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特表2023-511398操業アクション記録セットを生成するためのシミュレーション方法、システム及び設備
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-17
(54)【発明の名称】操業アクション記録セットを生成するためのシミュレーション方法、システム及び設備
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/06 20230101AFI20230310BHJP
【FI】
G06Q10/06
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022544441
(86)(22)【出願日】2020-04-22
(85)【翻訳文提出日】2022-09-20
(86)【国際出願番号】 CN2020086226
(87)【国際公開番号】W WO2021147193
(87)【国際公開日】2021-07-29
(31)【優先権主張番号】202010071981.4
(32)【優先日】2020-01-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522291153
【氏名又は名称】厦門邑通智能科技集団有限公司
【氏名又は名称原語表記】XIAMEN ETOM INTELL-TECH GROUP CO., LTD
【住所又は居所原語表記】Unit 702-1, No.1, Xixishanwei Road, Phase III, Software Park, Torch High-tech Zone Xiamen, Fujian 361000 (CN)
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】劉▲ユィ▼
(72)【発明者】
【氏名】孫再連
(72)【発明者】
【氏名】梅瑜
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA06
(57)【要約】
【課題】 操業アクション記録セットを生成するためのシミュレーションの方法、システム及び設備を提供することを課題とする。
【解決手段】 従来の操業アクション記録セットは、一般的に実際に起こっており、蓄積期間が長いという欠点がある。該方法は、評価データを有する計算可能状況について、基本作業状況のデータ、操業アクションデータをシミュレートし、計算された評価データと組み合わせて基本作業状況のデータ、操業データ及び評価データを含む完全な操業アクション記録を形成し、操業アクション記録の迅速な蓄積を実現し、産業分野及びサービス分野の具体的なランディングシナリオについて、専門家の操業経験、作業者の作業スキルをリアルタイムでオンライン上に蓄積、まとめ及び再利用することを実現し、機械とシステム、システムと人、システムと機械、機械と機械との間でのスキル及び経験の移転を実現し、省エネ・エネルギー消費量削減、品質管理、効率の向上、安全な稼働、資源最適化などの目標を達成すると同時に、企業の高いスキルを持つ作業者の育成が難しく、人材流出が高く、作業者のスキルの偏りなどの難題を解決した。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
操業アクション記録セットを生成するためのシミュレーション方法は、以下のステップ:
最適化目標の計算モデルを確立するステップ(このモデルは、既知のマッピング関係又は業界の信憑性との関連付け関係に基づいており、基本作業状況のデータ、操業データから最適化目標の評価データを計算し、前記評価データには、最適化目標値又は制約作用のある実績が含まれる。)、
前記基本作業状況のデータ、前記操業データ、前記評価データの次元各々に合理的な範囲を設定し、前記基本作業状況のデータ、前記操業データ、前記評価データの制約条件を設定するステップ(前記制約条件には、前記評価データの計算可能条件、前記基本作業状況のデータ、前記操業データの各次元データ間の前記制約条件、前記基本作業状況のデータによって限定される前記評価データの合理的な範囲が含まれる。)、
終了条件を確立するステップ、
合理的な範囲内で前記基本作業状況のデータ及び前記操業データを総当たりで生成し、マッピング関係又は関連付け関係を介して前記評価データを計算し、前記制約条件を満たし、前記評価データは記録内の同じ前記基本作業状況のデータにおける他の前記操業データに対応する前記評価データよりも良い場合、新しい操業アクション記録を生成するステップ、及び、
前記終了条件が成立するまで上記の流れを繰り返すステップ、
を含むことを特徴とする、操業アクション記録セットを生成するためのシミュレーション方法。
【請求項2】
前記制約条件には、コンプライアンス制約、前記操業データのネガティブリスト及び最適化目標を達成する前提条件が含まれ、
前記コンプライアンスの制約とは、前記基本作業状況のデータ及び前記操業データによるさまざまな結果評価の中で、国の基準に違反し、製品品質が基準に達することに影響し、又はその後の工程に悪影響を与える状況を意味し、
前記操業データのネガティブリストとは、設備の安全、人員の安全原因から禁止すべき危険な操業アクションを意味し、
前記最適化目標を達成する前提条件とは、前提条件を保証する条件下で最適化目標を達成する必要があることを意味する、
ことを特徴とする、請求項1に記載の操業アクション記録セットを生成するためのシミュレーション方法。
【請求項3】
合理的な範囲内において、総当たり法で前記基本作業状況のデータ及び前記操業データを生成し、すなわち、前記基本作業状況のデータ及び前記操業データ各々についてステップサイズを設定し、総当たり法で前記基本作業状況のデータ及び前記操業データを生成し、前記基本作業状況のデータ及び前記操業データグループごとに対応する前記評価データを計算し、前記制約条件を満たし、前記評価データが記録内の同じ前記基本作業状況のデータにおける他の前記操業データに対応する前記評価データよりも良い場合、新しい操業アクション記録を生成することを特徴とする、請求項1又は2に記載の操業アクション記録セットを生成するためのシミュレーション方法。
【請求項4】
前記終了条件は、全状態の総当たりを完了した後にシミュレーション型自己学習を終了することを含むことを特徴とする、請求項3に記載の操業アクション記録セットを生成するためのシミュレーション方法。
【請求項5】
合理的な範囲内において前記基本作業状況のデータ及び前記操業データをランダムに生成し、マッピング関係又は関連付け関係を介して前記評価データを計算し、前記制約条件を満たし、前記評価データは記録内の同じ前記基本作業状況のデータにおける他の前記操業データに対応する前記評価データよりも良い場合、新しい操業アクション記録を生成することを特徴とする、請求項1又は2に記載の操業アクション記録セットを生成するためのシミュレーション方法。
【請求項6】
前記終了条件は、前記基本作業状況のデータのカバレッジが所定の比率に達したことを含むことを特徴とする、請求項5に記載の操業アクション記録セットを生成するためのシミュレーション方法。
【請求項7】
操業アクション記録セットを生成するためのシミュレーションシステムであって、請求項1~6のいずれか一項に記載の操業アクション記録セットを生成するためのシミュレーション方法を用い、基本作業状況のデータ生成モジュールと、操業データ生成モジュールと、データ分析モジュールとを備え、
前記基本作業状況のデータ生成モジュールは、基本作業状況のデータを生成して、前記データ分析モジュールに送信し、
前記操業データ生成モジュールは、操業データを生成して、前記データ分析モジュールに送信し、
前記データ分析モジュールは、前記基本作業状況のデータ、前記操業データ及び評価データの各次元データの合理的な範囲、前記基本作業状況のデータ、前記操業データ、前記評価データの制約条件、自己学習終了条件、前記基本作業状況のデータと前記操業データと前記評価データとの間のマッピング関係又は業界の信憑性との関連付け関係を事前に格納し、
前記データ分析モジュールは、合理的な範囲内で前記基本作業状況のデータ及び前記操業データを総当たり又はランダムに生成し、マッピング関係又は関連付け関係を介して前記評価データを計算し、前記制約条件を満たし、前記評価データは記録内の同じ前記基本作業状況のデータにおける他の前記操業データに対応する前記評価データよりも良い場合、新しい操業アクション記録を記録し、終了条件が成立するまでシミュレーション型自己学習を繰り返す、
ことを特徴とする、操業アクション記録セットを生成するためのシミュレーションシステム。
【請求項8】
操業アクション記録セットを生成するためのシミュレーション設備であって、請求項1~6のいずれか一項に記載の操業アクション記録セットを生成するためのシミュレーション方法を用い、基本作業状況のデータ生成装置と、操業データ生成装置と、データ分析装置とを備え、
前記基本作業状況のデータ生成装置は、基本作業状況のデータを生成して、前記データ分析装置に送信し、
前記操業データ生成装置は、操業データを生成して、前記データ分析装置に送信し、
前記データ分析装置は、前記基本作業状況のデータ、前記操業データ及び評価データの各次元データの合理的な範囲、前記基本作業状況のデータ、前記操業データ、前記評価データの制約条件、自己学習終了条件、前記基本作業状況のデータと前記操業データと前記評価データとの間のマッピング関係又は業界の信憑性との関連付け関係を事前に格納し、
前記データ分析装置は、合理的な範囲内で前記基本作業状況のデータ及び前記操業データを総当たり又はランダムに生成し、マッピング関係又は関連付け関係を介して前記評価データを計算し、前記制約条件を満たし、前記評価データは記録内の同じ前記基本作業状況のデータにおける他の前記操業データに対応する前記評価データよりも良い場合、新しい操業アクション記録を記録し、終了条件が成立するまでシミュレーション型自己学習を繰り返す、
ことを特徴とする、操業アクション記録セットを生成するためのシミュレーション設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管理システムの技術分野に関し、特に、操業アクション記録セットを生成するためのシミュレーション方法、システム及び設備に関する。
【背景技術】
【0002】
操業アクション記録管理システムの核心は、さまざまな状況で人又は機械の操業経験を蓄積して、最良の経験をまとめて総括し、このような状況で人又は機械の操業を指導することで、全体的な向上の目的を達成し、この過程は日常の最適化操業を指導するのに十分な操業知識を得るように、往々にして長期間のオンライントレーニング・学習が必要になる。このオンライントレーニングは、人為的な操業回数が少ないアプリケーションシナリオにとってアプリケーションの敷居が非常高い。
【0003】
現在の操業アクション記録管理システムは、基本的に長期間のオンライン学習が必要で、特定の条件を持つ一部のアプリケーションシナリオについて、システムのオフライン自己学習を通じて新しい操業アクション記録を取得するという問題を解決できず、一部の分野での操業アクション記録管理システムの応用が制限されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、操業アクション記録セットを生成するためのシミュレーション方法、システム及び設備を提供する。前記操業アクション記録管理システムとは、知能システムのランディングシナリオを指し、この種の操業アクション記録管理システムは産業分野、サービス分野の具体的なランディングシナリオについて、3種類のデータ理論及び具体的な解決手段を抽出し、専門家の操業経験、作業者の作業スキルをリアルタイムでオンライン上に蓄積、まとめ及び再利用することを実現し、機械とシステム、システムと人、システムと機械、機械と機械との間でのスキル及び経験の移転を実現し、省エネ・エネルギー消費量削減、品質管理、効率の向上、安全な稼働、資源最適化などの目標を達成すると同時に、企業の高いスキルを持つ作業者の育成が難しく、人材流出が高く、作業者のスキルの偏りなどの難題を解決した。
【課題を解決するための手段】
【0005】
操業アクション記録セットを生成するためのシミュレーション方法であって、以下のステップ:
最適化目標の計算モデルを確立するステップ(このモデルは、既知のマッピング関係又は業界の信憑性との関連付け関係に基づいており、基本作業状況のデータ、操業データから前記最適化目標の評価データを計算し、前記評価データには、最適化目標値又は制約作用のある実績が含まれる。)、
基本作業状況のデータ、操業データ、評価データの次元各々に合理的な範囲を設定し、基本作業状況のデータ、操業データ、評価データの制約条件を設定するステップ(前記制約条件には、評価データの計算可能条件、基本作業状況のデータ、操業データの各次元データ間の制約条件、基本作業状況のデータによって限定される評価データの合理的な範囲の任意項目が含まれる。)、
終了条件を確立するステップ、
シミュレーション:合理的な範囲内で基本作業状況のデータ及び操業データを総当たりで生成し、マッピング関係又は関連付け関係を介して評価データを計算し、制約条件を満たし、評価データは記録内の同じ基本作業状況のデータにおける他の操業データに対応する評価データよりも良い場合、新しい操業アクション記録を生成するステップ、及び
終了条件が成立するまでシミュレーションを繰り返すステップ
を含む、上記の方法。
【0006】
本出願において、基本作業状況のデータは、外部入力、外部環境、生産計画などの生産プロセス中に実際に存在する、変更できない、又は変更するのに適していない、生産プロセスと結果に影響を与える一種の要因を示す。
【0007】
操業データは、機械の配置、作業者による設備の操業アクションなどの生産プロセスにおける人の介入を表す。
【0008】
評価データは、省エネ・エネルギー消費量削減、品質管理、効率の向上、安全な稼働、資源最適化などの最適化目標を表し、例えばエネルギー消費量(目標値)が少ないほど良い(方向)、合格率(目標値)が高いほど良い(方向)、溶鋼率((目標値)が高いほど良い(方向)、アンモニアスリップ率(目標値)が低いほど良い(方向)、ターンアラウンドタイム(目標値)が短いほど良く(方向)なる。
【0009】
さらに、前記制約条件には、コンプライアンス制約、操業データのネガティブリスト及び最適化目標を達成する前提条件が含まれ、
前記コンプライアンスの制約とは、基本作業状況のデータ及び操業データによるさまざまな結果評価の中で、国の基準に違反し、製品品質が基準に達することに影響し、又はその後の工程に悪影響を与える状況を意味し、
前記操業データのネガティブリストとは、設備の安全、人員の安全原因又は他の安全原因から禁止すべき危険な操業アクションを意味し、
前記最適化目標を達成する前提条件とは、システムが前提条件を保証する条件下で最適化目標を達成する必要があることを意味し、例えば製品品質が基準に達することを前提としてエネルギー消費を削減することである。
【0010】
さらに、合理的な範囲内において、総当たり法で基本作業状況のデータ及び操業データを生成し、すなわち、基本作業状況のデータ及び操業データ各々についてステップサイズを設定し、総当たり法で基本作業状況のデータ及び操業データを生成し、基本作業状況のデータ及び操業データグループごとに対応する評価データを計算し、制約条件を満たし、評価データが記録内の同じ基本作業状況のデータにおける他の操業データに対応する評価データよりも良い場合、新しい操業アクション記録を生成する。
【0011】
さらに、前記終了条件は、全状態の総当たりを完了した後にシミュレーション型自己学習を終了することを含む。
【0012】
さらに、合理的な範囲内において基本作業状況のデータ及び操業データをランダムに生成し、マッピング関係又は関連付け関係を介して評価データを計算し、制約条件を満たし、評価データは記録内の同じ基本作業状況のデータにおける他の操業データに対応する評価データよりも良い場合、新しい操業アクション記録を生成する。
【0013】
さらに、前記終了条件は、基本作業状況のデータのカバレッジが所定の比率に達したことを含む。
【0014】
操業アクション記録セットを生成するためのシミュレーションシステムであって、上記操業アクション記録セットを生成するためのシミュレーション方法を用い、基本作業状況のデータ生成モジュールと、操業データ生成モジュールと、データ分析モジュールとを備え、
前記基本作業状況のデータ生成モジュールは、基本作業状況のデータを生成して、データ分析モジュールに送信し、
前記操業データ生成モジュールは、操業データを生成して、データ分析モジュールに送信し、
前記データ分析モジュールは、基本作業状況のデータ、操業データ及び評価データの各次元の合理的な範囲、基本作業状況のデータ、操業データ、評価データの制約条件、自己学習終了条件、基本作業状況のデータと操業データと最適化目標の評価データとの間の最適化目標のマッピング関係又は業界の信憑性との関連付け関係を事前に格納し、
前記データ分析モジュールは、合理的な範囲内で基本作業状況のデータ及び操業データを総当たり又はランダムに生成し、マッピング関係又は関連付け関係を介して評価データを計算し、制約条件を満たし、評価データは記録内の同じ基本作業状況のデータにおける他の操業データに対応する評価データよりも良い場合、操業アクション記録を記録し、終了条件が成立するまでシミュレーション型自己学習を繰り返す。
【0015】
操業アクション記録セットを生成するためのシミュレーション設備であって、上記操業アクション記録セットを生成するためのシミュレーション方法及びシステムを用い、基本作業状況のデータ生成装置と、操業データ生成装置と、データ分析装置とを備え、
前記基本作業状況のデータ生成装置は、データを収集するためのさまざまなセンサーを備え、基本作業状況のデータを生成して、データ分析装置に送信でき、
前記操業データ生成装置は、操業データを生成して、前記データ分析装置に送信し、
前記データ分析装置は、基本作業状況のデータ、操業データ及び評価データの各次元の合理的な範囲、基本作業状況のデータ、操業データ、評価データの制約条件、自己学習終了条件、基本作業状況のデータと操業データと評価データとの間のマッピング関係又は業界の信憑性との関連付け関係を事前に格納し、
【0016】
前記データ分析装置は、合理的な範囲内で基本作業状況のデータ及び操業データを総当たり又はランダムに生成し、マッピング関係又は関連付け関係を介して評価データを計算し、制約条件を満たし、評価データは記録内の同じ基本作業状況のデータにおける他の操業データに対応する評価データよりも良い場合、操業アクション記録を記録し、終了条件が成立するまでシミュレーション型自己学習を繰り返す。
【0017】
本発明の上記の説明から分かるように、従来技術と比較して、本発明により提案される操業アクション記録セットを生成するためのシミュレーション方法、システム及び設備は、次の利点を有し、
1、本発明は、過去の知識及びオンライントレーニングに依存せず、学習サンプルが少ないという問題を解決し、信頼性を向上させることができ、
2、本発明は、過去の知識及びオンライントレーニングに依存せず、学習サイクルが長い問題を解決し、オンライントレーニングの時間コストを削減でき、
3、本発明は、トレーニングが完備なシステムを直接導出し、作業状況のフルカバリッジ、目標の最適化の操業経験データベースを確立でき、本番稼働すると実用できる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に本発明が解決しようとする技術的課題、技術的手段及び有利な効果をより明確にするため、添付の図面及び実施例を参照しつつ本発明をさらに詳細に説明する。ここで描写される具体的実施例は、本発明を説明するためにのみ使用されるものであって、本発明を限定することを意図されないことが理解されるべきである。
【実施例1】
【0019】
操業アクション記録セットを生成するためのシミュレーション方法であって、以下のステップを含む。
【0020】
S10:最適化目標の計算モデルを確立し、前記モデルは既知のマッピング関係又は業界の信憑性との関連付け関係に基づいており、基本作業状況のデータ、操業データから前記最適化目標の評価データを計算し、前記評価データには、最適化目標値又は制約作用のある実績が含まれる。
【0021】
S20:基本作業状況のデータ、操業データ、評価データの次元各々に合理的な範囲を設定し、基本作業状況のデータ、操業データ、評価データの制約条件を設定し、前記制約条件には評価データの計算可能条件、基本作業状況のデータの各次元データ、操業データの各次元データ間の制約条件、基本作業状況のデータによって限定される評価データの合理的な範囲の任意項目が含まれる。
【0022】
具体的に前記制約条件には、コンプライアンス制約、操業データのネガティブリスト及び最適化目標を達成する前提条件が含まれ、前記コンプライアンスの制約とは、基本作業状況のデータ及び操業データによるさまざまな結果評価の中で、国の基準に違反し、製品品質が基準に達することに影響し、又はその後の工程に悪影響を与える状況を意味し、前記操業データのネガティブリストとは、設備の安全、人員の安全原因から禁止すべき危険な操業アクションを意味し、前記最適化目標を達成する前提条件とはシステムが前提条件を保証する条件下で最適化目標を達成する必要があることを意味する。
【0023】
S30:終了条件を確立し、例えば基本作業状況のデータのカバレッジが所定の比率に達することである。
【0024】
S40:合理的な範囲内で基本作業状況のデータ及び操業データを総当たりで生成し、マッピング関係又は関連付け関係を介して最適化目標の値を計算し、制約条件を満たし、最適化目標の値は記録内の同じ基本作業状況のデータにおける他の操業データの目標値よりも良い場合、新しい操業アクション記録を記録する。
【0025】
他の実施例において、基本作業状況のデータ及び操業データのランダムな生成方法は、合理的な範囲内において、総当たり法で基本作業状況のデータ及び操業データを生成し、すなわち、基本作業状況のデータ及び操業データ各々についてステップサイズを設定し、総当たり法で基本作業状況のデータ及び操業データを生成することであり得る。
【0026】
S50:終了条件が成立するまでステップS40を繰り返す。
【実施例2】
【0027】
実施例1を応用した操業アクション記録セットを生成するためのシミュレーションシステムであって、基本作業状況のデータ生成モジュールと、操業データ生成モジュールと、データ分析モジュールとを備え、それぞれ基本作業状況のデータと操業データの生成及びデータ分析に用いられ、データ分析には基本作業状況のデータと操業データのランダムデータの生成、評価データの計算、自己学習の実現が含まれる。
【実施例3】
【0028】
実施例1及び実施例2を応用した操業アクション記録セットを生成するためのシミュレーション設備であって、基本作業状況のデータ生成装置と、操業データ生成装置と、データ分析装置とを備え、それぞれ基本作業状況のデータと操業データの収集及びデータ分析に用いられ、データ分析には基本作業状況のデータと操業データのランダムデータの生成、評価データの計算、自己学習の実現が含まれる。
【実施例4】
【0029】
実施例1をエンジンブレードの動不釣合い修正シナリオに応用する。
【0030】
あるタイプのエンジンブレードの動不釣合い修正:
該エンジンの4~9段のローターブレードの数は、それぞれ68、75、82、82、80、76枚で、動不釣合い試験機が第4段及び第9段のローター平面上のアンバランス力の大きさ及び方向を計測できる。
【0031】
各ローターのブレード各々に重量1.3グラム又は2グラム1つのウエイトを取り付け、ローター半径は8.28、8.33インチであることが分かり、目標は合理的な修正スキームを得てローターの平面合力、軸方向合力が設定値よりも小さくなることである。
【0032】
操業アクション記録管理システムの3種類のデータ及び制約条件:
1、基本作業状況のデータ:
動不釣合い試験機によって計測された第4段及び第9段のローター平面上のアンバランス力の大きさ及び方向、
2、操業データ:
第4~9段のローター上のウエイト配置スキーム
3、評価データ:
最適化目標及び方向:
動不釣合い試験機の再度計測結果、すなわち第4段、第9段の動不釣合い力は5グラム/インチ未満であり、
修正スキームに関与するローターが少ないほど良く、
修正スキームに関与するローターの数が同じ場合、ウエイトの総数は少ないほど良く、
4、制約条件:
1回の修理で1つのローターに取り付けられるウエイトの総重量は 10グラム以下である。
【0033】
シミュレーションの流れ:
1、評価データの計算モデルの確立
問題の分析:
1)これは力の分解の問題で、分解の可能性が大きく、その合理的な解空間も大きく、現在、企業では技術者が経験により推定し、通常、複数回の試験を経て要件を満たすことができ、
2)力の合成の結果は、一意で、すなわち、どのメンテナンススキームでも力学公式により合力の方向と大きさを計算でき、かつ結果は一意であり、
2、3種類のデータの各次元の合理的な範囲の設定
基本作業状況のデータ:第4段及び第9段のローターの初期不釣合い力は、0~200グラム/インチ、精度は1グラム/インチ、方向は0~360度の範囲であり、精度は1度であり、
操業データ:ローターに追加されるブレードの数:6つのローターのうち、ローターごとに0~7枚のブレードを選択でき、選択したブレードに1つウエイト(1.3グラム又は2グラム)を取り付け、
評価データ:修正後の結果、すなわち、第4段及び第9段のローターでの合力の投影、
最適化目標及び方向:第4段、第9段の動不釣合い力(第4段及び第9段のローターでの合力の投影)は、5グラム/インチ未満で、修正スキームに関与するローターが少ないほど良く、修正スキームに関与するローターの数が同じ場合、ウエイトの総数は少ないほど良く、
3、終了条件の確立:基本作業状況のデータの総当たりの完了
4、シミュレーション型自己学習
ステップ1:初期不釣合い測定値を総当たりし、
ステップ2:現在の初期不釣合い測定値について、合理的なスキームカウンターをゼロに設定し、
ステップ3:修正スキームをランダムに生成し、
ステップ4:合力の方向と大きさを計算し、第4段、第9段のローター平面での合力の投影を計算し、2つの投影はいずれも5グラム/インチ未満の場合、該修正スキームを現在の初期不釣合い測定値に対応する合理的な操業記録セットに保存し、合理的なスキームカウンターが1つ増え、
ステップ5:合理的なスキームカウンターが20未満の場合、ステップ3に進み、総当たりが完了していない場合、次の初期不釣合い測定値を取ってステップ2に進み、総当たりが完了した場合、ステップ6に進み、
ステップ6:シミュレーションプロセスは、終了する。
【実施例5】
【0034】
本出願で提案されたスキームを製鋼の流れにおける溶銑予備脱硫に応用する。
【0035】
操業アクション記録管理システムの3種類のデータ:
基本作業状況のデータ:溶銑温度、溶銑重量、溶銑中の硫黄成分、脱硫後溶銑中の硫黄成分の目標値
操業データ:不動態化マグネシウムの吹き込み量、不動態化石灰の吹き込み量
評価データ:最適化目標:脱硫後の硫黄含有量が基準に達するという条件の下で、不動態マグネシウムの消費量が少ないほど良く、
制約条件:不動態化マグネシウムの吹き込み量と不動態化石灰の吹き込み量の比率が設定値である。
【0036】
シミュレーションの流れ:
1、評価データの計算モデルの確立
1)溶銑温度による区分
2)評価指標の一:脱硫後の硫黄含有量の計算式は次のように示される。
【0037】
[数1]
脱硫後の硫黄含有量%=脱硫前の硫黄含有量%-不動態化マグネシウムの吹き込み量/(溶銑量×不動態マグネシウム消費原単位)
【0038】
3)評価指標の二:最適化目標の値--不動態マグネシウムの消費量
注:
1)不動態マグネシウムの消費量=不動態マグネシウムの消費量
2)不動態マグネシウム消費原単位、すなわち、現在の溶銑温度で溶鉄1トン当たり硫黄を1%削減するために必要な不動態化マグネシウム吹き込み量であり、このデータは試験によって得られ、
2、3種類のデータの各次元の合理的な範囲の設定
基本作業状況のデータ:
【0039】
【表1】
操業データ:
不動態化マグネシウム吹き込み量、データ範囲:80~120kg、精度:1kg、
不動態化石灰の吹き込み量は、指定された比率で不動態化石灰の吹き込み量から計算され、
評価データ:脱硫後の硫黄含有量、
3、終了条件の確立:基本作業状況のデータカバレッジは、90%以上に達成し、
4、シミュレーション型自己学習
ステップ1:基本作業状況のデータ、操業データをランダムに生成し、
ステップ2:脱硫後の硫黄含有量を計算し、脱硫後の硫黄含有量が脱硫後の硫黄含有量の目標値を下回っている場合、基本作業状況のデータ、操業データ、目標データを記録セットに追加し、
ステップ3:基本作業状況のデータカバレッジが90%以上に達した場合、ステップ4に進み、達していない場合、ステップ1に進み、
ステップ4:シミュレーションプロセスは、終了する。
【実施例6】
【0040】
本出願で提案されるスキームを煙道ガスの電気集塵機に応用する。
【0041】
操業アクション記録管理システムの3種類のデータ:
基本作業状況のデータ:入口煙道ガス流量、入口煙道ガス濃度、電磁場の数、電磁場の順位、
操業データ:単一電磁場の動作状態(二次電圧、二次電流、電源方法、パルス周波数)
3、評価データ:出口煙道ガスの粉塵濃度、各電磁場の総電力
最適化目標:出口煙道ガスの粉塵濃度が基準に達するという条件の下で、各電磁場の総電力が低いほど良く、
4、制約条件:出口煙道ガスの粉塵濃度は、国の基準よりも低い。
【0042】
シミュレーションの流れ:
1、評価データの計算モデルの確立
電気集塵機メーカーは、試験によって次の経験値が得られ、
1)様々な状態 (二次電圧、二次電流、パルス周波数)における単一電磁場の除塵率、
2)各レベルの電磁場の除塵率の段階的な減少係数
上記経験値及び入口煙道ガス濃度、電磁場の数、電磁場の順位及び電磁場の状態に従って、出口煙道ガスの粉塵濃度を計算でき、
説明:該モデルには一定の誤差があり、該モデルを使用する場合、計算誤差を考慮する必要があり、
2、3種類のデータの各次元の合理的な範囲の設定
基本作業状況のデータ:
入口煙道ガス流量の範囲は、200~300万m/h、精度は1万m/hであり、
入口煙道ガス濃度の範囲は、2000~000mg/Nm、精度は50mg/Nmであり、
特定のシナリオにおいて、電磁場の数、電磁場の順位が固定され、
操業データ:
単一電磁場の動作状態
二次電圧の範囲は、0~100%、精度は1%であり、
二次電流の範囲は、80~100A、精度は1Aであり、
電源方法は、直流電源/パルス電源であり、
パルス周波数:給電10~40ミリ秒、停電10~40ミリ秒、精度10ミリ秒、
評価データ:
出口煙道ガスの粉塵濃度、
制約条件:
出口煙道ガスの粉塵濃度は、構成値よりも低く、この構成値は国の排出基準から計算誤差を引いた値よりも低い値であり、
3、終了条件の確立:基本作業状況のデータカバレッジは、80%以上に達し、
4、シミュレーション型自己学習
ステップ1:基本作業状況のデータ、操業データをランダムに生成し、
ステップ2:出口煙道ガスの粉塵濃度を計算し、出口煙道ガスの粉塵濃度が構成値を下回っている場合、基本作業状況のデータ、操業データ、目標データを記録セットに追加し、
ステップ3:基本作業状況のデータカバレッジが80%以上に達した場合、ステップ4に進み、達していない場合、ステップ1に進み、
ステップ4:シミュレーションプロセスは、終了する。
【0043】
本発明の上記の説明から分かるように、従来技術と比較して、本発明により提案される操業アクション記録セットを生成するためのシミュレーション方法は、次の利点を有し、
1、この方法は、過去の知識及びオンライントレーニングに依存せず、学習サンプルが少ないという問題を解決でき、
2、この方法は、過去の知識及びオンライントレーニングに依存せず、オンライントレーニングの時間コストを削減でき、
3、この方法は、トレーニングが完備なシステムを直接導出し、作業状況のフルカバリッジ、目標の最適化の操業経験データベースを確立でき、本番稼働すると実用できる。
【0044】
以上、実施例を参照しつつ本発明を例示的に説明してきたが、本発明の具体的な実施は、上記形態に限定されないことが明らかである。本発明の方法概念及び技術的手段を用いて行われる様々な非実質的な改良又は改良せずに本発明の概念及び技術的手段を他の場面に直接応用する場合、均しく本発明の保護範囲内に含まれる。
【国際調査報告】