(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-17
(54)【発明の名称】神経特異的造影のためのオキサジン系フルオロフォア化合物
(51)【国際特許分類】
C07D 498/04 20060101AFI20230310BHJP
C07D 498/14 20060101ALI20230310BHJP
C07D 265/38 20060101ALI20230310BHJP
【FI】
C07D498/04 111
C07D498/14 CSP
C07D265/38
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022544656
(86)(22)【出願日】2021-01-22
(85)【翻訳文提出日】2022-09-01
(86)【国際出願番号】 US2021014740
(87)【国際公開番号】W WO2021150979
(87)【国際公開日】2021-07-29
(32)【優先日】2020-01-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】508070909
【氏名又は名称】オレゴン ヘルス アンド サイエンス ユニバーシティ
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100102118
【氏名又は名称】春名 雅夫
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100188433
【氏名又は名称】梅村 幸輔
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100214396
【氏名又は名称】塩田 真紀
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】ギブス サマー エル.
(72)【発明者】
【氏名】ワン レイ ジー.
(72)【発明者】
【氏名】バース コナー ダブリュ.
【テーマコード(参考)】
4C072
【Fターム(参考)】
4C072AA01
4C072AA07
4C072BB02
4C072BB07
4C072CC02
4C072CC12
4C072EE07
4C072FF11
4C072GG08
4C072HH08
4C072UU10
(57)【要約】
本発明はインビボ神経造影に有用な新規のオキサジン系フルオロフォア化合物、ならびに前記化合物を含む組成物および前記化合物の使用のための方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
の化合物:
式中、
R
1およびR
2はそれぞれ独立して、
直鎖もしくは分岐C
1~C
6アルキル;
-(CH
2)
n1-SO
3
-、-(CH
2)
n1-N
+(CH
3)
3、-CH
2-CH
2-O-X
1、-CH
2-CH
2-O-[CH
2-CH
2-O]
n2-X
1、-CH
2-CH
2-CH
2-O-X
1、および-CH
2-CH
2-CH
2-O-[CH
2-CH
2-CH
2-O]
n3-X
1;または
の群より選択される部分
の群より選択され;
R
3は水素であるか、またはR
2およびR
3は一緒になって縮合環を形成して式(II):
のコアをもたらし;
R
4およびR
5は、それらが結合する窒素原子と一緒になって、
の群より選択される環を形成するか、
または、前記化合物が式(II)のものである場合、R
4およびR
5は独立してC
1~C
6アルキルより選択されてもよく、但し、R
4がエチルである場合、R
5はエチルではなく;
R
6は水素であるか、
または、R
2およびR
3が一緒になって縮合環を形成して式(II)のコアをもたらす場合、R
5およびR
6もまた、R
5が結合する窒素原子と一緒になって縮合環を形成して、式(III):
のコアをもたらしてもよく、但し、R
4およびR
5が、それらが結合する窒素原子と一緒になって、環
を形成し、かつR
3がHである場合、R
1およびR
2は、それらが結合する窒素原子と一緒になって、ピロリジニル環を形成してもよく;
それぞれの場合におけるX
1は独立して、C
1~C
6直鎖または分岐アルキル、C
1~C
6直鎖または分岐アルケニル、C
1~C
6直鎖または分岐アルキニル、および-Si(C
1~C
4アルキル)
3より選択され;
nは1および2の群より選択される整数であり;
n1は、それぞれの場合において1、2、3、および4の群より独立して選択される整数であり;
n2は、それぞれの場合において1、2、3、4、5、6、7、8、9、および10の群より独立して選択される整数であり;
n3は、それぞれの場合において1、2、3、4、5、6、7、8、9、および10の群より独立して選択される整数であり;
n4は、それぞれの場合において1、2、3、4、5、6、7、8、9、および10の群より独立して選択される整数であり;かつ
但し、n2+n2の合計は10以下であり;
但し、n2+n3の合計は10以下であり;
但し、n2+n4の合計は10以下であり;
但し、n3+n4の合計は10以下であり;
但し、R
4およびR
5が、それらが結合する窒素原子と一緒になって環
を形成する場合、R
1およびR
2は両方ともメチルではなく、R
1およびR
2は両方ともエチルではなく、R
1およびR
2は両方ともn-プロピルではなく、R
1およびR
2は両方ともn-ブチルではなく、かつR
1およびR
2は両方ともn-ペンチルではなく;
但し、前記化合物が式(III)のものである場合、R
1がメチルである場合R
4はメチルではなく;かつ
但し、前記化合物が式(III)のものである場合、R
1がエチルである場合R
4はエチルではない。
【請求項2】
式(IV):
を有し、
式中、
R
1およびR
2はそれぞれ独立して、
直鎖もしくは分岐C
1~C
6アルキル;
-(CH
2)
n1-SO
3
-、-(CH
2)
n1-N
+(CH
3)
3、-CH
2-CH
2-O-X
1、-CH
2-CH
2-O-[CH
2-CH
2-O]
n2-X
1、-CH
2-CH
2-CH
2-O-X
1、および-CH
2-CH
2-CH
2-O-[CH
2-CH
2-CH
2-O]
n3-X
1;または
の群より選択される部分
の群より選択され;
R
3は水素であるか、またはR
2およびR
3は一緒になって縮合環を形成して式(V):
のコアをもたらし、但し、nが1でありかつR
3がHである場合、R
1およびR
2は、それらが結合する窒素原子と一緒になって、ピロリジニル環を形成してもよく;
それぞれの場合におけるX
1は独立して、C
1~C
6直鎖または分岐アルキル、C
1~C
6直鎖または分岐アルケニル、C
1~C
6直鎖または分岐アルキニル、および-Si(C
1~C
4アルキル)
3より選択され;
nは1および2の群より選択される整数であり;
n1は、それぞれの場合において1、2、3、および4の群より独立して選択される整数であり;
n2は、それぞれの場合において1、2、3、4、5、6、7、8、9、および10の群より独立して選択される整数であり;
n3は、それぞれの場合において1、2、3、4、5、6、7、8、9、および10の群より独立して選択される整数であり;
n4は、それぞれの場合において1、2、3、4、5、6、7、8、9、および10の群より独立して選択される整数であり;かつ
但し、n2+n2の合計は10以下であり;
但し、n2+n3の合計は10以下であり;
但し、n2+n4の合計は10以下であり;
但し、n3+n4の合計は10以下であり;かつ
但し、nが2である場合、R
1およびR
2は両方ともメチルではなく、R
1およびR
2は両方ともエチルではなく、R
1およびR
2は両方ともn-プロピルではなく、R
1およびR
2は両方ともn-ブチルではなく、かつR
1およびR
2は両方ともn-ペンチルではない、
請求項1記載の化合物。
【請求項3】
式(VI):
を有し、
式中、
R
1およびR
2はそれぞれ独立して、
直鎖もしくは分岐C
1~C
6アルキル;
-(CH
2)
n1-SO
3
-、-(CH
2)
n1-N
+(CH
3)
3、-CH
2-CH
2-O-X
1、-CH
2-CH
2-O-[CH
2-CH
2-O]
n2-X
1、-CH
2-CH
2-CH
2-O-X
1、および-CH
2-CH
2-CH
2-O-[CH
2-CH
2-CH
2-O]
n3-X
1;または
の群より選択される部分
の群より選択され;
R
3は水素であるか、またはR
2およびR
3は一緒になって縮合環を形成して式(V):
のコアをもたらし、但し、nが1でありかつR
3がHである場合、R
1およびR
2は、それらが結合する窒素原子と一緒になって、ピロリジニル環を形成してもよく;
それぞれの場合におけるX
1は独立して、C
1~C
6直鎖または分岐アルキル、C
1~C
6直鎖または分岐アルケニル、C
1~C
6直鎖または分岐アルキニル、および-Si(C
1~C
4アルキル)
3より選択され;
nは1および2の群より選択される整数であり;
n1は、それぞれの場合において1、2、3、および4の群より独立して選択される整数であり;
n2は、それぞれの場合において1、2、3、4、5、6、7、8、9、および10の群より独立して選択される整数であり;
n3は、それぞれの場合において1、2、3、4、5、6、7、8、9、および10の群より独立して選択される整数であり;
n4は、それぞれの場合において1、2、3、4、5、6、7、8、9、および10の群より独立して選択される整数であり;かつ
但し、n2+n2の合計は10以下であり;
但し、n2+n3の合計は10以下であり;
但し、n2+n4の合計は10以下であり;かつ
但し、n3+n4の合計は10以下である、
請求項1記載の化合物。
【請求項4】
式:
を有し、
式中、
R
1は、
直鎖もしくは分岐C
1~C
6アルキル;
-(CH
2)
n1-SO
3
-、-(CH
2)
n1-N
+(CH
3)
3、-CH
2-CH
2-O-X
1、-CH
2-CH
2-O-[CH
2-CH
2-O]
n2-X
1、-CH
2-CH
2-CH
2-O-X
1、および-CH
2-CH
2-CH
2-O-[CH
2-CH
2-CH
2-O]
n3-X
1;または
の群より選択される部分
の群より選択され;
それぞれの場合におけるX
1は独立して、C
1~C
6直鎖または分岐アルキル、C
1~C
6直鎖または分岐アルケニル、C
1~C
6直鎖または分岐アルキニル、および-Si(C
1~C
4アルキル)
3より選択され;
n1は、それぞれの場合において1、2、3、および4の群より独立して選択される整数であり;
n2は、それぞれの場合において1、2、3、4、5、6、7、8、9、および10の群より独立して選択される整数であり;
n3は、それぞれの場合において1、2、3、4、5、6、7、8、9、および10の群より独立して選択される整数であり;
n4は、それぞれの場合において1、2、3、4、5、6、7、8、9、および10の群より独立して選択される整数であり;
R
4およびR
5はそれぞれ独立してC
1~C
6アルキルより選択され、但し、R
4がエチルである場合、R
5はエチルではないか、
または、R
4およびR
5は、それらが結合する窒素原子と一緒になって、
の群より選択される環を形成し;
R
6は水素であり、
但し、n2+n4の合計は10以下であり;かつ
但し、R
1がメチルでありかつR
4がエチルである場合、R
5はエチルではない、
請求項1記載の化合物。
【請求項5】
R
1が直鎖または分岐C
1~C
3アルキルの群より選択される、請求項4記載の化合物。
【請求項6】
式(V):
を有し、
式中、
R
1は、
直鎖もしくは分岐C
1~C
6アルキル;
-(CH
2)
n1-SO
3
-、-(CH
2)
n1-N
+(CH
3)
3、-CH
2-CH
2-O-X
1、-CH
2-CH
2-O-[CH
2-CH
2-O]
n2-X
1、-CH
2-CH
2-CH
2-O-X
1、および-CH
2-CH
2-CH
2-O-[CH
2-CH
2-CH
2-O]
n3-X
1;または
の群より選択される部分
の群より選択され;
それぞれの場合におけるX
1は独立して、C
1~C
6直鎖または分岐アルキル、C
1~C
6直鎖または分岐アルケニル、C
1~C
6直鎖または分岐アルキニル、および-Si(C
1~C
4アルキル)
3より選択され;
nは1および2の群より選択される整数であり;
n1は、それぞれの場合において1、2、3、および4の群より独立して選択される整数であり;
n2は、それぞれの場合において1、2、3、4、5、6、7、8、9、および10の群より独立して選択される整数であり;
n3は、それぞれの場合において1、2、3、4、5、6、7、8、9、および10の群より独立して選択される整数であり;かつ
n4は、それぞれの場合において1、2、3、4、5、6、7、8、9、および10の群より独立して選択される整数であり;
但し、n2+n4の合計は10以下である、
請求項1記載の化合物。
【請求項7】
式:
を有する、請求項6記載の化合物。
【請求項8】
式:
を有する、請求項6記載の化合物。
【請求項9】
式(III):
を有し、
式中、
R
1およびR
2はそれぞれ独立して、
直鎖もしくは分岐C
1~C
6アルキル;
-(CH
2)
n1-SO
3
-、-(CH
2)
n1-N
+(CH
3)
3、-CH
2-CH
2-O-X
1、-CH
2-CH
2-O-[CH
2-CH
2-O]
n2-X
1、-CH
2-CH
2-CH
2-O-X
1、および-CH
2-CH
2-CH
2-O-[CH
2-CH
2-CH
2-O]
n3-X
1;または
の群より選択される部分
の群より選択され;
それぞれの場合におけるX
1は独立して、C
1~C
6直鎖または分岐アルキル、C
1~C
6直鎖または分岐アルケニル、C
1~C
6直鎖または分岐アルキニル、および-Si(C
1~C
4アルキル)
3より選択され;
nは1および2の群より選択される整数であり;
n1は、それぞれの場合において1、2、3、および4の群より独立して選択される整数であり;
n2は、それぞれの場合において1、2、3、4、5、6、7、8、9、および10の群より独立して選択される整数であり;
n3は、それぞれの場合において1、2、3、4、5、6、7、8、9、および10の群より独立して選択される整数であり;かつ
n4は、それぞれの場合において1、2、3、4、5、6、7、8、9、および10の群より独立して選択される整数であり;
但し、n2+n4の合計は10以下であり;
但し、R
1がメチルである場合、R
4はメチルではなく;かつ
但し、R
1がエチルである場合、R
4はエチルではない、
請求項1記載の化合物。
【請求項10】
式(IX):
を有し、式中、R
1およびR
4はそれぞれ独立してC
1~C
6アルキルより選択される、請求項1記載の化合物。
【請求項11】
R
1およびR
4がそれぞれ独立してC
1~C
4アルキルより選択される、請求項10記載の化合物。
【請求項12】
の群より選択される、請求項1記載の化合物。
【請求項13】
請求項1の化合物の有効量と薬学的または生理学的に許容される担体とを含む、造影組成物。
【請求項14】
組織または器官における神経を検出する方法であって、
a)請求項1記載の化合物を含む組成物の有効量を前記組織または器官に投与して、染色された組織または染色された器官を形成する工程;および
b)前記染色された組織または染色された器官を造影し、それによって、前記染色された組織または染色された器官において手術中に神経を検出する工程
を含む、前記方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
連邦政府による資金提供を受けた研究開発に関する記載
本発明は国立衛生研究所により授与された助成金R01EB021362の下で政府の支援によって行われた。政府は発明において一定の権利を有する。
【0002】
開示の分野
本発明は、インビボ神経造影に有用な新規のオキサジン系フルオロフォア化合物、ならびに前記化合物を含む組成物および前記化合物の使用のための方法に関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
世界中で毎年3億件を超える手術が実施されている。癌および他の疾患の治療においては近年では多くの進歩があったにもかかわらず、多数の疾患および傷害には手術が最も効果的な治療選択肢であることに変わりはない。手術の最終的な目標は、神経および血管などの重要な構造を維持することによって、併存疾患を最小限にしながら組織を除去するかまたは修復することである。低侵襲ロボット支援腹腔鏡手術を含む近年の技術的進歩により治療成績が向上し、難しい処置を最小限のリスクで安定的に実施することが可能になった。さらに、磁気共鳴造影法(MRI)およびコンピューター断層撮影法(CT)などの術前3次元造影技術により診断精度、病期分類、および術前計画が大幅に向上した。
【0004】
進歩した一方で、維持すべき重要な構造(例えば、神経)または完全に切除すべき組織(例えば、腫瘍)を外科的処置時に特定することは依然として困難である。患者の解剖学的構造におけるばらつきおよび術野において直接的に神経を可視化することはほとんどできないために、神経の特定および温存は手術中では困難であり得る。現在、手術中での神経検出は肉眼による視認、触診、および筋電図モニタリングを組み合わせて実施されている。神経検出のために臨床研究において超音波、光コヒーレンストモグラフィー、共焦点内視鏡検査を含むいくつかの画像診断法が利用されてきた。しかしながら、これらは特異性、分解能、および広視野造影機能が欠如しており、リアルタイムで神経組織を特定することは困難である。結果として、神経損傷が引き続き手術成績を悪化させている。医原性の神経損傷は全世界で毎年最大で6300万人もの患者に影響を及ぼしており、急性および慢性疼痛ならびに運動および感覚機能の障害または喪失を引き起こしている。前立腺癌の治療法として前立腺全体の除去を伴う外科的処置である根治的前立腺切除術(RP)は神経損傷に特に悩まされる。さらに、ロボット支援RPなどの低侵襲法は開腹RPと同等の癌制御を達成しつつ出血量の減少、より低い輸血率、より速い回復をもたらすことができる一方で、これらの進歩は神経温存成績においてメリットをもたらすことはなく、実際には、組織を直接的に触診する能力を失わせてしまう。
【0005】
手術中での神経組織の広視野でリアルタイムの特定が可能な造影診断法は神経保存において外科医にとって大いに役立ち、かつ医原性の神経損傷の割合を低減させて、手術後の患者の生活の質を向上させるであろう。
【0006】
現在、NIR神経特異的フルオロフォアは存在せず、臨床応用のための適切な候補を得るべくフルオロフォアのさらなる開発が必要である。いくつかのクラスの神経特異的フルオロフォアがFGSのために研究されてきた。例えば、Gibbs-Strauss et al. Molecular imaging 10, 91-101 (2011)(非特許文献1); Wu et al. Journal of medicinal chemistry 51, 6682-6688 (2008)(非特許文献2); Wang et al. The journal of histochemistry and cytochemistry : official journal of the Histochemistry Society 58, 611-621 (2010) (非特許文献3); Gibbs et al. PloS one 8, e73493 (2013)(非特許文献4); Stankoff et al. Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America 103, 9304-9309 (2006)(非特許文献5); Cotero et al. Molecular imaging and biology : MIB : the official publication of the Academy of Molecular Imaging 14, 708-717 (2012)(非特許文献6); Cotero et al. PloS one 10, e0130276 (2015)(非特許文献7); Bajaj et al. The journal of histochemistry and cytochemistry : official journal of the Histochemistry Society 61, 19-30 (2013)(非特許文献8); Gibbs-Strauss et al. Molecular imaging 9, 128-140 (2010)(非特許文献9); Meyers et al. The Journal of neuroscience : the official journal of the Society for Neuroscience 23, 4054-4065 (2003)(非特許文献10); Wang et al. The Journal of Neuroscience: the official journal of the Society for Neuroscience 31, 2382-2390 (2011)(非特許文献11);およびPark et al. Theranostics 4, 823-833 (2014)(非特許文献12)を参照されたい。これらのうち、オキサジン4が開発に向けた最も有望な候補であり、高神経特異性ならびにNIRに近い赤方偏移した吸収および発光スペクトルを示す(Park et al. Theranostics 4, 823-833 (2014)(非特許文献12))。
【0007】
有用なオキサジン神経温存フルオロフォアは国際出願PCT/US2019/045347(特許文献1)に開示されているが、特に水性組成物における使用のためのそのような化合物の必要性が依然として存在している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Gibbs-Strauss et al. Molecular imaging 10, 91-101 (2011)
【非特許文献2】Wu et al. Journal of medicinal chemistry 51, 6682-6688 (2008)
【非特許文献3】Wang et al. The journal of histochemistry and cytochemistry : official journal of the Histochemistry Society 58, 611-621 (2010)
【非特許文献4】Gibbs et al. PloS one 8, e73493 (2013)
【非特許文献5】Stankoff et al. Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America 103, 9304-9309 (2006)
【非特許文献6】Cotero et al. Molecular imaging and biology : MIB : the official publication of the Academy of Molecular Imaging 14, 708-717 (2012)
【非特許文献7】Cotero et al. PloS one 10, e0130276 (2015)
【非特許文献8】Bajaj et al. The journal of histochemistry and cytochemistry : official journal of the Histochemistry Society 61, 19-30 (2013)
【非特許文献9】Gibbs-Strauss et al. Molecular imaging 9, 128-140 (2010)
【非特許文献10】Meyers et al. The Journal of neuroscience : the official journal of the Society for Neuroscience 23, 4054-4065 (2003)
【非特許文献11】Wang et al. The Journal of Neuroscience: the official journal of the Society for Neuroscience 31, 2382-2390 (2011)
【非特許文献12】Park et al. Theranostics 4, 823-833 (2014)
【発明の概要】
【0010】
1つの態様は、式(I):
の化合物を提供し、
式中、
R
1およびR
2はそれぞれ独立して、
直鎖もしくは分岐C
1~C
6アルキル;
-(CH
2)
n1-SO
3
-、-(CH
2)
n1-N
+(CH
3)
3、-CH
2-CH
2-O-X
1、-CH
2-CH
2-O-[CH
2-CH
2-O]
n2-X
1、-CH
2-CH
2-CH
2-O-X
1、および-CH
2-CH
2-CH
2-O-[CH
2-CH
2-CH
2-O]
n3-X
1;または
の群より選択される部分
の群より選択され;
R
3は水素であるか、またはR
2およびR
3は一緒になって縮合環を形成して式(II):
のコアをもたらし;
R
4およびR
5は、それらが結合する窒素原子と一緒になって、
の群より選択される環を形成するか、
または、化合物が式(II)のものである場合、R
4およびR
5は独立してC
1~C
6アルキルより選択されてもよく、但し、R
1がメチルでありかつR
4がエチルである場合、R
5はエチルではなく;
R
6は水素であるか、
または、R
2およびR
3が一緒になって縮合環を形成して式(II)のコアをもたらす場合、R
5およびR
6もまた、R
5が結合する窒素原子と一緒になって縮合環を形成して、式(III):
のコアをもたらしてもよく、但し、R
4およびR
5が、それらが結合する窒素原子と一緒になって、環
を形成し、かつR
3がHである場合、R
1およびR
2は、それらが結合する窒素原子と一緒になって、ピロリジニル環を形成してもよく;
それぞれの場合におけるX
1は独立して、C
1~C
6直鎖または分岐アルキル、C
1~C
6直鎖または分岐アルケニル、C
1~C
6直鎖または分岐アルキニル、および-Si(C
1~C
4アルキル)
3より選択され;
nは1および2の群より選択される整数であり;
n1は、それぞれの場合において1、2、3、および4の群より独立して選択される整数であり;
n2は、それぞれの場合において1、2、3、4、5、6、7、8、9、および10の群より独立して選択される整数であり;
n3は、それぞれの場合において1、2、3、4、5、6、7、8、9、および10の群より独立して選択される整数であり;
n4は、それぞれの場合において1、2、3、4、5、6、7、8、9、および10の群より独立して選択される整数であり;かつ
但し、n2+n2の合計は10以下であり;
但し、n2+n3の合計は10以下であり;
但し、n2+n4の合計は10以下であり;
但し、n3+n4の合計は10以下であり;
但し、R
4およびR
5が、それらが結合する窒素原子と一緒になって環
を形成する場合、R
1およびR
2は両方ともメチルではなく、R
1およびR
2は両方ともエチルではなく、R
1およびR
2は両方ともn-プロピルではなく、R
1およびR
2は両方ともn-ブチルではなく、かつR
1およびR
2は両方ともn-ペンチルではなく;かつ
但し、化合物が式(III)のものである場合、R
1がメチルである場合R
4はメチルではない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1A】化合物LGW13-79に関するものである、PBS中のオキサジン誘導体の正規化した吸収および蛍光発光スペクトルを示す。
【
図1B】化合物LGW14-42に関するものである、PBS中のオキサジン誘導体の正規化した吸収および蛍光発光スペクトルを示す。
【
図1C】化合物LGW14-47に関するものである、PBS中のオキサジン誘導体の正規化した吸収および蛍光発光スペクトルを示す。
【
図1D】化合物LGW14-51に関するものである、PBS中のオキサジン誘導体の正規化した吸収および蛍光発光スペクトルを示す。
【
図1E】化合物LGW14-53に関するものである、PBS中のオキサジン誘導体の正規化した吸収および蛍光発光スペクトルを示す。
【
図1F】化合物LGW14-83に関するものである、PBS中のオキサジン誘導体の正規化した吸収および蛍光発光スペクトルを示す。
【
図2A】露出させた腕神経叢および坐骨神経への示された化合物の直接的な適用(共溶媒製剤中125μM)後の、NIRオキサジン誘導体の代表的な写真および蛍光画像を提供する。
【
図2B】未染色の対照群と比較して定量化された、1秒あたりの平均神経(白)、筋肉(黒)、および脂肪(灰色)組織の強度を示す。
【
図2C】スクリーニングされたオキサジン誘導体と未染色の対照群との比較のために計算された、定量化された神経信号対バックグラウンド比(SBR)を示す。
【
図3A】0.5、1、2、および4時間時点での、全身投与後のNIR神経特異的候補LGW03-76の写真および蛍光画像を提供する。
【
図3B】定量化され、対照組織の自己蛍光と比較された、1秒あたりの平均神経(白)、筋肉(黒)、および脂肪(灰色)組織の強度を示す。
【
図3C】LGW03-76と対照組織の自己蛍光との比較のために計算された、定量化された神経SBRを示す。
【
図4A】0.5、1、2、および4時間時点での、全身投与後のNIR神経特異的候補LGW13-79の写真および蛍光画像を提供する。
【
図4B】定量化され、対照組織の自己蛍光と比較された、1秒あたりの平均神経(白)、筋肉(黒)、および脂肪(灰色)組織の強度を示す。
【
図4C】LGW13-79と対照組織の自己蛍光との比較のために計算された、定量化された神経SBRを示す。
【
図5A】0.5、1、2、および4時間時点での、全身投与後のNIR神経特異的候補LGW14-42の代表的な写真および蛍光画像を提供する。
【
図5B】定量化され、対照組織の自己蛍光と比較された、1秒あたりの平均神経(白)、筋肉(黒)、および脂肪(灰色)組織の強度を示す。
【
図5C】LGW14-42と対照組織の自己蛍光との比較のために計算された、定量化された神経SBRを示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
発明の詳細な説明
別の態様は、式(IV):
の化合物を提供し、
式中、
R
1およびR
2はそれぞれ独立して、
直鎖もしくは分岐C
1~C
6アルキル;
-(CH
2)
n1-SO
3
-、-(CH
2)
n1-N
+(CH
3)
3、-CH
2-CH
2-O-X
1、-CH
2-CH
2-O-[CH
2-CH
2-O]
n2-X
1、-CH
2-CH
2-CH
2-O-X
1、および-CH
2-CH
2-CH
2-O-[CH
2-CH
2-CH
2-O]
n3-X
1;または
の群より選択される部分
の群より選択され;
R
3は水素であるか、またはR
2およびR
3は一緒になって縮合環を形成して式(V):
のコアをもたらし、但し、nが1でありかつR
3がHである場合、R
1およびR
2は、それらが結合する窒素原子と一緒になって、ピロリジニル環を形成してもよく;
それぞれの場合におけるX
1は独立して、C
1~C
6直鎖または分岐アルキル、C
1~C
6直鎖または分岐アルケニル、C
1~C
6直鎖または分岐アルキニル、および-Si(C
1~C
4アルキル)
3より選択され;
nは1および2の群より選択される整数であり;
n1は、それぞれの場合において1、2、3、および4の群より独立して選択される整数であり;
n2は、それぞれの場合において1、2、3、4、5、6、7、8、9、および10の群より独立して選択される整数であり;
n3は、それぞれの場合において1、2、3、4、5、6、7、8、9、および10の群より独立して選択される整数であり;
n4は、それぞれの場合において1、2、3、4、5、6、7、8、9、および10の群より独立して選択される整数であり;かつ
但し、n2+n2の合計は10以下であり;
但し、n2+n3の合計は10以下であり;
但し、n2+n4の合計は10以下であり;
但し、n3+n4の合計は10以下であり;かつ
但し、nが2である場合、R
1およびR
2は両方ともメチルではなく、R
1およびR
2は両方ともエチルではなく、R
1およびR
2は両方ともn-プロピルではなく、R
1およびR
2は両方ともn-ブチルではなく、かつR
1およびR
2は両方ともn-ペンチルではない。
【0013】
本明細書における具体的な態様のそれぞれの範囲内で、当該の具体的な態様に関するすべての可変記号および但し書きによって規定される化合物であって、n1+n2の合計、n1+n3の合計、およびn1+n4の合計がいずれも10以下であるというさらなる但し書きのある、化合物を提供するさらなる態様が存在する。
【0014】
本明細書における具体的な態様のそれぞれの範囲内で、当該の具体的な態様に関するすべての可変記号および但し書きによって規定される化合物であって、n1+n2の合計、n1+n3の合計、およびn1+n4の合計がいずれも8以下であるというさらなる但し書きのある、化合物を提供するさらなる態様が存在する。
【0015】
本明細書における具体的な態様のそれぞれの範囲内で、当該の具体的な態様に関するすべての可変記号および但し書きによって規定される化合物であって、n1+n2の合計、n1+n3の合計、およびn1+n4の合計がいずれも6以下であるというさらなる但し書きのある、化合物を提供するさらなる態様が存在する。
【0016】
本明細書における具体的な態様のそれぞれの範囲内で、当該の具体的な態様に関するすべての可変記号および但し書きによって規定される化合物であって、n1+n2の合計、n1+n3の合計、およびn1+n4の合計がいずれも4以下であるというさらなる但し書きのある、化合物を提供するさらなる態様が存在する。
【0017】
本明細書における具体的な態様のそれぞれの範囲内で、当該の具体的な態様に関するすべての可変記号および但し書きによって規定される化合物であって、n1+n2の合計、n1+n3の合計、およびn1+n4の合計の群における合計がいずれも10以下であるというさらなる但し書きのある、化合物を提供するさらなる態様が存在する。
【0018】
本明細書における具体的な態様のそれぞれの範囲内で、当該の具体的な態様に関するすべての可変記号および但し書きによって規定される化合物であって、n1+n2の合計、n1+n3の合計、およびn1+n4の合計の群における合計がいずれも8以下であるというさらなる但し書きのある、化合物を提供するさらなる態様が存在する。
【0019】
本明細書における具体的な態様のそれぞれの範囲内で、当該の具体的な態様に関するすべての可変記号および但し書きによって規定される化合物であって、n1+n2の合計、n1+n3の合計、およびn1+n4の合計の群における合計がいずれも6以下であるというさらなる但し書きのある、化合物を提供するさらなる態様が存在する。
【0020】
本明細書における具体的な態様のそれぞれの範囲内で、当該の具体的な態様に関するすべての可変記号および但し書きによって規定される化合物であって、n1+n2の合計、n1+n3の合計、およびn1+n4の合計の群における合計がいずれも4以下であるというさらなる但し書きのある、化合物を提供するさらなる態様が存在する。
【0021】
2つの追加かつ別個の態様がそれぞれ式(VI)の化合物および式(VII)の化合物:
を提供し、
式中、R
1、R
2、R
3、X
1、n、n1、n2、n3、およびn4を含むすべての可変記号は、すべての但し書きと共に、上記の式(I)に関して規定したとおりである。
【0022】
2つのさらなる別個の態様がそれぞれ式(VI)の化合物および式(VII)の化合物を提供し、ここで、各態様において、R3はHであり、かつR1およびR2はそれぞれ独立してメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、およびtert-ブチルの群より選択される。
【0023】
2つのさらなる別個の態様がそれぞれ式(VI)の化合物および式(VII)の化合物を提供し、ここで、各態様において、R3はHであり、かつR1およびR2はそれぞれ独立してメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、およびtert-ブチルの群より選択され、但し、R1およびR2は同一ではない。
【0024】
2つのさらなる別個の態様がそれぞれ式(VI)の化合物および式(VII)の化合物を提供し、ここで、各態様において、R3はHであり、かつR1およびR2はそれぞれ独立してメチル、エチル、n-プロピル、およびイソプロピルの群より選択され、但し、R1およびR2は同一ではない。
【0025】
2つのさらなる別個の態様がそれぞれ式(VI)の化合物および式(VII)の化合物を提供し、ここで、各態様では、R
3はHであり、R
1はメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、およびtert-ブチルの群より選択され、かつR
2は、
-(CH
2)
n1-SO
3
-、-(CH
2)
n1-N
+(CH
3)
3、-CH
2-CH
2-O-X
1、-CH
2-CH
2-O-[CH
2-CH
2-O]
n2-X
1、-CH
2-CH
2-CH
2-O-X
1、および-CH
2-CH
2-CH
2-O-[CH
2-CH
2-CH
2-O]
n3-X
1;または
の群より選択される部分
の群より選択され;
それぞれの場合におけるX
1は独立して、C
1~C
6直鎖または分岐アルキル、C
1~C
6直鎖または分岐アルケニル、C
1~C
6直鎖または分岐アルキニル、および-Si(C
1~C
4アルキル)
3より選択され;
n1は、それぞれの場合において1、2、3、および4の群より独立して選択される整数であり;
n2は、それぞれの場合において1、2、3、4、5、6、7、8、9、および10の群より独立して選択される整数であり;
n3は、それぞれの場合において1、2、3、4、5、6、7、8、9、および10の群より独立して選択される整数であり;
n4は、それぞれの場合において1、2、3、4、5、6、7、8、9、および10の群より独立して選択される整数であり;かつ
但し、R
2が上記のk)で表される部分である場合、n2+n4の合計は10以下である。
【0026】
さらなる態様は式(VIa):
の化合物を含み、
式中、R
1およびR
2は独立してC
1~C
6アルキルより選択される。
【0027】
別の態様は、R1およびR2がそれぞれ独立してC1~C4アルキルより選択される、式(VIa)の化合物を提供する。
【0028】
別の態様は、R1およびR2がそれぞれ独立してC1~C3アルキルより選択される、式(VIa)の化合物を提供する。
【0029】
別の態様は、R1がエチルであり、かつR2がC1~C4アルキルより選択される、式(VIa)の化合物を提供する。
【0030】
別の態様は、R1がエチルであり、かつR2がC1~C3アルキルより選択される、式(VIa)の化合物を提供する。
【0031】
別の態様は、R1がメチルであり、かつR2がC1~C4アルキルより選択される、式(VIa)の化合物を提供する。
【0032】
別の態様は、R1がメチルであり、かつR2がC1~C3アルキルより選択される、式(VIa)の化合物を提供する。
【0033】
別の態様は式(II):
の化合物を提供し、
式中、R
1、R
4、R
5、R
6、ならびにすべての関連する可変記号および但し書きは上記の式(I)に関して規定したとおりである。
【0034】
追加の態様は上記の式(II)の化合物を提供し、式中、R1は式(I)に関して上記で規定した通りであり、R6は水素であり、R4およびR5はそれぞれ独立して直鎖または分岐C1~C6アルキルの群より選択され、但し、R1がメチルでありかつR4がエチルである場合、R5はエチルではない。
【0035】
さらなる態様は式(VIII):
の化合物を提供し、
式中、nおよびR
1は、すべての他の関連する可変記号および但し書きと共に、上記の式(I)に関して規定したとおりである。
【0036】
追加の態様は式(VIIIa):
の化合物を提供し、
式中、R
1は、すべての他の関連する可変記号および但し書きと共に、上記の式(I)に関して規定したとおりである。
【0037】
さらなる態様は、R1がC1~C4アルキルである、上記の式(VIIIa)の化合物を提供する。
【0038】
別の態様は、R1がC1~C3アルキルである、上記の式(VIIIa)の化合物を提供する。
【0039】
追加の態様は、R1がC1~C2アルキルである、上記の式(VIIIa)の化合物を提供する。
【0040】
別のさらなる態様は、式(VIII):
の化合物を提供し、
式中、R
1は、すべての他の関連する可変記号および但し書きと共に、上記の式(I)に関して規定したとおりである。
【0041】
さらなる態様は、R1がC1~C4アルキルである、上記の式(VIIIb)の化合物を提供する。
【0042】
別の態様は、R1がC1~C3アルキルである、上記の式(VIIIb)の化合物を提供する。
【0043】
追加の態様は、R1がC1~C2アルキルである、上記の式(VIIIb)の化合物を提供する。
【0044】
またさらなる態様は、式(III):
の化合物を提供し、
式中、R
1およびR
4は、すべての他の関連する可変記号および但し書きと共に、上記の式(I)に関して規定したとおりであり、但し、R
1がメチルである場合、R
4はメチルではなく、かつ但し、R
1がエチルである場合、R
4はエチルではない。
【0045】
別の態様は上記の式(III)の化合物を提供し、式中、R1はC1~C6アルキルであり、R4は、すべての他の関連する可変記号および但し書きと共に、上記の式(I)に関して規定したとおりであり、かつ但し、R1がメチルである場合、R4はメチルではなく、かつ但し、R1がエチルである場合、R4はエチルではない。
【0046】
また別の態様は上記の式(III)の化合物を提供し、式中、R1はC1~C4アルキルであり、R4は、すべての他の関連する可変記号および但し書きと共に、上記の式(I)に関して規定したとおりであり、但し、R1がメチルである場合、R4はメチルではなく、かつ但し、R1がエチルである場合、R4はエチルではない。
【0047】
また別の態様は上記の式(III)の化合物を提供し、式中、R1はC1~C3アルキルであり、R4は、すべての他の関連する可変記号および但し書きと共に、上記の式(I)に関して規定したとおりであり、但し、R1がメチルである場合、R4はメチルではなく、かつ但し、R1がエチルである場合、R4はエチルではない。
【0048】
また別の態様は上記の式(III)の化合物を提供し、式中、R1はC1~C2アルキルであり、R4は、すべての他の関連する可変記号および但し書きと共に、上記の式(I)に関して規定したとおりであり、かつ但し、R1がメチルである場合、R4はメチルではなく、かつ但し、R1がエチルである場合、R4はエチルではない。
【0049】
さらに別の態様は上記の式(III)の化合物を提供し、式中、R1およびR2はそれぞれ独立してC1~C6アルキルより選択され、但し、R1がメチルである場合、R4はメチルではなく、かつ但し、R1がエチルである場合、R4はエチルではない。
【0050】
さらなる態様は上記の式(III)の化合物を提供し、式中、R1およびR2はそれぞれ独立してC1~C4アルキルより選択され、但し、R1がメチルである場合、R4はメチルではなく、かつ但し、R1がエチルである場合、R4はエチルではない。
【0051】
別の態様は上記の式(III)の化合物を提供し、式中、R1およびR2はそれぞれ独立してC1~C3アルキルより選択され、但し、R1がメチルである場合、R4はメチルではなく、かつ但し、R1がエチルである場合、R4はエチルではない。
【0052】
追加の態様は式(IX):
の化合物を提供し、式中、R
1およびR
4はそれぞれ独立してC
1~C
6アルキルより選択される。
【0053】
さらなる態様は、R1およびR4がそれぞれ独立してC1~C4アルキルより選択される、式(IX)の化合物を提供する。
【0054】
別の態様は、R1およびR4がそれぞれ独立してC1~C3アルキルより選択される、式(IX)の化合物を提供する。
【0055】
さらなる態様は、R1およびR4がそれぞれ独立してC1~C2アルキルより選択される、式(IX)の化合物を提供する。
【0056】
さらなる態様は、R1が、すべての規定された関連する可変記号および但し書きと共に、上記の式(I)に関して規定したとおりである、式(IX)の化合物を提供する。
【0057】
定義
「対象」または「患者」は任意の動物を指す。動物は哺乳類であってもよい。好適な哺乳類の例はヒトならびに非ヒト霊長類、イヌ、ネコ、ヒツジ、雌ウシ、ブタ、ウマ、マウス、ラット、ウサギ、およびモルモットを含む。いくつかの態様では、対象または患者は、特に外科的処置または検査を受けているかまたはその必要のあるヒトを含む、ヒトである。
【0058】
本明細書において用いられる「神経」という用語は神経軸索の束を意味する。神経内部では、各軸索は神経内膜と呼ばれる結合組織の層に囲まれている。軸索は束と呼ばれる群にまとめられ、各束は神経周膜と呼ばれる結合組織の層に包まれている。神経全体は神経上膜と呼ばれる結合組織の層に包まれている。「神経」という用語は、任意の組織(例えば、洞房結節または心室結節)またはそれらに関連する構造(例えば、神経筋接合部)を含むように意図されている。
【0059】
本明細書における「神経特異的(nerve-specific)」または「神経特異的(nerve specific)」という用語は、神経または神経組織に引き寄せられ、神経または神経組織を周囲の細胞および/または組織と対比しかつ区別するのを補助するための蛍光造影技術で用いられ得る作用物質を指す。「神経特異性」という用語は神経特異的である作用物質の性質または活性を指す。
【0060】
「近赤外線」という用語または「(NIR)」という頭文字は、一般的には波長が約0.65~約1.4μm(700nm~1400nmである、近赤外スペクトルの光を指す。これは、波長が約0.78μm~約3μmである、国際標準化機構によって指定された範囲を指す場合もある。いくつかの態様では、好ましい近赤外分光法および造影(NIRS)範囲は約650nm~約950nmである。別の態様では、好ましい近赤外分光法および造影(NIRS)範囲は約650nm~約900nmである。
【0061】
いくつかの態様では、作用物質および/またはそれらを含む組成物は直接/局所投与を意図している。直接または局所投与は、本明細書においては、組織、器官、神経束、または他の身体構成要素の表面への作用物質または組成物の直接的な投与を含むと理解される。いくつかの方法では、投与は適切な化合物または組成物を用いたブラッシング、噴霧、または灌水によって達成されてもよい。
【0062】
別の態様では、作用物質および/または組成物は、静脈内注射または注入を通じてなどで、患者または対象に全身投与されてもよい。
【0063】
別の態様では、作用物質および/または組成物は、注射を通じてなどで、所望の組織または器官に局所的に投与されてもよい。
【0064】
「有効量」もしくは「医学的有効量」もしくは「造影有効量」という用語または同様の用語は、関連する造影技術、特に近赤外線造影技術を通じて本明細書において記載される化合物または組成物が特定され得るように、1つまたは複数の神経への結合を完了するのに十分に標的領域をカバーする、本明細書において記載される化合物または組成物の量を指す。
【0065】
「アルキル」という用語は直鎖または分岐炭化水素を指す。例えば、アルキル基は炭素原子を1~6個(すなわち、C1~C6アルキルまたはC1~6アルキル)、炭素原子を1~4個(すなわち、C1~C4アルキルまたはC1~4アルキル)、炭素原子を1~3個(すなわち、C1~C3アルキルまたはC1~3アルキル)、または炭素原子を1~2個(すなわち、C1~C2アルキルまたはC1~2アルキル)を有するものを含み得る。好適なアルキル基の例はメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル(-CH(CH3)2)、1-ブチル(n-Bu、n-ブチル、--CH2CH2CH2CH3)、2-メチル-1-プロピル(i-Bu、i-ブチル、--CH2CH(CH3)2)、2-ブチル(s-Bu、s-ブチル、--CH(CH3)CH2CH3)、2-メチル-2-プロピル(t-Bu、t-ブチル、--C(CH3)3)、1-ペンチル(n-ペンチル、--CH2CH2CH2CH2CH3)、2-ペンチル(--CH(CH3)CH2CH2CH3)、3-ペンチル(--CH(CH2CH3)2)、2-メチル-2-ブチル(-C(CH3)2CH2CH3)、3-メチル-2-ブチル(--CH(CH3)CH(CH3)2)、3-メチル-1-ブチル(--CH2CH2CH(CH3)2)、2-メチル-1-ブチル(-CH2CH(CH3)CH2CH3)、1-ヘキシル(--CH2CH2CH2CH2CH2CH3)、2-ヘキシル(--CH(CH3)CH2CH2CH2CH3)、3-ヘキシル(-CH(CH2CH3)(CH2CH2CH3))、2-メチル-2-ペンチル(-C(CH3)2CH2CH2CH3)、3-メチル-2-ペンチル(-CH(CH3)CH(CH3)CH2CH3)、4-メチル-2-ペンチル(-CH(CH3)CH2CH(CH3)2)、3-メチル-3-ペンチル(--C(CH3)(CH2CH3)2)、2-メチル-3-ペンチル(-CH(CH2CH3)CH(CH3)2)、2,3-ジメチル-2-ブチル(--C(CH3)2CH(CH3)2)、および3,3-ジメチル-2-ブチル(-CH(CH3)C(CH3)3を非限定的に含む。
【0066】
「アルケニル」という用語は、少なくとも1つの不飽和部位、すなわち、炭素-炭素のsp2二重結合を有する、直鎖または分岐炭化水素を指す。例えば、アルケニル基は炭素原子を2~4個有し得る(すなわち、C2~C4アルケニル。好適なC2~C4アルケニル基の例はエテニルまたはビニル(-CH=CH2)、アリル(-CH2CH=CH2)、ブト-1-エニル(-CH=CH-CH2-CH3)、ブト-2-エニル(CH2-CH=CH-CH3)、ブト-3-エニル(-CH2-CH2-CH=CH)を非限定的に含む。
【0067】
「アルキニル」という用語は、少なくとも1つの不飽和部位、すなわち、炭素-炭素のsp三重結合を有する、直鎖または分岐炭化水素を指す。例えば、アルキニル基は炭素原子を2~6個(すなわち、C2~C6アルキン)、または炭素原子を2~4個(すなわち、C2~C4アルキニル)を有し得る。好適なアルキニル基の例はアセチレン(-C≡CH)、プロパルギル(-CH2C≡CH)などを非限定的に含む。
【0068】
本明細書において概略的および具体的に記載されかつ/または示される化合物構造はそのような化合物に関するすべての対応する共鳴構造を含むことも理解される。下の構造を用いた例として、化合物Aは3-(ジメチル-l4-アザネイリデン)-7-(ピロリジン-1-イル)-3H-フェノキサジンと呼ばれることがあり、化合物BはN,N-ジメチル-7-(1l4-ピロリジン-1-イリデン)-3H-7l5-フェノキサジン-3-アミンと呼ばれることがあるが、それぞれ、R
1およびR
2がピロリジニル環を形成し、R
4およびR
5がそれぞれメチルであり、かつR
3およびR
6がいずれも水素である式(I)の化合物の本定義に該当し、かつ化合物構造A、B、C、およびDのそれぞれは本明細書における他のものを含みかつ表す。
【0069】
本明細書における「造影」という用語は、蛍光画像誘導手術(低侵襲腹腔鏡検査または内視鏡検査技術を含む)、コンピューター支援手術または手術ナビゲーション、放射線手術または放射線療法、介入的画像診断、蛍光顕微鏡法、およびレーザー共焦点顕微鏡法に関連するものを非限定的に含む従来の医療用造影技術における蛍光化合物の使用を指す。これらの技術は約650nm~900nmの近赤外波長を含む場合がある。
【0070】
「標識」という用語は本明細書において開示される標的分子の可視化および/または検出を容易にする分子を指す。いくつかの態様では、標識は蛍光部分である。「標識する」という用語は、そのような検出を可能にするための、標的に対する標識の好結果の投与を指す。
【0071】
本明細書において用いられるように、「ロボット手術」、「ロボット支援手術」、または「コンピューター支援手術」という用語は、手術による外傷、失血、疼痛、瘢痕、および術後の患者の回復時間の量、ならびに/または手術部位での感染などの合併症を制限するように設計された、正確でフレキシブルかつ/または低侵襲のアクションで外科的処置を行うために医療機器の動きを制御するロボットシステムを伴う外科的技術を指す。ロボット手術の例は2000年に米国食品医薬品局によって承認されたda Vinci Surgical System (Intuitive Surgical, Sunnyvale, CA, USA)を用いて実施されるものを含む。
【0072】
本明細書において用いられるように「手術」または「手術方法」という用語は、物理的介入によって操作するか、変更するか、または効果をもたらすために用いられる任意の方法を指す。これらの方法は、開腹手術、内視鏡手術、腹腔鏡手術、低侵襲手術、ロボット手術や、ニューロンまたは神経に影響を与え得る任意の処置、例えば、脊椎手術の最中の開創器の設置、導電的な心臓組織または神経切除、硬膜外注射、髄腔内注射、ニューロンまたは神経ブロック、ニューロンまたは神経刺激装置などの機器の埋め込み、およびポンプの埋め込みを非限定的に含む。これらの方法は、診断目的などのために、細胞または組織試料の収集のための生検または他の侵襲的技術を含む場合もある。
【0073】
本明細書において用いられるように、「標的分子」という用語は目的の標的と会合する(例えば、結合する)任意の作用物質(例えば、ペプチド、タンパク質、核酸ポリマー、アプタマー、または小分子)を指す。目的の標的は神経細胞、または1つもしくは複数の神経細胞もしくは神経構造に関連する器官または組織であってもよい。いくつかの態様では、標的分子は、1つもしくは複数のニューロン、神経、またはそれらと関連する組織もしくは構造、すなわち、神経組織、神経系組織、神経束などを含む標的と会合する(例えば、結合する)任意の作用物質である。神経および神経関連標的は中枢神経系(CNS)の脳および脊髄ならびに末梢神経系(PNS)の神経と関連するものを含むと理解される。
【0074】
「前立腺切除術」という用語は対象の前立腺の全部または一部を除去するための外科的技術を指す。「根治的前立腺切除術」は、精嚢および近傍のリンパ節をしばしば含む、周囲の組織と共に対象の前立腺全体の除去に関係する。
【0075】
「整形外科的四肢修復」または「整形外科的四肢修復手術」という用語は対象の四肢の筋骨格系に対して実施される外科的技術を指す。これらの技術は四肢の再建手術、関節置換処置、関節修正手術、デブリードマン、骨融合、腱または靭帯修復、骨の内固定、および骨切り術を含む。
【0076】
本明細書における「フルオロフォア」という用語は、造影技術における使用のための、特に神経造影技術のための、本明細書において記載される化合物のいずれか1つを指す。具体的合成の生成物として本明細書において記載されるかまたは概説において記載される化合物のそれぞれが方法、使用、および組成物のためのフルオロフォアと見なされる。
【0077】
本明細書における概説および請求項で用いられる「1つの可変記号」または「複数の可変記号」という用語は、場合によっては、特定の群より選択され得る実体または部分を指す。そのような可変記号はR1、R2、R3、R4、R5、R6、n1、n2、n3、n4、X1などを含む場合がある。
【0078】
本明細書において開示されかつ/またはクレームされるすべての範囲は記載のエンドポイントを包含し、独立して組み合わせることが可能である(例えば、「2から10まで」および「2~10」の範囲はエンドポイントである2および10と、すべての中間値とを包含する)。例えば、「請求項2~5」への言及は請求項2、3、4、および5をすべて含む。
【0079】
本明細書における方法または使用を説明する際に用いられる「手術中に」という用語は、外科的処置時またはそのような処置のための時間的に近接した準備において行われるアクティビティを指す。
【0080】
本明細書において用いられるように、製剤または組成物成分に関して用いられる「薬学的に許容される」または「生理学的に許容される」などの用語は、あらゆるすべての担体、溶媒、分散媒、コーティング、抗菌および抗真菌剤、等張および吸収遅延剤などを非限定的に含む、薬学的に許容されるベヒクルを指す。そのような材料は当該のフルオロフォア/化合物の許容可能なレベルの活性を提供し、それらが接触する細胞、組織、器官などと適合性がありかつそれらに対して実質的に非毒性である。薬学的に活性な物質のためのそのような媒体および作用物質の使用は当技術分野では周知である。任意の従来の媒体または作用物質が有効成分と適合不可能な場合を除いて、治療用組成物におけるその使用が企図される。補助的な有効成分を組成物に組み込むこともできる。
【0081】
「担体」という用語は、当該の化合物が一緒に投与される希釈剤、崩壊剤、析出防止剤、界面活性剤、流動促進剤、乳化剤、緩衝剤、安定剤、潤滑剤などを非限定的に含む、賦形剤またはベヒクルを指す。担体は、本明細書においておよびE. W. Martinによる「Remington's Pharmaceutical Sciences」においても概説されている。しかしながら、薬学的組成物のために選択される担体、および組成物中のそのような担体の量は、製剤化方法に応じて異なり得ると理解されるべきである。
【0082】
「希釈剤」という用語は、概して、送達前に目的の化合物を希釈するために用いられる物質を指す。
【0083】
使用方法
組織または器官における神経を検出する方法であって、
a)本明細書において記載されるフルオロフォアを含む組成物の有効量を組織または器官に投与して、染色された組織または染色された器官を形成する工程;および
b)染色された組織または染色された器官を造影し、それによって、染色された組織または染色された器官において手術中に神経を検出する工程
を含む、方法が提供される。
【0084】
手術を受けている対象において手術中に神経を検出する方法であって、
c)本明細書において記載されるフルオロフォアを含む組成物の有効量を手術の前または最中に対象に投与して、染色された組織を形成する工程;および
d)対象において手術を受けている染色された組織を造影し、それによって、手術を受けている対象において手術中に神経を検出する工程
を含む、方法が提供される。
【0085】
前立腺切除手術を受けている対象において手術中に神経を検出する方法であって、
e)本明細書において記載されるフルオロフォアを含む組成物の有効量を前立腺切除手術の前または最中に対象に投与して、染色された組織を形成する工程;および
f)対象において手術を受けている染色された組織を造影し、それによって、前立腺切除手術を受けている対象において手術中に神経を検出する工程
を含む、方法も提供される。
【0086】
1つの態様では、前立腺切除手術を受けている対象において手術中に海綿体神経を検出する方法であって、
g)本明細書において記載されるフルオロフォアを含む組成物の有効量を前立腺切除手術の前または最中に対象に投与して、染色された組織を形成する工程;および
h)対象において手術を受けている染色された組織を造影し、それによって、前立腺切除手術を受けている対象において手術中に海綿体神経を検出する工程
を含む、方法が提供される。
【0087】
前立腺切除手術または処置に関する本明細書における方法のそれぞれについて、手術または処置が根治的前立腺切除術である別の態様が存在する。
【0088】
上記および本明細書における方法のそれぞれについて、フルオロフォアを含む組成物が対象に全身投与される態様が存在する。
【0089】
上記および本明細書における方法のそれぞれについて、フルオロフォアを含む組成物が直接的または局所的に、すなわち直接投与または局所投与を通じて、対象に投与される態様が存在する。
【0090】
本明細書における方法のそれぞれの範囲内で、染色された組織を形成するための、前立腺切除手術の前または最中に本明細書において記載されるフルオロフォアを含む組成物の有効量の対象への投与が15分またはそれ未満で完了し得るさらなる態様が存在する。またさらなる態様では、染色された組織を形成するための、前立腺切除手術の前または最中に本明細書において記載されるフルオロフォアを含む組成物の有効量の対象への投与は10分またはそれ未満で完了し得る。
【0091】
大脳神経膠腫症、乏突起星細胞腫、脈絡叢乳頭腫、上衣腫、星状細胞腫(毛様細胞性星状細胞腫および多形性膠芽腫)、胚芽異形成性神経上皮腫瘍、乏突起膠腫、髄芽腫、および原始神経外胚葉性腫瘍などの神経膠腫;神経節腫、神経芽細胞腫、異型奇形腫瘍、網膜芽細胞腫、および鼻腔神経芽細胞腫などの神経上皮腫性腫瘍;ならびに神経繊維腫(神経線維肉腫および神経線維腫症)、シュワン腫、神経鞘腫、聴神経鞘腫、および神経腫などの神経鞘腫瘍を含む神経組織腫瘍(新生物)を造影する方法も本明細書において提供される。
【0092】
対象における標的領域を造影する方法であって、対象における標的領域を本明細書における化合物より選択される化合物と接触させる工程、および蛍光または近赤外造影を用いて標的における化合物を検出する工程を含む、方法が提供される。
【0093】
対象における標的領域中の1つまたは複数の神経を造影する方法であって、対象における標的領域を本明細書における化合物より選択される化合物と接触させる工程、および蛍光造影を用いて標的における化合物を検出する工程を含む、方法も提供される。
【0094】
対象における標的領域中の1つまたは複数の神経を造影する方法であって、対象における標的領域を本明細書における化合物より選択される化合物と接触させる工程、および近赤外造影を用いて標的における化合物を検出する工程を含む、方法も提供される。
【0095】
医療処置時に対象における標的領域中の神経損傷を最小限にする方法であって、
a)本明細書における化合物より選択される化合物と対象における標的領域を接触させる工程;
b)蛍光造影を用いて標的領域中の化合物によって結合された1つまたは複数の神経を検出する工程;および
c)検出された1つまたは複数の神経に損傷を与え得る医療処置の作用を最小限にする工程
を含む、方法も提供される。
【0096】
上記の方法は、神経を特定し、医療処置によって引き起こされ得る外傷性、熱性、および放射性損傷を含む神経に対する損傷、または、標的領域における治療剤、麻酔薬、または麻酔の適用によって引き起こされる神経に対する損傷を最小限にするために用いられてもよい。
【0097】
いくつかの態様では、上記の方法において言及される医療処置は外科的処置である。別の態様では、医療処置は生検処置、放射線処置、または対象への麻酔薬もしくは麻酔の適用である。さらなる態様では、上記の方法における医療処置は、医療ポンプ、ステント、ペースメーカー、ポート、人工関節、弁、ネジ、ピン、プレート、ロッド、美容インプラント、神経刺激装置などを含む医療機器の挿入または埋め込みである。
【0098】
近赤外造影を用いて対象における1つまたは複数の神経を造影する際の使用のための組成物の調製における本明細書において開示される任意の化合物の使用も提供される。
【0099】
神経損傷が手術成績を損ない、手術後の生活の質に大きな影響を与える。何十年にもわたる神経温存技術の実施にもかかわらず、手術中の神経の特定および温存は依然として困難であり、成功率は外科医の経験値および技術を習得する能力と強く相関する(Walsh & Donker. The Journal of urology 128, 492-497 (1982); Ficarra et al. Eur Urol 62, 405-417 (2012); Damber & Khatami. Acta oncologica 44, 599-604 (2005))。蛍光誘導手術(FGS)は、手術中に神経および腫瘍組織などの組織を特に強調表示することによる可視化の向上に有望である。光学造影技術を用いたFGSは、組織標的蛍光プローブからの、標的組織の高感度かつ高特異性のリアルタイム広視野同定が可能である。例えば、Frangioni. Journal of clinical oncology : official journal of the American Society of Clinical Oncology 26, 4012-4021 (2008); Gibbs. Quantitative imaging in medicine and surgery 2, 177-187 (2012); Gioux et al. Molecular imaging 9, 237-255 (2010); Vahrmeijer et al. Nature reviews. Clinical oncology 10, 507-518 (2013);およびNguyen et al. Nature reviews. Cancer 13, 653-662 (2013)1~5を参照されたい。組織発色団の吸光度、自己蛍光、および散乱が最小限である近赤外線(NIR)光学ウインドウ(650~900nmの波長)で動作するFGS技術は、黒色の背景に対してミリメートル~センチメートルの深さで標的組織を特定する能力を有する(Chance. Annals of the New York Academy of Sciences 838, 29-45 (1998); Gibbs. Quantitative imaging in medicine and surgery 2, 177-187 (2012))。
【0100】
いくつかの造影システムがFGS適用向けに開発されてきた。例えば、Lee et al. Plastic and reconstructive surgery 126, 1472-1481 (2010); Tummers et al. European journal of surgical oncology: the journal of the European Society of Surgical Oncology and the British Association of Surgical Oncology 40, 850-858 (2014); Troyan et al. Annals of surgical oncology 16, 2943-2952 (2009); Ashitate et al. Real-time simultaneous near-infrared fluorescence imaging of bile duct and arterial anatomy. The Journal of surgical research 176, 7-13 (2012); Verbeek et al. The Journal of urology 190, 574-579 (2013); Gibbs-Strauss et al. Molecular imaging 10, 91-101 (2011); Hirche et al. Surgical innovation 20, 516-523 (2013); Gotoh et al. Journal of surgical oncology 100, 75-79 (2009);およびKitagawa et al. Anticancer research 35, 6201-6205 (2015)を参照されたい;重要なことに、ロボット支援根治的前立腺切除術(RP)に頻繁に用いられるda Vinci手術ロボットにFDA承認蛍光造影チャネルを装着できる。
【0101】
直接投与(局所投与とも呼ばれる)は、潜在的な毒性を最小限にしかつヒトの臨床研究における当初の規制的負担を軽減するために、蛍光プローブの全身投与に対する魅力的な代替手段である。手術野内の組織を選択的に標識することによって、必要とされる用量は直接投与では全身投与よりもはるかに低い。15分間の染色プロトコール後に、全身投与と同等の神経信号対バックグラウンド比(SBR)をもたらす直接投与法が開発された。Barth & Gibbs. Theranostics 7, 573-593 (2017)。この方法論は、前立腺の周囲の神経をうまく模倣した自律神経モデルに結果よく適用された。この方法は、RP時の全身投与を介した神経の標識化が前立腺における神経から許容できない高いバックグラウンドと、隣接する膀胱内の尿において有意な蛍光信号を生成する腎臓のフルオロフォアクリアランスとをもたらすことがあるため、RPへの適用においてさらなる利点を有する。これらの外部蛍光信号の両方が、排尿および性的能力に関与する神経血管束(NVB)内の海綿体神経を特定する能力を低下させてしまうであろう(Barth and Summer. Theranostics (2016). Tewari et al. BJU international 98, 314-323 (2006); Patel et al. Eur Urol 61, 571-576 (2012))。おそらく最も重要なことに、直接投与法で必要な用量は全身投与の16分の1であり、体表面積によってヒトにスケーリングすると、用量はFDAへの探索的治験薬(eIND)申請下での臨床応用の要件の範囲内に入る。eIND下で行われる研究では、各患者にはマイクロドーズ(<100μg)のみが投与されるため、最小限の前臨床毒性試験が必要とされ、ファースト・イン・ヒューマン試験のコストが大幅に低減される。
【0102】
直接投与法は前臨床げっ歯動物モデルにおいて短時間染色プロトコールで高い神経特異性およびSBRをもたらした(Barth&Gibbs。Theranostics 7、573-593(2017))が、大型動物モデルにおける予備染色研究によってかなりのバックグラウンドが生じた。臨床応用を容易にするために、FDAが承認し、かつ様々な組織表面、角度、および形態を染色するための適用制御の向上を容易にする、改善された製剤化戦略が必要になるであろう。
【0103】
本明細書において開示される化合物のうちの1つまたは複数を含む製剤は神経または神経組織を造影するために用いることができる。特定の態様では、開示の製剤を用いて対象における神経または神経組織を造影することができる。特定の態様では、神経の画像はFGS時に手術中に取得することができる。特定の態様では、FGS時の神経の可視化により、手術の最中の神経損傷の発生率を低減するように神経を温存しつつ目的の組織に対して手術を実施することが可能になる。手術が実施される領域または近傍の範囲を手術で露出させることができる。手術は、神経組織、筋肉組織、および脂肪組織などの組織を含む器官に対して実施することができる。手術は腹腔鏡下で行うことができ、これは侵襲性が最小限であり、腹部または骨盤などの対象の身体の一部に鍵穴形の切り込みを通じて挿入される細い管状の器具(腹腔鏡)の使用を含む。手術はロボットによって支援することができる。ロボット支援手術は一層の正確さ、フレキシビリティ、および制御を提供することができ、侵襲性が最小限の手術に関連していることが多い。
【0104】
特定の態様では、神経組織に直接的に適用される製剤におけるフルオロフォア濃度は40~300μg/mLの濃度範囲を含む。特定の態様では、直接的な適用のための製剤におけるフルオロフォア濃度は40μg/mL、50μg/mL、60μg/mL、70μg/mL、80μg/mL、90μg/mL、100μg/mL、110μg/mL、120μg/mL、130μg/mL、140μg/mL、150μg/mL、160μg/mL、170μg/mL、180μg/mL、190μg/mL、および200μg/mLを含む。特定の態様では、直接的な適用のための製剤におけるフルオロフォア濃度は50μg/mLである。特定の態様では、直接的な適用のための製剤におけるフルオロフォア濃度は200μg/mLである。
【0105】
開示の製剤は神経の造影のために対象に全身的に適用することができる。特定の態様では、製剤の全身的な適用は対象への製剤の静脈内注射を含む。
【0106】
組織に直接的に適用される製剤は、直接的な適用後、所与の時間にわたり組織に浸透させることができる。特定の態様では、製剤は30秒~15分間、1~10分間、1~5分間、1分間、2分間、3分間、4分間、または5分間にわたり組織に浸透させることができる。特定の態様では、製剤は1~2分間にわたり組織に浸透させることができる。対象に全身的に適用される製剤は、造影される領域に製剤が到達することができ、造影時にそのような領域に製剤が存在するように、造影前に十分な時間投与することができる。特定の態様では、対象に全身的に適用される製剤は、対象における組織による製剤の取り込みを可能にするために造影に先立って十分な時間投与することができる。特定の態様では、製剤は造影前の30分、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、もしくは8時間までまたは30分、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、もしくは8時間未満に投与することができる。必要とされる時間は神経造影用途および投与部位に応じて異なる場合がある。特定の態様では、製剤は造影前の30分、1時間、2時間、3時間、または4時間以内に投与される。特定の態様では、製剤は造影前の2時間以内に投与される。
【0107】
直接的な適用によるフルオロフォアを含む製剤によって染色された組織は染色された組織の造影に先立って緩衝液で洗浄することができる。フルオロフォアを含む製剤によって染色された組織の洗浄は適切な緩衝液で組織をすすぎ、緩衝液を除去することを含み得る。特定の態様では、染色された組織は洗浄緩衝液により1~18回、1~10回、1~6回、1回、2回、3回、4回、5回、または6回洗浄することができる。特定の態様では、染色された組織は6回洗浄することができる。特定の態様では、洗浄緩衝液はリン酸緩衝食塩水(PBS)である。特定の態様では、染色された組織を洗浄して未結合のフルオロフォアを除去する。特定の態様では、染色された組織を洗浄することで、染色された組織を洗浄しない場合と比較して、神経信号強度および/またはシグナル対バックグラウンド比(SBR)が増加する。特定の態様では、染色された組織を洗浄することでフルオロフォアを再溶解し、神経組織へのフルオロフォアのさらなる拡散が可能になる。
【0108】
フルオロフォアを含む製剤によって染色された組織を造影することは開示の製剤で染色された組織に光を照射することを含む。光は製剤中のフルオロフォアを励起して蛍光を発するのに十分な波長であり得る。特定の態様では、フルオロフォアを励起するための光は近赤外スペクトルにおける波長にある。特定の態様では、製剤のフルオロフォアは近赤外スペクトルにおける波長で発光する。特定の態様では、近赤外スペクトルは650nm~900nmの波長を含む。いくつかの態様では、目的の赤外スペクトルは約700nmである。別の態様では、目的の赤外スペクトルは約725nm~約875nmの波長を含む。
【0109】
フルオロフォアを含む製剤によって染色された組織を造影することは、実施例に記載されるものなどの光学造影システムによって、染色された組織の蛍光画像を取得することを含む。
【0110】
特定の態様では、組織を造影することは染色された組織の蛍光画像を観察することを含む。蛍光画像は静止画像(印刷されたかまたは画面上のもの)またはビデオモニター上のリアルタイム画像を含み得る。特定の態様では、本製剤による神経の染色によって得られる神経の個々の画像は診断目的のためおよび神経位置の記述のために用いることができる。蛍光画像を観察することによって、手術チームは画像内の神経の有無を判断できる。よって、手術チームは1つまたは複数の神経の有無または位置に関する情報を用いて外科的処置をどのように実施するかを決定することができる。例えば、開示された方法を通じて得られる情報に基づいて、手術チームは、組織の領域内に神経が存在しないとの認識に基づき、特定の神経を不注意に切断したり手術時に接触したりする可能性が低い組織中のポイントにて手術的な切断を実施することを決定し得る。
【0111】
得られた画像から得られた情報は、神経の末端が切断された場合には、神経の末端を繋ぎ合わせるのに役立ち得る。切断の場合、神経接合片を末端に直接的に適用して再生神経線維の出芽を促すことができる。この場合、切断された神経の末端の蛍光から見える光は神経接合片による神経の吻合を案内する標的を提供する。
【0112】
本明細書において記載される化合物の有効量と薬学的または生理学的に許容される担体とを含む製剤が提供される。いくつかの態様では、薬学的または生理学的に許容される担体は水性担体である。
【0113】
水性担体は緩衝食塩水溶液などの食塩水ならびに水性デキストロースおよびグリセロール水溶液を含む場合がある。好適な薬学的担体はグルコース、ラクトース、スクロース、モノステアリン酸グリセロール、塩化ナトリウム、グリセロール、プロピレン、グリコール、水、エタノールなどの賦形剤を含む場合もある。本組成物は、所望の場合は、少量の湿潤もしくは乳化剤(BASFから入手可能なKOLLIPHOR(登録商標)という製品群など)またはpH緩衝剤も含有することができる。
【0114】
神経組織を検出するための本開示の製剤はキットとして提供することもできる。神経組織を検出するためのキットは別々の容器に(i)フルオロフォアを含む水性製剤と(ii)1つまたは複数の洗浄緩衝液とを含み得る。キットは、医薬品または生物学的製品の製造、使用、または販売を規制する政府機関によって規定された形式の通知を含み得、この通知はヒトへの投与のための製造、使用、または販売の機関による承認を反映したものである。通知は、提供された有効成分が対象に投与できることを記載している場合がある。キットはキットを用いるための追加の指示、例えば、製剤を組織に直接的に適用すること;洗浄して過剰な製剤を除去すること;対象に製剤を全身的に投与すること;フルオロフォアの可視化のために光を照射すること;組織の蛍光画像をキャプチャすること;関連する廃棄物の適切な処分;などに関する指示を含み得る。指示はキット内に提供された印字された指示の形態であってもよく、または指示はキット自体の一部に印字されていてもよい。指示はシート、パンフレット、冊子、CD-ROM、またはコンピューターで読み取り可能なデバイスの形式である場合もあれば、Webサイトなどの遠隔地にある指示への案内を提供する場合もある。特定の態様では、キットはまた、シリンジ、アンプル、管、手袋、チューブ、緩衝液などの、キットを効果的に用いるために要求される必要な実験室および/または医療用品の一部またはすべてを含んでもよい。本明細書において記載される任意のキットの内容物は変更されてもよい。
【0115】
概説
すべての試薬はSigma Aldrich、Fisher Scientific、またはTCIから購入した。特に示されていない限り、すべての市販の出発物質はさらに精製することなくそのまま用いた。分析用TLCはシリカゲル60(F254、32~63μm)を備えたMillipore ready-to-useプレート上で実施した。精製は、事前にパッキングされたシリカゲルカートリッジを用いたBiotage Isolera Flash System上か、または逆相分取HPLC(Agilent 1250 Infinity HPLC)上で実施した。
【0116】
LCMS特性決定
オキサジン化合物の質量電荷比および純度はダイオードアレイ検出器VL+を備えたAgilent6244飛行時間型LCMS上で特性決定した。試料(10uL)をC18カラム(Poroshell120、4.6×50 mm、2.7マイクロメートル)に注入し、A(H2O、0.1%FA)とB(MeCN、01.%FA)との溶媒系により0.4mL/分にて10分間にわたりA/B=90/10~5/95さらに5分間A/B=5/95で維持して溶離した。キャピラリ電圧を4kVおよびガス温度を350℃に設定することによってポジティブイオンモードでイオンを検出した。
【0117】
直接/局所投与を用いた神経特異性スクリーニング
マウス腕神経叢および坐骨神経において、これまでに発表された直接/局所投与戦略を用いて各化合物をその組織特異性についてスクリーニングした6。これまでに利用されている共溶媒製剤(10%DMSO、5%Kolliphor、65%血清および20%リン酸緩衝食塩水)中で、オキサジンライブラリからの各化合物を125μMで製剤化した。露出させた腕神経叢または坐骨神経上で100μLのオキサジン製剤を5分間インキュベートした。フルオロフォア含有溶液を除去し、その領域を食塩水で18回灌水して、未結合のフルオロフォアをすべて除去した。620/60nm励起および700/75nm発光バンドパスフィルターを備えた特注の肉眼的造影システムを用いて、オキサジンの直接/局所投与の30分後に各染色領域の、位置合わせした蛍光およびカラー画像を収集した。特注のMatLabコードを用いて、白色光画像を用いて神経、筋肉、脂肪組織の関心領域が選択された組織特異的蛍光を分析した。次いで、位置合わせして一致させた蛍光画像上でこれらの関心領域を分析して、神経対筋肉および神経対脂肪比を評価した。
【0118】
全身投与を用いた神経特異性スクリーニング
マウス腕神経叢および坐骨神経において、これまでに発表された全身投与戦略を用いて各化合物をその組織特異性についてスクリーニングした6。これまでに利用されている共溶媒製剤(10%DMSO、5%Kolliphor、65%血清および20%リン酸緩衝食塩水)中で、オキサジンライブラリからの各化合物を2mMで製剤化した。腕神経叢および坐骨神経を露出させる4時間前に100μLのオキサジン製剤を静脈内投与した。620/60nm励起および700/75nm発光バンドパスフィルターを備えた特注の肉眼的造影システムを用いて、各神経部位の位置合わせした蛍光およびカラー画像を収集した。特注のMatLabコードを用いて、白色光画像を用いて神経、筋肉、脂肪組織の関心領域が選択された組織特異的蛍光を分析した。次いで、位置合わせして一致させた蛍光画像上でこれらの関心領域を分析して、神経対筋肉および神経対脂肪比を盲検的に評価した。
【0119】
化学合成
スキーム:LGW11-98までの合成ルート。試薬および条件:a)6M HCl、NaNO
2、0℃;b)クロロ酢酸クロリド、TBAB、NaHCO
3、H
2O、0℃;c)1M BBr3、DCM、0℃~室温;d)NaH、THF、0℃~室温;e)BH
3-THF、THF、0℃~室温;f)Ac
2O、H
2O、50℃~室温;g)BH
3-THF、THF、0℃~室温;h)化合物2、HClO
4、90%i-PrOH、80℃。
【0120】
5-(ジメチルアミノ)-2-ニトロソフェノール(2):化合物1(1.00g、7.29mmol)を氷冷の6M HCl溶液(5mL)に溶解した。茶色のNOx蒸気が観察されないように、上記の溶液に、溶液の温度を5℃より低く維持しながらNaNO2(0.513g、7.44mmol)を1時間かけて少しずつ加えた。反応混合物をさらに2時間撹拌した。この後、ブフナー漏斗を通して析出物をろ過し、少量に分けた氷冷2M HCl溶液で洗浄した。生成物を漏斗に残したまま一晩風乾して、化合物2(1.01g、84%)を黄色の固体として得、これをさらに精製することなく次の工程で用いた。
【0121】
2-クロロ-N-(2,5-ジメトキシフェニル)アセトアミド(4):化合物3(20.0g、130mmol)をN2下で無水MeCN(60mL)に溶解し、氷浴で冷却した。この溶液にEt3N(40mL、287mmol)およびクロロ酢酸クロリド(12.7mL、159mmol)を慎重に加えた。反応混合物を1時間撹拌し、次いで500mLのDI水で希釈した。固体懸濁液をろ過して、化合物4(21.0g、70%)を薄茶色の固体として得、これをさらに精製せずに次の工程で用いた。
【0122】
2-クロロ-N-(2,5-ジヒドロキシフェニル)アセトアミド(5):化合物4(10.0g、43.5mmol)をN2下で無水DCM(20mL)に溶解し、氷浴で冷却した。上記の溶液に、シリンジポンプを用いてBBr3(DCM中1M、130mL、130mmol)を1時間かけて滴下した。反応混合物を室温までゆっくりと温め、一晩撹拌した。反応フラスコを氷浴に入れ、十分な冷却時間後、水を反応混合物に慎重に加えて、過剰のBBr3を消失させた。得られた析出物を真空ろ過を介して収集し、少量に分けたDI水で洗浄した。生成物を漏斗に残したまま一晩風乾して、化合物5(7.96g、91%)を得、これをさらに精製することなく次の工程で用いた。
【0123】
6-ヒドロキシ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-3(4H)-オン(6):化合物5(6.00g、29.8mmol)をN2下で無水THF(50mL)に溶解し、氷浴で冷却した。十分な冷却時間後、NaH(60%、4.17g、104mmol)を10分間にわたり4回に分けて溶液に加えた。反応混合物を室温までゆっくりと温め、一晩撹拌した。反応完了時に、氷冷した水を反応フラスコに慎重に加え、過剰のNaHを消失させた。反応混合物を2M HClで酸性化し、続いてEtOAc(5×100mL)で抽出した。合わせた有機層をブラインですすぎ、無水Na2SO4で乾燥させた。ロータリーエバポレーターを用いて溶媒を除去し、溶離液としてEtOAc/DCM/ヘキサンを用いたシリカゲルによるフラッシュカラムクロマトグラフィーによって残渣を精製して、化合物6(3.12g、63%)を薄茶色の固体として得た。
【0124】
3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-6-オール(7):無水THF(40mL)中の6(2.2g、13.3mmol)の溶液をN2下にて30分間氷浴中で撹拌した。溶液の温度を5℃より低く保ちながら、シリンジポンプを用いてボランテトラヒドロフラン錯体溶液(1M、40mL)を30分かけて上記の溶液に加えた。得られた反応混合物を氷浴中に入れたまま、室温までゆっくりと温めた。24時間後、溶液を再び氷浴に入れ、ガスが発生しなくなるまでMeOHを慎重に加えることによって過剰のボラン試薬を消失させた。溶媒を減圧下で蒸発させ、溶離液としてErOAc/ヘキサンを用いたシリカゲルによるフラッシュカラムクロマトグラフィーによって残渣を精製して、7(1.91g、95%)を得た。
【0125】
1-(6-ヒドロキシ-2,3-ジヒドロ-4H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-4-イル)エタン-1-オン(8):化合物7(1.00g、6.62mmol)を10mLのDI水に懸濁させ、これに無水酢酸(2.5mL、26.5mmol)を滴下した。反応混合物を超音波浴に1分間入れ、次いで水浴(50℃)中で10分間撹拌した。得られた溶液を室温で一晩撹拌した。その後、真空ろ過を介して固体を収集し、少量に分けたDI水で洗浄した。生成物を漏斗に残したまま一晩風乾して、化合物8(1.21g、95%)を白色の固体として得、これをさらに精製することなく次の工程で用いた。
【0126】
4-エチル-3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-6-オール(9):無水THF(14mL)中の8(900mg、10.0mmol)の溶液をN2下にて30分間氷浴中で撹拌した。溶液の温度を5℃より低く保ちながら、シリンジポンプを用いてボランテトラヒドロフラン錯体溶液(1M、14mL)を30分かけて溶液に加えた。得られた反応混合物を氷浴中に入れたまま、室温までゆっくりと温めた。24時間後、溶液を再び氷浴に入れ、ガスが発生しなくなるまでMeOHを慎重に加えることによって過剰のボラン試薬を消失させた。溶媒を減圧下で蒸発させ、溶離液としてDCM/ヘキサンを用いたシリカゲルによるフラッシュカラムクロマトグラフィーによって残渣を精製して、9(756mg、91%)を茶色の油として得た。
【0127】
N-(4-エチル-3,4-ジヒドロ-[1,4]オキサジノ[2,3-b]フェノキサジン-8(2H)-イリデン)-N-メチルメタンアミニウム(LGW11-98):化合物9(40mg、0.22mmol)を80℃で30分間i-PrOH/H2O(9/1、3mL)の溶液に溶解した。化合物2(73mg、0.22mmol)を15分間かけて5回に分けて加えた。次いで反応混合物をHClO4(70%、20μL)で処理した。得られた溶液を一晩撹拌した。紺色の溶液を減圧下で蒸発させ、0.5%ギ酸を含むCHCl3とMeOHとの移動相(線形勾配、CHCl3中2~15%MeOH)を用いたシリカゲルによるフラッシュカラムクロマトグラフィーによって残渣を精製した。生成物を含むフラクションをプールし、蒸発させて、LGW11-98(26mg、38%)を紺色の固体として得た。MS(ESI):C18H20N3O2[M]+の計算値310.1550;測定値310.1563。
【0128】
スキーム:LGW13-79までの合成経路。試薬および条件;a)MeI、NaH、THF、0℃~室温;b)2M HCl、NaNO
2、0℃;ii)K
2CO
3、0℃;c)Pd(OAc)
2、ベルケイド塩基、LiHMDS、アゼチジン、トルエン、80℃。d)化合物12、HClO
4、90%i-PrOH、80℃。
【0129】
N,N-ジエチル-3-メトキシアニリン(11):化合物10(5.00g、30.3mmol)をN2下で無水THF(50mL)に溶解し、30分間氷浴で冷却した。温度を5℃より低く保ちながら、NaH(60%、3.63g、90.8mmol)を10分かけて3回に分けて溶液に加えた。10分後、MeI(7.54mL、121mmol)を反応混合物に一度に加えた。得られた懸濁液を室温までゆっくりと温め、一晩撹拌した。完了時に、反応混合物にDI水を加えて過剰のNaHを消失させた。有機溶媒を減圧下で除去し、残渣をDCM(3×100mL)で抽出した。合わせた有機層をブラインですすぎ、無水Na2SO4で乾燥させ、ロータリーエバポレーターを用いて溶媒を除去した。溶離液としてDCM/ヘキサンを用いたシリカゲルによるフラッシュカラムクロマトグラフィーによって残渣を精製して、化合物11(4.70g、88%)を透明な油として得た。
【0130】
N,N-ジエチル-3-メトキシ-4-ニトロソアニリン(12):化合物11(1.08g、6.02mmol)を氷冷の2M HCl溶液(15mL)に溶解した。茶色のNOx蒸気が観察されないように、上記の溶液に、溶液の温度を5℃より低く維持しながらNaNO2(457mg、6.63mmol)を1時間かけて少しずつ加えた。反応混合物をさらに2時間撹拌した。溶液のpH値が8より高くなるまで固体K2CO3で溶液を慎重に塩基性化した。その後、ブフナー漏斗を通して析出物をろ過し、少量に分けたDI水で洗浄した。生成物を漏斗に残したまま一晩風乾して、化合物12(1.05g、84%)を緑色の固体として得、これをさらに精製することなく次の工程で用いた。
【0131】
3-(アゼチジン-1-イル)フェノール(14):Grimmら7によって発表されたプロトコールを若干修正したものに従って化合物14を合成した。オーブン乾燥させたフラスコにPd(OAc)2(52mg、0.231mmol)を充填した。フラスコを密閉し、真空下で排気し、N2で5回再充填した後、トルエン(40mL)を加えた。次いで、トルエン(10mL)中の化合物13(2.00g、11.6mmol)の溶液、トルエン(10mL)中の2,8,9-トリイソブチル-2,5,8,9-テトラアザ-1-ホスファビシクロ[3.3.3]ウンデカン(159mg、0.463mmol)の溶液、およびLiHMDS溶液(1.3M、20mL、26mmol)を逐次的に加えた。アゼチジン(792mg、13.9mmol)の添加後、反応を80℃で一晩撹拌した。次いで、これを室温まで冷却し、セライト上に堆積させ、濃縮乾固した。EtOAcとヘキサンとの移動相を用いたシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーによる精製で化合物14(1.38g、80%)をオフホワイト色の固体として得た。
【0132】
1-(7-(ジエチルアミノ)-3H-フェノキサジン-3-イリデン)アゼチジン-1-イウム(LGW13-79):化合物14(40mg、0.268mmol)を80℃で30分間i-PrOH/H2O(9/1、4mL)の溶液に溶解した。化合物12(56mg、0.268mmol)を15分間かけて5回に分けて加えた。次いで反応混合物をHClO4(70%、20μL)で処理した。得られた溶液を一晩撹拌した。次いで紺色の溶液を室温まで冷却し、減圧下で蒸発させ、0.5%ギ酸を含むCHCl3とMeOHとの移動相(線形勾配、CHCl3中2~15%MeOH)を用いたシリカゲルによるフラッシュカラムクロマトグラフィーによって残渣を精製した。生成物を含むフラクションをプールし、蒸発させて、LGW13-79(25mg、30%)を紺色の固体として得た。MS(ESI):C19H22N3O[M]+の計算値308.1757;測定値308.1763。
【0133】
スキーム:LGW14-42までの合成経路。試薬および条件:a)クロロ酢酸クロリド、K
2CO
3、MeCN、80℃;b)BH
3-THF、THF、0℃~室温;c)EtI、Na
2CO
3、MeCN、80℃;d)i)2M HCl、p-ニトロベンゼンジアゾニウムテトラフルオロボレート、0℃;ii)K
2CO
3、0℃;e)化合物14、PPSE、CF
3CH
2OH、80℃。
【0134】
6-メトキシ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-3(4H)-オン(16):Zhangら8によって報告されたプロトコールを若干修正したものに従って化合物16を合成した。N2雰囲気下、化合物15(2.00g、14.4mmol)を無水MeCN(20mL)に溶解し、これに2-クロロアセチルクロリド(1.37mL、17.3mmol)を滴下した。K2CO3(4.97g、25.9mmol)を加えた後、反応混合物を80℃まで加熱し、一晩撹拌した。次いで、これを室温まで冷却し、DCMで希釈し、セライトでろ過した。溶媒を真空中で除去し、EtOAcとヘキサンとの移動相を用いたシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーによって残渣を精製して、化合物16(2.21g、86%)を茶色の固体として得た。
【0135】
6-メトキシ-3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン(17):無水THF(30mL)中の化合物16(2.00g、11.2mmol)の溶液をN2下にて30分間氷浴中で撹拌した。溶液の温度を5℃より低く保ちながら、シリンジポンプを用いてボランテトラヒドロフラン錯体溶液(1M、30mL)を30分かけて上記の溶液に滴下した。得られた反応混合物を氷浴中で撹拌したまま、室温までゆっくりと温めた。24時間後、溶液を再び氷浴に入れ、ガスが発生しなくなるまでMeOHを慎重に加えることによって過剰のボラン試薬を消失させた。溶媒を減圧下で蒸発させ、溶離液としてDCM/ヘキサンを用いたシリカゲルによるフラッシュカラムクロマトグラフィーによって残渣を精製して、化合物17(1.62g、88%)を薄いピンク色の固体として得た。
【0136】
4-エチル-6-メトキシ-3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン(18):N2下で無水MeCN(10mL)中の化合物17(1.00g、6.05mmol)とNa2CO3(1.28g、12.1mmol)との懸濁液に室温でEtI(0.501mL、6.17mmol)を加えた。反応混合物を80℃まで加熱し、一晩撹拌した。次いで、これを室温まで冷却し、DCMで希釈し、セライトでろ過した。溶媒を真空中で除去し、溶離液としてDCM/ヘキサンを用いたシリカゲルによるシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーによって残渣を精製して、化合物18(1.01g、86%)を薄茶色の油として得た。
【0137】
(E)-4-エチル-6-メトキシ-7-((4-ニトロフェニル)ジアゼニル)-3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン(19):化合物18(400mg、2.07mmol)をMeOH(1mL)に溶解した。溶液を氷浴で冷却し、次いでHCl(2M、10mL)で処理した。15分後、p-ニトロベンゼンジアゾニウムテトラフルオロボレート(515mg、2.17mmol)を溶液にさらに15分かけて3回に分けて加え、次いで0℃で1時間撹拌した。この時、反応混合物の色はオレンジ色から暗赤色に変化した。2時間後、溶液のpH値が7を超えるまで、溶液を固体K2CO3で慎重に中和した。真空ろ過を介して析出物を収集し、少量に分けたDI水で洗浄した。生成物を漏斗に残したまま一晩風乾して、化合物19(537mg、76%)を緑色の固体として得、さらに精製することなく次の工程で用いた。
【0138】
1-(4-エチル-3,4-ジヒドロ-[1,4]オキサジノ[2,3-b]フェノキサジン-8(2H)-イリデン)アゼチジン-1-イウム(LGW14-42):ポリリン酸トリメチルシリル(30μL)を含むトリフルオロエタノール(3mL)の溶液に化合物14(30mg、0.201mmol)および19(69mg、0.201mmol)を溶解した。反応混合物を80℃まで加熱し、一晩撹拌した。次いで、これを室温まで冷却し、溶媒を真空中で除去した。1%ギ酸を含むCHCl3とMeOHとの移動相(勾配、CHCl3中2~15%MeOH)を用いたシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーによって残渣を精製した。MS(ESI):C19H20N3O2[M]+の計算値322.1550;測定値322.1584。
【0139】
スキーム:LGW14-45の合成。試薬および条件:a)MeI、Na
2CO
3、MeCN、80℃;b)i)2M HCl、p-ニトロベンゼンジアゾニウムテトラフルオロボレート、0℃;ii)K
2CO
3、0℃;c)化合物1、PPSE、CF
3CH
2OH、80℃。
【0140】
6-メトキシ-4-メチル-3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン(20):N2下で無水MeCN(10mL)中の化合物17(1.00g、6.05mmol)とNa2CO3(1.28g、12.1mmol)との懸濁液に室温でMeI(400μL、6. 36mmol)を加えた。反応混合物を80℃まで加熱し、一晩撹拌した。次いで、これを室温まで冷却し、DCMで希釈し、セライトでろ過した。溶媒を真空中で除去し、溶離液としてDCM/ヘキサンを用いたシリカゲルによるシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーによって残渣を精製して、化合物20(0.814g、75%)をバーガンディ色の油として得た。
【0141】
(E)-6-メトキシ-4-メチル-7-((4-ニトロフェニル)ジアゼニル)-3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン(21):化合物20(400mg、2.23mmol)をMeOH(1mL)に溶解した。溶液を氷浴で冷却し、次いでHCl(2M、10mL)で処理した。15分後、p-ニトロベンゼンジアゾニウムテトラフルオロボレート(555mg、2.34mmol)を溶液にさらに15分かけて3回に分けて加え、次いで0℃で1時間撹拌した。この時、反応混合物の色はオレンジ色から暗赤色に変化した。2時間後、溶液のpH値が7を超えるまで、溶液を固体K2CO3で慎重に中和した。真空ろ過を介して析出物を収集し、少量に分けたDI水で洗浄した。生成物を漏斗に残したまま一晩風乾して、化合物21(693mg、95%)を暗赤色の固体として得、さらに精製することなく次の工程で用いた。
【0142】
N-メチル-N-(4-メチル-3,4-ジヒドロ-[1,4]オキサジノ[2,3-b]フェノキサジン-8(2H)-イリデン)メタンアミニウム(LGW14-45):ポリリン酸トリメチルシリル(30μL)を含むトリフルオロエタノール(3mL)の溶液に化合物1(30mg、0.219mmol)および21(72mg、0.219mmol)を溶解した。反応混合物を80℃まで加熱し、一晩撹拌した。次いで、これを室温まで冷却し、溶媒を真空中で除去した。1%ギ酸を含むCHCl3とMeOHとの移動相(勾配、CHCl3中2~15%MeOH)を用いたシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーによって残渣を精製した。MS(ESI):C17H18N3O2[M]+の計算値296.1394;測定値296.1441。
【0143】
スキーム:LGW14-46までの合成経路。試薬および条件;a)PPSE、CF
3CH
2OH、80℃。
【0144】
N-エチル-N-(4-メチル-3,4-ジヒドロ-[1,4]オキサジノ[2,3-b]フェノキサジン-8(2H)-イリデン)エタンアミニウム(LGW14-46):ポリリン酸トリメチルシリル(30μL)を含むトリフルオロエタノール(3mL)の溶液に化合物10(30mg、0.182mmol)および21(60mg、0.182mmol)を溶解した。反応混合物を80℃まで加熱し、一晩撹拌した。次いで、これを室温まで冷却し、溶媒を真空中で除去した。1%ギ酸を含むCHCl3とMeOHとの移動相(勾配、CHCl3中2~15%MeOH)を用いたシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーによって残渣を精製した。MS(ESI):C19H22N3O2[M]+の計算値324.1707;測定値324.1746。
【0145】
スキーム:LGW14-47までの合成経路。試薬および条件:a)PPSE、CF
3CH
2OH、80℃。
【0146】
1-(4-メチル-3,4-ジヒドロ-[1,4]オキサジノ[2,3-b]フェノキサジン-8(2H)-イリデン)アゼチジン-1-イウム(LGW14-47):ポリリン酸トリメチルシリル(30μL)を含むトリフルオロエタノール(3mL)の溶液に化合物14(30mg、0.201mmol)および21(66mg、0.201mmol)を溶解した。反応混合物を80℃まで加熱し、一晩撹拌した。次いで、これを室温まで冷却し、溶媒を真空中で除去した。1%ギ酸を含むCHCl3とMeOHとの移動相(勾配、CHCl3中2~15%MeOH)を用いたシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーによって残渣を精製した。MS(ESI):C18H18N3O2[M]+の計算値308.1394;測定値308.1436。
【0147】
スキーム:LGW14-49までの合成経路。試薬および条件:a)Ac
2O、H
2O、50℃~室温;b)BH
3-THF、THF、0℃~室温;c)MeI、Na
2CO
3、MeCN、80℃;d)i)2M HCl、p-ニトロベンゼンジアゾニウムテトラフルオロボレート、0℃;ii)K
2CO
3、0℃;e)化合物10、PPSE、CF
3CH
2OH、80℃。
【0148】
N-(3-メトキシフェニル)アセトアミド(23):化合物22(2.00g、16.2mmol)を20mLのDI水に懸濁させ、これに無水酢酸(4.61mL、48.7mmol)を滴下した。反応混合物を超音波浴に1分間入れ、次いで温めた水浴(50℃)中で10分間撹拌した。得られた溶液を室温で一晩撹拌した。真空ろ過を介して固体生成物を収集し、少量に分けたDI水で洗浄した。生成物を漏斗に残したまま一晩風乾して、化合物23(2.37g、88%)をオフホワイト色の固体として得、さらに精製することなく次の工程で用いた。
【0149】
N-エチル-3-メトキシアニリン(24):無水THF(30mL)中の化合物23(2.00g、12.1mmol)の溶液をN2下にて30分間氷浴中で撹拌した。溶液の温度を5℃より低く保ちながら、シリンジポンプを用いてボランテトラヒドロフラン錯体溶液(1M、30mL)を30分かけて上記の溶液に滴下した。得られた反応混合物を氷浴中で撹拌したまま、室温までゆっくりと温めた。24時間後、溶液を再び氷浴に入れ、ガスが発生しなくなるまでMeOHを慎重に加えることによって過剰のボラン試薬を消失させた。溶媒を減圧下で蒸発させ、溶離液としてDCM/ヘキサンを用いたシリカゲルによるフラッシュカラムクロマトグラフィーによって残渣を精製して、化合物24(1.47g、80%)を油として得た。
【0150】
N-エチル-3-メトキシ-N-メチルアニリン(25):N2下で無水MeCN(10mL)中の化合物24(1.00g、6.61mmol)とNa2CO3(1.05g、9.92mmol)との懸濁液に室温でMeI(424μL、6.75mmol)を加えた。反応混合物を80℃まで加熱し、一晩撹拌した。次いで、これを室温まで冷却し、DCMで希釈し、セライトでろ過した。溶媒を真空中で除去し、溶離液としてDCM/ヘキサンを用いたシリカゲル(25g)によるシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーによって残渣を精製して、化合物25(917mg、84%)を薄黄色の固体として得た。
【0151】
(E)-N-エチル-3-メトキシ-N-メチル-4-((4-ニトロフェニル)ジアゼニル)アニリン(26):化合物25(400mg、2.42mmol)をMeOH(1mL)に溶解した。溶液を氷浴で冷却し、次いでHCl(2M、10mL)で処理した。15分後、p-ニトロベンゼンジアゾニウムテトラフルオロボレート(602mg、2.54mmol)を溶液にさらに15分かけて3回に分けて加え、次いで0℃で1時間撹拌した。この時、反応混合物の色はオレンジ色から暗赤色に変化した。2時間後、溶液のpH値が7を超えるまで、溶液を固体K2CO3で慎重に中和した。真空ろ過を介して析出物を収集し、少量に分けたDI水で洗浄した。生成物を漏斗に残したまま一晩風乾し、化合物26(714mg、94%)を暗赤色の固体として得、さらに精製することなく次の工程で用いた。
【0152】
N-エチル-N-(7-(エチル(メチル)アミノ)-3H-フェノキサジン-3-イリデン)エタンアミニウム(LGW14-49):ポリリン酸トリメチルシリル(30μL)を含むトリフルオロエタノール(3mL)に化合物10(30mg、0.182mmol)および26(57mg、0.182mmol)を溶解した。反応混合物を80℃まで加熱し、一晩撹拌した。次いで、これを室温まで冷却し、溶媒を真空中で除去した。1%ギ酸を含むCHCl3とMeOHとの移動相(勾配、CHCl3中2~15%MeOH)を用いたシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーによって残渣を精製した。MS(ESI):C19H24N3O[M]+の計算値310.1914;測定値310.1943。
【0153】
スキーム:LGW14-50までの合成経路。試薬および条件:a)PPSE、CF
3CH
2OH、80℃。
【0154】
N-(7-(エチル(メチル)アミノ)-3H-フェノキサジン-3-イリデン)-N-メチルメタンアミニウム(LGW14-50):ポリリン酸トリメチルシリル(30μL)を含むトリフルオロエタノール(3mL)の溶液に化合物1(30mg、0.219mmol)および26(69mg、0.219mmol)を溶解した。反応混合物を80℃まで加熱し、一晩撹拌した。次いで、これを室温まで冷却し、溶媒を真空中で除去した。1%ギ酸を含むCHCl3とMeOHとの移動相(勾配、CHCl3中2~15%MeOH)を用いたシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーによって残渣を精製した。MS(ESI):C17H20N3O[M]+の計算値282.1601;測定値282.1626。
【0155】
スキーム:LGW14-51までの合成経路。試薬および条件:a)PPSE、CF
3CH
2OH、80℃。
【0156】
(E)-N-(7-(アゼチジン-1-イル)-3H-フェノキサジン-3-イリデン)-N-メチルエタンアミニウム(LGW14-51):ポリリン酸トリメチルシリル(30μL)を含むトリフルオロエタノール(3mL)の溶液に化合物14(30mg、0.201mmol)および26(63mg、0.201mmol)を溶解した。反応混合物を80℃まで加熱し、一晩撹拌した。次いで、これを室温まで冷却し、溶媒を真空中で除去した。1%ギ酸を含むCHCl3とMeOHとの移動相(勾配、CHCl3中2~15%MeOH)を用いたシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーによって残渣を精製した。MS(ESI):C18H20N3O[M]+の計算値294.1601;測定値294.1634。
【0157】
スキーム:LGW14-53までの合成経路。試薬および条件;a)Pd
2(dba)
3、Xphos、Cs
2CO
3、アゼチジン、ジオキサン、100℃;b)i)2M HCl、p-ニトロベンゼンジアゾニウムテトラフルオロボレート、0℃;ii)K
2CO
3、0℃;c)化合物14、PPSE、CF
3CH
2OH、80℃。
【0158】
1-(3-メトキシフェニル)アゼチジン(28):加熱乾燥したフラスコに磁気撹拌棒、化合物27(2.00g、10.7mmol)、Pd2(dba)3(979mg、1.07mmol)、Xphos(1.53g、3.21mmol)、およびCs2CO3(4.88g、14.97mmol)を仕込んだ。フラスコを密閉し、真空下で排気し、N2で5回再充填した後、シリンジを介してアゼチジン(800μL、11.8mmol)および無水ジオキサン(20mL)を送達した。反応を100℃まで加熱し、6時間撹拌し、次いで室温まで冷却し、DCM(20mL)で希釈した。セライトを通したろ過を介して固体を除去し、次いでろ液をセライト上に堆積させ、濃縮乾固した。EtOAcとヘキサンとの移動相を用いたシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーによる精製で化合物28(1.58g、91%)を黄-オレンジ色の固体として得た。
【0159】
(E)-1-(3-メトキシ-4-((4-ニトロフェニル)ジアゼニル)フェニル)アゼチジン(29):化合物28(400mg、2.45mmol)をMeOH(1mL)に溶解した。溶液を氷浴で冷却し、次いでHCl(2M、10mL)で処理した。15分後、p-ニトロベンゼンジアゾニウムテトラフルオロボレート(639mg、2.70mmol)を溶液にさらに15分かけて3回に分けて加え、次いで0℃で1時間撹拌した。この時、反応混合物の色はオレンジ色から暗赤色に変化した。2時間後、溶液のpH値が7を超えるまで、溶液を固体K2CO3で慎重に中和した。真空ろ過を介して析出物を収集し、少量に分けたDI水で洗浄した。生成物を漏斗に残したまま一晩風乾し、化合物29(630mg、82%)を黒色の固体として得、さらに精製することなく次の工程で用いた。
【0160】
1-(7-(アゼチジン-1-イル)-3H-フェノキサジン-3-イリデン)アゼチジン-1-イウム(LGW14-53):ポリリン酸トリメチルシリル(30μL)を含むトリフルオロエタノール(3mL)の溶液に化合物14(29mg、0.192mmol)および29(60mg、0.192mmol)を溶解した。反応混合物を80℃まで加熱し、一晩撹拌した。次いで、これを室温まで冷却し、溶媒を真空中で除去した。1%ギ酸を含むCHCl3とMeOHとの移動相(勾配、CHCl3中2~15%MeOH)を用いたシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーによって残渣を精製した。MS(ESI):C18H18N3O[M]+の計算値292.1444;測定値292.1481。
【0161】
スキーム:LGW14-57までの合成経路。試薬および条件:a)PPSE、CF
3CH
2OH、80℃。
【0162】
N-(7-(アゼチジン-1-イル)-3H-フェノキサジン-3-イリデン)-N-メチルメタンアミニウム(LGW14-57):ポリリン酸トリメチルシリル(30μL)を含むトリフルオロエタノール(3mL)の溶液に化合物14(30mg、0.201mmol)および2(34mg、0.201mmol)を溶解した。反応混合物を80℃まで加熱し、一晩撹拌した。次いで、これを室温まで冷却し、溶媒を真空中で除去した。1%ギ酸を含むCHCl3とMeOHとの移動相(勾配、CHCl3中2~15%MeOH)を用いたシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーによって残渣を精製した。MS(ESI):C17H18N3O[M]+の計算値280.1444;測定値280.1491。
【0163】
スキーム:LGW14-61までの合成経路。試薬および条件;a)i)1,4-ジクロロブタン、トルエン、還流;ii)Et
3N、Na
2CO
3、還流;b)6M HCl、NaNO
2、0℃;c)化合物1、PPSE、CF
3CH
2OH、80℃。
【0164】
3-(ピロリジン-1-イル)フェノール(31):Ghashang9によって報告されたプロトコールに従って、無水トルエン中の化合物30(5.00g、45.82mmol)の懸濁液に1,4-ジクロロブタン(5.52mL、50.4mmol)を加えた。反応混合物を24時間還流させ、次いで室温まで冷却した。冷却すると、10mLのDI水中のEt3N(9.58mL、68.7mmol)およびNa2CO3(4.86g、45.8mmol)を反応フラスコに加えた。得られた反応混合物をさらに24時間還流させた。反応の完了時に、有機溶媒を減圧下で除去し、水相をDCM(3×100mL)で抽出した。合わせた有機層をブラインですすぎ、無水Na2SO4で乾燥させ、ロータリーエバポレーターを用いて溶媒を除去した。溶離液としてDCM/ヘキサンを用いたシリカゲルによるフラッシュカラムクロマトグラフィーによって残渣を精製して、化合物31(5.37g、72%)を薄灰色の固体として得た。
【0165】
2-ニトロソ-5-(ピロリジン-1-イル)フェノール(32):化合物31(400mg、2.45mmol)を氷冷の6M HCl溶液(4mL)に溶解した。茶色のNOx蒸気が観察されないように、溶液に、溶液の温度を5℃より低く維持しながらNaNO2(178mg、2.57mmol)を1時間かけて少しずつ加えた。反応混合物をさらに2時間撹拌した。この後、ブフナー漏斗を通して析出物をろ過し、少量に分けた氷冷2M HCl溶液で洗浄した。生成物を漏斗に残したまま一晩風乾し、化合物32(0.403g、86%)を明るい黄色の固体として得、これをさらに精製することなく次の工程で用いた。
【0166】
1-(7-(ジメチルアミノ)-3H-フェノキサジン-3-イリデン)ピロリジン-1-イウム(LGW14-61):ポリリン酸トリメチルシリル(30μL)を含むトリフルオロエタノール(3mL)の溶液に化合物1(30mg、0.219mmol)および32(42mg、0.219mmol)を溶解した。反応混合物を80℃まで加熱し、一晩撹拌した。次いで、これを室温まで冷却し、溶媒を真空中で除去した。1%ギ酸を含むCHCl3とMeOHとの移動相(勾配、CHCl3中2~15%MeOH)を用いたシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーによって残渣を精製した。MS(ESI):C18H20N3O[M]+の計算値294.1601;測定値294.1622。
【0167】
スキーム:LGW14-63までの合成経路。試薬および条件:a)PPSE、CF
3CH
2OH、80℃。
【0168】
1-(4-メチル-3,4-ジヒドロ-[1,4]オキサジノ[2,3-b]フェノキサジン-8(2H)-イリデン)ピロリジン-1-イウム(LGW14-63):ポリリン酸トリメチルシリル(30μL)を含むトリフルオロエタノール(3mL)の溶液に化合物31(30mg、0.184mmol)および21(61mg、0.184mmol)を溶解した。反応混合物を80℃まで加熱し、一晩撹拌した。次いで、これを室温まで冷却し、溶媒を真空中で除去した。1%ギ酸を含むCHCl3とMeOHとの移動相(勾配、CHCl3中2~15%MeOH)を用いたシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーによって残渣を精製した。MS(ESI):C19H20N3O2[M]+の計算値322.1550;測定値322.1591。
【0169】
スキーム:LGW14-72までの合成経路。試薬および条件:a)PPSE、CF
3CH
2OH、80℃。
【0170】
1-(7-(エチル(メチル)アミノ)-3H-フェノキサジン-3-イリデン)ピロリジン-1-イウム(LGW14-72):ポリリン酸トリメチルシリル(30μL)を含むトリフルオロエタノール(3mL)の溶液に化合物31(30mg、0.184mmol)および26(58mg、0.184mmol)を溶解した。反応混合物を80℃まで加熱し、一晩撹拌した。次いで、これを室温まで冷却し、溶媒を真空中で除去した。1%ギ酸を含むCHCl3とMeOHとの移動相(勾配、CHCl3中2~15%MeOH)を用いたシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーによって残渣を精製した。MS(ESI):C19H22N3O[M]+の計算値308.1757;測定値308.1783。
【0171】
スキーム:LGW14-76までの合成経路。試薬および条件:a)PPSE、CF
3CH
2OH、80℃。
【0172】
1-(4-エチル-3,4-ジヒドロ-[1,4]オキサジノ[2,3-b]フェノキサジン-8(2H)-イリデン)ピロリジン-1-イウム(LGW14-76):ポリリン酸トリメチルシリル(30μL)を含むトリフルオロエタノール(3mL)の溶液に化合物31(30mg、0.184mmol)および19(63mg、0.184mmol)を溶解した。反応混合物を80℃まで加熱し、一晩撹拌した。次いで、これを室温まで冷却し、溶媒を真空中で除去した。1%ギ酸を含むCHCl3とMeOHとの移動相(勾配、CHCl3中2~15%MeOH)を用いたシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーによって残渣を精製した。MS(ESI):C20H22N3O2[M]+の計算値336.1707;測定値336.1753。
【0173】
スキーム:LGW14-83までの合成経路。試薬および条件:a)PPSE、CF
3CH
2OH、80℃。
【0174】
1-(7-(ピロリジン-1-イル)-3H-フェノキサジン-3-イリデン)アゼチジン-1-イウム(LGW14-83):ポリリン酸トリメチルシリル(30μL)を含むトリフルオロエタノール(3mL)の溶液に化合物14(30mg、0.201mmol)および32(39mg、0.201mmol)を溶解した。反応混合物を80℃まで加熱し、一晩撹拌した。次いで、これを室温まで冷却し、溶媒を真空中で除去した。1%ギ酸を含むCHCl3とMeOHとの移動相(勾配、CHCl3中2~15%MeOH)を用いたシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーによって残渣を精製した。MS(ESI):C19H20N3O[M]+の計算値306.1601;測定値306.1627。
【0175】
スキーム:LGW14-88までの合成経路。試薬および条件:a)1M BBr
3、DCM、0℃~室温;b)化合物26、PPSE、CF
3CH
2OH、80℃。
【0176】
4-メチル-3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-6-オール(33):化合物20(100mg、0.558mmol)をN2下で無水DCM(5mL)に溶解し、氷浴で冷却した。上記の溶液にBBr3(DCM中1M、2mL、1.95mmol)を滴下した。反応混合物を室温までゆっくりと温め、一晩撹拌した。反応フラスコを氷浴に入れ、十分な冷却時間後、水を反応混合物に慎重に加えて過剰のBBr3を消失させ、Na2CO3でpH約7まで中和した。次いで水相をEtOAc(4×10mL)で抽出した。合わせた有機物を無水Na2SO4で乾燥させ、ろ過し、真空中で濃縮した。シリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィーにより化合物33(61mg、66%)をバーガンディ色の油として得た。
【0177】
(E)-N-メチル-N-(4-メチル-3,4-ジヒドロ-[1,4]オキサジノ[2,3-b]フェノキサジン-8(2H)-イリデン)エタンアミニウム(LGW14-88):ポリリン酸トリメチルシリル(10μL)を含むトリフルオロエタノール(1mL)の溶液に化合物33(10mg、0.061mmol)および26(19mg、0.061mmol)を溶解した。反応混合物を80℃まで加熱し、一晩撹拌した。次いで、これを室温まで冷却し、溶媒を真空中で除去した。1%ギ酸を含むCHCl3とMeOHとの移動相(勾配、CHCl3中2~15%MeOH)を用いたシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーによって残渣を精製した。MS(ESI):C18H20N3O2[M]+の計算値310.1550;測定値310.1578。
【0178】
スキーム:LGW14-90までの合成経路。試薬および条件:a)1M BBr
3、DCM、0℃~室温;b)化合物26、PPSE、CF
3CH
2OH、80℃。
【0179】
3-(エチル(メチル)アミノ)フェノール(34):化合物25(100mg、0.605mmol)をN2下で無水DCM(5mL)に溶解し、氷浴で冷却した。上記の溶液にBBr3(DCM中1M、2.2mL、2.12mmol)を滴下した。反応混合物を室温までゆっくりと温め、一晩撹拌した。反応フラスコを氷浴に入れ、十分な冷却時間後、水を反応混合物に慎重に加えて過剰のBBr3を消失させ、Na2CO3でpH約7まで中和した。次いで水相をEtOAc(4×10mL)で抽出した。合わせた有機物を無水Na2SO4で乾燥させ、ろ過し、真空中で濃縮した。シリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィーにより化合物34(75mg、82%)を透明の油として得た。
【0180】
(E)-N-(7-(エチル(メチル)アミノ)-3H-フェノキサジン-3-イリデン)-N-メチルエタンアミニウム(LGW14-90):ポリリン酸トリメチルシリル(30μL)を含むトリフルオロエタノール(3mL)の溶液に化合物34(30mg、0.198mmol)および26(62mg、0.198mmol)を溶解した。反応混合物を80℃まで加熱し、一晩撹拌した。次いで、これを室温まで冷却し、溶媒を真空中で除去した。1%ギ酸を含むCHCl3とMeOHとの移動相(勾配、CHCl3中2~15%MeOH)を用いたシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーによって残渣を精製した。MS(ESI):C18H22N3O[M]+の計算値296.1757;測定値296.1800。
【0181】
スキーム:LGW14-92までの合成経路。試薬および条件:a)PPSE、CF
3CH
2OH、80℃。
【0182】
4,8-ジメチル-3,8,9,10-テトラヒドロ-2H-ビス([1,4]オキサジノ)[2,3-b:3',2'-i]フェノキサジン-4-イウム(LGW14-92):ポリリン酸トリメチルシリル(10μL)を含むトリフルオロエタノール(1mL)の溶液に化合物33(10mg、0.061mmol)および21(20mg、0.061mmol)を溶解した。反応混合物を80℃まで加熱し、一晩撹拌した。次いで、これを室温まで冷却し、溶媒を真空中で除去した。1%ギ酸を含むCHCl3とMeOHとの移動相(勾配、CHCl3中2~15%MeOH)を用いたシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーによって残渣を精製した。MS(ESI):C18H18N3O3[M]+の計算値324.1343;測定値324.1361。
【0183】
スキーム:LGW14-95までの合成経路。試薬および条件:a)PPSE、CF
3CH
2OH、80℃。
【0184】
4-エチル-8-メチル-3,8,9,10-テトラヒドロ-2H-ビス([1,4]オキサジノ)[2,3-b:3',2'-i]フェノキサジン-4-イウム(LGW14-95):ポリリン酸トリメチルシリル(10μL)を含むトリフルオロエタノール(1mL)の溶液に化合物33(10mg、0.061mmol)および19(21mg、0.061mmol)を溶解した。反応混合物を80℃まで加熱し、一晩撹拌した。次いで、これを室温まで冷却し、溶媒を真空中で除去した。1%ギ酸を含むCHCl3とMeOHとの移動相(勾配、CHCl3中2~15%MeOH)を用いたシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーによって残渣を精製した。MS(ESI):C19H20N3O3[M]+の計算値338.1499;測定値338.1529。
【0185】
スキーム:LGW14-98までの合成経路。試薬および条件:a)PPSE、CF
3CH
2OH、80℃。
【0186】
4-エチル-8-(エチル(メチル)アミノ)-2,3-ジヒドロ-[1,4]オキサジノ[2,3-b]フェノキサジン-4-イウム(LGW14-98):ポリリン酸トリメチルシリル(30μL)を含むトリフルオロエタノール(3mL)の溶液に化合物34(30mg、0.198mmol)および19(68mg、0.198mmol)を溶解した。反応混合物を80℃まで加熱し、一晩撹拌した。次いで、これを室温まで冷却し、溶媒を真空中で除去した。1%ギ酸を含むCHCl3とMeOHとの移動相(勾配、CHCl3中2~15%MeOH)を用いたシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーによって残渣を精製した。MS(ESI):C19H22N3O2[M]+の計算値324.1707;測定値324.1722。
【0187】
オキサジン誘導体ライブラリーのHPLC-MS特性決定。HPLC-MSを用いて、254nmでの吸光度の曲線下面積(AUC)分析(左)およびポジティブイオンモードでの質量電荷比(m/z)(右)を介して各オキサジン誘導体の純度を定量した。試料(5μL)をC18カラム(Poroshell120、2.1×50mm、2.7マイクロメートル)に注入し、A(H
2O、0.1%ギ酸)とB(アセトニトリル、0.1%ギ酸)との溶媒系により0.4mL/分で、6分間にわたりA/B=95/5~5/95、さらに2分間A/B=5/95で維持して溶離した。キャピラリ電圧を4kVおよびガス温度を350℃に設定することによってポジティブイオンモードでイオンを検出した。LGW-76については純度が97%、LGW-13-79、LGW14-42、LGW14-47、LGW14-51、LGW14-53、およびLGW14-83については純度が>99%であると判断した。
【0188】
図1A~1FはPBS中のオキサジン誘導体の正規化した吸収および蛍光発光スペクトルを示す。化合物LGW14-42およびLGW14-27はいずれもNIRでは吸収および発光するが、残りはNIRでは発光するのみである。LGW14-42はスクリーニングされた7つの候補化合物のうちで最も赤方偏移したフルオロフォアである。
【0189】
図2 - インビボ直接投与神経特異性スクリーニング。A.露出させた腕神経叢および坐骨神経への直接的な適用(共溶媒製剤中125μM)後のNIRオキサジン誘導体の代表的な写真および蛍光画像。すべての画像はフルオロフォアあたりn=6の神経部位について収集されたデータを表す。B.未染色の対照群と比較して定量化された、1秒あたりの平均神経(白)、筋肉(黒)、および脂肪(灰色)組織の強度を示す。C.定量化された神経SBRはスクリーニングされたオキサジン誘導体と未染色の対照群との比較のために計算された。すべての定量化されたデータは平均±標準偏差として表されている。
【0190】
図3 - NIR神経特異的候補LGW03-76の薬物動態研究。A.0.5、1、2、および4時間時点での、全身投与後のNIR神経特異的候補LGW03-76の代表的な写真および蛍光画像。B.定量化され、対照組織の自己蛍光と比較された、1秒あたりの平均神経(白)、筋肉(黒)、および脂肪(灰色)組織の強度。C.定量化された神経SBRはLGW03-76と対照組織の自己蛍光との比較のために計算された。すべての定量化されたデータは平均±標準偏差として表されている。
【0191】
図4 - NIR神経特異的候補LGW13-79の薬物動態研究。A.0.5、1、2、および4時間時点での、全身投与後のNIR神経特異的候補LGW13-79の代表的な写真および蛍光画像。B.定量化され、対照組織の自己蛍光と比較された、1秒あたりの平均神経(白)、筋肉(黒)、および脂肪(灰色)組織の強度。C.定量化された神経SBRはLGW13-79と対照組織の自己蛍光との比較のために計算された。すべての定量化されたデータは平均±標準偏差として表されている。
【0192】
図5 - NIR神経特異的候補LGW14-42の薬物動態研究。A.0.5、1、2、および4時間時点での、全身投与後のNIR神経特異的候補LGW14-42の代表的な写真および蛍光画像。B.定量化され、対照組織の自己蛍光と比較された、1秒あたりの平均神経(白)、筋肉(黒)、および脂肪(灰色)組織の強度。C.定量化された神経SBRはLGW14-42と対照組織の自己蛍光との比較のために計算された。すべての定量化されたデータは平均±標準偏差として表されている。
【0193】
実験的LogD測定。各スクリーニング候補を10mMの濃度でDMSOに溶解した。ストック液をサンプリング(2μL)し、1-オクタノールとPBS緩衝液(等量)との1mL混合液に加えた。次いで溶液を室温で30分間ボルテックスした後、13,000rpmで5分間遠心分離した。PBS緩衝液および1-オクタノール層を分離し、マイクロプレートリーダーを備えたSpectraMax M5分光計(Molecular Devices, Sunnyvale, CA)を用いて吸光度を測定した。次いで吸光度対濃度についてのベールの法則プロットを用いて各相における試料濃度を計算した。各スクリーニング候補についての実験的LogD値は下の式を用いて計算した。
【0194】
【国際調査報告】