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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-17
(54)【発明の名称】電磁駆動式血液ポンプ
(51)【国際特許分類】
   A61M 60/419 20210101AFI20230310BHJP
   F04D 13/02 20060101ALI20230310BHJP
   A61M 60/13 20210101ALI20230310BHJP
   A61M 60/242 20210101ALI20230310BHJP
   A61M 60/31 20210101ALI20230310BHJP
   A61M 60/416 20210101ALI20230310BHJP
【FI】
A61M60/419
F04D13/02 G
A61M60/13
A61M60/242
A61M60/31
A61M60/416
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022544326
(86)(22)【出願日】2020-12-29
(85)【翻訳文提出日】2022-09-16
(86)【国際出願番号】 US2020067376
(87)【国際公開番号】W WO2021150355
(87)【国際公開日】2021-07-29
(31)【優先権主張番号】62/964,102
(32)【優先日】2020-01-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】エドワーズ、ネイサン
(72)【発明者】
【氏名】ブレイダル、ベンジャミン
(72)【発明者】
【氏名】クロンステット、ジョセフ エイ.
【テーマコード(参考)】
3H130
4C077
【Fターム(参考)】
3H130AA02
3H130AB23
3H130AB42
3H130AC18
3H130BA97G
3H130DB13Z
3H130DD01X
3H130EA07G
3H130ED04G
4C077AA04
4C077DD01
4C077DD21
4C077EE01
4C077FF04
4C077KK23
(57)【要約】
インペラ(106)に結合された駆動シャフト(110)と、駆動シャフト(110)及びインペラ(106)のうちの少なくとも一つに結合された被駆動磁石アセンブリ(140)と、被駆動磁石アセンブリ(140)を駆動するように構成された駆動コイルアセンブリ(114)と、を備える、磁気駆動システム(102)が開示されている。血液ポンプ(100)も開示されており、血液ポンプ(100)は、ポンプハウジングと、その中に配置された磁気駆動システム(102)と、を備えている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
血液ポンプの磁気駆動システムであって、前記磁気駆動システムは、
インペラに結合されるとともに、前記インペラと共に回転するように構成された駆動シャフトと、
前記駆動シャフト及び前記インペラのうちの少なくとも一つに結合された被駆動磁石アセンブリと、
前記被駆動磁石アセンブリを取り囲むとともに、前記被駆動磁石アセンブリを駆動するように構成された駆動コイルアセンブリと、を備える、磁気駆動システム。
【請求項2】
請求項1に記載の磁気駆動システムであって、前記被駆動磁石アセンブリは、前記インペラの近位で前記駆動シャフトに結合される、磁気駆動システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の磁気駆動システムであって、前記駆動コイルアセンブリは、コイルハウジングと、前記コイルハウジング内に配置された複数のコイル巻線と、を含む、磁気駆動システム。
【請求項4】
請求項3に記載の磁気駆動システムであって、前記コイルハウジングは、ポンプハウジング内に配置されるとともに、前記被駆動磁石アセンブリを取り囲む、磁気駆動システム。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載の磁気駆動システムであって、前記被駆動磁石アセンブリは、磁石カバー内に配置された永久磁石を含む、磁気駆動システム。
【請求項6】
血液ポンプであって、前記血液ポンプは、
ポンプハウジングと、
前記ポンプハウジング内に配置されたインペラと、
前記ポンプハウジング内に配置されて前記インペラに結合されるとともに、前記インペラと共に回転するように構成された駆動シャフトと、
前記ポンプハウジング内に配置されるとともに、前記駆動シャフト及び前記インペラのうちの少なくとも一つに結合された被駆動磁石アセンブリと、
前記ポンプハウジング内に配置されるとともに、前記被駆動磁石アセンブリを取り囲み、前記被駆動磁石アセンブリを駆動するように構成された駆動コイルアセンブリと、を備える、血液ポンプ。
【請求項7】
請求項6に記載の血液ポンプであって、前記被駆動磁石アセンブリは、前記インペラの近位で前記駆動シャフトに結合される、血液ポンプ。
【請求項8】
請求項6または7に記載の血液ポンプであって、前記駆動コイルアセンブリは、コイルハウジングと、前記コイルハウジング内に配置された複数のコイル巻線と、を含み、前記コイルハウジングは、前記ポンプハウジング内に配置されるとともに、前記被駆動磁石アセンブリを取り囲む、血液ポンプ。
【請求項9】
請求項6~8のいずれか一項に記載の血液ポンプであって、前記被駆動磁石アセンブリは、磁石カバー内に配置された永久磁石を含む、血液ポンプ。
【請求項10】
請求項6~9のいずれか一項に記載の血液ポンプであって、近位軸受アセンブリをさらに備え、前記駆動シャフトの近位端は、前記近位軸受アセンブリによって回転可能に保持される、血液ポンプ。
【請求項11】
請求項10に記載の血液ポンプであって、前記近位軸受アセンブリは、
内部に画定されたくぼみを有する遠位に面する軸受面を含む第一の軸受部分と、
近位に面する軸受面を含む第二の軸受部分と、を含み、前記第一及び第二の軸受部分は、前記駆動シャフトの近位端を保持するように構成されたチャンバを生成するように、一緒に結合されるように構成される、血液ポンプ。
【請求項12】
請求項10に記載の血液ポンプであって、前記近位軸受アセンブリは、
遠位に面する軸受面を含む第一の軸受部分と、
近位に面する軸受面を含む第二の軸受部分と、
半径方向に面する軸受面を含む第三の軸受部分と、を含み、前記第一、第二、及び第三の軸受部分は、前記駆動シャフトの近位端を保持するように構成されたチャンバを生成するように、一緒に結合されるように構成される、血液ポンプ。
【請求項13】
請求項11または12に記載の血液ポンプであって、前記第一及び第二の軸受部分は、一緒に圧入され、一緒に接着され、または一緒に留められるように構成される、血液ポンプ。
【請求項14】
請求項10~13のいずれか一項に記載の血液ポンプであって、第一の軸受部分は、それを貫通して画定された第一の開口を有し、第二の軸受部分は、それを貫通して画定された第二の開口を有し、前記第一及び第二の開口は、導電体が前記第一及び第二の開口を通って配置され得るように、前記第一及び第二の軸受部分が結合されるときに位置合わせされるように構成され、前記導電体は、前記駆動コイルアセンブリに電源を電気的に結合する、血液ポンプ。
【請求項15】
請求項10~14のいずれか一項に記載の血液ポンプであって、前記駆動シャフトの遠位端は、遠位軸受アセンブリによって保持されない、血液ポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、経皮的循環補助装置に関する。より具体的には、本開示は、経皮的循環補助装置を使用するモータ及びベアリングに関する。
【背景技術】
【0002】
血液ポンプ等の経皮的循環補助装置は、通常、機能を犠牲にすることなく可能な限り小さく作製することで、埋め込みが容易となり、より大きな利益をもたらすことができる。典型的には、モータハウジングに収容されたモータは、別個のインペラハウジングに収容されたインペラを駆動する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
実施例1の血液ポンプの磁気駆動システムでは、磁気駆動システムは、インペラに結合されるとともに、インペラと共に回転するように構成された駆動シャフトと、駆動シャフト及びインペラのうちの少なくとも一つに結合された被駆動磁石アセンブリと、被駆動磁石アセンブリを取り囲むとともに、被駆動磁石アセンブリを駆動するように構成された駆動コイルアセンブリと、を備える。
【0004】
実施例2では、実施例1の磁気駆動システムにおいて、被駆動磁石アセンブリは、インペラの近位で駆動シャフトに結合される。
実施例3では、実施例1または2の磁気駆動システムにおいて、駆動コイルアセンブリは、コイルハウジングと、コイルハウジング内に配置された複数のコイル巻線と、を含む。
【0005】
実施例4では、実施例3の磁気駆動システムにおいて、コイルハウジングは、ポンプハウジング内に配置されるとともに、被駆動磁石アセンブリを取り囲む。
実施例5では、実施例1~4のいずれかの磁気駆動システムにおいて、被駆動磁石アセンブリは、磁石カバー内に配置された永久磁石を含む。
【0006】
実施例6の血液ポンプでは、血液ポンプは、ポンプハウジングと、ポンプハウジング内に配置されたインペラと、ポンプハウジング内に配置されてインペラに結合されるとともに、インペラと共に回転するように構成された駆動シャフトと、ポンプハウジング内に配置されるとともに、駆動シャフト及びインペラのうちの少なくとも一つに結合された被駆動磁石アセンブリと、ポンプハウジング内に配置されるとともに、被駆動磁石アセンブリを取り囲み、被駆動磁石アセンブリを駆動するように構成された駆動コイルアセンブリと、を備える。
【0007】
実施例7では、実施例6の血液ポンプにおいて、被駆動磁石アセンブリは、インペラの近位で駆動シャフトに結合される。
実施例8では、実施例6または7の血液ポンプにおいて、駆動コイルアセンブリは、コイルハウジングと、コイルハウジング内に配置された複数のコイル巻線と、を含み、コイルハウジングは、ポンプハウジング内に配置されるとともに、被駆動磁石アセンブリを取り囲む。
【0008】
実施例9では、実施例6~8のいずれかの血液ポンプにおいて、被駆動磁石アセンブリは、磁石カバー内に配置された永久磁石を含む。
実施例10では、実施例6~9のいずれかの血液ポンプにおいて、近位軸受アセンブリをさらに備え、駆動シャフトの近位端は、近位軸受アセンブリによって回転可能に保持される。
【0009】
実施例11では、実施例10の血液ポンプにおいて、近位軸受アセンブリは、内部に画定されたくぼみを有する遠位に面する軸受面を含む第一の軸受部分と、近位に面する軸受面を含む第二の軸受部分と、を含み、第一及び第二の軸受部分は、駆動シャフトの近位端を保持するように構成されたチャンバを生成するように、一緒に結合されるように構成される。
【0010】
実施例12では、実施例10の血液ポンプにおいて、近位軸受アセンブリは、遠位に面する軸受面を含む第一の軸受部分と、近位に面する軸受面を含む第二の軸受部分と、半径方向に面する軸受面を含む第三の軸受部分と、を含み、第一、第二、及び第三の軸受部分は、駆動シャフトの近位端を保持するように構成されたチャンバを生成するように、一緒に結合されるように構成される。
【0011】
実施例13では、実施例11または12の血液ポンプにおいて、第一及び第二の軸受部分は、一緒に圧入され、一緒に接着され、または一緒に留められるように構成される。
実施例14では、実施例10~13のいずれかの血液ポンプにおいて、第一の軸受部分は、それを貫通して画定された第一の開口を有し、第二の軸受部分は、それを貫通して画定された第二の開口を有し、第一及び第二の開口は、導電体が第一及び第二の開口を通って配置され得るように、第一及び第二の軸受部分が結合されるときに位置合わせされるように構成され、導電体は、駆動コイルアセンブリに電源を電気的に結合する。
【0012】
実施例15では、実施例10~14のいずれかの血液ポンプにおいて、駆動シャフトの遠位端は、遠位軸受アセンブリによって保持されない。
実施例16の血液ポンプの磁気駆動システムでは、磁気駆動システムは、インペラに連結されるとともに、インペラと共に回転するように構成された駆動シャフトと、駆動シャフト及びインペラのうちの少なくとも一つに結合された被駆動磁石アセンブリと、電源に電気的に結合されるとともに、被駆動磁石アセンブリを取り囲み、被駆動磁石アセンブリを駆動するように構成された駆動コイルアセンブリと、を備える。
【0013】
実施例17では、実施例16の磁気駆動システムにおいて、被駆動磁石アセンブリは、インペラの近位で駆動シャフトに結合される。
実施例18では、実施例16の磁気駆動システムにおいて、駆動コイルアセンブリは、コイルハウジングと、コイルハウジング内に配置された複数のコイル巻線と、を含む。
【0014】
実施例19では、実施例18の磁気駆動システムにおいて、コイルハウジングは、ポンプハウジング内に配置されるとともに、被駆動磁石アセンブリを取り囲む。
実施例20では、実施例16の磁気駆動システムにおいて、被駆動磁石アセンブリは、磁石カバー内に配置された永久磁石を含む。
【0015】
実施例21の血液ポンプでは、血液ポンプは、ポンプハウジングと、ポンプハウジング内に配置されたインペラと、ポンプハウジング内に配置されてインペラに結合されるとともに、インペラと共に回転するように構成された駆動シャフトと、ポンプハウジング内に配置されるとともに、駆動シャフト及びインペラのうちの少なくとも一つに結合された被駆動磁石アセンブリと、ポンプハウジング内に配置されるとともに、電源に電気的に結合され、被駆動磁石アセンブリを取り囲み、被駆動磁石アセンブリを駆動するように構成された駆動コイルアセンブリと、を備える。
【0016】
実施例22では、実施例21の血液ポンプにおいて、被駆動磁石アセンブリは、インペラの近位で駆動シャフトに結合される。
実施例23では、実施例21の血液ポンプにおいて、駆動コイルアセンブリは、コイルハウジングと、コイルハウジング内に配置された複数のコイル巻線と、を含み、コイルハウジングは、ポンプハウジング内に配置されるとともに、被駆動磁石アセンブリを取り囲む。
【0017】
実施例24では、実施例21の血液ポンプにおいて、被駆動磁石アセンブリは、磁石カバー内に配置された永久磁石を含む。
実施例25では、実施例21の血液ポンプにおいて、近位軸受アセンブリをさらに備え、駆動シャフトの近位端は、近位軸受アセンブリによって回転可能に保持される。
【0018】
実施例26では、実施例25の血液ポンプにおいて、近位軸受アセンブリは、内部に画定されたくぼみを有する遠位に面する軸受面を含む第一の軸受部分と、近位に面する軸受面を含む第二の軸受部分と、を含み、第一及び第二の軸受部分は、駆動シャフトの近位端を保持するように構成されたチャンバを生成するように、一緒に結合されるように構成される。
【0019】
実施例27では、実施例25の血液ポンプにおいて、近位軸受アセンブリは、遠位に面する軸受面を含む第一の軸受部分と、近位に面する軸受面を含む第二の軸受部分と、半径方向に面する軸受面を含む第三の軸受部分と、を含み、第一、第二、及び第三の軸受部分は、駆動シャフトの近位端を保持するように構成されたチャンバを生成するように、一緒に結合されるように構成される。
【0020】
実施例28では、実施例27の血液ポンプにおいて、第一及び第二の軸受部分は、一緒に圧入され、一緒に接着され、または一緒に留められるように構成される。
実施例29では、実施例27の血液ポンプにおいて、第一の軸受部分は、それを貫通して画定された第一の開口を有し、第二の軸受部分は、それを貫通して画定された第二の開口を有し、第一及び第二の開口は、導電体が第一及び第二の開口を通って配置され得るように、第一及び第二の軸受部分が結合されるときに位置合わせされるように構成され、導電体は、駆動コイルアセンブリに電源を電気的に結合する。
【0021】
実施例30では、実施例25の血液ポンプにおいて、駆動シャフトの遠位端は、遠位軸受アセンブリによって保持されない。
実施例31の血液ポンプでは、血液ポンプは、ポンプハウジングと、ポンプハウジング内に配置されたインペラと、ポンプハウジング内に配置されてインペラに結合されるとともに、インペラと共に回転するように構成された駆動シャフトと、ポンプハウジング内に配置されるとともに、駆動シャフト及びインペラのうちの少なくとも一つに結合された被駆動磁石アセンブリと、ポンプハウジング内に配置されるとともに、モータに電気的に結合され、被駆動磁石アセンブリを取り囲み、被駆動磁石アセンブリを駆動するように構成された駆動コイルアセンブリと、近位軸受アセンブリと、を備え、駆動シャフトの近位端は、近位軸受アセンブリによって回転可能に保持され、近位軸受アセンブリは、遠位に面する軸受面を含む第一の軸受部分と、近位に面する軸受面を含む第二の軸受部分と、を含み、第一及び第二の軸受部分は、駆動シャフトの近位端を保持するように構成されたチャンバを生成するように、一緒に結合されるように構成される。
【0022】
実施例32では、実施例31の血液ポンプにおいて、被駆動磁石アセンブリは、インペラの近位で駆動シャフトに結合される。
実施例33では、実施例31の血液ポンプにおいて、駆動コイルアセンブリは、コイルハウジングと、コイルハウジング内に配置された複数のコイル巻線と、を含む。
【0023】
実施例34では、実施例33の血液ポンプにおいて、コイルハウジングは、ポンプハウジング内に配置されるとともに、被駆動磁石アセンブリを取り囲む。
実施例35では、実施例34の血液ポンプにおいて、被駆動磁石アセンブリは、磁石カバー内に配置された永久磁石を含む。
【0024】
複数の実施形態が開示されているが、現在開示されている主題のさらに別の実施形態が、開示された主題の例示的な実施形態を示し説明する以下の詳細な説明から当業者に明らかとなるであろう。したがって、図面及び詳細な説明は、本質的に例示的であり、限定的ではないと見なされるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本明細書に開示された主題の実施形態による、例示的な経皮的機械的循環補助装置(本明細書では互換的に、「血液ポンプ」とも呼ばれる)の一部の断面側面図を示す。
図2A】本明細書に開示された主題の実施形態による、駆動シャフトを保持する近位軸受アセンブリの斜視図である。
図2B】本明細書に開示された主題の実施形態による、図2Aの近位軸受アセンブリ及び駆動シャフトの側面図である。
図2C】本明細書に開示された主題の実施形態による、図2A及び図2Bに示される近位軸受アセンブリ及び駆動シャフトの線A-Aに沿った断面側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
開示された主題は、様々な修正及び代替形態に従うが、特定の実施形態が例として図面に示され、以下に詳細に説明されている。しかしながら、本明細書に開示された主題を記載された特定の実施形態に限定することは意図しない。むしろ、本開示は、本明細書に開示され、添付の特許請求の範囲によって定義される主題の範囲内にあるすべての修正、均等物、及び代替物を包含することを意図している。
【0027】
本明細書で開示された主題の実施形態は、コンパクトな電磁駆動システムを提供することによって、機械的循環補助装置のフォームファクタのサイズの縮小を容易にすることができる血液ポンプ及びベアリング設計を含む。実施形態では、金属コイルが密封されたハウジングに埋め込まれている。電子コントローラがコイルの電流を交互に変化させて電磁場の極性を変化させ、インペラに結合された永久磁石を駆動する。永久磁石は強力な磁石であり、磁石の腐食のリスクや磁石をコーティングする必要性を排除するために、ある種のハウジングに封入されてもよい。磁石の回転運動はインペラの回転を生じさせて、血液の順方向の流れを提供し、動脈血圧を供給して、患者の臓器が十分に灌流されるようにする。永久磁石は、駆動シャフトに結合される。駆動シャフトは、シャフトの近位端が近位軸受アセンブリ内に画定された空洞内に保持される、軸受取付具内に配置される。これにより、ハウジング内でシャフトとインペラとを同心に保つとともに、ブレードとチップとの間の一貫したギャップを維持しながら、血液を送り出すのに必要な速度でシャフトを回転させることができる。軸受の取り付けはシャフトと軸受との間のID/OD(内径/外径)公差に合わせて厳密に制御されているため、自由度が最小限に抑えられており、軸受が適切にフィットして血液が軸受に入らないようになっていて、溶血や血栓のリスクを軽減している。
【0028】
コイルハウジング上の血液の順方向の流れは、電磁コイルから熱を放散する手段として機能する。空気は熱伝導率が低く、コイルハウジング内に熱が蓄積する可能性があり、これに対処しないとモータの性能が制限される可能性があるため、コイルハウジング内の空気の量を最小限にすることによって電磁コイルからハウジングの外部への熱抵抗を低減する措置が講じられ得る。例えば、ハウジング内のコイルの組み立ては、構成要素間の空隙の導入を最小限に抑えるように、組み立ての特徴を許容することによって熱伝達を最適化することもできる。コイルは、セラミックの原子層堆積によってコーティングすることもできる。これにより、電気的短絡のリスクを生じさせることなく、組み立てられた構成要素間のギャップを最小限に抑えて熱伝達を最適化する、ハウジング内での緊密な組み立てが可能となる。さらに、コイルハウジングは、電磁コイルからコイルハウジングの外部への熱伝達を増加させるために、非電解性で高熱伝導率の液体を有していてもよい。電磁コイルから熱を逃がすための熱伝達の最適化により、同等のフォームファクタ・デバイスのトルク出力を増加させるか、または必要なコイルのサイズを小さくすることができ、デバイスの送達を容易にし、最適な位置決めを促進することができる。また、コイルでインペラの磁石を駆動することによって別個のモータハウジング及びモータを排除することにより、そのような構成要素を収容するのに必要な長さを既存のデバイスから大幅に短縮することができる。
【0029】
図1は、本明細書に開示された主題の実施形態による、例示的な経皮的機械的循環補助装置100(本明細書では互換的に、「血液ポンプ」とも呼ばれる)の一部の断面側面図を示す。図1に示すように、循環補助装置100は、ポンプハウジング104内に配置された磁気駆動システム102を含む。磁気駆動システム102は、インペラ106を駆動して、装置100を通る血液の流れを提供するように構成される。インペラ106はポンプハウジング104内に配置され、ポンプハウジング104内には、多数の出口開口108が画定されている。
【0030】
図1に示すように、磁気駆動システム102は、インペラ106に結合されるとともに、インペラ106と共に回転するように構成された駆動シャフト110を含む。示されるように、駆動シャフト110は、インペラ106内に少なくとも部分的に配置される。実施形態では、駆動シャフト110は、例えば鋼、チタン合金、コバルトクロム合金、ニチノール、高強度セラミック等の、任意の数の異なる剛性材料から作製することができる。被駆動磁石アセンブリ112は、駆動シャフト110及びインペラ106のうちの少なくとも一つに結合される。実施形態では、例えば、被駆動磁石アセンブリ112は、インペラ106の近位で駆動シャフト110に結合されてもよい。他の実施形態では、被駆動磁石アセンブリ112はインペラ106に直接結合されてもよく、一方、いくつかの実施形態では、被駆動磁石アセンブリ112は駆動シャフト110及びインペラ106に結合されてもよい。磁気駆動システム102は、電源(図示せず)に電気的に結合された駆動コイルアセンブリ114を含む。磁気駆動コイルアセンブリ114は、被駆動磁石アセンブリ112を取り囲み、被駆動磁石アセンブリ112を駆動するように構成される。
【0031】
駆動コイルアセンブリ114は、コイルハウジング116と、コイルハウジング116内に配置された多数のコイル巻線118Aと、を含む。電磁場は、銅、グラフェン、またはその他の熱伝導率の高い材料をコイル状に構成して生成することができる。駆動コイルアセンブリ114は、コイルハウジング116内に任意の数の構成で配置された任意の数のコイル巻線118Aを含むことができる。実施形態では、コイルハウジング116は、実際には複数の別個のハウジングを含んでもよい。コイルハウジング116はポンプハウジング104内に配置されて、被駆動磁石アセンブリ112を円周方向または長手方向に取り囲んでもよい。示すように、実施形態では、被駆動磁石アセンブリ112は、気密封止され得る磁石カバー142内に配置された永久磁石140を含んでもよい。
【0032】
コントローラ(図示せず)は、導電体118Bを介して駆動コイルアセンブリ114に動作可能に結合され、駆動コイルアセンブリ114を制御するように構成される。コントローラは、実施形態においてポンプハウジング104内に配置されてもよく、または他の実施形態において、ハウジング104の外側(例えば、カテーテルハンドル、独立したハウジング等)に配置されてもよい。実施形態では、コントローラは複数の構成要素を含んでもよく、そのうちの一つまたは複数をハウジング104内に配置してもよい。実施形態によれば、コントローラは、一つまたは複数のフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、一つまたは複数のプログラマブルロジックデバイス(PLD)、一つまたは複数の複合PLD(CPLD)、一つまたは複数のカスタム特定用途向け集積回路(ASIC)、一つまたは複数の専用プロセッサ(マイクロプロセッサ等)、一つまたは複数の中央処理装置(CPU)、ソフトウェア、ハードウェア、ファームウェア、またはこれら及び/またはその他の構成要素の任意の組み合わせであってもよく、これらを含んでもよく、またはこれらに含まれてもよい。コントローラは、本明細書では単数形で言及されているが、複数のインスタンスで実装され、複数のコンピューティングデバイスに分散され、及び/または複数の仮想マシン内でインスタンス化される等してもよい。
【0033】
示すように、インペラ106は、近位軸受アセンブリ122によって近位端120で保持され、且つ遠位軸受アセンブリ126によって遠位端124で保持される、駆動シャフト110によってその向きを維持される。実施形態によれば、近位軸受アセンブリ122及び遠位軸受アセンブリ126は、異なるタイプの軸受を含んでもよい。実施形態によれば、近位軸受アセンブリ122及び/または遠位軸受アセンブリ126は潤滑を含んでもよいが、他の実施形態では、その一方及び/または他方は潤滑を含まなくてもよい。実施形態では、駆動シャフト110は、近位軸受アセンブリ122によって十分に堅固に保持され得るので、遠位軸受アセンブリは必要とされず、その場合、駆動シャフト110は遠位軸受アセンブリによっては適所に保持されない。
【0034】
図1に示すように、近位軸受アセンブリ122は、駆動シャフト110の近位端120を保持するように構成されたチャンバ132を形成するように、一緒に結合されるように構成された第一の軸受部分128及び第二の軸受部分130を含んでもよい。実施形態によれば、第一及び第二の軸受部分128及び130は、一緒に圧入され、連結溝を用いて結合され、接着剤を用いて結合され、ピンを用いて結合され、及び/または締結具を使用して結合される等のように構成されてもよい。実施形態では、開口134は、近位軸受アセンブリ122を通して画定される。導体118Bは、開口134を通過して、コイル巻線118Aを電源に電気的に接続する。近位軸受アセンブリ122は、血液からカテーテル136を密封するように構成されてもよい。
【0035】
図1に示す例示的な循環補助装置100は、本開示の実施形態の使用または機能の範囲に関する限定を示唆することを意図するものではない。また、例示的な循環補助装置100は、そこに示される任意の単一の構成要素または構成要素の組み合わせに関連する依存性または要件を有すると解釈されるべきではない。さらに、図1に示される様々な構成要素は、実施形態において、図1に示される他の構成要素(及び/または図示されていない構成要素)の様々なものと統合されてもよく、これらはすべて本開示の範囲内にあるとみなされる。
【0036】
上述したように、図1に関して、血液ポンプの実施形態は、駆動シャフトを所定の位置に維持するとともに、血液からカテーテルを密封するように構成された近位軸受アセンブリを含み、一方で、導電体がコイル巻線を通過することを可能にする。実施形態では、近位軸受アセンブリは、三つ以上の軸受部分を含んでもよい。例えば、図2Aは、本明細書に開示された主題の実施形態による、駆動シャフト202を保持する近位軸受アセンブリ200の斜視図であり、図2Bは、本明細書に開示された主題の実施形態による、図2Aの近位軸受アセンブリ200及び駆動シャフト202の側面図であり、図2Cは、本明細書に開示された主題の実施形態による、図2A及び図2Bに示される近位軸受アセンブリ200及び駆動シャフト202の、線A-Aに沿った断面側面図である。実施形態によれば、循環補助装置及び/またはその任意の数の様々な構成要素は、図1に示される循環補助装置100の対応する構成要素と同じ、または同様であり得る。
【0037】
図2A図2Cに示すように、近位軸受アセンブリ200は、遠位に面する軸受面206を含む第一の軸受部分204と、近位に面する軸受面210を含む第二の軸受部分208と、半径方向に面する軸受面214を有する第三の軸受部分212と、を含んでもよい。示すように、第一、第二、及び第三の軸受部分204、208、及び212は、第三の軸受部分212が第一の軸受部分204及び第二の軸受部分208の間に配置された状態で、一緒に結合されるように構成される。一緒に結合されると、軸受部分204、208、及び212は、駆動シャフト202の近位端218を保持するように構成された空洞216を形成する。示すように、例えば、駆動シャフト202の近位端218は、軸受アセンブリ200内の空洞216に適合するように構成されたディスクとして形成されてもよい。図1に示されるような実施形態では、駆動シャフト202の近位端218は、空洞216内に保持されるように構成された、ボールまたは他の少なくとも部分的に丸みを帯びた形状を含んでもよい。駆動シャフト202のヘッドは、ヘッドが回転するときに圧力を生成するための内部溝を含んでもよく、摩擦及びポンプを作動させるために必要なトルクを低減することができる。
【0038】
軸受部分204、208、及び212は、任意の数の異なる結合技術及び/または機構を用いて一緒に結合されてもよい。例えば、実施形態では、軸受部分204、208、及び212は、図2A図2Cに示すように、一つまたは複数のピン220で圧入及び固定されてもよい。実施形態では、軸受部分204、208、及び212は、接着剤を用いて一緒に接着され、及び/または一つまたは複数の締結具を使用して一緒に留められる等してもよい。近位軸受アセンブリは、レーザ溶接、はんだリフロー、または接着剤塗布等によってインペラハウジングに取り付けられてもよい。
【0039】
さらに、実施形態では、コイル巻線を電源に接続することを容易にするために、近位軸受アセンブリ200を通して開口が設けられてもよい。例えば、第一の軸受部分204は、それを貫通して画定された第一の開口222を含んでもよく、第二の軸受部分208は、それを貫通して画定された第二の開口224を含んでもよく、第三の軸受部分212は、それを貫通して画定された第三の開口226を含んでもよい。第一、第二、及び第三の開口222、224、及び226は、導電体が開口222、224、及び226を通って配置され得るように、第一及び第二の軸受部分204及び208が結合されるときに位置合わせされるように構成され、導体は、駆動コイルアセンブリに電源を電気的に結合する。実施形態では、近位軸受アセンブリは、二つの軸受部分のみを含んでもよく、その場合、各軸受部分は、他の軸受部分の一つまたは複数の開口に対応する一つまたは複数の開口を含んでもよい。
【0040】
図2A図2Cに示される例示的な近位軸受アセンブリ200及び駆動シャフト202は、本開示の実施形態の使用または機能の範囲に関していかなる制限を示唆することも意図しない。例示的な近位軸受アセンブリ200及び駆動シャフト202はまた、そこに示される任意の単一の構成要素または構成要素の組み合わせに関連する依存性または要件を有すると解釈されるべきではない。さらに、図2A図2Cに示される様々な構成要素は、実施形態において、そこに示される他の構成要素(及び/または図示されていない構成要素)の様々なものと統合されてもよく、これらはすべて本開示の範囲内にあるとみなされる。
【0041】
本開示の範囲から逸脱することなく、説明した例示的な実施形態に対して様々な修正及び追加を行うことができる。例えば、上記の実施形態は特定の特徴について言及されているが、本開示の範囲には、特徴の異なる組み合わせを有する実施形態、及び説明した特徴のすべてを含まない実施形態も含まれる。したがって、本開示の範囲は、特許請求の範囲に含まれるすべての代替、修正、及び変形、並びにそのすべての均等物を包含することを意図している。
図1
図2A
図2B
図2C
【国際調査報告】