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特表2023-511459エネルギー吸収装置、支持体、ロープブレーキ、防護ネット構造、及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-17
(54)【発明の名称】エネルギー吸収装置、支持体、ロープブレーキ、防護ネット構造、及び方法
(51)【国際特許分類】
   E01F 7/04 20060101AFI20230310BHJP
【FI】
E01F7/04
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022545890
(86)(22)【出願日】2021-01-22
(85)【翻訳文提出日】2022-07-27
(86)【国際出願番号】 EP2021051517
(87)【国際公開番号】W WO2021151802
(87)【国際公開日】2021-08-05
(31)【優先権主張番号】102020101985.8
(32)【優先日】2020-01-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510301231
【氏名又は名称】ジェオブルッグ・アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ゼンハウザー、マルセル
【テーマコード(参考)】
2D001
【Fターム(参考)】
2D001PA06
2D001PB04
2D001PC03
2D001PD06
2D001PD10
2D001PD11
(57)【要約】
本発明は、少なくとも1本のロープ18を受け入れる及び/又は案内するための少なくとも1つのロープ受け入れ領域16を形成する少なくとも1つのロープ案内ユニット14と、ロープ受け入れ領域16に配置され、案内された少なくとも1本のロープ18のための少なくとも1つの摩擦面22を形成する少なくとも1つのエネルギー吸収要素20とを備える、衝突体10が防護ネット構造12に衝突したときに発生した衝突エネルギーの少なくとも一部分を吸収するためのエネルギー吸収装置38であって、エネルギー吸収要素20は、力がロープ18にかかり、摩擦面22にわたるロープ18の移動を誘発する場合、摩擦面22の実質的な変形を介して、並びに/又は摩擦面22の実質的な摩滅を介して、力によって生じたエネルギーの少なくとも一部分を目標とする方法で吸収するように構成される、エネルギー吸収装置38に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
衝突体(10)が防護ネット構造(12)に衝突したときに発生する衝突エネルギーの少なくとも一部分を吸収するためのエネルギー吸収装置(38)であって、前記防護ネット構造(12)の少なくとも1本のロープ(18)、特に少なくとも1本の鋼鉄製ロープを受け入れる及び/又は案内するための少なくとも1つのロープ受け入れ領域(16)を形成する少なくとも1つのロープ案内ユニット(14)と、前記ロープ受け入れ領域(16)に配置され、案内された前記少なくとも1本のロープ(18)のための少なくとも1つの摩擦面(22)を形成する少なくとも1つのエネルギー吸収要素(20)とを備える、エネルギー吸収装置(38)において、
前記エネルギー吸収要素(20)が、例えば前記衝突体(10)が前記防護ネット構造(12)に衝突することによって発生した力が前記ロープ(18)にかかり、前記力が前記摩擦面(22)にわたる前記ロープ(18)の移動を誘発する場合、前記摩擦面(22)の実質的変形を介して及び/又は前記摩擦面(22)の実質的摩滅を介して、前記力によって生じるエネルギーの少なくとも一部分を選択的に吸収するように構成される、エネルギー吸収装置(38)。
【請求項2】
前記エネルギー吸収要素(20)が、少なくとも前記摩擦面(22)の領域において、モース硬度が4より小さい材料で実現されることを特徴とする、請求項1に記載のエネルギー吸収装置(38)。
【請求項3】
前記エネルギー吸収要素(20)が、少なくとも前記摩擦面(22)の領域において、鋼鉄、特に前記鋼鉄製ロープとの摩擦下で、火花、特に摩擦火花及び/又は衝撃火花の出ない材料で実現されることを特徴とする、請求項1又は2に記載のエネルギー吸収装置(38)。
【請求項4】
前記ロープ案内ユニット(14)に案内される前記ロープ(18)であって、前記エネルギー吸収要素が(20)、前記ロープ(18)とは実質的に異なる材料で作られる、前記ロープ(18)を特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載のエネルギー吸収装置(38)。
【請求項5】
前記エネルギー吸収要素(20)が、少なくとも前記摩擦面(22)の領域において、アルミニウム又はアルミニウム合金で実現されることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載のエネルギー吸収装置(38)。
【請求項6】
少なくとも前記エネルギー吸収要素(20)が、少なくとも1つの周辺領域(24、26)において、前記ロープ受け入れ領域(16)から湾曲して離れる表面(28)を有することを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載のエネルギー吸収装置(38)。
【請求項7】
前記エネルギー吸収要素(20)とは別に具現化された少なくとも1つの第2のエネルギー吸収要素(30)を特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載のエネルギー吸収装置(38)。
【請求項8】
前記第2のエネルギー吸収要素(30)が、前記エネルギー吸収要素(20)の前記摩擦面(22)に対して少なくとも略垂直に向けられた摩擦面(32)を備えることを特徴とする、請求項7に記載のエネルギー吸収装置(38)。
【請求項9】
前記防護ネット構造(12)に規定された最大衝突エネルギーで前記衝突体(10)が衝突すると、前記衝突エネルギーの少なくとも10%、好ましくは少なくとも15%、優先的には少なくとも20%を一緒に吸収する少なくとも複数のエネルギー吸収要素(20)及び/又は複数の第2のエネルギー吸収要素(30)を特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載のエネルギー吸収装置(38)。
【請求項10】
前記少なくとも1つのエネルギー吸収要素(20、30)が、可動構成要素なしで実装されることを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載のエネルギー吸収装置(38)。
【請求項11】
少なくとも1つの支柱要素(36)と、請求項1~10のいずれか一項に記載の少なくとも1つのエネルギー吸収装置(38)とを備えた防護ネット構造(12)のための支柱(34)であって、少なくとも1つのエネルギー吸収要素(20、30、40)を備える、支柱(34)。
【請求項12】
前記少なくとも1つのエネルギー吸収要素(20、30)が、前記支柱要素(36)の上端(42)及び/又は前記支柱要素(36)の支柱先端(44)に配置されることを特徴とする、請求項11に記載の支柱(34)。
【請求項13】
前記エネルギー吸収装置(38)の前記エネルギー吸収要素(20)又は少なくとも機能的に前記エネルギー吸収要素(20)と実質的に同一に実装された更なるエネルギー吸収要素(40)が、前記支柱要素(36)の下端(46)並びに/又は、前記支柱(34)及び/若しくは前記支柱要素(36)の支柱土台(48)に配置されることを特徴とする、請求項11又は12に記載の支柱(34)。
【請求項14】
前記エネルギー吸収要素(20)が、少なくとも谷側で前記ロープ受け入れ領域(16)を区画することを特徴とする、請求項11~13のいずれか一項に記載の支柱(34)。
【請求項15】
前記ロープ受け入れ領域(16)が、前記防護ネット構造(12)の少なくとも1本の支持ロープ(52)を受け入れるように構成されることを特徴とする、請求項11~14のいずれか一項に記載の支柱(34)。
【請求項16】
前記エネルギー吸収要素(20、30、40)が、交換可能に取り付け可能であることを特徴とする、請求項11~15のいずれか一項に記載の支柱(34)。
【請求項17】
前記支柱要素(36)において前記エネルギー吸収要素(20)を取り外し可能に締結するように、及び/又は前記支柱要素(36)に対して前記エネルギー吸収要素(20)を支持するように構成された締結要素(54)を特徴とする、請求項11~16のいずれか一項に記載の支柱(34)。
【請求項18】
前記締結要素(54)が、前記支柱要素(36)と一体的に実現されることを特徴とする、請求項17に記載の支柱(34)。
【請求項19】
前記締結要素(54)が、モース硬度が前記エネルギー吸収要素(20)よりも実質的に高い材料で実現されることを特徴とする、請求項17又は18に記載の支柱(34)。
【請求項20】
前記エネルギー吸収要素(20)とは別に実現される少なくとも1つの第2のエネルギー吸収要素(30)であって、前記第2のエネルギー吸収要素(30)が、前記エネルギー吸収要素(20)が少なくとも部分的に取り付けられた状態で挿入される凹部(56)を有する、少なくとも1つの第2のエネルギー吸収要素(30)を特徴とする、請求項11~19のいずれか一項に記載の支柱(34)。
【請求項21】
少なくとも1本のロープ(18)と、少なくとも1つの転向要素(62、126)と、少なくとも1つのエネルギー吸収要素(20)を備えた請求項1~5のいずれか一項に記載の少なくとも1つのエネルギー吸収装置(38)と、を備える防護ネット構造(12)のためのロープブレーキ(58)、特に複滑車ロープブレーキであって、前記エネルギー吸収要素(20)が、前記転向要素(62、162)において、前記転向要素(62)の前記ロープ(18)に向かって面する側に配置される、ロープブレーキ(58)。
【請求項22】
請求項1~10のいずれか一項に記載の少なくとも1つのエネルギー吸収装置(38)、請求項11~20のいずれか一項に記載の少なくとも1つの支柱(34)、及び/又は請求項21に記載の少なくとも1つのロープブレーキ(58)を備える、防護ネット構造(12)。
【請求項23】
請求項1~10のいずれか一項に記載の少なくとも1つのエネルギー吸収装置(38)によって、前記衝突体(10)が前記防護ネット構造(12)に衝突することによって誘発された衝突エネルギーを少なくとも部分的に吸収するための方法。
【請求項24】
前記エネルギー吸収装置(38)の前記エネルギー吸収要素(20、30、40)が選択的に変形される、及び/又は前記エネルギー吸収要素(20、30、40)の前記エネルギー吸収要素(20、30、40)の少なくとも一部分が選択的に摩滅されると、前記衝突エネルギーの少なくとも一部分が前記防護ネット構造(12)の前記少なくとも1本のロープ(18)によって吸収されることを特徴とする、請求項23に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1に記載のエネルギー吸収装置、請求項11に記載の支柱、請求項21に記載のロープブレーキ、請求項22に記載の防護ネット構造、及び請求項23に記載の方法に関する。
【背景技術】
【0002】
衝突体が防護ネット構造に衝突したときに発生する衝突エネルギーの少なくとも一部分を吸収するためのエネルギー吸収装置が既に提案されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、特に、有利なエネルギー吸収特性、特に衝突エネルギー吸収特性を有する汎用装置を提供することにある。上記の目的は、本発明によれば、特許請求の範囲における請求項1、請求項11、及び請求項22~24に記載の特徴によって達成される一方、本発明の有利な実装形態及び更なる発展形態は従属請求項に記載されている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
防護ネット構造の少なくとも1本のロープ、特に少なくとも1本の鋼鉄製ロープを受け入れる及び/又は案内するための少なくとも1つのロープ受け入れ領域を形成する少なくとも1つのロープ案内ユニットと、ロープ受け入れ領域に配置され、案内された少なくとも1本のロープのための少なくとも1つの摩擦面を形成する少なくとも1つのエネルギー吸収要素とを備える、衝突体が防護ネット構造に衝突したときに発生した衝突エネルギーの少なくとも一部分を吸収及び/又は変換するためのエネルギー吸収装置であって、エネルギー吸収要素が、例えば衝突体が防護ネット構造に衝突することによって発生した力がロープにかかり、上記力が摩擦面にわたるロープの移動を誘発する場合、摩擦面、特に摩擦面の下方に位置するエネルギー吸収要素の体積体の実質的な変形を介して、並びに/又は摩擦面の実質的な摩滅、特に実質的な圧延、実質的な材料再配置、実質的な変形、及び/若しくは実質的な変化を介して、力によって生じたエネルギー、特にロープエネルギーの少なくとも一部分、特に大部分を選択的に吸収するように構成される、エネルギー吸収装置が提案される。好ましくは、エネルギー吸収要素は、少なくとも衝突エネルギーが防護ネット構造に規定された最大衝突エネルギー未満である限り、摩擦面、特に摩擦面の下方に位置する体積体の実質的な変形によって、並びに/又は摩擦面、特にエネルギー吸収要素、好ましくは摩擦面の下方に位置するエネルギー吸収要素の体積体の実質的な摩滅、特に実質的な圧延、実質的な物質再配置、実質的な変形、及び/若しくは実質的な変化によって、衝突エネルギーの少なくとも1%、優先的には少なくとも2%を吸収するように構成される。これにより、エネルギー吸収装置による有利なエネルギー吸収特性、特に有利に高い衝突エネルギー吸収率を達成できる。好都合なことに、特に簡単な仕方で実装及び/又は設置可能な、防護ネット構造のためのエネルギー吸収装置を得ることができる。更に、好都合なことに、好ましいエネルギー吸収を実現することができ、これと同時にロープが損傷するリスクを確実に低減できる。これにより、好都合なことに、高いレベルの安全性を実現することができる、及び/又はシステム機能停止のリスクを低減することができる。好都合なことに、衝突エネルギーは、少なくとも部分的に、エネルギー吸収要素、特に摩擦面に作用する変形エネルギー及び/又は圧延エネルギーに変換され得る。また、好都合なことに、エネルギー吸収要素は、負荷事象の後に簡単且つコスト効率よく交換可能である。「構成される」とは、特に設計及び/又は装備されたことを特に意味する。物体が特定の機能を行うように構成されるということは、特に、物体が少なくとも1つの適用状態及び/又は動作状態において上記特定の機能を果たす及び/又は実行することであると理解されたい。
【0005】
「エネルギー吸収装置」とは、防護ネット構造システムのうち、負荷事象において衝突エネルギーの一部分、特に大部分を吸収するように、及び/又は上記部分を1種又は複数種の他のエネルギー形態に変換するように構成された部分を特に意味する。「防護ネット構造」とは、少なくとも1つの保護ネット、特に少なくとも1つのキャッチネットを備えたバリア、例えば、落石防止バリア、雪崩防止バリア、地滑りバリア、土石流バリア、又は更にはモータースポーツ保護フェンス、衝突保護フェンス、例えば、耐テロ防御用のフェンス、又は爆発及び/若しくは発射体に対する防護物を特に意味する。ロープ案内ユニットは、特に、少なくとも1つの側、好ましくは少なくとも2つの側、優先的には少なくとも3つの側、特に優先的には4つの側でロープ受け入れ領域を区画する。ロープは、好ましくは高張力鋼で作られた少なくとも1本の鋼線を備える鋼鉄製ロープ又は鋼鉄製ケーブルとして特に実現され、好ましくは高張力鋼で全体が作られる。ロープは、防護ネット構造の支持ロープとして、例えば下部若しくは山側支持ロープとして及び/又は上部若しくは谷側支持ロープとして特に具現化される。好ましくは、ロープは、防護ネット、例えばリングネット又は菱形メッシュネットが同時に締結及び/又は懸架されるロープとして実現される。
【0006】
エネルギー吸収要素は、静止状態及び/又は移動状態において、ロープの少なくとも一方の側がエネルギー吸収要素の表面、特にエネルギー吸収要素の摩擦面上に位置するようにロープ受け入れ領域に特に配置される。好ましくは、エネルギー吸収要素は、ロープ受け入れ領域の長手方向の長さの大部分にわたって、優先的には長手方向の長さの全体にわたって延びる。特に、ロープ受け入れ領域の長手方向の長さは、ロープ受け入れ領域内のロープの長手方向の長さに少なくとも略平行に走る。特に、エネルギー吸収要素にわたるロープの移動中、エネルギー吸収要素の表面、好ましくはエネルギー吸収要素の摩擦面は、ロープと摩擦して、好ましくはロープの移動を実質的に妨げるように構成される。特に摩擦面は平面的である。或いは、摩擦面は起伏のあるように実現されてもよい。これにより、好都合なことに、摩擦係数を増やすことができる。特に、摩擦面は、少なくとも実質的に平滑になるように実装される。或いは、摩擦面は粗面又は構造化された面であってもよい。これにより、好都合なことに、摩擦係数を増やすことができる。
【0007】
「実質的な変形」及び/又は「実質的な摩滅」とは、引かき傷にしかならないわずかな変形又は摩滅の範囲を超える変形、摩滅、及び/又は再形成を特に意味する。特に、実質的な変形及び/又は実質的な摩滅は、エネルギー吸収要素の表面及び/又は表面領域のみに関連する変形及び/又は摩滅の範囲を超える。特に、実質的な変形及び/又は実質的な摩滅とは、材料の降伏価を超えた材料の変形を意味し、好ましくは塑性的及び/又は不可逆的な変形及び/又は摩滅である。好ましくは、実質的な変形及び/又は実質的な摩滅は、表面の単純な変形及び/又は摩滅の範囲を超え、摩擦面の下方に位置するエネルギー吸収要素の体積体のかなりの変形及び/又は摩滅も含む。好ましくは、実質的な変形及び/又は実質的な摩滅は、ロープの直径の少なくとも10分の1、好ましくはロープの直径の少なくとも8分の1、優先的にはロープの直径の少なくとも5分の1、特に優先的にはロープの直径の少なくとも3分の1の深さ(好ましくは特に、衝突体が防護ネット構造に規定された最大衝突エネルギーで衝突した後、エネルギー吸収要素の少なくとも1箇所における摩擦面の元の位置から測定された深さ)を有するノッチをエネルギー吸収要素に少なくとも生じさせる。特に、実質的な変形の後、特に防護ネット構造に規定された最大衝突エネルギーで衝突体が衝突した後、ノッチの深さは、エネルギー吸収要素の少なくとも1箇所において、少なくとも2mm、好ましくは少なくとも3mm、優先的には少なくとも5mm、特に優先的には少なくとも7mmである。特に、実質的な変形及び/又は摩滅の後、特に防護ネット構造に規定された最大衝突エネルギーで衝突体が衝突した後、ノッチの深さは、エネルギー吸収要素の少なくとも1箇所において、エネルギー吸収要素の材料厚さ、特に平均材料厚さの少なくとも20%、好ましくは少なくとも30%、優先的には少なくとも50%、特に優先的には少なくとも70%である。「実質的な圧延」とは、エネルギー吸収要素の少なくとも1箇所におけるエネルギー吸収要素の大部分の摩滅、例えば、少なくとも2mm、好ましくは少なくとも3mm、優先的には少なくとも5mm、特に優先的には少なくとも7mmの材料層の摩滅、又はエネルギー吸収要素の少なくとも1箇所におけるエネルギー吸収要素の材料厚さの少なくとも20%、好ましくは少なくとも30%、優先的には少なくとも50%、特に優先的には少なくとも70%の材料層の摩滅を特に意味する。特に、実質的な変形及び/又は摩滅において、エネルギー吸収要素の材料の一部分が、特に摩滅又は剥離によって再配置される。好ましくは、再配置された部分は、特にエネルギー吸収要素の全体積に対して測定して、エネルギー吸収要素の材料全体の少なくとも1%、好ましくは少なくとも2%、優先的には少なくとも3%、特に優先的には少なくとも5%に達する。「選択的変形」及び/又は「選択的摩滅」とは、ロープからエネルギー吸収要素へのエネルギー変換及びエネルギー伝達を背景として意図及び/又は所望される摩擦面、特にエネルギー吸収要素の変形及び/又は摩滅を特に意味する。好ましくは、特に摩擦面の領域における、ロープの材料とエネルギー吸収要素の材料とは、ロープが、好ましくはそれ自身が(例えば、ロープ断面において)実質的に損傷、摩滅、及び/又は変形を受けずに、エネルギー吸収要素の実質的な変形及び/又は実質的な摩滅を生じさせるように、選択される。
【0008】
特に、エネルギー吸収要素は、防護ネット構造、特に防護ネット構造の支柱に交換可能に取り付けられ得る。特に、エネルギー吸収要素は、防護ネット構造、特に防護ネット構造の支柱から非破壊で取り外され得る。特に、エネルギー吸収要素は、防護ネット構造、特に防護ネット構造の支柱へのエネルギー吸収要素の取り外し可能な取り付けを可能にする少なくとも1つの取り付け要素を備える。
【0009】
更に、エネルギー吸収要素が、少なくとも摩擦面の領域において、好ましくは摩擦面全体において、モース硬度が4より小さい、好ましくは3.5より小さい材料で実現されることが提案される。これにより、有利なエネルギー吸収特性を達成できる。好都合なことに、エネルギー吸収要素に変形及び/又は摩滅を集中させることが可能であり、ロープは、特に鋼鉄製、好ましくは高張力鋼製である場合、少なくとも実質的に変形しないままである。特に、エネルギー吸収要素は、少なくとも摩擦面の領域において、好ましくは摩擦面全体において、モース硬度が鋼鉄のモース硬度より小さい材料で実現される。特に、エネルギー吸収要素は、合成材料、例えばゴム、カーボン、アラミド(ケブラー(登録商標)、トワロン(登録商標)など)、又は対応する繊維材料、セラミック、特にセラミック繊維材料、ガラス若しくはガラスファイバ材料、鉱物材料(アスベストなど)、又は異なる天然物で作られてもよい。しかしながら、優先的には、エネルギー吸収要素は、少なくとも大部分が、好ましくは全体が、金属、特に優先的には鋼鉄とは異なる金属で作られる。特に、エネルギー吸収要素は、例えば半金属又はセラミック摩擦剤のように、金属画分(アルミニウム、鋼鉄、鉄、銅、真鍮など)と、グラファイト、セラミック(ファイバ)、及び/又は充填材画分とを有する自動車工学においてブレーキライニングの摩擦剤としても使用される材料で作られることが想定される。
【0010】
エネルギー吸収要素が、少なくとも摩擦面の領域において、好ましくは摩擦面全体において、鋼鉄、特に鋼鉄製ロープとの摩擦下で、火花、特に摩擦火花及び/又は衝撃火花の出ない材料で実現される場合、好都合なことに、特に高度な安全性が実現され得る。好都合なことに、飛び散る火花によって生じる火災を防止することが可能である。防護ネット構造は、大自然の中の起伏の多い地形に設置されることが多く、このような場所では火災が急速に拡大することがあり、消火が困難である。鉄どうしの摩擦又は鉄どうしの衝突によって、いわゆる鋼火花、例えば摩擦鋼火花又は衝撃鋼火花が発生するため、特にエネルギー吸収要素が鋼鉄とは異なる材質で作られると、鋼鉄製ロープとの摩擦の場合に火花の発生が防止され得る。
【0011】
更に、エネルギー吸収装置は、ロープ案内ユニットに案内されるロープを備え、エネルギー吸収要素は、ロープとは実質的に異なる材料で作られることが提案される。これにより、有利なエネルギー吸収特性を達成できる。好都合なことに、エネルギー吸収要素に変形及び/又は摩滅を集中させることが可能であり、ロープは、少なくとも実質的に変形しないままである。特に、ロープ受け入れ領域において案内されるロープは、アルミニウムよりも実質的に硬い材料で作られる。「~よりも実質的に硬い材料」とは、特に、モース硬度が少なくとも0.5、好ましくは少なくとも1、優先的には少なくとも1.5だけ大きい材料であると理解されたい。
【0012】
更に、エネルギー吸収要素が、少なくとも摩擦面の領域において、好ましくは摩擦面全体において、アルミニウム又はアルミニウム合金で実現される場合、特にロープが鋼鉄製ロープとして具現化される場合に、有利なエネルギー吸収特性を達成できる。好都合なことに、負荷事象において火花の発生を事実上防止することが可能である。好都合なことに、ロープを損傷させるリスクを低く抑えることができる。好都合なことに、材料コスト及び/又は生産コストを低く抑えることができる。或いは、特に鋼鉄よりも硬度の低い更なる金属又は合金、例えば銅又は銅合金も想定され得る。
【0013】
また、少なくともエネルギー吸収要素は、少なくとも1つの周辺領域において、ロープ受け入れ領域から湾曲して離れる表面、特に摩擦面を有することが提案される。このようにして、好都合なことに、負荷事象の際のロープの移動過程全体において、ロープの接触によって、エネルギー吸収要素を確実に変形させることが可能となる。好都合なことに、確実に効果的にエネルギーが吸収され得る。好ましくは、特に互いに反対側の位置にある、優先的にはロープ受け入れ領域の長手方向において互いに反対側にある少なくとも2つの周辺領域において、エネルギー吸収要素は、ロープ受け入れ領域から湾曲して離れる表面を有する。特に、エネルギー吸収要素は、2つの周辺領域において、同じ方向、好ましくは少なくとも実質的に同様に湾曲する。特に、エネルギー吸収要素の表面は、周辺領域において、摩擦面の平面から少なくとも30°、好ましくは少なくとも45°、優先的には少なくとも60°、特に優先的には少なくとも90°湾曲して逸脱する。特に、エネルギー吸収要素は、アルミニウム板で作られた打抜き曲げ構成部品として実現される。特に、エネルギー吸収要素は、少なくとも略一定の材料厚さを有する。或いは、エネルギー吸収要素はまた、体積体として、例えば圧延部分として実現されてもよい、及び/又は、様々な材料厚さを有してもよい。特に、エネルギー吸収要素、好ましくはエネルギー吸収要素の少なくとも表面は、少なくとも略U字型となるように実現される。代替的又は追加的に、例えば、エネルギー吸収要素の表面は、特に摩擦面の領域において、起伏のあるように実現されてもよい。
【0014】
更に、エネルギー吸収装置は、エネルギー吸収要素とは別に具現化された少なくとも1つの第2のエネルギー吸収要素を備えることが提案される。これにより、特に有利なエネルギー吸収特性を達成できる。特に、負荷事象の際に、特に有利なエネルギー吸収型のロープ案内をロープ受け入れ領域において行うことができる。特に、第2のエネルギー吸収要素はロープ受け入れ領域に配置される。特に、第2のエネルギー吸収要素は、ロープ受け入れ領域を少なくとも1つの側で区画し、好ましくは、この1つの側は、ロープ受け入れ領域がエネルギー吸収要素によって区画される側とは異なる側である。特に、第2のエネルギー吸収要素は摩擦面を備える。特に、ロープは、静止状態及び/又は負荷事象において第2のエネルギー吸収要素の摩擦面に隣接する。特に、第2のエネルギー吸収要素は、エネルギー吸収要素とは実質的に異なって実現される。特に、第2のエネルギー吸収要素は、機能に関してエネルギー吸収要素と少なくとも実質的に同一である。特に、第2のエネルギー吸収要素は、摩擦面にわたるロープの移動を誘発する力がロープに作用した場合に、摩擦面の実質的な変形及び/又は実質的な摩滅によって、力によって発生するエネルギーの少なくとも一部分を選択的に吸収するように構成される。特に、第2のエネルギー吸収要素は、周辺領域において、エネルギー吸収要素とは異なる、好ましくはより小さい表面の曲率を有する。
【0015】
加えて、第2のエネルギー吸収要素は、エネルギー吸収要素の摩擦面に対して少なくとも略垂直に向けられた摩擦面を備えることが提案される。これにより、エネルギー吸収装置によって減衰される、特に有利なロープのロープ案内を実現できる。特に、第2のエネルギー吸収要素は、第2のエネルギー吸収要素の摩擦面がエネルギー吸収要素の摩擦面に対して垂直に向けられるように、防護ネット構造の支柱に配置される。
【0016】
更に、エネルギー吸収装置は、少なくとも複数のエネルギー吸収要素、複数の第2のエネルギー吸収要素、及び/又は複数の更なるエネルギー吸収要素を備え、これらが、防護ネット構造に規定された最大衝突エネルギーで衝突体が衝突すると、衝突エネルギー、特に最大衝突エネルギーの少なくとも10%、好ましくは少なくとも15%、優先的には少なくとも20%を一緒に吸収することが提案される。このようにして、衝突エネルギーの特に有利なエネルギー吸収が可能になる。特に、防護ネット構造に規定された最大衝突エネルギーで衝突体が衝突すると、防護ネット構造のすべてのエネルギー吸収要素が一緒に、衝突エネルギー、特に最大衝突エネルギーの少なくとも10%、好ましくは少なくとも15%、優先的に少なくとも20%を吸収する。
【0017】
更に、エネルギー吸収要素、すべてのエネルギー吸収要素、及び/又はエネルギー吸収装置のうちの少なくとも1つが、可動構成部品、特に自由に移動可能及び/又は回転可能な構成部品を含まずに実装されることが提案される。このことにより、好都合なことに、複雑さを低減できる。好都合なことに、特に簡素な仕方で設置、交換、及び製造できるエネルギー吸収装置を達成できる。特に、エネルギー吸収要素及び/又はエネルギー吸収装置は、ローラ及び/又はカルダン継手を持たない。
【0018】
また、特に支柱本体として具現化される少なくとも1つの支柱要素と、少なくとも1つのエネルギー吸収要素、好ましくはエネルギー吸収要素、及び/又は第2のエネルギー吸収要素を備える少なくとも1つのエネルギー吸収装置と備えた、防護ネット構造のための支柱が提案される。このようにして、エネルギー吸収装置による有利なエネルギー吸収特性、特に有利に高い衝突エネルギー吸収率を達成できる。好都合なことに、特に簡単な仕方で実装及び/又は設置可能な、防護ネット構造のためのエネルギー吸収装置を得ることが可能である。好都合なことに、更に、好ましいエネルギー吸収を実現することができ、それと同時にロープが損傷するリスクを確実に低減できる。これにより、好都合なことに、高いレベルの安全性を実現することができる、及び/又はシステム機能停止のリスクを低減することができる。特に、防護ネット構造は、複数の少なくとも実質的に同一の支柱を備える。特に、支柱要素は、端部、特に下端で地面及び/又は岩に対して固定されるように構成される。特に、支柱要素は、その下端に、地面、岩、コンクリート土台、又は類似のものに支柱要素を固定するための取り付け要素を備える。或いは、支柱は、支柱要素とは別に実現されるアンカ要素、特に支柱要素とは別に実現される支柱土台を備え、これが取り付けの際に支柱要素、すなわち支柱本体に接続されることが想定される。特に、支柱要素は鋼鉄で作られる。
【0019】
更に、エネルギー吸収要素及び/又は第2のエネルギー吸収要素は、支柱要素の上端及び/又は支柱要素の支柱先端に配置されることが提案される。これにより、エネルギー吸収装置による有利なエネルギー吸収特性、特に有利に高い衝突エネルギー吸収率を達成できる。特に、防護ネット構造のロープ、特に上部支持ロープの特に有利な減衰された案内が実現できる。「上端」とは、特に、支柱が取り付けられた状態において地面や岩から離れた方を向く、及び/又は地面や岩から最も離れている端部であると理解されたい。「支柱先端」とは、特に、支柱及び/又は支柱要素の上部閉鎖表面であると理解されたい。特に、支柱に取り付けられた状態のエネルギー吸収要素の表面、好ましくは摩擦面は、地面及び/又は岩に対して少なくとも略垂直に走る方向に、好ましくは谷側方向に湾曲して離れる。特に、支柱に取り付けられた状態の第2のエネルギー吸収要素の表面、好ましくは摩擦面は、地面及び/又は岩に向かって湾曲して離れる。
【0020】
また、少なくとも1つのエネルギー吸収要素、又は少なくとも機能的にエネルギー吸収要素と実質的に同一のエネルギー吸収装置の更なるエネルギー吸収要素は、支柱要素の下端並びに/又は、支柱及び/若しくは支柱要素の支柱土台に配置されることが提案される。これにより、特に、エネルギー吸収装置による有利なエネルギー吸収特性を有利に高い衝突エネルギー吸収率で達成できる。特に、防護ネット構造のロープ、特に下部支持ロープの特に有利な減衰された案内が実現できる。「下端」とは、特に、支柱が取り付けられた状態において、地面や岩に向かう方を向く、及び/又は地面や岩に最も近い端部であると理解されたい。「支柱土台」とは、特に、支柱及び/又は支柱要素の内、地面、岩、又はコンクリート土台の上に位置する部分であると理解されたい。特に、支柱土台は、地面、コンクリート土台、及び/又は岩に支柱を固定するための取り付け要素を備える。特に、更なるエネルギー吸収要素の表面、好ましくは摩擦面は、支柱に取り付けられた場合に、地面及び/又は岩に対して少なくとも略垂直に走る方向に、特に谷側方向に湾曲して離れた状態にある。
【0021】
特に、更なるエネルギー吸収要素は、支柱土台に配置された更なるロープ受け入れ領域を少なくとも1つの側で区画する。特に、更なるエネルギー吸収要素は摩擦面を備える。特に、ロープは、静止状態及び/又は負荷事象において更なるエネルギー吸収要素の摩擦面に隣接する。特に、更なるエネルギー吸収要素は、少なくともその外形において、支柱先端に特に配置されたエネルギー吸収要素と少なくとも実質的に同一に実現される。特に、更なるエネルギー吸収要素は、摩擦面にわたるロープの移動を誘発する力が下部支持ロープに作用した場合に、摩擦面の実質的な変形及び/又は摩滅を介して、力によって発生したエネルギーの少なくとも一部分を選択的に吸収するように構成される。特に、更なるエネルギー吸収要素、好ましくは更なるエネルギー吸収要素の少なくとも表面は、少なくとも略U字型となるように形成される。代替的又は追加的に、例えば、更なるエネルギー吸収要素の表面はまた、特に摩擦面の領域において、起伏のあるように実現されてもよい。特に、更なるエネルギー吸収要素の摩擦面は、エネルギー吸収要素の摩擦面に対して少なくとも略平行に配置される。特に、更なるエネルギー吸収要素の摩擦面は、第2のエネルギー吸収要素の摩擦面に対して少なくとも略垂直に向けられる。特に、更なるエネルギー吸収要素の摩擦面は、支柱土台の支持面、特にベースプレートに対して少なくとも略垂直に実現され、この支持面は、取り付け状態において特に地面上、岩上、及び/又はコンクリート土台上に位置する。本明細書では「略垂直」という用語は、特に、基準方向に対する方向の向きを定義することが意図されており、特に投影面で見た方向及び基準方向とは、90°の角度を含み、角度は、特に8°より小さく、有利には5°より小さく、特に有利には2°より小さい最大偏差を有する。本明細書では「略平行」とは、特に平面内での基準方向に対する方向の向きを特に意味し、方向は、基準方向から、特に8°より小さく、有利には5°より小さく、特に有利には2°より小さい偏差を有する。
【0022】
エネルギー吸収要素がロープ受け入れ領域を少なくとも谷側で区画する場合、ロープからエネルギー吸収要素への衝突エネルギーの特に効果的な伝達を達成できる。これにより、特に有利なエネルギー吸収特性を達成できる。特に、エネルギー吸収要素は、少なくとも支柱要素の主延長方向に平行に延びる側でロープ受け入れ領域を区画する。特に、エネルギー吸収要素は、支柱によって保持された防護ネット構造の防護ネットの主延長方向に少なくとも略平行に延びる側でロープ受け入れ領域を区画する。構造ユニットの「主延長面」とは、特に、構造ユニットをちょうど完全に囲む最小の仮想直方体の最大の側面に平行であり、特に直方体の中心点を通って延びる平面であると理解されたい。本明細書では、物体の「主延長方向」とは、物体をちょうど完全に囲む最小の幾何学的直方体の最長辺に平行に走る方向であると理解されたい。特に、ロープ受け入れ領域は、エネルギー吸収要素に区画されていない山側にある。
【0023】
更に、ロープ受け入れ領域は、防護ネット構造の少なくとも1本の支持ロープ、特に鋼鉄製支持ロープを受け入れるように構成されることが提案される。このようにして、好都合なことに、有利で特に可能な限り直接的なエネルギー吸収要素への衝突エネルギーの伝達が可能となる。
【0024】
加えて、エネルギー吸収要素は、特に支柱要素に対して、及び/又は支柱要素から、交換可能に取り付け可能及び/又は取り外し可能であることが提案される。これにより、好都合なことに、衝突事象の後に防護ネット構造の再調整及び/又は修理を簡単に行うことが可能になる。好都合なことに、このようにしてコストをかなり削減できる。特に、エネルギー吸収要素は、支柱及び/又は支柱要素の取り外し又は交換を必要とすることなく、交換可能である。好都合なことに、エネルギー吸収要素を交換することは特に簡単である。
【0025】
また、支柱が締結要素を備え、締結要素が、支柱要素にエネルギー吸収要素を取り外し可能に締結するように、及び/又は支柱要素に対してエネルギー吸収要素を支持するように構成されることが提案される。これにより、好都合なことに、衝突事象の後に防護ネット構造の再調整及び/又は修理を簡単に行うことが可能になる。好都合なことに、エネルギー吸収要素を交換することは特に簡単である。好都合なことに、このようにしてコストをかなり削減できる。特に、締結要素は、エネルギー吸収要素が位置するように構成された載置表面として実現される。特に、締結要素は、交換可能に取り付け可能なエネルギー吸収要素の支持面を形成する。特に、支柱要素は、少なくとも実質的に同一に形成された2つ以上の締結要素を備える。このことにより、好都合なことに、地面及び/又は岩に対して異なる向きで支柱要素を組み込むことができる。
【0026】
締結要素が支柱要素と一体的に実現される場合、このことにより、好都合なことに、特に安定且つ/又は簡素な構造が可能になる。「一体的に実現される」とは、特に、例えば溶接プロセス及び/又は接着プロセスなどのように物質間の結合によって接続され、特に成形されると都合がよいことを意味する。好都合なことに、一体的はまた、1つの部品としてという意味でもある。「1つの部品」は、特に、一体で形成されることを意味する。好ましくは、上記一体は、単一のブランク、1つの塊、及び/又は1つの鋳造物で作られる。
【0027】
更に、締結要素が、モース硬度がエネルギー吸収要素よりも実質的に高い材料で作られる場合、好都合なことに、特に安定且つ堅牢な構造を達成できる。特に、締結要素は、少なくとも4.5のモース硬度を有する材料で作られる。特に、締結要素は鋼鉄で作られる。
【0028】
更に、支柱は、エネルギー吸収要素とは別に実現される第2のエネルギー吸収要素を少なくとも備え、第2のエネルギー吸収要素は、エネルギー吸収要素が少なくとも部分的に取り付けられた状態で挿入される凹部を有することが提案される。これにより、確実にロープ受け入れ領域を特に有利に実装することができ、ロープ受け入れ領域が、特にロープからエネルギー吸収装置への特に効果的なエネルギー伝送を可能にする。特に、2つのエネルギー吸収要素を互いに対して挿入することにより、ロープ受け入れ領域の少なくとも2つの側、特に負荷事象においてロープによって通過されるロープ受け入れ領域の2つの側を可能な限り隙間なく区画することができる。特に、エネルギー吸収要素は、第2のエネルギー吸収要素に少なくとも部分的に係合する。
【0029】
更に、少なくとも1本のロープと、少なくとも1つの転向要素と、少なくとも1つのエネルギー吸収要素を備えた少なくともエネルギー吸収装置とを備える防護ネット構造のためのロープブレーキ、特に複滑車ロープブレーキが提案され、エネルギー吸収要素が、転向要素において、転向要素のロープに向かって面する側に配置される。このようにして、エネルギー吸収装置による更に改善されたエネルギー吸収特性、特に、有利に更に増大した衝突エネルギー吸収率を達成できる。特に、防護ネット構造が、エネルギー吸収要素を備えたロープブレーキ、及び/又はエネルギー吸収要素を備えた支柱を備えることが想定される。特に、ロープブレーキのエネルギー吸収要素の形状が、転向要素の外形に適合される。特に、ロープは、ロープブレーキ、特に複滑車ロープブレーキにおいて一回転向又は複数回転向の複滑車と同様に案内され、特に、エネルギー吸収要素を備えた転向要素が、複滑車の少なくとも1つのブロックに置き換わる。特に、ロープは、エネルギー吸収要素の上を通過するとき、エネルギー吸収要素にエネルギーを伝達しながら、エネルギー吸収要素を実質的に変形させる、及び/又は実質的に摩滅させるように構成される。特に、ロープブレーキ、特に複滑車ロープブレーキの一方の側は、例えば地面や岩にしっかりと固定され、ロープブレーキ、特に複滑車ロープブレーキの反対側は、防護ネット構造のロープ、例えば防護ネット構造の支持ロープ、固定ロープ、キャッチロープ、又は更なるロープに接続されるか、少なくとも動作可能に接続される。特に、ロープブレーキのエネルギー吸収要素は、その外形を除いて、特にエネルギー吸収効果、材料、及び/又は材料特性に関して、支柱の上記エネルギー吸収要素と少なくとも実質的に同一である。
【0030】
更に、1つ若しくは複数のエネルギー吸収装置、1つ若しくは複数の支柱、及び/又は1つ若しくは複数のロープブレーキを備えた防護ネット構造が提案される。このようにして、エネルギー吸収装置による有利なエネルギー吸収特性、特に有利に高い衝突エネルギー吸収率を達成できる。
【0031】
また、エネルギー吸収装置によって、衝突体が防護ネット構造に衝突することによって誘発される衝突エネルギーを少なくとも部分的に吸収するための方法が提案され、本方法では、少なくとも1つの方法ステップにおいて、エネルギー吸収装置のエネルギー吸収要素が選択的に変形、特に再形成、摩滅、及び/又は圧延されると、衝突エネルギーの少なくとも一部分が防護ネット構造の少なくとも1本のロープによって吸収される。このようにして、エネルギー吸収装置による有利なエネルギー吸収特性、特に有利に高い衝突エネルギー吸収率を達成できる。
【0032】
本明細書では、本発明によるエネルギー吸収装置、本発明による支柱、本発明によるロープブレーキ、本発明による防護ネット構造、及び本発明による方法は、上述の応用形態及び実装形態に限定されないものとする。特に、本明細書で説明される機能を果たすために、本発明によるエネルギー吸収装置、本発明による支柱、本発明によるロープブレーキ、本発明による防護ネット構造、及び本発明による方法は、本明細書で与えられた数とは異なる数の個々の要素、構成要素、方法ステップ、及びユニットを含んでもよい。
【0033】
更なる利点は、以下の図面の説明から明らかになるはずである。図面では、本発明の2つの例示的な実施形態(ロープ案内ユニット及びロープブレーキ)を示す。図面、説明、及び特許請求の範囲は、複数の特徴を組み合わせて含む。また、意図的に特徴を別々に検討し、目的にかなった更なる組み合わせを見出す当業者もいるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】防護ネット構造の模式的な斜視図である。
図2】エネルギー吸収装置を備えた防護ネット構造の支柱の模式的な斜視図である。
図3a】未変形状態におけるエネルギー吸収装置のエネルギー吸収要素の模式的な斜視図である。
図3b】未変形状態におけるエネルギー吸収要素の模式的な断面図である。
図3c】変形状態におけるエネルギー吸収装置のエネルギー吸収要素の模式的な斜視図である。
図3d】変形状態におけるエネルギー吸収要素の模式的な断面図である。
図4】エネルギー吸収装置を備えたロープブレーキの模式的な図である。
図5】エネルギー吸収装置によって衝突エネルギーを吸収するための方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1は、防護ネット構造12の斜視図を示している。防護ネット構造12は、図示の場合では、衝突体10、例えば岩の破片を受け止めるように構成された落石防止バリアとして具現化されている。代替的な種類の防護ネット構造12も想定される。防護ネット構造12は、防護ネット64を備える。防護ネット64は、図示の場合では、リングネットとして実現されている。代替的な一般的な種類の防護ネット64も想定される。図1は、衝突体10が衝突した直後の防護ネット構造12を示している。衝突体10は、落石防止バリアによって受け止められ、防護ネット64に吊り下げられている。受け止める過程で、衝突体10の運動エネルギーは、防護ネット構造12によって完全に吸収されている。図示の場合では、防護ネット構造12は、4本の支柱34を備える。支柱34は岩壁66に固定される。防護ネット構造12は、ロープ18を備える。ロープ18は、少なくとも部分的に岩壁66に固定される。ロープ18は、支柱34に締結される。ロープ18は、部分的に防護ネット64内に通される。防護ネット64は、ロープ18を介して岩壁66及び支柱34に締結され、特に吊り下げられる。防護ネット構造12は、上部支持ロープ52を備える。上部支持ロープ52はそれぞれ、隣接する支柱34の上端42間に延びる。上部支持ロープ52は、支柱34の上端42に締結される。防護ネット構造12は、下部支持ロープ68を備える。下部支持ロープ68はそれぞれ、隣接する支柱34の下端46間に延びる。下部支持ロープ68は、支柱34の下端46に締結される。支持ロープ52、68は、鋼鉄製ロープとして実装され、特に高張力鋼線で作られる。
【0036】
図2は、防護ネット構造12の支柱34の詳細斜視図を示している。支柱34は、支柱要素36を備える。支柱要素36は、支柱本体として具現化される。支柱要素36は、鋼鉄で実装される。支柱要素36は、特にダブルT字型の鋼製桁を備える。支柱34は、支柱土台48を備える。支柱土台48は、支柱要素36から分離可能となるように、好ましくは分離して実装される。支柱土台48は、支柱要素36の下端46に締結される。支柱土台48は、支柱34のアンカ要素の少なくとも一部分を形成する。支柱土台48は、地面や岩、特に岩壁66との支柱34の接触を確立するように構成される。支柱土台48は、その下側が地面や岩、特に岩壁66の上に位置するように構成される。代替的又は追加的に、支柱土台48は、図2に示す場合のように、特別に構築された基礎70、特にコンクリート基礎の上に位置する。支柱土台48は、アースアンカ及び/又はロックアンカ60を介して、地面、岩、岩壁66、基礎70などにしっかりと固定される。図示の場合では、基礎70がコンクリート土台として実現されている。支柱土台48が位置するコンクリート土台の表面は、岩の表面、岩壁66の表面、又は地面の表面に少なくとも略平行であってもよい。特に、岩、岩壁66、又は地面が急斜面である場合、支柱土台48が位置するコンクリート土台の表面は、岩の表面、岩壁66の表面、又は地面の表面に対して角度をなしてもよい。この場合、好ましくは、コンクリート土台の表面は、岩、岩壁66、又は地面(図1も参照)よりも小さい傾斜、特に、少なくとも10°だけ小さい、好ましくは少なくとも15°だけ小さい、又は優先的に少なくとも20°だけ小さい傾斜を有する。
【0037】
支柱土台48は、支柱土台48に支柱要素36を取り付けるために構成された接続ユニット72を備える。接続ユニット72は、接続レール74を備える。接続レール74は、ねじ78又はボルトを介して支柱要素36を取り付けるための、両側に配置された取付孔を備える。支柱要素36は、接続要素76を備える。接続要素76は、支柱土台48の接続ユニット72の接続レール74間に挿入されるように構成される。接続要素76は、ねじ78又はボルトを介して支柱土台48に取り付けるための取付孔を有する。接続レール74は、支持ロープ52、68、特に下部支持ロープ68の長手方向の長さに対して少なくとも略垂直に延びる。接続ユニット72は、負荷事象において支柱要素36の部分的な枢動、特に谷方向への枢動を可能にするように構成される。
【0038】
支柱34、特に支柱要素36は、支柱先端44を備える。支柱先端44は、支柱要素36の上端42に配置される。支柱先端44は、支柱要素36と一体的に具現化される。或いは、支柱先端44はまた、支柱要素36とは別体として具現化されてもよく、特に支柱要素36に取り付けられてもよい。防護ネット構造12は、少なくとも1本の固定ロープ80を備える。支柱先端44は、特にシャックルを介して、1本又は複数本の固定ロープ80を取り付けるための接続要素82を備える。防護ネット構造12は、少なくとも1本の横ガイロープ84を備える。横ガイロープ84は、防護ネット構造12の縁部支持体を形成する支柱34に設けられる。支柱先端44は、特にシャックルを介して、1本又は複数本の横ガイロープ84を取り付けるための接続要素86を備える。防護ネット構造12は、少なくとも1本の縦ロープ88、特に開口した縦ロープを備える。縦ロープ88は、防護ネット構造12の縁部支持体を形成する支柱34に設けられる。支柱先端44は、特にシャックルを介して、1本又は複数本の縦ロープ88を取り付けるための接続要素90を備える。固定ロープ80、横ガイロープ84、及び/又は縦ロープ88を取り付けるための接続要素82、86、90は、つながった凹部、特に孔として支柱先端44に実現される。
【0039】
防護ネット構造12は、エネルギー吸収装置38を備える。支柱34は、エネルギー吸収装置38の少なくとも一部分を備える。好ましくは、各支柱は、エネルギー吸収装置38の少なくとも実質的に同一の部分を備える。エネルギー吸収装置38は、衝突体10が防護ネット構造12に衝突する際に発生する衝突エネルギーの少なくとも一部分を吸収するように構成される。エネルギー吸収装置38は、ロープ案内ユニット14を備える。ロープ案内ユニット14は、少なくとも1つのロープ受け入れ領域16を形成する。加えて、ロープ案内ユニット14は、少なくとも1つの更なるロープ受け入れ領域92を形成してもよい。ロープ受け入れ領域16、92は、少なくとも1本のロープ18を受け入れる及び/又は案内するように構成される。図示の好ましい場合では、ロープ案内ユニット14は、支柱先端44に設けられるロープ受け入れ領域16と、支柱土台48に設けられ、ロープ受け入れ領域16とは別に実現されるロープ受け入れ領域92とを備える。支柱先端44のロープ受け入れ領域16は、少なくとも上部支持ロープ52を受け入れる及び/又は案内するように構成される。支柱土台48のロープ受け入れ領域92は、少なくとも下部支持ロープ68を受け入れる及び/又は案内するように構成される。
【0040】
エネルギー吸収装置38は、少なくとも1つのエネルギー吸収要素20を備える。エネルギー吸収要素20は、ロープ受け入れ領域16に配置される。エネルギー吸収要素20は、ロープ受け入れ領域16を区画する。エネルギー吸収要素20は、谷側でロープ受け入れ領域16を区画する。エネルギー吸収要素20は、支柱要素36の上端42に配置される。エネルギー吸収要素20は、支柱要素36の支柱先端44に配置される。エネルギー吸収要素20は、ロープ受け入れ領域16に案内されるロープ18、特に少なくとも上部支持ロープ52のための摩擦面22を形成する。エネルギー吸収要素20は、例えば衝突体10が防護ネット構造12に衝突することによって発生した力がロープ18、特に上部支持ロープ52にかかり、上記力が摩擦面22にわたるロープ18、特に上部支持ロープ52の移動を誘発する場合、摩擦面22の実質的な変形及び/又は摩滅を介して、力によって生じたエネルギーの少なくとも一部分を選択的に吸収するように構成される(図3a~図3dも参照)。
【0041】
エネルギー吸収要素20は、防護ネット構造12に交換可能に取り付け可能である。支柱34は、締結要素54を備える。締結要素54は、この場合には、支柱要素36と一体的に具現化されている。締結要素54は、支柱要素36にエネルギー吸収要素20を取り外し可能に締結するように構成される。締結要素54は、支柱要素36に対してエネルギー吸収要素20を支持するように構成される。締結要素54は、防護ネット構造12の谷側方向94でエネルギー吸収要素20を支持するように構成される。エネルギー吸収要素20は、ねじ及びナットを介して締結要素54に交換可能に取り付け可能である。しかしながら、当然のことながら、当業者に既知の代替的な締結方法も想定される。エネルギー吸収要素20は、周辺領域24、26においてロープ受け入れ領域16から湾曲して離れる。エネルギー吸収要素20の表面28、特に摩擦面22が、ロープ受け入れ領域16から湾曲して離れる。締結要素54のロープ受け入れ領域16に向かって面する側は、エネルギー吸収要素20の表面形状を少なくとも実質的に複製する。エネルギー吸収要素20は、締結要素54の表面に密接に隣接した取り付け状態にある。
【0042】
エネルギー吸収装置38は、第2のエネルギー吸収要素30を備える。第2のエネルギー吸収要素30は、エネルギー吸収要素20とは別に具現化される。或いは、エネルギー吸収要素20及び第2のエネルギー吸収要素30は、少なくとも部分的に互いに一体的に、例えば1つの鋳造部品(複数の鋳造部品)として実装されてもよい。第2のエネルギー吸収要素30は、ロープ受け入れ領域16に配置される。第2のエネルギー吸収要素30は、ロープ受け入れ領域16を区画する。第2のエネルギー吸収要素30は、岩側でロープ受け入れ領域16を区画する。第2のエネルギー吸収要素30は、支柱要素36の上端42に配置される。第2のエネルギー吸収要素30は、支柱要素36の支柱先端44に配置される。第2のエネルギー吸収要素30は、更なる摩擦面32を備える。第2のエネルギー吸収要素30は、ロープ受け入れ領域16に案内されるロープ18、特に少なくとも上部支持ロープ52のための更なる摩擦面32を形成する。第2のエネルギー吸収要素30の更なる摩擦面32は、エネルギー吸収要素20の摩擦面22に対して少なくとも略垂直に向けられる。第2のエネルギー吸収要素30は、例えば衝突体10が防護ネット構造12に衝突することによって発生した力がロープ18、特に上部支持ロープ52にかかり、上記力が更なる摩擦面32にわたるロープ18、特に上部支持ロープ52の移動を誘発する場合、更なる摩擦面32の実質的な変形及び/又は摩滅を介して、力によって生じたエネルギーの少なくとも一部分を選択的に吸収するように構成される。
【0043】
更なるエネルギー吸収要素30は、防護ネット構造12に交換可能に取り付け可能である。更なるエネルギー吸収要素30は、支柱先端44の上側96に取り付け可能である。更なるエネルギー吸収要素30は、支柱先端44の上側96に施される。更なるエネルギー吸収要素30は、支柱先端44の上側96を部分的に覆う。更なるエネルギー吸収要素30は、支柱先端44の上側96の3分の1超、好ましくは2分の1超を覆う。更なるエネルギー吸収要素30は、支柱先端44の上側96の全長にわたって延び、少なくとも、上部支持ロープ52が支柱先端44にわたって延びる領域にわたって延びる。支柱先端44の上側96は、支柱要素36に対して更なるエネルギー吸収要素30を支持するように構成される。支柱先端44の上側96は、支柱要素36の長手方向98に更なるエネルギー吸収要素30を支持するように構成される。更なるエネルギー吸収要素30は、支柱先端44の上側96に交換可能に取り付け可能である。更なるエネルギー吸収要素30は、支柱先端44の表面に密接に隣接した取り付け状態にある。
【0044】
更なるエネルギー吸収要素30は、縦ロープ88及び横ガイロープ84のための支柱先端44の接続要素82、86と重なる凹部を有する。このようにして、更なるエネルギー吸収要素30が、支柱先端44に確実に追加的に締結され得る。更なるエネルギー吸収要素30は、周辺領域104、106においてロープ受け入れ領域16から湾曲して離れる。更なるエネルギー吸収要素30の摩擦面32は、ロープ受け入れ領域16から湾曲して離れる。更なるエネルギー吸収要素30の摩擦面32の曲率は、エネルギー吸収要素20の摩擦面22の曲率より実質的に小さい。エネルギー吸収要素20の周辺領域24、26では、摩擦面22の曲率は約90°である。更なるエネルギー吸収要素30の周辺領域104、106では、摩擦面32の曲率は約35°である。
【0045】
第2のエネルギー吸収要素30は、エネルギー吸収要素20が少なくとも部分的に取り付けられた状態で挿入される凹部56を有する。凹部56は、少なくとも実質的にエネルギー吸収要素20の断面の形状を有する。凹部56は、少なくとも実質的に、締結要素54と締結要素54に取り付けられたエネルギー吸収要素20との組み合わせの断面の形状を有する。凹部は、少なくとも略U字型の形状を有する。
【0046】
支柱要素36、特に支柱先端44は、更なる締結要素102を備える。更なる締結要素102は、締結要素54に対して少なくとも実質的に相補的に実現される、及び/又は支柱先端44を二分する鏡面に沿って締結要素54を鏡映する。更なる締結要素102は、エネルギー吸収要素20の摩擦面22と対向して位置する側に向けてロープ受け入れ領域16を区画する。更なる締結要素102は、山側方向108にロープ受け入れ領域16を区画する。ロープ案内ユニット14は、区画要素100を更に備える。区画要素100は、第2のエネルギー吸収要素30とは反対の方向でロープ受け入れ領域16を区画する。区画要素100は、空側方向110でロープ受け入れ領域16を区画する。区画要素100は、締結要素54と更なる締結要素102とを接続するボルトとして具現化される。2つの締結要素54、102によって、支柱要素36は、支柱土台48に2つの異なる向きで取り付け可能である。これにより、好都合なことに、取り付けが容易になり、取り付け不良を防ぐことができる。区画要素100は、ロープ18がロープ受け入れ領域16から飛び出すことを防止するように構成される。締結要素54、102及び/又は区画要素100は、エネルギー吸収要素20、30よりも実質的に高いモース硬度を有する材料で作られる。
【0047】
エネルギー吸収装置38は、更なるエネルギー吸収要素40を備える。更なるエネルギー吸収要素40は、特に少なくとも機能に関してエネルギー吸収要素20と少なくとも実質的に同一に実装される。更なるエネルギー吸収要素40は、支柱土台48に配置される。更なるエネルギー吸収要素40は、エネルギー吸収装置38のロープ案内ユニット14の支柱土台48に配置された更なるロープ受け入れ領域92を区画する。そのサイズ寸法を除いて、更なるロープ受け入れ領域92は、ロープ受け入れ領域16と少なくとも実質的に同一に実装され、したがって、以下では特に繰り返しとなる詳細な説明は省略する。更に、図示の場合では、更なるロープ受け入れ領域92は、更なるロープ受け入れ領域92を更なる側に区画する第2のエネルギー吸収要素を設けることなく実装される。更に、更なるロープ受け入れ領域92は、下部支持ロープ68を受け入れる及び/又は案内するように構成される。更なるロープ受け入れ領域92を区画するために、支柱土台48は、2つの締結要素114、116とボルト状の区画要素118とを備え、これらの特性は、特に、支柱先端44のロープ受け入れ領域16の締結要素54、102及び区画要素100の特性と少なくとも実質的に同じである。
【0048】
更なるエネルギー吸収要素40は摩擦面50を備え、摩擦面50は、特に、支柱先端44のエネルギー吸収要素20、30の摩擦面22、32と少なくとも実質的に同じ役割を担う。取り付け状態では、下部支持ロープ68は、更なるエネルギー吸収要素40の摩擦面50の上に位置する。支柱土台48に配置された更なるエネルギー吸収要素40の摩擦面50は、支柱先端44に配置されたエネルギー吸収要素20、30のそれぞれの摩擦面22、32より実質的に大きい。「実質的に大きい」とは、特に、少なくとも5%、好ましくは少なくとも10%、優先的には少なくとも15%、特に優先的には少なくとも20%だけ大きいことを意味する。
【0049】
エネルギー吸収要素20、第2のエネルギー吸収要素30、及び/又は更なるエネルギー吸収要素40は、少なくともそれぞれの摩擦面22、32、50の領域において、モース硬度が4より小さい材料で作られる。エネルギー吸収要素20、第2のエネルギー吸収要素30、及び/又は更なるエネルギー吸収要素40は、ロープ18、特に上部支持ロープ52及び/又は下部支持ロープ68の材料とは実質的に異なる材料で作られる。エネルギー吸収要素20、第2のエネルギー吸収要素30、及び/又は更なるエネルギー吸収要素40は、少なくともそれぞれの摩擦面22、32、50の領域において、アルミニウム又はアルミニウム合金で作られる。エネルギー吸収要素20、第2のエネルギー吸収要素30、及び/又は更なるエネルギー吸収要素40は、少なくともそれぞれの摩擦面22、32、50の領域において、鋼鉄、特に鋼鉄製ロープとの摩擦下で、火花、特に摩擦火花及び/又は衝撃火花の出ない材料で作られる。エネルギー吸収要素20、第2のエネルギー吸収要素30、及び/又は更なるエネルギー吸収要素40は、可動構成要素なしで実装される。エネルギー吸収装置38、特に、エネルギー吸収要素20、第2のエネルギー吸収要素30、及び/又は更なるエネルギー吸収要素40は、可動構成要素なしで実装される。エネルギー吸収装置38、特に、エネルギー吸収要素20、第2のエネルギー吸収要素30、及び/又は更なるエネルギー吸収要素40は、ローラなしで実装される。
【0050】
防護ネット構造12は、複数のエネルギー吸収要素20と、複数の第2のエネルギー吸収要素30と、複数の更なるエネルギー吸収要素40とを備える。防護ネット構造12は、支柱34ごとに、少なくとも1つのエネルギー吸収要素20と、少なくとも1つの第2のエネルギー吸収要素30と、少なくとも1つの更なるエネルギー吸収要素40とを備える。防護ネット構造12に規定された最大衝突エネルギーで衝突体10が衝突する場合、エネルギー吸収装置38、特に、エネルギー吸収装置38のエネルギー吸収要素20、30、40要素が一緒に、衝突エネルギーの少なくとも10%、好ましくは少なくとも15%、優先的に少なくとも20%を吸収する。例えば、衝突エネルギーが3,000kJである衝突では、防護ネット構造12のエネルギー吸収装置38は、エネルギー吸収装置38に3,000kJの最大衝突エネルギーが与えられると、支持ロープ52、68によってもたらされるエネルギー吸収要素20、30、40の変形及び/又は摩滅のみを介して、少なくとも300kJ、好ましくは少なくとも450kJ、優先的に少なくとも600kJを吸収する。
【0051】
図3a及び図3bは、非変形状態、すなわち特に負荷事象の発生前のエネルギー吸収要素を示している。図3bに示す断面の領域において、エネルギー吸収要素20は、厚さ124を有する。図示の場合では、厚さ124は10mmである。図3c及び図3dは、実質的に変形及び/又は摩滅した状態、すなわち特に負荷事象が発生した後の同じエネルギー吸収要素20を示している。ロープ18は、摩擦面22上を通過すると、エネルギー吸収要素20にノッチ120を生じる。ノッチ120は、深さ122を有する。ノッチ120の深さ122は、エネルギー吸収要素20の厚さ124の20%より大きい。ノッチ120の深さ122は、エネルギー吸収要素20の厚さ124の50%より大きい。
【0052】
図4は、エネルギー吸収装置38を備えたロープブレーキ58の模式的な図を示している。防護ネット構造12は、エネルギー吸収装置38を備えたロープブレーキ58を備える。ロープブレーキ58は、複滑車ロープブレーキとして具現化される。ロープブレーキ58は、ローラなしの複滑車ロープブレーキとして具現化される。ロープブレーキ58は、ロープ18を備える。ロープ18は、鋼線ロープとして具現化される。ロープブレーキ58は、第1の転向要素62を備える。ロープブレーキ58は、第2の転向要素126を備える。ロープ18は、第1の転向要素62の周りに1周案内される。ロープ18は、第2の転向要素126の周りに2周案内される。第2の転向要素126の周りにおけるロープ18の2つの案内部分は、第2の転向要素126の並んで位置する案内領域(図示せず)に延びる。ロープ18の一方の端部128が、第1の転向要素62の後側に締結される。ロープ18の第2の端部134は、自由端である、又は防護ネット構造12のロープ18、例えば、支持ロープ52、68、固定ロープ80、横ガイロープ84、縦ロープ88、キャッチロープ、若しくは防護ネット構造12の更なるロープに締結される、又は防護ネット構造12のロープ18、特に防護ネット構造12の上記ロープ18のうちの少なくとも1つを実装する。第2の転向要素126は、支柱34又は岩壁66に不動に固定される。転向要素62、126のロープ18に向かって面する側には、それぞれ、エネルギー吸収装置38のエネルギー吸収要素20が配置される。負荷事象において、すなわち第2の端部134の方向からロープ18に牽引力がある場合、ロープ18は、エネルギー吸収要素20の摩擦面22にわたって牽引され、牽引力によって生じるエネルギーの少なくとも大部分が、転向要素62、126に配置されたエネルギー吸収要素20の摩擦面22の実質的な変形及び/又は摩滅を介して、選択的に吸収される。
【0053】
図5は、エネルギー吸収装置38によって、衝突体10が防護ネット構造12に衝突することによって生じた衝突エネルギーを少なくとも部分的に吸収するための方法のフローチャートを示している。防護ネット構造12の取り付けの際、少なくとも1つの方法ステップ130において、防護ネット構造12の少なくとも1本のロープ18、例えば、支持ロープ52、68及び/又は固定ロープ80やキャッチロープなどの他のロープは、エネルギー吸収要素20、30、40に設けられたロープ受け入れ領域16、92内に通される。少なくとも1つの方法ステップ132において、衝突体10が衝突することによって、防護ネット構造12のロープ18、特に支持ロープ52、68及び/又は固定ロープ80やキャッチロープなどの他のロープに力がかかる。衝突による力の結果、防護ネット構造12のロープ18、特に支持ロープ52、68及び/又は固定ロープ80やキャッチロープなどの他のロープは、エネルギー吸収要素20、30、40の摩擦面22、32、50にわたって引っ張られる。このとき、硬いロープの材料よりも柔らかいエネルギー吸収要素20、30、40の材料は、硬いロープの材料によって実質的に変形及び/又は摩滅される。その結果、衝突体10、特にロープ18の運動エネルギーは、エネルギー吸収要素20、30、40の変形及び/又は摩滅のための変形エネルギーに変換され、つまりはエネルギー吸収要素20、30、40によって吸収される。方法ステップ132において、エネルギー吸収装置38のエネルギー吸収要素20、30、40が防護ネット構造12のロープ18によって選択的に変形及び/又は選択的に摩滅、特に選択的に圧延されるため、衝突エネルギーの少なくとも一部分が吸収される。少なくとも1つの更なる方法ステップ112において、防護ネット構造12の完全な保護機能を回復するために、変形及び/又は摩滅したエネルギー吸収要素20、30、40は、新しい未変形のエネルギー吸収要素20、30、40で置き換えられる。
【符号の説明】
【0054】
10 衝突体
12 防護ネット構造
14 ロープ案内ユニット
16 ロープ受け入れ領域
18 ロープ
20 エネルギー吸収要素
22 摩擦面
24 周辺領域
26 周辺領域
28 表面
30 第2のエネルギー吸収要素
32 摩擦面
34 支柱
36 支柱要素
38 エネルギー吸収装置
40 更なるエネルギー吸収要素
42 上端
44 支柱先端
46 下端
48 支柱土台
50 摩擦面
52 支持ロープ
54 締結要素
56 凹部
58 ロープブレーキ
60 アースアンカ及び/又はロックアンカ
62 転向要素
64 防護ネット
66 岩壁
68 支持ロープ
70 基礎
72 接続ユニット
74 接続レール
76 接続要素
78 ねじ
80 固定ロープ
82 接続要素
84 横ガイロープ
86 接続要素
88 縦ロープ
90 接続要素
92 更なるロープ受け入れ領域
94 谷側方向
96 上側
98 長手方向
100 区画要素
102 更なる区画要素
104 周辺領域
106 周辺領域
108 山側方向
110 空側方向
112 方法ステップ
114 締結要素
116 締結要素
118 区画要素
120 ノッチ
122 深さ
124 厚さ
126 転向要素
128 端部
130 方法ステップ
132 方法ステップ
134 端部
図1
図2
図3a
図3b
図3c
図3d
図4
図5
【国際調査報告】