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特表2023-511417黒色腫において優先的に発現する抗原(PRAME)T細胞受容体およびそれらの使用方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-17
(54)【発明の名称】黒色腫において優先的に発現する抗原(PRAME)T細胞受容体およびそれらの使用方法
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/12 20060101AFI20230310BHJP
   C07K 14/725 20060101ALI20230310BHJP
   C12N 1/15 20060101ALI20230310BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20230310BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20230310BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20230310BHJP
   C12N 15/64 20060101ALI20230310BHJP
   A61K 38/16 20060101ALI20230310BHJP
   A61K 35/12 20150101ALI20230310BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230310BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20230310BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20230310BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20230310BHJP
【FI】
C12N15/12
C07K14/725 ZNA
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C12N15/64 Z
A61K38/16
A61K35/12
A61P43/00 111
A61P35/00
A61P35/02
A61K45/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022544717
(86)(22)【出願日】2021-01-22
(85)【翻訳文提出日】2022-09-14
(86)【国際出願番号】 US2021014490
(87)【国際公開番号】W WO2021150804
(87)【国際公開日】2021-07-29
(31)【優先権主張番号】62/965,231
(32)【優先日】2020-01-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】597160510
【氏名又は名称】リジェネロン・ファーマシューティカルズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】REGENERON PHARMACEUTICALS, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】バウワーマン, ナタリー
(72)【発明者】
【氏名】ハンセン, ジョアンナ
【テーマコード(参考)】
4B065
4C084
4C087
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA91X
4B065AA91Y
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065BA21
4B065CA24
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4C084AA02
4C084AA07
4C084AA19
4C084BA01
4C084BA08
4C084BA44
4C084CA53
4C084MA52
4C084MA56
4C084MA65
4C084MA66
4C084NA05
4C084NA14
4C084ZB26
4C084ZB27
4C084ZC41
4C087AA01
4C087AA02
4C087BB65
4C087MA02
4C087MA52
4C087MA56
4C087MA65
4C087MA66
4H045AA10
4H045AA30
4H045BA10
4H045CA40
4H045DA50
4H045EA20
4H045FA74
(57)【要約】
本発明は、HLA提示がん精巣抗原である黒色腫において優先的に発現する抗原(PRAME)ペプチドに特異的に結合する単離されたT細胞受容体(TCR)、ならびにそれらの単離されたTCRを使用する治療方法および診断方法を提供する。本発明は、MHC(HLA-A2)との関連でPRAMEペプチド抗原に対して作成されたT細胞受容体(TCR)を提供する。特定された固有のTCR配列は、HLA分子の溝に存在する小ペプチドPRAMEへの特異的な結合を示している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
RLDQLLRHV(配列番号929)(PRAME 312~320)のアミノ酸配列を含む、HLA-A2提示の黒色腫において優先的に発現する抗原(PRAME)ペプチドに特異的に結合するT細胞受容体(TCR)であって、前記TCRが、相補的決定領域(CDR)3を含むアルファ鎖可変ドメインを含み、前記CDR3が、表3に示されるアルファ鎖可変ドメインCDR3アミノ酸配列のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む、TCR。
【請求項2】
RLDQLLRHV(配列番号929)(PRAME 312~320)のアミノ酸配列を含む、HLA-A2提示の黒色腫において優先的に発現する抗原(PRAME)ペプチドに特異的に結合するT細胞受容体(TCR)であって、前記TCRが、相補的決定領域(CDR)3を含むベータ鎖可変ドメインを含み、前記CDR3が、表3に示されるベータ鎖可変ドメインCDR3アミノ酸配列のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む、TCR。
【請求項3】
前記TCRが、少なくとも1つのTCRアルファ鎖可変ドメインおよび/または少なくとも1つのベータ鎖可変ドメインを含む、請求項1または2に記載のTCR。
【請求項4】
前記TCRが、TCRアルファ鎖可変ドメインおよびTCRベータ鎖可変ドメインを含む、請求項3に記載のTCR。
【請求項5】
前記アルファ鎖可変ドメインが、CDR1およびCDR2をさらに含み、前記CDR1が、表3に示される前記アルファ鎖可変ドメインCDR1アミノ酸配列のうちのいずれか1つを含み、前記CDR2が、独立して、表3に示される前記アルファ鎖可変ドメインCDR2アミノ酸配列のうちのいずれか1つを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のTCR。
【請求項6】
前記ベータ鎖可変ドメインが、CDR1およびCDR2をさらに含み、前記CDR1が、表3に示されるベータ鎖可変CDR1アミノ酸配列のうちのいずれか1つを含み、前記CDR2が、独立して、表3に示されるベータ鎖可変ドメインCDR2アミノ酸配列のうちのいずれか1つを含む、請求項5に記載のTCR。
【請求項7】
表5に列挙されるアルファ鎖可変ドメイン配列のうちのいずれか1つ内に含まれるアルファ鎖可変ドメインCDR1、CDR2、およびCDR3と、表5に列挙されるベータ鎖可変ドメイン配列のうちのいずれか1つ内に含まれるベータ鎖可変ドメインCDR1、CDR2、およびCDR3と、を含む、請求項4~6のいずれか一項に記載のTCR。
【請求項8】
RLDQLLRHV(配列番号929)(PRAME 312~320)のアミノ酸配列を含む、HLA-A2提示の黒色腫において優先的に発現する抗原(PRAME)ペプチドに特異的に結合するT細胞受容体(TCR)であって、前記TCRが、配列番号217/219、221/223、225/227、229/231、233/235、237/239、241/243、245/247、249/251、253/255、257/259、261/263、265/267、269/271、273/275、277/279、281/283、および285/287のアルファ鎖/ベータ鎖可変ドメイン配列対から選択されるアルファ鎖CDR1、CDR2、およびCDR3/ベータ鎖CDR1、CDR2、およびCDR3アミノ酸配列を含む、TCR。
【請求項9】
表5に列挙されるアルファ鎖可変ドメインアミノ酸配列のアミノ酸配列のうちのいずれか1つのアミノ酸配列全体に対して少なくとも85%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を有するアルファ鎖可変ドメインを含む、請求項1~8のいずれか一項に記載のTCR。
【請求項10】
表5に列挙されるベータ鎖可変ドメインアミノ酸配列のアミノ酸配列のうちのいずれか1つのアミノ酸配列全体に対して少なくとも85%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を有するベータ鎖可変ドメインを含む、請求項1~9のいずれか一項に記載のTCR。
【請求項11】
(a)表5に列挙されたアルファ鎖可変ドメインアミノ酸配列のアミノ酸配列のうちのいずれか1つのアミノ酸配列全体に対して少なくとも85%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を有するアルファ鎖可変ドメインと、(b)表5に列挙されたベータ鎖可変ドメインアミノ酸配列のアミノ酸配列のうちのいずれか1つのアミノ酸配列全体に対して少なくとも85%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を有するベータ鎖可変ドメインと、を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載のTCR。
【請求項12】
(a)配列番号1、7、13、19、25、31、37、43、49、55、61、67、73、79、85、91、97、および103からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するアルファ鎖可変ドメインCDR1ドメインと、
(b)配列番号2、8、14、20、26、32、38、44、50、56、62、68、74、80、86、92、98、および104からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するアルファ鎖可変ドメインCDR2ドメインと、
(c)配列番号3、9、15、21、27、33、39、45、51、57、63、69、75、81、87、93、99、および105からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するアルファ鎖可変ドメインCDR3ドメインと、
(d)配列番号4、10、16、22、28、34、40、46、52、58、64、70、76、82、88、94、100、および106からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するベータ鎖可変ドメインCDR1と、
(e)配列番号5、11、17、23、29、35、41、47、53、59、65、71、77、83、89、95、101、および107からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するベータ鎖可変ドメインCDR2と、
(f)配列番号6、12、18、24、30、36、42、48、54、60、66、72、78、84、90、96、102、および108からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するベータ鎖可変ドメインCDR3と、を含む、請求項4~11のいずれか一項に記載のTCR。
【請求項13】
配列番号217/219、221/223、225/227、229/231、233/235、237/239、241/243、245/247、249/251、253/255、257/259、261/263、265/267、269/271、273/275、277/279、281/283、および285/287からなる群から選択されるアルファ鎖可変ドメイン/ベータ鎖可変ドメインアミノ酸配列対を含む、請求項12に記載のTCR。
【請求項14】
SLLQHLIGL(配列番号930)(PRAME 425~433)のアミノ酸配列を含む、HLA-A2提示の黒色腫において優先的に発現する抗原(PRAME)ペプチドに特異的に結合するT細胞受容体(TCR)であって、前記TCRが、相補的決定領域(CDR)3を含むアルファ鎖可変ドメインを含み、前記CDR3が、表6に示されるアルファ鎖可変ドメインCDR3アミノ酸配列のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む、TCR。
【請求項15】
SLLQHLIGL(配列番号930)(PRAME 425~433)のアミノ酸配列を含む、HLA-A2提示の黒色腫において優先的に発現する抗原(PRAME)ペプチドに特異的に結合するT細胞受容体(TCR)であって、前記TCRが、相補的決定領域(CDR)3を含むベータ鎖可変ドメインを含み、前記CDR3が、表6に示されるベータ鎖可変ドメインCDR3アミノ酸配列のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む、TCR。
【請求項16】
前記アルファ鎖可変ドメインが、CDR1およびCDR2をさらに含み、前記CDR1が、表6に示されるアルファ鎖可変ドメインCDR1アミノ酸配列のうちのいずれか1つを含み、前記CDR2が、独立して、表6に示されるアルファ鎖可変ドメインCDR2アミノ酸配列のうちのいずれか1つを含む、請求項14または15に記載のTCR。
【請求項17】
前記ベータ鎖可変ドメインが、CDR1およびCDR2をさらに含み、前記CDR1が、表6に示されるベータ鎖可変CDR1アミノ酸配列のうちのいずれか1つを含み、前記CDR2が、独立して、表6に示されるベータ鎖可変ドメインCDR2アミノ酸配列のうちのいずれか1つを含む、請求項16に記載のTCR。
【請求項18】
前記TCRが、少なくとも1つのTCRアルファ鎖可変ドメインおよび/または少なくとも1つのベータ鎖可変ドメインを含む、請求項14~17のいずれか一項に記載のTCR。
【請求項19】
前記TCRが、TCRアルファ鎖可変ドメインおよびTCRベータ鎖可変ドメインを含む、請求項18に記載のTCR。
【請求項20】
表8に列挙されるアルファ鎖可変ドメイン配列のうちのいずれか1つ内に含まれるアルファ鎖可変ドメインCDR1、CDR2、およびCDR3と、表8に列挙されるベータ鎖可変ドメイン配列のうちのいずれか1つ内に含まれるベータ鎖可変ドメインCDR1、CDR2、およびCDR3と、を含む、請求項17~19のいずれか一項に記載のTCR。
【請求項21】
SLLQHLIGL(配列番号930)(PRAME 425~433)のアミノ酸配列を含む、HLA-A2提示の黒色腫において優先的に発現する抗原(PRAME)ペプチドに特異的に結合するT細胞受容体(TCR)であって、前記TCRが、配列番号769/771、773/775、777/779、781/783、785/787、789/791、793/795、797/799、801/803、805/807、809/811、813/815、817/819、821/823、825/827、829/831、833/835、837/839、841/843、845/847、849/851、853/855、857/859、861/863、865/867、869/871、873/875、877/879、881/883、885/887、889/891、893/805、897/899、901/903、905/907、909/911、913/915、917/919、921/923、および925/927のアルファ鎖/ベータ鎖可変ドメイン配列対から選択されるアルファ鎖CDR1、CDR2、およびCDR3/ベータ鎖CDR1、CDR2、およびCDR3アミノ酸配列を含む、TCR。
【請求項22】
表8に列挙されるアルファ鎖可変ドメインアミノ酸配列のアミノ酸配列のうちのいずれか1つのアミノ酸配列全体に対して少なくとも85%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を有するアルファ鎖可変ドメインを含む、請求項14~21のいずれか一項に記載のTCR。
【請求項23】
表8に列挙されるベータ鎖可変ドメインアミノ酸配列のアミノ酸配列のうちのいずれか1つのアミノ酸配列全体に対して少なくとも85%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を有するベータ鎖可変ドメインを含む、請求項14~22のいずれか一項に記載のTCR。
【請求項24】
(a)表8に列挙されたアルファ鎖可変ドメインアミノ酸配列のアミノ酸配列のうちのいずれか1つのアミノ酸配列全体に対して少なくとも85%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を有するアルファ鎖可変ドメインと、(b)表8に列挙されたベータ鎖可変ドメインアミノ酸配列のアミノ酸配列のうちのいずれか1つのアミノ酸配列全体に対して少なくとも85%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を有するベータ鎖可変ドメインと、を含む、請求項14~23のいずれか一項に記載のTCR。
【請求項25】
(a)配列番号289、295、301、307、313、319、325、331、337、343、349、355、361、367、373、379、385、391、397、403、409、415、421、427、433、439、445、451、457、463、469、475、481、487、493、499、505、511、517、および523からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するアルファ鎖可変ドメインCDR1ドメインと、
(b)配列番号290、296、302、308、314、320、326、332、338、344、350、356、362、368、374、380、386、392、398、404、410、416、422、428、434、440、446、452、458、464、470、476、482、488、494、500、506、512、518、および524からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するアルファ鎖可変ドメインCDR2ドメインと、
(c)配列番号291、297、303、309、315、321、327、333、339、345、351、357、363、369、375、381、387、393、399、405、411、417、423、429、435、441、447、453、459、465、471、477、483、489、495、501、507、513、519、および525からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するアルファ鎖可変ドメインCDR3ドメインと、
(d)配列番号292、298、304、310、316、322、328、334、340、346、352、358、364、370、376、382、388、394、400、406、412、418、424、430、436、442、448、454、460、466、472、478、484、490、496、502、508、514、520、および526からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するベータ鎖可変ドメインCDR1と、
(e)配列番号293、299、305、311、317、323、329、335、341、347、353、359、365、371、377、383、389、395、401、407、413、419、425、431、437、443、449、455、461、467、473、479、485、491、497、503、509、515、521、および527からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するベータ鎖可変ドメインCDR2と、
(f)配列番号294、300、306、312、318、324、330、336、342、348、354、360、366、372、378、384、390、396、402、408、414、420、426、432、438、444、450、456、462、468、474、480、486、492、498、504、510、516、522、および528からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するベータ鎖可変ドメインCDR3と、を含む、請求項17~24のいずれか一項に記載のTCR。
【請求項26】
配列番号769/771、773/775、777/779、781/783、785/787、789/791、793/795、797/799、801/803、805/807、809/811、813/815、817/819、821/823、825/827、829/831、833/835、837/839、841/843、845/847、849/851、853/855、857/859、861/863、865/867、869/871、873/875、877/879、881/883、885/887、889/891、893/805、897/899、901/903、905/907、909/911、913/915、917/919、921/923、および925/927からなる群から選択されるアルファ鎖可変ドメイン/ベータ鎖可変ドメインアミノ酸配列対を含む、請求項25に記載のTCR。
【請求項27】
請求項1~26のいずれか一項に記載のTCRに対する結合において競合する、TCR。
【請求項28】
請求項1~26のいずれか一項に記載のTCRと同じエピトープに結合する、TCR。
【請求項29】
検出可能部分をさらに含む、請求項1~28のいずれか一項に記載のTCR。
【請求項30】
請求項1~29のいずれか一項に記載のTCRを提示する、単離された細胞。
【請求項31】
請求項1~29のいずれか一項に記載のTCRのアルファ鎖可変ドメインをコードするポリヌクレオチド配列を含む、単離されたポリヌクレオチド分子。
【請求項32】
請求項1~29のいずれか一項に記載のTCRのベータ鎖可変ドメインをコードするポリヌクレオチド配列を含む、単離されたポリヌクレオチド分子。
【請求項33】
請求項31または32に記載のポリヌクレオチド分子を含む、ベクター。
【請求項34】
請求項33に記載のベクターを発現する、単離された細胞。
【請求項35】
請求項34に記載の単離された細胞と、薬学的に許容される担体または希釈剤と、を含む、医薬組成物。
【請求項36】
PRAME関連疾患または障害を有する対象を治療する方法であって、前記対象に、治療有効量の請求項1~29のいずれか一項に記載のTCR、請求項35に記載の医薬組成物、または請求項30に記載の複数の単離された細胞を投与し、それによって、前記対象を治療することを含む、方法。
【請求項37】
前記PRAME関連疾患または障害が、PRAME関連がんである、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記PRAME関連がんが、脂肪肉腫、神経芽腫、骨髄腫、黒色腫、転移性黒色腫、滑膜肉腫、膀胱癌、食道癌、食道扁平上皮癌、肝細胞癌(hepatocellular cancer)、頭頸部癌、非小細胞肺癌、卵巣癌、卵巣上皮癌、前立腺癌、乳癌、星状細胞腫瘍、多形性膠芽腫、未分化星状細胞腫、脳腫瘍、卵管癌、原発性腹腔癌、進行固形腫瘍、軟部組織肉腫、肉腫、骨髄異形成症候群、急性骨髄性白血病、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、ホジキン病、多発性骨髄腫、転移性固形腫瘍、大腸癌、胃癌(stomach cancer)、胃癌(gastric cancer)、横紋筋肉腫、粘液型円形細胞型脂肪肉腫、子宮体子宮内膜癌、子宮癌肉腫、精巣胚細胞腫瘍、ブドウ膜黒色腫、腎臓腎乳頭細胞癌、腎臓腎明細胞癌、胸腺腫、結腸腺癌、子宮頸部扁平上皮癌、子宮頸部腫瘍、膵臓腺癌、肝臓癌、肝細胞癌(hepatocellular carcinoma)、中皮腫、または再発非小細胞肺癌である、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記TCR、前記医薬組成物、または前記複数の細胞が、前記対象に、第2の治療剤と組み合わせて投与される、請求項36~38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記TCR、前記医薬組成物、または前記複数の細胞が、前記対象に皮下、静脈内、皮内、腹腔内、経口、筋肉内、または頭蓋内投与される、請求項36~39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
RLDQLLRHV(配列番号929)(PRAME 312~320)のアミノ酸配列を含む、HLA-A2提示の黒色腫において優先的に発現する抗原(PRAME)ペプチドに特異的に結合するT細胞受容体(TCR)をコードするポリヌクレオチド分子であって、前記TCRが、相補的決定領域(CDR)3を含むアルファ鎖可変ドメインを含み、前記CDR3が、表5に示されるアルファ鎖可変ドメインCDR3アミノ酸配列のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む、ポリヌクレオチド分子。
【請求項42】
RLDQLLRHV(配列番号929)(PRAME 312~320)のアミノ酸配列を含む、HLA-A2提示の黒色腫において優先的に発現する抗原(PRAME)ペプチドに特異的に結合するT細胞受容体(TCR)をコードするポリヌクレオチド分子であって、前記TCRが、相補的決定領域(CDR)3を含むベータ鎖可変ドメインを含み、前記CDR3が、表5に示されるベータ鎖可変ドメインCDR3アミノ酸配列のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む、ポリヌクレオチド分子。
【請求項43】
少なくとも1つのTCRアルファ鎖可変ドメインおよび/または少なくとも1つのベータ鎖可変ドメインをコードする、請求項41または42に記載のポリヌクレオチド分子。
【請求項44】
前記TCRが、表5に列挙されるアルファ鎖可変ドメイン配列のうちのいずれか1つ内に含まれるアルファ鎖可変ドメイン相補的決定領域(CDR)1、CDR2、およびCDR3と、表5に列挙されるベータ鎖可変ドメイン配列のうちのいずれか1つ内に含まれるベータ鎖可変ドメインCDR1、CDR2、およびCDR3と、を含む、請求項43に記載のポリヌクレオチド分子。
【請求項45】
RLDQLLRHV(配列番号929)(PRAME 312~320)のアミノ酸配列を含む、HLA-A2提示の黒色腫において優先的に発現する抗原(PRAME)ペプチドに特異的に結合するT細胞受容体(TCR)をコードするポリヌクレオチド分子であって、前記TCRが、配列番号217/219、221/223、225/227、229/231、233/235、237/239、241/243、245/247、249/251、253/255、257/259、261/263、265/267、269/271、273/275、277/279、281/283、および285/287のアルファ鎖/ベータ鎖可変ドメイン配列対から選択されるアルファ鎖CDR1、CDR2、およびCDR3/ベータ鎖CDR1、CDR2、およびCDR3アミノ酸配列を含む、ポリヌクレオチド分子。
【請求項46】
前記TCRが、表5に列挙されるアルファ鎖可変ドメインアミノ酸配列のアミノ酸配列のうちのいずれか1つのアミノ酸配列全体に対して少なくとも85%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を有するアルファ鎖可変ドメインを含む、請求項41~45のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド分子。
【請求項47】
前記TCRが、表5に列挙されるベータ鎖可変ドメインアミノ酸配列のアミノ酸配列のうちのいずれか1つのアミノ酸配列全体に対して少なくとも85%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を有するベータ鎖可変ドメインを含む、請求項41~46のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド分子。
【請求項48】
前記TCRが、(a)表5に列挙されるアルファ鎖可変ドメインアミノ酸配列のアミノ酸配列のうちのいずれか1つのアミノ酸配列全体に対して少なくとも85%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を有するアルファ鎖可変ドメインと、(b)表5に列挙される前記ベータ鎖可変ドメインアミノ酸配列のアミノ酸配列のうちのいずれか1つのアミノ酸配列全体に対して少なくとも85%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を有するベータ鎖可変ドメインと、を含む、請求項41~47のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド分子。
【請求項49】
前記TCRが、(a)配列番号1、7、13、19、25、31、37、43、49、55、61、67、73、79、85、91、97、および103からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するアルファ鎖可変ドメインCDR1ドメインと、
(b)配列番号2、8、14、20、26、32、38、44、50、56、62、68、74、80、86、92、98、および104からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するアルファ鎖可変ドメインCDR2ドメインと、
(c)配列番号3、9、15、21、27、33、39、45、51、57、63、69、75、81、87、93、99、および105からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するアルファ鎖可変ドメインCDR3ドメインと、
(d)配列番号4、10、16、22、28、34、40、46、52、58、64、70、76、82、88、94、100、および106からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するベータ鎖可変ドメインCDR1と、
(e)配列番号5、11、17、23、29、35、41、47、53、59、65、71、77、83、89、95、101、および107からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するベータ鎖可変ドメインCDR2と、
(f)配列番号6、12、18、24、30、36、42、48、54、60、66、72、78、84、90、96、102、および108からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するベータ鎖可変ドメインCDR3と、を含む、請求項41~48のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド分子。
【請求項50】
前記TCRが、配列番号217/219、221/223、225/227、229/231、233/235、237/239、241/243、245/247、249/251、253/255、257/259、261/263、265/267、269/271、273/275、277/279、281/283、および285/287からなる群から選択されるアルファ鎖可変ドメイン/ベータ鎖可変ドメインアミノ酸配列対を含む、請求項48に記載のポリヌクレオチド分子。
【請求項51】
前記TCRが、(a)配列番号109、115、121、127、133、139、145、151、157、163、169、175、181、187、193、199、205、および211からなる群から選択される核酸配列によってコードされるアルファ鎖可変ドメインCDR1と、
(b)配列番号110、116、122、128、134、140、146、152、158、164、170、176、182、188、194、200、206、および212からなる群から選択される核酸配列によってコードされるアルファ鎖可変ドメインCDR2と、
(c)配列番号111、117、123、129、135、141、147、153、159、165、171、177、183、189、195、201、207、および213からなる群から選択される核酸配列によってコードされるアルファ鎖可変ドメインCDR3と、
(d)配列番号112、118、124、130、136、142、148、154、160、166、172、178、184、190、196、202、208、および214からなる群から選択される核酸配列によってコードされるベータ鎖可変ドメインCDR1と、
(e)配列番号113、119、125、131、137、143、149、155、161、167、173、179、185、191、197、203、209、および215からなる群から選択される核酸配列によってコードされるベータ鎖可変ドメインCDR2と、
(f)配列番号114、120、126、132、138、144、150、156、162、168、174、180、186、192、198、204、210、および216からなる群から選択される核酸配列によってコードされるベータ鎖可変ドメインCDR3と、を含む、請求項48に記載のポリヌクレオチド分子。
【請求項52】
前記TCRが、配列番号218/220、222/224、226/228、230/232、234/236、238/240、242/244、246/248、250/252、254/256、258/260、262/264、266/268、270/272、274/276、278/280、282/284、および286/288からなる群から選択されるアルファ鎖可変ドメイン/ベータ鎖可変ドメイン核酸配列対を含む、請求項51に記載のポリヌクレオチド分子。
【請求項53】
請求項41~52のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド分子を含む、ベクター。
【請求項54】
請求項53に記載のベクターを含む、単離された細胞。
【請求項55】
SLLQHLIGL(配列番号930)(PRAME 425~433)のアミノ酸配列を含む、HLA-A2提示の黒色腫において優先的に発現する抗原(PRAME)ペプチドに特異的に結合するT細胞受容体(TCR)をコードするポリヌクレオチド分子であって、前記TCRが、相補的決定領域(CDR)3を含むアルファ鎖可変ドメインを含み、前記CDR3が、表8に示されるアルファ鎖可変ドメインCDR3アミノ酸配列のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む、ポリヌクレオチド分子。
【請求項56】
SLLQHLIGL(配列番号930)(PRAME 425~433)のアミノ酸配列を含む、HLA-A2提示の黒色腫において優先的に発現する抗原(PRAME)ペプチドに特異的に結合するT細胞受容体(TCR)をコードするポリヌクレオチド分子であって、前記TCRが、相補的決定領域(CDR)3を含むベータ鎖可変ドメインを含み、前記CDR3が、表8に示されるベータ鎖可変ドメインCDR3アミノ酸配列のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む、ポリヌクレオチド分子。
【請求項57】
少なくとも1つのTCRアルファ鎖可変ドメインおよび/または少なくとも1つのベータ鎖可変ドメインをコードする、請求項55または56に記載のポリヌクレオチド分子。
【請求項58】
SLLQHLIGL(配列番号930)(PRAME 425~433)のアミノ酸配列を含む、HLA-A2提示の黒色腫において優先的に発現する抗原(PRAME)ペプチドに特異的に結合するT細胞受容体(TCR)をコードするポリヌクレオチド分子であって、TCRが、配列番号769/771、773/775、777/779、781/783、785/787、789/791、793/795、797/799、801/803、805/807、809/811、813/815、817/819、821/823、825/827、829/831、833/835、837/839、841/843、845/847、849/851、853/855、857/859、861/863、865/867、869/871、873/875、877/879、881/883、885/887、889/891、893/805、897/899、901/903、905/907、909/911、913/915、917/919、921/923、および925/927のアルファ鎖/ベータ鎖可変ドメイン配列対から選択されるアルファ鎖CDR1、CDR2、およびCDR3/ベータ鎖CDR1、CDR2、およびCDR3アミノ酸配列を含む、ポリヌクレオチド分子。
【請求項59】
前記TCRが、表8に列挙されるアルファ鎖可変ドメイン配列のうちのいずれか1つ内に含まれるアルファ鎖可変ドメイン相補的決定領域(CDR)1、CDR2、およびCDR3と、表8に列挙されるベータ鎖可変ドメイン配列のうちのいずれか1つ内に含まれるベータ鎖可変ドメインCDR1、CDR2、およびCDR3と、を含む、請求項58に記載のポリヌクレオチド分子。
【請求項60】
前記TCRが、表8に列挙されるアルファ鎖可変ドメインアミノ酸配列のアミノ酸配列のうちのいずれか1つのアミノ酸配列全体に対して少なくとも85%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を有するアルファ鎖可変ドメインを含む、請求項55~59のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド分子。
【請求項61】
前記TCRが、表8に列挙されるベータ鎖可変ドメインアミノ酸配列のアミノ酸配列のうちのいずれか1つのアミノ酸配列全体に対して少なくとも85%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を有するベータ鎖可変ドメインを含む、請求項55~60のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド分子。
【請求項62】
前記TCRが、(a)表8に列挙されるアルファ鎖可変ドメインアミノ酸配列のアミノ酸配列のうちのいずれか1つのアミノ酸配列全体に対して少なくとも85%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を有するアルファ鎖可変ドメインと、(b)表8に列挙される前記ベータ鎖可変ドメインアミノ酸配列のアミノ酸配列のうちのいずれか1つのアミノ酸配列全体に対して少なくとも85%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を有するベータ鎖可変ドメインと、を含む、請求項55~61のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド分子。
【請求項63】
前記TCRが、(a)配列番号289、295、301、307、313、319、325、331、337、343、349、355、361、367、373、379、385、391、397、403、409、415、421、427、433、439、445、451、457、463、469、475、481、487、493、499、505、511、517、および523からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するアルファ鎖可変ドメインCDR1ドメインと、
(b)配列番号290、296、302、308、314、320、326、332、338、344、350、356、362、368、374、380、386、392、398、404、410、416、422、428、434、440、446、452、458、464、470、476、482、488、494、500、506、512、518、および524からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するアルファ鎖可変ドメインCDR2ドメインと、
(c)配列番号291、297、303、309、315、321、327、333、339、345、351、357、363、369、375、381、387、393、399、405、411、417、423、429、435、441、447、453、459、465、471、477、483、489、495、501、507、513、519、および525からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するアルファ鎖可変ドメインCDR3ドメインと、
(d)配列番号292、298、304、310、316、322、328、334、340、346、352、358、364、370、376、382、388、394、400、406、412、418、424、430、436、442、448、454、460、466、472、478、484、490、496、502、508、514、520、および526からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するベータ鎖可変ドメインCDR1と、
(e)配列番号293、299、305、311、317、323、329、335、341、347、353、359、365、371、377、383、389、395、401、407、413、419、425、431、437、443、449、455、461、467、473、479、485、491、497、503、509、515、521、および527からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するベータ鎖可変ドメインCDR2と、
(f)配列番号294、300、306、312、318、324、330、336、342、348、354、360、366、372、378、384、390、396、402、408、414、420、426、432、438、444、450、456、462、468、474、480、486、492、498、504、510、516、522、および528からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するベータ鎖可変ドメインCDR3と、を含む、請求項55~62のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド分子。
【請求項64】
前記TCRが、配列番号769/771、773/775、777/779、781/783、785/787、789/791、793/795、797/799、801/803、805/807、809/811、813/815、817/819、821/823、825/827、829/831、833/835、837/839、841/843、845/847、849/851、853/855、857/859、861/863、865/867、869/871、873/875、877/879、881/883、885/887、889/891、893/805、897/899、901/903、905/907、909/911、913/915、917/919、921/923、および925/927からなる群から選択されるアルファ鎖可変ドメイン/ベータ鎖可変ドメインアミノ酸配列対を含む、請求項63に記載のポリヌクレオチド分子。
【請求項65】
前記TCRが、(a)配列番号529、535、541、547、553、559、565、571、577、583、589、595、601、607、613、619、625、631、637、643、649、655、661、667、673、679、685、691、697、703、709、715、721、727、733、739、745、751、757、および763からなる群から選択される核酸配列によってコードされるアルファ鎖可変ドメインCDR1と、
(b)配列番号530、536、542、548、554、560、566、572、578、584、590、596、602、608、614、620、626、632、638、644、650、656、662、668、674、680、686、692、698、704、710、716、722、728、734、740、746、752、758、および764からなる群から選択される核酸配列によってコードされるアルファ鎖可変ドメインCDR2と、
(c)配列番号531、537、543、549、555、561、567、573、579、585、591、597、603、609、615、621、627、633、639、645、651、657、663、669、675、681、687、693、699、705、711、717、723、729、735、741、747、753、759、および765からなる群から選択される核酸配列によってコードされるアルファ鎖可変ドメインCDR3と、
(d)配列番号532、538、544、550、556、562、568、574、580、586、592、598、604、610、616、622、628、634、640、646、652、658、664、670、676、682、688、694、700、706、712、718、724、730、736、742、748、754、760、および766からなる群から選択される核酸配列によってコードされるベータ鎖可変ドメインCDR1と、
(e)配列番号533、539、545、551、557、563、569、575、581、587、593、599、605、611、617、623、629、635、641、647、653、659、665、671、677、683、689、695、701、707、713、719、725、731、737、743、749、755、761、および767からなる群から選択される核酸配列によってコードされるベータ鎖可変ドメインCDR2と、
(f)配列番号534、540、546、552、558、564、570、576、582、588、594、600、606、612、618、624、630、636、642、648、654、660、666、672、678、684、690、696、702、708、714、720、726、732、738、744、750、756、762、および768からなる群から選択される核酸配列によってコードされるベータ鎖可変ドメインCDR3と、を含む、請求項62に記載のポリヌクレオチド分子。
【請求項66】
前記TCRが、配列番号770/772、774/776、778/780、782/784、786/788、790/792、794/796、798/800、802/804、806/808、810/812、814/816、818/820、822/824、826/828、830/832、834/836、838/840、842/844、846/848、850/852、854/856、858/860、862/864、866/868、870/872、874/876、878/880、882/884、886/888、890/892、894/896、898/900、902/904、906/908、910/912、914/916、918/920、922/924、および926/928からなる群から選択されるアルファ鎖可変ドメイン/ベータ鎖可変ドメイン核酸配列対を含む、請求項65に記載のポリヌクレオチド分子。
【請求項67】
請求項55~66のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド分子を含む、ベクター。
【請求項68】
請求項67に記載のベクターを含む、単離された細胞。
【請求項69】
PRAME関連疾患または障害を有する対象を治療する方法であって、前記対象に、請求項54または68に記載の複数の細胞を投与し、それによって、前記対象を治療することを含む、方法。
【請求項70】
前記PRAME関連疾患または障害が、PRAME関連がんである、請求項69に記載の方法。
【請求項71】
前記PRAME関連がんが、脂肪肉腫、神経芽腫、骨髄腫、黒色腫、転移性黒色腫、滑膜肉腫、膀胱癌、食道癌、食道扁平上皮癌、肝細胞癌(hepatocellular cancer)、頭頸部癌、非小細胞肺癌、卵巣癌、卵巣上皮癌、前立腺癌、乳癌、星状細胞腫瘍、多形性膠芽腫、未分化星状細胞腫、脳腫瘍、卵管癌、原発性腹腔癌、進行固形腫瘍、軟部組織肉腫、肉腫、骨髄異形成症候群、急性骨髄性白血病、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、ホジキン病、多発性骨髄腫、転移性固形腫瘍、大腸癌、胃癌(stomach cancer)、胃癌(gastric cancer)、横紋筋肉腫、粘液型円形細胞型脂肪肉腫、子宮体子宮内膜癌、子宮癌肉腫、精巣胚細胞腫瘍、ブドウ膜黒色腫、腎臓腎乳頭細胞癌、腎臓腎明細胞癌、胸腺腫、結腸腺癌、子宮頸部扁平上皮癌、子宮頸部腫瘍、膵臓腺癌、肝臓癌、肝細胞癌(hepatocellular carcinoma)、中皮腫、または再発非小細胞肺癌である、請求項70に記載の方法。
【請求項72】
前記複数の細胞が、前記対象に、第2の治療剤と組み合わせて投与される、請求項69~71のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は2020年1月24日に出願された米国仮出願第62/965,231号に対する優先権の利益を主張し、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
配列表
本出願は、ASCII形式で電子的に提出されている配列表を含み、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。2021年1月20日に作成された当該ASCII複写物は、118003-00520_SL.txtという名称で、サイズが461,085バイトである。
【背景技術】
【0003】
T細胞受容体(TCR)は、免疫グロブリン可変(V)領域および定常(C)領域に類似するα鎖およびβ鎖を含む膜結合ヘテロ二量体である。TCRα鎖は、共有結合で連結されたV-αおよびC-α鎖を含み、一方、β鎖は、C-β鎖に共有結合で連結されたV-β鎖を含む。V-α鎖およびV-β鎖は、主要組織適合性複合体(MHC)(ヒトではHLA複合体として知られている)との関連で抗原に結合することができるポケットまたは間隙を形成する。(Davis Ann.Rev.of Immunology 3:537(1985);Fundamental Immunology 3rd Ed.,W.Paul Ed.New York(1993)).
【0004】
TCRは、治療剤を開発するためのプラットフォームとして独自の利点を有する免疫系の主要なエフェクターである。抗体治療剤は、血液および細胞外空間における病原体の認識、または細胞表面上のタンパク質標的に限定されるが、T細胞受容体は、細胞内タンパク質に由来する抗原を含む、細胞表面上でMHC分子によって提示される抗原を認識することができる。提示された抗原を認識して活性化するT細胞のサブタイプに応じて、TCRは、様々な免疫応答を制御する際に関与することができる。例えば、T細胞は、B細胞の抗体産生細胞への分化の誘導を通して体液性免疫応答の調節に関与する。さらに、活性化したT細胞は、細胞媒介性免疫応答を開始するように作用する。したがって、TCRは、抗体に利用可能でない追加の標的を認識できる。加えて、TCRは、細胞の死滅を媒介し、B細胞の増殖を増加させ、がん、アレルギー、ウイルス感染症、および自己免疫障害を含む様々な障害の発症および重症度に影響を与えることが報告されている。
【0005】
TCRの機能の観点において、抗原特異的TCRは、抗原を発現する腫瘍にT細胞を再指向させるそれらの能力に関して、免疫療法での使用について評価されている。TCRは、長さが8~12個のアミノ酸のみの小さなペプチドに結合し、それらは主要組織適合性複合体(MHC)によって標的細胞の表面で結合される。したがって、TCRは、がんに由来する細胞内抗原またはウイルスタンパク質を認識することができるが、それはこれらの抗原が、表面MHCとの関連でペプチドとして処理および提示されるためである。したがって、TCRは、細胞に浸透できない抗体または療法には利用可能ではない、追加の内部細胞標的を認識することができる。
【0006】
しかしながら、この業界の課題は、患者に投与したときに免疫原性を欠き、関心対象の特定のペプチド抗原に対して微細特異性を有するTCRを、MHC上の他のペプチドまたは天然タンパク質レパートリーに見出される類似のエピトープと交差反応することなく、操作することである。
【0007】
黒色腫において優先的に発現する抗原、またはPRAMEは、X染色体上にコードされる周知のがん精巣抗原(CTA)である。転移性皮膚黒色腫におけるHLA-A*24限定細胞傷害性Tリンパ球によって認識され得る腫瘍抗原として初めて同定された(Ikeda H.,et al.(1997)Immunity 6:199-208)。PRAMEは、レチノイン酸受容体のリプレッサーとして機能することが示されており、したがって、この機構を介してがん細胞に増殖の利点を付与し得る(例えば、Epping M.T.,et al.(2005)Cell 122:835-847を参照されたい)。
【0008】
PRAMEは、黒色腫、腎細胞癌、非小細胞肺癌(NSCLC)、神経芽腫、乳癌、多発性骨髄腫、急性白血病、慢性骨髄性白血病、多発性肉腫サブタイプ、および原発性および転移性ブドウ膜黒色腫を含む異なる組織型の多くの腫瘍によって豊富に再発現するが、正常な健康な成人組織では、PRAMEの発現は精巣に限定される。
PRAME抗原に特異的に結合するT細胞受容体に基づく新規標的化剤、ならびに治療および診断の設定においてかかる薬剤を製造および使用するための方法に関して当該技術分野で満たされていないニーズがある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Davis Ann.Rev.of Immunology 3:537(1985);Fundamental Immunology 3rd Ed.,W.Paul Ed.New York(1993).
【非特許文献2】Ikeda H.,et al.(1997)Immunity 6:199-208
【非特許文献3】Epping M.T.,et al.(2005)Cell 122:835-847
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、MHC(HLA-A2)との関連でPRAMEペプチド抗原に対して作成されたT細胞受容体(TCR)を提供する。特定された固有のTCR配列は、HLA分子の溝に存在する小ペプチドPRAMEへの特異的な結合を示している。
【0011】
したがって、一態様において、本発明は、HLA-A2提示がん精巣抗原である、RLDQLLRHV(配列番号929)(PRAME 312~320)のアミノ酸配列を含む黒色腫において優先的に発現する抗原(PRAME)ペプチドに特異的に結合するT細胞受容体(TCR)(例えば、単離されたTCRまたは単離された細胞で発現するTCR)を提供し、TCRが、相補的決定領域(CDR)3を含むアルファ鎖可変ドメインを含み、CDR3が、表3に示されるアルファ鎖可変ドメインCDR3アミノ酸配列のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む。
【0012】
別の態様において、本発明は、HLA-A2提示がん精巣抗原である、RLDQLLRHV(配列番号929)(PRAME 312~320)のアミノ酸配列を含む黒色腫において優先的に発現する抗原(PRAME)ペプチドに特異的に結合するT細胞受容体(TCR)(例えば、単離されたTCRまたは単離された細胞で発現するTCR)を提供し、TCRが、相補的決定領域(CDR)3を含むベータ鎖可変ドメインを含み、CDR3が、表3に示されるベータ鎖可変ドメインCDR3アミノ酸配列のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む。
【0013】
いくつかの実施形態において、アルファ鎖可変ドメインは、CDR1およびCDR2をさらに含み、CDR1は、表3に示されるアルファ鎖可変ドメインCDR1アミノ酸配列のうちのいずれか1つを含み、CDR2は、独立して、表3に示されるアルファ鎖可変ドメインCDR2アミノ酸配列のうちのいずれか1つを含む。
【0014】
いくつかの実施形態において、ベータ鎖可変ドメインは、CDR1およびCDR2をさらに含み、CDR1は、表3に示されるベータ鎖可変CDR1アミノ酸配列のうちのいずれか1つを含み、CDR2は、独立して、表3に示されるベータ鎖可変ドメインCDR2アミノ酸配列のうちのいずれか1つを含む。
【0015】
TCRは、少なくとも1つのTCRアルファ鎖可変ドメインおよび/もしくは少なくとも1つのベータ鎖可変ドメインを含み得るか、またはTCRは、TCRアルファ鎖可変ドメインおよびTCRベータ鎖可変ドメインを含み得る。
【0016】
いくつかの実施形態において、TCRは、表5に列挙されるアルファ鎖可変ドメイン配列のうちのいずれか1つ内に含まれるアルファ鎖可変ドメインCDR1、CDR2、およびCDR3、ならびに表5に列挙されるベータ鎖可変ドメイン配列のうちのいずれか1つ内に含まれるベータ鎖可変ドメインCDR1、CDR2、およびCDR3を含む。
【0017】
いくつかの実施形態において、TCRは、表5に列挙されるアルファ鎖可変ドメインアミノ酸配列のアミノ酸配列のうちのいずれか1つのアミノ酸配列全体に対して少なくとも85%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を有するアルファ鎖可変ドメインを含む。
【0018】
いくつかの実施形態において、TCRは、表5に列挙されるベータ鎖可変ドメインアミノ酸配列のアミノ酸配列のうちのいずれか1つのアミノ酸配列全体に対して少なくとも85%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を有するベータ鎖可変ドメインを含む。
【0019】
いくつかの実施形態において、TCRは、(a)表5に列挙されるアルファ鎖可変ドメインアミノ酸配列のアミノ酸配列のうちのいずれか1つのアミノ酸配列全体に対して少なくとも85%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を有するアルファ鎖可変ドメインと、(b)表5に列挙されるベータ鎖可変ドメインアミノ酸配列のアミノ酸配列のうちのいずれか1つのアミノ酸配列全体に対して少なくとも85%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を有するベータ鎖可変ドメインと、を含む。
【0020】
いくつかの実施形態において、TCRは、(a)配列番号1、7、13、19、25、31、37、43、49、55、61、67、73、79、85、91、97、および103からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するアルファ鎖可変ドメインCDR1ドメインと、(b)配列番号2、8、14、20、26、32、38、44、50、56、62、68、74、80、86、92、98、および104からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するアルファ鎖可変ドメインCDR2ドメインと、(c)配列番号3、9、15、21、27、33、39、45、51、57、63、69、75、81、87、93、99、および105からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するアルファ鎖可変ドメインCDR3ドメインと、(d)配列番号4、10、16、22、28、34、40、46、52、58、64、70、76、82、88、94、100、および106からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するベータ鎖可変ドメインCDR1と、(e)配列番号5、11、17、23、29、35、41、47、53、59、65、71、77、83、89、95、101、および107からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するベータ鎖可変ドメインCDR2と、(f)配列番号6、12、18、24、30、36、42、48、54、60、66、72、78、84、90、96、102、および108からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するベータ鎖可変ドメインCDR3と、を含む。
【0021】
いくつかの実施形態において、TCRは、配列番号217/219、229/231、237/239、241/243、および285/287からなる群から選択されるアルファ鎖可変ドメイン/ベータ鎖可変ドメインのアミノ酸配列対を含む。
【0022】
いくつかの実施形態において、TCRは、配列番号217/219、221/223、225/227、229/231、233/235、237/239、241/243、245/247、249/251、253/255、257/259、261/263、265/267、269/271、273/275、277/279、281/283、および285/287からなる群から選択されるアルファ鎖可変ドメイン/ベータ鎖可変ドメインアミノ酸配列対を含む。
【0023】
本発明はまた、本発明のTCRのうちのいずれか1つ以上との結合を完了するTCR(例えば、単離されたTCR、または単離された細胞で発現するTCR)を提供する。
【0024】
一態様において、本発明は、HLA-A2提示がん精巣抗原である、SLLQHLIGL(配列番号930)(PRAME 425-433)のアミノ酸配列を含む黒色腫において優先的に発現する抗原(PRAME)ペプチドに特異的に結合するT細胞受容体(TCR)(例えば、単離されたTCRまたは単離された細胞で発現するTCR)を提供し、TCRが、相補的決定領域(CDR)3を含むアルファ鎖可変ドメインを含み、CDR3が、表6に示されるアルファ鎖可変ドメインCDR3アミノ酸配列のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む。
【0025】
一態様において、本発明は、HLA-A2提示がん精巣抗原である、SLLQHLIGL(配列番号930)(PRAME 425-433)のアミノ酸配列を含む黒色腫において優先的に発現する抗原(PRAME)ペプチドに特異的に結合するT細胞受容体(TCR)(例えば、単離されたTCRまたは単離された細胞で発現するTCR)を提供し、TCRが、相補的決定領域(CDR)3を含むベータ鎖可変ドメインを含み、CDR3が、表6に示されるベータ鎖可変ドメインCDR3アミノ酸配列のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む。
【0026】
いくつかの実施形態において、アルファ鎖可変ドメインは、CDR1およびCDR2をさらに含み、CDR1は、表6に示されるアルファ鎖可変ドメインCDR1アミノ酸配列のうちのいずれか1つを含み、CDR2は、独立して、表6に示されるアルファ鎖可変ドメインCDR2アミノ酸配列のうちのいずれか1つを含む。
【0027】
いくつかの実施形態において、ベータ鎖可変ドメインは、CDR1およびCDR2をさらに含み、CDR1は、表6に示されるベータ鎖可変CDR1アミノ酸配列のうちのいずれか1つを含み、CDR2は、独立して、表6に示されるベータ鎖可変ドメインCDR2アミノ酸配列のうちのいずれか1つを含む。
【0028】
TCRは、少なくとも1つのTCRアルファ鎖可変ドメインおよび/または少なくとも1つのベータ鎖可変ドメインを含み得るか、あるいはTCRは、TCRアルファ鎖可変ドメインおよびTCRベータ鎖可変ドメインを含み得る。
【0029】
いくつかの実施形態において、TCRは、表8に列挙されるアルファ鎖可変ドメイン配列のうちのいずれか1つ内に含まれるアルファ鎖可変ドメインCDR1、CDR2、およびCDR3、ならびに表8に列挙されるベータ鎖可変ドメイン配列のうちのいずれか1つ内に含まれるベータ鎖可変ドメインCDR1、CDR2、およびCDR3を含む。
【0030】
いくつかの実施形態において、TCRは、表8に列挙されるアルファ鎖可変ドメインアミノ酸配列のアミノ酸配列のうちのいずれか1つのアミノ酸配列全体に対して少なくとも85%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を有するアルファ鎖可変ドメインを含む。
【0031】
いくつかの実施形態において、TCRは、表8に列挙されるベータ鎖可変ドメインアミノ酸配列のアミノ酸配列のうちのいずれか1つのアミノ酸配列全体に対して少なくとも85%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を有するベータ鎖可変ドメインを含む。
【0032】
いくつかの実施形態において、TCRは、(a)表8に列挙されるアルファ鎖可変ドメインアミノ酸配列のアミノ酸配列のうちのいずれか1つのアミノ酸配列全体に対して少なくとも85%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を有するアルファ鎖可変ドメインと、(b)表8に列挙されるベータ鎖可変ドメインアミノ酸配列のアミノ酸配列のうちのいずれか1つのアミノ酸配列全体に対して少なくとも85%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を有するベータ鎖可変ドメインと、を含む。
【0033】
いくつか実施形態において、TCRは、(a)配列番号289、295、301、307、313、319、325、331、337、343、349、355、361、367、373、379、385、391、397、403、409、415、421、427、433、439、445、451、457、463、469、475、481、487、493、499、505、511、517、および523からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するアルファ鎖可変ドメインCDR1ドメインと、(b)配列番号290、296、302、308、314、320、326、332、338、344、350、356、362、368、374、380、386、392、398、404、410、416、422、428、434、440、446、452、458、464、470、476、482、488、494、500、506、512、518、および524からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するアルファ鎖可変ドメインCDR2ドメインと、(c)配列番号291、297、303、309、315、321、327、333、339、345、351、357、363、369、375、381、387、393、399、405、411、417、423、429、435、441、447、453、459、465、471、477、483、489、495、501、507、513、519、および525からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するアルファ鎖可変ドメインCDR3ドメインと、(d)配列番号292、298、304、310、316、322、328、334、340、346、352、358、364、370、376、382、388、394、400、406、412、418、424、430、436、442、448、454、460、466、472、478、484、490、496、502、508、514、520、および526からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するベータ鎖可変ドメインCDR1と、(e)配列番号293、299、305、311、317、323、329、335、341、347、353、359、365、371、377、383、389、395、401、407、413、419、425、431、437、443、449、455、461、467、473、479、485、491、497、503、509、515、521、および527からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するベータ鎖可変ドメインCDR2と、(f)配列番号294、300、306、312、318、324、330、336、342、348、354、360、366、372、378、384、390、396、402、408、414、420、426、432、438、444、450、456、462、468、474、480、486、492、498、504、510、516、522、および528からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するベータ鎖可変ドメインCDR3と、を含む。
【0034】
いくつかの実施形態において、TCRは、配列番号825/827、845/847、853/855、857/859、865/867、873/875、885/887、893/805、897/899、901/903、913/915、および925/927からなる群から選択されるアルファ鎖可変ドメイン/ベータ鎖可変ドメインのアミノ酸配列対を含む。
【0035】
一実施形態において、TCRは、配列番号769/771、773/775、777/779、781/783、785/787、789/791、793/795、797/799、801/803、805/807、809/811、813/815、817/819、821/823、825/827、829/831、833/835、837/839、841/843、845/847、849/851、853/855、857/859、861/863、865/867、869/871、873/875、877/879、881/883、885/887、889/891、893/805、897/899、901/903、905/907、909/911、913/915、917/919、921/923、および925/927からなる群から選択されるアルファ鎖可変ドメイン/ベータ鎖可変ドメインアミノ酸配列対を含む。
【0036】
本発明はまた、本発明のTCRのうちのいずれか1つ以上との結合を完了するTCR(例えば、単離されたTCR、または単離された細胞で発現するTCR)を提供する。
【0037】
いくつかの実施形態において、本発明のTCRは、検出可能部分をさらに含む。
【0038】
本発明はさらに、本発明のTCRのうちのいずれかと、薬学的に許容される担体または希釈剤と、を含む医薬組成物、ならびに本発明のTCRのうちのいずれかを提示する単離された細胞を提供する。
【0039】
一態様において、本発明は、本発明のTCRのうちのいずれかのアルファ鎖可変ドメインをコードするポリヌクレオチド配列を含む、単離されたポリヌクレオチド分子を提供する。
【0040】
別の態様において、本発明は、本発明のTCRのうちのいずれかのベータ鎖可変ドメインをコードするポリヌクレオチド配列を含む、単離されたポリヌクレオチド分子を提供する。
【0041】
本発明はまた、本発明のポリヌクレオチド分子を含むベクター、本発明のベクターを発現する細胞を提供する。
【0042】
一態様において、本発明は、PRAME関連疾患または障害を有する対象を治療する方法を提供する。本方法は、治療有効量の本発明のTCR(例えば、単離されたTCR、または単離された細胞で発現するTCR)、医薬組成物、または複数の細胞を対象に投与し、それによって、対象を治療することを含む。
【0043】
いくつかの実施形態において、PRAME関連疾患または障害は、PRAME関連がんである。
【0044】
いくつかの実施形態において、PRAME関連がんは、脂肪肉腫、神経芽腫、骨髄腫、黒色腫、転移性黒色腫、滑膜肉腫、膀胱癌、食道癌、食道扁平上皮癌、肝細胞癌(hepatocellular cancer)、頭頸部癌、非小細胞肺癌、卵巣癌、卵巣上皮癌、前立腺癌、乳癌、星状細胞腫瘍、多形性膠芽腫、未分化星状細胞腫、脳腫瘍、卵管癌、原発性腹腔癌、進行固形腫瘍、軟部組織肉腫、肉腫、骨髄異形成症候群、急性骨髄性白血病、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、ホジキン病、多発性骨髄腫、転移性固形腫瘍、大腸癌、胃癌(stomach cancer)、胃癌(gastric cancer)、横紋筋肉腫、粘液型円形細胞型脂肪肉腫、子宮体子宮内膜癌、子宮癌肉腫、精巣胚細胞腫瘍、ブドウ膜黒色腫、腎臓腎乳頭細胞癌、腎臓腎明細胞癌、胸腺腫、結腸腺癌、子宮頸部扁平上皮癌、子宮頸部腫瘍、膵臓腺癌、肝臓癌、肝細胞癌(hepatocellular carcinoma)、中皮腫、または再発非小細胞肺癌である。
【0045】
本発明のいくつかの実施形態において、本発明のTCR(例えば、単離されたTCR、または単離された細胞で発現するTCR)、医薬組成物、または本発明の複数の細胞は、第2の治療剤と組み合わせて対象に投与される。
【0046】
TCR、医薬組成物、または複数の細胞は、対象に、皮下、静脈内、皮内、腹腔内、経口、筋肉内、または頭蓋内に投与され得る。
【0047】
一態様において、本発明は、T細胞受容体(TCR)をコードする単離された核酸分子を提供し、TCRが、HLA-A2提示がん精巣抗原である、RLDQLLRHV(配列番号929)(PRAME 312~320)のアミノ酸配列を含む黒色腫において優先的に発現する抗原(PRAME)ペプチドに特異的に結合し、TCRが、相補的決定領域(CDR)3を含むアルファ鎖可変ドメインを含み、CDR3が、表5に示されるアルファ鎖可変ドメインCDR3アミノ酸配列のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む。
【0048】
別の態様において、本発明は、T細胞受容体(TCR)をコードする単離された核酸分子を提供し、TCRが、HLA-A2提示がん精巣抗原である、RLDQLLRHV(配列番号929)(PRAME 312~320)のアミノ酸配列を含む黒色腫において優先的に発現する抗原(PRAME)ペプチドに特異的に結合し、TCRが、相補的決定領域(CDR)3を含むベータ鎖可変ドメインを含み、CDR3が、表5に示されるベータ鎖可変ドメインCDR3アミノ酸配列のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む。
【0049】
いくつかの実施形態において、単離された核酸分子は、少なくとも1つのTCRアルファ鎖可変ドメインおよび/または少なくとも1つのベータ鎖可変ドメインをコードする。
【0050】
いくつかの実施形態において、TCRは、表5に列挙されるアルファ鎖可変ドメイン配列のうちのいずれか1つ内に含まれるアルファ鎖可変ドメイン相補的決定領域(CDR)1、CDR2、およびCDR3と、表5に列挙されるベータ鎖可変ドメイン配列のうちのいずれか1つ内に含まれるベータ鎖可変ドメインCDR1、CDR2、およびCDR3と、を含む。
【0051】
いくつかの実施形態において、TCR(例えば、単離されたTCR、または単離された細胞で発現するTCR)は、表5に列挙されるアルファ鎖可変ドメインアミノ酸配列のアミノ酸配列のうちのいずれか1つのアミノ酸配列全体に対して少なくとも85%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を有するアルファ鎖可変ドメインを含む。
【0052】
いくつかの実施形態において、TCRは、表5に列挙されるベータ鎖可変ドメインアミノ酸配列のアミノ酸配列のうちのいずれか1つのアミノ酸配列全体に対して少なくとも85%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を有するベータ鎖可変ドメインを含む。
【0053】
いくつかの実施形態において、TCRは、(a)表5に列挙されるアルファ鎖可変ドメインアミノ酸配列のアミノ酸配列のうちのいずれか1つのアミノ酸配列全体に対して少なくとも85%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を有するアルファ鎖可変ドメインと、(b)表5に列挙されるベータ鎖可変ドメインアミノ酸配列のアミノ酸配列のうちのいずれか1つのアミノ酸配列全体に対して少なくとも85%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を有するベータ鎖可変ドメインと、を含む。
【0054】
いくつかの実施形態において、単離された抗原結合タンパク質は、(a)配列番号1、7、13、19、25、31、37、43、49、55、61、67、73、79、85、91、97、および103からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するアルファ鎖可変ドメインCDR1ドメインと、(b)配列番号2、8、14、20、26、32、38、44、50、56、62、68、74、80、86、92、98、および104からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するアルファ鎖可変ドメインCDR2ドメインと、(c)配列番号3、9、15、21、27、33、39、45、51、57、63、69、75、81、87、93、99、および105からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するアルファ鎖可変ドメインCDR3ドメインと、(d)配列番号4、10、16、22、28、34、40、46、52、58、64、70、76、82、88、94、100、および106からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するベータ鎖可変ドメインCDR1と、(e)配列番号5、11、17、23、29、35、41、47、53、59、65、71、77、83、89、95、101、および107からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するベータ鎖可変ドメインCDR2と、(f)配列番号6、12、18、24、30、36、42、48、54、60、66、72、78、84、90、96、102、および108からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するベータ鎖可変ドメインCDR3と、を含む。
【0055】
いくつかの実施形態において、TCRは、配列番号217/219、229/231、237/239、241/243、および285/287からなる群から選択されるアルファ鎖可変ドメイン/ベータ鎖可変ドメインのアミノ酸配列対を含む。
【0056】
いくつかの実施形態において、TCRは、配列番号217/219、221/223、225/227、229/231、233/235、237/239、241/243、245/247、249/251、253/255、257/259、261/263、265/267、269/271、273/275、277/279、281/283、および285/287からなる群から選択されるアルファ鎖可変ドメイン/ベータ鎖可変ドメインアミノ酸配列対を含む。
【0057】
いくつかの実施形態において、単離された抗原結合タンパク質は、(a)配列番号109、115、121、127、133、139、145、151、157、163、169、175、181、187、193、199、205、および211からなる群から選択される核酸配列によってコードされるアルファ鎖可変ドメインCDR1と、(b)配列番号110、116、122、128、134、140、146、152、158、164、170、176、182、188、194、200、206、および212からなる群から選択される核酸配列によってコードされるアルファ鎖可変ドメインCDR2と、(c)配列番号111、117、123、129、135、141、147、153、159、165、171、177、183、189、195、201、207、および213からなる群から選択される核酸配列によってコードされるアルファ鎖可変ドメインCDR3と、(d)配列番号112、118、124、130、136、142、148、154、160、166、172、178、184、190、196、202、208、および214からなる群から選択される核酸配列によってコードされるベータ鎖可変ドメインCDR1と、(e)配列番号113、119、125、131、137、143、149、155、161、167、173、179、185、191、197、203、209、および215からなる群から選択される核酸配列によってコードされるベータ鎖可変ドメインCDR2と、(f)配列番号114、120、126、132、138、144、150、156、162、168、174、180、186、192、198、204、210、および216からなる群から選択される核酸配列によってコードされるベータ鎖可変ドメインCDR3と、を含む。
【0058】
いくつかの実施形態において、TCRは、配列番号218/220、222/224、226/228、230/232、234/236、238/240、242/244、246/248、250/252、254/256、258/260、262/264、266/268、270/272、274/276、278/280、282/284、および286/288からなる群から選択されるアルファ鎖可変ドメイン/ベータ鎖可変ドメイン核酸配列対を含む。
【0059】
本発明はまた、本発明の単離された核酸分子を含むベクターおよび本発明のベクターを含む単離された細胞を提供する。
【0060】
一態様において、本発明は、本発明のTCRのうちのいずれかのアルファ鎖可変ドメインをコードするポリヌクレオチド配列を含む、単離されたポリヌクレオチド分子を提供する。
【0061】
別の態様において、本発明は、本発明のTCRのうちのいずれかのベータ鎖可変ドメインをコードするポリヌクレオチド配列を含む、単離されたポリヌクレオチド分子を提供する。
【0062】
本発明はまた、本発明のポリヌクレオチド分子を含むベクター、本発明のベクターを発現する細胞を提供する。
【0063】
一態様において、本発明は、PRAME関連疾患または障害を有する対象を治療する方法を提供する。本方法は、治療有効量の本発明のTCR(例えば、単離されたTCR、または単離された細胞で発現するTCR)、医薬組成物、または複数の細胞を対象に投与し、それによって、対象を治療することを含む。
【0064】
いくつかの実施形態において、PRAME関連疾患または障害は、PRAME関連がんである。
【0065】
いくつかの実施形態において、PRAME関連がんは、脂肪肉腫、神経芽腫、骨髄腫、黒色腫、転移性黒色腫、滑膜肉腫、膀胱癌、食道癌、食道扁平上皮癌、肝細胞癌(hepatocellular cancer)、頭頸部癌、非小細胞肺癌、卵巣癌、卵巣上皮癌、前立腺癌、乳癌、星状細胞腫瘍、多形性膠芽腫、未分化星状細胞腫、脳腫瘍、卵管癌、原発性腹腔癌、進行固形腫瘍、軟部組織肉腫、肉腫、骨髄異形成症候群、急性骨髄性白血病、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、ホジキン病、多発性骨髄腫、転移性固形腫瘍、大腸癌、胃癌(stomach cancer)、胃癌(gastric cancer)、横紋筋肉腫、粘液型円形細胞型脂肪肉腫、子宮体子宮内膜癌、子宮癌肉腫、精巣胚細胞腫瘍、ブドウ膜黒色腫、腎臓腎乳頭細胞癌、腎臓腎明細胞癌、胸腺腫、結腸腺癌、子宮頸部扁平上皮癌、子宮頸部腫瘍、膵臓腺癌、肝臓癌、肝細胞癌(hepatocellular carcinoma)、中皮腫、または再発非小細胞肺癌である。
【0066】
本発明のいくつかの実施形態において、本発明のTCR(例えば、単離されたTCR、または単離された細胞で発現するTCR)、医薬組成物、または本発明の複数の細胞は、第2の治療剤と組み合わせて対象に投与される。
【0067】
TCR、医薬組成物、または複数の細胞は、対象に、皮下、静脈内、皮内、腹腔内、経口、筋肉内、または頭蓋内に投与され得る。
【0068】
一態様において、本発明は、T細胞受容体(TCR)をコードする単離された核酸分子を提供し、TCRが、HLA-A2提示がん精巣抗原である、SLLQHLIGL(配列番号930)(PRAME 425-433)のアミノ酸配列を含む黒色腫において優先的に発現する抗原(PRAME)ペプチドに特異的に結合し、TCRが、相補的決定領域(CDR)3を含むアルファ鎖可変ドメインを含み、CDR3が、表8に示されるアルファ鎖可変ドメインCDR3アミノ酸配列のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む。
【0069】
別の態様において、本発明は、T細胞受容体(TCR)をコードする単離された核酸分子を提供し、TCRが、HLA-A2提示がん精巣抗原である、SLLQHLIGL(配列番号930)(PRAME 425-433)のアミノ酸配列を含む黒色腫において優先的に発現する抗原(PRAME)ペプチドに特異的に結合し、TCRが、相補的決定領域(CDR)3を含むベータ鎖可変ドメインを含み、CDR3が、表8に示されるベータ鎖可変ドメインCDR3アミノ酸配列のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む。
【0070】
いくつかの実施形態において、単離された核酸分子は、少なくとも1つのTCRアルファ鎖可変ドメインおよび/または少なくとも1つのベータ鎖可変ドメインをコードする。
【0071】
いくつかの実施形態において、TCRは、表8に列挙されるアルファ鎖可変ドメイン配列のうちのいずれか1つ内に含まれるアルファ鎖可変ドメイン相補的決定領域(CDR)1、CDR2、およびCDR3と、表8に列挙されるベータ鎖可変ドメイン配列のうちのいずれか1つ内に含まれるベータ鎖可変ドメインCDR1、CDR2、およびCDR3と、を含む。
【0072】
いくつかの実施形態において、TCR(例えば、単離されたTCR、または単離された細胞で発現するTCR)は、表8に列挙されるアルファ鎖可変ドメインアミノ酸配列のアミノ酸配列のうちのいずれか1つのアミノ酸配列全体に対して少なくとも85%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を有するアルファ鎖可変ドメインを含む。
【0073】
いくつかの実施形態において、TCRは、表8に列挙されるベータ鎖可変ドメインアミノ酸配列のアミノ酸配列のうちのいずれか1つのアミノ酸配列全体に対して少なくとも85%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を有するベータ鎖可変ドメインを含む。
【0074】
いくつかの実施形態において、TCRは、(a)表8に列挙されるアルファ鎖可変ドメインアミノ酸配列のアミノ酸配列のうちのいずれか1つのアミノ酸配列全体に対して少なくとも85%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を有するアルファ鎖可変ドメインと、(b)表8に列挙されるベータ鎖可変ドメインアミノ酸配列のアミノ酸配列のうちのいずれか1つのアミノ酸配列全体に対して少なくとも85%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を有するベータ鎖可変ドメインと、を含む。
【0075】
いくつか実施形態において、単離された抗原結合タンパク質は、(a)配列番号289、295、301、307、313、319、325、331、337、343、349、355、361、367、373、379、385、391、397、403、409、415、421、427、433、439、445、451、457、463、469、475、481、487、493、499、505、511、517、および523からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するアルファ鎖可変ドメインCDR1ドメインと、(b)配列番号290、296、302、308、314、320、326、332、338、344、350、356、362、368、374、380、386、392、398、404、410、416、422、428、434、440、446、452、458、464、470、476、482、488、494、500、506、512、518、および524からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するアルファ鎖可変ドメインCDR2ドメインと、(c)配列番号291、297、303、309、315、321、327、333、339、345、351、357、363、369、375、381、387、393、399、405、411、417、423、429、435、441、447、453、459、465、471、477、483、489、495、501、507、513、519、および525からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するアルファ鎖可変ドメインCDR3ドメインと、(d)配列番号292、298、304、310、316、322、328、334、340、346、352、358、364、370、376、382、388、394、400、406、412、418、424、430、436、442、448、454、460、466、472、478、484、490、496、502、508、514、520、および526からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するベータ鎖可変ドメインCDR1と、(e)配列番号293、299、305、311、317、323、329、335、341、347、353、359、365、371、377、383、389、395、401、407、413、419、425、431、437、443、449、455、461、467、473、479、485、491、497、503、509、515、521、および527からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するベータ鎖可変ドメインCDR2と、(f)配列番号294、300、306、312、318、324、330、336、342、348、354、360、366、372、378、384、390、396、402、408、414、420、426、432、438、444、450、456、462、468、474、480、486、492、498、504、510、516、522、および528からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するベータ鎖可変ドメインCDR3と、を含む。
【0076】
いくつかの実施形態において、TCRは、配列番号825/827、845/847、853/855、857/859、865/867、873/875、885/887、893/805、897/899、901/903、913/915、および925/927からなる群から選択されるアルファ鎖可変ドメイン/ベータ鎖可変ドメインのアミノ酸配列対を含む。
【0077】
一実施形態において、TCRは、配列番号769/771、773/775、777/779、781/783、785/787、789/791、793/795、797/799、801/803、805/807、809/811、813/815、817/819、821/823、825/827、829/831、833/835、837/839、841/843、845/847、849/851、853/855、857/859、861/863、865/867、869/871、873/875、877/879、881/883、885/887、889/891、893/805、897/899、901/903、905/907、909/911、913/915、917/919、921/923、および925/927からなる群から選択されるアルファ鎖可変ドメイン/ベータ鎖可変ドメインアミノ酸配列対を含む。
【0078】
一実施形態において、単離された抗原結合タンパク質は、(a)配列番号529、535、541、547、553、559、565、571、577、583、589、595、601、607、613、619、625、631、637、643、649、655、661、667、673、679、685、691、697、703、709、715、721、727、733、739、745、751、757、および763からなる群から選択される核酸配列によってコードされるアルファ鎖可変ドメインCDR1と、(b)配列番号530、536、542、548、554、560、566、572、578、584、590、596、602、608、614、620、626、632、638、644、650、656、662、668、674、680、686、692、698、704、710、716、722、728、734、740、746、752、758、および764からなる群から選択される核酸配列によってコードされるアルファ鎖可変ドメインCDR2と、(c)配列番号531、537、543、549、555、561、567、573、579、585、591、597、603、609、615、621、627、633、639、645、651、657、663、669、675、681、687、693、699、705、711、717、723、729、735、741、747、753、759、および765からなる群から選択される核酸配列によってコードされるアルファ鎖可変ドメインCDR3と、(d)配列番号532、538、544、550、556、562、568、574、580、586、592、598、604、610、616、622、628、634、640、646、652、658、664、670、676、682、688、694、700、706、712、718、724、730、736、742、748、754、760、および766からなる群から選択される核酸配列によってコードされるベータ鎖可変ドメインCDR1と、(e)配列番号533、539、545、551、557、563、569、575、581、587、593、599、605、611、617、623、629、635、641、647、653、659、665、671、677、683、689、695、701、707、713、719、725、731、737、743、749、755、761、および767からなる群から選択される核酸配列によってコードされるベータ鎖可変ドメインCDR2と、(f)配列番号534、540、546、552、558、564、570、576、582、588、594、600、606、612、618、624、630、636、642、648、654、660、666、672、678、684、690、696、702、708、714、720、726、732、738、744、750、756、762、および768からなる群から選択される核酸配列によってコードされるベータ鎖可変ドメインCDR3と、を含む。
【0079】
一実施形態において、TCRは、配列番号770/772、774/776、778/780、782/784、786/788、790/792、794/796、798/800、802/804、806/808、810/812、814/816、818/820、822/824、826/828、830/832、834/836、838/840、842/844、846/848、850/852、854/856、858/860、862/864、866/868、870/872、874/876、878/880、882/884、886/888、890/892、894/896、898/900、902/904、906/908、910/912、914/916、918/920、922/924、および926/928からなる群から選択されるアルファ鎖可変ドメイン/ベータ鎖可変ドメイン核酸配列対を含む。
【0080】
本発明はまた、本発明の単離された核酸分子を含むベクターおよび本発明のベクターを含む単離された細胞を提供する。
【0081】
一態様では、本発明は、PRAME関連疾患または障害を有する対象を治療する方法であって、対象に、本発明のベクターを含む複数の細胞を投与し、それによって、対象を治療することを含む、方法を提供する。
【0082】
いくつかの実施形態において、PRAME関連疾患または障害は、PRAME関連がんである。
【0083】
いくつかの実施形態において、PRAME関連がんは、脂肪肉腫、神経芽腫、骨髄腫、黒色腫、転移性黒色腫、滑膜肉腫、膀胱癌、食道癌、食道扁平上皮癌、肝細胞癌(hepatocellular cancer)、頭頸部癌、非小細胞肺癌、卵巣癌、卵巣上皮癌、前立腺癌、乳癌、星状細胞腫瘍、多形性膠芽腫、未分化星状細胞腫、脳腫瘍、卵管癌、原発性腹腔癌、進行固形腫瘍、軟部組織肉腫、肉腫、骨髄異形成症候群、急性骨髄性白血病、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、ホジキン病、多発性骨髄腫、転移性固形腫瘍、大腸癌、胃癌(stomach cancer)、胃癌(gastric cancer)、横紋筋肉腫、粘液型円形細胞型脂肪肉腫、子宮体子宮内膜癌、子宮癌肉腫、精巣胚細胞腫瘍、ブドウ膜黒色腫、腎臓腎乳頭細胞癌、腎臓腎明細胞癌、胸腺腫、結腸腺癌、子宮頸部扁平上皮癌、子宮頸部腫瘍、膵臓腺癌、肝臓癌、肝細胞癌(hepatocellular carcinoma)、中皮腫、または再発非小細胞肺癌である。
【0084】
いくつかの実施形態において、複数の細胞は、第2の治療剤と組み合わせて、対象に投与される。
【0085】
本発明は、以下の詳細な記載および図面によってさらに説明される。
【発明を実施するための形態】
【0086】
本発明は、MHC(HLA-A2)との関連でPRAMEペプチド抗原に対して作成されたT細胞受容体(TCR)を提供する。特定された固有のTCR配列は、HLA分子の溝に存在する小ペプチドPRAMEに対する特異的結合を示している。
【0087】
I.定義
本発明がより容易に理解され得るようにするため、特定の用語が最初に定義される。さらに、パラメータの値または値の範囲が列挙されるときはいつでも、列挙された値の中間の値および範囲も本発明の一部であることが意図されることに留意されたい。
【0088】
以下の記載では、説明の目的のため、特定の番号、材料、および構成が、本発明の完全な理解を提供するために示される。しかしながら、本発明がこれらの特定の詳細なしで実施され得ることは当業者には明らかであろう。場合によっては、周知の特性が、本発明を曖昧にしないようにして、省略または簡略化され得る。さらに、本明細書における「一実施形態」または「実施形態」などの語句への言及は、実施形態に関連して説明される特定の特性、構造、または特徴が、本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。本明細書の様々な箇所における「一実施形態において」などの語句の出現は、必ずしもすべてが同じ実施形態を指すものではない。
【0089】
冠詞「a」および「an」は、本明細書では、冠詞の文法的目的語の1つまたは2つ以上(すなわち、少なくとも1つ)を指すために使用される。例として、「要素(an element)」は、1つの要素または2つ以上の要素を意味する。
【0090】
「含んでいる」または「含む」という用語は、本明細書では、本開示に不可欠である組成物、方法、およびそれらのそれぞれの構成要素を指して使用されるが、不可欠であるかが特定されていない要素を含めることができる。
【0091】
「からなる」という用語は、本明細書に記載される組成物、方法、およびそれらのそれぞれの構成要素を指し、これらは、実施形態のその説明に列挙されていない任意の要素を除外する。
【0092】
「T細胞受容体」(TCR)という用語は、本明細書で使用される場合、可変結合ドメイン、定常ドメイン、膜貫通領域、および短い細胞質尾部を有する免疫グロブリンスーパーファミリーメンバーを指し(例えば、Janeway et al.,Immunobiology:The Immune System in Health and Disease,3rd Ed.,Current Biology Publications,p.4:33,1997を参照されたい)、MHC受容体に結合した抗原ペプチドに特異的に結合することができる。TCRは細胞の表面上に認められ、概して、α鎖およびβ鎖(それぞれTCRαおよびTCRβとしても知られている)、またはγ鎖およびδ鎖(それぞれTCRγおよびTCRδとしても知られている)を有するヘテロ二量体から構成される。免疫グロブリンと同様に、TCR鎖(例えば、α鎖、β鎖)の細胞外部分は、細胞膜に隣接する2つの免疫グロブリン領域である、可変領域(例えば、TCR可変α領域またはVαおよびTCR可変β領域またはVβで、典型的にはN末端でのKabat番号付けに基づくアミノ酸1~116)、および1つの定常領域(例えば、TCR定常ドメインαまたはCαで、典型的にはKabatに基づくアミノ酸117~259、TCR定常ドメインβまたはCβで、典型的にはKabatに基づくアミノ酸117~295)を含む。また、免疫グロブリンと同様に、可変ドメインは、フレームワーク領域(FR)によって分離される相補的決定領域(CDR)を含む。特定の実施形態において、TCRはT細胞(またはTリンパ球)の表面に認められ、CD3複合体と会合する。本開示のTCRの供給源は、ヒト、マウス、ラット、ウサギ、または他の哺乳動物などの様々な動物種に由来し得る。好ましい実施形態において、本発明のTCRの供給源は、ヒトアルファ鎖およびベータ鎖を含むTCRを産生するように遺伝子操作されたマウスである(例えば、参照によりその全内容が本明細書に組み込まれる、PCT公開第WO2016/164492号を参照されたい)。
【0093】
本明細書で使用される「可変領域」(アルファ鎖(Vα)の可変領域、ベータ鎖(Vβ)の可変領域)という用語は、TCRの抗原との結合に直接関与するアルファ鎖およびベータ鎖の各々を意味する。
【0094】
アルファ鎖およびベータ鎖の「定常領域」は、TCRの抗原との結合に直接関与しないが、様々なエフェクター機能を示す。
【0095】
本明細書で使用される「抗原」という用語は、免疫系にそれに対する抗体または特定細胞媒介性免疫応答を生じさせる任意の物質を意味する。疾患関連抗原は、免疫系にそれに対する抗体または特定細胞媒介性応答を生じさせる、任意の疾患に関連する任意の物質である。
【0096】
「PRAME」、または「黒色腫において優先的に発現する抗原」という用語は、多数のがんタイプで再発現する周知のがん精巣抗原(CTA)を指す。
【0097】
PRAMEのヌクレオチド配列は既知であり、例えば、GenBank受託番号NM_001291715.2(配列番号931)、NM_001291716.2(配列番号932)、NM_001291717.2(配列番号933)、NM_001291719.2(配列番号934)、NM_001318126.1(配列番号935)、NM_001318127.1(配列番号936)、NM_006115.5(配列番号937)、NM_206956.3(配列番号938)、NM_206955.2(配列番号939)、NM_206954.3(配列番号940)、およびNM_206953.2(配列番号941)に見出すことができる。全長PRAMEのアミノ酸配列は、既知であり、例えば、GenBankに受託番号NP_001278646.1(配列番号942),NP_006106.1(配列番号943),NP_996837.1(配列番号944),NP_996836.1(配列番号945),NP_996839.1(配列番号946),NP_996838.1(配列番号947),NP_001278644.1(配列番号948),NP_001305055.1(配列番号949),NP_001305056.1(配列番号950),NP_001278648.1(配列番号951)、およびNP_001278645.1(配列番号952)として見出すことができる。「PRAME」という用語は、組換えPRAMEまたはその断片を含む。本用語はまた、例えば、ヒスチジンタグ、マウスもしくはヒトFc、またはROR1などのシグナル配列に結合したPRAMEまたはその断片も包含する。特定の実施形態において、当該用語は、HLA-A2との関連で、HLA-A2に連結されるか、またはHLA-A2によって提示される、PRAMEまたはその断片を含む。本明細書で使用される場合、全長PRAME配列内の特定のPRAMEアミノ酸残基の番号付けは、配列番号944に対する。
【0098】
「HLA」という用語は、ヒト白血球抗原(HLA)系または複合体を指し、ヒトにおける主要組織適合性複合体(MHC)タンパク質をコードする遺伝子複合体である。これらの細胞表面タンパク質は、ヒトにおける免疫系の調節に関与している。MHCクラスI(A、B、およびC)に対応するHLAは、細胞の内部からペプチドを提示する。
【0099】
「HLA-A」という用語は、HLA-A遺伝子座によってコードされるヒト白血球抗原(HLA)の群を指す。HLA-Aは、ヒトMHCクラスI細胞表面受容体の3つの主要なタイプのうちの1つである。受容体はヘテロ二量体であり、重α鎖およびより小さいβ鎖から構成される。α鎖は、バリアントHLA-A遺伝子によってコードされ、β鎖(β2-マイクログロブリン)は、インバリアントβ2マイクログロブリン分子である。
【0100】
「HLA-A2」という用語(HLA-A2*01またはHLA-A*0201またはHLA-A*02:01とも称され得る)は、HLA-A遺伝子座の1つの特定のクラスI主要組織適合性複合体(MHC)対立遺伝子グループであり、α鎖は、HLA-A*02遺伝子によってコードされ、β鎖は、β2-マイクログロブリンまたはB2M遺伝子座によってコードされる。
【0101】
「と特異的に結合する」または「に特異的に結合する」などの用語は、TCRが、生理学的条件下で比較的安定である抗原と複合体を形成することを意味する。特異的結合は、少なくとも約1×10-6M以下、例えば、1×10-8M以下の平衡解離定数によって特徴付けられ得る(例えば、より小さなKDは、より緊密な結合を表す)。2つの分子が特異的に結合するかを決定するための方法は、当該技術分野で周知であり、例えば、平衡透析、表面プラズモン共鳴などが含まれる。本明細書に記載されるように、本発明のTCRは、HLA-A2提示がん精巣である黒色腫において優先的に発現する抗原(PRAME)ペプチド、例えば、PRAME(例えば、配列番号944の全長PRAME配列)のアミノ酸残基312~320または425~433を含むペプチドに特異的に結合する。
【0102】
「オフターゲットペプチド」という用語は、標的ペプチド(例えば、PRAME 312~320ペプチドまたはPRAME 425~433ペプチド)と、1、2、3、4、5個、またはそれ以上のアミノ酸が異なるペプチドを指す。特定の実施形態において、本用語は、標的ペプチドよりも3個以下のアミノ酸で異なるペプチドを含む。例えば、9マーペプチドでは、1、2、または3個のアミノ酸が標的ペプチドと同一でない場合、それは「オフターゲット」ペプチドとみなされる。特定の実施形態において、アミノ酸同一性は、「類似性の程度」(DoS)に関して発現する。9マーペプチド内の6個以上のアミノ酸が同一である場合、DoSは6である。特定の実施形態において、6以下のDoSを有するペプチドは、「オフターゲット」ペプチドとみなされる。「オフターゲット」ペプチドという用語はまた、配列相同性に基づいて標的ペプチドに類似しており、HLA-A2に結合することが予測され、必須な正常組織で発現するタンパク質に含まれるペプチドを指す。したがって、いくつかの実施形態において、本開示のTCRは、オフターゲットペプチドに結合するその親和性よりも少なくとも10倍低いK値に対応する親和性で、HLA-A2提示PRAMEペプチド(例えば、PRAMEのアミノ酸残基312~320または425~433を含むペプチド)に結合することができる。
【0103】
「単離された」という用語は、自然の状態から人間の手によって変更された組成物、化合物、物質、または分子を指す。例えば、自然界に存在する組成物または物質は、元の環境から変化または取り出されている場合、あるいはそれらの両方の場合に単離される。例えば、生きている動物に天然に存在するポリヌクレオチドまたはポリペプチドは単離されないが、その天然状態の共存材料から分離された同じポリヌクレオチドまたはポリペプチドは、本明細書で用いられる用語のように単離される。より具体的には、単離されたTCRは、細胞から取り出されているTCR、例えば、精製されているTCRを指すことができる。TCRはまた、単離された細胞、例えば、動物から単離されている細胞、または細胞培養物からの細胞によって発現され得る。この文脈において、単離された細胞は、その表面にTCRを発現することができる(すなわち、細胞は、TCRを「提示する」ことができる)。
【0104】
「組換え」という用語は、本明細書で使用されるとき、例えば、DNAスプライシングおよび遺伝子導入発現を含む、組換えDNA技術として当該技術分野で既知の技術もしくは方法によって作製されるか、発現するか、単離されるか、または得られる、本発明のTCRを指す。本用語は、非ヒト哺乳動物(遺伝子導入非ヒト哺乳動物、例えば、遺伝子導入マウスを含む)もしくは細胞(例えば、CHO細胞)発現系において発現するTCR、または組換えコンビナトリアルヒト抗体ライブラリーから単離されるTCRを指す。
【0105】
本明細書で使用される場合、「ポリヌクレオチド」および「核酸分子」という用語は、任意の長さのポリマー形態のヌクレオチドを指すために互換的に使用される。ポリヌクレオチドは、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、および/またはそれらの類似体を含み得る。ヌクレオチドは、任意の三次元構造を有し得、既知または未知である任意の機能を果たし得る。「ポリヌクレオチド」という用語は、例えば、一本鎖、二本鎖、および三重らせん分子、遺伝子または遺伝子断片、エクソン、イントロン、mRNA、tRNA、rRNA、リボザイム、アンチセンス分子、cDNA、組換えポリヌクレオチド、分岐ポリヌクレオチド、アプタマー、プラスミド、ベクター、任意の配列の単離されたDNA、任意の配列の単離されたRNA、核酸プローブ、ならびにプライマーを含む。核酸分子はまた、修飾核酸分子(例えば、修飾塩基、糖、および/またはヌクレオチド間リンカーを含む)も含み得る。
【0106】
「ポリペプチド」という用語は、そのサイズに関係なく、好ましくは、20種の天然アミノ酸のいずれかから本質的になる任意のポリマーを指すことを意味する。「タンパク質」という用語は、比較的大きなタンパク質に関連して多くの場合に使用され、「ペプチド」は、小さなポリペプチドに関連して多くの場合に使用されるが、これらの用語の使用は、本分野においてしばしば重複する。「ポリペプチド」という用語は、特に記載のない限り、一般にはタンパク質、ポリペプチド、およびペプチドを指す。一般に、本開示に従う有用なペプチドは、遠心分離またはSDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動などの標準的な分子サイズ決定技法によって判断される場合、一般に、約0.1~100kDa以上、最大約1000kDa、好ましくは、約0.1、0.2、0.5、1、2、5、10、20、30~50kDaである。
【0107】
「ベクター」という用語は、宿主細胞内で自律的に複製することができ、外来DNAを受け入れることができる核酸分子である。ベクターは、それ自体の複製起点と、外来DNAおよび抗生物質耐性をコードする遺伝子などの通常選択可能なマーカーの挿入のために使用することができる制限エンドヌクレアーゼのための1つ以上の独自の認識部位と、多くの場合、挿入されたDNAの発現のための認識配列(例えば、プロモーター)と、を担持する。一般的なベクターには、プラスミドベクターおよびファージベクターが含まれる。
【0108】
いくつかの実施形態において、本発明のTCRは、リガンド、検出可能部分、あるいは治療用部分(「免疫コンジュゲート」)、例えば、PRAME関連がんなどのPRAME関連疾患もしくは障害を含む疾患もしくは状態を治療するために有用な細胞毒素、抗がん剤、または任意の他の治療用部分とコンジュゲートされ得る。
【0109】
「表面プラズモン共鳴」という用語は、本明細書で使用される場合、例えばBIACORE(商標)システム(Pharmacia Biosensor AB、Uppsala,SwedenおよびPiscataway,N.J.)を使用した、バイオセンサーマトリックス内のタンパク質濃度における変化の検出によって、リアルタイムの生体分子相互作用の分析を可能にする光学現象を指す。
【0110】
「KD」という用語は、KまたはKとしても知られ、特定の生体分子とその結合パートナーとの平衡解離定数を指すことが意図される。KD測定は、例えば、抗原結合タンパク質-抗原相互作用におけるような、タンパク質-タンパク質相互作用を評価するために特に有用である。KDの値が小さいほど、抗原結合タンパク質と抗原(例えば標的)との間の結合相互作用または親和性が大きい(または強い)。KDの値が大きいほど、抗原結合タンパク質と抗原との間の結合相互作用または親和性が弱い。
【0111】
「実質的な同一性」または「実質的に同一な」という用語は、核酸またはその断片を指す場合、別の核酸(またはその相補鎖)と、適切なヌクレオチド挿入または欠失で最適に整列されるとき、以下に考察されるように、配列同一性の任意の周知のアルゴリズムによって測定される場合に、ヌクレオチド塩基の少なくとも約90%、より好ましくは少なくとも約95%、96%、97%、98%、または99%でヌクレオチド配列同一性があることを示す。参照核酸分子と実質的な同一性を有する核酸分子は、特定の場合では、参照核酸分子によってコードされるポリペプチドと同じまたは実質的に同じアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードすることができる。
【0112】
配列同一性は、アルゴリズム、例えば、グローバルアライメントのためのNeedleman Wunschアルゴリズム(Needleman and Wunsch 1970,J.Mol.Biol.48:443-453)、またはローカルアライメントのためのSmith Watermanアルゴリズム(Smith and Waterman 1981,J.Mol.Biol.147:195-197)を使用して計算され得る。別の好ましいアルゴリズムは、2002年にDufresneらによってNature Biotechnology(vol.20,pp.1269-71)に記載されているもので、ソフトウェアGenePAST(GQ Life Sciences,Inc.Boston,MA)において使用される。
【0113】
ポリペプチドに適用される場合、「実質的な類似性」または「実質的に類似した」という用語は、2つのペプチド配列が、初期設定のギャップウェイト付けを使用したプログラムGAPまたはBESTFITなどによって最適に整列されるとき、少なくとも90%の配列同一性、さらにより好ましくは少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を共有する。好ましくは、同一ではない残基位置は、保存的アミノ酸置換によって異なる。「保存的アミノ酸置換」とは、アミノ酸残基が、類似の化学的特性(例えば、電荷または疎水性)を備えた側鎖(R基)を有する別のアミノ酸残基によって置換されるものである。概して、保存的アミノ酸置換は、タンパク質の機能的特性を実質的に変化させない。2つ以上のアミノ酸配列が保存的置換によって互いに異なる場合、類似性の割合または程度は、置換の保存的性質を補正するために上向きに調整され得る。この調整を行うための手段は、当業者に周知である。例えば、Pearson(1994)Methods Mol.Biol.24:307-331を参照されたい(参照により本明細書に組み込まれる)。類似の化学的特性を備えた側鎖を有するアミノ酸グループの例としては、1)脂肪族側鎖:グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、およびイソロイシン、2)脂肪族-ヒドロキシル側鎖:セリンおよびトレオニン、3)アミド含有側鎖:アスパラギンおよびグルタミン、4)芳香族側鎖:フェニルアラニン、チロシン、およびトリプトファン、5)塩基性側鎖:リジン、アルギニン、およびヒスチジン、6)酸性側鎖:アスパラギン酸およびグルタミン酸、ならびに7)含硫黄側鎖:システインおよびメチオニンが挙げられる。好ましい保存的アミノ酸置換グループは、バリン-ロイシン-イソロイシン、フェニルアラニン-チロシン、リジン-アルギニン、アラニン-バリン、グルタミン酸-アスパラギン酸、およびアスパラギン-グルタミンである。代替的には、保存的置換は、Gonnet et al.(1992)Science 256:1443 45(参照により本明細書に組み込まれる)に開示されているPAM250対数尤度マトリックスにおいて正の値を有する任意の変化である。「適度に保存的な」置換は、PAM250対数尤度マトリックスにおいて負以外の値を有する任意の変化である。
【0114】
ポリペプチドにおける配列類似性は、典型的には、配列分析ソフトウェアを使用して測定される。タンパク質解析ソフトウェアは、保存的アミノ酸置換を含む種々の置換、欠失、および他の改変に割り当てられた類似の測定値を使用して類似配列と一致させる。例えば、GCGソフトウェアでは、初期設定パラメータを使用して、異なる種の生物に由来する相同的ポリペプチド、または野生型タンパク質とその変異タンパク質との間の相同的ポリペプチドなどの、密接に関連するポリペプチド間の配列相同性または配列同一性を決定することができる。GAPおよびBESTFITなどのプログラムが含まれる。例えば、GCGバージョン6.1を参照されたい。ポリペプチド配列はまた、GCGバージョン6.1におけるプログラムである、初期設定または推奨パラメータを用いたFASTAを使用して比較することもできる。FASTA(例えば、FASTA2およびFASTA3)は、問い合わせ配列と検索配列との間の最善な重複の領域のアライメントおよびパーセント配列同一性を提供する(Pearson(2000)上記)。配列はまた、BLOSUM62マトリックスで、ギャップ開始ペナルティ12およびギャップ伸長ペナルティ2を用いてアフィンギャップ検索を使用した、スミス-ウォーターマン相同性検索アルゴリズムを使用して比較することもできる。本発明の配列を、異なる生物に由来する多数の配列を含むデータベースと比較する場合の別の好ましいアルゴリズムは、初期設定パラメータを使用するコンピュータプログラムBLAST、特にBLASTPまたはTBLASTNである。例えば、Altschul et al.(1990)J.Mol.Biol.215:403-410および(1997)Nucleic Acids Res.25:3389-3402を参照されたい(それらの各々が、参照により本明細書に組み込まれる)。
【0115】
「患者由来TCR」は、PRAME関連がんを有する対象においてインビボでの腫瘍の退縮を媒介するTリンパ球から単離された、PRAME反応性TCRのアルファ鎖およびベータ鎖を単離することによって生成されるTCRである。
【0116】
「親和性成熟したTCR」は、インビトロでの変異誘発および選択によって生成されるTCRである。例えば、非標的化または標的化(例えば、オリゴヌクレオチド指向性)変異誘発を実施して、TCR配列に変異を導入することができ、次いで、その後のTCRを、例えば、ファージディスプレイの使用によって、標的に対する親和性についてスクリーニングすることができる。
【0117】
「患者由来のPRAME特異的TCRよりも強いかまたはそれに等しいシグナル対ノイズ比を有するT細胞応答を活性化する」または「親和性成熟したPRAME特異的TCRよりも強いかまたはそれに等しいシグナル対ノイズ比を有するT細胞応答を活性化する」という用語は、例えば、発光バイオアッセイによって測定した場合、すなわち、T細胞シグナル伝達の増加(すなわち、約2倍以上)、増幅(すなわち、約2倍)、増強(すなわち、約2倍)、または生理学的活性のブースト(すなわち、約2倍)を指すことを意味する。より大きなT細胞応答、またはより強いT細胞応答もしくは活性化シグナルへの言及が、交換可能に使用され得る。T細胞応答またはT細胞活性化の様々な測定およびアッセイは、当業者に周知である。
【0118】
「治療有効量」という語句によって、投与されて所望の効果を生じる量が意味される。正確な量は、治療の目的に依存し、既知の技術を使用して当業者によって確認可能であろう(例えば、Lloyd(1999)The Art,Science and Technology of Pharmaceutical Compoundingを参照されたい)。「有効量」という用語は、薬学的に有効な量または治療的に有効な量などの文脈を包含することが意図される。例えば、特定の実施形態において、有効量は、有益な状態、有益な転帰、スクリーニングアッセイにおける機能的な活性、または臨床状態の改善を達成することができる。
【0119】
本明細書に記載される場合、本発明のTCRは、対象に「投与され」得る。本発明のTCRを「投与すること」は、本発明のTCRを発現する細胞(例えば、T細胞などのエフェクター細胞)の投与、本発明のTCRを発現する核酸(例えば、かかるTCRを発現するベクター)の投与、および本発明のTCRを含むポリペプチドの投与を含み、ポリペプチドは、かかる投与のためにフォーマットされる(例えば、TCR鎖およびCD3結合抗体鎖を含む二重特異性ポリペプチド)。
【0120】
本明細書で使用される場合、「対象」という用語は、PRAME関連がん(例えば、PRAME陽性がん)などのPRAME関連疾患または障害の改善、予防、および/または治療を必要とする動物、好ましくは哺乳動物を指す。この用語は、PRAME関連がんなどのPRAME関連疾患または障害を有するか、またはそれを有するリスクがあるヒト対象を含む。
【0121】
本発明で使用する場合、「抗がん剤」は、がんを治療または改善もしくは阻害するために有用である任意の薬剤を意味し、細胞毒素、ならびに代謝拮抗剤、アルキル化剤、アントラサイクリン、抗生物質、有糸分裂阻害剤、プロカルバジン、ヒドロキシ尿素、アスパラギナーゼ、コルチコステロイド、シクロホスファミド、ミトタン(O,P’-(DDD))、生物製剤(例えば、抗体およびインターフェロン)、および放射性薬剤などの薬剤が含まれるが、これらに限定されない。本発明で使用する場合、「細胞毒素または細胞傷害剤」は、化学療法剤も指し、細胞に有害である任意の薬剤を意味する。例としては、Taxol(登録商標)(パクリタキセル)、テモゾラミド、サイトカラシンB、グラミシジンD、臭化エチジウム、エメチン、シスプラチン、マイトマイシン、エトポシド、テノポシド、ビンクリスチン、ビンビアスチン、コイチシン、ドキソルビシン、ダウノルビシン、ジヒドロキシアントラシンジオン、ミトキサントロン、ミトラマイシン、アクチノマイシンD、1-デヒドロテストステロン、グルココルチコイド、プロカイン、テトラカイン、リドカイン、プロプラノロール、およびピューロマイシン、ならびにそれらの類似体または相同体が挙げられる。
【0122】
「予防する」、「予防している」、「予防」、「予防的治療」などという用語は、障害または状態を有さないが、障害または状態を発症するリスクがあるか、または発症し易い対象において、障害または状態を発症する可能性を低下させることを意味する。予防などは、対象が特定の疾患または障害に今までに罹患していることから防止することを意味するものではない。予防は、複数回用量の投与を必要とし得る。予防は、すべての疾患症状が排除された対象における疾患の再発の予防、または再発寛解型疾患における再発の予防を含むことができる。
【0123】
II.PRAME T細胞(TCR)およびPRAME TCRを含む組成物
T細胞は、他の免疫細胞型(多形核、好酸球、好塩基球、肥満細胞、B細胞、NK細胞)とともに、免疫系の細胞成分を構成する細胞のサブグループである。生理的条件下では、T細胞は、免疫監視および外来抗原の排除において機能する。しかし、病理学的条件下では、T細胞が疾患の原因および伝播に大きな役割を果たすという説得力のある証拠がある。これらの障害では、中枢性または末梢性のいずれかのT細胞免疫寛容の破綻が、自己免疫疾患の原因における基本的なプロセスである。
【0124】
T細胞は、主要組織適合複合体(MHC、マウス)またはヒト白血球抗原(HLA、ヒト)複合体に関連する抗原提示細胞の表面上の小さな抗原決定基でエピトープに結合する。T細胞は、T細胞の表面上のT細胞受容体(TCR)複合体を通してこれらのエピトープに結合する。T細胞受容体は、α(アルファ)およびβ(ベータ)鎖、またはγ(ガンマ)およびδ(デルタ)鎖の2種類の鎖からなるヘテロ二量体構造である。α鎖は、α遺伝子座内(ヒトまたはマウス染色体14上)に位置する核酸配列によってコードされ、これはまた、δ遺伝子座全体も包含し、β鎖は、β遺伝子座内(マウス染色体6またはヒト染色体7上)に位置する核酸配列によってコードされる。T細胞の大部分はαβTCRを有し、一方、わずかなT細胞がγδTCRを有する。
【0125】
T細胞受容体αおよびβポリペプチド(同様に、γおよびδポリペプチド)は、ジスルフィド結合を介して互いに連結される。TCRを構成する2つのポリペプチドの各々は、定常および可変領域、膜貫通ドメイン、ならびに細胞質尾部(膜貫通ドメインおよび細胞質尾部も定常領域の一部である)を含む細胞外ドメインを含む。TCRの可変領域は、その抗原特異性を決定し、免疫グロブリンと同様に、3つの相補的決定領域(CDR)を含む。TCRは、体内のほとんどのT細胞で発現され、MHC制限抗原の認識に関与することが知られている。TCRα鎖は、共有結合で連結されたVαおよびCα領域を含み、一方、β鎖は、Cβ領域に共有結合で連結されたVβ領域を含む。VαおよびVβ領域は、主要組織適合性複合体(MHC)(またはヒトにおけるHLA)との関連で抗原に結合することができるポケットまたは裂開を形成する。TCRは、絶妙な特異性を有する検出分子であり、抗体のように、非常に高い多様性を示す。
【0126】
TCR分子の一般構造、ならびに作製および使用の方法が、ペプチド:主要組織適合性複合体への結合を含めて開示されている。例えば、PCT/US98/04274、PCT/US98/20263、WO99/60120を参照されたい。
【0127】
非ヒト動物(例えば、げっ歯類、例えば、マウスまたはラット)は、少なくとも1つのヒトTCR可変領域遺伝子セグメントによってコードされる可変ドメインを含むヒトまたはヒト化T細胞受容体(TCR)を発現するように遺伝子操作することができ、例えば、PCT公開第WO2016/164492号に記載されている(その内容全体が、参照により本明細書に組み込まれる)。例えば、腫瘍および/またはウイルス抗原に対する完全ヒト治療用TCRの産生を可能にする遺伝子改変マウスであるVelociT(登録商標)マウス技術(Regeneron)を使用して、本発明のTCRを産生することができる。当業者は、本明細書に記載のアッセイと併せて、標準的な突然変異誘発技術を通じて、変異したTCR配列を得て、特定の結合親和性および/または特異性についてそれらを試験することができる。当該技術分野において既知の有用な変異誘発技術には、限定されないが、デノボ遺伝子合成、オリゴヌクレオチド指定変異誘発、領域特異的変異誘発、リンカー走査変異誘発、およびPCRによる部位指定変異誘発が含まれる(例えば、Sambrookら(1989)およびAusubelら(1999)を参照されたい)。
【0128】
簡単に説明すると、一実施形態において、PRAME 312~320ペプチドまたはPRAME 425~433ペプチドに対するTCRを生成するための方法は、そのゲノム中に非再編ヒトTCR可変遺伝子座を含む遺伝子操作された非ヒト動物などの非ヒト動物(例えば、げっ歯類、例えば、マウスまたはラット)を、PRAME 312~320ペプチドまたはPRAME 425~433ペプチドで免疫することと、その動物に、ペプチドに対する免疫応答を開始させることと、その動物から、ペプチドに反応するT細胞を単離することと、T細胞によって発現するヒトTCR可変領域の核酸配列を決定することと、ヒトTCR可変領域がヒトTCR定常領域に作動可能に連結されるように、ヒトTCR定常領域の核酸配列を含むヌクレオチド構築物にヒトTCR可変領域をクローニングすることと、その構築物から、それぞれPRAME 312~320ペプチドまたはPRAME 425~433ペプチドに特異的なヒトT細胞受容体を発現させることと、を含み得る。いくつかの実施形態において、T細胞を単離するステップ、T細胞によって発現されたヒトTCR可変領域の核酸配列を決定するステップ、ヒトTCR定常領域の核酸配列を含むヌクレオチド構築物にヒトTCR可変領域をクローニングするステップ、およびヒトT細胞受容体を発現させるステップは、当業者に既知の標準的な技法を使用して実行される。
【0129】
いくつかの実施形態において、目的の抗原に特異的なT細胞受容体をコードするヌクレオチド配列は、細胞中で発現する。いくつかの実施形態において、TCRを発現する細胞は、CHO、COS、293、HeLa、PERC.6(商標)細胞などから選択される。
【0130】
バリアントTCRコード配列の取得において、当業者は、TCR由来タンパク質が、生物学的活性の損失または減少を伴わずに、特定のアミノ酸置換、付加、欠失、および翻訳後改変によって改変され得ることを認識するであろう。特に、保存的アミノ酸置換、すなわち、類似のサイズ、電荷、極性、および立体構造の別のアミノ酸での1つのアミノ酸の置換は、タンパク質機能を有意に変化させる可能性が低いことは周知である。タンパク質の構成要素である20種の標準的アミノ酸は、4群の保存アミノ酸に大別することができ、非極性(疎水性)群は、アラニン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、トリプトファン、およびバリンを含み、極性(非荷電、中性)群は、アスパラギン、システイン、グルタミン、グリシン、セリン、トレオニン、およびチロシンを含み、正に荷電した(塩基性)群は、アルギニン、ヒスチジン、およびリジンを含み、負に荷電した(酸性)群は、アスパラギン酸およびグルタミン酸を含む。タンパク質における同じ群内の1つのアミノ酸の別のアミノ酸での置換は、タンパク質の生物学的活性に悪影響を有する可能性が低い。
【0131】
いくつかの実施形態において、本開示のTCRは、表5または表8のCDR配列(例えば、VαCDR3またはVβCDR3などのCDR3配列)と比較して、1つ以上の置換を有するCDR配列(例えば、VαCDR3またはVβCDR3などのCDR3配列)を含むことができる。例えば、本開示のTCRは、表5または表8のCDR配列と比較して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個、またはそれ以上の置換を有するCDR配列を含むことができる。一般に、本発明のTCRは、HLA-A2提示PRAME 312~320ペプチドまたはHLA-A2提示PRAME 425~433ペプチドに結合することによって機能する。本明細書で使用される場合、HLA提示ペプチド(例えば、HLA-A2提示ペプチド)は、ヒト白血球抗原(HLA)タンパク質、例えば、細胞の表面で発現するHLAタンパク質に結合されるペプチドを指すことができる。したがって、HLA提示ペプチドに結合するTCRは、HLAによって結合されるペプチドに結合し、任意選択的に、HLA自体にも結合する。HLAとの相互作用は、特定のHLAによって提示されるペプチドとの結合に対する特異性を付与することができる。いくつかの実施形態において、TCRは、単離されたHLA提示ペプチドに結合する。いくつかの実施形態において、TCRは、細胞の表面で提示されるHLAペプチドに結合する。
【0132】
一般に、本発明のTCRは、HLA-A2提示PRAMEペプチド(例えば、PRAME 312~320またはPRAME 425~433)に結合することによって機能することができる。
【0133】
本発明は、HLA-A2との関連で、高い特異性でPRAME 312~320ペプチドまたはPRAME 425~433ペプチドに結合するPRAME TCRを含む。いくつかの実施形態において、PRAME TCRは、HLA-A2の不在下では、PRAME 312~320ペプチドもしくはPRAME 425~433ペプチドに結合しないか、またはかかる結合は最小限である。さらに、いくつかの実施形態において、PRAME TCRは、HLA-A2との関連でオフターゲットペプチドに結合しないか、またはかかる結合は最小限である。本明細書で使用されるとき、オフターゲットペプチドは、ターゲットペプチドと、1、2、3、4、5個、またはそれ以上のアミノ酸によって異なるペプチドを指すことができる。いくつかの実施形態において、結合特異性は、a)オンターゲット結合(例えば、HLA-A2提示PRAME(312~320)ペプチドまたはHLA-A2提示PRAME(425~433)ペプチドへの結合)を測定することと、b)オフターゲット結合を測定することと、c)その2つの間の差を(例えば、比率を計算することによって)定量化することと、によって決定することができる。この比率は、例えば、a)およびb)で得られた値を除することによって計算することができる。オンターゲット結合およびオフターゲット結合の測定は、例えば、ペプチド/HLA四量体試薬(例えば、PRAME/HLA四量体試薬)への結合の割合(%)を測定することによって、または当該技術分野で既知の他の技術によって達成することができる。いくつかの実施形態において、本開示のTCRのオンターゲット結合/オフターゲット結合値(例えば、上記のa)およびb)で得られる値を除することによって得られる値)は、5超、6超、7超、8超、9超、10超、11超、12超、13超、14超、15超、16超、17超、18超、19超、20超、21超、22超、23超、24超、25超、26超、27超、28超、29超、30超、35超、40超、45超、50超、55超、60超、65超、70超、75超、80超、85超、90超、95超、100超、110超、120超、130超、140超、150超、160超、170超、180超、190超、200超、225超、250超、275超、300超、325超、350超、375超、400超、425超、450超、475超、500超、550超、600超、650超、700超、750超、800超、850超、900超、950超、1000超、1100超、1200超、1300超、1400超、1500超、1600超、1700超、1800超、1900超、または2000超であることができる。いくつかの実施形態において、オンターゲット結合/オフターゲット結合値(例えば、上記のa)およびb)で得られる値を除することによって得られる値)は、約5~約20、約10~約30、約20~約80、約30~約70、約40~約60、約50~約250、約100~約200、約100~約1000、約300~約700、約500~約1500、約800~約1200、約900~約1100、約800~約1500、約1000~約1400、または約1100~約1300であることができる。
【0134】
いくつかの実施形態において、本発明は、HLA-A2提示ヒトPRAME(312~320)ペプチドの立体構造エピトープまたはHLA-A2提示ヒトPRAME(425~433)ペプチドの立体構造エピトープに特異的に結合する組換え抗原結合タンパク質(例えば、単離された抗原結合タンパク質)を提供し、抗原結合タンパク質が、(a)単量体HLA-A2:PRAME(312~320)ペプチドまたは単量体PRAME(312~320)ペプチドに、25℃で表面プラズモン共鳴アッセイで測定した場合、約20nM未満の結合解離平衡定数(K)で結合する特性、(b)単量体HLA-A2:PRAME(425~433)ペプチドまたは単量体PRAME(425~433)ペプチドに、25℃で表面プラズモン共鳴アッセイで測定した場合、約25nM未満の結合解離平衡定数(K)で結合する特性、(c)HLA-A2:PRAME(312~320)ペプチド発現細胞またはPRAME(425~433)ペプチド発現細胞に、発光アッセイによって決定した場合、約6nM未満のEC50で結合し、かつ予測されるオフターゲットペプチドを発現する細胞に結合しない特性、(d)HLA-A2:PRAME(312~320)ペプチド発現細胞またはPRAME(425~433)ペプチド発現細胞に、発光アッセイによって決定した場合、約1nM未満のEC50で結合し、かつ予測されるオフターゲットペプチドを発現する細胞に実質的に結合しない特性、(e)HLA-A2:PRAME(312~320)ペプチド発現細胞またはPRAME(425~433)ペプチド発現細胞に、フローサイトメトリーアッセイによって決定した場合、約30nM未満のEC50で結合する特性、(f)HLA-A2:PRAME(312~320)ペプチド発現細胞またはPRAME(425~433)ペプチド発現細胞に、フローサイトメトリーアッセイによって決定した場合、約75nM未満のEC50で結合する特性、および(g)立体配座エピトープが配列番号944の1つ以上のアミノ酸を含む特性、からなる群から選択される特性を有する。
【0135】
いくつかの実施形態において、本開示のPRAME TCRは、インビトロアッセイによって測定した場合、PRAME(312~320)またはPRAME(425~433)に対する特異的活性または親和性を有する。例えば、HLAを発現する細胞(T2細胞など)は、PRAME(312~320)もしくはPRAME(425~433)ポリペプチド、またはオフターゲットポリペプチドでパルスすることができ、それによって、HLAに結合するポリペプチドを提示するように細胞を誘導する。代替的に、または対照としてオフターゲットポリペプチドを使用することに加えて、オフターゲットHLA(関心対象のTCRによって認識されるHLA以外のHLA)を使用することができる。例えば、オフターゲットHLAを使用して、PRAMEペプチドを提示し、HLA-A2提示PRAMEペプチドとの結合の特異性を試験することができる。加えて、対照は、PRAMEも標的HLA(例えば、HLA-A2)も発現しない細胞株であり得る。細胞は、関心対象のTCRを発現するT細胞集団と共培養することができ、活性は、細胞によって産生されるサイトカイン(インターフェロンγなど)の量の関数として測定される。特定の実施形態において、アッセイは、エフェクター細胞:標的細胞比が1:1(1×10個のエフェクター細胞/96ウェル)でのTCR発現T細胞集団と10-10Mのペプチド負荷T2細胞とのインビトロでの共培養、および共培養の24時間後のインターフェロンγ測定(例えば、Meso Scale Discovery(MSD(登録商標)Sector Imagerによる)を含むことができる。特定の実施形態において、アッセイは、エフェクター細胞:標的細胞比が5:1(2.5×10個のエフェクター細胞:5×10個の標的細胞)のでTCR発現T細胞集団とエフェクター細胞とのインビトロでの共培養、および共培養の24時間後のインターフェロンγ測定(例えば、Meso Scale Discovery(MSD(登録商標)Sector Imagerによる)を含むことができる。
【0136】
検出されるサイトカインの増加量は、活性の指標として用いることができる。関心対象のTCRのその標的ペプチドに対する活性もしくは特異性は、対照(オフターゲット)と比較して、または関心対象のTCRのそのオンターゲットHLA結合標的ペプチドに対する活性もしくは特異性は、オフターゲットHLA結合標的ペプチドと比較して、2倍以上、3倍以上、4倍以上、5倍以上、6倍以上、7倍以上、8倍以上、9倍以上、10倍以上、15倍以上、20倍以上、30倍以上、40倍以上、50倍以上、100倍以上、200倍以上、300倍以上、400倍以上、500倍以上、600倍以上、700倍以上、800倍以上、900倍以上、1,000倍以上、1,500倍以上、2,000倍以上、2,500倍以上、3,000倍以上、4,000倍以上、5,000倍以上、10,000倍以上、20,000倍以上、30,000倍以上、40,000倍以上、50,000倍以上、60,000倍以上、70,000倍以上、80,000倍以上、90,000倍以上、もしくは100,000倍以上であるこができる。
【0137】
特定の実施形態において、本開示のPRAME TCRは、それを必要とする対象に予防的に投与した場合、腫瘍の増殖を阻害するか、またはがんの進行を遅延させるのに有用であり、対象の生存率を増加させ得る。例えば、本発明のPRAME TCRの投与は、原発性腫瘍の縮小をもたらし得、転移または二次腫瘍の発生を防止し得る。特定の実施形態において、本発明のPRAME TCRは、それを必要とする対象に治療的に投与した場合、腫瘍の増殖を阻害するのに有用であり、対象の生存率を増加させ得る。例えば、対象への治療有効量の本発明のPRAME TCRの投与は、対象における確立された腫瘍の縮小および消失をもたらし得る。
【0138】
いくつかの実施形態において、本発明は、HLA-A2提示PRAME 312~320ペプチドに特異的に結合するTCR(例えば、単離されたTCRまたは単離された細胞で発現するTCR)を提供し、抗原結合タンパク質が、以下の特徴のうちの1つ以上を示す:(i)相補的決定領域(CDR)3を含むアルファ鎖可変ドメインであって、CDR3が、表3に示されるアルファ鎖可変ドメインCDR3アミノ酸配列のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む、アルファ鎖可変ドメインを含むこと、(ii)相補的決定領域(CDR)3を含むベータ鎖可変ドメインであって、CDR3が、表3に示されるベータ鎖可変ドメインCDR3アミノ酸配列のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む、ベータ鎖可変ドメインを含むこと、(iii)表3に示されるCDR1アミノ酸配列のうちのいずれか1つを含むアルファ鎖可変ドメインのCDR1、または少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の配列同一性を有するその実質的に類似の配列、および、独立して、表3に示されるCDR2アミノ酸配列のうちのいずれか1つを含むアルファ鎖可変ドメインのCDR2、または少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の配列同一性を有するその実質的に類似の配列を含むこと、(iv)表3に示されるCDR1アミノ酸配列のうちのいずれか1つを含むベータ鎖可変ドメインのCDR1、または少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の配列同一性を有するその実質的に類似の配列、および、独立して、表3に示されるCDR2アミノ酸配列のうちのいずれか1つを含むベータ鎖可変ドメインのCDR2、または少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の配列同一性を有するその実質的に類似の配列を含むこと、(v)表5に列挙されるアルファ鎖可変ドメイン配列のうちのいずれか1つに含まれるアルファ鎖可変ドメインCDR1、CDR2、およびCDR3、または少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の配列同一性を有するその実質的に類似の配列、ならびに表5に列挙されるベータ鎖可変ドメイン配列のうちのいずれか1つに含まれるベータ鎖可変ドメインCDR1、CDR2、およびCDR3、または少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の配列同一性を有するその実質的に類似の配列を含むこと、(vi)表5に列挙されるアルファ鎖可変ドメインアミノ酸配列のアミノ酸配列のうちのいずれか1つのアミノ酸配列全体と、少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは約100%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を有するアルファ鎖可変ドメインを含むこと、(vii)表5に列挙されるベータ鎖可変ドメインアミノ酸配列のアミノ酸配列のうちのいずれか1つのアミノ酸配列全体と、少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは約100%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を有するベータ鎖可変ドメインを含むこと、(viii)(a)表5に列挙されるアルファ鎖可変ドメインアミノ酸配列のアミノ酸配列のうちのいずれか1つのアミノ酸配列全体と、少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは約100%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を有するアルファ鎖可変ドメイン、および(b)表5に列挙されるベータ鎖可変ドメインアミノ酸配列のアミノ酸配列のうちのいずれか1つのアミノ酸配列全体と、少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは約100%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を有するベータ鎖可変ドメインを含むこと、(ix)(a)配列番号1、7、13、19、25、31、37、43、49、55、61、67、73、79、85、91、97、および103からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するアルファ鎖可変ドメインCDR1ドメイン、または少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の配列同一性を有するその実質的に類似の配列、(b)配列番号2、8、14、20、26、32、38、44、50、56、62、68、74、80、86、92、98、および104からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するアルファ鎖可変ドメインCDR2ドメイン、または少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の配列同一性を有するその実質的に類似の配列、(c)配列番号3、9、15、21、27、33、39、45、51、57、63、69、75、81、87、93、99、および105からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するアルファ鎖可変ドメインCDR3ドメイン、または少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の配列同一性を有するその実質的に類似の配列、(d)配列番号4、10、16、22、28、34、40、46、52、58、64、70、76、82、88、94、100、および106からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するベータ鎖可変ドメインCDR1、または少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の配列同一性を有するその実質的に類似の配列、(e)配列番号5、11、17、23、29、35、41、47、53、59、65、71、77、83、89、95、101、および107からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するベータ鎖可変ドメインCDR2、または少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の配列同一性を有するその実質的に類似の配列、ならびに(f)配列番号6、12、18、24、30、36、42、48、54、60、66、72、78、84、90、96、102、および108からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するベータ鎖可変ドメインCDR3、または少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の配列同一性を有するその実質的に類似の配列を含むこと、(x)配列番号217/219、229/231、237/239、241/243、および285/287からなる群から選択されるアルファ鎖可変ドメイン/ベータ鎖可変ドメインアミノ酸配列対、または少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の配列同一性を有するその実質的に類似の配列を含むこと、(xi)配列番号217/219、221/223、225/227、229/231、233/235、237/239、241/243、245/247、249/251、253/255、257/259、261/263、265/267、269/271、273/275、277/279、281/283、および285/287からなる群から選択されるアルファ鎖可変ドメイン/ベータ鎖可変ドメインアミノ酸配列対、または少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の配列同一性を有するその実質的に類似の配列を含むこと、(xii)発光アッセイによって決定した場合、予測されるオフターゲットペプチドを発現する細胞には特異的に結合しないが、HLA-A2提示PRAME 312~320ペプチドを発現する細胞には特異的に結合すること、ならびに/あるいは(xiii)TCR媒介性T細胞シグナル伝達の発光バイオアッセイによって決定した場合、患者由来PRAME特異的TCRよりも約2倍大きいT細胞応答を活性化すること(例えば、患者由来PRAME特異的TCRよりも約2倍大きい、または約3倍大きい、または約4倍大きいT細胞応答を活性化すること)。
【0139】
いくつかの実施形態において、本発明は、HLA-A2提示PRAME 425~433ペプチドに特異的に結合するTCR(例えば、単離されたTCRまたは単離された細胞で発現するTCR)を提供し、抗原結合タンパク質が、以下の特徴のうちの1つ以上を示す:(i)相補的決定領域(CDR)3を含むアルファ鎖可変ドメインであって、CDR3が、表6に示されるアルファ鎖可変ドメインCDR3アミノ酸配列のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む、アルファ鎖可変ドメインを含むこと、(ii)相補的決定領域(CDR)3を含むベータ鎖可変ドメインであって、CDR3が、表6に示されるベータ鎖可変ドメインCDR3アミノ酸配列のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む、ベータ鎖可変ドメインを含むこと、(iii)表6に示されるCDR1アミノ酸配列のうちのいずれか1つを含むアルファ鎖可変ドメインのCDR1、または少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の配列同一性を有するその実質的に類似の配列、および、独立して、表6に示されるCDR2アミノ酸配列のうちのいずれか1つを含むアルファ鎖可変ドメインのCDR2、または少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の配列同一性を有するその実質的に類似の配列を含むこと、(iv)表6に示されるCDR1アミノ酸配列のうちのいずれか1つを含むベータ鎖可変ドメインのCDR1、または少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の配列同一性を有するその実質的に類似の配列、および、独立して、表6に示されるCDR2アミノ酸配列のうちのいずれか1つを含むベータ鎖可変ドメインのCDR2、または少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の配列同一性を有するその実質的に類似の配列を含むこと、(v)表8に列挙されるアルファ鎖可変ドメイン配列のうちのいずれか1つに含まれるアルファ鎖可変ドメインCDR1、CDR2、およびCDR3、または少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の配列同一性を有するその実質的に類似の配列、ならびに表8に列挙されるベータ鎖可変ドメイン配列のうちのいずれか1つに含まれるベータ鎖可変ドメインCDR1、CDR2、およびCDR3、または少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の配列同一性を有するその実質的に類似の配列を含むこと、(vi)表8に列挙されるアルファ鎖可変ドメインアミノ酸配列のアミノ酸配列のうちのいずれか1つのアミノ酸配列全体と、少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは約100%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を有するアルファ鎖可変ドメインを含むこと、(vii)表8に列挙されるベータ鎖可変ドメインアミノ酸配列のアミノ酸配列のうちのいずれか1つのアミノ酸配列全体と、少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは約100%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を有するベータ鎖可変ドメインを含むこと、(viii)(a)表8に列挙されるアルファ鎖可変ドメインアミノ酸配列のアミノ酸配列のうちのいずれか1つのアミノ酸配列全体と、少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは約100%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を有するアルファ鎖可変ドメイン、および(b)表8に列挙されるベータ鎖可変ドメインアミノ酸配列のアミノ酸配列のうちのいずれか1つのアミノ酸配列全体と、少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは約100%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を有するベータ鎖可変ドメインを含むこと、(ix)(a)配列番号289、295、301、307、313、319、325、331、337、343、349、355、361、367、373、379、385、391、397、403、409、415、421、427、433、439、445、451、457、463、469、475、481、487、493、499、505、511、517、および523からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するアルファ鎖可変ドメインCDR1ドメイン、または少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の配列同一性を有するその実質的に類似の配列、(b)配列番号290、296、302、308、314、320、326、332、338、344、350、356、362、368、374、380、386、392、398、404、410、416、422、428、434、440、446、452、458、464、470、476、482、488、494、500、506、512、518、および524からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するアルファ鎖可変ドメインCDR2ドメイン、または少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の配列同一性を有するその実質的に類似の配列、(c)配列番号291、297、303、309、315、321、327、333、339、345、351、357、363、369、375、381、387、393、399、405、411、417、423、429、435、441、447、453、459、465、471、477、483、489、495、501、507、513、519、および525からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するアルファ鎖可変ドメインCDR3ドメイン、または少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の配列同一性を有するその実質的に類似の配列、(d)配列番号292、298、304、310、316、322、328、334、340、346、352、358、364、370、376、382、388、394、400、406、412、418、424、430、436、442、448、454、460、466、472、478、484、490、496、502、508、514、520、および526からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するベータ鎖可変ドメインCDR1、または少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の配列同一性を有するその実質的に類似の配列、(e)配列番号293、299、305、311、317、323、329、335、341、347、353、359、365、371、377、383、389、395、401、407、413、419、425、431、437、443、449、455、461、467、473、479、485、491、497、503、509、515、521、および527からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するベータ鎖可変ドメインCDR2、または少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の配列同一性を有するその実質的に類似の配列、ならびに(f)配列番号294、300、306、312、318、324、330、336、342、348、354、360、366、372、378、384、390、396、402、408、414、420、426、432、438、444、450、456、462、468、474、480、486、492、498、504、510、516、522、および528からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するベータ鎖可変ドメインCDR3、または少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の配列同一性を有するその実質的に類似の配列を含むこと、(x)配列番号825/827、845/847、853/855、857/859、865/867、873/875、885/887、893/805、897/899、901/903、913/915、および925/927からなる群から選択されるアルファ鎖可変ドメイン/ベータ鎖可変ドメインアミノ酸配列対、または少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の配列同一性を有するその実質的に類似の配列を含むこと、(xi)配列番号769/771、773/775、777/779、781/783、785/787、789/791、793/795、797/799、801/803、805/807、809/811、813/815、817/819、821/823、825/827、829/831、833/835、837/839、841/843、845/847、849/851、853/855、857/859、861/863、865/867、869/871、873/875、877/879、881/883、885/887、889/891、893/805、897/899、901/903、905/907、909/911、913/915、917/919、921/923、および925/927からなる群から選択されるアルファ鎖可変ドメイン/ベータ鎖可変ドメインアミノ酸配列対、または少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の配列同一性を有するその実質的に類似の配列を含むこと、(xii)発光アッセイによって決定した場合、予測されるオフターゲットペプチドを発現する細胞には特異的に結合しないが、HLA-A2提示PRAME 425~433ペプチドを発現する細胞には特異的に結合すること、ならびに/あるいは(xiii)TCR媒介性T細胞シグナル伝達の発光バイオアッセイによって決定した場合、患者由来PRAME特異的TCRよりも約2倍大きいT細胞応答を活性化すること(例えば、患者由来PRAME特異的TCRよりも約2倍大きい、または約3倍大きい、または約4倍大きいT細胞応答を活性化すること)。
【0140】
本発明のTCRは、上記の生物学的特徴のうちの1つ以上、またはそれらの任意の組み合わせを有し得る。本発明の抗原結合タンパク質の他の生物学的特徴は、本明細書の実用的な実施例を含む本開示の概説から当業者に明らかであろう。
【0141】
特定の実施形態において、本明細書に記載のPRAME TCRをコードするポリヌクレオチドは、ベクターに挿入される。本明細書で使用される「ベクター」という用語は、タンパク質をコードするポリヌクレオチドが、そのタンパク質の発現および/またはポリヌクレオチドのクローニングをもたらすように、共有結合によって挿入され得るビヒクルを指す。かかるベクターは、「発現ベクター」とも称され得る。単離されたポリヌクレオチドは、当該技術分野で知られている任意の好適な方法を使用してベクターに挿入され得、例えば、限定されないが、ベクターは、適切な制限酵素を使用して消化され得、次いで、マッチング制限末端を有する単離されたポリヌクレオチドと連結され得る。発現ベクターは、細胞内で転写することができる遺伝子生成物の少なくとも一部をコードする異種または改変核酸配列を組み込んで発現する能力を有する。ほとんどの場合、RNA分子は次いでタンパク質に翻訳される。発現ベクターは、様々な制御配列を含むことができ、これらは、特定の宿主生物における作動可能に連結されたコード配列の転写あるいは翻訳に必要な核酸配列を指す。転写および翻訳を統御する制御配列に加えて、ベクターおよび発現ベクターは、さらに他の機能も果たす核酸配列を含み得、それらは以下で考察される。発現ベクターは、追加の要素を含み得、例えば、発現ベクターは、2つの複製システムを有し得、したがって、2つの生物、例えば、発現のためのヒト細胞、ならびにクローニングおよび増幅のための原核宿主に、それが維持されることを可能にする。
【0142】
発現ベクターは、そのそれぞれの宿主細胞における効率的な遺伝子転写および翻訳のために、CMV、PGK、およびEF1αプロモーターなどのプロモーター配列、リボソーム認識および結合TATAボックス、ならびに3’UTR AAUAAA転写終結配列などの必要な5’上流および3’下流調節エレメントを有し得る。他の好適なプロモーターには、シミアンウイルス40(SV40)早期プロモーター、マウス乳房腫瘍ウイルス(MMTV)、HIV LTRプロモーター、MoMuLVプロモーター、トリ白血病ウイルスプロモーター、EBV前早期プロモーター、およびラウス肉腫ウイルスプロモーターの構成的プロモーターが含まれる。ヒト遺伝子プロモーターも使用することができ、アクチンプロモーター、ミオシンプロモーター、ヘモグロビンプロモーター、およびクレアチンキナーゼプロモーターが含まれるが、これらに限定されない。特定の実施形態において、誘導性プロモーターは、キメラ抗原受容体を発現するベクターの一部としても企図される。これは、関心対象のポリヌクレオチド配列の発現をオンにするか、または発現をオフにすることができる分子スイッチを提供する。誘導性プロモーターの例には、メタロチオニンプロモーター、グルココルチコイドプロモーター、プロゲステロンプロモーター、またはテトラサイクリンプロモーターが含まれるが、これらに限定されない。
【0143】
発現ベクターは、発現するTCRに組み込まれる6×ヒスチジン(配列番号954)、c-Myc、およびFLAGタグなどの追加の配列を有し得る。したがって、発現ベクターは、5’および3’非翻訳調節配列を含むように操作され得、これらは時に、発現ベクターに担持される目的の核酸の効率的な転写を促進または増強することができるエンハンサー配列、プロモーター領域、および/またはターミネーター配列として機能することができる。発現ベクターはまた、特定の細胞型、細胞位置、もしくは組織型における複製および/または発現機能性(例えば、転写および翻訳)のために操作され得る。発現ベクターは、宿主または受容細胞におけるベクターの維持のために選択可能マーカーを含み得る。
【0144】
ベクターの例は、プラスミド、自律的複製配列、および転位因子である。追加の例示的なベクターには、限定されないが、プラスミド、ファージミド、コスミド、人工染色体である酵母人工染色体(YAC)、細菌人工染色体(BAC)、またはP1由来人工染色体(PAC)など、ラムダファージまたはM13ファージなどのバクテリオファージ、および動物ウイルスが含まれる。ベクターとして有用な動物ウイルスのカテゴリーの例には、限定されないが、レトロウイルス(レンチウイルスを含む)、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、ヘルペスウイルス(例えば、単純ヘルペスウイルス)、ポックスウイルス、バキュロウイルス、パピローマウイルス、およびパポバウイルス(例えば、SV40)が含まれる。発現ベクターの例は、哺乳動物細胞における発現のためのLenti-X(商標)バイシストロニック発現系(Neo)ベクター(Clontrch)、pClneoベクター(Promega)、哺乳動物細胞におけるレンチウイルス媒介性遺伝子導入および発現のためのpLenti4/V5-DEST(商標)、pLenti6/V5-DEST(商標)、およびpLenti6.2N5-GW/lacZ(Invitrogen)である。本明細書に開示されるTCRのコード配列は、哺乳動物細胞におけるキメラタンパク質の発現のために、かかる発現ベクターに連結することができる。
【0145】
特定の実施形態において、本発明のTCRをコードする核酸は、ウイルスベクターで提供される。ウイルスベクターは、レトロウイルス、レンチウイルス、または泡沫状ウイルスに由来するものであることができる。本明細書で使用される場合、「ウイルスベクター」という用語は、ウイルス起源の少なくとも1つの要素を含み、ウイルスベクター粒子にパッケージ化される能力を有する核酸ベクター構築物を指す。ウイルスベクターは、非必須ウイルス遺伝子の代わりに、本明細書に記載される様々なタンパク質のコード配列を含むことができる。ベクターおよび/または粒子は、DNA、RNA、もしくは他の核酸を、インビトロもしくはインビボのいずれかで細胞に移入する目的のために利用することができる。ウイルスベクターの多数の形態が当該技術分野で知られている。
【0146】
特定の実施形態において、本明細書に記載のTCRのコード配列を含むウイルスベクターは、レトロウイルスベクターまたはレンチウイルスベクターである。「レトロウイルスベクター」という用語は、主にレトロウイルスに由来する構造的および機能的遺伝子要素を含むベクターを指す。「レンチウイルスベクター」という用語は、主にレンチウイルスに由来する、LTRの外側の構造的および機能的遺伝子要素を含むベクターを指す。
【0147】
本明細書で使用するためのレトロウイルスベクターは、任意の既知のレトロウイルス(例えば、モロニーマウス肉腫ウイルス(MoMSV)、ハーベイマウス肉腫ウイルス(HaMuSV)、マウス乳房腫瘍ウイルス(MuMTV)、テナガザル白血病ウイルス(GaLV)、ネコ白血病ウイルス(FLV)、スプマウイルス、フレンド、マウス幹細胞ウイルス(MSCV)、およびラウス肉腫ウイルス(RSV)などのc型レトロウイルス)に由来し得る。本発明の「レトロウイルス」にはまた、ヒトT細胞白血病ウイルス、HTLV-1およびHTLV-2、ならびにヒト免疫不全ウイルス、HIV-1、HIV-2、サル免疫不全ウイルス(SIV)、ネコ免疫不全ウイルス(FIV)、ウマ免疫不全ウイルス(EIV)、および他のクラスのレトロウイルスなどのレトロウイルス科のレンチウイルスも含まれる。
【0148】
本明細書で使用するためのレンチウイルスベクターは、徐々に発症する疾患を引き起こすレトロウイルスのグループ(または属)であるレンチウイルスに由来するベクターを指す。このグループに含まれるウイルスには、HIV(HIV1型およびHIV2型を含むヒト免疫不全ウイルス)、ビスナ・マエディ、ヤギ関節炎-脳炎ウイルス、ウマ伝染性貧血ウイルス、ネコ免疫不全ウイルス(FIV)、ウシ免疫不全ウイルス(BIV)、およびサル免疫不全ウイルス(SIV)が含まれる。組換えレンチウイルスの調製は、DullらおよびZuffereyらによる方法を使用して達成され得る(Dull et al.,J.Virol.,1998;72:8463-8471およびZufferey et al.,J.Virol.1998;72:9873-9880)。
【0149】
本発明における使用のためのレトロウイルスベクター(すなわち、レンチウイルスおよび非レンチウイルスの両方)は、本明細書に記載の指示および適応で所望のDNA配列を組み合わせることによって、標準的なクローニング技術を使用して生成することができる(Current Protocols in Molecular Biology,Ausubel,F.M.et al.(eds.)Greene Publishing Associates,(1989),Sections 9.10-9.14および他の標準的な検査室マニュアル、Eglitis,et al.(1985)Science 230:1395-1398、Danos and Mulligan(1988)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:6460-6464、Wilson et al.(1988)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:3014-3018、Armentano et al.(1990)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:6141-6145、Huber et al.(1991)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:8039-8043、Ferry et al.(1991)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:8377-8381、Chowdhury et al.(1991)Science 254:1802-1805、van Beusechem et al.(1992)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:7640-7644、Kay et al.(1992)Human Gene Therapy 3:641-647、Dai et al.(1992)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:10892-10895、Hwu et al.(1993)J.Immunol 150:4104-4115、米国特許第4,868,116号、米国特許第4,980,286号、PCT出願WO89/07136、PCT出願WO89/02468、PCT出願WO89/05345、およびPCT出願WO92/07573)。
【0150】
ベクターを生成する際に使用するためのレトロウイルス(すなわち、レンチウイルスおよび非レンチウイルスの両方)配列を得るために好適な供給源には、例えば、Type Culture Collection(ATCC)、Rockville,Mdを含む市販の供給源から入手可能なゲノムRNAおよびcDNAが含まれる。配列はまた、化学的に合成することもできる。
【0151】
PRAME TCRの発現では、ベクターを宿主細胞に導入して、宿主細胞内でポリペプチドの発現を可能にし得る。発現ベクターは、発現を制御するための様々な要素を含み得、限定されないが、プロモーター配列、転写開始配列、エンハンサー配列、選択可能マーカー、およびシグナル配列が含まれる。これらの要素は、上記のように、当業者によって適切に選択され得る。例えば、プロモーター配列は、ベクターにおけるポリヌクレオチドの転写を促進するために選択され得る。好適なプロモーター配列には、限定されないが、T7プロモーター、T3プロモーター、SP6プロモーター、βアクチンプロモーター、EF1aプロモーター、CMVプロモーター、およびSV40プロモーターが含まれる。エンハンサー配列は、ポリヌクレオチドの転写を増強するために選択され得る。選択可能マーカーは、ベクターが挿入された宿主細胞を、挿入されていないものから選択することを可能にし得、例えば、選択可能マーカーは、抗生物質耐性を付与する遺伝子であり得る。シグナル配列は、発現されたポリペプチドが、宿主細胞の外側に輸送されることを可能するために選択され得る。
【0152】
ポリヌクレオチドのクローニングでは、ベクターが宿主細胞(単離された宿主細胞)に導入されて、ベクター自体の複製を可能にし、それによって、そこに含まれるポリヌクレオチドのコピーを増幅し得る。クローニングベクターは、一般に、限定されないが、複製起点、プロモーター配列、転写開始配列、エンハンサー配列、および選択可能マーカーを含み得る。これらの要素は、当業者によって適切に選択され得る。例えば、複製起点は、宿主細胞におけるベクターの自律的複製を促進するように選択され得る。
【0153】
特定の実施形態において、本開示は、本明細書に提供されるベクターを含む単離された宿主細胞を提供する。ベクターを含む宿主細胞は、ベクターに含まれるポリヌクレオチドの発現またはクローニングにおいて有用であり得る。好適な宿主細胞には、限定されないが、原核細胞、真菌細胞、酵母細胞、または哺乳類細胞などの高等真核細胞が含まれ得る。この目的のために好適な原核細胞には、限定されないが、グラム陰性またはグラム陽性生物、例えば、大腸菌属、例えば、E.coli、エンテロバクター、エルウィニア、クレブシエラ、プロテウス、サルモネラ、例えばSalmonella typhimurium、セラチア、例えばSerratia marcescans、およびシゲラなどの腸内細菌、ならびにB.subtilisおよびB.licheniformisなどの桿菌、P.aeruginosaなどの緑膿菌、およびストレプトマイシスが含まれる。
【0154】
本発明のTCRは、当該技術分野で知られているトランスフェクションおよび/または形質導入技術を使用して宿主細胞に導入される。本明細書で使用される場合、「トランスフェクション」および「形質導入」という用語は、外因性核酸配列が宿主細胞に導入されるプロセスを指す。核酸は、宿主細胞DNAに組み込まれ得るか、または染色体外で維持され得る。核酸は、一時的に維持され得るか、または、安定的な導入であり得る。トランスフェクションは、当該技術分野で既知の様々な手段によって達成され得、リン酸カルシウム-DNA共沈殿、DEAE-デキストラン媒介トランスフェクション、ポリブレン媒介トランスフェクション、エレクトロポレーション、マイクロインジェクション、リポソーム融合、リポフェクション、プロトプラスト融合、レトロウイルス感染、および遺伝子銃が含まれるが、これらに限定されない。形質導入は、トランスフェクションよりもむしろウイルス感染の手段によって、ウイルスベクターまたはレトロウイルスベクターを使用した遺伝子の送達を指す。特定の実施形態において、レトロウイルスベクターは、細胞と接触する前に、ベクターをビリオンにパッケージングすることによって形質導入される。例えば、レトロウイルスベクターによって担持される本発明のPRAME TCRをコードする核酸は、感染およびプロウイルス組み込みを通じて細胞に形質導入することができる。
【0155】
本明細書で使用される場合、「遺伝子操作された」または「遺伝子改変された」という用語は、細胞内の全遺伝子材料へのDNAまたはRNAの形態での余分な遺伝子材料の付加を指す。「遺伝子改変細胞」、「改変細胞」、および「再指示細胞」という用語は、互換的に使用される。
【0156】
特に、本発明のTCRは、免疫エフェクター細胞に導入されて発現され、それによってそれらの特異性を、目的の標的抗原(例えば、HLA-A2提示PRAMEペプチド、例えば、PRAMEのアミノ酸残基312~320または425~433)に再指示する。
【0157】
本発明は、本明細書に記載のTCRを発現する免疫エフェクター細胞を作成するための方法を提供する。いくつかの実施形態において、本方法は、免疫エフェクター細胞(例えば、PRAME関連疾患または障害を有する対象などの対象から単離された免疫エフェクター細胞)を、免疫エフェクター細胞が本明細書に記載される1つ以上のTCRを発現するように、トランスフェクトまたは形質導入することを含む。特定の実施形態において、免疫エフェクター細胞は、個体から単離され、さらにインビトロでの操作を伴わずに遺伝子改変される。次いで、かかる細胞は、個体に直接再投与することができる。さらなる実施形態において、免疫エフェクター細胞は、最初にインビトロで増殖するように活性化および刺激され、その後にTCRを発現するように遺伝子改変される。この点に関して、免疫エフェクター細胞は、遺伝子改変される(すなわち、本明細書に記載のTCRを発現するように形質導入またはトランスフェクションされる)前または後に培養され得る。
【0158】
本明細書に記載の免疫エフェクター細胞のインビトロでの操作または遺伝子改変の前に、細胞源は対象から得ることができる。特に、本明細書に記載のTCRで使用するための免疫エフェクター細胞は、T細胞を含む。
【0159】
T細胞は、多数の供給源から得ることができ、末梢血単核細胞、骨髄、リンパ節組織、臍帯血、胸腺流出物、感染部位からの組織、腹水、胸水、脾臓組織、および腫瘍が含まれる。特定の実施形態において、T細胞は、FICOLL分離などの当業者に知られている任意の数の技法を使用して、対象から収集される血液の単位から得ることができる。いくつかの実施形態において、個体の循環血液からの細胞は、アフェレーシスによって得られる。アフェレーシス生成物は、典型的には、T細胞を含むリンパ球、単球、顆粒球、B細胞、他の有核白血球、赤血球、および血小板を含有する。いくつかの実施形態において、アフェレーシスによって回収された細胞は、血漿画分を除去するために、かつ後続の処理のために細胞を適切な緩衝液または培地に配置するために洗浄され得る。本発明のいくつかの実施形態において、細胞は、PBSで洗浄される。代替の実施形態において、洗浄溶液は、カルシウムを欠き、かつマグネシウムを欠くか、またはすべてではないが多くの二価カチオンを欠き得る。当業者によって認識されるように、洗浄ステップは、半自動フロースルー遠心分離器を使用することによるなどの、当業者に既知の方法によって達成され得る。洗浄後、細胞は、緩衝液の有無にかかわらず、様々な生体適合性緩衝液または他の生理食塩溶液に再懸濁され得る。特定の実施形態において、アフェレーシス試料の望ましくない成分は、細胞を直接再懸濁した培地中で除去され得る。
【0160】
特定の実施形態において、T細胞は、赤血球を溶解し、単球を枯渇させることによって、例えば、PERCOLL(商標)勾配による遠心分離によって、末梢血単核細胞(PBMC)から単離される。CD28+、CD4+、CD8+、CD45RA+、およびCD45RO+T細胞などのT細胞の特定の亜集団は、陽性または陰性選択技術によってさらに単離することができる。例えば、陰性選択によるT細胞集団の豊富化は、陰性選択された細胞に固有の表面マーカーに対する抗体の組み合わせによって達成することができる。本明細書で使用するための1つの方法は、陰性磁気免疫付着またはフローサイトメトリーを介した細胞選別および/または選択であり、陰性選択された細胞に存在する細胞表面マーカーに対するモノクローナル抗体のカクテルを使用する。例えば、陰性選択によってCD4+細胞を豊富化するために、モノクローナル抗体カクテルは、典型的には、CD14、CD20、CD11b、CD16、HLA-DR、およびCD8に対する抗体を含む。フローサイトメトリーおよび細胞選別もまた、本発明で使用する関心対象の細胞集団を単離するために使用され得る。
【0161】
PBMCは、本明細書に記載される方法を使用して、TCRによる遺伝子改変のために直接使用され得る。特定の実施形態において、PBMCの単離後、Tリンパ球はさらに単離され、特定の実施形態において、細胞傷害性およびヘルパーTリンパ球の両方を、遺伝子改変および/または増殖の前もしくは後のいずれかで、ナイーブ、メモリー、およびエフェクターT細胞亜集団に選別することができる。
【0162】
T細胞などの免疫エフェクター細胞は、既知の方法を使用した単離後に遺伝子改変することができるか、または免疫エフェクター細胞は、遺伝子改変される前にインビトロで活性化および増殖(または前駆細胞の場合に分化)することができる。別の実施形態において、T細胞などの免疫エフェクター細胞は、本明細書に記載のキメラ抗原受容体で遺伝子改変され(例えば、TCRをコードする核酸を含むウイルスベクターで形質導入される)、次いで、インビトロで活性化されて増殖される。T細胞を活性化および増殖するための方法は、当該技術分野で知られており、例えば、米国特許第6,905,874号、米国特許第6,867,041号、米国特許第6,797,514号、WO2012/079000号、US2016/0175358に記載されている。
【0163】
本発明は、PRAME関連疾患または障害(例えば、がん)の治療のために改変免疫エフェクター細胞の集団を提供し、改変免疫エフェクター細胞は、本明細書に開示されるPRAME TCRを含む。
【0164】
本明細書に記載されるように調製されるTCR発現免疫エフェクター細胞は、本開示に基づいて当業者には明らかであろう既知の技術またはその変形に従って、養子免疫療法のための方法および組成物において利用することができる。例えば、Gruenbergらによる米国特許出願公開第2003/0170238号を参照されたい。また、Rosenbergらの米国特許第4,690,915号も参照されたい。
【0165】
III.医薬組成物
本発明は、本発明のPRAME TCR、または本発明のPRAME TCRを含む免疫エフェクター細胞を含む、治療用組成物を提供する。本発明による治療用組成物は、好適な担体と、賦形剤と、改善された移送、送達、耐性などをもたらすために製剤に組み込まれる他の薬剤と、ともに投与される。多くの適切な製剤は、すべての製薬化学者に知られている処方集であるRemington’s Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing Company,Easton,PAに見出すことができる。これらの製剤には、例えば、粉末、ペースト、軟膏、ゼリー、ワックス、油、脂質、ベシクル含有脂質(カチオン性またはアニオン性)(LIPOFECTIN(商標)など)、DNAコンジュゲート、無水吸収ペースト、水中油および油中水エマルション、エマルションカーボワックス(種々の分子量のポリエチレングリコール)、半固体ゲル、ならびにカーボワックス含有半固体混合物が含まれる。Powell et al.”Compendium of excipients for parenteral formulations”PDA(1998)J Pharm Sci Technol 52:238-311も参照されたい。
【0166】
状態の重症度に応じて、治療の頻度および期間を調整することができる。
【0167】
特定の実施形態において、初回用量の後に、初回用量とほぼ同じかまたは少ない量で、本発明のPRAME TCRまたは本発明のPRAME TCRを含む免疫エフェクター細胞の2回目または複数回のその後の用量の投与が続き得る。
【0168】
特定の状況において、医薬組成物は、徐放システムで送達することができる。いくつかの実施形態において、ポンプが使用され得る。
【0169】
注射可能な調製物は、静脈内、皮下、皮内、頭蓋内、腹腔内、および筋肉内注射、点滴注入などのための剤形を含み得る。本明細書に記載のTCR、医薬組成物、および細胞は、非経口投与を介して投与され得る。本開示の調製物は、公然と知られている方法によって調製され得る。例えば、調製物は、例えば、注射用に従来使用されている滅菌水性媒体または油性媒体中に上記の抗原結合タンパク質またはその塩を溶解、懸濁、または乳化させることによって調製され得る。注射のための水性媒体としては、例えば、生理食塩水、グルコースを含有する等張液、および他の補助剤などがあり、これらは、アルコール(例えば、エタノール)、ポリアルコール(例えば、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール)、非イオン性界面活性剤[例えば、ポリソルベート80、HCO-50(水素化ヒマシ油のポリオキシエチレン(50mol)付加物)]などの適切な可溶化剤と組み合わせて使用され得る。油性媒体として、例えば、ゴマ油、ダイズ油などが用いられ、ベンジルベンゾエート、ベンジルアルコールなどの可溶化剤と組み合わせて使用され得る。このように調製された注射は、好ましくは適切なアンプルに充填される。
【0170】
いくつかの実施形態において、TCR発現免疫エフェクター細胞は、最初にそれらをその培地から採取し、次いで細胞を、治療有効量で、投与に適した培地および容器システム(「薬学的に許容される」担体)中で洗浄および濃縮することによって製剤化される。好適な注入媒体は、任意の等張媒体製剤、典型的には生理食塩水、Normosol R(Abbott)、またはPlasma-Lyte A(Baxter)であり得るが、水中の5%デキストロースまたは乳酸リンゲル液も利用することができる。注入媒体は、ヒト血清アルブミンを補充することができる。
【0171】
組成物中の治療有効細胞数は、典型的には、細胞10個超で最大10個であり、細胞10個または10個を含み、細胞1010個超であり得る。細胞数は、組成物が意図される最終的な使用、およびそこに含まれる細胞型に依存する。
【0172】
細胞は、療法を受ける患者に対して自己または異種であり得る。所望される場合、治療はまた、免疫応答の誘導を増強するために、本明細書に記載されるマイトジェン(例えば、PHA)もしくはリンホカイン、サイトカイン、および/またはケモカイン(例えば、IFN-γ、IL-2、IL-12、TNF-α、IL-18、およびTNF-β、GM-CSF、IL-4、IL-13、Flt3-L、RANTES、MIP1αなど)の投与を含み得る。
【0173】
本発明のTCR発現免疫エフェクター細胞集団は、単独で、あるいは希釈剤および/またはIL-2もしくは他のサイトカインまたは細胞集団などの他の成分と組み合わせた医薬組成物として投与され得る。簡単に説明すると、本発明の医薬組成物は、本明細書に記載のT細胞などのTCR発現免疫エフェクター細胞集団を、1つ以上の薬学的または生理学的に許容される担体、希釈剤、もしくは賦形剤と組み合わせて含み得る。かかる組成物は、中性緩衝化生理食塩水、リン酸緩衝化生理食塩水などの緩衝液、グルコース、マンノース、スクロースもしくはデキストラン、マンニトールなどの炭水化物、タンパク質、ポリペプチドまたはグリシンなどのアミノ酸、抗酸化剤、EDTAまたはグルタチオンなどのキレート剤、アジュバント(例えば、水酸化アルミニウム)、および保存剤を含み得る。本発明の組成物は、好ましくは、静脈内投与のために製剤化される。
【0174】
IV.PRAME TCRまたはPRAME TCRを含む免疫エフェクター細胞の治療的使用
本明細書に記載の方法、または当該技術分野で既知の他の方法を使用して、本明細書に記載のT細胞を発現するTCRを投与することによって対象で誘導される抗腫瘍免疫応答は、感染細胞を殺傷することができる細胞傷害性T細胞、制御性T細胞、およびヘルパーT細胞応答によって媒介される細胞免疫応答を含み得る。B細胞を活性化し、したがって抗体産生をもたらすことができるヘルパーT細胞によって主に媒介される体液性免疫応答も誘導され得る。様々な技術が本発明の組成物によって誘導される免疫応答のタイプを分析するために使用され得、それらは当該技術分野において十分に説明されており、例えば、Current Protocols in Immunology,Edited by:John E.Coligan,Ada M.Kruisbeek,David H.Margulies,Ethan M.Shevach,Warren Strober(2001)John Wiley & Sons,NY,N.Y.が挙げられる。
【0175】
そのため、本発明のPRAME TCRは、とりわけ、PRAMEに関連するもしくはそれによって媒介される任意の疾患または障害の治療、予防、および/もしくは改善のために有用である。例えば、本発明は、PRAME関連がん(例えば、PRAME陽性がん)などのPRAME関連疾患または障害を治療するための方法(腫瘍増殖の抑制)であって、かかる治療を必要とする患者に、本明細書に記載されるPRAME TCR(またはPRAME TCRもしくはPRAME TCRを含む複数の細胞を含む医薬組成物)を投与することによって治療する方法、およびPRAME関連がんの治療に使用するためのPRAME TCR(またはPRAME TCRを含む医薬組成物)を提供する。本発明の抗原結合タンパク質は、PRAME関連がんなどの疾患または障害もしくは状態の治療、予防、および/または改善のため、ならびに/あるいはかかる疾患、障害、もしくは状態に関連する少なくとも1つの症状の改善するために有用である。本明細書に記載される治療方法との関連で、PRAME TCR(または医薬組成物もしくは複数の細胞)は、単剤療法として(すなわち、唯一の治療剤として)または1つ以上の追加の治療剤(それらの例は本明細書の他箇所に記載される)と組み合わせて投与され得る。
【0176】
したがって、本発明は、PRAME関連疾患または障害(例えば、PRAME関連がん)と診断されたか、もしくはそれを有することが疑われるか、またはそれを発症するリスクがある個体を治療するための方法を提供し、本方法は、個体に、治療有効量の本明細書に記載されるTCR発現免疫エフェクター細胞を投与することを含む。
【0177】
一実施形態において、本発明は、PRAME陽性がんを有すると診断された対象を治療する方法を提供し、本方法は、PRAME陽性がんを有すると診断された対象から免疫エフェクター細胞を取り出すことと、本発明のTCRをコードする核酸を含むベクターを用いて当該免疫エフェクター細胞を遺伝子改変し、それによって、改変免疫エフェクター細胞集団を産生することと、当該対象に改変免疫エフェクター細胞集団を投与することと、を含む。いくつかの実施形態において、免疫エフェクター細胞は、T細胞を含む。
【0178】
本明細書に記載の細胞組成物を投与する方法は、生体外遺伝子改変免疫エフェクター細胞の再導入をもたらすのに有効である任意の方法を含み、それらの細胞は、対象において本発明のTCRを直接発現するか、または対象への導入時に成熟免疫エフェクター細胞に分化する免疫エフェクター細胞の遺伝子改変前駆細胞の再導入でTCRを発現するか、のいずれかである。1つの方法は、本発明による核酸構築物で末梢血T細胞を生体外で形質導入し、形質導入された細胞を対象に戻すことを含む。
【0179】
本発明のいくつかの実施形態において、本明細書に記載の組成物は、原発性または再発性癌に罹患している対象を治療するために有用であり、限定されないが、PRAME関連がんを含む。例えば、PRAME関連がんは、脂肪肉腫、神経芽腫、骨髄腫、黒色腫、転移性黒色腫、滑膜肉腫、膀胱癌、食道癌、食道扁平上皮癌、肝細胞癌、頭頸部癌、非小細胞肺癌、卵巣癌、卵巣上皮癌、前立腺癌、乳癌、星状細胞腫瘍、多形性膠芽腫、未分化星状細胞腫、脳腫瘍、卵管癌、原発性腹腔癌、進行固形腫瘍、軟部組織肉腫、肉腫、骨髄異形成症候群、急性骨髄性白血病、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、ホジキン病、多発性骨髄腫、転移性固形腫瘍、大腸癌、胃癌(stomach cancer)、胃癌(gastric cancer)、横紋筋肉腫、粘液型円形細胞型脂肪肉腫、または再発非小細胞肺癌である。いくつかの実施形態において、PRAME関連がんは、卵巣癌、黒色腫、非小細胞肺癌、肝細胞癌、大腸癌、食道扁平上皮癌、食道腺癌、胃癌(stomach cancer)、膀胱癌、頭頸部癌、胃癌(gastric cancer)、滑膜肉腫、子宮体子宮内膜癌、子宮癌肉腫、精巣胚細胞腫瘍、ブドウ膜黒色腫、腎臓腎乳頭細胞癌、腎臓腎明細胞癌、胸腺腫、結腸腺癌、子宮頸部扁平上皮癌、子宮頸部腫瘍、膵臓腺癌、肝臓癌、肝細胞癌、中皮腫、または粘液型円形細胞型脂肪肉腫である。
【0180】
TCRは、PRAME関連がんの初期症状または後期症状を治療するために使用され得る。いくつかの実施形態において、本発明のTCRは、進行性または転移性癌を治療するために使用され得る。TCRは、腫瘍増殖を低減するか、または阻害するか、または縮小するのに有用である。特定の実施形態において、本発明のTCRによる治療は、対象における腫瘍の40%超の退縮、50%超の退縮、60%超の退縮、70%超の退縮、80%超の退縮、または90%超の退縮をもたらす。特定の実施形態において、TCRは、腫瘍の再発を予防するために使用され得る。特定の実施形態において、TCRは、PRAME関連がんを有する対象における無増悪生存期間または全生存期間を延長するのに有用である。いくつかの実施形態において、TCRは、PRAME関連がんに罹患している患者における長期生存を維持しながら、化学療法または放射線療法に起因する毒性を低減するのに有用である。
【0181】
本発明の1つ以上のTCRは、疾患または障害のうちの1つ以上の症状もしくは状態の重症度を緩和もしくは予防もしくは低減するために投与され得る。
【0182】
本発明の1つ以上のTCRを、PRAME関連疾患または障害(例えば、PRAME関連がん)などの疾患または障害を発症するリスクがある患者に予防的に使用することもまた、本明細書で企図される。
【0183】
本発明のさらなる実施形態において、本TCRは、PRAME関連がんなどのPRAME関連疾患または障害に罹患している患者を治療するための医薬組成物の調製のために使用される。本発明の別の実施形態において、本TCRは、PRAME関連がんの治療のために有用な当業者に既知の任意の他の薬剤または任意の他の療法との補助療法として使用される。
【0184】
併用療法は、本発明のPRAME TCR(例えば、本発明のTCRを含む免疫エフェクター細胞)、または本発明の医薬組成物、および本発明のTCRと有利に組み合わされ得る任意の追加の治療剤を含み得る。本発明のTCRは、PRAME陽性がん、例えば、脂肪肉腫、神経芽腫、骨髄腫、黒色腫、転移性黒色腫、滑膜肉腫、膀胱癌、食道癌、食道扁平上皮癌、肝細胞癌、頭頸部癌、非小細胞肺癌、卵巣癌、卵巣上皮癌、前立腺癌、乳癌、星状細胞腫瘍、多形性膠芽腫、未分化星状細胞腫、脳腫瘍、卵管癌、原発性腹腔癌、進行固形腫瘍、軟部組織肉腫、肉腫、骨髄異形成症候群、急性骨髄性白血病、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、ホジキン病、多発性骨髄腫、転移性固形腫瘍、大腸癌、胃癌(stomach cancer)、胃癌(gastric cancer)、横紋筋肉腫、粘液型円形細胞型脂肪肉腫、または再発性非小細胞肺癌などのPRAME関連疾患または障害を治療もしくは阻害するために使用される1つ以上の抗がん剤または療法と相乗的に組み合わされ得る。
【0185】
本明細書では、本発明のTCRを、免疫刺激療法および/または免疫支持療法と組み合わせて使用して、腫瘍増殖を阻害し、かつ/またはがん患者の生存を高めることが企図される。免疫刺激療法は、抑制された免疫細胞で「ブレーキを外す」か、または「アクセルを踏む」かのいずれかによって免疫細胞活性を増強して免疫応答を活性化する、直接免疫刺激療法を含む。例には、他のチェックポイント受容体、ワクチン接種、およびアジュバントを標的とすることが含まれる。免疫支持モダリティは、免疫原性細胞死、炎症を促進することによって腫瘍の抗原性を増加させ得るか、または抗腫瘍免疫応答を促進する他の間接的な効果を有し得る。例には、放射線、化学療法、抗血管新生剤、および手術が含まれる。
【0186】
様々な実施形態において、本発明の1つ以上のTCRは、PD-1阻害剤(例えば、ニボルマブ、ペンブロリズマブ、ピディリズマブ、BGB-A317、またはREGN2810などの抗PD-1抗体)、PD-L1阻害剤(例えば、アベルマブ、アテゾリズマブ、デュルバルマブ、MDX-1105、またはREGN3504などの抗PD-L1抗体)、CTLA-4阻害剤(例えば、イピリムマブ)、TIM3阻害剤、BTLA阻害剤、TIGIT阻害剤、CD47阻害剤、GITR阻害剤、別のT細胞共阻害剤またはリガンドのアンタゴニスト(例えば、CD-28、2B4、LY108、LAIR1、ICOS、CD160、またはVISTAに対する抗体)、インドールアミン-2,3,ジオキシゲナーゼ(IDO)阻害剤、血管内皮増殖因子(VEGF)アンタゴニスト[例えば、US7,087,411に示されるアフリベルセプトもしくは他のVEGF阻害融合タンパク質などの「VEGF-Trap」、または抗VEGF抗体もしくはその抗原結合断片(例えば、ベバシズマブ、もしくはラニビズマブ)、またはVEGF受容体の小分子キナーゼ阻害剤(例えば、スニチニブ、ソラフェニブ、もしくはパゾパニブ)]、Ang2阻害剤(例えば、ネスバクマブ)、形質転換増殖因子β(TGFβ)阻害剤、上皮増殖因子受容体(EGFR)阻害剤(例えば、エルロチニブ、セツキシマブ)、NY-ESO-1阻害剤(例えば、抗NY-ESO-1抗体)、CD20阻害剤(例えば、リツキシマブなどの抗CD20抗体)、腫瘍特異的抗原に対する抗体[例えば、CA9、CA125、黒色腫関連抗原3(MAGE3)、がん胎児抗原(CEA)、ビメンチン、腫瘍-M2-PK、前立腺特異抗原(PSA)、ムチン-1、MART-1、およびCA19-9]、ワクチン(例えば、Bacillus Calmette-Guerin、がんワクチン)、抗原提示を増加させるアジュバント(例えば、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子)、共刺激剤、二重特異性抗体(例えば、CD3×CD20二重特異性抗体、PSMA×CD3二重特異性抗体、または腫瘍抗原に結合し、共刺激活性を有する二重特異性抗体などの、共刺激剤として作用する二重特異性抗体)、細胞毒素、化学療法剤(例えば、ダカルバジン、テモゾロミド、シクロホスファミド、ドセタキセル、ドキソルビシン、ダウノルビシン、シスプラチン、カルボプラチン、ゲムシタビン、メトトレキサート、ミトキサントロン、オキサリプラチン、パクリタキセル、およびビンクリスチン)、シクロホスファミド、放射線療法、手術、IL-6R阻害剤(例えば、サリルマブ)、IL-4R阻害剤(例えば、デュピルマブ)、IL-10阻害剤、サイトカイン(例えば、IL-2、IL-7、IL-21、およびIL-15)、抗体-薬物コンジュゲート(例えば、抗CD19-DM4 ADC、および抗DS6-DM4 ADC)、抗炎症剤(例えば、コルチコステロイド、非ステロイド性抗炎症薬)、栄養補助食品(例えば、抗酸化剤)、あるいはがんを治療する任意の他の療法と組み合わせて使用され得る。特定の実施形態において、本発明のTCRは、抗腫瘍応答を増強するために、樹状細胞ワクチン、腫瘍溶解性ウイルス、腫瘍細胞ワクチンなどを含むがんワクチンと組み合わせて使用され得る。
【0187】
本発明のTCRと組み合わせて使用することができるがんワクチンの例としては、黒色腫および膀胱癌用のMAGE3ワクチン、乳癌用のMUC1ワクチン、脳腫瘍(多形性膠芽腫を含む)用のEGFRv3(例えば、リンドペピムト)、ALVAC-CEA(CEA+がん用)、およびNY-ESO-1ワクチン(例えば、黒色腫用)が挙げられる。
【0188】
特定の実施形態において、本発明のPRAME TCRは、長期持続性の抗腫瘍応答を生成し、かつ/またはがんを有する患者の生存率を高める方法において、放射線療法と組み合わせて投与され得る。いくつかの実施形態において、本発明のPRAME TCRは、がん患者に放射線療法を投与する前に、それと同時に、またはその後に投与され得る。例えば、放射線療法は、腫瘍病変に本発明のPRAME TCRを1回以上の用量で投与し、その後、1回以上の用量を投与することができる。いくつかの実施形態において、放射線療法は、患者の腫瘍の局所免疫原性を増強し(作用性放射線)、かつ/または腫瘍細胞を死滅させる(切除性放射線)ために、腫瘍病変に局所投与され、その後、本発明のPRAME TCRが全身投与され得る。
【0189】
追加の治療活性剤/成分は、本発明のPRAME TCRの投与前に、投与と同時に、または投与後に投与され得る。本開示の目的のために、かかる投与計画は、第2の治療活性成分と「組み合わせた」PRAME TCRの投与とみなされる。
【0190】
追加の治療活性成分は、対象に、本発明のPRAME TCRの投与前に投与され得る。他の実施形態において、追加の治療活性成分は、対象に、本発明のPRAME TCRの投与後に投与され得る。さらに他の実施形態において、追加の治療活性成分は、対象に、本発明のPRAME TCRの投与と同時に投与され得る。「同時」投与は、本発明の目的のために、例えば、対象に、PRAME TCRおよび追加の治療活性成分を、単一剤形で投与すること(例えば、共製剤化)、または、対象に、別個の剤形で投与すること(互いに約30分以内に投与される)を含む。別個の剤形で投与される場合、各剤形は、同じ経路を介して投与され得、あるいは、各剤形は、異なる経路を介して投与され得る。いずれにせよ、成分を単一剤形で、同じ経路によって別個の剤形で、または異なる経路によって別個の剤形で投与することは、本開示の目的において、すべて、「同時投与」とみなされる。本開示の目的のために、追加の治療活性成分の投与の「前に」、「同時に」、または「後に」(これらの用語は、上で定義されている)のPRAME TCRの投与は、追加の治療活性成分と「組み合わせた」PRAME TCRの投与とみなされる。
【0191】
本発明は、以下の実施例によってさらに例示されるが、これは、決して限定することを意図するものではない。本出願全体を通して引用されるすべての参考文献、特許、および公開された特許出願の内容全体が、参照により本明細書に組み込まれる。
【実施例
【0192】
実施例1.PRAME特異的T細胞受容体の特定
細胞免疫系構成要素についてヒト化されたマウスであるVelociT(商標)マウス(例えば、PCT公開第WO2016/164492号を参照されたい。その内容全体が、参照により本明細書に組み込まれる)を、ヒトHLA-A2によって特異的に提示されるPRAME(312~320)ペプチド(RLDQLLRHV;配列番号929)またはPRAME(425~433)ペプチド(SLLQHLIGL;配列番号930)のいずれかで免疫化し、PBS中で希釈し、アジュバント(例えば、完全フロイントアジュバント(CFA;Chondrex,Inc.))と等量で混合した。ウィザーペプチド(wither peptide)で免疫化されたマウスからの脾臓懸濁液を、別々に得て、解離した。赤血球をACK溶解緩衝液(Life Technologies)に溶解し、脾細胞をRPMI完全培地に懸濁させた。単離された脾細胞を選別し、MHCとの関連で免疫化に使用されるPRAMEペプチド(PRAME(312~320)またはPRAME(425~433)のいずれか)に結合する単一のT細胞を蛍光活性化細胞選別(FACS)によって単離した。単離されたT細胞を単一ウェルプレートに播種し、TCRアルファおよびベータ可変領域特異的PCRプライマーと混合した。各単一T細胞におけるcDNAを、逆転写酵素(RT)反応を介して合成した。次いで、得られた各RT生成物を分割し、その後のTCRベータおよびアルファPCRのために2つの対応するウェルに移した。得られたRT生成物の1つのセットを、最初に、TCRベータ可変領域リーダー配列に特異的な5’縮重プライマー、またはTCRアルファ鎖可変領域リーダー配列に特異的な5’縮重プライマー、およびTCR定常領域に特異的な3’プライマーを使用してPCRによって増幅し、アンプリコンを生成した。次に、TCRベータ可変領域フレームワーク1に特異的な5’縮重プライマー、またはTCRアルファ鎖可変領域フレームワーク1に特異的な5’縮重プライマー、およびTCR定常領域に特異的な3’プライマーを使用してPCRによって再度増幅し、クローニングのためのアンプリコンを生成した。TCRベータおよびアルファ由来のPCR産物を、それぞれベータ定常領域およびアルファ定常領域を含む発現ベクターにクローニングした。全長のベータ鎖およびアルファ鎖対を発現する発現ベクターをCHO細胞にトランスフェクトし、市販のPRAME/HLA四量体試薬との結合について試験した。CHO細胞を、可溶性HLA-A2:PRAME(312~320)またはHLA:A2:PRAME(425~433)(MBL International,Woburn,MA)四量体およびマウスTCR定常領域に特異的な抗体(クローンH57-597)(Biolegend,San Diego,CA)とインキュベートした。次いで、試料をLSRFortessaX-20(BD Biosciences、San Jose,CA)で分析した。四量体陽性細胞の割合を計算するために、FlowJo(LLC,Ashland,OR)を使用して、HLA-A2:PRAME(312~320)またはHLA:A2:PRAME(425~433)(MBL International,Woburn,MA)四量体に結合しない陰性対照TCRに基づいて、抗原陽性(Ag+)のゲーティングを設定した。すべてのAg+TCRは、平均蛍光強度(MFI)≧1000によるAg+ゲーティングにおいて、≧1%の細胞のFlowJoの基準を有した。Ag+TCRは、次世代配列決定によって決定された。PRAME(312~320)で特定され、かつ同一のTCRアルファおよびベータヌクレオチド配列を発現するTCRの総数を、以下の表1に示す。細胞の頻度、すなわちAg+ゲーティングにおける四量体陽性細胞の割合(%)は、表1の最初の列に示されるTCRを表す。PRAME(425~433)で特定され、かつ同一のTCRアルファおよびベータヌクレオチド配列を発現するTCRの総数を、以下の表2に示す。細胞の頻度、すなわちAg+ゲーティングにおける四量体陽性細胞の割合(%)は、表2の最初の列に示されるTCRを表す。
【0193】
上記のようにPRAME(312~320)で特定されたTCRのベータ鎖可変ドメインCDR1、CDR2、およびCDR3アミノ酸配列、ならびにアルファ鎖可変ドメインCDR1、CDR2、およびCDR3アミノ酸配列の詳細なリストを表3に提供する。上記のようにPRAME(312~320)で特定されたTCRのベータ鎖可変ドメインCDR1、CDR2、およびCDR3ポリ核酸配列、ならびにアルファ鎖可変ドメインCDR1、CDR2、およびCDR3ポリ核酸配列の詳細なリストを表4に提供する。表5は、PRAME(312~320)で特定されたTCRのベータ鎖可変領域およびアルファ鎖可変領域のアミノ酸配列およびヌクレオチド配列を提供する。
【0194】
上記のようにPRAME(425~433)で特定されたTCRのベータ鎖可変ドメインCDR1、CDR2、およびCDR3アミノ酸配列、ならびにアルファ鎖可変ドメインCDR1、CDR2、およびCDR3アミノ酸配列の詳細なリストを表6に提供する。上記のようにPRAME(425~433)で特定されたTCRのベータ鎖可変ドメインCDR1、CDR2、およびCDR3ポリ核酸配列、ならびにアルファ鎖可変ドメインCDR1、CDR2、およびCDR3ポリ核酸配列の詳細なリストを表7に提供する。表8は、PRAME(425~433)で特定されたTCRのベータ鎖可変領域およびアルファ鎖可変領域のアミノ酸配列およびヌクレオチド配列を提供する。
【0195】
表9は、PRAME(312~320)で特定された、単離されたTCRのアルファ可変領域およびベータ可変領域ならびに結合領域のTCR遺伝子ファミリーを提供し、表11は、PRAME(312~320)で特定されたTCRのアルファ可変鎖およびベータ可変鎖ならびにCDRのアミノ酸配列識別子およびポリ核酸配列識別子を提供する。
【0196】
表10は、PRAME(425~433)で特定された、単離されたTCRのアルファ可変領域およびベータ可変領域ならびに結合領域のTCR遺伝子ファミリーを提供し、表12は、PRAME(425~433)で特定されたTCRのアルファ可変鎖およびベータ可変鎖ならびにCDRのアミノ酸配列識別子およびポリ核酸配列識別子を提供する。
【表1-1】
【表1-2】
【表2-1】
【表2-2】
【表3】
【表4-1】
【表4-2】
【表5-1】
【表5-2】
【表5-3】
【表5-4】
【表5-5】
【表5-6】
【表5-7】
【表5-8】
【表5-9】
【表5-10】
【表5-11】
【表5-12】
【表5-13】
【表6-1】
【表6-2】
【表7-1】
【表7-2】
【表7-3】
【表7-4】
【表7-5】
【表8-1】
【表8-2】
【表8-3】
【表8-4】
【表8-5】
【表8-6】
【表8-7】
【表8-8】
【表8-9】
【表8-10】
【表8-11】
【表8-12】
【表8-13】
【表8-14】
【表8-15】
【表8-16】
【表8-17】
【表8-18】
【表8-19】
【表8-20】
【表8-21】
【表8-22】
【表8-23】
【表8-24】
【表8-25】
【表8-26】
【表8-27】
【表9】
【表10-1】
【表10-2】
【表11】
【表12-1】
【表12-2】
【0197】
実施例2.用量依存的なT細胞受容体の活性化
遺伝子破壊によって、内因性TCRαおよびTCRβの発現を欠くJurkat細胞株を生成した。次いで、これらの細胞を、トランスジェニックTCR構築物の単一コピーCreリコンビナーゼ媒介性挿入を可能にするゲノムランディングパッド部位で操作した。次いで、活性化タンパク質1(AP1)応答エレメント駆動型のルシフェラーゼレポーターを、この親バイオアッセイ細胞株に組み込んだ。特定のTCRバイオアッセイ株を、VelociT(登録商標)由来のTCRα配列およびTCRβ配列を発現する構築物のCre媒介性挿入によって作製した。
【0198】
TCR構築物を発現するJurkatバイオアッセイ株を、蛍光活性化細胞選別(FACS)を使用して選別して、均一にし、次いで、ペプチド-MHC刺激アッセイで試験した。HEK293T細胞(HLA-A2*01)を、抗原性PRAMEペプチド(PRAME425~433;配列番号930)または無関係なHLA-A2限定ペプチド(SLLMWITQC;配列番号953)の様々な希釈液を含むアッセイウェルに播種した。これらの希釈液は、表13に示されるように作製した。
【表13】
【0199】
2時間のインキュベーション後、操作されたJurkat細胞を、3:1のJurkat細胞:293T細胞比でウェルに添加し、さらに5時間インキュベーションした。ルシフェラーゼレポーターの活性を、アッセイウェルにおけるエンドポイント発光出力を測定することによって決定した。PRAME特異的TCRは、同族ペプチドでパルスされたHLA-A2*01 HEK293T細胞に応答して、用量依存的なAP1レポーターの活性化を媒介したが、無関係なペプチドでパルスされた細胞では、それがみられなかった。以下の表14に、EC50データを示す。
【表14-1】
【表14-2】
*アッセイにおいて、陰性対照を上回らなかったか、または応答しなかった
【0200】
均等物
当業者は、日常的な実験のみを使用して、本明細書に記載の本発明の特定の実施形態との多くの均等物を認識するか、または確認することができ、かかる均等物は、以下の特許請求に包含されることが意図される。本出願全体を通して引用されるすべての参考文献、特許、および公開された特許出願の内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【配列表】
2023511417000001.app
【国際調査報告】