴルフベイを決めるために用いられる。これにより、待ち時間を抑えることが容易になり、また、より良好なバージョンがすぐに提供される場合に、ベイの選択が誤ったショットバージョンに基づかないようにされる。
【0080】
例えば、第1のシステム410A、420は、ゴルフショット414の最初の観測を識別し、ゴルフショット414を検出するが、ゴルフショット414をゴルフベイ430のいずれかで表示させるのに十分な信頼度が最初に識別された始点ベイにない(第1の誤差閾値が満たされない)ことがある。次いで、第1のシステム410A、420がゴルフショット414の追跡を続けている間に、第2のシステム410B、420によってゴルフショット414のさらなる観測が取得され、同じゴルフショット414が第2のシステム410B、420で検出され得る。第2のシステム410B、420は、さらなる観測に基づいて三次元物理空間内のゴルフボールの個別の三次元軌道を決定し、個別のゴルフボールの三次元軌道を時間的に遡って外挿し、個別の外挿軌道とゴルフベイ434及びゴルフベイ436との間の個別の距離測度を計算し、個別の系統誤差及び個別の確率誤差を推定し、個別の推定系統誤差と個別の推定確率誤差を組み合わせて個別の距離測度の個別の誤差測度を生成し、第1の誤差閾値が満たされるときにゴルフベイ434及びゴルフベイ436のうちの1つをゴルフショット414の始点として識別することができる。
【0081】
したがって、第1のシステム410A、420が最初にゴルフショット414を検出し、その後、それほど厳しくない誤差閾値を使用してゴルフベイ434とゴルフベイ436のどちらかをゴルフショット414の始点として決定する間に、第2のシステム410B、420は、ゴルフショット414を検出し、ボールの軌道に対するその位置に起因してゴルフベイ434を始点ゴルフベイとして正確に識別することができる。また、これが行われている間、第2のシステム410B、420が最初にゴルフショット416を検出するが、ゴルフベイ434及びゴルフベイ436のうちの1つを始点として識別するのに十分な信頼度がなく、その後、第1のシステム410A、420もそのゴルフショット416を検出し、(ゴルフショット416の軌道、センサ410Aの位置、及びゴルフベイ434、436の位置間の幾何学的関係性に起因して)そのゴルフショット416のゴルフベイの選択に影響を与える誤差は少なく、ゆえに第1のシステム410A、420はゴルフベイ436をゴルフショット416の始点として迅速に識別することができる、という同時プロセスを行うことができることに留意されたい。
【0082】
図3Aに戻ると、322で、1つ又は複数の誤差測度が事前定義された基準を満たすとき、324で、2つ以上の定義された物理位置のうちの1つがゴルフボールの始点として識別される(例えば、コンピュータ150、200、250、420、490、500によって)。次いで、326で、識別された始点が、飛行中のゴルフボールのさらなる追跡を容易にするべく識別された始点を使用すること及び/又は、識別された始点位置に関連するディスプレイ装置上にゴルフボール追跡データを提示することなどによって(例えば、コンピュータ150、200、250、420、490、500によって)、さらなる処理のための入力として用いられる(例えば、コンピュータ150、200、250、420、490、500によって)。様々なタイプのディスプレイ装置を使用することができ、例えば、建物の様々なゴルフベイ内の異なる物理位置に配置することができる。
【0083】
さらに、建物、例えば図1の建物115の各ゴルフベイは、同じであり得る、又は、異なるタイプのゴルフベイのための異なるレベルの適応、並びに、異なる形状、サイズ、及びレイアウトが存在し得る。第1のレベルにあるゴルフベイは、ゴルフ練習場に直接アクセスすることができ、一方、より高いレベルにあるゴルフベイは、通常、誰かがベイの正面から誤って落ちた場合に怪我を防ぐために、建物から水平方向に延びる安全ネットを備える。加えて、各ゴルフベイは、1つ又は複数のティーオフ位置を含み得る。
【0084】
図4Bは、図4Aのシステムで使用することができる2つのゴルフベイ440A、440Bのレイアウトの例に関連して、ゴルフボールの3D飛行追跡を実行するシステムの例を示している。ゴルフベイ440A、440Bは、ゲーム中の食事及び会話を容易にするためにソファ及びテーブルなどの家具445を含み得る。理解されるように、家具445の多くのレイアウトが可能であり、ゴルフベイ440A、440Bの家具445及びレイアウトは、ゲームを一緒に又は別々にプレイするべくゴルフベイ440A、440Bを人々の1つ又は複数のグループに割り当てる際の融通性をもたらすように設計することができる。
【0085】
各ゴルフベイ440A、440Bは、2つのティーオフ位置を含み、各ティーオフ位置は、ティーエリア450と、ゴルフボールディスペンサ455を含む。各ゴルフボールディスペンサ455は、空気圧チューブシステムと直接接続することができ、したがって、ゴルフボールを人間の介入なしに標的から自動的に取り出し、プレーヤに送り返すことができる。代替的に、ゴルフボールは、建物、例えば、図1の建物115の中央の場所から収集し、ゴルフボールディスペンサ455のレセプタクルに手動で落とし込むことができる。
【0086】
2つのゴルフベイ440A、440Bは、電子ハブを共有することができ、これは、各ディスプレイ装置上に表示されるものを制御するコンピュータプロセッサを含み得る又はコンピュータプロセッサと通信可能に結合される(有線で、無線で、又はその両方で)ダム端末であり得るディスプレイ装置470などの、ゴルフベイごとの別個のディスプレイ装置をサポートする様々な電力線及びケーブルを含み得る。いくつかの実装では、共有の電子ハブは含まれておらず、ディスプレイ装置は、それぞれのゴルフベイ440A、440B、ゴルフベイ440A、440B内のそれぞれのティーエリア450又はディスペンサ455、及び/又はゴルフベイ440A、440B内のそれぞれの人のポータブル電子デバイス475、例えば、スマートフォン又はタブレットコンピュータなどに個別に関連付けられる。各ディスプレイ装置は、建物、例えば、図1の建物115の中央コンピュータシステムに接続し、それらのプレイするゲームのタイプ及び現在のプレーヤを選択することを含む、ゲームプレイの直接の制御をプレーヤに提供する、タッチスクリーンデバイス含み得る。
【0087】
いずれにしても、1人以上のプレーヤは、ティーエリア450に足を踏み入れ、ディスペンサ455からゴルフボールを入手し、次いで、ボールを打つことができる。ゴルフボールセンサシステム490は、図1からのゴルフボールセンサシステム140、150の一例であり、コンピュータ(例えば、データ処理装置250)とセンサ(例えば、データ処理装置250と一体化されたステレオカメラ254)の両方を含む。システム490は、4つのティーエリア450のうちの1つから打たれた後の飛行中のゴルフボール460を検出する。このゴルフボール460の最初の観測及びゴルフボール460の1つ又は複数のその後の観測から、システム490は三次元軌道464を決定する(図は、説明を明確にするために二次元のみを表すことに留意されたい)。次いで、三次元軌道464が時間的に遡って外挿されて、外挿軌道462が生成され、これはゴルフベイ440A内のティーエリア450Aとゴルフベイ440B内のティーエリア450Bとの両方と交わる。したがって、最初の観測から、どちらのゴルフベイ440A、440B及びどちらのティーエリア450A、450Bがゴルフショットの始点物理位置として識別されるべきかを容易に認識することはできない。
【0088】
したがって、システム490は、ティーエリア450A、450Bのどちらを潜在的な始点ティーエリアとみなすかを決定する必要がある。いくつかの実装では、システム490は、ティーエリア450A、450Bごとに1つ又は複数の誤差測度を生成し、それらを比較する。いくつかの実装では、隣接するティーエリア450A、450B(又はゴルフベイ)の誤差測度は非常に類似した値となるため、これらの隣接するティーエリア450A、450B(又はゴルフベイ)のどちらかの誤差測度がゴルフショットの始点を確認する時期を決定するのに非常に有用であるとしても、このような比較は有用ではない場合がある。したがって、いくつかの実装では、システム490は、1つ又は複数の計算された距離測度に基づいてティーエリア450A、450Bのうちの1つのみを選択し、現在の外挿軌道462に関連して選択されたティーエリアのみに対して1つ又は複数の誤差測度を生成する。例えば、システム490は、外挿軌道462とティーエリア450A、450Bを表す幾何学的形状との交点と、ティーエリア450A、450B内の事前定義されたポイントとの間の距離に基づいて、どちらのティーエリア450A、450Bをゴルフショットの潜在的な始点とみなすかを決めることができる。詳細な例を以下に提供するが、上で述べたように、様々な距離測度を様々な組み合わせで用いることができる。
【0089】
いくつかの実装では、システム490は、(1)外挿軌道462とティーエリア450A、450Bとの交点と、(2)ティーエリア450A、450Bの中間点又は中心点と、の間の距離DA、DBを比較する。システム490はまた、ゴルファーが互いのゴルフベイ又はティーエリアを通じてゴルフボールを打つことはないと考えられるので、ゴルフボールが前方に移動する際に外挿軌道462と交わる最後のゴルフベイ及び/又はティーエリアを距離測度として使用することができる。したがって、図4Bに示されている交点の例では、ティーエリア450Bが始点ティーエリアとして示され得る。
【0090】
さらに、システム490は、距離を測定するためにゴルフベイ又はティーエリア内の他の事前定義された(又はその場で定義された)位置を使用することができる。例えば、システム490は、(1)外挿軌道462とティーエリア450A、450Bとの交点と、(2)ティーエリア450A、450B内のそれぞれの打撃位置HA、HBとの間の距離を比較することができる。これらの打撃位置HA、HBは、プレーヤがゴルフするときにとる典型的なスタンスに関する情報に基づいて、又はティーアップシステムでのティー位置などのティーエリアの詳細によって、システムで事前定義することができる。これらの打撃位置HA、HBはまた、システムへの入力に基づいて決定することができる。例えば、ティーエリアに割り当てられている現在のゴルファーが左利きであることが分かっている場合、打撃位置をそれに応じて調整することができ、又は、ティーエリアからのカメラ画像がゴルフショットの前にボールが置かれている位置を示している場合、カメラ画像に基づいてそのティーエリアの打撃位置をその場で更新することができる。
【0091】
いくつかの実装では、システム490は、外挿軌道462がティーエリア450A、450Bの打撃位置HA、HBの事前定義された距離内にあるかどうかをチェックする。事前定義された距離内にある場合、ゴルフショットはそのティーに当たったとみなされる。外挿軌道が1つのティーにのみ当たる場合、このティーは、誤差測度の決定及び始点ティーとしての潜在的な識別のためにシステム490によって選択することができる。外挿軌道が事前定義された距離に基づいて1つよりも多いティーに当たる場合、システム490は、交わった最後のティーエリア、例えば、図4Bの例ではティー450Bを選択することができる。外挿軌道が事前定義された距離に基づいてティーに当たらない場合、システム490は同様に、交わった最後のティーエリアを選択することができる。このプロセスは、各ゴルフベイにティーエリアが1つしかないときなどに、ゴルフベイに同様に適用することができることに留意されたい。
【0092】
さらに、ティーエリア及び/又はゴルフベイの選択は、ゴルフショットに関する情報、例えば、ゴルフショットの統計、及び/又はゴルフコースの表現又は他の仮想ゲーム特徴を含み得る仮想ゴルフゲームでのゴルフショットのレンダリング又はアニメーションを示すべくディスプレイ装置を識別するために使用される。例えば、ゴルフショットのソースとしてティーエリア450Aが選択され、誤差測度が十分な程度の確実性を提供する場合、ゴルフショット情報は、ゴルフベイ440A又はティーエリア450Aに関連するディスプレイ装置470上に示される。別の例として、ゴルフショットのソースとしてティーエリア450Bが選択され、誤差測度が十分な程度の確実性を提供する場合、ゴルフショット情報は、ゴルフベイ440B又はティーエリア450B或いはゴルフベイ440B又はティーエリア450Bに関連する人に関連するディスプレイ装置475上に示すことができる。
【0093】
さらに、上で説明したように、同じゴルフボールセンサシステム490によって及び/又は同じゴルフベイ440A、440Bから打たれたゴルフボールを観測する他のゴルフボールセンサシステムによって、各ゴルフショットの複数のバージョンを生成することができる。図5Aは、飛行中に検出及び追跡されるゴルフボールの始点物理位置を特定するプロセスの別の例を示すフローチャートである。560で、(例えば、ゴルフベイ、ティーエリア、又は他の物理位置の)定義された物理位置を表す幾何学的形状内の打撃位置を決定することができる(例えば、コンピュータ150、200、250、420、490、500によって)。これらの打撃位置は、システム用に事前定義する又は動的に決定することができ、幾何学的形状は三次元形状であり得る。
【0094】
上で述べたように、打撃位置を動的に決定するために用いられるシステムへの入力は、現在のゴルファー又はティーエリアのカメラ画像に関する情報であり得る。さらに、いくつかの実装では、打撃位置を動的に決定するために用いられるシステムへの入力は、ゴルファーに関連するモバイルデバイスと、全地球航法衛星システム(GNSS)、例えば、全地球測位システム(GPS)、移動電話ネットワーク、又は他の無線ネットワーク、例えば、WiFiネットワークなどの通信システムを含む、電子ロケーションシステムからの入力であり得る。図5Bは、ゴルファーのパーソナルモバイルデバイスに関連してゴルフボールの3D飛行追跡を実行するシステムの例を示している。
【0095】
図5Bの例は、図4Aのシステムで使用できるという点で図4Bの例と同様であり、ゴルフボールセンサシステム500は、前述のゴルフボールセンサシステム490と同様である。領域510A、510Bは、ゴルフベイ又はティーエリア、又はゴルファーの単に考えられる領域、例えば、ティーラインに沿った指定領域であり得る。いずれにしても、領域510A、510Bは、総じてゴルフベイ510A、510Bと呼ぶことができ、外挿軌道とこれらの幾何学的形状との交差を容易に識別できるように、それらを表す幾何学的形状を有し得る。
【0096】
システム500は、ゴルフベイ510A、510Bのうちの1つから打たれた後の飛行中のゴルフボール540を検出する。このゴルフボール540の最初の観測及びゴルフボール540の1つ又は複数のその後の観測から、システム500は三次元軌道546を決定する(図は、説明を明確にするために二次元のみを表すことに留意されたい)。次いで、三次元軌道546が時間的に遡って外挿されて、外挿軌道542が生成され、これはゴルフベイ510A及びゴルフベイ510Bの両方と交わる。したがって、システム500は、領域510A、510Bのどちらを潜在的な始点領域とみなすかを決定する必要がある。
【0097】
この決定を支援するために、ゴルファーに関連する打撃位置530A、530Bを決定するべく、それぞれのゴルフベイ/領域510A、510Bにいるゴルファーに関連するモバイルデバイス520A、520Bからの信号を取得することができる。例えば、モバイルデバイス520A、520Bは、図5Bに示すように、三角測量又は他のデバイス位置特定サービスを可能にする無線ネットワークで通信するGPSデバイス、又はスマートフォン又はタブレットコンピュータであり得る。いくつかの実装では、打撃位置530A、530Bは、各ゴルファーによる1つ又は複数のテストショットでシステム500によって取得されたセンサデータと、ゴルファーに関連するそれぞれのモバイルデバイス520A、520Bからの位置データに基づいて、各ゴルファーについて設定される。次いで、これらの打撃位置530A、530Bを前述のように又は図5Aに関連して以下でさらに詳しく説明されるように用いることができる。モバイルデバイス520A、520Bはまた、ゴルフショットの始点が確認されるとゴルフショット情報が送信されるディスプレイ装置であり得ることに留意されたい。
【0098】
図5Aを再び参照すると、562で、1つ又は複数のゴルフショットバージョンが生成又は受信される(例えば、コンピュータ150、200、250、420、490、500によって)。例えば、いくつかの実装では、図4Aの各センサ410A、410Bは、ゴルフボールの飛行の物理モデルを使用してセンサデータを処理し、その視野外にある(又は他の理由でセンサによって見落とされた)軌道の部分を外挿し、誤差測度の評価を行う、専用のコンピュータハードウェアを有し、したがって、個別のセンサシステム410A、410Bを形成し、それらの結果を中央コンピュータシステム420にレポートすることができ、中央コンピュータシステム420は、これらの個別のセンサシステム410A、410Bから結果を取得し、どのゴルフベイ430を特定のゴルフショットの始点として識別するかに関する最終決定を行うことができる。したがって、中央コンピュータ420は、それぞれのゴルフボールセンサシステム410A、410Bからゴルフショットの異なるバージョン、並びに、同じゴルフボールセンサシステム410A、410Bからゴルフショットの1つよりも多いバージョンを受信することができる。
【0099】
いくつかの実装では、より大きなシステムでのゴルフボールセンサシステムがゴルフボールの追跡を開始するとすぐに、一定の間隔でそのゴルフショットのいくつかのバージョンを生成する。第1のバージョンは軌道の第1の部分を含み、第2のバージョンは、第1のバージョンからのすべての観測と、追加のより新しい観測を含む。いくつかの実装では、それ以降のバージョンは、第1のバージョンに割り当てられたゴルフベイを継承する。いくつかの実装では、割り当てられるゴルフベイは、ゴルフショットの新しいバージョンごとに再度決定される。いずれにしても、バーション生成プロセスは、システムがゴルファーに軌道を示し始めるまでの待ち時間を短縮することができる。
【0100】
564で、外挿軌道と2つ以上の定義された物理位置を表す幾何学的形状との交差(例えば、外挿軌道542と領域510A、510Bとの交差)が識別され(例えば、コンピュータ150、200、250、410、490、500によって)、564で、外挿軌道とそれぞれの幾何学的形状内の打撃位置(例えば、打撃位置530A、530B)との間の距離が決定される(例えば、コンピュータ150、200、250、410、490、500によって)。図5Bに示すようないくつかの実装では、場合によってはゴルフベイのフルセットの両端の周りの外挿軌道を除いて、一般に交差が見つかる。したがって、距離の計算は、交点と定義された打撃位置との間であり得る。外挿軌道と所与のゴルフベイとの交差が存在しない状況では、距離の計算は、打撃位置と交わる、外挿軌道に垂直なラインの長さであり得る。
【0101】
566で、打撃位置までの計算された距離を閾値と比較することができ、閾値は、所与の実装で実験的に設定することができ、例えば、40センチメートルである。打撃位置までのこれらの計算された距離のうちの1つだけが閾値をパスする(すなわち、閾値よりも小さい)場合、568で、系統誤差と確率誤差を推定するために打撃位置を含むゴルフベイが選択される(例えば、コンピュータ150、200、250、410、490、500によって)。打撃位置までのこれらの計算された距離の両方とも閾値をパスする場合、又は打撃位置までのこれらの計算された距離のいずれも閾値をパスしない場合、570で、系統誤差と確率誤差を推定するために(ゴルフボールの最初の観測方向に向かう)外挿軌道に沿って最後に交わったゴルフベイが選択される(例えば、コンピュータ150、200、250、410、490、500によって)。
【0102】
次いで、572で、1つ又は複数の誤差測度が計算される/更新される(例えば、コンピュータ150、200、250、410、490、500によって)。これは、図3Aに関連して前述した動作316、318、320を含み得る。574で、1つ又は複数の誤差測度が事前定義された基準を満たすかどうかについてチェックが行われる(例えば、コンピュータ150、200、250、420、490、500によって)。これは、図3Aに関連して322でのチェックについて前述した動作を含み得る。したがって、574で、1つ又は複数の誤差測度が事前定義された基準を満たさないとき、プロセスは、1つ又は複数のゴルフボールセンサによるゴルフボールのさらなる観測を待つことができ、したがって、562で生成される(例えば、コンピュータ150、200、250、410、490、500によって)及び562で受信される(例えば、コンピュータ150、250、420によって)ゴルフショットの1つ又は複数のバージョンの次のセットを待つことができる。
【0103】
例えば、中央コンピュータ420は、同じゴルフショットの異なる観点を有するそれぞれのゴルフボールセンサシステム410A、410Bから、ゴルフショットの異なるバージョンを受信することができる。受信されるゴルフショットの各バージョンは、外挿軌道とゴルフショットの始点ゴルフベイの信頼度(1つ又は複数の誤差測度)との両方を含み得る。したがって、各ゴルフボールセンサシステム410A、410Bは、それが見つけた各ゴルフボールショットトレースのすべてのパラメータの独自の独立した計算を行い、その独立した計算の結果を中央コンピュータ420に送ることができる。中央コンピュータ420は、軌道データを比較して、2つのゴルフボールセンサシステム410A、410Bが同じ飛行中のゴルフボールを観測しているかどうかを判定することができ、次いで、中央コンピュータ420は、2つのセンサシステム410A、410Bによって提供された受信した信頼度に従って、2つのセンサシステム410A、410Bからの軌道データの最良のセットを使用することができる。
【0104】
その後、このプロセスは、繰り返すことができ、上で述べたように、基準は574でのチェックのたびに変更することができる。さらに、574で、1つ又は複数の誤差測度が事前定義された基準を満たすとき、576で、選択されたゴルフベイがゴルフショットの始点として識別される(例えば、コンピュータ150、200、250、420、490、500によって)。次いで、上記で詳細に説明したように、識別された始点が、飛行中のゴルフボールのさらなる追跡を容易にするために識別された始点を用いること及び/又は識別された始点位置に関連するディスプレイ装置にゴルフショット情報を提示することなどによって、さらなる処理のための入力として用いられる(例えば、コンピュータ150、200、250、420、490、500によって)。
【0105】
本明細書に記載の主題及び関数演算の実施形態は、デジタル電子回路、又は本明細書で開示された構造及びそれらの構造的均等物を含むコンピュータソフトウェア、ファームウェア、又はハードウェア、又はその1つ又は複数の組み合わせで実装することができる。本明細書に記載の主題の実施形態は、データ処理装置による実行のために、又はデータ処理装置の動作を制御するために、コンピュータ可読媒体上でエンコードされるコンピュータプログラム命令の1つ又は複数のモジュールを使用して実装することができる。コンピュータ可読媒体は、コンピュータシステムのハードドライブ、又は小売り販路を通じて販売される光ディスク、又は組込みシステムなどの工業製品であり得る。コンピュータ可読媒体は、個別に入手され、後で、有線又は無線ネットワークを介するコンピュータプログラム命令の1つ又は複数のモジュールの配信などによって、コンピュータプログラム命令の1つ又は複数のモジュールでエンコードされ得る。コンピュータ可読媒体は、機械可読ストレージデバイス、機械可読ストレージ基板、メモリデバイス、又はその1つ又は複数の組み合わせであり得る。
【0106】
「データ処理装置」という用語は、例として、プログラム可能なプロセッサ、コンピュータ、又は複数のプロセッサ又はコンピュータを含む、データを処理するためのすべての装置、デバイス、及びマシンを包含する。装置は、ハードウェアに加えて、当該コンピュータプログラムの実行環境を作成するコード、例えば、プロセッサのファームウェア、プロトコルスタック、データベース管理システム、オペレーティングシステム、ランタイム環境、又はその1つ又は複数の組み合わせを構成するコードを含み得る。さらに、装置は、ウェブサービス、分散型コンピューティング、及びグリッドコンピューティングインフラストラクチャなどの様々なコンピューティングモデルインフラストラクチャを採用し得る。
【0107】
コンピュータプログラム(プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーション、スクリプト、又はコードとしても知られている)は、コンパイル又は解釈される言語、宣言型言語、又は手続き型言語を含む任意の適切な形式のプログラミング言語で書くことができ、独立型のプログラムとして、又はコンピューティング環境での使用に適したモジュール、コンポーネント、サブルーチン、又は他のユニットとして、任意の適切な形式で展開することができる。コンピュータプログラムは、必ずしもファイルシステムでのファイルに対応しない。プログラムは、他のプログラム又はデータを保持するファイルの一部(例えば、マークアップ言語文書に保存された1つ又は複数のスクリプト)、当該プログラム専用の単一のファイル、又は複数の連携したファイル(例えば、1つ又は複数のモジュール、サブプログラム、又はコードの一部を保存するファイル)に格納することができる。コンピュータプログラムは、1つのコンピュータで、又は1つの場所に配置されている又は複数の場所に分散され、通信ネットワークで相互接続されている複数のコンピュータで実行されるように展開することができる。
【0108】
本明細書に記載のプロセス及び論理フローは、入力データで演算し、出力を生成することで機能を果たすべく1つ又は複数のコンピュータプログラムを実行する1つ又は複数のプログラム可能プロセッサによって実施され得る。プロセス及び論理フローはまた、特殊用途向け論理回路、例えば、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)又はASIC(特定用途向け集積回路)によって、及びこれらとして実装され得る装置によって実施することができる。
【0109】
コンピュータプログラムの実行に適したプロセッサは、例として、汎用マイクロプロセッサと特殊用途マイクロプロセッサの両方を含む。一般に、プロセッサは、読出し専用メモリ又はランダムアクセスメモリ又はその両方から命令及びデータを受信する。コンピュータの本質的な要素は、命令を実行するためのプロセッサと、命令及びデータを記憶するための1つ又は複数のメモリデバイスである。一般に、コンピュータはまた、データを受信する又はデータを送信する又はその両方のために、データを記憶するための1つ又は複数の大容量記憶装置、例えば、磁気、光磁気ディスク、又は光ディスクを含むか又はそれに作動的に結合される。しかしながら、コンピュータは、そのようなデバイスを有する必要はない。さらに、コンピュータは、別のデバイス、例えば、ほんの数例を挙げると、モバイル電話、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、モバイルオーディオ又はビデオプレーヤ、ゲームコンソール、全地球測位システム(GPS)レシーバ、又はポータブルストレージデバイス(例えば、ユニバーサルシリアルバス(USB)フラッシュドライブ)に組み込むことができる。コンピュータプログラム命令及びデータを記憶するのに適したデバイスは、例として、半導体メモリデバイス、例えば、EPROM(消去可能でプログラム可能な読出し専用メモリ)、EEPROM(電気的に消去可能でプログラム可能な読出し専用メモリ)、及びフラッシュメモリデバイスを含むあらゆる形態の不揮発性メモリ、メディア、及びメモリデバイス;磁気ディスク、例えば、内蔵ハードディスク又はリムーバブルディスク;光磁気ディスク;CD-ROM及びDVD-ROMディスクを含む。プロセッサとメモリは、特殊用途向け論理回路によって補完する又はこれに組み込むことができる。
【0110】
ユーザとの相互作用を提供するために、本明細書に記載の主題の実施形態は、ユーザに情報を表示するためのディスプレイ装置、例えば、LCD(液晶ディスプレイ)、OLED(有機発光ダイオード)、又は他のモニタと、ユーザがコンピュータに入力を提供することができるキーボード及びポインティングデバイス、例えば、マウス又はトラックボールを有するコンピュータで実装することができる。ユーザとの相互作用を同様に提供するために他の種類のデバイスを使用することができ、例えば、ユーザに提供されるフィードバックは、任意の形式の感覚フィードバック、例えば、視覚フィードバック、聴覚フィードバック、又は触覚フィードバックとすることができ、ユーザからの入力は、音響入力、スピーチ入力、又は触覚入力を含む任意の形式で受信することができる。
【0111】
コンピューティングシステムは、クライアントとサーバを含み得る。クライアントとサーバは、一般に互いに遠隔にあり、通常は通信ネットワークを通じて相互作用する。クライアントとサーバの関係性は、互いにクライアントとサーバの関係性を有するそれぞれのコンピュータで実行されるコンピュータプログラムによって生じる。本明細書に記載の主題の実施形態は、例えばデータサーバとしてバックエンドコンポーネントを含む、又は例えばアプリケーションサーバとしてミドルウェアコンポーネントを含む、又は例えばユーザが本明細書に記載の主題の実装と相互作用することができるグラフィカルユーザインターフェース又はウェブブラウザを有するクライアントコンピュータとしてフロントエンドコンポーネントを含む、又は1つ又は複数のそのようなバックエンド、ミドルウェア、又はフロントエンドコンポーネントの任意の組み合わせを含むコンピューティングシステムで実装することができる。システムのコンポーネントは、デジタルデータ通信の任意の形式又は媒体、例えば、通信ネットワークで相互接続することができる。通信ネットワークの例としては、ローカルエリアネットワーク(「LAN」)及びワイドエリアネットワーク(「WAN」)、インターネットワーク(例えば、インターネット)、及びピア・ツー・ピア・ネットワーク(例えば、アドホック・ピア・ツー・ピア・ネットワーク)が挙げられる。
【0112】
本明細書は多くの実装の詳細を含むが、これらは、本発明の範囲又は特許請求され得るものの限定として解釈されるべきではなく、本発明の特定の実施形態に固有の特徴の説明として解釈されるべきである。別個の実施形態に関連して本明細書で説明される特定の特徴はまた、単一の実施形態で組み合わせて実装することができる。逆に、単一の実施形態に関連して説明される様々な特徴はまた、別個に又は任意の適切なサブコンビネーションで複数の実施形態で実装することができる。さらに、特徴は、特定の組み合わせで機能するものとして上記で説明され、最初はそのように特許請求されても、特許請求される組み合わせからの1つ又は複数の特徴は、場合によっては、組み合わせから切り離すことができ、特許請求される組み合わせは、サブコンビネーション又はサブコンビネーションのバリエーションに向けられ得る。したがって、他に明示的に述べられていない限り、又は当業者の知識が他のことを明瞭に示さない限り、前述の実施形態の特徴のいずれかを前述の実施形態の他の特徴のいずれかと組み合わせることができる。
【0113】
同様に、動作は特定の順序で図面に示されているが、これは、望ましい結果を達成するために、そのような動作が示された特定の順序又は連続した順序で実行されること又は図示されたすべての動作が実行される必要があると理解されるべきではない。或る状況では、マルチタスク及び/又は並列処理が有利な場合がある。さらに、前述の実施形態での様々なシステムコンポーネントの分離は、すべての実施形態でそのような分離が必要であると理解されるべきではなく、説明されたプログラムコンポーネント及びシステムは、一般に、単一のソフトウェア製品に統合するか、又は複数のソフトウェア製品にパッケージすることができることを理解されたい。
【0114】
したがって、本発明の特定の実施形態が説明されている。他の実施形態は、以下の請求項の範囲内及び/又は本出願の教示の範囲内にある。例えば、上記の説明は、ゴルフボールショットの追跡に焦点をあてているが、説明されたシステム及び技術は、野球又はスキート射撃並びにスポーツ以外の用途などの他のタイプのオブジェクト/発射体飛行追跡にも適用可能である。さらに、請求項に記載のアクションは、異なる順序で実行することができ、それでも望ましい結果を達成することができる。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図4A
図4B
図5A
図5B
【国際調査報告】