IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ プランティクス ビー.ブイ.の特許一覧

特表2023-511466ラミネートを製造する方法、ラミネート、担体、及び該担体を製造する方法
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-20
(54)【発明の名称】ラミネートを製造する方法、ラミネート、担体、及び該担体を製造する方法
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/36 20060101AFI20230313BHJP
   B05D 7/24 20060101ALI20230313BHJP
【FI】
B32B27/36
B05D7/24 302V
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022506011
(86)(22)【出願日】2020-07-16
(85)【翻訳文提出日】2022-03-25
(86)【国際出願番号】 EP2020070217
(87)【国際公開番号】W WO2021023495
(87)【国際公開日】2021-02-11
(31)【優先権主張番号】19189757.8
(32)【優先日】2019-08-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521314792
【氏名又は名称】プランティクス ホールディング ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100085545
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 光夫
(74)【代理人】
【識別番号】100118599
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 博司
(72)【発明者】
【氏名】バッカー,ライツァー ヤン ウィレム
(72)【発明者】
【氏名】ネッパー,ハンス ダニエル
【テーマコード(参考)】
4D075
4F100
【Fターム(参考)】
4D075BB27X
4D075BB64Z
4D075DA06
4D075DA25
4D075DB18
4D075DB20
4D075DB31
4D075EB35
4F100AK41B
4F100AK41C
4F100BA02
4F100BA03
4F100BA06
4F100BA10A
4F100BA10B
4F100BA10C
4F100DG10A
4F100DJ00A
4F100EJ82A
4F100EJ94A
4F100GB07
4F100JA07B
4F100JA07C
4F100JB13B
4F100JB13C
4F100JK17A
4F100YY00B
4F100YY00C
(57)【要約】
本発明は、パネルと、2~15個の炭素原子を有する脂肪族ポリオールと3~15個の炭素原子を有する脂肪族ポリカルボン酸とから誘導されたポリエステルを備えられた担体とを含むラミネートであって、ここで、該ポリエステルが、重量測定により決定される、少なくとも0.6、特に少なくとも0.7、より特に少なくとも0.8、幾つかの実施態様において少なくとも0.9、の重合の程度を有し、ここで、該担体が、該パネル上に存在し、該担体(該ポリエステルは計算に入れられない)が、5~200g/mの面積重量を有し、及び該パネルが、少なくとも0.2mmの厚さを有する、上記ラミネートに関する。本発明はまた、上記ラミネートを製造する方法に、該方法において使用される担体に、及び体担体を製造する方法に関する。本発明に従う方法は、高品質のラミネートを高速で製造することを可能にする。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パネルと、2~15個の炭素原子を有する脂肪族ポリオールと3~15個の炭素原子を有する脂肪族ポリカルボン酸とから誘導されたポリエステルを備えられた担体とを含むラミネートであって、ここで、該ポリエステルが、重量測定により決定される、少なくとも0.6、特に少なくとも0.7、より特に少なくとも0.8、幾つかの実施態様において少なくとも0.9、の重合の程度を有し、ここで、該担体が、該パネル上に存在し、該担体(該ポリエステルは計算に入れられない)が、5~200g/mの面積重量を有し、及び該パネルが、少なくとも0.2mmの厚さを有する、前記ラミネート。
【請求項2】
前記ラミネートは、ポリエステルを備えられた担体を片面又は両面上に備えられた単一のパネルを有する、請求項1に記載のラミネート。
【請求項3】
前記ラミネートは、2枚のパネルの間に挟まれた、ポリエステルを備えられた1の担体を有する少なくとも2枚の該パネル、例えばパネルの間に挟まれたポリエステルを備えられた担体を有する2~20枚の該パネル、を含み、ここで任意的に、該ラミネートの両方の外面の一方には、ポリエステルを備えられた担体が備えられている、請求項1に記載のラミネート。
【請求項4】
前記ポリマーを含まない担体層の合計厚さは、前記ポリマーを含まないラミネートの合計厚さの40%未満、好ましくは30%未満、特には25%未満、である、請求項1~3のいずれか1項に記載のラミネート。
【請求項5】
前記パネル、又は複数の前記パネルのうちの少なくとも1つは、前記担体、又は前記複数の担体のうちの少なくとも1つと異なる材料でできている、請求項1~4のいずれか1項に記載のラミネート。
【請求項6】
前記ポリカルボン酸は、ポリ酸の総量に基づいて計算して、少なくとも10重量%のトリカルボン酸、特に少なくとも30重量%、好ましくは少なくとも50重量%、より特には少なくとも70重量%、さらに特には少なくとも90重量%、さらには少なくとも95重量%、のトリカルボン酸、を含み、ここで、前記トリカルボン酸は好ましくはクエン酸であり、及び/又は前記ポリオールは、少なくとも50モル%、好ましくは少なくとも70モル%、より特には少なくとも90モル%、又は更には少なくとも95モル%、の、グリセロール、キシリトール、ソルビトール、又はマンニトール、特にグリセロール、からなる、請求項1~5のいずれか1項に記載のラミネート。
【請求項7】
パネルと、ポリエステルを備えられた担体とを含む、請求項1~6のいずれか1項に記載のラミネートを製造する方法であって、
2~15個の炭素原子を有する脂肪族ポリオールと3~15個の炭素原子を有する脂肪族ポリカルボン酸とから誘導されたポリエステルを備えられた担体を用意すること、ここで、前記ポリエステルは、少なくとも0.10の重合の程度を有し、該重合の程度は、反応することができる最大官能基数に対する、反応した官能基の割合の比である、ここで、該担体(該ポリエステルは計算に入れられない)は、5~200g/mの面積重量を有する、
パネル上に、前記担体を施与して、前記パネル及び前記担体のラミネートを形成すること、ここで、前記パネルは、少なくとも0.2mmの厚さを有する、並びに
パネル及び担体の上記ラミネートを、硬化工程に付すこと
の工程を含む、前記方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法において使用する為に適切な、ポリエステルを備えられた担体であって、担体物質と、2~15個の炭素原子を有する脂肪族ポリオールと3~15個の炭素原子を有する脂肪族ポリカルボン酸とから誘導されたポリエステル又はそのモノマー前駆体とを備えられており、ここで、前記ポリエステルが、少なくとも0.1、特に少なくとも0.20、最大0.95、特に0.25~0.9、又は0.5~0.85、の重合の程度を有し、前記担体が、前記ポリエステルを含まずに、5~200g/mの面積重量を有する、前記担体。
【請求項9】
ポリエステルが、該ポリエステルを備えられた担体の両方の側に存在し、ここで、前記担体は好ましくは、担体及びポリエステルの合計の2~70重量%、特に、担体及びポリエステルの合計の2~50重量%、より特に、2~40重量%、幾つかの実施態様において、2~30重量%、又は更に2~25重量%、を構成する、請求項8に記載の、ポリエステルを備えられた担体。
【請求項10】
ポリエステルが、該担体の一つの側上に存在し、一方、該担体の他方の側はポリエステルを有しない、請求項8に記載の、ポリエステルを備えられた担体。
【請求項11】
請求項8~10のいずれか1項に記載の、ポリエステルを備えられた担体を製造する方法であって、
好ましくはシート又はストリップの形態の担体材料を、2~15個の炭素原子を有する脂肪族ポリオールと3~15個の炭素原子を有する脂肪族ポリカルボン酸とから誘導されたポリエステル又はそのモノマー前駆体を含む液体媒体と接触させて、ポリエステル又はその前駆体を備えられた担体を形成すること、並びに任意的に、ポリエステル又はその前駆体を備えられた該担体を硬化工程に付すこと
の工程を含む、前記方法。
【請求項12】
前記担体物質が多孔質であり、及び前記液体媒体が、前記担体物質内に含浸される、ポリエステルを備えられた担体を製造する為の請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記担体物質が可撓性であり、すなわち、該担体物質は、5cm以下の直径を有する管へと巻かれることができ、続いて損傷を受けることなく巻き戻されることができる、ポリエステルを備えられた担体を製造する、請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
前記担体に施与された前記液体媒体は、0.1~0.6、特に0.2~0.55、の範囲、の転化度を有する、ポリエステルを備えられた担体を製造する、請求項11~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
ポリエステル又はその前駆体を備えられた担体が、0.5~0.85の重合の程度への硬化工程に付される、ポリエステルを備えられた担体を製造する、請求項11~14のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パネルとポリマー層とを含むラミネートを製造する方法であって、該ポリマー層が、特定のタイプのバイオポリマーである、上記方法に関する。本発明はまた、本発明に従う方法によって得られることができるラミネート、並びに本発明に従うラミネート及び方法において使用する為に好適な中間体生成物に関する。
【背景技術】
【0002】
国際公開第2012/140238号パンフレットは、パネルとポリマー層とを含むラミネートであって、該ポリマー層が、該パネルの少なくとも一部に施与されており、該ポリマー層が、2~15個の炭素原子を有する脂肪族ポリアルコールとポリ酸から誘導されたポリエステルとを含み、ここで、該層が、10~4000ミクロンの範囲の厚さを有し、該脂肪族ポリアルコールが、少なくとも50モル%のグリセロールを含み、該ポリ酸が、少なくとも30重量%のトリカルボン酸を含む、上記ラミネートを記載する。該ラミネートは、パネルに、該ポリエステルを含むコーティング組成物の層が備えられ、コーティングされたパネルが、5分~5日の期間にわたって20~200℃の温度で維持されるところの方法によって製造される。実施例において、15時間、3時間、及び2時間の期間が使用されている。商業的操作において、ラミネートの製造は、非常に高速で行われる。前述された方法は、良質な生成物を得ながら、商業的に適用される高速で行うことが困難であることが判明した。国際公開第2012/140238号パンフレットに記載されている方法に伴う更なる問題は、液体樹脂が時として、表面層上に染みを引き起こすことができることであり、そのことは、特に高性能用途(high-end applications)において、望ましくない。更なる問題は、該方法が複数のパネルを互いに接着させる為に使用される場合、接着強度が常に十分であるわけではないということである。
【0003】
当技術分野において、国際公開第2012/140238号パンフレットに記載されているバイオポリエステルを使用してラミネートを製造する方法であって、高品質のラミネートを高速で製造することを可能にする該方法が必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、このような方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、パネルとポリマー層とを含むラミネートを製造する方法であって、
2~15個の炭素原子を有する脂肪族ポリオールと3~15個の炭素原子を有する脂肪族ポリカルボン酸とから誘導されたポリエステルを備えられた担体を用意すること、ここで、該ポリエステルは、少なくとも0.10の重合の程度を有し、該重合の程度は、反応することができる最大官能基数に対する、反応した官能基の割合の比である、ここで、該担体は、5~200g/mの面積重量を有する、
パネル上に、上記担体を施与して、該パネル及び該担体のラミネートを形成すること、ここで、該パネルは、少なくとも0.2mmの厚さを有する、並びに
パネル及び担体の上記ラミネートを、硬化工程に付すこと
の工程を含む、上記方法に関する。
【0006】
本発明はまた、パネルと、2~15個の炭素原子を有する脂肪族ポリオールと3~15個の炭素原子を有する脂肪族ポリカルボン酸とから誘導されたポリエステルを備えられた担体とを含むラミネートであって、ここで、該ポリエステルが、重量測定により決定される、少なくとも0.6、特に少なくとも0.7、より特に少なくとも0.8、幾つかの実施態様において少なくとも0.9、の重合の程度を有し、ここで、該担体が、該パネル上に存在し、該担体(該ポリエステルは計算に入れられない)が、5~200g/mの面積重量を有し、及び該パネルが、少なくとも0.2mmの厚さを有する、上記ラミネートに関する。
【0007】
本発明は更に、本発明の方法において使用する為に好適な、ポリエステルを備えられた担体であって、担体物質と、2~15個の炭素原子を有する脂肪族ポリオールと3~15個の炭素原子を有する脂肪族ポリカルボン酸とから誘導されたポリエステル又はそのモノマー前駆体とを備えられており、ここで、該ポリエステルが、少なくとも0.1、特に少なくとも0.20、最大0.95、特に0.25~0.9、又は0.5~0.85、の重合の程度を有し、該担体が、該ポリエステルを含まずに5~200g/mの面積重量を有する、上記担体に関する。
【0008】
本発明は更に、本発明に従う、ポリエステルを備えられた担体を製造する方法であって、
好ましくはシート又はストリップ(strip)の形態の担体材料を、2~15個の炭素原子を有する脂肪族ポリオールと3~15個の炭素原子を有する脂肪族ポリカルボン酸とから誘導されたポリエステル又はそのモノマー前駆体を含む液体媒体と接触させて、ポリエステル又はその前駆体を備えられた担体を形成すること、並びに任意的に、ポリエステル又はその前駆体を備えられた該担体を硬化工程に付すこと
の工程を含む、上記方法に関する。
【0009】
従って本発明は、該ラミネートの製造における、ポリエステルを備えられた該担体の使用によって特徴付けられる。本発明の非常に重要な特色は、該担体が、5~200g/mの面積重量(ポリエステルを有しない状態で決定される)を有することである。従って、該担体は、相対的に薄く、且つ相対的に低重量である。このことは、該担体が、その名称が述べている通り、該ポリエステルの為の担体となることを許す。一方、該パネルは、少なくとも0.2mmの厚さを有し、特定の用途に応じて、それよりもかなり厚いものでありうる。該パネルは、該ラミネートに構造的一体性を提供するラミネートの一部である。
【0010】
特定されたポリエステルを備えられた担体の使用は、ラミネートの製造工程を、担体の製造工程から分離することを許す。これは、魅力的なポリエステルを使用しながら異なる速度で2つの工程を行うことを可能にする。このことは、国際公開第2012/140238号パンフレットに記載されているプロセスを上回る改善である。加えて、本明細書に記載されている担体の使用は、魅力的な表面特性をラミネートに提供することを可能にする。更にこれは、魅力的な特性を有するラミネートを得ることを可能にする。本発明及びその特定の実施態様の更なる利点は、更なる本明細書から明らかになるであろう。
【0011】
本願において、モノマーの重合の程度(the extent of polymerization)は、転化率(conversion)として表され、それは、反応することができる最大官能基数に対する、ある特定の時点において反応した官能基の割合の比である。
【0012】
該転化率は特に、存在するモノマー全体の理論的酸値と比較した、反応混合物の酸値から決定されることができる。この方法は、出発ポリエステルの転化度を決定する為に好適である。転化率はまた、重合反応中に生じる水の喪失量から、重量測定により決定されることができる。この方法は特に、最終生成物の重合の程度を決定する為に好適である。
【0013】
該ポリマーは担体上に存在するので、ラミネートを形成する為に使用される場合、酸値によって決定される、少なくとも0.10、特に少なくとも0.20、の重合の程度を有する。該重合の程度は一般的に、最大0.95である。好ましい範囲は、0.25~0.90でありうる。重合の程度は、0.5~0.85の範囲であることが好まれうる。
【0014】
ポリエステルを備えられたパネル及び担体のラミネートの硬化工程後に得られた最終生成物において、重量測定により決定された、重合の程度は、硬化工程の前のポリマーの重合の程度よりも高い。該重合の程度は一般的に、少なくとも0.6、特に少なくとも0.7、より特に少なくとも0.8、幾つかの実施態様において少なくとも0.9、である。
【0015】
本発明は、重合の特定の程度を有する特定のポリエステルを備えられた担体を使用する。そのようなポリエステルを含む担体の使用は、高速で且つ高い質で、ラミネートを製造することを可能にすることが判った。この文脈において、高い質とは、高い再現性を意味する。本発明及びその特定の実施態様の他の利点は、更なる本明細書から明らかになるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0016】
ポリマー
本発明は、2~15個の炭素原子を有する脂肪族ポリオールと3~15個の炭素原子を有する脂肪族ポリカルボン酸とから誘導されたポリエステルを使用する。
【0017】
本発明において使用される該脂肪族ポリアルコールは、少なくとも2個のヒドロキシ基、特には少なくとも3個のヒドロキシ基、を含む。一般的に、ヒドロキシ基の数は、10個以下、より特には8個以下、又は更には6個以下、特には2個又は3個、である。該ポリアルコールは、2~15個の炭素原子を有する。より特には、該ポリアルコールは、3~10個の炭素原子を有する。該ポリアルコールは、ヘテロ原子を含まないことが好ましい。より特には、該ポリアルコールは、C、H、及びO原子のみを含む脂肪族ポリアルカノールである。該ポリアルコールは、ヒドロキシ基以外の非炭素基を含まないことが好ましい。本発明の好ましい実施態様において、該ポリアルコールは、その炭素原子の数と比較して相対的に多数のヒドロキシ基を含む。例えば、ヒドロキシ基の数及び炭素原子の数の比は、1:4(すなわち、4個の炭素原子当たり1個のヒドロキシ基、又は1個のジアルコールにつき8個の炭素原子)~1:1(すなわち、1個の炭素原子当たり1個のヒドロキシ基)の範囲である。特に、ヒドロキシ基の数及び炭素原子の数の比は、1:3~1:1、より特には1:2~1:1、の範囲である。特に好ましいポリアルコールの基は、該比が1:1.5~1:1の範囲である基である。
【0018】
ヒドロキシ基と炭素原子との比が1:1である化合物が、特に好ましいと考えられる。
【0019】
好適なポリアルコールの例は、グリセロール、ソルビトール、キシリトール及びマンニトールから選択されるトリアルコール、並びに1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール及び1,2-エタンジオールから選択されるジアルコールを包含する。グリセロール、ソルビトール、キシリトール及びマンニトールの群から選択された化合物の使用が好ましく、グリセロールの使用が特に好ましい。
【0020】
グリセロールの好選度は、下記に基づく。第一に、グリセロールは20℃の融点を有し、それは、特に全て90℃を十分に上回る融点を有するキシリトール、ソルビトール及びマンニトールと比較して容易な処理を可能にする。更に、グリセロールは、高い質のポリマーをもたらし、従って、容易に入手可能な供給源の材料の使用を、良好な処理条件及び高品質の生成物と組み合わせることが見出された。アルコールの種々のタイプの混合物がまた使用されうる。
【0021】
しかしながら、該ポリアルコールは、少なくとも50モル%、好ましくは少なくとも70モル%、より特には少なくとも90モル%、又は更には少なくとも95モル%、の、グリセロール、キシリトール、ソルビトール、又はマンニトール、特にグリセロール、からなることが好ましい。一つの実施態様において、該ポリアルコールは、グリセロールから本質的になる。
【0022】
グリセリドとモノアルコールのエステル交換反応によるバイオディーゼルの製造の副産物であるグリセロールの使用は、本発明の特定の実施態様である。好適なモノアルコールは、C1~C10モノアルコール、特にC1~C5モノアルコール、より特にC1~C3モノアルコール、特にメタノール、を包含する。該グリセリドは、グリセロールと脂肪酸とのモノエステル、ジエステル及びエステル(mono-di- and esters)であり、該脂肪酸は一般的に、10~18個の炭素原子を有する。関連付けられたグリセロールを有するバイオディーゼルを製造する為の好適な方法は、当技術分野において知られている。
【0023】
本発明において使用される該脂肪族ポリカルボン酸は、少なくとも2個のカルボン酸基、特に少なくとも3個のカルボン酸基、を含む。一般的に、カルボン酸基の数は、10個以下、より特に8個以下、又は更には6個以下、である。該ポリカルボン酸は、3~15個の炭素原子を有する。より特には、該ポリカルボン酸は、3~10個の炭素原子を有する。該ポリカルボン酸は、N又はSヘテロ原子を有していないことが好ましい。より特には、該ポリカルボン酸は、カルボン酸基以外の非炭素基を含まないことが好ましい。より特に、該ポリカルボン酸は、C原子、H原子及びO原子のみを含む脂肪族ポリカルボン酸である。
【0024】
一つの実施態様において、ジカルボン酸が使用される。該ジカルボン酸は、それが使用される場合には、2個のカルボン酸基、一般的には最大15個の炭素原子、を有する任意のジカルボン酸でありうる。好適なジカルボン酸の例は、イタコン酸、リンゴ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸及びセバシン酸を包含する。イタコン酸及びコハク酸が好まれうる。
【0025】
一つの実施態様において、トリカルボン酸が使用される。該トリカルボン酸は、それが使用される場合には、3個のカルボン酸基、一般的には最大15個の炭素原子、を有する任意のトリカルボン酸でありうる。例は、クエン酸、イソクエン酸、アコニット酸(シス及びトランスの両方)、及び3-カルボキシ-シス,シス-ムコン酸を包含する。クエン酸の使用が、費用及び入手可能性の両方の理由で好ましいと考えられる。
【0026】
適用できる場合には、該ポリカルボン酸は、全体的に又は部分的には無水物、例えばクエン酸無水物、の形態で用意されうる。
【0027】
トリカルボン酸の使用は、魅力的な特性を有するポリエステルを結果として生じることが見出された。それ故に、一つの実施態様において、該ポリ酸は、ジカルボン酸、他のトリカルボン酸、及びそれらの混合物との組み合わせであるかどうかに関わりなく、少なくとも10重量%のトリカルボン酸を含む。一つの実施態様において、該ポリ酸は、ポリ酸の全量に基づいて計算して、少なくとも30重量%、好ましくは少なくとも50重量%、のトリカルボン酸を含む。一つの実施態様において、トリカルボン酸の量は、少なくとも70重量%、より特に少なくとも90重量%、又は更に少なくとも95重量%、である。一つの実施態様において、該ポリ酸は、トリカルボン酸から本質的になり、ここで、語「本質的に」は、他の酸が、材料の特性に影響を及ぼさない量で存在しうることを意味する。
【0028】
本発明の別の実施態様において、該酸は、酸の全量に基づいて計算して、少なくとも10重量%、好ましくは少なくとも30重量%、より好ましくは少なくとも50重量%、のジカルボン酸を含む。一つの実施態様において、ジカルボン酸の量は、少なくとも70重量%である。
【0029】
一つの実施態様において、該酸は、少なくとも10重量%のトリカルボン酸及び少なくとも2重量%のジカルボン酸、より特に少なくとも10重量%のトリカルボン酸及び少なくとも5重量%のジカルボン酸、又は少なくとも10重量%のトリカルボン酸及び少なくとも10重量%のジカルボン酸、の組み合わせを含む。この実施態様において、2つのタイプの酸の間の重量比は、所望の材料の特性に応じて、広範囲に変わりうる。一つの実施態様において、該ジカルボン酸は、所望の材料の特性に応じて、合計2~90重量%、特に5~90重量%、より特に10~90重量%、のジカルボン酸及びトリカルボン酸を構成する。先に特定されるトリカルボン酸の好ましい範囲も、この実施態様に適用できることに留意されたい。トリカルボン酸、特にクエン酸、の使用は、特にトリアルコール、例えばグリセロール、の使用との組み合わせで、高品質の複合材料の形成を結果として生じることが見出された。
【0030】
理論によって束縛されるものではないが、本発明者等は、三酸の使用、特にトリオールと組み合わされた三酸の使用、が、なぜ高品質の複合材料の形成を結果として生じるかについて、幾つかの理由があると考える。第一に、特にトリオールと組み合わされた三酸の使用は、高架橋ポリマーを作成して、増大された強度を結果として生じる。
【0031】
該ポリアルコールと該ポリ酸とのモル比は、使用される1以上のアルコールにおける反応基の数と1以上の酸における反応基の数との比によって制御される。一般的に、OH基の数と酸基の数との比は、5:1~1:5である。より特には、該比は、2:1~1:2、より特には1.5:1~1:1.5、より好ましくは1.1:1~1:1.1、でありうる。理論的モル比は、1:1である。
【0032】
該ポリマーは、該アルコールと該酸とを組み合わせて液相を形成することによって形成される。これは、化合物の性質に応じて、例えば、該酸が、該アルコール、特にグリセロール、に溶解する温度に、成分の混合物を加熱することによって、行われることができる。これは、化合物の性質に応じて、例えば、20~200℃、例えば40~200℃、例えば60~200℃、又は90~200℃、の範囲の温度で行われうる。一つの実施態様において、該混合物は、100~200℃、特に100~150℃、の温度、より特に100~140℃、の範囲の温度で、5分~2時間、より特に10分~45分間、加熱され及び混合されうる。
【0033】
任意的に、好適な触媒が、該ポリエステルの調製の為に使用されることができる。ポリエステルの製造の為に好適な触媒は、当技術分野において知られている。好ましい触媒は、重金属を含まない触媒である。有用な触媒は、強酸、例えば塩酸、ヨウ化水素酸及び臭化水素酸、硫酸(HSO)、硝酸(HNO)、塩素酸(HClO)、ホウ酸、過塩素酸(HClO)、トリフルオロ酢酸、p-スルホン酸、及びトリフルオロメタンスルホン酸であるが、それらに限定されるものでない。触媒、例えば酢酸Zn及び酢酸Mn、がまた使用されることができるが、それらはあまり好ましくないものでありうる。
【0034】
一つの実施態様において、化合物は、ポリマーと疎水性材料との相互作用を増大するか、又は最終生成物の耐水性を増大する為に添加される。好適な化合物は、例えば、C5~C22の飽和又は不飽和脂肪酸又はその塩、C5~C22の飽和又は不飽和脂肪アルコール、並びに二量体及び三量体脂肪酸又はアルコールを包含する。例えば、グリセロールモノステアレート、クエン酸トリエチル、及び吉草酸が、本発明において使用されることができる。
【0035】
疎水性を増大する為の化合物は一般的に、ポリマーの量に基づいて計算して、0.1~5重量%の量、より特に0.3~3重量%の量、で施与されるであろう。
【0036】
ポリエステルを備えられた担体
本発明において、ポリエステルを備えられた担体が使用される。従って、本発明はまた、ポリエステルを備えられた担体であって、担体物質と、2~15個の炭素原子を有する脂肪族ポリオールと3~15個の炭素原子を有する脂肪族ポリカルボン酸とから誘導されたポリエステル又はそのモノマー前駆体との層を備えられており、ここで、該ポリエステルが、少なくとも0.1の重合の程度を有する、上記担体に関する。
【0037】
ポリエステルを備えられた該担体は、例えば、ポリマー層を有するパネルの表面全体をカバーすることが望ましいかどうかに応じて、任意の好適なサイズ又は形状を有しうる。シート又はストリップの使用が好ましいと考えられる。
【0038】
一般的に、ポリエステルを備えられた担体は一般的に、0.01mm~1mmの範囲の厚さを有する。用途に応じて、ポリエステルを備えられた該担体は一般的に、1mm~2メートルの範囲の幅を有する。該担体の長さは、幅よりも大きく、膨大な長さであり得、それによって、該担体がロールから施与される。
【0039】
ポリエステルを備えられた該担体が、ラミネートの外層として、すなわち更なる層でカバーされない層として意図される場合、一般的に、ポリエステルを備えられた該担体で、該パネルの実質的な部分、例えば、表面の少なくとも60%、又は表面の少なくとも70%、又は表面の少なくとも80%、又は表面の少なくとも90%、又は表面の少なくとも95%をカバーすることが望ましい。この場合、可能な限り最良の視覚的外観を得る為に、パネルをカバーする為に、ポリエステルを備えられた担体の単一シートを使用することが好ましい。
【0040】
ポリエステルを備えられた該担体が、2枚のパネルの間の結合層として働くことが意図される場合、ポリエステルを備えられた担体の1以上のシート又はストリップを使用して、前述された通り、ポリエステルを備えられた該担体で、該パネルの実質的な部分をカバーすることが可能である。
【0041】
ポリエステルを備えられた該担体が、2枚のパネルの間の結合層として働くことが意図される場合、該パネルの表面のごく一部、例えば10~60%に、ポリエステルを備えられた該担体を提供することも可能である。後者の場合、ポリエステルを備えられた該担体は、該パネルの均質な結合を確保する為に、例えば、間隔を設けられた幾つかのストリップ又はシートの形態であることができる。
【0042】
該担体は、物質への吸収によるものであろうと、物理的又は化学的相互作用によるものであろうと、該ポリエステルが接着する任意の材料でありうる。好適な材料は、例えば、所望に応じてシート又はストリップの形態の、例えば、フィルム層、織布、不織布及び織物層を包含する繊維ベースの層、並びに平行に方向付けされている(parallel-oriented)繊維の層を包含する。該担体の性質は制限されない。好適な材料は、例えば、セルロース系材料の層又はストリップ、例えば紙シート、例えばクラフト紙及び他の紙、天然又は合成繊維の布の層、ポリマーシート層等、を包含する。
【0043】
本発明の一つの実施態様において、該担体は、多孔質である。本明細書の文脈において、これは、該ポリエステル又はその為の前駆体が、該担体に吸収されることができることを意味する。これは、例えば紙担体の場合に当てはまりうる。
【0044】
担体(上記ポリエステルを含まない)は、5~200g/mの面積重量を有する。該面積重量が5g/m未満である場合、該物質は、その加工性が妨げられる程薄くなる。該面積重量が200g/mを超える場合、該担体は、ラミネートの実質的な部分を構成することになり、これは望ましくない。該面積重量は、20~120g/mの範囲であることが好まれうる。
【0045】
担体(上記ポリエステルを含まない)は一般的に、可撓性である。すなわち、該担体は、5cm以下の直径を有する管へと巻かれ、続いて損傷を受けることなく巻き戻されることができる。それとは対照的に、本発明において使用されるパネルは一般的に、先に定義される通り可撓性でない。
【0046】
ポリマーを備えられた該担体は、ラミネートの外表面であることが意図される場合、例えば、所望の色、パターン、プリント、又はテクスチャを提供することによって、所望の表面外観を有する担体を提供する為に魅力的でありうる。
【0047】
ポリマーを備えられた該担体が可撓性であり、それによって、ロールによる保存及び処理が可能になることは、魅力的でありうる。可撓性出発材料を選択し、適切な量のポリマー及び好適な重合条件を使用することによって、可撓性物質を得ることが可能である。これらのパラメータの選択は、当業者の範囲内である。
【0048】
ポリエステルを備えられた該担体は、以下の工程により製造されうる:好ましくはシート又はストリップの形態の担体材料を、2~15個の炭素原子を有する脂肪族ポリオールと3~15個の炭素原子を有する脂肪族ポリカルボン酸とから誘導されたポリエステル又はそのモノマー前駆体を含む液体媒体と接触させて、ポリエステル又はその前駆体を備えられた担体を形成すること、並びに所望の場合には、ポリエステル又はその前駆体を備えられた該担体を硬化工程に付すこと。
【0049】
該液体媒体は、ポリエステル又はポリエステル前駆体を含む。一般的に、ポリ酸及びポリアルコールモノマーは、ある程度、例えば酸値により決定される場合の0.1~0.6の転化度、特に酸値により決定される0.2~0.55の範囲の転化度、まで重合させることが好ましい。
【0050】
一つの実施態様において、該液体媒体は、含浸が容易に行われることができる値に該媒体の粘度を低減する為に、水を含む。この場合、該媒体は、10~50重量%の水を含むことが好まれうる。
【0051】
該液体媒体は、更なる成分を含むことができる。例は、触媒、フィラー、着色剤、及び追加のポリマーを包含する。更なるありうる成分は、当業者に明らかであろう。
【0052】
ポリエステル又はポリエステル前駆体を含む該液体媒体は、当技術分野において知られている方法、例えば浸漬(dipping)、噴霧(spraying)、フロー処理(flowing)、ロール処理(rolling)、ブラッシング(brushing)、又はカスケード処理(cascading)、によって施与されうる。ロール処理、噴霧及び浸漬は、特には好適であることが判明した。
【0053】
該液体媒体を備えられた担体層は、乾燥工程又は硬化工程に付されうる。該硬化工程後のポリエステルの重合の程度は、該硬化工程前の担体上のポリエステルの重合の程度よりも高いであろう。
【0054】
該硬化工程の最も重要な点は、該ポリエステルが、反応温度、例えば80~250℃、特に100~200℃、より特に100~180℃、の生成物温度にあることである。硬化は、当技術分野において知られている加熱技術を使用して、例えば80℃~450℃までのオーブン温度を有するオーブン内で、行われることができる。様々なタイプの技術及び装置が使用され得、対流式オーブン、マイクロ波オーブン、赤外線オーブン、誘導オーブン、熱風オーブン、慣用的なベーキングオーブン及びそれらの組み合わせを包含するが、それらに限定されるものでない。硬化は、所望の施与に応じて単一工程又は複数工程で行われることができる。硬化時間は、施与、並びに使用されるオーブン及び温度のタイプに応じて、5秒~2時間の範囲である。所望の施与及び所望の特性に応じて好適な硬化条件を選択することは、当業者の範囲内である。不活性ガス雰囲気下で、例えば窒素下で、特に酸素がない状態で該硬化工程を行うことが好まれうる。不活性雰囲気の使用は、より高い硬化温度の使用を可能にすると同時に、望ましくない酸化反応の発生を制限する。重合の所望の程度を得る為に好適な反応条件を選択することは、当業者の範囲内である。
【0055】
ポリマーを備えられた担体を、ロール・ツー・ロール(roll-to toll)プロセスにより製造することが魅力的であり得、ここで、担体物質が、ロールから引き出され、そして、ポリマーを備えられ、ポリマーを備えられた該担体は、硬化工程に、重合の好適な程度に達するまで付され、そして、結果として得られた生成物は、ロールの形態である。
【0056】
前述された方法を使用して得られることができるポリマーを備えられた該担体において、該ポリマーは担体上に存在するので、酸値を用いて決定される、少なくとも0.10、特に少なくとも0.20、の重合の程度を有する。該重合の程度は一般的に、最大0.95である。好ましい範囲は、0.25~0.90でありうる。重合の程度は、0.5~0.85の範囲であることが好まれうる。
【0057】
一般的に、ポリエステルを備えられた該担体は、50~750グラム/mの範囲、特に100~500g/mの範囲、の面積重量を有する。
【0058】
一般的に、ポリマーを備えられた担体のポリマー層は、20~500ミクロンの範囲、特に50~250ミクロンの範囲、であろう。これらの値は、単一ポリマー層についてのものである。
【0059】
一つの実施態様において、ポリエステルは、該担体の両方の外表面上に存在する。一般的にこの場合、該担体は、担体及びポリエステルの合計の2~70重量%を構成する。ポリエステルを備えられた担体の重量に基づいて計算して、ポリエステルのより高い含量に対応するより低い担体含量は、ポリエステルを含む担体が2枚のパネルの間に挟まれて接着剤として働く場合に、有利と考えられる。また、ポリエステルを備えられた担体の重量に基づいて計算して、ポリエステルのより高い含量に対応するより低い担体含量は、ポリエステルを備えられた該担体が、ラミネート上の表面層として備えられることになり、表面特性が、該ポリエステルによって備えられることになる場合に、有利であることができる。それ故に、該担体は、担体及びポリエステルの合計の2~50重量%、特に2~40重量%、幾つかの実施態様において、2~30重量%、又は更に2~25重量%、を構成することが好ましいと考えられる。
【0060】
別の実施態様において、該担体の表面の一方には、該ポリエステルが備えられ、一方、該担体の他方の表面は、ポリエステルを有しない。この実施態様において、ポリエステルを備えられた該担体は、表面構造、特にパネル上に特定の外側外観を有する表面層を施与する為に使用される。一般的にこの場合、該担体は、担体及びポリエステルの合計の20~95重量%を構成する。
【0061】
本発明において、該担体層は、該ポリマーの為の担体として働くことが意図され、該担体層が外層である場合には、該ラミネートに特定の表面構造を提供することが意図される。従って、1以上の担体層は、該ラミネートに実質的な厚さを提供することを意図されない。従って、一つの実施態様において、該ポリマーを含まない担体層の合計厚さは、該ポリマーを含まないラミネートの合計厚さの40%未満である。ポリマーを含まない担体層の合計厚さは、該ポリマーを含まないラミネートの合計厚さの30%未満、特に25%未満、であることが好ましい。最小値として、少なくとも0.1%の比率が言及されうる。
【0062】
該担体には、複数工程のうちの単一工程で、該ポリエステルが備えられることが可能である。該ポリエステルが、複数工程で備えられる場合、様々な工程における該ポリエステルの組成は、同じであってもよく、又は異なっていてもよい。
【0063】
ラミネート及びその製造
本発明に従う方法において、先に論じられている、ポリマーを備えられた担体は、パネル及び担体のラミネートを形成する為に、該パネルの表面の少なくとも一部に施与され、並びに、パネル及び担体の該ラミネートは、硬化工程に付される。
【0064】
一つの実施態様において、ポリマーを備えられた該担体は、該ラミネートの外表面上に存在する。この実施態様において、該担体は、表面外観を改善する為、該表面外観を外的影響から、例えば引っかきから保護する為、反発(repelling)層、例えば撥水層若しくは耐化学薬品性層、を作成する為、及び/又は追加の特性、例えば魅力的な視覚特性若しくは触覚特性、を提供する為に働きうる。
【0065】
本発明の一つの実施態様において、該担体の少なくとも一部に、第2のパネルが施与される。この実施態様において、該担体は、実際、接着剤として使用される。
【0066】
使用されるパネルは、同じであってもよく、又は異なっていてもよい。一つの実施態様において、該ラミネートにおける複数パネル又は該複数パネルの少なくとも1つは、セラミック物質を含み、セラミックは、ガラスを包含する。一つの実施態様において、該ラミネートにおける複数パネル又は該複数パネルのうちの少なくとも1つは、金属、例えば金属シート、を含む。一つの実施態様において、該ラミネートにおける複数パネル又は該複数パネルの少なくとも1つは、木材又は木材ベースの物質を含む。
【0067】
一般的に本発明において、該パネルは、担体とは異なる材料から作成される。例えば、一つの実施態様において、該ラミネートにおける複数パネル又は該複数パネルのうちの少なくとも1つは、木製パネル、繊維ボードパネル、粒子ボードパネル、HDFパネル、及びMDFパネルの群から選択され、該担体は、紙から選択される。
【0068】
本発明において使用されるパネルは、少なくとも0.2mmの厚さを有する。該パネルの厚さに、技術的な上限はない。例として、25cmの上限が言及されうる。特定の実施態様の好ましい厚さ範囲は、以下に論じられている。
【0069】
一つの実施態様において、該ラミネートは、ポリマーを備えられた担体を片面又は両面上に備えられた単一のパネルを有する。この場合、該パネルは、相対的に厚く、例えば少なくとも5mm、特に少なくとも7mm、でありうる。好適な範囲は、5mm~3cmでありうる。該パネルの厚さに、技術的な上限はない。例として、10cmの上限が言及されうる。好適なパネルは、例えば木材ベースの、例えば繊維ボード、粒子ボード、HDF、MDF等から誘導された物質、でありうる。本発明のこの実施態様は、例えば、当技術分野において知られている合板物質の代替物を提供する。
【0070】
この実施態様において、ポリマーは、該パネルの片側上に存在し得、該担体は、その片側上に、すなわち該パネルに面している側にポリマーが備えられ得、又は両側上に存在しうる。後者の場合、該ラミネートの外側ポリマー層は、該ラミネートに特定の表面特性を提供することが意図される。
【0071】
本発明のこの実施態様は、例えば、建築用途及び家具、輸送等において多く使用されることが判明している。
【0072】
一つの実施態様において、該ラミネートは、パネルと、該パネルの間に挟まれている、及び/又は該ラミネートの1以上の外表面上に施与されている担体層との積み重ね(stack)を含む。
【0073】
この実施態様において、該ラミネートは、例えば、木材又は木材ベースのパネルと、中間担体層との積み重ねでありうる。例えば、該ラミネートは、例えば0.2~5mm、特に0.5~3mm、の厚さを有する、2~20枚の木材ベースのパネル、例えば3~10枚の木材ベースのパネル、を含む多重物質でありうる。この実施態様において、ポリマーは、中間担体層の両側上に存在する。
【0074】
一つの実施態様において、該木材ベースの層の間に挟まれた担体層は、10~500ミクロン、より特に10~100ミクロンの範囲、の厚さを有する。
【0075】
担体層は、該ラミネートの1以上の外表面上に施与されていてもよく、又は施与されていなくてもよい。一つの実施態様において、担体層は、該ラミネートの外表面に施与される。一つの実施態様において、該ラミネートの外側上の担体層は、例えば20~2000ミクロン、特に50~400ミクロン、の厚さを有する。この実施態様において、ポリマーは、該担体の片側、すなわち該パネルに面している側上に存在し得、他方の側は、ポリマーを含まない。ポリマーは、該担体の両側上に存在することも可能である。後者の場合、該ラミネートの外側ポリマー層は、該ラミネートに特定の表面特性を提供することが意図される。
【0076】
本発明の方法において、先に論じられている通り、ポリマーを備えられた担体は、パネル及び担体のラミネートを形成する為に、パネル上に施与される。このことは、当技術分野において知られている任意の方法によって行われることができ、ここでは解明の必要はない。
【0077】
一つの実施態様において、ポリマーを備えられた該担体は、ロールから巻き戻され、パネルに施与され、それに続いて、施与できる場合には、ポリマーを備えられた担体が既に提供されているかどうかに関わりなく、1以上の更なるパネルが施与される。
【0078】
次に、パネルとポリマーを備えられた担体とのラミネートは、該ポリマーの、重合の程度を増大する為に硬化工程に付される。該硬化工程中、該ポリエステルは、反応温度、例えば80~250℃、特に100~200℃、より特に100~180℃、の生成物温度にある。硬化は、当技術分野において知られている加熱技術を使用して、例えば80℃~450℃までのオーブン温度を有するオーブン内で、行われることができる。様々なタイプの技術及び装置が使用され得、対流式オーブン、マイクロ波オーブン、赤外線オーブン、誘導オーブン、熱風オーブン、慣用的なベーキングオーブン及びそれらの組み合わせを包含するが、それらに限定されるものでない。硬化は、所望の施与に応じて単一工程又は複数工程で行われることができる。硬化時間は、施与、並びに使用されるオーブンのタイプ及び温度に応じて、5秒~2時間の範囲である。所望の施与及び所望の特性に応じて好適な硬化条件を選択することは、当業者の範囲内である。不活性ガス雰囲気下で、例えば窒素下で、特に酸素がない状態で該硬化工程を行うことが好まれうる。不活性雰囲気の使用は、より高い硬化温度の使用を可能にすると同時に、望ましくない酸化反応の発生を制限する。重合の所望の程度を得る為に好適な反応条件を選択することは、当業者の範囲内である。
【0079】
最終生成物において、重量測定により決定される、重合の程度は一般的に、少なくとも0.6、特に少なくとも0.7、より特に少なくとも0.8、幾つかの実施態様において少なくとも0.9、である。
【0080】
ポリマーを備えられた担体の少なくとも一部に、更なるパネルが存在する場合、全硬化工程中、又はその一部の間、特に初期部分の間に、こうして形成された積み重ねに圧力を印加することが好まれうる。この実施態様において、一般的に1~100バール、特に5~50バール、より特に10~20バール、の範囲の圧力が印加される。
【0081】
本発明はまた、パネルと、2~15個の炭素原子を有する脂肪族ポリオールと3~15個の炭素原子を有する脂肪族ポリカルボン酸とから誘導されたポリエステルを備えられた担体とを含むラミネートであって、ここで、該ポリエステルが、重量測定により決定される、少なくとも0.6、特に少なくとも0.7、より特に少なくとも0.8、幾つかの実施態様において少なくとも0.9、の重合の程度を有する、上記ラミネートに関する。
【0082】
一つの実施態様において、該ラミネートは、ポリマーを備えられた担体を片面又は両面上に備えられた、単一のパネルからなる。一つの実施態様において、該ラミネートは、2枚のパネルの間に挟まれた、ポリエステルを備えられた1の担体を有する少なくとも2枚の該パネル、例えばパネルの間に挟まれたポリエステルを備えられた担体を有する2~20枚の該パネル、を含み、ここで任意的に、該ラミネートの両方の外面の一方には、ポリマーを備えられた担体が備えられている。
【0083】
本発明において使用されるパネル、及びそれから得られたラミネートは、任意の形状を有しうる。例は、プレートを包含するが、本発明はまた、三次元(=非平坦)形状を有するラミネートに関する。2枚以上のパネルが使用される場合、該パネルは、例えば合板タイプの物質の場合には同じ形状を有しうるが、該形状は、やはり様々でありうる。
【0084】
所望の場合には、本発明に従う方法によって得られたラミネートは、更なる処理、例えば追加の特性、例えば水又は化学物質に対する追加の耐性を提供する為の更なる層の提供、に付されうる。
【0085】
当業者に明らかになる通り、本発明の一つの観点、例えばポリマーを備えられた担体、について記載されている特色はまた、明らかに適合性がない場合を除いて、本発明の他の観点、例えばラミネート、に適用される。
【0086】
本発明は、下記の実施例によって説明されるが、それらに限定されるものでなく又はそれらによって限定されるものでもない。
【0087】
実施例1
ポリマーを用いる担体の調製
ポリマーを、以下の通り調製した。純度>99%グリセロール1.0kg及びクエン酸(純度 >99%)2.0kgが、撹拌され且つ加熱された反応器内に入れられた。また、ホウ酸(純度 >99%)9gが添加された。該混合物は、135℃になるまで約15分加熱され、そして、その温度で15分間維持された。次に、ポリマー濃度が80重量%又は90重量%になるまで水道水が添加され、そして、混合物が室温に冷やされた。該ポリマーは、0.48の転化度を有していた。この処方(recipe)は、所望の量のポリマー溶液を得る為に必要な回数、繰り返された。
【0088】
様々な紙担体シートに、その両側に、以下の通りポリマーを備えられた。紙担体材料のシートが、前述のポリマー溶液に浸漬させられた。浸漬後、紙担体シートは、周囲温度で60分間乾燥させられ、そして次に、オーブンで、150℃で60分間硬化させられた。これらの硬化させられたシート(表1を参照)は、複数のパネルの間の接着層として、及びラミネートにおける上部層として使用された(実施例2及び3を参照)。
【0089】
出発紙担体材料の、これらの担体にポリマーを備えられた後の特性が、表1に記載されている。
【0090】
【表1】
【0091】
実施例2
接着層としての使用
実施例1に記載されている硬化させられた紙担体が、3~5枚のバーチウッドパネル(birchwood panels)(1.4mmの厚さ)を一緒に接着してラミネートを形成する為の接着物として使用された。該ラミネートは、以下の通りに製造された。紙担体は、該パネルの間に挟まれ、得られた積み重ねは、150℃及び15バールで10分間圧縮され、そして次に、135℃で60分間、更に硬化された。また、ラミネートは、より低い圧力(7バール)且つより長い圧縮時間(20分)を用いて作成された。
【0092】
結果として得られたラミネートのパネルは、市販のバーチウッドラミネートと同等の又はそれよりも高い強度で、一緒にしっかりと接着された。外側パネルの外観は、元のバーチウッドパネルとしての外観であり且ついかなる染みもなかった。
【0093】
実施例3
ラミネート上の上部層としてのポリマーを有する担体
硬化された紙担体(表1を参照)がまた使用されて、実施例2に記載されている通りに作成されたラミネートの上部に置かれた。それらは150℃の温度で5分間圧縮された。これにより、透明であり、硬く、均質且つ平坦なポリマー上部層が結果として得られた。該上部層の硬度は、78~82ショアDであった。比較の為に、この分野において上部層としてしばしば使用されるメラミンは、80ショアDの硬度を有する。
【国際調査報告】