(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-17
(54)【発明の名称】反射型マイクロプリズム散乱素子ベースのバックライト、マルチビューディスプレイ、及び光除外ゾーンを提供する方法
(51)【国際特許分類】
F21S 2/00 20160101AFI20230310BHJP
G02F 1/13357 20060101ALI20230310BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20230310BHJP
【FI】
F21S2/00 435
G02F1/13357
F21Y115:10
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022544234
(86)(22)【出願日】2021-01-22
(85)【翻訳文提出日】2022-09-20
(86)【国際出願番号】 US2021014776
(87)【国際公開番号】W WO2021151009
(87)【国際公開日】2021-07-29
(32)【優先日】2020-01-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514274546
【氏名又は名称】レイア、インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】LEIA INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100093676
【氏名又は名称】小林 純子
(74)【代理人】
【識別番号】100126354
【氏名又は名称】藤田 尚
(72)【発明者】
【氏名】ファタル,デイヴィッド エー.
(72)【発明者】
【氏名】フークマン,トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ブコウスキー,コルトン
(72)【発明者】
【氏名】マ,ミン
【テーマコード(参考)】
2H391
3K244
【Fターム(参考)】
2H391AA15
2H391AB04
2H391AB08
2H391AD35
2H391AD37
2H391FA04
3K244AA02
3K244BA24
3K244BA48
3K244CA03
3K244DA01
3K244DA03
3K244DA05
3K244DA10
3K244EA02
3K244EA12
3K244ED03
3K244ED11
3K244ED14
(57)【要約】
反射型マイクロプリズム散乱素子ベースのバックライト、マルチビューディスプレイ、及び方法バックライト動作が、所定の光除外ゾーンを有する放射光を提供するように構成された反射型マイクロプリズム反射型散乱素子を含む。反射型マイクロプリズム散乱素子ベースのバックライトは、光を誘導するように構成されたライトガイドと、放射光として導波光を反射して外方に散乱させるように構成された傾斜型反射側壁を有する複数の反射型マイクロプリズム散乱素子と、を備える。反射型マイクロプリズム散乱素子の傾斜型反射側壁は、放射光の所定の光除外ゾーンを提供するように構成されている。マルチビューディスプレイは、反射型マイクロプリズムマルチビーム素子のアレイとして配置された反射型マイクロプリズム散乱素子を含む。マルチビューディスプレイはまた、指向性光ビームを変調して、所定の光除外ゾーン内を除いてマルチビュー画像を提供するためのライトバルブのアレイを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
反射型マイクロプリズム散乱素子ベースのバックライトであって、
所定のコリメーション係数を有する導波光として伝播方向に光を誘導するように構成されたライトガイドと、
前記ライトガイド全体にわたって分布する複数の反射型マイクロプリズム散乱素子であって、反射型マイクロプリズム散乱素子(複数)の各反射型マイクロプリズム散乱素子が、放射光として前記導波光の一部を反射して外方に散乱させるように構成された傾斜型反射側壁を備える、複数の反射型マイクロプリズム散乱素子と、を備え、
前記反射型マイクロプリズム散乱素子の前記傾斜型反射側壁が、前記放射光の放射パターンにおいて所定の光除外ゾーンを提供するように構成された傾斜角を有し、前記傾斜角が、前記導波光の前記伝播方向から外方に傾斜している、
反射型マイクロプリズム散乱素子ベースのバックライト。
【請求項2】
前記反射型マイクロプリズム散乱素子(複数)が、前記ライトガイドの表面上に配設されており、前記反射型マイクロプリズム散乱素子(複数)のうちのマイクロプリズム散乱素子が、前記ライトガイドの内部に延在する、請求項1に記載の反射型マイクロプリズム散乱素子ベース。
【請求項3】
前記反射型マイクロプリズム散乱素子(複数)が、前記ライトガイドの表面上に配設されており、前記反射型マイクロプリズム散乱素子(複数)のうちのマイクロプリズム散乱素子が、前記ライトガイドの表面から、前記ライトガイドの内部から離れるように突出している、請求項1に記載の反射型マイクロプリズム散乱素子ベース。
【請求項4】
前記反射型マイクロプリズム散乱素子の前記傾斜型反射側壁が、全内部反射に従って前記導波光の一部を反射して外方に散乱させるように構成されている、請求項1に記載の反射型マイクロプリズム散乱素子ベースのバックライト。
【請求項5】
前記反射型マイクロプリズム散乱素子の前記傾斜型反射側壁が、前記導波光の一部を反射して外方に散乱させるように構成された反射材料を含む、請求項1に記載の反射型マイクロプリズム散乱素子ベースのバックライト。
【請求項6】
前記傾斜型反射側壁の前記傾斜角が、前記ライトガイドの放射面の面法線に対して0度~約45度であり、所定の除外ゾーンが、90度~前記傾斜角である、請求項1に記載の反射型マイクロプリズム散乱素子ベースのバックライト。
【請求項7】
前記反射型マイクロプリズム散乱素子が、前記導波光伝播方向に対して直交し、かつ前記ライトガイドの表面の平面に対して平行である方向に、湾曲形状を有し、前記湾曲形状が、前記導波光伝播方向に対して直交する平面の散乱光の放射パターンを制御するように構成されている、請求項1に記載の反射型マイクロプリズム散乱素子ベースのバックライト。
【請求項8】
請求項1に記載の反射型マイクロプリズム散乱素子ベースのバックライトを備える電子ディスプレイであって、前記電子ディスプレイが、前記所定の光除外ゾーンの外側の前記電子ディスプレイの放射ゾーン内に画像を提供するために、前記放射光を変調するように構成されたライトバルブのアレイをさらに備える、電子ディスプレイ。
【請求項9】
前記反射型マイクロプリズム散乱素子ベースのバックライトの前記反射型マイクロプリズム散乱素子が、反射型マイクロプリズムマルチビーム素子のアレイとして配置されており、前記電子ディスプレイが、マルチビューディスプレイであり、反射型マイクロプリズムマルチビーム素子アレイの各反射型マイクロプリズムマルチビーム素子が、前記反射型マイクロプリズム散乱素子(複数)の前記反射型マイクロプリズム散乱素子のサブセットを含み、かつ前記マルチビューディスプレイのそれぞれのビュー方向に対応する方向を有する指向性光ビームを含む放射光として前記導波光の一部を反射して外方に散乱させるように構成されており、各反射型マイクロプリズムマルチビーム素子のサイズが、ライトバルブアレイのライトバルブのサイズの25パーセント~200パーセントである、請求項8に記載の電子ディスプレイ。
【請求項10】
マルチビューディスプレイであって、
導波光として光を伝播方向に誘導するように構成されたライトガイドと、
前記ライトガイド全体にわたって互いに離間した反射型マイクロプリズムマルチビーム素子のアレイであって、反射型マイクロプリズムマルチビーム素子アレイの反射型マイクロプリズムマルチビーム素子が、マルチビュー画像のそれぞれのビュー方向に対応する方向を有する指向性光ビームを含む放射光として前記導波光を反射して外方に散乱させるように構成された傾斜型反射側壁を有する複数の反射型マイクロプリズム散乱素子の反射型マイクロプリズム散乱素子のサブセットを含む、反射型マイクロプリズムマルチビーム素子のアレイと、
前記指向性光ビームを変調して前記マルチビュー画像を提供するように構成されたライトバルブのアレイと、を備え、
前記放射光が、前記傾斜型反射側壁の傾斜角の関数である所定の光除外ゾーンを有する、
マルチビューディスプレイ。
【請求項11】
前記反射型マイクロプリズムマルチビーム素子のサイズが、ライトバルブアレイのライトバルブのサイズの25パーセント~200パーセントである、請求項10に記載のマルチビューディスプレイ。
【請求項12】
前記導波光が、所定のコリメーション係数に従ってコリメートされ、前記放射光の放射パターンが、前記導波光の前記所定のコリメーション係数の関数である、請求項10に記載のマルチビューディスプレイ。
【請求項13】
前記反射型マイクロプリズムマルチビーム素子の反射型マイクロプリズム散乱素子が、前記ライトガイドの表面に配設されており、前記反射型マイクロプリズム散乱素子が、前記ライトガイドの内部に延在する、請求項10に記載のマルチビューディスプレイ。
【請求項14】
前記反射型マイクロプリズムマルチビーム素子の反射型マイクロプリズム散乱素子の前記傾斜型反射側壁が、全内部反射に従って前記導波光の一部を反射して外方に散乱させるように構成されている、請求項10に記載のマルチビューディスプレイ。
【請求項15】
傾斜型反射側壁の前記傾斜角が、前記導波光の前記伝播方向の方向における前記ライトガイドの放射面の面法線から外方に傾斜しており、前記傾斜角が、前記面法線に対して0度~約45度である、請求項10に記載のマルチビューディスプレイ。
【請求項16】
前記ライトバルブアレイのライトバルブが、前記マルチビューディスプレイのマルチビューピクセルを表すセットとして配置されており、前記ライトバルブが、前記マルチビューピクセルのサブピクセルを表し、前記反射型マイクロプリズムマルチビーム素子アレイの反射型マイクロプリズムマルチビーム素子が、前記マルチビューディスプレイの前記マルチビューピクセルと一対一に対応する、請求項10に記載のマルチビューディスプレイ。
【請求項17】
バックライト動作の方法であって、前記方法が、
非ゼロ伝播角度及び所定のコリメーション係数を有する導波光として、ライトガイドの長さに沿った伝播方向に光を誘導するステップと、
複数の反射型マイクロプリズム散乱素子を使用して前記導波光の一部を前記ライトガイドから外方に反射させるステップであって、それにより所定の光除外ゾーンを有する放射光を提供する、ステップと、を含み、
反射型マイクロプリズム散乱素子(複数)のうちの反射型マイクロプリズム散乱素子の傾斜型反射側壁が、前記導波光の前記伝播方向から外方に傾斜した傾斜角を有し、前記放射光の前記所定の光除外ゾーンが、前記傾斜型反射側壁の前記傾斜角によって決定される、
方法。
【請求項18】
前記傾斜型反射側壁が、全内部反射に従って光を反射して散乱させて、前記ライトガイドから外方に誘導された前記一部を反射し、前記放射光を提供する、請求項17に記載のバックライト動作の方法。
【請求項19】
前記傾斜型反射側壁の前記傾斜角が、前記ライトガイドの放射面の面法線に対して0度~約45度であり、所定の除外ゾーンが、90度~前記傾斜角である、請求項17に記載のバックライト動作の方法。
【請求項20】
前記方法が、画像を提供するためにライトバルブのアレイを使用して前記放射光を変調するステップをさらに含み、前記画像が、前記所定の除外ゾーン内では見えない、請求項17に記載のバックライト動作の方法。
【請求項21】
前記複数の反射型マイクロプリズム散乱素子が、反射型マイクロプリズムマルチビーム素子のアレイとして配置されており、反射型マイクロプリズムマルチビーム素子アレイの各反射型マイクロプリズムマルチビーム素子が、前記反射型マイクロプリズム散乱素子(複数)の反射型マイクロプリズム散乱素子のサブセットを含み、前記反射型マイクロプリズムマルチビーム素子アレイの反射型マイクロプリズムマルチビーム素子が、前記ライトガイド全体にわたって互いに離間して、マルチビュー画像のそれぞれのビュー方向に対応する方向を有する指向性光ビームを含む放射光として前記導波光を反射して外方に散乱させ、前記反射型マイクロプリズムマルチビーム素子のサイズが、前記ライトバルブアレイのライトバルブのサイズの25パーセント~200パーセントである、請求項20に記載のバックライト動作の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年1月22日に出願された米国仮特許出願第62/964,589号の優先権を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
連邦政府による資金提供を受けた研究又は開発に関する記載
該当なし
【背景技術】
【0003】
電子ディスプレイは、多種多様なデバイス及び製品のユーザに情報を伝達するためのほぼユビキタスな媒体である。最も一般的に採用されている電子ディスプレイには、陰極線管(CRT)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、液晶ディスプレイ(LCD)、エレクトロルミネセントディスプレイ(EL)、有機発光ダイオード(OLED)及びアクティブマトリクスOLED(AMOLED)ディスプレイ、電気泳動ディスプレイ(EP)、並びに電気機械又は電気流体光変調(例えば、デジタルマイクロミラーデバイス、エレクトロウェッティングディスプレイなど)を採用した様々なディスプレイが含まれる。一般に、電子ディスプレイは、アクティブディスプレイ(すなわち、光を放射するディスプレイ)又はパッシブディスプレイ(すなわち、別の供給源によって提供された光を変調するディスプレイ)のいずれかに分類され得る。アクティブディスプレイの例には、CRT、PDP、及びOLED/AMOLEDが含まれる。パッシブディスプレイの例には、LCD、及びEPディスプレイが含まれる。パッシブディスプレイは、本質的に低消費電力を含むがこれに限定されない、魅力的な性能特性を示すことが多いが、光を放射する能力がないことを考慮すると、多くの実用的な用途では幾分限られた用途であることが分かり得る。
【発明の概要】
【0004】
本明細書に記載の原理による例及び実施形態の様々な特徴は、添付の図面と併せて以下の詳細な説明を参照してより容易に理解され得、同様の参照番号は同様の構造要素を指定する。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】本明細書に記載の原理と一致する一実施形態による、一例におけるマルチビューディスプレイの斜視図である。
【0006】
【
図2】本明細書に記載の原理と一致する一実施形態による、一例におけるマルチビューディスプレイのビュー方向に対応する特定の主角度方向を有する光ビームの角度成分の図式表示である。
【0007】
【
図3A】本明細書に記載の原理と一致する一実施形態による、一例における反射型マイクロプリズム散乱素子ベースのバックライトの断面図である。
【0008】
【
図3B】本明細書に記載の原理と一致する一実施形態による、一例における反射型マイクロプリズム散乱素子ベースのバックライトの平面図である。
【0009】
【
図3C】本明細書に記載の原理と一致する一実施形態による、一例における反射型マイクロプリズム散乱素子ベースのバックライトの斜視図である。
【0010】
【
図3D】本明細書に記載の原理と一致する別の実施形態による、一例における反射型マイクロプリズム散乱素子ベースのバックライトの斜視図である。
【0011】
【
図4A】本明細書に記載の原理と一致する一実施形態による、一例における反射型マイクロプリズム散乱素子ベースのバックライトの一部の斜視図である。
【0012】
【
図4B】本明細書に記載の原理の別の実施形態による、一例における反射型マイクロプリズム散乱素子ベースのバックライトの一部の斜視図である。
【0013】
【
図4C】本明細書に記載の原理の別の実施形態による、一例における反射型マイクロプリズム散乱素子ベースのバックライトの一部の斜視図である。
【0014】
【
図4D】本明細書に記載の原理の別の実施形態による、一例における反射型マイクロプリズム散乱素子ベースのバックライトの一部の斜視図である。
【0015】
【
図5A】本明細書に記載の原理の一実施形態による、一例における反射型マイクロプリズム散乱素子ベースのバックライトの一部の斜視図である。
【0016】
【
図5B】本明細書に記載の原理の別の実施形態による、一例における反射型マイクロプリズム散乱素子ベースのバックライトの一部の斜視図である。
【0017】
【
図6A】本明細書に記載の原理と一致する一実施形態による、一例におけるマルチビューディスプレイの断面図である。
【0018】
【
図6B】本明細書に記載の原理と一致する一実施形態による、一例におけるマルチビューディスプレイの平面図である。
【0019】
【
図6C】本明細書に記載の原理と一致する一実施形態による、一例におけるマルチビューディスプレイの斜視図である。
【0020】
【
図7】本明細書に記載の原理と一致する一実施形態による、一例におけるバックライト動作の方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
特定の例及び実施形態は、上記の参照図面に示す特徴に加えて、又はその代わりに、他の特徴を有する。これらの及び他の特徴は、上記の参照図面を参照して以下に詳述される。
【0022】
本明細書に記載の原理による例及び実施形態は、所定の光除外ゾーンを有する放射パターンを有する放射光を提供するバックライトを提供する。バックライトは、様々な実施形態によれば、マルチビューディスプレイを含むディスプレイ内の照明源として使用され得る。特に、本明細書に記載の原理と一致する実施形態は、反射型マイクロプリズム散乱素子ベースのバックライトを提供し、反射型マイクロプリズム散乱素子ベースのバックライトは、放射光としてライトガイドから光を外方に散乱させるように構成された複数の反射型マイクロプリズム散乱素子又は反射型マイクロプリズム散乱素子のアレイを備える。放射光は、散乱によって所定の除外ゾーンから除外されつつ、放射ゾーン内に優先的に提供される。様々な実施形態によれば、反射型マイクロプリズム散乱素子(複数)の反射型マイクロプリズム散乱素子は、放射パターンを制御し、具体的には、放射光の所定の除外ゾーンを提供するための傾斜角を有する、傾斜型反射側壁を備える。本明細書に記載の反射型マイクロプリズム散乱素子ベースのバックライトを採用するディスプレイの用途には、携帯電話(例えば、スマートフォン)、時計、タブレットコンピュータ、モバイルコンピュータ(例えば、ラップトップコンピュータ)、パーソナルコンピュータ及びコンピュータモニタ、自動車ディスプレイコンソール、カメラディスプレイ、並びに様々な他のモバイル、並びに実質的に非移動性のディスプレイアプリケーション及びデバイスが含まれるが、これらに限定されない。
【0023】
本明細書では、「二次元ディスプレイ」すなわち「2Dディスプレイ」は、画像が見られる方向(すなわち、2Dディスプレイの事前定義された視野角又は範囲内)にかかわらず実質的に同じ画像のビューを提供するように構成されたディスプレイとして定義される。多くのスマートフォン及びコンピュータモニタに見られる従来の液晶ディスプレイ(LCD)は、2Dディスプレイの例である。対照的に、本明細書では、「マルチビューディスプレイ」は、異なるビュー方向で、又は異なるビュー方向からマルチビュー画像の異なるビューを提供するように構成された電子ディスプレイ又はディスプレイシステムとして定義される。特に、いくつかの実施形態によれば、異なるビューは、マルチビュー画像のシーン又はオブジェクトの異なる斜視図を表し得る。
【0024】
図1は、本明細書に記載の原理と一致する一実施形態による、一例におけるマルチビューディスプレイ10の斜視図を示している。
図1に示すように、マルチビューディスプレイ10は、見る対象であるマルチビュー画像を表示するためのスクリーン12を備える。スクリーン12は、例えば、電話(例えば、携帯電話、スマートフォンなど)、タブレットコンピュータ、ラップトップコンピュータ、デスクトップコンピュータのコンピュータモニタ、カメラディスプレイ、又は実質的に任意の他のデバイスの電子ディスプレイのディスプレイスクリーンであってもよい。マルチビューディスプレイ10は、スクリーン12に対して異なるビュー方向16にマルチビュー画像の異なるビュー14を提供する。ビュー方向16は、スクリーン12から様々な異なる主角度方向に延びる矢印として示してあり、異なるビュー14は、矢印(すなわち、ビュー方向16を描写している)の終端に網掛けの多角形ボックスとして示してあり、4つのビュー14及び4つのビュー方向16のみが示してあるが、全て例示を目的としてものであり、限定を目的としたものではない。
図1では異なるビュー14がスクリーンの上方にあるものとして示してあるが、マルチビュー画像がマルチビューディスプレイ10上に表示されたとき、ビュー14は実際にはスクリーン12上又はその近傍に現れることに留意されたい。スクリーン12の上方にビュー14を描写しているのは、単に説明を簡単にするためであり、特定のビュー14に対応するビュー方向16のそれぞれからマルチビューディスプレイ10を見ることを表す意図がある。2Dディスプレイは、マルチビューディスプレイ10によって提供されるマルチビュー画像の異なるビュー14とは対照的に、2Dディスプレイは一般に、表示された画像の単一のビュー(例えば、ビュー14と同様の1つのビュー)を提供するように構成されていることを除いて、マルチビューディスプレイ10と実質的に同様であり得る。
【0025】
マルチビューディスプレイのビュー方向に対応する方向を有するビュー方向、あるいは光ビームは、一般に、本明細書の定義では、角度成分{θ,φ}によって与えられる主角度方向又は単に「方向」を有する。角度成分θは、本明細書では光ビームの「仰角成分」又は「仰角」と呼ばれる。角度成分φは、光ビームの「方位角成分」又は「方位角」と呼ばれる。定義により、仰角θは、垂直面(例えば、マルチビューディスプレイスクリーンの平面に対して垂直における角度であるが、一方、方位角φは、水平面(例えば、マルチビューディスプレイスクリーンの平面に対して平行)における角度である。
【0026】
図2は、本明細書に記載の原理と一致する一実施形態による、一例におけるマルチビューディスプレイのビュー方向(例えば、
図1のビュー方向16)に対応する特定の主角度方向を有する光ビーム20の角度成分{θ,φ}の図式表示を示している。さらに、光ビーム20は、本明細書の定義では、特定の点から放射されるか又は発する。すなわち、定義により、光ビーム20は、マルチビューディスプレイ内の特定の原点に関連付けられた中心光線を有する。
図2は、光ビーム(又はビュー方向)の原点Oも示している。
【0027】
本明細書では、「マルチビュー画像」及び「マルチビューディスプレイ」という用語で使用される「マルチビュー」という用語は、異なる視点を表すか、又はビュー複数のビュー間の角度視差を含む、複数のビューとして定義される。さらに、本明細書では、用語「マルチビュー」は、3つ以上の異なるビュー(すなわち、最低限3つのビューであり、一般には4つ以上のビュー)を明確に含み得る。したがって、本明細書で採用される「マルチビューディスプレイ」は、シーン又は画像を表すために2つの異なるビューのみを含む立体ディスプレイとは明確に区別され得る。しかしながら、本明細書の定義では、マルチビュー画像及びマルチビューディスプレイは3つ以上のビューを含むが、マルチビュー画像は、マルチビューのビューのうちの2つのみを選択して一度に見ることによって(例えば、片目につき1つのビュー)、画像の立体ペアとして(例えば、マルチビューディスプレイ上で)見られる場合があることに留意されたい。
【0028】
「マルチビューピクセル」は、本明細書では、マルチビューディスプレイの同様の複数の異なるビューの各々の「ビュー」ピクセルを表すピクセルのセットとして定義される。特に、マルチビューピクセルは、マルチビュー画像の異なるビューの各々のビューピクセルに対応する、又はビューピクセルを表す、個々のピクセル又はピクセルのセットを有し得る。したがって、本明細書の定義では、「ビューピクセル」は、マルチビューディスプレイのマルチビューピクセル内のビューに対応するピクセル又はピクセルのセットである。いくつかの実施形態では、ビューピクセルは、1つ又はそれ以上のカラーサブピクセルを含み得る。さらに、マルチビューピクセルのビューピクセルは、本明細書の定義では、ビューピクセルの各々が異なるビューのうちの対応する1つのビューの所定のビュー方向に関連付けられているという点で、いわゆる「指向性ピクセル」である。さらに、様々な例及び実施形態によれば、マルチビューピクセルの異なるビューピクセルは、異なるビューの各々において同等又は少なくとも実質的に同様の位置又は座標を有し得る。例えば、第1のマルチビューピクセルは、マルチビュー画像の異なるビューの各々において{x1,y1}に位置する個々のビューピクセルを有し得、一方、第2のマルチビューピクセルは、異なるビューの各々において{x2,y2}に位置する個々のビューピクセルを有し得るなど、以下同様である。
【0029】
本明細書では、「ライトガイド」は、全内部反射を用いて構造内で光を誘導する構造として定義される。特に、ライトガイドは、ライトガイドの動作波長において実質的に透明なコアを含み得る。「ライトガイド」という用語は、一般に、ライトガイドの誘電体材料とそのライトガイドを取り囲む材料又は媒体との間の界面で光を誘導するために全内部反射を採用する誘電体光導波路を指す。定義により、全内部反射の条件は、ライトガイドの屈折率がライトガイド材料の表面に隣接する周囲媒体の屈折率よりも大きいことである。いくつかの実施形態では、ライトガイドは、全内部反射をさらに促進するために、前述の屈折率差に加えて、又はその代わりに、コーティングを含み得る。コーティングは、例えば、反射性コーティングであってもよい。ライトガイドは、プレート又はスラブガイド及びストリップガイドを含むがこれらに限定されない、いくつかのライトガイドのうちのいずれかであってもよい。
【0030】
さらに本明細書では、「プレートライトガイド」のようにライトガイドに適用される場合の「プレート」という用語は、「スラブ」ガイドと呼ばれることもある、区分的又は差別的に平坦な層又はシートとして定義される。特に、プレートライトガイドは、ライトガイドの上面及び底面(すなわち、対向する面)によって囲まれた2つの実質的に直交する方向に光を誘導するように構成されたライトガイドとして定義される。さらに、本明細書の定義では、ライトガイドの上面及び底面すなわち「ガイド」面は両方とも互いに分離されており、少なくとも差別的な意味において互いに実質的に平行であり得る。すなわち、プレートライトガイドのいかなる差別的かつ小さな区画内においても、上面及び底面は実質的に平行又は同一平面上にある。いくつかの実施形態では、プレートライトガイドは実質的に平坦(すなわち、平面に限定される)であり得、したがって、プレートライトガイドは平面状ライトガイドである。他の実施形態では、プレートライトガイドは、1つ又は2つの直交する次元で湾曲していてもよい。しかしながら、いかなる湾曲も、十分に大きい曲率半径を有しており、光を誘導するためにプレートライトガイド内で全内部反射が維持されることを確実にする。
【0031】
本明細書の定義では、「マルチビーム素子」は、複数の指向性光ビームを含む放射光を生成するバックライト又はディスプレイの構造又は素子である。いくつかの実施形態では、マルチビーム素子は、バックライトのライトガイドに光学的に結合されて、ライトガイド内で誘導された光の一部を結合又は外方に散乱させることによって複数の光ビームを提供し得る。他の実施形態では、マルチビーム素子は、指向性光ビームとして放射される光を発生させ得る(例えば、光源を備え得る)。さらに、マルチビーム素子によって生成された複数の指向性光ビームの指向性光ビームは、本明細書の定義では、互いに異なる主角度方向を有する。特に、定義により、複数のうちの指向性光ビームは、指向性光ビーム複数のうちの別の指向性光ビームとは異なる所定の主角度方向を有する。さらに、指向性光ビーム複数は、ライトフィールドを表し得る。例えば、指向性光ビーム複数は、実質的に円錐形の空間領域に限定されてもよく、又は光ビーム複数における指向性光ビームの異なる主角度方向を含む所定の角度広がりを有してもよい。よって、組み合わせた指向性光ビーム(すなわち、光ビーム複数)の所定の角度広がりは、ライトフィールドを表し得る。
【0032】
様々な実施形態によれば、複数の様々な指向性光ビームの異なる主角度方向は、マルチビーム素子のサイズ(例えば、長さ、幅、面積など)、及び向き又は回転を含むがこれらに限定されない、特性によって決定される。いくつかの実施形態では、マルチビーム素子は、本明細書の定義では、「拡張点光源」、すなわち、マルチビーム素子の範囲全体にわたって分布する複数の点光源と見なされ得る。さらに、マルチビーム素子によって生成された指向性光ビームは、本明細書の定義では、
図2に関して上述したように、角度成分{θ,φ}によって与えられる主角度方向を有する。
【0033】
本明細書では、「角度保持散乱機構」あるいは「角度保持散乱体」は、機構又は散乱体に入射する光の角度広がりを散乱光において実質的に保持するように光を散乱するように構成された、任意の機構又は散乱体として定義される。特に、定義により、角度保持散乱機構によって散乱された光の角度広がりσsは、入射光の角度広がりσの関数である(すなわち、σs=f(σ))。いくつかの実施形態では、散乱光の角度広がりσsは、入射光の角度広がり又はコリメーション係数σの一次関数である(例えば、σs=a・σであり、式中、aは整数である)。すなわち、角度保持散乱機構によって散乱された光の角度広がりσsは、入射光の角度広がり又はコリメーション係数σに実質的に比例し得る。例えば、散乱光の角度広がりσsは、入射光の角度広がりσと実質的に等しくてもよい(例えば、σs≒σである)。均一な回折格子(すなわち、実質的に均一又は一定の回折機構間隔又は格子ピッチを有する回折格子)は、角度保持散乱機構の一例である。対照的に、ランバート散乱体又はランバート反射体、及び一般的な拡散体(例えば、ランバート散乱を有するか、又は近似する)は、本明細書の定義では、角度保持散乱体ではない。
【0034】
本明細書では、「コリメータ」は、光をコリメートするように構成された実質的に任意の光学デバイス又は装置として定義される。様々な実施形態によれば、コリメータによって提供されるコリメーションの量は、実施形態ごとに所定の程度又は量で変動し得る。さらに、コリメータは、2つの直交する方向(例えば、垂直方向及び水平方向)の一方又は両方においてコリメーションを提供するように構成されてもよい。すなわち、いくつかの実施形態によれば、コリメータは、光コリメーションを提供する2つの直交する方向の一方又は両方の形状を含み得る。
【0035】
本明細書では、「コリメーション係数」は、光がコリメートされる程度として定義される。特に、コリメーション係数は、本明細書の定義では、コリメートされた光のビーム内の光線の角度広がりを定義する。例えば、コリメーション係数σは、コリメートされた光のビーム内の光線の大部分が特定の角度広がり(例えば、コリメートされた光ビームの中心又は主角度方向の周りに+/-σ度)内にあることを特定し得る。いくつかの例によれば、コリメートされた光ビームの光線は、角度に関してガウス分布を有してもよく、角度広がりは、コリメートされた光ビームのピーク強度の半分で決定される角度であってもよい。
【0036】
本明細書では、「光源」は、光の供給源(例えば、光を生成かつ放射するように構成された光学エミッタ)として定義される。例えば、光源は、起動又はオンにされると光を放射する光学エミッタ、例えば発光ダイオード(LED)を備えてもよい。特に、本明細書では、光源は、実質的に任意の光の供給源であるか、又は発光ダイオード(LED)、レーザ、有機発光ダイオード(OLED)、ポリマー発光ダイオード、プラズマベースの光学エミッタ、蛍光灯、白熱灯、及び事実上任意の他の光の供給源のうちの1つ又はそれ以上を含むがこれらに限定されない、実質的に任意の光学エミッタを備えてもよい。光源によって生成された光は、色を有し得るか(すなわち、特定の光の波長を含み得る)、又は波長範囲であり得る(例えば、白色光)。いくつかの実施形態では、光源は、複数の光学エミッタを備えてもよい。例えば、光源は、光学エミッタのうちの少なくとも1つが、セット又はグループの少なくとも1つの他の光学エミッタによって生成される光の色又は波長とは異なる色、あるいは波長を有する光を生成する、光学エミッタのセット又はグループを含んでもよい。異なる色は、例えば、原色(例えば、赤色、緑色、青色)を含み得る。
【0037】
本明細書で使用される場合、冠詞「a」は、特許技術におけるその通常の意味、すなわち「1つ又はそれ以上」を有することを意図している。例えば、「反射型マイクロプリズム散乱素子」は、1つ又はそれ以上の反射型マイクロプリズム散乱素子を意味し、よって、「反射型マイクロプリズム散乱素子」は、本明細書では「反射型マイクロプリズム散乱素子(複数可)」を意味する。また、本明細書における「上部」、「底部」、「上側」、「下側」、「上」、「下」、「前」、「後」、「第1」、「第2」、「左」、又は「右」への言及はいずれも、本明細書における限定を意図するものではない。本明細書では、「約」という用語は、値に適用される場合、一般に、その値を生成するために使用される機器の公差範囲内を意味するか、又は別段に明記しない限り、プラス若しくはマイナス10%、プラス若しくはマイナス5%、又はプラス若しくはマイナス1%を意味し得る。さらに、本明細書で使用される「実質的に」という用語は、大部分、又はほとんど全て、又は全て、又は約51%~約100%の範囲内の量を意味する。さらに、本明細書の例は、例示のみを意図しており、限定ではなく論考の目的で提示される。
【0038】
本明細書に記載の原理のいくつかの実施形態によれば、反射型マイクロプリズム散乱素子ベースのバックライトが提供される。
図3Aは、本明細書に記載の原理と一致する一実施形態による、一例における反射型マイクロプリズム散乱素子ベースのバックライト100の断面図を示している。
図3Bは、本明細書に記載の原理と一致する一実施形態による、一例における反射型マイクロプリズム散乱素子ベースのバックライト100の平面図を示している。
図3Cは、本明細書に記載の原理と一致する一実施形態による、一例における反射型マイクロプリズム散乱素子ベースのバックライト100の斜視図を示している。
図3Dは、本明細書に記載の原理と一致する別の実施形態による、一例における反射型マイクロプリズム散乱素子ベースのバックライト100の斜視図を示している。
【0039】
図3A~
図3Dに示す反射型マイクロプリズム散乱素子ベースのバックライト100は、所定の光除外ゾーンを有する放射パターンを有する放射光102を提供するように構成されている。特に、
図3Aに示すように、反射型マイクロプリズム散乱素子ベースのバックライト100は、放射ゾーンI内に放射光102を優先的に提供するが、放射光102は所定の光除外ゾーンII内には提供されない。その結果、反射型マイクロプリズム散乱素子ベースのバックライト100が、放射ゾーンIを表すか、又はそれを包含する角度範囲で見られる場合、放射光102は見えることとなり得る。あるいは、反射型マイクロプリズム散乱素子ベースのバックライト100が、所定の光除外ゾーンIIを表すか、又はそれを包含する角度の範囲内で見られたとき、放射光102は見えないこととなり得る。
【0040】
所定の光除外ゾーンIIは、例えば、反射型マイクロプリズム散乱素子ベースのバックライト100を照明源として組み込んだディスプレイのプライバシー表示を提供し得る。特に、いくつかの実施形態では、放射光102は、反射型マイクロプリズム散乱素子ベースのバックライト100によって又はそれを使用して照光されるディスプレイ上の情報の表示を容易にするように変調され得る。例えば、放射光102は、反射型マイクロプリズム散乱素子ベースのバックライト100の「放射面」から、ライトバルブのアレイ(例えば、以下に説明するライトバルブ230のアレイ)に向かって反射して散乱され得る。次いで、放射光102は、ライトバルブのアレイを使用して変調されて、ディスプレイによって又はディスプレイ上に表示される画像を提供し得る。しかしながら、反射型マイクロプリズム散乱素子ベースのバックライト100によって提供される所定の光除外ゾーンIIの結果として、画像表示は、放射ゾーンIにおいてのみ見える表示であり得る。したがって、反射型マイクロプリズム散乱素子ベースのバックライト100は、視聴者が所定の光除外ゾーンIIにおいて画像を見ることを妨げるプライバシー表示を提供する(すなわち、ディスプレイは、所定の光除外ゾーンIIで見ると、黒色又は「OFF」に見え得る)。
【0041】
いくつかの実施形態では(例えば、以下でマルチビューディスプレイに関して説明するように)、放射光102は、互いに異なる主角度方向を有する指向性光ビーム(例えば、ライトフィールドとして、又はライトフィールドを表す)を含み得る。さらに、これらの実施形態によれば、放射光102の指向性光ビームは、マルチビューディスプレイのそれぞれのビュー方向、あるいはマルチビューディスプレイによって表示されるマルチビュー画像の異なるビュー方向に対応する異なる方向に、反射型マイクロプリズム散乱素子ベースのバックライト100から離れるように導かれる。いくつかの実施形態では、放射光102の指向性光ビームは、ライトバルブのアレイによって変調されて、マルチビューコンテンツ、例えば、マルチビュー画像を有する情報の表示を容易にし得る。マルチビュー画像は、例えば、三次元(3D)コンテンツを表すか、又は含み得る。
【0042】
図3A~
図3Dに示すように、反射型マイクロプリズム散乱素子ベースのバックライト100は、ライトガイド110を備える。ライトガイド110は、導波光104として伝播方向103に光を誘導するように構成されている。さらに、様々な実施形態において、導波光104は、所定のコリメーション係数σを有するか、又はそれに従って誘導されてもよい。例えば、ライトガイド110は、光導波路として構成された誘電体材料を含み得る。誘電体材料は、誘電体光導波路を取り囲む媒体の第2の屈折率よりも大きい第1の屈折率を有し得る。屈折率の差は、ライトガイド110の1つ又はそれ以上の導波モードに従って導波光104の全内部反射を促進するように構成されてもよい。
【0043】
いくつかの実施形態では、ライトガイド110は、光学的に透明な誘電体材料の広がった実質的に平面状のシートを備える、スラブ又はプレート光導波路(すなわち、プレートライトガイド)であってもよい。誘電体材料の実質的に平面状のシートは、全内部反射を用いて導波光104を誘導するように構成されている。様々な例によれば、ライトガイド110の光学的に透明な材料は、様々なタイプのガラス(例えば、シリカガラス、アルカリアルミノケイ酸塩ガラス、ホウケイ酸塩ガラスなど)、及び実質的に光学的に透明なプラスチック又はポリマー(例えば、ポリ(メチルメタクリレート)すなわち「アクリルガラス」、ポリカーボネート、及びその他)のうちの1つ又はそれ以上を含むがこれらに限定されない、様々な誘電体材料のうちのいずれかを含むか、又はそれから構成され得る。いくつかの実施形態では、ライトガイド110は、ライトガイド110の表面(例えば、上面及び底面の一方又は両方)の少なくとも一部上にクラッド層(図示せず)をさらに含み得る。いくつかの例によれば、クラッド層は、全内部反射をさらに促進するために使用され得る。特に、クラッドは、ライトガイド材料の屈折率よりも大きい屈折率を有する材料を含んでもよい。
【0044】
さらに、いくつかの実施形態によれば、ライトガイド110は、ライトガイド110の第1の表面110’(例えば、「前」又は「上部」の表面又は側面)と第2の表面110’’(例えば、「後」又は「底面」の表面又は側面)との間の非ゼロ伝播角度での全内部反射に従って導波光104を誘導するように構成されている。特に、導波光104は、非ゼロ伝播角度でライトガイド110の第1の表面110’と第2の表面110’’との間で反射又は「跳ね返る」ことによって、導波光ビームとして伝播する。いくつかの実施形態では、導波光104は、異なる色の光を表す複数の導波光ビームを含み得る。異なる色の光は、異なる色固有の非ゼロ伝播角度のそれぞれでライトガイド110によって誘導され得る。説明を簡単にするために、非ゼロ伝播角度は
図3A~
図3Dには示していないことに留意されたい。しかしながら、伝播方向103を表す太い矢印は、
図3Aのライトガイド長に沿った導波光104の一般的な伝播方向を描写している。
【0045】
本明細書で定義されるように、「非ゼロ伝播角度」は、ライトガイド110の表面(例えば、第1の表面110’又は第2の表面110’’)に対する角度である。さらに、様々な実施形態によれば、非ゼロ伝播角度は、ゼロよりも大きく、かつライトガイド110内の全内部反射の臨界角よりも小さい。例えば、導波光104の非ゼロ伝播角度は、約10度(10°)~約50度(50°)、又は約20度(20°)~約40度(40°)、又は約25度(25°)~約35度(35°)であり得る。例えば、非ゼロ伝播角度は、約30(30°)度であり得る。他の例では、非ゼロ伝播角度は、約20°、又は約25°、又は約35°であり得る。さらに、特定の非ゼロ伝播角度がライトガイド110内の全内部反射の臨界角よりも小さくなるように選択される限り、特定の実装に対して特定の非ゼロ伝播角度が(例えば、任意に)選択されてもよい。
【0046】
ライトガイド110内の導波光104は、非ゼロ伝播角度(例えば、約30~35度)でライトガイド110内に導入又は導かれ得る。いくつかの実施形態では、構造、例えばこれらに限定されないが、レンズ、ミラー、又は同様の反射体(例えば、傾斜コリメート反射体)、回折格子、及びプリズム(図示せず)、並びにそれらの様々な組合せを採用して、光を導波光104としてライトガイド110内に導入してもよい。他の例では、光は、構造を使用せずに、又は実質的に使用せずに、ライトガイド110の入力端に直接導入されてもよい(すなわち、直接すなわち「突合せ」結合が採用され得る)。導波光104は、ライトガイド110内に導かれると、ライトガイド110に沿って、入力端から一般的に離れる伝播方向103に伝播するように構成されている。
【0047】
さらに、所定のコリメーション係数σを有する導波光104は、「コリメート光ビーム」又は「コリメートされた導波光」と呼ばれる場合がある。本明細書では、「コリメート光」又は「コリメート光ビーム」は、一般に、コリメーション係数σによって許容される場合を除いて、光ビームの光線が光ビーム(例えば、導波光ビーム)内で互いに実質的に平行である、光のビームとして定義される。さらに、コリメート光ビームから分散又は散乱された光線は、本明細書の定義では、コリメート光ビームの一部とは見なされない。
【0048】
図3A~
図3Dに示すように、反射型マイクロプリズム散乱素子ベースのバックライト100は、ライトガイド110全体にわたって分布する複数の反射型マイクロプリズム散乱素子120をさらに備える。いくつかの実施形態では、反射型マイクロプリズム散乱素子120は、例えば、
図3B~
図3Dに示すように、ライトガイド110全体にわたってランダム又は少なくとも実質的にランダムなパターンで分布していてもよい。他の実施形態では、反射型マイクロプリズム散乱素子(複数)の反射型マイクロプリズム散乱素子120は、一次元(1D)配置(図示せず)又は二次元(2D)配置(例えば、図示されているように)のいずれかで配置され得る。例えば(図示せず)、反射型マイクロプリズム散乱素子は、線形1Dアレイ(例えば、反射型マイクロプリズム散乱素子120の互い違いのラインを含む複数のライン)として配置されてもよい。別の例(図示せず)では、反射型マイクロプリズム散乱素子120は、2Dアレイ、例えばこれらに限定はされないが、長方形の2Dアレイ又は円形の2Dアレイとして配置されてもよい。いくつかの実施形態では、反射型マイクロプリズム散乱素子120は、ライトガイド110全体にわたって規則的又は一定の様式で分布しているが、他の実施形態では、分布はライトガイド110全体にわたって変動し得る。例えば、反射型マイクロプリズム散乱素子120の密度は、ライトガイド110全体にわたる距離に応じて増加し得る。
【0049】
様々な実施形態において、反射型マイクロプリズム散乱素子(複数)の反射型マイクロプリズム散乱素子120は、異なる断面プロファイルを有し得る。例えば、断面プロファイルは、様々な傾斜角及び様々な表面曲率の一方又は両方を有する様々な反射型散乱面を示して、反射型マイクロプリズム散乱素子120の放射パターンを制御し得る。特に、反射型マイクロプリズム散乱素子(複数)の反射型マイクロプリズム散乱素子120は各々、傾斜型反射側壁122を備える。傾斜型反射側壁122は、放射光102として導波光104の一部を反射して外方に散乱させるように構成されている。さらに、反射型マイクロプリズム散乱素子120の傾斜型反射側壁122は、導波光104の伝播方向103から外方に傾斜した傾斜角を有する。様々な実施形態によれば、傾斜型反射側壁122の傾斜角は、放射光102の放射パターンにおいて所定の光除外ゾーンIIを提供又は決定するように構成されている。すなわち、所定の光除外ゾーンIIの角度範囲は、傾斜角の関数であるか、又は傾斜角によって決定される。
【0050】
いくつかの実施形態では、傾斜型反射側壁122は、傾斜角を有する実質的に平坦又はファセット面であってもよい(例えば、
図3B~
図3Cに示すように)。他の実施形態では(例えば、
図3Dに示すように)、傾斜型反射側壁122は、湾曲を有する表面、すなわち湾曲面であってもよく、又はそれを含んでもよい。傾斜角は、これらの実施形態では、湾曲面に対する(例えば、湾曲面の中心における)接線の角度として定義されてもよい。あるいは、傾斜角は、例えば、湾曲面の中心点で測定された、湾曲面の平均斜度として定義されてもよい。いくつかの実施形態によれば、湾曲形状は、例えば、散乱光を発散又は集光することによって、散乱光の放射パターンを制御するように構成されてもよい。
【0051】
いくつかの実施形態では、反射型マイクロプリズム散乱素子(複数)のうちのマイクロプリズム散乱素子120は、ライトガイド110の内部に延在してもよい。他の実施形態では、反射型マイクロプリズム散乱素子(複数)のうちの反射型マイクロプリズム散乱素子120は、ライトガイドの表面から、ライトガイド110の内部から離れるように突出してもよい。さらに他の実施形態では、反射型マイクロプリズム散乱素子(複数)のうちの反射型マイクロプリズム散乱素子120は、ライトガイド面内に延在してもよく、ライトガイド面から突出してもよい。いくつかの実施形態では、傾斜角は、ライトガイド面に対して約10度(10°)~約50度(50°)、又は約25度(25°)~約45度(45°)であってもよい。
【0052】
図4Aは、本明細書に記載の原理の一実施形態による、一例における反射型マイクロプリズム散乱素子ベースのバックライト100の一部の斜視図を示している。
図4Aに示すように、反射型マイクロプリズム散乱素子ベースのバックライト100は、ライトガイド110を備え、反射型マイクロプリズム散乱素子120がライトガイド110の第2の表面110’’上に配設されている。
図4Aに示す反射型マイクロプリズム散乱素子120は、ライトガイド110の内部に延在する。導波光104は、反射型マイクロプリズム散乱素子120によって反射されて、放射ゾーンIと共に所定の除外ゾーンIIを有する放射光102として、ライトガイド110の放射面(第1の表面110’)から出射し得る。
【0053】
図4Bは、本明細書に記載の原理の別の実施形態による、一例における反射型マイクロプリズム散乱素子ベースのバックライト100の一部の斜視図を示している。
図4Aに示すように、
図4Bに示す反射型マイクロプリズム散乱素子ベースのバックライト100はまた、ライトガイド110を備え、反射型マイクロプリズム散乱素子120がライトガイド110の第2の表面110’’上に配設されている。しかしながら、
図4Bでは、図示の反射型マイクロプリズム散乱素子120は、ライトガイド面から、ライトガイド110の内部から離れるように突出している。図示のように、導波光104は、反射型マイクロプリズム散乱素子120によって反射されて、放射ゾーンIと共に所定の除外ゾーンIIを有する放射光102としてライトガイド110の放射面(第1の表面110’)から出射し得る。
【0054】
図4A~
図4Bでは、傾斜型反射側壁122は、図示のように、反射型ファセット又は実質的に平坦な表面を含む。
図4A及び
図4Bの各々の傾斜型反射側壁122は、上述したように、所定のコリメーション係数σを有する導波光104を反射するように構成されている。傾斜型反射側壁122は、限定ではなく例として、ライトガイド面に対して約35度(35°)の傾斜角を有し得る。いくつかの実施形態では、約35度の傾斜角は、ライトガイド面から測定した場合にも約35度(35°)である所定の除外ゾーンIIの角度範囲を提供し得る。
【0055】
上述し、
図3Dに示すように、例えば、反射型マイクロプリズム散乱素子(複数)のうちの反射型マイクロプリズム散乱素子120は、湾曲形状を有してもよい。様々な実施形態では、湾曲形状は、導波光伝播方向103に対して直交する方向にあってもよい。例えば、湾曲形状は、伝播方向103に対して直交する方向にあってもよく、またライトガイド110の表面に対して平行な平面にあってもよい。他の例では、湾曲形状は、ライトガイド110の表面に対して垂直な方向にあってもよい。いくつかの実施形態によれば、湾曲形状は、導波光伝播方向に対して直交する平面及び平行な平面の一方又は両方、例えば、y-z平面及びx-z平面の一方又は両方において、放射光102の放射パターンを制御するように構成され得る。例えば、y-z平面の放射パターンを制御することは、その平面で放射光102を発散又は集光させるのに役立つ場合がある。
【0056】
図4Cは、本明細書に記載の原理の一実施形態による、一例における反射型マイクロプリズム散乱素子ベースのバックライト100の一部の斜視図を示している。
図4Dは、本明細書に記載の原理の別の実施形態による、一例における反射型マイクロプリズム散乱素子ベースのバックライト100の一部の斜視図を示している。
図4Cは、
図4Aに示すものと同様に、ライトガイド110の内部に延在している反射型マイクロプリズム散乱素子120を示しており、一方、
図4Dは、
図4Bに示したように、ライトガイド面から、ライトガイド内部から離れるように突出している反射型マイクロプリズム散乱素子120を示している。しかしながら、
図4C及び
図4Dの各々において、反射型マイクロプリズム散乱素子120は、湾曲した傾斜型反射側壁122、すなわち、湾曲傾斜型反射側壁122を有する。特に、
図4C及び
図4Dの両方は、x-z平面、すなわち、伝播方向に対して平行な平面にある湾曲傾斜型反射側壁122の湾曲を示している。様々な実施形態によれば、x-z平面(すなわち、長さ方向)における湾曲傾斜型反射側壁122の湾曲は、放射ゾーンI内の放射光102の角度広がりを集中させるか又は広げることのいずれかによって放射光102の放射パターンを制御するように構成されてもよい。
【0057】
図5Aは、本明細書に記載の原理の一実施形態による、一例における反射型マイクロプリズム散乱素子ベースのバックライト100の一部の斜視図を示している。
図5Bは、本明細書に記載の原理の別の実施形態による、一例における反射型マイクロプリズム散乱素子ベースのバックライト100の一部の斜視図を示している。
図5A及び
図5Bの両方は、湾曲傾斜型反射側壁122を有する反射型マイクロプリズム散乱素子120を示している。
図5Aは、ライトガイド110の内部へと延在している反射型マイクロプリズム散乱素子120を示し、一方、
図5Bは、ライトガイド面から、ライトガイド内部から離れるように突出している反射型マイクロプリズム散乱素子120を示している。さらに、
図5A及び
図5Bの各々において、湾曲傾斜型反射側壁122は、y-z平面、すなわち、導波光伝播方向に対して垂直な平面において湾曲形状又は湾曲を有する。様々な実施形態によれば、湾曲傾斜型反射側壁122の図示された湾曲は、放射光102の角度広がりをy-z平面(すなわち、幅方向)に集中させるか又は広げるかのいずれかによって、放射光102の放射パターンを制御するように構成されてもよい。
【0058】
いくつかの実施形態(図示せず)では、反射型マイクロプリズム散乱素子(複数)のうちの反射型マイクロプリズム散乱素子120は、反射型マイクロプリズム散乱素子120の反射面に隣接してこれをコーティングする反射材料を含んでもよい。いくつかの実施形態では、反射材料の範囲は、反射性の島を形成するために、反射型マルチビーム素子120の範囲又は境界に限定され得るか、又は実質的に限定され得る。いくつかの実施形態では、例えば、
図4A、
図4C、及び
図5Aに示すように、例えば、反射型マイクロプリズム散乱素子120がライトガイド110の内部に延在する場合、反射材料は、反射型マイクロプリズム散乱素子120を埋め又は実質的に埋め得る。他の実施形態(図示せず)では、反射材料層は、反射型マイクロプリズム散乱素子120の反射面をコーティングするが、これを埋めない又は実質的に埋めないように構成されてもよい。
【0059】
様々な実施形態では、多数の反射材料、例えばこれらに限定はされないが、反射金属(例えば、アルミニウム、ニッケル、銀、金など)、及び様々な反射金属ポリマー(例えば、ポリマーアルミニウム)のうちのいずれかを反射材料として採用してもよい。反射材料は、例えば、スピンコーティング、蒸着、及びスパッタリングを含むがこれらに限定されない、様々な方法によって塗布され得る。いくつかの実施形態によれば、フォトリソグラフィ又は同様のリソグラフィ方法を採用して、堆積後の反射材料層の範囲を画定して、反射材料を反射型マイクロプリズム散乱素子120の範囲に限定し、反射性の島を形成してもよい。
【0060】
様々な実施形態によれば、光除外ゾーンIIは、傾斜型反射側壁122の傾斜角に対応する(例えば、ほぼ等しい)角度範囲を有する。すなわち、所定の光除外ゾーンIIの角度範囲は、傾斜角によって決定され、ライトガイド面に対して平行な平面から角度γまで延在する。所定の光除外ゾーンIIの角度γは、90度(90°)から傾斜型反射側壁122の傾斜角を引いたものに等しい。
【0061】
図3A~
図3Dに示す反射型マイクロプリズム散乱素子120の各々は、サイズ及び形状が類似しているが、いくつかの実施形態(図示せず)では、反射型マイクロプリズム散乱素子120は、ライトガイド面全体にわたって互いに異なっていてもよいことに留意されたい。例えば、反射型マイクロプリズム散乱素子120は、ライトガイド110全体にわたって、異なるサイズ、異なる断面プロファイル、さらには異なる向き(例えば、導波光伝播方向に対して回転している)のうちの1つ又はそれ以上を有してもよい。特に、いくつかの実施形態によれば、少なくとも2つの反射型マイクロプリズム散乱素子120は、放射光102内で互いに異なる反射性散乱プロファイルを有し得る。
【0062】
いくつかの実施形態によれば、反射型マイクロプリズム散乱素子120の傾斜型反射側壁122は、全内部反射(すなわち、傾斜型反射側壁122の両側の材料の屈折率の差に起因する)に従って導波光104の一部を反射して外方に散乱させるように構成されている。すなわち、傾斜型反射側壁122において臨界角未満の入射角を有する導波光104は、傾斜型反射側壁122によって反射されて、放射光102となる。
【0063】
様々な実施形態によれば、傾斜角は、導波光104の非ゼロ伝播角度と併せて選択されて、放射光102の目標角度及び所定の光除外ゾーンIIの角度範囲の一方又は両方を提供する。さらに、選択された傾斜角は、ライトガイド110の放射面(例えば、第1の表面110’)の方向であり、放射面とは反対側のライトガイド110の表面(例えば、第2の表面110’’)から離れる方向に光を優先的に散乱させるように構成されてもよい。すなわち、傾斜型反射側壁122は、いくつかの実施形態では、放射面から離れる方向に、導波光104の散乱をほとんど又は実質的に提供しない。
【0064】
いくつかの実施形態では(例えば、
図4A~
図4Dに示すように)、反射型マイクロプリズム散乱素子120の第2の側壁は、反射型マイクロプリズム散乱素子120の第1の側壁の傾斜角(例えば、傾斜型反射側壁122の傾斜角)と実質的に同様の傾斜角を有する。他の実施形態(図示せず)では、反射型マイクロプリズム散乱素子120の第2の側壁は、第1の側壁の傾斜角とは異なる傾斜角を有し得、第1の側壁は傾斜型反射側壁122である。
【0065】
再び
図3A~
図3Dを参照すると、反射型マイクロプリズム散乱素子ベースのバックライト100は、光源130をさらに備え得る。様々な実施形態によれば、光源130は、導波光104として誘導されるライトガイド110への光を提供するように構成されている。特に、光源130は、図示のように、ライトガイド110の入力縁部に隣接して位置決めされてもよい。いくつかの実施形態では、光源130は、ライトガイド110の入力縁部に沿って互いに離間した複数の光学エミッタを備えてもよい。
【0066】
様々な実施形態では、光源130は、1つ又はそれ以上の発光ダイオード(LED)又はレーザ(例えば、レーザダイオード)を含むがこれらに限定されない、実質的に任意の光の供給源(例えば、光学エミッタ)を含み得る。いくつかの実施形態では、光源130は、特定の色で示される狭帯域スペクトルを有する実質的な単色光を生成するように構成された光学エミッタを備えてもよい。特に、単色光の色は、特定の色空間又は色モデル(例えば、赤-緑-青(RGB)カラーモデル)の原色であってもよい。他の例では、光源130は、実質的な広帯域又は多色光を提供するように構成された実質的に広帯域の光源であってもよい。例えば、光源130は、白色光を提供し得る。いくつかの実施形態では、光源130は、異なる色の光を提供するように構成された複数の異なる光学エミッタを備え得る。異なる光学エミッタは、異なる色の光の各々に対応する導波光の異なる色固有の非ゼロ伝播角度を有する光を提供するように構成されてもよい。本明細書に記載の原理のいくつかの実施形態によれば、電子ディスプレイが提供される。特に、電子ディスプレイは、反射型マイクロプリズム散乱素子ベースのバックライト100、及びライトバルブのアレイを備え得る。これらの実施形態(図示せず)によれば、ライトバルブのアレイは、反射型マイクロプリズム散乱素子ベースのバックライト100によって提供される所定の光除外ゾーンIIを有する放射光102を変調するように構成されている。ライトバルブアレイを使用した放射光102の変調は、所定の光除外ゾーンIIの外側の放射ゾーンIに画像を提供し得る。すなわち、放射光102は、ライトバルブアレイを照光し、放射ゾーンI内の画像の表示及び見ることを可能にする。あるいは、所定の光除外ゾーンII内には実質的に何も表示されなくてもよい。したがって、電子ディスプレイは、所定の光除外ゾーンII内から見たときに「オフ」に見える場合がある。いくつかの実施形態では、反射型マイクロプリズム散乱素子ベースのバックライト100を含む電子ディスプレイは、放射ゾーンI内でのみ表示された画像を見ると同時に、所定の光除外ゾーンII内の画像を見ることを除外する能力が与えられる、「プライバシーディスプレイ」を表してもよい。
【0067】
いくつかの実施形態では、反射型マイクロプリズム散乱素子バックライトの反射型マイクロ散乱素子は、反射型マイクロプリズムマルチビーム素子のアレイとして配置され得る。そのように配置される場合、電子ディスプレイは、マルチビューディスプレイであり得る。特に、反射型マイクロプリズムマルチビーム素子アレイの各反射型マイクロプリズムマルチビーム素子は、反射型マイクロプリズム散乱素子(複数)の反射型マイクロプリズム散乱素子のサブセットを含み得る。様々な実施形態によれば、反射型マイクロプリズム散乱素子サブセットを含む反射型マイクロプリズムマルチビーム素子は、マルチビューディスプレイのそれぞれのビュー方向に対応する方向を有する指向性光ビームを含む放射光として、導波光の一部を反射して外方に散乱させるように構成されている。さらに、様々な実施形態によれば、指向性光ビームは、放射ゾーンに限定され、放射光の放射パターン内の所定の除外ゾーンから除外される。
【0068】
図6Aは、本明細書に記載の原理と一致する一実施形態による、一例におけるマルチビューディスプレイ200の断面図を示している。
図6Bは、本明細書に記載の原理と一致する一実施形態による、一例におけるマルチビューディスプレイ200の平面図を示している。
図6Cは、本明細書に記載の原理と一致する一実施形態による、一例におけるマルチビューディスプレイ200の斜視図を示している。
図6Cの斜視図は、本明細書での論考を容易にするためだけのために、部分的に切り取られて描写されている。
【0069】
図示のように、マルチビューディスプレイ200は、ライトガイド210を備える。いくつかの実施形態では、ライトガイド210は、上述の反射型マイクロプリズム散乱素子ベースのバックライト100のライトガイド110と実質的に同様であり得る。特に、ライトガイド210は、導波光204として伝播方向203に光を誘導するように構成されている。図示のように、導波光204は、ライトガイド210の第1の表面210’及び第2の表面210’’(すなわち、ガイド面)によって、それらの間に誘導される。
【0070】
図6A~
図6Cに示すマルチビューディスプレイ200は、ライトガイド210全体にわたって互いに離間した反射型マイクロプリズムマルチビーム素子220のアレイをさらに備える。様々な実施形態によれば、反射型マイクロプリズムマルチビーム素子アレイの反射型マイクロプリズムマルチビーム素子220は、複数の反射型マイクロプリズム散乱素子222の反射型マイクロプリズム散乱素子222のサブセットを含む。さらに、各反射型マイクロプリズム散乱素子222は、傾斜型反射側壁を備える。集合的に、反射型マイクロプリズムマルチビーム素子220内の反射型マイクロプリズム散乱素子222の傾斜型反射側壁は、マルチビューディスプレイ200によって表示されるマルチビュー画像のそれぞれのビュー方向に対応する方向を有する指向性光ビームを含む放射光202として、導波光204(又はその少なくとも一部)を反射して外方に散乱させるように構成されている。さらに、様々な実施形態によれば、放射光202は、傾斜型反射側壁の傾斜角の関数である所定の光除外ゾーンIIを有する。特に、反射性散乱は、反射型マイクロプリズムマルチビーム素子220の反射型マイクロプリズム散乱素子222の傾斜型反射側壁によって発生するように構成されているか、又は傾斜型反射側壁によって提供される。しかしながら、様々な実施形態によれば、放射光202は、優先的に、放射光202の放射ゾーンIに限定され、所定の光除外ゾーンIIから除外される。
図6A及び
図6Cは、放射光202の指向性光ビームを、放射ゾーンI内のライトガイド210の第1の表面210’(すなわち、放射面)から導かれる複数の分岐矢印として示している。
図6A及び
図6Cに示す放射ゾーンI及び所定の光除外ゾーンIIは、いくつかの実施形態によれば、
図3Aに示すそれぞれの放射ゾーンI及び所定の光除外ゾーンIIと実質的に同様であり得る。
【0071】
いくつかの実施形態では、反射型マイクロプリズムマルチビーム素子220の反射型マイクロプリズム散乱素子222は、上述の反射型マイクロプリズム散乱素子バックライト100の反射型マイクロプリズム散乱素子120と実質的に同様であり得る。よって、いくつかの実施形態では、ライトガイド210及び反射型マイクロプリズムマルチビーム素子220のアレイは、反射型マイクロプリズムマルチビーム素子のアレイとして配置された複数の反射型マイクロプリズム散乱素子120を有する反射型マイクロプリズム散乱素子ベースのバックライト100と基本的に同様であり得る。いくつかの実施形態では、反射型マイクロプリズムマルチビーム素子220の反射型マイクロプリズム散乱素子222の深さは、反射型マイクロプリズムマルチビーム素子220内の隣接する反射型マイクロプリズム散乱素子222の平均ピッチ(又は間隔)にほぼ等しくてもよい。
【0072】
図示のように、マルチビューディスプレイは、ライトバルブ230のアレイをさらに備える。ライトバルブ230のアレイは、指向性光ビームを変調してマルチビュー画像を提供するように構成されている。様々な実施形態では、液晶ライトバルブ、電気泳動ライトバルブ、及びエレクトロウェッティングに基づくライトバルブのうちの1つ又はそれ以上を含むがこれらに限定されない、異なるタイプのライトバルブがライトバルブアレイのライトバルブ230として採用され得る。
【0073】
様々な実施形態によれば、反射型マイクロプリズム散乱素子222のサブセットのサイズを内に含む反射型マイクロプリズムマルチビーム素子220の各々のサイズ(例えば、
図6Aの小文字「s」に示すように)は、マルチビューディスプレイ200のライトバルブ230のサイズ(例えば、
図6Aの大文字「S」によって示すように)に匹敵する。本明細書では、「サイズ」は、これらに限定はされないが、長さ、幅、又は面積を含むように様々な方法のうちのいずれかで定義され得る。例えば、ライトバルブ230のサイズはその長さであってもよく、反射型マイクロプリズムマルチビーム素子220に匹敵するサイズはまた、反射型マイクロプリズムマルチビーム素子220の長さであってもよい。別の例では、サイズは反射型マイクロプリズムマルチビーム素子220の面積がライトバルブ230の面積に匹敵し得るような面積を指してもよい。
【0074】
いくつかの実施形態では、各反射型マイクロプリズムマルチビーム素子220のサイズは、マルチビューディスプレイ200のライトバルブアレイ内のライトバルブ230のサイズの約25パーセント(25%)~約200パーセント(200%)である。他の例では、反射型マイクロプリズムマルチビーム素子のサイズは、ライトバルブサイズの約50パーセント(50%)よりも大きいか、又はライトバルブサイズの約60パーセント(60%)よりも大きいか、又はライトバルブサイズの約70パーセント(70%)よりも大きいか、又はライトバルブサイズの約75パーセント(75%)よりも大きいか、又はライトバルブサイズの約80パーセント(80%)よりも大きいか、又はライトバルブサイズの約85パーセント(85%)よりも大きいか、又はライトバルブサイズの約90パーセント(90%)よりも大きい。他の例では、反射型マイクロプリズムマルチビーム素子のサイズは、ライトバルブサイズの約180パーセント(180%)未満、又はライトバルブサイズの約160パーセント(160%)未満、又はライトバルブサイズの約140パーセント(140%)未満、又はライトバルブサイズの約120パーセント(120%)未満である。いくつかの実施形態によれば、反射型マイクロプリズムマルチビーム素子220及びライトバルブ230に匹敵するサイズは、マルチビューディスプレイのビュー間の暗いゾーンを低減するように、又はいくつかの実施形態では最小化するように選択され得る。さらに、反射型マイクロプリズムマルチビーム素子220及びライトバルブ230に匹敵するサイズは、マルチビューディスプレイのビュー(又はビューピクセル)間のオーバーラップを低減し、いくつかの実施形態では最小化するように選択され得る。
【0075】
図6A及び
図6Cに示すように、異なる主角度方向を有する放射光202の放射ゾーン内の指向性光ビームの異なるものが通過し、ライトバルブアレイ内のライトバルブ230の異なるものによって変調され得る。さらに、図示のように、ライトバルブ230のセットは、マルチビューピクセル206に対応してもよく、アレイのライトバルブ230は、マルチビューピクセル206、及びマルチビューディスプレイ200のサブピクセルに対応してもよい。特に、いくつかの実施形態では、ライトバルブアレイのライトバルブ230の異なるセットは、反射型マイクロプリズムマルチビーム素子220のうちの対応する1つによって又は反射型マイクロプリズムマルチビーム素子220のうちの対応する1つから提供される放射ゾーンI内の放射光202の指向性光ビームを受光かつ変調するように構成されており、すなわち、図示のように、各反射型マイクロプリズムマルチビーム素子に対してライトバルブ230の1つの固有のセットがある。
【0076】
いくつかの実施形態では、反射型マイクロプリズムマルチビーム素子220と対応するマルチビューピクセル206(すなわち、サブピクセルのセットと対応するライトバルブ230のセット)との間の関係は、一対一の関係すなわち対応であってもよい。すなわち、同数のマルチビューピクセル206及び反射型マイクロプリズムマルチビーム素子220が存在してもよい。
図6Bは、例として、ライトバルブ230の異なるセットを含む各マルチビューピクセル206が破線で取り囲まれて示してある、一対一の関係を明確に示している。他の実施形態(図示せず)では、マルチビューピクセル206の数及び反射型マイクロプリズムマルチビーム素子220の数は互いに異なっていてもよい。
【0077】
いくつかの実施形態では、複数の反射型マイクロプリズムマルチビーム素子220のペア間の素子間距離(例えば、中心間距離)は、例えば、ライトバルブセットによって表される、対応するマルチビューピクセル206のペア間のピクセル間距離(例えば、中心間距離)に等しくてもよい。例えば、
図6Aに示すように、第1の反射型マイクロプリズムマルチビーム素子220aと第2の反射型マイクロプリズムマルチビーム素子220bとの間の中心間距離は、第1のライトバルブセット230aと第2のライトバルブセット230bとの間の中心間距離に実質的に等しい。他の実施形態(図示せず)では、反射型マイクロプリズムマルチビーム素子220と対応するライトバルブセットとのペアの相対的な中心間距離は異なっていてもよく、例えば、反射型マイクロプリズムマルチビーム素子220は、マルチビューピクセル206を表すライトバルブセット間の間隔よりも大きいか又は小さい間隔の素子間間隔を有してもよい。
【0078】
さらに(例えば、
図6A及び
図6Cに示すように)、いくつかの実施形態によれば、各反射型マイクロプリズムマルチビーム素子220は、放射光202の指向性光ビームを1つのかつ唯一のマルチビューピクセル206に提供するように構成されてもよい。特に、反射型マイクロプリズムマルチビーム素子220の所与の1つについて、マルチビューディスプレイの異なるビューに対応する異なる主角度方向を有する指向性光ビームは、単一の対応するマルチビューピクセル206及びそのサブピクセル、すなわち、反射型マイクロプリズムマルチビーム素子220に対応するライトバルブ230の単一のセットに実質的に限定され得る。よって、各反射型マイクロプリズムマルチビーム素子220は、マルチビューディスプレイの異なるビューに対応する異なる主角度方向のセットを有する放射ゾーン内の放射光202の対応する指向性光ビームのセットを提供する(すなわち、指向性光ビームのセットは、異なるビュー方向の各々に対応する方向を有する光ビームを含む)。
【0079】
いくつかの実施形態では、放射ゾーン内のマルチビューディスプレイ200によって提供される、放射されかつ変調された光ビームは、マルチビューディスプレイ又はマルチビュー画像の同等物の複数の視野方向又はビューに優先的に導かれてもよい。非限定的な例では、マルチビュー画像は、対応する数のビュー方向を有する1×4(1×4)、1×8(1×8)、2×2(2×2)、4×8(4×8)、又は8×8(8×8)のビューを含み得る。1つの方向にはあるが別の方向にはない複数のビュー(例えば、1×4及び1×8のビュー)を含むマルチビューディスプレイ200は、これらの構成が、1つの方向(例えば、水平方向を水平視差とする)にはあるが、直交する方向(例えば、視差のない垂直方向)にはない異なるビュー又はシーン視差を表すビューを提供し得るという点で、「水平視差のみ」のマルチビューディスプレイと呼ばれ得る。2つの直交する方向に2つ以上のシーンを含むマルチビューディスプレイ200は、ビュー又はシーン視差が両方の直交する方向(例えば、水平視差及び垂直視差の両方)で変化し得るという点で、完全視差マルチビューディスプレイと呼ばれ得る。いくつかの実施形態では、マルチビューディスプレイ200は、三次元(3D)コンテンツ又は情報を有するマルチビューディスプレイを提供するように構成されている。マルチビューディスプレイ又はマルチビュー画像の異なるビューは、マルチビューディスプレイによって表示されているマルチビュー画像内の情報の「メガネなし」(例えば、自動立体視)表現を提供し得る。
【0080】
いくつかの実施形態では、マルチビューディスプレイ200のライトガイド210内の導波光204は、所定のコリメーション係数に従ってコリメートされ得る。いくつかの実施形態では、放射ゾーン内の放射光202の放射パターンは、導波光の所定のコリメーション係数の関数である。例えば、所定のコリメーション係数は、反射型マイクロプリズム散乱素子ベースのバックライト100に関して上述した所定のコリメーション係数σと実質的に同様であり得る。
【0081】
これらの実施形態のいくつか(例えば、
図6A~
図6Cに示すように)では、マルチビューディスプレイ200は、光源240をさらに備え得る。光源240は、非ゼロ伝播角度内で光をライトガイド210に提供するように構成されてもよく、いくつかの実施形態では、ライトガイド210内の導波光204の所定の角度広がりを提供するために、所定のコリメーション係数に従ってコリメートされる。いくつかの実施形態によれば、光源240は、反射型マイクロプリズム散乱素子ベースのバックライト100に関して上述した光源130と実質的に同様であり得る。
【0082】
本明細書に記載の原理のいくつかの実施形態によれば、バックライト動作の方法が提供される。
図7は、本明細書に記載の原理と一致する一実施形態による、一例におけるバックライト動作の方法300のフローチャートを示している。
図7に示すように、バックライト動作の方法300は、導波光としてライトガイドの長さに沿った伝播方向に光を誘導するステップ310を含む。いくつかの実施形態では、光は、非ゼロ伝播角度で誘導するステップ310において誘導され得る。また、導波光がコリメートされてもよい。特に、導波光は、所定のコリメーション係数に従ってコリメートされてもよい。いくつかの実施形態によれば、ライトガイドは、反射型マイクロプリズム散乱素子ベースのバックライト100に関して上述したライトガイド110と実質的に同様であり得る。特に、様々な実施形態によれば、光は、ライトガイド内の全内部反射に従って誘導されてもよい。同様に、所定のコリメーション係数及び非ゼロ伝播角度は、反射型マイクロプリズム散乱素子ベースのバックライト100のライトガイド110に関して上述した所定のコリメーション係数σ及び非ゼロ伝播角度と実質的に同様であってもよい。
【0083】
図7に示すように、バックライト動作の方法300は、複数の反射型マイクロプリズム散乱素子を使用して導波光の一部をライトガイドから外方に反射させるステップ320であって、それにより、所定の光除外ゾーンを有する放射光を提供する、ステップ320をさらに含む。様々な実施形態において、反射型マイクロプリズム散乱素子(複数)の反射型マイクロプリズム散乱素子の傾斜型反射側壁は、導波光の伝播方向から外方に傾斜した傾斜角を有し、放射光の所定の光除外ゾーンは、傾斜型反射側壁の傾斜角によって決定される。
【0084】
いくつかの実施形態では、反射型マイクロプリズム散乱素子は、上述の反射型マイクロプリズム散乱素子ベースのバックライト100の反射型マイクロプリズム散乱素子120と実質的に同様であり得る。特に、傾斜型反射側壁は、全内部反射に従って光を反射して散乱させて、ライトガイドから外方に誘導された光の一部を反射し、放射光を提供し得る。いくつかの実施形態では、反射型マイクロプリズム散乱素子(複数)のうちの反射型マイクロプリズム散乱素子は、ライトガイドの表面上、例えば、ライトガイドの放射面上又は放射面の反対側の表面上のいずれかに配設されてもよい。他の実施形態では、反射型マイクロプリズム散乱素子は、対向するライトガイド面の間に位置決めされ、かつ対向するライトガイド面から離間され得る。様々な実施形態によれば、放射光の放射パターンは、少なくとも部分的に、導波光の所定のコリメーション係数の関数であってもよい。
【0085】
いくつかの実施形態では、傾斜型反射側壁の傾斜角は、ライトガイドの放射面の面法線に対して0度(0°)~約45度(45°)であり、所定の除外ゾーンは、90度(90°)~傾斜角である。様々な実施形態によれば、傾斜角は、ライトガイドの放射面の方向に、かつ放射面とは反対側のライトガイドの表面から離れるように光を優先的に散乱させるために、導波光の非ゼロ伝播角度と併せて選択される。さらに、傾斜角は、所定の光除外ゾーンの角度範囲を決定するように選択される。
【0086】
いくつかの実施形態(図示せず)では、バックライト動作の方法は、光源を使用してライトガイドに光を提供するステップをさらに含む。提供された光の一方又は両方は、ライトガイド内で非ゼロ伝播角度を有し得、コリメーション係数に従ってライトガイド内でコリメートされて、ライトガイド内で導波光の所定の角度広がりを提供し得る。いくつかの実施形態では、光源は、上述の反射型マイクロプリズム散乱素子ベースのバックライト100の光源130と実質的に同様であり得る。
【0087】
いくつかの実施形態(例えば、
図7に示すように)では、バックライト動作の方法300は、ライトバルブを使用して反射型マイクロプリズム散乱素子によって反射して外方に散乱された放射光を変調するステップ330であって、それによって画像を提供する、ステップ330をさらに含む。様々な実施形態によれば、画像は、放射ゾーン内でのみ見ることができ、所定の除外ゾーン内では見ることができない。
【0088】
いくつかの実施形態では、複数の反射型マイクロプリズム散乱素子は、反射型マイクロプリズムマルチビーム素子のアレイとして配置され、反射型マイクロプリズムマルチビーム素子アレイの各反射型マイクロプリズムマルチビーム素子は、反射型マイクロプリズム散乱素子(複数)の反射型マイクロプリズム散乱素子のサブセットを含む。さらに、反射型マイクロプリズムマルチビーム素子アレイの反射型マイクロプリズムマルチビーム素子は、ライトガイド全体にわたって互いに離間して、マルチビュー画像のそれぞれのビュー方向に対応する方向を有する指向性光ビームを含む放射光として導波光を反射して外方に散乱させ得る。表示されたときのマルチビーム画像は、放射ゾーン内でのみ見ることができ、所定の光除外ゾーン内では見ることができない。いくつかの実施形態では、反射型マイクロプリズムマルチビーム素子のサイズは、ライトバルブアレイのライトバルブのサイズの25パーセント(25%)~200パーセント(200%)であってもよい。
【0089】
このように、反射型マイクロプリズム散乱素子ベースのバックライト、バックライト動作の方法、及び反射型マイクロプリズム散乱素子を採用して所定の光除外ゾーンを有する放射光を提供するマルチビューディスプレイの例及び実施形態を説明した。上述の例は、本明細書に記載の原理を表す多くの特定の例のいくつかの単なる例示であることを理解されたい。明らかに、当業者は、以下の特許請求の範囲によって定義される範囲から逸脱することなく、多数の他の構成を容易に考案することができる。
【符号の説明】
【0090】
10 マルチビューディスプレイ
12 スクリーン
14 ビュー
16 ビュー方向
20 光ビーム
100 反射型マイクロプリズム散乱素子ベースのバックライト
102 放射光
103 伝播方向
104 導波光
110 ライトガイド
110’ 第1の表面
110’’ 第2の表面
120 反射型マイクロプリズム散乱素子
122 傾斜型反射側壁
130 光源
200 マルチビューディスプレイ
202 放射光
203 伝播方向
204 導波光
206 マルチビューピクセル
210 ライトガイド
210’ 第1の表面
210’’ 第2の表面
220 反射型マイクロプリズムマルチビーム素子
220a 第1の反射型マイクロプリズムマルチビーム素子
220b 第2の反射型マイクロプリズムマルチビーム素子
222 反射型マイクロプリズム散乱素子
230 ライトバルブ
230a 第1のライトバルブセット
230b 第2のライトバルブセット
240 光源
300 方法
310 ステップ
320 ステップ
330 ステップ
I 放射ゾーン
II 所定の光除外ゾーン
θ 仰角
φ 方位角
O 原点
σ コリメーション係数
σs 散乱光の角度広がり
γ 角度
s サイズ
S サイズ
【手続補正書】
【提出日】2022-10-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
反射型マイクロプリズム散乱素子ベースのバックライトであって、
所定のコリメーション係数を有する導波光として伝播方向に光を誘導するように構成されたライトガイドと、
前記ライトガイド全体にわたって分布する複数の反射型マイクロプリズム散乱素子であって、反射型マイクロプリズム散乱素子(複数)の各反射型マイクロプリズム散乱素子が、放射光として前記導波光の一部を反射して外方に散乱させるように構成された傾斜型反射側壁を備える、複数の反射型マイクロプリズム散乱素子と、を備え、
前記反射型マイクロプリズム散乱素子の前記傾斜型反射側壁が、前記放射光の放射パターンにおいて所定の光除外ゾーンを提供するように構成された傾斜角を有し、前記傾斜角が、前記導波光の前記伝播方向から外方に傾斜している、
反射型マイクロプリズム散乱素子ベースのバックライト。
【請求項2】
前記反射型マイクロプリズム散乱素子(複数)が、前記ライトガイドの表面上に配設されており、前記反射型マイクロプリズム散乱素子(複数)のうちの
反射型マイクロプリズム散乱素子が、前記ライトガイドの内部に延在する、請求項1に記載の反射型マイクロプリズム散乱素子ベース。
【請求項3】
前記反射型マイクロプリズム散乱素子(複数)が、前記ライトガイドの表面上に配設されており、前記反射型マイクロプリズム散乱素子(複数)のうちの
反射型マイクロプリズム散乱素子が、前記ライトガイドの表面から、前記ライトガイドの内部から離れるように突出している、請求項1に記載の反射型マイクロプリズム散乱素子ベース。
【請求項4】
前記反射型マイクロプリズム散乱素子の前記傾斜型反射側壁が、全内部反射に従って前記導波光の一部を反射して外方に散乱させるように構成されている、請求項1に記載の反射型マイクロプリズム散乱素子ベースのバックライト。
【請求項5】
前記反射型マイクロプリズム散乱素子の前記傾斜型反射側壁が、前記導波光の一部を反射して外方に散乱させるように構成された反射材料を含む、請求項1に記載の反射型マイクロプリズム散乱素子ベースのバックライト。
【請求項6】
前記傾斜型反射側壁の前記傾斜角が、前記ライトガイドの放射面の面法線に対して0度~約45度であり、
前記所定の
光除外ゾーンが、90度~前記傾斜角である、請求項1に記載の反射型マイクロプリズム散乱素子ベースのバックライト。
【請求項7】
前記反射型マイクロプリズム散乱素子が、前記導波光伝播方向に対して直交し、かつ前記ライトガイドの表面の平面に対して平行である方向に、湾曲形状を有し、前記湾曲形状が、前記導波光伝播方向に対して直交する平面の散乱光の放射パターンを制御するように構成されている、請求項1に記載の反射型マイクロプリズム散乱素子ベースのバックライト。
【請求項8】
請求項1に記載の反射型マイクロプリズム散乱素子ベースのバックライトを備える電子ディスプレイであって、前記電子ディスプレイが、前記所定の光除外ゾーンの外側の前記電子ディスプレイの放射ゾーン内に画像を提供するために、前記放射光を変調するように構成されたライトバルブのアレイをさらに備える、電子ディスプレイ。
【請求項9】
前記反射型マイクロプリズム散乱素子ベースのバックライトの前記反射型マイクロプリズム散乱素子が、反射型マイクロプリズムマルチビーム素子のアレイとして配置されており、前記電子ディスプレイが、マルチビューディスプレイであり、反射型マイクロプリズムマルチビーム素子アレイの各反射型マイクロプリズムマルチビーム素子が、前記反射型マイクロプリズム散乱素子(複数)の前記反射型マイクロプリズム散乱素子のサブセットを含み、かつ前記マルチビューディスプレイのそれぞれのビュー方向に対応する方向を有する指向性光ビームを含む放射光として前記導波光の一部を反射して外方に散乱させるように構成されており、各反射型マイクロプリズムマルチビーム素子のサイズが、ライトバルブアレイのライトバルブのサイズの25パーセント~200パーセントである、請求項8に記載の電子ディスプレイ。
【請求項10】
マルチビューディスプレイであって、
導波光として光を伝播方向に誘導するように構成されたライトガイドと、
前記ライトガイド全体にわたって互いに離間した反射型マイクロプリズムマルチビーム素子のアレイであって、反射型マイクロプリズムマルチビーム素子アレイの反射型マイクロプリズムマルチビーム素子が、マルチビュー画像のそれぞれのビュー方向に対応する方向を有する指向性光ビームを含む放射光として前記導波光を反射して外方に散乱させるように構成された傾斜型反射側壁を有する複数の反射型マイクロプリズム散乱素子の反射型マイクロプリズム散乱素子のサブセットを含む、反射型マイクロプリズムマルチビーム素子のアレイと、
前記指向性光ビームを変調して前記マルチビュー画像を提供するように構成されたライトバルブのアレイと、を備え、
前記放射光が、前記傾斜型反射側壁の傾斜角の関数である所定の光除外ゾーンを有する、
マルチビューディスプレイ。
【請求項11】
前記反射型マイクロプリズムマルチビーム素子のサイズが、ライトバルブアレイのライトバルブのサイズの25パーセント~200パーセントである、請求項10に記載のマルチビューディスプレイ。
【請求項12】
前記導波光が、所定のコリメーション係数に従ってコリメートされ、前記放射光の放射パターンが、前記導波光の前記所定のコリメーション係数の関数である、請求項10に記載のマルチビューディスプレイ。
【請求項13】
前記反射型マイクロプリズムマルチビーム素子の反射型マイクロプリズム散乱素子が、前記ライトガイドの表面に配設されており、前記反射型マイクロプリズム散乱素子が、前記ライトガイドの内部に延在する、請求項10に記載のマルチビューディスプレイ。
【請求項14】
前記反射型マイクロプリズムマルチビーム素子の反射型マイクロプリズム散乱素子の前記傾斜型反射側壁が、全内部反射に従って前記導波光の一部を反射して外方に散乱させるように構成されている、請求項10に記載のマルチビューディスプレイ。
【請求項15】
傾斜型反射側壁の前記傾斜角が、前記導波光の前記伝播方向の方向における前記ライトガイドの放射面の面法線から外方に傾斜しており、前記傾斜角が、前記面法線に対して0度~約45度である、請求項10に記載のマルチビューディスプレイ。
【請求項16】
前記ライトバルブアレイのライトバルブが、前記マルチビューディスプレイのマルチビューピクセルを表すセットとして配置されており、前記ライトバルブが、前記マルチビューピクセルのサブピクセルを表し、前記反射型マイクロプリズムマルチビーム素子アレイの反射型マイクロプリズムマルチビーム素子が、前記マルチビューディスプレイの前記マルチビューピクセルと一対一に対応する、請求項10に記載のマルチビューディスプレイ。
【請求項17】
バックライト動作の方法であって、前記方法が、
非ゼロ伝播角度及び所定のコリメーション係数を有する導波光として、ライトガイドの長さに沿った伝播方向に光を誘導するステップと、
複数の反射型マイクロプリズム散乱素子を使用して前記導波光の一部を前記ライトガイドから外方に反射させるステップであって、それにより所定の光除外ゾーンを有する放射光を提供する、ステップと、を含み、
反射型マイクロプリズム散乱素子(複数)のうちの反射型マイクロプリズム散乱素子の傾斜型反射側壁が、前記導波光の前記伝播方向から外方に傾斜した傾斜角を有し、前記放射光の前記所定の光除外ゾーンが、前記傾斜型反射側壁の前記傾斜角によって決定される、
方法。
【請求項18】
前記傾斜型反射側壁が、全内部反射に従って光を反射して散乱させて、前記ライトガイドから外方
に前記
誘導光の一部を反射し、前記放射光を提供する、請求項17に記載のバックライト動作の方法。
【請求項19】
前記傾斜型反射側壁の前記傾斜角が、前記ライトガイドの放射面の面法線に対して0度~約45度であり、所定の
光除外ゾーンが、90度~前記傾斜角である、請求項17に記載のバックライト動作の方法。
【請求項20】
前記方法が、画像を提供するためにライトバルブのアレイを使用して前記放射光を変調するステップをさらに含み、前記画像が、前記所定の
光除外ゾーン内では見えない、請求項17に記載のバックライト動作の方法。
【請求項21】
前記複数の反射型マイクロプリズム散乱素子が、反射型マイクロプリズムマルチビーム素子のアレイとして配置されており、反射型マイクロプリズムマルチビーム素子アレイの各反射型マイクロプリズムマルチビーム素子が、前記反射型マイクロプリズム散乱素子(複数)の反射型マイクロプリズム散乱素子のサブセットを含み、前記反射型マイクロプリズムマルチビーム素子アレイの反射型マイクロプリズムマルチビーム素子が、前記ライトガイド全体にわたって互いに離間して、マルチビュー画像のそれぞれのビュー方向に対応する方向を有する指向性光ビームを含む放射光として前記導波光を反射して外方に散乱させ、前記反射型マイクロプリズムマルチビーム素子のサイズが、前記ライトバルブアレイのライトバルブのサイズの25パーセント~200パーセントである、請求項20に記載のバックライト動作の方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年1月22日に出願された米国仮特許出願第62/964,589号の優先権を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
連邦政府による資金提供を受けた研究又は開発に関する記載
該当なし
【背景技術】
【0003】
電子ディスプレイは、多種多様なデバイス及び製品のユーザに情報を伝達するためのほぼユビキタスな媒体である。最も一般的に採用されている電子ディスプレイには、陰極線管(CRT)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、液晶ディスプレイ(LCD)、エレクトロルミネセントディスプレイ(EL)、有機発光ダイオード(OLED)及びアクティブマトリクスOLED(AMOLED)ディスプレイ、電気泳動ディスプレイ(EP)、並びに電気機械又は電気流体光変調(例えば、デジタルマイクロミラーデバイス、エレクトロウェッティングディスプレイなど)を採用した様々なディスプレイが含まれる。一般に、電子ディスプレイは、アクティブディスプレイ(すなわち、光を放射するディスプレイ)又はパッシブディスプレイ(すなわち、別の供給源によって提供された光を変調するディスプレイ)のいずれかに分類され得る。アクティブディスプレイの例には、CRT、PDP、及びOLED/AMOLEDが含まれる。パッシブディスプレイの例には、LCD、及びEPディスプレイが含まれる。パッシブディスプレイは、本質的に低消費電力を含むがこれに限定されない、魅力的な性能特性を示すことが多いが、光を放射する能力がないことを考慮すると、多くの実用的な用途では幾分限られた用途であることが分かり得る。
【発明の概要】
【0004】
本明細書に記載の原理による例及び実施形態の様々な特徴は、添付の図面と併せて以下の詳細な説明を参照してより容易に理解され得、同様の参照番号は同様の構造要素を指定する。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】本明細書に記載の原理と一致する一実施形態による、一例におけるマルチビューディスプレイの斜視図である。
【0006】
【
図2】本明細書に記載の原理と一致する一実施形態による、一例におけるマルチビューディスプレイのビュー方向に対応する特定の主角度方向を有する光ビームの角度成分の図式表示である。
【0007】
【
図3A】本明細書に記載の原理と一致する一実施形態による、一例における反射型マイクロプリズム散乱素子ベースのバックライトの断面図である。
【0008】
【
図3B】本明細書に記載の原理と一致する一実施形態による、一例における反射型マイクロプリズム散乱素子ベースのバックライトの平面図である。
【0009】
【
図3C】本明細書に記載の原理と一致する一実施形態による、一例における反射型マイクロプリズム散乱素子ベースのバックライトの斜視図である。
【0010】
【
図3D】本明細書に記載の原理と一致する別の実施形態による、一例における反射型マイクロプリズム散乱素子ベースのバックライトの斜視図である。
【0011】
【
図4A】本明細書に記載の原理と一致する一実施形態による、一例における反射型マイクロプリズム散乱素子ベースのバックライトの一部の斜視図である。
【0012】
【
図4B】本明細書に記載の原理の別の実施形態による、一例における反射型マイクロプリズム散乱素子ベースのバックライトの一部の斜視図である。
【0013】
【
図4C】本明細書に記載の原理の別の実施形態による、一例における反射型マイクロプリズム散乱素子ベースのバックライトの一部の斜視図である。
【0014】
【
図4D】本明細書に記載の原理の別の実施形態による、一例における反射型マイクロプリズム散乱素子ベースのバックライトの一部の斜視図である。
【0015】
【
図5A】本明細書に記載の原理の一実施形態による、一例における反射型マイクロプリズム散乱素子ベースのバックライトの一部の斜視図である。
【0016】
【
図5B】本明細書に記載の原理の別の実施形態による、一例における反射型マイクロプリズム散乱素子ベースのバックライトの一部の斜視図である。
【0017】
【
図6A】本明細書に記載の原理と一致する一実施形態による、一例におけるマルチビューディスプレイの断面図である。
【0018】
【
図6B】本明細書に記載の原理と一致する一実施形態による、一例におけるマルチビューディスプレイの平面図である。
【0019】
【
図6C】本明細書に記載の原理と一致する一実施形態による、一例におけるマルチビューディスプレイの斜視図である。
【0020】
【
図7】本明細書に記載の原理と一致する一実施形態による、一例におけるバックライト動作の方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
特定の例及び実施形態は、上記の参照図面に示す特徴に加えて、又はその代わりに、他の特徴を有する。これらの及び他の特徴は、上記の参照図面を参照して以下に詳述される。
本開示は、以下の[1]から[21]を提供する。
[1]反射型マイクロプリズム散乱素子ベースのバックライトであって、
所定のコリメーション係数を有する導波光として伝播方向に光を誘導するように構成されたライトガイドと、
上記ライトガイド全体にわたって分布する複数の反射型マイクロプリズム散乱素子であって、反射型マイクロプリズム散乱素子(複数)の各反射型マイクロプリズム散乱素子が、放射光として上記導波光の一部を反射して外方に散乱させるように構成された傾斜型反射側壁を備える、複数の反射型マイクロプリズム散乱素子と、を備え、
上記反射型マイクロプリズム散乱素子の上記傾斜型反射側壁が、上記放射光の放射パターンにおいて所定の光除外ゾーンを提供するように構成された傾斜角を有し、上記傾斜角が、上記導波光の上記伝播方向から外方に傾斜している、
反射型マイクロプリズム散乱素子ベースのバックライト。
[2]上記反射型マイクロプリズム散乱素子(複数)が、上記ライトガイドの表面上に配設されており、上記反射型マイクロプリズム散乱素子(複数)のうちの1つの反射型マイクロプリズム散乱素子が、上記ライトガイドの内部に延在する、上記[1]に記載の反射型マイクロプリズム散乱素子ベース。
[3]上記反射型マイクロプリズム散乱素子(複数)が、上記ライトガイドの表面上に配設されており、上記反射型マイクロプリズム散乱素子(複数)のうちの1つの反射型マイクロプリズム散乱素子が、上記ライトガイドの表面から、上記ライトガイドの内部から離れるように突出している、上記[1]に記載の反射型マイクロプリズム散乱素子ベース。
[4]上記反射型マイクロプリズム散乱素子の上記傾斜型反射側壁が、全内部反射に従って上記導波光の一部を反射して外方に散乱させるように構成されている、上記[1]に記載の反射型マイクロプリズム散乱素子ベースのバックライト。
[5]上記反射型マイクロプリズム散乱素子の上記傾斜型反射側壁が、上記導波光の一部を反射して外方に散乱させるように構成された反射材料を含む、上記[1]に記載の反射型マイクロプリズム散乱素子ベースのバックライト。
[6]上記傾斜型反射側壁の上記傾斜角が、上記ライトガイドの放射面の面法線に対して0度~約45度であり、上記所定の光除外ゾーンが、90度~上記傾斜角である、上記[1]に記載の反射型マイクロプリズム散乱素子ベースのバックライト。
[7]上記反射型マイクロプリズム散乱素子が、上記導波光伝播方向に対して直交し、かつ上記ライトガイドの表面の平面に対して平行である方向に、湾曲形状を有し、上記湾曲形状が、上記導波光伝播方向に対して直交する平面の散乱光の放射パターンを制御するように構成されている、上記[1]に記載の反射型マイクロプリズム散乱素子ベースのバックライト。
[8]上記[1]に記載の反射型マイクロプリズム散乱素子ベースのバックライトを備える電子ディスプレイであって、上記電子ディスプレイが、上記所定の光除外ゾーンの外側の上記電子ディスプレイの放射ゾーン内に画像を提供するために、上記放射光を変調するように構成されたライトバルブのアレイをさらに備える、電子ディスプレイ。
[9]上記反射型マイクロプリズム散乱素子ベースのバックライトの上記反射型マイクロプリズム散乱素子が、反射型マイクロプリズムマルチビーム素子のアレイとして配置されており、上記電子ディスプレイが、マルチビューディスプレイであり、反射型マイクロプリズムマルチビーム素子アレイの各反射型マイクロプリズムマルチビーム素子が、上記反射型マイクロプリズム散乱素子(複数)の上記反射型マイクロプリズム散乱素子のサブセットを含み、かつ上記マルチビューディスプレイのそれぞれのビュー方向に対応する方向を有する指向性光ビームを含む放射光として上記導波光の一部を反射して外方に散乱させるように構成されており、各反射型マイクロプリズムマルチビーム素子のサイズが、ライトバルブアレイのライトバルブのサイズの25パーセント~200パーセントである、上記[8]に記載の電子ディスプレイ。
[10]マルチビューディスプレイであって、
導波光として光を伝播方向に誘導するように構成されたライトガイドと、
上記ライトガイド全体にわたって互いに離間した反射型マイクロプリズムマルチビーム素子のアレイであって、反射型マイクロプリズムマルチビーム素子アレイの反射型マイクロプリズムマルチビーム素子が、マルチビュー画像のそれぞれのビュー方向に対応する方向を有する指向性光ビームを含む放射光として上記導波光を反射して外方に散乱させるように構成された傾斜型反射側壁を有する複数の反射型マイクロプリズム散乱素子の反射型マイクロプリズム散乱素子のサブセットを含む、反射型マイクロプリズムマルチビーム素子のアレイと、
上記指向性光ビームを変調して上記マルチビュー画像を提供するように構成されたライトバルブのアレイと、を備え、
上記放射光が、上記傾斜型反射側壁の傾斜角の関数である所定の光除外ゾーンを有する、
マルチビューディスプレイ。
[11]上記反射型マイクロプリズムマルチビーム素子のサイズが、ライトバルブアレイのライトバルブのサイズの25パーセント~200パーセントである、上記[10]に記載のマルチビューディスプレイ。
[12]上記導波光が、所定のコリメーション係数に従ってコリメートされ、上記放射光の放射パターンが、上記導波光の上記所定のコリメーション係数の関数である、上記[10]に記載のマルチビューディスプレイ。
[13]上記反射型マイクロプリズムマルチビーム素子の反射型マイクロプリズム散乱素子が、上記ライトガイドの表面に配設されており、上記反射型マイクロプリズム散乱素子が、上記ライトガイドの内部に延在する、上記[10]に記載のマルチビューディスプレイ。
[14]上記反射型マイクロプリズムマルチビーム素子の反射型マイクロプリズム散乱素子の上記傾斜型反射側壁が、全内部反射に従って上記導波光の一部を反射して外方に散乱させるように構成されている、上記[10]に記載のマルチビューディスプレイ。
[15]傾斜型反射側壁の上記傾斜角が、上記導波光の上記伝播方向の方向における上記ライトガイドの放射面の面法線から外方に傾斜しており、上記傾斜角が、上記面法線に対して0度~約45度である、上記[10]に記載のマルチビューディスプレイ。
[16]上記ライトバルブアレイのライトバルブが、上記マルチビューディスプレイのマルチビューピクセルを表すセットとして配置されており、上記ライトバルブが、上記マルチビューピクセルのサブピクセルを表し、上記反射型マイクロプリズムマルチビーム素子アレイの反射型マイクロプリズムマルチビーム素子が、上記マルチビューディスプレイの上記マルチビューピクセルと一対一に対応する、上記[10]に記載のマルチビューディスプレイ。
[17]バックライト動作の方法であって、上記方法が、
非ゼロ伝播角度及び所定のコリメーション係数を有する導波光として、ライトガイドの長さに沿った伝播方向に光を誘導するステップと、
複数の反射型マイクロプリズム散乱素子を使用して上記導波光の一部を上記ライトガイドから外方に反射させるステップであって、それにより所定の光除外ゾーンを有する放射光を提供する、ステップと、を含み、
反射型マイクロプリズム散乱素子(複数)のうちの反射型マイクロプリズム散乱素子の傾斜型反射側壁が、上記導波光の上記伝播方向から外方に傾斜した傾斜角を有し、上記放射光の上記所定の光除外ゾーンが、上記傾斜型反射側壁の上記傾斜角によって決定される、
方法。
[18]上記傾斜型反射側壁が、全内部反射に従って光を反射して散乱させて、上記ライトガイドから上記誘導光の一部を反射し、上記放射光を提供する、上記[17]に記載のバックライト動作の方法。
[19]上記傾斜型反射側壁の上記傾斜角が、上記ライトガイドの放射面の面法線に対して0度~約45度であり、所定の光除外ゾーンが、90度~上記傾斜角である、上記[17]に記載のバックライト動作の方法。
[20]上記方法が、画像を提供するためにライトバルブのアレイを使用して上記放射光を変調するステップをさらに含み、上記画像が、上記所定の光除外ゾーン内では見えない、上記[17]に記載のバックライト動作の方法。
[21]上記複数の反射型マイクロプリズム散乱素子が、反射型マイクロプリズムマルチビーム素子のアレイとして配置されており、反射型マイクロプリズムマルチビーム素子アレイの各反射型マイクロプリズムマルチビーム素子が、上記反射型マイクロプリズム散乱素子(複数)の反射型マイクロプリズム散乱素子のサブセットを含み、上記反射型マイクロプリズムマルチビーム素子アレイの反射型マイクロプリズムマルチビーム素子が、上記ライトガイド全体にわたって互いに離間して、マルチビュー画像のそれぞれのビュー方向に対応する方向を有する指向性光ビームを含む放射光として上記導波光を反射して外方に散乱させ、上記反射型マイクロプリズムマルチビーム素子のサイズが、上記ライトバルブアレイのライトバルブのサイズの25パーセント~200パーセントである、上記[20]に記載のバックライト動作の方法。
【0022】
本明細書に記載の原理による例及び実施形態は、所定の光除外ゾーンを有する放射パターンを有する放射光を提供するバックライトを提供する。バックライトは、様々な実施形態によれば、マルチビューディスプレイを含むディスプレイ内の照明源として使用され得る。特に、本明細書に記載の原理と一致する実施形態は、放射光としてライトガイドから光を外方に散乱させるように構成された複数の反射型マイクロプリズム散乱素子又は反射型マイクロプリズム散乱素子のアレイを備える反射型マイクロプリズム散乱素子ベースのバックライトを提供する。放射光は、散乱によって所定の光除外ゾーンから除外されつつ、放射ゾーン内に優先的に提供される。様々な実施形態によれば、反射型マイクロプリズム散乱素子(複数)の反射型マイクロプリズム散乱素子は、放射パターンを制御し、具体的には、放射光の所定の光除外ゾーンを提供するための傾斜角を有する、傾斜型反射側壁を備える。本明細書に記載の反射型マイクロプリズム散乱素子ベースのバックライトを採用するディスプレイの用途には、携帯電話(例えば、スマートフォン)、時計、タブレットコンピュータ、モバイルコンピュータ(例えば、ラップトップコンピュータ)、パーソナルコンピュータ及びコンピュータモニタ、自動車ディスプレイコンソール、カメラディスプレイ、並びに様々な他のモバイル、並びに実質的に非移動性のディスプレイアプリケーション及びデバイスが含まれるが、これらに限定されない。
【0023】
本明細書では、「二次元ディスプレイ」すなわち「2Dディスプレイ」は、画像が見られる方向(すなわち、2Dディスプレイの事前定義された視野角又は範囲内)にかかわらず実質的に同じ画像のビューを提供するように構成されたディスプレイとして定義される。多くのスマートフォン及びコンピュータモニタに見られる従来の液晶ディスプレイ(LCD)は、2Dディスプレイの例である。対照的に、本明細書では、「マルチビューディスプレイ」は、異なるビュー方向で、又は異なるビュー方向からマルチビュー画像の異なるビューを提供するように構成された電子ディスプレイ又はディスプレイシステムとして定義される。特に、いくつかの実施形態によれば、異なるビューは、マルチビュー画像のシーン又はオブジェクトの異なる斜視図を表し得る。
【0024】
図1は、本明細書に記載の原理と一致する一実施形態による、一例におけるマルチビューディスプレイ10の斜視図を示している。
図1に示すように、マルチビューディスプレイ10は、見る対象であるマルチビュー画像を表示するためのスクリーン12を備える。スクリーン12は、例えば、電話(例えば、携帯電話、スマートフォンなど)、タブレットコンピュータ、ラップトップコンピュータ、デスクトップコンピュータのコンピュータモニタ、カメラディスプレイ、又は実質的に任意の他のデバイスの電子ディスプレイのディスプレイスクリーンであってもよい。マルチビューディスプレイ10は、スクリーン12に対して異なるビュー方向16にマルチビュー画像の異なるビュー14を提供する。ビュー方向16は、スクリーン12から様々な異なる主角度方向に延びる矢印として示してあり、異なるビュー14は、矢印(すなわち、ビュー方向16を描写している)の終端に網掛けの多角形ボックスとして示してあり、4つのビュー14及び4つのビュー方向16のみが示してあるが、全て例示を目的としてものであり、限定を目的としたものではない。
図1では異なるビュー14がスクリーンの上方にあるものとして示してあるが、マルチビュー画像がマルチビューディスプレイ10上に表示されたとき、ビュー14は実際にはスクリーン12上又はその近傍に現れることに留意されたい。スクリーン12の上方にビュー14を描写しているのは、単に説明を簡単にするためであり、特定のビュー14に対応するビュー方向16のそれぞれからマルチビューディスプレイ10を見ることを表す意図がある。2Dディスプレイは、マルチビューディスプレイ10によって提供されるマルチビュー画像の異なるビュー14とは対照的に、2Dディスプレイは一般に、表示された画像の単一のビュー(例えば、ビュー14と同様の1つのビュー)を提供するように構成されていることを除いて、マルチビューディスプレイ10と実質的に同様であり得る。
【0025】
マルチビューディスプレイのビュー方向に対応する方向を有するビュー方向、あるいは光ビームは、一般に、本明細書の定義では、角度成分{θ,φ}によって与えられる主角度方向又は単に「方向」を有する。角度成分θは、本明細書では光ビームの「仰角成分」又は「仰角」と呼ばれる。角度成分φは、光ビームの「方位角成分」又は「方位角」と呼ばれる。定義により、仰角θは、垂直面(例えば、マルチビューディスプレイスクリーンの平面に対して垂直における角度であるが、一方、方位角φは、水平面(例えば、マルチビューディスプレイスクリーンの平面に対して平行)における角度である。
【0026】
図2は、本明細書に記載の原理と一致する一実施形態による、一例におけるマルチビューディスプレイのビュー方向(例えば、
図1のビュー方向16)に対応する特定の主角度方向を有する光ビーム20の角度成分{θ,φ}の図式表示を示している。さらに、光ビーム20は、本明細書の定義では、特定の点から放射されるか又は発する。すなわち、定義により、光ビーム20は、マルチビューディスプレイ内の特定の原点に関連付けられた中心光線を有する。
図2は、光ビーム(又はビュー方向)の原点Oも示している。
【0027】
本明細書では、「マルチビュー画像」及び「マルチビューディスプレイ」という用語で使用される「マルチビュー」という用語は、異なる視点を表すか、又はビュー複数のビュー間の角度視差を含む、複数のビューとして定義される。さらに、本明細書では、用語「マルチビュー」は、3つ以上の異なるビュー(すなわち、最低限3つのビューであり、一般には4つ以上のビュー)を明確に含み得る。したがって、本明細書で採用される「マルチビューディスプレイ」は、シーン又は画像を表すために2つの異なるビューのみを含む立体ディスプレイとは明確に区別され得る。しかしながら、本明細書の定義では、マルチビュー画像及びマルチビューディスプレイは3つ以上のビューを含むが、マルチビュー画像は、マルチビューのビューのうちの2つのみを選択して一度に見ることによって(例えば、片目につき1つのビュー)、画像の立体ペアとして(例えば、マルチビューディスプレイ上で)見られる場合があることに留意されたい。
【0028】
「マルチビューピクセル」は、本明細書では、マルチビューディスプレイの同様の複数の異なるビューの各々の「ビュー」ピクセルを表すピクセルのセットとして定義される。特に、マルチビューピクセルは、マルチビュー画像の異なるビューの各々のビューピクセルに対応する、又はビューピクセルを表す、個々のピクセル又はピクセルのセットを有し得る。したがって、本明細書の定義では、「ビューピクセル」は、マルチビューディスプレイのマルチビューピクセル内のビューに対応するピクセル又はピクセルのセットである。いくつかの実施形態では、ビューピクセルは、1つ又はそれ以上のカラーサブピクセルを含み得る。さらに、マルチビューピクセルのビューピクセルは、本明細書の定義では、ビューピクセルの各々が異なるビューのうちの対応する1つのビューの所定のビュー方向に関連付けられているという点で、いわゆる「指向性ピクセル」である。さらに、様々な例及び実施形態によれば、マルチビューピクセルの異なるビューピクセルは、異なるビューの各々において同等又は少なくとも実質的に同様の位置又は座標を有し得る。例えば、第1のマルチビューピクセルは、マルチビュー画像の異なるビューの各々において{x1,y1}に位置する個々のビューピクセルを有し得、一方、第2のマルチビューピクセルは、異なるビューの各々において{x2,y2}に位置する個々のビューピクセルを有し得るなど、以下同様である。
【0029】
本明細書では、「ライトガイド」は、全内部反射を用いて構造内で光を誘導する構造として定義される。特に、ライトガイドは、ライトガイドの動作波長において実質的に透明なコアを含み得る。「ライトガイド」という用語は、一般に、ライトガイドの誘電体材料とそのライトガイドを取り囲む材料又は媒体との間の界面で光を誘導するために全内部反射を採用する誘電体光導波路を指す。定義により、全内部反射の条件は、ライトガイドの屈折率がライトガイド材料の表面に隣接する周囲媒体の屈折率よりも大きいことである。いくつかの実施形態では、ライトガイドは、全内部反射をさらに促進するために、前述の屈折率差に加えて、又はその代わりに、コーティングを含み得る。コーティングは、例えば、反射性コーティングであってもよい。ライトガイドは、プレート又はスラブガイド及びストリップガイドを含むがこれらに限定されない、いくつかのライトガイドのうちのいずれかであってもよい。
【0030】
さらに本明細書では、「プレートライトガイド」のようにライトガイドに適用される場合の「プレート」という用語は、「スラブ」ガイドと呼ばれることもある、区分的又は差別的に平坦な層又はシートとして定義される。特に、プレートライトガイドは、ライトガイドの上面及び底面(すなわち、対向する面)によって囲まれた2つの実質的に直交する方向に光を誘導するように構成されたライトガイドとして定義される。さらに、本明細書の定義では、ライトガイドの上面及び底面すなわち「ガイド」面は両方とも互いに分離されており、少なくとも差別的な意味において互いに実質的に平行であり得る。すなわち、プレートライトガイドのいかなる差別的かつ小さな区画内においても、上面及び底面は実質的に平行又は同一平面上にある。いくつかの実施形態では、プレートライトガイドは実質的に平坦(すなわち、平面に限定される)であり得、したがって、プレートライトガイドは平面状ライトガイドである。他の実施形態では、プレートライトガイドは、1つ又は2つの直交する次元で湾曲していてもよい。しかしながら、いかなる湾曲も、十分に大きい曲率半径を有しており、光を誘導するためにプレートライトガイド内で全内部反射が維持されることを確実にする。
【0031】
本明細書の定義では、「マルチビーム素子」は、複数の指向性光ビームを含む放射光を生成するバックライト又はディスプレイの構造又は素子である。いくつかの実施形態では、マルチビーム素子は、バックライトのライトガイドに光学的に結合されて、ライトガイド内で誘導された光の一部を結合又は外方に散乱させることによって複数の光ビームを提供し得る。他の実施形態では、マルチビーム素子は、指向性光ビームとして放射される光を発生させ得る(例えば、光源を備え得る)。さらに、マルチビーム素子によって生成された複数の指向性光ビームの指向性光ビームは、本明細書の定義では、互いに異なる主角度方向を有する。特に、定義により、複数のうちの指向性光ビームは、指向性光ビーム複数のうちの別の指向性光ビームとは異なる所定の主角度方向を有する。さらに、指向性光ビーム複数は、ライトフィールドを表し得る。例えば、指向性光ビーム複数は、実質的に円錐形の空間領域に限定されてもよく、又は光ビーム複数における指向性光ビームの異なる主角度方向を含む所定の角度広がりを有してもよい。よって、組み合わせた指向性光ビーム(すなわち、光ビーム複数)の所定の角度広がりは、ライトフィールドを表し得る。
【0032】
様々な実施形態によれば、複数の様々な指向性光ビームの異なる主角度方向は、マルチビーム素子のサイズ(例えば、長さ、幅、面積など)、及び向き又は回転を含むがこれらに限定されない、特性によって決定される。いくつかの実施形態では、マルチビーム素子は、本明細書の定義では、「拡張点光源」、すなわち、マルチビーム素子の範囲全体にわたって分布する複数の点光源と見なされ得る。さらに、マルチビーム素子によって生成された指向性光ビームは、本明細書の定義では、
図2に関して上述したように、角度成分{θ,φ}によって与えられる主角度方向を有する。
【0033】
本明細書では、「角度保持散乱機構」あるいは「角度保持散乱体」は、機構又は散乱体に入射する光の角度広がりを散乱光において実質的に保持するように光を散乱するように構成された、任意の機構又は散乱体として定義される。特に、定義により、角度保持散乱機構によって散乱された光の角度広がりσsは、入射光の角度広がりσの関数である(すなわち、σs=f(σ))。いくつかの実施形態では、散乱光の角度広がりσsは、入射光の角度広がり又はコリメーション係数σの一次関数である(例えば、σs=a・σであり、式中、aは整数である)。すなわち、角度保持散乱機構によって散乱された光の角度広がりσsは、入射光の角度広がり又はコリメーション係数σに実質的に比例し得る。例えば、散乱光の角度広がりσsは、入射光の角度広がりσと実質的に等しくてもよい(例えば、σs≒σである)。均一な回折格子(すなわち、実質的に均一又は一定の回折機構間隔又は格子ピッチを有する回折格子)は、角度保持散乱機構の一例である。対照的に、ランバート散乱体又はランバート反射体、及び一般的な拡散体(例えば、ランバート散乱を有するか、又は近似する)は、本明細書の定義では、角度保持散乱体ではない。
【0034】
本明細書では、「コリメータ」は、光をコリメートするように構成された実質的に任意の光学デバイス又は装置として定義される。様々な実施形態によれば、コリメータによって提供されるコリメーションの量は、実施形態ごとに所定の程度又は量で変動し得る。さらに、コリメータは、2つの直交する方向(例えば、垂直方向及び水平方向)の一方又は両方においてコリメーションを提供するように構成されてもよい。すなわち、いくつかの実施形態によれば、コリメータは、光コリメーションを提供する2つの直交する方向の一方又は両方の形状を含み得る。
【0035】
本明細書では、「コリメーション係数」は、光がコリメートされる程度として定義される。特に、コリメーション係数は、本明細書の定義では、コリメートされた光のビーム内の光線の角度広がりを定義する。例えば、コリメーション係数σは、コリメートされた光のビーム内の光線の大部分が特定の角度広がり(例えば、コリメートされた光ビームの中心又は主角度方向の周りに+/-σ度)内にあることを特定し得る。いくつかの例によれば、コリメートされた光ビームの光線は、角度に関してガウス分布を有してもよく、角度広がりは、コリメートされた光ビームのピーク強度の半分で決定される角度であってもよい。
【0036】
本明細書では、「光源」は、光の供給源(例えば、光を生成かつ放射するように構成された光学エミッタ)として定義される。例えば、光源は、起動又はオンにされると光を放射する光学エミッタ、例えば発光ダイオード(LED)を備えてもよい。特に、本明細書では、光源は、実質的に任意の光の供給源であるか、又は発光ダイオード(LED)、レーザ、有機発光ダイオード(OLED)、ポリマー発光ダイオード、プラズマベースの光学エミッタ、蛍光灯、白熱灯、及び事実上任意の他の光の供給源のうちの1つ又はそれ以上を含むがこれらに限定されない、実質的に任意の光学エミッタを備えてもよい。光源によって生成された光は、色を有し得るか(すなわち、特定の光の波長を含み得る)、又は波長範囲であり得る(例えば、白色光)。いくつかの実施形態では、光源は、複数の光学エミッタを備えてもよい。例えば、光源は、光学エミッタのうちの少なくとも1つが、セット又はグループの少なくとも1つの他の光学エミッタによって生成される光の色又は波長とは異なる色、あるいは波長を有する光を生成する、光学エミッタのセット又はグループを含んでもよい。異なる色は、例えば、原色(例えば、赤色、緑色、青色)を含み得る。
【0037】
本明細書で使用される場合、冠詞「a」は、特許技術におけるその通常の意味、すなわち「1つ又はそれ以上」を有することを意図している。例えば、「反射型マイクロプリズム散乱素子」は、1つ又はそれ以上の反射型マイクロプリズム散乱素子を意味し、よって、「反射型マイクロプリズム散乱素子」は、本明細書では「反射型マイクロプリズム散乱素子(複数可)」を意味する。また、本明細書における「上部」、「底部」、「上側」、「下側」、「上」、「下」、「前」、「後」、「第1」、「第2」、「左」、又は「右」への言及はいずれも、本明細書における限定を意図するものではない。本明細書では、「約」という用語は、値に適用される場合、一般に、その値を生成するために使用される機器の公差範囲内を意味するか、又は別段に明記しない限り、プラス若しくはマイナス10%、プラス若しくはマイナス5%、又はプラス若しくはマイナス1%を意味し得る。さらに、本明細書で使用される「実質的に」という用語は、大部分、又はほとんど全て、又は全て、又は約51%~約100%の範囲内の量を意味する。さらに、本明細書の例は、例示のみを意図しており、限定ではなく論考の目的で提示される。
【0038】
本明細書に記載の原理のいくつかの実施形態によれば、反射型マイクロプリズム散乱素子ベースのバックライトが提供される。
図3Aは、本明細書に記載の原理と一致する一実施形態による、一例における反射型マイクロプリズム散乱素子ベースのバックライト100の断面図を示している。
図3Bは、本明細書に記載の原理と一致する一実施形態による、一例における反射型マイクロプリズム散乱素子ベースのバックライト100の平面図を示している。
図3Cは、本明細書に記載の原理と一致する一実施形態による、一例における反射型マイクロプリズム散乱素子ベースのバックライト100の斜視図を示している。
図3Dは、本明細書に記載の原理と一致する別の実施形態による、一例における反射型マイクロプリズム散乱素子ベースのバックライト100の斜視図を示している。
【0039】
図3A~
図3Dに示す反射型マイクロプリズム散乱素子ベースのバックライト100は、所定の光除外ゾーンを有する放射パターンを有する放射光102を提供するように構成されている。特に、
図3Aに示すように、反射型マイクロプリズム散乱素子ベースのバックライト100は、放射ゾーンI内に放射光102を優先的に提供するが、放射光102は所定の光除外ゾーンII内には提供されない。その結果、反射型マイクロプリズム散乱素子ベースのバックライト100が、放射ゾーンIを表すか、又はそれを包含する角度範囲で見られる場合、放射光102は見えることとなり得る。あるいは、反射型マイクロプリズム散乱素子ベースのバックライト100が、所定の光除外ゾーンIIを表すか、又はそれを包含する角度の範囲内で見られたとき、放射光102は見えないこととなり得る。
【0040】
所定の光除外ゾーンIIは、例えば、反射型マイクロプリズム散乱素子ベースのバックライト100を照明源として組み込んだディスプレイのプライバシー表示を提供し得る。特に、いくつかの実施形態では、放射光102は、反射型マイクロプリズム散乱素子ベースのバックライト100によって又はそれを使用して照光されるディスプレイ上の情報の表示を容易にするように変調され得る。例えば、放射光102は、反射型マイクロプリズム散乱素子ベースのバックライト100の「放射面」から、ライトバルブのアレイ(例えば、以下に説明するライトバルブ230のアレイ)に向かって反射して散乱され得る。次いで、放射光102は、ライトバルブのアレイを使用して変調されて、ディスプレイによって又はディスプレイ上に表示される画像を提供し得る。しかしながら、反射型マイクロプリズム散乱素子ベースのバックライト100によって提供される所定の光除外ゾーンIIの結果として、画像表示は、放射ゾーンIにおいてのみ見える表示であり得る。したがって、反射型マイクロプリズム散乱素子ベースのバックライト100は、視聴者が所定の光除外ゾーンIIにおいて画像を見ることを妨げるプライバシー表示を提供する(すなわち、ディスプレイは、所定の光除外ゾーンIIで見ると、黒色又は「OFF」に見え得る)。
【0041】
いくつかの実施形態では(例えば、以下でマルチビューディスプレイに関して説明するように)、放射光102は、互いに異なる主角度方向を有する指向性光ビーム(例えば、ライトフィールドとして、又はライトフィールドを表す)を含み得る。さらに、これらの実施形態によれば、放射光102の指向性光ビームは、マルチビューディスプレイのそれぞれのビュー方向、あるいはマルチビューディスプレイによって表示されるマルチビュー画像の異なるビュー方向に対応する異なる方向に、反射型マイクロプリズム散乱素子ベースのバックライト100から離れるように導かれる。いくつかの実施形態では、放射光102の指向性光ビームは、ライトバルブのアレイによって変調されて、マルチビューコンテンツ、例えば、マルチビュー画像を有する情報の表示を容易にし得る。マルチビュー画像は、例えば、三次元(3D)コンテンツを表すか、又は含み得る。
【0042】
図3A~
図3Dに示すように、反射型マイクロプリズム散乱素子ベースのバックライト100は、ライトガイド110を備える。ライトガイド110は、導波光104として伝播方向103に光を誘導するように構成されている。さらに、様々な実施形態において、導波光104は、所定のコリメーション係数σを有するか、又はそれに従って誘導されてもよい。例えば、ライトガイド110は、光導波路として構成された誘電体材料を含み得る。誘電体材料は、誘電体光導波路を取り囲む媒体の第2の屈折率よりも大きい第1の屈折率を有し得る。屈折率の差は、ライトガイド110の1つ又はそれ以上の導波モードに従って導波光104の全内部反射を促進するように構成されてもよい。
【0043】
いくつかの実施形態では、ライトガイド110は、光学的に透明な誘電体材料の広がった実質的に平面状のシートを備える、スラブ又はプレート光導波路(すなわち、プレートライトガイド)であってもよい。誘電体材料の実質的に平面状のシートは、全内部反射を用いて導波光104を誘導するように構成されている。様々な例によれば、ライトガイド110の光学的に透明な材料は、様々なタイプのガラス(例えば、シリカガラス、アルカリアルミノケイ酸塩ガラス、ホウケイ酸塩ガラスなど)、及び実質的に光学的に透明なプラスチック又はポリマー(例えば、ポリ(メチルメタクリレート)すなわち「アクリルガラス」、ポリカーボネート、及びその他)のうちの1つ又はそれ以上を含むがこれらに限定されない、様々な誘電体材料のうちのいずれかを含むか、又はそれから構成され得る。いくつかの実施形態では、ライトガイド110は、ライトガイド110の表面(例えば、上面及び底面の一方又は両方)の少なくとも一部上にクラッド層(図示せず)をさらに含み得る。いくつかの例によれば、クラッド層は、全内部反射をさらに促進するために使用され得る。特に、クラッドは、ライトガイド材料の屈折率よりも大きい屈折率を有する材料を含んでもよい。
【0044】
さらに、いくつかの実施形態によれば、ライトガイド110は、ライトガイド110の第1の表面110’(例えば、「前」又は「上部」の表面又は側面)と第2の表面110’’(例えば、「後」又は「底面」の表面又は側面)との間の非ゼロ伝播角度での全内部反射に従って導波光104を誘導するように構成されている。特に、導波光104は、非ゼロ伝播角度でライトガイド110の第1の表面110’と第2の表面110’’との間で反射又は「跳ね返る」ことによって、導波光ビームとして伝播する。いくつかの実施形態では、導波光104は、異なる色の光を表す複数の導波光ビームを含み得る。異なる色の光は、異なる色固有の非ゼロ伝播角度のそれぞれでライトガイド110によって誘導され得る。説明を簡単にするために、非ゼロ伝播角度は
図3A~
図3Dには示していないことに留意されたい。しかしながら、伝播方向103を表す太い矢印は、
図3Aのライトガイド長に沿った導波光104の一般的な伝播方向を描写している。
【0045】
本明細書で定義されるように、「非ゼロ伝播角度」は、ライトガイド110の表面(例えば、第1の表面110’又は第2の表面110’’)に対する角度である。さらに、様々な実施形態によれば、非ゼロ伝播角度は、ゼロよりも大きく、かつライトガイド110内の全内部反射の臨界角よりも小さい。例えば、導波光104の非ゼロ伝播角度は、約10度(10°)~約50度(50°)、又は約20度(20°)~約40度(40°)、又は約25度(25°)~約35度(35°)であり得る。例えば、非ゼロ伝播角度は、約30(30°)度であり得る。他の例では、非ゼロ伝播角度は、約20°、又は約25°、又は約35°であり得る。さらに、特定の非ゼロ伝播角度がライトガイド110内の全内部反射の臨界角よりも小さくなるように選択される限り、特定の実装に対して特定の非ゼロ伝播角度が(例えば、任意に)選択されてもよい。
【0046】
ライトガイド110内の導波光104は、非ゼロ伝播角度(例えば、約30~35度)でライトガイド110内に導入又は導かれ得る。いくつかの実施形態では、構造、例えばこれらに限定されないが、レンズ、ミラー、又は同様の反射体(例えば、傾斜コリメート反射体)、回折格子、及びプリズム(図示せず)、並びにそれらの様々な組合せを採用して、光を導波光104としてライトガイド110内に導入してもよい。他の例では、光は、構造を使用せずに、又は実質的に使用せずに、ライトガイド110の入力端に直接導入されてもよい(すなわち、直接すなわち「突合せ」結合が採用され得る)。導波光104は、ライトガイド110内に導かれると、ライトガイド110に沿って、入力端から一般的に離れる伝播方向103に伝播するように構成されている。
【0047】
さらに、所定のコリメーション係数σを有する導波光104は、「コリメート光ビーム」又は「コリメートされた導波光」と呼ばれる場合がある。本明細書では、「コリメート光」又は「コリメート光ビーム」は、一般に、コリメーション係数σによって許容される場合を除いて、光ビームの光線が光ビーム(例えば、導波光ビーム)内で互いに実質的に平行である、光のビームとして定義される。さらに、コリメート光ビームから分散又は散乱された光線は、本明細書の定義では、コリメート光ビームの一部とは見なされない。
【0048】
図3A~
図3Dに示すように、反射型マイクロプリズム散乱素子ベースのバックライト100は、ライトガイド110全体にわたって分布する複数の反射型マイクロプリズム散乱素子120をさらに備える。いくつかの実施形態では、反射型マイクロプリズム散乱素子120は、例えば、
図3B~
図3Dに示すように、ライトガイド110全体にわたってランダム又は少なくとも実質的にランダムなパターンで分布していてもよい。他の実施形態では、反射型マイクロプリズム散乱素子(複数)の反射型マイクロプリズム散乱素子120は、一次元(1D)配置(図示せず)又は二次元(2D)配置(例えば、図示されているように)のいずれかで配置され得る。例えば(図示せず)、反射型マイクロプリズム散乱素子は、線形1Dアレイ(例えば、反射型マイクロプリズム散乱素子120の互い違いのラインを含む複数のライン)として配置されてもよい。別の例(図示せず)では、反射型マイクロプリズム散乱素子120は、2Dアレイ、例えばこれらに限定はされないが、長方形の2Dアレイ又は円形の2Dアレイとして配置されてもよい。いくつかの実施形態では、反射型マイクロプリズム散乱素子120は、ライトガイド110全体にわたって規則的又は一定の様式で分布しているが、他の実施形態では、分布はライトガイド110全体にわたって変動し得る。例えば、反射型マイクロプリズム散乱素子120の密度は、ライトガイド110全体にわたる距離に応じて増加し得る。
【0049】
様々な実施形態において、反射型マイクロプリズム散乱素子(複数)の反射型マイクロプリズム散乱素子120は、異なる断面プロファイルを有し得る。例えば、断面プロファイルは、様々な傾斜角及び様々な表面曲率の一方又は両方を有する様々な反射型散乱面を示して、反射型マイクロプリズム散乱素子120の放射パターンを制御し得る。特に、反射型マイクロプリズム散乱素子(複数)の反射型マイクロプリズム散乱素子120は各々、傾斜型反射側壁122を備える。傾斜型反射側壁122は、放射光102として導波光104の一部を反射して外方に散乱させるように構成されている。さらに、反射型マイクロプリズム散乱素子120の傾斜型反射側壁122は、導波光104の伝播方向103から外方に傾斜した傾斜角を有する。様々な実施形態によれば、傾斜型反射側壁122の傾斜角は、放射光102の放射パターンにおいて所定の光除外ゾーンIIを提供又は決定するように構成されている。すなわち、所定の光除外ゾーンIIの角度範囲は、傾斜角の関数であるか、又は傾斜角によって決定される。
【0050】
いくつかの実施形態では、傾斜型反射側壁122は、傾斜角を有する実質的に平坦又はファセット面であってもよい(例えば、
図3B~
図3Cに示すように)。他の実施形態では(例えば、
図3Dに示すように)、傾斜型反射側壁122は、湾曲を有する表面、すなわち湾曲面であってもよく、又はそれを含んでもよい。傾斜角は、これらの実施形態では、湾曲面に対する(例えば、湾曲面の中心における)接線の角度として定義されてもよい。あるいは、傾斜角は、例えば、湾曲面の中心点で測定された、湾曲面の平均斜度として定義されてもよい。いくつかの実施形態によれば、湾曲形状は、例えば、散乱光を発散又は集光することによって、散乱光の放射パターンを制御するように構成されてもよい。
【0051】
いくつかの実施形態では、反射型マイクロプリズム散乱素子(複数)のうちの反射型マイクロプリズム散乱素子120は、ライトガイド110の内部に延在してもよい。他の実施形態では、反射型マイクロプリズム散乱素子(複数)のうちの反射型マイクロプリズム散乱素子120は、ライトガイドの表面から、ライトガイド110の内部から離れるように突出してもよい。さらに他の実施形態では、反射型マイクロプリズム散乱素子(複数)のうちの反射型マイクロプリズム散乱素子120は、ライトガイド面内に延在してもよく、ライトガイド面から突出してもよい。いくつかの実施形態では、傾斜角は、ライトガイド面に対して約10度(10°)~約50度(50°)、又は約25度(25°)~約45度(45°)であってもよい。
【0052】
図4Aは、本明細書に記載の原理の一実施形態による、一例における反射型マイクロプリズム散乱素子ベースのバックライト100の一部の斜視図を示している。
図4Aに示すように、反射型マイクロプリズム散乱素子ベースのバックライト100は、ライトガイド110を備え、反射型マイクロプリズム散乱素子120がライトガイド110の第2の表面110’’上に配設されている。
図4Aに示す反射型マイクロプリズム散乱素子120は、ライトガイド110の内部に延在する。導波光104は、反射型マイクロプリズム散乱素子120によって反射されて、放射ゾーンIと共に所定の
光除外ゾーンIIを有する放射光102として、ライトガイド110の放射面(第1の表面110’)から出射し得る。
【0053】
図4Bは、本明細書に記載の原理の別の実施形態による、一例における反射型マイクロプリズム散乱素子ベースのバックライト100の一部の斜視図を示している。
図4Aに示すように、
図4Bに示す反射型マイクロプリズム散乱素子ベースのバックライト100はまた、ライトガイド110を備え、反射型マイクロプリズム散乱素子120がライトガイド110の第2の表面110’’上に配設されている。しかしながら、
図4Bでは、図示の反射型マイクロプリズム散乱素子120は、ライトガイド面から、ライトガイド110の内部から離れるように突出している。図示のように、導波光104は、反射型マイクロプリズム散乱素子120によって反射されて、放射ゾーンIと共に所定の
光除外ゾーンIIを有する放射光102としてライトガイド110の放射面(第1の表面110’)から出射し得る。
【0054】
図4A~
図4Bでは、傾斜型反射側壁122は、図示のように、反射型ファセット又は実質的に平坦な表面を含む。
図4A及び
図4Bの各々の傾斜型反射側壁122は、上述したように、所定のコリメーション係数σを有する導波光104を反射するように構成されている。傾斜型反射側壁122は、限定ではなく例として、ライトガイド面に対して約35度(35°)の傾斜角を有し得る。いくつかの実施形態では、約35度の傾斜角は、ライトガイド面から測定した場合にも約35度(35°)である所定の
光除外ゾーンIIの角度範囲を提供し得る。
【0055】
上述し、
図3Dに示すように、例えば、反射型マイクロプリズム散乱素子(複数)のうちの反射型マイクロプリズム散乱素子120は、湾曲形状を有してもよい。様々な実施形態では、湾曲形状は、導波光伝播方向103に対して直交する方向にあってもよい。例えば、湾曲形状は、伝播方向103に対して直交する方向にあってもよく、またライトガイド110の表面に対して平行な平面にあってもよい。他の例では、湾曲形状は、ライトガイド110の表面に対して垂直な方向にあってもよい。いくつかの実施形態によれば、湾曲形状は、導波光伝播方向に対して直交する平面及び平行な平面の一方又は両方、例えば、y-z平面及びx-z平面の一方又は両方において、放射光102の放射パターンを制御するように構成され得る。例えば、y-z平面の放射パターンを制御することは、その平面で放射光102を発散又は集光させるのに役立つ場合がある。
【0056】
図4Cは、本明細書に記載の原理の一実施形態による、一例における反射型マイクロプリズム散乱素子ベースのバックライト100の一部の斜視図を示している。
図4Dは、本明細書に記載の原理の別の実施形態による、一例における反射型マイクロプリズム散乱素子ベースのバックライト100の一部の斜視図を示している。
図4Cは、
図4Aに示すものと同様に、ライトガイド110の内部に延在している反射型マイクロプリズム散乱素子120を示しており、一方、
図4Dは、
図4Bに示したように、ライトガイド面から、ライトガイド内部から離れるように突出している反射型マイクロプリズム散乱素子120を示している。しかしながら、
図4C及び
図4Dの各々において、反射型マイクロプリズム散乱素子120は、湾曲した傾斜型反射側壁122、すなわち、湾曲傾斜型反射側壁122を有する。特に、
図4C及び
図4Dの両方は、x-z平面、すなわち、伝播方向に対して平行な平面にある湾曲傾斜型反射側壁122の湾曲を示している。様々な実施形態によれば、x-z平面(すなわち、長さ方向)における湾曲傾斜型反射側壁122の湾曲は、放射ゾーンI内の放射光102の角度広がりを集中させるか又は広げることのいずれかによって放射光102の放射パターンを制御するように構成されてもよい。
【0057】
図5Aは、本明細書に記載の原理の一実施形態による、一例における反射型マイクロプリズム散乱素子ベースのバックライト100の一部の斜視図を示している。
図5Bは、本明細書に記載の原理の別の実施形態による、一例における反射型マイクロプリズム散乱素子ベースのバックライト100の一部の斜視図を示している。
図5A及び
図5Bの両方は、湾曲傾斜型反射側壁122を有する反射型マイクロプリズム散乱素子120を示している。
図5Aは、ライトガイド110の内部へと延在している反射型マイクロプリズム散乱素子120を示し、一方、
図5Bは、ライトガイド面から、ライトガイド内部から離れるように突出している反射型マイクロプリズム散乱素子120を示している。さらに、
図5A及び
図5Bの各々において、湾曲傾斜型反射側壁122は、y-z平面、すなわち、導波光伝播方向に対して垂直な平面において湾曲形状又は湾曲を有する。様々な実施形態によれば、湾曲傾斜型反射側壁122の図示された湾曲は、放射光102の角度広がりをy-z平面(すなわち、幅方向)に集中させるか又は広げるかのいずれかによって、放射光102の放射パターンを制御するように構成されてもよい。
【0058】
いくつかの実施形態(図示せず)では、反射型マイクロプリズム散乱素子(複数)のうちの反射型マイクロプリズム散乱素子120は、反射型マイクロプリズム散乱素子120の反射面に隣接してこれをコーティングする反射材料を含んでもよい。いくつかの実施形態では、反射材料の範囲は、反射性の島を形成するために、反射型
マイクロプリズム散乱素子120の範囲又は境界に限定され得るか、又は実質的に限定され得る。いくつかの実施形態では、例えば、
図4A、
図4C、及び
図5Aに示すように、例えば、反射型マイクロプリズム散乱素子120がライトガイド110の内部に延在する場合、反射材料は、反射型マイクロプリズム散乱素子120を埋め又は実質的に埋め得る。他の実施形態(図示せず)では、反射材料層は、反射型マイクロプリズム散乱素子120の反射面をコーティングするが、これを埋めない又は実質的に埋めないように構成されてもよい。
【0059】
様々な実施形態では、多数の反射材料、例えばこれらに限定はされないが、反射金属(例えば、アルミニウム、ニッケル、銀、金など)、及び様々な反射金属ポリマー(例えば、ポリマーアルミニウム)のうちのいずれかを反射材料として採用してもよい。反射材料は、例えば、スピンコーティング、蒸着、及びスパッタリングを含むがこれらに限定されない、様々な方法によって塗布され得る。いくつかの実施形態によれば、フォトリソグラフィ又は同様のリソグラフィ方法を採用して、堆積後の反射材料層の範囲を画定して、反射材料を反射型マイクロプリズム散乱素子120の範囲に限定し、反射性の島を形成してもよい。
【0060】
様々な実施形態によれば、所定の光除外ゾーンIIは、傾斜型反射側壁122の傾斜角に対応する(例えば、ほぼ等しい)角度範囲を有する。すなわち、所定の光除外ゾーンIIの角度範囲は、傾斜角によって決定され、ライトガイド面に対して平行な平面から角度γまで延在する。所定の光除外ゾーンIIの角度γは、90度(90°)から傾斜型反射側壁122の傾斜角を引いたものに等しい。
【0061】
図3A~
図3Dに示す反射型マイクロプリズム散乱素子120の各々は、サイズ及び形状が類似しているが、いくつかの実施形態(図示せず)では、反射型マイクロプリズム散乱素子120は、ライトガイド面全体にわたって互いに異なっていてもよいことに留意されたい。例えば、反射型マイクロプリズム散乱素子120は、ライトガイド110全体にわたって、異なるサイズ、異なる断面プロファイル、さらには異なる向き(例えば、導波光伝播方向に対して回転している)のうちの1つ又はそれ以上を有してもよい。特に、いくつかの実施形態によれば、少なくとも2つの反射型マイクロプリズム散乱素子120は、放射光102内で互いに異なる反射性散乱プロファイルを有し得る。
【0062】
いくつかの実施形態によれば、反射型マイクロプリズム散乱素子120の傾斜型反射側壁122は、全内部反射(すなわち、傾斜型反射側壁122の両側の材料の屈折率の差に起因する)に従って導波光104の一部を反射して外方に散乱させるように構成されている。すなわち、傾斜型反射側壁122において臨界角未満の入射角を有する導波光104は、傾斜型反射側壁122によって反射されて、放射光102となる。
【0063】
様々な実施形態によれば、傾斜角は、導波光104の非ゼロ伝播角度と併せて選択されて、放射光102の目標角度及び所定の光除外ゾーンIIの角度範囲の一方又は両方を提供する。さらに、選択された傾斜角は、ライトガイド110の放射面(例えば、第1の表面110’)の方向であり、放射面とは反対側のライトガイド110の表面(例えば、第2の表面110’’)から離れる方向に光を優先的に散乱させるように構成されてもよい。すなわち、傾斜型反射側壁122は、いくつかの実施形態では、放射面から離れる方向に、導波光104の散乱をほとんど又は実質的に提供しない。
【0064】
いくつかの実施形態では(例えば、
図4A~
図4Dに示すように)、反射型マイクロプリズム散乱素子120の第2の側壁は、反射型マイクロプリズム散乱素子120の第1の側壁の傾斜角(例えば、傾斜型反射側壁122の傾斜角)と実質的に同様の傾斜角を有する。他の実施形態(図示せず)では、反射型マイクロプリズム散乱素子120の第2の側壁は、第1の側壁の傾斜角とは異なる傾斜角を有し得、第1の側壁は傾斜型反射側壁122である。
【0065】
再び
図3A~
図3Dを参照すると、反射型マイクロプリズム散乱素子ベースのバックライト100は、光源130をさらに備え得る。様々な実施形態によれば、光源130は、導波光104として誘導されるライトガイド110への光を提供するように構成されている。特に、光源130は、図示のように、ライトガイド110の入力縁部に隣接して位置決めされてもよい。いくつかの実施形態では、光源130は、ライトガイド110の入力縁部に沿って互いに離間した複数の光学エミッタを備えてもよい。
【0066】
様々な実施形態では、光源130は、1つ又はそれ以上の発光ダイオード(LED)又はレーザ(例えば、レーザダイオード)を含むがこれらに限定されない、実質的に任意の光の供給源(例えば、光学エミッタ)を含み得る。いくつかの実施形態では、光源130は、特定の色で示される狭帯域スペクトルを有する実質的な単色光を生成するように構成された光学エミッタを備えてもよい。特に、単色光の色は、特定の色空間又は色モデル(例えば、赤-緑-青(RGB)カラーモデル)の原色であってもよい。他の例では、光源130は、実質的な広帯域又は多色光を提供するように構成された実質的に広帯域の光源であってもよい。例えば、光源130は、白色光を提供し得る。いくつかの実施形態では、光源130は、異なる色の光を提供するように構成された複数の異なる光学エミッタを備え得る。異なる光学エミッタは、異なる色の光の各々に対応する導波光の異なる色固有の非ゼロ伝播角度を有する光を提供するように構成されてもよい。本明細書に記載の原理のいくつかの実施形態によれば、電子ディスプレイが提供される。特に、電子ディスプレイは、反射型マイクロプリズム散乱素子ベースのバックライト100、及びライトバルブのアレイを備え得る。これらの実施形態(図示せず)によれば、ライトバルブのアレイは、反射型マイクロプリズム散乱素子ベースのバックライト100によって提供される所定の光除外ゾーンIIを有する放射光102を変調するように構成されている。ライトバルブアレイを使用した放射光102の変調は、所定の光除外ゾーンIIの外側の放射ゾーンIに画像を提供し得る。すなわち、放射光102は、ライトバルブアレイを照光し、放射ゾーンI内の画像の表示及び見ることを可能にする。あるいは、所定の光除外ゾーンII内には実質的に何も表示されなくてもよい。したがって、電子ディスプレイは、所定の光除外ゾーンII内から見たときに「オフ」に見える場合がある。いくつかの実施形態では、反射型マイクロプリズム散乱素子ベースのバックライト100を含む電子ディスプレイは、放射ゾーンI内でのみ表示された画像を見ると同時に、所定の光除外ゾーンII内の画像を見ることを除外する能力が与えられる、「プライバシーディスプレイ」を表してもよい。
【0067】
いくつかの実施形態では、反射型マイクロプリズム散乱素子バックライトの反射型マイクロ散乱素子は、反射型マイクロプリズムマルチビーム素子のアレイとして配置され得る。そのように配置される場合、電子ディスプレイは、マルチビューディスプレイであり得る。特に、反射型マイクロプリズムマルチビーム素子アレイの各反射型マイクロプリズムマルチビーム素子は、反射型マイクロプリズム散乱素子(複数)の反射型マイクロプリズム散乱素子のサブセットを含み得る。様々な実施形態によれば、反射型マイクロプリズム散乱素子サブセットを含む反射型マイクロプリズムマルチビーム素子は、マルチビューディスプレイのそれぞれのビュー方向に対応する方向を有する指向性光ビームを含む放射光として、導波光の一部を反射して外方に散乱させるように構成されている。さらに、様々な実施形態によれば、指向性光ビームは、放射ゾーンに限定され、放射光の放射パターン内の所定の光除外ゾーンから除外される。
【0068】
図6Aは、本明細書に記載の原理と一致する一実施形態による、一例におけるマルチビューディスプレイ200の断面図を示している。
図6Bは、本明細書に記載の原理と一致する一実施形態による、一例におけるマルチビューディスプレイ200の平面図を示している。
図6Cは、本明細書に記載の原理と一致する一実施形態による、一例におけるマルチビューディスプレイ200の斜視図を示している。
図6Cの斜視図は、本明細書での論考を容易にするためだけのために、部分的に切り取られて描写されている。
【0069】
図示のように、マルチビューディスプレイ200は、ライトガイド210を備える。いくつかの実施形態では、ライトガイド210は、上述の反射型マイクロプリズム散乱素子ベースのバックライト100のライトガイド110と実質的に同様であり得る。特に、ライトガイド210は、導波光204として伝播方向203に光を誘導するように構成されている。図示のように、導波光204は、ライトガイド210の第1の表面210’及び第2の表面210’’(すなわち、ガイド面)によって、それらの間に誘導される。
【0070】
図6A~
図6Cに示すマルチビューディスプレイ200は、ライトガイド210全体にわたって互いに離間した反射型マイクロプリズムマルチビーム素子220のアレイをさらに備える。様々な実施形態によれば、反射型マイクロプリズムマルチビーム素子アレイの反射型マイクロプリズムマルチビーム素子220は、複数の反射型マイクロプリズム散乱素子222の反射型マイクロプリズム散乱素子222のサブセットを含む。さらに、各反射型マイクロプリズム散乱素子222は、傾斜型反射側壁を備える。集合的に、反射型マイクロプリズムマルチビーム素子220内の反射型マイクロプリズム散乱素子222の傾斜型反射側壁は、マルチビューディスプレイ200によって表示されるマルチビュー画像のそれぞれのビュー方向に対応する方向を有する指向性光ビームを含む放射光202として、導波光204(又はその少なくとも一部)を反射して外方に散乱させるように構成されている。さらに、様々な実施形態によれば、放射光202は、傾斜型反射側壁の傾斜角の関数である所定の光除外ゾーンIIを有する。特に、反射性散乱は、反射型マイクロプリズムマルチビーム素子220の反射型マイクロプリズム散乱素子222の傾斜型反射側壁によって発生するように構成されているか、又は傾斜型反射側壁によって提供される。しかしながら、様々な実施形態によれば、放射光202は、優先的に、放射光202の放射ゾーンIに限定され、所定の光除外ゾーンIIから除外される。
図6A及び
図6Cは、放射光202の指向性光ビームを、放射ゾーンI内のライトガイド210の第1の表面210’(すなわち、放射面)から導かれる複数の分岐矢印として示している。
図6A及び
図6Cに示す放射ゾーンI及び所定の光除外ゾーンIIは、いくつかの実施形態によれば、
図3Aに示すそれぞれの放射ゾーンI及び所定の光除外ゾーンIIと実質的に同様であり得る。
【0071】
いくつかの実施形態では、反射型マイクロプリズムマルチビーム素子220の反射型マイクロプリズム散乱素子222は、上述の反射型マイクロプリズム散乱素子ベースのバックライト100の反射型マイクロプリズム散乱素子120と実質的に同様であり得る。よって、いくつかの実施形態では、ライトガイド210及び反射型マイクロプリズムマルチビーム素子220のアレイは、反射型マイクロプリズムマルチビーム素子のアレイとして配置された複数の反射型マイクロプリズム散乱素子120を有する反射型マイクロプリズム散乱素子ベースのバックライト100と基本的に同様であり得る。いくつかの実施形態では、反射型マイクロプリズムマルチビーム素子220の反射型マイクロプリズム散乱素子222の深さは、反射型マイクロプリズムマルチビーム素子220内の隣接する反射型マイクロプリズム散乱素子222の平均ピッチ(又は間隔)にほぼ等しくてもよい。
【0072】
図示のように、マルチビューディスプレイは、ライトバルブ230のアレイをさらに備える。ライトバルブ230のアレイは、指向性光ビームを変調してマルチビュー画像を提供するように構成されている。様々な実施形態では、液晶ライトバルブ、電気泳動ライトバルブ、及びエレクトロウェッティングに基づくライトバルブのうちの1つ又はそれ以上を含むがこれらに限定されない、異なるタイプのライトバルブがライトバルブアレイのライトバルブ230として採用され得る。
【0073】
様々な実施形態によれば、反射型マイクロプリズム散乱素子222のサブセットのサイズを内に含む反射型マイクロプリズムマルチビーム素子220の各々のサイズ(例えば、
図6Aの小文字「s」に示すように)は、マルチビューディスプレイ200のライトバルブ230のサイズ(例えば、
図6Aの大文字「S」によって示すように)に匹敵する。本明細書では、「サイズ」は、これらに限定はされないが、長さ、幅、又は面積を含むように様々な方法のうちのいずれかで定義され得る。例えば、ライトバルブ230のサイズはその長さであってもよく、反射型マイクロプリズムマルチビーム素子220に匹敵するサイズはまた、反射型マイクロプリズムマルチビーム素子220の長さであってもよい。別の例では、サイズは反射型マイクロプリズムマルチビーム素子220の面積がライトバルブ230の面積に匹敵し得るような面積を指してもよい。
【0074】
いくつかの実施形態では、各反射型マイクロプリズムマルチビーム素子220のサイズは、マルチビューディスプレイ200のライトバルブアレイ内のライトバルブ230のサイズの約25パーセント(25%)~約200パーセント(200%)である。他の例では、反射型マイクロプリズムマルチビーム素子のサイズは、ライトバルブサイズの約50パーセント(50%)よりも大きいか、又はライトバルブサイズの約60パーセント(60%)よりも大きいか、又はライトバルブサイズの約70パーセント(70%)よりも大きいか、又はライトバルブサイズの約75パーセント(75%)よりも大きいか、又はライトバルブサイズの約80パーセント(80%)よりも大きいか、又はライトバルブサイズの約85パーセント(85%)よりも大きいか、又はライトバルブサイズの約90パーセント(90%)よりも大きい。他の例では、反射型マイクロプリズムマルチビーム素子のサイズは、ライトバルブサイズの約180パーセント(180%)未満、又はライトバルブサイズの約160パーセント(160%)未満、又はライトバルブサイズの約140パーセント(140%)未満、又はライトバルブサイズの約120パーセント(120%)未満である。いくつかの実施形態によれば、反射型マイクロプリズムマルチビーム素子220及びライトバルブ230に匹敵するサイズは、マルチビューディスプレイのビュー間の暗いゾーンを低減するように、又はいくつかの実施形態では最小化するように選択され得る。さらに、反射型マイクロプリズムマルチビーム素子220及びライトバルブ230に匹敵するサイズは、マルチビューディスプレイのビュー(又はビューピクセル)間のオーバーラップを低減し、いくつかの実施形態では最小化するように選択され得る。
【0075】
図6A及び
図6Cに示すように、異なる主角度方向を有する放射光202の放射ゾーン内の指向性光ビームの異なるものが通過し、ライトバルブアレイ内のライトバルブ230の異なるものによって変調され得る。さらに、図示のように、ライトバルブ230のセットは、マルチビューピクセル206に対応してもよく、アレイのライトバルブ230は、マルチビューピクセル20
6及びマルチビューディスプレイ200のサブピクセル
208に対応してもよい
(例えば、図6Bに示されるように)。特に、いくつかの実施形態では、ライトバルブアレイのライトバルブ230の異なるセットは、反射型マイクロプリズムマルチビーム素子220のうちの対応する1つによって又は反射型マイクロプリズムマルチビーム素子220のうちの対応する1つから提供される放射ゾーンI内の放射光202の指向性光ビームを受光かつ変調するように構成されており、すなわち、図示のように、各反射型マイクロプリズムマルチビーム素子に対してライトバルブ230の1つの固有のセットがある。
【0076】
いくつかの実施形態では、反射型マイクロプリズムマルチビーム素子220と対応するマルチビューピクセル206(すなわち、サブピクセル
208のセットと対応するライトバルブ230のセット)との間の関係は、一対一の関係すなわち対応であってもよい。すなわち、同数のマルチビューピクセル206及び反射型マイクロプリズムマルチビーム素子220が存在してもよい。
図6Bは、例として、ライトバルブ230の異なるセットを含む各マルチビューピクセル206が破線で取り囲まれて示してある、一対一の関係を明確に示している。他の実施形態(図示せず)では、マルチビューピクセル206の数及び反射型マイクロプリズムマルチビーム素子220の数は互いに異なっていてもよい。
【0077】
いくつかの実施形態では、複数の反射型マイクロプリズムマルチビーム素子220のペア間の素子間距離(例えば、中心間距離)は、例えば、ライトバルブセットによって表される、対応するマルチビューピクセル206のペア間のピクセル間距離(例えば、中心間距離)に等しくてもよい。例えば、
図6Aに示すように、第1の反射型マイクロプリズムマルチビーム素子220aと第2の反射型マイクロプリズムマルチビーム素子220bとの間の中心間距離は、第1のライトバルブセット230aと第2のライトバルブセット230bとの間の中心間距離に実質的に等しい。他の実施形態(図示せず)では、反射型マイクロプリズムマルチビーム素子220と対応するライトバルブセットとのペアの相対的な中心間距離は異なっていてもよく、例えば、反射型マイクロプリズムマルチビーム素子220は、マルチビューピクセル206を表すライトバルブセット間の間隔よりも大きいか又は小さい間隔の素子間間隔を有してもよい。
【0078】
さらに(例えば、
図6A及び
図6Cに示すように)、いくつかの実施形態によれば、各反射型マイクロプリズムマルチビーム素子220は、放射光202の指向性光ビームを1つのかつ唯一のマルチビューピクセル206に提供するように構成されてもよい。特に、反射型マイクロプリズムマルチビーム素子220の所与の1つについて、マルチビューディスプレイの異なるビューに対応する異なる主角度方向を有する指向性光ビームは、単一の対応するマルチビューピクセル206及びそのサブピクセル、すなわち、反射型マイクロプリズムマルチビーム素子220に対応するライトバルブ230の単一のセットに実質的に限定され得る。よって、各反射型マイクロプリズムマルチビーム素子220は、マルチビューディスプレイの異なるビューに対応する異なる主角度方向のセットを有する放射ゾーン内の放射光202の対応する指向性光ビームのセットを提供する(すなわち、指向性光ビームのセットは、異なるビュー方向の各々に対応する方向を有する光ビームを含む)。
【0079】
いくつかの実施形態では、放射ゾーン内のマルチビューディスプレイ200によって提供される、放射されかつ変調された光ビームは、マルチビューディスプレイ又はマルチビュー画像の同等物の複数の視野方向又はビューに優先的に導かれてもよい。非限定的な例では、マルチビュー画像は、対応する数のビュー方向を有する1×4(1×4)、1×8(1×8)、2×2(2×2)、4×8(4×8)、又は8×8(8×8)のビューを含み得る。1つの方向にはあるが別の方向にはない複数のビュー(例えば、1×4及び1×8のビュー)を含むマルチビューディスプレイ200は、これらの構成が、1つの方向(例えば、水平方向を水平視差とする)にはあるが、直交する方向(例えば、視差のない垂直方向)にはない異なるビュー又はシーン視差を表すビューを提供し得るという点で、「水平視差のみ」のマルチビューディスプレイと呼ばれ得る。2つの直交する方向に2つ以上のシーンを含むマルチビューディスプレイ200は、ビュー又はシーン視差が両方の直交する方向(例えば、水平視差及び垂直視差の両方)で変化し得るという点で、完全視差マルチビューディスプレイと呼ばれ得る。いくつかの実施形態では、マルチビューディスプレイ200は、三次元(3D)コンテンツ又は情報を有するマルチビューディスプレイを提供するように構成されている。マルチビューディスプレイ又はマルチビュー画像の異なるビューは、マルチビューディスプレイによって表示されているマルチビュー画像内の情報の「メガネなし」(例えば、自動立体視)表現を提供し得る。
【0080】
いくつかの実施形態では、マルチビューディスプレイ200のライトガイド210内の導波光204は、所定のコリメーション係数に従ってコリメートされ得る。いくつかの実施形態では、放射ゾーン内の放射光202の放射パターンは、導波光の所定のコリメーション係数の関数である。例えば、所定のコリメーション係数は、反射型マイクロプリズム散乱素子ベースのバックライト100に関して上述した所定のコリメーション係数σと実質的に同様であり得る。
【0081】
これらの実施形態のいくつか(例えば、
図6A~
図6Cに示すように)では、マルチビューディスプレイ200は、光源240をさらに備え得る。光源240は、非ゼロ伝播角度内で光をライトガイド210に提供するように構成されてもよく、いくつかの実施形態では、ライトガイド210内の導波光204の所定の角度広がりを提供するために、所定のコリメーション係数に従ってコリメートされる。いくつかの実施形態によれば、光源240は、反射型マイクロプリズム散乱素子ベースのバックライト100に関して上述した光源130と実質的に同様であり得る。
【0082】
本明細書に記載の原理のいくつかの実施形態によれば、バックライト動作の方法が提供される。
図7は、本明細書に記載の原理と一致する一実施形態による、一例におけるバックライト動作の方法300のフローチャートを示している。
図7に示すように、バックライト動作の方法300は、導波光としてライトガイドの長さに沿った伝播方向に光を誘導するステップ310を含む。いくつかの実施形態では、光は、非ゼロ伝播角度で誘導するステップ310において誘導され得る。また、導波光がコリメートされてもよい。特に、導波光は、所定のコリメーション係数に従ってコリメートされてもよい。いくつかの実施形態によれば、ライトガイドは、反射型マイクロプリズム散乱素子ベースのバックライト100に関して上述したライトガイド110と実質的に同様であり得る。特に、様々な実施形態によれば、光は、ライトガイド内の全内部反射に従って誘導されてもよい。同様に、所定のコリメーション係数及び非ゼロ伝播角度は、反射型マイクロプリズム散乱素子ベースのバックライト100のライトガイド110に関して上述した所定のコリメーション係数σ及び非ゼロ伝播角度と実質的に同様であってもよい。
【0083】
図7に示すように、バックライト動作の方法300は、複数の反射型マイクロプリズム散乱素子を使用して導波光の一部をライトガイドから外方に反射させるステップ320であって、それにより、所定の光除外ゾーンを有する放射光を提供する、ステップ320をさらに含む。様々な実施形態において、反射型マイクロプリズム散乱素子(複数)の反射型マイクロプリズム散乱素子の傾斜型反射側壁は、導波光の伝播方向から外方に傾斜した傾斜角を有し、放射光の所定の光除外ゾーンは、傾斜型反射側壁の傾斜角によって決定される。
【0084】
いくつかの実施形態では、反射型マイクロプリズム散乱素子は、上述の反射型マイクロプリズム散乱素子ベースのバックライト100の反射型マイクロプリズム散乱素子120と実質的に同様であり得る。特に、傾斜型反射側壁は、全内部反射に従って光を反射して散乱させて、ライトガイドから外方に誘導された光の一部を反射し、放射光を提供し得る。いくつかの実施形態では、反射型マイクロプリズム散乱素子(複数)のうちの反射型マイクロプリズム散乱素子は、ライトガイドの表面上、例えば、ライトガイドの放射面上又は放射面の反対側の表面上のいずれかに配設されてもよい。他の実施形態では、反射型マイクロプリズム散乱素子は、対向するライトガイド面の間に位置決めされ、かつ対向するライトガイド面から離間され得る。様々な実施形態によれば、放射光の放射パターンは、少なくとも部分的に、導波光の所定のコリメーション係数の関数であってもよい。
【0085】
いくつかの実施形態では、傾斜型反射側壁の傾斜角は、ライトガイドの放射面の面法線に対して0度(0°)~約45度(45°)であり、所定の光除外ゾーンは、90度(90°)~傾斜角である。様々な実施形態によれば、傾斜角は、ライトガイドの放射面の方向に、かつ放射面とは反対側のライトガイドの表面から離れるように光を優先的に散乱させるために、導波光の非ゼロ伝播角度と併せて選択される。さらに、傾斜角は、所定の光除外ゾーンの角度範囲を決定するように選択される。
【0086】
いくつかの実施形態(図示せず)では、バックライト動作の方法は、光源を使用してライトガイドに光を提供するステップをさらに含む。提供された光の一方又は両方は、ライトガイド内で非ゼロ伝播角度を有し得、コリメーション係数に従ってライトガイド内でコリメートされて、ライトガイド内で導波光の所定の角度広がりを提供し得る。いくつかの実施形態では、光源は、上述の反射型マイクロプリズム散乱素子ベースのバックライト100の光源130と実質的に同様であり得る。
【0087】
いくつかの実施形態(例えば、
図7に示すように)では、バックライト動作の方法300は、ライトバルブを使用して反射型マイクロプリズム散乱素子によって反射して外方に散乱された放射光を変調するステップ330であって、それによって画像を提供する、ステップ330をさらに含む。様々な実施形態によれば、画像は、放射ゾーン内でのみ見ることができ、所定の
光除外ゾーン内では見ることができない。
【0088】
いくつかの実施形態では、複数の反射型マイクロプリズム散乱素子は、反射型マイクロプリズムマルチビーム素子のアレイとして配置され、反射型マイクロプリズムマルチビーム素子アレイの各反射型マイクロプリズムマルチビーム素子は、反射型マイクロプリズム散乱素子(複数)の反射型マイクロプリズム散乱素子のサブセットを含む。さらに、反射型マイクロプリズムマルチビーム素子アレイの反射型マイクロプリズムマルチビーム素子は、ライトガイド全体にわたって互いに離間して、マルチビュー画像のそれぞれのビュー方向に対応する方向を有する指向性光ビームを含む放射光として導波光を反射して外方に散乱させ得る。表示されたときのマルチビーム画像は、放射ゾーン内でのみ見ることができ、所定の光除外ゾーン内では見ることができない。いくつかの実施形態では、反射型マイクロプリズムマルチビーム素子のサイズは、ライトバルブアレイのライトバルブのサイズの25パーセント(25%)~200パーセント(200%)であってもよい。
【0089】
このように、反射型マイクロプリズム散乱素子ベースのバックライト、バックライト動作の方法、及び反射型マイクロプリズム散乱素子を採用して所定の光除外ゾーンを有する放射光を提供するマルチビューディスプレイの例及び実施形態を説明した。上述の例は、本明細書に記載の原理を表す多くの特定の例のいくつかの単なる例示であることを理解されたい。明らかに、当業者は、以下の特許請求の範囲によって定義される範囲から逸脱することなく、多数の他の構成を容易に考案することができる。
【符号の説明】
【0090】
10 マルチビューディスプレイ
12 スクリーン
14 ビュー
16 ビュー方向
20 光ビーム
100 反射型マイクロプリズム散乱素子ベースのバックライト
102 放射光
103 伝播方向
104 導波光
110 ライトガイド
110’ 第1の表面
110’’ 第2の表面
120 反射型マイクロプリズム散乱素子
122 傾斜型反射側壁
130 光源
200 マルチビューディスプレイ
202 放射光
203 伝播方向
204 導波光
206 マルチビューピクセル
210 ライトガイド
210’ 第1の表面
210’’ 第2の表面
220 反射型マイクロプリズムマルチビーム素子
220a 第1の反射型マイクロプリズムマルチビーム素子
220b 第2の反射型マイクロプリズムマルチビーム素子
222 反射型マイクロプリズム散乱素子
230 ライトバルブ
230a 第1のライトバルブセット
230b 第2のライトバルブセット
240 光源
300 方法
310 ステップ
320 ステップ
330 ステップ
I 放射ゾーン
II 所定の光除外ゾーン
θ 仰角
φ 方位角
O 原点
σ コリメーション係数
σs 散乱光の角度広がり
γ 角度
s サイズ
S サイズ
【国際調査報告】