(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-17
(54)【発明の名称】少なくとも1つのサニタリー器具用の、ダイヤフラム弁と多方弁とを備える制御弁
(51)【国際特許分類】
F16K 11/074 20060101AFI20230310BHJP
E03C 1/044 20060101ALN20230310BHJP
【FI】
F16K11/074 Z
E03C1/044
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022544725
(86)(22)【出願日】2020-09-28
(85)【翻訳文提出日】2022-08-19
(86)【国際出願番号】 EP2020077077
(87)【国際公開番号】W WO2021148151
(87)【国際公開日】2021-07-29
(31)【優先権主張番号】102020101691.3
(32)【優先日】2020-01-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513228719
【氏名又は名称】グローエ アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Grohe AG
【住所又は居所原語表記】58675 Hemer, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ダヴィド マインカ
(72)【発明者】
【氏名】ヤニック ブーフミュラー
(72)【発明者】
【氏名】ゼバスティアン クックラ
【テーマコード(参考)】
2D060
3H067
【Fターム(参考)】
2D060BA01
2D060BA03
2D060BA05
2D060BB01
2D060BE11
2D060BE16
3H067AA13
3H067BB03
3H067BB12
3H067CC32
3H067CC45
3H067DD03
3H067DD12
3H067DD23
3H067EA02
3H067EB07
3H067EB12
3H067EC08
3H067FF11
(57)【要約】
少なくとも1つのサニタリー器具用の制御弁(1)であって、液体のための少なくとも1つの流入部(3)を備えるハウジング(2)と、制御弁(1)の流路(5)を開閉するためのダイヤフラム弁(4)であって、ダイヤフラム弁(4)は、ダイヤフラム(6)と、少なくとも1つの流入部(3)に接続された対向圧チャンバ(7)とを有し、ダイヤフラム(6)に、対向圧チャンバ(7)を流路(5)に接続するパイロット開口(8)が形成されている、ダイヤフラム弁(4)と、ダイヤフラム弁(4)の下流側に配置されていて、液体のための複数の流出部(10,11)を有する多方弁(9)と、ダイヤフラム弁(4)と多方弁(9)とを制御するための制御部(12)であって、制御部(12)は、ダイヤフラム(6)のパイロット開口(8)を通って延びる制御ロッド(13)を有し、制御ロッド(13)は、ダイヤフラム弁(4)を制御するために長手方向(14)で変位可能であり、多方弁(9)を制御するために回動可能である、制御部(12)とを少なくとも備える、制御弁(1)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのサニタリー器具用の制御弁(1)であって、
- 液体のための少なくとも1つの流入部(3)を備えるハウジング(2)と、
- 前記制御弁(1)の流路(5)を開閉するためのダイヤフラム弁(4)であって、ダイヤフラム(6)と、前記少なくとも1つの流入部(3)に接続された対向圧チャンバ(7)とを有し、前記ダイヤフラム(6)に、前記対向圧チャンバ(7)を前記流路(5)に接続するパイロット開口(8)が形成されている、ダイヤフラム弁(4)と、
- 前記ダイヤフラム弁(4)の下流側に配置されていて、液体のための複数の流出部(10,11)を有する多方弁(9)と、
- 前記ダイヤフラム弁(4)と前記多方弁(9)とを制御するための制御部(12)であって、前記ダイヤフラム(6)の前記パイロット開口(8)を通って延びる制御ロッド(13)を有し、該制御ロッド(13)は、前記ダイヤフラム弁(4)を制御するために長手方向(14)に変位可能であるとともに前記多方弁(9)を制御するために回動可能である、制御部(12)と、
を少なくとも備える、制御弁(1)。
【請求項2】
前記ダイヤフラム弁(4)は、前記流路(5)の第1の長手方向側端部(15)に配置されている、請求項1記載の制御弁(1)。
【請求項3】
前記流路(5)は、前記ダイヤフラム弁(4)を前記多方弁(9)に接続する、請求項1または2記載の制御弁(1)。
【請求項4】
前記制御ロッド(13)の周面(16)に、前記ダイヤフラム(6)の前記パイロット開口(8)を前記制御ロッド(13)によって閉鎖することができる密封要素(17)が配置されている、請求項1から3までのいずれか1項記載の制御弁(1)。
【請求項5】
前記多方弁(9)は、静的なディスク(18)と、該静的なディスク(18)上に可動に配置された動的なディスク(19)とを有する、請求項1から4までのいずれか1項記載の制御弁(1)。
【請求項6】
前記動的なディスク(19)は、前記制御ロッド(13)によって回動可能である、請求項5記載の制御弁(1)。
【請求項7】
前記動的なディスク(19)は、少なくとも1つの制御開口(20)を有する、請求項5または6記載の制御弁(1)。
【請求項8】
前記制御開口(20)は、前記動的なディスク(19)の位置に応じて、前記流路(5)を前記複数の流出部(10,11)のうちの少なくとも1つの流出部(10,11)に接続する、請求項7記載の制御弁(1)。
【請求項9】
前記制御ロッド(13)は、プッシュボタン(21)に結合されている、請求項1から8までのいずれか1項記載の制御弁(1)。
【請求項10】
前記制御ロッド(13)は、前記プッシュボタン(21)によって前記長手方向(14)で変位可能であり、回転軸線(22)を中心として回動可能である、請求項6記載の制御弁(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サニタリー器具用の制御弁に関する。このようなサニタリー器具は、例えば浴室、浴槽、流し台または洗面台において、液体を、需要に応じて提供するために用いられる。
【0002】
制御弁によって、例えばサニタリー器具、例えば浴室のシャワーの種々異なる噴流形成器に液体が供給可能であってよい。噴流形成器によって、サニタリー器具を介して液体を種々異なる噴流形式、例えば直噴流、雨状流、マッサージ流等の形式で放出することができる。さらに、液体は、制御弁によって、サニタリー器具の種々異なる液体出口に供給可能であってもよい。例えば、液体が、制御弁によって、浴槽の槽出口および/またはハンドシャワーに的確に供給可能であってよい。周知の制御弁において部分的に欠点であるのは、これらの制御弁が大きな所要構成スペースを有すること、および簡単かつ直感的に操作可能ではないことである。
【0003】
したがって、本発明の課題は、先行技術に関連して記述した問題を少なくとも部分的に解決し、特にサニタリー器具用の、特にコンパクトで容易に操作することができる制御弁を提供することである。
【0004】
この課題は、独立請求項の特徴による制御弁によって解決される。本発明の更なる有利な構成は、従属請求項に記載されている。付言しておくと、従属請求項において個々に挙げられた特徴は、技術的に有用な任意の形式で互いに組み合わせることができ、本発明の更なる構成を規定する。さらに、特許請求の範囲に記載された特徴は、本明細書においてより詳細に明確化および説明され、その際に、本発明の更なる好ましい構成が示される。
【0005】
この解決には、サニタリー器具用の制御弁であって、
- 液体のための少なくとも1つの流入部を備えるハウジングと、
- 制御弁の流路を開閉するためのダイヤフラム弁であって、ダイヤフラムと、少なくとも1つの流入部に接続された対向圧チャンバとを有し、ダイヤフラムに、対向圧チャンバを流路に接続するパイロット開口が形成されている、ダイヤフラム弁と、
- ダイヤフラム弁の下流側に配置されていて、液体のための複数の流出部を有する多方弁と、
- ダイヤフラム弁と多方弁とを制御するための制御部であって、ダイヤフラムのパイロット開口を通って延びる制御ロッドを有し、この制御ロッドは、ダイヤフラム弁を制御するために長手方向で変位可能であるとともに多方弁を制御するために回動可能である、制御部と
を少なくとも備える、制御弁が寄与する。
【0006】
制御弁は、例えばサニタリー器具内に配置されているか、またはホース管路および/または配管系を介してサニタリー器具に接続可能である。サニタリー器具は、例えば浴室、浴槽、流し台または洗面台において、液体、特に水を、需要に応じて提供するために用いられる。制御弁は、特に少なくとも部分的に漆喰の裏側にもしくは少なくとも部分的に壁内または支持体内に配置されていてよい。
【0007】
制御弁は、少なくとも1つの流入部を備えるハウジングを有する。この流入部を介して、制御弁は、液体源、例えば公共の液体供給網に接続可能である。この少なくとも1つの流入部の上流側に、冷水温度の冷水と温水温度の温水とを混合して所望の混合水温度の混合水にすることができる混合弁または混合カートリッジが接続されていてよい。冷水温度は、特に最高25℃(摂氏)、好ましくは1℃~25℃、特に好ましくは5℃~20℃であり、かつ/または温水温度は、特に最高90℃、好ましくは25℃~90℃、特に好ましくは55℃~65℃である。ハウジングは、複数の部分から形成されていてよい。さらに、ハウジングは、少なくとも部分的にプラスチックおよび/または金属、例えば真鍮から成っていてよい。
【0008】
少なくとも1つの流入部を介して流入した液体は、ハウジングを通って、ダイヤフラム弁に供給可能である。このために、ハウジング内に、少なくとも1つの流入通路および/または少なくとも1つの流入チャンバが形成されていてよい。ダイヤフラム弁は、制御弁の流路を開閉するために用いられ、この流路を介して、液体を制御弁の多方弁に供給することができる。多方弁は、ダイヤフラム弁の下流側に配置されており、液体のための複数の流出部を有する。例えば、多方弁は、2~10個、好ましくは2~5個の流出部、または特に好ましくは2~3個の流出部を有してよい。これらの流出部のそれぞれが、例えばサニタリー器具の別個の噴流形成器に接続されていてよい。ダイヤフラム弁は、ダイヤフラムと、少なくとも1つの流入部に接続された対向圧チャンバとを有する。液体は、ハウジングの流入通路および/または流入チャンバから、ダイヤフラム弁のダイヤフラムおよび/または制御弁、例えばハウジングのその他の構成要素に設けられた補償孔を介して、ダイヤフラム弁の対向圧チャンバに流入することができ、これによって、液体は、ダイヤフラムの両方の側において同じ液圧を有する。ダイヤフラムは、少なくとも1つの流入通路および/または少なくとも1つの流入チャンバよりも大きな面積で対向圧チャンバに接しているので、ダイヤフラムに加えられる、対向圧チャンバ内の液体の液圧から生じる力は、少なくとも1つの流入通路内および/または少なくとも1つの流入チャンバ内の液体の液圧から生じる力よりも大きい。これによって、ダイヤフラムが弁座に押し付けられるので、ダイヤフラム弁は閉鎖されている。ダイヤフラムに、対向圧チャンバを流路に接続するパイロット開口が形成されている。パイロット開口は、例えばダイヤフラムに設けられた孔として形成されていてよい。
【0009】
ダイヤフラム弁と多方弁とは、(共通のかつ/または唯一の)制御部によって制御可能である。制御部は、ダイヤフラムのパイロット開口を通って延びる少なくとも1つの制御ロッドを有する。制御ロッドは、特にロッド状、ピン状および/または(実質的に)真っ直ぐに形成されている。さらに、制御ロッドは、例えばスピンドルの形態で構成されていてよい。さらに、制御ロッドは、制御弁のユーザによって、ダイヤフラム弁を制御するために長手方向で変位可能であり、多方弁を制御するために回動可能である。このためには、制御ロッドの長手方向側の両端部のうちの少なくとも一方の端部が、ハウジングを越えて延びていてよい。ダイヤフラム弁は、例えばユーザが制御ロッドを押す操作によって開閉可能である。このためには、ユーザによって、制御ロッドが、例えばダイヤフラム弁が閉鎖されている閉鎖位置と、ダイヤフラム弁が開放されている開放位置との間で長手方向に変位可能であってよい。制御ロッドは、閉鎖位置では、開放位置よりもさらにハウジング内へと変位させられていてよい。制御ロッドは、閉鎖位置および/または開放位置に位置調整可能かつ/または(ボールペンの芯と同様に)係止可能であってよい。制御ロッドの長手方向は、特に制御ロッドの長手方向軸線に対して平行に延びている。さらに、制御ロッドは、特にその長手方向軸線を中心として回動可能である。したがって、長手方向軸線は、制御ロッドの回転軸線に一致していてよい。制御ロッドは、多方弁に(直接的または間接的に)連結されていて、これにより、回転軸線を中心とする制御ロッドの回動によって、多方弁が操作可能もしくは制御可能であるようになっている。したがって、ユーザは、制御ロッドを回動させることよって、多方弁のどの1つまたは複数の流出部を介して液体を流出させるかを調整することができる。さらに、制御ロッドの回動によって、多方弁のどの流出部を介して、どれほどの体積流量の液体が流出するかが制御可能であってよい。したがって、制御ロッドは、圧力弁の機能と、いわゆるアクアディマー(Aquadimmer:商品名)の機能とを省スペースで1つの(唯一の)制御弁に組み込むことを可能にする。さらに、制御弁は、制御ロッドを押すことと回動させることとによって、特に容易に操作することができる。
【0010】
ダイヤフラム弁は、流路の第1の長手方向側端部に配置されていてよい。これによって、流路の第1の長手方向側端部は、ダイヤフラム弁によって開閉可能である。流路の第1の長手方向側端部は、特に、流路の、上流側に配置されている長手方向側端部である。これによって、流路の第1の長手方向側端部は、ダイヤフラム弁用の弁座を形成することができる。流路は、少なくとも部分的に管状に形成されていてよい。
【0011】
流路は、ダイヤフラム弁を多方弁に接続してよい。これは特に、ダイヤフラム弁の開放時に、液体が流路を介して多方弁に向かって流れることができることを意味する。さらに、制御ロッドは、ダイヤフラムから、流路を通って多方弁の方向に延びていてよい。
【0012】
制御ロッドの周面に、ダイヤフラムのパイロット開口を制御ロッドによって閉鎖することができる密封要素が配置されていてよい。密封要素は、周面上で制御ロッドを特に360°にわたって取り囲むように延びている。このために、密封要素は、特に環状に形成されていてよい。例えば、密封要素は、全周にわたって延びる鍔またはOリングの形態で形成されていてよい。さらに、密封要素は、少なくとも部分的にプラスチックまたはゴムから成っていてよい。さらに、密封要素は、制御ロッドに不動に結合されていてよい。これによって、密封要素は、制御ロッドと一緒に、特に長手方向に変位可能である。パイロット開口は、制御ロッドとダイヤフラムとの間で、特に環状間隙として形成されている。制御ロッドが閉鎖位置にある場合、密封要素はダイヤフラムのパイロット開口に当て付けられているので、パイロット開口は閉鎖されている。これにより、液体が対向圧チャンバから制御通路に流入することはできない。しかし、制御ロッドが開放位置にある場合、密封要素はパイロット開口から離反させられているので、液体は対向圧チャンバからパイロット開口を介して流路に流入することができる。
【0013】
多方弁は、静的なディスクと、この静的なディスク上に可動に配置された動的なディスクとを有していてよい。静的なディスクおよび/または動的なディスクは、特に少なくとも部分的にプラスチックまたはセラミックから成っていてよい。さらに、静的なディスクおよび/または動的なディスクは、特に扁平かつ/または(実質的に)円形に形成されている。さらに、静的なディスクおよび/または動的なディスクは、ハウジング内に配置されていてよい。静的なディスクは、特に制御弁および/またはハウジングに対して相対的に不動である。動的なディスクの運動時に、動的なディスクは、特に静的なディスク上もしくは静的なディスクの表面上で滑動する。
【0014】
動的なディスクは、制御ロッドによって回動可能であってよい。このために、動的なディスクは、特に(直接的または間接的に)制御ロッドに連結されている。動的なディスクの回転軸線は、特に制御ロッドの回転軸線に対して平行または同軸に延びている。
【0015】
動的なディスクは、少なくとも1つの制御開口を有していてよい。制御開口は、特に動的なディスクに設けられた孔の形態で形成されている。この場合、制御開口は、特に動的なディスクの回転軸線に対して非同心に形成されているので、動的なディスクを回動させると、制御開口を、静的なディスクのそれぞれ異なる領域に移動させることができる。さらに、制御開口は、特に制御ロッドの長手方向で、動的なディスクを完全に貫通して延びている。液体を、流路を通して、特に動的なディスクの制御開口に供給することができる。動的なディスクの運動によって、液体を静的なディスクのそれぞれ異なる領域に的確に供給することができる。
【0016】
制御開口は、動的なディスクの位置に応じて、流路を複数の流出部のうちの少なくとも1つの流出部に接続する。ダイヤフラム弁の流出部は、特に静的なディスクに設けられた開口の形態で形成されている。流路と、複数の流出部のうちの少なくとも1つの流出部との間の接続部は、特に、動的なディスクの制御開口が、特に制御ロッドの長手方向でまたは動的なディスクの回転軸線に対して平行に、複数の流出部のうちの少なくとも1つの流出部に少なくとも部分的に整合するかもしくは複数の流出部のうちの少なくとも1つの流出部に少なくとも部分的にオーバラップするときに形成される。
【0017】
制御ロッドは、プッシュボタンに接続されていてよい。プッシュボタンは、特にハウジングの外側に配置されており、かつ/または制御弁のユーザによって操作可能である。
【0018】
制御ロッドは、プッシュボタンによって長手方向で変位可能であってよく、回転軸線を中心として回動可能であってよい。プッシュボタンを押すことによって、特に制御ロッドはダイヤフラム弁を制御するために長手方向に変位可能である。プッシュボタンを回動させることによって、特に制御ロッドは多方弁を制御するために回動可能である。
【0019】
以下に、本発明および技術的な環境を、図面に基づき詳細に説明する。言及しておくと、図面は、本発明の特に好ましい実施形態を示すが、しかし、本発明はこれに限定されない。図面において、同一の構成部材には同一の符号が付されている。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】制御弁を例示的かつ概略的に示す断面図である。
【
図2】制御弁の静的なディスクを例示的かつ概略的に示す図である。
【
図3】制御弁の動的なディスクを例示的かつ概略的に示す図である。
【0021】
図1は、制御弁1を断面図で示す。
図1では、制御弁1は支持体26内に配置されていて、流入部3を備えるハウジング2を有する。流入部3を介して、制御弁1に液体を供給することができる。ハウジング2内に、ダイヤフラム6を備えるダイヤフラム弁4が配置されている。液体は、流入部3から、環状の流入チャンバ27に流入し、そこからダイヤフラム弁4に向かって流れる。そこで液体は、ダイヤフラム6に設けられた補償孔24を通って、対向圧チャンバ7に流入する。対向圧チャンバ7は、ダイヤフラム6の、流入チャンバ27とは反対の側に位置する。ダイヤフラム弁4の閉鎖状態では、流入チャンバ27内と対向圧チャンバ7内とに、等しい液圧が生じている。ダイヤフラム6は、流入チャンバ27よりも大きな面積で対向圧チャンバ7に接しているので、ダイヤフラム弁4の閉鎖状態でダイヤフラム6に加えられる、対向圧チャンバ7内の液体の液圧から生じる力は、流入チャンバ27内の液体の液圧から生じる力よりも大きい。これによって、ダイヤフラム6は、流路5の第1の長手方向側端部15に形成された環状の弁座23に押し付けられる。ダイヤフラム弁4の閉鎖状態では、液体が流路5内に流入することはできない。
【0022】
しかし、
図1には、ダイヤフラム弁4は開放位置で示されている。この開放位置では、ダイヤフラム6は、環状の弁座23から(
図1では鉛直方向で上方に向かって)離反させられているので、制御弁1の流路5は開放されている。このためには、ダイヤフラム6がハウジング2内に可動に配置されている。ダイヤフラム弁4もしくはダイヤフラム6の開放状態で、液体は、流入チャンバ27から弁座23を介して流路5に流入することができる。ダイヤフラム弁4を開閉するために、制御弁1は、制御部12を有する。制御部12は、制御ロッド13を有し、制御ロッド13は、ダイヤフラム6に設けられたパイロット開口8を通って延びている。制御ロッド13は、プッシュボタン21に結合されており、このプッシュボタン21を介して、制御ロッド13は、ダイヤフラム弁4を制御するために、制御弁1のユーザによって、制御ロッド13の閉鎖位置と(
図1に示す)開放位置25との間で長手方向14に変位可能である。長手方向14は、制御ロッド13の回転軸線22に対して平行に延びている。制御ロッド13は、プッシュボタン21によって、特に閉鎖位置または開放位置25に位置調整可能、例えば係止可能である。このために、
図1に示す実施形態では、プッシュボタン21がばね弾性的に支持されている。制御ロッド13の周面16に、環状の密封要素17が配置されている。密封要素17は、制御ロッド13の閉鎖位置でパイロット開口8に当て付けられ、制御ロッド13とダイヤフラム6との間の環状間隙28を閉鎖するので、液体が対向圧チャンバ7からパイロット開口8もしくは環状間隙28を介して流路5に流入することはできない。しかし、
図1に示す制御ロッド13の開放位置25では、密封要素17は、ダイヤフラム6のパイロット開口8から(鉛直方向で上方に向かって)離反させられているので、液体は対向圧チャンバ7からダイヤフラム6の環状のパイロット開口8もしくは環状間隙28を介して流路5に流入することができる。これによって、対向圧チャンバ7内の液体の圧力が低下するので、ダイヤフラム6は弁座23から離反させられる。
【0023】
ダイヤフラム弁4の開放状態で、液体は、流路5を介して多方弁9に向かって流れる。多方弁9は、同様にハウジング2内に配置されており、ハウジング2に対して不動に配置された静的なディスク18と、静的なディスク18上に配置された動的なディスク19とを有する。動的なディスク19は、連行体29を介して制御ロッド13に結合されているので、動的なディスク19は、ユーザによって、プッシュボタン21および制御ロッド13を介して、静的なディスク18上で回動可能である。液体はまず、流路5を介して、動的なディスク19に設けられた制御開口20に向かって流れる。制御開口20は、長手方向14で動的なディスク19を完全に貫通して延びている。動的なディスク19の回動位置に応じて、制御開口20は、静的なディスク18の、
図2に示す第1の流出部10および/または第2の流出部11に少なくとも部分的に整合する。流出部10,11は、同様に長手方向14で静的なディスク18を完全に貫通して延びている。動的なディスク19の制御開口20が、静的なディスク18の第1の流出部10に少なくとも部分的に整合すると、液体の少なくとも一部は、第1の流出部10を介して流出することができる。動的なディスク19の制御開口20が、静的なディスク18の第2の流出部11に少なくとも部分的に整合すると、液体の少なくとも一部は、第2の流出部11を介して流出することができる。動的なディスク19の制御開口20が、両流出部10,11のうちの一方に重なり合うかもしくは整合する量が多いほど、その都度の流出部10,11を介して流出する液体の体積流量は大きくなる。動的なディスク19は、静的なディスク18上で、例えば150°だけ回動可能であってよい。静的なディスク18と動的なディスク19とは、動的なディスク19の回動角が0°~120°であるときに、第1の流出部10に3~9l/分(リットル毎分)の体積流量の液体が供給されるように構成されていてよい。さらに、静的なディスク18と動的なディスク19とは、動的なディスク19の回動角が120°~150°であるときに、第2の流出部11への切替えが行われ、これによって、液体が第2の流出部11だけに供給されるように構成されていてよい。第1の流出部10と第2の流出部11とから、例えばサニタリー器具のそれぞれ異なる噴流形成器に液体が供給されてよい。
【0024】
図2は、第1の流出部10と第2の流出部11とを備える静的なディスク18を平面図で示す。さらに、
図3は、制御開口20を備える動的なディスク19を平面図で示す。動的なディスク19は、切欠き30を有する。この切欠き30内に、
図1に示した連行体29が係合するので、連行体29は、動的なディスク19に形状接続的に結合されている。
【0025】
本発明により、サニタリー器具用の制御弁が、特にコンパクトに構成可能になり、容易に操作することができるようになる。
【符号の説明】
【0026】
1 制御弁
2 ハウジング
3 流入部
4 ダイヤフラム弁
5 流路
6 ダイヤフラム
7 対向圧チャンバ
8 パイロット開口
9 多方弁
10 第1の流出部
11 第2の流出部
12 制御部
13 制御ロッド
14 長手方向
15 第1の長手方向側端部
16 周面
17 密封要素
18 静的なディスク
19 動的なディスク
20 制御開口
21 プッシュボタン
22 回転軸線
23 弁座
24 補償孔
25 開放位置
26 支持体
27 流入チャンバ
28 環状間隙
29 連行体
30 切欠き
【国際調査報告】