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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-17
(54)【発明の名称】イソシアネート反応性組成物
(51)【国際特許分類】
   C08G 18/08 20060101AFI20230310BHJP
   C08G 18/42 20060101ALI20230310BHJP
   C08G 18/44 20060101ALI20230310BHJP
   C08G 18/48 20060101ALI20230310BHJP
   C08G 101/00 20060101ALN20230310BHJP
【FI】
C08G18/08 038
C08G18/42
C08G18/44
C08G18/48
C08G101:00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022544728
(86)(22)【出願日】2021-01-19
(85)【翻訳文提出日】2022-07-22
(86)【国際出願番号】 US2021013876
(87)【国際公開番号】W WO2021154527
(87)【国際公開日】2021-08-05
(31)【優先権主張番号】62/966,571
(32)【優先日】2020-01-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(72)【発明者】
【氏名】チョウ、ウェイチュン
【テーマコード(参考)】
4J034
【Fターム(参考)】
4J034AA04
4J034AA06
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4J034RA11
4J034RA14
(57)【要約】
(i)少なくとも1つのイソシアネート反応性化合物、及び(ii)所定量の少なくとも1つのチキソトロピー改質剤を含む、イソシアネート反応性組成物、並びに(A)少なくとも1つのイソシアネート成分、及び(B)少なくとも1つのイソシアネート反応性成分を含む、ポリウレタン又はポリイソシアヌレートフォームを生成するための、フォーム形成組成物であって、少なくとも1つのイソシアネート反応性成分は、上記イソシアネート反応性組成物である、イソシアネート反応性組成物並びにフォーム形成組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
イソシアネート反応性組成物であって、
(i)少なくとも1つのイソシアネート反応性化合物と、
(ii)所定量の少なくとも1つのチキソトロピー改質剤と、を含み、前記少なくとも1つのチキソトロピー改質剤の流動特性が、前記イソシアネート反応性組成物が、60℃で測定された前記イソシアネート反応性組成物の粘度対10~300の間にある0.1ラジアン/秒及び100ラジアン/秒の剪断速度の比を特徴とする剪断減粘挙動を有するようなものである、イソシアネート反応性組成物。
【請求項2】
前記少なくとも1つのチキソトロピー改質剤が、ミクロフィブリル化セルロース、ナノセルロース、セルロースエーテル、デンプン、会合性ポリマー、及びそれらの混合物である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記少なくとも1つのチキソトロピー改質剤の量が、前記イソシアネート反応性組成物、成分(B)中100重量部での総イソシアネート反応性化合物の総重量に基づいて、0.01重量部~5重量部である、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記少なくとも1つのイソシアネート反応性化合物が、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記少なくとも1つのイソシアネート反応性化合物が、1つ以上のポリオール化合物を含み、前記イソシアネート反応性組成物中に存在する組み合わされた前記ポリオールのすべての総平均ヒドロキシル官能価が、3未満である、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記少なくとも1つのイソシアネート反応性化合物が、1つ以上のポリオール化合物を含み、前記イソシアネート反応性組成物中に存在する組み合わされた前記ポリオールのすべての総平均ヒドロキシル官能価が、1.8~2.7である、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
ポリウレタンフォーム又はポリイソシアヌレートフォームを生成するためのフォーム形成組成物であって、
(A)少なくとも1つのイソシアネート成分と、
(B)少なくとも1つのイソシアネート反応性成分と、を含み、前記少なくとも1つのイソシアネート反応性成分が、請求項1に記載のイソシアネート反応性組成物である、フォーム形成組成物。
【請求項8】
界面活性剤、触媒、物理発泡剤、化学発泡剤、難燃添加剤、核化剤、又はそれらの混合物を更に含む、請求項7に記載のフォーム形成組成物。
【請求項9】
前記少なくとも1つのイソシアネート成分、成分(A)が、少なくとも1つの芳香族系イソシアネート化合物であるか、又は前記少なくとも1つのイソシアネート成分、成分(A)が、(1)少なくとも1つの芳香族系イソシアネート化合物と(2)少なくとも1つの脂肪族系イソシアネート化合物とのブレンドである、請求項7に記載の組成物。
【請求項10】
ポリウレタンフォーム又はポリイソシアヌレートフォームを生成するためのフォーム形成組成物を生成するためのプロセスであって、
(A)少なくとも1つのイソシアネート成分と、
(B)少なくとも1つのイソシアネート反応性成分と、を混和することを含み、前記少なくとも1つのイソシアネート反応性成分が、請求項1に記載のイソシアネート反応性組成物である、プロセス。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イソシアネート反応性組成物、上記イソシアネート反応性組成物を調製するための方法、及び上記イソシアネート反応性組成物を含むフォーム形成配合物に関する。
【背景技術】
【0002】
序論
ポリウレタンフォーム及びポリウレタンフォームを製造する方法は周知である。一般に、ポリウレタンフォームは、好適な触媒及び好適な発泡剤などの通常使用される添加剤の存在下で、イソシアネート成分などの反応性化学成分をイソシアネート反応性成分と混合することによって調製される。典型的には、ポリウレタンフォームは、一般的に「A側」成分と称される第1の成分、及び一般的に「B側」成分と称される第2の成分である2つの別個の成分から形成される。A側成分及びB側成分は、2つの成分が互いに接触すると反応する。従来のポリウレタンフォームを調製するために、第1の成分、又はA側は、分子上に高レベルの高反応性イソシアネート(N=C=O)官能基を有するジイソシアネート又はポリイソシアネートなどのイソシアネート化合物を含有する。第2の成分、又はB側は、A側成分中のイソシアネート化合物のイソシアネート官能基と反応性である官能基を有するイソシアネート反応性化合物を含有する。イソシアネート反応性化合物は、一般に、2つ以上のヒドロキシル基を有するポリオールである。場合によっては、ポリオールの混合物を使用して、所望のフォーミング特性を達成する。A側のNCO基対B側のヒドロキシル基全体の比は、多くの場合、異なるフォーム特性を達成するために変化する。硬質ポリウレタンフォーム(polyurethane、PURフォーム)の場合、NCO基及びOH基のモル比であるイソシアネート指数(又はisocyanate、ISO指数)は、典型的には1.0より高く、例えば、硬質ポリウレタンフォームは、約1.1~1.5のISO指数を有するが、一方、硬質ポリイソシアヌレートフォーム(polyisocyanurate、PIRフォーム)の場合、ISO指数は、典型的には少なくとも1.5、より多くの場合、少なくとも1.8である。A側対B側の質量比は、ISO指数、A側のNCO当量分子量、及びB側のヒドロキシル当量分子量に依存し、A側対B側の質量比は、4:1~1:4で変化し得る。
【0003】
これまで、硬質ポリウレタンフォームは、当該技術分野で既知の様々な方法を使用して生成されてきた。例えば、国際公開第2013/026809(A1)号は、ポリイソシアネートを、コポリマーポリオールを硬質フォーミングシステムに組み込む相分離の問題を解決するための少なくとも1つのチキソトロープ剤を含有するポリオールと反応させることによって、ポリウレタンを生成するためのプロセスを開示している。上記の参考文献で指定されたチキソトロープ剤は、有機溶媒中の尿素基を含むポリアミドの溶液に基づく。
【0004】
国際公開第2017/155863(A1)号は、イソシアネートとイソシアネート反応性であるチキソトロピー組成物との反応生成物を含む硬質ポリウレタンフォームを開示している。このチキソトロピー組成物は、特定の構造的特性及びレオロジー特性を有する3つのポリエーテルポリオールの組み合わせに基づく。3つのポリエーテルポリオールのうちの第1のポリオールは、オルト-トルエンジアミン(ortho-toluene diamine、o-TDA)タイプであり、3つのポリオールのうちの第2のポリオールは、4~5官能価を必要とするポリオールであり、3つのポリオールのうちの第3のポリオールは、5~6官能価を必要とするポリオールである。チキソトロピー添加剤又は充填剤は使用されておらず、国際公開第2017/155863(A1)号に教示されてもいない。
【0005】
米国特許出願第2012/0183694(A1)号は、レオロジー改質剤を含む噴霧フォーム配合物を開示している。レオロジー改質剤を使用して、配合物が噴霧された後の未硬化配合物の移動性に抵抗し、配合物が発泡及び硬化するのを可能にする。異なる種類のレオロジー改質剤は、米国特許出願第2012/0183694(A1)号に記載されており、修飾されたナノ粘土レオロジー改質剤は、たわみ抵抗を提供するのに最も効果的であるものとして開示されている。米国特許出願第2012/0183694(A1)号は、断熱特性の改善又は機械的破砕性の改善のためのレオロジー改質剤のいかなる使用も述べていない。
【発明の概要】
【0006】
本発明の一態様は、(i)少なくとも1つのイソシアネート反応性化合物、及び(ii)ミクロフィブリル化セルロースなどの所定量の少なくとも1つのチキソトロピー改質剤を含む、イソシアネート反応性組成物を対象とする。
【0007】
一実施形態では、イソシアネート反応性組成物の少なくとも1つのイソシアネート反応性化合物、成分(i)は、少なくとも1つのポリエステルポリオール化合物である。
【0008】
別の実施形態では、少なくとも1つのイソシアネート反応性化合物、成分(i)は、少なくとも1つのポリエステルポリオール化合物であり、ポリエステルポリオール化合物は、イソシアネート反応性組成物中100重量部での総イソシアネート反応性化合物の総重量に基づいて、少なくとも30ptsである。
【0009】
更に別の実施形態では、イソシアネート反応性組成物は、(i)少なくとも1つのイソシアネート反応性化合物、及び(ii)少なくとも1つのチキソトロピー改質剤を含み、少なくとも1つのチキソトロピー改質剤は、セルロースエーテルであり、セルロースエーテルは、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、及びそれらの混合物である。
【0010】
更に別の実施形態では、少なくとも1つのチキソトロピー改質剤、成分(ii)は、イソシアネート反応性組成物中100重量部での総イソシアネート反応性化合物の総重量に基づいて、0.01pts~5ptsである。
【0011】
本発明の別の態様は、(i)少なくとも1つのイソシアネート反応性化合物と、(ii)ミクロフィブリル化セルロースなどの所定量の少なくとも1つのチキソトロピー改質剤とを混合する工程を含む、上記イソシアネート反応性組成物を生成するためのプロセスを対象とする。
【0012】
本発明の更に別の態様は、(A)少なくとも1つのイソシアネート成分及び(B)少なくとも1つのイソシアネート反応性成分を含む、ポリウレタンフォーム又はポリイソシアヌレートフォームを生成するためのフォーム形成組成物を対象とし、少なくとも1つのイソシアネート反応性成分、成分(B)は、上記イソシアネート反応性組成物を含む。成分(B)中のイソシアネート反応性組成物を含むフォーム形成組成物は、ポリウレタン硬質(PUR)フォーム、ポリイソシアヌレート硬質(PIR)フォーム、又は改善された断熱性能及び機械的靭性を有するPIRフォーム及びPURフォームの両方の組み合わせを作製するのに特に有用である。
【0013】
本発明の更に別の態様は、(A)少なくとも1つのイソシアネート成分と、(B)少なくとも1つのイソシアネート反応性成分とを混和することを含む、ポリウレタンフォーム又はポリイソシアヌレートフォームを生成するためのフォーム形成組成物を生成するためのプロセスを対象とし、少なくとも1つのイソシアネート反応性成分は、上記イソシアネート反応性組成物を含む。
【0014】
本発明のなおも更に別の態様は、上記のフォーム形成組成物から作製された硬質ポリウレタン又はポリイソシアヌレートフォームを対象とする。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本明細書における「チキソトロピー改質剤」又は「チキソトロープ剤」は、静止時に安定した形態を呈するが、撹拌されたときに流体になる有機又は無機材料を意味する。剪断速度の急激な変化を受けたときに、平衡粘度を達成するために、チキソトロピー流体に有限時間が必要である。そのような挙動は、一般的に、時間依存性の剪断減粘(shear thinning)特性を特徴とするチキソトロピー流動と称される。多くのゲル及びコロイドは、チキソトロピー材料である。チキソトロピーは、粒子又は構造溶質が、Mewis and Wagner,「Thixotropy」.Advances in Colloid and Interface Science.147-148:214-227(2009)によって説明されるように組織化する時間を必要とするために生じる。
【0016】
本明細書における「フィブリル」は、長さ対直径のような繊維又はフィラメントの大きなアスペクト比を有する構造材料を意味する。フィブリルは、10nm~100nmの範囲の直径を有する傾向がある。フィブリルは、通常、単独で見出されないが、生物系に一般的に見出されるより大きな階層構造の一部として見出される。
【0017】
「ミクロフィブリル化セルロース」(本明細書では、「Microfibrillated cellulose、MFC」と略される)は、グルコースの繰り返し単位で作製された天然に存在する直鎖状ポリマーであるセルロースポリマーである。単一ポリマーが一緒に積層されてフィブリルを形成し、これらのフィブリルは再び一緒に積層して、天然に存在するセルロース繊維構造を形成する。この超分子構造は、結晶領域及び非晶質領域の両方からなる。MFCは、ナノセルロース、セルロースナノファイバー(cellulose nanofiber、CNF)、又はセルロースナノ結晶(cellulose nanocrystal、CNC)とも呼ばれる。
【0018】
本明細書全体にわたって使用されるとき、以下の略称は、文脈上明らかにそれ以外を示さない限り、以下の意味を有する:「=」は、「に等しい」を意味し、@は、「において」を意味し、「<」は、「未満」を意味し、「>」は、「より大きい」を意味し、「≦」は、「以下」を意味し、「≧」は、「以上」を意味し、g=グラム、mg=ミリグラム、pts=重量部、kg=キログラム、g/cc=1立方センチメートル当たりのグラム、kg/m=1立方メートル当たりのキログラム、g/eq=1当量重量当たりのグラム、g/mol=1モル当たりのグラム、mg KOH/g=1グラムの化学物質を中和するために必要な水酸化カリウムのミリグラム数として測定される化学物質の酸価である、1グラム当たりの水酸化カリウムのミリグラム、L=リットル、mL=ミリリットル、g/L=1リットル当たりのグラム、Mw=質量分子量、m=メートル、μm=ミクロン:mm=ミリメートル、cm=センチメートル、nm=ナノメートル、min=分、s=秒、ラジアン/秒=1秒当たりのラジアン、ms=ミリ秒、hr=時間、mm/分=1分当たりのミリメートルm/秒=1秒当たりのメートル、℃=摂氏度、mPa.s=ミリパスカル秒、mPa=メガパスカル、kPa=キロパスカル、GPa=ギガパスカル、Pa.s/m=1平方メートル当たりのパスカル秒、cN=センチニュートン、rpm=1分当たりの回転数、mm=平方ミリメートル、mW/m-K=1メートル-ケルビン当たりのミリワット、g/10分=10分当たりのグラム、%=パーセント、eq%=当量パーセント、vol%=体積パーセント、及びwt%=重量パーセント。
【0019】
別段明記されない限り、すべてのパーセンテージ、部、比などの量は、重量によって定義される。例えば、本明細書に記載されたすべてのパーセンテージは、別段指示されない限り、重量パーセンテージ(重量%)である。
【0020】
温度は、摂氏(℃)で表され、「周囲温度」とは、別段指定されない限り、20℃~25℃を意味する。
【0021】
前述のように、ポリウレタンフォーム又はポリイソシアヌレートフォームは、一般的に「A側」成分と称される第1の成分(A)と、一般的に「B側」成分と称される第2の成分(B)とを反応させることによって形成される。A側成分は、ジイソシアネート又はポリイソシアネートなどの少なくとも1つのイソシアネート化合物を含有し、B側成分は、A側成分中のイソシアネート化合物のイソシアネート官能基と反応性である官能基を有する少なくとも1つのイソシアネート反応性化合物を含有する。
【0022】
本発明の1つの広い実施形態は、(Bi)少なくとも1つのイソシアネート反応性化合物と、(Bii)所定量の少なくとも1つのチキソトロピー改質剤との混合物を含むイソシアネート反応性組成物を含むB側成分を含む。次に、イソシアネート反応性組成物を形成する化合物(Bi)と(Bii)との上記混合物を、A側成分とB側成分との反応性混合物を含むポリウレタン又はポリイソシアヌレートフォーム形成組成物のB側成分として使用することができる。
【0023】
改善された断熱性能及び機械的靭性を有する硬質ポリウレタン又はポリイソシアヌレートフォームを作製するためのイソシアネート反応性組成物は、MFCなどのチキソトロピー改質剤を含み、1つの一般的な実施形態では、(1)チキソトロピー改質剤の量は、100ptsでのイソシアネート反応性化合物の総重量に基づいて0.01pts~5ptsであり、(2)イソシアネート反応性基の平均官能価は、3以下、より好ましくは1.8~2.7の範囲であり、(3)60℃でのイソシアヌレート反応性組成物上で0.1ラジアン/秒及び100ラジアン/秒で測定される粘度の比は、10より大きいが、300以下である。
【0024】
一般に、チキソトロピー改質剤は、純粋材料などの様々な形態で(例えば、固体粉末として)、又は溶液、分散液、若しくはペーストの一部として、又はそれらの任意の組み合わせでイソシアネート反応性組成物、成分(B)に導入されて、100ptsのイソシアネート反応性化合物の総重量に基づいて、0.01pts~5ptsの前述の範囲内の成分(B)中のチキソトロピー改質剤の量を提供することができる。
【0025】
(A)一実施形態では1.0以上のイソシアネート指数を有し、別の実施形態では1.1~7の範囲内にある、ポリマーイソシアネート、(B)上記イソシアネート反応性組成物、及び(C)任意選択的に、界面活性剤、フォーミング触媒、物理若しくは化学発泡剤、難燃添加剤、核化剤などからなる補助又は追加の成分の反応性混合物から調製された硬質ポリウレタンフォーム又はポリイソシアヌレートフォームは、低い熱伝導率及び改善された機械的靭性を有益に呈する。好ましい実施形態では、フォームの熱伝導率は、10℃で19.5mW/m-K以下であり、フォームの機械的破砕性は、10%以下である。
【0026】
必要に応じて、任意選択的な補助的又は追加の成分を、フォーム形成組成物のA側成分及び/又はB側成分に添加することができる。好ましい実施形態では、任意選択的な補助又は追加の成分は、例えば、(C)発泡剤及び/又は触媒を含み得る。いくつかの実施形態では、ウレタン触媒、三量体化触媒、界面活性剤、反応性又は非反応性希釈剤、物理又は化学発泡剤、酸化防止剤、難燃性添加剤、顔料、接着促進剤などの補助成分を、本発明において使用することができる。
【0027】
本発明のイソシアネート成分、成分(A)(又はA側成分)は、例えば、ポリイソシアネートを含む、例えば、1つ以上のイソシアネート化合物を含み得る。本明細書で使用されるとき、「ポリイソシアネート」は、平均1.0超のイソシアネート基/分子、例えば、1.0超の平均官能価を有する分子を指す。
【0028】
本発明において有用なイソシアネート化合物は、脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネート、又はそれらの組み合わせであり得る。本発明において有用なイソシアネートの例としては、とりわけ、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート、トルエン2,4-/2,6-ジイソシアネート(toluene 2,4-/2,6-diisocyanate、TDI)、メチレンジフェニルジイソシアネート(methylenediphenyl diisocyanate、MDI)、ポリマーMDI、トリイソシアナトノナン(triisocyanatononane、TIN)、ナフチルジイソシアネート(naphthyl diisocyanate、NDI)、4,4’-ジイソシアナトジシクロヘキシル-メタン、3-イソシアナトメチル-3,3,5-トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(イソホロンジイソシアネートIPDI)、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(hexamethylene diisocyanate、HDI)、2-メチル-ペンタメチレンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(2,2,4-trimethylhexamethylene diisocyanate、THDI)、ドデカメチレンジイソシアネート、1,4-ジイソシアナトシクロヘキサン、4,4’-ジイソシアナト-3,3’-ジメチル-ジシクロヘキシルメタン、4,4’-ジイソシアナト-2,2-ジシクロヘキシルプロパン、3-イソシアナトメチル-1-メチル-1-イソシアナトシクロヘキサン(3-isocyanatomethyl-1-methyl-1-isocyanatocyclohexane、MCI)、1,3-ジイソオクチルシアナト-4-メチルシクロヘキサン、1,3-ジイソシアナト-2-メチルシクロヘキサン、及びそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。上述のイソシアネートに加えて、とりわけ、ウレトジオン、イソシアヌレート、カルボジイミド、6レトンイミン、アロファネート、又はビウレット構造、及びそれらの組み合わせを含む、部分的に修飾されたポリイソシアネートを本発明において利用してもよい。
【0029】
イソシアネートはポリマーであってもよい。本明細書で使用されるとき、「ポリマー」は、イソシアネートの説明において、高い分子量の同族体及び/又は異性体を指す。例えば、ポリマーメチレンジフェニルイソシアネートは、高い分子量の同族体及び/又は異性体のメチレンジフェニルイソシアネートを指す。
【0030】
別の実施形態では、本発明において有用なイソシアネート成分は、イソシアネートプレポリマーを含み得る。イソシアネートプレポリマーは、当該技術分野において既知であり、一般に、(1)少なくとも1つのイソシアネート化合物と(2)少なくとも1つのポリオール化合物とを反応させることによって調製される。
【0031】
前述のように、イソシアネートは、1.0超のイソシアネート基/分子の平均官能価を有し得る。例えば、イソシアネートは、1.75~3.50の平均官能価を有し得る。1.75~3.50のすべての個々の値及び部分範囲が含まれ、例えば、イソシアネートは、下限の1.75、1.85、又は1.95~上限の3.50、3.40、又は3.30の平均官能価を有し得る。
【0032】
イソシアネートは、80g/eq~300g/eqのイソシアネート当量重量を有し得る。80g/eq~300g/eqのすべての個々の値及び部分範囲が含まれ、例えば、イソシアネートは、下限の80g/eq、90g/eq、又は100g/eq~上限の300g/eq、290g/eq、又は280g/eqのイソシアネート当量重量を有し得る。
【0033】
本発明において使用されるイソシアネートは、既知のプロセスによって調製され得る。例えば、ポリイソシアネートは、ポリカルバモイルクロリドの形成及びその熱分解による対応するポリアミンのホスゲン化によって調製されて、ポリイソシアネート及び塩化水素を提供し得るか、又は別の実施形態では、ポリイソシアネートは、例えば、対応するポリアミンを尿素及びアルコールと反応させてポリカルバメートを得ること及びその熱分解による、ホスゲンを含まないプロセスによって調製されて、例えば、ポリイソシアネート及びアルコールを生じ得る。
【0034】
本発明において使用されるイソシアネートは、商業的に入手することができる。本発明において有用な市販のイソシアネートの例としては、他の市販のイソシアネートの中でも、VORANATE(商標)、PAPI(商標)、及びISONATE(商標)という商品名のポリイソシアネート、例えば、VORANATE(商標)M220、及びPAPI(商標)27が挙げられるが、これらに限定されず、これらはすべてThe Dow Chemical Companyから入手可能である。
【0035】
本発明の反応性フォーム形成組成物において使用されるイソシアネート化合物の量は、例えば、一実施形態では20重量%~80重量%、別の実施形態では25重量%~75重量%、及び更に別の実施形態では30重量%~70重量%であり得る。
【0036】
本発明のイソシアネート反応性成分、成分(B)(又はB側成分)は、(Bi)少なくとも1つのイソシアネート反応性化合物と、(Bii)所定量の少なくとも1つのチキソトロピー改質剤との混合物、組み合わせ、又はブレンドであるイソシアネート反応性組成物を含む。
【0037】
イソシアネート反応性化合物(Bi)は、例えば、A側成分中に存在するイソシアネート化合物と反応する1つ以上の化合物であり得る。イソシアネート反応性化合物は、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエステルエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリアクリレートポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、天然油ポリオール、及びそれらのブレンドを含むポリオール化合物を含む。好ましい実施形態では、ポリオール化合物は、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエステルエーテルポリオール、及びそれらの混合物からなる群から選択され得る。ポリオール化合物(Bi)はまた、アルキレングリコール鎖延長剤などの他のポリオールを含み得る。ポリオール化合物(Bi)は、例えば、一実施形態では単一のポリオール、又は2つ以上の異なるポリオールの混合物若しくはブレンドを含み得る。本明細書で使用されるとき、「ポリオール」は、1.8以上の平均ヒドロキシル官能価を有する化合物、例えば、ジオール、トリオール、テトロールなどを指す。ポリオール化合物の官能価(イソシアネート反応性基/分子の平均数)は、例えば、一実施形態では少なくとも1.8、及び別の実施形態では少なくとも2.0であり得る。
【0038】
当業者に既知である他のポリオールの中でも、本明細書で考察されるものなどのいくつもの様々なポリオールを、ポリオール化合物のために利用することができる。例えば、本発明において有用なポリオール化合物(Bi)は、芳香族ポリエステルポリオールなどのポリオール化合物、トリオール又はグリセロールなどのポリエーテルトリオール、スクロース/グリセリン開始ポリエーテルポリオール、ソルビトール開始ポリエーテルポリオール、アミン開始ポリオール、及びそれらの混合物の1つ以上の実施形態を含み得る。
【0039】
一般に、上記のような本発明において有用なポリオール化合物の平均ヒドロキシル官能価は、下は1.8未満~上は7.5の範囲であり得る。例えば、芳香族ポリエステルポリオールは、1.8~3.0の平均ヒドロキシル官能価を有し得、スクロース/グリセリン開始ポリエーテルポリオールは、3.5~7.5の平均ヒドロキシル官能価を有し得る。したがって、本発明において使用されるポリオール化合物の平均ヒドロキシル官能価は、1.8~7.5の範囲であり得る。1.8~7.5のすべての個々の値及び部分範囲が含まれ、例えば、ポリオール化合物は、下限の1.8、2.0、3.0、又は3.5~上限の7.5、7.0、6.5、又は6.0の平均ヒドロキシル官能価を有し得る。
【0040】
一般に、ポリオール化合物は、75mg KOH/g~650mg KOH/gの範囲の平均ヒドロキシル価を有し得る。75mg KOH/g~650mg KOH/gのすべての個々の値及び部分範囲が含まれ、例えば、ポリオール化合物は、下限の75mg KOH/g、80mg KOH/g、100mg KOH/g、150mg KOH/g、又は175mg KOH/g~上限の650mg KOH/g、600mg KOH/g、500mg KOH/g、又は450mg KOH/gの平均ヒドロキシル価を有し得る。
【0041】
一般に、ポリオール化合物は、100g/mol~1,500g/molの数平均分子量を有し得る。100g/mol~1,500g/molのすべての個々の値及び部分範囲が含まれ、例えば、ポリオール化合物は、下限の100g/mol、150g/mol、175g/mol、又は200g/mol~上限の1,500g/mol、1250g/mol、1,000g/mol、又は900g/molの数平均分子量を有し得る。
【0042】
一般に、ポリオール化合物は、50g/eq~750g/eqのヒドロキシル当量分子量を有し得る。50g/eq~750g/eqのすべての個々の値及び部分範囲が含まれ、例えば、ポリオール化合物は、下限の50g/eq、90g/eq、100g/eq、又は110g/eq~上限の350g/eq、300g/eq、275g/eq、又は250g/eqのヒドロキシル当量分子量を有し得る。
【0043】
本明細書で使用されるとき、「芳香族ポリエステルポリオール」とは、芳香環を含むポリエステルポリオールを指す。一例として、芳香族ポリエステルポリオールは、無水フタル酸ジエチレングリコールポリエステルであってもよいし、芳香族ジカルボン酸をグリコールと一緒に使用して調製してもよい。芳香族ポリエステルポリオールは、例えば、国際公開第2013/053555号において考察されているようなハイブリッドポリエステル-ポリエーテルポリオールであり得る。
【0044】
一実施形態では、芳香族ポリエステルポリオールは、既知の装置及び反応条件を使用して調製され得る。別の実施形態では、芳香族ポリエステルポリオールは、商業的に入手することができる。市販の芳香族ポリエステルポリオールの例としては、とりわけ、Stepan Companyから入手可能なSTEPANPOL(商標)という商品名で販売されているいくつものポリオール、例えば、STEPANPOL(商標)PS-2352が挙げられるが、それらに限定されない。
【0045】
本発明の1つ以上の実施形態は、トリオールを含むポリオール化合物を含み得る。トリオールは、3.0の平均ヒドロキシル官能価を有し得る。トリオールは、ポリエーテル又はポリエステルトリオールであり得る。例えば、トリオールは、グリセロールであり得る。
【0046】
一実施形態では、トリオールは、既知の装置及び反応条件を使用して調製され得る。別の実施形態では、トリオールは、商業的に入手することができる。市販のトリオールの例としては、とりわけ、The Dow Chemical Companyから入手可能なVORATEC(商標)という商品名で販売されているいくつものポリオール、例えば、VORATEC(商標)SD 301が挙げられるが、それらに限定されない。
【0047】
本発明の1つ以上の実施形態は、スクロース/グリセリン開始ポリエーテルポリオールを含むポリオール化合物を含み得る。スクロース/グリセリン開始ポリエーテルポリオールは、別のアルキレンオキシド、例えば、エチレンオキシドに由来する構造単位を含み得る。スクロース/グリセリン開始ポリエーテルポリオールは、スチレン-アクリロニトリル、ポリイソシアネート、及び/又はポリ尿素に由来する構造単位を含み得る。
【0048】
一実施形態では、スクロース/グリセリン開始ポリエーテルポリオールは、既知の装置及び反応条件を使用して調製され得る。例えば、スクロース/グリセリン開始ポリエーテルポリオールは、スクロース、プロピレンオキシド、及びグリセリンを含む反応混合物から形成され得る。1つ以上の実施形態は、スクロース/グリセリン開始ポリエーテルポリオールが、スクロースとプロピレンオキシドとの反応を介して形成されることを提供する。別の実施形態では、スクロース/グリセリン開始ポリエーテルポリオールは、商業的に入手することができる。市販のスクロース/グリセリン開始ポリエーテルポリオールの例としては、とりわけ、The Dow Chemical Companyから入手可能なVORANOL(商標)という商品名で販売されているいくつものポリオール、例えば、VORANOL(商標)360、VORANOL(商標)490、及びVORANOL(商標)280が挙げられるが、それらに限定されない。
【0049】
本発明の1つ以上の実施形態は、ソルビトール開始ポリエーテルポリオールを含むポリオール化合物を含み得る。一実施形態では、ソルビトール開始ポリエーテルポリオールは、既知の装置及び反応条件を使用して調製され得る。例えば、ソルビトール開始ポリエーテルポリオールは、ソルビトール及びアルキレンオキシド、例えばエチレンオキシド、プロピレンオキシド、及び/又はブチレンオキシドを含む反応混合物から形成され得る。ソルビトール開始ポリエーテルポリオールはキャップされてもよく、例えば、アルキレンオキシドの添加は、ポリオールの所望の位置に特定のアルキレンオキシドを優先的に配置又はキャップするように行われ得る。
【0050】
別の実施形態では、ソルビトール開始ポリエーテルポリオールは、商業的に入手することができる。市販のソルビトール開始ポリエーテルポリオールの例としては、とりわけ、The Dow Chemical Companyから入手可能なVORANOL(商標)という商品名で販売されているいくつものポリオール、例えば、VORANOL(商標)RN 482が挙げられるが、それらに限定されない。
【0051】
本発明の1つ以上の実施形態は、アミン開始ポリオールを含むポリオール組成物を含み得る。アミン開始ポリオールは、芳香族アミン又は脂肪族アミンから開始することができ、例えば、アミン開始ポリオールは、とりわけ、オルトトルエンジアミン(o-TDA)開始ポリオール、エチレンジアミン開始ポリオール、ジエチレントリアミン、トリイソプロパノールアミン開始ポリオール、又はそれらの組み合わせであり得る。
【0052】
一実施形態では、アミン開始ポリオールは、既知の装置及び反応条件を使用して調製され得る。例えば、アミン開始ポリオールは、芳香族アミン又は脂肪族アミンと、アルキレンオキシド、とりわけ、例えば、エチレンオキシド及び/又はブチレンオキシドと、を含む反応混合物から形成され得る。アルキレンオキシドは、1つの工程で、又はいくつかの工程を経て連続してアルコキシル化反応器に添加することができ、各工程において、単一のアルキレンオキシド、又はアルキレンオキシドの混合物を使用することができる。
【0053】
一般に、本発明の反応性フォーム形成組成物のイソシアネート反応性組成物、成分Bにおいて使用されるポリオール化合物(Bi)などのイソシアネート反応性化合物の濃度は、例えば、イソシアネート反応性組成物、成分(B)中の成分の総重量に基づいて、一実施形態では95重量%~99.99重量%、別の実施形態では95重量%~99.9重量%、更に別の実施形態では95重量%~99重量%、更に別の実施形態では97重量%~99重量%、及びなおも更に別の実施形態では97.5重量%~99重量%であり得る。
【0054】
本発明の反応性フォーム形成組成物のイソシアネート反応性組成物、成分(B)において使用されるチキソトロピー改質剤化合物(Bii)は、例えば、MCF;ナノセルロース;メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースなどのセルロースエーテル材料;デンプン;会合性ポリマー;及びそれらの混合物を含む、例えば、1つ以上の化合物であり得る。
【0055】
シリカ及び有機修飾シートケイ酸塩などの無機化合物も、チキソトロープ剤として使用され得る。イソシアネート反応性組成物への無機チキソトロープ剤の組み込みは、セルロース材料がポリオールとより良好に相互作用するため、MCFタイプの材料よりも少し困難であり得る。
【0056】
1つの好ましい実施形態では、チキソトロピー改質剤化合物は、MFC、ヒドロキシエチルセルロース、ナノ結晶セルロース、及びそれらの混合物を含み得る。
【0057】
別の好ましい実施形態では、チキソトロピー改質剤化合物は、CELLOSIZE(商標)ヒドロキシエチルセルロース(Hydroxyethyl Cellulose、HEC)(The Dow Chemical Companyから入手可能)などの市販の化合物、EXILVA(商標)P01V及びEXILVA(商標)F01V(Borregaardによる製品)などの水中のMFCペースト、並びにそれらの混合物を含み得る。
【0058】
本発明において有用なMFCは、例えば、木材パルプなどの任意のセルロース原材料から調製することができる。好ましい実施形態では、木材パルプを使用してMFCを調製する。ナノセルロースフィブリルは、例えば、パルプを高剪断力に曝露する機械的方法を使用して木材ベースの繊維から単離され、より大きな木材繊維をナノファイバーに分離することができる。MFCを形成するための機械的方法及び装置は、例えば、高圧ホモジナイザー、超音波ホモジナイザー、グラインダー、又はマイクロフルイダイザーを含み得る。好ましい実施形態では、ホモジナイザーを使用して、繊維の細胞壁を剥離し、MFCを形成するナノサイズのフィブリルを遊離させる。
【0059】
MFCは水に不溶性であり、高いアスペクト比を有し、従来のセルロース繊維と比較して高い表面積を有する。水性懸濁液では、MFCは、粒子フィブリル網状組織を作成するであろう。MFCは、長い相互接続フィブリルからなり、得られた可撓性MFC粒子は、高効率の「保持」水を有する強力な網状組織を作成する。
【0060】
EXILVA(商標)などのMFCペーストは、水中に懸濁されたセルロースミクロフィブリルの三次元網状組織である。ミクロフィブリルは、周囲/マトリックスとの非常に効率的な相互作用を可能にする高い表面積を有する可撓性凝集体を形成する。これは、MFCをレオロジー改質剤として使用する場合に有利であり得る。
【0061】
結晶領域及び非晶質領域の両方を含むMFCは、高い弾性率及び引張強度などの印象的な機械的特性を有する。ナノサイズの結晶性セルロース材料は、150GPaのヤング率及び10GPaの引張強度を呈することが測定された。用途におけるMFCの使用は、最終用途のタイプ及び特定の製品配合物における所望の機能に依存するであろう。しかしながら、MFCは、様々な分野で新しい配合物を開発するための大きな機会を提供し、製品に新規の特性を寄与し、製品のグリーンプロファイルを提供することができる。
【0062】
本発明の反応性組成物の成分(B)において使用される所定量のチキソトロピー改質剤化合物は、イソシアネート反応性組成物、成分(B)中100ptsでのポリオール化合物の総重量に基づいて、例えば、一実施形態では0.01pts~5pts、別の実施形態では0.1pts~4pts、更に別の実施形態では0.2pts~3pts、及び更に別の実施形態では0.5pts~2.5ptsであり得る。
【0063】
本発明の成分(B)におけるイソシアネート反応性基の平均官能価は、一実施形態では3.0以下であり、別の実施形態では1.8~2.7の範囲であり、更に別の実施形態では2.0~2.7の範囲であり、更に別の実施形態では2.0~2.5の範囲である。
【0064】
60℃でのイソシアネート反応性組成物で測定された粘度の比、すなわち(Bi)少なくとも1つのイソシアネート反応性化合物と、(Bii)少なくとも1つのチキソトロピー改質剤との組み合わせは、以下の2つの剪断速度:(1)0.1ラジアン/秒及び(2)100ラジアン/秒で、一実施形態では10超~300未満であり、別の実施形態では15~250であり、更に別の実施形態では20~200である。粘度比が小さすぎる(例えば、10より小さい)場合、イソシアネート反応性組成物の粘度は、フォーミングプロセスの初期段階中に気泡安定性を高める上で効果的であるほど十分に高くない。逆に、粘度比が大きすぎる(例えば、300を超える)場合、静止状態でのイソシアネート反応性組成物の粘度は、気泡が望ましい低密度フォームに膨張するには高すぎる。
【0065】
フォーム形成反応性混合物中に存在する上記成分(A)及び(B)に加えて、本発明の反応性混合物はまた、成分(C)として他の追加の任意選択的な補助成分、化合物、薬剤、又は添加剤を含み得、そのような任意選択的な成分(C)は、成分(A)及び/若しくは(B)のいずれかとの反応性混合物に添加され得るか、又は成分(C)として別個の添加として添加され得る。本発明において使用され得る任意選択的な補助成分、化合物、薬剤、又は添加剤は、それらの使用又は機能について当該技術分野で既知である1つ以上の任意選択的な化合物を含み得る。例えば、任意選択的な成分(C)は、膨張性グラファイト、物理又は化学発泡剤、フォーミング触媒、難燃剤、乳化剤、酸化防止剤、界面活性剤、液体核化剤、固体核化剤、オストワルド熟成遅延添加剤、顔料、酢酸エチル、メチルエーテルケトン、トルエン、及びそれらのうちの2つ以上の混合物からなる群から選択される溶媒を更に含む溶媒、並びに上記の任意選択的な添加剤のうちの2つ以上の混合物を含み得る。
【0066】
本発明の反応性混合物に添加するために使用される任意選択的な化合物の量は、例えば、一実施形態ではB側の総ポリオール量の100ptsに基づいて0pts~50pts、別の実施形態では0.1~40pts、及び更に別の実施形態では1pts~35ptsであり得る。例えば、一実施形態では、物理発泡剤の使用量は、使用される場合、B側の総ポリオール量の100ptsに基づいて、1pts~40ptsであり得る。別の実施形態では、化学発泡剤の使用量は、使用される場合、B側の総ポリオール量の100ptsに基づいて、0.1pts~10ptsであり得る。更に別の実施形態では、難燃性添加剤の使用量は、使用される場合、B側の総ポリオール量の100ptsに基づいて、5pts~25ptsであり得る。更に別の実施形態では、界面活性剤の使用量は、使用される場合、B側の総ポリオール量の100ptsに基づいて、典型的には0.1pts~10ptsである。なおも更に別の実施形態では、フォーミング触媒の使用量は、使用される場合、B側の総ポリオール量の100ptsに基づいて、0.05pts~5ptsである。また、一般的な実施形態では、他の添加剤の使用量は、使用される場合、B側の総ポリオール量の100ptsに基づいて、0.1pts~5ptsであり得る。
【0067】
本明細書に開示されるイソシアネート反応性組成物、成分(B)は、触媒を含み得、例えば、触媒は、イソシアネート反応性組成物に添加され得る。触媒は、発泡触媒、ゲル化触媒、三量体化触媒、又はそれらの組み合わせであり得る。本明細書で使用されるとき、発泡触媒及びゲル化触媒は、発泡触媒の場合は尿素(ブロー)反応、又はゲル化触媒の場合はウレタン(ゲル)反応のいずれかを有利にする傾向によって区別され得る。三量体化触媒は、組成物中のイソシアヌレート反応を増進するために利用され得る。
【0068】
発泡触媒の例としては、発泡反応を有利にする傾向があり得る触媒を含み、短鎖三級アミン又は酸素を含有する三級アミンを含むが、これらに限定されない。アミンベースの触媒は、立体障害でない場合がある。例えば、発泡触媒は、とりわけ、ビス-(2-ジメチルアミノエチル)エーテル、ペンタメチルジエチレン-トリアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N,N-ジメチルアミノプロピルアミン、ジメチルエタノールアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン、及びそれらの組み合わせを含む。市販の発泡触媒の例は、他の市販の発泡触媒の中でも、EvonikからのPOLYCAT(商標)5である。
【0069】
ゲル化触媒の例としては、ゲル反応を有利にする傾向があり得る触媒が挙げられ、有機金属化合物、環状三級アミン、いくつかの窒素原子を含有するものなどの長鎖アミン、及びそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。有機金属化合物は、例えば、二酢酸スズ(II)、ジオクタン酸スズ(II)、ジエチルヘキサン酸スズ(II)、及びジラウリン酸スズ(II)を含む、例えば、有機カルボン酸のスズ(II)塩などの有機化合物、例えば、二酢酸ジブチルスズ、ジラウリン酸ジブチルスズ、マレイン酸ジブチルスズ、及び二酢酸ジオクチルスズを含む有機カルボン酸のジアルキルスズ(IV)塩、並びにそれらの混合物を含む。オクタン酸ビスマスなどの有機カルボン酸のビスマス塩もまた、ゲル化触媒として利用され得る。環式三級アミン及び/又は長鎖アミンは、ジメチルベンジルアミン、トリエチレンジアミン、及びそれらの組み合わせ、及びそれらの組み合わせを含む。市販のゲル化触媒の例としては、他の市販のゲル化触媒の中でも、EvonikからのPOLYCAT(商標)8及びDABCO(商標)T-12が挙げられる。
【0070】
三量化触媒の例としては、とりわけ、PMDETA-N,N,N’,N’’,N’’-ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N’,N’’-トリス(3-ジメチルアミノプロピル)ヘキサヒドロ-S-トリアジン、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン、1,3,5-トリス(N,N-ジメチルアミノプロピル)-s-ヘキサヒドロトリアジン、[2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール]、酢酸カリウム、オクタン酸カリウム、水酸化テトラメチルアンモニウムなどの水酸化テトラアルキルアンモニウム、水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属水酸化物、ナトリウムメトキシド及びカリウムイソプロポキシドなどのアルカリ金属アルコキシド、及び10個の炭素原子~20個の炭素原子を有する長鎖脂肪酸のアルカリ金属塩、並びにそれらの組み合わせが挙げられる。いくつかの市販の三量体化触媒は、他の市販の三量体化触媒の中でも、DABCO(商標)TMR-2、DABCO(商標)TMR-7、DABCO(商標)K 2097;DABCO(商標)K15、POLYCAT(商標)41、及びPOLYCAT(商標)46を含み、これらのすべてがEvonikから入手可能である。
【0071】
触媒の量は、使用される場合、総ポリオール(部)の100ptsに基づいて、0.05ptsのイソシアネート反応性組成物~5.0ptsであり得る。0.05pts~5ptsのすべての個々の値及び部分範囲が含まれ、例えば、触媒は、イソシアネート反応性組成物中の総イソシアネート反応性化合物の100ptsに基づいて、下限の0.05pts、0.1pts、又は0.3pst~上限の5.0pts、4pts、又は3.5pstのイソシアネート反応性組成物であり得る。
【0072】
様々な従来の発泡剤が使用可能である。例えば、発泡剤は、水、様々な炭化水素、様々なハイドロフルオロカーボン、様々なハイドロフルオロオレフィン、ギ酸、フォーミング反応の条件下で窒素又は二酸化炭素を生成する様々な化学発泡剤などのうちの1つ以上、及びそれらの混合物であり得る。
【0073】
水などの化学発泡剤は、単独で使用されても、又は他の化学発泡剤及び/若しくは物理発泡剤と混合して使用されてもよい。低沸点炭化水素などの物理発泡剤が使用可能である。そのような使用される液体の例は、ヘプタン、ヘキサン、n-及びイソペンタンなどのアルカン、n-及びイソペンタンとn-及びイソブタンとプロパンとの工業グレード混合物、シクロペンタン及び/又はシクロヘキサンなどのシクロアルカン、フラン、ジメチルエーテル及びジエチルエーテルなどのエーテル、アセトン及びメチルエチルケトンなどのケトン、ギ酸メチル、シュウ酸ジメチル、及び乳酸エチレンなどのアルキルカルボキシレート、並びに塩化メチレン、ジクロロモノフルオロメタン、ジフルオロメタン、トリフルオロメタン、ジフルオロエタン、テトラフルオロエタン、クロロジフルオロエタン、1,1-ジクロロ-2,2,2-トリフルオロエタン、2,2-ジクロロ-2-フルオロエタン、ペンタフルオロプロパン、ヘプタフルオロプロパン、及びヘキサフルオロブテンなどのハロゲン化炭化水素、HoneywellのSOLSTICE(商標)LBAである。これらの低沸点液体同士の混合物、及び/又はこれらの低沸点液体と他の置換若しくは非置換炭化水素との混合物が使用されてもよい。ギ酸、酢酸、シュウ酸、Ricinolsau-Re及びカルボキシル含有化合物などの有機カルボン酸も好適である。
【0074】
本明細書に開示されるイソシアネート反応性組成物、成分(B)は、界面活性剤を含み得、例えば、界面活性剤は、イソシアネート反応性組成物に添加され得る。界面活性剤は、セル安定化界面活性剤であり得る。本発明において有用な界面活性剤の例としては、有機シリコーン-ポリエーテルコポリマーなどのケイ素系化合物、例えば、ポリジメチルシロキサン-ポリオキシアルキレンブロックコポリマー、例えば、ポリエーテル修飾ポリジメチルシロキサン、及びそれらの組み合わせが挙げられる。界面活性剤の例としては、The Dow Chemical Companyから入手可能なVORASURF(商標)504などの非シリコーン系有機界面活性剤が挙げられる。界面活性剤は市販されており、とりわけ、NIAXT(商標)(例えば、NIAX(商標)L 6988)及びTEGOSTAB(商標)(例えば、TEGOSTAB(商標)B 8462)などの商品名で入手可能なものが挙げられる。
【0075】
界面活性剤の量は、使用される場合、イソシアネート反応性組成物の総ポリオールの組み合わせの100ptsに基づいて、0.1pts~10.0ptsのイソシアネート反応性組成物であり得る。0.1pts~10.0ptsのすべての個々の値及び部分範囲が含まれ、例えば、界面活性剤は、イソシアネート反応性組成物中に存在する総ポリオールの組み合わせの100ptsに基づいて、下限の0.1pts、0.2pts、又は0.3pst~上限の10.0pts、9.0pts、7.5、又は6ptsのイソシアネート反応性組成物に由来し得る。
【0076】
広い実施形態では、本発明のイソシアネート反応性組成物、成分(B)(又はB側成分)を生成するためのプロセスは、(Bi)上記の1つ以上の化合物から選択される少なくとも1つのイソシアネート反応性化合物、(Bii)所定量の上記の1つ以上の化合物から選択される少なくとも1つのチキソトロピー改質剤化合物、及び(Biii)必要に応じて、任意選択的な成分を混合、組み合わせ、又はブレンドする工程を含む。上記化合物(Bi)~(Biii)は、上記の化合物が一緒に完全に混合されて均一なイソシアネート反応性組成物を形成するように、プロセス条件下で一緒に混合される。イソシアネート反応性組成物を構成する成分は、任意の既知の混合プロセス及び装置によって一緒に混合されてもよい。イソシアネート反応性組成物を生成するために成分を混合する順序は重要ではなく、2つ以上の化合物が一緒に混合され得、続いて任意の他の任意選択的な成分が添加され得る。例えば、好ましい実施形態では、チキソトロピー添加剤化合物(Bi)は、最初にイソシアネート反応性化合物(Bii)と予備混合され、続いて任意の任意選択的な化合物(Biii)を混合してB側成分を形成する。
【0077】
別の広い実施形態では、本発明のポリウレタン又はポリイソシアヌレートフォーム形成反応性組成物を生成するためのプロセスは、一般に、(A)A側成分としての少なくとも1つのイソシアネート成分、(B)B側成分としての少なくとも1つのイソシアネート反応性成分、及び(C)必要に応じて、任意選択的な成分を混合することを含む。上記の成分(A)~(C)は、上記反応性成分が一緒に完全に混合されて均一な反応性ポリウレタン又はポリイソシアヌレートフォーム形成組成物を形成するように、プロセス条件下で一緒に混合される。
【0078】
例えば、1つの好ましい実施形態では、本発明のポリウレタン又はポリイソシアヌレート反応性フォーム形成組成物を生成するプロセスは、以下の(I)上記の成分(A)~(C)を受容して、容器内に反応混合物を形成するための反応器容器又は容器を提供する工程と、(II)上記の成分(A)~(C)を反応器容器に添加する工程と、(III)成分(A)~(C)をプロセス条件下で反応器容器又は容器内で混合して、均一な反応混合物を形成する工程と、(IV)上記成分(A)~(C)を反応させて、ポリウレタン又はポリイソシアヌレートフォームを形成する工程と、を含む。
【0079】
フォーム形成反応性組成物を構成する成分は、任意の既知のウレタンフォーミング混合プロセス及び装置によって一緒に混合されてもよい。典型的には、A側及びB側、並びに追加の任意選択的な成分を混合するために、インピンジェント(impingent)ミキサーが使用される。成分を混合してポリウレタン又はポリイソシアヌレート反応性フォーム形成組成物を生成する順序は重要ではなく、2つ以上の化合物が一緒に混合され得、続いて任意の他の任意選択的な成分が添加され得る。例えば、一般的な実施形態では、フォーム形成組成物の調製は、フォーム形成組成物の上記A側成分の一部として1つ以上のポリイソシアネート化合物などの少なくとも1つのイソシアネート成分(A)を提供することと、フォーム形成組成物の上記B側成分の一部として1つ以上のポリオール化合物などの少なくとも1つのイソシアネート反応性成分(B)を提供することと、少なくとも1つのポリイソシアネート化合物(A側)、少なくとも1つのポリオール化合物(B側)、並びに成分(C)としての発泡剤、触媒及び/又は界面活性剤などの任意の任意選択的な化合物を混和して、フォーム形成組成物を形成することと、を含む。
【0080】
フォーム形成組成物を調製する際に、ポリイソシアネート化合物を含有するA側及びポリオール化合物を含有するB側は、別個にかつ個々に調製され得、次に高圧インピンジェントミキサーなどのフォーミング装置で一緒に混合され得る。A側及び/又はB側は、いくつもの任意選択的な成分、化合物、薬剤、成分、又は添加剤のうちのいずれかを含み得る。いくつかの実施形態では、発泡剤、界面活性剤、及び/又は触媒、成分(C)などのフォーム形成組成物の他の任意選択的な化合物(成分)のうちの1つ以上を、フォーム形成組成物に、(1)ポリイソシアネート化合物(A側)、(2)ポリオール化合物(B側)、又は(3)A側及びB側の両方を介して添加することができる。他の実施形態では、発泡剤、界面活性剤、及び/又は触媒、成分(C)は、A側及びB側が一緒に混合される前に、又はA側及びB側が一緒に混合されるのと同時に、A側及び/又はB側に添加され得る。例えば、触媒及び界面活性剤などの成分(C)としてのフォーミング添加剤は、予備混合されたB側成分がA側と混合される前に、時にはB側に予備混合されることがある。発泡剤が、同様にB側に予備混合されることが多い。他の実施形態では、時として発泡剤は、フォーミングプロセス中に別個の流れとしてオンラインで混合される。
【0081】
前述のように、一実施形態では、フォーム形成組成物のA側及びB側は、別個にかつ個々に成分(A)~(C)で調製される。好ましい実施形態では、成分(component)、成分(ingredient)、及び任意選択的な成分のすべては、存在する場合、最終ポリウレタン又はポリイソシアヌレートフォーム形成組成物を調製するために、所望の濃度でイソシアネート成分プレミックス(A側)及びポリオール成分プレミックス(B側)として一緒に混合することができる。
【0082】
1つの一般的な実施形態では、反応性フォーム形成組成物を形成するA側(ポリイソシアネート側)対B側(ポリオール側)の質量比は、一般に、X:1~Y:1の比であり得、Xは、1未満の値であり得、Yは、1~4の範囲であり得る。例えば、1つの好ましい実施形態では、A側:B側の質量比は、重量で0.25:1~4:1である。A側のイソシアネート基(すなわち、NCO基の数)対B側のイソシアネート反応性基(すなわち、OH基の数)のモル比に関して、モル比は、一実施形態では1.1:1~6:1、及び別の実施形態では1.5:1~5:1の範囲であり得る。
【0083】
成分の混合は、一実施形態では5℃~80℃、別の実施形態では10℃~60℃、及び/又は更に別の実施形態では15℃~50℃の温度で実行され得る。
【0084】
上記のプロセスに従って生成された得られたフォーム形成組成物は、PURフォーム、PIRフォーム、又はPIRフォーム及びPURフォームの両方の組み合わせなどの本発明の硬質フォームを調製するために有利に使用される。従来のプロセス及び装置を使用して、硬質フォームを作製することができる。一般的な実施形態では、例えば、ポリウレタンフォーム製品を生成するための本発明のプロセスは、(I)ポリイソシアネートなどの少なくとも1つのイソシアネート化合物を含むA側成分、及びポリオール化合物などの少なくとも1つのイソシアネート反応性化合物を含むB側成分、及び必要に応じて任意の任意選択的な成分を混合して、反応性フォーム形成組成物を形成する工程と、(II)一旦成分が一緒に混合されると、得られた混合物を反応させてポリウレタンフォーム又はポリイソシアヌレートフォームを形成する工程と、を含む。反応性混合物を反応させてフォームを形成し、次いで硬化させ、必要な場合、反応混合物に熱を適用して硬化反応を加速させてもよい。例えば、次に、得られた反応性ブレンドは、フォーミング反応を起こし、反応性配合物を硬化させて硬質フォームを形成するのに十分な条件に曝露される。例えば、A側とB側との混合物を高温で望ましい時間にわたって加熱し、フォーム形成組成物を硬化させることができる。成分は、一実施形態では25℃~80℃、別の実施形態では35℃~70℃、及び/又は更に別の実施形態では45℃~60℃の温度で加熱することができる。
【0085】
様々な方法を使用して、硬質ポリウレタン又はポリイソシアヌレートフォームを組み込んだ断熱製品を製造することができ、例えば、パネルの上面及び底面の両方に硬質金属フェイサー(スチールフェイサーなど)を有する絶縁金属パネルを作製するための連続二重ベルト積層プロセス、フォームの両側に、アルミニウム箔又は紙などの可撓性フェイサーを用いてボードストックフォームを作製する連続プロセス、反応性配合物を金型キャビティに注入し、続いて望ましい時間にわたって25℃~80℃の範囲の温度で、金型内の配合物をその後に硬化させることによって、三次元形状の断熱パネル又は物品を作製する不連続プロセス、及び他のプロセス。当業者であれば、現在の情報の反応速度を調節して、最も経済的な製造のための最良の金型充填及びフォーム硬化を達成することができる。
【0086】
断熱製品を製造するために使用可能なプロセスは、前述の連続二重ベルト積層プロセスであり得る。このプロセスは、ベルト間で製品に熱及び圧力を伝達する加熱要素及び圧力機構を各々有する可動式上部ベルト及び下部ベルトを含み得る。二重ベルト積層プロセス及び装置を使用することの利点の1つは、製品を所望の期間にわたり加熱のもと連続的に保持し、次に製品を冷却して所定の位置にセットすることができる点であり得る。
【0087】
硬質ポリウレタン又はポリイソシアヌレートフォームを作製するための本発明のイソシアネート反応性組成物は、1つの一般的な実施形態では、20g/cm~60g/cmの密度を有する硬質フォーム製品を提供する。例示的な実施形態では、硬質ポリウレタン又はポリイソシアヌレートフォームの密度は、一実施形態では25g/cm~60g/cm、別の実施形態では30g/cm~60g/cm、更に別の実施形態では32g/cm~50g/cm、及び更に別の実施形態では35g/cm~50g/cmであり得る。
【0088】
本発明の硬質ポリウレタン又はポリイソシアヌレートフォームはまた、いくつかの有益な特性、例えば(1)低い熱伝導率(改善された断熱性能)、及び(2)機械的靭性の増加を呈する。例えば、本発明のフォームは、1つの一般的な実施形態では10℃で19.5mW/m-K、別の実施形態では16.0mW/m-K~19.5mW/m-K、更に別の実施形態では16.0mW/m-K~19.2mW/m-K、更に別の実施形態では17.0mW/m-K~19.2mW/m-K、及びなおも更に別の実施形態では17.0mW/m-K~19.0mW/m-Kの低い熱伝導率を呈する。熱伝導率(又は「Kファクター」)によって測定される、本発明の硬質フォームの絶縁性能は、ASTM C518-04(2010)に記載されている手順によって定義及び決定される。
【0089】
更に、本発明のフォームは、ATSM C421(2014)に記載されている手順によって定義及び決定される破砕性のパーセンテージで測定されるように、良好な機械的靭性を有利に呈する。例えば、一般的な実施形態では、フォームは、10%以下の転がり破砕性を呈する。例示的な実施形態では、硬質フォームの破砕性は、0.1%~10%、0.5%~10%、及び/又は1%~10%の範囲であり得る。
【0090】
本発明のプロセスによって生成されたポリウレタンフォームは、例えば、建築及び建設業界における断熱用途を含む、様々な用途及び最終用途で使用することができる。更に、ポリウレタンフォームは、コーティング、接着剤、紙及び包装用途で使用することができる。また、ポリウレタンフォームは、器具、冷蔵輸送容器用途などで使用することができる。
【実施例
【0091】
以下の実施例は、本発明を更に詳細に説明するために提示されるが、特許請求の範囲の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。別段指示されない限り、すべての部及びパーセンテージは、重量による。
【0092】
様々な用語及び指定が、発明の実施例(Inventive Example、Inv.Ex.)及び比較実施例(Comparative Example、Comp.Ex.)において使用され、これらを以下に説明する。
「PUR」は、フォームに関して硬質のポリウレタンを表す。
「PIR」は、フォームに関して硬質のポリイソシアヌレートを表す。
「DEG」は、ジエチレングリコールを表す。
「PEG」は、ポリエチレングリコールを表す。
「FR」は、難燃剤を表す。
【0093】
発明の実施例(Inv.Ex.)及び比較実施例(Comp.Ex.)において使用される様々な成分(ingredient)、成分(component)、又は原料を以下に説明する。
【0094】
以下の6つの異なる種類のポリオールを実施例で使用した。
(1)ポリオールAは、芳香族ジカルボン酸及びDEG、PEG200、グリセロールなどのポリグリコールを使用して調製されるポリエステルポリオールである。
(2)ポリオールBは、ポリオールAと同様のポリエステルポリオールである。
(3)ポリオールCは、ポリオールAと同様のポリエステルポリオールである。
(4)ポリオールDは、VORATEC(商標)SD 301などのThe Dow Chemical Companyによって製造されたポリエーテルポリオールである。
【0095】
実施例において使用される上記6つの異なる種類のポリオールの各々の特徴を表Iに記載する。
【0096】
【表1】
様々な異なる種類のフォーミング添加剤を実施例において使用し、そのような添加剤を表IIに記載する。
【0097】
【表2】
【0098】
実施例において使用されるポリイソシアネートは、ポリイソシアネートA=PAPI(商標)580N、及びポリイソシアネートB=PAPI(商標)27を含み、両方ともThe Dow Chemical Companyから入手可能である。
【0099】
実施例において使用されるチキソトロピー添加剤は、Borregaardから入手可能なEXILVA(商標)P01VなどのMFCペーストであるチキソトロピー添加剤A、及びCelluForceから入手可能なセルロースナノ結晶(CNC)であるチキソトロピー添加剤Bを含む。
【0100】
実施例及び比較実施例において使用される物理発泡剤は、シクロペンタンである。
【0101】
表III及びIVに提示されるフォーム形成組成物は、2つの異なるポリオールパッケージ、(1)100%ポリエステルポリオール、並びに(2)それぞれ表III及びIVのポリエステルとポリエーテルポリオールとの混合物に基づく、本発明の2つの例示的なシステムである。熱伝導率又はKファクターは、それぞれ、2つの異なる温度、(1)50°F(10℃)及び(2)20°F(-6.7℃)で測定される。これらの2つのシステムを実施例において使用して、チキソトロピー添加剤の有効範囲を決定した。
【0102】
フォームを調製するための一般的な手順
ポリオール、界面活性剤、難燃剤、触媒及び水をプラスチック混合カップに添加し、その内容物を有するプラスチックカップを計量した。次に、カップの内容物を高速オーバーヘッドミキサーで混合して、「ポリオールパッケージ」(B側)を用意した。次に、目標量の発泡剤をカップに添加し、ポリオールパッケージと完全に混合した。続いて、所望量のポリイソシアネート化合物、成分A(A側)をカップ内の配合物混合物に添加した。得られた完全な配合物を、3,000rpmのミキサー速度で5秒間にわたり高速オーバーヘッドミキサーで即時混合し、次に、この混合された配合物を、55℃に予熱した予熱済の金型に注いだ。金型のサイズは5cm×20cm×30cmであった。金型は、フォーミングのために金型の長さ方向に沿って垂直に配置した。約20分後にフォームを金型から取り出し、ラボベンチに一晩置いてから、得られたフォーム製品の物理的特性の試験を実施した。
【0103】
試験測定
本明細書に記載の実施例及び比較実施例に従って作製されたフォーム形成組成物及びフォーム製品に対して様々な試験を行った。
【0104】
粘度測定
チキソトロピー添加剤を組み込む、またチキソトロピー添加剤を組み込まない、ポリオール又はポリオールブレンドに対する粘度測定は、60℃の温度でARESレオメーター(TA Instrument)を使用して実行した。50mmのカップ及びプレートの幾何学的形状を、すべてのレオロジー測定に使用した。サンプルの厚さは、約1.5mmで一定に保たれた。動的粘度データは、10%の一定歪みで0.01ラジアン/秒~100ラジアン/秒の周波数から収集した。0.1ラジアン/秒及び100ラジアン/秒での粘度の比を計算し、報告した:粘度の比が高いほど、流体がより高いチキソトロピー特徴を呈する。
【0105】
クリーム化時間及びゲル化時間
クリーム化時間及びゲル化時間は、ASTM D7487(2013)に記載の試験手順に従って決定される。クリーム化時間及びゲル化時間の測定の一般的な手順は、以下のとおりである。フリーライズ(free rise)フォームは、上記の「フォームを調製するための一般的な手順」に記載のプラスチックカップ法によって作製される。この方法を使用して、ポリオール、界面活性剤、難燃剤、触媒及び水をプラスチックカップに量り入れる。オーバーヘッドミキサーを使用して、イソシアネート反応性成分B(B側)中のポリオール化合物及び他の成分を混合する。次に、適切な量の発泡剤をカップに添加し、イソシアネート反応性成分(B側)に完全に混合する。次に、イソシアネート成分(A側)をカップに添加し、続いて、オーバーヘッドミキサーを使用して、約3,000rpmで5秒間即時混合する。イソシアネート成分とイソシアネート反応性成分混合物との混合がトリガーされたときに時間の記録が始まる。気泡が多く形成されることに基づいてカップ内のフォーム形成配合物が明確な色又は外観の変化を示すとき(又はより一般的には当業者にクリーミングとして既知である)、その時間は「クリーム化時間」として記録される。次に、木製舌圧子の先端をフォーム形成配合物に浸し、すばやく引き出して、フォーミング混合物が糸状になるかどうかを確認する。木製舌圧子試験に基づいたフォーミング配合物が糸状になる時間を「ゲル化時間」として記録する。
【0106】
熱伝導率(Kファクター又はラムダ値)
フォームが作製された後24時間以内に(及びフォームを実験室ベンチ上で一晩静置した後)、20cm×20cm×2.5cmのサイズを有するフォーム正方形試料を、フォームの内部及び中央部から切り取った。フォーム試料の各々の熱伝導率(Kファクター)は、ASTM C518-04(2010)に記載の手順に従って、PIRシステム(表III)の場合は50°F(10℃)、PURシステム(表IV)の場合は20°F(-6.7℃)で測定した。Kファクター測定の精度は、典型的には0.1mW/m-K以内である。試験した少なくとも2つのフォーム正方形試料のKファクター測定の平均を報告した。
【0107】
フォーム密度
硬質フォームの密度は、ASTM 1622-03(2008)に記載の手順に従って測定した。硬質フォームのサンプルを切断して、5cm×5cm×5cmのサイズの立方体の試料にした。サンプルを計量し、各サンプルの正確な寸法を測定した。次に、サンプルの密度を計算した。
【0108】
破砕性
フォームの破砕特性は、ASTM C421(2014)に記載の手順に従って、タンブリング機でフォーム試料を試験することにより測定した。この装置は、7と1/2インチ×7と3/4インチ×7と3/4インチ(190mm×197mm×197mm)の内寸を有するオーク材の立方体のボックスを含む。ボックスのシャフトを、60±2rpmの一定速度でモーター駆動させた。室内乾燥したオーク無垢材の3/4±1/32インチ(19mm±0.8-mm)の立方体24個を試験フォーム試料の入ったボックスに入れた。試験フォーム試料は、成形フォームを歯の細かいのこぎりで切断して1±1/16インチ(25.4±1.6-mm)の立方体にすることによって調製した。
【0109】
連続気泡含有率
硬質PUフォームサンプルの連続気泡含有率を、ASTM D-6226に従って測定した。連続気泡含有率を計算するためのFoamPycオプションを備えたMicromereticsからのピクノメーター、AccuPyc 1330をこの測定に使用した。フォームサンプルの様々な点から取得された1インチ×1インチ×1インチ(2.54cm×2.54cm×2.54cm)の公称寸法を有する5つのフォーム試料を測定した。目視検査によって明らかな欠陥を有する任意のフォーム試料を試験から排除した。測定の前に、すべてのフォーム試料を、ASTM規格の実験室条件で最低24時間調整した。フォーム試料の各々についての連続気泡含有率の平均値を報告した。
【0110】
実施例1~7及び比較実施例A及びB:PIRシステムにおけるチキソトロピー添加剤
比較実施例A
上記の「フォームを調製するための一般的な手順」に従って、180gのフォーミング混合物を調製し、5cm×20cm×30cmの垂直に配置された金型に即時に注ぎ入れた。この特定の配合物については、約135gのフォーミング混合物を金型の内側に注いだ。20分後に得られたフォームを金型から取り出し、ラボベンチに一晩置いてから、得られたフォーム製品の物理的特性の試験を実施した。フォーム特性の特性評価の結果を表IIIに要約する。
【0111】
実施例1~3
三段階混合手順で、Flack Tekミキサーを用いて、2ptsのチキソトロピー添加剤Aを73ptsのポリオールAに予備分散させることであって、(1)2ptsのチキソトロピー添加剤Aを混合カップ内の8ptsのポリオールAに添加し、続いて得られた混合物を10,000rpmで1分間、Flack Tekミキサーで混合する工程と、(2)追加の20ptsのポリオールAを混合カップに添加し、続いて10,000rpmで1分間混合する工程と、(3)別の45ptsのポリオールAを混合カップに添加し、続いて10,000rpmで1分間混合する工程と、を含む。得られたチキソトロピー添加剤-ポリオール混合物を、比較実施例Aにおいて使用したものと同様のプロトコルを使用し、表IIIに記載の詳細な配合データに従うことによって、フォーム形成配合物を調製するために使用した。発明の実施例1~3のフォーム特性を表IIIに要約する。
【0112】
実施例4及び5
チキソトロピー添加剤AをポリオールAに分散させるプロトコル及びその続のフォーム調製物は、わずか1ptsのチキソトロピー添加剤Aが使用されることを除いて、上記の実施例1~3に記載されるように複製される。発明の実施例4及び5のフォーム特性を表IIIに報告する。
【0113】
実施例6
チキソトロピー添加剤AをポリオールAに分散させるプロトコル及びその続のフォーム調製物は、わずか0.5ptsのチキソトロピー添加剤Aが使用されることを除いて、上記の実施例1~3に記載されるように複製される。発明の実施例6のフォーム特性を表IIIに報告する。
【0114】
実施例7
チキソトロピー添加剤Bは、表IIIに記載の配合に従ってポリオールAとポリオールBとの混合物に直接添加され、続いて高剪断オーバーヘッドミキサーで激しく混合される。続いて、実施例7に示される他のフォーミング成分を、チキソトロピー添加剤Bを含有するポリオールA及びB混合物に添加し、フォームを作製するために完全に混合した。実施例1~3に記載されているものと同じプロトコルを使用して、実施例7のフォームを調製した。実施例7のフォームのフォーム特性を表IIIに報告する。
【0115】
比較実施例B
チキソトロピー添加剤AをポリオールA及びその後の発泡調製物に分散させるプロトコルは、5ptsのチキソトロピー添加剤Aが使用されることを除いて、上記の実施例1~3に記載されているように複製される。比較実施例Bのフォームのフォーム特性を表IIIに報告する。
【0116】
【表3】
表IIIについての注記:「nm」は、大きなサンプルがこの測定に必要とされるため、「測定されない」を表す。
【0117】
表IIIに記載の結果は、発明の実施例に従って作製されたフォームの熱伝導率(又はKファクター)が、比較実施例の熱伝導率(又はKファクター)よりも低いことを示す。MFCの硬質PIRフォームへの組み込みもまた、フォームの物理的破砕性を低減するようである。フォームのこの予想外の靭性向上は、フォームに組み込まれたMFCの形態と同様の三次元網状組織に起因し得る。更に、チキソトロピー添加剤は、気泡形成を安定化する有益な効果を有し得る。
【0118】
比較実施例C並びに実施例8及び9:PURシステムにおけるチキソトロピー添加剤
比較実施例C
この比較実施例Cにおいて使用され、フォーム調製に使用されるポリオール及び添加剤を表IVに記載する。フォーム特性の結果もまた、表IVに要約される。
【0119】
実施例8
この実施例8において、2ptsのチキソトロピー添加剤Aは、二段階混合手順でFlack Tekミキサーを用いて、18ptsのポリオールAに予備分散され、
(1)2ptsのチキソトロピー添加剤Aを混合カップ中で8ptsのポリオールFに添加し、続いて得られた混合物を10,000rpmで1分間、Flack Tekミキサーで混合する工程と、
(2)追加の10ptsのポリオールAを混合カップに添加し、続いて10,000rpmで1分間混合する工程と、を含む。得られたチキソトロピー添加剤A-ポリオールA混合物を、表IVに記載の詳細な配合データに従うことによって、フォーム配合物を調製するために使用した。発明の実施例8のフォーム特性を表IVに要約する。
【0120】
実施例9
この発明の実施例9において、フォームサンプルを作製するための表IVに記載される発明の実施例8の手順は、わずか1ptsのチキソトロピー添加剤Aが使用されることを除いて、試験のために複製される。発明の実施例9のフォーム特性を表IVに記載する。
【0121】
【表4】
【0122】
表IVに記載の結果は、ポリオールの混合物が既に強い剪断減粘挙動を呈しない限り、高OH官能価及び低OH官能価を有するポリオールの混合物が使用される場合、Kファクターなどのフォーム特性の改善には、チキソトロピー添加剤の組み込みが有益であることを示す。
【0123】
表III及びIVに記載の実施例において使用されるポリオールは、ポリエステルポリオール、及びポリエステルポリオールとポリエーテルポリオールとの混合物である。各個々の表III及びIV内の異なるフォーミングシステムのデータを比較する場合、イソシアネート反応性組成物中に組み合わされたすべてのポリオールの平均ヒドロキシル官能価が3.0以下である限り、チキソトロピー添加剤は、両方のフォーミングシステムにおいて有効であると結論付けることができる。

【国際調査報告】