(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-17
(54)【発明の名称】エネルギー及び薬剤送達を伴うコラーゲン刺激のための低侵襲中空皮膚引き締めデバイス
(51)【国際特許分類】
A61B 18/12 20060101AFI20230310BHJP
A61B 18/18 20060101ALI20230310BHJP
A61N 7/02 20060101ALI20230310BHJP
【FI】
A61B18/12
A61B18/18
A61N7/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022544691
(86)(22)【出願日】2021-01-21
(85)【翻訳文提出日】2022-09-07
(86)【国際出願番号】 US2021014416
(87)【国際公開番号】W WO2021150754
(87)【国際公開日】2021-07-29
(32)【優先日】2020-01-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521230148
【氏名又は名称】ワイエーイー,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】フィッシュマン,フェルナンド,ベンジャミン
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160FF42
4C160MM22
(57)【要約】
本発明は、線状テンシング及びコラーゲン産生の刺激を通して、たるんだ皮膚を引き締めるための、革新的であり、低コストであり、効率的であり、所要時間の短い無痛の低侵襲デバイス及び方法を提供する。更により具体的には、デバイス及び方法は、皮膚の真皮層において熱を直接印加することを可能にするのみならず、同じ装置を通して麻酔薬及び任意選択的に追加の抗炎症性又はコラーゲン誘導流体を投与することも可能にする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
標的組織を線状テンシング及びコラーゲン産生の刺激によって引き締めるための低コストの低侵襲装置であって、前記同じ装置を通して前記標的組織に薬剤を送達するためのものであり、前記薬剤は、麻酔薬及び任意選択的に他の治療流体から選択され、前記装置は、
- 細長い形状を有する挿入可能なエネルギー伝達デバイスであって、中空本体と、先端と、基部とを有し、及び
- 前記エネルギー伝達デバイスの前記本体又は先端内に位置する少なくとも1つのオリフィスであって、前記少なくとも1つのオリフィスを通して、有効量の麻酔薬及び任意選択的に他の治療流体が標的組織に送達され得る、少なくとも1つのオリフィスと、
- 前記エネルギー伝達デバイス内に位置する温度センサであって、前記エネルギー伝達デバイスと直接接触する前記標的組織の温度を測定する温度センサと
を含む挿入可能なエネルギー伝達デバイスと、
- 前記エネルギー伝達デバイスに伝達されるエネルギーを発生させるように構成される外部発生デバイスと
を含む、低コストの低侵襲装置。
【請求項2】
前記エネルギー伝達デバイスの前記本体は、少なくとも1cmの長さである、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記エネルギー伝達デバイスの前記本体は、中空カニューレである、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記エネルギー伝達デバイスの前記本体は、針又はシリンジである、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記エネルギー伝達デバイスの前記本体は、二重壁構成を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記エネルギー伝達デバイスの前記本体は、前記標的組織への焦点の合ったエネルギー伝達を達成するためのテクスチャ付き表面を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記エネルギー伝達デバイスの前記本体は、渦巻き状又は螺旋状に構成された突起を含み、前記渦巻き状又は螺旋状に構成された突起は、そのような渦巻きが前記標的組織の真皮層にエネルギーを伝達するとき、前記標的組織に対するばね状効果を発生させる、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記エネルギー伝達デバイスの前記本体は、前記エネルギー伝達デバイスの内部に位置するか又は前記エネルギー伝達デバイスに埋設され、及び螺旋状に構成されたパターンを有する要素又は材料を含み、前記螺旋状に構成されたパターンは、前記要素又は材料を通して加熱を引き起こし、及びしたがって前記材料又は要素が前記標的組織にエネルギーを伝達するとき、前記標的組織に対するばね状効果を発生させる、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記エネルギー伝達デバイスの前記本体又は先端は、前記標的組織に薬剤を送達するための複数のオリフィスを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記薬剤は、麻酔薬、抗炎症剤、紫斑防止剤及び/又はコラーゲン誘導物質を含む治療流体から選択される、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記エネルギー伝達デバイスは、前記エネルギー伝達デバイスの前記本体及び/又は先端の少なくとも一部分を覆う加熱要素を含み、それにより、前記材料は、制御された方式でその温度を上昇させることができる、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記加熱要素で覆われていない前記本体の部分は、前記標的組織の挿入箇所を保護するために、非加熱要素であって、その温度を実質的に上昇させない非加熱要素で覆われる、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記加熱要素は、前記外部発生デバイスによって発生される電流が抵抗を通過することに応答して、前記加熱要素がその温度を上昇させるように構築される、請求項11に記載の装置。
【請求項14】
前記加熱要素は、前記外部発生デバイスによって発生された電気によって駆動されて、前記加熱要素がその温度を上昇させるように構築される、請求項11に記載の装置。
【請求項15】
前記加熱要素は、前記外部発生デバイスによって発生された電磁場に応答して、前記加熱要素がその温度を上昇させるように構築される、請求項11に記載の装置。
【請求項16】
前記エネルギー伝達デバイスは、前記標的組織を加熱するために、レーザー、高周波照射又は超音波アプリケータを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項17】
前記エネルギー伝達デバイスは、熱が前記標的組織の他の部分に伝達及び伝導されることを避けるために、前記エネルギー伝達デバイスの一部分が熱絶縁体として機能するように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項18】
前記加熱要素は、非加熱要素であって、その温度を実質的に上昇させない非加熱要素でできている前記基部を除いて、前記デバイスの前記本体の大部分を覆う、請求項11に記載の装置。
【請求項19】
前記エネルギー伝達デバイスは、手持式デバイス内に位置し、前記手持式デバイスは、前記標的組織内の特定の治療領域において一度に1回使用され、及び比較的より高い温度でのより短い熱印加期間を実施することを可能にする、請求項1に記載の装置。
【請求項20】
前記標的組織に挿入される少なくとも2つのエネルギー伝達デバイスの同時動作を可能にするように設計及び構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項21】
外部温度制御デバイスが提供され、それにより、前記外部温度制御デバイスは、前記デバイスが挿入される前記標的組織の領域内で到達された温度を測定するように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項22】
冷却手段は、前記標的組織の温度を低下させるために提供される、請求項1に記載の装置。
【請求項23】
冷却手段は、冷気、氷又は冷湿布を含む群から選択される、請求項1に記載の装置。
【請求項24】
冷却手段は、前記デバイスを通して送達されるか、又は前記標的組織内に挿入されている間に前記標的組織と直接接触されて、そのような治療エリアの局所冷却を達成する冷却流体である、請求項1に記載の装置。
【請求項25】
前記外部発生デバイスは、前記エネルギー伝達デバイスに伝達されるエネルギーを発生させることを可能にし、電磁場発生器、電流発生器、高周波発生器、レーザー発生器又は超音波発生器を含むリストから選択される、請求項1に記載の装置。
【請求項26】
前記外部発生デバイスは、ケーブル若しくは類似の手段などの物理的接続によって又は誘導を通してのいずれかで前記エネルギー伝達デバイスに前記エネルギーを伝達する、請求項1に記載の装置。
【請求項27】
標的組織は、皮膚の真皮層である、請求項1に記載の装置。
【請求項28】
標的組織は、皮膚の表皮層である、請求項1に記載の装置。
【請求項29】
標的組織を線状テンシング及びコラーゲン産生の刺激によって引き締めるための低コストの低侵襲装置であって、前記同じ装置を通して前記標的組織に薬剤を送達するためのものであり、前記薬剤は、麻酔薬及び任意選択的に他の治療流体から選択され、前記装置は、
- 細長い形状を有する挿入可能なエネルギー伝達デバイスであって、中空本体と、先端と、基部とを有し、及び
- 加熱要素であって、前記エネルギー伝達デバイスの前記本体及び/又は先端の少なくとも一部分を覆い、それにより、前記材料は、制御された方式でその温度を上昇させることができる、加熱要素と、
- 前記エネルギー伝達デバイスの前記本体又は先端内に位置する少なくとも1つのオリフィスであって、前記少なくとも1つのオリフィスを通して、有効量の麻酔薬及び任意選択的に他の治療流体が標的組織に送達され得る、少なくとも1つのオリフィスと、
- 前記エネルギー伝達デバイス内に位置する温度センサであって、前記エネルギー伝達デバイスと直接接触する前記標的組織の温度を測定する温度センサと
を含む挿入可能なエネルギー伝達デバイスと、
- 前記加熱要素の温度を上昇させるために前記エネルギー伝達デバイスに伝達されるエネルギーを発生させるように構成される外部発生デバイスと
を含む、低コストの低侵襲装置。
【請求項30】
前記エネルギー伝達デバイスの前記本体は、少なくとも1cmの長さである、請求項29に記載の装置。
【請求項31】
前記エネルギー伝達デバイスの前記本体は、中空カニューレである、請求項29に記載の装置。
【請求項32】
前記エネルギー伝達デバイスの前記本体は、針又はシリンジである、請求項29に記載の装置。
【請求項33】
前記エネルギー伝達デバイスの前記本体は、二重壁構成を有する、請求項29に記載の装置。
【請求項34】
前記エネルギー伝達デバイスの前記本体は、前記標的組織への焦点の合ったエネルギー伝達を達成するためのテクスチャ付き表面を含む、請求項29に記載の装置。
【請求項35】
前記エネルギー伝達デバイスの前記本体は、渦巻き状又は螺旋状に構成された突起を含み、前記渦巻き状又は螺旋状に構成された突起は、そのような渦巻きが前記標的組織の真皮層にエネルギーを伝達するとき、前記標的組織に対するばね状効果を発生させる、請求項29に記載の装置。
【請求項36】
前記エネルギー伝達デバイスの前記本体は、前記エネルギー伝達デバイスの内部に位置するか又は前記エネルギー伝達デバイスに埋設され、及び螺旋状に構成されたパターンを有する要素又は材料を含み、前記螺旋状に構成されたパターンは、前記要素又は材料を通して加熱を引き起こし、及びしたがって前記材料又は要素が前記標的組織の真皮層にエネルギーを伝達するとき、前記標的組織に対するばね状効果を発生させる、請求項29に記載の装置。
【請求項37】
前記エネルギー伝達デバイスの前記本体又は先端は、前記標的組織に治療流体を投与するための複数のオリフィスを含む、請求項29に記載の装置。
【請求項38】
前記治療流体は、麻酔薬、抗炎症剤、紫斑防止剤及び/又はコラーゲン誘導物質を含む、請求項29に記載の装置。
【請求項39】
前記加熱要素で覆われていない前記本体の部分は、前記標的組織の挿入箇所を保護するために、非加熱要素であって、その温度を実質的に上昇させない非加熱要素で覆われる、請求項29に記載の装置。
【請求項40】
前記加熱要素は、前記外部発生デバイスによって発生される電流が抵抗を通過することに応答して、前記加熱要素がその温度を上昇させるように構築される、請求項29に記載の装置。
【請求項41】
前記加熱要素は、前記外部発生デバイスによって発生された電気によって駆動されて、前記加熱要素がその温度を上昇させるように構築される、請求項29に記載の装置。
【請求項42】
前記加熱要素は、前記外部発生デバイスによって発生された電磁場に応答して、前記加熱要素がその温度を上昇させるように構築される、請求項29に記載の装置。
【請求項43】
前記エネルギー伝達デバイスは、熱が前記標的組織の他の部分に伝達及び伝導されることを避けるために、前記エネルギー伝達デバイスの一部分が熱絶縁体として機能するように構成される、請求項29に記載の装置。
【請求項44】
前記加熱要素は、非加熱要素であって、その温度を実質的に上昇させない非加熱要素でできている前記基部を除いて、前記デバイスの前記本体の大部分を覆う、請求項29に記載の装置。
【請求項45】
前記エネルギー伝達デバイスは、手持式デバイス内に位置し、前記手持式デバイスは、前記標的組織内の特定の治療領域において一度に1回使用され、及び比較的より高い温度でのより短い熱印加期間を実施することを可能にする、請求項29に記載の装置。
【請求項46】
前記標的組織に挿入される少なくとも2つのエネルギー伝達デバイスの同時動作を可能にするように設計及び構成される、請求項29に記載の装置。
【請求項47】
外部温度制御デバイスが提供され、それにより、前記外部温度制御デバイスは、前記デバイスが挿入される標的組織エリアの領域内で到達された温度を測定するように構成される、請求項29に記載の装置。
【請求項48】
冷却手段は、前記標的組織の温度を低下させるために提供される、請求項29に記載の装置。
【請求項49】
前記冷却手段は、冷気、氷又は冷湿布を含む群から選択される、請求項48に記載の装置。
【請求項50】
前記冷却手段は、前記デバイスを通して投与されるか、又は前記標的組織と直接接触されて、そのような治療エリアの局所冷却を達成する冷却流体である、請求項48に記載の装置。
【請求項51】
前記外部発生デバイスは、前記エネルギー伝達デバイスに伝達されるエネルギーを発生させることを可能にし、電磁場発生器、電流発生器、高周波発生器、レーザー発生器又は超音波発生器を含むリストから選択される、請求項29に記載の装置。
【請求項52】
前記外部発生デバイスは、ケーブル若しくは類似の手段などの物理的接続によって又は誘導を通してのいずれかで前記エネルギー伝達デバイスに前記エネルギーを伝達する、請求項29に記載の装置。
【請求項53】
標的組織は、皮膚の真皮層である、請求項29に記載の装置。
【請求項54】
標的組織は、皮膚の表皮層である、請求項29に記載の装置。
【請求項55】
請求項1~54のいずれか一項に記載の低コストの低侵襲装置の使用であって、前記装置は、標的組織を引き締めるために有用である、使用。
【請求項56】
標的組織に熱を印加することにより、標的組織を線状テンシング及びコラーゲン産生の刺激によって引き締めるための低コストの低侵襲線状テンシング美容方法であって、次の工程:
a)細長い形状及び中空本体を有するエネルギー伝達デバイスであって、前記エネルギー伝達デバイスの前記本体又は先端内に位置する少なくとも1つのオリフィスを含むエネルギー伝達デバイスを提供することと、
b)前記標的組織に前記エネルギー伝達デバイスを挿入することと、
c)前記エネルギー伝達デバイスの前記本体又は先端内に位置する前記少なくとも1つのオリフィスを通して、前記標的組織に有効量の麻酔薬を送達することと、
d)外部発生デバイスを通してエネルギーを発生させることであって、前記エネルギーは、標的組織に熱を印加するために前記エネルギー伝達デバイスに伝達される、発生させることと、
e)前記エネルギー伝達デバイス内に位置する温度センサを通して、前記エネルギー伝達デバイスと直接接触する前記標的組織の温度を測定することと、
f)前記エネルギー伝達デバイスが、前記標的組織を45℃~75℃の温度まで加熱することを可能にするように、前記外部発生デバイスを制御することと、
g)前記エネルギー伝達デバイスと直接接触する前記標的組織において発生された最低温度を最大で10分間の時間にわたって維持することと、
h)治療エリアの近傍の前記組織を冷却することと、
i)前記標的組織と接触する、前記既に導入されたエネルギー伝達デバイスを利用して、必要に応じて工程c.~h.を繰り返すことと、
j)前記標的組織から前記エネルギー伝達デバイスを取り除くことと
を含む、低コストの低侵襲線状テンシング美容方法。
【請求項57】
前記エネルギー伝達デバイスの少なくとも一部分は、加熱要素であって、制御された方式でその温度を上昇させる加熱要素を含む、請求項56に記載の低侵襲美容方法。
【請求項58】
前記エネルギー伝達デバイスの前記加熱要素は、前記外部発生デバイスによって発生されたエネルギーに応答して、前記加熱要素がその温度を上昇させるように構築される、請求項57に記載の低侵襲美容方法。
【請求項59】
前記外部発生デバイスは、前記エネルギー伝達デバイスに伝達されるエネルギーを発生させることを可能にし、電磁場発生器、電流発生器、高周波発生器、レーザー発生器又は超音波発生器を含むリストから選択される、請求項58に記載の低侵襲美容方法。
【請求項60】
前記エネルギー伝達デバイスからの前記熱印加の温度及び時間を制御することにより、前記エネルギー伝達デバイスと直接接触する前記標的組織層は、5~35%の収縮率を達成する、請求項56に記載の低侵襲美容方法。
【請求項61】
前記収縮率は、1回又は複数回の印加で達成され得る、請求項60に記載の低侵襲美容方法。
【請求項62】
技師は、前記方法の次の工程を決定するために、前記標的組織の線状収縮をリアルタイムで可視化及び評価することができる、請求項56に記載の低侵襲美容方法。
【請求項63】
2つ以上のエネルギー伝達デバイスは、前記標的組織に挿入され、及びその後、加熱及び/又は流体投与プロセスは、前記挿入されたエネルギー伝達デバイスの少なくとも2つにおいて同時に実施され得る、請求項56に記載の低侵襲美容方法。
【請求項64】
前記麻酔薬は、0.1%~2%のリドカイン濃度を有する溶液を含む、請求項56に記載の低侵襲美容方法。
【請求項65】
前記麻酔薬は、1:100,000~1:500,000に希釈されたエピネフリンと混合されている、0.1%~2%のリドカイン濃度を有する溶液を含む、請求項56に記載の低侵襲美容方法。
【請求項66】
前記エネルギー伝達デバイスの前記少なくとも1つのオリフィスを通して追加の治療物質を送達することを含む、請求項56に記載の低侵襲美容方法。
【請求項67】
前記治療物質は、コラーゲン及び/又はカルシウムヒドロキシアパタイト、ポリ-L-乳酸及びヒアルロン酸を含むが、これらに限定されないコラーゲン誘導体、抗炎症物質、紫斑防止物質並びに治療される領域の治療及び/又は回復を促進することができる他の種類の物質を含む、請求項66に記載の低侵襲美容方法。
【請求項68】
前記麻酔薬は、治療流体と混合され、及び前記エネルギー伝達デバイスを通して同時に送達される、請求項56に記載の低侵襲美容方法。
【請求項69】
前記標的組織の前記冷却は、冷気、氷又は冷湿布を含む冷却手段で実施される、請求項56に記載の低侵襲美容方法。
【請求項70】
前記標的組織の前記冷却は、外部冷却手段を必要とせず、自然に行われる、請求項56に記載の低侵襲美容方法。
【請求項71】
冷却手段は、前記デバイスを通して投与されるか、又は前記標的組織内に挿入されている間に前記標的組織と直接接触されて、そのような治療エリアの局所冷却を達成する冷却流体である、請求項56に記載の低侵襲美容方法。
【請求項72】
顔及び首並びに他の身体部分に適用され得る、請求項56に記載の低侵襲美容方法。
【請求項73】
標的組織は、皮膚の真皮層である、請求項56に記載の低侵襲美容方法。
【請求項74】
標的組織は、皮膚の表皮層である、請求項56に記載の低侵襲美容方法。
【請求項75】
非治療的方法である、請求項56に記載の低侵襲美容方法。
【請求項76】
標的組織の真皮層に熱を直接印加することにより、前記標的組織を線状テンシング及びコラーゲン産生の刺激によって引き締めるための低コストの低侵襲線状テンシング美容方法であって、次の工程:
a)細長い形状及び中空本体を有するエネルギー伝達デバイスであって、前記エネルギー伝達デバイスの前記本体又は先端内に位置する少なくとも1つのオリフィスを含み、前記エネルギー伝達デバイスの少なくとも一部分は、加熱要素であって、制御された方式でその温度を上昇させる加熱要素を含む、エネルギー伝達デバイスを提供することと、
b)標的組織に前記エネルギー伝達デバイスを挿入することと、
c)前記エネルギー伝達デバイスの前記本体又は先端内に位置する前記少なくとも1つのオリフィスを通して、前記標的組織に有効量の麻酔薬を送達することと、
d)外部発生デバイスを通してエネルギーを発生させることであって、前記エネルギーは、前記加熱要素の温度を上昇させることによって前記標的組織に熱を印加するために、前記エネルギー伝達デバイスに伝達される、発生させることと、
e)前記エネルギー伝達デバイス内に位置する温度センサを通して、前記エネルギー伝達デバイスと直接接触する前記標的組織の温度を測定することと、
f)前記エネルギー伝達デバイスが、前記標的組織を45℃~75℃の温度まで加熱することを可能にするように、前記外部発生デバイスを制御することと、
g)前記エネルギー伝達デバイスと直接接触する前記標的組織において発生された最低温度を最大で10分間の時間にわたって維持することと、
h)治療エリアの近傍の前記標的組織を冷却することと、
i)前記標的組織と接触する、前記既に導入されたエネルギー伝達デバイスを利用して、必要に応じて工程c.~h.を繰り返すことと、
j)前記標的組織から前記エネルギー伝達デバイスを取り除くことと
を含む、低コストの低侵襲線状テンシング美容方法。
【請求項77】
前記エネルギー伝達デバイスの前記加熱要素は、前記外部発生デバイスによって発生されたエネルギーに応答して、前記加熱要素がその温度を上昇させるように構築される、請求項76に記載の低侵襲美容方法。
【請求項78】
前記外部発生デバイスは、前記エネルギー伝達デバイスに伝達されるエネルギーを発生させることを可能にし、電磁場発生器及び電流発生器を含むリストから選択される、請求項76に記載の低侵襲美容方法。
【請求項79】
前記エネルギー伝達デバイスからの前記熱印加の温度及び時間を制御することにより、前記エネルギー伝達デバイスと直接接触する前記標的組織は、5~35%の収縮率を達成する、請求項76に記載の低侵襲美容方法。
【請求項80】
前記収縮率は、1回又は複数回の印加で達成され得る、請求項76に記載の低侵襲美容方法。
【請求項81】
技師は、前記方法の次の工程を決定するために、前記標的組織の線状収縮をリアルタイムで可視化及び評価することができる、請求項76に記載の低侵襲美容方法。
【請求項82】
2つ以上のエネルギー伝達デバイスは、前記標的組織に挿入され、及びその後、加熱及び/又は流体投与プロセスは、前記挿入されたエネルギー伝達デバイスの少なくとも2つにおいて同時に実施され得る、請求項76に記載の低侵襲美容方法。
【請求項83】
前記麻酔薬は、0.1%~2%のリドカイン濃度を有する溶液を含む、請求項76に記載の低侵襲美容方法。
【請求項84】
前記麻酔薬は、1:100,000~1:500,000に希釈されたエピネフリンと混合されている、0.1%~2%のリドカイン濃度を有する溶液を含む、請求項76に記載の低侵襲美容方法。
【請求項85】
前記エネルギー伝達デバイスの前記少なくとも1つのオリフィスを通して追加の治療物質を送達することを含む、請求項76に記載の低侵襲美容方法。
【請求項86】
前記治療物質は、コラーゲン及び/又はカルシウムヒドロキシアパタイト、ポリ-L-乳酸及びヒアルロン酸を含むが、これらに限定されないコラーゲン誘導体、抗炎症物質、紫斑防止物質並びに治療される領域の治療及び/又は回復を促進することができる他の種類の物質を含む、請求項85に記載の低侵襲美容方法。
【請求項87】
前記麻酔薬は、治療流体と混合され、及び前記エネルギー伝達デバイスを通して同時に送達される、請求項76に記載の低侵襲美容方法。
【請求項88】
前記標的組織の前記冷却は、冷気、氷又は冷湿布を含む冷却手段で実施される、請求項76に記載の低侵襲美容方法。
【請求項89】
前記標的組織の前記冷却は、外部冷却手段を必要とせず、自然に行われる、請求項76に記載の低侵襲美容方法。
【請求項90】
冷却手段は、前記デバイスを通して投与されるか、又は前記標的組織内に挿入されている間に前記標的組織と直接接触されて、そのような治療エリアの局所冷却を達成する冷却流体である、請求項76に記載の低侵襲美容方法。
【請求項91】
顔及び首並びに他の身体部分に適用され得る、請求項76に記載の低侵襲美容方法。
【請求項92】
標的組織は、皮膚の真皮層である、請求項76に記載の低侵襲美容方法。
【請求項93】
標的組織は、皮膚の表皮層である、請求項76に記載の低侵襲美容方法。
【請求項94】
非治療的方法である、請求項76に記載の低侵襲美容方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2021年1月21日にPCT国際特許出願として出願されたものであり、2020年1月23日に出願された米国仮特許出願第62/964,961号の優先権を主張し、その開示全体は、参照により全体として組み込まれる。
【0002】
発明の分野
本発明は、概して、皮膚の弛みを改善し、ヒトの老化の兆候を遅らせるための低侵襲美容処置の分野に関する。より具体的には、本発明は、線状テンシング及びコラーゲン産生の刺激を通して、たるんだ皮膚を引き締めるための、革新的であり、低コストであり、効率的であり、所要時間の短い無痛の低侵襲デバイス及び方法を提供する。更により具体的には、デバイス及び方法は、皮膚の真皮層に熱を直接印加することを可能にするのみならず、同じ装置を通して麻酔薬及び任意選択的に追加的な抗炎症薬又はコラーゲン誘導流体を投与することも可能にする。
【背景技術】
【0003】
背景
若々しい外見への欲求は、人々の社会では一般的になっており、老化プロセスを逆転させることを目指す美容処置の向上をもたらしている。20世紀の後半部分にわたり、個人の健康管理の意識の高まりと相まった医学及び栄養の進歩により、人々がより長く、より健康的に、より生産的に生きることが可能となった。人口が老化するにつれて、より多くの人々は、個人的な及び職業上の理由から自らの外見を向上させる手法を模索している。美しさ及び若さが経済的安定の顕著な決定因子となっており、中年男性及び女性は、身だしなみが整って自信があるように見えるためだけでなく、職場で活躍を続けることができるように、自然な老化の兆候の解決策として、成長する美容外科の専門家の診察を受け始めている。
【0004】
人が老化するにつれ、外見に関する懸念は、主に顔に集中する。研究では、若年の男性及び女性は、大半が自らの体型及び身体の外見に関心があるのに対して、年配者は、自らの顔を気にしていることが示されている。特に、年配のグループは、しわ及び垂れた皮膚を嫌悪している。調査は、アメリカ人女性の5人に4人が美容業界のトレンドを追い、フレグランス製品を定期的に使用していることも示し、the American Society of Plastic Surgeons(ASPS)によれば、2018年に米国で約1800万人が外科的な低侵襲美容処置を受けている。
【0005】
上記は、美容業界がここ数十年で急激に成長して、今日では価値が5000億米ドルを超える世界的なビジネスになった理由を説明しており、成長の予測は、様々であるが、5%~7%の年平均成長率で伸び続け、2025年までに世界で8000億ドルに達するか又はそれを超えるであろうことに大半が同意している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、当技術分野では、利用可能なデバイス及び処置における制約に対処する、皮膚の弛みを改善し、ヒトの老化の兆候を遅らせるための低侵襲美容処置を提供するデバイス及び方法に対する必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
概要
本発明の原理による好適な実施形態は、皮膚の弛みを改善し、ヒトの老化の兆候を遅らせるための美容処置を対象とする低侵襲のデバイス及び方法を提供する。特に、本発明は、線状テンシング及びコラーゲン産生の刺激を通して標的組織、好ましくはたるんだ皮膚を引き締めるための、革新的であり、低コストであり、効率的であり、所要時間の短い無痛の低侵襲デバイス及び方法を提供し、装置は、皮膚の真皮層に熱を直接印加することを可能にするだけでなく、同じ装置を通して同じエリアに麻酔薬及び任意選択的に追加的な治療流体を送達することも可能にする。このようにして、既存のデバイス及び処置の制約の多くを克服する。
【0008】
当業者であれば、原因及び皮膚の弛みを改善し、老化の兆候を遅らせるための既存の処置に関して理解している可能性があるが、以下で簡単な説明を行う。
【0009】
内因的な老化プロセスには、脂肪萎縮とともに皮膚の弾性及びコラーゲンの喪失が含まれる。日射などの外的要因は、皮膚に損傷を与え、コラーゲン及び弾性線維に影響を及ぼす。顔の外見の老化に寄与し得る他の要因としては、全般的な健康不良、不健康な食事、喫煙及びアルコールが挙げられる。主な及び最もよく認められる老化の兆候としては、額のしわ、眉の垂れ下がり、頬の丸みの喪失、たるんだ首のライン、顎の鮮明さの喪失、鼻組織の垂れ下がり及び口の周りの皮膚のしわが挙げられる。
【0010】
老化プロセスを理解するために、皮膚は、2つの主な層でできており、外側の層は、主にケラチノサイトでできた表皮であり、環境ダメージ(例えば、病原体、熱、紫外線及び水分喪失)に対するバリアの形成を担っていることを念頭に置くことが重要である。内側の層である真皮は、コラーゲン(皮膚の張りをつかさどる)、弾性線維(皮膚の弾力をつかさどる)及び細胞外基質(構造要素)などの構造要素でできた結合組織を含む。皮下組織の第3の層は、体の断熱を提供する脂肪細胞を含む。
【0011】
皮膚のしわの形成及びその後の皮膚のたるみは、コラーゲンの不足又は皮膚のいくつかの領域、特に顔(エラスチンの不足が重要な役割を担う)の伸縮及び伸展の繰り返しに起因する薄化及び/又は分断などのコラーゲンの変化による皮膚構造の破壊によって発生する。その減少及びその後の弾力性の喪失は、皮膚の体積の増加及び二重顎などの問題を引き起こす。皮膚の足場のこれらの全ての複合的な変化は、しわの出現を引き起こし、その形状及び形態は、関連する皮膚及び筋肉の収縮の性質に依存する。この変性プロセスの結果、皮膚の脆弱性の高まり及び表皮が利用できる栄養素の量の減少につながる。これらの結果は、正常な皮膚の修復プロセスを妨げるため、より顕著なしわ及びたるみの原因となる。更に、表情を度々作ることにより、筋肉が恒久的に収縮し、上述のような組織の喪失により皮膚にしわを生じさせる。更に、重力の影響もしわ及びたるみの出現の原因となる。これにより、顎及びまぶたの下垂が促進される。
【0012】
したがって、老化は、層に含まれる構造物質の減少又は線維(主にコラーゲン)の不完全なリモデリング及びしわの形成の原因となる他の多因子的問題により皮膚に影響が及ぶ不可逆的な事象である。したがって、主にコラーゲン線維及びエラスチンを含む失われた組織の再生がしわ治療及び予防の重要な目標である。
【0013】
皮膚のたるみ及びしわを低減するために、異なる種類のリフティング法の2つの主要カテゴリーがある:(A)外科的リフト、及び(B)非外科的リフト。
【0014】
眼瞼手術、フェイスリフト及び額リフトなどの外科的リフトは、過去18年間で50%超減少しているが、非外科的な顔の若返り処置が成長し続けており、2016年には米国内のみで680億米ドル超が非外科的な皮膚の若返りに費やされた。
【0015】
非外科的な顔の若返りは、外科的選択肢に比べて劇的な効果が少ないが、短いダウンタイム、低コスト、低リスク及び外科的処置に比べて短い所要時間に関連するその利点のために成長している。
【0016】
現在、目に見えるしわ及びたるんだ皮膚を低減するために適用され得る3つの主要な非外科的治療の種類がある:(i)わずかな引き締め、(ii)非侵襲的治療(皮膚の貫通を伴わない)、及び(iii)低侵襲的治療(皮膚の貫通を伴う)。
【0017】
i.わずかな引き締め
わずかな表面的な引き締めは、主に、表皮をふっくらとさせ、小じわ及びしわを目立たなくすることができる保湿効果を皮膚に与えるスキンファーミングクリーム及びローションによって達成することができる。化粧品には、コラーゲンの産生を促進することができるレチノールなどの物質が組み込まれているものもある。しかしながら、スキンファーミングクリーム及びローションの結果は、非常にわずかであり、一時的なものである。
【0018】
スチーム、エクスフォリエーション、エクストラクション、フェイシャルマスク、ピーリング及びマッサージの使用などの他の非外科的美容治療も表皮(皮膚の外層)に影響を及ぼすため、それらの効果は、皮膚の外見又は目に見えるしわの減少に大きい影響を及ぼす可能性がなく、わずかな結果のみがある。
【0019】
ii.皮膚の内層(真皮)に到達するために表皮を通過する外側からの熱の生成による非侵襲的な皮膚引き締め処置
これらの処置は、穿刺傷又は切開の作成を必要としないため、非侵襲的と呼ばれる。しかしながら、これらの処置は、皮膚の外層に赤み及び腫れを生じさせる可能性があり、これは、数日間続くことがある。
【0020】
非侵襲的な皮膚引き締め処置は、結果が徐々に現れる傾向があるため、自然に見え、通常、約1時間以下で完了する。これらの治療は、例えば、皮膚の再生を増強するために、皮膚の「制御された損傷」を生じさせることに重きを置いている。
【0021】
最も一般的な非侵襲的皮膚引き締め処置は、超音波、高周波及びレーザー処置であり、これらの種類の処置のそれぞれは、コラーゲンの産生を増強するために、外層(表皮)から皮膚に熱を印加すること又は熱を照射することからなる。したがって、これらの処置は、真皮に熱を誘導することを目的とするが、治療は、外側から(表皮から)、一般に皮膚に対して配置されたデバイスによって実施される。したがって、熱は、皮膚の内層(真皮)に到達するために表皮を通過する。ほとんどの人は、1回の治療で、2~6か月以内に結果が限定された適度なリフトを認める。
【0022】
iii.真皮における熱照射又は直接熱印加による低侵襲的皮膚引き締め処置
真皮に直接印加されるか又は照射される熱に依存する2つの低侵襲的皮膚引き締め処置の種類があり、具体的には以下の通りである。
【0023】
i)皮膚を貫通して皮膚の内層(真皮)に到達し、それを直接加熱することができるレーザービームの生成を目的とするレーザー治療、例えばレーザービームが皮膚を貫通し、真皮層に到達するように生成されるFraxel(登録商標)及びCo2re(登録商標)。この種の治療は、皮膚の物理的な貫通を伴わないが、レーザービームが貫通し、穿刺又は切開の必要がない。
【0024】
ii)デバイス又は装置が表皮を通して物理的に導入され、真皮に到達する治療。例えば、針又はプローブが皮膚に導入されて真皮に到達し、その後、熱が真皮層に直接照射又は印加される。
【0025】
真皮層を直接加熱することを目的とするこれらの種類の処置のより効果的なものは、プローブ又は針が表皮を通して導入され、真皮層に到達する治療であり、これは、プローブ又は針と真皮との間に直接物理接触を提供し、熱照射又は直接熱印加を提供することができる。これらの処置は、この分野における従来技術であると考えられる。
【0026】
例えば、プローブが使用される場合、プローブ自体が真皮に直接熱を照射するか又は熱を印加することができ、これは、その材料又は構成がそれを可能とするからである。例えば、プローブの材料は、プローブに接続された直接ケーブル/導体を介してプローブの最端部又は先端部で高周波を生成する電極であり得る。
【0027】
皮膚の外層に熱を印加して、要望に応じて内層に到達させてコラーゲン変性(引き締め)を促進することに依存する非侵襲的皮膚引き締め処置(例えば、皮膚貫通を伴わない)に比べて、プローブ又は針の挿入によって真皮を直接加熱することができる低侵襲的皮膚引き締め処置は、局所的なコラーゲン及びエラスチン産生を増強しながら、皮膚の内層に直接効果を生じさせるため、より良好でより顕著な結果を提供することができる。
【0028】
前述の処置のほとんどは、皮膚のしわ及びたるみをより効率的に低減するために、真皮に高周波を照射するか又は真皮に直接熱を印加し、コラーゲン及びエラスチンの産生を増強し得ることを目的とすることを強調することが重要である。真皮に熱を直接印加することにより、コラーゲン変性が起こる。コラーゲンの変性は、コラーゲンの熱収縮現象であり、これは、コラーゲン分子の三重らせんの変性から始まる。コラーゲンが加熱されると、熱に不安定な分子内架橋が切断され、タンパク質は、ランダムなゲル状の状態に移行する(変性)。コラーゲンの収縮は、熱に不安定な分子内架橋の破壊による三重らせんの「巻き戻し」及び熱に安定な分子間架橋の残留張力の累積効果によって起こる。加熱された線維芽細胞は、新しいコラーゲンの形成及びその後の組織リモデリングにも関与し、最終的な美容結果にも寄与することができる。結合組織の熱により誘起される正確な挙動及び組織収縮の程度は、最高到達温度、曝露時間、組織水和及び組織年齢を含む、いくつかの要因に依存する。
【0029】
皮膚の外層(表皮)又は皮膚の内層(真皮)に適用される治療の大きい違いは、皮膚の内層を直接加熱することができる治療がより効率的なことである。なぜなら、この治療では、皮膚の内層に到達するために外層(表皮)を加熱しなければならない(これは、表皮の赤み及びときに軽い火傷を引き起こす)代わりに、コラーゲンが生成される領域を加熱するからである。
【0030】
したがって、真皮と直接物理接触する針及びプローブを使用することにより真皮を直接加熱することを目的とする治療は、より効率的であり、現在、市場には、高周波の使用に基づく2つの主な種類が存在する。
【0031】
A.マイクロニードリング:
マイクロニードリングは、一連の絶縁された小さいサイズの針を使用して皮膚を貫通し、針の先端から高周波電流を放出し、皮膚の構造要素に熱領域を生成する治療を指す。このプロセスは、長期の皮膚リモデリング、ネオエラストジェネシス及び新コラーゲン形成を引き起こすことが知られている。針の深さは、0.5mm~3.5mmで様々であり、真皮の異なる層を標的とすることを可能にする。一例では、主な高周波送達システムは、49個の金メッキ針を備える使い捨ての先端を有する。このマイクロニードリング高周波(MNRF)技術は、表皮で直接熱を生成せずに真皮で生成する。
【0032】
マイクロニードリング治療は、適用され、その後、一般に30~45分以内の穏やかな麻痺効果を生じる麻酔クリームなどの局所トピック麻酔薬が表皮に適用されることで一般に開始される長時間の治療である。その後、麻酔薬の注射が治療領域に投与され、麻酔薬(一般にリドカイン)は、麻酔薬を3点に同時に投与する3点同時適用シリンジによって適用される。このような適用は、通常、治療される皮膚表面(首及び顔など)の全体にわたり少なくとも10回繰り返される。これは、例えば、3回の注射が少なくとも10回投与され、少なくとも30回の痛みを伴う麻酔薬の注射が患者に適用されることになることを意味する。他の場合、5点同時適用シリンジを使用し、麻酔適用のための注射の量を増加させる。
【0033】
したがって、この治療は、最初のトピック麻酔薬の適用、次いで皮膚表面に適用される更なる3点(又は5点)同時麻酔薬適用のために長い時間がかかる。
【0034】
更に、マイクロニードリングデバイスは、49個の独立した針を有するため、皮膚にデバイスを適用するたびに、痛みを生じさせる可能性のある追加的な49個の穴を作成する。一例として、典型的な頬の治療では5回を超えるデバイスの適用が必要であり、マイクロニードルにより皮膚に245個を超える穴が生じる(皮膚に前に適用された麻酔薬の穴はカウントしない)。
【0035】
更に、3点(又は5点)同時アプリケータシリンジによって適用される麻酔薬は、均一ではない。これにより、皮膚の麻痺が更に不均一になり、マイクロニードリングデバイスの適用が無痛であるもの及び非常に痛みを伴うものが生じる可能性がある。不均一性は、マイクロニードリングデバイスの次の適用に痛みを伴うか否かを心配する、相対する患者の不快感及び緊張を生じさせる。
【0036】
更に、マイクロニードリングデバイスは、比較的ランダムな動作で機能し、皮膚の線状収縮を生じず、それが使用され、マイクロニードルが位置する非常に特定の適用点に対してのみ作用する。
【0037】
最後に、これらのマイクロニードリング技術を適用するために使用されるデバイス及び機器は、高度で高価なため、麻酔薬の適用を含む高額な治療は、一般に最大2時間かかる可能性があり、治療するエリアに応じて一般に3,000米ドル~5,000米ドルの費用がかかることになる。
【0038】
B.経皮的加熱プローブ:
この顔の皮膚の若返りのための技術は、(体の領域の中でもとりわけ)顔及び首の領域の周りにおけるプローブの手動変位によって真皮及び皮下組織に高周波を直接投与するために皮下の真皮層に導入されるプローブの使用を含む。
【0039】
この治療では、高周波による熱を照射する先端を有するプローブを導入することが必要であるため、真皮内でプローブを移動させることにより、プローブの先端は、真皮層に高周波を照射し、その局所領域を加熱する。皮下温度は、サーモカップル式ハンドピースに内蔵されたサーミスタによって監視され、制御される。同時に、表皮の温度は、赤外線カメラシステムを使用して監視される。この治療によれば、皮下及び皮膚の両方のコラーゲン組織がコラーゲンのリモデリングに必要な治療温度閾値に到達する。
【0040】
この治療は、通常、適用され、その後、30~45分以内の穏やかな麻痺効果を生じる麻酔クリームなどの局所トピック麻酔薬が表皮に適用される、トピック麻酔薬適用の第1の工程を必要とする(マイクロニードリング技術と同様)。
【0041】
その後、麻酔薬の注射が治療領域に投与され、麻酔薬(一般にリドカイン)は、麻酔薬を3点に同時に投与することを可能にする3点同時適用シリンジによって適用され、このような適用は、顔及び首の適用の場合、治療される皮膚表面の全体にわたり少なくとも10回又は更に20~30回繰り返される。他の場合、5点同時適用シリンジを使用し、麻酔適用のための注射の量を増加させる。
【0042】
3点(又は5点)同時アプリケータシリンジによって適用される麻酔薬は、均一ではなく、皮膚の麻痺が不均一になるため、プローブによる穿孔及び熱印加に非常に痛みを伴うことになる可能性があり、また加熱プローブの次の適用に痛みを伴うか否かを心配する患者の不快感及び緊張を生じさせる。この治療にも、麻酔薬を適用するために必要な時間を含めて最大2時間かかる場合がある。
【0043】
特に、この種の治療では、プローブが挿入され、その後、真皮(皮下)内を手動で変位及び移動されるため、治療によって皮下にある血管又は神経を損傷する可能性があり、患者に更なる及び重要なリスクが生じる。更に、不適切な操作により重篤な火傷が生じるおそれもある。
【0044】
デバイス及び移動プローブも高度で高価なシステムであり、治療するエリアに応じて一般に費用が3,500米ドル~5,000米ドルの高額な治療となる。
【0045】
したがって、RFエネルギーを皮膚の真皮層に送達するように設計された2つの前述の技術は、高額であることとは別に、非常に痛みを伴い、一般に、痛みを伴う可能性のある最初の麻酔薬適用を行うために長い治療時間を要する。
【0046】
その複雑さ及び高コストのために商業的応用の成功に至っていない他の種類の治療としては、非常に複雑な機器を用いて主に電磁気により加熱され、皮膚の真皮と脂肪層との間の界面に位置するように皮膚に挿入され、特定の割合の線状コラーゲン収縮を達成するために皮膚の真皮層の直接加熱を提供することを目的とするヒータセグメントを持つ複数のインプラントの使用が挙げられる。
【0047】
したがって、マイクロニードリング又は移動プローブにより高周波の照射を利用して皮膚の真皮層に熱を発生させる、皮膚を若返らせるための商業的技術は、非侵襲的治療よりも効率的であることが判明していても、そのような技術に不随するいくつかの欠点がなおも示されている。
【0048】
したがって、そのような皮膚の歪みの目に見える影響を低減するための美容処置に対する需要があり、特に顔及び首の領域におけるたるみ及びしわを除去する皮膚の「引き締め」に対する大きい需要が含まれる。更に、目に見える損傷を皮膚の表皮に生じさせることなく、局所及び皮下麻酔薬の大量の適用を必要とすることなく、無痛で、単純な構成を有し、前記コラーゲン刺激を達成するために皮膚の真皮層の制御された線状の加熱を可能にする安価な処置であり、改善された、より長続きする結果を伴う、コラーゲン産生及びその後の引き締めを刺激することができる新たなシステムが求められている。
【0049】
したがって、本発明の1つの態様によれば、たるんだ皮膚を線状テンシング及びコラーゲン産生の刺激によって引き締めるための低コストの低侵襲装置が提供され、同じ装置を通して麻酔薬及び任意選択的に他の治療流体などの流体を投与することを可能にする。装置は、細長い形状を有する挿入可能なエネルギー伝達デバイスであって、中空本体と、先端と、基部とを有し、及びエネルギー伝達デバイスの本体又は先端内に位置する少なくとも1つのオリフィスであって、少なくとも1つのオリフィスを通して、有効量の麻酔薬及び任意選択的に他の治療流体が患者の皮層に投与され得る、少なくとも1つのオリフィスと、エネルギー伝達デバイス内に位置する温度センサであって、エネルギー伝達デバイスと直接接触する真皮の温度を測定する温度センサとを含む挿入可能なエネルギー伝達デバイスを含む。装置は、エネルギー伝達デバイスに伝達されるエネルギーを発生させるように構成される外部発生デバイスも含む。
【0050】
本発明の別の態様によれば、皮膚の真皮層に熱を直接印加することにより、たるんだ皮膚を線状テンシング及びコラーゲン産生の刺激によって引き締めるための低コストの低侵襲線状テンシング美容方法であって、次の工程:
a)細長い形状及び中空本体を有するエネルギー伝達デバイスであって、エネルギー伝達デバイスの本体又は先端内に位置する少なくとも1つのオリフィスを含むエネルギー伝達デバイスを提供することと、
b)患者の皮膚の皮層にエネルギー伝達デバイスを挿入することと、
c)エネルギー伝達デバイスの本体又は先端内に位置する少なくとも1つのオリフィスを通して、患者の皮層に有効量の麻酔薬を投与することと、
d)外部発生デバイスを通してエネルギーを発生させることであって、そのようなエネルギーは、皮膚の真皮層に熱を印加するためにエネルギー伝達デバイスに伝達される、発生させることと、
e)エネルギー伝達デバイス内に位置する温度センサを通して、エネルギー伝達デバイスと直接接触する真皮の温度を測定することと、
f)エネルギー伝達デバイスが、真皮層を45℃~75℃の温度まで加熱することを可能にするように、外部発生デバイスを制御することと、
g)エネルギー伝達デバイスと直接接触する真皮において発生された最低温度を最大で10分間の時間にわたって維持することと、
h)処置エリアの近傍の患者の皮膚を冷却することと、
i)皮膚の真皮層と接触する、既に導入されたエネルギー伝達デバイスを利用して、必要に応じて工程c.~h.を繰り返すことと、
j)皮膚からエネルギー伝達デバイスを取り除くことと
を含む、低侵襲線状テンシング美容方法が提供される。
【0051】
本発明は、好適な実施形態構成並びに特定の構成要素及び構造に関して説明されるが、本発明は、本明細書に記載されるそのような構成要素又は構造のいずれかにより決して限定されないものと解釈されるべきであることが理解されるであろう。代わりに、本発明の原理は、特許請求の範囲に従うあらゆる方法及び装置に及ぶ。
【0052】
本発明のこれら及び他の変更形態は、本発明のより詳細な説明によって当業者に明らかになるであろう。本発明を特徴付ける利点及び特徴は、特に、本明細書に添付され、その一部をなす特許請求の範囲に示されている。しかしながら、本発明をよりよく理解するために、本発明の好適な実施形態が図示及び記述されている、その一部をなす図面及び添付の説明事項を参照すべきである。
【0053】
図面の簡単な説明
いくつかの図を通して同様の番号が同様の部品を示す図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【
図1】先行技術による様々な温度における線収縮対時間のプロットを示す。
【
図2】表皮(4)、真皮(5)及び脂肪組織(6)を含む、ヒトの皮膚(3)の主な層の代表的な分布を示す。
【
図3】工程1c~1hが異なる順序で実施され得ることが理解される、本発明の原理による第1の代表的な方法(1)を示す。
【
図4】デバイスが中空であり、基部(10)と、先端(9)と、加熱要素(8)と、少なくとも1つのオリフィス(12)とを含む、エネルギー伝達デバイス(7)の代表的な実施形態を示す。
【
図5】デバイスが中空であり、基部(10)と、先端(9)と、加熱要素(8)と、複数のオリフィス(12)とを含む、エネルギー伝達デバイス(7)の別の代表的な実施形態を示す。
【
図6】複数のオリフィス(12)を有するエネルギー伝達デバイス(7)を含む手持式デバイス(2)の代表的な実施形態を示す。外部発生デバイス(13)だけでなく、流体貯蔵要素(14)内に収容された治療流体を皮膚の真皮層に投与することを可能にするためにエネルギー伝達デバイスに接続された流体貯蔵要素(14)も示される。
【発明を実施するための形態】
【0055】
発明の説明
本発明は、皮膚の弛みを改善し、ヒトの老化の兆候を遅らせるための低侵襲美容処置の分野に関する。特に、本発明は、線状テンシング及びコラーゲン産生の刺激を使用して、たるんだ皮膚を引き締めるための、革新的でありな、低コストであり、処置時間が比較的短く、効率的で無痛の低侵襲デバイス及び方法を提供する。
【0056】
皮膚加熱の効果は、よく認識されており、新しいコラーゲン線維の合成(新コラーゲン形成として知られる)及び弾性線維の合成(ネオエラストジェネシスとして知られる)を誘発する皮膚線維芽細胞の刺激によるコラーゲン構造への即効性が含まれる。
【0057】
本発明は、標的組織、好ましくは皮膚の真皮層を制御された効率的な手法で加熱することを可能にし、それにより現在商業的に適用される解決策に付随する課題及びリスクを回避する。前述したような現在の解決策は、通常、効果が現れるまでに長時間かかる局所麻酔薬の使用を必要とする。したがって、麻酔薬の皮下適用工程が実施され、これには、処置エリア内における多くの痛みを伴う穿刺を必要とし、均一な効果が生じない。これらの欠点により、総治療時間が長くなり、同じ場所に治療を繰り返すことが困難になり、麻酔のために異なるデバイス及び適用を必要とし(例えば、麻酔薬は、同じ治療装置によって適用されない)、治療が実施された箇所と同じ箇所に抗炎症剤、紫斑防止剤又は他のコラーゲン誘導流体を投与することは、不可能である。最後に、現在の治療に使用される機器及びデバイスは、非常に高価で複雑である。
【0058】
例えば、マイクロニードリング及び移動プローブ技術などの現在の技術の場合、そのような技術は、長時間の麻酔薬適用及び処置所要時間を有し;麻酔薬適用のために多数の穿刺を必要とし;血管若しくは神経を損傷するか又は更に重篤な火傷を生じさせる可能性がある皮下でのプローブの移動のリスクが生じがちになり(移動プローブ技術に関して);不均一な麻酔薬適用による予期しない痛みを伴う治療の原因となり得;線形テンシング効果を有さず;及び複雑な構成で非常に高い機器コストを有する。
【0059】
本発明に従って構築された実施形態は、前述の課題及び制約を克服し、真皮層に到達し、このような層に直接熱を印加し、精密な温度及び印加時間制御を可能にするだけでなく、線状テンシング効果を提供するために、皮膚を通して挿入されるエネルギー伝達デバイスを有することにより、皮膚の真皮層に直接印加される熱を使用することによって皮膚引き締めの結果を向上させる革新的な装置及び方法を提供し、現在の治療と比べて非常に革新的な手法において、麻酔薬も、治療が実施された場所と同じ場所に装置によって直接適用され、市場に非常に大きい衝撃をもたらす可能性のある、この分野における画期的で重要な変化を示す。更なる革新的及び驚くべき効果として、本発明の治療は、温度及び時間の異なる組み合わせを用いて同じ場所で繰り返すことができ、また抗炎症剤、紫斑防止剤又は皮膚引き締め治療物質などの他の治療流体の投与を含み得、これも、これらの工程を含まない現在の技術とは対照的である。
【0060】
マイクロニードリング又は移動プローブなどの上述の技術は、同じ場所での治療の繰り返し若しくは同じ装置による麻酔薬の適用又は同じ装置による及び治療を実施した場所と同じ場所における抗炎症剤、紫斑防止剤若しくはコラーゲン誘導流体などの他の流体の投与が不可能であることに言及することが重要である。
【0061】
特に、本発明の装置及び方法は、皮膚の表皮の目に見える損傷を生じさせることなく、及び麻酔薬の長時間の痛みを伴う適用を必要とすることなく、向上したより長続きする結果を伴って前記コラーゲン刺激を達成し、現在の技術の欠点を克服することはもとより、同じデバイスによって麻酔薬を投与することを可能にするのみならず、治療プロセス中に被治療皮膚エリアに追加的な治療流体を投与することも可能にする新たな革新的方法及び装置を提供するために、皮膚の真皮層を直接加熱することによる制御された線状テンシングを可能にする、短時間で無痛の安価な処置において、コラーゲン及びエラスチンを刺激し、その後の皮膚の引き締めを生じさせることを目的とする。更に、本発明の方法及び装置は、必要に応じて同じ場所で治療を繰り返すことを可能にし、現在の治療処置に比べて多くの利点を有する。
【0062】
更に、本発明の方法は、皮膚の線形テンシングの収縮率及び審美的な外見をリアルタイムで評価することを可能にし、技師が同じ場所で治療を繰り返すことが必要であるかどうかを決定することと、特定の患者に適用されるべき温度及び治療時間を決定することとを可能にする。マイクロニードリングなどの現在の技術では、収縮率を視覚的に評価することは、不可能であり、これらの治療では、完全な効果を得るために数週間待つ必要があるため、これは、重要な特徴である。現在商業的に適用される方法のいずれも、治療の次の工程を決定するために皮膚の線状収縮をリアルタイムで可視化及び評価することが不可能である。この収縮率及び可視化される収縮は、皮膚において達成される総収縮率の一部であることに留意することが重要である。
【0063】
本発明に関連して、標的組織とは、皮膚、皮膚の真皮層、皮膚の表皮層及びこれらの組み合わせを示す。
【0064】
装置の説明
本発明の装置は、たるんだ皮膚を線状テンシング及びコラーゲン産生の刺激によって引き締めるための低コストの低侵襲装置であって、同じ装置を通して麻酔薬及び任意選択的に他の治療流体などの流体を投与することを可能にし、
- 細長い形状を有する挿入可能なエネルギー伝達デバイスであって、中空本体と、先端と、基部とを有し、及び
- エネルギー伝達デバイスの本体又は先端内に位置する少なくとも1つのオリフィスであって、少なくとも1つのオリフィスを通して、有効量の麻酔薬及び任意選択的に他の治療流体が患者の皮層に投与され得る、少なくとも1つのオリフィスと、
- エネルギー伝達デバイス内に位置する温度センサであって、エネルギー伝達デバイスと直接接触する真皮の温度を測定する温度センサと
を含む挿入可能なエネルギー伝達デバイスと、
- エネルギー伝達デバイスに伝達されるエネルギーを発生させるように構成される外部発生デバイスと
を含む、低コストの低侵襲装置である。
【0065】
本発明の装置は、標的組織を線状テンシング及びコラーゲン産生の刺激によって引き締めるための低コストの低侵襲装置であって、同じ装置を通して標的組織に薬剤を送達するためのものであり、薬剤は、麻酔薬及び他の治療流体から選択され、装置は、
- 細長い形状を有する挿入可能なエネルギー伝達デバイスであって、中空本体と、先端と、基部とを有し、及び
- エネルギー伝達デバイスの本体又は先端内に位置する少なくとも1つのオリフィスであって、少なくとも1つのオリフィスを通して、有効量の麻酔薬及び任意選択的に他の治療流体が標的組織に送達され得る、少なくとも1つのオリフィスと、
- エネルギー伝達デバイス内に位置する温度センサであって、標的組織の温度を測定する温度センサと
を含む挿入可能なエネルギー伝達デバイスと、
- エネルギー伝達デバイスに伝達されるエネルギーを発生させるように構成される外部発生デバイスと
を含む、低コストの低侵襲装置である
【0066】
本発明の固有の装置は、たるんだ皮膚を線状テンシング及びコラーゲン産生の刺激によって引き締めるために、標的組織(標的組織は、好ましくは、皮膚の真皮層である)を直接加熱することを可能にする。本発明の原理による装置は、マイクロニードリング又は移動プローブなどの商業的に使用される低侵襲処置の欠点に対処するのみならず、技師が麻酔薬を局所的に及び熱が印加されるまさにその箇所に適用することも革新的な手法で可能にする。更に、本発明による装置は、麻酔薬を処置前又は中に投与することを可能にすることができるだけでなく、また抗炎症剤、紫斑防止剤又は他のコラーゲン促進流体などの治療流体を治療プロセス中の任意の時点で投与することを可能にし得る。
【0067】
本発明の原理による装置は、細長い形状を有し、基部と本体とを有するエネルギー伝達デバイスを含み、その本体の長さは、少なくとも1cmであり、技師がデバイスを患者の皮膚に挿入し、患者の皮膚の少なくとも皮層に到達させることを可能にする。エネルギー伝達デバイスは、中空カニューレ又は針のような細長い形状を有し、これを通して流体物質を導入することを可能にする。エネルギー伝達デバイスは、患者の皮膚に導入されたときにアレルギー反応が発生するリスクを最小限にするために、抗アレルゲン材料を含む。
【0068】
本発明の一実施形態において、エネルギー伝達デバイスは、カニューレに典型的に使用される導入デバイス又は針を用いて皮膚内に導入される中空カニューレである。本発明の別の実施形態では、エネルギー伝達デバイスは、針又はシリンジなど、その皮膚への導入を可能にするための先の尖った先端を有する。針又はシリンジは、従来の滅菌技術によって滅菌することができるか又は使い捨て要素であり得るように構築され得る。
【0069】
エネルギー伝達デバイスは、皮膚の真皮層への焦点の合ったエネルギー伝達を達成するためのテクスチャ付き表面を含み得る。例えば、エネルギー伝達デバイスは、渦巻き状又は螺旋状に構成された突起を含み得、渦巻き状又は螺旋状に構成された突起は、そのような渦巻きが皮膚の真皮層にエネルギーを伝達するとき、皮膚に対するばね状効果を発生させる。
【0070】
本発明の別の実施形態では、エネルギー伝達デバイスは、エネルギー伝達デバイスの内部に位置するか又はエネルギー伝達デバイスに埋設され、及び螺旋状に構成されたパターンを有する要素又は材料を含み、螺旋状に構成されたパターンは、そのような要素又は材料を通して加熱を引き起こし、及びしたがってそのような材料又は要素が皮膚の真皮層にエネルギーを伝達するとき、皮膚に対するばね状効果を発生させる。この実施形態において、エネルギー伝達デバイス内の材料又は要素は、デバイスのあらゆる突起又はテクスチャを生じさせない。
【0071】
本発明の一実施形態において、エネルギー伝達デバイスは、皮膚の輪郭に適応し、及び/又は皮膚の真皮層へのより簡単な導入を達成するように可撓性材料を含む。本発明の別の実施形態では、エネルギー伝達デバイスは、皮膚に導入されている間にその形状及び設計を維持するために剛性材料を含む。
【0072】
本発明の一実施形態において、二重壁カニューレ又は針も使用され得る。
【0073】
本発明の好適な実施形態において、デバイスの少なくとも一部分は、加熱要素であって、その温度を上昇させることができる加熱要素を含む。
【0074】
本発明のより好ましい実施形態において、加熱要素は、抵抗性要素、コイル又は電気抵抗を示す他の類似の手段を電流が通過したことに応答して、その温度を上昇させる導電材料であり得る。このような導電材料は、その構成に応じて、より強力な又はより強力でない治療に使用され得る。この実施形態は、エネルギー伝達デバイスと、加熱要素の温度を制御された状態で上昇させるために必要な電流を発生させることができる外部発生機器との間に物理的接続を必要とする。導電材料が使用される場合、エネルギー伝達デバイスは、皮膚の他の部分に熱が伝達及び伝導されることを避けるために、その一部分が熱絶縁体として機能するように構成されることが重要である。本発明の一実施形態において、カニューレ又は類似のデバイスを使用する場合、このようなデバイスは、加熱要素内における電気の循環を可能にする絶縁部分を有するように構築される。エネルギー伝達デバイス及びその加熱要素は、デバイスの導入部分にわたって実質的に均一な温度を達成するように構成される。
【0075】
代わりに、加熱要素は、電磁誘導可能材料であり得る。これは、加熱要素がその近傍の電磁場に応じてその温度を上昇させ得ることを意味し、誘導加熱としても知られる。本発明の本実施形態の目的では、エネルギー伝達デバイスの少なくとも一部分を覆う電磁誘導可能材料は、少なくとも300Kのキュリー温度を有する強磁性体である。
【0076】
電磁誘導可能材料が使用される場合、インデューサは、エネルギー伝達デバイスが導入される場所の皮膚の上に配置されるか又は皮膚を取り囲み、このような領域においてエネルギー伝達デバイスの実質的に均一な温度を達成する、機器及びシステムを含む。
【0077】
加熱要素は、治療強度に応じた時間範囲にわたって(最大適用時間は、10分である)摂氏45~75度の温度を適用することを可能にするように構成され、これは、1回の適用又はその後の適用のいずれかで達成され得る。
【0078】
本発明の関連する実施形態において、エネルギー伝達デバイスは、挿入箇所の皮膚を保護するために、材料であって、加熱することができず、及び/又はその温度を実質的に上昇させない材料で構築された部分も含む。本発明の別の実施形態では、加熱要素は、非加熱要素であって、その温度を実質的に上昇させない非加熱要素でできている基部を除いて、デバイスの本体の大部分を覆う。基部は、印加処置前、その間及びその後に表皮に接触したままであり、皮膚の真皮層に熱が印加されたときに周囲エリア内に望ましくない火傷を生じさせる可能性があるため、これは、特に重要である。
【0079】
更に、本発明の他の実施形態において、より強力な治療をより短時間及びより高温で達成するために、エネルギー伝達デバイスは、レーザー、高周波又は超音波適用要素を含み得る。
【0080】
本発明の装置は、皮膚の真皮層の制御された加熱によって線状テンシング効果を提供し、技師がデバイスを操作してそれを皮膚にわたり移動させることを必要としない場合がある。前述の移動照射プローブ技術などでは、皮膚にわたる移動は、熱が印加される領域においてむらのある結果を生じさせる可能性がある。
【0081】
本発明の装置は、低コストであり、所要時間が短い無痛の方法により皮膚の真皮層に熱を印加することにより、皮膚に対する線形テンシング効果を生じさせ、装置は、同じデバイスによって麻酔薬を適用することはもとより、治療と同じ場所に適用される抗炎症剤、紫斑防止剤及び/又はコラーゲン誘導体などの他の治療流体の適用を可能にし、現在の治療と比べて比類のない利点及び新たな特徴も示す。更に、装置は、必要に応じて治療を繰り返すために同じ箇所で数回使用することができ、これも、現在の市販の装置によって達成することができない。
【0082】
したがって、本発明は、皮膚の弛みを改善し、ヒトの老化の兆候を遅らせるための低侵襲美容処置を提供する。特に、本発明は、たるんだ皮膚を線状テンシング及びコラーゲン産生の刺激によって引き締めるための、革新的であり、低コストで短時間の無痛低侵襲デバイス及び方法を提供し、装置は、皮膚の真皮層に直熱を印加することを可能にするのみならず、同じ装置を通して麻酔薬及び任意選択的に抗炎症剤、紫斑防止剤又はコラーゲン誘導流体などの更なる治療流体を投与することも可能にする。
【0083】
非常に革新的な手法並びに世界中で商業的に実施される全ての既知の現在の及び以前の治療と完全に異なる構成において、本発明によるエネルギー伝達デバイスは、中空デバイスを含み、デバイスは、少なくとも1つのオリフィスを含み、少なくとも1つのオリフィスを通していくつかの物質を患者の真皮層に直接挿入することができる。この特徴は、現在の治療装置及び方法に比べていくつかの利点を有し、治療時間の減少、痛みを伴う経験の減少及び皮膚のより制御されたテンシング効果を達成することができる、完全に新しい分野の皮膚引き締めプロセスを創出する。本発明の一実施形態において、エネルギー伝達デバイスは、麻酔薬又は他の治療流体を投与するための複数のオリフィスを含む。
【0084】
エネルギー伝達デバイスは、デバイス内に位置する温度センサであって、エネルギー伝達デバイスに直接接触する真皮の温度を測定する温度センサを更に含む。したがって、このセンサは、技師が所望の温度に到達した瞬間を確認し、所望の収縮率を提供するために、前記温度が維持される時間量を制御することを可能にする。センサは、とりわけ、熱電対、サーミスタ、赤外線センサ及び温度計から選択され得る。
【0085】
外部発生デバイスも本発明の装置の一部として提供され、外部発生デバイスは、エネルギー伝達デバイスが、真皮層に熱を印加することを可能にするように、必要な種類のエネルギーを提供するように構成される。
【0086】
エネルギー伝達デバイス内に加熱要素が使用される本発明の一実施形態において、外部発生デバイスは、加熱要素の電磁誘導可能材料に誘導加熱を提供するために、500KHz~10MHzの高周波交流電流を発生させることによって磁場を発生させるように構成される。
【0087】
エネルギー伝達デバイス内に加熱要素が使用される本発明の別の実施形態において、外部発生デバイスは、とりわけケーブル、ワイヤ、導電性コードなどの物理的接続によってエネルギー伝達デバイスの加熱要素に伝達される電流を発生させる。
【0088】
エネルギー伝達デバイスがレーザー、超音波又は高周波アプリケータを含む本発明の他の実施形態において、外部発生デバイスは、そのような適用のために必要なエネルギーを提供するように適切に構成され、エネルギー伝達デバイス内に位置するレーザー、超音波又は高周波アプリケータに給電することを可能にする。
【0089】
本発明の装置は、デバイスが挿入される皮膚の領域内において到達された温度を検出するように構成された外部温度制御デバイスを更に含み得る。外部温度制御デバイスは、とりわけ赤外線カメラを含む。
【0090】
更に、本発明の装置は、患者の皮膚に高温を適用するときにデバイスの温度を低下させることを可能にし、処置の実施中に動作することができる冷却手段を更に含み得る。一実施形態において、冷却手段は、真皮に温度を適用するときに皮膚の急速冷却を可能にする冷気を適用するデバイスである。他の代替的な実施形態において、冷却手段は、例えば、冷湿布又は低温流体の使用によって皮膚の温度を低下させる外部デバイス又は要素である。本発明の別の実施形態では、冷却流体は、そのような治療エリアの局所冷却を達成するために、デバイスによって投与され得るか、又は皮膚に挿入されている間に真皮若しくは表皮と直接接触され得る。本発明の更なる実施形態において、皮膚は、経時的に自然に冷却され得る。
【0091】
本発明は、標的組織を引き締めるための低コストの低侵襲装置の使用についても記述し、装置は、線状テンシング及びコラーゲン産生の刺激によって標的組織を引き締めるために有用であり、標的組織は、好ましくは、皮膚の真皮及び表皮層である。
【0092】
方法の説明
本発明は、患者の皮膚の老化の兆候を遅らせるための低コストの低侵襲線状テンシング美容方法を提供することを目的とし、この方法は、真皮に直熱を印加するためのエネルギー伝達デバイスを提供することを含む。エネルギー伝達デバイスは、患者の皮膚の皮層に挿入され、エネルギー伝達デバイスは、中空カニューレ又は針のような細長い形状を有し、これを通して流体物質を導入することを可能にする。エネルギー伝達デバイスは、治療が実施される身体の領域に基づく長さまで患者の皮膚に挿入される。
【0093】
外部発生デバイスも本発明による装置の一部として提供され、デバイスは、エネルギー伝達デバイスによって実施される加熱の種類に従って必要な種類のエネルギーを提供するように構成される。エネルギー伝達デバイスが、加熱要素であって、その温度を上昇させて、伝導により真皮に直接加熱を提供する加熱要素を含む実施形態において、外部発生デバイスは、エネルギー伝達デバイス内に位置する加熱要素の温度を上昇させる電流又は磁場を発生させるように構成される。本発明の他の実施形態において、外部発生デバイスは、エネルギー伝達デバイス内に位置するレーザー、超音波又は高周波アプリケータに給電することを可能にする。
【0094】
本発明の方法は、エネルギー伝達デバイスによる皮膚の真皮層における熱の印加を必要とし、エネルギー伝達デバイスと直接接触する真皮層が最大で10分の時間範囲にわたって摂氏45~75度の温度に達するように熱印加の温度及び時間を制御することを含む。
【0095】
エネルギー伝達デバイスとじかに直接接触する真皮層の温度は、エネルギー伝達デバイス内に位置する温度センサを通して測定される。
【0096】
図1に見られるように、数年にわたって実施された以前の実験的検討では、真皮のコラーゲンの収縮は、適用される温度及び適用時間に依存し、例えば1つの特定のタイプの皮膚では、62.5℃の温度が約10分間維持されたものは、30%の線収縮を生じ、65.5℃を約1分間維持したものは、20%の線収縮を生じることが見出されている。比較すると、59.5℃を約20分間維持することによって同じ20%が達成され得る。
【0097】
本発明の方法は、エネルギー伝達デバイスによる皮膚の真皮層における熱の印加を必要とし、エネルギー伝達デバイスと直接接触する真皮層が5~35%の収縮率を達成するように、エネルギー伝達デバイス内に位置する加熱要素の温度及び時間を制御することを含む。
【0098】
また、重要な及び革新的特徴として、本発明の方法は、皮膚の線形テンシングの収縮率及び審美的な外見をリアルタイムで評価することを可能にし、技師が同じ場所で治療を繰り返すことが必要であるかどうかを決定することと、特定の患者に適用されるべき温度及び治療時間を決定することとを可能にする。マイクロニードリングなどの現在の技術では、収縮率を視覚的に評価することが不可能であり、これらの治療では、完全な効果を得るために数週間待つ必要があるため、これは、重要な特徴である。現在商業的に適用される方法のいずれも、治療の次の工程を決定するために、皮膚の線状収縮をリアルタイムで可視化及び評価することが不可能である。
【0099】
本発明の方法は、2つの主要領域に分類することができ、一方は、治療が強力であり、短時間(5秒未満)中に高温の適用を行うことを目的とする場合であり、もう一方は、治療があまり強力ではなく、より長時間(5秒超及び最大で10分)にわたってより低温の適用を行うことを目的とする。両方の治療強度は、エネルギー伝達デバイス及びエネルギー伝達デバイスが加熱要素(電気伝導若しくは電磁気により加熱される)又はレーザー、超音波若しくは高周波アプリケータなどの他の熱アプリケータを含むかどうかに依存する。
【0100】
特定の実施形態において並びに患者の特定の条件及び施術者の技術に応じて、治療強度に応じた時間範囲にわたって(最大適用時間は、10分である)摂氏45~75度の温度を適用することにより5~35%の収縮率を達成することができ、これは、1回の適用又はその後の適用のいずれかで達成され得る。
【0101】
本発明の非常に革新的及び完全に新しい特徴として、エネルギー伝達デバイスは、少なくとも1つのオリフィスを含み、治療プロセス中、真皮を加熱し線形テンシング効果を生じさせるだけでなく、麻酔薬を投与するために同じ装置を使用して、少なくとも1つのオリフィスを通して、有効量の麻酔薬又は他の物質が真皮層に直接投与される。概して、オリフィスは、エネルギー伝達デバイスの本体又は先端内に位置する。例えば、エネルギー伝達デバイスの本体又は先端内に位置するオリフィスは、温度の適用が行われるまさにその領域内における麻酔薬の局所的印加を可能にする。これは、鎮静薬を治療位置(例えば、例として患者の顔面)のランダムな領域に適用し、麻酔薬処置中の痛み及び不快感に加えて、不必要な鎮静及び麻痺を生じさせる他の既知の技術と比べて本発明の有利な特徴である。
【0102】
更に、革新的な及び驚くべき効果として、少なくとも1つのオリフィスは、処置が実施された後に患者の真皮層に治療流体を投与することも可能にし、治療流体は、コラーゲン及び/又はカルシウムヒドロキシアパタイト、ポリ-L-乳酸及びヒアルロン酸を含むが、これらに限定されないコラーゲン誘導体、抗炎症物質、紫斑防止物質並びに治療される領域の治療及び/又は回復を促進することができる他の種類の物質を含む群から選択される。
【0103】
本発明の原理による方法は、皮膚に挿入され、治療プロセス中に挿入されたままの少なくとも1つのエネルギー伝達デバイスを必要とする。有利には、方法は、皮膚の真皮層への多くのエネルギー伝達デバイスの挿入も可能にし、及びその後、加熱及び/又は流体投与プロセスは、挿入されたエネルギー伝達デバイスの少なくとも2つにおいて同時に実施され得る。挿入されたデバイスの使用は、比較的より低い温度でのより長い熱印加期間の実施を可能にする。複数のエネルギー伝達デバイスが挿入される場合、装置は、それらの同時動作を可能にするように設計及び構成される。
【0104】
本発明の別の実施形態では、エネルギー伝達デバイスは、手持式デバイス内に位置し、手持式デバイスは、皮膚内の特定治療領域内で一度に1回使用される。
図06に見られるように、手持式デバイス(2)が示され、手持式デバイスは、複数のオリフィス(12)を有するエネルギー伝達デバイス(7)を含む。外部発生デバイス(13)はもとより、皮膚の真皮層へのそれらの投与を可能にするためにエネルギー伝達デバイスに接続された流体貯蔵要素(14)も示される。外部発生デバイスは、ケーブル若しくは類似の手段などの物理的接続又は誘導のいずれかにより、エネルギー伝達デバイスにエネルギー(図中に矢印14として示される)を伝達する。このデバイスは、比較的より高い温度でのより短い熱印加期間の実施を可能にする。
【0105】
本発明の別の実施形態では、エネルギー伝達デバイスは、治療プロセス中に麻酔薬及び任意選択的に他の治療流体を投与するためにその本体及び/又は先端にわたって分布する複数のオリフィスを含む。
【0106】
本発明の一実施形態において、リドカイン(エピネフリンと混合されるか又は混合されない)などの麻酔薬、導電性流体又は患者の快適性を向上させるか若しくは組織の処置後の美容的外見の改善をもたらすであろう他の物質の使用が好ましい。好ましくは、1:100,000~1:500,000(好ましくは1:400,000)に希釈されたエピネフリンと混合されている、0.1%~2%(好ましくは0.25%)のリドカイン濃度を有する溶液が好ましい。エピネフリンを含まない希釈したリドカインも、痛みを抑制し、患者の快適性を向上させるために使用され得る。
【0107】
革新的な手法における本発明の方法は、治療部位における繰り返しを必要に応じて何度でも提供する。本発明の方法は、デバイスを再導入する必要なく、必要に応じて同じ治療箇所において繰り返すことができる。皮膚に高温が適用される場合、重篤な火傷が生じるか又は更に神経が損傷する可能性があり、したがって同じ箇所で治療を繰り返すことを可能にすることにより、より低温を別々の時間に使用することができ、そのようなリスクが最小限になるため、これは、重要である。例えば、エネルギー伝達デバイスを使用して、皮膚が最高で45~75℃の平均温度に到達するように真皮を加熱し、その後、エネルギー伝達デバイスが挿入された皮膚エリアを冷却し、その後、加熱要素を再度加熱して、その温度を上昇させることで、所定の時間にわたって45~75℃の温度に到達するように同じ真皮エリアを加熱することを可能にする。適切な冷却手段は、冷気、氷、冷湿布又は自然冷却を含む。
【0108】
本発明の好適な実施形態において、エネルギー伝達デバイスを患者の皮膚から取り除く前に、エネルギー伝達デバイスは、冷却手段を通して又は自然に冷却することができ、コラーゲン及び/又はカルシウムヒドロキシアパタイト、ポリ-L-乳酸及びヒアルロン酸を含むが、これらに限定されないコラーゲン誘導体、抗炎症物質並びに治療される領域の治療及び/又は回復を促進することができる他の種類の物質を含む、コラーゲン誘導体など、追加的な抗炎症剤、紫斑防止剤又は皮膚引き締め治療物質は、デバイス内に位置するオリフィスを通して真皮に適用される。
【0109】
本発明の別の実施形態では、コラーゲン誘導体などの抗炎症剤、紫斑防止剤及び/又は皮膚引き締め治療物質は、治療中に本発明の装置によって麻酔薬と同時に適用される。
【0110】
方法は、エネルギー伝達デバイスが皮膚から取り除かれると完結する。
【0111】
本発明の治療は、顔及び首だけでなく、身体の残りの部分も含む体の異なる部分に適用され得る。
【0112】
本発明のデバイス及び方法は、皮膚の非治療的美容治療に関する。
【0113】
したがって、本発明のデバイスは、以下の表に概要を示すように、従来技術により知られる技術の技術的な欠点の大半を解決する。
【0114】
【0115】
【0116】
可能な限り、本発明は、本明細書に記載される様々な実施形態の態様の組み合わせ又は更に実施形態自体の組み合わせを含むことが明示的に意図される。したがって、本発明の原理を具現化する他の構成要素は、本発明の趣旨及び意図の範囲内で構成され得る。本明細書に記載される構成は、本発明の原理を組み込み、実施する一実施形態の単なる1つの例として提供される。他の修正形態及び変更形態は、十分に当業者の知識の範囲内であり、添付の特許請求の範囲の広範な範囲内に含まれる。
【国際調査報告】